1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年五月十日(木曜日)
午後四時五十四分開議
出席委員
委員長 大石 千八君
理事 臼井日出男君 理事 小澤 潔君
理事 谷 洋一君 理事 西田 司君
理事 小川 省吾君 理事 加藤 万吉君
理事 草野 威君 理事 岡田 正勝君
大西 正男君 大村 襄治君
工藤 巖君 小杉 隆君
左藤 恵君 月原 茂皓君
中川 昭一君 平林 鴻三君
古屋 亨君 松田 九郎君
山岡 謙蔵君 佐藤 敬治君
細谷 治嘉君 松前 仰君
安田 修三君 山下八洲夫君
岡本 富夫君 宮崎 角治君
吉井 光照君 藤原哲太郎君
経塚 幸夫君
出席国務大臣
自 治 大 臣
国家公安委員会
委員長 田川 誠一君
出席政府委員
警察庁長官 三井 脩君
警察庁長官官房
長 太田 壽郎君
警察庁刑事局保
安部長 鈴木 良一君
自治大臣官房長 矢野浩一郎君
自治省行政局公
務員部長 中島 忠能君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計企画官 藤井 誠人君
厚生省保険局企
画課長 多田 宏君
自治省行政局公
務員部福利課長 秋本 敏文君
地方行政委員会
調査室長 島村 幸雄君
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委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
大西 正男君 天野 光晴君
工藤 巖君 宮澤 喜一君
小杉 隆君 河野 洋平君
松田 九郎君 原 健三郎君
同日
辞任 補欠選任
天野 光晴君 大西 正男君
河野 洋平君 小杉 隆君
原 健三郎君 松田 九郎君
宮澤 喜一君 工藤 巖君
同月十日
辞任 補欠選任
江崎 真澄君 月原 茂皓君
五十嵐広三君 松前 仰君
同日
辞任 補欠選任
月原 茂皓君 江崎 真澄君
松前 仰君 五十嵐広三君
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五月八日
重度障害者の固定資産税非課税に関する請願
(愛野興一郎君紹介)(第四一三五号)
同(岡田利春君紹介)(第四一三六号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第四一三七号)
同(渡辺省一君紹介)(第四一三八号)
身体障害者の自動車運転免許証に付される重量
制限廃止等に関する請願(愛野興一郎君紹介)
(第四一三九号)
同(岡田利春君紹介)(第四一四〇号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第四一四一号)
同(渡辺省一君紹介)(第四一四二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
昭和四十二年度以後における地方公務員等共済
組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一
部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内
閣提出第八一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/0
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001・大石千八
○大石委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤原哲太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/1
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002・藤原哲太郎
○藤原委員 高齢社会を迎える我が国の公的年金制度のあるべき姿についての見解をまず伺っておきたいと思います。
特に、去る八日の審議では、田川大臣は年金の長期的な安定性と、それから整合性の確保とを答弁されておるわけでございますが、整合性とは各種年金間の格差の是正という意味での御発言であるかどうか、その辺のことを含めまして、大臣の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/2
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003・田川誠一
○田川国務大臣 今度閣議で決定をいたしました公的年金制度の改革につきましては、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るために、計画的な改革を進めることになったわけでございます。
御指摘のように、公的年金制度は老後生活の支えとしてその重要性はますます高まっております。特に高齢化社会の到来を控えまして、その長期的安定を図っていくことが今非常に重要である、こういうような立場から年金制度の一元化を図っていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/3
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004・藤原哲太郎
○藤原委員 今大臣からもちょっとお話がありましたけれども、去る二月二十四日の閣議決定、すなわち、「公的年金制度の改革について」によれば、共済年金についても、昭和六十年度には基礎年金の導入を図る等の改革を行おうとされておるわけでございます。自治省は、この閣議決定の具体化について、どのような方法でこの改革のための検討を行おうとしておるか、この機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/4
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005・中島忠能
○中島政府委員 まず、厚生省の方から、現在基礎年金等を導入するという方向で法案が提出されております。その法案の審議の過程における議論というものをよく踏まえながら私たちも考えていかなければならないと思いますけれども、とりあえず、その審議を待つということではなくして、現在関係各省の責任者と、そして専門家に集まっていただきまして検討会を開始したところでございますが、その過程におけるというか、共済年金に基礎年金を導入するという前提に立ちました場合に解決しなければならない問題を整理し、それについての意見を交換するということを現在やっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/5
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006・藤原哲太郎
○藤原委員 そういたしますと、本年十二月には年金の財源率の再計算を行うことになっておるわけでありますが、地共済は六十一年度から基礎年金を導入するのであるから、したがいまして、その再計算では当然基礎年金を見込むべきであると思うのですけれども、その点はどういうお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/6
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007・中島忠能
○中島政府委員 基礎年金を導入するための法案を現在提出しているわけでもございませんし、それが国会の御承認を得ているわけでもございませんので、ことしの十二月に再計算の結果が出ますけれども、そのときには現在の制度というものを前提にしてやはり計算すべきだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/7
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008・藤原哲太郎
○藤原委員 過日の八日の審議で御答弁をいただいておりまするように、六十一年度以降の公的年金の一元化の段取りは未定であるという答弁がありましたし、今現在検討しておるという御答弁もいただいておるわけでございます。しかし、閣議決定や政府の方針からしても、この十二月の再計算時には、少なくともこの共済一元化も見込んで再計算すべきではないかと思われるわけでございます。自治省としても、最低十二月までには、いわゆる本年末までには共済の一元化をするか否か、するような方向をきちっととるか、しないかということの明確な態度の決定を迫られるのではないかというように思うのですけれども、決定をしなければ、これからの方向が決まっていかないわけでございまするので、この点についてのお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/8
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009・中島忠能
○中島政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、仮に共済年金に基礎年金制度を導入するということになりますと、今国会が終わりますと、その審議の過程というものを私たちもよく勉強させていただきまして、そのための準備というのも、恐らくことしいっぱいはもちろんのこと、これからしばらく相当忙しいだろうというふうに思います。したがいまして、今先生がお話しになられましたように、ことしの十二月までの間に、両共済の統合の話とかあるいはまたその間の調整の話というのは、事務的に申し上げましても非常に難しいのではないかと思いますが、恐らく先生が頭の中に描いておられますのは、自民党がお決めになりました方針の中に六十四年というものをめどにいたしまして両共済の関係整理をするということが書いてありますので、そのことを念頭に置いておられるのかと思いますけれども、自民党の方針としてはそういう方針というのを承知しておりますけれども、政府としてはまだそこまで決めておりません。
私たちの方におきましては、今申し上げましたように、まず、来年に共済年金に基礎年金を導入するとした場合にどういうふうに物事を考えていくべきかというところの整理に全力を尽くしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/9
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010・藤原哲太郎
○藤原委員 共済に基礎年金を導入しても、官民格差は依然として残っておるわけでございます。つまり、基礎年金により基礎部分が同じになりましても、いわゆる二階部分は、共済と厚生年金とではそれぞれ違っておりますので、依然として格差は残るわけであります。この格差はすべて公務員制度の特殊性によるものだと言い切れるものなのか、この辺の見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/10
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011・中島忠能
○中島政府委員 率直に申し上げまして、実はそこのあたりが非常に難しい問題だろうと思います。と申しますのは、公務員年金というのは公的年金の一つでございますけれども、あわせまして公務員制度としての性格も持っておる、そこに特殊性があるということは、みんなそういうふうに言いますし私たち自身もそういうふうに考えているのですが、その特殊性というのが一体年金のどの部分にどういうような形であらわれるのがよいのか、そしてあらわれたことに対して国民がどのように理解を示し、どのように了解していただけるのかというところは、これからの議論でございます。
これからそういうものを私たちが議論しながら国民の前に提示して、その合意のもとに形成していかなければならない。これがこれからの改革に当たりましての一番難しい問題じゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/11
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012・藤原哲太郎
○藤原委員 今もちょっと答弁をいただいたのですけれども、いま少し突っ込んで考えてまいりますると、いわゆる特殊性を将来どのように残していくかという考え方が非常に大切になってくると思うのですね。例えば、通常は国民年金が一階建て部分で厚生年金が二階建て部分となっておりまするが、公務員の特殊性ということで、共済年金の三階建て部分をさらにつくり上げていくようにするのか、その辺のところがこれから非常に問題を残すところでもありまするし、国民の側から見ても、その辺のところはどうなって本当の一元化が進んでいくのであろうかというような考え方を持つと私は思うのです。
今の近代社会あるいは福祉国家をつくり上げるということになると、片面では、自分たちが病気になったときにいつでも面倒を見てくれるような健康保険制度、それから片面では、若いときは一生懸命で働くけれども、年をとってきたら年金で生活できるという、生活保障で食べられる状態をつくり上げる、そういう二本立てのものがきちっとでき上がってまいらなければ、私は本当の意味の福祉国家ではないし、近代国家としての体制ではないというように思うわけでございます。
その辺の国民的なコンセンサスを考えながら、しかも官民格差というものをも十分頭に置きながら、国民の理解と納得を得られるような制度づくりというのが必要ではなかろうか、素人でございまするけれども、そういうように考えるのですが、その辺のお考え方を含めまして、今、特殊性というものをどういうような形で残す、あるいはどういう形のものが一番ベターか、こういうことについてお考えがあったらお示しをいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/12
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013・中島忠能
○中島政府委員 改革するに当たりましての基本的な考え方といいますか、国民に対して納得を得るべく努力しなければならないというのは先生がお話しになったとおりでございまして、そういう基本姿勢で臨んでいかなければならないと思いますが、具体的に今先生がお話しになりましたように、二階建てにするのか三階建てにするのかというような議論も、専門家はいろいろなことを言っております。
ただ、私たちはそういう人たちの意見をいろいろ聞かしていただきまして、そしてそれぞれの意見の背後にある考え方というものもよく摂取いたしまして、どういうふうに構成していくのが一番納得が得られやすいかというところの研究を始めなければならないといいますか、始めたところでございますので、私たち、現在のところ、正直に申し上げまして一つの考え方を持っておるわけではございません。そういうものを持ち合わせることができるようになりましたら、また御意見を聞かしていただく機会があろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/13
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014・藤原哲太郎
○藤原委員 八日の審議で地共済の年金の受給者の受給額というものは、現役の給与に対して平均七八・五%という答弁がございました。現在厚生年金の場合は四五%ぐらいでありまするから相当大きな格差が生じておるわけでありまして、このような格差が生じておる原因についてお伺いをいたしたいと思います。
また、仮に先ほどからの主張を認めたといたしましても、公務員のいわゆる特殊性というものを認めたといたしましても、昭和七十年度までにこの特殊性を除いた部分を同一線上にすることができるかどうか、この見通しについて伺いたいと思います。同一線上にする努力というものが必要ではないかというように思うのですけれども、お考えをお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/14
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015・中島忠能
○中島政府委員 先生が今お話しになりました数字を私たちの方で検討させていただきました。共済年金の平均受給額と厚生年金の平均受給額とがいろいろ違うという話はございますけれども、その違う理由というのが二つあるだろうというふうに思います。一つは、両者の加入期間の違いということだろうと思います。もう一つは、先生がお話しになりますように、七八・五と四五%というのは違い過ぎるのじゃないかという話ですけれども、そのパーセントを出すときに、共済年金の場合には平均給料を使っておりますけれども、厚生年金の場合には平均給料のほかに各種手当が入っております標準報酬月額というものを使っておりますので、どうしても厚生年金の方のパーセントが下がるという結果になってまいります。
簡単に申し上げますと、一つは加入期間というのが違う、そしてもう一つは、標準報酬月額を使うか、平均給料月額を使うか、本俸を使うかという差異だと思いますけれども、加入期間でも、例えて申し上げますと、共済年金の場合には三十一年、片っ方の厚生年金の場合には二十四年ということでございますので、そこらの違いも手伝いましてそういうパーセントの開きになっておるというふうに御理解いただけないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/15
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016・藤原哲太郎
○藤原委員 今の昭和七十年度の線上に合わせるという話の方は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/16
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017・中島忠能
○中島政府委員 大変失礼いたしました。
線上に合わせるというか、どういうふうにそこを理解するかということなのですが、一つの方法として、現在言われております基礎年金というものをすべての国民に保障しようじゃないかということになりますと、すべての年金受給者、すべての国民に一つの基礎的なベースができるということになろうかと思います。その上にどういうふうに上積みしていくかという議論が、それぞれの年金制度の性格とかあるいはまた目的とか今までの経緯というものをとらえて議論されるんだと思いますけれども、その上に上積みするところがそれぞれの特色が出てくると思うのですが、それも私が先ほど申しましたように、もし違うなら違うだけの合理的な理由がなければならないだろうというふうに考えております。
〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/17
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018・藤原哲太郎
○藤原委員 今回、共済と厚生年金との改定時期を合わせたのは、いわゆる公的年金の一元化を見越した処置であるように思われるのでありますが、この点どうなんでしょう。つまり、できるところから順次段取りをしていく、なし崩し的と言ったら言葉がぴたっとするかどうかわかりませんが、そういうような考え方があるのではないかというように思われるわけなんですが、それならば大変問題があるわけでありまして、一元化の方針というのは国民も大変関心を持っておるわけでありますから、したがいまして、国民にわかるような計画的に実施していく方針というものを示していくべきではないかというように思うのでありますけれども、この点についての見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/18
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019・中島忠能
○中島政府委員 新法施行後の期間に係る年金改定の実施時期を四月にいたしました。厚生年金の方も四月実施ということになっておりますけれども、その両者が合致しておるということは将来の一元化ということを展望したからではないかというお話だと思いますけれども、実はそこまで考えてやったわけではございません。私たちは非常に単純といいますか、国家公務員の共済年金制度というものと歩調を合わせるとか、他の共済制度と歩調を合わせるというようなことで四月実施というふうにしたと御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/19
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020・藤原哲太郎
○藤原委員 次に質問を進めてまいりたいと思います。
被用者保険の本人負担のことについて伺いたいと思います。これはもちろん今回医療保険の改正で現在審議中のものでございますけれども、これが成立することになれば、地共済は本年度に退職者医療制度に対し四百億円を拠出することになるわけでございますけれども、今度の改正が通ってまいりますと本人給付が十割から九割に下がる、したがって三百五十億円が浮くので実質五十億円の持ち出しという答弁があったわけでございます。
この退職者医療制度の財源というものは、退職者の診療時の一部負担と国保保険料と被用者保険の拠出だけで賄うわけでございまして、退職者医療の性質からいっても、高齢に伴う医療費の支出というのは非常に大きいと思うのですね。これに対して保険料の引き上げというのは、こういう退職者医療という性質からいっても非常に困難だというように思われるわけでございます。したがいまして、被用者保険つまり地共済でプールしたものの中から支払うことになります。しかし、支払いができないということになれば、当然現役の組合員の掛金の引き上げで対応しなければならないような形になるのじゃないか、地共済の短期の掛金率は従来以上に大幅に引き上げざるを得ないのではないか、かように思われるわけでございますけれども、これについての御見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/20
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021・中島忠能
○中島政府委員 火曜日でしたか御質問がございましたので、今先生がお話しになりましたような御説明を申し上げました。
そこで、地共済としてはおおむね五十億くらいの持ち出しになるだろうということですが、この退職者医療制度というものについて私たちがそんなに大きなことを言える立場でございませんけれども、かつて我々の仲間であった人が卒業して、そして何らかの医療保険制度の恩恵に浴さなければならないわけですけれども、その人たちが国民健康保険の方に入っていって、そして国民健康保険のお世話になるというふうにしておくのか、それとも国民健康保険の立場も考えながら、新しい制度をつくって、そしてそういう制度を生かすために、それぞれの保険制度が相互協力といいますか相互救済といいますか、そういう精神にのっとって助けていかなければならないのかというところは、それぞれの立場によって考え方があり、また意見があるだろうというふうに思いますが、私たちといたしましては、相互救済、相互協力という考え方に基づきましてできるだけの協力はしていくべきだろうというふうに考えております。
そのときに、今先生がお話しになりますように、ある程度短期の保険料率にはね返ってくるのじゃないかという御心配でございますけれども、今のところ、そういう心配がございます市町村職員共済組合につきましては、これも先般御説明申し上げましたように、短期給付についての財源調整という制度ができておりますし、それである程度の機能をこれからしばらく果たせるのじゃないかというふうに思います。地共済の世界の中においてできるだけのことをして、それでどうしてもというときにはまたいろいろ相談を持ちかけるべきところがあろうかと思いますけれども、今のところは我々の世界の中でできるだけの努力をしてみょうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/21
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022・藤原哲太郎
○藤原委員 今の答弁で、その問題については大変前向きに対処していくということでございますが、私ども、将来的に考えた場合、地共済の掛金を上げていかざるを得ないような状況が生まれてくるのじゃないか、退職者の医療保険には現在でも国庫負担が導入されておるわけでありますから、地共済の組合員の掛金の引き上げを幾らかでも軽減するために、新しい退職者医療制度に国庫負担の導入を新たに考え合わせながら取り組んでいったらどうかというように考えるのですが、この点のお考えはいかがでございましょうか。
〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/22
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023・多田宏
○多田説明員 このたびの退職者医療制度の創設につきましては、その財源と申しますか、この点は退職者自身の納めます国保保険料とそれから被用者保険から拠出していただく拠出金とで賄う、こういうことにいたしておりまして、国庫負担は導入しないことにいたしております。
この点につきましては、医療保険に対する国庫負担といいますのは、制度が分かれていることによって特に弱小な医療保険に対してその格差是正の意味で国庫負担を投入する、こういうことが基本的な考え方でございまして、今回の退職者医療というのは、被用者保険全体がいわばスポンサーになってそしてOBの面倒を見よう、こういう形でございますので、被用者保険全体として見て、これが非常に弱小であってほかよりも援助を求めなければならないような集団であるかということになりますと、どうもそうも言えないということでございますので、ちょっと国庫負担という形はなかなかとりにくい、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/23
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024・藤原哲太郎
○藤原委員 去る四月二十七日に、厚生省はいわゆる医療政策の中長期ビジョンを衆議院の社会労働委員会の理事会に提出しておるわけでございます。これによりますと、六十年代後半にはすべての医療保険の給付率を本人、家族とも八割程度に統一をする、また、負担面でも全医療保険制度の財源調整などを行うとされておりますが、自治省はこのような改革についてどのような見解をお持ちになっておられるか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/24
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025・中島忠能
○中島政府委員 厚生省が発表されまして、私たちもそれを取り寄せて読ませていただきました。この面についての専門家でもございませんので、それほど先生に御満足いただけるような答弁ができるかどうか若干不安でございますけれども、それを読みますと、これから人口が高齢化していく、あるいはまた医学、医術が進歩していく、そして国民医療費が増大していくという前提に立ちまして、二十一世組に向けて安定した保健医療制度を確立していこうじゃないかという考えで恐らくお出しになったのだろうというふうに思います。そのときに検討対象にされておる項目というのが、健康づくりの推進とか地域医療を確保するための医療供給体制の整備、あるいは将来にわたる医療費規模の適正化とか医療保険の給付と負担の公平化というようなことが挙げられておりますけれども、そういう項目はこれから我々が検討していかなければならない極めて重要な課題であるというふうに考えております。
私たち、厚生省の方からその内容といいますか、背景になる哲学というものもまだ伺っておりませんので、できるだけ早くそういうものも教えていただきまして、勉強していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/25
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026・藤原哲太郎
○藤原委員 どうも厚生省の方からも十分なるあれがないようでございまして、今そういうお話でございまするので、この機会に厚生省の方にちょっと伺っておきたいと思うのです。
このようにいわゆる国民生活に重大な関係のある案については、常識的には、それぞれ関係のところと十分相談をしながら提出してくる、まとめてくるのが建前であるし、そうあらねばならぬと私は思うのです。ところが、今のお話ですと、どうも健康保険法を通すために一時しのぎのごとく出てきたというような感じがしないでもございません。したがいまして、これは厚生省が相談しないで独自の案として出したものなのか。
それから、一例でありまするけれども、給付率を八割程度に統一をするということになると、共済の本人の掛金は上がるのか下がるのか。あるいは、いわゆる共済年金では公務員制度に基づく特殊性を徐々に薄めていくにしても、形はしばらくの間残るだろうということでございまして、そうなると、共済の医療保険について一体公務員制度の特殊性も考えるのか、あるいは考えないで八割統一という一つのことで押していくのか。この辺のことについて、ひとつこの機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/26
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027・多田宏
○多田説明員 お尋ねの第一点の方でございますが、この「今後の医療政策の基本的方向」と題する私どもの方の取りまとめた試案でございますが、この点は、健康保険法等の一部改正案をめぐる国会審議等を踏まえて、現段階で厚生省の描いている医療保険を中心にする保健医療政策の基本的方向を取りまとめたということでございまして、厚生省の試案という形で発表させていただいております。したがいまして、あくまでも厚生省の試案でございまして、関係各方面との協議や調整を経たものというわけではございません。
それから第二点の、八割に統一したときに共済の掛金はどうなるかというお話でございますけれども、実はまだ給付率を統一した段階での財源の調整の仕方は、私どもの中でも確定的なものを持っておるわけではございません。六十年代後半にそういう方向を実現したいということでございまして、その場合に、その所要の財源は一体国庫負担でやれるものなのか、あるいは財政調整といったような格好で、全制度が持ち寄るような格好で八割に統一を図るのか、あるいは制度を統合していくというようなことまで含めて全体としてその財源を見出していくのかといったようなことにつきましては、今後の医療費の動向、経済情勢の動向といったようなことを総合的に考えながら、特に財政の状況もにらみながらこれから検討していく問題であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/27
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028・藤原哲太郎
○藤原委員 今お話を承っていると、割に正直なことを言っておるわけなんですが、同時に、医療保険の改正という面から見ればいま少し国民の前に明らかにしなければならない問題点があるんじゃないでしょうかね。今のような雲をつかむようなことで健保の改正をしてほしいというのは、ちょっと無責任なような感じがいたします。ただ、正直に答弁されたというように理解をいたします。
それでは、時間はできるだけ早くしたいと思います。大蔵がおいでになっておられると思いますので、行革関連の特例法の問題について質問をいたしたいと思います。
先日の新聞報道によれば、大蔵省は、五十七年、五十八年、五十九年の三カ年に限り適用されている行革関連特例法の適用期間を延長する意向であるというような報道がございました。しかし、同法は、地方団体に対し国の補助率のかさ上げ分の六分の一カット、それから小中学校の四十人学級の凍結、そして公的年金の公的負担分のいわゆる四分の一カット等々、地方行政には大変大きな影響を与えるものであります。したがいまして、大蔵省は、同法の取り扱いについてこの新聞報道のとおりなのか、一体どういうお考えなのか。大変重大な関心を持つ事項でございまして、多分田川大臣も関心を持っておられるんじゃないかと思います。したがいまして、まず大蔵当局からこの新聞記事についての見解を求めておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/28
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029・藤井誠人
○藤井説明員 お答え申し上げます。
新聞報道は私どもも承知しておるわけでございますが、行革特例法の特例適用期間につきましては、同法の制定当時、五十六年の十二月でございますが、その当時五十九年度までに特例公債依存から脱却するという方針でございまして、そういうこともございまして、その一つの区切りとして五十九年度までとしたわけでございます。これは先生の御承知のとおりでございます。
ただ、今後、つまり六十年度以降の財政改革の方策につきましては、当然のことながら、今後の財政改革全体をどのように推進するのかというような観点から、今後政府部内において財政状況とかあるいは社会経済情勢等を総合的に勘案いたしまして検討すべき課題ではなかろうかというように考えております。したがいまして、現時点で行革特例法につきまして、それに盛り込まれている幾つかの施策の六十年度以降の取り扱いにつきまして確たることを申し上げることはできないわけでございます。
いずれにいたしましても、昭和六十五年度特例公債依存体質からの脱却という新たな努力目標に向けまして、まず行財政の守備範囲を見直すというような見地から歳出構造の見直しを行うということに最大限の努力を重ねてまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/29
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030・藤原哲太郎
○藤原委員 今、延長するとも、内容的にはいわゆる行革について今後も努力していくということでございますが、私ども、国も地方も、いわゆる行政改革で安上がりの政府をつくり、国民の信頼にこたえていくということが必要なことは言をまたないところで。ざいます。
そういうようなことを一面では考えますが、他面では、やはり地方自治体の今の現状からいって、前にカットされた部分の中でも、少なくとも自治大臣としては、今後延長する場合を含めましても、どういう問題についてはどうしてもやるという自治省の主張というものがおありではなかろうか、こういうように思うわけでございまして、その辺の大臣のお考えをこの機会に伺っておければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/30
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031・田川誠一
○田川国務大臣 行政改革は推進をしていかなければならない緊急の課題でございます。また、行政改革に対する臨調や行革審の答申も尊重していかなければなりません。しかし、すべてをそれでは尊重しなければならぬかと言えば、やはり私どもには地方自治の立場から守っていかなければならない問題もございますし、また、答申は必ずしも地方自治に対して正しい認識のもとに答申をしたというものばかりではないはずでございまして、私どもの認識とは違った点については了承することはできないわけでございます。
先ほどの行革の特例法の見直し、延長については、新聞でちょっと見ましたけれども、具体的には何ら話もありませんし、今後このような問題について協議があれば、その真意や説明を聞きたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/31
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032・藤原哲太郎
○藤原委員 大蔵、厚生それぞれにまだお伺いをするということで来ていただいておりますけれども、全体的に審議がおくれておりますので、以上をもって質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/32
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033・大石千八
○大石委員長 経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/33
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034・経塚幸夫
○経塚委員 まず最初にお尋ねをしたいわけでありますが、昨年の九十八国会におきましていわゆる連合会法が成立をいたしまして、四月一日から発足を見ておるわけであります。この運営審議会の委員の人選の問題でございますが、委員会におきます答弁を見ますと、「連合会を組織する組合や組合員の意向が連合会の運営に適切に反映されることを基本といたしまして、任命側委員と職員側委員の別に、地方職員共済組合」云々、こう書かれております。
委員の顔ぶれを見ますと、東京都の職員代表が入っておらないように見受けられるわけでありますが、これは一体どういう事情になっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/34
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035・中島忠能
○中島政府委員 先生よく御存じのように、十四人の委員をもって構成することになっておりまして、そのうち七人を組合員代表ということで任命したいということで進めておりましたけれども、適任者が見当たりませんので、今、一人任命がおくれているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/35
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036・経塚幸夫
○経塚委員 そうしますと、現在の段階では適任者がおらない、しかし意向としては、適任者が見つかればあと一名東京都の職員代表として加える、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/36
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037・中島忠能
○中島政府委員 職員側代表につきまして、職員側というか組合員代表というものの推薦を全国的な労働団体の方にお願いしておりまして、その全国的な労働団体がどういうところから推薦されるかということになろうかと思いますけれども、そのときに恐らく全国的な労働団体は、理事者側といいますか、その方の委員の配分状況というものも参考にされながら推薦されるだろうというふうに思いますが、必ずしもそこは私たちは職員団体側の推薦の内容について立ち入って指示する考えは持っておりません。したがいまして、できるだけ早く推薦していただいて、連合会の運営審議会ができるだけスムーズに完全な形でスタートするように私たちは現在期待しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/37
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038・経塚幸夫
○経塚委員 御答弁にもございますように、推薦がございましたら、できるだけ早く委員に加えていただきますようにお願いをしておきます。
続きまして、今回の改正に伴います年金額の問題についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、人事院の勧告どおり実施するとすれば、総額は一体幾らくらい必要になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/38
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039・中島忠能
○中島政府委員 九百七十億円というふうに推計しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/39
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040・経塚幸夫
○経塚委員 積立金は現在幾らあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/40
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041・中島忠能
○中島政府委員 五十七年度末の地方公務員共済組合全体で申し上げますと、九兆四千七百八十五億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/41
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042・経塚幸夫
○経塚委員 そうしますと、必要な財源は九百七十億、そして積立金が九兆を超えておるわけでありますから、これはやろうと思えば財政的には人事院の勧告どおり六・四%引き上げができますね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/42
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043・中島忠能
○中島政府委員 私たち、共済関係の制度改正をするときにいろいろ考えなければならない要素があると思います。
一つは、やはりこの共済制度というのは他の年金制度との関係において考えなければならない。私が火曜日にもいろいろな先生方に御説明申し上げましたように、今の公務員共済というのは、その生まれた経緯から見ましてもいろいろな性格を持って生まれてきているものですから、地方公務員共済が単独にひとつ年金改定をしようじゃないかということはなかなか難しいような環境に置かれております。それがまず一つあろうかと思います。
もう一つは、私たちが年金改定をするときに、それが後年度とういうふうな影響を与えていくのだろうか。今私は九兆ばかりの積立金があるというふうに申し上げましたけれども、その九兆余りの積立金というものも、実はこれから高齢化社会を迎えての財源としては貴重なものでございますし、それをどのようにうまくといいますか、どのように関係者に満足していただくように使っていくかということも私たちの大きな責務でございますので、そこらも考えながら、今申し上げました二つの要素を考えながら、どういうふうに改定をしていくかということを決めていかなければならないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/43
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044・経塚幸夫
○経塚委員 額の改定については、将来財政運営がどうなるかということを考慮に入れて検討されることはもとよりだと思うのですが、他の制度との関連という問題については、これはそれぞれ額の改定についての法律が固有にあるわけでしょう。例えば恩給法には二条ノ二において恩給の額の改定の問題が書かれておりますし、それから地方共済については共済法によって額の改定についてはうたわれております。したがいまして、それぞれとの関連という問題があるとしましても、額の改定のよって立つべき根拠は、地方共済法によって額の改定をすべきだ、これを優先すべきだ。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/44
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045・中島忠能
○中島政府委員 地方公務員等共済組合法によって額を改定すべきだということはおっしゃるとおりでございますけれども、それを行う場合には、やはり国家公務員共済との関係とかあるいはまた恩給との関係とか、そういうものを考えながら改定をしていかなければならないというふうに考えておりますし、今までの地方公務員共済年金の改定につきましてもそういう経過が見られるところでございますので、私たちの今回の改定内容というのは、洗生はそういうことはおっしゃらないと思います構れども、一応私たちは健全な良識に基づいて判断した結果だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/45
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046・経塚幸夫
○経塚委員 それぞれの制度にそれぞれの法律がある、逆に言えばそれぞれの法律があってそれぞれの制度がある、こういうことになっておるわけですし、しかもその法文を見ますと、これは何も他の制度との関連を考慮しながら額を決めなさいとは書いてないわけなんです。地方公務員等共済組合法七十四条の二によれば、「国民の生活水準」でしょう。「地方公務員の給与」でしょう。「物価その他の諸事情」でしょう。ここに、他の制度との関連を勘案の土とか調整の土とかいう文言があれば別ですけれども、恩給の額については恩給法があり、地方共済については地方共済法に基づく額の改定が文言として明文化されているわけですから、何もほかを構わずにこれだけやったらいいじゃないかと、私は極端には言いませんけれども、それぞれの生い立ちがあって制度がつくられ、そして法律がつくられてきたという経過があるのですから、やはり私は配慮すべきだということになれば、他の制度との関連よりも、この地方共済の制度と共済組合法というものを優先させた上に立って、さあどうなんだという改定をやるくらいの腹を自治省が持たれないと、このままの状況でいけば制度そのものの否定につながるのじゃないかということを危惧するわけなんです。
お尋ねいたしますが、退職年金者の今日の生活の実態調査などは自治省としてはされておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/46
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047・秋本敏文
○秋本説明員 退職年金者の生活実態についての調査でございますけれども、共済組合を通しまして、その平均年齢でございますとか、それから家庭、世帯の状況でございますとか、それから平均の年金額の状況でございますとか、その生活経費の実態でございますとか、それらを調査したことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/47
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048・経塚幸夫
○経塚委員 それは、一番新しいのは何年度の調査になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/48
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049・秋本敏文
○秋本説明員 ただいま申し上げました調査の最近のものは五十五年三月現在のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/49
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050・経塚幸夫
○経塚委員 五十五年三月といいますと四年間調査が行われておらないわけでありますが、これは今度の制度改正の問題も絡んでまいりますから、私は、自治省としては調査をされる必要があるのじゃないかと思うのです。
といいますのは、私ここに持っておりますのは、これは大阪府の市町村職員年金者連盟の加盟者五千名に対する調査でございますが、回答が二千五百人、アンケートを出しまして約八〇%台が回答を寄せているわけですが、これを見せていただきまして、大変深刻な状況だということを感じました。
といいますのは、若干例を挙げてみますと、生活費について一体幾らかかるのか、この調査ですが、夫婦の世帯で十七万円と答えておるのですね。これは人によっては、年金生活者で夫婦で十七万円、ちょっとかかり過ぎじゃないかとおっしゃる意見があろうかとも思いますけれども、しかし、人間の生活というのは急にそんなに変えられるものじゃないわけですね。だから、こういう数字が出てくるのは当然だと思うのです。
ところで、年金額については一体どういう額を受給しておるのかという質問に対しまして、月十五万以下が何と六五%を占めているのですね。六割五分が月十五万円以下なんです。生活の度合いにつきましての質問に対しては、これは平均でございますが、とてもできない、あるいは大変苦しい、こう答えた方を合計いたしますと、四四%ですね、これは年齢は全部でございますから。ところが五十九歳以下になりますと、六〇%が非常に苦しい、やっていけない、こういう回答を寄せております。これは、年金受給額が月十五万以下が六割五分で、生活費が夫婦で平均十七万円ということになりますと、こういう答えが出てくるのは当然だろうと思います。
再就職したらどうなんだということなんですが、この再就職の状況を見てみますと、六十歳代の後半では再就職できた人は三割なんですね。これはもう当然年齢がいくに従って再就職できない、こういうことになっております。しかも約五三%が再就職によって得ておる収入は十三万以下、こういうことになっておるわけです。
中でも私は大変だと思いますのは、現業労働者の状況は極めて深刻だと思います。現業労働者、軽、重、それから水道の現場作業者、運転手等々見てみますと、百二十万以下です。月十万以下というのが何と現業労働者の五七%。この月十万以下というのは、課長級以上で退職した場合は一割五分であります。事務職の場合は約三割であります。ところが現業労働者の場合は、五七%が月十万以下という状況なんですね。
これはなぜこうなのかといいますと、退職するまでの勤続年数が非常に少ないわけです。十九年以下で退職した人が実に三九%を占めております。それで、しかも退職の理由が、体力や気力の衰えというのが月十万の年金額以下の人の中で五一%を占めているのですね。つまり、現業労働でもう体が疲労こんぱい、これ以上働けない、あるいは気力がついていけない、こういうことで勤務年限が少ない。したがって年金額も少ない。
そして再就職率はどうかといいますと、課長級以上の場合は五〇・七%が再就職、ところが現業労働者の場合は再就職できましたのが一四・四%なんですよね。これは、特技がない、特別に買っていただく技能の持ち合わせがない、こういうようなことで、管理職、技能者と比べますと現業労働者が退職後も大変苦しい生活を強いられておる。だから、現業で働いておる時代にはいろいろな面で格差、差別を受けながら、退職後はさらに大きな格差を受けておる、こういう状況が出ております。
最後に、希望を聞いたアンケートをとっておるわけでありますが、年金の引き上げを希望しておりますのが、年齢のいかんを問わず、平均しますと八三・八%なんです。医療費の無料、これを要望されておりますのが、六十歳から六十四歳代で女性では四四・六%に上っております。この年代は当然無料化から除外をされておりますから。
しかも、これを調査いたしましたのは五十七年でございますから、つまり人事院勧告どおりの年金の引き上げが行われておった時代の調査なんです。そうしますと、五十八年、さらに五十九年、今日、調査をするとすればもっと深刻な状況が生まれてきておると思うのですね。したがって、今回の改正、二%程度では物価の上昇にも追っつかない、やはり人勧どおり改正をすべきだということとあわせて、年金生活者の調査を改めてやる必要があるのじゃないかと私は考えておりますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/50
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051・中島忠能
○中島政府委員 ただいま先生の方でお調べになりましたというか、入手されました貴重な資料を聞かせていただきまして、私たちも年金に関する仕事をする一人といたしまして、本当にいい話を聞かせていただけたというふうに思います。
そこで、私たちの方も、五十五年から今まで調査をしていなかったわけですけれども、先ほど来いろいろ御答弁申し上げておりますが、年金についてこれから作業がございますが、できるだけ早い時期、五十五年に行いましたので、ひとつ来年の早々にも調査をするように考えてみたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/51
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052・経塚幸夫
○経塚委員 次に、いろいろと質問が出ております制度の改正問題、改革問題についてお尋ねをしておきたいと思うのです。
二月二十四日の閣議決定の文書を見てみますと、五十九年は、国民年金、厚生年金は「共通の基礎年金を支給する制度とするとともに、厚生年金保険は、基礎年金の上乗せとして報酬比例の年金給付を行う制度」。それから六十年は、この閣議決定によりますと、「共済年金について、上記の基礎年金の導入を図る等の改革の趣旨に沿った制度改正を行う。」それから六十一年度以降は、「給付と負担の両面において制度間調整を進める。」そして、最終段階は、七十年、「公的年金制度全体の一元化を完了させる。」こういうふうに順を追って制度の改革が行われるということになっておるわけであります。
これは閣議決定でございますけれども、問題は、自治省として今日の地方共済の年金制度について改正の必要があると判断をされておられるのかどうなのか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/52
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053・中島忠能
○中島政府委員 改正する必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/53
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054・経塚幸夫
○経塚委員 改正の必要がある。そうしますと、自治省としては、改正の必要をお考えになった以上は、どの点をどうすべきか、これは何も論議なしに、閣議決定でそうなっているから変えなければならぬ。という受動的なものじゃないと思います。今の御答弁そば、自治省として改正の必要をお感じになっておられる、こういうことですから、そうすると、一定の論議の上にそういう結論が出たと判断ができるわけでございますが、現行共済年金制度でどの点にどんな問題があって、ここはどうしなければならぬというような点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/54
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055・中島忠能
○中島政府委員 先生のようにきちっと私たちは考えてというか、そこまで詰めて申し上げることができないわけですけれども、例えて言いますと、地方公務員共済の年金だけの将来について考えましても、恐らくこれからは組合員数というのはそんなにふえていかないだろうというふうに思います。けれども、一方、年金の受給者というのはもうどんどんふえていっている。
例えて言いますと、地方公務員共済の場合だけでも、昭和五十年時点では四十七万人ばかりの受給者でございましたけれども、五十七年現在の受給者はもう八十七万人になっておるわけです。この受給者もこれからどんどんふえていくだろう。母集団というのは増加しないけれども、年金受給者はどんどんふえていく。しかもその余命というのは非常に長くなっておりますし、これから年金を受けることになる人たちも、定年制の延長等もこれあり、在職年数がますます長くなって、このままの制度では年金額も高くなっていくだろうと思います。
一方、その年金を賄うべき掛金といいますか、現職公務員の負担というものも、一昨日御議論がございましたように、長い将来を考えました場合に、そんなに理論計算どおりの負担というものをお願いすることができるのかどうかという不安もございます。
したがいまして、あれこれ考えますと、やはりこの際共済年金についても考え直す必要があるだろうという意味において私たちはいろいろ議論し、共済年金についても改正する方がいいのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/55
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056・経塚幸夫
○経塚委員 そうしますと、負担金の問題、それから年金の支給額あるいは報酬に対する支給率の問題、大体この二本の柱と考えていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/56
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057・中島忠能
○中島政府委員 公務員共済年金の改革を議論します場合には、いろいろ検討しなければならない事項があると思います。例えて言いますと、制度の基本的な仕組みをどのようにしていくのかというようなことを考えなければなりませんし、公務員制度の一環としての特殊性をどういうふうにとらえ、どういうふうに制度化していくのかということもございます。あるいはまた、現在非常に盛んに言われております官民格差の議論もございますし、そういう官民格差の議論に対してどういうふうにこたえていくかということの整理もしなければなりませんし、あれこれいろいろ検討しなければならない問題がありますから、そういうものを含めまして、この際全般的に検討する必要があるのではないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/57
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058・経塚幸夫
○経塚委員 大蔵省の方から、共済年金制度基本問題研究会の「意見」が五十七年七月十四日に出ておりますが、これについては自治省としては御検討なさったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/58
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059・中島忠能
○中島政府委員 年金関係の仕事をしておる者はもちろんそれを何遍も読みまして、私たちも考えるところがございます。ただ、自治省としてそれについて何か見解を持っておるかと言われますと、そういう見解は持っておりません。先生が、もしその研究会の報告の中で、この部分についてというお話でもございますれば、非常に突然の御質問をいただくわけでございますけれども、ここでお答えできるものがございましたらお答え申し上げたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/59
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060・経塚幸夫
○経塚委員 この大蔵の方の研究会の提言、意見の中には、地方共済に関しまして極めて重大な意見、提言が行われておりますので、私はもうこれについては、一年半以上たっておるわけでありますから、当然六十年度の制度改正の立案まで本当言えばもう半年そこそこですね、六十年度、来年の国会にかけるということになれば。したがって、ある程度の論議が行われているんじゃないかというふうに考えておったわけでありますが、今具体にお尋ねあればということでありますので、ちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。
この中で、例えば給付の算定方式につきましては、定額プラス給与比例方式に統一する。現在、いずれを選択するかは自由になっておりますが、いわゆる今日の厚生年金の算定方式、これに統一をする、こう書かれておりますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/60
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061・中島忠能
○中島政府委員 定額プラス報酬比例という方式は、先生もよく御存じのように、どういう背景で生まれてきたかということなんですが、公務員の在職中の給与というものの高低がそのまま年金額に反映しないようにという配慮で生まれてきたものでございまして、そういう背景を考えますと、私は、その方式は、これからの年金制度の上においても、特に低額な方といいますか、そういう方のためには必要な制度じゃないかと思います。それと今の基本ルールの方とどちらが有利かということで、今選択制に任されておりますけれども、それをどうするかということについて私たち一定の結論を今持っているわけではございません。これからの検討事項だというふうにお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/61
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062・経塚幸夫
○経塚委員 検討事項だと言われますと問いようがないわけであります。それですから、私がお尋ねしましたのは、もう一年半もたっていて、六十年度改正の案をつくるまであと半年あるかないかという状況ですから、二者択一の方法になっているのを一本化するということになれば、現在の地方共済から見ますと、このこと一つとってみても大問題なのですね。だから、これは当然早く見解を持ってしかるべきだ、こう考えておったわけであります。
それから、次は併給問題についてですが、これもやはり大蔵の方は書いていますね。併給問題につきましては、重複年金の合理的整理ということで、前提として考えられますことは、併給は認めない、これも一本化するというふうに受け取れるわけですが、この点はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/62
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063・中島忠能
○中島政府委員 この併給調整の問題につきましては、いわゆる年金の官民格差論に関しまして現在非常に強い世論がございます。併給調整というものをこの際共済年金についても考えるべきだ、公務員サイドについても考えるべきだという強い意見がございます。したがって、私たちの方もそういう世論を受けて検討しなければならないと考えておりますけれども、その併給調整につきましても、現在の時点においては、こうする、ああするという結論を持ち合わせておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/63
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064・経塚幸夫
○経塚委員 あと、大蔵の見解としてはスライド問題も出されております。これも再検討されるということでありますが、閣議決定では、基礎年金を共済年金にも導入するということが一つの柱でありまして、この趣旨に沿って六十年度の共済年金の改正問題が提起されておるわけでありますから、何にも検討するモデルがなくて白紙の上へ絵をかくという問題でなしに、今回提案をされております国民年金等改正に関するこの法案が一定の検討の根拠になってくる、これはもう当然だと思うのですよ。今回、五十九年度にこの改正案が提案されておらなければ、六十年度に改正をする方向としては一体どういう方向なのかは、それぞれ共済は共済、厚生は厚生、国民年金は国民年金で白紙の上で検討を進めることになりますが、一定のモデルが五十九年度改正案として今回提起されてきておりますし、閣議決定もその趣旨に沿っての改正だ、こうなっておるわけですね。
ということになりますと、自治省の方としては、六十年度共済年金制度の改正にどう取り組むべきかということをよほど腹をくくって深く検討しないと、大変なことになるのではないか。例えば掛金問題について言いますと、今回の厚生年金の改正では一〇・六%が一二・四%になり、さらに最終では二三・九%になるわけで、共済の現行一〇・一ないし一〇・五が一体どうなるのかという問題が出てまいります。こういう問題はどうなんです、もう検討は始めているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/64
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065・中島忠能
○中島政府委員 共済年金の改革後の姿がどういうふうになるかということがはっきりいたしませんと、今先生が御指摘になりました掛金負担の問題が議論できませんので、私たちはそれはあわせて議論しなければならない問題だと思っています。
最初に先生がお話しになりましたように、公務員の共済年金制度といいますか、公的年金制度のあり方についてこれから改革しなければならないというのはまさに大問題でございますし、私もこれは大変なときにその責任者にされたなという感を今深くしておりますが、できるだけ頑張ってやっていきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/65
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066・経塚幸夫
○経塚委員 決意は後ほどお伺いをいたしますけれども、その前に聞いておきたい。
もう一つ大きな問題は、公費負担の問題です。今回の国民年金等の改正で、厚生年金への国庫補助の問題を見てみますとこれは歴然としてまいりますが、現行厚生年金については支給額の二〇%、これが国庫補助ですね。国民年金は三分の一。ところが、今回の改正では基礎年金に当たります五万円に対する三分の一という国民年金の現行国庫補助だけが生きて、厚生年金の支給額に対する二〇%が消えてしまったのですね。そうすると、この基礎年金を共済に導入した場合に、現行の公費負担一五%台のものがこの基礎年金の五万円に集約されてしまうのですか。厚生年金や他の制度とのつり合いというのは——先ほど私の、人勧どおりやったらどうなんだということについては、他の制度との調整ということを一つのできない理由に挙げられたわけでありますが、当然他の制度との調整ということになってまいりますと、今回の五十九年度の改正をにらみながら共済の改正も行われなければならぬということになります。公費負担はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/66
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067・中島忠能
○中島政府委員 次から次に非常に難しい問題を矢継ぎ早に質問されますので、私もなかなか答弁に困るわけですけれども、ただ、現在私たちは公務員共済年金の改革後の姿について手元に要綱を持っているとか、あるいはまたさらに進んで法案を持っているとかいうわけではございませんし、先生が今御指摘になりましたような問題は、恐らく法案要綱、法案の骨子をつくるときの極めて重要な問題になるだろうと思います。したがいまして、先生には非常に申しわけないのですけれども、今のところその辺について責任者として答弁できるだけの検討結果を持っておりませんので、御勘弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/67
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068・経塚幸夫
○経塚委員 まだそこまでの段階に至っておらないということでございますが、例えば今回の厚生年金の改正を見ますと、標準年金十七万六千二百円といたしますと、標準年金支給額の二〇%でいけば三万五千二百四十円、こうならなければならぬですね。ところが、基礎年金の五万円の三分の一だけが生きて二〇%が消えましたから、十七万六千二百円に対しては幾らの額、何%になるかといえば、一万六千六百五十円、二〇%がわずか九・四五%になってしまうのですよ。
それで年を重ねていきますと、最終的には、何と二十年後に国庫補助の負担が七兆円減額されることになるのですよ。七兆円減ることになるのです。どうも今回の改正は、初めにこれがありきじゃないかと思われるのです。いかにして国庫補助を減らすかという前提に立って、一階建て、二階建てが組み立てられていったやに受け取られるわけでございます。大臣は首をかしげておられますが、どうもそこを勘ぐらざるを得ないわけですね。そうすると共済の場合の公費負担、今日一五%台が一体どうなっていくのかという問題が生まれてまいりますから、お尋ねをしたわけでございます。
時間も参りましたので、私は大臣にもお尋ねをしておきたいと思うのですが、支給額の問題、負担金の問題、それからいわゆる公費負担の問題、こういうものを今提起されております年金等の一部改正法案を根拠として共済年金と比較してみますと、検討すれば検討するほど大変な問題が次々と出てくるわけであります。しかも、申し上げましたように、成果を得るまでにはあと数カ月しか時間的なゆとりがない。しかも、一たん決まりますと、まさに総理が何回も答弁でおっしゃっておりますように、二十一世紀を展望してどころか、五十年、百年を展望しての改正になってくるのです。現に百年後の数字も今回の改正案では出されてきておるわけですね。
だから、これが恨みを買う結果になるか、いい制度改正になるかということは、田川自治大臣と公務員部長の双肩にかかっておると思いますよ。恐らくこれから三十年、四十年先になって、現在公務員の方が退職されて年金を受ける際に、中曽根総理の名前はお忘れになっても、中島公務員部長の名前は恐らく忘れないだろうと思いますよ、大臣もそうでございますけれども。いいものを残せば、ありがたやありがたやということになりますが、恨みを買うようなものが残ったのでは大変なことになると思いますが、どうですか、ひとつそういう展望の上に立って、十分広く慎重な検討が必要だし、特に私は、現在の組合員はもとより、今年金で生活をされておられる退職者の方々の意見も、この際調査を含めまして広くくみ上げることが大変大事な時期だと考えておりますが、大臣の御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/68
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069・田川誠一
○田川国務大臣 これからの公的年金制度の改革は、制度全体の長期的な安定と整合性ある発展を図ることによりまして、国民生活の安定、充実を図るということがあくまで目的でございまして、御懸念のようなことはないと思います。
私どもも、公務員の老後、国民の老後、特に高齢化社会の到来を間近に控えまして、老後の生活の支えとしての公的年金制度の役割、こういうことが非常に重要になってまいりましたので、これまでの御論議を踏まえましてやってまいることをお誓い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/69
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070・経塚幸夫
○経塚委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/70
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071・大石千八
○大石委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/71
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072・大石千八
○大石委員長 この際、本案に対し、自由民主党・新自由国民連合を代表して西田司君より修正案が提出されております。
修正案の提出者から趣旨の説明を聴取いたします。西田司君。
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昭和四十二年度以後における地方公務員等共済
組合法の年金の額の改定等に関する法律等の
一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/72
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073・西田司
○西田(司)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
本修正案は、委員各位に配付されているとおりでありますが、政府原案では「昭和五十九年四月一日」と定められております施行期日につきまして、既にその日が経過しておりますので、これを「公布の日」に改めるとともに、これに伴いまして所要の規定の整備を行おうとするものであります。
以上が修正案の提案の趣旨及びその内容であります。
何とぞ、御賛成くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/73
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074・大石千八
○大石委員長 以上で修正案についての趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/74
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075・大石千八
○大石委員長 これより討論に入ります。
原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。
討論の申し出がありますので、これを許します。経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/75
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076・経塚幸夫
○経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案並びに同修正案に対しまして、反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、年金の額の改定についてでございますが、平均わずかに二%という引き上げでは、到底退職年金生活者の生活を保障できないからであります。
消費者物価は、五十七年度二・四%、五十八年度は一・九%と、二年合わせまして四・三%上昇しており、さらに、五十九年度は公共料金が相次いで引き上げられようとしており、負担増は必至であります。にもかかわらず、年金額の引き上げは、五十八年度は人勧凍結に倣ってゼロであり、五十九年度は人事院勧告六・四%を大きく下回り、物価上昇分にも追いつかず、実質的には五十七年度より後退することは明らかであります。
第二に、もしこのような状態を続けるなら、憲法で保障された生存権に基づく社会保障制度の一環としての共済年金制度そのものを否定することになるからであります。
地方公務員等共済組合法七十四条の二には、「物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定の措置を講ずる」と定められており、五十七年までは人勧どおり額の改定を実施、経済変動に応じて老後を保障するという共済年金制度を守ってきておったのであります。
ところが、五十八年度の凍結に続き、今回のように人勧を大きく下回り、物価上昇にも追いつかない改定では、共済組合法の精神と慣例を踏みにじり、社会保障制度そのものを否定するものと言わなければなりません。それはまた、何のために長年にわたって掛金を掛けてきたのかと、共済制度そのものへの不信となり、公務員制度の一環としての共済制度の存立そのものに影響することとなるからであります。
共済年金制度は、政府のそのときどきの政策によって安易にゆがめられてはならないものであり、共済組合法と慣例によって人勧どおり改定されるべきであります。
以上が反対の理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/76
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077・大石千八
○大石委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/77
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078・大石千八
○大石委員長 これより採決に入ります。
昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、西田司君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/78
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079・大石千八
○大石委員長 起立多数。よって、西田司君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/79
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080・大石千八
○大石委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/80
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081・大石千八
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/81
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082・大石千八
○大石委員長 これより、内閣提出、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を求めます。田川国務大臣。
—————————————
風俗営業等取締法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/82
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083・田川誠一
○田川国務大臣 ただいま議題となりました風俗営業等取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現行風俗営業等取締法は、キャバレー、料理店、ダンスホール、パチンコ屋、マージャン屋等を都道府県公安委員会の許可に係らしめているほか、深夜飲食店、個室付浴場業、ストリップ劇場及びモーテル営業についても一定の事項について規制を行っております。
しかしながら、最近、同法の対象となっている営業のほかに、あからさまに性を売り物にした産業等、善良の風俗及び少年の健全な育成の上から問題の多い営業が増加しており、現行法上このような営業が野放しになっていることが、風俗環境を害しているだけでなく、少年非行が昭和五十五年以来四年連続戦後最悪の記録を更新している大きな要因の一つとなっていると考えられます。
この法律案は、このような少年非行の増大と風俗環境の変化という実情にかんがみ、題名の変更及び目的規定の新設、風俗営業に関する規定の整備、風俗関連営業に関する規定の整備、深夜における飲食店営業の規制等に関する規定の整備等を行うことをその内容とするものであります。
次に、この法律案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
第一は、題名の変更及び目的規定の新設であります。
これは、法律の題名を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に改め、この法律の目的を、風俗営業及び風俗関連営業等に関し、善良の風俗の保持及び風俗環境の浄化並びに少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止のための措置を講ずるとともに、風俗営業の業務の適正化を促進する等の措置を講ずることと明定したところであります
第二は、風俗営業に関する規定の整備であります。
その一は、許可対象の整備でありますが、これは、ゲーム機賭博や不良少年のたまり場となる等のおそれがあるところからゲームセンター等を新たに許可対象営業とするものであります。
その二は、許可手続等の整備でありますが、これは、従来都道府県の条例に委任されていた許可の基準を整備し、特に、新たに欠格事由として、暴力団員、覚せい剤中毒者等を加えることとするほか、許可手続の簡素化、相続の承認等の規定の整備を行うことをその内容としております。
その三は、風俗営業者の遵守事項及び禁止行為の整備でありますが、これは、現在条例に委任されているため、各都道府県によってまちまちであり、また、実情になじまない点も生じていた遵守事項について整理し、法律に規定したものであります。
その四は、遊技機の認定、検定等に関する規定の新設でありますが、これは、公安委員会は、営業所に設置する遊技機について、著しく射幸心をそそるおそれがない旨の認定をすることができ、また、遊技機を製造し、または輸入する者は、遊技機の型式について、技術上の規格に適合しているか否かについての検定を受けることができることとする等をその内容としております。
その五は、営業所の管理者についての規定の整備であります。
これは、風俗営業の営業所ごとに管理者を置くこととし、管理者は、風俗営業者またはその使用人等に対して、これらの者が法令の規定を遵守してその業務を実施するように、助言、指導等を行うものであります。
その六は、指示及び行政処分に関する規定の整備でありますが、現在、遵守事項の違反には法律及び条例の規定により直接罰則が科せられておりますが、この制度を大幅に整理し、原則として、遵守事項違反については、指示及び行政処分をもって対処することといたしました。
第三は、風俗関連営業に関する規定の整備であります。
その一は、個室付浴場業、モーテル営業のほか、いわゆるストリップ劇場、のぞき劇場、ラブホテル、アダルトショップ等に関する定義規定を整備することであります。
その二は、風俗関連営業者は、営業所ごとに特定の事項を都道府県公安委員会に届け出なければならないこととすることであります。
その三は、風俗関連営業に関する規制事項の整備でありますが、これは、風俗関連営業については、学校、官公庁その他特定の施設の周辺または条例で定める地域においては営業を禁止することとするほか、十八歳未満の者を営業所に立ち入らせてはならないこととする等年少者を、これらの営業から隔離することをその内容としております。
その四は、風俗関連営業に対する指示及び行政処分の規定の整備でありますが、これは、都道府県公安委員会は、風俗関連営業者が、この法律に違反する行為等を行った場合には、必要な指示をすることができることとし、また、指示に違反した場合及び一定の犯罪を犯した場合には、八カ月以下の営業停止処分等を課することができることとするとともに、営業停止処分をした場合には、これを公示するために、当該処分に係る営業所に一定の標章を張りつけることとすることをその内容としております。
第四は、深夜における飲食店営業の規制等に関する規定の整備であります。
その一は、深夜飲食店営業者の遵守事項及び禁止行為についての規定の整備でありますが、これは、従来条例に委任されていた遵守事項を整備するとともに、午後十時以降、常態として通常主食と認められる食事を提供する営業を除き、原則として年少者を客として立ち入らせ、または客に接する業務に従事させてはならないこととする等必要最小隈の規制を法律により規定すること等をその内容としております。
その二は、バー、酒場等の酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、特定の事項を都道府県公安委員会に届け出なければならないこととすることであります。
その三は、深夜飲食店営業者等に係る指示及び行政処分についての規定の整備であります。
第五は、少年指導委員及び風俗環境浄化協会に関する規定の新設であります。
その一は、少年指導委員に関する規定の新設でありますが、これは、少年の補導等の活動に民間ボランティアの活力を導入し、これを促進するために設けたものであります。
その二は、風俗環境浄化協会に関する規定の新設でありますが、これは、公安委員会が善良の風俗の保持及び風俗環境の浄化並びに少年の健全な育成を図ることを目的として設立された法人を風俗環境浄化協会として指定し、そこに、風俗環境に関する苦情の処理や法律違反防止のための啓発活動、講習、調査の委託を行うなどして、広く民間における浄化活動を促進するための制度として規定するものであります。
以上の措置に伴い、警察職員の立ち入りに関する規定の整備、聴聞の規定の整備、手数量に関する規定の整備、罰則の整備等所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律は、公布の日から六カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、施行の際に現に風俗営業者である者は、改正後の規定による許可を受けて風俗営業を営んでいる者とみなすこととする等所要の経過措置を設けております。
以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/83
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084・大石千八
○大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時二十八分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110104720X01519840510/84
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