1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年三月一日(木曜日)
午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 大石 千八君
理事 臼井日出男君 理事 小澤 潔君
理事 谷 洋一君 理事 西田 司君
理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君
理事 草野 威君
大村 襄治君 工藤 巖君
小杉 隆君 左藤 恵君
塩島 大君 中川 昭一君
平林 鴻三君 古屋 亨君
松田 九郎君 山岡 謙蔵君
五十嵐広三君 細谷 治嘉君
安田 修三君 山下八洲夫君
岡本 富夫君 宮崎 角治君
吉井 光照君 藤原哲太郎君
経塚 幸夫君
出席国務大臣
自 治 大 臣
国家公安委員会
委員長 田川 誠一君
出席政府委員
内閣法制局第一
部長 前田 正道君
警察庁長官房
長 太田 壽郎君
警察庁刑事局長 金澤 昭雄君
警察庁刑事局保
安部長 鈴木 良一君
自治大臣官房長 矢野浩一郎君
自治大臣官房審
議官 田井 順之君
自治大臣官房審
議官 津田 正君
自治大臣官房審
議官 土田 栄作君
自治大臣官房審
議官 吉住 俊彦君
自治省行政局長 大林 勝臣君
自治省行政局公
務員部長 中島 忠能君
自治省行政局選
挙部長 岩田 脩君
自治省財政局長 石原 信雄君
自治省税務局長 関根 則之君
消防庁長官 砂子田 隆君
委員外の出席者
社会保健庁長官
官房総務課長 花輪 隆昭君
地方行政委員会
調査室長 島村 幸雄君
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委員の異動
二月二十四日
辞任 補欠選任
小杉 隆君 山口 敏夫君
同日
辞任 補欠選任
山口 敏夫君 小杉 隆君
同月二十五日
辞任 補欠選任
大西 正男君 相沢 英之君
大村 襄治君 石原慎太郎君
工藤 巖君 海部 俊樹君
小杉 隆君 山口 敏夫君
左藤 恵君 武藤 嘉文君
中川 昭一君 村田敬次郎君
古屋 亨君 奥野 誠亮君
同日
辞任 補欠選任
相沢 英之君 大西 正男君
石原慎太郎君 大村 襄治君
奥野 誠亮君 古屋 亨君
海部 俊樹君 工藤 巖君
武藤 嘉文君 左藤 恵君
村田敬次郎君 中川 昭一君
山口 敏夫君 小杉 隆君
同月二十九日
辞任 補欠選任
大西 正男君 平泉 渉君
大村 襄治君 森 美秀君
工藤 巖君 山中 貞則君
同日
辞任 補欠選任
平泉 渉君 大西 正男君
森 美秀君 大村 襄治君
山中 貞則君 工藤 巖君
三月一日
辞任 補欠選任
江﨑 真澄君 塩島 大君
同日
辞任 補欠選任
塩島 大君 江崎 真澄君
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二月二十八日
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一八号)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第一九号)
消防施設強化促進法の一部を改正する法律案
(内閣提出第三一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
第一八号)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第一九号)
消防施設強化促進法の一部を改正する法律案
(内閣提出第三一号)
地方財政に関する件(昭和五十九年度地方財政
計画)
地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/0
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001・大石千八
○大石委員長 これより会議を開きます。
地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件 について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/1
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002・臼井日出男
○臼井委員 地方公務員の給与問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
大臣も、地方公務員の給与について適正化を強力に進めるとの所信を表明しておられます。この地方公務員の給与に対して今日ほど国民の厳しい批判がある時期も私はないと思うわけであります。一部の団体において見られる著しく高い給与水準あるいは給与制度運用の不適正な事例は、国、地方を通じ財政の健全化と行政改革が最大の課題となっている現下の厳しい情勢に対する認識を疑わしめるものとして考えられるわけであります。適正な財政運営を行っている多くの団体を含めて、地方公共団体に対する国民の不信を招き、地方自治団体の円滑な運営に重大な支障となりつつあるのではないかと深く憂慮するものでございます。
まず最初に、地方公務員の給与の現況と適正化の現況はどうなっているか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/2
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003・田川誠一
○田川国務大臣 臼井委員御指摘の地方公務員の高給与の問題は、大変今世間の注目の的となっておることは御承知のとおりでございます。私は、自治大臣に就任しましてそのような面について特に調べてももらいましたけれども、多くの地方自治体で理事者側と職員団体側との話し合いのもとに適正給与を維持している、厳しい財政状態の中で適正規模を維持しているにもかかわらず、ごく一部の団体で高給与を実施しているというようなために、いろいろとひんしゅくを買っている面が出ていることは非常に残念に思っております。そういうことを考えますと、全体から見まして特に高給与を実施しているというようなところに対しては、厳正な態度で臨んでいかなければならないと私は考えておるわけでございます。
御質問についてお答えいたしますけれども、現状でございますが、五十七年四月一日現在で、国を一〇〇とした場合の一般行政職のラスパイレス指数が全地方公共団体平均で一〇六となっておりまして、ここ数年適正化措置により徐々に低下をしておりますけれども、依然として国よりも高い状態にあるわけでございます。こういうことは、これからも十分各地方団体の現状を調べまして、直すべきところは直すように指導をしていかなければならないと思います。このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/3
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004・臼井日出男
○臼井委員 ぜひとも一層の御尽力をお願いいたしたいと思います。
給与についてはいろいろな考え方があろうと私は思うのであります。自治省の指導に対して、ある種の考え方によれば、給与については、定数の抑制をしたり総人件費を抑制したりすれば、少数精鋭でもって給与は高くてもいいではないかというふうな考え方もあるわけであります。そういう点も含めまして、地方公務員の給与のあり方について自治省はどういうふうにお考えになっているかをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/4
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005・田川誠一
○田川国務大臣 一部の団体でそのようなことを言われる方もありますし、また一般にも、例えば今度の東京都のベースアップの問題についても、東京都のおやりになったことに対して理解のある方がそれに似たようなことをおっしゃっておりますけれども、私は、少数精鋭主義というのでやるのが当然であると思っておるわけでございまして、少数精鋭でやることが住民、国民に対する公務員のあるべき姿ではないかと思うのでございます。そういう意味から、総人件費を抑制すれば地方公務員の給与をどんどん高くしていいんだというようなことは、私ども、それでいいと言うわけにはまいりません。地方公務員法という法律を見ましても、公務員の給与を決める場合には、国や地域の民間の給与とバランスのとれたものでなければならない、こういう意味のことが書かれておりますし、やはり国とのバランスをとってやっていくことが適切である、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/5
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006・臼井日出男
○臼井委員 申すまでもなく、給与の適正化というのは、本来各地方公共団体が自律機能を発揮して行うことが基本であると考えているわけでありますけれども、現在自治省で指導中の職員給与の発表については、一層の強力な指導をして、公表内容、公表手段ともにさらに充実されるようにこの際要望いたしておきたいと思います。
しかしながら、著しく不適正な団体に対し自治省がもっと強力に指導をしていかなければ、現在の状況は改善されないということは目に見えているわけであります。私は、現在の自治省の個別指導を一層強化し、指導に従わない団体に対しては思い切った財政措置を講ずるべきであるというふうに考えているわけであります。現在までの個別指導の成果と今後の方針についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/6
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007・田川誠一
○田川国務大臣 自治省がやるべきことは、まず地方団体がどのような実態にあるかということをよく把握をしていかなければならないと思います。やはり実態を把握しないで適切な指導はなかなか困難だと思うのです。そういう意味から、自治省といたしましては地方自治体の実態をさらによく把握をしていくように努力をしてまいるつもりでございます。
具体的な個別指導につきましては、政府委員から答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/7
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008・中島忠能
○中島政府委員 今大臣から御答弁申し上げましたように、私たち、百五十三の地方団体を個別指導団体として指定いたしまして、その実態を十分に把握して、現在鋭意指導中でございます。
それらの団体の是正状況は、昇給期間を延伸するとか、あるいは初任給を切り下げて国家公務員の水準に近づけていくとか、あるいは今まで行われておりましたその仕事にふさわしくない等級に格付するいわゆるわたりというものを廃止していくとか、そういう是正措置が行われてきております。
ただ、なお一部の団体においては、執行部側におきましてもあるいはまた当該地方団体の地方議会におきましても、その是正の必要性というものをまだ認識していないようなところもございますので、現在、五十八年度のベアがまだ改定されていない団体が百五十三団体の中で百近くございますので、そのベアの改定交渉を通じまして是正をするように私たち現在鋭意指導中でございます。五十八年度のベアの実施の結果、これらの団体がその必要性を感じて、そして是正をしていくように私たちいま指導しておりますので、その指導の結果をもまた見ていただきたいというふうに思います。御趣旨に沿いまして鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/8
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009・臼井日出男
○臼井委員 高給是正への自治省の取り組みというものは、五十七年に個別指導を強化することによって非常に本腰を入れるようになったわけでありますけれども、その当時、三年間程度でもって国の水準におおむね合わせるように努力をしようということで出発したというふうに考えておるわけであります。それからもう一年以上たっているわけですが、その当初の計画と比較してどれくらい成果が上がっているか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/9
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010・中島忠能
○中島政府委員 御指摘のとおり、三年間ぐらいの期間をもちまして是正を図ってまいりたいということでスタートいたしました。そして、スタートいたしました当時に私たちが考えましたのは、毎年ベースアップがあるだろう、そのベースアップの時期をつかまえて合理化させていきたいというふうに考えておりましたけれども、若干私たちの予想に反しまして、五十七年度はベアが見送られた、そして五十八年度は二・〇三%というベアの実施状況になったということで、そこらあたりが少し当初の予想と狂ってまいりましたので、是正計画の実施状況というのもややおくれぎみに実はなっております。
現在、三十前後の市町村において是正計画に手がついていないような状況でございますが、先ほどお答え申し上げましたように、五十八年度のベアというものの交渉といいますか、実施を控えまして、それらの団体につきましては、この際ぜひとも是正計画に着手して、そして改善に乗り出すように今指導しておりますので、私たちはその指導に全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/10
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011・臼井日出男
○臼井委員 次に、東京都のベア問題と地方公務員の給与の改定についてお尋ねいたしたいと思っております。
今回東京都は、退職手当の是正、定数の削減等を内容とする行政改革とセットで四・五%のベアを実施しようとして都議会に提案をしているわけであります。わが党は、鈴木都政が財政再建、定数抑制等に関して払った多大の努力と顕著な成果については高く評価をいたしているわけでありますけれども、しかしながら、今回都が実施しようとしている国を大幅に上回る給与改定については、他の地方公共団体に与える影響が極めて大きい、また私どもの党の方針とも反するわけでありますので、慎重に対処してもらいたいということで、政調会長を通して都の支部連合会長に要請をいたしているわけであります。
地方公務員の給与改定については、昨年十月二十一日の閣議においても国に準ずるように決定をされているところであります。現在まで自治省は都に対してどのような指導を行ってきたのか、その経緯と今回の都の方針に対する評価をまずお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/11
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012・田川誠一
○田川国務大臣 東京都の今回のベースアップにつきましては臼井委員がおっしゃったとおりでございまして、私もこの話を聞きまして、鈴木都知事に対して、個人的にも公の立場からも、思い直していただくように、三回ぐらいお話をいたしました。最初に公表される直前に電話で、このような事態になったと、そして翌日新聞にベースアップのことが発表になったようでございます。それから二、三日後でございますか、たまたま自治省にほかの用事で来られたときに、これはいかがなものか、思い直していただけないかというようなことを申し上げた記憶がございますし、さらにまた、最近に至りましても、もう日にちはちょっと失念しましたけれども、電話で、もう一度考え直していただきたいと、大体今臼井委員がおっしゃったような趣旨のことを申し上げたわけでございます。
また、自治省といたしましても、後で政府委員から御説明いたしますけれども、適切な指導を行ったつもりでございます。ただ、これは非常に難しい問題で、国が余り強力な姿勢を示すことは地方自治の本旨からいかがなものかというような批判も出てまいりますし、せっかく適切な指導をやっても、一般にそれが指導と見られないで国が力でこれを抑えるというように見られる可能性もあるわけでございまして、その辺の指導の仕方はよほど慎重にやりませんと誤解を受けるという面がございまして、苦慮して今日までまいったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/12
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013・中島忠能
○中島政府委員 補足して御説明申し上げたいと思います。
私たちが東京都に、今回の四・五%のベアを考え直すように、撤回するようにというふうに要請しました理由というのは、四つあるというように御説明できると思います。
一つは、先ほど先生がお話しになりましたように、昨年の秋、地方公共団体の給与改定も国に準ずるようにという閣議決定がなされておるということがございます。それから第二番目は、東京都の職員の給与水準が、現在国を一〇〇とした場合に一一〇・六というふうに非常に高いということが挙げられると思います。それから第三番目に、今大臣もお話しになりましたが、今回四・五%のベアというものを東京都が合理づけようとしておる行政改革の内容について、私たちは他の都道府県と比べた場合にそんなに高く評価できるものではないというのが第三番目でございます。そして第四番目に、何といいましても東京都というのは地方公共団体の中で非常にリーダーシップを発揮すべき団体である、その団体が閣議決定の趣旨に反して給与改定を高くするということの他の地方団体に対する影響というものを勘案いたしまして、撤回要請というものをしたわけでございます。
特に合理化につきましては、その一つとして言われております都の職員の定数削減ということでございますけれども、これは他の地方公共団体との比較におきましてもそれほど大幅な定数削減ではございませんし、特に国の職員の定数削減の状況と比べましても、これはまだ甘いというふうに言えると思います。そして、第二番目の合理化の内容としております退職手当の削減も、昭和六十四年に至って六十八カ月だという状況でございまして、国家公務員が既に六十三・五二五カ月であるにもかかわらず、六十四年においてもなお五カ月ばかり高いということではとても四・五%ベアの合理的な理由にはなり得ないということで、私たちは東京都に対しましていろいろ説明して、考え直すように要請した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/13
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014・臼井日出男
○臼井委員 今お話しをいただいた四つの理由というのはどれももっともだと思うわけです。しかし、その中で特に私が重視をしているのは、やはり四番目に言った東京都というのは極めて特殊な、リーダーシップをとり得る最大の地方団体であるということで、鈴木知事も自治省出身であるわけでありますから、裏での話し合いも十分できるはずですから、できればひとつうまくやっていただけたら、そういうふうに考えているわけであります。
今回の東京都の四・五%のベアにもかかわらず、今のところ東京周辺の地方自治団体においては追従する様子はないというふうに思っておりますので、結構なことだと思いますけれども、こうした東京都等の影響によって、国の指導、要請に従わないで国を上回る改定を行った場合、たとえば都もそうでありますけれども、こうした場合にはどのような財政上の措置を講ずるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/14
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015・田川誠一
○田川国務大臣 地方自治の本旨から見まして、指導に従わない地方団体に対して制裁措置を講ずるというのはいかがなものかと思いますし、私どもは、今臼井委員が御指摘になりましたような、国を大幅に上回る給与を実施するような地方団体は、地方財政から見て大変余裕のある地方団体であるというふうに見ざるを得ないのでございまして、そういう余裕のある地方団体として見る限りにおきましては、地方交付税なりあるいは地方起債なり、こういうようなことを勘案して対応していく、こういうことを見ざるを得ないのでございます。
やはり国が交付するいろいろな財源というものは各地方団体の共有の財源でございますから、そういうものを一部の高給与をやっている団体にひとしく交付するということはかえって不公平になるわけでございまして、多くの地方団体が職員も理事者も苦労をしながら、厳しい財政環境の中で一生懸命財政の健全化に努力している中に、一部の高給与を実施しているというようなところに同じような扱いをするということは不公平でございますので、そういう面から、財政の対応の見地から厳しくやっていかなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/15
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016・臼井日出男
○臼井委員 本年も特交の配分の時期が近づいてきているわけでありますけれども、私どもはそれをどうなるのかなというふうに見ているわけであります。現下の厳しい諸情勢にかんがみれば、本年度国の指導に従わないで国を上回る給与改定を行う団体に対しては、今お話もございましたけれども、厳しい措置をお願いしたいと同時に、単に単年度だけの措置にとどまらないで、しかるべき是正措置が講ぜられるまで財政上厳正な態度で臨み、きちんとけじめをつけるべきだと私は考えているわけでありますが、自治省のこの問題についての基本的な方針を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/16
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017・石原信雄
○石原政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げました給与行政との関連における交付税の配分や地方債の許可の扱いについては、これは単に五十八年度単年度の考え方を申し上げただけではなくて、五十九年度以降も、今日のような財政状況のもとではこういった考え方を堅持していくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/17
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018・臼井日出男
○臼井委員 今私が申し上げましたとおり、やがて本年度の特交の配分の時期が来るわけでありますが、今私がいろいろ御質問させていただいたこと、これは特に具体的な問題については触れておらないわけですが、ひとつ最後に、本年度のこれからの特交配分等に関して、自治省のこうした高給与の支給地方自治団体に対する態度、具体的にどういうふうな措置で行われるのかお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/18
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019・田川誠一
○田川国務大臣 御質問の特別交付税の配分の姿勢ということでございますが、特別交付税は前年度に比べてかなり総額が減っております。その上に、昨年はいろいろな事件が相次いでおりましたね。そういうことで、既にかなり交付をされているような状態でございまして、そういう乏しい特別交付税を配分するには、先ほど臼井委員が御指摘のように厳正公平にやらなければならない、そういう姿勢で臨んでいかなければならない。特に、今申し上げましたように乏しい中からこれを配分するのでございますから、私どもの方から見まして財政の余裕のある自治体に対してはひとつ勘弁をしていただく、あるいは減額をしていただく、こういう姿勢で厳正公平にやっていく、こういうことを貫いてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/19
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020・臼井日出男
○臼井委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/20
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021・大石千八
○大石委員長 次に、安田修三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/21
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022・安田修三
○安田委員 私は、初めに田川自治大臣に、先般所信表明をいただきましたそのことからお伺いしたいと存じます。
自治大臣は、民主主義の危機という点からいたしますと、中曽根総理をかって手厳しく批判してこられた方であります。
一昨日の本会議におきまして、中曽根総理の地方財政計画や地方交付税等の一部改正に関する法律案の御答弁の中では、地方自治というのは民主主義の基盤である、こういうことを実はおっしゃっておるわけであります。
今日の地方と国との財政あるいは仕事の仕組みをめぐっての配分、こういう関係からいたしますと、いろいろなかけ違いがたくさんございまして、これは、地方分権を進めろ、あるいは地方分権を進めておるじゃないかという意見もありますれば、いやそれは違うじゃないか、だんだん中央集権化しておるじゃないか。私たちは、そういう点では地方自治は非常に狭められておる、こう思っているのでありますが、大臣は、地方分権は地方自治体にとって非常に重要な役割なんだということを所信表明の冒頭にもおっしゃっておるわけです。そういうそれぞれの観点の相違があります。
そこで、私はこうした今日の情勢からいたしますと、地方公共団体の関係者あるいは住民からいたしますと、田川自治大臣の場合には、一党の責任者として、いろいろと地方自治については今日まで政策的には自民党とはかなり色合いを異にしてこられた政策が発表されております。そういう点で、今度自治大臣になられたからには、公党である以上は、もちろん、大臣もかねがね本会議でもおっしゃっておりますように、政策協定をされたわけでありますから、地方自治体における財政あるいはこれからの仕事の適切な配分、整理等についても筋を通していただけるだろう、こういう実は一縷の期待というものは私はやはりあったと思います。しかしながら、今度の地方財政計画あるいはまた地方交付税法等の一部改正をめぐりまして大蔵、自治両大臣の政治折衝の過程から解決した中身を見ますと、どうも物の見事に期待が外れた、裏切られたと言うと何かちょっと余りひどい表現になりますので、外れた、こういうものは私はみんな持っておると思うのです。そこで、まさに君子豹変したんじゃないかという酷評まで出てまいる昨今であります。
私は、そこでまず自治大臣にお伺いしたいのでありますが、例えば、児童扶養手当の地方の二〇%導入問題でも、これは自治省はかねがね、どちらかというと自治省の存在の、我々からしたら政治生命をかけて、それをやったんじゃ国と地方との財政の交通整理は混乱してくるという点で、こういう一線だけはきっちり引かなければならぬ、金科玉条にこういう点は絶対に導入してはならぬということを自治省は主張してきておられたと思うのです。
ところが、今度は物の見事に導入がされてまいりました。私は、大臣の政治ビジョンにかける期待、志とあるいは相反したのかどうかわかりませんが、とにかくこういうことになりますと、これから際限なく、類似するものはこれもあれも――御存じのように、児童扶養手当は創設されたときには年金に準ずるあるいは年金を補完するに足る性格だから創設したという経緯がありまして、そういうものがいよいよ入ってくるとしますと、地方の事務や財政というものは一体国との関係はどうなるんだろうという危惧感が出てまいっております。そういう点ではこうしたことの歯どめがきかなくなってくるんじゃないだろうか。これに対する見解をひとつ。
二つ目は、膨大な借金。来年度五十九年度、一昨日も大臣は四十数兆円と言っておられましたが、地方公営企業等これらの特別会計を合わせますと、来年度末には約五十四兆円になってくると思います。そこで、毎年赤字になっていく、これからの財政を健全化していくという、一体どの時点でこの収支の均衡がとれた財政の姿というものが出てくるんだろうか。先ほどから臼井委員とのやりとりをいろいろ聞いておりましても、盛んに自治省の行政指導という問題が出るわけでありますが、さて一体自治省は、どの時点で皆さん方の考えられるビジョン、立派なビジョンとされる財政のあり方というものが出てくるんだろうか、この点。
それからもう一つ、今、大臣とのやりとりを聞いておりまして私も関連して聞きたいと思ったのですが、給与の問題が先ほどから出ておりました。私は一般論だけでお聞きいたします。自治省の地方公共団体の理事者側に対する指導監督権限は確かに自治法に基づいて明記されております。だが、理事者側と住民、理事者側と労働団体との間にそれぞれ自主的に決定されたものあるいは協議して定立されたものに対して自治省は一体どの点まで踏み込めるか。それは、憲法上の例えば労働基本権の場合には生存権としての天賦の権利でありまして、これは決して権力をもって介入することはなりません。そういう点では、先ほど公務員部長なんかちょっと生意気な言い方をしておられるのですけれども、一体どこまで皆さん方が踏み込める限界と心得ておられるか、この点をしかと承りたい。といいますのは、そこまで皆さんが画一的に規制されるということになりますと、後ほど聞きますが、地方自治のいわゆる特色ある団体運営というのは全部消えてしまう。
以上、私は自治大臣の基本的な行政姿勢につきましてまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/22
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023・田川誠一
○田川国務大臣 いろいろと御意見を交えての御質問、ある面では反省をしなければならない面もありますし、ある面では私どもとはちょっと見解を異にしている面がございます。余り私がここでくどくど申し上げるのはどうかと思いますし、既に予算委員会などでかなり私の考え方を述べておりますので差し控えさせていただきます。
私が自治大臣として地方行政、財政それぞれを担当しておりますのは――入閣をしたいきさつは御承知のように新自由クラブから入閣をしたわけでございまして、入閣した以上は第二次中曽根内閣の国務大臣として広い立場から国政を見ていかなければならない、このような意味で私は地方自治を担当しているつもりでございまして、新自由クラブを代表して自治大臣を担当しているのでは毛頭ございません。ですから、そういう意味から、新自由クラブの地方自治に対する従来の考え方と自民党の地方自治に対する考え方との違いが、私は余りないと思いますけれども、あった場合には、もっと高い立場からこれを判断してやっていかなければならないと思っているわけでございます。
それから、最初の御質問の、だんだん中央集権化していくではないかというような御見解のようでございますけれども、私は今の地方自治行政を見ておりまして、決して中央集権化しているとは見ておりません。私も昭和二十四、五年ごろからの地方自治をずっとわきから見、あるいはまた新聞記者としてずっと見ておりまして、戦後与えられた自治ではあるけれども、比較的順調に日本の地方自治は発展をしているのではないか。ただ、残念ながら財政基盤が必ずしも十分にいっていない、こういう面は一つの地方自治の弱い点ではないか、こういうふうに思っているのでございまして、私の地方分権推進のための基本的な考え方は、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化という観点と、それから地方分権を推進するというような考え方と、この二つの考え方に立って、当面これからやっていかなければならないことは、まず機関委任事務の整理統合化を進めていく必要があるではないか、それから事務と財源の移譲を促進していく必要がある、それから三つ目には国の関与の整理縮小を図っていく必要がある、こういうことに集約できるのではないか、このようなことの考えに立ってこれから進めていきたい、こういうふうに思っております。
先般来の予算の編成につきましていろいろ御指摘がございました。私どもが大蔵省と折衝した中には、ある面では妥協した面もあると思いますし、ある面では私どもの主張を通していった面もあると思っております。しかし、地方行財政というものはやはり国の行政、財政と一体をなすものであって、車の両輪のようなものでございますから、ただ地方の立場から立って施策を講じようとしても、やはり国とのバランスというものがございますから、地方の立場だけ考えてこれを推進していくということはなかなか困難でございます。
そういう意味から、児童扶養手当の問題などにいたしましても、いまお話がありましたように、従来の児童扶養手当の性格というものを変えていかなければならぬという国の方針、こういう方針はかなり私どもも確かめました。その確かめた結果、やはり従来の児童扶養手当の性格といいますか、本質をできるだけ変えていくというようなことにはある程度の協力をしていかなければならないということで大蔵省との間に話し合いをつけたわけでございますので、決してこれは単に大蔵省に屈服をしたというような性質のものではありません。ただ、地方にできるだけしわ寄せをさせないような配慮をすべきものである、このような考え方で措置をしたつもりでございます。
それからもう一つ、給与の問題でございますが、これは何も地方公務員の給与をどんどん抑制しようというものではございませんで、先ほどちょっと触れましたように、地方の多くの団体が職員と理事者の間で、お互いに広い立場から住民に対してできるだけサービスをよくしていこうじゃないか、こういうことで職員の皆さんも我慢してくださり、理事者の方々も一生懸命おやりになって、そうして住民サービスを少しでもよくするためには財政の健全化を図らなければならないということで、多くの地方団体が一生懸命やっていらっしゃる姿というものはやはり評価していかなければならぬと思うのです。
そういう評価の上に立って公務員の給与というものを見ていかなければ、不公平になるじゃないか。私どもは、できるだけ地方公務員の給与も見て差し上げたいのでありますけれども、やはり一生懸命やっていらっしゃる地方団体の姿というものも重視していかなければならないという立場に立って公務員の給与というものを見ているのでありまして、ただ公務員の給与を抑制するということが主眼ではないということをひとつ御理解していただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/23
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024・安田修三
○安田委員 財政健全化のめどは一体どの時点に置いてあるかということを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/24
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025・田川誠一
○田川国務大臣 質問が多岐にわたりましたので、漏れて申しわけございませんでした。
財政再建のめどというのは、もう安田さん御承知のように、地方財政というのは国の財政と違いまして、三千三百余もある地方団体がそれぞれの地域でいろいろな状態に置かれている中の集積した一つのあるべき姿が一つの地方財政見通しになるわけでございまして、こういう立場から見まして、財政再建のめどをいつごろに置くんだということはなかなか困難ではないかな、私自身はそのように見ているわけでございます。
ただ、私の全く個人的な考え方ですけれども、従来の借入金依存の体質というものをそのまま続けていきますと、地方財政の基盤を揺るがしかねないような大きな問題に発展してくるのじゃないか。ですから、私どもはやはり地方自治体にもう少し自律性を堅持してもらう、自主性を持ってもらう、そして、借金に対する一つの麻痺した考え方というのですか、借入金依存体質というものからこの辺でそろそろ脱却をしていかないとこれは大変なことになるというようなことから、今回、地方財政の制度を若干見直していかなければならぬということで特会の借り入れをやめるようになったわけでございます。
そういうことで、今財政再建をいつごろまでにできるんだということはなかなか難しいのでございまして、私も就任したてでまだ勉強不足でございますので、この辺の問題につきましては財政局長から補足して説明をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/25
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026・石原信雄
○石原政府委員 今後の地方財政収支がどのような推移をたどるか、この見通し等について、先般国の方で中長期の財政収支試算が明らかになりましたので、これなどをベースにしながら私どもも検討を続けております。ただ、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、地方財政の場合には、国のような単一財政ではなくて三千三百団体の財政の集合でございますから、歳出の将来見積もりなど、非常に難しい面がございます。技術的ないろいろな問題がありますので、そこをどうするかというようなことも含めまして、現在いろいろ研究しているところであります。
したがいまして、この時点で計数的に何年度に地方財政収支が均衡を回復するというようなことを申し上げるには、まだ多くの点で材料不足といいましょうか、不確定要素が非常に多いということでございます。したがいまして、私どもは、そういう検討を続けながらも、ただいま大臣が申し上げましたように、しかし基本的には地方財政の健全化が一日も早く達成されるようにするにはどうしたらいいかという、歳入歳出両面にわたる検討もあわせて続けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/26
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027・安田修三
○安田委員 大臣からいろいろお話ありました。例えば、中央集権化ということについては、長年見て私は余りそうは思わないというお話があったのですけれども、しかし事実は、地方公共団体の側から見れば、例えば起債許可にしても、あるいはまた今これから進められようとする、まあまたいずれ議論が出るわけですが、地方事務官の身分移管問題にしましても、地方自治の根幹にかかわるようなことが何から何まで制度改正なりあるいは行革という名で出てくるのです。それは一つ一つの個別ケースからしたら、地方の方は以前から見ると非常にやりにくいです。事実、県や市町村の個別の仕事をやった場合に自治省にお伺いを立ててどうするこうするということになりますと、あるいは各省庁に補助金その他でということになりますと、締めつけは非常に濃厚です。ただ地方公共団体の方が、自治法を施行されて三十七年という面では非常に運営にもなれ、またいろいろな締めつけをくぐりながらやれる要領を覚えたということ、自分らで統治能力を持つ力をつけてきたという点では、地方の分権化なり地方自治が根をおろしてきたということは言えると私は思うのです。
これは個別の問題を一々大臣に言って議論をしないと、抽象論ではどうにもなりませんが、きょうは大臣の所信をお聞きした中からたまたまそう出ましたので、私はそのことを一言言っておきます。
先般の本会議の続きということで後ほど地方財政計画にちょっと触れますが、先般述べられたこの大臣の所信の中で、例えば「総合的な地域振興策」ということを大臣はかなり大きく言っておられるわけです。「それぞれの地域の特性を生かしつつ、その総合的な整備を図る必要があります。」こうして、地域振興ということについて大臣の所信表明のかなり前段の方に出ております。
そういう点で、地域の特色づくり、例えば今度自治省の方では計画と決算との間の乖離が大きいということでかなり単独事業を削られた。しかし、そのほかに今度は三千億円の町づくりの事業費が組まれてきた。そういういろいろなことをあわせまして、私は二点のことで続いてお伺いしたいわけです。
例えば、昨年テクノポリスという高度技術集積都市の法律が通りました。これは所管は通産省でありますけれども、地域振興策という点からしますと、自治省としてその推移をかなり見ておられる問題でありますし、そこでこの問題をお尋ねするわけであります。
自治省関係の見方では、高度技術開発を中心にしながら、あわせて地域の経済対策の一つの戦略だと実は見ておられるようであります。事実、自治省関係の方ではそのようなことも書物にも書いておられます。そういう立場からの構想という点からしますと、今まで自治省あるいは国土庁あるいは建設省、通産省と、多岐にわたりましていろいろな地域のこの種の構想は出てまいるわけです。
このテクノポリスの問題につきまして私たちはいろいろな問題点を指摘し、あるいは将来住民との関係では危惧感を持ついろいろな問題点もありますが、何はともあれこういう法律ができて、これに十九地域が競って指定してもらいたい、こういうことになってまいりました。ただ、これをやる場合に、先ほど話がありました地方の自主、自助というのが最近よくはやりますが、とにかく地方でそういう基盤づくりをしながらやりなさい、あるいは既存の産業、既存の高度技術を持った産業あるいは技術系その他の大学等を総動員しながらそういうテクノポリスをつくっていきなさい。その場合に、自前でやる地域に財政的にどのように対応していくかということになりますと、今のところ財政的なものは、例えば高度な試験所あるいは試験施設等をつくった場合、不均一の固定資産税を交付税で見てやろう、こういうような程度であります。まずそういう点で、財政的あるいはその他ではどういうぐあいに自治省では見ておられるか。
あるいはまた、かつての新産都市建設の場合からも思い起こすわけでありますが、農林漁業、そこにある地場産業あるいは地域住民の生活基盤整備事業は全部打ち捨てられていく。これは、大臣の「地域の特性を生かしつつ、その総合的な整備を図る必要がある」という精神からしますと、今言ったように、第一次産業である農林漁業や地場産業というのは、どうもまたうっちゃっていかれる危険性も出るのではないだろうか。そういう点では、自治省がこのテクノポリス建設に絡んで全体的な一つの行政指導なりビジョンをどういう構想で示すか、私は極めて大切な立場にあるのじゃないかと思うのです。そういう点でまず自治省のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/27
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028・石原信雄
○石原政府委員 いわゆるテクノポリス計画に基づく財政措置の問題でございますが、先生御指摘のように、今回のいわゆるテクノポリス法におきまして、その開発計画に基づいて立地する企業の試験研究施設の新増設につきましては、固定資産税について不均一の課税を地方団体が行った場合に、それに伴う減収額を地方交付税で補てんする、具体的には基準財政収入額の算定上その不均一課税に伴う減収額を差し引く、こういう措置が法律上明定されております。この点については、この法律が現実に動き出せば、財政措置もこれに対応していくということでございます。
問題は、この計画を実行する過程におきまして、地方公共団体が主体的に各種公共施設の整備その他の施策を行うものとされております。この具体的な内容がどういうことになるのか。私どもも各関係団体のつくります計画の内容については、これから相談に乗っていきたい。そして、その計画の内容に即して地方財政措置、当面は地方債の措置が中心になろうと思いますけれども、必要な地方債措置を講じていきたい、このように考えております。
なお、自治省といたしましては、このテクノポリスの指定地域に限らず、全地方団体を対象にしていわゆる地域活性化対策事業というものを各地方団体が計画される場合には、いろいろな意味でこれに協力していきたいと考えておりますが、広い意味でそういった地域活性化対策事業の一環としてこのテクノポリス計画も該当すると考えられますので、事業内容の具体化をまって必要な協力をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/28
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029・安田修三
○安田委員 民間の資金を導入して第三セクターをつくったりなんかしていくということで、大きい銀行なんかもいろいろと動き出しているところもあるわけです。地方がそういうことで自主的に動くことは非常に結構ですけれども、財政局長、今自治省としてそこらあたりいろいろこれから見ていくのだというのは、どういう見方になるのでしょうか。抽象的にただ見るといっても、皆さんの方でただそこをよろしゅうやっておれという見方になっていくのか、あるいは自治省として、今までもいろいろと通産とは具体的な話し合いはしてこられたと思うのですけれども、例えば今起債の問題が出ましたが、地方自治体がそういう基盤整備をやったときに起債その他でかなり思い切って見るということになっていくのか、あるいはいろんな施設をつくるときに、各省庁との関係で皆さんの関係が調整その地やっていかれるというのか、具体的に一はどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/29
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030・石原信雄
○石原政府委員 地域の整備計画の具体的内容がどういうものが予想されるかということに関連すると思いますが、通常の場合でありますと道路とか港湾とかいったいわゆる基盤施設の整備、あるいはさらには生活環境施設の整備、それからこれに関連して学校その他の公共施設の整備、こういった問題が出てくると思います。
今回のテクノポリス計画に関連いたしましては、御案内のように国土庁とか建設省とか農水省なども主務官庁としてここに入っておられます。その意味は、このテクノポリス地域の計画の実施に当たりましては非常に幅広く関係省庁に施策が関係してくるという意味で主務官庁になったのだと思います。
しかし、いずれにしてもこの事業を実施するのは地方公共団体が中心になります。したがって、私どもは、各省庁にわたる施策全体をまとめて地方公共団体が計画をつくられましたら、全体について相談にあずかっていきたいと思っております。したがって、その場合に例えば公共事業を重点的に配分されるということが非常に効果的だと思いますが、そういった面でのアドバイスあるいは関係省庁への要請というような場面もありましょうし、その公共事業の地方負担については地方債あるいは交付税による財政措置のルールがありますから、それがどの程度具体的に活用できるのか、それから地方公共団体が単独事業として行う部分がどの程度あるのか、それからさらに、いわゆる地方公営企業系統の事業としてどういった事業が入ってくるのか、その場合には当然採算性というような問題も出てまいります。こういった意味で私どもは、いろんな場面が想定されますが、それぞれにつきまして幅広く相談にあずかっていきたい、そして必要な対応をしていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/30
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031・安田修三
○安田委員 これから徐々に具体的に動く問題でありますから、私はそういういろいろな時点で自治省がいまおっしゃったように総括的にいろいろ見て、そしていよいよ処置されるという段階に来たら、やはりこの委員会にも報告をいただいて、審議なり意見等聞いていただきたいと思います。
そこで、やはりこれと同じような地域問題ということで、豪雪問題について、先般も特交の問題で話がありました。私は、ちょっと観点を変えまして、たとえば積寒地域で一番問題は、最後は金の問題になるんですね。交付税の積雪補正の問題、これもいろいろ地方からも陳情が出ておるはずでありまして、どうなるかということをお聞きしたい。それから、特交の場合は分け前の問題で、私たちとすれば、去年台風で被害のあったところもあれば地震のところもあるのですから、言うなれば予備費で金をふやしてもらいたい。余り分け前論であっち取りこっち取りはしたくない。そういう点では大臣にほかの方の金をひとつ持ってきてもらいたい、こういう希望を持っているわけです。
問題は、今度は観点を変えまして、積寒地帯というのは除排雪、雪を除く、あるいは捨てる、この除排雪の機具整備と、それから消融雪、消雪と融雪、同じようなことでありますが装置としては違います。消雪装置と融雪装置は違います。水の噴き出るのは消雪装置です。流すのは融雪。そこで消融雪施設の設置とか、あるいは、県道以上の除雪費用などはそれぞれ設備なりあるいは機能に応じて補助や助成制度というものがあります。いわゆる縦列の機能に補助や助成があるわけですね。
ところが、御存じのように雪というのは水の場合と違って積もります。面的に積もるために厄介、そこに非常に困難を来すわけでありますが、それを克服する場合に住民が一枚加わらなければどうにもならぬわけです。どしゃ降りの雨だったら、流れ出れば、排水機能があればそれで処置できる場合が大方だった。雪の場合は全部機械力で取るというわけにはいかぬ。たとえば屋根雪はおろさなければならぬ。これは機械でおろすというすべは今はないわけですね。したがって、住民もさまざまの機械力や施設と一体になって屋根雪処理なりあるいは排雪を行う。こういうような機械力、人力、全部一体になった体系というものがそこに必要になってくるわけです。そうしたいわゆる除排雪機能を都市や集落が持たないことには、実は雪を克服した積寒地帯の住民生活あるいは産業活動というのはあり得ないわけであります。
御存じのように、実は国土面積の六〇%、人口の四分の一は積雪寒冷地帯であります。そこで、こうした除排雪、消融雪の機械力、人力を総合化した機能を面的に整備する、こういうことを今自治体は考えておるわけです。そういう点では先進的だと言われておるのは既に長岡市等がありますが、各都市でも今では、ブルドーザーを持ってきたら済むとかロータリー車を持ってきたら済むとかではだめなんだ、道はあいても雪がたまっておったんじゃどうもならぬじゃないかということで、だんだんそういうシステムをやって、例えば一斉に雪をおろすときには、町内会に、おまえのところでそれこそ車を借りなさい、それには自治体は補助をしましょう、自治体は他の除雪機械を動員しますよとか、一体になってやるとかいうシステムをだんだん考えて、住民のいわゆる自発的な協力もそこになければもう克服できない、こういう時代になってきました。
そして、そのことが冬における都市機能を活性化していく最大のことではないかということから、そうしたことに対してのいわゆる助成なり補助――今までは機械なら機械、あるいは県道の除雪なら除雪に補助がついたけれども、そうじゃなくて、そういう一体的なものに対する助成なり補助制度というもの、あるいは補助、助成の総合メニュー化というかもしれませんが、そうしたものをひとつ考えてもらいたいということが、既に陳情も来ておるかと思いますけれども、いよいよそういうことが冬の各都市の一つの大きな課題になったわけです。今までのようなことでは、これは全く雪の降らない地域におくれをとってしまう。産業活動、文化、いろんなことで、昔のように非常におくれがあっても住めようからよかろうという時代ではなくして、慌ただしい時代になったためおくれをとるということで、いよいよそういうことが緊急の課題になりました。今度の五九豪雪でそのことが噴き上がってくる情勢であります。私は、これは自治省のこれからやられなければならぬ仕事ではなかろうかと思います。
そこでひとつ、大臣の「地域の特性を生かした総合的な整備」という今年度の抱負からいたしますと、まずこれを取り上げていただきたいが、大臣のお考えをお聞きしたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/31
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032・田川誠一
○田川国務大臣 今度の雪が非常に多かったということは、私ども暖かい地域にいる者も痛切に感じました。特に自治大臣になりましてから、雪の問題で雪国の議員の皆さんやあるいは自治体の代表の方々からお話を聞きまして、雪害のいかに大きなものであるかということを痛切に身にしみました。
最初にお話のありました除排雪に対するいろいろな費用の問題につきましては、これは単に自治省だけで片づけることのできる問題ではないと思います。そうした意味で、私は大蔵大臣とも話し合いまして、国としてもっと広い立場から、高い見地に立って対応していかなければならないと、今鋭意やっているつもりでございます。ただいま安田委員からお話がありました御意見は、大変有益なものだと思いますし、私どももそのような観点に立って今後処していかなければならないと思っております。
専門的なことにつきましては、ちょっと政府委員から話をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/32
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033・石原信雄
○石原政府委員 豪雪地帯に対して、国の補助金の運用上いろいろな特例措置が定められております。これらについては御案内のように、例えば学校の建設について補助率の特例を定めるとか、あるいは社会教育施設その他について除排雪の経費を見る特例を定めるとか、いろいろな形で各個別の法律でそれぞれの行政目的に沿った特例措置が定められております。これを地域単位で総合化するということの御提案かと思いますが、私ども、それは今回の豪雪の実態など見ましても大変有益な示唆ではないかと思います。これからの研究課題ではないかという感じを強くしております。
それからまた、公共施設の維持管理あるいは建設等に関連する特別の財政需要ということになりますと、基本的には地方交付税制度の守備範囲の問題であります。この点について、ある程度年度を通じて基本的に必要な除排雪の関係経費、これは普通交付税で対処すべきものであります。それから、今回のように異常な気象に伴って豪雪がやってくる、こういった場合はやはり特別交付税で対応せざるを得ないと思います。
しかし、それにしても最近の積雪寒冷地帯における行政の実態を見ますと、以前には考えられなかったような財政需要というものがずっと定着してきていることも事実であります。そういった点は、寒冷補正の積算の内容の見直しを通じて私どもは常にその改善充実に努力していかなければならないと思っておりますし、事実、例えばいわゆる五六豪雪、五十六年のあの豪雪の際の経験などを踏まえて、その後の普通交付税の計算上の寒冷補正の中で、除排雪関係経費は当時の特別交付税の増加支出額程度のものは普通交付税の算定上既に取り込んでおります。
しかし、今回の豪雪は、その普通交付税をもってしてもなおかつ足りないというような状況になっております。そこで、どの程度までが異常な気象に伴うものなのか、どの程度までが雪国の財政需要の基礎的な変化に伴う部分なのか、この辺をよく見きわめながら普通交付税の算定内容の改善を図っていきたいと思っております。
いずれにしても、国庫補助金の方の問題は各省庁にまたがる国全体の問題でありますけれども、各省庁の行政施策単位ではなくて、地域単位に対応できるようなシステムというものが考えられないかどうか、私どももこれは真剣に研究してみてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/33
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034・安田修三
○安田委員 地域単位のものはこれからの課題でありますので、ひとつぜひ研究して実現するようにお願いしたい。
そして、寒冷補正の方は、局長さん、来年度でそれは皆さんの方で見直しをやりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/34
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035・石原信雄
○石原政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、いわゆる五六豪雪の際の経験を踏まえて、その後の寒冷補正の内容充実、これは既に取り込んでおりますけれども、さらに今回の豪雪の内容をこれからよく分析いたしまして、その中で普通交付税に反映させるべきものがどの程度あるのかよく研究して、方向としては充実の方向で努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/35
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036・安田修三
○安田委員 それでは次に、地方財政計画の方で、先般のことでちょっと関連して聞きますが、今回の特例措置、これは大臣から答弁いただきましたが、第六条の三第二項との関係で聞いたわけでありますが、これは制度改正に値するとおっしゃったのじゃないかと私思いますが、ちょっとよくわからなかったわけであります。
私は、もしこれが制度改正だということになりますと、第六条の三第二項の制度改正というのは、この程度を指して制度改正と言うのだろうか。そうすると、この第六条の三第二項というのは、本文というのは極めてあいまいな規定だという感じがするわけです。したがって、私は、その点もう一遍大臣に、あるいは局長でも結構ですが、本来の第六条の三第二項の、自治省の考えておられることをひとつお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/36
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037・石原信雄
○石原政府委員 私どもは、今日の事態、五十九年度の地方財政の収支見通し、この事態は交付税法第六条の三第二項のケースに当てはまるという考え方に立っております。そうしますと、当然交付税法第六条の三第二項の規定に基づきまして、地方行財政制度の改正を行うかあるいは交付税率の変更を行うという必要が出てまいります。
そこで、今日の時点におきまして交付税率の変更、これは地方の立場からは望ましい、ぜひそうあってほしいという気持ちでありますけれども、今日の国、地方を通ずる財政状況のもとで国と地方の財源配分の割合を変更することは到底できない事情にあることもまた否定できないわけであります。
そこで、残る道は地方行財政制度の改正を行うということになります。行政制度の改正については、これは各省庁にわたる非常に幅広い問題でありますので、当面財政制度の改正ということが必要になってまいります。
私どもは、今回御審議をお願いしております交付税法の改正におきまして附則第三条を新たに改正しておりますが、この附則第三条の規定は、交付税法第六条の三第二項にいう地方財政制度の改正と、このように理解いたしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/37
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038・安田修三
○安田委員 例えば今度の場合に、先般も私は地方債と交付税との増額の案分についてお聞きしたわけで、私たちの方では、それは起債の方から先に計算したんじゃないかということを実は質問したわけでありますが、今度の場合でも、交付税の比率というのは、地方債の方が七九・八%、約八〇%、従前の場合は、五十八年は当初で四四・三、五十七年は補正したところで四三・一の地方債の増発。地方債の増発が非常に大きくなっていく、地方交付税の増加が従前の半分以下に抑えられていく、こういう事態になっているわけです。したがって、従来自治省が心がけておられた財政対策債と交付税増額とのバランスという点が崩れてきてしまった。これ自身が非常に異常ではないだろうか。
どうしてそういう異常を健全財政と言われる皆さん方があえて今度の場合とったんだろうか。それはまさに事の発端は、大蔵省の方から、歳出を削減するために、地方交付税特別会計から借りた今までの借金の利子約七千億円余、これを地方に肩がわりしろ、こういう要求が出たことから始まったことじゃないだろうか。だから、大臣が当初おっしゃったように、まあ妥協だが、こちらの思っておったところから取ったこともあり、向こうから取られたということはおっしゃられなかったですが、まあまあ取られたことがあるという意味なんでしょう、妥協だというお話がありましたが、何かそこにすっきりしないものが出てきたと私は思うのです。
そういう点で私は、大蔵省の方が一般歳出抑制の名目的な効果というものを今度の場合ばっちりとっていってしまって、こちらの方は逆に今度元金、利子ともに二分の一負担というのがきっちり路線を引かれてしまった、こういうことになってまいりますし、特に、今度このような地方債と地方交付税増加とのバランスが崩れたということになりますと、これからもし将来、先ほど大臣も地方財政の見通しはなかなかつけにくいと言う、仮にもし景気が順調に上がって、そして大蔵当局やその他考えられるように税収もぐんと上がってくれたらいいですが、万が一そうじゃなくして、どこかでそれが狂って、そして地方の財源が仮にかつてのように二兆円も三兆円も赤になったといった場合に、さて今のように特例加算で国の方から一兆円も一兆五千億円も貸し付けることができるのだろうかということになりますと、私は、さてそういうことは不可能なんじゃないだろうか、当然この地方債を増発することになるんじゃないだろうか、こういうことを極端な話ですが考えるわけです。
そういう点で私は、制度改正という以上は、やはりそこには、地方自治をあるいは地方財政を、ともにどちらかでもいじろうあるいは税率改正しようということをこの第六条の三第二項に述べているわけですから、今度のような措置は制度改正には当たらない。制度改正ということは、財政がバランスをとれるように、赤字はまあまあ出ないようになるんじゃないかということが現時点で見渡されるようにするのが制度改正になってくるんじゃないだろうか、これは制度改正に当たらないのじゃないだろうか、こう思うのですけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/38
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039・石原信雄
○石原政府委員 ただいまのお尋ねは、大きく言いますと二点になると思います。
一つは、財源不足額一兆五千百億円の補てん措置の仕方といたしまして、いわゆる財源対策債、建設地方債の活用部分が多過ぎるじゃないか、交付税の特例措置部分が少な過ぎるじゃないか、こういうお尋ねかと思います。
従来から、正確に言いますと昭和五十年度の補正からでございますが、年度当初としては五十一年度以降今日まで、五十七年度の当初を除きまして毎年度地方財源の不足が生じております。そうしてその不足については、基本的には地方債の活用と交付税の特例増額でこれを補てんしてきている、こういうパターンが定着してきたわけでありますが、そのときの財源措置の仕方としては、財源不足額をあらかじめ地方債部分と交付税部分に一定の割合で分けて措置するというやり方ではなくて、従来からのやり方は、その財源不足に対する補てん措置を考える場合に、まず建設地方債の活用がどの程度まで可能かという議論をいたしました。そうしてこれには、公共事業の地方負担額に対する起債充当率の引き上げで対応しておりますから、おのずから限度があるわけです。公共事業の地方負担額のトータルが決まっておりますから、一〇〇%以上にはなりようがない。そこで、その公共事業等の地方負担額に対する建設地方債の充当率を可能な限り引き上げる、そうしてなお足りない部分については交付税の特例措置で対応する、こういうやり方をこれまでしてきているのであります。
その際に、地方債の充当率をどこまで引き上げるかという点について、実は私どもと大蔵省当局とでは意見が常に対立いたしております。大蔵省当局の言い分は、国の方は御案内のように公共事業を初めとしていわゆる建設事業については一〇〇%建設国債を充当してきております。それでも足りないために特例公債を出しているわけでありますが、少なくとも建設事業については国の場合には一〇〇%建設国債を充当しているわけでありますから、地方財政対策を立てる場合にも、少なくとも公共事業については一〇〇%地方債充当でいいではないか、こういう主張をされるわけです。私どもはこれに対して、マクロで一〇〇%といっても、地方公共団体は県から小さな町村まであるわけでありますからいろいろ事情がある、対応の仕方にいろいろバラエティーがある、ですから、建設地方債を活用するとしても一〇〇%充当は難しい、困るということで、昭和五十一年度当時は財政状況も非常に厳しかったということで、御案内のように建設地方債の充当率を九五%まで引き上げて、そうして、なお足りない部分を交付税特別会計の借り入れによって基本的には補てんする、こういう方法をとったわけであります。
その後、私どもは、基本的にはこの建設地方債の活用、いわゆる財源対策債も事情が許すならば少しでも充当率を引き下げたい、地方債への依存度を低めるために――財政の健全性を高めるために活用はしますけれども、その充当率は少しでも引き下げたいという気持ちを常に持っております。しかし、地方財源不足額が非常に大きいときには、現実問題として国の方の特例措置への対応の限度というのがありますから、残念ながら九五%まで充当率を引き上げざるを得なかった時代が多かったわけであります。さらに、五十一年度のように、それでも足りなくて、地方交付税の包括算入を全部起債に振りかえたというようなことまでやったことがありますけれども、その方は、その後は私どもはお断りしてやっておりません。
最近では、財源不足が生じた場合には、公共事業等の地方負担に対する建設地方債の活用をずっと続けているわけでありますけれども、その充当率は、財源不足額のトータルが小さくなった場合には極力引き下げるという努力をしております。例えば昭和五十六年度の場合には、その充当率を六〇%まで引き下げたわけであります。
そういった意味で、五十九年度の場合、財源不足額の総額が五十八年度の半分以下になったわけですから、理想からいえば、この際建設地方債の特例をやめて、すべて交付税の特例措置でいった方が地方財政の立場からすれば望ましいということになるのであります。
しかし、これについては、当然国庫当局の方は、国の財政は当時よりもっと厳しくなっているのだから、交付税の特例措置と言われてもそうは現実問題として対応できない、したがって、五十九年度の場合も従来と同様に建設地方債の対応で、具体的には充当率を、五十八年度が九〇%であったわけですが、できればもっと上げられないか、かつては九五まで上げたことがあるのだから、そういうことができないかという主張もありました。しかし私どもは、財源不足額が減っているわけですから、充当率を上げるということはとんでもない、前年度の同率も困るということで、種々折衝をいたしまして、大臣からも申し上げましたように、結局、限られた財源の枠内での論争でありますから、私どもは、最終的にはこの充当率を前年度よりも五%引き下げる、すなわち八五%にするということで同意したわけであります。そうして、建設地方債の活用部分が決まりました残余について交付税の特例措置を講ずることにしたわけです。
そうして、その特例措置につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、これまでは交付税特会の借入金で上積みしたわけでありますが、このような措置を五十年度以降続けた結果、十一兆五千二百十九億円の借金残高になった。こういったことを続けた場合には、これは国にとっても大変な問題ですが、地方財政にとってもその半分は返さなければいけないわけですから大変な負担になりますし、何よりも利子負担が現実問題として大変なことになるということを種々勘案いたしまして、借り入れによる特例措置の方式は五十八年度限りでおしまいにする、五十九年度以降は、いわば一般会計の枠内で必要な特例措置を講ずるという新たな方式に移行することを決めたわけであります。その新しい方式が、先ほど御答弁申し上げましたように、御提案申し上げております地方交付税法附則第三条の規定でございますが、私どもは、これによって今後必要な交付税の額を確保していく、そういう新しいシステム、このように理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/39
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040・安田修三
○安田委員 時間が参りましたので、この方は地方交付税法の法律案審議のときに続きをやるといたしましょう。
それで、大臣おられるときに一つだけ聞いて、これで終わります。
大臣、本会議で、交付税特別会計に国税収納金整理資金から直入という問題について、大臣は、地方財政のことを研究しましょう、検討したい――大臣は検討されるとおっしゃったら、私は本当に検討されるのだと思うのですが、そこら辺、大臣の思いをちょっと聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/40
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041・田川誠一
○田川国務大臣 直入の問題につきましては、地方制度調査会の答申にもございますし、また、私どもの新自由クラブの委員が皆さん方ともいろいろお話もされておったように聞いております。
地方交付税が地方の自主財源であるということをはっきりさせる意味では、こういうことはやはり検討すべき問題ではないかというふうに思いますので、これは将来ももっと真剣に検討を続けていくべき問題である、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/41
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042・安田修三
○安田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/42
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043・大石千八
○大石委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
正午休憩
午後一時五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/43
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044・大石千八
○大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/44
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045・細谷治嘉
○細谷(治)委員 最初に、大臣の所信に関連しまして。
せんだって、二十二日の補正予算の総括質問の際に、加藤委員の質問に関連して、大蔵省が五十九年度予算に関連して中期試算というものをいろいろな仮定を置きながら発表しておりますが、これに関連して大臣は、地方財政についても中期試算をぜひつくりたい、望ましい、こういうお答えがありました。その作業をしているのか、しているとすればいつごろそれができ上がるのか、まずそれをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/45
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046・石原信雄
○石原政府委員 中期試算の作業の前提となります五十九年度の地方財政計画が最終的に確定いたしましたので、これをベースにしていろいろな角度から検討を始めております。
その際、大臣からも御答弁申し上げましたように、国の中期試算は、いわゆる後年度の歳出については各省庁がそれぞれ所管の歳出項目につきまして後年度の支出見込みを積み上げております。そういう形での地方歳出の積み上げというのは、率直に申しまして非常に難しい問題が出てまいります。公共事業、その他補助事業等については、各省庁の補助金の明細がわかればその地方負担額を足すことによって計算ができるのですけれども、一番の問題は、地方の単独系統の支出をどのようにするかという点で、各三千三百団体の歳出を積み上げるということは事実上不可能でありますし、また、団体によっては後年度の支出予定額を全然決めてないところが多いわけでありますから、そういう厳密な意味での国の中期試算と同じ形での地方財政の中期試算というのは、私は技術的には難しいと思います。
そこで、そうでなしに、一定の前提を置いたマクロの後年度の推計とでも申しましょうか、そういったものであるならば技術的には可能であろうと思っております。しかし、その場合にもいろいろ問題が考えられますので、どういった前提でどういった計算をするのが最も妥当なのか、そういったことも含めて現在検討を開始しております。したがいまして、いつ幾日までに外部に発表できるような状態にまとめ上げられるかについては本日御答弁できないのでありますけれども、いろいろ検討しまして何とかまとめたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/46
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047・田川誠一
○田川国務大臣 今局長が申しましたように、難しい面も随分あると思うのです。しかし、私は予算委員会で加藤議員の御意見を聞きまして、ぜひとは言いませんでしたけれども、大変有益なお話でございましたので、考えていかなければならぬじゃないかということを申し上げたわけでございますし、事務当局には私からまだ指示はしておりませんけれども、ああいう答弁を私がしたものですから、事務当局も真剣に考えていくと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/47
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048・細谷治嘉
○細谷(治)委員 今の大臣のお答えよりも予算委員会の大臣の答弁というのはもっと意欲的であったですよ。積極的であった。私は傍聴しておりましたから。まさか後退したわけじゃないでしょうね。
私が心配するのは、かつて毎年のように中期試算というのが大蔵省の手で予算に関連して出てまいりました。地方交付税と地方財政計画を審議する際に、それに追随して地方財政の収支試算というのが出てきておったものです。それが何年ですか、昭和五十四年か五十五年ごろから地方財政の中期試算を発表しなくなったのですよ。大蔵省は毎年やっていますよ。なぜですか。いままでずっと大蔵省が出したその枠内において地方財政の試算を出してきたのが、その段階でできなくなったのですよ。それは仕事をやっても意味がないという意味でやめたのか、あるいは何かほかの理由があるのですか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/48
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049・石原信雄
○石原政府委員 昭和五十六年度の国の方の財政収支試算のときから地方財政の収支試算は出しておりません。そのときにも御答弁申し上げましたが、五十六年の国の財政収支試算からは内容が変わりまして、それまでのマクロ推計から後年度の支出予定額の積み上げ方式に変わったわけであります。そうなりますと、厳密な意味で国と同じ手法で地方財政の収支試算を計算するということは事実上不可能に近いという事情がありまして、地方財政については収支試算を提出することを断念したわけでございます。まあそういう技術的な事情があったということ。
それからもう一つ、当時、それまでの方式のようなマクロの推計方式でなら出せるのではないかという議論があったのですが、私どもがいろいろ集めたデータ、国の方のいろいろな前提と地方団体の現実の税収見通しなどを突き合わせてみると非常な違いがあるという事情もありまして、あの時点で地方財政収支試算を出すことがかえって地方団体をミスリードする危険もあるのではないかということも心配だったものですから、主としては技術的な理由でありましたけれども、収支試算の作成を断念したという経緯がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/49
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050・細谷治嘉
○細谷(治)委員 少しくどくなりますけれども、いま財政局長は、積み上げということになりますと、地方の単独事業というのがどの程度になるのかその積み上げは容易ならぬことだ、あるいは五十六年に大蔵がそう変わったのでという形で――私の記憶では当時はたしか持永財政課長だったのですが、どうしてできないのかということになりますと、もはや大蔵省が発表した中期試算の枠内では地方財政の中期試算というのはできないのですよ、大きな壁があるのです、その壁をどうするかということが問題であって、その問題の解決なしには中期試算はできない、こういうふうに私は承っております。これは私の承り方が間違いでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/50
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051・石原信雄
○石原政府委員 当時財政課長がどういう意味で壁という言葉を使ったのか私も正確に承知しておりませんけれども、恐らく、ただいま私が申し上げましたように、税収の見積もりなどについて国の試算の数値と私どもが各地方の人たちから聞いている傾向とかなりな違いがある。そうした場合に、私ども政府部内の一員として将来の推計を行う場合に、省によって違う前提を置いて違う推計をするということはできないわけであります。経済見通しその他同じでありますから、同じベースに立って税収見積もりあるいは交付税の見積もりというものをせざるを得ないわけですけれども、その時点での我々のいろいろな分析データからして、単純に国の将来推計の数値に準拠して地方の歳入推計を行うことが本当の意味の地方財政の姿を示すことになるのかどうかについて自信が持てなかったというような事情があったわけです。
そうかといって、自治省は自治省独自の立場で将来推計をして計算をするということは、まさに政府部内で違う見方をするということも出すわけにいきませんから、そういう意味でできない。そのことを壁があるというふうに財政課長は言ったんではないかと想像するわけでありますけれども、いずれにしても、あの五十六年当時は国会でも経済成長率の見通しとか税収見積もりについて大変御議論があったわけですけれども、私どももそれなりにいろいろ検討したわけですが、どうもその辺についてもう一つ自信が持てなかったという事情もあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/51
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052・細谷治嘉
○細谷(治)委員 私も、それよりも深刻になってまいっておる今日の状況からいって、あの大蔵省が示した一%、三%、五%なんといういろいろなあれ、こうなるといういう赤字ですという、あれでは一体財政再建というのはできるのかできないのか、あれは何も数字的に語っておらない、こう見ておるわけです。その枠内で地方財政試算なんてつくっている、これまたくたびれもうけだ、こう私は思います。
そこで大臣、私は思うのですが、同じ政府で、省庁によって違った前提で試算をするということは、これは公表することはいかがか。これはできないでしょう。できないんですよ。しかし、少なくとも大蔵省が示した中期試算ではとてもじゃないが財政の再建なんというのはおぼつかないんだ、こういう点とこういう点とこういう点が問題があるという問題点を指摘しながら、このままで行ってしまいますとここへ行ってしまいますよ、どこへ行くかわかりませんよということをある程度中期的に展望した試算というのはやはりやる必要があると思うのですよ。全く違っておれはこう行くんだということは言えないにしても、問題点を明らかにする、壁はここにあるんだ、解決すべき点はここだということを実証しながら、地方財政の中期的展望はこうあるべきだということを示す必要があると思うのです。
その意味において私は、大臣の言うようにこれに積極的に取り組んで、そしてできるならば地方財政計画と交付税を審議するこの委員会が始まるまでに、言ってみますと恐らく三月末から四月早早ということになるんじゃないかと思いますけれども、それまでに出していただけるかどうか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/52
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053・石原信雄
○石原政府委員 私どもは作業を今続けておりまして、その作業の過程でまたいろいろな問題も出てまいりますので、この場で確約というわけにいかないのですけれども、もし提出する、御審議の参考になるようなものをお出しするということになれば、私はその目標は交付税法の御審議をいただくときまでというつもりでおりまして、そういうことを頭に置きながら作業を進めさせております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/53
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054・細谷治嘉
○細谷(治)委員 大臣、これは財政局長の問題よりも大臣がその腹であるかどうかということが大切です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/54
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055・田川誠一
○田川国務大臣 加藤議員の質問に私がお答えした趣旨も、今細谷さん言われたような考え方で私は答弁したつもりでございますし、四月までにできるかどうかわかりませんけれども、私はそういうことはぜひやるべきではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/55
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056・細谷治嘉
○細谷(治)委員 これは自治大臣の問題でもありますけれども、そればかりではありません。財政局長の問題だけでもありません。ここにおる地方行政委員全体の問題でありますから、交付税、その法律に基づく地方財政計画と一緒に審議しなければならない。どこに問題があるのか、こういう点をきちんとする意味において、私は強く要望すると同時に期待しているわけでありますから、大臣、もうちょっと前向きの答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/56
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057・田川誠一
○田川国務大臣 私がやれと言ったって事務当局がやらなければなかなかできないことですし、私自身はできるだけ御趣旨に沿うように督励していくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/57
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058・細谷治嘉
○細谷(治)委員 大臣答弁らしくないですよ。おれはやろうと思っても部下がやらなければしょうがない。そんなことはないですよ、大臣。まあしかし、大臣の熱意のほど、そうして石原局長も、できるならばそれに間に合わしたい、こういう言葉もありましたから、この点はその辺を強く要望して、次に移らせていただきたいと思います。
そこで、この委員会におけるせんだっての所信表明の中にこういうくだりがあるわけですよ。「国、地方を通じ簡素で効率的な行政を実現するとともに、国民に身近な行政は、地方公共団体が自主的、自律的に処理することのできる体制を強化し、地方分権を一層推進することが必要であると考えております。」文字どおり、ずばりこのとおりだと私は思うのです。そこで、自主的、自律的に処理することのできる体制を強化する、そして地方分権を一層推進する、こういうことで若干原則というか、抽象的といいますか述べておりますけれども、これについて、どういうことが具体的な体制なのか、分権を進める分権体制なのか、これをひとつずばり大臣からもう一度お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/58
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059・田川誠一
○田川国務大臣 具体的になりますかどうかわかりませんけれども、既に言われておりますように、一つは、国と地方公共団体との間の事務権限の再配分を行って地方公共団体の事務や権限を拡大していくということ、それから国の関与とか必置規制を廃止、縮小すること、それから国の出先機関をできるだけ整理縮小していくということ、それから機関委任事務の整理合理化を行う、さらに地方団体の財政基盤を確立して財政面で自律性、自主性を高めていくこと、それからさらに国庫補助金などの整理合理化を行っていくということ、こういうことを含めたことである、このように申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/59
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060・細谷治嘉
○細谷(治)委員 私も国会へ出てきて大体二十年を超すわけですが、そのときから、国保と地方との関係といった場合には、まず国と地方との責任分野を明らかにする、行政事務の再配分をする、それにのっとった税財源の配分をする、これが十年一日のごとく言われてまいりました。今、田川自治大臣から同じような言葉を聞きました。なるほどそれは一つの話でしょう。受け持ちの仕事はどのくらいあるのか、仕事にのっとった、ふさわしいような金の裏づけをする、これは常識論。十年一日のごとく何も進まないのですよ。最近、これはもう事務にのっとったその上で財源の配分と言ったって、これは百年河清を待つに等しい。
現に土光臨調の答申によりますと、一万件に近い許認可事務、その一割程度をひとつ二年間で処理したらどうか、これが答申の中身でしょう。機関委任事務、これすらも、言ってみますと機関委任事務の缶詰と言われる省庁が頑張っておって動きませんね。この間、九月の国会でやりましたけれども、余り進んでいないですよ。恐らく、機関委任だけでまだ五百を超しているでしょう。こういう実態でありますから、私は、あの土光臨調の答申、これも百年河清を待つに等しいような感じがするわけです。
マクロ的にはっきりしていることは、この間の本会議でも言っておりましたように、税金は七、三だ、国が七取って地方は三。使う方はどうかといいますと道なんだ。これだけはっきりしているのですから、もう素人じゃないのですから、税財源の配分を、当たらずといえども遠からずということは国と地方との間でできると思うのですよ。そういう基本的な考えに立つべきではないか。
残念ながら、先ほどの自治大臣の言葉で、中央集権は余り進んでおらぬと思うという大臣の認識が問題ですけれども、これは大臣、その認識を改めて、車の両輪とおっしゃるならば、車の両輪らしくやはりその裏づけとしての税財源の配分ということをすべきだと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/60
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061・田川誠一
○田川国務大臣 先ほど申し上げましたことは、細谷さんも御指摘のように、私ももう十数年間いろいろ聞いておりますが、今御指摘のような自主財源を地方はもっと持たなければならぬようにしていくということ、これは当然なことでございまして、そういうようなことにつきましては、今後私も一生懸命努力してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/61
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062・細谷治嘉
○細谷(治)委員 一生懸命努力してまいるというお言葉をいただきまして、まことにありがたい話であります。
それでは、今、国会で審議しておる五十九年度の政府の予算あるいは地方財政計画、こういうものを見てみますと、どうも前例のない一兆二、三千億の減税をした反面では、それと同等あるいはそれ以上の増税をやってのけよう。しかも、先ほど来質問にもありました地方財政計画の中を見ますと、この間の本会議でも議論が出ておりましたが、都道府県の税制改正による増税分、減収分は五百九十二億円、市町村の場合にはマイナス九百四十八億円、トータルいたしますと、地方税としてはマイナス三百五十六億円であります。国の税はそうじゃないのですよ。減収する分はちゃんと補って余りがある、つりが来るのです。何だって地方は、しかも財政力の弱い市町村の方には九百億円を超える減収を伴うような税改正というものを、唯々諾々と――唯々諾々じゃないでしょう、苦労したのだけれども、ということになったのだ。大臣、やはり言葉だけがあったという批判を免れないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/62
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063・田川誠一
○田川国務大臣 細谷さんの御指摘の点は、国の予算を組む大体の骨格ができるのはかなり前であるということはよく御承知のとおりですね。ですから、実際に私どもがこの衝に当たりましたときはもうある程度の骨格ができておりますから、それを大幅に動かすというのは、私は十二月の末に閣内へ入って、そしてすぐそういうことをできるということは、なかなかそう簡単にはいかないので、そういう意味で、私は今これから努力していかなきゃならぬということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/63
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064・細谷治嘉
○細谷(治)委員 まことにこれは失礼な話ですけれども、大臣は総選挙後に閣僚の一員になったわけで、そのときまでにもうかなりでき上がっておったことは間違いありません。しかし最終的には、大蔵原案が発表される前日、一月十九日に大蔵大臣と三度目の大臣の会談をやって、覚書を交わしながらできたのでしょう。ですから、前にできておったからおれの責任はないのだ……(田川国務大臣「いや、そういう意味じゃない」と呼ぶ)そういう意味じゃないにしても、これはおれの知らぬことだ、あるいはおれの手の届かぬことだという言葉は、やはり言うべきじゃないと私は思うのです。
その意味において、今度の税制改正というのは、ずばり言いますと大衆的なところから税金を取れということですよ。課税税率の最低限を上げる、上の方は下げる、こういうふうにやったり、あるいは大臣は反対したとおっしゃるけれども、自動車運転免許税なども取り上げるとか、いろいろ出ておりまして、随分これは国民大衆については重みを、大きな金を持っておる財界なり大金持ちに対しては割合に優遇措置を、そういう性格の税制だと私は見ておるわけであります。大臣は、とにかくその前に急行列車は走り始めておったからいかんともしがたかった、それは認めますけれども、それだけでは大臣の責任は果たせない、こう思うのです。
そこでお尋ねいたしますが、今度の税制改正、暮れに総選挙がありまして、そして本当に固まっていったのは政府税調、その実質的な背景というのは自民党税調、与党の税調、こういうものが動いていった。それに対して自治省は、減税をするならばこういう税財源を確保してもらわなければ地方財政はやっていけぬという構想に基づいて税制調査会に問題を持ち込んだと思うのですよ。その持ち込んだ内容をひとつ御説明いただきたいと思います。詳しくなくていい、税目とトータル大体どのくらいの額が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/64
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065・関根則之
○関根政府委員 税制改正の論議が始まりました段階で、私どもといたしましては、地方財政が大変厳しい状況でございますから、減税をいたしますためにはその財源についてきちんと確保措置をとっていく必要がある、そういう考え方で御議論をいただいたわけでございます。
議論はあくまでも内部の議論でございますから、いろいろな問題について幅広く御検討をいただいたわけでございまして、その間におきましてはいろいろな税目についての御議論をいただいたわけでございます。これとこれとこれだけについて御議論を限っていただいたというものはないわけでございますし、それから、それによって得られる財源がこれだけになりますというものをトータルしたような形で御提出したこともないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/65
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066・細谷治嘉
○細谷(治)委員 トータルしたこともない。しかし新聞等で発表されたところを見ますと、自治省の考えておるのは、法人住民税均等割でおおよそ千五百億円、医師の社会保険診療報酬に対する事業税の非課税措置の撤廃、これでおおよそ五百二十億円、自動車、軽自動車税の引き上げで千三百七十億円、公社に対する納付金で約五百八十億円、自動車運転免許税千八百億円、合計いたしまして五千七百七十億円の地方税収を期待しつつ税制調査会に問題を持ち込んだことは間違いないですね。そうでないと新聞がうそを言っていることになりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/66
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067・関根則之
○関根政府委員 いま御指摘をいただきましたような各税目につきましていろいろ試算はするわけでございますが、一定の前提を置きまして、何%ぐらい上げればこのくらいの税収があります、そういう説明はしたことはございますけれども、それらのものをすべて五十九年度税制改正において一挙にやっていただいて、その結果、先生御指摘の五千句ほの額を増額してください、増収措置をとっていただきたい、こういった説明はいたしておりません。それぞれ個別の問題について説明をして御審議をお願いしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/67
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068・細谷治嘉
○細谷(治)委員 そうは言っても新聞にそう出ているので……。
一橘大学の石教授は今度の政府税調に対する批判を新聞に書いている。批判というより所感だな。この人は地方制度調査会の委員でもある。どう言っているかというと、「減税と増税をセットにしたことについては、基本的にはやむを得ないと思う。」これは石教授は認めております。「しかし、具体的なやり方、とくに増税のやり方は非常にまずい。酷評すれば、税制改革へのビジョンもデザインも全くないといっていい税制改正だ。」「増税のやり方について私が批判的なのは、まず、大蔵、自治両省が減税規模を大きく上回る増税メニューを出してこその次が重要ですよ、大学教授が言葉で言うのですから。「バナナのたたき売りのようなことをしたことだ。」一橋大学の石教授、上品な大学教授ですよ。「酒税、物品税などは、それぞれの品目に政治的な圧力団体がついている。今回のやり方は、圧力団体に腕力の強さを競わせ、力の弱いところ、つまり、取りやすいところから取る、という発想だ。」と、石教授は一月十八日の新聞に所感を発表しております。大臣、ごらんになりましたか。これは、石教授は偏見ですか。どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/68
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069・田川誠一
○田川国務大臣 その先生の所感は見ませんでしたけれども、細谷さんからこういう御質問があるということは聞きましてその趣旨だけは聞いております。先生の所感は読んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/69
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070・細谷治嘉
○細谷(治)委員 きのう私の質問をとりに来たから、石教授がそう酷評しているよと言ったのが大臣の耳に入ったのでしょう。あなたはそれを聞いて、石教授の意見はもっともだと思ったのか、何言ってんだい、こう思ったのですか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/70
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071・田川誠一
○田川国務大臣 これは、従来の税制を検討するときのやり方というのはもう一度見直していかなきゃならぬじゃないかという感じを受けましたし、それから、御指摘の先生のお話が全然間違っているとは思っておりません。なかなかいいところをついているなという感じを受けました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/71
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072・細谷治嘉
○細谷(治)委員 今度の税制改革を通じての石教授の意見――石教授は我々と違いますよ。増税、減税同時にやるのはやむを得ないという前提意識を持ちながら、それにしてもやり方、内容が問題があるぞということを強く指摘しておるわけであって、私は石教授の意見はまさしく重要な意見だと評価せざるを得ないと思う。
そこに関連して、大臣が自動車運転免許税についてはちょっと反対だ、こう言ったとか言わぬとかいううわさがあります。その前に、国家公安委員長であるあなたの配下である警察庁はどうも運転者と仲がいい、仲よしクラブで交通がうまくいっているのに税を取るのはけしからぬと言って反対したと新聞に書いてありました。どの程度やったかは別です。
そういううわさがありましたということを伝えて、しかしそれにしてもこのあなた方が上げたもので法人住民税の均等割、これはもう今度の減税の補てんの有力な財源ですよ。もう一つは自動車と軽自動車税の引き上げだ。納付金は実現していない。
ところが、税制調査会でもかなり強い意見として答申の中にもきちんと書いてあることは何かといいますと、医師の社会保険診療報酬の事業税の非課税はやめるべきである。少なくとも当面は、五十二年か五十三年に医師の社会保険診療報酬に対する所得税についての不公平税制の是正をした、それとのバランスにおいてこの事業税は手直しをすべきだということを税調答申の中にぱちんと書いてありますよ。そこまで税調が原則的に賛成しているわけでありますから、この辺は大臣、不公平税制を直すことはまさしく精力的にやる、こうおっしゃっているのですから、もっと頑張るべきじゃなかったのでしょうか。
不公平税制の最たるものだということが、あなたの省の「地方税」という雑誌がありますが、その「地方税」の巻頭言に担当者が、二重三重の不公平だ、こう指摘して書いてありますよ。そういうことですから、これはやはりあそこまで税調に説得をし、事態をのみ込ませ、そして所得税とのバランスをとる意味においてでもこれは手直さなければいけません。金額にして約五百億円です。事業税は府県税でありますけれども、府県税の方は今度の税制改正ではマイナスになっていない、マイナスの方は九百億円が市町村だから、市町村の方は弱いからほっておけ、こういうことだったかもしれないけれども、これはやはり問題だと思うのです。これは大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/72
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073・関根則之
○関根政府委員 事業税における社会保険診療報酬の特別な扱いにつきましては、もう長い間の懸案でございますし、私どもも租税特別措置の整理合理化の第一に着手すべき項目であるという考え方に基づきまして、各方面に説明もし、私どもの意図を明らかにしながら、そういう方向での税制改正をお願いをしてきたところでございます。
しかし、やはり審議の過程におきましては、社会保険診療報酬の公益的な性格という問題につきまして、特に診療報酬の定め方との兼ね合いの問題、診療報酬の中に明示的に事業税が経費項目として入っていない、そういったような議論もございますし、それから事業税の中におきまして、ほかにいろいろな非課税規定がございますが、それらとのバランスをどうするのかといったような議論がいろいろな方面から出てまいりました。
結局、議論の終末といたしましては、なお結論を得るに至らなかったということで、ことしの、五十九年度の税制改正にはのせていただくことができなかったということでございます。
私どもとしては、引き続きこの問題につきましては、特例の、少なくとも政府税調で示されておりますように、所得税での五十四年の改正後の取り扱いと同じ程度のものにはできるだけ早い機会に持っていきたいということで努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/73
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074・細谷治嘉
○細谷(治)委員 「地方税」というあなたのところで推進しておる雑誌の巻頭言に担当の課長が書いたこともあるくらいのことですから、あなたがおっしゃるようにすぐやっていただきたいと思う。大体において、助産婦さんから事業税を取っておいてお医者さんから事業税を取らぬというのも、またおかしな話ですよ。しかも昭和二十八年以来です。これは政府の方では課税するよう提案しておいたのを、国会の方で非課税に手直ししたのですよ。しかしそれから何年になりますか。それから所得税は手直ししたのですから、やっぱり手直しすべきです。
もう一つこれに関連して、これはまた余り言うといかぬわけですけれども、事業税にもいろいろありまして、いろいろ調べてみますと、報道関係の新聞を運搬している車もこれは税がつかぬですよ。かなり広範囲にマスコミという名のもとにおいてこれは税がつかない。私は、やはりマスコミというのは大衆の重要な血ですから、それからしゃにむに税を取らなければいかぬなんて言っているのじゃないのですよ。直接使わぬでも、新聞を配達するその運ぶやつまで、あるいは雑誌を運ぶやつまで、余りにも広範に便乗があるのではないか。この辺は洗ってきちんとすべきではないか。やはりいただくものはいただく。税というのは国民の義務ですからね。そういう意味において、不公平税制の一つとして対応すべきではないか、こう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/74
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075・田川誠一
○田川国務大臣 医師の税制における非課税措置に対する御意見ですけれども、私はこういうふうに見ているのです。やはり他の事業に対する一つのバランスでなかなかこういうことが進まないのではないかと思うのです。その一番典型的な問題は、新聞、出版、テレビ、こういうものに手をつけないのです。ここから医師の事業税なんかもなかなか進んでこないわけです。これはむしろ国会の皆さん方にも御協力を得なければならない。
私は、新聞、出版などの非課税措置というのは、たしか昭和二十六年ぐらいから二十九年ぐらいまでの中で議員立法で非課税措置がとられたというふうに聞いております。当時と今とは社会状態は随分違いますし、新聞は公益事業だということで非課税措置になったのですよ。それからもう三十年近くなって、新聞だけを見ましても、今、新聞の競争というのはなべかま競争と言われるくらいに、いまだに新聞は競争をやっている。もう立派な一つの事業税を払わなければならない企業形態になっているのです。テレビなんかもっとひどいですよ。今、民間のテレビにお勤めになっている方の給与なんていうのは、一般の企業に勤めている方の給与よりずっと高い。ボーナスも同じです。そういうものが非課税になって事業税を免ぜられているわけです。
この間予算委員会で、いかがわしい雑誌が例に出されて、こんなものを子供に見せていいのかどうかということで問題になりました。その雑誌の出版社さえも事業税を免除されているわけです。こういうことを直さないから医師の問題だって直せなくなってきているというのが実情じゃないかと思うのです。
それで、医師の税制だけは割合に新聞に出るけれども、新聞や出版やテレビの問題は、ここにも報道関係がいるけれども、記事を出すかどうかわからないですよ。これをもっと新聞の第一線の皆さん方は――私どもと同じなんですよ。新聞記者と話すと、全くそうだということを言うのです。ただ問題は、経営者がやはり経営上困るから事業税は困るというふうになって今日まで来ているわけです。私は、この新聞、出版、テレビに対する事業税の非課税措置というのを直さない限り、不公平税制なんというのはなかなか手をつけられないと思う。ですから、不公平税制に手をつけるのは、まず新聞、出版、テレビ、これから不公平税制を正していくことが必要であるというふうに私は信じているわけです。
私はまだ担当の大臣になってから二カ月ですけれども、余りいろいろなことはできませんが、地方税制の面ではこれだけをひとつ重点的に取り組んでやっていくというつもりで、私は相当強い決意を持っておりますので、そういうことをきょうこの委員会で言ったことを傍聴の新聞記者諸君もひとつ書いていただきたい。国民の皆さんは知らないですよ。新聞やテレビが事業税を免除されているということを知らないですよ。それは一般に報道されないのです。今までもいろいろな面でこの事業税の問題が討議されているのです。(「大臣は評論家じゃないんだよ。ちゃんと実行できるようなことを答えろ」と呼ぶ者あり)だから、それを、実行できるといったってまだ二カ月しかたっていないのですから、そう簡単にできっこないですよ。
それはやはり国会の政治家が新聞や出版やその他の報道機関に対してもっと毅然たる措置をとっていかなければ、新聞や出版が言ったことに対して反発できないというところに今日こういう問題が長引いてきているわけですよ。ですから、多少報道にたたかれようと、やはり正しい主張は正しく述べていくということが私は大事なことであると、ちょっと長くなりましたけれども、お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/75
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076・細谷治嘉
○細谷(治)委員 やはり不公平な税制に集中的にあらわれておる。ですから、これの是正がやはり財政の健全化、再建のためにもぜひ必要だと思う。大臣は私の考え以上にずばりとこの問題を言っていただきました。ずばり言って、私も当時のことを思い出した。税務局長が取り上げた、社会保険診療報酬についての事業税です。新聞は社説で、あれをまた今回見逃したのはけしからぬ、こう言っている。確かに事業税は報道関係については一言もなかったことは、それはそれだけの根拠があったかもしれませんが――今思い出しました。
いずれにいたしましても、そこに問題があるとするのならば、これを是正するということは税を担当する自治大臣なり税務局長の重大な、やはりきちんと公平に解決していくということが重要なポイントだと思うので、あえてもう一度この点を申し上げておきたいと思います。
そこで、次に移らせていただきますけれども、きのうかおととい予算委員会に出されました資料の中で、毎年毎年租税特別措置は整理すべきである、整理しましょう、こう言ってきましたけれども、予算委員会に出された資料では租税特別措置がまたぞろふえているのですね。一千億円程度、租税特別措置がふえております。五十九年度の租税特別措置による減収額が、見積もりますと一兆二千八百十億円だと言っておるのですよ。まさしくふえておるのですね。そして、その中でマル優がまたぐんとふえていっているのですよ。
その前の二十六日のある新聞にこういうことが出ている。「利子配当課税大幅上げへ」という記事が出ております。ちょっと読んでみますと、利子配当所得は今地方税はかかっていないのですが、新聞では「源泉分離課税を選択した利子配当所得には現在、所得税だけが課税されているが、自治省は六十年度からそれに地方税である住民税も課税する方針を固めた。その骨子は①課税方式は金融機関や証券会社に届け出た住所の市町村が課税するか、金融機関や証券会社の所在地の都道府県が課税するかいずれかの方法をとる②税率は国の源泉分離課税率が現行通り三五%なら一五%とするが、国が税率を引き上げる場合は国の税率の半分程度をメドに引き上げる――など。これにより千五百億円程度の税収を見込んでおり」、こう書いてある。そうして、その翌日の二十七日には、これは別の新聞でありますが、その辺をねらって、地下資金の吸収をめぐって無税国債の発行を大蔵は検討する。言ってみますと、この利子配当等の問題あるいはアングラマネーと言われるものについて自治省もつばをつけようとしておる、大蔵省も必死でやっている、こういうふうに二十六、二十七日の新聞は書いてあります。
この新聞に書いてあることは、根拠ありますか、事実無根ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/76
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077・関根則之
○関根政府委員 御承知のように、総合課税に移行すべくここ数年来税制改正の基本が定まっていたわけでございますけれども、そのための前提条件としてのグリーンカード制度につきまして凍結がなされております。その凍結が終わった時点でどういうことになるのかということをこれから検討しなければいけないということで、政府税調におきましてもことしの夏ごろまでには何らかの結論を出したいということで審議が進められる予定になっているわけです。
そういう事態を踏まえまして、自治省といたしましてもいろいろと検討をいたしておりますが、しかし、基本的な自治省の物の考え方は、総合課税に移行するのであればすべて問題は基本的に解決をすることになったと考えられております分離課税が行われた場合の住民税が取られていない、という矛盾の問題でございます。したがって、総合課税はもうだめなんだということになって、仮に分離課税が従来どおり存続するということになります場合には、これは地方税の立場といたしましては、どうしてもその所得に見合う住民税というのは課税できるような、そういう仕組みを考えていかなければならないと考えております。これが基本的な自治省の考え方です。したがって、そういう考え方をもとに部内的にはいろいろと検討を進めております。具体的にどういう税制を仕組んだらいいのかということを含めていろいろ検討を進めております。
したがって、そういう検討の状況を多分新聞の方々がごらんになってそういう記事におまとめいただいたのではないかと思います。記事そのものはうちの方から発表したものではございませんし、まとまった案があるわけではございません。事実無根かどうかというお話でございますから、その根っこにある研究なり検討なりはしている、あの記事そのものをそっくり私の方が出したものあるいは固まったような形になっているというものではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/77
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078・細谷治嘉
○細谷(治)委員 火のないところには煙は立たぬということがあるけれども、この記事の内容は、煙が立つよりもう燃え始めていますよ。火がついていますよ。そのくらいの記事の書き方です。これは長い間、利子配当所得、グリーンカード等をめぐっていろいろな議論がされておりまして、今確かにペンディングにされているのは事実です。総合課税すべきだ、そういうことで自治省税務局がこの問題に真剣に取り組んで、まともにこの問題については総合課税で解決しようという姿勢はまさしく正しい、勇気あることだと思います。ひとつ頑張ってやってください。
それに関連して、これは財政局の方に飛び火しますけれども、従来、五十八年までは臨時特例交付金という名における交付税の増額措置がありましたね。これは私の記憶では、五十六年度が一千億、五十七年度は、年度当初の税の水増しによって財源不足はなかったので臨時はないけれども、五十八年度は一千百億、五十九年度が、どうした関係か知りませんが五百億。この辺が今度の地方財政対策の一番重要なポイントなんですよ。大蔵とそれから自治省、国と地方、この境界がどういうふうに整理されたかというのは一番重要な問題で、これは主として大臣に質問したかったのですけれども、ちょっと時間がなくて、催促が来ているから次の機会に譲りますけれども、今私が申し上げた数字は間違いございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/78
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079・石原信雄
○石原政府委員 五十九年度の地財対策におきましては、御案内のように臨時特例交付金方式は廃止いたしまして、交付税の特例措置の中でこれは吸収といいましょうか、そういう方式に移行したわけであります。
その特例措置額の将来の精算の際に、いろいろカウントする要素としてこれまで約束しております臨時特例交付金相当額は考慮するという扱いになっておりますが、ただ、いわゆる財対臨時と言われる、分離課税を選択した利子に対して住民税が課税されないという、こういう事情を考慮して財対臨時としてこれまで交付税会計に繰り入れられておりました額は、こういった経緯を踏まえて、今回の特例措置の精算要素としての、これはいわゆる従来の財対臨時見合いといいましょうか、として五百億が考慮されているということはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/79
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080・細谷治嘉
○細谷(治)委員 時間がありませんが、私もこの大臣の所信表明を読んでみましたけれども、交付税特別会計による地方交付税の特例増額の原則をやめ、と書いてある。今までの五十八年度までは特例で増額しておったんだ。今度の五十九年度の措置について大臣の所信表明の字をよく見ますと、これは特例増額と書いていないのですよ。これにかえて五十九年度は法律の定めるところにより地方交付税の特例措置を講ずる、増額じゃないんですよ、特例措置なんです。特例措置と特例増額はどこが違うかと思って詳しく見てみると、なるほどだれが書いたか知りませんけれども、自治大臣は用心深く、五十八年度までは特例増額、今度は特例措置でありまして、特例措置でありますから増額もありますが、プラス・マイナス・ゼロもあります、マイナスもある、その辺の幅を持たせて、これは所信表明でもきちんと日本語を使っているんだ、こう私は読みました。少し神経質な読み方かもしれませんけれども、大臣、そこまで気を配っておりましたか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/80
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081・田川誠一
○田川国務大臣 特例措置というのはあくまで特例措置でございまして、それを減額することもあるということも措置の一つでございますから、今回の措置は増額をやっていくということでございますけれども、いろいろな面にとられるというふうに見てよろしいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/81
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082・細谷治嘉
○細谷(治)委員 大臣らしくない。歯切れが悪いですね。
さっきも言ったように、何も特例をとっていないのですよ。それは財特債、今までは千百億円来たのが今度は五百億円ですから、これは特例減額ですよ、財特債は。その前に地域振興のやつも、これは行革の第一回のときの約束で、今ちょっと返ってきている。利差臨時、これだって今まで臨時特例交付金としてやってきた。これは特会に借り入れる、借り入れぬは別として、交付税の三二%にプラスしておったのですよ。それは文字どおり特例増額。その特例増額を今度は特例措置と名づけて、今まで一千百億円まで来ておったものを五百億円に削って、そしてどこかからはみ出してきた三百億円は六十六年度と六十七年度で百五十億円ずつ返させるというのが今度の措置でしょう。これは文字どおり特例措置ですよ。特例増額じゃないですよ。特例減額ですよ。それを減額と言っちゃまずいものですから、特例措置としたのでしょう。しかし、これは交付税の基本的な今度の一番の問題であって、もう時間が来ましたから、問題の点は余り特例措置でございます、プラスしてもらったんですとかなんとかという……。
それから大蔵大臣の演説、財政演説の方も物すごい。この財政措置の基本的な制度にメスを入れたために今度の予算ができたのだ。こう言っていますよ。総理大臣もこう言っているのですよ。
これはまた後で、次の審議の際にゆっくり御質問することにして、もう時間が来まして催促されましたから、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/82
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083・大石千八
○大石委員長 岡本富夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/83
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084・岡本富夫
○岡本委員 田川大臣は、今国会前は中道四党で我々と一緒にいろいろと政策を論議したり、あるいはまた御指導をいただいたり、非常に高邁な、洞察力のすばらしい方だと非常に尊敬をいたしておりました。しかし、きょうは国民の立場に立って御質問をいたしますので、若干失礼な面もあるかもわかりませんが、その点はひとつ御勘弁いただきたい。
そこで、最初にお聞きしておきたいのですけれども、あなたの方とそれから自民党さんとの方で政策合意された中にもありますけれども、議員定数の不均衡是正について、まあ恐らく所管省は自治省になると思いますが、この議員定数についての考え方、取り扱い、これについてひとつお聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/84
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085・田川誠一
○田川国務大臣 しばしば言われておりますように、衆議院の議員定数は、最高裁の判決によりまして違憲状態になってきているということでございますので、これは自治省という立場だけでなく、国会全体も、あるいは政府、内閣総理大臣も、議員定数の不均衡の是正はどうしてもやっていかなければならない、こういう姿勢を貫いているわけでございまして、私も単に自治大臣ということだけでなく、今の議員定数の不均衡につきましては、国民的な世論もかなり強くなっておりますし、次の衆議院の総選挙までにはどうしてもこれは是正していかなければならない、こういう考え方を持っております。
ただ、この問題は各党各会派、議員にとりましても政治生命にかかわる問題でございますから、こういうことを考えますと、やはりまず各党で十分意見を述べ合って、できることなら合意をしていただきたい、こういう考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/85
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086・岡本富夫
○岡本委員 そこで一つだけ。
方向はどういうようにお考えになって、そして政策協定なりまた担当の自治省としての考え方、いまお話がありましたように、衆議院の定数是正は最高裁判決を尊重して早急に行うべきだというのはわかりました。
そこで、考え方として、現行中選挙区を堅持して、定数を二ないし三にする。それから現行の定数五何十一以内で是正する、これはもうふやさない。それから定数是正に当たって合併、分割を行う。この問題は、五十五年十月一日の国勢調査の確定人口を基準にして格差を決める。これまた我我のところで二倍程度、自民党さんの方は三倍程度、新自由さんの方は一・五倍程度、こういうふうにいろいろ出ておりますけれども、大体大臣は、自治省としてはどういうような考え方でいらっしゃるのか、その点をちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/86
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087・田川誠一
○田川国務大臣 今私は具体的に、たとえば不均衡を直す数字的な根拠を申し上げる時期ではありませんけれども、今岡本さんおっしゃられたように、大枠の上で考え方を申し上げれば、現行の中選挙区制度は維持していくべきである。それから総定数は減ることはあってもふやすということは今とてもできる問題ではない。それからもう一つ、議員定数を決める場合に何を基準にしていくか、なかなか基準の仕方はむずかしゅうございまして、人口というものが主たる基準になっておりますけれども、ただ人口の数だけで定数を決めていくということになりますれば都市中心になってしまいますし、やはり地域ということも含めて考えていかなければならぬ、こういう考えに立っております。
御指摘のように、一対三にするのがいいのか一・五にするのがいいのかというような考え方は、今各党でそれぞれ検討をされておりますし、恐らく各党の関係者相互の間でこういう問題をこれからお話しになる時期に来ていると思いますので、それ以上のことは私から申し上げるのはちょっと遠慮させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/87
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088・岡本富夫
○岡本委員 なかなかそれ以上はお話しできないと思いますが、これは決まれば自治省の方から提案するのじゃないかと思いますけれども、いずれにしても、大臣の方では大体いつごろぐらいをめどにした方がいいか、選挙だっていつあるかわかりませんけれども、どういうのが望ましいか、その御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/88
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089・田川誠一
○田川国務大臣 担当の私としては、早ければ早いにこしたことはございませんで、できればこの国会で提案をして決めるのが一番いいと思っております。なぜならば、こういう問題は選挙が余り迫ってまいりますと利害関係が直接先に立ってしまいますので、選挙から遠のいている時期にやるのが一番好ましいのではないかと思います。
しかし、現実を見ますと、そう簡単な問題ではない。こういうことを余り焦って先にやってしまいますと、まとまるものもまとまらなくなってしまうおそれもございます。ですから、そういう意味で現実を見ますと、この国会で果たしてまとまるかまとまらないかちょっとわかりません。もう少したちますとある程度見通しが出てくると思うのです。やはりこういう問題こそは各党各会派で率直に腹を割って話し合っていけば、私は一つの妥結点が出てくるのではないかということで、少なくともこの国会中に各党の間で具体的なところまで踏み込んでいかなければいけない。そして、先ほど申し上げましたように、次の総選挙がいつになるかわかりませんけれども、次の選挙まで再び今の状態でやるということは絶対に避けていかなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/89
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090・岡本富夫
○岡本委員 大体の御構想はわかりました。
そこで、話は違いますけれども、大臣が、これは新自由クラブの代表すなわち総裁ですが、ちょうど選挙のころでしたが、五十八年十二月三日というのは告示ですか、この日にこういう演説をされているという記事が出ているわけです。
こんどの選挙は焦点がはっきりしている。国会で田中問題のけじめがつけられなくなって、選挙で国民の皆さんに決着をつけてもらわなければならなくなった。田中問題の選挙といって過言ではない。首相までやった人が破廉恥罪で懲役四年の判決を受けながら、国会議員をやめないところか、政治に大きな影響力をもっている。辞職勧告の決議案を国会に出したが、自民党が多数の力で決議案の審議を拒否した。
政治家がわいろをもらったり、地位利用することはかりが政治腐敗ではない。力の弱い福祉や教育の補助金が削られ、多額の政治献金をする(企業などへの)補助金が残されている。
行政改革といえばかけ声ばかりで進んでいない。国民の皆さんだけに我慢して下さいよ、といつだって、説得力はゼロだ。今こそわれわれが政治の核になって、日本の政治に対するみなさんの信頼を維持しなければならない。こういう話を東京の三軒茶屋でされたことが出ておりますが、今もこの姿勢は変わりがないのか、ひとつお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/90
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091・田川誠一
○田川国務大臣 政治姿勢というのはそう簡単に変わるものではございませんで、今回本さんがおっしゃったことは、今でも私毛頭変わっていないつもりでございます。今おっしゃられた選挙における演説の内容は、ほぼそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/91
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092・岡本富夫
○岡本委員 そこで、その後選挙が終わりまして、自民党さんが敗北し、与野党伯仲になった。国民の裁定が下った。その中で今度自民党と新自由さんが政策合意をされて連立政権を組まれた。その政策合意書を見ますと、「政治倫理の確立」の中で、「憲法五十八条でいうところの「院内の秩序をみたした議員を懲罰することができる」の解釈の範囲内で、国会法改正の措置を検討する」という項があるわけですけれども、これについて、このときの政策合意についての田川さんの考え方、また現在の考え方についてお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/92
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093・田川誠一
○田川国務大臣 ただいまの御指摘の自民党と新自由クラブの政策合意の最初の項目にあります「政治倫理の確立」の項目の中における一つの問題ですけれども、この一審有罪を受けた者に対する懲罰措置と申しますか、これについては前の国会の終幕時にやはり同じような問題を自民党との間で合意をしたわけです。
それはどういうところから来ているかといいますと、一審有罪を受けてもなお反省の色を見せない、そういうようなことは国会議員としてふさわしくない、こういうことが前提になっておりまして、こういう人は本来なら当然責任をとる、辞任をする、あるいは辞任をしないまでも謹慎状態にいるのが、これが国民の代表としての姿勢ではないか、こういう考えでございました。
そこでいろいろ検討した結果、立候補を制限するとか、いろいろな問題もありますけれども、そういう立法措置よりも、むしろ国会法の中で謹慎の意をあらわしていただく方法があるじゃないか、こういうことから、国会法の改正の中で、例えばある一定の期間登院を停止していただくとかいうようなことをやったらどうか、これがいま御指摘の項目でございまして、今回の政策合意の中で初めて出た問題ではありませんで、前国会の終幕当時におきまして、新自由クラブが野党の中で審議に参加しようと、最終的に参加する一つの条件としてこの問題を検討していこう、こういうことになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/93
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094・岡本富夫
○岡本委員 どうもこの問題について私は異議がありますので、内閣法制局来ておりますね。
この憲法に言うところの議員に対する懲罰規定五十八条「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみたした議員を懲罰することができる。」その後も問題ありますけれども、この解釈について、今のような登院停止とかあるいは何らかの懲罰が一審有罪でできるのかどうか、この点について明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/94
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095・前田正道
○前田(正)政府委員 憲法五十八条の規定は、ただいま委員がお読み上げになりましたように、議院内部の秩序の維持に関する規定でございます。
そうしました場合に、憲法五十八条の二項の規定に基づきまして、一審で有罪判決を受けた議員を懲罰することができるかどうかという問題につきましては、この五十八条の二項が懲罰の対象としておりますのは「院内の秩序をみたした議員」とされておりますので、一審で有罪判決を受けましたことが「院内の秩序をみたした」ことに該当すると解されるかどうかという点が問題になると存じます。
ただ、この問題につきましては、何分にも議院内部の秩序のあり方に関する問題でございますので、行政府に属する者が意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/95
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096・岡本富夫
○岡本委員 もう一遍ちょっと第一部長さん。
この一審判決というのは、三審制をとっている我が国ですから、一審判決だけでこの法的措置を憲法は許すのかどうか、もう少し学説を引いて解釈をお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/96
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097・前田正道
○前田(正)政府委員 ただいまは憲法五十八条の規定についてのお尋ねでございましたので、今お尋ねの点には触れなかったわけでございますが、ただいま御指摘の問題は、憲法第四十四条に関する問題であろうかと存じます。
そうしました場合に、憲法四十四条は議員の資格は法律で定めるというわけでございますから、その議員の被選挙権を奪うといたしますれば、それは法律で定められていなければならないということになるわけでございます。そうしました場合に、立候補の自由と申しますのは憲法十五条第一項が保障しております重要な基本的人権の一つでございますから、もしその議員の被選挙権を制約するというのでございますれば、それ相当の合理的な理由がなければならないということが問題になるわけでございます。
そうしました場合に、これまた御承知のように、現行の公職選挙法第十一条は被選挙権を有しない者についての定めをしておりますけれども、そのうち、刑に処せられましたことを理由とする者につきましては、すべて裁判が確定しているということを前提にしているわけでございます。
そのこととの対比から申しますならば、仮に一審で有罪判決を受けたということを理由といたしまして被選挙権を奪うといたしますならば、そうすることにつきましての合理的な理由があるかどうか、先ほど申されましたように、三審制をとっております現行法制のもとにおきましてそれだけの合理的な理由があるか、さらには、仮に上級審におきまして無罪の判決を受けました場合にどのような救済の道があるかという難しい問題が出てくるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/97
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098・岡本富夫
○岡本委員 大臣、今お話がありましたように、憲法の解釈、あるいはまたこの憲法第五十八条の解釈の範囲内だけではどうも一審有罪を登院停止するとかというようなことはなかなか難しいような解釈のようですね。
ということは、どうもこの政策合意というものが表面だけであって実行が伴わぬのではないかというように私は考えられるのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/98
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099・田川誠一
○田川国務大臣 必ずしも憲法に抵触するとは私ども思ってないのです。それで、これは自民党との間にもう数回協議しているわけです。協議しておりますけれども、やはり確かに法制局の方が述べられたように多少疑義はありますけれども、これは国会の問題ですから、各党が一致しなければなかなかそう進みません。
しかし、単に私どもが上辺だけでこういうことを一つの政策協定に盛ったわけではなくて、自民党の中にも、このままにしていいのかどうかというような御意見があったからこういう問題が俎上に上ってきたわけでございまして、公職選挙法で立候補を制限するよりも、今問題になっております国会法の改正の方が、まだやろうと思えば実現性があるというふうに思っております。
しかし、あなた首をかしげていらっしゃいますけれども、そういうあなたでさえも、これはなかなか難しいとおっしゃっているところに問題があるわけです。ですから、これは単に自民党と新自由クラブだけの問題じゃなくて、国会がこぞってこういう問題をやっていこうということになれば決して実現不可能なことではない。現に、どの程度進んでいるかわかりませんけれども、国会に設けられました政治倫理に関する協議会でもいま議題の一つになっていると私は伺っておりますが、そう岡本さんの方で首がしげられちゃ困るんで、むしろ積極的にこういうことができるんだというようにおっしゃっていたたかなければ推進しないのではないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/99
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100・岡本富夫
○岡本委員 あなたは合うまく話をそらしましたが、一審有罪判決の議員の政治治動の――登院停止とか、それはまたいろんなことをしましても、あなたの方の政策のここのところに「「院内の秩序をみたした議員を懲罰することができる」の解釈の範囲内」、こうあるのですよ。非常に狭くしているのです。
そういうことになると、僕は衆議院の法制局に聞きましたし、あちこちに聞きましても、この解釈だけでは一いわゆる院内の秩序といいますと、院内でぶん殴ったとか、あるいはまた院の派遣でどこかへ行ったときに何か事故を起こしたとか、これは院内の秩序を乱したことになるわけです。しかし院内の行為に対するものですからね。この場合の行為というのは、もう六年も七年も前に収賄したとか、そういう行為ですね。ということは、この「院内の秩序をみたした議員を懲罰することができる」の中には、これは非常に難しいのではないか。それは、あなたがおっしゃるように最高機関ですから、もうめちゃくちゃやってしまったらおしまいですけれども。あと国会法を見ましてもそれらしい改正できるような今の条項が見当たらない。ということは、有名無実じゃないかと言わざるを得ないのですね。ほかにあなたの方で、一審有罪の判決の議員の活動を停止する、これを自民党さんの方と政策合意した、これなら非常に実行性があるのですね。
だから、こういう今の政策合意の中では非常に疑義がある、できそうにない、こういう判断をするわけなのです。この点もう一遍お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/100
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101・田川誠一
○田川国務大臣 話をしている中に、今回本議員が疑問を抱いたような問題がありますから政策合意に盛られたような文言になったわけでございまして、そういう意味でああいう文言になったわけでございます。決してこれがただいいかげんなものでこういうふうになったものでは毛頭ないのです。
自民党の中にも、何かやらなければならぬという話が出てきたわけですよ。(「自民党は知らぬぞ」と呼ぶ者あり)不規則発言で、自民党は知らぬとおっしゃる方もいらっしゃいますけれども、これは両党間の正式の、公党の機関で署名をしたわけです。中曽根総理大臣と田川誠一新自由クラブ代表が、三役の立ち会いのもとに文書で取り交わしたものでございますから、決してこれを私どもは軽視しているものではない。ただ、先ほど来御議論のありましたように、多少の問題点はある。多少の問題点はあるから、登院停止するとかというように決めつけたわけではないのです。
ただ、先ほど申し落としましたけれども、本来ならこういう問題を法律や規則で決めるべき筋合いのものじゃないのですよ。こんなことは恥ずかしくて――国会議員をこういう問題で縛るなんということは我々の最も恥ずべきことなんです。しかし、現にそういう者が二人ばかり出てきているのですから、出てきている以上、何かやらなければいけないじゃないかというようなことで出てきたわけです。岡本さんがこういう問題はできないじゃないかとおっしゃるなら、ではどういう方法でやられたらいいか教えていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/101
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102・岡本富夫
○岡本委員 それはまた倫理協議会でいろいろとやりますけれども、今私が聞いておるのは、あなたがその当時、要するに選挙当時、政治倫理を確立しなければならぬという一番熱心な姿勢を国民に示されて、そして国民から信託を受けて新自由さんはお出になった、わずか減りましたけれどもね。
そこで、「一審有罪などの場合、議員の政治活動を一時停止することを、国会法の改正によらないで実施し得るような国会改革案を、総選挙後に提案することも考えておる」、これは大阪であなたが話されておることです。五十八年十二月十一日。この記事が違うのかどうか知りませんけれども、そこと非常に矛盾をする。それから、非常に疑義があり難しい、また、後の予算委員会でも、憲法に抵触するという疑義があるというようなところで逃げているわけですよ、逃げていると言ったら悪いけれども。
ここで本気になって政治倫理の確立をなさろうという考えがあるのかということを、この問題ばかりやっていますと時間がありませんので、もう一遍だけお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/102
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103・田川誠一
○田川国務大臣 先ほどの、大阪で私が一審有罪の者の政治活動云々というお話は、ちょっと違うように思います。そういうことを言った覚えはございませんで、私は政策協定に盛られたような意味のことを申し上げたと思います。それは新聞記事ですか。(岡本委員「そうです」と呼ぶ)地方の記者が何か聞き違えてお書きになったのではないかというふうに思います。それは訂正していただきたい。
それからもう一つ、何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/103
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104・岡本富夫
○岡本委員 もう一つ同じような記事で、十日の大阪において、「田中元首相に関して、「有罪判決を受けた政治家は一定期間政治活動を休止することを制度化したい」」。これはどっちですか。間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/104
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105・田川誠一
○田川国務大臣 その制度化したいというのが国会法のことを申し上げているわけでございます。国会法の中で、できることなら一定期間行動を停止する、登院を停止するとか、そういう意味のことが制度化という意味でございます。
なぜそういうことを申し上げましたかと言えば、議員辞職勧告決議案がなかなか実現できないから、そういう事態であれば何か制度を考えなければならぬ、こういうことでございまして、これは私一人ではなくて自民党のかなりの人たちがそういうこともおっしゃっておりますし、私どももじかにそのようなことを伺っております。一緒にやろうじゃないか、こういうような話もじかに聞いておりましたので、そういうことを選挙中に述べた記憶はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/105
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106・岡本富夫
○岡本委員 私は、一つは、この文章だけを見ますと、「「院内の秩序をみたした議員を懲罰することができる」の解釈の範囲内」では非常に難しかろうと思うし、またこれは別にやらなければならぬだろうと思うのですが、こういう非常に難しいといいますか疑義があるようなもので合意したということに対して、私は非常に心外に思うわけです。それは言っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/106
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107・田川誠一
○田川国務大臣 ちょっと、さっきの質問を思い出しました。決意がどうかということでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/107
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108・岡本富夫
○岡本委員 それはもうちょっと後にしてください。
そこで、この中に、「企業の政治献金わく拡大」、「具体化へ動き」というような報道があるわけですが、それに対して、先ほど申しました十二月三日のあなたの勇ましい演説の中にもありましたように、これは非常に政治を腐敗したもとになっているのだというようにおっしゃっているのもわかるわけですが、この企業献金枠の拡大に対しては、あなたはどういう考えを持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/108
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109・田川誠一
○田川国務大臣 勇ましい話をした覚えはございませんで、恐らく私が日本記者クラブで講演をした中に、企業献金の枠の拡大について質問が出たかどうか、ちょっとその辺忘れましたけれども、私はごく当たり前のことを申し上げたにすぎないのでございます。
それは、企業献金というものそれ自体は決して悪いものではない、企業献金が悪だということはおかしいということを一つ述べたのでございます。たしか公明党は企業献金反対……(岡本委員「禁止ですよ」と呼ぶ)禁止とおっしゃっていますけれども、例えば私は、三人か四人の零細企業の方が企業として政治家に、乏しい財政状態から浄財を寄附するというのは立派な政治献金だと思うんです。そういうふうに何でもかんでも十把一からげに企業が献金をするということを廃止するというか、そういうことをやめさせるというのはよくないという意味で、企業献金必ずしも悪ではないということを申し上げたわけです。
そして、今の政治資金規正法に盛られている枠をさらに拡大するという話があるが、それについてどう思うかということでございましたので、私は今の国民世論から見ても、また政治資金規正法の現在の法文ができたことから見ましても、今この企業献金の枠を拡大するというのは反対であるということで、決して勇ましいことを述べたのではありませんで、私としてはごく常識的に意見を述べたにすぎないのでございます。
それでは今どういうふうに思っているかという御質問でございますが、現在もその気持ちは変わっておりません。
ただ、この政治資金規正法の法律をどういうふうにしていじるかということにつきましては、これはもう政治資金規正法は、各党それぞれよって立つ基盤が違いますから、そういうよって立つ基盤が違う各政党がお互いに話し合って、こういう問題は改めるべきところは改め、現状でいいと言えば現状でいい、こういうふうにすべき問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/109
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110・岡本富夫
○岡本委員 政治資金の方の、公選法の関係ですから、これもやはりあなたの担当になると思うのですが、「田川氏を大臣に迎えた自治省、警察庁も、当初抱いた警戒心を和らげつつある。」と書いてあるのです。それは「就任間もない自治相が、自民党の望む政治資金規正法の企業献金枠拡大を「阻止する」」と講演された。そのときは自治省もびっくりした。自治省がびっくりしたかどうか知りませんが、「幹部が「これまでの自治省の姿勢は、各党の合意を待つ、です」」と進講申し上げた。今まで自治省はこうでしたということを申したところ、その次の国会の答弁では「「企業献金枠の拡大はいかがなものか」というにとどめた。」ので、自治省も安心した、こういうようなことを書いてあるわけです。これは本当かうそか知りませんが。
今お聞きしたのは、そういうことで、二月十七日に朝日新聞に出ておりますところの企業献金枠拡大を阻止するという姿勢とは余り変わっていない、こういうふうに解釈してよろしいのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/110
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111・田川誠一
○田川国務大臣 これは表現の違いでありまして、いかがなものかというのは遠慮して申し上げているわけで、決して賛成しているわけではないので、反対という気持ちは毛頭変わってはおりません。新聞の記事……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/111
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112・岡本富夫
○岡本委員 それだけでよろしい。
そこで、ちょっと気になったことが一つ。
けさからの質問の中に、また御答弁の中にこういうことがたびたび出てきたんですが、まずその前に連立政権内閣を組んだ理由ですね、これを簡単に国民の前に明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/112
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113・田川誠一
○田川国務大臣 連立政権というのは、大体三つ以上の政党があって、一つの政党が過半数をとれなくなると政権を維持するのが難しくなるということであれば、一番近い政党と連立を組んで政権を維持していくというのが大体どこの国でも行われていることだと思うのです。そういうことで今回こういう連立ができたものと私は見ております。
私の方の立場といたしましては、先ほども岡本さん触れたように、今何をやらなければならないかといえば、やはり私どもの立党の一番の原点であります政治倫理の確立を少しでも前進させていかなければならぬ。それをやるには、たまたま自民党から、過半数すれすれだということで連立並びに統一会派のお話がございましたので、一定の条件をお示しして、そしてそれが合意したものでございますから、連立政権を組んだというのが実際でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/113
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114・岡本富夫
○岡本委員 恐らく政治倫理の確立だけではないだろうと思うのですが、二百五十何ぼ対八ですから非常に難しいと思うのですが、もしもできないということになればどういうお考えを持っていらっしゃるのか。もう連立はやめるのかどうか。また中道一緒になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/114
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115・田川誠一
○田川国務大臣 また中道と一緒になりますかと言われても、私どもは中道と一緒になった覚えはございませんし、新自由クラブは中道政党ではございませんで、新しい保守政党として今日まで来ているわけでございます。その点は明確にしておきたいと思います。
ただ、公明党や民社党、社民連とは友党として今日まで参りましたし、これからも友党としておつき合いをしてまいるつもりでございます。ですから、ついこの間の二月十八日の党大会にも御見の代表の方が来て祝辞を述べられた、そのほかの社民連も民社党も来られたわけで、決して従来の友好関係は変わらないつもりでございます。
連立政権をつくるに当たっての政策合意ができなかったらどうか、こういうお話でございますけれども、私どもは、今日まで二カ月組んでまいりました中で一つ一つ不十分ながらも実現しているわけです。例えば、政治倫理の中で、「政治倫理協議会については、各党の賛同を得て速やかに創設する」というのが第一番にありますけれども、これは御承知のように実現ができたわけでございます。第二番目に、先ほど岡本さんが御指摘になりました国会法の改正の検討を始めるということも、今検討を始めるような段階になりましたし、三番目には、資産公開も不十分ながらできるようになった。こういうふうに今一つ一つ合意した事項が実現をし、あるいは検討に入っているという時期に、これができなかったときはどうするかと言われると、これはちょっと申し上げにくいので、できない場合には私どもは当然責任をとらなければならぬ、これはもう何回も私はほかの委員会でも申し上げたことでございます。しかし、できないという事態に、まだ全然そういう兆候も出てないことでございますから、余り強いことを申し上げるのもそれこそいかがなものかと私は思うのでございます。
私が従来二十四年間国会生活をやってきて歩んだ道をよく見ていただければ、私どもはそう簡単なことでこうした連立を組んだわけではございませんで、私ども新自由クラブにとりましては、この連立の成果を生むか生まないかは政党の消長にかかわる重大な問題でございますから、相当の覚悟を持ってこうした行動に出たというふうに私どもは思っているのでございまして、その辺はひとつ御理解のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/115
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116・岡本富夫
○岡本委員 もう少しこれもお聞きしたかったのですが、時間がありませんのでこのぐらいにとめておきます。
次に、けさから地方行政についての問題で、非常に中央集権化が進んでおる、そのために地方分権を行わなければならぬ、推進しなければならぬというように自治大臣の表明もあるわけですが、先ほどどなたでしたか質問のときに、私は新聞記者時代から見ていても日本の国は中央集権化してないんだ、そうは考えてないというように御答弁なさったように思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/116
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117・田川誠一
○田川国務大臣 私は、中央集権化が進んでいるとは申しておりませんで、長い間、地方行財政をわきから見ておりまして、またかって新聞記者をしておった当時、当時は自治庁でございましたけれども、あの当時のことからずっと振り返ってみますと、中央集権化になっているとは思っていない。むしろ地方自治の団体自治あるいは住民自治という二つの側面から見まして、少しずつであるけれども当初の地方自治の一つの目的が前進をしているのではないかな、こういう感想を述べたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/117
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118・岡本富夫
○岡本委員 先ほどお話がありましたように、三割自治といいますか、各地方公共団体はほとんど国に依存をしなければいろいろなことができない。その一つのあらわれとしまして、予算前には八トントラックに何台も書類を積んでこなければならぬのですね、だれが見るのだろうと言ってましたけれども。そして財政は三割余り、今まではちょっと四割近くもらっておったけれども、今度また改悪によって三割余りになってしまう。これは次の委員会でまた細かくやりたいと思いますけれども、そういうことで、財政とともに地方分権化、これは非常に時代の要請もありますけれども、もっともっと進めなければならぬ。もっともっとじゃなしに、ほとんど進んでないというのが現在の地方自治体の一国から見れば、いややっているんだというけれども、地方自治体から見れば、機関委任事務にしましても、いろいろな許認可の問題、それからもう一つは必置規制といいますか、行革をやろうとしましても法律で定数を押さえられておってどうにも切れない、こういうような問題について、大臣は地方分権の推進をどういうようにやっていこうとしているか、これをひとつお聞きしておきたい。
なぜならば、相当強烈な決意でやりませんと、先ほどのように、わしがやれと言っても財政局長がやらぬならしょうがないなんて、そんな頼りないことではお話にならぬわけです。これは十二月二十九日の読売に出ているのですが、自治大臣が「地方の問題だが、現実の地方財政のひっ迫を背景にして国が地方を締めつけている、という見方もある。旧内務官僚的な手法ではないかと。」後は書いてないのですけれども、この地方分権をもっと推進するという強い決意、どういうようにするのか大まかなことだけまずお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/118
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119・田川誠一
○田川国務大臣 私が先ほど来いろいろ地方自治が少しずつでも前進しているということを申し上げましたのは、中央集権になっているじゃないかというお話がありましたので、それに対して私は申し上げたわけでございまして、比較論なんですよ。だから、何も理想的な地方自治制度ができ上がったということを申しているのでは毛頭ございませんで、御指摘のような幾つかの問題もございます。しかし、事務の再配分にしても補助金の整理にしても、ごく最近でございますけれども、少しずつでもそういうものが取り除かれるような動きが出てきていると思うのです。
先ほどもちょっと申し上げたかもしれませんけれども、私は、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化というもの、そういうことをもっと進めていかなければならない、そして、機関委任事務の整理統合化、国の関与をできるだけ取り除いていくとか事務と財源の移譲をしていくとかというようなことをこれから促進をしていかなければならない、このように考えてお2ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/119
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120・岡本富夫
○岡本委員 教育の改革の問題や、あるいは、これはまた検討しておいてもらいたいと思うのですが、三十七回衆議院選挙に当たっての我が党との選挙協力に当たるところの公約――公約というより申し合わせがあるのです。これについてお聞きしたいと思っておりましたけれども、時間がありませんからこの次にいたします。
そこで最後に、警察庁来ておると思うのですが、昨年の選挙の前に政治活動のビラとして、電柱にいっぱい、何十万枚と張られたというようなことで、それも業者が張って、その明くる日また次の人が張っている、また次の人が張っているということで、非常に国民から批判が出たわけですね。余り余計張る者は落としてしまえということで三人とも落ちてしまったけれども、そういうようなことで、公示前に公共物にこういったポスターの類を張るのを規制するとか、これは何か方法がないものですか。それについてお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/120
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121・金澤昭雄
○金澤政府委員 選挙の公示前に候補者が氏名を記載しておりますようなポスター類をあちらこちらに張るという行為は非常に数多く見られるわけでありますが、その掲示されておりますポスター類、これがいわゆる公選法の事前運動とか文書違反とかいったものに当たる、こういう疑いのある場合には、警察といたしましては一応指導警告ということで自主撤去を促すということにしておるわけでございます。それとあわせまして、その撤去をよりよく促進するという意味で、選挙管理委員会の方に連絡をいたしまして、選挙管理委員会の撤去命令の発動を待つ、こういうことで現在やっております。
現実には、数多く張られますのでなかなか実効が上がりにくいという面がございますけれども、そういうことで警察といたしましては大いに努めておるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/121
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122・岡本富夫
○岡本委員 軽犯罪法には、「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板」云々というふうにありますけれども、こういうところに許可もなしに張るということは、公共物に対しては非常に問題があろうと思うのです。もう一遍ひとつ研究をしていただきまして、きょうはこれで終わります。
厚生省も来ていただきましたけれども、次の問題のときにまた地方事務官制度について論議をしたいと思っております。
きょうはどうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/122
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123・大石千八
○大石委員長 藤原哲太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/123
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124・藤原哲太郎
○藤原委員 田川自治大臣、御就任どうもおめでとうございます。初めての質問でございますので、勉強をさせていただきながら質問を展開をいたしたいと思いますので、どうぞ御答弁をいただきとう存じます。
田川自治大臣は在野時代に、大変政治倫理の必要性、また政治に対する大変厳しい反骨精神と申しまするか、私ども見ておりましても社会正義に立脚した発言が多かったということで、私は、そういう面で敬意を払っておる一人でございます。それだけに、今度の第二次中曽根内閣の中にあって、私は、一面から見れば、国民の中で新鮮な感覚を持って迎えられておるのではないかというように思います。したがいまして、その意味での自治大臣の責任というのは、私は大変重いのではなかろうかと思います。
私が申し上げるまでもなく、民主主義のとりでと申しまするか、民主主義の発展というのは地方自治の発展に大きくかかわりがあるわけでございます。その地方自治の発展が民主主義の発展に大いなる関係があるということにつきましては、お互い同感を得られる事柄であるというように思っておるのでございます。もし民主主義というものが危機に陥る、あるいは政治不信から来るかかる問題が大きくなってまいりますると、例えば選挙の際に、それぞれの投票率の低下であるとか、あるいは投票しても政治はよくならないではないかという不信感が横溢をしてまいるわけであります。もしそういうことになってまいりまするならば、民主主義の危機という言葉がよく言われまするけれども、そういうものにつながってくるおそれがあり、もしそういう事態が生まれてくれば、過去にも歩んでまいりました全体主義的な方向をたどる、いわゆる左右の全体主義的な方向をたどるということも歴史がよく証明しておるところでございます。
かかる観点から考えてまいりました際に、田川自治大臣も所信表明の中で言われておりまするけれども、少なくとも、これからの地方自治をより発展させ、そして住民サイドに立った地方自治をつくり上げていくといたしまするならば、地方分権をどのように着実に進めていくかということが、私は当面の大きな課題ではなかろうかと思うわけでございます。
そのような意味におきまして、これから自治大臣として、財政的にも、あるいは国、地方の行革を含め厳しい段階におけるこの地方自治に対して、大臣就任時のいわゆる抱負経綸と申しまするか、そういうものが当然おありになっておられると思いまするので、この際お伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/124
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125・田川誠一
○田川国務大臣 日本の地方自治は、戦後、憲法の中に一章を設けられるほど国の基本として重要な一つの位置を与えられているわけでございまして、地方自治が発足しましてから三十年、先ほどのお話ではありませんけれども、少しずつ前進はしておりますものの、実際に地方自治を理解する人から見れば遅々として進まない、問題点が余りにもたくさんあり過ぎるということに尽きると思うのです。私も、決して今の状態がいいとは思っていない、これからももっと努力をして地方自治の本来のあり方に向かって前進をしていかなければならない、このように考えております。そしてまた、藤原さん御指摘のように、民主主義の成否というものはやはり地方自治がどれだけ発展していくかにかかっているわけでございますから、そういう意味で、地方自治を確立していくためになお一層力を振り絞っていかなければならないと思っております。
やはり、何といいましても今の地方行財政の中には国からの関与がまだ多いし、あるいはまた機関委任事務も決して少なくはございませんで、整理統合していかなければならぬし、そして何よりも財政基盤を強化していくということが大事ではないかと思うのです。そういうことを念頭に置いて私の職責を果たしていかなければいかぬ、このように強い決意を持って臨んでいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/125
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126・藤原哲太郎
○藤原委員 ただいまも大臣から、地方自治を強化発展せしめるためには財政基盤の確立が必要であるということを言われました。私もそのように感じておる一人でございます。ならば、今の地方自治体の実態を考えて、行財政の現状を大臣はどう把握しておられるか。また、先ほど来もお話がありましたけれども、地方自治体から見れば、三割自治ということでよく言われておるところでございますが、この三割自治と言われておる地方自治に活力を与えながら、そして行財政改革を進める展望等につきましてお考えをお示しいただきたいというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/126
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127・田川誠一
○田川国務大臣 現在の地方自治体にございます財政上の問題、主として財政上の問題が多いのですけれども、藤原さんよく御存じのように、大変大きな借金を抱えて多くの自治体が苦慮をしているわけでございまして、さっき申し上げましたように、こういう地方財政をもっと立ち直らせていくにはかなり思い切った手術をしていかなければならないと思うのです。
私はまず第一番に、借入金の依存体質というものをここら辺でもうそろそろ断ち切っていくことが大事である、こういう意味で今回の地財対策の見直しの一環として特金借り入れをやめさせるようなことになったわけでございまして、こういうことから進めていく必要がある、このように考えておるわけでございまして、今後ともこのような改善策に向かって努力をしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/127
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128・藤原哲太郎
○藤原委員 関連してちょっとお伺いをいたしたいと存じます。
大臣の所信表明の中にもございますけれども、特に特殊法人等の整理合理化について伺いたいと思います。
第一は、特殊法人等の整理合理化については、昭和五十九年一月二十五日の閣議決定の行革方針で具体的改革案が示されておるわけでございます。特殊法人等の整理統合化は地方自治の強化のために必要であると考えられるわけでありますけれども、このことを具体的に進める方途についてこの機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/128
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129・田川誠一
○田川国務大臣 国の特殊法人の中にはいろいろなものがございますが、その中には地方行政とも密接な関連を有するものも決して少なくはありません。地方自治に関連する特殊法人の中には地方公共団体と業務が重複するものもございますので、特殊法人の実施している事務事業につきましては、地方公共団体におきまして処理すべきものは地方へ移譲するなどの措置が必要であると考えております。しかし、当面、昭和五十九年度行政改革大綱に定められた特殊法人の合理化について、これをなるべく実現するように努力をしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/129
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130・藤原哲太郎
○藤原委員 ただいまの大臣の答弁とも関連がございますが、特殊法人の整理合理化は私どもも必要と思っておるわけでございますけれども、これを行うことによって地方団体に財政的な負担を強いるのではないかというようなことも考えられるわけであります。
例えば、地域振興整備公団についての考え方の中で、「縁故債の発行等により民間資金を導入するとともに、新規予算採択事業について地元地方公共団体による適切な負担の導入を図る。」ことといたしておるわけでありまするけれども、新しい事業を行う、そうしますると、それについて地方公共団体がある一定の負担をする、こういうことが言われておるわけでございますが、いわゆる「適切な負担」というのは一体どの程度のことを言われておるのか。あるいは、このことによって地方自治団体に財政的負担を負わせるのではないかと危惧をされるわけでございますが、この辺の考え方を明らかにしていただきとう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/130
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131・石原信雄
○石原政府委員 ただいまお示しの臨調答申の内容につきましては、その当時、そういった内容が盛り込まれることに関連いたしまして、私どもは、無前提に地方公共団体の負担を導入するというのはおかしい、各種の特殊法人の合理化に関連して業務自身の見直しをするのは当然でありますけれども、従来各特殊法人がその必要性を認識して取り上げた事業について、途中から地方公共団体の負担を求めてくるというようなことは納得できないという意思表示をしております。
ただ、特殊法人等が行う事業でありましても、他の普通の補助事業などと同様の性格のものも理論的にはあり得るわけでありますから、問題は、個々具体のケースについて、他の従来の補助事業等との均衡がとれているかどうか、あるいは関係地方公共団体の財政に与える影響がどういうことになるのか、これらを見て判断しなければいけないと思っておりますが、いずれにしても、基本的には、国の立場から特殊法人の合理化の一つの方策として地方公共団体の負担を求めるということは、一般論としては私どもは賛成できないという考え方に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/131
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132・藤原哲太郎
○藤原委員 それでは関連をいたしまして、自治省の関連のあります二つの法人、すなわち日本消防検定協会それから危険物保安技術協会について六十年度末までに民間法人化ということが閣議決定されておるわけでございますが、私どもは民間法人化については賛成でありまするけれども、消防行政上何か問題があるのかないのか、さらに、具体的にどのように進めるつもりなのか、この機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/132
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133・砂子田隆
○砂子田政府委員 ただいまお話がございました消防検定協会あるいは危険物保安技術協会に関しまして、臨調からお話しのように民間法人化をするということが答申がなされているわけであります。
この法人を民間法人化するに当たりましては、少なくとも検定でありますとか審査という制度が厳正に行われていくということが大変大事なことであります。そのほかに、消防機器の問題というのは一般の民間の方が自分で日常使ってこれを試すということができないわけであります。そういうことから申しますと、こういう消防機器を利用する利用者あるいは地域住民の消防機器に対する信頼、そういうものを確保することが大変大事でありますし、危険物の特に屋外の貯蔵所の安全の確保ということがこれまた大変大事であります。この両方が満たされませんと、地域住民の消防機器あるいは石油その他のタンクに対する信頼というものが崩壊をするわけでありますから、この両方の法人の民法化につきましては、そういう点を十分に配慮をして移行しなければならないものだと思っております。しかも、これらの検査なり審査に当たりましては、中立性あるいは公平性というものが大変期待をされているわけでありますから、そういうことを無視してこれを民間法人化するわけにはなかなかまいらないだろうと思います。
そういう点で、先ほど申し上げましたように、利用者なり民間の方々なりあるいは消防機関なり、そういう方々の意見を十分参酌しながら、六十年度末までに民間法人化するような方向に検討を続けていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/133
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134・藤原哲太郎
○藤原委員 大臣の所信表明の中で「国民に身近な行政は、地方公共団体が自主的、自律的に処理することのできる体制」と述べておられますが、具体的にどのような体制を意味しておられるのか、どのように推進をしようというお考えでこういう表現を使われておるのか、この機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/134
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135・田川誠一
○田川国務大臣 私が申し上げましたのは、地域の特殊性に応じて対応をしていくべきであるということでございまして、具体的にはいろいろございますけれども、国と地方公共団体間の事務権限の再配分を行いまして、地方公共団体の事務や権限を拡大していくというようなこともございますし、国の地方公共団体に対する緩和や、必置規制を廃止縮小するということも重要なことだと思います。また、国の出先機関の整理縮小を図る、また機関委任事務の整理統合を行うことも大事なことでございますし、先ほど来申し上げましたように、地方公共団体の財政基盤を確立して、まず財政面での自主、自律性というものを確立していくことも大事なことであります。また、従来から言われておりますように国庫補助金を整理縮小していく、こういうことを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/135
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136・藤原哲太郎
○藤原委員 現在、地方公共団体の行う事務の中には民間活力を生かすことができるものがあると思うかどうか。また、単独事業としてのコミュニティー施設、文化施設が最近急増をいたしておりますが、これらの民間委託を積極的に指導すべきではないかと考えますが、どうでしょうか。また、学校給食であるとか清掃といったような業務がやはり民間委託することによってかなり減量行政ができるように思われるわけでありますが、これを強く推進する考えがあるかどうか。
聞くところによりますと、関係各省がこれを推進することについて反対をしておる、こういうように伺っておるわけでございまするけれども、それが、これらの問題について地方公共団体が民間委託を進め定員削減を行う上での障害となっているのではないか、いわゆる各省庁が反対をしているために、それをやろうと思ってもそれが障害になっておる、こう言われておるわけでありますが、この点についての大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/136
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137・田川誠一
○田川国務大臣 詳しくは行政局長から申し上げますが、私も就任して以来、御指摘の民間委託につきましては大変関心を持っておりまして、いろいろな自治体の様子もちょっと具体的に聞いております。清掃事業などで民間委託をしている自治体の様子を聞きますと、随分経費が浮いているという話をいろいろな自治体から聞いております。そういう意味で、私は、こういう民間の活力をもっと自治体が活用してやっていくようにこれから強く指導をしていくつもりでございます。大変有益な御指摘をいただきましたが、その線に沿ってやっていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/137
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138・藤原哲太郎
○藤原委員 進めさせてもらいます。今の大臣の答弁で結構です。
次にお伺いをいたしたいと存じますが、国の定数の配置基準があるために関係職員の減員ができにくいと言われておるわけであります。これは職員の必置規制によりまして、いわゆる必置職数は七十五にもわたっておるわけでありまして、狂犬病予防員であるとか改良普及員であるとか栄養指導員等々、地方自治体に対してこういうものを置きなさいよという義務づけが行われておるわけでございます。
こういうことに対して、政府全体として洗い直し、見直そうということで、五十九年度を目途にしてその整理合理化の具体的方針を立案するという方針が決まっておるようでございます。さらに、過般の二月二十八日の本会議におきましても、行政管理庁長官もこの実態について調査をし、そして進めていくというようなことの答弁があるわけでありまするけれども、これは自治省とも大変深いかかわりのあることでございますので、大臣、ぜひこれはひとつ大いに協力し合いながら進めてもらいたいと思います。警察とか消防とかどうしてもしょうがないところは別にしまして、自治体が定数削減しようと思っても、法律に定められたものであるいは政令に定められたものでどうにもならないというのが実態としてあるわけでございますので、この点についての大臣のお考えをお示しいただきとう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/138
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139・田川誠一
○田川国務大臣 必置規制の縮小整理につきましては全く御指摘のとおりでございまして、各省庁にもひとつ私ども自治体のために協力をしてもらうように強く要請をしていくつもりでございます。行政管理庁長官もお話のように大変積極的でございますので、今後とも私どもは、地方公務員の増員をもたらすような国の施策を抑制していくことについて全力を尽くしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/139
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140・藤原哲太郎
○藤原委員 今度の大臣の所信表明の中でも、新しい一つの考え方の中に、「潤いのあるまちづくり」あるいは「地域文化の振興、充実など」という、心の豊かさを求める、そういう新しい行政分野の展開が地方自治体で必要であるということで、こういう文面もあらわれておるところでございます。自治省はこういう考え方を持っておられるわけでありまするから、したがいまして、これらのいわゆる地方自治体の地域特性に十分な考慮を払いながらこういった問題について具体的に進めていく必要があると考えます。
ところで、大臣の表明の中でも「地域社会における人々の参加と連帯」、「参加と連帯」という大変ユニークな新しい言葉が出てきております。自治大臣、「参加と連帯」とは具体的にどういうことをお考えになり、どういうことを進められようとしておられるか、この機会にお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/140
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141・田川誠一
○田川国務大臣 地方自治を進めるに当たって欠くことのできないのは、住民の自治参加ということが一番重要ではないか、自治意識というものを目覚めさせていくということが大事だと思うのです。そういう意味で、地方の中にいろいろなコミュニティーあるいは文化的な問題を織りまぜていろいろな施策を講じていく必要がある、私はこういうふうに考えているわけでございます。
具体的なことにつきましては、政府委員から説明をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/141
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142・大林勝臣
○大林政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、住民自治を進展します場合にどうやって自治意識を向上させるか、これは実際に住民の方々に連帯の上でいろいろなことを責任を持って言っていただくという方途を講ずる必要があると思います。そのために、自治省としましては昭和四十六年度からいわゆるコミュニティー施策というものをやっております。
現在、四十六年度以来かなりの期間がたちまして、当時指定をいたしましたモデルコミュニティーもほぼその役割を終わったという感じを持っておりまして、その後の社会情勢の推移から、特に都市近辺を中心とするコミュニティー地域を新たに醸成していく必要があろう、こういうことで来年度から新たな指定地区をふやしてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/142
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143・藤原哲太郎
○藤原委員 今のコミュニティー地区をふやしていきたいということでございまして、これは大賛成ですが、ことしからのものにどういうところが入っているかはまだ存じ上げていませんけれども、今までの中では東京とか神奈川あるいは和歌山というのが外されておりましたが、特に東京とか神奈川というようないわゆる大都市、人口集中地帯でコミュニティーの推進地区というのが必要ではないかと私は考えるのですけれども、この辺はどういうことで外されておったのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/143
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144・大林勝臣
○大林政府委員 まず、当面の指定基準といたしましては、現実にそれぞれの地域においてある程度そういった気風が醸成されておるところを優先的にやる必要があろう、こういうことで、五十八年度にも五土地区ほど指定をいたしたわけでございますが、その中に、大都市といたしましては大阪府、あるいは愛知県といった大都市を含む県も含まれております。ただ、東京都におきましては残念ながらまだ準備が進んでおりませんでしたので、来年度回しという気持ちでおります。幸いに、東京都といたしましても五十九年度以降は指定できるよう努力していただくと伺っておりますので安心しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/144
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145・藤原哲太郎
○藤原委員 今、東京都の話が出ておりましたけれども、昨年の秋に東京都は全国に先駆けて文化振興条例というのを制定いたしておるわけでありまして、これは、地方自治体における文化的、自主的な活動を進める、こういう自治省のお考えからいいましても当然進めるべき事柄ではないかと思います。行政改革で厳しさを求める一方、このような事業の推進によって自治体の活力を生み出していくことも必要ではなかろうか、こういうように考えますけれども、このことについての所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/145
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146・田井順之
○田井政府委員 近年、地方行政のいろいろな分野に文化の要素を取り入れていこうという動きが顕著になってまいっておりまして、そういう点から考えますと、ただいま御指摘の東京都の文化振興条例というものも一つの大きな成果であろうと思っております。
ただ、地域文化の振興に当たりましては、それぞれの地域の特性を踏まえまして個性のある施策を進めていくということでございますので、私どもとしては、画一的な指導というよりは、さまざまな先駆的な事例を御紹介しまして、参考にすべきものは参考にする、同じように取り入れていただくものは取り入れていただく、こういう形で指導に当たってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/146
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147・藤原哲太郎
○藤原委員 次に、地方財政の問題について伺っておきたいと思います。
大臣は所信表明において、「地方財政の健全化を図る見地から、これまでの地方財政措置の方式を見直す」、こういうことを言われておるわけでございますけれども、「地方財政の健全化」とはどのようなことを言われておるのか、この機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/147
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148・田川誠一
○田川国務大臣 私は、地方財政の健全化と申しますのは、地方財政が非常に借入金依存体質が強くなってきている、累積赤字も随分多くなってきている、こういうことを見直していく、断ち切っていくということをまず第一番にしていかなければならぬ、そうして国と地方の役割分担をもっと明確にしてやる必要がある、そして、先ほど来申し上げておりますように事務の減量化も図りつつ地方の自主性、自律性を持たせるようにしていくことが大事である、こういうことを考えて申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/148
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149・藤原哲太郎
○藤原委員 大臣の言われますように、率直に言って地方財政の借入金依存の体質を断ち切らなければならぬということは全くそのとおりだと思うのですが、現状はなかなか厳しいものがあるのではないかと考えられます。
昭和五十九年度において財源不足の八〇%というものは地方債の増発によって穴埋めされておる状況でございます。今後ともこの傾向が強くなると思われるわけでございます。例えば、交付税がだんだんと減ってまいりまするし、減ってまいると同時に、ちょうどそれの反対現象のごとく地方債が増発されておる、こういう状況になっておるわけでございます。したがいまして、今のような状況の中で果たして地方財政の健全化に今の措置がなるであろうかという素朴な疑問を投げかけざるを得ないのであります。
この辺のところにつきまして、事務当局の方は、本当に今の財政のあり方が健全化の方向をたどっているのだ、こういうようにお考えでございましょうか、この機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/149
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150・石原信雄
○石原政府委員 五十九年度の地方財政対策におきまして、一兆五千百億円の財源不足の補てん措置として建設地方債の活用を図っておる、一兆一千億円余りの建設地方債の発行を予定しているわけでありますが、こういった措置が地方財政の健全化の方向に沿うものかどうか、こういうお尋ねかと思います。
私ども、地方財政の将来を考えた場合に、望ましい姿としては、財源不足を生ずれば極力これは地方債ではなくて交付税その他の一般財源による措置が健全化の趣旨に沿うものである、このようには考えております。ただ、現実問題として、この一兆五千百億円の財源不足について、地方債を活用しないでより多くの分を国の一般会計からの特例措置、特例加算、これによって行うということが今の国の財政状況のもとでなかなか難しかった。多くの議論を経た結果として、御提案申し上げておりますような内容の地方財政措置になったわけであります。
しかし、その措置を講ずる議論の過程におきましては、私どもは極力地方債への依存度を引き下げるという努力をいたしました。具体的には、いわゆる財源対策債の充当率も、五十八年度の場合九〇%でありましたけれども、五十九年度は八五%に引き下げたわけであります。そして、足りない分については交付税の特例加算千七百六十億円というものを行うことにしたわけであります。
私どもは、今後将来を展望した場合に、決して楽観はできないと思いますが、しかし気持ちとしては、今後とも引き続き極力地方債への依存を引き下げていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/150
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151・藤原哲太郎
○藤原委員 まだこの問題につきましてもお伺いをいたしたいところですが、時間がだんだん迫っておりまするので、後日御質問をさせていただきたいというように思うわけでございますが、私は、少なくとも今の地方自治体の財政状態につきましても、非常に厳しい段階にあるという評価だけは一致した評価ではなかろうかというように思います。
自治体におきましても、率直に言ってやや豊かな自治体もございまするし、赤字団体に転落をして、起債の許可もいただけないということで非常に厳しい状況下にある自治体もあるのでございます。そういうものを自治省として総合的な立場で調整をしながら財政運営を図っておるということについては十分理解できるところでありまするけれども、少なくとも自治省そのものがいわゆる自治体に顔を向けて、そして一つ一つの悩みをお互いの悩みとして考える姿勢、このことが私は今最も必要なことではないかと思うのであります。それぞれの自治体で、どうにもならない自治体が自治省に何遍も足を運んで、そして起債の許可やあるいはいろいろの手当てをいただくための陳情に来る。これは、もうやむにやまれぬことで来る方もございましょうし、また、毎年の行事みたいな形で来られる団体もあるかもしれません。しかし、その真偽のほどはともあれといたしまして、やはりその実態をよく見きわめながら、同じ側に立っておるのだ、自治省は自治体に顔を向けておるのだというこの真摯な姿勢というものは、私は、大臣も同じ考え方であろうと思いますけれども、ぜひ持ってほしいと願う一人でございます。そういうことにおいて、ぜひそのような方向でお願いをいたしたいと思います。
また、これは答弁は要りませんけれども、午前中の質疑の中で東京都の問題が触れられました。私も都政に長い間関係をいたした者として、やはり美濃部さんの時代から鈴木さんの時代になりまして、本当に血のにじむような内部努力を積み重ね、そして人員の抑制策を断行し、そしてお互いの職員の手当も、国の基準から見ればまだ足らないにいたしましても、それを下げ、退職金も下げ、局長や部課長の数も減らし、そういった一連の、本当に涙ぐましい努力を積み重ねてきたことは事実であります。政治改革なり行政改革というのは、率直に申し上げまして一朝にできるものではございませんで、段階的に、しかも職員の理解と協力を得ながら行うその苦しみというものも、私は、大臣は苦労人でありまするから、わかってほしいと思うのであります。
そういう中で初めて今日、国のベースよりも高い、しかし都の人事委員会の勧告と国とのちょうど中間をとって四・五%というベースアップを決めたのでありまして、どうぞそういう点では各位の御理解を願いたいじ、自治省の大臣を初め皆さん方も、本当にその努力をした、そういうものについての理解度というのはあってしかるべきでないかというように思うのでございます。このことも、答弁はよろしゅうございまするけれども、都政に長い間携わってきた者として実態をお話し申し上げまして、御理解を深めさせていただきたいと思うわけでございます。
時間が参りましたので、実は少年の非行の問題について、この機会に警察庁当局にお伺いをいたしたいというように思います。
最近の青少年の非行化の増加傾向というのは、新聞やその他にいろいろ報道されておりまするけれども、大変広がっておるところでございます。聞くところによりますると、ローティーン、いわゆる十三、十四、十五、中学生のこの年代、高校生から中学生の年代にずっと下がってまいりまして、大変な増加傾向にあるようでございます。この刑法犯少年の補導人員等につきましても、十三歳の人が一四・八%、それから十四歳の人が二一・三%、十五歳が一九%。それで五十七年度は驚くべき数字でございまして、二十五万七千八百五十六人の少年が補導を受けておる現状でございます。そのうち中学生は十二万七千四百二十二人で、男子は八二・二%、女子が一七・八%も占めておるというのでありまして、やはりこの現状は本当に憂うべき現状だと思います。
もちろん、こういうような現状になりましたのは、教育の貧困と申しまするか、教育にも起因することもございまするし、家庭のしっけにも大きな原因がございます。また、社会環境のなせるわざもございます。いろいろのことがございましょうけれども、現実このような状況にあるわけでありまして、この犯罪の現状についての御報告を願いたいと思うわけでありますが、特に現在中学生の間ではトトカルチョという例のあれが行われておりまして、実は三十万も四十万もの単位の被害が父兄に生まれる。これは下手なところでは学校、クラスぐるみとも言われておるのでございまして、中には登校拒否をした生徒も出てくる、あるいは校内暴力も今盛んに行われておるというような状況下でございますので、このような現状についてこの機会にまず報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/151
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152・鈴木良一
○鈴木(良)政府委員 少年非行でございますが、昭和五十五年以来戦後最悪の記録を更新し続けております。昨年刑法犯で補導された少年の数は十九万六千七百人余でございます。さらに十四歳未満の触法少年を加えますと二十六万千六百人余りになりまして、成人の刑法犯で検挙された昨年の数は二十四万二千人弱でございますから、結局子供の方が大人を上回っておるという状況にあるわけでございます。
内容的には、お話もございましたが、特に低年齢化の傾向が大変強い、その中でも中学生が触法少年を含めますと半分以上に達するということでございます。また、女子の中学生の非行が大変激増しておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/152
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153・藤原哲太郎
○藤原委員 こういう機会でございますので、少年非行の内容について、どんな内容があるのか。私は今トトカルチョの話をいたしましたけれども、そういう問題、あるいはまだ物の判断が的確につかないために、こういうものを悪用されて暴力団だとかなんとかとのかかわり合いというものも、私は一部ではちょっとお伺いしていることがあるのでございますけれども、そういう問題について、少年非行の内容にはどんな内容があるか。それから、そういうかかわり合いなんかで皆さんの方で承知しておる範疇について、この機会に御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/153
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154・鈴木良一
○鈴木(良)政府委員 少年非行の内容というのは大変千差万別であるわけでございますけれども、お話しのいろいろな社会環境との兼ね合いでどういうものが起きているかということを、若干例を挙げて御説明をいたしたいと思いますけれども、第一に、いわゆるセックス産業というものが少女の売春なりあるいは少年の福祉を害する犯罪の場となっておるわけでございまして、例えば、暴力団幹部が少女を誘惑して淫行した後に、他人名義の履歴書を使ってトルコ嬢として稼働させるというような例、あるいはまたゲームセンターやスナック、喫茶店等は不良少年のたまり場となりやすいわけでございますが、御案内のとおり昨年横浜市におきまして浮浪者の殺傷事件が起きましたが、このグループはそういうところをたまり場として形成された非行集団でございまして、そこを拠点として次々に凶悪犯を犯していたというようなこともございます。さらにまた、ビニール本寺に刺激されまして、少年によります性犯罪も大変目立っておるわけでございます。例えば、そういうふうな雑誌に刺激されまして中学生が通行中の女性を次々に襲いまして、強姦致傷あるいは強制わいせつというのを繰り返していたというような事例があるわけであります。
今申しましたのはほんの一例でございまして、こういうふうなものが大変数多くあるというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/154
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155・藤原哲太郎
○藤原委員 警察当局としてはこういう方に対する補導とかいろいろのことも十分考えておられると思いますが、具体的にはどういうことをされておるのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/155
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156・鈴木良一
○鈴木(良)政府委員 何といいましても少年補導を徹底していくということが大事だと思います。そうして、その少年の特性に合わせまして指導していくということを徹底してやってまいりたいということで鋭意努力をしておるところでございます。それからまた、実は子供に生きがいを持たせるということが大変大事だということで、いわゆる社会参加活動ということで、一緒に社会のためにいろいろ奉仕してみるということを呼びかけて、一緒に汗を流してやるというようなこともやっておるわけでございます。
ただ、今申しましたように大変環境が悪くなっておりますので、その環境面についてやはり改善をしていかなければならないということでございまして、現実にもいろいろ地元の方々とも相談しながら改善をしておりますけれども、さらに法制度を含めて検討していかなければならないということで、そういう面で鋭意検討しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/156
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157・藤原哲太郎
○藤原委員 これに関連したような事柄でございますが、最近、新宿区でございますが、新宿の風俗環境が大変悪化しておるということで、風俗営業法改正についての要望が自治省にも警察当局にも出されておるのではないかと思うわけでございます。
したがいまして、新宿区の風俗に関する実態はどのようになっておるのか、その実態についての詳細な報告と、その影響をどういうように御判断されておるかというのが第一でございます。
それから第二は、現在どのような対策を講じておられるのかということでございます。法の目を盗みながらやることでございますので、その効果はなかなか期待しにくい点もあろうかと存じますが、一体どのような効果をあらわしておるのか、あるいはどういうところに問題点があって警察当局としては困っておるのか、この辺のところもこの機会にお聞かせをいただきたいと思います。
それから、現在の風俗営業法で取り締まりができないものが多々あると伺っておるわけでございます。例えばのぞき劇場であるとか個別マッサージであるとか個室のヌードであるとか個室のビデオであるとかノーパン喫茶であるとか、そんなものを含めた複合の施設なんかもあるようでございます。そんなようなことでございまして、このような状況に照らしまして風営法を改正するお考えはあるかどうか。やはり改正をする必要があると私は思うのでありますけれども、どうなんだろうか。
それから、こういうものはできるだけ早いのにこしたことはないわけでありますので、今国会中に提出をする用意があるかどうか、これを含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/157
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158・鈴木良一
○鈴木(良)政府委員 まず新宿の実態でございますが、これはなかなか実態がつかみにくい面があるわけでございます。例えば歌舞伎町の一丁目の地域だけを見ますと、いろいろな数え方がありまして難しいのでございますが、例えば先ほどお話のありましたいわゆるセックス産業のようなもの、トルコぶろ等を含めましてそういうもの、あるいはポルノショップあるいは賭博、あるいは不良少年のたまり場になりやすいゲームセンター、そういうものを含めますと歌舞伎町の一丁目だけで百八十弱くらいの営業があるのではないか、こう言われております。
その影響でございますが、先ほど申しましたようにやはりそういうところが青少年に大変悪影響を及ぼしておるわけでございまして、特に少女がそういう店で割合に安易に稼働してしまうということが出ておりまして、大変少女の福祉を害する犯罪がふえておるという実態が出ておるところでございます。
それから、取り締まりのできないものがあるではないか、対策に困っているかというお話でございますけれども、対策は、新宿におきましては防犯の特別捜査隊を編成いたしまして、そういうチームで徹底して検挙に努めておるわけでございますけれども、先ほどお話のありましたような規制がなかなか困難な新規の営業形態が出ておりまして、これは売春防止法なり児童福祉法なり、そういう関連法律にひっかからなければどうにもならないということでございます。この取り締まりは鋭意やっておりますが、なかなか十分な形で取り締まりができないという悩みがあるわけでございます。
風営法を改正すべきではないかというお話でございますが、私どももそう考えまして鋭意作業を進めておりまして、できますれば今国会に提出をいたしまして御審議を願いたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/158
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159・藤原哲太郎
○藤原委員 このことについて最後に自治大臣に。
これは子を持つ親として大変重大な関心を持っておることでございます。特に、東京における新宿歌舞伎町を中心にだんだん広がってくる傾向にございますし、新宿のみならずその他の地域でも見られるところでございまして、こういった問題について法の規制、法の網を縫っていろいろのことが行われているわけでありまして、法治国家としては最小限法で規制できるものはしていく、そして青少年の非行化を最大限に防止していくことが我々の大きな務めではなかろうか、かように考えておるところでございます。
したがいまして、できるだけ早い機会に主務大臣として法制化の準備を進めていただいて、それでこれが法改正できますように私からお願いをしたいと思うのですが、大臣のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/159
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160・田川誠一
○田川国務大臣 御指摘の問題は喫緊の重要な問題でございますし、今やらなければならない大変重要な問題だと思います。そういう意味で風俗営業法の改正を警察庁当局も今一生懸命準備しておりますので、できるだけ早くこの国会に出して法律の面で規制をしていきたい、このように考えております。
ただ、こうした問題は法律の面だけで片づくことではございませんで、例えばいかがわしい雑誌類の取り締まりだとか、あるいはテレビの茶の間に入る放映の中に、とても子供には見せられないというような問題も幾つかございます。こういうことについては、できるだけ関係者に自粛を促す、こういう措置も必要であると思っておりますし、また、これは国民運動みたいなもので世論を盛り上げて、そうして自粛を促していくということもあわせて考えていかなければならないと思います。
いずれにしても、重要な問題でございますので、早急に立法措置を講じてまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/160
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161・藤原哲太郎
○藤原委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/161
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162・大石千八
○大石委員長 経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/162
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163・経塚幸夫
○経塚委員 本委員会で大臣に対します質問は、改選後もとより初めてでございますので、私は、大臣が就任をされました後の所信、さらに選挙中に大臣自身が行われた公約あるいは新自由クラブとして行われました公約などとの関連におきまして、以下、幾つかの点を御質問申し上げたいと思っております。
一番最初に、今回提案をされております地方税法の改正案の問題についてであります。
簡単なことからお尋ねをしたいと思っておるのですが、こう説明をされておるのです。「住民税所得割について、課税最低限の引き上げ等を中心として減税を実施するとともに、低所得者層に係る非課税措置の基準額を引き上げる等の措置を講ずる一方、法人住民税均等割の税率の引き上げ、自動車税及び軽自動車税の税率の調整並びに」一云々、こう言われておるのですね。私は本会議でも御質問申し上げたところでありますが、幾ら考えてもこれがわからない。
これは率直にお答えいただきたいのですが、調整とはおっしゃいますけれども、やはり中身は増税なんでしょう。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/163
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164・田川誠一
○田川国務大臣 例えば自動車税、軽自動車税にいたしましても、もう四年ですか、五年近くたって見直しをしなければならない時期になっているのでございまして、そういう時期にちょうど当たっているというのですか、もうそろそろ見直さなければならない、こういう意味であのような措置をとったわけでございまして、これは単に減税をした穴埋めのためというばかりでなく、当然やらなければならない時期である、こういうことでこのような措置をとったものというふうに見ているわけでございます。ですから増収措置、私どもはこういうふうにとっているのでございます。
また、法人住民税の均等割にいたしましても、赤字会社がほかの税金を全部免除されておるというような中にいるわけでございまして、やはり公平の原則からいって、まあもう少し会費を出していただきたいという考え方でこうした措置をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/164
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165・経塚幸夫
○経塚委員 私は最初に簡単なことからお尋ねを申し上げたいと申し上げましたのは、本当にこれは簡単なことなんですね。何もこだわって――これは増税に間違いないのですから、どう考えたところで。小型乗用車の自家用分につきましても、三万四千五百円を三万九千五百円にこれは自動車税を上げるわけなんですから、結局、これは中身は増税なんですね。これをなぜ、減らす方は減税だと声を大にして言われながら、ふやす方は素直に増税という表現を使われないのか。これは本当に初歩的なことなのですが、何としてもわからない。
ただ、私がこのことを本会議に引き続き繰り返し申し上げますのは、もし仮に、総理が増税なきということを言ったものだから、言った建前上、口が裂けてもこれは増税とは言うべきでないし言ってはならぬというようなお考えならば、これは余りにも国民を愚弄するものだと言わなければなりません。やはりこの点は、本当に誠実な田川さんのことでございますから、私は率直に事実は事実として中身どおりの表現をされてしかるべきじゃないか、かように考えるのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/165
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166・田川誠一
○田川国務大臣 これは一つの見方でございまして、ちょうどあなた方が減税について余りおっしゃらないことと同じで、減税をかなりやったというようなことは余り仰せにならないで、それで住民の負担が張った面だけを強調しておっしゃるということ、そういうことにちょっと似ているんじゃないかと思うのですよ。ですから、住民の、その受ける側の方から見れば、自動車税をお払いになる方から見れば、やはり余計払うのですから、これは増税と言われてもしょうがないのですけれども、我々の方の立場から見れば、片一方の方は減税をやっている、一般の方々に住民税の減税をかなり思い切ってやっているわけですから、そういう意味で私どもは増収という言葉を使っているわけで、これは、増税とあなた方がおっしゃるというのは、これはやむを得ないと言えばやむを得ないんじゃないかと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/166
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167・経塚幸夫
○経塚委員 これは大臣、あなた方は減税の方を余り強調されずにとおっしゃいますけれども、本当に増税なき減税ならば大いに評価いたしますよ。私どもだって、事実を率直に評価すべきものは評価いたしますよ。しかし今度のは減税とは言えない。つまり、そっくりそのまま財源を増税に求めておるから、こんなものは減税だと表現できぬじゃないですかと、こう言っているだけの話であって、少し大臣の答弁としては今の御答弁はこじつけだと思うのです。
現に、大臣、これは参議院の二月三日の私どもの佐藤議員の質問に対して、大臣は御答弁の中でこうおっしゃっているのですね。「私が自治省を担当いたしましてから地方税制の中で多少の改正がございましたが、まあこれも、一体住民税を減税する財源をどうやって捻出するか。」こうお答えになっているのですね。結局、一方で減税だと言いながら一方ではその財源として増税をやったということを、この記録でもお認めになったこれは内容なんでしょう。これでもなお、いや、これは増税じゃないんだ、収入がちょっと上がっただけだ、あるいは調整にすぎぬのだとおっしゃられるのですか。どうもこれは合点がいかぬのですがね。どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/167
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168・田川誠一
○田川国務大臣 減税をやれば地方自治体の増収措置を考えていかなければならぬ、地方自治体の財政も考慮していかなければならないわけで、その減税に見合う財源をどういうふうにして考えていかなければならないか。これはまあ自治省が真剣に考えていかなければならぬ。減税をやったままでしたら、各自治体が住民に十分なサービスもできない。住民に十分なサービスをさせるには財源を考慮していかなければならぬ。その財源をどこに求めるか。こういうことでいろいろ考え、その中には大衆に負担を求めるような増収措置を考えていかなければならぬ。そういうことの中に、先ほど申し上げたような法人住民税の均等割とかあるいは自動車税の増収措置というようなことで、できるだけ国民大衆の皆さんの負担を避けるような最低の措置をしたというのが今回の措置と私は見ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/168
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169・経塚幸夫
○経塚委員 国民大衆の負担をできるだけ避けるような措置を講じたとおっしゃいますけれども、結果的にはこれは大衆課税になっているのですね。自動車税、軽自動車税しかりですし、中小法人もそうでありますし、どうも大臣に就任されましてからトーンが落ちたような感じがいたします。
といいますのは、これは大臣が選挙中に出されました大臣個人の責任にかかわる政策の訴えの文書なんですが、こうおっしゃっているのですね。「サラリーマンに対しても、減税を行いながらその財源を他の税金の増税で賄うやり方は、国民をばかにしているとしか言えません。」これはどうも選挙中におっしゃったことを大臣に就任をされてからやられておるのではないかと思われるのですよ、今度の改正案は。どうなんでしょう。
しかも、住民所得割の非課税措置の問題につきましてもそうでありますが、これは今回税調の答申を受けまして、単年度限りというものを「当分の間」と、こういうふうに改正というより改悪をされたわけであります。この問題につきましても、かつて新自由クラブは、野党のときには当委員会、本会議でもそうでありますが、この地方税法の改正案に対して反対をされる理由の一つとして、この問題を反対討論の理由に挙げておられたのですね。ところが今回は、逆に大臣は、反対の立場に立たないどころか、反対する我々の側を納得させようとする立場に立たれておる。これも選挙の公約から見ましていささか主客転倒しておるのではないかと思われるのですが、どうなんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/169
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170・田川誠一
○田川国務大臣 「増税なき財政再建」というのは、私ども、選挙中、もちろん演説の中にあるいは国民に理解を求めるために申し上げたことは間違いない事実でございます。
ただ、先ほども申し上げましたように、減税の措置をとれば、当然その中に何らかの財源措置を求めていかなければならないわけでございまして、そういう中にできるだけ大衆に対する負担は避けていこう、こういうことで今回の措置をとったわけでございまして、経過の中にはいろいろございますけれども、私どもはこれが最低の措置であるというふうに考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/170
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171・経塚幸夫
○経塚委員 できるだけ大衆課税の措置を避けたとおっしゃいますが、中身を見てみればそうでないことは歴然といたしております。今の御答弁は納得できるものじゃございませんが、次に進みたいと思います。
これは、第三十七回選挙に臨んでの新自由クラブの十大政策、「十の約束」、こうおっしゃっておりますが、この中にこういう文言がございます。「権限と財源の思い切った自治体移譲」、こう言われておるわけですが、これは具体にどういう項目を指しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/171
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172・田川誠一
○田川国務大臣 その文言だけもう一回……。(経塚委員「権限と財源の思い切った自治体移譲」と呼ぶ)
これは前からいろいろ申し上げましたように、地方自治体の財政再建の一つの方法として、権限をできるだけ移譲をしていくべきであるというようなことを申し上げているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/172
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173・経塚幸夫
○経塚委員 私がお尋ねしたのは、具体的にどういう項目が入るのか、その点をお尋ねしているのです。
つけ加えて申し上げておきますと、これも同じく新自由クラブの「地方自治・三つの提言」、これは昨年の一斉地方選挙でお約束をされた内容でありますが、この中に「地方交付税交付金の在り方を、補助金の整理と同時並行で改革し、補助金の第二交付税化を含め、総額の引き上げを目指します。」等々とか具体的に書かれておるのですね。そういうふうなことも指しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/173
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174・田川誠一
○田川国務大臣 もう一回済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/174
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175・経塚幸夫
○経塚委員 手元にお持ちじゃないですか、「地方自治・三つの提言」――お持ちじゃない。
ごらんになるまでもなく、大臣の新自由クラブの重大な地方選挙の政策、しかも数ある政策じゃなしに、「三つの提言」ということでまとめられたことなのです。一般的に権限の移譲だとおっしゃいましても、具体にどういう項目を指しておられるのか。問題はここだと思うのですね、朝から論議されておる中身も。具体的にどういうことをやろうとなさっておるのか、ここが私たちのお聞きしたいところなのですよ。その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/175
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176・田川誠一
○田川国務大臣 具体的に私が作成したものでなくて、すぐ答弁できないでまことに申しわけございませんが、私どもがこの権限移譲云々を公約として掲げた中には、例えば、国の許可権による地方自治体への統制も国と地方自治体の関係をゆがめている、そういうことで許可認可権というものをできるだけ地方に――これを中央官庁に保留させて、そして、国のチェックを受けなければ地方団体は何にもできないというようなことではいけない、道路の幅員とか公園の位置、形状、面積などは一々建設省の詳細なチェックを受けなければならないということになっているけれども、そういうものはなくしていかなければならない、こういうことを挙げておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/176
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177・経塚幸夫
○経塚委員 起債の許可権の問題についてでありますが、大臣、これは随分明確におっしゃっておられるのですね。先ほど申し上げました「地方自治・三つの提言」の中でこう書かれておるのです。「地方税を地域の実情に応じた裁量範囲の広い税に変え、自主財源を強化し」、この次でありますが、「起債についても自己責任の原則により、許可制を廃止します。」自己責任の原則により、許可制を廃止いたします、こう明言されているのですね。これは、目指しますとか努力しますとか検討しますとかではなく、「廃止します。」と断言をされているのです。これはどうなんです。やられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/177
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178・田川誠一
○田川国務大臣 これはすぐできる問題ではございませんで、私どもが理想として掲げた一つの項目であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/178
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179・経塚幸夫
○経塚委員 すぐできる問題でないものを、「廃止します。」これはちょっと無責任な公約じゃないですか。
しかもこれはもう長年にわたっているのですね。もともと許可の権限を自治大臣が握っておるということ自体が地方自治法の本旨から見ましても問題だということは、機会あるたびごとに論議をされ、そして関係地方六団体からも強く要望されており、どんな角度から見たって、これは筋の通る問題ではないのですよ。しかも、税財源の移譲などは、これは大蔵との折衝も必要でしょう、総理の決断も必要でしょう、国全体のいろいろな複雑な要素が絡んでくるでしょう。しかし、起債の許可は、今大臣の手に握られておるのをぱっと放せばいいのです。廃止とおっしゃるのですから、いつまでも握り締めておらずに――午前中も百年河清を待つというお話がございましたけれども、こんなものを握っていてどうなるのですか。握っていること自体が地方自治の本旨を逸脱しているのです。自分自身の責任でぱっと放せば解決のつく問題なんです。だからこれは大臣の責任で処理できる問題だと思いますよ。その点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/179
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180・田川誠一
○田川国務大臣 衝に当たってみますと、そういうことは簡単にできるものではないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/180
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181・経塚幸夫
○経塚委員 衝に当たってみるとそう簡単にできるものじゃないというようなことで、いろいろなことを公約されたことについて弁解がましいことをおっしゃるというのは、私はどうかと思いますよ。
衝に当たってからの大臣のおっしゃったことをちょっと引用いたしましょうか。これは、一月二十日、川崎市での賀詞交換会の席上、「いまなぜ連立か」こういう文書をお配りになられた。大臣はこの中でこうおっしゃっておられますね。「新自由クラブ代表が担当することになった自治大臣・国家公安委員長のイスは、地方行政や警察行政を掌握する立場であります。」こう述べまして、「閣僚として取りさばいて行くことになりました。」こう得々と――得々とと言っちゃ言い過ぎかもわかりませんが、抱負を述べておられるわけですね。そして、この連立の中で自民党の単独一党支配に風穴をあけたんだ、こういうことで、「いまなぜ連立か」と、なぜ連立が必要かということの意義を強調されるとともに、就任されたことによって譲歩をかち取っていく、こういうことをおっしゃっておられるわけです。選挙の公約じゃなしに、大臣に就任されてからのこれは君なんですよ。「たとえ部分的でも、相手の譲歩を引出して基本政策を少しでも実現していくことが、真の民主政治であり、議会政治であると信じているのであります。」こうおっしゃっているのですね。
午前中からの答弁の中で、資産公開の問題だとか若干のことは成果じゃないか、こうおっしゃいましたけれども、私がお尋ねをしておりますのは、地行委でありますから、地方自治に関することについてどの程度自民党の一党政治に風穴をあけられたのか、どんな譲歩をから取られたのか、この点をお尋ねしているわけなんですよ。どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/181
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182・田川誠一
○田川国務大臣 地方自治について、私どもが連立をした一つの前進的な事項をもし申し上げられるとすれば、今回の地方税の改正につきまして、より以上一般大衆課税を避けることができたというふうに考えております。税制改正について多少でも評価があるとすれば、私どもは大衆課税をできるだけ最低限に抑えることができたというふうに思っております。
それから、先ほど言われました、お読みになった私が書いたものには、さっきあなたがおっしゃったようなことは書いてありません。それは何かお間違いではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/182
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183・経塚幸夫
○経塚委員 後でそれじゃ大臣の方でこれをお読みになったら結構かと思いますが、なぜ逆立かということについて文書をお出しになられたことは、これはもう間違いないと思いますし、私が読み上げましたのは、その文書の中身を申し上げたわけでございます。
それでもう一点、この地方行財政の問題についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、本会議でお尋ねをいたしました大企業の欠損法人の問題です。これは御検討との御回答をいただいたわけでございますが、具体に六十年度のいわゆる予算編成に当たりましてその検討の中身につきましては間に合う、かように解釈してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/183
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184・関根則之
○関根政府委員 赤字法人に対する課税のあり方につきましては、従来からもいろいろと議論がされてきたところでございますし、特に法人中に占める赤字法人の割合が、五十七年度末におきまして五三%になるという、最近ふえてきておる傾向があります。それに対します各方面からの課税のあり方についての御意見等も相当厳しくなってきているというふうに私どもは受けとめているわけでございます。
そういった議論を背景といたしまして、今回法人の均等割につきまして税率の引き上げをさせていただくこととしたわけでございますが、これをもって私どもは赤字法人に対する課税のあり方につきましての基本的な解決がなされたものというふうには理解はいたしておりません。今後引き続き、税制調査会の御議論等をお願いをしながら、この問題についての将来的なあり方につきまして検討を続けていきたいというふうに考えております。
それで、六十年からすぐやれるのかというお話でございますが、非常に大きな問題でございますので、それについて直ちにどういう内容の結論を得ていつからやるということは、今の時点で申し上げられる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/184
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185・経塚幸夫
○経塚委員 私が御質問を申し上げましたのは、欠損法人一般についてお尋ねをしたわけじゃございませんでして、特に資本金十億以上の例を挙げまして、企業が企業活動に当たって自治体から受けておる行政サービスの割合に比して余りにも負担が軽過ぎるじゃないか、真に受益者負担とおっしゃるのなら、その企業活動にふさわしい、自治体行政からサービスを受けておるにふさわしいそれなりの負担をさせる制度に改善をすべきじゃないか、こう申し上げたのが趣旨でございまして、御検討とのお約束をもいただいておりますので、できるだけ早く結論を出していただくことを申し上げておきたいと思います。
続きまして、警察行政に関しまして御意見を伺いたいと思いますが、これはいろいろと新聞でもテレビでも報道されましたいわゆる奄美群島区における違反事件であります。
一部の新聞の報道によりますと、賭博のかけ金が数十億、買収の金額が三十億円にも上るのではないか、こういうことさえ報道されております。しかも、この違法違反行為は全島を巻き込んでおりますし、まさに前代未聞のこれは腐敗事件であります。もしこんなことが残存されるということになりますと、議会制民主主義の根幹にもかかわる極めて重大な問題だ、かように考えております。しかも一人区という小選挙区制度のもとで発生をしたという点でも重要だと考えております。
私ども日本共産党・革新共同も現地に調査団を送りましていろいろ調査をしてまいったところでございますが、まずお尋ねをいたしたいのは、一体今日逮捕者数は何名に上っておるのか、その職業はどういうことか、あるいは違反の内容、さらに選挙賭博のかけ金あるいは買収の総額、また何市町村に累が及んでおるのか、この点について御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/185
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186・金澤昭雄
○金澤政府委員 奄美郡島区の選挙の関係につきましては、まず、買収等で二十五件、二十九名を検挙いたしております。
それから選挙賭博につきましても、これは五十五名を検挙いたしまして、現在までに解明をいたしておりますかけ金の総額は一億六千四百九十万円でございます。これは奄美本島、徳之島にわたっておるわけでございます。
それから、選挙賭博事件の検挙被疑者の職業別ということでございましたが、建設業、会社員それから公務員、あとはそれぞれ農業とか無職とか、こういった職業になっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/186
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187・経塚幸夫
○経塚委員 この違反の内容でありますが、例えば山田実とかあるいは町田など、一月十日の深夜から四名が逮捕されております。これは一言で申しますと、この内容は一体どういうようなのが違反の特徴になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/187
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188・金澤昭雄
○金澤政府委員 ちょっと、今お尋ねの具体的な名前のあれは、選挙賭博の関係でございますか。
選挙賭博につきましては、今申し上げましたように、両方の島にまたがりまして、保岡候補と徳田候補のどちらが勝つかということにつきまして、一つのタイプは全然ハンディなしで勝ち負けについてお金をかける、あと一つのタイプは片方の候補にハンディを何票かつけて優劣を争う、こういったようなことでこの選挙賭博が行われました。胴元といいますか、この賭博を主催したグループとしましては八つのグループに分かれておりますので、この八つのグループ、先ほど言いました五十五人を検挙した、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/188
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189・経塚幸夫
○経塚委員 これは、恐らくまだ捜査の途中だろうと思うのですが、さらに逮捕者などがふえる、こういうふうに見込んでおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/189
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190・金澤昭雄
○金澤政府委員 選挙賭博の捜査につきましては、現在まだ終結をいたしておりません。なお引き続き解明中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/190
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191・経塚幸夫
○経塚委員 公選法との関係でちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。
公選法二百二十一条一項一号に、物品の供与は違法行為、こう定められておりますが、例えばこの二百二十一条に定めておる物品の供与の中に、ガソリン券を配付する、こういうようなことはどうなんです。これはこの二百二十一条の違反行為に該当するとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/191
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192・金澤昭雄
○金澤政府委員 該当すると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/192
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193・経塚幸夫
○経塚委員 これは、私どもが現地へ調査に参りまして知り得た事実でございますが、昨年の選挙期間中の十二月十日に、天城町の役場で、十一日に保岡候補が亀徳港に来るので迎えに行ってほしい、こういうことで、勤務中、公務中に役場の多くの職員に対しまして十リッターから三十リッターのガソリンのチケットを配付した、こう述べておるわけですね。
それで、これは大変なことだと――役場の職員の公務時間中に、しかも特定候補に、役場の場所において大量のガソリン券を、迎えに行けというようなことで、いわば運動へ協力をさせるということで配った、違反になる、こういうことで、天城町浅間四百七十五番地の禎久隆氏、本人は名前を出していただいて結構だ、こうおっしゃっているのですが、十二月二十二日午前八時半、徳之島署の奈木保安課長に事件の概要を伝えまして、警察で捜査をしてもらいたい、平土野の基田義盛氏宅まで来てもらいたい、そうすれば、証拠のガソリンのチケットも持っておるし、事情のわかる人もおりますと連絡をしたそうなんですね。これは、何で奈木保安課長を知っておったかといいますと、猟友会の会長をしておった関係でじっこんの間柄であったので連絡をとったそうであります。そうしますと、奈木保安課長が、はい、すぐ行きます、こう答えましたので、禎氏は基田氏の家に行って昼過ぎまで待っておったけれども、警察からはだれも来なかった。そこで、今度は基田氏が十二月二十九日に鹿児島県警に電話を入れたけれども、これも相手にされなかった。
そこで、ことしになって一月二十三日に基田氏が徳之島署に電話を入れた。十二月二十二日から一カ月の間に私服の刑事が二回も家に来たとのことですが、捜査のために来られたのですか、こう聞いたところ、徳之島署では、いや、ただ遊びに寄っただけだ、こう答えたというのですね。そしてもう一度基田氏が、ぜひ調べてほしい、こう訴えたそうでありますが、徳之島署は一向に今に至るもこれを取り上げておらない、こういう事実が私どもの調査で判明をいたしたわけですが、この点は御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/193
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194・金澤昭雄
○金澤政府委員 ただいまお話のございました件、具体的なケースについては、私、現実に把握しておりません。
しかし一般論として申し上げますと、選挙違反にとどまりませず、警察といたしましては、いろいろな違反の情報なり容疑情報というものが入ってまいりますが、それにつきましてはいろいろと実態把握に努めまして、証拠上、法律に触れるという事実、この事実をつかめたかどうかということになりますが、つかめた場合にはこれを立件して検察庁の方に送致する、こういうことでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/194
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195・経塚幸夫
○経塚委員 現地へ参りますと、どうも警察の態度がなまぬるい、一向に思うように腰を上げてくれぬ、一体どうなってんだ、こういう不信感が至るところで聞かれるわけですね。
それで、これは新聞に報道されておることでありますが、二月二十一日の新聞の報道によりますと、こう書かれております。「徳田氏派被疑者の弁護活動をしている市村嘉久弁護士は今月上旬、徳之島町の旅館で相談会を開いた。主婦を含め十五人ほどの島民が「実は私も(とばくを)やった」と、次々に名乗り出て、全員が徳之島署に出頭するといい出した。 市村弁護士は「なだめて二人だけを出頭させたところ、「捜査が追いつかない」と、警察に待ったをかけられた」」、こう報道されております。
それから、さらにこんなこともこの新聞では報道されております。これは幸という人間がかけ金をした事件についての関連の記事でありますが、「捜査本部は幸にかけ金を託した十人前後を割り出している。が、主婦を含めたこれら「預託者」はさらに親族、知人から「孫借り」しており、幸だけで関係者は百人を下らないといわれる。一方、寺との「土俵」で保岡氏派にかけた数千万円は古勝が一人で背負い、黒幕とみられる土建業者はうわさに上りながら逮捕されていない。」私どもの調査団が現地で聞きました話も、それから一般紙が報道されております報道の中身も、まさに一致するわけなんです。
一体、警察は思い切った捜査を果たしてやっておるのかどうか、その根を断つために勇断を振るっておられるのかどうなのか、これは大変疑問に思うわけなんですが、この点はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/195
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196・金澤昭雄
○金澤政府委員 選挙賭博事件の捜査につきましては、確かに二つの島の捜査体制としては陣容に限りがございます。したがって、かゆいところに手の届くといったようなわけにはなかなかまいらないと思いますけれども、鹿児島県警察といたしましては本部の捜査二課の課員を応援に派遣をいたしまして、この選挙賭博事件の捜査本部を現地に設置をいたしまして捜査に乗り出しておる、現在もその捜査本部は設置のままで事件解明中でございます。こういった一つの賭博事件につきまして捜査本部を設置するというのは、通常のケースからいえば異例なことというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/196
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197・経塚幸夫
○経塚委員 この事件は単に賭博好きな者が賭博を行ったという程度のものではないと調査団の結果から判断をしたわけであります。
といいますのは、この奄美が本土に復帰をいたしましてから三十年間、いわゆる奄美の振興法、かさ上げ法、これがちょうど五十八年度で期限切れになる。そこで、もしこれが期限が切れてかさ上げがやられないということになると仕事がなくなる。これを引き続き期間を延長させるためにも、いわば意にかなった国会議員を送らなければならぬ、こういういわば利権が一つ絡んできております。
三十年間に投資をされました投資額が二千三百億円に上り、これに群がって随分と土建業者もふえたわけでありますが、警察の報告にもございましたように、この賭博の中に多数の土建業者が含まれておる。そこで、この利権と絡んで、当選をさせるためには通常の手段では集票活動ができない。そこで考えられたのがいわゆる自分たちが目指す馬に金をかけさせる、そうすると金をかけた以上はどんなことがあっても勝たなければならぬ、そういうことで、今度はかけたその候補者への集票活動として買収行為が広がっていった。だから、たまたま賭博、ばくちの好きな者がおって、そして選挙があったのでどちらが勝つか、どちらの候補者が、どの馬が勝つかというようなことでやった程度のものではなくして、また、その程度の判断しかされておらないということになりますと、私は、これは今回のこの腐敗事件の根を断つことは到底できないと思います。利権が絡み、そしてこの利権を軸にいたしまして、角福戦争と言われておったそうでありますけれども、いわゆる集票活動での賭博事件が起きた、しかもこれが全島に及んでおる、こういう意味で私どもは極めて重大な事件だと考えております。
それで、この根を断つかどうかというのが恐らく今度の捜査でも問われておると思うわけでありますが、そこで大臣にお尋ねをしたいわけであります。
大臣が就任のときの記者会見で、警察の取り締まり行政についてこうおっしゃっているのですね。「うんと悪い奴を先にやってもらいたい。権力を持っている人を恐れて捜査をにぶらせてはいけない」、こうおっしゃっているのです。それからさらにこうもおっしゃっております。「問題は権力を持っている人たちだ。うんと悪いやつを先に徹底的にやっつけて欲しい。権力を持っている人を恐れてはいかん」、「〝巨悪〟を逃しがちな現在の警察に大きなクサビを打ち込んだ。」こう報道されているわけですね。
私は、これは大変英断をされた大臣の発言だと思いますが、今回のこの奄美群島のいわゆる選挙に絡む、根の深い、しかも大規模なこの事件について、担当大臣とされまして、今申し上げましたように現地では警察に対する不信が起きておりますけれども、絶対にそういうことはさせない、今私の申し上げましたいろいろな事例をも含めまして、しかるべき措置を講じられるのかどうなのか、英断ある御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/197
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198・田川誠一
○田川国務大臣 奄美の選挙が非常に激烈であったということは私もよく承知しておりますし、選挙が終わりましてから私どものところへも似たようなお話を持ってこられた方もございますし、警察にも十分厳正に取り締まるように指示もいたしました。私は、警察が厳正公平に選挙の取り締まりをやっているものと確信をしております。
選挙に関する取り締まりというのは、なかなか、行き過ぎが出てくる場合もあるし、取り締まる側としては慎重にやらなければなりません。私の経験からしましても、相手方がこれだけやっているのになぜ取り締まらないのかというような、むずむずした気持ちを持ったことも随分ございます。実際に取り締まりの段階になりますと、はたで見ているほどそう簡単に何でもかんでも取り締まって摘発するというわけにもまいらないし、この点はそう簡単に、はたで見ているほどいくものではないのでございます。
今後とも私は、そういう取り締まりについては厳正公正にやっていくように、そういう気持ちは毫も変わらないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/198
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199・経塚幸夫
○経塚委員 厳正公正にやられると大臣の御答弁でございますが、ぜひひとつそういう姿勢で、今回の事件の根を断つような英断を望みたいと思います。もし今のような状況で警察行政に対する不信が現地でこれ以上広まるというようなことになりますと、これは禍根を残すことになると思いますので、重ねてその点を希望しておきたいと思います。
最後に、政治倫理の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、時間もございませんので、政治資金の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
御質問もございましたが、これも大臣自身がお書きになったもので、「月刊新自由クラブ」八三年十二月号、「いま、政治に問われるもの」、こう題しまして、この中にこういう表現がございます。「政治資金規正法の見直し」「政治活動の資金は本来、国民一人ひとりの自覚された参加に基づく個人献金によって支えられることが望ましい在り方である。現在の政治資金規正法を改正し、政治資金を個人献金に移行させるよう努力すべきである。」これは大臣自身がお書きになられた文章でございますが、これは現在も変わりございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/199
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200・田川誠一
○田川国務大臣 今御紹介がありました書いたものは、私の書いたものに間違いございません。考え方としては今も変わっておりませんで、自分自身もそのような努力をしておりますし、私どもの新自由クラブも、まだ十分とは言えませんけれども、そのような努力をして今日まで来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/200
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201・経塚幸夫
○経塚委員 大臣自身も努力をされておる、新自由クラブもそのような観点から努力をされておる、こうおっしゃいましたけれども、五十七年度の新自由クラブの政党資金を見てみますと、よく聞いておいていただきたいのでありますが、収入額が三億八千五百七十八万余円、このうち政治団体からの収入が一億一千百余万円、この政治団体というのが新自由主義協会などでございますが、この新自由主義協会など政治団体からの収入が全体の六九%ですね。しかも、この新自由主義協会の収入額の中で団体からの収入でございますが、これが八千八百余万円で八二・六%を占めております。この中で百万円以上のものの企業が列挙されておりますけれども、これは随分たくさんございますが、特徴的なところを申し上げておきますと、三菱重工あるいは東芝、さらに石油連盟、こういう企業が入っておりますね。
これはどうなのですか、大臣。国からの補助金を受けておる、あるいは国の受注企業である。大臣が今回の選挙に当たりましても一番強調されましたのは、わいろをもらったというところだけじゃなしに、金によって、また地位を利用し、権力を利用して政治が動かされていく、この金権、金脈にこそ問題がある。私どももそうであってはならないと考えるならばこそ、企業、とりわけ国と関係のある企業などからの献金などはもってのほかだ。もちろん、企業全般からも受けるべきでないし、要求すべきでもない。というのは、企業というのは、営利企業なのですから、利益を目的にされているのですから、ただで金を出すはずはないのでありますから、そこに腐敗が生ずることは間違いないと見てもいいわけでありますから、大臣は、新自由クラブとしても、個人献金に会派としても政党としても努力をされておるとおっしゃいましたが、今の御答弁と比べまして、これは一体どうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/201
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202・田川誠一
○田川国務大臣 御指摘の企業から新自由クラブが献金を受けていることもあるはずでございます。これは否定をいたしません。しかし、そう大きな額ではないはずでございますし、また、私どもの新自由クラブが企業献金を受けている比率というものは約半分ちょっとだと思うのです。相当努力をして個人献金に移行をしつつあるわけでございます。
ただ、ここで一つ申し上げますが、それでは個人献金がすべていいかといいますれば、個人で献金をされても、個人とその政党あるいは政治家との関係でやはり問題も出てくるわけでございまして、そういう意味から私は企業献金がすべていけないというような考え方には必ずしも立っていないのでございます。そういう意味で、個人献金については余り比率が多くなることは好ましくない。なるべくなら個人献金に移していかなければなりませんけれども、個人献金といってもその額に問題があり、その動機に問題があるのでございまして、そういうことを考えつつやっているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/202
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203・経塚幸夫
○経塚委員 額はそう大きくないとおっしゃいますけれども、例えば石油連盟などは三百万円にも上っておりますし、先ほど申し上げましたように団体のものが八二・六%を占めておるわけですね、新自由主義協会の中で。そういうことですから、これは今の大臣の答弁は当たらないと思います。
さらに、最後に一点お尋ねをしておきたいと思うのですが、大臣個人としても努力されておるとおっしゃいますけれども、公職選挙法第百九十九条には「衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国又は公共企業体と、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体と、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。」さらに二百条では「何人も、選挙に関し、第百九十九条に規定する者に対して寄附を勧誘し又は要求してはならない。」と述べられております。
ところが、五十五年六月二十二日執行の選挙でございますが、候補者名、あなた自身の届けでございますが、五月十九日から六月三十日までの分として東海建設から献金を受けております。この企業は横浜防衛施設周、東京防衛施設局等々の工事をちょうど五十五年二月から五十五年十一月の間、五十五年三月から五十五年八月の間に請け負っておるわけですね。これは明らかに私が読み上げました公職選挙法違反に該当する項目なのですよ。
新自由クラブとしても努力しており、大臣個人としても努力をされておる、こういうことをおっしゃいましたけれども、また大臣はあるところで「李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れず」、こういうことも述べておられますけれども、おっしゃっていることといま申し上げたような事実とは随分食い違っていると思いますね。恐らく大臣自身の本意はそうではなかったと思いますが、私ども企業献金を禁止すべきだと申し上げましたのは、こういう金脈、金権の腐敗の根源になりかねない、こう考えたからこそ申し上げておるわけでございまして、こういう疑惑が起きないように、選挙で公約として掲げられましたいわゆる企業献全廃止の方向に向かって明確な態度をとられることを希望いたしまして、時間も参りましたので、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/203
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204・大石千八
○大石委員長 次に、地方財政に関する件について調査を続けます。
この際、昭和五十九年度地方財政計画について説明を聴取いたします。田川自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/204
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205・田川誠一
○田川国務大臣 昭和五十九年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
現下の地方財政は、巨額の借入金を抱え、これ以上の借入金依存は地方財政の基盤を揺るがせかねない状況にあり、今後の行財政改革の積極的推進と財政体質の抜本的改善が喫緊の課題となっております。このため、交付税特別会計における新たな借り入れは原則として行わず、当分の間、法律の定めるところによりまして地方交付税総額について必要な特例措置を講ずることといたしますとともに、既往の借入金につきまして、国、地方の負担区分に応じ、分割整理するなど地方財政対策の見直しを行うことといたしました。
また、昭和五十九年度の地方財政につきましては、引き続き大幅な収支不均衝あることにかんがみ、おおむね国と同一の基調に立ちまして、歳出面におきましては、経常経費、投資的経費を通じその抑制を徹底して行い、歳入面におきましては、地方税制の改正、受益者負担の適正化等により所要の地方財源を確保し、地方債依存度の引き下げを行うなど、経費支出の効率化と限られた財源の重点的配分に徹し、節度ある財政運営を行うことを基本としております。
昭和五十九年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定いたしておりますが、以下その策定方針について御説明申し上げます。
第一に、最近における地方税負担の現状及び厳しい地方財政の実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図るため、個人住民税につきまして基礎控除等の所得控除の額の引き上げ、市町村民税所得割の税率及びその適用区分の調整、低所得者脳に係る非課税限度額の引き上げ等の措置を講ずるとともに、法人住民税均等割の税率の引き上げ、自動車税及び軽自動車税の税率の調整並びに固定資産税等に係る課税標準の特例措置等の整理合理化等を行うこととしております。
第二に、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、昭和五十九年度の地方財源不足見込み額については、地方交付税の増額と建設地方債の増発により完全に補てんすることとしております。
第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、その特性を生かした地域社会の形成を進めますとともに、住民生活に直結した社会資本の整備等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、福祉施策及び教育、文化振興対策等の推進を図るための財源を充実いたしますとともに、投資的経費につきましても、個性的で魅力ある町づくり、地域づくりを積極的に推進するため新たにまちづくり特別対策事業を創設する等所要額を確保することとし、また、過疎地域に対する財政措置を引き続き講することとしております。
第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化、一般行政経費の抑制及び国庫補助負担基準の改善を図るほか、年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な措置を講ずることとしております。
以上の方針のもとに昭和五十九年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は四十八兆二千八百九十二億円となり、前年度に対し八千三十二億円、一・七%の増加となっております。
以上が昭和五十九年度の地方財政計画の概要であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/205
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206・大石千八
○大石委員長 以上で説明は終わりました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/206
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207・大石千八
○大石委員長 次に、内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案及び内閣提出、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案の三案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。田川自治大臣。
―――――――――――――
地方税法等の一部を改正する法律案
地方交付税法等の、一部を改正する法律案
消防施設強化促進法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/207
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208・田川誠一
○田川国務大臣 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。
明年度の地方税制につきましては、最近における地方税負担の状況及び厳しい地方財政の実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図るため、個人住民税について、基礎控除等の所得控除の額の引き上げ、市町村民税所得割の税率及びその適用区分の調整、低所得者層に係る非課税限度額の引き上げ等の措置を講ずるとともに、法人の住民税及び事業税の一部納付後の徴収猶予制度の廃止、法人住民税均等割の税率の引き上げ、自動車税及び軽自動車税の税率の調整並びに固定資産税等に係る課税標準の特例措置等の整理合理化を行い、あわせて地方道路譲与税等について譲与時期及び譲与時期ごとに譲与すべき額の変更を行い、並びに日本国有鉄道の公審防止設備に係る市町村納付金の特例措置の適用期限を延長するほか、所要の規定の整備を図る必要があります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。
次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。
第一は、地方税法の改正に関する事項であります。
その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。
まず、個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、国民の強い期待にこたえ、平年度三千億円余の本格的な減税を実施することとし、基礎控除等の所得控除の額の引き上げを行うほか、障害者等の非課税限度額の引き上げ、個人年金保険料に係る別枠の控除制度の創設、市町村民税所得割の税率及びその適用区分の調整等を行うとともに、低所得者層の税負担に配慮するため、所得割の非課税限度額を引き上げることといたしております。
また、みなし法人課税を選択した場合の課税の特例措置の適用期間を延長すること等の措置を講ずることといたしております。
次に、法人の道府県民税及び市町村民税につきましては、法人の事業活動と地域社会との受益関係等を勘案して、均等割の税率の引き上げを行うことといたしております。
その二は、不動産取得税についての改正であります。
不動産取得税につきましては、住宅の供給の促進等に資するため、一定の新築住宅について、その取得がなされたものとみなされる日を当該住宅が新築された日から九月を経過する日とし、現行の六月から三月延長することといたしております。
また、土地区画整理事業において換地不交付となったことにより清算金を受けて取得した代替不動産について課税標準の特例措置を講ずることとするほか、国の行政機関の作成した計画に基づく政府の補助を受けて取得した農林漁業者の共同利用施設に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
その三は、自動車税及び軽自動車税についての改正であります。自動車税及び軽自動車税につきましては、最近における所得、物価水準の推移等を考慮して税率の調整を行うこととし、自動車税についてはおおむね一五%、軽自動車税についてはおおむね一〇%引き上げることといたしております。なお、営業用の自動車及び軽自動車については、その引き上げ率をおおむね五%といたしております。
その四は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。固定資産税及び都市計画税につきましては、日本自動車ターミナル株式会社の事業用家屋及び償却資産に係る課税標準の特例措置を廃止する等特例措置の整理合理化を行うほか、公害防止設備に係る非課税措置の適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
その五は、電気税についての改正であります。電気税につきましては、産業用電気に係る非課税品目の縮減を行うとともに、繊維製品及び紙の製造の用に供する電気に係る軽減税率の適用期限を延長することといたしております。
その六は、特別土地保有税についての改正であります。特別土地保有税につきましては、地方公共団体、森林組合等の法人が、分収育林契約に基づいて行う育林の用に供する一定の土地の保有またはその取得について非課税とする等の措置を講ずることといたしております。
その七は、自動車取得税についての改正であります。自動車取得税につきましては、地域住民の生活に必要な路線で運行の維持が困難になっているものの用に供するため政府の補助を受けて取得した一定のバスに係る非課税措置の適用期限を延長することといたしております。
その八は、事業所税についての改正であります。事業所税につきましては、中小企業者が公審防止事業団から譲渡を受けた共同利用建物に対する事業に係る事業所税の非課税措置の適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
その九は、国民健康保険税についての改正であります。国民健康保険税につきましては、他の医療保険制度との均衡等を勘案して、課税限度額を現行の二十八万円から三十五万円に引き上げるとともに、減額の基準のうち基礎控除額相当額を、昭和五十九年度にあっては二十六万円とすることといたしております。
その十は、国際科学技術博覧会の開催に伴う特例措置についてであります。明年三月から国際科学技術博覧会が開催されることに伴い、国際科学技術博覧会協会等に対する住民税及び事業税、旅館における外客の宿泊及びこれに伴う飲食に対する料理飲食等消費税、国際科学技術博覧会の用に供する家屋等に対する固定資産税等を非課税とする特例措置を講ずることといたしております。
その十一は、徴収猶予制度の廃止及び納税環境の整備についての改正であります。
まず、道府県民税及び市町村民税の法人税割並びに法人の事業税について、一部納付後の徴収猶予制度を廃止することといたしております。
また、地方税における納税環境の整備を図るため、官公署等への協力要請等に関する規定を設けることとするほか、更正等によって増加した税額のうち一定の部分に係る過少中倍加算金については、現行の百分の五にかえて再分の十の割合を乗じて計算した額とすることといたしております。
第二は、地方道路譲与税法、石油ガス譲与税法、自動車重盛譲与税法及び航空機燃料譲与税法の改正に関する事項であります。
これらの譲与税法につきましては、所要の経過措置を講じた上、譲与時期及び譲与時期ごとに譲与すべき額の変更を行うことといたしております。
第三は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正に関する事項であります。
日本国有鉄道の公害防止設備に係る非納付措置の適用期限を延長することといたしております。
以上の改正の結果、明年度におきましては、個人住民税の課税最低限の引き上げ等により三千百二十九億円の減収となる一方、法人住民税均等割の税率の引き上げ、自動車税及び軽自動車税の税率の調整等により二千七百七十三億円の増収が見込まれ、差し引き三百五十六億円の減収となる見込みであります。
以上が地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
地方財政の現状にかんがみ、当分の間、地方交付税の総額について、法律の定めるところにより、その安定的な確保に資するため必要な特例措置を講ずることを法定し、昭和五十九年度分の地方交付税の総額について所要の加算を行うとともに、各種の制度改正等に伴い必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正するほか、交付税及び譲与税配付金勘定における借入金の一部を一般会計へ帰属させるとともにその償還方法を変更する必要があります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。
次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。
まず、地方交付税の総額に係る特例についてでありますが、地方財政の健全化に資するため、昭和五十九年度以降、交付税及び譲与税配付金勘定における新たな借入金措置は原則として行わないこととし、かわって、当分の間、法律の定めるところにより、地方交付税の総額について、その安定的な確保に資するため必要な特例措置を講ずることとしております。
さらに、交付税及び譲与税配付金勘定の借入金のうち国が負担することとされていた額に相当する借入金については、その償還時に一般会計から臨時地方特例交付金として繰り入れることとしていた制度を廃止し、当該借入金を一般会計へ帰属させるとともに、残った同勘定の借入金については、今後これに係る利子を含めて地方が負担することとし、あわせて当該借入金の償還期間を変更することとしております。
これらの措置に伴い、昭和五十九年度から昭和七十五年度までの各年度分の地方交付税の総額は、地方交付税法第六条第二項の額から各年度における交付税及び譲与税配付金勘定の借入金減少額と同勘定における当該各年度分の利子の支払いに充てるため必要な額との合算額を減額した額とすることとしております。
なお、昭和五十九年度分の地方交付税の総額についてでありますが、借入金の償還期間の変更に伴い、その総額は、地方交付税法第六条第二項の額から昭和五十九年度分の利子の支払いに充てるため必要な額三千六百三十八億円を減額した額に、地方交付税の総額の特例措置額千七百六十億円を加算した額としております。
また、昭和五十九年度の特例措置として加算される千七百六十億円のうち三百億円に相当する額については、昭和六十六年度及び昭和六十七年度の両年度において、当該各年度の地方交付税の総額からそれぞれ百五十億円ずつ減額することとしております。
次に、昭和五十九年度の普通交付税の算定については、生活保護基準の引き上げ、老人保健制度の実施等福祉施策に要する経費、教職員定数の改善及び私学助成等教育施策に要する経費、公園、清掃施設、市町村道、下水道等住民の生活に直結する公共施設の維持管理に要する経費並びに過密過疎対策、消防救急対策、公害対策等に要する経費の財源を措置し、あわせて投資的経費については地方債振りかえ後の所要経費の財源を措置することとしております。
さらに、昭和五十八年度において発行を許可された財源対策債等の元利償還金を基準財政需要額に算入することとしております。
第二は、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正に関する事項であります。
交付税及び譲与税配付金勘定における借入金十一兆五千二百十八億七千八百万円のうち、五兆八千二百七十七億六千三百万円に相当する借入金については、これを一般会計へ帰属させるとともに、同勘定における借入金の償還期間について、現行の昭和五十九年度から昭和七十三年度までを昭和六十六年度から昭和七十五年度までに変更することとし、あわせて所要の規定の整備を図ることとしております。
以上が地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
市町村の消防施設の整備につきましては、昭和二十八年の消防施設強化促進法の制定により、国庫補助制度の確立を見て以来、逐次その充実強化が図られてきたところでありますが、昭和四十九年度には、人口急増市町村における消防施設の整備を促進するため、これらの市町村の消防施設の整備に係る国庫補助率を二分の一以内に引き上げることとされ、昭和五十八年度まで特例措置を講じてきたところであります。しかしながら、昭和五十九年度以降においても、なお相当数の人口急増市町村の存在が予想されますので、これら市町村における市街地の拡大等に伴う消防施設整備の緊急性にかんがみ、国庫補助率の特例措置を延長する必要があります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。
次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
人口急増市町村における消防施設の整備を促進するため、これらの市町村における消防施設の整備に係る国庫補助率を二分の一以内とする措置を引き続き昭和六十三年度まで講ずることといたしますとともに、政令で定める市町村について、この補助率を七分の三以内とする特例を定めることといたしております。
以上が消防施設強化促進法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/208
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209・大石千八
○大石委員長 以上で三案についての趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三十一分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X00319840301/209
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