1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年五月十八日(金曜日)
午後零時四十八分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 高木健太郎君
理 事
古賀雷四郎君
本岡 昭次君
塩出 啓典君
委 員
後藤 正夫君
成相 善十君
福田 宏一君
藤井 孝男君
安田 隆明君
小野 明君
松前 達郎君
伏見 康治君
佐藤 昭夫君
山田 勇君
野末 陳平君
発議者 本岡 昭次君
発議者 塩出 啓典君
国務大臣
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 岩動 道行君
科学技術庁長官
官房長 安田 佳三君
科学技術庁研究
調整局長 福島 公夫君
科学技術庁原子
力局長 中村 守孝君
事務局側
常任委員会専門
員 野村 静二君
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本日の会議に付した案件
○日本原子力研究所法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○日本原子力船研究開発事業団の解散に関する法
律案(本岡昭次君外二名発議)
○海洋開発基本法案(塩出啓典君外二名発議)
○海洋開発委員会設置法案(塩出啓典君外二名発
議)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113928X00719840518/0
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001・高木健太郎
○委員長(高木健太郎君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
日本原子力研究所法の一部を改正する法律案、日本原子力船研究開発事業団の解散に関する法律案、海洋開発基本法案及び海洋開発委員会設置法案、以上の四案を議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。岩動科学技術庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113928X00719840518/1
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002・岩動道行
○国務大臣(岩動道行君) 日本原子力研究所法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
我が国における原子力船研究開発につきましては、昭和三十八年、日本原子力船開発事業団を設立し、同事業団を中心に進めてまいりましたが、昭和五十五年の第九十三回国会において、それまでの我が国の原子力船研究開発をめぐる諸情勢等を踏まえ、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案が審議、議決され、それによって、日本原子力船開発事業団は、原子力船の開発のために必要な研究を行う機能を付与され、日本原子力船研究開発事業団に改組されたところであります。その際同事業団については、行政の各般にわたりその簡素化及び効率化を進める見地から、昭和六十年三月三十一日までに、他の原子力関係機関と統合するものとし、このために必要な措置を講ずるものとされたところであります。
この日本原子力船研究開発事業団の統合につきましては、政府として慎重に検討を行ってまいりましたが、統合先としては、以下の理由により日本原子力研究所が適当であると判断いたしました。すなわち、一、長期的な観点から我が国の将来を考えるとき、原子力船に関する技術を保有しておくことは重要であり、このため、今後段階的、着実に研究開発を進めることとし、この見地から、原子力分野において基礎から応用にわたる幅広い技術基盤を有する日本原子力研究所は、その総合的能力を原子力船技術に対しても十分に活用し得ると考えられること。二、日本原子力研究所は、これまで日本原子力船研究開発事業団の業務に協力してきた実績があり、今後の原子力船に関する研究開発についても、このような実績をもとに、円滑に遂行し得ると考えられること等であります。
なお、日本原子力船研究開発事業団が開発を進めてまいりました原子力船「むつ」の取り扱いにつきましては、各方面のお考えを踏まえつつ、検討を行うこととしておりますが、原子力船の開発のために必要な研究は、「むつ」の取り扱いに関する検討結果のいかんにかかわらず、どのような方法にせよ進めていく必要があると考えており、いずれにいたしましても、日本原子力船研究開発事業団を日本原子力研究所と統合することが適当であると判断いたしております。
本法律案は、以上の判断に基づき日本原子力船研究開発事業団を日本原子力研究所と統合するものとし、このため同事業団を解散し、その権利義務の一切を日本原子力研究所に承継させるとともに、同研究所の業務として、原子力船の開発のために必要な研究を行うこと等を規定するなど、所要の規定の整備を行うものであります。
以上、本法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113928X00719840518/2
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003・高木健太郎
○委員長(高木健太郎君) 次に、発議者本岡昭次君から趣旨説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113928X00719840518/3
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004・本岡昭次
○本岡昭次君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました日本原子力船研究開発事業団の解散に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
原子力船「むつ」は、基本設計に着手されてから既に満二十年が過ぎ去っております。その設計は余りに古く、しかも陸上で先行させるべき基礎研究をほとんど省いており、単に遮へい装置だけでなく、原子炉本体に重大な欠陥があろうと推察されております。完成されてから無為に過ごした十二年の間には、炉本体や燃料棒や制御棒等が経年変化によって脆化していることもないとは言えません。しかも、所定の出力上昇試験等を実施してからでは、発生する核分裂生成物のために、その後の廃炉処理が非常に困難となります。これ以上の糊塗策を積み重ねることは、莫大な浪費の拡大になるばかりでなく、危険なのであります。そのために、「むつ」はすぐに廃船にすべきであるという日本社会党の十年来の主張の正しさは、いよいよ多くの国民の共鳴を得るところであり、自民党の賢明なる科学技術部会の皆さんも、廃船を最善とお考えになっておられるやにお聞きしております。
にもかかわらず、政府と科学技術庁は、日本原子力船研究開発事業団法が期限切れになる来年三月末日以降も、原船事業団を日本原子力研究所に統合することによって、内容をそのまま存続させ、しゃにむに関根浜に新しい定係港をつくり、出力上昇試験、試運転を強行する道を温存するために、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案を作成し、上程しております。しかも、具体的な計画は、この法律を通してから、国会の外で八
月に決めようなどという許しがたい国会蔑視の方法をとっております。
そもそも平和利用の商業原子力船は、港が結氷する国の砕氷船は別として、遠い将来にわたり実現性のないことが国際的にも明らかになっている現在、「むつ」の出力上昇試験等によってデータを得ることにそれほどこだわるのは、そのデータをもとにして原子力潜水艦を初めとした軍事目的を持つ艦船を建造する意図を持つものと判断するほかはありません。
しかも内閣提出の法案によると、本来原子力の基礎研究を任務とすべき原子力研究所に、全くそぐわない船員の養成訓練等まで含む原子力船の開発業務が押し込まれ、またそれらの業務運営は、原子力安全委員会等の議決抜きに運輸大臣等が決めることに改悪されることとなっております。
このような、これ以上の巨額な国税の浪費を伴う危険な猪突猛進を、国民が是認するはずはありません。したがって、私どもは国民の声を代表して、最善の対決法案を作成し、ここに提案する次第であります。
次に、この法律の内容について御説明申し上げます。
第一は、原船事業団の解散についてであります。
原船事業団はこの法律が成立し次第(公布の日に)解散するものといたしております。
第二は、清算人の任命についてであります。
主務大臣(内閣総理大臣及び運輸大臣)は、事業団が解散するとともに、原則として解散前の事業団の役員のうちから清算人を任命しなければならないものといたしております。また清算人は、事業団を代表するものと定めております。
第三は、清算事務の監督についてであります。
清算人は、遅滞なく事業団の財産の現況を調査して財産目録及び貸借対照表を作成し、主務大臣に提出してその承認を受けなくてはならないものといたしております。
また、清算人は、主務大臣の定める清算計画に従って清算を行わねばならず、主務大臣は、清算人に対し、清算に関して必要な事項を命ずることができることといたしております。
第四は、原子力船に関する措置についてであります。
清算人は、設置されている原子炉が、「むつ」船内において運転されることがないようにするための必要な措置をとらなくてはならないものといたしております。具体的には次のような措置が考えられます。
その一つとしては、原子炉を撤去し、日本原子力研究所等に移すとともに、船は運輸省や商船大学等で利用することが考えられます。購入者は補助ディーゼルエンジンを増強して利用することも可能でしょう。
その二つとしては、原子炉から燃料棒のみを取り外し、廃炉として、船は同様に別途利用することも考えられます。
その三としては、制御棒駆動用モーターを取り外すことなどによって、事実上廃炉処分とし、船体から取り外さぬまま全体を陸揚げして博物館等とし、管理することも一案でありましょう。
第五は、再就職の援助等についてであります。
国は、事業団の職員(四十余名)の再就職の援助その他その職員の職業及び生活の安定を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものと定めております。約百名に及ぶ出向社員や長期出張者については、それぞれもとの企業の職場に戻るものとすることは言うまでもありません。
以上、この法律案の提案理由及びその内容について御説明申し上げました。
早速御審議の上、参議院の良識により内閣提出法案にかえて速やかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113928X00719840518/4
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005・高木健太郎
○委員長(高木健太郎君) 次に、発議者塩出啓典君から趣旨説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113928X00719840518/5
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006・塩出啓典
○塩出啓典君 ただいま議題となりました公明党・国民会議提出の海洋開発基本法案及び海洋開発委員会設置法案につきまして、その提案理由及びその内容を御説明申し上げます。
海洋は、全地表面積の七割を占めながら、いまだ十分に開発されておらず、人類に残された未開発の宝庫と言えます。
海洋には、生物資源、鉱物資源及び海水など多種多様な資源が豊富に包蔵されており、さらに海洋エネルギー並びにスペースの利用等、その開発は産業の振興、国民生活の向上、さらに人類社会の福祉に寄与すること大であります。
四面海をめぐらし、国土の七五%に当たる大陸棚を有し、しかも陸上資源の乏しい我が国としては、海洋の開発は極めて重要かつ緊急を要する課題であります。
第三次国連海洋法会議は、昭和五十七年四月三十日に海洋法条約草案を圧倒的多数で採択しました。条約の発効までにはまだ数年はかかるでしょうが、ともかく海洋自由の時代はもはや過ぎ去り、領海、経済水域、深海底資源開発等について新しいルールができました。
注目すべきことは、四面を海に囲まれた我が国に二百海里経済水域のルールを当てはめると、領域がなんと国土の十二・八倍の広さとなり、海陸を合わせると世界第八位の大国となるということであります。
また、最近の画期的発見として、いわゆるマンガン団塊と呼ばれる極めて良質の深海底鉱物が四千メートルないし六千メートルの深海に豊富に賦存していることが確かめられました。この深海底鉱物の採掘についても、海洋法条約では、人類の共通の財産という理念のもとに、発展途上国を配慮したルールが決められております。
こうした中で、我が国の国益を確保し、海洋先進国の伝統を守り続けるためには、海洋資源の開発とともに海洋環境の保全も含めた海洋の調査、研究、開発、利用において、世界をリードし、世界に貢献していくことこそが、我が国のとるべき道であると考えます。
公明党は、昭和四十四年に海洋資源開発振興法案を初めて提出して以来、昭和四十五年、四十六年、四十八年には委員会設置法案等を加えた、いわゆる海洋開発関係法案を四回にわ一たって提出し、海洋開発の重要性を訴えてまいりました。
また、海洋開発審議会は、昭和五十四年八月十五日、昭和五十五年一月二十二日の二次にわたって答申し、その中で海洋開発基本法の制定と、海洋開発委員会の設置の必要性を指摘して、海洋開発体制の速やかなる充実を迫り、しかも、その実現の時期を一九八〇年代初めとすべきであると提言しております。
我が国では、現在、総理府以外に十三省庁という多くの省庁が海洋開発に取り組んではいますが、連係が必ずしも十分とは言えないまま縦割り行政のもとで所管業務をそれぞれ実施しているのが実情であります。海洋開発を効果的に推進するためには、国全体としての総合的な計画のもとで時代の進展におくれないよう適切な施策を実施することが必要であることは言うまでもありません。
公明党は、先ほど述べたように時代を先取りし、早くから海洋開発の促進と特に委員会設置の重要性を訴えてきましたが、この際、改めて第三次国連海洋法会議によって開かれた海洋新時代に対応した理念と基本方向を確立するため、ここに海洋開発基本法案と海洋開発委員会設置法案を提案するものであります。
以下、この海洋開発関係二法案の主な内容について御説明申し上げます。
まず、海洋開発基本法案について申し上げます。
第一に、目的と基本方針としましては、海洋開発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって国民経済と国民生活の向上に寄与することを目的とし、開発に際しては、平和の目的に限り、民主的な運営のもとに、海洋環境の保全及び国際協調を図りつつ、自主的にこれを行うことといたしました。
第二に、国、地方公共団体の施策、法制・財政
上の措置、年次報告等につきましては、国、地方公共団体は、海洋開発のための政策全般にわたり必要な施策を講ずるとともに、国は法制上、財政上の措置を行うものとし、また、政府は、年次報告書を国会に提出するようにいたしました。
第三に、国の具体的施策としては、国は、一、海洋生物資源、海水・海底資源、海洋エネルギー及び海洋空間の開発、二、海洋環境の保全、三、海域総合利用、四、基礎的調査研究、五、基礎的科学技術の研究、六、国際協力、七、研究体制の整備、八、情報流通、九、知識の普及及び啓発、十、その他必要な事項等を推進することといたしました。
第四に、総理府に海洋開発委員会を設置することといたしました。
次に、海洋開発委員会設置法案について申し上げます。
第一に、目的及び設置としましては、海洋開発に関する国の総合的かつ計画的な推進とその行政の民主的な運営に資するため、総理府に海洋開発委員会を設置することといたしております。
第二に、所掌事務及び意見の尊重としましては、委員会は、次に掲げる事項について企画し、審議し、及び決定し、その決定に基づき内閣総理大臣に意見を述べ、内閣総理大臣は、その意見を十分に尊重しなければならないものといたしました。
事項の内容は、一、海洋開発に関する総合的かつ基本的な計画、二、海洋開発に関する重要な政策、三、関係行政機関の海洋開発に関する事務の総合調整のうち重要なもの、四、関係行政機関の海洋開発に関する経費の見積もり、五、研究者及び技術者の養成訓練(大学における教授研究は除く)、六、その他海洋開発に関する重要事項などであります。
第三に、組織及び委員長につきましては、委員会は、委員長及び委員六人をもって組織し、委員のうち三人は非常勤とすることができるとし、また委員長は、国務大臣とすることといたしました。
第四に、参与及び専門委員につきましては、委員会に、重要な会務につき意見を述べさせるため、非常勤の参与を置くことができるものとし、また、専門の事項を調査審議させるため、非常勤の専門委員を置くことができるものといたしました。
以上が、海洋開発基本法案及び海洋開発委員会設置法案の提案の理由並びにその主な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110113928X00719840518/6
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007・高木健太郎
○委員長(高木健太郎君) 以上で四案の趣旨説明の聴取は終わりました。
四案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時六分散会
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