1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年二月二十六日(火曜日)
午後一時開会
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委員の異動
二月十二日
辞任 補欠選任
杉元 恒雄君 福岡日出麿君
二月十三日
辞任 補欠選任
福岡日出麿君 杉元 恒雄君
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出席者は左のとおり。
委員長 降矢 敬義君
理 事
斎藤栄三郎君
前田 勲男君
梶原 敬義君
市川 正一君
委 員
岩本 政光君
佐藤栄佐久君
鈴木 省吾君
松尾 官平君
松岡満寿男君
福間 知之君
田代富士男君
伏見 康治君
木本平八郎君
国務大臣
通商産業大臣 村田敬次郎君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 金子 一平君
政府委員
公正取引委員会
委員長 高橋 元君
公正取引委員会
事務局経済部長 厚谷 襄児君
公正取引委員会
事務局取引部長 利部 脩二君
公正取引委員会
事務局審査部長 佐藤徳太郎君
経済企画庁長官
官房長 窪田 弘君
経済企画庁調整
局長 赤羽 隆夫君
通商産業政務次
官 田沢 智治君
通商産業大臣官
房長 杉山 弘君
通商産業大臣官
房総務審議官 児玉 幸治君
通商産業大臣官
房審議官 矢橋 有彦君
通商産業大臣官
房会計課長 緒方謙二郎君
通商産業省通商
政策局次長 鈴木 直道君
通商産業省貿易
局長 村岡 茂生君
通商産業省立地
公害局長 平河喜美男君
通商産業省機械
情報産業局長 木下 博生君
工業技術院長 等々力 達君
資源エネルギー
庁長官 柴田 益男君
特許庁長官 志賀 学君
中小企業庁長官 石井 賢吾君
事務局側
常任委員会専門
員 野村 静二君
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本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
(通商産業行政の基本施策に関する件)
(経済計画等の基本施策に関する件)
(昭和五十九年における公正取引委員会の業務概略に関する件)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110214461X00419850226/0
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001・降矢敬義
○委員長(降矢敬義君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
まず、通商産業の基本施策に関し、通商産業大臣から所信を聴取いたします。村田通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110214461X00419850226/1
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002・村田敬次郎
○国務大臣(村田敬次郎君) 第百二回国会における商工委員会の御審議に先立ちまして、通商産業行政に対する私の所信の一端を申し上げます。
我が国経済社会においては、現在、その基本的構造に変革をもたらすような広範かつ多様な変化が生じつつあります。技術革新と情報化の飛躍的な進展、国民の価値観の変化、人口の高齢化を初めとする社会の成熟化等がそれであります。今後二十一世紀に向けて、我が国の経済社会の発展基盤を確保するためには、この変化を先取りし、さまざまの政策分野において、迅速かつ積極的な対応を図っていくことが不可欠であります。
私は、当面の経済運営におきまして、内需を中心とした景気の着実な拡大を図り、持続的な経済成長の達成を図っていくために、引き続き、適切かつ機動的な経済運営に努める所存であります。と同時に私は、この大きな変革の流れの中で、中長期的、戦略的観点に立脚し、自立的な産業経済のダイナミズムを維持、拡大し、一方で、豊かな国民生活の形成を図り、他方で、現在の国際政治経済システムを維持強化すべく、国際経済の抱える諸課題の克服に能動的に貢献することこそ、現下の通商産業政策の基本課題であると考えます。
このような認識のもとに、私が展開しようとしております通商産業政策について以下申し述べたいと存じます。
一九八〇年代は、二十一世紀に向けての技術革新の胎動期にあります。今、我々は、エレクトロニクス、情報化関連、新素材、バイオテクノロジーなど新たな技術革新の大きなうねりを目の当たりにしております。また、時あたかも欧米諸国は、国を挙げて技術開発に取り組んでおります。世界の進歩の歴史は、技術革新の歴史にほかなりません。我が国も、この期に当たり、技術開発なかんずく基礎、応用研究分野での技術開発に格段の努力を傾けなければなりません。
私は、次の三点を基本に新たな技術開発政策を積極的に推進してまいります。
第一は、基礎研究、応用研究を中心とした国の技術開発の強力な推進であります。
通商産業省は、大型工業技術研究開発制度、次世代産業基盤技術研究開発制度を通じつとに国の技術開発の推進に積極的に取り組んでまいりましたが、六十年度は、それぞれに新しいテーマを追加し、一層の充実を図ってまいります。両制度のほかにも、情報化関連、エネルギー、宇宙開発、新素材等基礎素材関連、バイオテクノロジーの技術開発を積極的に推進いたします。
第二は、民間企業が一層自主的かつ積極的な技術開発を行い得るよう民間活力を最大限に発揮させるための環境条件を整備することであります。この点につきましては、まず、基盤技術研究促進センターを創設し、民間企業における基礎、応用段階からの試験研究を推進するため、民間研究開発企業への出資制度、民間企業への条件付無利子融資制度を設けることといたします。同センターには、このほか研究情報の流通促進、外国人研究者の招聘、産学官の連携なども実施させたいと
考えており、幅広い環境整備に大きく寄与するものと思います。また、国有試験研究施設の廉価使用を可能とするなど民間の技術開発活動を促進するための制度改善を図ってまいります。私は、これらの施策を有機的、総合的に推進するため、基盤技術研究円滑化法案を提出しているところであります。
私は、税制面でも十分意を用いてまいる所存であります。基盤技術研究開発促進税制及び中小企業技術基盤強化税制の創設は、技術開発における民間活力活用の観点から極めて高い意義を有するものと考えております。
民間企業の技術開発促進における特許制度の意義も大きいものがあります。この観点から、迅速、的確な権利付与等の要請にこたえて、特許行政の総合的コンピューター化を確実に推進してまいります。また、国際出願制度の利用拡大に資する制度を整備することなどを目的とした特許法等の一部を改正する法律案を提出したいと考えております。
第三は、積極的な国際的貢献を果たすために、国際研究協力の一層の推進を図ることであります。私は、引き続きYXX計画、V二五〇〇計画等民間航空機開発分野やサミットで合意された太陽光発電、先端ロボットを初めとする国際研究協力プロジェクトの積極的推進を図ってまいります。
二十一世紀への展望を切り開く上で、もう一つの大きな要素は情報化の推進であります。情報化の進展は、産業の効率性の著しい向上、国民ニーズの迅速な把握と的確な対応を可能とするものであります。さらに、産業構造の高度化を加速させるものでもあります。豊かなあすを築く上で高度情報化社会の実現は不可欠であるといっても過言ではありません。
しかしながら、その円滑な実現のためには、もろもろの環境整備が必要であることを忘れてはなりません。まず、急速な情報化の進展に伴うソフトウェアの大きな需給ギャップ、すなわち、ソフトウェア危機への対応が必要であります。このため、ソフトウェア生産の機械化、自動化システムを開発、構築することとし、六十年度から情報処理振興事業協会においてこれに着手いたします。
また、諸産業の健全な情報化の進展を図るために、各産業のニーズに即応した効率的な情報システムの構築促進を図る必要があります。このため、事業者の連携による電子計算機の効率的な利用を促進するための指針を提示する等円滑な情報化の推進を図ってまいる所存であります。
私は、これらの施策を強力に推進するため、情報処理振興協会等に関する法律の一部を改正する法律案を提出しているところであります。
高度情報化社会実現のための環境整備は、これに尽きるものではありません。コンピューターセキュリティー対策の推進も重要であります。当省は、電子計算機システム安全対策基準の策定など従来から先見性を持ってこの問題に取り組んできておりますが、経済、社会の多くの分野がコンピューターに大きく依存している現在、その一層の強化を図らなければなりません。今後とも引き続き関係省庁とも協力しつつ、その立法化の推進に努力してまいる所存であります。
また、地域間の情報化格差を是正しつつ、全国的にバランスのとれた情報化を進めることも重要であります。当省は、五十九年度からニューメディアコミュニティー構想を推進してきておりますが、さらに同構想の一層の推進を図るため、モデル地区の追加を初め、同構想を推進する法人に対する基盤技術研究促進センターの出資等必要な支援措置を講じてまいる所存であります。
さらに、多種多様な情報関連機器、システムが支障なく相互に接続され、運用されることが不可欠であります。私は、この面でも、技術開発、すなわち相互運用データベースシステムの開発への着手を初め、標準化の推進など多様な政策展開を図ってまいります。
また、高度の技術力を有する情報産業の存在も不可欠であります。この観点から、引き続き第五世代コンピューターなどの開発を進めてまいります。
さらに、高度情報化社会を支えるものとして半導体集積回路は極めて重要な役割を果たしておりますが、その開発を促進し、半導体産業の健全な発展を確保するためには、集積回路のレイアウトの開発者の権利保護を図ることが強く要請されております。このため、半導体集積回路の保護に関する法律案(仮称)を提出することとしております。
最近の世界経済は、米国景気の拡大を中心に着実な拡大傾向にあります。しかしながら、ドルの独歩高、米国の貿易赤字拡大、欧州諸国の高水準の失業、発展途上国の累積債務など困難な問題も依然として存在しており、こうした状況を背景に保護貿易主義的動きも衰えが見られません。
世界経済の一割を占める我が国としては、これら国際経済上の諸問題の解決に積極的に貢献し、ガットを中心とする自由貿易の維持強化、世界経済全体の調和ある発展のために能動的な役割を果たしていかなければなりません。
このような観点から、政府は、累次の対外経済対策を着実に実施してきております。昨年十二月にも東京ラウンド合意にのっとった関税引き下げの繰り上げ実施などを決定したところでありますが、今後とも、一層の市場開放策、輸入促進等を推進していく所存であります。
私は、本年一月、豪州、シンガポール、香港を訪問する機会を得ました。これら各国の政府首脳との会談は、相互理解の一層の増進のために極めて有意義であったと考えます。また、去る二月九日から十一日まで、京都において四極貿易大臣会合を主催し、米、加、ECの貿易大臣と、新ラウンドの今後の進め方などについて率直な意見交換を行いましたが、新ラウンドについて、一九八六年の交渉開始を目指してガットの高級事務レベル会合を本年のできるだけ早い時期に開催することで合意するなど、実りのある会合であったと思っております。
二国間における個別の懸案事項につきましても、それが二国間関係全体に悪影響を及ぼすことのないよう円滑な解決を図ることが重要であります。日米間の諸懸案に対しても、一月の日米首脳会談を踏まえ、その解決に最大限の努力をしたいと考えております。
先進国と発展途上国との相互関係が深まる中で、我が国は国際的責務として、発展途上国の経済的自立を図るための総合的経済協力の展開を求められております。このため、中期目標のもとで民間活力をも活用しつつ政府開発援助を拡充するとともに、発展途上国の輸出産業育成のための協力などを進める考えであります。
また、世界経済に占める太平洋地域の重要性の高まりの中で、私としても、新しい太平洋時代を目指した多角的な協力関係の樹立に向けて努力したいと考えております。
最近のエネルギー情勢を見ますと、国際石油需給は緩和基調で推移しておりますが、国際石油需給が中長期的に逼迫化の方向にあることに変わりはなく、また、中東情勢も依然不安定な状況にあります。資源エネルギー供給構造の極めて脆弱な我が国にとって、資源エネルギーの安定的供給基盤を維持していくことは、二十一世紀に向けて健全な発展を遂げていく上での大前提であります。このような認識のもとに、安定供給の確保を基本として、経済性の観点にも配慮しつつ、総合的な資源エネルギー政策を着実に推進していくこととしております。
そのため、具体的には、まず第一に石油の安定供給基盤の整備を図ってまいります。六十三年度三千万キロリットル達成に向けて国家備蓄の積み増し等石油備蓄政策の強化を図るとともに、石油の自主開発を推進してまいります。さらに、大きな前進を見つつある元売企業の集約化が適切な政策的支援措置のもとに実効性あるものに結実するよう努力を傾注してまいります。また、揮発油販売業の近代化等の推進、LPGの安定供給確保等のため所要の施策を進めることとしております。
第二に、石油代替エネルギーの開発導入を引き
続き強力に推進してまいります。特に原子力につきましては、安全性の確保に万全を期しつつ、原子力発電の高度化を図るとともに、その利用を一層推進する上で不可欠な核燃料サイクルの事業化を推進します。また、引き続き電源立地政策を積極的に推進してまいります。さらに、地方都市ガス事業における原料の天然ガス化を積極的に推進してまいります。また、石炭、地熱、水力の開発を推進するとともに、新エネルギーを初めとする石油代替エネルギー技術開発を促進してまいります。
第三に、省エネルギーの推進であります。省エネルギーは、国民各層の創意と工夫と努力の積み重ねにより大きな成果を達成し得るものであり、引き続きその促進に努めていく所存であります。
第四に、今後の技術革新により需要が飛躍的に増大するレアメタルにつきまして、備蓄の推進、探鉱開発の促進等総合的施策を講じてまいります。
中小企業は、我が国経済の活力の源泉であり、また、社会の安定の基盤でもあります。技術革新、情報化の急速な進展など大きな環境変化の中にあって、我が国の今後の発展の牽引力として中小企業の機動性、創造性への期待は極めて大きなものがあります。私は、こうした期待に十分こたえられる創意と活力ある中小企業の育成を図るべく、今後とも積極的に中小企業政策を展開してまいる所存であります。
第一は、技術革新、情報化の進展への対応であります。この面での目まぐるしい環境変化は、一方では中小企業に厳しい対応を迫るものでありますが、他方、多品種少量生産分野の拡大等を通じて中小企業が大きく活躍する場を与えるものでもあります。この機を積極的にとらえ、旺盛な企業家精神を持った活力ある中小企業を育成するため、技術力の向上、情報化への対応、人材養成の強化のための施策を積極的に展開いたします。今国会に提出を予定しております中小企業の技術開発の促進を図るための中小企業技術開発促進臨時措置法案と中小企業技術基盤強化税制の創設は、その中でも特に重要なものであると考えております。
第二は、中小企業の経営基盤の安定であります。中小企業の信用力や取引条件面等での不利を是正するため、金融、税制面での対策や倒産防止対策、下請企業対策、官公需対策、組織化対策等を積極的に推進してまいります。そのため、商工組合中央金庫の業務の拡充やその存立の恒久化などを図るための商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を提出いたします。また、連鎖倒産の防止のために中小企業倒産防止共済制度の一層の活用が図られるよう所要の制度改善を行うための中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律案も提出いたしたところであります。
第三は、中小商業、サービス業対策の推進、地域とともに歩む中小企業の育成、小規模企業対策の充実であります。すなわち、コミュニティーマート構想を一層推進するとともに、引き続き大型店調整の適正かつ円滑な運営の確保を図ってまいります。また、地場産業振興対策の一層の推進を図ってまいります。さらに、「むらおこし事業」の拡充、人づくり推進事業の創設など経営改善普及事業の強化に努めてまいります。
国土の均衡ある発展を実現するためには、産業の適正配置と地域経済の振興を図るための産業立地政策の積極的展開が重要であります。私は、近時の産業立地をめぐる環境変化を踏まえ、昭和七十年を目標とした新しい工業再配置計画の策定や研究機能、情報サービス機能の地方分散の促進など、工業再配置施策の抜本的拡充を図ることとしております。
さらに、技術を中核とした地域経済の振興を図るために、テクノポリス開発計画の着実な実施を図るとともに、新しい技術取引市場、すなわちテクノマートを創造し、地域への技術移転を促進する考えであります。また、水資源再生利用の推進を図るため、バイオテクノロジーと膜分離技術を駆使した水総合再生利用システム、すなわちアクアルネッサンス90計画を積極的に推進してまいります。さらに、水資源開発の促進、先端企業立地の内陸化傾向に対応した小規模工業用水道の整備などにも努力してまいります。
消費生活の多様化に対応して、消費者保護施策の充実、流通政策の総合的展開、生活関連産業政策の推進にも取り組んでまいります。すなわち、割賦販売法の適正運用、情報化の進展への流通業の適切かつ円滑な対応の促進、繊維産業の構造改善、国際化の推進などを図る所存であります。
さらに、快適な生活環境を実現するため、集合住宅用新材料、機器システム技術の開発などの住宅関連技術の開発、環境保全対策、産業保安の確保などを積極的に推進いたします。
行政改革の推進は、中曽根内閣の最重要課題の一つであり、私としても真剣にこの問題に取り組んでまいります。
すなわち、六十年度に鉱山保安監督局部の附置統合を行うとともに、貿易研修事業について民間活力のより一層の活用を図る観点から、貿易研修センター法を廃止する等の法律案を提出し、認可法人たる貿易研修センターを財団法人とすることとしております。
二十一世紀まで残すところあと十五年余りとなりました。時あたかも変革の大きなうねりの真っただ中にあります。変革の時代に適応できなかったものが歴史に取り残されることは、多くの歴史書の教えるところであります。
我が国は、この期に当たり、機動的対応を怠ることなく、長期的な我が国経済の発展基盤の確立と国際社会への貢献に全力を挙げて取り組んでいかなければなりません。
本日、通商産業行政を展開します上での所信の一端を申し述べましたが、それは私のこの決意の表明にほかなりません。
私は、国民各位の御理解と御協力のもとに、全能力を注いで通商産業行政の遂行に邁進する覚悟であります。委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110214461X00419850226/2
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003・降矢敬義
○委員長(降矢敬義君) 村田通産大臣、退席されて結構でございます。
次に、経済計画等の基本施策に関し、経済企画庁長官から所信を聴取いたします。金子経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110214461X00419850226/3
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004・金子一平
○国務大臣(金子一平君) 我が国経済の当面する課題と経済運営の基本的考え方につきましては、さきの経済演説において明らかにしたところでありますが、当委員会が開催されるに当たりまして、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
世界経済は、アメリカの景気拡大等に導かれ、国別、地域別の相違はあるものの、全体として景気回復基調にあります。しかし、アメリカに端を発する世界的な高金利、欧州諸国を中心にした高水準の失業、世界的な経営収支不均衡、発展途上国の累積債務等幾つかの懸念材料があり、こうした状況を背景として保護貿易主義的傾向は依然として衰えを見せておりません。
我が国経済も、物価の安定が続く中で、一昨年春以降、着実な上昇を続けており、その内容も次第に内外需のバランスのとれた景気拡大過程に入っております。しかし、対外面を見ますと、経常収支はかなりの黒字を示しており、また、長期資本の大幅な流出が続いております。
こうした内外経済の動向を勘案すると、昭和六十年度の我が国経済は、次に申し述べる政府の諸施策と民間経済の活力とが相まって、実質で四・六%程度の成長を達成するものと見込まれます。
このような内外経済情勢のもとで、私は、特に次の諸点を基本として今後の経済運営に努めてまいりたいと考えております。
まず第一は、国内民間需要を中心とした景気の持続的拡大を図るとともに、雇用の安定を確保することであります。
このため、引き続き行財政改革の推進に努め、民間経済の活力が最大限に発揮されるような環境整備を行うとともに、景気動向に即応した適切かつ機動的な経済運営に努めてまいります。
昭和六十年度予算におきましては、厳しい財政事情のもとではありますが、一般公共事業の事業費について、前年度を上回る水準を確保することとしたところであり、また、今後とも景気動向に即応した適切かつ機動的な財政運営を図ってまいる所存であります。
また、民間活力の発揮の観点から、特に、先端的あるいは基盤的な技術分野等における研究開発の促進を図るとともに、今日の緊急かつ最重要の課題である規制緩和の問題につきまして、今後とも強力に推進してまいる所存であります。
第二は、物価の安定基調を持続させることであります。物価の安定は、国民生活安定の基本要件であり、特に今後社会の高齢化が急速に進行する中で、最も重要な政策課題の一つであると考えております。
今後の物価動向については、引き続き安定基調で推移し、昭和六十年度は卸売物価一・一%程度、消費者物価二・八%程度の上昇にとどまるものと見込んでおります。
今後とも物価の動向に細心の注意を払いながら機動的な対応に努め、公共料金につきましても、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して厳正に取り扱っていく考えであります。
第三は、調和ある対外経済関係の形成と世界経済への貢献であります。今や我が国は、みずから率先して保護貿易主義に対する巻き返しを図り、その国際的地位にふさわしい積極的な貢献を行っていくことが必要であります。
このため政府は、累次にわたる対外経済対策を決定し、その推進に努めてまいりました。昨年十二月の対策においては、発展途上国の経済発展に貢献するとともに、OECD閣僚理事会の合意に従い、さらには、我が国が率先して自由貿易体制の維持強化を図るとの見地から、他の主要先進国に先駆けて東京ラウンドにのっとった関税引き下げの前倒しを実施するほか、特恵シーリング枠の拡大など特恵関税制度の改善を図る等の措置を講ずることといたしました。今後とも、対外経済問題の解決に引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
今後の中長期の経済運営の課題は、来るべき時代に備えた経済社会の適切な枠組みづくりに取り組むとともに、内需中心のインフレなき持続的成長を達成するよう目指すことであります。
我が国経済はその潜在力を最大限に発揮することにより、活力に富んだ経済社会の実現が可能であると確信いたします。
私は、このような経済社会の実現を目指し、我が国経済のかじ取りに全力を傾けてまいります。本委員会の皆様方の御支援と御協力を切にお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110214461X00419850226/4
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005・降矢敬義
○委員長(降矢敬義君) 金子経企庁長官、退席されて結構でございます。
次に、昭和五十九年における公正取引委員会の業務の概略について、公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。高橋公正取引委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110214461X00419850226/5
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006・高橋元
○政府委員(高橋元君) 昭和五十九年における公正取引委員会の業務につきまして、その概略を御説明申し上げます。
昨年の我が国経済は、世界景気の回復、物価の安定等を背景に輸出が引き続き増加し、国内需要も緩やかながら増加するなど、着実な拡大を続けました。また、技術革新の進展を背景に経済のソフト化、サービス化、情報化が進むなど、経済社会の構造変化には著しいものがあります。このような中で、民間活力が十分に発揮されるような経済環境の整備を行うことがますます重要になっており、公正取引委員会といたしましては、公正かつ自由な競争の維持、促進により我が国経済の活性化、効率化を図るべく、独占禁止政策の適正な運営に努めてまいったところであります。
特に昨年は、独占禁止法違反事件の迅速な審査に努めるとともに、独占禁止法の運用基準の明確化や広報活動等により予防行政を推進いたしました。また、経済社会の構造変化の過程にあって生じる独占禁止政策上の諸問題に積極的に取り粗んだほか、下請取引を初めとする中小企業関係の取引の公正化に努めたところであります。
まず、独占禁止法の運用状況について申し上げます。
昭和五十九年中に審査いたしました独占禁止法違反被疑事件は二百九十件であり、同年中に審査を終了した事件は百九十一件であります。このうち、法律の規定に基づき違反行為の排除等を勧告いたしましたものは九件、法的措置をとるには至りませんでしたが警告を行いましたものは八十三件であります。また、一件一名に対し、二十二万円の課徴金の納付を命じました。
次に、届け出受理等に関する業務でありますが、合併及び営業譲り受け等につきましては、昭和五十九年中に、それぞれ一千二十六件、七百五九件、合わせて千七百八十五件の届け出があり、所要の審査を行いました。
事業者団体につきましては、昭和五十九年中に成立届等一千四百六件の届け出がありました。また、事業者団体の活動に関する事前の相談に対しましては適切に回答を行うよう努めるとともに、相談事例を取りまとめて公表することにより違反行為の未然防止を図りました。
国際契約等につきましては、昭和五十九年中に四千三百五十件の届け出があり、改良技術に関する制限、競争品の取り扱いの制限等を含むものについてはこれを是正するよう指導いたしました。
独占的状態に対する措置に関する業務といたしましては、ガイドラインの別表掲載の十五業種について実態の把握及び関係企業の動向の監視に努めました。
価格の同調的引き上げに関する報告徴収の業務につきましては、昭和五十九年中に価格引き上げの理由の報告を徴収しましたものは、一般用カラー写真フィルム、乗用車及び鋳物用コークスの計三品目でありました。
次に、経済実態の調査といたしましては、生産、出荷集中度調査、情報化の進展が競争秩序に与える影響に関する調査、民間企業における研究開発活動の実態に関する調査等を行いました。また、流通分野においては、家庭電気製品、オフィスコンピューター等の業種別の実態調査に基づき、独占禁止法及び景品表示法上問題のある行為につきまして、所要の改善指導を行いました。
政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度につきましては、我が国経済における民間の活力を生かし、経済の効率性を高める見地から、引き続きその見直しのための検討を行いました。
独占禁止法上の不況カルテルは、昭和五十九年に実施されたものはありませんでした。なお、独占禁止法の適用除外を受けている共同行為の数は、昭和五十九年末現在で四百四十一件となっておりますが、その大半は中小企業関係のものであります。
国際関係の業務といたしましては、OECD等の国際機関における会議に積極的に参加するとともに、アメリカ、EC等の独占禁止当局との間で意見交換を行うなど、国際的な連携の強化に努めました。
次に、下請代金支払遅延等防止法の運用状況について申し上げます。
下請事業者の保護を図るため一千九十六の親事業者に対し、下請代金の支払い改善等の措置を指導いたしました。特に不当な値引き等の案件につきましては、値引き額を下請事業者に返還させるなど、重点的に取り組みました。また、親事業者及び親事業者団体に対して下請取引の適正化の要請を行うなど、法の周知徹底を図り、違反行為の未然防止に努めました。
最後に、不当景品類及び不当表示防止法の運用状況について申し上げます。
昭和五十九年中に同法違反の疑いで調査した事件は三千五百九十四件であり、このうち、排除命令を行いましたものは二十件、警告により是正させましたものは千四百二十七件であります。都道府県の行いました違反事件の処理件数は、昭和五十九年一月から九月末までで四千二百十件となっており、今後とも都道府県との協力を一層推進し
てまいる所存であります。
また、同法第三条の規定に基づき、衛生検査所業及び旅行業における景品類の提供を制限する告示を制定いたしました。
事業者が自主的に規制するための公正競争規約につきましては、医療用医薬品製造業における景品類の提供の制限に関する規約など九件を認定し、昭和五十九年末現在における公正競争規約の総数は百二十二件となっております。
以上、簡単でございますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。
今後ともよろしく御指導のほどお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110214461X00419850226/6
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007・降矢敬義
○委員長(降矢敬義君) 以上で政府の所信及び説明は終了いたしました。
両大臣の所信等に対する質疑は後日行うことにいたします。
なお、昭和六十年度通商産業省関係予算及び経済企画庁関係予算の説明につきましては、お手元の配付資料で御了承願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110214461X00419850226/7
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