1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年十一月十二日(火曜日)
午前十時二分開議
出席委員
委員長 越智 伊平君
理事 熊谷 弘君 理事 熊川 次男君
理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君
理事 上田 卓三君 理事 沢田 広君
理事 坂口 力君 理事 米沢 隆君
糸山英太郎君 大島 理森君
加藤 六月君 金子原二郎君
瓦 力君 笹山 登生君
自見庄三郎君 田中 秀征君
中川 昭一君 額賀福志郎君
平沼 赳夫君 藤井 勝志君
宮下 創平君 山岡 謙蔵君
山崎武三郎君 山中 貞則君
山本 幸雄君 綿貫 民輔君
伊藤 茂君 川崎 寛治君
戸田 菊雄君 野口 幸一君
藤田 高敏君 武藤 山治君
石田幸四郎君 古川 雅司君
安倍 基雄君 玉置 一弥君
正森 成二君 簑輪 幸代君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 竹下 登君
厚 生 大 臣 増岡 博之君
運 輸 大 臣 山下 徳夫君
出席政府委員
日本国有鉄道再
建監理委員会事
務局次長 林 淳司君
大蔵政務次官 中村正三郎君
大蔵大臣官房審
議官 門田 實君
大蔵省主計局次
長 小粥 正巳君
大蔵省主税局長 水野 勝君
厚生大臣官房審
議官 山内 豊徳君
厚生省年金局長 吉原 健二君
運輸大臣官房国
有鉄道部長 中島 眞二君
委員外の出席者
日本国有鉄道総
裁 杉浦 喬也君
参 考 人
(日本国有鉄道
再建監理委員会
委員長) 亀井 正夫君
大蔵委員会調査
室長 矢島錦一郎君
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委員の異動
十一月十二日
辞任 補欠選任
糸山英太郎君 自見庄三郎君
綿貫 民輔君 額賀福志郎君
十一月十一日
毛皮製品に対する物品税課税廃止に関する請願
(友納武人君紹介)(第一七三号)
共済年金改善等に関する請願(佐藤徳雄君紹介
)(第二三〇号)
国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案反対等に関する請願(小沢和秋君紹介)(
第二三一号)
同(経塚幸夫君紹介)(第二三二号)
同(瀬崎博義君紹介)(第二三三号)
同(田中美智子君紹介)(第二三四号)
同(辻第一君紹介)(第二三五号)
同(中島武敏君紹介)(第二三六号)
同(中林佳子君紹介)(第二三七号)
同(野間友一君紹介)(第二三八号)
同(林百郎君紹介)(第二三九号)
同(東中光雄君紹介)(第二四〇号)
同(藤木洋子君紹介)(第二四一号)
同(正森成二君紹介)(第二四二号)
同(簑輪幸代君紹介)(第二四三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百二回国会閣法第八一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/0
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001・越智伊平
○越智委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、第百二回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/1
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002・越智伊平
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/2
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003・越智伊平
○越智委員長 この際、参考人の出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/3
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004・越智伊平
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/4
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005・越智伊平
○越智委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/5
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006・戸田菊雄
○戸田委員 まず最初に、大蔵大臣に今回の国家公務員共済組合法改正の骨格を説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/6
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007・竹下登
○竹下国務大臣 いささか共済年金改正法案の提案理由の説明のようなことに相なろうかと思いますが、今回の改正は、高齢化社会の到来に備えまして、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図りますとともに、公的年金制度の改革のまず一環をなすものである。そして、要旨を申し上げますと、このような改革の方向に沿って今回の改正案では、公的年金の一元化を展望いたしますとともに、公務員制度等の一環としての側面にも留意しつつ、全国民共通の基礎年金の導入と、給付と負担の均衡を確保するため、給付水準の適正化を図る等の措置を講ずることといたしております。
そして、今度は簡単に設計内容を申し上げますと、このような考え方のもとに、改正案による共済年金は基礎年金に上乗せする報酬比例年金として設計し、厚生年金相当部分と職域年金相当部分によって構成をされておる、こういう内容であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/7
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008・戸田菊雄
○戸田委員 大臣が今おっしゃられた内容だと思うのでありますが、一口で言うなら掛金は二倍ないし三倍引き上がる、給付率は三割くらいダウンする、なおかつ、従前は一年平均に算定基準を置いてやったのですけれども、今度は四十年の全平均になるわけですね。
そういう状況で基礎年金を導入し、なおかつ国庫負担は大幅にカットする、既得権はどうも制限をされる、こういう状況になっているのじゃないかと思いますが、その辺の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/8
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009・竹下登
○竹下国務大臣 一面から見ますと、戸田さんの御指摘というものは、それなりに私はすべてを否定するものではありません。ただ、一番最初に申し上げましたように、いわば我が国の年齢構造そして高齢化社会等々から、中長期にわたっての設計の中の一環としての改正である、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/9
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010・戸田菊雄
○戸田委員 後でいろいろと具体的に質問をしてまいりたいと思います。
次に、厚生大臣、今回国家公務員等共済、それから私学共済、農林漁業団体職員共済、地公共済等々四共済の改革をするわけでありますが、それらを通じて、七十年の一元化方式に向けて厚生大臣は一体どういう構想を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/10
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011・増岡博之
○増岡国務大臣 今回の改正につきましては、公的年金制度を通じまして公平で安定した制度を確立しようというその一環として行うものでございまして、既に成立しております厚生年金、国民年金の改正とあわせて六十一年四月同時実施を大前提として御審議をいただいておるわけでございます。
さらに六十一年度以降におきましては、以上の措置を踏まえまして、給付と負担の両面にわたって制度間の調整をなさなければならないと思うわけでございます。昭和七十年を目途に公的年金制度の一元化を、国民的な合意ができる姿で完了をさせなければならないと考えておるわけでございまして、その第一歩として現在の共済年金制度の改正をお願い申し上げておるわけであります。
今後、その制度間の調整がどのように進められるか、その進展に対応しまして年金の現業業務につきましても一元化の整備を推進することになるわけでございますが、その点につきましても、政府部内で十分検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/11
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012・戸田菊雄
○戸田委員 今の答弁ではとても問題になりませんが、また後で問題にします。
そこで問題は——亀井委員長、お忙しいところをありがとうございます。今回の国鉄監理委員会の答申内容ですが、大綱は十一項目にわたってそれぞれ答申がなされておると思うのです。よく精査してみましたけれども、本州三会社それから三島三会社、この六旅客鉄道会社、これについては資本金とか経営形態とかそういうものについての試算はなされております。しかし、あと指摘をされる貨物会社とか新幹線主体の会社とか旧国鉄とか等々の問題については何ら触れてないのですね。これは、経営形態のあり方、あるいは資本金、資産、株保有はどうなるのか、公的規制、予算や決算はどうなっていくのか、あるいは資金運用の問題、それから投資の部面でどうなっていくのか、あるいは利益処分はどうなるのか、職員給与はどうするか、役員人事はどうするか、事業範囲はどうするか、各種審議会等はどうするか等々の問題には何ら触れてないのですね。財政再建ということで発足して、鋭意検討して二年有余やってきた。その結論が全然出てないのです。年金財源一つ考えるにしましても、こんなことでは検討の余地がないのですね。これはどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/12
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013・亀井正夫
○亀井参考人 お答え申し上げます。
私どもの意見書は、現在の国鉄をとにかく活性化して再建することを重点に志向いたしまして、大事な点を指摘いたしました。
御指摘のように、旅客会社、新幹線保有主体、貨物会社あるいは通信を主管する会社、研究関係、これらについての構想を示したわけでございまして、すべてこれは特殊法人あるいは特殊の経営体ということを想定して、その細部につきましては政府において専門的に御検討いただく、こういうことでつくったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/13
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014・戸田菊雄
○戸田委員 何か都合のいいところだけ詳細にやられておるけれども、あとは一切やられてないですね。
例えば、労働基本権問題で労働三法が適用になるのかどうか、当事者能力は、公的に関与しないのかどうか、身分継承はどうなのか、年金はどうなのか、退職金はどうなのか、労働災害はどうだ、雇用保険はどうだ、税負担の問題はどうだ、国税でどういうものがかかってくるのか、地方税でどういうものがかかるか、こういうものについては全然触れていない。これでは審議のしょうがないのですね。後から具体的に全部触れてまいりますが、都合のいいことだけはやっているけれども、そういう全般的な問題については何ら触れておらない、極めて欠陥答申じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/14
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015・亀井正夫
○亀井参考人 大変手厳しい御批判をいただいたところでありますが、先生が今御指摘になったようなことは、意見書をつぶさにお読みいただけばはっきり書いてございます。例えば、労働基本権は労働三法によるということで、現在の調整法というのですか、こういうものからは外して労働基本権を与えるということでちゃんと書いてございます。それから、その他のことについても、後に詳細に御質問いただくそうでございますので、その際にお答えするつもりでございますが、改革の重点になる点は書いておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/15
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016・戸田菊雄
○戸田委員 後で具体的に触れてまいりますが、もう一つ、大蔵省内に共済年金制度改革検討委員会というものを設置いたしまして、これには四共済関係の担当各省庁の課長が入っている。学識経験者が入っている。そこで鋭意検討いたしまして、五十九年十月十五日、今回の改革検討案というものを国共審なり地共審等々に提示をして、二月に国会に上程せられた、こういう経緯がある。
しかし、そのときの状況と比べると、今回の国鉄監理委員会の答申が出されたのは七月二十六日でございますから、国鉄関係の年金その他については大激変を伴った、こういう状況であります。この辺の矛盾があるのじゃないだろうか。だから、そういうものを踏まえてもう一回見直して本法律案を提示する、これが至当だろうと思うのでありますが、この点はどうお考えでしょうか、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/16
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017・門田實
○門田政府委員 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、昨年そういった勉強会がございまして、今回の共済四法の改正のたたき台をいろいろ議論したということはございます。それから、国鉄財調計画といいますのも、去年の秋からことしの一月に議論いたしまして、これは六十年四月から実施しなければいかぬということがございましたものですからことしの二月の答申を出しました。そういうときに、前提として三十二万人の体制、そういうことがあった。それが現状と非常に違うではないかというお話だろうと思うわけでございますが、その時点におきましては、四月の財調計画の実施を控えまして、どうしてもその計画の策定を急がなくてはいかぬ、その場合に、国鉄としてオーソライズされておった数字は三十二万人、この数字だけでございまして、それ以外の何らかの数字を前提にいたしますとそれ自体がまた議論の種になる、こういう状況でございまして、当時としてはこういうことでやむを得なかった、こう考えておるわけでございます。
お尋ねの後段の今後修正すべきではないか、こういうお話でございますが、これは財調委員会自体で判断すべき問題である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/17
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018・戸田菊雄
○戸田委員 運輸大臣、国鉄再建の担当大臣ですが、見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/18
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019・山下徳夫
○山下国務大臣 現在は今御答弁があったとおりでございますけれども、やがて財調計画の見直しをやらなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/19
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020・戸田菊雄
○戸田委員 監理委員会の答申によって国鉄の要員は大変な激変状況にございますね。年金の財政調整五カ年計画、この人員は五十八年の統合時以来三十二万人、こういうことだった。ところが、今回の監理委員会の意見による人員、この配置を見ますと、六十年度三十・七万人、六十五年度首、これが二十一・五万人になっているわけですね。最終の適正要員は十八・三万人である、こう指摘されている。そして、なおかつ退職者不補充を原則にいたしまして、余剰人員が大体力・三万人出る。さしあたって希望退職で二万人、六十二年度首で二十七・六万人だ。三・二万人を鉄道旅客部門に移籍。これは移行時点で、六十二年度首になるわけですから、それに余剰人員のレッテルを張って旅客部門にこれを移籍させるわけですね。どうしても余るのが四・一万人だ、これを旧国鉄に全部引き継ぐ。これがいわゆる特別対策対象者ということになってきます。
このくらいの激変措置がなされるのですから、最終的に六十五年度首になりますと二十一・五万人。現行三十二万人でいったものが二十一・五万人ですから、これの保険料激減。それから、やめる対象によっても違いますけれども、仮に十九万人ちょっとやめていくということになると、高齢者ということになるわけですから給付率はずっと高まっていく、こういう状況になる。今受給者が大体四十七万人。これが五十万台を超える、こういうことになりますから、全く財源措置の方法がないということになりますね。
ですから、新経営形態移行に伴う収支見通し、これでまいりますと、六十一年、六十二年、六十二年、六十四年、一年当たりおおむね七百億ないし九百億激減される。六十三年、六十四年になりますと、年当たり八百億ないし一千百億。総体的に三千億ないし四千億の赤字ということになってくる。現在国鉄には四千四百億の積立金しかない。その内訳を見ますと、住宅貸し付けに一千百億円、債券に一千三百億で二千四百億、差し引き二千億しか使えない。六十二年度にいったら完全にパンクするといった状態ですね。これをどうお考えになりましょうか、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/20
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021・竹下登
○竹下国務大臣 今の数字の基礎をすべて肯定するというわけではございませんが、あらまし戸田さんのおっしゃっている方向は、私も頭の中に漠然とではございますが、入れております。あの当時根拠になる数字というのは、やはり三十二万しかなかったんじゃないかと私は思います。それで、理論的にはこれからいわば財政調整でやっていただくことになるわけでございますけれども、恐らく戸田さんのおっしゃっているのは、それではいささか時期が遅くなって、不安感のあるままこの法律を通すということについては非常に疑問がある、こういう考え方があるのじゃないかというふうに私は思っております。
この問題につきましては、私も歴史的に考えてみますと、まずは国家公務員等共済組合にしていただいたときに、答申をちょうだいして、それに基づいて第一関門としての四共済の統合が曲がりなりにもあった。当時の電電、専売、国家公務員、国鉄、言ってみれば、これは労使ともに、いろいろな議論はあるけれども、もともとルーツを等しくしておるじゃないかという労働者連帯という意識、我々は議論の段階では親戚筋とかいろいろなことを言いましたけれども、そういう思想は今後とも必要な考え方の一つではないかという認識は私は持っております。
しかし、それだけでおまえその財政調整ができるだけの自信があるか、こう言われますと、やはり財政調整の議論の中で、まずは給付の一元化という立場から今回の法律を通していただいた後、いわゆる負担の一元化という問題について、本委員会等における議論を中心に置きながら詰めていかなければならぬ課題である。言ってみれば労働者連帯、いやそれ以上に国民連帯とかいろいろな表現で議論がされておることを私も承知しておりますが、結局その土台になるのは本法律を成立さしていただく際のもろもろの議論というのが基礎に置かれて、その後私どもとして国会の意見等を聞きながら対応していく問題じゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/21
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022・戸田菊雄
○戸田委員 監理委員会の答申の内容ですね。国鉄の財産の処理の対象となる長期債務、これは六十二年度首で長期債務が二十五・四兆円ですね。年金負担金は四兆九千億、基金財源として三島、北海道、四国、九州に一兆円、余剰人員対策費として、旧国鉄に対して〇・九兆円、資本費五・二兆円、合計三十七・三兆円。そのうち長期債務の配分等を考えますと、長期債務三十七・三兆円に対して、新事業体が十四・二兆円、旧国鉄処理が二十三・一兆円。本州旅客鉄道、これは長期債務を引き継ぎますが、資本金、退職給与引当金を除いて、こういうことになる。それから、新幹線保有主体の場合は、簿価に相当する長期債務負担、こういうことになっていますね。
いずれにいたしましても、旧国鉄処理のものが五・八兆円、これは用地売却費でやる、それから株売却収入、この中身もいろいろ不安定でありますけれども、六千億。最終的に残る長期債務残高は十六・七兆円になる。これが国民負担を求めざるを得ない額になる。
国鉄財政再建というものは、今回の答申によって民営・分割に移行してもこれらの問題を解消する保証は全く何にもない。そしてなおかつ、この年金に対して監理委員会の答申の指摘は、財政調整、他共済から交付、それから自助努力でもってスライド停止一〇%、これも実行する、それから財調後の変動要素として要員合理化、今言ったようなことになってきます。それでなおかっこの三階部分、いわゆる職域加算というもの、これは排除しますよ、それからみなし従前額保障へこれも適用除外をいたしますよ、こういうことの指摘は監理委員会でも行っている。しかし、この国公共済の中でもって今の国鉄を賄っていくには六十四年度が限界だ、こう言っているのですね。だから六十五年度以降はそれはできません、こういうことになっている。等々ときまして、国鉄の共済というものは、従前どおり旧国鉄が一本化して一切運営をいたします、こういう指摘になっているのです。
しかし、今言われたように、財源の措置方式は全然触れられておらないし、この改革案の中にもそういう問題は補てん策として全然入っていない、こういう状況ですから、この見通しについて明確に保証を与えるものでなければ国鉄共済は崩壊をしますよ。大正九年に創設をされて六十年以上の歴史を持っている、一番早い共済なんですね。戦後復員者その他を含めまして五十八万人を抱えた。これは全部国策でやってきた。そういうものに対して、今この労使負担分というものは大体二〇・四%もやっている。これはもう限界なんです。これは大蔵省の制度検討委員会でもってその負担の限界というものを出しております。それを超えている、そういう状況にあるわけですね。だからこの財政保証確立というものをどういう見通しでやっていくのか、この見解をきちっと出してもらわないと審議のしようがないと思うのですが、大蔵大臣、運輸大臣、厚生大臣、監理委員長、それぞれ意見をひとつ述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/22
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023・竹下登
○竹下国務大臣 重ねて答弁するようになりますが、確かに三十二万人体制というところで財政調整委員会からの申請がありまして、これを認可しておる。これがその後の変化によりまして、また、国鉄再建監理委員会から御答申いただいた問題がすべて法制化され、今成立したという段階ではございませんが、この答申を見る限りにおきまして大きな変化が生ずることは私どもも十分承知しております。そうすると、おっしゃったようないろいろな疑念が出てくる。
閣議で私どもが合意いたしましたのは、とにかく国鉄共済がその給付において不利を受けることのないような措置はきちんとしましょうということは決めておるわけでございますが、すべてが未確定の状態の中で、具体的に、さればどのような形でこれを包含していきますということを申し上げる段階では今ないではないか、直ちに法律の改正内容そのものに関係のある問題ではないにしましても、将来大きな基本的な問題になる問題意識だけは十分承知いたしておりますので、まずは給付の一元化を図った後、この負担の問題について、これに対してどういう手順でやるかということになると私だけで決める問題ではございませんけれども、万遺漏なきを期して対応しなければならないという問題意識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/23
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024・増岡博之
○増岡国務大臣 御指摘のように、国鉄共済の財政基盤というものは非常に問題があると思うわけでございます。ただ、現在国家公務員等の三共済で支えていただいておりますから、一応はその財政調整計画を再検討していただかなければならないと思います。
しかし、それだけで済む問題ではないと思うわけでございますので、将来にわたって、公的年金制度全体の中でどう生き延びていくかということを考えていかなくてはならないということでございます。したがって、財政調整計画の再検討とともに、政府部内で十分に議論を尽くしまして、国民的な合意が得られるような態勢で検討していかなければならないと考えております。
それにつけましても、現在御審議いただいております共済年金法案、これがいわば年金全体についての共通項をつくるわけでございますので、年金全体の中で考えていく場合の一つの足場になろうかと思いますので、よろしく御審議を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/24
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025・山下徳夫
○山下国務大臣 国鉄共済年金につきましては、その財政が極めて厳しいという観点から、先般十月の十一日に、国鉄改革のための基本的方針において、「国鉄共済の年金財政が極めて厳しいものとなることにかんがみ、将来にわたって年金支給を維持し得るよう、所要の措置につき速やかに検討を行う」、このような閣議の決定をいたしておるのでございます。
したがいまして、私どもはこの決定の趣旨にかんがみまして、将来にわたって年金支給を維持することができるように所要の措置を速やかに講じていかなければならない、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/25
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026・亀井正夫
○亀井参考人 お答えいたします。
今回の国鉄再建を考える場合に、共済制度あるいは年金制度というものが現在の国鉄の経営に非常な重圧を加えておるということにつきましては、運輸委員会あるいは予算委員会で先生方から篤と私どもお伺いいたしまして、そういう問題についている一いろ検討を加えてまいりました。
そこで、共済制度、年金については二つの側面の問題がございます。
一つは、三十一年の七月に現在の新しい共済制度ができる以前の恩給あるいは年金問題、これは既に大部分の方が退職をされて、年金で生活をしておられる方でございます。これの資金というものが、現在国鉄では底を払って、ない、これを手当てをしないといかぬということで、これは先ほど先生御指摘の長期債務の処理の中に四兆九千億というファンドを用意いたしまして、この方々の支給には支障のないように手当てをしよう。
これからの年金についてはどうするかということでございますが、現在の財政調整の制度が三つの共済組合によって御援助をいただいておりますので、六十四年までの五年間はそれで足るという制度であります。ところが、そのときの人員は三十二万という前提であったということを私どもは聞いておりますけれども、現在既に国鉄の年金は三十万ちょっとという数字になっております。そこで、もう基本は変わっております。それから、六十二年の三月、四月という更改時期、これから一年半先に幾らになるかというと、自然減を入れると大体二十七万六千人になるであろうということが国鉄の案で出てまいりました。私どもはそれでも余剰が多いということでいろいろ検討いたしました結果、人員的に見ますと、六十二年の春までに約二万人の希望退職を募集するということでございますから、そのときの人員は二十五万六千人ということになります。それから六十二年、三年、四年と三年かけて四万人の職場転換あるいは就職あっせんをしようということでございますから、六十五年の春に初めて二十一万五千人という体制になる。その間、二十五万六千人から二十一万五千、三年こうやっていきますから、分母ははっきりしておるわけです。
そこで、そういう年金をどうするか、これは大変な問題である。そこで国鉄監理委員会だけの力では到底及ばないもの、これは社会保障制度審議会なり国家公務員等共済組合審議会というそれぞれ専門の分野があるわけでございまして、そういうところで御検討いただきたいということで、私どもは意見を出したときにも政府にそういうことをつぶさに意見を申し上げました。
したがいまして、この十月十一日の閣議決定におきまして、国鉄共済の財政状態が非常に難しい、「将来にわたって年金支給を維持し得るよう、所要の措置につき速やかに検討を行うこととする。」こういう決定を政府でいただいておりますので、私は政府においてこれの具体策を講ぜられるものと期待しておる、そういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/26
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027・戸田菊雄
○戸田委員 いろいろ監理委員長言われましたけれども、回答は全然出てないのですよ、あなたの今の答弁では。
少なくとも、国鉄共済は大正九年に設立をされて、当時キャリア組と言われたいわゆる高文をとった皆さんに対して恩給を支給した。片や現業のノンキャリアの皆さんに対しては、やはり災害救済という名目でもって共済法の設立をした。ずっと参りまして、二十三年に国鉄共済法という法律を制定して整備をしまして、恩給と二本立てでやってきたわけです。三十四年にこれが一本化された。
そのときに、恩給者に対する負担をどうするかということで、これはもう掛金も何もやってないわけですから、大問題です。それで、これは追加費用として国が面倒を見ましようということで各共済はやって、今日に至ったわけです。その追加費用は七千億を超えますよ。
ところが、あなたの今の答申でいきますと、年金負担との追加費用は全部旧国鉄の方で負担しなさい、こういうことですね。国の国庫負担は外してしまう。なおかつ、公経済の負担も旧国鉄でやれ、こう言っている等々で、さっき指摘したような大赤字を一体どうやるのか、十七兆円。そういう状況に対する回答も何も出してない。
それからもう一つは、年金の財政調整計画というものは、五年ごとにやっていくのですよ。だから今の国家公務員等の共済に対しては、六十五年見直しなんだ、六十五年。ところが六十三年でもうパンクなんですから、その財政措置をどうするかということなんです。今の各大臣の言っているのを聞いても全然ばらばらです。そういったものに対する一定の措置をぴしっとしなければ、これは審議できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/27
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028・竹下登
○竹下国務大臣 今おっしゃった戸田さんの議論は、私も十分理解できる議論です。ただ、国鉄監理委員会の答申の中に書かれた問題は、共済年金問題というのは極めてプロフェッショナル——プロフェッショナルは適当じゃございませんが、専門家と非専門家で知識の度合いがかなり差のある問題でございますから、したがって、その点においては私どもは国鉄監理委員会が政府に対して善処を求められるまでが限界だろう、私もそう思います。
したがって、受けた政府の責任において、これはきちんとやります、その具体的手順はどうかということについて政府部内で意見統一しておりますのは、本法律が通過、成立させていただいた後、可及的速やかにその対応をしていこう、こういうことになっておるわけでありまして、しかも問題の所在点は十分に認識をした上でお答えしておるわけでございますから、そのことはそれで御理解を賜りたいというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/28
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029・越智伊平
○越智委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/29
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030・越智伊平
○越智委員長 速記を入れてください。
竹下大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/30
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031・竹下登
○竹下国務大臣 先般来いろいろ議論をいたしまして、国鉄共済に関する問題はこれは今は国家公務員等共済組合法でございますから大蔵大臣の私が担当をする、こういうことになっております。したがって、私からお答えをいたします。
いささか政治論のような話になりますが、私は六十一歳でございます。戸田さんを含め私と同じような年齢の者が、実際問題、満鉄から帰り、あるいは当時の名称で申しますと朝鮮鉄道、台湾鉄道、それから帰りまして、偉大なる雇用の場であったことも事実であります。そして、私どもの同年配の諸君がそれこそ当時の言葉で言えば軍手をはめまして、そしてあごひもを締めて、体で押すようにしてあの輸送に携わってくれたということは、私どもとしてはこれは忘れることができない。その方々が将来の共済に不安を感ずるようになったら、これは日本はおしまいだと私も思うのです。したがって、まずはそういう認識の上に立って適切な対策を講じなければならぬ。
それは、やはり国鉄監理委員会にはおのずから限界があると思うのです。それはプロの議論という点もあります、共済の仕組みにおいては。お互い国会議員の中でも、共済年金の問題になりますと百点と五点ぐらいの差があるわけですから、率直に申しまして、したがって、そういうことも踏まえて、いわばプロの議論を聞いて……(「自分は句点だ」と呼ぶ者あり)今、不規則発言で自分は句点かとおっしゃいましたが、私も及第点の知識の持ち主であるとは思っておりません、一生懸命勉強しておりますものの。しかし、そこで私なりに整理してみますと、とにもかくにも将来にわたって年金支給を維持し得るような対策を講ずる必要がある、こういう前提の上に立ちまして、この場合、国鉄共済問題については国鉄改革の重要な一環として、国鉄改革の具体化に応じて、これまでの経緯を踏まえつつ、財政調整計画のあり方、それからそれぞれの役割等について検討いたしますと同時に、一方、年金一元化の観点から所要の検討を行って、そして関係者の理解と国民的合意を得ることができる適切なものとしたい、こういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/31
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032・戸田菊雄
○戸田委員 大臣、いろいろと御心労を煩わして、精いっぱいやって今の回答になつだろうと思うのですが、これでは了承できないのです。
それはなぜかというと、具体的にこの財政負担というものをどうするかということになれば、国庫負担でやるのか、自助努力でやるのか、この組み合わせでやるのか、あるいはその他各般の共済の統合でやるのか等々になっていくわけですから、そういう問題についてぴちっとしたものを出してもらわなければとても私は了承しかねる。これ以上前に進めませんよ。審議できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/32
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033・増岡博之
○増岡国務大臣 その作業を進めるためにも、いろいろな手段方法を、先生御指摘のようなことがあるわけでございますので、その検討体制を至急に整えまして、そして対処いたしたいと思います。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/33
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034・越智伊平
○越智委員長 戸田菊雄君、質問してください。——竹下大蔵大臣より……(発言する者あり)竹下大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/34
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035・竹下登
○竹下国務大臣 先ほど申し上げました点について、最後に申し上げましたが、この問題はやはり関係者の理解そして国民的合意、これが一番大事であると私は思っております。その合意を得る前段として、まず国民的合意ということになると、いわば国民が合意する土台としては、給付の一元化というものがあって初めて負担の一元化ということに対しての理解も得られるではなかろうか、こういう考え方でもって今お答え申し上げた次第であります。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/35
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036・越智伊平
○越智委員長 理事さん、ちょっと。
速記をちょっととめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/36
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037・越智伊平
○越智委員長 速記を入れてください。
休憩いたします。
午前十一時十分休憩
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午後四時三十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/37
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038・越智伊平
○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/38
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039・竹下登
○竹下国務大臣 国鉄共済年金の支払いにつきましては、昭和六十四年度までの支払いに支障が生じないよう、政府が責任を持って解決策を講じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/39
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040・越智伊平
○越智委員長 質疑を続行いたします。戸田菊雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/40
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041・戸田菊雄
○戸田委員 いろいろと大臣御心労を煩わしているわけですが、今の答弁では私はどうも納得できかねますので、審議はきょうはこれで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110304629X00219851112/41
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042・越智伊平
○越智委員長 だから、その分を留保して質疑してください。 休憩いたします。
午後四時三十八分休憩
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