1. 会議録本文
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000・会議録情報
本国会召集日(昭和六十年十月十四日)(月曜日
)(午前零時現在)における本委員は、次のとお
りである。
委員長 戸井田三郎君
理事 稲垣 実男君 理事 小沢 辰男君
理事 丹羽 雄哉君 理事 浜田卓二郎君
理事 池端 清一君 理事 村山 富市君
理事 大橋 敏雄君 理事 塩田 晋君
愛知 和男君 伊吹 文明君
稲村 利幸君 古賀 誠君
斉藤滋与史君 自見庄三郎君
谷垣 禎一君 友納 武人君
中野 四郎君 長野 祐也君
西山敬次郎君 野呂 昭彦君
林 義郎君 箕輪 登君
湯川 宏君 綿貫 民輔君
網岡 雄君 河野 正君
多賀谷眞稔君 竹村 泰子君
永井 孝信君 森井 忠良君
沼川 洋一君 橋本 文彦君
森田 景一君 森本 晃司君
小渕 正義君 塚田 延充君
浦井 洋君 小沢 和秋君
菅 直人君
―――――――――――――――――――――
昭和六十年十一月十四日(木曜日)
午前十時一分開議
出席委員
委員長 戸井田三郎君
理事 稲垣 実男君 理事 小沢 辰男君
理事 丹羽 雄哉君 理事 浜田卓二郎君
理事 池端 清一君 理事 村山 富市君
理事 大橋 敏雄君 理事 塩田 晋君
愛知 和男君 伊吹 文明君
稲村 利幸君 小杉 隆君
古賀 誠君 斉藤滋与史君
自見庄三郎君 谷垣 禎一君
長野 祐也君 西山敬次郎君
野呂 昭彦君 林 義郎君
箕輪 登君 湯川 宏君
網岡 雄君 河野 正君
永井 孝信君 森井 忠良君
坂口 力君 沼川 洋一君
福岡 康夫君 森田 景一君
小渕 正義君 浦井 洋君
小沢 和秋君 菅 直人君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 増岡 博之君
出席政府委員
内閣法制局第四
部長 工藤 敦夫君
厚生政務次官 高橋 辰夫君
厚生大臣官房審
議官 山内 豊徳君
厚生省健康政策
局長 竹中 浩治君
厚生省保健医療
局長 仲村 英一君
厚生省保健医療
局老人保健部長 黒木 武弘君
厚生省薬務局長 小林 功典君
厚生省社会局長 小島 弘仲君
厚生省保険局長 幸田 正孝君
厚生省年金局長 吉原 健二君
厚生省援護局長 水田 努君
社会保険庁医療
保険部長 花輪 隆昭君
委員外の出席者
外務省アジア局
北東アジア課長 渋谷 治彦君
大蔵省主計局主
計官 中島 義雄君
大蔵省主税局税
制第一課長 小川 是君
厚生省保健医療
局精神保健課長 小林 秀資君
運輸省国際運
輸・観光局海運
事業課長 長尾 正和君
社会労働委員会
調査室長 石川 正暉君
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委員の異動
十月十九日
辞任 補欠選任
中野 四郎君 田澤 吉郎君
同月三十一日
辞任 補欠選任
竹村 泰子君 堀 昌雄君
同日
辞任 補欠選任
堀 昌雄君 竹村 泰子君
十一月六日
辞任 補欠選任
綿貫 民輔君 小杉 隆君
同月十四日
辞任 補欠選任
橋本 文彦君 坂口 力君
森本 晃司君 福岡 康夫君
同日
辞任 補欠選任
坂口 力君 橋本 文彦君
福岡 康夫君 森本 晃司君
十月十四日
―――――――――――――
短時間労働者保護法案(平石磨作太郎君外四名
提出、第百一回国会衆法第五号)
短期労働者及び短時間労働者の保護に関する法
律案(藤田高敏君外四名提出、第百一回国会衆
法第一三号)
母子保健法の一部を改正する法律案(平石磨作
太郎君外四名提出、第百一回国会衆法第一六
号)
児童福祉法の一部を改正する法律案(平石磨作
太郎君外四名提出、第百一回国会衆法第一七
号)
雇用保険法の一部を改正する法律案(池端清一
君外三名提出、第百二回国会衆法第一〇号)
定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等
に関する法律案(村山富市君外九名提出、第百
二回国会衆法第一六号)
家内労働法の一部を改正する法律案(大橋敏雄
君外四名提出、第百二回国会衆法第一七号)
地域福祉保健活動の推進に関する法律案(沼川
洋一君外四名提出、第百二回国会衆法第二三
号)
下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合
理化に関する特別措置法の一部を改正する法律
案(稲垣実男君外四名提出、第百二回国会衆法
第三六号)
医療法の一部を改正する法律案(内閣提出、第
百一回国会閣法第六七号)
同月三十日
保育行政の推進等に関する請願(井上一成君紹
介)(第五五号)
同外一件(和田貞夫君紹介)(第五六号)
同(左近正男君紹介)(第八四号)
同外二件(上田卓三君紹介)(第九一号)
同(左近正男君紹介)(第九二号)
同外一件(中村正男君紹介)(第九三号)
同外一件(上田卓三君紹介)(第一〇一号)
同外二件(和田貞夫君紹介)(第一〇二号)
年金制度の改善に関する請願(上田哲君紹介)
(第八八号)
同(上野建一君紹介)(第八九号)
同(金子みつ君紹介)(第九〇号)
重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(古賀誠
君紹介)(第一〇八号)
老人医療への定率自己負担導入反対等に関する
請願(小沢和秋君紹介)(第一二七号)
同(正森成二君紹介)(第一二八号)
同(三浦久君紹介)(第一二九号)
看護婦の夜勤日数制限等に関する請願(柴田睦
夫君紹介)(第一三〇号)
同(津川武一君紹介)(第一三一号)
同(辻第一君紹介)(第一三二号)
同(中川利三郎君紹介)(第一三三号)
同(中林佳子君紹介)(第一三四号)
同(林百郎君紹介)(第一三五号)
同(不破哲三君紹介)(第一三六号)
同(藤田スミ君紹介)(第一三七号)
同(松本善明君紹介)(第一三八号)
同(三浦久君紹介)(第一三九号)
同(簔輪幸代君紹介)(第一四〇号)
同(山原健二郎君紹介)(第一四一号)
健康保険本人十割給付復活等に関する請願(正
森成二君紹介)(第一四二号)
十一月十一日
国民健康保険財政の健全化に関する請願(天野
光晴君紹介)(第一四八号)
失業対策事業の六十五歳線引き反対等に関する
請願(小沢和秋君紹介)(第一五八号)
同(藤木洋子君紹介)(第一五九号)
老人医療費の患者負担増大反対等に関する請願
(小川国彦君紹介)(第一八一号)
同(新村勝雄君紹介)(第一八二号)
同外一件(田中美智子君紹介)(第一八三号)
同(中川利三郎君紹介)(第一八四号)
同(正森成二君紹介)(第一八五号)
同(松本善明君紹介)(第一八六号)
同(横江金夫君紹介)(第一八七号)
同(上野建一君紹介)(第二五〇号)
同(中村重光君紹介)(第二五一号)
同(石橋政嗣君紹介)(第三一四号)
同(佐藤観樹君紹介)(第三一五号)
同(辻一彦君紹介)(第三一六号)
同(渡辺嘉藏君紹介)(第三一七号)
身体障害者の雇用対策等に関する請願(佐藤徳
雄君紹介)(第一八八号)
医療保険制度の改善に関する請願(新村勝雄君
紹介)(第一八九号)
同(武藤山治君紹介)(第二五二号)
医療保険制度改善に関する請願(不破哲三君紹
介)(第一九〇号)
老人医療の定率負担反対等に関する請願(藤木
洋子君紹介)(第一九一号)
同(藤木洋子君紹介)(第三一八号)
老人医療への定率自己負担導入反対等に関する
請願(井上普方君紹介)(第一九二号)
同(佐藤徳雄君紹介)(第一九三号)
同(新村勝雄君紹介)(第一九四号)
同(不破哲三君紹介)(第一九五号)
同(渡部行雄君紹介)(第一九六号)
同外一件(新村勝雄君紹介)(第二四七号)
同(細谷治嘉君紹介)(第二四八号)
同(武藤山治君紹介)(第二四九号)
同外一件(新村勝雄君紹介)(第二八六号)
同(新村勝雄君紹介)(第三一一号)
同(藤木洋子君紹介)(第三一二号)
同(三浦久君紹介)(第三一三号)
健康保険本人十割給付復活等に関する請願(正
森成二君紹介)(第一九七号)
健康保険本人の十割給付復活等に関する請願
(加藤万吉君紹介)(第二四六号)
同(岩垂寿喜男君紹介)(第三一九号)
老人保健制度の拠出金増額反対に関する請願
(井上一成君紹介)(第二九五号)
同(坂口力君紹介)(第二九六号)
同(安井吉典君紹介)(第二九七号)
健康保険の本人十割給付復活等に関する請願
(梅田勝君紹介)(第二九八号)
同(野間友一君紹介)(第二九九号)
同(簔輪幸代君紹介)(第三〇〇号)
老人医療の無料化制度復活等に関する請願(浦
井洋君紹介)(第三〇一号)
同(田中美智子君紹介)(第三〇二号)
同(津川武一君紹介)(第三〇三号)
同(中川利三郎君紹介)(第三〇四号)
同(林百郎君紹介)(第三〇五号)
同(正森成二君紹介)(第三〇六号)
医療保険の改善に関する請願(中西績介君紹介
)(第三〇七号)
老人保健法の改悪反対等に関する請願(野間友
一君紹介)(第三〇八号)
老人医療の患者負担増額反対等に関する請願
(野間友一君紹介)(第三〇九号)
国民医療の充実に関する請願(林百郎君紹介)
(第三一〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れに関する件
国政調査承認要求に関する件
医療法の一部を改正する法律案(内閣提出、第
百一回国会閣法第六七号)
厚生関係の基本施策に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/0
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001・戸井田三郎
○戸井田委員長 これより会議を開きます。
議事に入るに先立ち、この際、謹んで御報告申し上げます。
長らく本委員会の委員として御活躍された元社会労働委員長中野四郎君が、去る十月二十一日、逝去されました。まことに哀悼、痛惜の念にたえません。
ここに、委員各位とともに故中野四郎君の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。
御起立をお願いいたします。――黙祷。
〔総員起立、黙祷〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/1
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002・戸井田三郎
○戸井田委員長 黙祷を終わります。御着席ください。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/2
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003・戸井田三郎
○戸井田委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
厚生関係の基本施策に関する事項
労働関係の基本施策に関する事項
社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び
人口問題に関する事項
労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関す
る事項以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。
つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/3
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004・戸井田三郎
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/4
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005・戸井田三郎
○戸井田委員長 第百一国会内閣提出、医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、第百一国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/5
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006・戸井田三郎
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
―――――――――――――
医療法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/6
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007・戸井田三郎
○戸井田委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。長野祐也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/7
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008・長野祐也
○長野委員 継続審査となっております医療法に関してお伺いをいたします。
まず、今回の法改正については、医療関係者の一部に、これは医療に対する官僚統制につながるのではないか、そういう危惧を表明する声があります。毛頭そういうことがあってはなりませんし、私は、我が国の自由診療、自由開業制度というものは堅持されていくべきであると考えますが、まず、この批判についての大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/8
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009・増岡博之
○増岡国務大臣 今回お願いしております医療法改正の中に、医療計画の策定とか医療法人についての規定の整備がございますので、間々そういう危惧の声を聞くわけでありますけれども、私どもといたしましては決してそのようなことを考えておりません。
したがいまして、医療計画そのものにつきましても、その策定に当たって、まず地元の医師会等の意見を聞いた上で、その上で作業に入ることにいたしておるわけでございます。また、決定に当たりましても、市町村や都道府県の医療審議会の意見を聞くことといたしておりますので、そのような御危惧に対しましては、官僚統制なども頭考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/9
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010・長野祐也
○長野委員 官僚統制につながるものでは毛頭ない、医療の公共性を高めるものであるという大臣の答弁の趣旨を評価をいたしたいと思います。
今の答弁は評価できるのですが、なお幾つかについて考えてみるべき問題がこの改正案の中にはあるように思われます。
まず、医療計画に関してでありますが、法文の用語が明確さに欠けるため、医師会等の関係者の間に種々懸念を生んでおるという問題がございます。
具体的に言いますと、すなわち都道府県の医療計画案の作成に当たり、診療または調剤に関する団体の意見を「聴かなければならない。」とせずに「聴くものとする。」とされている点。また、都道府県知事は、医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合には、病院の開設そのほか必要な事項に関して、病院を開設しようとする者等に対し勧告することができるようになっておりますが、この都道府県知事が勧告できる範囲が必ずしも明確ではない点。そのほか医療圏や、医療計画に記載する事項について「高度又は特殊な医療」とか「高度又は特殊な医療を提供する病院」といった表現が見られるのでありますが、これにつきましても、医療に高度であるとかあるいは中程度であるとか低度であるといった区分をされている点であります。また、医療計画の達成の推進に資するため、病院の開設者等は病院の建物や器械を病院に勤務しない医師または歯科医師の診療や研究等に利用させるように努力することになっており、このことは大変結構なことでありますけれども、これに薬剤師の方についても同様の規定を設けることが適当ではないかという点であります。
一方、医療法人に関しては、今回の法改正による法人の組織的な整備を通じまして適正な運営が期待されるところであり、民間医業経営の中核的主体として、その健全な育成を今後一層積極的に図っていくべきものと考えています。その意味において、今回の法改正により医療法人に対する指導監督規定が整備されたわけでありますが、指導監督に関し都道府県知事が行うことができる処分のうち業務停止命令、役員解任勧告、設立認可の取り消しにつきましては、法人に重大な事態をもたらすものであるため、特に慎重な手続が望まれるわけであります。このため都道府県知事がこれらの処分を行うに当たっては、あらかじめ都道府県医療審議会の意見を聞かなければならないことにすべきではないかと考えます。
また、現在の医療法人の設立要件を見ますと、診療所につきましては、医師または歯科医師が常時三人以上勤務することが求められておりますが、医師または歯科医師が常時一人または二人勤務する診療所についても、他の法人制度の例も参考としつつ法人化の道を開き、医業経営と家計とを明確に分離し、経営の近代化を図る必要があると考えます。
そのほか、資産要件について各都道府県ごとに異なった取り扱いを受け混乱を来しているといった問題や、会計年度につきましても、現在のように「四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。」という、法律で一律に決めて強制すべきではないといった指摘もなされております。これらの点についても適切な措置をとることが必要であると考えます。
最後に、複数の都道府県において医療施設を開設する医療法人については、都道府県知事の段階で法人全体の十分な監督を行うことが極めて困難であるという指摘がなされており、このような医療法人の設立等に当たっては、都道府県知事ではなくて厚生大臣の認可を受けなければならないというようにすべきではないかと考えます。このような取り扱いは、宗教法人あるいは厚生省所管の公益法人などの例もあり、私は妥当なものではないかと思っております。
これらの点につきまして、私としても所要の修正等に努力していきたいと考えておりますが、厚生大臣としての御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/10
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011・増岡博之
○増岡国務大臣 ただいまいろいろ御指摘をいただいたわけでございます。政府といたしましては、もちろん慎重な検討を重ねた結果、現在御審議をお願いしておる案を提出したわけでございます。しかし、今御指摘なさいました問題点につきましては、御主張には理解できる点や傾聴に値する面があると思うわけでございます。いずれにいたしましても、今回こうした方向で御決定なさいました場合には、これに従うことは当然のことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/11
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012・長野祐也
○長野委員 私が指摘しました点について、大臣から、理解できる点や傾聴に値する点があると答弁をしていただいたことは大変ありがたいことだと思います。私の指摘したすべてについて大臣に理解をしていただいたと考えて、次の質問に移りたいと思います。
二十一世紀を目指すこれからの医療につきましては、今回の改正案の提案の理由説明の中にもありますように、病院、診療所のあり方等を含め、医療制度について幅広く見直しを行い、時代に即応した制度の改革を図っていくことが必要であると考えます。今回の改正は、こういうような観点に立って見直しの第一歩として行われたものとしてこれはこれで評価できるわけでありますが、今後さらに検討を加えていくべき課題が山積しておると私は思います。こういう問題に対する今後の取り組み方について、大臣の所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/12
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013・増岡博之
○増岡国務大臣 病院や診療所の機能の位置づけ等にさまざまな問題があることはよく認識いたしておるわけでございます。ただ、この問題は、それぞれ過去の固有の歴史、沿革というものを持っておるわけでございまして、その位置づけ等につきましてコンセンサスを得られることはなかなか難しいと思うわけであります。しかし、これから高齢化社会に向かうわけでございまして、医療につきましての需要が増大し、かつ多様化する中で、医療需要に的確に対応するための御指摘の医療供給体制のあり方に関しましては総合的な検討が必要であり、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/13
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014・長野祐也
○長野委員 病院、診療所の薬剤師につきましては医療法の中にあるわけでありますが、薬局における薬剤師については直接この改正案の中で関連づけられておりません。しかし、今日、医薬分業が進展をするにつれまして、処方せんの調剤でありますとか医薬品情報あるいは投薬時の指導など医療に密接に関連する業務分野が拡大をしてまいっております。医薬分業推進懇談会を設置されたり、ことしの予算でも医薬分業推進モデル地区の推進等の施策が進められておるわけでありますが、この改正案の中にあります医療を提供する体制の確保には当然医療に密接に関連をします薬剤師の業務が含まれておると私は考えるのでありますが、この点についてどのようになっておるのかお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/14
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015・増岡博之
○増岡国務大臣 地域医療計画を策定するに当たりましては、まずその体制を確保するために調剤に関する学識経験者の団体の意見も聞くことといたしておるわけでございます。そのようなことから、この体制の確保の中には当然薬局薬剤師に関する事項も含まれておることは先生の御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/15
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016・長野祐也
○長野委員 将来の医師と歯科医師の過剰に対する対応が大きな問題になっておるわけでありますが、今後の医療の需要に対応した医師並びに歯科医師の養成のあり方について私はさらに検討をしていくべきであると考えておりますが、大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/16
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017・増岡博之
○増岡国務大臣 医師と歯科医師のことにつきましては、その数が過剰になるであろうということは従来から言われておったわけであります。昭和七十五年には十万人当たり医師が二百二十人、歯科医師が八十三人、昭和百年にはそれぞれ三百人、百二十一人になるというおそれがあるわけでございます。そのために厚生省といたしましては将来の需給に関する検討委員会を作成しまして、その中でいろいろ御議論をいただいたわけでございます。
昨年秋には中間意見として、昭和七十年を目途として新規参入を医師については一〇%、歯科医師については二〇%削減すべきであるという御意見をいただいたわけでございます。厚生省といたしましては、その御提言を受けまして、文部省等関係方面にも検討を願っており、文部省でも検討委員会をつくっていただいておるわけでございます。将来の需給に関する検討委員会で引き続き最終報告をいただいて今後の対策を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/17
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018・長野祐也
○長野委員 昨今医療機関の倒産ということが増加をしてきているわけでありますが、地域における適正な医療を確保するために、医業経営の基盤の安定あるいは業務の円滑な継続についてさらに検討をしていくべきであると考えますが、この点についての大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/18
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019・増岡博之
○増岡国務大臣 適切な医療を国民が受けるためには、医療機関の経営基盤が安定をして業務を円滑に継続することが重要であろうと思うわけでございます。そのために六十一年度予算要求におきましても医業経営の近代化・安定化に関する検討費を要求いたしておるわけでございます。関係の専門家や学識経験者から成る懇談会を設置して検討を進め、政策融資、経営指導等さまざまな観点から総合的に所要の措置を講ずる等の努力をしてまいらなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/19
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020・長野祐也
○長野委員 若干その他の問題に移りますが、国家公務員共済組合法の改正に伴って国共済が厚生年金並みに下がりますと、私はさきの国会で指摘をしたのですが、厚生年金基金の積立金に対する特別法人税課税という問題が起こってくるわけであります。厚生省は現在の基準にかわる新しい基準をつくらないと、当然共済法の改正によってそういう問題が起きてくるわけでおりますが、この新しい基準の検討をされておるのかどうか、この点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/20
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021・増岡博之
○増岡国務大臣 御指摘のように、このまま推移いたしました場合には課税強化がされるということでございます。しかし、この公的年金制度改革に際しましても、企業年金の役割は公的年金を補完するものとして一層高まるものと考えておりますので、その総合的な普及育成対策を進めていく方針でおるわけでございますから、今回の共済年金制度の改正に伴いまして特別法人税が課税強化されることにならないよう実質的な対策を講じていかなければならないと思っておるわけでございます。現行の基準にかわる新しい基準の設定について税務当局と折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/21
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022・長野祐也
○長野委員 現行基準にかわる新しい基準をつくって税務当局と折衝中ということなんですが、その新しい基準というのは具体的にはどういうことを指すのですか、お示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/22
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023・吉原健二
○吉原政府委員 その新しい基準として具体的にどういうものを考えるか、なかなか難しい問題でございますけれども、基本的には、私ども、今までのように国家公務員共済の年金の水準ということではなしに、民間の一般の勤労者の退職前の所得というものを勘案した、それをもとにした基準という考え方に立って大蔵省と折衝しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/23
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024・長野祐也
○長野委員 今回、この厚生年金基金の積立金に対する特別法人税課税について、現在の国共済の給付水準まで非課税とするという考え方は、こういう官民格差をベースにした物の考え方というのは諸外国に例がないわけでありまして、高齢化社会時代を迎えて、私は全く時代おくれの考え方である、この際、特別法人税の撤廃を考えるべきではないかと思いますが、厚生省の御見解を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/24
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025・増岡博之
○増岡国務大臣 諸外国の例にございますように、この年金基金は最大の努力を払って育成をしなければならない課題であるわけでございますので、当面、課税強化にならないように措置したいと考えておるわけでございまして、将来は撤廃をすべきであるという御意見は傾聴に値する貴重な御意見として承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/25
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026・長野祐也
○長野委員 傾聴に値する貴重な御意見ということなんですが、これはどうも私から聞いていると第三者的な何か傍観的なコメントに聞こえるわけで、これは、厚生年金基金は厚生省の担当であるわけでありますから、やはりこれは将来の課題という点については私も認識が一致するんですが、もう少し腹を据えて、高齢化社会を迎えて今からこの制度が伸びるか伸びないかというのはやはり税制がかぎを握っておるわけでありますから、どうしてももう少し、第三者的なコメントではなくて、もうちょっと積極的に今後この撤廃については頑張るという御決意を大臣から改めてもう一回伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/26
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027・増岡博之
○増岡国務大臣 私も先生と同じような考え方を持っておるわけでございますけれども、今直ちに将来の構想を具体化し検討しておるわけでもございませんので、そのように申し上げましたが、御趣旨はそのとおりで承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/27
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028・長野祐也
○長野委員 大蔵省税制第一課長に来ていただいておりますが、今の私と大臣との質疑のやりとりをお聞きになって、こういうような厚生省の考え方、つまり特別法人税は本来撤廃すべきものである、それから、厚生年金にかかわる新しい非課税基準を、厚生省が先ほどの答弁のような基準を出しておるわけでありますが、この二点についての大蔵省としての御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/28
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029・小川是
○小川説明員 お尋ねの第一点につきましては、退職年金等積立金に対する特別法人税は、企業の掛金が支出時に損金算入となるのに対しまして、これを受け取る従業員に対する課税が将来の年金受給時であることから、この間の課税遅延の利子分という趣旨で行われておりますので、これを廃止することは適当でないと考えております。
お尋ねの第二の点につきましては、ただいま申し上げたような趣旨を踏まえて、厚生省の御要望については現在慎重に検討いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/29
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030・長野祐也
○長野委員 その特別法人税の撤廃について、廃止することは適当でないという御見解でありますが、私はやはりこれは撤廃をされるべきものであると思います。
いわゆる企業年金制度というのは、今や勤労者の老後生活の維持向上を図るという上で公的年金制度と並んで極めて大きな役割を担っておるわけであります。諸外国にも例を見ない速さで今から高齢化社会に突入をすることが予想される我が国にあって、こういうような社会的な要請にこたえるためにも企業年金制度の一層の育成強化が早急に講じられる必要があるわけでありますが、そのためにはどうしても、そのかぎを握る特別法人税の撤廃が焦眉の急と考えております。
特別法人税は退職年金積立金の運用収益から支払われるわけであります。この運用収益は、制度加入者の受給権を保障して、さらに物価変動に対して年金の実質価値を維持する上で重要なよりどころとなっているものであります。特に最近、企業年金は中小企業も含めて幅広く普及をしておりますし、制度の定着化が進むとともに、労使双方ともこの給付改善を強く志向している。また、実質価額を維持するという意味においても強い要請が寄せられておるところであります。したがって、こうした要請に応じた制度の設計及び運営を行うためにはいこの特別法人税が非常に大きな障害となっているわけで、これを撤廃してほしいという声は極めて大きいわけであります。
ちなみに、現行の退職年金積立金に対する一%の税負担は、年金財政上年金給付額を二〇%改善する原資に相当する極めて過重な負担になっておるということを御理解いただきたい。ゆえに特別法人税の撤廃を強く要望いたしたいと思います。きょうは、この議論をやりとりをしておっても今すぐ結論が出ることではありませんので、強く撤廃を要望しておきたいと思います。
二番目の、厚生省の新しい基準に対する大蔵省の答弁を伺っておりますと、国共済が改正をされても現行基準をそのままにしてすぐ課税強化をするというのではなくて、新しい基準を設けたいという厚生省の要望に対して、大蔵としては白紙の立場で検討をしている、そういうふうに理解をいたしました。ぜひそういう方向で、白紙の立場で厚生省の要望について御検討をしていただきたいと思います。
なぜそのことをこだわっておるかといいますと、厚生年金基金の積立金にかかわる特別法人税につきましては、公的年金の給付抑制との関係で今後ますますその役割が期待をされる、ある調査によると、公的年金で五割、残りの老後生活を維持するためにはやはり現役時代の六割がなければいかぬ、その一割のギャップを埋めるものがこの企業年金の制度であるというような指摘もあるわけで、企業年金の育成強化というのは、国の施策としても、高齢化社会を迎えて極めて重要な役割を果たしておる、そういう認識からであります。
さらに、中小企業の従業員も含めまして現在六百七十万人、厚生年金基金に加入をされている。これは全サラリーマンの四分の一に当たるものでありまして、そういうサラリーマンの四分の一に関係をされる人々の老後保障にかかわる問題であること、しかも、今まで実質的に非課税で来たものが課税強化をされるということは、これらの人々の期待権を著しく損なうことである。そういうようなことからも、ぜひとも、この現行の課税基準を見直して、課税強化にならないように、大蔵におかれても、税の面だけではなくて、この高齢化社会時代にふさわしい企業年金の今から果たすべき重要な役割という立場から、大局的な判断で処置をされるように強く要望をしておきたいと思います。
それから、来年度の予算で、建設省が流水占用料構想、農林水産省は水源税構想というものを出しております。水道水を徴収対象とした場合、水道事業の健全な経営に支障を来し、ひいては、国民のほとんどを占める水道利用者に新たな負担をもたらすことになって、大変問題が大きいと思うわけであります。両省がこのような構想を出しました背景や事情はわからないわけではないわけでありますが、さりとて、治水事業や森林整備事業の財源不足を水道事業者や水道利用者に肩がわりさせることには私は大いに疑問があると考えます。この問題について、水道事業を所管をされる厚生大臣の所見をこの機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/30
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031・増岡博之
○増岡国務大臣 両省が考えておられます治山治水、森林整備等は、これは国の政治としての基本的な部分に当たるわけでございます。したがって、当然一般財源で措置されてまいりましたし、今後もそうあるべきだというふうに思っておるわけでございます。特に、これらの事業は水道を利用する人に直接利益をもたらすとは限っておりませんので、御指摘のように、水道の利用者に新たな新しい負担を課することになるということで妥当ではないというように考えております。
またさらに、厚生省としては従来から水道料金の高騰を抑制するために水道整備について補助を行っておるわけでございまして、このような観点からも、水道にかかわる国民の負担の増加をもたらすようなこの構想には反対でありまして、特に空気の次に大切な水、その水に対していわば一般消費税のはしりみたいなことを適用するということに対して全く反対でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/31
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032・長野祐也
○長野委員 ただいま大臣の大変心強い答弁を伺いましたので、ぜひ建設省、農水省の方に対しても今の大臣のお考え方をひとつ明確に示されて、しっかりした対応をさらにお願いを申し上げておきたいと思います。
最後に、中国残留日本人孤児の問題についてお尋ねをしたいと思います。
この問題は、中国政府の協力や関係方面の努力によりまして大変前進が図られておるわけでありますが、中国にはまだ訪日していない孤児が大変多数いると聞いております。戦後四十年もたちまして関係者も高齢化していることから、これらの方々の肉親捜しは早急に進める必要があるということを私どもも新聞やテレビの報道を通じて痛切に感じるわけであります。
また、今後多くの孤児とその家族が日本に永住帰国をすることが見込まれるわけでありますが、これらの方々の受け入れ態勢を充実をさせて、日本社会に円滑に定着をさせることが重要な課題となっております。政府は孤児の肉親捜しや日本社会への定着促進対策を積極的に進めて、問題の早期解決に努めるべきであると考えますが、大臣の御見解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/32
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033・増岡博之
○増岡国務大臣 御指摘のように、戦後四十年経過したわけでございますので、肉親が高齢化しておられるという問題もあり、また記憶が薄れるということもあるわけでございますので、これは一日も早く早期に解決をする必要があるということで全力を挙げて取り組む所存でございます。
ちなみに、昭和五十九年度の訪日調査は百八十人でありましたけれども、六十年度に倍以上の四百人にいたしました。さらに来年は七百人をすべて日本に迎えて、おおむね訪日調査は完了できるように概算要求をいたしておるところでございます。
したがいまして、そのようなことから、今後帰国される孤児が大量になる時代を迎えると思います。それに対処いたしましては、中国帰国孤児定着促進センターがございますけれども、これを定員を倍増いたしまして、現在三百三十名でありますけれども、六百六十名を収容できるようにいたしたい。と同時に、同センターは約四カ月間の集中的な語学並びに生活指導でございますけれども、そのセンターを退所しました後の孤児が各県で定着をいたします。その定着先でのさらなる日本語の指導、生活指導等の自立促進対策を拡充強化するよう概算要求いたしておるところでございまして、これらの予算につきましては、孤児問題の早期解決のためにその実現に全力を傾ける所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/33
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034・長野祐也
○長野委員 かつて佐藤総理が、沖縄が復帰しなければ日本の真の戦後は終わらないということを言われたことがありますが、私はこの中国孤児の問題が終わらなければやっぱり真の日本の戦後は終わらないと考えております。大臣初め厚生省当局の大変な御熱意あるいはボランティアの皆さんの献身的な御努力によって、今の答弁のように大変前進をしてきた問題であります。どうか大臣を初め御当局のさらなる努力を心から期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/34
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035・戸井田三郎
○戸井田委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。網岡雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/35
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036・網岡雄
○網岡委員 二つにわたりまして御質問いたしたいと思います。
一つは、朝鮮民主主義人民共和国に、今日もなお戦争という厚い壁の中で肉親と散り散りばらばらになりながら望郷の念に駆られている残留孤児と残留者の問題につきまして質問をしたいと思います。
今、中国孤児問題が日本人の大きな共感を呼びながら一定の前進の方向にあるとき、中国よりも日本に近い国でありながら、朝鮮民主主義人民共和国に、今日でもなお戦争の壁のために親子兄弟と散り散りばらばらになっている残留孤児や終戦前から共和周に残留者として残っている人たちがかなりあると推測されます。当然これは、日本の国内にもこの人たちの肉親がかなりいると考えられるわけでございます。
現に私はここに、さきに訪朝しました社会党訪朝団に手紙を託して、金日成主席に切々と肉親の情を訴えた年老いた母親の手紙を持っています。一文を読まさしていただきます。
私は、あの悲しい戦争のため貴国で娘と別れて以来四十年、八十二歳になります老婆です。
今は親戚先に身を寄せていますが、私にとって肉親は貴国に在住の娘一人となりました。
別れて以来、毎日のように娘のことを思っていましたが、余命幾ばくもない私の年齢を思いますと、生きている間に一度でいいから会いたいと願う思いは募るばかりです。
早く日朝両国が自由に往来できるようになればとずっと待ち望んでいましたが、現状ではあとは主席閣下の御高配を仰ぐほかはございません。
どうか入国を御許可いただき、私と娘の願いをかなえてやってください。お願いいたします。こういう、親一人子一人、たった一人の娘を異国に残してきた年老いた母親の心境は、私まことに察するに余りあるものがございます。
さらにまた、こういう人もあるわけです。かつて北朝鮮に孤児として残留し、中国を経て日本に帰られた三浦安子さんは、英紙を通じて、「私の友達の男性で、今も北朝鮮に住んでいる日本人残留孤児がいます。中国孤児だけでなく、どうか北朝鮮の残留孤児にも目を向けてください。」と訴えています。この母親や三浦さんの訴えをかなえてやってこそ、戦後処理の国の責任は果たすことができると思うのでございます。
そこで、北朝鮮残留孤児及び残留者問題について二点にわたって御質問したいと思います。
まず第一点は、共和国における孤児を含めた残留者は一体何名ぐらいおると厚生省はつかんでおみえになるか、また、これらの人々を厚生省は今日まで、人道的な見地あるいは終戦処理の見地から見て、どのような解決策をとっておみえになったか、まずその点についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/36
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037・水田努
○水田政府委員 お答え申し上げます。
日本におります留守家族から未帰還者の調査依頼を受けておりますものの数は現在八十三名でございます。そのうち終戦時に十二歳以下のものは十六名含まれております。
なお、このほかに留守家族の同意を得まして戦時死亡宣告をいたしましたものが千三百六十名ございます。
次に、これら留守家族の心情を酌んで、これまでどのような努力をしてきたかというお尋ねでございますが、御案内のとおり、北朝鮮とは国交がございませんので、赤十字社のルートを通じて過去二回、昭和三十五年と四十九年に未帰還者の名簿と戦時死亡宣告をした人の名簿を提示いたしまして消息の調査を依頼いたしました。また、五十三年に国会議員団の方が、日朝友好議員連盟訪朝団の方、それから社会党参議院代表団の方が訪朝された機会にも、同じく留守家族名簿その他を託しまして消息調査を委託したところでございますが、残念ながら今日まで北朝鮮の方から御回答をいただけない状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/37
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038・網岡雄
○網岡委員 一応の経過の御説明がございましたが、これは我が国と共和国との間の正常な国交が回復していないということが一番大きな点だと思います。これは本件のきょうの質問とは離れておりますから言及することを私は避けますけれども、四十年間にわたる共和国に対する我が国の対応、そして旅券発行の際に記入してある、旅券として通用しない国は朝鮮民主主義人民共和国だ、こういうような対応というものが一つの壁になっているということは私指摘せざるを得ないと思います。したがって、今御答弁がありましたようなそういう結果になっておると思うのでございますが、私は最近注目すべき流れが三つほど出ているということに注目したいと思うわけでございます。
その一つは、国内の一つの運動として、朝鮮残留日本人孤児に会いに行く会というのを、かつてこの問題に非常にかかわりを持っておみえになりました名古屋在住の森下圭二さんを初め多くの人が呼びかけ人になりましてつくっておみえになります。そして独自の活動をしながら孤児や残留者を含めまして五十人ほどを捜し当てて、これらの人々の日本の肉親にアンケートを出しました結果、十三人の家族から、こちらから共和国へ行って肉親に会おうではないか、こういう希望が寄せられているということでございます。したがって、この組織は一つの草の根運動として大きな広がりを今後見せていくという点で国内世論の高まりがどんどん来ているということの一つのあらわれだと思うのでございます。
それからもう一つの流れといたしましては、共和国側の対応でございます。これはことしの六月、社会党愛知県本部訪朝団が参りました際に、朝鮮赤十字会中央委員会常務委員の金師萬氏と残留者及び残留孤児の問題について意見交換をいたしました。その際、厚生省側にも対応したような、我が国には残留孤児はいない、こういう従来の共和国側の答弁を繰り返してはおりますけれども、しかし個人的な見解ということで断りながら、もし残留者や残留孤児がいるとするならば朝日両国の赤十字支社が人道的問題として取り上げ協議すべきだと思う、こういう答弁を金師萬氏がなさったといわれておるわけでございます。これは従来の共和国の非常にかたくなな態度から見ますと雪解けを思わせるような一歩前進の姿が出てきているというふうに私ども観測をいたしておるわけでございます。
一方、日本側の赤十字はどうかということでございますが、去る十一月六日、先ほど申しました森下圭二氏が、人道上の問題として朝鮮残留日本人孤児に会いに行く会が共和国へ訪問したいというふうに思っているんだから、これは人道的な見地に立って取り組んでもらいたい、こういうことを日赤の渡辺晃一外事部長に申し入れをいたしましたところ、渡辺部長からは、共和国の孤児を含め残留者についての申し入れは初めてである、できるだけ力になりたいと答えられておると某紙は伝えております。
私もそのことを確かめる意味で、昨日、渡辺さんにお会いいたしまして確認をいたしました。その結果、この要請は人道上非常に聞かなければならない問題であるので、できるだけ力になりたいと私は考えている、この際、私の考えを申し上げるならば、私どもは力になりたいと思っておるけれども、厚生省が持っている例の肉親から申し出があった八十三名の名簿あるいは戦時死亡宣告をしたといわれる千三百人の名簿、これらをもう少し精査をしたような形で整理をいただいて、それを資料として日赤側に提示をいただきたい、そういう資料の提供あるいはその他援助をいただくようなことを政府側として積極的にやってもらいたい、そういうことが行われるならば我々は朝鮮側の赤十字と話し合いをする考えですということを非常にはっきりおっしゃっているわけでございます。
以上、三点の最近の流れからいいまして、厚生省がここで日本赤十字社に対して交渉の基礎となるべき資料を提供するなどの援助を行いますならば、朝鮮と日本の赤十字のこの問題に対する会談は開かれる見通しを持っているというふうに私は思うわけでございますが、これらの点について厚生省は一体どういう援助、援護をされるように考えておみえになるか、この際、考え方を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/38
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039・水田努
○水田政府委員 今先生からお話がございましたように、北朝鮮側が大変従来と違った態度を示しているやに私どもも仄聞いたしておりますので、せっかく愛知県の名古屋の社会党の委員長さんが道を開いてきていただいているようでございますので、要するに日赤ルートで未判明の方の肉親捜しについて北朝鮮側の御協力がいただけるということならば、それに必要な資料の提供というものについては厚生省も前向きに協力してまいりたいということは、既に日赤と非公式に接触してそういうお互いの打診を始めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/39
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040・網岡雄
○網岡委員 最後に、この問題の最高の責任者である厚生大臣からお答えをいただきたいと思うのでございます。
この関係者は、当時一歳にいたしましても四十一歳、二十であれば六十歳、こういうことでございまして、大半は六十歳を超える高齢者であるという実情にございます。したがって、一日おくれれば一日おくれるだけ肉親に会う喜びを味わわずにこの世を去るという可能性もあるわけでございます。したがって、この種の問題は緊急な課題ということになるわけでございますから、まず第一点、関係者の消息の確認、それから北朝鮮に会いに行きたいというふうに希望を持っておみえになりますし、これらの五十名の中の十三名くらいはお互いに文通をされているという実情もございます。したがって、肉親に会えるような道が開かれるように、日赤を通じてそのことが行われるための厚生省としての最大限の援助をやっていただけるようにお願いしたいと思うわけでございますが、厚生大臣の決意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/40
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041・増岡博之
○増岡国務大臣 先ほどから承っておりまして、従来からいろいろ言われておりました北朝鮮に在留されるいわば孤児と申しますか、そういう方々の消息がある程度わかり始め、外交関係はございませんけれども、向こう側から赤十字を通じてというせっかくの話し合いの糸口を見つけていただいたわけでございますので、これから厚生省並びに赤十字本社を督励いたしまして、一日も早くそのようなことが具体化するように努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/41
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042・網岡雄
○網岡委員 それでは、時間がございませんので、次の問題に移りたいと思います。
次は、参議院におきましても問題になりました名古屋におきます紘仁病院の問題につきまして若干お尋ねをしていきたいというふうに思います。
まず、確認事項でございますから長々の答弁は要りませんから、何月、何日、何時、こういうことで言ってもらえばいいのですから、簡潔に言ってください。
一つ、入院年月日及び時刻、二つ、市に同意入院申請書を提出した、これは中村保健所に出したと言われているのですが、それの年月目、それから市長同意書を交付した年月日、それを言っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/42
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043・仲村英一
○仲村政府委員 入院年月日は四十年十一月二十三日でございます。入院の時刻については不明でございます。
患者の入院に際しまして文書によって名古屋市長への同意の申請をいたしましたのは、病院側の記録によりますと、四十年十一月二十三日でございます。
一方、名古屋市の中村保健所の受付印は四十一年二月二十六日となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/43
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044・網岡雄
○網岡委員 十一月二十六日ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/44
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045・仲村英一
○仲村政府委員 四十一年二月二十六日が中村保健所の受付印の日時でございまして、名古屋市長の同意書が出されたのは、四十一年四月二十五日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/45
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046・網岡雄
○網岡委員 それでは二つ目の確認ですが、十月二十三日の参議院の決算委員会の際、本岡委員の質問に仲村政府委員が答えておみえになるのでございますが、それをちょっと読みます。「名古屋市長の同意自体については患者の入院時点で電話により、所轄の保健所でございますけれども、同意を得たものというふうに理解しておるわけでございます。」こういうふうにお答えになっておりますが、所轄の保健所に電話をしてということと入院時点というのは一体いつを示しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/46
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047・仲村英一
○仲村政府委員 先ほど日時だけということで省略させていただきましたけれども、患者の入院に際しましては、電話で名古屋市に同意を求めたということで前回もお答えしておるのは事実でございます。ただし、その時点でどういうやりとりがあったか、対応者がだれであったかという具体的な事実は、実は申しわけございませんが、二十年前のことで不明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/47
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048・網岡雄
○網岡委員 そうすると、入院時点に電話をしたということは、十一月二十三日に電話をしたということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/48
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049・仲村英一
○仲村政府委員 その点が確かではございませんが、十一月二十三日ないしは翌日ぐらいではないかと私なりに想像しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/49
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050・網岡雄
○網岡委員 それは、二十三日または翌日と、どっちなんですか、入院時点というのは。二つもあるわけがないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/50
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051・仲村英一
○仲村政府委員 申しわけございませんが、事実関係はそういう意味でははっきりしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/51
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052・網岡雄
○網岡委員 事実関係のないものを入院時点と時期を明確に答弁をするというのは、質問者に対する答えとしてはそれは極めて不誠実ですよ。
そこで、次にお尋ねをいたしますが、電話確認ということは一体いかなる法的根拠を持っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/52
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053・仲村英一
○仲村政府委員 精神衛生法上、電話による同意について直接規定しているものはございません。同意入院の要件を定める精神衛生法の第三十三条におきましては、「保護義務者の同意があるときは」ということで規定されておりまして、同意の事実がある限り、電話による口頭の同意でも違法ではないと私どもは考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/53
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054・網岡雄
○網岡委員 今のお答えは私、問題だと思いますね。
ここに名古屋市の市長同意を求める際の手続要件を書いた書類がございます。それによると、これはちゃんとまず住所、氏名、不明なら不明ということを書いて、病状、診断の結果、当人の状況というものがちゃんと報告をされて、入院の必要ありというものが示されなければいかぬよというように書いてあるのです。書面の場合は、全部申請書及び調査書というものが出まして、それを全部チェックをしてから初めて同意をするということになっているのです。
電話というのは、やった場合に、それは何をやるのですか。本日、ただいまより入院をしますよ、よろしいですかということをやるだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/54
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055・仲村英一
○仲村政府委員 先生も御承知のように、市町村長が保護義務者となりますのは、家族等の保護義務者がないとき、あるいはこれらの保護義務者がその義務を行うことができないときと定められているわけでございまして、具体的には、病院の申請により精神障害者の居住地の市町村が保護義務者となるわけでございます。
したがって、実際に市町村が保護義務者として患者の入院につき同意を行うに当たりましては、入院を必要とする精神障害者であるということの医師の診断、ほかに保護義務者がいないか、または保護義務を履行することができない事情等が明らかにされるということが必要であると思うわけでございますが、その際に、ただいま御指摘のように電話による同意の場合もこういった点について聴取されておるというふうに考えておりますが、名古屋市の実務上の様式には、先生が御指摘のように、申請書あるいは保護義務者の調査書というものの内容を確認しておるものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/55
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056・網岡雄
○網岡委員 これはまた後で議論しましょう。
次へ移ります。
本岡氏の質問に答えて、所管の保健所に電話をし、こういうことになって同意を確認をしたことになっておりますね。それで間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/56
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057・仲村英一
○仲村政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/57
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058・網岡雄
○網岡委員 間違いないですね。
言いますけれども、名古屋市の同意書の申請に関する手続の仕方がここに書いてあります。それを見ると、病院管理者はまず保健所に申請するのです。あなたが言ったとおりです。しかし、保健所は相談員しかおらぬのです。医者はいないんだ、担当の精神科は。したがって、保健所の任務というものは、病院から持ってきた申請書を名古屋市の衛生局の中にある、これは恐らく所管課は保健予防諜だと思いますが、そこへ進達をする行政行為しかないのですよ。保健所の段階で同意をOKとかイエスとかノーと言う権限はないのです。これは進達義務しかないのです。それを参議院における答弁で、あなたは保健所に電話を入れて同意をとったと言っている。真っ赤なうそですよ。保健所にそんな権限はないのです。どうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/58
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059・仲村英一
○仲村政府委員 同意書の作成は市長が行うというふうになっておるのは御承知のとおりだと思いますし、事務手続上、三十六条におきまして十日以内に同意書を提出するということが法律で規定されておることは御承知だと思いますが、その権限がどこまで及ぶかということにつきましてはちょっと承知しておりませんので、後刻調べてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/59
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060・網岡雄
○網岡委員 そんなことは、問題が起きてから、きょうはもう十一月の何日ですか、十四日ですよ。あの事件が起きてから既に三カ月たとうとしているのですよ。僕はちゃんと見ましたけれども、県の医務官が、厚生省の職員が来て、十日も二十日もついてちゃんと調べたじゃないですか。こういうことはちゃんと調べておるはずじゃないですか。それを今さら調べてみなければわかぬなんて、そんなことおかしいですよ。こういうインチキの答弁をして、そしてその出てきた事件をごまかそうとするのは国会軽視ですよ、これは。
時間がありませんから、次に移ります。
それで、さっきの入院時点ですが、入院時点というのはどういうことですか。はっきり言いますが、十一月二十三日にやったのですか、電話は。どうなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/60
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061・仲村英一
○仲村政府委員 まことに申しわけありませんが、電話についての日時は不明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/61
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062・網岡雄
○網岡委員 日時が不明ということは、それはおかしいですよ、あなた。それでは、いつやったか調べてください。一切の書類がないと言われますけれども、後で調べてください。
次に、法制局にお尋ねをいたします。
三十六条は入院周け出の条項が書いてあるわけでございます。御案内のように、三十六条の規定は、十日以内に届け出をするということと、もう一つの義務条項は、同意書を添える、こういうことになっております。本件の場合は、同意書が添えてなかったわけであります。そういうことになると、同意書が添えてないということは三十六条の必要条件を欠いているわけですから、この届け出行為というのは違反ということになると思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/62
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063・工藤敦夫
○工藤政府委員 お答え申し上げます。
ただいま先生御質問の精神衛生法の三十六条でございますが、ここでは精神病院の管理者が保健所長を経て都道府県知事に届け出るべき事項を書いてございます。また、その要件は、ただいま先生おっしゃいましたように、「十日以内に左の事項を入院について同意を得た者の同意書を添え、」こういうことになっております。したがいまして、その要件を本来満たすべきだということでございますが、一方、同意入院につきましては三十三条でその同意入院の要件が書いてございます。そこでは「保護義務者の同意があるとき」、こういうふうに規定しております。そこにおきます同意は必ずしも文書によるとまでは解されないのではないかということでございます。
ただ、当然のことながら事後に文書で確認すべきでございますし、その文書の確認をしました上でそれを添付するというのが当然のことかとは思いますが、口頭による同意入院というのがそれ自身で違法となるわけではない、かようには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/63
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064・網岡雄
○網岡委員 これは精神衛生法をやる行政官の教科書のような法律詳解ですが、ここの三十六条のところの解釈を読みますと、確かに法制局が言われたように、同意については「法律的には書面によることを要しない非要式行為であるが、」と一応断っておりますけれども、しかし「病院の管理者は、本条によって十日以内に同意書を都道府県知事に届け出なければならない義務を課せられているので、入院に先立って同意書を徴しておくべきであろう。」これは通常の場合こういうふうになっておるわけであります。
したがって、法制局ですからもう先刻御承知だと思うのでございますが、衛生法に違反をすれば、これは刑法二百二十条の監禁に値することになるわけでございますから、逮捕なんかの場合何人も令状がなければやれない、こういう代物でございます。そうだとするならば、電話一本で、今言われたように、二十年前で何もわかりません、こういうようなずさんなものでこの人の場合には二十年間も拘禁をする、こういうことになっちゃったわけですけれども、こういうずさんなことで二十年間も拘禁するようなことが法治国である日本で堂々まかり通っていく、こういうことが許されることなんでしょうか。
そして三十六条に示された「同意書を添え」ということは、同時にそのことは、三十三条の同意行為においては裏返しとして同意書が必要ですよと、十日以内には出さなければいかぬわけですから、それを同意をするときには既にとっておく必要がある。ただ様式については、市町村同意とかあるいは親の同意とか妹の同意とかがありますから、様式は問わない。しかし、いずれにしても文書でとるべきだというのが原則じゃないですか。
そうすると、これは三十六条の要件に少なくとも違反しておるということだけは間違いないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/64
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065・工藤敦夫
○工藤政府委員 繰り返しのお答えになりますが、ただいま先生おっしゃったように、様式は決まっておりません。したがいまして、事後――もちろん望ましいのは事前でございます。これはもちろん事前であることが望ましいわけでございますが、事後におきましても文書で当然確認すべきものとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/65
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066・網岡雄
○網岡委員 後でまとめのところで、この問題はきょうの質問だけで終わりませんから、時間がないからこれは飛んでいるのですけれども、次にまた法制局に一遍聞きます。
もう一つは、三十三条の同意入院ですね。この場合に、市長同意と親族による同意と二つあるわけです。これは後で具体的な事実を出しますけれども、市長同意だけで、しかも五カ月もたった後で、さっき答弁があったように同意書が出されている。そのことはともかくといたしまして、市長同意だけでこれは二十年間いっちゃったわけですね。
ところが、一般原則としてお尋ねしますが、市長同意と家族同意と二つがありますけれども、家族同意というもの、親族同意というものがとられるような条件にあった場合は、そういう場合に市長同意で物事を処理していったという事実が後でわかったとしたら、それは違法ですか、適法ですか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/66
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067・工藤敦夫
○工藤政府委員 ただいまのお尋ねの件でございますが、いわゆる同意入院の際に当然保護義務者の同意が必要であるわけでございますが、市町村長が保護義務者となりますのは精神衛生法の二十一条であったかと思いますが、二十一条に規定いたしますように、後見人その他二十条の二項に規定いたします保護義務者がないか、いわゆる後見人とか親権を行う者、こういうことでございますが、そういった二十条二項に規定する保護義務者がないかあるいはこれらの者がその義務を行うことができないとき、こういうときに限られるわけでございます。
したがいまして、病院の管理者が、同意入院の必要がある患者がいるという場合には、その者について当然にまず二十条の保護義務者がいるかどうか、これは確認すべきだとは思いますが、そういう者がいないときに初めて市町村長に同意を求めることになる、これが法の建前であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/67
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068・網岡雄
○網岡委員 そこで、市長同意だけでいった場合はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/68
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069・工藤敦夫
○工藤政府委員 その場合に、さらにお答え申し上げますと、そういう意味で入院時に二十条の保護義務者の有無の確認ができなかった、こういう場合には、市町村長を保護義務者として求めるわけでございます。その場合には、病院の管理者としてはさらに保護義務者の有無の確認までその後続けていく法的な義務があるとまでは言えないのではないか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/69
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070・網岡雄
○網岡委員 もう一度法制局、両方でいいです、この場合答えてください。病院管理者に、やらなければいかぬという行為の義務はあるけれども、法的に義務はないというふうに今法制局おっしゃいましたけれども、それじゃ病院管理者側にそれがないとするならば、市長同意をしたわけでしょう、そうすると、市長同意をした名古屋市役所は、家族同意をとっていく条件があるとするならば、それはやらなければいけない法律的義務を負うんじゃないですか。どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/70
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071・工藤敦夫
○工藤政府委員 ただいま申し上げましたように、入院時に保護義務者の有無の確認ができない、そういうことでそれを極力やったけれどもできない、時間的な制約がある、こういうことで市町村長が本来の保護義務者がいない場合に限ってそういうことになるわけでございます。したがいまして、その後におきましても市町村長が保護義務者に確認をすべきであろう、かようには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/71
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072・網岡雄
○網岡委員 すべきであろうということと、法律的責任があるかと私は聞いているんですよ。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/72
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073・工藤敦夫
○工藤政府委員 その場合におきます法律的責任ということの意味でございますが、当然、市町村長が同意を与えたわけでございますが、そういう意味で市町村長が本来の保護義務者を探してその人にさらに同意を求め直す、こういうことが当然のことであり、法的責任というところで……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/73
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074・網岡雄
○網岡委員 法制局がそんなことを言っておってどうなるの。どうなんですか。はっきりと言ってくださいよ。バスケットじゃないですが、ロスタイムですから。――こんな重要なところを答えられないでどうするんだね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/74
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075・工藤敦夫
○工藤政府委員 当然市町村長のやるべきこととして考えられますが、法的責任とおっしゃられるその義務であるというふうなことあるいは法的責任であるというところまでは、ちょっと私も言いかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/75
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076・網岡雄
○網岡委員 そうすると、ひとつ確認をしていきますが、最先順位からいって家族同意をやられるような事態になってきた場合には、市長同意をやっておるけれども直ちに家族同意を求めるということをしないでずっとそのまま放置した場合は、これは三十三条違反行為ということになりますね。いいですね、これは。どこであるということは言わずに、三十三条違反であることは間違いないですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/76
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077・工藤敦夫
○工藤政府委員 お答え申し上げます。
三十三条の点は、精神病院の管理者がいわゆる「保護義務者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を入院させることができる。」ということでございますから、当然何らかの意味での保護義務者の同意が必要だろう、これはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/77
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078・網岡雄
○網岡委員 図表にすると、あなたの言っていることは何を言っておるかわからぬということになるのですよ。いいですか。法制局というと法解釈の最高責任者ですよ。それがこの具体的なものまで出してどちらに法律的な責任があるかということを聞いておるのにわからぬというようなことで、一体法の運用ができるのですか。答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/78
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079・工藤敦夫
○工藤政府委員 今の御質問に対するお答えでございますが、保護義務者に関する規定は二十条から二十二条まで書いてございます。そこで、二十条で本来の保護義務者ということで後見人、配偶者、親権を行う者及び扶養義務者、当然これが保護義務者となる、こういうことでございます。
ただ、二十一条におきまして、そういった保護義務者がないとき、あるいは保護義務者がその職務を行うことができないときに初めて市町村長がこれにかわり得る、こういうことでございます。したがいまして、先ほどの本来なるべき人、。なるべき人の中には家庭裁判所の選任などという行為が必要なこともございますが、そういう人がいるときには当然市町村長ではなくて本来のといいますか二十条で定めた人が保護義務者となるべきであるし、その者の同意をとるべきである、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/79
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080・網岡雄
○網岡委員 そうでしょう。それをやらずにずっときた場合にどうなるかということを聞いているのです。――それはもう聞いている。そのことはわかっているわけです。法律を読めば幼稚園でもわかりますよ、そんなことは。それをやらなかった場合どうなるかということを聞いているんだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/80
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081・仲村英一
○仲村政府委員 市長が保護義務者となっておりました間に、いろいろ行政側としても、先ほど申し上げたような順位で保護義務者がいないかどうかを調査するわけでございますが、このケースの場合には母親の所在が判明したこともございますが、その際に子供である患者の保護を忌避したという経緯もございまして、そのまま市長が保護義務者となっていることと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/81
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082・網岡雄
○網岡委員 その問題はちょっと宿題で残しておきますから、ロスタイムのままでいきますよ。
そこで、まずそこのところの本論に一遍移りましょう。これ同じ資料を、私も同意書なんかは後で提出してもらいたいと思っています。これだけ問題点があるわけですから出してもらいたいと思いますけれども、さきに出された香流病院、これは今の紘仁病院ですけれども、四十年十一月二十三日付で入院届というものが出ております。この入院届は十一月二十三日ですから、この書類にインチキがない限りは十一月二十三日の時点で四日市市――黒で囲ってあります。しかし、この中は中八幡町となっておったはずです。市長同意書の中にもそういうように中八幡町と書いてあったはずです。それは僕の言うとおりであるかどうか後で答えてください。そして千八百十番、こういうようになっているのです。
そうすると、不明である不明であると言っていますが、おまけにこのAさんは本籍地と現住所は同じなんです。ですから、四日市の市民課に問い合わせれば一秒で決まったのですよ。電話でもいいのです、これは。ただ正確な表示でなかった。間違っているのじゃない。きちっと実際の、真実の住所をAさんは言ったのですよ。私はきのうから四日市の市民課長と電話でやりとりいたしました。もしこういうものが文書で問い合わせがあるならば、私どもは不明ということは絶対答えません。ちゃんと新旧対照表がありまして、中八幡町と書いてあれば八幡町ということだということはどんな職員にもわかるようになっています。したがって、不明というような回答をすることは絶対ありません、こう言っています。
理由を言いましょう。四日市市中八幡町千八百十番は実際あった町名なんです。Aさんはちゃんとはっきり言っているのです。しかもこれは十一月二十三日の時点でわかっているのですよ。そして昭和三十八年三月四日、市議会の本会議において住居表示変更の条例が可決されているのです。この三月四日の住居表示変更条例の可決によって中八幡町という一般的通称の名前が八幡町に変わったのです。しかも三十八年ですよ。入院したのは四十年の十一月二十三日だ。二年と六カ月です。二十年の話と違うのですよ。二年六カ月だったらどんな職員でも、新旧対照表があって、中八幡町千八百十番とくれば一発でわかるようになっているのです。
そうすると、こういう本籍地の住所が明記されている段階で、何が不明ですか。しかもこのAさんは現住所と同じなんですよ。問い合わせればわかることなんです。それをやらなかったというのは一体どういうことなんですか。やらなかったことは間違いない。やらなかったから不明で五十年まで打っちゃったのです。その時点でちゃんとはっきりわかっておればこれは家族の同意が求められるはずじゃないですか。まず、その辺のところを答えてもらいましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/82
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083・仲村英一
○仲村政府委員 私どもの承知しております範囲では、福祉事務所から当該住所地へ問い合わせをしたところ不明であったということで聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/83
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084・網岡雄
○網岡委員 だから、さっき私が申し上げたでしょう。これが間違いだったら私は責任を負いますよ。ちゃんと市議会の議決だ。そして三十八年五月一日から実施。それから名前を言いましょう。たしか吉川春海さんという課長です。その人は、時間がないから言いませんけれども、中村福祉事務所から問い合わせたと言われる。町名も少し違っていた。番地も少し違っていた。四けたのものが三けただったという。これは知能犯だと私は思うのですが、そういう問い合わせであっても私どもは不明という回答はいたしません、必ずわかるはずです、こういうふうに答えておるのです。
まして、ここに書いてある、いいですか、申請書に書いてあるのは実際に実存した住所、本籍地をAさんはきちっと言っているのですよ。この書類は全部行っているのですよ、県庁にも行っているのですよ、入院届け書ですから。これは名古屋市にも行っているのですよ、当然。本籍地がなかったということになればだれでもが疑問を持つじゃないですか。待てよ、不明ということはおかしいぞ、すぐ問い合わせるというのは、私、課長だったらすぐやりますよ。こんな当然なことがなぜできないのですか。厚生省は最高の責任を持って調査をなさって、これはなぜわからなかったかということを、なぜ今まで疑問をお持ちにならなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/84
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085・仲村英一
○仲村政府委員 先ほどもお答えしたとおりでございまして、住所地の表示が違ったためではないかと思いますが、患者の住所地が確認できなかったという報告を受けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/85
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086・戸井田三郎
○戸井田委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/86
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087・戸井田三郎
○戸井田委員長 速記を始めてください。
網岡君の残された問題については、きょうじゅうに回答をしていただくということで、次の質問に……。
森井忠良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/87
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088・森井忠良
○森井委員 質問したいことはたくさんあるのでありますが、当面、非常に大事な問題について絞って御質問を申し上げたいと思います。
一つは、十年ぶりに行われました、また行われつつあります原爆被爆者の実態調査の問題であります。これは要綱によりますと、被爆者の方々の調査は既に十月十六日の投函で締め切っているわけでありますが、どれくらいの回答率なのか明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/88
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089・仲村英一
○仲村政府委員 お尋ねの昭和六十年度の原爆被爆者実態調査の中間集計でございますが、全国で申し上げますと回収率八〇・三%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/89
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090・森井忠良
○森井委員 二割ぐらいの人が回答してないわけでありますが、これは締め切ったのですか、それともまだ回答していない方をさらに発掘して、期限は過ぎておるけれどもさらに回答を求めるという立場なのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/90
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091・仲村英一
○仲村政府委員 せっかくお答えいただく調査の内容でございますので、事務的に間に合います限りできるだけ回収率を高めるように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/91
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092・森井忠良
○森井委員 多くの方に回答してもらうための努力は今継続中ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/92
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093・仲村英一
○仲村政府委員 御承知のように、事務的に締め切ってはおりますけれども、各県にまだぽつりぽつりと来ておるようなことも聞いておりますので、それは私どもが別途何らかの方法を通じて集めるように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/93
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094・森井忠良
○森井委員 私も調査票を拝見しましたけれども、被爆者の皆さんがかなり高齢化していますから、書きにくい問題もあるのですね。したがって、若い人が手助けをしてあげて、あるいは専門的な方がいろいろ助言をしてあげて、八〇%というのは見方にもよりますが決して十分じゃないと思うわけです。我々はもともと国勢調査に合わせてやれという要求を今までしてきたわけでありまして、申し上げるまでもありませんが、国勢調査はいろいろな努力をして、例えば当日公園で浮浪しておられる方にもちゃんと面接をして、言うなれば一〇〇%もしくはそれに無限に近い数字が出ているわけでありますから、やはり八〇%というのは決して十分じゃない。
したがって、出てくる回答を待つということじゃなくて、もう一回、十月十六日の締め切りはあるが、まだ間に合いますよという広報を出して努力をすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/94
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095・仲村英一
○仲村政府委員 御指摘の方向で検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/95
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096・森井忠良
○森井委員 次に、この点は極めて残念至極なんでありますけれども、今回の調査は、過去、昭和五十年あるいは四十年に調査をしたものとやや違いまして、死没者調査を大々的にやるということでありました。確かに今まで国は原爆で亡くなられた方の数字をつかんでいないという問題があったわけでありますから、死没者を調査して今後の行政の役に立たせるという大きな目的があったわけであります。そういたしますと、私もことしの春の当委員会でも指摘をいたしましたけれども、三十七万前後の被爆者手帳をお持ちの方の調査だけでなしに、可能な限り死没者に対する関係資料を集めるということがございました。厚生省の方もそれをお認めであったわけであります。
ですから、三十七万人前後の被爆者手帳をお持ちの方からの当時の関係資料の発掘やら、あるいはそういった方々の肉親あるいはその友人、知人等で亡くなられた方の調査に応じていただくというそれがありました。これが大きな柱ではありましたけれども、それ以外にもう一つは、死没者調査をするために、例えば企業でありますとか学校でありますとかあるいはその他の官公庁でありますとか、そういったところでお持ちの死没者の名簿、あるいは場合によっては病院ではカルテ等もあるかもしれません。今申し上げましたその種の、被爆者手帳をお持ちの方以外の調査も同時に広く行う、私どもも説明を受けておるわけであります、こっちの方はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/96
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097・仲村英一
○仲村政府委員 先生御承知のように、今回の実態調査につきましては、死没者調査につきましても非常に重要な柱として調査委員会にも御検討いただいたわけでございます。その結果、生存被爆者の現状把握のための調査のほかに、二本目の柱といたしまして原爆死没者の実態把握のための調査という項目も入れでございます。その中で、現在生存されておられます原爆被爆者の被爆時の家族等の状況についてもお書きいただくように、先ほど御指摘ありましたようにちょっと調査票も複雑になりましたけれども、その項目も入れでございます。それから、その他知人等につきましても、もし情報があれば書いていただくような欄も設けておりまして、それについて被爆関係の資料もあれば知らせてほしいというような形で情報を収集する調査を実施したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/97
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098・森井忠良
○森井委員 ですから、被爆者手帳をお持ちの方々に対する調査項目としては、それはそれでよろしい。しかし、同時に、先ほど言いました学校、企業、団体、そういったところへの調査というのは、これは本当に皆さんの御努力に対してちょっと申しわけない言い方になりますけれども、極端に言いますと全くやってない。
それは要するに、今度の被爆者調査の、特に死没者に関しては、これは車の両輪でありまして、一つは、被爆者の皆さんからそういった関係資料も含めてお聞きをするということ、もう一つは、直接国、都道府県等が個々の学校なり企業なりから、例えば昔でいえば軍需充足会社なんというのがあるわけですから、これは援護局等はリストもちゃんとお持ちのはずでありますから、あらゆるそういった関係団体等について、例えば文書なり調査員を派遣するなりして関係資料の収集をしなければならない、この点が落ちておったわけですね。それはお認めいただけるでしょう。
だから私の立場は、遅まきながらもやってほしい。できるだけいろいろな資料を集めた上で死没者を把握するということに尽きるわけでありますから、今申し上げましたように、個人の調査以外に団体の関係資料を集める調査というのはおくれておった、このことをお認めの上で、これからでもまだ遅くないわけでありますから、積極的にやってもらいたいと思うが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/98
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099・仲村英一
○仲村政府委員 御指摘のとおり、私どもも調査票から直接収集できる情報のほかに、今おっしゃいましたような名簿でございますとかいろいろ収集すべきデータもあろうかと思います。したがいまして、そういう御要望におこたえすると同時に、私どもの使命といたしましても、死没者の関係資料を収集するにはどういうふうなことをしたらいいかということで、実は協議会を発足させようと思っておるわけでございまして、これは広島県、長崎県、広島市、長崎市の担当の課長さん方と私どもと、お集まりいただきましていろいろ協議をしたいということで、間もなく第一回の協議会を開こうということで考えております。
その際には、先ほども御指摘ありましたけれども、個別のお医者さんからカルテを持っておるというふうな通報もございますので、例えばそういうものも当然重要なデータとして参考にさせていただきますし、その他死亡診断書でございますとか同窓会の名簿でございますとか、そういういろいろな資料を集めるように努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/99
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100・森井忠良
○森井委員 やや具体的になってきました。私の場合は、あなた方の非を責めるのではなくて、知恵を出し合って調査の目的を達成しようということでありますから、第一回の委員会、広島、長崎等にも集まっていただきまして実務者の会議を開いていただくということでありますが、そういったところでたたき台ができればいい。あなた方が任命した調査委員会等もあるわけでありますから、そういったところからも意見を聞く。それから、先ほど言いましたが、厚生省の中でも、検討すればまだこういう項目があるということもあると思いますので、そのように具体的にこれから進めていただけるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/100
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101・仲村英一
○仲村政府委員 今御指摘の方向で私ども精いっぱいの努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/101
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102・森井忠良
○森井委員 その場合に、やはり予算の関係もあるのでしょうけれども、八千万余りの予算は大方そこで使ったのかどうかわかりませんが、例えば関係団体に通知を出す、あるいはその関係資料の提出のために協力をいただく、すべて予算を食うわけですね。一番いいのは大きく新聞広告なり雑誌の広告等で呼びかけるという方法もありますし、皆さんの活動がよければマスコミの方々も取り上げてくれると私は思うのです。そこらとの兼ね合いで、これは予算もそう大きな金額ではないと思うので、いずれにしましてもそういった働きかけをやっていただけますね。一言でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/102
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103・仲村英一
○仲村政府委員 やらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/103
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104・森井忠良
○森井委員 次に、私も今気がついたのですが、三十数万の被爆者の方々に設問をして資料の所在等を求めるわけですから、上がってきたものを今度はどう名簿等を取得してコンピューターに打ち込むかという相当の作業があると思うのであります。そうなってきますと、単に回答を求めただけではなくて、被爆者の方々が回答されれば、ここにこういう資料がありますよというのが相当多数出てぐるのじゃないか。
そうすると、持ってくるまで待つというわけにいきませんから、必要なものについては一々取り寄せる作業が要るだろうと思うのです。相当な人手を食うと思うのですね。あなたのところの企画課の人数というのは知れておりますし、都道府県とて、今申し上げましたように三十数万の方から出てくるのですから、全部じゃないにしても、相当数こういう資料がありますよということになれば、調査も大変ですし、場合によってはそういった被爆者のところへ行って見せてもらったりという作業が要るわけであります。相当な人数が要りますが、これに対する対応はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/104
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105・仲村英一
○仲村政府委員 おっしゃるように、直接出向きますと大変なことになりますが、御承知のように原爆の事務は保健所でもやっておりますので、全国八百五十の保健所を必要に応じて動員するということも可能でございますので、多少費用はかかるかと思いますけれども、情報の収集に欠けることのないように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/105
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106・森井忠良
○森井委員 この問題の最後ですが、これは増岡厚生大臣にもお聞きをいただきたいわけですけれども、引き合いに出すのが余りいい例でないのでありますが、現在の事務次官は吉村仁さんであります。彼は社会保険庁長官を経験していない。なぜかといいますと、保険局長が忙しかったからです。あの健保の審議がずっと続きまして、結局保険局長に健保の法案が片づくまでとどめおいて、保険庁長官を通らないで事務次官におなりになった。私は、人事の配置としてはそういうことも当然あっていいと思うんです。
ところが、先ほど申し上げました十年ぶりの大がかりな被爆者調査をするときに、事もあろうに担当課長が転勤になる。配置がえになる。それから将来解析までしてくれるんだろうと思って期待をしておりました、今、保健医療局というのですか、保健医療局の企画課の企画官もいなくなる。今転勤しまして結局空席のままです。
こういった毎年やるような調査でない、十年に一遍の調査、しかも率直なところ、関係の方々が相当情熱を燃やして一生懸命に作業に従事しておられるさなかに、局長もかわったわけでありますから、大変わりであります。これはどうでもいいんじゃないかというふうに勘ぐりたくなるなるぐらいに私は今残念でなりません。新任の局長や課長が悪いというわけではありませんよ。事務引き継ぎは当然しておられますけれども、やはり機微に触れる問題では相当な落ちが出るし、これは大変だと思うわけであります。今もってまだ企画官の補充もない。したがって、これは人事配置上私は極めて遺憾であると思います。
これは大臣、大変恐縮でありますけれども、今の御認識に立って、何か御所見があればお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/106
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107・増岡博之
○増岡国務大臣 企画官の問題につきましては、ほかのある局の課長が病気で倒れましたので、その人事の一連として行われたわけでありますが、もちろん早急に補充すべき問題であることには間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/107
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108・森井忠良
○森井委員 欠員がございますから、人事の問題ですから、もう答弁は要りませんけれども、十分私の意のあるところをお酌み取りいただきまして、体制の整備のために御努力いただきたいと思います。
次に、韓国人被爆者の渡日治療の問題であります。
これは在韓被爆者渡日治療実施に関する合意書に基づいてやっておられるわけでありますけれども、来年の十二月でこれは期限が切れることになっております。しかし現地の状況を聞いてみますと、まだ相当渡日して治療したいという患者がおられるというふうに私ども認識をいたしております。したがって、この合意書が切れることに対して、一体厚生省としてどのように措置をされるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/108
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109・仲村英一
○仲村政府委員 御指摘の在韓被爆者の渡日治療の問題でございますが、合意書の期限は、御指摘のとおり来年の十一月末で切れるということになっております。
私どもといたしましても、人道上の見地からこの制度が始まったという経緯も踏まえまして、また相手国でございます韓国政府の意向も外務省を通じて確認した上で適切に処理をしてまいりたいと現在考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/109
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110・森井忠良
○森井委員 とりあえず事務的にお伺いをするわけでありますが、来年の十一月末で合意書の期限が切れるわけですが、そうすると、来年度は今年度と同じようにおやりになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/110
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111・仲村英一
○仲村政府委員 六十一年度の予定は七十五人ということで計上されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/111
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112・森井忠良
○森井委員 とりあえず七十五人おやりになるということでありますが、韓国の方々と会って聞いてみますと、来年度は二百人ぐらい欲しい。まあ要望ですから、私も無理もないと思うわけでありますが。いずれにいたしましても、もっと継続をしてもらいたいというのは韓国の被爆者として当然のことであります。無理もないのですね、いっぱいおられるわけですから。
そこで、その合意書の期限が切れますと失効になるわけですけれども、ほっとくこともないと思うのですね。ですから、外交ルートを通じて、来年期限が切れるがどうしますかというふうな話し合いを既にしておられなければならぬと思うわけでありますが、これはいかがですか、外務省からでもよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/112
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113・渋谷治彦
○渋谷説明員 もちろん私どもも韓国人被爆者の渡日治療が引き続き行われることが望ましいと考えております。
現在、厚生省とも相談の上、在韓国の我が方大使館を通じ韓国政府の意向を打診中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/113
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114・森井忠良
○森井委員 ありがとうございました。あの協定書は、期限が切れてもどっちが先に言い出すか書いてない。その意味では、日本側の積極的な姿勢を評価したいと思うのです。
ただ、例えば日本政府として、これは当然お医者さんを含む係官を派遣していただきまして、現地で事前に調査をした上で人選を進めているわけでありますけれども、百人という日本政府の計画があっても、韓国側の都合で、例えば六十人にしろというふうに人数を減らされてくる可能性があるんですね。それはなぜかといいますと、渡航費が韓国持ちになっておるわけです。日本にお見えになれば、ちゃんと被爆者手帳に基づいて一定の治療その他ができるわけでありますけれども、そういう形になっておるわけです。問題は、やはりそういう意味で、経済的な理由が一つあるのではないか。
それから、韓国政府、なかんずく保健社会部等のお考えが、毎年きちっといってない。やはり人事異動があるものですから、中身の濃い薄い等があって困っておるわけでありますけれども、申し上げましたように、私が調べた範囲では、例えば来年度は二百人にしてほしい、それ以降も何とか継続をしてだんだん分厚くしてほしいという要求があるわけであります。この点については、局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/114
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115・仲村英一
○仲村政府委員 昭和六十年度の実績は約六十人でございまして、六十一年度は七十五人ということで、私どもとしては御指摘のような方向で努力したつもりでございますけれども、韓国政府の意向もありますので、そこのところは非常に難しい問題もあろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/115
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116・森井忠良
○森井委員 問題点だけ指摘をしておきますと、例えば日本も含む民間団体からボランティア資金を出して、渡日費用ぐらいは見ようじゃないかという動きもある。これに対してどう対処していくかということが一つ。
それから二つ目は、仮にそういうふうなボランティア資金でお金が出せても、韓国政府としてはやはりそこまでしたくないという、韓国の内政問題が絡んでおると私見ておるわけであります。その辺ありますから非常にデリケートな問題でありまして、ここで皆さんの答弁をいただこうとは思いませんけれども、私としては、ボランティア資金も含めて、もし韓国側に財政的な、予算的な制約があるのならそこまで踏み越えてもいいのじゃないかという感じがしておりますので、この点については十分御検討をいただいておきたいと思います。これは回答は要りません。私の願望だけは、この際、明確に申し上げておきたいと思います。
次に、遺骨送還の話であります。
既に厚生省には、五十八年、五十九年、二年間にわたって壱岐、対馬の現地調査をしていただきました。あの終戦直後、母国へ帰ろうとされた徴用工の方々が枕崎台風、阿久根台風などなどによって遭難をされて相当数の方が亡くなられた、それに基づいて明確に、非常に高い確度で調査をしていただいたわけでありますけれども、依然としてまだ遺骨が母国に帰っていない。私が申し上げたいのは、その一点であります。
つまり、二回にわたって調査をしていただきまして、そして現地の壱岐、対馬で一部民間団体が発掘をされて、もちろん役場の立ち会いのもとにされて、事実上厚生省の手が省けたという点もあるわけですけれども、いずれにしても、結論からいけば百二十数体もしくは百三十柱前後の遺体が明らかになり、そしてそれぞれの手で埋葬され、今具体的に言いますと芦辺町の納骨堂それから広島県福山市の福泉坊、二カ所に分けて仮安置がしてあるままであります。申し上げましたように、調査は去年終わりました。もちろん調査に行く前もこれは外交ルートを通じて韓国側の了解を得、それから調査が終わりまして、その結果も外交ルートを通じて韓国側に報告をするという形になっておるわけであります。
私が漏れ承っておるところによりますと、ことしだけでも二回にわたって韓国側と外交的な話し合いが行われた、公式か非公式かは別にいたしまして、そういう形になっております。本当に遭難をされたのがわかっておって、しかも政府の手で、これは恐らく国内では初めてだと思うのでありますが、発掘調査が行われた。にもかかわらず、依然としてまだ我が国内に眠っておるということは、私は人道上本当に気になるわけであります。まず外務省にお伺いしたいのでありますけれども、一体これは、外交交渉でおくれておるのはどこに理由があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/116
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117・渋谷治彦
○渋谷説明員 この問題につきましては、我が方の在韓国大使館を通じまして韓国側の意向等を照会しておりますけれども、残念ながら、目下のところ回答がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/117
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118・森井忠良
○森井委員 先例もありまして、かつてB級、C級の軍人の戦犯の方々を送り帰したという例があるわけでありますが、これはちゃんと金浦空港などで、金浦だけではないけれども、引き取ってもらって、そして大使等を通じて一定の慰霊の措置がとられてきておりますね。聞きますと、韓国政府も、自国のそういう戦争の犠牲者でありますから、したがって、韓国政府もそれぞれ慰霊の措置をおとりになったと聞いておるわけであります。
今回、回答がないと言われましたけれども、二回にわたってことしても一応接触しておられるわけでありますから、これは外交交渉の機微に触れる問題ですから私はこれ以上は質問をいたしませんけれども、非常に延引しておるということについては遺憾でありますし、これは私の想像でありますけれども、遺骨だけ持っていっても、そうですかと引き取っていただけるにはやや人道上の配慮に欠ける。例えば埋葬に要する費用でありますとか、遺族に対する、日本で言えばお線香代、お灯明料のようなものがやはりついていってほしいという当然の気持ちもあると私は思うわけであります。
申し上げるまでもありませんが、その大部分は強制的に日本に連行された徴用工の方々であります。そこのところに視点を当てれば、私は、韓国側からどういう申し出があったかわかりませんけれども、一年以上この問題について韓国側からまだ全然回答がないということについては、今申し上げましたが、そういった埋葬料等のいわゆる財政的な問題、さらにまた、韓国側の遺族の方々のお気持ちも大事にしなければなりませんから、そういったお気持ち等があると思うのです。
ただ、ここで明らかにしておきたいのでありますが、日本におきます韓国人の方々の団体、例えば居留民団の方々、私もいろいろ話を聞かしていただくわけでありますが、やはり一刻も早く母国へお帰し願いたい、そういう関係団体のお気持ちもまたはっきりしておるわけであります。したがって厚生省としては、そういった観点を踏まえて今どういうお考えなのかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/118
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119・水田努
○水田政府委員 この問題につきましては、一昨年の三月、先生から、ひとつ人道的な立場から対処するようにということで、先ほどお話がございましたように、外務省と厚生省が協力し合いまして壱岐、対馬で調査をし、四十五柱の遺骨を収集いたしまして、民間で既に収集されております八十柱と両方合わせまして、かつての戦犯の遺骨の送還等の場合と同じく、外務省の御努力によりまして一日も早くこの御遺骨が祖国の地に帰れるようにということで鋭意外務省の方の御努力を願っているところでございまして、今彼安置されております二カ所の寺院については、私どもがいわゆる粗末に当たるようなことがないように関係の自治体を通じて十分配意を今後もしてまいり、先生の御指摘のとおり一日も早く御遺骨が祖国に帰れるように願っているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/119
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120・森井忠良
○森井委員 外務省、回答がありませんということでしたけれども、申し上げましたように、これは外交の機微に触れますから、これ以上は私は言いたくないのですけれども、いつまでも放置しているのも困るわけですね。事前に韓国側の了解を得て現地調査をしたという経過もあるし、調査の結果もきちっと報告してあるわけでありますから、したがって、多分私が想像したような問題があって問題が前に進まないのじゃないかという感じもしますけれども、いつまでも待つわけにいかない。したがって、これからどうしようとされるのか、この点について外務省にお伺いをしたい。
それから厚生省に対しては、先ほど言いましたように、いつまでも二カ所に分かれて、しかも仮安置されているのはまずいという気持ちがするのだけれども、その点、率直な感想だけ聞かしていただきたいと思います。一言でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/120
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121・渋谷治彦
○渋谷説明員 外務省としても、この問題は人道問題として重視しておりますので、委員御指摘の方向で引き続き努力してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/121
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122・水田努
○水田政府委員 私どもも、率直な気持ちを申し上げますと、いつまでも日本で仮安置という姿にしておくのは、御遺族のお気持ちを思いますと適切なことではないと考えておりますが、やはりこれは両国間のデリケートな問題があるものですから、それ以上の措置を、本安置することによって祖国に帰れないというような印象を与えるようなこともやはり問題だと思っておりまして、これは一日も早く祖国に戻すという形が一番至当な姿ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/122
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123・森井忠良
○森井委員 大臣、最後に、この問題もうお聞きをいただいたと思うのでありますが、大臣としての一層の御努力をいただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/123
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124・増岡博之
○増岡国務大臣 この問題は前から言われておりまして、担当者、厚生省、外務省、それぞれ鋭意努力をしてくれたと思うわけでございます。しかし、何分にも年月がたっておることは大変申しわけないことでありますので、人道上の見地から、今後この問題解決のために鋭意努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/124
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125・森井忠良
○森井委員 外務省、もういいです。
あと五分ですが、最後に老人保健法の問題についてお伺いをしたいと思います。
これは近年まれに見る不評を買っておりますね。例えば加入者按分率一〇〇%の問題、患者からいけば一部負担の二・五倍増、これは予算の概算要求の段階でありますが、厚生省としては伝えられておるとおりにやろうとしておるのかどうなのか。一言でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/125
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126・黒木武弘
○黒木政府委員 老人保健の改正についてのお尋ねでございますけれども、私どもは、老人医療費をどう適正化するか、それからまた、その医療費をどう公平に負担するかというのは非常に重要な問題だと考えております。この点、施策全般にわたりまして、あるいは現行制度につきましても見直しをする必要があると痛感いたしております。そのため、一部負担の引き上げ、按分率の引き上げ、そのほか、診療報酬、それから中間施設、老人ヘルス事業等の充実を行う予定にいたしておりますけれども、ぜひこれはお願いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/126
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127・森井忠良
○森井委員 これから国会提出までにはまだいろいろな手続があるわけですね。ですから、私が見たところ、あんな案ではもう関係審議会の同意は得られない。反対があってもあなた方は国会に出すのかもしれませんけれども、ひとつ厳重に警告を申し上げておきたいと思うのです。
例えば一部負担にしても、今外来一診療科目について月額四百円、これを千円にする。二・五倍の引き上げであります。例えば風邪で三日間通院したという場合は、私の計算によりますと、三千数百円しか要らない。健保本人の一割負担でいきますと、これは一割だから三百五、六十円で済むわけです。お年寄りはそれからも千円取るのかという問題が出てまいります。第一、二・五倍の引き上げなんというのは常識に反する。どうせ修正されると思って出すのかもしれませんが、これはまかりならぬ。明確に申し上げておきます。
それから被用者保険で、例の加入者按分率、六十一年度は八〇%、そして六十二年度は加入者按分率一〇〇%となっております。これは老人保健審議会の権限を越える。申し上げるまでもありませんが、老人保健法の五十五条によりますと、拠出金の算出の仕方については二つある。第一は医療費按分です。これが五十五条第一項の一号に書いてある。医療費按分が基本なんです。そして、二として加入者按分となっている。率直なところ、医者代がたくさんかかるところに全部負担をかけるというのは問題があると私は思いますので、その意味では、フィフティー・フィフティーというあの法の趣旨は、いろいろ不満もあると思いますが、医者代が要るところが五〇%、それから、そうはいうものの、お年寄りの少ないところからも応援しようじゃないかというので五〇%、いい線だと思うのです。法律制定のときには、余り拠出金がふえてはいけないというので老人の増加率に限ったという経過もあります。
いずれにいたしましてもこれは大変な改悪でありまして、今申し上げました加入者按分率一〇〇%というのは、法律の本則、五十五条に決めてあります医療費按分率をゼロにするわけでしょう。制度として取っ払うわけです。法の附則四条では、確かに三年後に見直しと書いてありますけれども、これは拠出金の算定方法について三年をめどに見直す、こうなっておるのでして、医療費按分率をゼロにしろとは書いてない。したがって、まだ間に合いますから、通りもしない法案を出すのではなくて、深くもう一遍考え直す、関係団体とも十分話し合いをする、そういう姿勢があるのかないのか、最後に聞いて、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/127
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128・黒木武弘
○黒木政府委員 まず一部負担の外来千円が過重ではないかというお尋ねでございますけれども、確かに、先生御指摘のように、治療費が少ない場合には過重になるわけでございますけれども、私どもとしては、外来一件当たりで見ますと、一万数千円通常は平均でかかっておるわけでございます。それからお年寄りにふさわしいということで定額制をとっております以上、どうしてもそういうケースが例外的に出てくることはやむを得ないことだと思っておりますが、千円程度はぜひお願いをいたしたいと思っていあわけでございます。
それから、加入者按分率一〇〇%でございますけれども、一〇〇%にいたしましても、私どもは加入率の格差は調整いたしますけれども、そのベースになる老人医療費の実績というものは反映される仕組みになっておりますので、その点、基本的な考え方に変更がなくて、加入率の調整をより公平にするということで御理解いただきたい。
それから、附則の関係でございますけれども、三年後に見直しとなっております。これは三年後の状況を踏まえまして按分率の見直しということになっておるわけでございますけれども、私どもの理解は、施行後の状況の変化、それから見直す際に当たっては法の理念であります、国民が公平に負担するという理念に立った形から見直すというふうに理解をいたしておりまして、法の「検討」の趣旨に沿った見直しであると考えておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/128
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129・森井忠良
○森井委員 この問題は、概算要求の段階で今私の感想を申し上げたわけでありまして、当然、関係審議会にかかれば、私も関係審議会の委員の一人でもありますので、そういった場、あるいは法案が提案されればこの国会の場でまた改めて議論をするということを申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/129
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130・戸井田三郎
○戸井田委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時八分休憩
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午後一時二十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/130
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131・戸井田三郎
○戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/131
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132・河野正
○河野(正)委員 時間がございませんので、余り多岐にわたって申し上げるわけにはまいりませんが、一言だけ。
午前中の審議の経過を承っておりまして、全く政府側の無定見といいますか、ある意味においては、国会で真剣な審議が行われておるにもかかわらずああいった無定見な政府の態度では、やる方も熱意がなくなるでしょうし、また国民の信頼もだんだんと薄れていくのではなかろうか、こういうふうに私は思います。
質疑に立つ前に、前日それぞれ政府当局と議論の突き合わせはしておるわけですね。でございますから、ある日突然出てきたという問題ならこれは別ですけれども、もう前日そういった問題点というものはお互いに交換されておるわけですから、やはりもう少し的確な質問に対します対応、そのことによって国会で事実関係を明らかにしていく、そのことによって国民の国会に対する信頼、あるいはまた我々の政府に対する信頼、こういう関係というものが生じてくると思うのです。どうも午前中の議論を聞いてまいりまして、実は私どもは心から憤りを感じておったわけです。
そういう意味で、質問に入ります前に、ひとつ大臣から今後の国会審議のあり方に対する決意のほどをここで明らかにしていただいて、その上に立って私も若干の質疑を行ってまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/132
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133・増岡博之
○増岡国務大臣 国会ではやはり真実が議論されるべきだろうと思いますから、その真実に対して誠実にお答えを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/133
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134・河野正
○河野(正)委員 そこで、私のほかにも若干同じような問題点で御質疑があるそうでございますから、できるだけ重複しないように、私なりにその立場を生かしながら質問をいたしたいと思います。
第一は、今、社会的にも世界的にも国際的にもエイズの問題というものが非常に大きな関心といいますか、ある意味におきましては非常に大きな脅威を与えておりますことは御案内のとおりでございます。我が国においてもやはりそういった脅威があるわけでございます。
御案内のように、既にAIDS調査検討委員会、これは順天堂大学の塩川名誉教授が委員長に就任なさっておるわけですが、この委員会でいろいろ検討を加えておるわけでございます。その調査検討委員会の委員長、塩川名誉教授の発言によりましても、今アメリカあるいはアフリカ、そういうところでエイズ患者が非常に多発しておる。しかし、日本も残念ながらこの半年間に二けた――二けたというのは十一名ということでございますが、そういった患者が出た。そして、残念なことにはその治療法というものがまだ定かでない。確固たる治療法がない。それからまた、いろいろな検査、確認というものが今日の情勢では非常に難しい。こういう問題点があるわけです。
そこで、まず最初に承っておきたいと思いますのは、こういうふうに世間で騒いでおるエイズ問題でございますが、政府としては、なるほど調査検討委員会もつくってはおられますけれども、後ほど申し上げますけれども、これはエイズ患者であったかなかったか、そういうことを認定する、そういう意味での検討委員会であるというふうに私どもは承知をいたしております。でございますから、やはり各専門域においてエイズ研究というものが積極的に行われるということになりますれば、単に今の調査検討委員会が今日やっておりますように果たしてこれがエイズの患者であったかなかったかということだけでは、これはもう満足すべき状態ではなかろうと思うわけです。
そこで、我が国においてもエイズ患者が多発する、もう半年間で二けた起こってきた、そういう実情に対してどういう方針で臨んでいかれようとするのか、冒頭まずそれをお伺いをいたしておきたい、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/134
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135・仲村英一
○仲村政府委員 ただいまお尋ねのAIDS調査検討委員会でございますが、五十九年九月から発足しております。十二名の専門家によって構成されておりますが、臨床医学、ウイルス学、免疫学等の分野にわたっておる専門家でございまして、御指摘のように医療機関から報告されましたエイズの疑いのある症例の検討を行っておりますが、同時に、内外の最新の情報に基づいた検査、治療法あるいは予防方法等についても検討をいただいて拓るわけでございます。
その結果といたしまして、本年の七月には、私どもといたしまして、エイズ患者は発生時にどのようなことに留意したらよいかということで各都道府県の衛生担当部局に通牒を配付するようなこともやっておるわけでございます。
御承知のように、エイズに関しましてまだ未解明な部分が非常に多くございまして、直ちに恒久的な長期的展望を確立するのは非常に困難だと考えておりますが、今後ともこの調査検討委員会におきまして、内外から収集した知見を整理していただくなり、あるいはそれに基づきましてエイズ対策をさらに改めて充実していきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/135
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136・河野正
○河野(正)委員 このエイズの特徴というものは、例えばアメリカにおきましても、全米五十州、まあすべての地区に起こっておる。要するに、地域に限定されるということじゃなくて非常に広範囲で起こる、あるいはまたアフリカ中部でも今大流行、こういう状況でございますから、したがって国際的にも国内的にも非常に大きな関心を持たれたということになろうと思うのですね。
ところが、この政府の対応というものがどうも鈍い、こういう感じがいたします。事実、塩川教授が心配されておりますように、とにかく半年間托二けたの患者が日本でも生じた。しかも死亡率性御承知のように非常に高い。十一名やそこらの患者ですから断定して言いにくいと思うけれども、死亡率が半分以上という状況でございます。したがって、やはり爆発的に流行してくるということになれば、やはりその事前の対応というものが極めて重要な意義を持つと私は思うのですね。ところが、その対応の仕方が非常に鈍い。きょう午前中の議論を聞いておりましても、貴重な時間の中でもう何の審議が行われているか、私どもはさっぱりわからぬ。ああだこうだ、ああだこうだ。それで結局午前中は審議が終わっておるという状況であることは御案内のとおりです。
ですから、午前中のものは事実関係に対する、まあ正しかったか正しくなかったかということでしょうけれども、今度のエイズの問題というものは、とにかく物すごい勢いで患者がふえていく、そしてまた非常に死亡率も高い、それで今の段階では治療方法というものがないということですから、これはやはり積極的に取り組まぬと、いつ日本が、アメリカじゃないけれども全地域でこのエイズ患者が続発するという危険性なしとしないというのが実情だと思うのです。それに対応するだけのことを具体的にしていただかなければならぬ。言葉の先でそれは大変です、何とかやります、午前中の審議は大体そういうことに尽きておった。具体的にこういう対応をするのです、そして国民に対して安心感を与えていくということにならなければならぬと思うが、どうも私どもずっと今までの経過を見ていますと、対応が鈍いように思います。この点についてひとつお答えいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/136
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137・仲村英一
○仲村政府委員 御承知のように、エイズという病気は潜伏期の長い疾患でございますし、診断も非常に難しいという点はございます。しかし、私どもも情報を入手して以来、まず国内の的確な情報をつかむということが第一ではないかということで、協力医療機関というものを依頼いたしまして、そこから情報を集めるといういわゆるサーベイランスのシステムをしいたわけでございます。その結果、先ほどから御指摘ございますように、ただいままで十一名の患者の発見がなされておるわけでございますが、そういう形で今後も引き続きサーベイランスを実施していくというのがまず第一重要なことではないかと考えております。
さらに、検査が非常に難しい検査でございますので、その検査ができるような機関をもっとふやしていくことでございますとか、さらに一般の方々の予防につきましての広報活動あるいは衛生教育等に重点的に力を入れていくほかないと思っております。先ほども最初のところで申し上げましたように、外国の知見もいろいろあるようでございますので、できるだけ収集に努めまして予防対策の方へ反映させていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/137
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138・河野正
○河野(正)委員 その第一の情報収集といいましても、このエイズの場合、情報収集が非常に難しいですね。例えば同性愛だとかあるいは売春婦とか、いろいろな形でこのエイズは広がっていくわけでしょうが、それらはなかなか、あなたは同性愛ですかというようなわけにはまいりません。そこで第一の情報収集にいたしましても非常に困難性がある。
それから第二の検査、これはずっと触れていきますけれども、アメリカでは抗体に対する反応試薬というのがもう既に生産化された、こういうことも言われているわけでしょう。それから、一般の啓蒙といいますかPRといいますか、これをしましても、今度は受けた方にただエイズに対する恐怖感を与えるでしょう。与えるでしょうけれども、ならば、いわゆる同性愛がこれで減るのか、あるいは売春がなくなっていくのかといったら、それはなかなか難しい。
そういうような困難性があればあるだけ具体的に積極的な対応が早く確立されなければならぬ。ここで我々だって具体的な対応はどういうことがあるのかなかなか言いがたい。ですけれども、それはやはり政府ですから、先ほどから申し上げますように、十二名の免疫学あるいは臨床のそれぞれの権威者が集まって調査検討委員会をつくっていらっしゃるわけですから、そこで早急にそういった対応策の確立をすべき要があるというように我々は考えるわけです。そういう意味で、ここでとにかく時間いっぱいああじゃこうじゃ言って終わっても意味がない。ここでそういう意見をお互いに交換して、私ども単に責任を追及するのじゃないので、我々の気持ち、要求、要望というものをしっかり反映させて、そして具体的対策を早急に確立してもらおうというのが私どもの願いですから、ただここで時間いっぱい聞いておけばよろしいというようなことでは困る。
そこで、先ほど三点挙げられましたが、具体的には今どういう作業が行われているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/138
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139・仲村英一
○仲村政府委員 先ほど申し上げましたエイズの調査協力医療機関でございますが、昭和六十年度におきましてはトータルで五百七十四の医療機関にお願いをしておりまして、主に国立、公立てございますけれども、大学を含めまして、疑わしい患者があった場合には専門的な相談をしかるべき機関にしてもらうように仕組みをつくっているわけでございますし、疑わしい患者につきましては、検査機関を指定しておりまして、そこへ検体を送っていただくという仕組みをつくっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/139
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140・河野正
○河野(正)委員 そこで、国あるいは公的教育機関、医療機関に対していろいろ協力を求める、それはそのとおりでしょう。しかし、例えばアメリカでも開発しておるいわゆる抗体の検査試薬というものがあるわけですね。これを認めるか認めないかというのを今審議中だ、こういう様子でございますが、やはりそういうアメリカの抗体に対する検査試薬というものが開発され、その試薬は実際に実施いたしましても少量の血液をとって抗体の反応を見るわけでしょう、非常に簡単だということですから、それが何で早急に日本でも輸入できないのか。また、日本でもそれと同じものをつくろうということで何か子会社みたいなものがあって、そこで鋭意検討しているというような状況も聞いております。
ですから、貿易摩擦の中で医薬問題について随分いろいろアメリカから言われた経緯のあることは御承知のとおりですね。きのうもそういう問題を解決することこそ貿易摩擦を解決する一助になるのじゃないかという話もしたのですが、こういうのがなぜ日本で使用することに踏み切れないのか。ただ検査しますといったって、どういう検査があるかわかりませんけれども、実際は具体的には検査する方法はないのじゃないでしょうか。要するに臨床的に見て、そして臨床所見で多分エイズであろうという確認でしょう。ですから、今申し上げますように抗体に対します検査試薬というような問題についても、もう既にアメリカで開発しておるというなら、それを速やかに輸入してやってみるというような検討がなぜなされないのか、その辺が私どもちょっと満足のいかない対応の一つです。私が先ほどからなまぬるい、非常に消極的だと言っておる理由の一つでもあるわけです。その辺、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/140
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141・仲村英一
○仲村政府委員 業務局の方で許可がおり次第、私どもといたしましても調査検討委員会にお諮りいたしまして、簡便で的確な検査方法で対応が迅速にできるような体制をとれるようにいたしたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/141
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142・河野正
○河野(正)委員 きょうの新聞では、御承知のように、成人不細胞白血病の抗体検査薬が承認された、こういうことが報道されております。そして、これも十月の末に薬事審議会では承認をした。そうしたら、承認したならばなぜ速やかに実施ができるような処置が行われないのか。これが実施されれば恐らくエイズウイルスの試験薬についても承認が早くなるのじゃなかろうか、そういう期待がございますことは御承知のとおりですね。ですから、何をやっても私が手ぬるいとか消極的というのは、今申し上げますように、成人不細胞自血病の抗体検査薬にいたしましても、薬事審議会ではもう既に承認をしておるけれども、なお、あと残っておる手続が何かあるそうです。そういうことはこの際早急に解決してやるというようになぜ積極的に取り組めないのか。
これが解決すれば次はエイズウイルスであろう、こう言われておるわけですね。ところが、その前段の問題でも、今申し上げますように、なかなか思うように作業が進んでいかない。こういうことから私は、先ほどから言うように、どうも手ぬるいと言っておるわけであります。単なる言葉だけで言っておるわけじゃないのですよ。そういう点、今の成人不細胞白血病の抗体検査試薬が承認された、そしてその後は恐らくエイズウイルスであろう、こう言われておるわけでありますが、その辺の感触はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/142
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143・小林功典
○小林(功)政府委員 ただいまATLの検査試薬のお話が出ましたので、事実関係を申し上げてみたいと思います。
先ほどの新聞の記事、私も読みましたが、どうしてああいう記事になったのかちょっとわからない点がございます。と申しますのは、確かにある輸入販売業者から輸入の承認申請が出ております。それを中央薬事審議会で審査をしておりますけれども、実はまだ承認には至っておりません。つまり、審査しまして、あと補完するような箇所が幾つかありまして、それを指摘しております。それの回答がありましてから承認という事務段階に進むわけでありまして、まだそこまで至っておらないわけでございます。その点だけひとつ御説明しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/143
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144・河野正
○河野(正)委員 まだ薬事審議会で承認が行われてない、これを新聞にでかでかと、もう承認された、あとは残余の事務的な手続上の問題だけが残っておる、こういう記事が出ておるわけですね。これはうそですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/144
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145・小林功典
○小林(功)政府委員 一つ訂正させていただきます。
輸入ではございませんで、製造承認が二件含まれておる。先ほどの発言はちょっと訂正させていただきます。
それで、承認には至っておりません。それは間違いございません。ですから、中央薬事審議会で審査をしておりますが、若干残っておるのがありますので、承認までもう少し時間がかかるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/145
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146・河野正
○河野(正)委員 そうしますと、薬事審議会の作業が残っておるということですね。新聞の記事はそうじゃないですね。そっちは終わっておるけれども、その後の事務処理が残っておると書いてある。しかし、今のお話では薬事審議会の作業そのものが残っておる。これは大分違いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/146
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147・小林功典
○小林(功)政府委員 薬事審議会で審議を行いまして、これとこれとこれは確定するようにという話があったわけでございます。それの後は薬事審議会にかける必要はございませんけれども、事務的処理で済みますけれども、薬事審議会で既に承認はおりたということではございませんという意味でございます。薬事審議会の審議のいわば宿題でございますね。宿題が解消すればあとは事務的に処理できる、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/147
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148・河野正
○河野(正)委員 しかし、実質は今のお答えでは承認と同等の結果であると思うのですよ。というのは、あとはもう薬事審議会へかけぬでもいいわけでしょう。要するに、この辺、この辺、この辺についてどう処理するかということが残っておるだけであって、そうかといってその分について改めて薬事審議会にかけて検討していただくということではないと書いてあるのですね。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/148
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149・小林功典
○小林(功)政府委員 薬事審議会に指摘されたことについてこれからそれを見るわけでございますが、薬事審議会で出た指示事項の内容が今度の回答で満足されておればあとは事務的に進める、こういうことでありますので、もともとの指摘事項は薬事審議会から出た、そういうものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/149
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150・河野正
○河野(正)委員 こういうことを何遍も繰り返していては時間がないので惜しいのですが、そうしますと、薬事審議会からこれこれについてはまだ問題があるというような形の指摘があって、その問題が残っておる、それが解決しなければ最終的には承認できない、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/150
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151・小林功典
○小林(功)政府委員 回答いかんでありまして、回答が薬事審議会で疑問だ、あるいは補正しろというところが満たされておれば、その段階であとは薬事審議会にはかけないで事務的に処理できるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/151
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152・河野正
○河野(正)委員 ちょっと何遍聞いてもようわからぬですが、残っておる事務処理というものについてもう一遍薬事審議会にかける必要はない、こういうことになっておるわけでしょう。違いますか。そうでしょう。そうすれば、もう大した問題じゃないことは明らかですね。非常に大きな問題が残っておれば、あとの事務処理だけしてやれば薬事審議会が結局無視されたということになる。ですから、大した問題は残っておらぬわけでしょう。大した問題が残っておれば、当然検討して、もう一遍薬事審議会に対してどうですかという検討を願わなければならぬ。
これは手続しないでもいいということになれば、もう大体のことは薬事審議会は了承しておる、こういうことでしょう、結論的に申し上げますと。そうでなければ、それはあとの処理をしてそのことに対する薬事審議会の承認が受けられるかどうかわかりませんよ。ところが、もう薬事審議会にかける必要はないわけですから、そこで薬事審議会というものはもう大体承認に踏み切っておるというふうな判断をすることが一番適切な判断じゃなかろうかと思うのです。そうしなければ、あと残っておる中で問題があれば、当然薬事審議会にかけなければ、了承を受けなければ、薬事審議会としても問題が残るんじゃないでしょうか。
これ以上いろいろ言いますと時間がありませんが、午前中の質疑じゃないけれども、私がお尋ねしたらそれに対してもう少しわかりやすく、それはこうですよ、はいそうですか、そういう審議をしたいと私は言っておるわけですよ。ですから、何か責任回避というのか、それはどうしてですか。薬事審議会にあとはかける必要はないわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/152
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153・小林功典
○小林(功)政府委員 繰り返しになりますが、承認というのは、薬事審議会の意見を聞いて厚生大臣が承認するわけでございます。だから、薬事審議会が承認ということはあり得ないわけでございます。そこが一つございます。
ただ、そう言いましても、実態的に薬事審議会で御審議をいただいて、それでよければ厚生大臣が承認するわけでございますが、そこで若干問題になる部分がある、それを補正しなさい、こういう指示が出たわけでございますね。それの回答が、実はゆうべか何かに二社のうちの一社が回答を持ってきたという話を先ほど出がけに聞きましたけれども、もう一社はまだ出てないわけでございます。厚生省がその回答を見て、それで薬事審議会の疑問点がそこで解決しておるということであれば、それは後、事務的に承認までスムーズに流れる、こういうことでございます。ないと思いますが、もし仮に薬事審議会の宿題が満足されてないということになれば、それはもう一回またやっていただくことになるかもしれませんので、そこは回答を見て判断しなければいけません、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/153
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154・河野正
○河野(正)委員 今、御回答いただいて、実は私も開き直ってみようかという気になった。それは、審議会というものは、本来から言えば私どもは審議会の答申というものは尊重するということであって、それがすべてではない、私もそういうふうな理解を持っておるわけです。ところが、必ずしもそうじゃないですね。大臣が国会でお約束になった、それを拒否する審議会もあるわけでしょう。そういう場合、どっちが優先するかといったら、――それは増岡大臣じゃないんです、前任大臣ですからお断りしておきますが、それは国会で大臣が約束したことが優先する、こうおっしゃっている。これは具体的にここで明らかにすれば波紋が大きいから、私はきょうは遠慮いたします。遠慮いたしますけれども、今申し上げるように、薬事審議会でどういう答申をやろうとも、それは意見を聞くということだから最終的承認というものは大臣がやるのです、こういうふうにあなたの方でお答えになるなら、具体的に別な例があるんですよ。
大臣がこの委員会の席上で約束しておいて、審議会の方でそれは困るということで拒否した、そうしたら結局大臣が約束したことそのものが最終的に承認を受けなかった、こういう事実がある。それは私は改めて国会で再確認した。そうしたら、大臣は審議会の意見は尊重するけれども、最終的な大臣の判断においてやるのです、こうおっしゃった。ですから、それはもう課題、宿題として残っております、だから、そういう言い方では困る。恐らく薬事審議会が反対をする、それを厚生大臣がその反対を押し切って承認をするということはないでしょう。ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/154
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155・小林功典
○小林(功)政府委員 審議会の中でも、特に中央薬事審議会は専門技術的な要素が濃い審議会でございますから、もちろんのこと、薬事審議会の意見に反した決定を大臣がすることはありません。ありませんが、先ほどから申しておりますのは、薬事審議会そのものが出した宿題、これはまだ来ておりませんので、それを見ないと薬事審議会がクリアできるかどうか、それもわからないということを申し上げておるわけです。
ただ、それは審議会にもう一回かけなくてもいいようなたぐいのテーマと思いますので、事務的に見て薬事審議会の疑問が解ければ、そこで承認に至る、こういう手続になるということを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/155
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156・河野正
○河野(正)委員 大臣、今お聞きになったことに対して、どういうふうに現大臣はお考えになっておるのか。これは前とのかかわりがありまして、これは審議会の内容については明らかにしてはならぬということの制約等もございますから、私は申し上げないのです。ですけれども、国会で大臣がお約束になったそのことが実際には実現できなかった。だれが反対したかと言ったら、当審議会が反対した。そうすると、審議会が優先するのか、大臣が優先するのか、行政が優先するのか。これは当然、大臣は何といっても厚生行政の最高責任者ですから、大臣のお考え方が優先するのだろうと思うけれども、そうならなかった事例が最近あるのですよ。
ですから、今申し上げるように、ちょっとあいまいな答弁でございましたが、薬事審議会の意見は尊重するけれども、最終的な判断は厚生大臣とおっしゃったでしょう。それがそのとおりであると大臣がおっしゃるならば、話が蒸し返って、私がこの前の国会で問題にしておるその問題にまた問題が波及する。やはり厚生行政も一つの行政ですから、あるときはこうである、あるときはこうである、そういうような二頭の蛇じゃないけれども、そういう形でやるわけにはまいりません。これはやはり厚生行政というのは一本だから、ある場合はそういう方便を使い、ある場合はそういう方便を使うということではこれは全く我々がここで審議する任務はなくなると思うのですよ。
ですから、すべて厚生大臣が責任を持つなら持つとおっしゃっていただければ結構です。大臣、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/156
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157・増岡博之
○増岡国務大臣 厚生大臣が決定するわけでありますけれども、厚生大臣は業務的な専門知識はございませんので、やはり審議会の意見を尊重しなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/157
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158・河野正
○河野(正)委員 それは審議会というのはすべて専門委員会ですからね。そうなりますと、厚生大臣が別に専門家じゃないわけですから、審議会に意見を聞くとすれば、大臣の判断よりも審議会が優先するということになりましょう。そうなりましょう。そうなりませんか。
そうすると、これはちょっと前厚生大臣との意見の食い違いがあって、これはやはり事はそれほど大きな問題ではないけれども、やはり大臣同士で自民党内で意見の調整をしておかなければ困るでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/158
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159・小林功典
○小林(功)政府委員 一般的なお話ですが、事が薬事法の関係でございますから、薬事法の面でお答えしますと、結局新しい医薬品の承認という行為があるわけでございまして、これは厚生大臣が行うとなっておるわけです。ただ、先生もお話しのように、厚生大臣は薬学に関しての専門的な知識はありませんから、専門機関たる中央薬事審議会でいろいろ専門家の皆さんにお集まりいただいて、検討していただいて、その意見を尊重して決める、こういうことだと思うのでございます。したがいまして、権限そのものは大臣ということ、これは法律上はっきりしていることであります。
ただ、そのうちの薬事審議会の場合に、薬事審議会の意見に反して厚生大臣が決定したという例は今までございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/159
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160・河野正
○河野(正)委員 私が言っているのは、今薬事審議会の問題でいろいろ話をしているわけですけれども、厚生行政の中で、あなたの方ではそうであるけれどもこの委員会ではこうである、そういうことがあってはならぬと言っているわけです。それを言っているわけですよ。だから、業務局ではそうであっても同じ厚生行政の中で別な局では違うというようなことがあっては困る、それを言っているわけですよ。
これは私どもこんなことを言っていたら先に進みませんから、これはいずれまた別な機会に申し上げたいと思いますけれども、とにかく大臣しっかりしてもらわぬと、業務局長任せで今のような意見でああだこうだ言われたら、午前中の意見と全く同じですよ。これは私ども申し上げたいけれども、非常に大事な問題ですよ。後また同じようなことを村山議員からもお話があるわけですから、これ以上――いや、その問題についてじゃないですよ、エイズについてのことですよ。その問題じゃない。ですから、これ以上ああだこうだやりましても先に進みませんから、いずれそういう問題があるということをひとつ大臣、しっかり頭の中に入れていただきたい、こういうふうに思います。
そこで、だんだん話を進めていきたいと思いますが、このエイズに対する対策が非常に立ちおくれておるという問題点、幾つかあるのですね。その一つに遺伝子の組みかえの問題、これは日本でもほとんどやられていないということのようです。しかし、このことはエイズ問題を解決するために先進国では大いに進んでおるわけですから、これも日本のエイズ対策が非常に立ちおくれておるという一つの証左であろうと思うのです。エイズ病原体研究のために遺伝子の組みかえ研究というものが非常に必要性があるわけですけれども、日本ではほとんで取りかかられておらないという状況のようです。これは診断あるいはワクチン――ワクチンというものがあるかどうかわかりませんが、そういった問題を解決するためにもこの遺伝子の組みかえ研究というものは非常に必要性を帯びてくるというふうに私どもは承っております。これは残念ながらまだ日本は取りかかっていないという状況のようでございますが、これはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/160
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161・仲村英一
○仲村政府委員 エイズのウイルスは非常に変異しやすいというふうに私ども聞いておりまして、今お話しのワクチンの問題につきましても、それがためにアメリカでも非常におくれるのではないかという予測がされておるようでございます。それと直接関係するかどうかは私ちょっと存じませんが、基盤技術としてライフサイエンスの一環といたしまして、遺伝子の組みかえにつきまして私ども厚生省としてライフサイエンスという観点から力を入れていかなければいけないということは御指摘のとおりだと思います。
〔委員長退席、稲垣委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/161
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162・河野正
○河野(正)委員 時間がございませんので、ぼちぼち締めくくりたいと思いますが、このエイズに対する特効薬とは言われておるけれども、抑制剤というふうに思うわけですが、フランスではそういったエイズの抑制剤というものが開発されておるというような状況も承っておるわけです。シクロスポリンAという名前だそうでございますが、そこまでフランスではこのエイズに対する対策というものが進んでおるのかどうか。
日本では今とにかく検査の試薬もはっきりしない、診断もはっきりしないというような状況の中で、フランスではエイズの抑制剤というものが開発されておる。もしそうであるとするならば、これこそ日本の立ちおくれというものは大変な立ちおくれだ。日本の場合、まだ検査する方ができていないのです。片やもう既に特効薬的なものが開発されているということになりますれば、大変なエイズ対策の手おくれじゃなかろうか、こういうふうに思うわけですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/162
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163・仲村英一
○仲村政府委員 御指摘の薬剤はシクロスポリンという薬のことかと思いますが、これはフランスのパスツール研究所だったと思いますけれども、そこで数例に使って非常に著効があったということで報道されております。ただし、数日後にアメリカの方では、まだ有効であるというふうに断定するのは早過ぎるという反論がございまして、大方の賛成を得ているというふうには考えておりませんので、そのことにつきましての論文を私どもとしても集めたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/163
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164・河野正
○河野(正)委員 そこで私が言いたいのは、片や抗体に対する検査試薬もできぬ。片や、特効薬というけれども抑制剤のようですが、そういうものが開発されておる。抑制剤が開発されたというのは、やはり前段の抗体に対します検査、そういうものがある程度進んでおる、その上に立ってこの抑制剤というものが開発された、こういうふうに段階的に考えていくということが非常に常識的じゃなかろうかと思うのです。そうしますと、なるほどフランスのその抑制剤を投与したら死亡者も出たというようなことも聞いております。ですから、そういうこともこれあるので、アメリカでそういうような文献があるかどうかわかりませんが、ただ、最後ですから多くを申し上げませんが、いずれにしても日本のエイズ対策というものが非常に立ちおくれておる、このことはざっくばらんに言ってはっきりしておると思うのです。
それはもちろん患者が少ないとか、今まで汚染されてなかったとか、そういう現況があったから、ある意味においては立ちおくれた、アメリカをあるいはアフリカを追っかけておるというような現況ではなかろうかとは思います。そういう意味ではそういうふうに思いますが、いずれにしてもこの問題に対してひとつ積極的に取り組んでいただきたい、これが私どもの究極のお願いといいますか要望でございます。
そのほか、きょう精神保健課長も御出席いただきましたが、残念ながら時間がございませんので、申しわけございません。どうかひとつこのエイズ対策については世界各国でも非常に大きな関心を持たれておるし、また我が国でも今後重大な関心と脅威というものが感じられておるわけですから、ぜひ誠心誠意取り組んでいただくように、これは冒頭に希望を申し上げましたが、そのように心を配っていただきたい。大臣、よろしゅうございますね。ひとつよろしく、ちょっと一言だけ。それで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/164
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165・増岡博之
○増岡国務大臣 先生御指摘のとおり、汚染されるのが遅かったということで体制の整備がおくれておる面があろうかと思います。今後鋭意その体制を整えるように努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/165
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166・稲垣実男
○稲垣委員長代理 村山富市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/166
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167・村山富市
○村山(富)委員 今、河野委員からエイズ問題についての質問がありましたが、重複する面もあるので質問はもう取りやめようかと思いましたけれども、せっかく質問の中で村山委員からも質問があるはずだからという御指名がありましたから、重ねて若干御質問をしたいと思うのです。
外国に比べて日本の場合血漿の分画製剤を使用している量が大変多い。聞くところによりますと三百四十五万リットル、世界の使用量の三分の一くらい使っておる。しかも、その使っている量の九六%を主としてアメリカからの輸入に依存しておる。しかも、このアメリカから輸入する輸入血漿はすべて売血によるものだと言われているわけですね。アメリカ国内で異常に多発しているエイズが血液製剤を媒介として感染する疑いが非常に持たれておる。
こういうことから、アメリカの製剤及び原料に大きく依存している我が国の血友病患者は、その治療や生活に深刻な影響を受けている。それはそうだと思いますね。アメリカから輸入をされる血漿分画製剤を使っておる。それが全部売血によるものだ。しかもアメリカではそのことが原因でエイズが流行している。こういうことになりますと、それを使っている日本の血友病患者もやはり心配になるのではないか、そういう意味で不安を持つのは当然だと思う。こういう現状を考えた場合、日本の国は世界の使用量の三分の一も使う、非常に血を使う量が多いのに、それらをすべて輸入に頼っている原因は一体何なのか、こういうことについてちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/167
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168・小林功典
○小林(功)政府委員 ただいまお話ございましたように、血漿分画製剤については確かに輸入に大幅に依存しております。ただ、おかげさまで献血が随分順調に進んでおりまして、献血率からすると世界のトップレベルに来ているわけでありますが、そういうことで結局全血製剤と血液成分製剤、これは全部献血で賄っておるわけでございます。
問題は、もう一つの血漿分画製剤というものでございまして、これはどうして足りないかということですが、一言で言うと医療技術の急速な進歩という以外にないと思うのですけれども、国内の需要が年々非常に高まってきている。それはどうしても医療上必要だということで、献血では貯えませんので外国からの輸入に依存している、こういうことなんでございます。
輸入しますと、アメリカが中心になりますから従来は確かにエイズの危険性があったわけでありますが、実は今これは一つ手を打ちまして、いわゆる血漿分画製剤としましては血液凝固因子製剤というのを血友病患者に使うわけでありますが、第Ⅷ、第Ⅸとございます。第Ⅷの方は先般加熱処理をする新製品ができまして、これは加熱しますとウイルスが不活化しますものですから安全になるわけでありますが、これの申請が出ましたものですから、優先処理ということで大幅に審査期間を短縮して大急ぎで承認をして、もう市販されていると思います。そこら辺は一つけりがついているわけでございます。
もう一つ、第Ⅸ因子製剤というのが、これも加熱処理した新製品が今承認申請が出ております。これも大急ぎで今優先審査しておりまして、恐らく年内には承認に至ると思いますので、それができますと、血友病患者さんに使う血液凝固因子製剤はまず心配なかろうということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/168
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169・村山富市
○村山(富)委員 これは僕ら余り知識がないからよくわからないのだけれども、よその国の事例なんかを見ますと、血液というのは非常に貴重なものだ、だから余り野方図に使うべきものではない、したがって使用については厳格な基準をもって最小限必要なものだけにしか使えない、しかもそれは国内でできるだけ献血でもって賄えるように決めておる、こういう状況にあると聞いているわけです。
日本の場合には、今もお話がありましたけれども、献血は主として輸血用の血液に使われておる。したがって、血漿分画製剤なんかに使うという部面については非常に立ちおくれている。しかも、そのやり方が全部民間企業の主導によって一般薬として使われておるというふうに聞いているのであります。そんなところに原因があるのではないかというふうにも言われていますが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/169
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170・小林功典
○小林(功)政府委員 先ほども言いましたように、血漿分画製剤の方が使用が非常に増加してきている。これは医療需要が増した、医療技術が進歩したというところに起因するわけでありますが、そこは確かに日本の場合はちょっと多過ぎる、びと過ぎるという意見があることは事実でございます。
ただ、これは医療内容、医療行為の内容に立ち入る話でございまして、なかなか難しい面があるわけですね。お医者さんがこういう場合にはこれは使っちゃいかぬとか使っていいとか、そこまでいきますと医療内容まで立ち至る問題なものですから非常に難しい問題があるのでございますけれども、ただ、このままではいけないということで、実はこの八月に意見書をいただきました。血液事業検討委員会で血液問題全般にわたって議論していただきまして報告書をいただいているのですが、その中でも何とかすべきだという意見がありますし、検討委員会の中で今後血漿分画製剤の適正使用ということでお医者さん方に集まっていただいて、そういった一種のガイドラインみたいなものをつくることはできるかどうかということをこれからやろうというところに至っていますので、問題意識は持って今やっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/170
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171・村山富市
○村山(富)委員 私は、冒頭に素人だからよくわからぬと言ったのだけれども、日本の国が世界の使用量の三分の一も使っている。これは薬剤を扱う専門分野に入ることだから、なかなか外からとやかく言えないということかもしれぬけれども、外国と比べて非常に多いという、これはどこかに原因があるのではないか。その原因は血液に対する扱い、使用の基準といいますか扱い方が、どこが責任を持ってやっているのか、一般の民間の企業に依存をしておって、企業が勝手にどんどん使ってやっていく、こうなっているところにやはり問題があるのではないか。
これから日本でもやはり製剤を使うことになれば国内で需要を賄う。そうすると、国民から与えられた献血を使うことになるわけですから、私は、やはり国なり献血に携わっている日赤なりがもっと責任を持ってきちっとするような建前がなければ同じことの繰り返しになるのではないかという気がします。検討委員会をつくって、適正な使用について検討してみようというようなお話でしたけれども、検討しなければならない理由、原因があるはずなんですね。そこらの問題は一体どうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/171
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172・小林功典
○小林(功)政府委員 先ほど申しましたように、確かに血漿分画製剤を日本では使い過ぎるという点は事実だと思います。これは確かに関係方面でも問題意識を持っていますので、一つは検討委員会でこれから適正使用という面について議論を進めていただこうということで今取り組んでいるわけであります。その前に、確かに先生おっしゃるとおり血液というものは特殊な医薬品でありますから、臓器とも言うべきものでありますから、むだに使ってもいけませんし、余りいたずらに使われてもぐあいの悪いものであります。そこで、やはり国内で要るものは国内で賄うという原則に早く立ち戻りたいわけでございます。
そういうことで、先ほど言いました検討委員会の御提言もありますから、それをもとにしまして例えば自給体制確立のために今二百ミリリットル採血なんですが、それを四百ミリリットル採血にするとか、あるいは必要な分だけ取り出して必要ない分は返す、フェレーシスというのですが、成分採血、こういったものも併用しまして、そのほかにもいろいろございます。そういったことで、とにかくいろんな手法を用いて、国内で使う血液製剤は国内で賄うという方向に今進みつつある、着手したところだ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/172
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173・村山富市
○村山(富)委員 ちょっとよくわからぬからお聞きしますけれども、献血は全部日赤がやっているのでしょう。そうすると、日赤が献血をした血液を集めますね。それから病院なんかに入院している患者に輸血が必要だという場合には、血液型の合う人から血をいただいて患者にやる、これは病院の仕事でしょうね。そうすると、血漿分画製剤なんかに使う血液というのは、仮に民間会社がつくる場合にはその血液はどこから入れるのですか。
関連して、血液を使う全体の流れといいますか、そういうことについてひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/173
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174・小林功典
○小林(功)政府委員 日本国内で献血をいたします。それは日赤でやっております。それをもとにして生血を病院に送るというのはもちろん日赤がやるわけであります。そのほかに日赤は血漿分画製剤も少しはつくっております。民間の企業、血液製剤メーカーはほとんど外国から原料を輸入するかあるいは製剤を輸入してくるという流れになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/174
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175・村山富市
○村山(富)委員 今は輸入しているわけですね。だけれども、これから国内で賄うというのです。その場合に血液の扱いというのはどうなるのですかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/175
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176・小林功典
○小林(功)政府委員 そこで、今でも、さっき申し上げましたように全血製剤と血液成分製剤は献血で賄っておるわけです。だから問題は、非常に使われ過ぎておると言われておる血漿分画製剤が輸入に頼っておるということでありますから、その分を献血で賄うようにしたいということであります。それに見合うように、例えば四百ミリリットル採血とか成分採血とかいう手法を用いながら、あるいは場合によっては検討委員会の提言の中にも――今、日赤が血漿分画製剤の製造能力がちょっと落ちますものですから、そういうことで民間に行っているわけですね。だから、献血分を民間に一時委託をして製造させて、そして国内の血液で血漿分画製剤ができますから、そういった方法も加味しながらあれやこれやでとにかく国内で要るものはなるべく国内でやろうということで、大体提言では五年以内にはそういう計画を実施することが適当だというような表現がございますが、そういった方向でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/176
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177・村山富市
○村山(富)委員 献血は日赤がしますね。そして現状は血液製剤は外国から輸入している。そして民間の製薬メーカーが製造している。ところが、その輸入するものの中にやはりいろいろな問題があって心配があるから、これからできるだけ国内で賄うようにしようということで国内で献血量をふやす。これは全部日赤がするわけですか。そうでしょう。そして日赤が献血をして集めた血液を例えば分解して、そして血漿分画製剤ですかなんかの製造に回すという場合に、現状では日赤だけではまだ製造能力はない。したがって民間企業に委託せざるを得ない。その場合には、日赤が集めた血液を民間の企業に委託してつくってもらうんでしょう。そこらの関係は一体どうなっているんですかと、こう私は聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/177
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178・小林功典
○小林(功)政府委員 輸入する原料、製剤ですね、これはさっき言いましたように一応の危険性はことしいっぱいぐらいである程度解消すると思うのです、エイズの危険性という意味では。ただ、そうはいっても、それより別に、考え方としまして国内で使われるものは国内で賄いたいという気持ちがあるわけでございます。
そこで、まず献血の方をなるべく有効な献血をするようにしてもらう。そして日赤もできれば血漿分画製剤もつくってほしいんですが、一部のものについてはどうも日赤にはしばらくの間はそんなに技術力がないものですから、その場合に一時暫定的に民間に委託してそこでつくらせる、そうすれば原料は国内献血ですからというのがあるわけです。片や全体の使用量は、ガイドラインみたいなものをもしできればつくって、そこで全体の使用量を抑える。需要と供給の両面の方から、なるべく国内の献血で血漿分画製剤の方まで賄えるように努力をしたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/178
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179・村山富市
○村山(富)委員 ちょっと質問を先へ進めますけれども、さっき答弁の中にもありましたように、今までは二百ミリリットルの献血をしてもらった、それを今度は四百ミリリットルにふやす。ふやすということは献血の量を多くするということでしょう。したがって、輸入に依存しなくて国内の献血で血漿分画製剤までできるようにしたいというのでふやすんでしょう。そうすると、日赤が集めた血液を血液製剤に回す場合に、製造する場合にどこかの民間会社に頼まなければなりません。
そうすると、その血液を日赤から提供するわけですか。そこらの関係と責任の度合いというのはどうなのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/179
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180・小林功典
○小林(功)政府委員 今まだ具体的な詰めはやっていませんので、これからそれを詰めるわけでありますが、大体今先生がおっしゃったようなことになると思います。日赤が献血を受ける量がふえて、その分を本当は日赤がやっていただければ一番いいんですけれども、しばらくの間は恐らく無理な部分があると思います。そういうことになると、集めた献血の血液を民間に、これは一時の暫定措置ですが、委託をして生産させて、そしてそれを病院に供給するという流れになると思うのですが、それと使用量を抑えるという両方の面で国内献血で賄う。ただ、これは今準備に着手しましたので、まだ政府の方針として固まっておるわけではありません。もうちょっと時間がかかりますが、そういう方向でやりたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/180
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181・村山富市
○村山(富)委員 そうすると、当面の暫定措置でそうするので、これからいろいろ議論をし、検討を加えて、そして日赤が責任を持ってその分は製造するということになるのか、あるいは民間の企業に委託をするのかというようなことについてはこれからの問題です、ただ、まだ今は日赤は製造力がないから、とりあえず暫定的に民間に血液を提供して委託をするということになりましょう、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/181
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182・小林功典
○小林(功)政府委員 血液事業検討委員会ではそういう提言をなさっているということで、私どもはそれは妥当な意見だと思っていますので、それを踏まえまして実はもう関係者と協議に入っているわけでございます。したがって、協議がまとまれば、厚生省方針として血液問題の計画のようなものをつくりたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/182
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183・村山富市
○村山(富)委員 そこで、今までは二百ミリリットルを献血してもらったわけだけれども、それを四百ミリリットルに採血量をふやす。その場合に、やはり国民の皆さんの理解がなければなかなかできないことですから、したがって、なぜふやすのか、一体、今日本の献血で輸血やらあるいは血液製剤を製造するために必要な量等々を考えた場合に、どの程度不足するか必要なのかというようなことやら、あるいは皆さんから献血された血液はこういうふうにして使っていますという使用目的やら何かを明確にする必要があるのではないかというふうに思うのですが、そこらの点はどういうふうにお考えですか。
それからもう一つは、重ねてお尋ねしますけれども、今まで二百ミリリットル献血しておったものを倍にふやすということについては、安全性の保証はあるのかというような問題についてもきちっとする必要があるというふうに思うのですが、この点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/183
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184・小林功典
○小林(功)政府委員 国民の皆さん方に理解していただくというのは、先生おっしゃるとおり大変重要なことだと思います。今までも日赤を通じたりその関係の機関を通じていろいろPRはしてきたつもりでありますが、特にこれからやろうとしております四百ミリリットル採血とかあるいは成分報血とか、新しい施策を出す場合には特にそこは注意をして、より一層PRをしたいと思っています。それもいろいろこちらの現状も説明した上で御理解いただくという姿勢でその策を講じたいと思っております。
確かに、二百から四百と倍になるわけでありますが、これにつきましては安全性は問題ありません。つまり、六年間ぐらいでしょうか、専門家に集まっていただきまして研究を続けておりまして、まず安全だという結論が出ています。ただ、よく誤解されるのですが、我々は四百ミリリットルだけに切りかえるということは考えておりません。四百ミリリットル出していただく方はお願いします。二百ミリリットルでなければ困るという方はそのまま二百ミリリットル出していただく。両方並行してやりたいと思っております。
先ほどの安全性の問題も、二百ミリリットルの際と比較をいたしまして、専門家内では全く問題はないということ、特に外国の場合は大体四百五十ぐらいで、二百ミリリットルというのは先進国ではないと思いますが、日本だけが二百ミリリットルということですから、学問的、医学的には問題ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/184
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185・村山富市
○村山(富)委員 その量の方はどうなんですか。現状の量と、それから予定される必要量と、どの程度の量が必要なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/185
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186・小林功典
○小林(功)政府委員 それは計画をつくってPRするまでにはしっかり詰めますけれども、現段階ではいろいろ計算が難しいものですから、ちょっとここでお答えするわけにはまいりませんが、PRする場合には、そこら辺もどれだけ必要であってどういうふうに使うということまで含めてPRしなければいかぬという気持ちでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/186
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187・村山富市
○村山(富)委員 これはやはり献血してもらうわけですから、よほど国民の理解と協力がなければできないことです。だから、理解してもらうためにはやはりそれくらいは国民に周知徹底させて理解を求めるということは当然だと思いますから、この点は今ここで答弁ができなければまたいずれお尋ねいたします。
それから、先ほど河野先生からもお話がありましたけれども、エイズは一たんかかったらもう治らない、しかも非常に死亡率が高い、そういう特性を持っておる。先ほどフランスのパリでエイズに特効薬が開発されたというような新聞の報道もありますが、しかし、全体が納得できるような特効薬、治療法はないというふうに言われているわけですね。そこでWHOなんかも、エイズに対する特効薬が見つからない現在、患者を治療し教育と情報によって感染拡大を防ぐことが重要なことである、こう言われているわけですね。したがって、感染拡大を防ぐということが当面は一番大事なことだと私も思うのです。
そこで、検査をやはり徹底させる必要があるというその検査の徹底についてはどういうふうな方策がとられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/187
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188・仲村英一
○仲村政府委員 先ほどもちょっとお答えしましたが、約六百の協力機関から情報を提供していただきまして、私どもといたしましては、一般医療機関から専門的な相談をする窓口を開きたいということで、各都道府県に医療機関の協力を得て専門的窓口を開け、こう言っております。
それで、現在のところ、検査につきましては、八カ所で検査を行うようにしておりますが、技術的に難しい面もございまして、これもだんだんふやしていかなくてはいけない、このように考えている次第でございますが、御指摘のように二次感染を防止するというのが現在のところ私どもとしても一番力を入れなくてはいけないものの一つと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/188
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189・村山富市
○村山(富)委員 その検査を徹底させる上で、これは先般新聞にちょっと報道されていたような気がするのですけれども、試薬というのですか、抗体試薬が保険が適用されないというところにやはり検査が徹底しないという障害になっているというようなことも聞くのですが、これはどういうふうに取り計らうつもりですかり発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/189
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190・仲村英一
○仲村政府委員 薬事法上の承認がおりまして国内で使えるようになりました際には、健康保険に適用されるように保険局へお願いしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/190
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191・村山富市
○村山(富)委員 ここでちょっと私は気になりますから、これは申し上げておきますけれども、やはりこの種の扱いについては、これは患者の会の皆さんが「報道関係者ならびに国民の皆様方へ」というので文書を出しているわけですが、こういうことが書かれているわけです。「ところで、血友病と関係づけられた〝AIDS〟報道以後、周囲に血友病であることを明らかにしてその理解を得てきた患者が、突然に危険な存在であるかのような誤解をうけ、日常生活でいわれのない困難を体験する、という事態が生じています。私たち患者の、このような情況をどうかご理解いただき、関係者各位には今後の報道において一層のご配慮ご協力をお願いするとともに、国民の皆様にも血友病についてのご理解と暖かいご支援をお願い申し上げる次第です。」
これはやはり血友病にエイズの患者さんが多い。それはやはり血液製剤を使う、そのことが原因で感染してエイズになる。したがって、血友病患者の皆さんには陽性が多い、こういうふうに見られますと、やはりそれだけ人の見る目が違ってくる。血友病患者もそんな気持ちにさせられて非常に生活上困難を生ずる、こういうこともあり得ると思いますから、やはりこの記事の扱いについては、正しい理解が得られるように、必要以上に誤解が生まれないようにやはり慎重に配慮する必要がある。同時に拡大しないような予防措置というものも十分に立てていく必要があるというふうに思いますから、その点は意見として申し上げておきます。
それから次に、退職者医療制度の創設によって国民健康保険に対する財政補助を変えたわけです。ところが、実際にやってみたところが対象者が非常に少なくて大分見込み違いをしておったというふうに言われておるわけですが、この見込み違いが生じた原因は一体どういうところにあるというように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/191
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192・幸田正孝
○幸田政府委員 退職者医療制度につきましては、昨年十月から発足いたしたわけでございますが、当初、私ども四百六万人の対象者がいる、こういうふうに見込んでいたわけでございますが、本年の三月末現在で二百六十七万人、それから本年の八月末現在で二百八十七万人の対象者にとどまっております。
それで、こういった退職者医療の対象者の見込み違いが出ました理由でございますけれども、私ども、この制度の設計に当たりましては既存の統計を用いましてできる限り正確に推計をいたしたわけでございますけれども、統計上の制約等がございまして、予測し得ない乖離を生じたものでございますが、その一つは、被用者保険におきまして任意継続被保険者制度と申しまして、本人が希望いたしますと、会社を退職後、被用者保険にとどまることができるという制度がございますけれども、それが昭和五十六、七、八年ぐらいの実績に比べまして最近非常に急増をしてきている、これが一つ、大きな見込み違いの原因だと思います。
それからもう一つは、被扶養者の問題でございまして、配偶者につきましては、本人の対象が減少いたしましたために配偶者についても減少したのでございますが、同時に、私どもが考えておりました以上に被用者保険の子供の被扶養者、扶養家族になっているケースが案外に多かった、こういうことのために配偶者についてかなりの見込み違いを生じたのではないかと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/192
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193・村山富市
○村山(富)委員 そこで、厚生省の実態調査によっても、見込み違いによる影響額は五十九年が六百七十億円、それから六十年が千四百十億円、計二千八十億円ぐらいが想定される、こういうふうに言われているわけです。これがやはり市町村の国保財政に大きな影響を与えて、保険税の引き上げを余儀なくされている市町村も大変多い。市長会や各市町村議会からもこの見込み違いによる影響額についてぜひ補てんをしてもらいたい、こういう意見書が提出されていることは御案内のとおりだと思うのです。この二千八十億円というものの補てんについてどのようになさるつもりか、見解を承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/193
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194・増岡博之
○増岡国務大臣 御指摘のように、見込み違いを生じましたその結果を実態調査を行ったわけでございます。もちろん今後の対策といたしましては、国保事業の安定的な運営が損なわれることがないようにしなければならぬということでございますので、実態調査の結果を踏まえまして、市町村の財政状況や影響額等見きわめつつ所要の財政措置を行いたいということで財政当局と折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/194
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195・村山富市
○村山(富)委員 今、局長から見込み違いを生じた原因について若干のお話もありましたけれども、私は構造的なものであってすぐ解決できる問題ではないと思うのですね。したがって恐らく来年度も同じような影響額が出るのではないか、市町村の国保財政に財政負担がかかってくるのではないかと思われるのですが、できればその見通し、あるいはまた来年度もそうした影響額が出た場合に同じような補てんを考えるのかどうかということについても、この際、見解を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/195
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196・幸田正孝
○幸田政府委員 昭和六十一年度以降の問題でございますけれども、市町村国保の長期的安定を図りますためには、何と申しましても国民健康保険が低所得者層が多いというようなことから財政的に基盤が非常に脆弱でございます。私ども、こういった退職者医療制度の問題等もございますけれども、そういった問題も含めまして、国民健康保険制度につきましては何らかの制度的な見直しが必要であるということで現在検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/196
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197・村山富市
○村山(富)委員 いずれにいたしましても、私はやはり来年も同じような結果が出るのではないかというふうに思われるのですけれども、これは今局長からもお話がございましたように、国保財政というのはやはり加入者が、そう言ってはなんですけれども、非常に所得が少ない方が多いですから、したがって、そこに負担をかけていきますと必然的に保険料を上げなければならぬということになって、国保行政そのものに支障を来すような結果になるのではないかというふうにも思われますから、これはやはり国が責任を持って補てんをすべきものだというふうに思うのです。
こういう結果になったのは、国が予算編成をする際にシーリングによって抑える、しかも社会保障に大きな切り込みが入っていく、こういうことの結果生じたものではないか、こう考えてまいりますと、この法案の審議の際に私は明確に指摘をしているわけですよ。
これは私が質問した中身ですけれども、「退職者医療制度を設けることによって国保の負担がその分だけ軽くなるという理由で、国庫負担二千三百五十五億円を削減、その上に国庫補助制度をこれまでの医療費の四五%から給付費の五〇%に改めることになっています。これを医療費ベースに直しますと、約三八・五%で、実質的には千五百四十四億円の補助金減となるのであります。補助率引き下げの根拠は何ですか。国保の給付率は早晩引き上げなければならないと思いますが、今回の措置がこれからの市町村財政と国保の財政にどのような影響があるとお考えになっていますか。これが保険税にはね返ってくる心配はありませんか。」こう言って、当時問題点を指摘しているわけです。
それに対して委員会の質疑においても、絶対に市町村には迷惑をかけません、こういう答弁もいただいている経緯から考えてみて、市町村に負担をかけていくということは国と地方一体の行政のあり方、それから社会保障行政に対する市町村の取り組み等々にやはり影響が出てくるのではないか、言うならこれは信頼関係にも影響する、こういうふうにも思われますから、やはり責任を持って補てんをするという答弁をここでいただかないと、なかなか納得できないのではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/197
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198・幸田正孝
○幸田政府委員 退職者医療制度そのものにつきましては、やはり定年退職後七十歳の老人保健制度に移行いたしますまでの期間、六十歳から七十歳あるいは六十五歳から七十歳といった退職年齢と老人保健の支給開始年齢との間の格差を埋めるものといたしまして、私ども、制度は十分それなりに意味があり機能をしている、こう考えております。
ただ、この制度を創設する際にこの委員会におきましてもいろいろ御論議があり、ただいま御指摘のとおりの御意見を村山先生からも賜ったわけでございます。そういった際に私どもがお答えをいたしましたような経緯もございます。そういったいろいろな従来の経緯を踏まえまして、私ども厚生省事務当局といたしましても、この問題につきましてはできる限り市町村国保財政の長期的な安定が図られるように最大限の努力をいたす、こういう所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/198
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199・村山富市
○村山(富)委員 先ほど大臣からも財政当局に要請をする、こういうお話がありましたね。大蔵省来ていますか。――今の質疑をお聞きになったと思うのですけれども、大蔵省としての見解を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/199
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200・中島義雄
○中島説明員 厚生省の行った実態調査によりますと、市町村国保の財政に約二千億円程度の影響が出ているということは私どももよく承知しております。また、これにつきまして厚生省から協議をいただいておることも事実でございます。このことにつきまして、私どもといたしましては個々の市町村国保が真に運営難に直面しているかどうか等、さらに運営実態を把握する必要があると考えておりますけれども、その上で、まず本年度予算の中で国庫補助に占めるシェアが大幅に拡大されました財政調整交付金、これは本年度予算で約三千六百億円程度あるわけでございますが、その効率的な配分をしていただくこと、次に、医療費適正化の推進、保険料設定方法の改善等を市町村国保の運営面において種々工夫をしていただくことも必要ではないかというふうに考えております。
そこで、財政措置の問題でございますが、御承知のとおり、現在大変厳しい財政事情にございまして、この財政事情のもとでどの程度のことができるのか。おのずから大きな制約もあるわけでございますけれども、私どもとしましては、関連制度の問題も含めましてどのようなことができるのか、幅広い観点から厚生省とも十分協議してまいりたいと考えております。
いずれにしましても、私どもとしましても国保財政の安定化のために最大限努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/200
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201・村山富市
○村山(富)委員 財政調整交付金の話がありましたけれども、これは先ほども申しましたように補助率を変えたわけですからね。改正前までは医療費に対する四五%、それを改正後は給付費の五〇%にしたのですね。そのことによって相当国庫負担が軽くなってきたわけです。そういうしわ寄せがかかってきてこういう状態が生まれていると言えないこともないわけですね。したがって、私はこれは単に厚生省だけの問題じゃなくて、やはり大蔵省、国全体の責任だというふうにとらえてもらわなければならぬと思うのです。
したがって、これから先いろいろな検討を加えて、できるだけ効率的にむだのないように金を使ってもらうということはもちろん必要なことだと思うけれども、しかし、これまで出ているさっき申しました二千八十億円という落ち込みについては、これはやはり何とか国が責任を持って補てんをするというふうでなければ、これは問題は解決しないというふうに思いますから、私はその責任は単に厚生省の問題だけじゃなくて国全体として考えてもらうということからすれば、大蔵省は当然この点は責任を持って措置をするということがあってしかるべきだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/201
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202・中島義雄
○中島説明員 この問題につきましては、単に厚生省だけの責任であるというふうに考えているわけではございません。私どもといたしましても、国全体として真剣に取り組むべき課題であると考えております。そういったことも含めて厚生省とも十分協議してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/202
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203・村山富市
○村山(富)委員 くどく申しませんけれども、これはやはり市町村の国保財政に大変な影響を与えてますからね。これは、もうどこへ行っても保険料を上げてますよ。しかも、やはり国保財政に対する批判というのは相当出てますよ。こういう実態を考えた場合に、私は、やはり国民健康保険の一つの問題点につながっていくということも心配されますから、しかも、さっきから申し上げましたように、国の行政に対する地方の信頼度というようなことにも影響する問題ですからね。十分責任を持って措置をする、できるというふうに結果が出るように期待してますからお願いします。
以上で終わります。
〔稲垣委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/203
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204・戸井田三郎
○戸井田委員長 沼川洋一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/204
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205・沼川洋一
○沼川委員 最初に、医療の企業化された調剤専門薬局チェーンの問題についてお尋ねしたいと思います。
これは、東京に本社を持つクラフト・ファーマシーという会社があるわけですが、この会社はこの二年半の間に首都圏を中心に二十カ所の調剤薬局チェーンを開設してきておるわけです。しかも、今年度から全国的規模でのチェーン展開の方針を決めております。最近では、九月一日の静岡県の稲取の開設に続いて、十月には熊本県の人吉に、人吉総合病院前にさくら調剤薬局を開設するなど、非常に意欲的であるわけです。この人吉の問題も十一月一日に開設許可になっておるわけです。さらに、当面の目標として九州地区を重点に出店する一方、西日本にも拠点づくりをするために近畿地方への進出も準備中である、このようにも聞いております。
進出する場合の方法として、従来は直営方式をとっておったわけですけれども、最近では、全国展開に当たりまして方針を一部変更しまして、一部の地域では地元出身者に調剤薬局開設のノーハウを提供して、以後の経営をサポートする形式を採用するなどケース・バイ・ケース、こういった形で全国展開を図る計画であるやにも聞いております。
今後、この進出に関しまして、二年間で投下資本を回収することを前提に、内科で一日平均百枚の処方せんが期待できる医療機関、それ以外では平均二百枚の処方せんを期待できる医療機関との処方せんの応需を進めていく、こういう考え方であると伺っておるわけでございます。
そこで、この問題に関して、まず大臣にお伺いしたいと思いますけれども、私に言わせれば、これは明らかに医療の企業化されたものであって、利潤追求を目的とした調剤薬局チェーンである。要するに正しい分業のあり方をも阻害するものである、このように思うわけでございます。現在、医薬分業推進懇談会とかあるいはモデル地区事業など、こういうものを通して厚生省では正しい分業の推進を図られておるわけでございますけれども、このような企業化されたものが医薬分業の中にどんどん入っていく、しかもこれが全国的にどんどん広がっていく、こういう傾向に対して大臣としてどのようにお考えになっておるか、まずお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/205
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206・増岡博之
○増岡国務大臣 医療法の規定によりまして、医療自体は企業によって行われることを禁止いたしておるわけでございまして、今御指摘の点につきましては、私、詳しい内容は知りませんけれども、世間一般的に、いわゆるマンモス企業によってこういうものが侵食されるということは決して好ましいことではないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/206
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207・沼川洋一
○沼川委員 これはまた業務局長にお尋ねしたいわけですけれども、こういうケースの場合、法的に規制できないというのが問題なんです。
これは熊本県の人吉の場合の例をとってみましても、私も実際、県の業務課に行って、どういう形で書類が上がっているか見せてもらいました。確かに薬局開設については、この企業と全く関係のない個人の名前になっております。また、保険課に出ておる書類を見ましても、地元出身だそうですが、東京から連れていく予定の薬剤師の名前になっておる。書類上どんなに見たってどうしようもない。
ですから、裏では明らかに大企業のチェーン薬局による地方への進出ということがわかりながら、現場ではどうにもならない。何だかんだ騒いでも、結果的には許可がおりてしまう、こういうケースであったわけですが、今後も恐らく全国各地でこういう形で、同じケースが問題になってくるということを非常に心配するわけでございます。
しかも、その進出する特徴というのが、これは必ず特定の大きい病院といわば院外処方せんを出してくれるという確約があって初めて出てくるという、こういうやり方をやるわけです。ですから、最近の例で九月一日の静岡県の稲取り例を見ましても、日大稲取病院、これが処方せんの一つの拠点となって進出してきています。人吉の場合は、人吉総合病院という大きな病院がございますが、こことの処方せんの確約があって出てくる。ですから、何にもなくて出てくるようなものじゃないわけです。明らかにそこに総合病院なり大きな病院が関与をしておるわけですが、私思いますに、こういう公的病院が非常に問題の多いこういうチェーン形式の大型の、しかも企業化された調剤専門薬局と結びついて、分業の中にそういうものが広がっていくということに対して、公的病院のあり方としても非常におかしいんじゃないか、こういう気もいたすわけでございます。
そこで、これらの問題を含めまして、恐らく法的には無理だとお答えになると思いますが、せめて行政指導の上でこういう問題に何か適切な指導の方法があれば、ぜひひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/207
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208・小林功典
○小林(功)政府委員 確かに利潤追求に走り過ぎる、そういう企業が進出してきているという御指摘でありますが、そのことによって例えば保健衛生上書が出るとか医療保険のシステムとして好ましくないというふうな点があれば、これは行政指導をして十分対処する余地があると思います。先生も御案内のように、調剤薬局につきましては、適正な医薬分業を進めるという観点から、いわゆる第二薬局というものは好ましくない、こういうことははっきり行政方針として確立しておるわけでありまして、医療機関から構造的、機能的あるいは経済的に独立した機関であることが必要だ、こういうことでやっておるわけであります。
今御提示のケースがそういう第二薬局がどうかという問題、我々今までいろいろ調べた範囲ではどうも第二薬局という概念には入らないのではないかという気がしております。ただ、その場合にも、確かに形式論ではございませんで実態的にそういうものであればそれは行政指導の手が伸びると思いますけれども、どうもそうでもないようでありますので、そうすると、法律論はもちろんですが、行政指導としてもなかなか難しい問題があるんじゃないか。
むしろこの種の話というのは、既存の地元の調剤薬局の方と進出してこようとする企業のいわば関係者間の詰めたお話し合いによって相互の理解と協力のもとにやる。特に分業の場合には、一対一の分業というのは我々の進めている医薬分業の精神からは余り好ましくないことであります。面と面との分業というのが一番好ましいわけでありまして、そういう面ではむしろ地元の方も参加されて、そういった意味の一種の医薬分業というのをやる方向に持っていく方が筋ではないか、こういう気がするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/208
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209・沼川洋一
○沼川委員 非常に難しい問題であるだけに業務局長の答弁も微妙なあれですが、むしろ私は、これは第二薬局の問題で非常にいろいろ混乱して今なおそのしこりが残っておるわけでございますけれども、第二薬局というよりも新しい型の、こういう名前を勝手につけてどうかと思いますが、いわば第三薬局というようなとらえ方で何らかの対応を考えていただきたいと思うわけです。
関係者間の話し合いでとおっしゃいますけれども、話し合いができるような相手じゃないわけです。まず、これははっきり言いまして、今、日本薬剤師会が進めておりますいわば面の分業、地域分業、そういう基本的な考え方からしますと、どうしても分業の理念が異なりますし、話し合いができるわけないと私は思います。
さっきちょっと病院の問題を取り上げましたけれども、総合病院なんか、こういう大きい病院になりますと非常に公共性が高いわけです。公共性が高いということは地域性が高いということになるわけですが、医療圏が非常に広い。何カ町村がその中に含まれてくる、そういう医療圏を持っておる病院が多いわけです。ところが、そういうエリアの中に、では処方せんの応需体制のできている薬局が全くないかというと、たくさんあるのです。一生懸命分業推進をして処方せんの受け皿づくりをしてきた薬局がたくさんあるわけです。そういうところにもってきて、地域の中心である総合病院と話し合いをして処方せんが全部そこに流れる。そういう流れ自体考えてみますと、厚生省が推進されてこられましたところのいわば面の分業からこれは随分がけ離れたものでもありますし、今後また地域医療計画等ができますと、地域医療を進める中でもそういう形のものになっていくということは非常にまずいんじゃないか。
そういうことから一つだけお答えいただきたいのですが、そういう総合病院、いわば公的医療機関とかかわり合いを持つ、そういう形でいくことは好ましくないという意味で何か病院に対する行政指導はできませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/209
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210・竹中浩治
○竹中政府委員 今のお話で医療法サイドと申しますか、病院サイドから何かできないかというお話でございますが、確かに私ども薬局には直接監督の立場にはございませんけれども、ある病院、特に公共性を持った大きな病院が特定の調剤薬局を利用することを強要するというようなことは非常にまずいわけでございますので、こういう点がございましたら、必要に応じまして病院サイドからそういうことのないように指導はしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/210
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211・沼川洋一
○沼川委員 これ以上言ってもなかなか結論は出ませんし時間もございませんので……。そういう事実があっても、改めて病院に密約があったろうとかクラフトだろうと聞いたって、そういうことをおっしゃる病院があるわけはないし、明らかに話があると思っても言えないのが現場の現状です。今後地域医療、そういう面での行政の方向もまたいろいろ進んでいくわけでございますので、ぜひひとつそういう流れの中で正しい分業が推進できるような方向を行政指導の中でつくり上げていっていただきたい、こういったことを御要望申し上げまして、次の問題にいきたいと思います。
実は午前中、医療法についての質問が出ました。私も、医療法については別にまた時間を設けて十分審議するということでございますので、その中でいろいろと申し上げたいことがあるわけでございますが、午前中質問の中にありました中で薬局薬剤師に関連する問題について、ちょっと重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
午前中の質問の中で、一つには改正案の第三十条の六の医療施設の研修利用の対象の中に薬剤師の調剤研究、研修を加えていただくように、そういう要望がありました。また改正案第三十条の三の第九項「診療又は調剤に関する学識経験者の団体の意見を聴くものとする。」を「聴かなければならない。」このようにぜひしていただきたいというのがございました。ほかに幾つかありました中で、大臣からの御答弁が非常によくわからないわけでございまして、御指摘については傾聴に値します、理解できる点がございますという答弁で終わっているわけですが、今の二点についてはそのとおりにするとお答えだったわけでございますか、確認の意味でお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/211
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212・竹中浩治
○竹中政府委員 午前中の御質問、それから今の先生の御質問でございますが、私どもといたしましては、いろいろ検討いたしました結果、政府提案として現在御審議をお願いをしておるわけでございまして、政府案でひとつ御審議をお願いしたいと考えておるわけでございます。
ただ、今先生の御指摘の問題等々いろいろ貴重な御意見もあるわけでございます。これらにつきましては、いずれにしても国会で決定をもしされるというようなことでございましたならば、政府側としてこれに従うことは当然であろうと考えております。そういう趣旨の答弁を午前中、大臣がさせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/212
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213・沼川洋一
○沼川委員 ちょっと改めてまた確認したいと思いますが、今度の医療法改正案の中に「医療を提供する体制の確保」という問題が何回も出てまいります。これも午前中の質問の中で、この中に薬局薬剤師が含まれますかという質問がありました。この点については、大臣から、改正案の中に「医療計画の案を作成するため、診療又は調剤に関する学識経験者の団体の意見を聴くものとする。」とあるから、薬局薬剤師は当然含みますという御答弁でしたけれども、これはそのまま受け取っていいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/213
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214・竹中浩治
○竹中政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/214
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215・沼川洋一
○沼川委員 そこで、さらにもっと具体的に聞いておきたいと思いますが、医療というと、これまた範囲も非常に広いのではないかと思います。ですから、今の答弁について、この医療という中にいわば処方せんの応需業務は含む、こう解釈していいのか、またこういった体制という中に医薬分業等が当然に入っている、こう理解していいのか、ひとつ教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/215
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216・竹中浩治
○竹中政府委員 医療という言葉でございますけれども、時代の変遷あるいは科学の進歩でいろいろ変化をしてまいっておりますが、医療につきましては、健康の増進から治療、リハビリテーションまで非常に広い概念だと一般に言われておるわけで、私どももそのとおりであると思っております。
今お話しの処方せん応需の問題等につきましても、私どもは医療の中身に入るというふうに考えておるわけでございます。(沼川委員「もう一つ、体制の中に医薬分業は入りますか」と呼ぶ)医薬分業につきましても医療を提供する体制の中に入ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/216
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217・沼川洋一
○沼川委員 非常に明快で、よく理解できます。
そこで、今まで国に医療審議会というのがございました。地方にはそれに準ずるものとして都道府県医療機関整備審議会、こういうものがございました。今回、これを規定した三十二条が全部削除されまして、新たに第五章の二の雑則の中の七十一条の二に、国に改めて医療審議会、今度は地方にも医療審議会をつくる、こういう改正案になっております。その審議会をつくる前提に、先ほどから私が言います「医療を提供する体制の確保」、それをするための審議会だ、こううたってあるわけですね。
そこで、私も医療法の問題をずっと詰めていく、特に地域医療計画をつくる中でこの医療法をずっと見ますと、先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、医療とは大体こういうものなのだ、定義なりこういうものだというのがどこを探してもないわけですが、この点についてどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/217
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218・竹中浩治
○竹中政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、医療という言葉の定義あるいは医療という言葉の内容でございますけれども、時代の推移なり科学の進歩等に伴いまして変化をするというふうに私どもは考えておるわけでございます。現時点におきましては、医療という概念は相当広い概念である、健康の増進から治療、リハビリテーションまで含む相当に広い概念であると理解していいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/218
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219・沼川洋一
○沼川委員 ただ、当然国はガイドラインをつくるわけです。地方は、都道府県知事を中心にして地方の医療審議会等が核になって地域医療システムをつくっていくわけですが、その場合に、この医療とは一体どこからどこまで入るのだということがはっきりしなければ、いろいろな審議会の中でも非常に困るのじゃないか、こういう気がするわけです。
ですから、もし法律案に盛り込めないとするならば、ひとつガイドラインの中で、これはこういうものなのだ、例えば、私はたまたま医療ということに対するあれが何もないものですから医療六法を片っ端からずっと読んでいましたら、これは国際法なのですけれども、医療及び疾病給付に関する条約(第百二十号)、これは日本が未批准だということですが、この中の第十三条にこういうのがあるのですね。
「第十三条第八条の医療には、少なくとも次のものが含まれる。(a)一般医の診療(往診を含む。)(b)病院における入院患者及び通院患者に対する専門医の診療並びに病院外で行なわれる専門医の診療(c)医師その他の資格のある者の処方による必要な薬剤の支給」特にここなんか、私がさっきみたいに聞かなくたって、「医師その他の資格のある者の処方による必要な薬剤の支給」と書いてありますと、ああ、これは薬局薬剤師も入るのだなと極めでわかりやすく理解できるわけです。「(d)必要な場合の入院(e)所定の歯科診療(f)所定の医学的リハビリテーション(補装具及び整形外科的治療装具の支給、保守及び更新を含む。)」こういったことが出ております。
例えばこういうような形でガイドラインあたりに、医療というのは少なくともこういうものを含むのだ、こういうものをぜひ明示していただかないと、案外現場でこの問題でいろいろ問題が出るのじゃないか、こういう観点からガイドラインあたりにどうですかと聞いたわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/219
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220・竹中浩治
○竹中政府委員 ガイドラインにつきましては、現在いろいろ事務的に検討をいたしておるわけでございますが、医療計画の中にどういうものは必ず盛り込まなければいかぬか、また、どういうものは盛り込んだ方がいいか、できるだけこういうものを盛り込んでもらいたいというふうなことで、いろいろ区分けをいたしましてガイドラインに書き込んでまいりたいと思っております。恐らく――恐らくと申しますか、ガイドラインをごらんいただけば、医療計画で言っておる医療というものがどういうものであるか、おのずからわかるような表現にはしたいと私ども思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/220
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221・沼川洋一
○沼川委員 そこで再度、国の審議会あるいは地方の審議会、この問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。
これは第五章の二 雑則、七十一条の二にあるわけですが、「厚生省に医療審議会を置く。」それから「都道府県に、都道府県医療審議会を置く。」「都道府県医療審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。」都道府県のは政令で定めるということですが、国の医療審議会については何にも書いてございませんけれども、これも政令で定めるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/221
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222・竹中浩治
○竹中政府委員 国におきます医療審議会でございますが、これについて実は現行の医療法におきましても特に政令で定めよと書いてございませんけれども、現在も医療審議会令という政令でもって規定をいたしておりますので、改正後も同じことで、医療審議会令で、そういう政令で定めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/222
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223・沼川洋一
○沼川委員 そこで、ちょっとお願いがあるわけですが、確かに現在のは、医療審議会令で委員の構成なりあるいは組織、こういったものがずっと書かれております。この中の委員について書かれた項目を見ますと、第二条に「委員は、医師、歯科医師、薬剤師、医療を受ける立場にある者及び学識経験のある者のうちから、厚生大臣が任命する。」こうあるわけですね。都道府県の場合は恐らくこれを受けての県の条例で決めたのだろうと思いますけれども。
ところが、実際この中に「医師、歯科医師、薬剤師」と、言葉では非常に明確にうたってあるわけですが、ついこの前まで国の医療審議会に薬剤師の代表は入れてなかったわけです。六十年の三月一日にやっと入れてもらっているわけです。今度は地方の医療機関整備審議会になりますと、私が調べたところでは、北海道と、たしか高知の二県だけが薬剤師の代表が入っていて、ほかは全然入っていないわけですね。ですから、これと同じようなものをまたつくられた場合に、ややもするとまた薬剤師の代表が抜けるのじゃないか。
せっかく先ほど、医療の中に処方せんの応需業務を含む、体制には医薬分業も含むというような明快な御答弁をいただきながら、大事な地域医療を審議するその場で薬剤師がどうも抜ける傾向がある。過去にこういう委員会があると、なぜかしらん薬剤師がほとんどいつも抜けておるわけです。そういう面で、もしこの政令をおつくりになるとする場合に、この辺がはっきり入るような配慮をぜひお願いしたいと思いますが、いかがなものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/223
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224・竹中浩治
○竹中政府委員 国の医療審議会は、改正後も薬剤師の方に当然入っていただくという考えで……(沼川委員「三月に入ったのでしょう。今まで全然入っていないのです」と呼ぶ)
それから都道府県の審議会でございますが、私ども本年の二月に調べましたところでは、現在の都道府県医療機関整備審議会におきまして二十八の都道府県について薬剤師が任命されておるという状況でございます。
今、先生お話しのように、都道府県審議会の組織、運営等々につきましてはまず政令で定めまして、運用上の細部について各都道府県の条例等で定めるという予定にいたしております。都道府県医療審議会に薬剤師の代表を加えるという問題につきましては、先生の御趣旨を踏まえまして今後十分検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/224
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225・沼川洋一
○沼川委員 特にこの地域医療計画をつくっていく中で、病院なり診療所なりの治療の中で薬物治療という問題が必ず非常に重要な位置を占めてくるわけですが、それには薬剤師が、病院薬剤師、また開局薬剤師も処方せんを通してかかわりを持つわけでございますので、そういう計画を立てられる折にはぜひ――従来ややもすると、何々の中からと書いてあるからどうもこぼれるのですね。ですから、言ってみれば中央医療協議会みたいに、医師、歯科医師、薬剤師の代表何名というような書き方をされると間違いなく入ると思いますが、薬剤師が抜けておるときには大抵何々の中からとある。必ず抜けるわけです。そういう面でひとつぜひとも、私は、医師、歯科医師、薬剤師、いろんな地域の医療従事者が入ってこそ、そういう中で計画されてこそ、これは立派な地域医療計画ができるものと信じておるだけに、この辺については十分な御配慮をいただきたいと思うわけでございます。
あと三分ぐらいしかありませんので、一言で結構ですが、ついこの前東大病院の長期投薬の問題がいろいろと社会問題になりまして、この是非をめぐっていろいろ論議がなされております。確かに療養担当規則に照らしてオーバーして投薬しておるわけですから、これは違反であるし、病院の薬に対するルーズさだと非難されてもいたし方ないと思いますが、その背景を見ますと、やはり一つには患者から強い要求がある。もう一つには、どうしても慢性疾患ということで病状が安定しているということから、ついそういうふうになったという背景を掘り下げていきますと、現在ある療養担当規則そのものがちょっと厳し過ぎるんじゃないか、何か現状にそぐわないんじゃないか、こういう気がいたします。既に中医協等でもこの問題がいろいろ取り上げられまして、外用薬については五日の期限を十四日まで延ばすというのが幾つか出てまいったと聞いております。
さらに、ここでぜひひとつ御検討願いたいのが、日本も処方せん制度というのをぜひひとつ御検討願いたい。例えば、現在処方せんが四日でございますけれども、この期限を三カ月なら三カ月にする。この一回の投薬についてはやはりお医者さんが責任を持って妥当と思われる線、例えば十日なら十日、十五日なら十五日と定めていただく。しかし、その処方せんの期限の間は反復使用できるというようなそういう形にしますと、何も東大病院だけじゃなくて地域で、地域の薬局で薬をもらえるというようなことにもなります。
時間がありませんので、非常に内容を縮めての質問で恐縮ですけれども、簡単にひとつお答えいただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/225
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226・幸田正孝
○幸田政府委員 東大病院の事件でございますけれども、今御指摘のようなことがございますが、内容を若干申し上げさせていただきますと、東大病院で行われました中には、いわゆる倍量処方、一日の服用量を倍にいたしまして、十四日分の処方で実質的に二十八日分の処方、服用を可能にしているケースと、それからもう一つは、処方せんの二枚交付というケースがございます。
処方せんの二枚交付は、一回の診療のときに二枚の処方せんを交付をいたしまして、実質的に二十八日分の処方を行ったもの。この後者のものにつきましては、処方せんを二枚交付をしておりまして、十四日目ごとに、患者さんは来ておりませんけれども再診をしたということにいたしまして、再診料を請求をし、同時に処方せんを交付したということで処方せんを交付をしている、いわば架空請求、不正請求に当たるものでございまして、こういった問題について、私どもはやはり厳正に処断をすべきものだと考えております。
ただ、御指摘のとおり、現在の慢性疾患に対する薬剤投与のあり方につきまして、現状そのままでよいかという問題につきましては、私どもも日夜検討を重ねているわけでございまして、外用薬について御指摘のとおりの延長を図ったのでございます。現在の三十日投与につきましては、昭和五十六年当時三種類の薬剤でございましたものを、現在三十九種類にまで拡大をしてきております。関係の学会の意見、関係方面の意見を聞いて適切な医療が確保されるように、この問題についての見直しは常時図っていく考え方であります。
それから、先生から御提議のございました処方せんの有効期限を三カ月に延長して何回もの投薬を可能にすることについてはどうかという問題につきましては、患者の病状がどう変化するかという問題がありまして、なかなか難しい問題があると思いますが、検討、研究をさせていただきたいと思います。
ただ、内科関係の学会等の御意見では、現在の健康保険の三十日投与を延長する必要はないのではないか、延長をせよというお話は私ども承っていない現状でございますので、そういったことも踏まえまして研究をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/226
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227・沼川洋一
○沼川委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/227
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228・戸井田三郎
○戸井田委員長 坂口力君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/228
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229・坂口力
○坂口委員 それでは、久しぶりにここで質問をさせていただきますが、大臣がお急ぎのようでございますので、先に国立病院・療養所の再編成、合理化の問題をお聞きをいたしまして、その後、新しい、最近の話題になっております病気のことにつきましてお聞きをしたいと思っております。
まず最初に、国立病院・療養所の再編成、合理化の問題でございますが、その基本指針につきましては、厚生省の方から三月二十八日付でパンフレットがまとめられております。これを拝見いたしまして、二、三、感じますところをお聞きをしたいというふうに思っております。
その一つは、「国立病院・療養所の果たすべき役割」というのがここに列挙されておりまして、その中には「政策医療」それから「政策医療に直接必要な臨床研究」それから「地域の開業医、勤務医のための」云々というようないろいろのことが書かれているわけでございます。ここで読ませていただいて感じますのは、国立病院が目指しております方向は、大型化、そして高度化、特殊化と、大体この三つの言葉に要約ができるかな、そんなふうに思うわけでございますが、まず一番最初、ひとつどんなふうにお考えになっているか、お聞きをして質問に入らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/229
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230・増岡博之
○増岡国務大臣 国立病院が全国二百五十三カ所、療養所を含めてございますけれども、その性格が、戦後のいわば一般医療をその地域地域において分担してきておったというウエートが、いわばシェアという言葉を使いますと当たるか当たらぬか知りませんけれども、かなり落ちてきておるということ、それから、今御指摘のように、より高度な医療というものが求められておるということ、そういうことから、相当広い範囲の地方における指導的役割を持つ国立病院を目指さなければならないという意味合いから、今回の再編成に着手をいたしたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/230
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231・坂口力
○坂口委員 今さら申し上げるまでもなく、だんだんと高齢化をされてまいりまして、疾病構造なるものも大きく変化をしてまいりました。これからこの高齢化時代をいかにして乗り切るかということが日本にとりましての最大の課題になるわけでございますが、この高齢化を乗り切りますために国立病院は何をなすべきかという観点からこの国立病院のあり方というものにも一考が加えられてよろしいのではないだろうかと思うわけでございます。
むしろそのことが最も重要なことではないかと思うわけでございますが、この「政策医療」のところを見せていただきますと、その中の一つに「老人性痴呆に対する医療、末期医療など、人口の高齢化等に伴い深刻な社会問題となっている医療のモデル的実施」というのが一つその中には入っておりまして、今後に対応しようとする片りんがここにあるわけでございますけれども、そのほかのところには、今までの、いわゆる旧態依然と言うたら大変言葉は悪うございますけれども、旧態依然とした治療中心の、しかも、今までの治療をさらに高度化していくという方向での国立病院のあり方、こういったものは大きく位置づけられているわけでございますが、新しい時代に対応をしてどのようにしていくかということに対する視点が甚だ欠けているように思えてならないわけでございます。
プライマリーケアの問題も最近非常にやかましく言われておりますが、そのほか高齢化社会を生き抜いていきますためには、どういたしましても人生の中でのとりわけ六十歳代、これをいかに乗り切るか、これをいかにせしめるかということがこの高齢化社会を乗り切れるかどうかということの分かれ国になってくるだろうと思うわけでございます。言うならば、今までの時代に比べて十年若返り政策と申しますか、十年ぐらい若返らせしめる政策というものがより必要になってくる。そうしたことも国立病院の大きな課題になるのではないだろうか、そんなふうに思いますが、その辺についてどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/231
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232・仲村英一
○仲村政府委員 まさに御指摘のように、我が国の医療機関が今後高齢化社会にどう対応し、どう乗り切っていくかというのは非常に重要な問題だと思います。国立病院に限らず、日本の病院の沿革からいたしますと、予防という活動はやや保健所に偏重しておりまして、截然と分かれておったということも事実でございます。しかしながら、疾病構造の変化に伴いまして、例えば老人の退院後のフォローアップでございますとか糖尿病その他の食事指導等とか、あるいはリハビリテーション、老人のデイケア等考えますと、やはり今後、病院が地域にその機能を展開していくという必要性が非常に高まってくるのではないかと私ども考えております。
ただ、御指摘の、国立病院がどの程度それを担うかということはまた別な問題として考慮させていただぎたいと思いますが、御指摘の点はまさに正鵠を得ておると私どもも感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/232
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233・坂口力
○坂口委員 この問題、もう少しお聞きしたいんですが、大臣がもう時間が迫っておりますので、次の問題を少しやらせていただいて、またもとへ戻らせていただきます。
もう一つ、今度のこの再編成につきまして、「再編成の推進方策」なるものが示されております。ここに「国立病院・療養所の再編成に際しては、関係地方公共団体の長その他地元の関係者と協議し、」と、ここまではよろしいわけですが、「統廃合後の地域医療の確保、経営移譲後の施設の経営の安定等に十分配慮するものとする。」こと。後半を見ますと、これは統廃合した後の地域医療のことについて、この公共団体の長及びその他地元の関係者と協議をする、それはもう統廃合は決めてしまった後の処理については協議をいたしますよということでございまして、どうもそう読めるんですね。
しかし、国立病院たるもの、それぞれそれなりの大きな歴史を持って今日を迎えているわけでございますし、地元との密接度というものも非常に大きいわけでございますから、確定をしてしまった後のことにつきましてはいろいろとお話をしましょう。夫婦であれば、離婚をしてしまった後のことにつきましては、身の振り方については話に乗りましょう。ただし、三くだり半は一方的に書きますぞということがこの言葉の中に秘められておるように思えてならない。これはやはり国立病院たるもののとるべき態度ではない。やはり、三くだり半を書く前に、これはいかがいたしましょうかということをよく相談をするという意味ならば、この文章は大変結構でございますが、どうもそういうふうに読めなくて困るわけなんです。大臣、最後にこのことをひとつお答えをいただいて御退場いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/233
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234・増岡博之
○増岡国務大臣 ただいまのお話でございますが、もし仮に統廃合を行った場合でも後に御迷惑をおかけはしませんよという意味合いで書いたものだと思います。しかし、それじゃ統廃合する前に何ら相談しないのかというふうに受け取られますとちょっと困惑するわけでございますけれども、もちろんこれまで地域の医療に果たした役割はあるわけでございますから、それを云々する前には地元の関係者、県、市町村なりと十分相談した上で対処していかなければならない、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/234
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235・坂口力
○坂口委員 もう一言お聞きしますが、統廃合も含めて協議をいたします、こういうことで理解させていただいてよろしゅうございますか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/235
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236・増岡博之
○増岡国務大臣 まあ統廃合を含めてといいますと、統廃合を話し合いの結果しないという場合もあり得るというふうにおとりいただけるかもしれませんけれども、全国に何しろ二百五十三カ所ございますので、ある程度の統廃合はやむを得ないものと思います。その際にいろいろ御相談申し上げながらやらしていただきたいというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/236
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237・坂口力
○坂口委員 少し話を戻しましてお伺いしたいと思いますが、最初に聞きましたように、これからの時代にふさわしい国立病院のあり方というものを考えますと、どういたしましてもこれからは例えば中間機関、中間的施設が必要だというようなことが言われておりますし、これがいい悪いは別にいたしまして、そうした新しい方向がもしも打ち出されるとしたら、やはり国の機関においてもそうしたことが可能かどうか、そしてそれはどういうふうに位置づけていいか。まあ日本の国の中、全部それをやれと言ったってそれは無理な話でありますから、国立病院の一部でモデル的に、地域地域でそうしたこともこれから手がけていっていただくというのが大事なことになるのではないだろうか。あるいは予防面におきましても、それはもう保健所だけに任すという形ではなくて、国そのものも保健所と十分な連携をとりながら方策をとっていくというような、地域におきましてはそういうモデル的なものもつくっていくということが大事ではないかと思いますが、もう一度お答えをいただいて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/237
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238・仲村英一
○仲村政府委員 お尋ねの件は中間施設の件だと思いますが、ことし老人保健部の方で十カ所試験的にやるということで私ども作業を進めておるところでございます。内容的に幾多の困難な点もございますので、現在鋭意詰めておるところでございますが、国立病院あるいは療養所がしかるべき対応をするというのは私どもとしても当然のことではないかということで、その中間施設の定義あるいは機能、その決まり方にもよろうかと思いますし、費用の出方とも関係するかとも思いますけれども、御指摘のような機能というものについては私どもも重視していかなくちゃいけないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/238
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239・坂口力
○坂口委員 先ほどの大臣の二番目の問題の答弁は、合格のようにも見えるし、不合格のようにも聞こえたし、どうもとり方によっては、前半と後半と少しニュアンスが違ったなという気もするわけでございます。
実は私の地元におきましてもやはりこの統廃合の問題が起こっておりまして、静澄病院という、これは今まで結核療養所でございましたけれども、その国立津病院との合併問題というのが起こっておりまして、いろいろ意見の出ているところでございます。そのいろいろの混乱をしております基本をさかのぼっていきますと、これを統廃合するぞという一方的な言葉がかけられる前に、こういうふうにありたいけれども、どうであろうかという相談がなかったところに混乱の一つがあるという気がしてならないわけでございます。ぜひそういう態度で臨んでいただきたい。もちろん、全国各地域でたくさんのそういう問題が起こりましたときに、大変な作業だろうとは思いますけれども、しかし、そういう姿勢が大事ではないだろうかということが一つでございます。局長さんの方から、先ほど大臣から答弁されましたけれども、補足することがございましたらひとつつけ加えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/239
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240・仲村英一
○仲村政府委員 国立病院・療養所の再編につきましては、当然のことながら地域医療の確保ということを最重点に考えなくてはいけないと思いますが、私どものねらいといたしましては、先ほど先生が冒頭におっしゃいましたように、高度化でございますとか集約化とか、いろいろのねらいもあるわけでございまして、その点で例えば先生の地元の三重県で情報の交換等に欠けるところがありましたとすれば、おわびしなくてはいけないと思います。
私どもは事前に十分に県の調査の資料でございますとか地域医療の実態等を勘案した上で六十一年度着手分につきましては八カ所ということでお示ししたわけでございまして、おっしゃられるように、情報の交換ということについて、できるだけ交換を密にしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/240
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241・坂口力
○坂口委員 八カ所既に発表になっているわけですが、この発表になりましたところにつきましても、今まで欠けていたところは補っていただいて、第一歩からひとつ見直しをすべきところは見直しをしてもらいたい、こんなふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/241
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242・仲村英一
○仲村政府委員 まさにおっしゃられるとおりのねらいを私どもも持っておるわけでございまして、単に二カ所を統合するというふうなことではなくて、国立病院にふさわしい機能のレベルアップあるいは機能を付与する。例えば小児の問題でございますとか、がんの問題でございますとか、国立が真に担うべき医療機能を付与するために統廃合というものも一つの手段として大いに活用していく、しかもそれが地域の医療のレベルアップにつながるという方向で私どもも考えてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/242
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243・坂口力
○坂口委員 時間がありませんので、もう一つだけお聞きをいたしますが、「辺地の国立病院・療養所を経営移譲する場合には、」「医師、看護婦等の要員を必要に応じ基幹的な国立病院・療養所から交代で出向させる等の措置を検討する。」それから、その前に助成措置みたいなものも書いてございますが、これは既にもう少し具体的なものが決まっているのですか、それとも決まっていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/243
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244・仲村英一
○仲村政府委員 その職員の御希望等も考慮しなくてはいけないということもありますので、一般的にそういういろいろの道があるということでございますけれども、個々にはまだ決まっておらないというふうなお答えになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/244
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245・坂口力
○坂口委員 ありがとうございました。それでは、時間がないものですから、この問題はひとつこれだけにしておきたいと思います。
それから、最近話題になっております成人不細胞白血病並びにエイズにかかわりますことを一言お聞きをしたいと思います。
成人不細胞白血病は、キャリアは八十万とも百万とも言われますし、日本の中で地域的な隔たりがかなりあるとも言われているわけでございます。また、それを追うようにして登場してまいりましたエイズは、日本の中ではまだそのキャリアも含めまして微々たる数ではございますけれども、これらの疾患は、一度罹患をいたしますと取り返しがつかないという共通点を持っているわけでございます。アメリカにおきましては、この病気をできるだけ早期におさめなければならない、広げてはならないというのでいろいろ手を打っておりますが、エイズにいたしましてももう百万人を超えると言われておりまして、抑えようにも抑え切れないような状態になっております。日本におきましても、不細胞白血病の方はさらに広範なキャリアがいるわけでございまして、これらの病気をできる限り拡大させないということが今一番大事なことでございます。
そういたしますと、輸血用の血液をいかにしてこれらから守って、そうして患者さんに差し上げるか。治療のはずの輸血用の血液がこれらのビールスを含んでいて、治療のはずであったが、しかし新しい病気を起こさせる。もとの病気は治ったけれども新しい病気でその人の命を奪うというようなことがございますと、これは大変なことになります。かつて血清肝炎が非常に大きな話題をまきましたが、あのように広がり切ってしまいますと、もうどうにもならないわけでございまして、これはどうしても現在の少ない状態で食いとめなければならない。
一つは、これに対応する姿勢でございますけれども、優秀な輸血用の血液を確保するということだけを中心にして考えるか、それとも優秀な輸血用の血液を確保するとともに、これらの疾病をこれ以上拡大させない、そしてこれを撲滅するのだという意識をそこに持ってこれに対応するか、この二つによって非常に違ってくると思うのです。厚生省はその前者をおとりになるのか後者をおとりになるのか、そこをひとつお聞きしたい。
もう一度申しますと、輸血用の血液というのが非常に大事になりますね。これにビールスが含まれているかいないかが大事である。これに対処いたしますのに輸血用の血液が安全であるということだけを考えて対処する。ということは、病気がもう少し多くなってきたら、例えばエイズならエイズという病気がもっと拡大してきたら、あるいは不細胞白血病がもっと多くなったらこれに対する抗体検査等もいたしますけれども、現在は非常に少のうございますからしないという態度をとるか。それとも、今は少ないけれども、少ないときであらばこそこれをやらなければならぬのだ、そして拡大を防がなければならぬのだ、ただ輸血用の血液を提供するだけではなくて、この病気を撲滅するんだという心構えてこれに対処するという対処の仕方とは随分違います。どちらをおとりになりますかということをお聞きしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/245
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246・小林功典
○小林(功)政府委員 今の先生の二つのカテゴリーからいえば後者でございます。ただし、実際に九百万人に上る献血者に対してどうやってやればいいか、どういうふうに効率的にやるかという問題が一つございますけれども、根幹に流れる考え方としては後者の考え方ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/246
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247・坂口力
○坂口委員 アメリカにおきましてもこの点を随分悩んでいるわけでございますが、ワシントン赤十字社のジェファーズさんというのがこういうふうに言っております。アメリカの赤十字の血液銀行の年間経費は三千六百万ドルでございます、しかしエイズの検査に二千四百万ドルの経費がかかります、しかしこれは安い保険である、こう一言つけ加えているわけです。安いかどうかはわかりませんけれども、しかし、全体から見ればこれは安い保険だというふうにつけ加えているわけでございまして、これは後者の立場で臨んだわけでございます。
厚生省の方も、局長さんも後者の方だということを明確にお答えをいただきましたので話は簡単でございますが、それならば、今スクリーニングする薬につきましては現在審査中でございます。この結論は大体いつごろ出ますか。不細胞白血病ビールスに対する抗体検査とエイズと分けて、大体いつごろになったら決着がつくか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/247
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248・小林功典
○小林(功)政府委員 ATLの方から申し上げますと、先ほどここで御答弁申し上げましたけれども、一応中央薬事審議会で審査を行いまして、それのいわば宿題が出ておるわけで、二社のうち一社については回答ができた模様でありますが、一社はまだ出ていない、これが現状でございます。したがって、それを事務的に判断をいたしまして、中央薬事審議会の意図するところがそれで満足しておれば、あとは事務的に処理をするということでございますが、時期はそう遠くないと思います。(坂口委員「年内」と呼ぶ)ちょっとそこまでは、まだ見ていませんから、具体的な日取りをここで申し上げるわけにはまいりません、まだ現に出てないメーカーもあるわけでございますから。
エイズウイルスの抗体検査用でありますが、これも中央薬事審議会で審査をしておりますが、何分全く新しい検査試薬でありますからちょっと時間がかかると思います。これは年内はちょっと無理だろうと思います。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/248
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249・坂口力
○坂口委員 二つのよく似たビールスの疾患が相次いで出てきたわけでございますので、でき得るならば二つセットにして実施に移すのならば移していただきたいと私は思うのでございます。
日本の場合には、献血は、一部都道府県がやっているところもございますけれども、ほとんどが赤十字の方がやっている。これをやりますのにはどれだけの経費で済むか、試薬の経費と人件費を含めてどれくらいで済むかわからないわけでございますけれども、少なくとも現在のアメリカがやっているような値段でございますと、かなりな、エイズでございますと一件当たり六百円くらいになるのじゃないか。ATLの方でも大体二百円くらいにはなるのではないかという試算も実はあるわけでございます。そういたしますと、現在の輸血用の血液費から見ますとかなりな額でございますので、これをどうするかという問題がありますね。これを赤十字におまえのところで全部やれと言われましてもなかなかしょい切れないだろうと思うのです。
費用については、これは特別な病気なんだから、先ほども話が出ましたように輸血用の安全な血液ということプラスこの病気を撲滅するんだという大きな医学的社会的な意義を持ってやることなんだから、輸血用の血液代金としてだけではなくて、そのほかから、例えば国庫補助なら国庫補助という形ですべきものなのか、それとも、これはやはり輸血用の血液なんだから血液代金に全部見てもらうべきものなのか、この辺について、ちょっと突っ込み過ぎておるかもしれませんけれども、お答えができたらひとつお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/249
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250・小林功典
○小林(功)政府委員 金額の点はいろいろな試算がございます。今おっしゃっていましたように、エイズの方が六百円という試算もありますが、千円以上かかるということも聞いております。それからATLの方は二百円とかいろいろあるようでありまして、これはメーカーによっても多少違うと思いますのではっきりしませんが、仮に千円といたしますと、献血者が九百万でございますから、ざっと言って七十億ないし九十億くらいの感じでございます。それをどういうふうに出すべきかということはいろいろな考え方があると思います。国庫補助ということも考え方としてはあるかもしれませんが、これは税金で賄っていくというふうになるわけでございますね。それから、薬価基準を改正して、薬価に載せて払うという方法もあるいはあるかもしれません。そこら辺はいろいろな考え方がありますので、いずれ検討しなければいけませんけれども、これだけではいかないということではないだろうかと思います。
だから、むしろそれより前に、いかにして効率的な検査方法を立てるかというところに実は私ども非常に苦慮しているわけでございまして、それとあわせましてその費用負担の問題は当然考慮しなければいけないと思っております。今のところ、まだ結論に達しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/250
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251・坂口力
○坂口委員 そうした新しい試薬ができましたときの検査方法、最も効率的にどうやったらいいかというようなことについての研究というのは既に厚生省でやられているわけでございますか。やられているとすれば、それはどこでおやりになっているか、ひとつお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/251
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252・小林功典
○小林(功)政府委員 業務局中心で今いろいろ頭をひねっている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/252
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253・坂口力
○坂口委員 そういたしますと、そこまでおやりになっているということは、どういう形で財源を絞り出すべきかは別にいたしまして、献血の血液の抗体検査の方法が確立されれば間もなくそれを実施をする方向でお進めになっている、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/253
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254・小林功典
○小林(功)政府委員 大変微妙な話になりますけれども、考え方としては前向きで対応したい、そのために研究しておるわけでございます。
ただ、問題が幾つかございます。しかも検査方法、財源の問題を含めまして非常に難しい問題がございます。ですから、そこら辺は今いろいろ鋭意努力して検討しておりますけれども、うまい知恵が出るかどうか、もう少し時間が必要だろうというのが率直な実構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/254
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255・坂口力
○坂口委員 もうこれ以上のことをお聞きしますのはあれでございますので、これだけにさしていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/255
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256・戸井田三郎
○戸井田委員長 福岡康夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/256
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257・福岡康夫
○福岡委員 本日は、私は国立病院・療養所の再編成、合理化問題を取り上げて厚生省の基本姿勢を伺ってみたいと思います。
厚生省は、本年三月、「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」を内外にお示しされておりますが、今なぜ国立病院・療養所の再編成を行おうとするのか、この基本的理念を簡潔にまず最初にお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/257
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258・仲村英一
○仲村政府委員 我が国の医療機関は、マクロ的に見ますと量的な確保はほぼ達成されつつあると考えておりますが、人口構造の高齢化でございますとか疾病構造の変化、あるいは医学医術の進歩等によりまして医療の内容というのは高度化、多様化しているのは御承知のとおりでございます。
このような情勢の変化を踏まえまして、国立病院・療養所は、適切かつ効率的な医療供給体制の確立という国民的課題の中で今後医療機関にふさわしい指導的役割を果たしていかなくてはいけないと私ども位置づけておるわけでございます。しかし、国立病院・療養所の機能、要員等の現状及び国家財政の状況等を踏まえますと、国立病院・療養所の機能強化を図るということの目的のためには、その果たすべき役割を明らかにした上で統廃合すべきはし、他の経営主体にゆだねるということが適当なものにつきましては経営移譲をするという再編成を実施することが避けて通れない道であるということで考えて作業を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/258
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259・福岡康夫
○福岡委員 再編成というのは統廃合と経営移譲と二つあると思いますが、それぞれの対象施設の選定の指標、基準はどのようなものなのか、またこれによりますと三百床以下の施設については見直しの対象とするということでありますが、これはどのような考え方に基づき設定されたものであるか、この点について厚生省事務当局の御見解をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/259
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260・仲村英一
○仲村政府委員 まず、お尋ねの統廃合についてでございますが、近隣に類似の機能を有する相当規模の医療機関がある場合で、病床数等から見まして国立病院・療養所としての機能を果たすことが難しいという場合のもの、あるいは近接いたしまして国立病院・療養所がございまして、統合した方がより機能充実が図られるものを対象施設とするというふうに考えておる次第でございます。また、二番目の経営移譲でございますが、経営移譲につきましては、地域住民の一般的医療の確保の役割は果たしているわけでございますけれども、病床数でございますとか診療機能あるいは診療圏等を総合的に勘案いたしまして、国が直営するよりも他の経営主体が経営することが適当と考えられるものを対象施設として考えておるわけでございます。
お尋ねの第二点の三百床の問題でございますが、三百床を下回る施設を見直しの対象とした理由につきましては、先ほどから申し上げておりますように、国立医療機関にふさわしい機能及び経営効率を考えますと相当数の病床規模が必要ではないかと考えられますが、いわゆる臨床研修というのをやっておりますが、臨床研修病院の指定基準というのが三百床以上であるということなども考慮のうちに入れまして三百床という目安を設定したわけでございます。なお、三百床という目安は、担うべき医療の内容等により弾力的に考えていかなくてはいけない点もあろうかと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/260
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261・福岡康夫
○福岡委員 私は、効率性の観点から余り財政面にウエートを置いた統廃合や経営移譲を厚生省が今後もし推し進めていった場合には、地域住民等関係者とのコンセンサスが得られず、結果的には再編成は破綻するおそれも出てくることを憂慮する一人でございますが、この再編成を進めるに当たっては、地方公共団体等関係者との協議を最重要視していくことが再編成の目的を達成する近道であると私は考えるわけでございますが、地方公共団体等の関係者との協議を最重要視するお考えがあるかどうか、この点について厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/261
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262・仲村英一
○仲村政府委員 先ほどの坂口先生の御質問に大臣からお答えいたしたとおりでございますけれども、御指摘のように、再編成の実施に当たりましては、関係の地方公共団体等地元関係者と統廃合の問題でございますとか経営移譲の具体的事案に即しまして、後医療の問題等地域医療の確保について十分協議をしていかなくてはいけないと考えておりますし、その上で円滑な実施を図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/262
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263・福岡康夫
○福岡委員 現在、大阪には国立の循環器病センターがございますが、中国・四国地区にも地元関係者から国立の循環器病センターを設置してほしいという要望が相当数ありますが、このことについて厚生省はどのようなお考えを持っておられるのか、ひとつ本音を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/263
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264・仲村英一
○仲村政府委員 循環器病というのは、御承知のように我が国の国民が罹患しておる病気では一番数の多い病気でございます。したがいまして、私どもとしてもがんと同様に力を入れていかなくてはいけないと考えておりますけれども、循環器病につきましては、従来から大阪にございます国立循環器病センターというところをナショナルセンターといたしまして、その連係のもとに全国の各ブロックごとに基幹的な地方循環器病センターを既に設置してきておるところでございます。
したがって、今後ともそのネットワークと申しますか網の充実を図っていく必要があろうかと思いますが、冒頭にも申し上げましたように、循環器病というのは質量ともに非常に多いし、多岐にわたっておる点がございますので、当然のことながら、国立病院におきまして各地域で循環器病につきまして高度な医療が要求されるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/264
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265・福岡康夫
○福岡委員 それじゃ一つ具体的な事例を挙げて御質問さしていただきますが、広島県には御承知のように国立の大竹病院があります。この病院は現在は病床規模が二百床でございますが、将来大竹病院の附属施設として中国・四国地区循環器病センター(仮称)を設けて病床規模三百床を上回る国立病院として再出発させたいという地元関係者の強い要望がございますが、このように地元関係者としては何とかして国立大竹病院を存続したい、との強い希望もまた持っておるわけでございます。存続のためには、大竹市としましては市の土地をも用意しようとする動きもあると聞いております。このように地元関係者が物心両面につき国立病院の存続にかける熱意について厚生省はいかにお考えなのか、ひとつ御見解をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/265
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266・仲村英一
○仲村政府委員 個別のお尋ねでございますが、現在、全体計画の策定を進めておるところでございまして、この場所で個別の施設の存廃について申し上げられないのは残念でございますけれども、いろいろなケースで地元の自治体の前向きな御協力をいただけることが私どもも必須の条件の一つと考えておりますので、今後再編成を進めていく上で地元の前向きな御協力はぜひお願いしたいと考えておりますが、個別の問題についてはここではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。まことに申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/266
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267・福岡康夫
○福岡委員 個別的な事例で存続するか廃止するかということを私は聞いておるのではございません。最初にお断りしましたように、大竹市は三万七千ぐらいの人口で、その苦しい財政の中から、やはり地方公共団体としてこれを存続するためには少しでも国との痛み分けをしながら一緒にこの問題を考えていこう、こういう姿勢のある国立病院につきましてどういうように厚生省はお考えになっておるかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/267
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268・仲村英一
○仲村政府委員 大竹の例に限らず、まことにありがたいお志だと私ども考えておりますが、個別の施設の存廃あるいは機能付与について特定して今ここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、先ほども申し上げましたように、循環器疾患というのは非常に数も多いし、すそ野も広い疾患でございますので、各国立病院が機能のアップを図った上で十分循環器病について診療を担当していくという方向は否定できないわけでございますし、ただいま先生がおっしゃいました事例につきましては、一つの御意見として念頭に置きながら、今後再編成計画を作成するに当たって慎重に検討してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/268
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269・福岡康夫
○福岡委員 問題は、結局厚生省としてこういう強い姿勢、要望に対して前向きに検討されるのかどうか、この点について率直に答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/269
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270・仲村英一
○仲村政府委員 一つの御意見として念頭に置きながら、今後再編成計画を策定するに当たりまして慎重に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/270
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271・福岡康夫
○福岡委員 今事務当局としては、念頭に置きながらという非常に含みのある、非常にニュアンスのある言葉をいただきましたので、私もこの問題につきまして非常にありがたく思っております。ひとつよろしくお願いいたします。
次に、私は国立大竹病院に附属施設として循環器病センター(仮称)を設置することが今なぜ必要なのかを申し上げたいと思います。
まず第一点として、大竹市には昭和六十三年ごろまでには山陽自動車道が開通しますが、百万都市広島から約二十分、岩国から約五分の位置になること、また陰陽高速道が昭和六十九年には開通することになっております。そうすると、山陰地方の島根県、鳥取県から大竹へは約一時間の行程となります。山陰地方からの循環器病患者の来院が非常に便利になる予定となることでございます。また、すぐ近くの岩国港には四国松山から水中翼船で一時間で参り、四国地方からの循環器病患者の受け入れも容易になってまいります。
第二点といたしましては、今後地元大竹市当局を初め大竹市医師会、各企業の労使等地元関係者の物心両面にわたる協力が得られる、こういうことでございます。
第三点といたしましては、中国・四国地区の中心としての地の利を得た大竹市に設置することにより、先ほど保健医療局長が御説明になったように、地域医療、中国・四国地区における循環器病の中枢的医療機関としての機能が発揮できるのではないかと思います。
以上のような三点の理由によって、国立大竹病院の附属施設として中国・四国地区循環器病センター(仮称)を設置し、政策医療を行う国立専門医療機関として国立大竹病院を残すことが地元大竹市を初め中国・四国地区住民の要望にこたえるものと私は確信するものでございます。このことについて、厚生省としていかにお考えになっておられるのか、時間が参りましたので、最後にこの問題についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/271
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272・仲村英一
○仲村政府委員 地域医療の確保という観点から考えますと、大竹病院の重要性も今先生御指摘の部分があろうかと思います。ただ、私どもといたしましては、近隣の国立施設、例えば岩国病院でございますとか呉病院との連携の関連も配慮しなくてはいけないと考えておりますので、ただいまの先生の御指摘は一つの御意見として考えさせていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/272
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273・福岡康夫
○福岡委員 御意見としてという意味でございますが、念頭に置いて、御意見として、これを前向きにお進めになるのかどうか、この点をやはり言っていただかないと、念頭に置く、こういうような抽象的な言葉じゃ本当に格好がつかない話です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/273
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274・仲村英一
○仲村政府委員 まことに申しわけございませんが、個々の施設の問題につきましてまだお答えする段階に至っておりませんので、先ほどから、まことに申しわけございませんが、同じ答弁を繰り返させていただいておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/274
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275・福岡康夫
○福岡委員 一応、具体的な今までの経過の御答弁をお聞きしておりますと、念頭に置いてとか、私の御意見を考えながらいろいろの問題を推し進めて最後の処理を図るという御発言がございましたので、総合的判断といたしますと、いろいろの含みのある言葉なので、私、意を強く持ちましたので、ひとつよろしく存続のことをお願い申し上げまして、私の質問を打ち切らせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/275
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276・戸井田三郎
○戸井田委員長 塩田晋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/276
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277・塩田晋
○塩田委員 私は、厚生省の関係行政の問題につきまして、主として三点についてお伺いをいたします。
その一つは、中国残留日本人孤児の帰国の問題でございます。第二は、年金積立金、年金福祉事業団の運営につきましてお伺いいたします。第三点は、医療法の関係でございますが、これに関連いたしまして医療行政全般につきましてお伺いをいたします。
まず第一の中国残留日本人孤児の肉親捜しのための一時帰国及び永住希望者の定着援護につきましては、日中両国政府並びに民間関係者あるいは団体等の並み並みならぬ御努力によりましてここ一両年大きく前進いたしましたことは御同慶の至りでございまして、敬意を表しますとともに深甚な感謝を関係者の方々に申し上げる次第でございます。
国会におきましても、近く戸井田社労委員長が御提唱になりまして、衆参両院の社労理事を中心といたしまして発起人となり、「帰国を希望する中国残留孤児国会友の会」が結成される運びになりました。身元引受人をふやすように呼びかけを行っていくということが申し合わされたところでございます。
そこで、現在までのこの中国残留日本人孤児の状況につきましてお伺いいたします。
既に判明いたしております中国残留日本人孤児の総数、これはどのようになっているか、また、そのうちの既に帰国をした方はどれくらいおられるか、それからまだ中国に残っておられる孤児のうち祖国日本に永住を希望しておられる方がどれぐらいいらっしゃるか、以上についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/277
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278・水田努
○水田政府委員 まず身元の判明した孤児の数は八百七十名でございます。それから身元が判明して既に我が国に帰国いたしております孤児の数は二百四十一名でございます。それから現在具体的に帰国の申請を手続中の孤児の数は百四十三名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/278
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279・塩田晋
○塩田委員 今後の中国残留日本人孤児の日本での肉親捜し、その訪日の計画、今までの経過とともに今後の計画がどの程度になっているのか、また訪中ということもあるのかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/279
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280・水田努
○水田政府委員 御案内のとおり、厚生省は身元の判明してない日本人孤児は全員訪日調査に参加をさせるという方針で計画的に対処をいたしているところでございまして、この方針のもとで、まだ訪日を実現していない孤児の数は現時点で九百六十五人でございます。この九百六十五人のうち二百六十五人は、本年度中に第九次、第十次の訪日調査ということで来日することが既に決まっております。残りの七百名につきましては明年度の予算要求をいたしているところであり、ぜひともこの予算を獲得して明年度中に訪日調査を終えたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/280
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281・塩田晋
○塩田委員 まだ訪日されてない方が九百六十五人ということでございますが、中国政府のある筋からの情報によりますと、まだまだ中国、特に東北地域についてははっきりと日本人と考えられておる中国残留日本人孤児がいるというふうに言われております。また、そういった方々を含めると、二千人ぐらいになるんじゃなかろうかという情報もございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/281
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282・水田努
○水田政府委員 ただいま申し上げました数は、中国の政府で日本人孤児であると認定した者の数でございまして、中国は、当該政府が日本人孤児であるという形で認定した者以外は出国を認めません。
なお、中国政府が調査中の者は現在でも百数十名あるやに聞いておりまして、これらの方が日本人孤児であると判明した場合には、今後もその方々の訪日調査を実現してまいるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/282
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283・塩田晋
○塩田委員 まだふえる可能性はあるといたしましても、約千人の方が日本に帰国、肉親捜しを希望されながらまだそれが実現してないということでございますが、この肉親捜しは、当初、始まりましたときは百人前後、また我々この社会労働委員会の場でたびたび厚生省にお訴えし、また厚生大臣も努力をされまして、ふやしていただく。そして百八十名から今年度は二百六十五名でございますか……(水田政府委員「もう既に百三十五名終わっております。計四百名です。」と呼ぶ)計四百名の方が今年度は見える、来年は一気に七百人で、ほぼ肉親捜しは終わる、こういうことでございますので、かなりピッチが上がってまいりました。我々が強く要望したことを必死に皆さん努力をされ、その間中国政府との交渉には一時一年半もとんざしたという事態もありまして、いろいろなことがございましたが、ここまで来ましたことを本当に感謝申し上げます。評価をしたいと思います。
私も二、三年前からこのことを強く言い、もうこれは本当に、時よ、しばしとまれと言いたいぐらいの時間との争いでございます。孤児といってももう四十を過ぎておられる方でございます。その親となりますと、親捜しに来られても、親は毎年亡くなっていかれる。そして、前のように百人余りのペースでいっておりますと、これは本当に何十年かかるかわからない。そのうちにはほとんどの親たちは亡くなられるということを強く指摘をしてまいりましたし、一気に船を持っていって千人でも一緒に帰ってきてもらったらどうかということも申し上げてきたわけでございます。それがいよいよ来年七百人一気にということで、ほぼ完了というかほとんどの方が帰ってこられるようになったということは、関係者の皆さんにとりまして本当に朗報であるし、また関係者の御努力に感謝をいたします。
そこで、その肉親捜しは、捜しに来られて見つかる率が今非常に下がってきておりますね。どのような状況で推移していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/283
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284・水田努
○水田政府委員 現在まで第一次から第八次まで経過しておりますが、判明率は、第一次が六二%、第二次が七七%、第三次が五三%、第四次が六七%、第五次が五二%、第六次が四三%、第七次が四一%、第八次が二五%、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/284
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285・塩田晋
○塩田委員 一時は八割近くも判明しておったのに今や二五%、四分の一しか見つからなくなってきた。これにはいろいろな原因があろうかと思います。また関係者の方は従来以上に努力はされていると思うのですが、この対策としてどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/285
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286・水田努
○水田政府委員 従来は、具体的な手がかりを持っている人から優先して訪日させたということでございますが、大量調査時代に入りまして、手がかりの有無にかかわらず全員参加させるという方針をとっている結果、判明率というのは必然的に下がっているわけでございます。私どもは、訪日の期間中に肉親捜しをするという従来の方針を重点に置くことは当然でございますが、判明しなくても引き続き肉親捜しを継続していくということに今後はポイントをさらに大きく置いていかなければならない。その方策の一つは、身元が判明していなくても、日本に永住帰国して、日本に落ちついて捜すという道を一つ開いた。もう一つは、コンピューターによる検索システムをつくるということで、現在もう既に準備に入っております。
それは、昨年の七月の時点で、日本国内にいますいわゆる関係肉親者から、まだ自分の子供は生きているという申し出を新たにとりまして、二千百十五名の方の申し出がございますので、それと訪日しまして未判明であった孤児のデータをコンピューターの中に入れまして、町でいいますところのいわゆるコンピューターお見合いと大体同じソフトウエアを使いまして、ある一定の範囲で条件の似通った人をコンピューターで索引しまして、それで既に申し出ておられる二千百十五名の肉親の方に非常に近い条件を持った人がいるということで、受け身だけではなく、厚生省の方からそういう申し出をされた方に働きかけをして再度調査をする。それで確からしいという情報の確率の高い人には、孤児の方に再度日本に来ていただきまして、その関係肉親との対面調査をする等粘り強く一人でも多く発見できるように継続的に努力をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/286
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287・塩田晋
○塩田委員 非常に難しい問題でございますが、関係者の皆さん方の一層の御奮闘をお願い申し上げます。
今御答弁ございましたように、肉親が見つからなかったので帰られた方も多数おられるわけですが、その中で、祖国日本に永住をしたいという方については、身元引受人さえあれば帰ってこられる、国籍も取得できるという道を開いていただいたわけでございまして、それがまた長期的な粘り強い肉親捜しの実効を上げる上にもプラスになると思うのですが、ことしやっと身元引受人があれば肉親がいなくても帰れるという道を開いていただいたわけですね。これをぜひとも大きく活用していただいて、これを進めていただきたいと思うのです。
私、数年前から中国、特に東北地域に行き、そして向こうの孤児、まあ我々が行きますともうそういう情報をどこかから伝え聞いて、町々に立っているんですね。我々が動くところみんな立っているんです。なかなか会わしてもらえないんですけれども、ともかく手を振ったりして、日本人を見て何とか助けてもらいたいというか、帰りたいという、その気持ちが本当にあらわれているんですね。本当に涙なくしては語れないいろんな状況がございました。その中で、やはり向こうではっきり日本人だと認定されておるし、本人も自分は日本人だから日本で肉親にも会いたいし、住みたいし、そこで死にたい、こういう希望をほとんどの人が持っていますね。
ですから、今のせっかく開かれた道でございますから、身元がわからない人でも肉親がわからない人でも帰ってきて、身元引受人の制度によってどんどん帰っていただくように、これはもちろん希望者でございますけれども、来てもらうということをひとつぜひとも強力に進めていただきたいと思います。
そこで、今度は帰ってからの問題なんですね。ことしその道を開いていただいてから、私の地元でも非常に熱心な橋本さんという方にボランティアで引き受けていただいて、その第一号じゃなかったかと思うのですが、孤児センターにももう入って卒業された、そして地元で今一家五人で暮らしておられます。この子供たちの就職問題とか、あるいは就学の問題等々、いろいろ御相談にあずかっております。非常に熱心な親切な方々がおられて世話をしておられますので、非常に良好な状況の中で生活をしておられるわけです。
今後、いろいろな問題が起こってまいりますけれども、就職も一応でき、二十前後の子供たちも今中学校へ通ったりしておりますが、そういった状況から見ましていろんな問題がございます。これらの問題を一つ一つきめ細かく対策をしていただきたい。帰っただけでいいということじゃないのですね。その後も定着自立のきめ細かな対策を進めていただきたい。もちろん身元引受人というのは、これはよき隣人として話し相手になり、いろいろな相談にあずかるわけですからいいんですが、それだけではなしに、こういう問題があります。
孤児一家が日本に帰られまして、孤児センターに四カ月入って出てこられた。その間の生活費なりあるいは旅費はもらっておられますからいいのですが、夏の暑いときは扇風機が要りますね。それから冬になってきますと、こたつも要る。もちろん家具や布団やその他生活を日本で始めるについての生活準備金といいますか、開始のための金は一世帯について見ましても大体最低、ぎりぎり五十万くらいは要るような感じでございます。そういった配慮についてはどう考えておられるかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/287
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288・水田努
○水田政府委員 御指摘のとおりでございまして、センター卒業後それぞれの身元引受人のおられる地域社会に帰りまして、それから定着自立を始めるわけでございまして、そういう御指摘のような諸雑費に応じますために、現在、帰還手当というものを大人一人十三万四千四百円お渡しいたしておりまして、お帰りになられておる方の家族構成を見ますと、大体五人家族ぐらいになっておりまして、十八歳未満のお子さんは半額でございますが、大体御指摘ぐらいの金額にはなるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/288
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289・塩田晋
○塩田委員 これはまあ、いただいておることはわかるのですが、やはり足らないんじゃないかということで申し上げておるので、これの増額をひとつ御検討いただきたいと思います。
それから、この孤児センターの規模、これはどのような現状であり、今後の計画はどうかということについて、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/289
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290・水田努
○水田政府委員 大量帰国時代を迎えておりまして、現在所沢にありますセンターは、延べ定員三百三十名でございますが、これでは到底手狭でございますので、現在それを倍増して延べ六百六十名の規模にするということで六十一年度予算に要求中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/290
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291・塩田晋
○塩田委員 そこで、肉親が見つからないで、今言いましたように身元引受人がある場合に帰ってこられるという制度を開いていただきましたね。それは希望者が今百何十人と言っておられましたが、これは一気に帰るようにできませんか。
聞くところによりますと、厚生省の方針としては、孤児センターにいれることが条件だから、孤児センターに入れない人は帰れないんだ、もっと後になるんだ、待ってください、こういうことで待機しておる人、今にも帰れると思って物を売り払ったりなんかして準備したけれども、なかなか帰れない。それはなぜかというと、孤児センターの収容能力がないからだ、そういうような話を聞くのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/291
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292・水田努
○水田政府委員 私どもは、やはり言葉も文化も違うところで四十年間育った人でございますので、円滑に日本社会に溶け込むためには、センターで四カ月間みっちりとそこらあたりの基礎的な訓練を行うことが必要であると考え、極力、できるだけ全員そこを通っていただくことを原則にいたしているわけでございます。
現在、申請がなされております百四十三名の方につきましては、明年度十一月には増設、オープンができますので、本年度、六十一年度の両年で全部受け入れが可能だと考えておりますが、私ども、そういう御指摘のような混乱が起きないように、帰国希望者には十分こちらから指示をするまで具体的な帰国準備に入らないように、再三注意をいたしているところでございます。
なお、希望者は即全員どうだというお話もございますが、現実に私どもやってみますと、帰国のゴーサインをしても、やはり予定どおりに帰ってこれない方が約四分の一ぐらいあります。というのは、向こうで養父母その他の肉親関係を持っておりまして、近く扶養費が決まるわけでございますが、現実に養父母が病気したときにはだれに頼むとか、いろいろな向こうでの肉親関係の手当てといいますか、そういうことを現実に処理していくということになりますと、どうしても私ども余り無理のない形での計画的な帰国の方がよろしいのではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、センターが隘路なために帰るに帰れないという結果を招来しないようなことは、十分今後とも配慮してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/292
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293・塩田晋
○塩田委員 ぜひともその配慮をしていただきたいと思うのです。私は、単に抽象的に言っているのじゃなしに、とにかく私が知っている大田さんという人と西川さんという人、いろいろ身元引受人になったけれども、それで向こうの人も帰りたいと言っているけれども、孤児センターに入れないから帰れないという状況を具体的に持っているのです。そこで申し上げておるので、今局長言われましたような御配慮をぜひともひとつして、希望を達成してあげていただきたいと思います。
ところで、第二の孤児センターはどこにつくられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/293
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294・水田努
○水田政府委員 現在ございます所沢のすぐそばにつくるように予定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/294
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295・塩田晋
○塩田委員 中国残留日本人孤児は日本各地からたくさん行っておられるわけです。また各地に帰ってこられます。もちろん東京も多いことは多いですけれども、また集まってぐることもありますけれども、しかし関西もかなり多いんですね。九州にもある、北海道にもある、東北も多いです。これは東京ばかりに集めないで――北海道なり九州から来るときは旅費を出しますよね、もちろん生活費もともに。関西なら関西、各道府県で非常に熱心なボランティアの方、それから団体もありますし、県当局も非常に力を入れていろいろな形でそういう施設をつくり、アフターケアをやり、集まる、あるいは日本語の勉強を教えるとか、そういうことを一生懸命やっておられるのです。御存じだと思うのです、各地にありますね。そういった人たちをもっと活用して、いわゆる民活ですね、そして施設は急を要しますから、何も所沢に、日本に一つだけ持ってくるのじゃなしに、関西にもあるいは東北にも九州にもというふうにつくったらいいと思うのです。
何億円のものか知りませんが、相当大きな金額で新しいものをつくられることばかり考えないで、既設の施設が各地にありますよ、校舎があいているとか公民館があいているとか、知恵を出したらいろいろあります。そういったものを活用されまして、また受け入れについてのそういったボランティアあるいは県当局、市当局が熱心にやっておられるところと一緒になって受け入れ態勢をやれば、これは来年の十一月まで、建設まで待ってもらいたいということでなしに、知恵を出してもらえばいけると思いますが、政務次官、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/295
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296・高橋辰夫
○高橋(辰)政府委員 ただいまの御指摘のありましたセンターの設置については、その意見も十分配慮して考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/296
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297・塩田晋
○塩田委員 ありがとうございました。非常に前向きの御答弁をいただきました。
あと一、二点お聞きしたいのですが、帰ってきた方々は世帯を持っておられますが、その住宅、家賃等ですね、これはどうなっているか。それから公営住宅等は優先的に入れてもらうということはよろしいですね。それから就職とかあるいは就学の便宜、これはどのように考えておられるか。また、身元引受人の趣旨からいって、これがどう運用されていくか、いろいろな問題が起こるのではなかろうかと思うのですが、こういったものについてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/297
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298・水田努
○水田政府委員 まず、身元引受人でございますが、未判明孤児の方が大量に帰ってこられます場合には、この身元引受人の制度を確立しておくということがどうしても基礎的な条件になるわけでございまして、よき身元引受人は、数多くの登録を得ているほど層の厚い選択ができることになるものですから、これについてことしの四月から募集し、出足が非常に悪くて心配をいたしておりましたが、現在百六十六名登録し、現在、県の段階で二百名ぐらい申し出がぼちぼち出てまいりました。近く国会の衆参の先生方が友の会を発足させていただきますと、また、これが大きく全国的に報道されますと、これが刺激になりまして、恐らくまた身元引受人の申し出もふえてくるのではないかと私ども大変期待もし、また希望をつないでいるわけでございますが、さらに私どもは、ことしの十一月からそのほかに法人も身元引き受けしてよろしいという一つの補完的な制度もあわせて発足させておりますので、できるだけ数多い身元引受人の登録を得て、できるだけ熱心でいい方を現実に振り当てができるようにしてまいりたいと思っております。
それから公営住宅については、建設省の方に、ぜひともできるだけ早い機会に孤児の方に振り向けていただきたい。肉親の方と同居しますと、やはりいろいろトラブルのもとになるものですから、できるだけ最初から、可能な限り公営住宅の中に入れるということと、それから、これも都道府県知事が委嘱しております生活指導員というのが週一回孤児のところに回ってきて、公営住宅なり就職のあっせんなり職業訓練校への入校のあっせんなりするわけですが、これは私のやや私見に陥りますが、できるだけ自立意識を高めるためには、何をおいてもやはり職業訓練校に入校されて、その地域に適した職業のある技術を覚えていただく。それで、そういう方向で連絡会議でも労働省にお願いをいたしているところでございまして、公営住宅、あるいは労働省がやっております職業訓練校への入校、それを踏まえた就職、そういうことを積極的に関係各省の協力を得てやってまいりたいと思っております。
なお、民間アパートに入りました際の生保の適用につきましては、社会局長からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/298
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299・小島弘仲
○小島政府委員 生活保護の給付の対象として住宅扶助というものもございますので、住居を使用するために家賃等が必要な場合には、当然生活保護としての給付の対象になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/299
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300・塩田晋
○塩田委員 ありがとうございました。各般にわたった問題でございまして、粘り強く連携を密にして、この戦争の生んだ悲劇、まさしく日本人の問題でございます。一刻も早く片づけていただきたい、このことを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
第二の年金の関係でございますが、年金の積立金は昭和六十年度末までに幾らになっておりますか。また、これからの見通しはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/300
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301・吉原健二
○吉原政府委員 厚生年金、国民年金の積立金でございますが、本年度末で厚生年金は四十九兆円、国民年金は三兆円、合計五十二兆円というふうに見込まれているわけでございます。
今後の見通してございますが、当分の間、毎年約四兆円ずつ新規積立金がふえていく。四兆円弱でございますけれども、そういう見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/301
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302・塩田晋
○塩田委員 この年金積立金は高利の運用をすべきではないかと思います。従来からも私も質問の中で強くこのことを関係の各省に対しまして要請をしてきたところでございますが、厚生省としてはどのような考え方でどのような努力をされ、どのようなところまで来たかということを御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/302
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303・吉原健二
○吉原政府委員 この年金積立金の運用につきましては、従来からその新規増加額は全額資金運用部資金に資金運用部資金の預託金利で預託をされてきたわけでございます。年金制度の立場、年金の保険料を拠出している立場からいいますと、その年金資金の運用についてはできるだけ安全かつ有利に運用していく、そしてそれを将来の年金の給付の財源にできるだけ充てていくという考え方が強いわけでございまして、保険料拠出者の意向はできるだけそういった安全かつ有利な運用の道を開くべきである、こういう御意向が強かったわけでございます。
一方、国の制度なり信用なりで集められた資金というものは国が統一的に運用することがいいんだという考え方で従来は資金運用部資金に預託をされてきたわけでございますけれども、年金制度の将来の長期的な安定を考えますと、今までどおり全額を資金運用部資金に預託をしていたのでは、どうしても拠出者のそういった強い意向。期待におこたえすることができないという考え方に立ちまして、私どもとしては、今後、新規積立金の約二分の一、それから満期償還金の約二分の一、金額にいたしますと約四兆円になるわけでございますけれども、そういった資金については資金運用部に預託をすることなく、別建てで民間の活力を導入する形で有利に運用し、将来の年金資金の財源に充てる、そのことによって将来の保険料の上昇を少しでも抑制することができれば望ましいという考え方に立って、現在大蔵省に正式の要求として提出をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/303
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304・塩田晋
○塩田委員 かなり具体的に前進が図られてきておると認めたいと思います。
そこで、この運用の金利ですが、今までは七・一%であったのが、十月から六・八%に引き下げになりました。いずれにいたしましても、七%前後の利率ということになりますと、五十兆円としてもざっと三兆五千億が年金の元手に手をつけないで毎年利子として生まれていくということですね。利子は毎年何兆ぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/304
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305・吉原健二
○吉原政府委員 約三兆五千億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/305
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306・塩田晋
○塩田委員 それはそれといたしまして、毎年三兆五千億があるということを念頭に置いて、私は次の質問に移りたいと思います。
大規模年金保養基地の投資状況。十一基地が既に決定され、私の選挙区でございますが、三木市の、グリーンピア三木と言われておりますが、これが既に完成をいたしまして供用されております。そして北海道大沼を初めとして十一基地がございますね。これの投資額、またどのように資金を調達して投資をしてきておられるか、また、元金と利子分の償還方法につきまして、大体一つの例でも結構ですが、全体がわかればいいですけれども、ここ数年どれくらいずつ投資をしてきたか、償還をしてきたか、その実績についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/306
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307・吉原健二
○吉原政府委員 大規模年金保養基地の構想を出しましたのは昭和四十八年でございますけれども、それ以来現在まで、先ほどお話のございましたように、全国で十一基地、十二カ所で基地の建設を進めているわけでございます。現在既に五基地がオープンという状況でございますけれども、そういった大規模保養基地に対する現在までの投資額を申し上げますと、最近数年間の投資額を金額で申し上げますと、五十七年度は五十六億、五十八年度は百三十二億、五十九年度は二百五十億という状況でございまして、六十年度は計画として約二百一億という計画を持っております。現在までの、五十九年度までの投資額は千三十四億円になっております。この千三十四億円は資金運用部資金からの借入金をもって充てているわけでございます。
その償還は、元本については厚生保険特別会計等から年金福祉事業団に対する出資金を充てているわけでございまして、現在までの、五十九年度末の出資金の累計は百八十億円ということになっております。
それから利息相当分につきましては、やはり同じく厚生保険特別会計等からの政府交付金をもって充てておりまして、昭和五十九年度末の累計額は三百二十八億円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/307
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308・塩田晋
○塩田委員 今明らかになりましたように、この大規模年金保養基地、十一基地、十三地域につきましての総投資額が一千三十四億、そしてこれは資金運用部からの借入金でございますので、元金は二十五年の均等償還、そして利息分も償還をしている。その額が今述べられたわけでございまして、元金と利息合わせまして今までに払われたものが五百億余りということになるわけでございますね。そしてその償還に充てるものは、元金については政府の出資金、利息については政府の交付金から埋められておると考えていいわけですね。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/308
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309・吉原健二
○吉原政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/309
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310・塩田晋
○塩田委員 そこで、大臣、今厚生省当局から御説明があったとおりでございまして、大規模年金保養基地の建設工事は大体もうこれで終わって、六十二年度限りで投資が終わるということになるそうでございますが、これだけの大きな投資をされて陸に十一基地つくられたわけですが、我が国は海洋国でございますね。四面海に囲まれて、貿易立国であるし、国民の海洋との結びつきは宿命的なものでございます。この海洋国家日本のシンボルとして、陸上ばかりにそういう保養施設をつくるのではなしに、世界的な旅行の傾向から見ましても、海に行く者がかなりふえてきているわけです。
そこで、また高齢化社会に向かっての高福祉という観点からも年金受給者の船によるレクリエーションということも考えられる。二十一世紀に向かいまして、そして勤労者も休日を増加して、ゆとりある生活を実現していく。あわせて教養、文化あるいは見聞を広めて、国際化を図っていく。国際化時代を迎えての、諸国民と我が国国民との友好親善、こういった国際化を迎えての時代に対応してのものとして、また非常に不況でございます海運界の活性化なりあるいはまた海運関係の雇用の増大という点からいいまして、陸ばかりに年金保養基地をつくるのではなしに、大規模なものを二つか三つ海にも浮かべてもらいたい。
これが私の年来主張していることでございますし、既にことしは総理に対しましても民社党の塚本現委員長が書記長時代に質問いたしておりまして、総理から、関係者の意見をよく聞いて、よく検討いたしますという御回答をいただいているわけです。したがいまして厚生省におきましても、特に運輸省におきましても大臣からの指示があり、また御検討いただいているものと思いますが、その検討は現段階でどうなっておりますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/310
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311・吉原健二
○吉原政府委員 年金の資金で客船、いわば豪華客船ということになろうと思いますが、船をつくることにつきましては、私ども、考え方として船をつくること自体、その構想について当否を申し上げるようなつもりはございませんけれども、年金の積立金でもってそういった船を建造することにつきましては、先ほど御指摘のございましたように十分検討するようにという総理のお話もございまして、関係する各方面の御意見なども聞いてまいったわけでございます。
それから運輸省等との協議も重ねてまいったわけでございますけれども、現在までの検討結果を申し上げますと、率直に申し上げまして、そういった船を建造いたしましても安定した旅客需要を見込むことが非常に難しいということが一つございます。
それから、船の建造自体に大変巨額なお金がかかる。塩田先生の御提案ですと、大体七、八百億円から千億円近い建造費が必要だというお話を伺っておりますけれども、建造費自体が大変大きいということもございます。
それから、船を建造した後の維持管理費が実は大変大きな額になるわけでございまして、事業自体の採算性というものが果たしてとれるのかどうか、率直に言いましてなかなか採算はとれないよというような専門家の御意見が強いわけでございます。
したがいまして、私どもとしては先ほどからお話のございますように、この年金の積立金、元本であろうと利子であろうとそれは将来の年金給付の貴重な財源になるわけでございますし、今後とも急ピッチで保険料を上げていかなければならないということを考えますと、果たしてそういった採算性の見込みがない船の建造に多くのお金を使うのはどうだろうか、関係者、特に保険料を出していただく関係者の納得なり御理解が果たして得られるだろうかと思いますと、率直に言いましてなかなか難しいなというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/311
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312・塩田晋
○塩田委員 私は年金の積立金そのもの、年金の給付の原資に一銭たりとも手を触れるということは言ってないのです。先ほども確認しましたように、五十兆の中から毎年三兆五千億が利子として生まれてくる。例えば七百億円としましても、これは一年間のうちの二%ですね。そして、それが初めてそういうことに使うということなら大問題でいろいろ議論があると思いますが、既に十一基地も大規模年金保養基地をつくっておる、これが六十二年で終わるという段階に今あるからこれを申し上げておるのです。全然新たな奇想天外なことではないのです。
それから、運営の問題につきましては確かに問題はあります。指摘される危惧はあります。運輸省はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/312
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313・長尾正和
○長尾説明員 先生、ただいまの検討の状況ということでございますが、私どもといたしましては、現在のところ我が国の外航客船あるいは世界のいわゆる豪華客船の運航実態とか料金などいろいろ資料、データなどを収集いたしまして勉強しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/313
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314・塩田晋
○塩田委員 その資料をまたいただきたいと思います。また、我々も十分に検討させていただきます。
この件は以前から大臣にもお願いしておりますし、いろいろと提案申し上げております。世界の傾向、これは御存じだと思うのですが、海洋国、先進国の英国は既に六万七千百七トンのクイーン・エリザベス2号という豪華客船を建造して現に世界じゅうを周航している。そのほかにも四万トン級の豪華客船がたくさんあるわけです。英国だけとってみましてもロイヤル・プリンセス、キャンベラ――キャンベラは四万三千九百七十五トン、こういったのが何隻もあるのです。そして豪華客船は二十隻今世界じゅうを周航しているのです。これだけのお客さんがいるということです。ソ連でも一万トン級ではありますけれども十隻ほど持って世界のドル稼ぎをやっているということがあります。それから、昔からの海運国であるノルウェーとかギリシャ、そういうところではもうどんどんつくって動かしている。現に最近の情報では、ノルウェーに至っては二十一万トン級の、十階建てのホテルを二つぐらい載せたような大きな客船を計画して、図面が出ています。二十一世紀に向かいまして、そんな状況にある。
我が国の客船というのは、外国から買った分を改造して一万五千トン、一万トン前後のものが数隻あるだけです。こんな状況ではいかぬじゃないかと思うのですが、どうですか。厚生大臣といたしまして、この問題につきまして、呉を控えておられます大臣といたしましては非常に関心を持っていただいているものと思っておりますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/314
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315・増岡博之
○増岡国務大臣 先ほどから年金局長から御説明申し上げておりますように、何分にも建造費が高額でございますので、したがって運航費用、すなわちお客さんが乗って一日にお払いになる費用がかなり多額なものになるようでございますから、できれば私どもは、年金のお金は年金受給者あるいは加入者に御利用いただけるものに使いたいということとちょっと相反しておるような気がいたしております。
もう一つは、地上でございますといろいろ投資し回収をする上に不動産として残るわけでございますけれども、船の場合には寿命があるということでなかなかまだ踏み切るに至っていないところでございます。せっかく運輸省で検討していただいておりますので、今後とも私どもも検討してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/315
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316・塩田晋
○塩田委員 前向きの検討をぜひともお願いを申し上げます。この問題、大規模年金保養基地と年金客船を比べる場合にいよく大規模保養基地は土地が残る、船の場合は四十年もたてばもうなくなってしまう、こういうふうにおっしゃるのですが、年金保養基地の土地に投資した分は四割ぐらいなんです。ですから、今の一千億からいえば大体六割、六百億は建物その他で投資されておるわけですから同じことですね、割合の問題ですけれども。そういったことをいろいろお考えいただきまして、ぜひとも実現に向かいまして前向きの御検討をお願い申し上げます。
時間がなくなりまして医療法の関係ができませんが、簡単に項目だけさっと申し上げますので、まとめて御答弁をいただきたいと思います。
第一は、医療法の改正法案の中にあります医療計画策定の前提となる地域住民の医療等のニーズの把握はどのように行っていかれるか。それから、ちょっと細かくなりますが、需給計画の中身ですが、診療所ではなくして病院の病床の数だけで供給面を考えておられるのは片手落ちじゃなかろうかと思いますが、いかがでございますか。
第二点は、医療圏を設定されますが、これは都道府県二県にまたがる場合がありますね。川崎市の場合あるいは所沢とかその他、まあありますね。全国各地にあると思うんです。そういった二県以上の地域にまたがるということが適当な場合、その地域医療計画というものはどういうふうにつくられるのか。将来、問題が起こるのじゃなかろうか。知事がそれぞれ計画の策定者ですから、それぞれの県が主体的にやる。知事が最高責任者である。これ、どう調整されるかですね。これは大店法の経験があるわけです。こういうケースについて処置できなくなってしまって通産省に持ち上げて、法律もまたつくり直したという経緯があるのですが、その辺が今度の計画には配慮がありません。どう考えておられるか。
それから次は、第三十条の七というところに「その他必要な事項」というのがありますが、あいまいな表現ですね。これを勧告の対象にするというのは、こういうのはちょっと何が盛り込まれるかわからぬというようなものを組むのは問題じゃなかろうか。これは削除すべきじゃなかろうか、このように思いますが、いかがでございますか。
それから四番目は、医療法人の理事長は医師でなければならぬということが原則になっておる規定が加わりました。これはいろんな問題が起こると思うのですね。直ちにお家騒動といいますか、事業の承継についての問題が起こる。御主人のお医者さんが亡くなられて奥さんが病院を経営しておられる。たくさんの医師がおられるという中で、原則はこうだからかえにゃいかぬとか、息子さんが医学部に行っておられるから卒業まで待ってもらいたいというくらいのことなら、原則ですからあるいは認めてもらえるかもわからぬけれども、子供二人で、兄の方は経営の関係、病院経営の方を専門的にやらそうと思っている。弟さんの方はお医者さんにして、その病院で一緒に兄弟仲よく働いて事業を続けてもらおう、こう親が配慮しておったところを、これがお医者さんじゃないといけないとなると、今度弟さんの方が医療法人の理事長にならなければならぬ。こうなってくると、あちこちに、全国に五百ぐらいそういう問題が起こる可能性があると言われております。これはどのように原則を運営されるか、これは問題じゃなかろうか。
それから第五番目は、一人法人の設立が、これは税制の関係もありますが、できるように改めてはどうかということを申し上げましてお伺いいたします。
それから六番目は、デイケア、ナーシングホーム等のいわゆる中間施設の法的地位を明らかにして、そして予算措置を伴う計画的な拡充を図るべきだと思います。高齢化を迎えまして、先進諸国のナーシングホーム、中間施設を私も見てまいりましたけれども、その状況から見まして我が国は非常におくれております。これを急速に拡充をする必要があると思いますが、いかがお考えでございますか。
以上、はしょって申し上げましたが、簡単にお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/316
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317・竹中浩治
○竹中政府委員 第一番目の医療圏内での医療需要の把握の問題でございますが、医療需要につきましては各種のデータが既存のデータとして幾つもあるわけでございますが、例えば国民健康調査あるいは患者調査による年齢別受療率、そういった各種の既存データの活用を図ってまいるわけでございます。そのほか、それぞれの都道府県あるいはそれぞれの地域での特殊な事情を把握するために都道府県に調査をやってもらうというようなことも考えておりまして、そういったことで医療需要の的確な把握をしてまいりたいということでございます。
それから診療所の病床の問題でございます。現在のところ、私ども、必要病床数という考え方の中には有床診療所の病床は考えておらないわけでございまして、これは先生御承知のように、有床診療所の病床というのは原則として四十八時間以上患者を置いてはいけないというふうな、長期収容を予定してないという特殊な状況でございますので、私どもといたしましては、必要病床数に含めて取り扱うことは適当ではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
それから二番目の、二県あるいはそれ以上にまたがる医療圏の設定についてどう勧告するのかということでございますが、そういうケースがかなりいろいろと出てまいるだろうと思いますが、最終的には、二県以上にまたがります医療圏についてそれぞれの県がそれぞれの医療計画の中で考えていく、こういうことでございますけれども、医療計画の原案作成の段階におきまして、改正案の三十条の三に「必要があると認めるときは、関係都道府県と連絡調整を行うものとする。」という規定もございます。そういうことで、隣り合わせの県同士で十分綿密に協議、調整を行ってもらいまして、適切な医療計画を策定してもらいたいと思っております。また、仮にそういった点で問題が生じました場合には、厚生省といたしまして適切な指導なり調整をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
それから勧告の問題でございます。三十条の七のところで「病院の開設その他必要な事項に関して勧告することができる。」ということでございます。これにつきましては、医療計画を達成するために必要な場合に都道府県知事が病慌の開設者等に対して行うわけでございますが、当面、これは勧告の対象も制度の目的を達成するための必要な限度において、その範囲の中で行うわけでございまして、現在のところ、私どもといたしましては、勧告の対象として開設、それから増床、それから病床種別の変更、この三つを考えておるわけでございまして、この点につきましては施行通達の上で明示をするということでやってまいりたいと考えておるわけでございます。
それから四番目でございますが、医療法人の理事長は原則として医師または歯科医師がなるということでございます。先生からいろいろ具体的に事例を挙げながらお話がございましたが、絶対的に医師、歯科医師でなければならぬということを考えておるわけではございませんで、医療法人の実態等から、都道府県知事の認可を受けた場合には医師、歯科医師でなくても理事長に任じ得る道を残しておるわけでございます。どういう場合にそういう医師以外の人が理事長になってもいいかというような運用上の問題につきましては、私ども、通達をもって示す予定をいたしておりますが、いずれにいたしましても、制度の適正な運営が図られるようやっていくということで、改正後関係方面の意見も十分お聞きをいたしまして運用の範囲を定めていきたいと考えておるわけでございます。
それからその次に、一人法人の問題でございます。これは午前中もいろいろ他の先生方から御質問がございましたが、その際、大臣からお答えを申し上げましたとおり、国会がこうした方向で御決定をされました場合には、政府といたしましてこれに従うことは当然であるというふうに考えておる次第でございます。
それから最後に、中間施設の問題でございます。御承知のように本年の八月に懇談会から中間報告をいただいておるわけでございます。来年度は老人保健部が中心になりましてモデル的な運営をやってみようということも考えておるわけでございますが、その中間報告を受けましてこの中間施設の法的な位置づけをどうするのかという問題、非常に重要でありますし、難しい問題でございます。現在、鋭意検討いたしておる段階でございまして、まだ結論について申し上げられる状況ではございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/317
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318・塩田晋
○塩田委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/318
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319・戸井田三郎
○戸井田委員長 浦井洋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/319
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320・浦井洋
○浦井委員 厚生省は、十月二十二日ですか、消費生活協同組合法を一年以内に抜本的に見直すということを決めたというふうに伝えられておるわけなんです。これは一体抜本的な見直しの必要性があるのか、やるとすればどういう点をやるのか、内容、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/320
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321・小島弘仲
○小島政府委員 生活協同組合は近年著しい発展を見ておりまして、相当の社会的な勢力にもなってまいってきております。それだけ国民の期待にこたえた活動も行われておりますが、反面、購買生協でございますと員外利用の禁止というようなことが必ずしも十分に守られていないというような問題もあります。あるいは既存の生協が新しい地域に出店する場合の資金調達のあり方というようなことについてもいろいろな疑問も提出されております。
社会全般にわたりまして、立法当時と社会情勢も大変変わってきております。また医療なんかにつきましても、当時は皆保険体制になっていなかったのが皆保険体制になっておるというような状況の変化もございますので、そのような状況の変化に基づきまして、今後本当に期待されるような生協活動が適法に実施されるというようなことを担保する必要があろうと思いまして、もろもろの問題点あるいは御批判ということを謙虚に受けとめながら生協本来のあるべき姿に照らして検討し直してみまして、必要なところについては改善策を講じてまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/321
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322・浦井洋
○浦井委員 生協本来のあり方ということになると、現在の生協法の第一条「目的」の項があります。これは小島さんもよく御存じだろうと思うのですが、「この法律は、国民の自発的な生活協同組織の発達を図り、もって国民生活の安定と生活文化の向上を期することを目的とする。」これはいらわないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/322
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323・小島弘仲
○小島政府委員 基本的な精神は、時代の変化がありましても何ら変える必要はないのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/323
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324・浦井洋
○浦井委員 これを変えるとすればどう変えるか、変えないということをお答えになったと思うのですが。私はやはりロッチデールの原則に反するだろうと思いますし、さらに言うならば、政府の出した文書の中でも生協など消費者の自主的組織の活動の重要性を改めて強調しておるわけです。だから、これはいらわない。もう一遍確認したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/324
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325・小島弘仲
○小島政府委員 これから検討を待たなければなりませんが、この趣旨につきましては、私個人としてと申しますか、行政を主管する立場で、この精神は変える必要はない、むしろ尊重されてしかるべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/325
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326・浦井洋
○浦井委員 一部の商業者団体の中で、今局長の言われた中に含まれるわけですが、生協は戦後のいわゆる物資不足のときのものであって、今必要ないんだというような意見があるやに聞いておるのですが、厚生省はどう見ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/326
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327・小島弘仲
○小島政府委員 そのようには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/327
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328・浦井洋
○浦井委員 それから、員外利用、出資金、広告について厚生省も指導しておるわけでしょう。だから生協側もそれに応じてみずから改善に努力しているわけでしょう。これはやはり成果が上がっておるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/328
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329・小島弘仲
○小島政府委員 生協の全国組織に当たります日生協等についてもいろいろ傘下組合を御指導いただいておる、また行政庁の立場で厚生省もしばしば通知を出してその遵守方、改善方等についてお願い申し上げたり御指導申し上げておるところでございます。一部地域で改善を見ておりますが、不幸にして必ずしもその辺の御理解をまだ十分に願い切れない面も見受けられます。
事例調査的に行った結果によりましても員外利用の度合いの相当高いところなどもまだありますので、この辺はもう一回各生協におきましても生協本来の趣旨、法律の規定ということに照らした適正な適法な活動、正しい活動をお願いしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/329
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330・浦井洋
○浦井委員 今、局長の言われたように、確かにトラブルが起こっているような場合もあるわけです。だから、具体的に名指ししますけれども、与党の商工部会の中で、大店法の適用も受けるべきだというような意見があるということも新聞報道されているわけです。しかし、出店について現行の状態で指導できるわけでしょう。それから、トラブルというのも漸減傾向にあるわけなんでしょう。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/330
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331・小島弘仲
○小島政府委員 これは行政指導という範囲で、法律の規定が必ずしも十分でないところを補完する意味でいろいろ御指導申し上げている点もあります。ただ、それらにつきましては法律上に根拠を置いた指導と違って、あるいは十分効果がないではないかという御指摘もございます。
またトラブルもできるだけないようにという御配慮をお願いしておりますが、例えば直近のところで五十九年度を見ますと、九十店ぐらいの出店があったかと思います。そのうち何ら問題がないというのが二十店ほどかと思います。残りは多かれ少なかれ途中経過があって、依然として話がつかないのが一件あるというような程度でございます。ただ、そのときのいろいろの立場から見ますと、法律の根拠がないと何か拘束力がない、その辺のところで十分な協議が生かされないという御批判もあります。我々としては、法律のあるなしにかかわらず生協が現時点においてできるだけ問題を起こさないような、しかし問題が起きた場合に積極的に地域と調和しながら解決していただけるような御配慮をお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/331
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332・浦井洋
○浦井委員 私の立場は、生協規制、法的な規制は必要ないという立場なんですよ。私自身も灘神戸生協の組合に入っておるわけです。灘神戸生協は一番問題になっているというふうに一部で伝えられておるわけですけれども、こういうパンフレットを出しておられるわけです。これは大臣も見られたと思うのです。
これによりますと、ややこしいので読みますが、灘神戸生協の場合は実質的には大店法に規定されておる趣旨に沿うように生協の側で自主的に進めておるというふうに書かれておるわけです。私も灘神戸生協の場合を見たら大体そう思うわけなんです。
さらに細かく言うと、「現状の出店手続きは、厚生省通達に従い、総代会における決議を経た後、関係官庁、並びに地元商業者団体とも連絡調整をおこない、合意による円満な解決を大前提として出店してきています。」こういうふうにここに書いてあるわけです。また、当事者間で解決を残念ながら図れない場合には、この所管行政庁は厚生省ですね、その指導、援助、調整を受けるということも自主的にやっているわけです。こういうふうに自分で自主的にルールを守られておるとすれば、これはやはりこの方向で行くべきではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/332
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333・小島弘仲
○小島政府委員 確かにいろいろ指導通知を出しておりまして、その線に沿っての御努力をお願いしておるわけです。ただ、先生今御指摘いただきましたように、例えば当事者間の協議で話がなかなかつかなかった場合には、都道府県知事のところに第三者機関的な協議会を設けてあっせんをしてくれ、調停をお願いしたいというようなことを考えて御通知も申し上げておるのですが、必ずしもそこまではやはり整備がなかなかし切れない。そのような協議会を設けていただいている県というのは極めて少のうございます。ほとんどがそこまでない、当事者の自主的な協議だけに任されているというのが現在の現状であろうか、こう考えております。したがいまして、やはりそういう第三者機関的な協議機関というものがこの問題の円満な解決のためにはやはり必要ではないかということも考えて種々検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/333
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334・浦井洋
○浦井委員 それは各都道府県、地方に任じておけばよいので、あえて生協法本体をいらわなくてもよいのではないかというのが私の意見なんですよ。だから、かなりやっておるのですよ。私なんか聞いてみましたら、私の娘なんかも買い物に行きますと、組合員の家族ですね。やはり組合員証の提示を求められる。員外利用の規制ということもやっておるわけですよ。そういう自主的なルールをずっと今まで何十年かかかってつくり上げているわけです。今さらこの生協法本体をいらう必要は全くない、そういう必要性も緊急性もないというふうに私は思うのですが、大臣、この問答を聞かれておられてどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/334
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335・増岡博之
○増岡国務大臣 生協が国民生活の上に果たされた役割というものは、一応は評価しなければならぬと思います。しかしやはり、今問答されておりますように、依然として出店、員外利用等の問題をめぐりまして摩擦があるわけでありまして、そういう問題点が指摘をされておるわけでございます。なおかつ、生協法の制定からかなりの年月がたっておるわけでございますので、そのあり方全般について所要の改善策を講ずるべく見直しをしなければならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/335
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336・浦井洋
○浦井委員 それはだめですよ。そういう必要は全くない。
委員長も組合員じゃないですかね。灘神戸生協の組合員じゃないですかね、御家族が。
だから、私はやはり自主的なルールに任しておくべきで、今の現行法をいらわないというのがやはりこれからの生協の自主的な発展に不可欠の要件だというふうに思う。これは、ここで議論をこれ以上しても仕方がないので、この問題はここでおきます。
次の問題は血友病、エイズの問題であります。
まず、大臣にお尋ねしたいのですけれども、血友病の患者さんの中で既に日本でエイズに感染をして四人の方が亡くなっておられる。午前中からいろいろ議論があって、私も質問主意書を出しました。やはりこれは血液製剤の国産化がおくれたことによる犠牲者であるというふうに私は思う。だから、そういう意味では、日航の一二三便ではないですけれども、人災だというふうに私は言うべきものだと思う。こういう四人の方、数からいえば少ないかもわかりませんけれども、亡くなられた方々に対して、大臣、今のお気持ちはどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/336
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337・増岡博之
○増岡国務大臣 不幸にして亡くなられた方々に対しては、深く哀悼の意を表する次第でございます。
したがいまして、その後、血漿製剤の輸入に関してのいわば無害化する措置をとっておるところであります。行く行くは、やはりいわゆる人間の臓器に当たるものでありますから、国産化をすることが肝要であろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/337
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338・浦井洋
○浦井委員 亡くなられた方は、本当にもう唇をかみしめて血が出るほどの残念さ、無念さで亡くなられたというふうに私は思うわけなんです。だから、そういう点で今大臣は国産化のために努力をしたいと言われたのですけれども、その具体的な計画、早急に具体化すべきだと思うのですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/338
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339・小林功典
○小林(功)政府委員 血友病患者に使用しております血液凝固因子製剤でございますが、確かにその大部分は輸入に依存しているというのは事実であります。
ただ、今大臣お答えしましたように、加熱処理が実現したあるいはしつつあるということ、あるいは外国における採血段階のチェックが今全部行われていますので、その点では随分安全性が高まってきたということは言えると思うのでありますが、ただ、それよりも何よりも、やはり日本国内で使う血液製剤は日本国内で賄うということが当然のことだと思いますので、その方向で対策を打ち出したいと思っております。
その際に、先生御承知のように、八月に血液事業検討委員会から提言が出されております。これは私ども読みましたが、大変妥当な提言だと思います。したがいまして、それで今関係者との間のいろいろ話をしながら、政府としてあるいは厚生省としてこの対策を立てたいということで今鋭意準備を進めています。
中身としましては、例えば四百ミリリットル採血、それから成分献血の推進、そしてさらには血漿分画製剤の暫定的な民間委託といった、そこら辺のいろいろな対策を盛り込んだ対策を今検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/339
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340・浦井洋
○浦井委員 小林業務局長の方からお答えがあったのですが、とにかく加熱処理そのものがアメリカに頼っておるということになるのですよね。それから、これはさっき暫定的にと言われたわけですね。中間報告の中で、民間製薬会社の製造能力の一時活用、この文言を指すだろうと思うわけなんです。これはもうあくまでもやはり、きょうずっと問答があったように、赤十字、日赤が中心になって国内の国産化の方向というものを早急に具体的につくり上げるということが大事だと思うのですが、もう一遍……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/340
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341・小林功典
○小林(功)政府委員 先生のお話の中で、加熱処理をアメリカに頼っているとおっしゃいましたが、これは、アメリカから輸入されるものも製品化されたものは向こうで加熱処理をしているということなんですが、国内で製造するものも加熱処理しているわけであります。つまり、加熱処理の方式といいますか手法が開発されて、それで両方やっている。それを一つ申し上げます。
それから民間委託の話は、私ども率直に言って、本来なら採血、献血を受ける日赤が全部その血漿分画製剤までつくるというのが一番ベストだと思うのです。ただ、残念ながら今の段階では日赤には、例えば今お話出ています血液凝固因子製剤の製造の技術がまだないわけであります。そうすると、献血の血を使って血友病患者用の血液凝固因子製剤をつくるとなりますとしばらく時間がかかる、日赤につくらせるとすれば。そこで、これはやむを得ない処置だと思いますけれども、そういう意味で暫定的と申し上げたのですが、今民間のメーカーは原料さえもらえば今すぐにでもこれをつくる技術がありますので、それを利用して、なるべく国内の献血で血友病患者用の製剤もつくるという方法を選んだ方がベターじゃないか。本来やはり日赤につくってもらう方がベターだと思うのですが、当面の措置としてそれしかないではないかというのが私どもの気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/341
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342・浦井洋
○浦井委員 その話もある程度わかるのですが、やはり日赤が中心になる。その日赤の方も、受け入れる、やるという話で、ただ何かこう、日赤も遠慮するし、ミドリ十字その他の大手三社も何か中途半端だという格好の中で、エイズが蔓延していったらどないなるかという心配を血友病の患者さん方はされておるわけなんで、これは早急にやっていただきたいというふうに思うわけです。
その暫定的な問題といいますか、日赤で、乾燥抗血友病人グロブリンというのがありますね。これの供給拡大を図っておるそうでありますけれども、なかなかこの安定供給という段階にまだ至らない。もっとその供給の拡大を図るように行政庁としても指導すべきではないかというふうに思うのと、それからもう一つ、日赤の製品で乾燥低フィブリノーゲン抗血友病人グロブリン、いわゆる中間クリオについてもやっぱり認可を早めて早急に供給すべきではないか、私はそう思うんですが、ちょっと専門的になりますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/342
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343・小林功典
○小林(功)政府委員 日赤の今の製造体制、今先生おっしゃったとおりだと思います。ただ、これは血友病患者に使われます血液凝固因子製剤の中でごく一部でございます。それを急激に今の段階でふやすというのは、恐らく物理的に無理だろうというのが私どもの判断であります。ある程度時間を置けばそれは可能性はあると思いますけれども、今直ちに困っているわけでございます。なるべく早く国内献血で血友病患者用の製剤をつくりたいという気持ちはありますから、そうなると、やっぱり一時民間の力をかりる方が血友病患者さんのためにもなるんじゃないかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/343
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344・浦井洋
○浦井委員 それからもう一つの方は。後の方、中間クリオは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/344
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345・小林功典
○小林(功)政府委員 生産の拡大を図るべきではないかという御趣旨、それも同じでございます。今の量がかなり少のうございますから、そこを急激に伸ばす、拡大するというのも恐らく無理じゃないかなという気がいたします。つまり、血友病患者さんに必要な所要量を日赤の生産能力の拡大で直ちにカバーするということはなかなか難しいんじゃないかという気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/345
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346・浦井洋
○浦井委員 そういうふうに言っている間に日がたつわけなんですよね。だから、やっぱりこの際思い切ったことをやらぬと、本当に血友病の患者さんたちは新たな差別をされる。あるいは常に生命の脅威にさらされる。だから、早急に手を打つ、あらゆる手を打つということを要望しておきたいと思うわけです。
さっきも出た質問ですけれども、献血時の抗体検査ですよね。これはやっぱりやるべきだと思うんですよ。ところが、きのうもいろいろレクチャーを受けると、もうちょっとエイズの患者さんが出なければとか、いろんな逃げ口上を言っておるわけなんですが、一体、献血時の抗体検査というのを国は、日本の国にエイズがどういうような状態になったらやるわけですか。これはまあ、先ほどの答弁では断固撲滅する方向でやりたいというふうに小林さん言われておったわけですけれども、いつ、どんな状態になったらやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/346
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347・小林功典
○小林(功)政府委員 先ほども御答弁申し上げたんですが、エイズの抗体検査、これは基本的にはやはりやるべきであるという考え方は持っております。ただ、現状を申しますと、エイズ関係の抗体検査につきましては、実は今まで日赤あるいは厚生省が協力をいたしまして、専門家のお力もおかりしましてモニタリングをやっているわけです。現在まで大体七千二百名ぐらいの献血者の血液、これを調べておるんですが、幸いにして抗体が見つかったのはゼロでございます。全くないわけであります。したがって、現段階で考えますと、献血された血液だけについて考えますと、まあ心配はないということは一応言えると思うわけです。ただし、今後、状況がどう変わるか、これはわかりませんから、問題が問題でございますから、やはり今から慎重な対応、準備を進めなきゃいかぬだろう、こういう気持ちは持っております。
それで、ただ問題は、先ほども議論になったんですけれども、九百万人に及ぶ献血者の血液に対してすべてやるというのは大事業でございます。したがって、直ちにというのはなかなか現実問題としては難しい面があると思うのでございます。いろいろ条件といいますか基盤整備というものが必要だということで、具体的には第一着手として何か効率的な抗体検査というものがないだろうか、そういったことを今実は一生懸命研究しているところなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/347
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348・浦井洋
○浦井委員 これはやっぱり早くやらぬといかぬですよ。早く方針を出さなければいかぬですよ。金の問題ではないわけです。広がったらもう大変なことになるのですからね。
そこで、先ほども問題になりました成人不細胞白血病、ATLですね、これにかかっておる人、抗体陽性の人がやっぱりエイズにかかりやすいというような報告もあるわけです。それで、ATLそのものは九州に非常に一非常にと言うとまたおたくらの方で、三%でございますとかなんとかいうようなことを言われるかもわからぬですけれども、日本で見れば九州を中心に多くの陽性者があるわけなんです。だから、現在日赤血液センターで検査も試みに行われておるわけでしょう。だから、試みに行われていることを、抗体の多いところからでも早急に行政庁としてはきちんと指導して早くやるべきではないか、そのように私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/348
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349・小林功典
○小林(功)政府委員 エイズの抗体検査試薬も、それからこのATLの検査試薬も、いずれもまだ承認になっていないわけであります。そこで、ATLの方は恐らくエイズよりは早く承認がおりると思いますが、まだ若干の時間が必要でございます。その場合でも、エイズでもATLでも同じなんでありますが、先ほど申しましたように、何か効率的な方法で着手したいなという気持ちは持っておりまして、今先生がおっしゃいました例えば地域別というのも一つの傾聴に値する御意見だろうと私は思います。そこらを含めて早急に検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/349
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350・浦井洋
○浦井委員 そういうときに一番根本はやっぱり治療、病気をなくするということだろうと思うわけで、治療をどうするかという研究を急がなければならぬと思うわけなんです。
それで、おたくらのところのこの間の中間報告では、血友病の患者さんの三割くらいが抗体陽性、しかし、現実には五割くらいが抗体陽性という報告もあるわけなんです。そこで、これはごく専門的になるのですけれども、抗体陽性の方たちのその抗体がどういうふうに変化していくか、この抵抗力の変遷を見ていく検査ですね、具体的にはT4、T8リンパ球検査というのですか、こういうものが、いろいろ厚生省の方に聞いてみると、どうも健保適用になっておるようではあるわけなんです。
医者の方でこの人はやる必要があると思えばやれる状態にはなっておるんだけれども、いわゆる点数が合わないということで医者の方でちゅうちょをして実際にはやられておらぬということになってきますと、これは具体的に健保適用になっておるんだから、医者の方でこの人は怪しいと思ったらすぐにやれるというような状態に手を打つべきではないかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/350
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351・仲村英一
○仲村政府委員 おっしゃいますように、血友病の患者さんは必要な血液製剤を打ち続けるというのが病気の本態でございますので、私どもとしては、血友病の患者さんが血友病の専門医の管理下に置かれているということだと考えております。その際に、もちろん主病でございます血友病の治療、監視も十分に必要でございますけれども、過去に血液製剤を受けたということによりまして、血中にそのような抗体があるかどうかをチェックするのも非常に重要な手段だと思いますし、現実にかなりの率で実施されておると私どもとしては考えております。
おっしゃいますようなフォローアップスタディーにつきましてどの程度行われているかは今現在データはございませんけれども、主治医の適切な管理のもとに置かれている場合には当然そのことも行われている可能性があると思いますが、T4、T8のリンパ球の検査が健保の点数で割が合わないとかいうことにつきましては、また保険局ともよく相談をさせていただきたいと思います。
ただ、今先生のおっしゃいました血友病の患者さんでエイズの抗体陽性の方々にどのような主治医からの指示をするかというのは非常に難しい問題で、御承知のように、プライバシーも含めまして、がんの告知と似たような部分もあるわけでございますので、行政が一律にどうこうするというのは非常に難しい面もあろうかと思いますけれども、ハイリスクグループであるということは変わりございませんので、十分な監視体制を強めるようにしていかなくちゃいけないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/351
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352・浦井洋
○浦井委員 仲村さん、せっかく局長になられたわけですから、一生懸命やらぬといかぬですよ。これが済んだらもう本当に腑抜けになっても構わないわけですから、一生懸命情報も集めてやってもらわぬと、本当に血友病の患者さんたちは戦々恐々としておられるわけですよね。
それで、そういう問答をもう一遍この問題の最後に大臣にお聞きしたいのですが、エイズ、エイズというふうに非常に国会でも問題になっておるにもかかわらず、エイズ研究班の予算が八百五十万円というのは、会議費も含めてですが、いかにも少な過ぎるのではないか。アメリカが幾らでしたかね、アメリカ並みにとまでは私言わぬですけれども、この間の新聞報道によりますと、東京都でも六十一年度千五百万円の予算を対策費として組んでおるわけです。これはどうでしょうか。早急に手を打たなければいかぬわけでしょう。それを八百五十万円というのはいかにも少ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/352
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353・仲村英一
○仲村政府委員 おっしゃいますように、五十九年度につきましては血液感染症研究班の中で五百九十万円、それから検討委員会の関係で二百六十万円ということで、おっしゃった数字八百五十万円ということだと思います。今年も多少上乗せをしておりますが、私どもといたしましてもこれで十分とは考えておりませんので、研究費を所管しておるところとなお相談をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/353
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354・浦井洋
○浦井委員 大臣、一言。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/354
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355・増岡博之
○増岡国務大臣 我が国は、アメリカに比べますと患者の発生も遅うございましたし、したがって研究体制もおくれておると思います。今後その挽回に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/355
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356・浦井洋
○浦井委員 挽回でなしに、追い越すぐらいの勢いでやっていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/356
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357・増岡博之
○増岡国務大臣 御趣旨を体して、できるだけの努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/357
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358・浦井洋
○浦井委員 それでは、この項を終わります。
次に、老人保健部長並びに保険局長、六十一年度の予算編成について一兆一千億円切らなければいかぬということで、さまざまなけしからぬことを厚生省当局は計画しておるようでありますが、その中で一番けしからぬのはやはり老人保健法の改悪だと思う。そもそも、黒木さんは新しいですけれども、老人保健法、老健法というのが悪い意味で極めて画期的であったわけです。それまで老人福祉法の中で医療費が無料であったのが、四百円、三百円といえども一部負担が入ってきた。それから財政調整というのは要するに国庫負担を減らす一つの手法にすぎないわけなんです。きれいな格好で財政調製、財政調整というようなこと、これの嚆矢が老人保健法であったわけなんです。
それから、この老人保健法ができた後で、特例許可老人病院や特例許可外老人病院というものができた。これが健康保険法改正で今度はもう一つ上のランクの特定承認保険医療機関ができましたね。そういうふうに病院のランクづけの嚆矢、これも始まりであったわけなんです。それから、例の特掲診療料というものがそこで出てきて丸められてきた。それで診療内容の差別がやられたという点で、私は老人保健法というのは極めて画期的な悪法であるというふうに判断をしておるわけなんです。その後の健康保険法の改悪にしろ今度の老人保健法の改悪にしろ、こういう手法を使ってそれをさらに悪くしようということなんですね。そういう認識を、黒木さん、持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/358
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359・黒木武弘
○黒木政府委員 老健法は画期的だという御指摘ですが、私も、老健法の精神が自助と連帯の精神に基づいて国民が公平に医療費を負担する、あわせて老人ヘルス事業を推進することによって予防等を徹底的に行うという意味で画期的であったというふうに承知をいたしております。今回の改正につきましては、緊急の課題でございます急増する老人医療費をどうするか、あるいはより公平な負担をしなければ制度の安定あるいは長期的な維持ができないという課題に取り組まざるを得ないという状況でございまして、そういう意味で総合的な見直しを今回行おうというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/359
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360・浦井洋
○浦井委員 画期的なということを黒木さんは告白されたわけですね。自助と連帯という言葉を使われたでしょう。これが社会福祉の概念の急カーブを描いた転換なんですよ。憲法二十五条を空洞化させるものだ。おたくらと私の基本的な違いはここですね。自助と連帯、この言葉の中にもうすべての問題が含まれているわけなんです。憲法二十五条の実質的な解釈改憲ですよ。私はそういう認識を持っておるわけです。おたくらはここから先もそういう認識は持ってないでしょうね。
そこで、老人保健法が二年前に施行されて外来の受診率が下がりましたね。これもやはり四百円がこたえているわけです。それから逆に入院の受診率は高くなっておるわけです。だから、それをマクロで見ますと、受診を抑制されて、病気が重くなってから入院をするというような格好にならぬだろうか、私はそういうふうにマクロで分析をしておるわけなんです。
その一つの証拠がこの週刊社会保障という雑誌の最近号、十一月十一日号、ここに書いてあるわけです。幸田さん、にやにや笑っておられるわけですけれども。八五年七月の東京中野区のアンケート調査、「高齢者の入院に関するアンケート調査」ということで六十五歳以上の高齢入院者の調査をされておる。これを見ますと、高齢者の収入とかあるいは生活状態というのは皆さん方が言われるような状態にはないわけなんですね。一カ月の総収入十万円未満が五〇%、十五万円未満が七二%。それから、おたくらが国民皆保険を今つぶしておるわけですから、これは当然といえば当然かもわからぬですけれども、一カ月の入院の費用が老人保健法があるにもかかわらず十万円以上要ると言っている人が五〇%以上あるわけなんです。
そして、そのお金をどのようにして調達したか。家族が出してくれたという人が四六%、本人の貯蓄からというのが三五%、本人のふだんの生活費からというのは一二%にすぎぬというようなデータがここに書いてあるわけなんです。だから、こういうような状態でさらにそういう傾向を増幅させるような改悪をなぜやるのか、それが私はもう腹が煮えくり返るほど腹が立ってしようがないわけです。どうですか、黒木さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/360
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361・黒木武弘
○黒木政府委員 今回の一部負担の引き上げに対します入院費の一部負担についての御指摘だと考えるわけでございますけれども、今回五百円に引き上げさせていただきまして期限を撤廃させていただくという要求を概算要求でさせていただいているわけでございます。
ただ、保険外負担との関係において非常に過重ではないかという御指摘かと思いますけれども、まず保険外負担につきましては、確かに中野区のアンケート調査では御指摘のように十万円以上の負担のある人が半数以上ということで出ておるわけでございますけれども、これは主として付添看護をおつけになった重症の患者に係るアンケート調査ではないかと思います。ただ、その中を見ましても、一番たくさん金がかかっている面は個室とか二人部屋等に入られた場合の差額ベッド代、あるいはお医者さんへの謝礼なんかが金額的に非常に張っておるわけでありますが、そのほが御指摘のようにおむつ代その他諸雑費が徴収されていることは事実でございます。
この保険外負担につきましては、既に奏員にもお答えしているようでございますけれども、私どもは、いわば入院に伴います生活費的なものではなかろうか、おむつ代あるいはテレビの電気代もろもろでございますけれども、したがいまして患者の利便のために提供されているサービス、医療サービスではなくてそれに含まれなくてそういう利便のためのサービスに伴います費用が徴収されているものと承知をいたしているわけでございますが、こういうものは医療に含まれない日常身の回り的なサービスでございますので、やむを得ないのかなということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/361
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362・浦井洋
○浦井委員 質問時間が終わったので、最後に私の意見を言っておきますけれども、そういう考え方そのものが、老人福祉法からわざわざせっかく無料化しておる老人医療費を取り出して老人保健法をつくって加入者按分率やややこしいことを言いながらごまかしてまた改悪するという意図だと私は断定しておきたいと思うわけです。
そういう点で、こういう老人保健法の改悪案というものは出さないように、撤回せいと言ってもまだ出してないから撤回するわけにいかない、出さないように、ひとつ厳重に警告を発して、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/362
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363・戸井田三郎
○戸井田委員長 菅直人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/363
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364・菅直人
○菅委員 臨時国会の一般質問ということで、きょうは短い時間ですので、厚生年金基金の問題と老人保健法の問題について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
まず、厚生年金基金の問題について、きょうの朝も同僚委員の質問があったようですけれども、今現在共済年金の改正法案がかかっているわけで、これによって共済年金の水準が長期的には現行より低下をする、それに伴って厚生年金基金に対して課税が強化されるのではないかということを心配をしているわけです。私としては、現在の公的年金制度が全体にこれ以上水準が伸びない、あるいは長期的に見て全体として残念ながら下がっていくという状況を踏まえますと、年金基金の持つ意味というのは一層重要性が高まっておる、そういう観点からそれに対する課税強化ということは何としても避けるべきではないかというふうに考えているわけですが、厚生省、厚生大臣としてはこの問題にどのように対応されようとしているのか、御意見を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/364
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365・増岡博之
○増岡国務大臣 御指摘のように、公的年金制度の改正に伴いまして給付の適正化が行われるわけでございますので、それを補完する意味としての企業年金制度の役割は一層高まるものと思います。したがいまして、中小企業を含めましてできるだけ多くの事業所に普及できるようにいろいろ工夫をしなければならないわけでございますから、積立金に対する課税問題等を含めまして、今後もその普及育成対策を進めてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/365
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366・菅直人
○菅委員 その場合に、新しい基準というものを厚生省が今大蔵と協議をされているというように言われておりますけれども、その新しい基準というものはどんなふうな考え方に立って提案されているのか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/366
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367・吉原健二
○吉原政府委員 従来の基準は、先生御案内のように国家公務員の共済年金の給付水準までは課税をしない、国家公務員の共済年金の水準がいわば課税の基準の基本的な考え方になっているわけでございますが、そのままにしておきますと課税が自動的に強化をされるということになりますので、新しい基準を設定する必要がある。その新しい基準の設定の仕方、これはなかなか難しいのでございますけれども、私ども基本的に考えておりますのが勤労者の一般的な退職前の所得、そういったものを基準にした新たな課税基準というものが設定できないかということで今大蔵省と折衝しているわけでございます。基本的には、勤労者の退職前の従前所得というものを基準にしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/367
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368・菅直人
○菅委員 大蔵省の方にもおいでいただいておりますが、大蔵省としてこの問題に対してどう考えているか、聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/368
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369・小川是
○小川説明員 現在の厚生年金基金について積立金課税を制度として持っております趣旨は、厚生年金基金の行う年金が公的年金と任意年金の両方の性格をあわせ持っているという点に着目いたしまして、その任意年金部分につきまして、一つの尺度として国家公務員共済年金の水準を上回らない部分までは積立金課税は行わないということで今日まで運用されてきておるわけでございます。
ある一定の水準を上回るものをそれではなぜ課税をしているかと申しますと、年金掛金の拠出段階におきましては、企業で損金算入されまして課税が行われない。それではそれは給与とみなされるかと申しますと、個々の従業員の方にはその段階では課税が行われない、いわば課税が非常に長期にわたって繰り延べられるということから、このような特殊な積立金課税をいたしておるわけでございます。
そこで、ただいま申し上げましたような趣旨を踏まえまして、また厚生省から御要望が出ている件につきましては、今後引き続き慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/369
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370・菅直人
○菅委員 税制の問題が今国内の政策の大きな議論になってきつつあるわけですが、最近外国に調査に行ったあるグループの話を聞いたときにも、例えば貯蓄でも、六十歳までは手をつけないということを約束した貯蓄にはかなりの範囲で税金をかけないということを認めている国も幾つかあるというようなことも聞いておりますけれども、まさにこの年金の場合、半ば公的年金を補完する形でつくられてきているわけですから、そういった意味でも、また今回共済年金がどうこう変わることは直接にこの厚生年金基金の責任とかということではないわけですから、そういった点でぜひ公的年金を補完する企業年金を育成するという立場で大蔵省の方にも考えていただきたいと思います。
一つだけちょっと念のためにお聞きしたいのは、今の考え方に立ったとしても、二・七という政令を変えない限りは現行のまま続いていくということで理解していいのか。あるいは、自動的に何か立法措置をとらなければどんどん税金がかかるようになると考えなきゃいけないのか。そのことは同時に、共済の改正もかなり長期にわたっての暫定措置も含まれているわけですから、そういう意味で共済年金が変わる前に何らかの法的措置をしなきゃいけないと考えるのか。あるいはそうではなくて、この一年ぐらいの間に何とかすればいいというふうに考えていいのか。そのあたりの大蔵省の考え方を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/370
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371・小川是
○小川説明員 ただいまお尋ねの件につきましては、法人税法の施行令におきまして、いわば御指摘の二・七倍に相当する数字が書かれておりますので、現行制度のままであれば二・七倍という数字に変わらないわけでございます。問題は、この二・七倍という数字がしって来たゆえんのところを検討すると、この二・七倍を変えなければいけないかどうか。考え方からすれば、従来の国家公務員の共済の水準との関係ではこの二・七倍という数字が小さくなる。そこで、そこの数字が余り小さくならないようにということで御要望が出ているというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/371
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372・菅直人
○菅委員 それでは、時間もありませんので、もう一点の老人保健法の問題についてお尋ねをしたいと思います。
きょう朝来、やはりこの問題も何人かの同僚委員の方から質問が出ておりましたけれども、一部負担の増額の問題、そして拠出金の加入者按分率の大幅な変更ということが概算要求に盛り込まれていると言われているわけです。そういう中で、負担の公平ということがしきりに厚生省、部長の言葉からも出てくるわけですけれども、じゃ現在の老人保健法に対する拠出金の負担というものが一体どうなっているのか、これを組合健保、政管、国保について加入者の一人当たりの拠出金というものを、数字がすぐ出るなら出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/372
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373・黒木武弘
○黒木政府委員 全部が出るわけではございませんけれども、組合健保と国保について申し上げますと、現在加入者一人当たりの拠出金額は組合健保で一万五千円、国保で三万円という状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/373
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374・菅直人
○菅委員 その国保で三万円という数字の中身を教えていただきたいのですが、その中の国庫負担と実際に保険料として払っている金額の割合、わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/374
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375・黒木武弘
○黒木政府委員 国保の場合の三万四百六十円の内訳でございますが、国庫負担が一万六千八百七十円、本人保険料角柱が一万三千五百九十円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/375
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376・菅直人
○菅委員 そうすると、組合健保の場合は国庫負担がないわけですから、被保険者の、つまり加入者の保険料からの負担額を比べると、健保組合の場合が一万五千円ですね。そして国保の場合が一万三千五百九十円ということですね。ということは、今既に国保に比べて健保組合の加入者の方が拠出が、わずかながらといいましょうか、多くなっていると考えていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/376
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377・黒木武弘
○黒木政府委員 負担の公平でどう加入者一人当たりの拠出金のバランスを考慮するかという問題でございますけれども、私どもはやはり比較する場合には、組合健保の場合には、事業主負担を除いて家計の支出負担同士を比較するのがあるいは妥当ではなかろうかと思います。そうしますと、組合健保の方は、いわば本人の保険料負担は事業主負担を除きますと六千四百三十円になるわけでございます。
いずれにいたしましても、老健法上は、それぞれの保険の中の財源の問題につきましてはそれぞれの経過なりそれぞれの事情があるわけでございます。したがいまして、私どもは老人の加入率を公平にするというのが老人保健法の建前でございまして、その結果の金額の比較よりも、何度も申しますように、例えば千人当たり幾ら老人の医療費を負担してもらうかというところに公平の原則があるというふうに考えておりまして、これは加入者按分率を引き上げることによって各制度の老人を抱えていただく率を仮に一〇〇%にすれば等しくなる、これが老健法上の公平の物差してはないか、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/377
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378・菅直人
○菅委員 今の部長の論理立てというのは、実はきょうは時間がありませんからこれ以上細かいことを言いませんけれども、今までの厚生省の考え方と非常に矛盾しているんですね。つまり、組合健保というのは確かに事業主と本人が基本的には半分ずつ負担をしている。しかし、それはもちろん事業体ですからそういう形をとっているわけであって、だから、その部分の本人分だけを見るとか見ないということだったならば、それは税金の考え方からあらゆることが事業主と本人が一緒になっている自営業者の場合とどういうふうになっていくのかですね。
私はやはり保険料として事業主と本人が払っているものを合わせて見るのが当然だと思うのですね、国保ではないわけですから。ですから、そういう点で先ほど部長みずから言われた金額で言えば、一入当たりの負担というのはほぼ公平になっているわけですから、その点で、負担を公平にするためにこれをやらなければいけないという論理立てというのは私は非常に矛盾をしていると思うわけです。
さらにつけ加えておきますと、今税制の問題がいろいろ議論になっておりますけれども、サラリーマンの場合というのは所得の把握が非常にぴしっとできるので、それに対してはっちり税金もかかる。あるいは社会保険料もそれに対してはっちり取られるわけですね。それが国保関係の場合はなかなか所得把握が難しい。あるいは納付の率も低い。そういったことで、結局のところは税金におけるクロヨン的な矛盾が、社会保険においても取りやすいところから取るような形で、そういう同じ構造が広がってきているというふうに私は思うわけです。
そういう点でこの問題、まだ法案が出ておりませんけれども、その基本的な考え方として、取りやすいところから取って、多少取りにくいところはもう仕方がないんだというような考え方ではなくて、まさに本当の意味での公平な負担というものを考えてぜひ提出前に見直していただきたいということを申し上げて、時間になりましたので、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/378
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379・戸井田三郎
○戸井田委員長 丹羽雄哉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/379
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380・丹羽雄哉
○丹羽(雄)委員 大分時間もたちましたものですから、二点だけお聞きしたいと思います。
先輩の尊敬する村山先生からの方の質問もございましたけれども、退職者医療制度の見込み違いについてお聞きしたいと思います。
老人医療費の加入者按分率を四四・七%から八〇%に引き上げるという方針を打ち出しておるわけでございますが、これと見込み違いによる財政的対応策は別なものなのかどうか、これについてまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/380
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381・幸田正孝
○幸田政府委員 老人保健の加入者按分率の問題につきましては老人保健部長からお答えをしておりますとおり、負担の公平化を図りたい、こういうことでございます。したがいまして、老人保健と退職者医療の問題とは直接的な関連はないわけでございますが、老人保健の按分率によりまして、結果としましては国保財政の基盤の安定につながる、こういう意味合いにおきまして国保の事業運営にプラスになる、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/381
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382・丹羽雄哉
○丹羽(雄)委員 五十九年と六十年で二千八十億ですか、大変な赤字が出ておるわけでございまして、市町村にも大変な大きな負担となっておるわけでございます。政府の見込み違いによって生じたものでございますので、当然政府の方がきちんと処理するべき問題である、このように考えているわけでございますが、問題は本年度の補正予算で直ちに対処する用意があるかどうか、財政当局の考え方をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/382
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383・中島義雄
○中島説明員 退職者医療の措置の件でございますが、厚生省の行った実態調査によりますと、市町村国保の財政に約二千億円の影響が出ているということは私ども十分承知いたしております。また、それにつきまして、財政措置につき厚生省から協議を受けていることも事実でございます。
これにつきましてどのようにするかということでございますが、まず個々の市町村国保の運営実態を把握する必要があると考えておりますけれども、その上で、まず本年度予算の中で計上してございますいわゆる財政調整交付金、これは三千五百六十四億円ございますが、これの効率的配分をしていただくこと、さらに医療費適正化の推進でございますとか保険料設定方法の改善等、市町村国保のサイドでも運営面において種々工夫をしていただくことが必要ではないかと考えております。
そこで、財政措置についてでございますけれども、御承知のように現在大変厳しい財源事情にございます。こうした中での財政措置につきましては、おのずから大変大きな制約があるわけでございますが、この大きな制約の中で退職者医療の措置につきましてどのように取り扱うかについて、関連制度の問題を含め、現在厚生省と協議を進めておるところでございます。
いずれにいたしましても、国保財政の安定化のために、私どもといたしましても誠意を持って最大限努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/383
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384・丹羽雄哉
○丹羽(雄)委員 誠意を持って努力するということは本年度の予算で組む、補正予算で組む、こういうふうに受け取りまして、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/384
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385・戸井田三郎
○戸井田委員長 先刻の網岡委員の質疑に関し、本日、その結論が得られない状況のため、本件に関しては後日改めて質疑をしていただくことにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/385
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386・戸井田三郎
○戸井田委員長 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。
大蔵委員会、地方行政委員会、文教委員会及び農林水産委員会において審査中の国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案及び農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案について、連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/386
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387・戸井田三郎
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次に、内閣委員会において審査中の許可、認可等民間活動に係る規制の整理及び合理化に関する法律案について、連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/387
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388・戸井田三郎
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、開会日時等につきましては、関係各委員長間でそれぞれ協議の上決定し、公報をもってお知らせいたします。
次回は、来る十九日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304410X00119851114/388
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