1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年二月二十八日(火曜日)
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昭和五十九年二月二十八日
午後一時本会議
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○本日の会議に付した案件
田川自治大臣の昭和五十九年度地方財政計画に
ついての発言並びに地方税法等の一部を改正
する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等
の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨
説明及び質疑
午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/0
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001・福永健司
○議長(福永健司君) これより会議を開きます。
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国務大臣の発言(昭和五十九年度地方財政計
画について)並びに地方税法等の一部を改
正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法
等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣
旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/1
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002・福永健司
○議長(福永健司君) この際、昭和五十九年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣田川誠一君。
〔国務大臣田川誠一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/2
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003・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 昭和五十九年度の地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
現下の地方財政は、巨額の借入金を抱え、これ以上の借入金依存は地方財政の基盤を揺るがせかねない状況にあり、今後の行財政改革の積極的推進と財政体質の抜本的改善が喫緊の課題となっております。このため、交付税特別会計における新たな借り入れは原則として行わず、当分の間、法律の定めるところによりまして地方交付税総額について必要な特例措置を講ずることといたしますとともに、既往の借入金につきまして、国、地方の負担区分に応じ分割整理するなど、地方財政対策の見直しを行うことといたしました。
また、昭和五十九年度の地方財政につきましては、引き続き大幅な収支不均衡にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調に立ちまして、歳出面におきましては、経常経費、投資的経費を通じその抑制を徹底して行い、歳入面におきましては、地方税制の改正、受益者負担の適正化等により所要の地方財源を確保し、地方債依存度の引き下げを行うなど、経費支出の効率化と限られた財源の重点的配分に徹し、節度ある財政運営を行うことを基本としております。
昭和五十九年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定いたしておりますが、以下その策定方針について御説明申し上げます。
第一に、最近における地方税負担の現状及び厳しい地方財政の実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図るため、個人住民税につきまして、基礎控除等の所得控除の額の引き上げ、市町村民税所得割の税率及びその適用区分の調整・低所得者層に係る非課税限度額の引き上げ等の措置を講ずるとともに、法人住民税均等割の税率の引き上げ、自動車税及び軽自動車税の税率の調整並びに固定資産税等に係る課税標準の特例措置等の整理合理化等を行うこととしております。
第二に、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、昭和五十九年度の地方財源不足見込み額については、地方交付税の増額と建設地方債の増発により完全に補てんすることとしております。
第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、その特性を生かした地域社会の形成を進めますとともに、住民生活に直結した社会資本の整備等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、福祉施策及び教育、文化振興対策等の推進を図るための財源を充実いたしますとともに、投資的経費につきましても、個性的で魅力ある町づくり、地域づくりを積極的に推進するため新たに町づくり特別対策事業を創設する等所要額を確保することとし、また、過疎地域等に対する財政措置を引き続き講ずることとしております。
第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化、一般行政経費の抑制及び国庫補助負担基準の改善を図るほか、年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な措置を講ずることとしております。
以上の方針のもとに昭和五十九年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は四十八兆二千八百九十二億円となり、前年度に対し八千三十二億円、一・七%の増加となっております。
次に、地方税法等の一部を改正する法律案につきましてその趣旨を御説明申し上げます。
明年度の地方税制の改正に当たりましては、最近における地方税負担の状況及び厳しい地方財政の実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図ることを基本としております。
以下、その概要について御説明申し上げます。
第一に、地方税法の改正であります。
まず、個人住民税について、国民の強い期待にこたえ、平年度三千億円余の本格的な減税を実施することとし、基礎控除等の所得控除の額の引き上げを行うほか、低所得者層に係る非課税限度額の引き上げ、市町村民税所得割の税率及びその適用区分の調整等を行うこととしております。
次に、法人住民税均等割について、法人の事業活動と地域社会との受益関係等を勘案してその税率の引き上げを行うとともに、法人の住民税及び事業税の一部納付後の徴収猶予制度を廃止することとしております。
また、自動車税及び軽自動車税について、最近における所得、物価水準の推移等を考慮してその税率の調整を行うこととしております。
さらに、固定資産税等に係る課税標準の特例措置等について、引き続き整理合理化を行うこととしております。
このほか、地方税における納税環境の整備を図るため、所要の規定の整備を行うこととしております。
第二に、地方道路譲与税法、石油ガス譲与税法、自動車重量譲与税法及び航空機燃料譲与税法の改正であります。
地方道路譲与税等の地方譲与税につきまして、譲与時期及び譲与時期ごとに譲与すべき額の変更を行うこととしております。
第三に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正でありますが、日本国有鉄道の公害防止設備に係る市町村納付金の特例措置の適用期限を延長することとしております。
そのほか、所要の規定の整備を図ることとしております。
これらの改正により、明年度におきましては、三百五十六億円の減収となる見込みであります。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
第一に、地方交付税の総額に係る特例については、地方財政の健全化に資するため、昭和五十九年度以降、交付税及び譲与税配付金勘定における新たな借入金措置は原則として行わないこととし、当分の間、法律の定めるところにより、地方交付税の総額について、その安定的な確保に資するため必要な特例措置を講ずることとしております。
さらに、交付税及び譲与税配付金勘定の借入金十一兆五千二百十八億七千八百万円のうち国が負担することとされていた五兆八千二百七十七億六千三百万円に相当する借入金については、その償還時に一般会計から臨時地方特例交付金として繰り入れることとしていた制度を廃止し、当該借入金を一般会計へ帰属させるとともに、残った同勘定の借入金については、今後これに係る利子を含めて地方が負担することとし、あわせて当該借入金の償還期間を昭和六十六年度から昭和七十五年度までに変更することとしております。
これらの措置に伴い、昭和五十九年度から昭和七十五年度までの各年度分の地方交付税の総額は、地方交付税法第六条第二項の額から各年度における交付税及び譲与税配付金勘定の借入金減少額と同勘定における当該各年度分の利子の支払いに充てるため必要な額との合算額を減額した額とすることとしております。
なお、昭和五十九年度分の地方交付税の総額についてでありますが、借入金の償還期間の変更に伴い、その総額は、地方交付税法第六条第二項の額から昭和五十九年度分の利子の支払いに充てるため必要な額三千六百三十八億円を減額した額に、地方交付税の総額の特例措置額千七百六十億円を加算した額とすることとしました結果、八兆五千二百二十七億円となり、前年度当初に対し、三千四百五十八億円、三・九%の減となっております。
また、昭和五十九年度の特例措置として加算される千七百六十億円のうち三百億円に相当する額については、昭和六十六年度及び昭和六十七年度の両年度において、当該各年度の地方交付税の総額からそれぞれ百五十億円ずつ減額することとしております。
第二に、昭和五十九年度の普通交付税の算定については、生活保護基準の引き上げ、老人保健制度の実施等福祉施策に要する経費、教職員定数の改善及び私学助成等教育施策に要する経費、公園、清掃施設、市町村道、下水道等住民の生活に直結する公共施設の維持管理に要する経費等の財源を措置し、あわせて投資的経費については地方債振りかえ後の所要経費の財源を措置することとしております。
以上が、昭和五十九年度の地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
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国務大臣の発言(昭和五十九年度地方財政計
画について)並びに地方税法等の一部を改
正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法
等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣
旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/3
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004・福永健司
○議長(福永健司君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。安田修三君。
〔安田修三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/4
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005・安田修三
○安田修三君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十九年度地方財政計画並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案に関し、総理並びに関係大臣の所見を問うものであります。
総理並びに自治大臣は、口を開けば、人々の参加と連帯、地方分権の推進あるいはゆとりと潤いのある快適な生活環境、これを求める住民のニーズに的確に対応するための地方公共団体の役割は重要だと言っておられるのであります。しかしながら、果たして実態はそうでありましょうか。国の一方的な都合や目的の前に自治体を引き回し、その犠牲を転嫁しているのであります。これがほかならぬ実態ではありませんでしょうか。
交付税特別会計における借り入れと財源対策地方債の増発という借金政策をもってする財源補てん措置並びにその間の歳出抑制策は、まさにこのことを鮮明に証明しているのであります。地方交付税法並びに地方財政法の趣旨を無視し、いたずらに借金政策を続けること九年、この間、地方財政の計画的運営や地方自治の発展が阻害されてまいったのであります。総理並びに自治、大蔵両大臣の率直な反省の弁を伺いたいと存ずるのであります。
さて、政府の昭和五十九年度地方財政対策は、従前とは打って変わり、一兆五千百億円の財源不足に対し、一つは、交付税特別会計における借り入れの措置の廃止と、それにかわって特例措置を創設する一方、二つには、今日までの交付税特別会計における借入金十一兆五千二百億円を、国五兆八千三百億円、地方五兆六千九百億円と、それぞれおおよそ半々に折半することといたしておるのであります。これ以上借金をふやさないという点では、今回の借入措置の廃止は一応意味のあることであります。しかしながら、地方財政の自立自助努力に大きく傾斜した今回の地方財政対策を見ますと、地方財政制度に重大な暗影が投げかけられていると考えざるを得ないのであります。
そこで、幾つかの具体的な問題につきましてお尋ねいたします。
第一は、特例措置の問題であります。
政府は、当分の間地方交付税法「第六条第二項の規定により算定した交付税の総額について、法律の定めるところにより、交付税の総額の安定的な確保に資するため必要な特例措置を講ずる」としております用地方財政の財源不足に対処する法的根拠は、同法第六条の三第二項以外にはないのであります。これまでの交付税特別会計借入金の二分の一を国が負担するという措置を廃止する以上、今回の改正法案と本法第六条の三第二項との関係を明らかにすべきであります。このような関係を不明確にしながら、総理並びに大蔵大臣が特例措置を制度の改正であると主張されることは、余りにも法を無視し、自治体をないがしろにするものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
こうした事情は、国の予算編成のからくりを見れば一層明らかであります。すなわち、国の一般歳出を対前年比〇・一%減とするための苦肉の策といたしまして、既往の交付税特別会計の借金を地方との間で折半し、約三千五百億円の一般会計負担を削減した今回の予算編成を見ますと、そこには特例措置が制度の改正であるとする何ら根拠がないということがわかってまいるのであります。一般歳出圧縮の犠牲に安易に地方財政を供しました自治、大蔵大臣の責任は極めて重大でありまして、率直な答弁を両大臣からお伺いしたいと存ずるのであります。
第二は、財源不足補てん措置の根拠の問題であります。
一兆五千百億円の財源不足額のうち、一兆二千五十一億円をまず建設地方債の増発で埋め、残りの三千四十九億円を交付税の増額でもって措置しておりますが、この両者の案分根拠は全く不明であります。公共事業の起債充当率を五%引き下げ、それに伴う地方債の増発量を先に計算し、残余を交付税の増額で措置したというのが偽らざる実態でありましょう。この際、この案分根拠を明確にお示し願いたいのであります。
また、一千七百六十億円についても同様であります。特例措置としての一千七百六十億円のうち、一千四百六十億円は、いわゆる自治、大蔵大臣による利差臨特など既往の覚書によるものであります。しかも、このうち財源対策臨時特例交付金五百億円は、利子配当所得に対し地方税では総合課税されていないことから、これに見合う額として従前から交付されていたものでありまして、昨年の一千百億円に対し、今回は五百億円に値切られましたことは、これまた地方への犠牲の転嫁ではありませんか。かくして、純然たる特例措置分は三百億円にすぎないのであります。
しかも、年度間の収支や年度途中における収支の増減を可能な限り反映する仕組み、こうしたことへの転換をうたっているいわゆる臨調答申を見れば、この三百億円の六十六年度以降二年間にわたる減額調整は、地方交付税の年度間調整に扉を開くものと言わなければなりません。
このように、今回の地方財政対策は、従前の交付税特別会計における借り入れ措置を廃止する陰で、実質的な交付税率の引き下げを含む大きな制度改悪の落とし穴をつくるものと言わざるを得ないのであります。(拍手)総理並びに自治、大蔵大臣の見解をお伺いするものであります。
第三には、交付税特別会計の今後のあり方についてお聞きいたすものであります。
交付税特別会計における借入金十一兆五千二百億円を国と地方の折半で処理しようとするならば、これに見合って、交付税と一般会計との関係も地方固有財源の保障という立場から改革すべきであります。
すなわち、地方の借金とされる五兆六千九百億円については、地方財政整理資金特別会計ともいうべき会計制度を創設して、これに移管し、国民の目に見える形で償還するのが適切であります。これによって、交付税の既往の借金を整理し、あわせて地方固有の財源であることを明確にするため、地方交付税については、国税収納整理資金特別会計から交付税特別会計に、一般会計を通さず直入する方法をとるべきだと考えるのであります。自治大臣の所属する新自由クラブにありましても、我が党のこのような考えに積極的に同調された経緯がありまして、また、地方交付税と一般会計との関係について、無理解から交付税を罪悪視する風潮がある中で、こうした制度改正こそ急務の課題であります。関係大臣のお考えをお聞きいたすものであります。
さて、四十八兆二千八百九十二億円の地方財政計画におきまして、地方単独事業は計画と決算の乖離の元凶として大きく削減されたのであります。国の公共事業削減の肩がわりとして一昨年まで地方単独事業を大きく伸ばしておきながら、今年度は一気にマイナス三・三%まで抑制するなど、その一貫性のなさにただただあきれるばかりであります。地方財政の将来を考えるときに、縮小均衡政策をどこまで地方に押しつけるのでありましょうか。
したがいまして、補助事業と単独事業における現行の割合をこれ以上単独事業を低下させないこと、そして個々の自治体にあっては、単年度収支の黒字のみを追求することなく地域の社会経済の発展の立場から、財調資金の積極的活用など、広い視点から予算の編成を行うべきだと考えますが、自治大臣の所見をお伺いするものであります。
ところで、単独事業と昨年策定されました第九次道路整備五カ年計画との関係についてお尋ねいたすものであります。
同計画では三十八兆二千億円の規模となっております。その地方単独事業は第八次計画に比べ五六%増の十一兆七千億円となっておるのであります。単独事業の圧縮が今後の政策でありますならば、当然この道路整備計画も変更を余儀なくされると思いますが、関係大臣の見解をお聞きいたします。
最後に、今後の地方財政の健全化にかかわる基本問題についてお尋ねいたします。
既に申し上げましたように、案分根拠が全く不明なまま、財源不足額に占める地方債増発割合は昭和五十八年度の四四・三%から七九・八%へと倍増してまいっております用地方財政計画の伸びがわずか一・七%と抑制されたことから、地方債依存度は前年度の一〇・五%から九・九%に低下してまいっているのでありますが、公債費率は一〇%から一〇・七%に逆に増加しております。今後、財源対策における地方債の増発が高比率で推移していくことを見ますと、公債費率が黄信号とされる一五%のラインを突破するのは十分予測されるのであります。
このような危険性を持つ現状に対しまして、政府は健全化のためと称しまして交付税特別会計における借り入れを廃止しておりますが、このような措置は矛盾だと見れるのであります。これについての見解をお聞きするとともに、地方財政確立のために抜本的に国と地方との財源の再配分を断行されたいと思いますが、総理並びに自治大臣の所見をお伺いいたすものであります。
以上をもって質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/5
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006・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 安田議員の御質問にお答えをいたします。
まず、国の都合によって財源措置や歳出抑制策が適当に行われるということは地方自治の発展を阻害しないかということでございます。
従来から、公経済の車の両輪として国及び地方の財政が円滑に運営されるように、毎年度の地方財政対策において考慮してきたところでございます。今回の地方財政対策におきましては、地方財政の健全化に資するために、交付税特会の新規借入措置を廃止するとともに、既定借入金につきましても所要の整理を行い、地方財政の借入金依存からの脱却を図ったところであります。今後は、国、地方を通ずる行財政改革をさらに推進するために、地方の歳出についても抑制合理化を要請いたしております。今回の措置は、自主自律の促進及び地方自治の本旨にのっとって行っていると考えております。
次に、今回の措置によって、当分の間地方交付税法六条第二項の規定によりとしておるが、このところは地交法六条の三の二項との関係をどのように考えるかという御質問でございます。特例措置を制度改正と言うべきではないと思うかどうかという御趣旨でございます。
今回の地方財政対策においてとられました地方交付税措置は、現下の国、地方の厳しい財政状況を踏まえて、地方財政の健全化促進に資するために行ったものでありまして、地方交付税制度の基本を堅持しつつ総合的な調整、必要な措置を行ったものであると考えております。
次に、今回の地方財政対策は実質的な交付税率の引き下げではないかという御質問でございますが、この厳しい財政環境のもとで必要な地方交付税の総額を安定的に確保するためにこれは行ったものでございます。国と地方との財源配分である地方交付税制度の基本的性格を変えるものではございません。
次に、地方財政の健全化のために交付税借入金の廃止を行うのであるならば、国と地方の財源配分を行うべきではないかという御質問でございますが、今回の措置はあくまで地方財政の健全化等に資するために行ったものであり、国と地方との財源配分につきましては、行財政改革の推進あるいは事務の分担の見直し等すべて幅広く見直す必要があり、検討すべき課題であると考えております。
残余の御答弁は関係大臣よりいたします。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/6
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007・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず最初の、交付税特会借入廃止、財源対策地方債の増発及び歳出抑制策は、地方交付税法及び地方財政法の趣旨を無視して地方自治の発展を阻害するものではないか。
これは総理から正確に御答弁がございました。国、地方を通ずる行財政改革の徹底を期するとともに、地方財政を健全化し、国、地方双方の円滑かつ着実な財政再建を確保するための改革でありまして、まさに地方交付税法等の趣旨に沿うものであると心得ております。なお、地方財政の健全化は地方自治の発展にとって不可欠のものであると考えております。
次の問題につきましては、地方交付税交付金の特例措置は、今回の地方財政対策の改革によりまして、五十年度以来の地方財源措置であります交付税特会における新たな借入金措置や臨時地方特例交付金にかわる新しい方式として、当分の間制度化されたものであります。
次は、地方交付税法第六条の三第二項との関係でございます。
これは、国と地方の財政運営の中期的な展望に立って、地方財政の健全化に資するとともに、国、地方の円滑かつ着実な財政再建を確保するための地方交付税法第六条の三第二項に基づく地方行財政制度の改正と考えております。
次は、国の一般歳出との関係でございますが、今回の地財対策の抜本的な改革による結果として、五十九年度予算におきまして一般歳出が減少する一方、国債費や地方交付税が増加しておりますが、これは改革に伴いますところの過渡的な、一時的な姿でありまして、故意に一般歳出を抑制するためのものとお考えいただくことは適当でなかろうかと思っております。
次の問題は、一兆五千百億円の財源不足対策についての問題であります。
五十九年度の地方財政において生じますと見込まれます財源不足額一兆五千百億円につきましては、地方交付税交付金の増加措置三千四十九億円と地方債措置一兆二千五十一億円で完全に補てんすることとしておりますが、これは、現在の国と地方の極めて厳しい財政状況のもとで、公経済の車の両輪としての国と地方の財政がともに円滑に運営されるためのものであって、今回の地財対策の改革に基づいて行われた、まさにぎりぎりの措置であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
したがいまして、五十九年度地方財政対策におきます交付税増加額と地方債措置額との比率は、地方財政対策の改革に基づく地方財政措置の結果でございまして、交付税特会の新規借入措置を柱とする従来対策のそれとは比べて論ずることは適当ではないのではなかろうかというふうに考えております。
次は、今回の地方財政対策の改革のポイント。これは、五十年度以来の地方財源措置でございます交付税特会における新たな借入金措置や臨時地方特例交付金等の臨時措置を廃止して、今後はそれらにかえて、建設地方債の活用のほか、地方交付税交付金の特例措置によって対処するということを御説明があったとおりでございます。
したがって、五十八年度以前の地方財政対策における大蔵、自治両大臣覚書に基づいたいわゆる既往の臨時特例交付金は、あくまで五十九年度の地方財政対策により、所要の交付税総額を確保するため決定された地方交付税交付金の特例措置額の精算において、その相当額が調整されるにすぎないものでございまして、特例措置額は既往の臨時地方特例交付金相当額とは関係なく決められるものでございます。
なお、地方交付税交付金の特例措置は、地方交付税法第六条の三第二項に基づき、当分の間制度化されたものでございますが、その実施及び内容は各年度の地方財政対策において決められるため、地方交付税の年度間調整を意図した制度とは考えておりません。
交付税率の問題でございますが、今回の地方財政対策の改革における特例措置は地方交付税率を変更する制度改正ではなく、国と地方の財政運営の中期的な展望に立って地方交付税総額の安定的確保に資するために必要な措置である、このように御理解をいただきたいと思います。
次が、交付税特会借入金を国と地方で折半するという問題でございますが、今回の地財対策の改革におきましては、国と地方の財政運営の中期的な展望に立って、交付税特別会計における新たなる借入金措置は原則として行わない、かわりに、当分の間地方交付税交付金の特例措置を講ずることとしておりますが、それに伴い、過去の地方財政対策の結果、国の負担として地方交付税法等に定められる既定の借入金償還額を一般会計の借入債務に振りかえ整理することとしたものであります。あくまで今後は借入金をふやさないという措置に伴って既定の償還負担額を整理するものでありますが、それによって国と地方との元利償還責任を明らかにして、今後、それぞれの計画的財政運営に資することとなっております。
それから、御提案のありました新たなる特会の創設の問題であります。
今回の借入金振りかえ措置によりまして、今後は交付税特会の借入金の元利償還はすべて地方負担となる一方、国負担分については国債費に計上されて明確に整理されるため、御提案のように新たな整理特会を創設する必要はないというふうに考えております。
それから、いわゆる地方交付税の国税収納整理資金特会から交付税特会への直入の問題でございますが、国の予算制度あるいは会計制度の上にも大きな影響を及ぼす問題でございますので、問題が非常に多いと思います。なお、交付税特会へ直入するとなりますと、交付時期につきましても、実際に収納したものしか支払えないというような、地方財政に与える影響も大きいことが考えられます。そういうことからいたしまして、交付税特会へ直入するという考え方には残念ながら賛成しかねます。(拍手)
〔国務大臣田川誠一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/7
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008・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 安田議員にお答えいたします。
まず地方財政対策のあり方についてお答えいたしますが、地方団体に対する財政対策は、国、地方を通ずる厳しい財政状況を踏まえながら、地域住民の生活水準の向上確保を図るために、地方団体の財政運営に支障のないように所要の措置を講じておりまして、今後とも同様の方針によりまして対処をしてまいります。今回の地方財政対策の見直しによりまして、地方団体の行財政運営に対して、国の財政と同様、節度ある財政運営を求めることとしておりますけれども、これは中期的に見まして地方自治の発展向上につながるものと信じておる次第でございます。
今回の特例措置の趣旨につきましてお答えいたしますが、五十九年度の地方財政は引き続いて大幅な収支不均衡の状態にありまして、地方交付税法第六条の三第二項の状態にあるわけでございます。今回の特例措置は、地方交付税法第六条の三第二項の事態であることと、それから交付税特別会計借入金の累積にかんがみまして、従来の方式にかえて地方交付税総額の安定的確保を図る制度として所要の措置を講ずるものでございます。したがいまして、国、地方の厳しい財政状況を考えましたときに、今回御提案している措置は妥当なものと考えているものでございます。
地財対策と国の予算との関係についてでありますが、今回の地方財政対策の見直しに伴いまして、既往の借入金について、国、地方の負担区分に応じた分割整理を行うことといたしましたが、これは国、地方の財政再建の責任分担を明確にしたものでございます。したがいまして、不当に国の責務を地方に押しつけたものではないことをひとつ御理解をしていただきたいのでございます。
財源不足の補てん措置についてお答えいたしますが、地方財政の財源不足をどのように補てんするかにつきましては、地方財政全体の動向を勘案しながら、その円滑な運営に支障のないように所要の財源を確保するのが基本でございます。地方財源不足の補てんに当たりましては、国における建設国債の活用とその均衡にも配慮をして建設地方債の活用を図ると同時に、極力その抑制も図り、所要の地方交付税の特例措置を講ずることによりまして、地方財政の円滑な運営を確保したものでございます。
地方交付税の制度について次にお答えいたしますが、本年度の地方財政対策におきましては、地方交付税の特例措置として法定の交付税額に対して必要な加算措置を講じたところでありまして、現下の国、地方の厳しい財政状況から見まして妥当な措置であると考えておるのでございます。交付税特会におきまして借入金に係る利子財源を負担しているため、地方団体に配分する地方交付税が減額されていることは御指摘のとおりでございますけれども、国税三税に係る国と地方との間の財源配分は変わるものではありませんで、現行の交付税率を変えるものとは毛頭考えておりません。
地方財政整理資金特別会計の創設についてお答えをいたします。
地方交付税に係る交付税特別会計の借入金につきましては、借入金の総額及び毎年度の償還額について地方交付税法に明確に定めることによりまして国民の皆様の御理解を得られるようにしているところでありまして、御提案の特会を創設することは現在考えておりません。
次に、地方交付税を国税収納整理資金から直接交付税特会に繰り入れることは、地方交付税が地方の固有財源であるということをより明確にする趣旨から来ていると思います。したがいまして、御質問の御趣旨は理解できるところでありまして、私ども新自由クラブもかねてからこのことを主張してまいったのでございます。しかし一方、そのようにした場合には、国及び地方財政への影響をも十分研究する必要がありますので、今後幅広く検討すべき課題であると考えております。
地方単独事業についてお答えをいたしますが、地方単独事業は、住民生活に身近な公共施設の整備及び地域経済の安定的成長を図る上で重要な役割を果たしております。この趣旨に沿いまして、毎年度必要な額を地方財政計画上確保してまいりました。五十九年度におきましては、地方単独事業の最近の実績等を勘案し、地域住民の身近な生活環境の整備が適切に行われるように配慮しているところでございます。
近年、地方単独事業のウエートは徐々に高まってきておりまして、本年度においても、単独事業の総額は直轄、補助事業を上回っております。五十九年度におきましては、地方単独事業の実態にかんがみ所要の規模是正を行ったところでありますが、身近な公共施設の整備につきましては、財源の確保を図り積極的に推進するよう地方団体を指導してまいりたいと思っております。
最後に、地方財政の公債費の見通しとその財政の健全化についてお答えをいたします。
地方財政の抱えております普通会計分の地方債残高は、五十九年度末の見込みにおきまして約四十兆五千億円にも上っております。今後も漸増するものと考えられます。地方財政は、この地方債残高を含め巨額の借入金残高を抱えている上に、五十九年度におきましても大幅な収支不均衡にありまして、その健全化を図る必要があると考えております。このため、今後、行財政改革を積極的に推進するとともに、関係方面の御意見等を承りながら、国、地方の財政事情を踏まえ、地方税財政制度の改革について真剣に取り組んでまいりたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣水野清君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/8
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009・水野清
○国務大臣(水野清君) 私に対する御質問は、地方財政計画では地方単独事業は三・三%のマイナスとなっているが、昨年定められました第九次道路整備五カ年計画では、第八次に比べて地方単独事業は五六%と大幅に増加をされている、現下の地方財政計画における地方単独事業の伸び率からすると第九次五カ年計画を変更せざるを得ないのではないか、こういう御質問であったと思います。
これに対しましてお答え申し上げますが、第九次道路整備五カ年計画の投資規模は、御承知のとおり総額三十八兆二千億円でございます。このうち地方公共団体の行う地方単独事業は、第八次五カ年計画の実績などを考慮いたしまして十一兆七千億を見込んでおります。現在、国及び地方は厳しい財政状況下にございますために、昭和五十九年度の地方財政計画における地方単独の道路事業費は、対前年比〇・九九と、わずかではございますが前年度を下回るものと見込まれております。第二年度までの地方単独事業の進捗率は三四・一%となっております用地方におきます道路整備の必要性や道路整備に対する要請は極めて大きいということは十分承知しておりますし、財政難の中ではございますが、今後とも第九次道路整備五カ年計画の着実な実施に努めていきたい、かように思っている次第でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/9
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010・福永健司
○議長(福永健司君) 山下八洲夫君。
〔山下八洲夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/10
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011・山下八洲夫
○山下八洲夫君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案を中心に、自治体行財政の諸問題について、総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
まず本論に入る前に、私は昨年の十二月に初当選いたしましたぴかぴかの一年生であります。選挙期間中特にカを入れて有権者に公約いたしてきましたことは、政治倫理の確立とストップ・ザ・中曽根で命、暮らし、平和を守ることであります。(拍手)私には実行する責務があります。総理も増税なき減税を初め多くの公約を国民にいたしました。ぜひ実行していただきたいものであります。
ところで、去る二十四日最高裁で判決が下された石油カルテル問題についてお尋ねをいたします。
第一次オイルショック当時、諸悪の根源とまで言われた石油業界のカルテルが、公正取引委員会の告発以来十年ぶりに有罪とされたことは、近年のいろいろなカルテルの横行を見るにつけ当然のことであり、むしろ遅きに失したというべきでありましょう。しかしながら、本裁判で真に問われたのは、現在も一向に改まらないまま横行している行政指導であります。当時の石油カルテルが通産省の行政指導によって行われたことは明らかであります。そのことは、当時の通産大臣をなさっていた中曽根総理が一番よく御存じだと思います。(拍手)最高裁判決においては、実質的不利益を生じさせるものでなければ行政指導は違法ではないとしておりますが、行政指導が通産省の産業保護政策に名をかりた業界に対する生産、価格などいろいろな面で密室的に行われている現状を見れば、諸悪の根源はむしろ通産省にあったというべきでありましょう。
通産省は、昨年四月の原油価格五ドル引き下げに伴って下がってきたガソリン価格が、九月以降、値戻しと称して消費者が歓迎をしない高値安定を図り、また石油小売店約六万軒の見直しをし、これまた行政指導を行おうといたしておりますが、最高裁判決の趣旨を踏まえるならば、このような指導は行うべきではないと考えます。当時の通産大臣にあって、狂乱インフレを演出した石油業界の利益は完全に国民に還元させると大見えを切った中曽根総理であるならば、謙虚に判決を受けとめるべきであり、通産省に限らず、とかく各省庁において行政指導を優先したがる傾向を排し、法に基づいた行政を行うべきであります。それが現代の行政改革に求められている一番の課題であります。総理並びに通産大臣の答弁をいただきたいと思います。(拍手)
さて、地方税法について、幾つかの基本問題を中心にお尋ねいたします。
一つは、地方税法改正と自治体の予算編成の問題であります。
租税法定主義に基づき、自治体は税制改正を待って条例改正及び予算編成を行っています。しかしながら、地方税法改正と自治体予算編成及び条例改正との間にはほとんど時間的余裕がなく、実際には税法改正を既定の事実として予算編成を行っているのが実情であります。これでは、国会における審議権もまた自治体における条例制定権も実質的には空洞化しています。決して好ましい事態とは申せません。とりわけ与野党が伯仲し国会審議が重要な意味を持っている今日では、両者を意味あるものにするため、現行の税制改正に大きくメスを入れる必要があると考えます。すなわち、地方税のみならず国税改正においても、通常国会以前に予算編成のあり方を根本的に審議する場を設けるべきであります。総理並びに自治、大蔵両大臣の答弁をいただきたいと思います。(拍手)
二つ目の問題ですが、今回の国税及び地方税改正では重要な問題を発生させております。
その一つは、税制改正における基本的姿勢の問題であります。
道府県税及び市町村税において、道府県税は昭和五十九年度から既に増収となっているにもかかわらず、市町村税においては九百四十八億円もの減収となっており、収支がほぼ均衡するのは昭和六十年度になってからであります。増税によって道府県、市町村の増減収を一致させるというわけではありませんが、余りにも道府県財政重視、市町村財政軽視と言わざるを得ません。このことは、国税と地方税との関係においても同様であります。国税においては減税を上回る財源を真っ先に確保しているにもかかわらず、地方税においては初年度マイナスで放置しておるのであります。そのあげく、昭和五十九年度の地方財政財源対策では、一兆五千百億円の財源不足額のうち一兆二千五十一億円を財源対策地方債で措置しているのでありますから、地方財政にとってはまさに踏んだりけったりであると言うべきでありましょう。
国税重視、地方税軽視は言うに及ばず、地方税の中にあっては市町村財政軽視の姿勢のどこに地方の時代とかあるいは地方分権への政府の熱意が見られるのでしょうか。地方分権について、時として極めて先鋭的な発言や行動をとってこられた新自由クラブに所属する自治大臣にとって、このような税制改正の基本姿勢をどのように考えているのか、答弁をいただきたいと思います。(拍手)
法人課税の配分割合の問題について見れば、このことはさらに明白であります。
政府は、この二年間の暫定措置として、法人税率を一・三%引き上げ、四三・三%としております。この結果、法人関係税の地方への配分割合は、三二・五%から三二%に〇・五%低下しております。政府は、この低下分を法人均等割の二・五倍の一千億円引き上げによって補っていると言いますが、これは別問題であり、ここにも地方財政軽視が如実に示されていると言わざるを得ません。総理並びに自治、大蔵両大臣の御答弁をいただきたいと思います。(拍手)
三番目に、個人住民税の問題についてお尋ねいたします。
個人住民税の最低税率を現行の二%から二・五%に〇・五%引き上げ、所得税の同様の改正と相まって低所得者層の負担増を図っています。一方では課税所得区分の改正及び最高税率の〇・五%引き下げを行うなど、高額所得者への負担減に配慮をしております。
そこでお尋ねいたしますが、高額所得者への税率引き下げによる税の減収分を低所得者への税率引き上げで補てんをし、その上に減税を全体にかぶせた、これが今回の政府の税制改正の実態だと思います。大蔵大臣、いかがでありましょうか。
また、最低税率がそれぞれ〇・五%と極めて中途半端な税率とされたことは、今後再び引き上げを行うための布石ではありませんか。利子配当所得に対する総合課税制度について、八月をめどに結論を得ると税調答申は言っておりますが、それならば最高税率の引き下げはそれを待って行うべきであると考えますが、総理並びに大蔵大臣、いかがでしょうか、御答弁をいただきたいと存じます。
次に、自動車税、とりわけ軽自動車に対する定額課税の引き上げについてお尋ねいたします。
軽自動車税を一〇%引き上げようとされていますが、このような措置が自治体の徴税業務にどのような問題を引き起こすか、政府は御存じでしょうか。現在でも軽自動車、原動機付自転車については、新規購入あるいは廃車など移動の多い物件であることから税の滞納率は極めて高く、毎年約三〇%近く滞納となっています。これが今回のように税率が引き上げされるならば、この滞納率は一段と高くなり、自治体の徴税コストは上昇するばかりとなることは明らかであります。安易な増税は税務行政にむだな費用支出を迫る典型と言えましょう。そればかりか、納税者の不公平感を助長する結果となるばかりであり、政府の反省を求めたいと思います。(拍手)
また、今回の税制改正に関連し、当初自治省においては、社会保険診療報酬課税の特例措置の改正を企図していたはずであります。優遇税制の最たるものとしてのこの特例措置の是正がなぜ途中で消えてしまったのか、明らかにしていただきたいと思います。
最後に、たばこ専売制度の改正に伴う地方たばこ消費税の問題についてお尋ねいたします。
昭和五十九年度において、地方たばこ消費税は約八千五百億円の税収が見込まれ、地方財政の安定的税源となっております。これが政府の専売制度の改革によって収入源として廃止されることはないと確信いたしますが、独立税源としての保障が崩されることとなるならば、重大な問題を引き起こすことになります。譲与税等への転換を図ることなく、地方独立税源としての財源保障を明確にすべきだと考えますが、自治大臣の決意のほどを伺いたいと思います。
総理は、施政方針演説などにおいて、「二十一世紀へ向けて」あるいは「二十一世紀は日本の世紀」とか、二十一世紀に随分関心がおありのようですが、国鉄の格差運賃導入や地交線廃止などで過疎化が一層進み、二十一世紀も地方の時代も迎えるわけにはまいりません。その御見解をお聞きし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/11
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012・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 山下議員にお答えをいたします。
最初は、石油のいわゆるカルテルの問題でございます。
本件は、基本的には司法の問題でありますので、具体的論評は避けたいと思いますが、本判決におきましても、適切な行政指導はこれは認めておるものなのでございます。政府としては、変動する経済社会に適切に対応していくため、今後とも必要に応じ適正な行政指導を行っていく考えであります。その際、事業者間で独禁法法違反が行われることのないよう、十分注意してまいる所存でおります。
次に、国税、地方税の改正について通常国会前に審議する場を設けたらどうかという御質問でございますが、税制改正はその年の予算と密接な関係がございます。予算編成の一環として行われますものでございますので、改正法案につきましても、予算編成とあわせて御審議願いたいと思う次第でございます。
次に、法人課税の配分割合につきまして、法人関係税の地方の配分割合は低下している、地方の配分割合を低下させているのは地方財政軽視ではないかという御質問でございますが、今般の法人税引き上げにより、国、地方間における法人課税の配分割合はほとんど変化しておりません。地方財政軽視という御指摘は当たりません。
割合がほとんど変化してない理由は、第一は、地方税の法人住民税は、法人税率引き上げに伴い自動的に増収になります用地方税においても、法人住民税均等割を二・五倍に引き上げております。次に、法人税率引き上げに伴う増収分の三二%は、地方交付税として地方に交付するものであるからであります。
次に、国鉄の格差運賃導入制度について御質問がございました。
国鉄運賃は、五十八年度は改定を見送りましたけれども、五十九年度は若干の改定が必要でありまして、その際は、臨調、国鉄再建監理委員会の提言等も踏まえて、地域別運賃導入の必要があると判断した次第なのであります。
ローカル線対策は、地域住民の足の確保に十分配慮しながら、バス輸送等への転換をあわせて図ろうとしているものであります。これらの対策は、単に国鉄再建対策のみならず、地域に適合した総合的な交通体系を形成する、そういう観点からも考慮してまいる問題であると思います。
残余の答弁は関係大臣から答弁いたします。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/12
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013・竹下登
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。
まず最初の問題でございますが、総理からも正確なお答えがございました。毎年度の税制改正と予算と密接な関係を有しておるという問題でございますが、お答えがございましたとおりの理由によりまして、従来からの手順は適切なものであって、通常国会前に税制改正について審議をするための新たなる場を設けるということは今日考えておりません。
その次は法人税の問題でございます。
この問題も総理からお答えがございました。今般の法人税率引き上げによりまして、国、地方間における法人課税の配分割合はほとんど変化しておりません。地方財政軽視であるという御指摘は当たらないというふうに考えております。
それから、所得税法の改正の問題でございます。
税制調査会の中期答申におきましては、長い間手直しが行われていない、その後の社会経済情勢の変化等を踏まえて基本的に見直しを行うことが必要である、そういうふうにまず書かれて、所得水準の平準化の動向にかんがみ、中堅所得層の負担の緩和にも配慮しながら、全体としてなだらかな累進構造とする方向で見直しを行うことが適切である、このように指摘されておるところであります。
したがって、まず最低税率につきましては、今回課税最低限が国際的に見てかなりの水準に引き上げられておることを考えますならば、ある程度の引き上げを行ってしかるべきであるが、今回の改正によりまして一人でも増税となる者が出てはならないという配慮から一〇・五ということにいたしたわけであります。
最高税率につきましては、これは主要諸外国と比べて高いところから、民間の活力の維持あるいは充実等の観点にも配慮して、これを七〇%に改めることにいたしたわけでございます。
利子配当課税のあり方、これは税制調査会の五十九年度答申で指摘されておりますが、「今後なお時間をかけて検討を進めることが適当である。」このように言われておりますけれども、私どもといたしましては、一方、できる限り八月ごろまでにという御答申もいただいておりますので、鋭意その線で検討を進めていきたい、このように考えております。(拍手)
〔国務大臣小此木彦三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/13
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014・小此木彦三郎
○国務大臣(小此木彦三郎君) 行政指導に関する御質問でございますが、通産省といたしましては、変動する経済社会に適切に対応していくために、相手方の理解と協力を得ながら行政指導を行うことが必要であると考えておりまして、今後とも積極的にこれを行ってまいります。また、その実施に当たりましては、事業者間で独禁法違反が行われることのないよう十分注意してまいりますし、このため、必要に応じまして公正取引委員会と十分連絡調整を図ってまいる所存でございます。
なお、石油製品の需要停滞等厳しい環境にある石油流通業につきましては、中小企業近代化促進法に基づきまして構造改善等を実施していく所存でございます。(拍手)
〔国務大臣田川誠一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/14
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015・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 山下議員にお答えをいたします。
まず、地方税制の改正のあり方についてでございますが、地方税制の改正は、国の税制改正や予算と密接に関連する問題でありますので、地方税制の改正を国の税制改正や予算の審議と切り離して行うことは大変困難でございます。そのように考えております。
それから、税制改正の基本方針についてお答えを申し上げます。
地方税制の改正に当たりましては、まず第一番に、国民の減税に対する期待にこたえて、さきの六百億円の特別減税に加えまして三千億円余の本格的な住民税減税を実施いたしました。それから第二に、この減税に伴う減収措置につきましては、地方財政をこれ以上悪化させないように他の地方税の増収措置によりまして対処する。それから第三に、あわせて税負担の公平、適正化のため引き続いて租税特別措置の整理合理化等を行う、こういうようなことを基本としております。
次に、地方税制改正は、現下の厳しい地方財政の状況におきまして精いっぱいの住民税減税を実施する一方、地方財政をこれ以上悪化させることのないように所要の増収措置を講ずることとしたのでありまして、地方税源の確保の観点からもひとつ御理解をしていただきたいのでございます。
なお、この税制改正によりまして、市町村税におきましては初年度に相当額の減収が生じますが、平年度におきましてはほぼ均衡するものと見込まれ、地方交付税等の財源調整によりまして市町村財政の運営に支障が生じないようにしたい、このように考えております。
法人関係税につきましてお答えいたしますが、今回の法人住民税均等割の改正は、法人の事業活動と地域社会との受益関係等を勘案しまして所要の税率の引き上げを行おうとするものであります。
法人関係税の国と地方との配分割合は、法人均等割の税率引き上げを含めて見ましても、昭和五十九年度におきましては若干低下する見込みでありますが、国と地方との間における法人関係税の現行の配分割合を基本的に変更するものとは考えておりません。
それから、住民税の最低税率の問題につきましてお答えをいたします。
住民税所得割の税率につきましては、昨年十一月の税制調査会の答申にも述べられておりますように、その性格上なだらかな累進構造が望ましいと考えております。今回の改正案におきましては、このような考え方に基づいて、課税最低限の引き上げ幅との関連も考慮しつつ、最低税率につき小幅の引き上げを行うこととしたのでございます。住民税所得割の税率の今後のあり方につきましては、市町村民税及び道府県税を通ずる税率構造の問題として、税制調査会の審議を煩わしながら検討してまいりたいと考えております。
次に、軽自動車税につきましては、昭和五十六年度からいわゆる月割り課税を全面的に廃止するなど、これまでも賦課徴収事務の簡素化、合理化に努めてきたところでございます。今後とも執行面におきまして負担の不公平を招くことのないよう、徴収の確保について市町村に対しまして必要な指導を行ってまいるつもりでございます。
また、社会保険診療報酬課税の特例措置について申し上げますが、事業税における社会保険診療報酬課税の特例措置につきましては、昭和二十七年度に創設されましてからずっと長期間たっておりますが、また、昭和五十四年度には所得税及び法人税における課税の特例の見直しが行われたところでありますので、今回の税制改正に当たり、その見直しを検討いたしました。
しかし、社会保険診療につきましてその特殊性を認めるべきであるという意見、また、公益上の理由から非課税とされているほかの事業との均衡を考慮すべきであるという意見がありまして、今回その見直しの実現を見ることができなかったのでありますが、引き続いて今後とも検討をしてまいるつもりでございます。
最後に、地方たばこ消費税についてでありますが、地方たばこ消費税については、御指摘のように地方団体の固有の税源として普遍性及び安定性を持ち、かつ、地方の独立税としても極めて重要な位置を占めておりますので、今後とも地方の独立税として堅持すべきものと考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/15
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016・福永健司
○議長(福永健司君) 宮崎角治君。
〔宮崎角治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/16
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017・宮崎角治
○宮崎角治君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました昭和五十九年度地方財政計画、地方交付税法等の一部改正案並びに地方税法等の一部改正案につきまして、総理並びに関係大臣にお伺いいたします。
総理、あなたは、一昨年秋総理大臣に就任以来、今回二回目の当初予算の編成に当たられましたが、そこには、総理が日ごろ唱える戦後政治の総決算の性格が国民の期待とは違う方向で強くにじみ出ているのであります。その性格とは何か。それは福祉、医療、教育費の切り捨てと防衛費の膨張であります。
〔議長退席、副議長着席〕
総理は、行政改革に極めて熱心であるかのような姿勢をとりながら、その実際は、本来の行革とは方向を異にし、行革で福祉、教育費を削り、単に財政のつじつまを合わせているにすぎません。私は、政治の本質は、老人、身障者、母子、児童と、恵まれない立場の社会的に弱い立場の人々の生活を守り、大衆福祉を実現することにあると信じます。そして、それは平和を前提とした地方自治の充実があって初めて実現するものであります。
私は、長崎の平和への祈りと願いに立って、総理の政治姿勢に強い疑念を表明せざるを得ないのであります。生きがいと活力ある福祉社会を実現するためには、地方自治の確立が不可欠であると考えるものでありますが、地方自治に対し総理はどのような見解をお持ちなのか、総理の描く地方自治の姿をまずお示しいただきたい。
以下、地方自治の充実の観点から、総理及び関係大臣の所信を伺うものであります。
まず最初に、国、地方を通じる行財政の改革についてお伺いいたしたい。
今日の国、地方を通じる行財政制度を見たときに、地方自治体の大半の事務が国の機関委任事務によって占められ、地方自治体の住民の意向に基づく行政の執行が著しく阻害されております。また、国の地方に対する補助金は巨額に上り、各自治体は補助事業を優先的に組み込まざるを得ない状況に置かれているなど、国の補助金による地方支配は歴然たるものであります。
国民の価値観が多様化した現在において、国民本位の行政を進めるためには、現在の中央集権的な行財政構造を根本的に改め、国民の身近なところで、国民の批判と意向を受けつつ行政が行われることが必要なことは臨調答申も皆指摘しているところであります。そのため事務権限の地方移譲、補助金の一般財源化、税源の再配分を行うべきでありますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
その際、地方税源の充実のために、少なくとも国、地方の税源配分を一対一とすべきであると考えますが、今後の行財政改革に当たって、これらの点についてどう取り組むのか、あわせてお伺いいたします。
次に、地方財政についてお伺いをいたします。
昭和五十九年度の地方財政は四十八兆二千八百億円の規模で、昭和三十年度以来の超緊縮型であります。今日の地方財政は、昭和五十年度以来の財源不足が重なり、地方債や交付税特別会計の借入金の地方負担分など地方の借金残高は、五十九年度末で実に五十四兆四千五百億円となることが見込まれています。
こうした中で、今回政府は、五十九年度地方財政対策として地方交付税制度の改正を行い、従来とってきた交付税特別会計における借入制度をやめ、新たに特例措置を設けたのであります。しかしながら、従来の交付税の借り入れを必要とした事態は、現在においても何ら改善が見られていないのであります。にもかかわらず、この借り入れを停止したため、地方財政の財源不足約一兆五千億円は、交付税でなく地方債の大幅な増発によってカバーされることになっているのです。その上、地方交付税の借入金の地方負担も永続化され、五十九年度の地方交付税の税率は、法律上三二%であるにもかかわらず、実際はこれを下回る三一・三%に低下しているのであります。
五十九年度の国の一般会計においては、地方交付税が約二一%の伸びとなっており、これをもってあたかも地方財政が豊かであるように言われておりますが、これは五十八年度に大幅に減少したことの反動にすぎず、地方交付税の実質税率は法定税率を下回り、その総額は、五十八年度、五十九年度と二カ年連続して減少しているのが実態であります。
政府は、地方団体の固有財源であるこのような地方交付税総額の減少についてどう考えているのか、借り入れを必要とした事態に何らの変更がない以上、地方交付税の特例措置額の増額か地方交付税率の引き上げを行うべきであると考えるものでありますが、政府の見解を伺いたいのであります。(拍手)
また、五十九年度の地方財政の内容を見ると、事務事業を残したままでの補助金の補助率引き下げや、対象事業の縮小を初め児童扶養手当の二〇%地方負担導入、医療保険制度の改正に伴う国民健康保険補助金の補助率引き下げ、私学に対する国の補助削減の地方の肩がわり等々、例年に増して国の負担が大幅に地方自治体や住民に転嫁されております。このような国、地方間の財政秩序の軽視ないし無視は地方財政の自主性、自律性を著しく損なうものであり、地方自治にとって極めて憂慮すべき事態であります。
地方財政法第二条第二項に、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を打ってはならない。」とあります。この規定の趣旨に反する負担転嫁について、政府の見解についてお伺いいたします。
また、今後行財政改革を進めるに当たって、このような一方的な地方負担転嫁は行うべきでないと考えるが、総理はどのように考えておられますか。
次に、地方財政圧迫の元凶ともいうべき超過負担についてお伺いいたします。
今回、警察関係費、保健所運営費等についてわずかに解消措置がとられているものの、地方超過負担は依然として膨大な額となっておりますが、政府は、その正確な実態を把握しておられるのでしょうか。この際、関係省庁挙げての実態調査を行うべきであると考えますが、そのお考えはありますか。
その場合、超過負担について、これまでも国と地方との見解が異なっており、このことが超過負担解消の妨げとなっているとともに、国、地方間の不信感を増大させていることの反省に立って、そうした現状を打開するために、国、地方間で構成する超過負担解消委員会を設け、公正な実態調査を行い、その解消を図るべきと考えますが、この点についての見解をお伺いいたします。(拍手)
次に、減税についてお伺いいたします。
減税についての今回の政府案は、平年度で住民税三千億円、所得税七千億円の合わせて一兆円規模であります。現在、景気は回復基調にあるというものの、その大半は輸出の好調に支えられているもので、国内の景気はいま一歩の盛り上がりが望まれているところであります。昨年の国会において、五十八年度中に景気浮揚に役立つ相当規模の減税を行うという与野党の合意もあり、景気の着実な回復と国民負担の軽減を図るためには、少なくとも所得税一兆円、住民税四千億円の減税を行うべきであると考えますが、総理の前向きの答弁を求めるものであります。(拍手)
また、今回の政府の減税に対する財源措置は、酒税、物品税あるいは自動車税等によっておりますが、これらのいわゆる大衆課税は減税による景気回復の効果を相殺するばかりでなく、さらに国民の租税負担を増加させ、総理の公約である「増税なき財政再建」に逆行するものでありますが、これについての見解を承りたいと思います。(拍手)
また、今回の税制を検討する中で運転免許税の創設という意見もありましたが、このような大衆課税は今後とも断じてすべきではないと考えますが、明快な答弁をお願いいたします。(拍手)
さらに、現行の地方税制は、電気税、固定資産税を初め各種の非課税措置等が大幅にとられております。そして、国の租税特別措置等が地方税に影響する仕組みになっているなど、これらは地方税制の自主的な運営を阻害するばかりでなく、地方自治体に大幅な減収をもたらし、また国民の税負担の不公正を生じております。このような不公正税制の見直しを行えば減税財源の確保も可能ではないかと考えますが、いかがでしょうか。このことは、地方財政充実の立場からも、国民に対する公正な行政の遂行のためにも重要であると思いますが、政府にその考えがあるかどうかお伺いいたしたい。
以上、地方行財政の基本並びに当面する緊急課題について質問をいたしましたが、総理並びに関係大臣の国民に対する率直な誠意ある答弁を要求し、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/17
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018・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 宮崎議員にお答え申し上げます。
まず、生きがいある福祉社会を実現するためには地方自治の確立が不可欠と思う、地方自治の理念を問うという御質問でございます。
地方自治は民主政治の基盤であり、内政のかなめであると考えております。最近、人口の高齢化や経済の安定成長への移行等社会経済情勢の変化により、地方公共団体の役割と使命はますます重要になりつつあります。今後、行政を取り巻く環境の変化に有効に対応し、かつ、民主主義をさらに発展させるために、地方自治の充実発展に努力してまいるつもりでおります。
次に、事務権限の地方移譲、補助金の一般財源化、税源の再配分等について御質問をいただきました。
地方自治は民主政治の基盤であり、地方公共団体の自主性、自律性が十分発揮できるように制度を決め、運営していく必要があると考えております。この見地から、国と地方の機能分担を見直すことが必要であると考えます。そして、地方公共団体の自主性を尊重しつつ、臨調答申の趣旨に沿って、補助金等の統合メニュー化等もできる限り推進することといたしたいと思います。
税源の再配分につきましては、地方におきましても、国と同様に徹底的に歳出の節減合理化等行政の減量化を推進することが必要であります。この再配分の問題は、単に地方税だけでなく、地方交付税、地方譲与税制度、国庫支出金のあり方、さらには国と地方との行政事務配分のあり方等をも総合的に勘案した上に、慎重に検討してまいりたいと思います。
次に、地方自治体や住民への負担転嫁の傾向が強いが、いかなる考えであるかという御質問でございます。
今、国、地方を通じて行財政改革を推進をいたしております。そのためには、行財政の守備範囲を国、地方において見直す等の見地から、制度の根本にまで踏み込んで改革を行う等今回は徹底した合理化を行い、特に政府の一般会計におきましては、前年度より一般歳出を三百三十八億円減額した次第であります。行財政改革を進めるに当たりましては、一方的な負担転嫁は政府としては考えておりません。
次に、超過負担解消委員会を設置してはどうかという御質問でございますが、この問題につきましては、今まで地方団体ともいろいろ相談をしてまいったところでございます。特に単価算定基準等につきまして実態調査をさらに必要がある場合には、これらについても十分注意してまいりたいと思っております。
さらに、少なくとも所得税、住民税の一兆四千億円減税を行ったらどうかという御質問でございますが、現在一兆一千八百億円という本格的な減税を実施しておりまして、これ以上ふやす余地はないと考えております。
次に、大衆課税は「増税なき財政再建」の公約に逆行するものではないかという御質問でございますが、今日におきましては、所得税減税及び酒税や物品税等の税率引き上げ等は、臨調答申のその範囲内で行ったものと心得ておる次第でございます。
なお、五十九年度の租税負担率は、五十八年度補正後に比べまして若干上昇しておりますけれども、これはほとんど税の自然増収によるものでありまして、臨調答申の「増税なき財政再建」には反していないと考えております。
残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/18
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019・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 地方交付税の総額の減少についての考え方に対する御質疑でありました。
五十九年度においては、一兆五千百億円の地方財源不足が生ずると見込まれますが、それに対しては、地方財政の健全化に資するとともに、国、地方双方の円滑なまた着実な財政再建を確保するため、五十年度以来の地方に対する財源対策を抜本的に改革して、地方交付税交付金の増額措置三千四十九億円と地方債措置一兆二千五十一億円で完全に補てんをすることにしております。その結果、五十九年度に地方に交付する所要の交付税総額は確保されておりまして、地方財政の運営に支障を生ずるということはない、このように考えます。
なお、五十九年度の交付税総額は、結果として計算いたしますと国税三税収入の三二%を割り込んでおりますが、それは、一般会計が交付税特会に繰り入れる地方交付税交付金の法定率三二%を変更しておるものでは全くございません。交付税特会借入金利子の地方負担分約三千六百億円があることによるものでございます。
それから、超過負担問題について、これは総理からもお答えがございましたが、適正な補助単価の設定に今日まで努めてまいりましたが、今後とも、社会経済情勢の推移を見守りながら適正な単価の設定に努めて、新たな超過負担が発生しないよう努力をしてまいります。(拍手)
〔国務大臣田川誠一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/19
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020・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 宮崎議員にお答えいたします。
最初に、地方交付税の税率についてのお尋ねでございますが、五十九年度の地方財政は、宮崎議員御承知のように、昨年度に引き続きまして一兆五千百億円の財源不足が生ずることとなっておりまして、極めて厳しい状況にあります。このように毎年度大幅な財源不足が生じている事態を見ますと、基本的には、御指摘のように地方交付税の税率の引き上げやあるいはまた地方行財政制度の改正を行うことは望ましいことと考えております。しかし、今の国と地方の財政事情から考えますれば、直ちに交付税の税率を引き上げるということは非常に困難でありますので、当分の間、建設地方債の活用と地方交付税の特例措置によりまして、地方財政の財政運営上支障のないように対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
それから運転免許税についてでございますが、自動車運転免許に対する課税につきましては、近年、交通規制、交通安全対策等の地方団体の財政需要が急増していること、さらに、運転免許を受けることによって自動車等の運転が可能となるという利益を受けること等にかんがみまして、道府県税として創設をすべきであるという意見があります。また、これと逆に、これを導入することは適当でないという意見もございます。いずれにしても、自動車運転免許に対する課税につきましては、その性格等十分吟味すべき問題でありますので、今後引き続き検討してまいりたいと存じておりますので、御理解をお願いしたいのでございます。
非課税措置等の見直しについてお答えをいたしますが、租税特別措置や地方税の非課税等特別措置については、従来から既得権化や慢性化の排除に努めるとの観点から見直しを行ってきております。明年度の税制改正に当たりましても、実態に応じた見直しを行って、できる限り整理合理化等を行うこととしております。
ただ、非課税等特別措置の中には、勤労者の財産形成や住宅取得を促進するためのもろもろの措置、中小企業、農村漁業対策といった政策目的から見ましてなお存続を必要とするものも多く、その整理によって得られる財源にもおのずから限度があることを御理解していただきたいのでございます。自治省といたしましては、今後におきましても、非課税等の措置については絶えず見直しを行って、その整理合理化に努めてまいりたいと思っております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/20
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021・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 岡田正勝君。
〔岡田正勝君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/21
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022・岡田正勝
○岡田正勝君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和五十九年度の地財計画並びに地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、総理以下関係大臣に質問を行うものであります。
さて、冒頭に申し上げたいことがあります。
総理、ことしはねずみ年でございます。大正十三年甲子園ができまして満六十年を迎えた記念すべき年でもございます。六十年に一度めぐってまいります甲子の年であります。国民はことしこそよい年になるのではないかとひそかに期待を抱いております。政治の世界でも、ねずみ年は大きな変動がありました。すなわち、昭和三十五年におきましては、貧乏人は麦を食えというので有名になりました池田さんが所得倍増論を打ち出した年であります。十二年たって昭和四十七年、これはロッキードで一躍勇名をはせました田中さんが列島改造論を打ち出した年でございます。
さて、それから十二年、この昭和五十九年がやってまいりましたが、超緊縮予算でありまして、その中身は、大増税、公共料金の値上げ、健保の制度改悪、減税はちょっぴりで負担はずっしりとなってまいりまして、今や国民の諸君は、ことしは台所の米びつがかじられて穴をあけられるのではないかと大変な心配をいたしまして、この国会の行方を見守っておるのであります。
私もその不安を持ちながら、以下、順次質問をしてまいります。
さて、質問の第一点は、財政についてであります。
花開く地方の時代と叫ばれて久しいのであります。だが、現状は依然として三割自治であります。御提案の地財計画を見てみましても、地方税の約二十兆円は、給与関係費で約十四兆、そして借金を返す公債費で約五兆、この二つで入ってくる税金はきれいに吹っ飛んでしまってなくなります用地方交付税その他を合わせて約九兆円、国庫支出金約十兆円、地方債約四兆円、合計の二十四兆円というのは、すべて国に頼っておるわけでございまして、独自に使える金というのは、手数料、使用料、雑収入の合わせてたったの四兆円、四十八兆三千億円の全会計からいきますと、わずかにその金は八%でありまして、十二分の一にしかすぎないのであります。これに地方交付税を含めてみましても約十三兆円でありまして、全収入のわずか二七%、三分の一以下であります。(発言する者あり)民社党は真実しか言いません。だからこそ、国は金が七割で仕事は三割、地方は金が三割で仕事が七割と言われておるゆえんもここにあります。この財政的不均衡をどう解消なさるおつもりか、大蔵、自治両大臣にお尋ねをいたします。(拍手)
財政の確立なくして自主も自律もありません。地方の自主性の確立は行財政の改革なくしてあり得ないと私は考えておりますが、総理の御見解を伺いたいと思います。
質問の第二点は、行革についてであります。
行革は天の声であり、国も地方も待ったなしのときが来ております。そこで、まず地方に関係する国の行革でありますが、一つには機関委任事務の整理、二つには一万件に及ぶ許認可権の整理合理化、地方への権限移譲、三つには必置規制の見直し、四つには地方出先機関及びブロック機関の整理合理化、五つには補助金の整理合理化等々国の関与や規制がまことに多く、非効率、二重行政の弊害、地方総合行政の阻害は甚だしいものがあるのであります。(拍手)この問題の対処の方針と、地方の行革への取り組みはどうなさるおつもりか、行管庁長官にお尋ねをいたします。
次に、地方の行革そのものについてでありますが、一つには地方行政の減量化、効率化、民間委託の促進、この問題。二つには水膨れの定員削減、なかんずく昭和四十七年から五十七年まで十年間に何と六十万人の人数がふえ、パーセントで言えば二三%もふえて、今や三百二十二万に膨れ上がっております。この問題です。三つには給与並びに退職金の適正化の問題であります。
すなわち、給与のラスパイレスは地方平均で一〇六・一でございます。最高は県において一一二、市で一二七、町村で一二二・四というありさまでございます。そもそも国家公務員の基準の一〇〇とは、民間の大企業の平均をとっておると言われます。中企業の人たちはどうですか。大企業の人の七〇%しか給与はありません。小企業に至っては、その中企業のさらに七〇%しか給与をいただいていないのであります。これが世間の実態であります。退職金の関係でも、国家公務員がようやく本年から六十三・五カ月になりましたが、地方の最高はいまだに百十カ月、その他の市町村も押しなべてべらぼうに高く、それに比べて民間の平均は、高いところで四十カ月、中にはその退職金すら一銭ももらえないという人たちが多いというのが現状であります。(拍手)なればこそ、国民の怒りは爆発寸前に今あるのであります。
かくのごとき地方行革への取り組みは、一体どうなさるおつもりであるのか、行管庁長官並びに自治大臣にお尋ねをするわけであります。
質問の第三点は、国庫補助金についてであります。
国庫補助金は国の予算の三割を占めております。その国庫補助金のうち、八割は地方自治団体に関係するものであります。この国庫補助金と並んで許認可権が中央支配の最も大きなてことなっておることを大蔵大臣はお認めになりますか、お尋ねをいたします。この国庫補助金こそ陳情政治を生み出し、たかり主義、物取り主義を助長し、日本の精神構造をゆがめる一因となっておることを総理並びに自治大臣はお認めになりますか、お尋ねいたします。(拍手)
さて、保育所でも公民館でも、本来は地方の首長と議会が決めるべきことが中央に行かなければ決着がつかないという、かくのごとく国庫補助金は地方自治体の自主性を著しく阻害をし、国と地方の責任の所在を大変あいまいにしておるのであります。また、所管が各省にまたがって分かれておりますから、縦割り行政の原因となり、しかもその手続は煩雑、複雑で、時間と金が余りにもかかり過ぎる、非能率な行政を助長しておるのでありますが、総理並びに自治大臣はこれをお認めになりますか、お尋ねをいたします。
なるがゆえに、我が党は、行財政改革の断行、そのためにも、既に地方に同化定着をしております国庫補助金は地方に持っていって、第二交付税として振りかえるべしということを長年にわたって主張をしてまいったのであります。(拍手)もし第二交付税を実施したときの効果としては、一つには地方の主体性の確立、二つには中央支配の排除、三つには個性ある地域づくり、四つには行政の簡素化などにつながり、地方の自主自律に大きな成果をもたらすものと確信をいたしておりますが、総理並びに自治大臣はいかがお考えでございますか、お尋ねいたします。
質問の第四点は、地方交付税についてであります。
本来、地方交価税は、地方の計画的財政運営を保障し、地方財政を安定させるために設けられたものであります。今回の改正で、これが一体保障されると思っていらっしゃるのでありますか。また、今回なぜ交付税率の引き上げをやらなかったのでありますか、大蔵大臣の明確なお答えを期待をいたします。
質問の第五点は、地方税についてであります。
法人住民税均等割の二・五倍の引き上げ、自動車税の平均一五%の引き上げ、軽自動車税の平均一〇%の引き上げ等々減税の見返りとして増税をいたしております。この措置は、住民の税負担の軽減とは絶対になりません。そして、お約束の景気の浮揚にも役に立ちません。国民の期待を完全に裏切ってしまいました。
自治大臣、あなたは、演壇に出るとき左手をズボンのポケットに突っ込む癖がありますが、それは、人それぞれですから悪いと言うのではありません。しかしながら、国民は、その突っ込んだポケットから、さすが新自由クラブから出た大臣だわいと言われるようなすばらい政策が出てくるかと期待をしておったのであります。しかるに、出てきたものは増税であり、なかんずく市町村民税の所得割の税率改正、これは一体何ですか。課税所得を三十万円から二十万円に引き下げて、さらに税率を、最低二%だったものを二・五%に引き上げて約一千億円の増税をたくらむなど、いや、まさに言語道断と言うべきであります。(拍手)
減税の財源は増税によるのではなくて、地方の行政改革の断行に求めるべきであります。国や民間に比べて高過ぎる給与そして同じく高過ぎる退職手当の是正、民間委託の推進、首切りではない、欠員を補充しない方法による公務員の大幅削減、行政経費の節約などは、今や天の声であり時の声ではありませんか。(拍手)この行政改革の断行もしないでおいて、増税などもってのほかと言わなければなりません。国民が納得するはずがないのであります。
最後に、このことについて総理並びに自治大臣の御所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/22
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023・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 岡田議員にお答えを申し上げます。
財政の確立なくしては自主も自律もない、地方の自主性の確立は行財政の改革なくしてはあり得ないと考えるがいかんという御質問でございますが、全く同感であります。このために、今後とも行政改革のために努力してまいるつもりでおります。
次に、国庫補助金というものが陳情政治を生んで、そしてそれがたかり主義、物取り主義を助長して精神構造をゆがめている、いかに考えるかという御質問でございますが、この点もかなり共鳴する点がございます。(拍手)しかし、補助金等は、一定の行政水準を維持して、特定の政策を奨励する等国の施策を実現するためにもある一つの政策手段でありまして、今後ともこれらは適正に運用してまいりたいと考えております。
次に、国庫補助金が自治体の自主性を阻害し、国と地方の責任をあいまいにしている、非能率な行政を助長しているがいかんという御質問でございますが、補助金につきましてはただいま申し上げたとおりでございます。ややもすれば、これらが既得権化しやすい弊害もございまして、これらの弊害を除去するための不断の見直しが必要であり、事務の簡素化あるいは地方に対する事務の移譲等が必要であると考えております。
次に、補助金を第二交付税として振りかえたらいかんという御質問でございますが、にわかにこれを第二交付税とすることは難しい事情がございます。しかし、御指摘の趣旨はよくわかるのでございまして、一面におきましては、全国的な観点からの整合性を持たせるという点、そういうような点から計画的に今後とも補助金は適正に交付していく必要があると思いますが、さらに、統合メニュー化等を強力に推進してまいりたいと思い、また、不必要な補助金は今後とも勇敢に削減してまいるようにいたしたいと思っております。
次に、これでは住民の税負担の軽減にはならず、また景気浮揚にもならない、地方公務員の給与、退職手当等の是正、定員の削減、行政経費の節約など地方の行政改革の断行により減税財源を確保すべきであると思う、こういう御質問でございますが、これも非常に共鳴する部分がございます。今回、中央におきましては所得税等一兆一千八百億円の減税を実施すると同時に、かなりの一般行政費の削減もやったところでございます。住民税減税の財源を他の地方税において確保せざるを得なかったのは、行政経費の節減合理化を徹底して行ってもなお巨額の財源の不足が生じるような厳しい地方財政の現状から、やむを得ずこれ以上土地方財政を悪化させないためにやった措置でございます。
さらに、御指摘の給与あるいは機構、人員の適正化等については、今後とも御趣旨を伏して努力したいと思います。
残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/23
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024・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず、国は金が七割、仕事が三割、地方は金が三割、仕事が七割、こういうことからお答えをいたします。
国と地方の配分は、税源配分状況を見てまいりますと、徴税段階では国税と地方税の割合はおおよそ二対一でございます。地方交付税や地方譲与税及び国庫補助金等を調整した実質的配分は、今度は逆に三対七、こうなっておるわけであります。したがって、最終的には地方に金が七割配分され、事務配分に見合う財政措置が地方財政計画の策定及び地方財政対策を通じて講ぜられておるということになるわけであります。
なお、国と地方の財源配分の問題につきましては、地方税については、地域間の経済力の格差に伴いますいわゆる税源の偏在問題がございます。地方交付税による財源調整制度が必要とされるということのほかに、国と地方の行財政改革を推進しつつ、国と地方との行政事務配分と費用負担のあり方及び地方交付税、地方譲与税制度、国庫補助金のあり方等を総合的に勘案して、慎重に検討を進めるべき問題であると理解しております。
それから補助金の問題であります。
補助金は、一定の行政水準を維持して特定の施策を奨励するなど国の施策を実現するための重要な政策手段でございます。したがいまして、私どもといたしましては、地方公共団体の自主性を確保することがまた一方重要でありますので、統合メニュー化等の措置を進めているところでございます。
それから次に、地方交付税に関しての御質疑でございました。
今回の地方財政対策の改革、これはまさに抜本的なものであります。したがって、今回の地方交付税の交付金の特例措置は、現下の国と地方の厳しい財政状況にかんがみまして、地方交付税総額の安定的確保に資して、地方交付税制度の地方財源保障機能を弾力的かつ安定的に発揮させるための措置である。したがって、地方交付税率のあり方は、国と地方の事務配分や税源配分に係る国と地方との基本的財源配分の問題でありまして、今後、国と地方を通ずる行財政改革を進めながら、国と地方の役割分担と費用負担のあり方を踏まえて慎重に検討する必要があると考えております。
なお、現在、国の財政は多額の特例公債を抱えた危機的な財政状況にあります。交付税率を引き上げて恒久的に国の財源を地方に回す余裕は全くないというふうに御理解をいただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣田川誠一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/24
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025・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 岡田議員にお答えいたします。
まず、国と地方の事務、財源の配分でございますが、国と地方の事務配分と財源配分のあり方につきましては、臨時行政調査会、地方制度調査会等の御意見を踏まえ、政府としても一歩一歩その改革を進めているところでありまして、今後とも、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化と地方分権の推進を基本にして、さらに努力をしてまいりたいと思っております。
次に、地方の行革への取り組みについての御質疑でございますが、行政改革は国及び地方公共団体がともに現在の最重点課題として積極的に取り組む必要があると考えられます。
自治省は、地方公共団体における行政改革の推進についてかねてから指導してきたところでございますけれども、さらに臨調答申を受け、行革大綱、新行革大綱、五十九年行革大綱におきまして、地方公共団体等に対し、事務事業の合理化、組織、機構の見直し、給与、定数の適正化、効率化等を求める旨が閣議決定されたことに伴いまして、それに即して一層強力に行政改革を推進するよう地方公共団体に要請しているところであります。
今後とも厳しい財政状況等にかんがみまして、地方公共団体の行政の簡素効率化について積極的に指導していく方針でありますが、このためにも、国においては地方公共団体の定員の増加をもたらすような施策の抑制並びに国の関与や必置規制の整理等、地方公共団体の自主的な努力を妨げる制度、施策の見直しを積極的に推進することが肝要であると考えております。
国庫補助金のあり方についてでありますが、国庫補助金は、国の政策を推進し地方の行政水準を一定に保つという機能を持っていると思います。地方団体は、その交付を受けるに際しては、国庫補助金の効果及び必要性を主体的に判断すべきものと考えますが、国もまた地方団体の自主性を阻害することのないように、適正な運営に努めることが必要であると考えております。
補助金の行政についてお答えをいたしますが、地方団体に対する国庫補助金につきましては、行政の簡素合理化を阻害し、縦割り行政の弊害、財政資金の非効率的な使用等を招きやすいという点があるのも、岡田議員御指摘のとおり事実でございます。反面、補助金は、国と地方公共団体が協力して事務事業を実施するに際し、全国的に一定の行政水準を維持したり、特定の行政目的を推進、奨励するための政策手段としての機能を持っていると考えております。
岡田議員御提案の第二交付税制度の趣旨はよく理解できるところでありますが、国と地方の役割分担のあり方につながる事柄であると同時に、国庫補助負担金制度の意義を大きく変革することにもなりますので、慎重に検討する必要があると考えております。
地方の自主性、自律性を高めるとともに、国庫補助金制度の弊害を極力除去するためには、補助金の整理合理化と手続の簡素化を積極的に推進する必要があると考えております。
減税財源の確保と地方の行政改革についてお答えをいたします。
今回の住民税減税は、国民の強い期待にこたえて、個人所得課税について個々の住民の負担を軽減するものであります。また、所得税、住民税合わせて初年度一兆一千八百億円の減税規模であり、ようやく回復しつつある景気をより確実にするものと期待をしております。
住民税減税の財源を他の地方税で確保いたしましたのは、行政経費の節減合理化を徹底して行ってもなお巨額の財源不足が生じるような厳しい地方財政の現状から、これ以上土地方財政を悪化させることがないように所要の増収措置を講じたものでございます。
地方公共団体における行政改革につきましては、かねてよりその推進が図られておりますけれども、今後とも御指摘の給与の適正化を含め、さらに指導してまいりたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣後藤田正晴君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/25
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026・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいま岡田さんから、行政改革を進めるに当たって、地方行革についてのいろいろな問題点についての御指摘があり、どのように政府としては考えておるのか、こういう御質問でございましたが、岡田さん御指摘の個々の問題、また解決の方向等については、私といたしましては賛意を表しておるような次第でございます。
御質問の第一点は、地方の行革への国の取り組み方はどうだ、こういう御質問でございますが、申し上げるまでもなく、国全体の統治機構が国と地方複雑に絡み合って、いわば車の両輪でございます。
そこで、行政改革を進めるに当たりましても、当然国と地方を通じての簡素効率的な行政の仕組みに取りかえなければならぬ、かように考えて、政府といたしましては、第二臨調答申の趣旨に沿って今日までも改革を断行しておるわけでございますが、具体的には機関委任事務の整理合理化あるいは許認可等の整理合理化、府県単位機関、ブロック機関を初めとする地方支分部局の整理合理化、補助金等の整理、統合メニュー化あるいはサンセット方式の導入、また人件費補助の合理化、こういった方策を実施をしておるわけでございますが、さらに国と地方を通ずる行政改革の一環として、五十九年の行革大綱におきまして、地方公共団体に対する国の関与及び必置規制についての見直しを行うという旨を決定したのでございますが、行政管理庁といたしましては、当面昭和五十九年度の早い時期に、必置規制を中心として行政改革を行うという立場に立って、行政の監察を実施する予定でございます。
政府といたしましては、今後とも臨調答申の趣旨を踏まえて、地方公共団体の自主性、自律性を十分発揮できるよう国と地方の関係の改革を推進していく方針であり、御指摘の諸点については、引き続き具体的実施に積極的に取り組んでいく所存でございます。特に、地方行革の実効性を上げる上において肝心なことは、中央の各省庁が国と地方との関係についてみずから検討、反省を行う面が多いように考えておるわけでございまして、この点については、政府としても十分留意をしていく決意でございます。
第二点は、地方団体自身が取り組むべき地方行革について行管庁長官としてどう考えておるか、こういうことでございますが、先ほど来お答えしておりますように、並行して地方公共団体自身もみずからの減量化あるいは効率化の努力を払っていただかなければならぬことは当然であろうと考えます。
そこで政府は、累次にわたる行政改革方針の決定に際して、御指摘の地方行政の減量化、効率化、地方公務員の定員、給与、退職金等の合理化、適正化について、公共団体の積極的な取り組み方を強く要請をしておるところでございます。
自治省では、この方針に沿って地方公共団体に対する要請が行われておることは御案内のとおりでございますが、今後とも行政改革を所管する立場から、地方の行革の問題についても重大な関心を持って見守っていきますと同時に、国として講ずべき施策についてはこれを推進するように一段と努力を傾けたい、かように考えておるわけでございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/26
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027・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 経塚幸夫君。
〔経塚幸夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/27
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028・経塚幸夫
○経塚幸夫君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、五十九年度地方財政計画、地方交付税法及び地方税法案に関し、総理並びに関係閣僚に御質問を申し上げます。
今日、中曽根内閣のもとで、地方自治と自治体行政は重大な岐路に立たされておるのであります。すなわち、戦後政治の総決算と称し、憲法で保障された民主的諸制度への大改悪が加えられようとしておるとき、地方自治体が住民生活を守る、住民みずからのとりでとしてその役割を発揮するのか、それとも、日本列島不沈空母化、国民大収奪の下請機関にされるのか、今鋭く問われておるのであります。
今日の地方自治は、あの戦前の天皇制絶対主義のもとでは認められておらず、戦後国民主権を明記した日本国憲法によって初めて確立されたものであります。それだけに私は、民主政治の基礎をなす地方自治を守ることの意義を今改めて痛感をしておるものであります。
総理は、所信表明で「地方財政対策等について中長期的展望のもとに本格的な改革に踏み切る」と表明をされましたけれども、一体本格的な改革とは具体的に何を指しておるのか、地方自治制度の根本的改悪につながると言われる道州制などは一体考えているのかいないのか、まずお伺いをいたしたいと存じます。
次に、地方財政対策についてでありますが、今日、深刻化する地方財政危機のもとで、だれもが地方自治重視を口にいたします。自民党の五十九年度運動方針でさえも「地方の自主性、主体性、さらにその特殊性を尊重することにより地方自治の振興発展を図ることが緊急の課題」などと述べておるのであります。
ところが、政府の五十九年度地方財政計画は、全く自治破壊そのものであります。歳入面では、地方交付税、地方譲与税、国庫支出金など中央政府を通じて自治体に回される財源は、何とすべてマイナスであります。軍拡と増税を進めながら平然と軍縮と減税を口にされる総理のこととはいいながら、財源の裏づけも与えずにおいて何が地方自治の振興発展と言えるでありましょうか。真に地方自治を口にされるのなら、政府の軍拡、財政破綻のツケを住民と地方自治に転嫁する地方自治破壊の政策をこそやめるべきであります。納得のいく明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
さらに、歳入項目の中でとりわけ問題なのは、使用料及び手数料を一挙に七・四%の増収とし、保育料、高校授業料などの地方公共料金の大幅値上げで、国の国民大収奪に一層拍車をかけていることであります。
このような政府の姿勢に呼応して、自民党鈴木東京都政は四十種類、岸大阪府政は八十一種類、大島大阪市政は四十六種類にも上る、まさに「揺りかごから墓場まで」の公共料金の根こそぎ値上げをたくらんでおります。この三つの自治体だけでも、住民の負担増は、地方財政計画の六百十四億円をはるかに上回り、実に八百八十二億円にも上るのであります。
一方、歳出面では、老人医療の上積みや独自の中小企業、農業対策など地方単独の一般行政経費は前年度並みに抑え込み、しかも住民生活に密着した生活道路、小規模公園、過密過疎対策など国庫補助のつかない地方単独公共事業は、何と二十九年ぶりのマイナスであります。住民負担はますます重く、受け取る福祉はますます小さく、一体これで住民のための地方自治を守る姿勢と言えるでありましょうか。総理及び自治大臣の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
さらに、このような犠牲と負担を住民に押しつけながらも、来年度はなお一兆五千億円にも上る莫大な財源不足が生じるのであります。一兆円を超える財源不足は五十年度以来実に十年続いており、この間地方自治体の借金は六・八倍、四十六兆円を超え、文字どおり地方財政は慢性的な危機状態に陥っておるのであります。当然、政府は、地方交付税法第六条の三第二項によって交付税率を引き上げ、財源措置を講ずべきであるにもかかわらず、交付税特別会計での借り入れに次ぐ借り入れというその場しのぎの糊塗策に終始し、地方財政を一層困難に陥れたのであります。しかも、今回の交付税法案では、その借り入れさえも今後は一切行わず、財源不足は自治体が自己の責任で借金をして工面せよ、こういうものであります。
新たな措置と称する特例措置なるものも、財源不足のわずか一割を埋めるにすぎません。この姿勢こそ、まさに「地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化する」と定めた地方交付税制度そのものを否定し、国の責任を放棄するものと言わなければなりません。(拍手)総理並びに自治大臣の答弁を求めるものであります。
さらに重大なことは、今回の法案によって、交付税率の引き上げどころか引き下げへの道が開かれたことであります。大蔵省は、特例措置は加算だけでなく減額もあり得る、こう説明をされておりますが、自治大臣、絶対にそういうことはさせないと果たして約束できますか。この際、明確にお答えをいただきたいと存じます。(拍手)
さらに、政府は、児童扶養手当制度の大改悪の一環として、給付費の二割を都道府県に転嫁しようとしております。しかし、地方財政法第十条の四では地方自治体に負担をさせてはならないと明記されており、事実自治省も、一昨年までは、国が責任を負うべきだと負担転嫁に猛烈に反対をしておったではありませんか。一体、いつ、いかなる理由で態度を変えられようとしておるのか、この際、明確にお答えをいただきたいと存じます。(拍手)
国の勝手な都合で、こんな違法、不当が次々と許されるならば、健康保険、厚生年金なども、やがては地方に負担が押しつけられ、地方自治行政は国の完全な下請にされかねないのであります。自治大臣、千載に悔いを残す過ちを犯さないためにも、大蔵省、厚生省に対して、断固として拒否の態度を示すべきであります。(拍手)答弁を求めます。
さらに、関西新空港の問題もそうであります。民間活力の導入を口実として新会社方式をとろうとしておりますけれども、この空港は第一種国際空港であり、空港整備法によっても当然国の責任で建設、管理されなければならないものであります。しかも、国の責任を民間に押しつけるだけでなく、地方公共団体にも負担を押しつけようとしておるのであります。自治省は昨年一月二十日の参議院決算委員会において、今日の地方財政の状況から地方公共団体の負担は困難と答えていたはずでありますが、これに変わりがないのかどうなのか、この点も自治大臣の御答弁を求めます。
また、民間会社で果たして公害、災害にどんな責任が負えるというのか、さらに、空港建設費、周辺整備関連事業費、採算性など、将来の予測が狂った場合も含めて、一体国が責任を負うというのかどうなのか、この際、運輸大臣の答弁を求めたいと思います。(拍手)
最後に、地方税について伺いたいと思います。
政府が大宣伝をしておる住民税減税なるものは、所得税減税同様、その規模が小さいだけではなく、全くの増税抱き合わせであります。総理は、今国会を通じて、増税ではない、でこぼこ是正だと強弁をしてまいりましたが、それならば減税についても、減税ではない、でこぼこ是正だと言うのが当然ではありませんか。あくまで減税だと言い張るのであれば、この際、自動車税、軽自動車税などの大衆増税を潔く撤回すべきであります。答弁を求めるものであります。
今回の法案でとりわけ注目すべきことは、個人住民税の非課税限度額を当分の間四人世帯で二百万円という低い水準に据え置こうとしていることであります。当分の間といいますけれども、地方債の許可権については地方自治法制定時以来の長きにわたって維持されており、政府の言い分は全く信用できないのであります。当分の間とは一体いつまでを指すのか、具体的に明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
大衆増税によらずとも、大幅な住民税減税の財源は、政府がその気になりさえするならば十分確保することが可能であります。
例えば、大阪府内に本支店を持つ資本金十億円以上の大企業千四百五十五社のうち、約二割、二百八十八社までが赤字を理由として法人住民税の所得割を一円も納めておりません。資本金七百五十八億円の住友化学、三百二十九億円の三井東圧化学、百八十一億円の三菱瓦斯化学、いずれも均等割数百万円で済まされておるのであります。これらはいずれも公害発生企業であり、大阪府は、そのために公害対策予算として、五十八年度だけでも六百七十八億円もの額を計上しておるのであります。しかも、道路、交通、港湾など企業活動のために自治体から巨額のサービスを受ける大企業の税負担がわずか数百万円、果たしてこれで税の公平と言えるでありましょうか。到底国民の納得が得られないものだと言わなければなりません。(拍手)しかも、住友化学六百六十万円を初め、赤字と言いながら多額の政治献金を行っておるのであります。巨額の内部留保をため込みながらも赤字企業となる会計制度にこの際メスを入れ、大企業優遇措置を見直す意思があるかどうか、総理並びに自治大臣の答弁を求めるものであります。(拍手)
以上、私は、幾つかの点について質問を申し上げてまいりましたが、いずれも地方自治の根幹と住民の暮らしにかかわる重大な問題であります。我が党は、戦後憲法制定の当初以来、地方自治を一貫して掲げてまいりましたが、中曽根内閣の軍拡、地方自治破壊を断じて許さず、国民とともに住民主権、地方自治を守り抜く決意を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/28
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029・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 経塚議員にお答えをいたします。
まず、地方財政対策について中長期的展望いかん、道州制いかんという御質問でございます。
国、地方を通ずる財政状況にかんがみ、現在は行財政改革の積極的推進と財政体質の抜本的改善が喫緊の課題でございまして、今それを推進中でございます。道州制の導入など地方制度の根幹にかかわる改正については慎重に対処すべきであり、当面は考えておりません。
次に、自民党の運動方針について御質問がございましたが、自民党の運動方針は、政府に対して与党の立場から激励した運動方針であると思っております。この運動方針に則して地方の行財政改革を強力に進め、自主自律の地方制度を健全にすべく努力してまいるつもりでおります。
地方財政計画においては住民負担が重いではないかという御質問でございますが、昭和五十九年の地方財政計画は、地方財政が大幅な収支不均衡の状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調で歳出の抑制を徹底し、歳入の確保に努め、財源の重点的配分と節度ある財政運営を基本として策定したものでございまして、適切であると考えます。
特会借り入れの中止は交付税制度の否定ではないかという御質問でございますが、厳しい財政状況を踏まえ、地方財政の健全化等に資するために行ったものであり、地方交付税制度の基本を変えるものではなく、地方自治の本旨にもとるものではございません。
いわゆる抱き合わせ増減税の御質問がございましたが、減税の財源につきましては、現下の厳しい財政状況から見まして、これ以上土地方財政を悪化させることのないように他の税目において所要の増収措置を講じたもので、まことにやむを得ないものでございます。
次に、巨額の内部留保等を有する赤字法人に対する課税について御質問がございましたが、所得が生じないいわゆる赤字法人に法人税負担を求めることは困難であります。この問題は、企業に対する他の租税との関係等幅広い観点から考える必要がある問題であると考えます。
残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣田川誠一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/29
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030・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 経塚議員にお答えをいたします。
五十九年度の地方財政計画の策定方針についてということでございますが、五十九年度地方財政計画は、地方財政が引き続いて大幅な収支不均衡の状態にあることにかんがみまして、おおむね国と同一の抑制的な基調に立ちましてつくったものでございます。しかし、このような抑制的基調のもとにおいても、地域経済の振興や雇用の安定を図るための施策や、住民生活に直結した福祉、教育施策を進めるための財源の充実などに前向きの配慮を示しております。今の国、地方の財政状況から考えまして、適切な計画の内容であるものと考えております。
交付税の措置の趣旨についてお答えをいたしますが、現在の地方財政は巨額の借入金を抱え、これ以上の借入金依存は地方財政の基盤を揺るがせかねない状況にあります。このために、今後行財政改革を積極的に進めることによりまして、国、地方ともに歳出の抑制を図っていかなければなりませんが、特別会計の借入金に依存する方法は、国、地方とも財政構造を一層悪化させるものでありまして、今後は原則として新たな借り入れを行わないこととしたのでございます。今回の措置は、中長期的に見まして地方財政の健全化に資することを目指しておりまして、地方交付税制度の基本は変わるものではございませんで、地方自治の本旨にもとるものとは考えておりません。
地方交付税の特例措置についてお答えをいたしますが、今回の制度の見直しにより、地方交付税の総額について、交付税法附則の改正案でお示ししているように、地方財政の状況等にかんがみ、法律の定めるところにより、交付税総額の安定的な確保に資するため必要な特例措置を講ずることとしております。これは、法文上、単年度において地方交付税総額について減額することを否定するものではございませんが、その内容はその都度国会にお諮りし定めてまいるものでありますので、そのように御承知をいただきたいと考えております。
児童扶養手当のことでございますが、児童扶養手当の制度については、五十九年度の予算編成に際し厚生省の方から、児童福祉問題懇談会の報告を踏まえ、離別した夫の扶養義務を考慮する趣旨の改正案が提案をされ、これに伴い、地方負担の導入について協力を要請されたものでございます。自治省といたしましては、このような改正後の児童扶養手当は、従来の年金に準ずるものと一線を画す福祉政策として受けとめて、福祉行政における国と地方との機能分担を勘案しつつ、新たに認定される者について所要の経費の一部負担について同意をしたものでございます。
次に、関西空港でございますが、関西空港は空港整備法上の第一種空港とすることとされておりますが、従来第一種空港における滑走路等の基本施設の新設改良は全額国の負担において行われてきたところでありまして、自治省といたしましては、今回の特殊会社。案による場合においても、この原則を実質的に堅持すべきものと考えております。
なお、利便施設等に関する事業につきましては、地域経済の発展に寄与、貢献する面もあることにかんがみまして、これに着目して地方団体が任意に行う出資等につきましては、空港整備に関する国、地方の負担区分を必ずしも乱すものではないと考えているのでございます。
住民税に係る非課税限度の問題についてお答えをいたします。
今回の改正案では、昨年十一月の税制調査会の中期答申に述べられておりますように、「地方財政の状況、課税最低限の水準等を総合的に勘案しつつ、必要に応じ、存続させることとすべきである。」こういう考え方に基づいて所得割の非課税措置を当分の間存続させることとしているものでございまして、特に年度を限っていつまでと考えているものではございません。
赤字法人のことでございますが、最近におきましては全法人数に対する赤字法人数の割合が上昇してきておりまして、赤字法人の税負担のあり方にいろいろ議論のあるところでございます。今回の改正案におきましては、法人の事業活動と地域社会との受益関係等を勘案して、法人住民税均等割の税率の引き上げを行うこととしているところでありますが、今後とも赤字法人の税負担のあり方につきましては検討すべきものと考えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣細田吉藏君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/30
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031・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 経塚議員にお答え申し上げます。
関西国際空港の計画につきましては、公害または災害が発生しないように特に配慮して計画は進めておるところでございます。しかしながら、万一公害または災害が発生しました場合には、特殊法人である関西国際空港株式会社が問題に対処することになるのでございます。
責任能力に限界があるのではないかという御心配があるわけでございますが、この会社は法律によって決めるものでございまして、政府が八、地方公共団体が二、民間が二の割合で出資金を出しておるという特殊会社でございます。なお、政府が種々の特典を与えるとともに監督を十分いたしておるのでありまして、国民に御迷惑をおかけすることはないと存じております。
第二点は、建設費の問題については十分に調査研究をいたしまして積算したものでございまして、今後の物価動向ももちろん考えておりまするので、建設見積もりが大幅に変更することはないと考えております。しかしながら、仮に見積もりの変更を余儀なくされる場合あるいは収支の見積もりに大きな変化があるというような場合には、国、地方公共団体、民間の実質的な負担比率を維持しながら収支採算をとっていく考えであります。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/31
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032・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/32
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033・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X00819840228/33
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