1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年三月二十七日(火曜日)
午後一時八分開会
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委員の異動
二月九日
辞任 補欠選任
志村 哲良君 中村 太郎君
二月十日
辞任 補欠選任
中村 太郎君 志村 哲良君
二月二十一日
辞任 補欠選任
岩崎 純三君 増岡 康治君
二月二十三日
辞任 補欠選任
志村 哲良君 松浦 功君
二月二十四日
辞任 補欠選任
松浦 功君 志村 哲良君
三月二十六日
辞任 補欠選任
服部 信吾君 白木義一郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 青木 薪次君
理 事
堀内 俊夫君
増岡 康治君
増田 盛君
村田 秀三君
委 員
井上 吉夫君
植木 光教君
工藤万砂美君
志村 哲良君
福田 宏一君
二宮 文造君
安武 洋子君
山田 勇君
国務大臣
建 設 大 臣 水野 清君
国 務 大 臣
(北海道開発庁
長官)
(国土庁長官) 稻村佐近四郎君
政府委員
北海道開発政務
次官 高木 正明君
北海道開発庁総
務監理官 楢崎 泰昌君
北海道開発庁計
画監理官 竹下 淳君
北海道開発庁予
算課長 平岡 哲也君
国土政務次官 中川 秀直君
国土庁長官官房
長 石川 周君
国土庁長官官房
審議官 田中 暁君
国土庁長官官房
会計課長 安達 五郎君
国土庁計画・調
整局長 小谷善四郎君
国土庁土地局長 永田 良雄君
国土庁水資源局
長 堀 和夫君
国土庁大都市圏
整備局長 杉岡 浩君
国土庁地方振興
局長 川俣 芳郎君
建設政務次官 糸山英太郎君
建設大臣官房長 豊蔵 一君
建設大臣官房総
務審議官 吉田 公二君
建設大臣官房会
計課長 牧野 徹君
建設省計画局長 台 健君
建設省都市局長 松原 青美君
建設省河川局長 井上 章平君
建設省道路局長 沓掛 哲男君
建設省住宅局長 松谷蒼一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 田熊初太郎君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○建設事業並びに建設諸計画に関する調査
(建設行政、国土行政及び北海道総合開発の基
本施策に関する件)
(派遣委員の報告)
○奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振
興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/0
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001・青木薪次
○委員長(青木薪次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二月二十一日、岩崎純三君が委員を辞任され、その補欠として増岡康治君が選任されました。
また、昨二十六日、服部信吾君が委員を辞任され、その補欠として白木義一郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/1
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002・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
岩崎純三君が委員を辞任されたため、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/2
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003・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に増岡康治君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/3
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004・青木薪次
○委員長(青木薪次君) この際、水野建設大臣及び稻村国土庁長官兼北海道開発庁長官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。水野建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/4
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005・水野清
○国務大臣(水野清君) 昨年の第二次中曽根内閣発足に当たりまして、建設大臣を命ぜられました水野清でございます。よろしくお願いを申し上げます。
建設行政の推進のため専心努力をしてまいる所存でございますので、委員長初め委員各位の格別の御指導と御協力をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/5
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006・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 稻村国土庁長官兼北海道開発庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/6
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007・稻村佐近四郎
○国務大臣(稻村佐近四郎君) 国土庁並びに北海道開発庁の長官を拝命しております稻村佐近四郎でございます。
委員長初め委員各位の御指導、御協力を賜りまして、国土行政並びに北海道開発行政の推進のために全力を尽くしてまいる所存であります。どうかよろしくお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/7
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008・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 次に、糸山建設政務次官、中川国土政務次官及び高木北海道開発政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。糸山建設政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/8
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009・糸山英太郎
○政府委員(糸山英太郎君) 建設政務次官を仰せつかりました糸山英太郎でございます。よろしくお願いを申し上げます。
以前、参議院議員におりましたので、もとより微力の点は御存じだと思いますが、水野大臣のもとで誠心誠意建設行政の推進のために努力を重ねていくつもりでございますので、委員長初め委員各位の皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/9
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010・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 中川国土政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/10
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011・中川秀直
○政府委員(中川秀直君) 国土政務次官の中川秀直でございます。
委員長初め委員の先生方の格別なる御指導を賜りながら、大臣を補佐いたしまして国土行政の推進のために最善の努力を傾ける所存であります。どうかよろしくお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/11
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012・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 高木北海道開発政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/12
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013・高木正明
○政府委員(高木正明君) このたび北海道開発政務次官を拝命いたしました高木正明でございます。
稻村長官のもとで北海道開発の推進に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。委員長初め委員各位の御指導と御協力を切にお願い申し上げまして、ごあいさつにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/13
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014・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題といたします。
まず、建設大臣から建設行政の基本施策について所信を聴取いたします。水野建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/14
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015・水野清
○国務大臣(水野清君) 建設行政の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し述べたいと存じます。
御承知のとおり、最近の我が国経済の課題は、物価の安定を基礎としつつ、国内需要を中心とした景気の着実な拡大を図り、もって持続的な安定成長を達成し、雇用の安定を確保する一方、行財政改革を着実に推進していくことにあります。
こうした情勢のもとで、政府としては、昭和五十九年度予算の編成に当たって、経費の徹底した節減合理化を行うことを基本として、歳出規模を厳しく抑制しつつ、限られた財源の中で質的な充実に配慮するとともに、公債発行額を可能な限り抑制することとしたところであります。
昭和五十九年度における建設省関係の公共事業については、こうした政府の方針に沿って予算総額は前年度に比べ減少しておりますが、財政投融資等の活用によりほぼ前年度並みの事業費の確保に努めたところであります。
改めて申すまでもなく、建設行政の基本的課題は、社会資本の整備を通じて活力ある経済社会と充実した国民生活を実現することにあります。このため、道路、治水、都市公園、下水道、住宅建設等の各五カ年計画に基づき、国民生活の維持向上、国土の安全性の確保及び国土の発展に資する諸施設の整備を長期的視点に立って計画的に推進することとしております。社会資本の整備を進めるに当たっては、事業の重点的、効率的な執行を図るとともに、都市再開発、宅地開発等の分野を中心に、民間活力の一層の活用を図ってまいりたいと考えております。また、地域の特性に応じ地域住民の要請に的確にこたえるとともに、環境の保全にも十分配慮してまいる所存であります。特に、災害から国民の生命、財産を守ることは政府の大きな使命の一つであり、従来にも増して災害の防止に努めてまいることとしております。
私は、昨年十二月建設大臣に就任以来、このような観点に立って建設行政の推進に努めてまいりましたが、昭和五十九年度予算の的確な執行等を通じ、今後とも私に課せられた責務を果たすことに全精力を傾注する所存であります。
以下、当面の諸施策について申し述べます。
第一に、都市対策であります。
我が国においては、二十一世紀初頭には国民の約七割が都市に居住するものと見込まれており、本格的な都市化社会の到来に適切に対応していく必要があります。
このため、大都市については、その高度の都市機能を維持しつつ、安全で潤いのある居住環境を確保するとともに、地方都市については、周辺農山漁村を含め、それぞれの地域の特性を生かしながら、個性と魅力ある都市を形成することを目標として、長期的展望のもとに総合的、計画的に都市政策を推進してまいる所存であります。
このような観点に立って、都市計画を適切有効に推進し、欧米先進諸国に比して立ちおくれている街路、公園、下水道等の都市基盤施設の整備を計画的かつ効率的に進めるとともに、土地区画整理事業、市街地再開発事業等を的確に実施することにより、市街地の整備を計画的かつ積極的に図ってまいる所存であります。特に、都市再開発については、市街地再開発事業等の予算の大幅な拡大を図るとともに、民間の優良な再開発に対して補助を行う制度の創設、各種融資制度及び税制の改善等を図ることとしております。その際、民間活力を積極的に活用することについて意を用いてまいりたいと存じます。
さらに、避難地、避難路等の整備の推進、建築物の不燃化の促進等により、都市の防災構造化を積極的に推進してまいる所存であります。
第二に、住宅、宅地対策であります。
住宅は、潤いのある家庭生活の基盤をなすものであります。すべての国民が、その家族構成、世帯成長の各段階、居住する地域の特性等に応じ、良好な住環境のもとに安定した生活を営むに足りる住宅を確保することができるようにすることを基本目標として、総合的な施策を展開してまいる所存であります。
このため、住宅金融公庫の無抽せん体制の維持及び貸付条件の改善、住宅取得資金に係る贈与税の特例の創設等金融、税制上の措置による良質な持ち家取得の促進に努めるとともに、公共賃貸住宅の的確な供給、既成市街地における良質な市街地住宅の供給と住環境の整備、既成住宅の増改築及び流通の促進等の施策を推進してまいりたいと存じます。
また、宅地対策につきましては、地価の安定に留意しつつ、良好な宅地の計画的な供給を促進するため、大都市地域を中心として、公的宅地開発の計画的な推進、政策金融の充実等による優良な民間宅地開発の推進、関連公共公益施設の整備の推進等を図るほか、いわゆる線引きの見直しの促進、開発許可制度の適切な運用、宅地開発指導要綱の行き過ぎの是正等各般の施策を総合的に推進してまいりたいと存じます。
第三に、国土の保全と水資源の開発についてであります。
我が国の国土は、洪水等の自然の脅威に対して極めて弱い体質を持っておりますが、その保全施設の整備状況はいまだ低い水準にあります。
御承知のように、昨年も島根県を初めとして全国各地にわたり激甚な災害が発生いたしましたが、これらの災害に対しては、速やかにその復旧を図るため、現在、鋭意その事業の促進に努めているところであります。
このような災害の発生を未然に防ぎ、国土の保全と国民生活の安定を図るため、第六次治水事業五カ年計画に基づき、重要水系河川対策、都市河川対策及び土石流対策を重点に保全施設の整備促進を図るとともに、第三次海岸事業五カ年計画及び急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画に基づき、積極的に海岸事業及び急傾斜地崩壊対策事業の推進を図ってまいる所存であります。
さらに、国民生活に不可欠な生活用水等の水資源の開発についても、長期的な水需要に対して安定した供給がなされるよう多目的ダム等の水資源開発施設の建設を促進してまいる所存であります。
なお、公共土木施設に係る災害復旧事業費の国庫負担制度について、その改善合理化を図るため、国庫負担対象施設を拡大する等の措置を講じてまいりたいと存じます。
第四に、道路の整備についてであります。
道路は、国土の均衡ある発展、活力とゆとりある地域社会の形成及び安全で快適な生活環境の確保を図るために欠くことのできない基本的な公共施設であります。
これまで、数次にわたる道路整備五カ年計画によりその整備を推進してきたところでありますが、我が国の近代的な道路整備の歴史はようやく四半世紀を数えるにすぎず、我が国の道路整備の水準は目標のおおむね二分の一程度であり、道路の整備に長い歴史を持つ欧米諸国に比べますと、質量ともに依然として低い状況にあります。
このため、第九次道路整備五カ年計画に基づき、高速自動車国道から市町村道に至る道路網を体系的に整備していくとともに、災害に強い道路の整備、歩行者、自転車利用者の安全で快適な通行空間の確保、高齢化社会、情報化社会に対応した道路整備等の課題に重点を置いて施策の推進を図る所存であります。
第五に、建設産業、不動産業の振興等についてであります。
国民経済上大きな地位を占め、建設行政の推進に重要な役割を担っている建設産業については、建設業の許可制度の的確な運用、元請、下請関係の合理化、中小建設業者の育成等その健全な発展を図るための施策をより強力に展開してまいる所存であります。
なお、公共工事に係る入札制度の合理化対策等については、中央建設業審議会の建議を受け、所要の改善措置を講じたところでありますが、今後とも同建議の趣旨の徹底に努めてまいる所存であります。
不動産業は、住宅、宅地供給の主体として国民生活において重要な役割を果たしており、苦情、紛争処理体制の整備、不動産流通市場の整備近代化等を通じて、その振興を図ってまいりたいと存じます。
また、開発途上国に対する経済技術協力については、これを一層推進するとともに、我が国建設産業の海外活動の振興に努めてまいる所存であります。
最後に、建設省の機構の改編についてでありますが、建設行政の総合性、効率性を確保するため、さきの臨時行政調査会の答申の趣旨を踏まえ、計画局を建設経済局に改組することとしております。
以上、諸般の施策について所信を申し述べましたが、その推進に当たっては、特に行政需要の高度化、多様化に的確に対応するため、政策面の充実を図るとともに、所管行政の合理化、効率化を図ってまいりたいと考えております。また、その際、適正な業務の執行と綱紀の保持に努め、国民の信頼と期待にこたえる考えであります。
委員長を初め委員各位の格別の御指導と御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/15
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016・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 次に、国土庁長官から国土行政の基本施策について所信を聴取いたします。稻村国土庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/16
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017・稻村佐近四郎
○国務大臣(稻村佐近四郎君) 国土行政の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し上げます。
国土資源の面での制約に加え、近年、人口の高齢化の進展、急激かつ広範な技術革新、全国的な都市化現象など、我が国の社会経済の構造変化が急速に進んでおります。
このような中で、国民が安全かつ快適で文化的な生活を享受していくため、二十一世紀を見通した長期的展望のもとに、国土の均衡ある発展を図り、住みよい国づくり、地域づくりを推進していくことが国土行政に課せられた基本的な課題であります。
私は、このような見地から、以下に述べる諸施策を積極的に推進してまいる所存であります。
第一は、国土計画の推進であります。
まず、国土政策の根幹となる全国総合開発計画については、高齢化、都市化、技術革新、国際化といった長期的課題に対応して、二十一世紀への国土づくりの指針を示すための第四次全国総合開発計画を昭和六十一年を目途に策定することとしております。このため、昭和五十九年度においては、その基本構想の策定作業を鋭意進めてまいる所存であります。あわせて、全国総合開発計画と表裏一体の関係にある国土利用計画の全国計画においても、昭和六十年初めを目途に改定することとし、積極的に作業を推進してまいります。
また、定住構想を一層推進するため、引き続き全国四十四圏域のモデル定住圏整備の促進を図り、田園都市構想モデル事業などを積極的に実施してまいる所存であります。
さらに、関係省庁の公共事業を円滑に推進するため、引き続き国土総合開発事業調整費を活用し、事業及び調査の調整を行ってまいります。
なお、国土行政の一環として、沿岸域を含む海洋について、長期的視点に立った総合利用のあり方を引き続き検討してまいる所存であります。
第二は、総合的な土地対策の推進であります。
近年、地価は安定化傾向を示していますが、現在の金融緩和状況などにかんがみれば、引き続き地価動向に留意していく必要があります。
さらに、今後はこうした地価安定の長期的定着を図りつつ、その基礎の上に立って、土地の適正かつ有効な利用を実現し、国民生活の安定と国土の均衡ある発展のための基礎的条件を整備していく必要があると考えております。
このため、国土利用計画法の的確な運用などを図っていくほか、まず大都市の中心部における土地の高度利用を積極的に推進していく必要があります。この場合、できるだけ民間活力を活用するとともに、環境の保全に留意していくことが重要であります。
そのほか、土地所有にこだわらない土地の利用の方法などについても検討を進めてまいりたいと考えております。
第三は、総合的な水資源対策の推進であります。
水は人間の生命、生活に欠かすことのできない資源であると同時に、産業経済活動を支える重要な資源であり、水需給の安定を図ることは国土行政を推進する上で基本的な課題の一つであります。
このため、水源地域対策の充実を図り、水源地域住民の理解と協力を得て、積極的に水資源開発を促進してまいります。
また、「水の週間」行事の実施、雑用水利用の促進など水資源の有効利用に努めるとともに、緊急に対策を要する地域についての地盤沈下防止等対策要綱の策定など地下水利用の適正化を推進してまいります。
さらに、近年における経済社会情勢の変化などに対応し、二十一世紀を展望した新しい長期水需給計画の策定を推進することとしております。
第四は、大都市圏整備の推進であります。
大都市圏の均衡ある開発整備を進めるため、まず大都市圏整備計画などの実施を積極的に推進するとともに、第四次全国総合開発計画の策定作業と調整を図りつつ、首都圏、近畿圏及び中部圏それぞれの新しい基本計画などの策定作業に着手いたします。
また、引き続き、長期的な観点から策定を進めている首都改造計画及び新しい近畿の創生計画の策定の推進を図るとともに、新たに日本海地域から太平洋地域に至る中部圏全体の二十一世紀を展望した新しい中部圏の長期ビジョンを策定するための調査に着手することとしております。
さらに、筑波研究学園都市の育成整備、琵琶湖総合開発の推進を図るとともに、関西文化学術研究都市建設構想及び東海環状都市帯整備計画の推進を図るなど、各地域の総合的整備についても積極的に取り組んでまいります。
第五は、地方振興の推進であります。
まず、東北、北陸、中国、四国及び九州の各地方開発促進計画を引き続き積極的に推進するとともに、四全総に即応した新しい促進計画の策定作業を進めてまいります。
特に、過疎地域、山村、豪雪地帯、離島、特殊土壌地帯など自然的、社会的に厳しい条件下に置かれている地域については、各種の特別事業の実施、生活環境及び生産基盤の整備などを積極的に進めることにより、計画的、総合的振興を引き続き推進してまいります。
中でも、本年三月末で特別措置の期限が到来する奄美群島及び小笠原諸島については、関係法律を延長していただいて、引き続き所要の施策を推進してまいる所存であります。
また、一般に交通体系の整備など、開発のおくれている地域の多い半島地域の振興のあり方についても検討を進めてまいります。
また、地域の花と緑、自然や伝統を生かした魅力ある町づくり、生活環境と生産基盤の調和した豊かな村づくりを進めるため、地方都市と農山漁村の総合的整備を図ってまいります。
さらに、高度技術に立脚した工業開発を軸に、産学住を有機的に結合した新しい地域づくりを目指すテクノポリス構想を推進するとともに、新産業都市、工業整備特別地域などの建設整備を引き続き進めてまいります。
第六に、災害対策についてであります。
台風、豪雨、豪雪、地震、噴火などによる災害を受けやすい我が国にとって、災害対策は極めて重要であり、各般にわたる災害対策の総合性、統一性の確保を図るとともに、大規模地震などの緊急時において政府として迅速かつ的確に対応し得る体制を整備することは緊急の課題であります。この課題にこたえて、国土庁に新たに防災局を設置することといたします。
昨年は、日本海中部地震、七月豪雨、三宅島噴火など多様な災害が相次ぎ、多大の被害が発生いたしました。
政府といたしましては、これらの災害に対処するため、非常災害対策本部の設置などを通じ、災害応急対策に努めてきたところでありますが、これら災害にかかる復旧事業についてその促進を図ってまいります。
直面するこの冬の豪雪問題に関しましては、政府として豪雪対策本部を設置するとともに、政府調査団の調査結果などを踏まえ、交通や生活物資の確保を図り、民生の安定に努めることを主眼とする当面の重点事項を決定したほか、特に道路の除排雪経費の増大に対し適切な財源措置を講ずることといたしております。今後とも、各省庁との密接な連絡のもとに、迅速かつ適切な豪雪対策を講じてまいります。
次に、震災対策につきましては、大都市震災対策の一層の推進を図るため、南関東地域を対象とした震災応急対策活動システムに関する調査を実施するとともに、広域的な防災活動態勢の整備に関する計画の作成に着手いたします。また、昭和五十九年度が最終年度となる東海地震対策のための緊急整備事業の一層の推進を図ってまいります。
火山災害対策につきましては、昨年の三宅島噴火を契機に、関係省庁による連絡会議を設置し、全国の活動的な火山における観測体制、避難体制等について総点検を進めることといたしております。
さらに、災害時における情報の収集伝達などの重要性にかんがみ、防災無線網の充実強化を図ってまいります。
最後に、国際化の推進でございます。
国土庁は、従来より所管行政について積極的に国際協力を行ってまいりましたが、五十九年度においても、国際交流を通ずる地域の振興に資する方策の推進と開発途上国における水資源開発を中心とした総合的な地域開発計画の策定に関する技術協力推進体制の整備を図ることとしております。
以上、国土行政に関する所信を申し述べましたが、これらの施策の強力な推進に全力を挙げて取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/17
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018・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 次に、北海道開発庁長官から北海道総合開発の基本施策について所信を聴取いたします。稻村北海道開発庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/18
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019・稻村佐近四郎
○国務大臣(稻村佐近四郎君) 第百一回国会における委員会審議に当たりまして、昭和五十九年度の北海道開発行政の推進に関する私の所信を申し述べたいと存じます。
今日、限られた国土において世界に比類のない高密度な経済社会を形成している我が国が、二十一世紀に向かってゆとりと活力のある安定社会を築き上げていくためには、均衡のとれた国土利用を積極的に展開し、人口、産業の適切な配置を図っていくことが基本的に重要な課題となっているのであります。
このような課題に対して、北海道は、全国土の約五分の一を占め、豊富な水資源や工業開発適地、広大な農業開発可能地を有し、また今日までの開発を通じて優れた発展基盤を形成しつつあり、今後の我が国の長期的、安定的な発展に積極的な役割を果たしていくことが強く期待されているところであります。
北海道開発行政の基本である現行の新北海道総合開発計画は、このような観点に立って昭和五十三年二月に策定したところでありますが、昭和五十九年度においても、この計画に沿って、道内各地域の特性を生かした生産、生活環境の創出、北海道の長期的発展基盤の形成を図るための施策を積極的に展開するとともに、景気停滞が続く北海道経済の現況に配意しつつ、北海道開発を着実に推進してまいる所存であります。
以下、主要施策について申し上げます。
まず、治山治水につきましては、国土の安全性を高めるとともに貴重な水資源の効果的な開発を図るため、国土の保全及び水資源の開発等を総合的、計画的に推進することとしております。
特に、昭和五十六年八月の大災害にかんがみ、石狩川等の重要水系及び災害多発地域の河川改修、砂防事業等を重点的に実施するとともに、都市化の進展の著しい地域において総合治水対策を講ずるなど、災害の防止に努めてまいる所存であります。
また、今後の水需要の増大に対処するため、治水対策とあわせて、多目的ダム等の建設を促進することとしております。
次に、道路整備につきましては、道内各地域の均衡ある発展に寄与するため、国道、地方追及び街路等の各事業を総合的に推進することとし、特に交通安全施設等の整備及び防災、震災対策事業を重点的に進めるとともに、都市機能の向上と都市環境の改善を図るため、都市周辺のバイパス、連続立体交差、大規模自転車道等の事業を促進する所存であります。
さらに、生活環境の整備につきましては、北方風土に適応した魅力ある環境の創出を目途に、下水道事業、都市公園等の事業を促進することとしております。
また、住宅対策といたしましては、公営住宅の建設、既成住宅の改善を進めるとともに、大都市等における住宅、宅地の供給を促進するため、関連公共施設の整備を推進することとしております。
このほか、北海道の発展基盤を整備するため、港湾、空港、漁港等の整備を計画的に進めるとともに、北海道の特性を生かした高生産性農業の確立と我が国の食料供給基地としての北海道の役割を高めるため、農業基盤の整備を促進することとしております。
また、以上の基盤整備の推進とあわせて、北海道の産業の振興開発を促進するため、北海道東北開発公庫の機能を充実し、その活用に努めてまいる所存であります。
さらに、北方領土隣接地域の振興及び住民の生活の安定を図るため、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律に基づき、所要の施策を積極的に推進し、北方領土問題等の解決の促進に資するよう努力してまいる所存であります。
以上、北海道総合開発行政に関し、所信の一端を申し述べましたが、今後とも北海道総合開発の推進に全力を傾注して取り組んでまいる所存でありますので、各位の一層の御支援をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/19
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020・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 以上で所信の聴取は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/20
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021・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 次に、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。堀内君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/21
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022・堀内俊夫
○堀内俊夫君 去る一月三十一日から二月二日までの三日間、青木委員長、増田理事、村田理事、山田委員と私、堀内の五名は、大阪府及び奈良県における建設事業並びに建設諸計画について実情を調査してまいりましたので、その概要を御報告いたします。
近畿圏は、歴史、文化、産業、学術研究等の多様な分野で豊かな蓄積を有しております。とりわけ京阪神地域は、政治、経済の核として長らく我が国の発展を先導してきたのであります。しかし、ここ十数年間における我が国経済の急速な成長は、このような国土構造に大きな変化をもたらしています。すなわち、首都圏への中枢管理機能が急速に集中する一方で、地方都市が目覚ましく伸長し、そのはざまにあって近畿圏は相対的地位を低下させていると言えます。このため、関西の復権を目指して、現在、近畿圏では関西国際空港、学術研究都市等の大規模事業が企画され、より活力のある地域づくりの気運が盛り上がっているのであります。
その中にあって、関西文化学術研究都市構想は、京都、大阪、奈良の三府県にまたがる丘陵地二千五百ヘクタールを開発し、東の筑波研究学園都市と並ぶ高水準の文化学術研究都市をつくろうとするものであります。五十七年から二カ年にわたり国土庁を中心に関係六省庁による本格的調査を終え、基盤整備の総合計画が今年の夏ごろにもまとめられる予定になっています。
現地での説明によると、昨年三月には産・官・学界の代表者で構成される推進協議会も発足し、五十九年度中にも河川改修、道路建設等の基盤整備工事が本格的に動き出そうとしているとのことであり、地元の期待は非常に高まっているように感じられました。京阪奈地域での学研都市づくりは、学術研究、産業振興、地域整備、住宅の四本の柱を掲げており、新規人口十五万人を含む三十四万人の住みよい都市の建設を目指しています。その大きな特徴は、従来の一団の連担した一点集中型の開発ではなく、小都市群から成るクラスター型の開発を行い、それぞれが有機的な連携を有するよう交通、情報ネットワーク等の整備を図ろうとしていることにあります。このプロジェクトは、関西新空港とともに、関西の再生になくてはならない町づくりと言われています。そのためには一刻も早い事業着手が期待されますが、それとともに、この学研都市づくりを単に関西圏だけにとどめず、国家的レベルのナショナルフランにまで引き上げる努力も必要になってくるのではないかと痛感いたしました。
次に、視察いたしました主な事業等について申し上げます。
まず、淀川リバーサイド地区整備事業であります。当地区は、国鉄大阪駅の北東二キロメートルの地点にあり、幹線道路と河川に囲まれた三十五・六ヘクタールの区域であります。特定住宅市街地総合整備促進事業に基づき、五十四年度より大阪市、住宅・都市整備公団等により事業が実施され、工場跡地等の区域に約三千戸の住宅を建設するとともに、公共公益施設の整備を図り、職住近接の快適で利便性に富んだ町づくりを行おうとするものであります。我々が現地を訪れた一月三十一日は大阪に記録的な大雪が降り、残念ながら現場にはおりられませんでしたが、関係者の話によると、用地買収は昨年末で十六ヘクタールと要買収面積の六〇%になっており、住宅も既に千三百八十戸が完成しており、事業は順調に進捗しているとのことでありました。
次は、淀川大堰並びにも馬排水機場についてであります。
淀川の治水計画は、過去のたび重なる大出水を契機に何度か改定されておりますが、現行の淀川水系工事実施基本計画は、全国に先駆けて、二百年に一度の洪水を対象に四十六年三月に策定されたものであります。これにより、淀川の最下流にあって治水上のネックとなっていた長柄可動堰周辺の改修が必要になったため、これにかわる河川管理施設として淀川大堰が設けられたのであります。五十七年七月に六門の水門全部が通水となったのでありますが、その直後を襲った台風十号のときには完成したばかりの淀川大堰が十分にその効果を発揮したとの説明を聞き、今さらながら治水事業の重要性を痛感した次第であります。また、大阪府において高潮あるいは洪水時に寝屋川等の治水対策を図るため、旧淀川より淀川本川に毎秒三百三十トンの排水を行う計画が立てられ、毛馬排水機場が築造されるに至ったのであります。五十六年一月に完成したこの排水機場とさきの淀川大堰とが一体となって働くことにより、大阪市内の治水対策がより一層促進されるものと期待をいたします。
次に、南港ポートタウンについてであります。
大阪南港は、大阪市港湾局が同市港区から住之江区にかけて海面を埋め立てて、港湾施設、物流センター、住宅団地、工業団地等を整備することを目的とした全体面積九百二十ヘクタールに及ぶ一大港湾都市であり、五十五年に基盤施設を完成させています。この大阪南港の一つの核となるのが面積百ヘクタール、計画人口四万人のポートタウンであり、新交通システム、ごみの管理輸送などの新技術の導入を図り、大都市における快適な住宅建設のモデルを目指しています。五十年六月から建設に着手し、現在までに約二万五千人の入居が行われているとのことでありました。ここの特徴は、ごみの空気輸送システムであります。高層住宅内にあるダストシュートに投げ込まれた各家庭のごみは、中央制御によって開閉されるバルブ操作によって都市内に張りめぐらされた真空収集パイプにより吸引され、集じんセンターに集められます。そして、集じんセンターに収集されたごみはコンテナに詰めかえられ、約四キロメートル離れたところにある清掃工場まで二次輸送を行っています。いわば電気掃除機を大型化したようなこの管路式廃棄物輸送システムは、供用以来、大きなトラブルもなく、高層建築物の有効なごみ収集輸送対策としてのパイロット事業の役割を十分に果たしていると確信いたしました。
次に、亀の瀬地すべり対策についてであります。
大阪府と奈良県の府県境に位置する亀の瀬は、大和川が奈良盆地から大阪平野へ向かう狭窄部の右岸側斜面にあり、我が国でも有数の地すべり地帯であります。この地域は国道二十五号線、国鉄関西線が大和川に沿って走っており、交通の要衝であるとともに、近年上流域の宅地開発が著しく進み、地すべりが一たん発生した場合の社会的影響ははかり知れないものがあります。地すべりが現河道をふさぐことのないよう当初は大阪府等により工事を実施しておりましたが、三十七年より直轄施行となり現在に至っております。関係者の説明によると、八十五ヘクタールの防止区域内での地表水、地下水の排除等を重点とした応急的な地すべり防止工事等の成果により、地すべりの動きは小康状態を保っているとのことでありました。今後とも住民が安心して生活できるよう、応急対策の一層の促進はもちろん、さらに一歩進んで、恒久的地すべり防止対策の充実が必要と考えられます。
次に、第二阪奈道路の計画概要についでであります。
奈良県北部における近年の地域開発は目覚ましく、大阪−奈良間の交通量は増加の一途をたどり、現在の県道奈良生駒線(阪奈道路)では近い将来の交通量に対応できないと予想されます。さらに、関西新空港、関西文化学術研究都市の建設構想に備え、大阪—奈良間の連絡道路の強化が焦眉の急になっています。このため、一般国道三百八号のバイパスとして、総延長十三・四キロメートルの第二阪奈道路が計画されています。このうち、県境の生駒山付近は五・四キロメートルのトンネル化を考えており、難工事が予想されます。しかし、第二阪奈道路は、将来、阪神高速の大阪東大阪線との直結も考えられており、その経済効果ははかり知れないものがあり、早期の事業化が期待されます。
奈良県は、今秋開催される若草国体に備え、鴻ノ池運動公園の整備を初め各種事業を実施しておりますが、その中でも道路網の整備は喫緊の課題と言えます。特に、国道二十四号奈良バイパス、橿原バイパスの整備促進が急がれております。そのほか、国道百六十九号、三百六十九号の改良促進等の陳情も出されており、道路整備促進に対する県民の期待の大きさを痛感した次第であります。
次に、平城ニュータウンについてであります。
平城ニュータウンは、住宅・都市整備公団が昭和四十年から近畿圏における良質、低廉な住宅、宅地の大量供給及び良好な居住環境の形成を図るために、平城宮跡北方の丘陵部で土地区画整理事業にて開発を進めている住宅地域であります。一つのニュータウンが京都府及び奈良県の両府県にまたがるという全国でも珍しいケースであり、奈良県側を平城ニュータウン、京都府側を相楽ニュータウンと称しています。面積三百四十八・七ヘクタールの平城ニュータウンは、計画人口四万三千人のうち、現在までの入居率は三割程度であります。また、相楽ニュータウンは、面積二百六十四二一ヘクタール、計画人口三万人であり、こちらの方は約七割方の宅地造成を終えたばかりという段階であります。ニュータウン内を視察して感じましたことは、平均減歩率が四八・六%と高く、古都奈良にふさわしい緑をぜいたくに確保してあるのが非常に印象的でありました。ただ、少々気になったのは、公共公益施設の充実に比べ医療施設が少々不足しているように思えました。地区センターには民間病院が進出しておりましたが、人口の張りつけに応じた医療施設等の利便施設の確保が図られるよう、公団の一層の配慮をお願いいたしたい。
次に、朱雀大路復原整備計画についてであります。
平城京は、西暦七一〇年に藤原京より遷都され、以後七代七十余年間にわたり、古代日本の政治、経済、文化の中心として栄えたところであり、朱雀大路は平城京のいわば中心街路に当たります。幅員も約八十五メートルあったと想定されており、道路としての役割とともに、公式の儀式や祝祭も朱雀大路で催され、西洋で言う広場的な役割を果たしていたと言われています。この朱雀大路の復原整備計画は、これまでの発掘調査の成果に基づき、奈良市が総事業費約百二億円をもって、五十九年度より、周辺整備とあわせて朱雀大路の復原整備を図ろうとするものであります。これが完成すると、平城京遺跡博物館とあわせ、東大寺、奈良公園に匹敵する古代のシンボルゾーンとして整備され、市民の安らぎの場としての公共広場になるわけであり、今からこの計画の実現に対する関心と期待は高いものがあります。
最後に、明日香村特別措置法に基づく事業の概要について申し上げます。
明日香村は、三十一年七月、高市郡阪合村、高市村、飛鳥村の三村が合併して誕生した面積二千四百四平方キロメートル、人口七千人余りの小さな村であります。明日香村は、我が国の律令国家体制が初めて形成された時代における政治の中心的な地域であり、飛鳥文化が開化した時代の舞台となった地域であります。このため、重要な歴史的文化的遺産が数多く存在し、他の地域には見られない極めて貴重な歴史的風土を形成しております。そのため、開発の波から同地域を保全するとともに、住民の生活対策に資するため、五十五年に明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法が制定され、村全域において第一種、第二種歴史的風土保存地区が都市計画として定められております。さらに、五十六年二月には明日香村整備計画が策定され、明日香村の保存と環境整備、そして住民の生活対策の三本柱が一応確立され現在に至っています。特に、懸案であった明日香村整備基金も五十九年度をもって満額となり、住民対策に万全を期することができるようになったのはまことに喜ばしい限りであります。また、祝戸地区、石舞台地区、甘樫丘地区、高松塚周辺地区の四カ所については、四十六年度よりそれぞれ国営公園として整備が進められておりますが、これらについては、村当局より国営飛鳥歴史公園の整備促進に関する要望が出されておりました。
以上が現地調査の概要でありますが、視察に際し、大阪府、大阪市及び奈良県より、それぞれ建設行政に関する要望書を受けてまいりましたので、これを本日の会議録の末尾に掲載していただくよう委員長にお願い申し上げ、報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/22
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023・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
なお、ただいまの報告中で要請のございました要望事項等につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/23
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024・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/24
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025・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 次に、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。稻村国土庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/25
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026・稻村佐近四郎
○国務大臣(稻村佐近四郎君) ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
奄美群島につきましては、昭和二十八年の本土復帰以来、特別措置法のもと、各般の事業を実施し、これにより奄美群島の基礎条件の改善とその振興開発を図ってまいったところであります。
しかしながら、奄美群島をめぐる諸条件は依然として厳しく、なお本土との間に格差が存すると考えられます。今後、その格差の是正を図り、国土の均衡ある利用を推進するためにも、奄美群島の特性とその発展可能性を生かし、積極的に社会基盤の整備と地域産業の振興を進める必要があります。
このような見地から、現行の振興開発特別措置法の有効期限を五カ年延長することにより新たに総合的な振興開発計画を策定し、これに基づく事業を推進する等特別措置を引き続き講ずる必要があると存ずるのであります。
また、小笠原諸島につきましては、昭和四十二年の本土復帰以来、特別措置法のもと、各般の事業を実施し、その成果を上げてまいったところでありますが、本土から極めて隔絶した外海離島であるという自然的条件等のため、人口の定着、産業の育成等が十分には達成されていないと考えられます。
このような見地から、現行の振興特別措置法の有効期限を五カ年延長することにより振興計画を改定し、これに基づく事業を推進する等特別の措置を引き続き講ずる必要があると存ずるのであります。
以上がこの法律案を提出する理由であります。
次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
まず、奄美群島振興開発特別措置法の一部改正につきましては、第一に、この法律の有効期限を昭和六十四年三月三十一日まで五カ年間延長し、新たに昭和五十九年度を初年度とする五カ年の奄美群島振興開発計画を策定することとしております。
第二に、奄美群島振興開発基金について、役員の任期を二年とするとともに、内閣総理大臣及び大蔵大臣に提出する事業報告書に監事の意見をつけることとしております。
次に、小笠原諸島振興特別措置法の一部改正につきましては、法律の有効期限を昭和六十四年三月三十一日まで五カ年間延長し、小笠原諸島振興計画の計画期間も現行法の五カ年から十カ年に延長しております。
以上が奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114149X00219840327/26
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027・青木薪次
○委員長(青木薪次君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
自後の審査は後日に譲ります。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時四分散会
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