1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年四月二十六日(木曜日)
午後一時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 大河原太一郎君
理 事
岩上 二郎君
真鍋 賢二君
志苫 裕君
三治 重信君
委 員
井上 孝君
加藤 武徳君
上條 勝久君
古賀雷四郎君
出口 廣光君
松浦 功君
吉川 芳男君
秋山 長造君
小山 一平君
佐藤 三吾君
原田 立君
神谷信之助君
国務大臣
自 治 大 臣 田川 誠一君
政府委員
警察庁長官官房
長 太田 壽郎君
自治大臣官房長 矢野浩一郎君
自治大臣官房審
議官 津田 正君
自治省財政局長 石原 信雄君
事務局側
常任委員会専門
員 高池 忠和君
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本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査
(昭和五十九年度の地方財政計画に関する件)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○地方公共団体関係手数料に係る規定の合理化に
関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/0
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001・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
まず、地方行政の改革に関する調査を議題といたします。
昭和五十九年度の地方財政計画について政府から説明を聴取いたします。田川自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/1
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002・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) 昭和五十九年度の地方財政計画の概要について御説明を申し上げます。
現下の地方財政は、巨額の借入金を抱え、これ以上の借入金依存は地方財政の基盤を揺るがせかねない状況にあり、今後の地方行財政改革の積極的推進と財政体質の抜本的改善が喫緊の課題となっております。このため、交付税特別会計における新たな借り入れは原則として行わず、当分の間、法律の定めるところによりまして地方交付税総額について必要な特例措置を講ずることといたしますとともに、既往の借入金につきまして、国、地方の負担区分に応じ、分割整理するなど地方財政対策の見直しを行うことといたしました。
また、昭和五十九年度の地方財政につきましては、引き続き大幅な収支不均衡にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調に立ちまして、歳出面におきましては、経常経費、投資的経費を通じその抑制を徹底して行い、歳入面におきましては、地方税制の改正、受益者負担の適正化等により所要の地方財源を確保し、地方債依存度の引き下げを行うなど、経費支出の効率化と限られた財源の重点的配分に徹し、節度ある財政運営を行うことを基本としております。
昭和五十九年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定いたしておりますが、以下その策定方針について御説明申し上げます。
第一に、最近における地方税負担の現状及び厳しい地方財政の実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図るため、個人住民税につきまして基礎控除等の所得控除の額の引き上げ、市町村民税所得割の税率及びその適用区分の調整、低所得者層に係る非課税限度額の引き上げ等の措置を講ずるとともに、法人住民税均等割の税率の引き上げ、自動車税及び軽自動車税の税率の調整並びに固定資産税等に係る課税標準の特例措置等の整理合理化等を行うこととしております。
第二に、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、昭和五十九年度の地方財源不足見込み額については、地方交付税の増額と建設地方債の増発により完全に補てんすることとしております。
第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、その特性を生かした地域社会の形成を進めますとともに、住民生活に直結した社会資本の整備等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、福祉施策及び教育、文化振興対策等の推進を図るための財源を充実いたしますとともに、投資的経費につきましても、個性的で魅力ある町づくり、地域づくりを積極的に推進するため新たに「まちづくり特別対策事業」を創設する等所要額を確保することとし、また、過疎地域に対する財政措置を引き続き講ずることとしております。
第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化、一般行政経費の抑制及び国庫補助負担基準の改善を図るほか、年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な措置を講ずることとしております。
以上の方針のもとに昭和五十九年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は四十八兆二千八百九十二億円となり、前年度に対し八千三十二億円、一・七%の増加となっております。
以上が昭和五十九年度の地方財政計画の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/2
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003・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) 次に補足説明を聴取いたします。石原財政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/3
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004・石原信雄
○政府委員(石原信雄君) 昭和五十九年度の地方財政計画につきましては、ただいま自治大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお、若干の点につきまして補足して御説明いたします。
明年度の地方財政計画の規模は、四十八兆二千八百九十二億円で、前年度に比較いたしまして八千三十二億円、一・七%の増加となっております。
次に、歳入について御説明いたします。
まず、地方税の収入見込み額でありますが、道府県税八兆九千二百億円、市町村税十一兆四千三百九十四億円、合わせて二十兆三千五百九十四億円であります。
前年度に比べまして道府県税は五千七百九億円、六・八%、市町村税は七千百九十六億円、六・七%のそれぞれ増加となっております。
なお、個人住民税、法人住民税均等割、自動車税及び軽自動車税等の税制改正により初年度においては三百五十六億円の減収と見込んでおります。
また、地方譲与税の収入見込み額は、四千六百四十八億円となっております。
次に、地方交付税につきましては、昭和五十九年度の国税三税の三二%分八兆七千百四億円に、特例措置分一千七百六十億円及び返還金一億円を加算した額から、同特別会計借入金等利子について同特別会計で負担することとした額三千六五三十八億円を控除した額八兆五千二百二十七億円といたしました結果、前年度に対し三千四百五十八億円、三・九%の減少となっております。
国庫支出金につきましては、総額十兆三千百二十一億円で、前年度に対し八百五十一億円、〇・八%の減少となっております。これは生活保護費国庫負担金及び義務教育費用庫負担金などが増加した反面、公共事業費補助負担金などが前年度より減少したことなどによるものであります。
次に、地方債でございますが、普通会計分の地方債発付予定額は、四兆七千六百二億円で、前年度に対し二千四百九億円の減少となっております。この減少することとなりました要因は、地方財源の不足に対処するための建設地方債の発行を極力抑制することとしたことなどによるものであります。
なお、地方債計画全体の規模は七兆二千百億円で、前年度に対し三千三百十一億円、四・四%の減少となっており、建設地方債の増発分を除いて比較いたしましても、前年度に対して二千百十六億円、三・四%の減少となっております。
以上のほか、使用料及び手数料並びに雑収入につきましては、税外収入の確保に配慮し、最近における実績及びその適正化等を勘案して計上いたしております。
その納入、歳入構成におきましては、地方税が前年度の四〇・二%に対し、二・〇ポイント増の四二・二%となり、これに地方交付税及び地方譲与税を加えた一般財源は前年度の五九・九%に対し、〇・九ポイント増の六〇・八%となり、反面、地方債は前年度の一〇・五%から九。九%へとそのウエートが低下しており、財政構造がやや健全化されたものと考えております。
次に、歳出について御説明いたします。
まず、給与関係経費についてでありますが、総額は十四兆一千五百九十二億円で、前年度に対し四千九百七十八億円、三・六%の増加となっております。これに関連いたしまして、職員数につきましては、教育、繋察、消防関係の職員について最低限の増員を見込むと同時に、それ以外の一般職員については、所要の職員を確保する一方で、国家公務員の定員削減の方針に準じ、定員合理化を行うこととし、一般職員全体としては、職員数の純減を図ることとしております。
次に、一般行政経費につきましては、総額十兆一千五首二十億円、前年度に対し一千四百三十三億円、一・四%の増となっておりますが、このうち「国庫補助負担金等を伴うもの」は四兆七千四百十六億円で、前年度に対し六百六十八億円、一・四%の増となっております。これは、生活保護費、老人医療給付費などが増加することなどによるものであります。
「国庫補助負担金を伴わないもの」は五兆四千百四億円で、前年度に対し七百六十五億円、一・四%の増加となっております。この中では、社会福祉関係経費を充実するほか、高等学校以下の私立学校に対する助成経費として二千二百九十六億円、災害等年度途中における追加財政需要に対する財源として四千億円等を計上いたしております。
なお、内部管理的な一般行政経費は、極力抑制することといたしております。
公債費は、総額五兆一千六百三十四億円で、前年度に対し四千六十億円、八・五%の増加となっております。
次に、維持補修費につきましては、前年度に対し百二十六億円、二・〇%増の六千四百四億円を計上いたしております。
投資的経費は、総額十六兆三千八百六十五億円で、前年度に対し五千三百四十一億円、三・二%の減少となっております。このうち、直轄、補助事業につきましては、災害復旧事業費の減を初め公共事業費の抑制の結果、三・〇%の減少となっております。
一方、地方単独事業につきましては、前年度に対し二千八百億円、三・三%の減少となっておりますが、個性的で魅力ある町づくり、地域づくりを積極的に推進するため、新たに「まちづくり特別対策事業費」として三千億円を計上することとしております。
また、公営企業繰出金につきましては、交通、上・下水道、病院等国民生活に不可欠なサービスを供給している事業について総額一兆一千二百七十七億円を計上いたしております。
以上のほか、地方交付税の不交付団体における平均水準を超える必要経費については、税収入の状況等を勘案して所要額を計上いたしております。
その結果、歳出構成におきましては、投資的経費は三三・九%で、前年度に対し一・七ポイント、一般行政経費は二一・〇%で、前年度に対し〇・一ポイントそれぞれ低下している反面、給与関係経費は二九・三%で、前年度に対し、〇・五ポイント、公債費は一〇・七%で、前年度に対し〇・七ポイントそれぞれ上昇しております。
以上をもちまして、地方財政計画の補足説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/4
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005・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) 以上で説明の聴取を終わります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/5
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006・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方公共団体関係手数料に係る規定の合理化に関する法律案を便宜一括して議題といたします。
まず、政府から順次両案の趣旨説明を聴取いたします。田川自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/6
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007・田川誠一
○国務大臣(田川誠一君) ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方公共団体関係手数料に係る規定の合理化に関する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
まず、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
地方財政の現状にかんがみ、当分の間、地方交付税の総額について、法律の定めるところにより、その安定的な確保に資するため必要な特例措置を講ずることを法定し、昭和五十九年度分の地方交付税の総額について所要の加算を行うとともに、各種の制度改正等に伴い必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正するほか、交付税及び譲与税配付金勘定における借入金の一部を一般会計へ帰属させるとともにその償還方法を変更する必要があります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。
次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、地方交付税法の一部改正に御する事項であります。
まず、地方交付税の総額に係る特例についてでありますが、地方財政の健全化に資するため、昭和五十九年度以降、交付税及び譲与税配付金勘定における新たな借入金措置は原則として行わないこととし、かわって、当分の間、法律の定めるところにより、地方交付税の総額について、その安定的な確保に資するため必要な特例措置を講ずることとしております。
さらに、交付税及び譲与税配付金勘定の借入金のうち国が負担することとされていた額に相当する借入金については、その償還時に一般会計から臨時地方特例交付金として繰り入れることとしていた制度を廃止し、当該借入金を一般会計へ帰属させるとともに、残った同勘定の借入金については、今後これに係る利子を含めて地方が負担することとし、あわせて当該借入金の償還期間を変更することとしております。
これらの措置に伴い、昭和五十九年度から昭和
七十五年度までの各年度分の地方交付税の総額は、地方交付税法第六条第二項の額から各年度における交付税及び譲与税配付金勘定の借入金減少額と同勘定における当該各年度分の利子の支払いに充てるため必要な額との合算額を減額した額とすることとしております。
なお、昭和五十九年度分の地方交付税の総額についてでありますが、借入金の償還期間の変更に伴い、その総額は、地方交付税法第六条第二項の額から昭和五十九年度分の利子の支払いに充てるため必要な額三千六五一一十八億円を減額した額に、地方交付税の総額の特例措置額千七百六十億円を加算した額としております。
また、昭和五十九年度の特例措置として加算される千七百六十億円のうち三百億円に相当する額については、昭和六十六年度及び昭和六十七年度の両年度において、当該各年度の地方交付税の総額からそれぞれ百五十億円ずつ減額することとしております。
次に、昭和五十九年度の普通交付税の算定については、生活保護基準の引き上げ、老人保健制度の実施等福祉施策に要する経費、教職員定数の改善及び私学助成等教育施策に要する経費、公園、清掃施設、市町村道、下水道等住民の生活に直結する公共施設の維持管理に要する経費並びに過密過疎対策、消防救急対策、公害対策等に要する経費の財源を措置し、あわせて投資的経費については地方債振替後の所要経費の財源を措置することといたしております。
さらに、昭和五十八年度において発行を許可された財源対策債等の元利償還金を基準財政需要額に算入することとしております。
第二は、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正に関する事項であります。
交付税及び譲与税配付金勘定における借入金十一兆五千二百十八億七千八百万円のうち、五兆八千二百七十七億六千三百万円に相当する借入金については、これを一般会計へ帰属させるとともに、同勘定における借入金の償還期間について、現行の昭和五十九年度から昭和七十三年度までを昭和六十六年度から昭和七十五年度までに変更することとし、あわせて所要の規定の整備を図ることとしております。
以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
次に、地方公共団体関係手数料に係る規定の合理化に関する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
地方公共団体の行う国の機関委任事務に係る手数料について、経済情勢等の変化に対応し、費用負担の適切な調整に資するため、その額を実費を勘案して政令で定めるよう規定の合理化を図る必要があります。
これが、この法律案を提出いたしました理由であります。
次に、この法律案について御説明申し上げます。
大麻取締法外人法律に定める地方公共則体が行う免許、登録等国の機関委任事務に係る申請等手数料について、その額を実費を勘案して政令で定めるよう規定の合理化を図ることとしております。
以上が、地方公共団体関係手数料に係る規定の合理化に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/7
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008・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/8
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009・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) 次に参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします
地方交付税法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/9
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010・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/10
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011・大河原太一郎
○委員長(大河原太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十二分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114720X00919840426/11
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