1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年五月十五日(火曜日)
午前十時六分開会
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委員の異動
四月十九日
辞任 補欠選任
小笠原貞子君 近藤 忠孝君
伊藤 郁男君 山田 勇君
四月二十五日
辞任 補欠選任
近藤 忠孝君 小笠原貞子君
五月七日
辞任 補欠選任
山田 勇君 伊藤 郁男君
五月九日
辞任 補欠選任
小島 静馬君 杉山 令肇君
藤田 栄君 園田 清充君
吉村 真事君 徳永 正利君
五月十日
辞任 補欠選任
内藤 健君 佐藤栄佐久君
五月十一日
辞任 補欠選任
佐藤栄佐久君 内藤 健君
杉山 令肇君 小島 静馬君
園田 清充君 藤田 栄君
徳永 正利君 吉村 真事君
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出席者は左のとおり。
委員長 矢原 秀男君
理 事
梶原 清君
下条進一郎君
瀬谷 英行君
桑名 義治君
委 員
小島 静馬君
内藤 健君
藤田 栄君
安田 隆明君
山崎 竜男君
吉村 真事君
小柳 勇君
目黒今朝次郎君
安恒 良一君
小笠原貞子君
伊藤 郁男君
山田耕三郎君
国務大臣
運 輸 大 臣 細田 吉藏君
政府委員
運輸大臣官房長 松井 和治君
運輸大臣官房総
務審議官 西村 康雄君
運輸大臣官房審
議官 丹羽 晟君
運輸省港湾局長 小野寺駿一君
運輸省鉄道監督
局長 永光 洋一君
運輸省自動車局
長 角田 達郎君
運輸省航空局長 山本 長君
気象庁長官 末廣 重二君
事務局側
常任委員会専門
員 村上 登君
説明員
大蔵省主計局主
計官 涌井 洋治君
運輸省航空局飛
行場部長 松村 義弘君
運輸省航空局管
制保安部長 平井磨磋夫君
自治省財政局調
整室長 前川 尚美君
日本国有鉄道常
務理事 太田 知行君
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本日の会議に付した案件
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し承
認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○関西国際空港株式会社法案(内閣提出、衆議院
送付)
○参考人の出席要求に関する件
○派遣委員の報告に関する件
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001・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。細田運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/1
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002・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明申し上げます。
この案件は、運輸省の地方支分部局として地方運輸局を設置するとともに、その所掌事務の一部を分掌する組織として海運監理部を置こうとするものであります。
すなわち、昭和五十八年三月の臨時行政調査会の最終答申の趣旨を踏まえ、地方運輸行政の総合化及び効率化を図るため、海運局と陸運局を統合し、各ブロックごとに地方運輸局を設置する必要があります。具体的に申し上げれば、北海道に北海道運輸局を、宮城県に東北運輸局を、新潟県に新潟運輸局を、東京都に関東運輸局を、愛知県に中部運輸局を、大阪府に近畿運輸局を、広島県に中国運輸局を、香川県に四国運輸局を、福岡県に九州運輸局を、それぞれ設置する必要があります。
また、地方運輸局の設置に伴い、従来海運局に置かれるものとされていた海運監理部は、地方運輸局に置かれるものとし、具体的には、神戸市に神戸海運監理部を設置する必要があります。
以上の理由によりまして、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し国会の御承認を求める次第であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/2
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003・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/3
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004・瀬谷英行
○瀬谷英行君 今回の運輸省の中央、地方を通ずる機構改革、かなりいろいろな改革が行われるわけなんでありますが、これがいわゆる行革の一環として行われるということなのかどうか、そのねらいというものは一体どこにあるのか、これによって非常に効率が上がるというふうに考えられるのか、多少の不便は忍んでも例えば局の数を少なくするということで行革の実が上がったというふうに考えられておるのか、その辺についてひとつ政府のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/4
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005・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 今回の中央、地方を通ずる機構の改革は、もとよりいわゆる行革の一環として行うものでございます。しかし、このことは、実はかなり長い間にわたって運輸省の中で検討をいたしておった問題でございまして、これを臨調の答申を受けまして実施いたすことにいたしたわけでございます。ただ、行革はこの今回の機構改革をもって終わりとするわけではございませんで、私はむしろこれは行革の初めであるというふうに考えております。この機構改正、中央、地方を通ずる機構改正によって、行政を本当に、簡素にして強力なものにするということをやっていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
そこで、この中身にちょっと触れて少し申し上げますと、昭和二十四年の国有鉄道が分かれましてから運輸省が設置されたわけでございますが、御案内のとおり海陸空の輸送機関の対応する縦割りでずっとやってまいったものでございますが、これを、内外の経済情勢の変化、社会環境あるいは輸送構造、そういうものの変化というものに対応するために、運輸行政の執行体制を新しい考え方で変えていこう、つまり、従来の許認可行政を中心とした交通機関別の縦割りの組織を、政策中心の横割りともいうべき組織にして、一大改革を図ることにした次第でございます。
本省の内部部局においては、一官房七局のうち五局を再編成いたします。港湾局、航空局を除いた五局を再編するのでございます。地方におきましては、この当面議題になっております海運局と陸運局とを統合して地方運輸局をつくる、こういうことでございます。海陸を一緒にするということは、ただ二つのものを一つにしたということだけでは効果が上がらないと思うのでございまして、やはり二つのものを一つにすると局長が減るということだけは明瞭でございますが、この局長を減らすというだけの効果に終わらせてはいけないというふうに思っております。これによって国民の皆さんの利便が増しこそすれ障害があるというようなことであっては絶対にいけない、かように考えておる次第でございます。
なお、いろいろ足らない点がございますれば、官房長からお答えをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/5
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006・瀬谷英行
○瀬谷英行君 この前の機構改革のときに観光局というのがなくなって観光部になったという記憶があるわけなんでありますが、その観光部が今度はまた国際運輸・観光局というふうに、前よりも長い名前になりましたね。観光局が観光部になったんだから、また復活するなら観光局でいいんじゃないかと思ったら、国際運輸・観光局、大変に立派な名前、戒名でいうと院殿大居士という感じなんですが、何かこの辺はねらいがあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/6
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007・松井和治
○政府委員(松井和治君) このたびの機構改革に際しまして、ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、従来の縦割り組織にかえて横割り組織の理念を導入したわけでございますが、現在運輸省の直面しております幾つかの問題のうち、大変大きな問題の一つが国際問題であろうかと思います。
運輸省の行政で国際問題に関係のある部局は、従来の縦割りの部局で申し上げますならば、海運局がそうでございます。航空局もそうでございました。また、ただいま御指摘の観光部も国際問題にかかわりのある部局でございます。これを今回の改正で、横断的に国際問題を所管する部局をつくろうということで、従来の海運局が所掌しておりました外航海辺の問題、従来航空局の所掌しております国際航空問題並びに従来の観光部の所掌をあわせまして国際運輸・観光局というものをつくりまして、その中に観光部という組織を置きまして、観光プロパーの問題はこの観光部が一応所掌をいたす。海運、航空、観光あわせて一つの局にした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/7
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008・瀬谷英行
○瀬谷英行君 国際運輸という、国際問題が運輸省の中でも一つ重要性を認識されたということは、このこと自体は結構なんでありますが、国際問題にちょっと関連をしまして、一昨日でしたが、大韓航空の遺族会が大韓航空の社長と話し合いを持った、こういうニュースがございました。ところが、大韓航空側の社長は、大韓航空側のパイロットには過失がないということで、遺族会の要求に対して拒絶をするといったようなことが報じられております。そのことについて運輸省としても、これは遺族会の立場からすると、そのバックアップをしてあげていい立場にあると思うのでありますけれども、どのような見解とどのような対応をされるのか。その点、この機会にお伺いをしたいと思うのでありますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/8
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009・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 大韓航空機の遺族補償の問題は民事上の損害賠償問題でありますので、基本的には大韓航空と遺族との間の話し合いによって解決するということは、これはもう申し上げるまでもございません。したがって、運輸省として、じかに民事上の問題に介入するという立場にはございません。しかしながら、これだけの問題でございますので、多数の日本国民の皆さんがこれに関係をしておられるという痛ましい事件でございます。我々としましては、運輸省としましては、可能な範囲で、今御質問にもございましたが、側面から最大限度のお助けをする、御援助を申し上げるということは当然のことだと、かように考えておる次第でございます。そのような立場でいろいろ今日までも若干のことをやってまいりましたし、今後も極力遺族の方々のために我々のできる範囲のことはやってまいりたいとかように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/9
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010・瀬谷英行
○瀬谷英行君 実はきょう午後の議題に予定されております関西国際空港の問題でありますが、あの関西国際空港の現地視察に先般私ども運輸委員会として行ったのです。羽田から日航の飛行機で大阪まで行ったんですが、その飛行機で操縦室をちょっとあけて見せてくれたので、私もその際に中へ入りまして、ジャンボ機だったのでINSというのがついておるのかどうか聞きましたら、INSが国際線に就航してもいいように三つついておる、こういうことで説明をされました。そこで、その際に、このINSの打ち間違いというようなことがICAOの報告の中にあるのだけれども、そういう可能性は我々が今まで聞いた範囲ではあり得ないというふうに聞いておるのだが、そんなことはやっぱりあり得ないのかどうか、パイロットに私は聞きました。
そうしたら、そのパイロットが言うには、そういうことはあり得ない、こういうふうに断言をいたしました。今まで私どもが聞きました範囲では、どのパイロットも、INSの打ち間違いなどということはあり得ない、こういうふうに言っております。
ところがこのICAOの報告は、そういうあり得ないことを、仮説としてあるかもしれないかのように報告をしているのです。私はこれはインチキだと思うのでありますが、これは大韓航空のパイロットあるいは大韓航空の立場を擁護するというねらいがあるかどうかわかりませんけれども、運輸省とすれば、あり得ないものはあり得ない、こういうことでもって、パイロットの重大な過失であるという判断を示してもいいのではないか。そのことが、今後の訴訟のために、遺族会の人たちに有利に展開をされるのではないかと思われるのでありますが、その辺はどのように対処されるおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/10
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011・山本長
○政府委員(山本長君) この問題は、私たちも、直接情報が少のうございますので、正確な判断というものはなかなか期しがたいわけでございますが、先生おっしゃるように、INSの打ち間違えというふうなことはこれは、INSを打つときにお互いにパイロットがコールアウトし合って、確認し合いながら打つ、これが一つの手順になっております、常識になっております。そういう手順が行われておればそういうことはあり得ないと私たちも考える次第でございます。
ただ、ICAOの報告も、原因を断定しておるのではなく、幾つかの、これは具体的には三つ、それから可能性がある原因として二つ、一つは先生御指摘になりましたINSのインプットミス、もう一つは航法をある一定磁方位に一定して飛んだかもしれない。そういう二つの仮定を置くならば、そしてそういうことが起こり得たならば、ああいうふうな推測されるコースを飛ぶであろうと。そして、そういう二つの原因というものは、国際航空の中においてあり得ないというほどのものではないというふうな表現をしておるのでございます。
この辺の原因の問題につきましては、ICAOがどの国の利害にもかかわらず中立的立場で関係国を経めぐって調査をいたした結果をまとめたものでございますので、私たち、このICAOの結論、これは原因を特定して断定はしておりませんけれども、先ほど申し上げましたような表現をしておるわけでございますけれども、それを、先生おっしゃるように、そうじゃないんだというふうに言うだけの実は材料がないというふうなことでございます。非常に残念でございますが、ブラックボックスというふうな航法のいろいろな記録のものが機内にあるはずでございますが、そういったものは揚がってないというふうな状態でございますので、ICAOの調査にも限界があったというふうに推測されるのでございますけれども、先生おっしゃるように私たちの方、行政の立場として断定をするだけの材料もないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/11
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012・瀬谷英行
○瀬谷英行君 この問題は、きょうの議題の中でやりますと時間がございませんから、あえてこれ以上申し上げません、別の機会に取り上げたいと思うのでありますが、日本のパイロットも、韓国のパイロットも、あるいはまたよそのパイロットも、いずれも否定をしているようなことを、仮説として、あり得ないほどのことではないというふうな妙な言い回しをしているというところに、私はICAOの報告書のインチキさというものを強く感じるわけなんです。
だから、日本の国を代表してICAOに出席をした人たちに、一度この委員会に出てきて、一体日本としてはどういう言い方をしたのか、あのあいまいかつインチキくさい報告書に対処するのにどんな態度をとったのか明らかにしてもらいたい、こういう気がいたします。いずれそういう機会を要求したいということをこの機会に申し上げまして、ほかの質問にも移りたいと思います。
機構改革の中で、鉄道監督局、自動車局、船舶局、船員局、海運局といったようなところがみんななくなってしまって、そして海上技術安全局だとか、貨物流通局だとか、運輸政策局だとか、みんな長い名前になったんですね。三文字で済んだのがみんな長々と、一枚の看板におさまらないぐらいに長くなっちゃった、戒名だけがね。
これは非常にわかりにくいのですね。要するに、こういうふうに名前を変えて統合したけれども、やることは今までの仕事をやるんだというふうに理解をするのでありますが、国有鉄道再建総括審議官などというこういうのが局と同格に並んでおるのでありますけれども、この総括審議官というのはどういうふうな役割を果たすものか。鉄監局との関係があるのか、あるいは監理委員会に対する監督のような仕事をするのか、あるいは連携をして何か仕事をするようになっておるのか、その辺のところがよくわかりにくいのでありますが、どういうことをするのか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/12
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013・松井和治
○政府委員(松井和治君) このたびの機構改革によりまして縦割り組織を横割り組織に変える改正を行ったわけでございますが、運輸省の現在当面しております問題のうち大変大きな問題、最大の問題といってもよい問題が、国鉄の再建問題でございます。この国鉄の再建問題を担当する部局というものを明らかにする必要がございましたので、かつ、国鉄関係の業務につきましては、国鉄を企業体として一体的に監督すべき業務もございますので、従来の鉄道監督局に置かれておりました国有鉄道部を官房に移しまして、これを、ただいま先生御質問のございました国有鉄道再建総括審議官という局長レベルの職が監督をする。この国有鉄道再建総括審議官は、再建監理委員会に対する窓口にもなるわけでございます。と同時に、国鉄再建問題という大変大きな問題は、今度の組織改正によりまして、地域交通局なり貨物流通局なり運輸政策局なりとの関連が出てまいりまして、これの省内におきましてのいわば何と申しますか一つの委員会組織のまとめ役というような仕事が必要になるわけでございます。
そういう意味で、国鉄再建総括審議官は、監理委員会に対する窓口になると同時に、省内における総合的な国鉄再建問題に対する取りまとめ役になる、そして組織としては官房の国有鉄道部を指揮監督する、こういうような立場に立つわけでございまして、そういう意味で、従来の総務審議官を振りかえてつくる職でございますが、局長レベルの者を充てまして、国有鉄道再建問題について運輸省が省を挙げて取り組むというその中心的、かなめ的な存在になるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/13
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014・瀬谷英行
○瀬谷英行君 今お聞きしますと、再建監理委員会との窓口というお話がございましたが、監理委員会は臨調の答申を受けているわけですから、分割民営というのがその基本方針になっているというふうに我々は理解するわけです。分割民営ということは、国有鉄道を再建するということじゃないんですね、国有鉄道分割解体ということなんですね。監理委員会の目的が分割解体であるならば、ここに書いてある再建総括審議官という名称とはちょっと裏腹な感じがするわけですよ。
一体、じゃ、運輸省とすれば、国有鉄道を再建するということの目標はどこに置いておられるのか。これは大臣にお伺いしたいと思うのです。
大臣は玄人でありまして、素人の大臣とはちょっと見識が違うので、大臣の見識を特に私はこの機会に披瀝をしてもらいたいと思ってお聞きするのでありますが、国鉄は、分割民営という形に何とかして持っていかなきゃならないというふうに考えているのか。臨調の答申がああいう格好では出ておるけれども、分割民営という形はとれないというふうにお考えになっておるのか。それならば再建という言葉もわかるんです。だけれども、監理委員会あるいは臨調答申をそのまま文字どおり実行するということになると、再建も総括も要らないんで、これは分割、解体でいいわけなんですよね。この辺は一体どういう方向をまず基本的に考えておられるのか、ここのところをひとつお伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/14
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015・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 中曽根内閣といたしましては、一月二十五日に閣議決定をいたしておりまして、第二臨時行政調査会の答申の趣旨を尊重するという方向を打ち出しておるわけでございます。したがって、臨調答申の中にあるいわゆる分割民営化という方針については、その中身はともかくといたしまして、一応政府としては、中曽根内閣としてはこの方向で考えるということになっておりまして、言うならば一つの縛りがかかっておるということだと思います。
御案内のように、去年御審議をいただいて再建監理委員会ができておるわけでございますが、再建ではなくて分割民営は民営ではないか、再建じゃない、分割じゃないかというふうにおっしゃいまするけれども、これはやはり法律で再建監理委員会と称するものでございますので、再建という字は非常に広く解釈をしてそういう名前がついておるものと考えるのでございます。分割民営も含めて国有鉄道を再建するという意味だと解釈をしなければつじつまが合わなくなる、法律が決めた名前がおかしくなるということなんでございまして、私どもここに再建総括審議官という名前をつけましたのも同じ趣旨の再建という意味だ、かように思っておるのでございます。
ところで、質問の本格的なその内容の中にございます、分割民営化については一体どういうふうに考えておるんだということ、それから、これと新しくできる審議官とどういう関係にあるかということなんでございますが、実は分割民営化につきましては具体的な内容が問題なんでございます。具体的な内容につきましては、御承知の内閣に置かれました再建監理委員会で今御審議をしておられるところなんでございまして、これがどういうものが出てくるかということがまだ実ははっきりいたしておりません。当然のことでございますがはっきりいたしておりません。
これに対して私ども運輸省の考え方も、ただ再建監理委員会にお任せするということではいけない。やはり監督官庁としての運輸省の立場がございまするから、運輸省としては、臨調の基本方針に従いながらも、どうしたらいいのかということについてやはり考え方をいろいろまとめまして、そして再建監理委員会の方にいろいろ申し上げるということが必要である、こう考えておるわけでございます。でございますから、形の上としましては再建監理委員会が答申をされる、こういうことなんですが、その答申をつくられるのに参考になるといいましょうか、参考にしていただかなきゃならぬそういうものを我々はつくっていこう、そういう順序になると思います。答申が出てきますと、その答申を今度実現するのはまだ政府の責任になりますから、またそのときにこれをどうするかというのがもう一遍ここでさらに問題になってくる、こういう形になろうかと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/15
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016・瀬谷英行
○瀬谷英行君 やはり臨調の答申というのは、私は余りよく勉強していないと思うんですよ、率直に言って。中曽根内閣はこれを尊重すると言ったから、中曽根内閣の閣僚として運輸大臣は、あんなものはだめだと言うわけにいかない立場にあることはよくわかるんですよ。恐らく腹の中じゃ、あんなものできるもんかと思っているだろうと思うんですけれども、しかし私は、そのことをあえて指摘したいんですよ、言いにくいところだろうと思うけれども。
日本列島というのは長いんですからね、蛇やウナギと同じように、長いものを分割だってんでぶつ切りにした場合には、それが歩いたり、はったり、行動するという機能を発揮しにくい地形にあるわけです。だから、基本的にまず分割民営ということは、鉄道の機能を生かすという点では無理だと私は思うんです。それをあえて主張したというのは、電力が分割をしたんだから鉄道も分割できるだろう、こういう感覚から出発をしているだろうと思う。
だから、基本的にその点が幼稚だと私は思うんです。だけれども、幼稚なものを無理にこれを尊重するというような立場をとると、後々に悔いを残しますからね。だからこの点は、見識のある人が、だめなものはだめというふうに指摘をして、そして国民のために利用者のニーズにどうやってこたえるかということを優先的に考えるべきではないかと私は思うんですが、その考え方は一体どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/16
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017・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) お話がございましたが、多少一般的にそのまま黙っておりますと誤解を招くと思うのでございますけれども、臨調の答申を尊重するという立場においては私も心からそれは臨調の立場は尊重しなければならぬ、こう思っておるわけでございます。
ただ、内容をどういうものにするかという点についてはいろいろ意見を持っておるということでございます。私の個人的な考え方をここで申し述べるという場でもありませんし、またそれは誤解を招きやすいことだと思いますが、私は今お話がありました中で、民営化と言っております、民営と言っておりません。民営化という問題については、全面的にこれは行われるべきものであると思っております。民営化というのは何だ。民営ではないという意味は、これは普通の私鉄のような営利会社という形で、純粋な営利会社という形で国有鉄道のやっている仕事をやるということは非常に難しいんではないか、無理があるのではないか。例えば北海道なら北海道、九州なら九州、四国なら四国を切り離して、それを完全な民営会社、阪神や阪急や西武や東武のような会社にしてしまうということには、相当な難点があるのではなかろうか。そういう意味では純民営ではない。民営化というのはどういうことかというと、公共企業体ではない、こういうことなんでございまして、公共企業体でないものにする必要は私はあると考えております。電電や専売については、既に今国会に公共企業体でない、なくするという法案が提出されておること御承知のとおりでございまして、国鉄についても私は例外でないと思うのでございます。
分割につきましては、今おっしゃった私は少なくともこういうことだけは言えるんじゃないか、鉄道としての機能というものが十分考えられた分割でなければならないということ、もしやるとしてもそれはそういうものでなければならないということだけは申し上げることはできるんですが、それ以上のことを申し上げるという場合でないというふうに存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/17
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018・瀬谷英行
○瀬谷英行君 その辺はなかなか含みのある言葉で、鉄道の機能を生かして分割をしろということなんですから、ウナギをぶった切っても生きているようにしろというのと同じわけで、なかなか難しいわけですよ。心から臨調の答申を尊重すると言っても、心からできないところがそこにあるだろうと思うんです。
そこで、その点はこれ以上大臣に苦しい答弁をさせる気はございませんからもう追及いたしませんが、さて、機構改革の中で、これは一つ一つ取り上げておりますと大変時間がかかりますので、大きな問題でちょっと申し上げます。
例えば自動車局が貨物流通局になったと。じゃ、こういう形でもって、例えば参議院の運輸委員会で貨物自動車に係る道路運送秩序確立決議というのがございました。この決議を受けて自動車行政を進めていく場合に、具体的に必要な体制の整備が今後考えられるのかどうか。
時間の関係で一々細かくは申し上げませんが、例えば輸送監理官の要員現状といったようなものが、これらの運輸委員会の決議というものを実行をする場合に、十分な要員配置ということになっておるのかどうか。これは前、安恒議員からも何かこういう点の指摘があったことがあると思いますが、その点、要員配置が現実の問題として極めて少ない、増員というものが例えば輸送監理官の場合はほとんどふえておらぬ、こういうようなことがあって、実際の運用では非常に疑問を感ずることがあるのでありますが、その点は一体どうなのかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/18
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019・角田達郎
○政府委員(角田達郎君) 現在自動車局で所掌しておりますトラック運送事業関係の仕事でございますが、これは新しい組織になりまするとすべて貨物流通局の方に移行します。したがいまして、ただいま先生のお話がございました、昨年の四月の参議院運輸委員会のトラック運送事業に関する秩序の確立の問題でございますが、この問題の所掌も貨物流通局で、ほかの海なり航空なりの物流の行政と一緒に一体となって扱う、こういう仕組みになるわけでございます。
それで、トラック輸送秩序の確立のための決議につきましては、決議がありました以降、八項目の決議でございますが、順次私どもとしては体制を整備してきております。大体その八項目につきましての体制の整備を終わって、これから魂を入れて実行に移すという段階に入っておるわけでございますが、その中の輸送秩序監理官の問題でございますが、ただいま先生取り上げられたわけでございますけれども、これは御案内のように、昭和五十二年からこの貨物輸送監理官の制度が認められまして、逐年ふやしてきているわけでございます。しかし、非常に国家財政が厳しい折でございますので、私どもの思うような増員の状況にはなっておりません。
五十八年の数で申しますと、十九名の貨物輸送監理官が陸運局それから主要な陸運事務所に配置されているわけでございますが、五十九年度につきましては、この増員を私どもとしてはぜひお願いしたいということで、四名の増員をお願いしました。しかし、いろいろな財政の厳しい状況でございますので、二名の増員しか認められなかったわけでございますが、五十九年度は、この二十一名の貨物輸送監理官を中心として、貨物輸送秩序、トラック輸送秩序の問題はこの監理官だけがやっておるわけではございませんで、貨物関係の仕事をしております陸運局なり陸運事務所のほかの人間もこれを補助し、仕事をしておるわけでございます。それからまた業界の方も、それぞれ各県のトラック協会におきまして輸送秩序改善指導員というものを置いて、側面から、業界の立場から輸送秩序の改善に取り組んでいるわけでございますが、これも輸送秩序の決議がありまして以降順次増員をしておりまして、当時百十六名でございましたものが現在は百六十三名ということで、四十七名の増員を図っております。
そういうようなことでございまして、私どもの輸送監理官の少ないところはそういう業界側の支援、協力のもとにやっていくということで今後も秩序の改善に取り組んでいきたいと思っておりますが、監理官の増員につきましても、六十年度以降私どもとしてはなお増員を図っていくように最善の努力を図っていきたいと、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/19
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020・瀬谷英行
○瀬谷英行君 気象庁の組織の中に地震火山部というのが新設されますけれども、火山の噴火とかあるいは地震の予知といったようなことが、この地震火山部の中に仕事として含まれておるのかどうか、そういったような地震の予知といったようなことが実際問題としてかなり最近は進んできておるのかどうか、そのような点についてちょっと御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/20
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021・末廣重二
○政府委員(末廣重二君) お答え申し上げます。
先生御指摘の地震予知、火山噴火予知の問題は、国家の総合安全保障的見地から見ましても、最も緊要な国家的重要課題と私ども認識しております。したがいまして、文部省に属しております測地学審議会の順次の建議によりまして、地震予知、噴火予知の技術的レベルは最近とみに増してきております。したがいまして、現在のレベルでは、海溝性のマグニチュード八クラスの地震でございますれば大規模地震対策特別措置法にのっとって予知ができる段階に来ておりますが、その他のものにつきましては現在、気象庁、大学その他関係機関と緊密な連絡をとりまして技術の向上に努めているところでございますが、今回新設をお願いしております地震火山部は当然専心これに当たることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/21
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022・瀬谷英行
○瀬谷英行君 時間が参りましたので、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/22
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023・梶原清
○梶原清君 運輸省はこのたび、昭和二十四年発足以来の画期的な組織の改革を行われるわけでございますが、中央、特に本省の内部部局を、従来の縦割り組織から横割り組織に変えまして、許認可官庁から政策官庁に脱皮させるということがよく言われておるわけであります。
これに関連をいたしまして、運輸省が、運輸省に課せられた政策目的を達成するために渾身の努力をされるということは当然のことでありますけれども、その政策目的を達成するためには、運輸交通業の性格から必要とされますところの許認可制度、政府規制制度がその根本であるはずであると、私はそのように確信をいたしておるわけであります。これは、例の昭和四十六年の許可認可等の整理に関する法律に基づきまして、軽貨物自動車運送事業が免許制を外されたわけでございますが、それによってどのような事態が現在もたらされておるかということを考えてみますときに、一目瞭然であります。したがいまして、必要な許認可制度を外して、つまり自由営業にしてしまって、どうして適切かつ円満な政策が遂行できるかと私は思うわけであります。
〔委員長退席、理事桑名義治君着席〕
一言で言いますならば、政策官庁に脱皮すること自体は結構でございますけれども、認可行政の基本はこれを絶対に堅持すべきであると私は思っております。この点について、しかるべき方から御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/23
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024・西村康雄
○政府委員(西村康雄君) 運輸事業に対しましてこれまで免許制を中心とした規正が行われまして、そのために、安定した事業のサービスを確保するということをこれまでしてまいったわけでございます。ただ、臨時行政調査会の答申では、最近におきますいろいろな産業なり経済の変化ということによりまして、運輸事業に対しますニーズというものが大きく変わってきているということの指摘がございます。そして、そういうことを背景にいたしまして、利用者のニーズに適応する、そして運輸企業が新しいサービスを供給できるように企業の活性化を図る必要がある、あるいは、煩雑な許認可手続の結果企業が負います負担を軽減する必要があるというような御指摘があり、このような視点から許認可行政の見直しということを言われているわけでございますが、私ども基本的には、こういう線を十分に考えながら今後の許認可行政の見直しに取り組んでいく必要があると考えているわけでございます。
しかし、運輸のサービスは、先ほども申し上げましたように一般的には、先生がかねがね御指摘のように、非常に運輸サービスというものは貯蔵がきかない、そしてまた必要なときに即時に需要を満足させる必要があるというような性質を持っております。そしてそのために、時間的にも場所的にも、非常に市場が小さく独立しがちでございます。そういう意味では需給の適合ということが非常に問題でございますし、その結果、規制を野放しにいたしましたときに、利用者が著しく不便を感ずる、あるいは不利益を受けるというおそれもあるわけで、これまで運輸省が事業規制をやってきたのもこういう観点からでございます。
したがいまして、今後許認可制度の見直しをしてまいります場合にも、今申し上げましたような運輸事業の特性というものを大前提に置きまして、実際にどのような簡素化、合理化ができるか、あるいは事業の実態にそぐわない点が出ているかどうかというようなことを逐次検討して、結論を得ていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/24
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025・梶原清
○梶原清君 次に、あと一問、地方の組織改正に関連をいたしまして御質問をいたしたいと存じます。
従来の陸・海運局を統合して九つの地方運輸局を設置されるわけでございますが、運輸省としては行政改革の趣旨を体して非常に思い切った改革をなさる、このように思うわけであります。私は、今回の措置の背景となりました臨時行政調査会の答申、そして本年一月二十五日の「行政改革に関する当面の実施方針について」の閣議決定の経緯も十分承知をいたしておるわけでございますけれども、これに関連してあえて御質問をさせていただきたいと存じます。
この閣議決定は、「地方運輸局を全国八ブロック制とすることについて、引き続き検討を進め、昭和六十年度末を目途に具体的結果を得る。」とされておるわけでございます。ここでこの閣議決定は具体的な名称こそ挙げておりませんけれども、指摘しておるのは恐らく新潟運輸局のことだろうと思うわけでございます。しかし、私は、新潟運輸局を将来廃止するというような、国民の立場を無視したそんな無理なことができるはずがない、絶対に認めてはならないという考え方を持っておるわけでございますけれども、運輸省の御所見をお伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/25
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026・松井和治
○政府委員(松井和治君) 今回の地方の機構改革に際しまして、全国に九つずつ置かれておりました陸運局と海運局を運輸局にしたわけでございます。
それぞれのブロックがこれまで存在しておりますにはそれなりの理由があって存在しておるわけでございまして、ただいま先生御指摘のように、今回九ブロックで発足をいたしますが、さらに見直しを行って六十年度末までに一つの結論を得るという閣議決定があることは事実でございますので、私ども今後の統合後の実態を踏まえまして慎重に検討いたしていきたいというふうに考えておりますが、特に新潟ブロックにおきましては、日本の豪雪地帯の大部分を占めておるという地域的な共通性もございますし、かつ海上運送につきましても日本海という共通の海域を持っておるわけでございまして、そういう意味で、日本海に拠点を置くブロック機関を設けるということは大変必要なことと考えております。なお先ほども申しましたように統合後の実態を十分踏まえて、慎重に検討をしていきたいというふうに考えております。
〔理事桑名義治君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/26
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027・梶原清
○梶原清君 ありがとうございました。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/27
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028・桑名義治
○桑名義治君 今回の運輸省の機構改革は、一口で言いますと縦割りが横割りになった、こういうふうに形の上からは言えるのではないかと思いますが、今回こういうふうな運輸省全体の機構改革をやったその趣旨と、それからメリット、この二点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/28
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029・松井和治
○政府委員(松井和治君) 運輸省は昭和二十四年以来、いわゆる交通機関別の縦割りの行政組織で運営をしてまいりました。これは、戦後のいわば荒廃しておりました日本の運輸産業を育成強化するという、戦後の大きな命題に対しましては、大変私は有効に機能しておったというふうに考えておるわけでございます。
ところが、どんどん経済が伸展してまいりますと、交通機関別の問題だけにとどまらず、交通機関にまたがる問題というものも非常に数多くなってまいりました。社会経済のそういう変化がどんどん進んでまいりましたので、行政の方が局が二つ以上にまたがるというようなことによって立ちおくれてはいかぬという意識から、実は運輸省としては三十年代終わりから、横割り組織の導入ということについて検討を進めてきたわけでございまして、残念ながら、完全な横割り組織の導入というところまでなかなか踏み切れずに、官房の企画機能の強化というようなことでこれまで実はそういうような経済社会の変化に対応してきたわけでございますけれども、いよいよそれではもたなくなってきたという意識から、今回思い切った改革に踏み切ったわけでございます。
したがいまして、今後、運輸全般を通ずる政策を担当いたします運輸政策局、それから国際問題を一元的に所掌いたしまして、国際競争あるいは国際協力、そういう両面についての仕事を担当する国際運輸・観光局、それから地域の問題につきまして、過疎問題過密問題に対応して鉄道、自動車というような分野にとらわれずに地域の交通を担当する地域交通局、それから海上陸上を問わずに一貫した輸送が行われております貨物の実態に対応して、貨物流通全般に対する政策を担当する貨物流通局、こういうような局を設けさせていただこう、こういう考え方で機構改革を考えたわけでございまして、これにあわせまして、地方の陸・海運局におきましてもこれを一つに統合いたしまして企画調整機能を強化しよう、また、地方公共団体との関係を密接にしようというようなことで企画部の設置をするというようなことでこの改革案ができた、こういうように御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/29
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030・桑名義治
○桑名義治君 趣旨については一応了解がいくわけでございますが、それと同時に、地方のいわゆる組織、地方運輸局の組織そのものは変更がないわけですね。それから行政上のいわゆる許可認可、そういった一切の法律関係についてはこれは縦割りになっている。このいわゆる本庁そのものが横割りになり、そしてそれぞれの地方の運輸局そのものは海運局と陸運局が一緒になった、合体しただけであって中身についてはほぼ変わりはない、この間のギャップができないか、こういう一応の心配があるわけでございます。それと同時に、法律そのものが縦割りの法律でございますので、そういった組織の変更と法律のいわゆる縦割りの法律との間のギャップを埋めるために、法改正をする必要はないのか、そこら辺はどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/30
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031・西村康雄
○政府委員(西村康雄君) 今お話しのように、中央の組織が横割りに変わり、地方の組織は原則として陸運局と海運局の形がそのまま新しい地方運輸局に受け継がれるというのは、御指摘のとおりでございます。そういう点で、組織のあり方として中央と地方にギャップが生じないかということの御懸念は、私どももそのような危惧を若干持ちながら今回の組織改正に着手をしたというのが実際のところでございますが、しかし現実の問題といたしますと、私どもが新しい局の中央の組織に基づきまして一つの陸海空を通じたような総合的な行政をやっていくということは、まさに中央の組織がそのような政策方向を出して基本的に推進していくということが、まず第一段階として行われていくべきことだというふうに考えております。
これを具体的に地方の段階で実施していく場合には、多くの局面では従来の許認可制というものを中心としました事業監督、そういうことが現在の陸・海運局の業務の運営でございますので、またそういう点では、それらの総合的な考えに基づいて個別の事業の実施を、従来の陸・海運局の組織を中心とした地方運輸局がやっていくということも、必ずしも現実からは遊離していかないだろう。ただ、中央のそういった横割りに対しまして、地方段階でもやはり新しい総合化という問題が当然重要でございます。そういう点で、今回はとりあえず、中央の動向に合わせまして地方にも企画部というものを置き、ここで陸海にわたる非常に基本的な問題に取り組んでいきたい。地方の企画部は、総合的な地域交通計画の問題、あるいは陸海を通ずる総合的な物流のあり方の問題、あるいは地場産業の振興なり、地方全体が、地域社会全体が運輸に対して必要としているようなニーズの吸い上げというものは陸海を通じて生じてまいりますので、こういったことを総合的に取り上げるために地方の企画部というものをまず置きまして、そういう点で中央の総合的な行き方に対して対処していくということでこれからの行政を運営していきたいというふうに考えているわけでございます。
ただ、このような実施を行いました後、実際に地方段階で、より横割り的な行き方が必要とされるかどうかとかいうことを注意深く見守りながらこれから行政運営をしていく、必要に応ずれば地方の組織のあり方というものをまた検討する時期が来るかもしれませんが、現在のところはこれでやっていきたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/31
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032・桑名義治
○桑名義治君 総合的ないわゆる流通関係を掌握し、あるいは調整をするというようなお話もあったわけでございますが、このいわゆる縦割りから横割りにこういうふうに組織がえをしたということ、そして何のためにやったかというそういう趣旨を考えた場合に、元来言われている事柄は、いわゆる今から先の総合交通体系というものをつくる必要があるんだということがたびたび主張されているわけでございますが、そのワンステップと、こういうふうに考えてもよろしゅうございますか。あるいはまた、総合交通体系の確立をこの際やっていかなければならないというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その二点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/32
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033・西村康雄
○政府委員(西村康雄君) 総合交通体系の整備をしていくということの趣旨で五十六年に運輸政策審議会の答申をいただいているわけでございますが、総合交通体系というものが具体的にどういうものかというのはなかなか複雑な内容を持っておりますが、私どもは、陸海空の各交通機閥がそれぞれ合理的な、そして効率的なサービスを国民に提供できる仕組みをつくり上げていく、これは日常的な政策展開の中で実現していくべきものだと思いますが、そういう点では、それぞれ地域交通なり幹線交通なり物流というような各分野で、整序された交通のあり方ということが要求されてくるわけで、今回の組織改正はまさにそういう意味で、地域交通局なり貨物流通局なりあるいは運輸政策局なりというところで、それぞれのそういった問題を総合化していくということをねらいにしているわけでございますので、総合交通体系を不断に形成していくための組織というふうにお考えいただいていいかと思います。
そしてまた、これの組織の変革に伴いまして、なお一層総合交通体系の確立のために行政府としては努力をしていくということを、ここで申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/33
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034・桑名義治
○桑名義治君 時間が余りございませんので次に移ります。
今回のこの組織改革によりまして、先ほどもちょっと議論が出ておりましたが、国有鉄道再建総括審議官という審議官が置かれたわけでございます。
この審議官制度は、果たして完全に国鉄再建ができ上がるまでの一つのポストであるのか、あるいはまた、現在国鉄再建監理委員会が総理府の中にできているわけでございますが、この監理委員会は六十二年の七月三十日、設立後四年後でございますが、これをめどにして効率的な経営形態を確立し諸法律を整備するということになっているわけでございますが、この時点でこの国有鉄道再建総括審議官の制度というものが消滅していくのかどうか。いつまでなのか。永続的な組織なのか、それとも一つの区切り、役目を終えればこの審議官制度というものはなくなっていくものなのか、これはどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/34
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035・松井和治
○政府委員(松井和治君) 国鉄再建総括審議官という名称をつけましたことでもおわかりのように、これは未来永劫ということを考えておるわけではないわけでございます。国鉄再建が未来永劫できないということであっては困るわけでございます。ただ、監理委員会が一つの結論を得ました後におきましても、国鉄再建問題というのはそこで直ちに完了するというものではないわけでございまして、その事業の実施ということに段階が移っていくわけでございますけれども、私どもとしては、監理委員会が仕事を終えたならばこの総括審議官も同時にそこで使命を終えるというものではなしに、その後の事業の実施が完了する時点で新しい組織をさらに考えるなり、その時点における対応を考えなければいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/35
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036・桑名義治
○桑名義治君 どうもそこら辺がはっきりしないわけですが、それはなぜかと申しますと、大臣官房のところに国有鉄道部というのがあるわけですね。それで、大綱が大体示されまして諸法律が整備されたならば、しょせんはその業務というものは国有鉄道部に移行されるというふうに私たちはどうも理解が走るわけでございますが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/36
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037・松井和治
○政府委員(松井和治君) 国鉄再建の結論がいかなる結論が得られるかということにつきましては、まだ今の段階で私どもがとやかく言う段階ではないと思いますけれども、いずれにいたしましても、国鉄再建という大事業が監理委員会の一つの結論に従いまして進められていく過程におきまして、この再建総括審議官とそれから国有鉄道部という組織自体、その新しい事態に合わせて、そのままの形でいいのか、あるいはさらに形を変えるべきかという問題は恐らくその時点で生じてくるだろうと思います。したがって、先ほど未来永劫この形のままではないということを申し上げましたけれども、国有鉄道という大きな組織がどのように形を変えるにせよ、その仕事がなくなるわけではございませんので、一つの区切りをもってさらに新しい形態というものが考えられるかどうか、それは将来の問題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/37
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038・桑名義治
○桑名義治君 次に、ちょっと国鉄、見えていますか。
最近ちまたで言われていること、あるいはまた一部の新聞に出ておりましたが、国鉄の合理化がどんどんどんどん進んでおります。その中で今一番一つの大きな問題になっているのが、いわゆる過剰人員が出ているということですね。その過剰人員が現在どのくらいになっているのか、ちょっとお示し願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/38
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039・太田知行
○説明員(太田知行君) 現時点でまだ正確な数をつかみ切っておりません。
と申しますのは、毎年、年度末が終わりますと、新しい年度の要員に関する実行計画、細かい諸数値を確定するために、各地方機関を呼びまして個別にヒアリングを積み重ねて、大体五月末、まあ六月初めぐらいに確定するようなやり方をやっておりますので、ただいまの時点ではその途中でございますので、定かにまだつかみ切っておりません。しかしながら、そうは申しますものの、年度末の時点では、諸数値を本社として推論いたしまして、余剰人員の規模を一万強、一つの推論として申し上げますと、この数字はかなり変動することはあり得るというふうに補足しながら申し上げてきたのでございますが、現時点でまだ、今申しましたように終わっておりませんが、その途中経時の観測といたしまして、一万強を相当数上回るという今傾向だというふうに把握しておりまして、最終的に五月末ないしは六月初め時点ではかなりな規模になるだろうというふうに推定をしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/39
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040・桑名義治
○桑名義治君 大分数字を抑えておられるようでございますが、新聞紙上では二万二千人ぐらいだろう、こういうふうに推定をされているわけでございますが、ここで私が過剰人員を問題にしているのは、そういうふうに合理化合理化を進めながら、一方で委託業務がどんどんどんどんふえているということがやっぱり一番の問題だろうと思うんですね。それと同時に、国鉄職員の過剰人員になっている人々が、労働意欲を失っていくのではないか。こういう二面性があるわけです。その点をどういうふうに考えられておるのか。
例えば貨物、小荷物の受け場、ここはもう全部委託業務になっている。わざわざこういう過剰人員が出るならば、そういう妙な合理化はこれは少し先走り過ぎたんではないかというような気がしてならないわけでございますけれども、そういう点についてどういうふうにお考えになっているのか。過剰人員についてどういうふうな今から先業務をやっていこうとされているのか。それと同時に、過剰人員を一方で出しながら一方で委託業務が進んでいる、賃金を一方で払いながら片一方では委託料を払っている。これでは、国鉄再建という立場から考えた場合には、これは相反する行為、相反する姿が出ているんではないか、こういうふうに思われてならないわけでございます。
その二点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/40
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041・太田知行
○説明員(太田知行君) 第一点目でございますが、大別いたしますと、教育に向けている、充当している部分と、そして実践面、実務面でこの活用を図っている面と、二つでございます。
具体的には、それぞれの管理局あるいは地方機関におきまして、地域の事情あるいは業務の特性が変わっておりますので、それぞれの箇所で創意工夫を凝らして活国策を考えるという体制をとっております。
まず教育について申し上げますと、かつてはいわゆる欠員状態という状態が長く続きましたものですから、教育についての必要性を痛感しながらなかなか実施できない面がございました。例えばフロントサービスの充実を図りたいとか、あるいは技能の充実を図りたいとか、さらに言えば多能化といいますか、一つの職種だけに限定しないで各般の能力を身につけて多能的な活用の仕方をするための教育とか、本当に切りがないくらいの教育のニーズというのがあったのでございますけれども、なかなか実施できない面がございました。それを、ある意味ではこの要員運用に余裕ができましたこの状態のもとに、充実すべくかなり力を入れてございます。
それからもう一つの面は、いろいろでございますが、いわゆる企画商品のセールスでございますとか、団体募集のお客さんの獲得でございますとか、あるいは特別改札、特別検札、それからまたいろんな行事、催しに対応しました多客期の対策といったような面で活用を図っていくということでございます。
さらに今後につきましても、今の両面のほかに、新しい仕事の雇用チャンスの創設なども、例えば関連事業でございますとか、そのための諸研究、検討準備とかといったような面もいろいろございますので、さらにその充実を図ってまいりたいと思っております。
それから二番目の点でございますが、いわゆる外注問題と合理化の関連についてしばしば各般の御指摘を受けているのは事実でございますが、私ども当初経営改善計画を策定いたしましていわゆる三十五万人体制を策定しました際におきましても、合理化の推進には五、六本の柱を掲げたそのうちの一つでございましたが、部外能力の活用でございますとか、あるいは国鉄の業務はその特性からいきまして大変波動性の強いものでございます。そういう波動期、多客期の乗り切り対応策に部外の体制を活用する方が全体として得策、有利であるというような判断から、全体の合理化の計画の一環として外注業務を位置づけてまいったのは事実でございますが、その後、計画の前提であります業務量、輸送量そのものに大分当初と比べまして大幅な変動を生じまして、合理化計画そのもののさらに深度化を図る必要が生じてまいりました。外注計画につきましてもかなりな見直しをやってまいりました。
結論的に申し上げますと、見直しを一両年ぐらい前から始めましたその時点で、今後の外注につきましては極力これを少な目にしてまいりたい、全体がこう圧縮されていく傾向でございますのでそういう方向で考えてまいりたいと。さらに、既に外注計画を確定して実施に移す以前のものも若干ございましたので、そういう面についてはこの余剰人員がおる間は外注への移行をおくらせよう、つまりその人員計画に合わせて外注の実施時期を具体的にずらしてまいろうという対応策を立てまして、具体的には施設系統、電気系統につきましては、そういうふうに外注計画を決めておいて、一方では実員に合わせてその移行時期を変えるという暫定的な対応をとっていくというふうにやっております。
それから、既に外注を実施した部門もかなりこれは長年の蓄積としてあるわけでございますが、実を申しますと、そういう部面におきましても全体の業務量、輸送量の変動の影響がやはり直接に出てまいりますので、外注を受けている会社自体が減量、業務の見直しというふうに大変苦しい今対応を迫られておりますので、その辺の全体を考えながら、大変選択の幅は少ない厳しい状況でございますが、バランスのとれた対応を講ずるように今努力をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/41
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042・桑名義治
○桑名義治君 もうこれ時間が来ましたので答弁は要りませんけれども、実際に余剰人員については、今の御答弁のようなぐあいに現場はいっていないんですね。駅長さん困っていますよ、実際に。余りぶらぶらぶらぶらさせておるわけにもいきませんのでねということで、非常に対応に困っている。だから、そこの点をもう一遍頭に入れて、今の過剰人員についての対策にもう一歩踏み込んで具体的に取り組んでいただきたいことを要望して、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/42
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043・小笠原貞子
○小笠原貞子君 今回のこの承認案件は、内閣委員会付託の運輸省設置法一部改正案と不可分であります。そしてその内容は、運輸省の機構を、いわゆる財界の要請にこたえる形での臨調答申を受けて、変えようとするものとなっております。しかも今回の陸運、海運局の統合は、九ブロック体制が地元関係者や労働組合等の大きな熱望、奮闘で維持されたとはいうものの、運輸省、海上保安庁、気象庁など運輸省全体の機構改革の一部であり、我が党としてはこのような改革には反対の立場に立たざるを得ない。なぜなら、地方自治尊重の精神に基づいた真の国民奉仕こそが今求められていると思うわけです。
この点についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、まず最初に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/43
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044・松井和治
○政府委員(松井和治君) このたびの地方運輸局の設置の一つのねらいは、地方におきます企画調整機能の強化でございます。地方におきます住民の真のニーズにこたえた地域的な交通計画の樹立、その他地元の要請を十分くみ上げた行政を進めていきたいということが一つの大きなねらいでございます。それともう一つは、従来陸運局、海運局というふうに分かれておりましたために、その接点に当たります事業におきましてはそれなりに問題が生じておったわけでございますが、これを今回総合統一化することによりまして事業の運営を円滑に進めていくという、言ってみれば大きな二つのねらいがあるわけでございます。
いずれにいたしましても、今回の改正によりまして、地域の経済社会の発展に寄与できるような地方運輸行政を進めていきたいというふうに考えておるところでございまして、特に所掌事務につきましては、従来の陸運局、海運局の所掌事務を変えるものではなく、この両者の所掌事務を統合するということでございますので、地方運輸局の事務と地方自治行政との関係は、従来の陸・海運局と地方自治行政との関係と何ら異なるところはないわけでございまして、その意味で今回の改正はむしろ地方住民の真の意思をくみ上げるというところに力を入れていきたいと考えておりますし、また、機構を統合することによりまして行政サービスが万が一にも低下しないようにという配慮は十分にいたしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/44
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045・小笠原貞子
○小笠原貞子君 それでは、地方住民の要請にこたえてという立場から具体的に伺っていきたいと思いますが、一昨年八月に成立いたしました道路運送車両法の改正によりまして、ユーザーが自主的に定期点検を行うことが可能になりました。また車検期間の延長や新車の六カ月点検の廃止、点検の簡素化等もあり、ユーザー車検が急増していると聞いております。
ユーザー車検の実態はどうなっておりますでしょうか。時間もございますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/45
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046・角田達郎
○政府委員(角田達郎君) 自動車の使用者、ユーザーが直接陸運事務所に車検のために車を持ち込む、いわゆるユーザー車検でございますが、これは五十七年の八月ごろから増加の兆しが見え始めまして、五十七年の八月、同月には全国で百六十六件でございました。その後車両法の改正が施行されました五十八年七月には二千九百九十五件、それから最近の状況では、五十九年の二月に二千四百二十件、三月に三千四百八十九件、四月に二千九百三十四件、大体このような状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/46
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047・小笠原貞子
○小笠原貞子君 今おっしゃいましたように、五十七年八月わずか百六十六件であった。それが五十九年三月を見ますと三千四百八十九。この数字を見ますと、一年半足らずで約二十一倍と非常に大きな数を示しているわけです。しかもその中で、東京、大阪、名古屋の各陸運局は受検件数が飛び抜けて多いようでございます。今年三月で、この三陸運局の受検件数はそれぞれ幾つになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/47
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048・角田達郎
○政府委員(角田達郎君) 確かに東京陸運局それから大阪陸運局が多いわけでございますが、五十九年の三月の実績で申し上げますと、東京陸運局管内が千四百九十二件、全国に対する比率で四二・八%。それから名古屋陸運局は、これは東京陸運局に比べますと非常に少なくなっております。三百九件で、全国に対する比率が八・九%、それから大阪陸運局管内が八百二十七件、全国に対する比率が二三・七%ということでございます。三局合計いたしますと二千六百二十八件で、全体の七五・三%を占めている、こういうような状況でございます。
ただ、全国では先ほど申し上げました三千四百八十九件でございますが、この数字は、自動車を陸運事務所に持ち込む全体の検査に対する比率で申し上げますと、昨年のある一定時期、これは具体的に申し上げますと七月でございますが、七月が二千九百九十五件で、このころから持ち込み車検、いわゆる継続検査のうち指定整備工場で検査を受けたものは陸運事務所に持ち込まなくていいわけでございますが、それを除いて、実際に持ち込んでくる車検の数と比較しますと、それに対する比率は〇・五%ということで、これが絶対数では先ほど申し上げましたように三月に三千四百八十九件というふうにふえておりますが、この比率で申しますと、持ち込み車検の比率で申しますと〇・五%ということで、昨年の七月以来ほぼ一定の割合を示している、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/48
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049・小笠原貞子
○小笠原貞子君 今お答えいただきました数字を見まして、受検件数が非常にふえているというふうに見られたわけなんですけれども、実際に私も参りましたけれども、陸運事務所の現場に参りますと、検査要員の不足、それからユーザーの多様な要望などによって、いろんな問題が起こっておりました。いろいろと問題を承ってまいりました。受検件数もさらに増加するということも私は当然予想されるのではないか、そう思うわけです。
政府としては、ユーザー受検に対応する窓口相談及び受検案内などのいわゆるユーザー対策専門官を、当面各陸連事務所に一人以上置くべきだ、こういうふうに思うわけですけれども、先ほど言われたように、やっぱり化民の要請にこたえてという形でその配慮はされるべきではないかと思うんですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/49
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050・角田達郎
○政府委員(角田達郎君) ユーザーの車検が先ほど申しましたような数値でございますが、大体私どもの見通しては、持ち込み車検に対する比率はここのところ〇・五%ということで一定しております。しかし、ユーザーの方が車を持ち込まれる際に、いろいろと予備知識がございませんと車検が円滑に受けられないものですから、ユーザー車検の方に対しましては、あらかじめその検査を受ける日時を連絡していただきまして、そこでその当日来られたユーザーの方々には、パンフレットあるいはビデオ等によりまして受検上の注意とかあるいは定期点検整備の必要性、こういうようなことにつきまして十分御説明をして、円滑に車検を受けていただくようにということをやっておるわけでございます。したがいまして、非常に何といいますか手間暇がかかるわけでございます。
私どもの一線の陸運事務所の窓口におきましても、そういう点でいろいろと努力をしておるわけでございますが、やはりそれはそれなりの体制なり仕組みというものを私どもの方でも整備しなければいけないということで、五十九年度には、ユーザー車検のための専門官の要員といたしまして四名ほど増員のお願いをしたわけでございますが、国家財政の非常に厳しい折でございますので、四名の増員要求に対しまして一名の増員が認められた。これはユーザー車検の非常に多い兵庫県の陸運事務所に置くことを予定しておりますが、これからも、これを足がかりにいたしまして、ユーザー車検に十分対応できるような仕組みというものを、体制というものを我々としても考えていかなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/50
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051・小笠原貞子
○小笠原貞子君 ユーザーの方がいらっしゃいましても、なかなかおなれになっていらっしゃらないので、その応対が大変だということが私も行ってみてよくわかりまして、おたくの方でもパンフレットだとかテレビビデオですか、なんかでいろいろ御努力をしていらっしゃるということは承知の上で、そういうことをするために人が足りないということでございますよね。
そういう意味で、今四名要求していただいたのが、そのままでも私は少ないと思うのに一名しか実現できなかったと。大阪だけでも六つの陸連事務所と四つの支所ですか、十カ所というふうに伺ったわけなんですけれども、とてもこれは一名というようなことでは大変なことだな、そう思って、実は残念だなと、そう思っているわけなんです。一生懸命に車検を国民に宣伝しているということの方向とは全く逆に、そういう人が足りないということでそれが現実のものにならないということでは、このままではどうもうまくない。やっぱりテンポを速めて確保していただきたいと切にお願いをしたいわけなんです。
それから、労働組合なんかも、現場を担当しておりましていろいろ要請を出されているので、その中身を伺ってきましたら、やっぱり国民へのサービスを自分たちはやりたいというようなお気持ちでいらっしゃいましてね、ユーザー受検に対応する検査場の設備とか機器の拡充整備、それから二番目にはユーザー受検に関する取り扱いの全国的な統一ということをおっしゃっていました。それから、ユーザーへのPRをもっと強化してほしいと。
まことに、言われていることはもっともなことでございましたし、せっかく車検してもらおうと思って行ったユーザーの方たちも、何だ、これじゃ大変だということに、なっても困ると思いますので、ぜひ今後ともこういう点について、労働組合の要求も当然のことだと思います、これを実現させるためにも強化していただきたいと私は思うわけでございますが、最後にその辺の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/51
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052・角田達郎
○政府委員(角田達郎君) 先生の御指摘はまことにごもっともでございまして、私どももできるだけの体制の整備をしなきゃいけないと思っております。五十九年度の一名の増員はその私どもの体制整備の足がかりというふうに考えておりまして、この一名で私ども満足しているわけじゃございません。この一名を足がかりといたしまして、今後各地区にふやしていきたい、こういうふうに考えておりますし、そのほかのいろいろなユーザー車検に対応する仕組みにつきましても、準備にいたしましても、いろいろ工夫を懲らしてこれからも努力してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/52
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053・小笠原貞子
○小笠原貞子君 よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/53
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054・伊藤郁男
○伊藤郁男君 第一点は、今回の組織改正に伴いまして、この新組織で推進すべき総合的効率的な運輸政策を検討するために新政策研究会を設置した、こういうように聞いておるわけでありますが、その研究会のメンバー、そしてこの研究会でやるべき検討課題、あるいは今どのようなことを検討されておるのか、その検討の進捗状況などをお伺いをまずしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/54
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055・西村康雄
○政府委員(西村康雄君) 今お話のございました新政策研究会と申しますのは、ことしの二月二十二日に省議で申し合わせた、設置したものでございますが、これは、ことしの七月一日から新しい組織が発足するわけでございますが、その新しい組織でこれからどういうふうに新しい運輸政策を推進するかということをあらかじめ十分準備しておこうということを目的として省内に設けたものでございます。
そういうことでございますので、この新政策研究会は、新しくできます運輸政策局、地域交通局、国際運輸・観光局、貨物流通局という新しい四局を中心にしましてどういう行政施策をやっていくか、どういう行政手法で対応していくか、そういうような問題を中長期的な視点からまず考えていきたい。ただ、七月一日から新しい組織になりまして、全面的に今までの組織が変更されるわけでございますので、九月には予算の概算要求というものも迫ってまいりますし、そういう点からは、当面実施すべきプログラムというものもあわせて検討をしながら、そういう長期的な政策ということをこの際明確にしておこう、そして、新しい局がこういうものだということを、省内のコンセンサスをつくっておきたい、新しい組織はそれをベースにしてこれから新しい政策に取り組んでいくということにいたしたいと考えているわけでございます。
新政策の研究会は、総務審議官を座長といたしまして、省内の審議官、次長、部長というものをメンバーにいたして検討をすることにしております。
それから、先ほど申し上げましたように、検討事項は、これから取り組むべき新しい政策の基本的な課題は何かということと、そういう課題を推進していくためには、今までと違った、一般的に政策中心の官庁と言われておりますが、新しい行政手法としてどのような対応をしていくか、そういう行政手法についての検討をするということを中心に今進めている次第でございます。したがいまして、七月一日から組織が発足しますので、六月中にはこれを取りまとめていきたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/55
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056・伊藤郁男
○伊藤郁男君 それから第二点の質問ですけれども、臨調答申は、貨物運送事業につきましていろいろ述べてはおるわけでありますが、私どもの受け取り方としては、結局のところ、通運事業法、道路運送法そして港湾運送事業法、この三法、昭和二十四年から二十六年にできましたこの三法が、法律ができた時点と今日と比べてかなり実態がもう相当変わってしまった、だから実態と法の建前との間に相当の乖離が生じておる、したがってこの三法を全面的にとにかく見直しなさい、こういうように受け取っておるわけでありますが、この臨調の答申に沿ってどのようなことをこれからやっていこうと考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/56
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057・松井和治
○政府委員(松井和治君) 臨調の答申では、御指摘の通運事業、トラック事業、港湾運送事業につきまして全般的な見直しを検討しなさいということのほかに、当面講ずべき措置ということもあわせて御指摘をいただいたわけでございます。
このうち、当面講ずべき措置につきましては、港湾運送事業について、今国会に港湾運送事業法の一部改正を御提案申し上げておりますほか、通運事業それからトラック事業につきましては、法改正によらず、実際の措置といたしまして、おおむねこの臨調の御指摘を受けました当面の課題については措置をしたところでございます。ところで、もう一つの全般的な見直しということでございますが、確かに、法律と現実との間にはかなりの開きがある面もございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後の新しい機構のもとにおきまして、先ほど総務審議官がお答え申しましたように、今後のあるべき政策手法のあり方というようなことを当然検討しなければいけないと思っておりますので、新組織のもとで運輸行政を見直す過程の一つといたしまして、今後必要な検討を行っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/57
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058・伊藤郁男
○伊藤郁男君 これから本格的に取り組んでいくものだと、こういう方向だと思いますので、よろしくひとつ積極的にやっていただきたいと思います。
それから三番目は、国内貨物輸送の九〇%をトラック運送事業が今や分担をしておる。そして、海と陸を結ぶ港湾運送事業、これですね、港湾運送事業とトラック、これの果たしている役割は極めて今大きいわけでありますが、しかし、その役割の大きさと裏腹に、今や運賃ダンピングなど違法行為が横行をして、業界が乱れに乱れている、こういうようにも指摘をされているわけでありますが、その実態を運輸省としてはどのように把握されておるのか。そして、この実態に基づいてどのようなことをこれからやろうとされておるのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/58
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059・角田達郎
○政府委員(角田達郎君) まず私の方から、トラック運送事業につきまして御説明を申し上げますが、先生ただいまお話しのように、トラック運送事業につきましての輸送秩序の確立の問題は非常に重要な事項というふうに私ども考えております。
いろいろな対策を私どもとして打ってきておるわけでございますけれども、どうしても企業として零細企業が多いというようなこと、それから荷主に対して非常に立場が弱いというようなこと、それから現在のような景気の低迷期におきましては荷物が非常に少なくなりますので、過当な競争が起きやすいというようなことで、違法白トラであるとか、あるいは営業類似行為、運賃ダンピング、それから過積載というようないろいろな違法事実が発生しておることは事実でございまして、私どもといたしましてはこれに対しましていろいろな手を打ってきておるわけでございますが、特に昨年の四月に参議院の運輸委員会におきまして「貨物自動車に係る道路運送秩序の確立に関する決議」というものが行われまして、ただいまはこの決議の趣旨に沿って、全力を挙げて輸送秩序の改善に向かって努力をしておるわけでございます。
具体的な内容を申し上げますと、この決議の内容は八項目でございますが、それに対する私どもの対応の仕方でございますが、まず一つは厳正な事業者に対する監査の実施。それから輸送秩序改善指導員の増強、これは各県のトラック協会の職員として仕事をしておるものでございますが、これが百十六名でございましたのを、五十九年度以降は百六十三名ということで、これの増員を図ってまいりたい。それから、いずれにしましても荷主の理解と協力を得ないといけませんものですから、各県ごとに陸運事務所、それから輸送業界、それと荷主というような荷主懇談会をそれぞれのところで開催をさせておりますが、これをさらに充実して、我々は我々なりの一線の職員がそこに出向いていきまして、いろいろな御協力を申し上げるということをやっております。それからさらに、本省レベルでは、荷主業界の所管をしております通産省であるとか農林省であるとか、こういう各省にも認可運賃を守っていただくように協力をお願いしておりますし、そのほか、地区物流政策懇談会、これはトラックの労使、それと陸連行政の仕事をやっております陸運事務所あるいは陸運局、こういったものが入っていろいろとその秩序の問題について懇談をする地区物流政策懇談会の設置とか、それから都道府県単位で過積載の防止の対策連絡会談を設置するとか、それから運輸事業振興助成交付金によるトラックステーションの整備、こういうようなもろもろの手を、昨年の御決議をいただきましてから、私どもといたしましては手を打ってきておるわけでございまして、今後これらの体制をさらに進めていきまして、トラック輸送秩序の改善に努力をしてまいる考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/59
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060・伊藤郁男
○伊藤郁男君 時間がなくなりましたので、端的にお伺いをいたしますけれども、航空における国際競争力の強化のためにどのような方策、処置を今考えられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/60
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061・山本長
○政府委員(山本長君) 企業の競争力を強くするということが、企業の国際場裏において不可欠でございます。外国においても非常に合理化策というものを真剣にやっております現在、日本の航空企業におきましても、やはり将来の日本の航空を維持するためにはぜひともそれはやらなければならぬということでございます。
また、この件につきましては、臨時行政調査会の方からも御指摘をいただいておるような次第でございます。私たちもその線に測って会社に対していろいろなことを申し、まあ言うならば指導をいたしておるわけでございますが、具体的には、日本航空におきましては、五十八年度におきまして、収入増加に努めるということは当然でございますけれども、経費節減の策といたしまして、人件費の抑制ということで、ベースアップについて組合の協力を得て五十八年度は〇・九%に抑えたというふうなことでございます。また、役員報酬につきましては、昨年から役員の報酬を一〇ないし二〇%削減をした。これは金額的に見て大きなものじゃありませんけれども、経営者の姿勢を示しておるわけでございます。また、管理職につきましても、これは昨年度、五十八年三月から五十九年三月まで、管理職の基本給を、段階によりましてでございますけれども、四ないし八%削減をしたということでございます。
また、管理が可能な経費として、抑制することが比較的容易だという事務費につきまして、いわゆる国の予算と同じようにゼロシーリングということで、対前年度同額というふうなことで節減を図ったというふうなことをやっておるのでございます。また、五十九年度におきまして、引き続き事務費につきましてもゼロシーリングということで続けておりますし、また、人件費というのはなかなか一人当たり抑制というわけにいきませんが、やはり全体の人件費総額を少なくしていく、伸びを少なくしていくということで、一つは給与のベースアップ自身も組合の協力を得て、できるだけ抑制するという方針でやっておりますし、また職員数でございますけれども、これは若干長期にわたりますけれども、現在二万一千人ばかり職員がおりますけれども、六十二年度までに二万人体制に削減をするということでやっておるところでございます。
日本航空についての御説明を申し上げましたけれども、航空企業全般として、企業の効率化というものについて相互関連する面もございます。国内企業においても当然にこういった努力というものはやはり続けていかなきゃならぬというふうに我々は考え、企業に対しても事あるごとに、まあ口幅ったいようですが行政指導と申しますか、指導を行っているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/61
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062・伊藤郁男
○伊藤郁男君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/62
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063・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/63
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064・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し承認を求めるの件について採決を行います。
本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/64
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065・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/65
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066・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十一分休憩
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午後一時一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/66
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067・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
関西国際空港株式会社法案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。細田運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/67
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068・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) ただいま議題となりました関西国際空港株式会社法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
我が国が将来にわたって国際化社会における重要な責務を果たし、経済の発展と豊かな国民生活の実現を図っていくために、航空輸送はますます必要不可欠なものとなり、国際空港はそのかなめとしての重要な役割を担っていかなければならないところであります。
現在、首都圏と並び我が国経済、文化等の中心である近畿圏にあって、大阪国際空港は国際及び国内の航空輸送網の二大拠点の一つを形成しておりますが、同空港は、環境対策上厳しい運用制限を余儀なくされているため、国際航空路線の開設、地方空港からのジェット機の乗り入れ等の内外からの要望を受け入れることができない現状にあります。
このような状況にかんがみ、大阪国際空港の環境問題と航空輸送需要の増大に適切に対応するため、関西国際空港を環境保全に十分配慮して、地域社会と調和のとれた、かつ、機能的にもすぐれた二十四時間運用可能な空港としてぜひとも早急に整備する必要があるところであります。
関西国際空港の整備は、大規模かつ緊急を要する事業であり、資金調達の多様化、事業の効率的な運営等の観点から、新しい組織体を設立してこれを行う必要がありますが、その具体的な事業主体につきましては、民間活力の導入を提言した臨時行政調査会答申の趣旨等にかんがみ、国、地方公共団体及び民間が一体となった協力、責任体制のもとに弾力的、効率的な企業的経営を可能とする特殊法人たる株式会社方式により空港の建設、運営を一元的に行っていくことが適切であると思料し、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、関西国際空港株式会社は、航空輸送の円滑化を図り、もって航空の総合的な発達に資するため、関西国際空港の設置及び管理を効率的に行うこと等を目的とする株式会社とすることとしております。第二に、関西国際空港は、国際航空路線に必要な公共用飛行場として、大阪府の地先水面に設置するとともに、空港及び空港に必要な航空保安施設の設置及び管理は、運輸大臣が定める基本計画に適合するものでなければならないこととしております。
第三に、政府は、会社の発行済み総株式の二分の一以上の株式を保有するとともに、地方公共団体は、自治大臣の承認を受けて、会社に対して出資することができることとしております。
第四に、会社は、第一の目的を達成するため、関西国際空港及び空港に必要な航空保安施設の設置及び管理を行うほか、空港の機能を確保し、及び利用者の利便に資するための空港ターミナル施設等の諸施設、空港と陸岸との間の連絡橋等の建設及び管理等を行うこととしております。
第五に、政府は、国際空港の整備という会社の行う事業の公共性にかんがみ、会社に対する無利子貸し付け、債務保証、税制特例等の助成措置を講ずることとしております。
その他、利益配当の特例、国庫納付金、会社に対する監督、会社の設立手続等について所要の規定を設けるとともに、関西国際空港を空港整備法の第一種空港とする等関係法律の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/68
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069・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/69
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070・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 我が党は、この法案に対しては、第一種空港でありながら株式会社に持っていくというやり方それ自体に非常な不安と不満を持っておりまして、そういう点では、我々としては重要法案という立場で本会議でも質問し、あるいは本委員会においても十分な議論をぜひ委員長さんにも保証してもらいたい。国鉄運賃緩和法の際には一人大体五時間ぐらいはやっておりましたし、老人保健法の際にも私は朝十時から夜の五時までぶっ続けてやった経験もありますから、そういうことを含めて、十分に問題点なりあるいは疑惑を解いてもらいたい。そういう点でまず冒頭要請をしておきます。
私は、この関西新空港法案が出る前から、五十四年当時から若干疑惑を持ちまして、和歌山県、淡路島あるいは大阪府を大分秘書と一緒に歩きましたし、いろいろ応援してくださった皆さんにも資料などをもらいましてやってまいりました。五十五年九月二十六日の参議院の決算委員会を皮切りに、今日まで八回、ここに議事録がありますが、八回この問題についてずうっと追跡調査をしながら、問題点についてお願いをしてきたところであります。衆議院の段階ではそうありませんでしたが、参議院段階に来ますと——大臣などは電車に乗ったことがないからなかなか見る機会がないと思うんですが、これ見たことありますかな。
「現代」六月号、これは講談社が発行している雑誌でありますが、ここの会場の皆さんはもうわかっていると思うんですが、こういうタイトルでもう電車という電車、汽車という汽車、本屋という本屋、駅頭の新聞などを売っているところ、皆ポスターが出ていますね。
「関西新空港「利権三兆円」は中曽根総理の「思返し」」であると。サブタイトルで「空前のビッグプロジェクトに群らがる政商たち」。さらに隣のあれでは、「風見鶏にしては妙に決断が早かった。総理の「鶴の一声」で実現に一歩踏み出した大事業。いまだにくすぶる「神戸対泉州」の確執をよそに、土地買占めはすでに完了 財界トップや政商をまきこんだ利権争奪のすさまじさに初めてメスを入れる」。なるほどね、映画なら満点だけれども、こういう形で全国津々浦々、北海道から沖縄までずうっと流れております。私も毎日朝夕電車で通っていますが、国電にもありますし、地下鉄の電車にもこのあれがあります。
そういうことでありますから、私はやっぱり、そういう疑惑を持っておることでありますから、ひとつこの問題に当たって政府側にお願いしたいのは、この法案は会社設立法案である。したがって、土取りの問題、関連の問題、アクセスの問題などなどについては、この会社自体が事業体であるからそこで聞いてくれと、そういうことで逃げないで、百億を超す調査費を使って今日まで来ておるわけでありますから、そして最初は、政府みずからがこの建設と運営は行う、全額出資で政府が行う、そういう方針のもとにずっと調査をしてきたんでありますから、今から質問することについて具体的な数字をもってお答え願いたい、このようにまず基本的に考えますが、大臣いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/70
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071・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 関西新空港の問題、非常に大切な問題でございます。また、目黒先生が長年研究なさっていることもよく承知しております。できるだけのお答えをさせていただきます。疑惑がないように、今の時点でないように、それから今後も起こらないように絶対にしなきゃならぬと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/71
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072・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 一番最初に取り上げたときの塩川運輸大臣も関西出身であるが、そういう財投から金を借りるにしても、国民の税金でやる仕事であるから絶対疑惑のないようにと、塩川運輸大臣も言っていましたが、ひとつ今の細田大臣のあれではそういうことだと受けとめておきます。
それから二番目には、やっぱり航空問題は何といっても航空審議会、この名簿もここに持っておりますが、航空審議会、航空審議会といろいろやっておるわけでありますから、航空審議会の本件に絡む第一次答申、第二次答申、それから臨調答申、これらの問題は基本的におたくの方では尊重する、こういう立場で本件問題に取り組んでいるようですが、この基本的な考え方はどうでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/72
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073・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) おっしゃるとおりでございまして、航空審議会あるいは臨調の答申、こういうものは尊重してまいるという立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/73
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074・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 それから、大蔵省にお伺いしますが、五十五年あるいは五十四年あたりから財政が大変苦しくなりまして、鈴木内閣あるいは中曽根内閣を含めて、増税なき財政再建という立場でこの関西空港の問題についてもそういう財政の視点からいろいろ議論されてきたことは、今まで私も討議してまいりましたが、財政の現状における厳しさということは、五年前にあるいは第二次航空審答申が出た段階を含めて、財政の厳しさは基本的に変わっていない、そういう認識であるか。いや財政に余裕が出てきた、こういうお考えであるか。基本的な財政の考え方について、大蔵大臣にかわってひとつ御答弁願いたい、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/74
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075・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 財政事情につきましては、大変厳しい状況が続いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/75
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076・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 財政事情については、非常に厳しいということですね。
じゃ、一つ一つお伺いしていきます。
まず、逆に言って、大蔵省はこの関西新空港問題については随分閣内で議論されておったことについては、もうこの議事録で大蔵省が答弁していますから私は省略します。
具体的には、渡辺大蔵大臣は当時、関西新空港の工事の規模、費用、採算性など、基礎調査が不十分である。焦って着工して途中でだめになるようでは困る。三年から五年程度十分じっくり考えて、財政にゆとりができてから考えるべき筋合いだ、こういう見解を持っておりました。それから、これを担当する大蔵省の津田主計局主査、この方も大阪に行った際に、関西新空港計画案は運輸省のものでも国のものでもない。運輸省の案は財政的視点から見て甘い案であり、練り直す必要がある。それから、泉州沖に建設することを大蔵省は認めたわけではないと。また、関西新空港の調査費をつけておるけれども、実施の問題とは違うと、こういうふうにずっと一貫して大蔵省は、関西新空港に対する受けとめ方は、極めて厳しいものを繰り返してきておるわけであります。
したがって、お伺いしますが、今回この株式会社法案が出てきたということについて、大蔵省は、今まで申し上げた大臣あるいは直接担当の主計局の主計官、まあ上から下まで、終始主張してきた問題について、何が問題であったのか。まず復習をする意味を含めて、何が問題で大蔵省はそういう態度をとったのか、ひとつお答えを願いたいと、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/76
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077・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 関西空港の従来の態度、それから今回五十九年度予算で計上することにしたわけですけれども、その基本は、やはり財政当局としては、今までの要求につきましては、基本的に採算性の確保が非常に難しいのじゃないかということが大問題であったわけでございます。そういう点から五十八年度までは、先生御承知のとおりのような経過をたどってきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/77
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078・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 そうすると、逆に聞きますと、採算性の問題ということは後で具体的に入っていきますが、採算性の問題については運輸省と大蔵省が一定の合意を見た、将来に対して。そういうふうに理解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/78
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079・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 先生のおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/79
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080・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 そうすると、その採算性の問題について見通しがついたということは、大蔵省と運輸省の間に、メモか申し合わせか知りませんが、一定の私は合意的なメモなり下地のものがあったとこう思うのであります。ですから、今まで問題にしておった問題点、今回合意した中身、そのずれはしかじかの理由でこうだということを具体的にやっぱり、国民の金を使うんですから、採算性が一番大事ですから、私が今言ったようなこと、今まで大蔵省が渡辺大臣を含めて問題にしておった問題点、今回合意した合意文書、採算性で。その中間のずれは、これがずれであったので、しかじかの理由でこれは解消した、こういうものをやはり文書をもって具体的に提示をしてもらいたい。
我々は、今まで大蔵省が終始一貫批判的だったことが、今回解消したということを国民に理解してもらうためには、それが一番やっぱり基本的な問題だ、こう思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/80
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081・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 運輸省と相談いたしまして検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/81
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082・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 いや、運輸省ってね、この衝に当たってきた航空局長ね、私のこの前の決算委員会の質問でも、あなたは、大蔵省といろいろ折衝していらっしゃると、こういうことを話しされましたね。前段の二本立て案の際にもあるいは一本立ての際にも。それは二本であろうと一本であろうと、基本的に後で議論しますが、今、大蔵省に対する私の質問に対して、おたくの方で収支採算の見通し、大蔵省と折衝してきた、それで一定の合意に達したと。
その合意に達した中身というのはやっぱり文書で出してもらう。この審議に一番大事なことですから。そして、大蔵省との食い違いはここであったということを、運輸省は法案を提案する主管官庁ですよね、一番大事な収支の見通しですから、これについて文書で出すことについて何ら反対する筋合いはないと思うんですが、航空局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/82
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083・山本長
○政府委員(山本長君) 予算編成というものを通じてお互いの意見を主張し合いながら、そしてまとまるところにまとめるというのが通例の予算折衝でございますが、その過程でいろいろな意見が出まして、結局は最後の形というものは予算折衝段階における今回の場合は大臣と大臣との折衝で決まったと、こういうことでございまして、先生おっしゃる、確かに長年にわたる問題でございますから、大蔵省と運輸省というよりは、省と省といいましょうか、むしろ担当者同士いろいろな意見を出し合って動き動きながら、言うならばお互い模索し合いながらやってきたということでございまして、はっきりとこういう対立点というものが整理された形、それはときどき、ときどきで変わってきているわけでございまして、どういうふうな整理の仕方ができるか、大蔵省の言っていること、あるいは運輸省の言っていることも、時間の経過とともにまた変わってきているというふうな経過の中に最後の大臣折衝で決まったと、こういうことでございまして、例えば大蔵省と、何といいましょうか、収支採算についてどういうふうな見通しのもとにこのプロジェクトというものについてお互い共通の認識に立っているのか、こういう点についてでございますれば、この計画の前提になっております収支採算というものはこういうことでございまして、それは大蔵省、運輸省とも異存あるものではございません、こういうふうなものはでき上がると思うのでございますけれども、長い過程のもとにおいて対立点というものをすべてにわたってきちっと整理するというのは、いつの時点のものかということで、なかなか整理しづらいというふうな点もございます。
したがいまして、ある時点、ある時点での意見がきちっと整理されてはおりませんので、その辺のところにつきましては、主計官も言いましたけれども、確かにお互いが合意しなかった時期が続いたわけでございますから、この計画の前提となっておる主要な事項につきまして大蔵省と運輸省というものが共通のどういう認識の上に立っているのかと、こういうような整理の仕方でならば、何とか大蔵省と御提出できるような文書がつくれるかなというふうな気がいたすわけでございます。
そういうふうなものでよろしければ、お互い相談し合いまして、御提出申し上げるというふうなことにさせていただいたらというふうな気持ちでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/83
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084・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 しかし、あなた方は国民に対して親切じゃありませんね。
これは、去年の、八三年のときに公共事業担当主計官公文宏君が、こういう説明をしているじゃありませんか。
航空需要予測があいまいで開港後の採算性に不安がある。計画規模が大き過ぎる。交通アクセスなど関連公共事業にも大きな財政負担が伴う。大量の土砂削取、海中投棄による環境の影響に環境庁が難色を示している。最高裁で欠陥空港として認定された現大阪空港の存廃が不明である。地元泉州の動向云々と、こうありますが、一番冒頭に、航空需要の予測があいまいで開港後の採算性に不安があるから大蔵省は予算をつけない、こう言っているじゃありませんか。
だから、このときの大蔵省のいわゆる航空需要の予測と採算は、どういう数字を持っておったのか。その際に運輸省は、どういう数字を大蔵省に提示したのか。その問題点を明らかにしないままうやむやにするなんということは、この法案に入る表口でもうパアだ。これは、マスコミの人もいらっしゃるけれども、何回六大新聞や地方新聞に問題が出ましたか。その都度あなたたちは、検討中検討中で今日まで逃げてきたじゃありませんか。この議事録でもあるとおり。
したがって、本法案に入るに当たって、関西新空港の問題の一つの、航空需要の見通し、採算性の問題、その問題を国会を通して明らかにしないでどこで明らかにするんですか。あるいは、マスコミに発表でもするんですか。その最も基本的なやつを、主管官庁である航空局とそれから銭を握っておる大蔵省、この二つが国会の場を通じて明らかにしなくてどこで明らかにするんですか。私は、この数字が出ない限りは以下の審議には入りません。ひとつ理事会で相談してください。委員長、質問しません。理事会やってください。そんな最も大事な数字を示さないで入れますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/84
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085・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/85
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086・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 速記を起こしてくださ発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/86
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087・山本長
○政府委員(山本長君) 先ほど申しましたこのプロジェクトの基礎になっておる考え方と、それから先生今御指摘の、そこに至るまでの間でいろいろ問題点がございましたが、いつの時点での、非常に時期の経過とともにお互いの主張が変わったりしておりますので、ある時点をとらえまして、この時点においては運輸省は需要の見方をこうしておったとか、そのときの空港計画の見方はこうしておったとかというふうなことにつきまして、そしてお互いそれについて大蔵省との意見の対立があったというふうなことについて、資料をまとめまして御提出させていただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/87
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088・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 そうすると、あれですか、きょうは間に合わないけれども、一定の時点をとらえて、時点をとらえてといってもどこをとらえるか知りませんが、運輸省の考えはこうだった、これに対して大蔵省はこういう主張をした、それをもとにしてやりとりがあった、そして最終的に航空需要の予測と収支の見通しについてはこういう合意に達した、そういう点を、きょうは無理にしても、私はむしろこれはレクチャーのときにも言ったと思うんですけれども、出してくれるということですか。そこのところをはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/88
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089・山本長
○政府委員(山本長君) はい。まとめ方を、ごく短時日で結構でございますけれども検討させていただきまして、御要望に沿うような形でまとめてみたい、御提出させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/89
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090・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 じゃ、その資料を出してもらう。できるだけきょうの終わりころまでに、次の質問に入る段階で、社会党、私たちは、きょうの質問を終わったら早々に出してもらいたい。それを見ないと後の質問は出てこない。
それから、大蔵省にため押しをしますが、大蔵省は、そういうふうに合意したということについては、後ほど質問することについてもそれじゃ具体的にお答え願いたい。合意した以上は大蔵大臣代行である大蔵省も、やっぱりそういうものについては責任を負うという立場は明確になっていると思うんですが、念のため、大蔵省が踏み切った以上は責任を持つと、そういう考えについてお答えを願いたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/90
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091・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 財政当局としては、先生御承知のとおり、やはり我々は何事につきましても、計数につきましては非常にかた目に見ております。そういう意味で、今回の運輸省との合意した数字につきましては妥当なものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/91
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092・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 辛いとか甘いとかということはおたくの勝手であって、運輸省と激しくやっておった予測あるいは収支の見通し、これについて大蔵省もゴー、オーケーのサインをしたという限りは、大蔵大臣もあなた方も含めてやっぱりその責任をとってもらう、今後のいろんな政治情勢について。そのように認めたものと理解します。
それで一つだけ聞きますが、私はちょっとわからなかったのですが、これも教えられたのですが、この雑誌の中に、中曽根内閣の成立が五十七年十一月二十七日。そして五十八年度政府予算の中で着工準備費が一カ月後の十二月三十日に決まっているのですが、我々は今まで、大体、調査費というのは一般調査費と、それから私も成田闘争で大分やりましたけれども、成田の際にもやっぱり実施設計調査費と、そういうふうに二本立てになっておったのが空港の場合の私は常識だと思っておったのですが、何でこの年に限って着工準備調査費なんという、さっきの瀬谷先生じゃないけれども、こんな新語が出てきたのか。
この辺は、今言った合意の問題と若干裏腹の関係があると私は思うんですよ。あなた方が責任を持って合意したならば、何でこんな、着工準備調査費なんというまどろっこしい、予算に新しい項目をつけてやる必要がないではないですか。従来どおり、成田の空港と同じようになぜできなかったのですか。やっぱりここに何らかの疑問点が、まだ大蔵省としてはもやもやが残っているということの予算編成上のあらわれじゃありませんか。これはどういう意図で、今回の関西空港に限った言葉なのか。今後とも、大蔵省が予算編成をする際にこういう言葉を使うのかどうか。そういう問題を含めてひとつ御答弁願いたい、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/92
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093・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 着工準備調査費は、これは昨年度の五十八年度予算に計上したものでございます。五十八年度予算におきましては、残念ながら運輸省との間で採算性等の問題で合意に至らなかったわけでございます。そういうことでございますので、着工準備調査費というものを計上したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/93
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094・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 裏を返すと、五十九年度予算は合意に達したからこういう言葉は使わないというふうに確認していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/94
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095・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 五十九年度予算におきましてはゴーサインは出ているわけでございますけれども、会社が発足して、会社が事業に着手するまでは着工準備調査費で調査を進めるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/95
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096・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 そんな詭弁を使いなさんな、詭弁を。前の方は、ゴーサインが押してないから、裏を返せば、いろんな見通しについて、これにも関西財界の大物が出てきて竹下大臣と会ったり航空局に行ったなんということが出ていますが、そういうまだもやもやの段階だから準備調査費にしたと。今度は私につつかれると、会社をまだ設定してないからと。それならなぜそれを、五十八年度の際に、私が質問した際に、両方の合意ができていない、これは会社の問題だと、なぜそれを前段の部で言わないんですか。前段の部で、合意に達していないという、まだそこがもやもやだ、生コン状態であったからと。しかし、政治の圧力で準備せいと、中曽根圧力と関西財界の圧力でやれと言われたから、官僚は苦し紛れに準備費を使いましたと。それは認めます、五十八年度だから。五十九年も同じことを使っておって、会社に移行するまでなんということは、ちょっとそれは人前に対する詭弁ですよ。
そんなことをやってまで中曽根さんとか関西財界の機嫌をとるんですか。だから疑惑があると言われるんだよ、疑惑が。何ですか、それは。もう一回言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/96
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097・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 着工準備調査費でございますけれども、着工準備調査費といいますのはいわゆる実施設計調査費に相当する内容が含まれているわけでございます。ただ昨年の場合は、基本的に採算性をどう見るかとか、それから事業主体をどうするか、あるいは負担のあり方等をどうするかという幾つかの問題が残されていたわけでございまして、そういう問題の検討を行っていく必要があるということで、従来の一般調査費とは異なるものとしてその実施設計調査費も含んだ着工準備調査費というものを計上したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/97
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098・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 じゃこの項目が消えるのはいつですか。関西空港法案が通って関西新空港株式会社が発足すれば、この項目は自動的に消えると理解していいですか。その点はどうなんですか。あなたに今質問したことを一〇〇%、じゃ譲歩したとしても、いつこの項目が消えるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/98
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099・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) これは新しい会社が発足して事業が始まればこの費用は、この項目はなくなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/99
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100・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 この項目は、関西新空港のいでたちから見て、出発までのいわゆる過渡的な、関西新空港の問題に絡む過渡的な措置であって、この問題は今言ったとおり会社が成立すれば消える、それは確認していいですな。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/100
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101・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 先生のおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/101
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102・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 ついでにもう一つお伺いしますが、この雑誌の報道によると、二本立てを一本立てにした問題、それから中曽根さんが利益配当をこうやったと、こういうことがあったんですが、これにはやっぱり山本航空局長が藤波官房長官に呼ばれて大分くどかれたと。これは関西財界の大立て者の要請で、一〇%ないし一一%の配当制限を取らなければ民間はこの問題には協力しないという大阪財界の意向を受けて、藤波さんを通じてあなたはくどかれたと。まあ官僚だけれどもやむを得ないといって、なりふり構わず二本立てを引っ込めて一本立てでやったと、こういうふうに出ているんです。その辺の真意を、藤波官房長官に呼ばれてどういう話をされたのか、関西財界の関係、どういう説明が来たのか、聞かせてもらいたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/102
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103・山本長
○政府委員(山本長君) この法案の中で、利益配当の特例に関する規定がございます。この規定につきまして、この御提出申し上げておる案の以前の案がございまして、思想は、非常に配当という形で適当な範囲を超えて社外に利益が流出するということを制限するという思想の条項でございますが、その条項の表現の形といたしまして、ただいまお出ししておりますものは、経済情勢それから企業の配当動向等を勘案の上、それから公共事業であることを勘案の上、政令で定める比率を超えて配当してはならない、こういう条項になっておるわけでございまして、それ以前は、百分の十と百分の十二の間において政令で定める比率というふうに、数字でもって上限と下限を定めておったわけでございます。
これにつきましては、御質問でございますからありのまま申し上げますけれども、藤波官房長官から、これについていま少し検討してはどうだと、特に社会というものは変動するのでありますから、そういった社会変動に応じて適当な範囲にとどめるという思想はそれでいいけれども、やはり長きにわたって流動する経済情勢の中においては、数字で定量的に規定するのはいかがか、検討してみてはどうか、こういうふうな御指示があった、検討してみてはどうかというふうな御指示があったのは事実でございます。それを受けまして関係の機関と検討いたしまして現在の規定になったということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/103
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104・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 あなたが藤波官房長官に呼ばれて話し合ったということは、それなりに薄々わかったんですが、藤波官房長官がわざわざ閣議決定寸前までいった法案に対していちゃもんをつける、これは私は異例なことだと思うんですよ。
その異例なことをあえて藤波官房長官がやらなければならなかった背景は何なのか。これは国民がみんな見ているんだ。見ているのは、いわゆる関西財界が二百億の金を出資するために、もしもこの条項があれば関西財界は協力しない、したがって政府はイエスかノーかはっきり返事せい、そういうことで、関西財界が政府にハッパをかけた、その窓口が官房長官だったと。官房長官はそれであなたを呼んで話をした。だからこれは、官房長官は結局、あなたが聞かなかったら、いや金を出してもらう関西財界の方からも強い要望があるのでこの際、というような話があったのか、関西財界の話は全然なかったのか、その点を正直に答えてもらえばいいんです。
官房長官と会った際に、関西財界の要望でもあるのでという話があったのかなかったのか、その点を聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/104
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105・山本長
○政府委員(山本長君) 先ほど申し上げましたとおりでございまして、そういった先生の御指摘のようなことはございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/105
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106・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 じゃ、あなたは聞かなかったということで確認していいですか。これは官房長官に聞くから、後で決算の総括のときに。あなたは官房長官に聞かなかったということでいいですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/106
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107・山本長
○政府委員(山本長君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/107
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108・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 じゃこれは官房長官に改めて聞きます。
それからもう一つ。まだ我々が衆参両院でやっておる間に、会社の社長とか取締役とかそんな人事の問題まで話されているというのは、これにも、社長候補関西電力株式会社何のたれべえさん、副社長候補大阪の副知事、それから労務対策を含めて一番強いの、国鉄をじりじりいじめている亀井国鉄財政再建委員長、この三人が出ればまあまあいいだろうという人事、なるほどうまく考えるもんだなと思うんです。人事まで話している。だから出資の話、配当の話、人事の話、我々が真剣に今国民の代表でここで議論しているのに、そんなことをしておったんでは国会を愚弄するも甚だしい。
ですからこれは大臣、そういう「現代」に出ているいわゆる関西新空港株式会社の役員人事まで、大臣とか総理大臣とか官房長官あたりのレベルで話をされているのかどうか。話をしていますなんて言かぬと思うけれども、こういう雑誌に載る——講談社といえば日本でも相当有名な雑誌社ですからね。講談社が責任を持って発行している雑誌にそういう問題がアンテナにひっかかってくるというのは、これは何らかのやっぱり政治的な動きがあると思う。仮にこの人になった場合は大変なことだ。
したがって、そういう人事の問題については大臣、どの辺まで踏み込んでいるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/108
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109・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 関西新空港株式会社の大事につきましては、申し上げるまでもありませんが、国会審議中は一切いたさないということで中曽根総理と私と話し合っております。法案が通った後で御相談をしようということでございます。
雑誌に出ている云々、あるいは新聞にも出ます。我々のところも新聞社がしょっちゅう来ます。だれか勝手な人が、権限のない人が想像したり、あるいはいろいろ希望を述べたり、そういうことはあるいはあるかもしれませんが、我々は全然関知しないところでございます。これはもう全くそのとおりなんで、大事については私ども実を言いますと、毎晩のように新聞社に来られて参っておるところなんでございまして、相談をしたりすれば必ず何らかの形で出るから、総理とも、法案が通るまでは一切これは触れないということにいたしておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/109
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110・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 筋道はそうでしょうけれどもね、しかし政治の社会ですからいろいろあると思うんです。
それからもう一つ。やはりこの問題は、関西財界のてこ入れのための工事というふうに関西の財界の皆さんは受け取っているらしい。私は、それはそうじゃないと思う。関西空港は国全体の国際空港、二十四時間体制、そういうものを国全体の立場からつくるんだということで、一関西財界の金もうけのためとかの強いて言えば、何といいますかな問題とか、あるいは中曽根さんが総理大臣になったときに、ここの冒頭に出ているのですが、中曽根君、君が関西空港をやれば総裁選挙の金と票は何とかする、やらなければパアだといっておどかされて、よくわかりましたと言って中曽根さんが返事をしたと。その効果が河本候補を落として中曽根候補が圧倒ということになったと、そういうのがここにあるんですがね。
そういう関西財界特定の問題で私はやっているんではない。これは雇用の問題、資材の関係、全般に関係がありますからね、国全体の事業としてやるものだ、こういうものであって、関西財界の金もうけのためではない、基本的に私はそう思っているんですが、この点については大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/110
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111・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 関西国際空港は関西にある空港であるということなんですけれども、同時に、これは日本の国際空港なんです。日本全体として国際空港の力が足りない。成田が御承知のような状態でございますし、羽田の沖合展開もまだできるめどが立っておらぬというようなことでございますから、そういう立場から国の国際空港としてやるわけでございます。あわせて、関西にありますから関西の空港でもあるわけでございます。
そういう意味で、関西の産業振興とか関西をどうこうするためにやるものではございません。しかし、結果として関西地域の雇用の創出が相当できるとか、いろいろなことが結果として出るということは当然考えられる、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/111
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112・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 私もそうだろうと思うんです。それは今後の雇用とか資材の発注その他に関係しますから、今の大臣の基本的な考えは確認しておきます。
それからもう一つ。これは私はいろんなことをやっている間に不穏当なことを耳にしました。これは大阪財界のニューリーダーの一人、太陽工業の能村という方が、こういうことを言っているんですね。
関西空港の問題について、大阪は政治力に弱い。特に日向関西経済連会長を初め、大阪財界人は新空港の必要性を言うが、政治力を使おうとしない。——これは本人が言っているんだからね、私が言っているんじゃないですよ。あのくらいの巨大プロジェクトになると、極端な言い方だが、一人や二人牢獄に入るぐらいの覚悟でなければ大プロジェクトは成功しない、こう断言している。
これは、おれみたいなチンピラ政治家でもここまでは言えないね。一人や二人牢獄に入るぐらいの、いわゆる疑獄事件とかわいろその他があって、一人や二人牢屋に入るくらいの覚悟でなければ関西の大プロジェクトは成功しないということを、関西財界のニューリーダーが言っているというのは、これはそんなの雑誌に勝手に書いてあると言うかもしれませんけれども、こういうことはやっぱり私は、大臣に答弁を求めたってそんなこと知らないと言いますが、こういう記事が出ているということに十分留意をして、国民の疑惑を受けるような、ぼろもうけとかそういうこととかのないように、公正厳正にやってもらいたいということを、私は財界のこの食言にはそういうことでこれは大臣に要望します。公正厳正にやってもらいたいということで、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/112
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113・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) どうも人の口に戸はたてられないもんですから、何をおっしゃるか、いろいろおっしゃるんだろうと思うんですが、まことにけしからぬことだと、かように存じております。
しかし、これは大変大きなプロジェクトでございますし、いろんなところで要するに大変な金が出るわけですね、いずれにしても。ですから、これをいわゆる利権的なものに使おうとか、土地を買い占めようとかいったような動きが出てくるだろうということは想像にかたくないわけでございます。これはもう民間のいろいろ金もうけをやろうという人たちはすばしっこいわけですから、いろいろやられるんじゃないかと思うんですが、またそういうことを多少耳にもしないわけじゃありません。しかし、それだけに、それだけに、人事の面や運用の面においてはよほど厳正でなければ、どなたかがおっしゃっておるようなことにならぬとは限らない。そういうことなんでございまして、これはもう厳粛にやらなくちゃいかぬ問題だ。そうしないと、えてしてこういう種類の仕事はそういうことが起こりがちでございますから、それは否定いたしません。ですから、こういうことがないように、絶対にないようにしなくちゃいかぬ、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/113
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114・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 私もそういうことを期待しておきます。
それで、大蔵省、五十九年の一月十九日の決算委員会で私は、当時だれだったかな、知らぬけれども、大蔵省が運輸省にこの問題について協力していくというために三つの条件を出した。これは五十八年の十一月六日、これは東京を初め大阪を含めて六大新聞、地元の新聞全部載ったんですから私は間違いないと思うんですが、この中で三つの条件というのは、一つ目には、公団と第三セクターの一本化。これは一本化できましたね。株式会社は別にして、一本化。二つ目には、地元負担を拡大させると。これは後で聞きます。三つ目には、建設場所を内陸にもう少し接近させると。我我の情報では、航空審答申は五キロ、大蔵省は大体三キロぐらい、それで騒音その他についてどういうことになるんだか、ひとつその点を検討していかなきゃいけないという大蔵で三つの話をしたんですが、当時、その際あなたは議論の経過についてはこれは答弁を差し控えさせていただきたいと、こういうことでもう逃げたんですが、当時私も決算で時間がありませんでしたから、そのままにしておきました。
冒頭、先ほど話を聞きましたから、こういうことを大蔵省としては運輸省にお話し申し上げたということについては、今日時点もう法案も提案しているんですから、後で資料を出すと言っているんですから、これはもう財政的な立場から大蔵省としてはそういう見解を持って運輸省と折衝してみたと。こういうことについて素直にお認めになったらいかがですか、こう思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/114
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115・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 予算編成の過程で財政当局の立場からいろいろな問題提起を行い、運輸省といろんな議論をしているわけでございます。その中で、三点今先生挙げられたわけですけれども、五キロを三キロというお話ですけれども、そういうことを申し上げたことは今までありません。工事費用をもっと切りなさいということは、これは採算性の面から当然もっと切れないかという問題提起はしているわけでございますけれども、工事費の削減の方法としてこれはいろんな方法があろうかと思いますけれども、それは我々は技術の専門家でございません、ですから、工事費の削減の方策を検討してほしいということは申し上げたことはありますけれども、具体的に内陸に近づけるとか、そういうことを申し上げたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/115
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116・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 それでは具体的に何をお話ししたんですか。あなた方がさっき、採算の見通しとそれから需要の見通し、それが自信がないと。それが自信が出てきて合意したというんだから。そうすると大蔵省として、関西新空港の問題、今回は第一期工事、第五期まで分割する、これはどういうものかわかりませんけれども。そうすると大蔵省としては、今巷間、去年あたりまでいろいろ言われておった問題については、もうすべてを含めて大蔵省はゴーのサインを送っている、財政的にもわかった、五期分割もわかったと。そういう面で、大蔵省はすべて運輸省が出したことに乗っかり、おしまいと、そういうふうに原則的に了解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/116
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117・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) 予算の最終セット段階におきましては、当初の運輸省が概算要求に出したものとは内容的にも変わってきておるわけでございます。我々の立場からしますと、例えば工事費につきましては、当初の要求ベースの数字に対しまして、調査の結果を踏まえて運輸省がここまで削減が可能であるという数字、工事費ベースで八千二百億ですか、五十八年度までですと約九千五百億ぐらいのベースであったわけでございます。というようなこと、あるいは地方公共団体あるいは民間からの出資を見込むことによりまして無償資金の比率が高くなる。それから需要見通しにつきましても、これはまた追って出すことになろうと思いますけれども、運輸省の従来のベースの高い伸びに対して、もっと低くても以上の前提で採算計算しますと十分採算がとれるということでございますので、五十九年度の最終段階においてはゴーサインを出したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/117
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118・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 だから、そういう問題も含めて、結局今のまあ当面第一期工事だね、第一期工事に係る問題については、大蔵省は今までいろいろ言っておったけれども、まあ運輸省といろいろ話しした結果、最終的に財政面、需要予測、それから採算性、関連はまた別にやりますから、その本体に係る問題については、今までの大蔵省の主張については大体運輸省の方でも理解してくれたということで大臣折衝で合意に達しているというふうに、これは審議の関係がありますから、そういうふうに理解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/118
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119・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/119
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120・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 じゃ、もう一つ。航空局長ね、二本を一本ね、二本を一本というのは、二本を出して各関係市町村に説明した段階あるいは新聞記者からいろいろ開かれた段階などにおいて、新聞の談話に関する限りは、航空局なり運輸省としては絶対第一種空港は、公団全額出資、建設、運営、関連関係は第三セクターその他と、これは筋として運輸省としては一歩も曲げるわけにいかぬ、こういうことで非常に厳しく談話その他で発表しておったのですがね。これがツルの一声じゃありませんが、一本立てになったと、しかもなかなか性格があいまいで。これはもう方向転換を意味するのか、第一種空港の方向転換を実質上意味するのか。いや今回は中曽根さんなり関西のいろいろな関係がある、今回は緊急避難的にもう運輸政策の顔もメンツも捨てて、とにかく関西新空港の着工が最優先だということで、今回は緊急避難的に一時の方策として採択したのか。完全な第一種空港の方向転換なのか。これは今後の公共事業全体に大分影響がありますからね、その基本的認識はどうであったのか、これはぜひ聞かせてもらいたい、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/120
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121・山本長
○政府委員(山本長君) いわゆる二本立て案というもので運輸省が要求いたしましたその考え方の基礎には、空港整備法の第一種空港という意識があったわけでございます。第一種空港というのは先生御存じのように国が設置、管理するという建前になっております。したがって関西国際空港を設置、建設いたします場合におきましても、空港の中のいろんな施設がございますが、在来の空港におきましてもターミナル施設などが民間の資本でやっているという例もございます。しかし、基本施設というものについては国が責任を持って建設するというのが空港整備法の建前でございますから、そういった建前を貫く意味におきまして、基本施設というものにつきましては国が全額出資の公団、それからいわゆる附帯設備については第三セクター方式と、こういう二本立てをとったというのが考え方の基礎でございます。
いろいろ政府部内において議論の結果、ただいま出しております案になったわけでございますけれども、しかしこの案も、全体の建設事業費の中の基本施設部分というのが大体三分の二でございます。二本立て案の場合も、一方が約六千億であり、一方が三千億ということで、施設全体の事業費が三分の二と三分の一というふうな割合になっておるわけでございます。今回の場合におきまして、一本化案ということにいろんな経緯でなったわけでございますけれども、思想として、第一種空港でございますから基本施設部分についてはやはり国が主体的に役割を果たしていくべきだというこういう思想を、この一本化いたしました案の中におきましても、政府の出資というものは三分の二という資金計画でもってその思想を貫いておるわけでございますので、二本立て案、一本立て案になりました経緯は議論の末でございますけれども、そういった考え方と申しますか、第一種空港の基本施設については国がその役割を果たしていくという考え方というものは貫いた。
こういうことで、大きな一本の柱といいましょうか、というものは私たちとして貫いておるというふうに考えておるわけでございます。先生おっしゃるように、長年の、長きにわたるものでございますから、とりあえずこうしておこうというそういった思想でやったものではございません。やはり私たちの考え方というものは貫けたというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/121
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122・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 これは大臣、今航空局長は、これを変える必要はないとね。わかりました。
ただ、中曽根さんの言う民間活用民間活用というその視点から見ると、まあ次の成田空港の第二期工事にも民間、民間も民間、農協あたりから金でも出してもらって、農協から金を出してもらえば農民の方々でも、てめえの金を出しているんだから余り反対すめえやということで考えるんではなかろうかと。あるいはここに二、三人関係者がいますが、新幹線の例えば盛岡−青森間の問題については、金がない、しかし何とかつくってくれと。これもまた民間活用で、国の金と地方自治体の金と特に民間の東北電力あたりを含めて金を出してもらって、そして民間活用と。あるいは北陸新幹線も、ひとつ裏日本の方で新幹線を欲しいんなら、国と地方自治体、それに民間の北陸電力あたりに出てもらって民間活用と、そういうふうに拡大していく危険性がないかどうかということを私は逆に心配するんですよ。
そのことがいい悪いはまた議論するときがありましょうけれども、そういう、当然国が行うべき公共事業に民間資本の活用という形で窓口を開くんですから、関西新空港法案は。そういう方向で、公共事業に民間資金の導入という形で、北東北新幹線株式会社、北陸新幹線株式会社という格好に発展する可能性が私はないとは言わさぬと言うんですよ。
そういうことについて心配するものですが、この辺について、いや目黒の考えもそれはそうだなといって考えていくのか、いやそこまではいかないということなのか、いやそういうことであれば検討するぐらいになっているのか、その辺まで運輸大臣サイドでこの関西新空港の民間資金の導入ということにかかわりを持って考えていらっしゃるか、現在の率直な心境で結構ですから、わからぬならわからぬで結構ですから、余り無理しないで、考えで答弁をしてもらいたい、こう思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/122
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123・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) この関西新空港の特殊法人たる株式会社による方式というのは、一つの新しい試みであると思うんです。ですから、これについて議論があるのはもう当然なんでございまして、今までは直営でつくるか公団でやるというのが空港法の建前でございますから、それを今度この法案の中で例外措置をつくって新しい試みをやろうということなんでございますね。ですから、この民間活力の利用ということがうまく一体いくのかいかぬのか、弊害の方が大きくなるのかどうかということは、実はこの空港をやってみますと相当はっきりすると思うんです、私どもは。いろいろ今お話もございましたが、いろんな点で心配な点もありますよ、初めてのことですから。
ですから、我々が三分の二というものをもうちゃんと持っておりますから、そういう曲がったことをさせない。それから、営利本位に走らせないというつもりでおるわけですが、これが一体どういうふうにうまく、我々が今考えているようにうまくいってくれないと困るわけです。
そこで問題は、これから後、じゃこういうものがどんどんどんどんできていくのかというお話でございますが、私は、そう何でもかんでも公共事業費に、民間活力の導入だからといってどんどん民間の出資を仰いで入れていくということにはすぐにはつながらないと思います。ただ、いろいろな、物によりますよ。今一番当面私ども、ほかの省のことはともかくとしまして、私ども非常に問題にしておりますのは、国鉄の跡地利用問題というのがあります。こういう問題についてどう考えるかという問題は、これはもう当面する問題なんです。これに民間活力を一体どの程度使うか使わないか、またどういう弊害があるのか弊害がないのか、そういうことなんでございます。
ですから、こういう傾向がどんどんいろんな部面へ全面的にやっていくようになるんじゃないかというお話だと、私は、そこまではこれはまだいってはいない。この様子を十分見た上でないといけない、こういうふうに思っておるわけでございまして、私個人は、やはり相当な限界がある、民間活力の利用といいましてもね。譲るべきでないところは譲るべきでないんで、やはり公共性の見地から守るべき線はおのずからあるというふうに私個人としては考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/123
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124・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 本当に新しい試みですから、いろんな問題があるという、それだけに我々もまた重大な関心を持ちながら、意見を申すところは意見を申す、わかったところはわかったと、こういう是々非々で、新しい試みですから取り組んでいきたいと、こう思います。
それで大蔵省ちょっと、先ほど一月十九日の問題、また同じことを言われましたから、一つだけ確認します。
あの日、五十八年十一月六日の東京六大新聞とか関西関係の新聞とかというものに全部共通しておる問題が、私がさっき言った三つなんですよ。だからこれは、ブン屋の皆さんが取材をするに当たっているじくも一致している問題というのは、言い回しはちょっとあってもその三点。例えば五キロ、三キロという問題も、あなたはそんなことを言ったことはないとか、専門的だと、こう言っていますが、これはそうすると、大蔵省サイドからそういうレクチャーその他についてやった覚えがないということになれば、当時、十一月六日に書いた新聞の記事そのものが大蔵省としてはそれは間違いだというふうに言い切るだけの自信がありますか。
あなたが二回、一月十九日も同じ答弁をしている。きょうも同じ答弁をしているんですから、逆から言えば、十一月六日の記事は、大蔵省としてはそういうことはないということをやっぱりここできちっと表明してもらいたい。そうしないと、マスコミの皆さんがせっかく書いたこともうやむやになりますから。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/124
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125・涌井洋治
○説明員(涌井洋治君) そういう事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/125
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126・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 じゃ、新聞の間違いだということですね。確認します。
それから、今この地元負担の金が出てきたんですが、これは山本航空局長と大蔵省、この一本案のときには、あなたの一月十九日の説明、議事録によりますと、二本立てのときには、地元負担として地方公共団体からその事業費の出資として三百五十億、それから民間出資は百七十五億、合計五百二十五億の出資を予定しておりましたと、しかし、今回の一本化に従って、地方自治体も二百億、民間も二百億、合計四百億と、総体として少なくなりました、こういう答弁をしているんですが、私は、もう法案を出したんですから、地方公共団体で言えば、大阪、兵庫、和歌山だと思うんですが、この三百五十億を期待した時点、あるいは今日二百億を要請する時点、この点で事務当局の考えとしては、大阪に幾ら、あるいは兵庫に幾ら、和歌山に幾らと、そういうふうにね、どういうふうに考えておったのか、もうこの時点だから明らかにしてもらいたい。
もう隠す必要はないと思うんですよ。私らも大阪に行ったり和歌山に行ったり兵庫に行ってきたんですからね。ですから、事務当局としてはこの三百五十億あるいは今日時点の二百億、地方自治体にどの程度要請をしているのか聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/126
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127・山本長
○政府委員(山本長君) 二本立て案で出しましたときはたしか第三セクターの方で地方公共団体の出資が三百五十億でございますが、地方公共団体ともよく相談をして要求をしたわけでございますが、そのときに地方公共団体については、そういった第三セクター設立について、これは民間も含めてでございますけれども、協力をするというふうな合意のもとに出したわけでございますが、しかし先生おっしゃるように、どこに幾らどこに幾らというふうな割り振りまで、そこまで決定されておったわけではございません。こういった方向で予算を要求して皆協力していくというふうな基本的な面について合意のもとに運輸省は予算要求をしたと、こういうことでございます。これは全くそういう経緯でございます。
それから、今の二百億でございます。地方公共団体二百億、民間二百億でございますが、この点についても、現在の案になります際に、運輸省が転換をいたします際に、関係者の意見を聞きまして基本的な合意というものをいただいて変更し現在の形になったわけでございますが、現時点におきましても、やはり地方公共団体につきましては、従来から大阪府、兵庫県、和歌山県といったところとこの空港計画について相談をしながらやってきておりますものでございますから、そういった関係の深いところが主な出資者というふうになると思いますけれども、しかし現在におきましても、幾ら幾らと、それからそれがその三つに限るのかあるいはそれ以上のものになるのかというところまでは、決め切っておるわけではございません。この法律が通りましてから設立委員が任命されまして、そしてその出資を募集するということでもって決まるわけでございます。しかしその過程におきまして、準備作業といたしまして、なおこの法律案を通過させていただきました後関係者とよく協議いたしましてその辺は詰めていかなきゃならぬ問題でございまして、現時点において割り振りというところまで決まっている段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/127
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128・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 会社を設立するのに、大体どの程度出してもらう、それは出せる出せないは相手のふところぐあいもあるでしょうけれども、会社を設立するのにあんた、定款をつくってやるのに、あんたのところは何ぼ——まあうちの福島交通の問題、小針さんの福島交通だって、阿武隈急行をつくるのに、宮城県に幾ら出してくれ、関係市町村に幾ら出してくれ、福島県に幾ら出してくれとやったけれども、いや宮城県は財政がいいから少しふやしてもいい、福島県は財政が悪いから差っ引いてくれ、あるいは市町村で負担するやつは財政がないから県に吸い上げてやりましょうと、いろいろやったじゃないか。最終的には小針さんが、福島交通が五一%、そういうのが私は当然あっていいと思うんです。
だから、おたくの方が、三百五十億だ、いや今回二百億だと、何ぼそんなきれいごと言ったって、現地に、我々が兵庫県へ行ったら兵庫県何と言ってました、兵庫県の県知事。大阪は大阪で、大部分とってもいいと。和歌山は和歌山で、因果関係、後から言いますが、因果関係どうなのかと。兵庫は兵庫で神戸空港を一体どうしてくれるんだと。その兼ね合いてない限りはあれだと。神戸市長のごときはこれに言っているとおり、私聞いたら。いや目黒先生、まだ具体的なものはどこから来るのですかね、国から来るのか県から来るのかわかりませんがと。仮に県議会だって財政的にある程度、二百億のうち大阪は百五十億いかがですかとか、神戸は三十億ぐらいいかがですかとか、そういうことを打診されて、自分の財布と議会の関係と相談して、まあその辺なら協力できましょうというのが商売のやりとりというものじゃありませんか。これは、ここに私鉄出身がおりますけれども、私はこんなのは商売の常識だ。
だから、法案を出したこの段階では、大体航空局の事務的なめどとしてはこのぐらいお願いしたいと思っています、あるいは財界二百億の問題についてもこれは関西財界一本で、五人委員会ですか、五人委員会とか七人委員会とかあるね、ここに全部任せますからと、したがって各企業の割り当てはそこに任せてありまして、そこで二百億集めてほしい、こういうふうにお願いしますとか、何らかの具体的なことがこの段階でなければ、例えば我々が連合審査をやるといったって、一体大阪府は何ぼ出すのか、兵庫県は何ぼ出すのか、和歌山県はどうなっているのか、その問題がわからないままに連合審査で地方財政の関連性を議論できますか。それだったら連合審査はやりませんよ、その金額が出てくるまでは。連合審査のしようがない。そういうふうになりませんか。
ですから私はやっぱり、これは二回も三回もやっているんですから、今日時点では大体事務当局はこういう案で今折衝しています、しかし相手があることですからどうなるかわかりませんがこういうめどで今折衝していますというぐらいは、地方自治体あるいは財界関係、財界も全部の財界が出すのか関西財界だけでやってしまうのか規模があるね。そういうことであるから、ひとつこの出資金の問題についてはもうこの段階で明らかにしてもらいたい、こう思うんですがね。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/128
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129・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) ただいまの御質問ごもっともですが、二百億をとにかく公共団体で持ってもらうということを決める決めないが三県と私どもの折衝の一つの柱だったわけです。
その二百億を一つ一つ分けてどうこうというのは、いわば兵庫なんかはもうぎりぎりになってやっと県知事が私のところへ来まして、承知をするというようなことでございますので、二百億を決めるのがとにかくぎりぎりで決まったということなんでございます。その決め方が私は、全体として二百億を持たせるということで、その話で進めるということなんですが、それは決め方によりましては、例えば大阪府と兵庫県あるいは和歌山県、それからあるいは大阪市という特別市があるがこれをどうするか。四つに分けりゃ五十億ずつでしょう。しかし、そのほかの分け方もあるでしょう。財政力による分け方もございましょう。それは自治体の中で御相談をいただくということでございましょうし、それからほかの市町村はそれじゃどうするんだということもございまするので、中についてははっきり決まっておらないということなんでございます。ですから、地方行政委員会との連合審査で地方はどうかというような場合には、これは要するに二百億というものをそれだけの範囲内のところで持てるかどうかということがやはり問題になるんだと、こう思います。
それで現実に二百億、全体で二百億はひとつ引き受けたと、こうおっしゃっていただいておるのは三県知事が引き受けたとおっしゃっておりますから、最悪の場合は三県で分けてお引き受けいただけるものと私たちは思っておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/129
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130・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 しかし、大臣の発言だけれども、そんなことが一体何を基礎に……。
だから私が冒頭言ったでしょう、会社法案であるから会社の事業体が決まらなければ云々と。じゃ何のために国が百十億も百二十億も金を使って長い間調査して折衝してきたんですか。逆に言えば、その二百億については、おれは反対だ、おれは反対だ、おれは反対だ、一、おりました、そういうことに仮になったら一体どうなるんですか。この事業体そのものがパンクしちゃう。
だから大臣ね、これは第一期工事なんですよ。第五期工事まであるんでしょう。五期になるか三期になるかわかりませんが、二十一世紀に向かって。その出発点ですからね。出発点ですから、やっぱり地方自治体については、地方自治体でこれこれは負担してもらいたいということで、後は折衝は事業体に一任するとかなんとかというのだったらそれはいいですよ。事務当局があんた、仮に会社でなかったら、第三セクターでやるという際に、第三セクターでも三百五十億を御協力願うということだったでしょう、第三セクターのときはね。どっちにしても関係の大阪、兵庫、和歌山、——この前委員長どう感じたか知りませんが、この前私は参議院の調査で行って、兵庫県知事さんのあの態度を見ておって、まあ大臣が神戸空港の問題について協力すると前向きに姿勢を示したから我々も理解を示すと。理解を示すけれども、裏から見れば、政府、運輸省が神戸空港について、こんなの大したことはない、瀬谷先生の話じゃありませんが、大したことはないといって神戸空港に尻をまくったら、この出資の方も以下同文で尻をまくるということをありありと私は感じました。私が感じたんですから。
だから、そういう非常にデリケートな関連のある際に、最も基本になる出資金の問題で合意しないまま法案の審議なんていうのはできないですよ、これは。ですからね、私は一歩下がって言っているんですよ。事務当局として大阪にはこのくらい、兵庫県にはこのくらい、和歌山県にはこのくらいひとつ御協力願えないかということを事務的に言っている。それぐらいは私は明らかにせねは、あるいは今後の全体構想の場合にはこの比率でいくとか、そういう資金繰りの問題はやっぱり委員会で明らかにしなければ、これはあんた法案の審議ができないじゃないか。連合審査もできな発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/130
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131・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) お話は、御質問の趣旨はよくわかりますがね、二百億がだめだったらこの法案は出せなかったんじゃないか、会社はだめだったじゃないか、そのとおりなんですよ。でありますから、予算の最終段階ですね、予算をどうつくるか、それから法案をどうつくるかという前に、三県知事に御承諾を願ったわけですよ。言うならば三県知事が、二百億は我々で引き受ける、こうおっしゃっていただいたからこの法案が出されておるわけなんでございまして、ですからそれを個々に一つ一つ分けるという御相談は三県がよくなさって決めていただく、こういうことになっておるわけなんです。しかし、その時期もそう遠い先の話じゃないわけで、あるいは内々はお話しになっておるかもしれませんが、我々のところできょうのただいまの時点でどこが幾らどこが幾らということは言っておりませんと、こういう意味なんでございますので、その辺は御了承をいただきたいと思うんです。
それから、兵庫のお話が出ましたが、兵庫県が一番最後に来たんです。承知したということを知事が来て私の部屋で話したわけですが、その際に神戸空港についての話も要求があるわけです。要するに、条件というほどのものであるかどうかは別としまして、神戸空港について兵庫県知事の意思表示があるわけです。それに対して私から了承を与えるということなんでございまして、それを破ればこれは帳消しじゃないかというような話になるという、そういう話を今我々はするはずはないわけでございまして、お約束したことはちゃんとやります。そちらでもお約束したことはやっていただきたい、こういうことなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/131
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132・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 いや、どんなに説明されたって、仮にしゃ、あんた、それが例えば、これは私が得た情報ですよ、例えば和歌山県が——何のたれべえとは言いません、和歌山県がこの二百億の問題について協力するにはいろいろな条件がある。例えば航空局が五十一年ですか、「関西新空港と和歌山県」という冊子を出してありましたな、きょう持ってこない。これは事務官そうでしょう。あれを読んでみたって、和歌山県の漁業に関する問題は一言もない。ところが和歌山県の知事の要請文を見ると、和歌山県はタイ、お魚ね、タイのとれる産地なので、それに対する補償の問題をどうしてくれるのかという問題が、やっぱり協力の度合いをはかる一つのバロメーターだ。それから、後で出てきますが、跡地利用について、一体和歌山県からどれだけ関西新空港がとってくれるか、もしも巷間で言われているような格好で和歌山県の土取りをやってくれなければとね。それもバロメーターだ。土地をとった跡にいわゆる住宅、後で和歌山県何とか、今度話をしますが、その度合いによって金の度合いが出てくるということが巷間で言われているんですよ。
だから私は、心配だから質問するんです。いろいろなことが進んでいって、戦い済んで日が暮れてみたら、土取りの問題で利害関係、漁業補償の問題で利害関係、あるいは連絡橋の問題で利害関係、国鉄のアクセスの問題で、阪和線、利害関係、全部利害関係が相反して、おれはパアだとなったときに、この肝心かなめの資金の面でパンクしてしまうんじゃありませんかということを私は心配するんですよ。だから行政側の姿勢としてはやっぱり、大体この程度の金を負担してください、そのかわりあなた方の要請についても十分に耳を傾けましょうというのが折衝する側の行政の姿勢でなければならない、こう私は思うんですよ、新しいモデルですから。
ですから私はこの段階で大臣が何ぼ答弁したって——じゃ金が集まらなかった場合にだれが責任をとるんですか。政府が金を出すんですか、大臣。二百億予定していたけれども百五十億しか集まらない、五十億足りなかったという場合には、政府出資の一二%のやつを、国がじゃ、地方自治体が負担すべき金が集まらなかった場合には、その分は国の財投からやるとか、あるいは国の出資をふやすとか、そういってんびんにかけながら折衝するんですか。もしも集まらない場合はどうするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/132
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133・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) これは大変な事業ですからいろんな問題が起こることはもう、これは後からちょっと申し上げますが、二百億については三県の知事が書面をもってお引き受けをいただいたんです。ですから、それが信用できないという話ですと、話がもとから御破算になっちゃうんです。そんなことはないんで、自治省とも話した上で二百億はとにかく引き受けようといって三県知事が約束していただいたわけですから、ただ問題は今あなたが後でいろいろおっしゃったいろいろなほかのことがあります。各県がいろいろな御要望があります。地域整備の問題やら、土取りの問題やらいろいろなことがあります、漁業補償の問題やら。こういう問題をきちんとやっぱり片づけていかなければ円満に、円滑にいきませんわね、この仕事は。
だから、これは大変な仕事であることは認めますが、だから二百億の出資がだめになるという話に持ってこられますと、その場合にはどうするという御質問なんですけれども、それはそういうことはないという前提で我々はやっておる。
いろいろな問題が出てきますよ、今後。それについては相当これは会社なりあるいは——会社だけにはとても任せておけないと思いますね。政府がやはり対応をいろいろしてあげなければいかぬのじゃないか。特に周辺整備やアクセスの問題、それから漁業権の補償の問題、そういう大きな問題は政府があくまでも、やはり三分の二の出資者ですから面倒を見て、物を壊さないようにしていく。とにかく空港をつくるということなんですから壊してしまっては困るわけなんで、だからそういう努力をしなければならぬということは認めますが、今のところ決まっておらぬ。
決まっておれば一番よろしいのでしょうが、決まっておらないので、決まっておらぬのをここで決まりましたと、大阪府が何億で、大阪市が何億で、兵庫が何億で、和歌山が何億と言うわけにはまいらないわけなんでございます、それは。決まっておらないものは言えない。こういうことなんでございまして、この点は御辛抱いただいて御審議をいただくということにしていただきたいのでございます。
二百億を三県でお引き受けいただいたと、こういうことなんで、私どもは、お引き受けいただいて、これはとても見込みがないな、見込みが薄いななどというふうには思っておりません。もう大丈夫、絶対に二百億は出していただけるというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/133
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134・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 私は大阪に二回行っているんですよ。党の調査で何人かと行きまして大阪府の企画、企業局の皆さんとかお話しした際に、まあ大阪は金があるから少々無理言われても負担しましょう、大阪府のプロジェクトのつもりでやりますからって話しておったがね。ところが兵庫と和歌山へ行くと、全然もう反応が違うんですよ。だから私は、どういうメリットをくれるかによって金の負担が違うというような感じをどうしても受けたんですよ。
だから、三県知事さんが連名で、二百億については財産を質に置いてもやります、関西の財外が二百億出します、そういう一筆を運輸大臣とか航空局長に、一札啓上つかまつると、確認書でも覚書でも出しているんですか、じゃ。随分あなたたちは頑張っているけれども。そういう覚書出しているの。覚書出しているんならここに資料として出してくださいよ。会社出発の資金繰りについて自信がないままに、法案の審議なんてやれませんよ。だから覚書なら覚書を出してください、その証拠に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/134
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135・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 何か注意がさっきこっちからありましてね、三府県連名でということだったんですが、連名じゃないんです。各県の知事がお出しになったということですから、その点は修正をしておきます。
それから、財界の、一般の民間のものも含めて自信があるのか、証文が出ているのかというお話でございますが、これは県知事の方は書面がはっきりと出ております。大阪府ですね、大阪府と兵庫県と和歌山県から出ておるわけです。それから民間については、これは財界の代表者の方が引き受けると、こうおっしゃっていただいておるということなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/135
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136・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 私は率直に言って、航空局の皆さんがどうこうというわけじゃありませんが、前の塩川運輸大臣とはもう嫌というくらいやり合ったんですが、私は率直に言って泉州沖には反対です、率直に言って。やっぱり兵庫県側の提案の方がよりよかったんじゃないかなと、こういう信念を今でも持っています、今でも。ですから、後、伊丹空港の問題とかあるいは神戸空港の問題、泉州沖の三つの空港の問題になったら、一体運輸省と航空局は何をやろうとするのか、新幹線の停車駅じゃあるまいし、国民の税金を使って。それだから私はしつこいんです。
この文にもありますように、参議院の森下さんと出ています。本人はどうか知りません。森下さんは、兵庫県で石井を関西財界がたたき落としたと、選挙で。ところが今度は石井さん、これは山民党航空対策特別委員会の副委員長、今落選したから肩書がないけれども、この人が、あんな森下に負けるものか、泉州沖など二、三年でぶっつぶしてやると。ぶっつぶしてやるというのは、金を出さないということですよ。そういう関係が政界の渦巻きになっている。
そんな渦巻きになっているときにその二百億の問題、これは率直に言って、三県協議会でやりましょうという約束が、最初は大阪で話つけて、それから今度は和歌山で話つけて、一番うるさい兵庫は一番後になったんでしょう。しかもあなたが行って、神戸空港協力しますと言って初めて、何だか変だけれどもなったんでしょう。それ事実でしょう。大阪で最初話をつけて、和歌山に行って、兵庫に行って。そのおのおのの文書を出しなさいよ。
二百億については心配ないという県知事の角判を押した、運輸大臣なら運輸大臣、航空局長なら航空局長に公文書で出しておるんだろうから、じゃ公文書出しなさいよ、まず、イの一番に。公文書見せてくださいよ、公文書。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/136
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137・山本長
○政府委員(山本長君) 地方公共団体の出資につきましては、この構想をまとめ上げますときに、大阪府知事からは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/137
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138・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 公文書出しなさい、回答書を、証拠物件を。そんな、口でしゃべるよりか具体例、もう一見にしかずだよ。そんなしゃべっている時間があれば、その証文があるなら証文を、財界の証文と自治体の証文を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/138
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139・山本長
○政府委員(山本長君) 大阪府知事からは、地方公共団体の出資を含め、長期低利債等による資金の調達についても積極的に協力するとともに、地元経済界に対しても本構想実現に協力するよう強く要請してまいりたい、自分のところについては積極的に協力する、こういうふうに大阪府知事からは文書が提出されております。それから兵庫県、和歌山県につきましては、私たち、まだこういう段階でございますから感触を聞いておる段階でございますけれども、積極的にこれについては、程度においては差がございます、差がございますけれども、三府県だけではなく、私たちのところにも、出資をしたい、そのほかにも出資をしたいというふうな申し入れもございまして、二百億円の出資については私たちは不安はないというふうに考えておる次第でございます。
具体的な問題は、これは地方公共団体同士の関係がございますし、さらにまた、地方公共団体が出資をいたしますときにやはり起債の引き受けということで自治省あるいは財政当局との関連も出てまいりますので、そういった点もやはり明確にした上で割り振りが決まってくるということでございます。そういった点についてもクリアにした上で具体的には割り振りが決まってくる、こういうことでございます。しかし、今までの私たちの公式、非公式の折衝におきまして、二百億円の出資については不安はないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/139
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140・目黒今朝次郎
○目黒今朝次郎君 やっぱりついに本音が出ました。私は、冒頭に申し上げたとおり、これだけ国会で追及しているんだからね、決算委員会、運輸委員会で。全部既定事実を積み上げてきているんですよ。だからその場その場で決算委員会とか運輸委員会で答弁して、その場を通ると思ったら間違いだ。後で申し上げる航空審議会の問題と運輸省案、伊丹空港の問題、航空需要と収支計算書の問題、こういうふうにやっていますと、やっぱり今航空局長が言ったような形では私はここは審議はできない。
仮に証拠物件を出しなさいと言ったら、大阪だけは出しましてあとの問題は感触でございますと。一番最初運輸大臣は三県共通でもらっていますと。今の議事録のところを出してみなさい。それだけで一体我々何を根拠に審議できるの。したがって私は委員長に、二時間五十二分ですがね、私はこれを保留します。こんなことでは遺憾ながら社会党のトップとして私はできません。まだこんなにあるんだからね、これ。始まったばかりだ。こんなにある、私が持っている資料だけでも。これは第一ですよ。私は第三まで持っているから。
だから、こんなことでは質問できませんから私は質問を保留します。したがって、具体的な数字が出た段階で改めて質問する。質問を留保します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/140
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141・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 速記をとめて。
〔午後二時四十分速記中止〕
〔午後二時五十九分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/141
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142・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/142
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143・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 先ほどの目黒委員の御質問に対する答弁、不十分であるということでございまして、私どもの方でも十分に検討させていただいて、次の機会に御満足のいく回答をさせていただきたいと、御答弁をさせていただきたいと存じます。
なお、この際私一言だけお断り申し上げておかなければなりませんが、兵庫県知事が書面をと申しましたことが速記録にも載っておると思いますが、これは私の勘違いでございまして、今年の一月十七日に兵庫県知事が来られて書面をそこで出されたものですから、私は兵庫県知事の書面というふうに思っておりましたが、実はこれは運輸省と兵庫県の共同コメントでございましたので、兵庫県知事の話は、私はこの耳ではっきり承ったわけでございますし、またその中にも、共同コメントの中にも、神戸空港の件について協力を求められ、これについて私が調査について十分の協力をすることを約束し、これは口頭でも約束し、この書面にも書いてございます。
これだけちょっと、私の早とちりでございまして間違えましたので、訂正をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/143
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144・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 目黒今朝次郎君の残余の質疑は次回以降に譲ります。
質疑を続けます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/144
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145・内藤健
○内藤健君 関西国際空港の建設につきましては、この調査が開始されて以来二十年を経過いたしておりますが、今回のこの国会にその事業主体となる関西国際空港株式会社法案が提出されまして、この間におきまして大変な御苦労を重ねてこられました関係の皆様に、私はまず心から敬意を表するものでございます。
私どもは先般、現地視察を行いまして、そうして地元の関係者からそれぞれの御要望やそして御意見を伺ったわけでありますが、新空港の一日も早い建設を期待し、そうしてこの株式会社に対しても、出資をも含めて積極的に参画をしたい、こういった地元の地方自治体や財界の方々の強い意見がございました。しかしながら、その反面、一日も早い建設を期待しながらも、この特殊法人案に対しては率直に言って戸惑いを感じておる、こういう御意見もあったわけでございます。先ほども質疑の中で大臣からのお話もございましたが、何分にもこの試みは初めてのことでございますので、こうした戸惑いやあるいは心配というものがあって当然だろう、こういうお言葉もございましたが、私自身にいたしましても、現在の我が国の航空需要の現状を見詰めましたときに、この空港が早期に完成していただきたいと強い希望を持っておるものでありますが、こうした私自身にいたしましても、この法案について一部の危惧を持たざるを得ない点がございます。したがいまして、こうした点からお尋ねをいたします。
まず、そのお尋ねの第一点は、この株式会社方式によって具体的なメリットがどのようにあるか、そしてまたどのようなデメリットが予想せられておるのか、この辺についてまずお伺いしたいと思います。
また、あわせまして、空港整備法では国の責任で設置、管理されるべき第一種の国際空港をこうして民間が出資する株式会社に担当させることにつきましては、国際空港の運営が営利本位になり、結局は利用者たる国民に過大な負担をかけないか、こういうふうな危惧を持つものでありますが、国際空港の公共性を維持して、そして利用者に過大な負担をかけないという歯どめをするのも当然と思うのでございますが、この歯どめがどの辺にできておるか、どのような歯どめができておるか。この二点について、まずあわせてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/145
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146・山本長
○政府委員(山本長君) メリット、デメリットの御質問でございますが、この特殊法人たる株式会社方式をとりましたのは、やはり資金調達の多様化、効率的な事業執行体制の確保のほか、新しい時代の要請としての民間活力の導入、地域社会との調和の観点から国と地方公共団体、民間が一体となった協力、責任体制のもとに弾力的、効率的経営を可能とするこういう株式会社方式が適切である、こう判断いたしたのでございます。
具体的な問題といたしまして、メリットとして考えられますことは、従来の方式に比べましてやはり地方公共団体、民間等からの出資が得られる、また低利資金の融資というものが縁故債あるいは縁故の貸し付けということで得られるというふうなこと、あるいは通常、財政投融資というものがこういうところに入るわけでございますけれども、そういった財政投融資としての政府保証債のほかに、会社方式であるということでございますので開発銀行からの融資の道も開かれる、こういうふうな資金調達面でのメリットがあろうかと思います。また、民間が参画する、資本を持って参画をするということでもちまして、民間の経営手法の導入、そしてそれを通じての経営の効率的な運営ということが期待できるのではないかというふうに考えられます。さらにまた、従来の政府直轄方式でございますとか、あるいは公団方式に比べまして、特殊法人ではございますが、株式会社の組織というものを活用するわけでございますので、この会社の事業運営自身が、何と申しますか、自律的、自主的な運営というものが期待できるということが言えるかと思います。
デメリットでございますが、やはり事業といたしまして公共性の非常に高い事業でございますので、特殊会社方式であろうとはいえ、やはり公共性の確保という見地から十分な事業の執行がなされなければならない、この点につきまして営利に走り過ぎるということがあってはならないということがあると思います。これにつきましては、所要の監督措置を講ずることによりましてこういったデメリットを防ぐという手法を講じておるわけでございます。
もう一点の、利用者である国民に負担をかけることにならないように歯どめの措置がどうなっているかというふうな御質問でございますが、公共性の確保という観点から申し上げますれば、法律上、政府が発行済み株式の二分の一以上を保有するということになっております。具体的には、資金計画上は、先ほど申し上げましたが、三分の二を持つという計画でもって政府が主導的な資金面の役割を果たすというふうになっておりますし、そのほか、この空港の基本施設の運営、航空保安施設の建設、運営につきましては運輸大臣が定める基本計画に従って運営し設置をしなければならぬというふうな義務規定もございますし、そのほか、所要の監督規制がございます。同時にまた、一方、会社の運営が円滑にいくように、助成措置もございます。こういった助成と監督を通じまして、会社の事業運営の公共性と事業運営の円滑化を図ってまいるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/146
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147・内藤健
○内藤健君 ただいまもお答えにございましたように、こうした方式でやることによって早期に取り組むことができる、こういうことが一番大きなメリットであろうと思いますが、ぜひひとつそういうふうな期待にこたえて早期に完成をしていただきたい。
また、本空港は十月一日に会社が設立の予定になっておりますが、地方自治体が出資する二百億円、先ほど質疑の中にも出てまいりましたが、この二百億円を出資する場合に、それぞれの地方公共団体では議会の承認を得なければならないと思います。そして、各自治体のこれから一番早い議会開会日と申しますと、九月議会であると思うのであります。この九月議会は、大体が九月の二十日過ぎに開会をしましてそして十月の中ごろに閉会する、こういうふうなことになっておりますが、こうなりますと、十月一日の会社発足には間に合わないと思うのでありますが、この辺の取り組み方をどう進めていかれるかお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/147
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148・山本長
○政府委員(山本長君) 運輸省といたしましては、事業自身を一刻も早く開始したいという気持ちでございますので、会社の設立もできるだけ早く発足させたいという気持ちでございます。十月一日を目途にして進めたいというふうに考えておるわけでございますが、これを進めるためには、当然この法案を御承認いただけるということが必要になってまいります。その時期にもよります。先生がおっしゃった地方議会との関連もございます。地方議会の開催ということからの一つのそういった制約がございます。この点につきましては、通常の議会でもって議決するということになりますれば、また、地方によりまして若干の日にちの差がございますので一概には申せませんけれども、若干の懸念があることも事実でございます。
しかし、この点につきましては、やはり地方公共団体等の協力と理解を得まして、私たちといたしましては、できるだけ早く会社が発足できるように諸般の手続を進めていただきたいというふうに、地方公共団体に強く働きかけてまいりたいというふうに考えておるところでございます。おっしゃるような懸念がないわけではございませんけれども、私たちといたしましては、十月一日という目標を崩したくない、これに間に合わせるように持っていきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/148
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149・内藤健
○内藤健君 これは何の事業をやっても同じでございますが、最初が肝心でございまして、最初少しおくれますと後へずっとこれが響いてくるということになりますので、どうぞ今お答えがございましたように、十月一日を目指してぜひともこれが発足できるように期待しておきます。
また、この第一期計画の建設にかかわる総事業費が一兆円、そして建設費が八千二百億円、こういうふうに見込まれておりますが、これは過去のこのような巨大プロジェクト、この場合は工事費が当初予定しておる分よりかどうしても増額になっておる、こういうふうなのが常識なようでございます。したがいまして、この計画も、今後この建設工事費が仮に当初に予定しておる工事費より増加をした場合に、国や地方公共団体あるいは民間の資金負担の割合が変わらない、増加しても変わらない、こういうふうな約束をすることは非常に難しい、かように思うのであります。
したがいまして、この事業が円滑に実施される、そうした見地から、事業着工前にこのような事業資金負担割合を国あるいは地方公共団体、民間の間で明確に私は取り決めておく必要があるんじゃないか、かように思うんですが、この点はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/149
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150・山本長
○政府委員(山本長君) 事業費につきましては、長年の調査の結果、また相当多数のボーリングによりまして地盤の状況を調べたりいたしておりまして、運輸省の技術者といたしましては、過去の経験からして大きな変動は生じないものと考えておる次第でございますが、しかし、仮にそういったことが起こったというふうな場合におきましては、御懸念のいろんな問題が出てくると思います。
しかしながら、この会社の設立運営には、政府が三分の二の資本金を持つというふうな計画でございますし、それからまた無利子の資金の貸し付けをするというふうなこと、あるいは会社の資金の借り入れにつきまして政府が保証をするというふうなこと、それから法律上の諸般の監督措置というものがあるわけでございます。こういった意味におきまして、事業運営に政府が非常に大きな役割を果たしておるという立場にございます。今この場で、先生おっしゃるように、将来のそういうことを仮定してその増加分についてはっきりした取り決めをしておくべきだというふうな御質問でございますが、それはそういうことができれば非常にいいとは思いますが、これは不確定な要素がございますのでなかなか難しいと思います。しかしながら、国が、そういった問題が生じましたときには、主導的な立場で大きな役割を果たしていかなきゃならないのは事実でございます。そういう立場を踏まえながら、一体となってやっております地方公共団体、民間と十分協議をいたしまして、やはり国の立場を貫きながら適切な対応を図っていくということが適切であるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/150
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151・内藤健
○内藤健君 大きな変動はないものと、またそうなってもいろいろな措置が講ぜられると、こういうふうなお話でございますが、例えば物価の上昇、こういうことによっても多少の数字が変わってくる、こういうふうに思うのでありますが、ひとつ念には念を入れて、この点も配慮して今後対応していただきたい、かように思います。
また、この会社の採算性についてでございますが、これは運輸省の試算も出されておりますが、やはり工事費が増加するということになりますと、もとが多くなるのでありますから、当然採算性ということにつきましても、こういうふうなものも考慮に入れて計算をしておくべきでなかろうか。これは、用心のためにそうした方がいいんじゃないかと私は思うのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/151
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152・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 関西国際空港は大きなプロジェクトでございます。また相当長期にわたって建設を進めなくてはならないプロジェクトでございます。そういったことを考えますと、先生御指摘のように、物価の上昇といった問題、それから現段階では予測されない工事費の増加といったことも起こり得る可能性はございます。
しかしながら、私ども今まで十分時間をかけて調査をしてまいりましたので、予測されない事態が生じて大幅に見通しが狂うということは、まず起こり得ないのではないかと考えております。ただし、物価の上昇ということに関しましては、これは我々の力の及ぶ範囲ではございませんので、こればかりは将来起きる可能性は十分あると思います。そういったいろいろ不安要因はございますけれども、適切な事業計画、また事業の推進体制をとることによりまして、収支採算はとれると考えております。
なお、物価の上昇ということでございますけれども、五十八年度の物価水準に一応凍結いたしまして工事費の積算をしてございます。したがいまして、建設期間終了後開港する予定が六十八年度でございますので、その時点までにはまだ何らかの物価上昇はあります。そうしますと、それから以降の収入におきましては、その時点における物価水準に見合った収入を確保できるかと思いますので、採算面については何とかとっていけるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/152
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153・内藤健
○内藤健君 いろいろ御説明をいただきましたので、一安心でございますが、ただ、過去の巨大プロジェクトの例を先ほども取り上げましたが、例えば新幹線の建設であるとか、それから高速道路の建設であるとか、こういったものにつきましては、過去において、かなり当初の予定額よりか上がっておるケースもたくさんあるわけでございますから、その辺も十分御検討してやっていただきますようにお願いをしておきます。
そうして、この空港会社の収支採算上重要なことは開港後の需要見通してありますが、この予測をする上で大変私は大切なことだと思うのが、この空港は近畿地区の需要を賄うだけではなく、中国そして四国といったいわゆる西日本一帯の需要をどう集めるかに私はかかっておるのでなかろうかと、かようにも思うわけでございます。そのために、先日も現地視察をいたしました折にも指摘されておりましたが、この新空港と神戸を結ぶ海上アクセスの整備、さらには淡路島そうして四国からの需要を賄うための海上のアクセスの整備、こういったものは私は必要不可欠なものである、かように思うわけでございますが、これらの地域とこの新空港を結ぶアクセスについてどのような検討がなされておるのか、お伺いをいたします。
また、あわせまして、私は徳島でございます。徳島空港からの空の便でございますが、この新空港までは飛び立って直線で行きますともう十分もかからぬうちに着くような近距離でありますが、このような近距離でも従来のような方式で飛行機の運航がなされるのかどうか、その辺につきましてもあわせてお伺いをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/153
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154・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 先生御指摘のとおり、アクセス問題、非常に重要視していかなくてはならないと考えております。
中国、四国からのアクセスにつきましては主に海上アクセスということを考えなきゃいけないと思っておりますけれども、海上アクセスの場合に、空港島に港をつくりまして、それを適切に受け入れられるように措置してまいりたいと考えております。また、国際線に乗り継がれる方などは、関西国際空港に空路お入りになるという方もいらっしゃると思います。例えば、先生御指摘の徳島空港から、毎年四十万人の方々が大阪空港に飛んでいらっしゃいますけれども、その方々は大阪空港周辺にビジネスその他用事のある方もございますけれども、恐らく国際線に乗り継がれる方、また国内幹線に乗り継がれる方、いろいろな方がいらっしゃると思います。そういった方々の需要におこたえするためにも、空路を四国、九州、徳島といったようなところから新関西に乗り入れる空路の検討も進めなくてはならないと思いますけれども、これは他の交通機関との関連もございます。経済性、快適性、その他いろんな要素を加味しなくてはいけませんので、今後の研究課題として検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/154
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155・内藤健
○内藤健君 ちょっと、まことに申しわけございません、聞き漏らしたんですが、徳島空港からこの空港へ結ぶ従来どおりの運航というのはどうなんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/155
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156・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 徳島空港から現在毎年四十万人の方が大阪空港に行かれておりますけれども、大阪国際空港の存廃に関しまして今後我々調査をし、関係地方公共団体などの方々の意見を聞いてから存廃を決めますので、確定的なことは申し上げられません。しかしながら、仮に大阪国際空港が存在するとしても、徳島と大阪国際空港を結ぶ路線は大阪国際空港周辺の方々の御用事のために残さなくてはいけない。それ以外に、現在大阪国際空港に国際線が入っております。そういうための乗り継ぎとして空路を利用なすっている方も相当いらっしゃるのではないかと思います。そういう方々に対しては、今度は国際線はすべて関西国際空港の方に移りますので、徳島空港から国際線に乗り継ぐ方々の便益のためには、やはり徳島空港から関西国際空港に直接航空路線を引く可能性を検討しなくてはいけないということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/156
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157・内藤健
○内藤健君 私が尋ねておるのは、それもそうですが、それじゃなく、非常に近距離なんですよね、今度できる空港と徳島空港が。飛び立って十分もすれば着くぐらいの近距離なんですが、その近距離のところへ今までのような、従来飛んでおるような飛行機が運航できるのかどうか、この辺をお伺いしておるんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/157
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158・山本長
○政府委員(山本長君) 部長が申し上げましたように、検討課題だと思います。ただ、検討課題だと思いますが、飛行機と申しますのはやはり相当上がらなければなりません。上がったらおりるというふうなことで非常に不経済でございます。したがいまして、アクセスという面での整備の必要性は、これは真剣に考えなければなりません。その場合に、この新空港と徳島とのアクセスというものにつきましては、空路も含めて検討課題でございますけれども、やはり何が一番いいかという点で検討していかなきゃならぬと思います。確かに、申されました海上アクセスというのは一つの大きないい手段ではないかというふうな気もいたします。海上アクセスとして立派なアクセスをつくるということも一つの方法だろうというふうに考えます。しかし、今後の検討課題として十分検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/158
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159・内藤健
○内藤健君 私は素人で、しつこく尋ねてまことに申しわけないんですが、今お答えいただきまして、飛行機は上がってそしておりると、こういうことでございますが、近くでありましても商うに上がりまして、そうして近くでありましてもこうやっておりてくると、こういうことですか。それだったら、需要があれば従来のような、今はYSが飛んでおるのでありますが、従来のような飛行機の運航というのも行われるわけですね、需要があれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/159
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160・山本長
○政府委員(山本長君) 需要とやっぱり経済性といいましょうか、両方の観点と、それからやはり他の交通機関との整備、これは需要と経済性とに関連をしてくると思います。両々にらみながら一番いい方法は何かということでございます。したがって、部長が申し上げましたように、航空路の問題は検討の課題であると思いますけれども、しかし航空路がいいのかむしろ海上アクセスの方がいいのかということは、やはり重要な検討課題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/160
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161・梶原清
○梶原清君 関連をいたしまして、要望を兼ねて二点ほどお尋ねをいたします。
先ほどの内藤先生の御質問に関連するわけでございますが、道路、鉄道など空港アクセスというのが非常に重要な課題でございます。このアクセスにつきましては、計画の決定から始まりまして、事業資金の確保、用地取得等との問題がございますが、それに加えて、近畿地区の特徴といたしまして、あの地区には文化財が非常に多うございます。場所によっては埋蔵文化財の調査に相当の時日を要することも考えられるわけでございまして、この点を十分御認識をされ、御留意されまして、空港アクセスの整備に遺憾のないように特段の御配慮を賜りたい、このように思うわけでございますが、これにつきましての御見解を簡潔にお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/161
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162・山本長
○政府委員(山本長君) 古い土地柄でございますので、あの辺の工事というものにつきまして、埋蔵文化財の問題というのは非常に重要な問題でございます。埋蔵文化財の処理はやはり大切な問題でございます。同時に、反面、工事が遅延するという原因になっていることも事実でございます。したがいまして、この辺につきましては、これは埋蔵文化財の保存といいますか、あるいは記録というものについて、教育委員会というふうなところの御理解というものも得ながら、やはり埋蔵文化財の調査も十分やると同時に工事も進めていくという両面の配慮が必要かと思います。特に、アクセスの整備につきましてはその面が重要かと思います。私ども、この空港のプロジェクトを進める上においてアクセスは欠くべからざるものでございますので、この辺につきまして大阪府などの協力を得ていきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/162
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163・梶原清
○梶原清君 内藤委員が最初に御指摘になりましたことでございますけれども、昔から、初め半分、初めが大事と申しておるわけでございまして、運輸当局は今日まで二十年近い歳月をかけて、二百億円を超える調査費を投入して、慎重かつ入念な各般の調査を行われてきたわけであります。また、公害のない二十四時間運用の本空港の建設につきまして、地元の理解を得るための手順についても、忍耐強く、極めて着実な努力を積み重ねてまいられたわけであります。いよいよ事業主体を設立される運びになってまいったわけでございますが、この空港は公害のない我が国でただ一つの二十四時間運用の国際空港であります。一日も早く着工して、一日も早く完成されることを心から期待をするわけでございますけれども、事業主体も新しい株式会社の構想でもございますし、関係する人も非常に多うございますので、ぜひとも平穏に、円滑に、そして円満に、何一つトラブルの起きることのないように、この上ともの格段の御配慮をお願い申し上げたい。
この点につきましての御決意のほどを御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/163
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164・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) ただいまおっしゃったとおり、長年月調査を続けてようやくここまで参っておる空港でございますし、また本邦初めての二十四時間使用できる国際空港、ただ一つの国際空港でもございますので、御要望のございましたように、間違いなくこれが一日も早く開港いたしますように、いろいろなトラブルが起こらないように、最善の努力を尽くしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/164
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165・内藤健
○内藤健君 先ほどの御答弁でも、徳島から飛行機も従来どおり飛ばすことも含めて、経済性等々を考えた上で検討する、こういう御答弁がございましたが、どうぞ採算性という面から考えて、やはり四国の需要というのは少しでもあそこへ吸い寄るような方法をとっていただかなければ当然この空港の採算性もとれないわけでございますから、ひとつよろしくお願いを申し上げておきます。
そして、私は次に、一つ提言と申しますか、こういうふうなものを申し上げておきたいと思うのであります。
この新空港は関西国際空港株式会社、こういう名前で発足されるわけでありますから、当然この空港名と申しますものも関西国際空港と、こういうふうに呼ばれるようになるだろうと思うのであります。これについて私は一つの疑問を持つものであります。それと申しますものは、関西とか関東とか言いますと、日本人だったらこの言葉がなじんでよくわかるわけでありますが、外国人、この空港は国際空港でありますから、外国も相手にやられる空港でありますから、外国人から見た日本、これは日本、東京そして大阪と、こういった名前が非常になじまれておるのではないかと、こういうふうに思うのであります。成田の飛行場を見てみましても、所在地は千葉県にありながら新東京国際空港と、こういうふうな名前になっておりますし、また諸外国の空港を見ましても、そのほとんどが都市名を使っておる。こういうことでありますから、私どもから見てもわかりやすいわけでございます。こういうふうな点について、この空港名についてそういう意味から見てみますと、新大阪空港、こういうふうな名称をつけると、非常になじみ、親しみやすい、こういうふうになるのではなかろうかと思うのでありますが、今ここで御答弁をいただくということは難しかろうかと思いますが、ひとつ大臣、この点につきまして御感想がございましたら、お述べいただきましたら幸いに存ずるのでありますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/165
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166・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) まことにごもっともな御提案でございまして、関西という名前では外国には通用しないと、おっしゃるとおりだと思います。ただ、ここで考えなきゃならぬことは、今、関西各地域の皆さん方の、公共団体並びに民間の方々の御協力を得るというようなことに相なっておりまするので、そのうちの大阪だけを名称にいたしますことについても抵抗があるのではなかろうか、これらのところは検討を要する問題ではなかろうかと思っております。ただ、新東京国際空港はローマ字で書くとNARITAというようでございますので、そこらの問題をあわせて検討をしなければならないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/166
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167・内藤健
○内藤健君 これはおっしゃるとおりでございますが、成田にいたしましても、東京、成田と、成田といったら東京の成田というふうに外国人はそう感じておるのでないかと思います。また、現在の大阪空港ですが、これは御承知のように大阪府と丘庫県にまたがっておりますが、空港名はこれ大阪国際空港でありますが、ここにありますターミナルビル、これの名前は関西国際空港ビルディング株式会社、こういうふうになっておりますが、これは、こういう悪い言葉で申し上げたら大変失礼かと思いますが、いろいろとメンツの問題だと、こういうふうに私は聞かされておるのであります。したがいまして、この新空港は、先ほども御答弁にございましたが、大変な事業でございます。大事業でございます。このせっかくのこうした大事業の空港、こうした空港に、今大臣のお話しになられましたメンツの問題、これはない方がいいんじゃないか、やはりよく知られた親しみのある名称にすべきでないかと、かようにも思うのでありますが、なおよく検討をしていただきますように重ねてお願いをしておきます。
ともかく、首都圏と並んで我が国の経済、そして文化等々の中心でありますこの近畿圏の空の足を支える現在の大阪空港は、御承知のようにその使用面積も大変狭隘でありますし、その上、環境上にも問題があります。そして、それらのことから、年々この空港の重要性を失いつつありますことも事実であります。そのことは、当地域のみならず、我が国にとりましてもこれはゆゆしき問題である、かように思うのであります。我が国が将来にわたって国際化社会における重要な責務を果たしていくためにも、このような二十四時間運用の国際空港を早急に整備して、そうして世界に向けて窓を開いていくことが、我が国にとって極めて重要なことだと思います。
どうか、関係各位の今後のなお一層の御努力によりまして、予定どおりこの空港が完成をされますことを心から大いに期待を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/167
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168・桑名義治
○桑名義治君 今回の関西国際空港は、非常に重要な役割を今後占めていくわけでございます。
そこで、世界の主要空港のうち、オランダのスキポール空港、それから西ドイツのフランクフルト空港、こういった二つの空港がいわゆる会社組織で運営されているように資料ではなっているわけでございますが、国や地方公共団体以外にこの二つの空港については民間がいわゆる投資しているのかどうか、それからこれらの空港の経営内容はどういうふうになっているのか、それと同時に、利益配当が行われているかどうか、この点をまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/168
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169・山本長
○政府委員(山本長君) 御指摘のスキポール空港、フランクフルト空港、株式会社方式で運営されておるのでございます。御質問の、民間の資本が入っているか、出資として入っているかという点でございますけれども、民間の資金は出資としては入っておりません。政府とそれから地方公共団体、これは市である場合と州である場合がございますけれども、地方公共団体の出資と政府の出資の株式会社でございます。
それから、経営状況、配当状況でございますけれども、調べましたところちょっと配当状況についてつかみかねましたので申しわけございませんが、経営状況につきまして申し上げますと、スキポール空港は、ちょっと資料が古うございますけれども、一九七九年の資料でございます。これは税金を払った後で税引き後の利益といたしまして七百五十万ギルダー、日本円にいたしまして約十億円の税引き後の利益を計上いたしております。それからフランクフルト空港につきましては、同じ統計でございますけれども、四百五十万マルク、日本円に換算いたしまして約六十億円の利益を計上している、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/169
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170・桑名義治
○桑名義治君 次にちょっとお尋ねをしておきたいことは、先ほどからも論議が行われていたわけでございますが、今回の関西空港建設に当たりましてどういう形態でいわゆる関西空港を建設するかという論議、運輸省の案は二つの案があったわけでございますが、最終的には審議会等におきましてもこういうふうな民間の導入の株式会社ということにおさまったようでございますけれども、そこで、このためには、特に中曽根総理の強い意思が働いたというようなことが巷間伝えられているわけでございます。
その主なる理由というのは、やっぱり民間活力の導入、それから国家財政が非常に厳しい、この大きな二つの理由が大きく影響力を与えたんだろう、こういうふうに思うわけでございますが、その点に対する考え方と、それから先ほどもちょっとお話があっておりましたが、株式会社にした場合のいわゆるメリットですね、この点についてもう一遍明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/170
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171・山本長
○政府委員(山本長君) 株式会社にした理由あるいはそのメリット論でございますけれども、株式会社にいたしました理由と申しますのは、やはり臨調の答申があり、民間活力の積極的な導入を提言したというこの趣旨を尊重する必要があることとか、あるいは空港と地域社会というものとやはり調和を図っていかなきゃなりませんので、従来の政府単独出資の公団ということよりは、国だけではなくて地方公共団体、それから民間の経済界が一体となった協力責任体制という方が望ましいということ、あるいはまた組織体といたしまして弾力的、効率的な、企業的な経営を可能といたしますためにも民間の積極的な参加がプラスになる、こういう面がございますので、そういった観点からこの三者一体の特殊法人たる株式会社という判断をしたわけでございます。
メリット、デメリット論でございますけれども、メリット論というのは、これは私の株式会社にした理由の中にも触れられましたけれども、やはり資金調達の多様化ということがあろうかと思います。それから民間が経営参画する、資本に参加して経営に参画するということによりまして、事業経営にやっぱり民間の経営手法というものの導入が図られ、またそれを通じて事業運営の効率化が期待できるのじゃないかという点があろうかと思います。それからまた、今までの政府機関の運営方式よりは、やはり株式会社方式によりまして、自律的、自主性と申しますか、の運営というものが期待できるのではなかろうか、こういったメリットがあろうかと思います。
しかし、デメリットといたしまして、先ほども若干申し上げましたけれども、企業性あるいは採算性ということに走る余り事業の公共性というものがないがしろになってはいけないわけでございますので、この辺についての歯どめというものが必要だというふうに考えます。この点につきましては、法案の中におきましても種々の監督措置というものによりまして歯どめをしているというふうな考え方で成り立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/171
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172・桑名義治
○桑名義治君 その民間のいわゆる株式会社にした理由について、一つには、効率的なあるいはまた弾力的なというふうな、機能的なという、そういう運営上のいわゆるメリットのお話がございました。一つは、投入資金の多様化、こういうお話があったわけでございます。
〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
そこで、いろいろなおたくから出された資料やあるいは法案の中身を見てみますと、いわゆる投入資金というものについては国が三分の二を持つということでございますけれども、実際に地方自治団体を除いて考えた場合には民間の場合には二百億、それと同時に融資面において三百億、こういう、プラスして五百億という投資面においてはメリットしかないわけでございますね。もちろん、お金を借りる場合のいわゆる窓口の多様化ということは多少考えられるかもしれませんが、あるいはまた税制面を見てみましても、これは公団方式と余り変わらないようないわゆる優遇措置が行われているわけでございます。そういう面から見ると、実際の本当の意味のメリットというものはどこにあるんだろうか、こういうふうにちょっと疑問視せざるを得ないわけでございます。いわゆる民間活力の導入というのは何を指して民間活力の導入と言っているのか、そこら辺がどうも余りわからないわけでございます。その点についてまたお答えを願いたい。
と同時に、今回の場合は、政府関係者とそれから地方団体と財界の、いわゆる三者の寄り合い世帯になるわけであります。そういったことを考えますと、いわゆる会社組織の中に、内部の主導権争い、それから出身組織の利害、それからひも、そういうものが変に災いをしていくおそれはないのかどうか。この疑問を私が申し上げるのは、先ほどから目黒議員の質問の中にもございましたように、もう既に人事の問題についていろいろな発言がなされている、報道がなされている、こういう事実が上ってきているわけです。火のないところに煙は立ちません。そういう意味では、もう既にそういった駆け引きが裏の方で行われているんじゃないか、こういう危惧さえもう既に私たちは持っているわけであります。
そういうことを考えますと、政府がねらっている一体的、効率的、機能的、弾力的な、そういう運営が果たして可能であろうかどうかという、こういう疑問を持たざるを得ないわけであります。これは日本航空にとっては申しわけない話でございますが、日本航空も同じような形式になっているわけでございます。国の持ち株が大体四〇%ということで、日本航空もいろいろな問題が派生的に出ておりまして、このことじゃいけないということで今回日本航空の法案で改正をされて国の持ち株が四〇%、減らされたというような事柄があるわけでございまして、そういう事例を考えてみますと、どうもこの点非常に、弾力的、効率的な企業経営という問題について疑問符を打たざるを得ないわけでございますが、この点については、後段については大臣の御意見を伺っておきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/172
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173・山本長
○政府委員(山本長君) 民間活力の導入という意義についてのお尋ねでございますが、先生が御指摘になりましたとおりやっぱり両面あると考えるのでございます。資金面についての民間活力の導入という点はあるけれどもそれはささいではないかという御指摘がございましたけれども、その金額をささいと見るかどうかという問題がございますけれども、しかしやはり空港の資金調達という面から見まして大きな一つの資金の導入というふうに考えていいのではないかというふうに考えます。
また、先ほど私がメリットというふうな点で申し上げましたが、資金面以外のこの民間の経営参画ということによって、従来の政府直轄方式あるいは公団方式というふうなものによるところの経営手法というのに比べまして、民間が参画していることによって民間の経営手法が導入される、またそれによって経営の効率化を図り得る。さらにまた、事業の執行の仕方といたしまして、特殊法人でございますけれども株式会社でございますから、株式会社の機関が設けられ、それによりましてこの事業体の意思決定が行われ事業が執行されるという仕組みになるわけでございますので、従来の公団方式というものに比べまして、企業みずからの自主的あるいは自律的な発想に基づく運営というものが期待できるのじゃないかというふうに考えるのでございます。
資金面とこういった運営面と両面のメリットと申しますか、これが民間活力の導入という意義として言えるのではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/173
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174・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 御質問の後段についてお答えを申し上げます。
寄り合い世帯になってうまくいかないんじゃないかと、この心胆は実際問題として非常にあると思うわけでございまして、そのために何といっても一番大事なのは、最高首脳の人事をどうするかということが一番当面する大事なことじゃなかろうか。皆さんがついていけるということ、一致してやっていけるということは、その中心になる方が非常に大事ではなかろうか、かように実は思っておる次第でございます。公団の場合ですと、これは本当に役人の隣ぐらいのものでございますから、どうしても活発な活動をやらせるためには民間から入ってもらわなくちゃいかぬ。そうするとどうしても、言うならば水と油が一緒にやっていくということなんで、その両方うまくいくというのはなかなかないものなんでございますが、そこらのところをうまくやっていくということが絶対にこの会社の場合は必要である、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/174
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175・桑名義治
○桑名義治君 そこで心配になるのがまたもう一つあるわけでございますが、それはもう巷間伝えられているのは、十月に会社をつくるんだとか、いや今のままでは十二月になりそうだとか、こういうお話が既にあちこちで飛び回っているわけでございますが、実際に十月説、十二月説があるわけですが、こういうふうに一応予定をされているんですか、どうですか。これが一つ。
それから、今大臣からお答えになりましたように、人事の問題はトップが問題だ、こういうお話でございます。トップ、それと同時にそれにつながるスタッフ、これもまた非常に重大な問題でございますが、こういった人選関係はどこで行われるのか。それは会社ですからその会社の株主総会で決まるんだ、こう言えばそれまででございますけれども、それはあくまでも一つのセレモニーであると思うんですね。その前に根回し的に人事問題が決定をされておらないと会社としての機能がなかなか動きがたいと、こういうふうに思うわけでございますが、その点、どこで大体この人事の意思決定が、大体の大まかな意思決定がなされるのか、この点も伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/175
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176・山本長
○政府委員(山本長君) 設立時期の目途の問題でございますけれども、私たち、この法律が御承認いただけるという時期というものも、これは私どもn身で決めるわけにはまいりませんけれども、しかしながら、私どもとしての一応のめどを置いてみまして、それをスタートとしてできるだけ早くということで、十月一日という目標を置いておるわけでございます。先生御指摘のように、地方公共団体につきましては議会の問題が確かにございまして、議会というものもある決められた時期に開かれるということでございますので、その時期との関連をやっぱり十分考えなければなりません。おっしゃるようにそういう議論も、議論と申しますか、懸念というものも私たち実は聞いておるわけでございますけれども、やはりこの時点で私たちとしてはできるだけ早くつくるという観点から、十月一日の目標というものを動かす考えはございません。その十月一日に向けてやはり、関係省の協力と私たちの努力というものによりまして、できるだけ早く発足させるということで対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
十月一日というのは、そういうふうな意味で、できるだけ早くという意味での目標であるというふうに御理解願いたいと思います。
それから人事の問題は、私はちょっと答えにくいのでございますけれども、やはりこれは株式会社の人事というのは、一つは、口幅ったいようでございますけれども、やはり株主の意向というものによって選ばれてくるというのがこれは通例であり、また当たり前であろうと思います。それが、株主総会として形の上でそれが出てくるということでございます。しかし、株主総会の中で初めて新しい人が出てくるのではなくて、やはりその前に、そういった株主たるべき人たちあるいはなろうと予想される人たち、そういった人たちの首脳というようなところで実際問題としてはいろいろ相談をされて、それで株主会社の総会のもとにおいて円滑に選ばれるというふうな形をとるのが通例であり常識的であろうかと思います。この会社におきましても、これは最高首脳人事というのはやっぱり、私たち局長とうというわけにはまいりませんけれども、しかし、そういった手続によってあるいは実際上の話し合いによって選ばれてくるというふうに考えるのが常識的だというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/176
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177・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 人事の問題でございますけれども、今一応航空局長からお答えいたしましたが、実際問題といたしまして、それぞれの出資者の御意向やらいろんな御意向を聞きながらでございますけれども、最高首脳の人事は政府がやはり責任を持って御相談をしながら決めていくということにならざるを得ないんじゃなかろうか。それからその次、個々のものについては、その責任省になられる方の御意見が非常に重要な要素をなすわけでございますから、それはまた政府とよく相談をいたして決めるというようなことに実際上はならざるを得ないのではなかろうかというふうに思っております。形式的には、もちろん今航空局長が申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/177
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178・桑名義治
○桑名義治君 航空局長の大事に対する形式的な答弁を聞いておる間は、私は大変不満だったわけです。どうも煙に巻いているような、あるいはまた非常に形式的なお話のようで不満だったわけですが、いずれにしても一番の最大の出資者はどこだと、これは国なんです。それから、実際に株式会社として作動したとしても国のいわゆる指導、監督がとぎれてしまえば空港というのは動かないわけでございまして、それと同時にいろいろな法律上の権限を持っているのも国でございまして、そういうさまざまないわゆる事柄を考えてみますと、しょせんは、この関西空港が株式会社であるといえども、国の監督、指導というものが非常に大きな比重を占めてくることは事実であります。
そうなってくれば、法律だけつくって、あと人事一切合財おまえのところに任しておくよと、こういうことになるわけがないし、またそういうことであるならば、これはおかしなことになってしまうのではなかろうか、こういうふうに思っておったわけでございますが、今の段階ではもう既にいろいろな人の名前が、もうそれこそうわさとして出ておるようでございます。また懸念として出ているようでございますが、いずれにしましても、この前から現地の方に視察に行ったときに御意見として出てきたのは、トップと言わずともスタッフの中には、いわゆるトップを支えるスタッフの中には、現地に明るい人物も入れてほしい、こういう御意見も出ておりましたが、この点について大臣はどのようにお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/178
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179・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) これは理地の皆さんからも既に御要望も承っておりまするし、当然一番難しい問題の一つは、漁業の問題にしましても、あるいはアクセスの問題にしましても、環境整備の問題にしましても、周辺整備の問題にしましても、皆地元と関係があることでございますので、今おっしゃったような、地方の本当に有能な人材においでいただくということにしなければならないのではないかと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/179
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180・桑名義治
○桑名義治君 それと、先ほどから議論をずっと進めでいっている間に、民間活力の導入の中に、いわゆる民間であればいろいろな手法がとれるというふうなお話がございました。
これを真正面から真正直に聞いてみると、こういう会社の経営なりこういう企業体の経営については役人は無能だというふうに聞こえてしようがなかったわけです。そういうふうに聞こえてならなかったわけでございますが、だといって、先ほどから申し上げておりますように、この空港の性格から見てやはり運輸省の関与が必要である。しかし余り関与し過ぎるとかえってまたそこら辺が、皆さん方のおっしゃっているような機動的ないわゆる民間活力の導入という面からは大きく外れてくるおそれも出てくる。この兼ね合いというものは非常に難しいように感ずるわけでございますが、その点はどういうふうにお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/180
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181・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) どうも役人が何かやると全部無能だというそういう意味で申し上げておるわけではないんですが、事業をやっていく上におきまして、やはりとかく役人とか役人の古手がやるということは、能率とかあるいは競争とかそういったような面からは若干いわゆる民間で鍛えられた人よりは劣る、こういうことなんで、これは政府が三分の二を持っておる株式会社でございますので、やはりいわゆる昔で言うと、官のいいところと民のいいところとをコンバインをしなければならぬというふうに実は考えておるわけでございます。特に私は、民の方のいわゆる活用という点ではいろいろ附帯的な仕事ができるわけでございますが、これを今羽田にしても、大阪にしても、成田にしてもいろんな形でやっておるわけでございますが、これはかなり収益も上がるというような仕事もございます。こういった面からも、いわゆる民的な要素を活用して借金を少しでも早く返すというような点、特にそういう点で活用すべきである。
それから、公共性を維持する、空港の安全とかそういったような問題に関しては、これは商売気やいろいろなものでやられたんではこれは大変でございますので、これはあくまでも公共的使命については、いわゆる官的要素といいましょうか、きちっとしたところでやってもらわなきゃいかぬ、かように実は思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/181
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182・桑名義治
○桑名義治君 そこで、それとある程度対応をすると思うんですが、四十九年の航空審議会の第一次答申にあわせて出された航空審議会の建議ですね、この中で、地域代表が参画する管理委員会を設け、地域の意向が会社の運営に反映できるようにすることを強く求めているわけでございます。また、先般現地調査を行ったときも、地元からもこの要望が大変に強く出されておりました。地元の地方自治体との協議機関の設置を求める意見という形で出されておったわけでございますが、この点についてどういうふうにお考えになられているのか、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/182
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183・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) この点については、何らかの機関を会社の中に設けるという考え方でやっていかなければならないと、かように考えております。名称その他はこれからの問題でございますが、地元の意見も十分反映できるという委員会といいましょうか、そういうものをつくる必要がある、何らかの機関を設けることをぜひとも考えたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/183
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184・桑名義治
○桑名義治君 今大臣の御答弁の中に、会社の中にというお話がございましたが、会社の中につくられるんですか。会社の役員も出、地方自治体の役員も出ということで、地域の人々とお互いに話し合える場所というのが最も好ましい形だと思うんですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/184
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185・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) ただいまのところは、会社の中に何らかの機関をつくって、そこへ会社の人以外の方々が入っていただく、こういう考え方でございますが、おっしゃるような点、むしろ会社の外側へ何かつくるかどうかという点は、実は衆議院でもそういう御意見も出ました。そういう点についても今後検討をさせていただきたいと思っております。例えば、公害環境問題等については特にその必要があるのではないかというような御意見を、いろいろ賜っております。そういう点について、そういうものをたくさんいろいろつくっても問題もあろうかと思いますけれども、とにかくいずれにしましても検討をいたさなければならない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/185
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186・桑名義治
○桑名義治君 これは地元の意見でもございますし、それから航空審議会の建議でもございますので、十二分に検討をして、地元の意見が反映できる、地元の方々の意見が出せる場というものをつくって、先ほどから、民間の資金を導入したのは地元とのコミュニケーションもできるようにという、そこに一つの命題もあったわけでございますので、その趣旨も生かされるようないわゆる体制をつくっていただきたいことを申し述べておきたいと思います。
それから、第一期計画の事業資金は、建設費が約八千二百億、それから金利等を含めると、大体先ほどは九千五百億ぐらいというお話もございましたが、約一兆円というふうに言われているわけでございます。第一期計画のいわゆる資金計画のまず内容を御説明願いたいと思います。
それから、一兆円の事業資金を胴、地方団体、それから民間の三者の間でどういうふうに分担をしていくのか、まず説明をしていただきたいと思います。
それと同時に、いわゆるこの資金コストですね、資金コストを成田の建設のときの資金コストと比較した場合にはどういう比較ができるか、この点もお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/186
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187・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 第一期全体の事業費を一兆円と置いた場合にどういうふうにその一兆円の資金調達をなさるかという御質問でございますけれども、一兆円のうち千二百億円を出資という形で確保したいと考えております。
千二百億円の内訳を申しますと、政府から出資するのを八百億円、地方公共団体の出資を二百億円、民間からの出資を二百億円期待しております。残り八千八百億円は借入金という形になりますけれども、その八千八百億円のうち千二百億円を政府から無利子で会社に貸し付けることを計画しております。それ以外に開発銀行から千二百五十億円、政府保証債といたしまして三千六百五十億円、これが政府関係の資金でございます。それ以外に長期低利の融資を地方公共団体、民間から仰いでまいりたいと思っておりますけれども、これは長期低利の金利いかんによって金額自身変わるものでございまして、例えば地方公共団体から金利年利四%の低利資金を御融資いただく場合には六百億円を期待したいと思っております。民間から年利六%の低利資金をお受けする場合には千二百億円の金額を期待したいと思います。合計いたしますと、長期低利の融資といたしまして千八百億円になります。残り九百億円は縁故債で調達いたしたいと思います。
大分細かい話になりましたけれども、こういった資金構成で現在におきます各資金の金利を現時点の金融情勢に勘案しまして計算いたしますと、一兆円に対する総資金コストは五・六%になろうかと思います。
なお、成田の空港公団の場合でございますけれども、政府出資金が二〇%、政府引受債五三%、縁故債その他が二〇%強でございまして、その他四・五%でございますけれども、それらを合わせまして現段階において金融コストを考えますと、五・七%になります。やや新東京国際空港公団の方が資金コストとしては高目になります。これは出資金に対して一二%を考えておりますけれども、これについて無配ということを考えております。それから、無利子の貸し付け一二%も、これは無利子でございます。それ以外に長期低利の融資として千八百億円、それを出資という形に換算いたしますと六百億円の出資という形になりますけれども、これらについて無配という形になりますので、全体といたしましての資金コストは成田の空港公団よりやや低目ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/187
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188・桑名義治
○桑名義治君 そこでお尋ねをしたいのは、そういうお話がずっと出てくると、さっきの地方自治体のいわゆる負担金の問題になってくるわけですな。二百億、三百億円の話に入ってこざるを得ないわけでございますが、実際に第一期計画に必要な資金一兆円の資金コストが五・六%という御答弁がございました。このことによって、いわゆる会社の採算性を確保するということだろうと思います。そのためには、地方公共団体それから民間におのおの二百億円の出資と約三百億円相当の無利子または低利融資を受けることになっているということで、数字が上がってきたわけです。
そこで、三百億円相当の無利子または低利子の融資については、地方公共団体、民間ともに消化するめどが果たしてあるのかどうか。
それから、具体的には転換社債を発行するというお話もあるようでございますが、この引き受けを求めることになるのではないかとも思われるわけですが、地方公共団体、民間ともに引き受けてもよいという、そこまでの突っ込んだ話はできているのかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/188
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189・松村義弘
○説明員(松村義弘君) まず二つに分けてお話ししたいと思います。
地方公共団体の方からお話しいたします。先ほど大臣が御説明いたしましたとおり、大阪府、和歌山県からは文書によりまして出資、それから長期低利の資金の引き受けについて確約を得ております。ただし、五十九年度の予算を見ていただきますとわかるのですけれども、長期低利の融資ということは出てきておりません。これは、五十九年度の事業費のうち五%部分を地方公共団体から出資していただくという格好になっております。五%の出資を地方公共団体から仰ぎますと、民間の五%、政府からの二〇%、合わせまして三〇%の出資比率になりますけれども、これで我々はプロジェクトの採算はとれると思っております。したがいまして、五%の出資が継続されている限り長期低利のお金の融資はいただく必要はないと考えております。こういった状況は六十三年度半ばまで続くと考えております。したがいまして、地方公共団体からどのような金利で低利融資のお話を承るかは、六十三年度半ばまでの間に関係者の方とよく詰めてまいりたいと思っております。
なお、今度は民間の話でございますけれども、民間につきましても同じような確約書を得てございます。繰り返しになりますけれども、同じように五%の出資を五十九年度予算に考えております。これは、やはり六十三年度半ばまで同じような状態で出資をしていただく心づもりをしてございます。それ以降は長期低利のお金でございますけれども、これはまたそのときどきの金融情勢に従って金利は変動するし、またそれに伴って金額も変動するけれども、いずれにしても、総事業費の五%に相当する無利子資金の確保については、確約をいたしますということでお約束いただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/189
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190・桑名義治
○桑名義治君 先ほどの大臣の答弁は、出資の問題については三県から確約書はもらってないということだったんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/190
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191・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 大臣がおっしゃいましたのは、兵庫県からは公文書でいただいてないということでございます。兵庫県からは、大臣と知事の共同コメントという文書を大臣のお手元に我々一月十七日に差し上げましたのを、大臣が公文書と誤解なされてしまわれて非常に申しわけなかったのでございますけれども、兵庫県からは公文書で確約はいただいておりません。しかし、大阪府、和歌山県からは公文書で御確認をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/191
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192・桑名義治
○桑名義治君 そうすると、大体これ問題なかったわけです、さっきの話は。さっきの話は全然これは問題ない、わざわざ保留する必要がなかった。お金も確約する、利子の、いわゆるお金の中身までももう話し合いが詰まっておるならば、さっきの話は全然ストップする必要がなかった。どうなんですか、どうもさっぱりわからぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/192
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193・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 先ほど目黒先生から御質問がございましたのは、二百億円の出資をどの県がまた府県がどのように負担するのかということについて御質問があったと思います。その二百億円をどの府県、また府県以外にも地方公共団体がありますけれども、そういった方々にどのように負担していただくかについては、これから関係者の方とよく詰めてお話しをしなくてはならないのでお答えできないと言ったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/193
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194・桑名義治
○桑名義治君 よく調べてごらんなさい。それ違うよ、あんた。あんたの認識ちょっと迷いますよ。
じゃね、もう一遍だけ、確認したいところだけ確認しておきます。今のあなたがおっしゃったいわゆる融資の中身について、質について、今あなたの御答弁のような突っ込んだお話も一応できているんですね。これだけ確認しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/194
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195・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 大阪府、和歌山県、兵庫県の担当省の方には非常に詳しくお話ししてございます。また、民間の方々にも詳しくお話ししてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/195
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196・桑名義治
○桑名義治君 お話ししているんじゃなくて、合意がとれてますかと、こう聞いておるわけです、今は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/196
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197・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 私どもの方から詳しいお話をいたしまして、それを受け取って、後ほど公文書で大阪府、和歌山県からは御回答をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/197
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198・桑名義治
○桑名義治君 いただいていますですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/198
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199・松村義弘
○説明員(松村義弘君) います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/199
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200・桑名義治
○桑名義治君 どうも先ほどからの話と今度の今の御答弁とは、ぱちっとこないわけですよね、話が。それはそれなりに、ここばかりまたやっておったら次へ進みませんから、ここで一応切っておきますがね。
そうしますと、さっきの質問にちょっと接近していくわけですけれども、質がよく似ているわけですが、この前のやっぱり視察のときに、地方公共団体の割り当て出資金については、岸大阪府知事は、自治省のあっせん等を期待しているという、こういう発言があったわけです。先ほどからの御答弁では、地元の方の話し合いでというニュアンスが非常に強かったわけですが、この点どちらが本当でしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/200
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201・松村義弘
○説明員(松村義弘君) やはり出資していただく関係の地方公共団体の方に集まっていただいて、その方々の間で話がつくのが一番最上かと思いますけれども、そこで話がなかなかまとまらない場合には自治省のごあっせんをお願いするというのが府知事のお心かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/201
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202・桑名義治
○桑名義治君 自治省来ていますか。——じゃ今の問題については自治省はどのように現在まで関与しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/202
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203・前川尚美
○説明員(前川尚美君) 関西国際空港株式会社に対する出資団体の範囲の問題でございますが、これにつきましては私ども、まずは法案の成立後これ鋭意詰めていかなければならない話であると理解しておりますけれども、今の段階で私ども基本的な考え方として持っておりますのは、本件は株式会社に対する出資ということでございますから、やはり基本的には関係する地方団体、地元の地方団体がその出資の意思を自主的にどういうふうに持つか、金額についてどういう意思を持つかということが基本であろうと思うわけでございます。
そういう意味で、地元関係地方団体の意思表示がうまく調整的に合致をすれば、それで範囲がおのずと固まってくるという形になってくるのではないかと考えるわけでございますが、その際に、相互の調整を円滑に進める意味合いであっせんをしてほしいというようなことでございますれば、私どもといたしましてもあっせんの労をいどうものでは決してないという基本的な考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/203
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204・桑名義治
○桑名義治君 そうすると、自治省の考え方は、まず地元地方自治体で話し合いをなさいと、それでまとまらない、自治省あっせんをしてくれという段階に入ればあっせんには入りますと、簡潔に言うとこういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/204
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205・前川尚美
○説明員(前川尚美君) 形の上ではそういうことに結果としてはなろうかと思いますが、と申しますのも、先ほど申しましたことですが、会社に対する出資というのはやっぱり自主的にお決めになるということが基本でございますので、そういうふうな考え方に立っているということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/205
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206・桑名義治
○桑名義治君 ここら辺が僕は非常に問題になる点じゃなかろうかと思うんです。
大臣ね、今自治省としては、会社に対する出資金だから云々という言葉があったわけです。そうなってくると、これは一つの国策でつくった会社ですが、そこら辺のギャップをどういうふうに埋め、どういうふうに解釈をしていき、どういうふうな話し合いを各省庁間でするか、ここら辺も一つの課題ではなかろうかと、こう思うんです。これ、どうでしょうか、運輸省としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/206
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207・山本長
○政府委員(山本長君) 形の上では株式会社に対する出資でございますから、自治省が言われるとおりだと思います。
しかしながら、現実問題といたしまして、関係者間でにらみ合いの状態でなかなかお互いに円滑な意思疎通がいたしかねるというふうな事態も現実にはあろうかと思いますし、さらにまた将来の、将来といいますか、それの財源措置としての起債というものについて、やはり自治省の仕事でございますから、そういった観点から、これは形の上は府県が決めるものでございますけれども、府県に対する指導力と申しますか、自治省が持っておられるわけですから、それのあっせんを期待するというのもやっぱりこれもまた自然の形がと思います。
したがいまして、それは府県が自主的に決める、協議の上決めるというのを基本にしつつも、そこに自治省の何らかのあっせんというものが必要になってくる、期待したいということが、やはり事態が発生する余地はあるんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。私たちといたしましても、運輸省といたしましても、そういう事態においては自治省に一つの役割を果たしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/207
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208・桑名義治
○桑名義治君 まあ今の局長の御答弁を全面的に受けて僕は今度は御質問をしたいと思うんですがね。
そういう形になったということを一応認めたとして、各地方自治団体は、特に市町村にまでもこういうふうな負担が出るようなことになるとするならば、これはどうしても財源措置で困るような状況が起こるのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。そういった場合に自治省としては、特別交付金の算定の基礎に入れるとか、あるいは特別の起債の枠を認めるとか、そういう措置をとられますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/208
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209・前川尚美
○説明員(前川尚美君) 今の御質問は、市町村が出資をするということでございますね。——私ども、運輸省とこの法案の立案準備作業の段階からいろいろ御相談をいただいているわけでございますが、その過程でも地元地方公共団体幾つか、いろいろあるわけでございますけれども、府県それから政令指定市、その他一般市町村、こういうことになるわけでございますが、一般市町村について出資を求めたいというお話は実はまだ私ども相談として承ったことがないわけでございます。現実に先ほど申しましたような基本的な考え方でいきまして、地元の一般の市町村がどういうお考えであるか、私どももそこまで具体的なお話を承っておりませんので、ただいまのところは府県あるいは政令指定市の段階までがこの検討といいますか、考慮の範囲に入っているのではないかというふうに私どもとしては理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/209
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210・桑名義治
○桑名義治君 自治省の考え方は、今もお話がありましたように、出資あるいは融資の問題については、県、それから政令指定都市段階、一つの範囲の限定があったわけですが、運輸省としてもそういう範囲の限定の上に立ってこの融資、出資の問題はお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/210
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211・山本長
○政府委員(山本長君) 運輸省といたしましても、今自治省から前川室長が言われた基本的な考え方につきましては同じような考え方でおります。ただ、これは財政力から見ましても、諸般の情勢から見ましても、府県段階それから政令市段階というのがやはり常識的な線ではなかろうかというふうに考えております。ただ、これはまあ、実際の話し合いの過程におきまして、市町村段階で出資をしてもいいというふうな希望があるときに、排除するという必要はないというふうには考えておりますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/211
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212・桑名義治
○桑名義治君 そういう市町村は非常に少ないと思いますけれども。
いずれにしましても、今度こういう空港ができ上がりますと、交通アクセスの出題やいろいろな問題が出てきて、附帯工事が非常に盛んに行われてくるわけでございます。そうすれば、どうしてもやっぱり地元関係市町村にその財政負担がかかってくること、公共事業の問題についてはかかってくることはこれは否めない事実だろうと思います。そうやった場合に、自治省として、各地方公共団体のいわゆる財政圧迫を救済するという何らかの方法を考えておられるのか、その点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/212
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213・前川尚美
○説明員(前川尚美君) 空港の立地に伴います地元地方公共団体の関連公共施設整備事業あるいは生活関連公共施設整備事業等々の問題でございますけれども、これにつきましては、去る二月の関係閣僚会議の段階でも、今後、関係団体の意見を十分聴取しながら、調整、協議をするという基本的な合意ができているわけでございますが、私ども、財源措置をどうするかという前提で物を考えます場合には、やはり関連の事業としてどういうものが具体的にあるのか、その事業主体はだれなのか、そこら辺がはっきりしてまいりませんと、それに伴ってどういう現在の財政制度があり、あるいはそれを仮に実施することになる市町村が財政的にどの程度の負担になってくるのかということがはっきりしないという問題もあるわけでございまして、私ども、まずはその事業計画というものをはっきりさせるということが基本になければならないのではないかというふうに、関係の方々にお願いをしているわけでございます。
その上で市町、地元の地方公共団体が関連する事業を実施するということになりますれば、その財源措置としてまず私は、現在の地方財政は大変厳しい状況でございます。国も厳しいわけでございますが、地方財政もそれに劣らず厳しい状況にあることは御承知いただいているとおりでございます。国の国庫の補助事業、あるいは国庫負担事業というものを優先的に取り上げて採択をしていただくということが基本であろうかと思うわけでございまして、それに伴います地方団体の負担等等については、既存の財政制度あるいは財源措置を活用しながらこの地方団体が関連する事業の円滑な実施に当たることができるように対処してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/213
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214・桑名義治
○桑名義治君 もう自治省結構でございます。ありがとうございました。
次に、先ほどからこの空港の採算性の問題が出ていたわけでございますが、資料によりますと、開業後五年目程度でいわゆる償還後黒字年度とする。それから、開業後九年目程度に配当開始、それから開業後二十三年目をめどにして有利子借入金等償還完了年度とすると、こういう事柄が試算をされているわけでございますが、この根拠はどういう根拠でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/214
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215・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 収支採算に影響いたします要因は大分あるわけでございますけれども、まず第一に、所要の資金をどのように調達するかという点が問題でございます。それにつきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、事業費の三〇%の無利子資金の調達が可能であれば、今先生が御指摘なすったような収支採算になると考えております。
次に、収入の面の予測につきましては、航空輸送需要が問題でございます。それにつきましては、航空輸送の実績、それから政府の長期経済展望等をもとにしまして航空輸送需要をはじき出しておりますけれども、その数字をちょっと申し上げますと、開港初年度に当たります六十八年度におきましては、国際旅客約九百万人、国内旅客約一千百万人、国際貨物五十八万トン、国内貨物約二十四万トンという輸送需要を想定しております。この輸送需要はその後年々増加いたしますけれども、伸び率は徐々に鈍化いたしていくと考えております。
次に問題になりますのは、大阪国際空港の存廃でございます。収支予測に当たりましては、より厳しい条件を設定いたした方が無難であると考えまして、大阪国際空港につきましては一日二百便国内線を残すという前提で収支採算をはじかせていただきました。なお、この収支採算で一日二百便残すということは、これは決して運輸省といたしまして大阪国際空港の存続を決めたというわけではございません。これは、十分調査いたしまして、地方公共団体とも意見調整をいたして決定してまいる問題であると考えております。
次に問題になりますのが、航空輸送需要に基づきまして収入の単価をいかにするかという問題でございます。この単価につきましては、新東京国際空港公団並みの着陸料等を想定いたしてはじかせていただいております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/215
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216・桑名義治
○桑名義治君 まあ細かくこの数字をはじいてみなければその正否の方はわかりませんけれども、そういうふうな積算の基礎ではじいたということだけは了解しておきたいと思います。
合いみじくも言われましたけれども、二百便ということになれば、大阪国際空港の存廃の有無についてはもうここで質疑する必要がなくなったような感がするわけでございますけれども、附帯的な言葉がついたわけではございますけれども、いずれにしましても大阪国際空港の問題はまた別途これは話し合いを進めていきたいと、こういうふうに思います。
そこで、今回、先ほどもちょっと議論になりましたけれども、いわゆる利益の配当の件について、当初運輸省案としては、一二%が上限ということで法律案件の中に盛り込もうというところであったらしゅうございますが、閣議の直前に官房長官からのクレームがついて、これは下げて、現在のような文案になったということは先ほどからの議論の中にもはっきりと出てきたわけでございますが、これが取り除かれたということは、公共性について多少歯どめが外されたのではないかという、そういう危惧もするわけでございます。そこで、今法案の中に盛り込まれている、企業一般の配当動向や事業の公共性を考慮して政令で定める割合を超えて配当してはならないというこの条文は、具体的に言うと、いわゆる当初の運輸省案の一二%ということが、以上というこの上限の設定が判断の基礎であるというふうに考えてよろしゅうございますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/216
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217・山本長
○政府委員(山本長君) 思想は、適正な社外流出を超えて社外流出は困る、こういう思想でございまして、同じ思想ででき上がっておるわけでございます。ただしこれは、一つの上限を決めるものでございますから、当初一割と一割二分の間というのは、一割二分というのは非常に最近の情勢では高い数字だと思います。しかしそれは上限でございます。しかし一割以下に決めるということもまたこれは現在の情勢から見まして、大体通常の上場企業あるいは普通の企業の配当の動向といいますのは一割というのが一つの線ということが言えると思います。一割の企業が非常に多いと思います。八分ないし一割強というところが現段階における一つの企業一般の配当の動向というふうなことが言えると思います。そういった意味におきまして、一割、一割二分というふうな思想というものは、それは数字的なものは消えましたけれども、思想は同じだと思います。
ただし、しからば、実際に政令で決めますときには、企業一般の配当の動向、それから経済情勢、企業の公益性を考えて政令で決めるということになっているわけでございまして、現在の配当の動向、それは企業のいろいろな経済情勢を反映して決まってきておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように八分あるいは一割というところが通常の線でございます。したがいまして今の法律に書かれております趣旨から見れば、今現在における配当の動向というところがいい線ではないか、今の段階で判断すれば、ということでございます。
しかし、これは長い将来にわたっての制度でございますから、企業一般のそういった情勢が変わってまいりまして、今の一割というものがさらに低い水準が通常の動向であるというのであれば、その線で政令を決めるべきでございましょうし、少し上がった線でもっていくところが通常の動向であるというのであればその線で決める。こういうことで、今度の何といいますか現在の法文においては、そういった状態における情勢を判断してそして政令で決める。こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/217
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218・桑名義治
○桑名義治君 思想的には同じである。これは一応理解しましょう、上限を決めるということで。だけれども、今の段階では一二%ではなくて、今の情勢ではこれは八%程度が大体常識的だろう、こういうふうに運輸省としては判断をしていると。一二%という線はもう完全に消えちゃったわけですね、そうすると。そうすると、何で一二%という上限を一遍に出したのだと、今度はこう言いたくなっちゃうわけですな。しかし時間が来ましたのでこれでやめますけれども、それだけは確認をしておきたいと思います。
時間が来たので、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/218
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219・小笠原貞子
○小笠原貞子君 前々から、そして何かといろいろと問題も多い関西国際空港株式会社法案をいよいよ審議ということで、私も衆議院、参議院の議事録を見せてもらいましたし、また、五十六年でしたね、運輸省のいわゆる三点セットという膨大な資料もいただきました。それから第一次、第二次の航空審議会の答申というようなものも目を通させていただいたんですけれども、目を通して私なりに勉強してみればみるほど、なぜこれほどまでに問題がいろいろあるのに具体的にこれを解明するというすっきりしたものがなくて、株式会社方式による空港の設置のみを急いでいられるか、先生方はね、ということを非常に不思議に思ったわけなんです。そしてまた、きょうも朝からの質疑を伺っていますと、またプラスわからないことがいっぱい出てまいりまして、これはなかなか大変な法案だな、そう思ったわけでございます。
今回、国会においては、当法案は重要法案というようなことで十分審議するということが必要になると思いますが、一つには事業主体と財政問題、二つには安全性と環境問題、三つには地域周辺整備など並びにアクセスの問題などについて、政府の国民が納得のいくような答弁を、これから私具体的に質問をいたしますので、お答えをいただきたいということを前文として、質問に具体的に入ります。
まず初めに、安全問題、環境問題と密接に関係する関西新空港の空域それから飛行経路の問題について伺っていきたいと思います。
運輸省の計画案では、第一次案では十六万回、第二次案では二十六万回というふうに出ておりますけれども、この数字の根拠、どういう根拠から出された数字であるかお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/219
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220・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) お答え申し上げます。
年間離着陸回数十六万回と申しますのは、滑走路一本の場合につきまして、ピークの時間、一番込んでおる時間でございますが、そのときに一時間当たりの処理能力というものがございますが、それをもとにいたしまして一日で処理できる回数を出します、それをもとにしまして年間の運航回数にするという計算をやって出したものでございます。
二十六万回と申しますのは、飛行場全体が完成いたしまして滑走路が三本できた状態で、滑走路の使用条件等をいろいろ、風向、風速等によりましてどの滑走路をどういうふうに使うかというようなこともございますので、そういうものも勘案いたしまして、同じような手法で、ピーク時の能力から年間の能力を出すという方法で計算したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/220
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221・小笠原貞子
○小笠原貞子君 飛行機の運航の場合は、空域の概念を入れなければ正確な数字は出ないと思うわけなんです。しかも、離発着の交差の問題、それから交通流の乱れによる停滞の問題なども考慮に入れる必要があると思うんですけれども、その意味で必要な空域調整というようなものも考えられてのことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/221
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222・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) 十六万回、二十六万回という運航が新空港で行われるわけでございますが、この場合、大阪国際空港が存続する場合としない場合、こういうことの両方が考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、そのどちらになってもいいように、つまり大阪国際空港が存続した場合というものも考慮に入れまして、また八尾空港というのが大阪空港の進入経路の直下近くにございますが、その辺の存在も考慮に入れまして、全体の飛行経路を検討いたしてまいったわけでございます。
その場合、大阪国際空港が存続される場合につきましては、同空港の飛行経路は関西国際空港の飛行経路との関係におきまして相当変更を行うということを考えております。一部確かに交差をする部分がございますけれども、この部分につきましては十分な垂直間隔、高度差をとりまして処理をするということで、十分安全な交通の流れを確保することができるものというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/222
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223・小笠原貞子
○小笠原貞子君 じゃ、現大阪空港と近隣飛行場との運航回数は、西日本関係でそれぞれ何便になっていますか。そして、それぞれの飛行高度と使用機種、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/223
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224・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) 西の方の路線でございますが、大阪からはまず四国方面で高松、これはYS11で一日十往復やっております。それから徳島がYS11で十往復。高知がボーイングの767で一往復とYS11で二十往復の合計二十一往復。松山でございますが、767と727合計六往復。福岡がボーイング747、ジャンボでございますが、これとDC10、ロッキードの一〇一一、ボーイング767の合計で八往復でございます。それから熊本がロッキードの一〇一一とボーイングの767で五往復。奄美大島がYS11で一往復。那覇がボーイング747とロッキードの一〇一一、DC10の合計で七往復。したがいまして一日六十九往復でございますから、百三十八回の運航ということになると思います。
それで、高度でございますが、大体、YS11によります大阪からの高松、徳島といった近い距離の高度につきましては、大体四千フィートから五千フィートぐらいでございます。五千フィートと申しますのは千五百メートルぐらいでございます。あと、福岡とか熊本、この辺になりますと二万とか二万六千とかいったフィートでございますが、六千メートルとか七千メートルといった数字になろうかと思いますが、そういった数字の高度で飛んでおるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/224
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225・小笠原貞子
○小笠原貞子君 そうやって数を出されますと、やっぱり大したもんですね、一日百三十八回ということになるわけですね。現在伊丹では十二万ないし十三万回というふうに伺っていたんですけれども、そうですよね。そうすると、これが十六万回ということになると、やっぱり相当な量になってくる。交通量が非常に多いということをちょっと心配したんですよね。そして、私もこの点については素人でございますから、こういうことは可能なんだろうかと言ったら、まあその筋の専門家の方たちから、これはちょっと不可能でございますというようなお答えを随分いただいたんですけれどもね。そういうようなことは全く心配ないと確信を持っておっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/225
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226・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) 空域の容量といたしましては十分あるというふうに考えております。例えばニューヨークのような空域でございますと、三つの大きな空港がございますが、それ以外に十数カ所の小型機空港もございます。そういうものを抱えまして年間百万回ぐらいをこなしておるということでございます。サンフランシスコ地域でもやはり六十万回ぐらいをこなしておるということでございまして、将来私どもも、運航回数が相当ふえてまいりますれば、広域管制と申しますか、一元管制とも言いますが、一カ所でこの空域全体のコントロールをやるという方法も考えておるわけでございまして、いろんなそういう手段を講じることによって安全に飛行機を飛ばすことができるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/226
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227・小笠原貞子
○小笠原貞子君 まあ、危ないなんて言って計画する人はいないんだから、大丈夫だと言って計画は進むものなんだけれども、大丈夫大丈夫というのは、事故が起こるまで大丈夫でございましてね、大丈夫の次に事故が起こるというのが今までの例でございますので、やっぱり私は何といってもその辺のところが非常に心配だ。何といっても安全第一でなかったら役に立たないですものね。そういう意味で、私は再度そのことについてお考えも御検討もいただきたい、そう思うわけです。
次に、大臣、ちょっと聞いていただきたいんですけれども、運輸省の計画案におきます関西新空港の空域的な特徴というものを見ますと、その飛行経路がすべて空港の西側に延びているという限定されたものになっていますね。滑走路の西側に広く延びている。そのために出発経路と進入経路があちこちで交差して、特に滑走路二三使用時と、北東方面から進入し南西方面へ出発する場合、淡路島南方で大半の出発機と到着機が集中的に交錯することが予測される、この図で位置をまた拝見いたしますと。その点の心配は一体どうなんだろうか。これは杞憂だとおっしゃるのか。やっぱりこれ非常に特徴的なことだと思うんです。量の問題がダブるのだから安全上は大変な問題とつながっていくわけでございます。運輸省は現空港との併用は不可避だと考えていらっしゃる。だけど計画案では、併用を想定した飛行経路は全く検討されていないんですね。検討されていますか。この伊丹の現大阪空港とこれとを併用した形でどうなるんだということの、私の不勉強かもしれませんけれども、併用を想定した飛行経路というのは検討されていない。
〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
これは私は大変おかしいなと、さっきもおっしゃったようにこれは併用ということも出てくるわけだから、この点については再検討をされるべきではないかと、そう思うんですけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/227
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228・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) ただいま先生御指摘になりました併用の場合でございますが、私冒頭にお答え申し上げましたように、併用の場合も検討しているわけでございます。併用の場合でも十分安全間隔はとれるようにということで計画をいたしております。で、先ほど御指摘になりましたように、淡路島の南の端の方で北からの進入の場合に出発機と交差するということが確かにございますけれども、ここのところでも高度差がかなりとられておるわけでございまして、伊丹から離陸していって沖縄の方へ行く飛行機と、新空港へ進入するために大きく迂回して北側へ回る飛行機が交差するわけですが、ここの場所では伊丹からの距離が相当ございますので高度は相当高くなっておるわけでございまして、進入機との間には十分な垂直間隔がとれるということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/228
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229・小笠原貞子
○小笠原貞子君 先ほどおっしゃったように、併用した場合と検討して十六万回という数字を出したというふうにおっしゃったんだけれども、おっしゃったことは承りました。だけど具体的に資料の中で、この場合にはこうだというふうにきちっと検討されたというものが、私はよくわからなかったんですよね。それで、これは大変検討されていない、当然伊丹空港というものはいろいろの資料で使わないという立場での計画というふうに拝見したものですから、ちょっとその辺が疑問なわけなんです。後でその点についてまたいろいろ伺わせていただきたいと思います。
高度差があると。確かに高度差があると思うんだけれども、長距離を飛んで高度差があってゆっくりというんならいいけれども、着陸、離陸のこの中でふくそうしているときに、高度差を保ちましてと言っても、これは量的に非常に困難であるというふうに、私はいろいろ勉強した中で検討していただかなければならない大事な点だなと、そう思いました。
それで次に進みますけれども、安全性第一ということを私はもういつでも考えておいていただきたいと思うんです。それで十六万回、二十六万回、滑走路一本で十六万回、初めのころ。これは大変だなと、そう思いました。しかしこういうふうに、いや大丈夫なんだ、高度差もちゃんととったといろいろおっしゃるのは、やっぱりおっしゃらなければならないわけですよね、これが基礎になって財政収支もちゃんと立てられなければならないわけですから。だからやっぱりこういう、いや無理じゃありませんとおっしゃる根拠は、この関西国際空港株式会社の経理、財政を裏づけるためにこの数字が必要になってきている。こう逆算していってこの数字が出てきているということを私はあえて強く申し上げなければならない、そう思うわけなんです。
そういった論議は抽象的になりますから、一つ具体的に伺っていきたいと思うんですけれども、ことしは大変に雪が多い冬でございましたが、その中でも一月十九日、皆さんも御承知のとおり関東一円に大雪が降りましたですね。記録的だと言われておりますけれども。このときの羽田空港と成田新東京国際空港の飛行場の運用状況、そしてなぜその違いが起きたのかということについて御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/229
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230・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) 本年の一月十九日に大雪が降りまして、成田及び羽田の両空港とも飛行機の発着に非常に障害を受けたわけでございます。
羽田につきましては、実は雪以外に視程が非常に悪くなりまして、午前九時五十八分から午後の四時五十四分、夕方の五時近くまで、視程がいわゆる限界の距離よりも短くなったということでございまして、完全に…発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/230
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231・小笠原貞子
○小笠原貞子君 何ぼくらい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/231
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232・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) 視程が四百メートルから五百五十メーターぐらいの間を…発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/232
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233・小笠原貞子
○小笠原貞子君 十九日の何時ですって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/233
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234・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) まず九時五十八分に視程が、滑走路視距離と申しますが、RVRと呼んでおりますが、これが五百五十メーター。着陸不可能ということになりまして、以来ずっと視程が悪うございまして十時二十七分現在で四百メートル。このときが一番悪いわけでございますが、それから十六時四十六分に五百メートルという状況でございます。RVRで六百メートルというのが限界になっておりますので、飛行機が一機も離着陸できなかったという状況でございます。九時以前には飛行機が飛べる状況であったわけでございますけれども、このときはまだ雪はほとんど降っておりませんでした。ただ、西の方の飛行場で雪の被害を受けておるところがございまして思ったほど飛行機が、まあ相手空港の都合もありまして、国内線でございますから、十分飛べなかったという面もあるようでございます。それで、夕方の五時以降になりますと視距離が千百メートルぐらいまで回復いたしまして、これから飛ばすことになったわけでございますが、ちょうど昼ごろから相当雪がひどくなってまいりまして、雪かきを一生懸命やったわけでございますけれども、思うようにいきませんで、欠航が相当多くなりました。
結果的に見ますと、就航予定便数三百六十九便中三百便が欠航、遅延したのが十一便というようなことで、就航した数は五十八便になっておりますが、そういった状況に相なったわけでございます。
成田の方でございますが、成田の方は視程の方は全く限界以下になった時刻はございませんで、最低でも八百から千メートルぐらいございました。夜には二千メートルとか四千五百メートルという視程にまで回復いたしておりますので、雪だけの影響でございましたが、雪がまた羽田より若干少なぎみでございまして、滑走路の航空機が通る部分あたりでは多いところで大体四センチ、昼過ぎ、二時ごろから二時半ごろにかけましては一・五センチという状態でございまして、そんな状況から見まして、時々クローズして滑走路のチェックをやるということで飛行機は影響を受けましたけれども大幅な欠航というものはなかった、羽田はどの欠航はなかったということでございます。
それで、数を申し上げますと、遅延便が二十六便、それから、ダイバートと称しまして、成田へ降りずにほかの飛行場へ向かったのが九便、それから、欠航したのが五十三便ということでございます。全体の発着予定便が百七十五ございました。したがいまして、羽田よりは影響が少なかったというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/234
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235・小笠原貞子
○小笠原貞子君 さっき、十九日の何時、視程何ぼとおっしゃったでしょう。それはきちっと記録からおとりになったんですか。大体それくらいだったと、そうおっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/235
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236・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) これは羽田から取り寄せました当日のデータでございますから、もとの記録はあると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/236
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237・小笠原貞子
○小笠原貞子君 あると思っていますなんて、自信ないですね。私の方、そういう答えが出るだろうと思って、よかったわ、ちゃんと調べておいたの、私も。羽田の空港の場合もそれから成田の空港の場合も。
御承知のように羽田は閉じたんですよね、雪が降ってきて。それから今度成田の方は、そのままあけたわけですよね。さっき、羽田の方は、雪もそうだけれども視程が非常に悪いということで閉じたんだとおっしゃいましたけれども、私の方もきちっと調べてみたんです。そうしましたら、十九日の九時から十五時にかけて視程は二千ですわ。十五時から十七時にかけて視程は三千、十八時から二十二時にかけて視程は千五百というのがあったんだけれども、やっぱりそういう、時々ぱっと見えなくなったりする、雪もあるということで、ここは危険だということで閉じられた。これは安全を大事にしてくださった、そう思うわけなんですね。それから今度、成田空港の方も調べてみたんですけれども、こっちは閉鎖しませんでしたよね。
そこで私は、一つは羽田、一つは公団の空港という形で、ここに差が出てきているということで、雪は同じなんです、調べてみましたら。そういうことで、次の問題にちょっと入りまして、また後へ戻りますけれども、飛行場に飛行機が着陸してから誘導路板が見えないよ、中心線も見えないと機長が言うほどの状況であったと言われている。それで飛行場は大変混乱した、こういうふうに言われているんですね。このときの管制間隔は普通の何倍くらいかかっていたでしょうか、成田の場合ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/237
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238・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) 御質問の管制の間隔の詳しいデータまで本日持ち合わせておりませんので、後でよく調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/238
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239・小笠原貞子
○小笠原貞子君 私の方で調べてみましたら、通常三倍以上はかかるというようなお答えでございました。降雪の状況は、これもちゃんと調べたんです、きのう。成田も羽田も同じだ。それなのに羽田は閉鎖、成田はオープンという違った対応が出てきたということは、やっぱり考えられることは、成田の方は公団だ、利益第一と言えば言葉が強いかもしれないけれども、やっぱりなるべくあけてそしてやらなければというような気持ちが先に立っていた。羽田の方はそういう心配がなくて、安全第一でぱっと抑えたというようなことになってきたんだと、そう思うわけですね。誘導路板が見えないよとか、中心線も見えないよというようなことでは、着陸してからの飛行機の地上走行は非常に困難だということは当然のことだろうと思うわけなんです。羽田の場合、先ほどおっしゃったように、なぜ閉鎖されたかといいますと、その当時の降雪状況と気象予報から判断して、管制官と、滑走路を管理する航務課というんですか、この航務課が同じ結論に達したから羽田の方は閉鎖というようにできたわけですね、これはそうだろうと思うんです。成田の場合は、積雪量を測定して除雪開始の基準に達していないということでもって閉鎖されなかった、こういうことになっているわけなんですね。
そこでちょっと伺いたいんだけれども、成田ですから、「新東京国際空港除雪作業実施要領」というものがございますね。それにはどういうふうに除雪開始について決められているか、ちょっとお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/239
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240・平井磨磋夫
○説明員(平井磨磋夫君) 「新東京国際空港除雪作業実施要領」というのがございますが、これには、除雪の開始につきましては、「滑走路、誘導路及びエプロンの積雪が五cm以上になったとき、或いは五cm以上積ると予想された時、」云々というふうに表現されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/240
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241・小笠原貞子
○小笠原貞子君 だから、結局五センチ以上積もった場合と、五センチ以上積もると予想されたときというのが、ちゃんと除雪をしなければならないという基準に入っているわけなんですね。そういうことを考えますとやっぱり、事故も何にもなかったからよかったけれども、あのとき雪がどんどんどんどん降っているという中で、五センチになってないからいいよという判断をするのか、後の、こう言っている間に五センチ以上になるということが予想される、ここに書かれている、予想されるというふうに判断をして、そして閉鎖してきちっと除雪をするという形をとらなかったのかというところに違いが出てくるわけなんですね。
私といたしましては、それはみんなにちょっと迷惑はかかるかもしれないけれども、事故が起こったらもっと大変なことになるんだから、ここに書かれているように、五センチ以上になる予測というもので、しなければならないように事態はなっていたのではないか。だから、羽田の方は航務課と管制官とが一致してやったということができているわけ。公団の方は一致しないですよね。公団の方の、成田の方の管制官などに聞いてみたら、やっぱり非常に不安だったということをおっしゃっていましたしね。
ここで一つ切りましょう。そういうようなことが起こると、——大臣もちょっと聞いていてくださいね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/241
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242・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 聞いておりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/242
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243・小笠原貞子
○小笠原貞子君 そうですか。済みません。
そういうふうに公団とそれから羽田との場合で、ちょっとした差なんだけれども、視程とか積雪というのをきちっとこっちで押さえてみれば大して変わっていない。一方では、事故がなかったからちょっと損したみたいかもしれないけれども、安全第一の態勢をとった。やっぱり公団の方は、そこのところは一つ、私に言わせればちょっと甘かったのではないか、そう思うんですよね。これが事故でもあったらここでも大変な問題になるのではないか。
私が伺いたいのは、公団でさえもこうなんだから、だから、これは株式会社とこうなるわけですよ。そうすると、もっとたくさんの融資もしてもらった、借入金もした、これも返済しなければならない。やっぱりいつでも安全第一じゃ商売にはならないということになるから、そこを優先していくという心配がどうしても起きます。今までいろいろな事故を取り扱わせていただいて、私もいろいろと勉強させていただいたけれども、やっぱり後になって考えれば、安全第一の万全の策をとっていれば起きないで済んだということが随分ありますものね。そうすると、この法案で一番問題になるということは、第一種国際空港であり、そして根本的には国が管理するという、国の責任において安全第一を優先させてやるということこそが今必要だ、そのことがみんなから求められていることではないか、私はそう思うんですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/243
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244・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 今年一月十九日の羽田と成田の状況の細かい御調査の結果によってただいまの御心配が出てきておるわけでございますが、私はこれは、一方が国の直轄の飛行場であり一方が公団であるからこうなったのかどうかということについては、これは必ずしもそうではないのではないかというふうに考えております。もしそうであるとすればこれは大変なことだと思います。私は、その安全度をどういうふうに見るか、どういう判断をするかということは、平素その各飛行場飛行場によって非常に訓練の、訓練というかその度合いがやはり、人間のやることでございますから若干の違いがあると思っております。でございまして、これが直ちにこの一月十九日の状況から、やはり直轄のものがよくて公団がいけないんだ、ましていわんや株式会社をやということになったら大変なことだ、そうならないように安全第一で考えていかなきゃならぬと、このように考えておる次第でございます。
もっとも私は、現実に調査をしたわけでございませんので、おっしゃるようにこれは公田だからこうなったというお話は、全面的にそうじゃありませんと言うだけの材料を持っておりませんけれども、もしそうであるとすればこれは大変なことで、株式会社の問題を別にしましても、成田と羽田の関係だけについても、そういう状態があれば直ちに直さなくちゃいかぬ、改めていかなきゃならぬというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/244
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245・小笠原貞子
○小笠原貞子君 公団だからこうなったなんて短絡的な言い方はしてないんですよ、私も。公団であったからやっぱりそういうふうになりやすいという性格を持っているのではないかと、ここが含みなんですからね。ましてや株式会社などになるとやっぱりどうしたってそうなるんだもの、大臣、そんなきれいごとをおっしゃっても。だから、ここで切りだからやめますけれども、やっぱりこういうことに流れていくという、ここのところを十分気をつけていただかないと私はまた心配でございますので、どうかその点お含みいただきたいと思います。
これで一応区切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/245
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246・伊藤郁男
○伊藤郁男君 最初に、航空輸送需要見通しなんですけれども、今後の我が国の航空輸送需要、これをどのように予測をされておるのか。この中で、特に新空港ができた場合の需要予測ですね、これもあわせてお伺いをしておきたいと思うのです。年代を区切って言えば、七十年、八十年、九十年、この時点でどのような航空需要が見通されるのか、この点からお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/246
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247・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 先生の御質問は、我が国全体の将来における航空輸送需要をどのように想定しているかということだと思います。
関西国際空港の収支計画のために算定いたしました予測値を申し上げたいと思います。開港は六十八年度でございますけれども、先生七十年ということでございますので、七十年、八十年といったところを国際旅客、国内旅客、二つに分けてお話ししたいと思います。
我々の想定しております数字を申し上げますと、七十年で国際旅客三千二百十七万人、国内旅客八千四百八十六万人、八十年で国際旅客四千六百二十七万人、国内旅客一億八百十九万人を予定しております。
なお、九十年も御質問されましたけれども、手元に資料がないので申しわけございませんけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/247
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248・伊藤郁男
○伊藤郁男君 新空港の予測。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/248
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249・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 関西国際空港の需要予測を申し上げます。
昭和七十年に国際旅客九百四十九万人、国内旅客千二百五十万人、八十年に国際旅客千三百六十五万人、国内旅客千七百二十二万人、九十年度に国際旅客千七百七十二万人、国内旅客二千八万人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/249
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250・伊藤郁男
○伊藤郁男君 後でその予測の根拠はお伺いをしたいと思っているんですが、ところで航空政策研究会、ありますね。木村秀政さん、これは航空の権威ですけれども、運輸省の方々も時々ここの研究会に出て講演などをされておる。資料も毎月いただいておるわけですが、その航空政策研究会が予測したものを見ますと、運輸省の予測とかなり数字が違うわけですね。もちろん根拠になる根本的な伸び率が恐らく計算が違うだろうからそうなるんでしょうけれども、私この辺のところがかなり違うものですからその点についてお伺いをしておきたいんですが、例えば今、新空港七十年で、国際線で九百四十九万人と言われました。ところが航空政策研究会の予測によると、七十年度は六百七十一万人にすぎない。八十年度になると運輸省の予測は千三百六十五万人ですけれども、研究会の予測は九百十二万人、九十年度になりますと今言われましたように運輸省は千七百七十二万人ですが、研究会は一千七万人にすぎない。
こういうふうに予測がかなり違うわけなんです。私は、もちろん予測はあくまでも予測であって結果ではないわけだから、とやかく、すべてがそのとおりにいくとは思いませんので何とも言えませんですが、しかし余りにも需要予測が違っている、こういうことになると心配するんですね。だからその辺のところは一体大丈夫なのかどうか、この比較表を見ながら私も心配しているんですが、その辺のところをどのように考えておられますが、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/250
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251・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 航空輸送需要の予測というのはなかなか難しいものでございますけれども、運輸省としまして私が申し上げた数字は、関西国際空港の収支予測に使った数字を申し上げたわけでございます。ちょっと比較のために四次空港整備五カ年計画で用いました予測の数字、昭和六十五年度をとりまして全部比較させていただきたいと思いますけれども、六十五年度におきまして、全国の数字でございますけれども、収支予測に用いました数字は、国際旅客が二千五百三十四万人でございます。それから四次空整で予測いたしましたのが三千七百万人から四千二百万人、ちょっと幅がございます。それから航空政策研究会で、ある大学の教授の方が御発表になりました数字が我々の手元にございますけれども、この数字によりますと、国際旅客が二千六百六十万人から三千四十万人と予想しております。
この三つの数字を比べますと、一番高い予想をしておりますのが、第四次空港整備五カ年計画の予想値でございます。二番目が航空政策研究会で御発表なさいました数字でございます。一番かた目に予想させていただいておりますのが、今回の関西国際空港株式会社の収支予測に使いました数字でございます。
同じように国内旅客について、やはり六十五年度を例にとって申しますと、一番強気の予想をしておりますのが第四次空港整備五カ年計画の予測値でございまして、国内旅客を一億一千万人と想定しております。二番目が航空政策研究会で御発表になりました先生の予測値でございまして、八千八百五十万人から一億八十万人の間、一番かたいのが今回収支計算上収支予測をいたしました数字でございまして七千六十万人と、こういったものでございます。我々といたしましては、大きなプロジェクトでございますので、収支採算の計算にありましてはなるべくかために収支予測をいたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/251
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252・伊藤郁男
○伊藤郁男君 その予測の根拠なんですけれども、この政策研究会の方は平均の伸び率を一・九から二・三%の間に置いているわけです、国内、国際をあわせまして。ところが、運輸省の方は平均伸び率を四・〇から四・一%に置いていると。一番、四%から四・一%ですね、その伸び率を計算するときの根本の数字が狂っているから当然予測が狂ってくるんだろうと思うんですが、しかし不確定要素があるとはいいながら、今お話がございましたように、それぞれの予測をされておるわけですが、多少似通った点もあるにはあるわけですが、こう大幅にこれだけの予測が違ってきますと、将来の問題なんですけれども、これで一体新しくできる関西国際空港が成り立っていくものだろうかどうかと、もし運輸省の予測が大幅に狂った場合には大変なことになる、こういうように思いますので、その辺のところはもう少し慎重に私はやっていただきたい、このように思います。これはそれだけにとどめておきます。
第二番目は、二十四時間空港なんですが、これは我が国で初めての二十四時間空港、世界に開かれた日本の窓口になるということで、画期的な空港になるように期待をされるわけですが、この二十四時間営業オープンの空港の最大のメリットはどこにあるだろうか、この点をお伺いしたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/252
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253・山本長
○政府委員(山本長君) 特に国際線におきまして、先生御存じのように国際航空機というものは、ある国と申しますか、の時間というものと実は関係なく動かなきゃならぬという要素がございます。つまり、真夜中に着くあるいは朝早く出るというふうな国際航空路線上の一つの空港といたしまして日本がその役割を、国際社会における役割を果たすという意味からいいまして、そういった国際航空路線の中において日本がやはり人並みの役割を果たすと申しましょうか、他の主要国においては二十四時間空港を主要空港として持っているのが通例でございますので、そういった面からこれは国全体の一つの立場と申しますか、国際航空における役割を果たすということが一つ大きな要素としてあると思います。
それから、実際問題のメリットといたしまして、確かに夜間というのは国際線にいたしましても、あるいは早朝というのは昼間に比べて、便数はそんなに多くはないと思います。しかしながら、例えば成田から出る国際線にいたしましても、夜成田は十一時まででございますけれども、その十一時間際といいましょうか、そのぎりぎりの時間帯というのはやはり航空機にとっては非常に重要な時間になっておりまして、十一時であることによって今度は相手方の空港に着く時間が非常に不便な時間になるというふうなことがございまして、数といたしまして昼間ほど多くはありませんけれども、国際航空輸送というものの円滑な流れと申しますか、流れというものを確保する上からいって、時間の制約がないということは非常に望ましいわけでございます。
またそれから、特に貨物の国際輸送というものにつきましては、現実に企業の生産、出荷と日本からの輸出というのを考えてみますと、どうしても夜に集中する、日本から夜遅く出発するというのがやはり便利だというのがございます。特に、貨物輸送につきましては現在も相当な伸びを示しておりますけれども、今後とも航空の貨物輸送という面のウエートが非常に輸出、輸入とも大きくなっていくのではないかと思います。
そういった面で、非常に二十四時間営業空港というのはメリットがあるというふうに考えられるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/253
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254・伊藤郁男
○伊藤郁男君 このメリットをさらに生かすために、やっぱり二十四時間オープンされておりましても、その新空港からさらに国内に、札幌とか九州とか、そういう要するに接続便ですね、こういうものが実際なければ二十四時間オープンの特性が生かされてこない。また、そういうことを考えますと、日本の他の空港の整備というものも関連して考えていかなきゃならぬ、こういうことにもなると思うんですが、その点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/254
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255・山本長
○政府委員(山本長君) 輸送の面から見れば確かに、二十四時間空港が複数ある、数多くあるということはそれは望ましいということは言うまでもございません。しかしながら、やはりそれはそれなりに各地の空港におきましてもいろいろ制約がございまして、なかなか現実にはそうはいかないという状態でございます。何しろ二十四時間空港は日本にはないわけでございますので、先生おっしゃるように数多くあるということは望ましいことは言うまでもないと思いますけれども、現実にはなかなかそれは難しい状態であるというふうなことが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/255
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256・伊藤郁男
○伊藤郁男君 これは将来の問題でしょうけれどもやはり二十四時間オープンの空港の特性を存分に発揮してもらわないと、先ほどの需要予測じゃないですけれども、計画が狂ってくる可能性もある、そういうことを指摘したかったわけでございます。
それから次に、先ほど来からもさまざま議論が出ておるわけでありますが、今回のこの株式会社は、今までは空港は国がつくる、それを使うのが航空会社だ、国は空港を管理、監督する、こういうことだったんですが、今度はそういうわけにはいかない。まさに空港経営株式会社ですから、確かに空港そのものは公共性の高い企業ではありますけれども、したがって営利に走り過ぎることはもちろん抑制をしていかなければなりませんが、そうかといって赤字を積み重ねて国鉄の二の舞になってもいかぬ、ということになりますね。だから収益というものを十分に考えていかなきゃならない。そういうことを考えないで公共性のみを主張しておりますと、結局は使用料の値上げとか、それに直結する料金の値上げとか、利用者に負担が結局がかってくる、それは公共性に反する、こういうようになるわけでありますが、そこで、この新しい空港の経営については、まさに民間の経営感覚を存分に取り入れていかなければ私は失敗するのではないかと、こう思うんですよ。そういう意味で、先ほど来から新しい空港の人事の問題につきましてもいろいろ議論が出ているんですが、私は官側というものが一歩も二歩も引いてそして民間中心の人事であるべきだ、そして民間人を大いに活用して自由闊達な考え方をこの空港経営の中に取り入れていく、こういう姿勢がなければこれは失敗する、こういうように考えているわけでありますが、この点についてのもし大臣、お答えをいただければお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/256
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257・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) この人事は、会社の今後の問題にとって致命的に大事な問題であることはもう申し上げるまでもございません。私ども、気持ちとしましてはできるだけ民間の有能な方、特に地元との関係その他から考えましてそういう方に来ていただくということを考えるということだと思っております。
ただ、ここで考えなきゃならぬことは、いわゆる私は役人の、ただ役人の経歴があるから天下りというようなことはこの際これは考えたくないと思っております。ただ実際問題として、空港をつくるということ、これは専門家というのは実は役所におるわけでございます。そういう意味で、そういう専門家は活用しなくちゃいけない。これは一般の天下りという名で呼ばれる、何か役人のどこか偉い者、偉いことをやったから全然関係のないようなところへ行くのとは意味が違うと実は思うのでございまして、それから下の方は、役所からある程度優秀な技術者を出向させるというようなことも考えていかなければなりません。また、アクセスの問題あたりでは、建設省なども道路についての専門家というようなものもこれはあるいは必要になってくるんじゃないかなというような感じもいたしますので、民間だけが主でというわけには必ずしもまいりませんが、お気持ちは私ども十分尊重してまいるような大事にしなければならぬと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/257
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258・伊藤郁男
○伊藤郁男君 確かに、再門家は必要ですし、技術者もそういう形で私は必要だと思うんです。ただし、従来の発想でいったのではだめだと思うんですよ。従来の発想でいけば、やはりお役所仕事になってしまう。だから、発想の転換というのは非常に必要なんですね。そういう意味で私は言っておるわけでございます。
例えば、私鉄の場合は、これは私鉄の経営がもうかっている部分は、要するに私鉄のあのターミナルデパートですね、ああいうもので実は収益を上げているわけですよ。だから空港も、あの私鉄のターミナルビルのような感覚、そういうような経営、こういう手法を取り入れていかなきゃならぬのではないかと私は思うんですよ。その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/258
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259・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) この附帯事業についてはもうおっしゃるような精神でいかなけりゃ、役人では商売はうまくいかない。株式会社になったメリットのやはり大きなものの一つは、その今おっしゃったことだろうと思います。こういうものについては民間の本当に力のある専門家を起用しなければ商売にならない、こう思っておりますので、お説のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/259
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260・伊藤郁男
○伊藤郁男君 それからもう一つ。
例えば免税店がありますね。こちらから国外にでていく場合に、空港の中に入れば免税品を買える。しかし、そのまま国内に持ち帰ることはできないことになっていますね、今。国外には持ち出すことができるということになっているんですが、これは私は特例処置としてこの際やるべきじゃないかと思うんですが、その免税店からこちらから出ていくときに買って、領収書だけいただいて海外へ行って、帰ってきてその領収書を渡せばその免税品がもらえる、こういうお客さん本位の考え方に立てないものだろうか。免税品を買って、向こうへわざわざ行って、重い物、荷物をしょって国内に帰ってきて、検査を受けて入るというんじゃなくて、そういう免税品の問題についてもそういうような発想を取り入れていくとすれば、やっぱり皆さんが、お客さんが買った免税品というものを保管しておく施設が必要になってきますわね。だから、発足の当初から、設計の段階から、やはりそういう発想の転換、民間の手法の導入、こういうことは極めて重要な問題ではないか、こういうように思いますので、そのような特例処置なども考慮に入れながら、今回の新しい株式会社の発足、そしてその後の経営のいろいろな計画に生かしていく、こういうことも必要ではないかと思うのですが、この点についてはお考えはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/260
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261・山本長
○政府委員(山本長君) 免税品の特例措置とでも申しましょうか、先生の御指摘は、到着時に予約したものを受け取るというふうな特例措置でございますけれども、これは、実は免税品の扱いになるものでございますから、やはり関税法、つま
り大蔵省関係の御判断というものが必要だと思うのでございます。この点につきましては、先生のお考えというものも伝えたいというふうに考えますけれども、この問題につきましては議論がなされたこともかつてございまして、ただ、大蔵省におきましては、この外国産品について、条約に基づく関税協力理事会という国際的な組織がございまして、それの免税売店に関する勧告というものがございまして、旅行者が携行するものに限って免税品の販売を認める。また、関税定率法により、入国の際に携行し、または別送して輸送するものに限り免税措置が講じられる、こういうふうな何といいましょうか、国際的な一つのルールと申しましょうか、まあ勧告でございますからルールとまではいきませんけれども、この勧告に従って各国が免税品の扱いを決めている、こういう実情があるようでございます。
こういった扱いとの関連もございまして、大蔵省の意見を聞いてみますと、現状においてはなかなか難しいというふうに我々聞いておるのでございます。先生の一つの御提案でございますから、大蔵省の方にもよくお伝えいたしたいと思いますけれども、そういう問題があるということは御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/261
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262・伊藤郁男
○伊藤郁男君 何としても、空港経営ですから、収益性を考えて、しかもそこから上がる利益が、かつ将来の空港整備その他にも活用されていくということが必要だと思うんですよね。羽田の空港ビル株式会社じゃありませんけれども、もうけにもうけて役員の退職金が二億も三億円もと、そういうようなむちゃなもうけをそのまま放任しておく、これではいかぬわけですね。収益を上げた分は、それはやっぱり利用者のために活用していく、こういうことを考えていただきたい。
そこでもう一つ。これは航空医という医者の問題ですが、この間もこれは運輸省で調べていただいたんですが、日本の主な空港に入ってくるときに、かなりの急病人が出るんですよね。亡くなった方もかなりいるわけですよ。毎年それは亡くなっているわけですね。長い間気圧の薄いところを通ってくるせいもあるでしょう。そういうこともありますでしょうが、ところが日本の空港というのは、そういう救急医療体制というものがまさにない、空港の中にないんですね。急病人が出ればそのまま受け取って、それを救急病院に運んでいくということはやります。さらにまた、空港ビルの中にはお医者さんは開業医はいます。開業医はいますけれども、それらはそこに働いている従業員の健康の診断その他をやっている、こういうだけなんですね。まさに今や一級品の国際空港ができるということですから、やっぱり国際的にも、そういう面でもお客さんの利便を考えて、お客さんのために本当にいい空港だというイメージをつくり上げにゃいかぬと思うんですよね。そういう意味で、外国の例なども十分に参考にしていただいて、そして空港の中に医療施設、単に開業医が開業するのにお任せするだけじゃなくて、もっと専門的な航空に関する専門医といいますか、そういうものを置けるような医療施設というものを新しい空港の中には設けることができないだろうか。
このことも一つの提案でございますけれども、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/262
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263・松村義弘
○説明員(松村義弘君) 先生御指摘のとおり、我が国の空港におきまして急病人の方、または飛行機からおりられて急に御気分の悪くなった方などがいらっしゃいます。一日当たり何人というふうに単純に計算いたしますと数は少のうございますけれども、やはりその方々にとっては大変なことだと思います。それらに対します我々の救急医療体制でございますけれども、航空機の中で御気分の悪くなった方には、あらかじめ着陸する前に地上に連絡をいただきまして、空港当局の手でもって救急車を用意しておく、そして着陸と同時にすぐ救急病院にお運びするという措置をとるようにしております。また、病状によりましては、従業員のための診療施設をすぐ用いまして救急医療をするようにいたしております。万全の措置を講ずる所存ではございますけれども、なかなか十分ではないのが実情でございます。先生の御指摘でございますので、また外国の例なども参考にいたしながら検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/263
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264・伊藤郁男
○伊藤郁男君 最後に。
この新しい法案の審議が始まりましてから、過激派の蠢動などが伝えられるわけですね。既にこれは我が党の代表も、質問をした直後にすぐ電話が過激派からかかってきて脅迫をされる、こういう事例もあるわけです。今度これ長い間の事業なんですけれども、成田のようなことの二の舞、条件的にはなかなか成田と違うんだ、こう言いましても、そういう過激派がどのような行動を起こすかわからない。特に、このごろは関西地区、グリコ事件などを初めといたしまして大変治安状況がよくない。そういうようなことを考えますと、その点についての万全な対策も警察庁とも連絡をとりながら十分に講じていただかないとまずいのではないか、こういうように思っておりますので、これは要望して終わります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/264
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265・山田耕三郎
○山田耕三郎君 本日の最後の質問になりましたので、さきの質問者の方々と重複いたします面もございますけれども、あらかじめ通告をいたしております事項について視点をできるだけ変えてお尋ねをいたしたいと思いますので、御容赦をお願いいたします。
関西国際空港建設計画の進められておりますこの大阪湾は、瀬戸内海に位置をいたしております。既に御承知のとおり、この瀬戸内海は、瀬戸内海環境保全特別措置法による特別の環境保全区域に指定をされておりまするし、御承知のとおり、法律にしては極めて珍しいことでありますが、その第三条に「わが国のみならず世界においても比類のない美しさを諮る景勝地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきもの」とうたわれております。国民にとってかけがえのない自然財産であり、また歴史的遺産でもございます。したがって、自然の摂理に変革を加えたり、環境や歴史的遺産に及ぼす侵害は絶対に避けることが望ましい地域だと私は考えます。しかし、社会的変化に対応するために、熟慮を重ねられた結果、よし改変の必要があったといたしましても、破壊に対しましては深甚な警戒と周到な配慮が必要であります。そして、つくられる施設、すなわち作品については、そのつくり方はもちろんのこと、完成品になりました暁においても、この地域に極めてふさわしい、美しいものでなければならないと思います。なぜなれば、自然や歴史的遺産は、一たび破壊をいたしましたら、それはもとに返らないからであります。
以上のような観点から、数点お尋ねをいたします。
まず第一点は、既にこれはお尋ねになりましたことでありますけれども、経営主体についてであります。
私は、民営を必ずしも、否定するものではありませんが、この関西国際空港株式会社という方式が決定をいたします経過につきましては若干の疑問を持ちますので、この点からひとつお尋ねをさせていただきます。
これはもう既に御承知の問題ですから簡単に申し上げますけれども、空港本体は政府出資の公団で、さらにまたその他の利便施設については民間の出資をも含める第三セクターでといいますのは、昨年の、昭和五十九年度予算概算要求の時点で運輸省が決められました方策であります。そしてさらにまた、この案につきましては地元にもおろして、地元の関係団体とも協議を済まされております問題でございますけれども、結局、その案が変わりまして、そして今私たちの審議の前に提示をしていただいております特殊法人であります関西国際空港株式会社案でございます。このことについては、私たちの知ります範囲では、政府部内においても二つの機構を新設するということに対する疑問、もう一つは中曽根総理から特に民間活力の導入のモデル事業とする強い意向が出されて、急速このように変わったと私は聞いておるのでございます。しかし、それではこのように経営主体を特殊法人であります関西国際空港株式会社に変えなければならなかった理由として私自身が把握をいたしておりますのは、大体次のようなことなのではないかと思います。
第一には、政府の進める行政改革と財政再建に関連をして、財政上の立場から、二つ目には、資金調達を多様化し、事業を効率的に行い得る、これは衆議院における総理の答弁にもありました。第三は、株式会社の方が早く建設することができる、これも細田運輸大臣が衆議院でお答えになっておられます。第四番目は、これこそいわゆる民間の活力であります。このようなことが主たる理由のように思いますのですけれども、関西国際空港株式会社の資金計画でありますとか、会社に対する政府の財政援助でありますとか、さらには税制上の特別措置等について分析をいたしますと、私は次のように推論ができると思いますんです。
まず第一点、資金計画についてでございますけれども、調達必要金額を一兆円といたしまして、そのうちの出資金が一二%、これは金額にして一千二百億円でありますが、それに加えて無利息の借入金、これは私の理解では出資金と無利息の借入金とを合わせまして必要資金の三〇%、このように理解をいたしておりましたのですけれども、聞いてみますとこの中にはやっぱり民間の出資金もある。さらには地方自治体の出資金もあります。それらについては無利息ではなしに長期の低利資金というように先ほどから御答弁がありましたので、この点の考え方については若干訂正をしなければなりませんのですが、簡単に申し上げて三〇%、すなわち三千億円というものは一応無利子とさせていただいて、残り七〇%、七千億円が八%の有利子の借入金、このように計算をしますと、事業資金全体のコストが五・六%になります。これを今日の成田空港の場合を考えますと、公団方式でありますから全事業資金のうちの二〇%が政府出資、残り八〇%がすなわち八%の有利子の借入金、こういうことになりますと、このときの資金コストは私の計算では六・四%になりますのですけれども、先ほど飛行場部長さんの御答弁の中には、成田の場合には五・七%になりますという答弁がございました。
これは、そのようになりますことの計算を後刻また参考のためにいただきたいと思いますのですが、そうなりますと資金コストが五・六%と五・七%でありまして、関西国際空港の特殊法人の場合はわずかに〇・一%だけしか有利になりませんけれども、それでも有利に措置されておることは御理解がいただけると思いますのですけれども、私の当初の計算ではこれらが〇・八%、すなわち成田空港の資金コストを六・四%と計算をいたしましたので〇・八%今回の場合の方が手厚い措置がされておる、そういったことから非常に思い切った優遇措置だと言われておりましたのでございますが、この優遇措置も、裏を返して見れば、もちろん地方自治体を引っ張り込んではおりますけれども、公的負担が公団の場合よりは増加しておりますことになりますということから考えてみますと、財政再建に寄与した措置とは考えられませんというのが一つであります。
会社の経営には有利でありますけれども、今の財政再建というのは、中央、地方ともにその必要に迫られているときでありますから、地方自治体を引き込んでの対応でありますので私の言うような論理が出てくるのではないかと思います。
さらにまた、この財政援助についてでありますけれども、例えば法律には、政府は常時発行済み株式の二分の一以上を保有すること、こういうことになってはおりますけれども、発足の当初におきましては地方自治体も出して負担をしております。ですから、八、二、二の割合でいきますとやっぱり八三%が公的出資と、こういうことになっておるのも事実だと思います。そのほかに無利息の借入金が措置をされたり、長期の低利の資金によるところの資金貸与が措置をされたりいたしております。ですから、こういうことから考えますと、私といたしましては、大変手厚い措置をされてはおりますけれども、民間であるためにこのことが公的負担を減らす原因にはちっともなっておらないのではございませんか、このように思いますのですが、その辺に対する御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/265
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266・山本長
○政府委員(山本長君) 非常に細かい分析をなさった御質問でございますが、大体、大筋において、先生の御指摘の公的負担、事業費に対する公的負担という比率が成田に比べて高いということは、そのとおりだと思います。ただ、この場合にこの事業がやはり、これは公団方式であろうと会社方式であろうといずれでもそうでございますけれども、将来利払いができ、かつ償還が、元本償還ができていくというためには、それなりのやっぱり採算性が確保されなきゃならぬわけでございます。そういう意味からいいまして、成田の場合には先生のおっしゃる無償資金比率というものは二〇%になっておるわけです。この会社の場合には三〇%になっておるわけでございます。これはなぜかといいますと、やはり海上を埋め立てるということによる建設費が比較的割り高になる、これはそういうふうなロケーションにあるから割り高になるというふうな点が大きく寄与しているわけです。またそれは、地方の公害というものに対して非常に配慮をしております。場所的にいいまして五キロ沖というふうなものも、そういった配慮からでございます。
そういった建設費が割り高になっておるというところ、それはそれなりの配慮からでございますけれども、そういう建設費を前提といたしまして、所定の需要見通し等々から試算をいたしまして、将来いわゆる赤字の垂れ流しというふうなことにならないで自前で採算がとれていくということにするには、この会社の場合は三割必要だと、こういうことになるわけでございます。
その場合に、先生がおっしゃる二割と三割を比べて、あるいは二割と二割五分を比べてこの会社が公的負担が大きいというふうに先生御判断でございますが、そのように考えるべきなのか、むしろこの会社、この空港というものが必要不可欠でどうしてもやっていかなきゃならぬ、そしてやはり採算性というものをとっていかなきゃならぬというところからすれば、三割というものを公的資金でもって確保するか、この会社の構想のように二五%、それは国だけの立場から見れば二〇%というふうになっておりますので、そういう観点、この空港をつくらなきゃならないんだという観点からすれば、私どもといたしましては、公的負担というものは通常の今までの方式からすれば三割どうしても必要であるものを府県、地方公共団体も含めて二割五分にしておる、国だけから見るならば二割にしておるという意味において、何と申しますか、現下の財政事情というものも十分配慮した計画にしておるつもりでございます。あながち公的負担が重くなっているというふうに言えないのではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/266
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267・山田耕三郎
○山田耕三郎君 続けます。
さらに、これも既にお尋ねをされましたけれども、税制面につきましては六点にわたりまして免税、非課税もしくは軽減の措置が、制限はありますとはいいながらもとられております。私企業と公団との違いは、その持てる資産や営業行為に対する公租公課がかかるか、かからないかというところが一つの大きな違いであります。もう一つは、出資金に対して利潤を約束しておるか、おらないか、それらが違いでありますけれども、税側面においてこれだけの配慮が加えられるということになりますと、この面からの公団とさらには特殊会社であります株式会社とは、余り変わらないような結果が出てまいります。
なお、利益配当の特例を見ましても、この会社が八分までの利益配当をする場合には出資者である国へは配当をする必要がありません、こういうようにもなっております。そういう点からあわせて考えてみますと、この面でも、財政的配慮からの公団だとかさらには特殊法人だとかは、あえてそんなに目くじらを立ててどっちでやらなければならぬというようなことはないように私は考えます。
にもかかわりませず、一つは、この間も関西地区の調査でありましたように、大阪府の知事が言われました言葉は、我々の方から頼んだことではありません、地元では戸惑っておりますということでもありました。さらにまた、事業主体が特殊会社でありますために、特殊会社が持ちます機構要件とさらには採算性重視から、地元地域社会に責任ある対応ができるのかどうか大きな危惧を持ちます、という地元の言葉もございました。さらには、歴史が古いので私はこのことは存じませんが、地元の方の意見を信じますなれば、最初は第一種空港は国がつくるという大原則を一歩進めて、地元団体にも出資を求めていくという案から始まり、さらに基幹施設は公団でやり利便施設は民間も出資をする第三セクターで実施をするという第一次案になり、その後いつの間にかこのたびの特殊会社に変わってきました。このような重要案件が二転三転することに危惧を感じておられるようですけれども、その第一次案を、二本立て案を地元へ行って説明もし合意も得てこられた運輸省とされましては、そういったことに対する批判はやはり覚悟の上であったと思いますけれども、そういうようなデメリットを持ちながらもあえて特殊会社方式に踏み込んでいかれましたのはなぜなんですか、その辺が理解ができませんのです。
先ほどからいろいろと説明をしておいでになりました資金需要の多様化といいましても、発足のときの予算計画を見てみましても、大部分は出資金と政府が保証しますところの保証債七十億円であります。もちろん、この保証債については、政府の保証がありますために資金コストを引き下げる効能はありますと思います。また、政府が後ろにおいでになりますから、調達の多様化もこの面ではできてくると思いますけれども、こういうものを除いてみまして、そんなに資金調達の多様化を公言をせなければならぬほどのメリットは余り感ぜられないのでありますが、あと残るのは、結局は民間の活力、こういうことになりますんですが、それは次にお尋ねさせていただくとして、今申し上げましたように、なぜこのようにして特殊会社案に踏み込まれましたか、その辺をもう一度御表明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/267
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268・山本長
○政府委員(山本長君) 昨年八月運輸省がいわゆる二本立て案という形で要求したわけでございますけれども、その後のやはりいきさつ、部内における折衝の中でいろんな意見がございまして、しかも私たちの案になりましたのを、地元との事前調整を図りながらこういう形に落ちついてきたわけでございます。
その、こういうふうな案がいいという判断になりましたのは、くどいようでございますけれども、やはり民間活力というものを積極的に導入するのが適当だという臨調答申の趣旨というものを尊重する必要がある。それから、空港というものはやはり円滑に建設、運営をやってまいりますときに、地域社会との調和というものをどうしても図らなければなりません。そういう意味から申しまして、従来の国出資の公団というふうな方式よりは、国も出資をいたしますが、また主導的な役割を果たしますけれども、地方公共団体、それから経済界というものも一体となった協力体制、責任体制というものがやはり地域社会などとの調和を図っていく上においても望ましいのではないかという判断、それから、企業の、事業の形といたしまして、特殊法人ではございますが株式会社という形にすることによりまして、弾力的な、効率的な、企業的な経営というものも可能になり、これも期待できる、こういうふうな観点から三者一体の会社が適当だ、この時勢に合った経営形態であろうと、こういうふうに判断をいたしました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/268
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269・山田耕三郎
○山田耕三郎君 この特殊法人でお尋ねをしております項の最後のお尋ねとして、運輸大臣にお願いをいたします。
運輸省が志向なさっておりますところの、この特殊会社の方針決定の場合の民間活力の導入とは具体的には何なのか、御明示をいただきたいと存じます。
私は、運輸省で政策形成をしていかれますパターンについてはつまびらかではございません。しかし、やっぱりどこでもそうですが、政策をつくり上げていかれますのには大変な苦労が要ると思います。そうして、そのためには多くのディスカッションが行われてきておると思いますんですけれども、ツルの一声で重要政策が突然決定されるような印象を受ける政治には私は極めて危機を感ずるものなのでございます。そういうことでなければよろしいのですけれども、何かそのような感じを私は受けました。そういう立場から、運輸大臣が志向なさる民間活力の導入とは具体的に何を願ってお決めになりましたのか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/269
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270・細田吉藏
○国務大臣(細田吉藏君) 質問の御趣旨はよくわかりました。ツルの一声というお言葉がございましたけれども、これはツルの一声で決まったわけではございません。概算要求で出しました案がこれに変わります段階におきましては、各方面の意見、大蔵の意見もございますし、それから各地方団体の意見もございます。公共団体の意見もございます。それから、もちろん総理ないし官邸の御意見もございます。臨時行政調査会の方針もございます。行政管理庁の考え方もございます。いろいろなものでこれはこういうふうに変えたわけでございます。
それで、今おっしゃっておりますように、資金面でとにかくそう違わないじゃないかと。私は、この特殊法人、この株式会社というのは、いろいろな面で非常に公団に近いものだと思うんです。非常に近いものです。ですから、非常に近いということを逆に言うと、大した効果はないじゃないかというお話にもつながるわけなんだと思うんですが、私は今お尋ねの、民間活力で一番今度ねらっておるところは何だと申しますと、成田の空港公団をやってみまして、私どもやはり地元との関係、この関係を何としても円滑なものにするということが、空港をつくることそのものにも必要ですし、周辺の整備にも必要でございますし、アクセスでも必要でございますし、そういう点が一番大きい、今航空局長からも申しましたけれども、一番大きなメリットになることを私ども期待しておるのでございます。つまり、自分のこととしていろいろな御協力をいただけるということが私はいわゆる民間活力の最大のものだと、こう思っておるのでございます。ということは、空港をつくるまでがもうなかなか大変でございまして、これは環境の問題から漁業補償の問題から何から、もう大変なことだと思うのでございます。そういう点について、自分たちのことにして御協力をいただけるということですね、これに大きな期待をかけているわけなんでございます、これが大きいこと。
それからもう一つは、先ほど来話が出ておりますけれども、附帯事業ですね。いろいろ売店だとかホテルだとか、いろいろな附帯事業というのは、かなり場所的に有利なところにありますために収益が上がるという可能性が非常に強いわけでございます。それをむしろよそへ持っていかれるよりは、これがじかに吸収をすることによって将来の借金をなしていく、返していく計画の中へ入れることができる。そういう意味で、民間活力の有効利用というのはほかにもございますけれども、私としましては、特にその二点などは非常に大きいものではないか。
資金の問題その他につきましては、むしろおっしゃるような感じも私自身も実はいたしておるというのが率直な私の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/270
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271・山田耕三郎
○山田耕三郎君 時間が残り少なくなりましたので、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/271
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272・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/272
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273・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
本案の審査のため、来る十七日の委員会に、関西経済連合会会長日向方齊君、東京大学名誉教授、航空審議会委員五十嵐寿一君及び大阪市立大学名誉教授川島哲郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/273
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274・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/274
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275・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 次に、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。
先般、当委員会が行いました関西国際空港の建設等に関する実情調査のための委員派遣につきましては、報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/275
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276・矢原秀男
○委員長(矢原秀男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113830X00619840515/276
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