1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年二月二十四日(金曜日)
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昭和五十九年二月二十四日
午後二時 本会議
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○本日の会議に付した案件
人事官任命につき同意を求めるの件
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
、租税特別措置法の一部を改正する法律案(
内閣提出)及び所得税法等の一部を改正する
法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後三時四十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/0
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001・福永健司
○議長(福永健司君) これより会議を開きます。
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人事官任命につき同意を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/1
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002・福永健司
○議長(福永健司君) お諮りいたします。
内閣から、人事官に内海倫君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/2
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003・福永健司
○議長(福永健司君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
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法人税法の一部を改正する法律案(内閣提
出)、租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改
正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/3
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004・福永健司
○議長(福永健司君) この際、内閣提出、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣竹下登君。
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/4
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005・竹下登
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
法人税につきましては、現下の財政事情等に顧み、延納制度を廃止するほか、課税の公平を一層推進する等のため、所要の措置を講ずることといたしております。
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
租税特別措置につきましては、現下の厳しい財政事情に顧み、臨時措置として法人税の税率の引き上げ等を行うとともに、租税特別措置の整理合理化を進めるほか、所要の措置を講ずることといたしております。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、法人税の税率を、二年間の臨時措置として、一・三%引き上げることといたしております。ただし、中小法人等に対する軽減税率につきましては、一%引き上げることといたしております。
第二に、法人税の欠損金の繰り戻しによる還付制度につきまして、二年間、原則としてその適用を停止することといたしております。
第三に、エネルギーの効率的利用、中小企業の事業の高度化に資する設備等につきまして、所要の投資促進措置を講ずることといたしております。
第四に、土地住宅税制につきましては、一定の要件に該当する民間の再開発事業に係る買いかえの特例、二年間限りの措置として住宅取得資金に係る贈与税の特例を設ける等の措置を講ずることといたしております。
第五に、企業関係の租税特別措置等につきましては、所要の整理合理化を行うことといたしております。
その他、普通乗用自動車等に対する物品税の軽減税率を〇・五%引き上げるほか、所要の措置を講ずることといたしております。
次に、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。
所得税につきましては、最近における所得税負担の状況等にかんがみ、その負担の軽減を図るため、初年度八千七百億円に上る所得税減税を実施するとともに、課税の公平を一層推進するための措置を講ずることといたしております。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、所得税減税につきましては、基礎控除等の人的控除をそれぞれ現行の二十九万円から三十三万円に引き上げるほか、給与所得控除につき所要の拡充を図ることといたしております。これらの改正により、給与所得者の課税最低限は、夫婦と子供二人の四人世帯の場合で二百三十五万七千円となります。
第二に、所得税の税率につきましては、その累進構造を全体として若干なだらかなものとすることといたしております。
第三に、配偶者控除等の適用要件である給与所得等の所得限度額を現行の二十九万円から三十三万円に引き上げるほか、所要の措置を講ずることといたしております。
第四に、課税の公平を一層推進するため、事業所得等を有する者の帳簿書類の備えつけ制度及び総収入金額報告書の提出制度を設ける等の措置を講ずることといたしております。
第五に、災害被害者の負担を軽減するため、所得税の減免を受けることができる災害被害者の所得限度額等を五割引き上げることといたしております。
以上、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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法人税法の一部を改正する法律案(内閣提
出)、租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改
正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対す
る質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/5
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006・福永健司
○議長(福永健司君) ただいまの趣旨の説明に対し質疑の通告があります。順次これを許します。上田卓三君。
〔上田卓三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/6
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007・上田卓三
○上田卓三君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案並びに法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質疑を行うものであります。
昨年十二月の総選挙で、自民党は文字どおり過半数割れの大敗北でした。この選挙の結果は、田中曽根と言われ軍事優先のタカ派体質をむき出しに、国民にはNHKのおしんではないが、我慢せよ、辛抱せよと押しつけ、その都度口先だけでごまかそうとする総理の政治姿勢に対する国民のけじめだったのであります。総選挙を通じて総理と自民党に厳しい批判を加えた民意は一体どこにあったとお考えなのか、総理の基本的な政治姿勢を問いただしたいのであります。(拍手)
今日、国民は景気回復と生活向上を心から求めております。にもかかわらず、五十九年度政府予算案は超緊縮で、いわゆる減量経営を国家財政にそのまま持ち込んだ、国民生活犠牲の臨調、行革路線そのものであります。
政治の第一の目標は、国民生活を豊かにし向上させることです。三年連続のマイナスシーリングで徹底的に歳出を切り詰め、公共投資の伸びをゼロに抑え、人事院勧告を凍結し、仲裁裁定を値切り、できもしない財政再建にしがみつき、不況を長期化させ、国民に我慢の生活を押しつける、そういう政治ほど国民の願いを踏みにじるものはありません。総理並びに経済閣僚は、政治の目標は一体どこにあるとお考えなのでしょうか。
一昨日の大蔵委員会において大蔵大臣は、景気浮揚と言った場合、三%台そこそこの成長率でもよいと発言しました。ところが河本経企庁長官は、ある雑誌の中で、アメリカが五、六%成長をできるならば、今の日本はそれよりも高い成長力があると述べ、景気回復へ少なくとも四兆円程度の大幅な所得税減税を提唱しております。日本経済の潜在成長力をどう見るか、関係大臣の率直、明快な答弁を求めるものであります。
三%程度でもよいとするいわゆる安定成長論は、勤勉で活力に富んだ日本の勤労者と企業の潜在力を全く信用せず、これを抑えつける暴論であります。おしんも決して我慢に徹したわけではありません。最初の奉公先を飛び出し、佐賀から脱出したように、理不尽な忍従はせずに、時には怒りを爆発させ、たんかの一つも切ったのであります。
今日、国民は内需拡大を中心に景気回復を心から求めております。内需拡大は、言うまでもなく、大幅な所得税減税と賃金引き上げ、さらに中小零細企業の振興と公共事業の拡大によって可能になるのであります。そのことが、世界経済の活性化に寄与する道なのであります。酒税、物品税、自動車税等の引き上げは、ビールと酒、ビデオディスクからオーディオデッキ、マイカーに至る広範な生活必需品に対する大増税であり、内需拡大に何一つ役立たないものであります。国民生活の向上という政治の大目標を守りつつ財政再建を進めるために、今こそ思い切った拡大均衡策に転じるべきだと考えますが、総理並びに各大臣の御所見を伺いたいのであります。
今回提出されている政府の減税案は、景気回復に何一つ役立つものではございません。(発言する者あり)やかましい。——五十八年度一千五百億円、五十九年度一兆円というその額は、昨年の景気浮揚に役立つ相当規模の減税実施という与野党合意に背くだけでなく、七年間課税最低限が据え置かれてきたことによって生じた実質大増税の埋め合わせにもなっていないのであります。しかも、減税の財源を法人税や物品税などの増税で賄うとすれば、これはもうペテンと言っても過言ではありません。今回の減税が景気回復に役立つかどうか、大蔵大臣、通産大臣、経済企画庁長官の率直なる答弁を求めます。
しかも、所得税の最低税率引き上げと最高税率引き下げは、まさしく高額所得者優遇の減税案であります。利子配当所得の分離課税の恩恵によって、高額所得者の実効税率が実際には四〇%程度の低い水準にあることは周知の事実であり、今回の最高税率引き下げはこの不公平をますます拡大するものであります。
さらに、所得税の税率の刻みは贈与税、相続税の税率と連動しており、この点からも高額所得者への二重、三重の優遇減税であります。我が党は、このような減税に名をかりた大企業、大資産家優遇の不公平拡大に断固反対するものであります。
投資減税の規模も、今回一千億円程度ではスズメの涙ほどであり、しかも中小企業向けの投資減税額はわずかに二百億円です。単位が一つ間違っていると言っても過言ではありません。中小企業の振興、景気回復という意味で、所得税減税とあわせて大型の投資減税を行う必要があると考えますが、関係大臣の御意見を伺いたいと思います。
政府は、従来、減税のために臨時的な財源は使わないと主張してきました。ところが、減税財源としての法人税の引き上げは、財界の圧力に屈して、二年の時限立法にすぎないのであります。まことに御都合主義だと言わざるを得ません。また、二年たった時点で、それ以後四千六百億円の穴埋めはどうするつもりなのか、明確な回答を求めるものであります。(拍手)
今日ほど、国民の税に対する関心が高まっているときはありません。「不公平税制を正せ」は、今や天の声、地の声、国民の声であります。不公平税制とは、租税特別措置法、法人税法、所得税法の中に組み込まれた制度上、税制上の大企業、大資産家優遇措置なのであります。例えば、全従業員が退職した場合の退職金額の四〇%の積み立てが認められている退職金引当金の残高は、八二年で資本金十億円以上の大企業では四兆九千億円を超え、使用実績が一%にも満たないものが数多くあります。
ところが政府は、こうした不公平税制の是正には指一本触れずに、税に対する国民の関心を意識的にトーゴーサンピン、クロヨンといった業種、職種による、いわゆる税捕捉率の違いに向けさせています。この問題を不公平税制の典型であるかのように宣伝し、公務員と民間労働者の分裂を図り、中小零細企業、農漁民、医師、サラリーマンの反目と反発をあおり立てることは根本的に間違っております。
勤労国民の各階層の中に分裂のくさびを打ち込み、ねたみと反発、足引っ張りをあおり立てることは、権力者の国民分裂支配以外の何物でもありません。不公平税制を温存し、勤労者、中小零細企業への過酷な中曽根内閣の徴税攻勢は、まさに強きを助け弱きをくじく弱い者いじめの税制なのであります。大企業、大資産家優遇の不公平税制の改革は焦眉の急でありますが、総理以下の明確な答弁を求めるものであります。
さて、昨日の日本経済新聞は、国税庁がこのほど各税務署に配った内部資料の中に、セールスマンに化けて下見をしたり、予告なしに調査を行う大阪北税務署職員の活躍ぶりが載せられていると報道いたしました。このようなやり方は、納税者の自主申告権を完全に否定し、納税者を頭から脱税容疑者扱いする悪質きわまる人権侵害、憲法違反であります。納税は、兵役、教育と並んだ戦前の軍国主義日本の三大義務でありました。戦後の民主憲法のもとで、教育と納税は国民の権利に変わりました。納税者が自分の所得を自分で計算し、その上で税額を決め、これを自主的に申告する権利は、納税者の憲法上保障された権利であって、税務行政の目的はこの自主申告権の擁護にあるはずであります。このように見ると、勤労者、サラリーマンの源泉徴収制度は、自主申告権を奪う憲法違反の制度なのであります。
今回の法改正案による記帳義務化や、推計課税の要件緩和や、最近の税務署の中小零細業者や農漁民に対する税務調査の強化は、納税者の権利としての自主申告制度を否定する重大な憲法違反であります。総理初め関係大臣の真剣な答弁を求めるものであります。
大蔵省の「財政の中期展望」によれば、六十五年度赤字国債発行ゼロの目標に政府が固執する限り、七年連続歳出の伸び率をゼロに抑えるか大幅増税を行うかが避けられない状況となっております。
我が党は、より大衆課税としての性格が強く低所得者層に負担の重い大型間接税の導入に断固反対であります。昨日の参議院予算委員会で、大蔵大臣は、依然として大型間接税の導入に未練がましい姿勢をとり続けています。総理の座をうかがう大蔵大臣が、一億一千万国民が拒否する犬増税の旗振りを一日も早くやめることを切に求めるものであります。(拍手)
もはや、六十五年度赤字国債脱却という目標設定そのものに無理があることは明らかであります。過去に、政府は、五十九年度赤字国債ゼロというできもしない目標を掲げて自爆いたしました。できない目標を振りかざすことは、政治への不信と経済の先行きに対する不安を拡大するだけであります。財政再建との関係を明白にした上で、国債の発行も一定の条件下で認めるという野党の現実的な対応を踏まえて、実現可能な長期的目標を設定し、日本経済の発展と財政再建の展望を政府は示す義務があると考えますが、総理並びに関係大臣の所見を求めるものであります。
レーガン・中曽根コンビの核戦争・軍拡路線に対して、我が党は、軍縮・非武装を目指しつつ、当面、非核三原則、GNP一%、武器輸出禁止を歯どめにするために闘ってまいりました。GNP一%は歴代内閣の公約なのであります。今や、軍事費大膨張でこの公約すら踏みにじろうとしているのであります。
防衛費はGNPの〇・九九一%であり、GNP一%との差はわずか二百五十四億円であり、二・九%の公務員の人事院勧告があれば一%を突破するのであります。既に、今国会の予算委員会の審議を通じて、人事院総裁は五十八年度の積み残し分四%を認めており、今年の人事院勧告は、その上に五十九年度分を何%か乗せるものであります。人事院勧告を待たずとも、現時点で政府は、一%枠について明確な態度表明が求められるのであります。
総理は、この点につき、今国会で二つの約束を同時にしております。一つは、我が党田邊書記長に対する一%枠を守るという発言であり、いま一つは、二十二日産業労働懇話会の席上での、人事院勧告の完全実施をことしは最大限努力するという発言であります。一体、いかなる方法で一%枠を守るのでありましょうか。唯一の解決策は、大蔵省内示でゼロ査定された一機二百五十億円のP3C八機と一機百億円のF15十七機、ざっと二千億円の正面装備だけでも削減することであると考えますが、いかがでありましょうか。総理の所見を伺うものであります。
以上、今回提案されました法案にかかわる質問をいたしましたが、その全般にわたり、誠意ある御答弁を期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/7
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008・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 上田議員にお答えをいたします。
まず、前回の選挙に関する御質問がございました。
前回の選挙の結果は私の不徳のいたすところでございまして、まことに恐縮に存じておる次第でございます。特に政治倫理の問題につきまして、国民の皆様方の御理解を十分に得ることができなかったことはまことに残念で、申しわけなく思う次第であります。
次に、防衛費GNP一%の問題と人事院勧告の関係について御質問がございました。
昭和五十九年の人事院勧告の取り扱いにつきましては、勧告が出されましたその段階で、人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立って、国政全般との関連において勧告の実施に向けて努力をいたす所存でございます。
なお、GNPとの関係におきましては、GNPは、これからの経済成長率とかあるいはさらに為替の状態であるとかあるいは今後出る勧告の内容であるとか、そういうものによりまして極めて変動的要因が多い状態でございまして、今これを破るというようなことを予断することはできないのでございます。私は、防衛費GNP一%問題につきましては、前に御答弁申し上げましたように、昭和五十一年三木内閣が決定しましたこの方針を守ってまいりますと申し上げましたが、そのとおり実行してまいるつもりでおります。
次に、ダイナミックな経済運営をやって国民生活の向上を図れという御質問でございます。
最近の我が国の経済情勢を見ますと、景気は緩やかながら着実に拡大をいたしております。政府としましては、国民生活の向上を図る観点からも、今後とも適切かつ機動的な経済運営に努め、物価の安定基調を維持し、国内民間需要を中心とする景気の持続的拡大を図り、内需中心の経済成長の達成を図ってまいる考えでおります。
次に、景気浮揚は一体何%ぐらいの成長を考えているかという御質問でございますが、ことしの経済は大体四・一%を目標にしてGNPを考えております。このために減税等も行いまして、さらに民間活力の活用という面におきましても特段の政策を実行いたしたいと思っております。
次に、財政再建に関して御質問がございました。
政府といたしましても、今後民間需要を中心とした景気の拡大を図り、かつ適切な、機動的な経済運営を図ってまいるつもりでございます。中期的にも「展望と指針」で想定されます適度な成長の実現に努めてまいる所存でございます。
大型間接税について御質問がございましたが、これは前から申し上げましたように、大型間接税を実施する考えはございません。
六十五年度を目途に赤字国債を脱却することは増税なしには無理ではないか、そういうようなお説でございますが、我が国の財政事情は、中期的にも極めて厳しい状況に置かれておりますことはお説のとおりでございます。しかし、六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するという努力目標は、あくまでこれを貫いてまいる決意でございます。これは、物価の安定とかあるいは今後の経済政策とかあるいは歳出歳入構造の見直しとか、あらゆるものを組み合わせて努力してまいるつもりでおります。
次に、税の捕捉率のトーゴーサンについて御質問がございました。
所得の捕捉につきましては、巷間言われているほどの格差はないと認識しております。しかし、業種、業態等により所得の把握に難易があることも事実でございますので、税務調査の充実等各般の対策を推進すべく一層努力してまいります。
租税特別措置につきましては、連年にわたりまして整理合理化を行ってまいりますが、今後とも、社会経済情勢の変化に対応して必要な見直しを断行してまいるつもりであります。
記帳の義務化の問題は自主申告の精神に反しないかという御質問でございますが、申告納税制度は自主申告、自主納付を内容としておりまして、記録及び記帳に基づく申告は、申告納税制度に内在する納税者の責務であると考えております。今回の記帳義務制度の導入は、この納税者の責務を明確化するものであり、自主申告の精神を踏みにじるものではございません。なお、記帳義務者の範囲を所得三百万円超の者に限る等納税者の実態にも十分配慮したところでございます。
残余の御答弁は、関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/8
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009・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問にお答えいたします。
まず、私が三%台成長という言葉を使っておるという御指摘でございますが、今動いております五十八年度のいわゆる実質成長率の見込みが三・四%でございますので、それをより確実にすべきであるという景気論争の際使った言葉でございます。
それから次の問題につきましては、景気浮揚効果があるか、こういうことでございますが、確かに、御指摘のように法人税、酒税、物品税等必要やむを得ない措置であるという御理解をいただくことによりまして、これは経済に好ましい影響を及ぼすものであるというふうに理解をいたしております。
それから、課税最低税率と最高税率の問題についての御指摘がございました。
いつでも申し上げますように、この点につきましては税制調査会の中期答申においても指摘されておられるところでございますので、そうした答申の考え方に沿って行ったものであることを御理解をいただきたいと思います。
利子配当の総合課税問題につきましては、「今後なお時間をかけて検討を進めることが適当である。」とされておるわけでございますが、今、八月ごろをめどとして税制調査会で鋭意検討を進められておるところでございます。
その次が、いわゆる酒税、物品税等あるいは減税の財源すべてについての御意見を交えた御質問でございます。
この点につきましては、上田議員の御意見を一つ一つ拝聴させていただきました。今度の増税は、一方で大幅な所得税減税を行うということで、まさにこれ以上財政事情を悪化させないという、必要やむを得ざる措置であるという御理解を賜りたい、このように考えます。したがって、酒税、物品税等の増税が消費に及ぼす影響というものはおのずから限られたものであると考えますときに、全体として経済にプラスの影響を持つことを私どもも期待をいたしておるところであります。
それから、次の問題が法人税の問題でございます。
この問題についても御意見を交えての御質問でございましたが、税調答申等で若干の負担増の余裕があるという趣旨の御指摘をなされております。したがって、若干の負担増をお願いすることとしたものでございますけれども、実効税率が最高の水準に達するということからいたしまして、今後の財政事情等の推移のほか経済動向を見定めるという観点から二年、こういうことの臨時措置といたした次第でございます。二年後の期限到来時には、いわゆる経済動向や財政事情を考慮して税制全体の見直しの中で検討していくべき問題であるというふうな理解をいたしております。
それから次には、いわゆる憲法あるいは人権問題等について御意見をお交えになりましての御指摘でございます。
税務行政を執行するに当たりましては、税法に基づいて正しくその権限を行使して、決して行き過ぎとなることがないように特に配慮して、今後とも戒心をしていくべき課題であるというふうに思います。お尋ねのような資料そのものは税務当局限りの内部資料でございますので、その提出は差し控えさせていただきたい、このように考えております。
特に、私どもが今度、記録及び記帳に基づく申告はこの申告納税制度に内在いたします納税者の責務でございますので、この納税者の責務を明確にしようとするものでございますから、基本的人権の侵害というような御指摘には当たらないものであろうというふうに考えております。
それから、私が大型間接税をにおわすような、私は税制調査会の答申を正直に朗読いたしまして答弁にかえたということでございます。
それから次の問題は、いわゆる投資減税に対する投資効果の問題でございます。
この問題につきましては、今日のいろいろな事情を考えますと、まさにこれは精いっぱいの措置であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
以上をもってお答えを終わります。(拍手)
〔国務大臣河本敏夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/9
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010・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 私に対する御質問は、我が国の経済の潜在成長力をどう見るかということでありますが、これはまだ確立された計算の手法がございませんので、具体的な数字で測定をしたことはございません。ただ、欧米先進諸国と経済の基礎的な条件数項目を比べてみますと、いずれも我が国の方が相当良好であります。したがって、欧米先進工業国よりも我が国の潜在成長力の方が相当高い、このように私どもは判断をいたしております。
御参考までに申し上げますと、昨年の「一九八〇年代経済社会の展望と指針」がございますが、これでは八年間、四%成長をする、こういうことが書かれております。この意味するところは、経済の条件がよろしいときには四%以上の成長をいたします、経済の条件の悪いときには四%以下になります、その平均がほぼ四%でありましょう、こういう意味である、このように理解をいたしております。
幸いに本年度の我が国の経済は、第二次石油危機からようやく立ち直りまして、五年ぶりに明るい展望が開かれようといたしております。世界経済の情勢もいい方向に向かっておりますので、こういうときには、経済政策の進め方いかんによりますと、私は、四%以上の成長も可能になるのではなかろうか、このように考えております。
そこで、これからとろうといたします政策は、まず、物価の安定を図りまして、経済の機動的な運営をしていく、これは先ほど総理もお述べになりました。
それからなお、自由貿易体制を堅持することが必要でございますので、対外経済摩擦を早急に解決する、そういう方針のもとに五十九年度の経済運営を進めてまいりたい、このように考えております。(拍手)
〔国務大臣小此木彦三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/10
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011・小此木彦三郎
○国務大臣(小此木彦三郎君) お答え申し上げます。
先ほどの総理及び関係閣僚が御答弁申し上げましたことと一部重複する部分もございますが、御了承願います。
まず、今こそダイナミックな経済運営をやって国民生活を向上させるチャンスと思うが、通産大臣の見解いかんということでございますが、最近の我が国の経済情勢を見ますと、景気は緩やかながら着実に拡大いたしておるのでございます。通産省といたしましては、国民生活の向上を図る観点からも、今後とも適切かつ機動的な経済運営に努め、物価の安定基調を維持し、内需を中心とする景気の持続的拡大を図っていくことが必要と考えております。
さらに、二番目の質問は、景気浮揚に役立つ規模の減税を行うという景気浮揚とは何%ぐらいの成長を考えているかということでございますが、景気浮揚に役立つ相当規模の減税という趣旨は、従来の戻し税のようなものではなく、大規模かつ本格的な減税を実施するというものと理解いたしております。
今回の減税措置は、昭和四十九年のいわゆる二兆円減税に次ぐ大規模なものであり、こうした措置によって現在の緩やかな景気回復がより確実になるものと期待いたしておるものでございます。
また、我が国の潜在成長力をどのぐらいと見ているか、潜在成長力を引き出す経済運営はどのようなものであるかということでございますが、潜在成長力は、我が国の置かれた条件に応じて中長期的にどの程度の経済成長が可能であるかを示すものであると理解いたしております。
しかしながら、測定技術の問題もあり、現在の潜在成長力が具体的にどの程度であるかについて的確な数字をお示しすることは困難でございます。
通産省といたしましては、我が国の依然として高い貯蓄率、エレクトロニクス等の最近の技術革新の急速な進展、良質な労働力の供給、経済社会の柔軟な適応力等を考慮すれば、引き続き先進国の中で良好な状態を維持するだけの条件を備えているものと認識いたしております。
現在は、世界経済も我が国経済も回復基調にございまして、適切かつ機動的な経済運営によりまして、内需を中心として我が国が有する潜在成長力を十分に引き出していくことが重要であると存じます。
さらに、今回の投資減税実施による投資誘発効果はどのくらいあると考えているかということの御質問でございます。
投資減税の投資誘発効果につきましては、計量的に正確に把握することは困難でございますが、一定の仮定のもとに試算いたしますれば、昭和五十九年度において、エネルギー利用効率化等投資促進税制、中小企業新技術体化投資促進税制の両方を合わせて約四千五百億円の投資増が見込まれ、この結果、名目GNPは少なくとも〇・一%強押し上げられるものと考えられるのでございます。
次に、景気が本格的に回復している時期に間接税増税を行うことは景気にも水を差す結果にならないかということでございますが、通産省といたしましては、所得税減税に加え投資減税等の実施により、我が国経済の抱える構造的問題の解決を促進するとともに、民間活力の発揮を通じ内需中心の健全かつ安定的な経済成長の実現を期待しております。
さらに、四、五千億円ぐらいの投資減税を実施しないと税創設の目的が達成できないではないか、通産大臣の見解いかんということでございますが、五十九年度税制改正における投資減税は、内需中心の健全かつ安定的な経済成長を実現するとともに、エネルギー制約や中小企業における技術革新の立ちおくれ等の構造的問題の解決を促進するためのものでございます。これは現下の厳しい財政事情のもとで我が国経済の抱える重要な課題の解決に的を絞って講じた措置であり、今後の日本経済の活性化に寄与するものと期待いたしております。
最後に、税の捕捉率についての御質問でございますけれども、税の捕捉率の問題につきましては、これは税務当局の所管でございまして、答弁は差し控えたいと存じます。
以上でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/11
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012・福永健司
○議長(福永健司君) 宮地正介君。
〔宮地正介君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/12
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013・宮地正介
○宮地正介君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案のいわゆる直税三法につきまして、総理並びに関係大臣に若干の質問を行うものであります。
〔議長退席、副議長着席〕
中曽根総理、あなたは、さきの施政方針演説の中で、国民が安心して日々の生活が送れるよう心骨を砕き、安定と信頼の政治実現に全精力を傾けていくと述べられました。私も、政治家として全く同感であります。願わくは、この言葉が単なる美辞麗句に終わることなく、二十一世紀に向けての福祉国家日本の構築の一つの原点になることを期待するものであります。
私は、今日ほど政治に真心と誠実さが求められているときはないと痛感しております。しかしながら、中曽根総理、あなたの言々句々は確かに歯切れもよく、国民には一見格好よく見えるのでありますが、これまでの言動を見る限りでは、真心や誠実さを余り感じることができないのは私一人だけではないと思うのであります。それは何ゆえでありましょう。余りにも言うこととやることとの間に違いがあり過ぎるからではないでしょうか。かえって国民の政治に対する信頼を失っていると言っても過言ではありません。
その端的な例が、国民的要求のあった減税問題の対応であります。国民は、景気浮揚に役立つ相当な大幅減税とは、常識からして所得税減税一兆円だと思っておりました。それも、昭和五十八年十二月までに年内実施を期待していたのであります。ところが、総理の公約とは裏腹に、所得税減税の昭和五十八年年内減税は、わずか千五百億円のミニ減税になってしまったのであります。理由のいかんを問わず、このことは総理の国民の期待に対する裏切り行為であり、中曽根総理、あなた自身の政治姿勢に対する国民のいら立ちと不信を助長したことだけは間違いのない事実であります。
その上、来年度予算編成における税制改正では、法人税、酒税、物品税、石油税などの増税ラッシュを盛り込んでおきながら、こそくにも税収増加という言葉を使うなどということは、全くもって国民を愚弄するものであります。はっきりと増税と言うべきではありませんか。さらに、減税を逆手にとって見返り増税を国民に押しつけていることは、断じて容認できるものではございません。これでは総理が幾ら声を大にいたしまして、精いっぱい所得税減税八千七百億円、住民税減税三千百億円、合わせて一兆一千八百億円の減税をやりますと言っても、国民は納得するものではありません。国民は、政治への怒りと不信を募らせているのであります。
まず、これらの政治の基本姿勢について、総理はどのように責任を感じておられるのか、御所見を伺うものであります。
次に、具体的問題について質問をしてまいります。
その第一は、大型間接税導入の問題であります。
総理は、衆議院本会議におきまして、先ほども再三大型間接税は考えていないと答弁を繰り返しております。また、昨日の参議院予算委員会におきましては、中曽根内閣の在任中は大型間接税を避けたいと言明したようであります。ところが、衆議院予算委員会の審議を見ておりますと、当面は「増税なき財政再建」の方針を守っていくと述べているものの、実際には一歩後退をして、政治公約から政策理念に変質し、その上、六十年度以降は必ずしもこだわらないといった意向をほのめかしているのであります。さらに、政府与党の渡辺幹事長代理の直間比率見直し論の言動などを見ておりますと、政府は着々と大型間接税導入に向けて伏線の手が打たれているのではないかと国民は心配せざるを得ないのであります。
そこで、総理自身の口から明快に答えていただきたい。大型間接税の導入は昭和六十年度以降も行わない、「増税なき財政再建」の基本方針は昭和六十年度予算編成の過程においても堅持すると断言ができますか。総理の答弁を求めるものであります。(拍手)
第二は、不公平税制の是正の問題についてであります。
税負担の公平を守ることは民主主義の根本の問題であります。それだけに、不公平税制の是正を断行することこそが来年度税制改正の柱になっていなければならないと思うのであります。各種世論調査で明らかなように、今や国民の税に対する不公平感は大きな政治不信につながっております。ところが、政府の来年度税制改正案は、率直に言わしていただくなら、政策目的を明確にしない単なる財政の帳じり合わせであり、増税は取りやすいところから取るといった無節操な雑駁なものとなっていると言っても過言ではありません。まことに残念と言わざるを得ないのであります。
例えば、所得税の中で、有価証券取引税についても、もっともっと積極的に見直しをすべきであったと思うのであります。また、法人税につきましても、不況にあえいでいる中小零細企業の実情にかんがみまして、一%の税率アップを据え置くぐらいの配慮があってもよかったのではないでしょうか。さらに、政府税調の答申の意向に沿って、退職給与引当金制度につきましても前向きに取り組んでもよかったのではないでしょうか。一方、パートタイマー減税につきましても、総理は、働く女性に配慮すると国民に公約をしているところから見ましても、もっと重点的に取り組み、せめて非課税限度額を百万円程度までに拡大をすべきではなかったかと思うのであります。
これらの点について、総理並びに大蔵大臣に御所見を伺うものであります。
第三は、景気浮揚策と増減税の問題についてであります。
「減税は景気浮揚に役立ち得る大幅な規模とする。」昨年九月九日、与野党幹事長・書記長会談における合意の内容であります。しかし、今年度の所得税、住民税合わせて一兆一千八百億円の減税は、民間経済研究機関がマクロ計量モデルを使って経済効果を測定したところ、可処分所得を〇・六%増加させ、この可処分所得の増加が民間最終消費を〇・二%増加させることになるのであります。その反面、法人税の増税が民間設備投資を〇・一%とマイナスにし、輸出も〇・二%減少させることになるのであります。また、物品税、石油税、自動車税などの増税が消費者物価を〇・一%ほど上昇させるなどの結果、実質経済成長率を押し上げる減税の経済効果はゼロになると測定しているのであります。
これでは、明らかに与野党合意の内容に反するものであり、政府の言う景気浮揚に役立っための減税にはならないではありませんか。この点についての責任を総理はどのように考えておられるのか、御所見を伺いたいのであります。
また、景気に対する税制面からの経済効果について、経済企画庁長官はどのように見ておられるのか、率直な御見解を伺いたいのであります。
最後に、臨調における「増税なき財政再建」の基本方針の重要な租税負担率の問題についてであります。
臨調は、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置をとらないとの立場を強調しております。しかしながら、既に「増税なき財政再建」の根幹である租税負担率の維持は完全に破られているのであります。来年度予算ベースでの租税負担率は二四・二%となっており、昭和五十八年度当初予算ベースの二三・七%はもとより、補正予算ベースの二三・九%をも上回っているのであります。昭和五十八年度補正予算ベースに比べて来年度の租税負担率が〇・三%上回っていることは、国民所得比でその金額を試算すれば、何と七千百十九億円に相当するのであります。総理、この七千百十九億円は、政府の法人税の税率アップによる増税額四千三百億円と酒税の増税額三千二百億円の合計七千五百億円とほぼ同額であります。
総理が臨調答申を守り租税負担率の維持を公約どおりに実行するのであれば、当然に七千億円規模の増税は撤回すべきであります。あるいは減税の上乗せをすべきであります。その意味で、国民の期待である所得税減税一兆円、住民税減税四千億円、合計一兆四千億円減税の実現に向けて、今こそ予算の修正をすべきであると強く要求するものであります。(拍手)総理の決断を促すものでありますが、御所見を伺いたいと思います。
以上をもちまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/13
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014・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 宮地議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、所得税減税について、国民は五十八年中の一兆円減税の実施を期待していた云々という点でございます。
今回の減税は、五十八年分につきましては千五百億円、そして八千七百億円の大規模なものをまた行って、その内容も税率構造の是正を含む本格的なものでございます。五十九年度予算におきましても、歳出の二五%は公債発行によって賄わざるを得ない、こういう財政収支のアンバランス下におきまして、精いっぱいの努力をいたしたものなのでございます。臨調答申の線に沿いまして、租税の負担率をできるだけ変えない、新しい税目を起こさない、そういう原理は守ってきたつもりでございます。
大型間接税につきましては、これを導入する考えはございません。
次に、「増税なき財政再建」の基本方針を六十年度予算編成でも守るかという御質問でございますが、「増税なき財政再建」の理念は、これを堅持してまいるつもりでおります。
次に、不公平税制の問題でございますが、この不公平税制、いわゆる租税特別措置につきましては、公平確保の観点からしばしばこれを見直してきているところでございますが、将来におきましても所要の措置を講じてまいるつもりでおります。
次に、主婦のパート収入の問題について御質問がございました。
これは、現行制度の枠内で対処していくとの税制調査会の中期答申の考え方に沿ってやった次第でございまして、現下の厳しい財政事情のもとにおきまして最大限の配慮を行い、八十八万円まで引き上げたという次第でございます。
次に、景気浮揚と減税の問題でございますが、今回、初年度一兆一千八百億円に及ぶ大幅の減税を実行いたしました。この措置は、全般的に景気回復感が今充満して拡大する中で、財政赤字が拡大することによる悪影響を排除しつつ、全体として好ましい影響を及ぼすものと考えております。この機会に、あるいは経済の機動的運営により、あるいは民間活力の活発化等によりまして、景気に弾みをつけてまいる努力をいたす所存でございます。
次に、〇・三%の上昇の問題でございますが、この〇・三%に見合う七千億円分につきましては、これとの関係において予算修正を行うべきであるという御質問でございました。
現在の五十九年度の租税負担率は、五十八年度補正後に比べて〇・三%上昇していることは事実でありますが、これはほとんど税の自然増収によるものでございまして、臨調答申の「増税なき財政再建」には違反していないと考えております。なお、予算修正を行う考えはございません。
残余の答弁は関係大臣よりいたします。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/14
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015・竹下登
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。
有価証券取引税の見直しの問題であります。
これは、四十八年、五十三年、五十六年、最近約十年間に、税収の大宗を占める株券の税率をおおむね三倍強に引き上げてきたところでございます。この結果、我が国有価証券取引税の税率は、主要諸外国と比較しても、イギリスを除き高い状況にあります。相応の水準に達しておると考えられます。この問題について、税調におきまして検討が行われました。そして、「主要諸外国における税率水準、資本市場の動向、財政の状況等を勘案しつつ慎重に検討すべきである。」とされたところであります。五十九年度において有価証券取引税の税率を引き上げるという結論には至らなかったということになっておるわけであります。
次は、不公平税制に対する中小企業等御意見を交えての御質問でございます。
この問題は、まず、所得税減税を実施することによって財政をこれ以上悪化させないという見地から、必要かつやむを得ない措置として法人税率の引き上げを行いました。しかし、御趣旨の点に配慮し、中小企業には、今回の税率引き上げ幅が一・三ポイントでありますが、これにつきましては軽減税率ということで、引き上げ幅は一ポイントととどめたことでございます。また、投資促進税制を新たに設けだということも、中小企業に対する配慮であります。
それから、退職給与引当金の御意見を交えた御質問でございます。
確かに御指摘のとおり、「現行の退職給与引当金の累積限度のあり方について引き続き見直しを行っていく必要がある。」このように答申でも指摘されております。したがって、これからも検討を続けてまいる所存であります。
それから総理からもお答えのありましたいわゆるパート収入の非課税限度額の問題であります。
基本的にはお答えがあったとおりでございます。このパート収入というものの難しさという問題は、まずパートとは何ぞやという定義の問題であります。
それから次は、パート収入に対し特別な控除を設けてはどうかという意見でございますが、これについては、常勤主婦その他の納税者と区別して、なぜパート主婦だけを特別扱いをするのか、こういう疑問が一方わいてくるわけであります。これに対する説明をどうするかという問題があります。それから、控除対象配偶者の所得限度額、この問題を引き上げてはどうだ、こういう御意見も当然ございますが、この問題につきましては、言ってみますならば、いわゆる控除対象配偶者が控除を受けながら、一方またこれが納税者になるという矛盾もございますので、いろいろ難しい問題があるということを御理解いただきたいと思います。
以上でお答えを終わります。(拍手)
〔国務大臣河本敏夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/15
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016・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほどの御質問は、今回の増減税が経済成長にどのような影響があるかということでございますが、もちろん増税の分はマイナスの影響がございますし、減税の部分はプラスの効果があると思います。ただし、総合して考えました場合には、私は、プラスの効果になる、このように判断をいたしております。
しかし、それではどの程度かといいますと、五十九年度のGNPが約三百兆、少し切れる数字でございますが、その見当の大きさと想定をしておりますから、その効果はそんなに大きなものではない、このように判断をしております。(拍手)
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017・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 和田一仁君。
〔和田一仁君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/17
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018・和田一仁
○和田一仁君 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となっております所得税法等の一部を改正する法律案外二法案につきまして、総理並びに関係各大臣に質問いたします。
我が国経済は、最近ようやく景気回復の兆しが見られるに至ってはおりますけれども、しかし、貿易摩擦の激化、企業倒産の増加など多くの懸念すべき材料を抱え込んでおり、なお楽観を許さない状況にあります。ここ三年間、景気は低迷を続け、実質成長率は三%台の低水準に推移してきたのであります。これは、政府が財政の景気調整機能を無視してきた結果と断ぜざるを得ません。
すなわち政府は、この六年間本格的な所得減税を行わないで、むしろ国民に実質的な増税を課してきたのみならず、五十六年度には約一兆四百億円の増税などを実施し、政府みずから景気の足を引っ張ってきたのであります。さらに政府は、公共事業費を当初予算で四年連続横ばいに抑制してまいりました。このような政府の政策運営の帰するところが経済、財政両面にわたる破綻でしかなかったことは、今日までの推移を見れば一目瞭然でありませんか。(拍手)
まず、経済面においては三%台の低成長を招来し、中小企業を中心とする企業倒産は著しい増加を示し、昨年の倒産件数は、危機ラインと言われる一万八千件をはるかに上回り、史上最悪を記録したのであります。また雇用情勢も、昨年の完全失業率が二・六%と過去最悪を記録いたしております。このように、現在の我が国経済社会は極めて厳しい情勢に追い込まれ、実質賃金の伸び悩みとともに、国民生活に大きな不安を投げかけてきたのであります。
さらに内需の冷え込みの影響は国内面だけではなくて、経常収支の黒字は今年度政府実績見込みでも二百三十億ドル、来年度においては、OECDが三百十五億ドルを予想するなど、今後の対外経済摩擦の激化が心配される今日であります。
また財政面においては、税収の著しい伸び悩みが際立っておるわけであります。税収欠陥は、五十六年度は約三兆三千億円、五十七年度は実に約六兆一千億円となり、また当初予算における税収をかたく見積もった五十八年度でも、約二千六百億円の不足が予想されているのであります。
その結果、赤字国債発行額はこの三年間約六兆から七兆の間をほぼ横ばいのまま移行して、当初の五十九年度赤字国債から脱却するとの方針は、全くの絵そらごとに終わってしまったわけであります。のみならず、昨年政府が公約したばかりの六十五年度脱却の実現さえ今や危ぶまれる事態に立ち至っているのであります。
これら一連の事実は、政府が進めてきた縮小均衡型経済の破綻を明確に示すものであります。しかるに総理は、来年度予算案において、既にその破綻が立証された縮小均衡型経済をなおも踏襲し、減税効果を相殺する増税の強行、公共事業費の削減、大幅投資減税の見送りなど、景気回復に逆行する措置を講じているのであります。
政府の進めるこの経済運営では、速やかな内需主導型の景気回復や我が国経済が持つ実質五%程度の潜在成長力を引き出してくることは望むべくもありません。これらの消極的経済運営に伴う税収の伸び悩みが、早晩赤字の穴埋めたる大増税となって国民の双肩に大きくのしかかってくることは、火を見るよりも明らかなことであります。ここに、我が党が拡大均衡型経済運営への転換を求めるゆえんがあるのであります。
総理は、この転換への決断によってこそ初めて、その二大公約たる「増税なき財政再建」と六十五年度赤字国債脱却の同時達成が可能となると思うけれども、いかがですか。明確なお考えをお示しいただきたいと思います。
総理は、さきの党首会談の席で、臨調路線を進む政府としては拡大均衡というわけにはいかない旨のお考えを披瀝されておりますけれども、しかしながら、臨調路線は拡大均衡を否定するものではございません。すなわち、行革と景気対策は両立するものであり、また両立さすべきものであると考えるのであります。総理がもし拡大均衡の道を選択できないとするなら、二大公約の実現に向かって、あなたはいかなる具体的展望と方策をお持ちなのか、ここに明らかにしていただきたいものであります。
また、河本長官は、さきの予算審議におきまして、六十五年度赤字国債脱却について、その程度のことは十分できると答弁されております。これはいかなる政策選択によって実現されるものなのか、具体的な案をお示しいただきたいのであります。
次に、所得税法について質問いたします。
政府は、今回最低税率の〇・五%引き上げなどの税率構造の見直しを行うこととしておりますけれども、この税率構造の見直しは、今回の改正で一段落したとお考えなのでしょうか。それとも、主要諸外国の税率水準との比較における見直しをうたう中期答申を受けて、今後さらに見直しを行う必要があると考えられておるのか、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、利子配当課税制度についてお尋ねをいたします。
政府税調においては、総合課税を原則とし、一部に源泉分離選択課税制度を残すという現行の枠組みを維持しながら、総合課税の税率との関連における分離課税の税率水準のあり方など制度の合理化を図っていくとの意見が大勢を占めたようであります。
大蔵省は、これについて既に検討を加えられているようであります。例えば、マル優制度における所得制限の設定、あるいはマル優制度そのものの廃止、あるいはグリーンカード制の実施、あるいは一たん源泉徴収で課税し、非課税分は確定申告時に還付するなどの方法であります。
大蔵大臣、これら利子配当課税の見直しについて今後どのように取り組んでいくおつもりであるのか、具体的な御見解を賜りたいと思います。
さらに、税負担の軽減を求める多くの国民の間には、大幅なパート減税、教育費減税、また単身赴任者が赴任中に自宅との往復に要する交通費、手当等の非課税化を求める声が非常に高まっておりますけれども、これら切実な要望にいかに応じていかれるのか、明確な御答弁を求めるものであります。
次に、法人税法について伺います。
今回の改正では、法人税の税率が二年間の臨時措置として、普通法人の留保分が一・三%、中小法人の留保分が一%引き上げられているのでありますが、政府は二年経過後これをもとに戻すのか、そうでないのか、この点を明らかにされたいのであります。
また、政府税調答申では退職給与引当金の見直しの必要性が指摘されております。この制度につきましては、まず保全のための十分な措置が講ぜらるべきものと考えるのであります。政府は、これまで、この保全のための措置を何ら講じないまま繰入率の引き下げだけを先行させてきたわけであります。政府は、税調の答申を受け、この見直しにいかに取り組まれていこうとするのか、大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。
また、我が党は、早急な積極経済政策の推進を必要とする立場から、大幅な投資減税の実施を求めてまいりました。今回の改正において、エネルギー利用効率化税制、またいわゆるメカトロ税制、さらにテクノ税制の改正が提案されましたことは、一つの前進として評価するものであります。しかし、今回は五百億程度のものであって、まだまだ十分なものではありません。一体この程度で経済効果は大きいと考えておられるのかどうか。さらに今後この面の拡大を図っていかれる考えがあるかどうか、この点が一点。
さらに加えて、生産設備の法定耐用年数の短縮を実施すべきものと考えるかどうかを、大蔵大臣、通産大臣、経企庁長官の御見解を伺うものであります。
最後に、臨調の答申においては、税負担の公平確保のための適正な税務行政体制の整備と、租税特別措置の整理合理化の一層の推進並びに国、地方を通じた税務行政の効率化が指摘されておるわけであります。臨調答申の最大限尊重を掲げる政府といたしまして、これにいかに対処していくかの御見解をただしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/18
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019・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 和田議員にお答えをいたします。
まず、今後の経済運営を拡大均衡型に転換する考えはないか、こういう御質問でございます。
今後とも、この景気の上昇に弾みをつけながら機動的な経済運営に努めて、物価の安定基調を維持し、国内民間需要を中心とする景気の持続的拡大を図ってまいるつもりであります。特に金融の機動的運営あるいは民間活力の増大等々、いろいろあらゆるものを結びつけまして、総合的に経済政策を進めてまいりたいと思っております。
行政改革と景気対策は両立するかという御質問でございますが、両立すると考えております。やはり政府を簡素効率化して国民の負担を軽減していく努力、さらに民間活力を増大させるために規制を解除していく、こういう政策を持続的に努力してまいりまするならば、必ずやこれらは景気対策にもよい結果を生むものと考えておる次第であります。
次に、「増税なき財政再建」と昭和六十五年度赤字国債脱却、これは両立するかという御質問でございますが、臨調答申を尊重いたしまして、その線に沿いまして両立させるように努力してまいるつもりであります。すなわち、臨調答申におきますGNPに対する租税負担率を変えないという基本線を堅持しつつ、景気の拡大とかあるいは歳出歳入構造の見直しとか税外収入の確保とか、あるいはそのほかの諸般の政策を組み合わせまして、両立するように努力してまいるつもりでおります。
次に、税率の引き上げについて、この二年間の経過後はどうするかという御質問でございますが、その際の経済動向、財政事情等も考慮して検討いたすべき問題であると考えます。
次に、臨調答申にある税負担の公平確保のための適切な税務行政体制について御質問をしていただきました。
申告納税制度の定着と課税の公平の一層の推進を図る見地から、所要の改正を提案したところでございます。執行面におきましても、税務調査の充実等各般の対策を推進して、合理的に調整してまいります。
次に、租税特別措置の整理合理化を一層推進するかというお尋ねでございますが、今後もさらに持続的に努力してまいるつもりでおります。
国、地方を通じた税務行政の問題でございますが、昭和二十九年の国税庁と自治省との間の了解事項等に基づき、その推進に努力してまいっておりますが、さらに、五十七年七月の臨調答申にかんがみ、新たな了解事項を五十七年十二月に締結いたしまして、さらに協力強化を行っております。今後とも国、地方が十分協力し合い、一層の効率化を図るように努力してまいります。
残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/19
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020・竹下登
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。
まず第一は、所得税法等の改正について税率構造の見直しを今後行うか、こういうことでございます。
所得税は、国民の所得に直接負担を求めます税でありますだけに、今後とも税体系の基幹税たる役割を担うためには、国民の理解と信頼によって裏づけられることが必要であります。したがって、数年に一度は適宜その見直しを行う必要があるということを考えております。
中期答申におきまして、このたびは「所得水準の平準化の動向等にかんがみ、中堅所得階層の負担の緩和にも配慮しつつ、全体として、若干なだらかな累進構造とする方向で見直しを行うことが適当である。」こうされておりましたので、今回の改正においても、税率について所要の調整を行ってきたところであります。しかし、適宜見直しを行っていくことが適当であるという基本的考えは持っております。
それから次が、利子配当課税に対する御質疑でございます。
この問題は、グリーンカード制度の凍結期間との関係から、できればことし夏ごろまでに結論を得ることが望ましいというふうにされておりますところでございますので、この問題につきましては、今後とも税制調査会にお諮りして鋭意検討を進めていかなければならない課題だという認識をいたしております。
それから、パート減税、教育費減税、単身赴任者の交通費等の問題について、今日の社会生活の構造の変化に基づく立場からとらえての御質疑でございます。
パート問題につきましては、最大限の配慮をして適用限度額を八十八万円まで引き上げたところでございます。ただ、この問題は、先ほども申し上げましたように、パートとはとかあるいは扶養控除の問題でありますとか、いわゆる専業主婦等の問題でありますとか、非常に問題が複雑な点がございますので、これからもいろいろ御意見を聞かしていただきたいと思っております。
それから教育費減税の問題につきましては、いわゆる教育というものには今日いろいろな助成方式ということで行われておりますので、その助成方式というものを基本的に変更を加える、こういうことになりますだけに、軽々に結論を出し得ない問題であります。
単身赴任者の自宅との往復等の問題でございますが、実態から見ても通勤手当と同率に論ずるというのは適当ではないではないか、こういう議論が一方にございます。
それから退職給与引当金の見直しの問題につきましては、これはとにかく税調においても指摘を受けておるところでございますので、これからも検討を続けてまいるという考え方でございます。
その次に、投資減税についてでございます。
この問題は、今日までいろいろ議論がございました。が、このたびのいわゆる投資減税というものは、現状において精いっぱいの措置であるというふうに御理解を賜りたいと思います。
なお、国際競争力の維持とか技術革新への対応の見地からの法定耐用年数等に対する具体的な御意見を交えての御質問であります。
これは、やはり政策的観点からの見直しは法定耐用年数の考え方にはなじまない問題であると思います。ただ、税調の中期答申にも「技術的進歩による陳腐化の状況に配意しつつ資産の使用実態に応じ見直しを行うことは必要である」こう言われております。今後とも見直しを行っていくつもりでございます。
それから、臨調答申の問題、租税特別措置の問題、国、地方を通じた税務行政の効率化の問題等につきましては、総理から詳しくお答えがございましたとおりであります。
以上でお答えを終わります。(拍手)
〔国務大臣河本敏夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/20
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021・河本敏夫
○国務大臣(河本敏夫君) 私に対する御質問は、予算委員会で、昭和六十五年度赤字国債の発行をゼロにするという財政再建は可能かということに対して可能であると言ったのは、その具体的な内容はどうか、こういうお尋ねでございますが、経済政策と財政が非常に密接な関係がある、いわば表裏一体の関係にあるという立場から若干申し上げますと、私は、オーソドックスな方法しかないのではないか、こう思っております。
その第一は、歳出の徹底した合理化だと思います。それから第二は、税体系の根本的な見直し、これが大きな課題だ、こう思います。それから第三は、景気を拡大をいたしまして、経済の活力を拡大をいたしまして、税の自然増収を積極的に図っていくということ、これが私は、第三の大きな課題でなかろうか、こう思っておりますが、その三つの中では、やはり特に第三の問題を大きく重視していく必要があるのではないか、このように思います。(拍手)
〔国務大臣小此木彦三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/21
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022・小此木彦三郎
○国務大臣(小此木彦三郎君) まず、中小企業向け投資減税についてでございますが、中小企業の設備投資の促進は、中小企業対策といたしましてもまた景気対策といたしましても、まことに重要であります。
このため、今年度から講じてきている中小企業の設備投資促進措置に加え、厳しい財政事情のもとにはございますが、昭和五十九年度税制改正において、技術進歩の著しいメカトロ機器、電子計算機等の導入を促進することによりまして、中小企業の生産性の向上及び経営の合理化、近代化を図るとともに、中小企業の設備投資を促進させるため中小企業新技術体化投資促進税制、これを創設いたしました。
また、五十九年度において創設されましたエネルギー利用効率化等投資促進税制も相当部分は中小企業が利用の見込みでございます。
次に、生産設備の法定耐用年数の短縮に関する質問でございますが、法定耐用年数は現実の設備の使用期間の実態に基づいて客観的に設定されたものでございます。したがって、設備の使用実態を離れて法定耐用年数の一律短縮を行うことにつきましては、現行の減価償却制度の基本的枠組みに関連する問題でもありますので、慎重な検討が必要でございます。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/22
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023・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/23
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024・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。
午後五時十二分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00719840224/24
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