1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年四月十一日(水曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 瓦 力君
理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君
理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君
理事 伊藤 茂君 理事 野口 幸一君
理事 坂口 力君 理事 米沢 隆君
坂田 文武君 熊谷 弘君
小泉純一郎君 笹山 登生君
椎名 素夫君 塩島 大君
田中 秀征君 谷 洋一君
中川 昭一君 長野 祐也君
平沼 赳夫君 藤井 勝志君
宮下 創平君 村上 茂利君
森 美秀君 山岡 謙蔵君
与謝野 馨君 上田 卓三君
川崎 寛治君 沢田 広君
渋沢 利久君 戸田 菊雄君
藤田 高敏君 堀 昌雄君
柴田 弘君 宮地 正介君
矢追 秀彦君 安倍 基雄君
玉置 一弥君 正森 成二君
簑輪 幸代君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 竹下 登君
出席政府委員
内閣法制局第一
部長 前田 正道君
大蔵政務次官 堀之内久男君
大蔵大臣官房日
本専売公社監理
官 小野 博義君
大蔵大臣官房審
議官 水野 勝君
大蔵省主計局次
長 的場 順三君
大蔵省主計局次
長 保田 博君
大蔵省理財局次 吉居 時哉君
国税庁次長 岸田 俊輔君
委員外の出席者
人事院事務総局
給与局次長 藤野 典三君
人事院事務総局
職員局議官 平岩 金一君
防衛庁衛生局衛
生課長 河路 明夫君
外務大臣官房在
外公館課長 数原 孝憲君
厚生省年金局企
画課長 渡辺 修君
厚生省年金局年
金課長 山口 剛彦君
社会保険庁医療
保険部健康保険
課長 奥村 明雄君
労働大臣官房秘
書課長 春日原秀隆君
労働省労働基準
局補償課長 佐藤 正人君
日本専売公社管
理調整本部職員
部長 伴内 昭彦君
日本国有鉄道常
無理事 岩崎 雄一君
日本電信電話公
社厚生局長 中原 道朗君
大蔵委員会調査
室長 矢島錦一郎君
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委員の異動
四月十一日
辞任 補欠選任
平泉 渉君 岸田 文武君
山岡 謙蔵君 谷 洋一君
山中 貞則君 長野 祐也君
同日
辞任 補欠選任
岸田 文武君 平泉 渉君
谷 洋一君 山岡 謙蔵君
長野 祐也君 山中 貞則君
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四月七日
株券等の保管及び振替に関する法律案(内閣提
出第七一号)(予)
同月九日
所得税の大幅減税等に関する請願(井上一成君
紹介)(第二二九二号)
同(木島喜兵衞君紹介)(第二二九三号)
同(左近正男君紹介)(第二二九四号)
同(清水勇君紹介)(第二二九五号)
同(田邊誠君紹介)(第二二九六号)
同外三件(戸田菊雄君紹介)(第二二九七号)
同(堀昌雄君紹介)(第二二九八号)
同(宮崎角治君紹介)(第二二九九号)
同外一件(石田幸四郎君紹介)(第二三三五号
)
同外四件(岩垂寿喜男君紹介)(第二三三六号
)
同外一件(小川新一郎君紹介)(第二三三七号
)
同(加藤万吉君紹介)(第二三三八号)
同(木島喜兵衞紹介)(第二三三九号)
同外二件(坂口力君紹介)(第二三四〇号)
同(柴田弘君紹介)(第二三四一号)
同(田中克彦君紹介)(第二三四二号)
同外一件(田並胤明君紹介)(第二三四三号)
同(中村巖君紹介)(第二三四四号)
同(藤田高敏君紹介)(第二三四五号)
同外三件(安田修三君紹介)(第二三四六号)
同外一件(山口鶴男君紹介)(第二三四七号)
同外四件(山中末治君紹介)(第二三四八号)
同(薮仲義彦君紹介)(第二三四九号)
申告納税制度改悪反対等に関する請願(左近正
男君紹介)(第二三〇〇号)
同(沢田広君紹介)(第二三〇一号)
同(新村源雄君紹介)(第二三〇二号)
同(藤田高敏君紹介)(第二三〇三号)
同(和田貞夫君紹介)(第二三〇四号)
同(渡部行雄君紹介)(第二三〇五号)
同(上西和郎君紹介)(第二三五〇号)
同外二件(小林恒人君紹介)(第二三五一号)
同(田中克彦君紹介)(第二三五二号)
同(馬場昇君紹介)(第二三五三号)
同(松沢俊昭君紹介)(第二三五四号)
同(村山喜一君紹介)(第二三五五号)
大幅減税の実現、大型間接税導入反対等に関す
る請願(坂口力君紹介)(第二三五六号)
公立高校用地確保のため筑波移転跡地払い下げ
等に関する請願(山本政弘君紹介)(第二三五
七号)
物品税増税・大型間接税導入反対等に関する請
願外二件(梅田勝君紹介)(第二四〇一号)
酒税増税反対に関する請願(簔輪幸代君紹介)
(第二四〇二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第五二号)
昭和四十二年度以後における国家公務員等共済
組合等からの年金の額の改定に関する法律等の
一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/0
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001・瓦力
○瓦委員長 これより会議を開きます。
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における国家公務員等共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
これより両案について質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/1
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002・沢田広
○沢田委員 通告の順にはなりませんけれども、若干準備していただくものもありますので、先に質問しておきたいと思います。
国家公務員共済組合法の施行規則の第一号表の五というので、医療経理に「資産、負債及び基本金勘定科目(貸借対照表勘定科目)」、こういうことの資料に基づいてそれぞれ病院の保健経理、それから医療経理等を行うことが規定されているわけであります。実は、事前にいわゆる現在の直営の病院等についてそれぞれ資料の提出をお願いしたのですが、国家公務員関係では虎の門病院、国鉄直営医療機関では主として新宿の鉄道病院、それから専売の東京病院、逓信の直営病院、防衛医大附属病院等についてお願いしたのでありますが、結果的には資料の提出はできないと防衛庁病院の方からは出され、その他の病院についてはこの資産勘定科目についての資料は出せないというのか、ないというのか、ということなんでありますが、その点まずどういうことなのかの内容についてお答えをいただきたいと思います。どこからでも結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/2
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003・保田博
○保田政府委員 まず虎の門病院の利用状況でございますが……(沢田委員「いやいや、その内容じゃない、書類を出せない理由を聞きたいわけだ」と呼ぶ)ちょっとお待ちを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/3
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004・瓦力
○瓦委員長 打ち合わせをいたしますので、ちょっとお待ちください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/4
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005・保田博
○保田政府委員 申しわけありません。虎の門病院につきましてはお手元に御提出させていただいているそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/5
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006・沢田広
○沢田委員 規則では、これを見てちょうだいよ。医療経理の内容についての大項目、中項目、小項目と書いてあって、流動資産から事業外支出、繰入金、利益金、固定資産、負債から流動負債、そういうものが全部出ている。虎の門病院から出てきたのは、患者収入が入院と外来科収入、給与、材料支払い利息、減価償却、その他、極めて簡単なもので、書類の形式は合ってないですよ。
もう一つは、防衛庁の方は資料の提出はできない、こう言う。秘密保護法が制定されているわけでないのに、病院のあれが出せないとは何ですか、出せないとは。これも明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/6
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007・保田博
○保田政府委員 共済病院の場合には、共済病院の営んでおります全体についての資産、負債の状況等はまとめてございますが、先生の御要求が虎の門病院に限りということだったので、御提出はできなかったということであります。全体についてであれば即座に御提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/7
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008・沢田広
○沢田委員 だけれども、結局下から積み上げるのには、この科目ごとに各病院のものが上がってこなければ、全体の合計は出てこないのですよ。そういううまい運用の仕方があるのですかね。各病院は勝手な数字を出しておいて、それで全体にまとまった、この規則に基づいたものが出てくるというのは、どこからそういう数字が出てくるのか。私も幾らか経理をやったこともありましたけれども、そういうものができるという算術を教えてください、そのとおりやったものを集積したものが全体の病院の合計なんだと思うのですね。それが全然、今の例を言ってみれば、患者収入は入院、あとは外来、それだけで、その他のものはその他で一括しちゃって、その中身わかりますか。この中身が、雑品の売りさばきであるとか、ごみだとか――まあ、ごみはないでしょうが、そういうものの差し引きであるのか、減価償却の内訳だとか支払い利息の長期、短期の問題、材料費にしたって、薬代からその他のものを一括して、中身はどうやって分けるのですか、大蔵省は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/8
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009・保田博
○保田政府委員 私、経理の方の専門家でないものですからわかりませんけれども、恐らく先生のおっしゃるとおり、全体の収支並びに貸借対照表等をまとめるのは、個々の病院についてのそれらを集計したものであろうと思います。ただ、恐らく一般管理費等の割り掛けなんかが個々の病院にまで及んでいないのではないか、そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/9
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010・沢田広
○沢田委員 いや、これはどんなに牽強付会しようと無理があるのですよ。とにかく規則をごらんになってください、規則のこの項目を、大中小の項目を。ゼロであるかゼロでないかは別として、それごとに提出されなければその合計は出ないはずなんですよ。それは絶対に、どの病院のものでも一つずつ出てきて、それが集計されたものがトータルとなって出てくるのであって、そんな、その他で一括して、国会にだけインチキなものを出して、悔しかったらそのまま出してくださいよ、インチキと言われて悔しかったら。(発言する者あり)規則はちゃんとあるのですから、規則のとおりに出してもらって……。
それから、防衛庁は提出できない。これも何ですか、何の秘密があるのです。提出できない理由は何なんですか。少なくとも委員長、これを一番先に出したというのは、私の質問時間に限界があるから、若干時間的余裕を置かなければならぬから、こういう不親切なあるいはこういうだらしがないというか、そういうような病院の運営というのはないだろうと思うから。しかも、これは名門病院ばかりなんですよ。私があえて一つずつ、全部出すのはなお大変だろうと思うから、わざわざ病院を特定をしたのですが、結果的には何も出てこない。これじゃ、我々が判断する材料が出てこない。だから、これに基づくものを提出してくださいよ。
それから、防衛庁は出せない理由をちょっとはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/10
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011・河路明夫
○河路説明員 自衛隊の病院は、自衛隊員等の診療を行いますとともに、その診療に従事いたします隊員の専門技術に関する教育訓練ですとか、あるいは看護に従事します隊員の養成、そういった使命を持ったものでございます。現在中央病院を含めまして十五の地区病院を有しておりますが、これらはいずれも自衛官等の診療を担当するという任務を持っておりまして、自衛官の私傷病に関します療養の給付は国が直接行うこととしております関係上、自衛隊病院には診療収入が本来予定されていない、こういった性格を持っております。したがいまして、一般会計の中で病院が運営されている、こういったことから、御要望の趣旨に沿った資料が存在しないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/11
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012・沢田広
○沢田委員 これもインチキですね、そんなことない。とにかく入院患者数は一日平均――平均となっていますが、九百六十九人、外来患者数は五百五十五人、これは平均で出ておりますが、延べでいけば相当な人数になるのですから、医療費のかかった、例えばこの規則の医薬品の分であるとかあるいは収入、支出の分は、独立採算でなくても資産勘定はできるわけであります。しかも提出できないという言い方は、全然内部で、病院で幾ら金がかかっているかもわからないで予算を組んでやっていこうというのは、大体これは不見識な話ですよ。幾らかかって幾ら入ってくるのかもわからない。収入がゼロならゼロで結構ですよ。支出なら支出だけ上がってくるはずですよ。こういうことで、これは委員長、あと質問は別に続けていきますけれども、資料を規則に基づいたもので出してもらうように手配をしていただきたい。防衛庁も同じです。規則に基づいて処理してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/12
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013・保田博
○保田政府委員 全体の経理の状況について、先生の御使用にたえ得るようなものを調製すべく努力をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/13
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014・沢田広
○沢田委員 この質問時間内に防衛庁も出せないでは、私も済まされません。とにかく国民の前に、防衛庁の病院の運営について規則その他で定められている範囲内において公表する義務はあると私は思いますから、それは必ずこの時間内に提出をしていただきたい。もしそうでなかったら、防衛庁がなぜ隠さなければならないのかの理由書を提出をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/14
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015・河路明夫
○河路説明員 ただいま御説明申し上げましたとおり、私ども防衛庁の所管いたします病院、お手元には防衛医大の利用状況についてお届けをいたしてございますが、防衛医大病院につきましても、これは医育機関としての防衛医科大学校と不即不離の関係にございます。したがいまして、病院独自の収支をつまびらかにするような経理の仕方ではなく、防衛医科大学校全体としての経理が行われているわけでございまして、その意味で御要望の趣旨に沿った資料の整理ができないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/15
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016・沢田広
○沢田委員 予算の見積もりをするときには細かい資料出すのですよ。それから、決算をするときには決算の資料を出すのですよ。そんなものがないで済まされるはずがない。だったらその予算の見積もり書、積算根拠を出しなさいよ。あるいはもう三月三十一日過ぎたんだから、決算はできているはずだから決算書出しなさいよ。もしそういうものが出せないというならば、それは少なくともあるはずだから、出さないでしらばっくれて、それでこのまま押し通してしまおうなんということは、これは許されることじゃないですよ。だから、さもなかったら隠さなければならぬ理由を明確にしなさい、こう言っている。どちらかを選択していきなさいよ。その後の問題は後の問題としてこれは処理しますから。とにかくそれは委員長に要望しておいて次へ行きます。これは防衛庁の方でこのままで出さないで、提出できませんなんということでそのまま済ませるなんて、そんなばかなことはできないですよ。国にそういう秘密はないはずですから、今日。
それから大臣、きょうの新聞を見ますと、強い要望もあったと思うのでありますが、単身赴任者に対して税制上の考慮をするということで、極めて政治的には配慮されている答弁もなされたようでありまして、その意味においては評価することはやぶさかではないのでありますが、果たして単身赴任者というものの定義はどういうことになるのであろうかというのが一つ。
それから、その税制で考える視点ほどの点にあるというのか、要すれば行くことの意味なのか、残された家族の意味なのか。これは報道の正確さについては私も大変はかり知れないものがありますが、単身赴任者というものについてどういう定義づけをしていこうと今の段階でお考えになっておられるのか。船に乗っている人は単身赴任というのか、あるいは飛行機に乗っているのも単身赴任というのか。パートと同じように、そういう定義づけの大変難しいものがあるのじゃないか。出稼ぎの方々も単身赴任ということになるのかどうか。その辺を、せっかく御配慮いただくのでありますから、ただそういうふうな気があるなんという答弁だけで中身がなかったのじゃこれは困りますから、念のため、今考えておる単身赴任の定義づけ、それから赴任の方に減税をしようというのか、あるいは残された家族の側の問題に視点を置いているのか、その点も若干見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/16
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017・竹下登
○竹下国務大臣 昨日の参議院の予算委員会の総括締めくくりのときにそういう趣旨の御発言がございまして、私からは、単身赴任問題というのはこれは確かに一つの社会的現象ではあるが、今おっしゃったとおり、その定義も大変難しい点もある、だから基本的には、現段階の私の認識はいわゆる雇用政策の場で解決すべき問題ではないか、今はこういう現状認識に立っておりますが、この国会で出た問題でもございますので、これはやっぱり検討しなきゃならぬ課題でございましょう、こういうことまでに私のお答えはとどめておきました。
それで、総理はどうかと言われて、総理も、かつてはパートの問題が、そして今や単身赴任の問題が一つの社会問題として取り上げられておるという事実認識はある、だからこれについては税制上という考え方は総理にはなかったと思います、新しい社会現象として検討すべき課題だというふうな事実認識を持っておる、こういう答弁でありました。
私の方も、かねてからの御質問があるところでありますが、税制調査会の方で、いわば人それぞれの生活環境というのは大変違っておるから、その個別の問題を一つ一つ税制の中に反映するのは難しい、私が現状認識しておりますように、やっぱりそれは雇用政策の中で解決すべき問題ではないかというふうに申しておるところでございますが、現に我々の税務署なんかもたくさんそういう事実ありますので、したがって今沢田さんが御指摘なすったような問題を全部取り上げてこれは勉強していかなきゃならぬ課題だ。
今日までの議論につきましては事務当局からお答えさせようと思いましたが、いろいろな議論があって、やっぱり個々の生活基盤というものにはそれぞれの個別事情というものはあるから、それを一つ一つ今直ちに税制上組み込めと言われても難しいという、今の場合結論にはなっておるのです。しかし、これだけ議論されることになれば、やっぱりもう一掘り掘り下げて、パートの問題も、事実必ずしもだれもが釈然としていないままにも、二つの組み合わせというところまでは一応五十五年以来やってきたのですから、そういう勉強をこれからしようということで、今おっしゃったような問題はどこから手をつけるかというものも含めて、これからの課題だというふうに事実認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/17
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018・沢田広
○沢田委員 それじゃ順にお伺いしてまいります。これは聞く人を先に言いましょう。上のそらでいるとまたかわいそうですから。これは国鉄、郵政、専売、そういう一緒になったところです。
例えば専売法が出て新しく会社ができました。その会社ができました場合の年金の制度は、まず一つの確認は、現在の年金の国共済の中にそのまま含まれたままで進んでいくものと解釈していいかどうか。これがまず第一であります。それをまずお答えしていただきましょう。
これは国鉄はまだそのままですが、専売、電電というのがもし特殊会社その他になっても、職員の場合の年金は国共済年金としてそのまま継続されていくということが前の答申にもあったのでありますが、そのとおりと確認していいのかどう」か。これはやはり大臣から答えておいてもらわないと困るのですね。事務当局ではちょっと責任負えないでしょう。負えますか、大臣の答弁も。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/18
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019・保田博
○保田政府委員 その点につきましては、本年四月から施行されております、公企体の共済組合を国共済に統合するという法案が成立しましたので、その法律に従いまして、電電、専売、国鉄の各共済組合は、民営になりました後も国共済に残るという方針が既に法律上確定をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/19
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020・竹下登
○竹下国務大臣 これは御審議いただく間にいろいろ議論のあった問題で、ポイントの一つであったと思います。これは、いま保田君がお答えしたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/20
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021・沢田広
○沢田委員 じゃ法の施行で、その後もし会社になった場合に、現在いる人はそのまま継続するのは法律上当然だと私も思う。その後新規採用をされて、専売なら専売さんに新たに就職をした人、従来、これは恩給法の場合もそうでありますし、その他の一般の職員になった場合も、国鉄なんかも三十一年のときもそういうことでありますし、新法の適用と旧法の適用、こういう区分けを三十一年六月なら六月でされている、こういう歴史的な経過がありますね、四月なら四月に。そういうことで、この場合も専売なら専売が、企業が分離をされても、それでその翌年から新たに採用される人もこの共済年金の適用を受ける、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/21
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022・保田博
○保田政府委員 先生の御理解のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/22
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023・沢田広
○沢田委員 これでこの問題を終わります。
次に、基礎年金の導入の問題でお伺いをいたします。これは厚生省にも来ていただいておりますが、これも大蔵大臣が六十一年度までに基礎年金の導入について考慮をする、こういうことで閣議の決定もされているようであります。この導入の仕方については、現在どういうところで審議をし、どういう形になっているのか。中身は要らないです。そのスケジュールについてだけとりあえずお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/23
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024・保田博
○保田政府委員 先生御承知のように、現在共済制度は四つに分かれておりまして、国共済並びに公企体共済については大蔵省、それから地共済は自治省、私学共済は文部省、農林共済は農林水産省の四つの省が所管をいたしております。先生の御質問にございましたように、基礎年金の導入を柱といたします共済年金制度の基本的な大改正、大変な作業でございますので、現在、関係省庁の担当者と学識経験者に御参加をいただいた勉強会を持って、いろいろ勉強をいたしております。各省庁との連絡も密にいたしておりますが、それらの勉強を重ねまして、我々の希望としますと、八月か九月の終わりぐらいまでにはその勉強会の成果をまとめたい。それらをもとにしまして、四省庁相集まりまして新しい共済制度の骨組みをつくって、恐らくこの次の通常国会には改正のための法案を御提出し、御審議をいただくというふうな方向で作業を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/24
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025・沢田広
○沢田委員 厚生省に来ていただいておりますが、基礎年金を国家公務員の中に入れるという考え方のときに、いわゆる制度間の性質の違いというものがあります。一方は物価スライド、賃金スライドというようなものもありますし、そういうようないろいろな違いがあるのをつないでいく場合に、厚生省としてはどんな観点に立ってこれを挿入していく考え方なのか、簡単でいいですから、まずお答えいただきたいと思うのです。入れていってほしいということなのか、それとも御検討くださいということなのか、厚生省としてはどういうことを考えているのか、その点ちょっとお答えいただきたい。今言ったことだけでわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/25
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026・山口剛彦
○山口説明員 私ども、今の年金制度が分立していることに伴う諸問題を解決するために、各制度に共通した給付を導入しよう、具体的には基礎年金という考え方を導入して制度の再編成を図っていこう、できるだけ公平な安定した制度にしたいということでいたしているわけでございます。
そういう趣旨からいたしましても、現実問題として、共済制度とかなり制度的な違い等ございますけれども、その中でも共通にやっていける部分というのがあるはずでございますので、私どもの考え方としましては、今回御提案しております基礎年金にできれば共済年金の方も合わせていただいて、それ以外の独自性の部分はどういう方向で、またどういう仕組みで発揮されるかという問題はあるかと思いますが、基礎年金についてはぜひ私どもの構想に共済年金も合わせていただきたいという希望を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/26
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027・沢田広
○沢田委員 その場合一番問題になりますのは、掛金に関する関係が起きてくると思うのですね。国民年金の部分を投入するというと、今六千八百円ぐらいを想定しているようですから、六千八百円は、いわゆる基礎年金部分を土台にして、その上に所得比例部分というものを上乗せする。そうすると、だんなさんは、言うならば六千八百円を二人分ですか、自分と奥さんということになりますね。簡単に言うと、六千八百円の倍を本人が納めて、そのままの制度を残していく、まずこれが一番素朴な考え方になってくるわけであります。そういうことを考えておられると判断していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/27
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028・山口剛彦
○山口説明員 基礎年金の費用負担につきましては、ただいま先生のお話がありましたように、基礎年金の全体の給付費を現役の人たちが公平に負担をしていこう。頭数で割りますと、一人当たり幾らという額が出てまいります。これは国民年金の保険料負担の六千八百円とはまた若干異なりますけれども、六千八百円には国民年金の独自の給付をする部分も含まれておりますので、基礎年金の一人当たりの頭数から出てまいります単価、これは若干異なるわけでございますが、いずれにいたしましても一人当たりの単価というものが出てまいります。それを頭数で公平に負担をしていただこう。その際に、サラリーマンの場合には、その被扶養の奥様の分も本人の保険料の中からまとめて拠出をしていただくということで、御指摘がありましたように二人分の拠出単位をまとめて基礎年金の会計の方に振り込んでいただくという格好になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/28
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029・沢田広
○沢田委員 若干細かくなるようで、余りこれは入りたくないのでありますが、例えば二十万円の給料の人を例にとれば、今までの国公の例でいけば大体一万幾らで済むわけですね。一万三百円ぐらいですか、五・一五ぐらいですから。厚生年金では五・三ですが、一万三百円の場合、二十万なら二万百円くるい。それに対して今度は三三%国の補助がくっつくわけですから、例えば六千八百円とすると一万三千六百円が上乗せされるという形になるわけですね、二人分ということは。そうすると、所得の多い人と所得の少ない人が同じ金額を積み立てるという形が生まれてくる、所得比例を適用しないわけですから。そうすると若年労働者は、費用負担を今までの負担の倍くらいしなきゃならなくなってしまう。十万円の人だったら五千百円くらいで済んでいたわけですが、今度は二人分の一万三千六百円を上乗せすれば二万円近い負担をかけるという形になる。だから給料の低いほどその負担割合が重くなっていくという傾向が生まれる可能性がある、単純に平等に考えれば。その点は、例えば共済の方では、この部分はそういうことが起こってもやむを得ないという考え方で導入しようとしているわけですか。それとも、それは全部トータルにさせて別に考えようとしているわけですか。その点はどうでしょう。厚生省の方で入れる場合のことをひとつ考えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/29
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030・山口剛彦
○山口説明員 ちょうど基礎年金と共済組合の関係は、私どもの立場でいえば国民年金の方々とサラリーマンの方々の負担という関係になってくると思いますので、厚生年金を例にとって申し上げますと、現在厚生年金は千分の百六の保険料を労使折半で御負担をいただいているわけでございます。今度基礎年金が導入をされまして、従来の定額部分に相当するものが基礎年金に移行するというような形になるわけですが、それに対する保険料、大体五、六千円のところに決まってくると思いますが、その保険料を単純に今の保険料に上乗せするということじゃなくて、厚生年金の場合、従来の保険料については四、五年ごとに見直しをして徐々に上げてまいっておりますけれども、今度の改正では、千分の百六を従来のペースで十八上げまして、保険料率を千分の二十四にするということを考えているわけです。その千分の二十四を労使折半で御負担をいただくわけですが、その千分の二十四を負担をしていただいた中から、基礎年金の保険料も頭割りで幾らというのが出てまいりますのを、まとめてその保険料の中から御負担をいただくということでございます。
したがいまして、保険料負担については、従来どおり所得に応じた保険料負担をしていただくという点については基本的には変わりがないと思っておりますし、共済組合についても、どうするかはこれからの検討課題だろうと思いますけれども、私どもの考え方としては、厚生年金とほぼ同様の考え方で処理されるのではないかというふうに予想はしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/30
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031・沢田広
○沢田委員 厚生省の方は所得比例の中に包含をしていく、わかりやすく言うとそういう方式を採用しようとしている。いわゆる個人年金、基礎年金というのは、奥さんが空年金で来ているところで離婚などが起きた場合に無年金者になるから、その無年金者に対して保障をする、これが一つの目標である。それからもう一つは、憲法で言う、すべての人に健康で文化的な生活を営む、そういう権利を保障するための制度として基礎年金を置くのである、こういうのが主体的な名目なんであります。今言います国の三三%の補助金の行方というのは、どの部分にどう変わったのかというのは、計算上は若干明確性を欠くのじゃないか。今言ったように二十四でいきますと、一割二分といいますか一二%で取りますよ、国の三三%がありますよ、それ以外に、厚生年金で言えば全体に二〇%国の補助金がありますよ。そうすると、どの部分が基礎年金の三三%になり、どの部分が二〇%になるのか。所得比例でいくから、その辺はどういうふうに計算をして処理しようとしているのか。
厚生年金の方は大体私もわかるのです。今度は共済年金の方に来た場合に、それがどういうふうになってくるのかというのが実はその次の質問で、若干ぎくしゃくするのじゃないかというのが私の考えなんです。だから、厚生年金の方は大体それでいくだろうと思うのですよ。大体わかるだろうと思う。だから厚生年金の方は聞かなくてもいいのです。大体そういうところは見当がつく。ところが共済年金の方では、その三三%の国の補助と一五・八五%ですか、この補助との適合性をどういうふうにして図っていくのか、その点ちょっとお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/31
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032・保田博
○保田政府委員 共済年金制度が大幅に改正された後、国庫補助をどうするか、端的に言えばそういう御質問であろうかと思うわけですが、従来、電電とか専売等がいわば国の機関、政府関係機関として存在し、その共済組合という年金の負担をいわば公経済負担としてやってきたわけですが、それについては今度の民間移行の法律が成立しました後は、国庫補助をするかどうか、公経済負担を国庫負担に切りかえるかどうかという点について、現在部内ではかなりの程度に煮詰まりつつあるわけですけれども、従来の態度を変えなければいけないのかな、こういうことで検討をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/32
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033・沢田広
○沢田委員 含みのある御答弁のようでありますが、要するに二つ私は言っているので、共済の方に来た場合の基礎年金を導入した場合に、厚生省方式でいくのか、あるいは別枠でいくのか、まずそれからわかりやすく聞いていきます。これは審議会を経なければ答えられないというなら、それはそれでいいですよ、これはやむを得ないですから。しかし、例えばそれは別枠でいくのか、あるいは一緒にしてしまっていくのか、その点を明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/33
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034・保田博
○保田政府委員 新しい共済制度全体をどういうふうに仕組むかということについて、私たちが予見を持って方向を決めるというのはいささかどうかと思うのであります。今から学識経験者等に集まって御勉強いただくわけでありますから、その点はどうかとは思いますけれども、先日閣議の御決定をいただきました方針で基礎年金という制度が導入されるということになり、それについて厚年グループに対しての国庫補助が基礎年金に対する三分の一ということで、国庫補助をこれに集中するということであれば、我々としても、新しい共済制度のうち民間に移行した電電と専売については、同様な方向で恐らく制度の統一が図られるのではないか、そういうふうに期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/34
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035・沢田広
○沢田委員 大臣、禅問答みたいなことしてもしょうがないですから……。この導入によって相当予算が膨らむのじゃないかという気がするのです。気がするより、実際に数字は、国民年金の部分を御主人が負担をするわけで、当然五千七百万人に二千七百万人くらいふえるわけですから、その分を要すれば負担をしていくということになるので、それの三割三分負担をするわけですから、当然予算は膨張するわけですね。厚生年金の分まで、今度は三三%基礎年金分は保障をしていかなければならぬ。その財源問題は全然検討されないで、ああいう答弁をされたわけではないだろうと思うのでありますが、今検討の目安としてはどの程度になると考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/35
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036・保田博
○保田政府委員 新しい年金制度が発足をいたしました際に、国の補助は基礎年金に集中をするということでございまして、それに対する三分の一の補助でございます。トータルとしますと、国庫補助の総額は当分の間は恐らく旧制度における国庫補助額と新しく基礎年金が発足した後の国庫補助額とがおおむね見合ったような水準になるのではないか。粗い計算ですが、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/36
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037・沢田広
○沢田委員 こだわるわけじゃありませんけれども、ちょっとそれは合わないんじゃないですか。厚生年金の分のここで言う二千五百七十万人、これは五十七年三月現在ですね。それで国民年金の方で二千七百十一万人、この分は、三割三分も支給して、片っ方は二割。二割は、だけれども全体の制度である。今言った二四にして、一二にして、そのうちの五万円分は三三%補助する、こういうことでしょう。そうすると、二千五百六十九万人に五万円を掛けた分の数字、それが総額、そのうちの三三%、まず厚生年金の方でそれだけふえることは間違いないですね。ふえるでしょう。だんなさんの分の基礎年金ができるのだから、その分を三割三分出せば、その分はふえるでしょう。それから国民年金の二千七百十一万人の分は、これはもとどおりだろうと思うのですね。もしふえないとすれば、二千五百六十九万の五万円分は掛金で取ってしまおう、こういうことでなければふえないということにはならないのですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/37
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038・保田博
○保田政府委員 厚年の例で申しますと、従来は給付の二割を国庫負担しておったわけですね、全体の給付の二割を。ところが、今度は基礎年金部分の三分の一ということでして、基礎年金を上回るいわば報酬比例部分については国庫補助をしないわけであります。その結果としまして、先ほど申し上げましたように、新制度と旧制度との間の国庫補助は総額としてほぼ見合ったものになる、こういうふうに計算をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/38
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039・沢田広
○沢田委員 そうすると、公企体の関係でも、これ以上詰めていいのかどうかという気はするけれども、専売その他の一五・八五はそのまま制度を残して国庫補助として、今までは専売で出していた、国鉄で出していた、電電で出していた、それを今度は国の方で出すように考えましょう、今大蔵大臣の答弁では、そういう含みを持って答えたわけでしょう。それから、一六なら一六が、これが幾らかずつ毎年、三年ごとに一%上がっていくわけですが、その分はその分で共済制度として残っていくのですから、今言ったことによって、上がゼロだという論理にはならないのじゃないですか。どこか間違えているんじゃないですか。下の方の五万についてだけは三割三分出すけれども、あと報酬比例部分については補助はないんですという言い方だけでいったんでは、ちょっと制度としてはおかしくなるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/39
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040・保田博
○保田政府委員 厚生年金と国民年金の統合によって新しく発足いたしまする年金制度は、先ほど申し上げたとおりでございまして、国庫補助の対象を基礎年金部分に集中するわけでございます。報酬比例部分に対しては国庫補助をしないこととするわけでございます。共済年金制度の骨組みは今から検討してつくるわけですけれども、恐らくそれと軌を一にしたような制度に仕組まれるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/40
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041・沢田広
○沢田委員 そうすると、整理をしますと、結果的には五万円の基礎年金の方に給付率の、厚生年金でいえば二〇%は回りますよ。それから船員保険でいえば二五%もそっちへ回りますよ。国家公務員共済組合関係は一五・八五%も基礎年金の方に回りますよ。ずっといって、私立学校も一八%。農林漁業も一八%。それから国民年金の三三%ももちろんそのまま回って、上にくっつく報酬比例部分については国庫の補助はありませんよ。こういうことになるんだというふうに理解していいわけですね。首を縦に振っているから、そのとおりだということですね。答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/41
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042・保田博
○保田政府委員 大筋としては先生のおっしゃるとおりでございますが、共済の場合、電電と専売についてはまさにそういうことになろうかと思うわけです。公経済負担が国庫負担に切りかわるということになろうかと思うわけですが、これは昭電と専売が民営化するからでございまして、国鉄の場合について果たしてそうすべきかどうかということは、まだ結論を得ていないわけでございます。正確に言えばそういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/42
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043・沢田広
○沢田委員 そこで、処分の問題で伺っていきます。
そうなると、基礎年金の方に国庫補助は回って、いわゆる一般の報酬比例は単なる組合員の掛金だけで構成されるということになるとフィフティー・フィフティーで負担をするのであって、当局の処分権というものは、法律をどうつくるかは別として、喪失すると言っていいんじゃないか。厚生年金並みに、汚職をしたから、破廉恥罪を犯したから年金をカットするという論理は失われていく、こういうことにならなければ片手落ちということになるんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/43
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044・保田博
○保田政府委員 新しい共済年金制度が基礎年金を土台としたものとして発足をしたという仮定に立ちますと、基礎年金の部分はまさに社会保障制度そのもので全国民共通ということになりますれば、ここに国庫負担が仮に入ったとしましても、おっしゃるような給付制限というのは恐らく入らないことになるのではないかと思います。むしろその上に構築されるであろう報酬比例部分、あるいは入るかどうか知りませんが、三階建ての部分にこそ公務員制度の特色を織り込むことになるんではないか。ということであれば、給付制限をもし残すとすれば、むしろ報酬比例部分ないしは、さらにその上に置かれるかもしれない三階建ての部分についてではないか。この部分は組合員の保険料のみではなくて、やはり使用者としての部分も入るわけでございます。この二つによって財源が賄われる、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/44
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045・沢田広
○沢田委員 今言っていることも、また三階建ての話まで出ましたけれども、じゃ、とりあえず現在の問題で、七十年の先の話を今やらないで、ことし、来年の問題で聞いていきますが、この給付制限のバランスを大臣一回見たことがありますか。防衛庁がどういう罰則のときにどういう減額をやっているか、それから警察がどういうふうにやっているか、消防がどうやっているか、それから国家公務員がどうやっているか、国鉄、電電、専売、私立学校、農林漁業、それぞれあるのでありますが、この給付制限の中身というものについて、率直に申し上げてなかなかわかりにくい構造になって今まで来ていたわけであります。おぽろげながらでも御存じ――御存じというと失礼な質問になるかもわかりませんが、処分するときには処分するんだろうけれども、そこまでは目が届いていないんじゃないかという気がするのでありますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/45
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046・竹下登
○竹下国務大臣 率直に言って御指摘のとおりでありまして、その段階で話を聞くことはありますが、全般的な、基礎的な知識は持ち合わしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/46
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047・沢田広
○沢田委員 それで、この給付制限というのを年齢で延ばしてしまう警察みたいなところもあります。五十五歳を一年間やらないで、五十六歳からの支給でやってしまうという警察の方法もあります。それから国家公務員のように二割なら二割カットという方法もあります。
だからこれで私は結論的に言うと、罰則の給付制限がもし存在するとするならば、それはやはり整合性をとるべきではないのか。というのは、自衛隊は自衛隊としてどうもあるようであります。だから、そういう整合性をとることを大蔵省としては検討すべきじゃないかということが言えるのでありますが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/47
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048・保田博
○保田政府委員 先生の御理解と我々の理解、多少食い違いがあるのかもしれませんが、国家公務員共済組合と地方公務員共済組合につきましては、給付制限は共通でございまして、差異はございません。差異がございますのは、国共済、地方共済グループと公企体共済あるいは私立共済、農林漁業団体職員共済、それらとの間に差があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/48
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049・沢田広
○沢田委員 警察は、この前の名古屋の賭博事件で調べてみましたが、資料としていただいた、これは言っていいのかどうかわからぬですが、懲戒免職とされた場合は、退職年金の二〇%に相当するものが六十歳から五年間その支給を停止される。諭旨免職者の場合は、支給開始年齢が警視の場合は五十歳を五十七歳、勧奨退職の場合は五十五歳、警視の場合はこれは四十八からなんですが、五十六歳、警部は五十七歳、警部補は六十歳、巡査長が六十歳、附則の第十三条の三第一項、こういうふうに年齢を超えてやっていく方法。処分の内容で、退職後に不正が発覚したもの、警察の場合はこういうのもある。禁錮以上の刑に処せられて、その刑の執行を受けている者には、年金は本法第百十一条で金額が支給を停止される。出所後は、年金の二割に相当する分が支給停止される。そのかわりに停止期間は五年を超えることはない。五年で打ち切りになっておる。
私の知る限りにおいて、必ずしも国家公務員と同じ扱いということにはなってないのですよ。だから、あなたのおっしゃっている内容は、これは特別なんだというのかもわかりませんけれども、そういうふうにとにかく、私も今ここでやるのは、ここで時間をとりたくないのですが、給付制限がまちまちであるということは望ましいことではない。だけれども、ただ職務上の内容から、ペナルティーが強いものとペナルティーがやわらかいものとの差が出てくることはある程度やむを得ないかもしれぬ。しかし、それならそれなりの理由というものをやはり明らかにし、ペナルティーがあるかわりに、片方に利益がなければならぬ。罰則だけが強くて、そのこうむる利益がないのじゃ何もならないですから。例えば支給年齢が早いですからペナルティーは大きいですよ、こういう相互性が確保されなければならぬと思うのでありますが、その点を含めて、それから停職の分も――停職なんというものを食うということは普通めったにないんですね。だけれども、停職などを食った場合は一〇%引くというような、これは一生なんですから、もう少し期限を切って、五年ぐらいでやめて、後は解放してやるというのが筋道ではないのかというふうに思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/49
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050・保田博
○保田政府委員 職場の特殊性によって処分の態様が異なることは当然であり得るわけでございます。しかしながら、それに対応する年金額の支給制限は、国共済と地共済に関する限りは、すべて同一でございます。そこには差異はございません。
それから、例えば公企体共済の違反行為があった場合の給付制限については、秋の臨時国会において統合法案を御審議いただきましたときに御議論がございましたので、その線に従いまして、業務上の重過失ではないとか、あるいは国や公企体の権威あるいは国家公務員や公企体職員の信用を著しく損じたものではないといったようなものにつきましては、支給制限の率を五%に引き下げるといったような措置を講じまして、それぞれの職場の特殊性についてはある程度の配慮はさせていただいた、こういうふうに我々は理解をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/50
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051・沢田広
○沢田委員 その問題もこれ以上詰めてもしょうがないですから、次へ行きます。
大臣、実は大臣のいる間にこれはやらなくちゃならないのですが、遺族年金の支給で、これはなかなか難しいと思ってはいるのでありますが、大蔵大臣通達で処理されることになっているものがあるわけであります。その金額がもう十年以上そのまま据え置きになっていまして、時代的にそぐわないというふうに考えるわけです。それをまず検討をする段階に来ているのではないのかというのが第一点なんであります。それは、いわゆる奥さんの収入であります。遺族の収入がある一定額になりますと、遺族年金が失権をするという仕組みになっております。ですから、その一定額については大蔵大臣が指定をする金額でありますから、これはある程度、いわゆる具体的な数字を出すかどうかということは別といたしまして、毎月勤労統計の全国労働者の平均給与とかあるいはそれの三割増しであるとか、言い方はいろいろあるだろうと思いますが、一応再検討することが必要ではないかというのが一つです。
それからもう一つ、失権という言葉が使われているのであります。そのときは収入が奥さんにあったかもしれません。しかし、その後病気をしたりあるいはその他で収入がなくなってしまう場合もあり得る。ですから、もしそれを適用する場合は、所得制限と解して適用していくようにすべきではないのか。失権ということは、権利をすべて失ってしまって、病気等があってももとへ戻ってこない。これでは余りにも非人道的じゃないかという気がするわけであります。現行法規、法律はそうなっております。適用は若干違った解釈のようでありますけれども、あくまでも法律がそうなっていますと、争いが生じたときあるいは他に何か問題がありましたときに、そのことがいろいろと問題を起こしがちであります。ですから、これは地方公務員も同じでありますが、金額について考慮していただく必要があるのではないのかというのが一つ。それから失権をもし改めるならば、所得制限として考えていく必要性があるのではないか、こういうふうに思うのであります。その善処方をお願いしたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/51
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052・保田博
○保田政府委員 遺族年金を受給する際のいろいろな条件が、厚生年金と共済年金の場合には差があることは、先生御指摘のとおりだと思います。その点につきましても、今後の共済年金制度改正の作業の段階で勉強させていただきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/52
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053・沢田広
○沢田委員 今後、作業の間で検討したいということなんですが、意味はわかっていただいたかどうか。じゃ、それを大臣どうぞお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/53
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054・竹下登
○竹下国務大臣 そういう問題については、年金一元化の方向の作業の中で、アンバランスを是正したりというようなことをやろうという話は私も承知しておりますし、今沢田さんおっしゃった意味は、私なりに理解させていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/54
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055・沢田広
○沢田委員 ああ、そうですか。
続いて医療関係の問題で、ほかの資料はいつ出されるのかわかりませんけれども、全体的に見て、これはもうその資料のないままでいきますけれども、要するに一般開放していない病院と一般開放している病院とのずれというものがある。厚生省としては、これからの全体的な健康保持ということで、いろいろ法律改正が行われるわけでありますから、やはり全体的にも、郵政は郵政ということで独占的に使うとか、国鉄は国鉄だけで使うとかということでなく、医師会はいろいろ意見はあるようでありますが、やはり一般の国民に開放していく中で、市場競争原理という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、そういう中にあって、それぞれが成り立っていく方向を見出していくということが一つの道筋ではないのか。虎の門病院等は一般に開放しているわけでありますが、新宿の病院だとかなんかは開放していない。それから専売の病院も開放はしていない。防衛医大の方は、これは開放しているのですね。開放していながら、一般会計の中だからさっぱりあとはわからないのだ、こういうことで押し切ろうというのじゃないが、猫ばば決め込んじゃおうというような格好なのでありますけれども、いずれにしても一般開放に厚生省としては努力するべきではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/55
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056・岩崎雄一
○岩崎説明員 現在、一種病院、二種病院、それから中央鉄道病院というふうに直営病院を持っておりますが、このうち中央鉄道病院を除きまして、一般開放が既に実現をいたしております。新宿にございます中央鉄道病院については、現在地元の医師会と協議中で、ぜひとも開放について御理解を得たい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/56
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057・沢田広
○沢田委員 大蔵省の方の、これは大臣になるのかどうかわかりませんが、防衛庁の病院については資産が全然公表できないということのあり方は、一般に開放しているのですからね、開放している以上は、やはり資産勘定はして公表するというシステムをきちんとすべきだ。
例えば精神病なんかになっている人がいるのですよ。朝霞で精神病になって沖縄へ連れていかれちゃって、しごかれて、悲鳴を上げてくる。そういうような状況があって、だから防衛庁の病院は公表できないのじゃないのかと思っているのです。精神病にみんなやられてしまう。そして、どうやってもないしょで投書したりして、何とか帰してくれと泣きを入れてくる。人事課へ行くと、そういう人はおりません、こう言って答えが返ってくる。防衛庁という性格上、そういうものがあるからかもわかりませんが、極めて秘密、秘密に物を処理していこうという傾向が強い。これは私が現実に扱った事件なんです。これは精神病になっちゃっている。なっちゃっているけれども、絶対に精神病とは言わない。そうして朝霞から沖縄へ連れていって、沖縄でどうにもこうにもならなくなって、沖縄のあれと交渉して帰してもらったという例もあるくらいです。
ですから、そういうふうなこの防衛庁病院の秘密主義というものをやはり排除していく、そういうことは大変必要なことになってきているのではないか。そういうことがあるから、私は、防衛庁の病院がいろいろな内容を各所に隠している、そういう傾向なきにしもあらず。疑わざるを得なくなってしまう。疑いたくないのですが、疑わざるを得なくなってしまうのであります。だから、資料がわからない、資料がわからないということで、そして公表しないで事を済ませようとしていく、そういうことは私は、これは内閣でやるのかどうかわかりませんけれども、やっぱり余り望ましいことではないし、大蔵省でも、予算を組む以上は積算の根拠があるはずなんですから、そしてしかも一般外来患者も相当な数を占めているわけですから。そういう意味においての資料の提出は私は、これからでも後でも結構ですが、ひとつ説明がつくようにしてもらいたい、こういうふうに思います。
それで、ほかの行政監察局の調査を見ますると、直営病院は非情に点数が安過ぎる、こう言っているのであります。普通十円なんだが、八円とか七円とか六円でやっておる。だから国鉄なんかの医療機関で二百六十七億赤字を出している。専売も十三億、逓信が九十五億円、虎の門が六億、こういうことで若干の赤字は出ておりますけれども、いずれにしても、これはやはり自前でやれる体制をつくらなければいかぬ。そのためには、例えば新宿なんかも全然開放できない。そのまま我慢している。地元の医師会が反対しているからだということだけでは答弁にならぬ。今の国鉄の現状から考えれば、死に物狂いで、わらをもつかむようなつもりでとにかく収入を上げなくちゃならぬという状況にあるのですから、一般の市民もそのことによって幾らかでも災害が少なくなる、こういう状況もあるわけですから、当然開放されるように措置すべきであるし、そのくらいの政治力を持たないでやっているんだったら、新宿病院閉鎖した方がいいというくらいに思うのでありまして、そのくらいの努力は当然国鉄としてやっていくべきではないのか、こういうふうに思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/57
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058・岩崎雄一
○岩崎説明員 新宿の中央鉄道病院の収支を見ますと、最近、五十八年の四月から十二月までの数字でございますけれども、十七億ばかりの赤字を出しております。全体といたしましては、今先生おっしゃいましたように二百七十億の赤字。ただしその中には七十億程度の健康診断の費用がございますので、それを収入に見立てれば、実質的な赤字は二百億ということになります。国鉄の現在のような状況のときに、これは当然許されないことでございまして、内部の合理化をさらに徹底させますと同時に、今先生のおっしゃったような趣旨に沿って、地元の医師会並びに東京都とも精力的に協議をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/58
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059・沢田広
○沢田委員 協議しますだけじゃ困るのでありまして、何とかそういう一つの目標を実現をしていただきたい。
大臣もお忙しいようでありますし、いろいろ御配慮いただいている問題もあるから、解放しないわけにいかぬと思っておりますが、こっちも頼む立場もありますから、拘束するばかりが能じゃないと思うのですが、さっきの遺族年金の問題で、どうもこれは検討するということでは、現実が今起きているのですね。今亡くなっている人がいるわけなんです。それには、恒常的に収入がある場合についてはその所得にかかわらず支給するということになっているわけでありますから、現実的には今時に支障はないかもしれません。しかし、「失権」の言葉を「所得制限」に変えるという方向、これは大体ひとつその方向を考えてもらわなければならぬのです。それは検討しますだけでは、ちょっと困ってしまうのですね。失権というのは後で復活がなくなってしまうのですね、法律上。だからその場合は、所得制限ならば、例えば病気になり、都市計画にひっかかって家がなくなるとかアパートがなくなったというような場合は、それによって復権が可能になる。罰則でも、本人が死亡すればもとに戻るのですよ。二割減額されていましても、本人さえ亡くなれば死人に罪なし、こういうことで減額支給のものも戻るわけです。ですからそれと同じように、万一争いなんかが起きた場合に問題が起きるということを私は心配しているわけですね。
ですから、そういう立場から見て考慮されるという意味は、現実の体制をより一層身近な問題として、七十年までの話じゃなくて身近な問題として解決してもらいたいし、それから所得制限に切りかえるということ。失権という言葉は法律になってしまっている。それの修正をある程度しなければならぬ、こういうことになりますので、その点は答弁は難しいと思うのですけれども、今すぐ直ちにこうだとは言い切れないものがあると思いますが、失権という言葉は所得制限と改める、そういう方向で解決をしていく、もう一回その点は確認しておきたいと思うのです。ほかから注意がありましたので、念のために。大臣じゃなくて、ではそっち。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/59
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060・保田博
○保田政府委員 失権について重ねての念押してございますけれども、先ほど御答弁いたしましたように、この問題についてはことしの秋までの共済年金制度改正の作業の中で大いに検討させていただきたいと思います。その方向についてここで御示唆をするということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、先生の御要望があったことは、念頭に置いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/60
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061・沢田広
○沢田委員 名答弁なんですが、今現実に行われている事実関係ですから、もし争いが起きたりなんかしたときに支障が生じては困るので、ではそういう現状の取り扱いについては十分その趣旨を尊重しつつ今後研究してもらう、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/61
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062・保田博
○保田政府委員 厚生年金の方の実態をよく調べました上で、先生の御要望の点も頭に置いた上で作業を進めたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/62
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063・沢田広
○沢田委員 まあしょうがないですね。だから、現状は否定はしてない、こういうふうに解釈していいですね。
それから、実はカルテの保存なんでありますが、これは労災と同じで、厚生省来てもらっているのはその意味なんですが、大蔵でもいいのですが、要するに公務員の業務災害、それからこれは旅費と関連してくるのでありますが、災害に遭った場合の取り扱いとして、これは人事院の判定もあるのですけれども、労災と公務員、労災と言うと間違いで、一般の労働者と公務員との災害補償の並びについては、今までの労災等の判例その他もありますので、それらには、お互いに準拠して取り扱う、こういうふうに確認をしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/63
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064・平岩金一
○平岩説明員 お答え申し上げます。
先生御案内のように、国家公務員に係る災害補償の実施につきましては、これに相当する労災による業務上の災害に対する補償、そういったものとの実施の間におきます均衡を失わないように十分考慮しなければならぬということが補償法上明記されておりまして、そのような運用をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/64
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065・沢田広
○沢田委員 これも私もいろいろな現実に直面をして、どうもえてして公務員の方が、ちょっとお酒が入っていたからだめだったとか、通常の経路の帰宅通路からちょっと外れていたから該当しないとか、いろいろ実例を見ると、労災の解釈よりも人事院の解釈の方が厳し過ぎると感じるのであります。
それで、一つ一つ例を挙げませんけれども、やはり労災の方は金があるせいか、相当ラフに扱っている。人事院の方がみみっちいせいか、どうも厳しく扱う。そういう形でない一つのルールの中で運営されるように、公務員であるがゆえに責任も重いということもあるわけですけれども、その点は十分考慮して、労災認定と公務災害の認定とに差を生じないように、均一性をきちんと整理をしてもらいたい、こういうふうに思うのです。その点は労働省と人事院の方から、これは労働省の判定と人事院の判定とが違うということはあり得ないと思うのでありますけれども、両方から、その点は十分そういう立場で処理するものなんだということを明確にしておいていただきたい、こういうふうに思うのです。いかがですか。人事院だけでいいかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/65
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066・平岩金一
○平岩説明員 お答え申し上げます。
御質問にありましたような通勤途上における災害の認定などにつきまして、御案内のように認定基準を発出し、各実施機関を指導しているところでございますが、それらの災害の認定につきましては、労災に準じた考え方をとっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/66
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067・沢田広
○沢田委員 具体的に挙げていくのがいいのかもわかりませんけれども、余りこれは時間がかかりますから省略します。
続いて旅費なんでありますが、今回外国旅費だけが変わって、これも幾つか問題点だけにしておきたいと思うのであります。
原則として随行者はその一番の最高者に準ずる、こういうのが旅費の通則になっております。このことは外国旅行についても同様の措置として解釈をしていいのかどうか、その点がまず第一です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/67
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068・的場順三
○的場政府委員 職員の職務、等級に応じまして日当は決めておりまして、原則的には異なっている扱いになっております。ただし、特別の場合には、先生の御指摘のようなことができるような仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/68
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069・沢田広
○沢田委員 今言われたように特別な場合と分離する。随行の場合はやはり同じように、同じホテルに泊まって、同じ食事をしなくてはならぬということになるわけですから、随行の場合は原則として同額、こういうことにならないと、一人はどこかの隅っこの物置で泊まれ、おれの方は別だ、こういうわけにもいかぬわけでありますから、随行の場合はその一番のトップの人と同じ条件で支給される、そういう原則だけは確立しておく必要があるのじゃないのか、こういうふうに思いますが、その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/69
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070・的場順三
○的場政府委員 随行の場合も同一のホテルの中で、やはり部屋によって料金の高低がございます。したがいまして、先生のおっしゃいますような具体的なケースにつきまして、個々のケースごとに御相談があれば、旅費法の四十六条の二項で弾力的に扱えるようになっておりますので、十分に検討して決めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/70
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071・沢田広
○沢田委員 内国旅費の場合はそういうことはあり得ると思うのですよ。おまえ向こうの旅館に泊まれ、おれはこっちの旅館だということがあるかもしらぬが、外国旅行の場合はえてしておまえのホテルとこっちのホテルと違うというのでは随行の意味をなさなくなってしまうのですね。主人公がどこか行方不明になってしまうということにもなりかねない。ですから、当然これは外国旅費の場合を言っているわけでありますから、原則的にはそういうのが当たり前。内国旅費も同じなんですが、原則的にはそういうものなんだというふうに解釈しておく。同じところで食事をしていくわけですから、おまえだけはちょっと別に食べろ、こういうわけにはいかないものですから、原則的に同一の扱いをする。私の言っているのとあなたの言っているのと逆なんです。原則は差があるんだ、特別の場合に一緒に扱ってやるのだというのがあなたの解釈。私は、もし差をつけるなら随行なんかさせるなというのだ。原則が同じであって特別の場合に差がある、こういうのでなければおかしい、こう言っているのです。それが普通随行というものの意味だと私は思うのです。随行の意味というのはそういうものだと思いますから、その点、原則の逆をきちんと確認をしておいていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/71
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072・的場順三
○的場政府委員 御指摘の趣旨はよくわかりますけれども、今の旅費法の体系からいきますと、やはり職務の等級に応じてというのが原則になっております。ただし、それで不十分な場合には、四十六条二項あるいは四十六条一項で増減できるという規定になっておりますので、現実の問題として運用上問題が生じないように各省とも十分御相談はいたしますが、原則と例外をひっくり返すという話は、現在の法律の建前からやや難しいのではないかと思いますが、御指摘の点については十分念頭に置いて運用させていただきたいと思ってわります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/72
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073・沢田広
○沢田委員 じゃ、あなたひとつ答えてみてください。この食卓料の中で、どこで差をつけますか、一緒に行った場合に。等級が違うからおまえは魚がないよ、おまえには刺身がないよ、現実にそういうふうに差をつけられますか。おれの方は上だけれどもおまえは下だ。規則の中のどこで差をつけるかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/73
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074・的場順三
○的場政府委員 まず第一に、部屋は恐らく大臣と随行とでは差が出てくるだろうと思います。それから、具体的に会食をするような必要がある場合には、別途会議費等で処理しなければいけない場合もございます。したがいまして、御指摘の趣旨はよくわかりますが、現実に問題の生じないように運用させていただくということでお許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/74
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075・沢田広
○沢田委員 これは食べ物の話ですから、やはり恨みがきついのですよ。私なども昔は随行で行ったこともあるし、あるいはそうでない場合もありますが、とにかく結果的にはプールして捻出しているのが現状でしょう。だから、それを規定していってはいかぬだろうということを言っているのです。現実に差をつけるわけにはいかないのですよ。だけれども、おれの方の収入が多いから、土産代だけはおれの方で出すからとかなんとかぐらいがせめてものなにであって、これは最後に大臣に聞くようになりますが、大臣も答えにくい問題だろうと思うけれども、現実はわかってもらえると思うのです。身分制度があるからそこに差をつけるというんだけれども、ちょっと一品料理が上につくかつかないかの差を、目くじらを立ててやることもないのじゃないか。それだったらもう随行でなくしてしまったらいいんです、別に行かせればそれで済むんだから。しかし、かばんを持たして行く以上、部屋が違うと言ってみたって同じホテルでしょう。今大体どこだって同じようにできているんで、でっかい部屋か小さい部屋かの違いだけでしょう。でっかい部屋に行ったって、大臣の体なんて急にでっかくなるわけじゃないし、それは同じなんだから、その点はやはり十分考慮して運営に当たる、こういうことでひとつ御回答いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/75
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076・的場順三
○的場政府委員 十分に念頭に置いて運用さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/76
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077・沢田広
○沢田委員 それではもう一度もとに戻りましてさっきの話ですが、カルテの保存の問題です。
これは労災との関係、それから公務災害との関係なんでありますけれども、少なくとも公立病院はカルテを永久保存という建前にしてもらわなければ困る。民間病院まで適用を広げられないかもわかりませんけれども、いわゆる労災なんかの後遺症の問題、これは交通なんかもあるのでありますけれども、それから職業病の判定の場合の後遺症問題の認定というような場合に、いわゆるカルテの保存年数が短いために、後で探すのに非常に苦労する。その証拠物件がなかなか得られない、そのために労災の認定が得られなかったり公務災害の認定が得られないという場合がたくさんあるわけです。そういう意味においてカルテを、少なくとも公立病院においては、風邪引いたなんというのまで置いておけとは言いませんけれども、ある一定のそういう問題を生ずるおそれのあるものについては、少なくとも五十年保存とかを原則として扱っていくように進めてもらいたい、こういうふうに思うのです。一般病院については難しいと思いますから、少なくとも公立病院等についてはそれを徹底してやっていただきたい、こういうふうに思います。これはいろいろ各省ありましょうが、大蔵省代表して、ひとつその趣旨に沿ってやってもらえるかどうかお答えをいただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/77
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078・保田博
○保田政府委員 どうも専門の分野ではございませんので、はっきりした御答弁をしにくいわけですが、公務上災害なんかの認定の際は、症状が固定した段階で障害等級の認定を行っているということで、現在のようなカルテ保存の制度も仕組まれているんだろうと思います。ですが、それで非常に不都合が生じているということでありますれば、その点は我々の所管する病院につきましては我々の方でよく検討させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/78
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079・沢田広
○沢田委員 あなただってそういうのはきっと適用になるかもしれないんだから、そのときに、三十代のころに病気にかかったものが原因でそうなったということを証明するものが今はないのですよ。今あなたにはない。だから、今からなったってもう手おくれなの。イギリスなんかも永久保存をやっているんです。だから、少なくとも公的病院等においてそれぞれ所管する場合においては、永久に置いておいて、五十年なら五十年置いておいて、職業病との関係等を明らかにしていく努力をする。これは病院長に何も意見を聞かなくたっていいんですよ。問題は、常識的に考えて、職業病とかそういうものがあった場合に、それを証拠立てるものはカルテしかないでしょう。あとは人の証言だけでしょう。それを残すこと以外にない。
今現在、傷病者の恩給の適用だとか南支、北支なんかの適用の陳情にいろいろ来ているのも、全部部隊の証明がないからだということで苦労しているわけですね。それと同じように、過去の軍隊手帳がなくなっちゃった、部隊が解散になっちゃったということで、軍歴加算その他においても大変な苦労をしているわけですよ。ですから、そういう苦労したという経緯から考えても、カルテはきちんととっておいて、そして職業病とか公務災害とか、あるいは労災もそうなんですが、そういうような場合にきちんと証明できる材料をとってある、これは人権の問題なんですね。これはお医者さんも、ほかの方おられるでしょうから、うちの堀先生なんかもお医者さんだから後でやってもらえれば一番いいのだけれども、そういうようなことで置いておくことが、その人のいわゆる将来の傷病手当なり、あるいは障害者手当等を支給される場合の権利の根拠になるわけですから、これは常識的な解釈として保存をすることが必要なんだなと思ったら、それはひとつ、あとは場所の問題だけですから努力をしてほしいと思うのですね。話としてはわかっていただけるでしょう。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/79
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080・竹下登
○竹下国務大臣 私も経験の中でありますのは、いわゆるカルテの永久保存ということから来るプライバシーの問題というのがありまして、今科学技術庁の基礎研究の中で何か研究していらっしゃるテーマがございます。それは、例えば行き倒れになった人が仮にあったとする。そうすると、その人の番号がコンピューターにインプットしてあって、それを入れればすぐ、その人は血液型が何であって、かつてどういう病気をしておって……。その議論がだんだん進んでいくうちに、人間総背番号制、人間グリーンカードになっちゃうということから議論が出て、それじゃ、とりあえずどこでやるか、自衛隊でやってみたらどうだ、これはみんな健康がきちんとしておるし、それもなかなか難しいというので、何かその研究のテーマが引き続き継続されておるという話を聞きました。
これは今沢田さんのおっしゃるのとは全然違ったケースからの議論でございますけれども、ただ、労災とか、そういう公務災害とかということに対して、本人が要求してそのときのカルテをちゃんと持っておれば一番いいのでございましょうが、その辺なかなか、恐らく国民総背番号制の問題と一緒になって議論すると難しい問題になろうかと思います。だから、おっしゃる意味は非常によく理解できますが、どういうところで勉強していくべきものかなと。しかし、かつて参議院にいらっしゃった野々山さんがプラハでけがをされて、そのカルテがどうでも必要だということを東大のお医者さんから言われて、それでちょうどプラハのお医者さんがソ連の学会へ行かれるときに、じゃ持ってくるから、こっちの東大の先生も学会へ行くのでそのカルテをもらって、それはその後の治療のために大変役に立った。それは私が仲介しましたので、カルテというのは大事だなと思ったことがございますが、その後たまたまそういう同じようなグループから、総背番号制みたいなカルテの永久保存、それを全部どこかのコンピューターにインプットしてという議論に発展しましたら、今度はプライバシーの問題が出て、若いころ変な病気したそうだとかいうような問題があると、またいろいろな議論がほかへ飛ぶであろうというようなことで、結局まだ継続して議論されておる。
ただ、今おっしゃいました公務災害とかそういう問題について、そういうものが保存されておることは好ましいことだということは非常にわかりやすい話ですが、具体的にどういうふうにして対応すべきかというのは、それこそ、これは大蔵省というよりも全体で勉強しなければならぬ課題だろうというふうな理解の仕方は、もちろん私もわからぬわけじゃございません。
それから、ついででありますので、旅費の問題でございますけれども、これはたまたま私がよく海外出張いたしますと、ファーストクラスの機上でほかの国の関係者と会談することがあります。そうすると、私はちんぷんかんぷんでございますから、ちゃんと家庭教師といいますか、秘書官がやはり一緒にファーストクラスにおりませんと国益を損ずるかもしれません。何でもかんでもイエス、イエスと言うかもしらぬ。そういうときに、私聞いてみましたら、ちゃんとそれはファーストクラスの旅費が、今の的場次長の適切な配慮によって出ておるというふうに聞きました。
ただ、部屋の問題ということになりますと、絶えず朝、きょうの会議に臨む打合会とかというような感じで、私の部屋だけは、私の体が大きくなっているわけじゃございませんが、ちゃんとした会議室もついておったり、そういう広さのかげんは確かにございましょうけれども、法律上の原則が、沢田さんは実質上の配慮を原則としろ、こういう主張でございますが、私は恐らく、ケース・バイ・ケースで見ると、おおむねそういう沢田さんがおっしゃる原則のような形が実際としてはとられておるんじゃないか、こういう感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/80
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081・沢田広
○沢田委員 実際上はやや現実的に対応しておる、こういう言葉ですから、大臣がそう言ったのでありますから、今後随行者として行った場合については、少なくともそういう差別がない、一品料理で差が出てこないということは確保されたというふうに理解して、大いに敬意を表する次第であります。運用に過ちなきを期していただきたいと思います。
続いて最後に、大体問題になりましたけれども、結果的に、さっきは厚生年金は基礎年金を含めて二四の負担率でおさめていきます、こういうことになりましたが、さて共済の方は、じゃ負担率の限界はどの程度になっていくのかということが当面の問題として起きてくるわけであります。その点は、これはいろいろな計算の仕方をしてありますけれども、一九八〇年のときの予測は、国税、地方税を含めた租税負担が、これは国民所得に対する比率は二三・四でした。それから社会保障負担の国民所得に対する比率は九・三、これは健保の方も入っております。合計三二・七になっていたわけであります。これが一九九〇年段階になると、いわゆる国税及び地方税を含めたものが二八・六、それからいわゆる社会保障負担が一四・三、合計して四二・九、これは財政統計年報と国民経済計算年報、この二つから出てきた数字でいきますとそういう数字になっております。それから社会保障の移転と負担という面で見ますると、これは二〇〇〇年の場合を例にとるのでありますが、支出の方では、一九八〇年の場合は年金が、平均ですが四・九、そして二〇〇〇年の場合は九%。それから続いて二〇二五年という数字でいきますと一六%、医療は一応除きます。社会保障負担合計が二〇〇〇年のときには一五%程度、二〇二五年のときに二四%程度、これは経済企画庁が出した数字ということになります。
それで、さっき基礎年金を含めて二四という数字を言われました。年金だけで二四という数字は、これは二四%ということだと思うのです。給付の状況では二四という数字が出ております。ですから、経済企画庁で見ている数字と、じゃ共済の方、まあ私は今共済の方だけを主体にしているわけですから、共済の方は果たしてどの程度の水準ということに、基礎年金を含めて二〇〇〇年を展望した場合にどういう数字になるのかということで、何かもっと大きくなってしまうのじゃないかという心配もなくはないし、あるいはもっと少なくなっていくのじゃないかという安心もある。こういうことも考えられるわけでありますけれども、七十年段階において厚生年金とのバランスはどういうふうに見て現在進めておられるのかということを回答していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/81
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082・山口剛彦
○山口説明員 大変申しわけないのですが、ちょっと訂正をさせていただきたいと思います。
先ほど私が申し上げましたのは、現在厚生年金の保険料が千分の百六でございます。これを六十一年の四月に今回の改正の実施をいたすことにしておるわけですが、その前に六十年の十月から保険料を上げさせていただくというのを今回の法律案に盛り込んでおります。その保険料率が、千分の十八上げまして千分の百二十四ということで、六十年の十月から保険料をいただく。その千分の百二十四の中から、基礎年金についての保険料もまとめて御負担をいただくということを申し上げろつもりであったのですが、その点、間違えまして、大変申しわけございません。
それから、将来厚生年金の保険料をどれぐらいピーク時に見込んでおるのかという御質問でありますれば、いろいろ前提等置きませんと難しい問題がございますけれども、一つの前提を置きまして、例えば年金の給付率の改定を五%、利率を七%という仮定でいたしますと、ピーク時に今度の改正をいたしましてもやはり千分の二百八十九ということで、今の倍以上の御負担はいただかなければならない。これは将来とも六十歳の支給開始年齢を前提にしておりますけれども、ピーク時に一応千分の二百八十九くらいになるであろうという推定をいたしております。大変申しわけございませんでしたが、そのように御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/82
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083・保田博
○保田政府委員 共済年金の将来の財源率の見通してございますが、これは当然のことながら、共済年金の水準をいかに設定するかにかかわるわけでございます。御承知のように、現在は千分の百二十三でございますけれども、我々の計算ではこれが千分の二百から千分の二百五十が負担の限度ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今後の共済年金制度をいかに構築するかという際には、組合員の保険料負担の限界というものも念頭に置きながら、給付の水準それ自体を検討しなければならない。相互に非常に密接に関連するものでございますので、具体的にどの辺を目標にしているということを現在ここでお示しすることはできませんが、我々としてはやはり千分の二百から二百五十が負担の限界ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/83
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084・沢田広
○沢田委員 共済研の万の答申も大体そういう数字なんですね。大体これには基礎年金は入っていない数字だったわけですね。基礎年金が入っても同じ数字でいけるのかどうかというところが私の今の質問の焦点だったわけなんで、例えば五・三から六・二で基礎年金の分も含まれるという解釈でいいですか。私の言うのは個人負担の方ですよ。厚生年金の方は二分の一に折半していますから。今五・三ですね。十万円で言えば五千三百円です。それが六千二百円になって、個人負担も含まれるという解釈で厚生省の方はいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/84
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085・山口剛彦
○山口説明員 六十一年から基礎年金が発足することになるわけですが、その時点での保険料率は、先ほど申し上げましたように、千分の百二十四にさせていただくということになりまして、個人員祖は六・二%ということになるわけですが、その中に基礎年金の保険料に相当する部分も含まれているというふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/85
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086・沢田広
○沢田委員 金額としてはそんなに大きくないというふうに思えるわけですが、共済の方はいわゆる成熟度の関係でそうはいかないですよ、一二・五ぐらいになりますよ、こういうことになるわけですか。これはフィフティーに見るかどうかの問題はありますけれども、二百五十に見れば一二・五ということになりますね。そうすると、大体十万円で一万二千五百円、基礎年金も含まれた数字でこういう数字になる、こういうふうに見ていいわけですか。
では、大臣の方は約束ですから。政務次官も来たようですし、いろいろ御配慮いただきまして、ありがとうございます。またよろしくお願いいたしまして、大臣の方はひとつ、御多用ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/86
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087・保田博
○保田政府委員 先ほど御答弁いたしました負担の限界は千分の二百から二百五十ぐらいであろうということは、給付をどういうふうに仕組むかということは関係なしに想定された、ともかく負担の限界そのものであります。したがって、給付の面では、基礎年金とその上の二階建であるいは三階たてということになれば、その給付の中には当然基礎年金の負担部分も含む、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。それを含めて千分の二百から二百五十ぐらいが限界ではないか、こういうふうに考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/87
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088・沢田広
○沢田委員 国鉄は大変面倒を見てもらっている方の立場だから、なかなか物は言えないのだろうと思うのでありますが、しかし、あえて言うとすれば――あえて言うとすればと言ってはあれになるかもしれませんが、船員の問題だとか、いろいろ問題を抱えているようでありますけれども、国鉄としては今どういう段取りで、大蔵省と話し合いながらそういう問題を解決できるという見通しはあるのか、それとも今はもう面倒を見てもらっているのだから、何言ってもだめだからあきらめる以外ない、ただお願いしますというのが今の段階ですということなのか、もうしばらく時間をもらってからでないとこういう問題はなかなか検討に入れないということなのか。その辺のニュアンスでいいですから、今国鉄の抱えている問題についてはどういう方向で解決していくつもりなのか、この際お答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/88
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089・岩崎雄一
○岩崎説明員 四月一日から御承知の財調運営委員会が発足をしております。その中で向こう五年間の財調計画というのが策定をされる、それに基づいて具体的な救済が行われるわけでございます。財調と申しましても、しょせんは他共済から資金援助を仰ぐ、こういうことでございますので、大変心苦しく思っておりますが、同時に、国鉄としては相応の、できるだけの自助努力をする必要があるということで、最終的にはこれは財調委員会の中で申し上げることでありますが、試算等の前提になっております国鉄の自助努力としては、保険料についてだけ申し上げますと、今いろいろな数字が出ておりましたが、千分の二百四まで引き上げるということを一応決意をいたしておるわけでございます。これが一般と比べて高いかどうかということは、所得との比率のほかに他共済との関係といいますか、比較ということが必要かと思います。そういうことによって高低感というのは出てくると思うのですけれども、いろいろ検討いたしました結果、現段階ではこれが保険料の面での自助努力として我々がなし得る限界だというような実感を持っております。そこまではぜひとも努力をいたしたい、このように考えております。しかし、具体的には、先ほど申しましたように財調委員会の中で最終確定されることだと思います。
そういう前提のほかに、国鉄本体が増負担を行うということがあることは先生御承知のとおりでございます。それから、現役が今のような努力をするわけでありますから、OBにもそれなりの負担をいただくということで、年金改定の停止ということを打ち出しておるわけでございます。こういうことによりまして、大変つらい、申しわけない話なんですが、ぜひとも他共済の理解を得て、向こう五年間の収支をバランスさせたいということを考えております。
それから、今ちょっと最後にお触れになりました船員の財源率につきましては、いろいろな議論があったわけでありますが、最終的に現在の段階でもなお船員給付との選択ができるという点、それから支給開始年齢が五十五歳になっておるという有利な点がございますので、国鉄共済については船員の財源率は当面据え置くというように考えております。
いずれにいたしましても大変難しい問題で、本委員会の審議によって、統合法案の成立という形で対策が実現することになっておるわけでありますが、その具体化はこれからの財調委員会で行われる、その席で我々の努力の目標を申し上げ、御理解をいただきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/89
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090・沢田広
○沢田委員 大蔵省としては、こういう今の国鉄のいろいろ言われたことについてはおおむね同意する方向であるのか、まだ相当議論の余地を残している問題と理解をしておられるのか、まあこの辺なので一緒に歩いているのですということなのか、その点ひとつ大蔵省としての立場でお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/90
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091・保田博
○保田政府委員 国鉄の共済組合の財政が非常に悪い状況にありますので、これに対して財政的な援助をさせていただくということで、統合法案の成立を願ったわけでございますが、その具体的な運用の仕組みについては財政調整の運営委員会で御検討をいただくことになるわけでございます。しかし、基本的な立場として、国鉄当局と大蔵省当局との間に大きな差があるというふうには理解しておりません。今後とも相協調して財政の円滑な運営に当たりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/91
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092・沢田広
○沢田委員 現在国鉄が裁定の切りかえ計算をやっていますね。大体いつごろ終了して、本人にこういう年金額になるのですということを通知する完了の時期はいつごろなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/92
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093・岩崎雄一
○岩崎説明員 四月一日を含めた五十八年度の退職者につきましては、現在、今回成立いたしました新新法に基づいて裁定を行いつつございます。支給は六月でございますので、六月に五月分一カ月支給されるわけでございます。したがいまして、五月末までには本人に証書を交付するといいますか、具体的な年金額を知らせたい、このように考えております。
それから既裁定につきましては、何分三十六万人もおりますので、現在その作業を進めております。これははっきりしたことはちょっと申しかねるのですけれども、作業の終了には年度いっぱいくらいかかるのではないかというように考えております。御承知のように、当面年金者については従前額保障ということでございますので、問題は生じないわけでありますが、作業のできました段階で、本人に、新新法に基づく裁定がえになった年金額はこれこれであるということは、やはり通知しなければならないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/93
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094・沢田広
○沢田委員 それで、いろいろ計算をしますと、通退方式その他の方法をとってみると、それほど影響ないという説もありますし、ほぼ五千円くらいの違いは月に出てくるのではないのか、こうも言われております。今の裁定の切りかえ事務の進行状況の中で、最高、最低という言葉がいいかどうかわかりませんが、一番大きく違うのはどの分野でどの程度違うか、一番最後の俸給の問題によって違ってくるわけでありますけれども、どの程度の違いが年間としては出てくるのか、その点、わかる範囲内で結構ですからお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/94
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095・岩崎雄一
○岩崎説明員 退職の年度によって当然異なってまいるわけでありまして、裁定がえを行っております者について申し上げますと、四十八年度末以前にやめておる方につきましては、平均いたしまして大体五%程度のダウンということになります。四十九年度以降の退職者につきましては、国家公務員が最終一年間の平均俸給に変更されておりますので、平均いたしますと一%程度のダウン、このようになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/95
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096・沢田広
○沢田委員 最後でありますが、なるべく年金の額そのものは――五%というとちょっとでかいんで、何か間違いじゃないかと思うけれども、それは後で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/96
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097・岩崎雄一
○岩崎説明員 どうも申しわけございません。四十八年度以前に退職した人が平均一%程度で、四十九年度以降の退職者につきましては五%程度。先ほど逆を申し上げましたが、訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/97
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098・沢田広
○沢田委員 時間がないので、大変難しいのですが、基礎年金が入りまして、遺族年金を払います場合に、六十万は基礎年金でもらう、こういうことになります、奥さんのもらい分は。そうですね。月に五万円ですから、六十万円は基礎年金でもらうということになります。これが例えば百六十万円――二百万円でもいい、二百万円という年金額であったと仮定いたします。そうしますと、二百万円じゃどっちが多くなるかわかりませんが、百二十万の例をとれば一番わかりやすいのですが、百二十万だと六十万が基礎年金になります。残りの六十万の二分の一が遺族年金で支給をされると仮定をします。そうすると九十万という金額になります。わかりますね。今までの例でいきますと、百二十万の場合は六十万しか遺族年金は支給されないということになります。それから二百四十万の人を例にとれば、六十万を差し引いた残りの百八十万の九十万で、百五十万が遺族年金として支給される。こういうことになって、片方では、普通だったら百二十万しか支給されない、こういうことになるが、当然そういうことは考えているというふうに理解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/98
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099・保田博
○保田政府委員 先生が示されたようなケースも検討の対象であることは間違いございません。しかし、実際にどういうふうに仕組むかはすべて今後の検討課題でございます。厚生年金と国民年金の統合が行われる、一元化が行われることによって向こうの制度ができますので、それを参考にしながら新しい共済年金の仕組みをつくっていくわけでございます。向こうというか、共済グループが厚生年金グループと非常に乖離した格好にはならないだろうというふうには御理解をいただいて結構かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/99
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100・沢田広
○沢田委員 それ以上は言えないのかもわからないけれども、常識的に解釈すると今のような計算になるのですよね。そうすると遺族年金の金額が非常に向上することになるのでして、それは喜ばしいことにはなるのですが、今度二分の一が崩れてしまうという危険性もなくはないということにもなるわけです。だから、例えば頭は二分の一以上にはしませんよ、六十万は基礎年金ですよ、あとの三十万は出しません、六十万で打ち切りです、こういうことの措置まで考えているのか。そうでなくて、純粋に二分の一は所得比例として支給されるのか。これは基礎年金導入のときには必然的に起きてくる問題なんです。その点の目安もまだ皆目つきませんということは、まだあなたはこれから生きているつもりでいるからかもしれませんけれども、例えば万が一のことになったときに、奥さんがもらえる分がどうなるかということに影響するのですから、それを考えてみれば、どちらの方向で今検討していっているのかということくらいの方向が出ないで基礎年金導入を言うのは、ちょっとそれでは早過ぎるのじゃないのかという気がするわけです。その点はもう時間もないですから、その結論だけ聞いて、少なくともそういうことになるということの見通しは持って導入します、しないという判断はつけなくちゃいけないのじゃないのかという気がします。一応お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/100
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101・保田博
○保田政府委員 今の御質問の勢いからしますと、明確な答えは大変難しかろうという同情を念頭に置かれた御質問かと思いますが、先ほど来御答弁いたしておりますように、新しい共済年金制度におきましては、厚年と国年の一元化法案の行方を見定めながら、この基礎年金を土台として、その上に報酬比例部分をいかに組み込むかという大きな改革の流れを横目に見ながら、その趣旨を実現する方向で新しい共済年金制度をつくっていく。その際に、遺族年金の取り扱いにつきましても同じような姿勢で検討を基本的に進めていく、こういうことで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/101
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102・沢田広
○沢田委員 一生懸命に答えているようでありますから、それだけに公務員のために頑張ってくれる、こういうことを期待して私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/102
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103・瓦力
○瓦委員長 この際、関連質疑を許します。伊藤茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/103
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104・伊藤茂
○伊藤(茂)委員 関連して二点お伺いしたいと思います。
その前に、今の沢田さんの質問に関連をして、共済年金への基礎年金導入という問題ですね。まだ具体的な構想、あるいはまた論点の整理まで至っていないのかなというふうな感じで聞いていたわけです。それでは、具体的なスケジュール、どっちにしたって関係閣僚懇談会あるいは閣議決定などによって六十年法案国会提出ということがあるわけですから、もう日にちはそう長くはないわけですね。それから極めて概念的なお話がありましたが、法案作成上の論点をきちんと整理をする、それから検討を深める、あるいは勉強会もやるでしょう。当然ながら、国共審などの関係団体のさまざまの御議論もある。それから保田さん言われたように、他の省庁、特に主管省庁との調整等はあるわけですね。大体もうことしいっぱい、それらのことを精力的に進めなくちゃならぬということになるわけですし、人事院から人事局から恩給局から厚生省から行管から、いっぱい絡んでくるということになるわけなんですが、当面のその辺の論点の整理なり、それから作業のスケジュールというのはどの辺を念頭に置いてやっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/104
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105・保田博
○保田政府委員 共済年金の新しい構想を築き上げるという非常に複雑で、かつまた利害が微妙に食い違うような面もございます制度を新しく構築するわけでございますから、現在、素案をつくるための問題点を選び出して、これに対して基本的にどう考えていったらいいのかという基礎的な勉強がまず必要になるわけでございまして、先月の終わりに学識経験者と行政当局の若い皆さん方に集まっていただいて、改革構想を検討するための委員会をつくらせていただいております。この委員会は、我々のもくろみとしますと毎週一回程度非常に濃密な作業を続けまして、恐らく順調にいけば八月か九月の末ぐらいまでには論点と、それに対する基本的な考え方みたいなものがまとまってくるのではないか。それらを土台としまして、骨子、構想をまとめました上で、それらを国共審にかけなければいけませんし、さらには社会保障制度審議会にもお諮りをした上で、来年の通常国会に改革のための法案を御提出する。あらましそんなスケジュールで作業を進めたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/105
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106・伊藤茂
○伊藤(茂)委員 昨年の十一月に議論をいたしました統合法案でも、私ども審議に当たっても関係団体のさまざまの御意見、さまざまの利害、非常に痛感をしたわけでありますし、法案を出される方も、そういう面では大変な仕事だろうというふうに思います。私どもも、そういう面では、長年当委員会でも扱ってきたこれらの法案の行方に関する問題、しかも基本的な構造をどうするのかという問題でありますから、その過程においてもさまざまな説明を聞いたり議論をしたりという機会も必要ではないかと思っておりますが、大体夏から秋口ぐらいには改革案の骨格、概要はまとめるというぐらいのスケジュールでお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/106
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107・保田博
○保田政府委員 順調にいきますればそれぐらいのテンポで作業を進めたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/107
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108・伊藤茂
○伊藤(茂)委員 今審議をされている共済法案に関連をいたしまして、二月十日に国共審から三項目の答申がございました。この点について伺いたいのです。
三項目ございますが、そのうちの第二項目、これには「人勧グループと仲裁グループの給与改定率に差が生じた結果、」云々ということが書いてございまして、「組合内部には大きな不満をかもし出しつつある。」三項目には、「政府は、共済年金制度内に発生しつつあるこのような問題を拡大させることのないよう、速やかに検討を行うべきである。」と書いてございます。
これはいろいろ複雑な問題があると思います。一つは、ベースには給与制度の問題があるというのも事実であります。人勧凍結、大幅なカットというものがこの二年間続いてきたという状況の中で、昨年十一月の審議のときにもいろいろと深刻な御意見も伺いました。気持ちは私どももよくわかります。公務員制度全般、公務員賃金全体がどうあるべきかということについてはさまざまな議論があるでありましょうが、昨年、一昨年の状態は異例な状態でありまして、そういうことがベースにありながらここに指摘したような問題が起きてくる。これは年金制度という枠内の問題だけではもちろんありませんで、さまざまな角度からこのような不満が起きないように、少なくとも拡大しないように、あるいはまたより公平な視点から組合員の信頼が深まるようにという努力が必要なのではないかと思います。国共審の答申の中でも、いろいろな議論と気持ちがここに含められて出ているような感じがいたしますが、これらにどう対応されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/108
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109・保田博
○保田政府委員 国共審の御審議の段階で、いろいろ難しい利害調整について御意見があったわけでございます。先生の御指摘のとおりでございます。ではございますけれども、共済年金額というのは、結局は、基本的に俸給の額と組合員期間を基礎として算定されるということでございます。この基本を変えるわけにはなかなかいかないわけでございまして、したがって、人勧グループと仲裁グループの年金額につきまして、ここ一両年の給与改定の差が年金額にも響いてくるということは、実は基本的には否めないわけだと思います。ただ、その差が余り大きくなってはいかがかということでございますので、昭和五十七年に退職された方々の仲裁グループの年金額についてはこれを据え置くということで、差が大きくならないようにできるだけの配慮はさせていただいたつもりでございます。全くバランスがとれているかと言われると、私たちも多少舌をかむ面もありますけれども、難しい諸条件のもとでは、今回御提案している案がやむを得ない最大公約数ではないか、こういうふうに理解をしておりまして、組合の方々にもどうやら納得をいただいた、こういうことでございますので、お許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/109
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110・伊藤茂
○伊藤(茂)委員 どうやら納得をいただいたと言っておりますが、形としてはこういう答申が出ておりますけれども、気持ちとしては相当のうっぷんがたまっているということが表現されていることは言うまでもない。これは、保田次長が言われたように、今の仕組みの中ではこういうことがルールとして出てきちゃうということになるわけです。どうするのかということになれば、例えば今年、来年とか短期間にこの仕組み自体をどういじくるのかということもなかなか難しい。しかも、ここにも書いてございますように、「基本的には給与の取扱いとも関連する」ということがベースになっているわけです。ただ、こういうものがさらに拡大をするということになれば、この答申にも指摘をされておりますように非常に問題が起きてくる。「このような問題を拡大させることのないよう、速やかに検討を行うべきである。」ということになっているわけです。
大臣いらっしゃらないので政務次官、やはりこういう問題はさまざまな仕組みの中で起きてきますね。いろいろな利害の違いなり、それからよそよりも、アベレージよりも損をするといいますか、負担が大きくなる、しわ寄せがくる。それぞれ起きてくる。ただ、全体的な視点ではさまざまな調整の努力をしていかなければならぬということになる。しかもベースには給与の問題がある。これについては、先般の政労交渉も、あるいはさまざまの今国会の議論の中でも、政府の意思表示がなされているということになるわけです。ですから、いわば総合メニュー化、総合処方せんで考えていかなければならぬということになると思うのです。ですからその辺の、こういう問題ごとにいろいろの思いを込めた答申も出ているわけですから、誠意を持ってこういう問題にも取り組んでいくということが、本法案に関係をする、審議をする、あるいは答申をいただいた政府の姿勢ではないだろうか、答申は竹下登殿あてでされているわけでありますけれども、総合的なそういうものを受け取る姿勢をどうお考えになっているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/110
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111・保田博
○保田政府委員 非常に広い立場からの御質問でございますので、私非常に狭い立場からお答えするわけにもまいらぬわけでございますけれども、結局、いろいろな給付というものは負担を伴うわけでございますので、基本的に、給付と負担の両方の面に配慮しながら、できるだけ公平に、かつまた効率的に制度を仕組んでいかなければならないというふうに考えておるわけでございます。何事にも誠意を持って当たれとおっしゃる御指摘は、まさに御指摘のとおりでございまして、我々としては常に、いかなる問題についても誠意を持って一生懸命対処すべく努力しておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/111
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112・堀之内久男
○堀之内政府委員 急速な高齢化社会が到来をいたしまして、将来における後代の若い方々の負担というものも相当配慮した中で、今後の年金制度というものを幅広く検討していかなければならぬということは、もうみんな一致した考えだ、こういうように思っております。そういう観点から、今回国民年金なり厚生年金の制度の根本的な改革を提案をいたしておりますが、さらに、今後の共済年金制度においても、よく言われます官民格差、こういう問題も念頭に置きながら今後の制度というものを根本的に見直し、また、将来とも年金の持つ意味というものがこれまた損なわれない形でやらなければならぬということも、十分承知をいたしております。私どもも、少し勉強をさしていただきましても、この仕組み全体を将来において不安のない確実なものにするために非常に苦慮をいたしておるところでございますので、今後ともいろいろお知恵、御指導等をいただきながら、ともにこれはやっていかなければならない、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/112
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113・伊藤茂
○伊藤(茂)委員 最後にもう一つだけ。
この国共審の答申の第一項目でありますが、私も、毎年この法案にぶつかりながら不思議に思ったのですが、年金額の改定が恩給との関連で実施されるのが恒例となっている。前にも説明を聞きましたら、ああそうかというようなものでありますが、考えてみますと、共済年金制度はもうまさに長い年月、歴史を経ている。しかも自立をした一つの制度になっているというふうなわけでありまして、また、答申の一項目にも指摘をしておりますが、「恩給との関連で実施されるのが恒例となっているが、共済年金制度の独自性から見ていかがなものであろうか。近年の恩給法改正には、部分的にスライド以上の改善を行うなど、基準的な方向性について問題が見受けられることは、本審議会がかねてから指摘してきたとおりである。今回もその例にもれず、これが共済年金の基本体系にも影響を与え、また、国民の官民格差論を生む原因の一つとなっている。施行期日の間に差異を設けたことも理解に苦しむ。」と書いてございます。さっき話のあった基礎年金導入とも兼ね合った大改正といいますか、大きな構造変化がある。そういう時期にもぶつかっているというわけでありますが、この従来の論理、従来の形式というものは、もうピリオドを打って、共済年金として自立した本体の将来、あるいは性格というもので考えていくべきではないだろうか。この答申の第一項目を読みましてもそんな気がするわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/113
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114・保田博
○保田政府委員 現在の共済年金制度は、先生御承知のように、戦前からの恩給制度あるいはそれが変わりました旧法時代の共済年金制度を基本的には引き継いでまいったものでございます。したがって、それらの制度の年金額を改定する際には、従来とも恩給に倣った引き上げを行っておるわけでございます。その年金制度の由来から考えて、恩給制度の改善と区別した扱いをすることはいかがかという意見が非常に強いわけであります。官民格差論からいいまして、旧法時代のものについてではございますが、共済年金の引き上げを三月にまでさかのほるべきではないという御意見があったことも事実でございますけれども、従来の慣例を考え、かつまた二年ぶりの改定でもございますので、恩給の例に倣って引き上げを行った、こういうことで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/114
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115・伊藤茂
○伊藤(茂)委員 最後に一つ希望だけ申し上げておきたいのですが、さっきの沢田さんの質問の中でも、また私の質問の中でも、この共済、基礎年金などに関係した話題の中で私が感ずるのは、何か本体、これを扱っている大蔵省などの方がこれから本格的検討、論点整理に入る。まあ白紙とは言いませんけれども、何か漠然としたものがあって、これから中身を固めていくのだというような段階ですね。ところが、閣議にいたしましても、あるいは年金制度閣僚懇談会にいたしましても、そのスケジュールとか骨格と申しましょうか、制度改正についての方向が確認をされてくるということになるわけですね。何かゴールの方が先に来て、中身の検討がおくれている。聞きますと、ほかの官庁、厚生省などの方が先行して大蔵省がおくれているのじゃないかとかいうふうな話も聞くわけでありますが、やはりこの共済年金制度には、昨年の統合も含めて非常に膨大な人員とその家族が関係をしている。それらの方々が、これがどうなっていくのかということについて多大の関心を持っているというふうなわけでありまして、その意味では厚生年金、国民年金同様に非常に重要な部分であろう。
ところが、印象としては、何か本来扱うべきところの検討の中身の方がおくれていて、枠組みかゴールの方が上の方でといいますか、関係閣僚懇なり閣議の段階ではかばか決められていくというふうな感じがするわけでありまして、やはりそういう意味では本末転倒でございますから、十分な所管事項についての検討、特に民主的なさまざまの意見聴取、それは十分やられてこの内容が練られていく。先ほど大まかなスケジュールは伺いましたが、そういう中でより民主的に、より充実した議論がされるように最後に希望して、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/115
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116・瓦力
○瓦委員長 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。
午後零時二十三分休憩
――――◇―――――
午後一時三十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/116
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117・中村正三郎
○中村(正三郎)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。宮地正介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/117
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118・宮地正介
○宮地委員 私は最初に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして審議を進めさせていただきたい、このように思います。
今回のこの改正案につきましては、外国旅行の日当、宿泊料、これにつきましては平均四〇%、また移転料につきましては二五%の定額引き上げ、このようになっているわけでございますが、まずこの定額引き上げの根拠、その実態について、特に大蔵省は外務省の在外公館の実態調査をもとにしてこの定額の引き上げの根拠を示された、このように伺っているわけでございます。初めに、外務省から、この在外公館の実態調査、どういう現状であったのか、御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/118
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119・数原孝憲
○数原説明員 お答えいたします。
旅費法は、各省庁を通じましてのすべての公務員に支給される旅費の額を定めているものでございますが、特に外国旅費につきましては、外務省の職員が最も大きな影響を受けることは御承知のとおりでございます。
〔中村(正三郎)委員長代理退席、委員長着席〕
特に、前回の、五十年の改正から八年の間そのままの状態でございましたので、私どもがいただきます定額とそれから実際に支払います宿泊料等の間に大きな乖離が出てきておりまして、今回の旅費法改正のお願いになったわけでございます。
私ども、この五十九年度予算の編成の過程におきまして、全在外公館を通じましてホテルの実情調査、それから移転料の調査をいたしました。その結果並びに諸データを大蔵省の方に提示をいたしまして、大蔵省との協議も受けながら、今回の改定の中身を大蔵省の方で決めていただいたわけでございます。
調査の結果でございますけれども、宿泊料、日当料につきましては、私ども約二千三百ほどのホテルについて実態を調査したわけでございますが、現行の定額と実際にかかります額との間にかなりの差がございまして、これは指定都市、甲地域、乙地域で差異はございますが、指定都市では約二倍、それから甲地域及び乙地域では約五割程度乖離がある、そういうような調査の傾向が一応出たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/119
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120・宮地正介
○宮地委員 大蔵省は、ただいまの外務省のいわゆる指定都市宿泊料、日当が約二・○倍、また甲、乙地域では一・五倍、これにさらにいわゆる「世界ホテル案内」五十八年度版などの中位水準をとって勘案した、このように報告を受けているわけでございますが、さらにそれにどういうような条件を加えてこうした結果、平均四〇%、二五%の引き上げになったか、もう少し詳しく御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/120
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121・的場順三
○的場政府委員 今回の外国旅費、宿泊料、日当等の改定に当たりましては、ただいま外務省から答弁のあったように、あるいは先生御指摘のとおり、まず外務省の実態調査を参考にいたさせていただいております。ただ、こういう財政状況のまことに厳しい時期でございますので、もちろん公務の適正かつ円滑な執行に支障があってはならない、しかしながらできるだけ国費の節減合理化も図らなければいけないということで、外務省の実態調査、百六十四カ国についてそれぞれの在外公館が通常利用しておられます最も経済的なホテルを実態調査になったと聞いておりますが、必ずしも横並びの統一がとれているかどうかという点もございますので、世界のホテルをくまなく網羅しております「山界ホテル案内」という図書がございますが、これは我が国でも相当の権威をもって使用されているものでございまして、そのホテル案内の数字、実態を見まして、上三分の一、真ん中三分の一、下三分の一というふうな区分をしながら、真ん中の三分の一のところを我々の中位等級のいわばへそに当たる部分にいたしまして上下に開くことにしたわけでございます。
なお、それに加えまして、従来は甲地域、乙地域、それに特別にホテル料金の高いところについては指定都市という制度がございましたが、この地域区分も今回世界の実態に合わせまして、昭和五十年の十一月に改定しまして以来相当の年月を経過しておりますので、地域区分を大まかに三つの区分に分け、さらに特別の都市については指定都市という制度を設けるということで四区分にしたわけでございます。また、そういった地域区分を四区分にすると同時に、実態的に高いところにつきましては、基本になりますところを一〇〇として、従来は上一一五、下九〇という開きでございましたのを、指定都市については一五〇にする、甲地については一二五にする、乙地を一〇〇として丙地を九〇にするというふうに、地域の開きについても工夫をするというふうなことも考えた次第でございます。
それからもう一つ、別の事情でございますけれども、五十年のときの為替レートは実はスミソニアンレートでございまして、出時は三百八円でございましたが、その後為替レートがかなり円高に推移しておるというふうな実態も考慮いたしまして、先ほど一番最初に申し上げましたように、公務の円滑かつ適正な執行とできるだけ国費の節減、合理化を図るというところで、全体四〇%の増加に抑えたという次第でございます。
なお、移転料につきましては、これは実態調査の結果を踏まえまして、かなりの年月が経過しておりますので、二五%の増額をさせていただくということでお願いをしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/121
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122・宮地正介
○宮地委員 外務省に伺いたいんですが、この八年間据え置きということで、今回八年ぶりの改定なんですが、実際に一番外務省が海外旅行が多いと思いますが、出張してどの程度赤字になるのか、その辺の実情を現場のサイドでどういうふうに把握されているのか、伺いたい。
また、今主計局次長はちょうどその八年前の円ドル為替三百八円、今回の改正に当たっては、私が聞く範囲では、二百三十七円程度のいわゆる円ドル為替を基本にして改定をしておる。この辺、今後やはり円ドルの為替レートというのは、世界経済の動きで変化するわけですね。変動相場制をとっている我が国でございますから、当然そうした乱高下というものがある。そういったいわゆる円高あるいは円安、こうしたときの対応、こういう点ほどのように今後見込んでおるのか、これを大蔵省から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/122
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123・数原孝憲
○数原説明員 現行の支給額でどの程度私ども外務公務員、その他の公務員についても同じことかと思いますが、困っているかというお尋ねでございます。
例えばニューヨークなどに参りますと、私ども本省課長のレベルで現行の宿泊料が一万四千六百円、日当が四千七百円、合わせまして二万円足らずでございます。一般的に申しまして、例えばこういう地域に出張いたしますと、一日で一万円程度不足するというようなことも声としては聞きますが、私も昨年の十一月にニューヨークに出張しました。そのときにはホテル代だけで、税金等も含めまして、百ドル近くを払っております。個々の国によりましていろいろ事情は違うかと思いますけれども、例えばニューヨークの例でそういったような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/123
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124・的場順三
○的場政府委員 レートの話の前に、私も、大変大事な旅費、日当等を改定するに当たりまして、大蔵省の同僚の方々に実態を伺いましたところ、今外務省のお話にあったような実態である。しかし、改正後では、十分だとは言えないけれども、これでまあ何とかいけるというふうに伺っております。先ほど申し上げましたように、ぎりぎりの調和点ではないかというふうに考えております。
それから為替レート。これは非常に難しい話でございまして、先行きどうなるかということがございますが、一つの大きな要素として、毎年の旅費をどうするかという予算編成のときに改めて考える問題だとは思いますが、ただ、年度途中で極めて急激な為替の上下がございまして、それで旅費の執行に著しく不適当な場合が生ずることがございます。そういった場合には、現行の旅費法に規定がございまして、「国会閉会中において、外国為替相場の変動、物価の改訂等の事由に因り緊急に旅費の定額を改訂する必要を生じたときは、最近の国会においてこの法律が改正されるまでの間、政令をもって臨時に旅費の定額を改訂することができる。」というふうに規定がございます。この規定を現実に運用したことはございませんけれども、今後もしそういう事態が生じました場合には、この規定を弾力的に執行する等十分検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/124
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125・宮地正介
○宮地委員 今外務省も大蔵省も一つの単発的な実例をお話しになったわけでございますが、やはり今回のこれだけの改正をやる以上は、現場との間に相当実勢の食い違いが出てきている。また、諸外国の物価高、世界経済の状況、そういうものを踏まえて、在外公館もそれなりに抜き取り調査をされた。私は、せっかく国費を使って旅行をされるそうした国家公務員の皆さんが、どの程度出血になっているのか、これはやはりもっと正確に把握すべきじゃないか。
一説には、例えば大蔵省の大場財務官などが海外に行かれるときに、聞くところによると、一日一万円ぐらい赤字だなというような話もちらちら聞こえてくるわけです。ですから、実際現場の皆さんがどういうように出血になっているか、今のニューヨークの例、自分の例、これだけでなくて、私はもっと厳密にその辺の御調査をされて、そして正確に国会に報告しながらこの問題の改正というものを求めていくべきである。この点についてもう少し詳しく外務省と大蔵省にお伺いしたいと思います。そういうデータ、もしつくってあれば、ちょっと状況を報告してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/125
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126・数原孝憲
○数原説明員 先ほどは私どもの実態調査については詳しくは申し上げませんでしたけれども、お尋ねでございますので、私どもの行いましたホテル事情調査につきまして、もう少し敷衍して説明させていただきたいと思います。
私ども全在外公館百六十数公館ございますけれども、一公館当たり大体五つから三十程度のホテルにつきまして、その宿泊料及び食事代について調査をしたわけでございます。その場合、安全性に問題があるものとか、あるいは町の中心から離れているとかというものは省きまして、現に実際利用しているホテルにつきまして部屋代、食事代をクラス別に調査したもので、先ほど申しましたけれども、約二千三百ほどのホテルにつきましての数字を私ども調査の結果把握したものでございます。それから、実際には割引等がある場合には、割引料金というようなことにいたしまして調査をいたしております。したがいまして、先ほど私が申しました地域によって相違がございますけれども、指定都市につきましては約二倍、その他の地域につきましては約五割方と申しましたものも、そういう調査を踏まえた上で総合的に申し上げた結果でございまして、そのように御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/126
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127・的場順三
○的場政府委員 先ほど委員の方から非常に具体的な例が出ましたので、具体的にお答えをいたしますと、例えば指定職、大場財務官は指定職でございますけれども、ニューヨークに出張される際、一万円ぐらい足が出るというふうなお話があったということでございますが、それは改定前の旧水準で言いますと、日当と宿泊料を合わせまして一日二万二千百円であったわけでありますが、今回改定をいたしまして、三万四千円にするということでございますから、約一万円強の増額になっている、そういった実態をも十分伺いながら、今回やらしていただいたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/127
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128・宮地正介
○宮地委員 今回の改正における必要財源の問題についてちょっと触れておきたいのですが、一応今回は約十九億円、国家公務員の外国旅行に関する費用は前年度百三十四億円でございますので、五十九年度としては百五十三億円くらい、これが大体財源措置になる、このように伺っているわけでございますが、西ドイツだとか欧米先進国のそういうようなところと、なかなか簡単には比較いかぬと思いますが、諸外国とこうした旅費の問題、財源の問題あるいは日当とか宿泊料の問題について比較した場合、日本の場合は水準的にどの程度になっておるのか、その点調査をしておれば御報告いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/128
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129・的場順三
○的場政府委員 五十八年度の外国旅費の総額は、一般会計で御指摘のとおり百三十三億八千七百万でございますし、五十九年度は百五十四億一千九百万でございます。諸外国等の例は、ただいまちょっと手元に資料がございませんので、後ほどまたお答えをさせていただきたいと思いますが、ヨーロッパに比べますと、日本の場合は地理的に極東地域に属しております関係で、運賃部分がかなり高くつくのではないかというふうに思います。したがって、そういったハンディは一つあるということがございます。
それから、たしか――後で正確に申し上げたいと思いますが、宿泊、日当等につきましては、それぞれの国、予算制度そのものも違いますし、一律には比較できないと思いますが、横並びとれているというふうな感じであったと、予算査定の段階で私の記憶に残っておりますのはそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/129
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130・宮地正介
○宮地委員 大臣にこの問題でちょっとお伺いしたいのですが、国家公務員の皆さんが海外に旅行されて、行政の業務を遂行されること、非常にこれは大事な問題であろう。しかし、甘えは断じて許されてはならない。現在の行政改革のこうした厳しい財源難の折であります。しかし、別の角度から見ますれば、国費によって、世界の各地に国の仕事で行かれる、これは誇りであるし、また当事者にとっても、人生における大きな財産である。そういう中で出張をされる。そこには私は、基本的な行政官としての使命、責任、姿勢というものが正されていかなくてはならない、こう思うわけでございます。
そういう中で、今回の四〇%の定額引き上げというのは、国民から見れば、ある意味では実際面としてこれはどうなのだろうか、こういう率直な意見を述べる方もあるわけでございます。それだけに私は、この改正案を国会で審議するに当たりまして、もう一度、特に本省の局長さん、課長さんという、日本のこれからの行政をしょって立つ大事な方でございますから、それなりに襟を正し、甘えを排し、そして国務の行政の海外における働きをしてもらいたい、このように考えるわけであります。しかし一方では、先ほど申し上げたように、相当な赤字を出しながら大変な御苦労もしておる。これもやはり国民的な立場から見れば是正をし調整をしていかなければならない、こう私も十分に理解はできるわけでございます。そういう中において、決して今回のこの引き上げの改正案というものに対して私は――甘えを排し、むしろこれを契機として今後の業務の遂行に当たるべきである、このように思いますが、大臣としての所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/130
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131・竹下登
○竹下国務大臣 総論的に私は宮地さんおっしゃるとおりだと思います。
そもそも、少し古い話になりますが、三百六十円の固定相場がいわゆる変動相場制、その間スミソニアンレート三百八円というのがございましたけれども、あのときに、今思い出してみますと、予算編成どうするかという話がございました。というのは、今まで固定相場であったものが変動相場制になれば、外国旅費あるいは在外勤務の方々の問題について予算の修正の問題が出てくるんじゃないか、こういうかなり古い議論をしたことがございます。それから私どもも非常に関心を持っておりましたが、予算編成のときに一定の基準をとって組むということが定着すると同時に、例えばこの給与の問題では、ちょっと忘れましたけれども、乖離がかなり激しく生じた場合にはこれを途中で直せるという、たしか政令で、一度だけこれを、おととしくらいでございますか、使わしていただいたことがあります。
そこで今度旅費の問題ということになりまして、私は率直なところ、最初はこれは大臣折衝マターになりはしないかと思っておりました。しかし大臣折衝をだれとだれがやるか。旅費法は大蔵大臣が所管して、こうして御審議いただく。だが、一番痛切に感じていらっしゃるのは外務省だろう。だが、これは外務大臣とも相談しまして、大臣折衝でやる課題じゃないぞよ。そこで、一番きちんとしたデータを外務省の方でそろえてもらって、我が方も確かに海外出張の多い役所でございますけれども、それで極めて事務的に整合性のある積み上げ方をしようじゃないか。ODAの金が多年足らないで大臣折衝するのはさまになりますが、旅費で大臣折衝というのはおかしいじゃないか。それから、理論的に考えても所管はおまえじゃないか、こういう話になりまして、それで、極めて正確に積み上げてもらって四〇%というものが出たわけであります。
その前の状態を見ますと、例えば、まあ大韓航空という固有名詞は別としまして、それらのチャーター便の行き帰りのものをあらかじめ手配をしておいて、非常に安く工夫して海外出張をしなければならぬほど、事ほどさように厳しくなっておるという状態は私どもも聞いておりましたので、それじゃ、こういう財政状態極めて厳しいところであるけれども、きちんと積み上げた方式で国会で御審議をいただこうではないかというので積み上げたものが、この四〇%ということになったわけであります。
公務員の出張というのは、確かにいわゆる一般的に言う観光旅行でもございませんし、公務員の諸君が海外あるいは出張等々において努力しておる情報の収集というようなものは、私の役所だけをとってみましても大変に行政執行の上に役立つことでございますし、そしてまた今度の四〇%という問題は、確かにマイナスシーリングのときの四〇%といえば、印象としては大きな印象を与えますが、御審議いただいておる過程で御理解をいただけるように、まさに適正な、調整された原案だというふうに御理解をいただけるものであろうというふうに期待をいたしておるところであります。申すまでもなく、お述べになったように襟を正し、甘えを排し、そして国家公務員たるの、言ってみれば国益を守る立場に立った本分を自覚しながら、鋭意海外出張の際もこれらに対する正確な情報活動等を行っていかなければならぬ使命感は、最近公務員の方、余計感じていらっしゃるのじゃないか。
私が大正十三年生まれでございますから、ちょうど外国語がいわゆる敵性国語と言われて、非常に勉強しない時代の者が、大体大正十四年ぐらいで終わりでございますと、今役人の構成を見ておりますと、大体それらが皆上がったりになりまして、語学の方も非常に達者な年齢層になっておりますし、その点、今自覚とそういうみずからの身につけておる能力とをフルに活用すれば、やはり世界に冠たる日本国公務員ということが諸外国に対しても理解をされるではないか。いささか褒め過ぎかもしれませんが、そういう印象を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/131
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132・宮地正介
○宮地委員 旅費法の改正についてもう一つ忘れてはならないことは、この旅費法が実費弁償の原則に立っておる。そういう中で、今回は改正案には盛り込まれてきておりませんが、内国旅費の改正という問題についても、当然これは検討すべき段階に来ているのではないか、私はこのように思っておるわけです。特に月間の出張件数を比べましても、当然内国の方が多いわけでございますが、外国旅行の場合は千七百件、経費としては月当たり百万程度、これはいわゆる旅費の精算事務に要する超勤手当であります。内国の場合は月当たり出張件数が百三十二万作ですね。そうした中でやはり相当御苦労されている状態も、私も聞いているわけなんです。その点について、大蔵省として内国の皆さんの御苦労を今どういうふうにとらえておられるのか。また内国の旅費の改正についで、今後どのように検討されようとされているのか。その点についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/132
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133・的場順三
○的場政府委員 御指摘のとおり、旅費の中で内国旅費の占める割合の方が圧倒的に多うございますし、ただいま先生からも御指摘ございましたように、外国の月間出張件数は約千七百件でございますが、内国の月間出張件数は約百三十二万件ございます。したがいまして、内国旅費の問題は外国旅費に劣らず重要であることは十分認識をいたしております。もちろん、今回の旅費法の改正に当たりまして、外国旅費と同様内国旅費についてもいかがすべきかということは、関係各省とも相談をし、内部でも真剣な検討をしたのでございます。
しかし、事情を申し上げますと、一つは外国旅費は五十年以来八年間改定していない。内国旅費は五十四年度に一度改定をして、相当の引き上げを行っております。それが一つ。
それから、実態を見ますと、必ずしも楽であるというより、むしろ大変窮屈になっているという実態はうかがえますけれども、一番出張旅費の少ない方々を例にとってみても、その出張旅費で宿泊ができず、あるいは食事ができないというほどのものではない。まだ工夫をしていただければ何とか間に合う。
それからもう一つ事情を申し上げますと、共済の寮のようにかなり安価な施設もまだあるということでございましたので、今回、大変厳しい、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、マイナスシーリングということで各種補助金についても大変厳しい実態でお願いをしておるときでございますので、内国旅費については改定を見送った次第でございます。
しからば、内国旅費については、いつ、どういう状態になったら改定するのかというお尋ねでございますけれども、これは毎年毎年予算編成のときに、旅費の実態が現実と乖離しているかどうかということも調べまして、全体の財源の事情、それから他の重要歳出との比較、バランス、そういったものを十分に検討して考えていく問題でございまして、現段階で内国旅費がどうなればどうするということをお答えするのはなかなか困難でございます。
それから、先ほどのをちょっと補足して申し上げますと、諸外国の職員との関係につきましては、国連職員というのが恐らくはいろいろな国の職員の例を参考にして決めておられるということもございまして、国連の職員の方々の宿泊、日当費等を勘案いたしまして、改定後では大体国連の職員よりも、申しわけございませんけれども一割ぐらい低い段階で決めさせていただいているということでございます。補足させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/133
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134・宮地正介
○宮地委員 今、次長は、内国の場合は何とかやっていける、こういう大変ぎりぎりのところの御答弁をいただいたのですが、内国出張においても大変に今厳しい状態に置かれている状況が、やはり大蔵省の中の、特に国税職員などにおいても現実にあるわけですね。
例えば行政職の俸給表の(一)を適用されている国家公務員の方をごらんになっていただければわかりますが、宿泊料につきましても六等級以下の職務にある者に対しては一泊五千九百円、三等級以下五等級以上の職務にある方でも七千四百円、二等級以上の職務にある方は八千九百円、こういうふうになっておるわけです。東京、大阪を除いた地域にいたしましても、五千九百円で今一泊食事つきなんというのは、現実問題としてなかなかこれは厳しいと思うのですね、素泊まりならともかく。この辺の実態、今次長が御答弁いただくに当たって少し厳しいのではないか。そこでそういう万々、特にまた若い職員の方が非常に多いわけでございます。私がいろいろ聞いておりますと、相当持ち出し出張になっておるというふうに伺っているわけでございます。
そこで、きょうは国税庁長官もお見えでございますが、国税職員の場合は非常に内国出張が多いと思います。今申し上げたように、内国出張においても国税職員の皆さんの御苦労が大変多いのではないかと私は思っておりますが、具体的にそうした問題について、長官は、国税職員の方々についてはどのように把握されておるのか、どのように実態をお受けとめになっておられるのか、率直な御意見を伺いたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/134
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135・岸田俊輔
○岸田政府委員 国税職員、現在厳しい税務環境でございまして、取引も広域化いたしておりますし、それから、いろいろな脱税の手口も複雑になってきている状況でございまして、そのための広域化に対応します出張というのも非常に多くなってきているのが現実でございます。御承知のように限られた旅費の範囲で最大の効力を上げるために、職員一同相当の努力をいたしているわけでございまして、先生御指摘のように、旅費の内容自体、現下の行財政のもとでございますとなかなか厳しい状況でございまして、一応それを前提に最大限の努力をいたしておりますけれども、この税務職員の実情から考えまして、いろいろな面での処遇の改善というものについて、国税庁としても努力していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/135
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136・宮地正介
○宮地委員 さらに、これは次長に聞いてもらいたいのですが、今申し上げたようなこういう若い職員の方々の持ち出し出張が多い。まして食卓料というのは船と飛行機なんですね。ですから、国税職員が全国いろいろ調査に回られる、あるいは出張される、そういう中で私はやはり職場における士気にも非常に影響すると思うのです。これはぜひもう少し実態を把握されて、早急に是正すべきは是正すべきである。今回外国旅行につきましては八年ぶりというふうに、長い期間の改正でありますけれども、五十三年、五十四年ごろは、御存じのとおり円高という幸いなる為替相場の変動があったわけですね。私は、そういう要因もやはり今回まで八年間据え置かれてきた一因でもあろうか、これはある意味では非常に幸運だったと思うのです。
しかし、内国の場合は、そういう海外の経済要因によって幸運になる状況というのはないわけですね。むしろ物価高はかさむ、ホテル料は上がってくる、経済環境は非滝に厳しくなってくる。そういうことですから、こうした陰で御苦労されている国税職員に一つの例をとって私は申し述べているわけでございますが、他にも国家公務員の中には、内国旅行の中で大変御苦労されている方が多いのではないか。ましてや六等級とか、あるいは三等級以下五等級以上の方々は若い方々が多いわけでありますから余計に厳しいわけですね。特に人勧で二・〇三%程度に抑えられて、給与の面でも大変厳しいわけでございますから、この問題についてはもっと積極的に実態を把握され、必要であれば思い切ってスピーディーに改正案を検討すべきである、私はこう思いますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/136
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137・的場順三
○的場政府委員 御指摘の点、まことにもっともな点がございます。ことしの旅費をどうするかというときに当たりましても、内国旅費について実態を調査し、民間の水準であるとか、あるいは物価の動向がどうかということも調べたつもりでございます。ただ、先生御指摘の点はよくわかりますので、今後全体の予算編成の中で、こういった旅費問題についても真剣に検討してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/137
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138・宮地正介
○宮地委員 大蔵大臣、今のことについてコメントを一言よろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/138
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139・竹下登
○竹下国務大臣 的場次長からお答え申し上げたとおりでございますが、特に今度給与面ということになりますと人事院の関係になります。私どもも毎年もちろん国税当局からは詳しい資料等をお出ししておりますが、担当の大臣としても、人事院総裁の方へお電話で、実態についての御配慮をお願いするという姿勢は、今日も持ち続けておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/139
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140・宮地正介
○宮地委員 給与のことはちょっと後で共済年金のところで私触れようと思ったのですが、大臣からいみじくも今出ましたし、きょうはちょうど人事院の給与局の次長も来られておりますので……。
今の国税職員の方々の問題については、さきの大蔵委員会の所得税法改正のときにも、六十年度の国家公務員の見直しのときに積極的に見直しをされる、こういう前向きの御答弁をいただいたわけでございますが、今せっかく大臣から給与面についてちょっと出ましたので、その点にも触れておきたいと思います。
特に国税職員の皆さんは、御存じのとおり中高年層の方が非常にここのところふえ続けてきているわけでございます。昭和五十五年、四年前のデータによりますと、国税職員の皆さんの四十六歳以上の方が最高の二万人ということで、もう既に四年たっておりますから、そういう方は五十歳になっておるわけです。こういう方々の給与面を見てまいりますと、税務職の俸給表で私一番心配しておりますのは、三等級のいわゆる上席と言われる、国税職員の中でも一番ベテランであり、非常に力のある方々、こういう方々が国税職員の適用職員数四万八千六百六十五人のうち一万一千二百四十五人占めておる。そして二十二号俸まであります。御存じだと思います。しかし、枠外ということで二十二号俸の上に行けない、ないものですから。しかし、上席で非常に頑張っておられる、そういう方がざっと二百六十人くらいいらっしゃるわけですね。こういう方は、言うなれば定期昇給の面でも、ある意味じゃ大変頭打ちということで、二年に一度程度はあるようでございますが、いわゆる定昇は余り恵まれておらない。そして今申し上げましたように、こうした中高年層の皆さんはポストもない。こういうことで、国税職員の皆さんの処遇改善という問題が非常に叫ばれてきて、人事院としても、六十年度の見直しのときは積極的におやりになっていただくということであります。
そうした給与の問題は、後ほどまた共済年金のときに触れたいと思ったのですが、これはベースですから年金にも波及してくるわけです。こうなりますと、定期昇給は余り恵まれておらぬ、ポストも厳しい、さらに給与の反映で年金の見通しも非常に暗い、厳しい、その上、今申し上げたような出張の面でも大変厳しいと、踏んだりけったり。こういうことで私は、こうした枠外の問題についても号俸の新規増設ということで解決していく、そういう機も熟してきているんではないか、このように思うわけでございますが、人事院としての御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/140
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141・藤野典三
○藤野説明員 税務職員の号俸延長問題につきましては、先生御指摘のように、枠外者がかなりおることは承知しておりますが、実はこの問題は、号俸構成をどうするのがいいか、あるいはひいては昇給制度がどうあるべきかという問題に絡みます。したがって、給与制度全般にかかわる問題でございますので、そういう形で考えるべき問題ではなかろうか。そういう意味におきまして、定年制度が発足いたします六十年をめどに給与制度の見直しを進めておりますところでございますから、その一環といたしましてこの問題としては検討してまいりたいと考えておるところでございます。そういうわけでございますから、今直ちにこれについて結論を申し上げることは差し控えさしていただきますが、そういう意味で六十年見直しにつきましては前向きに検討さしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/141
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142・宮地正介
○宮地委員 そういう実態でございますので、先ほどの内国旅費の改正についても、できるだけスピーディーに処理をしてもらいたい、このように思うわけでございます。
そこで、こうした旅費に関連いたしまして、けさほども少し触れておりましたが、単身赴任の課税の問題ですね。これに一言ちょっと触れておきたいと思うのです。
これはもう既に国会の中でも予算委員会等でも触れられておると思いますが、特にこの単身赴任の問題、これに対する課税の軽減の問題、これは私はこれからの社会問題として非常に大きく今クローズアップしてきていると思います。
既に御存じと思いますが、全民労協による単身赴任者の課税実態、こういうものが発表になっておるわけでございます。これによりますと、例えば年収五百三十万円の夫婦子供お二人の御家庭において、一時帰省の交通費支給月三回実費、単身赴任手当の支給月額二万二千円、こうした形のモデルを試算をしているわけであります。このモデルの試算によりますと、同居の場合は年収五百三十万円の方、この方は可処分所得が四百五十二万六千二百六十円、このようになるわけです。東京から大阪に別居して単身赴任をされますと、この五百三十万円にいわゆる単身赴任手当が二万二千円掛ける一年、十二カ月ですか、二十六万四千円、そして一時帰省交通費、これが二万三千円掛ける三回の十二カ月、八十二万八千円、こうなりますので、年収が六百三十九万二千円に膨れ上がります。しかし、可処分所得は、この交通費が引かれますから四百五十二万六千五百四十八円と、大体大阪の場合は同居の場合ととんとんである。しかし、九州の福岡に単身赴任されますと、同じ給与五百三十万円の年収の方が、逆に単身赴任手当二十六万四千円に交通費が当然ふえるわけでございまして、これが百二十一万三千二百円、総収入、年収としては六百七十七万七千二百円になるわけでございますが、何と交通費が百二十一万三千二百円でございますから、これを引く可処分所得となりますと、四百四十一万五千四百四十円、約九七・六%、こういうふうに可処分所得が現実に厳しくなっている。
こうした単身赴任の問題は、既に御存じのように、先日も「女なんてつまらない」、こういうことで主婦の方が遺書を残して無理心中をされた。残念ながら私の埼玉でこういうことがあったわけですね。そういうように非常に大きな社会問題化しつつある。これにやはり何らかの形で課税の軽減措置というものを考えていく時期に来ているのではないか、私はこう思うわけでございますが、まず事務当局の大蔵省として、この問題についてどのように検討されておられるのか、また政治家としてお力のある大蔵大臣、この問題について今後どう対応されようとしていくのか、大きな立場から御答弁いただければありがたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/142
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143・水野勝
○水野(勝)政府委員 事務的な観点からの現行税制の考え方につきまして、まず御説明をさしていただきます。
勤務に対しますところの報酬といたしましては、職務の性質や内容に応じた給与が支払われる場合が多いわけでございますけれども、また生活給的な手当や勤務地の特殊性に基づきますところの手当、こういったものもこういう形で支給される場合もあるわけでございます。こうしたものにつきましては、税といたしましては、これはいずれも給与そのものであって、税制上はそのほかの給与と同じように取り扱いをさしていただいているというのが現状でございます。例えば国家公務員のケースで申しますと、住居的な支出に充てられたもの、住居手当とか、寒冷地では暖房費に充てるべきものとして支給される寒冷地手当とか、こういったものもあるわけでございますが、こういったものもやはり生活上実費としては使われるものではございますけれども、いずれも給与の支給の一つの形態であるというふうに課税をさしていただいているということでございます。また、勤務地の特殊性に基づきまして調整手当や特地勤務手当、こういったものも僻地や都会地に勤務される方につきましては支給される。こういったものは何がしかの実費と申しますか、掛かり増し経費もあるわけでございますけれども、こうしたものも同様に課税対象とさしていただいているということでございます。
確かに、単身赴任されて帰省旅費を支給される、それは実費として使われるという面はあるわけでございますけれども、そうした経費の実費を支給される従業員、支給されない従業員、そこらとのバランスとか、あるいは単身赴任をされないで家族ともども赴任される、そういった方につきましてもいろいろまた経費はあるはずでございますし、またそうした経費は支給しないで、給与そのものを高く支給されるという場合もあるわけでございますが、そうしたことを前提といたしますと、現行法の考え方といたしましては、そういったものが実費に向けられるとは申しましても、やはり給与の一つの形態であるというふうに考えさしていただいて扱っておるわけでございます。
今の先生のお話の、旅費を引きましたところでの可処分所得という比較の数字もお示しいただいたわけでございますが、その帰省のための旅費、これは生活上の所得の処分と考えるというのが現行税制の考え方でございますので、それを引いたところの可処分所得というのは、現行税制ではなかなかなじまないわけでございます。こういった事情はございますけれども、税制も社会、経済情勢の実態に応じたあるべき姿というものもあるわけでございますから、私どもも事務的にはなお勉強はいたすわけでございますが、現行税制の考え方はこんなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/143
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144・竹下登
○竹下国務大臣 今事務当局の検討の経過等において申し上げました。
確かに、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、やっぱり雇用政策上の問題だというふうに、今日の時点においては観念するのが適当であろう、こういうことになっておるわけであります。ところが、実態をいろいろごらんになりますと、雇用政策の面であっても、A社とB社の相違もございましょうし、したがって、そうなりますと、今度は国民の生活態様の中から、特定の条件とか特定の家計支出を抜き出して、税制上これをしんしゃくするか、こういうことになるとこれにはおのずから限界があるということになりますので、税調の中期答申におきましても、「特定の条件や特定の家計支出に着目して税制上しん酌する場合の客観的基準を見出すことは困難であること等を考慮すれば、新規の特別控除を創設することは適当でない」ということに、何回か議論して結論がなっておるわけでございます。
したがってこの問題は、実体は違いますけれども、社会経済の変化の中で起きた問題として相対的に考えれば、ある意味においてはパート問題というのの今日に至る経過と似ておるところがありはしないだろうか。パートというのも、いまだに議論すると、いわゆる内職の方の問題とか、婦人外交員の方の問題とか、あるいはもっと本質的に、扶養手当も受けておってなお扶養控除をされる限界というのを定める理論的根拠というのには種々苦労して、したがって前々回のときにやや定着した考え方として今日に至っておる。こういうことですので、したがって、国会で出た問題でございますから、もとより正確に税制調査会にもお伝えすべき課題でもありますが、こうした国会の議論等を通じながら、税調においても何の予見も挟まずお伝えして、まさに検討、勉強を続けていく課題だ。だからパートのときも、いろいろな変化がありながら、ある種のコンセンサスが、現行制度の中では曲がりなりにもつくられておると同じような経過をたどるのじゃないかなという気がいたします。
確かに言われてみれば雇用政策上で観念すべきだ、これはなるほどそうだと思います。そして控除制度というのは理論的に非常に難しい問題が多い。そこでやはり国政全般を議論する国会の議論等から、どのような方向を模索していくかというのが、まさに将来の課題であると同時に、今日的課題として認識して対応すべきじゃないかと、素直にそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/144
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145・宮地正介
○宮地委員 ぜひ税調にも、国会の審議の中における、特に課税軽減ということで努力をしてもらいたいということを、大蔵大臣からもよろしく御配慮方お願いをしたい、このように要望しておきたいと思います。
そこで、次に国家公務員の共済年金の問題について少し触れてまいりたい、このように思うわけでございます。
この問題は、特にこれからの二十一世紀に向けましての高齢化社会の到来、そうしたものに伴う社会の経済情勢の変化、そういう中で今後日本が進んでいく道はやはり福祉国家への活力ある社会であろう。それだけに、福祉国家をつくっていく中の、そうした老齢化社会の中で避けては通れない重大な問題が年金問題である。年金問題の中で、特にきょうは時間が限られておりますので、具体的問題から御質問してまいりたいと思いますが、初めに私は大臣に、年金に対する基本的な考え方というものを少し御確認をさせていただきたいと思います。
御存じのように、我が国は公的年金が八種類あるわけでございまして、この八種類の公的年金を近い将来一元化をしていこう。しかし、一つ一つを見てまいりますと、なかなか大変に難しい問題をはらんでいるわけでございます。特に国家公務員の共済年金なども、長期収支見通しの試算などを見ておりましても、昭和六十八年には収支残が赤字になる。積立金の方も昭和八十二年にはゼロになる、これは統合前の話でございますが。国鉄共済につきましては、既に御存じのとおり昭和六十年に収支残が一千四十七億の赤字を抱えてしまう。また、専売共済につきましても、昭和五十九年度で収支残が三億円の赤字になる。積立金を崩していって昭和八十四年にはゼロ。また、電電共済につきましても、昭和七十八年には収支残が三百八十七億円の赤字、積立金を取り崩しましても昭和八十七年にゼロになってしまう等々、長期収支見通しは、試算によりますと大変に厳しい状況下にあります。しかし、国民の年金に対する期待は年々高まっているわけでございます。また、私ども政治家として選挙民などに接しまして、今一番問題にされるのが国の公的年金、これは本当に頼りがいがあるのだろうかと、非常に先行きについて不安を抱いておる。特に民間の大手企業においては信託型とか生保型とか、こうした企業年金が非常に大型化されてきておりまして、公的年金に対する大変な不安を抱いている。
そういう中でこれからの福祉国家をつくっていく場合に、この公的年金の一元化と、また老後の安定、この保障というものを、しっかりとした根を張ったものをつくっていくべきである。当然社会保障制度審議会あるいは臨調等の答申の中にはもろもろのことが言われておるわけでございますが、こうした一元化の方向、また、特に現在の年金の中で、例えば厚生年金を例にとりましても、婦人の年金権が確立されていない。御夫婦で年金をもらって、御主人が残念ながら途中でお亡くなりになった、その遺族年金になると大体半分程度になってしまう。また、掛金を掛けておいて満期近くでお亡くなりになった、こうなると一時金で処理されてしまう。こういうことで、やはり年金に対しての国民の偽らざる不安は募っているわけでございます。
そういう中で、これからの日本の社会福祉国家をつくっていく上においての、今の公的年金のネックとされている問題、例えば今の御婦人の年金権の確立の問題、あるいは根本的な財源方式をどうするんだ、今の積立方式をヨーロッパ並みに修正賦課方式に切りかえていくのか、いろいろと議論されて今日まで来ているわけでございますが、きょうは特に国家公務員の共済年金の改定に伴いまして、そうした根本的な将来に向けての年金改革についての大臣としての所見をまず伺いたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/145
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146・竹下登
○竹下国務大臣 まず、基本的に福祉国家というものからして、今日その議論の焦点ほどこにあるかというと、年金問題と医療問題、こういうふうな理解の仕方が一般的ではないかと私は思っております。したがって、特に年金問題というのが議論されればされるほど、また別の意味において、今日の年金受給者の中に不安感とでも申しますか、特に私の田舎などは人口五千人で、千百何十人が年金受給者でございます。老人ばかりおるところでございますので、したがって、私どもが田舎へ帰りますと、いつまで我々はもらえますかというような話があったりするぐらいでございます。したがって、この年金制度というものは、やはりまずは基礎年金というものの考え方、議論していくうちに帰結する問題が、一つはそこにあると思っております。
そして、何分にも分立した今日の制度というものから考えれば、当然これの一元化の方向というものが議論をされるわけであります。その第一着手が、先般の国会で議了していただいたいわゆる国家公務員等というふうな年金制度の中に、国鉄とか電電とか専売とかをインクルードしていただいたものであったと私は思います。あの法律なども、分立した現状からすれば、なかなかその理解が得られない問題じゃないか、最初は素直にそう思いました。利害が相対立したりする問題が余りにも多いから、そういう感じを私は持ったわけであります。
そこで、まず第一に、それがこの審議会でどういうことになるだろうかという心配をしておりましたが、それを支えたものは、いわゆる労働者連帯というようなものではなかったか。それぞれ置かれた、分立した制度の中における立場からすれば、みずから不利になることも許容し得る形で、苦心をしながら議論を積み重ねて、答申もちょうだいをすることができた。そして、本院において議論される中においても、それぞれの分立した立場にある人の立場に立ちつつも、結果的に労働者連帯というものがあの法律を成立さした。だから、本当に素直な気持ちで言えば、やれやれという気がしたことは事実でございます。
そこで今度は、ことしになりましてからの、まず二月二十四日の閣議の公的年金制度一元化への展望、こういうことであろうと思います。御案内のとおり、五十九年において国年と厚年と船員保険制度についての基礎年金の導入を図る制度の改正と、それから六十年において共済年金についての基礎年金の導入を図る等の改革の趣旨に沿った制度改正、その二つの改革は、昭和六十一年度から実施するということを内容としたものが決定をされたわけであります。したがいまして、ああして年金担当大臣というものもできまして、そうして今度は、今そのもとで将来にわたっての構想というものが、それこそ専門家の議論を聞きながら樹立されていく方向にあるわけでございますので、これはまずは一つ一つ積み上げることによって、国民の皆様方に不安はないという考え方に立ってもらうことが一つ。
そしていま一つの問題は、各種企業年金の導入の問題でございます。ことしの税制改正の中でも、ああして控除を認めていただいたということもそこにあるわけでございますけれども、この間初めて聞きました一つの質問で、参議院でございましたが、あの控除が認められたために、やはりあれは、あそこまでして政府が税制上の優遇措置を行うようになったのは、公的年金がだめになるから、それてあらかじめ民間の個人年金にそういう優遇措置をやったと言って募集する不心得者もおる、こういう話でございますので、それは行政指導をしなければならぬなという感じを持ったわけでございますけれども、基本的には宮地さんの認識と私の認識に大きな隔たりはないだろうという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/146
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147・宮地正介
○宮地委員 具体的に特に専売、電電ですね。公社の民営化という問題がいよいよこれから終盤国会においてもいろいろ提起されてくるわけでございますが、こうした電電、専売公社の民営化に伴って、今後統合された年金の方向、こういうものが果たしてどういう方向に行くのだろうか。共済年金から厚生年金に移行していくのが一つの筋であろう、これは理解できるわけでございますが、やはりその間には相当調整をしなくてはならないネックの問題が出てくるかと存じます。この点について、現段階で答弁できる限りで結構でございますが、どのように今後お考えになり、検討されているのか、この点を伺いたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/147
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148・保田博
○保田政府委員 電電公社と専売公社の経営形態の変更のための法案を御審議をいただくことになりまして、法律が通りますれば、六十年四月から民営化されるということになります。
その際に、共済年金制度を引き続き適用するかどうかということについては、先生御承知おきのように、昨年秋の統合法案によって、引き続き共済年金制度を適用するということになっておるわけでございます。
さらに、六十一年度以降の厚年、国年それから共済年金を合わせて負担と給付の調整を行いながら、昭和七十年を目途に年金制度の一元化を目指すということになるわけでございまして、その際に、共済年金制度が厚生年金あるいは国民年金の一元化とどういうふうな組み合わせになるかということについては、非常に大きな問題でございますので、今後、当面は来年の通常国会に提出を予定しております共済年金の改定法案の具体化の際に検討させていただくということにならざるを得ない。今のところ、明確な方針を持っているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/148
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149・宮地正介
○宮地委員 時間が参りましたので、最後に、国家公務員等の公庫、公団等からの再出向の問題についてちょっと確認をしておきたい、こう思います。
これは昨年の十二月二十三日に総理府の人事局長から各省庁の官房長あてに「国家公務員等の公庫、公団簿からの再出向について」、こういうことで通達が出ているわけであります。「国家公務員又は公社職員を国家公務員等退職手当法第七条の二第一項の規定に基づく国家公務員等退職手当法施行令第九条の二に掲げる公庫等へ退職出向させた後、更に公庫等から公庫等以外の法人等へ休職又はこれに類する措置により再出向させるという人事運用は、同法第七条の二の立法趣旨等にかんがみ、厳に慎むこととされたい。」こういうことで通達が出されているわけでございますが、各省お呼びすると時間の関係で大変に限られておりますので、きょうは労働省に代表して来ていただいているわけでございますが、この通達に対して、労働省として実態は今どうなのだろうか。大蔵省については、先ほどちょっと大臣官房から伺いますと、四人ぐらいがあって、この次の人事の七月には全部対応したい、こういう前向きのお話を伺いましたので、きょうは大蔵省には答弁求めませんが、労働省としては実態はどうなっているんだろうか、そしてこの通達後どういう対応をされているのか、答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/149
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150・春日原秀隆
○春日原説明員 御説明申し上げます。
先生ただいま御指摘ございました再出向の問題につきまして、おっしゃるとおり、昨年そういう通達を私どもいただいております。それに基づきまして、私どもといたしましては、その後人事異動に際しまして、極力再出向という形は解消するというふうに努力してまいっておりまして、この四月の人事異動で大部分は解消いたしてございます。
ただ、若干名残っておりますけれども、これにつきましても、この先夏ごろまでに予定しております大事におきまして解消すべきものというふうにいたしたいと思っております。(宮地委員「現状どのくらい残っておりますか」と呼ぶ)現在残っておりますのは、この問題につきまして昨年指摘されましたときに五十二名ございましたのですが、現在残っておりますのが七名でございます。そういうことで解消いたしたいと存じておりますので、何分御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/150
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151・宮地正介
○宮地委員 時間が参りましたので、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/151
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152・瓦力
○瓦委員長 玉置一弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/152
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153・玉置一弥
○玉置(一)委員 今回の共済法案は、昨年の統合以降初めての法案ということでございまして、本来であれば統合の状況とかいろいろ聞かなければいけないところでございますけれども、どうも毎年共済法案聞いておりますと、だんだん聞くところがなくなってまいりまして、これからの年金統合全体、国民皆年金で一人一年金というような方向が打ち出されておりますけれども、そういうことに絡めて質問をしていきたいと思います。
五十七年の七月に共済年金制度基本問題研究会というところから意見書が出されておりますけれども、この中で特に、戦前、公務員に対する退職手当制度がなかった、これが退職手当が一般民間並みに大幅に引き上げられた、こういう見地から次のような問題点が指摘をされているというふうにありまして、五項目あるわけでございます。
一つは「退職手当制度が民間並みに整備された今日、年金の算出根拠も最終給与と勤続期間に置いているのは妥当か。」二つ目が「再就職の場合の年金支給の制限をもっと強化すべきではないか。なお、政府が任命権をもつ公庫公団関係に対しては、国民感情の上からも特に留意すべきである。」こういうのがありまして、合計五つあるわけです。問題点が指摘をされましてから後、特に我々が感じるところでは、そう大した活動をなさってないのではないかというような感じがいたしますので、今までこの問題点それぞれをどういうふうに受けとめられまして、またどういうふうに対応されてきたのか、これについてまずお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/153
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154・保田博
○保田政府委員 先生御指摘の昭和五十七年七月に出されました共済年金制度基本問題研究会の意見書というものは、非常に長い視野に立った共済年金制度の改革についての問題点の御指摘というふうに理解をしておるわけでございます。それぞれ非常に大きな問題でございまして、これを非常に短い期間に改正するということは、実際問題としてはなかなか難しいわけでございます。
それで、我々の方は、来年の通常国会に共済年金制度の改革案をまとめて御提出をし、国会の御審議をいただくことにいたしております。そのために、現在、関係省庁あるいは学識経験者相集いまして、大変な精力的な勉強会を目下持っておるわけでございます。意見書におきまして指摘された問題点についても、その際に当然非常に大きな検討課題として、関係者の御審議をいただいて方向を出したい。その結果が来年の通常国会に御提出を予定しております改定法案として御審議をいただくことになる、こういうふうに御理解をいただきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/154
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155・玉置一弥
○玉置(一)委員 全体の動きの御説明だったと思いますけれども、個別に、例えば民間給与に比べて退職金の基準がどうだとか、それから再就職の場合、特に公団、公社、この辺の問題とか、その辺については既に指摘をされておりますから、まずその感触を――全体の動きはわかるのです。わかりますけれども、個別に論議をされているのかどうか。というのは、公務員共済が毎年上がってまいりまして、これは考えようによっては、給与レベルが高ければ当然その分が共済にはね返ってきているということも言えるわけですし、また、厳しい見方といいますか、いわゆる政府・与党的な見方をすれば、今財源がないんだから無理に上げなくてもというのもあるわけですね。そういう面から見て、我々は今までの苦労に報いるためのいわゆる報酬比例そして物価上昇、いろいろなものも含めて、やはり基準を上げていこうということでやっているわけでございます。その辺が、今はたまたま国家公務員の話で、地方公務員の場合の比率が非常に高いと言われておりますけれども、そういう場合どうなのかとか、いろいろな問題がこれまた派生してくるわけですね。
そういうようなことを考えていきますと、まさに今の状況として、環境から見た場合あるいは生活水準それから長期的な安定度、そういう面から見てどうなのかということを絶えず見ていかないと、ただ単に人事院勧告でこれだけ上がりました、そのはね返り分ですよとか、あるいは今度の場合、恩給法のはね返り分ですよということになってくるわけです。恩給と共済というのは、言ってみれば関係ないわけですね。恩給は恩給だし、共済は共済だ。ただ、財源調整というか、そういう意味で一緒にされているというのもあるわけです。だから、それぞれその時点その時点で十分見詰めていきながら、大きな柱に沿って改定をしていくということをやっていかなければいけないと思うので、少なくとも五十七年度に出された意見書に対して、もうぼつぼつ二年たつわけでございますから、何らかの動きがなければおかしい、こういうふうに思います。そこで、保田さんは今まで具体的にどういうことをされてきたか。だから、まあ、自分でどういうふうに考えておられるというか、今の共済のレベルとか、これからの統合に向かってのいろいろな動きも含めてあると思うのですけれども、これを、意見書を受けたときにどういうふうに考えられたかということをもう一回お願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/155
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156・保田博
○保田政府委員 先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、我々としては、御指摘の意見書というのは非常に長い視野に立った改革の際の問題点、こういうふうに理解をしておるわけでございます。ただいま御審議をいただいております年金額の改定法案は、とりあえず五十九年度に支給されます共済年金額の改定の法案でございまして、これとは別個に、意見書で指摘されました諸問題について長期的な視野から検討をする、そしてそれについての方向づけをいたしました上で、来年の通常国会に御提出をして御審議をいただく、こういうふうに考えております。短期の改革とそれから長期の改革というものと、二つに分けておりまして、意見書の御指摘の問題は、我々としては長期の問題点として理解をし、これについては今後勉強して、来年の通常国会で御審議をいただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/156
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157・玉置一弥
○玉置(一)委員 厚生省の方、同じような質問なのですけれども、共済制度の基本問題の意見ですね、これをどういうふうに受けとめておられるか、もしまとまっていればお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/157
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158・山口剛彦
○山口説明員 共済年金について研究会から御意見が出ているわけですけれども、私どもも国民年金、厚生年金について同様の基本的な検討をいたしておりまして、あそこで御指摘のございます一元化の問題あるいは給付と負担の問題等について、細部についてはいろいろ意見もございますけれども、基本的に、今の制度のままでこれからの高齢化社会を乗り切っていけるような安定した運営ができないという認識については、私どもも同じでございまして、そういう認識のもとに、長期的な安定を図るということと公平な年金制度をつくるということで、今国会に御提案をしております国民年金法等の制度改正をお願いをしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/158
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159・玉置一弥
○玉置(一)委員 この意見書の中に官民格差論というのもあるわけでございまして、毎年この委員会で官民格差論というのが出てまいりまして、格差はないというようなことをいろいろ言っておられるみたいでございますけれども、この中で、一つは年金額の計算方式の違いがある。厚生年金等におきましては、全期間平均給与水準という定額を採用する。片方、共済年金におきましては、最終俸給基準ということで、この俸給基準も給与比例方式と通年方式の二者で選択をできるというようなことがある。それから支給開始年齢でございますけれども、これは五十五歳から六十歳まで二十年かかって引き上げていくということで、経過措置があるわけです。今は五十六・幾つだと思いますけれども、そのくらいしかない。片方はもう既に六十歳で、もう六十五歳の話も何回か出て消えているというような状況でございますし、また、厚生年金と違うのは、共済年金の場合には制度内の併給調整さえも行われていないのは問題である、こういうふうに指摘をされているわけです。あるいはまた、再就職に対する年金の支給ということもございますし、いろいろなところで特に民間の厚生年金との比較においてかなり差があるのではないかというふうな指摘をされております。今まで言われておりまして、今まで是正がされないということでございます。まずその官民格差の認識について、大蔵省、そして厚生省、それぞれ一回お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/159
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160・保田博
○保田政府委員 先生御承知のように、我が国の公的年金制度は、現在七つの制度に分立をいたしておるわけであります。それぞれ長い歴史的な沿革、経緯を持っておりますし、給付や負担についても、したがってまた大きな差がある。それから年金制度を渡り歩いた場合の制度間調整といったようなものも必ずしも十分ではないということは、まさに先生御指摘のとおりであろうかと思います。そこで、確かに支給開始年齢の問題でございますとか給付の額の問題、計算の仕方の問題、併給調整の問題といったようなことで、それが共済年金と厚生年金等の民間の年金との格差の問題としていろいろ指摘を受けている問題があるわけでございますが、これは必ずしも一義的になかなか決めがたい問題であります。というのは、共済年金制度は、当然のことながら二つの側面を持っております。一つは、いわば老後の最低限度の所得保障としての社会保障制度としての側面と、もう一つは、国家公務員制度という特殊な環境で働く者に対する処遇の問題、あるいは厳しい規律に対するある程度の見返りといったような問題もございますので、何が官民格差であるかということについては、立場によってなかなか一義的にはつかまえがたいというふうに考えておるわけでございます。
具体的に若干我々のコメントを申し上げますと、支給開始年齢につきましては、既に六十歳にするということで、基本的な方向は格差論に対する対応をとっておるわけであります。ただ、そのための経過期間が二十年ある、これは長過ぎるのじゃないかということでございますけれども、やはり公務員がやめたときの老後の生活設計という問題にも直接響くわけでありますし、年金というものは非常に長い視野に立って安定的に存在しなければならない。そういう意味では、期待権の問題とか、やかましい問題があるわけでございますので、それらにもこたえながら、まあ現実論としてこの辺が妥当ではないかということで二十年の経過期間をとったわけです。厚生年金につきまして、たしか二十年ぐらい前に同じような支給開始年齢の引き上げが行われたときも、やはり二十年の経過期間を設けたわけであります。
それから、現実の給付額が、国家公務員の共済年金が厚生年金よりも五割ぐらい高いじゃないかという御指摘もあるわけですが、これは、年金額を決定する基準として、給与水準のほかにもう一つ、組合員期間といいますか、そういう年金額を計算する基礎となる期間が、現実に公務員の場合には厚生年金よりも五割増し程度高いわけでありますから、その計算の対象期間が長いということを考えれば、格差が特にあるというふうには我々理解はいたしていないわけでございます。
それから、再就職後の年金の支給の問題ですが、年金の制度間を移動をした場合にはお互いに支給されるということでは、民間の厚生年金と公務員等の共済年金とでは実は差がないことになっていまして、いろいろな立場からの御意見はあろうかと思いますが、我々としては共済年金制度の特殊な性格を考えますと、官民格差という御指摘のすべてが的を射たものというふうには必ずしも理解をいたしておりません。
しかし、いずれにしましても、これらの問題は、来年度国会で御審議をいただくべく、我々の準備いたします共済年金制度の改革法案をつくり上げますまでに各方面からの御意見を聴取いたしまして案を作成する、その際には御指摘のような問題は当然重要な検討課題になる、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/160
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161・玉置一弥
○玉置(一)委員 いろいろお話を伺っていますと、毎年大体同じなんですけれども、国家公務員としての処遇という話もございました。それから、非常に長い年数をかけてというお話もございましたけれども、国家公務員としての処遇、確かに大事だと思うのですね。大事だと思うので、我々の方も、国税の職員だとかあるいは税関の職員だとか、そういう方々に対して特に職能別の、職務に応じたいろいろな制度、これをぜひ賃金面で考えてほしい、こういう要請をしているのです。大蔵省はどうか知りませんけれども、人事院の方からは、国家公務員大体一律の俸給表といいますか、これで処遇をするということで、そういう内容から見ると、仕事が変われども同じ評価しか受けてない。ですから、別に国家公務員の職場が非常に高度で神聖で、民間の方が劣っているかというようなことを考えていきますと、ほとんどの場合は全く差がないのではないかというような感じもするわけです。
それと、毎年の人事院勧告というのは、民間のある規模の会社の平均賃上げ率というものを見ながら出されているということでありますから、あくまでも民間をベースにしてやられているということになるわけで、国家公務員だからという処遇をしているわけではないわけですね。国家公務員だからという処遇をするならば、何も民間のことを調査しなくて仕事の中身で決めていけばいいわけですから、そういう意味からいきますと、では毎年毎年決めておられます賃金につきまして、俸給表の改定につきましてはまさに民間ベースの基礎に立ったものではないかということになるわけです。
片方、退職金は、例えば民間の場合には、昭和四十八年、九年というのは昇給率が三十何%という率で上がりました。このときには、みんなが退職金まで負担すると企業がもたないということで、退職金へ繰り入れする分を減らしたのですね。それが通例になりまして、上昇率の高いときはどんどんと基本給じゃなくて特別手当の方に入れてきた、こういうことがあるわけです。ところが、公務員の方はみんな基礎賃金といいますか、基本給に繰り入れをするということになっておりまして、これが退職金の官民格差ができてきた一つの大きな原因なのです。それまではそんなに差がなかった。その前は、逆に言えば公務員の方が低かったということはよく御存じだと思いますけれども、そういう状態でございました。だから、時代が変わってきたにもかかわらず同じ態勢を続けておられるわけです。そして退職金のかさ上げ分をこの間減らしましたけれども、まだ本給繰り入れ分というのは依然として続いているわけですね。
こういうことを考えていきますと、まさに民間準拠でありながら公務員独特のいいとこ取りをしているというような感じがするわけです。これがまず一つ大きな官民格差ではないか。確かに国家公務員というのは非常に大変な仕事をされておりますから、それなりの処遇はしなければいけないと思いますけれども、それはだれでもがそうだということではなくて、やはり仕事の中身によってもっと大きな格差をつけるとか、あるいはやる人とやらない人の差をつけるとか、こういうことを考えていくべきであって、少なくとも平均点で見た場合には同じ制度に乗ったものでなければいけない、こういうふうに思うわけです。
〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
やはり民間の、特に厚生年金に入っておられる方々に六十五歳の話を聞きますと、私なんかでそうなんですけれども、今から六十五歳というと二十六年あるわけです。まだ二十六年間先の話ですね。二十六年も先、生きているかどうかわからないという心配もあります。これから二十六年間生きなければいけませんね。それで六十歳まで払わなければいけない。こういうことになりますから、あと二十年一生懸命払って、本当にそのころに厚生年金の制度があるのかなという心配もあるわけですね。
大体我々の年代の皆さんに聞きますと、まだ年金に対する意識というのはないわけですね。五十過ぎるとだんだん身近に感じるようになりまして、自分たちの制度をもっとよくしろとかいろいろな話が出てくるのですけれども、今は、ただ負担をしているのだという意識しかないわけです。そういう面から考えますと、やはり納得のいくような制度にしていかなければいけない、こういうふうに思いますので、いろいろな指摘をされております官民格差、これは厚生省に聞きましたか。――まだですね、官民格差について。では、まず厚生省の御意見を聞いて、それからもう一回どういうふうにされるか、それを聞きたいと思います。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/161
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162・山口剛彦
○山口説明員 年金制度、社会連帯を基礎にする制度ですから、私どもも公平ということは大変大事だと思っているわけです。
それで、御指摘をいただいておりますように、現在の制度の中で官民の格差があることは事実でございますし、また大蔵省の方から御説明がございましたように、それぞれ理由等もございますけれども、御指摘いただいておりますように、年金制度に対する国民の皆さんから見て一つの不信感、そういう国民の皆さんから官民格差があるということで、年金制度に対する一つの不信感のあらわれがそんなところにあらわれているというふうに私どもも見ておるわけです。
私どもの基本的な考え方としましては、やはり不合理な格差というものはどうしても是正をしていかなければならない。そのためにどうしたらいいかということですけれども、私どもは、年金制度に共通する基礎年金というものをつくりまして、共通の土俵の中に各制度入っていただいて、その中で共通のルールでいろいろな調整をしていけば、現状の不合理と言われるものについての調整も非常にしやすくなるのではないかということで、基礎年金構想をぜひ実現をしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/162
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163・玉置一弥
○玉置(一)委員 官民格差について今まで全然認めておられないのですけれども、制度上の違いでこういう差があるというのはわかりますね。ですから、ちょっと時間もありませんので、それを念頭に置いていただいて、これからの統合に向かっての動きの中でぜひお考えをいただきたいと思います。
そこで、今ちょっと話が出ておりましたけれども、基礎年金の導入がことしからいよいよ法案として出される。厚生年金、国民年金、船員保険、この三つをまずとりあえず制度的に統合していこう、そういう話でございます。一方、閣議決定の方では、昭和六十年四月をめどに、共済制度についてもすり合わせといいますか、近づけるようにというような閣議がございまして、今回の一人一年金ですか、この制度でいろいろな新しいことが入ってくるわけですけれども、ただ、今までの中で、まさに国民皆年金にならない部分が一時期あるのではないかというような心配をするわけですね。これは国民年金で、妻の年金権というような言葉がありますけれども、一人一年金ですから、今任意だと入っておられない方も大分おられるわけです。それが移行時期ですからそのまま継続されるということになって、どうも漏れるのではないかというような心配もありまして、この辺をぜひ考えていかなければいけないのではないかというふうに思います。
その前に、今回の年金制度でとりあえず三つの年金制度が統合される。片方では共済制度が六十年四月をめどに検討されるということでございまして、将来としてはまさに母体を大きくした一本化が一番いいと思いますけれども、一つの過程として、共済としてどういうふうな方向を目指しておられるのか、その辺についてまず大蔵大臣の方にちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/163
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164・保田博
○保田政府委員 政府としましては、二月二十四日に閣議決定をいたしました「公的年金制度の改革について」において決められた方向に従って年金制度の大改革を進めるわけでありまして、その年次的な目途は、昭和七十年に公的年金制度全体の一元化を完了させるということでございます。その際に、もちろん現在分立しております七つの年金制度を一遍に一元化してしまうということも、理屈からいうと考えられないわけではございませんが、現実問題としてはいろいろ利害も錯綜いたします。それぞれの制度は沿革的にも非常に差があるというようなことでありますから、やはり以たもの同士がグループをつくっていって、それらでそれぞれの小さい一元化を行っていく、そして最後に昭和七十年の一元化に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。したがいまして、先ほどの閣議決定でも、当面五十九年においては国年、厚年、船保の各年金制度について共通の基礎年金を支給するとか、あるいは将来を見通しての給付水準の適正化を図るといったような観点からの大改革を、今度御提出しました法案で織り込んでおるわけであります。
この厚生年金、国民年金等の三つで全国民の大体九割方をカバーするわけでありまして、年金制度の改革の非常に大きな方向はこの三つの一元化の作業で決まるわけであります。残る大きな制度が共済でございますが、この厚年、国年、船保という親グループの一元化が行われますれば、いわば共済年金というのは子のような存在でもございますので、親の改革の方向を見ながらその趣旨に沿った共済年金制度の改革案を作成する。そういうふうな段階を経まして、最後には昭和七十年を目途とする年金の一元化に向かいたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/164
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165・玉置一弥
○玉置(一)委員 どっちが親か知りませんけれども、大きい方に沿って右へ倣えということだそうですね。それで一つ問題なのは、今回の場合に、国民年金、厚生年金、船員保険、これがいわゆる基礎年金部分と比例報酬部分に分かれてできるということです。今ここで漏れているのは、現行制度でいくと共済の加入者なんですね。そういうことでございまして、このときに共済制度加入者の妻の年金というのはどうなるのかという問題が一つあるわけです。
それで、これは厚生省にまずお伺いしたいのですけれども、共済制度の妻の年金というのは改定の中に入っているのか、入ってないのか、それだけちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/165
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166・山口剛彦
○山口説明員 今回国民年金と厚生年金と船員保険の改革をするわけでございますが、今お話がございましたように、共済年金については来年、この趣旨に沿った改正をするという方針を決めておりますので、今回の私どもの改正案の中は、共済組合の組合員本人と被扶養の配偶者については一応適用除外ということで整理をいたしております。この点については六十年に態度を決めていただくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/166
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167・玉置一弥
○玉置(一)委員 六十年ですから、ことし出される法案と一年ブランクがあるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/167
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168・山口剛彦
○山口説明員 ちょっと申し忘れましたが、私ども今国会に提出をいたしております法案につきましては、大変大きな改正でございますので、二年間の準備がどうしても必要でございます。六十一年の四月から実施をしたいと考えておりますので、共済年金につきましても来年改正をしていただいて、六十一年に実施をいたしますときにはあわせて実施ができるように私どもは希望しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/168
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169・玉置一弥
○玉置(一)委員 いや、そういうことであればいいのですけれども、何となく別々に、片方はまだ全然出てこないし、漏れているのではないかなというような心配がありましたので、ちょっと聞いてみたのです。
それから、何かきょうの附帯決議にもあるようでございますけれども、共済年金の基礎部分ですね、それから報酬比例。厚生年金とか国民年金の場合には一人五万円というのが基礎年金だ。残りが比例部分。これは年数比例ということになっております。報酬比例、年数比例、これが一応形としてあるわけですけれども、共済年金の場合にはどういうふうな形になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/169
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170・保田博
○保田政府委員 御指摘の点もまさに今後の検討課題でございますが、二月二十四日の閣議決定にございますように、我々が今後準備いたします共済年金制度の改革案の基本的な方向は、厚年、国年の改正の趣旨に沿った制度改正ということでありますから、基礎年金制度を軸とした新しい年金制度を構築する、こういうことになるわけでありまして、細かい点はもちろん今後の具体的な検討にまつわけでありますが、基本的には基礎年金五万円を前提として、その上に報酬比例部分ないしは国家公務員制度の一環としての部分を、官民格差論との御批判、そういう角度からの御批判も考えながらどう具体的に組み立てていくか、これについてはまだ今後の検討課題でございますので、詳細にはここで御披露するわけにはまいりませんが、基礎年金の導入という点については、大きな方向としては間違いないことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/170
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171・玉置一弥
○玉置(一)委員 六十年に法案が出されて六十一年から改定だということでありますと、大きく右に倣えということであれば、先ほども官民格差という形で言っておりましたように、いろいろな制度間での違い、これについてもやはりある程度そろえていかなければいけないと思うのですね。それをそろえないで形だけをということであると、まさに最後に統合するときに、先ほどの話に出ておりましたけれども、いわゆる期待権だとか既得権だとか、いろいろなことが重なってきまして、なかなか難しいのではないかというふうに思いますので、その辺をぜひ考えていただきたいと思います。
それから、今回の統合の話の中で、六十五歳に達していない配偶者といいますか、夫婦ともに六十五歳にならないと、いわゆる今標準的な数字として出されております十七万幾らというのがなかなかもらえない。一人五万円が基礎年金だということでございまして、片方が六十五歳に達してなければ一万五千円ということで、三万五千円の減額になるわけですね。どうも経過措置というか、そこまで到達するまでの生活が非常に苦しいのではないかと思われるような金額の大きな落ち方なんですけれども、この辺については厚生省としてどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/171
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172・山口剛彦
○山口説明員 年金の給付水準をどういうふうにしていくかということで大変御議論があったところでございますけれども、婦人の年金問題あるいは一人一年金というような問題との関連もございまして、将来の方向としては個人単位に年金というのを再編成していったらどうかということで、少なくとも基礎年金部分についてはそういう構想で法律案を提案をいたしておるわけでございます。
また、従来夫婦世帯と単身の世帯の給付水準にほとんど差がない、共済年金については全く差がないかと思いますけれども、それは本当に年金制度の給付水準のあり方としては適当だろうかという御議論もございまして、単身と世帯の給付水準についてもこの際分化をしていくべきだという御議論がございまして、私どももそういう方向で将来の給付水準のあり方を考えるべきだという考え方でございます。したがいまして、基礎年金は六十五歳から夫婦出ていくことになりますので、厚生年金が支給開始年齢、現在のところまだ六十歳でございますので、六十から六十五歳の間と御夫婦が基礎年金をもらい始める給付水準とに差が出てくることは御指摘のとおりであります。
ただ、現在夫婦単位になっております年金制度を一気に個人単位に変えてしまうということではなくて、二十年程度かけて徐々に変えていこうという配慮もいたしておりますし、また六十から六十五歳、完全な個人単位であれば加給年金という考え方は出てこないわけですけれども、現実を踏まえまして、新しい制度におきましても、六十から六十五の間について、奥様がおられれば、一万五千円ですけれども加給年金をつけるということで配慮しておりますので、改正によってそこのところが急激に水準としてダウンをすることのないような配慮をいたしておりますので、この点は御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/172
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173・玉置一弥
○玉置(一)委員 一月の社会保険審議会の答申書にもいろいろなコメントが載っているわけですけれども、特に単身者の年金の水準、その辺が低いのではないかとか、そういう問題もあるようでございます。まだこれから論議に入るわけですから、ぜひその辺を考えていただくようにお願いしたいと思います。
それから、同じその答申書の中に、国庫負担を今より減らすべきでないというような話があったかと思います。統合の後の将来の基礎年金給付については、国庫負担は三分の一というふうに限定をされているということでございまして、どうも今より国庫負担がかなり減るような感じがしてならないわけでございますが、国庫負担としてどういうふうに変わるのか、これについて、もしわかればお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/173
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174・山口剛彦
○山口説明員 今度の制度改正でできるだけ公平な制度にしていく、また各制度の差をできるだけなくしていくということで、国庫負担につきましても、今度基礎年金という、いわば共通の一階部分ができるわけでございますので、国庫負担につきましても、その基礎年金に集中をすることによって一元化をするという考え方でございます。
従来は、例えば厚生年金で申し上げますと、賃金が高くて年金の水準も高い方について、国庫負担も原則二割ということでつけておりますので、より多くの国庫負担がいくというような不合理もございましたし、また制度間で国庫負担率に違いがあるというような差もあったわけでございますけれども、基礎年金に集中をすることによってそういった不合理をなくしていこう、国庫負担の面でもなくしていこうという考え方でございます。
これでその国庫負担が下がるのかということでございますけれども、今度の改正で、将来の給付水準につきましては、このままでは給付と負担のバランスがとれないということで全体を圧縮をしてまいりますので、従来それの何%ということでついておりました国庫負担が、そういう面では抑制をされる、従来予想された国庫負担が抑制をされるということは事実でございます。
ただ、考え方としましては、国民年金は従来とも三分の一の国庫負担でございますが、それはほぼそのまま基礎年金に引き継がれますので、この関係ではほぼ変わりがない。それから厚生年金につきましては、いわば従来定額部分と報酬比例部分に原則二〇%、在職老齢年金にはつけておりませんので、実質的には一六%程度の国庫負担になっております。この部分をいわば一階の部分に集中をするということになりますが、定額部分と報酬比例部分の、新しい制度で言えば一階の部分と二階の部分の比率がほぼ半々というのが平均的な姿でございますので、一六%下に集中をするということで、ほぼ三分の一ぐらいの比率になろうかと思います。そういう意味で、国庫負担を切りかえることに伴って関庫負担が下がるというようなことがないように配慮するということは私どもも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/174
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175・玉置一弥
○玉置(一)委員 いろいろ聞きたいことがいっぱいあるのです。年金積立金の資金運用についてというので本当は聞きたいのですけれども、ちょっと時間がありませんのでやめまして、実はこれは三月二十八日の新聞でございますけれども、その中で厚生年金基金の問題が出ておりました。
この話の中で、特に「厚生年金基金制度を採用する場合、現在一つの企業では従業員千人以上、同種同業の中小企業が集まって一つの基金を設立する時は五千人以上の従業員を必要とする。このため中小企業では厚生年金基金を採用しにくい状況にある」、こういうふうな実態が述べられておりまして、厚生省の渡辺課長さんという方が答弁の中で、「同種同業でなくても、たとえば地域単位で企業が集まって一つの基金を作ることができないか、検討してみたい」というようなことを言っておられる。
これはまた非常に重要なことでございまして、今回厚生年金の場合も五人未満の事業所に拡大をしていこうというような動きもございますし、また、この上積み分としての厚生年金基金の制度をやはり拡大していくということを考えていきますと、同一業種ではなくてやはり同一地域という面に目を向けていかなければ、この拡大、充実ができないのではないか、そういうふうに思います。この記事を見て私もいろいろ言いたいことはあるわけですけれども、一応今申し上げました内容について、これは大蔵は関係ないですね、厚生省でどういうふうにお考えになっているのか、お答えいただいて質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/175
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176・渡辺修
○渡辺説明員 お答え申し上げます。
まず、厚生年金基金の設立につきまして少し現状、現行の仕組みを申し上げたいと思いますが、一つは、大企業を母体にいたしまして基金の設立を行う、こういう形がございますが、それに合わせまして、従来から中小の同種同業の企業が集まって設立する、私ども俗に総合設立と呼んでおりますけれども、そういう方式も認めているわけでございまして、中小企業に対しましても基金設立の道を開いているわけでございます。しかしながら、この厚生年金基金制度は極めて長期にわたって安定して存続することが求められる制度でございますので、たくさんの中小企業の事業所が集まって設立をいたします総合基金につきましては、個々の設立事業所の加入、脱退が大変激しいというような実態もございますので、基金の円滑かつ安定した運営を確保するという観点から、幾つかの設立要件を設けているわけでございます。
第一は、同種同業であるということでございます。第二は、その業種につきまして協同組合その他の連合体、連合組織というものがございまして、これがかなり強い指導力、統制力を持っているということでございます。それから第三に、将来ともこういったたくさんの中小企業が集まって基金を設立した場合に、安定かつ健全な運営が行われるかどうか、その見通しが立つ、こういったことを要件としているわけでざいます。
それで、御指摘の、業種の異なる企業が集まって基金を設立する場合にどう取り扱うか。なかなか難しい問題でございますが、私どもとしてはいろいろ検討すべき問題があるんじゃないか。例えば、その構成企業が長期にわたって基金を運営していくのに必要な強い連帯意識というものを持っている実態にあるか、あるいは各企業に共通する給付設計が可能だろうか、あるいは既存の基金との間に業種の競合が生じた場合どう調整するか、こういったような問題がございますので、その同じ地域にある企業が集まって基金をつくるという場合について、いろいろとこれから検討をしていかなければいけないんではないか。ただ、昨年七月の社会保険審議会の厚生年金保険部会の意見書におきましても、今後厚生年金基金の普及、育成を図るという見地から、設立条件の整備も図っていくようにという御指摘がございますので、私どもとしましても、先生ただいまお尋ねの点を含めまして、厚生年金基金の設立条件のあり方について十分検討を進めていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/176
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177・玉置一弥
○玉置(一)委員 ぜひ地域の中小企業のためにお願いしたいと思います。
それから、さっきちょっと言うのを忘れておりましたけれども、国民年金が今度変わりますと基礎年金だけになってしまうということで、報酬比例がないような感じがしますので、それについてもぜひお考えをいただきますように申し添えまして質問を終わります。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/177
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178・中西啓介
○中西(啓)委員長代理 箕輪幸代君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/178
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179・簑輪幸代
○簑輪委員 今回外国旅費の改定が行われるわけですけれども、内国旅費の改定が見送られております。内国旅費について一五%から一七%程度の格差が生じているというふうに伺っておりますけれども、実費弁償という建前からいっても、それなりの改定が必要ではないかというふうに考えます。
その必要性の問題と、それから今後改定に当たって一体どの程度の格差が生じた場合に改定をしなければならないというふうにお考えなのか、その基本的な実費弁償という趣旨から見てのお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/179
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180・的場順三
○的場政府委員 今回の旅費の改定では、内国旅費は御指摘のとおり改定を見送らしていただいております。旅費は、一つの面では公務の適正かつ円滑な執行に資するために必要な経費でございますのと同時に、他面、国費の支出でございまして、こういう厳しい財政事情でございますから、できるだけ公務員自身が節減合理化をするという観点、両方が必要でございます。
御質問は二つかと思いますが、今回見送りました一つの大きな理由は、確かに窮屈になっているのは御指摘のとおりでございますが、外国旅費のように、五十作以降八年間も改定をしていないということではなくて、五十四年に一度改定をしている。それから、この一両年は特に物価が安定をしているということが一つございます。それから、これもなかなか調べるのは難しゅうございますが、民間の旅費の実態を調べてみましても、そう大きな乖離があるわけではないということがもう一つございます。それから、全国に共済等のかなり格安で泊まれる宿泊施設もあるというふうな実態がございます。と同時に、他面、まことに厳しい財政事情でございまして、全体としてマイナス一〇%、マイナス五%のシーリングで、それぞれの補助金につきましても極力節減合理化をしていただくということをお願いしているわけでございますから、公務員のそういう経費の面につきましても、窮屈になっているという実態は御指摘のとおりでございますが、今回は見送りたいというふうに考えて改定をしなかったのでございます。
しからば、具体的にどういう状態になったら改定するのか、その基準はあるか、こういうお尋ねが第二点かと思いますが、これもなかなか難しい御質問でございまして、公務の適正かつ円滑な執行ができなくなるような状態になりますれば、これは実費弁償でございますから、当然改定する必要があると思います。いずれにしても全体の経済情勢なり物価情勢、それに財政全般の状況を見て、毎年度の予算編成において一応見直しながら、そういう時期が到来したと判断できる時期に改定をさしていただくことになろうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/180
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181・簑輪幸代
○簑輪委員 旅費とか宿泊費、日当その他、これは別に財政事情に余裕があったらたっぷり使っていいという性質のものでもないと思うのですね。厳しい財政事情の折からこれを見送るというのはちょっと筋が違うのではないか。幾ら財政事情がゆとりがあろうとも、実費弁償であるということならば、それできちっと対処されるべきであって、幾ら厳しい財政事情であろうとも、必要があれば出さざるを得ないという性質のものであるというふうに考えます。そこで、いろいろ他の事情は十分理解できますけれども、こういう物の考え方で、厳しい財政事情だからこれは見送るというのは筋違いではないかというふうに指摘をしておきたいと思います。
国税職員の配転問題について、少々お伺いしたいというふうに思います。
昨年正森議員の方からも個別問題が取り上げられましたけれども、そこで問題になっております点で、単身赴任ということが既に指摘をされておるわけでございます。国税職員の中でかなりの程度この単身赴任を余儀なくされ、いろいろ悩み、また改善を求めているという動きがあるわけですけれども、実情についてまずお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/181
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182・岸田俊輔
○岸田政府委員 お答えいたします。
国税庁職員の単身赴任の実情でございますけれども、五十八年七月の定期異動が終わった時点で見てまいりますと、単身赴任者は全国で二千百七十四名でございます。これはすべて男子職員でございまして、男子職員全体の四万四千名のうち四・九%程度ということになろうかと思います。この単身赴任者のうちで期間が三年未満の者が大体八割でございます。三年以上になりますのが約二割という状況でございます。ちなみに二年未満をとってまいりますと、大体六割が二年未満で、四割が二年超という状況でございます。
なお、この単身赴任者をいわゆる統括官以上の管理職と一般職に分けて見てまいりますと、全体では八割が管理職で二割が一般職員という状況でございます。さらに三年以上の者に限って見てまいりますと、一般職員の占めております割合はそのうちの一割でございまして、実員にいたしまして六十名程度ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/182
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183・簑輪幸代
○簑輪委員 役職についておられまして、それで異動するたびごとに出世が伴うというような場合はともかくといたしまして、一般職員の場合は、単身赴任ということは決して望んで行くというものでもないわけですし、大変問題が多いと思うのです。
それで、いろいろな点でこの単身赴任という問題が組合でも問題になりまして、例えば昨年の十月に国税庁の方に要求書を全国税の方から出しておるわけで、特に「遠距離、単身赴任の配転は行わないこと。」を求めております。「一時間半をこえる通勤の配転は行わないこと。」あるいは「病弱者、高齢職員および二年以上の単身赴任は即時解消すること。」「単身赴任者は土曜日・月曜日の午前中の勤務を免除し、月一回の帰宅旅費を支給すること。」等の要望が出されているわけです。これまでも、この単身赴任については、やむを得ない場合につきましてもできるだけ短い期間で済ませてほしい、あるいはまた特殊事情が生じた場合にはそれを適切に配慮し、直ちにその改善をとってほしいという要望が行われてきたところだと思います。
それで、この単身赴任の問題については、何だかいつ自分がどうなるのかさっぱりわからない、ある日突然そういう運命にほうり出されるということでは、本人も家族も大変な事情もあるわけでございますので、例えばやむを得ず単身赴任の地に配転をせざるを得ないというような場合は、一定の何らかのガイドラインというようなものを設けて、だれが見ても、それならばもうやむを得ないという、納得できるような基準をつくる必要があるのではないかと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/183
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184・岸田俊輔
○岸田政府委員 転勤の問題で、原則論から申しますれば公務の要請ということになるかと思いますけれども、実情におきまして、職員の健康とか家庭事情というものを十分把握をいたしまして、なるべく働きやすい職場ということにしたいと考えているわけでございます。
ただ、私どもの職場は、全国五百の税務署がございまして、住居地と勤務地というのがやはり非常に離れている場合もございますので、なかなかそれを解決するというのは難しいのではなかろうかなということで、できるだけの努力はいたしてまいりますけれども、これを完全解消というようなことにはなかなかいかないんじゃなかろうか。また、先生御指摘の、例えば一つの基準、二年とかいうようなことができ得ればいいわけでございますけれども、なかなか実情から申しまして、二年の目安というのが一つの目安になるかとは思いますけれども、それぞれの国税局の実情とか個々の個人の実情というようなものを勘案いたしますと、なかなかその実現も難しいのかなと思います。いずれにいたしましても、できるだけ単身赴任の者が少なくなるような努力はいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/184
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185・簑輪幸代
○簑輪委員 期間の問題について、少なくとも二年を目安ということはこれまでにもいろいろと要求もし、また国税庁長官もそういうような答弁をされているということも聞いております。もちろん、さまざまな局の事情によって、そのとおりがんじがらめにいかない場合もあろうかと思いますけれども、少なくともこれを基準とするというようなものをつくらないことには、はみ出してもそれについて何の問題もないということで通り抜けられては困るわけなんです。ですから、二年程度を目安として、単身赴任については、少なくともこれ以上の場合は最優先で配転を、希望にかなうようにするというような一定の基準をどうしてもつくっていただきたいと思うのですけれども、それはどうしても無理なものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/185
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186・岸田俊輔
○岸田政府委員 先ほど申し上げましたように、単身赴任の問題自体はできるだけ解決したいとは思っておりますけれども、これは一つ個々人の事情もございますし、また国税局の地理的条件、いろいろな条件が入ってまいりますので、二年というのが一つの目安かとは思いますけれども、それで画一的に運用をするというわけにはなかなかいかないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/186
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187・簑輪幸代
○簑輪委員 なかなかそういう点で明快に、二年を基準として運用をしていくというふうにはおっしゃりにくいようでございますけれども、個別に本人あるいは家族等の問題も抱えて大変悩んでいる職員の方もいらっしゃいますので、それはぜひ優先的に解決をしてほしいというふうにお願いしたいと思います。
単身赴任の問題は国税職員だけの問題ではありませんで、公務員全体あるいは勤労者全体にかかわってくる問題でございます。そういう中で、公務員の単身赴任の問題ということで人事院にちょっとお尋ねしたいと思います。
単身赴任問題については、先ほど来、単身赴任についての税制面での考慮を求めるというふうなお話もありましたし、また、単身赴任手当というものの創設などについても議論されているようにも伺っております。しかし、単身赴任がもたらす問題を解決するということで考えてみた場合には、果たしてそういうことでよいのかどうか。実際にはどのような状況にあり、何が求められているのかということが正確に把握されていないと私は思うのです。
労働省では、勤労者家庭の妻の意識に関するアンケート調査というのを行いまして、その中で夫の単身赴任について取り上げられております。しかし、これは妻の意識という観点で取り上げられておりまして、そういうふうな観点にとどまらず、客観的に、この単身赴任というのがどのような実態にあるのか、問題点を探り、当事者の要求も正しくつかんで初めて適切に対処ができるだろうと思います。
そこで、人事院としてぜひさしあたり公務員の単身赴任の実情、それから当事者の要求等実態調査を行う必要があると思いますけれども、人事院の対応をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/187
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188・藤野典三
○藤野説明員 お答え申し上げます。
単身赴任問題につきましては社会的にいろいろと問題が提起されておるところでございまして、国家公務員につきましても比較的転勤が多いということでございますから、今後その検討の必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。しかし、先生御指摘のように、現在我々として御要求を承っておりますのはいわゆる別居手当、単身赴任手当等の要求でございまして、この問題については、単に給与上の措置ということだけで解決できる問題であるかどうかということについてもいろいろ問題がございまして、種々の角度から検討する必要があるんじゃないかというふうに考えております。そういう意味で、現在国家公務員の単身赴任の実態につきましては、全般的な把握といたしましては把握しておりませんけれども、今後必要に応じまして、その実態を調査するなどいたしまして検討いたしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/188
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189・簑輪幸代
○簑輪委員 手当の問題だけではなくて、総合的な対策ということから考えましても、教育の問題あるいは手当やら税制面やら、総合的な対策の求められるのがこの単身赴任ということの提起する問題だと思います。今人事院の方で、今後調査の用意があるということでございますので、できるだけ早くこの実態を把握して、政府として適切な対処がされる必要があるというふうに思います。
大臣にお伺いしたいのですけれども、今まで税制の問題が論議されましたけれども、私は、税制面も含めて、それからもちろん手当の問題も含めて、そのほか教育面も含めて、政府としてこの問題について総合的に対応する必要があるというふうに考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/189
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190・竹下登
○竹下国務大臣 税制の面についての御質問を受けた際、中曽根総理が参議院の予算の総括締めくくりのときに、今おっしゃったように、単身赴任問題というのは社会的問題となっておるので、総合的にこれは検討をすべきだという御発言がありました。私自身も、それは率直に言ってそのように考えております。確かに税制面からだけとって考えますと、やはり雇用問題の中で関連づけをすべきだということにも一理があると私は思うのであります。しかも、これは公務員ということになりますと、我が方では税務署五百という大きな出先を持っておりますだけに、一番切実な問題であろうと思いますし、適材適所に配置する意味においては、そういう個別事情と同調はするがということで、絶えず国税庁当局は苦心をしていらっしゃる。と同時にまた、人事院でもこれらの問題について、これから勉強もしていただけるということになると、私どももまさにそういう実態を踏まえながら総合的に、社会的問題としてこれに対応することを考えるべきだというふうに、私自身も事実認識は等しくしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/190
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191・簑輪幸代
○簑輪委員 ぜひ早急に実態を把握し、対策を立てていただくということをお願いしておきたいと思います。
それで、共済の問題に入りますけれども、五十七年度の人事院勧告凍結という違法な行為とあわせて、五十八年度も人勧は六・四七%と言われましたのに、これをまるっきり無視して、公務員給与の引き上げ率は二・〇三%にとどめられました。政府は、これに準じて年金額の改定も、今回平均二%ということにとどめておりますけれども、これでは二年間の物価上昇率約四・四%にも到底追いつかず、財政赤字のツケを国民生活に転嫁する、こういうやり方は納得できるものではありません。
あわせて、昨年の第百国会において、私どもの党が厳しく指摘してまいりましたように、国鉄及び国鉄共済の危機というのは、自民党政府による国策として、軍事体制下の国鉄職員構成上のゆがみ、それから満鉄の引揚者や戦時中の応召による外地鉄道機関や軍事機関等の恩給分など含めて累積額二兆三千億円にも上る巨額の負担を、国の責任であるにもかかわらず全部国鉄にかぶせていくというところに問題があるということを指摘いたしました。政府のこのような重大な責任をすべて棚上げにして、国鉄労働者、公企体、公務員にすべてその負担を転嫁して、今回国鉄共済に係る年金額の引き上げ停止という措置がとられますことは、社会保障というあり方から見ても到底納得できるものではありません。このことをまず冒頭に申し上げておきたいというふうに思います。
関連して、年金の支給開始年齢を六十歳に引き上げるという問題についてですけれども、実は深夜勤を含んでいる三交代勤務で働く看護婦さんたちから、六十歳まで働くということは到底体がもたない実情にある。今でも仲間の早死にというのが相当問題になっているということが私どもの方に強く訴えられております。年金の支給開始年齢を機械的に六十歳に引き上げるということは、労働の実態がさまざまであるところから見ても非常に大きな問題があるというふうに考えます。職種によって労働の密度、強度が大きく異なっていることから見ても、一律に六十歳引き上げということは不適当であるというふうに思います。看護婦さんたちの年金受給平均年数、つまり実際に年金がもらえるようになってから死ぬまでというのが一体どれくらいなものなのか、おわかりならばお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/191
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192・保田博
○保田政府委員 共済年金の支給開始年齢につきましては、五十五年七月から二十年かけまして昭和七十五年、一番経過期間の長い人で昭和七十五年までに六十歳に引き上げるということでございます。したがって、先生御指摘のように、深夜勤三交代といったようなことで六十歳まで働けない人はかわいそうじゃないかという御指摘、非常によくわかりますし、心情的には何とかという気はするのですけれども、そういうことをやるとしますと、その負担をだれが負担するのかという問題が当然出てまいりますし、民間の被用者の場合についてもそういう制度が実はないわけでして、厚生年金につきましては今回御提案しております改正法案で、女子についての支給開始年齢も現行の五十五歳から六十歳に引き上げるというような状況でございまして、先生のお気持ちはよくわかるわけですけれども、片や民間の年金とのバランスを考えますと、官民格差論という観点からの御批判もございますし、実際問題としてはなかなか難しいのではないかというふうに考えておるわけであります。
それから、二番目の御質問で、そういう三交代勤務の看護婦の皆さん等が死ぬるまでに何年間年金をもらっておられるかという御質問ですけれども、残念ながらそういう資料が実は手元にございませんで、お答えすることができないので、お許しをいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/192
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193・簑輪幸代
○簑輪委員 わからないというところに問題があると思うのですね。つまり、看護婦さんが現場でおっしゃっているのは、実際にもらえる年齢になって、本当にもらえると楽しみにしていたところが、それからがあっという間に亡くなってしまうというのが仲間の実感である、それだったらば、掛金をどんどん掛けておいて実際もらわないという実態はどういうことなんだ、これくらい納得できないことはない。
そして、今、労働の実態が大変過酷である中で、私が申し上げたことはよくわかるとおっしゃったわけですね。わかる以上は、それにふさわしいだけの手だてをとっていただかなければならないと思います。民間とのバランスということをおっしゃいましたけれども、民間だって同じなんですね。だから、間違っているなら、民間の方もそのような労働実態に応じて改善していくという方向こそ考えられるべきであって、民間の方がそうだから公務員の方も同じようにやっていきます、労働の密度等については一切関係なく、全部六十歳にするということはやはりおかしな問題であって、実際に調査をやってみれば、本当に消耗してしまって年金がちゃんともらえないような事態、そういうことがあらわれてくるはずだと思いますし、ぜひその辺で今後調査をやっていただきたい。そしてその調査結果を踏まえて、どうするかということを改善をしていただきたいというふうに思うのです。
大臣も今お聞きになっていて御理解いただけたと思いますけれども、同じ公務員といいましても、現場で本当に身を粉にして深夜勤で働くこの婦人の訴えというのは、きっと御理解いただけると思うのですね。そういうことから考えましても、実態調査を踏まえて改善をする、それにふさわしい対策をとるというふうに検討いただきたいと思いますけれども、大臣の御意見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/193
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194・保田博
○保田政府委員 掛金を長いこと掛けてきて、さあそろそろもらおうと思ったときに年金をもらえない、支給年齢が引き上げられているというのはかわいそうではないかという御指摘がございましたが、まさにそういうことのために、五年間の支給開始年齢の引き上げというのを二十年かかってやるわけであります。二十年かかってやること自体については先ほど来、また官民格差ということで御批判もいただいておるようなことでございまして、個々の事情さまざまだとは思いますけれども、統一的な制度としてはこの辺がやむを得ないところではないか、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/194
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195・簑輪幸代
○簑輪委員 申し上げていることは、実際もらえるようになってから亡くなってしまうまでが非常に短い、そこのところを実際に調査をしてほしいということなんです。だから、再三申し上げてもなかなかわかりにくいかもしれませんけれども、労働実態に合わせて支給開始年齢というものは変更があってもよろしいのではないかということを申し上げているのですけれども、大臣の御感想だけちょっと簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/195
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196・竹下登
○竹下国務大臣 確かに本院の予算委員会で議論された炭鉱労務者の方、坑内労働ですか、あれにそういう特殊なあれがございましたね。国会議員の場合もかなり、恐らく掛けてからお亡くなりになるまで支給期間が最近短いかもしれません。実態が私もよくわかりませんので、おっしゃる意味自身が、国語としてわからないわけではございませんので、私も勉強させてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/196
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197・簑輪幸代
○簑輪委員 ぜひよく実態を調べて、それで対策を立てていただきたいというふうに思います。
時間がございませんので、共済に関連してこの際ちょっとお聞きしたいことを申し上げたいと思います。
実は、健康保険に加入し、同時に労災保険特別加入制度に加入しながら、両方の法律の適用に当たって、結局のところいずれの保険の適用も受けられないという矛盾が具体的に起きているケースがございます。
これは、昭和五十五年十月十日、岐阜市でガソリンスタンドを経営する大平晃さんという方が、自宅と棟続きにある事務所と自宅の境の雨漏れの防水工事を業者に依頼してあったために、着工前に屋根の上に放置してある不用品等の片づけ、それからさびどめの塗料を塗っておこうと思って、はしごをかけて登る途中、二・五メートルのところから転落し、負傷したというケースです。
入院当初、家族が健康保険証を持ってきましたので、健康保険で受診し、加療しておりましたけれども、大平さん自身が、これは業務上の事故ではないかと考えて、五十五年十月二十日ごろに、これは仕事中の負傷であるということで、初診日から労災扱いにしてもらうべきだと、岐阜労働基準監督署長に申請をいたしました。ところが、この監督署長は、結果として、業務遂行性が認められないとして不支給の処分を行ったわけです。これは「特別加入者の業務上外の認定について」という通達によると、「労働者の所定時間外における特別加入者の業務行為については、当該事業場の労働者が時間外労働を行っている時間の範囲において業務遂行性を認めるものである」との規定によって、結局、支給できないというふうに言って、五十六年二月十九日に連絡があったわけです。
大平さんは、これは納得できないということで、岐阜労働者災害補償保険審査官に審査請求を行いました。しかし、結果は、五十六年九月八日、処分は妥当である、審査請求棄却という決定をもらってしまったわけです。他方、健康保険の方は、岐阜県知事が五十六年八月十日付で健康保険法第一条一項に規定する「業務外ノ事由」によるとは認められないという理由で不支給の処分をしたわけです。大平さんは、この健康保険に関する処分も納得できないということで、岐阜県社会保険審査官に審査請求を行いましたけれども、結果は、「業務に起因して受傷したものである」ということで、五十六年十一月二十日、不支給処分は妥当であるという決定となりました。さらに社会保険審査官に五十六年十二月十七日再審査請求を行って、五十七年五月十三日受理、現在なお審査中という状況でございます。
不慮の事故に備えて日ごろから高い保険料を払い、大平さんの場合は健康保険と労災保険という二つの保険に加入しながら、結局、事故に遭ったときにはいずれの保険も適用されずということでは、何のために保険を掛けているのかさっぱりわからない。こんな納得のできないことはないということで大変憤りを持っておられます。私もこのケースを研究いたしまして、こんなばかなことはないというふうに思うわけです。
特に、特別加入制度による独立自営業者への適用は、労働災害の使用者責任原則に基づく労災補償の適用ではなくて、むしろ自営業者の労働の性格、労働災害にさらされていることによる生活危険に対する保障という見地からの労災保険技術の援用という点を考えますと、生活保障的性格の極めて強いものである、特別加入制度とはこういうものであるというふうに思います。
〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
また、ILOの六十七号の勧告の定義から考えましても、とにかくこういう結果となることは到底納得できません。両方のはざまにあって解決されないというようなことのないように、ぜひ手だてをとっていただく必要があるというふうに思います。労働省の方としては、具体的な特別加入制度の運用に当たっては、労働省労働基準局長名の通達というのを出しておられるわけですけれども、この通達をぜひ見直すなり、適切な対応をすべきであるというふうに考えます。「労働者の行う業務に準じた業務の範囲」というものの判断に当たって、準備行為とか後始未行為の解釈というのが行われるわけですけれども、ここで例えば接続して行われるという限定を取り除くなど具体的対応をしないと、この問題は少しも解決できないというふうに思うのです。労働省の対応をまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/197
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198・佐藤正人
○佐藤説明員 お答え申し上げたいと思います。
労災保険は、先生も御承知のとおり、本来雇用労働者を対象とした災害補償であるわけでございます。しかしながら、災害の発生状況とかあるいは作業の実態等からしまして、雇用労働者と同一の条件で補償すべきではないかということもございまして、現行の労災保険の中で特別加入制度という形で補償しておるわけでございます。今回のこの事案につきましては、現行の制度からいきますと業務上の範囲には入らないというようなことで不支給にしたわけでございます。
しかしながら、こういう谷間にあるというようなことを考慮いたしますと、私どもといたしましては、現在労災保険審議会の中に設けてあります労災保険基本問題懇談会という懇談会の場がございますけれども、そこでこのような先生の御指摘の問題も含めまして、特別加入制度のあり方につきまして制度全般にわたって検討を行っておるというような状況でございます。したがいまして、その検討結果を見守りながら、私ども今後対応してまいりたい、このように考えております。何分にも先生の御指摘の当該事案のようなケースにつきましては、この労災保険の給付の対象にするかどうかということにつきましては、なかなか保険技術上困難な面もございますけれども、何とかこの検討の場で議論をしていただいて、その結果を踏まえて対応したい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/198
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199・簑輪幸代
○簑輪委員 ぜひ通達の見直し等具体的に救済されるように早急に検討をお願いし、解決していただきたいというふうに思います。
同時に、厚生省にもちょっと御見解を伺いたいのですけれども、厚生省としてこの問題を、社会保険庁ですか、どのように受けとめ、どう解決されるおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/199
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200・奥村明雄
○奥村説明員 お答えをいたします。
健康保険法は、事業主と被保険者の負担により制度を運営しておるわけでございますが、これは事業主の責任によって費用の補償を受けられる場合以外の、業務外の事故について保険をするということでこういう制度になっておるわけでございます。労災保険の場合、若干範囲が狭いようでございますが、今回の事例のように業務の遂行中でございまして、かつまた業務の遂行との因果関係があるという場合は、事業主の負担により担保されるということになりますわけでございますので、健康保険法でカバーする、そういうことは難しいのではないかというふうに考えております。
先生御指摘の制度問題につきましては、私どもとしては健康保険の体系でカバーするのはなかなか難しいというふうに考えておりますが、今後労働省ともよく協議してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/200
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201・簑輪幸代
○簑輪委員 労働者の場合には昭和三十年六月九日付「業務上外の認定に関する連絡調整について」ということで、労働省労働基準局長と厚生省保険局長の連名通知がありまして、労災でも健保でも救われないということのないように取り計らえということにされております。ところが、特別加入の場合にはこうした通知もなくて、大平さんのようなケースが生まれてくるわけですし、こうしたケースを放置しておくことは極めて不当であるだけでなく、保険制度に対する信頼も根本から損なうものであるというふうに考えます。
そこで、これらの現状を踏まえて最後に、法制局来ておられますでしょうか。――法制局として、このケースを含めて法解釈上やむを得ないものなのか、あるいは何らかの対応が可能なものなのか、法制局の御見解を伺って終わりにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/201
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202・前田正道
○前田(正)政府委員 お尋ねの具体のケースということではございませんで、ただいまの労働、厚生両省の御説明を一般論に引き直して申し上げます。
ただいま労働、厚生両省から御説明がございましたように、特別加入者が事業主としての業務に起因して負傷し、または疾病にかかりました場合に、その受けました災害が事業主として行った業務に起因するものであるということで、労災、健保のいずれもの給付を受けられない場合があるということは、現行法の仕組みを前提として申し上げますとそのとおりだと存じます。そこで問題は、労災保険制度に特別加入の制度が取り入れられ、現在のような運用がされているにつきましては、それなりの理由があるのだろうと考えます。
それはそれといたしまして、問題は、特別加入者が事業主として行いました事業に起因します災害に対する給付をどのように取り扱うかという、すぐれて政策的な問題であろうかと存じます。その観点からいたしますれば、両省の間で十分検討、協議をしていただくべきものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/202
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203・簑輪幸代
○簑輪委員 今御指摘の問題が政策的な問題ということでございましたけれども、ぜひ今後の対応に当たって、立法論も含めてこういうことが二度と起こらないように強く求めて、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/203
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204・瓦力
○瓦委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/204
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205・瓦力
○瓦委員長 両案に対して、越智伊平君外三名より自由民主党・新自由国民連合提案による修正案がそれぞれ提出されております。
この際、提出者より趣旨の説明を求めます。中村正三郎君。
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国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
昭和四十二年度以後における国家公務員等共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/205
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206・中村正三郎
○中村(正三郎)委員 ただいま議題となりました両修正案につきまして、提出者を代表してその内容を御説明申し上げます。
案文は、お手元に配付してございますので、その朗読は省略させていただきます。
まず、旅費法改正案に対する修正案について申し上げます。
この修正案は、政府原案におきまして、この法律の施行期日を「昭和五十九年四月一日」からに予定いたしておりましたが、御承知のとおり、既に四月一日を経過しておりますので、改正法律の施行日を「公布の日」に改めることといたしたものであります。
次に、共済年金改定法案に対する修正案について申し上げます。
御承知のとおり、本法律案の施行期日は、原案において「昭和五十九年四月一日」と定められておりますが、既にその期日を経過いたしておりますので、修正案は、施行期日を「公布の日」に改めるとともに、これに伴いまして所要の規定の整備を行うものであります。
以上が両法律案に対する修正案の内容であります。何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/206
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207・瓦力
○瓦委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/207
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208・瓦力
○瓦委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、本案に対する修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/208
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209・瓦力
○瓦委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/209
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210・瓦力
○瓦委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
次に、昭和四十二年度以後における国家公務員等共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、本案に対する修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/210
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211・瓦力
○瓦委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/211
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212・瓦力
○瓦委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/212
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213・瓦力
○瓦委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、熊川次男君外三名より自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、提出者から趣旨の説明を求めます。伊藤茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/213
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214・伊藤茂
○伊藤(茂)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。
御承知のとおり、この法律案につきましては、審議の過程でさまざまな議論が展開されました。
この附帯決議案は、これらの議論を踏まえ、政府において特段の配慮を要請しようとするものであります。
なお、個々の事項の趣旨につきましては、案文で尽きておりますので、案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
昭和四十二年度以後における国家公務員等共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法律の施行に当たって、次の事項について一層努力すべきである。
一 昭和五十八年度において退職した公共企業体職員の公共企業体共済組合法に基づく退職年金の額について、今後、共済年金額改定の際に、昭和五十七年度において退職した職員に係る今回の措置と同様の調整措置を講ずること。
二 共済年金への基礎年金制度導入等に当たつては、共済年金制度の沿革、性格をふまえ検討すること。
以上であります。
何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/214
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215・瓦力
○瓦委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
お諮りいたします。
本動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/215
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216・瓦力
○瓦委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/216
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217・竹下登
○竹下国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては、御趣旨を体しまして十分検討いたしたいと存じます。ありがとうございました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/217
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218・瓦力
○瓦委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/218
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219・瓦力
○瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/219
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220・瓦力
○瓦委員長 次回は、来る十三日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十二分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X01319840411/220
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