1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年六月二十九日(金曜日)
午前十時十分開議
出席委員
委員長 瓦 力君
理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君
理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君
理事 伊藤 茂君 理事 野口 幸一君
理事 坂口 力君 理事 米沢 隆君
熊谷 弘君 小泉純一郎君
笹山 登生君 椎名 素夫君
田中 秀征君 中川 昭一君
東 力君 平泉 渉君
平沼 赳夫君 藤井 勝志君
宮下 創平君 村上 茂利君
山岡 謙蔵君 与謝野 馨君
上田 卓三君 川崎 寛治君
沢田 広君 渋沢 利久君
戸田 菊雄君 堀 昌雄君
柴田 弘君 宮地 正介君
矢追 秀彦君 安倍 基雄君
玉置 一弥君 正森 成二君
簑輪 幸代君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 竹下 登君
出席政府委員
大蔵政務次官 堀之内久男君
大蔵大臣官房長 西垣 昭君
大蔵大臣官房日
本専売公社監理
官 小野 博義君
大蔵大臣官房審
議官 大山 綱明君
大蔵省主計局長 吉野 良彦君
大蔵省主計局次
長 平澤 貞昭君
大蔵省主税局長 梅澤 節男君
大蔵省関税局長 矢澤富太郎君
大蔵省理財局長 宮本 保孝君
大蔵省銀行局長 吉田 正輝君
大蔵省国際金融
局長 行天 豊雄君
委員外の出席者
大蔵事務次官 山口 光秀君
文部省体育局学
校保健課長 青柳 徹君
厚生省公衆衛生
局結核難病課長 松田 朗君
厚生省医務局指
導助成課長 柳沢健一郎君
農林水産省構造
改善局建設部水
利課長 小泉 惠二君
日本専売公社総
裁 長岡 實君
日本専売公社総
務理事 岡島 和男君
日本専売公社総
務理事 西村 忠弘君
日本専売公社総
務理事 森 宗作君
日本専売後者理
事 生平 幸立君
日本専売公社理
事 遠藤 泰君
日本専売公社理
事 丹生 守夫君
日本専売公社理
事 友成 豊君
日本専売公社企
画開発本部研究
開発部長 中山 道夫君
日本国有鉄道旅
客局サービス課
長 藤田 好一君
大蔵委員会調査
室長 矢島錦一郎君
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委員の異動
六月二十五日
辞任 補欠選任
安倍 基雄君 菅原喜重郎君
同日
辞任 補欠選任
菅原喜重郎君 安倍 基雄君
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本日の会議に付した案件
たばこ事業法案(内閣提出第七四号)
日本たばこ産業株式会社法案(内閣提出第七五
号)
塩専売法案(内閣提出第七六号)
たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等
に関する法律案(内閣提出第七七号)
たばこ消費税法案(内閣提出第七八号)
派遣委員からの報告聴取
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/0
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001・瓦力
○瓦委員長 これより会議を開きます。
この際、先般の大蔵省の人事異動に伴いまして、新たに就任された事務次官、官房長及び各局長から、それぞれ発言の申し出がありますので、順次これを許します。山口大蔵事務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/1
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002・山口光秀
○山口説明員 去る六月二十七日に大蔵事務次官を拝命いたしました。
思い返してみますと、四十九年に文書課長になりまして以来、主計局次長、官房長、それから主計局長と、足かけ十年にわたりまして、この委員会の皆様方から、大変厳しい御叱正を賜りながら、しかし、この財政金融に関しまして深い御理解をいただき、そしてまた、私どもに対しまして、常に温かい御厚情をいただきましたことを、この機会に改めて御礼申し上げたいと思います。
今後、大変難しい情勢でございます。引き続き皆様方の御指導、御叱正をお願いいたしまして、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/2
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003・瓦力
○瓦委員長 西垣官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/3
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004・西垣昭
○西垣政府委員 このたび官房長を拝命いたしました西垣でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/4
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005・瓦力
○瓦委員長 吉野主計局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/5
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006・吉野良彦
○吉野政府委員 このたび主計局長を拝命いたしました。今後とも、従来にも増してよろしく御指導いただきたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/6
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007・瓦力
○瓦委員長 矢澤関税局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/7
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008・矢澤富太郎
○矢澤政府委員 このたび関税局長を拝命いたしました矢澤でございます。よろしく御指導賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/8
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009・瓦力
○瓦委員長 宮本理財局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/9
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010・宮本保孝
○宮本(保)政府委員 理財局長を拝命いたしました宮本でございます。三年間の銀行局長時代の御指導に感謝いたしますとともに、ますますよろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/10
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011・瓦力
○瓦委員長 吉田銀行局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/11
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012・吉田正輝
○吉田(正)政府委員 一昨日銀行局長を拝命いたしました吉田正輝でございます。今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/12
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013・瓦力
○瓦委員長 行天国際金融局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/13
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014・行天豊雄
○行天政府委員 国際金融局長を拝命いたしました行天でございます。新参でございますので、何分よろしく御指導賜りますようお願いいたします。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/14
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015・瓦力
○瓦委員長 たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案の各案を一括して議題といたします。
ただいま議題となりました各案の審査のため、去る二十六日、二十七日の二日間福島県に委員を派遣いたしました。
この際、派遣委員から報告を求めたいと存じますが、私が便宜この席から御報告申し上げます。
派遣委員は、越智伊平君、中村正三郎君、伊藤茂君、野口幸一君、坂口力君、中川昭一君、山岡謙蔵君、上田卓三君、戸田菊雄君、柴田弘君、宮地正介君、箕輪幸代君と私、団長を務めました瓦力の十三名であります。
初めに、派遣地の福島県のたばこ耕作の概況について申し上げます。
同県で耕作されているたばこの種類は、いわゆる松川葉といわれる第二在来種と、いわゆる白遠州といわれる第五在来種の二種類であり、同県の昭和五十八年度におけるたばこ耕作の実績を申し上げますと、耕作人員は約一万三千人、耕作面積は約六千五百ヘクタール、公社が買い入れた葉たばこの重量は約一万二千五百トン、また、その代金は約二百五十八億七百万円に上っております。これらの実績値はすべて全国第一位となっており、福島県は、葉たばこの主要な産地として位置づけられているところであります。
次に、日程に従ってその概要を御説明申し上げますと、まず、田村郡三春町貝山のたばこ作標準作業体系実証展示農場を視察しました。展示農場と申しますのは、日本専売公社の指導援助を受け、たばこ作の標準的な作業を体系化し、労働時間とコストの低減及び品質の改善を図り、これを産地に展示することにより、耕作者への普及を図るため設けられたものであり、福島県においては二十五カ所設置されております。この農場は昭和五十八年に設置されたものであり、その構成人員は四名、耕作面積は二百七十五アールであり、体系としては中型のものとされております。
なお、念のため申し添えますと、同所において、大蔵委員長に対し、耕作許可制から契約制移行後の葉たばこ耕作者の生活の保障、個々の農家の実態に即した契約制度、今後の標本体系の明確化等について、現地耕作者から要望が述べられました。
続いて、日本専売公社郡山工場において、現地のたばこ耕作者及びたばこ販売店の各団体の代表者との懇談会を行いました。
まず、たばこ耕作者代表として、福島県たばこ耕作組合連合会会長宗像正君から、専売改革関連五法案に対し、新会社が営利中心の経営を行うことなく、今後とも国産葉を主原料として位置づけること及び耕作者に不安を抱かせることのないよう十分審議の上、今国会において成立されることとともに、政府保有株式の民間放出は行わないこと、葉たばこ審議会の構成は現行のたばこ耕作審議会と同様とすること、買い入れに関する紛争の防止、苦情の処理に必要な合議機関を設けること等について要望がなされました。
また、たばこ販売店を代表して、福島県たばこ販売協同組合連合会理事長菅井清君から、小売人指定制及び小売定価制の実質的維持と、関係法案の早期成立について要望が述べられました。
引き続き懇談に移り、まず、たばこ耕作関係につきましては、たばこ作の機械化導入の限界、機械化導入の経営に与える影響、災害補償制度に対する要望、過剰在庫問題、政府保有株式の放出のあり方、たばこ耕作の収益状況、耕作者の適正耕作規模、生産調整問題、葉たばこ乾燥の機械化、連作の実態、輸入葉、国産葉の使用問題、専業率の現状、後継者づくり等について、また、たばこ小売販売関係につきましては、現行の販売手数料に対する見解、自動販売機の耐用年数、たばこ販売代金の決済方式等について熱心な質疑が行われ、地元関係者との懇談は終了いたしました。
懇談終了後、製造本部長西村忠弘君及び郡山工場長池田和正君から、郡山工場の概要について説明を聴取した後、同工場を視察し、滞りなく日程を終了しました。
以上をもちまして派遣委員の報告を終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/15
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016・瓦力
○瓦委員長 次に、各案について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渋沢利久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/16
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017・渋沢利久
○渋沢委員 先般の私の質問に関連をして、資本金等の資料、文書提出がありました。まあこれは蛇足だけれども、幾つかの点で尋ねたら、今作業中で答えられないと明確に答弁をして、少し大きな声でさらに尋ねたら二千億という数字が出てきて、もうちょっと大きな声を出したら文書でこういうものを出すというようなことなんで、大蔵委員会をどう考えておるのか、そういう態度はあなた方の信頼を欠くことにはなっても、決して責任のある態度とは思えない、それだけは最初に申し上げておく。
そこで、せっかく資料を出していただいたので−最初から説明してもらえば何もなかったのです。そこでお尋ねをいたしますが、資本金千五百億が上限というやつが出てきたわけですけれども、法人税、事業所税などの負担増、配当負担、請負担の増を差し引きますと、現行の内部留保の何割ぐらいが減ることになるのかということをひとつ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/17
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018・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
先生のお尋ねが、昭和六十年度以降において支払われるべき法人税、事業所税、そういったたぐいのものであるということでございますれば、昭和六十年度における利益金から差し引かれるわけでございますので、お手元に差し上げてございます純資産の額とは直接関係はいたさないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/18
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019・渋沢利久
○渋沢委員 このいわば三兆円企業でどういう内部留保が担保されるかということは、やはりこれからの新会社の事業を見る上で非常に重要な部分だというふうに考えているわけです。
時間がないので、ほかに尋ねたいことがありますから余りしつこく尋ねませんけれども、いずれにしても私は総裁にちょっとお尋ねしておきたいのだが、先日来の質疑を通して明らかなとおり、というよりは、もうそういう議論を経なくても、総裁御自身が御説明なすっておるように、大変厳しい内外のたばこ産業を取り巻く環境の中でこの新会社の発足をしよう、こういう状況にあるのだけれども、どうもこの巨大な国際資本、たばこ産業資本との競争に打ちかっていこうという戦略、気概、組織体、それを保障する事業体というようなものが脈々と伝わってくるような法律案でもなければ、総裁の姿勢でもないような危惧はあるのです。資本金のことなどいろいろお尋ねをしたのは、大変困難な財務問題を抱えることになるだろう、こう想定するからです。
一体、本当に自信を持ってこれをやり切っていくだけの、総裁、自信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/19
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020・長岡實
○長岡説明員 渋沢委員の先ほどの御質問、それから、ただいまの御質問を通じまして、新会社になった場合には、公社のときに比べて税の負担もふえる、それから配当負担というものもふえるであろう、厳しい国際競争のもとにおいて内部留保を手厚くしなければならない時期に、そういう負担がふえて内部留保の蓄積が減るんじゃないか、それで一体厳しい競争に耐え抜いていくだけの自信があるかという御趣旨の御質問だろうと推察いたします。
御指摘のとおり、説あるいは配当という新しい負担はふえますけれども、これは株式会社組織になれば必然的と申しますか、一つの株式会社組織の宿命としてそういう負担を負うべきものであろうと存じます。私どもは厳しい環境の中で、表現はいかがかと存じますけれども、海千山千の国際的なたばこ資本と競争していくために、まず経営の形態としては株式会社である必要があろう。これによって私ども全員がやむを得ずと申しますか、必然的に合理的な企業経営を志向せざるを得ないような体制に移行していくことが一番肝心であろうと存じまして、またそのためには、それだけの新たな負担も当然のことながら覚悟せざるを得ないと思っている次第でございます。具体的な数字でお示しをできないのが大変恐縮でございますけれども、株式会社組織になることによって、また輸入が自由化されることによって必然的に置かれる立場を考えますと、私どもは何が何でも全員が一丸となってこの厳しい環境に耐え抜き、かつ競争に負けないように頑張っていかなければならない、また、それは私ども全員が力を合わせればやれないことではないという気持ちで、新しい制度への移行を考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/20
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021・渋沢利久
○渋沢委員 この財務の悪化というものが周囲の厳しい環境に重なって、そしてこれからの事業の展望の中で一体どうなっていくのだろうか。例えばそのことで製品の値上げを迫られるというような事態はないだろうか。そういうことはシェアの減、売り上げ減に響いていくということにならないだろうか。事業の縮小とか、あるいは最後には人員の削減というような方向にまで移行するおそれはないだろうかということを、こういう制度改革を通して私どもは心配せざるを得ないわけでございます。
この間、私の二十二日の質問の際に、政府の監督権、統制や拘束をできるだけ薄めよう、この法案の趣旨もそういうことであろうし、私はそれはまさに事業を発展させる上では、公社の制度のもとですらもっと当事者能力を持たして、自立性、責任性を付与する、確立するということが最も重要な要件だと考えておる立場で、監督権の関与を小野さんは積極的関与と言うから、何をおっしゃるかとやりとりしておったでしょう。それはあなた、監督をこれから受けようかという立場の総裁が政府にかわって答弁をする、理事会に頭を突っ込んで説明をする。あなたのあの態度を見ておって、これはいかぬ。我々は新会社に対して、もしこれが通るとすれば、そこに与えられなければならない性格の第一の要件はその部分だというふうに考えておるのに、大蔵官僚のしっぽが切れてないという思いが、見ておって非常に痛切にしました。
これは言葉の問題じゃない。あなたの姿勢の問題だ。これじゃ我々が新たな事業体の自立性とか責任体制を言ってみても、出てくるものはちょっと違うんじゃないかという不安を隠すことができない。野球でいえば、こういう監督じゃ、ピッチャーの交代からピンチヒッターまで、オーナーに全部一々相談しなければやれぬようになったんじゃ、こんな法律をつくる意味はないと思うのです。一体、この法案に対してあなた自身何を求めておるのか。これでやれると本当に思っておるのか。その辺が定かでない思いがするものだから、先ほどもお尋ねした。余り大きな声をしてはいけません。率直にあなたの意見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/21
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022・長岡實
○長岡説明員 前回のお答えがそういう誤解を招いたといたしますれば深くおわびを申し上げますが、今回の制度改正で何が一番肝心であるかと申しますれば、私ども、現在の公社が株式会社に移行いたしまして、合理的な企業経営が最大限に可能な状態にしていただいて、そして厳しい国際競争に負けないで日本たばこ産業を支えていく役割を十分に果たせるようにしていただくということでございます。そういう観点からいたしますれば、監督官庁の公的なコントロールというものが最小限になるということは当然であろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/22
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023・渋沢利久
○渋沢委員 財務状況の悪化ということのないような懸念から言えば、資本金は決して多ければいいということにはならないわけでありまして、この部分についてはこの程度にして、次のお尋ねをしていきたいというふうに思います。
前回の質疑の際にも、こういう厳しい環境の中を乗り切っていく事業体を考えた場合に、第一の要件は、まさに自立、責任体制がどこまでその事業体に与えられるかということが、一つの欠かすことのできない要件だろうという観点で物を申し上げましたけれども、第二に、まさに不可欠の要件があるとすれば、今総裁からいみじくも、どんな困難があっても、この事業にかかわる全職員が一丸となって努力をすれば乗り切れるという趣旨の話もありましたけれども、特に長い間公社の内側でこの事業を支えてきた人たちが、この大きな制度改革の中で本当に生き生きと積極的に理解し、協力し、新たな責任を分かち合っていくというような条件をどうしてつくるかということ、これが第二の不可欠の条件だろうというふうに思うのです。
そこに食い違いやそごを来しますと——これはすべての事業体について言えることだけれども、私は、自分の選挙区が中小企業の町の中なものですから、年じゅうそういう人たちと話をしておりますが、それは五人であれ、百人であれ、千人の規模の企業であれ、そこの経営者というのは、そこのすべての従業員の名前も家族構成も知っているぐらいの神経を使って、同じ働くのなら、嫌で嫌でしょうがない、しようがないから給料のためにだけ、限られた時間に出ていくということで仕事をするのか、いや、会社のために、あの社長の期待にこたえてという気持ちで、ここまでうちの会社は私どもの将来にも現在の生活権にも配慮してくれているという思いを仕事に返していくというようなことで仕事をするかしないかで、その事業が伸びるか伸びないかを見られる。
本当にこの企業はうまくいっているのかというのは、料理屋で経営者と飲んで見るのじゃなしに、むしろ工場でそこの従業員諸君の目や態度を見ればわかる。そういう話を私はいつもいたしますけれども、まさに八十年にわたる専売事業を内側で支えてきた、特に専売の労働組合の対応というのは非常に立派だと私は思うのですね。労働組合だから、従業員の労働条件や雇用や生活権確保のために頑張ることは当たり前のことでありますが、のみならず、この厳しいたばこ産業の環境をどう乗り切っていくかということのために、事業にどう競争力をつけるか、機械化とか技術革新ということについて、組合自身が積極的な提言をしたり、努力をしてやってきているのですね。
こういった、ある意味でたばこ事業が大変な売り上げ、まさに三兆円企業と言われるような成績を上げて、しかも国や地方自治体に与える財政寄与というのは、これはもう言うまでもないけれども、一兆八千億からの財政貢献を国、地方に向けてしておるということ、これは大変な努力をしておる。過般の納付金についても、大蔵大臣が眠そうだからちょっと言うけれども、あなたに私はここで討論の際に、まさに御用金の調達になれた悪代官の振る舞いと違うかという毒舌を吐いて、国に対する納付金の二重払いかと思われるこの特納法案について物を言いましたけれども、事ほどさように、この大きな財政寄与をするというところまで事業を支えてきたのは、やはりそこで働いている労働者諸君、あるいは労働組合のこういう対応があったからだというふうに私はしみじみ思うのですね。今、この公社を新しい会社にしようと——私はむしろ公社のままでも、中身を思い切って変えれば十分できると思っているけれども、ともかくこの法律はそういう形で出てきている。こういう大改革をやろうとするのに、積年のパートナー、本当にこの人たちの理解と協力なしには、大きな競争力をつけて国際競争を乗り切っていくことはできない。その不可欠の条件と思われるこの労働者の皆さんとの合意、理解と協力を得るための努力というのがどう行われているのか、よくわからぬ。あなたの、古巣の大蔵省に対する姿勢は、この間二十二日によく見た。法案を通して、葉たばこの生産耕作者や小売業者に対する配慮がにじみ出ていることはよくわかるけれども、一体、内側で本当にこの事業を支えてきた、これからも欠かすことのできない協力者である労働組合との理解について、この大きな制度改革の中でどこまで配慮をしてやっておられるかということについては、いささかの危惧がないわけではない。総裁の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/23
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024・長岡實
○長岡説明員 私どもの公社の組合関係を考えてみますと、労使双方の先輩の努力の積み上げの結果であろうと存じますけれども、現在のところ、私は、大変いい労使関係が保たれておると考えております。それは、今渋沢委員がおっしゃいましたように、組合は組合の立場を主張しつつも、公社の将来を考えて、合理化すべき問題には協力してくれるといったようなことの積み重ねの結果、今日の公社があるわけでございます。それはまさに御指摘のとおりでございます。
さて、将来のことを考えました場合に、私どもがしっかりとした企業体をつくり上げていかなければならない必要性は、従来に比べまして比較にならないほどその重さを増してくる。そういったような状態の中で、本当に企業が合理的な経営を果たしていくためには、これは何と申しましても、労使双方が一つの気持ちにならなければできないわけでございます。
そういったことを考えますと、今回の制度改正を通じまして、私どもが終始一貫主張して、経営形態は、政府関係法人の中で株式会社組織の特殊会社にしていただきたいということを申し上げてまいりました大きな理由の一つが、株式会社組織になることによって、労使双方が本当の意味で当事者能力を持って将来の厳しい問題に取り組んでいくことが大事であろうと考えたからでございまして、そういう意味において私は、組合問題を軽視しているつもりは全くございませんし、むしろ将来の厳しい環境を切り開いていくためにはますます重要な問題になろう。今申し上げましたように、お互いに当事者能力を持ち、お互いに責任ある発言を積み重ねながら、将来の企業のあり方を相談しながら決めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/24
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025・渋沢利久
○渋沢委員 今の総裁の答弁は、労働組合とも、この制度改革、新会社に移転の過程で、完全な合意を目指して、十分な話し合いを並行的にやっていく、またやっている、やはり組合の理解と協力なしにはこの事業の特に新たな責任を果たしていくことにはならない、そういう趣旨であるというふうに理解してよろしいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/25
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026・長岡實
○長岡説明員 そのように御理解いただいて結構でございます。また、今日に至るまでも、制度改正につきまして、労使間で意見の食い違いというものはないのではないかと私は理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/26
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027・渋沢利久
○渋沢委員 それは少し悪乗りの答弁だと思うけれども、会社法の附則十三条で、公社職員はすべて会社に移行する、こう記されてある。附則十二条では、その一切の権利義務は会社が承継する、こういうふうになっております。言うまでもないと思うけれども、労働条件は現行の条件を基礎条件、最低条件としてそのまま継承していくというふうに読むのが当然だと思うけれども、念のために伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/27
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028・岡島和男
○岡島説明員 お答えいたします。
新会社移行に際しまして労働条件をどうするかということでございますけれども、法律の適用関係が変わるという当然な問題がございます。それからまた、労使間で新たに取り決めなければいかぬ問題がございますけれども、考え方といたしましては、原則として現行労働条件を維持するという考え方のもとに労使間の交渉を進めてまいりたい、こういうのが基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/28
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029・渋沢利久
○渋沢委員 今までの答弁は、大変積極的に、誠意のある労使問題についての答弁を伺っておるのですけれども、新聞等の報道するところによると、既にこの新会社へ移ることを前提としての合理化計画が進められているというふうに伝えられているわけであります。これはどういうことですか。どういう形で——労働者と労働組合の協力なしにこの事業の達成はあり得ない、こう言っておられるけれども、一方では合理化計画というものがかなりの人減らしを含めて用意されているというふうにも伝えられるわけだ。これはいかがなことか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/29
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030・長岡實
○長岡説明員 公社といたしましては、従来から製造工場の統廃合等を初めといたしまして、事業全般にわたる合理化を通じてコストの抑制あるいは要員の削減等、経営体質の強化に積極的に努めてまいったところでございます。
たびたび申し上げておりますが、現在のたばこ事業を取り巻く情勢というのは、たばこの消費構造は停滞ぎみでございますし、外国たばことの競争関係も急速に進展していくというように、極めて厳しいものがございます。加えて、輸入自由化に伴いまして市場競争が飛躍的に激しくなることが想定される厳しい経営環境の中で、公社としては経営形態のいかんにかかわらず、今後とも経営体質の強化を図るための、事業各般にわたる合理化施策の積極的かつ計画的な推進が不可欠であろうかと思います。
このような観点から、私どもといたしましても、現在経営諸施策の検討を行っている段階でございます。合理化の実施に当たりましては、従来から事前に労働組合に計画を提示し、誠意を持って協議を行い、解決を図ってきているところでございますが、今後とも職員の雇用及び労働条件に配慮しつつ、職員の労働不安を除去するように努めながら、合理化の問題についても話し合ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/30
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031・渋沢利久
○渋沢委員 経営形態のいかんにかかわらず、ある種の合理化問題があるということについては、確かにそのとおりだろうと思うけれども、特にこういう大きな制度改革の中で、総裁は言葉の上で労使問題について歯切れのいいことをおっしゃるけれども、実際にはやはり多くの労働者諸君は大きな悩み、雇用に対するかなりの不安、あるいはこの合理化という流れの中で具体的には自分たちにどういう影響があるかということについての心配を隠していないわけです。特に製造工場の場合、女子職員の場合などは紛れもなしに、生首をはねるのではないと言っても、結果において生首をはねる以外にないような状況、環境に置かれざるを得ないわけです。製造工場の合理化というような場合には必ずそういうことになる。ですから、当局が明らかにする言葉と実際の現状との乖離というのは、現実にそういう形である。
そういう経験を持っている労働者の間では非常な不安がある。特に、今指摘したように、製造工場を中心とする女子職員の雇用問題について、ここを含めて雇用の不安にかかわるようなことは避けていくという姿勢がなければ、欣然として全従業員が一丸となって頑張れば乗り切っていくことができるであろうというここに返ってこない。一方では、そういうことに確かな歯どめをかけていくという配慮がなければ、それは言葉の上だけで、全社一丸といっても、本当に乗り切っていくだけの企業体制というものはつくることはできない。どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/31
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032・長岡實
○長岡説明員 公社の合理化を図ってまいります場合に、一番難しい問題の一つが製造工場の合理化だろうと存じます。それは全国各地に点在をいたしておりまして、そこには御指摘のように女子職員がたくさん働いている、地元の方たちがそこで働いているということを考えますと、この合理化の問題は大変難しい問題を幾つか抱えておると存じます。そういったようなことも十分考えまして、先ほど申し上げました全社的合理化計画を立て、かつ、労働組合とは十分に話し合って、労働組合の理解が求められるような形で推進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/32
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033・渋沢利久
○渋沢委員 重ね重ね総裁としては明確な、これからの事業運営の態度というものを言明されたので、私は子といたしますけれども、これは私は社会党の所属委員だから、労働組合サイドの問題をそういう立場でただ取り上げるという視点で言っているわけでは決してないのです。先ほど来言うように、企業が、特に国際競争の本当に激しい荒波の中で、これから日本のたばこ産業を乗り切っていくというのは、いろいろな条件を考えてやはり容易でないというふうに思うのです。現に、モリスなどというアメリカのたばこ企業は、大蔵委員のところをそれぞれ訪問して、会社のPRやいろいろなコメントを積極的にしておる。事ほどさように、外国の巨大たばこ企業というのは積極果敢に、市場の開拓のためにどこへでも踏み込んでいく、必要なことは何でもやる、こういうしたたかな対応をしているということを目の当たりにして、これは容易じゃないという思いがするわけであります。
心配ありません、必ずやっていきますとか、労使問題もうまくやっていきますとか言うけれども、先ほど私が総裁にもお尋ねしたように、本当にあなた自信を持って、責任を持ってやりおおせるのか。責任を持ってやりおおせるというなら、この新たな組織体の出発に当たって、かかわるすべての者に対して本当に期待にこたえられるかということの中で、とりわけ苦労をともにしてきた家族のような従業員の雇用にかかわる——この法律が通って新しい組織体ができて、ああは言ったけれども、うまくいかなくなって、それで工場の削減、人員の削減、最後にそれしかないような形、そういう結果をつくるようなことになったら大変なことだなという心配があるから、私どもその視点でお尋ねをしてきたわけであります。そういう意味で、ぜひ今までの公社事業を支えてきた職員の一人一人の暮らしに新たな経営者としての思いをかけて、一緒に頑張ってよかったというような状況をどうしてつくるかということに腐心をしてもらいたいということを強く求めておきたいというふうに思います。
最後に、これは大蔵大臣にお尋ねをしておきます。
最初、私二十二日の質問の冒頭に、大蔵大臣にいろいろお尋ねをいたしました。経営形態のありようについてです。これも改めて述べませんけれども、幾つかの確たる事由によって、これは本来完全民営などということを志向すべき事業でない。この法案は、決して民営のためのワンステップとしての、そんな一時しのぎの組織がえというようなものではなしに、むしろ民営否定、そして恒久的な組織体としてこの事業をこの形でやっていくんだ、そういう趣旨であるか否かを執拗にお尋ねをして、大臣はそのことについてはかなり明確な答弁をされたと思うのであります。
長いこの事業の組織をかえよう、抜本的にこれだけ大きな改革をしようというのに当たって、しかもさまざまな観点から見て、非常に新たな事業体が、法律で言うところの責任を果たし得るかどうかということについては、かなりの危惧を持たざるを得ない。そういう環境の中で、もし安易にこのたばこ事業の民営論が出てくるというようなことになろうものなら、そういう可能性を残しておくということであれば、この事業は成功しない。まさにこの困難な環境を乗り切っていくためには、恒久的な組織体としてのあり方を明確に位置づけて、すべての関係する者が将来にわたって確信を持って、そして同時に、まさに総裁の言葉のとおり、全社員一丸となってその目的のために取り組む、そういう出発でなければ、到底成功はおぼつかないというふうに思うわけでございます。念のために、さらに大蔵大臣のこのことについての確たる所見をただしておきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/33
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034・竹下登
○竹下国務大臣 前回お答えいたしましたのは、完全民営化は、割高な国産葉を抱えておる現状のもとにあって、国際競争力の点から問題があるから適当でない、こういうことを申し上げました。それからさらに、特殊会社という経営形態及び製造独占は、いずれも完全民営に至る経過措置として位置づけられたものではない、この二つを申し上げたわけでありますが、今の渋沢さんの意見と私の意見と相違はないというふうに私は考えます。
これは必ずしも御質問に対する答えになるかどうか、いささか疑問ではございますが、私も長い間官房長官をやっておりましたので、各種組合の皆さん方との接触は、私の所属する自由民主党という政党の中では比較的多い方であろうと思っております。が、大蔵大臣、またこれも三回やりまして、特に専売それから印刷、造幣、そういう皆さんとはいわば身内意識でつき合わしていただいておって、したがって私自身今の労使関係、日本全体がそうでありますものの、サミット等に行きました場合は、おれの関係しておるのは世界に冠たるものだから教えてあげようかというぐらいの気持ちで、いつも対応しておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/34
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035・渋沢利久
○渋沢委員 労使問題、労働組合に対して非常に大きな理解を持つ大蔵大臣であるということはよくわかりました。であればあるほど、新たな組織体の中で不当な介入は一切ないように、まさに当事者能力、自立、責任の体制を与えることがこの法の趣旨であるとすれば、その点については言うまでもないことですけれども、ぜひそういう姿勢を貫かれることを求めておきたいというふうに思います。民営の問題についても、大蔵大臣から再度重ねて明確な答弁がありましたので、これは子といたします。
二、三分あるようでありますので、一つだけお尋ねをしておきますが、審議会について幾つかの改定が行われるように思います。この辺がちょっと定かでない部分があるので、現行の審議会をどう受け継ぐのか、整理するのか、このことをひとつ最後に尋ねておきたいと思います。
それから、それに関連してもう一つ。私先ほど、こういう大きな制度改革をやる上で不可欠なことは、これにかかわる関係者すべての理解と協力が必要だ、葉たばこの耕作者や小売業者や、そういうものに対する一定の配慮というものは読み取ることができるけれども、労働者に対していかがかというお尋ねをしながら、いま一つやはり言い落としてならないことは、消費者の立場は一体どこに結びつけられておるのだろうか。この事業の中でとかく私は、消費者の声や立場というものが参画する、参入する機会というのは極めて薄いというふうに考えておる。健康問題もある。嫌煙権というさまざまな市民運動もある。たばこの売り上げをどう上げるかということ以上に、国民の健康をどう保全するかということの方がはるかに重要な課題である。しかし、この事業を進めるに当たっては、相互理解とこの調和をどう図っていくか、いわば嫌煙権運動、健康運動というようなものとたばこ事業の円滑な発展というものをどう平和共存させるかという課題を担っておる。この事業の関係者については、そういう共同の責任があるというふうに言うことができる。
しかし、どうも消費者の声というのはどこで吸い上げるのか。せめて各種審議会の中で消費者の意見が反映される場があっていい。審議会はそういうものにかわるといいましょうか、審議会そのものはそういう機能を果たすというふうに私は理解しておりますけれども、この仕組みの中で制度的に消費者の声をどこで吸い上げるという配慮があるのか。審議会の中で、例えばそういう消費者代表の参入というものが配慮されているのかどうかということを、最後に審議会の問題とあわせてお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/35
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036・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
たばこ事業法四十条二項に「政令で定める審議会」という言葉が出てまいりますが、この審議会とは、現在専売事業審議会というのがあるわけでございますけれども、これにかえて、大蔵省に大蔵大臣の諮問機関として設置される審議会でございます。この具体的な組織及び運営につきましては、今後、政令、大蔵省組織令及び審議会令により定めることとしておりますけれども、現在のところ、政令におきましては、おおむね次のような内容を盛り込む予定でございます。
第一点は、大蔵省に専売事業審議会にかえてたばこ事業等審議会を設置することでございます。第二に、たばこ事業等審議会は、大蔵大臣の諮問に応じて、たばこ事業及び塩専売事業に関する重要事項を調査審議し、または大蔵大臣に建議することでございます。第三に、たばこ事業等審議会は、必要に応じ部会を設置すること。第四に、たばこ事業等審議会は、その定めるところにより、その部会の決議をもって審議会決議とすることができること。おおむねこういう内容のことを定めることにしておりますが、委員の人選等に当たりましては、ただいま先生がおっしゃいましたような趣旨もよく踏まえて、今後十分検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/36
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037・長岡實
○長岡説明員 審議会ではございませんけれども、公社の中に消費者会議あるいは消費者懇談会といったような制度を設けまして、現在実施中でございます。特に、消費者懇談会と申しますのは年に二回全国各地で開きまして、これは原則として私自身が出向きまして、直接消費者の方々の声を伺っておるわけでございますが、将来のたばこ事業の方向を考えます場合に、消費者の声を酌み取る、それを仕事に反映させていくということの必要性は、一層強まってまいることと思いますので、こういった消費者会議等の活用について、新会社移行後も十分に考えてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/37
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038・渋沢利久
○渋沢委員 時間です。やめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/38
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039・瓦力
○瓦委員長 宮地正介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/39
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040・宮地正介
○宮地委員 先日、日本たばこ産業株式会社の株式の保有割合に係る「当分の間、」について、大蔵大臣が見解をまとめたようでございますので、御報告いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/40
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041・竹下登
○竹下国務大臣 日本たばこ産業株式会社の株式保有割合に係る「当分の間、」この考え方について、整理をいたしましたので申し上げます。
新会社の経営のあり方いかんがたばこ産業全体に及ぼす影響の大きさにかんがみ、新会社の株式については、日本たばこ産業株式会社法案の本則による二分の一以上の保有に加え、新会社の事業運営が軌道に乗り、将来にわたり我が国たばこ産業の健全な発展の目途が明らかになるまでは、経過的措置として三分の二以上の保有義務を政府に課することが適当であると判断したものであります。新会社の経営者としては、新会社発足後三年あるいは五年の間に経営の安定を図りたいという意欲を持って経営に当たられるのは当然のことでございますが、新会社の事業運営が軌道に乗ったか否かの判断につきましては、新会社の事業規模等事業経営の基本にかかわる問題があり、現段階では、はっきりとした見通しをつけがたい状況にあります。
新会社の事業規模の見通し等の困難性につきましては、後ほど公社総裁から答弁させますが、いずれにしましても、今後の厳しい市場環境のもとにおいて、新会社が、たばこ産業関係者と十分協議を重ねつつ、たばこ事業の効率化、合理化に真剣に取り組むことは避けて通れない道であり、そうした努力を通じまして新会社の安定的な事業経営の見通しが得られた段階で、速やかに政府保有割合の見直しを行うべきであると考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/41
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042・長岡實
○長岡説明員 新会社の事業規模の見通し等の困難性について御答弁申し上げます。
まず第一点は、新会社の事業規模の問題でございますが、需要停滞下での流通自由化に伴い、ある程度の輸入品シェアの拡大は十分に予想されるところでありますが、現段階で輸入品シェアの確たる見通しを立てることは極めて困難であり、また新会社といたしましては、シェアの減をカバーし経営基盤の強化を図るため、海外進出、新規事業の開発に真剣に取り組む必要がありますが、現段階ではその事業量を見通せるまでには至っていないところであります。
二番目に、葉たばこ農業の規模の問題がございます。制度改革後、新会社としては懸命の経営努力を果たすことが必要でありますが、喫煙と健康問題等を展望した場合、今後の需要見通しには相当厳しいものがあり、率直に申しまして、将来の需給事情から判断すれば、葉たばこはやや過剰ぎみと言わざるを得ないところであります。公社としては、減反問題について耕作者の協力を求めざるを得ないと考えておりますが、昭和五十七年に大幅減反を行ったこともあり、耕作者としては、葉たばこ農業にのみしわ寄せを行うことに対し強い抵抗があり、公社みずからの合理化策を示さない限り協力を得にくい状況にあります。したがいまして、現段階で葉たばこの適正規模の面積について的確な見通しを立てることは困難でございます。
次に、新会社の合理化の問題がございます。流通自由化後の厳しい国際競争に打ちかっためには、新会社としては機構、定員の積極的な合理化に取り組む必要がございますが、その実施に当たりましては労使間で十分な協議を尽くすことが不可欠であると考えます。したがいまして、現段階で具体的な全社的合理化内容について的確な見通しを述べられるような状況にはないというのが率直なところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/42
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043・宮地正介
○宮地委員 先ほどの大蔵大臣の御答弁の中で、新会社の安定的事業経営の見通しが得られた段階で見直しを行うとのことでありますが、この安定的事業経営とはいかなる状態をいうのか。
例えば、専売公社の昭和五十八年度の財務諸表を見ておりますとかなり健全なものとなっておりますが、この昭和五十八年度の財務諸表の財務状態、内容、こうした状況をクリアして実現をすることができれば安定的事業経営と言い得るのではないか、こんな感じがするわけでありますが、この点について総裁はどのようにお考えになっているか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/43
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044・長岡實
○長岡説明員 お答え申し上げます。
仮に私が新会社の経営責任者の立場に立って考えてみますと、新会社発足後三年ぐらいをめどに、最近のたばこ事業の財務諸表の水準あるいは同規模企業ないしは類似産業の財務諸表に比して遜色のない程度に経営状況を安定させたいという意欲を持つのは当然であろうかと存じます。
はっきりした見通しを申し上げることができず恐縮ではございますが、責任の重大性を認識いたしまして、お尋ねの方向で努力するものと申し上げてよかろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/44
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045・宮地正介
○宮地委員 この附則の「当分の間、」につきましては、既に大蔵省関係の今までの本則あるいは附則に含まれるものを見ましても、例えば本則に含まれるものとしては臨時金利調整法、これは昭和二十二年法律第百八十一号でできたものでございます。あるいは塩専売法、これは昭和二十四年法律第百十二号、あるいは外国為替銀行法、これは昭和二十九年法律第六十七号、租税特別措置法、昭和三十二年法律第二十六号、本則に含まれるものは大蔵関係でもこの四本があるわけでございます。
また、今回のこの専売改革によります附則に含まれるものに対しましても、日本銀行法あるいは財政法、食糧管理特別会計法、長期信用銀行法、国家公務員等共済組合法、銀行法の六本ですね、附則に含まれるものがございます。その中で、特に昭和二十二年改正の日本銀行法あるいは財政法などは、もう大変な年数がたっても、この「当分の間」がついておる。こういうことで、この「当分の間、」こというのは、先日来の、あの臨調答申を受けてできるだけ公的規制をなくすという方向から、むしろ今回は思い切ってこの附則の「三分の二」はなくてもいいのではないか。本則の「二分の一」からスタートしても決して問題は生じないのではないか、こんな感じがしているわけでございますが、今一つの目安といたしまして財務諸表の問題などが具体化されたわけでございます。ぜひこの線に沿って今後経営努力をするとともに、速やかに見直しを、その安定的事業の経営の状態が達成できましたら、ぜひ対応していただきたい、大蔵大臣からその辺についての御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/45
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046・竹下登
○竹下国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、財務諸表等は確かにそういう決断をする際の貴重な資料の一つであろうというふうに私自身も受けとめております。したがいまして、今宮地委員の意見を交えての御質疑の方向を踏まえて、これからも対処すべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/46
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047・宮地正介
○宮地委員 それでは次に、私は葉たばこの過剰在庫の問題について少し伺っていきたい。
この葉たばこの過剰在庫、いわゆる十三カ月分、まずこの処理の方法について、今後具体的にどのように解決をしていこうと考えておられるか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/47
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048・長岡實
○長岡説明員 お答え申し上げます。
昭和五十二年以降在庫調整に努めて、五十六年までの四年間で累計約五千五百ヘクタールの耕作面積を縮小いたしましたが、一年分の過剰在庫の上なお年々の生産量が消費量を上回る状況にございましたため、五十七年作につきましては、五十六年八月のたばこ耕作審議会の答申を得まして、単年度の使用量と生産量が見合う水準として約五千ヘクタールという大幅な面積を縮小していただいたところでございます。しかしながら、依然として一年分に及ぶ過剰在庫が存在をしており、公社といたしましては葉たばこの品質の改善、生産性の向上を積極的に推進する一方、製造面におきましても葉組み及び加工技術の改善に努め、国産葉の使用拡大を図りますとともに、国産葉の輸出につきましても努力をいたしているところでございます。
しかしながら、国際競争の激化を展望いたしますれば、これら公社の努力にもおのずと限界がございまして、今後における過剰在庫の解消に当たりましては、たばこ産業全体の維持発展を図るという観点から、公社の企業努力にあわせまして耕作農家にも理解を賜り、応分の協力をお願いせざるを得ないものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/48
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049・宮地正介
○宮地委員 特にこの過剰在庫の状況を見ておりますと、昭和五十三年度から年々急激にふえているわけでございます。これはまさにちょうどたばこの消費の停滞、こういうものと非常に傾向が似ているわけですね。その辺の過剰在庫の最大の原因はそうした消費の停滞にあるのか、ほかにさらに要因があるのか、この点についての分析はどのように考えられておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/49
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050・長岡實
○長岡説明員 昭和四十年代の終わりごろに世界的に葉たばこの需給がタイトになりまして、たばこを製造しているとこの国も、果たして原料が十分に確保し得るものかどうかといったような状態が現出した時期がございます。我が国もその例外ではございませんで、そういった場合に、日本のたばこ産業を維持するために、むしろ耕作農家の方々にある程度増反と申しますか、生産規模の増大をお願いした時期があったわけでございます。
ところが、大変残念なことと申しますか、予期せざる事態であったわけでございますが、その後オイルショックが起きまして、オイルショック不況となった。その時期に、これまた世界的にたばこの需要の方が非常に落ち込んできたわけでございます。極めて大ざっぱな数字で申しますと、昭和四十年代には年率大体五、六%で消費が伸びておりましたけれども、五十年代に入り、在庫の過剰が顕在化してまいりました五十二、三年ごろから今日に至るまでは、大体年率が一%前後という、横ばいに近いような状態になってしまったわけでございます。そういう意味で、ある程度耕作面積をふやしていただいたところに、予期せざるたばこの需要の減退が現出したというのが最大の理由ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/50
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051・宮地正介
○宮地委員 昭和五十八年度に例をとりまして、国内の葉たばこの国内の使用量、また外国産の使用量、シート、トータルで約二十二万四千トン、それから生産量、この数字がもしわかれば皆さんの方から報告してください。わからなければ、私の方からお話しします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/51
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052・生平幸立
○生平説明員 お答えいたします。
五十八年の使用の数量でございますが、国内産の葉たばこは十二万三千トン、それから輸入の葉たばこは七万四千トン、そのほかにシート原料として使用したものが二万七千トンございます。合計で二十二万四千トンでございます。国内の葉たばこを買い上げました数量は十三万七千トンでございます。それから輸入葉たばこの購入数量、これが七万九千七百四トン、合計で二十一万六千七百四トン、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/52
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053・宮地正介
○宮地委員 五十八年度を見てみますと、国内の葉たばこは約十二万三千トン使用しておる。シートの分を入れまして二万七千トン、これで約十五万トン。これに対して生産量の方は十三万七千トン、こういうことで、短絡的に見て、この使用量と生産量の関係を見れば、いわゆる過剰在庫は調整をすることができるのかなという感じがしているのですが、この点についてはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/53
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054・生平幸立
○生平説明員 確かに五十八年度の使用と買い入れの数量を比較いたしますと、国内葉たばこの買い入れた数量の方が多いわけでございますが、農産物でございますので、その年の豊凶によりまして若干数量は上下するわけでございます。使用数量をもっとふやそうということで、国内の葉たばこをたくさん使いました新製品の発売、例えばキャスターなどがそうでございますが、そういうものの発売をいたしております。一方ではさらに既存の銘柄につきましても、国内の葉たばこの使用の拡大ということに努めておるわけでございますが、その前提となりますのが、国内の葉たばこの品質の向上を図るということが一つございますし、それから製造面におきます加工処理の技術をいろいろ開発しなければならない、そういうような問題がございます。
それから一面では、国内の葉たばこを使用いたしますとコストが上昇するというような問題もございますので、この使用拡大ということにつきましても、公社自体での経営努力にもおのずから限界があるわけでございます。そのほかの件としましては、国産葉たばこの輸出の方面にも力を入れておりますが、これも価格の問題で限界がございます。そういうことでいろいろ問題もありますけれども、一層の使用の拡大ということには努力してまいりたいと考えておるところでございます。
〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/54
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055・宮地正介
○宮地委員 五十八年度末で過剰在庫が十二万九千トン、金額にして約二千九百億円、十三カ月分。この二千九百億円が五十七年度末には二千八百億であった。この一年間で百億くらい在庫の金額がふえたわけです。これは、今まで専売公社という公社制の中においてはいわゆる利益積立金という内部留保として、資産ということでプラスの働きという形で財政上は見られているわけです。しかし、この原資というものが大蔵省の資金運用部から出ているものですから、ある程度年度末ごとに処理をしていくわけですが、今度新会社、特殊法人となっていったときに、この二千九百億の過剰在庫の資金繰りといいますか資産というもの、こういうものが今後の経営の中で非常に大きなネックになってくるのではないか、こう大変危惧するわけでございます。こういう点について、新会社になったときに財源的な問題、財政上の問題、こうしたものをどう処理していくのか、この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/55
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056・岡島和男
○岡島説明員 現在公社が抱えている約一年分の過剰在庫に伴う資金的な負担が約二千九百億というのは、今宮地先生も言われたとおりでございます。
この二千九百億円は、最近公社の資金繰りが、年内は比較的よろしいわけでございますが、今度新会社になりますと税を納めるという形になってまいります。経過措置が講じられてはおりますけれども、その点についての負担というのがふえてまいります。したがいまして、この点につきましては、私どもとしては借入金にある程度頼らざるを得ないと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/56
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057・宮地正介
○宮地委員 結局借入金に頼っていくようになれば、これには必ず利息がついてくるわけです。ですから、今後経営の中でこの過剰在庫の対応というものが非常に大事になってくるのではないか。今までとは一味違いますよ。やはり経営の努力をしていかなければなりませんよ。
反面、このバックグラウンドが日本の葉たばこ耕作者ということで、皆さんとしては一つのサンドイッチみたいな形で非常に難しいと思うのです。そういう中でやはり一つの特殊法人としての経営の責任を果たすということを考えていきますと、このバックグラウンドに余りこだわってもいられない。そういう点でなかなか難しい問題でございますが、今後どういう御決意で対応されようとしておるのか。この葉たばこ耕作者との生産調整の問題、また経営努力との関係、これは非常に難しいと思うのです。私たちも大変心配しているわけなんですが、この点どういう御見解を持っているか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/57
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058・長岡實
○長岡説明員 御指摘のとおり大変難しい問題と受けとめております。
将来のことを考えました場合に、将来にわたって過剰在庫が発生しないような状態にすることが一つ。それからもう一つは、既に発生しておりますこの過剰在庫が、放置しておきますと金利その他の負担にもなるわけでございますから、これをどう処理していくかという問題、二つあると存じます。
現在の過剰在庫につきましては、先ほど私から御説明申し上げましたような過去の経緯を考えますと、農民の立場からの主張は、これは自分たちの責任で過剰在庫が出たわけではない、公社の経営の責任ではないかという声が大変強うございまして、私は、それ値それなりにもっともだと考えております。
そういう意味で、先ほど申し上げましたように、過剰分の国産葉をどれだけ使い込めるか、あるいは若干の赤字を覚悟の上でどれだけ国産葉たばこそのままの状態で輸出ができるかといったことについて、今後とも懸命の努力をしていかなければならないと考えておりますけれども、それにいたしましても、現在の過剰在庫の中で、今申し上げましたような公社の努力だけで完全に過剰在庫の解消ができるかどうか、率直に申しまして私ども自信があるとは申し上げられない状態でございます。
したがいまして、現在の過剰在庫のうち、公社努力によってもいかんともしがたい分をどうするか、また将来にわたって過剰在庫の状態が現出しないようにするために、どの程度の耕作規模を維持していくような方向で考えていくべきかといった大問題があるわけでございますけれども、これにつきましては先ほど「当分の間、」こということについて、将来の見通しが大変立てにくいということを率直に申し上げましたように、農民に対して協力を求める場合には、五十七年の大幅減反の経緯もございまして、耕作者としてはしわをすべて農業だけに寄せるのではとても協力できないという気持ちを大変強く持っておられることは事実でございます。
したがいまして、私ども、まず公社がみずからどれだけ合理化の姿勢を示せるかということを、現在真剣に詰めておる段階でございますが、そういったようなことを訴えて、はっきりと説明ができるように、できるだけの努力をいたしまして、その上で十分に耕作者の方々とお話し合いを詰めて、将来にわたっての耕作規模のあり方を求めていかなければならないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/58
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059・宮地正介
○宮地委員 もう一面、いわゆる外国からの葉たばこの輸入、それと国内の葉たばこの耕作者との問題。五十八年度は今お話がありましたように、七万九千トン外国の葉たばこを輸入しておる。葉たばこの輸入を昭和四十七年から今日まで見ておりますと、五十七年度は約七万八千トン、五十六年度が八万四千トン、五十五年度が七万一千トン、最近は大体七万トンから八万トンくらいが輸入をされておる。この外国の輸入葉たばこと国内産の葉たばこ、これは味の問題だとか、品質の問題だとか、嗜好によるブレンドの問題だとかいろいろあろうかと思うのですが、この外国葉たばこの輸入というのは、傾向として大体七、八万トンベース、この程度で今後も続くのか、この辺についての見通しはどのように検討されておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/59
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060・生平幸立
○生平説明員 原料の使用の今後の計画でございますが、販売数量がどうなるかということに大きく左右されるわけでございますが、今後販売の増が余り多く期待できない、大体横ばいかあるいは微減するか、そういう見通しの上に立って考えますと、全体の原料の使用量も減ってくるわけでございます。そういう中で外国から購買する葉たばこも漸減すると考えております。当面五十九年度、今年度の購買の計画では、前年度に比べまして約六千トンくらいは減るような計画でおります。年度の購買実績といいましても、先ほど七万トンから八万トンというぐあいにかなり振れがございますけれども、これは船が着くのが年度がずれ込んできたりというようなことで大きく振れておりますが、毎年使う数量としてはそう違いがございません。
ただ、外国の葉たばこにつきまして、香喫味と私ども言っておりますが、においあるいは味のいいアメリカ産のようなたばこあるいはオリエント地方の独特の香りのある葉たばこ、こういうものはたばこの味の中心になるものでございますから、余り減らせない。しかし、国産の葉たばこと競合するような葉たばこについては削減せざるを得ないか、こういうふうな考え方を持っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/60
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061・宮地正介
○宮地委員 外国の輸入葉たばこを使うには、そうした品質の問題と、もう一つ大事なのはコストの問題があるわけですね。国内葉たばこと外国産の葉たばこにはコストに大分違いがある。ですから、経営的に考えていけば、輸入葉たばこを、コストの安いもので品質のいいもの、さらに嗜好に合ったものを使っていけば、これはプラスであろう。しかし、先ほど申し上げたような国内産の葉たばこ耕作者のことを考えると、そうもむちゃくちゃにはできない。先ほど総裁少しお話ありましたが、国内産の葉たばこ耕作者に、品質のいい、改良された、そして消費者のニーズにこたえたような、そういったたばこもまた要求していかなければならない。さらに、それがなおコスト的にも見合うように努力していただかなければならない。両面非常に難しい問題があろうかと私思います。そういう中で、今後日本たばこ産業株式会社が調和をとりながら一つの目標に向かって努力していただく、それはぜひお願いしたいと思います。
そこで、特に国内産の葉たばこの耕作者の方々、私は先日も福島に行ってまいりましたが、異口同音におっしゃっていたのは基盤整備の問題、これを非常に強く求めておったわけでございます。この土地基盤整備事業については、農林水産省としても農政の一環として努力をしているようでございますが、今こうした専売改革の論議をお聞きになって、この葉たばこ耕作者に対する土地基盤整備事業については、今後農林水産省としても一つの目玉として対応して、国策としていくべきではないか。この改革を機に、この葉たばこ耕作者に対する思い切った対応をしていくべきではないか。全体的なマクロ的な面ではなくて、ある程度ミニマムで押さえて、こうした国策としての対応が必要ではないか、こんな感じがしているわけでございますが、農林水産省としての御見解、また専売公社としての一つの希望といいますか要望といいますか、その点についての見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/61
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062・小泉惠二
○小泉説明員 葉たばこは、我が国の畑作地帯における地域農産物として極めて重要な作物であるということで認識いたしています。このため、農林水産省といたしましては、葉たばこの生産農家の経営の安定化を図る観点から、日本専売公社等と連携をとりつつ、各種の事業または制度融資をずっと実施してきたわけでございます。
畑地の整備に関しまして、農業基盤整備事業にはいろいろなものがございまして、農道あるいは畑地かんがい用水を整備いたします畑地帯総合土地改良事業、あるいは排水改良等を行いますかんがい排水事業、あるいは畑地を造成いたします農用地開発事業等々の事業で、たばこに係る農業基盤整備事業も、これらの事業によって整備を進めておるところでございます。
今後葉たばこ生産の合理化、近代化を図ることがますます重要であるというように認識いたしておりまして、たばこ生産に係る農業基盤整備事業のより一層の推進を図るとともに、事業を行うに当たりましては大蔵省等と一層綿密な連携をとりまして、葉たばこの生産性の向上に努めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/62
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063・生平幸立
○生平説明員 土地基盤の整備につきましては、たばこ作の生産性向上を図るため極めて重要なことと考えております。しかし、農用地につきましては、たばこ作だけに利用されるものではございませんで、他作物も含めた農業経営全般に広く利用されるものでございますので、国、地方自治体等の土地基盤整備事業にゆだねてきているところでございます。したがいまして、公社としましては、農林水産省との連携を一層緊密にいたしまして、たばこ作用地を含めた土地基盤整備事業が推進されますように、積極的に働きかけていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/63
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064・宮地正介
○宮地委員 特に国内産の葉たばこのコストの一つの大きな課題が、乾燥に非常に時間がかかる。ここが農家の方々の非常な御苦労の点でございますが、こうした乾燥施設の問題については、農林水産省といたしましても、第三期の山村振興農林漁業対策事業の一環として、経営近代化施設整備、こういうことの中に一つは入っているようでございます。また共同利用機械施設の問題の中にも、新地域農業生産総合振興対策事業のうちの特産畑作総合振興対策事業、こういうことで、一つの全体的なマクロの中ではとらえているようでございますが、乾燥施設の問題あるいは乾燥に時間と手間が非常にかかる、この辺の改良といいますか、こういう点についても、農林水産省はもちろんでございますが、専売としてももう少し突っ込んで対応してあげるべきではないか。私はこう感じたわけでございますが、この点についてはいかがでしょうが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/64
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065・生平幸立
○生平説明員 ただいま御質問のございました葉たばこ乾燥施設につきましても、専売公社としまして、品質改善高能率生産施設整備事業ということで補助をしているところでございます。その場合の基準がございまして、受益面積が黄色種の場合は二ヘクタール以上、在来種とハーレー種の場合は一ヘクタール以上必要というようなことでございますが、補助率もその投資額の二分の一以内ということで実施しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/65
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066・宮地正介
○宮地委員 時間も限られておりますので、それでは次に喫煙と健康の問題について少しお伺いをしておきたいと思います。
まず今回の改革につきまして、諸外国と日本のたばこの事情はいろいろ違うと思いますが、特に日本の場合はニコチン等の表示が明確にされておらないわけでございます。特にアメリカなどは、七一年四月に米連邦通商委員会、FTCですか、こことたばこメーカーとの自主的協定によりまして、広告にニコチン、タール量を表示する、こういうようなことをされておりますし、ヨーロッパ各国においても、この点についてはイギリス、ドイツ、フランス、オーストラリア、スウェーデン、カナダにおいてもそうである。この点、今後我が国においても、こうした世界的な一つの健康問題というものを考えていったときに、ニコチン等の表示について検討すべき段階に来ているのではないか、こう思いますが、この点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/66
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067・丹生守夫
○丹生説明員 お答えを申し上げます。
現在、たばこの包装にニコチン、タールを表示するかどうかというような議論をいろいろいただいておるわけでございますが、私どもかなり以前から、たばこの販売店の店頭でニコチンとタールの各銘柄別の一覧表を掲示しておりまして、それによって消費者の皆さん方に周知できるような形にしておるわけでございますが、この包装に表示するとか、あるいはいろいろな表示のやり方につきまして、各国それぞれの事情によりまして異なった方法がとられていることは事実でございます。
私どもといたしましては、例えば銘柄ごとに一つの包装に表示をするということにつきましては、ニコチン量とか、タール量というものは実は全体の平均値を銘柄ごとにとりまして、銘柄ごとに全体の平均値を表示しておるものでございますから、それが一つの包装の中に含まれているたばこの絶対量ということでは必ずしもないわけでございます。そのような点で誤解を受けるというようなこともございますし、むしろいろいろな銘柄の間でニコチンとタールの量がどんなぐあいに変わっているかということを一覧して比較できるような形でごらんいただいて、消費者の方々が御自分でお好みの銘柄を選択できるような形が最も望ましいのではないかということで、現在実施させていただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/67
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068・宮地正介
○宮地委員 ドイツなんかも七六年以降、ニコチン、タール量をたばこの外箱に有害表示をしている。またフランスなどにおいても、法律によりましてたばこの外箱にニコチン、タール量を表示する。今、先進欧米各国においても、このニコチン、タールの表示ということが非常に真剣に行われているわけですね。日本は確かに文言の表示としては「健康のため吸いすぎに注意しましょう」、こうした文言の表示をしておるわけでございますが、こうした問題は、御存じのようにアメリカなんかは七〇年から公衆衛生総監が、「喫煙はあなたの健康に危険がある」と決定して、外箱に表示を義務にさしておる。イギリスなどは七七年に政府が業界との合意で、著しく有毒であるという、非常にすごい——そこまではどうかと思いますが、そうした文言の表示は各国やっておる。
日本もおくればせながら現在やっておる。このニコチン等の表示だけが、日本がこの問題で非常に慎重になり過ぎているのではないか、こんな感じがするわけでございますが、この点について総裁、難しいことじゃないのですが、やはり健康という面も考えていったときに、このニコチン等表示の問題も、一つの時代の流れではないか、こう思うのですね。その点でやはり前向きに検討する時期に来ているのではないか、こう思うのです。この点について、総裁としての御見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/68
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069・長岡實
○長岡説明員 御指摘のように、たばこの箱に表示をする仕方は各国各様でございます。我が国よりも大変きつい表現をとっておる国もございます。
私どもの現在の表示は、昭和四十七年でございますか、やはりこれは国会でいろいろと御論議をいただきまして、それを受けて審議会において取り上げ、専門家による検討を重ねた結果、今日のような結論に至っておるわけでございます。しかもそれが相当程度定着しておるということで、現在私どもは、一方において、先ほど担当理事から申し上げましたように、ニコチン、タールの量が一覧してどのたばこにどの程度入っているかということが比較しながらわかるようなステッカーを小売店に張らせて、たばこを買いにいらっしゃる方がその中から選択できるようにするような配慮もしながら、文言については、現在の文言をもう少し続けてまいりたいというのが率直な意見でございます。しかし、私どもとしては、外国の情勢も見ながら、常に検討は続けていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/69
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070・宮地正介
○宮地委員 厚生省、この点について厚生省のお立場から、現在の喫煙と健康という問題についてどういうようなデータを持っているか、また、こうした具体的な、国民に対してのニコチン等表示について、厚生省としてはどのような考え方を持っておられるか、ちょっと見解を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/70
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071・松田朗
○松田説明員 お答えいたします。
厚生省のたばこ、喫煙に対する考え方でございますが、やはり喫煙というものは健康に対して好ましくないのではないかという立場をとっておるわけでございます。したがいまして、喫煙の健康に与える影響等に関しましては、十数年来いろいろな形で研究を進めてまいっておるわけでございます。例えば、がんの疫学的研究という観点から、肺がんとたばこ、喫煙との関係がどうであろうか、あるいは妊産婦がたばこをのんだ場合に、その母親自体あるいは生まれてくる子供に対してどういう影響が出てくるのだろうかとか、あるいは最近問題になっております受動喫煙でございますが、たばこをのんでいる本人以外の方に対しても影響があるのじゃないだろうか、こういうような幾つかの研究を進めておりまして、やはり健康上いろんな影響があるというようなデータをつかんでおります。一方、外国でも、特にWHOが折に触れでいろいろな勧告等を、あるいはデータを公表しておりますので、そういうものを入手しておるわけでございます。したがいまして、こういうふうな情報、データを、特に私どもは広く国民に普及、啓蒙する観点で、健康教育の観点から十分に生かしていきたいと思っております。
後半の御質問の表示の問題についてでございますが、これは私どもとしましては、今のような考えを踏まえまして、大蔵省等関係者の方々と御相談して、適当な表示にしていくべきだというふうに考えておるわけでございます。
〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/71
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072・宮地正介
○宮地委員 さらに、いわゆる広告規制あるいは喫煙の制限の問題ですね。この広告規制についても、日本はテレビで人気俳優を使ってどんどん宣伝中。雑誌、週刊誌などにも、カラーでイメージ広告を強力に推進している。アメリカなんかは逆に、七一年以降、法律によってラジオ、テレビの広告を禁止する。イギリスなんかも六五年以降、民放でも広告禁止。
今回のこうした改革によって、製造たばこの輸入の自由化ということになってきますと、アメリカや何かの大きな企業にとりましては、日本の約三千万の消費者、日本の今のこうした状況を見ましたときには、まさに願ってもない大変な状況なわけです。
改革案の中でも、広告については非常に規制を盛られておりますが、こうした広告規制の問題あるいは喫煙の制限の問題につきましても、我が国では新幹線あるいは特急車の自由席に一両の禁煙車。国立病院の待合室は禁煙でありますが、その他の公共の場所ではほとんど制限がないという実態であります。しかしアメリカなどでは、劇場、映画館、デパート、公共輸送機関ではほぼ禁止をされておる。三十以上の州で、喫煙制限に関する措置を立法化しておる。こういうふうに喫煙制限の問題についても、まだまだ日本の場合は欧米各国に比べまして非常に弱いという感じがするわけです。
私は、広告規制、喫煙制限の問題についても、決して消費の停滞をあおるという意味でなくて、やはり健全な形の経営、また国民に対する健康と喫煙というものに、この改革を機に、専売公社としても今後もっと積極的に取り組んでいくべきではないか、余り消費の停滞をあおるんだというような観念でおどおどしておりますとかえってマイナスになるのではないか、健康と喫煙という問題については国民に言うべきことは言う、表示すべきことは表示する、また制限すべきところは制限する、やはりこういうめり張りのはっきりとした対応が必要ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
また、私ども公明党は、特に矢追先生を初め、製造年月日をたばこの外箱につけるように主張して、衆議院では私もやりましたが、参議院では矢追先生ということでこの実現をやらせていただいたのですが、今度入ってくるたばこはどうも外箱の製造年月日は嫌っているようだ。聞くところによると、何か貿易摩擦になるんじゃないかということです。ところがワンカートンの箱には製造年月が書かれていて、小売店ではわかるようになっているけれども、消費者はなかなかわからぬ。こういうような状態にあるようでございますけれども、私はこうした問題も含めて、この健康と喫煙という問題についてはもっともっと積極的に取り組んでいくべきである、こう思います。時間もありませんが、広告規制の問題、喫煙制限の問題、外国たばこの製造年月日のいわゆる義務化の問題、こうしたものについてはどのように対応されようとしているのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/72
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073・長岡實
○長岡説明員 広告宣伝等の問題につきましては、細部にわたりましては担当理事からお答えを申し上げますけれども、基本的には御指摘のように、アメリカあたりではテレビやラジオの宣伝は法律で禁止されておる。しかし一方、法律で禁止されていないものにつきましては大変活発に広告宣伝をやっておりまして、広告宣伝費の絶対額で申しますと、私どもと比較した場合にはけた違いの金額を投じております。
我が国といたしましては、外国から入ってくるものまで含めまして、現在は一種の自主規制方式で、ラジオやテレビの広告が法律で禁止されておりません反面、しからば野放しにどこまでもやっていいかと申しますと、それは一つの限度を設けまして、自主的に規制を行って、節度ある広告宣伝に努めるようにいたしております。基本姿勢としてはそういう姿勢を維持し、また外国から入ってまいりますものにつきましても、私どもの自主規制の線に協力してもらうように現在もいたしておりますし、今後もそのようにやってまいりたいというふうに考えております。
なお、たばこの箱への製造年月日の表示でございますが、日本に入ってまいります輸入たばこにその製造年月日を義務づけるということは、御指摘のように、やや大げさに申しますとノン・タリフ・バリアであるといったような、貿易摩擦の種にならないとも限りません。と申しますのは、そういう表示をやっておりますのは御承知のように我が国だけでございますので、その点を強制することはいたしかねると思います。しかし、考えようによりましては、将来輸入品と国内市場で競争していく場合の、私どもの一つのセールスポイントになり得る、日本のたばこは製造年月日がはっきり表示されておるという利点も持っておるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/73
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074・森宗作
○森説明員 お答えいたします。
広告宣伝に関しましての規制の問題でありますが、先ほど総裁から話をいたしましたことに若干補足をさせていただきます。
この喫煙と健康の問題、また未成年者喫煙防止の問題、こういったものに対しましての社会的な動向というものを踏まえまして、私ども昭和四十四年から自主規制を行ってまいっております。
なお昭和五十六年度から、外国たばこメーカーも国内におきまして広告宣伝等の活動を行うということになりました際に、従来の自主規制というものを踏まえまして、内外に共通に適用する基準というものを設けまして、外国メーカーの合意を得て実施をいたしてまいっております。
内容としましてはいろいろございますけれども、主なものを申し上げますと、一つにはテレビ、ラジオにつきましては新製品に限定をして行うということでございます。また広告宣伝は、私どもはマス四媒体というふうに言っておりますが、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、これにつきましては各社の販売実績に応じまして一定の許容枠というものを設けまして、この範囲の中で実施をしてまいっております。特にテレビにつきましては、さらにその中の三分の一ということに限定をいたしております。
このほか未成年者、女子の喫煙の問題ということから、主として未成年者、女子を対象とします刊行物には広告を行わない、あるいは未成年者のアイドルになっておりますようなモデルは使用をいたさない。そのほかテレビについては、主として未成年者が視聴する時間帯には広告を行わない。こういうような一連の規制を行ってまいっておるわけでございまして、今後この会社発足後におきましても、従来の自主規制というものの上に立ちまして、たばこ事業法四十条の精神にのっとりまして配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
なお、公共の場所でございますが、これにつきましては先生の御指摘のように、法律によりまして、あるいは業界の自主規制ということでの制約というものがあるわけでございます。私どもでは、この問題につきましては、たばこを吸う方と吸わない方との調和ということを考えまして、こういう公共施設あるいは公共輸送機関の管理をされる方々が、その利用実態なり利用目的というものに応じての御判断によって、いろいろの御施策をいただくことが適当ではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/74
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075・宮地正介
○宮地委員 最後に、大蔵大臣に、健康と喫煙の問題について、大臣としての御見解を伺って終わりにしたいと思うのです。
アメリカは、既に、御存じのように、喫煙は肺がんや心臓病を引き起こすといったような非常に厳しい四通りの警告を、たばこのケースや広告に明示するような、そうした義務づけを行う法案が、米下院エネルギー委員会に出されて、全員一致で可決をされた。こういう状況もあるわけでございまして、やはり、売る方のセールスポイントはもちろん大事でありましょうが、健康と喫煙という問題も、これからの二十一世紀に向けましても、日本も非常に太事な段階に来たと思うのですね。そういう点で、日本が世界の先進国として、経済面などいろいろな面でさらにリーダーシップをとっていく中に、人間生命の尊重、こういう立場から考えていったときに、この喫煙という問題もおろそかにできないと思うのであります。
そこで最後に、大臣はこの問題についてはどのような見解を持っているか、伺って終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/75
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076・竹下登
○竹下国務大臣 喫煙と健康ということになりますと、統計学的に、あるいは疫学的にいろいろな議論がなされておることは私も承知しております。
私も、ヘビースモーカーとまではいきませんが、真ん中ぐらいなスモーカーでございますけれども、今回といい、また昨年、たばこの納付金というような一連の審議をしていただいたときにも、この問題が出ますと、私自身の喫煙量が、たばこの法案がかかっておる限りにおいては、これは結果でございますけれども、一日大体半分ぐらいになっております。したがって、これはやはり非常に関心を持って事に当たらなければならぬ問題だと。
しかし、それは人それぞれの、また体質なんかもございましょう。おまえはどう思うかとお聞きいただきますと、観念的な理解はありますけれども、現実どうするかということになると、実際、どうしたら一番いいかな、宮地さんにまたもう一遍聞いてみなければいかぬな……(宮地委員「具体的なそういう流れがあるのだから」と呼ぶ)こんな感じがするぐらい、私自身きちんと整理しておるわけではございませんが、世界的な流れというものもやはり十分念頭に置くべき課題だという認識は持つべきだろう。承りながら、そのような印象を素直に申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/76
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077・瓦力
○瓦委員長 午後一時より再開することとし、休憩いたします。
午後零時三分休憩
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午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/77
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078・瓦力
○瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。米沢隆君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/78
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079・米沢隆
○米沢委員 私はまず、塩専売事業の問題を片づけまして、後ゆっくりとたばこ関連法案に移りたいと思います。
ただいま提案されております塩専売法案は、今回の日本専売公社の改革に伴い、塩専売事業を、塩専売制度の基本的な枠組みを維持した上で、事業の実施主体を公社から新法人に変更するための措置、塩田製塩を前提とした現行塩専売法の諸規定を、時代の変化に即応するよう見直し、改廃を行うこと、並びに塩産業の基盤を強化するための諸措置を講ずる等々の改正がその内容でありますが、従来の塩専売の基本的な枠組みを維持するということでありますから、制度そのものにそんなに大きな変革はないわけです。しかしこの際、本法案に関連いたしまして、今後の塩専売事業の基本的な方向や本法案の改正点に対する問題点等につき、当局の見解をただしてみたいと思います。
まず第一に、今後の塩専売事業の政策の基本的な問題から入らせていただきますが、御案内のとおり、我が国の塩を取り巻く問題の第一は、海外主要国と比べて異常に国内自給率の割合が低いということだと言われております。確かに主要諸外国における塩の需給状況を見ますと、自給率はほぼ一〇〇%に達しておりますが、低いところでもアメリカの九二%、イタリアの九八%ぐらいのものですから、日本の約一六%の自給率、食料用塩だけの自給率を見ましても、約七〇%ぐらいの自給率というのは極端に低い数字でございます。これは、我が国が岩塩や天日塩等に恵まれない立地条件もありましょうが、ナショナルセキュリティーという観点からは、やはり大きな問題の一つであろうと考えます。
第二に、今我が国は自給の不足する部分を海外から輸入をいたしておりますが、我が国の輸入先にも、資源ナショナリズムの台頭や塩田労働者のストライキの多発等々で、安定的供給に保証はないというようなことも言われておりまして、それゆえ、近年政府、公社が一体となって堅持してきました方針、すなわち、最小限食料用塩の需要量程度のものは国内生産により確保することが望ましい、したがって、これを経済的に可能にするためには、国内塩の価格を早急に国際価格水準に接近させ、国内製塩業の自立体制の確立を図っていく必要があるという政策方針は今後も堅持すべきものだと考えます。
このような観点から、まず最初に大臣に御見解をお示しいただきたいことは、我が国の塩の自給率向上対策の問題と、それを図るための国内塩産業の自立体制の確立という問題に対して、政府は現在どのような基本姿勢を持っておられるのか、また、今後どのような方針でこれら問題に対処されようとしているのか、将来展望を踏まえて、今後の基本的な努力目標をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/79
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080・竹下登
○竹下国務大臣 塩の自給率、まずこれからお答えをいたしますが、確かに、天然資源、気象条件、これに恵まれません我が国においては、ソーダ工業用塩まで含め完全に自給することには、経済合理性からいっても無理がございましょう。塩が国民生活の必需品であることにかんがみますならば、最小限食料用塩の需要量程度は国内生産により確保することが望ましい。まさにおっしゃったとおり、ナショナルセキュリティーの問題からしても、私もそのような考え方を等しくいたしております。
そこで、塩専売事業のあり方としましては、塩の需給及び価格の安定、これを確保しますとともに、あわせて国内塩産業の基盤を強化して国民生活の安定に資することを目的とする改正、塩専売法第一条の目的にそのように書かれてございますが、この閣議決定あるいは臨調答申等におきましても、国内塩産業の自立化を達成することが当面の最優先課題である、引き続き公社初め関係業界の協力を得ながら、自立化の達成に向けてこれからも努力を続けていかなければならぬ、毎年その価格決定等の際におきましても、そういうことを念頭に置きながら、関係方面と協議をしながら今日に至っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/80
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081・米沢隆
○米沢委員 この自給率の問題に関連しまして一言だけお伺いしておきたいのでありますが、今我が国は御案内のとおりメキシコ、オーストラリア、中国の三カ国から塩を輸入しておりますが、今後我が国の自給率が自立体制の確立に伴って上昇していった場合にも、輸入先の国との関連で、我が国の立場としては将来ともにある程度の塩はそこの国から買わざるを得ないというような立場にあるのかどうか。言葉をかえれば、塩の国内製造コストが下がっていって分輸入塩と競争して、今輸入されてくる塩のシェアを食ってしまって、結果的には一〇〇%食えるぐらいのものになってもいいのかどうか。輸入先国あたりは、かなり政府が関与したり介入したり、あるいはこちらからの開発輸入的なものもあると聞いておりますので、やはり塩そのものはある程度外国から買わざるを得ないような品物なのか、それとも一〇〇%国の製塩業界が食ってしまっていいものなのか、そのあたりが第一点。
それから第二点は、現在もう少し塩を買ってくれというような輸入圧力的なものがかかってきておるものかどうか。この問題について御答弁賜りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/81
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082・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
第一点の、今後国際競争力がついた場合に、輸入塩を全部食ってしまうのかということに絡んだ御質問かと思いますが、ただいまも大蔵大臣からお話がございましたように、食料用塩をできるだけ自給いたしたい。と申しますのは、輸入塩価格に対しまして——そのまま輸入原塩を使う分野がございます。主にソーダ工業用あるいはしょうゆの第一次的な使い方あたりは輸入原塩がそのまま使われるわけでございます。したがいまして、輸入原塩に対抗できるほど国内製塩のコストを下げるのは、現在の技術では大変難しかろうと思います。そういうことで、現在国内食料用の自給を図るべく努力をいたしておるところでございますので、こういう努力が実りまして国内食料用の自給が達成できたといたしましても、輸入塩分野について申し上げますと、現在輸入塩分野の中で食料用に使われている部分の、いわゆる価格競争力がついた部分について、おっしゃるとおりに輸入塩分野が縮小するかと思います。しかし、総輸入原塩の使用量の大半でございますソーダ工業用と、それから一部の分野については、当分そういう輸入原塩分野を縮小するということにはならないのではなかろうかというふうに見ております。
それから、そういうことで第二の御質問でございます外国からの圧力はないのかというお話でございますけれども、現在、先生おっしゃるとおりにメキシコ、オーストラリア等は日本が開発輸入いたしているところでございますが、特段に今申し上げましたような、ここ数年の間にそういう輸入原塩分野を食うほどの状況にございませんので、そういう意味では圧力があるという状況にはまだ至っていないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/82
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083・米沢隆
○米沢委員 そこで、今少しく我が国の塩製造に関する歴史を振り返りますと、我が国の塩生産は昭和四十年以降塩田からイオン交換膜による生産に逐次転換をし、昭和四十七年に全面転換を完了、自来全量がイオン交換膜方式による生産となっております。この製法の転換は、労働集約型農耕的製塩法の行き詰まりを工業的な生産方法にかえることによって抜本的に解決を図ったものでございまして、製塩事業の自立化を目指す我が国の塩業政策にとっては画期的なものであったと考えてもいいと思います。これにより塩の安定的な国内生産の確保への道が開かれることになったと言っても過言ではありません。また、その結果、我が国は世界で最も安価な食塩を一般家庭に供給することが可能となったと言っていいと思います。
さて、こうした経緯の中で我が国の塩の自立化体制、すなわち国内塩価格の国際価格水準の達成を目標として、昭和四十六年度以降公社が合理化目標価格を設定し、製塩コストの低減を図ってきたわけであります。御案内のとおり、二度にわたるオイルショック等ではいろいろと壁にもぶち当たりましたが、今改めて昭和五十六年末の塩業審議会の答申に基づいて、五十七年度以降再度製塩コスト低減のための努力がなされつつあるというのが現状だと認識をさせていただいております。そこで、この塩業審議会答申の中の、当面五年後に達成すべき目標価格は、現在トン当たり一万七千円であるというふうに聞いておるわけでありますが、この際お聞かせいただきたいことは、この目標達成のために今どのような行政指導が行われつつあるのか。同時に、当時からして五年後ですから、すなわち昭和六十一年度においてこれを完全にクリアできると聞いておるのでございますが、公社の見解を簡単にお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/83
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084・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
先生おっしゃられるとおりに、当面の目標価格水準に向けて、現在製塩各社が大変な合理化努力をいたしております。この合理化努力の中身といいますか、大きな柱といたしましては、一つはいわゆるイオン交換膜の新しい技術が開発されまして、そういう新膜新電槽をいかに早く導入するかということで、各社がかなり早急に入れかえを図っております。各社別にはかなりの差はございますけれども、平均して申し上げますと約七〇%程度の転換ということになっている次第でございます。
それから、いま一つ大きな柱といたしましては燃料転換の問題でございます。従来重油を使ったボイラーを現在石炭専焼のボイラーに切りかえるとか、あるいはPC、DCのボイラーに切りかえるといったようなことで、各社が取り組んでまいっております。その状況も各社ごとにかなり違いがございますけれども、大体本年度中に全部達成といいますか、燃料転換が終わるのではなかろうかというふうに見ております。
それで、第二の御質問でございます、そういう合理化をやることによって六十一年度目標水準を達成するのかということでございますが、私どもの方といたしましては、こういう合理化が進められますと、各社の製塩コストが急速に下がりまして、目標価格水準を十分達成し得る、可能であるというふうに見ている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/84
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085・米沢隆
○米沢委員 今の御答弁では、いわゆる合理化努力が実って、最終的には六十一年度でトン当たり一万七千円という合理化目標をクリアできるという御答弁でございました。ということは、その時点において、少なくとも我が国の塩製造業においては、輸入塩と対抗できる状況になると思っていいわけでございますから、少なくとも製塩業については、自立化の大部分の条件がかなえられたというふうに理解をしてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/85
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086・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
一万七千円というお話が出たわけでございますけれども、塩業審議会の答申では、いわゆる輸入塩価格、特に食料用として使われる場合を想定いたしますと、輸入塩自体はかなり粒子が荒っぽくて、そのままではとても食料用というわけにまいりませんので、少なくとも粉砕程度はやらざるを得ないだろうというようなことで、輸入塩に粉砕塩コストというものを加味した金額までに国内製塩のコストが下がれば、食料用塩分野のうち大半の自給が可能であるということで、そこに向かって努力をいたしなさい。ただ、そういう遠い将来、いわゆる先ほど申し上げましたような合理化を重ね、最大限の努力をしてまいりますと、そこまでは達成可能である。しかし、年数はかなりの期間がかかるのではなかろうか。したがって、当面五カ年程度の先を見越してそこへ一つの柱を立てて、その五カ年程度先の目標に向かってとりあえず努力していったらどうか、こういうことでございまして、そういう御提言をいただきまして、私ども五十七年からそういう施策を具体化したわけでございますが、先生おっしゃられるとおりに、五十七年から五年後ということで、六十一年度を当面の目標といたしまして試算いたしましたのが今一万七千円でございますけれども、その試算の内容は、今申し上げましたような究極的な競争価格ではなくて、やはりある程度達成可能な価格でなくては合理化努力も実行できないというようなことで、関税相当分二〇%というものが試算の中に入っておるわけでございます。
そういうことで、輸入塩コストプラス関税相当二〇%プラス粉砕塩コスト、こういうことで一万七千円という数字が出てまいったわけでございますが、そういうことで一万七千円といいますか、六十一年度の目標達成という意味は、関税相当二〇%が加味されているわけでございますので、その当面の目標である六十一年度の価格水準を達成したから直ちに競争力を持つという状況にはないわけでございます。まだ二〇%相当のアローアンスといいますか、余裕といいますか、そういうものがこの中には入っておるわけでございますので、この二〇%を将来どういうふうに縮小していくか、そして先ほど申し上げましたような輸入塩コストプラス粉砕塩コストというところで、本当の意味での競争力がつくということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/86
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087・米沢隆
○米沢委員 ということは、今の一万七千円という価格は、当面六十一年を目標にした努力目標であって、一万七千円を達成したからといって即それは競争価格ではない。競争価格というのは一体どういう考え方から出てくるものなのか。
同時に、今一万七千円の算定基礎として、いわゆる粉砕塩コストプラス関税分の二〇%、したがって二〇%分も何がしか引かないと競争価格にならないような話でございましたが、塩は関税がゼロになるようなことを考えておられるのですか。少なくとも関税が将来にわたってかかるとすれば、粉砕塩コストプラス関税分を足すというのが本当は競争価格じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/87
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088・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
現在、塩は専売物資ということでございまして、関税はかかっておりません。そういうことで、先ほど来関税相当といったような言い方で、いわゆる産業保護政策として関税政策があるわけでございますが、そういうものを想定しながら私どもの方は現在政策を遂行しているということで、現実問題といたしまして、関税がどうなるかということにつきましては、現在専売物資としての関税がかかっておりませんので、これが完全に自由化されまして、関税をどうするかという問題は、その時点においていろいろ問題になろうかと思いますが、現実、現状におきましては、関税というものほかかっていないというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/88
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089・米沢隆
○米沢委員 先ほど私の発言にちょっと誤解がありましたが、今財政物資として塩には関税がかかっていない。将来競争価格を設定する場合には、関税がかかるかもしれないということも考慮に入れて価格を設定をし、それと対等にやれるような国内の製塩コストでないとだめだ、こういう発想に立っておられるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/89
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090・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
私ども、将来の競争力を持つ場合のいろいろな条件を想定して自立化への努力をやっているわけでございますが、今先生御指摘の関税問題をどう考えるかということは、やはり私どもといたしましては、いろいろな諸外国のいわゆる塩に関する関税がどうなっているかというようなことも勉強しながらやってまいらなくちゃならないというふうに思っております。
塩に対する関税につきましては大変区々でございまして、非関税のところもございますれば、若干関税をかけているところもございます。ただ、我が国の置かれている状況から見まして、私どもの方はやはり将来的には関税がなくても競争できる、そういういわゆる体質強化はぜひこの際図っていきたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/90
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091・米沢隆
○米沢委員 ということは、昭和六十一年に一万七千円の目標をクリアした後、新たにまた合理的な目標を設定して、少なくとも関税分を引いて目標価格を設定するというようなことを、あと一段階考えようという腹であるということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/91
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092・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
塩業審議会の御提言をいただきまして、五十七年度から五カ年計画ということで現在合理化政策を遂行しているところでございます。五カ年ということで六十一年度が当面の目標ということで進めてまいりましたが、六十一年度といいますのはついすぐそこに来ているわけでございます。私どもの方も、塩業政策を実施していくにつきましては、やはり先々を見ながら過ちのない方向で施策を進めていく必要があろうかと思っております。そういうことでは、六十一年度というのはもう二年後の話でございますので、やはりその先を見通した今後のあり方といったようなものを、この際検討する必要があるのじゃなかろうかというふうに思っております。そういう意味では、やはり六十一年度以降どうだという、いわゆる関税は考えないのかとか、そういったような御議論あろうかと思いますが、そういうものを一切含めまして、今後のあり方について検討してみたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/92
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093・米沢隆
○米沢委員 六十一年までに一万七千円は、現在の技術を網羅して何とかして達成しようという企業努力をされている。その中でも技術的にはPC専焼とかDC専焼というように、技術的に問題があることもちょっと聞いておりますが、公社がいわゆる五社三十万トン体制というのを掲げておどし散らすものだから、びっくりして、やれますよという計画になってきて、しゃにむに今頑張っておるというのが実情だろうと思います。
それはそれでいろいろと御努力をなさいますでしょうから、六十一年に一万七千円は達成できると思いますが、その後、今おっしゃったように、もう一段階厳しい合理化目標をセットするような話。これは塩業審議会マターだと思いますが、そこらに諮って決められる場合、本当に技術的についていけるのかどうか、そのような見込みについてはどういうふうに思っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/93
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094・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
先生おっしゃられましたように、各社が非常な知恵と努力でもって合理化を進めてまいっております。今回自立への筋立てといいますか、こういう技術のという意味で、先ほど申し上げましたような新膜新電槽というイオン交換膜の新しい技術開発あるいは燃料の転換といったようなことを織り込みながらやっていけば自立への道が開かれる、展望があるということで進めてまいっておりますが、私どもの方も、単にそういう着実な技術の上に立ってやるしか実態として動かないものでございます。
PC、DCについて、技術開発の面で若干問題があるというような先生の御指摘、私どもの方もそういう話も聞かないわけではございませんけれども、新しい発想に立ちまして、今後の施策を検討する場合には、私どもの方といたしましては現実の技術がどの程度まで開発されているのかといったような、足が地についたやり方でないと、空理空論でどんな努力も実らないわけでございますので、当然現実の技術の開発状況といったような問題を詰めながら、今後の方策のあり方について検討すべきものというふうに思っております。
塩業審議会マターだというお話がございましたけれども、塩業審議会の中の先生にも、そういう技術の面での権威の方もお入りいただきまして、私どもの方としてはこの技術を単なる空理空論ということではなくて、実行上やり得るといったような面を検討しながら、今後の政策のあり方というものを詰めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/94
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095・米沢隆
○米沢委員 ここまでくると、技術そのものがどれだけ進展するか、合理化目標がどこまで下げられるか、厳しくできるかというものとは相対関係にあるだろうという感じがします。そうなれば、結局、輸入塩が一体どれぐらいに推移するかという問題との絡みが非常に大事になってきます。もし輸入塩がどんどん下がっていくならば、これは自立化体制できないのかもしれません。しかし、輸入塩がある程度現状維持し、あるいはちょっと上向くような状況であれば、対等に対抗できるようなコストをつくるために努力しろというのもまた整合性が出てくるだろう。そこらを一体どういうふうに考えておられるのか。ですから、輸入塩の今後の価格についてどういうふうな見通しを持っておられるのか。それから、その見通しの上に立って、もし競争価格というものがあるとすれば、アバウトで結構ですから、一体どれぐらいのものが努力目標の数字になるのか、このあたりをちょっと聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/95
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096・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
輸入塩の将来展望のお話でございますが、我が国が輸入いたしております輸入塩の産地はメキシコ、オーストラリア、それと中国でありますが、輸入塩の大半はソーダ工業用でございます。したがいまして、ソーダ工業の好不況にかなり価格が左右されてきているという現状が一つございます。
それからいま一つは、先生おっしゃるとおりに資源ナショナリズムでございまして、輸出国としてはできるだけFOB価格を上げたいという強烈な意欲を持っております。そういったようなことで、ソーダ工業界の不況によりまして、価格は平均して申し上げますと大体横ばいというような状況でございますが、ここに至るまでには、オイルショックというような経済条件の変動がございまして、かなり急速な値上がりを示してまいっておりましたけれども、ここ一、二年、ソーダ工業界の不況を反映いたしまして横ばい状況にございます。しかし、全体として達観して申し上げれば、今後のフレートの問題等もございますが、若干上向きといいましょうか、そういう方向に行くのではなかろうかというふうに、私個人は見ている次第でございます。
そういうことで、第二番目の御質問でございます、一体製塩コストが幾らまでいけば競争力がつくのかという数字でございますけれども、これは具体的に、今までは総論として大体の目標を定めて、六十一年度に向かって努力してまいったわけでございますが、いよいよ軟着陸といいますか、そういう状況に入ってきますと、細かい計算をする必要があるんじゃなかろうかというふうにも思っております。そういうことで、達観してということでございますけれども、今のままどういうコストと言われましても、ちょっと言いづらいといいますか、そういう感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/96
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097・米沢隆
○米沢委員 そういう事情はよくわかるのでございますが、問題は、製塩企業は一体どこまでコストを下げたらいいのか、どこまで合理化をやっていったらいいのか、そこらはある程度めどを持たないと——ある程度のめどがわかれば、そこぐらいまでは努力によってできる、技術がまだ追いつかないところでももっと技術を開拓してできるだろう。ところが、技術を幾らやっても、もうギブアップせざるを得ないというような状況の目標だったら、今追い込むこと自体がいいことか悪いことかぐらいのことは本当におわかりだろうと思うのです。そういう意味で申し上げておるので、再度そのあたりを含めて話をしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/97
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098・友成豊
○友成説明員 先生おっしゃられますように、現在の技術でどこまで合理化が進められるのか、その究極は競争力を持ち得るのか、こういう御質問かと思いますが、五十六年の塩業審議会にお諮り、した段階での当事の試算で申し上げますと、いわゆる新しい膜への転換、燃料転換、あわせましてそういうものをフルに活用する努力といいますのは、規模アップといいますか、そういったものも織り込んでいけば十分に輸入塩コストにプラス粉砕塩コスト、いわゆる関税相当の部分がない金額でございますが、その辺には到達可能である、こういう数字は出てまいっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/98
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099・米沢隆
○米沢委員 そういうことで出てきたのがいわゆる五社三十万トン体制というものですね。ところが、当初一万七千円をセットしたときには、今おっしゃったように、少なくともスケールメリットを追うような、結果的には五社三十万トン体制になったら一万七千円は達成できるだろうというのが当初の皆さん方の考えの中にあったはずだ。ところが、規模拡大をしなくても、技術的に一万七千円は達成できますよと答えてきておるのが今の状況ですな。私は、頭の中で考えれば、スケールメリットまで入れて五社三十万トン体制にした方が、長期的にはコストは下がるであろう。それはよくわかりますが、今七社が五社になるということは、二社つぶれるということですな。それは国際競争力に耐え得るように製塩コストを下げていかざるを得ない。そのゆえに、一生懸命に必死の努力をしておる。しかしながら、それに加えて、今度は五社でなければいけないなんということでまた追いかけ始めたら、二社はつぶれろ、自立化体制のために二社は泣いてくれという議論になってきて、頭の中でそうクールに、五社体制が一番ベターであるというように割り切っていけるようなものではない。もっとどろどろしたものを持っておるような気がするのですね。一体五社三十万トン体制というのはどういう考え方から出てきたのですか。
例えば、投資も三十億とか四十億と要るでしょう。そうしたら金利が要り、減価償却費が要る。それは投資した後の早くても五、六年先、十年先くらいにはコストが下がっておるかもしれませんが、そこに至るまで金利と減価償却に悩まされる。三十億、四十億という金を集めてこなければならない。そのあたりは一体どういうふうに理解されておるのですか。最終的な、理想的な絵をかくのは、皆さんの立場では簡単だろうけれども、その間における企業努力みたいなもの、企業が背負うこの桎梏は、あなた方が考えておるような簡単なものじゃないと私は思うのですよ。二社なんかつぶれてもいいというのは言語道断だと私は思うのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/99
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100・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
三十万トン体制というお話が出ましたが、いわゆる新しい膜といいますのは、実は使用電力量も少なくなりますけれども、出てくるかん水、いわゆる濃い海水でございますが、その濃度が非常に濃くなる。こういう膜でございまして、そういう二つの面からコストの引き下げに大変効果があるわけでございますが、新しい膜を使いますと、濃度が上がった分、今度は煮詰める段階の方の問題があるわけでございます。
濃い海水になったがために、従来の膜の数でやりますと煎熬部門が大変遊休化してしまうといいますか、稼働率がかなり少なくて済むというような結果を生むわけでございます。したがいまして、今度はその煮詰めの煎熬段階をフルに活用するといったようなことをやろうとしますと、いわゆる濃い海水をとるイオン交換膜の対数をふやせばいい、こういうことになるわけでございます。そういうことによりまして、その相乗効果が大変製塩コストを引き下げる、そのかわりに、今申し上げましたように規模がふえるということになるわけでございます。そういうことで、各社別の技術を最大限に有効に活用するということで試算してまいりますと、各社それぞれ二十八万トン程度といいますか、約三十万トン程度の規模になってしまう、そういう結果に至るわけでございます。
そういうことで、各社が最大限の合理化努力をいたしますと、必然的に三十万トン体制に移行していってしまう。ほかの物質でございますと、コストが下がることによって需要面が開拓されるという効果を持つわけでございますが、塩に限って申し上げますと、コストが下がったから需要が伸びるという関係にないものですから、需要が一定のところに、一工場当たりの製塩規模がふくらんでいって三十万トンになってしまった。そうしますと、単純に算術で計算しますと、工場は五つもあれば、国内の食料用塩の自給は十分に可能ではないか、こういうことが出てまいったわけでございます。
そういうことで、私どもとしては、各社が最大限の努力をされると必然的に三十万トンに行ってしまうから、各社がそういう努力をされた結果について、いかに社会的な摩擦なしにこれをなし遂げるかというのが私どもに課された責任ではないかということで、大変現在苦労しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/100
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101・米沢隆
○米沢委員 需要が百五十万トン前後、そう伸びないだろう、したがって各企業が合理化努力をしていったならば、どうしても三十万トン体制みたいにならざるを得ない、そうなるとつくり過ぎである、結果的には御迷惑をかけるという話のようでございますが、そうおっしゃるならば、少なくとも最終的に五社三十万トン体制が理想図だとされるならば——今例えば一万七千円を達成しろということで必死になって頑張っておりますね。七社がみんな生き残ろうとして頑張っておるわけですよ。七社がすべて一生懸命合理化投資をやっておるわけですよ。そして一方では五社体制にするなんという絵をかいておられるならば、五社体制に本当にしなければならぬとおっしゃるならば、七社が横並びで、自分は生き残ろうとやっておって、それこそ投資を一生懸命やっておるのですから、むだな投資もたくさん出てくるはずでしょう。なぜそのあたりを調整されないのですか。これは日本の産業的にも大変なロスですよ。五社三十万トン体制がいいなんて言いながら、しかし七社は生きようとして一生懸命頑張っておる。そうして投資をしておる。投資をさせた上に、最終的にはおまえつぶれろと言ったら、投資をさせた分、それだけあなた方は補償する金も高くなるのじゃないですか。もし本当に五社三十万トン体制が正しいとするならば、公社はもっと介入すべきですよ、投資に調整をすべきですよ。つぶれるのは皆さんが話し合って決めてくださいなんて、こんなのは無責任だね。だれが工業会あたりで、皆さん方の自主的な判断でつぶれるところを探してくれ、おまえがつぶれろ、おまえがつぶれろと言えるものですか。冗談じゃないぞ、本当に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/101
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102・友成豊
○友成説明員 今回塩業審議会の御提言をいただきましたのは、やはり自立化へ向かっての努力を重ねなければならぬじゃないかという基本的な考え方がございまして、専売制度という枠の中で達成していかざるを得ないわけでございますけれども、戦後二回ほどこういう大整理をやってまいっております。今先生御指摘のように、公社が計画的に介入というか、業界に相当突っ込んで、行政指導という形で整理をしてまいったわけでございますが、過剰介入ということは、業界の方にとっても、どうしても甘えが逆に出てまいるわけでございます。
そういうことで、できるだけ自立化した段階での経営のあり方とはどういうものであるかという議論がございまして、この段階で経営者の自主的な判断、自主的な責任という形で進めていかないと、従来のようなやり方を重ねますと、公社がまたいろいろと介入していくということでは、自立への道は達成できないのではなかろうか。やはり経営の自主性といったものが最大に必要であるということで、今回塩業審議会の答申は、この経営陣の自主性、自己責任原則というものを中心に今回の合理化を進めていくべきである。したがいまして、経営者同士というか、業界のいわゆる協業化とかいろいろなやり方はあるのではなかろうか、そういったものを検討しながら自主的な再編整備が一番望ましい姿であるというようなことで、今日にまで至ったわけでございます。
先生おっしゃるとおりに、七社が現在何とか生き残りたいということで最大限の努力をいたしております。おっしゃるとおりに、現状七社のそういう状況の中で将来像を描けば、どうしても二工場分の問題があるではないかという御指摘でございます。全くそのとおりだということで、私どもの方も業界との間で、この問題について突っ込んだ議論をさらに徹底的にやってまいりたいということで、業界ともそういうやり方についてもう既に合意を得ております。そういうことで、今後業界との間でこの問題について真剣な検討、話し合いをやりながら、何とか円滑な再編整備ができるように努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/102
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103・米沢隆
○米沢委員 大変しつこいようでありますが、今公社の言われる自主的判断にまつとか、自主的経営を期待するということは、どこか七社のうちから二社ギブアップすることを期待することであると解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/103
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104・友成豊
○友成説明員 先ほど申し上げましたように、各製塩工場における最大限の合理化努力といいますか、新しい技術を導入しての最大限の合理化努力をやれば必然的に三十万トンの規模になる。したがいまして、算術的な計算をすれば、五工場あれば十分ではないか。したがいまして、先生おっしゃるとおりに、二工場分は要らないではないかということでございますが、端的な言い方をすればそういうことでございますけれども、そこへ持っていくためのプロセスといいますか、いろいろないわゆる工場のあり方といいますか、というものがあり得るのではなかろうかというようなことを含めまして、業界との間でこの問題について話してまいりたいという状況にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/104
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105・米沢隆
○米沢委員 総裁にお伺いしますけれども、塩の生産については、規模の拡大がそのまま一律にコストダウンにつながるという、いわゆる一社三十万トン体制、これが最適であるというのは余りにも単純な机上の論議だ、私はそう思います。これは各社の現有設備状況や増産に必要な投資額等を無視した、非現実的な間違った議論だ、私はそう思います。コストダウンというのは、少なくとも現実的に民間的な発想をするならば、各社別の最適な能力の設計、膜の改良、エネルギー源の効率化、運転技術その他自己責任を最大限に発揮させる民間活力の導入によって総合的に行われるべきものであって、単に一社三十万トン体制にすればコストも下がりますという形式的な議論のとりこになるべきではない。一生懸命各社が自主的に努力をして、その結果が何社体制になろうとも、このような自主的な努力によって真の自立化が進み得る可能性は十分にある、こう思うのでございますが、総括的に総裁の御判断をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/105
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106・長岡實
○長岡説明員 先ほど来友成理事からお答え申し上げておりますように、塩産業の真の自立化を目指すためにどういう方向で進むべきかということは、昭和五十六年十二月に塩業審議会の答申をいただいたわけでございますが、そこの結論に至るまでに十分に議論を尽くされた問題でございます。その過程におきましては、七社それぞれの責任者の方々から、その将来の方向、どういう合理化をしていくかといったようなことまで、審議会の方でヒアリングが行われて結論に到達したわけでございます。結論的には先ほど来申し上げておりますように、やはり何と申しましても業界みずからが自主的に、自己責任に基づいた合理化策を講じていくべきであろうという結論になったわけでございます。
ただいま御指摘のとおり、各企業の責任者がみずからの経営の体質なり、経営のあり方なりに顧みて、今後どういう投資をして合理化をしていくという計画を立てて進めていくのが本筋であろうという点は、まさにそのとおりでございまして、またそういう方向でやっていただくように、私どももこの合理化の過程において、一つ一つ設備の近代化なり、あるいは燃料転換の問題等について、口を差し挟まないで今日に至ったわけでございますが、その結果が先ほど来申し上げておりますように、設備の近代化プラス規模の利益と申しますか、三十万トンに近い体制が最も合理的な体制であるということになってきておるわけでございます。
再三の御質問にございましたように、私どもといたしましても、七社が本当に完全に共存できるのであれば、それにこしたことはないと思うのでございますけれども、先ほど、これも友成理事からお答え申し上げましたように、塩というものがどんどん生産コストを下げていけば、それによって需要がふえてきてくれるという性格のものでないために、需要の方におのずから限界がありますために、ただいま申し上げたような非常に深刻な問題につながってきているのでございまして、そういう点について、私どもといたしましても、率直に申しまして、現時点において七社が完全に共存できるという自信を持っていないと申し上げるのが正直ではなかろうかと思うわけでございます。
しからば、七社から整理されるべき企業に対して一体どうするんだという問題まで当然出てくると思うのでございますが、実はこの近代化を進めていく過程において、製造の業界の方々とも十分にお話をしながら、不測の事態に備えるために補償金を積むと申しますか、そういうような意味で塩業近代化基金といったようなものまで積み増しをしながら今日に至っておるというのが正直なお答えではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/106
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107・米沢隆
○米沢委員 これからの技術の進展、輸入価格の動向等にかかわる不確定部分もありますし、あるいはまたコストダウンのための方法論について、まだ皆さんとはちょっと考え方の違いがありますが、要は自立化体制をどう達成するかという議論の上での議論の相違でございますから、ここらで矛はおさめたいと思います。
しかし、御案内のとおり、今まで積んできた塩業近代化資金、これも九月で積み終わる。これはその問題ともかかわってくるわけですが、今後これはどういうふうにお使いになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/107
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108・友成豊
○友成説明員 工業会の方で、現在先生おっしゃるとおりに、いわゆる共助金と近代化基金ということで積み立てをいたしております。公社が収納するといいますか、買い入れる塩につきましては、九月いっぱいでもってこの共助金は打ちどめでございます。それから業界の方では、特例塩についても現在共助金を拠出いたしております。これは本年十二月いっぱいまで続ける、こういう計画になっております。率直なところ、先生おっしゃられたとおりに、五十九年度までがこの近代化基金のいわゆる事業計画ということで、国税庁の方から認めていただいている期限でございます。そういうことで、私どもの方はこの五十九年度中に、先ほど来先生御指摘の問題につきまして何とか目鼻をつけたい、最大限の努力をしてまいりたい、これが一つのタイムリミットということで、公社の方も業界の方も、この問題の重要性は十分認識いたしておりますので、業界との間で何とか本年度中にめどをつけたい、お互いにそういうことで最大限の努力をしようではないかということで協議に入るという状況に現在あるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/108
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109・米沢隆
○米沢委員 少なくとも現状を見る限り、七社のうち二社が、おれはギブアップするという手を挙げるような状況ではない。現にもうみんなが何十億という金を一生懸命投資しておるのですから、それはやはりペイするために頑張ろうと努力をするのは当たり前の話で、そういう意味でことしじゅうにけりをつけるなんという甘っちょろい話ではまず解決できないであろう。そうなった場合、この近代化基金というものは、ことし結論をつけねばならぬとおっしゃるけれども、今後少なくとも一方の方のつぶれようというものが出てこない限り、こんなのは積む必要がないんだからね。少なくともその話のけりがつかない限り、新しくまた始めようなんという議論にもならないはずですからね。一体ごとしじゅうにけりをつけるというのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/109
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110・友成豊
○友成説明員 おっしゃられましたとおりに、時間的にそう余裕のある話ではございません。そういう意味で決着つくのかと言われますと、私どもの方もこれから業界との間で話に入りたいということで、お互いに合意に達している段階でございますので、少なくとも何とか目鼻はこの段階でつけませんと、先生おっしゃるとおりに、今後の問題として、もしその金額が足りなかったらどうするんだとかいろいろな問題が出てくるわけでございますので、何とかその辺、少なくとも目鼻をつけておきたいというふうに思って、最大限の努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/110
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111・米沢隆
○米沢委員 参考までに聞きたいのだけれども、例えば二社つぶすとなれば、一体どれくらいの金が必要だと思っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/111
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112・友成豊
○友成説明員 現在この共助金につきまして、三十二億円をめどに積み立てを行ってきたところでございます。
三十二億円の算出根拠でございますけれども、先ほど来お話が出ておりますように、この二工場の分として、いわゆる第四次塩業整備を行った、あのときの基準を用いまして試算いたしました結果が三十二億円ということになっております。これが二工場分ということで三十二億円積み立ててまいった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/112
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113・米沢隆
○米沢委員 わずか三十二億円で二社が買えるのですか。設備投資だけで、もう何十億とやっているのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/113
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114・友成豊
○友成説明員 現実問題として、どの工場ということはわかりませんが、今日二工場分ということで想定してそれで足りるのか、こういう御質問かと思います。先ほど申し上げましたように、三十二億円というのは五十六年度末時点で試算した金額でございますので、先生おっしゃるとおりに、その後の投資の問題等、問題としてはあろうかと思います。今後のそういう再編整備をどういう形で進めていくかというようなこととの絡みで、現実に金額がどれくらいかかるかというのは、再編整備のやり方が具体化しませんと、ちょっと金額として幾らかかるかというのは出てまいらないわけでございますので、この三十二億で十分かということになりますと、先ほど申し上げましたように、第四次塩業整備の例でもって計算したというだけでございますので、今後の整備の進め方によってはこの金額は変わろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/114
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115・米沢隆
○米沢委員 いろいろそのような自立化に向けての努力を受けて、今度の改正法案にも、今後「国内塩産業の自立化の目途が得られた段階で、」本法律案について検討を加えるという旨の規定が設けられております。この場合「自立化」という言葉がひとり歩きいたしておりますから、この「自立化」という問題に対する基本的な政府見解を明らかにしてもらいたいと思うのです。
まず、附則第二条の「国内塩産業の自立化の目途」とは具体的に何を指すのか、どんな状態が達成されたときに「自立化の目途」が立ったと言えるのか。これは単に製造業だけではなくて流通業、それから専売の塩に関する部分、すべて含めて自立化体制のそれぞれ要件があるんだと私は思いますが、そのあたりを明らかにしてもらいたいし、「自立化の目途」が得られた段階で今度は「必要に応じ所要の措置」をとるという、この「所要の措置」とは一体何か、この二点について明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/115
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116・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
「国内塩産業の自立化」と申しますのは、ただいま先生がおっしゃいましたとおり、一方では製塩コストが国際競争力を持つということが主要な要件でございますけれども、より基本的に申しますと、流通制度、流通業界を含めまして、国内塩産業が専売制度というこの制度に依存せず、自力で存立、発展を続けられ、かつその中において塩の需給、価格の安定が得られるという状態になることだと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/116
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117・長岡實
○長岡説明員 第二点は、自立化が達成された暁にどうするかという御質問だったと思います。
塩という商品の性格からいたしまして、これが完全に自由化できるものであるかどうか、価格その他の面においても完全に自由な状態に放置していいものかどうか、いわば生活必需物資の中でも大変重要なものでもございますし、そういった観点からの配慮はやはり必要だろうかと思います。ただ、完全に自由化が行われた場合に、なおかつ現在のような専売制度を維持していく必要があるのかどうか、何かそれにかわるべき制度を求めて、そちらに移行すべきであるかどうかといったような問題を検討する時期であろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/117
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118・米沢隆
○米沢委員 再度ちょっとお尋ねしたいのだけれども、流通の自立化の要件は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/118
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119・友成豊
○友成説明員 お答え申し上げます。
流通面での自立化、ちょっとわかったようなわからないようなお言葉に聞こえますけれども、現在公社が製塩各社から塩を買う、あるいは輸入塩を輸入いたしまして、元売を通じて小売、消費者、あるいは元売から直接大口ユーザーにといったような形で流れているわけでございます。そういう意味では、流通を担っているのは一次卸としての公社と、それから二次卸としての元売さんということになろうかと思います。
そういうことで、先ほど監理官の方から話がありましたように、いわゆる制度によらずにやっていけるという形での状態が自立ということでございます。いわゆる元売さんが流通を担っておりますけれども、その実態は、今申し上げましたように、一次卸としては公社がやっているということでございますので、どうしてもそういう一次卸機能といったものを元売さんの中で担っていくことが必要になろうかと思います。そういうためには塩業審議会の答申におきましても、いわゆる流通面の改善合理化ということで、塩元売人の自己責任体制を強化しなさい、そして市場機能が十分に活用するような体制づくりをやっていきなさい、こういうことを御提言いただいているわけでございます。
そういうことで、公社といたしましては、現在元売業界を中心といたしまして、こういう消流、物流につきましては、単に元売だけではなくて、いろいろな関係業界がございますので、そういう関係業界との間でも協議、調整を図って現在検討しているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/119
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120・米沢隆
○米沢委員 国内塩産業の自立化を図っていくためには、塩専売事業の運営に当たって生産、流通、両分野における民間活力の導入を積極的に図らねばならない、これはまさに常識だろうと思うのです。現状のように塩生産企業における合理化努力が収益に反映されない運用では、活力は生まれてくるはずはありません。合理化投資をじろじろと言うけれども、収納価格は下げる、合理化投資はやれ、こんなのはどこから金を持ってきたらいいのだ。やはり塩企業が合理化努力をし、それが最終的には収益に反映される、そのような運用を確保すべきである。特に塩生産者について、厳しいコスト合理化と収納価格の引き下げを求めておられますが、その努力の成果が実体上は流通段階に吸収される、その結果塩専売事業としての収支が合わせられるというような現状のやり方では、塩生産業の体質が強くなるはずがない。
同時に、この塩生産者のコスト合理化が、実体的には流通段階に吸収されているという確実な数字の裏づけはありませんが、例えば五十八年度と五十七年度を比較してみましても、公社の売り渡し価格は据え置かれてきた。一方、公社の収納価格はトン当たり千円引き下げられた。約百万トンとすれば十億のプラスですね。ところが、この間の公社塩事業の純益は二億円減少した。合わせて十二億円とこかに消えたということだ。ではどこに吸収されたか。いろいろありましょうけれども、例えば公社の塩事業に携わる人、元売の人件費が五%くらい上がったと計算しても、ざっと六億近い金がいっておる。あるいは塩回送・保管費の増、これが五%くらい上がったと計算しますと、大体五億円くらい上がっておる。塩の生産企業がコストを下げて収納価格を下げられた分は、人件費と保管費が上がった分で大体とんとん消えておる。これがすべてだとは言いませんよ。大まかに計算するとこういう計算なんだ。こんなことをされて、塩企業合理化やれ合理化やれと言われても、だれがそんなのを素直な気持ちで聞けますか。総裁、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/120
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121・友成豊
○友成説明員 ただいま先生からいろいろな分析といいますか試算がございましたが、ちょっと私、今手元にその資料がございませんので、どういう結果かということについてはっきり申し上げかねますけれども、確かに五十八年度の決算はまだ終わっておりませんで、今集計中でございまして、はっきりした数字は申せませんけれども、五十七年度の決算に対しまして利益額は若干下がるということは、先生おっしゃるとおりだろうと思います。そういうふうになるのだろうと思います。収納価格を千円下げたことに伴いまして約十億というお話でございますけれども、収納価格は八月一日から下げておりますので、細かい数字で恐縮でございますけれども、実際の値引き額は大体七百円程度ではなかろうかというふうに思っております。
ただ、私どもの方、いわゆる輸送・保管費等につきまして、これも私ども大変合理化に努めてはまいっておりますけれども、タリフの上昇等がございました場合には、どうしてもそういうタリフに従ったアップを認めざるを得ないというようなことで、そういう面でのアップは当然ございまして、そういう面で若干食われているということは先生おっしゃるとおりかと思います。
そのほかの点につきましては、ちょっと手元に数字がございませんので、現時点でちょっとお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/121
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122・米沢隆
○米沢委員 今の数字は、皆さんと数字を突き合わせて計算して、お互いに理解し合った数字ではありませんから、先ほどアバウトな数字だと申し上げました。しかし、言わんとするところは、製塩企業が合理化努力をし、収納価格を下げられて公社は利益が上がる。その分が人件費と塩回送だとか保管費の増に食われたんじゃ、泣くにも泣かれないということを言おうとしたのです。したがって、これから先の塩事業が、本当に正常な姿といいましょうか安定的な姿になっていくためには、基本的に流通関係にもっともっとメスを入れてもらわなければ、安定は期しがたいということを言おうとしておるわけでございます。したがって、生産は生産、流通は流通という感覚ではなくて、生産・流通一元的に把握できるような、そういうシステムが開発されないと、こっちはこっちで攻める、こっちはこっちで攻めるんじゃ、バランスのとれた合理化策は出てこないであろうということを申し上げたいのでございますが、その点についてどういうような御見解を持っておられるのか。
同時にまた、先ほど流通の合理化のところまである程度踏み込んだ御答弁がありましたが、今後の流通分野における合理化についてどのような認識を持たれて、何が検討課題となっているのか、そして最終的にはどういう格好に処置しようとしておるのか、将来の成り行き等も踏まえて、この際もっと具体的に御答弁いただきたい。
第三に、専売の中で塩に携わっておられる人間は一体どれくらいあるのか、その分の合理化は一体どうなるのか。
以上三点お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/122
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123・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
第一点の問題でございます生産と流通を、簡単室言葉で言いますと直結させろ、こういうお話かと思います。
先ほど流通業界の合理化問題に若干触れて御説明申し上げたわけでございますが、現在のような公社の一次卸から二次卸としての元売機能では、自立というのはできないわけでございまして、市場機能が有効に活用するような状態をつくり出す必要があろう。そういうことで、いわゆる販売特例塩制度というのがございまして、この販売特例塩制度は公社の手を通じずに、生産者から元売を通じてユーザーの方に回るということで直結しているわけでございます。そういうことで、この特例塩制度を有効に活用して、そういったような機能をどんどん持たしていったらどうかというのが塩業審議会の御提言でございまして、私どもの方もその御提言に従いまして、現在この販売特例塩の有効活用ということで進めてまいってきております。結果といたしまして、この販売特例塩の数量がかなりふえてまいっているというのが現状でございます。そういう意味では、先生おっしゃるような状況をつくり出すためには、時間はかかろうとは思いますけれども、おっしゃるような方向で私どもも指導していく必要があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
第二点の流通の合理化問題でございますが、どこに問題があるのかということでございます。今私申し上げましたように、公社が一次卸という機能をやっておるものですから、元売はどうしても二次卸、どちらかといえば配給機能といったような業務しかやらないような体質に長年の間になってきているというのは、先生御指摘のとおりの状況でございます。したがいまして、いわゆる商人として消流、物流、十分な流通を担い得る業界に育てていく必要があろうかと思います。
問題は、現在一次卸としての公社に対しまして、二次卸として全国に八十二の元売がいるわけでございますが、これが生産業界と直結して一次卸の機能も付加して今後やっていくということになりますと、塩という商品の特性から見まして、数的にどうであろうかという問題が一つございます。したがいまして、現在の元売が、いわゆる二次卸としての元売と、今公社が行っているような一次卸としての機能を持った元売というようなことで、ある程度業務の分離といいますか、あるいは力があるといいますか、そういう能力を持っているものはそういう一次卸の機能を付加しながらやっていきながら、二次卸でいいものは二次卸という形で分離していくといいますか、何かそういったような状況が出てきませんと、先生おっしゃるような、生産と流通とが直結したような形というのは出てこないんじゃないだろうか。問題は、今申し上げましたように、そういう八十二ある元売さんをどういうふうに再編していくかというところかと思います。
それから最後の、公社の塩事業関係職員数のお尋ねがございましたけれども、直接塩事業を担当している者は約五百名弱というところでございます。この合理化の問題でございますが、公社自体の合理化が現在大変問題でございまして、真剣に検討している段階でございますが、それに合わせまして、塩事業についても思い切った合理化を図りたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/123
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124・米沢隆
○米沢委員 私どもが概略推算いたしましても、塩の生産コストと流通コストはほぼとんとん、五割・五割くらいになっておると思いますが、今後はやはり生産コストを下げると同時に、流通段階の合理化、効率化をしていくことが塩産業自立化の道であると思いますので、格段の御努力をいただきたいと思います。
それから、先ほどの話ともちょっと連なりますが、塩産業が自立化するための次のポイントは、やはり昔から議論になっておりました、ユーザーのニーズに合致した実質的な流通マーケットの育成、確立、これが何といっても大きな緊急課題だろうと思います。この点については、四十六年、例の特例塩等が発足を見まして少しずつ拡大をしておるやに聞いておりますけれども、先般出された答申等を見ましても、当初予定したほどには特例塩も有効に活用されていないという御指摘がございます。さきの答申は、「従来の製塩各社に対する公社の姿勢をみると、目標価格の設定等価格政策による誘導のほか、個々の生産量、販売量の調整及び設備投資の規制等企業経営のあり方自体にまで関与してきたきらいがあり、企業の自己責任による取引を拡大し市場原理の導入を図る目的で昭和四十七年に設けられた販売特例塩制度もなお十分な機能を果たしていない。」というような指摘等もあり、やはりまだまだ問題点をたくさん残しておるのが現状ではなかろうか、このように思います。
先ほど申しましたように、ユーザーのニーズに合致した自主的な流通マーケットといえば、やはり販売特例塩の拡大が必至だろうと思いますし、現状からいえば、御承知のとおり輸入塩からの転換しか許可しない等の運用面で制約条件がある。そのほかいろいろな理由があってのことで、いろいろな規制があるんだろうと思いますが、やはり発足した当時の自主流通マーケットの育成という本来の趣旨にかんがみるならば、まだまだ特例塩制度の運用は規制が多過ぎると思うのでございますが、現状の販売特例塩制度のあり方についてどういうふうにお考えになっておられるのか。
第二点は、今後運用面で現状をどう改善していこうという腹をお持ちなのか。やはり特例塩というのは、御案内のとおり、事実上は元売が拡大するかしないかのかぎを握っておるという部分もあります。したがって、特例塩の拡大のためには、元売間における競争原理が働くようなシステムを導入する。それはイコールテリトリー制ですね、地域指定みたいなもの。これは制度的に決まったものではないと言われておりますが、いわゆるあうんの呼吸で紳士協定的にテリトリーがあり、やはりそのテリトリーそのものが廃止されるような方向に指導がなされ、現実にもそうなされないと、実際は特例塩というのは活躍の場がかなり制限されると私たちは理解をしているんですが、その点についての御見解をお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/124
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125・友成豊
○友成説明員 特例塩につきまして、もっと有効活用を図るべきだという御指摘でございます。私どもの方も、先生おっしゃるとおりのような趣旨で、特例塩につきましては有効活用を図りたいということで施策を進めてまいっております。
数量を申し上げますと、塩業審議会の答申を得ました五十六年度で申し上げますと、特例塩の数量は十七万一千トンでございました。その後先生おっしゃるような、いわゆる販売特例塩の活用ということでこの施策を進めた結果、五十七年度には二十一万七千トンということで、約五万トン近い数量の伸び。それから五十八年度には三十万七千トン、約九万トンほどの伸びということで、かなりの伸びを示してきていることは言えようかと思います。
ただ、先生おっしゃるように、もっとフリーにしたらどうかという問題もあるわけでございますが、これを一挙にフリーにいたしましてやりますと、いわゆる生産、流通業界における無用の混乱も予想されるものですから、急激な変化を求めるのはいかがか、ある程度激変緩和も考えざるを得ないのではなかろうかというようなことで、先生おっしゃるような若干の枠組みの中で進めてまいっております。そういう枠組みの中ではございますけれども、先ほど申し上げましたような数字でございまして、二年前に比べますと約倍増しているという状況でございます。
そういうことでございますので、秩序ある流通業界の再編への道を求めたいというのが、偽らざる私の気持ちでございます。そういうことで、急激な変化といいますか、を求めますと、どうしても混乱が先に参りまして、新しい秩序がなかなかでき上がらない。そういうことをおもんぱかりますと、やはりある程度激変緩和をしながら、新しい流通のあり方に向かっての合理化といいますか、そういったものを求めてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/125
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126・米沢隆
○米沢委員 最後にちょっと各論になりますが、御承知のとおり今度の法案の塩専売事業実施のための会社法の特例の中で、会社の中に学識経験者等から成る塩専売事業運営委員会を置く、当該委員会は、塩専売事業に係る重要事項を議決することとするというような法案が盛り込まれております。そこで、法律というのはつくられるとすぐひとり歩きをしますので、この際明確に規定づけというものを承っておきたいのでございますが、この塩専売事業運営委員会というのはどのような位置づけを持って、どのような性格を持っているのか。塩業関係の他の審議会との関係はどうなっていくのか、新会社の株主総会、取締役会との関係はどうなっていくのか。運営委員会の委員の構成は、大蔵大臣が任命する学識経験者五人と塩専売事業責任者等二人、合計七人で構成するということでありますが、この学識経験者という五人はどのような方が選ばれるのか、イメージ的にどんな方なのか、ちょっと御説明をいただきたい。
それから、この運営委員会というのは、塩専売事業の中では非常に重要な位置づけにならざるを得ないと思うのでありますが、この運営委員会で運営に関する重要事項を議論するということになっておりますけれども、どういうものを議論されるのか。これは常に開催された状況にあるのか、それとも年に何回という感じの開催になっていくのか等々について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/126
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127・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
塩専売事業運営委員会と申しますのは、会社に塩専売事業を実施させるに当たりまして、何といっても、特殊会社と申しましても営利会社なわけでございますから、そこに公益専売事業たる塩専売事業を実施させるため、その公共性、公益性を担保するという観点から、会社の取締役会にかわって塩専売事業に関する重要な事項を決定する機関として設けたものでございます。
この重要事項と申しますものは、事業計画、予算及び資金計画、弁済期限が一年を超える資金の借り入れ、重要財産の譲渡及び担保への提供、業務方法書、これらについて塩専売事業運営委員会の議決が必要であるということにされておるわけでございます。したがいまして、この塩専売事業運営委員会の議決事項につきましては、会社の株主総会及び取締役会は議決をすることができないということとしておりまして、こういう形によりまして会社の株主総会あるいは取締役会からの遮断と申しますか、塩専売事業の独立性を担保しておるわけでございます。
現在、塩専売事業関係の審議会といたしましては幾つかあるわけでございますけれども、一つは塩事業責任者の諮問機関として、現在は公社総裁の諮問機関として塩業審議会というものがあるわけでございますが、これにつきましては塩事業責任者、新しい制度のもとにおきます塩事業の責任者でございますが、この諮問機関として引き続き存置することを予定しておりますけれども、この塩業審議会におきましては、先ほど来いろいろ塩産業の自立化について議論がされたという話が出ておりますが、そのように、いわば塩専売制度の枠内におきまして、中長期の塩業政策の基本事項について審議することを予定しているわけでございます。運営委員会は、このような塩業審議会で示された方向にのっとり、塩専売事業の各年あるいは中長期の運営に関する重要事項についての意思決定を行うこととしているわけでございます。
なお、現在公社総裁の諮問機関で塩に関係するものといたしましては、いま一つ塩収納価格審議会というのがあるわけでございます。これは、先生御存じのように、公社が塩の収納価格を決定する際にこの審議会の意見を聞くわけでございますが、今後におきましてもこの収納価格審議会、名前は仮称でございますけれども、塩買い入れ価格審議会というような形で引き継がれることを予定しておりますが、ここにおいては塩の買い入れ価格についてもっぱら調査、審議をお願いすることにしております。
なお、さらに申し上げますと、専売事業審議会というのが現在大蔵大臣の諮問機関としてございます。これはたばこ事業及び塩事業についてのいわば基本事項を審議する審議会でございますが、これにつきましては、政令をもちましてたばこ事業等審議会という名称に、これも仮称でございますけれども、変更した上で引き継ぐこととしております。ここにおいて議論されますのは、むしろ塩専売制度そのもの、先ほど塩産業の自立化が達成した暁に一体いかがすべきかというようなお話があったわけでございますが、そういう問題について議論するというふうに、一応の分野調整と申しますか、目的が分かれているというふうに考えております。
それから、委員の構成の関係でございますけれども、学識経験者五人ということでございますが、これにつきましては広く人材を学者、経済界等に求めるということであろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたような運営委員会の性格からいたしまして、単に塩事業に精通しておるというだけでは必ずしも十分ではないわけでございまして、国民の目から見て公平性、公益性が担保され得る人材であるかどうかということを考えて判断いたさねばならないものかと思っております。したがいまして、この運営委員会の中におきましても、当然塩に造詣の深い方が必要であろうかと思いますけれども、直接の利害関係者、例えばNHKの委員会等に例があるわけでございますが、直接塩産業の利害関係者というものは必ずしも適当ではないのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/127
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128・米沢隆
○米沢委員 それぞれ私の質問の順序じゃなくお答えいただきましたが、運営委員会では塩業審議会で問題になるようなものについて議論をするようなことはないのかどうか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/128
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129・小野博義
○小野(博)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、塩業審議会につきましては塩専売事業の中長期のあり方について御議論いただくわけでございますが、その枠内で運営委員会の審議と申しますか、議決が行われるわけでございます。そういう意味で、例えば業務方法書というものにつきましては、塩専売事業のかなりの期間にわたる運営のあり方を決定するような部分もあろうかと思われますので、そのような場合については若干塩業審議会の分野と絡むものもあろうかと思いますが、おおむね例えば事業計画、予算及び資金計画であるとか、長期借り入れ、重要財産の譲渡、担保への提供とか、そういったたぐいのものにつきましては比較的短期的と申しますか、いわゆる中長期計画というものの枠内のものでございますので、必ずしもダブるようなことはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/129
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130・米沢隆
○米沢委員 運営委員会、塩業審議会あるいは新しくできるたばこ等審議会、それぞれ分野調整がなされた審議会だというふうに御説明いただきましたが、先ほどからるる議論をしておりますように、塩に関する自立化の問題、それも、二社とこかがつぶされるなどという議論になろうとしている生々しい問題がある状況においては、少なくともそれは塩業審議会だけの議論であって運営委員会では一言もそんな話にならないということにはならないと思うんですね。
そういう意味で、時が時だけに、そのようなことを考えましたときに、運営委員会に本当に塩関係者の声が反映されるシステムがあるのかどうか。我々は、学識経験者の中に一人ぐらい入れたらどうかと思っておるのでございますが、この学識経験者というのはOBで占めるようなことはないんでしょうな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/130
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131・小野博義
○小野(博)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、運営委員会の学識経験者委員というのは、塩専売事業という公益事業の運営をゆだねるに足りるという信頼感を持ち得る人を選任することが必要でございまして、各方面にわたり、そういう意味で幅広く人材を求めることといたしたいと考えておるわけでございます。
また、運営委員会の構成、運営に当たりましては、塩専売事業の公共性の確保であるとか国内産業の自立化達成、こういった趣旨が十分生かされるよう配意いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/131
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132・米沢隆
○米沢委員 私が聞いておるのは、塩の業界の皆さん方の意見が反映されるようなシステムが運営委員会の中にあるかというんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/132
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133・小野博義
○小野(博)政府委員 運営委員会につきましては、今まで申し上げてきましたような趣旨からいたしまして、塩事業に直接の利害関係を有する方を委員とすることは適当でないというふうに考えておりますけれども、塩専売事業の趣旨、つまり公益性あるいは自立化の達成というようなことに配意するという意味におきまして、塩事業、塩産業界の御意見が十分反映されるような方途は何らかのことを考えたい、今後検討いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/133
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134・米沢隆
○米沢委員 それでは収納価格審議会、これはもう当然塩関係者が入るんだと思いますが、塩業審議会と、専売審議会にかわってたばこ等審議会ができますが、この両審議会には、どちらも塩関係者は入るんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/134
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135・小野博義
○小野(博)政府委員 現在、塩業審議会につきましては、例えば日本塩工業会会長とか塩元売協同組合理事長とか、そういったような塩業関係者が加入しておられます。で、塩業審議会につきましては、総裁の諮問機関から会社の塩事業責任者の諮問機関に変わるわけでございますけれども、おおむね同様の構成メンバーとするというふうに考えているところでございます。
それから、専売事業審議会にかわりますたばこ事業等審議会につきましては、これにつきましても、今後政令において検討する課題でございますけれども、塩事業関係者の御意見が何らかの形で反映するような方法を検討いたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/135
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136・米沢隆
○米沢委員 以上で塩の方の質問を終わります。
第二部に入ります。
次は、たばこに関連する法案の質疑をさせていただきます。
専売公社は、昭和二十四年に公社として設立されて以降、たばこ専売事業を通じて財政収入の安定的な確保に貢献をし、また、塩専売事業を通じて塩の安定供給の確保に努めてきたところであります。
しかし、近年、専売事業を取り巻く内外の環境は大きく変化をして、たばこの国内消費が停滞傾向にある一方、外国企業からの強い市場開放要請を受けて、それに漸次対応しながら今日に至りましたが、今般政府は、たばこについても、開放経済体制に即応するという立場から、輸入自由化に踏み切るという方針を決定されました。このたび、明治三十七年以来続いてきたたばこ専売制度をついに廃止することになったわけでございます。約八十年に及ぶ専売制度が廃止されるということでございますから、これはまさに大変革なのでありますが、変革のときには大体大きな摩擦が生じるのでございますけれども、今回に限って、本案の審議に入っても四海波静かという状況はどういうふうに御見解をお持ちでしょうか、総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/136
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137・竹下登
○竹下国務大臣 今おっしゃいましたとおり、今度の法案のまさに基本的柱は、開放経済体制に即応するための輸入自由化、これに踏み切る。このためにたばこ専売制度は廃止する。したがって、専売法がたばこ事業法案、こうなるわけであります。国際競争力という観点から、専売公社を合理的企業経営が最大限可能な特殊会社に改組する。日本専売公社法が日本たばこ産業株式会社法となる。したがって、明治三十七年でございますから、まさに八十年に及ぶたばこ専売制度あるいは三十五年に及ぶ専売公社制度、これにピリオドを打つということについては、これは大変革であります。先輩の中には、その変革と同時に、またある種のノスタルジアを感じたり、こういうような大変なものだと実際私も思います。
したがって、摩擦が少ないということは、総合的に言えば、米沢さんを初め国民の皆さん方に、こういう方向かなというある種のコンセンサスが何となくできておるからなのかな、これは私の想像であります。がやはり耕作者の方、小売の方それから当事者、労働組合を含め、この方々の考え方というものが、非常に合理的な範囲内において必要な配慮を行ってくれておるなという印象をお持ちいただいておるとすれば、それが世間一般で言う摩擦の少ない原因なのかな。世に言う根回しとは違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/137
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138・米沢隆
○米沢委員 ちょっと見解が違うのです。四海波静かだということは、全然変わらない、そういうことにすぎないと私たちは考えざるを得ないのです。
それは別にしまして、今回提案されております一連の専売改革法案は、今おっしゃいましたように、第一義的にはたばこ専売の廃止を受けるための措置が決められる。同時に、このような措置に伴い、今後激化するであろう国際競争で我が国のたばこ産業が勝ち残るために、第一に、たばこ事業に企業経営的な発想を入れる。第二に、国内市場での競争条件を整備するとともに、国際競争に耐え得る経営基盤の整備強化に配慮する。第三に、経営の自主性を確立し、生産性向上等、効率的経営が図られるよう、国会及び政府の関与をでき得る限り排除する等の、主に三つの課題に対応するために改革法案が準備されねばならないと思うわけでございます。
したがって、本改正法案をまず総論的に総括するならば、提案されている今回の一連の改革によって、一、果たして本当に我が国たばこ産業が、外国たばこの輸入自由化がなされた後も、将来ともに国際競争の激化に耐えて、健全な発展を図れる体制をつくり得るのか。第二に、果たして本当に我が国たばこ事業が、言葉は悪いが、親方日の丸的体質を脱して、真に企業性を発揮できるたくましさを持つ企業体に育っていくのか。従来ややもすると、企業体というよりも徴税機関として運営されてきたことによる経営体質面でのさまざまの問題があったことは事実です。そこらががらっと変わるのか。第三に、明治三十七年、財政収入の確保を図ることを目的として発足して以来、財政収入の安定的確保に大きく貢献してきた専売制度が、今次改革に当たっても財政収入の安定的確保に支障を来さないよう配慮されているのか。端的には、この三つの命題に今度の改革法案がこたえられるのかどうかということが問われていると思います。
したがって、まず最初に、今回の専売改革に至った経緯につき、当局はどのような問題認識をなされて法案をまとめられたのか。またその結果、先ほど私が申し上げました三つの命題、すなわち我が国たばこ産業の健全な発展をこの改革法で確保できるのか、この改革法の内容で我が国たばこ事業に企業的経営が可能な万全な措置がなされたと思うのか、財政収入の安定的確保は達成可能かという三点につき、それぞれどのような見解を持たれるのか、総括的に大蔵大臣、専売公社総裁の所見を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/138
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139・竹下登
○竹下国務大臣 まず、一昨年七月の臨調答申、これが経過的にいえば第一着手でございましょう。それから行政改革に関する第三次答申の趣旨に沿って、たばこ事業関係者等、先ほど申しましたいわば耕作者の方、小売の方、当事者、そういう方々との意見の調整を図りながら政府部内において検討を進めてきた。そしてその基本認識は何か。これはやはり開放経済体制を志向する我が国としては、たばこ事業をいつまでも閉鎖的な状況下に置くことは適当でない。したがって、たばこの輸入自由化に踏み切りますと同時に、これとともに並行して専売公社の経営形態を、自由な競争に耐え得るものに改める必要がある、これが基本認識であります。
そこで、今次改革においては、我が国たばこ産業の中で中心的な役割を担っております日本専売公社を、当事者能力が付与された株式会社形態に改組して、当該会社に製造独占権を与える。これによって、我が国のたばこ産業が国際競争に耐えて、将来の展望を切り開いていく基本的な枠組みはまず整備をされる。そして次には、経営形態につきましては、政府関係特殊法人の中で、日本航空がどうだとかあるいは電源開発株式会社がどうだとか、もう既に特殊法人ではなくなりましたが、日本合成ゴムがどうだとか、そういういろいろなものとを比較いたしまして、合理的企業経営が最大限可能な特殊会社として、公的規制というものは必要最小限にとどめております。すなわち、経営の自主責任体制を確立していこう、こういう考え方であります。
それからさらに、たばこ専売制度の廃止、専売公社の特殊会社への改組によりまして、専売納付金制度、いわゆる財政問題でありますが、これをたばこ消費税制度に移行するということになりますが、これによって引き続いて財政収入の安定的な確保は図れるという考え方であります。
以上をまとめれば、先ほどおっしゃいました三つのポイントについては、このたびの、今御審議いただいております改革案によりまして達成されるものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/139
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140・長岡實
○長岡説明員 今次制度改革に当たりまして、公社としては次のような基本的な考え方に基づいてこの問題に取り組んでまいったつもりでございます。すなわち、開放経済体制への即応及び外国たばこ企業との競争によります経営効率促進の観点から輸入自由化は不可避であること、この輸入自由化後に想定される激しい国際競争のもとで、我が国のたばこ事業主体が外国たばこ企業と対等に戦い、我が国たばこ産業全体を維持発展させていくためには、経営の自主性、当事者能力などを確保し得る体制を実現することが不可欠であること、これまで現行制度のもとで葉たばこの耕作者あるいはたばこの販売店など、たばこ産業関係者が果たしてまいりました役割については十分認識いたしまして、たばこ関係集団全体の長期的維持発展につながる改革でなければならないこと、こういったような基本的な方向で考えてまいったつもりでございます。
御審議をいただいております制度改正の内容につきましては、ただいま大臣からも御説明がございましたように、政府関係法人の中では最も企業性を発揮しやすい、あるいは経営の自主性を発揮しやすい特殊会社、株式会社組織の特殊会社に改める方向になっておりまして、この株式会社組織の特殊法人という道を選ぶことによりまして、私どもは最大限の企業努力を発揮するつもりでございますし、また親方日の丸意識が残らないかという点につきましても、株式会社組織という企業体をとることによって、その経営の合理化に十分取り組んでいかなければなりませんし、また、そういう方向に全職員が一種の意識革命のようなものを持って取り組んでまいらなければならないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/140
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141・米沢隆
○米沢委員 今回の専売改革に至る経緯を見ましたときに、先ほども大臣答弁にありましたが、これが行政改革関連法案の一つであると位置づけられておることからもわかりますように、臨調答申との関連を否定できません。言うならば、さまざまの他の背景があったにせよ、臨調の第三次答申に端を発した改革法案であることは事実だろうと思います。一連のこの専売改革法案が発表されましたときに異口同音に出てきた声は、政府の改革案の内容は臨調答申に比べて大きく後退したものだという批判が大部分であったし、また、私どもが検討した結果でも、この内容だったら批判もむべなるかなという感が強いのであります。当局は、この臨調答申を一体どういうふうに受けとめて今度の一連の改革法案に生かしたのか。各論についてはまだ後で御質問いたしますので、まず総論的に御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/141
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142・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
専売制度及び専売公社の改革は、先生御指摘のように、電電公社の改革などとともに行政改革の最重要課題の一つでございます。政府といたしましては、臨調答申の趣旨に沿って改革案の検討を進めてきたわけでございますが、専売改革に関する臨調答申の基本的内容は、第一に、市場関放要請に適切に対応するとともに、競争原理の導入による効率化の促進を図るため輸入の自由化を行うこと、第二に、経営の自主責任体制の確立等のため、公社制度を抜本的に改革すること、この二点に要約されるというふうに考えておるところでございます。そして、これらにつきましては、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたとおり、いずれも今次改革案に盛り込まれており、その意味で専売改革関連法案の内容は臨調答申の基本的な趣旨に沿ったものであると考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/142
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143・米沢隆
○米沢委員 そういう木で鼻をくくったような話をすると怒りたくなるのでございますが、ここは一呼吸入れてやってみたいと思います。
この一連の法案内容と臨調答申の提言を比べてみますと、あなたは基本的に一緒だなんて言うけれども、冗談じゃないですよ。かなり大きな開きがあると我々は考えています。何もこの臨調が言うことがすべてではないにせよ、臨調答申の積み残し部分をどう理解したらいいのか。基本的な物の考え方くらいは、その考え方にのっとって作業をしてこの法案ができたと思ってもいいかもしれませんが、個々の問題については臨調答申とはかなり離れておる。離れておるから、我々は今がたがた文句を言っておるわけですよ。もし離れていなかったら質問なんか要らない、二時間半も。言い出すと頭にきますから言いませんが、それはそれなりの理由があったと思います。
この際、臨調基本答申の内容に盛られている今次法案で生かされなかった問題、並べて比べてみればわかるんで、そんな答えになるはずはないんだから、どのような点があったのか、そしてその提言を採用できなかった理由につき、大きな柱に沿ってで結構ですから、明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/143
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144・小野博義
○小野(博)政府委員 今、大幅に後退であるという御指摘があったわけでありますけれども、今回の法案が臨調答申と大きく異なっておりますのは、一つは葉たばこの全量買い取り制を維持したことでございます。第二点は小売人指定制を小売販売業許可制として基本的に維持したこと、この二点が大きく食い違っておる点だろうと思います。
これらの措置につきましては、まず、葉たばこの問題でございますけれども、現行専売制度のもとで耕作許可、全量収納という仕組みが葉たばこについてとられていたわけでございますが、専売制度の廃止に伴いまして、葉たばこの買い付け方法は新会社と耕作者との契約制といたしたわけでございます。葉たばこにつきましては、かつては輸出向けであるとか農薬用原料とか、そういった国内産の製造たばこの原料用以外の用途もあったわけでございますけれども、先般来いろいろ御審議がございましたように、現在では価格その他の問題がございまして、製造たばこの原料としての用途しか持たないわけでございます。
このような作物につきましては、面積ベースで契約することが適当であるというふうに判断したわけでございます。例えばビール会社と農民の例につきましても、ビールのホップなどにつきましては面積ベースの契約制がとられているわけでございます。数量ベースと面積ベースで契約した場合にどのような違いが生ずるかということは、要するに豊作の負担を農家が負うのか会社が負うのかという点が遣おうかと思いますけれども、面積ベースで契約した以上は、やはり個々の零細農家に比べますと製造独占を許されている新しい会社というものが非常に大きいわけでございますので、全量買い取り制ということでその豊作負担を会社が引き受ける、そして製造たばこの原料に適さないものを除いては、収穫された葉たばこを全量買い取りすることが適当であろうというふうに判断したわけでございます。
また、小売人の指定制度につきましては、臨調答申は、廃止して、現行の小売人につきましては会社との間で優先的に契約をする、いわば優先契約制を提言しているわけでございますけれども、先生御存じのように、全国に二十六万店ございますたばこの小売販売店というのは、非常に零細な店が多いわけでございます。若干古い統計でございますけれども、昭和五十五年度の統計によりますと、月間百万円以下の売り上げの店が七六%ほどございます。そういう零細小売店に対する激変緩和措置として、当分の間これを維持することとしたわけでございます。なお、身体障害者福祉法とか母子福祉法等による優遇措置がとられているというようなこともあわせて考慮したわけでございます。
今申し上げましたようなことで、いわば現実的な政策配慮として必要であり、やむを得ないものかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/144
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145・米沢隆
○米沢委員 それでは各論に入りたいと思いますが、まず最初に経営形態の問題でございます。
臨調答申は、「経営形態は、基本的には民営とすべきである。 しかし、たばこ耕作者、流通業界等への影響に配慮しつつ段階的に葉たばこ等の問題を解決し、また、逐次要員の合理化を行う必要があるため、当面、政府が株式を保有する特殊会社とする。 事業が合理化され、安定的な収益の確保の目途が得られた段階で、政府は市場の状況等を勘案しながら、逐次特殊会社の株式を公開する。」とありますが、宮地委員の質問等でも判明したように、持ち株会社の株式を公開するなんということは、当分の間三分の二、最終的には二分の一という方式になっておりますが、ほぼ半永久的に政府出資の持ち株会社にとどまるという予想しか立ちません。この問題は宮地さんが突っ込んで議論されましたので横に置いておきますが、少なくとも政府の持ち株会社という、特殊法人という形式は確かに法案に盛られましたが、臨調の言う、できれば民営という方向には、できれば行きたくないという腹がこれは見え見えでございます。
そこで、逐次お尋ねしたいことは、経営の自主性を追求すると言いながら、なぜ政府関係特殊法人という株式会社に固執したのか、第一点。第二点は、政府が発行済み株式総数の二分の一、当分の間三分の二以上保有するのはなぜか。まず、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/145
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146・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
今次改革におきましては、割高な国産葉を抱えた状況のもとでたばこの輸入自由化を行いながら、なお我が国たばこ産業が国際競争力を確保し、健全な発展を遂げることを期していくためには、専売公社を政府出資の特殊会社に改組しながら、これに製造独占権を付与する以外にはないと判断し、政府関係特殊法人といたしたものでございます。
政府が株式を本則で二分の一、当分の間附則で三分の二保有すると規定しております理由は、我が国たばこ産業の健全な発展を図るという新会社設立の目的に沿った事業運営を担保するため、政府に対し、常時二分の一、附則で当分の間三分の二以上の株式保有を義務づけるものでございますが、国産葉たばこ問題を抱えた状況のもとで経営を行っていかなければならない新会社の立場に配意して、このような保有義務を、いわば万一の保障と申しますか、保険と申しますか、そういうものとして置いておるわけでございます。
しかしながら、あるいはいささか先走ったお答えになるかもしれませんけれども、政府規制につきましては、例えば電源開発株式会社が二分の一以上の政府株式保有を義務づけられているわけでございますけれども、これに比べましても大幅に緩和された内容となっており、先生の御質問にありました経営の自主性ということの妨げには決してならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/146
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147・米沢隆
○米沢委員 確かに葉たばこ問題そのものが専売公社の非常に大きな重荷であることは事実。したがって、また、たばこ耕作者どうなってもいいとも思わない。配慮しなければならないが、今度の法案はそちらの方の配意だけが先走って、これから新しい会社として生きていくための環境整備は非常に手ぬるいと思うんだ。少なくともたばこ耕作組合あたりが完全に民間になると困る、不安を訴えられるであろう。しかし、少なくともこのような政府系の、二分の一持つということは、社長は大蔵省だということですから、これは二分の一以上持つということ自体で、それは三分の二であろうと四分の三であろうとも、余り変わらないの、これは。政府系会社であることは事実なの。そこで、たばこ耕作者に対する不安は担保される、それは。それなら、もう少し民間活力を導入するという意味で、やはり早く株式を公開して、でき得る限り民間の経営意思が導入できるような状況をつくることが、本当は新しい会社にとって、新しい会社の経営者にとっては一番大事なポイントではないかと私は思うんです。
その点について、たばこに配慮される余り、余り物をおっしゃらないというところに、私たちは、これは大変なことになるぞ——今に見ておれという気持ちでおられるかもしれませんが、この審議の段階では、やはり従来の感じとほとんど変わらないままに新会社も発足をし、重荷やいろんな制限を持ちながら、幾らあえいでもどうもうまくいかないということになってしまうのではないかということを憂慮するから、大きな声を上げておるのでございます。
例えば、三分の二の「当分の間、」はさておきまして、発足したら、まずこれは政府出資一〇〇%で出発しますよね。これは三分の二になるのはいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/147
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148・小野博義
○小野(博)政府委員 株式の放出につきましては、国会の議決を得ることが法律上前提になっておるわけでございますけれども、新しい会社の経営の実態とか、あるいはたばこ事業の実態等を総合的に勘案して、検討していくことになると思われるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/148
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149・米沢隆
○米沢委員 宮地さんの問題提起は、当分の間は三分の二という問題を提起された。だから、もう既に出発したときに三分の二であれば、二分の一に至るまでの「当分の間、」こというのは問題になる。それ以前の問題として、三分の二に至るまで、まず一〇〇%政府出資でしょう。三分の二にはいつなるかというんだ。いつになるか。「当分の間」なんて書いてないよ、これは。いかにも三分の二から出発するように書いてあるよ。一〇〇%政府出資で始まる。いつ三分の二になるの。「当分の間」なんという言葉はないんだよ。国会の議決だといって、国会の議決で、これは政府提案になるんだそうですが、株を公開しましょう、三分の二までは。どういうときにそんな国会に提案されるような条件が整うんですか。はっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/149
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150・小野博義
○小野(博)政府委員 株の放出につきましては、ただいま申し上げましたように、新会社の経営の実態なりたばこ事業の実態なりを判断しながら決めていくものと考えておりまして、現時点で具体的にいつの時点で放出するというようなことはまだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/150
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151・米沢隆
○米沢委員 ということは、当分の間三分の二なんというのは、まだ問題にならない。ずっと、我々死んだころの話。ということは、今おっしゃるように、そんな感覚はないということは、何しろ公開する気持ちはないということだ、これは。完全に政府系出資一〇〇%でいくということだ。「当分の間」なんかまず来ない。国会の議決に付すなんて言っても、国が本当に台所が逆立ちしそうになって、もうどうしてもこのたばこ産業株式会社の株を売ってちょっと金を入れないとどうしようもない。それだって、資本金なんて千五百億円以下だというんだから、全部売っても千五百億だ。そういう意味で、本当に財政収入を国家が欲しくてたまらぬというときにしか国会に出そうとしないということでしょう。そのほかに何かありますかね。さらさらそんな気持ちはないわけだから、何かほかに要件がありますか。三分の二になるぐらいまでの株の公開ということができる条件というのはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/151
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152・小野博義
○小野(博)政府委員 ただいま全部売っても千五百億というお話がございましたけれども、会社の総資産は約一兆円あるわけでございまして、それが株式市場といいますか、幾らに評価されるかという問題はあろうかと思いますけれども、ただいま先生のおっしゃいましたような状況も一つの契機かとは思われますけれども、また別の、先ほど申し上げましたような会社の経営の実態なり何なりを考えながら判断していくべきものと思われますので、具体的にいつごろか、幾らかというようなことにつきましては、現時点では明示的に申し上げることは御容赦願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/152
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153・米沢隆
○米沢委員 「当分の間、」がもめて、その「当分の間、」こという解釈を御披露なさって、まあわかったと言うた。法案は、当分の間三分の二から始まっておるのだから、その三分の二に至るまでの部分について、まだその時期を明示するとかなんとかじゃないとおっしゃる。どういう条件ができたらそれはできるの。しないつもりなの、するつもりなの。するとすれば、どういう条件が満たされればできるの。とめようか、本当に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/153
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154・長岡實
○長岡説明員 私からお答え申し上げるのはいかがかと存じますけれども、宮地委員の御質問は、法律上の規定で、本則二分の一、それから経過措置として三分の二の株式保有割合を規定してあるけれども、当分の間というのが、法律上「当分の間」と書いてある場合に、全くめどが立たなくて、半永久的な当分の間ということもあり得る。どういう考え方で、どういう状態になったならば本則に戻るのだという御質問でございまして、それについて大臣並びに私からけさお答え申し上げましたように、何年という歯切れのいい御返事はできませんけれども、会社の経営が軌道に乗るというようなことであり、また仮に私がその新会社の経営者になったといたしますれば、三年ぐらいをめどにしてそういう軌道に乗ったという自信を得るような運営をいたしてまいりたいと思うのは、経営者として通常の考え方であろうという趣旨のお答えを申し上げました。
ただ、それは「当分の間、」が消えて本則二分の一になれば、政府の持ち株が直ちに二分の一になるか、あるいは経過措置の三分の二の保有義務がある間は完全に三分の二になるかと申しますと、それは政府が持っていなければならない限度を義務づけておるわけでございまして、その二分の一なり三分の二なりの裏側に当たります当面の三分の一、それから本則になった場合の二分の一、これは売らなければならないということではないと思うのでございます。
米沢議員は、とにかく民間活力の導入あるいは民間的な経営のセンスを導入するために、できるだけ早くその株式を放出すべきである、これは一つのお考えであろうかと存じます。しかし一方におきましては、何分にも公社という形で三十五年間、国の専売事業という形で八十年間やってまいりましたたばこ事業が、政府機関とはいえ株式会社組織で運営されていくといういわば大変革でございますから、利害関係者の不安がないような会社経営、いわば利潤追求だけを第一義としないで、株式会社法あるいはたばこ事業法に掲げられております公共目的をも念頭に置きながら、しかもなおかつ合理的な企業経営ができるかどうかということを見きわめた上で、その分がだんだんに放出されていく。したがいまして、大きく分ければ会社の経営基盤の問題と、それから経営姿勢と申しますか、経営行動と申しますか、ビヘービアと申しますか、そういったようなものを見きわめつつ、政府において判断されて放出が決まっていくということだろうと存じます。それはいつまでもずるずるすべきではないと思いますけれども、おおむね何年というお答えを申し上げるのは、現時点においては大変つらいことだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/154
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155・米沢隆
○米沢委員 私が申し上げたいのは、結局「当分の間、」もかなり先、どう考えても先。それから政府系一〇〇%で出発しても、何も売らなくてもいいということですから、まずほとんど売らないでそのままいくということですね。そうなれば、民間的な活力みたいなものが本当に入るのか。結局、例えば二分の一という状況になったとしても、五一%という状況になったとしても、これはやはり政府系の会社だということで、あらゆるところに甘えが残りはせぬかと私たちは心配しているのですよ。何も株を公開して、それを買おうなんて思ってないのです、そんな金も持ちませんが。しかし、私たちが言おうとすることは、本当に、結果的には政府系一〇〇%でいかざるを得ないのだったら、最初からそうされた方が、我々はまだずっと理解が早い。それを、いかにも民間活力が入るような形にして、それは当分の間、ずっと先。それでまた「当分の間」に至るまでの、まだ時期が明示できないぐらい先のことだ、こうおっしゃれば、一体いつ本当に民間会社になったというような感じで会社が経営できるのか。そのことを私たちは問うておるわけでございます。
結局、先ほどから言っておりますように、会社といえども政府系の特殊法人、それも二分の一以上、当分の間三分の二、出発はまず一〇〇%。これでは今まで公社だという意識で折衝してきた周りの気持ちと、これからもやはり政府系の企業に間違いない、名前が変わっただけで間違いないということで、甘えはいつまでも残るであろう。そしてこの法律の中にあるように、皆さんはいろいろな制限を受けながら新会社を経営していかねばならぬ。いつになったら本当に新会社が民間的な経営発想を持って自主的に判断をし、自主的に経営努力をするような状態ができるのかというのを私は問いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/155
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156・長岡實
○長岡説明員 仮に一〇〇%政府が株を持っておりましても、株式会社組織の企業体を運営していく責任者の立場になりますと、どれだけの利益を上げて、どれだけの税金を納め得るか、あるいはどれだけ配当の負担に耐え得るかといったような問題は常に念頭を去らないであろうと存じます。そういう意味におきましては、仮に一〇〇%政府が株を持っておりましても、現在の三公社とは経営の基本姿勢が変わってこなければいけない。当然私どもは、そういう方向にこの企業体が追い込まれていくという表現は適切ではないかもしれませんが、そういう方向に行かざるを得ない変革が今回の改正ではなかろうかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/156
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157・米沢隆
○米沢委員 私が申し上げたいのは、先ほどから言っておるとおりでございまして、確かに公社は新しい株式会社になったつもりで頑張られるでしょうし、また頑張ってもらわねば困りますよ。ところが、あなた方経営者だけでこの会社は成り立っていかないのだから、労働組合もあり、たばこ耕作組合もあり、外国との競争もあるわけだから、そうなれば形式だけが変わるのではなくて実質的に変わって、それからさっきおっしゃったように、本当にどうしようもなくこうならざるを得ないのだというその気持ちを促進させる意味でも、その取り巻いておるいろいろな利害関係者が、今までと同じように政府系だ政府系だという形でやってくるならば大変じゃありませんか。あなた方が一生懸命にやるのは当たり前の話。しかし、その取り巻く環境は、たばこにかかわる皆さんで盛り上げていかねばならぬのだから、その周辺に甘えが残ることになりはしませんかと、そのことを聞いておるのだ。(「総裁は受け身の方だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/157
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158・長岡實
○長岡説明員 私は受け身でございますが、一言だけお答えをさせていただきますと、その周辺において甘えが残るかどうかという点、まさに今後の問題としては大変重要な問題でございますけれども、その点につきましても、たばこ産業に関係する周辺の集団、これも甘える相手が株式会社組織であれば、やはり全く親方日の丸の時代とは考え方が変わってくるのではないか、また変わってくるようにしていただかなければならないというふうに私どもも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/158
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159・竹下登
○竹下国務大臣 これはやはり基本的な違いで、今株の所有が、とりあえず全額政府出資であったにいたしましても、政府が国民にかわって株式を所有しておるということにもなりますし、やはり商法上の問題、それから労働三法が適用される。これが何としても一番お互いが自粛自戒しながら、いわゆる自由競争原理の中で国際競争力を持つに至るであろう第一の環境整備ではないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/159
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160・米沢隆
○米沢委員 まあこの議論は尽きませんね、当分の間。
私はやはりこの会社の経営形態の問題、それからちょっと時間がありませんから触れられませんが、公的関与の問題、葉たばこの問題。我々も先ほどから言いますように、葉たばこ耕作者がどうなってもいいとは思わないのです。しかし、現在のこの法律を見るときに、臨調方針にもそのままのっとってとおっしゃるけれども、それはうそ。契約制になってもいろいろ制約条件があることも事実。したがって、もしそれは単なる農政の問題だ、たばこ耕作者を保護しなければならぬ法律だとおっしゃるならば、それは割り切り方で、そんな法律ですかと言いようがあるけれども、そのあたりは棚上げして、新会社としてたばこの需要は減っていく、輸入が入ってくる、シェアは食い散らされるだろう、健康との関係で需要はまた減っていくだろう、そういう厳しい環境が予測されるだけに、そのようないろいろな制約を持った葉たばこの問題等を抱えていったならば、たばこ耕作者に一応今の段階で理解いただけるような法案にしたところで、会社そのものがどんどん衰退していって、結果的にはたばこ産業そのものが足払いを受ける日が来るんではないか。そんなことであるならば、今のうちもっと厳しい方式をとっておった方が、たばこ耕作者の皆さん方にとって親切じゃないか。今頭をなでながらだまして、最後は身もふたもないくらいにひっくり返されるということになったら、これは大変なことになりませんか。そういう危惧を持って私は御質問をさせていただいておるわけでございます。したがって、今の行ったり来たりの議論を聞いておりましても、他の委員の議論を聞いておりましても、どうもそこらがあやふやな中でただ進んでおるという感じがしまして、また先ほど「当分の間、」この議論でお話しいただきましたように、本当に出発してどうなるかわからぬわけですね。
とするならば、私、一つ提案がある。少なくとも先へ走ってみなければわからぬという部分があるならば、四、五年先にもう一回この法律を見直そうじゃないですか。ここで法案を上げてしまって、国会から離れる、そして、後ろ姿で下がりながら、衰退しながら、会社を見るのは忍びない。本当に今出されている法案は、公的規制の問題でも、五年ぐらい経験を持てばわかります。本当に公的関与はよかったのか、悪かったのか。厳しかったのか、緩かったのか。葉たばこの問題もあれだけ議論されたけれども、やはりこれは何か新しく発想を変えないと葉たばこ問題は解決できないという結論に達するのか、今のような調子でいけるのか。経営形態だって、今のままでいくよりも、もっと何かましな方法があるのじゃないかということに気づくのは、五年ぐらいもあればわかるだろう。そういう意味で、この法律の中に、この法律を五年後には見直す、そして、経営形態の変更等の目的が達せられたのか、葉たばこの問題はこのままで解消するのか、公的関与はこのままでいいのかというような問題点について、五年後ゆっくりと分析をして、原因の究明に当たり、また新しく改正するところは改正していく、それが本当は一番大事な視点ではないかと思うのでございます。
大臣、見直し規定を入れましょう。そうすると、「当分の間」のいろいろな理屈だとかいうのはわかります。わかってあげます、そんなのは。ところが、ああいう答弁でわかりましたと言って、こんな法律を出したら、孫子の代で笑われるな、こんなの。五年後ぐらいに見直しましょう。大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/160
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161・竹下登
○竹下国務大臣 やはりこの法律案をこのようにして厳しい御批判をいただきながら御審議をいただいておるわけでございますから、見直し規定というようなものを今出したばかりに置くというよりも、毎日みずからを見直しておる必要があるではないか、本当に真剣にそういう印象を受けました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/161
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162・米沢隆
○米沢委員 私が言っておるのはそんなことじゃないのですよ。この法律を新しくつくる、その新しい法律がどう生きていくのかは——だから、あしたせいとは言いませんよ、逆に。反対だな、あした改正なんかしようというのは。見直そうなんて反対ですよ。少なくとも五年なら五年ぐらいの時期、この法律を施行して、成り行きを見、経験を積み、新会社が実績を積む中で、変えなかったら変えないでいいわけです、それでうまくいくならば、杞憂にすぎないのだから。しかし、今いただいたような答弁の中では、新会社が心配で心配でたまらない、これは。そういうことを考えたときに、我々がかかわり合った審議の中で、ここで行ったり来たりして、ただ質問し、答弁し、質問し、答弁をし、はい終わりました、はい新しい法律、というにしてはちょっと……。五年ぐらいの時間の経過を経た上で、もう一回見直してみようじゃないかという気持ちを入れることは大事なことじゃないでしょうかね、大蔵大臣。あしたやってくれ、あさってやってくれということじゃないのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/162
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163・竹下登
○竹下国務大臣 いや、別にあしたどうと言ったわけではございませんが、こういう厳しい批判の中でこの法律案の審議をいただいておりますから、我々は絶えずその法の運用、現実的にそれから生ずるいわば特殊会社の運営というものについて、毎日見直すぐらいなつもりでこれに対応していかなければならぬという厳しさの自己認識を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/163
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164・米沢隆
○米沢委員 だから発言は、私の質問と大臣の答弁は全然異なりますね、気持ちと現実的にどうしようかという話とは別ですから。
ですから、引き続き議論をさしていただくために、この問題についてだけは答弁が納得できません、残さしていただきたいと思います。しかるべく委員長の方で御処理ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/164
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165・瓦力
○瓦委員長 簑輪委員から、質疑に際しスライドフィルム及びその拡大機を持参したいとの申し出がありますので、これを許します。箕輪幸代君。
〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/165
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166・簑輪幸代
○簑輪委員 たばこ事業法案等たばこ関連の五法案についてお尋ねするのですけれども、まず最初に、八十年の歴史を持つたばこ専売制度を廃止するその真の理由は一体何か。このように長い間専売制度をとってきたのはその必要性があったからであり、これまで専売制度は一定の役割を果たしてきたと思いますけれども、今この時期、どうしても専売制度を廃止しなければならないという真の理由は一体何か、端的にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/166
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167・竹下登
○竹下国務大臣 非常に端的に申し上げますならば、今御指摘がございましたように、実際問題専売制度は、その歴史の中で財政収入のために果たしていただいた役割というのは、これは私は偉大なるものであったと思います。しかし、何としても我が国は、貿易立国ということから考えてみますならば、今世界じゅうでやはり開放体制の方向を志向していかなければならないという、言ってみれば我々はある種の宿命を持っているのじゃないかというふうに今考えております。したがって、そうなれば閉鎖的な状態で置いてはならぬから、やはりいわば今までと違った経営形態というものの中で自由競争に耐え得る体力をつくっていく、その環境をまさに整備していくということであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/167
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168・簑輪幸代
○簑輪委員 開放経済体制ということをおっしゃいますけれども、外国からの市場開放要請にこたえて輸入たばこの自由化の措置というのをとってきたわけですね。外国と申しましても、実際はアメリカからかなり強く日米貿易摩擦の解消ということが求められ、そのためにたばこの輸入自由化をせよという非常に強い圧力に事実上屈したというふうに受けとめざるを得ないと思います。日米貿易摩擦解消の一環としてたばこ輸入の自由化がやり玉に上げられるというのは、極めて不当であるというふうに私は考えます。摩擦そのものについては、鉄鋼とか自動車とか家電装品とか、我が国が集中豪雨的にアメリカに輸出した商品そのもの、それについて例えば輸出自主規制が迫られるというようなことは、当、不当は別にして考えられることだとは思いますけれども、その日米貿易摩擦のつけをたばこの自由化で払わなければならないというふうになるとすれば、それは到底納得できないというふうに言わざるを得ません。
特に、たばこは一般の商品とは異なりまして、健康に有害な商品であるということであり、単なる貿易摩擦の帳じり合わせということで対象にされるのは全く筋違いであるというふうに思いますし、非常に重大な問題をはらんでいるというふうに言わなければなりません。一体たばこというものについてどのような認識を持つのかということがこの際問われるというふうに思うのです。たばこはこれから国民に奨励することができるようなものであるのか、あるいはたばこをできるだけ少なくする、そういう社会を目指すのか、そういう基本姿勢、たばこに対する認識といったものをまず最初に大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/168
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169・竹下登
○竹下国務大臣 箕輪さんからたばこに関する質問を受けるたびに、どう答えていいかわからぬというのが素直な私の意見であります。確かに、統計的にも疫学的にもいろいろなことがなされておるということは承知しております。しかしまた、それぞれの体質の問題もあるでしょう。私も、ときにこのたばこ一服ということが、いわば汚れた頭をリフレッシュするために非常に役に立ったなと感ずることもございますが、いずれにしても、書いてあるとおり、やっぱり吸い過ぎはいけないということだけは私も大体認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/169
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170・簑輪幸代
○簑輪委員 たばこという商品について大臣の個人的見解を伺ったわけですが、日本の国民の健康を預かるお役所である厚生省が、一体たばこというものをどういうふうに認識しているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/170
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171・松田朗
○松田説明員 お答えいたします。
たばこが人体に対しましてどういう影響があるかということは、WHOなどからもいろいろ勧告されております。たばこにも吸う量がございますので、非常に微量に吸った場合はどうだとか、あるいは周囲の人がその煙を吸わされたときにどうだとかいう、いわゆる受動喫煙と言っておりますが、そういう関係につきましてはまだいろいろ不明な点もございます。しかし一般的には、たばこを吸うことは健康に悪影響を及ぼすのであろうというふうに厚生省は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/171
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172・簑輪幸代
○簑輪委員 たばこが健康によいなどと言うような人は恐らく一人もいらっしゃらないだろうというふうに思います。(「そいつはわからぬ」と呼ぶ者あり)もしおありならば、そういうふうに認識する根拠というのを示さなければならないわけですけれども、それは個人的に、自分がたばこをやめたくてもやめられないというために、いろいろ合理化する理屈を述べられる向きはあろうかと思いますけれども、国民全体の健康を考えたときに、有害であるということは、もう厚生省としても認識しておられるという答弁をいただきました。
八四年の五月二十三日の日経新聞によれば、「クープ米厚生省公衆衛生局長は二十一日、フロリダ州マイアミビーチで開かれた全米心肺協会の年次総会で「二〇〇〇年までに完全な禁煙社会を実現しよう」と提唱、十六年後に高校を卒業する世代を“禁煙の第一世代”にするため、米国民はあらゆる努力をすべきであると強調した。」と報道されておりますけれども、厚生省はこの報道を承知しておられるでしょうか。
また、去る三月六日、アメリカのヘクラー厚生長官は、がんによる死亡を二〇〇〇年までに半減させようとのがん撲滅の長期キャンペーンを打ち出して、喫煙量を半分にする運動を徹底させるだけで、二〇〇〇年までに年平均七万五千人の米国人の命をがんから救うことができると述べていることを知っておられるでしょうか。厚生省の御答弁をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/172
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173・松田朗
○松田説明員 お答えいたします。
ただいまの先生の御指摘の情報でございますが、新聞情報等で私ども承知しております。ただし、具体的に現物はまだ入手しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/173
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174・簑輪幸代
○簑輪委員 こういうアメリカの状況ですけれども、アメリカ自身が率先してたばこは有害であり、アメリカからたばこを追放しようというふうに取り組む中で、アメリカ政府がそのたばこを日本に押しつけているのは全く不当だというふうに思います。卑劣であるとさえ言えるのではないでしょうか。日本の政府としては、何もこれを唯々諾々と受け入れるばかりが能ではありませんで、断固拒否するという姿勢をとるのも当然だと思いますが、有害物を強引に押しつけられることに対して、私たちが国民の健康を守る立場で拒否するという姿勢をとるのは当然だと思いますが、大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/174
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175・竹下登
○竹下国務大臣 私は、その有害であるという実証が私自身完全につかめないものですから、いつでも箕輪さんの質問に対しては、平素は歯切れがいいのですが、この問題については余り歯切れのいい答弁をしたことがございません。が、今の問題は、アメリカ嫌いという前提から出ておれば別といたしまして、やっぱり開放体制というのは我が国の持つ宿命ではなかろうかなと思っております。
ただ、最近特に感じますのは、サミットの話をして申しわけありませんが、大蔵大臣でたばこ吸うのは私一人でございました。それだから、そういう意味においては私自身がちょっと人品骨柄が落ちるのかなという反省もしたわけでございますけれども、結構しかしまた見ておりましても、俊才の皆さん方がたくさん吸っていらっしゃる。したがって、いつもあなたに対するこのたばこと健康の問題、吸い過ぎが悪いということだけは私もわかりますが、この問題についての答弁が歯切れが悪くなっておることを、謹んでこれはおわびを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/175
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176・簑輪幸代
○簑輪委員 アメリカのたばこ企業は、実は消費量の伸びがとまっておりまして、このたばこ企業そのものの発展の道をどうしたらいいかと探る中で、経営の多角化と海外進出というふうに活路を求めているわけですね。この実態について概略お述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/176
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177・遠藤泰
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
世界の巨大なたばこ企業、とりわけアメリカあるいはイギリスに本籍を置いております企業が、近年企業活動、経営活動として非常に積極的な事業の多角化をやっておるのは事実でございます。
いろいろな分野への進出をやっておるわけでございますが、例えて申しますと、スーパー等小売業への進出とか海運、石油それから紙あるいは印刷、さらにはビール、食料品等、こういう分野に多角化を進めておるところでございますが、私たちの調べたところによりまして一、二例を申し上げますと、アメリカの企業におきましては、総売り上げの中に占めます多角化した分野の売り上げのウエートが四〇%ないし五〇%というふうなものに達している状況が一つございます。
それから、たばこ事業といたしましてどういう進出をしておるかという点から申し上げますと、通常の輸出という形、それから子会社等を自国市場以外につくるという資本進出の形、さらに自分の銘柄につきましてこれをライセンス製造するという、三つぐらいの進出方法があろうと思います。いずれも、アメリカのフィリップ・モリス、レイノルズあるいはイギリスのBATという会社につきましては、それぞれ中南米あるいは欧州、アジア、アフリカ、オセアニアの地域に子会社等を設け、またライセンスというふうな形によっての進出を行っているような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/177
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178・簑輪幸代
○簑輪委員 経営の多角化というのも一つの方法だろうと思うのですけれども、海外進出というのに非常に問題があるというふうに私は思います。
去年の七月にカナダのウィニペグというところで開かれました第五回喫煙と健康世界会議というところで多彩な問題が討議されましたけれども、その中で、発展途上国から初めて参加した国々がいろいろ驚くべき問題点を指摘しております。先進国におけるたばこ消費の鈍化ないし横ばいのために、たばこ産業は発展途上国への輸出強化を進めており、喫煙の増加を招いているわけです。発展途上国のたばこ消費量の増大は、国民の健康という観点が欠落しておるという問題がある結果、たばこ消費量の増加によって政府は税収をふやし、たばこ会社は売り上げを拡大し、農民は収入を得る、まあまあよかろうということで、どんどんと悪循環が進んでいるという状態です。その消費量については、発展途上国は世界の五二%のたばこを消費し、しかし所得は世界のわずか二〇%しか受け取っていないということですから、一人当たりの所得に占めるたばこ支出の割合は世界平均の二・六倍に達するという実態でございます。
また、喫煙習慣が子供にも広がっているという問題、喫煙の害について無知なまま悪習に染まっているということが指摘されました。そして驚いたことに、先進国のたばこ会社が、味はよいが、より中毒性の高い、ニコチン、タール含有量の多い製品を意図的に発展途上国に輸出しているとの指摘もございます。これは、ニコチンとタールの多い葉は先進国で売れなくなってきているということ、それから、より早く喫煙習慣を植えつけるためというふうに見られておりまして、私は、これは犯罪的であるとさえ言えると思うわけです。
こういうような飽くなきたばこ資本が日本のたばこ市場に目をつけないはずがなくて、五十七年度、日本の国産たばこ販売実績は三千百三億本で、たばこではアメリカのレイノルズを抜いて、会社として、BAT、フィリップ・モリスに次いで世界第三位の規模を誇る市場になってきたわけです。ですから、アメリカが目をつけないわけがないという実態なわけです。
専売公社は五十六年の七月に「たばこ事業の現状と今後の方向について」という文書において、たばこ事業を取り巻く環境条件を分析しております。ここでは、需要の伸びの停滞傾向が顕著となっている、国際競争が激しくなり、対応を迫られている、喫煙に対する社会的規制の要請が高まってきている、それから国内産葉たばこの国際価格からの大幅な乖離、品質劣化、過剰在庫という問題点を指摘した上で、今後の方向として、経営形態について「公社は基本的には専売制度、公社制度を維持しながら、所要の改善を図っていきたい」というふうにしています。
この環境の分析というのは、基本的には現在でも当てはまるというふうに思われますし、公社が専売制度、公社制度を維持すべきであるとしな理由に「最近における喫煙に対する社会的規制の高まりの中で、より一層の社会的管理が要請されること。」を挙げています。専売制、公社制の中でこそ社会的管理がより適切に行われるというふうに公社自身が分析しているわけで、今回の専売制の廃止、公社から特殊会社への移行というのは、この公社の基本的見解と矛盾するものではありませんか。適切な社会的管理を困難にするものと受けとめざるを得ないと私も思いますが、いかがでしょうか。
専売公社の公共性があってこそ、営利優先ではなく、国民の健康を守る観点も尊重されるはずですけれども、特殊会社への移行、ひいては民営化ということになれば、企業としての競争が優先されて、国民の健康などそこのけそこのけということになりかねません。公社制、そして専売制を堅持すべきであるというふうに私は考えますが、専売公社のこれまでの見解とあわせて御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/178
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179・長岡實
○長岡説明員 今回の制度改正の基本と申しますか、今までの御質問にもお答えしてまいりましたように、やはり開放経済体制のもとにおいて輸入の自由化は必至である、これを、我が国の国内市場において外国たばこ資本を迎え撃って、負けないような競争ができるような体制をとらなければ、日本のたばこ産業が衰退してしまうというような点が、その中心の考え方であろうと存じます。輸入自由化問題についてはいろいろの御意見があることは存じておりますけれども、基本的にはそういう考え方だと思うのでございます。
そこで、その厳しい環境に耐え抜いていくために、一体今度の制度改正で本当に企業経営がどこまでできるんだという角度からの御質問が今まで随分ございまして、私ども一生懸命にやるつもりだというお答えはいたしておりましたものの、やはり政府関係機関にとどまっておる。いかに企業的な経営を志すにいたしましても、政府関係機関にとどまっておるということについては、公共性を今後も維持していくということを意味しておりますし、それから製造独占が維持されておるという、いわば独占企業体であるということにつきましては、これは専売制度ではございませんけれども、民間企業が幾つか並列してしのぎを削って、営業本位で活動するという性格とはやや性格を異にする企業体であろうかと存じます。
したがいまして、私どもは、大変難しい課題を抱えながら新しい制度に発足していくことになろうかと存じますけれども、一方においてはたばこ産業全体を支えるために最大限の企業的な努力を図るように努めながら、一方においては政府関係機関の中で、いわゆる政府関係特殊法人としての公共性あるいは製造独占をゆだねられておる企業体としての節度ある営業のあり方と申しますか、そういうものを今後も続けて持っていかなければならない。したがいまして、基本的に専売制度、公社制度を維持するということを考えておりました時代と現在とでは、若干考え方の違いはございますけれども、そういった角度からお考えいただければ、その考え方は今後も貫かれていくというふうに申し上げることができると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/179
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180・簑輪幸代
○簑輪委員 公社が本来あるべき姿として考えていたことが、よそからの強い圧力によって貫くことができず、やむなくこういう事態に追い込まれたというような感じで私は受けとめました。しかし、本当に国民の立場に立って十分な管理が行われるという点を期待するときに、企業性を発揮していく、そして営利に走るということは絶対にあってはならないということを私は強く申し上げておきたいというふうに思っております。
それから臨調との関係ですけれども、臨調は、専売公社の経営形態は基本的に民営とすべきであるというふうにしてきました。しかし、たばこ耕作者や流通業界への影響に配慮しつつ段階的に葉たばこ問題を解決し、また、逐次要員の合理化を行う必要があるため、当面、政府が株式を保有する特殊会社とするというふうにしております。葉たばこ問題が解決され、特殊会社の経営基盤が強化された段階で製造独占を廃止し、民営会社というふうにしているわけで、これまで大臣は分割・民営化につきましては、割高な国産葉を抱えた現状のもとでは競争力の点で問題があり、特殊会社にしたんだ、そして今回、専売改革が製造独占の廃止、分割・民営化へのワンステップではなく恒久措置だという答弁を行ってこられましたが、コスト高の国内産葉たばこの解決や要員の合理化が達成されれば、その段階で民営に移行するという含みがあるようにも思えてなりません。
そこで、この今回の措置は分割・民営化の条件づくりのワンステップではないかという心配がどうしてもぬぐえませんが、その辺は、重ねてお伺いしますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/180
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181・竹下登
○竹下国務大臣 これは、箕輪委員が私の今までの答弁を引用しての御質問でございます。その考え方には基本的に変わりはございません。しかし、今おっしゃいました、いわゆる葉たばこ問題が解決され、そうして国産葉たばこの国際競争力が確保される状況になった場合においてはどうするか、こういう御質問につきましては、その時点で検討すべき課題であろうというふうにお答えすべきであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/181
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182・簑輪幸代
○簑輪委員 分割・民営化というようなことは到底あってはならないことであり、私どもは、専売制、公社制を維持すべしという立場で重ねて申し上げておきたいというふうに思います。
それから、今後この法案が適っていけば、今後の経営が一体どうなるのかということが心配されますけれども、専売公社が五十六年四月に中期経営計画というものを策定しているわけです。昭和五十六年から六十年度を想定して策定しているわけですけれども、この中期経営計画というのは特殊会社にも基本的に引き継がれるものと見てよいのか、それとも新たな抜本的な経営計画が策定されるということになるのでしょうか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/182
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183・丹生守夫
○丹生説明員 お答えを申し上げます。
五十六年に、五十六年以降五年間の経営の指針といたしまして中期経営計画を策定しておりますけれども、この目的は、事業の安定的な発展を願いまして、経営の効率化、あるいは先ほど先生御指摘のような喫煙の健康問題を十分に意識いたしまして、消費者の満足のいく商品を開発していこうというようなことを骨子にした計画でございますから、基本的にはこの計画の考え方というものは、新会社になりましても継続をしていくものだというぐあいに考えております。
ただ、今回の法案によりまして制度の改正がありますと、例えば流通の自由化等新しい制度的な変更がございますので、こういう状況に対応いたしまして改めて見直しをして、新しい計画を立てるという必要があろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/183
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184・簑輪幸代
○簑輪委員 この中期経営計画の中で、「経営の課題」として第一に、「需要を創出し、市場を拡大するため、商品開発と市場活動の強化をはかる。」ということを述べておりますけれども、需要の創出というのは一体どんなことなのでしょうか。私が素人で考えますところによれば、これは喫煙者を大いにふやし、喫煙本数を大いにふやす作戦ではなかろうかというふうにも思うわけですが、その点も含めてお答えをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/184
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185・丹生守夫
○丹生説明員 お答えいたします。
私どもといたしましては、消費者——喫煙者の方々でありますが、消費者のニーズに適合した商品を開発し、提供し、消費者の方々の満足を得ること、これが需要の創出という言葉に当たると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/185
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186・簑輪幸代
○簑輪委員 今の御答弁は全然答弁になってないと思うんですね。需要を創出するという日本語ですけれども、消費者のニーズに適合するようなものをつくるというのは、需要の創出というのではなしに、たばこの需要をつくるためにどういうふうに手だてをとったらいいか、そのときに消費者のニーズに合わせたものをつくったらたくさんたばこを吸ってくれるであろう、こういうことになるわけで、論理がおかしいのではないでしょうか。どうしたってこの需要を創出するというのは経営の課題ですから、売り上げを伸ばす、もうけをふやす、そしてそのためにはたばこの本数をふやす、買ってもらう人をたくさんつくる、これが経営戦略ではないのですか。明確にもう一度お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/186
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187・長岡實
○長岡説明員 通常の考え方から申しますれば、確かに売り上げをふやすというようなことが需要の創出という表現に一番ぴったりしていると思うのでございますけれども、御承知のように、たばこ産業は、世界的な傾向といたしましてなかなか需要全体が常に上向きに伸びていくという状態ではございません。喫煙と健康問題等の影響もございまして、率直に言って、どちらかといえば需要は停滞もしくは若干の下降ぎみである。
その原因をいろいろ究明してみますと、やはり消費者の方々の好みが変わってきておる。従来に比べますと、ニコチンやタールの含有量が少ない、軽いたばこを好むという傾向もございますし、現在では、そういう傾向がありながら、なおかつ本当に味や香りの点において、吸った場合の満足感を得たいというところまで来ておると思うのでございますけれども、そういった新製品の開発をして、放置しておけば落ち込むであろう需要の下支えをするというところまで含めて、需要の創出というふうに考えておると御理解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/187
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188・簑輪幸代
○簑輪委員 喫煙者をふやし、喫煙本数をふやすとずばり答えることは非常にはばかられるので、そのようなすりかえ答弁をされたのではないかと思います。といいますのは、「需要を創出し、市場を拡大する」という目標を達成するために商品開発を行うわけですから、事の順序からいってもおかしなわけですが、何遍聞いてもやはり同じお答えしか返ってこないだろうと思います。とても恥ずかしくて言えることではありませんので。こういう抽象論で経営戦略が。立てられているのですが、私は非常に問題があるということを強く指摘したいと思います。
それからもう一つ、この「経営の課題」で「将来の事業の拡大発展をはかるため、海外市場活動を積極的に展開するとともに、関連産業の育成に努める。」というふうに述べられております。専売公社が、結局日本のたばこの需要が停滞ないし下降ぎみである、そこでアメリカ資本に倣って海外進出を行うということになるわけですけれども、私はこの日本の専売公社、これからの特殊会社でもそうですが、日本のたばこを発展途上国やらあるいはその他の海外に輸出するという考え方はいかがなものであろうかと思いますが、海外進出の現状と今後の計画を概略述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/188
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189・森宗作
○森説明員 お答えいたします。
たばこにつきましては、嗜好品といたしまして、いわゆる国際商品ということで、これは各国とも実情に合わせて輸出を行っておるわけでございます。公社におきましても、従来から海外の需要というものに応じまして輸出業務を行ってまいったわけでございまして、五十八年度におきましては国内製品の輸出は十一億二千三百万本という実績になっております。
こういうことにつきましての私どもの市場での活動でございますが、一般的にこのテレビあるいはラジオというものは禁止をされているというようなところもございまして、私どもとしましては新聞あるいは雑誌といったような印刷物媒体、またポスターあるいは自動販売機といったようなものを利用いたしまして、銘柄を訴えると申しますか、銘柄訴求活動というものを行っておるわけでございます。ただ、この場合におきましても、相手国におきましてのいろいろの規制というものがございまして、その規制の実情に合わせまして実施をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/189
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190・簑輪幸代
○簑輪委員 進出すべき海外の地域は、どんなところを想定しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/190
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191・森宗作
○森説明員 お答えいたします。
現在、私ども取引をいたしておりますのは二十カ国を超えておりますが、主として東南アジアといったところを重点市場というふうに考えて輸出を行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/191
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192・簑輪幸代
○簑輪委員 経営計画を拝見いたしますと、中東地域、アジア地域をねらうというようなことが書いてございますが、これはいずれも発展途上国、先ほど申し上げたようなところをねらっておって、そしてここは既にアメリカ資本が進出をしてたばこ競争というものも激烈な状況になっているところでもあるわけで、そこへ新たに参入をしたり、あるいはこれから一層拡大してシェアを伸ばそうなどということになると、いかに激しい販売合戦、宣伝合戦が行われるであろうかを考えるだけでも大変な問題じゃないかというふうに私は思います。
先ほど述べましたように、アメリカ巨大資本の発展途上国への暴力的とも言えるたばこ販売について、日本が同じようにこれに学んで、これと肩を並べて発展途上国の貧しい民衆にたばこをたくさん売りつける、有害商品を売りつける、そして利潤を上げるなどというようなことはまことに非人道的なことではないか、ぜひやめるべきであるというふうに私は思います。そしてこうしたやり方が、今まで合成洗剤や粉ミルク、医薬品、農薬など、既に日本で販売が中止されたり、あるいは伸びない商品を、何の情報も知らせないで、何も知らない国民に売り込んでいくという、悪徳企業のやり方と同じ道を歩もうとするなどということは、到底あってはならないことだというふうに思います。
国が関与してつくるこの会社でもございますし、こうした非人道的なやり方を絶対にしないように私は強く申し述べて、この海外進出に断固反対であるということで厳しく警告をしておきたいというふうに思います。もしこういうことをアメリカと同じように繰り返すならば、これから先、この国々との関係というものがますます困難になるであろうということは目に見えております。ぜひともこのような有害商品の発展途上国への押しつけをやめるべきであるということを重ねて申し上げたいと思います。
さて、本格的に喫煙と健康についてこれから質疑をしたいというふうに思います。
私は、当委員会で、これまでも再三たばこの問題点を指摘してまいりました。たばこというのは、たばこの商品自身に、これは健康に有害であるとみずから表示しながら公然と売られている、実に奇妙な、恐るべき商品であるというふうに思います。
ここで、まずたばこの有害性について概略申し述べたいと思いますが、厚生省の委託研究でも既にたくさん明らかになっておりますが、紙巻きたばこの煙には約四千種類以上の化学物質が含まれ、二百種類以上の有害物質を含む、まさに有害物質の缶詰であると言われております。そしてさらに、四十種類を超える発がん物質が含まれているだけでなく、ニコチン、一酸化炭素、刺激物質があるわけです。一酸化炭素や刺激物質は、フィルターつき紙巻きたばこでもそれはほとんど除去されないと言われております。発がん物質が肺がん、口腔がん、喉頭がん、食道がんなど、ニコチンが冠動脈性心臓病、胃、十二指腸潰瘍など、一酸化炭素が胎児の発育障害、精神運動機能低下、肉体的運動機能低下など、それから刺激物質が慢性気管支炎、肺気腫などを引き起こすというふうに言われております。たばこを吸うと直ちに血圧が上昇し、心拍数が増加し、その影響は三十分ぐらい続く。指先の皮膚温が徐々に低下して、三十分以上低下し続けるというふうに言われております。血液中のヘモグロビンと一酸化炭素の結合力は酸素の約二百五十倍強いというふうに言われておりまして、喫煙者は、非喫煙者と比べて、一日のどの時点においても血中のカルボキシヘモグロビン量が多い。したがって、喫煙者は、絶えず酸素欠乏状態に置かれているというふうに言われております。
たばこを吸うと頭がすっきりすると喫煙者はよく言われるわけですけれども、実は、ニコチンの血管収縮作用と一酸化炭素によるカルボキシヘモグロビン濃度の上昇により、中枢神経系への酸素の供給が低下して、精神作業の能率低下が明らかにされております。喫煙者がたばこを吸うとすっきりするというのは、実はすっきりするのではなく、吸わないために、たばこ中毒の禁断症状の初期症状であるいら立ちが、たばこを吸うことによって一時的に消去されるために、何となくすっきりしたような錯覚を起こすにすぎないというふうに言われております。したがって、私は、ぜひこのたばこの害について全面的に解明するために、スライドをこの委員会で上映したいということでお願いを申し上げましたけれども、お許しがいただけませんでしたので、やむなくこの席に二枚のスライドを持ってまいりました。大臣初め、関係者の皆さんにぜひごらんいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/192
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193・中西啓介
○中西(啓)委員長代理 大臣、どうぞ見てください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/193
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194・簑輪幸代
○簑輪委員 ごらんいただけばおわかりだと思いますが、一枚は、たばこを吸ったときの指の温度低下をサーモグラフィーで示したものです。左手にありますのが温度が高い方で、たばこを吸う前、右の方にありますのがたばこを吸った後で、温度が激しく低下して色が変わっているのがごらんいただけるというふうに思います。それから、もう一枚は、二つの肺臓を並べたものでございまして、明らかにわかっていただけると思いますが、左の方が非喫煙者のきれいな肺です。それから右の方が喫煙者の真っ黒に汚れた肺ということで、非常に対照的になっております。
この、ほんのわずかなスライドでございますけれども、ごらんいただきまして、御感想をお聞かせいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/194
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195・竹下登
○竹下国務大臣 御説明を承っておりまして、感想は、随分勉強していらっしゃるなということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/195
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196・簑輪幸代
○簑輪委員 余りのショックに、感想を明確にお述べになることができないのかなとも思いますけれども、このように、たばこを吸うということが人間の体に顕著な影響を及ぼし、悪影響があるということはおわかりいただけたわけですが、それをおっしゃりにくい心境も理解いたしまして、次に移ります。
特にごらんいただきましたように、問題は、さらにたばこ未成年者や妊産婦に与える重大な影響もございます。
妊婦が喫煙すると、煙の中のニコチンで血管が収縮して血流が減り、胎児が栄養不足に陥る、一酸化炭素が胎児の血管に直接入って悪影響を与えるなどと言われておりますけれども、最近日大の産婦人科グループが、妊娠維持、胎児の生育に必要なステロイドホルモンの生成過程を調べたところ、たばこの煙が妊娠維持に必要なアロマターゼというホルモン生合成酵素の活性を抑える、そして平均〇・二五本分の煙でアロマターゼの働きが半減することがわかったというふうに報道されております。つまり、妊婦にこのような重大な影響をたばこがもたらすということでございます。
それから未成年者の喫煙も、厚生省の調査だけでも、小学生のころから喫煙を開始しているということが明らかになっております。喫煙開始年齢が低ければ低いほど、肺がんの死亡の危険性が高い、非喫煙者に比べて約五・五倍も高いというふうに言われております。したがって、たばこの有害性が正しく認識されないうちに喫煙習慣に染まってしまうということは、健康を守る立場からゆゆしい事態であり、早急に健康教育が行われなければならないというふうに思います。未成年者の喫煙については、指摘されながら、なかなかその実態が明確になっているとは言えないわけで、公社では、これまで昭和三十三年から毎年一回、全国たばこ喫煙者率調査というのを実施してまいりましたけれども、これは二十歳以上の調査であって、末成年者については行われてきませんでした。今後の調査の中で、引き続きこの喫煙者率調査が行われると思いますが、ぜひ未成年者の喫煙調査というのをあわせて行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/196
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197・森宗作
○森説明員 未成年者の喫煙者率調査につきましては、先生お話しのとおり、私どもではこれまで行ったことはございません。ただ、この未成年者の喫煙は法律に違反する行為でございまして、私どもがこれを調査するということにつきましては、いかがなものかというふうに考えるわけでございます。何かいま一つ別の角度からの御調査というようなことでの御対応が適当ではないかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/197
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198・簑輪幸代
○簑輪委員 未成年者の喫煙が禁止されていると言いますけれども、未成年者の喫煙が犯罪というわけではございません。法律では、未成年者自身の喫煙ではなしに、未成年者にたばこを販売したり、あるいは親権者等がたばこを未成年者に吸わせることは犯罪とされておりますけれども、未成年者の喫煙それ自体が犯罪というふうな規定の仕方ではないと思います。
と同時に、いけないことだからやられていないというような、そんなものじゃないわけですね、世の中というのは。禁止されていることが現実に行われていることはたくさんあります。その実態を把握して、それを根絶するためにどのような手だてをとったらよいかというために調査をするのでありまして、それがそもそも許されないことだから調査をしないという理屈にはならないのではないでしょうか。公社が未成年者についての喫煙調査をしたくないというのは、何か別の理由でもおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/198
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199・森宗作
○森説明員 未成年者喫煙禁止法によりましては、未成年者が喫煙する場合に、それ自体が罰則を受けるということではないわけでございます。ただ、喫煙をする喫煙器具等についての没収というようなことになっております。先ほどお話を申し上げましたように、私どもメーカーとしてたばこを販売するという立場にあるわけでございまして、公平さというようなことから申し上げましても、私どもが調査の主体になるということについてはいかがなものかというふうに感じる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/199
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200・簑輪幸代
○簑輪委員 公社がどうしてもやりたくないとおっしゃるならば、国民の健康、殊に青少年の育成ということから考えた場合に、国が全体として責任を持っておりますので、厚生省がこの未成年者の喫煙者率調査というのを工夫していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/200
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201・松田朗
○松田説明員 お答えいたします。
未成年者につきましての喫煙率等を調べよ里いうことでございます。私どもとしましては、未成年者であろうと高年齢者であろうと、たばこを吸うのは健康によろしくないという観点でございます。したがって、基本的にはそういう調査をする必要はないと思っておりますが、ただ現実問題としましては、実は厚生省が委託研究しておるその研究の一環の中で、研究者の方々はいろいろ調査をしておりますが、その中で、全国的な調査ではございませんが、地域的に幾つかの中学校、高校などで喫煙率を調べた小さな報告がございます。その実情からしますと、現実は中学生、高校生の中にもかなりのパーセントで喫煙をしておるという事実ははっきりしたわけでございますので、私どもではもう吸わないようにという形で、健康教育を通じてやっていきたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/201
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202・簑輪幸代
○簑輪委員 子供も大人も吸わないようにということだから、調査しないというのもまたおかしな理屈です。いずれにしても、実態を把握するということからスタートしなければ適切な対策というのは立てにくいわけですが、これまで調査された範囲で重要な問題であるという認識はおありのようですので、続いて禁煙教育の関係に移りたいと思います。
禁煙問題については、特に喫煙習慣というのは容易につくわけでありますけれども、それを断つことは非常に難しい、強力な意思が要る、悪いと知りつつもなかなかやめられない、だから悪弊に染まる前に正しい知識を身につけることが肝要であるというふうに言われております。WHOの勧告でも、可能な限り若年者が喫煙を開始しないようにすべきであると言っておりますし、さらに子供に対する健康教育は早期に家庭及び学校において始めるべきであり、全教育課程の各段階で適宜強化を図るべきであるというふうにしております。このようなWHOの勧告を受けて、厚生省あるいは文部省は、健康教育についてどのような対策を講じておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/202
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203・青柳徹
○青柳説明員 お答えいたします。
学校におきます禁煙教育と申しますか、たばこに関する教育につきましては、喫煙による健康への有害性に関しまして、中学校及び高等学校におきまして学習指導要領の指導書あるいは解説書において、教科の保健体育で指導するようにお示しをし、それに基づきまして保健体育の教科書等には必要な記述を盛り込んでおるという状況でございます。こういった教材を使いまして、各学校でそれぞれ現場の先生方が教育に当たっておるという状況でございます。さらに、特別活動の学級指導あるいはホームルームなどにおきましても、必要に応じて指導ができるようになっております。
文部省におきましては、今後とも保健あるいは生徒指導に関します各種の講習会を通じまして、喫煙の有害性に関する指導、これは生徒指導との絡みもございますので、そういった部面とも相まちまして効果的に行われますように配慮をしていきたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/203
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204・簑輪幸代
○簑輪委員 最近日教組に禁煙教育を考える会というのが設立され、最終目標は、たばこを吸わない世代の育成にあるとされております。これを文部省は御存じでしょうか。また香川県の坂出市の教育委員会は、今年度から小中学校全校で禁煙教育をスタートさせました。文部省としても、従来の中高校生の保健体育の指導という点にとどまらず、小学校からの禁煙教育等についても、あるいはさらにカリキュラム全体の検討、教材の充実など一層積極的に取り組むべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/204
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205・青柳徹
○青柳説明員 日教組におきまして去る五月に、禁煙教育を考える会というのを発足されまして、小、中、高一貫した禁煙教育のカリキュラムの確立等を目指しまして諸活動を展開されようとしておることにつきましては、仄聞をいたしておるところでございます。
また御指摘のように、坂出市におきまして、小学校からの禁煙教育を実施をしていきたいということで計画が持たれておることも承知をいたしております。小学校の各学年において、学級担任が年間一ないし三時間の学級指導の時間におきまして、禁煙に関する指導を計画的に実施をしていくというようなお話であろうかと思います。
全体といたしましてのカリキュラムに対する私どもの考え方は、先ほど申し上げたとおり学級指導要領、保健体育の教科書では、中学校、高等学校におきまして喫煙の有害性や違法性に関する事項を学習指導することとされておるわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、そのほかにも特別活動として、そのときどきの子供たちの健康上のテーマに即しまして特別な指導が行われることに相なっております。
小学校におきましても、喫煙に関する事項をどのような形で取り上げていくかということにつきまして、国としての一定の方式があるわけではございませんが、それぞれの学校、地域の実情に応じまして、各学校の判断で、健康上の課題としてそういったものを適宜取り上げていくということは必要であろうかと思っております。この坂出市の試みにつきましても、私どももそういった角度から注目をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/205
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206・簑輪幸代
○簑輪委員 喫煙の低年齢化が言われておりまして、小学生の喫煙すら問題になっておりますときですから、この坂出市の小学校からの禁煙教育の成果等を踏まえて、文部省が、一部のあるいは各地域のという問題ではなしに、日本じゅうの子供たちに責任の持てる健康教育をぜひ実施していただくようお願いをしたいと思います。
さて、今回法律で注意表示を行わなければならないというふうにされようとしておりますけれども、大蔵省令で定める注意義務の内容というのは一体どのようなものをお考えなのでしょうか。アメリカでは既に、喫煙は健康に危険であるとの公衆衛生局長の警告を、ケースや広告に表示していますけれども、去る五月十七日、アメリカ下院エネルギー委員会で、より厳しい警告を義務づけた法案が可決されております。その内容は、喫煙は肺がん、心臓病、肺気腫を引き起こす、今禁煙すれば健康に及ぼす重大な危険は大幅に減る、妊婦の喫煙は胎児を傷つけたり未熟児出産をもたらす可能性がある、たばこの煙には一酸化炭素が含まれているというもので、警告は目立つように文字を五〇%大きくし、太線で囲んで三カ月ごとに順番に変えていくことが義務づけられるというもののようです。さらにスウェーデンでは十六種類の警告表示を明らかにしておりますし、そのほかイギリス、フランス、西ドイツなど先進諸国それぞれ警告が義務づけられているということになっております。こうした中で、日本が新たに注意義務を省令で定めるということになりますが、どのような中身をお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/206
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207・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
現行の注意表示につきましては、四十七年の四月に専売公社総裁の指示に基づきまして、外国たばこも含めて専売公社が注意表示を行っているわけでございますけれども、今後外国たばこが専売公社の手を離れまして、輸入販売業者の手によって自由に輸入されるようになりますと、必ずしも大臣の指示のみでは履行されない場合も考えられますので、法律に根拠を置いて、その具体的内容は省令をもって定めることとしたものでございますが、注意表示の具体的内容につきましては、先生おっしゃったように省令で定めることとなっておりますけれども、現行の注意表示、つまり「健康のため吸いすぎに注意しましょう」という表示文言が、専売事業審議会におきまして、専門家も参加の上、慎重に審議された経緯等も踏まえて決定したものであるということを考慮いたしまして、当面は、現行と同様の文言とする予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/207
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208・簑輪幸代
○簑輪委員 この注意表示が定められてから既に長い年月が経過をしておりますし、国民の認識も変わってきているわけです。当時十分な審議のもとにそのようなものが定められたとしても、今日の段階では、新たに現状にマッチした警告表示を行う、そういう機敏な対応を迫られているのではないでしょうか。微温的に今までどおり、怠け者的に「健康のため吸いすぎに注意しましょう」というような、余り薬にも毒にもならないような表示をいつまでも続けていくというのは、まことに無責任ではないかというふうに私は思います。そのために、十分な警告となるものを諸外国に学んで、新たにどういうものがよいのかということを積極的に考えていくように求めたいと思います。
そしてあわせて、ニコチンやタールなどの含有量についても表示を義務づけるべきではないかと思います。WHOの勧告でも、紙巻きたばこの包装及び広告には、標準喫煙条件下における紙巻きたばこ一本当たりのタール、一酸化炭素、ニコチンの平均含有量を表示することと定められております。国民の健康を考えた上での注意表示であるならば、当然のことながら、真に意味のあるものを掲げなければなりません。したがって、このような警告文言の検討とそれからニコチン、タール等の含有量の表示、これを義務づけるよう検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/208
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209・小野博義
○小野(博)政府委員 まず第一点、注意表示の内容につきましては、確かにたばこをめぐる環境の変化等に伴い、常に見直されるべきものであるというふうには考えるところでございますけれども、一方、慎重な議論を経ることなく変更することにもやはり問題があるように考えております。したがって、制度移行後におきまして、専売事業審議会にかわるものとして設置される予定のたばこ事業等審議会におきまして、専門家にも御参加いただいた上で、注意表示の内容について議論していただくことを考えているところでございます。
次に、第二点の注意表示文言を定める一環として、ニコチン、タール、そういったようなものの含有量についてというお尋ねでございますが、現在ニコチン、タールの含有量については公社がその測定値を公表しておりまして、たばこ販売店の店頭にステッカー等でこれを表示しているところでございます。
ニコチン、タール量を個々の包装ごとに行わせるべきではないかという御指摘でございますけれども、個々の包装に表示するよりは、全銘柄のニコチン、タール量を一表で比較することができる現行の表示方法の方がよいのではないかと考えておりまして、新制度発足後の新会社に対しても、従来どおりニコチン、タール量の表示を行うよう指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/209
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210・簑輪幸代
○簑輪委員 この警告文言については、新たに設けられるたばこ事業等審議会におきまして、この問題をぜひ提起していただきたい、そのことをお約束していただきたいというふうに思います。
それから、店頭にステッカーを張ってあるからいいではないかというお話ですが、私も町を歩きながらいろいろ調べてみました。そうしたら、ステッカーどころか、キャビン85とかなんとかという広告のためのポスターがベタベ夕張ってあって、そして、このニコチン、タール含有量のステッカーはどこにも見当たらない。きっと隠れてしまっているのでしょうね。そういう状況もありましたし、そもそもたばこを買うときの動きを見ておりますと、それを見ながらどれが多いか少ないかなんて、自動販売機の前で思案している人は一人も見受けません。自分が既に銘柄を決めているわけです。したがって、購入したそのたばこに常時書いてあることによって受ける刺激の方が、よほど警告的になるであろうというふうに私は考えるわけです。
その点も含めまして、新たにたばこ事業等審議会において、従来どおりということではなしに、こういう情勢を踏まえた新たな警告文言と含有量の表示について、いかがかということを提案するというお約束をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/210
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211・小野博義
○小野(博)政府委員 先ほど申し上げましたように、制度移行後におきまして、審議会において専門家にも参加していただいた上で議論してもらうことを考えているというふうに御答弁申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/211
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212・簑輪幸代
○簑輪委員 ですから、私が申し上げた点も含めて検討の対象にしていただけると理解してよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/212
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213・小野博義
○小野(博)政府委員 注意表示文言としてどのようなものが適当であるかということを御議論いただくわけでございますから、専門家のお立場から、いろいろな角度から御検討がなされることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/213
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214・簑輪幸代
○簑輪委員 ぜひ申し上げた点を含めて検討をお願いしたいというふうに思います。
次に、広告宣伝について伺います。
公社の「市場活動強化計画」というところでは、「外国メーカーの販売促進活動に対処し、広告宣伝活動を充実する」というふうにされておりますけれども、これまでの広告宣伝の基本姿勢、一体どんなものであったのか。それから、今後一層充実するとありますが、どういうふうになっていくのでしょうか。その点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/214
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215・森宗作
○森説明員 お答えいたします。
広告宣伝につきましては、喫煙と健康の問題、また未成年者の喫煙防止に対しましての社会的な動向というものを踏まえまして、私どもは昭和四十四年の十一月から自主規制を行ってお台ところであります。また、昭和五十六年四月から外国メーカーも、我が国内におきまして広告宣伝なり販売促進活動を行うというようなことになりました際にも、従来の自主規制の上に立ちまして、内外双方共通に適用するような基準を設けまして、外国メーカーの同意を得て規制を行っておるわけでございます。こういったことで規制をいたしておりまして、具体的にはテレビあるいはラジオについては新製品に限定するというような広告媒体物の選択、あるいはまた広告表現、こういったものにつきましての配慮というものを行っております。
一方で広告媒体費の値上がりというようなものもありますので、これに対応してまいる必要があるわけでございますが、一方でこういうようなことでの規制というものを今日まで行ってまいっておりまして、今後ともこういう点での規制の充実について、我々としても努力をしてまいりたいというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/215
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216・簑輪幸代
○簑輪委員 広告宣伝について、政令で定める審議会の意見を聞くというふうになっておりますけれども、審議会の構成、権限、どういうふうになるのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/216
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217・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
政令で定める審議会でございますが、たばこ事業法四十条第二項に規定いたしております審議会とは、現在の専売事業審議会にかえて大蔵省に設置される審議会でございます。審議会の具体的な組織及び運営につきましては、今後政令、大蔵省組織令並びに審議会令でございますが、政令に規定することを予定しておるわけでございます。
なお、現在のところ、政令におきましてはおおむね次のような内容を盛り込む予定でございます。
第一に、大蔵省に、専売事業審議会にかえてたばこ事業等審議会を設置すること。第二に、たばこ事業等審議会は、大蔵大臣の諮問に応じ、たばこ事業及び塩専売事業に関する重要事項を調査審議し、または大蔵大臣に建議することができること。第三に、たばこ事業等審議会は必要に応じ部会を設置することができること。第四に、たばこ事業等審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもって審議会の決議とすることができること。おおむねこのような内容を考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/217
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218・簑輪幸代
○簑輪委員 WHOでは、たばこについてあらゆる形式の広告、それから販売促進の制限ないし禁止をうたっております。欧米では全面的にテレビ、ラジオでの宣伝が禁止されているわけですけれども、我が国はテレビ、ラジオによる広告宣伝は、新製品では許されるというような自主規制の形をとっておりますけれども、私たち、未成年者への影響も含めて考えますときに、テレビ、ラジオの広告等はぜひ全面的に禁止すべきではないかと考えるわけです。
それから、ただいまお話をいただきました自主規制の基準に基づくこれまでの運用が、今後も同じことが続けられることになるのかどうか、あるいは新しい制度のもとで外国たばことの関係において、このような自主規制というのは過去のものとして新たな対応が考えられているのかどうか、その点をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/218
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219・森宗作
○森説明員 お答えいたします。
諸外国におきまして、先進国におきましては一般的に先生御指摘のようにテレビ、ラジオといったものにつきまして広告が規制をされておるということでございます。ただ、一般的に申しますと、それ以外のものにつきまして、例えば新聞あるいは雑誌というようなもの等につきましては、かなり活発な活動が行われておるものというふうに承知をいたしております。私どもの場合は、ただいまお話を申し上げました自主規制というようなことで、「広告宣伝マス四媒体」と私どもは呼んでおりますが、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、こういったものにつきまして、各社別に販売実績に応じましての許容枠というものを定めまして、この許容枠の限度の中で実施をするというような形で行っております。特に、テレビにつきましては影響力が強いというようなこともございまして、許容枠の中でのさらに三分の一以下に額を抑えるというようなことでございます。
また、未成年者への配慮というようなことで、テレビの主として未成年者が視聴しますような時間帯については広告を行わないというようなこと、またテレビあるいは印刷媒体というものによりまして広告を行います際には、必ず「未成年者の喫煙は禁じられております」といったような文言を入れるというような配慮もいたしておるところでございます。
一方、女性につきましても、私ども喫煙を奨励をするというようなことは避けておりまして、販促媒体物と申しますか、いろいろ例えばライターというようなものを配る際におきましても、女性を主としたような活動は行わない、また主として女性を対象とします刊行物に対しては広告宣伝を行わないというようなこともいたしております。
今後新しい会社に移行後におきましても、私どもはこれまでの自主規制というものに立ちまして、たばこ事業法四十条の精神にのっとりまして自主規制を行ってまいりたいと思うわけであります。なお、外国メーカーは、私どもが設けました基準に合意をするという形で現在行っておるわけでございますが、今後輸入自由化と申しますか、私ども、新会社になった以降につきましても、外国メーカーとは十分協議をいたしまして、これまでの自主規制ということについて遵守をしていただくということで努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/219
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220・簑輪幸代
○簑輪委員 御存じのように、日本の市場は男性の喫煙率六六%、女性の喫煙率一二%強という状況でございまして、女性の喫煙率が諸外国では大体三〇%前後ということですから、これと比べて非常に低いわけですね。したがって、外国たばこ資本が女性をねらうという危険もありまして、特に女性や若年層をねらう販売攻勢、新たな市場開拓ということになりますと、そういうことが当然心配されるわけです。ただいま自主規制のお話もございましたけれども、特に女性、若年をねらう販売攻勢をしっかり規制していかなければならないのではないかというふうに思います。
公社自身も、営業面では売上成績の向上を目指して努力しておられて、現状でも、現場では成績を上げるために大変苦労をしておられるようです。「どう売り込むか 六十年代販促活動の展開に向けて」という座談会をやっておられるわけですけれども、この中で、「未成年者の喫煙防止、女性向け広告の禁止、スモーキングリーンなど、企業の将来を考えての施策を実施しているけれども、いま現在、営業をやっている人たちにすれば、売り上げを伸ばさなければいけないのに、これでは……という気持がないわけではない。たばこは非常に制約の多い商品になった。制約の多い中で売らなければいけないという悩み」ということが書かれています。「その制約の部分を、営業員に頑張ってくれという精神論をとなえて、活動を展開していたんだけれど、いまでは、その制約みたいなものを、本社が何とか積極的に考えてくれないと……」という愚痴もこぼされているわけです。とにかく売り上げを伸ばそうと思うときに、あれやっちゃいかぬ、これやっちゃいかぬということになって手足を縛られたのでは困りますよ、現場の第一線から言わせれば、それなりにもっともなことであるかもしれないと思われるわけです。たばこという商品の特殊性を考えまして、何が何でもしゃにむに売り込んでいくということが決してないように、広告宣伝の問題、特に販売競争の中で心してかからなければならないと思います。
そこで、総裁のこの面での御決意を一言お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/220
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221・長岡實
○長岡説明員 たばこの広告宣伝の問題につきましては、喫煙と健康の問題その他の観点から、新会社になりまして輸入品との競争が激化いたしましても、私どもとして、その新会社が企業経営を合理的に進めながらたばこ産業全体を守るべき役割を果たす面におきましても、単に営利第一主義で皆様から指弾を受けるようなことがないように、十分気をつけながら進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/221
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222・簑輪幸代
○簑輪委員 大変心配されるところでございますので、くれぐれもお願いしたいと思います。
次に、公共の場所における喫煙制限の問題でございますけれども、たばこそのものが喫煙者にとって有害であるというだけでなく、周りにいる者がいや応なしに吸わされて害を受けるという間接喫煙、受動喫煙の害も指摘されて久しくなってまいりました。そのために、公共の場所の喫煙制限ということが非常に注目されております。病院については既に厚生省の方からいろいろな通達等、配慮されていると思いますが、国公立の病院だけでなく、日本じゅうのすべての病院等において喫煙制限が行われるという点での取り組みについて、簡単にお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/222
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223・柳沢健一郎
○柳沢説明員 全国の病院を念頭に置きまして、去る四月五日付でもって各都道府県知事あてに、医療機関におきますたばこの煙による悪影響を防止するために十分な配慮をするように、管下の医療機関に対しまして周知徹底を依頼する、そういう旨の通知を出したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/223
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224・簑輪幸代
○簑輪委員 公共機関として問題になっております中で、新聞等でも絶えず絶えず読者欄に意見が述べられておりますのが国鉄の問題でございます。国鉄の禁煙車両について、現状と今後の計画、簡単にお話しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/224
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225・藤田好一
○藤田説明員 お答えいたします。
現在、新幹線につきましては、全列車の自由席一両ずつ禁煙車がついてございます。それから在来線につきましては、寝台列車以外の特急列車、九州の「みどり」という特急列車だけは七月からでございますけれども、そのほかは全部既に自由席に一両禁煙車がついてございます。それから普通列車につきましては、全国百線区余りに禁煙区間が設定されておりまして、そこの区間は全部、全車両が禁煙車になっているという状態でございます。今後ともこれを拡大してまいるということでございますが、今年度につきましては飛躍的に拡大をするように計画をいたしております。
内容を簡単に申し上げますと、新幹線につきましては、新幹線のグリーン車、それから普通車の指定席に禁煙車または禁煙席を設ける、グリーン車につきましては車両の一部を禁煙席とするということを計画しております。それから東海道、山陽新幹線の「ひかり」、「こだま」につきまして、自由席の禁煙車は今一両ついてございますが、さらにもう一両追加するということで、自由席につきましては合計二両を禁煙車にするという計画でございます。
それから在来線につきましては、特急列車につきまして、普通車の指定席に禁煙車を設置するという計画をいたしております。それから急行列車につきましては、主な急行列車の普通車の自由席に禁煙車を設置する。それから普通車につきましては、大都市におきまして禁煙区間がございますが、その禁煙区間の拡大を図ることを計画いたしております。
それから、新幹線等につきまして、エスカレーターの近くに禁煙車がないという御要望が強いわけでございます。今端っこの方にあるわけでございますが、今度指定席を禁煙車にいたしますので、その指定席またはグリーン席はエスカレーターの非常に近くに配置されておりますので、その面で御要望にこたえられることになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/225
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226・簑輪幸代
○簑輪委員 自由席が一番端っこで、病人や子供を抱えた人たちが非常に遠くて困っているというわけですね。だから、指定席がエスカレーターの近くになるからいいじゃないかというのじゃなくして、自由席もぜひ近くの部分を指定するようにしていただけないものか。
そもそもこの際、思い切って発想を逆転しなければならないと思うのですね。喫煙するのが当たり前で、吸わない人が小さくなっているというのは、何か世の中が逆転していると私は思います。国鉄の利用者全部のアンケートをきちんととって、本当に喫煙率というのをとって、それを正確に車両の席に反映すれば、こんな事態ではとても及ばないはずだと私は思います。国鉄も何かちょろちょろと微温的にやるのじゃなくて、前進するために御努力をいただいていることは高く評価しつつも、この際思い切って物の考え方を変えて、たばこを吸わないのが正常である、吸う人は部分を限って喫煙席で吸っていただくというふうにするのはいかがか。その辺の物の考え方をも含めて、乗客、利用者のアンケートを正確にとっていただく必要があろうかと思います。私の見解が本当に国民全体の意向に沿っているのかということもありますから、この際、きちっと正確な調査をしていただく、時代にマッチした調査方法でやっていただくことが必要だと思います。
私は、前に予算委員会の分科会におきましてこの問題を取り上げ、要望いたしました。それがこうやって反映されてきたことは高く評価いたしますけれども、さらに前進をするために、今後の利用状況、乗客の要望について正確な調査をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/226
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227・藤田好一
○藤田説明員 お客様の需要にマッチした施策を実施していくのが私どもの使命でございますので、今後ともそのためにも調査等につきまして実施しつつ、御要望にこたえていくようにやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/227
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228・簑輪幸代
○簑輪委員 ぜひその調査をお願いして、公共の場所での喫煙のモラルというものも含めて、この際皆様にもちょっと申し上げておきたいと思いますが、国会では本会議が禁煙になっております。どうして本会議で禁煙になっているのかということにつきまして調べてみましたところ、これは院の品位、秩序保持ということのようでございます。本会議だけでなく、委員会も品位と秩序を保持すべき必要があろうかと私は思っているわけです。この問題について、国会の中でどういうふうに対策というか措置をとっていくのかということは今後の課題だと思いますので、問題点のみを指摘しておきまして、今後の委員会運営につきまして皆様の御努力をお願いしたいと思います。
さて、たばこの問題について大変多面的な問題点があるということがおわかりいただけたと思います。たばこと健康というだけでもさまざまな問題があります。そこで、この問題の締めくくりといたしまして、第六回喫煙と健康世界会議というのが一九八七年に北九州で開催されることになっておりますが、これに対応して厚生省はどのような取り組みをなされるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/228
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229・松田朗
○松田説明員 お答えいたします。
先生御指摘の会議と申しますのは、世界の有識者を集めて、我が国でたばこの害についてのシンポジウムを開かれるという、そのことについてだと思うわけでございます。それで、御指摘のシンポジウムというのは第六回になるわけでございます。第五回がカナダでございまして、五年後でございますから、次回は一九八七年になろうかと思います。
過去五回のいろいろな会議の開かれ方を見ておりますと、あくまでも民間の機関が主体になって行われているものでございますけれども、政府機関も何らかの形で関与しているような実態もあるわけでございまして、私ども厚生省といたしましては、国内の関係者などの御意見を聞きながら、その準備状況を踏まえて対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/229
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230・簑輪幸代
○簑輪委員 重要な会議ということでございますので、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
まだいろいろなことを申し上げたいのですけれども、時間が限られてまいりましたので、次に移ります。
日本たばこ産業株式会社は、葉たばこ問題の解決と要員の合理化を促進するということが求められているわけですが、私どもは、経営効率化という名のもとの要員の合理化、大変心配しているわけです。外国資本と互角に競争できる経営基盤の強化というようなことが言われておりますが、一体具体的な内容はどういうことなのか、かいつまんでお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/230
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231・長岡實
○長岡説明員 外国企業は、世界のマーケットにおける激しい競争の中で培いました、非常にすぐれたマーケティング力を背景に、流通の自由化を契機に積極的な戦略を我が国においても展開してくるものと考えます。したがいまして、外国企業との激しい競争の中でシェアを最大限に維持するためには、まずコスト競争力を改善いたしますとともに、商品力の強化、またマーケティング力の強化など、事業を遂行していく上での体制の整備を重要な問題として考えていかなければならないと思っております。
〔中西(啓)委員長代理退席、熊川委員長
代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/231
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232・簑輪幸代
○簑輪委員 業務遂行体制の整備というようなことで、営業所四百カ所が百二十カ所廃止されてしまうというような話も聞くわけですけれども、これが一体事実なのかどうか。あるいはまた全国三十五工場があるわけですが、これを十工場に統合してしまうという計画があるやにも聞いておりますが、果たしてそうなのかどうか。あるいはこの数字が合っているかどうかは別にいたしまして、こうした統廃合等が計画されているのかどうか。現場では大変心配をしていることでございますので、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/232
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233・長岡實
○長岡説明員 これまでも、工場統廃合などの合理化は徐々に進めて今日に至っております。先ほど申し上げましたように、今後とも私どもといたしましてはコスト競争力を確保するといったような観点から、合理化の推進は避けて通れない道であろうかと思います。
ただ、御質問の中にございましたように、営業所あるいは工場等について何カ所にするんだといったような問題まで、現在具体案を持っておるわけではございません。できるだけ早く成案を得るべく努力をするつもりでございますが、成案を得る場合には、またこれを実行に移す場合には、従来同様に、事前に労働組合とは十分に話し合ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/233
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234・簑輪幸代
○簑輪委員 うわさ話がどんどんと進んだりしまして、例えば私の地元の岐阜などでは、工場が果たして生き残るだろうかどうか、東海地方に一つにまとめられてしまうのではなかろうか、生き残るためにはどうしたらよいだろうか、それには成績を上げなければならない、ついては生休も返上して生産に励まなければならないというような論理さえ出てくるような話も聞き及んでおりますので、そういう不安が拡大することのないように問題が明らかにされて、明確に協議の対象となって労働者の意見が反映されるようにしていただきたいということをお願いしたいと思います。
さて、専売公社では、たばこ製造にたくさんの婦人労働者がかかわってまいりました。そして今度のこの公社の改革に当たって一体どうなるのだろうかという大変な不安があります。現在の労働条件のもとでも婦人は大変過酷な状況で、ぜひこれを改善してほしいという強い要望を持っております。きょうは専売公社の婦人労働者もこの審議を傍聴しておりまして、ぜひ誠意ある御答弁をいただきたいというふうに、まず最初にお願いしておきたいと思います。
合理化問題に関連して、製造の現場で働く婦人労働者の実態を明らかにして対策をお願いするわけですけれども、とにかくこれ以上合理化されたらみんな病人になってしまう、助けてほしいと、本当に切実なお手紙をいただきました。そこでちょっと御紹介をしたいと思うのですけれども、ぜひ大臣や総裁にお聞きいただきたいと思います。
昭和五十七年九月から、高槻、京都、茨木の
三工場を統廃合して発足した関西工場は、従業員九百五十名程、その内婦人は四百四十名です。婦人の二百十九名が日勤で、あと半分の人は二交替勤務で働いております。平均年齢四十二・三歳です。
婦人の主要な仕事は、包装機と巻上機に従事する機械従事者と、機械に材料を供給する原材料部門従事者です。あと、残りの五%程が事務・医療・技術職です。
さて、どの部門も高速機が入り二交替制にな
ってから労働密度が高まり、合理化による労働強化が非常に進んでいます。
まず、機械従事件業ですが、高速巻上機四千回転に従事している人たちは、二千五百回転時代と比べると倍近くのスピード化で、ほこりと騒音に悩まされています。中には喉がすっかりやられてしまってマスクをはなせない人もあり、一人作業ですので、トラブルが起ると大変です。機械の調子が悪いと、不良巻の処理と点横に追われて、ぐったりします。
大変長いものなので、途中省略しながら読ませていただきますが、
立ちづめで作業するために、目がかすむ、乱視、近視の訴えが多く、肩こり、腕の痛み、手先のしびれなどを訴える人もでてきました。中には腰痛がひどくなったと訴える人もいます。
騒音とほこりと眼の疲れ、人間関係の複雑さの中で、皆んなぎりぎりの線で働いています。
二交替はもっと大変です。
早番は六時二十五分から二時十分まで、遅番は一時五十五分から九時四十分までです。早番固定の人、遅番固定の人もいますが、ほとんどの人は一週間交替で早番、遅番をくりかえしています。
早番の日は朝四時に起きて子ども、夫の弁当つくり、自分の朝食はそこそこに五時過ぎには家を出ます。
六時三十分から機械が動き出しますが、体はぼうっとして半分ねむっています。やっと慣れるころ九時の休憩、その時に食事をする人も多いです。昼食は十一時三十分から十二時まで。遠い機械のはしから二階の食堂まで、一階や三階の人は往復だけで十分近くかかり、正味食事時間は二十分。この昼食時間は日勤者もいっしょです。二十分で食事をするなんて人間らしくありません。食べるだけ!この不満は大きいです。二時十分、仕事が遅番の人とかわり、やれやれと思った時は何をする気力もありません。遅番でも、主婦は早起きです。子どものため、夫のために寝てはいられません。夕食の用意をして、昼食もそこそこに家を出ます。くたびれて会社へ。六時三十分から七時までの夕食が終って仕事。そのころ窓を見ると町の明りが点々と見え、今頃一家団らんの時だなあと思うと、なんでこんな時間にタバコを作らねばならないのかと、怒りとむなしさがこみあげます。夫も遅い時は、子どもたちだけで食事をしている姿を想うとやり切れません。体はだるく、ぽうっとして何を考えることも出来ず、ほんとうにクタクタです。そして次のお手紙では、
関西工場に大蔵委員の方々が見学に来られた時に、工場長が、二交代から日勤に希望する人がなかったといわれたそうですが、二交代から日勤に希望するのには、条件がなかったら希望するにも出来ないのです。“三基準六要素”というのが、その条件です。一年に一回見直しの時に用紙に書くのですが、「今年の四月にありました」が、何とか働ける程度の身体の具合の悪さというのは、いくら、二交代は“かなん”し、日勤になりたいと思っても、日勤は“二二一”名のわくしかありません。
その中に入るには、“三基準六要素”の条件のあてはまる上から順番になるのです。
だから、初めからわくに入れそうもない人はあきらめて、用紙も出さなかったのです。身体の具合が私達より大変悪くて今年は日勤になれた人も、来年は、どうなるか解りません。ということです。
また、もう一つのお手紙では、
健康だけでなく、最近、ケガをする人が増えていますが、その人達に、公社は、仕事をしなくてもよいから、出勤だけしなさいと、休業災害をへらすようなこともしています。
巻上機では四千が限界だ、八千回転など考えられないと皆いっています。
私達はたび重なる合理化で高速化へ高速化へと追い立てられ、工場は統廃合され、とうとう民営化の一歩手前まで来てしまいました。
私は何のために働いているのか、自分の体、家族、近所づきあいまでも犠牲にして。体を大事にして、人間らしく生きたい。自分の体は自分が一番良く知っています。
今が限界です。
これ以上の合理化、特殊会社、ぜったいイヤです。ということでお手紙をいただいております。
全部読むと時間が足りないくらい、本当に切々たるお手紙なんですが、一部お聞きいただいてもおわかりのように、三十年勤務しても、二交代手当を入れても二十万円に満たない給料。一日五回も仕事の持ち場が交代させられる。調整工場ということで、あっちへ行け、こっちへ行けと持ち場を交代させられて、緊張の連続で神経がくたくたになってしまう毎日。トイレや授乳、通院するにも、離席交代要員がないために周りの人に迷惑をかけ、大変つらい思いをしている状態。母乳が心身の疲労でとまってしまった人、ましてや妊婦や乳幼児を抱えた人たちまで二交代で働かされているという現状。特に高速機の入っている工場では視力の衰えが著しく、頸肩腕症候群や労災が多発しているという実態もはっきりしています。
こうした製造部門は、実はほとんど婦人によって支えられているわけです。国の企業、天下の専売と人がうらやむような公社でありましても、現状はこういう状況で、これ以上働かされたら命にかかわる、婦人の現場からの怒り、訴え、おわかりになっていただけたでしょうか。
大臣の指導が今後も行われるわけですし、また、現状でも、公社の責任において即刻改善していただきたいということがたくさんあります。
まず最初に、健康を害している婦人が非常に多いわけで、特に高速巻き上げ機のところでは圧倒的に多くなっています。公社の責任において健康及び労災の実態調査をぜひやっていただきたいというふうに思います。
それから、健康診断というのが行われるわけですけれども、通り一遍の健康診断ではなしに、職員の要望に沿った調査項目をふやして、現状にマッチした健康診断をやってほしいという希望が寄せられています。精神的なストレス、眼精疲労、頸肩腕症候群、腰痛、そして婦人科の疾患等々、たくさんの健康障害が発生しております。そこで、これらの実態を把握して、なくすようにすべきだと思います。健康診断に当たって、ぜひ調査項目を労働者の要望を受けてふやしていただくということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。公社の御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/234
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235・岡島和男
○岡島説明員 お答えいたします。
今、婦人の従業者からの手紙をお読みいただきまして、大変に細かい点の御指摘があったわけでございますが、全体として見ますと、私どもの職場の作業環境は、今先生が読み上げた手紙のように全体としてなっているというふうに私どもは必ずしも思っておりません。職場環境につきましてはかなり整備されているものと思っております。例えば託児所なども、他の工場などと比べて大変立派なものを持っているというふうに私ども自負しておりますし、多くの見学者もそのように申しております。
それからまた、労災の問題もございましたけれども、二交代に伴います労災の事故は、もちろん事故はゼロが一番いいわけですけれども、多少は残念ながらございますが、それもどんどん減ってきております。また、二交代の工場とその他の工場との災害発生率なども減ってきておりまして、これは今おっしゃった手紙の印象とはかなり違うのが全体的なデータだというふうに私どもは思っております。
それから、休憩時間につきまして、食事時間が何分というようなお話がございましたけれども、私が調べましたところでは、労働基準法に、労働時間が六時間を超える場合においては四十五分の休憩時間を途中で与えなければならないというのがございまして、どこにどのように割り当てられているかというのは今、私、手元に詳細なデータはございませんけれども、これは二交代でございますから四十五分間与えておりまして、余り早朝組が早くならないように、また遅組についてはできるだけ遅くならないというような配慮もいろいろしている。それからまた、早出の人たちには特別なバスを仕立てるというような配慮もいたしておりまして、私どもとしてはいろいろ手を打っているつもりでございます。
それから、賃金のお話がございましたが、民間の賃金と公社の賃金を比較いたしますと、たばこ製造業と民間では、女子職員につきましては、公社の方が大分平均的にまさっているというデータを私ども得ておりまして、今後とも、職場環境の整備につきましてはいろいろ私ども考えなければならないと思いますけれども、今先生が読み上げられました例が全体的な印象であるというふうには、私ども考えておりませんということを申し上げさせていただきたいと思います。
健康診断のことにつきまして、ちょっと残念ながら手元にデータがございません。健康診断につきましても、私どもは十分やっていると思いますけれども、これにつきましては、なおよく、現場においてどのような健康診断が一番適切かというのを考えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/235
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236・簑輪幸代
○簑輪委員 私がただいま現場の婦人からの手紙を読み上げました点につきまして、そうじゃないんだというようなことをおっしゃられましたけれども、現場の婦人が言っているんですから、それをそうじゃないなどと言うのは全くおかしな話なんですね。それと違うようなデータが出てきているというのは、いろいろな調査の方法等によってデータというものも変わってくるわけですし、労災の問題でも、できるだけ数字を減らすために出勤を強要するというような事業所だって、公社という意味ではございませんが、幾らでもあるわけですから、そういうあらわれた数字だけで事をそんなものじゃないんだとたかをくくるやり方は、間違っているのではないかというふうに思います。
〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
何はともあれ、毎日毎日工場に出かけて、そして体を使って、その中から出てくる叫びを、それは違うんだと言うのは、いかにもひどいおっしゃりようだと私は思います。
食事時間の問題でも、八時間労働の場合は一時間の休憩を与えなければならないということになっておりますが、三十分の食事時間ということがいかに非人間的であるかということをここで、現場での生の姿で訴えておられるわけですね。
それから賃金の問題でも、女子全体から比較すればまさっているのではないかというふうに言われますけれども、私も関西工場を視察したり岐阜の工場を視察したり、先日は郡山の工場を視察したりしてまいりましたけれども、三十年以上、四十年も働いている方々でも手取り十五万ないということは、非常に理解しがたい状態だというふうに思います。いろいろな弁解は公社としてはあろうかと思いますけれども、この生の事実を率直に受けとめていただく姿勢がないと、誠実だとは言えないと私は思いますね。
健康を害しているという点につきましても、別にどこもぐあいが悪くないのに、あっちが痛いこっちが痛いとかとわざわざ言う人はおりません。二交代制という異常な勤務状態、それから、機械化が進行し、高速化が進行しているという中で起こってきている限界状況というのを切々と訴えているわけですから、それをぜひ受けとめていただきたいと思います。
とにかく、さっきも申し上げましたように、早番の人はもう五時に家を出なければならない。その前に家事をして、そして帰ってきても、家族との関係で自分だけさっさと休むというわけにもいかない。子供が受験勉強中であったり、夫が残業であったり、いろいろな事情があるわけですね。また、遅番のときには夜の十時に終わって帰ってくる。けれども、朝は朝で早くから準備をしなければならない。そういう生の姿というものを、これが正常であるというふうにはとうてい言えないと思います。結局、婦人はみずからの睡眠時間を切り詰め、みずからの体を切り刻んで働いている、そういう実態なわけです。統計でも、六時間以下の睡眠しかとれない婦人が六〇%もいるという状態になっています。
さらにまた、この早番と遅番を一週間交代で繰り返す、これは体調が狂ってしまいます。疲労感が抜けないうちにまた蓄積するという状態です。特に私が申し上げたいのは、若くて健康で、どこにもぐあいの悪いところがないという婦人でも、これは大変な労働条件です。しかし、さらに妊婦とかあるいは乳幼児を抱え、あるいは更年期を間近に控えるというような婦人には一層過酷なものだというふうに思います。この異常な労働条件のもとで、夜中に乳を与え、トイレに起こし、熟睡もできないままむずかる子供を起こして公社の保育所に連れていく、飲みたがらない子供に、母親の勤務に合わせて乳を含ませる。非常に非人間的ではないかというふうに言わざるを得ないと思うのです。母性保護、母体保護、規則正しい生活、人間らしい生活のリズム、そういうことから考えたときに、この一週間交代の不規則勤務というのは本当に異常だと言わなければなりません。これはまさに経営の論理が先行し、機械の都合に人間が体を合わせるということでしかありません。
そして日勤を希望していても、三基準大要素という日勤になるための基準が一定の枠の中にはめ込まれてしまっているために、希望しても日勤にならない、あるいは希望することさえできないという状態があります。したがって、私は、乳幼児を抱えた母親それから妊婦、せめてこれくらいは無条件で日勤にしていただけるのが当たり前ではないか、人間的な温かい配慮をしていただいてもいいのではないかというふうに思います。この日勤に関する条件について、ぜひこうした配慮をお願いしたいと思いますが、総裁の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/236
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237・長岡實
○長岡説明員 若干認識に差があるようでございますけれども、ただいまの、二交代制で勤務の時間帯が一週間ごとに変わるというのは、今担当理事に聞きましたところでは、労働組合の要望によってそういう仕組みになっておるというふうに承っております。
そういう点、私どもといたしましては、労働組合とはいろいろそういう労働条件その他については十分話し合っているつもりでございますので、決してあらゆるしわを労働していらっしゃる職員、特に女子職員に寄せているつもりはございません。
ただ、私どもといたしましては、厳しい環境の中で全体の企業を支えていく、それが日本のたばこ産業を支え、ひいてはたばこ産業に関係している職員たちの雇用の安定にも結びつくわけでございますから、今後、類似の民間の企業の勤務の実態、なかんずく女子職員の勤務の実態等を十分に勉強いたしまして、バランスがとれるように、常に念頭に置いてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/237
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238・簑輪幸代
○簑輪委員 労働組合からの要望でそうなったというお話でございますけれども、労働者の生の声が今こういうことで私申し上げているわけですので、改めて労使協議ということが行われる際にも、ぜひこの点を含んでお考えをいただきたい。
私は、全体としていろいろ問題があるということを指摘しつつも、特に乳幼児を抱えた母とか妊婦、ここが優先されて当然ではないかということで申し上げたわけでございます。婦人労働者が多い。それから特に専売の場合は、どこでも最近採用を手控えてきたという状況から、婦人労働者の平均年齢が四十二、三歳ということで高くなってきているというふうに思うのですね。いろいろ家事の負担もかかっております現状の中で、特に看護休暇とか更年期障害休暇とか、そういうような要望も大変強くなっております。それから、労働もかなり過酷なわけですから、つわり休暇というのも認めていただきたいとか、あるいは出産休暇は当然のことながら八週間保証してほしいとか、いろいろな労働条件の問題で今後も婦人への十分な配慮をお願いしたいということを強く申し上げておきたいと思うのです。
そして最後に、離席交代要員の問題なんですね。公社の中の保育所に子供を預けておりまして、授乳のために席を外しても交代してくれる人がいない。ぎりぎりの労働ですので、同僚の善意にすがって授乳時間という権利を行使しなければならない。一年間も気にしながら授乳するという状態が続くのは、精神的ストレスもたまって、母乳自体が途中でとまってしまうという事態も起こるそうで、やはり重大な問題だと思います。トイレに行くにも交代がいない。四千回転の巻き上げ機に応じた作業は、他人の分まで機械を見る余裕がある人員配置になっていない。そのために体に障害が起こる危険もあると思います。それから、組合の仕事で席を外すときには、賃金はカットされるのに交代要員は確保されないために、その分化の人が見るわけで、その分公社はもうかってしまうということになるわけです。
それから、昼食時間か二十分というのも非常に問題だというふうに思います。違法かどうかという問題ではなくて、人間としての当たり前の条件が確保されているのかどうかということだろうというふうに思います。食事をするのも、楽しみとか憩いとかということではおよそなくて、さっさと食べて次に仕事をする。一つの仕事をするという作業のような感じになってしまっている。これでは健康にも弊害があるということです。
トイレの問題、授乳の問題、そのほか組合活動の問題等々、いろいろ席を外さなければならないというのはあり得るわけですが、その際の離席交代要員の確保というのを十分盛り込んだ人員配置でなければならないと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/238
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239・西村忠弘
○西村説明員 ただいま現場の離席補充の問題についてお尋ねでございますが、専売公社の場合には、それぞれの仕事最に応じてどの仕事に何人が従事するのかということにつきまして、基本的な問題については労働組合と合理化の都度大変詳しく協議を行っております上に、なお今お話のありました離席交代等の問題につきましては、離席の時間、長いものもありますし短いものもございますけれども、それぞれの時間帯に応じてどういう方法で離席が可能になるかということも含めて、これは現場運用と申しておりますけれども、詳しく詰めを行った上で決めております。
それから、もう一つの食事時間の三十分ということでございますが、一応基準法上に言う四十五分以上という時間をどういうふうに中間時間としての休憩にするか、昼食時間を何分にするかということにつきましても、それぞれの組合支部を通じまして協議を行って、現在実行しておりますので、一応労使関係上はこの問題は円満に解決をして運用されていると私ども思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/239
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240・簑輪幸代
○簑輪委員 公社の方は、これは労働組合との協議の結果やったのだから円満に解決しているというふうに認識されているかもしれませんが、今私が申し上げたのは現場の生の声でございます。したがって、今後の労使協議の中でこういうものが十分参酌されて婦人労働者の声が反映するように、私は直接公社の方にもお願いしておきたいということできょう申し上げたわけでございます。案外公社の方々は、労働組合の役員の方とか幹部の方々との接触の機会はあっても、血の出るような労働の現場からの生の声を直接耳にされることは少ないのではないかと思いましたので、あえて私は現場の声を皆様にお伝えし、お願いをしたわけでございます。どの手紙も、今の労働条件では限界だというふうに訴えているわけです。大変忙しい職場で、例えば物を運ぶのにも、歩いて運ふところか、ローラースケートでも履かないと間に合わないねという話まで出てくるありさまで、現状でも大変厳しいわけですが、これが合理化が一層進み、八千回転になったら一体どうなるのだろうか、そういう職場の生の声、人間らしく生きたいと、多くの婦人労働者が皆さん方に真剣に訴えている声を、私がかわってお伝えしたわけでございます。それを十分認識していただいた上で、今後の運営の中で反映させていただくようお願いをしたいと思います。
それでは、時間の都合で次に移ります。
小売店の問題についてお尋ねをいたします。小売店のマージンは今後契約ということになるわけですけれども、現行一律一〇%のマージン率というものは今後も維持されることになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/240
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241・森宗作
○森説明員 お答えいたします。
小売店でのマージンにつきましては、制度改正後は契約ということになるわけでございますが、私どもとしましては、現在の一律一〇%というものを維持してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/241
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242・簑輪幸代
○簑輪委員 外国たばこの場合ですが、契約ということになれば、大都会地域など競争が激しいところあるいは量販店とか優良店ではマージンの操作、そういうものが行われるのではないか、国内たばこの販売より高いマージンがつけられるというようなこともあり得るのではないかというふうに思われます。そうした場合に、これから特殊会社も対抗上優良店にはマージン率を引き上げるとか、何かの方法でプレミアムをつけるなどというようなことが行われるのではないかというふうにも予想されておりますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/242
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243・森宗作
○森説明員 輸入品と申しますか、外国メーカーが日本におきまして市場の拡大を図るという際に、マージンの引き上げというのは一つの手段ではあるわけでございます。ただ、現在輸入品につきましてはマージンは八・五%ということになっております。これは、状況に応じて国産品と同一まで引き上げるというような話し合いになっておるわけでございますが、相手側からの希望もございまして、八・五%ということに現状ではなっておるわけでございます。
ただ、一つの手段としては考えられるわけでございますけれども、マージンの引き上げということになりますと、定価の引き上げにもつながる問題でございまして、こういったことにつきまして、今後外国メーカーがどういう形でマージンというものを考えてまいるかということにつきましては、私どもといたしましても、現時点ではなかなか的確な予測をいたしかねる問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/243
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244・簑輪幸代
○簑輪委員 外国たばこの輸入自由化ということになりますと、その外国たばことの競争というのは今後一層激化してくるわけですが、特に大都会地域での競争、これは想像を絶するものになるのではないかというふうに思われます。
特殊法人、特殊会社は政策法人ということで行われるわけですけれども、一応企業性を発揮して、営利目的でのたばこ事業を営むわけですから、当然外国との対抗上、また売り上げを伸ばすということから考えてみましても、優良店や量販店中心の営業政策ということになっていくのではないか。そうなりますと、中小、零細の小売店というのは、もうほったらかされてしまうのではないかというふうな心配があるわけですね。それがどんどん進んでいくと、輸入自由化を行う一方で、民営化に向けての特殊法人化の中で、中小、零細小売店というのは淘汰されてしまって消えてしまうんじゃないか、そういう心配がぬぐえません。こういう不安をどのように除去していくのか、どのような対策をとられるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/244
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245・森宗作
○森説明員 小売店のマージンにつきましては、私ども一律一〇%ということでございまして、これは地域間あるいは小売店によってマージンに差をつけるというようなことを現在考えていないという趣旨でございます。私どもの方も、輸入自由化後、従来の国産品のシェアというものを維持するには大変な努力が要るわけでございますが、マージンの変更ということで、いわゆる零細小売店に不利な条件を持ち込むというようなことは考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/245
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246・簑輪幸代
○簑輪委員 中小、零細の小売店の経営が今後どうなるのかということが大変不安ですけれども、特に、身体障害者福祉法や母子及び寡婦福祉法等によって小売店の開業を行っている場合、特別な社会政策的配慮が加えられているわけですから、こういう方々の経営が困難にならないような特別な配慮というものが必要ではないかと思いますが、こういう点での御配慮は一体どうなっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/246
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247・小野博義
○小野(博)政府委員 お答え申し上げます。
私どもの方としてお答え申し上げるべきことは、身体障害者福祉法なり母子及び寡婦福祉法において、現在公社制度のもとで行われている指定制の条件緩和につきまして、今後の改革後のたばこ事業法案においてもそれを引き継いでいくということを考えているわけでございまして、そういう面で御心配になるような点はなかろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/247
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248・簑輪幸代
○簑輪委員 いずれにしても、全く新しい事態を迎えるに当たって大変大きな不安にさらされている小売店の状況について、十分な配慮を重ねて要求いたしまして、次の問題に移りたいと思います。
塩専売についてお伺いしたいと思います。
専売公社はかねてから、塩事業は現状において、国の財政負担によることなく、極めて簡素な機構により効率的に運営され、代替性のない生活基礎物資として全国一律の低廉な価格水準で安定的に供給されており、公益専売としての目的を果たしている。輸入に依存することは、諸外国において資源ナショナリズムが顕著となりつつあることを考えると、極めて危険であり、現行制度を変更することは得策でないとの態度を一貫して表明されてまいりましたけれども、今回、塩業の自立化を条件にして専売制度を廃止するという方針、これは附則の二条でそういう方向が示されておりますけれども、そういう方向になったのは一体どのような理由によるものでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/248
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249・友成豊
○友成説明員 お答えいたします。
現在、国内の塩産業が自立化できる状態に持っていこうということで施策を進めているところでございます。そういう施策を進めます結果、いわゆる専売制度という支えがなくてもやっていける、そういう状態が現出するであろう。そういう状態になったときに、現行の塩専売制度というやり方でこの塩というものを保護していくといいますか、そこまでの支えが必要であるかどうか、もっとほかの方法もあるんではなかろうか。そういう意味で、現行の塩専売制度という支えが必要かどうか、そこを再検討してみたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/249
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250・簑輪幸代
○簑輪委員 専売制度でなければやっていけないから専売制度をとるというような物の考え方なのでしょうか。専売制度というのは、公益専売ということで目的があるわけですから、専売制度でやっていけるかいけないかという基準ではなくて、専売制度で塩を安定的に供給するという目的で設けられたものだというふうに理解しておりますけれども、今の御答弁ですと、やっていけるようになるまでは専売でやっていって、いけるようになったら切り離すというような、そんな感じに受けとめましたけれども、そういう発想なのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/250
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251・友成豊
○友成説明員 先ほど私、御説明申し上げましたのは、いわゆる専売制度ということで需給の安定、価格の安定ということを図っているわけでございますが、現行の専売制度は、専売公社が全量いわゆる国内の製塩メーカーから買い入れまして、あるいは輸入塩を買いまして、それを公社が元売さんを通じて売っていく。そういうやり方において需給の安定、価格の安定というものを図っているわけでございます。制度としては大変メーカーサイド、輸入サイドあるいは流通サイドを完全に抑え込んだ形でやっているわけでございますので、需給の安定、価格の安定ということが、そこまでのやり方で維持していくほどの状況であるかどうか。自立化したというような状態になったときには、そこまでの介入は必要ないんではなかろうか。もっとほかの間接的なコントロールの仕方なり、いろいろとやり方はあるんではなかろうか。そういう意味で、現行のような非常に権力が入り込んだようなコントロールの仕方ではなくて、別途の方法を検討してみたらどうだろうか、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/251
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252・簑輪幸代
○簑輪委員 専売制を外す方向というのは、私は非常に重大だというふうに思います。公社みずからが、これまで、自由経済のもとで市場原理にゆだねるならば、流通機構の複雑化、加工費その他のコストの増大等により、末端消費者価格の上昇、地域間格差は避けられないものと考えられ、情勢によっては投機の対象になることも予想される、四十八年の原油値上げに伴うパニックのとき塩が巻き込まれなかったのは、専売制度があったからだというふうに分析しておられたはずなんですね。この専売制度があったからこそパニックにならなかったということ、今後もどのようなことが起こるかわからないということから見たときに、こういう分析は私は非常に正しいと思いますし、今後も専売制を維持するという考え方になるのではないかというふうにも思います。
それで、今度新たに元売商売買を可能にするわけですけれども、これだけでも流通が複雑化するということになります。競争も激化して、弱い元売人は統合されてしまったり、あるいは廃業に追い込まれるという危険性もあろうかと思います。公社はあえてそれをねらっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/252
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253・友成豊
○友成説明員 流通の問題でございますけれども、いわゆる競争原理といいますか、そういう市場機能が現在の専売制度のもとにおきましては一切働かないという形になっているわけでございます。先ほど御説明申し上げましたように、製造なり輸入を全部公社がやりまして、公社が一次卸という役割で今度は元売さんの方に流していく、こういうシステムでございますので、どうしても元売さんというのは配給機構といいますか、そういう形になっている。そこに民間の活力といいますか、そういったものが非常に入りづらい。そういうことでは将来の自立化に向かっては大変問題があろう。したがいまして、流通業界の方が自立していくためには、現在公社が行っている一次卸の機能、こういったものをやはり担っていく必要があるわけでございます。
そういうことで、公社が現在行っている一次卸の機能を持ったような元売さんもでき上がってくれなくちゃ困る。それから二次卸のような元売さんもこれまた必要なわけでございます。そういうことで、現在は一次卸を完全に公社が行っているものですから、公社から元売さんという非常に簡潔な形でございますけれども、そういう公社の機能を縮小して民間活力のあるような元売さんを育成していくということになれば、今公社のやっている役割を担ってもらわなくちゃならない。それと、今元売さんがやっておる二次卸みたいな元売さんも必要になってくるということで元売さん—元売さんというルートが必要になってくるわけでございます。そういうことで、今回の法改正に当たりまして元売商売買という制度を導入することになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/253
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254・簑輪幸代
○簑輪委員 元売の整理淘汰をねらっているような感じがするわけですけれども、実際消費実績を見ても、関東支社が十四万三千トン、沖縄事業局が五子トンということですから、市場原理ということを考えてみましても、輸送コストの地域間格差というのもあるわけですから、こういうものが加味されたりなんかしてくれば、当然全国一律価格の均衡維持ということはできなくなるだろうという心配もするわけですね。やはり消費者価格にそれがはね返って、安定的な低廉な塩供給が今後は難しくなるだろうというふうに心配をしますけれども、公社としては一切これまでどおり、何ら心配はありません、これまでと少しも変わらず、安定的に低廉に供給できますと断言できるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/254
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255・友成豊
○友成説明員 現在、塩の小売価格は、全国どこに行っても同じ価格で売っております。この全国統一価格といいますか、一つの決まった価格で売っていくためには、いわゆる流通コストを平準化する必要があるわけでございます。現在、元売協同組合もその役割の一端を担って、そしていわゆる公社から元売さんが引き取る運賃、それから元売さんが小売店に渡す運賃を全国的にプールいたしまして、そうすることによって現在全国の消費者価格が一定に保たれているわけでございます。この制度は今後とも続けてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/255
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256・簑輪幸代
○簑輪委員 この塩の問題については、国民、消費者団体、地方自治体、関係業界から塩専売制度存続に関する要望、決議、あるいは意見書がいっぱい出ているわけです。非常に地味な分野ですし、問題もなかなかわかりにくい部分でございますけれども、塩は特にたばこと違いまして全くの生活必需品でもあり、代替性がない。命のもとということもありますし、この塩の専売の重要性というのは、どれだけ強調してもし過ぎることはないというふうに思います。
竹下大蔵大臣にちょっとお伺いしたいと思いますが、大正八年の予算審議に当たり、当時の高橋是清大蔵大臣は、物価上昇と情勢不安定の中で専売収益が激減し、大正八年には赤字会計に転落をした。一方、米騒動などに見られる国民生活安定を求める社会情勢を受けて、社会政策、産業奨励を無視して収益主義を採るの意なし、というふうに言明をいたしました。軍事費調達のための財政専売から公益専売へと転換して、以後の塩専売制度の運営方針を示したというふうに言われております。
現在の大蔵大臣として、この国民の意向を踏まえ、専売制堅持の方向性についての御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/256
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257・竹下登
○竹下国務大臣 要するに自立化というものが完熟に達成されて、国内の塩産業がそれこそ専売制に依存しなくても自力で存立、発展し得る、それから、もとより国民に対して塩を安定的に供給することが可能になった段階においては、専売制度というものはその限りにおいては不要となろうという前提の上に立っておるわけでございますが、きょうも米沢さんの議論にもありましたように、まさにナショナルセキュリティーの問題があろうかと私は思っております。したがって、この公的関与のあり方という問題あるいは塩事業のあり方という問題は、まさにそういう時点に立ったときに検討さるべき課題ではないかというふうに考えるわけです。今日この時点においては、今御審議賜っております法律の趣旨そのものが一番現実的ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/257
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258・簑輪幸代
○簑輪委員 塩の問題については、特に今回公益専売ということでの意義づけも明確化されるという状況の中で、私は今後塩が投機の対象になったり、あるいは不安定要素を抱えて国民に重大な被害をもたらすことのないように、厳しく見詰めていかなければならないというふうに思います。
それから、最後に専売公社における男女差別の問題についてお尋ねをしたいと思います。
専売公社では、職員の募集に当たって、例えば今私の手元にあります募集要項によれば、「応募資格」「昭和五十九年三月大学学部卒業予定で年齢満二十六歳未満の男子」「昭和五十九年三月大学院修士課程修了予定で年齢満二十八歳未満の技術系の男子」こういうふうに応募資格を男子に限っているわけですね。
御存じのように、今我が国は、国連における男女差別撤廃条約を批准するために、関連国内法の整備ということで、雇用における男女の機会均等という法案が既に本会議にも出され、今後審議が進められていこうとしているわけです。国家公務員の募集、採用、受験資格等においての男女差別の問題がこれまでも国会で再三論議され、私も、初級税務職における女性に門戸が開かれていなかった問題を取り上げてまいりました。これらは逐次改善されてまいりまして、専売公社において、私は当然このような男女差別はないものだと思っておりましたところ、現場の職員の方々からこのような男女差別があるということをお聞きして、びっくりしたわけでございます。
そこで、このように応募資格を最初から男子に限るというようなことは、時代の趨勢に逆らうものであり、この際、ぜひ男女差別をなくして平等の機会を当然与えるべきではないか。改善を求めて、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/258
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259・岡島和男
○岡島説明員 公社は全国にわたって事業所を有しているわけでございます。本社採用の大学卒(A)というのは、幹部要員として、全国範囲で二、三年程度のサイクルで転勤をするというようなルールになっているわけでございます。女子職員につきましては、家庭生活にあって家事とか育児というようなことが重要な仕事であるということで、広域的に頻度の高い転勤を行わせることはなかなか問題があるということで、男子を対象としてきたわけでございますが、雇用における男女の機会均等の確保という問題につきましては、非常に重要な問題であるというふうに認識しておりますので、女子の特性に見合った配置、任用の方法というのを見きわめながら、女子の採用について今後は検討してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/259
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260・簑輪幸代
○簑輪委員 今の答弁はちょっと不満です。
まず最初に、二、三年で転勤をするわけだから男に限るというのは、何ら合理的な理由にはなりません。転勤するもしないも、それはそのときに考えればよいことであって、それならば最初から二、三年で転勤するということを書いて、男女平等にすればよろしいわけじゃないかというふうに思います。
それから、家庭生活で家事、育児の負担がある、これは確かに現実です。だからといって、恩着せがましく、その家事、育児の負担を配慮するかのように言いながら締め出すということは、全く理由にならないことだというふうに思います。婦人は家事、育児の問題をも十分処理しながら男性と同等に働いていこうとする場合には、それ以上の努力を重ねて職場で奮闘しているわけです。そして今後もそういう職場での役割を果たしたいという婦人がふえている中で、今のような答弁をいただいただけでは不満です。応募資格に男子ということを書くのではなく、これは削除するとはっきり言っていただかない限り、私は納得いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/260
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261・岡島和男
○岡島説明員 先ほどの答弁で私が前半に申し上げたことは、今まではそういう考えでやっておりましたということを申し上げたわけでございまして、今後もそうするということを一言も申し上げておりません。したがいまして、今先生が言われましたように、男子という言葉は当然削除する考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/261
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262・簑輪幸代
○簑輪委員 これは、本社採用だけということではございませんで、関東支社の募集要項にも、応募資格のところに「男子」というのがございます。これもあわせて、本社採用だけではなくて、全国各地の支社の採用、これにも、当然のことながら男子という条件をつけなくて平等にしていただきたい。もう一度この点の答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/262
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263・岡島和男
○岡島説明員 同様にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/263
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264・簑輪幸代
○簑輪委員 最後に、これだけにとどまらず、公社における男女差別は、ほかにも、任用において女性が不当に低くされているという実態もございます。きょうはもっと申し上げたいことがあったのですけれども、ちょっと時間が足りなくて、その点について申し上げることができませんでしたけれども、今後さらに公社にその問題を提起して改善をお願いしたいと思っておりますので、質問外での御配慮もお願いして、きょうの質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/264
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265・瓦力
○瓦委員長 次回は、来る七月三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104629X02719840629/265
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