1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年四月十二日(木曜日)
午後三時三分開会
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委員の異動
四月十一日
辞任 補欠選任
穐山 篤君 赤桐 操君
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出席者は左のとおり。
委員長 高平 公友君
理 事
亀長 友義君
坂野 重信君
小野 明君
太田 淳夫君
委 員
板垣 正君
岡田 広君
源田 実君
沢田 一精君
林 寛子君
桧垣徳太郎君
堀江 正夫君
野田 哲君
矢田部 理君
内藤 功君
柄谷 道一君
前島英三郎君
国務大臣
国 務 大 臣
(総理府総務長
官) 中西 一郎君
政府委員
内閣法制局第一
部長 前田 正道君
北方対策本部審
議官兼内閣総理
大臣官房総務審
議官 橋本 豊君
宮内庁次長 山本 悟君
皇室経済主管 勝山 亮君
事務局側
常任委員会専門
員 林 利雄君
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本日の会議に付した案件
○皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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001・高平公友
○委員長(高平公友君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨十一日、穐山篤君が委員を辞任され、その補欠として赤桐操君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/1
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002・高平公友
○委員長(高平公友君) 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中西総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/2
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003・中西一郎
○国務大臣(中西一郎君) 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
改正の第一点は、皇室が国会の議決を経ないで賜与及び譲り受けをすることができる財産の限度価額を改定することであります。
皇室経済法施行法第二条の規定により、現在、天皇及び内廷皇族については、これらの方々を通じて賜与の限度価額は九百九十万円、譲り受けの限度価額は三百三十万円、その他の皇族については、成年に達した皇族にあっては賜与及び譲り受けの限度価額はそれぞれ九十万円、未成年の皇族にあってはそれぞれ二十万円となっております。
これらは、昭和四十七年に現行の価額に定められたもので、その後改定されることなく現在に至っております。しかしながら、前回の改定以後、経済情勢等に相当大きな変動がありますので、今回その価額を改定いたしたいと存じます。
すなわち、その間の物価指数等を考慮して、天皇及び内廷皇族については、これらの方々を通じて賜与の限度価額を千八百万円、譲り受けの限度価額を六百万円とし、その他の皇族については、成年に達した皇族にあっては賜与及び譲り受けの限度価額をそれぞれ百六十万円、未成年の皇族にあってはそれぞれ三十五万円に改定することにいたしたいと存じます。
改正の第二点は、内廷費の定額及び皇族費算出の基礎となる定額を改定することであります。内廷費の定額及び皇族費算出の基礎となる定額は、皇室経済法施行法第七条及び第八条の規定により、現在、それぞれ二億二千百万円及び二千四十万円となっております。
これらの定額は昭和五十五年四月に改定されたものでありますが、その後の経済情勢、なかんずく物価の趨勢及び国家公務員給与の引き上げ等にかんがみ、内廷費の定額を二億五千七百万円、皇族費算出の基礎となる定額を二千三百六十万円にいたしたいと存じます。
ただし、昭和五十九年度分につきましては、現下の厳しい経済情勢、財政事情等を考慮して定額変更による増加額の二分の一に相当する額を節減するものとして算定し、同年度における内廷費の定額を二億三千九百万円、皇族費算出の基礎となる定額を二千二百万円にいたしたいと存じます。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
なお、この法律案では施行期日を昭和五十九年四月一日といたしておりますが、既にその日を経過しておりますので、衆議院においてこれを公布の日に改め、本年四月一日から適用することに修正されております。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/3
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004・高平公友
○委員長(高平公友君) これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/4
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005・野田哲
○野田哲君 まず、宮内庁の方にお伺いをしたいわけですが、二年ばかり前に三笠宮寛仁殿下が皇籍を離れたいということを申し出られて随分新聞やマスコミで大きく報道されたことがあるわけでありますが、その経過といいますか、どういう事情で皇籍を離れたいという申し出があったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/5
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006・山本悟
○政府委員(山本悟君) 確かに五十七年の四月でありましたからちょうど二年でございますが、三笠宮寛仁親王殿下が数日伏せっておられましたところの状況と存じましたが、担当の課長に電話がありまして、皇族の任務を離れたいので手続をしろというような趣旨のことを話されたようでございます。
そのようなことが四月にございましたわけでございますが、その年には寛仁殿下は二月下旬にフィンランドにいらっしやいましてクロスカントリースキーというようなことをいろいろおやりになって大変忙しく活動をされていた後、日本にお帰りになりましてからも各地へいろいろと御旅行なんかをなお頻繁になさっていたような状況でございました。非常に御過労の状況であったというように承知をいたしているわけであります。そういうような状況のもとで、ただいま申し上げましたようなお話があったわけでございますが、御案内のとおり、現在の皇室典範というものにおきましては親王の身位のある方が御自分の意思によって皇籍を離れるという制度は認めていないところでございますので、そういったいろいろの各種の事情あるいは法律解釈といったようなことも御説明をいたしたわけでございます。
そういったような状況があったわけでございますが、それが四月の下旬になりまして新聞紙に報じられるようなことがございまして、非常に大きく社会的な影響といたしましても出てきたというような事情があったわけでございます。その後、殿下は体調を崩されておりましたので、日赤に御入院になって御静養になるというようなことがございました。その間にも新聞の記者の方と会われたりいたしまして御自分のお考えも仰せられたこともあったわけでありますが、約二カ月間入院をされまして、その間に宮内庁の関係者といたしましても再三にわたってお話を申し上げ、その結果、殿下には皇室典範の条項を十分に御理解をされまして、その後そういったような御意思の表明というようなのはございませんような状況になっているわけであります。
殿下は、その後療養を続けられておったわけでございますが、秋のころから完全に回復をされまして、逐次、宮中の各種の行事にも参加されるというようなことで、現在は皇族としての務めを果たされているというように存じているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/6
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007・野田哲
○野田哲君 今説明を承ったわけですが、当時の新聞によると、インタビューに応じられた記事もあるわけですけれども、宮中の行事などが大変な激務でそのために社会的な活動ができない、こういうふうなことを述べておられるわけですが、まだ寛仁殿下は三十歳台でお若いわけですけれども、八十二歳の天皇陛下が務めておられるんですが、三十歳台の三笠宮寛仁殿下が激務だと感じられるほど宮中行事というのはそんなに過密な激務が続いているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/7
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008・山本悟
○政府委員(山本悟君) 宮中の諸行事に皇族として御参加になるということそれ自体が三十の半ばの方にとって肉体的に過重かという御質問であれば、さようなほどのことはなかろうと私は思います。しかしながら、やはり皇族という身位を持っておられまして、皇位継承権を持つ者として一定のいろんな意味での制約を受けるということを非常に感じられているということはあり得ることだろうと思います。これは何も寛仁殿下だけじゃなく、やはり皇族は皇族としていろいろな社会的な意味での制約というものを感じておられる、それだけ責任も感じておられるというようなことはあろうと思います。
また同時に、皇族のお立場として社会的におかしくないと申しますか、非常に前向きになるような格好でのいろんな諸活動をなさっていらっしゃいます。寛仁親王の場合には身体障害者関係のスキーといったようなことに非常に力を入れてやっていらっしゃる。そういったようなことの諸行事に随分出て、指導もやっていらっしゃるというようなこともございました。そういったいろんな意味でのことが重なりあって、ああいったような心境に一時なられた、確かに体調を崩されたという大きな事実があるわけでありまして、そういった中での御発言であったというように私どもは存じているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/8
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009・野田哲
○野田哲君 寛仁殿下の務めておられる役職を伺いますと、そうたくさんな役職ではないですね。日本学生氷上競技連盟総裁、社会福祉法人友愛十字会総裁、サンバード・スポーツクラブ名誉総裁、日本ノールウェー協会名誉総裁、財団法人新技術開発財団総裁、この程度の役職で、そうこの役職がハードスケジュールで宮中の行事とあわせると務まらないとは思えないわけですが、当時の世間の評価としては二つの評価があったと思うんですね。一つは、少し甘えがあるのじゃないか、率直に言わしていただくと。こういう評価と、もう一つは、皇室典範というのは随分不自由な拘束をしているものだな、人権問題にもかかわることなんだから本人が申し出れば認めるようにしてもいいのではないか。こういう評価があったと思うんですが、宮内庁としてはこの殿下の申し出に対して現行の皇室典範ではそれはできないのだということで説得されたということなんですが、皇室会議の構成の人たちには事情を説明し、皇室会議は開かないまでも、協議といいますか、相談をなさるような経過はあったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/9
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010・山本悟
○政府委員(山本悟君) 確かに当時の事情なり社会の考え方として、ただいま御指摘があった二つの見方があったと存じます。
私どもの方といたしましては、第二番目におっしゃいました典範というもの、やはり現行の皇室典範というものが厳として存在するわけでございますし、また現行典範が制定されましたときの経緯あるいは考え方というものが厳としてあるわけでございますので、それを主といたしまして、それに基づきまして、現行のものに基づきましてお話を申し上げたということでございます。
もちろん、その間、ただいま御指摘のございました皇室会議のメンバーの方々、これは皇族二名、それから総理大臣、衆参両院の正副議長、それに宮内庁長官でございます、これはこちら側でございますが、そういう構成メンバーでございますので、長官が何らかの機会のときにいろいろお話も申し上げたというぐあいに存じますが、このためにお集まりいただいて云々というようなことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/10
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011・野田哲
○野田哲君 当時の新聞の報道の中でも、学者の方々の中には人権は認めてあげてもいいのじゃないか、こういう説も報道されておりますが、現行の皇室典範によると、「やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。」ということになっておりまして、「やむを得ない特別の事由」というのは非常に限定をされた場合だと思うんですが、そこでこの皇室典範、それから皇室経済法、皇室経済法施行規則、これを一読してみると、やはりこれは非常に古いといいますか、今日の国民の感情にマッチしない面がかなりあるのじゃないかという感じがするわけですし、法律の体裁としても私は随分奇異な感じを受けるんですね。
皇室経済法の場合ですけれども、これは一条がないんです。一条はどういう条文がもとあって、どういう理由でこれはなくなったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/11
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012・山本悟
○政府委員(山本悟君) 皇室経済法の第一条には、最初制定されました当時には国有財産としての皇室用財産につきましての規定があったわけでございますが、その後、国有財産法の方が改正になりまして皇室用財産の関係も国有財産法に一括して規定をされるという事態になりましたので、この部分は必要なくなってそれが削除されるという条文になっているわけでございます。
参考までに例えば第一項を読みますと、「皇室の公用に供し、又は供するものと決定した国有財産は、これを国有財産法の公用財産とし、これに関する事務は、宮内府で、これを掌る。」。宮内府時代でございますから随分古い話でございますが、そういうような規定がここに設けられておりましたが、御案内のとおり、現在は国有財産法におきまして皇室用財産という一項目が設けられておりましてそちらの規定で全部賄える、こういうような事情がございまして、確かに体裁から申し上げればとっぱなから削除というような法体系になっておるというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/12
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013・野田哲
○野田哲君 いろいろ法律を私も見て、冒頭の一条がない法律というのに初めてお目にかかったわけなんですが、この施行法によると、三条、四条、五条、六条、これもないんですね。これはどんなことが規定されていて、どういう理由でここがなくなったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/13
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014・山本悟
○政府委員(山本悟君) 現在で申し上げますと、皇室経済法施行法の二条に相当します規定は、二条から六条までにわたりまして現在の二条に規定をされておりますことが個別に条文として書かれていたわけでございます。個別の一つ一つの条文になっていたわけでございますが、それを一括いたしまして現在の二条にまとめたということでございまして、内容的にはそれぞれの価額の限度というようなものが規定をされていたというような
ことでございまして、質的には変わっておりませんが、おっしゃいましたように、法文の整理といたしましては現在こういう格好になっている。これは二十七年の改正でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/14
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015・野田哲
○野田哲君 総務長官に伺いますが、今お聞きのように、普通、法律というのは条文を廃止すればずっと順番を詰めて繰り上げるとか、あるいは途中に条文をふやしたときは以下条をふやすとか、そういう手続によって整理されているんですが、この皇室経済法とその施行法は、廃止したら廃止したまま途中飛び飛びの法律になって、体裁としてもこれはいかがなものかと思うんですが、そんなことは大したことはないんですが、これらの条文の整理もあわせ、そして皇室典範についても、宮内庁の皆さんにとっては予想もしなかったような皇籍離脱の申し出もあるというような時代になり、そして世間の有識者からも少し皇室典範というのはかた苦し過ぎるのじゃないか、本人が申し出たときは認めてあげてもいいのじゃないか、人権という立場からも再検討したらどうかというような声も新聞にも報道されるような時代になってきているわけですから、そのことを含めて、この皇室典範、それから皇室経済法、施行法、体裁も含めて見直しということはお考えになりませんか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/15
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016・中西一郎
○国務大臣(中西一郎君) お話の趣旨が全くわからないというわけではございません。それぞれ御指摘の点についてはごもっともな点もあるんですが、現段階でこの皇室典範、これは昭和二十二年の法律で随分古い法律でございますし、経済法の方も同じ二十二年、施行法も二十二年、平仮名にはなっておりますが、随分年を経ております。その間に第一条が削除になっておるというような経過も御指摘のとおりで、ちょっと見た感じでは奇異だなという感じがしなくもございませんが、しかし法律的にこれはおかしいとも言えない、条文がそうなっているだけの話であるとも思います。
なお、皇室典範についての先ほどの寛仁親王殿下についての皇室典範十一条の規定についていろいろお触れになりました。これは私自身どうもその中身にまでは接していない立場にあるわけですし、これは宮内庁の方で四囲の事情をよく勘案して対処していただくより手だてはないわけでございまして、適切に処置をしておられる、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/16
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017・山本悟
○政府委員(山本悟君) ちょっと補完して。
基本的にはただいま総務長官からお答えいただきましたとおりでございますが、なお現在の皇室典範がかような制度をとっている理由、これは十分先生御承知のことかもしれませんが、一応説明をさしていただきますと、やはり現在の典範が制定されましたときの審議、記録その他から見てまいりますと、やはり皇室制度というものをとっております限り一定の皇位継承権者というものを確保しておくという必要性がある。昔の旧典範の時代は親王というのは四世まででございましたが、現在の皇室典範では親王は二世までというようなことで今なっておりますし、一定の数の皇位継承権者というものはどうしても要る。その場合には現天皇から身位の近い者についてはやはりどうしてもいてもらう必要もある。皇位継承権者がなくなるというような事態というのは現行憲法の予想しているところじゃございませんわけでございますので、そういったような意味からも親王について非常にその皇籍離脱についての制約をきつくしているというようなことになっているわけであります。
御案内のとおり、現在の典範によりますと、王につきましては、要するにこれは御本人の、正確に申し上げますと、「その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。」ことを認めているわけであります。したがって、三世以下の方につきましては、男子でありましても御本人の意思が皇籍を離れたいということであればまさにこの皇室典範の十一条一項でございますが、この規定によりまして皇室会議の議を経て決めるという、要するにその一番の発動のもとというのを御本人の意思というものにかけているわけでありますけれども、それも認めているわけでありますが、親王につきましてはこの十一条の一項の中に入れていないわけであります。これはやはり身位の天皇に近い皇位継承順位の高い方については、御本人の意思というものにかけて、それによって皇位継承権者がなくなっていくというような事態は避けるべきであるというような判断が働いてこのときの典範ができたというように承知をいたしているわけであります。そういうような意味から申し上げますと、やはり皇位継承権順位の高い方というものについてはこの現在の典範というようなもののとっておる考え方というのもある程度必要のあるやむを得ないことじゃないかというように存じているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/17
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018・野田哲
○野田哲君 別の問題について伺いたいと思います。
最近、赤坂東邸というのが完成を見たそうですけれども、これはどの場所にどの程度の規模のものが完成を見たわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/18
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019・山本悟
○政府委員(山本悟君) 本年の三月に竣工をいたしまして、赤坂東邸という名称で呼ぶことにいたした殿邸があるわけでございます。これは皇室用財産である赤坂御用地の中に建設いたしました。広さは約六百七十平米の二階建ての建物でございます。予算といたしましては、五十七年度に五千万、五十八年度に二億一千三百万余をお認めいただきまして、合わせまして二億六千万余というような金額で建設をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/19
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020・野田哲
○野田哲君 これは主としてどんな目的に使われることになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/20
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021・山本悟
○政府委員(山本悟君) 皇族その他の皇室用の建物というのは、御案内のとおり、国有財産としての皇室用財産としてお認めいただいているわけでありますが、この今度の赤坂東邸の用途といたしましては、一つには、皇族が現在それぞれの宮家あるいは東宮御所というところにお住まいになっているわけでありますが、独立をされるというようなこと、そういったような場合にさしずめ住んでいただくというところの余裕が実を言いますとないわけであります。昔で考えますと、いろんなところに皇室といたしましていろんな殿邸を持っておりましたし、いろんな離宮もあったわけでありますが、そういったものが一切ない状況のもとにおきましては、何事かが一たんありました場合に年数のかかる殿邸というものを用意してから事が行われるというようなことは非常に難しいわけでありまして、これは何もこれからじゃなくて今までもそうでございましたが、非常に困っていたわけでございます。
それで、今まではどうしていたかと申しますと、千代田区の三番町に宮内庁の分室という建物を一つ持っておりました。これに、仮寓所というようなことで、結婚された宮様に入ってもらうというようなことをいたしてきたわけであります。例えば三笠宮寛仁親王というのが数年前に結婚されましたが、約一年半か二年近く三番町の分室で仮住まいをしていただいた。その間に予算もいただきまして殿邸を建設して本邸としてそちらへ住んでもらう、現在はそちらに移ってもらっているわけでありますが、そういうような操作をするものが実を申せば実際問題として要るわけでございます。ところが、この三番町の分室というものの目の前に八階建てのビルがびょんとその後できてしまいまして、とてもそういうようなものに使うのが非常に困難になったというようなことが一つございます。
それからもう一つ考えられますのは、やはり今各宮家その他皇室といたしまして、外国の皇室、皇族なり王族なりというような方々が来られたときに接待をするような場所というのも何も持っていない、こういうようなこともございます。それから各官邸といったようなところも、そう広くて、ある程度何十人というような人のレセプションというようなものができるところじゃございませんものですから、これは内庭を含めてもいいわけでございますが、そういった各宮家のいろいろな意味での共用のものにもひとつ使えるそういった建物も欲しいというようなことを考えていたわけでありますが、それぞれそういうことにもなり得るようにというようなことで、赤坂東邸という名前をつけます前には我々は予算上は共用殿邸という言葉で言わしていただいていたわけでありますが、そういうような意味での建物といたしましてこれからも使用さしていただきたいというように思っているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/21
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022・野田哲
○野田哲君 今イギリスヘ留学されている浩宮さんがお帰りになるとあそこを使われるのだという報道もありますが、大体そういう予定なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/22
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023・山本悟
○政府委員(山本悟君) ただいま申し上げましたように、特定の方を頭に置いてどうこうしているわけではございません。したがって、どなたであろうと独立される際にお入りになるところが必要であるというときには、他に持っていないわけでございますので、あれが一番そういう可能性としてはあろうかと思います。これはどなたという意味では毛頭ございません。
それから、もしもああいうものがないとすればそういうときどうするか。今までは、先ほど申し上げましたように、宮内庁で持っております分室というものを使っておりました、木造の建物でございますけれども。これで寛仁殿下のときは間に合わせたわけでございます。ところがその後、先ほど申し上げましたように、目の前が八階建てのビルになってしまって日照もないというような状況になっていることがわかったわけでございますので、そこで何か一つつくらしてもらいたい、しかもそれも皇族が入られるということで、仮寓所にいたしましても何カ月あるいは年単位でもって入られるわけでございますので、そういうような意味から申しますと、やはり地理的にも適当なところ、警備その他もございますから、そういったような意味で赤坂の御用地に用地がございましたのでそこにつくらしていただいた、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/23
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024・野田哲
○野田哲君 ちょっと話が飛びますが、浩宮さんがイギリスヘ留学されているこの諸経費というのはどの部分から出されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/24
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025・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御修学関係の経費は、一部は宮廷費の中の国際親善等経費という項目がございます。その中から支出をさしていただいています。それから一部は、私的な御部分については内廷会計の方から支出をさしていただいております。こういう両面になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/25
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026・野田哲
○野田哲君 警護の関係については、身辺警護、これはどういうふうにイギリスの方との間では約束ができているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/26
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027・山本悟
○政府委員(山本悟君) イギリスにおいて御生活になっているわけでありますから、基本的に御身辺の警護という問題はイギリス政府の責任においてお願いをするということは当然のことであろうと思います。したがいまして、こちらから特定の者を警護として派遣しているというようなことはない。ただ、向こうの警備当局との連絡といったような意味での職員は行っておりますけれども、警護自体、これはイギリス側の方に全幅のお願いを申し上げているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/27
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028・野田哲
○野田哲君 そうすると、これはイギリス側の責任でイギリスに滞在している外国のVIPの警護、こういう形で取り扱われているわけですか。日本側から特別にその経費を分担しているということではないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/28
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029・山本悟
○政府委員(山本悟君) 経費の分担をしているという事実はございません。これはやはりイギリス政府の責任におきまして、非常に慎重な配慮のもとに警備をしていただいていると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/29
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030・野田哲
○野田哲君 また東邸の使用目的に返るわけですけれども、先ほどもちよっと説明があった中でも触れられているわけですが、各皇族がいろいろ関係されている団体等の接待といいますか、行事にも使われるということが新聞にも報道されていたことがあるわけですが、やはりそういうことのためにも使われるということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/30
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031・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、一部新聞に皇族が関係している団体の諸行事というような書き方がちょっとあったようでございまして、私どもの考え方を申し上げれば、団体の行事に使うということは頭に置いていなかったわけであります。団体の関係者を皇族が呼んで何かされるという場合にお使いになるだろうと、こういう想定をいたしていたわけでございます。現にそういうつもりでいるわけでございますが、団体の行事のためにそこを使うというのはちょっと趣旨が違うわけでございまして、例えば名誉総裁とかやっていらっしゃる何かの会合があったときに幹部をお呼びになる、これは官邸でもできるわけでありますが、官邸はそんなに広くない、そういう場合にはもう少し広いところ、この建物はそういう意味では通常の官邸の食堂あるいは応接室というよりも少し広くつくってあります。そういうようなところでそういうことをおやりになる。これは皇族が主宰してやるというようなときにはお使いになるだろうというようなことを考えているわけでございまして、団体自体がその行事という言い方はいささか私どもの意図ではないというように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/31
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032・野田哲
○野田哲君 赤坂の東邸の問題は終わりまして、各皇族方がいろんな各種団体の役職についておられることについて伺いたいと思うわけです。
社会的にいろんな役職についていらっしゃるわけですが、皇族方のつかれる役職についてはこれは御本人の全く自由意思でやっておられるのか、それとも宮内庁なりどこかでチェックしてその上で断るものは断る、受諾するものは受諾する、こういう扱いになっているわけですか。チェックはどこでやっているんですか。それとも自由なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/32
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033・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御質問のとおり、社会福祉とかスポーツとか学術、文化、国際親善等の各分野におきます各団体から、その皇族の御関心、御経歴、御趣味等を考慮した上で、通常各団体から皇族御自身に対して直接御就任の要請があるのが普通でございます。ただ、皇族さん方といたしましても、やはり皇族という身位からいたしまして、一定の考えなきゃならない事項というのは十分御説明もし、御承知にもなっているというように存じているわけでございますが、そういうことに照らして差し支えないという御判断の場合にお受けになっているということでございまして、お受けになった場合には各宮家から宮内庁に対して届け出があると、こういうような状況になっているわけでございます。
一般的には、皇族方が的確に御判断をなさいまして諾否をお決めになるというのが大部分でございますが、御疑問だというような場合には宮内庁の方にも聞いていらっしゃる場合がございます。そうすればもちろん宮内庁としての意見も申し上げるということにもなりますし、また場合によってはこういった団体から宮内庁に対してどうだろうかということを直接宮内庁に言ってまいる場合がございます。そういう場合には、宮内庁といたしまして当然団体あるいはその行事の内容といったようなものを調べまして、差し支えないと判断された場合にのみ皇族にお取り次ぎするというようなやり方をいたしているわけでございますが、どちらのケースが多いかということになりますと、実際問題といたしましては直接宮家に対して接触があるという場合の方が多いというように存じておるわけであります。
ただ、実際問題といたしまして、事後でございましても非常に困るというような不適当な場合というようなこと、例えば北海道の、前にも議論になったことがあるわけでありますが、そういう場合にはいろいろ御相談もするというようなこともいたしておりますが、原則といたしましては、第一次的には各宮家御自身で御判断いただくという場合が多いと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/33
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034・野田哲
○野田哲君 私どもほど世間の裏のことを御存じない方々なものですから、私は利用されている面がかなりあるように思うんです。一々その具体例を申し上げることは控えますが、いつでしたか、やはりこの委員会で同僚の矢田部君が具体的なものを示して、余り営利的なことにはかかわられない方がいいのではないかと、こういう御注意を申し上げたことがあるわけですが、あるゴルフの会社のパンフレットに使われていた例があるわけです。そのゴルフの会社というのはかなりいかがわしいといいますか、物議を醸したこともあって、この委員会で注意を喚起したことがあるんですが、やっぱり宮内庁から見せてもらった各皇族方のつかれている役職のリストを見ると、営利的な面とかあるいはかなり名誉欲の強い人がやっている団体に利用されているという面がうかがわれます。
一つ、具体的に例を挙げますと、去年サントリー・オープンのゴルフのあれに高松宮が関係されていらっしゃるんですね。ゴルフがお好きかどうか知りませんけれども、明らかにこういうのは企業の宣伝のための行事なんですよね。私は、国民の税金、国費から皇族費の支給を受けておられる方ですから、特定の企業で営利目的のために主催する行事には余りかかわられない方がいいのじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/34
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035・山本悟
○政府委員(山本悟君) 先ほど御指摘になりました先の部分の太平洋クラブの関係、あれは社会的にも非常に問題があったわけで出たわけでございます。この点は、いろいろ当時の宮内庁といたしましてもそういった事情を御説明もし、これは五十二年に御辞任になっているという事実がございます。
ただいま御指摘になりましたゴルフのこれも確かに名誉総裁に就任をお引き受けになっておりますが、一時お引き受けにならなかったときもあるし、その後またお引き受けになっているというようないろんな経過がございますけれども、伺うというか私どもの調べたところでは、やはりこのゴルフ、いわゆる一部には社会福祉関係その他につきまして寄附もするといったようなこともやっているようでございます。確かに名前自体からいえば主催者はサントリーと日本テレビですか、この二つが主催者になっておるようでございますが、どの辺まで利用されたと見るべきなのかどうか、いささか頭をひねるところでございます。確かにさきに申し上げましたような太平洋何がしというようなことになりますと、まさに社会問題といたしましても非常に問題の指摘されたものであったようでございまして、そういうものにそのままの格好で非常に殊さらに、あのときは顧問でございましたか、名誉顧問だというようなことを企業側の方が強調をしてやるというようなことになりますればやはり問題じゃないか、好ましくないなという感じを非常に強く持ったようでございますが、サントリーの場合どう考えるべきか非常に頭を痛めますが、やはりゴルフというもの、こういった大会というようなものも非常に今国際性を持って社会の中の相当なファンもいるというようなあれになってきているわけでありまして、一概に名前がついたから全部いけないと言うべきなのかどうか、私どもとしてはなかなかそこまでは踏み切れないなというような感じを今いたしているところでございます。
ただ、御指摘のように、そのことが非常に強調をされて、それによって物すごくいろいろなことが起こる、あるいはいろんな被害者も出るというような事態があれば、それはもちろんおっしゃいました御指摘のようなことと思うわけでありますが、今の段階でこの具体の問題につきましてどう考えるべきか、非常に苦慮をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/35
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036・野田哲
○野田哲君 別の問題について伺いたいと思います。
まず、本来なら官房長官の出席を求めて伺いたいと思ったわけですが、いろいろ日程のやりくり等もあったようでありますから、無関係ではない総務長官がきょうは出席されておりますし、皇室の問題ともかなりかかわりを持っておりますので、総務長官とそれから法制局の方に伺いたいと思います。法制局は見えておりますね。
まず総務長官、靖国神社の春の例大祭が近づいているんですが、総理はこれに参拝をする予定であるのかどうか、あなたはお聞きになっているかどうか、そのことから伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/36
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037・中西一郎
○国務大臣(中西一郎君) 総理に直接伺っておるわけじゃございませんが、秘書からの話を耳にしています。例年どおり春の例大祭の御案内は総理のもとに届いておるようでございまして、総理自身のお考えだろうと思うんですが、秘書はこのように言っています。日程が許せば例年どおり参拝したいとの意向であるというふうに伺っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/37
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038・野田哲
○野田哲君 参拝の意向であるということですが、どういう資格で参拝をされる意思であるのか、このことは伺っておられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/38
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039・中西一郎
○国務大臣(中西一郎君) 直接聞いていませんが、この点についても例年どおりではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/39
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040・野田哲
○野田哲君 法制局の方に伺いますが、私も毎度、時期が来るとこの委員会でこの問題の政府の見解をただすわけです。この前は板垣議員もこの問題をただしておりますが、二人ともこの問題では常連になっているんです。この靖国問題では二つの見解があるということを私は承知をしているわけです。
一つは、昭和五十三年十月十七日に当参議院内閣委員会で当時の安倍官房長官が私の質問に対して示された見解でありますが、それによりますと、
内閣総理大臣その他の国務大臣の地位にある者であっても、私人として憲法上信教の自由が保障されていることは言うまでもないから、これらの者が、私人の立場で神社、仏閣等に参拝することはもとより自由であって、このような立場で靖国神社に参拝することは、これまでもしばしば行われているところである。閣僚の地位にある者は、その地位の重さから、およそ公人と私人との立場の使い分けは困難であるとの主張があるが、神社、仏閣等への参拝は、宗教心のあらわれとして、すぐれて私的な性格を有するものであり、特に、政府の行事として参拝を実施することが決定されるとか、玉ぐし料等の経費を公費で支出するなどの事情がない限り、それは私人の立場での行
動と見るべきものと考えられる。こういう見解が示されています。
それからもう一つは、昭和五十五年十一月十七日に衆議院の議院運営委員会の理事会に当時の宮澤官房長官が出席をして述べられた見解で、これによりますと、
政府としては、従来から、内閣総理大臣その他の国務大臣が国務大臣としての資格で靖国神社に参拝することは、憲法第二十条第三項との関係で問題があるとの立場で一貫してきている。
右の問題があるということの意味は、このような参拝が合憲か違憲かということについては、いろいろな考え方があり、政府としては違憲とも合憲とも断定していないが、このような参拝が違憲ではないかとの疑いをなお否定できないということである。
そこで政府としては、従来から事柄の性質上、慎重な立場をとり、国務大臣としての資格で靖国神社に参拝することは差し控えることを一貫した
方針としてきたところである。こういう二つの見解が示されておりますが、この見解は今まで変更されたということは承っていないので、そういうふうに今日でもこれが政府の見解であると、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/40
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041・前田正道
○政府委員(前田正道君) ただいま委員がお読み上げになりました二つの見解が政府の統一見解でございまして、この二つの政府統一見解は現在も変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/41
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042・野田哲
○野田哲君 この靖国神社、いろんな議論が国会でも今日まで続けられてきたわけでありますけれども、靖国神社は宗教法人法に基づく宗教団体として、宗教法人法によって靖国神社規則というのを制定して届け出ておられるわけでありますが、その三条によりますと、「国事に殉ぜられた人を奉斎し、神道の祭祀を行い、その神徳を広め、本神社を信奉する祭神の遺族その他の崇敬者を強化、育成し、社会の福祉に寄与し」、こういうふうな形で靖国神社としての目的を靖国神社規則で制定されていると思うわけですが、この点は法制局の認識としても同じだろうと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/42
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043・前田正道
○政府委員(前田正道君) 宗教法人靖国神社規則におきまして、そのような定めがされていることは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/43
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044・野田哲
○野田哲君 そういたしますと、この靖国神社というのは明確な宗教法人であり、そして毎年の春秋の例大祭というのはこの靖国神社規則三条に定める神道の祭祀そのものであるというふうに私は受けとめているわけですが、法制局としてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/44
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045・前田正道
○政府委員(前田正道君) 私自身、祭祀の具体的内容を存じませんけれども、宗教法人である靖国神社が行っている祭祀であるという以上は宗教的な色彩を持ったものであろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/45
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046・野田哲
○野田哲君 政治と宗教、公的機関と宗教とのかかわりについて、津市における体育館の起工式で神式の行事を行ったことについて裁判になり、最高裁の判決が出ているわけであります。
この津市の体育館の問題についての最高裁判決の中では、国及びその機関の禁止される宗教的活動は、当該行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉になるような行為で、その典型的なものは、宗教の布教、教化、宣伝等の活動である云々、そして、挙式に際し、神職に対する報償費及び供物料を市の公金から支出しているが、特定の宗教組織または宗教団体に対する財政援助的な支出とは言えないから云々、こういうことで津市の場合には、これは市がこの起工式を神式でおはらいをしたことや、あるいはこれに市の公金を供物料、報償費、こういう形で出したことに対してこれは憲法違反に該当しないと、こういう判断をされていると思うんですが、このことを総理や閣僚の靖国神社の公的な参拝にも援用できる根拠として主張する説があるわけでありますけれども、この津の判決で総理大臣や閣僚の靖国参拝への疑念が消えたとは私はどうしても思えないわけでありますけれども、法制局としてはどういう見解をお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/46
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047・前田正道
○政府委員(前田正道君) 最高裁判所が津地鎮祭に関しまして御指摘のような判決を出していることは、そのとおりでございます。
政府の統一見解でも申し上げておりますけれども、この問題につきましてはいろいろな考え方がある。その際に一つの基準となるものは最高裁の判決だろうと思いますが、この判決自体が国家と宗教とのかかわり合いにつきまして、「国家が宗教とのかかわり合いをもつことを全く許さないとするものではなく、宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いが右の諸条件」、つまり我が国の社会的、文化的諸条件「に照らし相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものであると解すべきである。」とした上で、今、委員が御指摘になりましたようなことを判示しているわけでございます。
そういたしました場合に、その判示との関係でどのように判断をするかという問題だろうと思いますが、従来の政府の見解では先ほど委員がお読み上げになりましたような関係で考えているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/47
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048・野田哲
○野田哲君 新聞に報道されているところによりますと、あしたですか、自由民主党では総務会を開いて、この靖国神社問題の小委員会が五十八年の十一月十四日に示された靖国神社問題小委員会見解、これを総務会で正式に決定されて、それを総理のところへ持っていって、これによって靖国に参拝をしろ、こういう総理に注文をつけるのだというふうなことが報道されておりますし、自民党で靖国神社問題の小委員会でずっと検討されてこられたのは昨年夏に総理が自民党に対して検討を命ぜられたその結果に基づくもので、これをあした正式に決めるのだということが報道されているわけです。自由民主党がどういう検討をされるか、これは私どもが介入すべきことではないわけでありますけれども、しかしそれをもって政府の見解とし、政府にそれによって行動を求めるということになると、私どもとしてもこれは黙っているわけにいかないわけであります。
自民党のこの小委員会の見解というのを見ると、「国を代表する内閣総理大臣が時に靖国神社を訪れるのは当然の関係である。内閣総理大臣と記帳しながら、私人としての私的参拝だといって物議をかもしてもきた。内閣総理大臣と記帳しての参拝は、公人としての公的参拝とうけとめることができる。」。この最後のところは、これは私が実は何回も指摘をしているところなんです。内閣総理大臣と書いて参拝したら公的参拝じゃないか、だから参拝そのものをやめるべきだと、こう主張しているんですが、自民党の小委員会の見解は、内閣総理大臣と記帳しての参拝はこれは公人としての公式参拝だ、公的参拝と受けとめることができるのだと、こういう形で総理の参拝を自民党がこういう見解を決めることによって公的参拝としてオーソライズする、こういう方向に、つまりこういう形で事実上合憲という既成事実をつくろうというふうな意図と伺っているわけでありますが、政府・与党のこういう見解が出たとしても私は憲法二十条あるいは八十九条に対する政府の法律的な法制局としての憲法解釈が変わるはずはない、先ほどの宮澤官房長官や安倍官房長官の示された政府見解、これが今の見解だ、これは変わることはないと、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/48
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049・前田正道
○政府委員(前田正道君) 自由民主党の靖国神社問題に関する小委員会におきまして御指摘の見解が取りまとめられたということは承知しておりますけれども、同党内におきまして最終的に決定されたものではないという現段階におきまして、政府といたしましてコメントすることは差し控えさしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/49
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050・野田哲
○野田哲君 正式な決定の前だからコメントは差し控えたい、こういうことですけれども、あなたは、私のこの問題についての宮澤官房長官の見解、それから安倍官房長官の見解、これは現在も政府見解ですねと、こういうことに対してそれは肯定をされたわけです。そうすると、もしかするとこれが自民党が決めれば変わることもあり得るということも含んで、今は自民党の正式決定の前ならばコメントを差し控えたい、こういうふうにおっしゃったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/50
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051・前田正道
○政府委員(前田正道君) お尋ねの点につきましては、去る三月十日の衆議院の予算第一分科会、それから四月七日の委嘱審査におきます本委員会におきまして藤波官房長官から同様なお答えをしておりますので、私がそれ以上のお答えをすることはできない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/51
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052・野田哲
○野田哲君 そうすると、現在の見解は、私が冒頭に鈴木内閣の当時の見解、それから福田内閣のときの安倍官房長官の見解、この二つということで確認を求めたわけですが、現在はそのとおりでいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/52
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053・前田正道
○政府委員(前田正道君) 先ほどお答えいたしましたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/53
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054・野田哲
○野田哲君 この点については、これは政策ではないわけでありまして、憲法の解釈なんでありますから、私は政府がかわろうともあるいは与党がこの問題についてのどういう決定をしようとも内閣としての見解が変更されるはずはない、こういうふうに考えるわけなんです。そういうことじゃないでしょうか、憲法解釈というものは。そうでしょう。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/54
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055・前田正道
○政府委員(前田正道君) 先ほど申し上げましたように、官房長官自体が同様な答弁をしておられますので、私がそれ以上の答弁をするのを差し控えさしていただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/55
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056・野田哲
○野田哲君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/56
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057・矢田部理
○矢田部理君 今回の改正で賜与、譲り受けの限度額がアップされることになるようでありますが、従前の賜与あるいは譲り受けの実態、内訳はどんなふうになっていましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/57
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058・山本悟
○政府委員(山本悟君) 現在の法律で決められております賜与、譲り受けの限度額は、天皇及び内廷皇族につきましては賜与額が年度間九百九十万、譲り受け額が三百三十万でございますが、最近の事例で申し上げますと、五十七年度におきましては賜与額が九百九十万弱、譲り受け額が百三十万、それから五十六年度におきましては賜与額が約七百九十万、譲り受け額が約百八十万でございまして、五十八年度につきましてもほぼ同様な額というようなことに相なろうかと存じます。それぞれの内訳と申しましても、これは該当するものの積み上げでございますので、何が何ということはこういったことの性格でございますので差し控えさしていただきたいと存じます。
なお、皇族の方につきまして総計で申し上げますと、五十七年度は賜与の限度額が千百万でございましたが、それに対しまして八百八十万、それから五十六年度が同じく七百七十万。譲り受けの方は、限度額同様でございますが、実績額が五十七年八百五十万、五十六年が七百七十万というようなことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/58
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059・矢田部理
○矢田部理君 賜与の方についてお聞きをしたいのでありますが、これはどんなことに支出をされているのか、支出のおよその個別的な金額というのは何ほどのものを支出しているのかというあたりを概括的にでも結構ですから御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/59
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060・山本悟
○政府委員(山本悟君) 賜与の内容といたしましていろんなものがあるわけでございますが、典型的なものを申し上げますと、やはり災害の際の被害の大きかった県に対しますお見舞い金、あるいは炭鉱事故等がありました際にもお見舞い金を出していらっしゃいます。そういったような災害関係のお見舞い金、あるいは天皇の誕生日に際しまして数多くの社会福祉団体等に対しまして御下賜金を出していらっしゃいます。そういったようなこと。あるいは日本学士院とか芸術院の学士院賞、芸術院賞の受賞者に対しまして、これはお金ではございませんで恩賜賞として銀の花瓶を出していらっしゃいますが、これもやはり賜与として内廷からお出しになっているものでございます。そのほか、ある程度まとまった場合といたしましては、何か節目の事のあるとき、例えば陛下の八十の賀の際に身体障害者の福祉事業関係に厚生省を通じて御下賜になりました。そういったようなこと。あるいは最近で申し上げれば両陛下の御結婚六十年、この際にも御下賜金が出ております。そういったようなことでございまして、いろいろ大小さまざまございますものですから、どれがどうというようなことはなかなか申しにくいわけでございます。
また、ただいまのようなことでございますので、例えば天皇誕生日に際しての社会福祉事業団体への御下賜金というのは、これは団体はいろいろ厚生省その他の推薦で出てまいっておりますが、団体は違いましても定例的に、金額的には一団体当たりにしますとわずかな額でございますが、そういったことをなさっております。先ほど申し上げましたような災害というようなことは、起こった起こらない、あるいは災害の規模といったようなものを多少配慮いたしましてお見舞い金を差し上げているというようなことでございまして、それがどうという基準的なことあるいは額的なことはなかなか申し上げにくいものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/60
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061・矢田部理
○矢田部理君 逐一どこに幾らということまでせんさくするつもりはありませんが、多い方でどのぐらいとか下限がどのぐらいとかというおよその感じ、見当がつく程度の答弁はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/61
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062・山本悟
○政府委員(山本悟君) まとまった大きなものといたしまして考えられますのは、先ほど申し上げた例で言えば八十の賀でございますとか六十周年でございますとか、こういうときには百万単位での金額を出していらっしゃる、そういう場合ございます。それから災害というようなことになりますと、これはどのくらい起こってくるかわかりませんのでなかなかあれでございますが、実を申し上げますと、この限度額の問題もございますけれども、社会通念上おかしくない程度にはしたいわけでございますけれども、なかなかそうもいかない、いろんなそれは財政事情もございましょうし。でございますが、先ほど申し上げましたように、死者が多いといったようなときでありますとか、この場合には何も天然災害だけじゃなくて、爆発だとか大きな交通事故だという場合だってあり得るわけでありますから、そういうようなことを、大体いろいろな規模を配慮しながらお出しになっていらっしゃるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/62
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063・矢田部理
○矢田部理君 譲り受けの方ですが、現行法の限度額と、この実績といいますか、実態はまだ大分離れているのじゃないか。四割にも満たないということだとしますと、この譲り受けの限度額まで今金額を上げる理由はないのではないかと思われますが、その辺はどういうふうなことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/63
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064・山本悟
○政府委員(山本悟君) 確かに実績は限度額に対しましておっしゃるようなことでございまして、譲り受けという方はこれはやはり各民間の方あるいは国民の方からのいわゆる通常の言葉で申せば献上になるわけでございます。それは幅広い格好でお受けになるという態度をおとりになっていない、そういう運用をいたしているということで御理解を賜りたいわけであります。
いろんな意味で、例えば御成婚六十年というようなときでも広く受けられるというようなことが伝わればそれは大変なことになろうかと思います。実際にお受けになりましたのは、総理、閣僚並びに衆参両院議長、それから最高裁の長官といったような方々からのものだけをお受けになりまして、その他は随分言っていらっしゃる方があっても丁重にお断りをしている、そういう運用をいたしているわけでございます。
一般的に、そういった大きなかどのあるとき以外で考えますと、実際にお受けになりますのは、植樹祭、それから国体の際に地方行幸啓がございますが、主として地方に行幸になりましたような際に県知事を通じてその地方の特産といったようなものが献上になる、これはお受けになっております。その場合には、例えば焼き物であるというような場合がありますとそれは何十万ということになる場合もあるかと存じますけれども、そういったものはお受けになっておりますが、そのほかのものは一切お受けにならない。生鮮食料品みたいなものはいささか別でございますが、御用邸にいらっしゃっているときに土地の者が果物を持ってくるというようなことはこれは別でございますが、そういったもの以外のものはお受けにならないということでいたしているわけでございまして、その意味でいけば確かにすぐさまそれが突破するということでもございませんけれども、やはりずっと前の法律の改正のときから賜与と譲り受けの大体率というようなことで来ているわけでございますので、そういったことも頭に置きまして今回も同じ率でお願いをしたというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/64
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065・矢田部理
○矢田部理君 余り物をもらったりしない方がいいということはそのとおりだと思うし、できるだけ抑えてきているということもそれはそれでいいと思うんですが、特に売名だとか、いろいろそのことを通して何かにしようということも考えられないわけではありませんから。
ただ、実績を見ますと、限度額が三百三十万であるのに、五十五年度八十万、五十六年度百八十万、五十七年度百三十万、まだ大分幅があるわけですね。そういう構え方、実績についての受けとめ方であるとするならば、なおさらのこと、これをわざわざ三百三十万を六百万に改める必要はないのではないか、従来とってきた控え目な態度をそのまま維持して十分なのではないかと思うわけですね。したがって、今の説明は必ずしも説明になっておらぬということなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/65
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066・山本悟
○政府委員(山本悟君) 確かにこの部分につきましてはそういう実績というようなこともあるわけでありますが、やはりこの法律全体の体系といたしまして賜与と譲り受け、それも内廷と各皇族、いろいろ体系ができている法律であるわけでございますので、全体の考え方として同じような率でもって今回の改正はお願いをした。もちろん限度額でございますから、その限度額いっぱいにすぐさまなるあるいはするというようなものでないことは御指摘のとおりでございますけれども、この考え方といたしましてはそういうことで御理解を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/66
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067・矢田部理
○矢田部理君 外国との交際のための儀礼上の贈答、外国に出向いたときに贈り物をするというような場合は別扱いにされているわけですが、これはどこから支出されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/67
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068・山本悟
○政府委員(山本悟君) 国公賓が来ましたとき、あるいは最近で言えば皇太子皇太子妃両殿下が外国を御訪問になる、ああいったときに贈賜品関係があるわけでございますが、これは経費といたしましては予算によりますところの宮廷費の中から支弁をさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/68
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069・矢田部理
○矢田部理君 したがって、今論議をされている内廷費なり皇族費から出されるわけではないわけですね。
これは、どの程度の規模の支出をしているのでしょうか。外国の大統領とか王室などとの比較の関係も含めて説明をしていただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/69
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070・勝山亮
○政府委員(勝山亮君) お答えをいたします。
外国に対する贈賜品の関係でございますが、これは先ほど先生がお話しになりましたように二種類ありまして、日本の皇族が外国を御訪問になる場合と、それから外国の国賓、公賓が日本においでになった場合に日本の皇室から外国の国賓、公賓に差し上げる場合と、こういうふうになっておりますが、国賓、公賓の場合は大体予算上年間九回ほどのものを予想いたしまして、それを一件、公賓については五十万ぐらい、国賓については百万程度のものをそれぞれ予算で組んで支出するようにいたしております。
それから皇族が外国へおいでになる場合のお持ちになる物につきましては、外国の元首並びに首相とか外務大臣とか関係の諸機関の代表に対してそれぞれ差し上げるということで、元首等については一件百万程度のものを予算上見ている、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/70
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071・矢田部理
○矢田部理君 内廷費、皇族費の限度額を上げる、定額の基準を上げるということが問題に供されているわけでありますが、もともとこの内廷費とか皇族費の、値上げの問題は後で聞きますが、ベースになった金額の算出基礎といいますか、これはどんなところにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/71
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072・勝山亮
○政府委員(勝山亮君) もともとというお話がございましたが、今回の内廷費、皇族費につきましては、先生御承知のように、昭和四十三年の十二月に開かれました皇室経済に関する懇談会というので一応の基本的な方針をお決めいただいているところでございますが、これは物価と職員の給与の上昇率が定額の一割を超えるような場合には改定を行うという方針を決めていただいておりまして、前回の改定の時期が昭和五十五年でございまして、この昭和五十五年以後物価と人事院勧告による職員給与の上昇率がいずれも一割を上回っておりまして、物価については一八・七%、人件費は一二・三二%の増、こういうことになっているわけでございますので、それぞれ内廷費と皇族費につきましてはその内訳は物件費と人件費にそれぞれ区別をしておりますが、その物件費分については物件費の上昇率を掛けまして、人件費分については人件費の上昇率を掛けましてそれぞれ積算基礎として計算をいたしますと、ただいまこちらで提出をさせていただいております内廷費、皇族費の定額の改定の数字になる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/72
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073・矢田部理
○矢田部理君 いや、私が伺っておりますは、今度の値上げの理由とか根拠じゃなくて、もともとどんな性格のものとして内廷費なり皇族費は金額が算出をされているのかという大もとのところを聞いているわけです。値上げの問題はまた後で伺いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/73
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074・勝山亮
○政府委員(勝山亮君) お答えいたします。
もともとの性格でございますが、内廷費につきましては、皇室経済法の第四条第一項、第二項に書いてございますように、天皇初め内廷皇族の日常の費用その他内廷の諸費に充てられるものという性格で内廷費を支出するということになっております。内廷費は、いわゆるお手元金となって公金とはしないというふうにもこの法律に規定をされております。
それから皇族費は皇族の品位保持の資に充てるためと、こういうことで規定をされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/74
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075・矢田部理
○矢田部理君 お手元金とか、品位保持金とか、こういうことになるわけでありますが、例えば内廷費について言いますれば、内廷費は天皇家の私的な生活費でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/75
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076・山本悟
○政府委員(山本悟君) 既にただいま主管から御答弁申し上げましたように、内廷費は天皇及び内廷皇族の日常の生活その他内廷諸費に充てるためですから、生活費も全部含んでのものであろうと思います。逆に申し上げますと、昔の皇室と違って、皇室は内廷的な意味において大きな財産を持ってそこからの収入で賄うという建前がないということになろうかと思います。それに対しまして、皇族費の方は品位保持の資ということでございますので、内廷費よりももう少し生活費的な要素が少ないと思います。逆に申しますと、皇族の場合には一部私有財産を持って収入を上げることも可能である。そういう建前を現在の憲法になりましてからずっととっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/76
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077・矢田部理
○矢田部理君 そうしますと、まず内廷費について伺いますが、総額のうちいわゆる生活費的部分はどのぐらいになるのか、その他どんなことがあって、どんな割合で総額が割り振られているのかという概況の御説明はできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/77
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078・勝山亮
○政府委員(勝山亮君) お答えをいたします。
内廷費につきましては、先ほど申し上げましたように公金ではございませんので、具体的に支出の比率等を申し上げますが、最近の支出状況でございますが、まず内廷費を人件費と物件費に分ける、こういうことでございますと、物件費が六七%、それから人件費が三三%ということになります。
そこで、人件費につきましては、内容といたしましては、祭事関係を預かる職員とか、陛下の御生物学の御研究に関するような職員等を合わせて二十五名の人件費、こういうことになろうかと思います。
それから物件費でございますが、これは六七%の内訳を従来から申し上げている六つの分類で御報告いたしますと、まず第一は、御服装とか、お靴ですとか、お帽子とか、そういったようなお身の回り品等の経費というものは約一八%でございます。それから第二項目として、お食事とか、御会食とか、いろいろな食器類を買うとか、そういったような関係の経費、これが一三%程度です。その次に、先ほど来問題になっているような災害の見舞い金とか、奨励金とか、先ほど申し上げましたような恩賜賞とかいうようなものもこの中に入るわけですが、その他私的な御交際の経費、これが約一〇%でございます。その次に、御研究とか御教養関係の雑費、そういったものの諸経費が七%でございます。それで、さらに宮中でのいろいろなお祭りとか神事関係の費用、そういったものに絡む経費が七%程度でございます。最後に、医療関係で薬を買ったり、そういったような以上の五つに入らないような経費を全部含めて一二%程度。こういうことでございまして、内訳と申しますと、大体そのパーセンテージを申し上げておきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/78
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079・矢田部理
○矢田部理君 皇族費の性格は皇族の品位を保持するためのお金だと、こういうふうに言われたのですが、これはどういう意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/79
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080・山本悟
○政府委員(山本悟君) 皇族という方は皇位継承権を持った方々ないしはその子供さん方ということでございますので、やはり一定の社会におきましての品位、逆に言いますならば何かの際に象徴天皇になられるにふさわしいだけの品位を持った御生活を営んでいただく必要がある、こういうような考え方からこの規定ができているものと私どもは承知をいたしているわけであります。
そういたしますと、そういうものでございますから、先ほど内廷費については日常生活を全部含めての経費だと申し上げたのに対しまして、皇族の場合には他の一部収入を得られる手段というものも否定をしているわけじゃない、また実際にも多少の財産を運用されている方もありましょうし、あるいは若い方の場合にはお勤めになって報酬を得ている方もいらっしゃる、それを否定したものではない、そういうような違いがあるということを申し上げたわけでございますが、ただいま申し上げたようなのが皇族に支出されております皇族としての品位保持の資という書き方を法律がしているゆえんであろうと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/80
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081・矢田部理
○矢田部理君 私が伺いたいのは、そうしますと生活費的要素はないというふうに伺ってよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/81
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082・山本悟
○政府委員(山本悟君) 実際問題といたしましては、生活費的要素が非常に多いと思います。要するに、皇族が品位を保持されるゆえんというものには、やはりいろいろなところで重い仕事についていただくというようなことは避けているわけでございまして、皇族の御活動といたしてもさようなことはなさっていらっしゃらないと思いますが、そういうような意味から申し上げまして、しかもその一定の水準の品位を保った御生活をしていただくというために差し上げていると思います。したがいまして、実際上の運用としては皇族費がその宮家の収入のうちの大部分であるということは想像できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/82
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083・矢田部理
○矢田部理君 私が質問したいのは、どんなところからこんな金額が出てくるのだろうかということを考えてみますと、一つは皇族としての品位保持もあるが、まず第一は生活だろうと思うんですね。生活プラスアルファーというふうに大綱的な仕分けができるかと思うんですが、そういう生活費的部分が大部分だとすれば、皇族の生活状況、例えば勤めを持っているとかあるいは他に収入があるとかいうことで違ってきていいのではないかというふうにも考えられるわけですが、その辺はどんなふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/83
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084・山本悟
○政府委員(山本悟君) ただいまお答え申し上げましたのは、実際の運用としては皇族が営利の追求をなさるということを好ましいことというふうには毛頭思っていないし、皇族自身もそういうことを好ましいと思っていらっしゃらない、こういうことがやはり品位保持に非常に大切な条件だろうと思いますが、そういうことで御生活をいただいているわけでありますから、その意味ではどなたが多い少ない、御案内のとおり品位保持でございますから、親王と王との間では身位の違いによって法律は王の場合には親王の七割というような規定も置いておりますし、また独立していない皇族については三割とか、未成年の場合は一割とか、いろいろな細部の計算方式を立てているわけでありますが、それらはいずれも、生活もございますが、同時にやはりその程度のものは極端なことを申せば金もうけに走っていただかないためにも必要だろうというような考え方が法律の基礎にあって、したがって生活費的なものも相当な考え方の要素に入っているのだと申し上げるのは、これもまた内廷費の場合と同様にやはり人件費、物件費という分け方が基礎にあるわけでございます。
その場合の人件費というのは、若い女子職員を雇う、平たく言えばお手伝いさんなんでありますが、そういったものは人件費として宮家としては支払っているわけでありますから、そういうものは宮家の場合にはある程度のものは必要だろう、こういう計算が根っこにはあるわけでございまして、それらを合わせても、ただ全部というわけではないという意味において品位保持、内廷費のような日常の生活云々という書き方になっていないと、こういうことになっているのじゃないかと理解しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/84
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085・矢田部理
○矢田部理君 私が申し上げたのは、実態は今伺いましたが、皇族になれば営利的な行為をやることなんかは問題があるにしても、一つには仕事を持つことが可能なわけですね。あるいは不動産収入等のある方もいようかと思うわけですが、そういう皇族と、全く無収入の皇族もあるかと思う。それによって区別をつけてもいいのではないか、画一的にやるのはなぜなのかということが一つ。それから当主は幾らで、妃はその半分とか、子供さんは三割とか一割とかという仕分けをした理由、根拠がいま一つはっきりわからないのですが、この辺のところも含めて説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/85
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086・勝山亮
○政府委員(勝山亮君) ただいまの先生の質問に補足をさせていただきますが、宮家の場合も、先ほど内廷費のことでお答えいたしましたように、人件費と物件費とそれぞれ分かれているというふうな考え方を基本的には持っているわけでございます。宮家については使用人というのがそれぞれ、数が必ずしも同一ではございませんが、先ほど次長から御答弁申し上げましたように、女中さんとか小使さんのような性格の職員というものが大体基本として五名はどうしても必要だというふうな考え方に現在は立っております。したがいまして、高松宮様のところは若干数が多いわけでございますが、それ以外の宮様のところは、三笠宮様のところで七名となっておりますが、二人は非常勤の御研究のお相手ということでございますので、全体的に基本的な考えとしては五名職員がいれば何とか宮家の通常の維持並びにお仕事、御生活は十分にできると、こういうような考え方に立っております。
そうしますと、五名の女中さんとかそういう方の人件費でございますので、おおむね積算の基礎が大体つくわけでございまして、先ほど来申しておりますが、宮家の皇族費の方の人件費と物件費との比率といたしましては、先ほどちょっと御報告が欠けておりますが、五十九年度で人件費の方が若干多くなっておりまして五二%で、物件費の方が四八%程度、こういうことになっております。したがって、内廷費の場合は積算の方は人件費の方が少ないわけでございますが、皇族費の方は世帯が非常に小さいということでございまして人件費の占める比率が大きい、こういうような状態になっておりまして、これがやはり積算の一つのメルクマールになっているというふうに補足をしてお答えをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/86
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087・山本悟
○政府委員(山本悟君) さらに追加してお答えさしていただきますと、御生活にはそれは収入なり財産なり多少ずつの違いが出てまいりますけれども、皇族としての、親王なら親王としての品位を保持していただくという格好で国として差し上げるものについてはその間においては差はないのではないか、それはそれでもって必要な額というものを算定して差し上げる。それに対しまして、王の場合には親王さんに対してどのくらいかということはやはり法律でお決めになる。また、宮や妃殿下なりお子さんのときにはどの程度だということはやはり一律にお決めになるというようなことになっているわけでありまして、そういう意味から申して、品位を保持していただくという意味で国として差し上げるというものについては同一レベルというようなことにもなっているというように思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/87
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088・矢田部理
○矢田部理君 皇籍を離脱する場合に一時金の支給をされますね。これはどんな基準で行うのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/88
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089・山本悟
○政府委員(山本悟君) 皇籍を離脱いたします際の一時金でございますが、年額の十倍以内で皇室経済会議の議を経て決めるということになっているわけでございます。この一時金が支出をされる理由というのは、皇族であった者というのが皇族から身分を離れた際にやはりある程度の資産を得ることによって一定の品位を保った生活ができるようにというのが立法趣旨と承知をいたしているわけでありますが、その際にどの程度かということを最初のときにお決めになったわけでありますが、十倍ということは十年分ということになるわけでありますが、その程度のものは必要なんじゃないかというような判断が働いてこういう金額が決まったというように承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/89
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090・矢田部理
○矢田部理君 例えば三笠宮容子さんが結婚をされたのに伴って皇籍を離脱をされたときに九千百八十万円の一時金を支給していますね。これはどんな基準で決まったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/90
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091・山本悟
○政府委員(山本悟君) 容子内親王殿下が皇籍を離れられました際の基準というのは、この規定の十倍以内というところを身位を勘案いたしまして九倍という金額にいたしております。戦後のこの法律に基づきます例といたしまして十倍が支出をされましたのは、陛下のお子様方である内親王が結婚されました際には十倍が支出されております。それから三笠宮の今、近衛夫人になっております♯子さんが結婚されましたときにも九倍ということで、その例を踏襲いたしまして容子内親王が結婚された際にはお姉さんと同じ九倍ということがこの皇室経済会議で決まったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/91
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092・矢田部理
○矢田部理君 天皇の行為には国事行為と私的行為があるとされておりますが、その中間に公的行為という概念をつくってさまざまな行事などに参加をされているようでありますが、これはどういう法制的根拠でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/92
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093・山本悟
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおりに、天皇の行為には、国家機関として行われます国事行為、これはどういうものかということは憲法で規定をされているわけでありますが、それと私人としての純粋の私的な御行為があることは当然でございます。実際問題といたしましては、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であるというお立場から公的な性格を有する御行為があるわけでありまして、これを普通公的行為と称しているわけでございます。御案内のとおり、天皇陛下が国会の開会式に御臨席になってお言葉をお述べになります行為や、陛下が公的に外国を御訪問される行為、あるいは認証官任命式等の宮中儀式行事へ御臨席になり行われる行為、あるいは植樹祭、国民体育大会等に御臨席される行為などがこの公的行為というように存じているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/93
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094・矢田部理
○矢田部理君 国事行為は憲法で厳格に内容が規定をされていると同時に、内容的にも国政に関する権能は持たない、内閣の助言と承認によるとかというもう一つの枠はめがあるわけでありますが、公的行為に対してはそういう基準なり枠はめはないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/94
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095・山本悟
○政府委員(山本悟君) 国事行為につきましては憲法で具体的に列挙されているわけでございますが、当然のことながら、公的行為におきましても、象徴たる天皇の地位に伴うことでございますから憲法の決めております国政に関する権能がその中に含まれてはならない、こういう大原則というのは公的行為の場合にも当然に当てはまるというように存じております。政治的な意味を持つあるいは政治的な影響を持つというようなものについて、これをそういうことにならないようにという御配慮というのは常に必要なことというように存じているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/95
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096・矢田部理
○矢田部理君 内閣との関係はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/96
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097・山本悟
○政府委員(山本悟君) そういうことでございますので、天皇の御行為というものについては、当然に国事行為については憲法上決まったところでございますが、その他の公的行為というものでありましても内閣が責任を持つという御行為でなければならないというこの原則も当然に当てはまるものだと存じております。全体論として申せば、その御行為というのが象徴天皇たる性格に反するようなものであってはならない、これまた性格論として当然のことというように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/97
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098・矢田部理
○矢田部理君 そうしますと、国事行為と同様、内閣の助言に基づかない行為、内閣の承認が得られない行為は行わない、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/98
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099・山本悟
○政府委員(山本悟君) ただいま申し上げました天皇の御行為について、内閣が責任をとるというものでなきゃならぬという原則は当てはまると思いますので、ただいま御指摘になりましたようなことというのはあり得ないというように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/99
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100・矢田部理
○矢田部理君 皇族については、その種の基準なり行動の目安なりというものはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/100
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101・山本悟
○政府委員(山本悟君) 皇族の行為というものでも、いろいろな性格なり、その幅というものはあろうと存ずるのでありますが、公的なものについてはただいま申したようなものが当てはまることは当然であろうと思います。皇位継承権を持つ者及びその家族というようなのが皇族でございますから、そういう意味から申し上げまして、ただいま申し上げましたような公的な御行動というようなものについて例えば政治性を持たないようにというようなことは当然に当てはまってくる、またそういう考え方のもとに御行動願う必要があるというぐあいに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/101
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102・矢田部理
○矢田部理君 政治性を持たないということは聞きましたが、基準はそれだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/102
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103・山本悟
○政府委員(山本悟君) 一番典型的なのが政治性だろうと思いまして、はっきり申し上げまして。憲法で天皇の行為につきまして明確に規定をいたしているのは政務にかかわらないということでございますので、例を申し上げたわけでございます。そのほか、やはり皇族等皇位継承権を持ち得る立場にある方々及びその近い方という意味においての皇族として、その辺から見て社会的におかしいと思われるようなものじゃ困るということは当然に当てはまってくるであろうと思います。したがって、皇族の公的な行為が非常に特定の宗教に偏るといったようなことであるとか、あるいは非常に営利を目指しているといったようなものがあっては困るとか、そういうものは波及的に出てまいると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/103
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104・矢田部理
○矢田部理君 たしか以前、私はある皇族と太平洋クラブとの関係をここで指摘して問題に供したことがあるんですが、そのときにやっぱりまず非政治的でなきゃならぬ、宗教とのかかわりを持ってはいかぬ、非宗教性、それから営利に余り絡んだ行為はいかぬということで非営利性。非政治性、非宗教性、非営利性など幾つかの項目を列挙して考えてみたらどうかというたしか提案をしたような記憶があるんです。もちろん皇族もプライバシーがありますから、余りあれこれの個人の生活にかかわるようなことを私は言うつもりはありませんが、今申し上げたような三つぐらいの観点、あるいはもう少し幾つか、売名的な行為とか、何かに利用される行為はいかぬとかということもあるかもしれませんが、等々のことで何か基準を立てて行動を律するというとどうか知りませんが、考えているようなことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/104
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105・山本悟
○政府委員(山本悟君) たしか五十二年であった、かと思いますが、そういう御指摘があっていろいろ議論になったことを私も承知いたしております。あの結果につきましては、太平洋クラブの問題は名誉顧問を辞任されたというような実績もあるわけでございますが、確かにただいま御指摘になったような三つの事項は常に考えておかなければならないことで、皇族方も十分その点は御承知になっていることと思っているわけでありますが、これにもとるようなことがあれば私どもといたしましてもいろいろとお話しもしなきゃならぬというぐあいにも存じますが、例えば非宗教性、これも先ほど先生がおっしゃいましたように、公的な御行動としての非宗教性はこれはもちろん守らなきゃならないが、私的なお立場でのことになると、どの辺まではそれがいいし、どの辺になったら公的というようなことになっておかしくなってくるのか。先ほど来の御質問なり御意見がございますような営利の問題につきましても、いろいろな事情と場合が幅があろうかと思います。そのうちで、今社会の常識といいますか、社会通念から見まして相当でないというようなものになってくれば、それはやはりいろいろと御意見も申し上げなきゃならないというようにも存ずるわけでございますが、基本的にはただいま御指摘になりました三つの性格というようなことは皇族自身も十分に考えておられるのではないかというように思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/105
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106・矢田部理
○矢田部理君 天皇の行為については、国事行為はもちろん、先ほど言われた公的行為についても内閣が責任をとる、責任の持てるものでなきゃならぬということを述べられたわけですが、皇族の行為の責任についてはそういう考え方、内閣がというのはちょっとあれですが、それに見合った関係はどこが責任を持つんですか。その辺の関係はどういうふうになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/106
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107・山本悟
○政府委員(山本悟君) 確かに象徴である天皇の行為ということになれば、これは憲法からいきましても当然内閣の助言と承認のもとにすべての国事行為はあるし、その他におきましても内閣の責任ということに相なってくることであろうと存じますが、その周辺、皇族ということになりますと多少の幅はおっしゃいますように出てまいると思います。しかしながら、最終的には皇族を含めての皇室のことにつきましていろいろとお世話申し上げている宮内庁というようなものにおきましてもその御行動については責任を持たなきゃいかぬ、これはそう思います。ただ基本的には、皇族というものは、公的な御活動、公的な御行為については当然それは持つわけでありますが、純粋の私的なものについてどの辺まで持ち得るのか、あるいは持たねばならぬのか、これはいろいろ論議のあり得ることではなかろうかと思います。しかし、やはり社会に出ていらっしゃっての御行動ということになれば、いろんな意味でこれを御補佐するのは宮内庁としての責任であるというぐあいにも存じているわけでありまして、もちろん私的な御行動につきましても無縁ではない、やはり考えることは考え、意見を申すことは意見を申し上げなきゃいかぬ、こういう立場であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/107
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108・矢田部理
○矢田部理君 ここ一年ばかりの各皇族の旅行内容といいますか、どんな行事に参加をされているかを資料として出していただいたわけでありますが、その中に広島県で開かれた全国名流吟剣詩舞道大会に三笠宮が出席をされています。これは公的な行為でしょうか、全く私的な行為でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/108
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109・山本悟
○政府委員(山本悟君) 三笠宮と同妃両殿下御一緒で去年の五月でございますか、広島県に行っていらっしゃいますが、その際は主たる目的は母子愛育会の講習会同窓生の集いというのに御出席になり、その際にただいま御指摘のございました全国名流吟剣詩舞道大会に御臨席になったということでございました。主たる広島にいらっしゃった目的は、この母子愛育会の講習会にお出ましになったことであると思います。
母子愛育会の方を御質問になったわけではございませんが、広島にこの母子愛育会関係でいらっしゃいましたのは、三笠宮妃殿下は母子愛育会の総裁をやっていらっしゃいまして、この母子愛育会というのは恩賜財団でございますので、それでいらっしゃった。その際に、この詩吟大会というのが行われておりまして、母子愛育会の方にこの大会から、聞きましたところでございますのでちょっと受け売りでございますが、によりますと、寄附ももらっているというような関係でぜひこの大会にもちょうど同じときだから出てもらいたいという要望が強くございまして、ちょうど行ったときだからというので御出席になったと思います。
そういうような意味から申し上げますと、広島にいらっしゃったのはあくまで公的行為であろうと思いますが、この大会というものも全くの私のお立場でもって自分が御興味を持ったからいらっしやったというようなものでもどうもなさそうな気もいたします。どちらの性格だと非常に詰めて今すぐ答えろとおっしゃられましても非常に難しゅうございますけれども、純粋の私と割り切ってしまうのもいささかいかがかと思います。何と申しますか、公の部分の非常に薄い公的かもしれないというような程度の感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/109
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110・矢田部理
○矢田部理君 この吟剣詩舞道大会というのはいかなる団体が主催し、責任者はどなただったんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/110
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111・山本悟
○政府委員(山本悟君) 余り詳しくは存じませんが、ただいま手元に得た資料によりますと笹川良一氏が会長をいたしております。その他の点は、ちょっと手元に持っておりませんので、お答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/111
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112・矢田部理
○矢田部理君 私が宮内庁から受け取った資料では、左側の方にそれぞれの旅行の内容でありますが公的な行事、それから右側の欄に私的な行動といいますか、例えば友人を訪問されたとかあるいはスキーやスケートに行かれたとかいう全く個人的なものと、二つ分けて記載がありまして、左側の方のいわば公的行為に入っているわけです。他の用件があったからといって笹川良一氏が主宰する団体、これは性格もいろいろあるわけでありますが、こういうことに軽々に参加をしていいんでしょうか。いろいろ皇族の行動も私どもの耳に入らないわけではありません。ある雑誌などは野放しの皇族たちなどという特集までしているわけであります。先ほど皇族費の議論を少しさしていただきました。生活費とあわせて品位を保持するためのお金も含まれているのだということになりますと、世上いろいろ問題にされている人物の主宰する私的な集まりに出席をしたり人集めや売名に利用されるということは厳に慎むべきではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/112
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113・山本悟
○政府委員(山本悟君) 前半の資料の点について申し上げますと、お手元に差し上げましたのは、私どもの方にお届けのあるのは東京以外のところに一応御旅行になった際のお届けは全部いただくものですから、その点で先ほど申し上げましたように、広島県に五月にいらっしゃいましたのはまさに母子愛育会の関係でいらっしゃった。たまたまそこでそういう要望があってお出になったということでございまして、主たる目的、主たる御旅行というのはその母子愛育会でございましたので、こちらの方に分類をいたしたと思います。
ただ、先ほど申し上げましたように、この詩吟大会にお出ましになったのが御自分の御趣味でということでもないと思いますので、全くの純粋の私と申し上げていいのかどうかは私自身は現在非常に疑問でございますが、ただ、どういう人物がどうということになりますと非常な価値判断が入るわけでありまして、いろいろな見方があろうかと思います。それは先ほど来私も申し上げておりますように、社会的におかしくないようにということが基本だという考え方はもちろんでございまして、そういった意味での細心の注意というのは必要なことというように存じます。ただ、具体にこの問題がどうということはちょっとお答えいたしかねるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/113
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114・矢田部理
○矢田部理君 どちらが主たる目的かなどと聞いているのじゃないんです。どちらが目的であれ、何のついでであれ、その種のものに参加することはいいんですか、そのことも宮内庁が責任を公的行為として持つんですかと聞いているのが一点。
それからいろんな話が入ってくるわけでありますが、竣工式だとかオープニングパーティーなどに出席をされてテープカットなどをやられた、それに、どんな名目か知りませんが、相当額の謝礼というか、車代などという名目かもしれませんが、渡されているというような話も、これは具体的な指摘はあれしますけれども、いろいろ入ってくるわけですね。そういう実態とか問題点はつかんでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/114
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115・山本悟
○政府委員(山本悟君) 具体にどういうことという意味でのつかみ方はいたしておりません。ただ、ただいま先生がおっしゃいましたような意味でのいろいろな話といいますか、風評といいますかということは私どもの耳にも入らないわけではないわけでございまして、やはり非常に気にいたしておりますし、またさようなことがないようにということを願っておりますし、またそういう努力をしなきゃいかぬというぐあいに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/115
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116・矢田部理
○矢田部理君 私的な行為についてあれこれ余り枠をはめるのは私もいかぬかと思うし、自由濶達にやっていただいて結構なところがもちろんあるわけでありますが、公の行為とか全体に響きを持つことについてはやっぱりもうちょっときちっとしないと、だれがどう責任をとるのか、問題になったらどこが見るのかというようなことも不明
確になっています。そういう中で、しかも今度の皇族費の値上げということになりますと、その値上げの中身が特に生活費だけではなくてむしろ相当部分が品位を保持するためのお金だという性格を帯びていることになりますと、その両面から見てももうちょっと宮内庁しかとしていいのではないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/116
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117・山本悟
○政府委員(山本悟君) はっきりと公というような御行為である限りにおいてはもちろん私どもも事前にわかるし、その方向はつかめるわけでありますが、私の方にわたる部分になりますと、やはり内廷皇族と違いましてなかなか深く見分けるというところまで、まあどの程度物申せるかということも非常に問題があるわけであります。その辺のところは非常に難しいことでございますが、御指摘になりましたことは十分体しまして努力をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/117
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118・矢田部理
○矢田部理君 話題を変えます。
内廷費の中に宮中の祭祀の費用も入っておるということですが、この宮中祭祀のあり方、ありようについて神道宗教学会で永田さんという宮内庁の職員が問題提起をしているという話があるんですが、これはどんなことだったんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/118
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119・山本悟
○政府委員(山本悟君) 永田という職員が自分の母校でのそういった会合でいろいろと状況をお話をしたというのが、どういう経路か存じませんけれども週刊誌に出て、一種の議論を巻き起こしたということと存じております。要するに、自分の学校で話をしたことだというように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/119
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120・矢田部理
○矢田部理君 それがきっかけになって、宮内庁長官あてに神社本庁から宮中祭祀が簡略化し過ぎているということなどの指摘を含めて祭祀の厳修を求めるという向きの質問書が出されているというんですが、事実でしょうか。事実だとすればどんな内容でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/120
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121・山本悟
○政府委員(山本悟君) 出されたことは事実でございます。ただし、ただいま手元に持っておりませんので、内容についてただいますぐさまお答えすることは非常に難しゅうございますが、やはり宮中で行われている祭祀のやり方というのは変動してきている、それはどうしてだというようなことが主たる内容であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/121
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122・矢田部理
○矢田部理君 それに対して、質問に答えた書簡というんですか、返事というんですかを出しているようですが、その返事の内容は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/122
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123・山本悟
○政府委員(山本悟君) 現状に即した回答をいたしたと思います。要するに、どういう理由でどういうぐあいに変わってきたというようなこともございましょうし、変わっていないものは変わっていないというようなお答えもいたしておりますし、現状に即したものをそれぞれお答えをしたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/123
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124・矢田部理
○矢田部理君 憲法上の政教分離の原則、これは非常に厳格な原則だと思うんですが、先ほども野田議員から別の面から問題提起をされておりましたが、これはきちっと守っていくつもりですか、あるいは守っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/124
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125・山本悟
○政府委員(山本悟君) 憲法の要請するところはもちろんこれは守らなきゃならないわけでありまして、我々も守る義務を持っておるわけでありますから、そのとおりであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/125
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126・矢田部理
○矢田部理君 にもかかわらず、先ほどから問題に供しております永田さんという宮内庁職員、五十七年の十二月の神道宗教学会で宮中祭祀が簡略していることを取り上げて、そういう「変更はすべて宮中祭祀を天皇家の〃私事〃と解釈することから起こっており、このままでは皇室も国民も混乱するばかり」だというような報告までされているそうですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/126
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127・山本悟
○政府委員(山本悟君) 永田という職員が個人として行いました、あるいは個人としての意見ということは私もつまびらかにいたしませんが、現在、皇室としての祭祀が行われておりますのは皇室としての祭祀として行われている、国家の祭祀として行われているということにはなっていない、現状におきましては。その点ははっきりと申し上げられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/127
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128・矢田部理
○矢田部理君 そのために「皇室も国民も混乱するばかり」だという混乱状態ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/128
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129・山本悟
○政府委員(山本悟君) それは個人の判断であろうと思います。私は、現状におきましては皇室は皇室として祭祀をきちんとなさっている、それで非常に意味があるというぐあいに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/129
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130・矢田部理
○矢田部理君 一方、神社本庁の質問書に対して次のように答えているわけですね。「宮中祭祀」は「本筋は、寸毫も変わることなく執行している」。これはそういう文章になっているわけですが、ところがその後に、「諸儀式は今後も国事、公事として行われることもあると考える」。いわば私事であるべき宮中祭祀を国事、公事として行われることもあると考えるということで一部容認をするというか、例外を設けるというか、肯定的にとらえている文言があるんですが、これはどういうことでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/130
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131・山本悟
○政府委員(山本悟君) ちょっと今文書を持っておりませんので的確であるかどうか御容赦いただきたいと思いますが、そういう文言があったといたしますれば、それは要するに皇太子の御結婚式といったようなことが公的行為として行われるか、あるいは国事行為として行われるか、あるいは天皇の立后といったようなことが国事行為として行われることがあるかないかというところの問題についての文言であろうと思います。それは、そもそもが全体としての天皇の立后あるいは皇太子の御結婚というのは宗教儀式としての祭祀ではないという前提に立った上での話でありまして、その部分が宮中で行われているいわゆるお祭り、祭祀というものの中に当てはまってくるという問題ではなかろうかと思います。その部分を祭祀と直接結びつけられましておっしゃられますと、これこそいささか混乱をするのじゃないか。御結婚式というものは、それは国事行為でも行われましたし、皇族の場合には公的行為としても行われておりますし、そういうものについて回答したところの答えの一部であるというように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/131
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132・矢田部理
○矢田部理君 その宮中祭祀は全くの私事であるという基本があるわけでしょう。皇太子の結婚について、これは閣議決定が行われたわけではありますけれども、その中にたまたま私事であるべき神道儀式が入っていたからといって、これは国事、公事として公認をされたのだというのは少し言い過ぎではありませんか。総務長官、どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/132
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133・山本悟
○政府委員(山本悟君) ちょっと前段でお答えさしていただきます。
御結婚の儀式そのもの全体といたしましてはまさに国事行為でありあるいは公的行為でありまして、何らそれを私事として別な方法でやらなきゃいかぬという代物ではないという意味において、その部分の質問でございますから、それは将来においても国事行為の場合もあるし公的行為の場合もあるということを相手方に答えたわけであります。だから、全体の皇室で行われております祭祀自体が国の行為になるというようなこと、あの回答としてもそんなことは毛頭出てくるわけじゃございませんので、その点は御了解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/133
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134・中西一郎
○国務大臣(中西一郎君) 大変難しい論議で素直に頭に入り切らないんですけれども、今憲法を見ているんですけれども、国事行為の中に確かに「儀式を行ふこと。」というのは第十号に入っています。山本次長の話は、立后あるいは皇太子妃御成婚といったようなときの儀式は公的な行為、国事、その公的な行為ないし国事、要するに非常にどちらか判断のしにくいところだということを答えておるのだと思います。そして、そのことが、矢田部先生が御指摘になっておる神道関係の人からの抗議に対する答えの中にどう位置づけられるか、その辺が私よくわからないんですけれども、必要があればもう一度宮内庁の話を聞いていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/134
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135・矢田部理
○矢田部理君 野田議員からも指摘されておりますように、政教の分離という憲法のやっぱり基本を最近いろいろな意味で緩めようという流れがあるから私は特に指摘をしておるわけです。全国的に見れば、靖国の問題もあれば、行政機関が宗教的行事を使って行うさまざまな問題について訴訟なども幾つか起きているわけですね。そういう中で、宮内庁の職員のあの学会における問題提起を契機にして、本来宮中祭祀は天皇のあるいは天皇家の純粋な私事であるのにその復権を要求する動きが出始めているわけですね。そういう点で、皇室神道というんですか、国家神道というのか知らぬけれども、多少違いがあるようですが、こういうものの復活を目指す動きというものは厳しく規制をしなきゃならない、分離の原則に照らして扱わなきゃならない、こういうふうに思うわけです。今後、宮中行事等にそういう紛らわしい部分が復活するような動きに対しては厳しく対処してほしい。特に、総務長官としては閣議の中でその役割を担ってほしいということをお願いしておきたいと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/135
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136・中西一郎
○国務大臣(中西一郎君) 要するに、宗教と天皇の国事行為との関係についての間違った方向へ行くことのないように、宮中行事は宮中行事で他から容喙されないできちっとやってほしいという御趣旨と理解します。そのように宮内庁も考えていただくことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110114889X00519840412/136
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137・高平公友
○委員長(高平公友君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時二十五分散会
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