1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年二月二十三日(木曜日)
午前九時五十分開会
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委員の異動
二月十日
辞任 補欠選任
志村 哲良君 中村 太郎君
二月二十一日
辞任 補欠選任
増岡 康治君 岩崎 純三君
二月二十三日
辞任 補欠選任
梶木 又三君 杉山 令肇君
鈴木 和美君 菅野 久光君
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出席者は左のとおり。
委員長 伊江 朝雄君
理 事
岩崎 純三君
大坪健一郎君
藤井 孝男君
竹田 四郎君
塩出 啓典君
委 員
河本嘉久蔵君
倉田 寛之君
杉山 令肇君
中村 太郎君
福岡日出麿君
藤井 裕久君
藤野 賢二君
宮島 滉君
矢野俊比古君
吉川 博君
赤桐 操君
菅野 久光君
丸谷 金保君
鈴木 一弘君
多田 省吾君
近藤 忠孝君
栗林 卓司君
青木 茂君
野末 陳平君
国務大臣
大 蔵 大 臣 竹下 登君
政府委員
大蔵政務次官 井上 裕君
大蔵省主計局次
長 平澤 貞昭君
国税庁直税部長 渡辺 幸則君
農林水産大臣官
房審議官 田中 宏尚君
農林水産大臣官
房審議官 中野 賢一君
農林水産省経済
局長 佐野 宏哉君
事務局側
常任委員会専門
員 河内 裕君
説明員
外務省北米局北
米第二課長 七尾 清彦君
農林水産省経済
局保険管理課長 長良 恭行君
農林水産省経済
局保険業務課長 原 昭夫君
農林水産省畜産
局畜産経営課長 香川 荘一君
農林水産技術会
議事務局研究総
務官 栗田 年代君
食糧庁管理部長 野明 宏至君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○農業共済再保険特別会計における農作物共済及
び畑作物共済に係る再保険金の支払財源の不足
に充てるための一般会計からする繰入金に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○派遣委員の報告に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/0
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001・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る十日、志村哲良君が委員を辞任され、その補欠として中山太郎君が選任されました。
また、去る二十一日、増岡康治君が委員を辞任され、その補欠として岩崎純三君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/1
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002・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の補欠選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/2
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003・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に岩崎純三君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/3
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004・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 次に、農業共済再保険特別会計における農作物共済及び畑作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/4
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005・竹下登
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました農業共済再保険特別会計における農作物共済及び畑作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
昭和五十八年度におきまして、北海道地方を中心として低温等による水稲、小豆等の被害が異常に発生したことに伴い、農業共済再保険特別会計の農業勘定の再保険金の支払いが著しく増大するため、この勘定の再保険金の支払い財源に不足が生ずる見込みであります。本法律案は、この勘定の再保険金の支払い財源の不足に充てるため、昭和五十八年度において、一般会計から、百十五億六千二百七十六万三千円を限り、農業共済再保険特別会計の農業勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。
なお、この一般会計からの繰入金につきましては、後日、農業共済再保険特別会計の農業勘定におきまして、決算上の剰余が生じた場合において、この剰余から同特別会計の再保険金支払基金勘定へ繰り入れるべき金額を控除して、なお残余があるときは、この繰入金に相当する金額に達するまでの金額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/5
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006・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
竹下大蔵大臣、お引き取りいただいて結構でございます。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/6
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007・丸谷金保
○丸谷金保君 きょうは、テーマを物言わぬ強迫、こういうところに焦点を当てて御質問いたしますんで、その点ひとつ十分御留意いただきたいと思います。
まず最初に、税の問題なんですが、この共済の共済金を受け取った場合に、これが全部所得に算入されます。家畜の場合には算入されないで農業共済の場合には算入される。それは一体どういうわけなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/7
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008・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 農作物の共済の共済金を受け取りますと、これは農産物の販売によって生ずべき収入金額にかわるべき性質を持っているお金でございますから、事業所得の計算上、収入金額に算入しておるわけでございまして、私どもは大蔵省から伺っておりますところでは、何も農業に限らず、同種の性質のものは収入金額に算入されることにおいて変わりはないというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/8
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009・丸谷金保
○丸谷金保君 共済掛金を決めるときの掛金の算定について、家畜の場合、水稲の場合、それから小豆の場合と三つに分けて、共済掛金の算定の方法というものを御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/9
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010・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 掛金は、御承知のように、これも一種の保険でございますから、二十年間という周期をとってみれば、掛金に対する国庫助成の分も含めまして収支が均等となるように、過去の二十年間の事故率をもとにして収支均衡ということで決めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/10
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011・丸谷金保
○丸谷金保君 私の御質問申し上げているのは、家畜と言ったんで悪かったので、肉牛としましょう。肉牛、水稲、小豆、これの掛金をはじき出す計算の基礎、こういうことでこれだけの掛金を共済組合が徴収するのだということをこの三つについて具体的に教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/11
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012・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
いずれの場合も、いまお答えいたしましたように、国庫負担分も含めまして、掛金による収入と共済金支払いの支出が、二十年間を通ずれば収支均等になるように計算をして決めておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/12
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013・丸谷金保
○丸谷金保君 いや、そこまではわかるんですがね。例えば水稲の場合でも、掛金を決める場合には、二十年なら二十年でもいいですが、平均単収が幾らで、大体価格がどれくらいで、それに対してどれだけの補償をするのだというふうなあれがあるでしょう。ただ支払った金額それだけでなく、どういうあれで支払うのかという、その支払うそこから先なんです。支払いをしますね。その支払いをするというのはどういうあれなんだ。おたくが支払ったのはこれだけだから、それから割りかえしたというのですが、共済金の支払いをした金額の基礎になる計算があるはずなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/13
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014・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 共済金額は、例えば水稲の場合で申しますと、基準収量の一筆方式の場合でございましたら七割、農単半相殺の場合でございましたら八割、農単全相殺の場合でございましたら九割ということでございます。
それから畑作物の場合には、これは基準収量の七〇%のものと八〇%のものがございます。小豆の場合でございますと七〇%でございます。それから家畜の場合は、これは共済価額に対して付保割合を乗じておる。付保割合は選択制になっておりまして、上限が八割ということでございますが、その付保割合を乗じたのが共済金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/14
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015・丸谷金保
○丸谷金保君 この補償価格はどうやって決めるんですか。家畜の場合ですと、肉牛の場合でも一頭ずつ違いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/15
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016・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 家畜共済の場合には、組合等で加入申し込みにかかる有資格家畜のすべてについてそれぞれ個体別に価額を評価いたしまして、その合計を用いております。その評価に当たりましては、最寄りの家畜市場における同種同類の家畜の過去一カ年間の取引価格を基準にして決めておるわけでございまして、同種同類というのは、これはどういう分類であるか、それぞれの組合がやっておりますが、例えばある共済組合の例を申し上げますと、乳牛の場合でございますと育成、初妊、搾乳。それから育成牛は月齢により二段階、搾乳牛は一産—三産、四産—六産、七産以上、そういう分類でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/16
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017・丸谷金保
○丸谷金保君 水稲。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/17
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018・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 申しわけございません。担当課長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/18
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019・長良恭行
○説明員(長良恭行君) 御説明申し上げます。
水稲の共済金額につきましては、方式が三つございますが、一筆方式につきましては、単位当たり共済金額に基準収穫量を掛けましてその七割でございます。半相殺農家単位方式につきましては、単位当たり共済金額に基準収穫量を掛けましてその八割でございます。全相殺農家単位方式につきましては、単位当たり共済金額に基準収穫量を掛けましてその九割でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/19
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020・丸谷金保
○丸谷金保君 いずれもこの場合は基準収穫量が基準でございますね。
それから小豆。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/20
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021・長良恭行
○説明員(長良恭行君) 小豆につきましては、半相殺農家単位方式がとられておるわけでございますが、その共済金額につきましては、単位当たり共済金額に基準収穫量を掛けましてその七割でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/21
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022・丸谷金保
○丸谷金保君 今、私は肉牛を聞いたのに乳牛を答えられたんですが、これはいいです。
問題は、水稲、小豆、いずれも基準収穫量に対して掛けますね。そうすると、水稲の場合は基準収穫量によって基準金額が決まるんです。決まりますね。水稲の場合は、反当収穫量が決まれば、それで幾らという基準の収入が決まります。それから小豆の場合は、基準収穫量で決めるといっても、基準収穫量は金額でないんで、価格と基準収穫量を掛けなきゃならぬでしょう。その価格の算定はどうするのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/22
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023・長良恭行
○説明員(長良恭行君) 御説明申し上げます。
一般的に畑作物につきましては……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/23
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024・丸谷金保
○丸谷金保君 一般的でなくやってちょうだい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/24
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025・長良恭行
○説明員(長良恭行君) 小豆の場合は、流通価格、農家の手取り価格で決めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/25
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026・丸谷金保
○丸谷金保君 それで、農家の手取りというのはどこで決めるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/26
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027・長良恭行
○説明員(長良恭行君) 生産者段階におきます取引価格から流通経費を除いたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/27
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028・丸谷金保
○丸谷金保君 この取引価格は非常に変動が激しいですね。そういう場合は過去十年でとるのですか、五年でとるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/28
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029・原昭夫
○説明員(原昭夫君) ただいまの小豆の単位当たりの共済金額につきましては、確かに先生おっしゃるように変動が激しいものでございますから、過去の一定年間の価格の最高最低を除く等の方法によりまして平均価格をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/29
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030・丸谷金保
○丸谷金保君 十年ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/30
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031・原昭夫
○説明員(原昭夫君) いえ、七年とか五年とかということで定めております。過去五年中の最高最低を除く三年であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/31
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032・丸谷金保
○丸谷金保君 それで、家畜共済は市場価格、それから水稲は国の指示価格でございますね。それから小豆は取引価格。こういうふうなことで保険の金額が決まってくるわけですね、保険の掛金が。掛金はそういう基準収穫量にそうした基準の価格を掛けたもののそれに対する七割なら七割補償ということで、過去十年なら十年間のトータルで割り返したものからようやくその年の共済掛金が出てくると、こういうことになるわけですね。
で、この水稲の基準価格を出す場合に、これは生産費所得補償方式ですね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/32
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033・長良恭行
○説明員(長良恭行君) 御説明申し上げます。
水稲の単位当たり共済金額につきましては、行政価格でございます米価を基礎にして決めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/33
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034・丸谷金保
○丸谷金保君 私の聞いているのは、その米価を決める基礎になるのは所得補償方式ですねと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/34
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035・野明宏至
○説明員(野明宏至君) 政府買い入れ価格でございますが、これは先生おっしゃいますように生産費所得補償方式によって決めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/35
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036・丸谷金保
○丸谷金保君 米価は生産費所得補償方式なんで
す。小豆の場合には要するに農家の最終手取り価格ですね。それから乳牛の場合には市場価格と、それぞれ違いがあるわけです。
この問題ひとつ置いておきまして、米の問題に移りますが、この基準価格を今度ちょっとお聞きしたいと思うのです。現在の基準価格のとり方というのは、四百八十九キロ平均単収、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/36
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037・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 四百七十九キロです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/37
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038・丸谷金保
○丸谷金保君 四百七十九キロですね。
それで、この基準価格というのは平均をとるわけでしょう。過去十年間でこの基準価格を上回った年、下回った年、ちょっとお知らせ願いたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/38
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039・原昭夫
○説明員(原昭夫君) 今先生のお尋ねのものは基準収穫量、単収でございまして、価格とちょっと別のものではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/39
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040・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 四百七十九キログラムというのは基準収穫量でございますから、値段とはちょっと比較のしようが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/40
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041・丸谷金保
○丸谷金保君 私の聞きたいのは基準収穫量、十アール当たりの。これが保険金算定の一つの基礎になりますね。その基準収穫量が五十八米穀年度以前十年間の基準収穫量を上回った年、下回った年、これがわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/41
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042・長良恭行
○説明員(長良恭行君) 水稲の場合、基準収穫量につきましては、今先生御指摘のありました四百七十九キログラムにつきましては、全国平均でございますが、私どもの農林水産統計で言っております平年収量に相当するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/42
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043・丸谷金保
○丸谷金保君 農林統計のその平年収量というのは、十年間で上下一つずつ削って真ん中の八年間で割り返した数字でしょう。それはわかるんです。
じゃ、実際に出たそれを上回った年が何年あって、下回った年が何年あるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/43
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044・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 申しわけございません。今数字を探すのに手間取りますので、後刻お答えをさしていただきたいと思います。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/44
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045・原昭夫
○説明員(原昭夫君) 今五十八年までの十年間におきましては、基準収穫量を下回った年は五年ございます。上回った年が逆に言いまして五年間。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/45
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046・丸谷金保
○丸谷金保君 そういうことになるはずですね。それはもう当然のことなんですよね。
それで、問題はそれからなんです。共済掛金が基準収穫量であれする。しかし、この基準収穫量四百七十九キロですか、来年度の転作を考えてみますと、現在の水田の本地面積が二百八十一万ヘクタールと言われておりますが、その中で基準収穫量で計算いたしますと、六十万ヘクタールの転作をして、ことしの場合は、あれでしょう、大体十万トンしか持ち越しがないわけですね、十月の端境期で。これで来年度こういう基準収穫量のとり方で五年で上下する、上回った年が半分、下回った年が半分です。来年下回ったら、五十九年度一体ランニングストックで間に合うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/46
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047・野明宏至
○説明員(野明宏至君) お米の需給計画につきましては平年べースを基礎に立てております。御案内のように、昨年の十月末の持ち越し数量、これは十万トンということになっております。そこで五十九米穀年度、昨年の十一月からことしの十月までの間のお米の需給関係でございますが、昨年五十八年産米のお米の生産、これは当初転作の軽減といったような措置を講じつつ千九十五万トンという生産を予定したわけでございます。これが冷害等によりまして作柄はやや不良というふうなことになりまして、その他の要因もあったわけでございますが、生産量が千三十七万トンということになっております。こういった生産になったわけでございますが、ただいま申し上げましたように、前年産米からの持ち越しが十万トン、それからさらに五十三年産米につきましても、引き続き十万トンないし十五万トン程度は売れる見込みでございます。
したがいまして、米の需給関係は問題ないと考えておりますが、ことしの十月末の持ち越し、先生お話しのように、そういったような需給関係のもとで十万トンの持ち越しということに相なります。そこで、そういったような十万トンの持ち越しを前提にしつつ、水田利用再編第三期対策では毎年四十五万トンずつ在庫積み増しを行うということにいたしておりますので、仮に平年作を下回るというふうな場合にも、需給関係については不安はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/47
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048・丸谷金保
○丸谷金保君 ことしの十万トンというのも結局早食いやったり、あれでしょう、五十九米穀年度に持ち越すべき新米を相当消費していますでしょう。そういうことでの十万トンのストックですね。だから、実際の五十八米穀年度としては十万トンのストックにはなっていないんでしょう。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/48
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049・野明宏至
○説明員(野明宏至君) 昨年の十月末までのいわば五十八年産米を消費した状況というのは、確かにその前の年に比べればやや多いということが言えようかと思います。ただ、これは地域的なお米の出回り方等々の状況を踏まえつつ、需給操作上万全を期していくということでやってまいった結果のものでございます。したがいまして、例年十月末までには政府米と自主流通米合わせまして三百五十万トンないし四百万トンといったものが集荷されております。したがいまして、そういったものを活用しながら、需給については不安がないように万全の需給操作をしていくということでございまして、全体の需給関係といたしましては、先ほど申し上げましたように、十万トン程度の持ち越しができる、そういったような需給関係になっておるというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/49
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050・丸谷金保
○丸谷金保君 結局、保険金の計算のときの基準収穫量というのは、四百七十九キロですか、私四百八十九キロだと思ったけれども、どこかうちの方で計算を間違ったんでしょう。そういう基準単収をもとにしておりますね。それから総体の収穫量についても、基準単収を計算の基礎に置いて、その年の収穫量というのをはじき出しますでしょう。例えば五十九米穀年度の場合も基準単収が中心ですね。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/50
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051・野明宏至
○説明員(野明宏至君) 五十九年産米の需給を考えます場合の生産の基礎になります平年単収でございますね。これは四百八十キロということで見ております。それを基礎に、先ほど申し上げましたように、四十五万トンの在庫積み増しが可能なようなそういった生産を予定したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/51
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052・丸谷金保
○丸谷金保君 四百八十キロでですか。よくわかりました。
基準単収の平年のやつを持っていった場合に、一キロで相当に余ることになるんですか。基準単収四百七十九を四百八十にした場合の一キロの計算の基礎の違いは大体何トンになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/52
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053・野明宏至
○説明員(野明宏至君) 私、ただいま申し上げましたのは、五十九年産米の生産予定量を見込む場合の平年単収でございます。
そこで、五十九年産米の共済の方の単収がどうなるのかということについては、私存じておりませんが、先ほど四十五万トン在庫が積み増すようにと申しておりますのは、実は来年度の需給ギャップ、大体七十万ヘクタール程度になるわけでございます。それを四十五万トン程度の在庫積み増しが可能になるように、転作の方を約十万ヘクタール緩和いたしまして六十万ヘクタールにしておる。したがいまして、約十万ヘクタール緩和していることに伴いまして、四十五万トンの在庫積み増しが可能になるというふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/53
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054・丸谷金保
○丸谷金保君 十万ヘクタールですか、今度生産調整の枠を緩めましたね。そういうことで需給は大丈夫だ、こういうことになるわけですが、そこで他用途米との関係が出てくるんですよ。ことしの他用途米の割り当てが非常におくれたために——これより先にもう一つ問題があります。
そうすると、需給関係は心配ないと。実は他用途米の問題が出てきたときに農村で心配したのは、一体他用途米をやってもしもお米が足りなくなった場合に、他用途米を使ってくれるのか、一
般の方へですね。それとも他用途米は他用途米だということにして輸入に手をつくようなことになったら大変だと、こういう心配が出てきていたんです。
いまのお話で、来年度絶対心配ないということなんで、やや安心したんですが、ことしの在庫十万トンなんというのは随分大変なことですよ。早食いまでしなければ上手な需給調整ができないというふうなことだったはずなんで、来年それは四百八十キロで見て、とにかく五年平均で上がったり下がったりなんです。そうすると、当然下がるということも考えなきゃならぬでしょう、目いっぱい見ているわけですからね。
その場合に、足りなくなったら、ことしも十万トンしかないんですから、一体他用途米を買ってくれるのか、輸入に手をつけるのか。ここのところをはっきりしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/54
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055・野明宏至
○説明員(野明宏至君) 先ほど御説明申し上げましたように、ことしの米の需給につきましては、ことしのお米につきまして約十万ヘクタールの転作の緩和というふうなことをやりまして在庫積み増しも図っておるということで、需給には不安はない。したがって輸入ということは考えておりません。
そこで、次のお尋ねの不作になった場合に他用途利用米を主食用として政府が買ってくれるのかどうか、こういうふうなお話でございます。他用途利用米につきましては、これは生産者と実需者との間の流通契約によって加工原材料用に物が流れるようにいたしております。したがいまして、そういった流通を前提にいたしまして、実需者と生産者団体、それから今度は生産者団体と生産者の間で契約がなされるということになっております。したがいまして、不作になった場合にも、やはり加工原材料といった実需者に向けてその米が供給されるということ、契約上もそうなっておりますし、私どももそういうふうに期待しておるわけであります。
ただ、もちろん不作になった場合には、他用途利用米約二十七万トンということでお願いをいたしておりますが、その量がそこまでいかないということがございます。これは主食用の場合と同じように減額調整といったようなことはいたすつもりでございますが、それを主食用の方に回すというふうなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/55
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056・丸谷金保
○丸谷金保君 十万トンあれしたから絶対ということは言えないわけですよね。その場合に、不足になった場合どうするんですか。他用途米には手をつけないと。もちろん輸入なんか絶対しませんでしょう。二者択一の場合にはどちらに手をつけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/56
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057・野明宏至
○説明員(野明宏至君) ことしの秋の持ち越し十万トンというのは、確かに十分な在庫とは言えないわけでございまして、これは持ち越し在庫としてはかなり薄いものと言ってよかろうかと思います。したがいまして、私ども需要に見合った生産と、その上に約十万ヘクタールの転作を緩和しまして、四十五万トンの在庫積み増し、いわばその分余計生産をする、主食用として。こういうことを考えるわけです。したがいまして、通常の状況の中では、仮に不作というふうなことが起りましても、主食用の方の需給についても十分対応できますし、それから他用途利用米についてもそれを契約に従って供給していただくということが可能であり、もちろん輸入ということは考えないで済むのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/57
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058・丸谷金保
○丸谷金保君 なかなかお答えにくい問題かと思うんですけれどもね。絶対に大丈夫だと。しかし絶対ということは言えないんですよ、農業で。
ですから私は、そういう場合が起こった場合には、まず他用途米に手をつけてもらって、そのときにはいわゆる主食用のお米と同じような価格で買ってもらいたいということをこれは要望しておきます。なかなかお答えいただけないでしょうから。
それで、他用途米の問題なんですが、他用途米の今割り当てが決まりました。ところが実際には、今ここでこの割り当ての反別を受けておかないと、今度は、おまえたちのところはもう水田はやりたくないんだろうからということで、将来ともに水田の反別の実績を減らされるんでないかと、こういう心配があるんですが、これはいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/58
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059・野明宏至
○説明員(野明宏至君) 他用途利用米につきましては、生産者と実需者との間の流通契約を基礎にして流通する、またそういったものを基礎にして農家に生産をしていただくというふうなことで、農家の自発的な意思を基礎にいたしております。ただ、全体の仕組みといたしましては、転作面積六十万ヘクタールの内数ということでお願いをしておりまして、その量につきましては、おおよそのめどということで各県に私ども面積と数量をお示しいたしておるわけでございます。それを基礎に、現在各道府県で他用途利用米への取り組みが行われております。これは各県によって事情はまちまちでございまして、先ほど先生お話しのような、ことしは麦をまいてしまったというふうな実情の中で取り組みが行われているところもあるわけであります。
ただ、いずれにいたしましても、道府県あるいはまたその中の町村の中で市町村なりあるいは集荷業者の指導のもとにその年その年の調整が行われて、全体として需要に見合う二十七万トンというものの供給が行われることを期待いたしておるわけでございます。それが実際にどういうふうになるかということによって翌年の他用途利用米の量を、県別の量でございますが、これを私どもの方が動かす。これは大体原則三年固定ということでお願いしております。そういうことは考えております。
したがいまして、私ども、それぞれの事情いろいろおありでございましょうが、各県の中でできるだけ可能となるような調整を行いつつ取り組んでいただきたいということでお願いをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/59
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060・丸谷金保
○丸谷金保君 そこら辺から物言わぬ強迫が始まるんですがね。確かにお話を聞いているとそのとおりなんです。
ところが、実際農村へ行きますと、いろいろそういうことは言うけれど、結局は五十三年のときも実績主義でやられたと、配分がね。ということで、今度もこの他用途米を割り当ては割り当てでこなさないと、おまえたちは米をつくる意思がないんだろうということで、減反をするときの目つぼにとられると、こういう空気が蔓延しているんですね。それはおたくたちは言ってないですよ。我々はそんなことでおどかしてはいないと言うかしらぬけれども、受け取る方はそういうふうに感じているんです、みんな。前の場合がそうだったからね。実績主義にしない、しないと言いながら、やっぱり実績主義でやったんですよ。だから今度もやっぱりそういうことになるんでないかということで、麦の秋まき小麦——北海道なんかの場合秋まき小麦ばかりですよ。これを起こしてでも割り当てをこなさなきゃならぬと。そして他用途米にやっておけば、米志向、水田志向なんだということになるから、この際はやっぱりそれはこなさなきゃならぬと。割り当てが遅かったものだからみんなもう秋まきをやっちゃった。それで後から割り当て来たでしょう。だから、そんなところ手をつけないでほかでやればいいんでないかというけれども、転作をたくさんやったところでは、逆にそういうところへ手をつけざるを得ないんですよ。そして幾らそういうことを言われても、結局それは建前であって、割り当てはこなさないと大変だということがあるんです。それはそれでやむを得ないんですがね。
そういうことですから、例えば麦を秋まきやって共済掛金がもう確定しているんです。そこを起こして今度、あれでしょう、他用途米をやるとまた共済掛金を別な形で掛けなければなりませんね。何とかこれをツーペイで差額分だけという方法はいかないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/60
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061・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
ただいままさに先生おっしゃいましたように、秋まきの麦につきましては、すでに共済関係が成立しているわけでございますので、この秋まきの麦について共済関係が成立してしまったものについては、今掛金はいただかざるを得ないということで、この点はどうも動かしがたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/61
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062・丸谷金保
○丸谷金保君 冒頭にお伺いしたように、共済の掛金というのはそれぞれの算定の仕方が違いますね。それが結局二重に取られるんですよ。例えば麦の場合でも、枯れれば共済の対象になりますね。冬枯れしたからといって、後から今度は他用途米をやった場合には、共済対象になってそれから他用途米——これはわかるんですよ。だけど、もう何でもないやつをひっくり返した場合なんか逆になりますね。これはその契約した方が悪いんだといえばそれまでのことなんですがね。どうもちょっとそこらで割り切れない問題がたくさんあるんです。確かに麦の契約をして払った、この他用途米にするのは自分の自由でやったんだからというけれども、その底にはそういう実績主義でやられるんでないかという心配があって、割り当てをどうしてもこなさなきゃならぬという問題が一つあるんですよ。絶対に実績主義というふうなことは加味しないと再三国会では皆さん答弁しておったけれども、あけてみたらやっぱり実績主義だ。結局、今度もそういうことになるんでしょう。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/62
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063・中野賢一
○政府委員(中野賢一君) お答えいたします。
他用途利用米につきましては、水田利用再編対策の中の一環として今度導入させていただいたわけでございますが、中身は米需給均衡化対策の一環でございますんで、他用途利用米の面積につきましても、転作の目標面積の中の内数でお願いをいたしておるわけでございます。具体的には、各県にお願いいたしました数量の約一割、他用途米をつくっていただきたいということをお願いしておるわけでございます。したがいまして、他用途利用米を農家の方でつくった場合に、具体的にこちらの方でお願いいたしました約一割の目標に満たなかったということが仮にありましても、全体としてその転作目標面積が達成されておりますれば、それで現在の転作の目標は達成されたわけでございますので、単に他用途利用米の面積がお願いしている目標に満たなかったということで、来年何か目標面積の上積みをするとか、そういうことは一切考えておらないわけでございます。実績がどうのこうのといういろいろ御指摘が今あったわけでございますが、そういうことで対処してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/63
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064・丸谷金保
○丸谷金保君 逆に、ことし秋まき小麦をやったからことしは割り当てを受けられない、来年は秋まきをやめて他用途米をやりたいと、こういう人はやれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/64
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065・野明宏至
○説明員(野明宏至君) 既に秋まきの小麦が植えつけられている状況の中でことしの他用途利用米の面積をどうこなしていくか、それからまた来年、今度は初めから考えていく場合にどうしていくかというふうなお話でございますが、ことしは確かにそういったような秋まきの小麦がまきつけられているという状況はあるわけでございますが、他用途利用米につきましては転作面積全体の内数になっておるわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、町村段階で集荷業者なり町村が間に入っていただきまして調整をしていただきながら、できるだけ全体のほぼ一割程度のものが他用途利用米として生産され供給されていくということを私ども期待いたしたい、こういうふうに思っておるわけであります。来年は、今度はまたそういった初めから計画していくという状況の中で調整をしていただけたらというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/65
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066・丸谷金保
○丸谷金保君 話はわかるんですがね。まさにそのとおりなんですよ。しかし実際は、来年やりたい、ことしは秋まきをやっているからできない。ことしやらなきゃ来年できないんですよ。そうでしょう。いろいろなことをそう言うけれども、結局はそういうことになるんですよね。だから、しようがない、ことし起こしてでも他用途米をやらなきゃならぬ。この状況わかりますでしょう。本当はそういうことなんですよ。そうすれば掛金の問題くらい少し考えてくれたっていいんじゃないか。これも要望しておきます。
それで、そういう点で、何というか、建前で言ってて、みんな物では言わないけれどもちゃんと強迫されるの、何となく。それだから、起こしたくもない秋まきも起こして他用途米をやらなきゃならぬことになるんですよ。いや、そんなことございませんと言っているけれども、ございますんです、実際には。そうすれば、せめて掛金くらい何か考える方法を考えたっていいんじゃないかというのが農民の素朴な声なんです。
それからもう一つ、同じような問題で、今度は家畜の共済に関連するんですが、家畜の掛金というのは市場価格の操作だと。そうすると、市場価格というのは生産費からはじき出されますね、生産費から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/66
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067・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) これは最寄りの家畜市場での市場価格ということでございますから、行政価格を決めるような原価計算をやって決めるという、そういう性質のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/67
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068・丸谷金保
○丸谷金保君 それで、市場価格は、生産者は元を取らなきゃならぬですから、元はせめて取れるような価格で売りたいということが一つの価格形成の要素、そのほかいろいろな要素もありましょうがね。
実は、一昨日NHKで朝、岩手県の雫石ですか、立派な肉牛の牛舎をつくって火災報知機までつけた。そして牛は火災報知機が鳴れば驚いて跳んだりはねたりするけれども、戸をあけて出てくるわけじゃない。これは説明によれば、建築基準法と消防法によってそういうことになっている、こういう話なんですよね。
しかし、私は消防司令をやったことがあるんですが、牛舎にまでどうしてもつけなきゃならぬというほど建築基準法は厳しいものでないように思うんです。あれは所轄の署長が、これはということで多少裁量できる幅を持っているんでないかなと思うんですが、これは絶対的な条件だったんですか、どうなんです、あの場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/68
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069・香川荘一
○説明員(香川荘一君) お答えいたします。
御指摘のケースにつきましては、建築基準法ではございませんで、消防法に規定が、ございまして、火災報知機を設置するという義務づけがございます。ただ、これは畜舎の大きさによりまして、千平米以上の畜舎についてそういう義務づけがなされているということで、そのために、補助事業とか、それらにかかわりませずつけるということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/69
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070・丸谷金保
○丸谷金保君 大蔵省にお伺いしますけれども、これは予算査定の段階で、こういうところにまで火災報知機をつけることをおかしいとお思いになりませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/70
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071・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 今農水省の方から御答弁がございましたように、これは消防法の規定によって設置を義務づけられているというふうにわれわれは聞いております。したがいまして、この農水省の方のいわゆる畜舎等の整備のための補助事業との関係では、特に火災報知機の設置を要件としているわけではございませんので、これは自治省の方の関係の話ではないか、この補助金そのものとは関係がないのではないか、そういうふうに考えておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/71
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072・丸谷金保
○丸谷金保君 建築基準法の六条でいろいろそういう規定もあります。これはそれを受けて消防法として火災報知機というふうなことの義務づけがあるわけなんですが、これは自治省がいないとわかりませんかな。私の経験では、こういうのは所轄の消防署長なりなんなりの考え方で、牛舎にまで火災報知機をつけなくても認めてきたような気がするんですがね、相当大きなあれに。どうですか、絶対的な条件ですか。絶対的な条件だとすれば法律の方が悪いですよ、そんなばかな法律。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/72
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073・香川荘一
○説明員(香川荘一君) 消防法の規定にも適用除外の規定がございます。ただ、これは畜舎の位置とか構造等その状況によりましてということにな
っておりまして、その地域の消防機関において判断されることのようでございますので、私どもはそういう畜舎につきましては、十分地元の消防機関と連携をとりながら対応していくようにということで指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/73
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074・丸谷金保
○丸谷金保君 そうすると、今まではそういう行政指導はしていないということですね、これからするということは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/74
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075・香川荘一
○説明員(香川荘一君) 今までもやってまいっておりましたけれども、これからもさらに趣旨が徹底するようにやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/75
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076・丸谷金保
○丸谷金保君 密集地帯なら別ですよ。牧場の中にある大きな牛舎、こういうところまで火災報知機が一体実際に必要でしょうかね。あなたたち実際当たってみて、これは消防法にあるから仕方がないというふうな性質のものじゃないんですよね。そうすれば、消防法がおかしくないかとか、あるいは地域の消防署長の裁量の中でここまではやらぬでもいいという権限はたしかあるはずなんですよね。そうすれば、この間のあのテレビのようなあんなことになるから過保護論が出てくるんですよ、使い方に。
それであと、実はそういう農業のあの問題だけでなく、農用地開発公団ですか、いま一緒になってやっている仕事ですね、各地を見ておりますと、実に単価が高くなっている。こういうふうなことが随所にあるんです。これは会計検査院もそうした設備の問題で指摘している事項がございますね。大蔵省の方でそれを受けておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/76
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077・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 今のところ、その辺、私存じませんので調べてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/77
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078・丸谷金保
○丸谷金保君 五十六年、五十七年ぐらいに完成した畜産基地の中で、設備の段階でこれはいかにもかけ過ぎているじゃないかというふうな指摘を会計検査院がしているのがあります。そういうのを踏まえて大蔵で今度じっくりやりたいと思いますので、そういうのを調べておいていただきたいと思います。
それから最後にまたもとへ戻るんですが、負担金にこだわるようですけれども、小さい問題のようで、それぞれの農民にとっては大変重要な問題なんです。例えばいま転作畑、これは永久転作にしますと、地目変更、水田から田んぼにしますと、固定資産税の評価から何まで皆変わってくるわけです、評価価額が。ところが、今のところ、永久転作をやっても地目変更を皆していないんです。これはなぜかといいますと、地目変更をしますと、土地改良区の負担金を一括して償還しなけりゃならなくなるんです。こういう点についても何か便法を図ってもらわないとね。ですから、実際には永久転作で畑なんだけど、地目そのまま水田でやっていかざるを得ないということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/78
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079・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 残念ながら、責任を持ってお答えすべき担当局の者がおりませんから、御趣旨はよくわかりましたので、帰ってよく伝えた上でまた先生にはしかるべき返事をさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/79
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080・多田省吾
○多田省吾君 私は、まず本法律案について若干質問をいたします。
今回、一般会計からの繰入額は百十六億円でございますが、この十年間の実績を見ますと、昭和四十八年から五十四年までは繰り入れと繰り戻しが順調に行われております。ところが、昭和五十五年度からは差し引き残高が大幅に増加いたしまして、今年度、昭和五十八年度は千七百九十一億円に達しております。相手が気象条件という不確定な要素はありますけれども、一般会計の繰り戻し完了の見通しをまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/80
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081・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
元来、この一般会計からの繰り入れというのは、大変異常な災害によって短期的に特別会計の財政が不均衡な状態になりまして、しかもそれがいつになれば一般会計へ繰り戻せるかということが確定的には見通しがたいような状況に対処するために、やむを得ず今回のような立法措置をお願いしているわけでございまして、そういう意味では、何年になったら必ず返してみせますというふうにお約束できるという性質のものではございませんが、ただいま先生からもお話がございましたように、まず五十年、その前の四十九年に繰入残高ゼロという時期がずっとあったわけでございまして、それからその後におきまして、先生ただいま御指摘のように、五十四年度までは順調に繰り戻しが行われたわけでございますし、それから最近におきましても、五十七年度末におきましては、些少ではございますが、若干繰り戻しをいたしましたわけです。
そういう意味では、今回の繰り入れがいつになれば返してみせますというふうにお約束いたしかねるのは残念でございますが、私どもとしては、農業勘定の財政上の健全性というのは、基本的には信用していただいていいものというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/81
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082・多田省吾
○多田省吾君 次に、果樹共済についてお伺いしたいと思います。
昭和四十八年に果樹共済は本格的にスタートをいたしましたが、五十八年で、これまで赤字続きであったものが黒字に転ずる見通してあるという報道もされております。その要因の一つといたしまして、五十五年に法改正を行ったことが報ぜられておりますけれども、この果樹共済の経緯と黒字に転ずる原因をどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/82
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083・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 果樹勘定につきましては、従来から先生方にも大変御心配をおかけしておったわけでございますが、言いわけめきますが、制度発足以来ずっと果樹勘定の財政状態について危険な状態が続いてまいりましたのは、基本的には台風とか凍霜害など予想外の不幸な災害が連続して起こったということが大きな要因であったというふうに存じます。したがいまして、先生ただいま御指摘のございました五十八年度においての果樹勘定の財政状態の好転ということも、まず第一にはおかげさまで災害が比較的軽微であったということがまず大きな要因であったというふうに存じます。
ただ、私どもといたしましては、この果樹勘定の財政状態が非常に心配であるという事態が、必ずしもお天気のせいばかりというふうにも思えないということで、五十五年度にいろいろ制度改正をやらしていただきました。その中には、基準収穫量の設定方法を改善するために標準収穫量という概念を導入いたしまして、基準収穫量の設定をより慎重に行い得るようにするとか、あるいは損害評価の効率化を図るために半相殺方式を導入するとか、そういう各般の改善措置を講じたわけでございます。
それからもう一つのこの果樹共済の難点であると言われておりました加入率の低さをカバーするために、経営技術水準の比較的高度な農家にとっても魅力ある制度にするための幾つかの改正も同時にやらしていただきました。
それで、先生御指摘の最近の果樹勤定の財政状態の好転には、このような五十五年度にやらしていただきました制度改正も相当の貢献をしているものというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/83
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084・多田省吾
○多田省吾君 その際、昭和五十六年度ごろから加入促進を行って優良農家が相当たくさん加入されたということも聞いておりますが、その状況はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/84
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085・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
五十五年度にそういう改正をやりまして、その効果が十分行き渡るようにということで私ども努力をしたつもりでございますが、加入率の向上というのはそれほど大きなものではございません。ただ、おかげさまで、それでも一番最近の五十七年度の数字で見ますと、ようやく二七%の大台を超しまして二七・二というところまでまいってきております。これは低うはございますが、従来の実績に比べれば空前の高さでございます。私どもとしては、上がってはきておりますが、まだ極めて不満足な水準でございますので、引き続き加入促進のキャンペーンをやっていきたいというふう
に思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/85
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086・多田省吾
○多田省吾君 四年連続の不作になったわけですが、五十八年産水稲被害に対しまして、共済金の支払いが昨年末に完了したと聞いておりますけれども、農業共済基金が農林中央金庫から資金を年利七・七五%で借り入れまして、これを連合会に年利六%で貸し付けまして、組合等へ保険金の支払いが行われている、いわゆるつなぎ融資に関しまして金利負担はどのようになっているのか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/86
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087・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
先生御指摘のように、農林中央金庫から共済基金経由でつなぎ融資を行いました。金利は七・七五%でございます。そのうち六%分が連合会負担、一・七五%分が基金の負担ということになっておりますが、これはいずれも今回御審議を賜っております補正予算の中で計上さしていただいております利子交付金によりまして全額国が負担をするということで、農家にはもちろん基金にも連合会にも迷惑をかけないようにして処理をするという心づもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/87
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088・多田省吾
○多田省吾君 農水省から新稲作運動の推進についての資料をいただいておりますが、その趣旨のところを見ますと、「このような不作は、基本的には異常気象によるものであるとはいえ、兼業化、担い手の高齢化の進展等に伴う作業の粗放化や農家間の技術格差の拡大が作柄の低下を助長している面がみられる。」とございますけれども、いわゆる農業の体質に言及されていることになります。この新稲作運動の具体策、それからそのねらい、また予算措置等はどうなっているのかお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/88
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089・中野賢一
○政府委員(中野賢一君) 新稲作運動でございますが、御指摘の中にもありましたように、四年連続の不作がございまして、そういった事態を踏まえまして、農家、指導者等の稲作改善に関する機運の醸成と基本技術の励行等を通ずる作柄の安定を主眼といたしまして、不良条件を克服し得るいわゆるたくましい稲づくりを目指すというのが、この新稲作運動でございます。官民一体になりまして全国的に展開をしてまいりたいというふうに考えております。
具体的に申し上げますと、各地域ごとに稲作の総点検、それから改善方策を具体的に検討していただく、それから地域の特性に応じまして具体的にどういうものに重点を置くかというその技術改善の重点課題の設定、それから関係指導機関、農業改良普及所とか農協とか、そういった団体の協力分担を緊密化いたしまして作柄安定、コスト低減の意識の啓発とか指導を強力に進めるということでございます。
運動の方の推進の体制でございますけれども、中央におきましては、国、それから関係機関、団体にも入っていただきまして、新稲作運動推進会議というのを開催してございます。これをもとにいたしまして、各都道府県、市町村の段階におきましては、これまでもいろいろ各県稲作の技術改善運動をやっておりますけれども、そういった既存の運動とも連携をとりながら、またいろいろそういった稲作改善のための組織もございます、そういった組織も活用いたしまして具体的に推進をしていくということでございます。これからはこの運動を軸にいたしまして各村々に稲作改善の機運を盛り上げてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/89
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090・多田省吾
○多田省吾君 昭和五十九年度の予算はどうなってますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/90
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091・中野賢一
○政府委員(中野賢一君) 稲作の技術改善の関連の予算につきまして申し上げますが、五十九年度、新しく先導的稲作技術改善特別事業というのを今度の予算にお願いをいたしております。金額といたしましては一億六千九百万円でございますが、これは重要かつ高度の稲作技術につきまして各地域における技術基準の策定、それからそういった稲作技術の実践集団の育成、そういうものを重点的に考えている予算でございます。
それからこれは継続でございますが、水田作総合改善モデル地区設置運営事業、金額にいたしまして十七億円ばかりの予算をお願いいたしております。
そのほか高能率農業生産組織育成対策事業、それから米麦等大規模乾燥施設等整備事業、そういったもろもろの予算をお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/91
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092・多田省吾
○多田省吾君 いずれにしましても、お米は食糧の基本でございまして、今後質量ともに力を入れていかなければならない問題だと思います。
需要の拡大が叫ばれてから久しいわけでありますが、当局としてどのような点に施策の充実強化を目指されていみのか、また今後の我が国農業の中における稲作の位置づけについてどのような構想を立てているのか、この基本的態度についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/92
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093・野明宏至
○説明員(野明宏至君) 米の消費にわたる部分についてのお尋ねでございますが、お米は言うまでもなく我が国農業の基幹となる作物でございます。また国民にとりましても非常に重要な食糧でありまして、また栄養面からいいましても、いわゆるたんぱく質、脂肪、炭水化物、これはPFCカロリー比率と言っておりますが、非常にバランスのとれた我が国の食生活、これが高く評価されておるわけでございます。したがいまして、米の消費拡大といった点につきましては米の需給均衡、こういった点に資することはもとよりでございますが、長期的に見まして、我が国の風土、資源に適した基本食糧である米を中心とした日本型食生活といった食生活の面からもその重要性を強調しつつ、これを広く維持定着さしていくことを基本といたしまして米の消費拡大というものに取り組んでおるわけであります。
具体的には、例えばお医者さんとか栄養士とか、あるいは婦人団体といった各層の協力を得まして、米についての正しい知識の普及啓発を図るとか、あるいは都道府県、市町村を通じます地域の実情に密着した米の消費拡大を進める、さらには学校給食についても引き続きその推進を図っていく。こういったようなことによりまして、米の日本型食生活といった面からの非常に評価される部分を理解してもらいつつ、各般の施策によって米の消費拡大というものに取り組んでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/93
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094・中野賢一
○政府委員(中野賢一君) 米の生産の位置づけについてお尋ねがあったわけでございますが、ただいま食糧庁の方からもお答えありましたように、米は日本の食生活における最も重要なものでございます。また、農業におきましても、農家経済におけるウエートは非常に高いわけでございます。全農家の約八割が米の生産に従事しておりますし、米の生産高も農業生産の中で約三割でございます。したがいまして、農家経済から見ましても最も重要な作物であるわけでございまして、最近、残念でございますが、気象等の要因もございまして、四年の連続の不作でございまして、一番要請されておりますのは、作柄の安定であろうと思います。
したがいまして、これから米の生産につきましては、この作柄の安定を図るということを一番の緊急の課題にいたしまして取り組んでまいるつもりでございまして、先ほど申し上げました新稲作運動もその一環でございまして、稲作技術水準の向上、それから地域稲作の総合改善を図るための基幹施設の整備とか、そういった新しい技術の開発、普及にも努めてまいるつもりでございます。先ほど申し上げましたように、作柄の安定を図りまして農家経済の安定を図るということを基本に考えてこれからまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/94
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095・多田省吾
○多田省吾君 一応のお答えをしていただいたわけでございますが、重要な問題でありますので、さらに政務次官に重ねてお伺いしておきたいと思います、要望も兼ねてですね。
お米の需要の拡大問題につきましては、御存じのように、不幸なことに戦後お米を食べるとばかになるというようなことを言われた方がおりました。その真意はわかりません。あるいはお米を食べると太り過ぎになるとか、あるいは日本人の発育にも好ましくないとか、そういういろいろなこ
とが言われましたが、そういうものは全部誤りであったと、私はこのように思います。
最近では、お米は我が国農業の根本問題であるということは当然でありますが、健康の面を考えましても、昭和三十五年のお米を中心とした食生活をやっていれば、成人病が日本にこのように多くなることはなかっただろうなんということも言われておりますし、最近では、アメリカ等におきましても、お米とかおすしなんというのは最大の健康食としてもてはやされているようでございますし、また学校給食でも拡大されていることは大変結構なことだと思います。
お米の需要の拡大というものは農水省におきましてももっと根本的にPRする必要があるのではないか、このように思います。前に渡辺元農林大臣がテレビ等で、お米の需要で、茶わん一杯のお米を余計に食べてもらえばこの問題は解決するんだ、こういうようなことでPRされておりましたけれども、何も私は山村農林大臣にそうせよとは言いませんけれども、もっと厚生省等ともタイアップして、健康という面からも、あるいは農業の根幹という意味からも、お米の需要拡大というものを考える必要があるんじゃないかと、このように思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
それからもう一点は、我が国農業の中における稲作の位置づけですね、これをどう考えているのか。
この二点、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/95
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096・井上裕
○政府委員(井上裕君) 先生、私は大蔵の政務次官でございますので……。
きょうは農林大臣、政務次官が参りませんが、いろいろお話をして先生の御意思に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/96
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097・多田省吾
○多田省吾君 まあ、大蔵の政務次官であられますけれども、農水省の政務次官や大臣にもよくお伝えいただきたい。
それから次に、最近話題になっておりますハイブリッドライスについて若干お尋ねしておきたいと思います。
このハイブリッドライスについての開発研究、それから外国におけるいろいろな状況もあわせまして、その概要をまずお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/97
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098・栗田年代
○説明員(栗田年代君) お答え申し上げます。
ただいまお尋ねいただきましたまず第一点の、諸外国におきます稲の一代雑種、これがいわゆるハイブリッドライスと称するものでございますが、これに関します研究開発の状況を申し上げます。
まず第一に中国でございますが、一九七〇年に研究を始めたようでございます。それ以後研究を重ねまして、一九八二年の栽培面積を資料によって眺めてみますと、約六百万ヘクタールということになっております。その内容につきましては、インド型の稲品種が大部分でございまして、収量水準は、もみの重さでございますが、もみの重さで十アール当たり四百五十から五百キログラムでございます。また、稲の一代雑種利用の際の重要な問題でございます採種の効率が著しく低い状況でございます。
次にアメリカの場合でございますが、アメリカのある企業が、契約によりまして中国より導入いたしました技術を利用いたしまして開発中でございますが、まだ実用化にまでは至っていないというふうに聞いております。
それから韓国でございますが、韓国では国際稲研究所から入手いたしました種子についての小規模な試験が試みられているというふうに言われております。
それから国際稲研究所、これは通称IRRIと称している研究機関でございますが、ここにおきましても研究開発が実施されていますが、まだ実用化されてはおらないというふうに聞いております。
さて、我が国でございますが、農林水産省におきましては、米を主食用以外の用途に利用する場合に、超多収品種の育成が基本となるのではないかというふうに考えまして、現在の収量レベルの五割増、多収穫田では十アール当たり玄米で一トン以上を目指す目標を設定いたしまして、五十六年度から組織的な共同研究体制のもとに研究開発を実施しているわけでございます。
この超多収品種の開発計画の一環といたしまして、五十八年度から新たに雑種強勢を利用いたしました稲の一代雑種、いわゆるハイブリッドライス品種の育成に着手しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/98
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099・多田省吾
○多田省吾君 農水省では五〇%増収のいわゆる他用途米のものを開発する計画で、十アール当たり一トンを目標としていると。これは大体昭和何年度ごろを目標にしているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/99
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100・栗田年代
○説明員(栗田年代君) ただいま申しました計画におきましては、昭和七十年を最終年次に一応設定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/100
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101・多田省吾
○多田省吾君 他用途米とお聞きしましたけれども、これを全稲作へと全面的に切りかえるようなお考えは毛頭ないのかどうか、その辺お伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/101
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102・栗田年代
○説明員(栗田年代君) これは開発の目標というようなことにかかわることかと存じますが、長期的な課題といたしまして、米を主食用以外の用途に利用するということを想定して多収稲の開発目標を一応立てているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/102
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103・多田省吾
○多田省吾君 この場合、あれですか、ハイブリッドライスということになりますと、毎年その稲もみは新しくしなくちゃいけないのでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/103
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104・栗田年代
○説明員(栗田年代君) これは雑種第一代ということでございまして、先ほど申しましたように、稲の場合には一代雑種を利用するということになりますと、その種もみは毎年新しくつくりまして、毎年新しいその一代雑種の種を使わないと栽培できないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/104
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105・多田省吾
○多田省吾君 アメリカのある企業がとおっしゃっていますが、石油会社だと思いますけれども、報道によりますと、相当開発が進んでいるようなことも承っているわけです。今、お答えでは、研究中だというようなお話でございますが、そのオキシデンタル社のハイブリッドライスの種もみがもう既に韓国に渡って試験的につくられているとか、そういう報道もなされておりますけれども、その辺はいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/105
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106・栗田年代
○説明員(栗田年代君) 開発と申しましてもいろいろな段階がございまして、収量性ということと、それからそれ以外のいろんな稲が備えてなければならない性質がございます。例えば病気や虫に強いというようなこと。特に日本ではまた低温に抵抗性があるというような低温抵抗性、あるいは病害、虫害に対する抵抗性、それから日本の気象条件にうまく合うかどうか、あるいは消費者の皆さんの御嗜好に合うかどうか。いろいろなことで収量性以外の非常な問題点がございます。
さらに、一代雑種品種の場合には、種とりの問題が非常に重要な課題になっております。すなわち種が非常に実りにくいものでございますので、種をとるために非常な人力あるいはお金が必要であるというようなこと、そこらあたりのことがまだなかなか解決が十分についてないというのが現状でございます。
それからさらに、韓国におきまする一代雑種の試作についてでございますが、私どもが承知しているところでは、先ほど申しましたように、国際稲研究所から入手した種を使っている。その中にアメリカのある企業が持っていた種が国際稲研究所を通じて韓国に提供されたというふうに承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/106
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107・多田省吾
○多田省吾君 今おっしゃった会社はアメリカのオキシデンタル石油会社だと思いますが、実際にいわゆるF1種子というものを過去に売り込もうとした実績もありますし、既にそれが韓国でも試験栽培されているということも聞きましたが、そのような外国からの技術開発による新しい品種あるいは価格の安い米が、我が国の国内の生産者や市場に入り込むおそれが全然ないのか、あるいは他用途米だけではなしに、それが日本の主食にまで及ぼすようなおそれはないのか。
それから低温の問題とか病害の問題なんかも言われましたけれども、そういったものが解決されると、あるいは味なんかも改良されれば、そういうおそれが十分にあるんじゃないかと思われますけれども、そういうことはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/107
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108・中野賢一
○政府委員(中野賢一君) お答えいたします。
今現在、私どもの方の日本では、稲の種でございますが、植物防疫法上もみでは輸入できないことになっております。これは病害の防止のためでございます。
ハイブリッドライスの輸入の問題でございますが、外国からの種につきまして果たして日本でその地域に適するかどうか、先ほど来いろいろお話も出ておりましたのですが、特に病害抵抗性とか、いもちの抵抗性があるかとか、そういったいろいろのテストをまずしなければなりません。したがいまして、現在私どもが開発した稲の種につきましても、国内でそれぞれの各県で適応性検定試験であるとか、地域で奨励品種に決定するかどうかというようなテストをいつもやっておるわけでございます。そういったいろいろのテストがありまして初めて導入できるわけでございまして、外国でハイブリッドライスができたからといってすぐに我が国へ導入できるという、そういうものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/108
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109・多田省吾
○多田省吾君 しかし、先ほどお話ありましたように、昨年アメリカのオキシデンタル石油会社とIRRI(国際稲研究所)から韓国においては種子を輸入して試験を開始したと聞いております。問題点としましては、アメリカが直接我が国に稲を含めて植物の種子を輸入しようとした場合は、今おっしゃったように、防疫上の問題があるということで防ぐということでございますが、今度はそれを韓国を経由して日本に輸入させようという動きも考えられますけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/109
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110・中野賢一
○政府委員(中野賢一君) お話のございましたように、確かに韓国経由でございますと現在の植物防疫法上の規制でも輸入できる建前になっております。しかしあくまで種につきましては稲作の一番基本になるものでございます。先ほど申し上げましたように、本当に日本の地域に適するかどうかというテストも要りますし、それから種の供給を全く外国に依存するというのはいささかどうかという、そういう問題もございます。したがいまして、種は日本の国内で生産されたものを使うというのが基本であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/110
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111・多田省吾
○多田省吾君 この問題で最後にお尋ねしたいのですが、最初にお答えになった我が国のいわゆるハイブリッドライスの活用につきましては、昭和七十年度までに他用途米として一アール当たり一トンの収穫を見越して研究中だ、計画があるというお話でございましたが、その場合に、他用途米とする場合との程度の規模と収穫を見込んでおられるのか。決まっていなければ、いつまでにその計画をはっきり示されるおつもりなのか。それから他用途米となるべきものの加工及び市場の開発をどのように行うのか。コストの面ともあわせてその見通しを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/111
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112・栗田年代
○説明員(栗田年代君) ただいま御指摘ございましたように多収稲のプロジェクト研究を行っているわけでございますが、その中でのいわゆるハイブリッドライスの研究に着手したところでございます。これは先ほど申しましたような超多収稲の開発全体の計画につきましては、先ほど申しましたような一応目標を立てまして計画を推進しているわけでございまして、当然その中で稲の一代雑種品種の開発も考えているわけでございます。
ただ、稲の一代雑種に関します試験研究の蓄積等につきましては、着手してまだ日が浅いわけでございますが、稲全体の育種やあるいは栽培全体に関しましては、非常に豊富な知見と経験を我が国は有しております。また、多くの遺伝子源も稲に関しては持っておりますので、これらの活用によりまして、冷害とか病害とか虫害の多発する我が国の立地条件に適した超多収品種で、かつ用途に応じた品質を有する稲の一代雑種の開発は十分に可能であろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/112
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113・多田省吾
○多田省吾君 それでは最後に、日米間の牛肉・オレンジ輸入問題で若干お尋ねしたいと思います。
東京ラウンドの合意切れを目前にいたしましてまだ協議がまとまっていない状況であります。それで今日までの経過を簡明にひとつ御報告いただきたい。
特に、一昨日も日米高級事務レベル協議及びアムスタッツ米農務次官と農林大臣との会談もありましたけれども、まあ短い話でありましょうが、どのようになっているのか、まず概要をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/113
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114・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
牛肉・かんきつをめぐるアメリカとの協議は、一昨年十月ホノルルで第一回の協議を行いましてから、本年の一月の二十日、二十一日の第五回目の協議まで断続的に行われてまいりました。その後、先週でございますが、ホノルルで輸入枠以外の周辺的な問題についての専門家レベルでの協議というのも行われました。現在のところ、アメリカ側も、輸入制限の撤廃あるいは輸入制限を撤廃する時期を明示するという問題について、ある程度弾力性を示してきたわけでございますが、そうは申しましても、日米間で相変わらず非常に大きな隔たりがあるという状態が続いております。
それで、先生お尋ねの日米高級事務レベル協議の際には、アメリカ側も日本側も、この牛肉・かんきつ問題は、東京ラウンドの数量に関する合意の期限切れにならないうちにまとめるように早急に協議を前進させる必要があるという認識においては、お互いに一致いたしましたが、それ以上の中身にわたる交渉は行われておりません。
それからアムスタッツ次官が山村農林水産大臣のところへ参りましたが、これは表敬訪問ということでございますが、その席上アムスタッツ次官の方から申し述べましたことは、アメリカ側としては、輸入制限撤廃という問題についてすでに相当思い切った譲歩をする用意を示してきたのであるから、今度は日本側がこたえてくれる番である、それを早くやってもらいたいということを期待しておるのであるというメッセージが彼の伝えたかった主眼でございます。
私どもの方といたしましては、そうは言われましても、なかなか軽々に処理できるような問題ではございませんが、何しろ事態は差し迫ってきておるという、そういう事態にふさわしい対応はしなければいけないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/114
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115・多田省吾
○多田省吾君 いま日本側にげたを預けられたようなことになったというお話があったわけでございますが、三月末までの合意を急ぐ余りにわが国にとって不利な内容を含むような合意を絶対にしてはならない、このように思いますけれども、その点、農水省、外務省両省、どういうお考えでいるのかお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/115
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116・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 本件交渉にいかなる態度で臨むべきかということにつきましては、本院の農林水産委員会からも御決議を賜っておりまして、あくまでもわが国の農業の存立を防衛するということを基本に置いて対処せよという趣旨の御決議をいただいておりますので、先生ただいま御注意いただきましたように、かりそめにも、時間を気にする余り、問題の本質をわきへ置いて慌てて事を処理するというようなことはあってはならないことというふうに存じておりまして、その点は外務省も全く同様の意見でございます。ただいま先生のせっかく御注意をいただきましたので、ますますその点については慎重な心構えで対処したいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/116
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117・七尾清彦
○説明員(七尾清彦君) 外務省といたしましても、片や日本の農業のことを十分考えつつ、同時にこの三月末に参ります期限というものを念頭に置きながら、これがうまくいかない場合には日米関係にも影響を及ぼすところ大と考えておりまして、その辺総合的に頭に入れながら、農水省さんとよく御相談いたしながら慎重に進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/117
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118・近藤忠孝
○近藤忠孝君 最初に、これは果樹共済、畑作物、
それから園芸施設、各共済の加入率問題についてお伺いしたいと思うんです。
都道府県別の加入率状況の資料をいただきましたが、加入率が高いのは北海道、富山。しかし、同じ北陸でも石川は大変少ないし、東京は別として、岡山、福岡、熊本、ここは大変少ないんですね。こういうアンバラがありかつ低い状況。なぜそうなっているのかその事情と、これを高めるための方策としてどういうことを考えておるのか、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/118
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119・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
先生御指摘のございました果樹、畑作物、園芸施設共済、これはいずれも農作物共済とは異なりまして、制度発足以来まだ日が浅いということが何といってもまずあろうかと存じます。加入率が低いという問題点を共通に抱えておるわけでございますが、本格実施後日が浅いということのほかに考えられますことは、一つは、何と申しましても、稲作に比べますと農家の間に経営技術の水準の格差がございます。これは当然また農家の加入意欲に差が出てくるということにならざるを得ないと思います。
たとえば畑作物、中でも特にたとえば大豆などの場合で見ますと、農業経営に占めるウエートも、殊に内地の大豆なんかの場合ですと非常に低い場合が多いわけでございまして、そうなりますとそれが農家経済に及ぼすという影響も少ない。
あるいは園芸施設について見ますと、非常に簡易な施設を所有している農家の場合には、リスクという意識が非常に低いというふうなことが挙げられようかというふうに存じます。
それで、私どもといたしましては、加入率の促進につきましてはいろんなキャンペーンをやっておるわけでございますが、農家向けにパンフレットを作成するとか、あるいは地方自治体、農業団体を通じて普及推進説明会をやるとか、あるいは集団栽培地帯における引き受け推進の強化のための各種の措置をやるとか、そういうことをやっておるわけでございます。
ただ、そういうことのほかに制度面からも手当てが必要なのではないかと思われる果樹共済の場合には、先ほど末お答えいたしましたように、五十五年度の制度改正で加入率促進に貢献すると思われるようないろんな改善措置を講じさしていただきたいというようなこともございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/119
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120・近藤忠孝
○近藤忠孝君 県別のアンバラもさることながら、同じ県内でも、大体同じものをつくっておる場所でも、場所によって随分遣うんですよね。そして、大体入っていないところにどかっと災害があって後で大慌てする。こういうこともしばしば見られるわけです。これはかなり指導と熱心さの問題、また人の問題も随分あると思うんですが、その辺についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/120
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121・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
その点はまさに先生のおっしゃるとおりでございまして、そういう意味では、平たく申せば、民間の保険会社でいえばセールスに当たるようなことでございますね。先ほどいろんなキャンペーンをやっておるというように申し上げましたが、まさに近藤先生御指摘のようなそういう事態を念頭に置いて、一つの運動として組織していくという側面に力を入れる、役人の机上論で制度をいじるばかりで加入率は上がるものではないというふうに思っておりますので、それはそういう方向で努力をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/121
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122・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それから樹体の支持物を対象にせよということについて、それが対象としてふさわしいかどうか資料がまだないというので、大分前から調査してきておるんですね。ただ、調査の対象が大体災害のないところを主にやってきたんじゃないかというようなことを前に指摘しまして、それで前回から調査しておるんです。で、かなり調査対象も改善されて広がっておるようですが、その後二年たってますから、その調査結果はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/122
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123・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) これはまさに先生の御指摘がございましたので、五十七年度から調査対象県をかえまして、山形、新潟、それから富山ということで調査を五十七年度から切りかえました。ところが、五十七年度の場合は、幸いと申すべきか不幸と申すべきか、山形県以外には支持物の被害はございませんで、五十七年度はせっかく調査対象県をかえてみましたんですが、十分な資料というものはございませんで、ことしの場合には御承知のような事情でございますので、農家の皆さんにとっては大変お気の毒なことなんですが、かなり損害状況の資料は集まるはずでございますので、今後この調査を積み重ねて、被害率を算定するに足る資料の蓄積が行われるようにしていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/123
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124・近藤忠孝
○近藤忠孝君 雪国を対象にしておったら、その後雪が降らなかったものだから、まだ結果が出ていないようですけれども、今度の豪雪で被害が出ていると思うんですね。
ただ、私も具体的に現地へ聞いてみますと、前回の被害が大変大きかったもので、その後自助努力をかなりみんなやっておるようですね。ですからそんなにひどい被害ではない。被害が出ておるにしましても、これは大分違ってきておるのではないか。ですから、そういう農民の細かな努力その他も十分に配慮して、そういう本当に細かいところに気が届くような調査をし、かつそれを対象にしていくように努力をすべきだと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/124
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125・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 御指摘のとおりと存じますが、ただ問題は、今先生はしなくも言及されましたように、農家の自助努力で回避し得る災害というのはなかなか保険にのりにくいという要素もございますので、言いわけめきますが、ただいま先生が御指摘になりました点自体がこの種の共済の難しさであるということもございますので、私どもはそういうことを逆手にとって共済制度にのせないようにするというつもりは毛頭ございませんが、難しさについては御理解を賜りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/125
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126・近藤忠孝
○近藤忠孝君 だから、そういう逆手にとってはいかぬということ、そういう努力のことを十分考えて、被害が少ないというその事態もそういうものがあるということ、しかしそれだって、災害はその努力を越えてやってくるわけですから、その辺は十分に対応せよということなんです。
それから最後に、今回の豪雪で特に熊本など今まで雪の余りなかったところに豪雪がありまして大変被害が集中しております。それで農作物被害の実情はどうか、これが第一点ですね。
それから、さっきも言ったとおり、今まで余り災害がなかったものだから共済に入っている率が極めて少ないし、熊本県でも入っているところよりは入っていないところの方に災害が多かった。こういう状況で、これはもう本当にびっくりするような被害が出ておるわけですが、こういう入っていないところに対しては農水省としては具体的にどういう対応策をとっていきますか。例えば金融対策として自作農資金の枠を広げる余地があるかどうか、そんな点も含めて御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/126
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127・田中宏尚
○政府委員(田中宏尚君) この冬の豪雪によります農林水産関係の被害額でございますけれども、現在のところまだ最終的な集計にはなっておりませんが、県からの報告を単純に集計してみたところでは、総体で三百四十三億ということになっております。このうちで農作物の被害が百十五億、それからビニールハウスを中心とする施設の被害が二百十億ということになっております。ただいま先生からお話しありましたように、このうちの七割方が熊本県でございまして、熊本では未曽有の大雪ということで相当な被害を受けておるわけでございます、
こういう被害に接しまして、農林水産省といたしましては、早速本省段階なり関係地方農政局、こういうところで豪雪災害連絡会議というものを開きまして、鋭意被害状況の把握なり、末端の営農指導ということに当たってまいったと同時に、そういう施設の復旧のための資材の手当て等について万全を期しているわけでございます。
先生ただいま御指摘ありました金融問題につき
ましては、今関係県で資金需要というものを精査しておるわけでございまして、その結果をまちまして、適宜いろいろな制度があるわけでございますので、少なくとも営農の再建に支障のないような形で十全な手当てというものはやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/127
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128・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それから園芸施設の雪害防止策とか、あるいは露地野菜等のいろんな市場への入荷を確保する問題、こういう具体的問題というのはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/128
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129・田中宏尚
○政府委員(田中宏尚君) 資材につきましては、特に一番流通業者で大きい全農を通じまして、ビニールであるとかあるいは鉄骨であるとか、こういうものの円滑な供給を指導してまいってきておりますし、それから特に豪雪地帯での生鮮食料品の流通問題というものが問題になっておりますので、卸売市場を中心にいたしまして円滑な荷引きというものについて指導を重ねてきておりまして、豪雪がありまして一日、二日ぐらいは若干問題のところもあったようでございますけれども、二日、三日とたつに従いまして、大体おかげさまで平穏に過ぎてきたんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/129
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130・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それから園芸施設等の被害について共済金の早期支払いをせよと、こういう要求がありますが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/130
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131・佐野宏哉
○政府委員(佐野宏哉君) 現在、共済団体を督励して取りまとめを急がしておるところでございますが、熊本のような特に大事なところには担当官を直接派遣いたしまして被害額の査定に指導をさしておりますが、御指摘のとおり、私どもとしても大急ぎで対応したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/131
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132・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それから造林被害についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/132
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133・田中宏尚
○政府委員(田中宏尚君) 造林被害につきましては、まだ山の中が雪なものでございますから、残念ながら現時点ではどういう被害状況かということは把握できておりませんけれども、少なくとも北陸四県なりあるいは長野それから青森、こういうところでは雪解けを待ちまして精査はいたしたいと思っておりますけれども、ある程度の被害というものが発生するんじゃないかというふうに見込まれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/133
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134・近藤忠孝
○近藤忠孝君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/134
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135・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) ほかに御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/135
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136・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、梶木又三君が委員を辞任され、その補欠として杉山令肇君が選任されました。
また、本日、鈴木和美君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。
速記をとめて。
〔午前十一時五十一分速記中止〕
〔午後零時四分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/136
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137・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 速記を起こして。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/137
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138・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) これより討論に入ります。
別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
農業共済再保険特別会計における農作物共済及び畑作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/138
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139・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/139
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140・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/140
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141・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 次に、派遣委員の報告に関する件につきましてお諮りいたします。
先般、当委員会が行いました租税及び金融等に関する実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員から報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/141
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142・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X00319840223/142
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