1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年四月十九日(木曜日)
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議事日程 第十七号
昭和五十九年四月十九日
午後一時開議
第一 千九百八十三年の国際熱帯木材協定の締
結について承認を求めるの件
第二 出版物の国際交換に関する条約の締結に
ついて承認を求めるの件
第三 国家間における公の出版物及び政府の文
書の交換に関する条約の締結について承
詔を求めるの件
第四 保安林整備臨時措置法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
第五 国有林野法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
第六 国有林野事業改善特別措置法の一部を改
正する法律案(内閣提出)
第七 割賦販売法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 千九百八十三年の国際熱帯木材協定
の締結について承認を求めるの件
日程第二 出版物の国際交換に関する条約の締
結について承認を求めるの件
日程第三 国家間における公の出版物及び政府
の文書の交換に関する条約の締結について承
詔を求めるの件
日程第四 保安林整備臨時措置法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
日程第五 国有林野法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
日程第六 国有林野事業改善特別措置法の一部
を改正する法律案(内閣提出)
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定
措置に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出)
日程第七 割賦販売法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
児童扶養手当法の一部を改正する法律案(内閣
提出)の趣旨説明及び質疑
湖沼水質保全特別措置法案(内閣提出)の趣旨
説明及び質疑
午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/0
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001・福永健司
○議長(福永健司君) これより会議を開きます。
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日程第一 千九百八十三年の国際熱帯木材協
定の締結について承認を求めるの件
日程第二 出版物の国際交換に関する条約の
締結について承認を求めるの件
日程第三 国家間における公の出版物及び政
府の文書の交換に関する条約の締結につい
て承認を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/1
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002・福永健司
○議長(福永健司君) 日程第一、千九百八十三年の国際熱帯木材協定の締結について承認を求めるの件、日程第二、出版物の国際交換に関する条約の締結について承認を求めるの件、日程第三、国家間における公の出版物及び政府の文書の交換に関する条約の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。外務委員長中島源太郎君。
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千九百八十三年の国際熱帯木材協定の締結につ
いて承認を求めるの件及び同報告書
出版物の国際交換に関する条約の締結について
承認を求めるの件及び同報告書
国家間における公の出版物及び政府の文書の交
換に関する条約の締結について承認を求める
の件及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔中島源太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/2
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003・中島源太郎
○中島源太郎君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、千九百八十三年の国際熱帯木材協定について申し上げます。
本協定は、昭和五十八年十一月十八日にジュネーブで開催された熱帯木材に関する国際連合会議において採択されたものでありまして、研究開発等の分野における加盟生産国と加盟消費国との協力を通じ、熱帯木材の国際貿易の拡大及び価格の安定を図り、もって、生産国の輸出収入の安定と消費国への供給の安定を確保することを目的とするものであります。
その内容は、協定の実施機関である国際熱帯木材機関の組織及び運営、事業活動の実施、資金の調達等について規定しております。
次に、出版物国際交換条約並びに国家間の公の出版物等交換条約の二条約について申し上げます。
両条約は、いずれも昭和三十三年の第十回ユネスコ総会において採択されたものでありまして、既に効力を生じております。
まず、出版物国際交換条約は、政府機関及び非営利的な非政府団体の間の出版物の国際交換を奨励し、かつ容易にすることを目的とするものでありまして、出版物の交換の範囲、交換機関、出版物送付の方法及び運送費用並びに関税の免除その他の通関上の便益等について規定しております。
また、国家間の公の出版物等交換条約は、国家間における公の出版物及び政府の文書の交換を促進することを目的とするものでありまして、交換される公の出版物及び政府の文書の範囲、国の交換当局、交換資料の目録及び数量、交換の方法及び運送費用並びに関税の免除その他の通関上の便益等について規定しております。
以上三件は三月二十七日外務委員会に付託され、四月四日安倍外務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月十三日に質疑を行い、昨十八日採決を行いました結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/3
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004・福永健司
○議長(福永健司君) 三件を一括して採決いたします。
三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/4
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005・福永健司
○議長(福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/5
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006・古賀誠
○古賀誠君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、日程第四ないし第六とともに、内閣提出、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を追加して、四案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/6
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007・福永健司
○議長(福永健司君) 古賀誠君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/7
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008・福永健司
○議長(福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
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日程第四 保安林整備臨時措置法の一部を改
正する法律案(内閣提出)
日程第五 国有林野法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
日程第六 国有林野事業改善特別措置法の一
部を改正する法律案(内閣提出)
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫
定措置に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/8
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009・福永健司
○議長(福永健司君) 日程第四、保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案、日程第五、国有林野法の一部を改正する法律案、日程第六、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。農林水産委員長阿部文男君。
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保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案
及び同報告書
国有林野法の一部を改正する法律案及び同報告
書
国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する
法律案及び同報告書
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定
措置に関する法律の一部を改正する法律案及
び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔阿部文男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/9
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010・阿部文男
○阿部文男君 ただいま議題となりました四法案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、林野三法案について申し上げます。
保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案は、最近における山地災害の発生状況等保安林に係る諸情勢の変化にかんがみ、本法の有効期間を十年間延長するとともに、保安林の機能の発揮を確保するための措置を講じようとするものであります。
次に、国有林野法の一部を改正する法律案は、最近における森林をめぐる諸情勢の変化及び国有林野事業の状況にかんがみ、国民の参加による国有林野の整備の促進を図るため、国有林野に分収育林制度を導入する等の措置を講じようとするものであります。
次に、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案は、国有林野事業の経営の状況にかんがみ、その改善を推進するため、昭和五十九年度以降十年間を新たな改善期間とし、改めて改善計画を策定するとともに、職員の退職手当の財源の借り入れ等の措置を定めようとするものであります。
委員会におきましては、以上の三法案を一括して議題に供し、四月三日山村農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、四月十日に参考人の意見を聴取する等、五回にわたり慎重な審査を重ねてまいりました。
かくて、四月十八日に三法案に対する質疑を終局し、まず保安林整備臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決しました。
次に、国有林野法の一部を改正する法律案について採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決しました。
次に、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案に対して、日本社会党・護憲共同から、国有林野の有する公益的機能の発揮に必要な経費について一般会計からの繰り入れ措置を講ずること等を内容とする修正案が提出され、討論の後、採決いたしましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決しました。
なお、日本社会党・護憲共同提案の修正案につきましては、国会法第五十七条の三の規定に基づき、山村農林水産大臣より、政府としては反対である旨の意見が述べられました。
また、三法案に対し、それぞれ附帯決議が付されました。
続いて、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、国が災害復旧事業費の一部を補助する農林水産業施設として沿岸漁場整備開発施設を追加するとともに、災害復旧事業費補助の対象とする一カ所の工事の費用の最低額を引き上げる等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、四月三日山村農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、二回にわたり審査を行いました。
四月十九日質疑を終局したところ、日本共産党・革新共同から、国庫補助の採択限度額を現行どおり十万円とすること等を内容とする修正案が提出され、採決いたしましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決しました。
なお、日本共産党・革新共同提案の修正案につきましては、国会法第五十七条の三の規定に基づき、山村農林水産大臣より、政府としては反対である旨の意見が述べられました。
また本案に対し、附帯決議が付されました。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/10
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011・福永健司
○議長(福永健司君) 四案中、日程第六につき討論の通告があります。これを許します。新村源雄君。
〔新村源雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/11
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012・新村源雄
○新村源雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、反対の意見を申し上げます。
二十一世紀に向けて人類の課題は、平和な国際環境づくりと資源、自然環境問題だと言われております。森林は、木材の生産、水資源の涵養、大気の浄化、自然災害の緩和、自然環境の保全と保健休養の場の提供など、国民生活にとって不可欠の資源であり、資源小国と言われる我が国にとって、森林資源こそが再生産可能な唯一の資源であります。
さらに近年、地球的規模で緑が減少し、人類の生存に必要な自然の調和が崩れることを警告する識者の声が相次いでおり、アメリカ政府の一九八〇年の資料によれば、一九七八年に世界の森林面積は二十五億六千三百万ヘクタールであるが、二〇〇〇年には二十一億一千七百万ヘクタールに減少し、毎分四十三ヘクタールが失われるとしております。したがって、緑の森林を守り、環境を保全をするということは、一瞬にして人類の滅亡につながる核戦争を抑止することと相通ずるものであり、人類の大きな課題であると思うのであります。(拍手)
我が国の森林面積は、国土の七〇%に及び、国民生活と深いかかわり合いを持ちながら環境保全の役割を果たしてまいりました。一方、我が国の木材の需要は、近年やや停滞傾向にあるものの、昭和四十年には七千五十万立米に対し昭和五十七年九千二十万立米と、総体的には高水準で需要が見込まれております。
しかも、我が国の林業は、戦後の特に高度成長期における大増伐、乱伐により極度に森林の荒廃をもたらし、木材の供給力が低下し、昭和四十年自給力七一・四%、約五千万立米の供給が昭和五十七年には三五・七%、三千百万立米にとどまり、加えて貿易の自由化は木材価格低落を招き、我が国林業がかつてない不況に追い込まれ、林業が産業としての価値が低下し、山村の過疎化が進み、林業労働者の高齢化を招き、森林の機能が保全維持できなくなりつつあるのであります。
このような状態をつくり出したのは、政府が大企業本位の経済合理主義一辺倒の政策をとり続け、民族の心のふるさとである農山漁村の依拠する第一次産業を軽視した結果にほかならないと思うのであります。(拍手)
次に、今日問題提起をされている国有林野についてでありますが、国有林は面積七百七十一万ヘクタールに及び、我が国森林面積の三〇%を占め、森林・林業の中核をなすことは言うまでもありません。そのうち保安林は三百八十八万ヘクタールとその比率は四九%であり、この保安林が国土の保全を初めとする公益的機能を果たす中核的な役割を果たしているのであります。
近年都市の過密化が進み、生活様式の変化、国土の高密度利用によってもたらされた山地被害の危険性の増大、生活水準の向上に伴う生活用水を中心とする水需要の増加などによって、これらと深いかかわりを持っている緑資源に対する国民の関心が高まりつつあるのであります。しかるに、国有林野事業は今日重大な危機に当面しており、その原因は、戦前の独占度の高い木材供給と農山村の安い余剰労働力により高収益を上げ国家財政に貢献してきた当時の認識を変えず、林業をめぐる諸情勢への適切な対応を怠り、時代錯誤的な政策を遂行してきたからであります。
このようにして生じた赤字解消を理由に臨調答申、さらにこれに基づく林政審の答申が出されたのでありますが、これは、国有林の持つ使命の重大さに言及しながらも、国有林野事業会計の累積赤字を理由に、新たな改善期間中の前半期に自己収入と事業収入の均衡達成を求め、前半期の改善目標を示し、自助努力による改革とも言うべき合理化の徹底強化を求めているのであります。
この答申を受けて政府はこの改善特別措置法改正法案を提出しているのでありますが、この法案は問題の多い林政審答申のしかもごく一部の退職手当債に対する利子補給と改善期間の延長だけであり、このような政府の改善対策では、材価の低迷や累積債務の増加と支払い利子の負担などから早晩国有林野事業は行き詰まり、破綻は明らかであります。これは、土光臨調、中曽根行革の軍事拡大、大企業本位、福祉、文教、農林漁業切り捨ての反国民的性格のあらわれであると言って過言ではありません。(拍手)
我が党は、森林・林業の持つ公益的機能の充実、そしてその強化の必要性が国民世論にまで発展をしている今日の森林・林業を根本的に見直し、ことにその中核的役割を果たしている国有林野事業について、森林・林業計画を時代の変遷に伴いながら国家百年の基本に立つものであるという視点に立って、わが党は農林水産委員会において政府原案に対し修正案を提出いたしましたが、残念ながら少数否決となりました。
その修正事項はかなり附帯決議の中に生かされましたが、我が党はあくまで政府原案に対しては反対であることを明らかにして、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/12
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013・福永健司
○議長(福永健司君) これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/13
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014・福永健司
○議長(福永健司君) これより採決に入ります。
まず、日程第四につき採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/14
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015・福永健司
○議長(福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第五及び農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。
両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/15
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016・福永健司
○議長(福永健司君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第六につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/16
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017・福永健司
○議長(福永健司君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
―――――・―――――
日程第七 割賦販売法の一部を改正する法律
案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/17
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018・福永健司
○議長(福永健司君) 日程第七、割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。商工委員長梶山静六君。
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割賦販売法の一部を改正する法律案及び同報告
書
〔本号末尾に掲載〕
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〔梶山静六君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/18
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019・梶山静六
○梶山静六君 ただいま議題となりました割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
近年、割賦販売等に係る取引は急速な拡大を続け、その形態も多様化しておりますが、これに伴い、消費者とのトラブルも増大し、例えば、購入者と販売業者との間に信販会社等が介在する、いわゆる割賦購入あっせんについては、現在、法律による購入者保護の措置が講じられていないため、トラブルが多発しております。
本案は、こうした状況にかんがみ、割賦販売等に係る取引について、消費者保護の徹底を図ろうとするものであります。
その主な内容は、
第一に、いわゆるリボルビング方式の割賦販売等を規制の対象に含めるとともに、指定商品の対象として消耗品を加えることができるようにすること、
第二に、割賦販売に適用されている購入者保護のための規定、すなわち、取引条件の表示、書面の交付、いわゆるクーリングオフ、契約の解除の制限等について、所要の改正を加えながら割賦購入あっせんにも適用すること、
第三に、割賦購入あっせんを利用した購入者は、商品に瑕疵がある等の場合には、販売業者に対して主張できる事由をもって、割賦購入あっせん業者からの代金の支払い請求に対抗することができること、
第四に、割賦販売業者等は、購入者の支払い能力を超えていると認められる割賦販売等を行わないよう努めるとともに、割賦販売業者等及び信用情報機関は、信用情報を購入者の支払い能力の調査以外の目的に使用してはならないこと等であります。
本案は、四月十二日当委員会に付託され、翌十三日小此木通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、以来、参考人から意見を聴取する等審査を重ね、四月十八日質疑を終局いたしました。
次いで、本案に対し、委員長より、割賦販売について、クーリングオフの期間を四日から七日に改めるとともに、訪問販売についても同様に定める修正案を提出し、採決の結果、本案は全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/19
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020・福永健司
○議長(福永健司君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/20
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021・福永健司
○議長(福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/21
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022・古賀誠
○古賀誠君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、内閣提出、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/22
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023・福永健司
○議長(福永健司君) 古賀誠君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/23
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024・福永健司
○議長(福永健司君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
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運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/24
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025・福永健司
○議長(福永健司君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員長片岡清一君。
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運輸省設置法の一部を改正する法律案及び同報
告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔片岡清一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/25
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026・片岡清一
○片岡清一君 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案の主な内容は、
第一に、地方運輸行政の総合化及び効率化を図るため、海運局及び陸運局を統合して、地方運輸局を設置すること、
第二に、海運局の廃止に伴い、海運監理部は地方運輸局に置くこととすることであります。
本案は、二月二十二日本委員会に付託され、四月五日細田運輸大臣より提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、四月十七日これを終了し、本十九日採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/26
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027・福永健司
○議長(福永健司君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/27
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028・福永健司
○議長(福永健司君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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児童扶養手当法の一部を改正する法律案(内
閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/28
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029・福永健司
○議長(福永健司君) この際、内閣提出、児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生大臣渡部恒三君。
〔議長退席、副議長着席〕
〔国務大臣渡部恒三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/29
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030・渡部恒三
○国務大臣(渡部恒三君) 児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
児童扶養手当制度は、死別母子世帯に対する年金制度の補完として昭和三十七年に発足し、これまで母子福祉年金にあわせて逐次改善が図られてまいりました。しかしながら、制度発足から二十年以上を経過した今日、年金制度の成熟とともに、母子福祉年金の受給者はほとんど消滅する一方、離婚が年々著しく増加し、今や母子家庭の大宗は離婚による母子家庭で占められるに至っております。これに伴い、児童扶養手当の受給者数は昭和五十九年度で六十万人、これに要する財政負担も二千五百億円という巨額に達する見込みであります。
今日、社会保障施策全般について、本格的な高齢化社会の到来と厳しい行財政環境の中で、自立自助の促進、社会的公正の確保、施策の効率化等の観点から根本的な制度の再編、見直しを行うことが急務とされておりますが、本制度については、第二次臨時行政調査会の答申においても社会保障政策上の位置づけ、費用の一部についての地方負担の導入等について検討が要請されていたのであります。
以上のような諸事情にかんがみ、このたび行政改革の一環として、現行制度を基本的に見直し、これを母子家庭の生活安定と自立促進を通じて児童の健全育成を図ることを目的とする純粋の福祉制度に改めるべく、本改正案を提出した次第であります。
次に、この改正法案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、手当の額につきましては、これまで年収三百六十一万円未満の場合一律に月額三万二千七百円を支給することとしておりましたが、これを所得に応じて二段階とし、所得税が非課税となるおおむね百五十一万円未満の場合は三万三千円、百五十一万円以上三百万円未満の場合は二万二千円を支給することとしております。この所得制限の額及び手当の一部制限額については、政令で定めることとしております。
第二に、離婚してもなお父は子に対し民法上の扶養義務を有することにかんがみ、改正法施行後の新規認定分から、離婚時の夫の年収がおおむね六百万円以上であるときは、特別の事情がある場合を除き手当を支給しないこととしております。
第三に、手当の支給は、十八歳未満の児童を対象に、原則として七年間とすることといたしました。ただし、七年を経過した時点で児童がなお義務教育を終了していない場合には、義務教育終了まで支給を継続することとしております。
第四に、費用負担につきましては、一般の福祉施策と同様に、地方負担を導入することとし、改正法施行後の新規認定分から国が十分の八、都道府県が十分の二を負担することとしております。
以上のほか、離婚等によらない母子については今後支給を御遠慮いただくこととし、また、支給要件及び支給期間について改正に伴う所要の経過措置を講ずることとしております。
なお、実施時期は、本年十一月を予定しております。
以上が児童扶養手当法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。よろしくお願いいたします。(拍手)
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児童扶養手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/30
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031・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。竹村泰子君。
〔竹村泰子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/31
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032・竹村泰子
○竹村泰子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま提案されました児童扶養手当法の一部改正案に対し、総理、厚生大臣、自治大臣並びに労働大臣に質問をいたします。
総理ほか各大臣にはお子さんがいらっしゃいますね。総理にはかわいいお孫さんもいらっしゃいます。ですから、子供の健やかな成長をひたすらに願う親の気持ちがよくおわかりと思います。ところで、世の中には、不幸にして両親が協力して育てることのかなわぬ事情があり、父母のどちらかが苦しみや悩みと闘いながら働いて子供を育てている方が多くおられます。特にそのうち、離婚した夫婦の子供たちは、七〇%が母親のもとで育てられております。今回提案された改正案は、こうした厳しい生活を強いられている母子家庭をさらにどん底に突き落とす非人道的、文字どおり改悪案と言わずして何と言えましょうか。(拍手)
私は、この数カ月、日夜全国のたくさんのお母さんたちと会い、話し合いを積み重ね、その切実な訴えを聞いてまいりました。
第一に、所得制限の強化であります。まず、支給額が二段階になり、減額されることです。
第二番目には支給期間の改悪です。現在は子供が十八歳になるまで支給されておりますが、これが離婚してから七年間に打ち切られる。ただし、お情けで義務教育終了まで、つまり十五歳までは出しましょうということです。これは三年間の切り下げになります。
その他、別れた夫の給与が六百万円以上の場合は支給しない。未婚の母に関しては一切支給しない。そして全額国庫負担であったものを地方自治体に二割の負担を強いるのであります。
そこで自治大臣にお尋ねいたします。
これをきっかけに、障害福祉年金、老齢福祉年金など国が負担しているものを今後すべて都道府県負担にする手始めとなるようなことがあれば一大事です。あなたは、自治大臣としてどう対処されようとしているのですか。
これら戦後の混乱の中から一歩一歩積み重ねられてきて、ようやく先進国並みに近づいてきた福祉行政の階段を一挙に転げ落ちるかのような福祉の切り捨てであります。大改悪であります。この大改悪をなぜ今しなければならないのでしょうか。厚生大臣、目的は何でしょうか、はっきりと説明してください。(拍手)
私は、過日、渡部厚生大臣が「母子家庭の生活を守り、男性の扶養責任を果たさせるためのきめ細かい配慮をすることだ」と言われたのを聞きましたが、これは全くの詭弁にすぎません。そもそもこの法案をお出しになる目的は何だったのでしょうか。改正の趣旨を見ますと、「離婚の急増等母子家庭をめぐる諸状況の変化にかんがみ、母子家庭の生活安定と自立促進を通じて児童の健全育成を図ることを目的とする」とあります。私は、まずこの趣旨説明に大きなまやかしがあることを指摘いたします。
まず、一九八三年に厚生省が行った母子世帯実態調査もまだ公表されず、どんな状況の変化があったのか一切不明確だということであります。これでは法案提出の理由がまず成り立たないと思うが、いかがですか。
この児童扶養手当法の改悪は、財源対策つまり福祉の切り捨ての一つではないのですか。八四年二月十三日発行のある専門誌によりますと、児童家庭局長ははっきりと表明しておられます。それによりますと、「三年前の八月、臨時行政調査会の第一次答申の中で地方負担の導入の問題が指摘されてからずっと検討課題になり、臨調の最終答申にも織り込まれた」とあります。
そのため厚生省は、昨年の三月児童福祉問題懇談会を設置し、昨年十二月に出されたこの懇談会の報告をもとにして法案づくりが進められました。この報告によりますと、社会保障全般にわたり自立の促進、公正の確保、また年金、医療等社会保障との関連、金銭給付と社会サービスとの連携などから見直しを行うべき時期に来ており、また離婚についての意識、態様の変化に伴い、その件数は著しく増加し、財政負担も巨額になっているとあります。まずはお金の問題であったのです。そして最終的には、総理、あなたの強い意向を受けて、五十九年度予算で三年越しの懸案として決着をつけたいと大蔵、自治、厚生の関係三大臣が合意をして決められたと、先ほどの児童家庭局長の文章の中にもあるのでございます。
そこで総理、厚生大臣にお尋ねいたします。
現行法では第一条に、「この法律は、国が、父と生計を同じくしていない児童について児童扶養手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」とありますが、改正案では同じく第一条に、「この法律は、父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定の促進に寄与するため」云々と変えられております。法律的に見ましても、児童の健全育成に着目した現行法に比べ、児童が育成される家庭を対象にし、また早く自立させるというすりかえ案であります。これは中心的な問題を変質させていくことで、改正どころか児童扶養手当の廃止とも言えるものであります。国際的に見ましても児童の権利擁護は確立しており、先進国と豪語し、また世界の中の日本の立場を非常に気にされる総理としては、大変恥ずかしい法改正であることにお気づきでしょうか。
厚生大臣、厚生省というのはだれのためにあるところでしょうか。社会の片隅で肩寄せ合ってひっそりと生きていく母親と子供、この人たちの叫びがあなたの耳には聞こえませんか。私は、大臣を大変に率直な人間らしい方だとお見受けしております。今からでも遅くはありません。十五歳で打ち切られるということは、高校へ行かせられないということなのです。何とかこの点だけでも考え直してくださいと、先日も泣きながら遠くから陳情に来られたお母さんたちとお会いしました。考え直すお気持ちはありませんか。今日、高校進学は九〇%以上となっており、義務教育化されたものと言えるでしょう。厚生大臣、あなたはこの点をいかがお考えでしょうか。
この法改正への経過手続には、また大きな疑問があります。先ほどの児童福祉問題懇談会というのは厚生大臣の私的諮問機関であり、何の拘束力もありません。公的審議機関である中央児童福祉審議会においては何も審議されておりません。そういう状態で法案化、予算化したのは行政の一方的な押しつけであり、行革に名をかりた弱者切り捨て、児童の権利の剥奪であります。(拍手)
また、何よりも私が問題を感じますのは、親の状況で子供を区別するということです。親が離婚しようと、蒸発しようと、未婚の母であろうと、子供には何の関係もないはずです。子供は独立の人格、人権を有しており、平等に扱われるべきです。児童憲章には「すべての児童は、心身ともに、健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。」とあります。また国際人権規約では、保護及び援助の特別な措置が、すべての児童及び年少者のために、血統その他の条件を理由とするいかなる差別もなくとられなければならないとあり、また婦人に対するあらゆる差別撤廃条約では、「婚姻をしているか否かを問わず」――よろしいですか、親が婚姻しているか否かを問わずです、「児童に関する事項についての親としての同一の権利及び責任。あらゆる場合において、児童の利益は至上である。」とあります。
総理、厚生大臣、このような国の内外の当然とも言える児童の権利をあなたは今ねじ曲げ、すりかえるという、大変な歴史に残る大改悪をしようとしておられることにお気づきでしょうか。未婚の母の子はなぜ対象外としたのか、改めて総理の正式見解を承りたいと思います。
一九八〇年六月に矢継ぎ早に各都道府県あてに出された通達は、制度運用の適正化という名目のもと、著しく母子家庭のプライバシーを侵害し、厳しい支給カットをしております。例えば、父親が遺棄した家庭についても、半年間に一度でも父親から電話連絡があれば、監護しているものとみなして支給対象から外す。妻子が税法上の扶養親族の取り扱いを受けていれば、父親の扶養意思を推定できるので支給しない。実際には何の仕送りも受けず、一年に一回とか二回電話がかかってきたというだけで切られてしまう、そういう非人間的なことが現実に続発しております。こんなことは直ちにおやめください。厚生大臣の所見を求めます。
未婚の母についても、従来は支給の対象としてきました。しかし、今ここへ来て急に、年金制度の充実改正もないままに未婚の母子の切り捨てが行われ、社会的な福祉の権利が保障されなくなるという不公平な社会になり、憲法の精神に反することになります。婚姻によらないで生まれた子供は社会保障の対象から外し、自己責任で育てるのが当然という態度は、未婚の母を社会的にあるべきでない存在として切り捨ててしまうことを意味し、この制度の根幹である児童のための福祉という趣旨に著しく反するものではないでしょうか。
次に、労働大臣にお尋ねいたします。
あなたは、母子家庭の母親の就職状況についてどう考えておられますか。就労の機会、条件など、子供を抱えて生計を立てていくお母さんたちの状況をどうとらえておられますか。また、母子家庭の雇用促進法を制定する御意思はありませんか。お答えください。
その他、請求期限五年の新設、不正受給の罰金増等、児童福祉の精神に反する重要な制度の改変を行おうとしている。しかも、十分な内容の検討、審議を待たずに、ことし十一月一日施行を前提とする予算が組まれているなど、まことに言語道断と言うべきであり、理由なき法提案として、強い世論の反対が巻き起こっております。(拍手)私たちは、このような数々の実情を無視した無謀な法改定を認めるわけにはいきません。福祉とは、社会的に弱い人々を助けるものであるはずです。財政対策にとらわれる余り、真に援助を必要とする人々を捨て去ってしまう、国際社会の趨勢にも反した今回の法提案には、怒りをもって撤回を求めます。(拍手)
総理、厚生大臣の人間としての率直な御意見をお聞かせいただきますようお願いし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/32
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033・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 竹村議員にお答えをいたします。
まず、児童扶養手当の見直しは制度の改悪ではないかという御質問でございます。
今回の制度改正は、離婚の急増等制度発足後今日までの社会的、経済的諸情勢の変化を踏まえた新たなる対応措置として考えたものでもあり、臨時行政調査会の答申においても検討が指摘されたものであります。今回の改正におきましては、所得が低く、真にこの手当を必要とする方には手当額を引き上げるとしておるのでありまして、後退ではないのであります。
いわゆる未婚の母についての御発言がございましたが、この未婚の母の問題については、本制度の趣旨、目的、手当の必要等考慮し、また現行制度に対する各方面の御意見、御批判等を十分踏まえて見直しておるものでございます。未婚の母の取り扱いにつきましては、別途の方策によることが適当であると考えております。
なお、本法案を撤回する意思はございません。
残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣渡部恒三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/33
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034・渡部恒三
○国務大臣(渡部恒三君) 第一に、改正の必要性についてのお尋ねでありますが、今回の改正は、近年の離婚の急増により、制度創設時とは異なり、今や母子家庭の大半が離別世帯であるという実態の変化を踏まえ、離別の母子世帯に対する独自の福祉制度に改めるものであります。
今回の改正に当たっては、臨時行政調査会の答申を受けて児童福祉問題懇談会において慎重に検討を行い、また、法案提出に当たっても社会保障制度審議会に諮問し、了承する旨の答申をいただいております。さらに、中央児童福祉審議会にも御了承を得ておるところであります。
なお、昨年八月に実施した母子世帯の実態調査については、近く発表する予定であります。
今回の改正内容についてのお尋ねでありますが、まず、所得制限及び手当額を二段階にしたのは、一般世帯に比べて普通以上の収入のある世帯の方には、この手当が国民のとうとい税金によって賄われておることにかんがみ、その支給を御遠慮いただき、他方、所得の低い方にはより手厚い給付を行うためのものであります。(拍手)また、離婚しても父には民法上子に対する扶養義務が厳としてあることにかんがみ、年収六百万以上の収入のある方には、特別の事情がある場合を除き支給をしないこととしております。離婚後できるだけ早く自立していただくために、原則として支給期間を七年間としましたが、児童が義務教育を終えるまでは支給を継続することとし、また高校在学中のときは、手当にかえて同額の貸付金を無利子でお貸しすることとしております。このように今回の改正案は、厳しい財政状況のもとで真にこの手当を必要としておる方のために制度を安定的に維持できるよう、その合理化、適正化を図ったものであり、決して制度の改悪とは考えておりません。(拍手)
次に、未婚の母の問題については、この手当が本来、結婚した夫婦とその子供のいる家庭でやむを得ず離婚された場合に、残された母子の生活の安定と自立を援助する趣旨で支給されるものであり、したがって、離婚という事実のない方々にまで税金による手当が支給されることについていろいろ批判があったこと等の理由により、今後手当を御遠慮いただくことにしたものであります。
この改正は、全児童を対象にした児童手当制度などとは異なり、離婚のときに生活が激変したまことにお気の毒な母子家庭に支給するものでありますから、児童の人権の問題とは関係なく、国際人権規約等にも反しないと考えております。
児童扶養手当制度の運用については、手当の財源が全額税金で賄われておることも考慮し、不正受給などは断じてないように、今後とも一層その適正化に努める必要があると考えております。
最後に、今回の法案を撤回すべきではないかとのお尋ねでありますが、先ほど総理からも申し上げましたように、今回の児童扶養手当制度の改正は、行政改革の一環として、またこの制度の今後の安定的な維持のためにぜひとも必要な改正であり、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣田川誠一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/34
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035・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 地方負担についてお答えをいたします。
今回の改正は、離別した夫の扶養義務を考慮するなど福祉政策として見直しが行われたことによりまして、保育行政などと同じように、福祉施策による国、地方の財源の負担区分を勘案をしながら、地方負担を導入することといたしたものでございまして、単純に地方財政への負担転嫁とは考えておらないのでございます。
一般的に制度、施策のあり方の根本的な見直しを行うことをしないで、ただ単に国の財政負担を軽減するために地方負担を導入することは、地方財政への負担の転嫁にほかなりません。これは行財政改革の理念に反するばかりでなく、国と地方の財政秩序を乱すものでありまして、厳に慎まなければなりません。
自治省といたしましては、今後ともあらゆる機会を通じて、地方財政への負担転嫁がされることのないように留意してまいるつもりでございます。(拍手)
〔国務大臣坂本三十次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/35
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036・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 母子家庭の母などの就業にはいろいろな困難が伴っておることはよく存じております。一般に再就職時の女子の賃金は、終身雇用、年功序列制度では新規学卒者の初任給とほぼ同じ水準でございまして、母子家庭のお母さんなどの就業については、保育など家庭生活上の制約があること、職業経験が乏しくて技術が十分でないこと等が条件のよい就職を阻んでおるということは承知をいたしております。
そこで、母子家庭の母等の雇用促進法というものを制定してはどうかという御質問でございますが、母子家庭の母親等の雇用を促進するためには、まず第一に、保育所を整備いたしまして、育児などの家庭生活上の負担を軽くしてあげて、常用労働者として働けるような環境の整備に努めることが大事だと思っております。また、職業訓練や職業講習などによって、資格の取得その他技能の向上を図るなど、雇用の障害となっているような要因を取り除いてあげる、基本的にそれが大切なことだと思っております。
労働省としては、このような考え方に立って、今後とも、就業に関する相談機能等の強化、職業訓練あるいは手当、それから職業講習の実施、事業主への雇い入れに対する助成金制度、例えば中小企業であったならば月給の三分の一を補助する、大企業ならば月給の四分の一を補助する、一年間そういう援助制度がございます。それなどを積極的に活用して、母子家庭の母親等の雇用の促進に努めてまいりたいと思っております。特に新たにこの際母子家庭雇用促進法を制定するということは、現在のところ考えておりません。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/36
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037・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。
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湖沼水質保全特別措置法案(内閣提出)の趣旨
説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/37
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038・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) この際、内閣提出、湖沼水質保全特別措置法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣上田稔君。
〔国務大臣上田稔君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/38
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039・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 湖沼水質保全特別措置法案について、その趣旨を御説明いたします。
湖沼は、古来人々の生活と生産活動を支えてきたかけがえのない国民的資産であり、現在及び将来の国民がその恵沢を享受することができるようにこれを保全していくことが必要であります。
しかしながら、湖沼の水質の現状を見れば、閉鎖性水域という自然的条件に加え、湖沼周辺で営まれております生活及び生産活動に起因する汚濁が近年特に著しく、その水質の改善を図るためには、水質汚濁防止法による排水規制等の従来の制度では不十分な状況にあります。
この法律案は、こうした状況にかんがみまして、湖沼の水質の保全を図るため、湖沼水質保全基本方針を定めるとともに、水質の汚濁に係る環境基準の確保が緊要な湖沼について水質の保全に関する計画の策定及び汚水その他の水質の汚濁の原因となる物を排出する施設に係る必要な規制を行う等の特別の措置を講じようとするものであります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、湖沼水質保全基本方針の策定であります。国は、湖沼の水質の保全に関する基本構想等を内容とする湖沼水質保全基本方針を定めることといたしております。
第二は、指定湖沼等の指定であります。内閣総理大臣は、水質の保全に関する施策を総合的に講ずる必要がある湖沼を指定湖沼といたしまして、指定湖沼の水質の汚濁に関係のある地域を指定地域として定めることといたしております。
第三は、湖沼水質保全計画の策定であります。都道府県知事は、湖沼水質保全基本方針に基づき、指定湖沼ごとに、湖沼の水質の保全に関する方針、下水道の整備その他の湖沼の水質の保全に資する事業に関すること等を内容とする湖沼水質保全計画を定めることといたしております。
第四は、指定湖沼の水質の保全に関する特別の措置であります。
その一は、指定地域内の工場または事業場に係る排出水の排出の規制であります。従来の濃度規制のほか、都道府県知事は、指定地域内の工場または事業場について、排出水に関する汚濁負荷量の規制基準を定め、水質汚濁防止法の特定施設等の新増設に係る排出水がこの規制基準に適合しないと認めるときは、改善その他必要な措置をとるべきことを命ずることができることといたしております。
その二は、みなし特定施設に係る排出水の排出の規制であります。一定規模以下の浄化槽等、湖沼の水質にとって生活環境に係る被害を生ずるおそれのある汚水等を排出する施設として政令で定める施設を水質汚濁防止法の特定施設とみなし、同法の規定を適用することといたしております。
その三は、指定施設の設置の届け出等であります。一定規模以下の畜舎等、排水基準による規制によりがたいものとして政令で定める指定施設を設置しようとしている者等について、届け出の制度を設けるとともに、都道府県知事は、その者が構造等の基準を遵守していないと認めるときは、改善の勧告、さらには、命令をすることができることといたしております。
その四は、汚濁負荷量の総量の削減であります。人口及び産業の集中等のため、排水規制等によっては水質環境基準の確保が困難な指定湖沼については、汚濁負荷量の総量を削減するための措置を講ずることといたしております。
その五は、指定湖沼の水質の保全に資するよう、緑地の保全その他湖辺の自然環境の保護に努めなければならないとしていることであります。
以上のほか、湖沼の水質の保全を図るために必要な指導、援助、関係行政機関の協力等について所要の規定を設けております。
以上が湖沼水質保全特別措置法案の趣旨でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
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湖沼水質保全特別措置法案(内閣提出)の趣旨
説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/39
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040・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。天野等君。
〔天野等君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/40
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041・天野等
○天野等君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました湖沼水質保全特別措置法案につきまして、内閣総理大臣並びに関係大臣に、その所見をお伺いしたいと思います。
総理、私の郷土茨城は、水と緑に恵まれました豊かな土地でございます。中でも、県の東南部に位置しております霞ケ浦は、古くから私たち茨城県民の生活を支え、私たちに潤いと安らぎを与えてくれる源でありました。その霞ケ浦が今瀕死の重症でございます。有機汚濁の代表的な指標でありますCOD数値で見てみますと、昭和四十年にはまだ四ppmであったものが、昭和四十九年と五十一年を除いて年々ふえ続け、昭和五十四年にはとうとう一〇ppmを超えるという瀕死の姿になってまいりました。
このような実態は、もちろん霞ケ浦のみにとどまるものではございません。環境基準が適用されている湖沼水域の過半数は、いまだにCOD数値で環境基準に達しておりません。環境破壊が進んでいるのは、もちろん湖沼ばかりではありません。本来の機能を失って死に瀕している山や川や海が、日本じゅう枚挙にいとまがないくらいございます。
ここ二十年余りの我が国の高度経済成長政策の中で最も痛めつけられたものは、我々の周囲にあった豊かで美しい自然ではなかったでしょうか。人間の生存と自然環境との調和を忘れ、開発優先でひたすら経済成長に走った結果が、今日の自然の破壊と汚染をもたらし、ひいては我々の健康までむしばまれてきています。公害先進国というありがたくない名前までちょうだいするような現状を直視するとき、これ以上の自然破壊、公害発生を未然に防止する積極的な環境行政の確立が、今こそ急務だと考えます。
総理は、施政方針演説の中で「花と緑に囲まれた快適な潤いのある生活環境の創造に努める」と述べておられますが、これを単なる言葉としてではなく、今後の環境行政の中で具体的にどのように生かしていこうとされるのか、特に最近の環境行政が本来の姿を失ってきている現状の中で、環境保全に関する総理の基本的な姿勢について、まずお尋ねをしたいと思います。
次に、今日の環境破壊をもたらした大きな要因として、自然環境との調和を忘れた無原則な乱開発の存在を挙げざるを得ません。だからこそ政府も、開発に伴う環境への影響を事前に調査、予測、評価し、公害や環境破壊をもたらすおそれのないもののみを許可するいわゆる環境アセスメント制度について、その必要性を認め、環境影響評価法案を過日国会へ提出したのだと考えます。この法案は、第百国会で審議未了のうちに廃案となりました。環境保全の立場から、この環境アセスメント制度に関する法案を、総理、今国会に再び提出なさるかどうか、その提出時期はいつごろになるのか、総理の見解をお尋ねいたします。
次に、環境庁長官にお尋ねいたしますが、本法案は、昭和五十六年一月、中央公害対策審議会から環境庁長官に出された「湖沼環境保全のための制度のあり方について」の答申に基づくものであるというふうに承知をいたしておりますが、実は、この答申と法案との間で大きく相違するところが幾つかございます。
まず、中公審答申は、表題が「湖沼環境保全のための制度」となっております。基本的考え方としましても、湖沼の環境保全を図るためには、湖沼の水質及びその周辺の自然的環境を一体のものとして保全することが肝要であるという立場に立っております。具体的内容としましても、湖辺地域における土石等の採取あるいは工作物の新築など、環境破壊をもたらすおそれのある行為についての制限規定を提案しております。これは従来の環境行政の考え方を一歩前進させたものとして、私たちも高く評価しておりました。
ところが、この本法案は、法案名も「湖沼水質保全特別措置法」として、湖沼水質の保全に限定をしてしまいました。基本的考え方も、従来の環境行政の枠を一歩も出ず、内容的にも、湖辺地域に対する具体的政策はすべて削られ、わずかに緑地の保全その他自然環境の保護に努めなければならないという訓示規定を申しわけとしてたった一行つけたにすぎません。(拍手)
また、答申では、指定地域内で例えば工場等の排水を湖沼に流入させる特定施設を設置する場合に、環境アセスメント制度を加味した許可制を提案しておりますが、法案では、従来どおり水質汚濁法による届け出制となっており、環境行政の面で大きく後退をしております。なぜ、このように中公審答申の基本原則を無視して本法案を作成したのか、その間の事情を環境庁長官から責任を持って御答弁いただきたいと思います。(拍手)
また、今後とも、中公審答申にあります、単なる水質保全ではなく湖辺を含めた環境保全でなければならないという考え方あるいは環境アセスメント制度の取り入れという考え方を環境庁長官としては今後おとりにならないのかどうか、あるいはその考えはまだ放棄されていないとするならば、どういう形で今後政策として実現させていくのか、このこともあわせて御答弁をいただきたいと思います。(拍手)
次に、最近における湖沼の水質汚濁の現状を見ますときに、有機汚濁の問題と並んで富栄養化現象の問題が重要になってきております。アオコの大量発生や異臭味水、ろ過障害等の問題は、琵琶湖や霞ケ浦ばかりでなく、特に湖沼を上水道の水源として利用している地域にとっては緊急の問題であります。
富栄養化現象の要因については幾つか考えられるところではありますけれども、いずれにしましても、窒素、燐の規制が必要なことは論をまたないところであります。ところが、現在、水質汚濁防止法二条二項二号の規制項目には、窒素、燐が入っておりません。したがって、本法案においても、このままでは、窒素、燐の規制ができません。この問題について、水質保全行政としてどう取り組んでいくお考えなのか、環境庁長官の見解をお尋ねいたします。
次に、通産大臣にお伺いをいたします。
富栄養化の要因として常に生活雑排水、なかんずく有燐洗剤の使用が挙げられます。これについては琵琶湖、霞ケ浦等では、それぞれの県条例によって規制が行われております。水質保全の立場から見たとき、通産省としては、このような県条例による規制ということに問題はないのかどうか。またさらに、通産省として積極的に有隣合成洗剤の製造、販売に何らかの規制を行うつもりはないか、将来の問題も含めて通産大臣の見解をお伺いいたします。
最後に私は、本法案の致命的な欠陥について指摘しなければなりません。それは、本法案に全く財政的な裏づけがなされていないということであります。この点についても中公審答申は、湖沼という国民的資産を保全する見地から、国は、地方公共団体に対し財政上できるだけの援助措置を講ずべきであり、また、事業者等に対しても金融上、税制上の助成措置を行うよう提案しております。ところが、本法案にはこのような財政的な裏づけが全くなされておりません。
本法案に基づく湖沼水質保全計画により行われる各種の施策は、その実施に当たって、いずれも多額の費用を要するものであるということは想像にかたくありません。財政的な裏づけのない法案は、結局絵にかいたもちにすぎません。だからこそ、全国二十七都道府県の環境部局長で構成しています全国湖沼環境保全対策推進協議会等の各地方自治体の実務担当者の間では、この法案に基づく財政措置の創設、拡充が強く求められているところでございます。
湖沼環境保全は、今全国的な要求になっていると言っても間違いではないと思います。このことを頭に入れながら大蔵大臣に、本法案に財政的裏づけを与える具体的な施策があるかどうかお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/41
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042・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 天野議員にお答えをいたします。
環境保全に関する基本的姿勢いかんという御質問でございますが、緑豊かな良好な自然環境、文化的な活力ある国民生活を確保することが我々の目的でありまして、花と緑で人の和を、これを実践しようとしているのが本湖沼法案を提出するゆえんでもございます。
さらに、いわゆる環境アセスメント法案との関係でございますけれども、湖沼の汚濁防止は緊急の課題になっていると思います。現に汚濁が進行中である、こういう現状を目前にいたしまして、至急対策を講ずる必要があるという関係で提出した次第であります。いわゆるアセスメント法案につきましては、その後の検討によりまして、各方面との調整を実行中でございます。
残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣上田稔君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/42
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043・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 天野先生の御質問の第一は、中公審から湖沼環境保全のための制度につきましての答申を得ながら、湖沼の水質保全に内容を限る法案にした理由はどういうことか、また、湖沼の自然環境を含む環境の保全について今後どのように取り組むつもりかという御質問でございます。それについてお答えを申し上げます。
現在、湖沼を取り巻く環境問題の中で最も深刻なのは、湖沼の水質汚濁の進行どこれに伴う水利用上のさまざまの障害でございます。このように湖沼の水質汚濁が一刻の猶予もならない状況にあることにかんがみまして、緊急を要する湖沼の水質保全対策を総合的、計画的に推進をいたしますために、湖沼水質保全特別措置法案を提案したものでございます。
また、例の五十六年の一月の中央公害対策審議会答申で指摘されました自然環境を含む湖沼の環境の保全を図るためには、これは、このために自然環境保全法また自然公園法等の現在も行われております諸制度を積極的に活用を図ってやらせていただく、非常に重要であると考えておりますが、環境庁といたしましても、湖沼の環境保全のために必要な措置が講ぜられるよう、今後ともまた努力をさせていただきます。
第二に先生の御質問でございますが、中公審答申では新増設の工場等の許可制が提案されたのに、法案では届け出制になっているではないか、これでは湖沼の水質保全が図れないのではなかろうかという御質問でございます。
これに対してお答えを申し上げますが、湖沼の集水域におきましては、一般に工場であるとか事業場の汚濁負荷の割合が比較的低く、かつ中小規模のものがその多くを占めることを勘案をいたしまして、湖沼水質保全特別措置法案では、水質汚濁防止法の届け出制を受けまして、新増設の工場、事業場に対して必要な規制を行うことといたしておるのでございまして、決して後退をしているというようなものではございません。
第三に先生の御質問でございますが、湖沼にとって重要な富栄養化の問題に水質保全行政としてどう取り組むのか、水質汚濁防止法の規制項目に窒素、燐が入っていないが、環境庁はどう考えているんだ、この問題を湖沼法案の中でどう取り扱うのかという御質問でございますが、これに対してお答えを申し上げます。
湖沼におきましては、有機汚濁にかかわります環境基準の達成率が低いことに加えまして、富栄養化の進行が水質保全上の重要な問題となっております。このために環境庁といたしましては、湖沼の富栄養化の要因物質であります窒素及び燐について昭和五十七年の十二月に環境基準を設定をいたしまして、引き続き排水基準の設定につきましても五十八年一月に中央公害対策審議会に諮問を行っております。現在、同審議会におきまして鋭意審議がなされておるところでございますが、その答申が得られましたら、すぐに水質汚濁防止法に基づく窒素及び燐の排水規制を実施に移すなどいたしまして、この指定湖沼だけではなくて全体の湖沼の富栄養化防止対策を推進していくことになっております。
湖沼法案における窒素及び燐の取り扱いにつきましては、これらの措置を講じた上で、この点特に検討をしていきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣小此木彦三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/43
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044・小此木彦三郎
○国務大臣(小此木彦三郎君) お答えいたします。
まず、有燐洗剤についてのお尋ねでありますが、通産省といたしましては、昭和五十年から関係業界に対しまして、合成洗剤中の燐の含有率の低減、含有燐の総量自主規制の実施などの措置を講ずるよう指導してきたところでありまして、この結果、無燐化の進展は著しく、現在の無燐化率は九割に達しているのであります。今後ともこのような方向で対応していく所存であります。
次に、有燐洗剤についての茨城県、滋賀県の条例についてのお尋ねでありますが、御指摘の条例は琵琶湖、霞ケ浦を県下に有する両県の地域的事情に基づいて制定されたものと承知いたしております。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/44
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045・竹下登
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。
湖沼の水質保全は我が国の環境政策の重点の一つと認識いたしております。したがいまして、この法律が成立した後、関係省庁及び地方公共団体におかれて、法律の趣旨にのっとって必要な施策を進められるものと承知しております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/45
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046・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/46
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047・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十八分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110105254X01919840419/47
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