1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年六月二十一日(木曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 伊江 朝雄君
理 事
岩崎 純三君
大坪健一郎君
藤井 孝男君
竹田 四郎君
塩出 啓典君
委 員
梶木 又三君
河本嘉久蔵君
倉田 寛之君
中村 太郎君
福岡日出麿君
藤井 裕久君
藤野 賢二君
宮島 滉君
矢野俊比古君
吉川 博君
赤桐 操君
鈴木 和美君
丸谷 金保君
多田 省吾君
近藤 忠孝君
栗林 卓司君
青木 茂君
野末 陳平君
国務大臣
大 蔵 大 臣 竹下 登君
政府委員
大蔵政務次官 井上 裕君
大蔵大臣官房審
議官 行天 豊雄君
大蔵省主計局次
長 平澤 貞昭君
大蔵省主税局長 梅澤 節男君
大蔵省理財局長 西垣 昭君
大蔵省理財局次
長 志賀 正典君
大蔵省銀行局長 宮本 保孝君
大蔵省国際金融
局長 酒井 健三君
事務局側
常任委員会専門
員 河内 裕君
説明員
防衛庁防衛局防
衛課長 藤井 一夫君
防衛庁経理局施
設課長 大原 重信君
防衛庁装備局開
発計画官 太田 眞弘君
経済企画庁調査
局審議官 田原 昭四君
参考人
日本銀行総裁 前川 春雄君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保
を図るための特別措置等に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/0
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001・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置等に関する法律案の審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁前川春雄君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/1
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002・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/2
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003・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置等に関する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/3
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004・丸谷金保
○丸谷金保君 最初に大蔵大臣にお伺いいたします。
けさの新聞でも、シーリングの問題が華やかに論議され始めたような模様でございます。特例債の問題をどうするかというふうなことで、まだこの委員会の決着のつかないうちに政府・与党の中からそういう論議が公然と行われるということについては、私は本委員会というものに対する考え方を非常に疑わざるを得ないんです。さすがに大蔵大臣は、とても今ゼロシーリングを変更するような状態でないということを言っておりますけれども、そういう認識が政府・与党の間にきちっと整理されていないんじゃないか。もっともうちの委員長などもにぎやかに言っておりますけれども、私は必ずしもあの委員長の意見に賛成するものじゃないんです。このことについてまず大蔵大臣の確たる見解を示していただかないと、ここで幾ら論議しても不毛の論議になってしまうんじゃないかという気もいたしますので、まずその点からひとつお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/4
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005・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私も、本日、外国のお客さんがございましたので、朝刊をつまびらかに読む時間がございませんでしたが、昨日、政府・与党連絡会議がございました。その際、いわゆるシーリング問題についての意見が出ました。私が申しましたのは、シーリングというものは昭和三十六年予算からいわば予算編成を進めていく手順における一手法として使われてまいっておりますと。ただ、昭和三十六年でございますから、昭和三十五年に池田内閣が成立して、いわば所得倍増、高度経済成長政策というところで無限に予算要求規模が広がってはならぬから、したがって五〇%増の天井をつくると、こういうところから始まったわけのものである。したがって、それが昭和三十五年予算、私は大蔵大臣でありましたが、のときにはプラス一〇%シーリング、そして六年がプラス七・五、五十七年がゼロ、五十八年がマイナス五あるいは五十九年が一〇、経常部門と投資部門とを分けてマイナス一〇とマイナス五、こういうようなことから今日に至っておる。したがって、これは法律、政令で決まっておりますのが、翌年度予算は八月末日までに概算要求を提出するということであるので、したがって、言ってみれば、予算が決まるのはおおむね十二月ということでありますが、これも財政法には十二月中に提出するを常例とすると、こう書いてありますけれども、明治以来一遍も提出したことはない。そんなお話もいたしまして、したがって一手法だというような説明をしておったわけであります。
一方、党と党とで概算要求前に、最終的に十二月なり、そういう時期に党と党の話し合いをするよりも前広にやった方がいいんじゃないか、こういう話があってそれらの申し出もされておる。そういうときに、丸谷先生の所属の政党の委員長云々は別といたしまして、各党の政策担当者がいろんな議論をされるのは、これは政党政治である限りにおいてこれは当然のことじゃないか。しかし、私、今財政当局の責任者としてこのシーリング、いわば概算要求に臨む態度として考えるならば、これはこれから勉強さしていただいて、あと三十五日ぐらいあるんじゃないか。したがって、その間に徐々に固めていくべきものであろうと、数字そのものについては。しかし諸般の情勢から見れば厳しい対応をせざるを得ない。こういうふうに具体的な面と、そして抽象的な面と使い分けをいたしましてそういうお話をいたしたわけであります。
したがって、今日の状態を見ますときに、それはサミットヘ参りましたところで、アメリカの財政赤字を鋭く追及しつつも、さて一般会計の中に占める財政赤字の比率は日本の方がアメリカよりも多いし、そしてまた対GNP比に対しても多いし、公債残高にしても対GNP比で比べればもちろん多いし、そういうような状態を考えてみますときに、少しでも緩い対応をするという環境には現状、全くない。だから具体的には今しばらく勉強さしていただくことといたしますが、いずれにしろ厳しい総枠抑制の考え方で臨まなければならないというふうに私はみずからに言い聞かしておると、こういう現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/5
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006・丸谷金保
○丸谷金保君 みずからに言い聞かせなくてもいいんですがね。ひとつそれは外に向かってというより、おたくの中でもう少し皆さんに言い聞かせていただかないといけないんじゃないか。事ほどさように大変な財政の状況にあるということは、一昨日私の質問に対して、まさに戦後財政としての最大の政策転換だということを大蔵大臣自身お認めになったような大変な時期だという認識がどうも足りないんじゃないか。そういうシーリングの問題が少しにぎやかになってきた背景には、多少景気が上向いてきた、こういうふうなことも心理的に影響しているんじゃないかと思います。確かに景気は上向いてきていると思いますけれども、それにしても、そういうときに余裕ができれば、それはもう特例債に当然回していくという今までの再三の御答弁の方に向けなければならないものだと思いますが、それで日銀総裁に特にそのことについてお願いをいたしたいと思います。
御質問いたしますが、一昨日、日銀が月例経済報告の中で、個人消費を含めて景気は緩やかに回復しているというふうな発表をなさっておりますが、そうした現況を踏まえて、五十九年度の今後の景気の見通しについて、日銀の予測といいますか、お考え方をまずお願いいたしたい。
それからもう一つ、現在日銀で保有している市中銀行への貸し出し担保としての保管中の公債及び市中から日銀が買い入れた公債残高、それから短期証券といいますか、大蔵証券の現在の手持ち額。本来、短期証券は期末で整理しますから余りないかと思いますけれども、念のためにお聞きいたしたいと、かように思う次第でございます。
それから大変な政策転換だということで、大蔵大臣から国債の歯どめ論についての再三にわたる当委員会に対する御答弁がありますけれども、今回の定率繰り入れ、さらに特例債の借りかえというふうなことになりますと、あと歯どめは何かということになると、先日も私は申し上げたんですが、あと日銀の引き受けをさせないということ以外にないんじゃないか。これは今法律で禁止しているからその心配はないとおっしゃっても、実は法律事項を改正して次々に歯どめを外してきていますので、現在法律で禁止しているからその心配はないということではちょっと私たちとしては納得ができないんです、いつ改正されるかわからないので。日銀としては、いかなることがあっても戦時公債発行時のような新発債の引き受け、こういうことはしないというお覚悟のほどをぜひこの機会に承れれば御所見をいただきたいと思います。
以上、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/6
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007・前川春雄
○参考人(前川春雄君) 最初に景気の現状並びに五十九年度の景気の見通しについてどういうふうに思うかという御質問がございました。
景気の現状につきましては、現在跛行性がございまするので、総体としてどうかというふうに言うのは、人によって見方が違うということもございまするけれども、私どもといたしましては、総体として全体を総合してみれば、着実な回復が進んでおるというふうに見てよろしいのではないかというふうに思います。
ただ、この景気の回復が輸出の増大ということから起こっておりまするので、輸出に近い業種から景気がよくなっているという、経済活動が活発になっているということは当然であろうと思います。そういう意味から業種間にかなりのでこぼこがあるということでございますが、一般的に申しますれば、素材産業は余りよくない、加工産業は割合とよろしいということでございます。ただ、こういうふうな経済活動の活発な状態が続いておりまするので、漸次素材産業と加工産業との間の格差も縮まりつつあるというのが現状であろうかというふうに思います。
明年度の景気がどうかということにつきましては、まだいろいろ決まらない要素がございまするので、私どもといたしましても、五十九年度全体として景気がどうかということを具体的な数字を挙げての検討をいたしておりません。多分に世界景気がどうなるかということに依存する面が多いであろうというふうに思っております。
本日、新聞等に出ておりますOECDの見方等を見ましても、あるいは昨日発表されましたアメリカの第二・四半期の経済成長の状況等を見ましても、今のアメリカの景気の回復のテンポがやや早過ぎる。これが世界景気を引っ張ったという事実はあるわけでございまするけれども、ややテンポが早いわけでございまして、もう少しスローダウンする方がむしろ景気が長続きするであろうというふうな見方が多いというふうに思います。
先日のサミットでも合意されましたように、今のインフレなき経済成長をどうやって長続きさせるかというのが今の先進国の間の共通の政策目標であろうと思いまするので、そういう意味で、これを長続きさせていくように各国が節度ある財政金融政策をとっていくということが必要であろうと思います。そういういろいろの状況を判断いたしますると、アメリカの景気はあるいは現在より多少スローダウンするということを考える方が公算としては大きいのではないかと思いまするので、それが世界経済、その中の日本経済にどういうふうに影響を及ぼしてまいりまするか、その辺のところはまだ的確には判断いたしかねます。ただ、先ほど申し上げましたように、輸出から内需の方にだんだん波及してきておるということでございまするから、私どもといたしましては、これが内需の面の実質的な回復が続くことを期待しておるわけでございます。
第二の御質問で、日本銀行の国債の保有がふえ過ぎるということはいろいろ問題があるのではないかというお話がございました。その中で御質問がございまして、貸し出しの担保として国債をどのくらいとっておるかということでございます。現在、五月末の残高では、日本銀行の貸し出しの中で債券を担保といたしておりまする貸し出しの残高は七千二百億円ございます。このうち大部分が国債でございます。数字を実は申し上げられないわけでございます。それはこの貸し出し側の銀行が据え置き担保を入れております。据え置き担保は国債が大部分ですけれども、金融債も入っておりまするので、それを担保として貸し出しをいたしまするからどの分がどの分というわけにまいりませんが、大部分が国債というふうに御理解いただいてよろしいかと思います。
市中から国債をどのくらい買ったかという御質問がございました。四十一年度以降、日本銀行はそれまでの成長通貨を日本銀行の貸し出しによって賄うという方式を改めまして、成長通貨に見合う部分は国債の買い入れをする。つまりその当時オーバーローンということが非常に言われまして、日本銀行は貸し出しだけでやっておりますると貸し出しの残高がどんどんふえるということでございまするので、国債の買いオペを成長通貨の増加の範囲内でやるという金融方式に変えたわけでございます。そういうことで、その当時から現在までオペ、国債の買い入れをいたしました金額は十一兆五千億弱になっております。銀行券の増加が十七兆ぐらいございまするのでその範囲内にとどまっておるということでございます。ただ、こういうふうに買い入れをいたしましたけれども、一方、日本銀行はこの国債を売却もしております。海外の中央銀行に売却するとか、あるいは国内でも売却するとかというようなことをいたしておりまして、現在のところ中期国債の保有残高は五月末では八兆六千億。
大蔵省証券の保有残高がどのくらいかという御覧間がございました。政府短期証券の中の大蔵省証券の保有残高が五月末で五兆二千億。こういうふうな貸し出しの担保あるいは国債の買いオペというのは国債が担保になっておりまするけれども、日本銀行の信用を供与いたしまする先は民間でございます。信用膨張、日本銀行の信用というのが過度になりますると、これはインフレ的になりまするので、その点は私どもも、金融政策の重要なる指標といたしまして、日本銀行の信用膨張が過度にならないように常に気をつけておるわけでございまして、そのためには、あるいは金利の状況であるとか、あるいはマネーサプライの残高であるとか、そういうものを総合的に判断いたしまして金融政策を実行しておるわけでございます。
ただ、第三の御質問で、国債がだんだん残高がふえてくる、償還が行われない、あるいは借りかえになっていくということでは歯どめがないじゃないか。日本銀行がその上に引き受けるということではますますその歯どめがなくなるではないかという御質問でございました。
歯どめにつきましては、赤字国債といいますか、特例公債から脱却する目標年次が決まっておりますし、政府はそういう方向で御努力であろうと確信しておりまするので、私どももそういうふうになることを切望しておるわけでございまするが、実際問題といたしまして、その間にそういう国債を日本銀行が引き受ける、そういうことによって信用膨張が起こればこれはインフレになるじゃないか、そういうことの歯どめはどうかという御覧間であったと思います。
お話がございましたように、財政法五条で日本銀行は国債の引き受けを禁止されておるわけでございまするが、この財政法の五条ができました背景には、戦争中あるいは戦争前でも昭和の六、七年ぐらいから始まりました日本銀行の国債引き受け方式ということが、とかく財政の資金需要のために日本銀行の信用が使われる、それがインフレにつながるという幾多の苦い経験からこの財政法ができたものと思います。そういう意味におきまして、財政法があるから引き受けないということよりも一歩進みまして、日本銀行の信用が、全体のバランスを超えて信用膨張が起こりまするとそれがインフレにつながるということでございます。そういう意味におきまして、私どももこの法律の精神ということを考えながら対応してまいらなければいけないというふうに考えております。面接の引き受けはもちろんでございまするけれども、間接的に引き受けたのと同じような効果があるようなことは厳に慎まなければいけないというふうに思っております。私どももそういう意味におきまして国債の引き受けをいたす考え方は毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/7
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008・丸谷金保
○丸谷金保君 大蔵省にお伺いしますが、短期の大蔵省証券五月末残高、出納閉鎖期は五月末でございますね。その間にこれは整理するということになるんですか。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/8
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009・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 大蔵省証券と申しますのは歳入歳出と関係がない。歳田のための財源としては歳入に充てられる国債が発行されるわけでございまして、これは財政法の四条に基づいて発行されるわけです。大蔵省証券というのは、歳入と歳出は均衡していても時期的には資金繰りが合わない、その分を大蔵省証券を発行して資金繰りを合わせるということでございまして、五十八年度を通じて見ますと、五十八年度の歳出の財源はその年の歳入で見られるわけでございますが、一時的な資金繰りを大蔵省証勢で見ている。それは年度を通じればゼロになるわけでございます。
それから現実には二月あるいは三月のある時期には残高がゼロになったこともございます。ただ、五月、六月には五十九年度の方の資金繰りの証券がもう出ますので、五月、六月は大体残高があるというような状況でございますが、年度年度を通じて見ますと、その年に発行された大蔵省証券は歳出の財源として使われることなく償還される、こういう建前になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/9
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010・丸谷金保
○丸谷金保君 御説明のとおりなんですが、ちょうど地方自治体の一時借入金とやや似た性格のものだと思います。
ただ、この場合、上手に転がすと、瞬間タッチで大蔵省証券で転がすことできますわね。三月三十一日の十二時に返して、十二時一分にまた証券発行する、そういう転がしはやってないでしょうね。これはよくあることなんです、地方では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/10
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011・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 大蔵省証券は、先ほど御説明したような性質のものでございまして、私どもといたしましては、できるだけその発行を少なくしたいということで、厳正に取り扱っているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/11
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012・丸谷金保
○丸谷金保君 大臣、非理法権天という言葉を御存じですか。非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権力にはかなわない。しかしその権力も余り振るい過ぎると天が鉄槌を下す。これは中国の革命思想の中にある言葉ですが、天が鉄槌を下すようなことになったら大変なんです。特に現況の財政を見ていきますと、まさに法は権力に勝てないということが、ずっとこの法案一つ見てきて、あるわけです。もう繰り返し繰り返し特例債の借りかえはやらない、定率繰り入れは行うと。そして、そういう法律もできているわけですわね。しかし権力の都合では、今まさに風前のともしびということです。やっぱり法は権力に勝てないという。しかし、そんなことが無制限に続いて財政インフレというふうな天の鉄槌が下るようになったら大変だと、こういうふうに考えなきゃならないんです。
実は、今日銀総裁からは、公債の引き受けということは、それは日銀の信用という問題からも、そういう立場からも厳に慎んでいかなきゃならないと。ところが、過去には一遍あるんですね、昭和二十三年に。そのことを大蔵大臣、御承知でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/12
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013・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 二十三年、今調べておりますが、当時、財政法の規定に従いまして、国会の議決を経た範囲内ではということになっておりますので、その範囲内で、仮にやったといたしましたら、そういう引き受けがあったかもしれません。今、事実関係を調べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/13
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014・丸谷金保
○丸谷金保君 西境理財局長、御存じでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/14
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015・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 私の記憶も平澤次長と同じでございまして、たしか国会の議決を経た範囲の中で、一つだけ例がございまして、それがたしか昭和二十三作の例だったというふうに記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/15
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016・丸谷金保
○丸谷金保君 これは「特別の事由」という場合にはそういうこともあり得るような今の法体系になっているんです、一方では。ただ、しかし、このときの「特別の事由」というのは、市中から資金を調達することが不可能だということを「特別の事由」にしている。杉村章三郎先生が、これは「特別の事由」としては問題だと。こういうところまで「特別の事由」にするということは――当時の戦後のインフレの混乱の時期ですから、それは国会で議決を経たんだと思いますけれども、今の時代には前例があるからということで、これは「特別の事由」にはならないと思うんです。
日銀の総裁にお伺いいたしますけれども、日銀法の二十二条の二項によると、「日本銀行ハ国債ノ応募又ハ引受ヲ為スコトヲ得」となっているんですね。なすことができるということは、しないでもいいというふうにも解釈できますでしょう、事由がなければ。これはいかに政府が引き受けるといっても、日銀はこの法律に基づいて、こういう理由では引き受けられないと拒否する権限を持っていると思うんです。法律が非理法権天で改正されれば別ですよ。しかし、なかなかそこまではとてもやれないと思いますが、その場合、過去に前例のあった「特別の事由」、総裁としては、これはどういう場合に「特別の事由」と言えるというふうに御判断なさいますか。具体的な問題が出ないでこういう質問をするのは大変ぶしつけだとは思いますけれども、もはや歯どめというのはそこにしかないというふうに私たちは非情な危機感を持っているんです。それだけにこの委員会の中で特にここらあたりの論議は詰めておかなければならぬと思いますので、ひとつ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/16
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017・前川春雄
○参考人(前川春雄君) 先ほども申し上げましたように、私ども財政資金需要を賄うために日銀信用がふえることはインフレにつながりやすい。しかも、それは過去の経験に基づいてそういう法律もできておるし、現在そういう方針で日銀の運営をしておるということを申し上げたわけでございます。今でも財政法五条の「特別の事由」があって、国会で議決があれば引き受けることができるということになっておりますが、この日銀法の二十二条も「為スコトヲ得」でございますから、これは日銀の判断であるというふうに理解しております。
「特別の事由」というのは一体どんな場合があるのかということでございますが、これもどういう場合が起こるのかわかりませんけれども、現在「特別の事由」として考えられておりまするのは、国債は借りかえが現実に行われておるわけで、一般公共事業債、その国債の保有は日本銀行がある程度国債を持っておりますが、その国債が借りかえられる、償還期が到来するという場合には、新しい借換債を日本銀行が現実に引き受けております。これは「特別の事由」として国会の議決があるわけでございますが、この部分は既に日本銀行が保有している部分でございまするから、新たな借換債を引き受けることによって日銀の信用がそれだけ新たに膨張するわけではない。したがって、インフレにはつながらないということで、この借りかえ分については引き受けをしておるわけでございます。すべてそういうふうにこれが日銀の追加信用になるかならないかということの判断にかかっておるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/17
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018・丸谷金保
○丸谷金保君 その場合でも、先ほど総裁からお話のございましたように、通貨の発行高というものとの関連において当然一つの歯どめがかかるというふうに理解してもよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/18
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019・前川春雄
○参考人(前川春雄君) 私どもの日銀の信用は、先ほどの貸し出しあるいはオペでもそうでございますけれども、政府に対する信用だけがインフレにつながるわけではございません。民間に対する信用も、すべて日銀信用というものはそこでどれだけ追加されるかということがインフレにつながるか、つながらないかということが金融政策の総合判断であるというふうに考えておるわけでございます。
そういう意味におきまして、私ども国債につきましては過去に幾つかの苦い経験がございましたので、政府に対する信用につきましては、今財政法上も非常に厳格な規定があるわけでございまして、この政府に対する信用膨張はとかく歯どめと申しますか安易に流れやすい。それが全体の信用インフレにつながるという危険があるということから今言ったような規定があるわけでございます。
私どもそういう全体の金融状況、マネーサプライあるいは物価あるいは金利、そういうものを総合いたしまして信用膨張、信用創出の判断に資しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/19
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020・丸谷金保
○丸谷金保君 今の総裁の場合にはそういうことがないと思いますけれども、考えられることが一つ、こういうことがあるわけです。
歯どめがなくなって、六十五年までにはなくするというのがなかなかそうはいかなくて財政上の必要で新発債を出す。しかし市中はなかなか消化能力がなくなってきた。そうすると既発債をオペでどんどん日銀が買っていく。そこへシンジケート等に新発債を押し込んでいけば、これは日銀引き受けと同じようなことになりかねないので実は私は心配しているんです。だからここで言う「特別の事由」というのは、現在手持ちの既発債の借りかえは紙幣に関係ないからいいということまではわかりますけれども、そういう形になってきたときに日銀側の歯どめというのは非常に大事になってくると思う。それから考えると、私はこの「特別の事由」というのは、例えば大災害があって日本の紙幣が焼却その他でもってほとんどなくなってしまった、こういうことが「特別の事由」であって、二十三年に行われたように市中で調達できないから、あるいはそれをたらい回しするようなことであっても、私はこれは「特別の事由」にならないと思うんですが、総裁いかがでしょうか。そこら辺をひとつはっきりしておいていただかないと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/20
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021・前川春雄
○参考人(前川春雄君) 先ほど日本銀行は国債を引き受けるつもりはないということを申しました。そのとき多分直接あるいは間接ということを申し上げたか、ちょっと私覚えておりませんけれども、今お話しのように間接に新発債を市中に引き受けてもらう。しかし、市中かどうか知りませんけれども、そこへ金を新たに供給することによって新発債の消化が行われた形になるわけです。それは日銀信用がそれだけ膨張するわけでございまして全体のインフレにつながる危険が多分にある。私は財政法五条というものは、ここに書いてございますけれども、その精神というものはやはり守らなければいけないというふうに考えておりますので、直接あるいは間接を問わず新発憤、国債の消化のための日銀信用膨張というものは厳に慎まなければいけない、私もするつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/21
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022・丸谷金保
○丸谷金保君 大蔵大臣、衆議院で日本銀行の大目的というのは通貨管理だと、これはこうした国債の問題よりもむしろ対外的な問題の質問に対する御答弁のところでおっしゃっておりますけれども、これは今のような問題についてもそのお考えは変わりませんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/22
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023・竹下登
○国務大臣(竹下登君) そのとおり御理解いただいて結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/23
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024・竹田四郎
○竹田四郎君 途中でございますけれども、質問者のお許しを得て、日銀総裁の御都合もありますので、関連して質問をさせていただきたいと思います。
ことしは、金融問題としては相当大きな問題のあった年だと、私はこういうふうに思います。いわゆる二つのコクサイ化ということによって金融の自由化というものがどんどん行われ始めてきている。この自由化については総裁の、国内から自由化を進めていくのが原則じゃないかという御意見を今まで拝聴してきたわけでありますけれども、しかしまだ国内でも四畳半金利の態勢は残っているわけであります。まあ若干崩れつつありまして、きょうあたりの新聞を見ますと、金融債と国債との利回りの逆点というような問題も起こりつつありますから、昔ほど厳しい四畳半金利の格差をどうしても守っていくという形は崩れてきているとは思いますけれども、しかし残っている。今丸谷委員とのやりとりのでも、これからの国債を間接的に日銀が持たされる、今までもそうであったわけでありますが、持たされるという期待というのは、これは私はかなり出てくる可能性はあると思うわけですね。そう考えてみますと、日常の金利の問題を一体どう扱っていくかという問題は国債の問題と非常に深い関連があると、こう思います。
後でいろいろお聞きを大蔵省にしますけれども、果たしてこれから国債が一番低い利回り、一番信用のある価格維持ができるというような状態に一体なるのかどうなのかといいますと、特例債の借りかえ問題等を通じまして国債が市場にあふれ出る、こういう形というものはある、可能性がある、こういうふうに思いますけれども、そういうときに日銀がどう金利調整をしていくのか、これは非常に重要な役割だと思います。それに今後は海外からの国際化という問題でありますから、ただ単に日本の国内が原因ではなくて、海外のことが原因で日本の金利に影響を及ぼすと、こういうことも今までよりももっと強くなってくる。そうなってきますと、ますます金利調整というような問題が大変大きくなってくる。今までは恐らく日銀はインターバンク市場における金利調整というようなことについてはいろいろおやりになってきた。ところが今度、海外からの国際化を含めまして、日銀の手に負えない、純粋に企業の、民間の非金融機関、こういうところでのやりとりがいろいろ行われ始めてきているわけでありまして、今日は、例えばインターバンクの市場のコールや手形の扱いよりもむしろ現先やCD、こういうものの扱いの方がふえてきているという事態であると思うんですね。そうなってきますと、日銀の金利調整の能力といいますか、カバーされる範囲といいますか、そういうものが今までよりも量的に狭められてきたということを考えざるを得ないと思いますね。そうしますと、一体これから日銀当局は、非常に重要な役割を持っていながら、自分たちがコントロールできる場所というものをもう少し広げておかないと、これからの両方のコクサイ化に対応できなくなってくるんじゃないだろうかと、この辺が大きい問題だと私は思うのですけれども、その辺は一体どのようにお考えになっているのか。
特に、総裁はTB市場の育成ということをおっしゃっておられたように思いますけれども、大蔵省はこれについては余り積極的ではありませんようですし、円・ドル委員会の報告でもその辺は必ずしもぼやかして明確でないという点があろうと思いますけれども、一体TB市場の育成というのはどこに困難があるのか、この辺についても御指摘をしていただきたい、こういうふうに思います。
もう一つお聞きをしておきたいと思うのですけれども、理財局長の私的な諮問機関である借換懇談会、ここでは短期国債をやったらどうだ、こういう語がありますけれども、短期国債が出てくるということになりますと、ますます金融市場というものは一層煩雑になってくるということであります。明確に理財局長の方から短期国債をいつからやるというお話は私まだ聞いておりませんから、いつやられるかわかりませんけれども、実際借りかえをやるということになりますと、私どもの頭で考えられる範囲では、どうしても短期国債というものをある程度出していかなくちゃいけなくなるだろうという気がするわけであります。将来短期国債を出されるということならいいですけれども、来年度あたりからこれを始められるということになりますと、国内の金融の自由化の問題というのはまだまだそれほど浸透しているわけじゃございませんので、ある程度の混乱が起きるだろう、あるいは同じような金融商品の競合状況というようなものも起きかねないと、こんなふうに思うのですけれども、以上の三点についでひとつお示しをいただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/24
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025・前川春雄
○参考人(前川春雄君) 自由化がかなり急速なテンポでこれからは進むであろうというふうに思います。私どもはかねがね自由化せざるを得ない、規制をしようと思っても規制というものはなかなか有効に働かない、自由化というのは避けられない道であると、金利の自由化も含めてそういう主張をしてまいったつもりでございます。国会における答弁においてもそういうことを申し上げたわけでございます。そういう意味におきまして、自由化になりますれば、それに対応する金融政策というのは当然考えていかなければいけないということでございます。もう為替管理もございませんから、内外の資金の移動というのは非箱に自由になる。そういう中で金融政策というものをどうやっていくかというのは、今もお話がございましたように、金利機能というものを活用していくのがもう唯一の手段であろうというふうに思います。この金利機能、金利政策というのはそれだけ重要になってくるわけでございます。
その金利機能というものがうまく働くためには、金利が自由に動くということでないと全く金利機能が働かない。今でも預金金利についてはある程度の規制がございます。自由になった分もございまして、CDはもう全く自由でございますが、あるところに規制金利があればそこでつかえてしまうということになる。あるいは資金の移動が非常に大きくなると、我々の許容できる範囲を超えた資金の移動が起こる。それによって金融機関にもいろいろ影響が出てくるということでございまするので、やはり金利の自由化というものは進めていただかないと金利機能は活用されない、うまく作用しないということになると考えております。
今それでは日本銀行の金融政策、金利政策はうまく作用しているかということでございます。ただいまお話にもございましたように、インターバンクの市場、短期市場、金融機関相互の間の市場でございまして、これはコールとか手形市場ということでございまするが、そのほかにお話のありましたような一般事業法人あるいは非居住者、州人もございまするけれども、そういうところの余裕短期資金というものが運用される市場は、このインターバンクの市場ではなくて、現先市場というのが中心になっておるわけでございます。現先あるいはCD、そういうもの、あるいは外貨預金というものもございまするけれども、そういうところは金融機関以外の方々が短期資金を逆用する場になっておるわけでございます。私どもそういう場には介入をして、おりません。
このインターバンクの短期の金融市場と今申し上げたCD等の市場とが一本になってオープンマーケットができる、そういうオープンマーケットに対して私どもが資金のオペをやっていくというのが、一番金利機能が発揮される有効な仕組みであろうというふうに思います。そういう意味におきましてオープンマーケットというものはぜひ早くつくらなけれぱいけない、この自由化に対応して早くつくらなければいけないというのが、私どもの最近、時に応じて申し上げている主張でございます。
この短期のオープンマーケット、金融市場というものは金融機関だけでなくてその他の事業法人、証券会社あるいは個人というものも入ってくるわけでございまするから非常に複雑なものになりまするが、そこで取引されるのに一番適した有価証券、金融資産というのは、TB、いわゆる政府の短期証券であろうというふうに考えておるわけでございます。これは海外でも、ニューヨークでもそういうふうになっております。ニューヨークでもTB以外にももちろんあるいはCDであるとかCPと申しますか、コマーシャルペーパーというものが取引されておりまするけれども、一番多く取引されるのはTBであるわけです。これは信用度から申しましても、また量から言っても、非常にまとまったものであるということからTBが運用されるわけでございます。
BAということを言う方もございます。BAも結構です。私どもは反対しているわけじゃございません。しかしBAというのは個々の取引に基づいて出てくるものですから金額がまとまらない、あるいは端数がつく、需給が常に必ずしもうまく合うわけではないということもございまするので、必ずしもそういう短期の金融市場で最も適した金融資産というわけにはいかないんではないだろうか。そういう意味でもっとTBのマーケットができることが望ましいというふうに考えておるわけでございます。そういうことでもう数年来私どもは、TB、我々が引き受けましたTBを市場に売却いたしましてそういうマーケットが少しでもできるように努力しておるわけでございます。
このTBの売却というのは資金が余剰のときでないとなかなか行えない、資金が不足で日本銀行が信用を供与しなければいけないというようなときにはTBの売却というのができないわけでございまするので、年間を通じましてそういうふうな売却をし得る時期というものはおのずから制約されるわけでございます。しかし、そういう中でも、今申し上げましたようなところからTBの流通市場というものをつくっていくことが、金融政策の金利機能というものを活用する上からどうしても必要であろうということでございまして、私どもはそういう意味で今も売却しておりまするけれども、この七―九、やや資金がショートする、全体としては余り余裕ないわけでございまするけれども、そういう時期にもこの売却をしてまいりたい、日本のTB市場を少しでも育成してまいりたいというふうに考えております。先ほど申し上げましたように、金融の自由化というもののテンポが非常に早いわけでございまするので、この短期の金融市場の育成強化ということは非常に急務である、早くしなければいけないというふうな感じすら持っております。
短期国債が出るけれどもどうかというお話でございますが、これは私どもも、短期国債が出るのやら出ないのやら、まだ大蔵省からもお話を承っておりませんので、どういうふうになりますかわかりませんでございまするが、いずれにいたしましても、これから借りかえの需要が非常に大きくなりまするので、その国債の多様化というのは必要なんであろう。借りかえの時期が非常にある時期に固まるというときには、必ずしも借換債を出すのに適した債券関係、市場の状況ではないかもしれない、そういうときには市場の状況のよいときに短期のものを出していくということは当然考えられてしかるべきであろうというふうに考えておりまするので、多様化という見地から言えば、そういうことは当然お考えになられるのではないかなというふうに思いますが、具体的な話は私ども聞いておりませんので申し上げるわけにまいりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/25
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026・丸谷金保
○丸谷金保君 日銀総裁、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。
今、竹田委員からも御指摘がありました金利の問題なんですけれど、七月から国債の金利を二%上げるというような話が巷間伝わっております。そして、その理由としては、新発債が特に長期に対して市場の対応が悪い、こういうことも理由とされているようですが、そこいら辺はどうなんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/26
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027・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 国債につきましては、先ほど先生からも御指摘がありましたような市中消化の原則を守りまして、市中で消化するという建前でその円滑な発行を図ってきているわけでございます。
大きく分けますと、長期の十年物の国債と、それから二年、三年、四年の中期の利付国債がございまして、中期の利付国債につきましては、市中で公募しておりますので、そのときそのときの市中の金融情勢に応じまして発行条件が決まります。
それから十年利付国債につきましては、金融機関等のシンジケート団と交渉しながら発行条件を決めるわけでございますが、その発行条件を決めるに当たりましては、そのときそのときの取引の状況、市中における相場を参考にして発行条件を決めるということでございまして、国債の相場が悪いとどうしても利回りを高くしないと売れない、こういうことになるわけでございます。
それで、今、七月債をどうするかということにつきまして、新聞等でもいろいろと憶測をして書いておりますけれども、今の市況を前提といたしますと今までどおりの条件ではなかなか発行しにくい、こういうことでございます。六月債につきましては、そういったことで条件が整わないで休債せざるを得なかったという状況でございますが、七月債をどうするか、これから詰めなくてはならない問題でございますけれども、どういう条件でということはまだ決めたわけではございませんが、これはこれからの円・ドルの関係がどうなるか、それから市況がどうなるか、これを見守りながら決めていきたいと思っておりますが、市況が悪いために今の条件ではなかなか発行しにくい。条件を改定する方向としては利率を多少上げるか、あるいは額面に対する発行の割引価格を少し低目に設定するか、あるいはその組み合わせをどうするかということでございますが、その辺を今、慎重に検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/27
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028・丸谷金保
○丸谷金保君 額面九十八円のやつが大体、今、市場価格九十五円前後でというふうなことが言われておりますね。これは今、特例債を借りかえると公債はどうしても残高がふえてくるということに対する微妙な国民の懸念が出てきたんでないかというふうに実は私は心配しておるんです。
そしてそういうところからかとも思いますが、今、国債借換問題懇談会ですか、これの問題につながるんですが、四月の段階では、まだこの懇談会で勉強中だというふうに理財局長は答弁しておりますわね。四月の段階の質問に対しては勉強中だということでよかったかと思うんですが、もう今の段階では懇談会の結論をまって勉強中だというわけにいきませんでしょう、もう出ているんですから。それを踏まえてどうする、こうするという論議が今度は展開できますね。できますね。できないと言うんじゃ質問してもしようがないんで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/28
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029・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 五月の末に借換問題懇談会の一応の結論が得られました。その結論が得られましたので、そこでの御審議を踏まえまして、これから私どもの検討が始まるわけでございます。
それで、それは六十年度に間に合うように検討を進めて、六十年度予算編成までに間に合わせるということでやるつもりでございます。そのことにつきましては、借換問題懇談会についての御質問のときにもはっきり申し上げているつもりでございます。私どもといたしましては、六十年度予算編成までの間に十分検討して結論を出したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/29
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030・丸谷金保
○丸谷金保君 それなら今のこの法案も二つに分けて、後半の分は十分検討する時間があるんだから一緒に検討したらどうでしょう。大臣、十分検討してと言うんですから、結論が出ても。これだってできないことはないんですよ、十分検討する、関連する問題なんですから。その結論の出方によってこの法律の運用というのはいろいろと変わってくるんです。むしろセットなんです。借換債の懇談会、これは去年の秋からやっているんですから、随分かかって慎重審議して出てきているんです、結論は。その結論の出るまでの間に皆さんの方でその懇談会にいろいろと御意見も申し上げたり、意見も承ったりしながら結論が出てきたと思うんですよ。おまえら勝手に出世というふうなばかなことはないと思います、諮問機関なんですから。いかがですかね。当然これは両方あれしていかないと、この法案の論議が煮詰まらない問題をたくさん抱えているんですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/30
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031・竹下登
○国務大臣(竹下登君) そもそも借換懇、これは理財局長の私的諮問機関。本来借換懇は、いわば既発の建設国債、四条債の借り換え期間が来るわけでございますから、そういうことをいかにして円滑にやっていくかということで最初借換懇というのはできたわけでありますが、今お願いしているのは、いわば特例債もそれの対象にしてください。したがって、今理財局長からもお答え申し上げましたように、その大方針が決まればそこでちょうど間に合うように、いわば具体的な手法をどうするかということを部内でまさに重々検討して決めていかなきゃならぬ。したがって、ちょうどいいタイミングで借換懇の先生方から、私的諮問機関とはいえ、答申をちょうだいしたわけでございますから、それを土台にして、今度この法律を通してもらえば、政策の方向が明示されるわけでありますから、それに沿って部内でまさに鋭意検討して十二月の予算編成までには間に合わすように答えを出そうと、こういうことでございますので、この法律を二つに分けるとか、そういう議論は別として、今の法律を通していただくことによって政策の志向する方向がまさに明示され、そこで借換懇の専門的意見を踏まえながら、政府部内でその具体的手法について十二月までには何とか結論を出して予算編成に間に合わせよう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/31
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032・丸谷金保
○丸谷金保君 ちょっと、借換懇というのはそういうことでなかったんじゃないかと思うんです。借換懇の、あれでしょう、懇談会の会の何か内規のようなものがございますでしょう、この懇談会を設置する目的とか。日当なりなんなりを委員には出すんですから、出す以上は何かなければ出せないんですから、内部の規則のようなものがございますでしょう、目的とか、あるはずですわね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/32
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033・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) この懇談会は私どもの私的な懇談会でございまして、一人一人の御意見を伺うのにかえまして、学識経験者等にお集まりをいただきまして懇談をしていただく、非常にソフトなそういう懇談会でございまして、審議会等にありますような内規とか、目的とか、定足数とか、議事規則とか、そんなものは一切ないわけでございます。そこでは全く自由に御議論いただく。ただ、どういった問題について御議論いただくかという点につきましては、私どもの必要なテーマにつきまして、こういったことについての御意見を承りたいということは申しておりますけれども、それ以外のものはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/33
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034・丸谷金保
○丸谷金保君 理財局長、それはないですよ。いいですか。これは四月十七日に、借換債につきまして「具体的にどうするかということにつきましては、国債借換問題懇談会の検討を通じまして私どもとしては方向を出していきたい」、あるいはまたそれの結論をまって勉強していくというふうなことを再三国会で答弁しているんですよ。理財局長の私的な懇談会でやっていることを公的な場で答弁の材料に使うということはあり得ませんでしょう。そうすれば、これはちょっとおかしいと思うんですよ。当然公的な意味を持っていなければならないですよ、この懇談会は。おたくのプライベートなポケットマネーを集めて相談しているようなものとは違うはずです。そうすれば規則なりなんなりなかったら、そんなことはできないんです。恐らく設置のためには、そういう点についての承認の判も幾つか、起案からずっと押してきてこういうものをつくるはずですよ。そんなものないなんというなら、とんでもない話です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/34
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035・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) お言葉でございますけれども、懇談会の性格といたしましては、あくまでも私的な懇談会でございまして、性格としては極めてソフトなものでございます。ただ、そこには学識経験者も集まっておられますし、それから実際に国債を引き受けられる金融機関、証券会社等々の関係者の方も集まっておられますので、そこでの御意見はかなり権威のあるものとして私ども大変参考になる、こういうふうに思っております。私ども部内だけで検討しているんではなくて、そういったところの御意見も承りながら今、検討しているということを私ども国会の場を通じて御説明しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/35
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036・丸谷金保
○丸谷金保君 しかし、こういう懇談会で論議していて、その方向を出して、さらにそれで考えていきたい、こうおっしゃっておる。懇談会がソフトだか、ハードだかわかりませんよ。どちらにしたって、何にもなくてちょっと集まってくれというばかなことはないと思うんですよ。目的があって、こういうことでやる、こういうふうにやっていく、そしてこういう結論が出た。現にあなた、新聞なんかで発表しているんでしょう、懇談会のこと。これは理財局長の私的な諮問機関でございまして、と言うが、大体諮問機関という場合はもう私的でないですわね。諮問機関なんという場合には、法律なり省令なりで決められた形に基づいて行われるから諮問機関と言うんです。この諮問機関、ちょっと私、その答弁じゃ納得できないですね、何としても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/36
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037・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 丸谷先生、あるいは私の答弁が足りなくて誤解があるのかもしれませんが、そういう私的な懇談会でございますけれども、そこでいろいろと御審議いただいたことにつきましては、「当面の国債借換問題について」という題で報告をちょうだいしておりますし、これは私どもだけでしまっておくというんじゃなくて公にもいたしているわけでございます。それを受けまして、国債管理政策の責任がございます私どもといたしましては、さらに検討する。それで六十年度を目指しまして、必要があれば予算化もするし、法律改正が必要なものがもしあれば、そういったものとして国会でまた御審議をいただくと、こういう性格のものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/37
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038・丸谷金保
○丸谷金保君 そうすると、この懇談会は費用弁償その他、一切出してないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/38
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039・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 私は経理の詳細を承知しておりませんけれども、私的でありましても費用を払わないということではないんじゃないかなと、このように思っております。今の予算会計制度のもとで許される範囲のことは当然していると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/39
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040・丸谷金保
○丸谷金保君 どうもこの懇談会の問題、もう少し素直に御答弁いただいて前へ進もうと思っておったんですが、ちょっと今のような答弁になってくると、ゆるがせにできないんですよ。私的な機関だと言いながら費用は国が払うんでしょう。そんなことありますか、そんなこと。ちょっと私、これでは納得できないですよ、何遍やってみても、こういうことでは。本当は先へ進みたいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/40
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041・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) もし必要がございましたら報告をお届けいたしますし、その報告の内容について御質問があれば詳細にお答えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/41
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042・丸谷金保
○丸谷金保君 どういう性格だと言ったら、私的な機関なのでと言うからこういう論議になったので、そしてそれを踏まえて六十年度のことだからと、こう言う。六十年度のことになるんだったら、今の法案の後半の分は六十年度だんごにして――そうでしょう。
ですから、国債借換問題懇談会だから、まさに今やっている法案、国債の借りかえ問題でしょう。借換問題懇談会はどういうあれだかということになると、借りかえ問題の論議をやっているときに、それは来年度のことですと。それなら、法案の来年度のことの方は来年度のことと一緒に、借換問題懇談会の結論というふうなものを十分我々も認識した上でやっていかなきゃならぬ。それを来年度のことだと言われたのじゃね。しかも新聞には堂々とそういうことで出ている。それを国会の我々にだけは、それは私的なことでございますと。じゃ新聞によればということでやらざるを得ないことになるんです。そうすると、それは新聞が書いているので、私たちは新聞の報道には責任を持てません、こうなるでしょう、必ず。それじゃ論議のしようがないじゃないですか。
まず、委員長にお願いしますけれども、費用弁償をしている以上、私的ということはあり得ないです。必ず稟議をしてこういう懇談会をつくると、理財局長のもとに。こういうことで大臣が判こを押すか、次官が判こを押して、ちゃんと機構としてできる。それでなければ会計課は金なんか払いませんよ、そういうものがちゃんとできてなければ。それで払ってたらまた大変なんです。そんなものはできないはずなんですね。そういうものがあるんです。その資料を要求します。この次までに出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/42
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043・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) この懇談会の報告につきましては、もうすぐにでもお届けいたします。
それから私的諮問機関という意味でございますけれども、これは正式の審議会とかそういったものと違う。つまり行管所管の審議会とは違う、もう少しソフトなものという意味でありまして、全くプライベートな個人という意味ではないわけでございます。役所の仕事でやっている懇談会でございますが、しかし法律に基づいた正式のものじゃないという意味での私的の懇談会でございます。
そこでの検討は、途中での論議につきましては、これは非公開、だれが何を言ったかということを言えば、なかなか発言もしにくいだろうということで非公開にしておりますけれども、結論として出された報告につきましてはオープンにいたしております。
それからこの法律の借りかえとの関係でございますけれども、特例債の借りかえと別に建設公債の借りかえ問題というのはもともとあったわけでございます。実は、国債借換問題懇談会第一回は、昭和五十五年度でございましたか、やりまして、五十六年度から五十九年度までの借りかえ問題につきましては、そこで一応の結論を出していただいておりまして、大体その結論に従って借りかえを処理してきているわけです。ところが、六十年度以降につきましては、建設債の借りかえにつきましても非常に大量になるもんですから、これは改めて検討すべきだというのがそのときの結論でございまして、その検討をせざるを得ない。こういうことでございまして、それに加えて特例債の借りかえをすればそれだけ大きなものになるということで、特例債もあわせて検討した、こういう経緯でございます。
したがいまして、借換問題懇談会で検討しておりますのは、特例債の借りかえのために検討していると、こういうことではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/43
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044・丸谷金保
○丸谷金保君 そういうことでないんです、私の申し上げているのはね。おたくが答弁の中で使っている。いいですか。四月には懇談会の検討をまって、そして今は、結論が出たんだろうというと、そうしたら、それは六十年以降の問題でこれから結論について勉強すると。それならそれはそれでいいんですよ。しかし、その懇談会の報告の内容を言っているんじゃないんです。性格がどんなものかということです。ちゃんと起案をして稟議を受けて、そしてこういう性格で、こういうもので、こういう人を集めてやるということは書類になっているはずなんですね。そういう書類がなければ会計課は費用弁償をしないんですから、できているはずなんですよ。だから、中でやった討論の内容を僕は言っているんじゃなくて、性格を文章に書いてあるものをちょうだいしたいと言っているんです。それを私的だから出せないということはあり得ませんでしょう。あるはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/44
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045・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/45
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046・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/46
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047・丸谷金保
○丸谷金保君 大臣は、しばしばこういう法案を通した場合には何らかの方法で特例債と建設債との区別をつけなきゃならない、こうおっしゃっているんです。しかし、この区別をつけるとなれば法律が必要になってきませんか。区別をつけるとなると根拠法が要りませんか。どうでしょう。勝手にやれますか、大臣の気分で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/47
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048・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 法律の問題ですので私の方からお答え申し上げますが、この法案が仮に成立いたしますと、特例公債につきましては、国債整理基金特会法の五条の規定に従いまして借りかえを行うことが可能になるわけです。借りかえいたしますと、その特例公債につきましてはいわゆる借換債ということになります。片方、建設公債についても同じように五条の規定で借りかえられるということになります。したがいまして、法律的にいえば両方とも同じ借換債ということになりますので、あとそれを国債管理の上で管理していく場合には、一緒にしないで、大臣が御答弁申し上げておりますように、何らかの方法で残高を明らかにすることを検討していきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/48
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049・丸谷金保
○丸谷金保君 そうすると、これは表示方法ではないですね。表示の方法で何らかの区別をつけたいというふうに大臣は衆議院の方で言ってますわね、表示方法について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/49
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050・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員の御質問は、例えば国債を券面付のもので発行した場合にそれに差をつけるという御覧間ではございませんですね。そういたしますと、表示の上でという意味は、例えば借換債が十兆ございました場合に、三兆円は建設国債の借換債である、七兆円は特例債の借換債であるというふうに、何らかの方法でお示し申し上げるという意味で申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/50
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051・丸谷金保
○丸谷金保君 そうすると、持っている方はわからないでしょう。質問者の方がこれはどっちだかわからないというのに対して、何らかの方法でと言ったんだから、私は例えば特例債と建設債との借換債、まあ三兆と七兆でもいいですわ、色で変えるとか、印で変えるとか、何か判こでも押すとか、そうしないとこれはどっちだかわからないわけですよね。そういう意味で、そういうわかるようにする具体的な方法を考えているとすれば、何らかの立法措置が要るんじゃないかと、分けるための。こう申し上げたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/51
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052・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) これは理財局長の方から御答弁すべきことかもしれませんが、現在の建設国債と、それから特例公債につきましても、表示上は印をつけておりません。したがいまして、借換債についても表示上は当然印がつかないわけでございます。しかし、総体といたしましてどれだけあるかということを常にお示し申し上げる方法を考えてみたいというふうに申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/52
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053・丸谷金保
○丸谷金保君 それは国民にわかるようにさせるというよりは、何らかの方法で、例えば財政白書なら財政出書の中で特例国債何ぼあって建設国債何ぼあると、こういう振り分けをしますということを言っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/53
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054・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 振り分けの方法につきましてはこれから検討してまいりたいと思いますが、例えばその一つの方法といたしまして、国会にしかるべき時期にこういうふうになっておりますということを資料を御提出申し上げるということも検討してみたいというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/54
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055・丸谷金保
○丸谷金保君 例えば、今法案の審議をしているのですからね、この法案の中で大蔵大臣が御答弁なさっている、そうすれば、こういう方法にしますというのは、この法案審議の中に出てこなければならないんですよ。そうでないですかね。後でということじゃないんです。この法案審議の中で質問として出てきているんですから、例えばこういう方法でなくて、それはこういう方法でやりますと、それはおかしいじゃないかということになるかもしらぬが、いや、それならそれでいいとか、こういうことになるのでね。それを全部後ずらし後ずらしにされたんではちょっと審議にも差し支えると思うんですよ。この次までにひとつ結論を出してくださいよ。大臣、いかがでしょう。そう難しいことじゃないと思うんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/55
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056・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 今までの取り扱いから申しますと、全く新しい問題でございまして、技術的にかなり困難な問題でございます。それで、私どもといたしまして何らかの方法と言っておりますのは、そういう難しさも含めまして何らかの方法を考えなければならないということを申しているわけでございまして、例えばたしか五月にこの委員会でお答えしたと思いますけれども、従来は条件が全く同じ国債につきましても、根拠法規が違う場合には同号を異にする、根拠法規が同じものにつきましては、同じ条件のものは回号は同じにしまして、取引の銘柄としては一括をすると、こういうふうなことにいたしていたわけでございますが、今の扱いのままでいきますと、国債整理基金特別会計法五条という同じ条文を根拠にして借りかえられる特例債の借換債と四条債の借換債が、同じ回号になる扱いになるわけでございますが、それは建設公債の借換債と特例公債の借換債は別の銘柄として整理すると、こういうふうなことも考えられるんじゃないかと、こんなことも考えているわけでございます。
ただ、例えばその十年物が十作物に借りかえられるというふうなことで、単純に借りかえが進めば非常に簡単にいくわけでございますが、ちょうど借りかえのときに国債の市況その他のマーケットの状況いかんによりましては十年物が二年物になる、あるいは三年物になる、そういうことも考えられるわけでございまして、そういうふうに、そのときそのときの借換債の市場の状況によって借りかえの態様が変わってくる場合にうまくいくような手法を考えなくちゃならないということで、これは技術的な問題としてかなり時間がかかるわけでございまして、私どもとしては、何かやたらにコストがかからない方法で、うまい方法でその辺の整理をしたいということで、じっくり検討してみたいと、こういうふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/56
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057・丸谷金保
○丸谷金保君 私はなぜ今そういう問題を聞いているかというと、今度もう単年度主義から転換するというふうな大変なことを方針として固めつつ、新聞によると固めただけれども、固めようとしている。これは憲法の財政の章にも抵触しかねないような大問題、そういうふうな問題の前段として、そういうふうなところへ持っていかなきゃならぬのは、先ほどから申し上げているように、国債の価格も下がってくる、高いときに売ったり、いろいろしなきゃならぬ、単年度の枠を超えてもう少し上手に大蔵省も売っていけるような流動的なことをやってかなきゃならぬと、こういうふうな考えを持ちつつあるんでしょう。
私は、本会議でも言ったように、もうまさにそういういろんなことを考えなきゃ今の経済に追いついていかぬと思っているんですよ。そのことがだめだと思わないけれど、しかしこの借りかえの問題で、そういう前段のことをきちっとしていかなければそういう論議に入れないわけです。整理していかないと、そこへ行こうと思っているんだけれど、なかなかそこへ行けないわけですよ。そして、今のまた話を聞くとね、だんだんどうも矛盾を感じてくる。六十五年までに特例債をなくしていこうと言っているんでしょう。ところが、そう言いながら、特例債十年で借りかえしていくといったらなくなりっこないじゃないですか。もう全然なくする気がないからそういう答弁がぽろぽろっと出てくるんですよ。
それから大変難しい問題だと言うけれど、仮にも大臣が何らかの方法で措置しなきゃならぬと言っていれば、事務方としてはどんなに難しくったって、ちゃんとこういう方法でということをつくらなきゃならぬでしょう。あれは大臣の言いっぱなしだということですか、そうすると。そういうことになっちゃいますよ。この法案の審議中に少なくとも何らかの方法は、こういうことだけはやりますと。今、例えばということで一つ二つ出てきました。これはなぜ例えばかというと、まだ恐らく省内の稟議が済んでないから、例えばという表現しかできないんだと思いますけどね、早急にやってくださいよ。そうでなければ、何らかのというような言いっぱなしだということになっちゃいますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/57
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058・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 私どもが申しておりますのは、四条債及びその借換債の残高、それから特例債及びその借換債の残高が把握できませんと、特例債の借換債がいつゼロになるのか、そういう論議もできないわけでございまして、財政審もそのことをとらえまして、何らかの方法で残高がわかるようにしなさいという答申を出しておられるわけでございます。私どもとしてもそれは当然必要だと思っておりまして、それを六十年度に特例債の借りかえが行われるのに間に合わせるように検討したい。その検討するにつきましては、先ほど申し上げましたような技術的に非常に難しい問題もございますし、その難しい問題をどう克服していくか。コンピューターを使ってやるといいましても、どういうシステムでやるかというような問題につきましては、相当な時間をかけて検討しなければなりませんので、確たることは申し上げにくいわけでございますので、何らかの方法でとにかく間に合わせてやると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/58
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059・丸谷金保
○丸谷金保君 どうもね。だから、結局、問題点は先送りして、六十年に間に合わせる間に合わせるということを言われると、この法案のうちのその部分に該当するものは切り離してもいいじゃないかという議論になっちゃうじゃないですか。これはもう大変大事な問題だと思いますので、私たちも真剣に取り組んでやっているんですよ。決してただけしからぬとかなんとかということでなくて、我々なりにこれはどうやっていったらいいのだということを真剣に考えながら、そういう具体的な提案もしていきたいというふうに思っているんですが、その前段がこういうことでしまうということになるとね。
じゃ、また変えます。これはもう少しこの次までに整理しておいてください。問題変えます。
大臣ね、国鉄の借金が今非常に問題になっていますね。あれは最終的にはどこの借金ですか。最後の支払いをするのはどこなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/59
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060・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 国鉄の長期債務は五十九年度末約二十二兆円程度と考えられるわけでございますけれども、この債務は、国鉄は一つの企業体、全額国が出資しておりますけれども一つの企業体でございますので、その企業活動の結果生じてきた債務。したがって、言うならば国鉄の経営責任のもとで生じてきた債務でございます。そういう意味から言いますと、国鉄の債務として、国鉄の経営努力のもとで順次償還していくということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/60
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061・丸谷金保
○丸谷金保君 それで、国鉄の経営努力といっても、国鉄がどうしても払えなくなった場合、今額出資している国は責任ないんですか。例えば鉄道建設公団、こういうふうな場合何らかの形で、それこそ何らかの形で例えば債務負担行為というふうなことを国鉄にやらせてますわね。そして国鉄が引き受けるというふうないろんなことがありますでしょう、国の責任でやらせているような問題ね。国鉄の借金というのは、それは経営努力はわかりますが、経営努力でもってどうにもならなくなったときの話を言っているんで、この借金は一体最終的に国に責任があるのかないのかということです。国鉄がだめになった、民間へあれした、後に残った借金、これは国は知らないということが言えるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/61
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062・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 今おっしゃいましたように、多額の長期債務、二十兆円を上回るものがあるということは、国鉄のこの事業を再建していく上で極めて大きな問題であるわけであります。したがって、これはどうしても解決していかなければならないことになるわけでございますけれども、それをどのように解決していくかということにつきましては、現在国鉄再建監理委員会において御審議いただいております。したがいまして、一応政府のこの問題に対する態度といたしましては、そこでの結論を待ってさらにどう考えていくかを検討していくということだと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/62
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063・丸谷金保
○丸谷金保君 私の申し上げたいのは、実は国鉄だけに限らないんです。ほかにも国が出資している各種機関もあります。そういうところの負債というものは最終的に国の負債じゃないのかということです。それは人格が違う。しかし一般の株式会社と違うんですからね。それで一番わかりやすい例として国鉄だけとったんです。というのは、国債を今問題にしていますね。しかし国の借金というのは国債だけじゃないと思っているんですよ。こういうもののトータルの中で見ていきませんとならないと思っているので、明確にする意味で、最終的に国鉄の借金は国はあずかり知らぬと法的に言えるのかどうかということです。法的にですよ、経営努力やなんかは関係ないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/63
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064・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 国鉄を例でお挙げになりましたが、先生のおっしゃいますように、企業体でございますので、第一義的には……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/64
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065・丸谷金保
○丸谷金保君 最終を言っているんです、最終。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/65
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066・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 国鉄の責任であることは当然でございます。しかし、この国鉄がこのまま進みまして、仮にそういう債務を支払うことが不可能になった場合には、国が全額出資しておりますので、そういう出資者としての立場から国の責任になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/66
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067・丸谷金保
○丸谷金保君 そう言ってくれれば一分で済むのに。私もそうだと思うんですよね。最終的には国の責任でしょう。国の借金ですよね、最終支払い責任者は。
それで、質問の通告の中で申し上げておきましたが、この種の最終的に国がしょわなければならないというような借金はどれくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/67
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068・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 具体的な数字は今、現在持っておりませんが、大きなものといたしましては国鉄に対する先ほどの長期債務がございます。しかし国鉄は国以外からも借りておりますので、このうち国からどの程度出ているかということにつきましては、資料を持っておりませんが、かなりの分が国であるというふうに考えられます。そのほかございますのは、国有林野事業特別会計に資金運用部が貸し付けております。これも絶対額の数字は理財局の方……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/68
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069・丸谷金保
○丸谷金保君 七千億くらいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/69
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070・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) はい。七千億円ぐらいになると思いますけれども、大きな数字になると思います。
それから、あと住宅公庫、これも資金運用部から貸しているわけでございます。これは残高といたしましては十八兆円程度となると考えられます。一応、上記三機関が、累積赤字がありながら国から巨額の金を借りている機関でございます。そのほかも、御存じのように財投機関は多額の借り入れを国からしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/70
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071・丸谷金保
○丸谷金保君 それで、財投の問題は後で竹田委員の方でやることになっていますので余り踏み込んだ質問はしないつもりですが、こういったもの、財投を含めて最終的に国が責任を負わなければならない借金というのは、国債のほかに大づかみで百兆くらいはありますか。どうです。――大づかみでいいから調べておいてくれと言ったはずなんですがね。というのは、それをすらすらとやってもらって、実はこの法案の底辺にあるのは――財投だとか地方自治体の公債、これなんかも公的な借金ですよ。大体今、地方自治体で四十三兆くらいあるんです、これは五十七年末の残高で、地方自治体のですね。国、地方自治体、公共団体、政府関係機関等々合わせますと、借金というのは大変な物すごい数字になって、今ふえつつあります。
そして、それらをトータルしないと本当の国家財政の全貌というのは出てこないんですよ。その上で特例債の問題をどうするかということを踏まえませんと、個人の貯蓄が四百兆あるから安心だなんていうふうなことにはもうならなくなってきているんです。地方債にしろ財投にしろ、みんな出どころは大体資金運用部だとか決まっているんですから、出るところは一つなんですよ。で、国債を少し多く出さなければならぬとすれば地方債を抑えるとか、地方財政計画を最近もうぐんぐん抑えていますでしょう、そういうふうなことをしなきゃならない。だから、財政としては、財投も国が特別会計つくってやっている機関の問題も地方債も、私は同じような財政の中における借金だというふうにとらえて考えていかなきゃならぬと思う。
そうしますと、それがなぜこんなにどんどんいくかという理由は、私は国だとか地方公共団体に破産能力がないからだと思うんですよ。破産能力はないでしょう、企業のように。企業なら破産能力がありますから、どんなに借金が出ても破産したらそこまでです。国は破産能力がない。地方公共団体もない。こういう国家財政の全体の仕組みの中でふえ続けていく借金の最後に一番心配なのは財政インフレの問題だと思うんです。こういうことになるんです。財政インフレというのは多分に心理的なものです。こういう法案が出ただけでも国債の値段が下がるというふうな心理的な要因もありますから、それは胸たたいて心配ないと言っていかなければならないのもよくわかります。しかし、今シーリングの問題が、こういう財政状態の全体をもっともっとみんなにわからせなければならぬ時期に、いろんな形で飛び出してきています。ただ一律マイナス、ゼロシーリングがいいとは決して思いません。もっと、どんと出してもらわなければならぬところもあるし、削ってもいいんじゃないかと思うところもあります。ありますけれども、しかし、総体としての空気が多少よくなってきたというだけで何かちょっと上っ調子になってきている。とんでもない話で、六十五年までに特例債をなくするというふうなことだって鼻血を出すぐらいの大変なことなはずなのに、口では言っているけれども、本当はちっともその気でないとするならば、それは何と言ったらいいんですか、俗な言葉で言うと、うそつきということになるんです。
それらを踏まえて、実は、私のきょうの持ち時間がなくなりましたのであれですが、今の財政法、憲法の許容する範囲で、破産能力のない公的機関が、もう少しきちっとした財政の見えるようなシステム、いわゆる企業会計的なものを入れていく。六十年なんと言ったって根拠がないんですからね。橋を三十年でかけかえたときには、貸し方と借り方をそこでさっと今のコンピューターにインプットすれば幾らでもできるような方法で、常時そういうことの動きがわかるもう一つの会計のシステムをつくっておいて単年度会計をやらなければならない時代に来ているんじゃないか。これはこの次にやります、時間がありませんので。
以上、私の質問しようとする要旨がどうも御理解いただけないので、そこのところを先にすらすらっと言っておいて、きょうはここまでにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/71
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072・竹田四郎
○竹田四郎君 大蔵大臣、先ほど日銀総裁にお尋ねした場合に、TB市場、これについて、とにかくTBを中心としたオープンマーケットを早くつくらなくちゃいかぬということを特に強調しておられたのは、そばでお聞きのとおりだと思うんです。
〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕
私も、いろいろあちらこちらから借りかえの問題について話が出ているわけでありますけれども、こうした問題を考える上で金利の問題というのは大きいと思うんですよ。先ほど理財局長がおっしゃったように、借りかえのときには、前と同じような期間でなくて、いろんな形で借りかえるというような話もあるわけであります。どういう形で借りかえるのが適切なのかというのは、恐らくそこの金利の動静というのが当然一番大きく響いてくる。そうなってくると、その金利市場の問題というのはやっぱりこの問題と切り離せない問題だというふうになってきていると思うんです。
私は、新聞紙上でしか拝見しないんですけれども、TB市場についてはどうも大蔵省は積極的でない。まあ財政負担が多くなるということも書いてあるわけでありますけれども、しかし、そんなことを言っちゃいられないという時代に私は入りつつあると思うんですけれども、これは大蔵大臣、特に大蔵省の考えとして、これは通告していなかったかもしれませんけれども、まさにあなたもお聞きになっていた問題だし、今までも考えておられた問題であるんだし、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/72
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073・竹下登
○国務大臣(竹下登君) TB市場の問題でございますが、かねてから短期オープンマーケットを、こういう時代であるから早期にTBを対象として、国民全体もそうした形の金利体系になれていくという意味で、このアドホック委員会等がある前から、本院においては竹田さん、それから衆議院においても数人いらっしゃいます、我が党にもいらっしゃいますが、そういう御意見がございます。なかんずくそれが、いわゆる金融の自由化、国際化という避けて通れない今時点において、もっとホットな問題として議論されるようになってきておるという事実認識は私もございます。
だが、今のいわゆる蔵券の持つ性格からいたしますと、まさに必要なときに必要な量が、それこそ今のシステムの中において日銀から簡単に借り入れ調達ができるという意味において、歳入歳出という観点から、財政を預かる者としては今のシステムは変えないでおきたいと、こういう考え方が基本的に一つございます。
もう一つは、さはさりながら、今決めたわけではございませんが、いずれにしても、特定年の特定日に集中して、言ってみれば、借りかえ等を要するための問題が起きてくるではないか、そうすると、あるときには、先ほど来の御議論のように短期国債とかいう問題も出てくるんじゃないか、それが年度内償還の短期国債とであり得るじゃないかと、こういう議論も確かにございます、二年とか三年とかいう問題は別として。私は今これから勉強するところでございますけれども、年度内短期国債というような、まさにつなぎのつなぎみたいな、市場実績を眺めておるわずかな期間のつなぎのつなぎとでも申しますか、そういうところまでは考えられないじゃないかなと、こういう気持ちも持っております。しかし、短期国債というものが大量に借換債を機として出ていくということになれば、短期の金利決定機能を有する短期市場の問題というのは大変ホットな問題として勉強しなきゃならぬ問題だという認識も一方持っております。
ただ、今、TB市場でもって、これをオープンマーケットでやっていくかということについては、長年の経験、あるいはそれは陋習と言う人もございますけれども、長年の経験からして、私は、おまえ踏み切ったらどうだという御提言に対しては、いつも慎重な、むしろそれと反対のお答えをしてきておる。しかし、ああしたアドホック委員会等を一つの契機として、とにかく金融市場の自由化、国際化に対する展望、指針を公にした今日、ホットな問題として勉強しなきゃならぬ課題だという事実認識は持っておりますが、それ以上のお答えということになると、今の私の能力の限界を超えるんじゃないかな、こういう感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/73
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074・竹田四郎
○竹田四郎君 きょう最終的なお答えをいただかなくてもいいわけでありますけれども、しかしこれは、そういつまでも放置しておける問題じゃないと思うんですよ。
〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕
ですから、あなたの限界を超えると言うんですが、そうすると、あなたの次の大蔵大臣がやるかということになるんですが、そうはいかないと思いますよ。恐らく、あなたの時代にこの問題は解決をしてもらわなくちゃならないだろうと私は思いますけれども、これはまた後の問題にしたいと思います。
それから法案の方へ入っていきますけれども、第三章の第六条の努力規定ですね、これから毎年特例国債を発行するときにはこの第六条の規定というのはつくんですか、それともつかないんですか。これは五十九年度発行特例債に対する法案の中に入るだけで、あとは一切入らぬわけですか、その辺を聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/74
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075・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 今後特例法をお出しする際につける方向で考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/75
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076・竹田四郎
○竹田四郎君 もう一回ちょっと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/76
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077・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) つけるという……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/77
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078・竹田四郎
○竹田四郎君 つける。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/78
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079・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/79
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080・竹田四郎
○竹田四郎君 そうしますと、六十五年度には特例国債ゼロになるわけですね。それ以降は出さないわけですね。そうなってくると、それ以降はもうつかないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/80
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081・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 六十五年度までに新規財源債しての特例公債の発行はゼロという方向で努力目標を示しているわけでございます。したがいまして、それまでは特例債が出ますので、何年特例債発行の権限法を御審議願うことになります。したがいまして、その中には入れる方向で検討したいと思っているわけでございます。
したがいまして、六十五年度までに新規債の発行がゼロという目標が達成できました後は、新規債が発行されませんので、いわゆる特例債の権限法もお出ししないことになるので、当然努力規定もお出ししないということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/81
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082・竹田四郎
○竹田四郎君 確かにそうなるだろうと思うんですが、しかし特例債の借りかえというのは、これは正式に決定されたかどうか知りませんけれども、十年債というふうに一応計算しますと、十年ごとに六十分の十ずつ償還してあとは借りかえと、こういう形でいくわけですね。そうしますと、平澤さん、あなた今主計局の次長でいらっしゃるんですが、最後の借りかえのときはあなたの孫かひ孫か、そのくらいが大蔵省で働いているという時代になるんじゃないですか。あなたが生きているうちは、平澤主計局次長が答弁に大変苦労したから、あの顔を見れば、どうしても後のあなたの後輩が少し余った金はひとつ残高を減らすように、これはあの人の顔を見ると減らさざるを得ないと。そのときには髪が真っ白に竹下さんはなっているでしょうけれども、竹下さんの顔を見れば、余った金はちょっとこっちへ入れて残高を返済しなくちゃならぬだろうと、こう思うんですよね、たとえこの努力規定がなくなっても。しかし、五十年以降まで竹下さんが生きておられるということは私ちょっと――生きておられるかもしれません。こんなことを今申し上げちゃ大変恐縮ですがね。少なくとも第一線からは引かれて御引退されているだろうと、こう思いますよね。平澤さんも恐らくどうなるか、かなりの年になっておられると思うんですよね。そうしますと、ちゃんと言われたとおりに、おじいちゃんや、ひいおじいちゃんの借金を返している、あなたのひ孫さんが返している、大蔵省で勤めながら返している。それ以上に余分なものを何でおれはおじいちゃんの借りたものを返すんだと、こういうことになりませんか。
きのうもある人と話をしたんですが、一番初めは国債を出すだけで大変な大騒ぎだったんです。このときは我が党は木村禧八郎さんが論陣を張ったわけです。特例国債を発行するときにも大変大騒ぎであったんです。今はもう例か特例国債はもうしようがないや、借りかえも、本当に国の金庫の中のことを見てみれば大変厳しいだろうから、これも全部切っちゃうということになると大変だなあという気も皆さんの中に僕はあると思うんです。私自体にもありますよ、我が党の方針には相反しますけれどもね。しかし、ある意味では現物があるかないかということでありますから、これは私はある意味ではしようがないなあという気もするんですよ。しかし、この努力規定を置いたからこれが歯どめになっているんだ、こういうふうにずっとおっしゃっている。しかし、四十年後、五十年後になって果たして――この努力規定はもう外されちゃっているわけですよ。六十五年で終わりなんですよ。あとはこの規定はないわけです。そうすると、おじいちゃんの書いたものが孫まで今は伝わる時代じゃないんですよ。そうなったら、努力規定なんかあったってなくたって関係ないじゃないですか、平澤さん、あなたのお孫さんには。そうなりませんか。私はそれが常識だと思うんですよ。
もう一つはこの特例債の借りかえ、この問題については、大蔵大臣、私は痛みを感じなくちゃいかぬと思うのですよ、大蔵省自体が。だから私はこれを簡単に通したくないんです。うんと痛みを感じてほしいんです。おじいちゃんが、竹下さんがえらく悩みに悩んだ、この前の赤桐さんの答弁のときに、こちらから見ると大変悩んで、下を向きながら御答弁した。ああいう胸像が大蔵省の中庭にどかんと立つようにするほど皆さんが悩まなきゃいかぬと思うのですよ。
サラ金でしょう、庶民的な言い方をすれば、今のやり方は。庶民はこのサラ金から離れるときにはえらい苦労しているのですよ、おどかされたり、夜も眠れなかったり、財産は取られちゃったりね。そういう苦しみがあるから、もうサラ金には絶対手を出すまいという覚悟をするわけですよ。我々の生活だってそうですよ。いろいろそういうことがあるから、あれには手を出すまい、株には手を出すまいという家訓が残ってきたりするわけですよね。
そういう意味で、私はこの委員会で簡単にこんなものが通るんだなんというふうに大蔵大臣は思っちゃいけないと思うのですよ。あなたの渋い顔、あなたの苦しんだ顔が五十年、六十年、大蔵省に残る、語りぐさになる。そのことが本当の意味の歯どめになるんじゃないか、私はこう思うんですよ。私の言い方が非常に常識外れかどうかはわかりませんけれども、私はそう思うんですが、大蔵大臣どうですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/82
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083・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 法律自身から申しますと、第六第条二項、これは残高がある限り残っていく、六十年間。その法律自身は私は残っていくというふうに理解をしておりますが、今おっしゃった政治的あるいは精神的意味というのは痛いほどわかるんでありまして、木村禧八郎先生のお名前が出ましたが、あのときは語りぐさでございます。事ほどさように、公債発行に対して国民の代表が国会で危機感を持ってあのような議論をした。その前、私は内閣官房副長官でした、当時。そのときに閣議が今までの私の経験の中では、一遍解散するかしないかで議論したことがございますが、それ以外にあれだけ長い閣議はなかったと思っております。したがって、私はそのときにおったから私にはその記憶がある。
だから、孫子の代にわたっても法律の条項は残るにいたしましても――例えばの話でございますが、おととい、私は閣議が終わって総理にお話しして了解を得て、そうしてことしの年度内発行三千億しなくて済みましたという報告をしました。そうすると、幾ばくかの剰余金が出るだろうと、こういうことをだれしも感ずるだろうと思うのです。これがもう少し前だったら、場合によってはそれを発行し、年度内発行を無理してでもやり、あるいは剰余金が残ったらそれを戻し税に使えとかいう議論も出たかもしれない。しかし、今日はそれらのものが直ちに発行しないで済むものは済まし、仮に剰余金が出たとすれば、かつて大平大蔵大臣時代にお約束したように、全額を償還財源に充てていくということが私は素直に受けとめられるようになったというのは、国民全体が結局痛みというものを痛切に意識していらっしゃるからじゃないかなというふうに思うわけであります。したがって、私どもの法案で少なくともこの政策上の大転換というものをするに当たっては、これは私どもももちろん痛みを十分に感ずるべきであり、それを仮にこれが間もなく――間もなくという表現は取り消しますが、仮に通していただくとすれば、通すに当たっても国民の代表がこれだけの議論をしたということがあって、それは後世に痛みとして私は残るであろうというふうに思うわけであります。
したがって、いわば孫子の代になってしまえば、それが言ってみれば、まだ経済成長もそれはそれなりにしていくでありましょう。一つのそこに残った、据え置かれた債務として金利だけ払っていればいいんだというような状態になっていったとすれば、これは著しく危険なことではないか。だから痛みを感じながら後世代にこれを引き継いでいく。なお可能なことならば、我々が六十五年までに新発債の脱却をし、そして六十五年度以降、対GNP比に対してどういう標準にいたしますかは別として、滅していく努力に対するリジッドなプランは出せないまでも、そういう努力の方向を将来に引き継いでいかなきゃならぬ課題ではなかろうかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/83
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084・竹田四郎
○竹田四郎君 それですから、この前も私どもは、借りかえののはその満期が到来した時期に国会にかけてやればいいじゃないかという主張をしたわけですけれども、それは大変お気に入らないようでございまして、私も、これはどうしたら歯どめをつくることができるか、そして国民のこれに対する関心を深めることができるかということをこのごろも、まあ竹下さんほどじゃないですが、かなりこの問題は頭を悩ましているというのが事実であります。
私は、きのうちょっと、ゆうべ眠れないままにある程度考えてみたわけであります。これは私の試案でありますから、党の試案でもなければだれとも相談してある案ではありません。これからもこの歯どめについてはいろんな人から意見を出してもらって、その上でまとめていくべきだというふうに思いますけれども、ちょっと私はこういうことを考えてみまして、これについてひとつ御検討もしていただきたい、こういうふうに思います。
それは大ざっぱな考え方では、まず特例債と四条債の発行残高を減少させることを目的として、国債の償還方法というものも金がうんと余っておるときは変えたらいい。例えば何も十年間六十分の十でなくて、場合によれば六十分の二十返したっていいわけでありますから、そういうように償還方法を変えていく。あるいは減債基金も、三つの減債基金の繰り入れの方式が今あるわけでありまして、一・六%入れるとか、あるいは予算繰り入れをするとか、あるいは剰余金の半分を繰り入れる、こういうことも今ののを変えていけばいいわけです、金が余れば。例えば一・六でなくてその倍の三・二にしても私はいいと思います。あるいは剰余金も二分の一ということにしないで、あるいはこれを四分の三にしてもいいと思う。その都度その都度そういう基金への繰り入れというものもそのときの財政状態で変えていったらいいと思う。いつまでも同じもので六十年いくんですよなどということを決める必要は毫もないんじゃないか、こういうふうに思います。
しかし、あなた方が勝手にそういうことをやられるということになれば、これは国民の目に見えませんから、先ほども丸谷さんがおっしゃったように、国民の目に見えるようにするというのには、私は大体五年、五年というのが一つの潮どきだろうと思うんです。だから、五年目ごとにひとつそれを、そういう今申し上げたような償還方法だとか、あるいは減債基金への繰り入れなどを見直してみる。状況がよければ何も五年に限ったことはないと思うんですよ。三年目でもいいと思うんです。そういう形で見直しをしていただいて、その結果を国会に必ず報告する、国会を通じて国民の批判あるいは国民の認識を深くしてもらう、こういうような形で制度化していく。そうすることによって、私はそれが国民ともどもの大きな歯どめになっていくんではないだろうかということをゆうべ考えてみたわけです。一つの財政民主主義に基づく歯どめ論ではないだろうか、私はこういうふうに思うんです。
あなた方の方も、これは私の案ですからぐあいの悪くなる点もあるかもしれませんけれども、ただ、だめだ、だめだということでなくて、もう少し何らかの形でひとつ討議を上せるような歯どめのあり方というものを考えてみたらどうですか。それは私どもも今のような形で考えてみましょう。各党にもお願いして考えていただくということで、もう少しやってみたらどうですか。もうああいう以外にはだめですよと言うにしては余りにも痛みを知らなさ過ぎる、もっと苦しんだらどうだろうか、こういうふうに私は思うんですが、大蔵大臣どうですか。今直ちに私は、もう時間も参りましたから、御返事は要りませんけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/84
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085・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは今も御指摘がありましたように、大体特例債を出すときから、あれは単年度ごとにというのは、やっぱりその都度痛みを感じてなきゃならぬものだから、何年間はというようなものでなしに単年度でいこう、もちろん憲法八十六条の予算の単年度主義の問題も理屈から言えばないわけではございませんけれども、そうして出してきたわけです。したがって、今度の法律を出すときにもやはり単年度ごとにという議論もしました、部内で。その方が痛みを感ずるんだ、節度だと。しかし、言ってみれば、ことし発行するものに借りかえ禁止規定をつけないものを、既発債をそのまま残しておいて、単年度ごとにそれをやっていくというのは、言ってみれば、整合性もないじゃないか。だから、やはり政策の大転換としてお願いしよう。そこでいろいろ議論をしていただいておるわけです。
そこで、今の御提案ですが、これは私は前向きに検討すべき問題だと思います。で、便乗した言い方をして申しわけございませんけれども、仮に我々が一・六を時にある種の数値に照らして、それが一・六が借になりますとか、あるいは今も二分の一ということになっておりますが、剰余金は大平答弁によって一応全額ということでやらしていただいておる。だから、それを他に流用する場合には新しく法律までつくっていただいてやっておるわけですから、したがってそういうものの変動制と言っちゃちょっと表現おかしゅうございますけれども、金利に変動金利があるように、いわばある種の基準的数値に対してその率等が上がっていくというようなこともそのときどきに考える方法もあるかもしらぬ。また、今竹田先生おっしゃった三年とか五年とかに一度ずつ見直していくという問題もそれはあるかもしれません。が、予算の単年度主義という憲法の規定と、そして今の見直し期間を設定するも一つの考え方です。あるいはその都度一つの特例として国会で理解してもらうのも一つの方法かもしれませんが、総合して今の御提案等を基本にして前向きに私はこれは検討さしていただきたい課題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/85
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086・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。
午後零時十八分休憩
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午後一時十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/86
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087・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、昭和五十九年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/87
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088・多田省吾
○多田省吾君 まず最初に、大臣に確認しておきたい点がありますのでお聞きしたいのです。私は、昨年の九月十四日の参議院本会議の代表質問におきまして、中曽根総理の所信表明に対し財政問題を取り上げて質問をいたしましたが、その中で「政府は、現行法で禁じられている赤字国債の借換債発行を本格的に検討していると伝えられるが、赤字国債の借りかえはしないという再三の国会答弁を変更されるつもりか、お伺いしたい。」と質問したわけです。これに対しまして中曽根総理は次のように答弁されました。「特例公債の借りかえ問題につきましては、いま検討しているわけではございません。しかし将来、公債の本格的償還に対してどのように対処していくかという点については、中長期的観点、また総合的、包括的観点から検討していくべき問題であると考えております。「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきまして、「今後財政改革を着実に進めていく過程で、国民的合意を得つつ、検討を進める」、そういうことにしておる次第でございます。」という答弁があったわけでございます。すなわち中曽根総理の答弁は、借換債発行問題については今は検討していない、中長期的に検討したい、そして国民的合意を得つつ、こう答弁していらっしゃる。
しかし、本法案提出に至る期間は余りにも短期的で、国民的合意を得るにはまことにほど遠い感じがしてなりません。そして、その内容においても、およそ国民的合意とはまさにかけ離れ過ぎている姿でございます。昨年九月の時点で本当に検討していなかったのか疑問を持たざるを得ません。真偽のほどはどうだったのか、まず御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/88
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089・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは確かに、多田先生の御質問に対して総理が今御指摘のようなお答えを申し上げておることは事実でございます。その紙に書いてあります、「一九八〇年代経済社会の展望と指針におきまして、今後財政改革を着実に進めていく過程で、国民的合意を得つつ、検討を進める」ということをお答えしたわけでございますが、その「展望と指針」が閣議決定されたのが去年の八月でございます。したがいまして、それから一月以内の段階でのお答えでございますので、当時私はそのとおりであったと思っております。
その後、本院等にわきまして、私の方からその「一九八〇年代の経済社会の展望と指針」等に敷衍いたしまして、昭和六十年代の特例公債を含む公債の大量償還に要する財源の確保については基本的には三つあります。すなわち、歳出の抑制か、歳入の確保か、または借換債の発行ということも含めての公債発行の手段が、この三つしかない。これも指摘されておるところでございますので、これらについてこれから勉強します。そこで、どこで勉強するかというので財政制度審議会で、まずここへひとつ勉強方のお願いをしてみました。
その結論が五十九年、ことしの一月十八日に出た。「特例公債の償還を、借換債の発行によらず全額いわゆる現金償還で行い、しかも六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却を図ろうとすると、極端な歳出カットや極度の負担増といった急激な措置を講じなければならないことになり、我が国経済や国民生活に好ましくない影響を及ぼすことは避けられないと思われる。したがって、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定を図りつつ、財政改革を具体的に進めていくためには、特例公債の償還財源の調達について借換横の発行という手段によらざるを得ないと判断される。」というのを一月十八円にちょうだいをしたわけでございます。
それに基づきまして今次の法律案をお願いするという運びになったわけでございますので、総理が多田先生にお答えいたしました当階は、「経済社会の展望と指針」の抽象論の域をまだ出ていなかったという段階ではなかろうかというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/89
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090・多田省吾
○多田省吾君 その後、たしか十一月十日に、国債借換問題懇談会を、私的諮問委員会ですか、そういう形でつくられましたけれども、その意図は那辺にあったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/90
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091・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 私の方の勉強会なものですから私の方からお答えいたしますが、昭和六十年代になりますと、五十年代に発行された大量の国債の償還期が一斉に来るわけです。特例債についての扱いは別といたしまして、建設公債につきましても、その借換債の円滑消化をどうするかというのが大変な問題でございまして、また前回の借換問題懇談会におきましては、五十九年までは一応検討の結果が出ておるのでございますが、六十年度以降につきましては、問題が大分大きな問題であるということもございまして、改めて検討するということになっておりましたので、その六十年代についてのまず建設公債の借りかえをいかに円滑にやるかということで十一月に発足をした、こういう経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/91
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092・多田省吾
○多田省吾君 今回の法律案の審議につきましては、これまで衆議院においても、当委員会においても、相当な時間をかけて議論が重ねられているわけでございます。私も衆議院大蔵委員会等の議事録を一通り目を通しましたけれども、いろいろな疑問点が質疑されているわけでございます。
まず、今回の一例とも考えられるような過去の、昭和五十年から五十八年までの特例公債の借りかえ禁止規定を一括して削除した、これは大変な問題だと思います。総理も大蔵大臣も、この最大の要因を第二次オイルショックに伴う世界同時経済不況を挙げて答弁されているわけでございますが、これだけでは私は納得できません。政府としての責任はないのか、仕方がないのだと聞こえるのでありますけれども、決してそうではない。政府の経済計画の狂い、財政運営の狂い、また内需拡大を図るための所得税減税や投資減税に非常に消極的だった政府の施策に多くの問題が私はあると思うわけでございます。この観点から大蔵大臣の見解、責任というものをどう感じておるのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/92
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093・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは政府が借りかえに至る政策転換をしなきゃならなかったということにつきましては、先ほど来申し上げておりますが、確かにこの五十九年度の赤字公債の脱却、これができなくなりました、したがって、これを六十五年度を努力目標として新たに設定いたしましたという状態の中で、いわば政策転換というものを行わしていただいたわけであります。したがって、その政策転換のもう一つの大きな柱といたしまして、御指摘の借りかえをお認めいただきたい、しかも、それは新発債のみならず過去にさかのぼって既発債の借りかえもお認めいただきたい、こういうことをお願いをしておるわけであります。
私は、この責任問題というのはいろいろございますが、私は確実にその責任というものをお感じになったか、それが御引退の直接の動機であったかどうかは定かにしておりませんけれども、したがって、新内閣ということになったわけであります。
そこで、今御意見の中で、内需拡大のための減説とか、あるいは投資減税とかいうことがあったならばもっと、言ってみれば、それに刺激されて税収が上がっていって、したがって経済、経済というよりも財政の面でこのような状態をもたらすことなく済んだではないか、こういうような御意見でございます。
しかしながら私は、こうした状態の中で、仮にもし減税を行えたといたしましても、それは結局、見返りの財源として赤字公債そのものによらなければならなかったではなかろうか。そういたしますと、各種の減税なり公共投資なりというものが税収そのものにはね返ってくるというのは、従来の経験からいたしましても、とても単年度とかいうときにはね返ってくるものではございません。それ以上に、より増高する国債残高に悩まされる点が多いではなかろうか。こういう感じがいたしておりますので、それなりに政策選択のその都度理由はあったではなかろうかと思うわけであります。ただ、五十六年、七年、この期間が、私どもが平素申します、今も御指摘のありましたこの第二次石油ショックということからして、世界同時不況という状態に追い込まれたことも事実であります。したがって、そこには大きな歳入欠陥が生じたわけでございます。これは政策選択の誤りのみと指摘することはできないではなかろうか。やむを得ざるものもあったではないかという、人ごとではなく、私も、五十五年までは私が大蔵大臣でもございましたので、そのようなことを痛感をいたしておるわけであります。
したがって、結局、私どもといたしましては、ここに政策転換を行って、ただいま御審議いただいておる形の財源確保法というものによって新たなる目標に一歩でも近づいていくための努力を行おうということで、御審議を煩わしておるというのが現状ではなかろうかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/93
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094・多田省吾
○多田省吾君 私は、財政運営の失敗、経済政策の失敗ということを先ほど申しましたけれども、大臣のおっしゃるように、減税とかあるいは投資減税を我が党初め野党がやれと主張した経緯、そういったものの中に、決してただ赤字国債を発行してというような条件はつけなかったわけでございまして、不公平税制の是正とか、あるいは歳出削減とか、いろいろな妥当な政策を挙げて私たちは要求したわけでございます。それも用いないで、政府がここ数年間財政運営をやった結果として、結局、政策の大転換と言わざるを得ないような姿になったということは、決して第二次オイルショックという原因だけではなしに、政府の財政運営政策の、あるいは経済政策の大失敗によるのではないか、こういうことを私は述べているわけでございます。その責任というものは重大なんだ、このように再び申し上げたいと思います。
昭和五十年度に特例公債が発行されたとき、大平大蔵大臣は、特例公債の借りかえは行わないとたびたび答弁いたしまして明言したわけです。そして、財政特例法の中で、昭和五十一年度以降におきましては償還のための起債は行わないと、借換債の禁止規定条項をはっきりと明文化しておりまして、今日に至っておるわけでございますが、このような三木内閣以来九年間にわたる歴代内閣がやってきたところの国民への約束、国会への約束というものをいとも簡単に破ったということは、まことに遺憾の二字では済まされない問題だと思います。そして政策の大転換だ、そういうことを言って済まされる問題ではない。その責任をどう感じておられるのか、もう一度お尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/94
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095・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは私は、今御指摘がありましたように、確かに、第二次石油ショックという、言ってみれば、世界同時不況ということのみではないと、私もそういう指摘には忠実にそのような姿勢で対応すべきものであるというふうに思っておるわけであります。したがって、私どもといたしましては、国会に対して、いわば「八〇年代の経済社会の展望と指針」というところの方針を踏まえて、そして国会に対しても忠実に、財政制度審議会の意見を聞いて、この三つの中のいずれをどのように選択するかということについて財政審からも報告をいただいたわけであります。
したがいまして、私どもといたしましては、この今度お願いしておるこういう法律案そのものを財政改革の政策転換の一歩と位置づけまして、そして私どもが努力目標として掲げております昭和六十五年度赤字公債からの脱却、そしてその役とにかく対GNP比ではかりますかどうかは別として、公債残高の縮小に対して不断の努力を払っていくというのが責任のとり方ではなかろうかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/95
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096・多田省吾
○多田省吾君 本来ならば、この財特法は、例年のごとく昭和五十九年度の特例債を六兆四千四百五十億円出したい、そして借換債は出しませんという禁止条項をつける、これに電電とか専売からの納付金なんかも多分入っただろうと思いますが、そういったものが例年の財特法だったはずでございます。
ところが、それに「等」という一字だけをつけて、そしていままで九年間約束してきた借りかえ禁止規定というものを全部吹っ飛ばしてしまっている。今までの五十数兆円の特例債というものは一切一気に六十年間延ばすんだと。今まで、かつては十年たったらすべて現金償還しましょうと約束し、しかもそれが借りかえ禁止規定という法律の規定に毎年なっていたわけでございます。それを、五十九年度の財確措置等の法律案ということで、「等」の一字ですべて過去の五十数兆円の特例債をまたさらに借換債として発行できるんだという姿にしたということは、まことに乱暴であるし、前代未聞の大変な弁解の余地のない暴挙である、このように言わざるを得ないわけであります。
それで、衆議院におきまして、矢追議員等もこの点は随分追及しているわけでございまして、今回我々は反対であります、反対法案でありますけれども、出すとすれば、五十九年度の財特法には、特例債を出すとか、借換債の禁止条項をそれに含めて、あとは、今言ったように、電電やたばこの納付金等の問題を入れて、それで済ませるはずではないか。あとの借換債は、これは大変な問題で、五十数兆円の借換債をさらに発行できる、六十年間延ばすことができるという大変なものですから、これは別に何もことし出さなくても、六十年度あるいは六十一年度に、国民的合意をそれこそ得て、しっかりした姿で国会の承認を求めるように出したらいいじゃないか。それでもまだ間に合うじゃないかということを、いろいろな根拠を挙げて衆議院段階でも追及しているわけでございます。
この前鈴木議員もここで言っておりましたけれども、オギャーと生まれたばかりの赤ん坊が、選挙権も何も持っておりません赤ん坊が、この国会審議が終わって、もしこの法案が通るとすれば、六十年間、子孫末代まで、まだ生まれてない赤ん坊まで含めてその犠牲にならなければならない、負担を負わなければならない。これはもう私は大変なことだと思うんです。しかも、この前野党から出た六つの質問に対しまして、きのう大蔵大臣が答弁されましたけれども、その内容につきましても、私はまことに残念ながら納得できません。歯どめの具体的な方法にしましても、「何らかの方法により」云々と言っていますが、具体的方法ははっきり示しておりません。私は、そんなことでこの参議院大蔵委員会で立派な審議ができるか、非常に残念でございます。
憲法八十三条を見ましても、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない。」とあります。財政民主主義の大事なことを説いております。しかし、こんな法案で、このような内容で国会の議決を求めるのは甚だ乱暴で無責任だと、私はこのように言わざるを得ません。
衆議院段階で矢追議員が提案したように、百歩譲っても、この法案を分離して、そして借換債の方の法案は改めて来年でも再来年でも出し直しした方がよろしいんじゃありませんか。昭和五十九年度は千六百億円近くの現金償還はそのまま済ますという方針でありましょうし、昭和六十年度の二兆二千二百八十億円ですか、それだって昭和六十年度で国債整理基金の繰り入れをやるとすれば、五千五百億円の余裕金ができる。これは大蔵大臣が出された試案にはっきりと出ているじゃありませんか。ですから、六十一年度から出したってこれは構わないものだがと、借換債の問題は。十分その間国民的合意を得るよう努力した上でですね。そして百歩譲っても、一年一年借換債発行ができるように、国会に議決を求めることだってできるじゃありませんか。それが本当の財政民主主義と言える、このように思うんです。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/96
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097・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 御指摘の議論は、私どもも部内でこの法律案を作成するに当たりまして、一番中心に議論をいたしました点でございます。そもそもまずこの特例公債を出すに至ったときから、昭和五十年の補正予算でございますが、一年一年国会の御審議を受けるということそのものが、行政当局として感ずる痛みであると同時にそれが節度であるということで、毎年御審議をわずらわしてきたわけであります。したがって、大きな政策転換をいたすにいたしましても、私どもはその償還年度ごとに借りかえをお許しいただく法律案でもって御審議をいただくことが、かつての節度論からする単年度主義と整合性がむしろあるんじゃないかと、こういう議論もいたしてみたわけであります。
しかし、ここのところで一番問題となりましたのは、五十九年度これがまさに発行いたしますものそのものが、いわば借りかえ禁止規定を取った形でお願いをしなければならない状態である。さすれば、それ以前に償還期の参りますものは、なお一層財政状態の厳しいときに来るものであることが予測されるだけに、それとの整合性からすれば、過去のものをこの際一価して借りかえを許容していただくということが、国会に対して何もかにもさらけ出した正しい姿勢ではなかろうかという結論に到達して、御案内のような先般また六項目に対するお答えもしながら今日に至っておるわけであります。
そこにまた歯どめ論としての訓示規定の問題もたびたび議論されたところでありますが、今のような多田委員のおっしゃったようなことをまず私どもも部内で議論しながら到達してきたものでありますだけに、私はこの法律案のよって来るゆえんを御説明申し上げながら、御理解を得ていかなければならないという考え方でお願いをいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/97
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098・多田省吾
○多田省吾君 私は大臣がいつもおっしゃっている中でどうも本末転倒であると思われるような箇所がございます。それは昭和五十九年度の財確法の中で五十九年度に発行する特例債は借りかえをしないという禁止規定は取らなくちゃいけないんだとまず言っていますけれども、その前に五十九年度のいわゆる特例公債の現金償還をどうするか、また六十年度どうするか、六十一年度どうするか。五十九年度は千六百億円近くの現金償還ですから、これは借換債を発行しない、それは決められた。じゃ六十年度はどうする。まず、六十九年度の前に六十年度はどうするんだ、六十一年度はどうするんだというのが先に考えることじゃないかと思うんです。それをいきなり六十九年度はどうも借換債を発行しないで済ますことは難しいから、それをまず取っ払うんだ。そういうことはちょっと本末転倒ではないかと思うんです。
あと十年先じゃありませんか。そして政府が努力目標とされている昭和六十五年度には赤字国債を脱却するんだという方針があるんじゃありませんか。それをきちっとやるおつもりなら、もう既に昭和六十五年度からは赤字国債の新規債は発行しないんで済んでいるはずですよ。六十五年、六十六年、六十七年、六十八年、その次六十九年じゃありませんか。また世界の経済の動向もこれから景気が上向いていくかもしれませんし、どう変わるかわかりません。それを十年先のことだけを、それも単なる試算例みたいなものを出して、はっきりした計画じゃないじゃないですか。「展望と指針」というようなわけのわからない抽象的なものを出して、そしてあとはちょっとした試算例みたいなものを出して、それで六十九年度はもう借りかえなしでは済まされないなんというそんな論法は通りませんよ。その前に六十年度の現金償還をどうするか、六十一年度の現金償還をどうするか、それがまず頭に来て、それをどうするかと真剣に対応するのが財政当局でなければならないはずじゃありませんか。それを六十九年度はどうしても借りかえなしでは済まされないから、これをばあんと将来の十年後のことをやっておいて、禁止規定を取っておいて、そして五十一年から五十八年までの禁止規定と五十年度の大平大蔵大臣の御答弁を一緒にして、この九年間の国民や国会に対する約束を「等」という一字で附則の中ですぱっと取っ払ってしまう。そしてその結果、先ほども申し上げましたように、今生まれた赤ん坊も六十年先までこの特例公債の負担を負わなければならない。その方たちはまだ何の日本政府から恩恵も何も受けていませんよ。そういう人がなぜ六十年先までそんな大負担を負わなくちゃいけないんですか。
そして歯どめ論の中でもせめて、百歩譲っても、それじゃ六十年じゃなくて二十年とか三十年にしましょう、今選挙権のある方が生きているうちに全部償還できるように二十年か三十年、せめてその期間に現金償還のできるようにしましょう、そうはっきりここで文章化するなり法文化するなり、あるいは大蔵大臣として責任持った答弁をするならまだしも、それさえないじゃありませんか。そんな後世に大負担をかけるような法案、「等」の一字で五十数兆円の特例債の借換債を発行できるようなこんな法案をどうして私たち審議できますか。どうしてもこれは私は納得いきませんね。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/98
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099・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは今の多田委員のおっしゃった議論等を踏まえて政府部内で私どももこの議論をしてきたわけでございます。今多田委員の御指摘になっておりますことは私どもにも痛いほどわかる事実でございます。しかしながら、今私どもから考えてみて、されば今年発行します五十九年債が借りかえをいたしませんということを約束できる状態にないままに借りかえ禁止規定を付してお願いするということは、それこそ国会に対してまさに結果としてうそをつくことになりはしないかというところに踏み切ったわけでございます。
五十九年のものが六十九年に償還期が来た場合に、これは必ず絶対に全額を借りかえしますということを初めから断定しておるわけではございません。努力規定にございますように、少しでも滅していく努力はしていかなきゃならぬわけでございますが、借りかえを全くいたしませんということを非常に不確定な現状の中で、それをつけて国会の御審議をいただくということは、またいずれかの日国会に対して、おまえはうそをついたではないかという批判を受けなければならない。そうすれば、この際現状を明らかに御説明申し上げて、政策の転換というものの中で、このたびのような法律としてお願いをしなければならないことに相なったということでございます。
したがって、私どもといたしましても、法律上なるほど「等」という一つの字でもって示されておりますものの中身の持つ意味からして、財政当局の責任者として、今御指摘のような問題については痛いほどその痛みと責任を感じながら、一生懸命でお答えを申し上げておるというのが偽らざる実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/99
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100・多田省吾
○多田省吾君 私は、今大臣のおっしゃったことは、五十九年度の財特法に限ってその六十九年度の借換債発行を禁止することはできなかったとおっしゃいますけれども、その同じ状況は五十八年の財特法審議の際にもあったわけですよ。そしてそれは今から十年後のことなんですよ。自民党さんの幹部の方のお一人に資産倍増論まで打ち上げている方もいらっしゃるじゃありませんか。十年たったら国際経済だって、あるいは国の経済だってどうなっているかまだわからないじゃありませんか。そして中曽根総理は特に計画を嫌われて、数字を出すのを嫌われて、「展望と指針」という名前で抽象的な将来のことしかおっしゃっていないじゃありませんか。そういう予測しかなさってないのに、六十九年度に日本の国の経済はもう破綻状態で借換債なしにはできないんだ、そういう論拠がどこから出てくるんですか。そんなことをおっしゃるなら、この前六つの質問の中に、援後の質問で私たちが取り上げたように、はっきりした数字を踏まえた計画を今出してくださいよ。その上で今後十年間こういう経済予測だから六十九年度はどうも借換債発行はせざるを得ないというような、そういうはっきりした計画を出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/100
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101・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 財政改革を推進いたしまして財政の対応力の回復を図る、これが今の一番の最大重要の政策課題であるという認識に立っておるわけであります。したがって、五十九年度はギブアップしたものの、一つの努力目標を置かなきゃならぬということで、六十五年度脱却というところに努力目標を置いたわけであります。したがって、当面はそれに全力を尽くすということで対応をしていきたい。
そこで、今多田委員おっしゃいました、もっと十年の計画を出してみる、こうおっしゃいます。それが私どもとして非常に難しい問題であると思います。これは所属される公明党の方から、今から六年ぐらい前からいろいろな計画についての提出方の御要請があっておりました。その都度苦労して一つの展望なり試算なりという形でお示しをしてきたわけでありますが、それが五十六年、五十七年の世界同時不況の中で、それにお示しした「展望と指針」そのものも大きな乖離を生じてしまった。それはある意味にわいては政治不信にもつながることではないかという一つの反省に立ちまして、計画という非常にリジッドなど申しますか、かちっとした計画でもってお示しするというのは非常に困難だというふうな現状認識に立ちまして、「八〇年代経済社会の展望と指針」におきましても数字の上で明確にお示ししておるのは、いつも申しますように、七、六、五抜きの四、三、二、一という数字しかお示ししない形で御議論をちょうだいする資料として御提供を申し上げておるわけであります。それらに基づきながら、七、六の中間値をとった六・五、それに弾性値一・一というようなものを仮定計算としてまたお示しをして、そこに出てきた要調整額というものを、さればこれは国民の負担増でお願いするか、あるいはサービスの低下でお願いするか、その選択は国会の場等の議論を通じながら、国民のコンセンサスが那辺にあるかを見定めていきましょうということで私どもが出したものがこの展望であり、そして試算、仮定計算を含む展望等の資料にほかならないわけであります。
したがって、この十年間、景気がよくなるではないかとかいろんな議論はございましょう。しかし、私自身のいささか私見を交えて申し上げてみますならば、仮にサミットそのものを考えてみましても、集まった国の人口を足せば六億であります。世界の人口の一三%、そしてなるほどGNPでは世界のGNPの恐らく五十数%ということになるでありましょうが、そこらの総合した将来に対する展望を見て、それが最貧国も含む世界全体の経済というものを展望してみました場合において、我が国の財政の果たす役割というものを考えた場合に、六十九年に五十九年のものの償還期が来た場合には、これは借りかえなしでいけますという、すなわち借りかえをしませんということをつけて今日御審議いただくという状態は極めて不確実なものであるという認識の上に立たなければならぬということになれば、正面にこのような形で法律を御審議いただかなければならないではないかというような緒論に到達してお願いをいたしておるところでございます。なかなかリジッドな財政計画、そういうものをお示しすることは、仮定計算ならば一つの仮定の数値を基準といたしまして出すものでございますだけに、可能でございますものの、非常にかちっとした財政再建計画というようなもので現実にお示しすることは、これは困難であるとお答えをせざるを得ないというのが偽らざる実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/101
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102・多田省吾
○多田省吾君 私は納得できませんで、五十九年度の財特法には借りかえ禁止規定をはっきり置くべきだ、このように思います。そして、差し迫って緊急的な昭和六十年度の借りかえはどうする、昭和六十一年度の借りかえはどうする、これはその上に立って六十年度あるいは六十一年度の時点でまた出されるなら法律を出された方がよろしいんじゃないか、このように思います。先ほど申しましたように、衆議院段階でも既に、六十年度だってきちっと国債整理基金の定率繰り入れをやれば、全部現金償還やっても五千五百億円の余裕金ができるじゃないか、こういう指摘もあるわけでございます。
で、大蔵大臣が一昨日おっしゃった、法案を二つに分けることのできない理由は何かという質問の答弁の中に、「借換禁止規定を存置したままにしておき、償還期が到来するごとに逐次削除していく場合には、毎年度の発行計画等に不確実な要因をもたらし、市場の不安定性を増大させるおそれがある」、こう答弁なされております。これも大変おかしなことでございまして、特例債の発行だって毎年国会審議にかけているわけです。特例債の借換債だって毎年度逐次削除していって何が不都合があるか、このように言いたいわけです。毎年度の発行計画等に不確実な要因をもたらす。そうだったら、特例債の発行だって国会の議決を通るまでははっきりしないんじゃないですか。まして、今は金融の自由化の時代でございます。大蔵省の建設国債や特例債の発行自体だって、この金融の自由化の時代においてはいろいろ問題がある、そういう時代なんです。借換債だけが毎年度の発行計画等に不確実な要因をもたらす、そういうことは言えない状態だと、私はこのように思います。そういう提案が衆議院でもありましたけれども、これに対してはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/102
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103・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 御質問の御趣旨は、借りかえ禁止規定を置いたままにしておくと毎年度の発行計画等に不確実な要因をもたらして、市場の不安定性を増大させるおそれがあるという事項につきましての具体的内容かと思いますが、公債の発行につきましては、民間の資金需要の動向等を十分勘案しながら、年度間を通じてその円滑な消化を図ることが必要でございます。そのためにも、年度当初から円滑な発行計画が立てられるような状況が整っていることが望ましいわけでございます。借りかえ禁止規定を存置したままにしておき、償還期が到来するごとに逐次削除のための立法措置を講ずることとする場合には、その法律が成立するまでは償還期の到来する特例公債について借換債が発行されるのかどうかが決まらない。このために毎年度の発行計画等の策定に当たりまして不確実な要因がもたらされることとなって、またそういうことによりまして新規財源債、借換債を合わせた国債の発行総額が不確定となる。こういう事情がございますので、市場の不安定性を増大させて円滑な消化に支障を生ずるおそれがあると、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/103
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104・多田省吾
○多田省吾君 それは理由になりませんよ。それだったら建設国債だって特例公債だって国会の審議を経なければ発行できないじゃありませんか。同じことじゃありませんか。借換債だけにこうだということは言えませんよ。それだったら、あれじゃないですか、借換債がこういう理由でできないとすれば、赤字国債だってあるいは建設国債の新発憤だって、毎年度の発行計画等に不確実な要因をもたらし、市場の不安定性を増大させるおそれがある、こうなるじゃありませんか。そして借換債のように一挙に五十数兆円も赤字国債や建設国債を発行できるような法律を五十九年度に出さなければならないなんという、そういうことになってしまうじゃありませんか。それはおかしいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/104
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105・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは法律が成立するまでは特例公債だってそうじゃないか、まさに借換債が発行されるかどうか不確定であるのは特例公債についても同様ではないかと、こういう御趣旨であると思っております。だから、可及的速やかに、特例公債につきましても先ほど理財局長が話しましたと同じことがあります、大小の差はございましても。したがいまして、本法案ができるだけ早く成立することをお願いをするという姿勢で毎年お願いをいたしておるところであります。
借りかえ禁止規定を削除することとする場合には、毎年度特例公債についてのみ立法措置を講ずる場合よりもさらに不確定、不安定な度合いが強くなるということは私は確かだと申し上げることができるではないか。だから私どもは、可及的速やかに私どもに授権してくださいということを毎度、例年お願いをいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/105
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106・多田省吾
○多田省吾君 特例債発行だけでも大変なのに、その上に借換債も加わるのではということをおっしゃいます。我々は特例債発行も借換借発行もともに反対ではありますけれども、法案を出される作業というものは同じじゃありませんか、法律が一本だって法律が二本だって。少しはそれは大変になるかもしれませんけれども、こんな仰々しく、「償還期が到来するごとに逐次削除していく場合には、毎年度の発行計画等に不確実な要因をもたらし、市場の不安定性を増大させるおそれがある。」、そういう答弁は私は大仰過ぎるし、すべきではないと思いますし、誤りであると、このように思います。言い過ぎであると思います。こういうことだったならば、私は昭和五十九年度におきましても六兆四千四百五十億円の特例債の発行計画というものは不確実な要因ですよ、まだ通ってないんですから。これだって大きいじゃありませんか。この方が大きいじゃありませんか。
で、市場の不安定性を増大させる。今までのことを考えましても、これにちょっと法律案を毎年追加して出すということはできない相談ではない、このように思います。こんな「等」の一字で五十数兆円の特例債を六十年間にわたって、またこれからも続くでありましょうし、国民に負担を負わせる、そういう法律を一挙にどさくさ紛れに通してしまおうなんという財政民主主義に反することをやるよりもずっと民主的だ、このように思いますが、大臣もう一度御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/106
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107・竹下登
○国務大臣(竹下登君) いや、今おっしゃいました点を私どもとしては非常に議論をしてきたわけであります。今申しましたところのいわゆる民間の資金需要の動向等を十分勘案しながらやっていかなきゃならぬ。一例を申し上げますならば、この六月横がいわば休債をしたというような事実も時にはあるわけでございますけれども、いずれにしても四条債ということの部分につきましては、これは予算を通していただくことによって一応の部分が確定するわけでございます。それらのことを勘案して、年間を通じての民間資金需要の動向等を見て円滑な消化を図っていくということを今日までも進めておるわけでありますが、これがさらに借りかえ部分が加わっていくわけでございますだけに、それにしても年々まだ、仮に六十五年まで目いっぱい財源債としての特例債を出すに当たっても、毎年御審議をいただくわけでございます。したがって、この際政策転換の趣旨に基づいて、そのような形の中で私どもが将来に備えて、年間を通じての民間資金需要等を勘案して円滑な消化をしていくためには、この際政策転換を明確にして、その都度また授権をいただくということが適当ではなかろうかという判断の上に立ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/107
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108・多田省吾
○多田省吾君 大臣は、私どもが質問したようなことを財政当局で真剣に討議されたということを再三御答弁なさっている。そのように真剣にそれをまず最初に検討なさったのならば、私は当然そういう方向で実現できたと思うんですよ。「中期的財政運営に関する諸問題についての中間報告」、財政制度審議会から本年の一月十八日に出されました。その中で、借換債の調達の形態につきまして、一つには「国債整理基金特別会計において借換債を発行する方法」。これは四条公債と同じ方法だ。二番目には「一般会計において事実上の借換債を特例公債の形で発行する方法」。二つの方法がある。そして二番目の一般会計において借換債を特例公債の形で発行する方法をとるのは、「財政改革を進めるに当たって、国民に厳しい財政事情を周知徹底させるために、一般会計で事実上の借換債を特例公債の形で発行し、特例公債に依存している財政の状態を明示することによって、財政節度を維持すべきであるという考え方もあると思われる。」と、こういう内容があるわけです。
それで残念ながら、財政制度審議会も、結論では①の方がいいだろうということは言っておりますけれども、この①の方の国債整理基金特会において借換債を発行するという、四条公債と同じ方法でございますと、国民には全然見えないところでやられるということになります。私は特例債の発行もあるいは借換債の発行も大反対ではありますけれども、百歩譲っても、同じ特例債を発行するにしましても、国民の目にはっきり見える方法、一般会計において事実上の借換債を特例公債の形で発行する方法というのも大きな私は意味があると思う。今のような法案が通ってしまいますと、もう国民の目に触れないところで、どんどん五十数兆円の特例債が六十年間にわたって借換債の形でまた発行されていくわけです。これは大変なことだと思うんです。
そういうことから見ても、私は、この借換債の発行ということは、本当に総理もおっしゃっている国民的合意というものが非常に大事だ、このように思います。そういう意味でも、私は、過去の五十年から五十八年までの借換債禁止条項を一遍に取り払ってしまうようなことではなしに、国民の目に触れるところで、一年一年国会議決にすべきではないかということを、百歩譲ってもそうすべきである、このように言わざるを得ないわけでございます。その点に関しまして大臣の御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/108
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109・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 今おっしゃいましたように、財政制度審議会の中間報告、一月十八日の中におきまして、この特例公債の財源の調達につきまして、一つは特会で借換債を発行する方法と、もう一つは一般会計において特例債を出してやる方法と、二つあるということで、これにつきまして、おっしゃるような問題等々につきましていろいろな角度から検討をした結果をこの報告でも載せておるわけでございます。
そこで、考え方といたしまして、この一般会計の方で財源を調達した方がいいではないかという考え方も当然あるわけでございます。これによるメリット等もあるわけでございます。しかし、この一般会計で事実王の借換債を特例公債の格好で発行するということになりますと、結局その部分につきましては、一般会計の規模がそれだけ大きくなってしまいますし、六十五年度までに特例公債から脱却するという目標もあいまいなものになってしまうわけでございます。そういう意味で、これは一般会計ではなくて特別会計で借換債を発行するのがいいのではないかということになりまして、この報告にもございますように、それによりまして今回の法案もそういう内容でお出しして御審議を願っているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/109
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110・多田省吾
○多田省吾君 私は、これでは国民の目に見えないところで事がどんどん行われて、後代の方々に大変な負担を知らざるうちにかぶせることになる、このように言わざるを得ないと思います。
先ほどの十年後の昭和六十九年の問題についてもう一点触れてみたいと思いますが、大蔵省が本年二月に国会に提出された「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」を見ますと、十年後の昭和六十九年には利払い費が十三兆二千億円、それから定率繰り入れが三兆一千四百億円となっております。ところが、政府の六十二年度までの中期展望でも、また六十五年度までの仮定計算例でも財政状況を示す資料は明らかではありません。ですから、先ほども申しましたように、こんな状況で六十九年度において借換債をしなければ財政運営ができないというような先ほどからの政府の主張は認めることができません。これじゃ全く財政の節度は無に等しいのではないかということが言えます。大臣の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/110
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111・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 将来の財政の姿がどうなるかということにつきましては、先ほど大臣め答弁にもございましたように、いろいろ流動的な要素がございまして、リジッドなものがなかなかつくりがたいということでございます。それでは、この特例公債の償還額がどうなるかということにつきましては、先ほどおっしゃいました「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」にもございますように、六十年度で二兆、その後三兆、四兆とふえてまいりまして、六十四年度以降はずっと六、七兆円という要償還額があるわけでございますが、極めて巨額の償還額でございますので、仮にこれを借換債で財源を賄わないで償還するということになりますと、この額の歳出カットを当然に予定せざるを得ませんし、歳出カットができないということになりますと、やはり何らかの増収策で、これだけの六、七兆円という巨額の額を毎年増収によって賄うということにもなります。そういう意味で、先ほど来大臣が御答弁申し上げましたように、六十九年度においても極めて厳しい財政の状況がそういう面からも予想されるということでございます。そういう意味で、今回の法案の中において借りかえ禁止規定を努力規定にかえてお出しし、御審議を願っているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/111
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112・多田省吾
○多田省吾君 私が言いたいのは、この国債整理基金の資金繰り状況だけを六十九年まで出して、大変なんだというようなことを出して、しからばそれまでの経済状態はどうなっているか、少なくとも中期展望とか仮定計算例とか、これが六十二年、六十五年度までしか示してないということは不備である。六十九年の財政状況をはっきりと示してないで、しかも六十九年度において借換債をしなければ財政運営ができないんだと断定することはどうしても認めることができない、こう言っておるんですよ。だから計画を、先ほどから十年後の財政計画を出してほしいと再三申しておるわけです。もう一度ひとつはっきりした御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/112
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113・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 今国会に提出いたしました仮定計算例は、六十五年度までの姿を、仮定のいろいろの数値を入れましてお出ししているわけでございます。それによりましても、要調整額が六十五年度において借換債の発行をしない場合には十五兆円という、大きな巨額な要調整額になるわけでございまして、仮にその仮定計算で行いました要素でさらにこれを六十九年度まで延ばしてみましても、その要調整額はふえこそすれ減らないということが見通されるわけでございまして、そういう意味からも、少なくとも仮定計算で見る限り、それを延長いたしましても非常に苦しい財政状況がなお続くという数字が出るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/113
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114・多田省吾
○多田省吾君 私はその出るはずだという御答弁では納得できないんです、実際出てないんですから。第二次オイルショックと反対の現象が起こる可能性だって当然あるわけです。
次に、昭和六十五年度赤字国債発行をゼロにするという財政再建計画がございますが、再三言われておりますように、財政再建計画としての目標年次は昭和五十九年度発行ゼロということであったわけです。その翌年度の六十年度からの特例公債の本格的償還が始まるのに備えていたはずでございます。ですから、五十九年度におきまして特例債発行ゼロと、このようにはっきりリンクしていたと私は思うわけでございます。特例債発行ゼロの目標が六十五年度に延長されたわけでございますが、残念ながら、今回の法案が通りますと六十五年度はおろか将来六十年間にわたって実質上赤字国債が借換債の形で発行され続けるわけでございます。大臣としては、この昭和六十五年度赤字国債発行ゼロ、これは絶対にやりますという、そういう信念がおありでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/114
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115・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 特例公債の大量償還を行いながら、そして一方で新たに特例公債を発行せざるを得ないような財政事情のもとで、一般会計が特例公債に依存しておる体質からまずは脱却することだというのが、六十五年度を努力目標としたという第一義的な理由でございます。したがって私どもは、この六十五年度に財政の対応力の回復を図るという観点からも、何としてもその努力目標に向かって精いっぱいの努力をしていかなきゃならぬ課題だという決意をもって臨んでおるわけでございます。
ただ、私どもがそう申しましても、そうはいってもなかなか難しいじゃないか、例えばことしの一例をとってみても、大体平均すれば一兆円のものがはるかにそれの半分ちょいしかないではないかと、こういう御議論も当然あろうかと思うのであります。したがって、私どもはその分を上乗せして今後一兆八百億円ということで展望ないしは仮定計算等をお示ししておるわけでございますが、それの言ってみれば出入りは、それは若干のことはあろうかと思いますが、それが一つの私どもの努力目標として絶えず念頭に置いていかなきゃならぬ数値だというふうに考えて、これからも進んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/115
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116・多田省吾
○多田省吾君 そこで私は、一昨日大臣の御答弁にあった第五項目の歯どめの具体的な方策についてお伺いしたいと思います。
今まではこの公債発行の歯どめの具体的方策につきましてはたくさんあったと思いますが、私は四つほどここで取り上げてみたいと思います。
一つは市中消化の件でございます。日銀引受禁止の件でございます。この中で、これはもう絶対に破ってはならないことでございますが、いわゆる特例公債の乗りかえ問題があるわけです。政府あるいは日銀で持っている特例公債については償還のときにそのまま乗りかえる、そういうことが、いわゆる私的懇談会と称している国債借換問題懇談会でも進言されているようでありますけれども、それはどうなるのか。
それから二番目には、建設公債の原則でございましたが、これは五十年度以降特例公債が発行されまして破られております。
それから三番目には、公債依存度でございますが、これも四十三年当時は五%、その後も予算の一〇%とか、こういう歯どめがありましたが、この公債依存度も既に破られて、今は既に二五%を超えているような現況でございます。GNP応対する対比も先進諸外国よりもずっと上になっております。
それから四番目の定率繰り入れ、この問題も昭和五十七年度から五十九年度まで三年間実施されませんでした。六十年度もどうも危ういようでございまして、きょうの日経新聞なんか見ますと、あの行革審では既に一兆八千億円余の定率繰り入れを停止すべきだなんていう答申を七月に出すんだと報道されておりますが、これはとんでもないことだというように思うわけでございます。
この四つの歯どめの具体的方策につきまして大臣としてどうお考えなのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/116
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117・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃったこの四つは、いずれも公債発行の歯どめとしての意義を持った四ポイントであるというふうに私も認識をいたしております。何としましても、公債というものは当面の負担を伴わないということから、安易に公債に依存することになる危険性があるということが一番基本的な問題点でございます。したがって、この歯どめにつきましては、従来から国会の論議等を正確に報告し、財政制度審議会等でも御審議をいただいて、そうして時々の経済情勢、財政事情を踏まえて今日まで参ったわけであります。だから、四本柱は、いずれも財政法の規定から、または財政制度審議会の報告から、これは歯どめと考えるべきであるというふうに思っております。
財政法第五条は公債の日銀引き受けを禁止しておる、そして市中消化の原則を規定しております。これは公債発行に伴う通貨の膨張をチェックするということ、それから金融メカニズムを通じて公債発行額を規制しようとの考え方に基づくものでございます。今後とも市中消化の原則を堅持していくということであるべきであるというふうに考えております。したがって、そのためにも国債が国民各層に広く受け入れられるように国債管理政策の適切な運営に努力していかなければならぬというふうに考えます。
次の建設公債の原則というのは財政法四条、こういうことになりますが、均衡財政を原則としながら公債発行を行う場合には、その対象は公共事業費等に限定して、経常歳出は経常歳入で賄うべきであると、こう定められております。これが結局、五十年度以降連年特例公債の発行が余儀なくされたという状態で今日まで続いておる、これまた御指摘のとおりであります。だから、私どもといたしましては、できるだけ早くこの建設公債の原則に帰らなきゃならぬということで、五十九年はギブアップいたしましたが、六十五年というところにその努力目標年次を定めまして、全力をこれから尽くしていくということであります。
それから公債依存度の問題でございますが、四十二年当時に財政硬直化打破を目指して公債依存度五%以下と、これは財政審から提言されました。四十五年度の決算においてその目標が達成されたわけであります。五十一年、五十二年においては公債依存度の三〇%が歯どめとされてきたわけであります。三割前後という極めて高水準になった。それで五十四年、結果としては発行しなくて帳じりが合ったわけでございますけれども、当初はまさに三九%でございましたが、四〇%というような状態にあった。したがって、そういうことからいたしまして、五十九年度においては歳入歳出面でのぎりぎりの努力を払って、最大限の公債減額を行って公債依存度は二五・〇、五十年度以降では決算ないし補正後ベースでございますが、当時から見れば最も低い水準にとどめたということになるわけでございますけれども、実際問題、サミット参加国を見ましても、二五%といえばこれはどの国よりも高いわけでございますので、今後とも公債依存度の引き下げに努めていかなきゃならぬというのは当然のことであろうと思っております。
それから定率繰り入れの問題でございますが、この減債制度は、償還財源を一般財源から先取りしてそれだけ他の歳出に充て得る財源を制約することとなりますために、財政運営を慎重にして財政の膨張に対する間接的な歯どめという役割を果たすものでございます。で、五十七年―五十九年定率繰り入れの停止は、各年度の困難な財政事情にかんがみて、また一方、国債整理基金の資金繰り上、公債の償還に今直ちには支障がないと、こういうことから停止したわけでございますので、その後いろいろ悩みつつも、財政審等の御意見を承っております今日、減債制度そのものを廃止するという状態ではなく、三年連続になりましたが、その単年度の措置として国債整理基金の資金繰り等も勘案しながらやってきたわけでございます。
したがって、定率繰り入れの問題につきましては、一昨日もいろいろ議論がございましたが、そのときどきの財政状況や国債整理基金の資金繰り、こういうものの状況を考慮する必要がございます。だが、財政審等でも指摘されましたように、この減債制度の仕組みそのものはこれからも維持していくという基本的な考えは踏まえて対応しなければならぬ問題だということであります。
御指摘になりましたように、けさ外国のお客さんがございましたが、ちょうどそこのところは私も読んでおりました。これは行革審等の何か小委員会の報告というようなことで一紙だけに出ておりましたが、その内容は、その行革審等からの御報告を受けない前でございますので、どういう考え、どういうニュースソースから出たものであるかは存じませんけれども、そういうことが出ておった記事そのものは私も読ませていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/117
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118・多田省吾
○多田省吾君 最初の、特例公債の償還の場合の日銀と資金運用部資金の乗りかえの問題はどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/118
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119・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 乗りかえと言っておりますのは、償還期が来た国債につきまして、資金運用部と日本銀行の保有分につきましては借りかえを行うという取り扱いを現在行っておりまして、それを乗りかえと言っているわけでございます。財政法の五条で市中消化の原則を規定しておりますが、その特例といたしまして、特別の事由がある場合には国会の議決を経て日銀の引き受けをすることができる道が開かれておりまして、従来の扱いといたしまして、いわゆる乗りかえ、日本銀行保有国債の償還期が来たときの借りかえにつきましては、予算総則の中に書き込みまして借りかえているところでございます。
それで、今後の問題でございますけれども、五条の趣旨がインフレマネーの創出を禁止すると、こういうことでございますので、保有国債の借りかえにつきましてはそういう心配もないということで、従来どおり乗りかえをするのが適当ではないかなと、こういうふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、そのことにつきましては、先ほども申しましたように、予算総則の規定するところでございますので、国会で十分御審議を得た上でという扱いになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/119
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120・多田省吾
○多田省吾君 先ほどの大臣の御答弁のように、四つの歯どめというものが市中消化の点を除いてはすべてもう壊されております。昭和五十四年十二月に財政審が行った報告の中の公債発行についての数々の歯どめについての提言、これもほとんどもう破られ、また公債政策に生かされておりません。そしてこのような借換債発行という大変な事態になったときの歯どめというものが非常に重要だと、このように思います。一昨日の大臣の御答弁の中に、借換債の発行を行う場合において、特例公債の残高をできる限り早く減少させるための歯どめとして二つ述べておられます。
一つは、「今後の財政事情の中で、六十年間を待たずに、できる限り償還に努力」する。先ほども申しましたように、生まれたばかりの赤ん坊が六十年先まで何も知らされてないのに、国会でこの法案が通ってしまったということによって大変な負担を背負わなければならない。とんでもないことでございます。せめて二十年とか三十年で償還するという具体的な約束をこの委員会ですべきだと、このように思います。
それから二番目に、「何らかの方法により、特例公債の残高を建設公債と区分して明らかにすることを通じ、国民の前にその進捗状況を示す」とありますが、これも何らかの方法によりて、非常に抽象的で何を言っているのかわからない。私はこれも具体的にどのように国民の前に進捗状況を示すのか、はっきりした案を私はこの法案審議に出すべきだと思います。
この二つぐらいははっきりここで言わなければ法案審議にはならない。このような重要な内容を含んでいる法案を出すに当たって、そのぐらいのことをここではっきりおっしゃらないような大蔵大臣であるならば、将来に大きな禍根を残すんじゃないか、このように思います。はっきり御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/120
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121・竹下登
○国務大臣(竹下登君) このいわゆる努力規定、これに対して、努力規定は仮にもし百歩譲って努力規定を認めても、少なくともその努力規定の中の一つの努力目標としてでも、いわゆる抽象的に六十年を待たずしてというようなことではなく、あるいは時に二十年あるいは三十年、四十年というような具体的数値を示して誠意を示すべきであるという御議論であると思います、第一点は。
私どもも、これはたびたび御議論いただいておりますように、一たび借換債の形となりましたならば、残高の面において何らかの方法でということは後ほど答弁したいと思いますが、いずれにしても、対象となれば最低限が現在の建設国債の償還方法ということを遵守していくということのみを申し上げておるわけでございますから、その都度の努力というものでなくして、少なくとも数値を示すべきだというお話にはたびたび耳を傾けておるところであります。しかし、現実問題として、今日されば可能な限りの努力ということは申すことができるにいたしましても、その都度の経済、財政状態等を見ながら逐年決めていくべきものでございますので、きちんと二十年とか三十年とか、そういう原則を打ち立てるということは大変困難な問題であるとお答えを申し上げなければならぬ。
それから第二番目の何らかの方法によってということでございます。私は私なりにこれから本当に難しい問題があるなど。これからいろいろ議論していきますならば、いわば借換債の形が十年が十年じゃなくして、あるいは中期債、あるいは短期国債というようなことも考えなきゃならぬかもしれぬ。そうなると、なおのこと、それの表示の仕方というものは、これは技術的に見てもなかなか難しい点がある。しかし、私個人では個人なりの考え方は、その都度残高というものを国会に報告するとか、いろいろな手法は考えられると思うわけでございますけれども、より正確に表示するためにはいかなる手法が最も妥当かというようなことは今後のまじめな検討課題の中に残していただきたい。そこで可能な限りのものを何らかの手法によってお示し申し上げるということにしなければならぬというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/121
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122・多田省吾
○多田省吾君 全くその歯どめは示されておりませんで、納得できないと思います。
どうも報道等によりますと、この法案を通してから大蔵当局は来年度以降国債管理法みたいなものをつくってごまかそうとしているような気配があるようでございます。私は先ほどから申しているように、借換債の問題は本年度分から一切除いて、来年度以降においてはっきりしたものをあわせて国民の前に示すべきだと、このように思うわけです。一番大事な柱、五十数兆円の特例債を六十年間にわたって借りかえできるような法律を通しておいて、そしてまた抜け殻のような国債管理法を後で一年たってから出してくる。まさにあれじゃないですか、国会議員なんというのは法案を通してくれればいいんだと、あとは大蔵省で全部後始末やるから、具体的なことは全部やるんだから、そういうふうに受け取られますよ。借換債を出す前に、あるいは同階に、国債管理法を出すんだったら先に出すべきだ、それでこそ私は国会審議ができると思うんですよ。それを一切出さないで、そして最も重要な部分の内容を通してしまってから後で飾りつけを行うんだと、こういうことは納得できませんね、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/122
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123・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 今の御質問は、あるいは新聞等で伝えられております、六十年度以降の国債に絡みましていろんな構想が新聞に出ておりますが、それを念頭に置いての御質問かと思いますが、私どもといたしましては、六十年度以降一段と難しさを加えてまいります国債管理政策につきましては、極力弾力的に適切な対応をしていかなくちゃいけないということは考えておりますが、具体的にどういう制度でということを現時点で検討しているわけではないわけでございます。先ほど申し上げましたような姿勢でございますので、今後の問題としては、そういった検討も必要かと思いますけれども、今の時点でそういうものを持っておりませんので、まことに恐縮でございますが、それを今ここで示せという前提での御意見であれば、ちょっとお答えしかねるわけでございまして、ひとつお許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/123
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124・多田省吾
○多田省吾君 私は、報道されているように国債管理法(仮称)なるようなものを、この案を通してからもし六十年度あたりから出そうとしているんだったら、こんなおかしなことはないということを言っているわけです。本体を通しておいて飾りつけだけ後でやろうという、とんでもないことだ。出すんだったら一緒があるいはその前に出せと、そういう意味で言っているんです。
時間もありませんのであれですが、これからの財政運営について大事な問題でありますから一つ。
OECDの今回の見通しでも、アメリカの高金利が悪影響を及ぼしまして成長は来年若干鈍る、日本の貿易黒字はさらに拡大して、本年度が四百十億ドルですか、来年度は四百七十億ドルに及ぶだろうということも出ております。我々は、景気回復のためには、サミットで総理が約束してこられたように内需拡大ということを図り、また財政再建をやっていくのならば、これは当然政策別のシーリングを考えていくとか、あるいは所得税減税、投資減税を進めるとか、公共役賢を進めるとか、一律のマイナスシーリングというものを見直すべきではないか。もちろん私たちは行政改革の大事なことも知っておりますし、それを踏まえた上の主張をしているわけです。こういった点に関しまして、この我が国の現在の景気の問題あるいは将来に向かう景気拡大の方途、また内需拡大による貿易収支の改善、こういった問題でもし御意見があるなら簡単に経企庁あるいは最後に大蔵大臣にお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/124
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125・田原昭四
○説明員(田原昭四君) 我が国経済が昨年春、回復に転じましてちょうど一年余りたったわけでございますが、現状においてはまだ業種間ないし地域間の陰りと申しますか、まだら模様も残っておりますが、全体として見れば拡大を続けている、かように判断をしておるわけでございます。
景気の内容について若干ポイントを申し上げますと、何といっても好調を維持しておりますのが輸出でございまして、これはアメリカの急ピッチの景気拡大によるところが非常に大きいわけでございますが、国内需要につきましても、設備投資、このところ中小企業を中心にかなり増加をしておりまして、最近いろいろと発表されました統計を見ましても、大企業の設備投資も今後盛り上がる、こういうふうな見通しになっております。
それから個人消費でございますが、これもまた十分力強さは感じられませんが、最近の車の売り上げでございますとか、百貨店売り上げ等々から見ますと、これも回復をしている。それから住宅投資は基調的には持ち直している、こう思いますが、まだその動きはかなり鈍い、かように考えております。
それからこういう外需、内需の動きを反映いたしまして鉱工業生産でございますとか、輸入は今のところ引き続き増加をしている。
それから一方、労働力関係でございますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/125
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126・多田省吾
○多田省吾君 いや、結構です、時間ありませんので結構です。どうもありがとうございました。
では大臣、最後に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/126
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127・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私の方で言いますと、今、経企庁からお話がございましたが、総合して、QEといいますか、で見ますと、五十八年度が当初国会でお示ししておりました三・四%の実質成長、それが大体三・七というようなことで締めくくられるではなかろうか。ただ、今多田さんおっしゃいましたように、外需が一・八でそれから内需が一・九というふうにざっと承ったばかりでございます。したがって、当初からすれば、半々でちょっと内需が上にございますけれども、当初から言えば、外需の方は約三倍、内需の方が約半分でございますか、というような感じでございます。
それからもう一つは、私の方の角度から見ますと税収でございます。税収は来月早々になりますと五十八年度税収は締められる、完全にわかるわけでございますが、今の見込みからいいますと、全法人の三分の一の決算がございます三月期の税収が明らかになっておりませんので、にわかに何ぼというふうには言えませんが、私が若干無責任な言い方になるかもしれませんが、考えてみますと、補正ベースから見れば、一%は誤差のうちなどとよく言っておりますが、誤差のうちで上の方の秋差になるんじゃないかと、こういうような感じがしております。
そうすると、多田委員の方では、五十九年は少しは税収も上向きじゃないかと、こういう御議論が出ると思うんでございますけれども、五十九年は御案内のとおり四・一%の実質成長というものを見込んでおって、まだ四、五、六と歩いてきたばかりでございますけれども、法人税収を聞き取り調査、積み上げによりまして二けたの伸びを見ておりますので、かなり見込んだ状態になっておるから、五十九年大変な自然増収が期待されるという状態にはないではなかろうか。だから、今企画庁からお話のありました地域的ばらつき等はございますものの、総体的に見れば上昇傾向をたどりつつある。OECD等の資料を見ると、諸外国の中では、それは日本が一番安定成長の中でもやや高目の状態が予測されておるというのが今日時点でお話し申し上げられる正直なところじゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/127
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128・近藤忠孝
○近藤忠孝君 一昨日の当委員会における私の質問の最後に対する答弁は、国債保有者の所得階層別分布調査というのは、国債が有価証券なので調査が困難だから行わないというところで終わったわけですね。時間がないんでそれでしり切れトンボになったんです。したがって、その後の問題について質問したいと思います。
既に議論の中で、国債の利払いが所得再配分では逆の機能を果たすというのは、もうそちらの答弁もあることですから前提の事実ですね。しかもそれが十兆円もの金の流れだと、それをどう的確につかむかということが問題なんだけれども、それをつかむことをしないとなりますと、この十兆円の金の流れについては、その効果や経済に与える影響については全く手探りで臨むのか、これがまず第一点ですね。しかし、大ざっぱにつかんで臨むとなれば、少なくとも逆機能となれば、その保有が高額所得者に多いということはもう明白ですから、それを前提とした財政運営を行うのか。この二点についてまず御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/128
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129・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) まず保有状況のお話につきましては、理財局のお話ですが、先ほどの所得再配分機能をゆがめるという点につきましては、委員がおっしゃいましたように、まさにそういう可能性は十分あるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/129
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130・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それだけですか。――それを前提にして議論が進んできて、それで調査しないというから、調査しないで十兆もの金の流れについて一体どうやるのかということを聞いているんですよ。
私は確かに困難なことはわかります、有価証券だれが持っているかということは。それはわかりますよ。だから完璧なものは難しいと思います。しかし一定の調査はできるんでしょう。現に日銀はやっていますよ、まあ不十分なものですけれども。しかし一定の傾向はわかりますよね。そうなれば、大蔵省みずからがもうちょっと一歩踏み込んだものを、いろんな工夫をして、そしてそれをつかみ、十兆のお金がどう行くのか。そうすればそれが本当に逆の機能を果たすとなれば、今度は一般財政支出の方でこれをどう手当てしていくのか、まさにそこが一番大事なことでしょう。その基本方針が確立するためには、まず実態をどうつかむのか。そして、その実態としては、逆機能は明白なんですよ。可能性がありますなんていう段階じゃないですよ。それはもう明白ですからね。その点を聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/130
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131・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 委員の御質問の趣旨がちょっとのみ込めないわけでございますけれども、仮にそのように所得再配分機能がゆがめられるというような保有状況であるとした場合に、財政の仕組みとしてこれについてどういうことを考えていくかという御質問だといたしますと、まずなすべきことは、できるだけ国債の発行額を減らしていくこと。減らすことによってそのようなゆがみを直していくということが基本的なあり方だと思います。
続いて、仮にそういうような状況があった場合にどういうふうに考えていくかということでございますけれども、それを財政の仕組みによって後ほどそのゆがみを調整するというやり方は、非常にいろいろ検討を要すべき問題があるかと思います。例えば税によってその部分を調整していくというやり方がありますとともに、歳出面でそういうゆがんだ結果不利をこうむる人たちに何らかのプラスをしていくということになるかもしれませんが、これもまた、非常に実態そのものがつかみがたいということもございますし、なかなか仕組みとしては難しいのではないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/131
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132・近藤忠孝
○近藤忠孝君 減らすといっても現にあるわけでしょう。それで、これから毎年ずっとふえつつあって、十兆規模でずっと続くんですよね。それはどうするのか。大体五十兆強の財政の中で十兆が逆再配分の機能を持つんですから、もし仮にそうなるとというけれども、そんな認識なんですか。そんな認識で臨むとなれば、私は財政を預かる資格ないと思いますね。これは明白な前提で今までそういう議論もあるし、次長からもそういう答弁があったんですから、減らすなんというのはこれからの話であって、現にある十兆規模の金をどうするのか、その流れをどうするのか。
それから二番目に、財政でどうなるのか。いろいろ問題がありますからというのだけれども、そういう機能はそのまま放置するんですか。そのことを聞いておきます。
〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/132
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133・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) そのゆがみが仮にあった場合にこれをどういうふうにしていくかという問題につきまして、例えば諸外国等の例を見てみましても、これにつきましては検討しているかもしれませんが、具体的にいずれの国も答えが出てないと思います。これは先ほど申し上げたように、いろいろ問題があって、なかなかそういう面でゆがみに時宜適切に対応していく方法が具体的にいずれの国も見出しがたいからだと思うわけであります。そういう意味で、そういうことを具体的にやらないのはおかしいではないかという点につきましては、非常に答えを出すのが難しいというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/133
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134・近藤忠孝
○近藤忠孝君 ですから私は、的確な調査、なるたけ実態をつかむのに近い調査をすれば、今次長が言ったような、仮になんということじゃなくて、実際そういう機能を果たしているのだということが明白ですしね。それは大きく見ればそういう機能を果たしておるのは明らかなんですね。ただ、この問題幾らやっておってもそれ以上の答弁は出そうもありませんので、そういう点では今の大蔵省に任しておくと本当に危ないなということを指摘して次の質問に入りたいと思うんです。
実際は、こういう国債金利の逆再配分機能に加えて、これはもっともっと逆行する圧力が強いんじゃないかと思うんです。きのうの夕刊に出ておりましたアメリカ国防総省報告書ですね、それによりましても、これは一面では中曽根内閣の防衛力増強に関する姿勢を評価しながら、なお防衛力の実態には不満であると、こういう指摘がされております。
で、これと恐らく相呼応してでしょうけれども、来年度以降防衛庁の例えば当然増経費は二千億円増、そして九%増になるんじゃないかと、こういう記事も既に出ておりますし、さらに具体的な兵器の問題では、海上自衛隊が地対空パトリオットも導入することを決めておりますね。恐らくこれは財政の機能からいきますと、今指摘した逆の機能をどんどん果たしていくんではないかと、こう思うわけです。
そこで、防衛庁にお伺いしますが、この海上自衛隊の地対空パトリオットの導入の方針がどこまで進んでおるのか、そしてこれが大変多額なもの、高価なものだと聞いておるんですが、内閣委員会で幾らで買うのかという質問に対しては、それはまあ相手もあることだから答えられないんだというんですが、しかし参考事例としますと、アメリカ国防省がメーカーから買っている価格は御存じだと思います。一個群幾らでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/134
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135・藤井一夫
○説明員(藤井一夫君) ただいま先生がおっしゃいましたパトリオットの件でございますが、これは海上自衛隊ではございませんで、私ども航空自衛隊にナイキという地対空誘導弾部隊を持っております。これが大変古いものでございまして、老朽化して性能も落ちておる、また将来にわたる維持も困難であるということから、なるべく早期に更新をしたいという希望を持っております。そのナイキの後継機種の一つとしてパトリオットというものが上がっておるわけでございますが、これを六十年度の予算でどういうふうにするのかという問題につきましては、私どもなるべく早期にという希望は持っておりますけれども、まだ防衛庁内で検討中の段階でございまして、六十年度必ず持ち出すとか、あるいはどういう規模で持ち出すとかいうことは全く決まってないと、こういう状況でございます。
それから米国におけるパトリオットの調達価格のお話でございましたが、私ども米国政府がこのシステムを幾らで購入しているかという公の資料ございませんので承知していないと、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/135
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136・近藤忠孝
○近藤忠孝君 一基当たり二千億円規模ではないかと、こう言われておるんですが、これは当たらずといえども遠からずではないかと思うんですが、いかがか。
そして、失礼しました、これは航空自衛隊ですね。今のナイキの後継としてこれを導入するというんですが、現在ナイキは六個群ですが、この六個群すべてパトリオットにかえていく、そういう方針なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/136
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137・藤井一夫
○説明員(藤井一夫君) 先ほど来申し上げておりますように、パトリオットにするかどうかということもまだ決めてない状況でございますが、最後に先生おっしゃいました六個群云々という話につきましては、私どもただいま防衛計画の大綱の水準を目標に防衛力の整備を進めておりますので、仮にパトリオットを導入します場合におきましても、防衛計画の大綱に響いてあります六個群の範囲内におきましてどういう持ち方をするかということを検討してまいるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/137
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138・近藤忠孝
○近藤忠孝君 いや、内閣委員会の質疑、議事録を見てみますと、二つの有力機種のうちからこちらの方を防衛庁としては選ぶんだと、そういう答弁したんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/138
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139・藤井一夫
○説明員(藤井一夫君) 内閣委員会等の質疑におきまして同様の御質問がございまして、このSAM―Xの問題につきましては、私どもかねがね今先生御指摘の米陸軍が採用しておりますパトリオットと、それから現在のナイキシステムを中心に国産改良するナイキフェニックスというシステムにつきまして、数年来検討してまいりました。現在までの我々の検討結果では、性能、価格その他もあわせまして、パトリオットの方が有力であるとは判断してございますけれども、概算要求に持ち出す段階におきましてパトリオットであるとかいうようなことを正式に決めたわけでございませんで、いずれにいたしましても、八月末の概算要求の締め切りまでの間に序としての方針を決定してまいると、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/139
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140・近藤忠孝
○近藤忠孝君 大臣、この「マイナス・シーリング戦線」という報道によりますと、防衛庁の予算が、概算要求がふえるだろう、その柱は航空自衛隊の地対空ミサイル、パトリオットの導入であると。まさにこれが柱になってくる。そういう点で、そして既におおよその額の計算はできているんですが、六基全部がえていくとなると、まあ一遍じゃないでしょうけれども、一兆円を超える、そういうものなんです。ということで、また後で答弁いただきますけれども、そういう問題が一つあります。
それからもう一つ、きのうこれは環境特別委員会で質問した問題ですが、SSM―1ですね、これは地対艦ミサイル、その射場の一つの調査対象が新潟県の粟島であると、こういう答弁がありました。これは一基どれくらいするものでしょう。これは国内開発ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/140
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141・太田眞弘
○説明員(太田眞弘君) 先生ただいま御質問の地対艦誘導弾X―SSM―1でございますが、これはまだ研究開発段階でございまして、それの装備の価格につきましては、研究開発が終わりました段階で検討さしていただくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/141
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142・近藤忠孝
○近藤忠孝君 これはきのうの環境特別委員会の答弁でわかったんですが、今までの射場ではとても足りないというんですよ。距離にして約倍以上、倍ぐらいないとぐあい悪いと。射程距離は百五十キロもあるものですから大変な、また今までのミサイルとは地対艦ミサイルとしては全然程度の違う新たな兵器ですね。先ほど申し上げましたパトリオットもこれまた新たな、今までの兵器よりぐっと攻撃力も性能も強いもの、高いものと、こうなりますと、この額は、この重しはますます大変になってくるんですね。ということもひとつ頭に置いていただきたいと思うんです。
そこでまた防衛庁にお伺いしますが、まだ開発段階だと言いますが、しかし現に射場の物色が始まっておるんで、その訓練場を設けるための概算要求は来年度あたりやらぬと間に合わなくなってくるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/142
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143・大原重信
○説明員(大原重信君) お答え申し上げます。
防衛庁ではSSM―1の試験訓練用射場を取得したいということで現在内部で検討を行っている段階でございまして、来年度予算に施設収得等の経費をどうするかということにつきましてはまだ何も決めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/143
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144・近藤忠孝
○近藤忠孝君 以上の答弁を前提に、まだ決まってないと言いながら恐らくどっさり出てくる。防衛庁長官もこれはかなり要求しようと張り切っている、そういう報道もあるわけですよね。
〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕
片や冒頭に申し上げた国民の生活の問題、特に国債費の金利については逆再配分機能を果たす。そういう中でこういうものがどんどんつけ加わってくるということは、財政の機能がますます大変になってくると思うんですね。こういうものについて、マイナスシーリングなどということが問題になっていますが、こういう要求に対して臨む大臣の基本的態度はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/144
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145・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 個別の問題は、概算要求は法律、政令に基づいて八月末と、こういうことになるわけですね。それからその前に、いわゆる昭和三十六年以来やっております概算要求枠、すなわち俗称シーリング、こういうことを決めなきゃいかぬという段階になるわけでございますので、まずは今の場合は、私が当面しておるのはシーリングということでございましょう。シーリングというのは、これは三十六年からやっておりますが、国民の方の多くは最近始まったという感じもあります。それは一つには、三十六年は高度経済成長政策の初年度でございます。油が二ドル三十五セントしておった時代でございますが、要するに膨大な要求を抑えるために五〇%プラスが概算要求枠だよ、こういうことになっておる。近時、五十五年のプラス一〇からずっと下がってゼロ、マイナスと、こうなっているわけです。
したがって、現在の状態を見ますと、私は先般のサミットでも合意しましたように、これは全世界の先進国がまず財政赤字を削減して、そして低利な良質な資金が世界人類全体のために流れていくというような立場に立って、おのがじしその向かうところに従って努力していかなきゃならぬ、こういうことでございます。
それと同階に、今度は財政で見ますと、経済のパフォーマンスはどこよりもよろしゅうございますが、一般会計に占める公債依存率あるいは公債残高の対GNP比、全部これは残念ながら先進国の中で一番高いという状態からしますと、これは制度・施策の根源にさかのぼってやっていかなきゃならぬということになりますと、概算要求枠というものもこれから勉強させてもらいますが、いずれにしても大変厳しいものにならざるを得ない。その厳しいものの中で、大蔵省は専門じゃございませんから、各省庁におかれまして知恵を絞って政策の優先順位等が検討され、それが内なる改革としてこの概算要求につながっていく、こういうこれからの経過の御説明が今の段階でお答えする限度かな、こう考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/145
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146・近藤忠孝
○近藤忠孝君 じゃ、防衛庁結構です。
大蔵大臣のもとにいろんな要求が行くんですが、もう一つ、これは先端技術開発支援へ新法ということで、通産省の方で準備をしているということで、技術開発基盤整備法案なんというものもありますね。これは今まで租税特別措置の整理をずっとしてきたという中でまた新たに出てきた問題だと思うんです。
そこで、我が国の問題に入る前にアメリカの状況をちょっと検討してみたいと思うんです。御承知のように、アメリカでも財政赤字は巨額でふえ続けておって、財政赤字をどうするか、どう縮減するかということが大きな問題になっておるんですが、今時に問題になっているのは、歳入中に法人税の占める割合がどんどん低下しているという問題があります。その実態がどうなっているか。そしてその低下した要因が、大法人に適用される連邦所得税の法定税率は四六%なんですが、各種の特別措置によって実効税率が極端に低くなっている、こういう問題のようです。昨年十一月、会計検査院の協力と租税合同委員会の手によって大法人の業種別の負担率が発表されました。それによりますと、ここにも表がありますが、大法人の国内所得実効税率はわずか一六・一%、海外所得実効税率は五五%、それから全所得実効税率は二九・六%、こういう結果になっていますね。
そこで、第一にお伺いしたいのは、アメリカではこのように毎年議会が大法人の業種別、そして国内、海外所得別の実効負担率を発表しておるんです。我が国でもこの程度のものは資料を提出すべきではないか。そのことにより先ほど来問題にした的確な財政に対する検討ができるんじゃないか。こう思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/146
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147・梅澤節男
○政府委員(梅澤節男君) まず事実問題でございますけれども、アメリカの法人税収の連邦の歳入全体に占めます割合がここしばらく逐年低下しておるという事実は、御指摘のとおりでございます。
これについてどう考えるかという問題でございますけれども、私どもが分析した結果と、非公式にアメリカの財務省当局者が私どもに漏らしておるのと、ほぼ感触が同じでございまして、特に一九八一年、八二年にかけましてかなり大幅な法人税収のウェート減があるわけでございますけれども、これは何よりもまずアメリカの経済の基調が非常に悪くて、法人の利益が非常に低下したということと、同時にこの前後に重なりまして、レーガンのACRSと申しますか、を中心にいたしました企業に対する特別の税制の問題、政策の問題、これが重なった結果であろうということでございます。
それから今二番目に御指摘になりましたアメリカでやっております企業の実効税率の調べと申しますか、国内所得、国外所得、全世界所得に分けまして、一定の数字が発表されておるわけでございますが、これは御案内のとおり、アメリカの両院租税合同委員会の議会のスタッフのいわば試算と申しますか、そういったものとして取りまとめられておるわけでございます。この実効税率、現在アメリカの両院の合同租税委員会のスタッフが出しておりますこの調べにつきましても、私どもは私どもなりに非常に問題を持っております。この点につきましても、アメリカの財務省当局も、方法論的にも、あるいはここで示されております法人税率の対象になりました企業のカバー率から言いましても、問題なしとしないという態度を相変わらず留保しておるようでございます。
そこで、ただいま委員の御提案との関連で申し上げますと、このアメリカの両院のスタッフがやっております企業の数は、実は二百社足らずの企業でございます。それからもう一つ方法論的に問題がございますのは、公表されました財務諸表の中から、その年度の税引き前の利益を分母にいたしまして、同じく財務諸表に公表されております、カレント・タックス・イクスペンスでございますから、当年度の支払い予定法人税額、それを端的に割り算をしておるわけでございますけれども、決算上の利益と税法上の所得が必ずしも合致しないということは、日米、どこの国でも共通の事情がございますし、その年度に払う予定の法人税額というのは、必ずしもその年度の利益なり課税所得には対応しないわけでございます。
それからもう一つ、いろいろ問題があるわけでございますが、業種別にやっておりますけれども、赤字企業と黒字企業を合算しておるものでございますから、例えばある業種によりまして、赤字企業が非常に多い場合には分母となるべき利益の額が非常に落ちます、合算いたしますから。そうしますと、単なる割り算では実効税率が非常に高くなるというような問題もございます。それから各種の特別償却につきましても、理論的にはこれは取り戻し計算と申しますか、そういうものをきちっとやらなきゃならぬという問題もございます。
私ども、毎年国会に資本・階級別の法人税負担の割合というものを提出させていただいておりますけれども、少なくとも租税特別措置も含めました各企業の課税所得に対する実効税負担という数字ということになりますと、方法論的にも、それからカバーされている企業の計数から見ましても、私ども今現在国会に大蔵省から提出させていただいているものは、これは非常に精度の高い資料であるというふうに自負をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/147
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148・近藤忠孝
○近藤忠孝君 私はなぜこの法人の問題を言ったかといいますと、これはアメリカの状況はやがて日本の状況ではないか。現在まだ日本では法人税が低下の方へはいっていないのだと思いますがね。アメリカであったことはやがて日本へ来るという状況から見ましても、やがて日本にそういう状況が来るのではないか。まさに税収の問題、税収が減っていくという問題ですね。その実態を正確につかむ。特に日本の場合、これから企業の海外進出がさらに強くなって、これも最近の報道ですけれども、対米直接投資がどんどんふえて、それは一つは雇用や税収の確保にもかかわるけれども、日本の経済に大きな影響をもたらすわけです。税収にも当然大きな影響が出てくるんだと思いますね。そういう点から、私は、この問題に真剣に取り組むべきだと思うんです。
それから今主税局長言われましたが、アメリカの場合には国会がやっていると。しかしアメリカの国会は日本の国会と随分違う面があるんだから、どこがやるか、これはお互いにこれから議論すべきでしょうけど、それは議会の問題でありますから大蔵省関係ないというような問題でないと思いますね。
それから先ほど言ったいろいろな問題点があろうかと思うけれども、しかし実態を正確につかむ、税収源の実態や傾向、どうしてそうなっているのか、その実態はどうかということを正確につかんでいくことが今後の正しい税制のあり方を考える上で必要。片や十兆円規模の国債の金利の状況もよく調べない、また企業の税収が減っていく状況についても的確にその状況を把握しない、対処しないとなりますと、それこそ全体財政運営はどうなっていくのか、それこそ手探りで、全くわけのわかんないまんま進んでいくんではないか。こう思うんですが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/148
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149・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 十兆規模というか、要するに国債費でございますね。私どもも一般概念として申し上げますと、私たまたま国債は割合持っております。これは閣僚になりますと、毎月買うという約束をしまして、その期間がかなり長いから、分不相応に持っております。そのときいつも感じますのは、予算組んで、まず国債費でこれだけというものを取っていく。そうすると、私を含めて、大部分がそれは金融機関であり企業であって、個人はそれは少のうございましょうが、しかし意図せざるところへ所得の再配分が行われるなあ、しかしそれは税の方でまたそれだけのものは負担しておるという理屈はあったにしましても、したがって、本来の富の再配分という考え方を持っておる一面の予算というものの性格からすれば、ああ、公債政策、ちゃんと早く脱却しなきゃならぬなということはいつも感じます。
それで、今度は税の問題でございます。税の問題については、法人税率というのは、その都度都度の諸外国の状態はもとよりでありますが、我が国の財政、経済等を見ながら、あるいは特別措置の形で年限を限ってその積み増しをお願いするというような措置も講じておりますので、総体的にこの法人税等が下がっておるという傾向には今のところはないというように私は考えます。
が、しかし、そういう富の再配分に対しては、財政から言えば、一つには生活保護とかいろんな問題もございましょう。それから、一方にはそういう税制上の問題もあるというようなのを勘案しながら、そこで総合的に判断して、年度ごとの憲法八十六条に基づく単年度予算としてそれぞれ審議していただくという経過をたどっておる。そこに公債政策というものは、いつも最初に感ずるのは、まず初めに金利ありきと、これに対しては私なりに胸を痛めることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/149
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150・近藤忠孝
○近藤忠孝君 時間が来てしまったんで、きょうもまたしり切れトンボですが、今の議論の延長の問題として、次回には租税支出の問題について議論したいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/150
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151・栗林卓司
○栗林卓司君 財政制度審議会の中間報告を読んでおりますと、借換債の発行あるいは償還財源の調達問題、いろいろ財政審なりに悩んで考えてこられたことが手に取るようにわかるように思います。そこで、「特別公債償還ルールについて」というのが十三ページにわざわざ一項起こしてあるんですが、内容を整理してみますと、大体こういったことだと思います。
三つに分かれておりまして、一つは、「本来、できるだけ早く残高を減少させるべきである」というのが特例公債の性格である。これは全くそのとおりだと私は思います。
二番目に言っておりますのが、そうは言ってもさしあたり「四条公債の償還ルールと同様」とすることが一応考えられるけれども、この場合でも「残高をできるだけ速やかに減少させるよう」努力していくことが必要である。かねて問題になってまいりましたこの法律案の第三条、第六条、これはこの二項目の指摘を受けたいわば法律化ではなかったかと、私はそう思います。
ここで終わっておりませんで三項目があるんです。「いずれにせよ、特例公債の具体的な償還方法については大量償還の始まる六十年度を目処に、幅広い角度からの議論を行い、なお検討を進めていくことが」必要である。この三段目の部分が、実はこの委員会でもうさんざんな議論になってきた場所だと思うんです。
問題はこれをどうやって受けとめるかということなんですが、財政改革を進める「基本的考え方」を拝見しますと、そこでも同じようなことが実は書いてあるんです。三ページ目の一番最後ですけれども、「毎年度の財政事情を勘案した上、できるだけ速やかにその残高を減少させるよう努めることとするが、なお、幅広い角度から検討を進める。」、これは財政審の指摘した三項目を受けた内容だと私は思います。
そこで、問題はこの三項目なんです。竹田委員が指摘された御提言もここに触れるわけですね。当然この三項目は検討しておかなきゃいかぬ。といって、では二十年で返すのか三十年かと言われますと、もともとあってはいけない公債なものですから、そう言い切ってしまうのはできない。といって四条の枠組みの中で時々の財政当局の恣意に任せると言われたんでは、今度は審議する側とすると何とも心もとない。そこのところの検討をどうやって進めるかというのが、この法案審議の一番の眼目だと思うんです。
せっかく財政審でも書いておりますし、「基本的考え方」でも同趣旨のことが述べられているわけでございますから、問題は、当面この法律を通したとして、至急速やかに六十年度を目途にして幅広い検討を開始し結論を得る、その結論については当大蔵委員会に御報告をいただくということぐらい言っていただかないと、大臣、立場を変えてここにお立ちになっているとしますと、こんな法律案通すかという気になりますよ。その意味で、長くなりましたけれども、この財政審の三項目目、どういった形で受けとめていかれますか、答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/151
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152・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これはまさに読んで字のごとく、「大量償還の始まる六十年度を目処に、幅広い角度からの議論を行」って、検討を進めていくことが適当であると考えられる。いわゆる財政改革を進めていく上での「基本的考え方」というものもそれを受けておるわけでございますが、結局、きょう竹田さんから御提言がございましたそういう御提言、すなわち国会の議論等々を承りながら、私はこの提言の趣旨に沿って、真剣な検討を重ねていかなきゃならぬ課題だと。そうして、その問題については私は、たとえ議論の過程であっても、もちろん出たものが一番それは正確でございましょうけれども、この国会等の御質疑等にこたえて、さらに議論を深めていくべき課題だというふうに考えております。国会の議論等、各方面の意見を前向きに受けとめながら、検討していく課題だと。
ですから、法律に書いてありますのはまさに努力規定でございますが、努力規定の底にあるまた精神的努力というのは、そういうのを受けとめることではないかなあという認識は持っておりますが、これはなかなか文章には書けないことでございますだけに、こうした問答の中であるいはその私どもの考え方がくみ取っていただけるならばなお幸いだと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/152
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153・栗林卓司
○栗林卓司君 問題は、財政審で今の私が読み上げた内容をくくっている題目として何て書いであるかというと、「ルール」と書いてあるんです。ですから、努力規定ということになりますと、それは恣意的と言うと言い過ぎになりますけれども、ある程度自由裁量幅の大きいノー・ルールになりますね。そうではなくて、ある程度のルールがどうしても要るだろう。ところが、特例債というのは残高を早く減さなければいかぬということから言うと、歯切れがよくこうだということはなかなか言えないけれども、そのルールが何であるか、六十年度に行きつくまでに結論を出そうという内容だと思うんです。確かに残高を減らすといいますと、発行額を減らすために一般会計の繰り入れをふやすのか、あるいは定率繰り入れにするのか、剰余金を持ってくるのか、せいぜいその三つしかないわけですね。そうすると定率繰り入れの率を特例債については当分の間かさ上げするとか、何らかのルール化がないとね。しかもこれは長い期間にわたるわけですから、六十年という。そういった意味ではあるルールをきちんとつくって、ときどきの財政事情、とりわけ歳出に絡まるいろんな諸要求にもかかわらず、これはまず取り分けておきますよというものをおつくりになった方がいいんではないかということも私は裏にあると思うんですけれどもね。
ですから、とにかく努力しますんでとおっしゃられただけでは私は不満な気がするんです。そういったルール化について、いいですよ、今すぐ即答と青われても無理でありましょうから、例えばことしじゅうにやりますとか、一年かかって真剣に検討して結論を得ますとか、何かそんなことぐらいはお答えいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/153
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154・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 今お話の件につきましては、帰するところ結局、将来の財政事情との絡みになると思います。したがいまして、その財政事情がどうなるかということがなかなか流動的でつかみづらいという中でルールを先決めいたしますと、その流動的な財政事情の中からルールに従って金をここへ償還財源として入れていくということを先に決めてしまうということになりますと、なかなかその辺が難しいわけでございます。しかし御指摘のように、現在定率繰り入れ、あるいは剰余金繰り入れ、それからさらに予算繰り入れとございますので、この三つについて何らかのものができないかどうか。特に最後の予算繰り入れについてどう考えていくかというところがポイントではないかと思っております。しかし、いずれにしましても、ここに書いてございますように、六十年度をめどに幅広い角度からの議論を精力的に行っていくということだと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/154
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155・栗林卓司
○栗林卓司君 その御議論はぜひ始めていただきたいと思うんですけれども、なかなか先の見えない財政事情と言われますと、議論が何にもできなくなるんだけれども、そうは言ったってある程度の議論はできるわけでしょう。例えば六十五年特例公債依存体質脱却、そこまではもう異常事態なんです。私もそう思います。特例公債を出していて財政の機動性もヘチマもないですよ。その間はもう定率繰り入れは停止、いわんや特例債の減額も停止で渡るしかない。そこから先はとかというぐあいに整理しておっしゃっていただけると我々の頭にも飲み込めるんですけれども。
そこで、これからの財政運営について伺いたいんです。一応中期的な展望でやってまいります。資料としては「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」、それから「財政の中期展望」、「仮定計算例」、資料が三つ出ております。だけれども、財政の中期展望と仮定計算例は将来の予算編成を拘束するものではない。そういった意味では当面の参考資料であります。したがって、将来の予算編成に触れるものというと一番最初の「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」、この一つになります。この文章を一言で要約しますと、六十五年特例公債依存体質からの脱却、こうなると思うんです。
そこで問題は、六十五年特例公債依存体質から脱却するためにどうしたらいいか。普通考えますと、毎年一兆八千億ずつを差し引いていって六十五年にはゼロになる、中期展望も仮定計算例もそうなっています。では毎年そういった減額幅を決めて予算が組めるか。組めないんです。なぜ組めないかといいますと、最初取り分けておいて、また一兆八千億赤字が出たらとんとんですからね。要するに特例公債の減額というのは結果であって、頭から取り分けてしまうことができない。となると、六十五年を目途にして一体毎年何ができるか。それは毎年こつこつ努力するしかない。
そこで伺いたいのは、努力していって六十五年到達しなかったらどうか、何が困るか。問題は今のいびつな財政がどんどん続くということですよね。でき得れば六十四年、六十三年と脱出が早ければ早いほどいいということでしょう。そうすると毎年の予算編成に対して相当拘束力のある指針を出しておかなきゃいかぬと普通はなると思うんです。
そこで財政審の中から拾ってみますと、名目成長率については、適当な成長率が維持できるという前提でありますが、名目成長率以下に予算の伸び率をしたいと書いてあります。だけれども国債費は当分の間がなりの伸びになります。地方交付税も名目成長率並み以上の伸びであります。人口の高齢化等経済社会の変化に対応した財政需要も伸びてまいります。国際的に役割を果たしていく上で必要な財政支出も伸びてまいります。当然ですね。そうすると差し引いたその他の支出の伸びは大きく下回ることになる。これもそう無理な見通しじゃないですね。この大きく下回るものがゼロなのかマイナスなのかは別にして、脱却するまでシーリングを全部決めたらどうですか。あれは毎年決めていますからこの騒ぎになるんで、これを六十五年までそうと言ったら、また大騒ぎになりますけれども、かえってそうだとあきらめてしまったら、いよいよ本腰を据えて制度・政策の根幹に触れた改革、修正を各省庁は考えるんではないか。毎年やっていますと毎年新鮮な痛みなんです。脳出するまではその他の支出は相当低率な伸びに抑えないといかぬ、これははっきりしているわけです。そうしたら、それまではゼロシーリングなのかマイナスシーリングなのか、その数字を閣議で決めたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/155
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156・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは傾聴に値する御意見ではあるわけです。一つ問題になりますのは、経済情勢というものが流動的である。流動的とは言いながら、今日の時点で第一次石油ショック、第二次石油ショックみたいなものは予測の外に置いてもいいかもしらぬ。あるいは中東のきな臭い情勢等は外に置いてもいいかもしらぬ。しかし一つは予算、我が国の長い歴史と伝統の中にある予算の単年度主義の問題が一つはございます。
それからもう一つは、いわゆる内なる改革がなされるためには単年度で抑えるよりは、六十五年までといえば相当な期間になりますが、その間でそれこそシーリングを設定すれば、多少のでこぼこはありましても、それに対して内なる改革が余計進んでいくかもしらぬということも私は理論としてはいただける議論だと思っておりますが、基本的には単年度主義という問題、そこのところが私もいつも考えるんでございますが、その都度経済、財政事情の変化に対応して国民のニーズを吸収していくわけでございますから、ある期間、言ってみれば、もちろんおっしゃる意味はわかりつつも、ある期間一つの固定した考え方の中で内なる改革を見出していくべきなのか、その都度の厳しいシーリングの中で内なる改革の芽生えを期待していくのか、これはいずれとも、私はどちらに軍配を、単年度主義という問題は別として、どちらに軍配を上げるかということは難しい問題だと思います。
そこで考えなきゃならぬのは、政策選択の順位の中の中期計画というようなものを踏まえて行われることになりはしないか。くくったことで言いますならば、行革特例法で五十九年まで補助率こうだとかいうのは、ある程度その年度間をくくった一つの方法であったと思っております。これも期限が来ますから、これからどうするかというのもまた大きな問題になるわけでございますけれども、そういう物の考え方というのは、シーリングというもので抑えるか、あの行革特例法のような物の考え方で抑えていくか、そしてそこに中期計画をどう整合性を持たせていくかということは、十分勉強さしていただく課題じゃないかなと思っております。
事実、ことしの分は別として、去年を見ましても、ちょうど今おっしゃいましたとおり人件費、あるいは年金、あるいは交付税、あるいはODA、あるいは国際条約取り決めのものというのは初めからシーリングの外に置いて、増分要求を認めるとか、そして医療費と生活保護でございましたか、これをゼロにして、単価は上がるがその中で実態として抑えてもらいたい。それから次の一〇%マイナスというのが四兆数千億ございましたか、紙や鉛筆もございますでしょうが。一番目映りのはっきりしたのは私学助成なんかがあったわけでございます。それからそのあとの五%は、人件費の七千億ばかりを引きますと、七兆数千億が公共事業ないし学校建築とか各種施設というので五%掛けたというようにやったわけでございます。今おっしゃるように、絶体的に増分はあり得るわけでございますので、総体的に言えば今おっしゃる議論はよくわかる議論ですが、それを例えば行革特例法のような形である年限くくっていくのか、全体的なシーリングでやるのか、またそこに中期計画をどう整合性を持たすかということは、おっしゃる議論をそのままいただいて、私どもとして検討すべき課題であろうという考え方に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/156
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157・栗林卓司
○栗林卓司君 いろんなアプローチの方法があると思うんですけれども、財政当局の立場で考えますと数字になってくれなきゃ意味ないんですね。だから、数字の面で、予算の単年度編成というのは当然前提としていいんですが、その前に何年の予算編成を拘束する何らかの合意があった方があきらめもつきますし、だったらそれで抜本的な対策を早く組み立てようじゃないかということにもなりますし、毎年やってますと今の議論みたいに、もう三年続きだぜ、人心はうんでおるではないかという議論が出ちゃうんですよ。幾ら人心がうもうとうむまいと、赤字公債から脱却するまでは、財政は半病人なんですから、とにかく目をつぶってそこにいくしかないというのがお立場だと思うんです。ということは、周囲に周知徹底させて御努力願いたい。となりますと、これは大蔵大臣だけでは到底しょえませんから、閣議決定として方針で決める。そうなりますと、ああ、そうかと、やっぱりみんな従ってくるし、というアプローチがどうしても私は要るんじゃないかと思うんです。
基本的な考え方でも、あるいは財政制度審議会でも、どこを減らすんだというと特に補助金と、こうあるんですね。五十九年度の予算編成でも、回っておりますと、いや、それは理屈はよくわかるんだけれども、補助金で暮らしている人がいるんだからなかなかなんだよ。何人からも伺いました。私もそうだと思うんです。片や国鉄では十万人これから人員を整理しようとしておる。こっちの方は、言い方は悪いけど、補助金で暮らしをしている人が、何人おいでになるかわかりませんが、相当な数おいでになる。どっちにしたって財政事情であることはもう今や理由明らかでしょう。すると、補助金を切ろうとしたら、再就職から、職業訓練からひっくるめた相当大がかりな対策をやっていかないと、これは机上計算ではどうにもいきませんよね。となると、どうしたって単年度の取り組みでは不可能になる、やっぱり中期的な取り組みになる。
そうなんだよということをさせるためにも、六十五年なら六十五年まで通したある予算編成に対する拘束力、規範力を持ったものを今の内閣で決める。私は本当にこれは必要だと思うんです。ですから、例えば特に補助金という話をしたときに、今十五兆あります、すると財務当局の頭で考えますと、十五兆を一体何兆にするんだ。六十五年赤字公債依存体質から脱却するためには補助金分野から一体何兆円浮かすのか。それぐらいの展望は立つはずですよね。例えば大臣として十五兆円の補助金を六十五年に一体何兆にしたいとお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/157
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158・竹下登
○国務大臣(竹下登君) その議論に立ってよくアバウト十五兆、それで一割切れ、一兆五千億じゃないかと、こういう議論がよくございます。そこで、私どもがどういう角度からこれに踏み込んでいくのかというのがこれからの課題である。それも、これからといっても、これは十二月の予算編成まででいいというような話にはならぬと思います。もっと早くやらなきゃならぬ。それについての方針は決めなきゃならぬなあ。しかし、これは百も御承知のとおりでございますが、法律補助というのが一応八割、そして地方公共団体を通じての補助というのがこれまたちょうど八割、それから文教と社会保障と公共事業と、この三つ足しますとちょうどまた八割。それを仮に組み合わして全部の残りの、何といいますか、予算補助、あるいは奨励的なものもありますし、その中にも、今も御指摘ありましたが、いわゆる人がついているという予算もございます。だから、結局毎年毎年、これはもう済んだではないかとかという形で削減を図っていくということをし続けておるわけです。
そこにまた地方と国とのいわゆる負担区分という問題にまで手をつけるのかどうするかということになりますと、これは国の財政の歳出部分の補助金をとってみれば、負担によってかなりの減なり、場合によっては増なり、どちらでもできる問題がある。そういうようなものも、率直なところ、国と地方との負担のあり方とか、あるいはこれは企業そのものが持つべきであって、公共支出を伴うものではないとかというようなものも洗い直していかなきゃならぬだろう。
そこへまた、今度は人件費部分になりますと、年々のベア等によるところの単価増は別として、総体的な、これはグロスで何年計画で人員をどれだけ滅していきますとか、それらを組み合わしたところで、結局、概算要求まである程度の諦めが行わなければならない一つの方向を示唆していただいた。私どもも確たるものを決めたわけじゃございません。勉強中でございますが、そのような観点で対応していかなきゃとてもやれぬぞよという事実認識は私も十分持っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/158
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159・栗林卓司
○栗林卓司君 六十五年脱却と仮にしまして、その間減税しなくて済むんだろうか。七年間物価調整減税据え置きであれだけの大騒ぎになって、二年がかりで一兆円何がしの減税やったんですけども、六十五年というと向こう七年です。果たして減税、所得税減税ですが、所得税減税をしなくて済むんだろうかという議論は当然出てきますね。
それからもう一つは、こういう財政体質になったものですから、そうはいっても景気対策はほうっておくわけにはいかない、何がしかの政策減税をやらなきゃいかぬ。こうなると、そこでも歳入は減ってくる。
そこで、財政制度審議会の行間ににじんでいるのは、何とか増税ができないかということだろうと私は思うんですけれども、だけどそれはとても無理だと。いわんや赤字公債の償還財源のために増税なんといったら身もふたもない。恐らく増税議論が本格化するのは年金財政がパンクする前だと私は思うんです。そのときにはもう何としてもやらなきゃならぬ。しかし、少なくも六十五年までに本格増税が議論になるかどうか。そうすると、よほど厳しい予算を組んで、それでも嫌だと言うんだったら、じゃもう増税してくださいという形で、むしろ有権者の判断を仰ぐということしかないと思うんですよ。
そうすると、くどいようですが、私の意見だから申し上げますが、概算要求までにとか六十年度予算編成ということはちょっとおいておいて、大きな道筋としてこれはもう動かないと。したがって、こっちは当然ふえるんだから、こっちについてはマイナス何円か寄ってくれと、そこで知恵を出してもらいたいという形で、むしろ各省庁の官僚の人たちの士気を鼓舞したらどうですかね。抑えられているばっかりじゃ嫌になっちゃいますよ。ところが、これを脱却しないとだめになる、あとは知恵のある者集まれという運動をむしろ内閣が起こされた方が、どうせつらい道を歩くんですけれども楽しい財政再建になるんじゃなかろうか。私はそんな気がするんで、それだけまず申し上げて、このことと実は借換債問題は裏腹にくっついているんです。
で、脱却をした後に、それまでだめですよ、脱却をした後に、一体どうやって向こう六十年を見渡すかという点についてなるべく早目に成案を得てルール化をしていただきたい。
意見だけ申し上げて質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/159
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160・青木茂
○青木茂君 きょうは国債整理基金の仮定計算ですね、その中で特に余裕金の残高の問題を中心に御覧間を申し上げたいわけなんです。国債も有価証券であるという前提に立つ以上は、やはり経済のプリンシプルというものに沿っていかなければならないと思うわけなんですけれども、市場金利が非常に安いとき、国債発行の立場にある者としてはどういう心理が働くでしょうか。たくさん出したいと思うか少なく出したいと思うか、そこら辺のところいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/160
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161・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 一年を通じて考えますと、当然有利なときにできるだけ多くの国債を発付する、不利なときは抑え目にする、全体として国債の条件をよくするというのが常識的な態度だろうと、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/161
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162・青木茂
○青木茂君 そうしますと、一年間の間にはいろいろな相場の、乱でもないけれども、高下というものはあるわけですよね。そういう場合に、国債の相場を安定させるためにある程度の介入資金と申しますかね、そういうものを持ってないと、国債管理政策は壁に突き当たるんじゃないかという感じがするんですけれども、そこら辺どうでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/162
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163・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 今言われましたように、ある程度の余裕資金を持っておりまして国債市況に対して何らかの効果があるようなオペレーションができるということは、管理政策としてはやりやすくさせる一つのいい方法ではないかなと、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/163
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164・青木茂
○青木茂君 過去の実績はどうでしょうね。例えば国債の流通市場に対して、需給バランスをとるためにいわゆる余裕金が年度を通してどういう動きを過去においてしたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/164
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165・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 今のお話は、国債整理基金を使ってどういうオペレーションをやっているかと、こういうことだと思いますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/165
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166・青木茂
○青木茂君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/166
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167・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) もう御存じだと思いますけれども、国債整理基金の資金と申しますのは、定率繰り入れ等によりまして一般会計から繰り入れられた将来の償還財源が一時的に滞留しているというものでございまして、債務の償還という基金の本来の役割に支障を来さない範囲でできるだけ有利運用を行うと、こういう性格のものでございます。
それから制度上の問題といたしまして、資金の運用に当たりましては、国債の保有及び資金運用部への預託が認められておりますので、市中からの国債買い入れを行っておりまして、これはできるだけ有利に運用するということでございますと、国債の市況が悪いとき、つまり利回りが高いときに買うのが有利でございますので、有利運用をすれば、それが先ほど御指摘になったようなオペレーションの効果を伴うと、こういうものでございます。過去におきましても若干やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/167
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168・青木茂
○青木茂君 今、若干というお言葉あったんですけれども、大体どれくらいの金額を過去においておやりになりましたかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/168
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169・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 過去五年間の市中からの国債買い入れの実績でございますが、五十四年度が五千二百九十一億円、五十五年度が六千八百九十一億円、五十六年度が一兆一千九百億円。五十七年度は実施をいたしておりませんが、五十八年度が三千二百九十三億円というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/169
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170・青木茂
○青木茂君 そういたしますと、これだけの金額のものを過去においておやりになったと。またこれからも、相場は動くんだから、その相場調整を全くやらぬで済むということにはならぬだろうと思います。そうすると、余裕金というのはある程度持っていなきゃいけないということは言えますね。五十七年を除いて、五十八年が三千二百、五十六年に至っては一兆一千九百と、こういうことですね。だから私、どうしても国債の相場維持、そのためには余裕金がある程度なければやっていけないんじゃないかというふうに思わざるを得ないということですね。これが一つ。
それからもう一つ。これからの問題ですけれども、借換債を仮に出していくという場合に、今まで特例債を持っている者に現金で返して、その財源を借りかえていくという場合に、例えば、どういうふうにいいますかね、来年の五月ですか、五月にぱあっと返さなければならない。そうすると、同じ五月にその財源を同じぐらい借りる。そんなにうまく果たしていくものだろうか、引き受け手がそううまくあるものだろうか、特例債ですから市中が多い。こういうタイムラグの問題ですね、タイムラグの問題は一体どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/170
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171・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 今御指摘のように、大量償還、大量借りかえということが六十年度から毎年のように迫ってまいるわけでございますが、たまたま償還期が来て借りかえをしなければならない時期が国債の市況が有利に動いているかどうかという点については、これはわからないわけでございまして、そういった意味で、償還期からずれて借換債を発行した方が有利な場合もあり得るということを考えますと、ある程度の余裕金を持っていた方が借りかえの消化を円滑にさせるということは間違いのないところでございます。そういった意味で、ある程度の余裕金を保有していることが望ましいということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/171
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172・青木茂
○青木茂君 だから、どうも財政というのは、先ほどから話題が出、問題が出ておりますように、単年度主義ですから、そうなりますと、例えば五月に大量に償還しなきゃならない。その財源を市況をにらみながら二月、三月に借りるということはできないわけですね、四月でやらなきゃならぬわけですね、少なくとも四月一日以後やらなきゃならないわけですね。そういう条件を前提とした場合に、ますますもってこの余裕金というのはより多く必要なんじゃないかという気がするんです。
例えばこれ幾らぐらいになるんですか、六十年五月十日ですか、返さなきゃならぬものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/172
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173・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 大体、時期が五月それから八月、十一月、二月に集中するような傾向がございまして、六十年度で申しますと、五月の満期到来額が一兆六千億、六十一年度ですと二兆八千億、六十二年度ですと二兆七千億、六十三年度ですと三兆六千億、こういう集中をいたしております。あと、さっき申しましたように、八月、十一月がそれぞれ集中期でございまして、一般的に言いますと、償還金が出たときに借換債を発行してその吸収を図るということが望ましいわけでございますけれども、先ほども申しましたように、そのときがたまたま市況として国債を発行するのに適当かどうかということはわかりませんので、その市況がよくないときにずらすことができるような余裕金を持っているということが望ましいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/173
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174・青木茂
○青木茂君 今の二つのテーマですね、国債の流通価格の管理、それから借換債の償還と財源手当てのタイムラグの問題、この二つの問題からいきましても、余裕金は兆単位ないと非常にやりにくい問題が起きる。むしろ財政綱渡りの、そこでパンクしてしまうんではないかという可能性と危険性を非常に感じるわけなんです。
それで、そういう前提に立ちまして、余裕金というものの大きさを考えてみますと、これまた一昨日の議論の蒸し返しになりますけれども、もし定率繰り入れがあれば、これは二兆四千七百億円ですか、まあやれる。やれるけれども、これがないとすればどうなんでしょう、四千九百億円、運用益をどれぐらい見込むかによっても違いますけれども、幾ら大きく運用益を見込んでも、まあ六千億前後の余裕金の大きさになるんじゃないか。どうしても兆単位のものを持っていないと危なくて仕方がないというような状況の中で六千億程度。定率繰り入れの問題はおきまして、仮に定率繰り入れの停止を六十年度も続けたと仮定しますよ、仮定した場合には、余裕金は六千億以下であるということになってしまいます。そうすると、先ほど申し上げましたように、国債価格の管理あるいは特例債の償還と財源手当てのタイムラグを埋める、この二つの目的に対して一体大丈夫なのかということは大変心配なんですね。
これは恐らく主計局の考え方と理財局の考え方は立場上達うんじゃないか。私が予想しているところでは、主計局の方は大丈夫、大丈夫、理財局はそんなのはとてもじゃないが心配でしようがないというようなお答えになるんではないかと予想はするんですけれども、主計局の方はどうでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/174
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175・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 整理基金にどれだけの余裕金が必要かという点は、先ほど来御議論がございますように、国債市況対策のためにある程度要るかもしれませんし、それから借りかえのタイムラグもございますし、それから現金償還の部分もございますので、ある程度そういう余裕金残高が必要であるということにつきましては、私たちも全く理財局と同じ考え方でいるわけでございます。
しかし、いずれにしましても、現在の財政事情のもとにおきましては、必要な金額を入れます場合に、かなりの程度に国債発行によって調達した、金利のついたお金をここに入れるということもございますので、財政負担の面でも最も合理的な余裕金残高を持っていただきたいという気持ちもあるわけでございます。したがいまして、今市し上げたような点をすべて勘案しながら、六十年度予算案編成の際に検討して、適当な余裕金を持つように財政、予算当局としても考えてまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/175
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176・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) 主計局と理財局と意見を異にするということは全くないわけでございまして、主計局の方でも相当程度、ある程度の余裕金があるということが望ましいということについては十分理解しているものと思います。ただ、じゃどれだけあったらいいかという点につきましては、これはそのときの国債市況とか、そういったことにもよりますし、具体的に金額がどのくらいと言うことはなかなか難しいわけでございまして、主計局が幾らで理財局が幾らで、それが違うというふうなものではないんではないかな、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/176
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177・青木茂
○青木茂君 今度のこの特例債に対する議論は、今までずっと他の先生方の御質問、それから当局の御答弁を伺ってますと、考え方、考え方できて、さあ具体的にどれくらいの大きさ、アバウトでいいからどれぐらいの大きさという問題になると、すべてのテーマで数字が欠落をしてしまうというどうも傾向があるようなんですけれども、我々としては、ある程度、あるいは最も適切な、あるいは最も合理的なという言葉だけでは困るんで、アバウトでいいから、どれくらいの数字が要るんだ、それが知りたいものだから前もって数字的なことを私は伺ったわけなんだから、そこら辺のところ数字は出ませんか。アバウトで結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/177
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178・西垣昭
○政府委員(西垣昭君) アバウトということでございますけれども、先ほど申し上げましたような性格のものでございますので、幾らあれば足りるというふうなものではなくて、余裕金がたくさんあればそれだけやりやすくなる、そういうものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/178
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179・青木茂
○青木茂君 堂々回りというのか、水かけ論で、あれですわな。
それじゃ以上の論議を踏まえまして、とにかく過去において兆単位の余裕金が必要とされたケースもあるし、これから新たに加わってくるタイムラグ調整の問題を入れれば、幾ら少なくても兆単位の余裕金というものは避けて通れないんじゃないかと思うんです。そういうことからいきまして、定率繰り入れなくてもいいですよ、予算繰り入れでも――まあ剰余金繰り入れは難しいでしょうけれどもね。とにかく何らかの形でここの基金の帳じりを合わしておかないと、本当にサラ金であっぷあっぷする家庭みたいで、綱渡りもいいところじゃないかという気がするんですけれども、その辺、大臣どうですかね。どこかで帳じり合わせしなければしようがないじゃないかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/179
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180・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃった国債整理基金の持つ一つの役割でございますね。だからそれは多ければ多いほどいい。それからある月に集中してくる場合、そこにはもう一つ考えられるのが、これからの議論でございますけれども、仮定のということを前提に置いてこれから先生とも議論するようになるでございましょう。いわゆる国債の多様化でございますね、中期とか短期とか、いろんな議論をしておりますが、それもそれに考えていかなければならぬ問題。
それから財源調達という意味においては、大蔵証券を予算総則で毎年決めていただいておりますが、場合によってはそれの上限をふやしていくとかというようなこともまた考えなきゃいかぬでございましょう。かれこれ総合勘案して、六十年というのはまさにその時期が到来するわけでございますから、したがって、本気に今のような議論を体しながら総体的な国債管理政策として考えていかなきゃならぬ課題だと。だから、いやそれは、言ってみれば、それがために赤字国債を余計増発するという結果になるから、帳じりからすればそれはなくてもいいとかという断定的な議論にはならぬというところに総合勘案したそういう問題を、この時期までには償還が来るわけですから、本当に部内で詰めていかなきゃならぬ国債管理政策だという基本的な考え方で、それこそ広く各方面の意見を聞きつつということになりますが、国会論議等を聞きながら、本当は猛烈な勉強をしていかなきゃならぬ課題だ、大変な問題だという認識はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/180
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181・青木茂
○青木茂君 今大臣がおっしゃいましたその総体的な国債管理政策というのか、そのマスタープランですね、もう遠い先のことではない、来年もう償還が追ってきておるわけですね。そうすると、管理政策というものは余り悠長にお出しいただくのを待っておるわけにはまいらないと思うんですよ。そうしますと、その行政府の総合的な国債管理政策ですね、それはどうもこの法律案が通ってから考えるということらしいんだけれども、そういうことでなしに、いつまでに一体じゃ我々に足していただけるかということはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/181
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182・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 先ほども議論しておりましたが、かどあるごとに、そういう意見も聞かしてもらうわけですから、そういう中間的であろうと、例えばという前提を置いてお答えすることもあるでございましょうが、さていつまでかと言われれば、厳密に言えば、来年度の予算編成期ということではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/182
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183・青木茂
○青木茂君 どうも少し悠長というのか、大臣も今度の政策転換に当たって非常に胸が痛むとか苦しいというお言葉はたびたびあったんだけれども、その痛む胸が具体策の中であらわれてまいりませんと、言葉だけでは、御同情は申し上げても、さあどうだということは全く我々としてはどうしようもないわけなんです。どうもこの法律が出てから、具体策とか裏づけになる数字的パックデータですね、パックデータがあるようでないんですよ、実際問題。過去について、仮定ではあってもどうなるかということについてのパックデータに基づいての議論というものがないわけなんですよ。
そうすると、私どもが非常に心配になってくるのは、いわゆる歯どめ論に移るわけなんですけれども、財政法自体がもう実費的に否定されてしまいつつあるんじゃないのか。そうでないためには、それは確かに財政上首が回らないんだから、何とか回るように我々も与党も野党も一致して考えなきゃならぬとは思いますよ。思いますけれども、やってはいけないことをあえてやろうとするんだから、どこかで歯どめというものを、努力だとか精神だとかマインドだとか、そういうことでなしに、何か具体的に一つぐらいは出さにゃいかぬですよ。ということを本当に財政の前途を心配しながら思うんですけれども、いかがですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/183
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184・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 元来、いわゆるまさにミニスター・オブ・ファイナンスとしても、あるいはミニストリー・オブ・ファイナンスとしまして考えた場合、一番説得力もあり、そうしてまた御理解がいただきやすい問題は、いわば正確な数字に基づくものが一番理解をいただきやすい問題でありますし、ファイナンスは数字というものが基礎に置かれなきゃならぬ。ところが最近、我々に質問をすれば、いわば訓示規定であり、精神規定であり、努力義務であり、それに対する決意であって、それに沿うところの数値というものが非常に出ない、こういう気持ちの御質疑というものが、これは与党野党にかかわらず、私どもに集中して、鞭撻をいただいているわけですよね。
確かにそれの一つの大きな転機というのは、日本の会計年度で言えば五十六年度あるいは五十七年度でございましょう。いわば第二次石油ショックに基づく世界同時不況の中から、従来いろいろな出した数値というものに大変な狂いが生じ、流動的な経済の中でなかなか出せませんと。で、努力の決意なりそういうものを申し上げても数字が後追いしてくる。そういう歯がゆさというものは私は現実国民全体に対して与えておるんじゃないかという自己反省もしております。車ほどさように今難しい状態であるということで御理解をいただくしかないんじゃないか。
だから実際問題、私、今度大蔵大臣になってみてまた考えますのは、要調整額一つ見てもこれだけのものが、映ります、さあどうするかというのはこれから相談しようじゃないですかと、問答の中で。それではまだ国民の皆さん方に理解ができないから、もう一つ突っ込んだ議論ができるような計画とかいうのを示せと言われるのも、そういう歯がゆさの中から出てきていると思うんでありますので、そういう鞭撻を受けながら、例えば国債管理政策等につきましては、六十年度予算編成時までには結論を出していかなきゃならぬ課題だというふうに考えておりますので、本当にいつも答える立場にある私自身、実際政府が示している数字というのは七、六、五、四、三、二、一しかないわけでありますから、そういう背景を踏まえて大蔵大臣務めているというのも大変なことだなと、素直にそういう心境を吐露いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/184
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185・青木茂
○青木茂君 大臣の御苦労もわからないじゃない。私は永久にその席に座ることはないわけですから、割に勝手なことを聞いておるわけなんですけれども、大臣のお気持ちの御答弁はわかりましたから、じゃ精神論に戻ります。精神論、大蔵大臣としてでなくても竹下先生個人の精神論でも結構ですけれども、この特例債の問題から、とにかく我々としては、歯どめが一つ一つ消えていく危惧というものが、これは残念ながら、あるわけです。そうしますと、どうしてもちらちらしてくるのが日銀引き受けなんです。
そこで、精神論の問題といたしまして、実はこの前の委員会で、平澤さんから、絶対という言葉がナポレオンの辞書にあるとかないとかいう話がございましたけれども、絶対という言葉を前提にいたしまして、大臣としては、日銀の直接引き受け、将来にわたる、これがないという断定をいただけるかどうかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/185
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186・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは生きとし生けるものそれぞれの寿命がございまして、私も平均年齢男性七十四・二二歳からすればあと十四年ほどあるわけでございますけれども、そのすべてのものを断定的に申し上げるわけにはいきませんが、私はその歯どめが外れたときが――今まで粒々として先輩が築いてきましたですよね、今日まで。少なくとも経済のパフォーマンスから見れば世界一なんです。それがインフレーションというものの中にがたがたと崩れていくであろう、それだけは後世代に対してやっちゃいかぬことだなあという自戒の念は絶えず持っておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/186
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187・青木茂
○青木茂君 竹下大蔵大臣いらっしゃる限り、あるいは竹下内閣が成立しておる限り、とにかく日銀の直接引き受けは絶対ないというふうに御言明いただいたと理解をして進みます。
これは、もう時間がなくなってしまいましたから、申し上げるだけにしておきますけれども、アメリカの家庭科なんかのパーソナル・ファイナンス、家庭経済の教科書には、借金をしようとする者は三つのCだけは自粛自戒しろと、こういうふうによく言われております。三つのCというのの一つはキャラクターです。もう一つはキャパシティーですね。それからもう一つはキャピタルです。これはどういう意味かと言いますと、借金をしようとする者は、浪費をするキャラクターでは借金をしちゃいかぬ、こういう意味なんです。キャパシティーというのは収入を上げる能力があるかどうか、こういう意味なんです。キャピタルというのは、さっきの余裕金じゃございませんけれども、一朝事あっても借金返すに困らないだけのつなぎ資金、余裕金を持っておるかどうか、こういう意味なんですよ。
そうしますと、私は特に政府にお願いをしておきたいことは、歯どめというものを拡大いたしますとキャラクターというのが一つある。つまり財政全体の中で浪費というものをもう一回再点検していただきたい。第二臨調がおっしゃることはまさにここにあるだろうと思います。そしてキャパシティー、現状況の中で収入を上げる努力をしていただきたい。いわゆるクロヨンだとかトーゴーサンピンなんということが流行語としてある状況じゃいかぬわけです。私は、大蔵当局は最近脱税というものに対して非常に前向き、積極的に取り組んでいらっしゃる姿勢を評価します。しかしながら、まだアングラマネーというのはいっぱいあるわけだから、こういうものをどう吸い上げるかということも大切じゃないかと思います。
だから、これは単にアメリカの家庭科の先生が子供に借金の是非について教えるだけでなしに、私は国家財政全体の中にも浪費をしないキャラクター。収入を上げる――増税という意味じゃありませんよ。収入を上げるキャパシティー。それから一朝事あった場合に借金を返すに困らないだけのキャピタルということは日本の現在の財政にも当たると思うんですよ。これは申し上げるだけにしておきまして、時間が参りましたから質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/187
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188・野末陳平
○野末陳平君 国債発行についての議論は繰り返しになりますし、なかなかいいお答えいただけるような期待もできませんから、先へ送るとしまして、それよりも財源確保という視点からいろいろと聞いておきたいと思うんですね。
確かに頭が痛い、これはだれが考えても。で、その方法といっても、国債に頼るといってもこれも限界もあるし、その他いろいろな方法考えられるけれども、しかし今一番大事なことは、よく言われる不公平な課税上のいろいろな問題を是正していくことによって、その大義名分の枠の中でどれだけの財源が確保できるか、そこへ知恵を絞らなければいけないと思いますね。これが第一点。それからもう一つは、無原則な国債の増発に比べれば何らかの新税あるいは増税などもいい場合もあるかもしれませんし、そういう点も当然財源確保という視点からは議論しなきゃいけないと思うんですね。
まず最初の方ですが、大臣にお伺いしますが、具体的に課税の不公平は何かといいますと、ここのところいろいろ改められてきておりますし、不公平も少しは減ってきたように思いますけれども、まだまだ残っているわけで、これはよく言われる株のもうけをどうするかとか、公益法人への課税の強化の問題もありますし、それから捕捉率なども、これは不公平税制じゃなくて一種の不公平感のようなものですけれども、これもあるし、それから最近一番話題になっている利子配当課税の見直しとかありますね。そういういろいろある中で、どれも財源確保につながっていくと思うんですよ、見直しのいかんによっては。大臣としては緊急にどれを見直して是正を図るか、この点で具体的にお答えしていただきたいんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/188
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189・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは臨調答申、増税なき財政再建、しかしながら、その増税なき財政再建というこの定義というのは非常に難しいと同じように、一方不公平税制の是正ということも人それそれによって不公平感というものの相違があると思うのであります。したがって、総じて不公平というもののコンセンサスが必要じゃないかというようなことを私は私的な会合等でよく申しておるわけでありますが、今、野末さんの御指摘なさいました問題等いろいろ検討されるべき問題でございましょうけれども、今さしむき何かということになりますと、国会の議論等を正確にお伝えして税制調査会で議論してもらおう、こういうことになっております。
それから当面、グリーンカードの凍結が解除に至る期間が参るわけでございますので、この問題は可能な限りこの夏ごろまでに結論を出さなきゃいかぬというところまで来ておるわけですから、私の方から予見を持って申し上げるということは今の段階では差し控えて、精いっぱい税調の御議論を見守っておるとでも申しましょうか、そういう立場にあるわけであります。言ってみれば、各方面なかんずく国会の議論等を正確に税調へ持ち込んでいくという立場でその推移を見守っておるというふうな、私の立場を整理して言えばそういうことになるんじゃないかなと、そういう位置づけを自分がしておるんじゃないかなと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/189
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190・野末陳平
○野末陳平君 具体的には主税局に聞きますけれども、さっきもちょっと言いましたように、無原則な国債の増発をするくらいなら、新税とか増税も物によっては僕は検討してもいいというぐらいに思っているんですが、たまたまその一つでかつてもちょっと問題になっておりましたが、広告税です。これはそのときそのときの経済情勢と非常に関係もありますし難しいと思うんですが、とりあえず今考えられる内容としては、どうでしょう、検討は続けているんですか、その後。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/190
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191・梅澤節男
○政府委員(梅澤節男君) 広告をめぐる課税の問題につきましては、昭和五十年代に入りまして、昨年の十一月までで実は三回の政府税調の中期答申をいただいておりますが、いずれも検討課題とされつつ、税制調査会の中でもまだ一つの方向に意見が集約されるような状況になっていないわけでございます。この問題につきましては、交際費とのバランス、あるいは過剰広告の抑制というような観点に立っての何らかの税負担を求めるべきであるとする議論と、もう一つは、広告の場合は交際費と性質は違う、したがいまして、交際費課税の課税の論拠の一つとされております代替課税といった論拠がどうも広告には見出しがたいというような議論のほかに、昨今のような消費社会を迎えまして、ますます広告というのは消費者に情報を与える一つの有力な手段であるから、そういう市場、マーケットの健全な発展という観点から見でも、余り広告を抑制するような税制はいかがかという反対論もあるわけでございます。そういった状況でございますので、これは先ほど大臣の答弁にもございましたように、今後の問題として、この問題につきましても、税制調査会の今後の審議の経過を私どもは注目して見守っておるわけでございます。
ただ、純粋の税の理屈といたしましては、仮に広告に課税を求めるとすれば、大きく言って二つの考え方があるわけでございます。これは各国の立法例から見てもそういうふうに言えることができるかと思いますが、一つの方法は、広告を出す方、つまりスポンサーの側で課税するというやり方でございまして、これは今の交際費の課税と同じでございまして、広告費を損金否認するというやり方が考えられます。もう一つは、広告業者と申しますか、媒体課税と言ってもいいかと思いますけれども、そちらの側で税負担を求める。こちらの方は既存の所得課税というよりは、むしろ新たな何らかの意味での間接税的な色彩を持ってくるというような税の仕組みになるのではないかということでございます。
いずれにいたしましても、現在、この問題につきましては、長年の議論でございますけれども、一つの具体的な方向が見出し得るというふうに議論は集約されていないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/191
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192・野末陳平
○野末陳平君 しかし、税調なんかでも抽象的なだけで、もっと具体的に、本格的に検討してもらわないと、僕らもどうしていいかわからないんですが、今の局長の答弁の中で媒体課税だったらこれは一種の新税のようになっちゃうんじゃないかという気がするし、それから損金に認めないということになると、新税じゃなくて既存の税の申でやりくりつくんじゃないかと思ったりするんですが、その辺のことはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/192
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193・梅澤節男
○政府委員(梅澤節男君) 先ほども申し上げましたように、純粋な税の仕組みの議論としましては、ただいま私が御説明申し上げたとおりでございますし、今委員が御指摘になったとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/193
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194・野末陳平
○野末陳平君 そういうことも踏まえまして、広告税は余りマスコミ関係では当然評判よくない、反対だと思うんですが、しかし、昔、広告税を考えていたときに、そうするとコスト高になって消費者が迷惑をこうむるとか、そんなこともあったようですけれども、必ずしも僕はそうでもないような気もしますし、本格的に中身を少し検討して、世論を聞くというのもそろそろ大事じゃないかと思うんですがね。これは新税、増税のことを言えば大体において嫌われるのは当然ですから、なかなか言いたがらないでしょうが、しかし決まりがけで、あるいは中身が詰まっちゃうと我々の意見は全然もう反映しないから、早いとき言っておきたいと思って、広告税は今後とも検討すべきときではないかなあと、賛否は別として、そういうふうに思いますね。
それからさっきの不公平云々の問題ですけども、例えば公益法人への課税がなまぬるいというようなことはよく言われるわけですね。公益法人といっても大きいところは宗教法人があり、それから数からいえばぐっと少なくても学校法人がありますね。収益事業への課税をやや強化したと言われているんですが、学校法人の場合どこを今度強化することに決めたのか、その辺の具体的なこともまだ説明を聞いてないんで、それをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/194
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195・梅澤節男
○政府委員(梅澤節男君) 公益法人に適正、公平な税負担を求めるという観点から、幾つか税制調査会から従来御指摘をいただいておるわけでございますが、その一つが今御指摘になりました収益事業の課税の問題でございます。宗教法人、学校法人を含めましたいわゆる公益法人が一定の事業を行います場合に、一般の営利法人と競合する分野の事業をやっておるというようなことがございました場合には、それ相応の負担を求めないことには税の公平が保てないという観点から、収益事業につきまして常に見直しを図り、拡充を図っていくということを従来やってきたわけでございますが、五十九年度の税制改正におきましては幾つかの収益事業の範囲の見直しを行いました。
その中で、学校とか教育に関連する収益事業の範囲の拡大といたしましては、いわゆる予備校とか学習塾に関係する問題でございますが、入学試験のためとかあるいは補習のために一定の教授業を行うという事業が広く行われておるわけでございます。私人の場合は当然そのものがずばり事業所得になるわけでございますが、学校法人その他公益法人の方たちでありますと、収益事業として政令に限定列挙をいたしませんと課税ができないということでございますので、五十九年度におきましては、こういった入学試験のためとかあるいは学校教育の補習のためのそういう教授業、一定のものにつきまして、除外規定は設けておりますけれども、収益課税の対象に取り上げたということでございます。
ただ、この問題につきましては、従来からのいわゆる予備校の問題等の経緯もございますので、すべてについて収益事業をいきなり全部範囲を広げるということにはいささかの問題なしとしないということでございますので、例えば一年以上学校教育法におきます各種学校とか専修学校のような基準に合致するようなものは除外されるとか、あるいはそういったものが行います場合には、例えば三十時間以上の補習授業については収益事業の対象としないというふうな各種の除外措置は設けておりますけれども、従来の技芸教授から一歩踏み出しまして、そういった一定の学力の教授業等も収益事業の対象として取り上げるという手直しをやらせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/195
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196・野末陳平
○野末陳平君 それから宗教法人についてはどういう手直しをやりましたか、収益事業に関して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/196
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197・梅澤節男
○政府委員(梅澤節男君) 最初に委員がおっしゃいましたように、この問題は宗教法人だから、学校法人だからということではございませんで、宗教法人、学校法人を含む公益法人の収益事業の見直しということでございますので、宗教法人といえども駐車場の経営から、結婚式場の経営から、いろんな事業をやっておられるわけでございますから、そういったものに当てはめて考えますと、五十九年度に手直しをさせていただきましたものの中で、例えば宗教法人などで今言いました結婚式場のような問題でございますが、席貸し業、これは従来非常に限定的に収益事業の対象としておったわけでございますが、今回は原則として席貸し業は全部収益事業の対象にするというふうなぐあいに範囲を拡大しておるわけでございます。宗教法人だけに限定した収益事業の問題という取り上げ方ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/197
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198・野末陳平
○野末陳平君 宗教法人については、この間も税務調査の記事が出ていましたけれども、僕が思いますのに、収益事業の範囲を拡大していくということももちろん必要なんですけれども、どうもそれじゃ不公平感というものにアピールしないと思うんですね。それは出たり前だとも思えるわけですよ、だって非収益事業はもともと全く課税がないわけですから。そこで、この非収益部門に関しては、それは信仰とか教育ですから手をつけないまでも、公益法人の収益事業を今のような範囲拡大ぐらいでお茶を濁すかどうかということになりますと、今やそういう時期を過ぎまして、税率が甘い、一般の法人に比べ優遇され過ぎているという、そこら辺にメスを入れていかなきゃもうだめだと思うんですね。
改めて当たり前のことを聞きますけれども、なぜ公益法人の収益事業に関してはここまで優遇しなきゃならないのか、現代的な理由は見出せないんですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/198
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199・梅澤節男
○政府委員(梅澤節男君) 公益法人の今後の課税のあり方につきましては、先ほど申し上げましたように、税制調査会で今後の検討の方向として幾つか問題が指摘されているわけですが、その一つが先ほど来議論になっておりました収益事業の問題、それからもう一つが今御指摘のありました税率の問題、それから今回、昨年の秋の答申でもう一つつけ加えられましたのは、公益法人の金融収益に対する課税問題という新しい問題が提起されておるわけでございます。
その問題は差しおきまして、この税率の問題は五十五年の、前々回の中期答申をおまとめいただくときに企業課税問題小委員会というところでかなり時間をかけて御議論いただきました。そこで得られました結論は、御指摘のとおり、現在法人税の基本税率はことしの税法の改正によりまして四三・三になっておりますけれども、これに見合う公益法人の基本税率は実は二六%、この開差が非常に大きいわけでございます。これは経緯的に見ますと、一般の法人の基本税率がどんどん引き上げられた段階でもこれがずっと据え置かれてきたという経緯もございまして非常に格差が拡大してきた。それで、先ほど申しました税制調査会の前々回の中期答申におきましても、公益法人の低税率というのは税制の議論としては政策税制として位置づけるべきである、しかりとすれば現在の基本税率と公益法人の軽減税率の格差が余りにも大き過ぎる、したがってこれは縮小すべきであるという御提言をいただいておるわけでございます。六十年度においてこれに手をつけるかどうかというような議論は別にいたしまして、そういう税制調査会の答申もいただいておりますから、私どもとしましても、税率の問題につきましては、現在の公益法人の収益事業に課されます税率はいささか低きに失しないかというふうな問題意識は常に持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/199
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200・野末陳平
○野末陳平君 今の御答弁の中でなかなか興味あるところがあったんですが、公益法人の金融収益の課税というのも非常に興味あるんですが、これは別の機会に譲るとしまして、それよりもむしろ税調でも、今答弁にありました一般法人と公益法人の収益事業の税率の差が余りにも大き過ぎてこれを縮小すべきだ、ここのところですね。これはもう当然で、遅いんですよ。もっと早く――非収益部門に手をつけるわけじゃありません。収益というのはこれは金もうけですから、そうすると、公益法人は民間企業に比べて有利な条件で商売ができているわけで、それも税率が低い、あるいは寄附金に回す部分も優遇されるとか、これはどう考えても甘過ぎると思っているわけですよ。いまだにこれが手をつけられない。法人税率が上がってもこっちはだめとか、そんなことじゃ公益法人の課税に対して世論も厳しくなると思うんですね。
大臣、局長の答弁にもありましたけれども、これはもう当然早急に縮小すべきで、一般法人はそのままにしておいて、公益法人の収益事業の税率はぐっと上げるというのが当然だと思うんですけれども、これはできませんか、早急に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/200
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201・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 先ほど申し上げましたように、そこのところが従来とも税調でいろいろ議論のあったところであって、それが今野末さんのおっしゃったような問題について検討が加えられるであろうという認識に立って今見守っておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/201
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202・野末陳平
○野末陳平君 しかし、もうとっくに税調では検討を加えて答申にも書いてあるからね。ただ、どこまでにしろとか、具体的には書いていない。だけれども、その方向ははっきり打ち出しているので、あとは当局がどうするかという、それだけじゃないかと思うんですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/202
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203・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私ども今考えておりますのは、税調で利子配当をやっていただく。それからもう一つ課題が残っておりますのは、河本経済企画庁長官から私どもに宿題として出されておる税体系そのものについてもう一遍基本論議をやってみてほしいというのが一つ残っておりますが、今、利子配当で精いっぱい、こういう状態です。その後、当然のこととして出てくるのが六十年税制のあり方について、こういうのが出てくるわけですから、私どもの検討を加えて、いわばすり合わせの審議をしていただける場所がその辺になりゃせぬか。だから、私どもとしてもずっとなおざりにして見守っておるというわけではございません。おおむねのタイミングと申しますか、税調の進みぐあいに合わしてのことは検討していかなきゃならぬ課題だと、基本的な答申はおっしゃるとおりもういただいておるわけでございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/203
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204・野末陳平
○野末陳平君 一般の人は、公益法人の税金問題という場合には、本体の非収益部門になぜ税金がかかっていないのかという、そっちの方をむしろ言うくらいで、だけれどもそれは信仰の問題あるいは教育の問題とかかわるからそれはおいておいて、とりあえずもうけである収益の方について言っているので、これを、いや金もうけの方もほかに比べてずっと有利にやっていてなんという実態を納税者が知れば、これは何と言ったっておかしいというのは当然だと思うんですよ。だから、一日も早くこれは一般法人並みに近づけることをやってもらわないと困ると思うんですね。
それから今大臣のお答えに出ました利子配当の課税の見直し、これは最近、一番新聞などをにぎわしているマル優問題ですけれども、これも見直しの目的がどこにあるのかという点がはっきりしないと、それによってどういうふうに変えていくかが決まってくると思いますね。
それで、見直しの目的がグリーンカードのときは、不公平という部分、総合課税へ移行するんだというのがありましたけれども、どうも最近の見直しは財源確保みたいな気がするので、これはおまけとして出てくる話で、どうもこれが先に立っちゃまずいという気もするが、この辺はどうなんでしょう。財源も欲しい、これはいいんです。しかし、そのために見直さなきゃということになりますと、結論も間違ってくるんじゃないかと思うんです。それは大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/204
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205・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは利子配当課税制度のあり方についての五十九年度答申で、「この問題は、多数の貯蓄音及び貯蓄取扱機関等に関係するほか、金融市場に大きな影響を与え得る問題であるので、中期答申に示された考え方を踏まえつつ、今後なお時間をかけて検討」する、こうなっておるわけでございますが、一方、「ただ、グリーンカード制度の凍結期間との関連から、できれば今年夏頃までに結論を得ることが望ましい。」と、でき得ればと、こういうことではあるわけでございます。
そこで、税調の任期が五月末で来まして、それで多少のメンバーの入れかえがございます。会長談話というのが五月二十二日に一応出ました、おやめになるというんで。まだ発令はしておりませんが、要するに会長さんが、一応任期が来たよというので、五月二十二日に税制調査会の会長談話というものが出ました。
「次の諸点について十分配意されることを期待する次第であります。」ということを言われて、それで、「利子配当所得は、発生の大量性、その元本である金融商品の多様性、浮動性等の特異性を有しているところから、これらの特性を踏まえつつ、現実に即した公平かつ適正な課税が確保される必要がある」。そこで、「現行の非課税」以下ずっと書いてありますが、「非課税貯蓄制度について抜本的な見直しを行う必要がある」と。任期最後にそういうことをおっしゃっていただいた。
それで、これからまた発令して部会等ができますが、かなりの人もお残りになっておるわけでございます。したがって、今の会長談話の趣旨に沿って税制そのものの議論をなさっていく。だから、財源論というのは結果としてという考え方は、恐らく十分底意に置いていらっしゃるんではないか。
今いろんな議論が出ておりますが、野末さんおっしゃいましたように、財源としての立場から出ておる議論もたくさんございますが、税調のオーソドックスなあり方として、税制そのもののあり方としての議論が行われ、財源の問題は結果としての問題ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/205
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206・野末陳平
○野末陳平君 僕はグリーンカード推進論だったから、今余りマル優見直しをいいかげんにされると非常に困ると思って言うんですが、これを検討する際に、郵政省の協力なくしてはできない。あるいは協力というよりも郵便貯金を一緒にしなきゃならないのは当然ですから、その辺、郵便貯金をどういうふうにするか。これも一緒に考えるという基本方針はもう間違いないんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/206
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207・梅澤節男
○政府委員(梅澤節男君) 先ほど来大臣の答弁にも引用されておりますように、昨年の中期答申でもこの問題については非常に気配りがされておるわけでございますが、これは郵便貯金だけではございませんで、およそ利子課税を考える場合に各種の金融商品がございます。その金融商品の相互間のバランスがとれるということが、これが最大の要諦でございますから、当然各種の金融商品相互間の問題、あるいは制度面も含めた権衡の問題というものを十分配慮しなければならないというふうにこの中期答申にも書いてあるわけでございます。その意味では郵便貯金という制度、郵便貯金という金融商品とその他の金融商品とのバランスというものは当然でなければなりませんし、そういった観点から税制調査会では議論をするという方針ははっきり示されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/207
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208・野末陳平
○野末陳平君 そこで、大蔵省の今の立場ですけれども、見直し論の中にはいろんな案が出ていて、新聞などもにぎやか過ぎちゃってどうなるやら、逆に混乱して一般の預金者が迷っている。まあ迷うのはまだいいんですが、不安に思っている人もあるだろうし、非常に迷惑していると思います。いろいろ出ている案の中で、大蔵省はどれが一番ベターだという考えを持っているのか、どの案を一番推進したいのか、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/208
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209・梅澤節男
○政府委員(梅澤節男君) 利子課税の問題につきましては、私ども去年の中期答申の御審議をいただく段階で、討議の資料として幾つかの議論をパターン化してお示ししたものがございます。
それはいわゆる完全総合課税から完全分離課税まで各種のバリエーションがあるわけでございます。それから非課税貯蓄につきましても、この存続論から廃止論、全廃論に至るまで各種のパターン、組み合わせがあるわけでございまして、恐らく今委員がおっしゃいました各論者、各立場によりましていろんなことをおっしゃっておりますけれども、そのパターンのどこかに入るということでございますが、これは冒頭に大臣が答弁されましたように、私どもといたしましては、どの組み合わせ、どのパターンがいいかということは、それこそ大蔵省として予断を持って臨まない、税制調査会の御議論を謙虚に見守るという立場でございます、現段階は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/209
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210・野末陳平
○野末陳平君 じゃ最後に大臣に聞きますけれども、となると、政府税調が仮に結論をまとめればそれに従うのだと、こういうことになりそうだし、かといって政府税調の結論を大蔵省がうまくリードすればこれは同じ結果になってしまうのだろうし、その辺のことが今の局長の答弁じゃわかりませんが、いずれにしても、政府税調の結論を待って、そうしてそれを尊重する。はっきりした結論を出すかどうかわかりませんが、とにかく税調の結論に従うというのが大体今の考えですか、当局の。それを最後に聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/210
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211・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 基本的にはそのとおりでありまして、そしていろいろな人がいろんなことをおっしゃっておるということにつきましては、私は国民全体から見れば、今迷惑している方とかいろいろな方があるにいたしましても、私はこの利子課税の問題が国民次元の問題として投げかけられた一つの動機になったというふうにできるだけ評価しようと思って、そうしてそれらのことも税調の先生方には正確にお伝えするわけでございます。だから、言ってみれば、大蔵省がリードするという形ではなく、まあ後追いとでも申しましょうか、正確な資料等を提供しつつ予見を挟まないで、その後追いの形で具体的な検討をし、成案を得るという、この手順で物を進めなきゃいかぬだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/211
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212・伊江朝雄
○委員長(伊江朝雄君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後四時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114629X02119840621/212
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