1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年五月八日(火曜日)
午前九時三十三分開議
出席委員
委員長 大石 千八君
理事 臼井日出男君 理事 小澤 潔君
理事 谷 洋一君 理事 西田 司君
理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君
理事 草野 威君
大西 正男君 大村 襄治君
工藤 巖君 小杉 隆君
左藤 恵君 平林 鴻三君
松田 九郎君 五十嵐広三君
佐藤 敬治君 細谷 治嘉君
安田 修三君 山下八洲夫君
岡本 富夫君 宮崎 角治君
吉井 光照君 藤原哲太郎君
経塚 幸夫君
出席国務大臣
自 治 大 臣 田川 誠一君
出席政府委員
自治省行政局公 中島 忠能君
務員部長
委員外の出席者
人事院事務総局 藤野 典三君
給与局次長
総理府恩給局次 小谷 宏三君
長
大蔵省主計局主 小村 武君
計官
厚生省保険局保 伊藤 卓雄君
険課長
厚生省年金局年 山口 剛彦君
金課長
地方行政委員会 島村 幸雄君
調査室長
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五月七日
重度障害者の固定資産税非課税に関する請願
(岩垂寿喜男君紹介)(第三九一六号)
同(安田修三君紹介)(第三九一七号)
同(渡辺美智雄君紹介)(第三九一八号)
身体障害者の自動車運転免許証に付される重量
制限廃止等に関する請願(岩垂寿喜男君紹介)
(第三九一九号)
同(安田修三君紹介)(第三九二〇号)
同(渡辺美智雄君紹介)(第三九二一号)
地方財政確立に関する請願(東家嘉幸君紹介)
(第四〇〇八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
昭和四十二年度以後における地方公務員等共済
組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一
部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/0
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001・大石千八
○大石委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/1
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002・小川省吾
○小川(省)委員 およそ公務員は、公務員法三十条によって、「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」と規定をされております。そして、三十三条から三十八条には、従事をする公務の特殊性にかんがみて、服務の上で、「信用失墜行為の禁止」「秘密を守る義務」「職務に専念する義務」「政治行為の制限」「争議行為等の禁止」「営利企業等の従事制限」等、民間企業の従事者にない幾多の制約が課されており、さらに、今述べた制約に違反をした場合には、公務員なるがために、懲役を含む厳しい罰則を受けることになっております。
それなるがゆえに、公務員の年金制度がある程度、それ相応の処遇がされることは当然のことであると考えます。しかし、現在受給しておる年金の実態を眺めてみるときに、余りにも低額であることに驚くばかりであります。これはある意味で改善、向上をしなくては、公務能率の向上は期すべくもないと思います。
今、制度別の平均年金の額を見てみますと、旧恩給条例年金では退職年金が七万五千四百八十七円、遺族年金が五万二千六百七円、旧共済法年金では退職年金が六万二千九百四円、遺族年金が四万九千三百四十八円、新共済組合法年金では退職年金が十二万七千八百八円、遺族年金が六万五千三百二十三円となっております。
そして、さらに驚くべきこととしては、低額な共済年金受給者を救済するための方策としてとられている特例保障ルールの適用、すなわち厚生年金より低い者は厚生年金算定方式で救済措置をとっている受給者が、五二・三%と半分以上を占めておるわけです。何年か前、官民較差が論じられたときにこれらの事実をもっともっと宣伝すべきであったはずであります。
しかし今は、官民較差よりもむしろ官官較差が問題であると思うのであります。退職年次の古い老齢者ほど少額な年金であるという不公平を早急に是正をしてもらいたいと思います。
今回も最低保障額を引き上げておりますが、どうも恐る恐るやっているというか、余りにも少額であります。最低保障額をもっと引き上げるべきだと思うのであります。また、低額年金救済の方法として、適正なる定額制の導入を図るべきだと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/2
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003・中島忠能
○中島政府委員 先生御存じのように、退職年金は基本的には退職時の給料と在職年数によって決定されるものでございます。
ただ、公務員として長年勤務した者につきましてこれをよく考えてみますと、同一官職、同一在職年数で退職した者でありましても、その退職時の給料というものは、一般的には後に退職した者が有利になるという傾向が見られます。そのためその年金の額は、退職後長期間経過した者ほど最近の退職者に比べて低い傾向にあるというのはただいま御指摘のとおりでございます。
このような格差が生じますのは、いろいろな原因があろうかと思いますけれども、ベースアップの形ではあらわれない給与制度の改正あるいは給与運用の変更というものによるものだというふうに思いますが、その中には調整することが望ましいと考えられるものもございますので、従前におきましても、その是正につきまして、恩給制度に倣いまして特例措置というものを講じたこともございます。
最低保障額というものにつきましては、私たち公務員の退職年金制度というものが、経過的に見ましても、恩給制度とかあるいはまた基本的性格におきましても厚生年金制度というものを引き継いでおりますので、そういうものとの関連を見ながら引き上げていく努力をしなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/3
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004・小川省吾
○小川(省)委員 退職時の賃金が基本になっているというふうな言われ方でありますけれども、そのように、特に現業の職員などは退職時の賃金が低いから勢い年金も低くなっている。それだけに最低保障額を引き上げておるわけでありますが、もう少し引き上げないと低年金者が救済をされない、こういう点がありますので、ぜひひとつ御配慮のほどをお願い申し上げておきたいと思っておるのであります。
共済、恩給の改定は、現職公務員の賃上げよりも一年おくれておるわけであります。これは法審議の際にいつもいつも要請をしていることなんでありますが、この一年おくれの是正というものは何ともならないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/4
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005・中島忠能
○中島政府委員 御指摘の一年おくれの問題につきましては、かねがね当委員会でも議論されてまいりましたし、私たちもその意向というものは十分承知しておるわけでございます。
ただ、この一年おくれの問題につきましては、地方公務員共済の特有の問題というよりも、むしろ年金すべてに共通する問題でございますので、私たちもそういうそれぞれの年金制度を所管しております関係各省と協議しながら今まで努力しておるわけでございますけれども、何分公務員の給与改定というものを基準にして年金を改定していくという現在の仕組みというもの、あるいはまた改定によります増というものの財源負担というもの、いろいろな要素がございましてなかなか思うようにはかどらないわけでございますけれども、正直に申し上げまして非常にこれは難しい問題だというふうに現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/5
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006・小川省吾
○小川(省)委員 全体の年全体制の問題とも関連があるということなんですが、そうすると、近々に年金の一元化の方式が打ち出されようとしているわけでありますが、年金一元化方式が提案をされるときにはこの問題もある程度前進の方向で片がついていくというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/6
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007・中島忠能
○中島政府委員 先生の重ねての御質問でございますし、御要請でございますけれども、先ほど私が申し上げましたように、いろいろな制度とのかみ合いとか、あるいはまたそういうことを実現することに伴ういろいろな必要な経費というものを考えました場合に、私たち先生の御意向を受けながら努力いたしたいと思いますけれども、正直な見通しとしてなかなか困難な問題だというふうに申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/7
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008・小川省吾
○小川(省)委員 了解します、困難なことはよく私もわかっておりますので。
それで、今回の改正に当たって、法施行日前の期間に係る年金額については五十九年三月分以後、同法の施行日以後の期間に係る年金額については五十九年四月分以後、平均約二%増額をするとなっておりますが、簡単に言えば、恩給については三月より、年金については四月以降増額ということになるのだというふうに思っておりますが、何か恩給の三月実施については高齢者が多いからというふうな理由のようでありますが、年金の受給者も法施行以後の退職者も七十歳台に皆達しておるわけでありますから、恩給だけが高齢者だというふうには言えないだろうというふうに思っております。
このように、恩給受給者と年金受給者に差別をつけるのは、退職後も恩給が上位で年金が下位などという思想があるのではないかというふうに思いますが、年金受給者でも七十歳以上は三月からという方途もあったのではないかというふうに思っております。三月から恩給が増額で年金が四月からということでなく、なぜ三月に持っていけなかったのか、その辺を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/8
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009・中島忠能
○中島政府委員 先生ただいまお話しになられましたように、恩給が上位で共済年金が下位だとか、そういうような考え方は毛頭持っておりません。私たちは、許すことならできるだけ年金受給者といいますか共済年金受給者に十分な措置ができるように考えなければならないというふうに思いますけれども、今先生がお話しになりました新法施行後の期間に係る年金額につきましては四月実施としたということは、それに必要な経費というものが現職公務員の掛金にかかっておるというところに私たちは着眼せざるを得ないわけでございます。
現職公務員につきましては、五十七年度及び五十八年度の人事院勧告あるいはまた人事委員会の勧告につきまして異例の厳しい抑制措置がとられたわけでございまして、現職公務員が我慢をしてきたわけでございます。そういうことを考えますと、その我慢をしてきた現職公務員の掛金でとにかく賄わなければならない部分につきましては、年金受給者にとりましては非常にお気の毒で申しわけないと思いますけれども、現職公務員とのバランスを考えました場合には、どうしても四月実施ということで御納得いただけないかというお願いを申し上げざるを得ないわけでございます。そういうふうに私たち考えておりますので、そういうことで御了解いただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/9
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010・小川省吾
○小川(省)委員 そうすると、現職とのバランス、あとは財政上の問題、こういうことで三月、四月とそれぞれなったということでございますが、この問題について恩給局の見解はどうなのか。どうして恩給が三月で年金が四月になったのか。恩給の方では圧力団体が多くあるということなんですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/10
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011・小谷宏三
○小谷説明員 お答え申し上げます。
別に圧力ということは私ども全然存じておりません。
恩給の三月実施ということの理由をお尋ねでいらっしゃいますが、現在、恩給法等の一部改正法を国会に提出させていただいております。その恩給の改善の中身を大まかに言いますと、三月実施分、それからあと八月、十月実施分の三つに分かれておりまして、三月実施分というのがただいま先生御指摘のいわば基本的、基礎的な部分でございます。現職の一般職国家公務員のベースアップ約二・〇%に伴いまして恩給額も平均二・〇%上げるという部分、これが三月実施でございます。
これがなぜ三月実施かという問題点につきましては、これは裏と表から考えることができるわけでございまして、一つは、従来からの方式であれば四月実施ではないのかという質問と、それから逆に、ただいま先生がおっしゃいました昨年の四月にさかのぼって実施すべきではないか、この二つの面からの問題点が指摘されると思うわけでございますが、従来からのやり方ですと、これは今年三月ではなくて今年四月でございますので、そちらの観点からお答えさせていただきます。
先生は、これは恩給団体の圧力ではないかという御質問でございますが、これは決してそうではございませんで、恩給の基本的なベースアップの実施時期につきましては、昭和五十二年度から四月実施という慣行がほぼでき上がっております。ただ、昭和五十七年度は非常に財政困難でございまして、特例措置として五月実施としたことはございます。ところが、昭和五十九年度は、厳しい財政事情のもと、昭和五十七年度の公務員給与の改善が見送られまして、昭和五十八年度の恩給のベースアップというものもやはり見送らざるを得なかったという特殊事情を配慮いたしまして、昭和五十九年度に限りまして特例的な措置として三月実施ということにしたわけでございます。
また、この背景には、これは私ども恩給受給者のことを考えておりまして、ほかの年金の受給者との比較はいたしておりませんので、あるいは独善的な言い方かとは存じますが、恩給受給者には高齢の方が多い、また元公務員の方がおいおいに亡くなって遺族の方がふえていらっしゃる、また恩給年額というのも決して高くはないというようなことを考えまして、要するに昨年度恩給のベースアップがなかったという非常に特別な事情を考慮いたしまして、今回の恩給改善の基礎的部分、つまり二%のベースアップというものを三月実施ということで恩給法の改正をただいま御提出申し上げているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/11
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012・小川省吾
○小川(省)委員 これは小谷次長に聞くことでもないのかもしれませんね。
今も、恩給受給者は高齢者が多い、遺族年金受給者が多いということなのですが、年金でも高齢者はかなり多くなっておりますし、遺族年金受給者もふえておるわけでありますから、それだけで恩給が三月実施、年金が四月という理由にはならないと思っております。しかし、これは恩給局に聞く事項でもない、全体の年全体制いかんの問題だと思っておるわけでありますから、小谷さんに聞くことでもないでしょうから、いいでしょう。
また、本年の共済組合法の改正案はそう大した改正でありません。来年に大改正を控えておるわけでございます。これに関連をして若干お伺いをいたしておきたいというふうに思っています。
まず、厚生省にお尋ねをいたします。
本年二月二十四日の閣議ですか、年金の一元化についての決定がなされました。これに関連をして出されてきたのが今回の国民年金法等の一部改正についての法案であろうと思います。本年は厚生年金と国民年金と船員保険を統合するようであります。昭和六十年に共済年金法を改正して、六十一年から同時実施というスケジュールを組んでやっていこうとしておるわけですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/12
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013・山口剛彦
○山口説明員 ただいま先生御指摘がございましたように、私ども今国会に厚生年金、国民年金、船員保険、厚生省が所管をしております年金制度につきまして改革法案を御提出いたしておりますが、その位置づけにつきましては、二月二十四日の閣議におきまして、政府全体として公的年金制度の改革のスケジュール、おおよその内容というものを決めております。御承知のことでございますけれども、五十九年に今申し上げました私どもの改革をする、その改革の趣旨に沿って六十年に共済年金についても制度改正をしていただいて、六十一年から実施をすることにいたしておりますので、六十一年に実施をいたしますときには共済年金も厚生年金、国民年金も同時にスタートいたしたいということで、まさにこの政府が決めております公的年金の改革の一環として私どもの法律案を御提出をしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/13
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014・小川省吾
○小川(省)委員 そこで、まずお聞きをしたいわけでありますが、基礎年金があって、その上に二階建てというか、報酬比例部分あるいは職域部分といいますか、そういうものを乗せていくというやり方が基本になっておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/14
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015・山口剛彦
○山口説明員 今度の年金改革の非常に大きなポイントとしまして、現在縦割りになっております我が国の公的年金制度をこのままにしておいていいのかという問題が一つございます。従来はそれぞれの制度の中で改革、改正を行ってきておるわけですけれども、公的年金制度全体の長期的な安定、公平性という観点からいたしますと、また、社会経済の動きに対応した年金制度ということを考えますと、私どもの認識といたしまして、現在の縦割りになっている公的年金制度をこの際再編成をする必要があるというふうに考えております。
その具体的な方向としまして、すべて一本にしてしまうというような考え方ももちろんあり得るわけですけれども、ただいま御提出をしております法案におきましては、先生御指摘がございましたように、縦割りになっております制度の中で共通にやっていける部分を基礎年金という形で構成をいたしまして、その基礎年金を現在の国民年金という制度を通じまして行う、この新しい国民年金を全国民で支えていく、いわば今の年金制度の一階部分に相当するような制度とする、そのことによりまして公的年金制度全体の安定性を確保するということと、いわば共通の土台ができるわけですから、それを通じて各種の調整もしていくということで、一階部分をそういうことで構成をいたしたい。ただ、今までの制度の中に、例えば厚生年金におきましてもそれぞれ独自の目的あるいは独自の制度体系というものがございますので、従来からの経緯あるいは制度の性格からしてその部分はなくしてしまうわけにはまいらないだろうということで、その一階の共通部分に上乗せをする形でそれぞれの職域で独自に年金制度をつくっていく、それを二階の部分に再構成をするという形で、一言で言えば二階建ての年金制度に再編成をしていくのが今後の年金制度のあり方として適当ではないかということで、そういう御提案を申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/15
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016・小川省吾
○小川(省)委員 今一階の共通部分の基礎年金についてのお話がございましたけれども、昭和七十六年ですか、四十年の掛金の組合員が出てくるというふうに聞いております。これは四十年の年金保険者期間を有する者であっても五万円であることには変わりはないと思うのですが、国民年金は二階建ての部分は全然なくて、基礎年金だけということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/16
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017・山口剛彦
○山口説明員 基礎年金の水準につきましては、原則として四十年加入で五万円という水準を考えております。これは二十歳から六十歳まで全国民必ず年金制度に加入をしていただく体制になっているわけですから、四十年加入というのが将来の姿としては一般的な姿になりますので、それを前提にいたしまして、基礎年金の水準は五万円、夫婦で十万円という水準を考えております。
国民年金の対象の方々につきましては確かに基礎年金の五万円のみになるわけでございますけれども、国民年金の階層の方々についても二階の部分に匹敵する給付は必要ではないかという御指摘もございます。私どもも、その二階の部分につきましては今後の検討課題として研究をしていきたいと考えておりますが、実際問題としてそこのところを新たな制度を構築する場合には、国民年金の対象の方々の所得把握等がかなり確実にできるという前提がございませんと、なかなか現実の制度として仕組めないという難しい問題がございますけれども、今後の一つの課題ということで私どもも念頭にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/17
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018・小川省吾
○小川(省)委員 いみじくも今後の検討課題ということでお話があったわけでございますが、国民年金の加入者だけが一階部分だけで二階がないという点については、私どもは危倶をしておるわけでございまして、今申されたような形で、確かに所得の把握が難しいことはよくわかりますが、ひとつ検討課題にしていただいて、何らかの形で二階部分が乗せられるような方向をぜひ出していっていただきたい、このことを要請しておきたいと思います。
そうすると三割以上の給付の切り下げになるのだというふうな話が巷間伝えられておるわけでありますが、そういう事実はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/18
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019・山口剛彦
○山口説明員 今回の年金改革のもう一つの大きなポイントとしまして、給付と負担のバランスをとるという問題がございます。年金を受給する側からすれば、これは多いにこしたことがないわけですけれども、年金制度はいわば世代と世代の助け合いのシステムですから、給付の水準とそれを支えてくれる若い人たちの負担、所得水準とがほどほどのところでバランスがとれているということが、年金制度の長期安定のためにぜひとも必要なことであると考えております。
そういう観点から、今の年金制度をこのままにしておいてそのバランスがどうなるかということを検討してみますと、厚生年金でモデル的に申し上げますと、現在の厚生年金の典型的なケース、過去に平均的なサラリーマン生活を送ってこられた方の年金水準というのが、現役の方々の大体七割弱のところに現在既に達しております。この計算式をそのままにしておきますと、平均の加入期間がこれからどんどん伸びてまいりますので、現役との比率からいいまして平均の年金水準が八割を超える、これは計算式上そういうことになります。その水準が果たして適当かどうかということでございますが、私どもは現役の方々の負担との面からいって、これははっきり申し上げて給付水準が高過ぎるという認識を持っております。現役の方々の八割を超えるような水準を老夫婦が平均的に受給をするというような年金制度は、水準としては高過ぎる、老若のバランスがとれていないという認識を持っております。したがいまして、将来に向けてその給付水準を軌道修正をしていく、老若のバランスのとれた形にしていくということがどうしても必要でございます。
今回の改革の一つの大きなポイントとして、給付水準を将来に向かって適正化をしていく、負担とのバランスを図るということがございます。そういう意味からいたしますと、今のままほうっておきますと八割を超えるような水準を、七割弱のところに抑えていくということでございますので、その辺に着目して何割カットという言い方ができなくはないと思いますけれども、私どもの基本的な考え方としましては、あくまでも年金制度の長期安定のために現役の方々とのバランスをとる、そういう意味で、将来に向かって年金の給付水準の適正化を図ることによって年金制度の安定を図っていきたいということでございますので、この点はぜひ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/19
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020・小川省吾
○小川(省)委員 今おっしゃったように、給付水準と負担のバランスをとっていくことが年金制度を安定的に確保していくには何といっても重要なことでございますから、国民年金法の一部改正案が社労委員会で審議に供されるわけでありますが、それまでに十二分の討論を経てよりよい方向を見出していっていただきたい、このように思っております。
そこで、五十九年度の厚生年金の平均給付水準というのは恐らく十七万ぐらいになっているのだと思うのでありますが、これは五十九年度の物価水準で維持をされていくのだと理解してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/20
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021・山口剛彦
○山口説明員 先ほど厚生年金のごくモデル的なケースを申し上げましたけれども、その水準を具体的に申し上げますと、五十九年価格で十七万三千円になります。この水準につきましては、先ほどスライドの御議論がございましたけれども、新しい制度におきましては物価スライドを四月からするということで考えておりますので、物価スライドをこの十七万三千円についても当然するということになります。従来からそういう考え方でやってきておるわけでございますけれども、四年ないし五年ごとには財政再計算というものをやっておりまして、その時点で賃金水準あるいは生活水準等との関連で給付水準の見直しということを、これは政策的にやってきておりますが、この考え方につきましては、今後とも同様の考え方で対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/21
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022・小川省吾
○小川(省)委員 高齢人口の増加といいますか、時代の推移につれて加入期間が四十年などというものもだんだん出てまいるわけであります。支給率をある意味では抑えざるを得なくなることはある程度理解できるのですが、掛金額との関連もあることなのですが、支給率を政策的にぐんと低く抑えるというようなことをするのではないかと恐れているのですが、そういうような特別に支給率をうんと低く抑えるというようなことをするつもりはないわけなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/22
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023・山口剛彦
○山口説明員 先ほど申し上げましたように、負担との関係で給付水準についても当然見直しをしていかなければならないということで、将来に向けて給付水準の適正化、はっきり申し上げれば、現在七割弱のところに達している水準を今後とも横ばいに推移するような形で適正化することによって、負担の軽減も図る、老若のバランスをとるということでございます。
したがいまして、具体的にどうするかということでございますが、典型的に厚生年金の例で申し上げますと、現在の平均の加入年数が三十二年程度でございます。現在の計算式でございますと、加入年数が伸びますと年金額もそれに比例して伸びていくという形になりますので、平均の加入年数が伸びますと年金額も上がっていくということになります。将来、大体四十年加入というのがこれから二十年後ぐらいには一般化されると見込まれますので、四十年加入で現在の計算式に当てはめますと、先ほど申し上げましたように八割を超えるような年金の水準になってしまうということでございますので、加入年数が伸びても比例的に年金が伸びていかないように、年金額の計算式を将来に向けて修正していくということがどうしても必要でございます。
そのためには、詳しくは申し上げませんが、例えば、厚生年金の平均標準報酬に千分の十の乗率掛ける加入年数、現在ですとこうなっております報酬比例部分の計算式につきましても、三十二年加入の水準を四十年加入になっても同じような形で推移していくためには、簡単に申し上げますとその乗率をいわば四十分の三十二に落としてやるということがどうしても必要でございます。ただ、それを一気にがたんとやるわけにはまいりませんので、二十年程度かけて緩やかにその乗率を下げていくということによりまして、平均的な年金水準としては現在のモデル年金の水準がほぼ横ばいに推移をするというような形で、年金水準の適正化を図っていこうという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/23
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024・小川省吾
○小川(省)委員 確かに年金が現職の八〇%を超えるなどという状態がよい状態だというふうには私も思っておりませんが、負担をする現役の世代と受給する老齢世代とのバランス、世代間の公平性ということは大事なことであります。給付と負担が均衡を欠いてはなりませんが、現行の制度の堅持というか確保ということが大切にされなければならないというふうに思っています。現行の受給者の既得権というか、現状は必ず確保されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/24
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025・山口剛彦
○山口説明員 先ほど申し上げましたようなことで給付水準の適正化をしてまいりますけれども、現在既に年金を受給しておられる方あるいはこれから間もなく年金の生活に入られる方、これらの方々につきましては、御指摘のようにもう既に老後の生活設計の支えとして年金を利用していただいているわけですから、この方々の年金額につきましては従来の計算式のまま計算をする、既得権は尊重するというのを一つの柱にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/25
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026・小川省吾
○小川(省)委員 中島公務員部長、あなたが年金担当大臣であるとしてもこのような方法で年余の一元化を図ろうとされますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/26
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027・中島忠能
○中島政府委員 突然非常に難しい御質問をいただいたわけでありますけれども、今厚生省からいろいろ詳しく御説明がございました。私たちもその過程におきましては厚生省の方からその都度話を聞いておりますし、原則的にはそういう方向の改革というのがやはり今の世代には必要ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/27
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028・小川省吾
○小川(省)委員 そこで、来年度の地方公務員共済組合法の改正に当たって地共済の独自性というか特殊性を生かしていくには、恐らく基礎年金の上に報酬比例部分というか職域部分というか、二階建であるいは三階建てという方向でいくことになるんだろうというふうに思っておりますが、独自性、特殊性を生かしていくのにどのような方策をとろうとされておるのか、自信のほどはどうなのか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/28
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029・中島忠能
○中島政府委員 先生が質問の冒頭にお話しになられましたように、公務員の共済年金制度というのは、公的年金制度というものの性格を持ちながらも公務員制度の一環としての性格もまた兼ね備えているということでございます。
したがいまして、現在国会に提案されております厚生年金、国民年金等の改正法案が成立いたしますと、その趣旨を踏まえて公務員共済制度についても改革をしていかなければならない。そうした場合に、基礎年金の導入ということを当然検討するわけでございますけれども、今御指摘のように、報酬比例部分というものを上乗せするということが当然議論の対象になってくるだろうと思います。
そのときにどういう上乗せをするかというのは、今申し上げましたように、公務員制度の一環としての性格を持っておるということをどのようにそこに反映させていくかということが実は一番難しい問題だと思います。私たちは今そのところについて勉強を始めたばかりでございますので、これからいろいろな方々の意見を聞き、また国会の議論というものも拝聴しながら、これからの考えを固めてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/29
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030・小川省吾
○小川(省)委員 昭和六十年度は地方公務員共済法の大改正が予想されておるわけですね。今から申し入れておきたいのですが、地公労の共済対策委員会と十二分に話し合って、改正の素案の作成に当たっては合意を得た上で提案をするように要請をしておきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/30
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031・中島忠能
○中島政府委員 公務員の共済年金制度というのは、今までもそうでございましたが、これからも地方公務員あるいは地方公務員であった方の生活に非常に大きな影響を与えるものでございますので、できるだけ多くの人たちの意見を聴取しながら、そしてそういう人たちの合意を得た上でできるだけそういうふうな改正に持っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/31
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032・小川省吾
○小川(省)委員 今申し上げましたように、地方公務員共済組合法と関連を持つ地方公務員労働組合、これの意見は特によく聞いていただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/32
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033・中島忠能
○中島政府委員 そのように努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/33
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034・小川省吾
○小川(省)委員 次に、遺族年金、扶助料の問題なんですが、私どもは、七〇%ないし八〇%ぐらいに引き上げるように前々から要請をしてまいったわけであります。今、加給などがいろいろついているようでありますが、遺族年金の支給率というのは大体何%ぐらいになっているのですか。六八%ぐらいなんだろうと思うのですが、何%ぐらいになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/34
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035・中島忠能
○中島政府委員 お答えを申し上げる前に、遺族年金の問題につきましては、かねがねその給付改善というのが議論されております。遺族年金を受ける方が特に妻である場合には、その立場というものを考慮いたしまして、昭和五十一年度から寡婦加算の制度というものを設けまして、逐次その改定というものも今まで行ってまいりました。また、昭和五十四年の改正におきましては、最低保障額かもの支給一時金の控除を廃止するというようなことも行って、その改善に努めてきたわけでもございます。
このような改善をいたしました結果、これらの者に対する遺族年金の最低保障額は、退職年金の最低保障額の約八一%ということに現在なっておりますけれども、さらに、寡婦加算の額を加えまして子供一人があるということを想定いたしますと、退職年金の最低保障額とほぼ同額になりますし、さらに、子供が二人あるということになりますと、その退職年金の最低保障額のほぼ一〇%増になるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/35
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036・小川省吾
○小川(省)委員 そういうことのようですが、それで遺族年金が低いと思いませんか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/36
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037・中島忠能
○中島政府委員 遺族年金の問題につきましては、実はその給付水準の問題以外にも検討しなければならない問題がございます。遺族の範囲をどうするとか、あるいはまた併給調整をどうするとかいろいろな問題がございますので、これから公的年金制度全体の検討というものを始める過程におきまして、遺族年金をめぐる問題につきましても議論してまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/37
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038・小川省吾
○小川(省)委員 検討されるということであるからいいんですが、受給者が亡くなってすぐ二分の一にするところに問題があるんだというふうに考えます。二分の一で生活が成り立っていくわけはないんでありますから、現在の加給額と寡婦加算等いろいろ調整をして、二分の一というのを何としても改めていく必要があるというふうに思いますが、ぜひひとつそういう点で検討をいただきたい、そのことを要請をしておきたいと思っております。
そこで、次に昨年の附帯決議に関連をして伺いたいと思います。
まず大臣に伺いたいと思うのですが、いかなる法案でもそうなんでありますが、附帯決議がつけられると、大臣は最大限に尊重しますとかなんとか言いますが、あれは決まり文句であって、別に尊重するわけのものでもないと理解をしてよろしいわけですか。これは大臣にお尋ねをしたいというのは、今までの各種法律の附帯決議が本当に尊重されていれば、世の中はもっとよくなっているはずだと思うのですが、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/38
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039・田川誠一
○田川国務大臣 国会の附帯決議はあくまで尊重されなければならないことでございますが、御指摘のように、これまでの附帯決議で実現されないことも随分ございますことは私もよく承知をしております。しかし、それであってはいけないと思いますし、今後も私どもできるだけ附帯決議は尊重していくように努力をしてまいるつもりでございます。これから附帯決議をしていただく場合にも、そういうことを十分私どもは念頭に置いてやってまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/39
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040・小川省吾
○小川(省)委員 ありがとうございました。
衆議院の附帯決議なんですが、長期給付に要する費用の公的負担分について、厚生年金等の負担と異なっているので、整合性に配慮せよと言っておるわけでありますが、この一年間どのような配慮をされてまいったわけですか、お伺いをしておきたいと思います。それから、三番目の、年金改定実施時期の一カ月おくれのずれをなくすようにどのような努力をされたのか。この一年間の努力と配慮をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/40
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041・中島忠能
○中島政府委員 社会保険に対する公的負担のあり方というものにつきましては、先生御存じのようにいろいろな議論がございます。
そこで、公的負担がいかなる場合に必要になるのかということでございますけれども、一つの考え方といたしまして、保険料のみでは適正な給付水準というものを確保できない場合、あるいはまた被保険者の範囲が低所得者というものに及んでおる場合、あるいはまた保険事故の性格工事業主及び被保険者の保険料のみで賄うというのが適当でないというような場合に公的負担というものが導入されるわけでございますけれども、公務員の共済年金制度の公的負担というものをどうするかというときには、やはり社会保険制度全体のバランスというものを考えて、そしてまた、国及び地方公共団体の財政力にも限りがございますし、また現在厳しい財政状況というものがございます。年を追って財政状況が厳しくなっておるというのは御存じのとおりでございますけれども、そういうような財政状況というものを背景にしながら、いかなるところに力点を置いて公的負担というものを考えるべきかという議論を常々いたしております。
そういうことで、そういう附帯決議というものをいただきながら一五・八五%というのが五十九年度も変わらないというのは非常に申しわけないと思いますけれども、今申し上げましたような経過から考えまして、これを引き上げるというのは非常に難しいというふうに思いますけれども、先ほど来御議論いただいておりますように、今回の国民年金、厚生年金等の改正というものが成立いたしますと、それを踏まえて公務員の共済年金についても改正していくということが予定されております。そのときに、基礎年金制度というものに公的負担を統一していこうじゃないか、そこに集中していこうじゃないかというのが現在国会に提案されている法案の考え方でございますので、そういうものとの兼ね合いにおいて、公務員共済制度というものを改正する中において公的負担というもののあり方を検討していかなければならないだろうというふうに考えております。
それから、一カ月おくれの話でございますけれども、これにつきましても、先ほど来御答弁申し上げておりますように、私たちの方では地方公務員共済年金制度特有の問題ということではなくして、国家公務員共済とか他の共済制度との関連もございますので、そういう中において検討をいたしておりますけれども、先ほど来御答弁申し上げまして御理解いただくようにお願い申し上げましたとおり、非常に難しいということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/41
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042・小川省吾
○小川(省)委員 これまた先ほどお伺いをしたわけでありますが、退職年金の最低保障額について毎年のように検討、努力を要請をしておるわけでありますが、私どもとしては努力の上げ幅をもっと大幅に引き上げられないかというのが実は真意なんでございますけれども、この最低保障額がなかなか大きく引き上げられない根拠といいますか、引き上げられない理由というのはどの辺に最大のネックがあるのか、いわゆる財政問題なのかあるいは恩給との関連があって何ともならないのか、どこにネックがあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/42
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043・中島忠能
○中島政府委員 御答弁申し上げましたように、最低保障額も含めまして地方公務員の共済年金制度というのは厚生年金の代行としての機能を持っておる。また、経過的に見ましても、恩給とか退隠料制度とか旧共済組合制度を引き継いだ形で成立しておるということを考えますと、どうしても恩給あるいは他の共済の制度、他の年金制度との関連というものを考えなければならないわけでございます。そういう面においてこの最低保障額を引き上げる場合の一つの判断基準があるということ、そしてまた先生が今お話しになられましたような財政上の問題もございます。あれやこれやいろいろございますけれども、現在の地方公務員共済制度というものの基本的な性格から、私たちは他のそういう制度との均衡を考慮して引き上げていくということを考えていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/43
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044・小川省吾
○小川(省)委員 また、今回市町村職員共済組合連合会の行う短期給付に係る財政調整事業の対象に都市職員共済組合の短期給付に係る事業を加えることにしたようであります。実際には北海道と仙台市のようでありますが、これを財政調整対象に加えることによって北海道なり仙台市の短期給付はどのように変わってくるのかお伺いをしたいわけですが、北海道と仙台の短期給付は救済をされるということになるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/44
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045・中島忠能
○中島政府委員 現在、全国市町村共済組合連合会におきまして短期給付の財政調整事業を行っております。その一つは高額医療給付費共同負担事業でございますけれども、これは、共済組合の財政を圧迫するような非常に高額な医療をお受けになった場合に、一定の額をオーバーする額につきましては、その一部についてでございますが連合会の方から調整交付金を交付していこうということを行っております。またもう一つ短期給付財政調整事業も行っておりますが、これは私より先生の方がよく御存じかもわかりませんが、法定給付に要する財源率が一千分の五十二、これは組合員の掛金でございますけれども、それをオーバーした場合には一千分の五十二というところで据え置こうじゃないかということで、これもまた連合会から財政調整の交付金を交付しておるわけでございますが、そうしたことによりましてそれぞれの市町村職員共済組合は非常に助かっておるという話を聞いております。
五十七年度は一組合、五十八年度も六組合ですか七組合ですか、その交付金を受けて率が据え置かれておるという状況でございますので、今度新たに提案いたしました都市職員共済組合を二つつけ加えていただきますと、そういう共済組合が一定率をオーバーする場合には交付金の交付の対象になりますので、やはり非常に効果があるものだというふうに我々は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/45
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046・小川省吾
○小川(省)委員 そうすると、都市共済の短期給付をやっているのは北海道と仙台市であって、今回二つの組合を加えると今後加わってくるものはない、健康保険でやっておって、いわゆる短期給付として問題になってくるものはない、このように理解をしてよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/46
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047・中島忠能
○中島政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/47
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048・小川省吾
○小川(省)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/48
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049・大石千八
○大石委員長 山下八洲夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/49
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050・山下八洲夫
○山下(八)委員 まず最初に、ちょっと厚生省にお尋ねをしたいわけでございますが、きのう四時ごろだったと思うわけですが、厚生省年金局発行の「年金改革を考える 国民年金法等の一部改正について」という二冊の種類のパンフ、読んでみまして大変わかりやすくて正しいことばかり書いてあるわけですが、何か都合のいいことばかり書いて都合の悪いところは書いてないというような印象を受けたわけです。そのパンフですけれども、いつできて、どの範囲に配付をされたのか、ちょっと最初にお尋ねしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/50
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051・山口剛彦
○山口説明員 私ども、今回の年金改革に当たりましては、できるだけ広い方々の御議論をいただいてコンセンサスを得ながら進めなければならないと考えておりますので、この二年半ほどかけて、あらゆる機会を通じまして、そういうことに留意をしてそのほかにもパンフレットをつくってお示しをしてきたわけでございますけれども、今御指摘のそのパンフレットにつきましては、国会に提出をいたしました後に、現在提出をしております法案の趣旨なり内容なりをできるだけ広く御理解をいただきたいということで、当面国会周辺にいろいろお配りをしておりますが、市町村にも相当部数送りまして、そのほかにもあらゆる機会を通じてそのパンフレットを用いまして制度改革のPRをしているという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/51
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052・山下八洲夫
○山下(八)委員 そうしますと、国会周辺というのは、具体的に地方行政委員なんかかなり関係が深いわけですが、全員に配ってあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/52
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053・山口剛彦
○山口説明員 地方行政委員会の先生の皆さんにすべてというわけではございません。社会労働委員会を中心にお配りをいたしております。その点についても、もし御指摘がございましたら配らせていただきたいと思いますし、御説明にも上がりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/53
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054・山下八洲夫
○山下(八)委員 この内容については後ほど触れたいと思いますが、せっかくいいものがあるのに、知らずにいるのももったいないと思ってちょっとお尋ねしたわけです。
そこで、共済年金法の問題ですけれども、公的年金は労働生活から引退した高齢者のただ一つの所得保障であり、生涯の基盤をなすものだと思うわけです。寿命が延びることは喜ばしいことですし、高齢化社会への移行は文化の発展を示すものであると思うわけです。これに見合った年金制度が今日求められていることも事実であります。
そういう中で、皆さん方も大変苦労し私たちも苦労しているわけですが、今、年金制度は、簡単に言いまして三グループに分かれております。国民年金、厚生年金また共済年金、知れぞれできたときの理念と申しますか、あるいは目的のようなものがあったと思うわけです。特に共済年金等で考えてみますと、地方公務員共済組合制度の目的は、「地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するとともに、公務の能率的運営に資すること」にあるとされているわけでございますし、また、そういうことがあるから、ある面では共済制度には懲罰の問題等もあろうかと思うわけでございます。そういう中で、もう一度私は確認のために、共済年金につきましての理念と申しますか目的を、まず大臣からお聞きしたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/54
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055・田川誠一
○田川国務大臣 法律の目的は今山下さん御指摘のとおりでございまして、「地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与する」ということ、それからもう一つは、「公務の能率的運営に資すること」を目的としているものでございます。山下さんおっしゃったとおりのことであると思います。第一条に示されたことがこの理念である、このように言ってよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/55
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056・山下八洲夫
○山下(八)委員 厚生年金につきましては、簡単に申しますと老齢年金に入りますし、特に民間企業で働いている方を中心にできていると思いますし、また、国民年金につきましては第一グループで、自由業の皆さんでございますが、そういう形でそれぞれ質的にも内容的にも、また年金についての考え方も違っていると思うわけです。
そういう中で、厚生年金と国民年金についての理念と目的を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/56
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057・山口剛彦
○山口説明員 ただいま御指摘がございましたように、厚生年金につきましては、一般の被用者の方々の所得保障をすることによってそういった方々の生活の安定を図るということでございますし、国民年金につきましては、それ以外の方々、特に自営業、農業の方々を中心にした方々の所得保障をすることによって生活の安定を図るということで国民年金法にはっきりうたっておりますけれども、いずれも憲法の精神にも即した社会保障制度の一環というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/57
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058・山下八洲夫
○山下(八)委員 せっかくこれをちょうだいしましたので、これでちょっと進めたいと思うわけですが、昭和五十九年二月二十四日の閣議決定で、一つは、「昭和六十年においては、共済年金について、上記の基礎年金の導入を図る等の改革の趣旨に沿った制度改正を行う。」これを全部読みますと時間がなくなりますので、読みませんが、「上記一及び二の改革は、昭和六十一年度から実施する。」また、「昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」ということが閣議決定をされているわけです。そのことを考えていきますと、今、制度も違いますし、また、できた理念も違いますし、そういう中でこの公的年金の一元化というのには大変難しい面がたくさんあるのではないかと思うわけです。
大臣はこの閣議決定に参加されていらっしゃったわけでございますから、まずその辺につきましてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/58
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059・田川誠一
○田川国務大臣 私ども、これは大変困難なことではありますけれども、将来これを一元化していかなければならない、このような方針のもとに閣議の決定に賛成をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/59
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060・山下八洲夫
○山下(八)委員 今、日本は急速に高齢化社会に移行しつつありますし、これは戦後、平均寿命が驚くほど延びた一方、出生率が大幅に低下していることも一つは原因していると思うわけです。一九八二年現在、平均寿命が男子七十四・二二歳、女子七十九・六六歳となっておりますし、戦後三十年で実に二十歳以上の伸びを示しております。また一方、出生率は年々低下しておりますし、特に一九七〇年の二・一三五人から一九八一年は一・七四人まで減っていますし、またその状況が今日も比較的続いているのではないか。また、人口がふえもせず減りもしないという状況になるには合計特殊出生率が二・〇九人であることが必要とされており、日本の場合これを下回っているのが今日の現状だと思うわけです。
こうした結果、高齢者人口は絶対的に増加し、現役の労働力人口は相対的に減少しておりますし、同時に、六十五歳以上の人口、この老齢人口が全人口に占める割合は、戦前から見ていきますとどんどんふえてきておりまして、一九八〇年には八・八八%、一九九〇年には一四・二六%、二十一世紀初頭には二〇%を超えるようなことも予想されている。そういう中で今この年金問題もいろいろと考えられていると思うわけです。また、日本の労働者構成に占める四十五歳以上の層について見ても、一九八五年には四〇%を超え、イギリス、スウェーデンを上回り、人口構成全体に占める中高年層は欧米諸国と並ぶ水準になってきているのではないか、つまり、日本の高齢化社会の進行は極めて急ピッチで進んでいると思うわけです。
高齢化社会の進行を考えていきますと、高齢者の増大はやはり政治、経済、社会、文化、全領域にわたって極めて重要な、また大きな変動を及ぼすことが予想されると思うわけです。それこそ手をこまねいて何の対策も講じないでいたら大変なことになりますし、高齢者の生活が本当にできなくなってくると思うわけです。現役労働者に一挙に過重な負担が襲いかかる危険性もあると思うわけです。つまり、今の年金といいますと、安らぎと生きがいのある高齢化社会への軟着陸ができるようにするのが一番いいのではないか。今から総合的な高齢化社会政策がつくられ、実施されていかないといけないと思うわけです。
そんなことを一つ一つ考えていきますと、今日のこの公的年金の制度を見て、七十年をめどに公的年金制度一元化というふうに考えていきますと、逆に言いますと大変後退していくのではないか、また後退の方向をとっているのではないか、そのように私は受けとめているわけです。そうじゃなくて今よりずっと前進なんだというようなことであれば、その辺について御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/60
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061・中島忠能
○中島政府委員 年金制度をめぐる環境といいますか、条件というのが今激しく変わろうとしておるということは、先生が今るるお話しになったとおりだと思います。したがいまして、そういう環境変化に耐え得るような年金制度というものを、長期的展望に立ってひとつ安定したものにしていかなければならないというふうに私たちは考えるわけでございます。その場合、現在年金制度がいろいろ分かれておりますから、その分かれておることに伴いまして給付と負担についてそれぞれ差異があるということについて、国民各界からいろいろ御意見が現在出されております。そういう御意見も踏まえながら検討していかなければならないわけでございます。
その検討の過程におきましては、先ほどから御議論がございますように、公務員の共済年金制度の性格というものを踏まえて検討していかなければならないということでございますが、先生が今お話しになりましたように、これからの年金というものが、改革された後の姿というものが国民の生活を安定するにふさわしいものなのかどうか、後退ではないかということでございますけれども、これも先ほど来のいろいろな答弁にございますように、やはり年金制度というのは年金を受ける方とそれを負担する方とのバランスの上に立って、そして適正な水準というものを確保していくように考えていかなければならないのでございますから、国民の各界各層からいろいろな御意見をいただきながら、私たちは年金制度のあるべき姿をこれから模索していかなければならないだろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/61
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062・山下八洲夫
○山下(八)委員 現時点でも、年金制度というのはそれぞれ見ても決してよくないと私は思うわけです。だが、七十年以降のことを考えていきますと、それ以上に、共済年金にしましても厚生年金にしましても国民年金にしましてもかえって悪くなっていくのではないか、そのことを心配しているわけです。
そういう中で、今の年金制度というのはいずれにしましても積立方式であることは間違いないわけですね。もっとざっくばらんに申し上げますと、自分で積み立てたものを老後になったら年金として返していただくんだということであろうと思うわけです。そうすると、財源がなくなるということはあり得ないはずだと思うのですが、その辺いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/62
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063・中島忠能
○中島政府委員 現在の財政方式というのは、基本的には積立方式ということで維持されておるわけでございますけれども、その積立方式によって積み立てられておる額、その運用益、そして毎年毎年掛金として入ってくるもの、そのものの合計が結局将来の年金給付というものに要する費用とバランスがとれてなければならないということでございますので、我々が積み立てたものだけが一つその積み立てとして残っておるということではなくして、事業主あるいはまた公的負担というものが重なりまして積立額として残っておるわけでございます。その積み立てられた額というもの、その積み立てに必要となる経費というものとこれを受ける人たちとのバランスというものが考慮されなければならないということを先ほど私が御答弁申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/63
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064・山下八洲夫
○山下(八)委員 ちょっと質問が横へ飛びますけれども、例えば今度七十年以降にこれが改正されて一元化されて、仮に一万三千円ずつ四十年国民年金に加入をして、資格ができて六十五歳から毎月五万円年金をいただく、仮に八十歳まで生きていたといたしますと、私もコンピューターがないものですからそんな詳しい計算はできませんけれども、複利計算でいきますと、毎月一万三千円ずつ複利で貯金していて八十歳までいったのとどれだけどうなっていくのかと言えば、逆に言いますと、ひとつ間違うと、年金を掛けないで自分で四十年間一万三千円ずつ貯蓄をした方がかえって月々の入りがよくなるというふうな感じが私はしてならないわけなんです、私の計算は間違っているかもわかりませんけれども。その辺について計算されたことございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/64
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065・山口剛彦
○山口説明員 具体的に計算した数字は持ち合わせておりませんけれども、先生御指摘のような計算はできなくはないと思います。ただ、公的年金の場合、その公的年金の最も重要な機能は何かということでございますが、先ほど先生、将来、老後に自分で拠出をしたものをもらうのだから足りなくなるはずないじゃないかというようなお話もありましたけれども、公的年金の場合は、経済社会の変動がありましたときに、その水準については先ほど来問題になっておりますようにスライドをしていく、また、生活水準等が上がればそれに応じた水準の引き上げ等をやる、それを世代で順送りにやることによって老後の生活の安定を図っていこうという機能が最も重要な機能で、この辺のところがいわゆる個人年金なり老後のための貯金とは違う公的年金の最も重要な機能だと思うわけです。
過去二十年の我が国の経済社会を振り返ってみましても、物価は四倍、賃金は十倍というような上がり方をしているわけですね。したがいまして、今後の経済社会がどういうふうに推移するかというのはわかりませんけれども、そういう経済社会の変動がありましても、これに個人の力だけで対応していけということになりますと、老後が十五年、二十年と長くなっているときに、個人の貯蓄あるいは個人年金的なものでは対応ができない。それを世代の助け合いによってやっていこうというのが公的年金でございますので、今の静態的な計算では御指摘のような数字が場合によったら出るかもしれませんけれども、これからの物価の上昇率あるいは生活水準の上昇率に見合った水準を老後ずっと保障していこうというところに公的年金の最も重要な機能があるという点をぜひ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/65
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066・山下八洲夫
○山下(八)委員 今のことが公的年金の一番のいいところでございますから、それはよくわかるわけですが、では現在、日本の年金制度は本当に生活できる水準に達しているのかということですね。私は決して達していないのじゃないかと思うのです。
八四年度予算の政府原案によりますと、国民年金は三十二年加入モデルで月額七万六千八百円、厚生年金は三十年加入の夫婦で十五万三千四百八十二円。これはあくまでもモデル年金という架空の数字でありますので、現実のものではないと思うわけです。八二年度の年金給付額の平均を見ていきますと、国民年金でいいますと二万五千六百二十一円、厚生年金十一万三千四十円、国公共済年金は十六万七千八百三十三円になっているわけですね。今、一千九百万人の年金受給者のうち七二%の人は三万円以下の年金額になっていると思うわけです。八四年度予算では、生活保護の扶助基準は大都市の四人世帯で十五万二千九百六十円ですから、公務員及び共済年金を除いていずれも生活保護水準以下で、生活できる年金とはほど遠いと思いますし、また生活できる年金とは言えないと思うわけです。
七十年以降はこのような現象がなくなる方向でこの一元化を目指しているのか、ちょっと厚生省の方からお答えいただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/66
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067・山口剛彦
○山口説明員 御指摘をいただきました年金水準の現状、先生の御指摘のとおりでございます。確かに現実の年金の水準を見ますと、それで必ずしも十分な水準というわけにはまいらない、そういう水準であろうかと思います。
ただ、それは我が国の年金制度が、先ほど来申し上げておりますように社会保険方式をとりまして、拠出に応じた年金を給付をしていくということを原則にいたしておりますので、国民年金等は非常に歴史が短いというようなこともあって、経過的にそういう水準になっておるということでございます。今後、これが国民皆年金のもとで平均加入年数がどんどん延びてまいりますので、私ども現在の改革案で目指しておりますのは、基礎年金が五万円、夫婦十万円、サラリーマンの場合には現役の方々の七割弱の水準を平均的に支給をしていこうという考え方で、一挙にそこの水準に今度の改正がされてなるわけではございませんけれども、年金の成熟化とともにその水準についても全体に上がっていくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/67
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068・山下八洲夫
○山下(八)委員 国民年金は確かに四十年加入の場合五万円になるわけです。今日の制度でいきますと七万六千円ですね、四十年加入ですと。夫婦の場合は、四十年加入して国民皆年金方式でやっても国民年金だけですと十万円しかならないわけですね。現状では十五万二千円ですか、になるわけです。しかも今度、空期間でもできてしまえばそれこそ夫婦で十万円にも満たない。先ほどから言っているように、かえってうんと後退しているのではないか、そう思えてならないわけです。逆に十五万以上になるとか、あるいは二十万になるとかいうのだったらよく理解できるのですよ。具体的にいいますと十万円にしかならないのです。今の国民年金制度でいくと、夫婦でいきますと十五万突破するのですから、これでやはり前進と言えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/68
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069・山口剛彦
○山口説明員 年金の給付水準と負担との基本的な考え方でございますけれども、先ほど御指摘がございましたように、これから大変な高齢化社会を迎える、そのときにこそ本当に安定的に機能できるような年金制度にしなければならない。それを考えましたときに最も重要なのは、負担と給付がほどほどのところでバランスがとれているということが重要だと考えるわけでございます。今先生の御指摘のございましたように、今の国民年金をそのままにしておいて四十年加入という前提で計算をいたしますと、そういう数字になろうかと思います。厚生年金の場合も、先ほど申し上げましたように、今のままの制度にしておいて四十年加入を前提にしますと、八割を超えるような年金の水準が出ていくという格好になります。
その水準をあくまでも保障をすべきだということになりました場合、その費用負担をどうするかということですが、そういう前提で費用面の算定をいたしますと、国民年金で月額一人二万円弱の保険料を負担をしていただかないと、今の四十年加入で夫婦で十五万程度の年金を支給することができないという計算になりますし、厚生年金の場合には、今の保険料の四倍近くの保険料を私どもの子供の代には負担をしていただかなければならない、こういう計算になるわけでございます。それでもやはりその水準を維持することが老若のバランスがとれたということになるかということでございますが、私どもはそれは給付設計としては将来に禍根を残すことになるんではないか、やはりほどほどのところで年金についての負担面というものとのバランスを考えざるを得ない。
そういうことになりますと、今の五万円、夫婦十万円、将来、高齢化社会に老人にその水準の年金を給付するにしましても、五十九年価格で現在六千二百二十円の国民年金の保険料を、一万三千円には引き上げていただかないとそういう給付ができない、こういう計算になりますので、その辺の給付と負担とのバランスを考えますと、確かにもらう方からすれば高いにこしたことはないわけですけれども、今の年金の設計をこのままにして高齢化社会を迎えるということにつきましては、年金制度の崩壊にもつながるようなことになってしまう。ここのところは国民の皆さんのコンセンサスを得ながらどうしても軌道修正をしていかないと、年金制度の長期的な安定は図れないということで、今回の改正案を提案しているような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/69
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070・山下八洲夫
○山下(八)委員 高齢化社会を迎えるのは確かでございますし、私も冒頭申し上げましたとおりです。今手直ししないと年金制度の崩壊につながるような御答弁であるわけですけれども、私は全く逆で、今ここで慌ててやることもないと思います。逆に、年金制度を改正することによって、かえって改悪と言った方がいいようなことになるのではないかという感じがするわけです。
今、現役労働者八人で年金受給者一人を支えていると思われておりますが、将来は三人で一人を支えなければならず、保険料の引き上げや年金給付水準の切り下げは避けられない、これは今政府の答弁のとおりだと思うわけです。一見正しい理論のように聞こえるわけでございますが、私は決してそのようには思わないわけです。
一つは、年金受給者と現役労働者の数の比較が正確と言えるかどうかということです。高齢化社会の進行とともに労働力人口の構成は確かに変化もしておりますし、婦人の賃金労働への大量参加もあるわけでございます。高齢者の就労の増大も出てきているわけです。つまり、現役労働者の割合は、高齢者の増大に逆比例するのではなく、政府が言うような被保険者の急速な減少はあり得ないというふうに私は思うわけです。婦人や高齢者の雇用対策を確立することによって財政問題は大幅に改善されると思うわけでございますが、このことが全く触れられないで、とにかくどんどん高齢者がふえてくるというふうに聞こえてならないわけです。高齢化社会を逆にあおることによって今度の改正をやろうとしているように聞こえてならないわけなんですよ。
専門家の中には、社会的に扶養を必要とする世代は高齢者だけでなく、子供も含まれるのであり、六十五歳以上人口と十九歳以下人口を合わせれば、社会的被扶養者の割合は現状程度か減少傾向にあり、社会的扶養コストは逆に減少すると述べている方もあるわけです。
二つ目には、現行の年金財政の矛盾があるのではないかと思うわけです。年金財政は、先ほどもちょっと触れましたが、積立方式だと言われてきているわけですが、それは現実には、そう言いながら確かに物価上昇、いろいろな関係でスライドいたしますから、全く私が積み立てたのを私がもらうというわけには確かにいきませんけれども、それにしても私は、全体的から見ていけばやはりこれは積立方式で、年金の危機が来るとは思わないわけです。
そういうことを一つ一つ考えていくと、結局はこの年金というのはだれが負担するのかということをもう一度考え直さないといけない時期に来ているのではないか、私はそう思うわけです。ただ働いている勤労国民にしわ寄せだけするのではなくて、あるいは税金の再配分を考えてみたり、企業、使用主の負担の拡大で整理していく考えを示してみたり、あるいは制度の改正をできるだけ前向きな改正でやっていくのが一番いいのではないか。日本の社会保障費の負担は労働者に極めて重いと言わざるを得ないと思います。逆に言えば、企業、使用主負担がうんと軽いのではないかと私は思えてならないわけです。
今、年金はどうなるというのではなくて、確かにこれからどうしようということでやってみえることは事実ですけれども、社会保障の確立を図るためには、極端な言い方をいたしますと、今、約一億一千万の人口ですか、これが二十一世紀になれば日本の人口が二億になるということは決してないわけですし、やはり人口というのはそんなに伸びないわけですから、総枠からすれば年金制度だけ先行さす必要もないのではないか、そう思えてならないわけです。その辺につきまして、厚生省と自治省の方にそれぞれ御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/70
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071・山口剛彦
○山口説明員 先ほど、我が国の人口構成にも触れて、そんなに心配をする必要はないんじゃないかという御指摘もございましたけれども、そのパンフレットでも触れておりますように、我が国の人口構成、特に今社会の中堅として活躍をしておられる団塊の世代が、三十年後には老齢期を迎えるわけでございます。その時期が我が国の人口構成としても非常に厳しい時期、雇用情勢等変化があろうかと思いますけれども、これは大変厳しい時期になることは間違いないと思います。
子供の数も減ってくるではないかという御指摘もありましたけれども、私どもの推計では、子供の数と老人の数に対する若い人たちの比率でございますが、これは確かにここ数年、特に今世紀中はほぼ比率の変化はございません。老人はふえるけれども子供が減るということで、余り比率の変化がないことは確かですけれども、二十一世紀になりますと、この比率で見ましてもこれは急速に減ってまいります。子供、老人の数が人口の半数を超えるというような人口構成になることは間違いございません。
ですから、先生がおっしゃるように、これからの雇用情勢等十分考えて制度設計を考えていけば、そんなに慌ててやることはないじゃないかということでございますけれども、私ども、そういう人口構成なり今までの高度成長を経た社会経済情勢の変化等を考えますと、このままほうっておいたのでは年金制度の安定は期せられない、本当に年金が真価を発揮すべきときに十分な機能が発揮できないというふうに考えざるを得ませんし、それはそのときになったらやればいいじゃないかという御指摘もあろうかと思いますけれども、御案内のように年金制度はあしたからどうするというわけにはまいりません。今回の制度改正におきましても、短いものでも十五年、長いものでは山十年ぐらいかけて徐々に制度を変えていこう、そして何とか二十一世紀の高齢化のピークを迎えるときに、いわばソフトランディングをしていくような形で年金制度の長期的な運営を図っていきたいということで、年金制度の改革にはそれだけの時間がどうしてもかかりますので、そういう面からぜひ今回の年金改革の趣旨を御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/71
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072・中島忠能
○中島政府委員 厚生省から答弁がございましたけれども、私たちの方で現在年金制度についていろいろ勉強をいたしております。勉強する範囲が狭いのかもわかりませんけれども、私たちの目にとまるものについていろいろ読み、研究いたしますと、現在日本の年金制度というのは、世界のどの国も経験したことがない高齢化社会を日本が迎えようとしておる、そういうことを考えた場合に、今のままの年金制度ではやはり安定したものになり得ないのじゃないかというものを私たちは目にするわけでございます。
先生がおっしゃいますように、もし仮にそういう慌ててやることはないというような論拠のものがございましたら、私たちもまたそれを勉強してみたいと思いますけれども、私たちが今までいろいろな方の意見を聞き、いろいろなものを読み、研究いたしましたところでは、今厚生省から話がございましたように、今の時期に年金制度の改革に着手しなければならないのではないかという考え方が一般的でございますので、御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/72
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073・山下八洲夫
○山下(八)委員 ただいまの、短いので十五年、長いので四十年かけて改革をしていくんだ、それぐらいやはり大変な作業だということは、私もよくわかるわけです。わかるだけに、逆に言いますと、それだけ長くかかるものであるだけに、もっともっと準備をきちっとして、それこそ全国民が納得して、やはり変えてよかったなと言えるような形にしないといけないと思うのです。それにしては余りにも今、短兵急に改正しようとしているように思えてならないわけなんですが、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/73
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074・山口剛彦
○山口説明員 年金制度の改革に当たりまして、できるだけ幅広いコンセンサスを得ながら進めていくべきだという御指摘はそのとおりだと思いますし、私どもも私どもなりに、先ほどもちょっと申し上げましたように、今回の改革に当たりましては二年半前から準備を進めまして、関係の審議会でも十分御審議をいただいて御意見をいただき、その御意見の趣旨に沿って改革案をまとめるという作業をいたしましたし、また、その中間の過程では、対象者はごくわずかでございますけれども、年金に関する有識者調査というものも実施させていただきました。
また、御案内のとおり、年金制度の将来のあり方については、社会保障制度審議会等、あるいは臨調でもそうでございますけれども、それぞれの、こういう方向で年金制度を変えていく必要があるのじゃないかという御意見は、各方面から相当多数、これは五十年代に入りましてから相当御議論があって、そういう御提言を各種いただいております。
そういうものの中で私どもはだんだん年金の改革の方向についてのコンセンサスは得られつつあるのではないかということで、そういう御提言あるいは御意見等をいわば集大成したような形で今回私どもの改革案というものをまとめましたわけですけれども、この案についても関係審議会にもお諮りをしたわけです。確かに今回の案については注文は幾つかございますけれども、基本的な方向についてはやはりそんな方向ではないか。審議会によっては、やはり早く手をつけないと年金制度の安定というのは期せられないから、早くやれというような御指摘もいただいております。
そういう意味で、まだまだ不十分ではないかというおしかりは受けなければならないと思いますけれども、私どもとしては精いっぱい、先生の御趣旨に沿ったような形で年金改革に向けてのコンセンサスづくりに努力をしてきたつもりでございますし、国会に今提案をしている段階でございますので、これからも私どもの意図するところを十分にPRなり御説明なりをさせていただいて、できるだけ十分な御議論をいただいた上でぜひ改正案を成立させていただきたいと念じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/74
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075・山下八洲夫
○山下(八)委員 今、いずれにしましても二階建ての年金制度にしようという方向が出ていることは事実でございますし、また来年には、今度は共済の方も統合していくような方向が出されておりますし、最終的には先ほどから言っております七十年をめどに公的年金の一元化を完了させるということは閣議で決定されているとおりであるわけですから、そのことを考えていきますと、せっかくこれから年金をつくるのであれば、全国民が理解をし、また喜んでいただけるようなものにしないといけないと思います。特に、共済にいたしましてもたくさんいいところがありますし、また厚年にしましてもいいところがありますし、それぞれいいところは大いにとっていただきまして、本当にそれこそ長い間日本人として社会に貢献して、一応一つの節ができた、次は喜んで老後が安心して暮らせる、それを年金が大部分を支える、それが一番いい姿ではないかと思うのです。
そういうことを考えていきますと、基本年金を国年に置くのではなくて、少なくとも、税方式と申しますか何かそのようなことで考えていただき、逆に言いますと国年あたりを二階に持っていく、そして職域年金等を加味してつくっていただければ、これ以上いいものができるのではないか、そう思えてならないわけです。じゃ、財政的にどうかと言えば、財政的にもそんなに心配することはないと思うわけです。その方向でぜひ取り組んでいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
時間がなくなりますので、次に、ちょっと走っていきたいと思いますけれども、地方公務員共済組合連合会がこの四月一日に発足したわけでございますが、共済組合及び職員側の意見反映がどのように保障されていくのか、また保障されているのか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/75
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076・中島忠能
○中島政府委員 連合会の運営に関しましては運営審議会制度というものをとっております。その審議会の委員につきましては、組合員を代表する委員を半数、その他の共済組合側を代表する委員半数をもって委員が構成されておりますので、その委員の方々の議論によりまして連合会の基本的な事項が審議されていくという仕組みになっております。また、執行機関である理事の選任につきましても、組合員の意向というものが反映されるように私たちは配慮しているつもりでございますし、またこれからもそういう配慮をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/76
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077・山下八洲夫
○山下(八)委員 連合会発足に当たって、前の国会では、公務員共済年金の沿革、賃金体系、公務員制度の特性などを踏まえて共済組合制度の堅持を求め、政府もこれを尊重するとされていたわけでございますが、これを今後も尊重されていくのか。特に、閣議決定のこのようなことを見ていきますと私は大変心配するわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/77
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078・中島忠能
○中島政府委員 地方公務員共済制度というのは、先ほど来御議論がございましたように、公務員制度の一環としての特殊性を持っておりますし、そういう特殊性というのは今後の改革に当たってこれを踏まえながら議論していかなければならないということでございます。そういう意味におきまして、私たちは、今後の改革につきましては今先生がお話しになりました趣旨を踏まえて当たっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/78
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079・山下八洲夫
○山下(八)委員 共済年金について、それこそ基礎年金が国民年金になってきますし、そうしますと、逆に言えば共済をその上に乗せた二階建て年金の考え方を自治省としてもしてみえるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/79
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080・中島忠能
○中島政府委員 現在国会に提案されております基礎年金を導入することを柱といたします国民年金、厚生年金等の改正案が成立いたしますと、その趣旨を踏まえまして共済年金についても改革をしていくという閣議決定がなされております。したがいまして、共済年金についても基礎年金制度を導入するという前提でこれから議論をしていかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/80
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081・山下八洲夫
○山下(八)委員 そうしますと、冒頭大臣にお尋ねしたわけでございますが、最初の理念からいきますとこの共済制度というのはかなり変質をするのではないかと思うのですが、その辺につきましてはどのようなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/81
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082・中島忠能
○中島政府委員 これから年金制度が非常に難しい時代を迎えると認識しておりますが、その中にあって共済年金制度をこれからどういうふうに改革していくかという議論をこれから始めようというわけでございますけれども、基礎年金制度を導入するということになりますと、共済年金の給付体系とかその他の制度の改革というのが当然議論されなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/82
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083・山下八洲夫
○山下(八)委員 特に、共済につきましては共済の適用者がたくさんいらっしゃいますし、その各共済組合の職員側の意見というのは十分に反映されるのかどうか、またそれが保障されるのか。これからどんどんそのような機会が出てくると思うわけですが、私はぜひ保障していただきたいと思いますし、また反映もさせていただきたいと思うわけですが、その辺の考え方とこれからの段取りを、もしありましたら教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/83
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084・中島忠能
○中島政府委員 年金制度を改革いたします場合は、従来もそうでございましたが、これからも、組合員の意向、特に関係審議会にお諮りいたしましてその審議会の十分な御議論をいただいた上で改革していかなければならないと思います。この年金制度というものが現在の地方公務員及び地方公務員であった者に非常に大きな関係があるものだけに、私たちはそこは慎重に改革を進めていかなければならないと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/84
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085・山下八洲夫
○山下(八)委員 厚生省の方にお尋ねしたいわけですが、今回の国民年金、厚生年金法の改正がされたときに、公務員の奥さんは国民年金に加入できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/85
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086・山口剛彦
○山口説明員 現在国会に提出しております法律案におきましては、共済組合の本人、それと被扶養の配偶者につきましては新しい国民年金の適用を除外するという整理をいたしております。これはあくまでも形式的な整理でございまして、そういうふうにするということで判断をしたわけではございません。
先ほど来御審議がございましたように、共済年金の改革につきましては、六十年に基礎年金を導入する等の今回の改正案の趣旨に沿った改正をして、六十一年に同時に実施をしていこうということでございますので、六十年の共済年金の制度改正の中で、共済の本人をどういうふうなことにするのかあるいはその被扶養配偶者をどう位置づけるのかという点についても御判断をいただけると考えておりますが、私どもといたしましては、サラリーマンの奥さんと同じように共済組合の配偶者につきましても基礎年金に加入していただくという方向で改正がされるものと期待しておりますが、この点につきましては、これからの共済年金の制度改革の中で決断がされる事項であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/86
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087・山下八洲夫
○山下(八)委員 今のお話では、できれば国民年金に加入できる方向にしてもらいたいというふうに受け取ってもいいのですね。私も一つ心配しますのは、今ある既得権がなくなる要素があるわけですね。さっきから改正改正と言っておりますけれども、これはあっちこっち改悪の面が見え隠れしていて私も心配で仕方がないわけです。ですから私は、もっと慎重に、それこそ短いので十五年、長いので四十年もかかる、しかも二年あるいは二年半の準備期間が要るとおっしゃるのですから、こんな大改革を次々していこうという考えがあるのであれば、その準備期間というのはもっと慎重にやっていただいてもいいと私は思うわけです。そういう意味でちょっとお尋ねしたわけでございますが、ぜひ公務員の妻が無年金になることだけは避けてもらいたいと思うわけです。
時間がなくなりましたが、せっかく大蔵省に来ていただいておりますので、ちょっとお尋ねしておきたいと思うわけです。
八一年の十二月、行革関連の一括法案で、政府は厚生年金、それから共済年金の国庫負担についてそれぞれ四分の一を削減されたわけでございます。この国庫負担削減分は将来的に返還されることになっているわけでございますが、さらに八二年度の人事院勧告実施見送り、公務員賃金の凍結は、年金スライド停止に連動されております。八三年度の人事院勧告無視の二%の低額引き上げも各年金のスライドに連動させられ、厚生年金、共済年金、国民年金は八二年から八三年の物価上昇率にははるかに及ばない二%スライドに抑え込まれているわけでございます。それと同時に、人勧の完全実施が基本ですが、年金の場合はこのスライドの積み残し部分についていつどのように復元をしていただくのか。また同時に、四分の一カット、これは三年間という約束でございましたので、この還元はいつされるのか、その辺につきまして、まず大蔵省と自治省の方にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/87
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088・小村武
○小村説明員 行革関連特例法に基づきます年金の国庫負担額の減額分につきましては、積立金の運用収入を含めまして、年金財政の安定が損なわれないよう、国の財政状況を勘案しつつできるだけ速やかに繰り入れに着手するという従来からの方針には変わりはございません。
それから年金のスライドにつきまして、確かに五十八年度におきましては、五十七年度において公務員給与の改定が見送られたという背景がございまして、恩給、共済年金、各年金のアップを見送らざるを得なかったわけでございますが、五十九年におきましては二%、国家公務員の給与並みに各年金の改定を行ったわけでございます。
今後どういうふうにするかということでございますが、これは今後の物価動向その他公務員給与の動向等を勘案しながら決められていくべき性格のものであろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/88
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089・中島忠能
○中島政府委員 四分の一カットの返還の問題でございますけれども、国家公務員共済組合に対しまして国が講じた措置、講ずるであろう措置に準じまして、地方公務員共済組合に対しても自治省の方で適切な措置を講じていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/89
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090・山下八洲夫
○山下(八)委員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。
婦人の年金につきましてちょっと一言触れさせてもらいたいと思います。
確かに制度的には、一面的には、離婚されたりしますと今日では無年金になるということから考えていきますと、前進の面は見えるわけでございますが、特に、婦人の平均賃金は男性の六割で、年金水準も低いままで、年金の開始年齢を今回五十五歳から六十歳に、また昭和七十三年から六十五歳にと三段跳びで引き上げられていくわけです。特に、今回の国会に男女雇用平等法が出ておりますし、この男女雇用平等法が社会的に認知されて本当に男女雇用平等となるまで、婦人の年金については、三段跳びで引き上げるのではなくて五十五歳支給のまま残していくということをぜひ考えてもらいたいと私は思うわけですが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/90
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091・山口剛彦
○山口説明員 今度の制度改革の一つの大きな柱としまして、各種の特例措置を公平という観点から見直していこうということが一つございます。
この女子の特例につきましても、御指摘の支給開始年齢が男子は六十歳であるのに五十五歳、保険料率が安いというような特例がございます。この特例につきましては、従来は、皆年金になります前、女性の実質的な雇用期間が非常に短くて、皆年金になっておりませんので年金に結びつかないで終わってしまうというような方々も相当多かったためにこういう特例も設けられておるわけですけれども、皆年金になりまして、すべての就労期間がすべて年金に結びつくという体制になった現時点で考えますと、女性の支給開始年齢だけを男子と区別しておく合理的な理由があるかということになりますと、これは審議会等でも御議論があったわけですけれども、現に共済組合ではそういう差別もしてないわけです。また、外国におきましてもほとんどの国ではそういう区別もしてない。それから、皆年金下での実態というものを考えますと、支給開始年齢に五歳の差をつけておくということについては合理的な理由に乏しいのではないか。
ただ、これを一気に上げてしまうということになりますと、従来の期待権等もございますし、また、雇用情勢の面でも、御指摘ありましたようにまだまだその面の推移も見る必要があるという点も若干ございますので、十五年かけて徐々にこの五歳の差を埋めていこうということで、今回の改正案に盛り込んだ次第でございます。この趣旨につきましては、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/91
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092・山下八洲夫
○山下(八)委員 確かに共済年金は今御答弁のとおりであるわけですが、まだ女性の職場と申しますか労働は、男女雇用が平等でない部分がたくさんあるわけですね。だから今までもこのようなハンディがつけてあったと思うのです。今回この男女雇用平等法が成立をして、成立した明くる日から、では全く日本の世の中がそうなるかと言えば決してならないと思うのです。これもやはり長い期間それぞれが努力をして、そして実質的に平等になっていく、こういうものであろうと思います。
それに合わせて年金も十五年間スピードを落としているんだという御答弁になろうかと思いますが、それ以前に、なかなか女性の場合は、高校か大学を卒業して、それから例えば定年までいちずに働くという方は、これだけ女性の社会進出が多くなった中でも、男性はもう全員そういう宿命を背負っていますけれども、女性はそういう環境にないわけです。そのことを考えていきますと、私は、このことについてはまだまだある程度格差をつけても何ら差し支えないのではないか、そのように思うわけです。ぜひそういうことを考えていただいて努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/92
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093・山口剛彦
○山口説明員 御指摘でございますけれども、先ほど申し上げましたように、国民皆年全体制のもとにございますので、女性が学校を卒業されて一定の期間就労されて、家庭に入られる、あるいは自営業をされるというような場合もあろうかと思いますが、そのいずれの期間もすべて年金の加入期間としてカウントされて全部老後の老齢年金に反映をされるという形になっておりますので、女性の就労期間が平均して短いということをもってして区別をしておく合理的な理由もないと思うわけです。
また、雇用情勢等、確かに御指摘の問題はございますけれども、男女の定年制の差別というのも最高裁で違憲判決も出ておるようなそういう社会情勢下でございますので、私どもは今回の改革のような方向で、まあ徐々にやるわけですので、この点については御理解をいただきたい、重ねて、恐縮でございますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/93
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094・山下八洲夫
○山下(八)委員 時間がなくなりましたからこれでやめたいと思いますが、いずれにしましても、空期間の場合はカウントされているかもわかりませんけれども、年金額が減ってくるわけですから、その辺だけはよく事情を察知して取り組んでいただきたいと思います。
以上で終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/94
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095・大石千八
○大石委員長 吉井光照君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/95
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096・吉井光照
○吉井委員 質問の重複する点もあろうかと思いますが、その点よろしくお願いしたいと思います。
まず、共済年金の性格等についてお尋ねをするわけですが、公務員の共済年金はどのような性格を持っておるのか。すなわち、退職後における公務員の最低生活を保障しようとするものなのか、それとも一定の所得保障という機能を持つものなのか、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/96
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097・中島忠能
○中島政府委員 これにつきましては、先ほど来議論がございましたが、地方公務員等共済組合法にその性格が規定されておるところでございます。地方公務員の生活の安定と福祉の向上、さらには地方自治行政の円滑な運営に寄与するというところが基本的性格でございまして、先生がおっしゃいますように、きちっとそこをどちらというふうには法律上は規定されていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/97
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098・吉井光照
○吉井委員 次に、我が公明党が従来から、国民共通の最低生活保障という機能を持たせた基本年金構想を提案しておるわけでございますが、これを受けて今回の基礎年金の導入案が出てきたのではないか、このようにも思われるわけでございます。
そこで、去る二月二十四日の閣議決定によりますと、昭和六十年において、共済年金についても民間部門と同じように基礎年金の導入を図るという改正を行うものとしておるわけですが、この場合の基礎年金とは、一体どのような性格を持って、そしてどのような内容のものなのか。内容がまだ具体化されてなければ、いつごろこれが明らかにされるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/98
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099・中島忠能
○中島政府委員 詳しくは厚生省の方から御答弁いただくのがいいかと思いますが、現在国会に提案されております法案の趣旨というのは、国民のすべてに、基礎的に保障されるべき年金というものをとにかく全国民につくっていこうという趣旨でつくられておるものだと理解しております。
したがいまして、私たち、地方公務員共済の立場から申し上げますと、それを仮に地方公務員共済に導入した場合には、報酬比例というものをその上に上乗せして地方公務員の退職後の生活の安定に資していく年金制度をつくっていくことになるのではないかというふうに現在考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/99
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100・吉井光照
○吉井委員 そこで、各制度共通の基礎年金の財源については、年金制度の趣旨が生活の最低保障的性格を有するとするのであれば、現在の社会保険料方式から税方式に変えて、いわば福祉税を創設して充当してはどうか、こういう声もあるわけですが、この点についてのお考えはどうでしょうか。これは厚生省、自治省、両省から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/100
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101・中島忠能
○中島政府委員 厚生省がいらっしゃらないようですから、私から便宜答えさせていただきますけれども、現在の年金制度というのは、共済年金も同様でございますけれども、社会保険方式というものが採用されておりまして、それが定着しているように思います。仮に税方式をそれに導入するということになりますと、税によって保険料を負担しなくても年金が受けられる者と、保険料を負担したことによって年金を受けられる者との間の均衡の問題も出てまいりますし、また、新たに税を負担することに伴う国民的な合意というものもこの際得なければならないというふうに思います。したがいまして、税方式を導入するに当たりましては検討しなければならない問題もございますので、現在定着しております社会保険方式というもので行くのが妥当ではないかというふうに現在私たちの方では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/101
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102・吉井光照
○吉井委員 さきの地方税法の改正で、国民健康保険税の課税限度額が二十八万円から三十五万円に引き上げられたわけですが、これはいわゆる健保で標準報酬最高月額を四十七万円から七十一万円に引き上げたことによる。一方、共済の方は、今回の地共済法改正で掛金の算定基準となる給料の最高限度額を四十四万から四十五万という、たった一万円の引き上げにとまっているのはどういうわけなのか。また、その引き上げ幅では適当ではないのではないか、このように考えるわけですが、この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/102
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103・中島忠能
○中島政府委員 民間企業の従事者に係る短期、長期の制度につきましては、それぞれ健康保険法及び厚生年金保険法という別の法律体系によって制度が形づくられておるわけでございますが、公務員の場合には公務員共済法という法律一本に基づきまして短期、長期のそれぞれの保険制度というものがつくられておる、言いかえますならば、公務員共済の場合には短期と長期とを統一した総合的な保険方式というものがとられておるということに伴いまして、長期と短期のそれぞれの掛金の基礎になる給料月額というものが統一されておるわけでございます。
現在までそういう制度で運営され、承認されておるわけでございますが、仮に、先生がお話しになられますように、公務員共済につきまして短期と長期の掛金の基礎になる給料月額というものを変更すべきであるということになりますと、これは公務員共済制度そのものの基本的な改革にかかわる大きな問題でございますので、長期間かけて慎重に議論しなければならない問題がそこに伏在しておるのではないかというふうに思います。
また、ついででございますけれども、今回、厚生省の方で短期に係る給料月額を七十一万円ですか、に引き上げられたというのは、最高限度額に係る掛金負担者が三%を超えるようになった場合には、おおむね一%になるまで政令によって改正できるという制度がございますので、その制度を適用して今回そういう改正をされるというふうに私たちは伺っております。
また、公務員共済の場合には、最高の四十四万円ないし四十五万円の掛金を負担しておる人間が率で申し上げますと非常に少なくて、〇・一とか〇・三の者でございますので、直ちに厚生省の方の健康保険法の改正に右へ倣えして私たちの方が制度改正を議論しなければならないという実情には、実態的にもないのではないかというふうに現在理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/103
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104・吉井光照
○吉井委員 次に、公的年金の一元化についてお尋ねをするわけですが、先ほど述べました閣議決定によりますと、公的年金制度全体の一元化については昭和七十年度を目途に完了させるとした方向性が示されているわけでございますが、この場合の一元化とは一体どのような意味なのか。また、その意味に沿った一元化のあり方についてはどのような形態が考えられるのか、この点についてひとつ大臣の御所見をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/104
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105・田川誠一
○田川国務大臣 公的年金制度につきましては、これまでの閣議決定に基づきまして、将来の一元化を展望しながら見直しを進めていくこととされているところでございまして、その一環として、五十九年におきまして国民年金、厚生年金保険及び船員保険について基礎年金の導入を図る等の改正を行います。そして、六十年におきまして共済年金についてこれに沿った制度改正を図ることとしておるのでございます。これによりまして制度の一元化に向かって大きな前進が図られる、このように考えております。
いずれにいたしましても、公的年金制度全体としての長期的安定と整合性のある発展を図る立場から、各制度を通じまして給付と負担の公平性が確保されるように必要な調整を進め、そして昭和七十年を目途としてその実現を図るようにしたい、このようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/105
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106・吉井光照
○吉井委員 公的年金制度の一元化の前に、まず、地共済それから国共済、それぞれについての統合のスケジュールというものが一体どうなっているのか。特に、地共済については、地共済組合連合会に公立学校及び警察共済が加入できる環境整備というものがどの程度進行しているのか、この点についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/106
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107・中島忠能
○中島政府委員 公的年金の一元化といいますか、国共済と地共済の統合の話をお出しになりましたが、この話を先生によく御理解していただくために、少し答弁が長くなるかもわかりませんが、御辛抱いただきましてお聞きいただきたいと思いますのは、年金制度を一元化していくというか統合化していくというのは、長い経過が必要じゃないかというふうに思います。
現在までも、例えて言いますと、国家公務員共済と三公社の共済制度が改革されるとか、あるいはまた私たちの分野で申し上げますと、先生が今お話しになられました地方公務員共済の分野についても連合会を設置して財政調整を行っていくとか、そういうような又テップが踏まれてきておるわけでございます。また今回、国会の方には、厚生年金、国民年金あるいは船員保険の改正を行いまして基礎年金を導入するというような法案が提出されておる。その法案が成立した暁には、地方公務員共済についてもそういう趣旨を踏まえて改正をしていくということで、やはりステップ・バイ・ステップでございますけれども、一元化の方向へ徐々に進んできておるというふうに私たちは認識するわけでございます。
そういう改正が地方公務員共済の分野においても行われますと、やはりその後の各制度間——まだその段階では各制度が独立に存在しておりますので、各制度間の負担と給付の調整というものが議論になりましょうし、各共済組合あるいはその他の各年金制度の間の財政調整の議論も行われるだろうというふうに思います。
したがいまして、六十一年度以降、次に国家公務員共済と地方公務員共済が統合されるのだというところまで、私たちは現在のところ、正直に、あからさまに申し上げまして腹を固めているわけではございませんし、その場合にどういう議論があるかということも現在詰めておるわけではございません。いずれにいたしましても、現在の基礎年金を導入する構想が国会で承認されました後には、ともかくそれを共済年金制度にも導入して統合化へのステップを一つ踏み出していきたいという考え方でございます。
そういうことで御理解いただきたいと思いますが、先生が質問の後半にお話しになられました地方公務員共済組合連合会に警察共済と公立学校共済を編入する話につきましては、それぞれの省庁の方に話しかけまして、それぞれの省庁で現在検討していただいておるわけでございますけれども、私たちといたしましては、この二つの共済組合が連合会に早期に加入していただくようにできるだけ努力をし、そしてできるだけ早く話を詰めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/107
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108・吉井光照
○吉井委員 次に、統合された場合の地共済と、同じく統合された場合の国共済との間の統合についてのスケジュールというものは考えられているのか、ちょっとこの点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/108
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109・中島忠能
○中島政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、基礎年金構想を導入するための法案が現在国会に提出されておりまして、これが承認されますと、公務員共済の分野についてもそれを導入していくということを考えております。そして、国家公務員共済、地方公務員共済それぞれにそういう構想が導入された後、その国家公務員共済と地方公務員共済を統合していくのか、あるいはまた、その統合というものを待たずにさらに大きなステップを踏み出すのかというところの議論がその後展開されるだろうというふうに考えておりますが、先生が今お話しになられました国家公務員共済と地方公務員共済統合の話といいますか、一元化の話というものが、現在の段階で出ておるわけではございません。
〔委員長退席、西田(司)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/109
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110・吉井光照
○吉井委員 さらに、統合がなされた場合の共済と厚生年金等の民間との統合のスケジュール、これはどうなっているのか。厚生省、いらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/110
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111・中島忠能
○中島政府委員 私が先ほど御答弁申し上げましたように、国家公務員共済と地方公務員共済の統合の話も出ておりませんし、また、公務員共済と厚生年金との統合の話も現在出ておりません。ただ、昭和七十年を目途に公的年金制度の一元化を図っていくという閣議決定がなされておりますので、それまでの間におきまして関係する年金制度間の一元化というものをどのような経過でどのように進めていくかということは、六十一年度以降議論することになると考えております。そういう過程におきまして考え方が固まりましたならば、できるだけ御説明を申し上げて御理解を賜るように努力していかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/111
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112・吉井光照
○吉井委員 このように、六十一年度以降における具体的なスケジュールというものがまだ明らかにされていない。これは高額の掛金を負担をしている現役の公務員、すなわち加入者に将来の年金制度に大きな不安を与えているのではないか。そうしたことを考えるならば、一刻も早くそのスケジュールを検討をされなければならない。当然に早く検討に着手すべきであるし、またそれを明確にすべきであろう、このように考えるわけですが、この考え方はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/112
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113・中島忠能
○中島政府委員 先生が今お話しになられましたとおりだと思います。私たちの方でも、先ほども申し上げましたように、まず共済年金制度の分野に基礎年金制度を導入するための検討というものを行いまして、その後、今先生がお話しになられますように、これからの高齢化社会を迎えるに当たりまして安定した年金制度の構想をできるだけ早く国民に示しまして、国民のコンセンサ又のもとに制度改革というものを進めていくべき責務が私たちにはあるように考えております。できるだけ先生のお話というものを踏まえまして努力していかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/113
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114・吉井光照
○吉井委員 次に、長期の財源率と給付水準の見通しについてお尋ねをしたいと思います。
地共済は、昭和六十九年度には単年度収支が赤字、七十八年度には積立金がなくなる、このように見込まれているわけです。本年の十二月は年金の財政再計算を行うことになっておりますが、財源率はどのようになる見込みなのか、お尋ねをしたいと思います。
〔西田(司)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/114
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115・中島忠能
○中島政府委員 財源率の作業につきましては昨年の末あたりから精力的に進めておりまして、最近数年間における組合員の現況とかあるいは退職の状況、年金受給者の発生、失権、あるいは年金額の状況等の実績を基礎資料として使いまして再計算を行うことになるわけでございますけれども、現在の時点では、その計算の結果を明確に申し上げるのはまだ十分な時期ではございません。
ただ、一般的に申し上げますと、年金受給者の成熟度が年々高まっているということと平均余命が次第に延びてきておるということ、そして三番目には、年金改定というのが行われておりますけれども、その改定に伴いまして積立金の不足額が相当多額になっておりますので、ことしの十二月の結果どういうような状況になるかということはしかと申し上げられませんけれども、相当程度の財源率の引き上げをお願いしていかなければならなくなるのじゃないかというふうに今予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/115
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116・吉井光照
○吉井委員 現在、地共済のモデル年金額は現役の平均給与に対して何%くらいなのか。また、厚生年金改正案では、民間労働者の老齢年金のモデル年金は、基礎年金も含めて現役の平均賃金に対して六九%になっていますね。共済年金の給付水準も将来このようにしていくのかどうか。この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/116
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117・中島忠能
○中島政府委員 現職の地方公務員の平均給料月額に対します退職年金の平均額は、現在七八・五%でございます。
制度改革後における姿はどうかということでございますけれども、基礎年金の導入を含む共済年金制度を改正いたしますと、改正いたしました後の年金水準のあり方につきましては、現在関係省庁の責任者と学識経験者を入れて検討を始めたところでございますが、先生がお話しになられました厚生年金の場合の六九%というのは、その場合の検討する一つの参考資料になるだろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/117
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118・吉井光照
○吉井委員 将来の保険料の負担の限界はどの程度と考えていらっしゃるのか。また、その場合の公的年金の給付水準というものはどの程度と考えられるのか。この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/118
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119・中島忠能
○中島政府委員 非常に難しい問題といいますか、答弁のしにくい御質問だと思います。
そこで、私が申し上げることは、ひとり言を言っておるというふうにお聞きいただいても結構ですが、欧米先進諸国の税金及び社会保険料負担の国民所得に対する割合というのをそれぞれ見てみますと、イギリスと西ドイツが大体五〇%から五二、三%になっている、そしてフランスの場合には六〇%になっている、アメリカの場合には四二%だということでございます。日本の場合は現在おおむね三五%の水準を行ったり来たりしておりますけれども、そういうことを考えますと、日本の現在の租税の国民所得に対する割合が二四%ないし二五%でございますので、仮にその率が変わらないという前提を立てますと、西ドイツないしはイギリス並みといたしますと千分の二百五十というのが限界になりましょうし、アメリカ並みだということになりますと千分の二百内外ということになろうかと思います。そこらはこれからの議論として非常に難しい議論があろうかと思いますけれども、先進諸国のそれぞれの状況を参考にしながらこれから議論していくのじゃないかというふうに思います。
非常に難しい御質問でございますので、そこらで御勘弁いただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/119
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120・吉井光照
○吉井委員 次に、共済年金の改定時期についてお尋ねをするわけですが、地共済の年金額の改定時期が現役公務員の給与改定時期より一年おくれていることについては、同時に行うよう毎年附帯決議が付されているにもかかわらず、毎年変わらない。この理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/120
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121・中島忠能
○中島政府委員 先ほども御答弁申し上げまして御理解いただくようにお願いしたところでございますけれども、地方公務員の退職年金の改定時期というものは、地方公務員共済の分野独自で考えられる問題じゃないということでございます。他の年金制度との足並みもございますし、そこらを考えながら今まで改定時期というものを考えてきたわけでございますけれども、なお、公務員給与の改定を基準にして公務員年金の改定をいたしておりますので、その技術的な面といいますか、相当な期間を経過した後に改定に着手するという技術的な問題もございましょうし、改定によって増加する費用負担の問題もその背後にあるのではないかというふうに思います。
かねがね当委員会でもいろいろな方から御指摘いただき、努力するように言われておりますので、他の関係省庁との協議を重ねながら努力しなければならない問題だと思いますけれども、現状は非常に難しい問題じゃないかと私たちは認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/121
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122・吉井光照
○吉井委員 次に、短期の財政見通しについてお尋ねをいたします。
疾病構造の変化や人口の高齢化等によりまして医療給付費が増大をしておる。これに応じて組合員負担が増大をしておるのではないかと思われるわけですが、この実態についてお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/122
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123・中島忠能
○中島政府委員 地方公務員共済のすべての共済組合でそういう事態を招いておるかといいますと、私たちの方ではむしろ組合員数の少ないといいますか、安定性がやや欠ける市町村職員共済組合においてそういう事態が生じておるんじゃないかというふうに考えております。また、実態もそういうことじゃないかと思います。そこで、先生も御存じのように、昭和五十一年度からこれについて私たちの方ではいろいろ関係者の意見を聞きながら特別な措置を講じてまいりました。すなわち、その時点におきまして財源率が一千分の百を超えるような市町村職員共済組合につきましては、組合員の掛金率が一千分の五十に据え置かれるように、それをオーバーした分については地方公共団体から共済組合に対して補助金を出していただく、その補助金については自治省の方で特別交付税上特別な措置をするということを行ってまいりました。
そういうことで努めてまいりましたけれども、昭和五十七年度から、市町村職員共済組合連合会におきまして、掛金率が一千分の五十二を超える場合には一千分の五十二に据え置くようにしようじゃないか、それをオーバーする分については連合会の方で各傘下の組合から拠出していただいた資金で調整していこうという制度を始めまして現在に至っております。そこで、秋田県の市町村職員共済組合とか鹿児島県の市町村職員共済組合とか岩手県の市町村職員共済組合は、五十八年度それ相当の交付金を受けまして、それぞれの掛金率が一千分の五十二というところに据え置かれて、各傘下の組合員の掛金率というのはそこで安定しておるという状況でございます。
今回、連合会の財政調整の対象に都市職員共済組合も加えていただきたいということで法案を提出申し上げておるわけでございますけれども、関係者の間で話がまとまりましたので、ぜひとも御承認いただければというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/123
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124・吉井光照
○吉井委員 地共済の医療給付を長期的に安定させるためにはどのような対策が必要と思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/124
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125・中島忠能
○中島政府委員 これにつきましてはそれぞれの共済組合の方でよく検討していただかなければならない問題だと思いますけれども、現在地方公務員共済組合というのは、制度としては十六の財政単位に分立しておるということでございますので、その中には、組合員数から見て安定性に欠ける組合というものも正直申し上げましてございます。そういうところはできるだけ財政調整の傘下に入れていくということが必要だと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、市町村職員共済組合連合会でそういう調整事業を行っておりますので、その実施の状況も見ながら制度というものをどういうふうに持っていくかということを改めて検討しなければならない問題だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/125
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126・吉井光照
○吉井委員 昭和五十七年度改正で市町村共済については財政調整事業を実施することになったわけですが、現在までの実施状況がどのようになっておるのか。交付金の交付対象組合数であるとか交付金の交付額、そういったものについてお聞かせを願いたいし、また、交付金を受けている組合の掛金率が高い、これはどういう理由によるのか、これについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/126
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127・中島忠能
○中島政府委員 市町村連合会の方で行っております短期財政調整の実施状況、概況については先ほど申し上げましたとおりでございますが、その制度に基づきまして交付金を受けておる交付組合につきまして御説明申し上げますと、五十七年度は秋田県の市町村職員共済組合でございます。これは組合員の掛金の軽減率にいたしますと、一千分の六・五二でございます。五十八年度は北海道、岩手、秋田、徳島、高知、鹿児島、この六つの道県の市町村職員共済組合が交付金を受けております。それぞれ組合員の掛金の軽減率にいたしますと、一番大きなのはやはり秋田県でございまして、一千分の七・八三九という軽減率でございます。一番低いのは北海道の市町村職員共済組合ですが、一千分の一・五〇ということでございます。五十九年度、私たちの方で現在予想しております交付組合は、北海道と岩手と秋田ということになるんじゃないかというふうに思います。
なお、この短期の財源率でございますけれども、札幌市の職員共済組合というものが掛金率が若干高くなっておるという話を聞いておりますが、その他の共済組合につきましては、五十八年度、五十九年度、掛金率というのは変動しないという話を聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/127
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128・吉井光照
○吉井委員 地共済の短期給付の費用負担については、「組合員の生活実態等にかんがみ、適切な措置を講ずること。」これも毎年附帯決議が付されておりますが、どのような措置が講じられたか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/128
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129・中島忠能
○中島政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、五十一年度からは、掛金率が一千分の五十を超えるところにつきましては地方団体から補助金を出していただいて、その補助金相当分を特別交付税で措置するという措置を講じてまいりました。また、五十七年度からは、連合会で短期の財政調整事業を行うべく私たちの方で措置をし、指導もしてきたところでございます。そういうことによりまして、組合員の掛金負担というのは、現在のところ一千分の五十二というところで据え置かれておるというふうに認識しております。そういうことで、当委員会の御意思にもある程度こたえているんじゃないかというふうに認識しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/129
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130・吉井光照
○吉井委員 次に、健保改革との関係についてお尋ねするわけですが、今回の健保の改革で、共済の本人負担もゼロから二割負担になるとされているわけですが、どうしてこのようなことが必要になるのか。医療費の適正化対策というのであるならば、当然薬価基準の引き下げだとか、また乱診乱療、過剰検査の是正を行う等、患者ではなくして医療サイドの改善によるべきではないか、このように考えるわけですが、この点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/130
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131・伊藤卓雄
○伊藤説明員 お答えいたします。
短期に関します先生の最初の御指摘にございましたように、我が国の医療費につきましては、人口の急激な高齢化あるいは疾病構造の変化に伴いまして大変増加傾向を示しておりまして、まだまだ根強い傾向を示しております。この傾向はまだまだ変化をしないというふうに私どもとしましては考えておるわけでございます。一方、御案内のように経済成長は鈍化しておりまして、医療費の伸びと国民の負担能力との関係を見てみますと、ますます乖離してくる、このまま放置いたしますと、医療保険制度自体安定した経営ができなくなるというようなおそれを私どもとしては持っておるわけでございます。
このような観点から、私どもは健保法等の一部改正案ということで提案いたしておりまして、先生御指摘のような医療費の適正化といったようなものも一つの大きな柱にいたしておりますが、そのほか保険給付の見直し、それから医療保険の再編合理化による負担の公平化という三つの柱を立てて今回の改正を御審議いただいておるわけでございます。これはひとえに、短期そのものではなくて、来るべき本格的な高齢化社会に今から備えておく、そういたしませんと揺るぎない基盤づくりができないという観点に立っておるわけでございますが、この三本柱の中で、保険給付の見直しという一つの大きな柱の中身に、御指摘の被用者保険本人の一部負担の導入というものを盛り込んでおるわけでございます。
先ほど申し上げましたように、保険制度を将来に向けてできるだけ公平なものにしていくという観点に立ちますと、これも御案内のように、現在の保険制度の給付率がまちまちになっている。国保におきましては七割給付、被用者保険の家族の場合ですと、外来が七割、入院が八割というようなまちまちな状況につきましては、かねてからこれも公平化を図るべきではないかという御議論があるわけでございます、したがいまして、私どもとしてはこの一部負担の制度を導入いたしまして、これは現在でも実は定額の一部負担制度はあるわけでございますが、私が申し上げておりますのは、定率の一部負担制度を導入いたしまして全体的な制度の公平化を図っていきたい。これはただやみくもに一割あるいは二割というものを課するという御提案をしているわけでございませんで、私どもといたしましては、長期をにらみながら、将来できるだけ早い時期に国民全体としての給付率を八割程度に持っていきたいということが基本方針でございまして、その第一歩にしたいというふうに考えておるわけです。
なお、この定率の一割は、経過的なものとして当面二年間一割という提案でございまして、その後は二割負担をお願いするわけでございますが、このメリットといたしまして、医療費がかかった患者さんにも窓口ですぐわかるということを通じまして、医療費に対するコスト意識を高めていただきたい。それから、健康な人とそうでない方との負担の公平化、つまり保険料を納めているだけだという健康な方にとってみれば、保険料の納め過ぎは困るというようなこともございますから、そういった方々の負担の公平化という面もこの定率には期待されております。なお、こういった負担をしていただくことによって、お医者さんにかかるよりも、もっと健康づくりに気をつけなくてはいけないという自己管理の自覚を持っていただくというような意味も私どもとしては含めておるわけでございます。
ちょっと長くなりましたけれども、定率で一割ないし二割負担するのはなかなか大変だというお気持ちはわかりますけれども、実は家族の場合ですと、負担が非常に大きな額になる場合には御案内のように高額療養費という制度がございまして、後ほど還付されるという形で患者さんの負担を一定範囲にとどめるという措置が講じられておりまして、本人につきましてもこういった措置をあわせて講ずることにしておりますので、全体的には均衡のとれた制度にしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/131
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132・吉井光照
○吉井委員 厚生省は退職者医療制度の財源として既に六百七十四億の共済拠出を予定しておる、このように聞きますが、これはどのような根拠に基づくものか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/132
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133・伊藤卓雄
○伊藤説明員 お答えいたします。
退職者医療におきます共済全体の拠出金の金額は、先生御指摘のように、五十九年七月実施ベースで六百七十四億という考え方でございますが、これは、退職者医療に要する費用、その中の被用者保険に振り向けられる拠出金、これを全被用者におきます標準報酬の総額で割ったものを拠出率という形でそれぞれの標準報酬に掛けるという方式をとっておりますが、基本的には退職者医療に要する経費を被用者保険全体で持つという考え方でございます。それはいろいろな持たせ方はあると思いますけれども、やはり負担能力に応じて持っていただくということが一番公平ではなかろうかという観点からそういう方式を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/133
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134・吉井光照
○吉井委員 退職者医療制度に対する地共済の拠出金はどのぐらいとなるのか。また、その拠出金を地共済のどこから出すことになるのか、いわゆる積立金から出すことになるのか。この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/134
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135・中島忠能
○中島政府委員 五十九年度におきます退職者医療に係る地方公務員共済組合の拠出金の額というのは、今厚生省が御説明になりましたそういう試算に基づいて計算いたしますと、おおむね四百億円程度だろうというふうに見ております。
それがどういう財源から出ていくのかということでございますが、最終的には掛金と地方公共団体の負担金によって確保せざるを得ないわけでございますけれども、仮に今回の法案が成立いたしました場合には、本人給付率の引き下げ等によりまして地方公務員共済組合の負担減というのが出てまいります。それも厚生省の試算によって計算いたしますと、おおむね三百五十億程度じゃないかというふうに見込まれますので、その差額分、すなわちおおむね五十億程度が地方公務員共済の負担増になるというふうに私たちの方では現在見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/135
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136・吉井光照
○吉井委員 そこで、退職者医療制度は、組合員たる現役の公務員と使用者たる地方団体、それに退職者自身の保険料で運営される、このように聞いておるわけですが、これでは、初年度はともかく、六十年度以降はいわゆる組合員の掛金率というものが上がってくる、このように思うわけですが、どのくらい上がるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/136
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137・伊藤卓雄
○伊藤説明員 お答えいたします。
退職者医療制度の拠出金の将来見通してございますけれども、共済組合という形で私ども区分しているわけでございませんで、トータルで御説明させていただきますけれども、五十九年度は全体では五千四百十七億、これは満年度計算になりますけれども、出していただくという形になるわけでございます。これは標準報酬の総額で言いますと五・七四パーミリ、つまり千分の五・七四ということになるわけでございますが、これの拠出によりまして恩恵を受ける退職者医療の対象者が四百万人という計算になっております。これは三十年後のピーク時で考えてみますと九・八パーミリということで、対象者が七百七十万人という試算になっております。この間の個々の医療費の要因の変化、あるいは特に退職者の場合は定年制の動向もあるわけでございますが、退職者数がどう異動していくかということがわからないわけでございますのでその辺は加味しない、現在の動向をそのまま延ばせば七百七十万人というようなことをベースにして計算いたしまして、ピーク時でも現在の試算の倍まではいかないというような計算をしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、今後の高齢化あるいは定年制の動向、高齢就業といったようなことを踏まえてまた計算自身は変わってくるのではないかというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/137
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138・吉井光照
○吉井委員 退職者が属している国保に対しては国庫負担があるわけで、退職者医療制度についても国庫負担を行って掛金率の上昇を防止すべきではないか、このように考えるわけですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/138
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139・伊藤卓雄
○伊藤説明員 お答えいたします。
退職者医療制度に国庫負担を導入してはどうかという御指摘だと思いますけれども、退職者医療制度についてはかねてよりいろいろな議論があったわけでございますが、今回のように、いわば退職した後は職場との厳密な意味での縁は切れるわけでございますので、総体として考えまして市町村の国保に管理をお願いするという形をとりまして、それに要する費用を被用者保険全体でカバーをする、そういう仕組みにしたわけでございます。
これは、基本的には世代間の連帯あるいは制度間の負担の公平ということを基礎としたものでございますので、大きく見ますと、被用者保険全体で一つのまとまりとして、団体として見るということでございますので、全体としての負担能力ということを考えますとまだ十分に負担ができるということでございまして、そのうちの個々のどの部分に国庫負担を入れるとか、あるいは制度全体に入れるとかいうことにつきましては、私どもとしては今のところ考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/139
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140・吉井光照
○吉井委員 次に、定年制条例についてお尋ねをするわけですが、地方公務員の六十歳定年制は六十年三月からスタートするわけですが、現在までの地方団体の定年制条例の制定状況、これがことしの三月末現在で七一・一%ということが自治省の調査でわかったわけですが、このように定年制条例の制定がおくれているのは一体どういう理由によるのか。この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/140
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141・中島忠能
○中島政府委員 三月末日現在で、先生お話しになりましたように七一・一%の団体が定年制条例を制定しております。この状況をおくれていると見るのか、まあまあの進捗状況と見るのか、それぞれ立場によって見方が違うと思いますけれども、私たちの方で地方団体の方から話を聞きましたところ、未制定団体の未制定の理由というのは、各団体によってそれぞれまちまちでございます。しかし、一般的に多いのは、結局定年の定め方について労使の間で合意ができないというのがやはり多いようでございますが、それ以外にも、いろいろ労働組合との間で解決すべき問題があって、その解決が長引いているために定年制条例の方まで手が届かないというところもあるようでございます。
しかし、この定年制条例というものは、それぞれの団体の職員にとりましては将来の人生設計にとって極めて重要なものでございますので、ある程度の時間的な余裕を置いて条例が制定されるのが望ましいという考え方を私たちは持っておりますので、できるだけ早く地方団体の方で条例制定に努力するように現在指導しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/141
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142・吉井光照
○吉井委員 予定の期日までに制定が完了されないとその地方団体の定年制は一体どうなるのか。また、完全に制定されるためにはどのような行政指導を行えばいいのか。この二点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/142
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143・中島忠能
○中島政府委員 先生御存じのように、地方公務員法に基づきまして各地方団体は来年の定年制を施行する期日までに条例を制定しなければならない法的な立場に置かれております。したがいまして、私たちの方では、地方団体がこの法律的な意味というものを理解せずに条例を制定しないということはあり得ないという前提に立っておるわけでございますけれども、地方団体をめぐる諸法制が、一般的にそうでございますけれども、地方団体というのはやはり法律を守ってくれるものだという前提でできておりますので、先生がお話しになられますように条例が制定されないということを前提に私たちは物を考えておりません。
先生が今お話しになられますように、未年の定年制が施行されるまでの間に必ず地方団体の方では条例を制定してくれるものだというふうに確信しておりますけれども、この定年制法というものの趣旨とか意味とかねらいというものがもし十分おわかりにならなくて定年制条例というものの制定がなされていないのならば、私たちは直接あるいは県を通じてそういう団体に対してはきめ細かい指導をしていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/143
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144・吉井光照
○吉井委員 六十歳の平均余今、これが男が十九年それから女性が二十三年、このように言われておりますが、NHKの調査によりましても、九五%の人が退職後も何らかの仕事をしたい、その理由として、四一%の人がやはりいわゆる生活の苦しさということを挙げております。既に民間企業では、こうした事態というものを重視いたしまして、定年退職準備プログラム、こうしたものを設定して退職後の生活のあり方について従業員にいろいろ相談や助言、また訓練を行っているところがある、このように聞いておりますが、地方公務員についてもやはりこのような準備を組織的に行っていくべきではなかろうか、さらに士気の高揚、公務能率向上のためにもこうしたことはやはり今から必要ではないか、このように考えるわけですが、この点についてどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/144
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145・中島忠能
○中島政府委員 全く先生のおっしゃるとおりだと思います。私たちも、現在は各地方団体に定年制の趣旨とかねらいとかいうものを説明し、そして定年制条例を制定する過程における問題点につきまして技術的な指導をいたすことで精いっぱいでございますけれども、それが一段落いたしました場合には、先生が今お話しになられました退職準備プログラムというものを組織的に研究していくのがこれからの課題だろうというふうに認識しております。そういう意味におきまして、先生から非常に貴重な御示唆をいただいたというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/145
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146・吉井光照
○吉井委員 次に、人事院勧告の完全実施についてお尋ねをいたします。
公務員の労働基本権の制約に対する代償措置として人勧の役割というものは非常に大きいわけです。にもかかわらず、給与改定率が勧告よりも低く抑えられているために、実際にはその役割は果たされていないわけです。この改善のためにはどうしても人勧の完全実施が必要となるわけですが、これについて、去る四月四日の政労代表者会談で政府側は完全実施に前向きの姿勢を示されたわけです。そこで、この人勧の完全実施について今後どのような具体的方策を考えているのか。人事院にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/146
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147・藤野典三
○藤野説明員 お答え申し上げます。
労働基本権制約の代償機能といたしましての人勧制度の趣旨から申し上げまして、勧告は尊重され機能しているということが必要であると考えておるところでございますが、そういう意味におきましては、人事院といたしましては、総裁を初めといたしまして、勧告をぜひ完全実施していただきたいということを繰り返し申し上げておるところでございますし、これが真意でございますが、先生今御指摘のように、このことにつきましては、人事院全体といたしましても国会、内閣その他各方面に機会あるごとに今後訴えていって、勧告の制度に対する理解を求めるよう最大限の努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/147
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148・吉井光照
○吉井委員 五十九年度の勧告の基礎資料となる民間給与の実態調査が連休明けから開始されたというふうに聞いておりますが、一体勧告はいつごろ出る予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/148
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149・藤野典三
○藤野説明員 勧告の時期につきましては、従来から各方面から早期に勧告しろという御要望がございまして努力をしてまいりまして、最近においては例年八月中旬のものが八月上旬に勧告をしているところでございます。
しかしながら、実は人事院の勧告といいますのは春闘のアップ率をそのまま使って計算するという単純なものではございませんで、具体的に申し上げますと、民間におきます約七千六百事業所の約五十三万人の職員について各個人個人の給与を調べてまいりますとともに、国家公務員の約五十万の職員についての給与も調べ、これと比較いたします関係で、どういたしましても相当の時間がかかってまいるわけでございます。そういうことでございますが、本年につきましてもなるべく早く勧告できるよう最大限の努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/149
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150・吉井光照
○吉井委員 五十八年度の給与勧告で実施されなかったいわゆる積み残し分が四・四四%ですか、これを合わせて五十九年度の給与勧告は大体何%になるのか。新聞では七%近い数字になるんではないか、このように言われておりますが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/150
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151・藤野典三
○藤野説明員 今先生お尋ねの勧告率が何%になるかにつきましては、実は調査の結果が出てみなければ何とも申し上げられないのでございます。といいますのは、先ほど申し上げましたように、実は春闘のアップ率ではございませんで、実際に四月分の給与として支払ったもの同士を比較する関係がございまして、先ほど御指摘がございましたような昨年の勧告が抑制された部分については、そういう意味でその差としては当然調査の中には反映することになると考えられておりますので、そういう意味においてはその分がその調査の結果として出てくるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/151
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152・吉井光照
○吉井委員 そこで、仮に七%前後になるとしますと、その場合国家公務員については約四千億ぐらいの財源が必要になるわけですね。地方公務員については一体どのくらいの財源を必要とするのか。また、その財源をどのようにして確保していくのか。自治省にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/152
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153・中島忠能
○中島政府委員 突然のお話でございますので私も正確な資料を持っておるわけではございませんが、地方公務員の場合に一%のアップをするためには一千億を少し超える、一千五十億くらいじゃないかというふうに思います。したがいまして、七%になりますと七千億を超える財源が必要である、こういうことになろうかと思います。
そこで、現在一%の先組みをいたしておりますし、それ以外にも若干予備費的な経費が計上されております。それを合わせても若干不足するのじゃないかという感じがいたしますが、詳細なところは、突然の御質問でございまして、現在のところ私、資料を持っておりませんので正確なお答えができませんが、なお、正確なお答えができない分につきましては後ほど御説明させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/153
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154・吉井光照
○吉井委員 そういった場合の財源はどこから出すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/154
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155・中島忠能
○中島政府委員 先ほど申し上げましたように、一%分は現在先組みをして予算に計上するようにいたしておりますし、他の分につきましても予備費的な経費が地方財政計画に組まれておりますし、その分につきましては地方団体で保留しておるように指導いたしておりますので、ある程度の対応というのは可能なように現在仕組んであるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/155
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156・吉井光照
○吉井委員 次に、公務によらない遺族年金についてお尋ねをいたします。
公務によもない遺族年金については、退職年金の額の五〇%になっていますね。遺族の生活実態からするならば、退職年金の受給者が死亡したからといって直ちに、単純に、また一律に二分の一とするということは問題があるのではないか。また、附帯決議も毎回七〇%に引き上げるべきだ、このようにしているわけですが、こういった点について検討されておるのかどうか。厚生省どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/156
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157・山口剛彦
○山口説明員 遺族年金の水準につきましては、現行法でも二分の一ということに原則なっておりますけれども、必要に応じて加算をつけるというようなことで、遺族の中でも必要性の高い方々については、そういう配慮をすることによって実際には水準の五割ということじゃなくて六割なり七割になっているのが現状でございます。
今後どうしていくかということでございますけれども、先ほど全体の構想についてはお示ししましたように、基本的には基礎年金という制度を設けまして、老後はすべてどなたでも基礎年金は自分個人名で獲得をするという制度になり、それに二階の部分がプラスされるということになるわけでございますけれども、典型的な遺族年金につきましては、お子さんを抱えた遺族の場合を申し上げますと、その基礎年金を遺族の場合にも五万円を支給いたします。お子さんが人数が多くなれば一人当たり一万五千円の加算をするということで、それにオンをすることになります。で、二階の部分をどうするかということでございますが、従来の考え方ですと二分の一にするということになるわけですけれども、今回の改正案ではそれを四分の三にするということで、すべての遺族の場合にそうなるわけではございませんけれども、お子さんを抱えた遺族については基本的にはそんな形になるということでございます。
それから、遺族の中に、これは必要度という意味で、非常に若くて遺族になられた方と高齢で遺族になられる方といろいろございますので、その点については給付水準についてかなりウエートをつけるということで、遺族の態様に応じた重点化を図るということも一方では考えております。大変わかりにくいと思いますけれども、そんな考え方で遺族年金を構成していこうという基本的な考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/157
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158・吉井光照
○吉井委員 そこで、遺族年金に対するところのいわゆる寡婦加算額については、五十六年度以降据え置かれているわけです。五十八年度の公務員の給与改定では扶養手当が増額改定されているわけですが、この寡婦加算額もやはり増加すべきじゃないか。この点についてはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/158
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159・山口剛彦
○山口説明員 年金のスライドにつきましては、物価の上昇率に応じてスライドをするということを義務づけておるわけですけれども、御指摘のように、加給年金につきましてはそのスライドの対象といたしておりません。これにつきましては、四年ないし五年ごとに行われます再計算の際に、例えば今御指摘のありました公務員の手当等、その他の諸情勢を総合的に勘案をしてその加算額についてのレベルを決めていくというのが適当ではないかということで、現行制度ではそういうことになっておるわけでございます。
この点については、確かに御指摘のように、その再計算の期間が長くなりますと実際の水準価値が下がってしまうというような問題点は私どもも認識をいたしております。今後その寡婦加算という制度はなくなるわけでございますけれども、子供の加算等、これは新しい制度の中でも残ります。この点については、今の制度の反省の上に立ちまして、六十一年以降の新制度におきましては、そういう各種の加算もすべてスライドの対象にするということを今後の方向としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/159
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160・吉井光照
○吉井委員 今回提案されております厚生年金の改正案では、今御説明がございましたように、遺族年金は老齢年金の二分の一から四分の三に引き上げられた、基礎年金を合わせて現行より四割程度増額することになっているわけですよ。地方共済の遺族年金についてもやはりこのような考え方を入れたらどうか、このように考えるわけですが、この点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/160
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161・中島忠能
○中島政府委員 遺族年金の給付水準につきましては、実はいろいろ議論がございますし、当委員会でも御指摘をいただいておるところでございます。
そこで、この遺族年金につきましては、その給付水準を含めましてこれから議論していかなければならない問題がそれ以外にも若干ある。例えて言いますと、遺族の範囲をどのようにするのかとか、あるいはまた遺族年金というものの給付調整というものをどのようにやっていくのかというような問題がございますので、その給付水準もあわせまして、これから公的年金制度のとにかく基本的な改革に取り組もうとしているときでございますので、その過程におきまして検討していかなければならない問題だろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/161
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162・吉井光照
○吉井委員 以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/162
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163・大石千八
○大石委員長 次回は、明後十日午後四時理事会、午後四時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十四分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01419840508/163
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