1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和六十年十一月十九日(火曜日)
午前十時二分開議
出席委員
委員長 今井 勇君
理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君
理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君
理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君
理事 神田 厚君
太田 誠一君 佐藤 隆君
自見庄三郎君 鈴木 宗男君
月原 茂皓君 野呂田芳成君
保利 耕輔君 松田 九郎君
山崎平八郎君 渡辺 省一君
上西 和郎君 島田 琢郎君
新村 源雄君 日野 市朗君
駒谷 明君 水谷 弘君
稲富 稜人君 菅原喜重郎君
津川 武一君 中林 佳子君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 増岡 博之君
農林水産大臣 佐藤 守良君
出席政府委員
厚生大臣官房審
議官 山内 豊徳君
農林水産大臣官
房長 田中 宏尚君
農林水産大臣官
房審議官 吉國 隆君
農林水産省経済
局長 後藤 康夫君
委員外の出席者
人事院事務総局
給与局研究課長 栗田 久喜君
農林水産委員会
調査室長 門口 良次君
—————————————
委員の異動
十一月十九日
辞任 補欠選任
大石 千八君 自見庄三郎君
同日
辞任 補欠選任
自見庄三郎君 大石 千八君
—————————————
本日の会議に付した案件
連合審査会開会に関する件
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
法律案(内閣提出、第百二回国会閣法第八三号
)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/0
-
001・今井勇
○今井委員長 これより会議を開きます。
この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。
大蔵委員会において審査中の内閣提出、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について、同委員会に対し連合審査会開会の申し入れを行うこととし、あわせて、本委員会において審査中の内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会及び運輸委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するとともに、大蔵委員会からも開会の申し入れがありましたならば、これを受諾することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/1
-
002・今井勇
○今井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、連合審査会は、関係委員長と協議の結果、本日は午後一時三十分から、明二十日は午前十時から、それぞれ開会される予定でありますので、御了承願います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/2
-
003・今井勇
○今井委員長 第百二回国会内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。駒谷明科。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/3
-
004・駒谷明
○駒谷委員 公明党・国民会議の駒谷でございます。農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、時間は三十分でございますけれども、総括的な質疑をいたしたいと思います。
今回の共済組合法の一部改正でございますけれども、時間の関係で単刀直入にお尋ねをいたしたいと思います。
まず、農林共済年金制度、これの改革案を、本案を提出されたわけでありますが、その改革の趣旨及び改革を行うに当たっての経緯について、農林省、農林大臣の方からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/4
-
005・佐藤守良
○佐藤国務大臣 駒谷先生にお答えいたします。
我が国の人口構造は、今後ますます高齢化が進展しまして、高齢化社会に移行するものと考えております。
農林年金制度につきましても、このような社会経済情勢の変化に対応するために、三つの点の配慮が必要だと思っております。その一つは、公的年金制度全般の整合性を図ること、二つ目には、制度の円滑な運営を図るため適正な給付水準を確保するとともに、負担との均衡を図ること、また世代間の公平に配慮すること、三つ目には、制度の財政の長期的安定を図る必要があること等に配慮して対処すべきものと考えております。
具体的には、農林年金の組合員及びその被扶養配偶者につきましても新しい国民年金法による基礎年金制度を適用し、農林年金の給付は、この基礎年金の上乗せの年金として、厚生年金相当部分と共済グループの独自のものとしての各共済職域に着目した職域年金相当部分を給付することとしております。さらに、各種の給付条件、内容等につき、公的年金制度間の整合性を図るための措置を講じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/5
-
006・駒谷明
○駒谷委員 大臣から御答弁がありましたけれども、年金財政の問題については、農林共済年金の現況は大変厳しいのではないか。高齢化社会の到来ということで、人口の高齢化、これは必然的に年金受給者を増加させていく、逆に、これを支える現役世代の大きな負担を求める結果になる、そういう問題等から年金財政の将来を今大変憂慮をいたしておるところであります。
今回のこの改正につきましては、共済年金制度創設以来の最大の改革である、そのように私は思っておるわけでございますが、この改革に当たっては社会保障制度審議会に意見を求めて、その答申あるいは意見書がこの改革に先立って出されておるわけであります。昭和六十年四月十日、同じ日付でありますけれども、内閣総理大臣に対する「公的年金制度に関する意見」、それから農林水産大臣に対しては本法の一部改正についての答申、このように出されておるわけであります。この審議会の答申あるいは意見、これについてどのように受けとめ、この改革案の中に反映をされておられるのか。
この点につきましては、内閣総理大臣に対する「公的年金制度に関する意見」、これは公的年金制度の担当大臣、きょうお見えでございますけれども厚生大臣に、それから農林水産大臣に対する答申については農林大臣から、簡単にその考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/6
-
007・増岡博之
○増岡国務大臣 本年四月に社会保障制度審議会から「国鉄再建問題の検討に当たっては、この年金問題を抜きにしては考えられず、その際国民の公的年金制度への信頼を失わせないように特に留意されたい。」としておられることがあるわけでございます。したがいまして、国鉄共済年金につきまして、将来にわたって年金の支給が維持できるように対策を講ずる必要があるわけでございまして、その具体的な手順、方法につきましては、本法律案の成立後、できるだけ早く政府部内での協議に着手いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
その際、この国鉄共済問題は、一つには国鉄改革の重要な一環となっておるわけでございます。その具体化に応じながら、またこれまでの経緯を踏まえながら、いわゆる支援グループ内での財政調整計画があるわけでございますので、その見直し等、それぞれの役割等について検討すると同時に、将来昭和七十年を目途に年金一元化を考えておるわけでございますので、その観点からも所要の検討を行いまして、関係者の理解や国民の合意が得られるような適切なものといたしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/7
-
008・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 農林年金の一部改正につきましての社会保障制度審議会の答申でございますが、この問題については答申の中で、今回のような改正は「公的年金制度の一元化を進める道筋に沿う限りにおいて一つの選択であろう。」こういうふうに結論づけていただいておりますが、例えば既裁定年金のスライド停止については関係者の理解を得ることが重要である、あるいはまた、大幅な制度改正の際には経過措置等について十分配慮を加える必要があるというような御意見もいただいておりまして、そのような御意見に沿っていろいろ検討をいたし、関係者の理解を得る努力もしながら今回の改正案を提出いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/8
-
009・駒谷明
○駒谷委員 厚生大臣から御答弁がございましたけれども、この公的年金制度に関する内閣総理大臣に対する意見書の中にも、先ほどちょっと触れられました問題が大きく出ておるわけであります。要するに「現下の共済年金制度における最大の問題は、国鉄の共済年金にある。国鉄再建問題の検討に当たっては、この年金問題を抜きにしては考えられず、その際国民の公的年金制度への信頼を失わせないように特に留意されたい。」こういう意見が出ておることは御承知のとおりでございます。
この国鉄再建問題につきましては、もう既に御承知のとおり、国鉄再建監理委員会から改革案、意見書が出されまして、この改革の基本的方針については昭和六十年の十月十一日に基本方針を閣議決定されておるわけであります。この閣議決定される段階において、この公的年金問題はどうあるべきかということを、政府として基本的な方向というものをやはり決定をしなければならないのではないか、そのように私は思っておるわけでございます。
しかも六十二年の四月一日には民営化になる。この民営化の経過におきまして、余剰人員九万三千人、特に希望退職それから就職あっせん、希望退職については約二万人あるいは就職あっせん等については約四万一千人、昭和六十二年以降にわたるわけでございますが、この約六万一千人の人たちが退職、新しく就職しなければならない。
従来から国鉄共済年金というのは大変財政危機の状態であって、この救済措置として、先ほど厚生大臣の御答弁がありましたけれども、国家公務員と公共企業体職員の共済年金とが統合して、そして救済を考えていったという、百国会でこの問題が成立をしているわけであります。
この問題は、年金の受給者が、国鉄の職員の退職者がますます増加し職員数が減少していく、結果的には成熟度が昭和六十年の段階で一三二%という、一人で一・三という年金受給者を支えていかなければならない、まさに給付と負担の問題が大変なアンバランスになっておる、財政破綻の状態であるというふうに思うわけであります。
そういう問題等を考えていきますと、この問題については、先ほどの意見書の中にありますように、どうしてもこの年金問題を抜きにしてこの共済改革案の将来の方向を決めていくわけにはいかない、そういう重要な問題があると思うわけであります。この点について、年金担当厚生大臣のお考えについてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/9
-
010・増岡博之
○増岡国務大臣 御指摘のように、国鉄共済年金が非常に破綻に瀕しておるということは私どもよく承知いたしておるわけでございます。したがいまして、昭和七十年までの年金一元化の中でこの問題をどう扱うかということが従来からの物の考え方の基本であったわけであります。しかし、御指摘ありましたように三十二万体制から二十一万五千人体制になるということが確定したわけでございますので、その対策を急がなければならないわけでございます。
ただ、その中でも、公的年金一元化をする場合の最初のステップは、やはり各年金に共通する基礎年金を導入することであろうというふうにとらえておるわけでございますので、この法案が通りました暁には、それを一つのステップとしてできるだけ早く結論を出さなければならないと思っておるわけでございまして、御理解をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/10
-
011・駒谷明
○駒谷委員 国鉄共済年金の救済措置につきましては、政府として責任を持って対応するという答弁が出ておるわけでありますけれども、具体的なその方向が示されていない。きょう昼から連合審査ということで総理大臣出席のもとに行われるわけでありますけれども、この方策については私は三点の問題があろうかと思います。
その一つは、国鉄組合員、いわゆる加入者の保険料を引き上げて対応していかなければならないという考え方、いわゆる組合員の負担という問題があろうかと思います。しかし、現実にはこの掛金率はすべての保険制度の最高であります一〇・二%という掛金率になっておるわけですね。そういう問題から、これ以上の掛金をするということはもう事実上不可能である、これは限界であるということで、とるべきではない、私たちはそのように思うわけであります。
もう一つは、今度の共済改革案の中にも、財政的な問題等を絡めて、地方公務員等の共済あるいは農林漁業団体職員等の年金等を含めるいわゆる共済グループ、この共済グループに加えて民間の厚生年金にも救済を求めていく、そういうふうな考え方が出てくるわけであります。これが今回いろいろと論議の焦点になっておるわけであります。
もう一つは国庫の拠出金、国の責任においてこれに対応するという形でやらなければならない国鉄再建問題に絡む年金救済問題があるわけでありますので、この国庫の拠出金によってこれに対応する、こういう三つの方法があろうかと思います。
そこで、実は十一月の十七日の報道でございますけれども、自民党の宮澤総務会長がこの十六日に大宮市で記者会見をされておりますけれども、この国鉄共済の問題について記者会見で一応考え方というものが示されております。
この内容を報道の関係で見てみますと、「すでに同共済へ援助している国家公務員、電電、専売の三共済についで地方公務員共済、厚生年金の援助を得て最終的には国庫ということになるかもしれない」、そういう考え方、国の一般会計からの支出が必要と考えている、そういう考え方が記者会見で述べられておるわけでありますけれども、ここで、やはり厚生年金にもこの国鉄の共済についての救済を求めていかなければならないだろうという、こういうことが考え方の一つとして出ておるわけであります。
厚生年金の担当であります厚生大臣、この御意見に対してどのように考えられておられますか。また、この共済グループに関する拠出、救済という方向での農林水産大臣の考え方、あわせてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/11
-
012・増岡博之
○増岡国務大臣 大筋として、今御指摘のありましたような方向に向かわざるを得ないだろうという御意見は大変有力な御意見だというふうに思います。しかし、私ども実務担当者といたしましては、まず現行の共済グループの中で財政調整の再検討をしていただくということが、現在のグループだけでやるあるいは枠を拡大する、いずれにしましてもそれがまず必要ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
しかし、そうはいいましても緊急を要する問題でありますので、一応昭和六十四年度までは政府があらゆる方策を考えて年金が支給できるようにしようという一時的な暫定的な措置を大蔵大臣が発言なさったわけでございますから、その間に国民の御理解をいただけるような、各界の合意ができますような詰めを私どもが行いたいと思うわけでございまして、現段階ではその作業にまだ入っておりませんので、救済グループの範囲を拡大するとかしないとかということはなかなか申し上げにくいと思いますけれども、確かに有力な御意見であることには間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/12
-
013・佐藤守良
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。
私は、宮澤会長の発言というのをよく承知してないものでございますが、国鉄共済救済の具体的な手順、方法等につきましては、共済法案の成立後、できるだけ速やかに政府部内での協議に着手することとしております。
この場合、国鉄共済問題につきましては、国鉄改革の重要な一環として、国鉄改革の具体化に応じまして、これまでの経緯を踏まえつつ、財政調整計画のあり方とがそれぞれの役割等について検討すると同時に、年金一元化の観点からの所要の検討を行い、特に関係者の理解や国民的合意を得ることができる適切なものとする必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/13
-
014・駒谷明
○駒谷委員 両大臣、御答弁いただきましたけれども、冒頭に私の方から示しました社会保障制度審議会の意見書の中に、再三申し上げておりますけれども、やはり国鉄共済年金が最大の問題である、しかも「国鉄再建問題の検討に当たってはこと、こういう条件が入り、「この年金問題を抜きにしては考えられず」、この年金問題をどうするかということ、そしてその問題については「国民の公的年金制度への信頼を失わせないように特に留意されたい。」ということが特記されておるわけであります。
この問題については審議会でいろいろ論議があって、もっと強い考え方で出すべきだ、そういう意見もあったように伺っておるわけでありますけれども、この国鉄再建問題についてはもう既に、先ほども申し上げた閣議決定が行われて、方向がもう示された。六十二年には民営化、そして余剰人員の整理についてもその方向がもうはっきりと閣議で決められておるわけですね。しかも、この年金問題についてはいまだに政府としてどうすべきかということについては結論が出ていない。まさにこれは公的年金制度に対する、厚生年金の掛金をしている人あるいは年金を受けている人たち、この国民全体の信頼を失っていく、そういうふうなことになるのではないか、そのように心配をいたしておるわけであります。早々にひとつこの問題については方向づけを明確にしていただきたい。恐らくきょう昼からの大きな論議になろうかと思いますので、この問題についてはこの程度にいたしておきます。
次に、国家公務員法第百八条の関係について、きょうは人事院の方、御出席をしていただいておりますか、人事院の方にお伺いを申し上げたいと思います。
この国家公務員法の百八条という条項でございますけれども、「年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができる。」ということが明記されておるわけであります。この趣旨等につきましては、公務員の身分あるいは職務、責任等の特殊性を考慮して、公務員と遺族の生活の安定、福祉の向上に寄与する、公務の能率的な運営に資することを目的として人事院に与えられている機能であろう、私はそういうふうに理解をいたしておるわけでありますが、今回の一連の改正案、これが提案されたわけでありますけれども、国会に提出されるに当たり、国会あるいは内閣に公式に意見というものが出されていないように私は思うわけであります。その経緯について、今後の考え方等も含めてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/14
-
015・栗田久喜
○栗田説明員 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、国家公務員法百八条には、人事院が年金制度に関して「必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができる。」と規定されておりまして、その趣旨は先生が今お述べになったようなものでございますが、これは、年金制度というものがやはり公務員の人事管理の諸制度と非常に深いかかわりを持っておりまして、広い意味では公務員制度の一環であるということとの関係で人事院にそういう権限が与えられておるというふうに理解しております。
それで、今回の年金制度の改正につきましては、今、両大臣からも御答弁がございましたように、高齢化社会の到来に備えて年金制度の長期的な安定と整合性ある発展を期するという趣旨のものと理解しておりますし、また、あわせて、従来からいろいろ問題とされておりましたいわゆる年金の制度間格差を是正するという趣旨も含まれておると承知しております。
したがいまして、今回の内容は公務員にとりましては非常に厳しい内容になっておりますけれども、公務員制度の一環、公務員制度の側面というものが考慮されまして、いわゆる三階部分といいますか職域年金の部分というのが設定されたということは、それなりに私どもとしても理解しておるわけでございます。
それで、人事院のこの意見の申し出の経緯につきましては、昭和二十八年に国公法に基づきまして正式な意見の申し出をして以来、実は正式にはやっておらないのでありますが、必要な場合には所管省たる大蔵省に対しまして文書または口頭の形で申し入れを行っております。今回の改正におきましても、局長レベルではございますが、大蔵省に対して申し入れを行いまして、今回の改正におきまして公務員制度の一環としての側面、趣旨が損なわれることのないようにということで、今回の職域年金部分の設定というのは、それをも踏まえてその担当省でこういう案をおつくりになったものというふうに理解しておるわけでございます。
それで、今後の対応ということでございますけれども、これは私どもの総裁が衆議院本会議で述べましたように、やはり国会審議の動向その他今後の成り行きを重大な関心を持って見守ってまいりまして、必要な場合には、意見の申し出も含めましてしかるべき対応をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/15
-
016・駒谷明
○駒谷委員 答弁がありましたけれども、やはり意見を出すことができる、そういう、義務規定にはなっていないんですけれども、事年金問題の改革というのは重要な問題であります。この改革案について事前に口頭でいろいろと意見を述べられたということは承知をいたしておりますけれども、公式な考え方、意見というものがやはり人事院からあってしかるべきだ、私はそのように思うわけであります。もちろん、国会に対してそういうふうな意見も出ていない現状について、速やかにこの問題については人事院としての考え方、方向を決めるべきだと思っておりますので、その点十分に御検討していただきたい、そのように要望いたしておきます。
次に、時間が参りましたけれども、基礎年金の水準の問題、この件については、今回の改正案は基礎年金の導入を一元化という形から図られるわけでありますけれども、この基礎年金の問題については、やはり国民一人一人の老後の生活設計に大きな影響を与えるものである。この点につきましては、国民年金法等の一部を改正する法律案の審議の過程で、厚生大臣、十分に社労の委員会で論議が行われた重要な問題であります。しかも、衆参社労委員会におきまして、修正あるいは附帯決議というような形で、この基礎年金の水準、費用の負担のあり方等についていろいろと決議あるいは修正が行われております。この点についてきょうはお伺いする予定でございましたが、時間が参りましたので、次の機会にまたお伺いをいたしたいと思います。
もう一点は、年金額の改定の方法の問題であります。この問題については、物価指数が五%を超える上昇、低下、この場合に年金額の自動改定措置が導入されることに今回なっておるわけでありますけれども、農林共済年金、この問題についても、参議院の社労委員会における修正において、国民の生活水準に著しい変動が生じた場合あるいは賃金に著しい変動が生じた場合、速やかに年金改定の措置を講じるようにする、こう明記されておる、そういう問題等を踏まえて考え方をお伺いする予定でございました。後日その点についてはお尋ねしたいと思います。
きょうは時間が参りましたので、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/16
-
017・今井勇
○今井委員長 次に、神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/17
-
018・神田厚
○神田委員 農林年金改革法の問題につきまして御質問を申し上げます。本日は厚生大臣も御出席をいただいております。あわせて二、三御質問を申し上げます。
まず最初に、きょうは基本的な問題につきましてそれぞれ御答弁をいただきたいと思っているわけであります。
我が国の人口構造が高齢化が進展をして、産業構造も非常に大きな変貌を来している現状であります。このために、年金制度は全般的に給付と負担を適正化をし、長期的な安定を図る必要がある、こういうふうにされております。さきに政府は、こうした観点から国民年金、厚生年金について改革を行ったわけであります。今回の共済年金の改革もこうした観点に立っての改革と思うわけでありますが、その点につきましてまず農林大臣にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/18
-
019・佐藤守良
○佐藤国務大臣 神田先生にお答えいたします。
我が国の人口構造は、先生も御存じのとおりでございますが、今後ますます高齢化が進展しまして、高齢化社会へと移行するものと考えております。農林年金制度につきましても、このような社会経済情勢の変化に対応するために、三つの点で配慮して対処すべきであると考えております。その一つは、公的年金制度全般の整合性を図ること、二つ目は、制度の円滑な運営を図るため、適正な給付水準を確保するとともに、負担との均衡を図ること、また世代間の公平に配慮すること、三つ目は、制度の財政の長期的安定を図る必要があること等に配慮して対処すべきであると考えております。
具体的には、農林年金の組合員及びその被扶養配偶者についても新しい国民年金法による基礎年金制度を適用し、農林年金の給付は、この基礎年金の上乗せの年金として、厚生年金相当部分と共済グループの独自のものとしての各共済の職域に着目した職域年金相当部分を給付することとしております。さらに、各種の給付条件、内容等につき、公的年金制度の整合性を図るための措置を講じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/19
-
020・神田厚
○神田委員 厚生大臣、ひとつ同じような観点から御答弁を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/20
-
021・増岡博之
○増岡国務大臣 今回の一連の年金改革につきましては、先ほど農水大臣からお話がございましたように、いよいよ本格的な高齢化社会の到来を迎えるわけでございますので、長期的に公平であり安定的に運営していくための方策でございまして、そのために、具体的にはまず基礎年金を導入することによりまして制度間の格差の是正と制度基盤の安定化、重複給付の整理、婦人の年金権の確立等を図ることといたしております。さらに、現役労働者の所得水準との、バランスも考えなければいけないわけでございますので、将来の年金の給付水準を適正化をすること、あるいはまた、年金受給者のピークの時期に入ります際の保険料負担も軽減すること等を考えておるわけでございまして、共済年金の改正も同趣旨のもとでございますので、一日も早く成立をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/21
-
022・神田厚
○神田委員 改革の方向が、農林年金にも基礎年金を導入をし、その上、農林年金の給付を上乗せをしている、こういうことでありますが、基礎年金の給付水準はどうなるのか、また農林年金の給付水準はどうなるのか。現状の給付水準からすればこれが大きく引き下げられる、こういう懸念があるわけであります。この点についてどういうふうにお考えでありますか。
また、基礎年金には組合員とその配偶者の加入を予定しておりますが、配偶者の給付水準、加入期間のとり方、掛金相当部分の徴収方法はどういうふうになるのか、この点につきまして御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/22
-
023・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 今回の農林年金制度の改正は、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、我が国の高齢化社会の進展、そしてまた、共済組合制度の成熟度が向上いたしまして組合員期間が延びていく、こういった状況を踏まえまして、公的年金制度全般の長期約な安定と整合性ある充実発展を図るという見地から、給付水準の適正化を図る措置を計画的に行おうといたすものでございます。
したがいまして、改正後の給付水準につきましてはこの趣旨に沿ったものになりますけれども、具体的には退職者の給与の高低なり組合員期間の長短、施行日における年齢等によっていろいろ違ってまいります。そしてまた、一方におきまして、新たに、今度の制度改正に伴いまして、加給年金の制度あるいは職務上の障害や遺族の年金の最低保障額を設ける、さらには基礎年金の導入ということもございまして、全体としての水準が大幅に落ちるようなことはないというふうに考えております。
〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
給付水準の設定につきましては、現役組合員の負担いたします掛金と年金受給者の所得との均衡が図られる必要があるというふうに考えておりまして、今回の改正案による給付水準は、現役組合員の標準的な方の給与のおおむね七割程度に相当いたしておりますので、これは年金受給者と現役組合員との均衡から考えた場合、まずまずほぼ妥当なところではないかというふうに考えております。
なお、組合員の被扶養配偶者につきましても国民年金の被保険者になりまして、基本的には四十年加入でございますが、施行日現在において、昭和三十六年から国民年金加入可能年数であります二十五年加入していた方には、四十年加入していた方と同様に六十五歳から給付されることになっておりまして、保険料の徴収につきましては、直接国民年金に納入をすることは必要といたしませんで、被扶養者の保険料相当部分につきましては、農林年金から国民年金への拠出金として、組合員の保険料相当部分と一括をして納入するということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/23
-
024・神田厚
○神田委員 現行の給付水準を維持していくためには、組合員の負担は、現在の掛金率百九が将来的には約四倍にも達する、こういうふうに言われております。改革案の給付水準の引き下げが掛金負担の軽減につながるものがあるとはいえ、相当な引き上げが必要となるのではないか。掛金問題についてどういうふうにお考えでありますか。農林年金では財政の再計算を行っている最中と聞きますが、どのような推計がなされているのか明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/24
-
025・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 今回の改正案におきましては、給付水準の適正化ということが一つの大きな柱になっておりますが、長期間の経過措置を設けまして、給付と負担の均衡を図ろうというふうにいたしておりまして、世代間の負担の公平に十分配慮しているところでございます。
具体的に申しますと、高齢化のピークを迎えます二十一世紀の昭和百年という時点につきまして、現行の給付水準を維持していくものというふうに仮定をいたしまして想定計算をいたしますと、現在の掛金率は一千分の百九ということでございますが、これが約四倍程度になるものと推計をされております。今回の改正案によりまして給付水準の適正化を図ることにいたしますと、相当程度、私どもの推計によりますと約四分の一程度の軽減は図れるのではないかというふうに考えております。
なお、財政再計算につきましては、現在六十一年度からの適用を考えまして、再計算の作業を農林年金理事長の諮問機関でございます年金財政研究会におきましていろいろ検討していただいております。その答申は明年の一、二月ごろになるという予定と聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/25
-
026・神田厚
○神田委員 この改革案につきまして大変多くの意見が出されているわけでありますが、特に農林漁業団体職員、さらには年金受給者等々からも、この改革案に対して心配な点を陳情という形で我我も受けているわけであります。これらに対しまして農林省は十分に説明をし、理解を得ているというふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/26
-
027・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 公的年金制度全体の改革の中で、農林年金制度をどのように位置づけ改正を進めていくかということは非常に重要な問題でございます。これを円滑に進めますためには、事業主と組合員との利害調整、あるいは加入者団体相互のコンセンサスの形成等を十分図る必要があるというふうに考えてやってまいったところでございます。
実はこの問題につきましては、関係者の間でも、既に年金を受けておられる方、それから近く卒業をして受給者になられる世代の方、それからまた、若い方々でこれから長期にわたって掛金の負担をしていかなければならない方、いろいろ御意見の違いもかなりございます。そういうことも含めまして、各般の御意見を伺いながらコンセンサスの形成をやっていかなければいけないということで、今回の農林年金の改革に当たりましては、共済組合の中に組合会という組織がございますが、ここにおきます議論、あるいは年金の構成団体でございます農協、漁協等の系統ごと、また全国段階、県段階ごとの御意見なり、あるいは現に年金受給をされておられます方々の御意見も伺いながら、さらに、農林水産大臣の私的諮問機関というような形で農林年金制度に関する懇談会というものを五十七年十月から開催いたしまして、この場で関係者の御意見を十分伺い、また意見交換を私どもとの間でやりながら、法案の作成に当たってきたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/27
-
028・神田厚
○神田委員 各共済の問題でそれぞれの関係者から非常に多くの反対陳情が来ておりますが、その中でも、特に農林年金の職員団体を初めとしてこの農林年金関係は大変反対陳情が多いわけであります。
農林省として、この反対意見についてどういうふうに受けとめて理解を求める説明をしているのか、また反対運動の根拠をどういうふうに考えておりますのか、その点についていかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/28
-
029・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 私が先ほど申し上げましたようないろいろなルートなり機関というものを使いながら御意見を承り、また、私どもの考え方も申し上げて調整を図ってきたところでございます。
特に、いろいろな御陳情なり御意見が私どものところにもございましたけれども、今度の改正の柱が、成熟度の向上あるいは高齢化社会の進展ということで、それを前提にいたしました負担と給付との均衡を図るという場合に、既に年金を受けている方々の既得権、期待権というものが損なわれないかという点についての御心配というのが一番大きかったと思います。
この点につきましては、例えば現在の農林年金額の計算方式の中に、給与に比例して年金額を計算する共済方式と、それから定額部分と給与比例部分とを合わせて給付をいたします通算年金方式とがございまして、現行制度では両方式で計算した額の高い方を適用するということにいたしておりますのを、今回は厚生年金等と同様に通年方式に方式を統一をいたすわけでございますが、改正前のいわゆる通算年金方式により算定した額にすべて改定をするという原則の中で、これによりまして旧共済方式で計算した方が高くなるような方につきましては、現在受けている年金額が減額されるようなことがないように、現に支給されている年金額については従前の年金額として保障するというような仕組みも取り入れてこれに対応をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/29
-
030・神田厚
○神田委員 これから聞こうと思ったのですが、既得権、期待権の保障、これは非常に強く要望が出されております。
また、関連しまして、既裁定年金者はいわゆる通年方式による裁定がえを行い、年金額の見直しをすることになっておりますが、その額が従来の額より低くなる場合は従前額を保障する、こういうことにしておりますけれども、その場合にはベースアップを見合わせるという条件がつくわけでありまして、こういうところにつきましてもやはり非常に問題があるというふうに思うのであります。この点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/30
-
031・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 この問題につきましては、まず農林年金の現在の受給者の方々の実情を見ますと、農林年金の年金受給者のうち八二・四%が通年方式によって年金額が算定をされております。したがいまして、共済方式から通年方式に裁定がえになり、その結果、先ほど私が申し上げましたような経過措置あるいは既得権の保障というものが行われる可能性のある方々は一七・六%でございます。したがいまして、八割以上の方は通年方式によっているというのが実態でございますが、こういった方々につきまして、今御質問にございましたように、原則として通年方式によって改定されました年金額については消費者物価にスライドした年金改定をやっていくわけでございますが、従前の年金額保障を受けておられる方々につきましては、新方式によって計算された金額が追いついてくるまでは、このスライドによる年金額の改定をいわば足踏みをさせるといいますか、そういう仕組みにいたしております。
なお、従前額の保障年金額につきましてもスライドをやるべきではないかという御意見も確かにあるわけでございますけれども、これは改正法の施行日以後におきます年金受給者と現役組合員との給付と負担の均衡を図るという観点、あるいはまた施行日以後に新たに年金を受ける方と既に年金受給者になっている方との間の給付のバランスを失しはしないかという問題、またさらにはこのスライドを実施いたしますことによって給付費の増大がもたらされ、現役組合員の負担が大きくなり過ぎるというようなことがございまして、この点についてもいろいろ議論はいたしたところでございますが、各共済制度共通して私がさっき申し上げましたような措置を仕組みといたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/31
-
032・神田厚
○神田委員 これも先ほどの答弁にちょっと関連しますが、今回の改正案では、標準給与が退職時前一年間の給与から全期間の平均給与に変わるわけであります。これにより給付の算定の基礎となる平均標準給与は大きく下がることになるわけでありまして、また、算定方式も従前の共済方式が廃止をされ、すべて通年方式に統一されると言われております。支給乗率が千分の十から千分の七・五に下げられることとあわせて、すべてが厚生年金と同一方式になっているわけであります。
官民格差論による影響が共済年金の改革にまともにあらわれたものと理解せざるを得ないわけでありますが、共済年金の独自性として認められたものがあるのかどうか、この点をお伺いをしたいと思うのであります。
また、二階建て年金は厚生年金並みの給付水準、三階建て年金は農林漁業団体の職域年金と位置づけられているわけでありますが、この職域年金を認めたことが官民格差を残したとの論評もあるようでありますが、これを認めた積極的な理由はどの辺にあるのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/32
-
033・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 農林年金制度を含めました共済年金制度におきます平均標準給与のとり方なり年金額の計算方法等につきましては、先生もよく御存じのとおり、かねてから一般被用者を対象といたします厚生年金との間に、共済年金の方が有利だということで、厚生年金と共済年金との間の格差ということでいろいろ御議論のあったところでございます。今回の改正案におきましては、公的年金制度全体の整合性を図るという見地から、基本的な給付要件というのは厚生年金とそろえるということにいたしたわけでございます。
なお、共済年金につきましては、厚生年金相当部分のほかに、共済年金制度全体の独自性という形で、職域年金相当部分を設けるということにいたしております。
そのほか、農林年金についての独自性はどういうところがあるのかという点のお尋ねでございますが、この点につきましては、積立金の自主的な運用が可能であるとか、あるいはまた福祉事業が農林漁業団体の職員のニーズに合わせて実施をできるというような点で、いわゆる公務員の共済との違いがあるというように考えております。また、今回の制度改正に即して申しますと、従来、当委員会でもいろいろ御意見のございましたいわゆる新旧格差につきましてその解消を図る、あるいはまた職務上の障害年金について新たに最低保障制度を設ける、この辺は今回の改正の中で農林年金の独自の制度改正と言うことができようかというふうに思っておるところでございます。
〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
それから、職域年金相当部分を設けた理由いかんということでございますが、御案内のとおり、農林年金は昭和三十四年に、農林漁業団体に働く方々と市町村の職員の方々との福利厚生、あるいは年金の面での均衡を図りたい、そのことによりまして人材の確保を図りたいということから、厚生年金から分離独立をした制度でございます。そういった観点から、今回の共済制度の改正の中におきましても、地方公務員共済と同様に職域年金相当部分を設けたということでございます。また、民間被用者の場合には、厚生年金の給付に上乗せをしまして厚生年金基金が設定をされているというようなことにも配慮をいたしまして、職域年金部分、三階建て部分を設けたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/33
-
034・神田厚
○神田委員 次に、国庫補助の問題でありますが、改革案では国庫補助はすべて基礎年金に集中をされる、その率は三分の一とされているようでありますが、この結果、二階建て、三階建ての農林年金には国庫補助をしないということになっております。農林年金は国庫補助なしでやっていけるというふうにお考えでありますのかどうか。
また、一般的な国庫補助一八%はともかくとしまして、従来の財源調整費補助、農林漁業団体の自助努力である農林漁業団体等の相互扶助事業費の確保についてどのようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/34
-
035・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 国庫補助の問題でございますが、この問題につきましては、現在、各個度によって異なっております国庫補助の不均衡を是正をするということで、公的年金制度は基礎年金への拠出金の三分の一ということにいたしておりまして、農林年金制度につきましても基礎年金への拠出金の三分の一を国から補助をするということにいたしております。
この点について、いわゆる二階建て、三階建て部分に補助を全然しないという考えなのか。結果的にはそうなるわけでございますが、考え方といたしまして、私どもむしろ、今回、公的年金制度全体の整合性を図るという今度の改革の趣旨の中で、各公的年金制度の中で共通する部分をいわば基礎年金という形で取り出して、国庫補助についても、各年金共通の国庫補助のやり方をそこに集中をしてやるというふうに仕組みを改めたというふうに理解をしていただいた方が適切がなというふうにも考えておるわけでございます。
なお、財源調整費補助というのが農林年金の定率補助一八%の上に従来講ぜられておったわけでございますが、この点につきましては、国の補助が制度によって違って不均衡が生ずるということは今後なくなりますので、厚生年金の補助率と農林年金の補助率の間に今までございました二%の差がなくなるということから考えますと、農林年金のみ特別の国庫補助ということで存続させる根拠はなくなりますので、これは今回廃止をすることにいたしております。
それから、いわゆる農業協同組合等相互扶助事業整備推進費につきましては、これは公的な年金制度に対する給付費等に対する補助金とは性格を異にするものでございます。農政の一環として農協等の相互扶助事業の一層の充実を図る、またそのことが確かに結果的には農林年金の財政の充実なり改善にもつながっているわけでございますが、この補助金につきましては、年金に対する助成というものとは性格が違うという観点で、今後ともこの確保には努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/35
-
036・神田厚
○神田委員 答弁を聞いていますとなかなか難しい問題もありますし、さらに、今後の運用が非常に困難であるというような印象を持ちますと同時に、農林年金制度として特性を持った年金制度だったものが、今後そういうことになって一体どういうふうになるのだろうかという心配も易くあるわけであります。
時間がありませんので、最後にこの農林年金制度の問題について御質問申し上げます。
御案内のように、農林年金制度は、昭和三十四年、厚生年金から分離して設立されたものでありまして、農林漁業団体の特性を生かした制度となっていたわけであります。この特性が今度とも維持していけるのかどうか、これが一つの問題であります。
また、農林年金制度の果たしてきた役割、存在意義、こういうものをどう考え、どう評価をしていくのか、また、農政上の観点からの団体育成と年金制度の拡充強化をどういうふうに結びつけていくのか、さらに、農林年金が独自の制度として存続する必要性及び今後の存立の見通し、条件、これをどのように持っているのか、この点につきましてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/36
-
037・佐藤守良
○佐藤国務大臣 神田先生にお答えいたします。
農林漁業団体は農林水産行政の推進上重要な役割を担ってきており、その役職員に優秀な人材を確保し、その福祉の向上を図ることを目的とする農林年金制度の育成は、今後とも重要な課題であると考えております。
このため、農林年金制度の改革に当たりましては、制度の長期的安定を基本といたしますが、一方におきまして、農林漁業団体の育成を図る観点から、その経営の現状を踏まえ、今後とも経営基盤の充実に十分配慮してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/37
-
038・神田厚
○神田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/38
-
039・今井勇
○今井委員長 次に、中林佳子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/39
-
040・中林佳子
○中林委員 まず初めに、厚生大臣にお伺いいたします。
釈迦に説法的で非常に恐縮ではありますけれども、まず基本的なことについてお伺いしたいと思います。
国民年金法第一条及び第二条を読み上げますが、第一条は、「国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」第二条、「国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。」となっております。
言うまでもなく、憲法第二十五条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」こういうふうに規定されているわけですが、国民年金を初めとする現状の公的年金制度は、憲法に言う健康で文化的な生活を保障し得る年金に到達しているとお考えになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/40
-
041・増岡博之
○増岡国務大臣 現在の公的年金制度の中で、御指摘のような趣旨が生かされているかという御質問でございます。
これまで、公的年金制度の中にも、幾つかの制度に分かれておりまして、それぞれの沿革、歴史がございますので、個々に運営されてきたわけであります。そうして、今御指摘のような老齢、障害または死亡に関して年金給付を行うことにしておるわけでありますが、その生活の安定と福祉の向上に審与するという点については共通した問題でございます。
また、それと同時に、各制度間にあります不公平の是正、公平化というものが強く求められておるわけでございますので、私どもは、その制度を改革する中で総合的な公的年金の一元化というものを考えておるわけでございまして、それによって憲法に保障する趣旨が生かされるようにしてまいりたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/41
-
042・中林佳子
○中林委員 要するに、それぞれの公的年金制度で現在まだ到達しているとはお考えになっていないから今回改革をするんだ、こういうふうに受けとめていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/42
-
043・増岡博之
○増岡国務大臣 公的年金制度の中には財政困難で破綻に瀕しておるものもあるわけでございますので、そういうものを救済するという立場から、そういうものが憲法の趣旨にもとることのないようにしようという意味で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/43
-
044・中林佳子
○中林委員 本来、社会保障と称され、しかも公的年金制度の再編、拡充を行うというのでありましたらば、国庫負担や使用者負担はふやして、個人の掛金率を抑えて、給付水準こそ引き上げていくことが本当の公的年金制度の改革だ、こういうふうに私は思うわけですけれども、厚生大臣はその点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/44
-
045・増岡博之
○増岡国務大臣 やはり負担と給付との適正化ということを考えますと、個人の負担というものが存在しなければならないわけでございます。その割合をどうするかということは、やはり国民的な合意の得やすいものにするということから、一般的には労使折半ということになっておるわけでございますので、この点につきましては今後ともそのような姿でやっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/45
-
046・中林佳子
○中林委員 全く質問にお答えにならない。労使折半とかそういう話じゃなくて、国民の方の負担はなるべく減らして、そして国だとか企業だとか、そこの負担はふやしながら給付水準は引き上げていく、これがいわば憲法で言われている、二十五条の持つ意味だと私は思うわけですね。
ここで論戦をしていくわけにはまいりませんので、次に入りますけれども、既に改悪されました国民年金や厚生年金制度は、まさにこうした憲法や国民年金法が掲げてきた理念、目的に逆行して、国庫負担を大幅に減らし、国民の保険金をふやし、一方、給付年金額を一層削り込んでいく方向となっていることは、これまでの国会論戦でもはや明らかになっております。
制度改悪前の先進国における社会保障収入の負担割合を見てみますと、これは日本が被保険者の負担が二六%、国庫その他の公的補助が三〇・四%、アメリカの場合ですけれども、被保険者が二三・二%で国庫その他の公的補助が三六・四%、非常に進んでいると言われているスウェーデンは被保険者が一一%で国庫その他の公費補助が五七%にも達していて、日本の場合、被保険者である国民の負担割合はすば抜けて高く、そして一方、国などの公的補助は非常に低く抑えられている。これではとても先進国などとは言えない状態だというふうに思います。
今回の年金改悪の大きな口実とされているのに官民格差の是正、こういうことが言われているわけですけれども、農林年金の現行給付水準については、厚生年金の水準よりも低いのが現状です。これは御承知のとおりだと思います。農林年金の給付額が厚生年金よりも低いだけではなくして、高い、こういうふうに攻撃されている地共済ですら月十七万円そこそこの平均額です。これで安心して老後が募らせるという保証はどこにもありません。
さらに、政府がさきの国民年金改正に際して婦人の年金権確立などと大いに宣伝されている点、私はこれにも本当にごまかしがあるというふうに思うわけです。従来の国民年金のように加入者が家計の中から保険料を払うのではなくして、厚生年金と共済年金の財政から妻の保険料分を一括して基礎年金財政に払い込むという方式になって、平たく言えば、共済年金の場合は、組合員である夫の保険料に妻の分まで上乗せされるにすぎないわけです。婦人の年金権確立と言うから国や企業が出してくれるかといえば、それは真っ赤なうそで、つまり入っている組合員が払う、こういうことになるわけですね。つまり制度的には、農林年金加入者は二人分の基礎年金相当分の保険料を取られて、もらうときは一人分だけの基礎年金がもらえる、こういうものです。ただ、無職の妻がいる加入者だけが妻の分と合わせて二人分がもらえるという仕組みになるわけです。
そこでお伺いしますけれども、農林年金加入者の妻で、現在無職あるいは無年金者は何人ぐらいいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/46
-
047・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 農林年金には、改正後は制度が変わりますけれども、現在は厚生年金にございますような妻の加給というものはございませんので、実はこれにつきましては、制度改正に伴いまして詳細に調査をいたさなければいけないというふうに考えておるところでございます。
一般の厚生年金の例でございますと、いわゆる被扶養配偶者というのは約七割程度というふうに聞き及んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/47
-
048・中林佳子
○中林委員 制度改革をしてから調査をする、こういうことで現在は数字はつかんでいらっしゃらない、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/48
-
049・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 先ほど申しましたように、現在の給付の仕組みの中に配偶者というものは入っておりませんので、正確な数字は現在まだ把握をいたしていないということでございます。今いろいろ調べておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/49
-
050・中林佳子
○中林委員 私どもは、無年金者の人たちの年金を解決するということは、こういう制度改革そのものをするよりももっと以前の問題で、速急に取り組まなければならない課題だとこれまでも思ってまいりましたけれども、今お聞きしますと、調査もしてないということで、基礎年金導入に婦人の年金権確立だ、こういうことが今回の制度改革についての政府の一番の宣伝材料にされているわけですが、そのこと自体、数字も明らかになっていないのに婦人の年金権確立ということを使うことは極めて無責任であり、しかも現実をごまかすものだというふうに思うわけです。
私は、今ある資料をもとに少し大ざっぱな試算をやってみました。全部で四十八万五千人加入者中、女性が約十七万人、残り三十一万五千人中、若い労働者を除く二十万人余りが妻帯者とみなします。農協労働者の妻の多くは大抵家で農業を営んでいるケースが多いことですから、この妻たちは国民年金の強制加入者であります。ですから、サラリーマン妻の無年金者が約四割ということになっておりますので、それより低目に約二割が無年金者と推定いたしますと、四万ないし五万人という概数が出てまいります。すなわち、農林年金について言えば、約十七万人の婦人労働者と、妻で厚生年金加入者、合計約二十万人以上の婦人は二人分の基礎年金掛金が取られて、もらうときは一人分。その四分の一の四万から五万人の婦人、つまり農林年金全体の一割だけが夫の保険料で基礎年金がもらえる、こういう勘定になるわけですね。実態としては、婦人の年金権確立ではなくして、働く婦人から年金掛金の超過収奪、こういうことになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/50
-
051・山内豊徳
○山内政府委員 基礎年金の仕組みについての御質問でございますので、私の方から御答弁したいと思います。
今先生御指摘のように、いわば同じ保険料率で取られておる被保険者でございますから、おっしゃるように全く一人での被保険者の場合も妻帯者の場合も取られる保険料は同じという意味では先生の御指摘は当たっているのでございますが、今回の基礎年金は、制度ごとに見ますと、その制度のサラリーマン的な加入者と、もう一つは被扶養配偶者の数に応じてその制度全体では基礎年金の拠出金を出すという仕組みになっております。
したがいまして、今先生の設例の中に配偶者の方が国民年金の強制適用であるような事例を想定しておられましたが、これでございますと、むしろ国民年金の方で今後とも、私ども国民年金の一号被保険者と言っておるわけでございますけれども、そこで基礎年金の拠出金は取られるという仕組みになるわけでございます。
先生の御指摘は、一人一人の被保険者の場合、人の妻の分まで持って自分一人分の基礎年金しか出ないという点は御指摘のとおりでございますが、農林共済なら共済の一つの制度で見ますと、やはり被扶養配偶者が多いか少ないかでその制度全体で基礎年金のために拠出する額は高い低いが出てくる、大小が出てくるという仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/51
-
052・中林佳子
○中林委員 ケース・バイ・ケースはありましょうけれども、農林年金の場合は無年金者の妻が一体どのぐらいあるかというのを調べてないのですからね。調べてないにもかかわらず、婦人の年金権確立というのがこの前の国民年金や厚生年金の改悪の政府側の最大のいわば宣伝文句だったのですね。今度の共済年金だ、って同じことをおっしゃっているわけですよ。ですから、大ざっぱな試算ではありますけれどもやってみると、まさに加入している一割しかそれには該当しない。それは二割かもわかりません、調査してないのですから。しかし、婦人の年金権確立、これをうたい文句にされるならば、少なくとも大半の婦人が、働く婦人も含めて今よりももっとよくなるということでなければいけないと思うのです。しかし、試算すると、いわばほかの分も負担させられて、もらうときは一人分、これはそうでしょう。仕組みとしてはそうですね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/52
-
053・山内豊徳
○山内政府委員 確かに先生御指摘のように、妻の年金権の確立が非常に典型的なのは、無業の妻と申しますか、その方自身で保険料を負担する所得のない方の場合で、その点は先生おっしゃるとおりでございます。
それから、先ほど申しましたように、加入者の保険料率は同じ率で決めてありますから、先生のような前提で物を考えます場合には、わかりやすく言えば、単身で働いている人もあるいは共稼ぎで働いている人も同じ保険料率を取られているという前提にしますと、基礎年金の拠出金は二人分取られる、しかしもらうときは一人ということは御指摘のとおりでございます。
くどいようでございますが、その制度を前提として見ると、ほかの制度と比べたりしますと、被扶養配偶者が多いか少ないかで制度全体の持ち分に違いが出てくるということを先ほど申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/53
-
054・中林佳子
○中林委員 今、農林年金の場合に限って言いましたけれども、大体無年金者の妻の数というのは、厚生年金にいたしましても、数字は若干移動してもそんなに数多い者を救えるとは私は思えない、働く婦人はむしろ負担の方がふえていくということを指摘して、次の質問に移ります。
新国民年金に基づいて一人当たりのモデル試算をしてみますと、これはある専門家の試算ですが、将来の保険料一万三千円を四十年間積み立て、これを国が年利七・五%で運用し、物価上昇が毎年五%と仮定して積立総額をはじくと、千百八十九万六千円になります。
一方、月五万円の年金を、物価スライド五%を見込んで六十五歳から平均寿命の八十歳までの十六年間もらったとして、本人保険料に相当する分、これは国庫負担分を除きますが、その総額は七百四十二万八千円になります。差し引きますと何と四百四十六万八千円が、国民が掛けた保険料から国へ吸い上げられてしまうという計算になるわけです。
また、この間の予算委員会で我が党の正森議員が明らかにした貯蓄方式の試算によりますと、実質運用金利三%、物価上昇分を考えないで月一万三千円の保険料を四十年間貯蓄し、四十六年目から、国庫負担ゼロで、その貯蓄総額から月五万円を八十歳までの十六年間おろしたとしますと、八十歳時点では何と九百四十二万五千円も残る計算になります。その貯蓄総額をゼロにするには百歳以上にならないとだめだ。そんなに長生きする人は大変数が少ないわけです。
もちろん、これらの試算はそれぞれ一定の前提条件の上でやったものですから、これが現実に起きるかどうかは定かではありません。しかし、いずれにしても今回の基礎年金方式では、従来の国民年金方式に比べて国民にとって保険料の大幅な掛け捨てが起こる、こういう制度になることは明らかですよ。
農林大臣、こんな基礎年金を農林年金に導入する必要はないと私は思いますけれども、必要はどこにあるのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/54
-
055・佐藤守良
○佐藤国務大臣 中林先生にお答えいたします。
先生御存じのように、我が国の人口構造は今後ますます高齢化が進展し、高齢化社会に移行するものと考えております。
農林年金制度につきましても、このような社会経済情勢の変化に対応するために、三つの点に配慮して対処すべきだと思っております。その一つは、公的年金制度全般の整合性を図ること、二つ目には、制度の円滑な運営を図るため、適正な給付水準を確保するとともに、負担との均衡を図ること、また世代間の公平に配慮すること、三つ目には、制度の財政の長期的安定を図る必要があること等に配慮して対処すべきものと考えております。
具体的には、農林年金の組合員及びその被扶養配偶者についても新しい国民年金法による基礎年金制度を適用し、農林年金の給付は、この基礎年金の上乗せの年金として、厚生年金相当部分と共済グループの独自のものとしての各共済の職域に着目した職域年金相当部分を給付することといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/55
-
056・中林佳子
○中林委員 みすみす悪くなるような年金の制度に農林年金も横並びにする必要はないと私は思うのです。
それで、去る六月十九日の当委員会で、本法改正が成立しない場合に生じる問題として、佐藤農水大臣が「農林年金の組合員の妻が無年金者の状態となる、そして民間企業の被用者の妻の場合と格差が生じる」と指摘されまして、そういう問題を生じさせないためにも本法の「一刻も早い成立をお願いする」、こういうふうに述べられたわけです。
この発言は、裏を返せば、農林年金の組合員の妻たちに不利益な状況をつくり出したくなければ早く法案を通せ、こういういわばおどし的な発言だと私はとるのです。先ほども私お話しいたしましたように、無年金者の妻というのは本当にわずかで、その人たちを救わなければならないのはもちろん大前提です。しかし、多くの働く婦人たちはその分も負担させられていく、そして給付のときには切り下げられるということで、こういうおどし的な発言をやられるのは許せないと私は思います。
言うまでもなく、法案はそれぞれ独自に審議をして採択するものであって、共済年金法改正案を拘束するような国民年金法の改正案を先に可決したこと自体が私は問題だと思います。共済年金の抜本改悪こそ直ちにやめるべきでありまして、国民年金や厚生年金との制度的矛盾が生じるようであれば、それらの制度こそもとに戻すべきだと思います。
厚生大臣、もしこの共済年金改正案が成立しなかった場合には、勇断を持って国民年金や厚生年金の再改正に着手されるよう最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/56
-
057・今井勇
○今井委員長 次回は、来る二十一日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00219851119/57
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。