1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年六月二十七日(水曜日)
午後一時三十六分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 穐山 篤君
理 事
山東 昭子君
原 文兵衛君
丸谷 金保君
飯田 忠雄君
委 員
梶木 又三君
河本嘉久蔵君
藤田 栄君
星 長治君
矢野俊比古君
柳川 覺治君
吉川 博君
片山 甚市君
菅野 久光君
高桑 栄松君
近藤 忠孝君
中村 鋭一君
美濃部亮吉君
発 議 者 丸谷 金保君
国務大臣
国 務 大 臣
(環境庁長官) 上田 稔君
政府委員
環境庁長官官房
長 加藤 陸美君
環境庁長官官房
審議官 大塩 敏樹君
環境庁企画調整
局長 正田 泰央君
環境庁自然保護
局長 山崎 圭君
環境庁水質保全
局長 佐竹 五六君
事務局側
常任委員会専門
員 桐澤 猛君
説明員
厚生省環境衛生
局水道環境部環
境整備課長 小林 康彦君
農林水産省構造
改善局建設部整
備課長 平井 公雄君
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本日の会議に付した案件
○湖沼水質保全特別措置法案(内閣提出、衆議院
送付)
○湖沼環境保全特別措置法案(丸谷金保君外二名
発議)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/0
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001・穐山篤
○委員長(穐山篤君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
湖沼水質保全特別措置法案及び湖沼環境保全特別措置法案を便宜一括して議題といたします。
内閣提出案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより、湖沼環境保全特別措置法案につき、発議者丸谷金保君から趣旨説明を聴取いたします。丸谷金保君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/1
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002・丸谷金保
○丸谷金保君 私は、提案者を代表いたしまして、湖沼環境保全特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
湖沼は、水質源として飲料水や農業、工業、発電用水を供給し、水産、交通、観光などの場として、多角的に利用されています。また、湖沼は、内陸水域として水域の生態系を支えるとともに、陸や空中から流入する汚濁物の浄化、気候の微調整など多様で重要な機能を果たしている貴重な環境です。
しかし、この内陸の閉鎖性水域である湖沼は、汚濁物質が蓄積しやすく、現在、その過半数が環境基準すら達成していないというまことに憂うるべき状況にあります。さらに、琵琶湖など我が国の代表的な湖を含め、百四十を超える湖沼が富栄養化状況を呈し、水産被害、飲料水の異臭味といった問題を抱えております。また周辺の自然環境の破壊が水質の汚濁に一層拍車をかけており、既存の対策にゆだねて放置すれば近い将来「死の湖」と化すのは火を見るよりも明らかです。
本法案は、このような国民の貴重な資産である湖沼に対して、湖沼の水質及びこれに影響を及ぼす周辺の自然環境を一体として保全するという立場から、湖沼環境の保全を図り、もって現在及び将来の国民がその恵沢を享受することができるようにしようとするものであります。
次に、この法案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一に、この法律の目的は、湖沼特定施設及び指定施設の設置の規制、富栄養化による被害の発生防止、並びに湖沼周辺環境地区指定等の特別の措置を講ずることにより、多様な機能を営む重要な水域である湖沼につき湖沼環境の保全を図ろうとするものであります。
第二に、湖沼環境の保全上有効な施策を実施するために、政府は、湖沼環境の保全に関する基本構想、指定湖沼及び指定地域の指定に関する基本的事項、湖沼環境の保全のため講ずべき施策に関する基本的事項等を内容とする湖沼環境保全基本方針を定めることとします。
第三に、内閣総理大臣は、都道府県知事の申し出に基づき、水質環境基準が確保されていないか、または、確保されないこととなるおそれが著しい湖沼で、特に湖沼環境の保全に関する施策を総合的に講ずる必要があると認められるものを指定湖沼として、指定湖沼の湖沼環境の保全に関係があると認められる地域を指定地域として指定するものとします。
第四に、都道府県知事は、湖沼環境保全基本方針に基づいて、指定地域において指定湖沼の湖沼環境の保全に関して実施すべき施策について定めることとします。
第五に、指定地域において湖沼特定施設を設置しようとするときは、都道府県知事の許可を受けることとします。
第六に、指定地域においては、湖沼の環境にとって生活環境に係る被害を生ずるおそれがある汚水または廃液を排水する施設について、水質汚濁防止法の特定施設とみなし、同法の規定を適用します。
第七に、指定地域において、排水基準による規制によりがたいものとして定められる指定施設及びそれに準ずるものを設置しようとする者は、その旨を都道府県知事に届け出ることとし、都道府県知事は、その者が指定施設の構造及び使用の方法に関する基準を遵守していないと認めるときは、改善勧告、さらには命令をすることができるものとします。
第八に、人口及び産業の集中等によって、排水規制等によっては水質環境基準の確保が困難であると認められる指定湖沼については、汚濁負荷量の総量を削減するための措置を講ずることとします。
第九に、都道府県知事は、指定湖沼の富栄養化による被害を防止するために、環境庁長官の指示により、燐その他の指定物質の削減指導方針を定め、必要な指導、助言及び勧告をするものとします。
第十に、都道府県は、条例によって、指定湖沼の湖沼環境の保全上保全することが必要な地域を湖沼周辺環境保全地区として指定し、同地区内における工作物の新築、土地形質の変更等の行為について、知事の許可制度を設けることができることとします。また、湖面の埋め立て等の承認に当たっては、湖沼の重要な役割について十分配慮することとしています。
これらの措置のほかに、湖沼環境の保全のために必要な勧告、助言、財政上の援助、調査研究及び技術開発の推進等について所要の規定を設けております。
以上が、本案の提案の理由及び概要であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/2
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003・穐山篤
○委員長(穐山篤君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/3
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004・片山甚市
○片山甚市君 私は、本委員会で質問するたびに特に強く感ずることは、環境行政が小手先の対策にきゅうきゅうとしているということであります。口先だけのポリシーがあっても、具体的解決策を持たないということであります。長官は、再三にわたり、関係各省の大臣さんやあるいは取り立ててくれた総理大臣さんが理解ある人々だから、必ず環境庁の意を体してやってくれるとの御発言をしておりますが、環境行政の基本理念とはそんなに消極的なものなのか。もみ手で頼めば何でも聞いてくれるのなら、私たちの危惧や国民の環境破壊に対する不信など起こるはずがないんであります。
例えば、乾電池による土壌汚染を心配する自治体に対し、業界は、基準値以下だから問題ないとし、責任を何も感じていない。そこで厚生省は、全国各自治体での実態調査を進めると言っています。公害なり環境汚染は、問題が起きてからでは遅い。チェックと対策について関係者の対応は、ただ手をこまねいて見守るだけであります。縦割り行政では解決しないことを明らかにしておると思います。それでは高度な政策を提起すべき環境庁の存在意義がないのではないか。いわゆる瀬戸内法しかり、水俣病認定促進法しかり、関西国際空港株式会社法しかり。そのいずれもが建前のみで実質的効果が著しく減殺され、環境アセス法もいまだに日の目を見ないまま泥縄式に湖沼法などが提案されている始末であります。私も既に指摘しているように、今日までなぜ環境アセス法が提案できないのかの一事を見ても環境行政軽視の本音は明白であると思います。
非常にくどいようでありますが、この際、再度長官の環境行政に対する基本姿勢をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/4
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005・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 先生御指摘のように、環境ということにつきましては、環境庁はもちろんこの保全を任務といたしておりまして、そうして、緑豊かな良好な環境ということによって、健康で文化的な活力ある国民生活にとっての不可欠の基盤というふうに考えておるのでございます。
環境関係でございますけれども、一般的に言いますと、外国の方なんかがおいでになって日本の環境を見られましたときに、以前より非常によくなってきましたねという、これはお世辞ではなくて、お言葉をいただくのであります。そういうことをも加味して私どもも見ておるのでございますけれども、まあ幾分改善されつつあるというように私どもは考えております。しかし、大都市圏であるとか閉鎖性水域であるとか、そういう改善のおくれております分野が多々あるのでございます。自然環境の保全であるとかあるいはまた化学的物質の新しい課題であるとか、地球的規模での環境悪化というようなことが問題になっておるのでございますが、多角的に取り組んでやっていかなければいけないと考えております。
したがいまして、基本的姿勢といたしましては、関係者の積極的な御理解と御協力を求めまして、そして汚染の防止、自然保護を総合的、計画的に図りまして、快適で潤いのある生活環境の創造に努めて、二十一世紀までを見通して先取り的に問題を解決、対処していきたいと考えております。
今先生御指摘の、関係各省が必ずやってくれるというふうに思うのは非常に甘いのではないかという御指摘でございますが、関係閣僚会議というのは、縦割り行政の不備というようなことが起こっておりましたら、その部分を、それをなくするように解消していこうという考えのもとにつくられておる閣僚会議でございます。その閣僚会議においてお約束をし、認めてもらったことについては、これは各省が実行に努力をしてやっていただけるというふうに私どもは考えておるものでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/5
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006・片山甚市
○片山甚市君 大臣の真情がにじみ出たお言葉ですから、言葉を返しませんが、やはり私たちとしては、環境行政をつかさどっておる立場から、一歩前に出て、より牽引車的役割を果たしてもらいたい、環境保全が任務でありますから。そういう意味で物足りないところがありますが、次の質問に移ります。
長官の提案理由説明にありましたように、冒頭の「湖沼」とある字句を「自然」と読みかえても不自然でないと思います。湖沼を守るということはすなわち自然を守るということであり、その場合当然それに依拠する生態系を維持することが含まれているはずであると思いますが、どうでしょうか。
二つ目に、とすれば湖沼を保全するには樹木、山林、河川、内湖、内沼、なぎさ、そこに生息する生物等を含めた湖沼周辺の環境を維持保全することではないだろうかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/6
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007・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 湖沼がその周辺のもろもろの環境と一体として一つの生態系をなしているということは先生御指摘のとおりでございまして、湖沼の水質を守るという観点からしてもそれらの生態系を維持することが必要であるということの認識につきましては、私どもは、中公審の答申もいただいているところであり、先生の御指摘のとおりであると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/7
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008・片山甚市
○片山甚市君 基本的なことについては認識の一致があったと私は思います。
そこで、私は、自然の浄化能力を最も必要とする湖沼保全であるがゆえに、本法案のごとき水質保全のみで問題が解決できると思わないし、琵琶湖のように、長官も奨励し礼賛されておる総合開発計画による環境破壊の現状が改善されない限り、いずれは全国の湖沼が無定見な乱開発や、本法案のような骨抜き措置法のもとに死の湖沼と化することを最もおそれるものであります。琵琶湖周辺の環境破壊が進んでいる状況を目の当たりにしている地域の人々が、これだけの破壊を抑えることもできない行政や、全国の湖沼をここまで悪くしても構わないというような基準を決める法律など百害あって一利なし、あるよりはない方がましだという非難を無視するわけにはまいりません。
以上の立場を明確にした上で、本法案の持つ問題点についてこれから質問したいと思います。
その一つは、私は、本法案が、湖沼の環境保全、二つ目に新増設工場等の許可制の導入、三つ目に国の適切な財政措置を欠いた不完全法案と断言したい。なぜ目的を水質保全に限定したのか明らかにする必要がある。
そういうことで、まず、中央公害対策審議会の答申の趣旨をどう受け取めておるのか、環境庁から答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/8
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009・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 私どもは、湖沼の環境保全のための制度のあり方について、五十六年一月に中公審から答申を受けたところでございます。
その内容について先生から既にもう御指摘もございますし繰り返すことはいたしませんが、これを立法化するために種々政府部内で検討したわけでございますが、まず第一点の、なぜ水質に限定したかということでございますが、現在、湖沼をめぐる諸問題のうち最も緊要であり、かつコンセンサスの得やすい問題点は湖沼の水質汚濁の問題でございまして、そのような観点から、まず当面湖沼の水質汚濁に対する対策を中心に法案をまとめたわけでございます。
もちろん、私ども、先ほどお答えいたしましたように、湖沼の水質を保全するという観点からいっても、湖沼及びそれをめぐる生態系の保全が大切であることは十分認識しているところでございまして、これらにつきましては既存の諸制度を活用して対応しよう、こういうことから水質に限定した法案を仕組んだわけでございます。ただ、ただいまのような趣旨を明らかにする意味で、法律二十五条に「国及び地方公共団体は、」「緑地の保全その他湖辺の自然環境の保護に努めなければならない。」このような趣旨の規定を置いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/9
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010・片山甚市
○片山甚市君 私は、今申しましたように、湖沼の環境保全、新増設工場等の許可制の導入、国の適切な財政措置ということについて欠けておるというのは、湖沼法の政府の当初案についてはそのものが入っておったのですが、なぜそれが抜けたのかということについて、水質に重点を置くということはわかりましたが、それじゃ、前の湖沼環境保全特別措置法の要綱について、一九八一年三月四日付の発表と違うんですが、それについての説明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/10
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011・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 確かにそのような法案について環境庁内部で検討した事実はあるわけでございまして、それについて各省といろいろ議論をしたわけでございますけれども、その検討の過程におきまして、特に新しい地区を指定して開発行為等を規制する、そのような仕組みを設けるかどうかということについて議論が集中いたしました。
これについては、自然環境保全法、自然公園法、森林法あるいは河川法等、各種法律を詳しく一つ一つ吟味してみますと、その湖辺の土地利用及びその土地利用を含むさらに生態系の保全のためには、現在の諸制度の活用で一応やれるのではないか、かような結論が得られたわけでございまして、したがって、先ほど申し上げましたように、二十五条にこのような規定を設け、その生態系の維持保全については既存の諸制度に譲ったわけでございます。その結果として、今度は法律技術的に、もしそのような内容の法律であるならば、これはやはり水質の保全ということが中心に制度が仕組まれているのであるから、湖沼自然環境保全法というよりもむしろ湖沼水質保全法にする方が至当であろう、このような法律技術的な観点から法律の名称、目的等が変わってきた、かようなことになるわけでございます。
要は、目的は私どもは先生と認識は一致しているわけでございますが、手段につきまして、既往の制度で足りるか、あるいは新しい地区指定をして規制することが必要であるか、この手段の違いではないか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/11
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012・片山甚市
○片山甚市君 それから、都市計画法の運用でどのくらい環境が保全できるか。
二つ目に、特定施設排水の許可制の案が届け出制になったということは、なぜ後退したのかについて説明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/12
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013・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 現在琵琶湖あるいは霞ケ浦等主要な湖沼を見てまいりますと、その湖岸のほとんどが都市計画法の、例えば琵琶湖について申し上げますと、都市計画法の市街化調整区域に湖岸の四四%が指定されておるわけでございます。霞ケ浦では三二%が指定されておる。かような状況でございまして、さらにまた、個別法規で申し上げますと河川法、これは霞ケ浦も琵琶湖も河川法上の河川区域に指定されておりまして、その開発行為等は河川法で規制されておるわけでございまして、このような観点から言いましても、少なくともこれらの法規を活用することによって湖辺の自然環境の保全は図られるのではないか、かように認識しておるわけでございます。
それから許可と届け出の問題でございますが、これにつきましては、既に先生御案内のように、瀬戸内環境保全法では許可制をとっているところでございます。しかしながら、私ども専ら法律技術的な観点から中公審の御答申を吟味、検討したわけでございますが、許可というのは一般的に禁止が前提になるわけでございまして、湖沼の周辺一般について工場の立地を禁止する、禁止した上で湖沼の水質に支障のないそういう施設のみを許可する、禁止を解除するという仕組みをとるということは、かなり法律制度としても異例である。かような観点から、むしろ、一般的に立地はできる、しかし、届け出をさせて、その内容を吟味した結果不適当なものであれば計画変更命令をかける、こういう仕組みにいたしたわけでございます。
これも法律技術的な観点からいたしまして、やはり瀬戸内海の場合には、実態上の要請として、非常に産業系の汚濁負荷が大きかった、それに対して湖沼の場合には産業系の汚濁負荷がそれほど、湖沼によって差はございますけれども、大きくない、こういう実態上の違いもあり許可制から届け出制になった、かような次第でございまして、御理解を賜りたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/13
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014・片山甚市
○片山甚市君 御理解はしませんが、昭和五十七年の四月二十日、参議院の商工委員会で通産省は、湖沼の汚染原因の改善と、中小企業の負担する規制の重さと、それによってもたらされる法益とのバランスに立って環境庁と意見を交換した結果云々と言っています。今のお話を聞いておると、禁止をするという前提の許可はしないで認める前提で届け出にしたということでありますから、後日の論争に移したいと思います。
そこで、一日平均五十トン以上の企業に対する規制案をめぐり、本法案が提出できなかった理由について、どのような経過を経て、結果的にどのようにまとまったのか。通産省は、環境庁の排水五十トン以上の企業対象を当初は三千トン以上を主張したと言われておりますが、その根拠も明確でありませんが、説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/14
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015・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 実は、本法案は御案内のように昨年五月提案されておりまして、そのときの折衝経過の過程で、いろいろ規制すべき対象となる排水の規模についてただいま御指摘のありましたような議論があった。つもり、五十トン以上というのでは余りに規制が厳し過ぎるので、もう少しそれを緩めるべきではないかというような議論があったということは私どもも承知しておりますが、今回提案するに際して専ら議論がございました点につきましては、むしろ湖沼の富栄養化対策をどのように進めるかという観点から若干議論がございまして、もう少し具体的に申し上げますと、湖沼法で窒素、燐の規制をすべきであるか水濁法で窒素、燐の規制をすべきであるか、その点について見解が分かれていろいろ議論が行われたというのが率直なところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/15
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016・片山甚市
○片山甚市君 そうすると、通産省が言っておる、排水五十トン以上の企業について対象にしない理由というのは、もう一度簡単に言えばどういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/16
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017・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 今回法案を提案するに際しては、通産省は特に五十トン以上という点について異論があったわけではございません。今回議論がありました点は、むしろ、要約いたしますと、まず一点といたしましては、湖沼の汚濁負荷対策の必要性については認識は一致しております。それから、それをどのように進めるかという点について、潮沼の富栄養化対策というのはやはり規制だけでは片づかないんで、やはり産業系の規制と並んで生活系の汚濁負荷を削減するための下水道の整備を並行して進めるべきではなかろうか。それから、第二点といたしましては、窒素、燐の除去をいたしますための技術についてはまだ十分に確立したとは言えない段階である、したがってその窒素、燐の規制をするのは、その必要がある最小限の湖沼にとどめるべきではないか。かような主張がございまして、その結果として、そのように総合対策が制度的に裏打ちされている湖沼法に基づいて窒素、燐の規制をすべきではないか、こういうような意見がございました。
これに対して私どもは、やはり汚濁の未然防止という観点から見て、その窒素、燐の排水規制等をやる湖沼というのは、湖沼法の指定湖沼よりはもう少し広くなるわけで、そのように狭く限定することはできない、この辺が政府部内で議論が行われたポイントになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/17
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018・片山甚市
○片山甚市君 そうすると、本法案と中公審答申の相違点というのはどんなものですか。なぜ答申そのものが生きなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/18
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019・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 中公審答申との相違点は、簡潔に申し上げますと、まず目的について、中公審答申では、湖沼の水質を含めた自然環境の保全を法律の目的にすべきである。これに対して私どもは、端的に水質の保全に目的をしぼって法案を仕組んだという点が一点。
第二点は、先ほど先生から御指摘のございました、工場の設置を許可制にすべきであるというのが中公審答申でございますが、それに対して私どもは、法律技術的な観点からこれを届け出制として仕組んだ。
第三点といたしましては、湖辺の自然環境保全のために、中公審答申においては、一応まず現在の諸制度の活用を図るべきであるけれども、必要があればさらに新しい制度も検討すべきである、このような答申でございました。それに対して私どもは、その検討の結果、とりあえず当面現在の諸制度の活用で対応しよう、こういうことになった。
その三点が主要な相違点になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/19
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020・片山甚市
○片山甚市君 そうすると、本法案施行に伴う財政措置の必要性について聞きたいんですが、一つは、地方公共団体に対する財政措置、助言その他必要な援助を行う旨の努力規定がありますが、それでは不十分ではないか。二つ目に、事業者の整備する施設に対する資金のあっせん、技術的な助言等の具体的な内容はどういうものか、まず答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/20
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021・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 確かに中公審答申と私どもは基本的に考え方は一致していると思いますけれども、中公審答申では、八番目に「財政的措置」といたしまして、「財政上できる限りの援助措置を講ずべきであり、また、国及び地方公共団体は事業者等に対し、金融、税制上の助成措置を行うよう努める必要がある。」旨の答申をいただいております。
私どもは、この点につきましては、本法案の二十六条において、「国は、地方公共団体が湖沼水質保全計画に基づく事業を円滑に実施することができるよう、当該地方公共団体に対し、助言その他必要な援助を行うように努めなければならない。」旨の規定を設けたわけでございまして、この必要な援助の具体的内容といたしましては、水質保全計画に基づく各種事業の優先採択、それから、ただいま御指摘のありました、規制を受ける事業者に対する融資措置といたしまして、これは公害防止事業団あるいは中小企業金融公庫あるいは農林漁業金融公庫その他のところが、指定地域内の事業所が水質浄化のための設備投資をする際には低利資金を融資するように措置すること等をやっているわけでございます。
さらにまた、税制上の問題といたしましては、特別償却、事業者等が水質浄化施設について設備投資をした場合に、その設備投資を特別償却する等の制度を今後大蔵省に対して要求していくことになる、かようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/21
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022・片山甚市
○片山甚市君 全国湖沼環境保全対策推進協議会の要望書には、別途財政上の特別措置法の制定もしくは公害防止事業財特法の適用範囲の拡大をしてほしいと言っておりますが、これについて考慮する用意があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/22
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023・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 現在の財政状態は私から申し上げるまでもない状態でございまして、このような各種地域立法について、補助率のかさ上げ措置等の根拠を法律に設け実施するということは非常に難しい状況にございまして、湖沼法の運用に際してそのようなことをいたすことは、今後の財政事情の推移にもよろうかと思いますけれども、現在の段階では非常に残念ながら難しいということを申し上げざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/23
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024・片山甚市
○片山甚市君 口だけはいろいろと援助するように言うけれども、いざやるようになれば、下水道問題を含めてお金のことで心配をしてやる必要がない、こういうことですが、先ほどお聞きしました特定施設排水の許可制度案が届け出制になったのは、そういうような意味で、やってもやらぬでもいいと、排水の問題の設備などはやらなくてもいいということで佐竹さんは考えてお答えしているんですか、先ほどから、しゃあしゃあと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/24
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025・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 確かに届け出よりも禁止の方が国民に対する権利義務の規制は厳しくなるわけでございますから、それに対する見合い措置も当然変わってこなければならないという点では先生の御意見は確かにそのとおりでございますが、逆な方から私ども考えたわけではございませんので、やれることに限りがあるから許可制を設けなくて届け出にした、こういうことではございません。やはり設置を一般に禁止するというのは、これは法制局等との議論からもちょっと問題があるんではないかというようなところから届け出というふうに仕組んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/25
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026・片山甚市
○片山甚市君 すっと素通りをして、もう一度戻って聞きます。先ほどのことを聞きます。
瀬戸内法の場合には、昭和四十八年当時の瀬戸内海の汚濁状況が危機的な状況と判断したがゆえに許可制をとったとおっしゃいました。今日の湖沼の環境基準達成状況から見て、危機的でないということで今のようなのんきなことを言っている、これでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/26
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027・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 湖沼の水質の現状につきましては、これは決してそんな楽観できる状態ではございません。これは環境基準の達成率を見れば、我が国の主要湖沼をとってみますと環境基準の二倍、三倍というような現状にあるわけでございまして、私どもは、湖沼の現状が非常に問題がないから届け出制をとったということではございませんので、やはり届け出制をとっても目的は達成できる。それからまた、許可制というのは、瀬戸内海という非常に限定された地域の制度であれば格別、日本国じゅうの湖沼についてすべて許可制をとるということの実質的な理由に乏しい、こういうようなところからやったわけでございまして、その点は申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/27
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028・片山甚市
○片山甚市君 そこで、先ほどの中公審のことですが、中公審を設けられた目的と機能についてまず聞きたいんです。
一つは、答申の取り扱いについては尊重するのか、参考程度に受けとめるのか。一般的には、行政の隠れみのとして利用されて法案化をされるのが審議会の普通ですが、臨調答申などのように悪用された例は珍しいですが、今回中公審がそでにされた理由は、参考程度にした、ちょっと見てちらっと捨てて、さらりと忘れた、それはもう思い出したくもない、佐竹さんの方はそう思っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/28
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029・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 中公審の答申を尊重することはこれはもちろん環境庁としては当然でございます。
先ほど申し上げましたように、私どもは、その目的についてはこれはまさに中公審で御指摘いただいたとおりである。ただ、その実現手段につきましては、やはり法律技術的な観点からいろいろ詰めるべき議論もあるわけでございまして、そのような観点から法案の内容が答申と若干異なってきた、こういうことでございまして、決して中公審答申を参考程度にとどめるなどというようなことを考えているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/29
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030・片山甚市
○片山甚市君 ちょっと嫌みで申しわけないんですが、もう一度聞きます。
他の省庁における審議会の機能、目的、答申の取り扱い方と比較して、環境庁は中公審に対してどのように扱っておるのか。遜色なく、他の省庁と同じ程度いいものだというか、非常に頼りにしていますよという気持ちでやっておるんですか。よそと違って、もう一度言うけれども、余りこういうことは聞きたくないんだけれども仕方ないと思っておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/30
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031・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 確かに先生御指摘のとおり、種々御審議いただいて答申をいただく以上はそのとおり実現するというのが確かに通例でございまして、そのような点から申し上げますと、法律技術的な面からしている議論ではございますけれども、答申のとおりの制度が仕組めなかった点については私どもは深く反省しているわけでございまして、これは実はその経過につきましては中公審に御報告申し上げましてお許しをいただくようにしたわけでございます。
今後の問題といたしましては、このような事態が生じないように十分慎重に事を進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/31
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032・片山甚市
○片山甚市君 念押しをしたいのは、昭和五十七年の五月十二日の参議院公害及び交通安全対策特別委員会における湖沼環境保全対策の促進に関する決議にある、中公審答申を尊重せよという決議がありますが、そういう意味で、二重に、省が独自で判断する前に、こういう決議があるということを踏みにじったことについて、本案については遺憾であると思っておるんですが、所見を述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/32
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033・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 確かに五十七年五月十二日の参議院公害及び交通安全対策特別委員会の御決議の一におきましては、「中公審の答申の趣旨に沿って湖沼環境保全のための法制度を確立すること。」こういうことがございます。私どもは、いささか言葉の言い回しで逃げるようでございますが、趣旨は生かしたつもりでございまして、事は先ほど申したとおりでございます。
しかしながら、再三御指摘いただきますように、かなり具体的な制度のあり方まで御報告をいただきながら、そのとおりの制度を仕組まなかった点については、この特別委員会の決議につきましては、むしろこれは国会でその趣旨に沿っているかどうか御判断いただくわけでございますから、私どもが沿っていると申し上げても、そうではないという御批判をいただいてもやむを得ないわけでございまして、まことに深く反省していることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/33
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034・片山甚市
○片山甚市君 中公審の答申を尊重せよというんですが、三項目にわたって大きなところでそれを採用しなかったということについては、私たちとしては欠陥法案だということから不十分だということについて意見がある。これ以上言っても、法案ですから、修正する以外にないんですから、今修正案を出しておるんじゃないので、質疑しておるんです。
そういう意味で言いますが、湖沼の環境保全に関連して言えば、本法案が、水質汚濁防止法では環境基準の達成ないし改善が図れないための特別法という、現行法不備が理由の特別法である。それでは環境保全を図るための法改正も出されなければならぬのじゃないか、逆に。特別法を出しても、もう一遍環境保全の法律を改正しなければならぬような、法律の上に法律をつくらなければならぬようなものじゃないか。今まである現行法で何とかなると言っておるけれども、水質汚濁防止法が十分に機能しないからこういうのをつくっておるんですから、そういう意味では、中途半端な法律をいろいろつくって、まとっておるけれども、ぼろはぼろで、体の部分が出ておる、こういうふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/34
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035・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 先生冒頭に御指摘いただきました、湖沼とその周辺の自然環境を一体として保全すべきであるという点については私どもも全く同じように認識しております。
その点については、この中公審答申におきましても、まず、自然環境保全法等に基づく「諸制度を十分活用することが重要であり、なお必要に応じて、湖辺の自然的環境のもつ水質保全機能及び親水機能に着目した新たな地区指定の制度を設け」云々のことを検討すべきである、こういうふうな御答申をいただいております。私ども種々検討した結果、一応現在の諸制度を活用しよう、湖沼の周辺、自然環境を守るために活用しよう、そういうことで、各個別法規を所管している官庁にもそれを守っていただく意味で、先ほど読み上げました二十五条の規定を設けたわけでございます。その意味では、この湖沼法及び水質汚濁防止法、それから既存の諸制度で一応対応できるんではないかというふうに思っているわけでございまして、中公審で御指摘いただいた点につきましてはさらに今後の検討課題、かようなふうに認識しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/35
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036・片山甚市
○片山甚市君 今の言葉を突き詰めて言えば、現行法で環境保全のために必要な湖沼の周辺の開発規制等が可能だという判断で環境庁は臨んだ、こういうふうに言い切ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/36
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037・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 運用のよろしきを得れば一応可能ではないか、かように判断しているという意味では先生の御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/37
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038・片山甚市
○片山甚市君 そういう甘い考え方でやって、しばらくいったらわかるでしょう。
滋賀県は、琵琶湖の水はよくなったと言っておるけれども、勉強しておる方の側から言えば、ますます汚濁が進んだとおっしゃる。河川についても同じように一般的にこういうようなことが行われておりましても、改善されていないという報告が水道関係から出てくる。使う側から言えば意見がある。行政側から言えば十分に手当てをして対策をしておるように言いますが、そう言いくるめてみても、滋賀県の知事は、小さいときには琵琶湖の水を手ですくって飲んだ、その水に返したい、こう言っておりますが、ただ、琵琶湖の水だけじゃなくて、日本国じゅうがそういうふうになっておることについて非常に心配をしておるのです。
そこで、六月二十日の本委員会における私の質問に対して農水省は、圃場整備による用水、排水の分離、琵琶湖への急速流入で湖水汚濁等に問題はないようにしておるという旨の発言がありましたが、そのとおりでありますか。もう一度聞きたいんです。といいますのは、武村知事は、土地改良による用水、排水の分離と、三面コンクリート固めの排水路によって、短時間に琵琶湖に用排水が流入することで自然の浄化能力が落ち、水質をかなり悪くしている、農村が一種の工場化したようなものだ、汚れた鉄砲水が心配だと朝日新聞の司馬遼太郎との対談の中で、五回目のところに載っておるんですが、農水省はこれについて御答弁をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/38
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039・平井公雄
○説明員(平井公雄君) お答え申し上げます。
琵琶湖周辺の圃場整備が琵琶湖の水質汚濁につながっていないか、増大になっていないかということで、せんだっての本委員会において私の方から御答弁申し上げたとおりでございます。この前も申し上げましたように、琵琶湖の周辺の圃場整備につきましては、従来の圃場整備以前の田越しかんがい等による水田の水利用状況を悪化させないという意味において、反復利用をできるだけやらせるという考え方をとっております。
ちなみに、五十八年度末までに琵琶湖周辺で二万八千ヘクタールの圃場整備が実施されておりますが、そのうちの七〇%、一万九千ヘクタールは反復利用という形で、上流で排出された、圃場整備した後の排水路に出てきた水を反復して下流側で利用する、こういう形をとっておりまして、農業用水の排水が直接琵琶湖の水質悪化につながっているというようには我々は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/39
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040・片山甚市
○片山甚市君 そこで、建設省はどう言っておるかというと、圃場整備による排水路が、急激に河川に流入することによって、はんらん、洪水の一因となっているとの問題点を、NHKの総合テレビで六月二十五日午前七時のニュースで発表しておりました。鉄砲水と同時に圃場用水が一気に流出するために、自然浄化ができないまま河川、湖沼に流入するということについて言っておるんですが、環境庁としては、建設省、農水省の言うことについて、どちらに軍配を上げますか。これ両方ともきちんとやっておるぞと、おれのところ責任がないぞと。建設省の方はまた、下水道含めてうまくやっておるのだと。大臣の好きな言葉の、工場のいわゆる汚水はなくなった、生活排水が悪の根源だと。だれかが仕組んだように思うんですが、局長答えてください、ただいまの点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/40
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041・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 圃場整備の結果水の流出が早くなるというような実態は、事実はもちろんこれは否定できないだろうと思います。
しかしながら、現在の圃場整備につきましては、これまた農業近代化という非常にそれなりの重要な政策命題がございまして、現在の整備をそのような観点からとめるということもまたできないわけでございまして、要は、今後、水について農水省あるいは建設省と一緒に環境庁も、各省が従来の仕事のやり方だけでやっておりますといろいろな面でうまくいかない点が出てまいるわけでございますから、環境庁非力ではございますけれども、各省の話し合いの場を設ける。それからまた、環境庁は新しい役所でございますから、従来の行きがかりそめ他からは比較的自由でございまして、そういうような観点から、各省のそれぞれの行政目的はそれなりに尊重しつつ、やはり湖沼の水質浄化、ひいては公共水域全般の水質問題について私どもは取り組んでいきたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/41
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042・片山甚市
○片山甚市君 それでは大臣ちょっとお伺いします。
私が特に自浄作用の重要性を強調するのは、長官がいみじくも参議院本会議で湖沼法に対する菅野さんの質問に対し、環境は一挙に悪くはならない、だからその対策も即効を求めるのは無理で、湖沼法はいわば漢方薬だと答弁されたが、言葉をかえて言えば、悪くなっていることに気づいたときでは遅いということをあなたは告白した、もう病気が重くなってしまったときですから。
例えば、琵琶湖最大の内湖である西の湖の浄化機能についての調査結果が滋賀県立琵琶湖研究所で明らかにされておりますが、それによれば、天然の浄化場として、貝やヨシの力をかりて大きな役割を果たしているとのことであります。このような機能を拡大、保全していくことこそ琵琶湖を守ることではないかと思いますが、長官はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/42
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043・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 先生今御指摘のとおり、琵琶湖の汚染というものは長年月がかかって汚染をされてきたのでございまして、それをまた回復するのには時間がかかるということも、これは私はもうそのとおりであると思っておるのでございます。
気づいたときには遅いのではないか、こういうことでございますが、言われるとおり、もっと早く手を打っていかなければいけなかったのであろうと思うのでございます。ただ、人口の増加と公共投資というもの、これは下水の投資でございますが、そういうものとの結びつきがなかなかうまくいかなかったというような点もあるのではなかろうかと思うのでございます。こういう点を今度は計画を立てていただいて、そうして計画的にいろんな他の総合的な対策とともにやらしていただいて、この琵琶湖の水を良質に変えていくという方向に向けさせていただきたいと念願をいたしておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/43
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044・片山甚市
○片山甚市君 長官の嫌なことをもう一度言いますが、湖沼法を審議する以上は、その実効を求めるのは当然でありますが、琵琶湖で言えば、現状から見て破壊の元凶と見られる琵琶湖総合開発計画を見直すということについては考えてもらいたい。
資料によりますと、琵琶総の目的の一つである下流への放水量毎秒四十トンの増量については、今や大阪も要らないと言うし、ほかも要らないと言う。根拠があいまいになってきておるということについては、朝日新聞の六月二十日の資料を見てもらったらわかると思う。私大阪に住んでいますが、予定した水は要らないと大阪市長も言っておりますから。需要予測の再検討とともに琵琶総計画を見直すべきであると考えますが、大臣に琵琶湖総合開発を何が何でもやめろと言っているんではないんです。見直して、湖辺についてのいわゆる魚あるいは虫、貝、そういうものが住めるような状態の中で、浄化機能が働けるように琵琶湖の総合開発をすべきではないか。
何か土地を広げるとか干拓するとか、工場を建てるとか護岸の堤防をつくるとかいうんじゃなくて、むしろ湖の力によって湖が再生をして、蘇生をしていくようなことにすべきでないかということについて、この八月の終わりに世界湖沼環境会議が開かれるようですが、一つの提言を持って大臣も臨まれた方がいい。これ見てください、琵琶湖これほどよくなります、今よくしていますと言えるのかどうか。
あなたそう言っても、赤潮があって、その上になおアオコがある状態の中で、臭くて飲めない大阪や京都の水があるんですから、それがなくなればいいですけれども、それを隠して琵琶湖の水をきちんとしておるということは言えないと思いますから。
大臣が、私が申し上げたことについて、無理があれば無理だと言ってもらってよろしいが、琵琶湖総合開発を優先させるんじゃなくて、それが水質を浄化させるような役割にする開発に切りかえていく、開発を抑えていくということから言えば、いわゆる堤防をつくるというようなことで改善はできないということを繰り返して申しましたから、私の質問を終わるに当たって、大臣からもう少し、環境庁長官としても御信念があってやっておるんですから、御信念のほどを聞かせてもらって終わりたいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/44
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045・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 先生からいろいろ下流の方の水需要の問題につきましても御指摘があったのでございますが、今琵琶湖をやっておりますが、水資源開発公団が懸命になって、学者の先生方にいろいろお教えを受けながら、どういうふうに扱っていけば環境の保全を保ちつつ水の確保また浄化というようなことができるかということについて懸命になって今おやりをいただいております。その中に、先生今御指摘をいただきましたアシだとかヨシだとか、そういうものも効果を上げておったんではないかという御指摘がございました。たしか、私も見に行ったわけではございませんが、話をお聞きをいたしておりますところでは、周辺にそういうヨシだとかアシだとか、そういうものも植栽をしていろいろ試みをしておられるということをお聞きをいたしております。
そういったようないろんな点を考えて、なぎさをつくったりして浄化を図っていきたいということをお考えになっておられるようでございます。
それから、次のもう一つの質問でございますが、水需要の方につきましては、これは私どもの方の直接のなにではございませんけれども、国土庁の方でいろいろとその点を御検討をいただいておる、また建設省の方でも御検討をいただいておると思うのでございますが、そういう各省におきまして水需要は長期的な観点でおやりをいただいておりますので、二十年というようなものを見通していろいろと計画をしていただいておるようでございますので、今のところはすぐに変えられないというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/45
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046・片山甚市
○片山甚市君 大臣、予定した四十トンの半分も要らないということに現状なっておるんですから一十年先、二十年先もさることながら、今日のアオコとか、いわゆる赤潮とかを出さないためにどうするかというのが先決です。そういうようなことを言うのは、建設省とか国土庁とか、開発屋どもが日本列島を改造したのと同じように、日本列島を引き裂くことになりますから反対します。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/46
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047・菅野久光
○菅野久光君 それでは御質問申し上げますが、初めに、私はつくづく、文明というのは人類の幸せのためにあるわけでありますけれども、残念ながら現在の状況を見ますと、人類みずからがつくり出した文明で人類みずからを滅亡のふちに立たせているのではないかというふうに私は思わざるを得ないんです。核の問題しかり、農薬、医薬、そして食品添化物、合成洗剤、排気ガス等、自然界を汚染して、自然の生態系を破壊をして生物の生存に重大な影響をもたらしているというふうに思うのです。
人類の生存にとって欠かせない水が汚染されている。人の体の約七〇%は水、そしてこの水が体の中で働いて人間を初め生物が生きているわけであります。ほとんどの植物の全重量の約六〇%から九〇%は水分なわけです。この大事な水が汚染されているというところに今日的な環境の大きな問題があるわけであります。
過日私は代表質問であれしましたが、総理の答弁などもいただきましたが、極めて私は総理の認識が甘いのではないかというふうに思わざるを得ません。大臣の御答弁をいただき、後からのいろんな方々のお話を聞きまして、大臣は、多くのあとの方々には大変お気の毒でございますけれども、一番いろいろなことで汚染されていない大臣が長官だというような評価が高いので、ぜひそういう立場で環境を浄化する、そういう意味でいい法律をつくるために率直にお答えをいただきながらひとつ論議を進めていきたいというふうに私は思いますので、率直な御答弁をお願いいたしたいというふうに思います。
総理は、六月十八日の本会議における私の質問に対しまして、「全般的には改善が顕著なものがあると思います。」こう言われているんですね。しかし、国民の間では、確かに部分的にはあったとしても、むしろ先ほど片山委員からの御指摘にもあったように悪くなっている、そういう事実がいろんな形で出てきている、そういうことが言えると思うのであります。まずこの辺からの総理の認識が私は非常に甘いといいますか、間違っているというふうに思うんです。言葉では、「汚染の防止及び自然の保護というものを積極的に努力する必要があり、特に二十一世紀までを見通した、先取りした問題として取り組んでいく必要がある」というような趣旨で述べられています。言葉は確かにいいんです。しかし、前段に言われたことは相当私は認識が違うんじゃないかというふうに思うんです。
そこで問題を湖沼に限定して質問いたしたいと思いますが、我が国の湖沼の環境状況、これは水質を含んでですね、これを二十一世紀までこのまま放置するとどうなるであろうか。また、湖沼法を含む二十一世紀へ向けての総合的湖沼対策のビジョンをお持ちでございましょうか。総理にかわって、湖沼対策の今後の展望と湖沼のよみがえりの予測について大臣の所見をお伺いいたしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/47
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048・上田稔
○国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。
大変に汚染されていない大臣だと、こういうお話でございますが、私ども今の政府は余り汚染されておらないと考えておるのでございますけれども、汚染をされておる点がもしありましたらひとつ御指摘をいただきたいと思います。
さて、湖沼の問題についてでございますが、今のままで放置しておいたらどうなるか、この問題を私は大変心配をいたしております。このままでいきましたら恐らく琵琶湖の水もやはり飲めないような状態になっていくのではなかろうか。また、飲めたといたしましても、下流の方の上水道は、前処理と申しますか、相当な、今でもちょいちょいやっておりますけれども、前処理をもっと強化をしてやっていくということになり、非常に塩素の強い水になっていくのではなかろうかと心配をいたしております。また、今いろいろやっておりますけれども、手賀沼あるいは印旛沼、霞ケ浦につきましても同様のことが言えるのではなかろうかと思うのでございます。そこで今この湖沼法を出させていただきまして、そしてそれを生き返らせていく、少なくとも、今悪くなりつつあるやつをとめていくという方向、あるいは少しよくなっておるやつをもう少しよくなる方向へ向けていく、こういったようなことをやはり早く計画を立ててやっていかなければならないのではなかろうかと思うのでございます。
それには何が一番今問題なのかと言いますと、今申し上げましたようなワーストの湖沼でございますけれども、それにおきましては、調べてみますと生活雑排水からの影響が一番大きいのでございます。その生活雑排水がやはりよくなるような方策を講じてもらわなければならない。それにはやはり下水道が一番大きいのであります。
それではなぜ生活雑排水がそんな大きな影響を与えるようになったかと申しますと、やはりそういう周辺に人口が非常に多くなってきたことでございます。この近くでいいますと、手賀沼あたりにおきましては、その周辺には東京へお通いになる方々がお住みになっておられます。また琵琶湖で申しますと、昔は人口が六十万か七十万であったのが今百万を突破をいたしております。そういったようなところから出てくるそういう生活雑排水、それに、以前は農村でし尿処理、これを肥料にかえておやりをいただいておった、これが生活が向上するとともにそういうものも生活雑排水の中に入ってきた、こういう変化が起こっております。これに対してやはり幾分おくれてきたというのが今の状況でございます。もっとも建設省の方でも非常に下水道には力を入れて、その予算もほかのものよりもうんと予算を組んでおられるのでありますけれども、それにまだ追いつかなかったというのが今の状況でございます。
したがいまして、湖沼法を立てていただいて、そうしてその計画を各関係閣僚の方々に認めてもらい、そして計画に基づいて進めていただくということを早くやっていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/48
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049・菅野久光
○菅野久光君 湖沼対策の今後の展望とそのよみがえりの予測、非常に難しいとは思うんですけれども、しかしやっぱり一定の目安といいますか、そういうものを持たないと、ただつくってつくりっ放しということになってしまうのではないかというふうに私は思うんですが、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/49
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050・上田稔
○国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。
これは一つ一つやはり私は違うと思うのでございます。例えば手賀沼におきましては、これはとても下水道を促進をしておるということでは間に合わないというようなことから、利根川からの導水を図る、この導水工事を今計画をしていただいて進めかけていただいております。早くそれをやっていただきますと、今まで、何といいますか、下から出ておりました泡なんかがなくなるようなそういうような状態に早く直りますし、そうしていろいろな水草を、どれを使ったらいいかちょっと今のところはわかりませんが、ホテイアオイなんかを使っておられるようですが、ホテイアオイが果たして効果が上がるかどうか今実験中でございますので、ちょっと申し上げられませんが、そういういろいろな手段をまた講じておられます。一つは、空気を入れて、何といいますか、水中で吹かしてそうして酸素を多くしていこう、こういったようなこともおやりをいただいております。
こういったようないろいろな施策を、これは一つは実験的に、一つは計画的にこれを取り入れてそうしておやりをいただかなくちゃいけない。もっとも、一番下水道の促進はこれは図っていただかなければなりませんので、これは建設省の方で大いに予算を伸ばしていただくということをお願いをしなければならないと考えております。
そういうふうにいたしまして、湖々、これから十ぐらいは考えておりますが、それ以上にあるいはなろうかとも思いますが、そういうものについて、一つ一つが計画によって違ってくると思うのであります。また大きさによって違ってくると思いますので、それじゃ十年でどれくらいになるんだということについては、まだ計画も全部ができておりませんので、ちょっと今申し上げるわけにはいかないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/50
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051・菅野久光
○菅野久光君 それぞれ一つ一つの湖沼によって汚濁の状況なども違いますし、そういうことでは全体的な形ということにはならないにしても、それぞれの湖沼ごとに一定の目標を持ってやるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/51
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052・上田稔
○国務大臣(上田稔君) そのとおりに、一つ一つに目標を持って計画を立てていただきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/52
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053・菅野久光
○菅野久光君 次に、私は総理に自然観について質問をしたわけですけれども、そのときに総理は、総理の持っていると言われた、天地と一体、万物と同根という哲学が答えの中に出たわけですけれども、これはどういう趣旨なんでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/53
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054・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 総理のお言葉でございますので、私が御推察を申し上げるのはこれはちょっと難しいのでございますが、たしか四十九年だったと思うのでございますが、自然保護の倫理的規範ともいうべきものとして、国民各層の代表者から成る国民会議において制定をされました自然保護憲章にうたわれておるのでございますが、「自然は、人間をはじめとして生きとし生けるものの母胎であり、」「人間は、日光、大気、水、大地、動植物などとともに自然を構成し、自然から恩恵」を受けている、こういうふうな言葉がありますので、そういうところの趣旨から言われたものではなかろうかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/54
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055・菅野久光
○菅野久光君 あのときにも総理からの答弁をもらえなかったわけですけれども、自然という意味について、環境庁長官は、中央分離帯に植えられた花、ビルの屋上の植え込み、こういったようなものも自然という概念に入れてお考えかどうか、そこをちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/55
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056・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 自然というものの考え方には、私はやはり両方の考え方があると思うのでございます。
日本人は、自然という言葉の中に、自然というのですか、ほうってあった状態、放置された状態、そういうものにおいてつくられてきておるもの、つまり原始林のような、つまり全然人間が手を入れないでやっていく、そういうようなものを自然という言葉で言いあらわしておる場合もありますし、また、庭に自然を取り入れるといいまして、自然の景観を自分の庭に取り入れて、庭の構成といいますか、園芸といいますか、そういうことを昔から日本人はやってきたのでございます。そして、それとともにまた、庭にそれを取り入れて、その後ろには借景に大きな自然林を、あるいは自然の山を、そういうものを取り入れていく、そういうものも自然の一部分というふうに考えておる思想がやはり私はあるのではなかろうかと思うのでございます。
それからまた、禅から来ておるのでしょうけれども、いろいろ、ある自然をあるものによってそれを表現していくというような考え方も日本人の心の中にはやはりあるのではなかろうか。例えば竜安寺における石庭といいますか、ああいうようなものもやはり自然を表現をしておる、そしてそれを見て自然に接した感を受ける、そういうようなことも考えておるのではなかろうか。それが転じて、自分の家の中にいろいろ小物の、何といいますか、植木鉢に植えた盆栽、こういうようなものを、昔は盆山と言ったようですけれども、そういうものも入れましてそして自然を思って育てていくというようなこともあるので、自然というものにはそういういろいろなもろもろの考え方が入って、これでいいのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/56
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057・菅野久光
○菅野久光君 人が手を加えてつくったもの、例えば林なんかでも人工林、自然林という言葉があるのは大臣も御存じだというふうに思うんです。そういう、例えば花いっぱい運動とかなんとか、それが自然を愛護するといいますか、そういったようなことで盛んにやられるわけですけれども、それは一般的に私どもが言っている自然ということとは私は違うと思うんです。やっぱり箱庭的な発想で自然というものを考えられたのでは私は困るというふうに思うものですから、それで私はそういう自然の概念の中に入るのかどうかということをお聞きをしたのでありまして、もっと自然というのは生物のいろいろの循環といいますか、私は質問のときにも申し上げたんですけれども、そういう動物あるいは植物、そういったようなものが循環されてずっとできてきているわけですね。
そういうものを私ども一般的に言う場合には自然と言うのではないかというふうに思うんです。どこかの庭へ行って、ああ自然があるなんというようなことは私は一般的には言わないと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/57
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058・上田稔
○国務大臣(上田稔君) なかなか大変難しい問題になってきたのでございますが、私は、人間はやはりそういう植物であるとかあるいは水であるとか、あるいはまた山であるとか、そういったようなものに接して気持ちがいろいろ和らいだりするのではなかろうか。非常に疲れて、例えば家に帰って自分がいろいろ育てておるツツジの木を盆山にしてあるものをいろいろ見て、ああここにつぼみができてきたとか、この花はつぼみがいつ咲くだろうかというようなことを、子供をはぐくむと同じような気持ちがやはりそこに出てきて、それが自然に接することの一部分であるとも言うのでございますと思いますが、そういうようなことをやはり日本人は非常に好んでおるのではなかろうか。
もっとも、日本人ばかりではなくて欧州の方へ行きましても、あのオランダの国に行きましても、おのおのの御家庭の家の中にはもうたくさんの花が飾ってございます。それも根のついた花、切り花もございますけれども、そういうものをいろいろ飾っておられる。外には庭という、日本の庭みたいなものはありませんけれども、道路の横にずっといろいろお植えになられたり、道路との間にお植えになられたりいたしておる。やはりそういうものに接するということによって人間は疲れがとれていく、あるいは和みというものが得られるのではなかろうかと私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/58
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059・菅野久光
○菅野久光君 この論議ばかりやっているわけには私はいきませんが、自然が破壊されている、あるいは生態系が破壊されているという場合には、もちろん言われるようにそういうものも自然のごく一部ではあっても、そういう言い方をされると、それがさながら自然であるかのようなやっぱり錯覚を起こして、私は本質的なことにはなっていかないんじゃないかというふうに思うものですから、その点はこれ以上結構でございます。
そこで、総理が言われる人の和ですね、人の和と環境保全との関係についてもう少し説明をしていただきたいというふうに思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/59
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060・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 人間が殺伐になるという場合におきましては、やはり孤独になるということから起こっていくのではなかろうか、殺伐になりますと孤独になっていくのではなかろうかと思うのでございますが、そういうことを防ぐために安らぎであるとか潤いであるとか、そういったようなことを得られるようにいたしますと、結局人の和ということがおのおの起こってきて、社会というものが和やかに和をもっていけるというようになるのではないか。だから花と緑を都会の中の庭にお植えなさい、そうすると非常に気持ちが和んできて、そうして大いに皆さん人の和で豊かな生活をするようにしましょうというのが、私は「花と緑で人の和を」という標語だと私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/60
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061・菅野久光
○菅野久光君 私は、人の和ということ、今大臣が言われたようなことで少数者を切り捨てるべきではない。自然保護団体だとか、そういう人たちの意見を少数者の意見だということでやるような、そういう人の和であってはいけないというようなことで実は代表質問のときにも質問したわけでありますが、それは切り捨てるなんていうようなことは人の和ではない、そういうことで私受けとめておりますが、よろしゅうございますね。
それで、時間がございませんので次に進めさせていただきますが、先ほど片山委員からもお話がありましたが、環境アセス法案の取り扱いなんですが、いまだに党内調整中という答弁がありまして、きょうの本会議で久保田議員の質問についても、何とか今国会中に出したいというような趣旨の答弁があったというふうに思いますが、現在の状況についてひとつもっと詳しく御説明をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/61
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062・上田稔
○国務大臣(上田稔君) ただいま、与党の方の政策調査会でございますが、その政調会長のもとでいろいろと打ち合わせをやっていただいておるというところでございます。もう二回済みまして三回目になろうかとしておるところでございます。まず最初に関係の各部会がございますが、そこの御意見もいろいろと聞いていただきまして、そしてそこにいろいろ問題が、こういう問題で私らのところはこう思うがどうだというような意見が出ます。それに対して、実際上本当にアセスがないと困っておるところがあるだろうということで、一番困っておられるのはそれを実行しておられる府県であるとか市町村である。そういうところからひとつよく事情を聞きましょうということで事情を聞き取っていただいたのでございます。
それから後、今度はいろいろマスコミなんかでもえらい反対があるんだというふうに言われておられる、産業界なんかそういうお気持ちがあるということを聞いておりますけれども、そういうようなところもひとつ聞こうじゃないかということでこれからお聞きになるのではなかろうかと思います。しかし、産業界は必ずしもそれは反対ではないと私は思うのでございます。実際にいろいろ事業をおやりになる場合においては、今アセスをやらないとこれはもちろん計画も事業もできません。したがって、そういうことについていろいろ苦労をしておられるからその苦労のところをお聞きをしよう、こういうことではなかろうかと思いますが、今これからおやりになられようとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/62
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063・菅野久光
○菅野久光君 何か政調会長の方でおやりになられるようだということで、全くそちらの方へげたを預けてしまっているというふうに理解をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/63
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064・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 私の方から、早くそういうことをおやりをいただきたい、それは当然やらなくちゃいけない、こういうことで両者の意見が一致いたしまして、おやりをいただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/64
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065・菅野久光
○菅野久光君 いずれにいたしましても、調整ができるまではというようなことでは、ずるずる行って一体いつになるのかということになろうかと思うんです。
それで、調整作業の日程的なもの、それは環境庁としては当然何かお持ちではないかと思うんですが、それはどういう日程を、例えば政調会長なら政調会長に、この日程で何とかひとつ調整をして法案が提出されるようにしてくれというようなことでやられているのかいないのか、その辺のところも含めてひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/65
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066・上田稔
○国務大臣(上田稔君) きょうの本会議で実は申し上げましたのでございますが、今国会中にとにかくけりのつくようにしていただきたい、こういうことで申し入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/66
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067・菅野久光
○菅野久光君 今国会中ということであれば、今国会中に法案を出せるというそういう意味の今国会中でしょうか。その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/67
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068・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 当然私といたしましては、今国会中に成立をしてもらうようにやっていただきたい、こういう申し入れをいたしております。しかし、やはりいろいろの御意見がありますから、まず提出してもらうことが一番でございますので、速やかに提出していただきたい、一日も早く提出していただきたいということを申し入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/68
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069・菅野久光
○菅野久光君 いろんな調整をしてそれから法案をつくって、用意はされているんでしょうけれども、そうなるとその調整のタイムリミット、今国会の会期末は八月八日ですね、そのタイムリミットというのは一体何日ごろがタイムリミットになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/69
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070・上田稔
○国務大臣(上田稔君) その辺になりますと、これは私どもは政府でございますので、国会の方でいろいろお話し合いをしていただきまして、審議を、衆議院の方では前にも質疑をしていただいておりますので、早くそれに間に合うようにやっていただきたい、こういうお願いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/70
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071・菅野久光
○菅野久光君 この問題をこれ以上お話ししても、これ以上の答えは出ないというふうに思いますが、いずれにしても、やはりこれはもう環境庁としても、もっと積極的に政調会長の方へも働きかけて、早期にひとつ国会に提出するように努力をしていただきたいということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。
次に、指定湖沼ということで何か新聞なんかにも出ておりますが、あれは新聞報道でございますから、今指定湖沼として環境庁として予定されているのはどこでしょうか。湖沼名を挙げていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/71
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072・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 当面、県等と相談して予定しておりますのは、琵琶湖、霞ケ浦、諏訪湖、宍道湖、中海、印旛沼、手賀沼、児島湖、相模湖、釜房ダム、この十ぐらいのところが具体的な名前が挙がっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/72
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073・菅野久光
○菅野久光君 湖沼の水質の悪化の原因としては、生活の雑排水の流入が大きな原因となっているというふうに長官はいつも力説されておるわけですが、指定湖沼として予定されている湖沼のそれぞれについて、潮沼へ流入する排出水の、工場排水系とかあるいは農業系、漁業系、家庭雑排水系、系統で言えばそういったようなものがあるのじゃないかというふうに思うのですが、それぞれの汚濁負荷の割合をひとつ、全部といったらあれでしょうから、四つ五つ例示的に挙げていただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/73
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074・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 産業系、それから生活系、それから畜・水産系その他という順で湖沼別に読み上げてまいります。
まず琵琶湖から申しますと、三四%、五八%、四%、五%。霞ケ浦七%、五二%、三五%、六%。諏訪湖四八%、四二%、六%、三%。それから宍道湖、中海、これは両方一緒に計算してございますが、二四%、二九%、六%、四一%。それから印旛沼でございますが、八%、七〇%、二二%。それから手賀沼でございますが、一三%、七五%、一二%。大体そんな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/74
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075・菅野久光
○菅野久光君 今言われたところでは、生活系の水が汚濁負荷の割合が非常に多いということが言えますが、しかし、それでもやっぱり湖ごとにいろいろ周辺の工場等も含めて違うわけですね。ですから、余り生活雑排水の流入が大きな原因だと言われれば、何かすべてがそういうようなふうに思われますので、それは私は正確な言い方ではないのではないかというふうに思うのです。
それはなぜかといいますと、それぞれの湖によっては違うわけですけれども、先ほど来から論議がありました、新増設の工場等については許可制でなく届け出制をとった理由として、長官は、現在湖沼周辺に立地する工場等は中小企業が多くて、汚濁についての原因というものが少ないから届け出制でよいというような意味合いのことを言われておるわけですが、そのように私は理解しているのですが、そういうことでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/75
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076・上田稔
○国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。
湖沼の周辺に今現在張りついております工場は大体中小企業の工場でございます。それから、特に琵琶湖を例に挙げて申しますと、知事さんは、琵琶湖の水質を悪化するような工場は許可をしていかない、こういうような考え方で工場を扱っていただいておりますので、そういうようなことからも余り水質を悪化するような大きな工場は来ておらないというのが実態でございます。
中小企業の工場でございますと、例えばこれは認可をした後におきましても、どうもこれが汚染の原因になりそうだ、なっているという場合におきましては、知事さんの警告あるいは命令でそれを直させることは割合に簡単にできていく、こういったようなことを考えまして、まあ大きな施設ではないのでできるのではなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/76
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077・菅野久光
○菅野久光君 問題のあるところは、例えば琵琶湖のようにいろいろ湖沼の周辺のそういったようなことについての規制がきちっとできているところはいいんですけれども、全部の湖についてそういう規制ができていないというふうに私は思うんですが、それはそういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/77
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078・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 琵琶湖、霞ケ浦等につきましては比較的対策が進んでいる先進的な湖沼でございまして、一般の都道府県内の湖沼につきましてはそのようには期待できないというのが現状でございます。先生のおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/78
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079・菅野久光
○菅野久光君 そこで、ちゃんと対策のできているところはいいんですけれども、対策のできていないところに問題のあるような工場等はないのかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/79
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080・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 具体的にお答えをした方がよろしいかと思います。
例えば印旛沼、手賀沼でございますと、五十トン以上の排水をしている事業所の数が印旛沼七十三、手賀沼五十六でございまして、どういうものがあるかと申しますと、印旛沼の場合には、し尿浄化槽が四四・九、これは団地の合併浄化槽が半分近くあるわけでございます。それから製造業が二一・八、サービス業が一七・九%。それから手賀沼は五十六ございまして、これも、し尿浄化槽が三二・九%、それから環境衛生業二一・四%、製造業二〇%、同じく諏訪湖等をとってみますと、今度はこれは五十トン以上排水しますのが百六十九ございますが、旅館業が四九・四、食品業が二〇・二ということでございまして、総じて申せますことは、旅館業、湖沼の周辺でございますのである程度御納得いただけるかと思いますが、あるいは食品業、食品は御案内のように中小企業が非常に多うございまして、こういうものの立地が大部分でございますのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/80
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081・菅野久光
○菅野久光君 そこで、例えば先ほどのあれでも、宍道湖は産業系が二四、生活系が二九というような数字で言われているわけですね。これはなぜかということなんですが、これから新増設されるものについては届け出制、それから既にあるものについてはないわけですね。しかし、現在まだ湖沼法がこうやってきちっとなっていないその段階でもこれだけの汚濁負荷があるわけですね。そうしますと、現在あるものに問題が――問題といいますか、汚濁の原因になっている企業なり何なりがかなり私はあるのではないかというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/81
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082・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 確かに、現に存在する工場、事業場については湖沼法の規制はかかりません。反面、水濁法の規制はかかっているわけでございまして、これは濃度規制でございますが、水濁法で規制がかかっておりまして、多くの県ではその規制の上乗せをやっているということでございます。
この湖沼法と水濁法との規制のやり方の違いは、水濁法では濃度規制で、瞬間的にある濃度以下でなきゃ排出しちゃいけない、こういうことになっております。ところが、湖沼法の場合には、一日当たりこれまでしか出してはいけない、そういう規制のやり方をする違いはございます。したがって、既存の工場、事業場等も野放しではないわけでございまして、それぞれ濃度規制は行われるわけでございます。さらにまた、それでどうも足りない、そういう対策では湖沼の浄化が不十分であるということになれば、既存の企業も含めまして負荷量規制ができるような、これは総量規制でございますが、そういう手続が今御審議いただいております湖沼法に定められておりますので、必要であればそういう総量規制へ移っていきたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/82
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083・菅野久光
○菅野久光君 ここの問題はまだちょっと残る問題がありますので、時間がございませんので先にちょっと進めさせていただきたいと思います。
指定予定湖沼周辺の工場、これは随分たくさんあるわけですけれども、その規模別、業種別にこれは瀬戸内との比較でちょっと出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/83
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084・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 瀬戸内との比較で申し上げますと、私どもやはり排水量を基準に企業の規模を考えておりまして、まあ経済的通念で申します大企業、中小企業とは必ずしも一致しない面はあるかと思いますが、瀬戸内海で申し上げますと、一工場当たりの排水量が一日当たり二千五百六十七トンでございます。これに対して、百七十五湖沼平均いたしまして、この湖沼について見ますと五百七十二トンでございます。
さらに、負荷量と申しますか、一日当たり排出する汚濁物の量でございますが、これはCODで見ますと、瀬戸内海の場合には一日当たり百六十五キログラムの汚濁原因物質を瀬戸内海へ排出している。この百七十五湖沼平均で見ますと、一日当たり十一キログラムの汚濁物を排出している、こういう状況でございまして、経済的通念で申します大企業、中小企業と一致するかどうかは議論の余地はあろうかと思いますが、瀬戸内海というのは、御案内のように臨海工業地帯に我が国の大工業が大体立地しているわけでございまして、そのことと、先ほど申し上げましたように、湖沼周辺には旅館業、食品業等が多いということを対比してお考えいただきますと、大体私どもの言っていることが現実にも妥当しているのではないかと考えていいのではないかというふうに私どもは考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/84
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085・菅野久光
○菅野久光君 どう考えてみても一般の人にも私はわかりづらいと思うんですが、せっかく湖沼法をつくって湖沼の水をきれいにする。そうすると、きれいにするということは、汚いからきれいにするんですね。汚くする原因をつくっているものが湖沼の周辺にあるわけですね。ですからこれは当然、せっかくつくる湖沼法だから、今までその湖を汚した原因をつくったものを何らかの形で規制をするというようなことがなければ、私は湖をきれいにしていくということは常識的にできないと考えるのが普通だというふうに思うんですね。
ところが、今回のこれでも、今までのやつはよろしゅうございます、これからつくるやつは届け出をしてもらいます、そういうことでは、本当に何ぼ、それは漢方薬だって、漢方薬の中には早く効くやつもやっぱりあるわけですから、のんびり何十年もかかってやるようなそういうことではなく、できるだけやっぱり早くするという方策をとるというのがこの法律を生かしていくということになるわけですね。今までのやつはいい、これからつくるやつだけ届け出制、そこのところをもっと国民にもわかりやすくひとつ説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/85
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086・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) この湖沼法の根底を流れる考え方になるかと思うんでございますが、まず大切なことは、現在以上に汚さないということがまず第一歩でございます。いや、決してそれでいいというふうに私ども考えているわけではございませんけれども。
それからまた、既存の旅館業あるいは先ほど申し上げました食品工業というのは、これは古いいろいろな経過がございまして立地しているわけでございまして、そういう昔からそこの湖沼に立地している企業について一律に最初から厳しい規制をかけてその操業の環境を変えてしまうというのもいかがであろうか。というのは、むしろ後から、例えば諏訪湖にいたしましても、古くから工場、事業場があるわけでございますが、あそこに観光人口が非常にふえたというようなこともあって湖沼の汚濁が進んでいるということもございまして、一時的には、新設、今後新しく出てくるものを規制する。しかしそれで足りない場合には、先ほど申し上げましたように、既存の工場、事業場も含めまして総量規制をかけるような、そういう仕組みもできているわけでございまして、そのような理由であることをひとつ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/86
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087・菅野久光
○菅野久光君 もう時間ですから、最後に一言だけきょうのところは言っておきますが、相当苦しい答弁ですね、正直言って。これではやっぱり全く薬にも何にもならない何か草を漢方薬だといって飲んでいるのと私は同じではないかと思わざるを得ないんです。これだけ汚れているものを本当に早くよくするということになれば、国民みんなが納得して、みんなが力を合わせてやらなければならぬ。例えば、中国であれだけハエがわあっといた、あれを何年かでなくしたというのは、まさにもう何億という国民が、春とか秋だとかそういうときに一斉にハエ撲滅の運動をやった、それが今中国にあれだけのハエがいなくなったということなんですね。これも本当にそういうような運動を起こさなければ私はだめだと思うんですよ。
そういう意味で、先ほどからの説明では私は納得できないということをきょうの段階では申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/87
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088・山東昭子
○山東昭子君 最初に、近年全国的に見て湖沼の水質は余りにも汚くなってしまって、日本にはあのように美しく澄んだ湖はもう取り戻せないのでしょうかと憂えている人たちの声を私もたくさん聞いております。このような現状と従来の対策を踏まえ、今度の法案ではどのようにして湖沼の水質保全を図ろうとするのか、そのねらいをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/88
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089・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 現在まで私どもは水質汚濁防止法に基づきまして湖沼水質の浄化を図ってまいったわけでございますが、ただいま御指摘いただきましたような現状でございます。
それで、その理由といたしましては、まず、湖沼は非常に水が停滞して汚れやすい、そういう水域であること、それから二番目に、湖沼の汚濁の原因は非常に多岐にわたって複雑であること、こういうような状況にあるわけでございまして、規制とそれから施設の整備、これを並行して進めることが必要である、つまり各種規制と施設の整備を総合的、計画的に進めることが必要である、かような認識に至ったわけでございまして、このような観点から私ども今回の湖沼法を仕組んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/89
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090・山東昭子
○山東昭子君 湖沼は、水道水源になるなど国民生活にとって貴重なものですが、水質汚濁が深刻であり、その原因が多岐にわたることを考えますと、これまでにも増して総合的な対策をスピーディーに講じていかなければならないと思います。
ところで、この対策の一環として、小規模の浄化槽や畜舎などを含め、さまざまな発生源に対する新たな規制措置が予定されておりますが、その理由をお聞かせくださいませ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/90
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091・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 従来の水質汚濁防止法では、湖沼の水質保全の見地からいたしますと、ただいま先生から御指摘いただきました小規模な浄化槽あるいは畜産施設あるいは養魚施設、かようなものは規制の対象にならなかったわけでございます。これらのものにつきましては、別途その構造や規模を定めて湖沼に対する汚濁負荷を除く、このようなことが必要になるわけでございまして、このような観点から私どもは、みなし特定施設あるいは指定施設という制度を設けまして、小規模なし尿浄化槽、五百人以下のし尿浄化槽あるいはベッド数三百床以下の病院施設、このようなものを規制の対象にするほか、畜舎、養魚施設等もこれは指定施設としてその構造等を定めて規制していくことを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/91
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092・山東昭子
○山東昭子君 この新たな規制により、従来規制の対象になっていなかった中小規模の事業者を含め相当数の事業者が規制を受けることになり、公害防止施設の導入が必要になると思われますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/92
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093・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/93
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094・山東昭子
○山東昭子君 湖沼法の施行により、事業者には水質保全のための新たな義務が課されることは当然でございますが、そのために中小や零細な事業者が生産に直接結びつかない投資を行うことで、この厳しい経済情勢の中で大変な圧迫を受けることになるのではないかと存じます。このため、政府としても、単に法律により義務を課すだけではなく、金融上あるいは税制上の政策的な配慮が必要ではないかと思いますが、この点について長官のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/94
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095・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 確かに御指摘のとおりでございますが、政策的な観点につきましては長官からお答えいたしますが、湖沼周辺に立地します工場、事業場は、先ほどの御質問にもお答えしたとおり、中小企業が多いわけでございます。
その負担について具体的に申し上げますと、新設の特定事業所が新たな規制に対応して活性汚泥法と凝集沈殿法による汚水処理施設を設置することといたしますと、これに要する平均的な費用は、一日当たり排水量が百トンの場合には約六千万円、同じく五百トンの場合には約二億円、さらに二千五百トンの場合には六億円程度の投資が必要となるわけでございます。いずれにいたしましても、中小企業にはやはり相当の負担になろうかというふうに考えておるわけでございまして、施策につきましては大臣からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/95
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096・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 先生の御質問のとおり、この規制をかけますと、いろいろ工場の方におきましても、会社の方におきましても投資をしていただかなければいけないというようなことに相なってくるのでございますが、汚水処理施設の整備等を行っていただきます事業者に対しましては、あるいは公害防止事業団であるとか、あるいは中小企業金融公庫であるとか、あるいは農林漁業金融公庫であるとか、そういったような金融機関を通じまして融資の制度、それからまた、所得税あるいは法人税、固定資産税等に係る一定の優遇措置が設けられておりますので、そういうものを活用していただきたいと考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/96
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097・山東昭子
○山東昭子君 湖沼法に基づき事業者が行う汚濁防止対策については、各種の助成措置の充実が図られるよう特に要望を申し上げておきたいと思います。
あわせて、先ほど長官からお話がございましたように、湖沼の汚濁原因として生活系排水のウエートもかなり高いことから、特に汚濁の著しい湖沼の周辺では、下水道整備などの重点的な推進が必要であり、これらの事業に対する関係省庁の協力が得られるよう環境庁からも強く働きかけをしていただきたいのでございます。
また、先日、千葉大学の各学部の専門家約七十人が手賀沼、印旛沼の水質汚濁について総合的な調査に乗り出すことになったという報道を聞きました。私はこのような研究者の方々の努力は高く評価したいと考えますし、その貴重な研究の成果は具体的な水質保全対策の中にも生かしていくべきではないかと思います。これらの点を含めまして、湖沼法に基づく水質保全対策の推進について環境庁長官の御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/97
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098・上田稔
○国務大臣(上田稔君) この湖沼法をぜひとも早く成立をさせていただきまして、そして各地の公共団体であるとか、また関係各省はもちろん、規制の対象となる事業者の方々、さらにはまた、各地の湖沼で改善対策の計画に当たっていただいておる、また調査に取り組んでいただいておられます研究者の方々、あるいはまた地域住民の皆様方の御協力をいただきまして、そうして効果的な湖沼の水質保全対策が推進されますように私ども最大限の努力を図っていきたいと考えております。
特に、早くこの湖沼法によりまして計画を立てていただきまして、その計画は関係閣僚会議に諮りまして、そうして各閣僚の了解のもとにその計画に基づいて推進ができるようにしていきたいと考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/98
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099・高桑栄松
○高桑栄松君 それでは質問させていただきますが、最初に、私が、ちょうど九年前でございますけれども、オーストリアに参りましたときに、私の友人が連れていってくれた湖があるんです。大変きれいな湖で、ハルステッテルゼーというんですけれども、とても水がきれいで、もうびっくりしまして、どうしてこんなにきれいなんだと言って聞いたんですが、そうしましたら、言うのには、まず両岸にある住宅等々の排水はすべて集めてそしてそれぞれ処理をして、湖には流さないで川に全部流す。それから浮かんでいる船ですけれど
も、公営のフェリーボートだけが油のエンジンを使っておりまして、あとはすべてのボート、船はオイルエンジンは使わせない、電気モーターであるということで、エンジン音も聞こえないんですね。
先ほど、滋賀の県知事さんが琵琶湖の水をすくって飲んだというお話をしておられましたが、もっとも、それは一つの表現であって、たまり水は飲んじゃいけないのが予防医学の原則でございますが、しかし飲めそうなぐらいきれいなんですね。もう本当にきれいでございましてびっくりしたんです。ですから、私はそれを聞いて帰ってから事あるごとにそんな話をあちらこちらでさしてもらっているんです。そういったことを念頭に置いてこれからの湖沼対策をやっていた濃きたいなと思うわけです。
それで最初に、これももう何遍も大臣は答弁しておられますけれども、やはり一応イントロダクションでございますから、水濁法とは別にといいますか、新たにまた湖沼法というものを出されたそれの理由というか、何を本当に期待されているのか、その辺を大臣にお願いいたしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/99
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100・上田稔
○国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。
琵琶湖の水を知事が手ですくって飲んだということでございますが、私も子供のときには実は、衛生的の思想がなかったのか、琵琶湖の水をやはり中学校のときには行きましてよく飲ましていただきました。そういうふうなきれいな水でございましたが、今はちょっとそういうわけにもいかなくなってきているのは大変残念でございます。
さて、御質問の点でございますが、今まで計画がないと言いますとうそでございまして、それは総合開発計画というものがあって計画を立てておるのでございますけれども、どちらかといいますと、下水道の計画のあるところは下水道を促進するというふうな計画になり、それからそのほか洪水のはんらんを防ぐような堤防をつくるところはここだ、雨水をやるような箇所、なぎさをつくるところはここだ、そういう計画はあるのでございますけれども、それでは今の琵琶湖の水質を汚濁するようなものがどういうふうに配置されておって、そこのところに対してはどういう手当てをしていくかといったような計画についてはこれは今までなかったのではないかというふうに考えるのであります。そういう計画をやっぱり立てて、そしてその計画がオーソライズされて、そしてその計画に関係の各省が皆力を入れていただくというふうなことにしていかなければこれは成り立たないのではなかろうか、そういったようなことから湖沼法というものをぜひともやっぱり考えていかなきゃいけない、こういうふうに考えておるものでございます。
水濁法によりましてなるほど全般的な河川水、湖沼水に対しての規制はございますが、それではやっぱりちょっと湖沼に一番適切なものが得られないというふうに考えられますので、そこを水濁法とは別個に湖沼に当てはまるようなものに変えていかなくちゃいけない、こういうことから湖沼法というものをつくらしていただいたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/100
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101・高桑栄松
○高桑栄松君 この湖沼法の目的のところに「健康で文化的な生活の確保に寄与する」ということが載っておりますが、私は、政治というのは、最低限度の生活保障というのと、もう一つはやはりよりよいレベルに引き上げていく、この二つの面があると思うんですね。やはり理想を掲げてというか、それがなければ政治というものの意味がないのではないかと思うので、その意味で「健康で文化的」というのを湖に当てはめると、やはり良質の飲料水が得られるような水質、それから文化的というのは生活環境として快適であるといったことが含まれているのじゃないかなと、こんなふうに私なりに思っておるんです。ついででございますが、大臣も湖の水を飲まれて育ったとおっしゃったので、多分少しずつ免疫を得られて長生きで健康に過ごされるようになったのではないか、そんなふうに今思いながらお話を伺っておりました。
それで、水質については当面CODをというふうに言っておられますが、CODというのはやはり有機物を対象にしたものなわけで、目下の対象である富栄養化、それの窒素、燐に対する規制というのはどういうふうにおやりになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/101
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102・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 私ども湖沼の水質問題を検討する過程において、流入汚濁負荷量と湖沼の水質の現況を比べますと明らかにギャップがある。流入汚濁負荷量を全部足してみてもそれ以上に湖は汚れている、なぜであろうか。いろいろ諸先生の研究等も拝見いたしますと、やはり栄養塩類が流れ込んでそれが湖沼内部で汚濁物を生産している、光合成作用によって汚濁物を生産している。したがって、やはり基本的に、湖沼水質対策としてはCODの規制のみでは不十分であって、流入する栄養塩類、特に窒素、燐の規制が必要である、こういうようなことが大体の諸先生の一致した御意見であるかのように私どもも拝察いたしました。
そこで私どもとしては、湖沼の富栄養化の要因物質である窒素及び燐について五十七年十二月に環境基準を設定し、引き続き、排水基準の設定についても五十八年一月に中央公害対策審議会に諮問を行ったところでございます。現在同審議会の専門委員会で窒素、燐の排水規制のやり方についていろいろ御議論をいただいているところでございます。私ども、できるだけ早くこの結論をいただきまして必要な法的措置をとり、湖沼法の富栄養化防止対策を推進してまいりたい。
なお、湖沼法自身におきましても窒素、燐の負荷量規制ができるようになっているわけでございますが、まず、湖沼法によるCODに対する負荷量規制、それから水質汚濁防止法による窒素、燐の規制、それらの対策の効果を見守って、必要があれが湖沼法においても窒素、燐の規制もやってまいりたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/102
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103・高桑栄松
○高桑栄松君 きょうの朝のNHKにも出ておりました、新聞にも出ておったんですが、琵琶湖の調査で、無燐合成洗剤を使っているけれども、LASですか、ああいうものが少しずつふえてきている、現在はいいけれども、将来が問題だというふうに出ておりましたが、新しい化学製品が出てくるとその対応というのがそれぞれ非常に難しい問題をはらんできますね。無燐合成洗剤を使えというと、それがまた分解されないから困るじゃないか、それじゃ石けんがいいんじゃないかというと、石けんは分解しやすいけれどもトリハロメタンの生成のもとになってくる。一体どうしたらいいんだろうかというふうな、化学的にはというか、学問的には大変難しい問題がそれぞれあります。あるからといってほうっておくわけにいかないわけで、私はやっぱり、今窒素、燐と言ってはおりますけれども、そういった将来展望、今はいいけれども、もうあと五年とか十年このLASが蓄積されていったらどうなるだろうかといったようなことこういったことを含めてやはり長期的に計画を立ててやっていただきたい。これは今の問題ではないんで、私から一応要望をさせていただくということにさせていただきます。
それから、湖沼法ができて、水濁法がある。これからNとPの規制も、多分中公審からの答申が出た段階でこれが出てくるわけだと思いますけれども、既存の県条例、これとの関係はどうなるのか。これを制約するということがあるんだろうか、どっちがもとになるんだろうかといったようなことがちょっと心配されるんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/103
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104・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 水濁法では、御案内のように、都道府県知事は国の定めます一般的な排水基準に対して上乗せができることになっているわけでございます。
現在窒素、燐に対する規制としては、条例で行っておりますところは琵琶湖と霞ケ浦でございますが、これらの県条例は、私どもの水濁法に基づく窒素、燐の規制が行われた場合、私どもが一般的な基準として定めます規制内容より厳しい場合には、この水濁法に基づく上乗せの基準として位置づけられることになるわけでございます。ただし、一定の手続が要ることになりますけれども、その手続さえ経れば自動的に上乗せ基準として位置づけられることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/104
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105・高桑栄松
○高桑栄松君 そうですが。そうすると、県条例も取り扱いによってはちゃんと生きていくということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/105
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106・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/106
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107・高桑栄松
○高桑栄松君 そこで、文化的な生活を含めてのことでありますけれども、第二十五条のところに、湖沼周辺の環境整備と保護というのがあるわけですけれども、土地利用規制というのが私はやっぱりあった方がいいんじゃないかと思うんですが、これに対してはどんなふうな規制が行われるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/107
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108・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 湖沼の水質に影響を及ぼします周辺の土地利用につきましては、二つの側面がございまして、集水区域全般を通じての土地利用と、特に湖岸から数十メーター程度の本当の水辺の土地利用、こういう二つの意味があろうかと思うのでございますが、まず、広く湖沼周辺の土地利用につきましては、現在有効に機能しております法律としましては、自然環境保全法に基づく自然環境保全地域、これは国が指定する場合と都道府県が指定する場合がございます。それがら自然公園法に基づく国立公園、国定公園、さらには都道府県立公園、それから都市計画法に基づく、いわゆる線引きの結果として市街化調整区域、それから森林法に基づく保安林というような、かような制度があるわけでございます。
さらにまた、ごく湖のなぎさから近いところでございますが、この土地利用につきましては、現在大部分の湖沼は河川法の河川として指定されているわけでございまして、この指定を受けますと、その水辺から数十メーター程度のところは河川区域ということになります。これについては、河川法によって、工作物の設置はもとより土砂の掘削等も規制を受けることになるわけでございます。
私ども、御指摘を受けました二十五条の趣旨に基づいてこれらの制度を運用すれば、当面湖沼の環境保全に対しても有効に働くのではないか、かような認識に立ってこの法律を仕組んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/108
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109・高桑栄松
○高桑栄松君 今のお言葉はまことにもっともだと思うんですが、活用すればでございまして、活用しなければいけない。活用できないと困るんで、そのときに、大臣がしばしば言っておられたように、関係閣僚との協議、相談とおっしゃっておられましたが、これはやはり環境庁は調整をとる官庁であるというふうな認識をしておりますけれども、つまり、その際にやはり調整官庁としてはその核になっていくという、リーダーシップと言うとまたいろんな意味で問題があるかと思いますが、やっぱりその中心になって調整をしていく。リーダー、シップと言いたいんですけれども、そういう意味で長官はやはりリーダーシップをとっていっていただく必要があると思うんですが、御決意のほどをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/109
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110・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 当然保全計画につきましてこれは関係閣僚会議にかけるわけでございますので、それに関連をして、いろいろこういう土地利用の規制について問題が起こってきた場合におきまして、この関係の法令の活用をその省にお願いをするということはいたす覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/110
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111・高桑栄松
○高桑栄松君 先ほど来、アセスメント法案のことが出ておりますけれども、同じような意味で長官の努力を、アセスメント法案提出への努力なんですが、単に協議というよりは引っ張っていっていただいて、できる限り今国会中に提出という長官の言明を私も強く支持しておりますけれども、ぜひひとつ調整をとっていただきたいというふうに思います。それはまあよろしゅうございます。
それから、閉鎖性海域、例えば瀬戸内とか東京湾、伊勢湾がございますが、それの水質汚染状況、この二、三年の状況が一体改善されているのかどうかということを簡単にひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/111
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112・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) CODの環境基準の達成状況で申し上げますと、東京湾では五十六年度が六一%、五十七年度六一%。伊勢湾では五十六年度が五九%、五十七年度は四一%で低下しております。瀬戸内海では五十六年度八一%、五十七年度八一%でございまして、一般的には横ばい。その中で伊勢湾が若干悪くなってきているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/112
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113・高桑栄松
○高桑栄松君 これを伺いました理由は、例えば、瀬戸内なんかは燐規制が入っているんでしたかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/113
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114・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 瀬戸内では燐の削減指導をやっておるわけでございまして、これは行政指導でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/114
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115・高桑栄松
○高桑栄松君 そういう既存のものがもう既にあって、それを見ていると横ばいあるいはむしろ悪化しているところがある。横ばいというのは、少しでも現状を維持しようということをさっき局長が言っておられたようだからそれかなとは思いますけれども、やはり目指すところはベターであるべきなんで、そうすると既存の法体系でそういう状況であると。特に、瀬戸内ですと許可制ですね、さっきおっしゃいましたが。今度は届け出制なんで、やはりその点では規制がやっぱりすっきりはしないんじゃないかということでございますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/115
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116・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 瀬戸内につきましては、特別措置法に基づきまして、これは議員立法で制定されたわけでございますが、CODの負荷量を三年程度の間に半分にするという非常にドラスチックな方針をとられたわけでございます。その際に、当時瀬戸内海の汚濁負荷量の大体八割が産業系の排水であった。これは瀬戸内が臨海性の工業地帯がずっとつながっていることを理解すればある程度理解ができるのではないかと思うわけでございますが、そのような実態を背景にいたしましてこの許可制ということがとられた。
こういうようなことでございまして、湖沼も同じく閉鎖性水域でございまして、海域以上に汚濁しやすいわけでございますが、ただ、実態といたしまして産業系の汚濁負荷量がそれほど大きくないということがございまして、そのようなところから、瀬戸内の許可制をとって、一般的に湖沼の周辺には工場をつくってはいけないということを政策としては打ち出さなかった、かようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/116
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117・高桑栄松
○高桑栄松君 説明はわかりましたけれども、やはり前車の轍を踏まないという必要があろうかと思うんです。ですから、閉鎖性水域のことを念頭に置いて、その轍を踏まないように、少なくとも湖沼法ができたら水質は改善されていくんだということでひとつ努力をしてもらいたい。やっぱり行政指導ということになるんだなと思いますけれども、届け出制とは許可制に非常に近いんだというつもりでやはり行政指導をしていただきたいと思います。というのは、後で変えろというのは、口では言ってもできないことなんですね。やっぱり事前にそれは指導していく必要がある。それで届け出というふうなことでなければなるまいかと思います。
それからもう一つ、先ほど来家庭雑排水、それから小規模のし尿浄化槽が問題になっておるんですが、これは、私が衛生学を教えておったときから家庭のし尿浄化槽というのは非常に問題になっておったので、改めてちょっと伺いたいんですが、みなし特定施設が、五百人し尿処理以下のもの、ベッドが三百の病院ですね、その下限はどうなるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/117
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118・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 下限につきましては現在まだ関係各省間で協議がついておりません。今後の検討課題になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/118
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119・高桑栄松
○高桑栄松君 そこで厚生省にちょっと伺いたいんですけれども、公共下水道利用人口と、し尿浄化槽利用人口を知らせていただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/119
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120・小林康彦
○説明員(小林康彦君) お答えいたします。
五十六年度末におきまして、私どもの調査では、公共下水道の利用人口は二千八百三十五万四千人、し尿浄化槽利用人口は二千七百七十六万四千人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/120
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121・高桑栄松
○高桑栄松君 人口比パーセントをちょっと教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/121
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122・小林康彦
○説明員(小林康彦君) ちょっと。パーセントを今計算してございますが、おおむね二四%ぐらいずつのところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/122
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123・高桑栄松
○高桑栄松君 公共下水道が少し少ないんじゃないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/123
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124・小林康彦
○説明員(小林康彦君) 五十五年度までは公共下水道がわずかに少ないという状況でございましたが、五十六年度には逆にわずかに公共下水道が多くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/124
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125・高桑栄松
○高桑栄松君 数字は私の手持ちとちょっと違いますけれども、まあ大ざっぱで結構だと思っておりますが、私の論旨には変わりがありません。
つまり、公共下水道を使わないし尿浄化槽というものがかなりなパーセントを占めている。それが施設が小さいものになると全くコントロールされていないということが問題になりますので、若干のことを申し上げますと、これはいろんな文献に記載されているものを挙げてみましたけれども、し尿浄化槽が昭和五十四年で三百二十七万基となっている。これは九九%が住宅用だというんですから、もし五人槽を想定しますと千六百万の人口になりますが、それが保健所に届け出られた分であって、届け出られない分はわからぬわけですが、ある文献は同数と、ある論は六割と言っております。つまり、同数または六割に当たるものが無届けで浄化槽になっている。これが極めて小規模のし尿浄化槽が水質汚濁に対してはノーコントロールだということがあります。
それから、データをもう少し挙げさせていただきますと、一般に、夏の民宿のところですが、一番多いのが十人槽を対象にしたし尿浄化槽です。下限のつもりで今お話していますよ。十人槽だそうですが、実際には夏場になりますと五十人ないし六十人が使っている。つまり、全くし尿浄化の機能は無視されてそのまま通過しているというのが現状だそうでございます。それに、家庭雑排水というか、五十人、六十人の人の台所の食物とか洗ったものがどんどん入っていきますから、夏場のそういうところではほとんどし尿浄化槽の機能は無視されているということであります。
それから、家庭浄化槽で曝気式の浄化槽ですと電気で泡を入れますね。あれは電気代がかかるというので、倹約をしてときどき停電をさせている。ときどきじゃなくて停電をさせつ放しというところがあるようであります。
それから、年一回浄化槽から沈殿物を取るということになっていますけれども、取らないのがほとんどだということが指摘されております。
それから、そうでなくても浄化槽はその機能からいって十分に処理されないままに出ている。というのは、私が講義をしたころの浄化槽の大きさが、十五人槽で七百五十リッター、腐敗槽ですが。それはその当時から、三倍以上の大きさがなければ機能が発揮されないというので、そういうふうに私は講義で教えてきておるんですけれども、この間調べてみたら、昭和五十五年にちょうど三倍になっているんですね、五人槽で七百五十リッター。一見いいように見えるわけです。ところが、先ほど御指摘があったんですけれども、今までつくられたものに関しては改善がされていない。そうすると、今までのは全部三分の一の機能を持ったものでやっているではないか。これは私が行政の立場になっても困るな、どうせいと言われても困るなと僕も思いますよ。思うけれども、どうするんだというのは行政としては考えてもらわなきゃいけない。
それからもう一つは、浄化槽は、十分な管理というのは先ほどお話ししたことがあるけれども、それはほとんど無視されている。しかも、建築基準法にはあるんですけれども、建築屋で全く浄化槽の知識がない人がどんどんつくっている、そういうことからますますノーコントロールになる。
私がたくさんの今データを挙げましたが、これに一つ一つお答えを願うというつもりはございませんが、家庭雑排水、小規模な家庭用のし尿浄化槽、これが、今までの水質汚濁法あるいは湖沼法で新しいものに対してはコントロールがきくかもしれない。それから、みなし施設の中にカバーされるものについてはできる。しかしそれ以下の、下限ですね。ですから下限を私が聞いたのはそこなんですけれども、下限をどこに置くのかということと、下限から外れたものに対してどういう行政指導ができるのか。例えば年一度の清掃を何かに義務づけられないか。例えば業者に契約をさせるとか何かないと、長官もさっき強調しておられた家庭雑排水、これはノーコントロールなんです、最終的にノーコントロールです。コントロールできるのはやっぱり行政努力で一年一年よくなっていくと私思います。しかし、ノーコントロールの場所をどうしていくかということについて十分に注意を払って、行く先々の、今のだけじゃなくて先をどうしたらいいかということをお考え願いたいと思うんですが、まとめて何か御返事があれば一番結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/125
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126・小林康彦
○説明員(小林康彦君) 浄化槽についてのお話がございましたので、その点についてお答えをいたします。
現在は浄化槽の構造につきましては、建築基準法で構造を定めまして、住宅の新築あるいは改造等建築基準の確認の必要な場合にはそのところで受け付けております。それから、トイレだけ改造いたします場合には廃棄物処理法で受け付けをしております。その後の維持管理につきましては廃棄物処理法で維持管理の規制をしておるところでございます。お話しのように、いずれかのルートで届け出がない、いわゆるもぐり、無届けの浄化槽がある程度存在するということは強く言われておりまして、それとともに、維持管理が不徹底のために、周辺での問題あるいは水質汚濁の問題というのも指摘されてきたところでございます。
このため、昨年五月に新たに浄化槽法が制定をされまして、施設の工事に当たります人及び維持管理に当たります人、この国家資格を設けまして、従来よりは適切な設置、管理が行え、届け出がないというような事態がないように、それから管理も責任を持って管理ができる体制というものが整えられたところでございます。この浄化槽法の全面施行は六十年十月からでございまして、ただいま厚生省及び建設省におきまして新しい制度に向けての準備を進めておるところでございます。
なお、現在ございます無届けの浄化槽を適切にルールにのせること、それから、清掃、保守点検につきましては現在でも廃棄物処理法で規制をしておりますので、それらに対します適切な指導、管理を行いながら新しい体制に移行をしていきたいというふうに努力をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/126
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127・高桑栄松
○高桑栄松君 そこで、生活雑排水対策の具体的なことでちょっと伺いたいと思うのですが、まず環境庁ですけれども、今年度新規に生活雑排水処理モデル計画の策定というのが予算が通ったようですね。それに生活雑排水対策実践活動が行われるということでございますが、これの内容はどんなことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/127
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128・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 生活雑排水問題が非常に深刻な問題に農山村地帯でなりつつあるわけでございまして、したがいまして、各省それぞれ独自の観点から対策を進められているわけでございます。建設省においては、特別環境保全下水道、特にそのために小規模の下水道の技術指針等もおつくりになっておられます。農林省は、農村集落排水施設整備事業、それから厚生省におかれましても今年度から生活雑排水処理モデル事業。これは、従来人口密度の非常に薄い地帯で、特に水田を広範に周辺に持っている集落の汚水処理技術等は日本ではでき合いの技術がなかったというようなところから、そのような各省独自の観点でそれぞれ対策が進められているわけでございますが、やはり私どもとしては、これらが相互に整合的に調整されて仕事を仕組まれていく、地方自治体を中心に整合的に仕事が進められることが一番望ましいのではないかと思うわけでございます。
私ども環境庁といたしましては、さしたる知見もノーハウもございませんけれども、各省の仕事を自治体がうまく組み合わせて仕事が進められるようにその話し合いの場をつくっていくというようなことをやっていきたいというところからこの事業を仕組んだわけでございます。
特に、実践活動云々という内容を予算の内容として仕組みました理由は、生活雑排水、特にし尿につきましては、ただいま厚生省からお話ございましたように、浄化槽法の施行を契機として一段と改善が加えられると思いますけれども、やはり今後はその地域の住民の方々が身近な水辺の環境をきれいにしよう、そういう盛り上がりに基づいて、それを行政ができるだけ助長していくという形をとりませんと、規制だけではなかなかこれは望ましい結果が得られないのではないか。もちろん行政がきちっとやらなきゃならないことは、やるべきことはやるわけでございますけれども、そのような感じがいたすわけでございます。各地に、長野県等が先進的な県のようでございますが、自主的な活動がいろいろ見られるようでございますから、そういう活動をできるだけ助長していきたい、こういうようなところからその予算の内容を仕組んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/128
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129・高桑栄松
○高桑栄松君 同じく、厚生省、今ちょっと触れられましたが、生活雑排水対策というのがことし新規に予算が通っておりますね。これの内容はどんなことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/129
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130・小林康彦
○説明員(小林康彦君) 家庭から出ます排水、特に台所あるいはふろ場から出ます生活雑排水が身近な環境を汚染をし、あるいは公共用水域の水質汚濁をもたらしている例が目立つというような状況がございまして、従来からとっております地域し尿処理施設の整備、あるいは浄化槽の適正な維持管理に加えまして、本年度から先生お話しの予算を計上したところでございます。この生活排水を対象といたします処理施設の整備に対しまして、地方公共団体が行われます場合に国庫補助を行おう、こういう制度を創設をいたしまして、これによりまして生活排水対策の一層の強化充実を図っていきたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/130
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131・高桑栄松
○高桑栄松君 私は内容が、両方の関連がよくわからないのですけれども、環境庁と厚生省、あるいはそのほかこれに関係する建設省ですか、こういったところとの、何というかな、こういう同じようなテーマでの仕事をなさるときの横の連絡というのはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/131
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132・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 環境庁は事業官庁ではございませんので、独自に何か事業補助金を持ってそれで事業をやるということはいたしておりません。それぞれ厚生省、建設省、農水省、事業を進められるわけでございますが、私どもは、やはり農水省だけで事業をやってもなかなかうまくいかない面がある。それから建設省も、例えば終末処理場の排水を農地還元等ができれば、はるかに三次処理等をするよりもコストが安く上がるというような面もあるわけでございまして、いわばそういうことを最終的に調整するのはやはり市町村になってくるのではないかと思うわけでございます。そういう話し合いの場を私どもがつくる、そういう計画を立てるための必要な経費の助成等を行おうということでございます。
そのような意味で、各省の、事業官庁の共通の話し合いの場を自治体で設けて相互に調整していくというようなことをやっていきたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/132
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133・高桑栄松
○高桑栄松君 同じようなことかもしれませんが、指定施設というのが今度ありますね。畜舎、魚の養殖ですか、こういったものの対策、これはきっと窒素が一番多いんでしょうが、これはどんなふうに具体的にやるんですか。農水省とか建設省との関係あるんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/133
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134・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 指定施設につきましては、具体的事例としては先生今お話にございました畜舎あるいは養魚施設になるわけでございまして、これらの構造ないしその利用方法の基準を決めたい、かように考えているわけでございます。これは法律上は省令事項でございますけれども、各省の行政、特に農水省には、それをどう決めるかは畜産経営あるいは漁業経営にとって重大な影響を及ぼすものでございますから、よく相談いたしまして、無理のかからないようにし、かつ私どもの湖沼水質浄化という目的にもかなうような、そういう内容のものを定めていきたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/134
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135・高桑栄松
○高桑栄松君 ところで、私の最近の経験で、ちょっと私の考えているのが間違っていたなと思ったんです。
昔、台所でディスポーザーというのが大分PRされて、文化生活の一つではないかというわけで、あっちこっち取りつけられたようですが、私は商売上、私の商売というのは予防医学ですが、私の仕事の上で、これはもう細かくしただけで有機物をそのまま下水に投げ込むんだから、下水処理上大変な負荷がかかるんで、せっかく厨芥でとれるのにどうしてディスポーザーなんか使うんだろう。私は本来禁止すべきものだと思い込んでいたんですが、この間聞いたら、うちが今台所を実は取りかえている最中なんです。建築屋がうちの家内に、ディスポーザーをつけますかと言ったというんですね。僕はびっくりしまして、えっと言ったんですけれども、私の家内も承知しておりまして、そんなのはっけないと言ってつけなかったんですが、これは禁止されていないんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/135
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136・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 法律上特に何らの措置も講じられておらないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/136
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137・高桑栄松
○高桑栄松君 私はこれこそ大変おかしな話ではないかと思っているんです。せっかく台所のあれがあるわけですから、それで取り出せばいいんであって、ディスポーザーで粉々にして下水に突っ込む。そしてこれは雑排水ですね、し尿浄化槽ではないわけで、その雑排水に入るとそれはそれなりに有機物の負荷が随分多くなると思うんで、これは何か指導はしているんでしょうか。やめた方がいいという指導ですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/137
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138・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) これは厚生省からお答えいただいた方が適切かもしれませんが、生ごみの一種の処理の形態としてそういうものが普及した。というのは、やはりマンション生活等というような居住形態が普及してまいりますと、なかなか生ごみを処理するのが大変であるというようなところからああいう器具が普及してきたのだろうと思うわけでございます。
私どもとしては、先ほどの生活雑排水対策の中の実践運動の一つとして各地でやっておられますのは、やはり生ごみの粗いものはできるだけ水に流さないように、それから廃油等も流さないようにするという運動が各地で行われているわけでございまして、そのような観点から見ればまことに好ましくないわけでございます。下水道当局としても、やはり管渠が詰まるというような非常に好ましくない点、それから、当然のことながら汚濁負荷が大きくなるというようなことで好ましくない、こういうような認識を持っているようでございますが、ただ、現在これを法律で規制するかどうかということについては、率直に申し上げまして、まだ行政のレベルで具体的な課題とはなっていないわけでございます。
まあ先生の御指摘もあったことでもあり、これは関係する省庁がかなり広範になるかと思うのでございますが、何らかの機会に今後の取り扱い等について相談してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/138
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139・高桑栄松
○高桑栄松君 それでは時間が参りましたし、若干あるんですけれども、ちょうど切りがいいようですから、最後に私の考えをちょっと述べさせていただいて終わりたいと思います。
私は前にもそんなお話をいたしましたが、公害対策というのは、特定汚染源、つまり大きな企業等でございますが、特定汚染源に対しては規制ができる。これはある意味で非常に明快にやれる、そして協力を得られる、そういう意味で効果を上げていくと思うんです。つまり、大気汚染にしましても、SO2のppmがほとんど九九%ぐらい達成されている、一〇〇%に近い。これはやっぱり大きな汚染源が全部コントロールができたということだと思うんです。ただ、それで環境がよくなったと考えるのは間違いなんで、やっぱり環境庁というのは、ppmを達成したらそれでいいというんであったら、環境庁は早晩なくなると思うんです、そういうふうな努力をしているわけですから。そうではなくて、ベターな、より快適な、より健康な、というと高齢化がますます進むことになりますけれども、そういう環境をつくっていかなければいけない。それにはやはり特定汚染源、大型の特定汚染源に対する規制。もう一つは不特定多数と言われる家庭とか個人の汚染源ですね、これはやっぱり教育だろうと思うんです。もう教育しかない。昔から予防医学、衛生学で言われているのは、ある程度は金で買える、しかしその先は教育しかない、こう言っているんですね。まあ簡単に言うと、手洗いが大事だといって手洗い施設つくっても、洗わなきゃだめじゃないか、洗わせなきゃいけない。こういう意味で教育というのが最終的に残ってくるんです。ですから、二つの方向、つまり、一つは規制の方向、もう一つは家庭教育――家庭というのかな、個人かな、個人の教育ですね。
それで、いつの質問だかでもそのお話をしたんですが、環境教育というのはどこが担当しているのか、厚生省なのか環境庁なのか、どっちなんだろう、こういうことも伺ったことを思い出したんですけれども、やっぱり環境教育ということにもう少し力を入れる必要がないか。それは学校教育だけではなくて、地域社会における地域活動としての教育ですね。そういうことで、やはり環境庁のまたやっていただかなければならない分野というものがあるのではないか。これは予防医学の一番大事な一つが教育でございますから。それと規制ですね。
そして最後に、やはり皆さんの御質問とそれに対するお答えを伺っていると、確かにこちら側にいて伺っていますとなまぬるいんですよね、環境庁は。それはお金を持っていないからとおっしゃってたように聞こえちゃったんです、さっき。それはやっぱり無手勝流ではだめなのかもしれませんね。だから、何かそこにやっぱり予算ももう少し大型にとる方法をお考えになるとか、あるいは教育に力を入れていくとか、それから調整に当たってはやはりリーダーシップをとっていただきたい。何と言うかな、決めるヘッドになるというんじゃなくて、まとめるわけですから、そういうまとめ役としてのリーダーシップをとっていただきたいということを希望いたしますが、最後に大臣に何かまとめてお答えをいただければいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/139
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140・上田稔
○国務大臣(上田稔君) ただいま先生からいろいろ有効な御示唆をいただきまして、本当にありがとうございます。
教育につきまして、緑の国勢調査というのも、あれも私は一つの環境といいますか、自然と申しますか、それに対する教育の一つだと、実はボランタリーをとらしていただきましたのは、と考えておるのでございます。今、家庭雑排水というか、そういうものに対する、汚染というものに対することの矯正はやはり教育によってやれるんだという御示唆でございます。私もそのとおりだと思うのでございますが、また、これに対する教育の方法その他も私どもも勉強をさせていただきまして、また、先生からもいろいろ御示唆をいただいて進めさせていただきたいと考えております。
予算は、そういういろんな企画に対してこれは当然ついてくるものでございますので、そういうことにおいて予算もふやしていきたい、こういうふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/140
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141・近藤忠孝
○近藤忠孝君 私は、きょうのところは琵琶湖の問題に焦点を合わせまして、水質の問題について質問したいと思います。
もう既にこれは衆議院の本法案に対する審議のとき以来指摘をされておりますように、大変な水質の、特に湖沼の汚染の状況であります。琵琶湖につきましては、窒素、燐については五十六年以来やや改善の傾向はありますが、しかし依然として条例の目標水質をオーバーしている状況です。CODに至りましては、これは環境基準の三倍から四倍ものオーバーであります。これは全国各地、霞ケ浦も諏訪湖も共通であります。問題は、COD削減の観点からも、窒素及び燐の環境基準を富栄養化阻止の観点を重視して妥当な類型に設定すべきだ、こう思うんですが、まずそれについての御見解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/141
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142・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 先生御指摘のような観点から、一昨年末、窒素、燐の湖沼の環境基準を定めたわけでございまして、現在その当てはめ作業が進んでいるわけでございます。当然のことながら、それぞれの湖沼の持つ特性とそれから利用の現状を勘案して当てはめが行われることになることを期待しておりますし、また、私どももそういうふうな指導をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/142
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143・近藤忠孝
○近藤忠孝君 この点、琵琶湖につきましては、言われておりますように、京阪神一千三百万の人口が利用する、文字どおり近畿の水がめであります。そういう点で、まず水道用水、さらに農業用水、工業用水、水産用水、防火用水、その他いろいろありますが、特に漁業の面から見ましても、たくさんの魚がおるわけで、さらに水泳場、観光、スポーツ、レジャー、こういう琵琶湖の現状から見まして、窒素、燐の水質環境基準の水域類型当てはめを行うとすれば、最低この告示のどの類型が妥当だと考えておいででしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/143
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144・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 現在の環境基準から申しますと、水道利用は少なくとも第Ⅱ類型以上、原則として第Ⅱ類型以上。まことに遺憾ながら現実の汚濁が非常に進んでおりまして、浄化作用に期待して、さらに特殊なものについては第Ⅲ類型の当てはめもあり得るということを一応告示しておりますけれども、原則的には第Ⅱ類型以上、こういうことになろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/144
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145・近藤忠孝
○近藤忠孝君 この点は衆議院の方でも指摘がございましたが、上田長官御出身の京都新聞でインタビューがありましたね、琵琶湖を第Ⅱランクにと。これについてはもう五年で達成したいというような、これは京都の府民に大変な期待を持たせ、長官ですから、これはもう水がいかにもきれいになるような、こういう状況なんですが、しかし、その後の質疑の状況を見ましても、果たしてどうも具体的になるとどうなのか、大体五年なんてちょっと無理じゃないかという話もありますね。
一方、これは衆議院の質疑に対する佐竹局長の答弁ですが、先ほども答弁がありましたが、要するに、第一にこれ以上悪化を進行させないということで、これ以上きれいにするのにはどうするのかという、この辺が出てこないんですよね。どうも局長の答弁ではこれ以上悪化を進行させないというところどまりなのかなという感じもするし、片方、大臣の方は五年で第Ⅱ類型に、こういうことがあるんで、これは矛盾するのかどうか、このお二人の状況は。そしてまた、これは実際どうやってやっていくのか、その辺の具体策をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/145
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146・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 最小限の要請として、これ以上悪化させない。それから、もちろん悪化させないんではこれ何のために法律つくるのかわかりません。いかにしてよくしていくかということでございますが、私ども、ここ数年勉強してまいりましたので、特に湖沼の水質についてはある程度将来の予測ができるようになっているわけでございます。まず、現状の水質がある、それから将来の人口の伸び、あるいは経済活動の伸びがある程度予想できるわけでございます。そうしますと、何ら対策を講じなければ五年後あるいは十年後にどうなるかというのは推計ができるわけでございます。今度は利用目的の方から望ましい水質が当てはめが行われるわけでございます。そうしますと、それぞれどれだけ汚濁負荷量をカットしなきゃならないかということがある程度計算ができるわけでございます。その過程で私どもできるだけ関係者に御納得いただけるような削減にしてまいりたいと思うわけでございます。
今度は、別途、現在私どもの与えられた行政手段から規制あるいは施設の整備としてどのくらいのことができるかということが見通しが立ってくるわけでございます。そこで今度は望ましい目標の達成が可能かどうであるかということをチェックしていく。そういう利用面と、それから、現実に与えられた政策手段とのチェック・アンド・バランスで場合によっては暫定的な目標を決める。かようなことになるわけでございます。そのような作業を通じて関係者の御納得をいただきながらこの水質浄化対策を進めていきたい。かつ、その過程はできるだけ合理的に、だれが見ても公平であるということがわかるような作業過程にしていきたい、そういうことを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/146
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147・上田稔
○国務大臣(上田稔君) お答えを申し上げます。
琵琶湖が、湖沼法を制定をしていただきまして、それが軌道に乗せることができましたら、一日も早くいい水にしていきたいという私は願望を持っておるのでございまして、それの達成を早くやりたい、五年ぐらいにやりたいというふうに申したのでございます。
しかし、今の下水道の進捗状況を見ますと、なかなか琵琶湖の周辺はまだできておらないのでございます。全国的に申しますと二十何%、大都市におきましては四〇%以上、こういうふうな状態で下水道が完備されていっておるのでございますけれども、琵琶湖の周辺はスタートしたのが遅かったといえばそのとおりでございますけれども、今のところ一〇%ちょっと上回るぐらいな程度しか進んでおらないのでございます。これが予算の伸びがどうなるかわかりませんけれども、これから日本の経済状況がよくなって予算が伸び、そうして公共関係の予算も伸ばしていただくということになりますと、下水道の進捗も大いに伸びていくのではなかろうかと考えておるのでございます。それを伸ばしていただいて二〇%ぐらいになると今よりも大分方向が変わってくる。
今琵琶湖がそれじゃどういう状態にあるのかといいますと、今局長が申しましたように少しよくなりつつあるのでございます。これは、滋賀県知事さんが有燐洗剤というものを禁止をされまして、そして住民の皆さんの御協力を得てそういう洗剤をおかえになった、かえていかれたというようなことの効果がやはり私はあらわれてきておると思うのでございますが、そこにさらに下水道の効果があらわれてき、また、し尿処理の施設なんかも計画的につくっていただいて、つまり、下水道の計画もちょっと立てられないようなところに対してはそういうようなものを御計画をいただいて、そしてそれの振興を図っていく。それからまた、そのほかのいろんな工場に対する、あるいは施設に対する規制と申しますか、そういうものもあわせ進捗をさせていくとこれは相当な勢いでよくなっていくということになるのではなかろうかと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/147
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148・近藤忠孝
○近藤忠孝君 現職の大臣が、Ⅱランクに、そして五年で達成したいと言いますと、やはりそそっかしい人はああもう大丈夫だ、こう思っちゃうんですが、今の話を聞いていますと、やっぱりこれはなかなか具体策もはっきりしませんし、これは一上田稔氏の夢のようなものだ、こう受け取らざるを得ないわけであります。
その点はその程度にしますが、問題は、私は本当に飲み水という面から見れば第Ⅰ類型が望ましいわけですが、しかし、第Ⅱというのはぎりぎりの線だろう、こう思うんです。それをどう達成するか。問題は、この湖沼法がどう役立つかということだけれども、これはもう今まで指摘されていますように、事琵琶湖に限っては、既に今まで県条例でされている対象以上のものは出てこない、こういうことなんですね。それでいいのかという問題であります。
先ほど佐竹局長の方から、将来を予測ができるという答弁がありまして、実際滋賀県の水質審議会で将来の予測をやっておりますね。現在の滋賀県の富栄養化防止条例の施行と、その後の一連の施策を実施していくことを前提に、今の施策を前提に窒素、燐の水質について将来の推移がどのようになっていくかというシミュレーションを行っております。これによりますと、大体県の目標は達成することになるだろう。それからさらに、第Ⅱ類型に南湖、北湖それぞれ達成することになるのか、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/148
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149・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 県のシミュレーション結果につきまして私直接承知しておりませんけれども、現在までの琵琶湖の水質状況の推移から見まして、六十年の県の目標値についてはおおむね達成できるのではなかろうかというふうに判断するわけでございますが、特に、南湖につきまして第Ⅱ類型を当てはめました場合には、その達成には相当な努力が要るであろう。
私どもも、これからこの法案を通していただきまして、水質保全計画を立てる過程、あるいは滋賀県の当てはめ作業との調整の過程でその辺詰めてまいりたいと思うのでございますが、南湖が第Ⅱ類型の目標を達成するということについては相当な努力が必要であるというふうに判断しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/149
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150・近藤忠孝
○近藤忠孝君 このシミュレーションの結果によりますと、南湖では、トータル窒素で、現在の政策を継続した場合でも、富栄養化防止条例、六十年度目標〇・三〇ミリグラム・パー・リッターを達成できない。北湖では今言ったとおり達成が可能だ。それからトータルPでは、南湖では六十年度目標はぎりぎりのところを達成できるものの、その後の汚濁負荷量の増加によって再び目標値をオーバーしていくというような状況ですが、大体そのとおりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/150
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151・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 先ほど申し上げましたように、滋賀県からそのシミュレーション結果について正式に説明を聞いておりませんので、あるいはそういう作業をなされているかとも思いますが、その成否につきましては、現在私ここでそのとおりであるというふうには申し上げかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/151
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152・近藤忠孝
○近藤忠孝君 これは大変大事な話で、国がどういう施策を行っていくかという点大事な話ですし、決してこれは秘密にすべきものでもないんだと思います。現在のところ公表はしていないようですけれども、しかし、当然環境庁とすれば、実際どうなっているのか、これはむしろ詳細に報告を受けて、そして環境庁としても第Ⅱ類型に達成するための努力をしていくべきだと思うんですが、これは早急にその結果を取り寄せるべきだと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/152
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153・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 先ほど申し上げましたように、環境基準の当てはめをやらなければならないものでございますから、その際には当然そういう相談をいたすことになるわけでございます。
それからまた、水質保全計画を策定する際にも、関係各省に対して琵琶湖周辺の下水道整備のためにどのくらい予算がつけられるかということも考えながらその当てはめをやっていくということになるわけでございます。先ほど大臣からもお答えいたしましたように、今後の公共事業予算の伸びいかんによっては絶対その達成が不可能であるというものではないわけでございまして、まさに先生おっしゃるように、今後詰めて、その結果についてはいずれきちっと御説明いたすようにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/153
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154・近藤忠孝
○近藤忠孝君 私が知るところによりますと、このシミュレーションの結果、現行対策を目いっぱいやった上で、さらに南湖ではトータル窒素であと四五%の削減、北湖ではあと一五%の削減が必要だ、トータル燐につきましては南湖であと三五%削減が必要だ、こういう数字も具体的に出ているようですね。となれば目標はもうはっきりするんですね。
問題は、これも先ほど来議論されているとおり、水濁法のベースの上に上乗せの県条例がありまして、今度の湖沼法ではそれ以上のものでないとなりますと、少なくとも湖沼法では、今言った具体的に数字が出ている削減の作業が全然できないんじゃないか。これを一体どうやってやっていくつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/154
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155・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 水質保全計画を立てる過程でその辺が問題になるわけでございますが、まず一つは、削減所要量を産業系と生活系にどういうふうに割り振るかということが問題になるわけでございます。
その際に、産業系の方について言えば、一つ一つの事業施設について、現在の処理技術水準それから必要な設備投資額、そういうものから見てその配分された負荷量が達成できるかどうかということを詰めていく。このような作業は、既に滋賀県におかれては琵琶湖の現在の富栄養化条例を定める過程で済まされているようでございます。
問題は、生活系の汚濁化についてどのくらいカットできるか。これは逆に言うと、基本的に下水道整備だと思いますが、下水道整備、その他各省の持っている生活汚水処理予算をどのくらい滋賀県に配分できるかということとの関連で決まってくるわけでございまして、そのような作業を水質保全計画策定に際して私どもは詰めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/155
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156・近藤忠孝
○近藤忠孝君 しかし、少なくとも水濁法では、その上乗せが県条例ですから、これではもうどうしようもないので、それでここで湖沼法ができた。しかし、この湖沼法が、水質をよくしていく方には、そして環境基準に達成する方向ではほとんど役立たない。そうなると、一体琵琶湖に関しては何のための湖沼法か、こういう問題さえもある。この点も既に指摘されている点ですね。その点については何かあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/156
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157・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) お言葉ではございますけれども、私ども、水質保全計画というのをわざわざ国のレベルまで上げて関係閣僚会議の議を経て決めるというのも、その辺について優先的に予算を配分する。もちろんこれは国の全体の予算の扱い方の中で限界はございますけれども、やはり琵琶湖が大切であれば各省にお願いして優先的に配分していただくわけで、そのようなシステムは滋賀県だけではできないわけでございまして、そのような意味で、私どもは、今回の水質保全計画というのはそれなりの意味は一それなりの意味というより、かなりの意味を持ち得るというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/157
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158・近藤忠孝
○近藤忠孝君 ことしの三月二十四日付で、あなたですね、環境庁の水質保全局長から通産省立地公害局長あてに「窒素、燐に係る水質汚濁防止法第三条の排水基準の設定に当っての基本的考え方」。いろいろ施策が書いてあって、最後のところに「上記1及び2の」というのは上乗せ等々ですね、「措置を講じても湖沼において富栄養化防止が図られない場合には、環境庁は当該湖沼を湖沼水質保全特別措置法の指定湖沼に指定するか、水質汚濁防止法の改正により、所要の措置を講ずる。」こういうことが言われております。これはどういうことを意味しているんだろうか。あなたも出している、窒素、燐をちゃんと規制の対象にして、そしてそれについて総量規制をすべきだというふうに出しておりますが、そういう方向、そのことなんですね、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/158
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159・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) つまり、湖沼法の指定湖沼になりますと事業の裏づけがきちっとするわけでございます。しかも産業系と生活系とのバランス、汚濁負荷量のカットのバランスもそこでとっていくということ、しかもそれに予算の裏打ちがっくという意味で、指定湖沼にすれば自動的にそういうことができる、こういうことになるわけでございまして、そのような意味でここに指定湖沼に指定するというふうに書いてあるわけでございます。
それからさらに、水濁法の場合には規制措置しか書いていないものでございますから、指定湖沼にしないならば、むしろ広くそういう生活系の湖沼の対策を進めるためには今の湖沼法の考え方を水濁法の中にも一部取り入れたらどうだ、そういう計画を立てさして、そしてそれを生活系と事業系に割り振っていくというような考え方、その意味で改正をすることも検討しよう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/159
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160・近藤忠孝
○近藤忠孝君 ずっと今までの議論を聞いておりまして、環境基準の達成についてはなかなか具体策が出てこないんですね。やはり残るのは、先ほど言ったように、具体的にこれだけ削減が必要だと数字も出ておる以上、新増設の許可制とか総量規制の導入、これは窒素、燐、CODはもちろんですが、これをやる以外にないんじゃないんでしょうか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/160
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161・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 総量規制の導入というのは、現在の私どもが御提案申し上げている制度の中で一つの考え方でございまして、必要があればその方策に移っていきたい、既存の施設も対象にしてやっていきたい。ただ、許可制をとるかどうかということは、これについては許可制の場合でも絶対許可しないとは言っておりませんで、基準を充足すれば許可するわけでございます。それから、私どもの届け出でも、許可にならないようなものについては変更命令をかける、こういうふうに措置しているわけでございます。ここは法律技術的に許可をとるか届け出にするかはそれほど実態として非常に大きな意味を持つとは私ども必ずしも考えていない。つまり、届け出制でも運用によっては十分目的が達成できるんではないかというふうに判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/161
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162・近藤忠孝
○近藤忠孝君 ただ、私がこの法案を見た状況では、総量規制がいつどのように発動できるのかなかなか難しいという点で、これもまた後ほど議論したいと思います。
時間が来たので、最後に大臣、下水道問題について先ほど発言がありましたが、詳しくは次回にしたいと思うのです。ただ、私先ほどの大臣の話を聞いておりまして、そして同時に、昨日は大蔵委員会で財源確保法案の採決まで出まして、同じ内閣の大臣なのかな、向こうはまさにマイナスシーリングでどんどん抑えていこうというときに、先ほどの大臣の話では、下水道は重要である、そして建設省の方で大いに予算を伸ばしてもらわなきゃならない、このように言っておるんですが、もし本当に本心そういうお気持ちをお持ちなら、中曽根さんにも――中曽根さんも厳しいマイナスシーリングでやっていこうというような、大蔵大臣もとよりそうなんですね。私は、この委員会でそう言っているだけではなくて、内閣の中で堂々と、本当に環境を守るためには下水道予算は本当に大事なんだということで、大いにそこで頑張るべきだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/162
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163・上田稔
○国務大臣(上田稔君) まだ予算の話は閣内では全然ないわけでございますが、私は個人の考えとしては、これは民間投資が伸びていくということになりますと、それに応ずる公共投資というものは伸びていくべきであるというふうに考えております。そうでないとバランスが崩れできますので、これはやはりふえていくときにはふやしていくという考え方が正しいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/163
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164・近藤忠孝
○近藤忠孝君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/164
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165・中村鋭一
○中村鋭一君 きょうは時間が余りありませんので、申しわけございません、質問通告したものを離れてちょっとお尋ねをさせていただこうと思います。
先ほど高桑委員の質問の中に、今回の提案されております湖沼法でCODの基準値の達成ということは当然ながらうたわれている、それがまた眼目であるんでしょうが、現実に、例えば琵琶湖を例にとった場合、CODの基準値を達成いたしましても湖の汚れはそれを上回っていく、それは富栄養化の原因として窒素や燐というものを度外視することはできないのではないかということについて、そのとおりであると局長お認めになりましたね。そこで、その局長の答えは、私の聞き間違いがあれば御指摘を願いたいんですが、それは水質汚濁防止法ですね、今のところはそれにまつ、窒素、燐については。中公審の答申を得てこの窒素、燐については処置をしていきたい、それまでは水濁法に基づいてやっていくんだ、このようにお答えになったと思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/165
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166・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) おおむねそういうことでございますが、水濁法に基づいて窒素、燐の規制を行いたい、そういう法的手続をとる前提といたしまして中公審で今御検討いただいている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/166
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167・中村鋭一
○中村鋭一君 これは、長官が提案理由の説明をなさいました、湖沼水保全特別措置法案ですね、「しかしながら、湖沼の水質の現状を見れば、閉鎖性水域という自然的条件に加え、湖沼周辺で営まれている生活及び生産活動に起因する汚濁が近年特に著しく、その水質の改善を図るためには、水質汚濁防止法による排水規制等の従来の制度では不十分な状況にあります。」と、長官こうおっしゃつているわけですね。水濁法では不十分だから湖沼法を今回当委員会でも審議しているわけでございます。にもかかわらず、窒素、燐については当分水濁法でいくんだ、中公審の答申を待つんだ、これはちょっと矛盾しているんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/167
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168・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 現在の湖沼法は、水濁法に基づく一般的な規制を前提にいたしまして、それにさらに加重して、水濁法では規制できないもの、あるいは水濁法で規制できるものについても負荷量規制、濃度規制じゃなくて、一日当たりどのくらいしか出してはいけないという規制ができるようになっているわけでございます。窒素、燐につきましても当然もちろん必要があれが水濁法で負荷量規制もやれるわけでございます。現在窒素、燐については水濁法ですら規制の対象になっていないわけでございますので、そういう関係にあることを御理解いただきたいのでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/168
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169・中村鋭一
○中村鋭一君 だから、午後から各委員が指摘しておりますように、私が言いたいのは、例えばこういう局長の御答弁にも見られますように、どうも環境庁がむしろ積極的に攻撃するよりは防衛に回っている嫌いなしとしない。こういったせっかくいい、ベストではないかもしれませんけれども、ベターな法案を提案しながら、なおかつその姿勢において、いつも私がこの委員会で指摘をさしていただきますように、一千万人といえども我行かん、そういう姿勢に欠けるところがあるんじゃないか。だから、水濁法、それは今おっしゃったとおりだと思いますよ。しかし、闘う姿勢があれば、例えば高桑委員の質問に対して、ただいま先生御指摘のような点がございますから、我々としてはさらに積極的に、中公審の答申を待つまでもなく、本法律案におきまして窒素、燐等の規制においても国民の期待にこたえるべく、湖沼周辺の住民の期待にこたえるべく一生懸命やります、これぐらいの答弁を私は期待したいということを申し上げているわけでございます。
長官、どうもこれは私の個人的な気持ちではございますけれども、環境庁は、大石長官でありますとか鯨岡長官でありますとか、非常に戦闘的な長官をいただいていた時代もあったと思うんですよ。鯨岡長官なんかは、アセスメント法案を何としても今度はやるんだ、こう言って辞表を懐に当委員会に出席をされたこともあると伺っております。温厚篤実な紳士の集団であっては環境庁は百年後の子孫に対して申しわけが相立たぬような事態になるから、だから私は常にアグレッシブな集団であっていただきたい、こう申し上げているわけでございまして、その点につきまして長官の真意といいますか、お気持ちをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/169
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170・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 先生からのいろいろな御忠告でございますが、やはり人には人おのおのの生き方がございまして、我行かんという気持ちはこれは常に持っておりましても、それを明らかに外に出して戦闘的にわあっと行く方と、来れば来いということで、しかしどこまでも進んでいくというやり方とありますので、やはり自分の性格に合ったものによってやっていくということが一番よいのではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/170
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171・中村鋭一
○中村鋭一君 よくわかりました。ひとつ大いに頑張っていただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。
この日曜日、二十四日、私自分で車で、たまたまこの委員会の審議もございますので琵琶湖を見て回ったんです。あそこの南郷洗堰、琵琶湖からたった一本流れ出ております瀬田川、宇治川、末は淀川になりますが、あの洗堰のところへ参りました。あそこは、私釣りが好きでして、何十回も釣りに行ったんです、若いころに。当時はシジミがいっぱいありましたし、それからヒガイという、魚へんに天皇の皇と書きますが、非常に琵琶湖に特殊な魚でございます。それがシジミのえさでよく釣れたんですよね。
ところがこの間日曜日行きましたら、あの日曜日の昼下がりに南郷洗堰に釣り人がたった三人しかおりませんでした。聞きましたら、もう何にも魚が釣れなくなってしまった。ヒガイはどうですかって聞いたら、ヒガイなんかもう何年も前から一匹もこんなところ釣れやせぬと、こういうことなんですね。同時に、一種えも言われぬにおいがいたしまして、そのにおいの原因が何であるかは私わからなかったんですけれども、少なくとも昔は全くしていなかった、心地よいにおいではなくて、むしろアンカンファタブルなにおいがしていたわけですね。だからやっぱり湖というのはきれいにしなきゃいけないなと痛感して帰ってきた次第でございます。
さて、今回のこの湖沼法は、専ら水質の汚濁を中心に審議されておりますし、法律案の目的もそこにあると思いますが、丸谷委員、ちょっとあなたにお尋ねいたします。
滋賀県で今景観条例を、もう既に審議にかかっておりますか、提案しようとしておりますか、でございますが、まずこれにつきまして承知しているところがあればお伺いいたしたいと思います。環境庁に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/171
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172・山崎圭
○政府委員(山崎圭君) お答え申し上げます。
ふるさと滋賀の風景を守り育てる条例という名前だと承知しておりますが、五十六年に国民体育大会が滋賀県で行われまして、そのときの各方面の要望なり何なりを受けまして、県当局が各界の意見を集約、広く聞き取りまして検討を重ねました結果条例案を成案を得た、かように承知しておりまして、その目的は、琵琶湖及びその周辺の自然景観あるいは田園景観、さらにはより広く歴史的な、あるいは文化的な遺産、また町並み、こういったものによって形成されております潤いのある故国の風景を守り育てよう、こういうことを目的としているものである、現在県議会で継続審議中、こういうふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/172
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173・中村鋭一
○中村鋭一君 滋賀県がまず全国に先駆けていわゆる洗剤条例を制定したということ、さらに、洗剤条例にとどまらず、今回は景観を守ろうという、やや長いタイトルではありますけれど、そういう条例をつくろうとしている熱意、これはまさに考えようによりましては国の政策を先取りして滋賀県がやっている、このことについては私は大いに敬意を払うべきであると思います。しかし、一面、考えますと、そこまでやらなければならないほど、日本一の大湖を持っております滋賀県民は追い詰められているということも言える、こう思うんですね。
そこで、今回の法律案の私なりに見た非常に不満な点は、周辺の景観を大事に守り、それを育てていこうとする傾向が、努力がこの法律案には見られない、こういう点でございまして、この点につきましては午後討論がありましたので私は環境庁にはお尋ねはいたしませんが、そこで、今回丸谷議員が発議者におなりになりました湖沼環境保全特別措置法案、この措置法によれば、単に水質汚濁を防ぐだけではなくて、周辺の景観を、今回例えば滋賀県が条例として制定しようとしているような、周辺の景観を大事にしていこう、こういう案文もこの中に盛り込まれておりますか。いるとすればそれを具体的にお教えをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/173
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174・丸谷金保
○丸谷金保君 本日提案をしたばかりでございますので、法案の内容はよく御検討いただいて、次の委員会で質問通告をちょうだいして丁寧に実は御答弁申し上げようと思っておりましたけれども、せっかくの御質問でございますので、その点については……。
大体、今の政府の提案しておる法案というのは水質中心でございまして、それとやや似た法案としては、二十五条の「自然環境の保護に努めなければならない。」というのが政府案です。そして私ども社会党がただいま提案しております中では、同じような案文は二十八条の「湖沼周辺環境保全地区」という中で「都道府県は、条例で定めるところにより、指定湖沼の周辺の土地の区域のうち湖沼環境の保全上保全することが必要な自然環境を形成している」、これを保全地区として自然環境を保護するために、努力する規定でなくて、これを指定することによっていろいろな景観を壊す場合の許可条項にする、こういう形で、政府案と違う法案で、この二十八条にただいま御指摘の精神を盛り込んである。
もともと湖沼というのは、水がめであるということと同時に、例えば自然の観察をする、先生いつも御指摘するサンクチュアリーというふうな問題も含めた自然観察ということのため、あるいは美しい湖の岸に立ちまして、何とない情操教育といいますか、こういうふうなものもあわせてその効果というものを守っていかなければならないということで、この二十八条に自然環境を特にそういう形で入れまして指定するというふうに結んでおります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/174
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175・中村鋭一
○中村鋭一君 大変立派な見識のある二十八条でございまして、結構でございます。残余の質問は次回の委員会に譲りますが、最後に長官にお尋ねいたします。
例えば、今丸谷発議者が指摘されたような、景観を守るための条項を新たに今回の湖沼法に加える意思はあるのかないのか。今回はこれでいくというならば、いずれ時期を見て、例えば景観法というような法律を制定する、そういった前向きの姿勢はあるのかないのか、その辺をお伺いいたしまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/175
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176・上田稔
○国務大臣(上田稔君) ただいま景観の保持について、それをまた保護するような法律を出すのかどうか、こういう御質問でございます。
私どもは、環境の保全、今現在の、例えば琵琶湖の例が出ましたから、琵琶湖の周辺の環境の保全につきましては、琵琶湖に今かぶっておりますいろんな環境保全の法律がございますが、それによってやっていけるというふうに考えております。滋賀県の方におきまして今の条例をおつくりになるということでございますが、これも私も内容を詳しくはまだ、もっともこれはまだ県会にかかっておるところでございますので、決定しておりませんのでなんでございますけれども、よく読ましていただいて、そうしてその内容が、私は今のかぶっておる条例でおおむねいけるというふうに考えておるのでございますが、その辺もよく調べさせていただきたい、検討させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/176
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177・美濃部亮吉
○美濃部亮吉君 小会派の悲しさで、いつでも最終に回されまして、皆さんお疲れのところで質問をすることになりますけれども、もうしばらくでございますから御辛抱を願います。
今度の湖沼法は、五十六年の一月二十七日に出されました中公審の答申を尊重して、そうしてこの答申をもとにしてつくられたものであるというふうなお話でございましたけれども、そう考えていいのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/177
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178・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) そのように御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/178
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179・美濃部亮吉
○美濃部亮吉君 それでは、今の中公審の答申の中で、水質とそれから自然の環境とは一体になっているものであって、その両者は切り離すことができないんだということを繰り返し述べられております。非常にたくさんございますから全部お読みすることは時間がかかりますから、抜きます一と、例えば「湖沼の水質汚濁の問題は全国的に広がっており、このまま推移すれば汚濁が更に進行することが懸念される。一方、」「湖沼周辺の自然的環境が急速に失われつつある。湖岸及びその近傍の陸域、いわゆる水辺」は、「水質保全機能も有している。また、散策、自然観察等、人々が水と親しむ場としても重要である。こうしたことから、湖沼の環境保全を図る上では、湖沼の水質及びその周辺の自然的環境を一体のものとして保全することが肝要である。」というふうに書かれております。
それからもう一つ読みますと、「湖沼の環境は、湖沼の水質とその周辺の自然的環境が一体となって構成されるものである。湖辺の自然的環境を人々が自然観察、情操教育等の場として享受し利用することは、人々にとって湖沼を身近なものとし、ひいては湖沼の水質汚濁に対する自己の責任と役割を認識させることにもなる。こうした湖辺の自然的環境を保全するとともに、湖面及び湖辺の清潔・美観の維持、緑地の確保等の措置を積極的に推進する必要がある。」というふうに書かれております。
私、全くそのとおりであって、湖沼を守るということは、水質を保全するということはもちろん含まれておりますけれども、それと並んで、あるいはそれ以上に、その周辺の自然環境を守る、そして自然の観察、散策にも人々の憩いの場所として提供する、つまり周辺の人たちの憩いの場所として保全するということが主目的であって、その一つの手段として、一つじゃない、重要ですけれども、水質の保全というのがあるのであるというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/179
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180・佐竹五六
○政府委員(佐竹五六君) 先生御指摘いただきました点は、これは客観的な事実としてまさにそのとおりでございまして、これは中公審の諸先生方がいろいろ御議論をいただいた上の結論でございまして、そのことについて私どもはそのとおりであると認識しているわけでございます。
問題は、先ほども御答弁申し上げましたけれども、この中公審の答申自身でも、まず環境保全のための措置としては、先生今お読みいただきました下の部分でございますが、まず既存の制度を活用せよ、そして、必要があれば湖沼の自然的環境の持つ水質保全機能及び親水機能に着目した新たな地区指定の制度を設けることを検討せよ、こういう御答申でございまして、実は私ども、この検討せよという点について、この部分について政府部内でいろいろ検討したわけでございます。
そうしますと、とにかく当面現在の制度の運用をすれば足りるんではないか、つまり、中公審の御答申で言われているような水質とその周辺の自然環境を一体として保全することができるのではないかという認識に一応政府部内ではなったわけでございます。そうしますと、先ほど社会党の現在御提案のような新しい地区制度を設ける必要は必ずしもないだろう、こういうことになりました。そうすると、そういう地区制度を設けないとすれば、法律の名称もやはり現在御提案申し上げましたような水質保全特別措置法ということで、やはり法律で直接何らかの規制措置を講じようとするそこの点に着目して法律の名称、目的は決めるべきである、やや法律技術的な話でございまして恐縮でございますが、そのような結果になったわけでございまして、結論として、目的それから事実認識としては、中公審答申は私どもはもうそのとおりであるというふうに認識しておるわけでございますが、その実現手段といたしまして、新しい法律にあらゆる政策手段を盛り込むこととはしなかった、こういうことでございます。その点ひとつ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/180
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181・美濃部亮吉
○美濃部亮吉君 私は今の議論は大変間違っているというふうに思います。というのは、この公害審議会の今読みました結論は、湖沼汚濁あるいは湖沼を守るということの、客観的とおっしゃったけれども、哲学であり原則である、それを述べているというふうに思うんですよ。それですから、その上に築かれる法律なり行政の施策なりもその哲学に、原則に従ったものでなければならない。そうしてその原則は、水質と自然の保護とは一体のものであって、切り離すことのできない関係にある。それをこの湖沼法は切り離してあれしている点において、僕は全くかたわな法律であると言わざるを得ないと思うんです。
もうこれ以上その点において議論をしておりましたらば大変に時間をとってしまって、時間がございませんから先に進ませていただきます。
それからもう一つ言いたいことは、湖沼法では、もう非常に悪くなったという湖沼を生き返らせるということも非常に大切だと思うんです。しかしながらそれだけでは十分でない。一般の湖沼はすべてどんどんどんどんと悪くなっている。それをほうっておいて、一定の水準以下になった湖沼を指定して、その湖沼に全力を挙げるというやり方は片手落ちである。
それだから、つまり、悪くなりつつあるそういう湖沼を守るということが、ある意味においては悪くなったものを救う以上に先にやるべきことではないか。もしそれをやらないとみんな悪くなる。そうして、悪くなった湖沼をもとに復活させるというのは非常に難しい、非常に金がかかる、非常に時間がかかる。そうして、そっちを一生懸命やっていればほかの湖沼が、今はいいけれども、悪くなりつつある湖沼がみんな悪くなってしまう。そうなってくるともう我々はお手上げになってしまうんで、その水準以下になった湖沼を重点としてこの法律が適用される。もちろん、だんだんだんだん指定をふやすということをおっしゃるでしょうけれども、どうしても後回しになる。もう霞ケ浦とか諏訪湖とかいうあれの指定が大体準備されているらしいですけれども、一遍それを指定されてしまうと、どうしてもそのほかの、今申しました悪くなりつつある湖沼を守るというのが後回しになってしまう。その点非常に私は心配なんですけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/181
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182・上田稔
○国務大臣(上田稔君) お答え申し上げます。
先生の御理論は、今まだ汚染をされておらないそういう湖沼を先に守るべきではないか、そうして、進んでおるものも、いたし方がないんだからそれは後回しにしなさい、こういう御意見だと思うのでございます。
この湖沼法をつくりまして、何とかして水質をよくしたいという湖沼は、指定湖沼といたします湖沼は、今非常に利用されておるというか、使われております湖沼でございます。あるいは水道の水源といたしまして、あるいは農業用水の水源といたしまして、また水産物をつくります湖といたしまして、生産をする湖といたしまして、あるいはまた、ここの水辺で、観光といいますか、水浴をやりあるいは船を浮かべ、そういうようなことに使われております湖沼において水質が悪くなってきつつあるし、さらにまだ悪くなっていく傾向にあるというようなことを早くそれをとめて、そうしてよくしていきたい、こういうことでございますので、私は、やはりそういう使われております大きなものを早く直していくという方法をとりたい。それには、今もうとっていただいておるんです、いろんな面におきまして。ただ、これが計画的にされておらないというような点から非常に不備な点が多い。また、予算についても非常に思い思いになっておるというような点をこれを計画的に持っていきたいということから、湖沼法の指定湖沼というものを考えさしていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/182
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183・美濃部亮吉
○美濃部亮吉君 長官は、牛久沼という、手賀沼に行かれたそうですけれども、手賀沼の少し離れたところにある沼にいらしたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/183
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184・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 私、牛久沼の中へまで入っていったことはございませんけれども、あそこは利根川下流の水系でございますが、そういう意味でそこへ行かしていただいたことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/184
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185・美濃部亮吉
○美濃部亮吉君 牛久沼は、霞ケ浦、手賀沼、印旛沼それから牛久沼、それらの湖の中で最も美しいというか、汚染されていない沼でございます。最近アオコが少し発生しているけれども、霞ケ浦や諏訪湖に比べれば数倍きれいなあれで、あそこに参りますと、子供たちが釣りざおを担いでみんな魚をとりにいく、魚を釣るということもできるようなあれなんでございます。
私は、悪くなりつつある沼をできるだけ守ってほしい、そういう具体例の一つとして牛久沼を挙げたんで、この牛久については二十九日の委員会でなおこれを中心として御質問しようと思いますが、笹川良一という競艇の親玉、これが自分の競艇の練習場を牛久沼につくろう、こういう願書を出しておりまして、今のところは、市民運動があってそれが一応はストップされているやに聞いておりますけれども、今度は土地会社を別の会社と組んで、そうして新しく首長、周囲の町の町議会に申請するということをやろうといって大問題になっているそうでございますけれども、私は、あの牛久沼が競艇の練習をする場になったらば、あの牛久沼がめちゃくちゃになってしまう。そういうことこそやめさせるべきである。
牛久沼については二十九日になお詳しく御質問をしたいと思いますけれども、今の私の話をどういうふうにお聞きになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/185
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186・上田稔
○国務大臣(上田稔君) 牛久沼の話につきましては、私今初めてここでお聞きをしたのでございますので、まだどういう内容か詳しくわかりませんので、それはなにできません。しかし、ここに書いてありますBODの数値からいきますと、環境基準の河川のBを達成いたしております。今第一回目の指定に入らないからといって、その湖沼が使用されておりましたら、その程度に応じてこれは当然また指定になっていくものと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/186
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187・美濃部亮吉
○美濃部亮吉君 私は、個々、水質がどうだこうだという問題よりも、地域住民及び周囲の人たちの憩いの場としての牛久沼、その牛久沼の存在が危うくなるという点において、ボート競走の練習場になって騒音をまき散らすということは、何としてでもとめていただかなければならないと思っております。
私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/187
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188・穐山篤
○委員長(穐山篤君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時二十三分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114009X00819840627/188
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