1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年四月十九日(木曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 大石 千八君
理事 臼井日出男君 理事 小澤 潔君
理事 谷 洋一君 理事 西田 司君
理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君
理事 草野 威君 理事 岡田 正勝君
大西 正男君 大村 襄治君
工藤 巖君 小杉 隆君
左藤 恵君 中川 昭一君
平林 鴻三君 古屋 亨君
松田 九郎君 山岡 謙蔵君
佐藤 敬治君 細谷 治嘉君
安田 修三君 山下八洲夫君
岡本 富夫君 宮崎 角治君
吉井 光照君 藤原哲太郎君
経塚 幸夫君
委員外の出席者
参 考 人
(名古屋市立大
学教授) 牛嶋 正君
参 考 人
(関西学院大学
講師) 高寄 昇三君
参 考 人
(全国市長会財
政分科会副委員
長) 服部 毅一君
参 考 人
(西南学院大学
教授) 古川 卓萬君
地方行政委員
会調査室長 島村 幸雄君
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委員の異動
四月十八日
辞任 補欠選任
大西 正男君 宮澤 喜一君
大村 襄治君 山中 貞則君
工藤 巖君 田澤 吉郎君
左藤 恵君 佐藤 隆君
藤原哲太郎君 菅原喜重郎君
同日
辞任 補欠選任
佐藤 隆君 左藤 恵君
田澤 吉郎君 工藤 巖君
宮澤 喜一君 大西 正男君
山中 貞則君 大村 襄治君
菅原喜重郎君 藤原哲太郎君
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本日の会議に付した案件
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第一九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/0
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001・大石千八
○大石委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人から意見を聴取することといたしております。
御出席の参考人は、名古屋市立大学教授牛嶋正君、関西学院大学講師高寄昇三君、全国市長会財政分科会副委員長服部毅一石及び西南学院大学教授古川卓萬君、以上四名の方々でございます。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。
なお、議事の順序は、初めに参考人の方々から十五分程度御意見をお述べいただき、次に、委員諸君からの質疑に対し御答弁をお願いいたしたいと存じます。
それでは、まず、牛嶋参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/1
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002・牛嶋正
○牛嶋参考人 初めに、当委員会の参考人として意見を述べさせていただきますことを厚くお礼申し上げます。
それでは、地方交付税法等の一部を改正する法律案に関連いたしまして、地方財政全般について私の意見を述べさせていただきたいと思います。
この間、自治省から五十九年度の地方財政白書が出ましたけれども、それを見ますと、五十年代に入りましてからの地方財政の運営状況なりあるいは財政構造の推移がよく理解できますが、私がかいつまんで読んだところで、もう一度五十年代の地方財政の運営とその構造について振り返ってみますと、実質収支の状況とかあるいは歳入構造の推移から見ますと地方財政の状況はかなり改善されてきたというふうに見ることができるわけですけれども、しかし他の指標、例えば歳出構造の推移とか経常収支比率あるいは公債費比率の推移から見ますと、地方財政の硬直化傾向は明らかでございます。こういったことから、基本的には、五十年代の地方財政運営あるいは財政構造というのは国と同様に借金財政であるというふうに見ることができますし、五十年代を通じまして、厳しい経済情勢の中で地方財政はいわば守りの運営を行ってきたというふうな理解ができるのではないかと思っております。
このような五十年代の地方財政の運営の基本的な流れの中で、地方行財政にかなり大きな質的な変化が起こりつつあることも確かでございます。これは、住民の価値観の多様化とかあるいは生活様式の変化に伴いまして行政ニーズが非常に多様化してきた、それに行政側が対応していかなければならないという面があらわれてきておりますし、また個人の自由時間の延長と関連いたしまして、住民の要望する行政サービスというのは、行政ニーズというのは、質的に非常に高いものを求めてきているということも指摘できょうかと思います。そういう意味で、これからの行政というのは非常に幅広い選択の中で質の高い行政サービスを供給していかなければならないわけでありますが、こういった状況の中で地方財政が効率的に運営されていくためには、私は少なくとも次のような条件を整えていかなければならないというふうに思っております。
その一つは、個々の地方自治体ができるだけ行政能力を高めていくということでございます。それから第二点は、安定的な財源の確保、そしてそれによる計画的な行政の推進であります。それから三番目には、財政構造の弾力化といいますか、非常に硬直化しておりますので、これを弾力化していくということも条件の中に加えたいと思います。それから四番目には、行政能力及び財政力の地域間格差の是正を挙げたいと思います。地方における行政改革は、今挙げましたような四つの条件、私はこれを整えていくことではないかというふうに考えております。そういう観点から地方交付税制度を見直すべきではないかというふうに私は思うわけであります。
ここで地方交付税制度の財源調達上の位置づけ、それから役割、こういったものを少し振り返ってみたいと思いますが、地方財政にとりまして、財源調達の手段といたしましては、税、国からの補助金、それから借り入れ、こういうふうに三つに大きく分けることができるのではないかというふうに思います。このうち、税につきましては、受益と負担というものをできるだけ一致させることによりまして公平な負担の配分を求めていく。そのためには税というのは非常に望ましい財源調達方法というふうに考えられます。それに対しまして、二番目の補助金は、これは義務教育とかあるいは幹線道路のように、全国統一的な行政サービスを実現していかなければならない場合は国が補助金を通じてその統一を図っていく。全般的な行政水準のレベルアップを図っていく。そのために補助金はある程度必要であるというふうに私は思っております。それから借り入れに関しましては、これは世代間の負担の公平という観点から、やはり財源調達方法として必要なものであるというふうに思っております。
それでは、地方交付税はどういうふうに位置づけられるのかということですが、この三つの分類の中の税を調達するに当たりまして、直接地方税として調達するか、あるいは国税として調達してそれを交付金の形でもう一度地方自治体の方に還元していくか、この二つの方法が税の中でまた分かれるのではないかというふうに思います。しかし、地方自治体の側からいいますと、できるだけ自主財源を確保し、そして安定的な財源を確保するということが要求されてくるわけですから、この税の中身を考えていく場合に、できるだけ地方税で財源を徴収するということが要求されてまいります。しかし、余りにも地方税で税を徴収してまいりますと、ここに地域間の格差の問題が出てくるわけであります。この地域間格差を是正する、そういう形で、国税で徴収したものを交付税という形で地方に配分する。その過程で地域間格差の是正を行っていくということになろうかと思います。そういたしますと、地方交付税制度というのは、財源保障という役割と、もう一つ、地域間格差の是正ということがあるわけでありまして、むしろこの地域間格差の是正の方が地方交付税の役割としては大きい、私はこういうふうに思っております。
ところが、この五十年代に入りまして、地方財政は収支不均衡が続いております。四月の十二日に自治省が発表いたしました「地方財政参考試算」によりますと、前提の立て方がいろいろあるわけですけれども、六十二年度でもなお一兆円余の歳入の不足額が生ずる、こういうふうな試算が行われております。いわば、この財源不足が非常に恒常化してきているということが指摘できるわけでありますが、この要因といたしまして幾つかの要因が考えられますけれども、今形式的に財源不足額というものを考えてみますと、地方交付税の制度の中で基準財政収入額とそれから基準財政需要額の差額としての財源不足額、それと国税三税の三二%の交付税の財源とを比較して、財源不足額の方が常にオーバーしているというふうな形で財源の不足があらわれているわけであります。このうち基準財政収入額とか国税三税の税収というのは、これは非常に景気に連動しております。景気に敏感であります。そしてこの両者は、両方とも同じ動き方をするわけでございます。ですから、五十年代に入りましてからの財源の不足というのは、GNPの伸び率が鈍化いたしまして、基準財政収入額も伸びない、同時に国税三税の税収も伸びない、ここで大きな財源不足が生じてきたわけであります。いわばこれは経済の景気に基づくものというふうに考えられます。
ところが、もう一つ私は考えておかなければならない財源不足の要因があるように思います。それは構造的なものでございます。そしてそれは、産業構造の変化とかあるいは産業立地のシフトによりましてあらわれてまいりました新しい地域間格差によるところが大きいというふうに考えているわけであります。例えばこんな計算をしてみたいと思います。今仮にAという団体とBという団体、二つの自治体を考えまして、基準財政収入額をどちらも百というふうに最初想定いたします。それから基準財政需要額もちょうど百であった、こういうふうに仮定いたしますと、その場合には財源不足額はゼロでございます。ところが、全体トータルで基準財政収入額二百、基準財政需要額二百でありますけれども、今仮にA、Bの間に財政力の格差が生じたと考えてみたいと思います。すなわち、Aがこれまでの収入額百に対しまして百二十に上がる、そしてBの団体の方は百が八十に減少すると、トータルは二百で変わらないわけですけれども、ここに格差が生じた、こういうふうに考えますと、Aはここで不交付団体になるわけでありまして、二十の余剰が出ます。ところが、Bの方は交付団体になりまして、収入額が八十に対して需要額が百でありますから、二十の財源不足を生ずるわけであります。ですから、全体のトータルで変わらなくても、こういうふうに格差が生じてまいりまして広がりますと、こういうふうに財源不足額が発生するということでございます。
このように考えていきますと、現在の恒常的な財源不足の要因といたしまして、一つには低成長というふうなこともありますけれども、もう一つは、新たに地域間格差が拡大しているのではないかというふうに私は考えるわけです。まさに構造上の要因に基づくわけであります。そうだといたしますと、その不足額を埋め合わせていくに当たりましては、これまでとられてまいりましたような特別措置によっては十分対応することはできないというふうに私は考えます。やはり構造的な要因に基づく場合には、地方交付税制度そのものを改革していく、見直していくという必要があろうかと思います。五十九年度の措置というのは、これは交付団体での格差是正というものが不十分に終わってしまうわけでありますから、したがって交付団体と不交付団体の格差を広げるというふうな問題を残すことになろうかと思います。
この地方交付税制度の改革でありますが、先ほど地方交付税の財源調達上の位置づけのところで申しましたように、これは地方税と非常に絡んでいるわけであります。ですから、地方交付税の改革は同時に私は地方税の改革でなければならないというふうに思っております。その方向でありますけれども、できるだけ地方税制度を、例えば今の都道府県税の事業税を外形標準課税に移行させる、そういうことをすることによって地域間の格差を地方税の段階で薄めていくということが必要ではないかというふうに思います。市町村税について申しますと、できれば都市税制というふうなものを考えて、その地方税の段階で地域間の格差をできるだけ薄めていく、すなわち普遍性の高い税制、税源でもって税を組み立てていくということが必要ではないかというふうに思っております。
こういうことで、構造的な要因によるところが大きいといたしますと、地方税とそれから地方交付税を同時に改革していく必要があるということを申し上げて、ひとまず意見を終わらせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/2
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003・大石千八
○大石委員長 ありがとうございました。
次に、高寄参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/3
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004・高寄昇三
○高寄参考人 関西学院大学の高寄でございます。
初めに、今回の地方交付税の改正について私見を述べまして、あと半分は、地方財政全般のこれからの改革の方向とか、あるいはその問題点について意見を言わしていただきます。
今回の交付税の改正で一番特徴的なところは、交付税特別会計からの借り入れ措置を禁止したということです。これは金額はともかくとして、交付税、国同士の問題でしたけれども、地方団体に与える影響というのは私は非常に好ましいと思います。どうしてかといいますと、交付税会計それ自体としては、国ベースで起債を行っているわけですけれども、実際に地方団体へ交付税が来たときに、国がそういう起債措置をしてとか、あるいは借入金で交付税財源を捻出しまして、それを将来国の会計同士で借り入れを返していかなければいかぬというような実感というのは、地方自治体にはまずないということなわけです。そうすると、いかにも交付税そのものがふえまして、交付税会計そのものもほとんど借金なしにそういう交付税が個々の公共団体に来たということです。
地方団体の運営の仕方といいますのは、それほど長期ビジョンを持って行っているものではないわけです。ですから、そういう国の会計同士の借入金の交付税の金が来ましても、実際に自分の当該年度では会計はふえておるものですから、どうしてもふえたベースで財政運営を行う、そういうことが、給与とかそういう問題についてどうしても放漫になる伏線となるということですね。そういうことですから、本来は当該年度の税収を充てるべき交付税を、金がないからということで国ベースでそういう措置をしてきたということは、ある意味では現実的な問題として仕方がないのですけれども、地方団体に与える影響から言いますと、むしろ好ましくない。この際こういう制度を打ち切ったということは、私は、交付税の実務的な問題ですけれども、一つの決断として非常に高く評価します。
あと一つ、交付税借入金の十一兆円を国と地方で折半しまして、半分ずつ国は国で返していく、地方は地方で返していくということです。これは以前から決まっていたことですけれども、改めてこういう措置が決まりまして考えてみますと、やはり地方財政全般としては、五兆円ばかり交付税としては実質的な減額措置になったのではないかということですね。そういうことですから、交付税が持つ地方財源の保障措置としては、やはりかなり大幅な減額が行われた。いわゆる財源保障措置としては現在の行き方というのは問題がある、結局、国が苦しいから折半でということで、五兆円を、地方財政全般としては非常になし崩し的に国に押し切られたということが結論ではないかということです。
現在の交付税のもう一つの措置は、ことしてもしましたように、一兆円ばかりを建設公債で補てんしていこうということです。これも交付税の精神からいうと余り好ましい措置ではない。現実の問題として、国も財源がないから地方も建設公債でということになったわけですけれども、基本的には、この建設公債が将来交付税の基準財政需要額に一〇〇%算入されて、なおかつ、それが一〇〇%交付税財源の総枠を押し上げるという保証はないということです。
そういうことを考えてみますと、交付税制度というのは、昭和二十九年に発足しまして、大体昭和五十年まで、ある意味では順調に伸びてきた。殊に昭和四十四年までは、交付税の交付率が上がってきたわけですから非常に順調に交付税法の精神どおり来たわけですけれども、四十一年に三二%に固定された後の交付税というのは、新しい公共団体のニーズ、例えば高等学校の進学率が非常に高くなってきたというようなニーズがありましても、それは総枠の中で財源を、基準財政需要額の個々の費用を動かすということでもって捻出していくということですから、交付税の精神とか交付税の財源保障措置というのは四十年代後半から崩れ出しまして、五十年から完全に交付税の機能というのは法律どおりに運用されないようになった。
現在の状況を見ておりますと、交付税総額そのものが大蔵省と自治省の交渉によって決まるということは、かつての平衡交付金のときに大蔵省と地方財政委員会が非常にもめたというようなことで、総額そのものが非常に安定財源化していないということで、交付税というものは、昭和五十年から見ましても既に八年、そういう異常な事態で、特例措置でしのいでいるということですから、やはり早晩見直しが必要ではないかと思うわけです。そういうことで、どういう交付税をするか、交付税にかわるようなどういう新しい財源措置をつくるかということは、早晩税制改正のときに検討されなければならない大きな問題だろう。
翻って考えてみますことは、そうしたら、交付税を離れまして地方自治体の財政運営とか国との税制改正というのは一体どういうように考えればいいのかということです。これについて、国と地方との関係で最近問題になっておりますような国民健康保険とかそのような社会保障費について国が一部を見てほしいとか、そういうような意向がありますけれども、こういう補助金につきましても、やはり国と地方が、その負担区分とか、本来国が負担すべき限度とか、そういうような基本原則をどうしても固めてもらわなくては困る。これは大蔵省自身がかなり補助金の見直しをやっておりますけれども、国が苦しいから地方も何ぼか負担してくれというようなことでは困りまして、やはりこの点も非常に大きな問題である。国はそれほど地方財政と同じように減量経営とか収入の確保において頑張っているとは私は思わないわけです。具体的な例で申しますと、公共団体の場合は、保育所は厚生省の指導に基づきまして十五段階の料金体制をとりまして、しかも固定資産で補正しまして、非常にきめ細かな使用料体系をやっておりますけれども、国の使用料というのは、国公立の大学の入学金とか授業料を見ましても、そういう所得段階の格差の導入というようなことは余り行われていない。
地方財政につきまして、非常に放漫財政であるというようなこと、殊に給与の問題ばかりが関心事になっておりますけれども、これは一つは高度成長のときの後遺症の問題もありまして、一部の例外的な団体であります。この問題ばかりをとらまえて、地方団体が非常に裕福であるとか、そういうふうに言うのは、どちらかといいますと、制度論から見て、非常に本来の議論を外して、日常的な、マスコミ的な関心事へ持っていって地方財政を押し切ろうというような考えがあるのではないか。もちろん、国に比べまして地方債というのは総額においても比率においても低いのであるから、地方の方が裕福であるのではないかというような意見もありますけれども、地方自治体というのは自分で税制改正するというような権力を持っていない、せいぜい法定外普通税、それから国からの補助金とか交付税とかというような国の財源に依存していることが非常に大きいということを考えますと、国と起債比率とか起債額が同一でなければ苦しさが同じでないというようなことは、国と地方の財政の権力とかあるいは財源の構成とかというものを考えますと、やはり公債の金額とか公債率が低くても、国と同じように地方財政そのものは厳しいというような見方——同額でなければ苦しさは同じでないという論法は、国と地方の財政の性格とか財源構成とか権力とかというものを無視した議論ではないかと思います。
もちろん地方団体は現在減量経営を進めておりますけれども、この減量経営というのもやはり限界がありまして、どうしても地方財源の拡充ということが必要だと思うのです。もちろん一般消費税とかそのような大きな改正を期待するわけですけれども、そのような改正までにも非常に改正が必要です。現在公共団体で使用料等の引き上げを大幅に行っておりますけれども、使用料というのは典型的な大衆課税的色彩を持っておるもので、どうしても、少額であっても地方財政の中で独自の財源というものを少しでも掘り起こしていく必要があると思います。そういう面では、地方に財源を与えると地域格差が拡大するという意見もありますけれども、現実の問題として、やはり税源のあるところはそれだけの財政需要があるということ。そういう面では、使用料を上げるよりは、現在の小規模宅地減税の四分の一はやはり二分の一とか三分の一でいいのではないか。もちろん、電電公社の収益金を国だけが持っていくというのは非常に一方的な意見であって、電話のように全国に普遍的にあるような財源は、やはり電話利用税として、使用料の一%ぐらいは電気ガス税と同じように地方団体に税源を認めてしかるべきである。
過般の改正案において、車の免許税というものについて千八百億あったわけですけれども、それがやはり通らなかった。しかし現在、車の利用者は非常に税源を負担しているように思いますけれども、現在の市町村の道路財源というのは関連税を合わせましても二〇%以下であります。そういう面からいいますと、使用料を上げることを思えば、免許税というのは、私は少なくとも地方団体が一般財源を八〇%以上も出して市町村道を整備している現実を考えますと、応能とか応益の負担から当然車の利用者は負担すべきではないか。
そのほかにまだまだいっぱいありますけれども、時間が来ましたので、一応これで終わらせていただまたす。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/4
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005・大石千八
○大石委員長 ありがとうございました。
次に、服部参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/5
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006・服部毅一
○服部参考人 全国市長会財政分科会の副委員長をいたしております焼津市長の服部毅一でございます。
先生方には、地方行財政の諸問題につきまして日ごろから特段の御理解と御尽力を賜っておりますことを、まずもって厚く御礼を申し上げます。
きょうは、御審議中の地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして意見を申し述べる機会をいただきましたので、直接都市行政に携わっております市長の立場から、若干の意見を申し上げさせていただきます。
昭和五十九年度の地方財政は、さきに策定されました地方財政計画におきまして、おおむね国と同一基調により、歳出面においては財源の重点配分と経費の効率化に徹し、経常経費、投資的経費を通じて厳しい抑制を行い、歳入面では住民税の所得割の減税があるものの、地方税制改正による増収措置や自然増収のほか、受益者負担の適正化を行い、収支の不均衡の是正が図られたところでありますが、なお一兆五千百億円の財源不足額が生じ、昭和五十八年度の財源不足額二兆九千九百億円の約半分とはなったものの、引き続き厳しい状況となっておるのでございまして、その補てん措置として、地方交付税の増額三千四十九億円及び建設地方債の増発一兆二千五十一億円により対処することとされているところであります。
その結果、昭和五十九年度の地方財政計画の規模は、総額で四十八兆二千八百九十二億円、前年度対比の伸び率は一・七%の増となり、公債費を除く一般歳出は〇・九%の増にとどまり、実質的には昭和三十年度以来の低い伸び率となっておりますが、国の一般会計の伸び率〇・五%を上回るものとなっております。
その内容を見ますと、地方単独事業につきまして地方財政計画上額を圧縮し、前年度対比三・三%減となっておりますが、まちづくり特別対策事業を設け、地域の実情に即した個性的で魅力ある町づくりを積極的に推進することとされておりますし、財政構造において、一般財源比率が六〇・八%、地方債依存度が九・九%と、それぞれ前年度よりも改善を見ております。また、地方債資金に占める政府資金の比率が前年度の四一・一%から四八・五%になるなど、現在の状況下では所要の配慮がなされておりまして、地方公共団体といたしましては一応の評価をいたしているものであります。
特に本年度は、御存じのとおり、昭和五十年度以降毎年度にわたる交付税特別会計の借入金の残高が十一兆五千二百億円の巨額に達し、これ以上借入金に依存することは今後の地方財政の基盤を揺るがしかねない状況となりましたため、本年度の地方財政対策において、交付税特別会計からの新たな借り入れは原則としてやめて、当分の間、これにかわる各年度の地方財政措置として、地方交付税総額について安定的確保を図るための必要な特例措置を講ずることとされ、既往の借入金約十一兆五千二百億円については、その元利償還につき、国と地方の負担区分により今後それぞれの責任を明確にされたところであります。
さきに述べましたように、交付税特別会計の巨額の借入金の累積額が個々の地方公共団体においては借り入れとして意識されがたいという一面もありますので、将来の地方財政を展望し、その健全化を図る見地から、今回とられました種々の措置につきましては、当面やむを得ないと考えるものであります。したがいまして、今回御審議中の本改正案につきましては、現時点の我が国における経済環境、国、地方を通ずる厳しい財政状況を勘案するとき、その内容につきましては基本的に賛意を表するものであります。
しかし、翻って考えますと、昭和五十年度以降地方財政は毎年度にわたる巨額の収支不均衡の状況が続き、交付税特別会計からの借り入れと建設地方債の増発により収支の均衡を保つという、いわば臨時応急的な措置がとられてきたわけでありますが、本年度の地方財政対策においては、特別会計からの新たな借り入れは原則としてやめることとされましたものの、昭和五十九年度末には、地方債の残高は約四十兆五千四百二十一億円、既往の交付税特別会計の借入金残高五兆六千九百四十一億円及び企業債残高のうち普通会計の負担分八兆二千九十三億円を会わせますと、地方公共団体の借入金は実に五十四兆四千四百五十五億円に達するものと見込まれておりますし、加えるに、地方交付税の総額が二年連続して減額となり、地方公共団体の財政運営は従前以上に厳しい状況となっております。そのため、地方財政の基盤を確立することが緊急の課題となっておりますことは、今さら多言を要しないことと存じます。
もちろん、地方公共団体におきましても、この危機を打開すべく、事務事業の見直し、組織機構の簡素化、職員給与、定員の適正化、経費の節減合理化の改善に努め、みずから対応しているところであります。引き続き一層の行政の徹底した簡素合理化、財政の効率的な運用を積極的に推進してまいりますが、地方の自主性、自律性を確保する観点から、地方財政の長期的、安定的な財源を確保するため、先生方に特に御配慮を賜りたいことを三点に絞って申し述べさせていただきたいと存します。
まず第一点は、地方税源の充実強化についてであります。
地方公共団体の行政事務は、住民福祉の向上、公共施設の維持整備など、住民に身近な経常的なものが多い上、さらに今日、人口の高齢化、国民の価値観の多様化など、地方公共団体に対する住民の要望はますます増大をし、行政需要は増加の一途をたどっております。住民のニーズにこたえ、魅力ある地域づくりを進めるためには安定した財源が必要であり、さらに地方財政の健全性を回復するためにも、地方公共団体の収入の中心をなす地方税源の拡充強化がぜひとも必要であります。特に、中長期的な観点から適正な租税負担のあり方、国、地方を通ずる税源の再配分に関して抜本的な検討を行い、地方税源の増強を図っていただきたいのであります。
また、都市の立場からは、都市的税目である法人所得課税の市町村への配分の強化、個人所得課税における市町村への配分割合の拡充、なかんずく利子配当所得について地方税として課税できる方途の検討、都市における人口の流動、消費の実態等による消費流通課税等間接税の充実を図るとともに、地方道、特に生活関連道路としての市町村道の整備促進のための市町村道路財源の強化を推進する必要があります。さらに、地方財政の厳しい状況及び負担の公平確保の見地から、非課税等の特別措置につきましては、なお一層その整理合理化を行っていただきたいと思います。
第二点は、地方交付税総額の安定的確保についてであります。
御承知のとおり、地方交付税制度は地方公共団体の自主性を維持しながら、地方財源の均衡化及び必要な財源確保の保障により地方自治の本旨の実現を図ることをその目的としております。また、地方交付税は、その総額を国税の所得税等の三税にリンクされてはおりますものの、私ども地方公共団体は、これは国が便宜的に一括徴収する形態の地方税とも言うべきもので、共有の独立財源と認識いたしておりまして、地方税とともに自主財源の大きな柱となっております。言うまでもなく、地方公共団体の財源措置としては、みずから徴収する地方税によることが最も望ましいのでありますが、税源が偏在する実情により、地方税の充実強化のみによっては行政需要に対応できないことから、地方交付税の所要額の安定的確保がぜひとも必要であると考えております。しかしながら、地方交付税の総額は昭和五十八年度及び五十九年度の二年連続して前年度に比較して減少したことにつきまして、地方公共団体としては今後の地方交付税総額の確保につきまして一抹の不安を抱いているものであります。
ちなみに、地方交付税法第六条の三第二項においては、引き続き地方財源の不足を生じた場合には、地方行財政制度の改正または交付税率の変更を行うものと規定されておりますが、昭和五十年度以降地方財政は毎年度巨額の財源不足に陥っております状況は、まさに法改正を必要とする事態にあると存じているところであります。現在御審議中の改正法案におきまして、昭和五十九年度から地方交付税総額について、当分の間、特例措置を講ずることとされておりますが、従来の交付税特別会計からの借入金方式よりも地方公共団体にとりましては厳しい方式と受けとめております。しかしながら、現在の国の財政状況及び地方財政の健全化の観点から見ますと、当面やむを得ない措置と考えておりますが、諸先生方におかれましては、中長期的な地方財政の健全化に配慮しつつ、個々の地方公共団体の各年度の財政運営に支障を生じないよう十分御留意賜り、地方交付税総額を安定的に確保していただきますようお願いを申し上げる次第であります。
第三点は、国庫補助金の整理合理化についてであります。
この問題につきましては、地方自治体の自主的財政運営と資金の効率的運営を図る見地から、全国市長会はもとより、地方六団体におきましても機会あるごとにその推進を要請してまいったところであり、徐々にではありますが、その合理化が進められておりまして、昭和五十九年度におきましても、保健所運営費補助金につきまして、給与費における超過負担の改善を図った後、交付金制度に移行いたしましたところでありますが、このことは、地方公共団体の自主的財政運営の見地から極めて適切な措置と感謝申し上げるとともに、今後もこのような方向で御検討をさらに進めていただきたいと存じます。
最近の厳しい財政状況の中で、国は昭和五十八年度、五十九年度にわたり、補助金等の一割削減を実施するなど、従来にも増して積極的に整理合理化を推進し、補助金等の総額を厳しく抑制いたしておりますが、地方公共団体側から見ますと、このような一律削減方式で行われますと地方への負担転嫁になりはしないかと危倶をいたしております。したがいまして、何度も繰り返して恐縮に存じますけれども、補助金等の整理合理化に当たりましては、まず事務事業を見直していただきまして、地方の自主性、補助金等の効率化の観点に立って、一般財源化、統合メニュー化、総合化を推進していただきたいと存じます。この合理化を推進していく過程におきまして、事務事業の縮小なしに補助金等を縮小していく、いわゆる地方への負担転嫁だけは行うことのないよう、特に御留意賜りたいと存じます。
なお、補助金等に係る超過負担の解消につきましては、政府において毎年度、政府合同調査を実施し、その解消措置がとられてきておりますが、引き続き解消措置が必要であり、厳しい国、地方を通ずる財政状況でありますがゆえに、特に財政秩序の確立が強く求められておりますので、十分な御配慮を賜りますようお願いを申し上げます。
以上、当面する地方行財政の諸問題につきまして、お願いかたがた私の意見を申し上げましたが、初めに申し述べましたとおり、現在の経済情勢や国、地方を通ずる財政環境のもとにおきましては、本改正法案はやむを得ない措置と考えます。
以上で私の公述を終わらしていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/6
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007・大石千八
○大石委員長 ありがとうございました。
次に、古川参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/7
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008・古川卓萬
○古川参考人 問題を五つほどに絞りまして、意見を申し述べさしていただきます。
まず初めに、今回の改正、新規借入金の停止という極めて大きな改正が行われまして、これによって交付税制度としては、五十年以降の財源不足の局面を第二の局面と呼ぶといたしますと、第三の局面に入ったというふうに言ってよいのではないか。しかも五十八年、五十九年にかけての改正内容、利子の半分を地方負担とするということに続いて、これほど急速に事態が進展するということについては、交付税問題を見ている人間としてかなり意外な印象があります。内容的には国の財源難の一方的な地方に対するしわ寄せであるというふうに言うことができるわけであります。
こうなりますと、交付税法六条の三第二項というのは、果たして解釈について一貫したものが出せるのか。自治省関係者の解説などを読みますと、正確に言うとこれまで適用したことがないんだというふうな解説がなされておりますが、これはいささか形式的に過ぎる説明でありまして、実質的に昭和四十一年までの交付税率の引き上げというのは、この六条の三第二項抜きにはやはり考えられないのではないかというふうに思うわけでございます。何をやっても地方行財政制度の改正というふうになるとしますと、この六条の三第二項の制度に相当抜本的な変質をもたらしつつあるというふうに言ってよいのではないか。
ただ、この点は原理的に見ますと、我が国の交付税制度に本来内在されていた矛盾ではないか。というのは、我が国の財源保障の方式を見ますと、要するに、総額に対しての上限を加えていないいわゆるオープンエンデッドと言われる方式でありますから、地方財政需要がどんどん増加をして、それに見合って地方税収が伸びないということになりますと、いつかは国庫の財政事情と衝突する。その場合にこれをどう調整するかということは、交付税法六条の三第二項で一応やれるというふうに規定されてきたものが、やれなくなった場合にどうするんだという点は何ら規定されていないわけであります。その点で、こういった事態に対しては、既に地方財政収支試算でも赤字は継続するというふうに判断されておりますので、このケースに対して正面からの検討が必要ではないか。もしそうでありますと、交付税制度全体について、あるいはそれと関連いたします地方行財政制度についての抜本的な改正を行う調査委員会なり何なり、そういったものの設置が必要ではないかというふうに考えます。
次に、やや技術的な側面について申しますと、地方財政計画によりまして地方財源不足額が決定される形になっておりますが、決算実績との対比をどう考えればよいかという点はかねて疑問に思っております。そして、地方財政計画を五十年度と五十九年度の伸び率で比較をいたしますと、投資的経費を伸ばしながら、給与関係経費、一般行政経費を圧縮するという形をとっております。つまり、計画の作成のやり方に実績と食い違うような要因が入っております。本当に正しいのは決算実績ではないか。そういう意味で、決算実績と地方財政計画との間に甚だしい乖離が生じないように地方財政計画を作成していくということが本来的に必要でありまして、こういった決算比較作業は公式には行われておりませんけれども、こういう点は行うように規定すべきではなかろうか。そして、可能だと思いますが、方式として府県、市町村は分けて表示をするということが必要ではないか、これは昭和三十年まではやられたということでありますので。
要するに、投資的経費を伸ばすというのは、政策意図として経常経費を抑えていこうということがそこにあるわけでありますけれども、それは、負担すべき経常経費は正確に押さえた上で合理化努力を盛り込むという形でなければならないので、その点から見ますと、まず前提として、負担すべき経常経費が的確に算入されておるかどうかという点は疑問に感じます。この点、規模是正という形で調整されておりますが、規模是正というマイナーな調整では不十分ではないかというふうに思います。
次は、普通交付税の配分に対する影響でありますが、この減額は府県に厳しくて、財源対策債の発行も府県中心でありますので、公債費の増加をそこで生じておりまして、府県はこの財源不足の打撃を両面から受けておるというふうに言ってよいと思いますが、こういった配分の仕方については、単位費用と補正係数をどういじるかということで配分はかなり大きく変動をいたします。これは私、交付税の需要額の算定をしまして、その点を確認いたしましたけれども、この点はルールがなくてよいのか。つまり、単位費用でどれだけ調整し、補正係数でどれだけ調整するというようなことは、全くその都度の自治省の判断にゆだねてよいのかどうかという点は疑問を持ちます。
なお、財源対策債については、起債充当率が非常に大きく変動いたしておりますが、こういうやり方は地方団体の財政運営の計画性を損なうことは明らかでありまして、何しろ通常分二〇%から四〇%というのは、高いときには九五%まで上げるわけでありますから、地方団体に対してはどうしても過大投資を誘うということになりはしないかと思います。
それから、交付税において最近問題になっております減額措置でありますが、これについては、減額措置の交付税法上の根拠と、それから算定省令との関連というのはもう少し明確にしなければならないのではないか。つまり、例えば期末一時金であるとかベア率であるとか、そういうところがどういう根拠で算定省令に盛り込めるのかという点は疑問を抱いております。
なお、こういうふうに普通交付税の不足が大きければ、やはりこの段階で特交は二%程度は削って普通交付税に回すべきではないかというふうにも思います。
それから最後に、制度改正の検討を行っていただく場合のポイントといいますか、これは税制改正との連動というのは当然であろうと思いますが、やはり方向としては地方団体の財政責任を強化するという形で取り組むべきである。その場合に、我が国の現在の地方財政制度というのは必ずしも地方団体の財政責任を強化する方向では運営されておりませんので、その点特に配慮が必要である。
財源不足が長期化すれば、究極的には交付税というのは経常経費中心の財政調整にならざるを得ないのではないか。無理やりに投資的経費を織り込んできて、そこでやたらに細かな調整をするというのは制度の安定という面でどうであろうかというふうに私は思います。むしろ経常経費、これは公債費も含みますが、そこまでについて的確な算入を行って、投資については、中心は地方債であると思いますが、それ以外に住民の負担にリンクするような改正を行うべきではないか。例えば、固定資産税の税率を事業によっては時限的に引き上げるとか、そういうふうな配慮をしなければ、地方団体の側から投資需要を抑制するような動機が生じてこないというふうに考えます。
つまり、今日の財源不足というのは、その一部は増税によって解消されるべきものもあると思いますが、やはり基本的には財政需要についての適正なチェックをかけるということが要求されてきているのではないか、そういう点を配慮した制度改正が必要になってくるのではないかというふうに思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/8
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009・大石千八
○大石委員長 ありがとうございました。
これにて参考人からの御意見の開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/9
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010・大石千八
○大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/10
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011・臼井日出男
○臼井委員 自由民主党の臼井日出男でございます。
きょうは、諸先生方にはお忙しいところを私どもの委員会にお出かけをいただきまして、貴重な御意見をいただいたことを本当にありがたく感謝を申し上げる次第でございます。
時間が十五分間と全く短いわけでありまして、先生方には御迷惑をおかけしていると思います。
今お話しをいただきました点等の中で、私どもの考えを多少入れさせていただきながら、御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。
最初に、ただ一人現場の行政を直接預かってもられる服部毅一市長さんがお見えでございますので、時間が少ないものですから、まず服部市長さんにお聞きをいたしておきたいわけでありますけれども、今、五十年以降国の財政も極めて厳しくなってきておる、それに従って国からの地方に対する交付税等極めて厳しい状況にあるのはお話しのとおりでございます。私どもも、第二臨調の答申に基づきましてそれぞれ厳しい抑制措置をとっているわけであります。また、地域におかれても、お話しのとおり同様に厳しい措置をとっていらっしゃるというふうなお話でございました。
そこで、せっかく市長さんが焼津市からお見えでございますので、焼津市におかれまして具体的にどういうような抑制措置をとっているのか、事務事業の見直しをしておられるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
なお、そうした事務事業の見直し等をやっておられて、今後私どもが国としてどのような御協力をしていったらいいのか、その点についてまずお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/11
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012・服部毅一
○服部参考人 特にこれといって焼津市の実例で申し上げる特別なこともなかろうと思いますけれども、今申し上げましたとおり、いろいろ抑制については考えながら堅実な市政をやっているつもりでございます。
いろいろありまするけれども、概括的に言いますと、私が五十年に県会議長から市長に就任させていただいたときに、財政規模が六十七億二千万でございました。それが、五十七年の決算で百八十億になっておる。五十年を一〇〇としますと二六八というような伸び率を示しております。五十年のときの職員が六百九十四人でありました。現在六百五十人でやっております。その間、老人ホームあるいは保育所の建設、公民館、特に、プロ野球が来てもいいような野球場も法人の方々の御協力を得てやっていただきましたし、小学校も人口の増加に従って一校ふえております。なお、保健センター等も、市民の保健管理上必要であると存じましてこれもつくりましたし、そのほか体育の奨励のための相撲場とかプールとかいろいろやりました。学校は小中学校合わせて十五校ありますけれども、全部講堂もプールも完備をいたしております。そんなことで、一応ラスパイレス指数も昭和五十年のときには一一七でございましたが、現在一一〇を切りまして一〇八・六、そんな状況になっております。
先ほども申し上げましたとおり、やはり交付税についてはいろいろ意見はございますけれども、何にしても、国の財政状況というものも十分に見きわめながら、国、地方一体となって住民の行政を進めていかなくてはならない関係にありますから、こういう考え方を持って今後も進んでまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/12
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013・臼井日出男
○臼井委員 どうもありがとうございました。昭和五十年に六百九十四名でやっておられた行政を六百五十名、ラスパイレス指数も一〇八にお下げになった、御苦労のほど、大変敬意を表する次第でございます。
先ほどお話しいただきましたとおり、政府が提案をしておりますこの交付税法、現時点ではやむを得ない、そうした御評価、そしてその中にはいろいろな配慮をされておって評価をしておる、そういう御意見をいただいて、私どもも我が意を得たり、そういう感じでございます。
そこで、いま一つお尋ねをしたいわけでございますが、最近一部の地方団体で非常な高給与が続けられている。特に東京都等では自治省の指導にもかかわらずかなりの昇給もやったということで、私どもが問題にしているばかりではなくて、国民の皆さんも、本当に地方自治体が民意に沿うような行政をしているのか、これはほんの一部の団体でありますが、そうした批判も現に起こってきている状態でございます。これに対して自治省では起債の制限等もして対処しているわけでございます。
市長さんのところは人口が十万程度というふうに伺っておりますが、いわゆる中堅都市を預かる市長さんとして、こうした自治省の指導にもかかわらず高給与を続けている自治体に対する今回の自治省の起債制限の措置、そうしたものに対してどういうふうにお感じになっておられるのか、そのことをお伺いをいたしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/13
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014・服部毅一
○服部参考人 人口十万八千の焼津市が、一応全国的な調べによりまして六百五十一市のうちかなりいい方にランクされているようでありますけれども、給与と地方債というものを混同することはいかがかというぐあいには考えますが、給与というものが一般通念上理解されるものであるならば、今先生が言われたような問題は起こってこないというぐあいに考えます。やはりそこに地方公務員の給与が国家公務員の給与と甚だしく違っていることに対する臨調等の見解が示されたものじゃないかというぐあいに考えます。国家公務員の給与につきましては、人事院が整備された体制によって十分検討されて、生計費及び官民給与比較の上に立って報告または勧告を行って、国はこれに基づいて給与を定めておりますので、地方公務員の給与がこれを著しく上回るということは一般的に理解されることじゃないというぐあいに考えまして、臨調基本答申に指摘されてもやむを得ないことでございます。
この是正については、恐らく私が今やっているように、他の公共団体の首長もこれはみんな懸命に努力していると思いますけれども、どうしても努力をしていないというところに対して、今先生が言われたような、国で今踏み切ろうとしている起債制限をされたとしても、多くの地方自治関係の方々や一般国民の理解は得られるのじゃないかというぐあいに考えまして、私も焼津市長としての立場からは、今進めていることは一応よろしいのじゃないかと思いますけれども、全国市長会の立場に立って、これを一刀両断のもとにそうすべきだと言うのはいかがかと思いますけれども、しかし、傾向はそういう傾向にあり、当然踏み越えていかなくちゃならない地方自治団体に課せられた道じゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/14
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015・臼井日出男
○臼井委員 どうもありがとうございました。
全国市長会からは、毎年いろいろな御要望をいただいております。それと同時に、臨調等につきましても非常に貴重な御提言もいただいております。きょう承りましたいろいろな御要望につきましては、今後、これから私どもの行政に貴重な資料として参考にさせていただいて使ってまいりたいと思うわけであります。
続きまして御質問させていただきますが、時間があと十分程度しかございませんので、簡潔にお願いをできたらと思います。
最初に、牛嶋先生にお伺いをしたいわけでございますけれども、先ほど御意見を伺ったわけであります。いわゆる地方財政全般についてのお話でございました。その中で交付税の地位というお話がございました。地方交付税の地位というのは、国からの格差是正に大変大きな力を持っているのだ、しかし他方、公正さということを考えると、直接地方税を取った方がいいのだというふうな、両方必要であるというお話であったわけでありますが、今回、ことしの場合には、交付税特会の借り入れというものをやめて、特別措置でもって対処していくということをやっているわけですが、現在の三税の三二%という率ですね、国と地方との力の兼ね合い、そういうものを考えて、このままでやむを得ないというふうにお考えになっておられるのか。もし、一番いい形でやっていくならばどの程度の国と地方との割合がいいのだろうか、その点についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/15
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016・牛嶋正
○牛嶋参考人 非常に難しい問題でございますが、私の考え方を述べさせていただきます。
今先生御指摘になりましたように、地方交付税の役割というのは、私は、財源保障というよりもむしろ地域間格差の是正の方にあるのではないかというふうに思っておりますし、先ほど意見で述べさせていただきましたように、地方交付税と地方税とは一体として考えていくべきだ、こういうふうに思っております。現在の三二%が決められましたのは、その当時の地域間の格差を踏まえて、三二%程度で一応地域間の格差が是正されるというふうに考えていたというふうに思います。しかし、最近の産業構造等の変化を見ますと、私は、若干新しい地域格差が生まれつつあるのではないか、そうしますと、今の地方交付税制度でそれが十分に是正できるかといいますと、少し問題があるように思います。
しかし、その場合に、三二%を引き上げるという考え方と、もう一つは、むしろ地方税をもう少し充実させて、その場合に法人事業税とかあるいは法人住民税のように格差を生み出すような形での充実ではなくて、もっと普遍性を持った税源でもって充実させていく。例えば今の都市を見ますと、十大都市ですね、政令都市は全部交付団体でございます。これはちょっとおかしいのではないか。十分な税源を持ちながら交付団体になっているわけです。少なくともこういった十大都市が不交付団体になるぐらいまで引き上げていく。税源を引き上げ、それから地方税を充実させていく。こういうふうなことで、三二%の決まり方というのは、したがって地方税の改正との関係で考えていかなければいけない、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/16
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017・臼井日出男
○臼井委員 どうもありがとうございました。
次に、高寄先生にお伺いをしたいと思うわけでありますが、今回の交付税の五十九年の改正につきましては、地方団体に対しては好ましい影響があるのではないか、とかく借金というものを自分がするのでなくて、ほかからもらう場合には、どうも実感がない、私も、全くそのとおりだと考えております。
さて、先ほどもちょっと給与の問題に触れたわけでありますが、その際に、給与是正の問題について今されている、私がちょっと申し上げたような論理だと思うわけでありますが、それは多分にマスコミであって、大向こう受けはするかもしれぬけれども、実は本質的なものから外れているというふうな御意見があったと私は思っているわけでありますが、その点について、私が今申し上げましたとおり、国の財政状況、しかも五十年度から景気が悪くなると同時に、全く国の財政状況も質が変わってしまっているわけでありますし、現在の状態では、やはり国もしっかりと姿勢をとっていかなければいけないけれども、地方に対しても、国民が見てわかるような姿勢というものを示してもらわなくちゃならない。そのためには、やはり給与の面でもぜひとも国の基準というものを守った形でやっていただくことが一番望ましいと私は思っておりますが、先生の御意見を、もう一度この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/17
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018・高寄昇三
○高寄参考人 現在、地方団体の給与につきましては、ラスパイレス指数というものは一応合理的な経済指標であると私は思っておりますので、現在の地方自治体の給与は、基本的には高くて、またその運用の仕方において極めて不明瞭で非市民的なことがある、こういうことについては十分認めるわけで、現在でも地方自治体がそれぞれ頑張っておりますけれども、もう一つ効果が上がっていない。
しかし、こういうことと、地方自治体の給与運営が非常に放漫であるから地方自治体は非常に裕福であって本来国が負担すべきようなものも負担さすとか、あるいは場合によっては交付税で決められているような原則を外してでも交付税率を落としてくる、こういうことは、やはり制度論としては、私は、踏まえるべきことを踏まえて言うべきであって、給与の問題と制度論とかそういうものと混合して、大蔵省のような国の官庁機関が地方財政を削るというのは、税財政論としては余りオーソドックスな方法でないと考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/18
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019・臼井日出男
○臼井委員 どうもありがとうございました。
古川先生、大変申しわけございませんが、時間が参りましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/19
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020・大石千八
○大石委員長 加藤万吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/20
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021・加藤万吉
○加藤(万)委員 お忙しいところ当委員会においでいただきまして、私ども大変参考になりました。改めてお礼を申し上げます。
私は、この委員会に社会党から参加をいたしておりますが、最初に古川先生にお聞きをしたいと思います。
今度の交付税法の改正は、先生は、交付税、地方財政にかかわるいわば第三の局面の重要な改正案件だ、こうおっしゃいました。交付税法六条の三の二項によりまして税率を上げてまいりまして、これが限度にまいりました。結果的には、今度は特例条項を設けまして二分の一負担という制度をつくりました。確かに私は、今回の改正は地方財政にとっては第三の重要な危機といいましょうか、あるいは局面といいましょうか、そういう状況を迎えていると実は思うのであります。それでは、この第三の局面の中で出てきているこの交付税法の改正によって今の地方財政が背負い込んでおる条件を解消できるのか、大変心もとないと実は思っているわけであります。当初、牛嶋先生もこの点に触れまして、この財政計画を見てもそれは守りの財政であり借金財政だ。したがって、交付税の改正をこの時期にこういう形で提起をしても、それは依然として地方財政にとってみれば借金財政の延長線上であって、抜本的な改正にならぬのではないか、こう実は私は思っているわけであります。
そこで、先生がおっしゃったように、この際、地方と国を通して財政構造全体を見直すという条件がどうしても必要ではなかろうか、単なる部分的ないじり、あるいはその場しのぎの条件では、この危機を乗り切ることはできないのではないかと私は思うのですが、その点を具体的にどういう面をどう手直ししていけば今言ったような展望を切り開く端緒をつかむことができるのか、先生の御意見をお聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/21
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022・古川卓萬
○古川参考人 非常に多くの問題が含まれた御質問ですので、簡単にお答えするのは難しいのですが、財政の秩序をきちんと守っていくという前提で、その中の一番有力な柱の一つが交付税でございますが、今後のあり方を考える場合に、国の中期的な財政見通し、それから地方の中期的な財政見通し、一応数字は挙げられておるわけですが、ともに赤字は解消できないという前提になっております。
ですから、ここのところを出発点として各種の制度改正、これは一括提案というふうなものでなければならないと思いますし、いろいろ御指摘がありました税、補助金、起債、すべてそれとの絡みで最終的に交付税の姿は決まっていくというふうに考えるわけですが、その場合に、現状の最大の問題は、我が国の地方財政法の建前としては地方団体の財政収支の帳じりは交付税がとるという形になっております。この点は地方財政責任という点からいいますと逆であって、私は、やはりこれは税でなければならぬのではないかと考え、給与問題等もマスコミを通して問題にするのではなくて、やはり地方税の負担の痛みを通して問題にすべきであって、そうしなければ合理的な解決には至らないというふうに考えております。ですから、当然地方財政法のあり方を含めた抜本的な改正を考えるべき時期ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/22
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023・加藤万吉
○加藤(万)委員 今回の改正案は、例えば十一兆に上る交付税特会の借り入れの金利の二分の一地方への負担転嫁、事実上交付税率三一・三%、いわゆる三二%を切ったわけであります。そうなってきますと、今度の改正によれば、地方の需要をできる限り抑え込む中での交付税ないしは借金の利子の転嫁という形であって、先生のおっしゃったように、地方のニーズ、いわゆる需要というものと国の財政とのバランスの中でどうするかという判断よりも、むしろ国の財政の中で、地方の行政需要を抑えつける、抑制することによって生まれ出た今度の結論ではないか、こう私どもは、実はこの二分の一の利子の問題を含めて判断するのですが、この辺は先生はどういうふうな御見解をお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/23
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024・古川卓萬
○古川参考人 現在の国、地方の財政収支試算で赤字が消えないということは、解決の方法としては、税負担を引き上げるか財政需要を抑制するか、それ以外の手段はないわけで、恐らくその両者を併用しつつ均衡のとれた姿を描くというふうな姿になっていくと思いますが、その姿が現在ではまだ描かれていない。したがって、財政需要については抑制の順位といいますか、そういうものがどうしても恣意的になるという危険性を含んでいる。私が地方財政計画については決算との対比において見直すべきではないかというふうに申し上げたのは、そういう意味もあるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/24
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025・加藤万吉
○加藤(万)委員 確かに先生がおっしゃったように決算との乖離は大変ひどいのです。特に決算との乖離で問題になりますのは、例えば投資的経費にしましても、国の補助金、いわゆる補助事業に関する投資的経費は地方財政計画よりもプラスなんです。しかし、事単独事業ということになりますと、そちらの方に全体として食われていくものですから、結果的に単独事業が一兆ないしは二兆円近く落ち込んでくる、そういう乖離が生まれているわけであります。
したがって、この際、先生がおっしゃっているように、補助金というものを地方財政の中でどう考えていくのか。いわば地方の自主財源という形に補助金をどう変えていくのか。御案内のように、補助金は地方財政のうちの四分の一の財源を占めますし、それから地方行政の十分の四が補助事業にかかわる行政経費として地方団体は負担を強いられているわけですね。強いられているというか、あるいは時にはそれ自身によって地方の住民ニーズを確保しているわけですから、この補助金というものを本格的に考えて、いわゆる地方の行政ニーズに沿えるような弾力的な運営を考えていけば、私は、ある程度地方財政の赤字の部分はその首長なり地方自治を預かるサイドで運用ができるのではないか、こう思っているのですが、この点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/25
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026・古川卓萬
○古川参考人 補助金制度の改革については、日本のみならず、例えばアメリカでも取り上げられておりまして、その取り組みからいえばはるかにアメリカの方が進んでおるというふうに思います。それもいわゆる包括補助金というふうな形で相当思い切った組み合わせも行われておりますが、補助金を最終的にうまく日本の自治体が使いこなしていけるかどうかというのは、やはり交付税が収支の帳じりを合わすという今日の仕組みでは必ずしも全面的には説得力がないのではないか。むしろこれまで、五十年代に入りましても、あれだけ言われながら起債充当率が九五%になりますと相当の団体が先を争って事業をするという、長期的な見通しというのはその点立っておりませんので、私は、そういう点もあわせて解決すべきではないか。ただし、補助金については絶対に基本的な改革が必要であると思います。
それから、地財計画の中の投資的経費の比較については、あれは決算統計との違いがあって、単独分については先生がおっしゃるほど大きな数字にはならない。むしろ、あれを切り離して比較することは間違いではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/26
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027・加藤万吉
○加藤(万)委員 どうもありがとうございました。
続いて服部参考人にお聞きをいたしますが、今度の法改正で二分の一の利子負担が地方団体に課せられるということになりました。五十八年度も二分の一があったのですが、これは財政需要額に算入をいたしまして交付税特会から借りますから、事実上地方国体は四分の一負担であったわけですね。そして五十八年度改正のときには、これは単年度限りという当委員会で審議があったのですが、今度は二分の一のいわゆる負担区分の利子をやや永続的に負担をする、結果的に、先ほど言いましたように三一・三%の交付税率になってしまったわけです。これは参考人がおっしゃったように、安定的な交付税ということからいきますと極めて不安定的要素を持ってきたのではないか。
さらに加えて、今度特例財源で三百億、これは六十六年度から返済するわけですが、これとても実は、今度は加算額でありますが、減額ということがあり得るわけですね。法律上ではその特例の財源としてこれを措置するというだけでありますから、減額する場合もあり得るわけです。私はそういう観点から見て、交付税率が変動交付税率に変わる第一歩的な要素を今度の法案は持っているのではないか、実はそういう不安を持っているのですが、地方団体から見てどのような御見解でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/27
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028・服部毅一
○服部参考人 確かに今言われるようなことも地方公共団体としては受けとめてはおりますけれども、何にしても、もとになる経済というものが上向いてこないとその原資が出てこないものですから、そういう点で、先ほどから申し上げましたとおり、国政もさることながら、地方公共団体もやはり国とともに歩調を合わして進んでいかなくちゃならない立場を考えてみますと、こういうときには十分に説明も聞き、了解をしていかなくちゃならないだろうというぐあいに考えておりますし、先ほども申し上げましたとおり、なるがゆえに、今後本年度のようなことが累積されていかないように、どうかひとつ安定的な配慮をしていただきたいという要望を申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/28
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029・加藤万吉
○加藤(万)委員 高寄参考人にお聞きをいたしますが、財源確保についての今の地方団体におけるいろいろな面の努力、例えば歳入の面では使用料の引き上げであるとか、あるいはそれぞれの制限税率いっぱいの徴収であるとか、一方では行政改革という合理化が進んでいるわけでありますが、このままいくと、先ほどの参考人の何人かの指摘でありましたように、借金財政は依然として直らない。実は私は、国の財政もそうでありますが、予算委員会で国の財政について質問したのですが、昭和六十五年度に赤字国債をゼロにする、そのためには、昭和六十五年度になりますとどうしても九兆九千億の財源不足が生ずる、一体これはどうするのだ、こう聞いてまいりましたら、結果的には大型消費税の導入以外はないのではないかという、そうとはきちっとは言いませんけれども、何らかの形の増税措置をとらなければいかぬ、こういうことになって答弁がされているわけですね。
さて、今度の場合に、本年度は一兆五千百億円ですか、この財源不足額で抑え込みまして、そして建設債に全部これを吸収させましたが、さあ吸収ができなくなったときにどうするのだろうか。建設財源対策債でこれを処置はしますけれども、もしも処置がし切れなくなった場合には地方団体は今度は赤字公債を発行せざるを得ない状況になるのではなかろうか、ないしは私が当初言いましたように極端な抑制策をして、そしてつじつま合わせの財源不足額を出す以外にはない。そうなってくると、一体使用料や今日の合理化だけで可能なのかというと、私は率直に言って、昭和六十六年度からの返済計画などあわせて展望しますると、とてもではないけれども、地方団体のそれだけの努力では処理がし切れないほどの借金と元利償還額が出てくる。問題は、そこに向かって今何をなすべきかという課題を実は検討しなければならぬのではないか。
たまたま今度の国会に、御案内のようにたばこの公営企業からの新しい変換がありまして、これが法案として出るという予想であります。たばこ消費税が、実は本委員会でも地方にどのように分配するかという問題も含めて出てきますと、いわゆる流通過程に対する——先ほど参考人は前問題になりました一般消費税についても当面検討していくべき課題ではないかという御意見があったものですから、そのたばこの税の問題が出た折に、一体地方の自主財源をより充実し、六十六年度以降の元利償還金の財源の確保も含めて、消費流通機構における税というものをもう一遍今我々は見直す用意をすべきかどうか、実は非常にまだ勉強不足で結論に到達してないのですが、参考人はどういうようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/29
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030・高寄昇三
○高寄参考人 先ほども申しましたように、国が百三十兆円、地方団体も五十四兆円の起算残高を抱えている。これがいわゆる減量経営的なものとか補助金の見直しとかということで返済できるものでないということは、これは世間一般、マスコミを含めまして全部承知のことです。もちろん地方団体にとりましても、人件費を抑制しましたり使用料を上げましたり、あるいは民間委託をしましても、せいぜい年度間に一兆円もその効果が上がればいい方でございまして、これは五十四兆円の起債の金利だけでも大半が食われるというような状態ですから、自治省も今後三年間の地方財政計画を過日発表しましたように、私は、どうしても減量経営とか補助金の洗い直しては限度がある、早晩税制改正というのが行わざるを得ないではないか。
そういう場合一番心配しますのは、国が非常に国債残高が大きいから新しい税源とかいい税源をほとんど持っていかれるのではないかということです。そういう意味では、もちろん減量経営を続け、それのために頑張らなければいかぬですけれども、来るべき大きな税制改正に備えて、地方財政全般としては普遍的な税制とか、あるいは地方財源の偏在のゆえにどうしても国税の中の何割かは地方財源としては優先的に獲得する権利があるというような、来るべき税制改正についての準備とかコンセンサスというのは、どうしても自治省の方で地方財政審議会なり何なりで早急に固めて対応策を考える。過般も言いましたように、電電公社の収益というのは、国は当てにしておりますし、もちろん株式会社になったら税金をかけるつもりですけれども、しかし、いわゆる電話というような普遍的な税目ですね、こういうものはどうしても地方自治体としても獲得すべき魅力ある税源だと思うのです。だから、やはり、国税の対応策も大事ですけれども、基本となる地方税源についての対応は早くから立てていた方が地方財政全般としてはいいのではないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/30
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031・加藤万吉
○加藤(万)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/31
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032・大石千八
○大石委員長 岡本富夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/32
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033・岡本富夫
○岡本委員 大変御苦労さまです。私は、公明党・国民会議を代表して若干御質問いたします。
時間が余りありませんので簡単にいたしますけれども、先ほどから貴重な御意見をいただきましたが、御承知のように、五十九年度の地方財政は昨年に比べ交付税が非常に減少しておる。また一方、歳出を見ると、人件費、これは三・八%と言われておりますが、そういった義務的な経費は、生活保護費もまた五%ほどふえるということでありますので、歳入が少なくて歳出がふえるということは非常に地方財政に対して圧迫を加えるのではないかということでございますが、現在の状況下で牛嶋先生はどういうように運営をし、あるいはまたどういう考えなのか、これをひとつ先にお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/33
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034・牛嶋正
○牛嶋参考人 私、先ほど五十年代に入ってからの地方財政の運営の基本的な姿というのを守りの運営というふうな言葉で申し上げたわけですが、それは、言いかえるならば減量経営と申しますか、できるだけ節減できるところはしていくというふうな状況であったかと思います。先ほども引用いたしました今年の地方財政白書を見ますと、そういった今御指摘の義務的経費の推移などを見ますと、五十四年が一つのターニングポイントになっているような気がいたします。
五十四年までは減量経営を通じましてかなり義務的経費の構成比が落ちてきておりますけれども、五十四年以降横ばい、あるいはそれが今御指摘のように増加の傾向をたどっているわけです。五十四年というのは、御承知のように第二次のオイルショックが生じて、世界的な不況が進んだ時期でございます。それが地方財政に非常に大きな影響を与えた。その中で先ほど申しましたように実質収支あるいは単年度収支を少しでも改善してきたというのは、地方財政に個々の地方自治体が相当な努力を払ってきたというふうに思っております。そして、この過程で私は、地方自治体がそれぞれ行政能力を少しずつ高めてきたというふうに評価しております。
しかし一方では、先ほどから御議論に出ておりますように、新しい行政需要も出ております。そうしますと、これまでと同じような守りの行政だけでは対応できないのではないかというふうに思っているわけです。今の全般的な収支の不均衡を是正するためには、今後の景気の動向も関連いたしますけれども、いましばらくはやはりこれまで続けてきた減量経営と申しますか、守りの経営を続けていかなければならないと思いますけれども、今申しましたような新しい行政ニーズにその場合どういうふうに対応していくか。そうなりますと、少しは住民の方に御負担を求めていかなければ、今の状況のままではそういった新しい行政に対して対応できないのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/34
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035・岡本富夫
○岡本委員 国のいろいろな政策を住民のニーズに合わすのは、大体国の方が三二%ですか、しか渡さない、ところが仕事は七〇%以上地方自治体がやるということですから、この間、いろいろと補助金なんかがありますけれども、減量しようとしましても、必置規制だとかあるいは国の法律、一つ補助金を出しましてもいろいろと介入して、地方自治体の努力だけでは減量経営というのはなかなか難しいのではないか、こういうように考えられるのですが、その点についてお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/35
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036・牛嶋正
○牛嶋参考人 先ほど私、これからの地方財政が効率的にかつ公正に行われていくためには四つほど条件があるというふうに申しまして、その中で第一番目に私は行政能力の向上を取り上げました。これは個々の自治体がやはり引き続き努力していかなければならない問題ではないかというふうに思っております。しかし、それだけで財政運営なりあるいは行政運営がうまくいくわけではございませんで、二番目の条件といたしましては安定的な財源確保。それから三番目にはできるだけ硬直化要因を取り除く。この硬直化要因を取り除くということの中に、今、先生御指摘のありましたような補助金を通じての国のコントロールというものをできるだけ抑えていくということも入れて考えてみたいというふうに私は思っております。
ただ補助金の場合は、先ほども御意見を述べさせていただきましたように、それなりの役割がございます。これは義務教育とかあるいは道路等に見られますように、全国的な水準で行政を行っていかなければならない場合に、それを保障するために補助金を活用していく。しかし、今の補助金はそういった本来の役割から離れているような気がいたします。むしろ、国の地方に対するコントロールといいますか、そういった一つの手段に使われて、その方の色彩が強いように思いますので、補助金の問題もそういった本来の役割からもう一度見直していくべきではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/36
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037・岡本富夫
○岡本委員 高寄先生、昨年に比べて今度交付税が減額になったということは、交付団体と不交付団体の格差がますます大きくなってくるのではないか、こういうように考えられるのですが、この点についての御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/37
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038・高寄昇三
○高寄参考人 交付税の総額が落ち込みますことは、非常に財政力指数の低い団体にとりましては、税源でカバーできないものですから、それは必然的に交付税に依存してきたわけですけれども、それが落ちますことは、やはり地方団体相互間の財政力の偏在というのは一般的には拡大してきたと言えると思います。
ただ、地方交付税上のいわゆる財政力指数というものが地方自治体の現実の財政ニーズと収入のギャップを正式に反映したものであるかどうかというのは、例えば各自治体の人口が急増したとか人口が安定しているとかいうことでかなり差がありますけれども、一般的には、税の落ち込みとか、苦しいときに交付税が落ち込むということは、交付税の財源調整機能とか保障機能というものと全く反対の方向へ行くということで、これは地方財政にとって非常に重大な問題であり変化であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/38
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039・岡本富夫
○岡本委員 交付税について、今度国は地方財政再建のために特会からの借金をやめるというようなことでありますけれども、果たしてこれで地方財政が再建できるのか。また、今度とった措置によって地方財政は有利なのか。これは焼津の市長さんにお聞きしたいのですが、いかがですか。やむを得ないだけじゃなくして、ここで本音をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/39
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040・服部毅一
○服部参考人 結局、総額五十六兆に上る赤字、借金があるわけですから、これは依然として残っていくわけであります。六十五年度まで一応借入金償還の凍結はやられるものの、やはり公共団体にとっては負っていかなくちゃならない負荷でありますから、まあ三税がリンクされているところの交付税のもとになるものが上がっていって景気がよくなっていかない限りはずっと続いていく問題でございます。
有利かどうかというと、今回の場合は本年度の現況を一応打破することはできたというような感じだけであって、別に有利とは思っておりません。ただ、自治省と大蔵省でいろいろ話し合っている中で行われる従前の方法は、決して公共団体にとって——確かに借り入れ意識がないわけでありますから、それを今回やめて一応不足分について特例措置を講ずるということは、五十八年度以前よりはよくなってきているというぐあいに考えます。決してこれでいい方に展開しているとは言いませんけれども、やむを得ないということは繰り返しちゃ困るということでございましたが、一応やむを得ざる措置であるというように表現するしかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/40
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041・岡本富夫
○岡本委員 先ほどお話がありましたように、利子は前は国が持ったものを今度は地方自治体が持つようになる、それだけが負担になる。元金償還は六年間延ばしますけれども、ずっとまた返していかなければならぬわけです。それだけ結局地方公共団体が責任を持たなければならぬ。これでもいい、こうおっしゃるように聞こえるのですけれども、どうも本音では、あなたの方へ行っていろいろ聞くと大分違うのです。きょうはそういうことを言うのじゃないので、それはそれとして…。
では、今度の交付税の減額、超緊縮財政、こう言われておりますけれども、こういうのを地方債に転嫁するわけですけれども、こういうことによって予算編成に余り影響がないのかどうか。
もう一つ、第二臨調の基本答申の柱の一つが地方分権の推進ということでありましたが、今度地方事務官制度が中央に吸い上げられるような逆の答申に第二臨調で変わったわけですが、こういう地方事務官を中央に引き上げることについての地方自治体の御意見、この二点を焼津の市長さんからお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/41
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042・服部毅一
○服部参考人 予算編成につきましては、一応予算を編成する前に自治省、大蔵省との折衝によって地方財政計画というものが確立するわけでありますから、このことは大変厳しさはありますけれども、予算編成上にはえらい影響があるというようには私は受けとめてはおりません。
地方事務官制度につきましては、これは私が直接地方事務官のことを担当しているわけじゃございませんので、県の方でやっているのを見ておりますが、やはり給与、身分は国で保障をして監督はそこの公共団体がやるというようなことについては、どっちか一方に寄せないとうまくないんじゃないか。今まではそういう形でありましたが、聞くところによると、これを国の方に引き上げるということでございますが、県の方に聞いてみましても、民生部関係ではさほど今コメントはしておりませんけれども、労働部関係ではこれを国の方に吸い上げられちゃ困るということであります。なぜ困るのかと言っても、それについてはまだ私の方は回答を聞いておりませんけれども、直接地方事務官を持っていない市の首長でありますから、それ以上のお答えはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/42
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043・岡本富夫
○岡本委員 この件については、もう時間がありませんが、古川先生、御意見がありましたら、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/43
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044・古川卓萬
○古川参考人 地方事務官の問題については、いわゆる行政守備範囲という点からいって、経費節減と絡んでできるだけ手を引いていくという傾向は現在中央団体に生じているわけでして、特に、労働行政との関連においては府県の位置をどう考えるのか、強化すべきではないかというふうな感想は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/44
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045・岡本富夫
○岡本委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/45
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046・大石千八
○大石委員長 岡田正勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/46
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047・岡田正勝
○岡田(正)委員 参考人の先生方、お忙しいところを貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。民社党・国民連合を代表いたしまして、若干の質問をさせていただきます。
まず第一番に、牛嶋先生にお尋ねするのでありますが、今回の改正で資金運用部からの借り入れというあのやり方をやめまして、これからは毎年一般会計から、協議の上で特例措置としてその不足を持ってくるという大改正があるわけであります。こういう改正をすることによって、今後交付税総額の安定的な確保が可能であろうかと疑問に思っておるのでありますが、先生はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/47
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048・牛嶋正
○牛嶋参考人 これまでとってまいりました借入措置でございますけれども、私はある意味では、景気変動に基づくところの交付税財源の変動のいわば年度間の調整というふうな意味もあったのではないかと思っております。ですから、景気の悪いとき、国民所得の伸び率の悪いときに税収も落ち込む、したがってそのときには不足分を借り入れで補っておく、そのかわりに景気がよくなって税収が伸びたときにはそれを返済する、そういう年度間調整というふうな意味もありまして、私はその意味では、これまでとられてきた措置はいわばそれなりの対応策であったというふうに思っております。
ところが、今の御質問もそれに関連するわけですけれども、景気が非常に安定してきているわけでございまして、今後は国税三税もそれほど大きな変動はないのではないかというふうに思います。そうしますと、むしろ問題は、先ほど私が意見を述べましたように、自治体間の格差の問題の方が重要ではないかというふうに思うわけです。ですから、今回の措置は、先ほどから出ておりますように、一応本年度限りということではやむを得ないというふうに思いますけれども、今後こういった措置を続ける場合には、もう一度、本来の格差是正が十分にできるような範囲で地方交付税の財源を確保するというふうなことをやはり検討しなければならない、そしてまた、そのときに地方税全般についても見直しを行っていかなければいけない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/48
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049・岡田正勝
○岡田(正)委員 次に、服部市長さんにちょっとお尋ねをいたしますが、今日の地方財政の危機の原因はどこにあるというふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/49
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050・服部毅一
○服部参考人 なかなかこれは難しい問題でして、地方財政の危機がどこにあるかと言われてもちょっと戸惑うわけでありますけれども、一応日本の国は、三十七年前と違ってかなり前進をしてまいりまして、国民の生活、私たち焼津市内の生活を見ても、かなり生活様式が変わって向上してまいりました。したがいまして、住民のニーズも相当多様化してきました。なお、財政が非常にいいときに、高度成長経済当時の国、市町村との関連もあって、かなりいいときを過ごしてきたこともあり、そのときに得たことというものはなかなか後退しがたいものでございます。むしろ、それをさらに向上していこうというようなこともあり、したがって今では、守備範囲というものをどういうぐあいにしていったらいいかというのが行政の課題であるというぐあいに私は考えております。
経済はむしろダウンをしてきているというような状況の中で、税も上げられない、収入は頭打ちになっているということになりますと、地方公共団体は、仕事を何もしなければいいのですけれども、当然仕事をしていくということになりますと、かなり険しい道を歩んでいかなければできない。したがって、自分たちもみずから大いに身柄を軽くしながら市民のためにやっていって、効果のあるものは大いに税金を有効に使ってやっていくというようなことでございます。
結局、相対的には、今申したとおり国の経済そのものが大変停滞ないしはダウンをしてきているというような状況で、地方行政が難しくなってきているというぐあいに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/50
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051・岡田正勝
○岡田(正)委員 次に、古川先生にお尋ねをいたします。
今日税の地域偏在という現実があります。こういう中で、地方財政の危機を打開する方策というものにつきまして何かお考えがございましたら、お示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/51
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052・古川卓萬
○古川参考人 地方税問題については、これまで参考人の方からも何度も御指摘がございましたが、望ましいものとしては遍在的な税でなければならないという点で、事業税の外形標準課税化というのが非常に大きな構想として検討されてまいりましたが、これは一つの有力な解決策ではないかというふうに私は思います。
ただ、この問題が具体化しないというのは、結局国の課税権との調整という問題があるわけであります。しかし、そういう方策は検討されてよいのではないか、国が懸念するほど国の課税計画に必ずしも抵触しないのではないかというふうには思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/52
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053・岡田正勝
○岡田(正)委員 高寄先生、大変失礼でありますが、ただいまの税の地域偏在という現実の中で、この地方財政の危機を打開する方策というものにつきまして、先生御自身の何かお考えがありましたらお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/53
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054・高寄昇三
○高寄参考人 地方財政にとりまして、地方財源を充実するというときに非常に問題になるのが地方財源の偏在ということですけれども、これは講学上一般的に言われているほど実際には偏在してないし、偏在しましても、現在の地方交付税制度のもとではかなり調整能力があると思うわけです。
現在人口三十万以上の市に事業所税というのが認められておりますけれども これは四分の三が交付税の基準財政収入額の算定に入るわけです。そういうことですから、東京都のような非常に例外的な不交付の地域を除きまして、税そのものの中に交付税と連動しまして財源調整機能がありますので、地方財政全般としてはそれほど偏在を危倶する必要はないと思うのです。
それとあと一つは、現在の地方交付税そのものがいわゆる都市的な財源をそれほど完璧に捕捉してないという大きな欠点があるわけです。どちらかといいますと標準的な行政を把握しておりまして、変動の激しい都市自治体、ことに不動産についての用地費の算入というのは非常に少ない。学校は、人口急増については補正で大体六〇%を見ておりますけれども、例えば文化施設だとか福祉施設についてはほとんど用地費は見られてない。そういうことは、いわゆる土地の高い東京都とか大阪周辺の地方団体は、仮に交付税率が一・〇の財政力指数を持ちましても、その数字が言うほど裕福なものではないということです。
基本的には、国と地方というのはどうしても、はっきり言ったら、いい税源を早くつくった方が勝ちであるというような、一種の競争関係にあります。そういう場合に、地方自治体とか地方財政全般としては、普遍的に存在する税というのは何としても国よりか地方にとって優先的に与えられるべき税であるというような基本的な原則を踏まえて税源の移譲を主張する。仮に偏在しましても、交付税と連動を考えましたらそれほど危倶するような最終的な財政力の偏在は起こらないと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/54
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055・岡田正勝
○岡田(正)委員 続いて高寄先生に質問をいたしますが、地方交付税の基準財政需要額の算定に当たりまして、国の基準と地方の実態とが乖離をしているものがありますね。そこで、できましたら具体的にそれをお示しいただいたらありがたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/55
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056・高寄昇三
○高寄参考人 交付税というものは一つの宿命がありまして、どうしても全国的に普遍的な標準的財政となったものを基準財政需要額として算入していくという非常に基本原則がありまして、一つや二つの地方団体が新しい行政ニーズとして起こしたからといって、それを交付税に算入していくということは、交付税の性格からして考えられないことである。しかし、一般的にいいまして、現在の交付税は高度成長のときに補正係数を導入しまして、いわゆる公共投資の優遇策とか地域開発の優遇策については、事務局の非常な配慮で、いいか悪いかは別にしまして、そういう現実に合わせてきたわけです。
ところが、昭和五十年に入りまして、例えばいわゆる生活文化の上昇とか高齢化福祉の状態とかというものにつきましては、これは国の補助制度と違う分野で行政ニーズが起こっているわけです。そうすると、補助金とのドッキングは、現在の交付税としましては余りにも接近しておりますので、国がオーソライズしないような行政につきましては交付税に算入しない、算入率が非常に低いという大きな欠点があるわけです。これは、国が仮にそういう新しいニーズを算入しない場合には、交付税と補助金という二重の形によって地方団体は財政上マイナスの面を受ける。
非常に端的な例を言いましたら、文化行政というのは、かつてと違いまして、現在はコンベンションとかそのような形でいわゆる地域経済においても非常に有力な戦略であるわけですね。ところが、こういう文化行政につきましては、補助制度そのものが貧弱であるということもありまして、交付税の算入率というのは非常におくれている。それから、寝たきり老人の入浴サービスとかいう面もありますけれども、これから高齢化社会に対してのホームヘルパーの派遣とか——これまでの福祉行政というものは生活保護、いわゆるシビルミニマム以下の福祉というのが非常に大きな比重を占めておりましたけれども、これからの福祉というのは、いわゆる中間層に対する福祉サービスというのが非常に充実しできますと、そういう補助金になじまないような行政が地方財政全般として、サービス産業化という言葉はどうかと思いますけれども、サービス化してくる。
そういう場合、交付税というのが、現在のように補助金で認めたものが標準行政であって、補助金外は標準行政でないということは、厚生省とか建設省の考え方に引きずられるというのは、やはりこの際、新しい高齢化社会とか生活水準に対応して、地方自治体として補助金との余り密接な連動性というのは順番に避けていくべきでないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/56
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057・岡田正勝
○岡田(正)委員 最後に、高寄先生にいま一問御質問をいたします。
国同様に地方の行政改革ということも非常に重要な問題であります。そこで私ども民社党は、その一環といたしまして、国のレベルにおきましては、臨時措置法というもので地方公務員の給与適正化法というものを国会に今提出しておるところであります。片や地方議会のレベルにおきましても、給与公開条例の制定運動なんかが進められております。これにつきまして、先生はどのような見解をお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/57
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058・高寄昇三
○高寄参考人 新聞でも非常に騒がれていますように、地方自治体の給与というのは一時かなりのテンポで下がってきたわけですけれども、最近、東京都の例に見ますように、減少率、いわゆるラスパイレスの低下のスピードというのは落ちていっている、それとともに、かなり脱法的な給与運用が行われているということは事実であります。この給与の問題というのは、そういうことによって地方財源が何%かむだに使われるということより以上に、国と地方がいわゆる交付税とか補助金とかを問題にする場合、いわば地方自治体の一種の金のむだ遣いというようなことで口実を与えるということの方が、現実の問題としては影響力が非常に多いということです。
そういうことを考えますと、実際からいいますと、一日も早くある程度の水準とか、比較的合法的、適正な運用が行われるということにつきまして、地方公務員給与適正化法というのがある程度時期を限りまして行われるというのは、現在の地方自治体が自己能力という面から見て極めて疑わしい面がありますから、やはり万やむを得ない法律だと思います。しかし、交付税の減額措置を権力的に行うというようなことにつきましては、勧告は別ですけれども、現実に行うということは、そういうことについて国会に報告するとかということが必要ではないかと思うわけであります。
それから、地方自治体の給与の額とか運用については、もちろん国の中央統制も必要ですけれども、基本的には地方住民のコントロールということが必要ですから、先ほど言いましたように、情報公開とか給与公開条例というようなもので、中央統制と並行していわゆる市民的統制というものが十分保障されることが私は必要ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/58
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059・岡田正勝
○岡田(正)委員 先生方、どうも大変ありがとうございました。
これをもって終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/59
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060・大石千八
○大石委員長 経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/60
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061・経塚幸夫
○経塚委員 先生方には本日は本当に貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
幾つかの点をお尋ねしたいと思います。私、日本共産党・革新共同の経塚でございます。
まず最初に、牛嶋先生、高寄先生、それから古川先生にお尋ねをしたいと思います。
今日の地方財政の見方につきまして、単に国の財政が大変厳しいから地方もそれなりの負担をという論にとどまらず、国の財政に比較をすると地方の財政はまだ余裕があるじゃないか、これがいろいろと地方に負担がしわ寄せされる一つの重要な論拠になっておると思います。その一つの基準が、いわゆる公債費の額とそれから依存度が地方はまだ国の三分の一じゃないか、それから公債費率も地方はまだ国の二分の一にすぎないじゃないか、これが一つの重要な論拠になっておると考えられます。主として大蔵省の側にこの見解があると私どもは判断をいたしております。
そこで、先ほど高寄先生から御意見を伺いましたが、牛嶋先生、古川先生、このいわゆる論につきましてどのようにお考えでおられるのか。さらに、高寄先生は先ほど一定の論は拝聴いたしましたが、より詳しくこの点についての御見解を承りたい、かように考えておりますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/61
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062・牛嶋正
○牛嶋参考人 今の地方財政の財政構造というのは、五十年のときに国も地方も非常に税収の落ち込みで今の赤字構造ができ上がったわけですけれども、その後地方は、先ほどから言っておりますように、非常な内部努力でもって経費節減あるいは財源の確保等にそれなりに努めてきたというふうに私は思っております。そういう意味では、国の方は五十六年度くらいから行政改革を言い出したわけですけれども、地方自治体は五十年からそれを地方自治体なりに行ってきたというふうに私は思うわけです。
そのときに、地方自治体は減量経営をとり得たけれども、国の方は、国全体の経済政策の問題がありますから、それに合わせて減量経営をとることができなかったわけですので、その分は勘案しなければなりませんけれども、もう一度申しますと、今の地方財政の構造が国よりも健全な姿であるというのは地方自治体の努力によるところが大きいわけですから、今言われましたような国の側の論理というのは当たらないのではないか。ただ、今申しましたように、国が国の役割として景気を維持していかなければならない、その面でやはり公共投資も拡大しなければならなかったというふうな面は若干考慮すべきではないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/62
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063・高寄昇三
○高寄参考人 いわゆる地方財政が富裕であるとか、地方財政に余裕があるということについては、先ほど国の財政と地方財政とは性格が違うということで申し述べました。私が非常に懸念しますのは、かつて指定市が富裕論ということで、非常に補助率の格差とかあるいは税源配分とか、制度改正の結果、今日非常に交付税を多額に受けるというような事態になっているわけです。そういうことですから、富裕であるとか富裕でないということは一面的な数字で、その時点では確かにそうであっても、構造とか支出の性格が全く違うものですから、単純にその数字を比較して富裕であるという結論を出して、税源配分とか交付税をそれに合わすということは、長期的に見ましたら非常にまずい結果になるのではないかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/63
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064・古川卓萬
○古川参考人 国、地方の財政状況の比較というのは、基本的には構造の違いがあることを前提として考えるべきであって、最終的には両者の財政状況を正確に比較することは私は無理ではないかというふうに思います。
むしろ地方財政の場合には経年的な、五十年以降の変化、それを国の変化とどうとらえるかということはできますし、それから地方団体内部の財政状況の比較、そういう比較はできると思うのですが、地方財政全体として、例えば交付税特会の借入金の負担等をどういう形でそこに織り込むかということも、これは計算の仕方によって現在のように毎年毎年負担額が変わっていくというふうなことでは、そういった安定的な比較も非常にしづらくなっておりますので、変化については、五十年以降減量経営の効果で地方団体は改善の効果が上がったけれども、五十年代前半でその効果は一応限界に来たのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/64
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065・経塚幸夫
○経塚委員 どうもありがとうございました。
服部市長さんにお尋ねをしたいのですが、先ほど来、住民の側から見れば行政に封ずる需要が高まってきておる、こういう御発言がございました。ところが、御承知のように、五十八年度は住民に最も身近な支出であります単独事業費の伸び率がゼロという状況だったわけですが、五十九年度は、地方財政計画、実に三十年ぶりだとは思いますけれども、ゼロにとどめられた五十八年度に比べますとマイナスであります。単独事業費が計画でこういうふうに横ばいからマイナスになってくると、本当に地方団体としての特性というか特徴というか、この単独事業の中にこそいわば地方自治体の本来の果たすべき役割と機能があったわけでありますが、これは困ったことだ、こういうむしろ悲鳴に近い御意見を各地方団体から私どもいろいろと聞いておるわけでありますが、この影響はどんなものでしょう。もしお聞かせをいただけましたら幸いかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/65
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066・服部毅一
○服部参考人 確かに財政が厳しくなってまいりまして、単独事業は今先生も言われたとおりの傾向になってきております。
これの影響はどうかということでございますけれども、確かに今まで、先ほどから申し上げましたとおり、かなりの水準で地方行政というものも行われてまいりましたけれども、もとになる税源が変わらないし、また、このもとになる景気がダウンをしていくことになりますと、当然その収入が減ってくるわけでありますから、やはりそれに応じた行政というものもやっていかなくちゃならないわけであります。
確かにそのことが住民に影響をしないことはないでしょうけれども、そういう中で、現状に即した、市民の励みになるような行政を打ち立てていくことが首長の役目であろう、そんなぐあいに考えながら、確かに苦しいことは苦しいですけれども、現況に応じたことをやっていく以外にない、私はこんな考え方でやっておりますので、今、市政を運行していく限りにおきましては、そのことがきつく作動をしているというふうには受けとめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/66
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067・経塚幸夫
○経塚委員 古川先生にお尋ねをします。
今度の地方行政委員会で私も自治省にお尋ねをいたしまして、なお解せない点がございましたので、ぜひ先生の御見解を承りたいと思っておりますが、今回自治省がとられようとしておりますこの特例措置なんですが、六条の三の二項の制度改正に当たる、こうおっしゃっておられるわけであります。
そこで私がお尋ねいたしましたのは、財源不足を補う制度改正ということであるならば、当然この特例措置によって加算をされますものが、結果的には三二%の交付税率の引き上げにかわる内容でなければならない。特例措置、しかも制度改正、六条の三の二項に当たるものだとおっしゃる以上は、当然そういう受けとめ方が普遍的なものだと考えましてお尋ねしたわけでありますが、どうもそのようなものではなさそうでございます。三二%を結果的には超える加算になるのかならないのかが特例措置のポイントではない、こういう見解があるわけなんですね。ここの点、どうも私は理解ができないわけでありますが、当然六条の三の二項に当たる制度改正と言う以上は、結果的に交付税率の引き上げにかわるものとしての性格を持たなければなりませんし、数字的に見ましても三二%を結果的には超えなければならぬものだというふうに解釈されるのですが、その点はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/67
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068・古川卓萬
○古川参考人 六条の三の二項の解釈については、私も法律の専門ではないので興味を持っていろいろ読んでおるのですが、自治省の方で解説されておるのは、地方行財政制度の改正については特段の制約がついてないという御説明で、法律解釈としてはどうもそれで一応やれるということのようであります。
ただ、内容的には先生が御指摘になっておりますように、そうなりますと地方行財政制度の改正について条件を特定しなければいけない。特定しなければ、法律以外の、例えば私たちが常識的に考えてそれであれば制度改正であろうと納得するような中身からずれてしまうようなことになるだろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/68
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069・経塚幸夫
○経塚委員 最後にもう一点、古川先生にお尋ねしたいわけでありますが、調査委員会の設置の問題、先ほど御答弁いただきましたけれども、この調査委員会といいますものは、その性格とか構成などにつきましてどのようにお考えになっておられますのか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/69
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070・古川卓萬
○古川参考人 私は、この五十九年度改正というのは非常に大きな変動であって、単年度の影響からだけこの影響を判断すべきではないというふうに思います。
そういう前提に立ちますと、交付税率の引き上げというふうな条件がもう現実性を持っておりませんので、それにかわる地方財政の安定した姿を描くための調査会というのは必要ではないか。それは、地方団体側の要求も考えれば、かつて昭和二十六年当時にありました臨時地方行政調査委員会ですか、ああいった規模のものでなければ本格的な制度改正の契機になり得ないのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/70
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071・経塚幸夫
○経塚委員 先生方には、いろいろと御高見を拝聴いたしまして、本当にありがとうございました。今後の私どもの行政に生かすために皆さん方の御意見を配慮してまいりたい、かように考えております。
これをもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/71
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072・大石千八
○大石委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々には、お忙しいところ御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、大変ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
次回は、明二十日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01019840419/72
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