1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年二月二十一日(火曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長 大石 千八君
理事 臼井日出男君 理事 小澤 潔君
理事 谷 洋一君 理事 西田 司君
理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君
理事 草野 威君 理事 岡田 正勝君
伊吹 文明君 大島 理森君
大村 襄治君 工藤 巖君
小杉 隆君 左藤 恵君
野中 広務君 平林 鴻三君
古屋 亨君 松田 九郎君
山岡 謙蔵君 五十嵐広三君
細谷 治嘉君 安田 修三君
山下八洲夫君 岡本 富夫君
宮崎 角治君 吉井 光照君
藤原哲太郎君 経塚 幸夫君
出席国務大臣
自 治 大 臣
国家公安委員会
委員長 田川 誠一君
出席政府委員
人事院事務総局
管理局長 服部 健三君
警察庁長官官房
長 太田 壽郎君
自治政務次官 伊藤 公介君
自治大臣官房長 矢野浩一郎君
自治大臣官房審
議官 吉住 俊彦君
自治大臣官房会
計課長 大塚 金久君
自治省行政局長 大林 勝臣君
自治省行政局公
務員部長 中島 忠能君
自治省財政局長 石原 信雄君
自治省税務局長 関根 則之君
消防庁長官 砂子田 隆君
消防庁次長 坂 弘二君
委員外の出席者
総理府人事局参
事官 中島 勝巳君
行政管理庁行政
管理局管理官 八木 俊道君
建設省道路局道
路防災対策室長 和田 惇君
地方行政委員会
調査室長 島村 幸雄君
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委員の異動二月二十日
辞任 補欠選任
大西 正男君 金子 一平君
工藤 巖君 中馬 弘毅君
同日
辞任 補欠選任
金子 一平君 大西 正男君
中馬 弘毅君 工藤 巖君
同月二十一日
辞任 補欠選任
江崎 真澄君 野中 広務君
大西 正男君 大島 理森君
中川 昭一君 伊吹 文明君
同日
辞任 補欠選任
伊吹 文明君 中川 昭一君
大島 理森君 大西 正男君
野中 広務君 江崎 真澄君
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二月十五日
地方交付税の増額等に関する請願(井上一成君
紹介)(第五六号)
同(中野寛成君紹介)(第一一二号)
地方公務員の賃金凍結、抑制反対等に関する請
願(柴田睦夫君紹介)(第五七号)
同(三浦久君紹介)(第五八号)
同外一件(伊藤茂君紹介)(第一一三号)
同月二十日
地方交付税の増額等に関する請願(近江巳記夫
君紹介)(第一五四号)は本委員会に付託され
た。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二号)
地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/0
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001・大石千八
○大石委員長 これより会議を開きます。
この際、田川国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田川国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/1
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002・田川誠一
○田川国務大臣 ごあいさつを申し上げます。
このたび自治大臣兼国家公安委員会委員長を命ぜられました田川誠一でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
地方行政委員会の委員の各位におかれましては、地方自治行政並びに警察行政の推進に当たりましては格別の御尽力を賜っておりまして、厚くお礼を申し上げます。
後ほど所信を申し上げることとしておりますが、最近の地方自治行政を取り巻く環境はその厳しさを加えつつあり、地方財政の再建等多くの課題を抱えております。また、警察は、最近の犯罪の増加傾向と悪質、重大な事件、事故の多発する状況を抱えております。
私は、今後これらの地方行財政上の諸問題の解決と治安の維持に最大限の努力を傾注してまいる所存でありますので、委員各位の格別の御指導、御協力を心からお願い申し上げ、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/2
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003・大石千八
○大石委員長 次に、伊藤自治政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤自治政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/3
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004・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 このたび自治政務次官を命ぜられました伊藤公介でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
地方行政委員の先生方におかれましては、大変豊富な経験と高い識見をお持ちをいただきまして、我が国の地方自治の進展のために常日ごろから大変な御尽力をいただいておりますことに心から感謝を申し上げる次第でございます。
大変浅学非才でございますけれども、これからは地方委員各位の御指導、御鞭撻のもとに、地方の特殊性を十分に生かし、活力ある地方都市の発展のために政務次官としての任務を果たしてまいりたいと思います。
今後ともどうぞよろしく御指導をお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/4
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005・大石千八
○大石委員長 地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。
この際、田川国務大臣から、所管行政の当面する諸問題について説明を聴取いたします。田川国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/5
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006・田川誠一
○田川国務大臣 委員各位には、平素から地方行政及び警察行政の推進に格段の御尽力をいただき、厚くお礼を申し上げます。
この機会に所管行政の当面する諸問題について所信の一端を申し上げ、各位の深い御理解と格段の御協力を賜りたいと存じます。
最近の我が国における社会、経済情勢を見ますと、人口の高齢化、経済成長の安定化、経済のサービス化などさまざまな面で成熟化が進み、住民は単に物の豊かさを求めるだけでなく、「ゆとり」とか「うるおい」あるいは「やすらぎ」といった心の豊かさを重視し、快適な生活環境や個性的な文化活動など生活の質的な向上を求めるようになっております。このような住民のニーズに的確に対応するためには、住民に最も身近な政府である地方公共団体の役割がますます重要なものとなっており、地域社会における人々の参加と連帯を進めつつ地方分権の推進を図っていくことが肝要であると確信をしております。
しかしながら、地方行財政を取り巻く環境には依然として厳しいものがあり、多様化する行政需要に対応し、地域社会の健全な発展を図るためには、長期的な展望のもとに行財政改革を推進し、地方財政の健全化に努めることが必要であると考えます。
私はこのような認識のもとに、地方自治を真に国民に定着したものとするため最大限の努力を傾注してまいりますとともに、明年度における所要の地方行財政施策を講じてまいる所存であります。
以下、その概要について御説明申し上げます。
まず、地方行政が住民の期待にこたえて個性と活力ある地域づくりを推進していくためには、それぞれの地域の特性を生かしつつ、その総合的な整備を図る必要があります。
このため、潤いのある町づくりや地域文化の振興、充実など新しい分野の行政を含めた総合的な地域振興策の推進、指導に積極的に取り組んでまいるとともに、地域社会の均衡ある発展に不可欠な地域経済の振興を図るため、広域的かつ総合的観点に立脚した地域経済活性化対策を一層推進してまいりたいと考えております。
また、過去十余年にわたり広域市町村圏の施策を推進してきたところでありますが、明年度におきましても、広域市町村圏における各種の行政サービスの中心となる田園都市中核施設の整備につきましては、引き続き助成措置を初め所要の財政措置を講ずることとしております。
次に、地方財政に係る施策について申し上げます。
まず、明年度の地方財政対策につきましては、地方財政の健全化を図る見地から、これまでの地方財政措置の方式を見直すことといたしました。すなわち、昭和五十年度以降続けてまいりました交付税特別会計の借入金による地方交付税の特例増額を原則として取りやめ、これにかえて法律の定めるところにより地方交付税の特例措置を講ずるものとし、あわせて既往の借入金について、国と地方の負担区分の整理を行い、その元利償還の責任を明確にいたしました。このような考え方に立ち、昭和五十九年度に見込まれます財源不足額一兆五千百億円につきましては、地方交付税の特例措置額と建設地方債の増発により完全に補てんすることといたしております。
また、明年度の地方財政計画につきましては、以上のような地方財政の収支面における不均衡の状態にかんがみ、国と同一の基調によりながら、次の基本方針に基づき策定することといたしております。
その第一は、歳出面において経常経費、投資的経費を通じて徹底した歳出の抑制を行いつつ、限られた財源を地域住民の福祉の確保、住民生活に直結した社会資本の整備、住民生活の安全確保等に重点的に配分することであります。
第二は、歳入面において地方税制の改正、受益者負担の適正化等による収入の確保を図るほか、地方交付税の特例措置と建設地方債の増発等により必要な地方財源を確保することであります。
第三は、地方行財政運営の合理化を図るとともに、国庫補助負担基準の改善等財政秩序の確立を図ることであります。
この結果、明年度の地方財政計画の規模は、歳入歳出とも四十八兆二千八百九十二億円となり、前年度に比べて八千三十二億円、一・七%の増加となっております。
なお、地方公営企業につきましては、その経営の健全化を図るため、引き続き交通及び病院事業の再建を促進するとともに、上下水道等住民生活に直結した事業を中心に地方債資金を確保する等必要な財政措置を講ずることといたしております。
次に、地方税について申し上げます。
昭和五十九年度の地方税制改正につきましては、最近における地方税負担の状況と厳しい地方財政の実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図るため、住民税所得割について、課税最低限の引き上げ等を中心として減税を実施するとともに、低所得者層に係る非課税措置の基準額を引き上げる等の措置を講ずる一方、法人住民税均等割の税率の引き上げ、自動車税及び軽自動車税の税率の調整並びに非課税等特別措置の整理合理化等を行うことといたしております。
また、基地交付金及び調整交付金につきましては、基地所在市町村の実情にかんがみ、所要の額を確保することといたしております。
さて、我が国を取り巻く厳しい環境の中で、行政が国民の期待にこたえていくためには、国、地方を通じ簡素で効率的な行政を実現するとともに、国民に身近な行政は、地方公共団体が自主的、自律的に処理することのできる体制を強化し、地方分権を一層推進することが必要であると考えております。行政改革は今日における政治、行政上の最重要課題であり、政府におきましては、去る一月二十五日に「行政改革に関する当面の実施方針について」を閣議決定し、その着実な推進を図ることとしております。
地方公共団体における行財政の運営につきましては、自主的、自律的な減量化、効率化の努力が求められるところでありまして、事務事業の合理化、組織機構の見直し、補助金の整理等の行政改革を積極的かつ計画的に推進するよう強力に指導してまいりたいと考えております。
また、かねてより、国と地方公共団体の間の事務、権限の再配分、地方公共団体の組織、職員等に関する必置規制の整理、国の地方出先機関の整理縮小、地方財政基盤の確立などに努めてまいったところでありますが、今後とも、国、地方間の機能分担を適正化し、地方行政を充実させるためさらに努力してまいりたいと考えております。
次に、地方公務員行政について申し上げます。
かねてより、公務員秩序の確立と公務の公正かつ効率的な遂行の推進に努めてまいったところでありますが、今後ともこの方針に基づき、公務能率の向上、厳正な服務規律の確立、正常な労使関係の樹立等を図るとともに、地方公務員の給与及び退職手当について適正化を強力に進めることとし、また、定員管理につきましても、その適正化を一層推進し、もって住民の期待と信頼にこたえるようさらに積極的に取り組む所存であります。
特に、給与水準が著しく高い団体等に対しましては、計画的に是正措置を講ずるよう、引き続き個別に助言、指導を行うことといたしております。
また、地方公務員の定年制度につきましては、昭和六十年三月三十一日から円滑に実施されるよう地方公共団体に対し所要の助言、指導を積極的に行ってまいりたいと考えております。
消防行政について申し上げます。
我が国の消防は、戦後自治体消防として新たな出発をして以来、既に三十五年を経過いたしましたが、その間、住民生活の安全確保を目指して、消防に関する制度や施設、装備等は着実に整備充実されてまいりました。しかしながら、近年、国民生活を脅かす災害の要因は増大するとともに、複雑多様化する傾向が見られます。
このような状況に対応し、災害から国民の生命、財産を守るためには、今後とも消防の科学化、近代化を推進するとともに、住民、事業所及び消防機関が一体となった地域ぐるみの消防防災体制を確立することが一層重要であります。
まず、消防機関の施設、設備の重点的な整備を進めるとともに、消防職団員の専門的教育訓練の充実と処遇の改善に努め、さらに地震、風水害等の大規模災害に備えるため、情報連絡体制の充実、防災資機材の整備を図るなど総合的な防災体制の整備を推進してまいる所存であります。
また、ホテル、百貨店等多数の人の出入りする建築物における防災安全対策を一層推進するとともに、防火管理制度の整備及び指導体制の強化を図ってまいりたいと存じます。
次に、警察行政について申し上げます。
申すまでもなく、治安の確保は、法治国家の根幹であり、国民の豊かで平穏な生活の基盤をなすものであります。
幸い我が国の治安のよさは国際的にも高い評価を受けてきたところでありますが、治安水準は一たん悪化するとその回復が容易でないことは、諸外国の現状が教えるところでありますので、今後、国民各位の一層の理解と協力を得て、治安の確保に万全を期してまいる所存であります。
まず、最近の犯罪情勢について申し上げます。
刑法犯の認知件数は、昭和四十九年以降増加傾向を示し、一昨年は三十三年ぶりに百五十万件を超えたところでありますが、昨年は、これをさらに上回っております。また、その内容につきましても、コンピューター犯罪、クレジットカード犯罪等の新しい形態の犯罪が多発しているほか、各種国際犯罪、金融機関や深夜スーパー等を対象とする強盗事件あるいは多数の死傷者を伴う大規模事故、事件が多発しているところであります。
このような厳しい情勢に対処するため、捜査体制の充実強化、科学技術の導入等を図っているところでありますが、今後もこれらの施策を一層推進してまいる所存であります。
また、最近特に、武装化の傾向を強め対立抗争が激化しつつある暴力団に対しては、組織の根絶を目指し、集中取り締まりを強力に推進してまいる所存であります。
少年非行は、依然として増勢を続けており、中学生非行の増加、女子非行の増加、校内暴力事件の多発等憂慮すべき状況にあります。このため、少年の補導活動を強化するとともに、少年の社会参加活動等少年非行防止のための諸活動を推進しているところであります。殊に、少年の健全な成長にかかわりのある風俗環境等が悪化の度合いを深めておりますので、有害環境の浄化について積極的に取り組んでまいる所存であります。
覚せい剤事犯は、厳しい取り締まりにもかかわらず、依然として多発しており、最近では、とりわけ女性への浸透が目立つとともに、乱用者による犯罪、事故も依然として後を絶たない状況にあります。このため、関係機関とも密接な連携を図り、密輸入事犯の水際検挙に努めるとともに、暴力団を中心とする密輸、密売組織の摘発等の取り締まりを徹底し、あわせて覚せい剤を拒絶する社会環境づくりに取り組んでまいる所存であります。
次に、道路交通問題について申し上げます。
我が国における運転免許保有者数は四千九百万人に達しようとし、また、車両保有台数も六千万台を超えるなど、道路交通情勢は、過密化と複雑化が進みつつあります。
このような情勢のもとで交通事故による死者数は、一段と増勢を強め、昨年は九千五百二十人に達するなど極めて深刻な事態を迎えており、交通安全の確保は国の緊急的課題となっております。
かかる状況に対処し、今後は、交通安全施設整備を重点とする道路交通環境の整備、運転者教育の充実、効果的な交通指導取り締まり活動の推進等の諸施策を強化するとともに、長期的な視点に立って新たな施策の検討についても積極的に取り組み、交通死亡事故抑止の実効を期してまいる所存であります。
次に、当面の治安情勢でありますが、極左暴力集団は、本年も新東京国際空港に対する反対闘争を当面の主要課題としながら、テロ、ゲリラヘの動きを強めており、引き続き凶悪な事件を敢行するおそれがあります。一方、右翼も活動を一段と先鋭化する傾向を示しており、警戒を要するものがあります。
警察としては、こうした動向に対処するため強靱な体制を確立し、法と秩序を破壊する暴力行為の取り締まりの徹底を期する所存であります。また、多様化する災害に適切に対応し得る災害警備体制の充実強化にも積極的に取り組んでまいる所存であります。
以上、警察当面の諸問題について申し述べたのでありますが、流動する社会情勢に的確に対処し、治安の万全を期すためには、警察体制の整備、充実を図り、警察官の資質の向上を図ってまいることが肝要であります。
このため、昭和五十九年度においては、厳しい財政事情のもとではありますが、現在の治安水準を維持するために緊急にかつ最低限必要な地方警察官五百五十六人の増員を行うこととしたいのであります。
また、警察官の資質の向上を図るため、警察教養の徹底と処遇の改善配慮するとともに、警察職員の規律の保持並びに士気の高揚についても一層努力をいたし、もって国民の信頼にこたえてまいる所存であります。
以上、所管行政の当面の諸問題について、所信の一端を申し述べましたが、委員各位の格別の御協力によりまして、その実を上げることができますよう一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/6
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007・大石千八
○大石委員長 以上で説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/7
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008・大石千八
○大石委員長 内閣提出、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田川自治大臣。
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地方交付税法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/8
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009・田川誠一
○田川国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
今回の補正予算において、昭和五十八年分の所得税の特別減税措置等によって所得税が減額補正されたこと等に伴い、地方交付税においても、当初予算計上額に対して三百二十二億百九十五万円の落ち込みを生ずることとなってまいったのであります。
しかし、現下の地方財政は、当初予算に計上された地方交付税の総額を減額できるような状況ではありませんので、昭和五十八年度分の地方交付税について、総額の特例として加算すべき額を三百二十二億百九十五万円増額し、地方財政の運営に支障のないようにいたしたいのであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/9
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010・大石千八
○大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/10
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011・大石千八
○大石委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/11
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012・小川省吾
○小川(省)委員 質問をいたします。
まず、五十八年度の人事院勧告についてでありますが、政府は二・〇三%に値切って実施をいたしたわけでございますが、何がゆえにこのような値切りを行ったのか。どんどん値切り分が積み重なっていくばかりであり、せめて五十七年度の人事院勧告の四・五八%ぐらいは実施をしたらどうだったのかと思うのでありますが、二・〇三%にした理由は何だったのか。これは自治省じゃなくて総理府だろうと思いますが、総理府にまずお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/12
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013・中島勝巳
○中島説明員 五十八年度の人事院勧告の取り扱いにつきましては、政府は勧告を尊重するという基本姿勢に立ちまして、数次にわたりまして給与関係閣僚会議を開催いたしました。勧告の実施に向けまして、誠実に、できる限りの努力をしたところでございますが、五十八年度におきましては、御承知のとおり、五十七年度給与改定を見送ったことによりまして生じましたいわゆる官民の較差を五十八年度におきまして少しでも縮小するよう配慮する必要があることといったようなこと、それから、同じ公共部門に働きます仲裁裁定職員との関係にも配慮する必要があることといったような事情がある一方、例年予想されます義務的経費等やむを得ない追加財政需要だけでもこれを賄う財源のめどがつけがたいといった異例に厳しい財政事情、現下の経済社会情勢、国民的課題であります行財政改革が推進されている中におきます国民世論の動向等の事情を踏まえる必要がありまして、これらを総合的に勘案してできる限りの努力を払った上でのやむを得ない措置といたしまして、五十八年四月一日から平均二%の給与改定を行うこととしたものでございます。
なお、平均二%ということでございますが、実質的に二・〇三%となった理由について申し上げておきますが、五十八年十月二十一日の「公務員の給与改定に関する取扱いについて」という閣議決定がございますが、その中におきまして、五十八年四月一日から平均二%の給与改定を行うということにするとともに、配分につきましては、人事院勧告の趣旨に沿って措置するものとするということになっております。したがいまして、政府といたしましては、給与改定を行うに当たりまして、まず給与改定率につきましては平均二%を下回らないように措置するということでございます。それから、人事院勧告によって示されました配分がございますが、それを尊重するために勧告の引き上げ額を平均二%の改定率に合わせて比例的に圧縮いたしました。それから、端数の処理でございますが、従来から俸給月額あるいは手当額は百円単位でいたしております。それを尊重いたしまして百円単位に整理してございます。それから、従来からの給与秩序を維持する観点から、俸給月額相互間についてバランスを図るといったようなことについて配慮いたしまして、五十八年四月におきます国家公務員の人員によりまして加重平均して算出した結果、給与改定率が平均二・〇三%となったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/13
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014・小川省吾
○小川(省)委員 まあいいですよ。やむを得ざる措置であった、こう言うわけですね。
そこで、自治省にお聞きしたいのですが、二月一日現在、地方団体の給与改定の実施をされている状況はどうなっておるのか伺いたいのです。けさも横浜、川崎で交通関係のストが中止になったなんということをテレビのニュースで聞いたようなわけなんですが、給与改定の実施状況はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/14
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015・中島忠能
○中島政府委員 現在、全国の都道府県、市町村の中で五十八年度のベアの決定がなされておりますのは、都道府県では三十八道府県、指定都市では四指定都市、市町村では八割の市町村がベアの決定を終わっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/15
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016・小川省吾
○小川(省)委員 そういう状況なんですね。
そこで伺いたいのですが、東京都の四・五%ベースアップ問題についての現状といいますか、現況はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/16
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017・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 先生の御指摘は東京都の給与改定についての御質問でございますが、昭和五十八年度の地方公務員の給与改定を行うに当たりましては国家公務員に準じて行うものとし、各地方公共団体に対して要請をする旨、昨年の十月二十一日に閣議決定をいたしておりまして、同時に、十月二十一日付で事務次官通達で指導しているところでございます。
今回の東京都の考え方は、先生も御存じのとおり、行政改革とセットで四・五%の給与改定を実施しよう、こういうことでございます。実は、私ども東京都からも何回かにわたって事情の説明をいただいたわけでございますけれども、その行政改革の主な内容は、定員の削減と退職手当の是正というように伺っております。
それで、この東京都からいただいた資料を私どもよく見ますと、定員の推移について見ますと、国の方が四十二年から五十八年までには約一万人の減員をしているわけでありますけれども、東京都は、例えば知事部局等だけでも現状は約五千人の増員になっているわけでございます。あるいは退職手当につきましても、国の支給率は六十三・五二五カ月でありますけれども、五十九年の四月で八十二・五カ月と東京都は非常に高いわけでございます。これが東京都の計画でまいりますと、六十四年以降にもなお六十八カ月ということでございます。これは同時に初任給を比較してみましても、国家公務員と地方公務員の初任給は非常に較差がございます。東京都の方がはるかに高いわけでございまして、東京都は大卒でも一万一千五百円、高卒では六子四百円、国よりも初任給が高いわけでございます。
こういう実態でございまして、東京都の方が人員の削減をしてきた、行革に非常に熱心に取り組んでいる、そういう実態については私ども評価をしているところでございますが、全国では既にそういう行政改革を当然やってきているわけでございまして、つまり東京都の二の行革案というものが、もう血も出ない、非常に追い込まれた行革であるのか、まだ若干ゆとりを持った行革であるのかという認識の違いだろうというふうに思うわけでありますが、東京都は全国に対しましても非常に波及効果が大きいということを私ども考えまして、東京都のこのベースアップというものに対しては非常に厳しい処置で臨んでいきたいというふうに思っております。
それで、今回の給与改定方針を撤回をするように、都に対して文書、口頭によりまして強く要請をいたしました。もし仮に東京都が実施をこういう形でするということになれば、今後の財政上の措置を含めて厳正に対処せざるを得ないという考え方を私ども持っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/17
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018・小川省吾
○小川(省)委員 よくわかりましたが、時間の制限があるものですから、ぜひひとつ冗長な答弁は避けて簡潔な御答弁をお願いをいたしたいと思います。
人事院にただしておきたいのですが、人事院を設置をした意義は那辺にあるかということであります。労働基本権を奪った代償措置が含まれているということには間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/18
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019・服部健三
○服部政府委員 お答えいたします。
人事院が設けられましたのは、人事行政の中立公正な運営を確保することによりまして国民に対し能率的でかつ民主的な行政を保障するということでございますが、公務員につきましては、公務にそれぞれ特殊性がございますので、それによりまして幾らかの制約がなされているわけでございます。特に労働基本権の制約が行われておりますので、これに対する代償措置といたしまして給与勧告制度というものがございまして、これによりまして公務員の利益保護が適正かつ公正に行われるようにというのが、人事院の第三者機関として設けられているゆえんであろうかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/19
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020・小川省吾
○小川(省)委員 自治省、人事委員会設置の意義も人事院と同様に解してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/20
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021・中島忠能
○中島政府委員 細部にわたって申し上げますといろいろございますが、設置の趣旨はただいま人事院から御答弁があったとおりだというふうに御理解いただいて結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/21
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022・小川省吾
○小川(省)委員 東京都が都人事委員会の勧告の六・三一%の枠内で四・五%で給与改定の実施を決めました。四・五%というのは恐らく昨年の勧告の線ではないかと思うのであります。自治省の指導にも沿いながら、しかも人事委員会の勧告をも尊重するというなかなか殊勝な線ではないかというふうに私は考えますが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/22
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023・中島忠能
○中島政府委員 ただいま政務次官から御答弁申し上げましたとおりでございますが、要点を申し上げますと、今回の東京都の合理化というのはそれなりに自治省としても高く評側いたしますが、それをもって国家公務員よりも高いベアをできるかということになりますと、私たちの方は強い疑念を抱かざるを得ない、やはり撤回を求めざるを得ないというふうに考えております。
なお、そういう行政改革による成果というものをどういうふうに使うかというのはまた高度な判断があろうかと思いますが、基本的には地方公務員の給与というのは国家公務員に準じて決定されていくべきであるという考えを持っておりますので、その線に従ってぜひとも東京都の方は考え直していただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/23
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024・小川省吾
○小川(省)委員 自治省は都知事に対して四・五%のベースアップの撤回を求めているようですが、これは決して命令ではなくて行政指導であると思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/24
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025・中島忠能
○中島政府委員 命令、行政指導というものの区別がどこにあるかということはなかなか難しい議論だと思いますが、私たちは、現在の法律制度のもとにおいて許されておる指導を行っているというごとでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/25
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026・小川省吾
○小川(省)委員 行政指導だと思うのですね。行政指導であるとするならば、当然、強制力はなく、仮にこれに従わなくとも不利益な処分等を受けるものではないと理解をいたしますが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/26
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027・中島忠能
○中島政府委員 なかなか微妙な御質問でございますが、私たちは、今政務次官から御答弁申し上げましたとおり、現在の法律制度のもとで許されておる財政上の措置をとってまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/27
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028・小川省吾
○小川(省)委員 恐らく起債の制限について言われたのだろうと思いますが、起債の制限ということは明らかに不利益をこうむるわけでありますから不利益な処分だろうと思うのですが、これによって行政指導が強制力を持つことになると思うのであります。私は、これは行政指導の行き過ぎであって違法ではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/28
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029・石原信雄
○石原政府委員 私どもは、先ほど来政務次官や公務員部長から御答弁申し上げておりましたように、東京都に対しましては、現下の地方財政の状況あるいは都の財政状態、こういったものを総合勘案いたしまして、ぜひとも給与改定については国家公務員に準ずる線で実施していただきたいという要請を行っておるわけでありますが、そのこととも関連いたしまして、都に財政的な面で厳正な対処をするということを申し上げております。これはいわゆる法律上の制裁ということではございません。先ほど公務員部長が答弁いたしましたように、現行制度の中で対応し得る限度での対応というふうに考えております。
具体的には、地方債の許可制度の運用に当たりまして、許可方針に基づいて幾つかの基準がございます。その一つとして、例えば一般会計債等については、その団体の財政状況全体を勘案の上で真に必要な事業について重点的な起債の許可を行うというようなことが記されております。この範囲内で、都については都の給与改定の状況が都の財政状態の一つの判断要素として考えられますので、その点を考慮の上で対処したいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/29
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030・小川省吾
○小川(省)委員 都の公債費率は高いのかどうかということなんですが、公債費率は幾つくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/30
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031・石原信雄
○石原政府委員 五十七年度の公債費比率でございますが、都道府県の平均が八・五%に対して、東京都は一三・七%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/31
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032・小川省吾
○小川(省)委員 そのくらいでは決して高くはないと思うのですね。通常、私どもは、公債費率が高いというのは二〇以上ということで高いと言っておるわけで、むしろ最近では自治省は財源対策債とかいろいろなことで起債を奨励しているのであって、二〇というのが大体公債費率の高い標準になっているわけですから、それくらいだったら決して高いとは言えないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/32
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033・石原信雄
○石原政府委員 東京都の公債費比率一三・七%は、現在、都道府県の中では最も高い率でございます。
それから、どの程度が高いか低いか、この辺についてはいろいろ御議論があるところでございますが、御案内のように、公債費比率が二〇%を超しますと、起債制限条件に該当いたします。それに至らないまでも、私どもは、一五%程度というのが一つの警戒ライン、このように考えております。そういった意味では、東京都はかなりこれに近づいているという意味で憂慮すべき状態にある、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/33
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034・小川省吾
○小川(省)委員 私ども社会党は、従前から起債の許可は撤廃をすべきであるという主張をしてきたわけです。起債に許可権を認めること自体がおかしいと思うのでありますが、よしんば仮に認めるにしても、この起債の許可権というのは何のためにあるのかということなんです。まず第一に公的資金と民間資金の調整、二番目に地方団体間の公平の問題、三番目に地方の財政悪化の防止、大体この三つぐらいに起債を制限するというのはあるのだろうと思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/34
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035・石原信雄
○石原政府委員 現在、地方自治法二百五十条の規定によりまして、当分の間の措置として地方債の許可制度が設けられているわけですが、その許可制度が実施されている趣旨としては、ただいま先生御指摘のように、一つは、限られた資金の計画的な配分、資金の調整という意味合い、それから、各団体の財政の健全性の担保、こういう意味合い、この二つが大きな意義であると思います。
それからさらに、最近はいろいろな財政上の事情もありまして、地方債によって財源措置をせざるを得ない。そして、その措置された地方債について、元利償還金を直接国庫が補給するケース、あるいは基準財政需要額に算入するケース、こういったこともあります。したがって、地方債の許可が財源供与の一つの手段になっている、こういう面もあります。
そういった意味で、地方債の許可制度は現在必要である、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/35
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036・小川省吾
○小川(省)委員 国家公務員を上回る給与改定を不当として起債の許可をしないということは、もし許可権があるにしても、起債の許可権の存在目的に反するし、許可権の乱用になると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/36
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037・石原信雄
○石原政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、地方債の許可制度は、各団体の財政の健全性を担保する手段として現在認められている。それから、資金の計画的な配分、調整、このような意味合いから認められておる。両面から考えまして、通常の団体よりも高い給与改定を行う、あるいは現に給与が著しく高い状態にあるという団体につきましては、資金配分の面でそのような財政上のゆとりがあるというふうに判断することは許可制度の運用上許される、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/37
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038・小川省吾
○小川(省)委員 都に財政余力がありということで起債許可をしないというのならば、財政余力の有無というのは給与改定だけで判断をすべきものではないと思うのであります。他のもろもろの財政要素を総合的に勘案して決めるべきものではないかと思うのであります。国を上回る給与改定をもって財政余力ありというならば、上乗せ福祉もこれに当然に該当してくるだろうし、国の補助基準を上回る建物の建設などもそうなるだろうと思うのです。いろいろ指摘されることが出てくるだろうと思うのでありますけれども、起債制限が国の自由で幾らでもできるということになってしまうのじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/38
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039・石原信雄
○石原政府委員 地方公共団体が、その各地域の実情に応じていろいろな福祉施策、教育施策あるいは地域整備を行うということは当然であります。これがなければ自治の意味がありません。したがって、福祉その他について国の基準を上回る行政が行われた、これについて直ちにそれが財政上の判断として引き合いに出されるということは私は適当ではないと思うのです。
しからばなぜ給与だけ別に取り上げるのかという御指摘であろうかと思いますが、給与制度にっきましては、先ほど公務員部長からも御答弁申し上げましたように、地方公務員法第二十四条第三項の規定をまつまでもなく、給与については各団体間の均衡問題、非常にこれはナーバスな問題でございます。そしてまた、給与というのは各経費の中で最も義務的な性格の強い経費、財政の弾力性を減少させる要因として最も強く影響する経費であります。さようなことから、私どもは、給与については財政判断として、いわば全団体の一つの共通の物差しとして給与の状態がどうなっているかということを考慮せざるを得ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/39
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040・小川省吾
○小川(省)委員 起債制限の根拠として、公共団体の将来の償還能力に不安があるからだという説が挙げられているようでもありますが、都の場合、四・五%のベースアップをした程度で直ちに償還能力に不安があるという状態になるということは考えられないのではないかと思うわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/40
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041・石原信雄
○石原政府委員 各団体の財政状態を判断する要素として、給与のベースそのものがどの程度から問題になるのか、また給与改定率について国との比較でどの程度から問題になるのか、これはいろいろ御議論があると思いますけれども、少なくとも今回都が行おうとしておられます改定率は、今回の国家公務員の改定率の倍以上の率でありまして、その都財政に及ぼす影響あるいは全地方団体に与える影響、これは非常に大きなものがあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/41
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042・小川省吾
○小川(省)委員 四・五%のベースアップ問題での理由についてさらにお伺いをいたしたいと思うのでありますが、去る一月二十五日、閣議で行政改革に関する当面の実施方針ということが決定になりました。その中に、「国家公務員の給与の水準を著しく上回る地方公共団体に対し、不適正な運用等を早急に是正するよう、より一層指導を強化するとともに、財政の健全性を確保する等の見地から、給与の適正化の努力が十分でないと認められる団体については、財政上の措置について厳正な判断に立って対処する。」ということがあるのでありますが、これに東京都は該当しないのではないかというふうに私は思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/42
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043・石原信雄
○石原政府委員 今回都が実施しようとしておられますような内容の給与改定でありますと、政府としてはやはり都の財政についてただいま引用されたような方針で対処せざるを得ない、そういう状態に該当するのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/43
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044・小川省吾
○小川(省)委員 そうならば、東京都の四・五%のベースアップを不当とする理由は一体何なのかということなのでありますが、都のラスパイレス指数は幾つなんですか。それから、四・五%ベースアップをやって、ラスパイレス指数は幾つになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/44
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045・中島忠能
○中島政府委員 都のラスパイレス指数は、五十七年四月一日現在で一一〇・六でございます。今回国よりも二・四七オーバーしてベースアップするということですから、少なくとも一一三ぐらいにはなっていくだろうというふうに予想されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/45
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046・小川省吾
○小川(省)委員 しかし、東京都は自治省が言うラスパイレスが高いという百五十三団体の中にも入っていないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/46
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047・中島忠能
○中島政府委員 百五十三団体の中には入っておりません。しかし、東京都というこの地方公共団体の持つ意義といいますか、他の地方公共団体に対する影響の大きさというのは、とても一般の府県並みではございません。そういう意味におきまして、東京都のベースアップというのがどうなるかというのは、全国民が注視しておるというふうに我々は受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/47
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048・小川省吾
○小川(省)委員 後からいろいろ申し上げますが、今の答弁でも納得できません。
都が四・五%アップの理由として、まず第一に、定員削減等行革を実施した、二番目として、人事委員会勧告を尊重する、三番目として、行革に対する一般職員の協力の必要等を挙げているようでありますが、都の行政改革としては一万三千四百九人の定員削減をまずやっておりますし、退職手当の支給月数の削減もいたしておりますし、諸手当の支給等の廃止など著しいものがあるように見受けられます。そういう意味で、鈴木都知事が、これは自治省の飯を食ったあなた方の先輩なんですけれども、四・五%のベースアップに踏み切ったのも相当の理由があるようでありまして、都議会自由民主党の賛成もいただいているところであります。しかも、今回の給与改定もちゃんと五十八年の四月一日としないで、一般職は五十八年七月一日、課長クラスは五十八年十月一日、局長クラスは五十九年一月一日実施というふうに細かい配慮も示されているようでありまして、もっともな理由で何ら不当なものだとも思われないと思うのですが、自治省もかなりの文句も言ったことだし、この辺ですんなり認めてやったらいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/48
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049・中島忠能
○中島政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、地方公務員の給与というのは、均衡の原則に基づきまして、他の地方公共団体とか、特に国の職員の給与と均衡しておる必要があるという基本原則に立っております。したがって、東京都につきましては、均衡の原則からいいましても、どうしても国並みのベースアップにとどめていただきたいというふうに考えております。
なお、先生がお話しになりますような行政改革、今回の東京都のやろうとしておる行政改革は、それなりに私たち評価しておりますけれども、それによって到達する線というのはどうかといいますと、他の道府県が現在すでに到達しておる線にまでまだ達していないじゃないか、それにもかかわらず、四・五%とはどういうわけですかというふうにやはり申し上げざるを得ない。したがって、そういう点から考えましても、私たちは今回の東京都のベアというのはぜひとも考え直していただきたいというふうに強く要請していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/49
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050・小川省吾
○小川(省)委員 人事院勧告の尊重ということは、職員の労働基本権の代償として存在をするものでもあるし、人事院総裁も五十八年十一月二十六日の参議院の内閣委員会でも述べているところでありますが、勧告に基づく給与改定は優先的に実施をされるべきものではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/50
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051・中島忠能
○中島政府委員 人事院の勧告とか人事委員会の勧告というのは、政府としてあるいはまた執行部として、これは最大限の努力を払って尊重していくべきものだというふうに私たちも考えておりますし、今後もそういうふうに努力をしていかなければならないというふうに思います。
ただ、五十八年度のベアに関して申し上げますと、先ほど総理府の方から御答弁がなされましたけれども、政府としていろいろな努力をしたけれども、やはり現下の厳しい国、地方を通ずる財政状況とか、あるいは行政改革を進めておるこの状況のもとにおける公務員給与に対する国民世論、そういうものを総合的に勘案して国の方は二・〇三ということで決断をなされたということでございます。そういうふうに二・〇三ということで決断をなされたその背景といいますか、公務員給与をそういうふうにベースアップするということについて考えるに至った背景というものは、国、地方を通じましてやはり同じものがあるというふうに認めざるを得ないわけでございます。
そういたしますと、私が申し上げましたように、人事委員会の勧告というものは尊重すべきだという基本原則に立ちつつも、やはり国のそういう背景というものを考えますと、この際地方公共団体も国並みのところでひとつ我慢してくださいよというふうに私たちは申し上げざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/51
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052・小川省吾
○小川(省)委員 恐らくそういうように説得はするのでしょうね。
さらにまた、地方公務員の給与改定が国家公務員に準ずべきものだということなのでありますが、どういう根拠によるものなのかということなんです。国家公務員の改定率が低かったのは国の財政事情によるものであったと思うのです。地方公務員と関係がないのじゃないかと思うのです。関係があるとするならば、仮に、地方公共団体が財政事情が悪いので給与改定は実施をしないとした場合に、国家公務員もこれに倣って給与改定をしないということがあるのですか。かつて東京都が五十三年に改定時期を繰り下げて実施をしたことがありましたが、国家公務員はこれに倣いましたか。どうですか、回答してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/52
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053・中島忠能
○中島政府委員 今回国が二・〇三ということで決定いたしましたのは、国の厳しい財政事情もございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、行政改革を推進しておる状況のもとにおける公務員給与に対する国民世論というようなものも考えまして、そこらを総合的に判断して二・〇三%に決定したのだという総理府の御答弁が先ほどございましたが、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
なお、かつて国並みのベアをしなかったじゃないかというお話もございましたけれども、給与改定というのは、申し上げるまでもなく、適正な給与水準というものを確保するためのものでございます。したがいまして、それぞれの地方団体が置かれておる給与水準の状況というものを考えながら、ベースアップをしないあるいはするという判断がなされてしかるべきだというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/53
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054・小川省吾
○小川(省)委員 いま言われたように、そういうようになされてしかるべきものだと言うならば、仮に国の基準を上回る給与改定が時にあったって、ちっともおかしくないと思うのです。そういうのが私は地方自治だと思うのです。
しかし、その議論は後にいたしまして、地方公務員法は、地方公務員の給与改定の基準として、まず第一番目として生計費、二番目として国の職員の給与、三番目として他の地方団体の給与、四として民間事業の従事者の給与、丑としてその他の事情を挙げておりますが、国家公務員の給与はこの五つの要因のうちの一つにしかすぎないわけですね。地方公務員法で決めておる給与決定の基準の五つの要因のうちの一つが国家公務員の給与になっているわけなんですが、なぜ給与決定の適否をこれだけで判定しようとするのか、私にはよくわからないのですが、おかしいとは思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/54
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055・中島忠能
○中島政府委員 国家公務員の給与というのは、生計費とかあるいはまた民間企業の従事者の給与というものを参考にして決定されておるわけでございます。したがいまして、その国家公務員に地方公務員が準ずることになりますと、生計費もあるいはまた民間企業の従事者の給与にも準じたことになる、しかも他の地方公共団体も国家公務員に準じて考えていくと、他の地方公共団体とのバランスもとれるというふうに我々は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/55
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056・小川省吾
○小川(省)委員 五つの要因のうちの一つなんだから、国公だけに準じて考えるということ自体が誤りなんですね。
現行制度のもとでは、地方公務員の給与の決定は一応自治体の自主的な決定に任せられておるわけであります。都の場合、議会内部では与野党の全会一致の賛成と聞いております。このように、住民代表である議会すら賛成をしているというのに、なぜ国が介入をするのか、私はその辺のところがよくわからないのですが、国みずからこれでは制度を否定することになるんではないかと思いますが、自治省は都議会自民党は信用できない団体だと思っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/56
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057・中島忠能
○中島政府委員 自治省は、現在の地方自治制度を信用しないとか、あるいは不信を持っておるということでは決してございません。それぞれの地方公共団体におけるそれぞれの機関が責任を持ってその職務を執行していただければそれで結構だと考えておりますが、まだその決定がなされていない段階でございますので、私たちといたしましては、決定がなされるまでの間、我々の意見もよく聞いてください、我々の考え方もよくしんしゃくして決定してください、そういう段階に現在あるわけでございますので、声を大にして私たちの考え方をまだまだ申し上げていかなければならない、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/57
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058・小川省吾
○小川(省)委員 主張されるのは結構でしょう。しかし、都議会の中にも自民党あり、社会党あり、公明党あり、民社党あり、共産党あり、それぞれの団体が所属をしているのですから、それぞれの団体が全会一致をしてやったものを、まるっきり信用ができないというふうな、こういう住民代表の意見を自治省がけるようでは、これは地方自治を自治省みずからが否定することになると思うのですが、その辺のところは十分にひとつ配慮をしてもらいたい、こう思っております。
さらに、地方自治との関係でお伺いをしたいわけでありますが、地方団体の組織や人事や給与は、これは固有事務の最たるもので、その根幹的な部分であると思うのであります。それが違法でもないのに、国よりちょっと高いということで国がこれに介入をするのは、地方団体の自主性を失わせるし、地方自治の崩壊につながるものではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/58
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059・中島忠能
○中島政府委員 私たちは、東京都の給与決定について先生がお使いになります介入というようなことを考えているわけではございません。私たちの考え方をひとつお聞きいただきたい、私たちの考え方もよく参考にして御決定いただきたい、こういう意味における指導をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/59
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060・小川省吾
○小川(省)委員 今、答弁で言われたようなことを東京都に言ってもらえばいいんで、実際には介入のようなことを言っているから問題があるわけなんで、申し上げておるわけなんです。
それからまた、都の二十三区も国を上回る給与改定を実施する旨伝えられておるわけでありますが、これらについても起債の制限をしようとするんですか。するとすれば、その時期や方法はどうしようと思っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/60
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061・石原信雄
○石原政府委員 二十三区が東京都に準ずるような形での給与改定を考えておられるようであります。これがそのとおり実施されれば、地方債の許可に当たりましては都と同様の考え方に立って詮議してまいりたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/61
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062・小川省吾
○小川(省)委員 そこで、私にはこっちの方が気になるわけなんですが、先ほどのお答えのとおり、指定市の中でまだ六つ残っている、市町村では先ほど八割と言われましたが、大体五、六百程度の市町村の給与改定が決着をしていないというふうに聞いておるわけであります。もしこれらの団体がやはり同じように国を上回って改定をした場合に、起債の制限をしていくつもりなのか。国を上回っている支出額などというのが的確に把握できるというふうに思っておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/62
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063・石原信雄
○石原政府委員 各団体のいろいろな事情がありましょうが、基本的な考え方としては、国を上回る程度等に着目してその団体の財政状況の判断材料といたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/63
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064・小川省吾
○小川(省)委員 四・五%問題に関連をして最後に、特別交付税による財政措置について伺いたいと思うのです。
国を上回る給与改定の財源は、各地方団体は自由に使用できる流用財源を充てている人であると思うのでありますが、この分を特交でカットなどをするということは交付税制度の趣旨に反するのではないかというふうに思っています。また、期末手当の特交にはるカットは、従来私ども文句を言いましたが、事実やられていた経過があるわけなんですが、本体の給与そのものをカットするなどということはできないと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/64
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065・石原信雄
○石原政府委員 特別交付税の配分に当たりましては、その総額が各地方団体のニーズに対して大変少ない状況にございますので、その公正な配分に大変苦慮している状況でございます。
そうした中で、従来から、期末・勤勉手当につきまして国の基準を上回る支出のある団体につきましては、財政の困窮度といいましょうか、財政需要のもろもろの状況判断の際の一つの要素として、それだけは財政的にゆとりがあるという計算をいたしております。そのほか、給与水準そのものが国を著しく上回っている場合とか、あるいは給与改定において国を著しく上回る内容でこれが実施されるというような場合には、従来からはいわゆる減額計算を行っておりません。それは、期末・勤勉手当のように確定した計算がなかなかやりにくいからであります。
従来からは、給与水準が非常に高い団体等については、その団体個別の財政需要、財政要因を判定する場合の一つの要素として考慮してきております。給与改定の実施状況につきましても同様の要素としてこれを考えていくべきものではないか、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/65
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066・小川省吾
○小川(省)委員 そういうことが生じないように、特交も大分少なくなってきているわけですから、ぜひひとつ十分に配慮してもらいたいと思います。
政務次官、私がいろいろ今まで申し上げたことをよくお聞きになっていただいたと思うのですが、私が申し上げるような意見が片一方には強力にあるということを十分に配慮をして、特に政務次官も東京都の出身でありますから、行き過ぎることのないように、ひとつぜひ十分に配慮をして地方自治の根幹を誤るようなことのないようにやっていただきたい、このことを強く要請をいたしておきたいと思います。
次に、地方事務官問題について簡単に伺いたいと思うのであります。
これは行管庁だろうと思うのですが、臨調の答申の新行革大綱では、地方事務官を国家公務員化をして廃止をするという方針を打ち出しているようでありますが、現在までの各省庁間の調整はどのようになっているのですか。そこでの問題点は何なのかということなのですが、あわせて自治省にも、今国会に各省庁が法案を提出をしてくるような状況にあるのかどうか、この辺も伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/66
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067・八木俊道
○八木説明員 お答えを申し上げます。
ただいま委員御指摘のとおり、五十八年三月十四日の臨調の第五次答申におきまして、地方事務官問題の処理に関する提案があるわけでございます。
政府といたしましては、臨調答申全体を最大限に尊重するという立場に立ちまして、その処理方針につきまして全般的に検討、立案を進めてまいったわけでございますが、お尋ねの地方事務官問題につきましては、五十八年五月二十四日の閣議におきまして「臨時行政調査会の最終答申後における行政改革の具体化方策について」、こういう閣議決定をいたしたわけでございます。その膨大な閣議決定の中のごく一部分でございますが、地方事務官制度につきましては「社会保険関係、陸運関係及び職業安定関係の地方事務官制度については、答申の趣旨に沿って引き続き鋭意調整を行い、所要の法律案を次期通常国会に」すなわち今国会のことでございますが、「提出すべく準備を進める。」こういうことになっておったわけでございます。
以後、主として、社会保険関係を所管いたします厚生省、陸運関係を所管いたします運輸省、そしてまた職業安定関係を所管いたします労働省、その三省が中心になりまして政府部内での意見調整を鋭意進めてきているということでございます。去る一月二十五日の閣議におきましてもその方針を再確認をいたしておりまして、目下関係省庁間、関係方面との調整を三省において進めているという状況でございます。
去る二月十四日に内閣において取りまとめました今国会に提出する予定の法律案のリストの中には、三省からそれぞれ、厚生省につきましては厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、仮称でございます、それから運輸省におきましては道路運送法等の一部を改正する法律案、同じく仮称、それから労働省におきましては職業安定法等の一部を改正する法律案、仮称、この三つが提出を予定されるということで、三月下旬をめどに法案の調整を進めていくというふうに伺っております。
行政管理庁といたしましては、臨調答申の趣旨に極力沿いながら円滑に諸般の調整が進むように三省にお願いをいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/67
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068・大林勝臣
○大林政府委員 関係三省の対応につきましては先ほど行政管理庁の方からお話があったとおりでありまして、現在、関係の三省の方から素案と申しますか、考え方の段階ということで意見の交換に自治省の方にも参られております。現在意見の交換中ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/68
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069・小川省吾
○小川(省)委員 地方事務官問題については、地方事務官を地方公務員化をして廃止をするということが、かつて再三にわたって衆参地方行政委員会や地方制度調査会で決議されております。専門家の集中である地方制度調査会や衆参の地方行政委員会の決議の方が臨調答申よりも事地方に関する問題については優先をすると思うが、行管庁はこれについてどう思うか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/69
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070・八木俊道
○八木説明員 お答えいたします。
地方制度調査会の答申等につきましてはかねて承知させていただいておるところでございますが、今回の臨調答申は比較的最近の答申でございます。地方事務官問題という、いわば国と地方の間の中間的な部分につきましてどちらかに割り切るとすれば、その事務の性格として、比較的国が直接に処理すべき事務ではないかという指摘の部分が多い答申でございます。
これにつきましての実質問題は、私どもから御答弁するより、本来所管の厚生省、運輸省、労働省からむしろ御答弁申し上ぐべきところでありますが、臨調答申全体を推進する立場から一言だけ申し上げますと、四十年前後に、地方公務員とすべし、こういう各種意見が各方面に比較的多かったことは事実でございます。ややさかのぼりますと、昭和二十五年の神戸勧告におきましては、国営保険は国が直轄処理する、こういう意見もあったようではございますが、その後の推移を考えてみますと、例えば、保険関係におきましてはオンラインの問題が出てきております。あるいは公的年金制度全体の統合一元化、全体として国営保険が統一化の方向に大きく動いているという状況もございます。あるいはいろいろな面で行政の広域化が進んでまいりまして、広域行政需要が強まってきているということもあるようでございまして、その辺が今回の臨調答申におきましては比較的国寄りの色彩の強い答申が出てきた基礎ではないかと思うわけでございます。
政府の具体的な処理案につきましては、先ほど申し上げましたとおり、目下三省におきまして自治省その他関係省庁と調整中でございますので、最終的な政府の考え方というのは、その法律案の成案をまって申し上げさせていただく、こういうことになるのではなかろうかと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/70
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071・小川省吾
○小川(省)委員 私もそうなのですが、恐らく委員長や自民党の谷さんなんかもそうなのだと思うのですが、私ども地方行政委員会の中で決議をした問題なのですよ。こういうものが簡単に臨調だからといってやられるのは困るのです。これがどう推移をしていくかわかりませんが、そういう点は国会の委員会の決議が簡単にひっくり返ってしまうようでは困るのです。
そこで、伊藤政務次官に一点だけ伺いたいのですが、新自由クラブはかって党の方針として、たしか地方事務官を地方公務員化して廃止をすべきだというふうに主張なさっておったと思うのでありますが、現在はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/71
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072・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 この地方事務官制度をどうするかということを、実は私どもも政策大綱に掲げてまいりました。小川先生も御承知のとおり、地方事務官は、各都道府県で知事の指揮監督下にありながら身分は国家公務員であるということでございますから、二万二千人と言われておりますこの地方事務官の指揮監督を地方自治体で実際にどうするかということは、かねがね問題になっていたどころでございまして、私どもも党の政策大綱で、いずれにしてもこの制度は改革をすべきだということをうたっております。
私もそのことについていろいろ党の政策担当からも意見を伺ったわけでありますが、どちらにしても、これを国がやるか地方に任せてしまうかというのはそれぞれ一長一短がある。いずれにしても、この機会にこの制度を整理する必要があるということで、地方に任せるかどうかということについては必ずしもこだわらない。しかし、いずれにしても今度は決着をつけるべきだ。ある意味では、地方自治体では他人の子供を自分の家に下宿させているのだなんということも皮肉られているわけでございますので、いずれにしても、この機会にそれぞれの地方自治体、関係各省庁の意見を十分聞いて、この制度をきちっとしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/72
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073・小川省吾
○小川(省)委員 そのように、ぬえ的な、複雑な、「当分の間」というのが四十年も続いてきた制度なんでありますから、慎重に配慮をして結論を導いていくようにしていただきたい、そのときには地方行政委員会の決議を最優先してもらいたい、こういうことを要請をしておきたいと思います。
最後に、本論の交付税に入る時間もなくなってしまったわけなんですが、豪雪対策について特交の交付が急がれております。豪雪対策について、特交による以外、予備費等を流用する等、何らかの手は打てないのかどうか。特交もだんだんしりつぼみというか、余りふえているわけではないのですから、そういう手は打てないのかどうか。また、除雪費に対して、特に各自治体からの要望はかなり強いものがあるわけであります。除雪費をもっと見るわけにはいかないのかどうかという意見がかなり強いのですが、この点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/73
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074・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 今回の豪雪は、各地域に非常に大きな被害を生んでいるわけでございます。私も雪国でございますので、雪の大変さということを身をもって体験をしているわけでございます。(「三多摩では豪雪はないだろう」と呼ぶ者あり)私の生まれたところです。
除排雪の経費が著しく多額に上っている地方公共団体については、所要経費の報告を求めておりまして、普通交付税処置額及び降積雪量を勘案いたしまして特別交付税の算定を行うことといたしております。現在、除排雪の経費が全国的にどの程度の額に上っているかということを調査中でございます。この報告の結果に基づきまして対応することを予定しているわけでありますが、その際には、年々充実をしております普通交付税の処置額を勘案しながら、適切に処置をしていきたいというふうに思っております。
私も実はこの積雪について最近いろいろ勉強させていただいたわけでありますが、五十五年度程度の応援をしてほしいという地方からのいろんな要望がございまして、私どもの次官室にも、連日、今度の豪雪の被害に遭った地域の市町村長さん、あるいは国会の先生方が同席をしておいでをいただいております。五十五年度はどうかといいますと、普通交付税が六百六十二億でございます。特別交付税が二百二十億でありますから、合わせますと八百八十二億に実はなっておるわけですね。五十八年度は普通交付税だけで実は八百九十九億になっておるわけでございますので、特に豪雪の被害があったところを私ども十分配慮して対処してまいりたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/74
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075・小川省吾
○小川(省)委員 今の政務次官の答弁のとおり、特に豪雪地帯についてはそういう要望も強いわけでございますし、本当に大変な辛酸をなめておるわけでございますから、本交付税法を早く通して、特交もその一助になるわけでありますから、早急に交付をしていただきたい、このことを要請をして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/75
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076・大石千八
○大石委員長 次に、吉井光照君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/76
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077・吉井光照
○吉井委員 私は、今回提出されました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、自治省並びに建設省に若干質問をいたします。何分時間が非常に制約をされておりますので、要点のみ質問をいたしたいと思っておりますが、どうかよろしくお願いしたいと思います。
まず、地方交付税の減額ですが、自然減収分三百五十二億はやむを得ないものといたしましても、政策減収分の四百八十億、これについては当然国が全額措置すべきであるにもかかわらず、五十八年度における特例加算として三百二十二億となっておりますが、こうした措置は今年限りのものかどうか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/77
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078・石原信雄
○石原政府委員 今回御提案申し上げております法律案の内容は、ただいま御指摘のとおり、国税三税の減収とそれから政策減税に伴う減収、この二つの減収要因に対して本措置を講じようとするものでありまして、今回のような措置は今年度限りの補てん措置としてお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/78
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079・吉井光照
○吉井委員 次に、雪害対策についてお尋ねをいたします。
ことしの冬は、御承知のように我が国は近年まれなる異常豪雪に見舞われて、日本海側のみならず、太平洋側も含む全国的規模で断続的な降積雪を繰り返しまして、多数の死傷者を初め交通・運輸網の寸断、また家屋の全半壊等、国民生活に多大な被害をもたらしたわけでございます。
政府としても、五六雪害と同じように早速対策本部を設置されてその対策に乗り出したわけでございますが、今回提出されたこの交付税法改正案の審議が急がれる理由は、特交の三月交付に間に合うよう、しかもこの三月交付には豪雪対策も含まれると言われております。五十九年豪雪対策本部でも除排雪経費の増加に対処するため財源確保を図る、このように決定されております。
まず建設省にお尋ねいたしますが、国、県道の除排雪費の増額はどのようになっておるのか。五六豪雪時には事業費八十二億に対しまして国費五十五億が流用や予備費の中から支出をされております。また市町村道につきましても、五六雪害には事業費八十一億に対しまして四十一億の国費が予備費から支出をされておるわけでございますが、今回の豪雪対策としてどのような財源措置をとられようとしておるのか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/79
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080・和田惇
○和田説明員 お答え申し上げたいと思います。
建設省では、昭和五十八年度を初年度といたします第八次の積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画というものを策定いたしておりまして、それに基づきまして除雪、防雪、凍雪害といったような補助を実施しているところでございます。特に冬季交通確保に努めておるところでございます。
このたびの豪雪でございますが、今ほど先生御指摘のとおりでございまして、全国的に大変早い時期から長期間にわたりまして多量の降雪があったわけでございます。二月十五日で私ども調べた結果でございますが、累計降雪深というもので調べておりますけれども、毎日毎日の雪を累計したものでございます。それで見てまいりますと、過去五カ年の同日の二月十五日でございますが、同日の平均値を五〇%ほど上回っておるわけでございます。
そういったことでございますので、建設省といたしましても、二月八日に道路雪害対策本部というものを設置いたしまして、道路交通確保に全力を尽くしているところでございます。
それから、今ほどお話がございました一般国道、道府県道の除排雪費でございますが、今予算の把握に努めておるところでございます。五十八年度予算の大部分が費消されておるわけでございますので、今後の除雪のためにほかの予算を流用する、また道路整備特別会計予備費といったようなものもございますので、そういったようなものの使用を検討している段階でございます。
それから、市町村道の除雪でございますけれども、これにつきましては、建設省といたしまして除雪機械の購入を補助しておるわけでございます。その稼働に要する費用につきましては、通常、交付税等で措置されているところでございます。特にこの五十二年豪雪、五十六年豪雪の際には、市町村道除雪に対しまして補助の臨時特別措置がなされたわけでございます。私ども、現在、国土庁と共同で各市町村におきます積雪状況等について調査を実施している段階でございまして、この調査結果を踏まえまして適切な対応を図ってまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/80
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081・吉井光照
○吉井委員 ところで、五十八年度の特交は五千三百二十三億円、これは対前年度比三百一億円、すなわち五・四%の減であります。これは初めての減、このように言われております。また三月分の四千六十億円、これは五十七年度分四千九十三億円より減少しております。五十五年度三月分三千七百五十一億円、これは五十四年度三月分の三千三百六十五億円より一一・五%の増、このうち豪雪対策は二百二十億円、このようになっております。
自治省は、この三月配分の特交で除雪費用中心の豪雪対策費をどの程度見込んでいるのか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/81
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082・石原信雄
○石原政府委員 今年度の豪雪に対して幾ばくの特別交付税を配分すべきか、現在調査中でございます。すなわち、二十日現在の除雪費用の所要見込み、これは、これまで使った分とそれから二十日現在で今後確実に必要とされるであろう見込額と、両方合わせた数字を二十三日までに提出していただくように調査中でございます。この調査結果をもとにいたしまして、本年度の三月配分に織り込みたいと考えております。
これまで各団体から個別に事情を承っておりますところによりますと、地域によって多少の差はありますけれども、いわゆる五二豪雪あるいは五六豪雪に匹敵する、場所によってはそれを超える状況になっております。したがいまして、特別交付税の配分計画を立てるに当たりましては、その間の事情をある程度念頭に置いて対処せざるを得ない、このように考えております。
なお、先ほど政務次官から御答弁申し上げましたように、いわゆる五六豪雪のときの経験を踏まえて、除雪経費については、特別交付税において、その際に特別交付税で必要とした額二百二十億を上回る増額を今年度行っております。それを踏まえて、なおかつ不足する分について手当てをしたいと思いますが、その額がかなりの額になることは避けられないと思っております。したがいまして、特別交付税総額が、先生御指摘のように三百一億円減っております中でこの豪雪対策費を捻出しなければならない、大変苦しいやりくりを強いられております。
したがって、つらい話でありますけれども、災害等に見舞われなかった団体につきましては、この際、前年対比では相当程度の減額をお願いせざるを得ないと考えておりまして一それぞれ関係の都道府県、市町村に対しては、そういう状況になるかもしれないということで、あらかじめ協力方をお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/82
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083・吉井光照
○吉井委員 五十八年度は、御承知のように島根、山口の大水害、また東北の日本海地震、また山火事、冷害等、非常に災害の多い年であったにもかかわらず特交総額が減少いたしております。こうした中でまた豪雪対策費を支出することになるわけですが、本来特交で見るべき特別な需要が、この豪雪に食われてしまって十分なカバーができなくなるのではないか。先ほど局長がおっしゃったように、非常に苦しいところではございますが、仄聞するところによりますと、雪害のない地方団体では、対前年度比で、県段階で三〇%の減、市段階で二〇%の減、また町村段階で一〇%の減、このように言われておりますが、既に十二月のルール配分でおおよその手当ては済んだと考えていらっしゃるのか、それともまた新たな手当て措置でも考えていらっしゃるのか、その辺についてのお考えをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/83
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084・石原信雄
○石原政府委員 十二月配分は、いわゆるルール項目を中心に既に算定を完了しておりますが、もちろん今年度の各地方団体の特別の財政需要というものを考えますと、十二月配分では到底足りません。これらについては挙げて三月分の配分の際に考慮をせざるを得ないと思っております。
そういう今年度の財政状況全般を考えて三月分の特別交付税を配分いたすといたしますと、先ほど先生からも御指摘がありましたように、災害その他特殊な事情のない団体については、一般的な傾向として、都道府県について言いますと三割見当の減額を考えていただかなければいけない、都市の場合ですと二割程度、町村の場合ですと一割程度というような、配分計画のおおよそのめどとしてその程度の減額を考えていただかざるを得ない状況になるのではないかということを一月未の総務部長会議で申し上げたわけであります。
現在の状況を申しますと、率直に申しまして、豪雪対策でありますとか山陰の豪雨、あるいは日本海中部地震に伴う津波、あるいは北海道、東北の冷害、あるいは大規模な山林火災などなど、それから最近では炭鉱災害など、大変今年度は特殊な要因が山積しております。こうした中で総額三百一億の減のこの特別交付税に対応するということは、正直申しまして大変苦しい状況にあります。したがって、どうしても三月分の特別交付税は、こういった特殊な要因が集中している団体に重点的に配分せざるを得ないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/84
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085・吉井光照
○吉井委員 今、局長は非常に苦しい答弁をされたわけでございますが、こうした豪雪対策というものは本来関係省庁で一般的な対策を講ずべきものであって、それてどうしてもカバーできないときに特交が出ていくべきじゃないかにもかかわらず、初めから特交期待といいますか、そういうことは政府の財政対策としてはちょっとおかしいんじゃないか、このようにも思うわけでございます。国の財政悪化、資金不足のために、地方団体の固有財源であるところの地方交付税に少し依存し過ぎているのじゃないか、国の負担の地方への転嫁、これは五十九年度地方財政の最大の問題点の一つのあらわれであると思いますが、こうした点についてはどのようなお考えか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/85
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086・石原信雄
○石原政府委員 除雪経費についての財源措置のあり方に関するお尋ねかと思いますが、先ほど建設省の方からも答弁がありましたように、国道とか府県道についてはそれぞれ国の方で除雪経費等の対応がなされておりますが、問題は市町村道であります。
市町村道については、管理責任が市町村にあるということから、その財源は建設、改修について例外的に国庫補助金が支出されておりますけれども、維持管理費については地方財源で対応するという原則になっておりますために、豪雪というような事態になりますと、第一次的には交付税で対応せざるを得ない、それもなるべくならば普通交付税による寒冷補正の中で対応できるようにするのが望ましいわけですけれども、今年度のように異常気象の場合には、これには限度がありますので、特別交付税による対応をせざるを得ないということでございます。したがって、今の補助制度というか法体系からいたしますと、市町村道の除雪経費について国から補助金を支出するというのはあくまで特例的な措置、特例的な扱いにならざるを得ないと思うのであります。
私ども交付税を担当する者からいたしますと、今年度のような大規模な雪害についてはなかなか特別交付税だけでは対応し切れないという市町村の切なる声もあります。したがって、これについては、先ほど建設省から答弁がありましたように、国土庁を中心に国費の対応をどうするか現在検討がなされているところでありまして、予想できなかったような異常な事態については国を挙げて対応していただくのが望ましい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/86
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087・吉井光照
○吉井委員 次に、五十五年度、すなわち五六豪雪ですが、このときは豪雪対策経費の増加を見込んで補正で特交を二百四十四億円増額しております。この結果、対前年度比が当初で五%増が一〇・三%の増となっております。しかも、三月交付分だけなら一一・五%の増、このようになっております。
ところが、今回は初めから対前年比が五・四%の減、その上、豪雪対策費が大きいにもかかわらず増額していない。したがって、交付税特会で借り入れをしてでも増額をすべきではなかったのか。こうすることによって他の特別需要も十分カバーできたのではないかと思うわけでございます。先ほどお示しのように、県段階で三〇%、市段階で二〇%、町村段階で一〇%、こういう数字、これはもう地方にとっては大変なことだろうと思います。こういった問題についてどのようにお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/87
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088・石原信雄
○石原政府委員 交付税特別会計の借り入れにつきましては、また五十九年度の当初の地方財政対策の一環として別途交付税法の一部改正法案を御提案を申し上げ、御審議をお願いしたいと思っておりますが、私どもは、国、地方を通ずる財政再建をより確実なものとするために、まだこれからの地方財政の安定性を確保するために、交付税特会の借り入れによる特例措置というのは五十九年度から廃止したい、こう考えております。そういう状況でもございまして、今回の豪雪に関連して交付税特会の借り入れということは考えておりません。財政の健全性を確保するという方針を決めたばかりでございますので、大変つらい状況にはありますけれども、借入金による特例加算ということは考えていないところであります。
最終的に今回の豪雪による特別の財政需要がどの程度になるか、調査結果によるわけでありますけれども、私どもは、大変苦しい状況ではありますけれども、今の特別交付税の枠内でできるだけほかの経費を抑えてこれに重点的に振り向けるということで対処していきたい。もちろんこのような措置によって、雪害のなかった、あるいは災害のなかった団体については多大の影響が出てくるわけでありまして、その点は私どもも大変心が痛むわけでありますけれども、財政再建中の我が国の今の状況のもとで、この段階で再び豪雪のために交付税特会の借り入れを行うということはどうしてもとり得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/88
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089・吉井光照
○吉井委員 交付税特会の借り入れをしなかったのは、五十九地方財政対策と同じ考えに立っていらっしゃるからだと思うわけですが、そのためにいわゆる五十九年交付税は大きな問題を含むことになるわけでございます。本格的な議論はまた後日に回すといたしましても、例えば交付税率が法定の三二%から実質的には三一・三%に下がっている、こういった点にも見られるように、借り入れをやめたために地方団体に対する地方交付税の財源保障機能というものが今回の特交と同じように非常にわからなくなってくるのではないか、このように懸念をするわけでございますが、こうした点についてのお考えをもう一度お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/89
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090・石原信雄
○石原政府委員 五十九年度から交付税特会での借入方式を廃止したいと考えております。この趣旨は、先ほども答弁申し上げましたように、国、地方を通ずる財政の健全化、財政の再建というものをより確かなものにするという考え方に基づいているわけでありますが、しかし、借り入れをやめましても、地方財政収支を見積もった上でどうしても不足する状態になれば、その不足する分については一般会計の枠内で必要な特例措置を講ずるということも別途また御審議いただく法案の中に準備しております。したがいまして、借入方式を廃止いたしましても、地方交付税制度の使命であります地方財源の保障ということには支障のないように処置をしてまいりたい、そういう運用をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/90
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091・吉井光照
○吉井委員 順序が非常に後先になりまして申しわけありませんが、今回の豪雪で、生活保護家庭であるとかひとり暮らしの老人、身障者、母子家庭、こうした方々の雪おろしを初め除排雪、生活援助の点について国及び地方公共団体では特別な援助措置を考えなくてはならないのではないか、このように思うわけでございますが、自治省としてはどういうお考えをお持ちなのか、おわかりになればひとつここでお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/91
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092・石原信雄
○石原政府委員 豪雪に限らず、災害等のために各地方自治体が住民を守るためにいろんな施策を講じております。これらの施策については、私どもは一々個々の団体がどういうことを行ったからどういう財源措置をするというようなやり方はしておりません。例えば、災害等でありますと、罹災世帯数とか倒壊家屋数とかあるいは耕地の冠水面積とか、一種のこういった外形標準といいましょうか、災害を示すいろんな基準でもって、地方団体が必要な対応ができるような財源計算を行っております。
今回の豪雪につきましては、私どもは、率直に申しまして、除排雪の経費を中心に特別交付税の算定をいたしております。したがって、ただいま御指摘のような民生安定的な諸施策ということまで今回の措置でカウントすることは考えておりませんけれども、そういった処置が異常豪雪との関連において一般化してくれば、それは今後その算定方式の際の一つの検討課題ではないか、このように思います。
ただ、一般的には、私どもは地方交付税の算定におきまして、各団体が独自の判断でいろいろな施策を行い得るような経費というものを一般共通経費としてある程度は算定いたしておりますから、通常はその範囲内で対応されるもの、このように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/92
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093・吉井光照
○吉井委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/93
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094・大石千八
○大石委員長 岡田正勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/94
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095・岡田正勝
○岡田(正)委員 私は、この委員会は初めてでありますので、全く素人に立ち返りまして初歩的な質問からさせていただきたいと思うのであります。
まず、地方交付税というのが今問題になっておるわけでありますが、これは一体何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/95
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096・石原信雄
○石原政府委員 地方交付税制度は、御案内のように国税三税、具体的には所得税、法人税、酒税という国の基幹的な税目の三二%を地方の財源として地方に交付する。その交付の目的は、地方交付税法の第一条に書いてありますように、地方公共団体の計画的な財政運営を保障するという点にございます。平たく申しますれば、税源に恵まれない団体も恵まれる団体も、ひとしく住民のために二足の水準の行政が行い得るように財源的な保障を行う制度、このように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/96
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097・岡田正勝
○岡田(正)委員 今の御説明では、地方自治団体の計画的な財政運営を保障するということがやはり大きな目的の一つになっておりますね。これを確認しておきますが、間違いありませんね。——間違いありません。
そこで、この地方交付税の総額は酒、所得、法人という三税の三二%ということで決まっております。これを普通交付税と特交に九四対六に分けておりますが、これは一体どういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/97
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098・石原信雄
○石原政府委員 普通交付税の計算は、例えば人口でありますとか面積でありますとか教職員の定数でありますとか、こういった客観的な基準に基づきまして、いわば機械的に各地方団体の財政需要の計算をいたします。ところが、先ほど来御論議がありましたように、例えば豪雪が来たとか台風が襲ってきたとか、こういった要素は普通交付税の計算ではどうしても把握できない。技術的な事情あるいは算定期日の問題等がありまして把握できない要素がどうしても残ります。そこで、普通交付税で客観的に画一的に計算しただけではどうしても救済できないような各地方団体の個別の財政事情というものに対応し得るように、いわば普通交付税を補完する制度として特別交付税制度がございます。
これが九四対六という現在の割合になっておりますが、これは歴史的な経過がございまして、今の交付税制度の前身であります地方財政平衡交付金制度発足当初は、全体の一割を特別交付税として配分しておりました。しかし、なるべく客観的な機械的な計算による部分を高めることが望ましいということで、その後特別交付税の割合は八%に引き下げられ、さらに六%に引き下げられて今日に至っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/98
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099・岡田正勝
○岡田(正)委員 そこで、九四%の普通交付税というのは客観的にあるいは機械的にはじき出したものである、したがって、それの配分については基準財政需要額と基準財政収入額との差によりましてもうほとんど情実も何もなしにどんどん配付する、それが収入額の方が上回っておれば不交付団体になる、こういう仕掛けになっておるようでありますが、その基準財政需要額の中身はどうなりますか。辞しいことになると時間がかかってしまいますから、大まかに言いまして、例えばどういうものをその客観的な計算の中に入れているのか。人口とか面積とかと言いましたが、それはわかっておるのですけれども、例えば事業の関係とか、そういう関係をどういうふうに見込んであるのでしょうか。全然見込んでないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/99
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100・石原信雄
○石原政府委員 基準財政需要額の算定は、大きく言いますと経常経費と投資的経費に分かれます。
その経常経費の方は、例えば警察費であれば警察官の政令定数を使いますし、教育費であれば教職員定数とか児童生徒数、学級数、こういったものを使って計算しております。端的に申しまして、経常経費の計算は、普通交付税の計算はある程度定着していると思います。
ところが、投資的経費の方ですけれども、こちらは、地方交付税の総額が比較的潤沢な場合には、公共事業の裏負担、それから単独事業を通じまして道路、港湾、河川、農業あるいは都市計画等々の投資的経費を算定しております。しかし、最近は地方財政の状況が非常に厳しくなっておりますので、その投資的経費のかなりの部分を地方債に振りかえております。そして、その振りかえた地方債の元利償還金を再び交付税の基準財政需要額に算入するというような方法をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/100
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101・岡田正勝
○岡田(正)委員 今の酒、所得、法人の三二%というのは、どういう根拠でお決めになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/101
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102・石原信雄
○石原政府委員 これも若干歴史があるわけであります。現在の交付税制度がスタートしたのは、ちょうど三十年前の昭和二十九年でございますが、そのときには、当時の地方財政平衡交付金の額を国税三税の額で割り返した率、おおむね二〇%でスタートをしております。しかし、それでは到底地方の実情に合わない。地方から見ればその率が非常に低過ぎるという不満がございまして、平年度としては二二%に国会で修正されて、実質的には交付税制度は平年度の率としては二二%からスタートいたしております。その後、税制改正に伴う減収の補てんでありますとか、その他制度改正等の事情を背景としつつ、この二二%の率は毎年のように引き上げられまして、最終的に、昭和四十一年度に三二%になっております。以来、今日まで三二%の率が続いております。
なお、この三二%の率で計算した交付税につきましては、経済状態がよくて国税三税の大幅な伸びがあるときには、若干余裕があるということで減額特例をして、平たく言えば国の方に貸したこともあります。それから、足りないときには国から特例的に加算してもらう、あるいは借り入れるというような形で特例増額が行われたこともあります。しかし、第一次石油ショックの後の昭和五十年度以降の状態を申しますと、いわば恒常的に三二%では必要な交付税に不足するということで特例措置が続けられてきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/102
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103・岡田正勝
○岡田(正)委員 ということは、自治省におかれましても、現在の三二%というのはやはり不足するなという自覚に立っておられると理解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/103
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104・石原信雄
○石原政府委員 ただいま申しましたように、昭和五十年度以降は毎年度巨額の地方財源不足が生じまして、三二%の地方交付税では不足するということで、私どもは何回かごの三二%の交付税率の引き上げを要求しております。我々の認識としては、現在の地方財政事情からすれば三二%では足りない、こういう考え方のもとに幾たびか交付税率の引き上げを要求したわけであります。
しかしながら、国税三税の国と地方の配分割合は国の取り分が六八、地方の取り分が三二、この三二を引き上げるということは、その引き上げた分だけ国の取り分が減るわけでありますから、当然国庫当局はこれに強い反対を示しまして、国の財政事情と地方の財政事情と両にらみでこの財源配分割合が決まってきたという経緯もありまして、我々は強く要求いたしましたけれども、残念ながら、国の方の財政事情も大変厳しい状態が続いておりまして、この引き上げが実現していないというようなことで、やむなく五十八年度までは交付税特別会計の借り入れによって足らざる分を補うという扱いがなされてきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/104
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105・岡田正勝
○岡田(正)委員 自治省がこれでは不足だというので交付税率の引き上げを要求してきた。その要求をしてきたという具体的な率がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/105
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106・石原信雄
○石原政府委員 年度によりまして、いろいろな計数の基礎を持って、例えば五%とか五・何%とかいう具体の率を持って要求したこともありますし、特に率は示さずに、交付税率そのものを変える必要があるというやや抽象的な要求をしたこともございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/106
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107・岡田正勝
○岡田(正)委員 それでは質問を変えさせていただきますが、そういう状況の中で、現在地方が仕事をしようと思いますとどうしても金が足りない。そこで国庫支出金のような補助金が地方へどんどん出ていっておるのでありますが、五十九年度予算で言えば、十四兆五千億程度の補助金の中で八〇%程度が実際には地方自治団体で行う仕事に対する補助金というふうに理解をしておるのでありますが、その点、金額とパーセンテージはつかんでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/107
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108・石原信雄
○石原政府委員 詳細な金額はまた申し上げますが、いわゆる国庫補助金の約八割が地方公共団体向けのものであるということは、最近の年度ほぼ共通した状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/108
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109・岡田正勝
○岡田(正)委員 これは政務次官にお尋ねした方がいいのかもわからぬと思いますが、この種の補助金が、十四兆五千億のうち八〇%を超えるような金額が地方自治団体に出されておる。私は、いわゆる国民から今批判を受けておる諸悪の根源というのはこの補助金にあると思っておりますし、新自由クラブにおきましてもその点は手厳しく批判をしておられたと思うのでありますが、その点で政務次官は現在はどうお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/109
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110・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 先生御指摘の補助金の問題は、いろいろ国会でも御議論がありましたし、私どもも党の基本的な行革案をつくっていくときに最も配慮をしてきた点でございます。
地方団体に対する補助金は、国と地方団体が協力をして事務事業を実施する際に、全国的に二足の行政水準を維持していく、あるいは特定の行政目的を推進していくために政策手段として機能を有している、この補助金の制度によって地方のいろいろなアンバランスというものを支えていくという一面も実はあるわけでございまして、先生も御承知のとおり、地方には財源が非常に豊かなところもございますし、どう頑張っても非常に弱い、そういうところもございますので、そういうことをよく配慮していかなければいけないというふうに思っておるわけであります。
地方の自主性あるいは自律性を高めるとともに、国庫補助金制度の弊害を極力除外していくというために、零細補助金の廃止あるいは補助金の統合メニュー化あるいは総合補助金の導入、最近五十八年にも改正されているわけですけれども、例えば県で五百万円以下、こういうものに対してはもうやらない、五十八年度からは一千万以下ということになったわけでございますし、市町村に関しましては百万円以下、かつては五十万ということだったわけですけれども、これも改正をしてきたという経過もございます。
交付金化だとか、あるいは一般財源の措置への移行等を進めるとともに、補助金に係る手続の簡素化を積極的に推進をしていく必要があると私どもも考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/110
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111・岡田正勝
○岡田(正)委員 よくわかりました。
そこで、私はこの補助金の弊害を二つの面でとらえることができると思うのであります。これも政務次官のお考えだけをお聞かせいただきたいのでありますけれども、社会的な側面から見てみますと、地方自治団体はよく三割自治と言われています。財源の関係からそうなるのでありますが、ところが、そこへもっていって国庫支出金がどかっと出てくる。実際には仕事の面では国が三割、地方が七割というのが実態でございますね。それで財源は三割しかない。だから結局は何をするにいたしましても国に頼みにいかなければいかぬというようなことになっておりますので、まあ適当ではない言葉かもしれませんが、ついつい、いわゆるたかり主義、物取り主義に陥っていっておるのではないか、これはこの制度がそうさせてしまったんじゃないかというふうに思っているのです。この点はいかが思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/111
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112・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 先ほども答弁させていただきましたとおり、地方自治体によっては国の力を必要としている地域も事実ございます。しかし先生御指摘のとおり、長いこの制度の中で、ともすれば昨年よりはさらに多い国の応援をということで、地域の状況にかかわらず、毎年毎年ふえていくというような面も一面ございます。そういう点については、私ども徹底的に見直していく必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/112
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113・岡田正勝
○岡田(正)委員 この点では大体一致したと思います。
私も、社会的な側面からいいまして、補助金行政というのは、金額が大きく、しかもこれが長期に続いていくことによりまして、補助金を取ってくることがそこの首長のいわゆる腕があるかないかというようなことにストレートにつながってしまいまして、精神構造をゆがめてしまう一助になっているのではないかということを非常に憂えておるのであります。
第二の側面というのは何かといいますと、これは行政的な側面がございまして、例えば、公民館を建てようか、あるいは道路の方にいこうかというようなことなんかがありましても、これは本来を言ったら、その地方の仕事というのは、そこの首長さんと議会があるのですから、その首長と議会とが、それではことしは公民館をやろう、こういうことを決めて、それに財政的措置をするのが本当なんですね。その責任でやるのが本当ですね。ところが、いずれにしても補助金をもらわなければいかぬものですから、中央に出てこなければいかぬというようなことになってしまいまして、それで中央の方ではそれぞれやれ厚生省だ、労働省だ、建設省だと全部縦割りになるものですから、そこで今度はそこの順番待ちということになってしまって、そこで決まらぬことには予算にも提案ができないということでして、地方の自主性とか特色なんというものは私はほとんど発揮できない、完璧な中央支配というような状態になっておるのではないかなと思っておるのでありますが、次官はどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/113
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114・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 補助金につきましては、各省庁で重複をしているような場面もございます。したがいまして、私どもは補助金というものを十分整理をいたしまして、それぞれの地方自治体に補助金が十分生かせるような制度と仕組みを、この行革、特に行革国会でございますので、徹底的に先生の御趣旨を配慮して私どもも進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/114
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115・岡田正勝
○岡田(正)委員 この補助金の問題については、早急に行革の立場からもメスを入れていただかなければいかぬ。いわゆる国の総額の補助金の中の八割を占める地方自治団体に対する補助金のあり方というものについては、特に真剣に、しかもスピーディーにやってもらわなければいかぬ。これは現在の状況を見てみますと、いい悪いは別にいたしまして、とにかく中央支配の道具になっておることは間違いない。それから第二の問題としては、どっちが一体責任を持っているのだ。国なのか、地方自治団体が責任を持っておるのかという責任の所在さえもあいまいもことしてきておるという問題があります。さらに、手続が大変複雑でございます。その手続の複雑さということは即時間がかかり過ぎる、金がかかり過ぎるということを意味しております。
そういう問題が、ひいては住民が望んでおるスピーディーな行政、ツーと言えばカーと答えるような、そういう行政になってもらいたいと思うのに、逆に非効率な、いわゆるマンマンデーの行政になってしまっておるというふうに私は考えておりますので、私ども民社党としましては、もうほとんどわかり切った事業というのは、今分析すればすぐわかるわけですから、市町村になじんでおるような、定着しておるような補助金につきましては、第二交付税というものをつくりまして、それはそっくり地方の首長と議会にお任せするというようなことをしなければ、地方自治体の自主性もなければ自律性もないじゃないかというふうに思っておるのでありますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/115
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116・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 岡田先生の御提案の第二交付税の考え方、恐縮ですが、実は私ども新自由クラブでもこの第二交付税ということを党の政策で実は考えておるわけでございまして、考え方としては先生方の考え方と大変近いわけでございます。
しかし、実際に今関係省庁のいろいろなお話を伺いまして、正直なところ、私も今勉強中でございますが、実際にこの第二交付税は実施をするということになりますと非常に難しい。今後、しかしいずれにしても私どももそういう考え方を若干持ってまいりましたので、大いに研究をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/116
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117・岡田正勝
○岡田(正)委員 私は、伊藤政務次官はすばらしい人だと思いますわ。ぜひひとつ頑張ってもらいたいと思います。これは、何かといったら地方の時代が来た、これからは地方の時代だとかけ声ばかりで、もう早くも五年ぐらいたっていますよ。さっぱり進展しません。
私は、今の第二交付税を設けるということこそ地方の時代の幕あけに通じると考えておりますし、行政改革の面からいいましても、その効果は私は四つぐらいあると思うのです。これがもし実現したら、地方の主体性がまず確立てきますね。そして第二は、中央支配の排除ということができます。第三は、これはもう個性のあるそれぞれの地域づくりが進められるという大きな要素があります。第四は、行政の簡素化ができますね。私はもう一石三鳥、四鳥の案だと思いますので、これは政務次官にひとつ大車輪の御奮闘をお願いいたしたいと思うのであります。
最後でありますが、今回御提案になっております地方交付税法の一部改正法案についてでありますが、私は反対の立場に立っておるのであります。なぜならば——このことについて先ほど来皆さんからもう既に質疑が尽くされておりますので、私はそれ以上ダブるようなことを申し上げたくないのでありますが、大体今回の提案の御趣旨というものは、政府の地方税の政策減税が原因でこの問題が出てきたのじゃないかというふうに思っておりますが、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/117
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118・石原信雄
○石原政府委員 今回御提案申し上げております交付税の特例措置でございますが、その原因となりました地方交付税の減額は、二つの要素から成り立っております。すなわち、年度途中における国税三税の自然減に伴うもの、これが三百五十二億でございます。それから、国会の御決議に基づいて所得税の年内減税が実施されたことに伴う交付税の減収額四百八十億円、この二つが減額の要素となっております。したがいまして、政策減税が非常に大きな要因でありますが、それだけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/118
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119・岡田正勝
○岡田(正)委員 全くそのとおりであります。自然減収分一千百億円、この分の三二%分もあるわけでありますが、主としてはいわゆる政策減税が原因なんですよね。
そこで、これの補てんの措置について政府の方が今回御提案になっておるものは、昭和五十七年度決算に伴ういわゆる精算分、これによりまして五百九億というものが補てんをされてくる。さて、その足らず前——足らず前というのは自然減収と政策減税によるいわゆる減収分の八百三十二億から差し引きした残り三百二十二億じゃないか、だからそれを一般会計から持ってきて補てんをしてあげましょう。こういうのはひょっと見るといかにも政府は温情的だなあという感じがするのでありますけれども、実際は、私から言うとその反対でありまして、四百八十億円が政策減税で減ったのですから、四百八十億円をここへ足すのが本当なのです。三百二十二億しか品さないということは、百五十八億大蔵省に自治省がへこまされたというか、遠慮したというのか、というふうに思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/119
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120・石原信雄
○石原政府委員 五百十億円の精算額を充てたことについての御指摘かと思いますが、実はこれは五十七年度分の精算額でございまして、御案内のように、五十七年度は年度途中の補正で交付税が大幅に減りまして、一兆五千億円ほど交付税特別会計の借入金によって補てんしております。その借入金の二分の一は国庫が負担しております。今後は、その負担分については今度一般会計に振りかえるわけでございますが、そういたしますと、もし年度のあの補正の段階で税収見積もりが決算と同様に非常に的確であったならば、五百十億円というのは出なかったはずでございます。ですから、考え方によりましては、五百十億円の半分の二百五十五億円は、我が方はいただけなかったものをいただいたという計算になっております。したがいまして、今回百五十億ほど損したじゃないかと言われますが、そういう計算をしますと、物は考えようでございますが、五百十億円の歳入見積もりが初めから的確になされておったならば二百五十億円余りのものを国庫から余計にもらえなかった勘定になるということでございます。いずれにしても、私どもはそういう細かい計算をして今回の措置を決めたわけではございません。
いずれにしても、先ほど来申し上げておりますように、五十九年度からは交付税特会の借り入れはやめよう、そこで、五十八年度の補正の段階で生じた穴は一般会計の負担で全部補てんする、そして今年度の財政運営に支障のないようにしようということで合意したところでございます。したがって、今申し上げましたような完全補てんか否かという点については、いろいろ見方によって御議論があろうと思いますけれども、私どもは現下の国、地方を通ずる財政状況の中で、ぎりぎりの選択としてこのような決定を行ったということで御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/120
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121・岡田正勝
○岡田(正)委員 時間がありませんので結論だけ申し上げます。
今お答えがありましたが、交付税特会の方から、はっきり言うたら二百五十五億はもらえぬ金のところを我々の力でもらったのだ、褒めてくれ——褒めてあげます。それは褒めてあげるけれども、今度はこういうチョンボしてはだめじゃないですか。ここで四百八十億を全額補てんをさせることによって、初めて皆さん方は、よくやったなという地方自治団体からの評価を受けるのでありまして、片方でプラスになったけれども片方ではマイナスになるようなことをしておったのでは、これを称してプラス・マイナス・ゼロと言うのであります。したがって、私は余りお褒めを申し上げることができません。
それから、先ほど来の応答を聞いておりましても非常に不安に思いますのは、特交の関係におきましても前年よりは三百一億円減少しておるわけでしょう。そこへもっていって、本年は、どういうものか知りませんけれども、大規模な山林火災もあれば、日本海中部地震もあれば三宅島もある、島根水害もある、かてて加えてこの豪雪、いつ果てるやらというような状態のときにこんなことでいいのですか。本当に豪雪対策はできますか。
しかも、その裏側では地方自治団体に対しまして、余り被害の大きくないところは都道府県は三〇%、そして都市部においては二〇%、町村部においては一〇%減らしてもらいたい、カットしてもらいたい、協力してくれ。こんな財政窮迫のときに、分捕ってこなければならぬ自治省が、その監督下にあるところの地方自治団体に対して、どうかひとつ配分の予定を削らしてもらいたい、そんな不景気なことは言わぬでくださいよ。そんなことを言うくらいなら、なぜ百五十八億補てんをしないのか、もっとその方に力を入れてもらいたい。豪雪対策にいたしましても、地方公共団体が待ち望んでおる金額が保障されるとは私はこれではとても思えない。思えないからこそ、私は本案に対して反対の意思を持って質問を申し上げた次第であります。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/121
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122・大石千八
○大石委員長 次に、経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/122
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123・経塚幸夫
○経塚委員 まず最初に、豪雪対策についてお尋ねを申し上げたいと思います。
私ども共産党・革新共同議員団も、対策本部を設置いたしまして、今鋭意被害の実態を調査中でありますが、現在わかりました範囲内でも、これは県、市町村とも大変な状況だと思います。
例えば、新潟県の場合でありますが、除雪関係の当初予算は二十九億二千余万円でありましたが、既に二月十五日現在で何とその倍額近くを支出いたしております。最終予想額としましては五十五億六千万円に上るのじゃないか、かように言われております。長野県の例を挙げましても、当初予算額が三億六千万円でありますが、最終予想額は五億八千五百万円に上るだろう、こう言われております。滋賀県の例でありますが、これは安曇川町の例ですが、当初予算で三十万、ところが二月十三日現在で既に二千六百余万、最終的には三千万円を超すんじゃないか、こうさえ言われております。こうなりますと、当初予算の実に百倍近くの支出にもなりかねないわけ、であります。
特交の配分に当たりまして特別の配慮がなされるべきは当然でありますが、先ほど来からの答弁を聞いておりますと、昨年度よりも特交の額が減額をされておる。その中で豪雪地帯を優先するということになりますと、そうでない地方については減額の腹を決めてもらわないと困る、こういうことであります。しかし、例えば私どもの大阪府の府下の市町村を例にとりましても、五十七年度の集中豪雨によりましてその後遺症が五十八年度にも持ち越されておりまして、例えば松原市などは、その後遺症として一億七千万円の緊急対策を五十八年度にとったわけでありますが、単費の負担が一億二千万円にも上っておる、こういう状況もございます。したがいまして、特交の配分については当然豪雪地帯に優先的に配慮されるべきでありますが、同時に、特交では、先ほど来るる言われておりますように、府県や市町村の要望に十分こたえることはできない。したかいまして、対策本部を設置され、自治省もそれに参加されておるようでありますが、これは特別の対策を関係省庁にも強く求めて特別の措置を講ずべきだ、かように考えておりますが、その点についてはいかがなものでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/123
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124・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 先ほどからも豪雪についていろいろ御意見を伺っております。先生の御指摘の豪雪地帯、またそうでない地域も十分配慮しろということでございまして、正直を申し上げまして、豪雪があった直後から、私どもの政務次官室にもまたお隣の大臣室にも、現地の市議会、町議会、時には知事の方々もお見えをいただいて現状の報告をいただいておるところでございます。したがいまして、一応一月二十日現在をもちまして、報告を見て十分現地の皆さんの要求にこたえてまいりたいと思っております。
同時に、実は私ごとで恐縮ですが、私も、初めて当選をさせていただいたときに、しかも初めての視察に行ったのが青森の三十年ぶりの豪雪でございまして、これは各党代表の皆さんと調査団で行かせていただいたわけでありますが、大変な被害でございました。雪の恐ろしさあるいは除雪作業にかかる経費、現地のそうした状況を私自身もよく承知をしているつもりでございます。今後十分現地からの報告を配慮いたしまして、皆さんの御期待にこたえてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/124
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125・経塚幸夫
○経塚委員 先ほど申しましたように、これは特交の配分だけでは処理できないという状況もございますので、しかるべき特別の対策を求めておきたいと思います。
続きまして、今回の補正の措置についてお尋ねをしたいわけでございます。
まず最初に、今日の地方自治体が置かれております財政状況についてでございますが、五十八年四月の当委員会におきまして石原政府委員がかように答弁をされております。「今日の事態は先ほど来申し上げておりますように五十年の補正以降すっと財源不足の状態が続いているわけであり、その規模もきわめて大きなものでありますから、交付税法第六条の三第二項の要件に合致するという意味で交付税率の引き上げを必要とする事態になっているのではないか」、かように答弁されておりますが、今日もなおこういう状況が続いておると判断をしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/125
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126・石原信雄
○石原政府委員 そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/126
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127・経塚幸夫
○経塚委員 次に、これも確認をしておきたいわけでありますが、これは当然のことでありますが、自治省財政局編の「国民生活と地方財政」、この中にこういう文言がございます。「地方交付税に相当する部分は、「間接課徴形式による地方税」と呼ばれることもあるように、もともと地方団体固有の財源です。」かように書かれておるわけですが、地方団体固有の財源、このように解釈してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/127
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128・石原信雄
○石原政府委員 私どもはそのように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/128
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129・経塚幸夫
○経塚委員 これはもちろん当然の解釈であります。
そこでお尋ねをいたしますが、年度途中で交付税額に減額が生じた場合の措置であります。
まず第一点、減税による減額の場合、どのような措置を講じてこられたのか。古くはともかくといたしまして、五十二年、五十三年、五十六年、ちょっと御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/129
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130・石原信雄
○石原政府委員 最近の例でございますが、五十二年度の場合、いわゆる政策減税、所得税三千億円の減税が行われまして、その結果、地方交付税について九百六十億円の減額が生じました。この九百六十億円につきましては、交付税特別会計において借り入れを行い、その償還額は全額国の負担で措置するということで決着をしております。
それから、五十三年度も同じように三千億円の年内減税が行われまして、それに伴う交付税の減九百六十億円につきましては同様の措置がなされております。
それから、昭和五十六年度でございますが、政策減税として所得税四百八十四億円の減税がなされ、交付税の減百五十四億八千八百万円につきましてはやはり交付税特会の借り入れで対応したわけですが、その償還については全額国が負担するという扱いがなされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/130
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131・経塚幸夫
○経塚委員 それでは、自然減による措置についてはどういう措置を講じられてきましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/131
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132・石原信雄
○石原政府委員 最近の例では、自然減が生じますと、それだけ借入額を加算いたしまして、その償還について国が二分の一を負担するという扱いになっております。例えば、五十七年度の補正におきまして国税三税が五兆二千九百九十億円減額なされておりますが、それに伴う交付税の減一兆六千九百五十六億円のうち、給与改定が行われなかったことに伴う減額分千五百二十四億円を除いた分を交付税会計が借り入れまして、その償還額の二分の一を国が負担する、このような扱いになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/132
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133・経塚幸夫
○経塚委員 まず、減税による減額分の措置でありますが、五十二年、五十三年、五十六年の例をとりましても、これは政策減税でありますから、当然国の責任において措置されるのが通念ですね。過去もそういう経過をとってきたのでしょう。にもかかわらず、今回なぜあえてそういう措置をとられなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/133
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134・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 以前にも御議論があったところでございますが、年度の途中の国税の政策減税に伴う地方交付税の減収分は、全額国において負担をすべきだというのが地方財政の側からの基本的な考えでございます。
しかし、昭和五十八年度においては、昭和五十七年度決算に伴う精算分がございまして、これで自然減収を埋めてなお若干の増収額が見込まれるので、今回の政策減税による減収分の一部をこれで補てんをする、地方財政の運営上は支障がないということで処置をしたわけでございます。しかし、私ども自治省の立場でことしの予算組みをしている中では、やはり今先生御指摘の点についていろいろ配慮してきたところでもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/134
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135・経塚幸夫
○経塚委員 それですから私は最初に二点お尋ねをしたわけであります。今日の地方財政の置かれておる実態というものは、昨年の当委員会でも答弁をされましたような状況がなお引き続いておる。極めて巨額の財源不足が生じ、六条の三の二項のような状況で、交付税率を引き上げなければならないという極めて緊迫した財政状況が続いておる。きょうの当初の大臣の所信の表明の中でもそのことについては触れられておりますけれども、そういう財政状況なんでしょう。それで第二点目に私がお尋ねいたしましたのは、地方交付税は地方固有の財源なんでしょう。地方は極めて緊迫した財政状況が続いており、しかも地方交付税というのは地方固有の財源なんだ、この二つの建前から申し上げましても、減税による減額分は当然国の責任において措置されなければならない。しかも三つ目には、過去の前例としましても全部国の責任で処理してきたわけでしょう。あれより財政が今日好転しているのですか。そうじゃないでしょう。それですから、なぜ国の責任において措置されなかったのか。それは今の答弁じゃ理由になりませんよ。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/135
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136・石原信雄
○石原政府委員 確かに今日の地方財政の状況が、年度当初の段階で三兆三千億円余りの財源不足を生ずるという状態にあり、それについてそれぞれ必要な措置を講じたわけでありますから、このような状態が交付税法第六条の三第二項の事態に該当する、このように考えております。
そうした中で五十八年度のもろもろの地方財政措置が講じられた。その地方財政措置について、年度途中の税の自然減があり、また所得税の年内減税に伴う減が生じたわけであります。
これについてどう対処するか。従来の措置であれば、確かに政策減税に伴う四百八十億円の措置の仕方と、それから自然減に伴う三百五十二億円の措置の仕方を仕分けて対処をすべきであるという考え方も当然あり得ると思うのでありますが、五十九年度から、先ほど来申し上げておりますように交付税特別会計の借入方式はもう廃止する、新たな制度でスタートしたい、こういう考え方もありまして、五十八年度については少なくとも税の自然減あるいは政策減税によって生じた交付税の減は完全に補てんすることによって、五十八年度の財政運営に支障なからしめるようにしたいということで具体的な措置を検討したわけであります。
その結果、五十七年度の交付税の精算額が約五百十億円出てまいりました。この精算額については、もちろん現行制度で言えば五十九年度までに交付税会計に繰り入れる必要があるわけで、五十九年度に使うか五十八年度に使うか、これはその扱いの問題になってくるわけですけれども、五十八年度の措置としましては、国の財政事情、地方財政事情を総合勘案いたしましてこの精算額をまず充て、なお不足する分については、借入金ではなくて国の一般会計の負担で全額を補てんする、このような措置を講じたわけであります。
したがいまして、従来の扱いと若干違いますけれども、要は五十八年度の交付税に減額を生じないようにする、そして財政運営に支障を生じないようにするという点に着目して措置を決めた。それからさらに、五十九年度から交付税特会の借り入れは行わない、こういう方針を決めておった中でこの補正の問題も取り扱ったものですから、ともかく一般会計の負担によってあいた穴をふさぐということで対処した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/136
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137・経塚幸夫
○経塚委員 もともと自治省の方としては、概算要求の段階では五十七年の五百十億の精算増額分は五十九年度ということで入れていたのでしょう。そうなんでしょう。そうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/137
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138・石原信雄
○石原政府委員 交付税の精算増額五百十億円は、もし補正という事態がなかりせば当然五十九年度の当初予算に繰り入れられるべきものでありますから、概算要求においては、その時点で当然補正ということは念頭にありませんでしたので、五十九年度の当初でこれは繰り入れられるものという前提に立っておったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/138
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139・経塚幸夫
○経塚委員 総額に減額を生じないような措置としてこの精算増額分を充てた、こうおっしゃいますが、総額を確保することは結構です。それは当然のことです。
しかし問題は、減額が生じた場合の穴埋めのやり方に問題があると思うのですよ。どうして地方の固有の財源であるものを国の政策減税による減額分に充当しなければならぬのですか。こんなことは異例中の異例であって、しかも、数字だけ取り合わせてみれば五百十億円余ったから持っていったというような計算の仕方になるかもわかりませんが、問題は国の政策減税に係る国の責任なんですから、当然国の責任において措置されるべきなんですよ。それをわざわざ、財政状況が極めて緊迫した状況の中にある、しかも地方の固有の財源だ、こういう位置づけをしておきながら、何で人身御供に出すのですか。筋が通りませんよ。
しかも重大なことは、先ほども論議がございましたけれども、国がまず、政策減税分は従来どおりそれに伴う減額は国で持ちましょう、そして自然減収分についてはこうこうかくかくしかじかになっておる、それで地方の方でなお幾らお余りですか、お持ちですか、こういう話なら筋は通っております。しかしこの経過から見ますと、まず五十七年度の地方の固有の財源であるべき精算増額分を先に出させて、その上に何ぼ足りまへんのや恩着せがましい穴埋めの仕方じゃないですか。これで自治省として筋が通りますか。その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/139
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140・石原信雄
○石原政府委員 精算額をどの年度で使うかについては、過去においても、翌年度の補正予算で使ったこともありますし、翌々年度で計上したこともあります。いずれのケースもあり得るわけです。
五十八年度の場合、先ほど申しましたように、私どもは当初の段階では補正という事態は考えておりませんでしたから、五十九年度の繰り入れを予定しておったわけでありますけれども、五十八年度に政策減税と税の自然減によって交付税に八百億を超える穴があいた。ですから、この時点で五百十億円手をつけずに全額国の責任で補てんせよという主張もあり得ると思うのでありますけれども、今の国の財政状況のもとでは、ともかく五十八年度においても法的に使用可能な交付税五百十億円をまず充てて、そしてなお不足する分は、五十八年度の財政運営に支障なきを期するために一般会計の責任でこれを補てんするということにしたわけであります。別に恩着せがましくということではなくて、私どもも、とにかく絶対要件として五十八年度の場合は当初に計上した交付税額を減額できない、どうしてもこれは確保したいという考え方で臨んだわけでありまして、その一つの方法として精算額をまず使ったということであります。もちろんいろいろな議論があり得ると思いますけれども、今の国、地方を通ずる財政状況のもとでは、このような選択が最善の道と考えたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/140
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141・経塚幸夫
○経塚委員 自治省の皆さんも大蔵との折衝の過程の中で容認された。容認したのかあるいはさせられたのかわかりませんが、そういう立場に立った以上は、この場での答弁は大変苦しい答弁にならざるを得ないと思いますが、先ほどの質問の答弁の中で、こういう措置は今年度限り、こうおっしゃいました。しかし、過去の経緯から見ますと、会議録を見ますと、今年度限り、今年度限り、当面の間の緊急避難的な措置と言いながら、いつの間にかこれが制度化されてしまう。このことに対して、私も二十年間地方で議員としてやってまいりましたが、地方から見ておりますと、こういう状態が続く限り一体これから先地方はどうなるのかという不安をまことに禁じ得ないわけであります。したがいまして、そういう論もあろうかという御答弁でございますが、そういう論もあろうかというような単純なものじゃないですよ。これは根本的に間違っております。
それから次に、自然減収による減額分についてでございますが、これとても、二分の一、フィフティー・フィフティーというのは正しくないと思うのです。本来は、これだって国の責任において、原則からいけば、建前から言えば措置されなければならない性格のものだ、かように考えております。この二分の一問題の会議録を見てみますと、五十二年度のときに当時の加藤自治大臣が答弁をされておりますが、これは自然減収による減額を地方交付税にはね返らせないために、いわゆる特例法によって措置をして、そして総額は減額しない措置を講じた。しかし一方では、覚書を取り交わして二分の一それぞれ負担をする、こういう経過になったと私は解釈をいたしておりますが、この当時でさえ、当時の自治大臣はこう答えておるのです。「今回地方交付税を減額しないことに補正措置をした、この措置だけで覚書の処置がない場合が理想である。」自然減収分についても当然国の責任において国が措置をする、これはもう原則なんですね。しかし、やむを得ない事情があったので覚書を取り交わした、こう言っておるわけであります。
こういう建前から見ますと、二分の一自体もそれは不当でありますが、今回のをちょっと計算をしてみますと、従来の経過から見れば、減税による減額分は全額国負担四百八十億、自然減収による減額分は、仮に二分の一を不承不承認めるといたしましてもこれは百七十六億、六百五十六億来なければならぬのでしょう。それを三百二十二億しか国は出しておらぬのでしょう。マイナス三百三十四億ですよ。一体こんなことを自治省が、はい、さようでございますかと言って認めてくるのですか。認められるのですか。こんなことじゃ地方自治はたまったものじゃないですよ。
先ほど給与問題についていろいろ論議をされました。時間が五分前という通知が参りましたので、この問題につきましては改めて論議をいたしたいと思いますけれども、公務員部長は給与の問題について、国家公務員を上回る問題についての財政措置はこれは介入ではない、こうおっしゃった。私は、何を言っているかと言うのです。明らかに介入じゃございませんか。しかも兵糧攻めという、地方自治体が一番困っておる問題を盾にして介入、干渉しているのでしょう。もしその地方に住民から非難を受けるような問題が起これば、これは公選によって選ばれた長があり、公選によって選ばれた議会があるのです。これは自主的に解決をつけるべき問題なんです。自治大臣もきょうの最初の所信のときには、地方の自主性、自律性ということを二度にわたって強調されているのでしょう。これに対して財政的な措置を講ずるというのは明らかに制裁であり、介入であり、干渉ですよ。大蔵との、国との関係においては、今日の極めて厳しい財政状況にもかかわらず、しかも固有の財源ということを認めており、過去の前例としても減税による減額分は国の責任において処理をしてきた、自然減収分も、これは我々は認めませんけれども二分の一、そういう経過がある。にもかかわらず、後退に後退を重ねて国のとるべき責任を自治省がかぶるということは、まさに主客転倒じゃないですか。こんな姿勢でもって地方に対して何の介入、干渉ができますか。私は、地方に言うべきことを言うのなら、自治省も大蔵に対して、国に対して本当に憲法で定められた地方自治の本旨の立場に立って言うべきことを堂々と主張してこそ、地方に対しても言うべきことが昂然と胸を張って言えるだろうと思うのですよ。私はこの点について自治省の基本的な姿勢を問いたい、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/141
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142・伊藤公介
○伊藤(公)政府委員 基本的な姿勢でまずお答えをしたいと思いますが、国も地方も、先生も十分御承知のとおり今や行革を徹底して進めなければならないときでございます。自治省といたしましても、三千三百の全地方自治体に、国も率先して行革に取り組むので地方自治体でも徹底した行革を図ってほしい、そういう方針でお願いをしているわけでございます。
東京は特に全国の中でも非常に大きなウエートを占めているところでございますし、特に私どもは東京都の行政改革の経過をいろいろ検討してまいりました。その中には、非常に高く評価をすべき行革の足跡を私たちは評価をしているわけでございます。しかし、にもかかわらず、なお全国の地方自治体の現状や国の置かれている状況、あるいは国民の行革に対する今日の高い関心の中で私どもは考えますと、東京都は特にさらに血のにじむような行革を図ってほしい。都議会の中にもいろいろな意見があることを、私たちは個々の都議会議員の皆さんからも伺ってまいりました。また、東京都からも何回かにわたって行革の内容についても説明を求めてきたところでございます。しかし、そうしたことを十分配慮した上でも、今日のベースアップ等、あるいは先ほども御答弁させていただきましたけれども、国家公務員と地方公務員の給与の較差あるいは退職金の問題、いずれをとりましても東京都はなお行革に鋭くメスを入れてほしいという意味で、自治省としてはこの方針を貫いていく決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/142
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143・経塚幸夫
○経塚委員 私どもは、それぞれの地方自治体が効率的で住民本位の行政を進めていく、そのためにむだを省いて必要なとるべき措置はとるということについては全面的に賛成であります。しかし、それはあくまでも地方自治の本旨にのっとって地方自治体みずからの判断でみずから解決をしていくべきことであって——国が指導するのはよろしい、言うのはよろしい。言うのはよろしいが、しかし、口だけ出して金は出さぬ、こう言われておるわけでありますから、指導はよろしいけれども、兵糧攻め、財政的ないわば制裁に値するような措置は講ずべきでない、こういうことを申し上げたまででございます。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/143
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144・大石千八
○大石委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/144
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145・大石千八
○大石委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。
地方交付税法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/145
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146・大石千八
○大石委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
この際、お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/146
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147・大石千八
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/147
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148・大石千八
○大石委員長 続いて、地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。
昭和五十九年度自治省関係予算の概要について説明を聴取いたします。矢野官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/148
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149・矢野浩一郎
○矢野政府委員 昭和五十九年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
第一に、一般会計予算でありますが、歳入は二千二百万円、歳出は九兆一千五百五十七億一千七百万円を計上いたしております。
歳出予算額は、前年度の予算額七兆七千九百三億五千百万円と比較し、一兆三千六百五十三億六千六百万円の増額となっております。
また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省九兆一千三百七十一億四千五百万円、消防庁百八十五億七千二百万円となっております。
以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして内容の御説明を申し上げます。
最初に、自治本省につきまして御説明を申し上げます。
まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、八兆八千八百六十四億円を計上いたしております。
これは、昭和五十九年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額八兆七千百四億円と昭和五十九年度の特例措置額一千七百六十億円を合算した額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。
次に、借入金等の利子の財源の繰り入れに必要な経費でありますが、一千八百二十九億円を計上いたしております。
これは、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金の利子の支払い財源を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。
次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。
これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するためのものであります。
次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十二億円を計上いたしております。
これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するためのものであります。
次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費として、百二十三億九千九百万円を計上いたしております。
これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するためのものであります。
次に、地方公営交通事業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、十億七千六百万円を計上いたしております。
これは、地方公営交通事業の再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金を交付するためのものであります。
次に、再建地方都市バス事業の車両更新費の補助に必要な経費でありますが、二億二千七百万円を計上いたしております。
これは、財政再建を行う地方都市バス事業を経営する地方公共団体に対する当該事業の車両更新費の補助に必要な経費であります。
次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、八十億八子七百万円を計上いたしております。
これは、公営地下高速鉄道事業債の支払い利子に相当するものとして発行を認めた特例債の利子の一部について、地方公共団体に助成金を交付するためのものであります。
次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、百五十億一千二百万円を計上いたしております。
これは、公営企業金融公庫の上水道事業、下水道事業、工業用水道事業、交通事業、市場事業、電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するためのものであります。
なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。
次に、広域市町村圏等の整備の推進に必要な経費でありますが、十二億六千九百万円を計上いたしております。
これは、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、広域市町村圏等における田園都市中核施設の整備計画の策定に対する補助及び当該施設の整備に対する助成交付金の交付に必要な経費であります。
次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、八億六千四百万円を計上いたしております。
これは、選挙人の政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動及び政治倫理化運動を推進するために要する経費について、都道府県に対し補助する等のために必要な経費であります。
以上が自治本省についてであります。
次に、消防庁について御説明申し上げます。
まず、大震火災対策に必要な経費として、四十一億六百万円を計上いたしております。
これは、震災等大規模災害に備えるため、消防防災無線通信施設の整備及び耐震性貯水槽、コミュニティー防災センターなど震災対策のための諸施設の充実を図るとともに、防災知識の啓発及び消防防災対策調査を推進するために必要な経費であります。
次に、消防施設等整備費補助に必要な経費として、百二十八億七千二百万円を計上いたしております。
これは、市町村の消防力の充実強化を図るため、消防車、防火水槽などの消防施設を地域の実情に応じて重点的に整備するとともに、林野火災等に対する防災対策の推進を図るために必要な経費であります。
第二に、特別会計予算につきまして御説明を申し上げます。
自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計があり、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定があります。
まず、交付税及び譲与税配付金勘定の歳入予定額は、二十一兆七百八十億六千万円、歳出予定額は、二十一兆五百七十億六千万円となっております。
歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。
歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。
次に、交通安全対策特別交付金勘定の歳入予定額は、七百二十五億九千八百万円、歳出予定額は、六百七十三億二千二百万円となっております。
歳入は、交通反則者納金の収入見込み額等を計上いたしております。
歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。
以上、昭和五十九年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/149
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150・大石千八
○大石委員長 次に、昭和五十九年度警察庁関係予算の概要について説明を聴取いたします。太田官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/150
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151・太田壽郎
○太田政府委員 昭和五十九年度の警察庁予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
昭和五十九年度の警察庁予算総額は、一千五百六十二億九千五百余万円でありまして、前年度予算額一千五百六十六億二千百余万円に比較しまして、三億二千六百余万円の減額となっております。
次に、その内容の主なものにつきまして御説明申し上げます。
第一は、警察庁一般行政に必要な経費五百八十七億七千九百余万円であります。
この経費は、警察庁、警察大学校及び地方機関の職員並びに都道府県警察の警視正以上の警察官の職員俸給等の人件費、都道府県警察官五百五十六人の増員に必要な教養経費等のほか、警察庁、警察大学校及び地方機関の一般事務経費であります。
第二は、電子計算機運営に必要な経費四十五億六千五百余万円であります。
この経費は、全国的情報管理システムその他のために設置した電子計算機組織の運営に必要な電子計算機の借料とそれに付随する消耗品購入費等であります。
第三は、警察機動力の整備に必要な経費百二十三億七千九百余万円であります。
この経費は、災害対策の一環ともなりますヘリコプター、警察車両の購入、警察装備品の整備及び警察通信施設の整備並びにその維持管理等の経費であります。
第四は、警察教養に必要な経費二十九億六千余万円であります。
この経費は、警察学校入校生の旅費と警察学校における教養のための講師謝金、教材の整備費等であります。
第五は、刑事警察に必要な経費七億六千五百余万円であります。
この経費は、暴力団犯罪及び一般犯罪の捜査、取り締まりの指導、連絡等に必要な旅費、物件費並びに犯罪鑑識に必要な法医理化学器材等の整備費、消耗品費、死体の検案解剖の経費のほか、犯罪統計の事務等に必要な経費であります。
第六は、保安警察に必要な経費一億七百余万円であります。
この経費は、青少年の非行化防止、風俗取り締まり、麻薬、覚せい剤、密貿易、けん銃等銃砲危険物、公害等に関する犯罪の捜査、取り締まりの指導、連絡等に必要な旅費、物件費等であります。
第七は、交通警察に必要な経費一億八千四百余万円であります。
この経費は、交通安全に関する広報及び運転者対策等に必要な物件費並びに交通取り締まり指導のための旅費等であります。
第八は、警備警察に必要な経費五億九千三百余万円であります。
この経費は、警備警察運営に関する会議、指導、連絡等の旅費、器材類の整備等に必要な経費であります。
第九は、警察活動に必要な経費百四十七億九千三百余万円であります。
この経費は、犯罪の捜査、取り締まり等警察活動に必要な旅費及び捜査費であります。
第十は、警察電話専用回線の維持に必要な経費三十八億六千三百余万円であります。
この経費は、警察電話専用回線を維持するために日本電信電話公社に支払う、いわゆる警察電話専用料であります。
第十一は、犯罪被害給付に必要な経費五億六千二百余万円であります。
この経費は、殺人、傷害等の犯罪により死亡しまたは重障害を受けた場合、その遺族または被害者に対し国が一定の給付をするために必要な給付金及び事務費であります。
第十二は、千葉県警察新東京国際空港警備隊に必要な経費五十八億八千八百余万円であります。
この経費は、千葉県警察新東京国際空港警備隊の維持、運営に必要な旅費、物件費及び空港警備隊員の人件費等の補助金であります。
第十三は、船舶の建造に必要な経費二億二千八百余万円であります。
この経費は、警察用船舶の建造に必要な経費であります。
第十四は、科学警察研究所に必要な経費八億三千九百余万円であります。
この経費は、警察庁の附属機関として設置されています科学警察研究所職員の職員俸給等人件費と鑑定、検査、研究に必要な機械、器具類の購入費、維持費、その他一般事務経費であります。
第十五は、皇宮警察本部の一般行政に必要な経費四十七億五千百余万円であります。
この経費は、皇宮警察本部職員の職員俸給等人件費のほか、その他一般事務経費であります。
第十六は、皇宮警察本部の護衛、警備に必要な経費一億五千四百余万円であります。
この経費は、皇居の警備及び行幸啓の護衛に必要な経費であります。
第十七は、警察庁の施設整備に必要な経費三十四億九百余万円であります。
この経費は、直接国庫の支弁対象となっております都道府県警察学校等の施設の整備に必要な経費であります。
第十八は、都道府県警察費補助に必要な経費二百二十一億九千七百余万円であります。
この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察の一般の犯罪捜査、交通指導取り締まり、外勤警察活動、防犯活動等の一般行政費の補助に必要な経費であります。
第十九は、都道府県警察の施設整備費補助に必要な経費百九十二億七千三百余万円であります。
この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察の警察署、派出所、駐在所、待機宿舎等及び交通安全施設の整備費の補助に必要な経費であります。
以上、昭和五十九年度の警察庁予算の内容につきまして、その概要を御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/151
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152・大石千八
○大石委員長 以上で説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十九分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00219840221/152
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