1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年五月九日(木曜日)
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議事日程第二十二号
昭和六十年五月九日
午後二時開議
第一 農業災害補償法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
第二 千九百七十九年の海上における捜索及び
救助に関する国際条約の締結について承
認を求めるの件
第三 大西洋のまぐろ類の保存のための国際条
約の締約国の全権委員会議(千九百八十
四年七月九日から十日までパリ)の最終
文書に附属する議定書の締結について承
認を求めるの件
第四 北太平洋のおっとせいの保存に関する暫
定条約を改正する千九百八十四年の議定
書の締結について承認を求めるの件
第五 中小企業技術開発促進臨時措置法案(内
閣提出)
第六 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支
給に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出)
第七 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
中曽根内閣総理大臣の帰国報告についての発言
及び質疑
日程第一 農業災害補償法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
日程第二 千九百七十九年の海上における捜索及
び救助に関する国際条約の締結について承認
を求めるの件
日程第三 大西洋のまぐろ類の保存のための国際
条約の締約国の全権委員会議(千九百八十四
年七月九日から十日までパリ)の最終文書に
附属する議定書の締結について承認を求める
の件
日程第四 北太平洋のおっとせいの保存に関する
暫定条約を改正する千九百八十四年の議定書
の締結について承認を求めるの件
日程第五 中小企業技術開発促進臨時措置法案(
内閣提出)
日程第六 国民年金法及び特別児童扶養手当等の
支給に関する法律の一部を改正する法律案(
内閣提出)
日程第七 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部
を改正する法律案(内閣提出)
午後二時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/0
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001・坂田道太
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
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内閣総理大臣の発言(帰国報告について)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/1
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002・坂田道太
○議長(坂田道太君) 内閣総理大臣から、帰国報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣中曽根康弘君。
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/2
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003・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 私は、今般、国会のお許しを得て、五月二日から四日までボンにおいて開催された第十一回主要国首脳会議に、安倍外務大臣、竹下大蔵大臣、村田通産大臣とともに出席し、その際あわせてドイツ連邦共和国コール首相の招待にこたえて同国を訪問し、五月七日に帰国いたしました。ここに、その概要を御報告申し上げます。
今次ボン・サミットは、世界経済が回復の道をたどりながらも、財政、雇用及び対外収支等の分野で先進各国がそれぞれの問題を抱えるとともに、それを背景として保護主義の圧力が高まりつつあり、また、一部開発途上国は依然深刻な累積債務問題等を抱え、特にアフリカ諸国では飢餓の苦しみから脱し得ないでいるという厳しい情勢のもとで開催されました。
また、国際政治の面においても、第二次世界大戦終戦四十周年という節目を迎え、参加国が第二次大戦の勝敗を超えて、過去四十年間に築き上げてきた協力と連帯関係を、世界の永続的平和の達成のためにいかに強化し拡充していくか、とりわけ、ソ連における新政権の誕生等の新たな局面を迎え、米ソ軍備管理、軍縮交渉の推進等に西側諸国がいかに対応していくのかといった点が注目されていたところであります。
私は、今次サミットに臨むに当たり、各党党首の方々の御見解を承りました。こうした御見解を踏まえつつ、サミットの場において私は、経済及び政治の分野において我が国の考え方を説明し、その立場を的確に主張してまいりました。私は、こうした対応によって、我が国の考え方、政策等について各国首脳の十分な理解と協調を得ることができたと確信いたします。今次サミットの具体的成果は、ボン経済宣言及び第二次大戦終戦四十周年に際しての政治宣言という形で明らかとなっております。かかる成果を通じ、西側主要国の協力関係は、世界情勢の変化に適合するようにさらに一歩前進し、持続的成長に向けての改善が再確認されました。
まず、ボン経済宣言についての所見を申し述べます。
第一に、経済政策全般の分野について申し上げます。この分野では、先進諸国を中心として景気の拡大基調が継続する中で、米国等の財政赤字とドル高及び高金利、欧州等における高失業と構造的硬直性、日本における対外収支不均衡及び市場開放の不徹底といった世界経済の成長の制約要因となる諸問題に、サミット参加国がいかに取り組んでいくかが討議の中心となりました。この関連で私は、サミット参加国がかかる問題に対応するに当たって、相互に相手を非難するのではなく、サミット国間の協調による努力の結集が最も重要であるとの姿勢で臨みました。かかる姿勢のもとに、我が国としては、行財政改革の努力、市場開放や輸入拡大の奨励、規制緩和による内需拡大勢力等を積極的に推進していくとの考え方を説明いたしました。このように我が国が進んで積極的取り組みの姿勢を示したことは、他のサミット参加国がそれぞれの問題につき同様の姿勢をとることを促す結果となったと考えられますが、同時に、今後の我が国の対外経済問題への取り組みに対する各首脳の期待には極めて大なるものがあり、責任の重さを痛感した次第であります。政府としては、今後かかる期待にこたえるためにも、本分野において全力を挙げて努力する所存であり、国民各位の御協力もあわせお願いする次第であります。
我が国以外の各国もそれぞれ解決すべき課題に対する政策目標を明らかにしました。すべての国がそれを実行することにより、国内問題の解決のみならず世界経済の持続的発展とともに対外均衡の回復に貢献することが要請されております。
第二は、貿易の分野であります。この分野では、近年ますます高まりつつある保護主義の圧力をいかに封じ込め、世界の自由貿易体制を守り抜いていくかという点が議論の焦点となり、新ラウンドの早期開始について首脳間で極めて熾烈な意見交換が行われました。その結果、新ラウンドをできる限り早期に開始すべきであるとのOECD閣僚理事会での合意が強く支持された上、サミット参加国のほとんどが、新ラウンドを明年中に開始すべきとの点について合意し、本件交渉の開始に向けて一歩を踏み出したと考える次第であります。また、国際通貨制度の改善についても討議が行われ、今後の作業日程について意見の交換が行われました。
第三に、開発途上国との関係については、開発途上国の経済発展、さらにはその社会的、政治的安定を促進するためにいかなる措置が肝要であるかとの問題につき活発な討議が行われました。その関連で、開発途上国の経済的、財政的困難を克服し、健全な発展を促進するため、先進諸国としては、途上国への資金の流れ、なかんずくODAの拡充が重要であるとの点で意見の一致を見ました。さらに、直接投資の促進、国際通貨基金及び世界銀行の役割の強化、対アフリカ支援等の問題についても意見の交換がなされました。我が国よりは、これに関し、開発途上国の発展のために一層の協力強化が必要との基本認識に立って、特にODAに関しては、一九八六年以降も新たな計画を策定して拡充に努力する旨説明し、各国より高い評価を受けました。これに加えて私としては、技術移転、特恵改善等の重要性をも強調した次第であります。なお、本分野での私の発言は、アジア・太平洋諸国の要請にもでき得る限り留意して行った次第であります。(拍手)
経済問題では以上の諸点が今次サミットで討議の中心となったと考えておりますが、このほか、環境問題、科学技術、生命科学と人間の問題等についても意見交換が行われたことを付言いたします。
次に、政治問題についての成果を御報告申し上げます。
冒頭でも触れましたとおり、今次サミットは第二次世界大戦終戦四十周年という節目の年に開催されたため、第二次大戦終戦四十周年に際しての政治宣言を採択し、サミット七カ国が過去における不幸な対立を完全に超克して、自由と民主主義という共通の価値によって強く結ばれ、世界平和の維持と、技術と産業の変化が我々の社会にもたらす新しい機会と挑戦に一層有効に対処するため、相互の連携をさらに強化することの必要性を改めて再確認いたしました。
また、特に今次サミットは、ジュネーブ軍備管理、軍縮交渉の開始という東西関係緊張緩和への微光が差し始めた極めて重要な時期に開催されましたので、私は、ウィリアムズバーグ・サミット、ロンドン・サミットの延長線上に立って、西側諸国の連帯の重要性を強調するとともに、とりわけ米ソ首脳会談の早期実現を初め、東西対話促進の重要性を強く訴えかけた次第であります。我が国のこのような主張は、本政治宣言の中に盛り込まれることになりました。また、アジアからの唯一の参加国としてアジア情勢につき説明し、政治宣言の発出に際しては、欧州の分断への言及に加え、朝鮮半島の分割の平和的解決を可能とするような環境醸成にも言及すべきことを主張した結果、この点も宣言に盛り込まれることになりました。(拍手)
現下の国際情勢は、既に申し述べましたように、東西関係の面で行き詰まりを打開しようとする新たな動きがある一方、カンボジアやアフガニスタンにおける情勢には変化はなく、また、アジア、中東、中米、アフリカ等至るところで依然として紛争が続いております。かかる状況のもとで、紛争の平和的処理、軍備管理、軍縮の促進に向かって決然と取り組むことを初めとして、世界の平和と安定を維持発展させるためには、サミット諸国の協力、団結が不可欠であり、今次サミットでは、このような点につき参加首脳の間にあまねく意見の一致が見られたことは大きな成果であったと言えます。
SDIにつきましては、サミットの場では主として米国の考え方の説明を聴取いたしました。なお、私はレーガン大統領との会談において、SDI研究を非核、防御、核兵器廃絶のための研究であるとの説明に対しこれを理解するとの我が国の従来の立場を再確認するとともに、ソ連に対し一方的優位を追求するものではない等の五つの原則をともに確認いたしました。
以上御報告申し上げました第十一回主要国首脳会議出席に先立ち、私は、コール・ドイツ連邦共和国首相の招待により、四月三十日から五月一日まで同国を訪問いたしました。また、各会議に出席した後、五月五日より六日まで、ベルリン日独センター設立記念レセプション出席のためベルリンを訪問し、また日独間経済交流の中心地であるジュッセルドルフを訪問いたしました。その間に私は二度にわたりコール首相と会談したほか、同首相と半日ライン下りをともにし、個人的な信頼関係を深めるとともに、伝統的に友好関係にある両国の関係の一層の強化に努めました。
私とコール首相は、会談後、世界の平和と繁栄のための日独ステートメントを発表いたしました。この中で日独両国は、ベルリン日独センターの設立を東西文化の交流融合、日独協力関係の拡大発展のための礎として高く評価するとともに、専門家、学生、若い学者、実習生、芸術家等の交流の強化に関する作業部会の設立につき意見の一致を見たほか、科学技術、開発援助等の分野での協力強化につき合意いたしました。日独両国の国際的地位が高まっている今日、両国首脳がこのように世界の平和と繁栄のための方途につき大局的見地から話し合い、認識の一致を得たことは、大変意義深いものであり、今次ドイツ連邦共和国訪問は大きな成果をおさめることができたと考えております。(拍手)
私は、各政党を初め全国民の皆様方の温かい御鞭撻と御支援に接しましたことに対し、心から感謝いたします。また、各位の御支援に対し必ずしも十分御期待に沿い得ぬ点もあったかと存じますが、御理解をいただきたく、さらに今後とも御協力、御鞭撻を賜りますようお願いして、私の報告を終わります。(拍手)
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内閣総理大臣の発言(帰国報告について)に対
する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/3
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004・坂田道太
○議長(坂田道太君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。森喜朗君。
〔森喜朗君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/4
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005・森喜朗
○森喜朗君 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表し、中曽根総理のボン・サミットからの帰国報告に対して質問を行います。
中曽根総理並びに安倍外務大臣、竹下大蔵大臣、村田通産大臣を初めとする随員の方々の大変な御努力によって、今回のサミットが輝かしい成果を上げられたことを高く評価するものであります。(拍手)とりわけ今回のサミットは、政治的にも経済的にもかつてない厳しく、かつ険しい国際環境の中で開かれたサミットでありましただけに、ともすれば表面化しがちな参加各国間の利害の対立や意見の相違を克服して、サミット全体を成功に導かれた御労苦は察するに余りあります。この間にあって、総理及び出席各閣僚が各種個別協議、全体会議等を通じて終始積極的な発言、提言等を行って、あるいは会議をリードし、あるいは今次サミットの基調づくりに大きく貢献したばかりでなく、採択された各種宣言の中に我が国の意見が大きく取り入れられたことは、まさに特筆すべきことだったと思います。(拍手)
以上のような観点に立って、以下私は幾つかの問題について質問を行い、総理の率直な御所見をお伺いいたしたいと存じます。
そのまず第一は、第二次大戦終戦四十周年に際しての政治宣言についてであります。
この宣言は、終戦四十周年に当たり、サミット参加各国が過去の対立を乗り越え、自由と民主主義という共通の価値のもとに、これらの諸価値を擁護しつつ世界の平和と繁栄の確保に努力するという決意を新たにするとともに、西側の団結を再確認し、東西間の対話を探求する積極姿勢を打ち出したものであります。特に、「東西を分断している深刻な相違に対処するために高いレベルにおける対話を探求する用意がある。」という表現で、米ソ首脳会談を呼びかけると同時に、ジュネーブでの米ソ包括軍縮交渉の開始を歓迎したこと、またその際、米国の積極的な提案を評価するとの立場を明確に打ち出すとともに、ソ連側に対しましても、同交渉において有意義な合意が達せられるように積極的かつ建設的に行動するよう求めたこと等は、ジュネーブ会談を成功させ平和と軍縮の時代をもたらそうというサミット参加各国首脳の熱い希望と期待のあらわれであったと思います。
また、この政治宣言の取りまとめに当たっては、アジアからの唯一の参加国代表として総理は詳しくアジア情勢について説明し、ドイツに象徴される欧州の分断への言及に加えて、朝鮮半島の分割の平和的克服にも言及すべきことを強く主張した結果、この点も宣言に盛り込まれることになったと聞いております。この間の経緯の報告とあわせて、今回の政治宣言の意義について総理の御所信をお聞かせ願いたいと存じます。
質問の第二は、戦略防衛構想いわゆるSDI問題についてであります。
当初米国は、この戦略防衛構想についてサミット参加各国の研究参加を要望していたと承っておりましたが、結局政治宣言には盛り込まれず、コール西ドイツ首相による議長総括の中で、レーガン米大統領がその研究開発について説明を行った旨報告されるにとどまったようであります。この問題について総理は、サミットに先立って行われましたレーガン米大統領との日米首脳会談で、SDIに臨む我が国の基本的立場として、研究は理解することを改めて表明するとともに、ソ連への一方的優位を求めないこと、総合的抑止力の一環とすること、攻撃核の大幅削減が先であること、弾道弾迎撃ミサイル制限条約の枠の中で行うこと、配備についてはソ連とも協議して行うことなどの五原則を示して話し合われたとのことであります。この問題は、平和を希求する日本の国民の立場から極めて関心の深いものであるだけに、この際、日米首脳会談での会談内容、サミットでの論議の報告とあわせて総理の御見解を明らかにしていただきたいと存じます。
質問の第三は、今次サミットの柱でありますボン経済宣言についてであります。
昨年のロンドン・サミット以降、世界経済は着実に回復し、全体として景気回復の輪は広がりを見せつつあるものの、米国を初めとする各国の財政赤字とドル高、欧州の成長を阻む構造調整のおくれと高水準の失業、経常収支の不均衡等が景気回復の持続に不確実性をもたらしているばかりでなく、世界各国で保護主義がかつてない高まりを見せる等、一国のみによる政策的対応では解決し得ない困難な問題が山積いたしております。したがって、今次サミットに課せられた最大の課題は、これらの諸問題を克服して、インフレなき持続的成長の軌道を確実なものとすること、さらにその恩恵を開発途上国にも均てんしていくための方策を探っていくことにあったと考えられます。
こうした課題に対処するため、今次サミットは、三日間にわたる真剣な討議の結果、「持続的成長及び雇用の拡大を目指して」と題するポン経済宣言を採択したのであります。その最大の特色は、厳しい国際経済環境に直面した主要国が、互いに非難し合うのではなくて一致協力してこれら諸困難に積極的に取り組んでいくことが重要であることを確認したこと、特にサミット参加国が、景気回復の維持強化と他の諸国なかんずく開発途上国に恩恵の均てんを図っていく上で各国が払うべき政策努力目標を進んで宣言中に明記したこと等であります。私は、このようなサミット参加各国の積極姿勢は、問題解決へのひたむきな態度を示すものであり、世界経済の将来に明るさと希望を与えるものと信ずるものでありますが、今次経済宣言の意義及び成果について総理がどのような御所見をお持ちか、お伺いをいたしたいと存じます。
質問の第四は、ニューラウンド、新たな多角的貿易交渉の促進についてであります。
ニューラウンドの促進は、戦後の世界経済の発展を支えてきた自由貿易体制を強化するためのかぎを握るものであります。特に最近の米国を初めとする世界的な保護貿易主義的傾向の高まりを考えるならば、ニューラウンドの早期開始こそはまさに現下の緊急課題であり、自由貿易体制の恩恵を最大に受けてきた我が国としては、積極的にイニシアチブをとって推進していかねばなりません。その意味で、今回の経済宣言が、保護主義を防圧するとの決意を表明するとともに、ニューラウンドについては、できる限り早期に開始されるべきであるとのOECD閣僚理事会で達成された合意を強く支持するとともに、我々のほとんどは一九八六年中に交渉を開始すべきであると考える旨を明記し、本年夏の終わりまでに高級事務レベルによる準備会合を開催することで合意したことは、大きな前進であると評価するものであります。
ただ、この際留意しなければならないのは、ニューラウンドはサミット参加国のみで開始できるものではなく、今後、開発途上国を初めとして、できる限り多くの国の参加を促進することが肝要であるということであります。一昨年の日米首脳会談でニューラウンドを提唱されて以来、その早期開始に向けて積極的な努力を払われてきた総理として、今次サミットでの合意をどのように評価し、今後早期交渉開始に向かってどのように取り組まれていくのか、また、特に開発途上国の参加を促すためにどのような努力を行っていかれるのか等について、率直な御所信を伺いたいと存じます。
質問の第五は、開発途上国との関係についてであります。
開発途上国の経済には全体として明るい兆しが見られますが、国ごとのばらつきが顕著であります。すなわち、アジアの新興工業国のように目覚ましい経済発展を遂げている国がある一方、アフリカ諸国は今なお飢餓と干ばつに苦しんでおります。また債務累積問題も、昨年のロンドン・サミットにおける合意を受けて効果的な対応がなされてきているものの、根本的解決には依然としてほど遠いという状況であります。
今次サミットにおいては、かかる経済状態を踏まえ、開発途上国の健全な経済発展を図るため、先進国として、世界経済の持続的成長、金利低下、市場開放、継続的な資金供与に取り組むこと、国際機関の役割、アフリカ問題への対応等について具体的な合意がなされたことは、まことに意義深いことと考えます。我が国としては、開発途上国との相互依存関係を十分認識し、その健全な経済発展に貢献するため、これまで開発途上国の関心品目についての市場開放、政府開発援助の拡充等に努めてきたところでありますが、今後ともその努力を強化していく必要があると考えます。総理は、今次サミットにおいて特に開発途上国の立場を重視されたと聞いておりますが、今回の経済宣言を踏まえ、今後開発途上国の経済発展と民生安定のためにどのような貢献をされるお考えなのか、忌憚のない御所見をお伺いしたいと存じます。
最後に、サミット後の我が国に課せられた課題についてお尋ねいたします。
今次サミットにおける経済宣言の中で、我が国は、今後払うべき政策努力目標として、財政面での規律、投資の促進を目指した市場機能の強化、金融市場の規制緩和と円の国際化、市場アクセスの改善、輸入の奨励を提示いたしました。また、総理御自身も、サミット協議の場においては、内需拡大のための各種規制の緩和の推進と大幅な税制改革に着手する決意を表明されたと聞いております。国際場裏において約束したことは着実にこれを実行に移していくことが国際的責務であります。今後我々は、いかなる困難に当面しようとも、一層の市場開放の推進と内需拡大による内外均衡の達成の二本柱を、すべての政策課題の中心に据えて政治に取り組んでいかなければなりません。
市場開放について言えば、当面まず七月までに策定する予定になっている行動計画の内容が極めて重要であります。サミット参加国のみならず世界各国が我が国の市場開放のあかしとして注目しているのであり、これにこたえる意味でも、実質的で内容の充実した行動計画としなければなりません。また、内需の拡大についても、全般的な税制改正の一環として住宅投資減税や設備投資減税の実施を考慮するほか、二十一世紀に向けた社会資本の充実や整備新幹線の早期着工など実効ある内需拡大策を講ずべきではないかと考えます。これらの諸点に関する総理の率直な御所見を伺いたいと存じます。
以上、私は、今回のボン・サミット成果について、みずからの見解を述べつつ、総理の御所信をただしてまいりました。そして今質問を結ぼうとするに当たって強く私の胸を打つのは、国際国家日本としての責任の重大さであります。しかし、この責任の重さに打ちひしがれていては我が国の未来はなく、責任の完遂の中からこそ明るい未来への道が開けるのであります。総理、我々は、この厳然たる事実に身を引き締め、厳しい自覚と責任感に徹しつつ、国際国家日本としての責務を果たしていこうではありませんか。
総理の御決意のほどをお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/5
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006・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 森議員にお答えをいたします。
まず、政治宣言の意義と朝鮮半島問題へのお言葉でございます。
本政治宣言は、今回のサミットが第二次世界大戦終結四十周年という節目に当たっておりますのに着目して作成されたものであり、第二次世界大戦では互いに敵国として戦ったサミット参加国が、自由と民主主義と平和という共通の価値観のもとに揺るぎない友情で結ばれ団結していくという決意を表明したものであります。ここに大きな意義があると思います。本政治宣言における欧州の分断への言及がございましたが、我が国としては、アジアからの唯一の参加国として朝鮮半島の分割へも言及し、南北当事者による平和的解決を可能とするような環境醸成を切望する旨を明記すべきことを主張して、その結果サミット参加国の同意を得られた次第なのであります。
SDIに対する御質問でございますが、今次日米首脳会談では、レーガン大統領より、SDIは防衛的なものであり、合理的な抑止力となるべきものであり、研究以降の段階へ移行する場合には同盟諸国と協議し、ソ連と交渉する考えである旨説明がありました。これに対して私より、一月の日米首脳会談で同大統領からSDIについて、非核であり防御的であり核廃絶を目的とするものであるとの説明を受け、その道義的正当性を認めてSDI研究に対する理解を表明したものである、研究参加については今後検討していくとの我が国の立場を説明した次第であります。また、ソ連に対しては一方的優位を追求するものではない等五つの原則を示しました。すなわち、第一に、ソ連に対する一方的優位を追求するものでないこと。第二に、全体の抑止力の維持強化に資すること。すなわち、攻撃的な核兵器の削減ということを我々は当面の目的にしていくということであります。攻撃的核兵器の大幅削減を目指すということ。ABM条約に違反しない。開発配備については同盟国との協議、ソ連との交渉が先行すべきである。この五つの原則を私から申しまして、先方も同意することになったのでございます。なお、サミットにおきましては、SDIにつきましては主として米国大統領の考え方の説明がありまして、これを聞いたということでございました。
次に、経済宣言の意義でございます。
今次サミットは、インフレのない持続的成長の制約要因の顕在化を背景に開催されました。すなわち、保護主義であるとかあるいは各国における財政赤字の増大であるとか、こういうような状況下に開催され、一部に相互非難の可能性を懸念する向きもありましたが、各国はそれぞれの問題に責任を持って取り組む積極的姿勢を示した結果、結果的には参加国の協調と団結が強く打ち出されたのでございます。その具体的成果はボン経済宣言に取りまとめられております。一貫しているところは、各国ともに自由貿易主義を擁護すること、保護主義とは徹底的に闘うという点においては完全に一致しておりました。今後、先進主要国が世界経済の安定的発展のためとるべき諸施策についての合意を示したものであり、今後の世界経済の運営と動向について大きな意義を持つものと考えております。
次に、ニューラウンドに対する今後の取り組みの問題でございます。
今次サミットの合意により、我が国が提唱してきたニューラウンドに向けてたくましい軌道が設定されたものと思われます。すなわち、その直前に開かれましたOECD閣僚協におきまして決められましたニューラウンドをできるだけ早期に開催をするという点については、フランスも完全に一致しておるわけでございます。ただ、その時期をいつに明示するかという点については、フランスは消極的であったわけであります。しかし、原則について反対していたわけではございません。しかし、今後フランス及び途上国への働きかけを強化し、明年春の交渉開始に向けて一層の努力を行う決心であります。
また、途上国の関心に対しましては十分な配慮を行う必要があり、このことは、私からつとにサミットの会議の場所において主張したところでありまして、貿易障壁の軽減、撤廃を通ずる市場の拡大等新ラウンドのメリットを十分理解してもらうように努力をする考え方ております。
次に、開発途上国への貢献の問題でございますが、今次サミットでは、先進国の繁栄と開発途上国の繁栄は一層相互連関性が強まってきているとの認識のもとに、開発途上国に対する協力のあり方について幅広い角度から討議が行われ、先ほど申し上げましたように開発途上国の立場について特に配慮することを私は主張したものであります。その具体的成果として、世界貿易の持続的成長、金利の低下、市場の開放、適切な量及び条件での継続的資金供与、アフリカ支援等の合意が行われたわけであります。我が国としては、今後ともに、今次サミットで確認されました真のパートナーシップの精神に基づき、ODAの拡充あるいは市場アクセスの改善等に努力することにより途上国経済の健全な成長を支援し、もってこれら諸国の政治的社会的安定に資する考えております。
次に、市場開放に関する行動計画策定についての御質問でございます。
いわゆるアクションプログラムについては、四月十九日に設置されました政府・与党対外経済対策推進本部において、その策定要領を決定いたしました。関係各省庁は、この要領に基づいて事務次官を長とするアクションプログラム策定委員会を設置いたしました。このアクションプログラムについては、五月中及び六月中にそれぞれ関係各省庁からその策定状況について中間的な報告を聴取し、七月中にアクションプログラムの骨格を取りまとめる予定でおります。現在、関係各省庁は、アクションプログラム策定要領に即して、原則自由、例外制限という基本的視点に立って、自主性・積極性、国際性、実効性・透明性を持った内容のものを策定すべく鋭意検討中であります。
次に、内需拡大策についての御質問でございます。
我が国経済は、民間需要を中心に着実な拡大が見込まれております。したがって、六十年度において一般的な投資減税の必要はないと考えますが、試験研究促進のため、基盤技術研究開発促進税制及び中小企業技術基盤強化税制を創設いたしました。住宅減税については、住宅ローンの返済額に対する所得税制上の特例としては、既に住宅ローン償還金の一定割合を三年間にわたって税額控除する住宅取得控除制度が設けられており、その控除額も相当の水準に達しております。現行措置は厳しい財政事情のもとで最大限の配慮を示したものであります。なお、税制改革につきましては、サミットの会議の席上におきまして、我が国は大規模な税制改革を将来の課題として取り上げたいということも言明した次第であります。いずれにせよ、持続的な内需中心の経済成長は重要な課題であり、今後、民間活力が最大限発揮されるような環境の整備を行ってまいります。
整備新幹線につきましては、昭和六十年度予算においてとりあえず事業費を計上しておりますが、着手に当たりましては、国及び地域負担等事業実施方式のあり方、国鉄再建監理委員会の答申との関連等について調整を進め、その結論を待って本年八月を目途にこれを行うとしており、適切な結論が得られるものと期待しております。
最後に、国際国家の責任の問題でございます。
この点については森議員と全く同感でございます。二十一世紀への基礎づくりとして、積極的に他国に窓を開き、各国と協力して、世界の平和と繁栄のために我が国力に見合った国際国家としての役割を積極的に果たしていく決意であります。
以上で答弁を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/6
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007・坂田道太
○議長(坂田道太君) 山本政弘君。
〔山本政弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/7
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008・山本政弘
○山本政弘君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、中曽根総理のボン・サミットからの帰国報告について質問をいたします。
ボン・サミットの開幕に当たり、我が党の石橋委員長は、総理に対し、大要二点について提言をいたしました。一つは、宇宙軍拡のサミットでなく不戦、非核のサミットにすべきである。もう一つは、日米欧の経済摩擦を解消し世界の経済安定化を図るサミットにすべきである。この二点でありました。第二次大戦終結四十年、広島、長崎被爆体験四十年の歴史的節目を踏まえて、二度と再び大戦の惨禍や被爆体験の悲劇を繰り返さないよう、ポン・サミットが不戦、非核の国際的誓いの舞台となることを私たちは望んでおりました。とりわけ、主催国西ドイツと並んで日本は、過ぐる第二次大戦の戦争責任を自覚し、ともに不戦、非核への政治責任を新たにしなければなりません。ところが、総理は、SDIによる対ソ優位を企図するレーガン米政府に同調し、ポン・サミットを西側同盟の政治、軍事的結束強化の場に転化しようとしているのは極めて遺憾であります。
一月の二日訪米した総理は、レーガン大統領のSDI構想の研究開発に理解を示しました。レーガン大統領は、SDIが非核防衛の一種で抑止力を強化し核戦力の水準を引き下げることだと述べております。しかし、他方では、ソ連が先に開発して一方的に配備してしまうと、二十年間抑止のよりどころとなってきた基盤が崩壊してしまうだろうと、こう述べております。これは、極めて奇妙な話だと思うのです。もしそうであるなら、米国が最初に配備した場合でも、やはり抑止のよりどころとなってきた基盤は崩壊することになるはずであります。
さすがにレーガン大統領はその点を気にしたためか、弾道ミサイルに対する極めて有効な防衛システムを開発することが可能であると判明すれば、我々は、アメリカとソ連が並行して、つまりそろって配備を行い、その結果、相互の安全保障と国際的安定が強化されるような状況も想定していると述べております。これもまた、まことに筋の通らない話であります。もしそうだとすれば、初めから米ソが共同して開発すればいい、こういう理屈になりませんか。それよりも何よりも初めから核削減の合意ができるはずでありませんか。また総理は、米国がSDIの研究に天文学的とも思える費用を使って、それが研究にとどまっているとでも思っておるのでしょうか。総理はSDIの研究開発に理解を示したというのですが、一体どういう理解をしたのですか、お伺いをいたします。
次に、ポン・サミットを前に中曽根・コール日独首相の会談で、一連の条件のもとにSDI研究は正当なもの、そういう見解で一致したということでありますが、その二日後英国国際戦略研究所は、SDIについて、たとえ戦略防衛が可能であることが証明されても、それは戦略的安定を強めるよりもむしろそれを損なう可能性があるとして、SDIの効力に強い疑問を投げかけております。また、道義的に正当であるという表現は、たとえ条件をつけても理解を示すという方針を超える、こう解釈するのが常識であって、これは技術的協力に一歩踏み込みかねない危険を持つものと言えます。総理、なぜ慎重に対処をしなかったのでしょうか、お伺いをいたします。
また、政治宣言の中に「我々は、ジュネーブにおける交渉の開始を歓迎する。我々は、アメリカ合衆国の積極的な提案を評価する。」とあります。前段は望ましいことであります。しかし、後段の積極的な提案とは何を意味しているのかはっきりいたしません。現に米国、欧州諸国そして日本と、それぞれが都合のよい解釈をしているではありませんか。総理は、積極的な提案にはSDI構想は含まれていない、こう言われております。それは本当に確かでしょうか、ひとつはっきりしていただきたいと思います。なぜなら、レーガン大統領は、欧州議会でも、依然として戦略はSDIを基本とする立場を表明しておるからであります。それではジュネーブにおける軍縮交渉の進展は期待できますまい。それは、形こそ異なれ、中米ニカラグアのサンディニスタ政権に対する経済制裁措置と同じように、米国の力の外交であるからであります。私は、サミットにおける総理の行動に、対米協調にウエートを置き過ぎた姿勢を感じます。議長総括にSDIを入れるよう主張したというお話も聞いております。総理のSDIへの対応は、もう一つ明確ではございません。総理は、どう行動し、発言をしたのでしょうか、重ねて経過を説明していただきたいのであります。(拍手)
関連して申し上げますが、ニカラグアに対する米国の経済制裁措置は極めて不評判であります。中米問題は、メキシコなど域内指導諸国を中心としたコンタドーラ・グループが独自の紛争調停を進めておりますが、そのかかわりの中で解決をされるべきだと私は思います。総理のお考えを聞かせていただきたい。なお、総理はこの件についてレーガン大統領に意見を述べられたのかどうか、お伺いをいたします。
私は、今なお同一民族が二つの国に分裂していることは不幸なことだと思います。政治宣言の、戦争によって人為的に引き裂かれたドイツと朝鮮半島の平和的統一を支持し、そのための政治環境がつくられることには私も共感を持つことができます。日本がアジアからの唯一の代表の形でサミットに出席した立場から、政治宣言の中に朝鮮半島問題の解決努力の一項を盛り込ませることができた、総理がそうおっしゃるのなら、総理としてもう一つ考えなければならないことがあるのではないでしょうか。問題は文章ではありません。いかにして文章を現実のものにするかということであります。朝鮮半島の分断は、朝鮮民族自身が好んでつくったものではございません。その原因は遠く深く日本の植民地支配に原因があったことは、総理自身否定なさるまい。ベルリンの壁に歴史の苦悩を感じ、心の重いものがあったとするならば、総理、あなたこそ日朝交流の精神を価値観や体制の違いを越えて推し進めることに努力すべきではないでしょうか。朝鮮民主主義人民共和国に対しても、従来の姿勢を変えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次は、経済宣言についてお伺いいたします。
米国の景気が減速し、世界経済の雲行きが怪しくなりそうな中で、民間の活力を生かした成長を軸に参加国が役割分担を果たすという考えが出されました。日本は、外需傾斜型経済の是正を通じて、インフレなき持続成長に協力するということでした。一連の市場開放政策はそのためのものでしょう。総理は、サミット終了後の記者会見で、貿易黒字については非難がましいことはなかった、四月九日の決定が影響力を持っていたと繰り返し自賛しておられましたが、果たしてそうでしょうか。日本に対しあえて名指しの非難を避けたのは、今後積極的に日本政府が責任を実行するかどうかを緊張感を持って見守っておるというのが衆目の見るところであります。この点について、総理は包括的な市場開放策をとると言われておりますが、それで貿易摩擦が解消できるのでしょうか。市場開放策によってどれだけの輸入を期待しておるのか、できれば数字をお示し願いたいと思います。
政府は、巨大な貿易収支の黒字を米国などから非難されると、緊急輸入対策や弁解に躍起となっております。米国の貿易赤字は、昨年千二百三十三億ドルと急増いたしましたが、そのうち対日赤字は三百六十八億ドル、カナダ二百四億ドル、台湾百十一億ドル、西独八十七億ドルで、金額こそ日本が一番多いが、その原因は共通しております。それはドル高ではありませんか。つまり、円が安いから輸出を一層刺激し、輸入を抑制している。円の割安が修正されないということではないでしょうか。総理は、日米首脳会談でドル高・高金利の是正を要請しましたが、日本が対米輸出黒字を続けているにもかかわらず、ドル高・円安が続くのはなぜでしょうか。このことを是正しなければ、貿易の正常化はできません。私のお聞きしたいことは、むしろこの円安・ドル高、しかも日々に大幅に変動するドル高に対して、政府はどう対処するおつもりですか、お伺いをいたしたいと思います。(拍手)
それでは、ドル高相場はどこから生まれるかといえば、米国の高金利からでしょう。米国のような先進国で金利が一〇%以上という異常さが続いておる結果、日本を初め各国の資本が大量に米国に流出されています。日本の場合、長期資本収支で過去一年間五百四十億ドルという膨大な赤字であります。せっかくの貯蓄が海外に流出することを放置すれば、国内の投資や消費をふやし国内の景気を刺激しようにもできません。したがって、現在のアメリカの高金利が続くものとすれば、我が国は当然外国為替管理などの措置によって資本の流出をチェックする必要も出てくるのではないでしょうか。この点、御意見をお聞かせください。
最後になりますが、総理は、我が国の内需拡大策を、日米首脳会談などで大幅な税制改革で果たしたいと述べられております。サミットの場の発言ですから見逃すわけにはまいりません。恐らく税制全体の改革の中で財源を確保するということでしょうが、まさか大型間接税の導入を考えておられるのではないと思いますが、いかがでしょうか。
私は、質問の初めに、石橋委員長の提案について申し上げました。総理は、ポン・サミットについて、平和と軍縮を一歩進めたと評価しておられるようであります。しかし、総理の御報告を聞いてもなお釈然としないものが残ります。むしろ問題は、これから後一層深刻になってくるのではないか、これを恐れます。「北風と太陽」という寓話があります。東西関係について、私は、今度のサミットが旅人にマントをもっと強く握り締めさせることになったのではないかと危惧をいたします。総理は、今回のサミットで政治的な発言力が強まったとお考えでしょうが、同時に、国際的な責任をいかに果たすかというのが非常に強く問われておることを考えます。この点を強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/8
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009・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 山本議員にお答えをいたします。
まず第一は、SDIに関する問題でございます。
前に申し上げましたように、一月の日米首脳会議におきましてレーガン大統領から、SDIは、より安定的で信頼性が高い抑止力を確保する方策を探求する必要があるという認識に立って、非核、防御的そして核兵器廃絶を目標とする新しい兵器体系を研究する、そういう説明を受けまして、私は、その考え方に共感を覚え、かかるものとして米国が研究を進めることについて理解する、そう発言をしたところなのでございます。
この政治宣言における米国の積極的提案を評価するという点について御質問がございましたが、米国は、ジュネーブ交渉において、戦略核等の攻撃兵器の大幅な削減を通ずる米ソ間の長期的な戦略バランスの安定、中距離核についてのグローバルペースでの解決を目指して提案をしております。政治宣言の当該部分は、交渉に臨む米国のかかる立場を一般的な形で積極的に評価するとの趣旨であります。したがって、SDIに対する評価は含まれてはおりません。このことは、SDIは含まれないということは、政治宣言発出後に行われた米国政府高官の背景説明においても明らかに言明しているとおりであります。
次に、SDIに対する理解の問題でございますが、先ほど来申し上げましたような考えに立って、私は、その道義的正当性を認めて、その研究を理解する、そういうふうに説明をしたのであります。今度の日独首脳会談でも、かかる立場で一貫して対処して、コール首相との会談においても右の点について確認した次第であります。
次に、SDIに関する経緯、SDIに対する考え方でございますが、これも先ほど申し上げたとおりでございまして、究極的には核兵器廃絶を目指す新しい兵器体系の研究である、そういう考えで、我々もそういう考え方に共鳴をして研究は理解する、こう申し上げたのであります。サミットの場におきましては、主として米国の考え方の説明を聴取したということなのであります。そして、このSDIに関しましては、先ほど申し上げましたように、私から五原則を申し上げまして、この点については先方も一致したということでございます。SDI研究に参加するかどうかという問題は、今後慎重に検討していく所存でおります。
ニカラグアの問題でございましたが、この問題は外相レベルの会議でいろいろ説明、討議が行われました。コンタドーラ・グループの努力をさらに激励して、戦争、紛争終結に努力したいという結論でございました。
朝鮮半島対策でございますが、朝鮮半島の問題は、民族自決の原則に基づいて南北当事者間において平和的に解決されることが重要であります。政府としては、近く開かれる南北対話の促進に向けての環境づくりに引き続き努力してまいりたいと思います。日朝関係につきましては、民間レベルの交流を維持する方針であり、いずれにせよ、南北対話の推移等南北間の緊張がどのように緩和されていくかという情勢を踏まえ、慎重に見守って対処してまいりたいと考えております。
次に、ドル高是正の問題でありますが、為替相場は種々の要因が複雑に作用して高下しているものであります。昨年来のドル独歩高の要因としては、米国経済の拡大あるいは米国の巨額な財政赤字、これを背景とした高金利等が原因にあると考えます。このため我が国は、従来より米国に対して高金利、ドル高の是正が必要であると指摘してきたところであり、今回サミットにおきましても、米国自身が財政赤字の大幅削減の重要性を認めておるところで、努力するとのことであります。
なお、米国高金利を主因として米国への資本流出が生じていることは御指摘のとおりであります。このため我が国は、従来より米国に対して高金利の是正が必要であると主張し、今回のサミットにおいても、高金利問題は解決すべき重要課題であるとして取り上げられ、宣言の二カ所においてこの問題が論ぜられておるのであります。本問題解決のためには、まず米国が財政赤字削減等の適切な政策運営を行い高金利を是正することが必要であり、我が国の金融為替政策を発動することは必ずしも適当でないと考えます。特に、現在生じている米国への資本流出は、いわば市場原理にのっとった自然な民間資金の移動でありまして、これを人為的に統制的に抑制することは困難であるとともに、適当でないと考えております。
次に、対外経済対策、輸入策の問題であります。
四月九日の対外経済対策により我が国の市場アクセスは一層改善されるものと考えられ、米国を初め諸外国からの輸入は増加するものと考えております。そのためにも我々は、四月九日の決定を有効ならしむるように今後努力していかなければならないと思います。この輸入動向の数字等につきましては、為替相場の問題であるとか景気の変動の問題であるとかさまざまな要因がありまして、数字的にこれを表明することは困難であります。政府としては、アクションプログラムの策定、実施により、今後とも市場アクセスの改善等を通じて輸入の促進に努める考えであります。
税制の問題でございますが、この点につきましては、国会におきましても、私は、かねてからシャウプ税制以来の税制のゆがみを是正して、公平、公正等の原理に基づいて税制の改正を課題として検討したいと申しておりましたが、サミットにおきましても、将来の課題として税制改革を取り上げたいと言明したものであり、その内容についてはまだ全く白紙でございます。
残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/9
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010・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず、円安・ドル高問題でございます。
これは総理からもお答えがございましたが、各国の貿易収支あるいは物価、金利動向、国際情勢等もろもろの要因が複雑に作用して、そして為替レートというものは生まれてくるわけであります。昨年来のドルの独歩高は、これは米国経済の持続的拡大、また、ドル選好の強まり、特に短期的には米国の巨額な財政赤字を背景とした米国高金利、これに負うところが大きいことは御指摘のとおりであります。したがって、我が国としては機会あるごとに米国に対してドル高、高金利の是正を求めてきたところでありますが、今回のサミットにおいても我が国は同様の主張をなし、そして、アメリカ自身がそのことを自覚した上に立って、いわば自己宣言というような形で、財政赤字の大幅な削減を達成することが重要であるということが宣言として述べられたわけでございます。
なお、最近米国経済の成長が鈍化しましたところから、ドルの相場は一時に比べますと落ちついた動きになっております。いずれにしても、中期的には我が国の経済のファンダメンタルズはいいわけでございますから、したがって、私どもは今後とも円高期待という考え方を基調として持っておるわけであります。そして、具体的にはいついかなるときとは言えませんものの、いわば去る一月の五カ国蔵相会議で合意いたしましたように、協調介入等々の措置をとることによって市場にシグナルを送っていくという考え方を持っておるところであります。
それから、次の問題は、恐らく山本さんは、米国の高金利による資本流出に対する金融為替管理政策の調整で何か措置がとれないかというようなことを念頭に置いての御質問ではなかろうかと思います。
この問題は、基本的には今総理からお答えがあったとおりでございます。いわばアメリカが財政の削減等の適切な政策運営を行うことが必要でありましょう。そこで、あくまでも市場原理に沿った自然な民間資金の移動であるという事実認識に立ちますならば、今日までいろいろなことが言われておりますが、資本流出規制をいたしますと、別な意味において、金融が自由化、国際化しておる今日でございますので、新たないわば経済摩擦というものが起こってくる危険性があるわけであります。そしてまた、このことは、資本流出を規制しましても、実効が今日までの経過からすると上がらないし、そして自由化、国際化の観点からいえば公平性を損う、こういうことにもなるわけでございます。
次の問題は税制の問題でありますが、総理からお答えがありましたように、公平、公正、簡素、選択並びに活力、こういう基本酌視点に立って、税制全般について広範な角度から論議と検討を行う必要があるという基本的な考え方に立っております。したがって、具体的なあり方について予断を与えるような論議は今日の段階では差し控えるべきである、このように考えております。
以上で、お答えを終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/10
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011・坂田道太
○議長(坂田道太君) 市川雄一君。
〔市川雄一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/11
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012・市川雄一
○市川雄一君 私は、公明党・国民会議を代表して、さきの先進国首脳会議いわゆるサミットに出席した総理の報告とそれに関連する重要施策について、総理に対し質問を行うものであります。
最初に、サミットにおける経済宣言に関連し、経済財政問題について質問いたします。
総理は、帰国報告の中でその成果を宣伝されておりますが、総理の口からは、インフレなき持続的成長の実現について各国が分担する仕事を示した、これは初めてのことだと言うだけで、我が国が果たさなければならない責任をどのように認識し、どのような具体策を講じようとされるかについては、残念ながら伺うことができないのであります。サミットの経済宣言では、名指しの対日批判こそ避けられたものの、我が国に対する注文は極めて厳しいものがあったと言われております。これまで世界経済をリードしてきた米国経済の停滞が現実のものになりつつある現在、我が国の責任はますます重くなっており、我が国の行動いかんによっては、集中砲火的批判を浴びる結果にもなりかねないのであります。まず、総理は、日本経済が世界経済の持続的成長に果たす役割分担をどのような決意で実行されようとしているのか、その点をお伺いしたいと思います。特に、東京サミットまでの一年間で実行できる確信があるのかどうか。もしあるならば、その裏づけを示していただきたいと思います。
経済宣言に盛り込まれた我が国の役割分担である投資促進のための市場機能強化、輸入拡大などは、端的に言えば、積極的に内需拡大のための具体策を講じ、我が国の経済を外需依存型から内需主導型に転換するよう要求されたものと言っても過言ではないのであります。政府がさきに決定した対外経済政策においても、内需拡大策については言葉のみあって具体的行動が見当たりません。総理は内需拡大にどのように取り組まれようとしておられるのか、御所見をお示しいただきたいのであります。(拍手)
特に、総理は、内需拡大に役立つよう三十二年ぶりに抜本的な税制改革を行うと各国首脳に約束されたと言われておりますが、単に内需拡大のための税制改革と言っても、その形態は所得税減税、法人税減税あるいは間接税の増税と公共投資の組み合わせなど多種多様であります。この際、総理の言明された税制改革の内容はいかなるものか、それをお示しいただきたいと思います。また、その中に、直間比率の見直しを名目に既に政府が画策している大型間接税の導入も入るのかどうか、明確にしていただきたいのであります。
私は、我が国が課せられた責任を果たすためには、内需拡大策について、かけ声だけではなく、当面の対策と中長期的対策に立て分けて、持続的に対処することが緊要と考えるものであります。
当面の対策は、我が党を初め共産党を除く与野党が合意している所得税減税の年内実施と寝たきり老人介護減税など政策減税の速やかな実施を初め、長期計画の進捗がおくれている生活関連公共投資の追加などを推進すべきであります。まず、これらについて総理の所見を伺うものであります。
また、内需拡大を中長期的に維持するためには、その環境整備が極めて重要であります。私は、そのためには、国民の高い貯蓄性向を活用し、民間の活力によって、国公有地の活用も含め都市再開発や新市街地形成を進め居住環境の整備を図るとともに、質のよい、しかも低廉な住宅供給に積極的に取り組むべきであると考えるのであります。同時に、高齢化社会対策の一環として、特別養護老人ホームなど福祉関連の社会資本整備や、国際化社会に対応する多角的な教育投資も極めて重要であります。こうした考えに対する総理の見解と具体的な方針をお伺いいたします。
総理、内需拡大策を実行に移す絶好の機会は来年度予算編成であります。来年度予算の概算要求枠の設定は、ここ数年の一律削減方式を撤回し、内需拡大と行政改革の両立を主題としたものに転換すべきであります。さらに、大型間接税の導入は、物価上昇を招き、景気後退をもたらし、内需拡大に逆行するものであります。来年度以降もその導入は断念すべきでありますが、あわせて総理に答弁を求めるものであります。
次に、私は、今回のサミットに関して遺憾である二点について申し上げたい。
その第一点は、世界経済の最大の不安定要因である米国の財政赤字、高金利の早期解消に具体策がなかったことであります。米国の財政赤字、高金利は、ドル高によって米国の国際競争力の低下をもたらし、保護貿易主義を台頭させている重要な原因であります。我が国は、今後とも米国に対し財政赤字、高金利の是正を求めるとともに、その一環として、米ソ超大国が軍縮に努力するよう強く要請すべきであります。それぞれにつき、総理の答弁を求めるものであります。
第二点は、新ラウンドの交渉開始は、世界経済の活性化と拡大を図る自由貿易体制の維持のために極めて重要であったにもかかわらず、その時期が明確に合意できなかったことであります。我が国は、新ラウンドの交渉開始の早期実現に鋭意努力すべきであります。特に今回のサミットを教訓にして、我が国の関税引き下げの前倒し実施、ASEAN諸国への配慮などを含めてどう対処していかれるのか、総理の見解を伺うものであります。
次に、政治問題についてお伺いいたします。
今回のサミットにおける政治問題の焦点は、米国の戦略防衛構想いわゆるSDIに対する対応でありました。結果的には、当初から予想されていたように、フランスなどの慎重な姿勢によって政治宣言にも全く盛り込まれなかったのであります。しかし、この問題の論議の中で中曽根総理のとった態度は、SDIへの支持をサミットの場で取りつけようとするレーガン大統領の意を受けて、従来の研究に理解という立場を超えて、積極的支持の行動をとったのではないかとの疑問を持たざるを得ないのであります。だからこそ西欧諸国のマスコミ報道では、ほとんどが、日本はSDI支持というものであったことが伝えられているのであります。
中曽根総理は、SDI問題について西側が分裂して相手に乗ぜられないことが大事であると述べ、また西ドイツのコール首相との会談では、SDIの研究計画は正当なものであるとの合意をしているのであります。改めて総理にお伺いしたいのでありますが、西側の結束とは、総理、SDIを共同で支持することと考えているのかどうかということであります。
去る五月三日に発表されました英国戦略研の年次報告では、SDIは戦略的安定を損なう可能性があるとしており、今後数年間にわたる論争を呼び西側同盟内の亀裂を招くと述べていることをどう総理は評価するのでありますか。SDIの推進自体に問題があることを率直に認めるべきではないかと思うのでありますが、総理の見解を伺いたいと思います。また、SDIの研究計画がなぜ正当なものと判断されたのか、その根拠を明確に示していただきたいのであります。また、これは従来の研究に理解という態度と異なるのではないかと思いますが、総理の御所見を伺いたいのであります。
総理は、SDIについての五条件を示したと言われているのでありますが、この中で、SDIはABM条約の枠内であるとしておりますが、SDIはABM条約に違反するとの論議もあり、また日本が参加することもABM条約違反になるのではないかと思われるのでありますが、政府はこの点についてどういう見解を持っているのか、明らかにしていただきたいのであります。
いずれにいたしましても、SDIは米国の核戦略体制であり、ソ連を対象としたものであります。こうした構想に、非核三原則を国是とし平和憲法を持つ我が国が積極的に介入すべきでないことは当然であります。総理は、SDIについては積極的に参加も支持も協力もする考えのないことをここに明確に約束すべきだと思うのでありますが、所信を承りたいのであります。(拍手)
今回のサミットは、第二次大戦の終戦四十周年という歴史的な節目に当たって、戦争への反省、武力による威嚇と武力行使を慎む共同の責任などが政治宣言に盛り込まれたのであります。当面の問題への対処や駆け引きだけでなく、歴史への謙虚な反省と平和への取り組みが重要であると思うのであります。主催国である西ドイツではこうした配慮が行き届いていたにもかかわらず、中曽根総理は、こうした点についての日本の姿勢をより明確に示すべきではなかったかと思うのであります。総理は、戦後四十年を経て我が国の歴史に対する反省をどのように受けとめておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。我が国が平和に徹するためには、憲法に基づく非核三原則を初め平和諸原則を堅持することであり、特に防衛費の対GNP比一%枠は我が国の自己抑制の平和原則であり堅持すべきであると思うのでありますが、総理の見解を改めて伺いたいと思います。
また政治宣言で、朝鮮半島の平和統一を支持し、そのための政治環境がつくられることを切望するとしているのでありますが、我が国として具体的にどのような取り組みをする所存なのか、北側との関係改善を進める考えがあるのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
最後に、ソ連との対話を促進し一段と平和な新世界をつくるよう呼びかけた政治宣言を言葉だけに終わらせないために、米ソ関係の改善、ジュネーブでの交渉の進展、米ソ首脳会談の開催などが期待されるのでありますが、その展望と我が国の果たすべき役割を総理はどのように考えておられるのか、また、懸案の日ソ関係の改善にどう取り組む方針であるか。これらの点を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/12
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013・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 市川議員にお答えをいたします。膨大な御質問をいただきましたので、簡潔にお答えをいたしたいと思います。
まず第一は、我が国の役割でございます。
政府といたしましては、世界経済に占める我が国の地位にかんがみまして、自由貿易体制の維持強化、調和ある対外経済関係の形成、世界経済活性化への積極的な貢献を行う、こういう考えに立ちまして、私たちがサミットで申し上げた日本の仕事、役割を誠実に実行してまいるつもりでおります。
次に、明年の東京サミットまでに約束が実行できるかどうかという御質問でございますが、約束は的確に実現するように実行いたしてまいります。特に、ニューラウンドを推進するということは保護主義を防圧するためにも非常に重要な仕事でございまして、あらゆる国際機関やあるいは二国間の関係を通じまして努力もし、あるいは発展途上国につきましても、いろいろ努力もしてまいりたいと思っておるところであります。
次に、内需中心の成長の問題でございますが、我が国の経済は輸出の増加が一服していることもありまして、やや生産は今増勢が鈍化しておりますが、設備投資も順調であります。もちろんばらつきはございますけれども、全体としては景気は拡大しつつあります。対外経済問題諮問委員会の提案をよく尊重いたしまして政策運営に当たるという四月九日の決定を踏まえ、今後とも内需の伸長等につきましては民活等を中心にして努力してまいるつもりでおります。
税制改革につきましては、サミットで発言しましたことは先ほど山本さんにお答えしたとおりでありますが、内容は白紙であります。
次に、所得税減税等の問題につきましては、いわゆる政策減税等の問題については、本日の幹事長・書記長会談の結果も踏まえまして、政府として適切に対処してまいるつもりであります。六十年度予算におきましては、一般公共事業の事業費は前年度を上回る水準を確保しておりまして、当面、六十年度予算の執行自体を適切に行うことが重要であると考えております。
次に、民間活力の問題と都市再開発の問題であります。
従来より都市再開発関係の予算、税制等の拡充、都市計画及び建築規制の解除、国有地の有効活用等の施策を実行しておりますが、さらに総合的に強力に推進してまいるつもりでおります。
次に、福祉関連社会資本の整備の問題であります。
高齢化社会の進展に対応して、特別養護老人ホームなど社会福祉関連の社会資本を整備することは非常に重要であると思います。特別養護老人ホームにつきましては、社会福祉施設の中でも特に重点的に整備しており、今後とも緊急性の高い地域を中心に努力してまいるつもりでおります。
次に、国際化社会に対応する教育投資の問題であります。
御指摘のとおり、このような教育投資は重大であります。こういう観点から、発展途上国からの留学生の受け入れ、学者、研究者の交流、語学教員の研修等種々の施策を実施しております。これらの教育全体のあり方については現在臨教審において検討中でありまして、答申をいただきまして検討してまいりたいと思います。
内需拡大の予算措置でございますが、我が国財政を取り巻く環境は極めて厳しい上に、高齢化社会あるいは国際社会の到来等を見込みまして、今後とも財政改革を強力に推進して財政の対応力を回復していく必要があります。六十一年度予算編成に当たりましても、六十五年までには特例公債依存体質から脱却する、公債依存度の引き下げに努力するという努力目標を掲げ、歳出歳入の両面にわたってぎりぎりの努力を行う必要があると思います。したがいまして、厳しい概算要求の基準を設定せざるを得ない状況であると目下考えております。六十一年度におきましても、我が国財政が厳しい状況にあることを踏まえまして、内需の拡大等についても、財政が積極的役割を果たすよりも民活等の考えによりまして民間資本を動員し、民間経済を活発化するということを考えてまいりたいと思います。
大型間接税につきましては、先般来申し上げているとおり、税制改正の内容については白紙でおります。
ドル高是正の問題でありますが、高金利、ドル高の是正については、米国に対しても指摘してきているところであります。我が国としては、平和と軍縮にとって重要な意味を持つ米ソ・ジュネーブ交渉が早期に実質的に進展を見るよう今後とも積極的に努力して、できるだけ軍事費の削減を図るように世界的に協力してまいりたいと思います。
ニューラウンドにつきましては、フランス並びに途上国への働きかけを今後強化してまいらなければならぬと思います。明年春の交渉開始に向けて一層の努力を行います。このためにも、関税引き下げを初め我が国の市場アクセス改善等については、先般の対外経済対策で決めましたとおりこれを着実に実行してまいりたいと思います。ASEAN諸国を初め途上国の関心についても十分配慮を行う必要があり、貿易障壁の軽減、撤廃を通ずる市場の拡大等新ラウンドのメリットを十分理解してもらうように途上国にも働きかけるつもりでおります。
SDIの評価の問題でございますが、これは一月の日米会談で非核、防御、核廃絶を目的とするという説明を受けて、道義的正当性を認めたということであります。SDI研究につきましては、研究理解という態度で今次サミットにおいても一貫しておるとおりであります。
次に、SDIを共同で支持しているのではないかと今度のサミットの会議の結果を論評されておりますが、SDIにつきましては、各国は固有の立場を現在も持っており、日本は研究に対して理解をするという態度で一貫をしておるのでございます。
次に、SDIに対して正当性を与えたではないかという御質問でありますが、これは誤解でありまして、それは、ジュネーブ会議におけるアメリカの申し出に対してそれを評価した、そういう意味で、ジュネーブ会議に関する点をそういうふうに正当性というふうに考えた、評価したという意味でありまして、このSDIに関する問題ではないのであります。
次に、英国戦略研究所の年次報告に言及されましたが、これについては、詳細に内容を調査してみないとここでお答えすることは難しいと思いますが、一つの所見ではあるかもしれません。研究した上で参考にいたしたいと思います。
次に、SDIにつきましては重ね重ね御質問がございましたが、研究に対して我々は理解をしたという態度で一貫しているということを重ねて申し上げる次第であります。
なお、政治宣言における日本の平和への決意でございますが、我が国は、第二次大戦の敗戦による灰じんと荒廃の中から、過去への深い反省に立って、日本を平和と繁栄の国にする決意をしたのであります。そして今や世界の有力な経済大国の地位までなりましたが、これは、一面におきましては世界のおかげでもあり、我が国の努力でもあります。我が国の地位にふさわしい役割を果たすべく決意しているところであり、特に、平和、自由、民主主義の価値というものをさらにかみしめて確認をし、この決意を持って立ち上がっていきたいと考えて、政治宣言に参加した次第でございます。
GNP一%と防衛費の問題については、守りたいと従来から申しているとおりでございます。
朝鮮半島の平和的統一の問題については、これは南北両当事者の対話というものが中心でありまして、その環境づくりに我々は引き続き努力してまいりたいと思っております。北朝鮮との関係につきましては、南北対話の進展ぶりや緊張緩和の情勢等を十分見きわめつつ、慎重に対応してまいりたいと考えております。
米ソ関係の改善につきましては、米ソ・ジュネーブ交渉については直ちに合意が可能であるという甘い見通しは持っておりません。しかし、アメリカもソ連も、昨日来の新聞やテレビを見ますと、アメリカ大統領がソ連のゴルバチョフ書記長に対して手紙を出したとか、ゴルバチョフ書記長がアメリカ大統領に対して電報を打って、四十周年記念というものをお互いに意義あらしむる行為をとって、お互いが核廃絶を願っているという趣旨の内容であったと記憶しておりますが、これらの考え方を我々は評価するものでありまして、既にアメリカ大統領はゴルバチョフ書記長を招待しております。したがいまして、できるだけ早期に米ソ首脳会談が行われるようにと、私は、サミットの場におきましても米国大統領に勧告をいたしたのであります。できるだけ早期にこれが行われて、全世界が安心できる体制に向かうように、今後とも積極的に努力してまいるつもりでおります。
日ソ関係につきましては、領土問題を解決して平和条約を締結するという基本的立場を踏まえて、さらに対話を拡充し相互理解を徹底するように努力してまいるつもりでございます。
残余の答弁は外務大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/13
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014・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) 市川議員にお答えをいたします。
SDIの問題につきましては、もう既に総理から詳細にわたって御説明がございました。我が国としては理解の域は出ておりません。今回のサミットにおきましても、SDIの研究を理解する、こういう線で一貫をしておることをはっきりと申し上げておきます。
なお、SDIにつきましての五条件についてお話がございましたが、政府は、ABM条約に基づく締約国の義務等につき有権的に解釈する立場にはありませんが、一般的にはABM条約は研究を禁じていない、こういうふうに承知をいたしております。また米国は、SDIの研究につきまして、ABM条約を含むいかなる条約上の義務にも背馳することはない旨明らかにしておる次第であります。
次に、朝鮮半島問題につきまして総理からもお答えがございましたが、現在、南北の対話が行われております。我々は、この対話を促進するための環境づくりに努力していかなければならないと思うのであります。例えば、韓中間の交流に側面的に協力したり、あるいはまたソウル・オリンピックの成功を期待するなどにより、政府としても従来より努力をしてきておりまして、今後とも米国や中国等と緊密に協力していく方針であります。また、日朝関係につきましては、今後とも経済、文化等の分野における交流を維持していく考えであり、同時に、南北対話の今後の推移、朝鮮半島をめぐる国際情勢等を総合的に勘案しながら対応してまいりたいと考えております。
日ソ関係につきましては、我が国の基本方針はあくまでも領土返還を確保して平和条約を結ぶということでございます。昨年来、我が国のイニシアチブによりまして日ソ間に種々のレベルでの対話、交流が行われてきておりますが、今後とも日ソ間の対話の強化拡大を通じて相互理解を増進し、日ソ間の諸懸案の解決に近づくべく努力をしていく考えでございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/14
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015・坂田道太
○議長(坂田道太君) 米沢隆君。
〔米沢隆君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/15
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016・米沢隆
○米沢隆君 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となりました中曽根総理のボン・サミットからの帰国報告に関して、若干の質問を行います。
私は、世界の平和と繁栄に重大な義務と責任を共有する西側自由陣営の首脳が一堂に会して、当面する国際的諸課題について率直な意見交換を行い、その一致点を見出しつつ互いに協力していこうというサミット開催の意義を正当に評価するものであります。しかし、今回のサミットは、戦略防衛構想いわゆるSDIや、新しい多角的貿易交渉いわゆる新ラウンドなど、主要テーマをめぐってフランスとアメリカなど各国との対立がこれまでになく目立ったサミットであったという印象が強く残りました。発表された政治宣言、経済宣言、議長総括は、その対立をどうやら克服して最大公約数を盛り込んだ苦心の作となっておりますが、西側諸国の協調と結束という表面的な一致を求める余り、それは玉虫色の合意にとどまり、現状認識とその問題提起はあれども、問題解決のための政策手段は示されないという嫌いが若干ありますことは否めない事実であります。各国の利害の調整の難しさを改めて痛感いたします。
〔議長退席、副議長着席〕
さて私は、このような認識を踏まえつつ、表面に出ない部分をでき得る限り明らかにしていただくために、まず、サミットで議題となりました国際政治問題について質問をいたします。
まず第一は、米ソの緊張緩和を中心とする東西関係の改善の展望についてであります。
御案内のとおり、ジュネーブにおける米ソ軍縮交渉の再開は、過去数年間にわたって冷却化を続けていた米ソ関係、東西関係を徐々に改善させていくための糸口になるものでありまして、まことに喜ばしいことであります。その意味で、今回のサミットは、世界平和に大きな責任を持つ先進諸国が相互の連帯を一層強化しつつ、米ソのデタント回復と東西関係改善への動きを本格的なものにし、それを定着化させていくため、この際何事かがなされねばならない、これが今回のサミットに与えられた重要な課題の一つであったと言っても過言ではないと思います。
そのような観点から、私ども民社党は、サミットに出発する中曽根総理に対し、当然のことながら、来るべきサミットの場において我が国が、世界平和の基礎をなす米ソのデタント回復と東西関係の改善に向け、アメリカに対しなお一層の努力を尽くすよう求めること、特に再開された米ソ軍縮交渉の前進と核軍縮の実現を強く要求するとともに、米ソ首脳会談の早期開催を促すことを総理に要請いたしました。今回、その政治宣言において、ジュネーブの米ソ軍縮交渉を歓迎し、米国の対ソ提案を評価するとともに、同交渉で合意が得られるようソ連の積極的かつ建設的行動を呼びかけられたことは、時宜を得た有意義なものであったと評価するにやぶさかではありません。ただ、各国の認識の仕方に問題があったのではないかと思われます。その観点から、以下四点についてお尋ねしたいと思います。
まず第一に、今回のサミットにおいて、かかる課題につき各国首脳の間でどのような議論が展開されて、どのような認識の一致が確認されたのか。第二に、その際我が国としては、どのような意見表明と行動をなされたのか。第三に、米ソ軍縮交渉と米ソ首脳会談の早期開催の今後の見通しにつき、どのような感触を持たれたのか。また、その前進のためには今後の課題は那辺にあると考えられるか。第四に、各国首脳の間では、ソ連のゴルバチョフ政権の誕生は東西の緊張緩和にとってどのような影響があると受けとめられているのか。また、それは日米欧の間で一致しているものかどうか。以上、四点につき一括して総理の御答弁を求めます。
次に、今回のサミットの一つの焦点となりましたアメリカのSDIについて質問いたします。
我が党は、従来からSDIについては、これが日本を含む自由陣営全体の安全に役立つものか、核軍縮を促進し核兵器の廃絶につながるものか、それが防御兵器であり非核兵器であるか、そしてSDIの研究が新たに米ソの宇宙軍拡競争を拡大することにならないかなど、これらの諸点を十分に解明した上で我が国は慎重に対処すべきであると主張してまいりました。
さて総理は、サミット出発前の記者会見や五月二日の日米首脳会談などにおいて、再三にわたり自由世界の安全保障は不可分であるということを表明され、SDIへの対応を含めて西側の結束の重要性、必要性を強調しておられました。それは聞きようによっては、あたかも総理は、米ソ軍縮交渉に当たりSDIの戦略的有効性を考慮され、NATOの戦略も含めて日米欧が一体となってソ連に当たるという集団的自衛権に類似した考え方を打ち出しているようにも見えました。すなわち、我が国が対ソ世界戦略の一翼を担う姿勢を一段と明確にしたような印象を受けましたが、西側の結束の重要性を強調される中曽根総理の真意は一体どこにあったのでございましょうか。
また今回、SDIについて玉虫色の合意にとどまった最大の理由は、フランスの反対にあったことは周知のとおりであります。ミッテラン大統領は、サミット後の記者会見でSDIに対する不参加を表明したと伝えられますが、フランスの反対理由とフランスのSDIに対する不参加問題を総理はどのように考えられますか、今後またアメリカはどのような動きをしていくと見ておられるのか、あわせて御質問をいたします。
さて総理は、今回のサミットでは、SDIについては研究に対する理解以上の態度を踏み出していない、研究参加は今後検討するということでありました。しかし今後、アメリカからの研究参加要請、技術協力要請は執拗に行われると見なければなりません。この際、改めて、政府としては今後どのような方針で臨まれるのか、なお安倍外務大臣は、サミット後の記者会見でSDIに対する態度表明の時期については本年九月以降となろうと言われたとされておりますが、総理としてはいつごろまでをめどにその態度を明確にされるのか、総理の御見解を承りたいと思います。
次に、経済問題について御質問いたします。
御承知のとおり、目下世界経済は、アメリカの景気回復に支えられて、発展途上国や一部の国を除いて比較的順調な回復を続けております。しかしながら、各国経済の現状を見ますと、おのおの山積する難問題を抱えており、早急な対策を講じなければ世界経済に暗雲を投げかける事態にもなりかねません。現在の世界的景気回復の原動力となりましたアメリカ経済は緩やかな成長軌道へ移りつつあると言われますが、御承知のとおり、財政赤字と経常収支赤字という巨額な双子の赤字を抱えており、この解決こそ今回サミットのキャッチフレーズになりましたインフレなき持続的成長を達成する上で重要なかぎを握っていると言えましょう。また、それゆえのアメリカの高金利、ドル高は、対米輸出増を通じ各国の景気回復を容易にしている面もありますが、途上国に債務負担の増大をもたらし、各国の景気刺激策を制約するなど世界経済に大きな影響を与えている面も見逃せない事実であります。
同時に、高金利、ドル高は貿易収支の不均衡の拡大を招いております。昨年の貿易統計によりますと、我が国の対米黒字は一昨年に比べ急激に増加して三百三十億ドルにも及び、史上最高の黒字を記録いたしております。年度別に見ましても、五十九年度の貿易収支は全体で四百六十億ドルにも達しております。対EC諸国に対する黒字額も百億ドルを超え、同じく史上最高を記録しており、このような我が国の大幅な貿易黒字を背景として、サミット開幕前にはこれがジャパン・プロブレムと言われ、日本に非難が集中するのではないかと予想される事態にもなっておりました。しかし、経済問題で最大の焦点であった新ラウンドの問題で、交渉の開始時期を明示するかどうかをめぐる日本、アメリカ、イギリス、西ドイツなどとフランスとの対立の陰に隠れて日本への集中非難が回避できたことは、全くの好運であったと言わなければなりません。しかし、問題の解決はまさにこれからだというのが本当のところだろうと思います。
このように、日本の置かれた立場は重大であります。私はこの際、今回のサミットにおいて討議された主要先進国の財政赤字問題、為替と国際収支の問題、ヨーロッパの失業問題、開発途上国の累積債務問題、アフリカの飢餓問題を含めた南北問題等々一連の討議の中で、日本は一体何を約束してきたのか、その約束の実行はどうやっていくのか、これが重要な課題であると思います。まず、経済宣言の総括をされる中での日本の責任と役割について、総理の見解を求めます。
次に、今回最大の焦点でありました新ラウンドについて御質問いたします。
新ラウンドは、アメリカの財政赤字や貿易赤字、欧州の一〇%を超える高失業率を背景に各国で台頭しつつある保護貿易主義を抑制し、自由貿易体制を維持発展させるため、我が国が提唱、推進してきたものであります。しかし、政府の努力にもかかわりませず、昨年に引き続きフランスやイタリアの強い抵抗に遭い、今回の経済宣言に示されておりますように、交渉開始の時期はできる限り早期にとしか合意できず、我々のほとんどは一九八六年中であるべきだと考えるという表現にとどまらざるを得なかったことは、まことに遺憾であります。
総理は、今回の経緯を顧みて、何が障害であると認識されているのか、また今後、国際的合意への環境づくりは我が国の大きな課題だと思われますが、どのように対処されるおつもりか、今後の見通しと対処方針を明らかにしていただきたいと思います。特に、新ラウンドに反対しているフランスを交渉のテーブルに着かすことが重要であると思うのでありますが、どのようにしたらフランスが参加できる条件と環境が生まれるとお考えか、また、そのため日本として今後どのような努力を尽くす方針か、政府の見解を求めるものであります。(拍手)
第二に、経済宣言に、相当数の先進国及び途上国が新ラウンドに活発に参加することが肝要であるとの合意がなされておりますが、途上国の参加については一部では批判的な意見も強いと聞きますが、どのようにしてそれらの開発途上国を参加させていくのでありましょうか、サミットにおいてこの点についての議論がなされたのでありましょうか、お伺いをいたします。
さて次に、世界経済における我が国の役割について御質問いたします。
今回の宣言の特徴として、世界経済がインフレなき成長を達成するため、マクロ経済政策で参加七カ国が実施すべき政策が列挙されております。我が国は、市場アクセスの改善、輸入の拡大、市場機能の強化などを約束しておりますが、七月に策定される中期の市場開放行動計画にそのすべての解決をゆだねるのでありましょうか、それともこのほかに対外的約束を実行する施策を場合によっては別途つくられる方針か。これからの一連の市場開放によって日本が目に見える効果を上げて黒字減らしを実行できなければ、来年の東京サミットは対日批判一色になる可能性があります。この点を踏まえ、我が国の市場開放推進の具体的方針につき御答弁をいただきたいと存じます。
ここで、今後の市場開放に関連してお尋ねしたいことは、今後の農産物の取り扱いについてであります。
総理は、サミット出発前の対外経済対策推進本部の会合の席上、聖域なしの市場開放を表明されましたが、それに対して農民や農業団体は、一層強まるであろう農業への風圧に大きな不安と危機意識を強めております。この際、改めて、七月の市場開放行動計画策定並びに来るべき新ラウンド交渉における農畜産物の取り扱いにつき配慮がなされるべきであるという観点から、今後の方針をお伺いいたします。
最後に、今後の我が国の経済政策のあり方につき質問をいたします。
御承知のとおり、世界経済の動向を左右するアメリカの実質経済成長率が、本年の第一・四半期に年率一・三%という予想外に低い水準に落ち込んだのは御承知のとおりであります。世界経済が今後順調に拡大できるかどうかは、これまでのアメリカ経済牽引型から、アメリカ、日本、欧州諸国による役割分担型の経済成長に転換できるかどうかにかかっておるのであります。我が党はかねてより、我が国が速やかに政策転換を行い、積極経済政策による内需拡大と市場開放を行うべきであると主張してまいりました。この際、政府は、今までのような場当たり的な対応を繰り返すのではなく、外需依存の経済運営を改め、個人消費の拡大、社会資本投資の拡大、実効ある民間活力の活用によって、中長期にわたる本格的な内需拡大策の実行を行うべきだと考えます。そのため、相当規模の所得減税、政策減税の年内実施、投資減税の拡充、労働時間の短縮など、国会にげたを預けるだけではなく、これが実現のためには総理主導の解決を強く求めるものであります。
総理は、今回のサミットにおきまして、日本は三十六年ぶりに大規模な税制改革をやる、これは内需拡大に資するものだと大見えを切られたそうでありますが、となりますと、少なくとも来年の東京サミットまでには、減税なり労働時間の短縮なり、すべてを実現することが総理の国際的な約束だと思いますが、いかがでしょうか。
総理の前向きな答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/16
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017・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 米沢議員にお答えをいたします。
まず第一問は、米ソ交渉とデタントの問題であります。
平和と軍縮にとって重要な意味を持つ米ソ・ジュネーブ交渉の成功のため、サミット国が連帯して取り組むことの重要性について、参加首脳の間では広く意見が一致した次第であります。私は、米ソ首脳会談の早期実現を初め東西対話促進の重要性を強く訴えまして、このような主張は政治宣言にも反映したところでございます。
緊張緩和の見通し、米ソ首脳会談の見通し等でございますが、米ソ・ジュネーブ交渉につきましては、直ちに合意が可能との見通しは甘いと思います。しかし、ソ連の積極的かつ建設的な対応を期待しております。米ソ首脳会談については、米国は既にゴルバチョフ書記長を招待しておりまして、ソ連側も前向きの姿勢でおります。すなわち、四月八日のプラウダによりますと、ゴルバチョフ書記長は、プラウダ編集長との会見で、米ソ首脳会談の可能性について肯定的な態度が双方から表明されたということができる、その実施の時期と場所は今後合意の対象となろうと述べたと言われております。これがもし真実であるとするならば、我々は大いに歓迎し、促進していきたいと考えておるところでございます。
ゴルバチョフ新政権に対する見方でございますが、サミット参加国の首脳の大方の見方は、ゴルバチョフ新書記長は新しい型のソ連の指導者であろう、そしてゴルバチョフ書記長の今後の指導力の発揮に期待を抱いてはおるが、ソ連は集団指導の国でもあり、当面新政権の出方を慎重に見守る必要があるという点で一致いたしました。米ソ首脳会談の開催につきましては、私よりレーガン大統領に対して、できるだけ早くゴルバチョフ書記長と会談すべきである。あるいは九月に国連総会があるかもしれない、あるいは十月に国連成立の記念日があるかもしれない、あらゆるチャンスをつかまえてなるたけ早くやる方がいいと思う、仮にその場合、意見が対立しても、あなたの考え方をソ連の指導者に直接話すというところに意味がある、また相手方の意見を直接聞くという点に意味がある、そういうことを申して、これを激励したのであります。
次に、INFとサミットの関係でございますが、中距離核戦力いわゆるINFの分野においては、米国と欧州諸国との間で従来から緊密な連絡と協議が行われておりまして、意見の相違はありません。フランスのミッテラン大統領も前のウィリアムズバーグ宣言には署名もして賛成もしておるわけでありますし、アメリカとINFの欧州配備については欧州各国との間でほぼ予定どおり進んでおるわけであります。今次サミット宣言においては、INFを含む現存する核兵器の水準の意味ある削減交渉の重要性に言及しておりますと同時に、ジュネーブ交渉におけるINF分野での米国の積極的な提案を評価し、同交渉において有意義な合意が達せられるようソ連の積極的かつ建設的な行動を要請した、こういう次第であります。
次に、SDIに対するフランスの態度等の御質問でございますが、今次サミットでは、SDIについては主として米国の考え方の説明を聴取したということでありまして、西側の結束が乱れているということはありません。アメリカは、日米首脳会談の場におきましては、今後ともフランスも含めて各国とも緊密に協議していくということを言い、私もさきに申し上げました五原則を示して、意見の一致を見た次第なのであります。
軍縮の促進の問題でございますが、ジュネーブ交渉を成功させよう、これを促進しようという点においてこれは一致して、乱れた点はございません。SDIにつきましてはこれから各国が独自に検討していく、こういうことであり、軍縮一般については、これを相ともに連帯の上に立って進めよう、環境醸成に協力しようという点において一致しておるわけであります。
SDIに対する研究参加の時期と対処の方法の御質問でございますが、今次サミットにおきましては米国の考え方を聞いたと前に申し上げたとおりでございます。今後研究参加の問題については慎重に検討していくという態度で一貫してまいりました。
朝鮮半島の問題でございます。またアジア対策の問題でございますが、アジアの平和と安定のためには、中国の近代化努力に対する協力、朝鮮半島における緊張緩和及びカンボジア問題の早期解決のための環境づくりに対する努力が不可欠であると考えております。かかる考え方につきましては、従来よりサミット参加国間には一致した認識がございます。特に朝鮮半島問題につきましては、南北当事者による平和的解決を可能とするような環境醸成を切望するとの認識をサミット参加国の同意を得て政治宣言で言及したということは、意義があったと思います。また、カンボジア問題につきましても、今次サミットの場におきまして、右の従来の認識を参加国で再確認したということでございます。
経済問題に関するサミットでございますが、今次サミットは、御指摘のインフレなき持続的成長を阻む要因、保護主義とか各国の財政赤字とか、そういう問題が生まれているときに行われたものであり、ややもすればお互いに非難し合う危険性もございましたが、むしろ自分たちの持っておる問題に積極的に取り組んで、持続的な世界的経済成長へ向けておのおの責任を果たそうというところで一致いたしました。自由貿易の強調、保護主義に対する闘い、こういう点においては強く結束して団結していくという点において明らかに一致しておるのであります。そのほか、ODAの問題あるいは発展途上国に対する配慮、市場開放等々あるいはアフリカ援助に対する共同一致の対処措置等につきましても合意ができましたことは評価すべきであると考えます。
ニューラウンドに関する農業やフランスの扱いの問題でございますが、フランスは御指摘のとおりヨーロッパにおける共通農業政策を重要視しておりまして、これが崩されることについて非常な危険を感じておったのではないかと想像いたしております。また、我々がニューラウンドを進めていくにつきましては、これらのフランスの考えも検討しつつ発展途上国の利害について十分配慮する必要があると思っております。こういうような考えに立ちまして、今後ともOECDそのほかのあらゆる機会を通じて努力いたしてまいりたいと思います。フランスも、先般行われたOECDの閣僚理事会におきましては、なるたけ速やかに交渉を開始するという点においては一致したわけであります。したがいまして、内容とか進め方について問題がありとしておると考えますので、内容や進め方について十分理解を得られるように今後とも努力してまいりたいと考えておるところでございます。
次に、ニューラウンドにおける事務レベルの問題でございます。
この夏の終わりまでに高級事務レベルにおける準備交渉を行いまして、交渉の事項及び態様について広いコンセンサスを得るようにまず努力する必要があります。このような考えに立って早速始めたいと思っております。
途上国の参加促進方策につきましては、貿易障壁の軽減、激発を通ずる市場の拡大等新ラウンドのメリットを十分途上国に理解していただくように努力することが必要であり、先進国及び途上国が相ともにお互いに平等に交渉に参加して行うということが大事であり、また内容についてはバランスのとれたパッケージによる内容を目指すということが大事であると考えております。これらにつきましては、途上国の理解も得るように今後とも努力してまいるつもりでおります。
アクションプログラム策定につきましては、全省庁が策定委員会を設置して鋭意検討中であります。この対象期間は原則として三年以内。アクションプログラムの内容は、関税それから輸入制限、基準認証・輸入プロセス、政府調達、金融・資本市場、サービスの六項目を包含しているものと考えます。
次に、この行動計画における農産物の取り扱いの問題であります。
アクションプログラムの策定に当たりましては、原則自由、例外制限という基本的視点に立って対応しております。この場合、例外として取り扱われる制限分野に属させるものは、国家の安全とか環境保全とか国民生活の安定維持あるいは安全にかかわるもの、その他国際的にも十分説明し得るものに限る必要がある、そのように考えております。農業については、国民生活あるいは国民経済における役目等々も十分考えて、その特殊性に留意しつつ行うべきものであると考えております。
次に、内需の振興の問題でございますが、我が国経済は、輸出の増勢が一服している等もありまして生産がやや増勢鈍化しておりますが、全般的には景気は、ばらつきがあるものの緩やかに上昇していると考えております。対外経済問題諮問委員会の提案等も十分尊重して政策運営に当たる、そして四月九日の決定を踏まえ、今後とも民需、民活中心の経済成長の達成を図ってまいる所存であります。
減税につきましては、先般来申し上げておるところでございまして、内容については白紙でございますが、今国会における各政党間の話し合いにつきましては尊重してまいる所存でございます。
最後に、労働時間の短縮の問題でございますが、労働時間の短縮は、労働者の生活の充実、国際化への対応等の観点に加え、消費機会を増大させ内需を拡大するという観点もありまして、必要であると考えます。週休二日制の普及、年次有給休暇の消化促進等を重点に、その促進に引き続き努力してまいる考えでおります。
以上で御答弁を終わりにいたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/17
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018・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 工藤晃君。
〔工藤晃君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/18
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019・工藤晃
○工藤晃君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、総理のポン・サミット帰国報告について質問します。
本年は、第二次大戦終了四十年であり、広島、長崎被爆四十年であります。ポン・サミットの政治宣言は、第二次大戦からの歴史の教訓について述べております。今日、第二次大戦からの教訓を学ぶことは非常に重要でありますが、問題は何を学ぶかであります。唯一の被爆国国民が最大の教訓にしなければならないことは、核戦争を絶対に許してはならないことであります。この四十年間、核兵器は恐ろしい勢いでふえ続け、地球上既に五万発あると見られ、人類全体が核による絶滅の危機に直面しております。今もし第三次世界大戦が起これば、核戦争になることは避けられません。この核戦争を阻止するためには、核兵器をなくすことこそ急務であります。
本年一月の米ソ外相共同声明に基づいて現在ジュネーブで行われている米ソ交渉は、明確に、あらゆる領域での核兵器の完全廃絶を交渉の目標として掲げています。米ソがその気にさえなれば、核兵器廃絶という人類の願いが実現に向かう局面が開かれております。第二次大戦四十周年に当たってその教訓を学ぶとするならば、サミットでも核兵器廃絶の目標を明確に掲げるべきでありました。サミット直前の党首会談で我が党の不破委員長が、あなたにそのことを強く要請したとおりであります。ところが、どうしたことですか。政治宣言にはこのことが一言も触れられていません。いやしくも世界で唯一の被爆国としての第二次大戦の痛苦の教訓を学ぶというのであれば、総理は、核兵器廃絶を人類死活の緊急課題として宣言に盛り込むよう、断固主張すべきだったではありませんか。総理、あなたは一体そのことを主張されたのかどうか、答弁を求めます。(拍手)
また、政治宣言は、核兵器廃絶に言及しないだけでなく、ジュネーブ交渉で核兵器廃絶を十年先とか来世紀の問題として事実上棚上げしているレーガン大統領の立場を支持し、我々はアメリカ合衆国の積極的な提案を評価していると言っていることは重大であります。我が党は党首会談でも、核兵器廃絶の公約棚上げへの懸念を表明し、総理に米ソ双方が核兵器廃絶の合意実現を交渉の中心目標として正面から追求するよう、総理がそのため努力されるよう要請しましたが、あなたは反対に、事実上の核兵器廃絶棚上げを支持するというのでしょうか。総理の立場を明確にしていただきたいのであります。(拍手)
政治宣言の中に、ジュネーブ交渉における「アメリカ合衆国の積極的な提案を評価する。」との表現が入っていることについて、アメリカ側は、公式にはこれにはSDIは含まれていないとしながらも、背景説明では、SDI研究はサミットの場で各国から理解を得られたと説明するなど巧みな使い分けをしている事実があります。総理、あなたは「アメリカ合衆国の積極的な提案を評価する。」という表現の中にSDIは含まれていると考えるのかどうか、明確な答弁を求めます。
アメリカがSDI問題でサミット参加国の支持を取りつけようとしたことから、SDI問題はボン・サミットの焦点の一つとなりました。しかし、結果は、フランスやカナダが研究への参加を公式に拒否し、研究参加を公式に表明したのは西ドイツとイタリアだけでした。そのほかイギリスは民間ペースでの参加の意思表明をしましたが、そのイギリスでさえ、ハウ外相はSDIに強い疑念をあらわしています。このように、西ヨーロッパ諸国のSDIへの疑念は極めて深刻であり、アメリカの孤立が懸念されていたとき、中曽根首相は、各国首脳との個別会談などを通じ、SDIでの合意取りまとめて積極的に動いた、米国の下請の印象が極めて強かったと報道されていることは極めて重大であります。ヨーロッパの新聞は、中曽根首相はSDI全面支持と報じたほどであります。総理は、ボン訪問中、各国首脳との個別会談を含めて、どのようなことをやってこられたのか、詳しく国会に報告すべきでありますし、そのことを求めるものであります。
総理、SDIで核兵器を廃絶できるという宣伝ほど人を欺くものはありません。核兵器を廃絶すれば、宇宙から核兵器を撃ち落とす必要もなくなるではありませんか。この当たり前のことをサミットでなぜ堂々と述べなかったのですか、答弁を求めます。
SDIが使われるときは、核戦争が始まったときであります。そのとき人類が受ける被害が甚大なことは変わらないのであります。また、SDIを使う側は、それで優位に立つことによって核戦争開始の誘惑を大きくすることでしょう。さらに、SDIにはエックス線レーザーの応用など核爆発を利用する第三世代の核兵器が使用されようとしています。SDIの開発は、SDIをくぐり抜ける核兵器の開発や、SDIを破壊する兵器体系の開発を促し、宇宙での軍拡を含め、核軍拡の悪循環を新たな次元に推し進めることは必至ではありませんか。最近発表されたイギリスの国際戦略研究所の年次報告は、SDIの推進で軍縮は新たな困難に直面すると指摘したと伝えられましたが、当然のことだと考えます。
総理、これでもあなたは、SDIは核兵器の廃絶をもたらすとか核戦争を押しとどめるということを信じられますか。核戦争を阻止できるのは、SDIを開発する技術ではなくて、核兵器廃絶の政治的意思ではありませんか。あなたは、今この場で、被爆国日本の首相として、レーガン政権のSDIを一切支持しない、それに協力しないと表明すべきであります。明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
日独伊の軍国主義、ファシズムの侵略から始まった第二次大戦から今日学ぶべき深刻な教訓は、一切の帝国主義、覇権主義による諸民族の主権じゅうりんを許さないことであります。グレナダ、ニカラグアであれ、アフガニスタンであれ、諸民族の主権じゅうりんを許してはならないということであります。レーガン政権は今ニカラグア政府を打倒するための干渉を強めております。五月一日ニカラグアに対し全面禁輸など経済制裁措置をとると発表しました。この経済制裁一つとっても、レーガン政権がやっていることは、国際法上確立した不干渉の義務違反でありませんか。
国連総会は、一九七〇年の国際連合憲章に従う国家間の友好関係と協力に関する国際法の諸原則についての宣言の決議、七三年の天然資源に対する永久的主権の決議でも、このような経済制裁をはっきりと非難しております。今回の政治宣言でも、自由、民主主義の諸原則の重要性を強調しておりますが、それとどう合致するというのですか。
安倍外相はアメリカのニカラグアヘの経済制裁に理解を示されましたが、これは許されないことであります。総理も安倍外相と同じ考えでしょうか。総理、国民の意思によって成立した政府を自分の気に食わない政府であるから踏みつぶそうという乱暴きわまりない民族自決に対する侵害を絶対に支持してはならないし、加担してはならないのであります。レーガン政権のニカラグア干渉に対し、はっきり反対を表明すべきだと考えます。答弁を求めます。
次に、経済問題で伺います。
今、アメリカの大軍拡、財政赤字に起因する高金利、ドル高は、アメリカの一千億ドルを超える貿易収支の赤字、債務国への転落を招いたばかりか、世界経済の危機を長引かせ、貿易摩擦を激化させ、発展途上国の累積債務問題を一層深刻にするなど世界経済に悪影響を及ぼしております。この深刻な問題に対処するには、アメリカに軍縮を求め、財政赤字、高金利、ドル高の是正を求めることがどうしても必要であります。総理は、なぜこのような自主的立場に立つ主張をされなかったのか、答弁を求めるものであります。
日米経済摩擦で、これまで政府は、アメリカの市場開放要求に譲歩を重ね、国民生活、農林水産業、中小企業に犠牲を押しつけてきました。四月九日の対外経済対策に続き、ボンでも日本の譲歩が続けられようとしたことは重大であります。安倍外相は、シュルツ国務長官から一千万トンの穀物輸入を要請されましたが、その場ではっきり断られたのかどうか、答弁を求めるものであります。
我が国貿易黒字の国内的要因について言えば、日本の大企業の国際競争力を異常に強くしている低賃金、長時間労働、非人間的超過密労働、乾いたタオルも絞り上げるような下請中小企業支配にあります。日本の労働者の年間総労働時間は、アメリカと比べ二百五十四時間、西ドイツと比べると五百三十九時間も多いのであります。小型車一台のコストに占める人件費は、日本はアメリカの一七%にすぎません。この驚くべき労働条件格差を放置したままでは、日本が貿易摩擦を引き起こすことは明らかではありませんか。総理は、ポン・サミットでは、このような日本の労働条件の是正の方向を提示してはおりません。総理、あなたは、引き続き我が国の労働者に劣悪な労働条件を押しつけ、大企業の輸出競争力を一層強めようというのですか。答弁を求めるものであります。
総理は、日本の役割として、三十二年ぶりの大幅な税制改革の実行を表明されました。この税制改革の内容は一体何ですか。この国会で総理が税制改革の内容として強調されたのは、国民が強く反対している大型間接税の導入に着手することではありませんか。このような税制改革を総理はなぜ国際的に公約してこられたのですか。これは国民への重大な裏切りではありませんか。答弁を求めます。
最後に、核兵器廃絶を世界政治の中心課題として位置づけ、民族自決権を守るとともに、国民の生活と権利の擁護のためさらに奮闘する我々の決意を述べて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/19
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020・中曽根康弘
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 工藤議員にお答えをいたします。
まず、核兵器廃絶とサミットの問題でございますが、この点につきましては、米ソ首脳会談を促進するように私から促した次第でございまして、核兵器廃絶のために一生懸命努力しておるところでございます。
次に、核兵器の廃絶に関しましては、今回の政治宣言等におきましては、自由、平和、民主主義の価値において我々が再び結束する、そしてジュネーブ会談を支持する、米国の提案を評価する、そういうことを言っておりまして、アメリカ側は、ゼロオプションいわゆる核兵器をゼロにするところまで努力しようということを言っておるのでありまして、そういうようなことも含まれているということを御認識願いたいと思います。
その次に、SDIに関する問題でございますが、一月の日米首脳会談におきまして、非核であり防御兵器であり核兵器の廃絶を目指すという意味において道義的正当性を認めて理解すると申したのでありまして、それ以上は出ないと一貫して申し上げておるとおりであります。
その次は、個別会談においてSDIの取りまとめに走ったのではないかという御質問でありますが、そういうことは全くございません。各国は、おのおのSDIにつきましては固有の立場をお持ちでございます。私は、日本は理解をするという立場であり、米国に対して五原則を言って、米国も同調した、そういうことはドイツその他に申したとおりであります。
さらに、核兵器の廃絶につきましては、先ほど申し上げましたように、アメリカの大統領の書簡あるいはソ連の書記長のアメリカ大統領に対する電報等によりまして、両方とも核兵器の廃絶を目指しておるようでありまして、我々は熱心にこの態度を支援していきたいと考えております。
次に、ニカラグア問題でございますが、我が国は、かねてから中米問題の解決につきましては、コンタドーラ・グループによる域内の和平努力を強く支持しており、今後もその考えております。それと同時に、地域における民主主義、社会の安定という問題も重要ではないかと思っております。
次に、休暇の問題でございますが、週休二日制の一層の普及あるいは年次休暇をできるだけ十分とるようにする、こういうようなやり方によりまして、労使の自主的努力を基本にして一層拡充してまいりたいと思っておる次第でございます。
税制につきましては、将来の課題として我が国も税制改革を考えているということを発言したのであり、内容については白紙であります。
残余の答弁は外務大臣からいたします。(拍手)
〔国務大臣安倍晋太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/20
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021・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) ポンにおいて行われました日米外相会談におきまして、シュルツ長官より、一千万トンを上限として米国産穀物を我が国が援助用として購入する、こういうアメリカ側の構想が提示されたわけでございますが、これに対しまして私からは、我が国の穀物援助は年間三十万トン程度であること、また開発途上国産穀物の使用を優先することになっておる、こういうことから、米側が言っておりますような一千万トン構想に応ずることは到底困難である、こういうことを丁重にお答えをした次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/21
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022・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) これにて質疑は終了いたしました。
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日程第一 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/22
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023・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 日程第一、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。農林水産委員長今井勇君。
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農業災害補償法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔今井勇君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/23
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024・今井勇
○今井勇君 ただいま議題となりました農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、最近における農業事情の変化等にかんがみ、農業災害補償事業の健全な運営に資するため、農業共済組合等が危険段階別の共済掛金率を設定する方式の導入、農作物共済の共済掛金に係る国庫負担の方式の合理化、家畜共済の共済目的の追加、果樹共済のてん補内容の充実等の措置を講じようとするものであります。
本案は、去る三月五日本委員会に付託され、四月十日佐藤農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、四月二十三日には参考人から意見を聴取する等三回にわたり慎重に審査を進めてまいりました。
かくて、四月二十四日質疑を終局し、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議を代表して新村源雄君及び日本共産党・革新共同を代表して中林佳子君からそれぞれ反対討論が行われた後、採決を行い、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/24
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025・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/25
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026・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————
日程第二 千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
日程第三 大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締約国の全権委員会議(千九百八十四年七月九日から十日までパリ)の最終文書に附属する議定書の締結について承認を求めるの件
日程第四 北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十四年の議定書の締結について承認を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/26
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027・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 日程第二、千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、日程第三、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締約国の全権委員会議(千九百八十四年七月九日から十日までパリ)の最終文書に附属する議定書の締結について承認を求めるの件、日程第四、北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十四年の議定書の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。外務委員長愛野興一郎君。
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千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締約国の全権委員会議(千九百八十四年七月九日から十日までパリ)の最終文書に附属する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書
北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十四年の議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔愛野興一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/27
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028・愛野興一郎
○愛野興一郎君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、一九七九年の海上捜索救助条約について申し上げます。
本条約は、海上における捜索救助に関する国際協力を目的として昭和五十四年四月ハンブルクで開催された国際会議において採択されたものでありまして、海上における遭難者を迅速かつ効果的に救助するため、沿岸国が自国の周辺水域において適切な捜索救助業務を行うための国内制度を確立するとともに、関係国間で捜索救助活動の調整等の協力を行うこと及び締約国は捜索救助活動を容易にするため可能な限り船位通報制度を設立すること等を規定しております。
次に、大西洋のまぐろ類保存条約に関する議定書について申し上げます。
本議定書は、昭和五十九年七月十日パリで開催された条約の締約国全権委員会議において作成されたものでありまして、欧州経済共同体のような政府間経済統合機関が構成国にかわり同条約を締結することができるようにするため所要の改正を施したものであります。
次に、北太平洋のおっとせい保存暫定条約改正議定書について申し上げます。
本議定書は、昭和五十九年十月十二日ワシントンにおいて、日本、アメリカ、カナダ、ソ連の四カ国により署名されたものでありまして、昭和三十二年から昭和五十九年十月十三日まで効力を有していた暫定条約を改正し、北太平洋おっとせい委員会が、海上猟獲を行うことが一定の状況のもとにおいて許容されるかどうかについて勧告する時期を昭和六十一年十月十三日までとすること等について規定しております。
以上三件は、三月二十五日外務委員会に付託され、同月二十九日安倍外務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月十九日及び二十四日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/28
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029・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 三件を一括して採決いたします。
三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/29
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030・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。
————◇—————
日程第五 中小企業技術開発促進臨時措置法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/30
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031・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 日程第五、中小企業技術開発促進臨時措置法案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。商工委員長粕谷茂君。
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中小企業技術開発促進臨時措置法案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
—————————————
〔粕谷茂君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/31
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032・粕谷茂
○粕谷茂君 ただいま議題となりました中小企業技術開発促進臨時措置法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
御承知のように、最近、技術革新が急速かつ広範に進展し、技術の複合化、細分化の傾向が増大しております。また、需要構造においても、国民ニーズの多様化、高度化、短サイクル化傾向が強まっております。
本案は、このような著しい環境の変化に対処して、中小企業が行う技術開発を促進するための措置を講じようとするものであります。
その主な内容は、
第一に、通商産業大臣は、本法で振興しようとする技術開発の対象とすべき技術の内容、中小企業者及び組合等がとるべき技術開発の実施方法等を示す中小企業技術開発指針を定め、公表すること、
第二に、技術に関する研究開発を行おうとする中小企業者及び組合等は、技術開発事業の目標、内容、実施時期、必要な資金の額等を記載した技術開発事業計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができること、
第三に、認定を受けた中小企業者及び組合等並びにその組合等の構成員たる中小企業者に対して、技術開発事業の実施に必要な資金の確保、中小企業投資育成株式会社法の特例措置の適用、中小企業信用保険法の新技術企業化保険の保険限度額の拡大等の特例措置を講ずるとともに、組合等及びその構成員たる中小企業者の行う技術開発事業のために税制上の特別措置を講ずること、
第四に、国及び地方公共団体は、技術開発を促進するため、情報の提供及び人材の養成等に必要な措置を講ずるとともに、技術開発事業の適確な実施に必要な指導及び助言を行うこと、
第五に、この法律は、施行の日から十年以内に廃止するものとすること等であります。
本案は、去る三月十九日当委員会に付託され、四月十七日村田通商産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、四月二十四日審査を行い、同日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/32
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033・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/33
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034・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————
日程第六 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第七 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/34
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035・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 日程第六、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案、日程第七、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。社会労働委員長戸井田三郎君。
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国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
—————————————
〔戸井田三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/35
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036・戸井田三郎
○戸井田三郎君 ただいま議題となりました二法案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、昨今の社会経済情勢にかんがみ、厚生年金保険、船員保険及び拠出制国民年金について昭和六十年度において特例として年金額を改定する措置を講ずるとともに、福祉年金、特別児童扶養手当及び福祉手当の額の引き上げを行うことにより、老人等の福祉の向上を図ろうとするもので、その主な内容は、
第一に、拠出年金について、昭和六十年度において、昭和五十九年度までの累積消費者物価上昇率が五%を超えない場合であっても、特例として三・四%の年金額の改定措置を行い、厚生年金保険及び船員保険については本年四月分から、国民年金については本年五月分から、それぞれ実施すること、
第二に、福祉年金については、本年六月分から老齢福祉年金の額を月額二万五千六百円から二万六千五百円に引き上げ、障害福祉年金、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を老齢福祉年金に準じてそれぞれ引き上げること、
第三に、特別児童扶養手当及び福祉手当については、福祉年金に準じて本年六月分からそれぞれ引き上げること等であります。
本案は、去る二月十二日付託となり、四月四日増岡厚生大臣から提案理由の説明を聴取し、四月二十五日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、日本共産党・革新共同より、拠出年金の年金額の物価スライド率及び福祉年金等の額を引き上げる内容の修正案が提出され、採決の結果、修正案は否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、戦傷病者、戦没者遺族等の処遇の改善を図るため、障害年金、遺族年金等の額を恩給法の改正に準じて引き上げるとともに、公務扶助料、遺族年金等の支給を受けている者がいない戦没者等の遺族に特別弔慰金として額面三十万円、十年償還の国債を支給する等所要の改正を行おうとするものであります。
本案は、去る二月十二日付託となり、四月四日増岡厚生大臣から提案理由の説明を聴取し、四月二十五日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、自由民主党・新自由国民連合より、施行期日についての修正案が、また、日本共産党・革新共同より、障害年金、遺族年金の額を引き上げる内容の修正案がそれぞれ提出され、採決の結果、日本共産党・革新共同提出の修正案は否決され、本案は自由民主党・新自由国民連合提出の修正案のとおり全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/36
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037・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) これより採決に入ります。
まず、日程第六につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/37
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038・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第七につき採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/38
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039・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/39
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040・勝間田清一
○副議長(勝間田清一君) 本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十三分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110205254X02619850509/40
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