1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十九年三月三十一日(土曜日)
午後六時二分開議
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○議事日程 第十号
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昭和五十九年三月三十一日
午後三時 本会議
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第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館
に勤務する外務公務員の給与に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一
一、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
一、地方税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
一、消防施設強化促進法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
一、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸
島振興特別措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
一、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、
承認を求めるの件(衆議院送付)
一、法人税法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
一、租税特別措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
一、所得税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
一、関税定率法等の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/0
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001・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
日程第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長後藤正夫君。
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〔後藤正夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/1
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002・後藤正夫
○後藤正夫君 ただいま議題となりました在外公館関係の法律案につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
この法律案は、東南アジアのブルネイ及びカリブ海にあるセント・クリストファー・ネイヴィースにそれぞれ大使館を設置すること、軍縮委員会日本政府代表部の名称を軍縮会議日本政府代表部に変更すること等を内容とするものであります。
委員会におきましては、我が国とブルネイとの関係、外交実施体制の強化、在外勤務の環境整備等の問題のほか、日中首脳会談、日米農産物交渉等の当面する外交上の諸問題について熱心な質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。
本日質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/2
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003・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/3
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004・木村睦男
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/4
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005・木村睦男
○議長(木村睦男君) この際、日程に追加して、
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/5
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006・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長大川清幸君。
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〔大川清幸君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/6
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007・大川清幸
○大川清幸君 ただいま議題となりました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、判事の員数を九人増加しようとするものであります。
委員会におきましては、裁判所における事件数の増加と職員の充足状況、司法研修所における指導のあり方とその内容、簡易裁判所の適正配置等について熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/7
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008・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/8
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009・木村睦男
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/9
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010・木村睦男
○議長(木村睦男君) この際、日程に追加して、
地方税法等の一部を改正する法律案
消防施設強化促進法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/10
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011・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長大河原太一郎君。
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〔大河原太一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/11
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012・大河原太一郎
○大河原太一郎君 御報告いたします。
まず、地方税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は、個人の住民税について基礎控除等の所得控除額を引き上げる等所要の措置を講ずること、法人住民税の均等割税率の引き上げ、自動車税及び軽自動車税の税率を調整すること、納税環境の整備を図ること、地方道路譲与税等の譲与時期等の見直しを行うことなどを主な内容とするものであります。
委員会におきましては、低所得者に対する負担の軽減、不公平税制の是正、法人事業税のあり方、市町村税源の充実等の諸問題について熱心な質疑が行われました。
質疑を終局し、次いで、日本共産党提出の修正案について提案趣旨の説明が行われました。
討論に入りましたところ、日本社会党を代表して志苫委員、公明党・国民会議を代表して原田委員、民社党・国民連合を代表して三治委員よりそれぞれ修正案及び原案に反対、自由民主党・自由国民会議を代表して真鍋委員より修正案に反対、原案に賛成、日本共産党を代表して神谷委員より修正案に賛成、原案に反対の意見が述べられました。
討論を終局し、採決を行いましたところ、修正案は賛成少数により否決され、本法律案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案には、地方財源の充実等に関する附帯決議が付せられました。
次に、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は、人口急増市町村の消防施設に係る国庫補助率の特例措置について、所要の調整措置を講じつつ、昭和六十三年度まで延長することを主な内容とするものであります。
委員会におきましては、消防の当面する諸問題について質疑を行いました。
質疑を終局し、日本共産党提出の修正案について趣旨説明があり、討論の後、採決を行いましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対しましては、消防力の強化等に関する附帯決議が付せられました。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/12
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013・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
まず、地方税法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/13
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014・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
次に、消防施設強化促進法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/14
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015・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/15
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016・木村睦男
○議長(木村睦男君) この際、日程に追加して、
奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部善改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/16
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017・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。建設委員長青木薪次君。
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〔青木薪次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/17
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018・青木薪次
○青木薪次君 ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、奄美群島及び小笠原諸島の特殊事情にかんがみ、これらの地域の振興開発または振興を図るため、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の有効期限を五カ年間延長して、新たに奄美群島振興開発計画の策定及び小笠原諸島振興計画の改定を行い、これらに基づく事業を推進しようとするものであります。
委員会におきましては、奄美群島並びに小笠原諸島における計画に基づく事業の成果と今後の方向、産業、教育文化の振興、交通・生活基盤の整備及び硫黄島問題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、村田理事より、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各会派共同提案の四項目にわたる附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/18
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019・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/19
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020・木村睦男
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/20
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021・木村睦男
○議長(木村睦男君) この際、日程に追加して、
放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/21
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022・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長大木正吾君。
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〔大木正吾君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/22
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023・大木正吾
○大木正吾君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本件は、日本放送協会の昭和五十九年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めようとするものであります。
その概要を申し上げますと、まず、収支予算につきましては、最近の経営状況にかんがみ、財政基盤を強化するため、五十九年度以降三カ年の経営見通しに基づき、受信料の月額を平均一五・五%引き上げるとともに、受信料体系を訪問集金及び口座振替の二本立て料金制に改め、訪問集金の料金は普通契約につきまして六百八十円、カラー契約について一千四十円とし、口座振替の料金は訪問集金よりも五十円割り引くことといたしております。また沖縄県につきましては、本土に対しそれぞれ百四十円軽減する特例措置をとっております。
これに伴い事業収支は百八十七億一千万円の黒字となっておりますが、このうち八十億九千万円を債務償還等のため資本収支に繰り入れ、残余の百六億二千万円を翌年度以降の財政安定化財源として繰り延べ、おおむね今後三カ年間における収支の均衡を図ることにいたしております。
また、事業計画におきましては、その重点を難視聴解消のための衛星放送の開始、広報・営業活動の強化、国際放送の受信改善、業務運営の効率化等に置いております。
なお、本件には「おおむね適当と認める」旨の郵政大臣の意見が付されております。
委員会におきましては、ニューメディア対応の事業運営、衛星放送とローカル放送対策、国際放送の充実強化、経営委員会のあり方、経営効率化と職員の処遇対策等の諸問題について質疑が行われました。
質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
なお、本件に対し、片山甚市理事より、放送の不偏不党の堅持、国際放送の充実強化、ニューメディアの基盤整備等四項目から成る附帯決議案が提出され、全会一致をもってこれを本委員会の決議とすることに決しました。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/23
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024・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/24
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025・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本件は承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/25
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026・木村睦男
○議長(木村睦男君) この際、日程に追加して、
法人説法の一部峯改正する法律案
租税特別措置法の一部を改正する法律案
所得税法等の一部を改正する法律案
関税定率法等の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/26
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027・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長伊江朝雄君。
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〔伊江朝雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/27
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028・伊江朝雄
○伊江朝雄君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、法人税法一部改正案は、法人税の延納制度を廃止するほか、課税の公平を一層推進する等のため、所要の改正を行おうとするものであります。
租税特別措置法一部改正案は、現下の厳しい財政事情に顧み、二年間の臨時措置として法人税の税率の引き上げ及び欠損金の繰り戻しによる還付制度の適用停止を行うとともに、エネルギー利用
の効率化、中小企業の設備投資等を促進するための措置を講ずるほか、租税特別措置の整理合理化を進める等、所要の税制上の措置を講じようとするものであります。
所得税法等一部改正案は、最近における所得税負担の状況等にかんがみ、その負担の軽減を図るため、人的控除の引き上げ、給与所得控除の拡充及び税率の見直し等により、初年度約八千七百億円に上る所得税減税を実施するとともに、課税の公平を一層推進するための措置を講じようとするものであります。
関税定率法等一部改正案は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から、関税率、特恵関税制度等について所要の改正を行おうとするものであります。
委員会におきましては、これら四法律案に対する質疑を行うとともに、昭和五十九年度税制改正に関して参考人より意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録に譲ります。
四法律案に対する質疑を終了いたしましたところ、日本共産党を代表して近藤忠孝委員より、法人税法及び所得税法等両改正案に対し、納税環境整備等に係る規定を削除することを内容とする両修正案がそれぞれ提出されました。
これら両修正案に対する質疑はなく、四原案及び両修正案を一括して討論に入りましたところ、日本社会党を代表して竹田四郎理事より、両修正案及び法人税法、租税特別措置法、所得税法等改正の三原案に反対、関税定率法等改正案に賛成、自由民主党・自由国民会議を代表して藤井孝男理事より、両修正案に反対、四原案に賛成、公明党・国民会議を代表して塩出啓典理事より、両修正案、関税定率法等改正案を除く三原案に反対、日本共産党を代表して近藤忠孝委員より、四原案に反対、両修正案に賛成、民社党・国民連合を代表して栗林卓司委員より両修正案及び法人税法、租税特別措置法、所得税法等改正の三原案に反対、関税定率法等改正案に賛成する旨の意見がそれぞれ述べられました。
討論を終わり、両修正案及び四原案について順次採決の結果、近藤委員提出の両修正案はいずれも賛成少数をもって否決され、四法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、法人税法、租税特別措置法及び所得税法等の三改正案並びに関税定率法等改正案に対して、それぞれ附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/28
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029・木村睦男
○議長(木村睦男君) 法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対し討論の通告がございます。発言を許します。竹田四郎君。
〔竹田四郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/29
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030・竹田四郎
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました直接税関係三法案について反対討論をいたします。
まず、冒頭に指摘しなければならないのは、国会の法案審議権についてであります。
今次税制改正には、所得税減税、納税環境の整備、あるいは酒税、物品税等の増税といった国民生活に対し重大なる影響を及ぼす法案が盛り込まれており、国会における慎重な審議が強く望まれておりました。ところが、政府は、これらの法案といわゆる日切れ法案とを一括して提出し、増税関係の間接税三法の優先審議に固執したため、委員会審議が不当に拘束され、かつまた、その審議時間もまことに不十分なものとなってしまったのであります。しかし、本院では、幸いにも衆議院送付順に対して独自の対応を行い、この三法案についてはある程度審議を尽くすことができました。関係各位の御努力に敬意を表します。しかしながら、私は政府に対して強い憤りを感じるとともに、議会制民主主義の観点から、今後このような財政当局による国会固有の法案審議権への不当な介入がないように強く政府に要望するものであります。
さて、国民は、昭和五十二年以来放置されてきた所得税制によって過重な所得税負担を強いられてきたところであります。そして、国会の場においてたび重なる論議の結果、与野党合意によって景気浮揚に役立つ相当規模の所得減税を行うことになったわけであります。ところが、政府は、その公党間の合意を踏みにじり、昭和五十八年中において約千五百億、五十九年度において約八千七百億円程度の、まさにスズメの涙程度の減税にとどめております。政府は、現下の景気回復機運を口実として、与野党間の合意の相当規模の減税の必要性を弱めようとするとともに、財政事情の逼迫状況を伝家の宝刀として圧倒的多数の国民の要
求を封殺したものと言えましょう。
さらに、所得税減税の内容を詳細に検討してみますと矛盾に満ちたものとなっております。
まず、税率構造の見直しについてであります。最低税率については〇・五%という不自然な引き上げを行うとともに、民間の活力を理由に最高税率を五%も引き下げておるのであります。しかし、果たしてこれまで最高税率が高いために我が国の経済活力がそがれてきたのでありましょうか。かつて政府税調は、最高税率の引き下げは利子所得等の総合課税化との関連で検討するように答申したはずであります。今回の税制改正は、この問題を先送りし、税率構造全体から見て高額所得者に厚い減税になっているのであります。
政府は、課税所得五百万円から八百万円の適用税率が緩和されていると言っておりますが、これを税額で比較した場合、課税所得一千万円層及び五千万円を超える層が最も税率手直しの恩恵を受けているのであります。さらに、高額所得者の公示制度も年納税額一千万円を超える者を対象にするなど、公示制度を大きく後退させるものであり、容認することができません。
また、給与所得控除の拡充におきましても、給与収入三百三十万円までの範囲までに限られて行われており、既存の体系上からいえば六百万円までの範囲に対する拡大手直しが必要であったのであります。これを行うことにより、減税規模は充実する上、給与所得者で、しかも中堅所得者を中心とした減税という、まさに国民の要望に合致した所得税減税が行われ得たはずでおります。その上、人約三控除については、その各控除の持つ制度的意味を十分検討することなく一律に引き上げております。これら給与所得控除、人的控除等によって算出されるいわゆる課税最低限という概念は、今回の改正ではその性格づけを何ら考慮することなく、その計測方法も根拠のないものとしております。税制を論議する場合の国民的な共通概念がほかされることによって、税と国民とを隔離するものと言えましょう。
本来であれば中長期的観点に立って、あるべき所得税体系を明確に設定し、それに沿った制度改正を行うのが順序であり、それに給与所得者あるいは中堅所得者層へり配慮を加えることによっておのずと減税規模は出てくるはずであります。ところが、政府は、これとは全く逆に、減税規模を設定し、そして高額所得者に対し厚い減税を行おうとしたために〇・五%といった端数が出て、給与所得控除の拡充は中途半端な形でとどめられ、人的控除は根拠のない一律引き上げといったように、今次改正は現下の財源確保策と同様、つじつま合わせの税制改正となっており、それの国民へのツケは近い将来必ず到来することは火を見るよりも明らかなのであります。
このように、今次減税は納得できないものですが、この法案を前面に出して、国民にとって厳しい負担増を伴う納税環境の整備が進められようとしております。負担の公平という見地からは、所得捕捉の向上による所得種類間の負担の公平を推進することは望ましいものであります。しかしながら、このたびの白色申告者への記帳及び記録保存制度等の導入は幾つかの点で問題があります。
まず、小規模かつ零細な者が多い白色申告者に負担増が非常に大きいこと、そして、このため実効性自体が乏しい法改正が国民の法への信頼を揺るがすことになること、さらに、この制度の導入によって数々の特典が認められている青色申告提出者と白色申告提出者との均衡が崩れる点が問題と言えましょう。
加えて、今回の所得税法等の改正案は減税中心であるべきなのに、納税環境整備が含まれ、その上、本来の国税一般に共通する国税通則法の改正が忍び込まされているのであります。その中でも、証拠申し出の順序に関する改正は、民事訴訟法の大原則である当事者対等主義に重大な修正を加えるとともに、自由心証主義のもとで訴訟指揮権を委ねられている裁判官の手足を拘束するものであり、税務訴訟を一元的な司法裁判制度のもとで、課税庁側の意向を強く反映した行政裁判的課税処分訴訟へと転換させる懸念すら抱かせるものであります。これは訴訟においても一方的に課税庁側の攻撃を納税者に受忍させるものであり、訴訟遅延を口実とした徴税権の強化としか受けとめることのできないものであります。
以上の点のほか、租税特別措置についてはその整理合理化が強く求められてきたにもかかわらず、大企業中心の政策税制は温存されるとともに、慎重な検討を求められていた政策減税は実施されております。また、法人税率の引き上げについても、重要な時期にある中小法人に対しても適用するとともに、延納制度の恩恵も中小法人は受けられないことになっております。
今次税制改正は所得税減税を行うため、その財
源措置として間接税増税を伴わざるを得なかったといった表現は、的外れであることが判然としております。ほんの微々たる減税のほかは、納税環境整備の改悪が行われ、逆進性の高い酒税法改正案、大型間接税導入をねらう物品税法改正案など、本年度の税制改正は全く国民を無視し、さらに過大な負担増を求めるものであります。
なお、地方税法改正について一言付言いたします。
本改正が自治体財源の充実に寄与せず、地方税もまた、取りやすいところから取り立て、声の大きいものを優遇する思想のもと、住民税率の変更、法人非課税措置等の温存を図っており、到底納得のいくものではなく、反対いたします。
以上を強く主張して、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/30
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031・木村睦男
○議長(木村睦男君) これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/31
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032・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
まず、法人税法の一部を改正する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/32
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033・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、両案は可決されました。
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/33
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034・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
次に、関税定率法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/34
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035・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時三十六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110115254X01019840331/35
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