1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年十一月二十六日(火曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 今井 勇君
理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君
理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君
理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君
理事 武田 一夫君 理事 神田 厚君
大石 千八君 太田 誠一君
鍵田忠三郎君 菊池福治郎君
佐藤 隆君 鈴木 宗男君
田邉 國男君 月原 茂皓君
野呂田芳成君 羽田 孜君
保利 耕輔君 松田 九郎君
三池 信君 山崎平八郎君
上西 和郎君 串原 義直君
島田 琢郎君 新村 源雄君
竹内 猛君 辻 一彦君
日野 市朗君 細谷 昭雄君
駒谷 明君 水谷 弘君
吉浦 忠治君 稲富 稜人君
菅原喜重郎君 津川 武一君
中林 佳子君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 増岡 博之君
農林水産大臣 佐藤 守良君
出席政府委員
厚生大臣官房審
議官 山内 豊徳君
農林水産大臣官
房長 田中 宏尚君
農林水産大臣官
房審議官 吉國 隆君
農林水産省経済
局長 後藤 康夫君
農林水産省農蚕
園芸局長 関谷 俊作君
食糧庁長官 石川 弘君
委員外の出席者
大蔵省主税局税
制第一課長 小川 是君
厚生省年金局年
金課長 谷口 正作君
厚生省年金局数
理課長 坪野 剛司君
自治省財政局調
整室長 鶴岡 啓一君
日本国有鉄道副
総裁 橋元 雅司君
参 考 人
(全国農業協同
組合中央会常務
理事) 桜井 誠君
参 考 人
(静岡大学教授)坂本 重雄君
参 考 人
(全国農林年金
受給者連盟会
長) 田代 満君
参 考 人
(農林年金中央
共闘会議議長)
(全国農業協同
組合労働組合連
合会中央執行委
員長) 後藤 英雄君
参 考 人
(茨城県農業協
同組合労働組合
連合中央執行委
員長) 本田 詔一君
参 考 人
(農林漁業団体
職員共済組合理
事長) 榊 春夫君
農林水産委員会
調査室長 門口 良次君
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委員の異動
十一月二十六日
辞任 補欠選任
日野 市朗君 竹内 猛君
同日
辞任 補欠選任
竹内 猛君 日野市朗君
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本日の会議に付した案件
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
法律案(内閣提出、第百二回国会閣法第八三号
)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/0
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001・今井勇
○今井委員長 これより会議を開きます。
第百二国会内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本日は、本案審査のため、参考人として全国農業協同組合中央会常務理事桜井誠君、静岡大学教授坂本重雄君、全国農林年金受給者連盟会長田代満君、農林年金中央共闘会議議長、全国農業協同組合労働組合連合会中央執行委員長後藤英雄君、茨城県農業協同組合労働組合連合中央執行委員長本田詔一君及び農林漁業団体職員共済組合理事長榊春夫君、以上六名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることといたしております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、本案につきまして、それぞれのお立場から忌揮のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げますが、桜井参考人、坂本参考人、田代参考今後藤参考人、本田参考人、榊参考人の順で、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
それでは、桜井参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/1
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002・桜井誠
○桜井参考人 全国農協中央会の桜井でございます。今回の農林年金制度の改正法案につきまして意見を申し上げたいと思います。
御承知のとおり、この農林年金制度といいますのは、昭和三十四年一月に農林漁業団体多年の運動の結果実現をいたしております。
若干歴史を申し上げますと、昭和二十六年ごろから役職員の間に身分の安定、それから老後保障というふうな声が出てまいりまして、特に役職員連盟がこの運動の中心になって動いたわけでございますが、言ってみますと当時は戦後復興の時代でございまして、国民食糧を増産してまいらなければいかぬ、そのためには農林漁業の振興が必要である、ところが中核になります農林漁業団体の経営が非常に困難である、また優秀な人材が外へ流出をしてしまう、こういうふうな状況のもとにございました。特に農業協同組合におきましては、昭和二十四、五年ごろにおきましては大体四割ぐらいの農協が経営不振、連合会も同様の形で再建整備をしなければならないという状況の中で、優秀な人材をどうやって確保するかということが大きな問題であったわけであります。
そういう中で、身分の安定あるいは老後保障という運動が沸き起こってまいりまして、最終的には、昭和三十年の全国農協大会でこの農林年金制度の確立を決議いたした結果、政府、国会の御理解を得まして三十四年の発足、こういうことになったわけでございます。
それから二十六年たちまして、現在、御承知のとおり農林年金は、組合員四十九万人、年金受給者が十四万人、一兆円の積立金を持つ、こういうふうな段階にまで発展をいたしておりますが、特に農林漁業団体の人材の確保、それから団体の機能発揮、ひいては農林漁業の発展にこの農林年金制度が大きく寄与してきたもの、こういうふうに考えるわけでございます。
ところが、年金の受給者がだんだんふえてまいることに伴いまして、農林年金自体におきましても財政の長期安定ということが一つの大きな課題になってまいったわけであります。また、歴史的ないろいろな背景のもとで事情を異にして成立をいたしました各種の年金制度、これにつきましても、国民の間からは共通の基盤を持つべきではないかというふうな声が大きくなってきたというふうに考えるわけであります。したがいまして、今回の国民年金、厚生年金それから共済年金制度の制度改正というものは、言ってみればこのような背景のもとに成立し、あるいは提案をされておる、こういうふうに認識をいたしております。
ところで、今回の改正を現行制度と比較いたしました場合に、例えば加給年金あるいは在職者支給という面で改善点はあるわけでございますけれども、当面、当分の間六十歳からの特別支給というのもあるわけでございますが、原則的には六十五歳からの年金支給になる。それからもう一つは、六十歳支給年齢への段階的な繰り上げ、現在は昭和七十五年ということになっておりますが、昭和七十年までに期間を短縮するという問題、あるいは従来は最終一年の標準給与ということになっておりましたけれども、全期間平均をとるというふうな問題、あるいは年金の算定方法の改定というふうなこともございまして、結果的には年金水準自体が現在の制度よりも下がるということになるわけであります。あるいは国の補助が、従来は給付に対しましての一八%あるいは財源調整一・八二%ということでございましたけれども、基礎年金の拠出金の三分の一の国庫補助あるいは三十六年四月以前の期間に係ります給付の二〇%以内の補助、こういうことでございまして、片方、掛金率は相当程度上がるということが予定されるわけでありますから、そういう面におきましては、大きな問題点を持っておるというふうに認識をいたすわけでございます。
では、現在の制度を継続いたしました場合にどういうことになるかということでございますけれども、先行き積立金もなくなってまいる、あるいは昭和百年ころにおきますと、御案内のとおり四四%も掛金を払わなければいかぬというふうな事態になりました場合には、当然これは制度の存続がおぼつかない、できない、こういうことでございますので、農林年金の財政を長期にわたって安定をし、制度を存続するというふうに考えました場合には、今回の制度改正というものは避けて通ることができない道ではないかというふうに考えるわけでございます。
なお、二、三の点につきまして申し上げたいと思っております。
一つは、支給開始年齢が、先ほど申し上げましたとおり、段階的に繰り上げられまして、昭和七十年に六十歳ということでございますが、この関連で、定年制との問題が絡むわけでございます。現在、農業協同組合におきましては、六十歳定年を実施しておりますものが三七%でございますが、定年の延長を実施もしくは検討をいたしております農協が大体三七%ございます。その大部分は六十歳定年を目指しておるということでございまして、私どもの見通しては、昭和六十四、五年ごろには大体六割以上の農業協同組合におきまして六十歳定年になる、こういうふうに見ておるわけでございますが、全中といたしましては、今後も積極的にこの六十歳定年を推進いたしまして、定年退職と年金支給との間に空白期間が生じないような形で指導、推進をしていく所存でございます。
二つ目は、御承知のとおり、行革関連特例法によりまして、国の補助が五十七年度から現在まで四分の一カットされておるわけでございますが、四分の一カットが現在二百二十五億円くらいになっておるわけでございます。これについては返還が約束をされておるわけでございますけれども、具体的にいつどの程度の利子をつけて返還されるかということが決まっていないわけでありますので、早急に返還されるべきもの、こんなふうに考えます。
三つは、農林年金財政の安定化、掛金負担の急激な増高を避けるということで、農林漁業団体は昭和五十六年に全国農林漁業団体振興会というものをつくりまして、現在十四億三千五百万円を農林年金に助成いたしておるわけでございます。しかしながら、六十一年度に実施が予定されます掛金率の改定、これにつきましても相当程度掛金がふえるというふうに見えるわけでありますけれども、急激な掛金負担の増高を避けるという意味合いで、農林漁業団体振興会からの助成は引き続き継続実施をしていく方針でございます。
これに関連いたしまして、農林漁業団体役職員の教育研修、福利厚生の相互扶助事業に対しまして現在国の補助が六億一千万円あるわけでございますが、私学共済におきましては、不足財源に充てますために、国の出資を受けております私学振興財団からの援助がある、あるいは都道府県からの援助があるということを考え合わせますと、農林年金等の問題も絡めまして、この農林漁業団体の相互扶助事業の予算は継続をして実施していただきたい、こんなふうに考えるわけであります。
以上述べましたような前提に立ちまして、今回提案の農林年金制度改正案につきましては成立を図ることが必要ではないか、こういうふうに考えております。
ちょっと時間を過ぎまして申しわけありません。以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/2
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003・今井勇
○今井委員長 ありがとうございました。
次に、坂本参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/3
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004・坂本重雄
○坂本参考人 坂本でございます。お手元にレジュメのようなもので、非常に即席の字で書きましたので恐縮でございますが、それに沿いまして意見を述べたいと思います。
今回の農林年金を含めた共済年金四法案の中で、従来議論になっておりました基礎年金という問題、これをひとつ最初に取り上げてみたいと思います。
まず基礎年金につきましては、基本設計がどういう形で、厳しくなるということはやむを得ないにしましても、なぜこういう四十年加入で給付が満額五万円、こういうことになるのかということの設計の数字につきまして、これまで国共審その他の場でよく質問をしてきたのでございますが、それが一向に明らかになっていない。これはある程度推計はやむを得ないということはわかるのですけれども、幾つかの疑問点をまず出してみたいと思います。
まず六十歳以上という、これは在職老齢年金の対象になりますけれども、こういう雇用につきましては数字が被保険者に入ってこない、あるいは女子の就労がふえてくることは言うまでもありませんが、今後厚生年金にもパートの方が入れる、こういう事態の中でも被保険者がふえてまいりますけれども、こういうものの数字が出てこない。そして、三百万人の推定になっていますサラリーマンの無業の妻、これは強制加入で保険料を払わない、こういう扱いになっておりますために、保険料納入義務者の数が相当少なく押さえられてしまっている、こういう点が第一点でありまして、こういうところが、出発点では技術的にやむを得ないという意見があるかもしれませんけれども、こういう押さえ方でいきますと当然中身が厳しくなってくるということの一つの原因だと思います。
次に、例えば二〇二五年という一番高齢化のピークの時点でありますけれども、この場合は収入を上回って給付額が出る。この時点でも、その給付額の総額の一年分を積み立てる、これを前提に組んであります。そういう計算での保険料率は当然高くなってくると思います。西ドイツの場合なんかは三カ月くらいで支払い準備に影響がないと言われている。それを日本は一年積んでいる。
第三番目に、人口の高齢化ということは否定できない事実でございます。しかし、その場合の高齢化の見方につきましてまず一つ申しますと、日本が特別なものじゃないと思いますけれども、特徴は、急速に来る、しかし、二〇二五年を越えますと急速にまた若年化が進む、この年金制度が根づくときには若年化に向かう、こういう点で、年齢構成に合った設計がどうかに疑問を持っています。また、外国でよく言われますのは、高齢化というのは児童が少なくなることから出てくる数字でございます。ところが、児童が少なくなるということは、公的にも私的にも児童への扶養の負担が減るということでございます。その点の評価が非常に低い。それからさらに、団塊の世代が二十年ごとに出てきているということは、ある意味では扶養の関係、公的負担の関係ではプラスの面だ、こういった年齢構成上の問題なんかもすべて暗い方にとってしまっては困る。
以上のような点で、年金設計の推計なり年金の構造につきまして非常に疑問がある。ただ、そういうことは甘い見方であって、実際はそうはならないかもしれない。しかし、もし私が申し上げましたことが事実だとすれば、そういうことは早い時点で見直しがなければ、非常に偏った、財政当局本位の案になりかねないのではないか、こういう疑点が第一でございます。
以上のようなことによってできました基礎年金というものが具体的にどうなんだ。例えば五万円という給付、これは満額でありますけれども、この場合は生活保護基準を下回るということであります。極端な質問が出ますのは、例えば無年金でいた場合に、生活保護をもらったら七万ですね、こういうことにもなりかねない。こういう点で、生活の足してはなくてこれだけを頼っている、現在でも七割の方が国民年金だけでございます、そういう水準を維持することにはかなり重要な意味があると思います。
それから四十年という気の遠くなるような非常に長い期間でございますけれども、学卒の場合ですと恐らく四十年ぐらい働くわけですが、これからは生涯雇用のような安定雇用が減ります。その中断した場合に、月一万三千円払うというようなことが果たしてうまくいくか。さらに、二階部分の共済なり厚年をもらえばいい、一階は要らないと言うことはできないシステムでありまして、四十年加入に近い、少なくとも二十五年以上を確保するということを前提に二階部分が出てくる。そういう意味でも四十年加入は非常に厳しいと言えると思います。なおこれだけの厳しさを出しながらも、サラリーマンの無業の妻につきましては強制加入としながら掛金は要らない、こういう点は非常にアンバランスだというふうにも思います。
こういった点で、個人年金の方がいいという、年金に対する不信感というものを非常に私は恐れます。その点で、ヨーロッパの場合、今一番高齢化の厳しい時期に、これまで社会保障財政をうんとつぎ込んでやってきた。これに対しては反省の余地もあるかもしれませんが、これまで老齢者対策をやってこなかった日本の場合に、ようやく年金が根づいてきている段階で一挙にこういう形の改悪というのは避けるべきではないか、特に受給者の立場を考えるのが年金問題の基本ではないかというふうに思います。
農林年金につきましては、御専門のお詳しい方が御意見を述べられますので私は避けたいと思うのですが、もともと厚生年金を上回るということをねらってつくられたものだと聞いておりますけれども、実際には給与水準が低いために四共済年金の中で一番低い水準だと思います。この点で、これまで四共済含めて官民格差ということが盛んに言われておりますけれども、現在、厚生年金が根づく中で格差はかなり縮小しております。ただ、恩給という非常に厄介なものがそのまま天井知らずにありますので、平均受給額は非常に多いということで、特に公務員共済については批判がございます。しかし、恩給を除きますとかなり格差は少なくなりますし、あとは職域年金の特徴という問題がどうしても残ってくるのではないか、こういうふうに考えます。そういう官民格差の議論は厚生年金と共済の間の議論でありますけれども、これは合計で三割でありまして、残り七割というのは依然として三万平均程度の国民年金だ。そういう意味では、日本の年金が国際水準だということはまだ言えないのではないかというふうに考えております。
以上を集約しまして、基礎年金五万円という水準は設計の基本でありますから簡単には動かせないと思いますけれども、既に前国会でも議論がなされての附帯決議があったと聞いております。この点は、やはり生活保護基準を下回るようなものであっては困るということをぜひ申し上げたいと思います。
それからなお、国庫負担が基礎年金の三分の一という点でございますが、これは残り三分の二が恐らくサラリーマンの方に負担がいくだろうという点で、確かに公平化という議論は進んでおりますけれども、サラリーマンと一般住民の場合の生活の形態の違いから見まして、余りにもサラリーマンの方に負担がいき過ぎているという点に危惧を感じます。
なお、二階部分と言われる共済部分ですけれども、これの自主性ということが非常に大事だと思います。ただ、今後財政調整が進んでまいりますと自主性は尊重できなくなる。この点で、現在問題になっております国鉄共済年金の救済、これがどうなるかによって、各単位共済の今後の財政がどうなるかということが非常に大きな影響を受けるものですから、やはり国鉄共済の問題というのは前提として大事であろうと考えております。
以上、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/4
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005・今井勇
○今井委員長 ありがとうございました。
次に、田代参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/5
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006・田代満
○田代参考人 田代でございます。全国農林年金受給者連盟の会長をいたしております。
先生方、特に農林水産委員会の先生方には、農林年金のことでいつもお世話をかけております。この席からお礼を申し上げます。
まず、私どもの組織でございますが、全国農林年金受給者連盟は、各県の受給者で県の組織をつくり、その県の組織が加入して全国連盟をつくっておるという状況でございまして、そういう段階で進んでおります。
その組織の中で今度の共済年金の改革の問題につきましてはいろいろ検討をいたしておりましたが、昨年の十月に共済年金制度改革検討委員会で出されました「共済年金制度改革の方向」というものを中心にいたしましてさらに検討を進めまして、受給者の皆さんにも理解をしてもらうような方向での手段をとる。また、私の方で出しております「全国連盟ニュース」というものも通じまして、年四回の発行でございましたが、特に五回、一回余計に出してみんなに理解をさせるという手段をとってまいりました。
ことしの一月には、この改革法案について全国の各県の会長会議を開きまして内容の検討をし、そして改革に対します意見の集約をいたしたものを先生方なり農林水産省等にも要請をいたしました。これはもう提案されております過去の問題になりますので省略させていただきますが、中心といたしましては、改革案で、受給者としましては特に既得権の保障というのが一番問題点でございましたが、相当程度緩和されるといいますか、既得権が生かされてきたというふうに私どもとしては理解をいたしておるわけでございます。
さらに、今度提案されております改正案につきましては、各都道府県の受給者連盟の会長あるいは事務局長の会議をいたしまして、全国六ブロックで意見の取りまとめをいたしましたものをさらに集約をいたしまして私どもの方の役員会での審議をし、さらにまた各県の会長会議をいたしまして、ことしの八月に一応の取りまとめをいたしました。また今月二十日には、これによります全国の受給者代表大会をいたしまして、要請事項並びに国庫補助確保につきましての要請を決定いたしまして、この決定を既に先生方にもお願いを申し上げに陳情しておることと思いますが、その問題で、特に私として申し上げたいことは三点ございます。
第一点は、遺族年金の生計維持基準というのが各制度で統一されてないということでございますので、これの整合性を図っていただくようにお願いを申し上げたい。
第二点は、今度の改正されます法案への移行と同時に、新法と旧法の格差の是正をお願いしたい。新法は三十九年の十月一日から、旧法は三十九年の九月三十日まででございますので、その間に、旧法では共済方式一本立てで三カ年の給与平均、新法は一カ年の給与平均を取り出し、さらにまた物価スライドも見るというようなことでの格差が出ておりますので、これを何とか是正していただくようにお願いを申し上げたい。
以上の二点につきましては、全国連盟が発足しました四十五年から毎年お願いを申し上げておる事柄でございますことを、特に強く申し上げたいと思います。
それから次には、物価スライドの問題でございます。この問題につきましては、今度の新しい法律案では五%物価が上がった場合に引き上げるということでございますが、我々年金で生活をしております者としましては、五%以下であっても、やはり生活のために幾らかでも上がっただけは上げていただきたいということと、さらにまた、今度の裁定がえを受けます共済年金方式の人たちにつきましては、通年方式でやられましたものとの差額を足踏みをさせるという案のようでございますが、年金で生活します者としましては、やはり幾らかでも上げていただいて生きがいを感ずるような措置を、先生方の寛大なお気持ちでのお取り計らいをお願い申し上げたい、こうお願いをいたすわけでございまして、これらのことにつきましては、先ほども申しましたように既に今月の二十日、二十一日にかけて、各県の受給者からお手元にお願いを申し上げておると思います。
最後に、改正案に対します私の印象を申し上げますと、改正法案の中身は、現在あるいは将来の組合員につきましては相当厳しいものとなっておると感じますが、年金受給者の立場から申しますと、既得権の保障ということに配慮されている点を高く評価できるのでございます。一方、高齢化社会におきましても農林年金制度を永久的に存続させるためには、絶対に改革も必要でもあろうということを考え合わせまして、こういう観点から今回のこの改正は、まあ満足はできませんが、改正に賛成せざるを得ないものと考えるわけでございます。
以上をもちまして私の意見陳述を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/6
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007・今井勇
○今井委員長 ありがとうございました。
次に、後藤参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/7
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008・後藤英雄
○後藤参考人 参考人の後藤でございます。私は、当委員会が農林年金制度の改善のために御努力を続けてこられたことに対して敬意を表したいと思います。
御承知のように、農林年金制度は昭和三十四年に、農林漁業団体の健全な育成を図るという趣旨の施策の一つとして厚生年金から分離発足をして以来、当委員会初め関係各位の努力によって年金制度は充実をしてきました。この間に支給開始年齢の延伸等の改悪がなされ、一部充実を図らなければならない諸点はありますけれども、しかし、公的制度である農林年金についての信頼と期待は、組合員、受給者にとって強いものがあるというように考えているところです。
しかしながら、今回政府が提案をしたこの法案は、特に組合員にとっては期待を大きくそがれ、制度存続に疑問を抱かせるほどの大改悪と言わなければならないと考えております。もしこのまま推移するならば、年金制度を通じて組合員が感じている国の権威に疑念を挟ませ、国に対する安心感を失わせる結果も引き起こしかねないというように私は考えているところであります。したがいまして、この法案審議は慎重に慎重を重ねて行われるように、特に冒頭お願いをしておきたいと思います。
私ども農林年金中央共闘会議は七つの労働組合の組織で構成をしております。全国農業協同組合労働組合連合会、全国漁協労働組合協議会、全国農業会議所労働組合、全国森林組合労働組合協議会、全国農業共済協会労働組合、全国厚生連労働組合協議会、全国酪農業協同組合連合会労働組合。その構成人員はおよそ十二万人であります。
現在審議されている法案の中身に立ち入る前に、年金制度に対する基本的な立場を明らかにしておきたいと思います。
第一は、すべての公的年金制度は、労働を通してその産業の発展、ひいては国の発展に貢献をしてきたその労働者の老後の生活を保障するという社会保障としての位置づけを明確にすべきであって、したがいまして、この制度を充実させるためには、国あるいは産業の資本、企業の雇用主等々の負担によって充実を図るべきだという点が第一であります。
第二は、以上のことからも、私は、さきの第百二国会で成立をされました厚生年金等の改悪についても今後改善を図るべきだという立場をとっていることを申し添えます。
以上の立場から、また農林年金組合員の実態に立って、現在審議をされている法案に関連して、以下意見を申し述べたいと思います。
私どもは厚生年金の改悪にも反対をしてきました。とりわけ共済年金問題については、昨年二月の「公的年金制度の改革について」、さらには昨年十月の「共済年金制度改革の方向」について、それぞれ発表された段階から重大な関心を寄せて、きょうまで第十八次に上る中央行動を組織いたしまして、それぞれ関係省庁あるいは議員の先生方、あるいは関係団体等に要請を行ってきているところであります。
政府は、この間に、高齢化社会の到来、給付と負担の均衡あるいは適正化、官民格差の是正問題、婦人の年金権確立等々を大々的に宣伝をしまして、世論の誘導を図ろうとしてきたことは御承知のとおりであります。これらについて吟味してみると、次のような諸点があいまいにされたままでいるのではないかというように考えております。
高齢化社会の到来問題についてでありますけれども、本来長生きをする、長寿というのは祝福されるべきものであろうと思います。しかるに、高齢化社会が大変な事態になるという風潮が現在世論の大筋になっているのではないか、また、それを誘導しているのではないか。政治家の方々や財界の方々の実力を持っておられる方は、そう年齢は若くはない。しかるに、その能力と実力を十分に発揮しておられる。それに比べて一般庶民、勤労市民の場合には年をとることが何か悪いことをしているような風潮が現在あるというところに大きな問題があるだろうと思います。
同時に、高齢化社会問題を考えるときには、例えば生産力人口、生産者の数とそれから社会的に扶養される高齢者あるいは青少年の数との比率を見ていく必要があるだろうというように考えております。つまり従属人口というふうに一般的に言われているそれと、その従属人口を扶養する生産年齢人口、これの相対的な動きについて見ておく必要があるだろうと思います。
私どもが国勢調査あるいは人口問題研究所の日本の将来人口推計、これらでつくられた試算を見ますと、一九五五年に生産年齢人口は五一・六%で従属人口、これは六十五歳以上と二十歳未満の青少年で四八・四%、一九八〇年には六〇・三%と三九・七%、将来二〇一〇年にはそれがおのおの五七二一%と四二・八%になるというふうに推計されているところであります。そうすると、八〇年と二〇一〇年を比較してみますと、従属人口はわずか三・一ポイントしか増加をしていないということになります。そうなりますと、扶養すべき青少年の扶養費を高齢者に向けるという移転が社会的に行われると、この問題については論理的には解決をするということがあろうかと思います。
次に、給付と負担の均衡あるいは適正化という宣伝についてでありますけれども、これは既に政府が厚生年金問題についてこのように言っておるわけであります。四十年加入者の年金額は現役労働者賃金の八三%にも達する。つまり、現在働いている者の八三%にも達する年金をもらっているのだから、もっと下げてもいいのではないか、こういう宣伝でありますけれども、これにはまやかしがありまして、これは年収で比較をしますと標準月額プラス一時金、ボーナスが加算されますので、ボーナスを仮に五カ月分加算をしたとしてみますと、約五八%強、五八・七%、半分強にしかすぎないということであります。八三%に達するというのが、実はボーナスを加えた労働者の賃金に比較をすると五八・七%程度にしかならないという問題であります。
次に負担の問題でありますけれども、御承知のように年金の負担は国庫負担、それから団体負担、企業主負担、そして組合員の負担、三つの負担によって成立をしているわけでありますが、これの適正化、適正化と言いますけれども、国庫負担は大変に削減される。時間がありませんので省略いたしますけれども、大変に削減される。農林年金ではまだ試算されていませんけれども、恐らく昭和百年ごろには国庫負担は現行制度と比較して四〇ないし五〇%ぐらい減るのではないかというように思われているところであります。結局のところ、負担については政府の負担を軽減することにしかならないと考えております。
次に、官民格差問題でありますけれども、官民格差については、現在農林年金と厚生年金の受給者の年金額を比較してみますと、農林年金の方が低いという現実があるわけであります。それはさておきまして、官民格差というならば、低いところに合わせるのではなくて、むしろ高い水準に引き上げていくというのが国の制度として適切あるいは最もとらなければならない道ではないかというように考えております。
婦人年金権の問題についても、言われるように五万円もらったからということで簡単には喜べない問題があります。これについても時間がありませんので、中身については省略いたします。
したがいまして、私ども、政府がこの制度を改悪するために大宣伝してきたこういう一つ一つをとってみても、いろいろ疑問もあるし、もっと解明されていかなければならない問題が多いのではないかというように考えているところであります。
さらに、国庫負担を大幅に削減する、支給開始年齢を六十五歳に延伸する、あるいは現在共済年金の経過措置として行われている年限を五年間短縮するという問題だとか、あるいは給付は二割から若い人では五割近くも減らされるという問題だとか、掛金が三倍程度にもはね上がるというような問題だとか、我々にとって現在審議されているこの法案をこのまま了承するわけにはいかないということを申し上げまして、時間が来ましたので、私の意見の陳述といたします。どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/8
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009・今井勇
○今井委員長 ありがとうございました。
次に、本田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/9
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010・本田詔一
○本田参考人 参考人の本田であります。
私たちの農林年金は、ほぼ同一の職場実態にある市町村役場の職員と対比しまして低賃金であった、それから、市町村職員共済組合よりも年金受給などで老後保障も低劣であったというようなことが条件になりまして、その職場に有能な人材を確保し、またその人たちの待遇を改善し、老後保障を充実して安心して働けるということを前提に、昭和三十四年に誕生したというわけであります。
しかし、現実にそういう問題が全部解決されて私たちの職場が今日まで来ているかというと、必ずしもそうではないというふうに言い切れると思います。そういう中で、茨城の農協の実態、これは全国の農協の実態と言っても過言ではないと思うのですが、それをざっくばらんに報告をしてみたいというふうに思います。
茨城は今年の十一月、状況調査というものをやっております。その中で農協の職員数が五千九百七十八人という結果が出ております。この数字は昨年と対比しましてわずかに三名増というような結果であります。それから、平均年齢を見ますと三十五・二歳ということで、これも前年よりも〇・四歳ほど高まっているというのが実態であります。そういう三十五・二歳の平均年齢の職員がどういう賃金実態下にあるかと申しますと、何とこれが十七万七千五百三十八円という結果になっております。三十五・二歳で十七万七千五百三十八円という実態であります。
こういうことでありますから、当然五十五歳の退職時の基準内基本給になりますと、例えばの例でこちらで調査した結果がありますので御報告しておきますと、本県でもナンバーワンと言われる賃金を誇っている農協に結城市農協というところがあります。そこに五十五歳の年齢の人が現在二名おるわけですけれども、その二名の平均賃金が二十八万四千六百四十三円です。ところが、県内の非製造業の二百九十九人以下の企業、これで調査をしますと、新制高校及び旧制中学校卒ということで五十五歳の平均基本給が三十六万一千三百七十四円というように、もうここで相当の開きが出ていることが実態として明らかになっているわけであります。
それから、今も五十五歳ということで例をとりましたけれども、まだまだ農協の職場は六十歳定年に着手したばかりで、五十五歳、五十七歳というのが圧倒的であります。そういうことが現在の農協の実態だと思います。
それから、最近特に目に見えていることとして、減量経営と株式会社化という問題について報告をしておきたいと思います。これは先ほど人数で申し上げましたが、たった三名しかふやしていないということで、減量経営の極端なことがうかがい知れると思います。と同時に、多様なニーズにこたえるためということで、株式会社ということで農協から切り離して会社を設立しておる。そういうのが最近の農協の中で変わった実態だと感じております。
そういう現在の農協における低賃金の実態からして、今度の国庫補助削減による保険料の大幅引き上げが実施されれば、農協労働者は毎月の生活さえ圧迫されるような状況になってしまうというようなことであります。それから、年金額が切り下げになれば今よりも老後保障が低劣となって、毎月苦しくなってなおかつ老後も安定して生活できないということで、不安ばかりの毎日になってしまうというのが実態かと思います。
年金支給開始年齢をとっても、六十五歳になってしまえば、今が五十五歳、五十七歳が圧倒的でありますから、このギャップがあって、大きな問題となるだろうと考えます。
それから、年金適用対象範囲についても、先ほど報告しましたように関連企業というような格好で職場から切り離してしまっています。これは今の法律でも農林年金には入れません。そういう格好でますます農林年金の底上げができない環境になりつつあるということだと思います。臨時職員等の加入有資格者についても、余り厳しくチェックされておらないものですから、現行法でも四カ月以上たてば農林年金に加入させなければならないことになっておりますが、臨時だとかパートだとか嘱託という職員については必ずしもそれが守られていないということで、これについても底上げを阻止している原因になっているということだろうと思います。
そういう問題については、五十九年度末の所要財源の増加が千分の二十九・三八というようなことで言われていますが、これらの要因の中に、組合員数の伸びが停滞したことによるものが千分の十二・九二ということになっております。これを見ても、この関連企業の問題をどうしていくのか、それからこの臨時職員等の加入促進についてはどう罰則規定を厳しくしていくのかということについても、現行の中ででも触れていただきたいと思います。
そういうような今の状況を報告しまして、今度の農林年金制度の改悪案については、私たち農協に働く労働者にとっては将来への不安を募らせるばかりでなく、毎月の生活をも圧迫することが必至だと受けとめております。農林年金に加入をして保険料を支払い、老後に一定の給付を期待している私たち若い労働者にとっても、今回の法案が給付水準の大幅低下ということで残念でなりません。農林漁業の見直しなど、その職場の特性を十分検討し、対策を講じていただくと同時に、社会保障財源は税負担という原則を前提に農林年金制度を再度見直し、検討していただいて、私たちが将来ともに安定して働けるように、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
以上で、意見を述べさしていただきました。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/10
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011・今井勇
○今井委員長 ありがとうございました。
次に、榊参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/11
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012・榊春夫
○榊参考人 農林年金理事長の榊でございます。
私どもの農林年金につきましては、これまで先生方から一方ならぬお世話をいただいておりますことにつきまして、厚くお礼を申し上げます。
それでは、農林年金制度の実施機関を預かっております立場から、制度の現状なり今回の改正法案について申し上げます。
まず、現状でございます。農林年金制度は、昭和三十四年一月に厚生年金から分離独立して以来二十七年目を迎えておりますが、諸先生方及び関係者の皆様の御協力のもと、その目標としておりました市町村共済組合と同等の制度内容に構築されておりまして、農林漁業団体役職員の老後保障制度として職域内に定着しており、農林漁業団体の健全な発展を図るために必要な有能な人材確保に大きく貢献しております。
まず、組合員数につきましては、四十八万五千人台に達しており、毎年増加はしておりますものの、ここ数年の組合員数の伸びは、農林漁業団体を取り巻く厳しい環境を反映して停滞傾向を示しております。
他方、年金受給者につきましても、年々増加しておりまして、現在では十四万人台に達しており、特に、制度の中心的な年金給付であります退職年金の受給者数は、全年金者数の六割に当たる八万五千人に達しております。
平均年金額につきましては、年金受給者の組合員期間が延びてきておりますことと、国家公務員給与の上昇率によるスライドや物価スライドの年金額の改定によりまして相当な水準にまで達しており、例えば新たに農林漁業団体を退職した入の退職年金の月額では、十五万七千円程度の水準にまで達しております。
また、年金業務につきましては、このほか、組合員の福祉を増進するための福祉事業として組合員の保健や保養に資する施設の経営、組合員の臨時の支出に対する貸し付けなどの業務を行っておりまして、特に、住宅取得の資金の融資などの福祉貸し付け事業につきましては、年金積立金のおよそ一割に当たる約一千億円の還元融資となっておりまして、現在組合員とのつながりを深める面で大きな成果を上げております。
次に、年金財政の状況について若干述べさせていただきたいと思います。
農林年金が預かっております年金積立金は一兆円に達しております。しかし、年金受給者が増加していること、年金支給額が増大してきていること、平均寿命の延びによる年金の受給期間が延びてきていること、また、組合員数の伸びが停滞していることなどの要因が重なり合いまして、財政事情は大きく変化しつつあります。
昭和五十九年度について見ますと、単年度収支全体では、年金積立金の自主運用や農林漁業団体の自助努力による全国農林漁業団体振興会からの助成金などによりまして黒字となっており、年金積立金は増加しておりますものの、年金制度の収支の中心であります掛金収入と給付金支出とを見ますと、給付金支出を常に上回っておりました掛金収入が、制度発足以来初めて給付金支出より下回るという状況が生じてきております。
以上、現状の概略を申し上げましたが、本制度の運営に当たりましての課題につきまして若干申し上げてみたいと思います。
まず、年金制度は世代間の相互扶助を前提として成り立つことが基本であります。農林年金は一万二千余の多種多様の団体で構成され、これらの団体が全国に散在しておりますことから、本制度の職域年金制度としての役割、年金制度を取り巻く情勢などにつきまして積極的なPRを行い、制度の安定的な運営につきましての理解と合意を得ることに努力していかなければならないと考えております。
次に、今年度は、来年度から適用する新掛金率の基礎となる五年目ごとの財政再計算の年に当たっておりまして、今日までの財政状況につきましての農林漁業団体や組合員への学習活動を土台といたしまして、新掛金率への円滑な移行のため、年金財政の健全化についての理解浸透に努めていかなければならないと考えております。
また、農林年金の業務は、その性格上、組合員や年金受給者と長期にわたって関係するものでありますので、組合員資格や給与の届け出、掛金の徴収、年金の裁定などの業務につきまして、系統組織など関係団体の協力を得まして、一層の適正かつスムーズな運営に努めていかなければならないと考えております。
最後に、今回の改正案につきまして若干の所見を述べさせていただきたいと思います。
まず、今回の改正案は、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るための改正であり、職域年金制度としての性格にも配慮がなされていると考えております。すなわち、給付設計につきましては、他の共済組合と同等に仕組まれており、基礎年金の上乗せとして、厚生年金相当部分の年金額に、その二割に当たる職域年金相当部分の年金額を加えたものをもちまして本制度が支給する年金額となっており、従来どおり厚生年金より厚みを持ったものとなっておりまして、制度創設の経緯に十分配慮がなされているものと考えております。
しかし、一方で給付の適正化が図られているわけですが、今日の厳しい財政事情や現行制度のままでは成熟段階の掛金率が現行の四倍にも達するという将来見通しからも、今回の給付の適正化は避けて通れないものであると考えております。
次に、この改正案は、現行制度の給付設計を大きく変革するものでありますが、その激変緩和措置としまして、中高齢者への一定の配慮がなされておりますほか、年金受給者の年金額についての既得権も保全されております。また、農林水産省や関係者の御尽力によりまして、退職、障害共済年金の在職支給の導入や職務上災害への最低保障額の設定などの本制度の独自性への配慮もなされておりますことを考えますと、私としましては妥当なものであると考えております。
最後に、今回の改正案が抜本的なものであることから、十分な御審議をいただくことはもちろんでございますが、私ども制度の実施機関を預かっている者といたしましては、現行制度からの円滑な移行に万全を期する責務がございますこと、また、この改正案の実施が国民年金法等一部改正法と同時実施できなくなった場合には、その改正が行われるまでの間、被扶養の妻が無年金となるおそれがあること、制度間格差がさらに深まることなどの問題が生じますことから、これらの点についても特段の御配慮をお願いする次第であります。
以上をもちまして私の意見とさせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/12
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013・今井勇
○今井委員長 ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/13
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014・今井勇
○今井委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/14
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015・衛藤征士郎
○衛藤委員 本日は、参考人の皆様方におかれましては農林年金改正法案の審議に当たりまして貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。
時間が限られておりますので早速参考人の皆様方に御意見を拝聴いたしたいと思いますが、私の持ち時間は十分でありますので、全参考人に御意見をお伺いすることはできないと思います。あらかじめお許しをいただきたいと思います。
まず、後藤参考人にお伺いをいたしますが、御承知のように、我が国社会の今後の高齢化の進展は避けて通ることができない現象でありまして、これを年金制度の観点から見れば、いわゆる現役を引かれた年齢の老齢の方々、すなわち年金の受給世代の方々の割合が増加する一方で、これを支える現役世代の若い人たちの割合が減少していくことが不可避であります。これはどの年金制度でも同じ問題でありまして、制度の成熟率、すなわち現役組合員に対する年金受給者の割合は今後高まらざるを得ないのであります。
もちろん農林年金制度といえどもこの例外であるわけにはまいりません。公的年金制度、すなわち社会保険に基づく年金制度は、御承知のように私的貯蓄とは異なるものであり、世代間による支え合い、相互扶助に基づくものであります。したがって、今後年金受給者の方々が増加し現役世代の割合が低下することは、現役で一線に立って働いている一人一人が支えなければならない、負担すべき量は大幅にふえていかざるを得ないと思います。農林年金の場合も、現状のままで推移すれば、現役組合員、特に二十代、三十代の若い組合員の人たちが将来負担しなければならない負担額は今の四倍にも達するであろうとの試算もございます。
農林年金は、御承知のように昭和三十四年一月の発足ということで比較的制度が新しく、成熟率も現在は他の制度に比べてそれほど高くはございません。それでも二十一世紀を見通した長期的な制度の安定性ということを考えますと、今まで申し述べました状況から、給付と負担のバランスのとれた制度にするという今度の改正の目的なり必要性は御理解いただけると思いますが、このような農林年金の長期的安定性、将来を見通した制度の安定化方策について特に御意見がございますればお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/15
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016・後藤英雄
○後藤参考人 それでは私の考えを述べさせていただきます。
先ほども冒頭申し上げましたように、私どもは農林年金制度も含めて公的年金制度というのは社会保障として明確に位置づけるべきだというように考えているところであります。したがって、昨今急速に言われている相互扶助という立場をとるのではなくて、社会保障として国の補助を含めて充実をさせていくという考え方であります。現役と受給者の問題だけに的を絞って考えると年金問題は恐らく永久に解決のつかない問題ではないかというように考えております。したがって、国の負担あるいは産業資本の負担、雇用主の負担という問題をそこに入れなければこの問題は解決しないというように考えております。
私ども中央共闘会議は、これまでいろいろ、将来年金制度はどうあるべきかということも検討してきました。そのうちの一つでありますけれども、基礎年金と言われるこの部分については国が全額負担をすべきであるという考え方を実は持っている、そういう政策を持っております。国の負担といっても限界があるのではないかという意見もありますが、私どもは、軍事費だとかあるいは不要不急な費用、あるいは大企業がぼろもうけをしている、そういうものに対する適正な税制を設定をしてそこから負担をするべきではないかという考え方であります。したがって、おっしゃるように、現役と年金受給者という考え方にもう一つ加えて、そこに大幅な国の助成が必要であるということでありますので、その点だけ強調しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/16
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017・衛藤征士郎
○衛藤委員 次に榊参考人にお伺いいたしたいと思います。
今回の改正法案におきましては、基礎年金制度を組合員や配偶者に適用するとともに、給付内容等につきましても大幅な変更を行うことになっておりまして、かつその実施時期につきましてはすべての制度共通に来年の四月一日としております。
そこでお伺いいたしますが、もしこの四月一日実施に農林年金の改正が間に合わなかった場合、どのような問題点が生ずるのか、制度的にも実務的にも相当の不都合あるいは混乱が生ずる、このように思われますが、この点について榊参考人にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/17
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018・榊春夫
○榊参考人 今回の改正で農林年金だけが改正が実施されないということになりますと、一口に申し上げますと公的年金制度の中で農林年金だけがいわば孤児になってしまうということであろうと思います。基礎年金制度の導入によって全部の公的年金制度が一つの統一した基盤の上に築かれるということでございますから、ぜひ同時発足をさせていただきたいというふうに考えております。
具体的な問題といたしましては、特に私どもが気にいたしておりますのは、確かに財政面におきまして今回の改正がねらっている点が実行できなくなるというマイナスが当然出てまいりますほかに、制度面におきまして、例えば被扶養配偶者が国民年金にも入れないし農林年金にも入れない、こういうふうな無年金者になるおそれがあるというような問題がございます。
そのほか、他の制度との調整が非常に難しくなりまして、例えば再就職をしたとかなんとかいう場合の問題等も大変面倒になると思いますし、またシステムの開発とか事務手続の問題であるとか、そういった実務面でも大きな問題を残すことになるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/18
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019・衛藤征士郎
○衛藤委員 時間が余りございませんが、最後に桜井参考人にお伺いいたします。
全国農協中央会としまして、これからの農林年金制度のあり方といいますか、そういうことにつきまして、時間はございませんけれども御意見をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/19
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020・桜井誠
○桜井参考人 先生からのこれからの農林年金制度のあり方ということでございますが、今回の改正によりまして職域年金という形で厚生年金とは違った性格が付与されておるというふうに考えております。問題は、掛金が今後ふえてまいるということでございまして、農林漁業団体としまして、先ほど申し上げましたけれども、現在、振興会というふうな組織をつくりまして農林年金に対する財政援助といいますか、そういう措置をとっておるわけでございますが、これに対しましては継続実施をしてまいる。団体の立場からも年金制度の健全な発展ということをこれからも指導してまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/20
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021・衛藤征士郎
○衛藤委員 時間が参りましたので、これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/21
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022・今井勇
○今井委員長 次に、田中恒利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/22
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023・田中恒利
○田中(恒)委員 参考人の皆さん方には、御多忙の中わざわざ当委員会で貴重な御意見をいただきましてまことにありがとうございます。
時間が二十分でありますので全部の参考人の御意見を聞くことはできないと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
私は、まず最初に桜井参考人に、全国農協中央会の立場でこれからの農業、特に農協経営の動向をどういうふうににらんでいらっしゃるのか。農村の状況は御承知のとおり極めて厳しい、国際的な金融自由化などの問題がかぶさっておるわけでありますが、こういう中で農協の経営というのがどういうふうに変わっていくのか、特に当年金制度と関係のある役職員の数、賃金の上昇、こういう問題などに焦点を絞って、お考えの向きがありましたらお答えいただきたい、これが一つです。
もう一つは定年制、農林漁業団体の定年制の問題は、これは経営体がさまざまでありますからそれぞれで進められておるわけでありますが、全国農協中央会は定年制延長の方向で指導せられていらっしゃるようでありますが、今回の法改正で六十五歳、こういう形が出てきておるわけであります。これまでに間に合うかどうかというと、なかなか大変だと思うのですが、この定年制の状況についてもあわせてお答えをいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/23
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024・桜井誠
○桜井参考人 御承知のとおり農協の経営は、近年事業費が従来に比べますと伸び悩んでおる。それから剰余金自体も従来に比べますと減少しておる。さらにこれから特に問題になりますのは金融の自由化、現在も進んでおりますけれども六十二、三年ごろには小口預金の自由化等も問題になってくるということで、極めて経営状況、めぐります環境は厳しいというふうに考えております。
そういう中で経営の刷新強化を現在図りつつあるわけでございますけれども、基本的にはやはり農協の規模を大きくしていく、合併を推進をしてまいる、でなければこれからの厳しい競争には生き抜いていけないのじゃないかということで、現在合併の推進運動をいたしておるということでございます。
それから定年制の問題でございますが、御承知のとおり今回の改正法案によりまして昭和七十年には六十歳支給になるということでございまして、これと定年制との絡みが問題になるわけでございます。現在六十歳以上の定年制を持っております農業協同組合は三六・七%であります。それから現在、これは五十八年の四月でございますが、定年の延長を実施、検討しております農協が千五百六十七ございまして、この中の大部分が六十歳定年を目指しておるわけでございます。
したがいまして、私どもの予測といいますか、推定では、昭和六十四、五年ごろには大体六〇%以上の農業協同組合におきましては六十歳定年に移行する、実施がされているものというふうに思うわけでございますが、先ほどから申し上げておりますように、六十歳への段階的な定年延長と農林年金の支給開始年齢の繰り上げ、その間に空白期間が生じてはいけないということは、全中におきましてもそのように考えております。前回の大会あるいは今回の農協大会におきましても、定年制は六十歳に延長するということで指導をいたしておるわけでございまして、空白期間のないような推進を今後とも十分留意して進めたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/24
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025・田中恒利
○田中(恒)委員 次に、坂本先生にお尋ねをいたします。
今回の改正法、いわゆる公的年金の一元化の土台というか、基本になっております基礎年金の問題について大変多くの示唆をお与えをいただいたわけでありますが、本来基礎年金というものが、今の日本のさまざまな年金制度、特に国民年金に実質的に移行されるわけでありますが、これに移行されてこの形でやっていけるのかどうか、そのことを私どもも非常に心配をしておるわけであります。
特に基礎年金の性格からいえば、少なくとも国民の最低の所得保障、こういうものが考えられるべきであるけれども、現実に財政的になかなかこれは難しい状況にある、こういうことになっておるようでありますので、私どもの方はむしろ思い切ってこれは税方式で社会保障政策の視点を強める必要がある、こういう立場に立っておるわけであります。この基礎年金というものにつきまして、一つは国庫の助成を、三分の一ですか、これを四割にするとか五割にするとか、こういう方向を目指すべきである、こういう意見も当然出てまいりますし、あります。同時にいま一つ、所得比例型の保険料率を考えるべきだ、こういう意見も聞いておるわけでありますが、先生はこれについてどういうふうにお考えになっておられるでしょうか、お尋ねをしたい一つであります。
それから二番目は、職域年金というものが共済組合の場合三段階でつくられるわけでありますが、この職域年金というのは、官民格差と言いますが、農林年金は初めから団体の性格は官じゃなくて民なんであります。年金は、官ということで位置づけられて官民格差と言われているわけですが、実態は、先ほど参考人の方からもお話があったように非常に低い水準にとどまっておるわけであります。この職域年金というものの性格は企業年金、厚生年金に準じたと言っておるわけでありますが、そういうものにつながるとすると、基礎年金どこの職域年金の相互関係というのはどういうふうに私どもは考えたらいいのだろうか、実はこういう問題を持っているわけでありますが、この点についても御示唆がございましたら御教示をいただきたい、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/25
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026・坂本重雄
○坂本参考人 お答えいたします。
大変これは難しい問題でございまして、第一の五万円という最低保障の水準が生活保護基準にもいかない、そのことにつきましては、いろいろな収入があってその足しにこれがあればいいという発想だと思うのです。しかし現在でも七割以上の方が国民年金の対象で平均三万しかいかない、こういう状況で考えますと、これはやはり財政にも影響が大きいわけですが、生活保護基準の最低、いわゆるナショナルミニマムという線は維持してもらいたい。でないと、今後これは最低賃金その他いろいろな影響を持ってきますし、今後スライドする場合にも人事院勧告並みのことを毎年やらなければならないかもしれない。そういう影響力を持つものであるだけに、単に生活の足してはなくて生活保護基準でいう六十五歳以上の老人の水準、恐らく七万ぐらいになっていますか、そういう線に近づけるということが必要であるというふうに考えます。
なお、その場合の財源でありますけれども、これは大変難しい問題で、サラリーマンの階層の部分と住民の場合とは本当は性格的には違いますけれども、一緒になってこの基礎年金に入ってくる。そのためにこの水準を上げるということはそれ自体大変な影響を持つわけですし、さらに助成金ということになると大変な額になってくる。しかし、それにしましても現在の基礎年金の三分の一国庫負担というのは低過ぎる。残り三分の二がサラリーマンにかぶさってくる。将来は、住民対象の国民年金の階層の掛金とサラリーマンの掛金とはお互いに助け合うといいますが、これはあり得ないことでありまして、これからはサラリーマンがふえる一方でありますから、恐らくサラリーマンが国民年金階層を応援するという一方交通に、なるだろうというふうに考えます。
そういう意味で、この三分の一という負担でいきますと、残り三分の二をほとんどサラリーマンにかぶせていく、しかもそれは自分の分という意味だけでなくて、全体の共通の国民のレベルでの負担に転嫁されていくという意味で、三分の一というのは低いということを先ほど意見として申し上げました。やはりこれは税方式が一番確実に読めると思いますけれども、もう一方、所得比例方式ということにつきましては、私はまだ確たる考えを持っておりませんが、これも一つの方法だろう。今考えておりますことは、三分の一という国庫負担の率を上げていくということにつきましては申し上げたとおりでございます。
それから次に職域年金の問題、共済の職域年金の特殊性というのは今後は三階部分にしか反映しない。二階部分の賃金のとり方によっては共済のメリットも出ないわけではありませんけれども、今のところ地方公務員等で若干の違いはございますから、全体としましてやはり厚生年金に近い形の給与の算定をして、それの二階部分の二〇%を三階に乗せるという形になっております。
共済の立場から批判いたしますと職域年金としてのメリットは少ない。共済の対象というのは、一般的に申しまして、やはり長年その職種にいて活躍することによってより効果を発揮する、給料によって動くという仕事じゃなくて、多少待遇が悪くてもそこで頑張っていただいて熟練をして貢献をする、こういう意味での評価からこの職域年金というのはついてきている。期間が長いために給付額も若干よくなる、こういうメリットがあって、これは当然これまでの歴史では人事管理上のプラスになっているのではないかということが言えると思います。ところが、それが今回は三階部分だけにとどまるという点は、共済の立場から見ますと、職域年金としてのメリットは余りないのではないか。むしろ大きな企業ではこの三階部分で非常に大きな企業年金を乗っけてくるということで、中小企業よりはいいかもしれませんが、大きな企業に比べるとかなり中身が悪くて、公務員の場、皆さんの農林共済の場、そういうところに人材を導入することは恐らく難しくなるということが予測できると思います。
ただ、その三階部分と基礎年金部分というものの関連でございますけれども、これはどうも関連は余りないのではないか。要するに三階部分に乗っけたということでありまして、職域年金としての性格が非常に薄められたというふうに思っておりまして、このかかわりというのは余りないのではないかと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/26
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027・田中恒利
○田中(恒)委員 どうもありがとうございました。
最後でありますが、農協労連のお二人おいでですが、後藤さんにお答えいただきましょうか。
掛金の問題ですが、掛金の負担の限度といったようなものについて掛金を納めておる立場でどういうふうにお考えになっておるのか。
それから、財政再計算の時期にことし入っておりますから特にことしは注目をされておるわけですが、掛金の決定をめぐって皆さんの立場からはいろいろな御意見があるんじゃなかろうかと思います。何といっても年金の財政の中心は掛金でありますから、この掛金率の限界と、掛金決定をめぐってのこれまでのあり方の中で特にお気づきになったような点がございましたらこの機会にお述べをいただきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/27
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028・後藤英雄
○後藤参考人 それでは考えを述べさせていただきます。
先生も御承知のとおり、農林年金の財政方式は昭和五十一年以来修正積立方式という方式をとっているわけであります。これは計算上必要財源率をはじきますとその急激な負担にたえ切れないということから配慮して、現在の所要財源率は千分の百五十四・五七でありますが、これは修正率七七・五を採用してそのとおりになっているわけであります。したがいまして、掛金率も千分の百九、これでも私ども、懐からいいますと高いという感じがあるわけですが、一応計算上の掛金率と実行の掛金率は修正率によって修正をされている、こういうことであります。
それでも生活の実態からいえば高いということで、今私どもは掛金の労使の折半を負担割合の変更ということで、これは既に国会答弁でもそれについては法律違反ではないという趣旨の答弁もあるところで、この取り組みをして、今日、中央共闘会議の中で五百十七団体が何らかの形で折半割合を掛金の負担割合を変更させている、こういう事情があるわけです。
それはさておきまして、しかし政府は千分の二百四十が負担の限界であるということを言っているわけです。年金当局は、これはしばしば私ども理事長初めいろいろ要請をしまして話を伺っているところでありますけれども、昭和百年になると場合によれば千分の四百四十一にも達するのじゃないかというようなことも言われているわけです。そういうことで給付の切り下げが必要であると言っているわけですが、例えば改正された厚生年金の例を見てみますと、昭和九十五年に千分の二百八十九、つまりこれは政府が言っている負担の限界二百四十というのを大幅に超えるという試算がなされているわけです。さらに農林年金の場合にはこれを上回ることも予想される、そういう負担には到底組合員はたえ切れるという状況にはありません。
したがいまして、先ほども申し上げましたように国庫負担の増額、さらには掛金負担の割合変更、労働者三、使用者七というように我々運動しているわけですが、これが急務であるというように考えているところであります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/28
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029・田中恒利
○田中(恒)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/29
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030・今井勇
○今井委員長 次に、上西和郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/30
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031・上西和郎
○上西委員 参考人の皆さん、御多用の中、大変ありがとうございます。
私は、今次共済年金四法案の改定内容について大きな疑問を抱いている立場から、まず坂本参考人にお尋ねをしたいのであります。
と申し上げますのは、先ほど六人の方々がお話しになった中で、最後の榊参考人の御発言の中で、私の聞き間違いでなければ、永年の努力の結果、地方公務員共済組合と同等の内容になった、こういう御発言があったのであります。これは著しい認識の違いだと私は思いまして、社会保障関係にその人ありと言われている坂本参考人にあえてお尋ねするのでありますが、短期の給付がついていない、明らかにこれは四共済の中で農林年金が持っている欠陥である、常々私はこう思っております。また、農林年金を含めて厚生年金、国民年金、私学共済は兵役期間がつながらない、こうした重大な問題がそのまま存置されたままで地方公務員共済と全く同等だという御認識をお持ちなら、これは大変なことなんで、まず学者であります坂本参考人にこの事実の確認だけをやっていただきたいと思うのでありますが、御見解をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/31
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032・坂本重雄
○坂本参考人 お答えします。
ただいまの点につきましては上西議員のおっしゃった御意見に私は賛成でございます。ただ、参考人のおっしゃったことは若干趣旨が違ったかもしれませんが、今の点に関しましては、私は上西議員の御意見に賛成でございます。
〔委員長退席、島村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/32
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033・上西和郎
○上西委員 では、そういう立場で私は榊、後藤、本田三名の参考人の方々に同じ質問を申し上げたいのであります。簡潔に私もお尋ねしますので、ずばりお答えいただきたいのです。
今次のこのような大改悪をされようとするときに、せめて、赤紙一枚で大日本帝国のために引っ張り出されて戦火のちまたをさまよった方々が、今農林年金の加入者はその期間が全く認められていない、この大きな矛盾について是正を求める決意ありや否や、これが第一点であります。
第二点は、若干の退職、障害年金が一定の給付制限をしながら在職中受給できるようになった。これを高く評価される向きも参考人の方々の中にありましたけれども、私は、もし仮に兵役期間の通算が絶対不可能であるならば、逆に今度は開き直って、厚生年金並みに障害年金の在職中完全給付を要求すべきではないか、こう考えているのであります。
なぜならば、短期給付すなわち健康保険を持ってないのが農林年金なんでありますから、私の聞くところ、ほぼ半数程度は組合健保に入っているが、残り半数程度は完全に社会保険だ。こうなりますと、農林年金に加入している数多い事業団体では随分とその意味での給付にアンバランスがある、こう断定せざるを得ません。そうしたものをカバーする意味からも、この障害年金を在職中完全に給付する、このことについて私は皆さん方の立場から、労使の立場いろいろあるでしょうが要求すべきではないか、こう考えますので、今の問題についてお三名の参考人の皆さんにそれぞれ意見なり所見をお示しいただきたい、こう考える次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/33
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034・後藤英雄
○後藤参考人 ただいまの兵役加算についてでありますが、手元に資料がありませんので、その他の共済年金でそういう加算制度がとられているという制度があるとすれば、農林年金もそれと同等の改善をすべきではないかというように考えております。
それから次に障害年金の問題でありますけれども、今度の法案については一定額以下の者については支給をする、このようになっておりますが、基本的にはこれは支給を停止をする、しかし一定額以下の者については支給をするということでありますから、厚生年金は停止はありません、したがって、これも厚生年金と同等の制度にすべきではないか。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/34
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035・本田詔一
○本田参考人 私も今の意見と同じで、やはり農林年金といえどもほかの公的年金と同じような内容のもので最終整理をするのが妥当だというふうに判断をしているということで、両方の件、以上でお答えしたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/35
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036・榊春夫
○榊参考人 先ほど御指摘がございました農林年金は市町村共済と違うではないかというのは、御指摘のとおり私どもは短期給付は行っておりませんので、長期給付に関する限り同等な目標に達しているというふうに訂正させていただきます。
それから今の兵役期間の問題につきましては、我々の年金は民間の組合員を対象にした年金制度でございますので、公務員と同じように扱うのはいかがなものかというふうに考えております。
それから障害年金につきましては、一定の給与の条件はついておりますが、従来なかったものが一歩前進をしたというふうに私としては評価しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/36
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037・上西和郎
○上西委員 それぞれのお答えはわかるのです。ただ私は申し上げたいのです。帝国陸海軍に出征、応召させられた方々で今農林年金に加入しているあるいは既に受給されている方々は後方勤務だったのですか。最も安全なところにいたのですか。第一線で戦ったのでしょう。ざんごうの中で、飛行機に乗り、幾多の方々が死んでいった。私のおじ二人も戦死している。どちらも純粋な農民出身です。恐らく帰ってきていたら農業を続けて国民年金だったでしょう。同じような艱難辛苦をなめてきた方々が帰ってきて、公務員だったら全部つながる。もちろん最高四十年という制限はありますよ。しかし農林年金は、私学共済、国民年金、厚生年金は一年もつながない、こんなばかげた話があるかと私は問題提起をしている。
だから、今榊参考人が民間だからとおっしゃる。それはわかりますよ、気持ちは。しかし、こんな大改悪を政府からぶつけられているんだから、こんなハンディくらいは何とか解消してくださいと僕は言ってほしいものですから少し大きな声を上げましたけれども、この点について桜井さん、あなたいかがでしょう。二つの件についてお答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/37
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038・桜井誠
○桜井参考人 私も十カ月ばかり軍隊に行きましたけれども、今の兵役期間算入問題につきましては十分研究をいたしておりませんで、先生の意見もよくわかるわけでございますが、先ほど理事長が申し上げましたとおり、やはり民間の職域年金であるというふうな点も考慮いたしますと、公務員と同等な扱いということにつきましてはなかなか慎重に検討しなければいかぬところがあろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/38
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039・上西和郎
○上西委員 それでは、これらの点について後からまた坂本参考人に少し御見解をいただくことにいたしまして、次は桜井さんにお尋ねしたいのですが、支給開始年齢が当初の計画よりか五年短縮されるでしょう。昭和七十五年に完全六十を七十年にしますね。五年短縮される。これは後藤さん、本田さんも、あなた方、労働組合の責任者だから、定年を一年延長する、一年短縮するということは企業にとっては大変なことなんです、経営者、理事者側も、働く労働者側も。私自身の職場は一万三千名程度でしたが、私、組合の責任者で定年を一歳延ばすのに大変な苦労をいたしました。大変なんです。やめさせていくのをどうするか、人事異動をどうするか、従来例えば二年でかわれたところが三年にしなければいかぬ。ひどいところは五年かかってしまうんですね、しわ寄せがいって。そして採用してきた者たちに対する期待感も削っていかなければいかぬ。これはいわゆる経営効率から勤労意欲に至るまで大変な悪影響なんです。
このことについて、これもこの中へ出ていますから、せめてこれは一事不再議ではないか。一回七十五年と決めたんだから七十五年を守ってほしい、こんな御意見は、桜井さん、後藤さん、本田さん、お三人の参考人の方はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/39
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040・桜井誠
○桜井参考人 問題は、先ほどから申し上げておりますとおり年金の支給開始年齢と定年が合致をするというのが一番望ましいわけであります。そこに空白期間が生じないように。御承知のとおり定年延長に伴いましていろいろな問題が生ずることはそのとおりでございますが、先ほどの繰り返しになりますけれども、昭和六十四、五年ごろには六割の農協で六十歳定年になろうというふうに考えます。したがいまして、あと残りました四割の農協におきましては七十年までには六十歳に移行しなければならない、こういうことでございますから、私どもとしましては、六十歳定年延長を前回大会それからことしの十月の大会におきましても全農協でやりましょうということで推進をいたしておりますので、七十五年が七十年、五年間短縮をされたということは、他の制度との絡みもございますからやむを得ないもの、空白期間が生じないように今後十分な指導をしていかなければいかぬ、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/40
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041・後藤英雄
○後藤参考人 お答えをいたします。
私は、支給開始年齢が延伸をされるときの第八十七国会、昭和五十四年五月三十日の当農水委員会で参考人として意見を述べているわけですが、その際に、定年の延長については言われるようにうまくいかないのではないかという危惧を私は述べております。その当時、平均が五十七・六歳、これは五十四年の八月時点の調査でありますけれども、五十八年で五十七・七歳ですから、わずか〇・一歳しか実際には四年間で延長されていないという実態があります。したがいまして、この経過措置の短縮というものについては我々は認めるわけにはいかない。一遍決めたものをまた途中で五年縮めてくれというのはいささか虫がよ過ぎるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/41
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042・本田詔一
○本田参考人 私も現実に定年延長の問題については団体交渉の中で経営側とやってきた経過を持っておりますが、要求をしてからその交渉ができるまでに七年ほどかかっております。しかも、交渉をしてから段階的定年延長ということで、六十歳定年になるまでにまた四年ないし五年の月日を経過をするということになりますと、十何年かかるということであります。そういう実態からしまして、今の農協の職場でそう簡単に六十歳定年延長がスムーズに進むというふうには考えられないというふうに判断をしておりますので、この経過措置の短縮については当然すべきでないというふうに考えております。
以上です。
〔島村委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/42
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043・上西和郎
○上西委員 わかりました。
では、田代参考人にお尋ねしたいのでありますが、年金受給者の方々はこの法案が通れば事実上六十一年度からスライドが停止されますね。三年、五年、長短はあるでしょうけれども、事実上六十一年度は全員スライドがとまる、こういう結果になるでしょう。このことについて、私は人生の原体験から三十有余年いろいろな市民相談をやりまして、年金受給者の方とも随分数多く接していますが、たった一つのささやかな喜び、逆に言えば最大の喜びはスライドなんです。これを無情にも奪い去ろうとしている政府に何か一言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/43
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044・田代満
○田代参考人 六十一年の三月三十一日現在で共済年金方式の受給者が足踏みをさせられるということになるわけで、これはやはり気の毒な問題でございますので、先ほどお願い申しましたように、通算年金の方の関係者はスライドをされるので、物価上昇率が五%以下であっても、足踏みをします人たちにも幾らかでも寛大な措置で引き上げをさせていただきたい、かようにお願いをするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/44
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045・上西和郎
○上西委員 そのお気持ちは痛いほどわかりますので、私は頑張りたいと思っております。
榊さんにてこでお尋ねしたいのです。現在の年金担保貸し付けの中身、これはあなたも熟知されていると思いますが、絵にかいたもちなんですね。四年以内で返せばいいと言いながら、貸してしまえば、何か年金は全部返済に回るわけでしょう。だからその辺について、こういう大改悪をやるときに、せめて年金担保貸し付けの条件緩和、改善、こういうことについて御意見ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/45
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046・榊春夫
○榊参考人 先ほども申し上げましたように、現在福祉貸し付けをやっておりますのは一千億になんなんとする金額でございまして、積立金の約一割に相当するかなり大きな額でございまして、資金の運用益にも関連をするところでございます。したがいまして、一般の資金運用の平均効率からしますと七・六ないし七くらいに回っているわけでございますが、福祉貸し付けの方は五・五にごくわずかな事務費等を上乗せした程度の利率で貸し出しているわけでございます。やはり資金量にも限度がございますので、なるべく多くの人に借りていただきたい、そのためには、できるだけ安い利率ですけれども、貸し付けの期間はそんなに長い期間でなく返していただいて、ほかの借りたい人にも回せるように協力していただきたいというのが私どもの趣旨でございますので、御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/46
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047・上西和郎
○上西委員 ありがとうございました。
榊さん、私が知っているところでは年金担保貸し付けは六・八%なんですね。恩給は六%なんです。だから、こういった利率の問題、それから貸付期間、償還期間は四年以内となっておりながら、貸し付けたら年金全額そのまま返済に回すという現実があるものですから、それらについては今後理事長というお立場でもぜひ改善の御努力をお願いしたい、こう考えております。
最後に、坂本参考人にいろいろお尋ねしたいのですが、もう限られておりますので。
一事不再議という原則は、私たち終戦直後に旧制中学から新制高校に変わったころ民主主義の原理だというふうにたたき込まれた記憶が鮮烈に残っているのです。ところが、七十五年までに六十歳にするといったのを七十年度までに圧縮をする、これは私は言うならば中曽根内閣の暴挙だと言っても差し支えないと思うのでありますが、このこと一点に絞って、学者である坂本参考人、ぜひ御見解をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/47
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048・坂本重雄
○坂本参考人 一事不再議ということをおっしゃいましたが、私は今おっしゃった御趣旨には全く賛成であります。しかし、今回の年金改正全体を見ましても、期待権的な、従来既得権と言われたものがほとんど薄められてきている。ほかにはこういう例はかなり多いと思います。ですから、もし今そのことを取り上げて、そういうことは無効だ、一事不再議でできないことだというふうに申しますと、それに類することはたくさんございます。ですから、そういう意味で、余りこれは一般論としては言いたくないわけですが、お考えはよくわかります。
ただ、私もこういう問題を扱いまして、一事不再議の原理から直ちに今おっしゃった御所見に賛成ということはちょっと言いにくい。むしろもっともっと期待権なり既得権侵害に当たるものがたくさんございますので、むしろそのことに比べると、——これはほかの今までの官民格差論の中で一番非難されて、官民格差諭の中で比較的世論の中では厳しく言われた面でございますので、私はその御意見に全く賛成というわけにはまいりません。むしろもっとほかに、これまでのスライドの問題を含めまして、あるいは併給調整の問題にしましても、幾つもそういう既得権侵害だと言えるものがたくさんあるんじゃないか、そちらの方をむしろ力説したいと思います。
少し苦しい答弁でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/48
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049・上西和郎
○上西委員 大変ありがとうございました。
私がただいま六名の参考人の皆さん方にお尋ねしたこれらのこと、やはり基本的に他の三共済とは違っているものがある、ハンディがあるんだ、このことを押さえながらお尋ねしたそれぞれのことについて、私たちは共済年金四法案に反対をしながら、せめて大幅修正をから取りたい、その中の幾つかの具体的な問題を参考人の皆さん方にも御理解と御協力をいただきたい、こう考えてあえて質問させていただきました。大変ありがたいお答えをいただきましてありがとうございました。
以上をもって終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/49
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050・今井勇
○今井委員長 次に、武田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/50
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051・武田一夫
○武田委員 本日は、六人の参考人の皆様には大変御苦労さまです。いろいろと貴重な御意見をお聞きいたしました。その中で何人かの方に二、三お聞き申し上げます。
最初に、榊参考人と田代参考人のお二人にお尋ねいたします。
この農林年金の新掛金率設定に当たりまして、年金財政の健全化という課題に取り組んでいく以上どうしても克服しなければならない課題があると思うわけでございます。それは何であるというふうにお考えか、その点をひとつお二人にお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/51
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052・榊春夫
○榊参考人 私どもが掛金率を考えていきます上でいつも大変苦心をいたしますのは、必要な掛金率は幾らかということにつきましては計算上の問題ですから比較的明確な計算ができるわけでございますけれども、それを実行掛金率として実施するに当たりましては現行の掛金率との連続性という点が無視できない、余り急激な変化を与えることは組合員の生活に直接影響をいたしますので、慎重を要するということがあるわけでございます。しかし、物価の上昇なり、年金受給者の数がどんどんふえまして成熟度が上がっていくことによって、必要な給付費というものはどんどん急速に伸びていっているわけでございまして、実態に即した健全な財政を維持しながら、しかし、現行の掛金率にも十分配慮をして新しい適用掛金率を算定していかなければいかぬ、この辺に苦心があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/52
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053・田代満
○田代参考人 お答えいたします。
受給者の立場から申しますと、年金財政の健全化ということで、まず第一は、今行政改革でカットされております四分の一の返還をお願い申し上げたいということ、それから、従来の国庫補助に見合う何かの御援助のお考えをお願い申し上げたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/53
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054・武田一夫
○武田委員 この問題について坂本参考人はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/54
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055・坂本重雄
○坂本参考人 ちょっと失礼いたしますが、今の行革カット四分の一の問題でありますか。メモをとっておりまして聞き漏らしたかもしれませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/55
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056・武田一夫
○武田委員 それではもう一度申し上げますと、新掛金の掛金率の設定に当たりまして、健全財政を図るという観点からどういう問題を今後克服しなければならないか、その点についてのお考えをお聞きしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/56
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057・坂本重雄
○坂本参考人 先ほど時間がありませんで簡単に触れたわけでございますが、特に基礎年金に関して申しますと、被保険者の数、特に掛金を納める人の数をどう確定するかという問題、それから、二〇二五年の段階で給付が掛金の収入を非常に上回ってもなおかつ一年分の積立金を乗せるということの前提、こういうところから保険料率を非常に高く見積もる数字が出てくる。
そういう推計は財政当局の立場である程度理解できなくはないのですけれども、先ほど申し上げましたことは、そういった保険料率の算定の基礎になる数字をもう少し公に出していただく、あるいは幅のある数字でありますからそれを出していただく、あるいは何年かたってそういう数字が明らかになってくれば、被保険者の数がふえてくるとか受給者の数が減ってくるというときに数値を見直して出していただきたい、それによって今スタート時点で非常に非難を受けている高い掛金を是正する余地があるのではないかということを申し上げたのでございます。そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/57
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058・武田一夫
○武田委員 榊参考人にお尋ねいたします。
年金財政の改善目標について、給付のスライド制の問題、それから給付枠の掛金で賄いたい、あるいは積立金は取り崩さないで運営していきたいというようなことを何か農林年金の中でお触れになったのでありますが、その点についていろいろと困難があると思うのです。これを実行するためにはそれなりの御苦労があると思うのですけれども、どういう点で改善目標としていくために努力しなければならないかという問題でお考えを聞かしてもらいたい。これは国に対してこういう点が必要であるという要望も踏まえてお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/58
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059・榊春夫
○榊参考人 大変難しい問題でございまして、給付の物価に応じてのスライドはぜひやっていただかなければ、生活の基本になる年金給付でございますので物価スライドはぜひやっていただきたいと今私どもは考えております。五%以上ならば自動的なスライドということが法文上決まっておりますが、それ以下の場合でもできるだけ実態に合った給付のスライドを実施していただくことが必要だろうと考えております。
それで、これを負担の方の関係からいたしますと、それを予定していなかった掛金を過去には納めているわけで、スライドアップいたしますとそこに積立金の不足が生じてくるという関係がどうしても伴うわけでございます。しかしこれは、年金制度そのものが自分の積立金で自分の給付を賄うことはもはや不可能な状況になっておりまして、必要な給付は後代者が、現役の組合員が負担していくという関係で賄う以外に手がない、こういう関係になっているわけでございます。その辺を考えますと、平均寿命が延びるというようなことも含めまして、給付費がどんどん伸びていくのを負担の方にどう反映させていったらいいかということが一番の課題でございまして、現役の組合員の皆さんに御理解いただけるような納得のいく算定方式で実行掛金率を決めていかなければならぬと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/59
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060・武田一夫
○武田委員 今のことと関係して後藤参考人にお尋ねいたします。
後代負担ということが出てきます。正直言いまして、今の状態では国庫負担が余り期待できない。それに、先ほどからお話がありますように新しい若い方々の数も余り期待できないとなると、かなりの後代負担。年金は相互扶助ということを踏まえたとしてもそれは限度があるし、先ほど茨城の方からもお話がありましたように、現状から考えると非常に厳しいわけでありますが、この点について私も非常に心配するわけであります。特に農林年金の場合は財政的基盤も今後そう安閑とできるものではないということを考えますと、この問題についてはいかが考えておるか、どうあるべきかについて御意見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/60
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061・後藤英雄
○後藤参考人 後代負担の問題は、制度が存続する限り必ずついて回るんだというふうに思っております。したがいまして、私も冒頭の意見陳述ないしは御質問に対する答弁の中でもお答えしましたように、この年金制度というのは本人の自由意思で選択をできるというものではないわけです。国の立法行為として国民皆年金制度というのがあって、いや応なしにいずれかの年金に加入しなければならないという。したがいまして、先生が先ほど国の負担もそう期待できないというお話でしたけれども、私どもは、国の負担をやはりふやす、その中でこの問題を解決していく以外にないというように考えているところであります。もちろん急激な負担を軽減するための修正率等もありますし、それから利回り運用の充当ということもあるわけでありますけれども、この国の負担という問題を抜きにしては解決は図れないのではないかというふうに考えております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/61
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062・武田一夫
○武田委員 桜井参考人にお尋ねします。
改正案の給付水準というのは、現行の退職年金の給付水準から見れば、経過措置によりまして緩和されつつ減っていくというわけでありますけれども、かなりの低下である。先ほども話がありましたが、年金額の果たしておる老後の生活保障という面からは十分なものが期待できない心配があるということがありました。この点についていかがお考えか。これは今後十分生活保障ができるための年金とするに何が必要であるか、どうすべきか、御所見をひとつ聞かせてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/62
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063・桜井誠
○桜井参考人 改正法案によりますと、現行制度に比べまして、各種の比較の仕方があろうかと思いますが、一〇%から二〇%、最大の場合には三五%ぐらいの減になるというふうにいろいろな試算からは出るわけでございますけれども、もし先ほど申し上げましたように現行制度をそのまま継続をしていきました場合には、最終的に現在の四倍以上の掛金にせざるを得ない。ところが、そういうことは実際的にもできるはずのものではない。となりますと、給付水準自体を改定をせざるを得ないというふうに私としては考えざるを得ない。となりますと、言ってみますと農林年金だけで老後生活の保障ができれば一番いいわけでございますけれども、それがまた完全でない場合には、やはりそれなりの体制整備を自分自身で考えていくということも必要ではないか、こんなふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/63
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064・武田一夫
○武田委員 本田参考人、今私質問しまして桜井参考人がお答えになった問題について、おたくの具体的なデータとか状況を聞きまして、私の地域でもかなりこういうおたくなんかと同じような苦労があるわけでありますが、優秀な人材がやはりそういう団体に必要である、これは重要な課題であるだけに、それを克服するためにはこの問題はどうしても避けて通れない重要な課題の一つだと思うのです。そういう意味で、本田参考人からその件についてのお考えをひとつもう一度お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/64
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065・本田詔一
○本田参考人 人材確保という点では、農協の職場は何となく今呼び戻しということがうちの近所へ通うということで可能になってきましたけれども、まだまだそういう実態になっていないということで、ややもするとどうもほかの企業の滑りどめみたいな格好が完全になくなってはいないんだろうというようなことも若干あると思います。
そういうことで、例えば給付の問題等なんかを考えてみれば、今野球のドラフトなんかをやっていますけれども、あれは給付の先取りみたいな格好になっているのじゃないか、契約金なんというものは。あれもシビアに今高校球界の彼らが考えているのと同じように、私たちも将来の給付が不安定だとすれば、どうも毎日の仕事にも支障を来すというような格好のものが出てくるのではないだろうかなというような感じもしますので、やはりその辺は、もっと大きい意味で十分私たちが安心して老後も暮らしを続けられるような方策を検討していただきたいな、そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/65
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066・武田一夫
○武田委員 最後に、坂本参考人、先ほどの意見陳述の中で日本の年金水準というのは国際水準からまだ立ちおくれているということがございましたが、私もそういうふうに痛感をしております。
これから日本が急速に高齢化に参りまして、特に農村における高齢化というのは非常に高い。この間の発表でも都会の倍くらいの高さであるということで、これは団体の皆さん方には通用しないとしても、いずれそういう一つの高齢化というのは避けられないわけでございますから、そのため。にやはりしっかりとした年金水準を確保するというのは、これはもう今一番大切な老後保障の課題だと思うのであります。
そこで、日本の年金の世界における水準というのは大体どの程度のものであり、これはどの程度今後向上、アップさせなければならないかという一つの基本ですね、水準というものをお考えがございましたらひとつ聞かしてもらえぬか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/66
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067・坂本重雄
○坂本参考人 お答えいたします。
今おっしゃいましたことは大変難しい問題でございます。特に国際比較の問題というのは、先ほどもヨーロッパの例で申しましたが、これは考え方なり思想としまして、福祉国家とかあるいは高齢化対策ということを非常に予算が厳しい中でやっていく、国民の生産性にひびが入ってもなおかつ社会保障予算を組んでいく、こういうことをやってきたことの意味なり思想性を私は評価したわけであります。
ただ、具体的にそういうものが国の中でどれだけのものが保障できるかということになりますと、これは簡単に言えないことだというように思います。今回の年金の改悪ということは、これは政府もお認めになっていると思いますが、これぐらい悪くしなければ財政がもたないのかという問題は、この改正の中身が財政的にこれしかないという説得力がどこまであるか、この点で疑問を持っておったわけであります。
それから、特に今のように一階部分に基礎年金を置くなんということにつきましては、多くの野党や労働団体の中にも賛成意見がございました。ところが実際にふたを開いてみますと、基礎年金の部分の水準が低い、資格要件が長い、国庫負担は三分の一しかない、こういう点で非常に意見の対立が出てきているのが昨今の流れだと思います。その点でどれくらいということを言われると大変困りますが、先ほど申しましたように、特に全体の国民の必ず共通に来るところは基礎年金だ、この部分を何としても生活保護基準の六十五歳の水準以下にしてはいけないのではないか、これをまず確保すること。
その上に二階部分でありますけれども、これはやはり労使折半で、国庫負担はないわけでありますから、これは労使の自助努力で可能だ。ただ共済の場合ですと、例えば公務員の場合なんか特にそうですけれども、使用者負担というのがどうしても国の負担に実質上なってしまう。これは国庫負担ではなくて使用者負担だと思うのですけれども、どうも昨今この点混同されておりまして、すべてに渡っていく国庫負担と使用者としての国が出す負担というのは違うのだ。そういう意味で、二階部分は使用者としての責任で労使折半、これでいきますとさらに自主的な年金の設計が可能だろう、こういうことを申し上げたわけであります。この水準の問題につきましては、どの程度というよりもむしろこれ以下では困るということを特に基礎年金について主張したいと思います。
なおそれ以外の点で財政の問題につきましても、今度これだけ厳しい年金の設計があるにもかかわりませず、実際には、共済に限りませんでサラリーマンの無業の妻という場合には、これは強制加入でありながら掛金は出さなくていいというのがあります。こういう設計が、先ほども御質問ありましたように、保険料率に響いてきている。これは取るべきだということは言いにくいのですけれども、やはり共働きの家庭はそうでない家庭よりも豊かであるとは思いません。そういう意味で、掛金の負担がないという差別だけじゃなくて、比較的苦しい世帯から出た掛金が裕福な方に回っていく、そういう構造自体も非常に問題であります。そういうことの当然の是正によってまた保険料の負担の軽減なんかが可能だろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/67
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068・武田一夫
○武田委員 時間が来ましたので、大変ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/68
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069・今井勇
○今井委員長 次に、神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/69
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070・神田厚
○神田委員 本日は参考人の皆さん方、大変貴重な御意見をありがとうございます。
二、三御質問をさせていただきますが、まず最初に全国農協中央会の桜井常務さんに、先ほどちょっとお触れになっておりましたが、農協等相互扶助事業の問題が出ておりました。これの具体的な役割というのは一体どういうふうになっておりますか、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/70
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071・桜井誠
○桜井参考人 農業協同組合相互扶助事業と申し上げますのは、役職員の相互研修、あるいは中高年の雇用対策あるいは就業改善整備等の事業を行っておるわけでございますが、これにつきましては現在どのような形になっておるかと申し上げますと、団体の方から四億円出していただきまして、国の方から六億一千万円、前年度繰り越し等も含めますと計千億一千六百万円の収入に対しまして、この中で今申し上げましたような教育研修の実施でありますとかあるいは中高年の対策とかいう事業をやりましたほか、先ほど申し上げております農林漁業団体振興会、これに四億円を育成費として出しております。
農林漁業団体振興会の方は五十六年に設立をされておりますが、主として農林年金への財政援助というふうなことを事業としてやっておるわけでございまして、今申し上げました扶助事業からの四億円を受けましたほか、会費収入で、団体が十一億五千四百万ばかりこれまた会費を出してございます。支出の方では、年金の業務育成費ということで、最終的には十四億三千五百万円を農林年金への財政援助といいますか、という形でやっておるわけでございます。
私どもといたしましては、いろいろな経過で発足をいたしました相互扶助事業でございますが、私学共済におきまして、先ほどから申し上げておりますような国からの出資を私学振興財団が受けておりますが、これから私学共済には援助がある、あるいは都道府県の方からも援助があるということでございますので、そういうことを勘案いたしまして、相互扶助事業の補助、これにつきましては六十一年度以降につきましても継続実施をしていただきたい、こういう意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/71
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072・神田厚
○神田委員 次に、全国農業協同組合労働組合連合会の後藤中央執行委員長さんにお伺いしますが、現在の共済年金の制度、これの将来的な見通しというのは現時点から見てどんなふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/72
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073・後藤英雄
○後藤参考人 制度の将来の見通しというのは私どももいろいろ検討しておりますけれども、どうしてもそこに組合員の負担を上回る企業主、雇用主、それからその産業の資本、さらには国全体という負担を大幅に導入しない限り将来行き詰まるのではないかという危惧を持っているところです。冒頭の意見陳述でも申し上げましたように、このままいったのでは公的年金制度というのは果たして必要なのか、そういう不信が今職場の中では出始めているということであります。したがいまして、公的年金制度、まあ公的な制度ということであるとすれば、私的制度と両てんびんかけてどっちかなということのないように、そのように考えているところであります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/73
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074・神田厚
○神田委員 本日は各界各層から代表の方がお見えでありますので、それぞれ立場も違っておりますが、皆さんにお伺いしたいのであります。
農林漁業団体職員共済組合法、今提案されておりますが、この法案の一番の問題点というのはどういうところにあるのか、これを簡単にひとつ皆さんからポイントをお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/74
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075・桜井誠
○桜井参考人 いろいろ問題点はあろうかと思いますけれども、私の考えといたしましては、長期的な年金財政の安定という面からはやむを得ないというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/75
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076・坂本重雄
○坂本参考人 私は法案には基本的には反対でございますが、ただ、こういう審議の中で最低限これだけはお願いしたいということを先ほど申し上げました。それが結論であります。
それからあと、やはり農林共済の問題が主ではございますけれども、これは年金全体の二階部分と三階部分であって、一階部分というのは一番基本である。しかもこの一階部分が満たされなければ二階、三階はもらえないという仕組みになっている。そういう点であえてこの基礎年金のことを強調したわけであります。そういう点で、基礎年金の問題点を決して切り離さないでお考え願いたいということであります。それを満たされた上で、二階部分というのは単位共済の中でやれる範囲で自主的な管理運営をやっていきますけれども、しかし、いずれ全体の統合の波がありますし、国鉄の問題等があって財政の調整で他の応援を求めるとかあるいは応援をするとか、そういう事態がない限りは、二階部分というのはできる限り自主的な管理でやっていくべきだ、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/76
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077・田代満
○田代参考人 お尋ねの問題につきまして、私、受給者としましては、先ほどからも再三お願いいたしておりますスライドの問題をひとつお考えを願いたい、かように考えます。五%以下であってもスライドを実施していただく、また、足踏みになります受給者につきましても何らかの方法で幾らかでも引き上げをお願い申し上げたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/77
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078・後藤英雄
○後藤参考人 抜本改悪でありますので、基本的にはすべて問題があるというように思っておりますが、あえて法案の中身で言いますと、まず一つは年金額の算定基礎、つまり標準給与のとり方が現行は退職時の前一年間で算定するわけでありますが、これが採用時から退職までの全期間にわたって算定されるということであります。
それから次に、支給開始年齢については先ほど来申し上げておりますが、その中でも経過措置の短縮、さらには六十歳を六十五歳にするという問題、それから画一的な一人一年金という格好でやられてしまって併給調整がなくなってしまうという問題、それから移行措置については、漸次移行していくわけでありますけれども、人によっては、一定年以上の者は場合によれば掛け捨てになるという事態も生ずるという問題であります。それから減額退職年金を廃止するということでありますけれども、これは現在の定年延長の実態からいうならば、これは廃止ではなくてむしろ存続が必要だ、以上の点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/78
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079・本田詔一
○本田参考人 先ほども申し上げましたけれども、現行の法律を補強をしていくというようなことで、例えば対象範囲の問題等々、先ほど申し上げましたけれども、ああいうものを整理していくのが正しいだろうというふうに思います。しかも、今度の法案では私たちの掛金が上がる、それから給付が下がるということで非常に問題が大きいので、その辺のところは全体的に法案については検討し直していただくということが正しいのではないだろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/79
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080・榊春夫
○榊参考人 今回の制度改革でやはり一番重要な役割を果たすのは基礎年金の導入というものであるというふうに理解しておりますが、特に農林年金としましては、制度全体としては確かに基礎年金の問題ですけれども、私どもとしては職域年金としての特殊性をいかにして維持し、発展をさしていくかというところに最も大切な眼目があるというふうに理解をいたしております。
その意味におきまして、厚生年金の報酬比例部分に職域年金の二割加算というものが実現していることは高く評価していいのではないかというふうに考えております。特に、厚生年金との比較を考えました場合に、厚生年金基金というのはとかく優良企業の従業員に恩典があって零細な企業には及ばないという点があるわけでございますが、我々農林漁業団体はまさに零細な団体がたくさんあるわけでございます。約一万二千あります団体の中で、六割以上が農協以外の団体でございまして、その中には職員が三、四人しかいないような零細な団体もあるわけでございますが、そういった農林漁業団体をすべて包含をして、職域年金としての高い給付水準を確保することができるということは、農林年金ならではの重要な役割であるというふうに私は認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/80
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081・神田厚
○神田委員 終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/81
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082・今井勇
○今井委員長 次に、中林佳子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/82
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083・中林佳子
○中林委員 参考人の皆様、どうも御苦労さまでございます。
それでは、初めに私は坂本参考人にお伺いしたいと思います。
今回の共済年金は、さきの国民年金、厚生年金の改革に続いて行われるものですが、いわば公的年金制度の改革の総仕上げとも言われております。申すまでもなく、先進国における社会保障収入の負担割合などに比べてみますと、先ほどもお話しになっておりますように、我が国の被保険者の負担割合は大変高くなっており、逆に国庫などの公費補助の割合は、ほかの先進国と比べて低く抑えられております。ところが、今回の改革案の内容では、さらに一層国庫負担を削減する一方で、被保険者の負担はその割合においても大きくふえていく方向になっております。
そこでお尋ねするわけですけれども、いわゆる公的年金制度というからには、やはり国が責任を持って国民の老後保障をするという観点が貫かれなければならない。そうでなかったら、公的年金制度そのものの信頼が確保できないのではないか、こういうふうに私は考えるわけですけれども、その辺を今回の改革案との関係においてどのようにお考えになっているか、お伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/83
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084・坂本重雄
○坂本参考人 お答えいたします。
ただいまの御指摘の中で、公的年金というものを社会保障として考えていくというのが従来の流れでありましたけれども、もともと社会保障の定義というのは、憲法二十五条で申しますような最低限度の生活を営む権利を国の責任で果たすということが基本だと思います。
ところが、近年、特に保険にかかわる年金の場合ですと、世代間の振りかえとかいうふうに定義が変わってまいりまして、国の責任というものは確かに否定はしておりませんけれども、その財源的な補てんについては少しずつ減らしていく。今の予定では、現在の制度そのままでいった場合の国庫負担の伸びというのは大変伸びると思いますけれども、この制度が実現しますと約半分ぐらいが落ちるというふうに見込まれている。そういう意味で、将来受給権者がふえてくれば、その分予算の絶対額が膨らむから多少国庫負担率を落とすというようなことはあり得るとは思うのですけれども、それがどうも大幅に落ちていく。実際上の見込み、今のままでいった場合の見込みの半分ぐらいは落とせるというこの落とし方の問題、程度の問題で言っているわけですけれども、そういう形でもって、責任が回避されたというふうには断定はできませんけれども、著しく責任を軽くしてきているということが言えると思います。
さらに、サラリーマンと違って一般の住民の年金、今現在国民年金、これの七割という場合の財源負担を、国が出すというのじゃなくて、むしろ自分の負担に加えてさらにサラリーマンが余力を無理に出して、それを住民の対象の国民年金にも応援する。ところが、国民年金の場合には自営の場合ですからサラリーマンのように定年はないわけですけれども、そういった違いを捨象してくる。
常に言われておりますことは公平化という議論ですけれども、この公平というのは非常に乱発されておりまして、六つぐらい使われている。官民格差から始まりまして、違って仕方がないものも含めて公平にならしていって、常に低い方にならしていっているというのが私の印象であります。そういう点で、国の責任が回避されたとは申しませんけれども、著しくこれが軽減化されてしまっていく。こうなりますと、これは二階部分は完全に国庫負担がなくなりますし、あと一階部分の三分の一、この国庫負担が、今後スライドのやり方にもよりますけれども、それによってはさらに押さえ込まれるかもしれない、こういう不安を持つ中身だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/84
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085・中林佳子
○中林委員 次に、桜井参考人にお伺いします。
農林年金制度が発足したそもそものいきさつは、町村役場と農協や漁協で隣り合わせにありながら、一方が共済が完備しているのに、農協などの方はそういう制度ではなくて、厚生年金では有能な人材が役場の方に流れていってしまう、そういう人材を食いとめるために農協などの方にも市町村職員共済に準じた年金制度が必要である、こういうことであったというふうに伺っているわけです。そういう発足当時の趣旨が現在実現できている、こういうふうにお考えなのか、また、今回の改革の方向が、制度発足の目的であった有能な人材を確保して農林漁業団体の発展に寄与する方向につながっていく方向であるとお考えになっているのかどうか、この二点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/85
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086・桜井誠
○桜井参考人 今、先生がおっしゃいましたように、農林年金制度発足の経過につきましては御指摘のような形で、優秀な人材が他に流れる、当時、昭和二十五、六年ごろから三十年ごろにおきましては、在職しておりました優秀人材が一二、三%ぐらい出ていく、一般企業におきましては六%ぐらいであったということでございますから、市町村役場の職員並みの年金を受けたいということでこの制度が発足をいたしたというふうに私は考えております。
今回の改正案につきましては、既に御案内のとおり、職域年金というものが厚生年金に比べますと上積みをされるということで、他の市町村の共済組合の方と同じような水準のものになる。問題は給与自体が低いということをどうするかという問題であろうかと思います。
現在、平均標準給与といいますか、大体二十万円水準でございますけれども、やはり農協自体といたしまして、賃金水準を可能な限り経営努力によって引き上げていくということが優秀な人材確保には極めて大事な点ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/86
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087・中林佳子
○中林委員 それでは次に、後藤参考人と田代参考人にお伺いしたいと思います。
今回の農林年金制度の改革について政府は、公的年金制度全般の整合性を図るためだとか、制度の円滑な運営を図り財政の長期的安定を図るため、こういうふうに言っておるわけですけれども、私ども共産党は、その改革の中身を分析してみますと結局のところ国庫負担を大幅に削減することが本当のねらいではないか、こういうふうに思っているわけです。そしてその結果、組合員の年金の掛金が三倍にもなって逆に給付水準が三割以上も切り下げられる、将来的には支給開始年齢も先ほどから言われておりますように六十五歳に引き上げられていくという大改悪案だ、こういうふうに思っております。現状でさえ、農協で働く人々や定年となって年金で生活している方々の暮らしぶりというのは本当に厳しいものがあるというふうに思っております。
まず後藤参考人には、先ほど本田参考人からも現状のお話がありましたけれども、現場の労働者の生活実態、これが一体どうなっているのか。二番目に、今回の改革の方向について現場ではどのように受けとめられているのか。三番目に、今回の基礎年金導入に当たって、政府がしきりに婦人の年金権の確立を宣伝しているわけですけれども、農林年金の組合員の妻やあるいは婦人組合員の立場から、この基礎年金導入をどう受けとめているのか、この三点について後藤さんにお伺いしたいと思います。
田代参考人には、今年金をもらっていらっしゃる方々の生活実態、これは一体どういう状況であるのか。そして今回の改革の方向に照らして、もらっていらっしゃる年金者の方々はどのように受けとめていらっしゃるのか、この二点について簡潔にお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/87
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088・後藤英雄
○後藤参考人 それではお答えをいたします。
まず現場の労働者の実態でありますけれども、数字については先ほど本田参考人の方からも茨城県の実態が言われました。一般的に私ども、労働者状態調査というものをそれぞれの労働組合でやっている結果からいいますと、一人の賃金では到底生活を維持することはできない。辛うじて維持をしていたとしても、何か不測の事態が出たら根本から覆されてしまう、生活自体が覆されてしまう、そういう賃金の実態であります。したがいまして、そういう低賃金のもとで掛金が大幅に引き上げられる、しかも老後の生活を保障するはずの年金額が削減をされてしまう、切り下げられてしまうということについての受けとめは非常に深刻であります。それが第一点であります。
第二点も今含んでお答えしたと思いますので、三点目の婦人の年金問題について若干お話をしたいと思うのですが、婦人の年金問題について言いますと、まず夫、妻とも二割から三割も給付が下げられるという共通する問題が一つあります。それから二つ目には共働きの婦人労働者でありますけれども、これは二人合わせて四人分の基礎年金分の掛金を払う、保険料を払う、そういう仕組みになって、さらに給付を受ける際には夫は妻の分は受けられないし、妻は夫の分も受けられないという不合理な問題が出てくるのではないかというふうに考えております。
さらに、それでは現行の国民年金に任意加入していた場合、仮にそれを四十年継続したとしてどうなのかということで、これは六十年の保険料でありますが六千七百四十円、これを仮に四十年続けて掛けた場合の受給額、金額は七万六千九百円、これが新国民年金になりますと五万円になるわけですから、これはおよそ三五%の引き下げになるということでありまして、政府が言うように婦人の年金権を確立して五万円もらえる、夫婦そろって十万円だというバラ色の夢とはほど遠い現実にあるということではないかというふうに考えております。
それから、先ほど全体的に言いましたが、賃金については、年金当局が調べた六十年七月の農林年金対象団体の概要でありますが、全国連、県連それから単位団体、全国連の場合、三十六歳五カ月で三十一万四千円、それから県連の場合には同じ年齢で二十五万八千円、それから単位団体、これが三十六歳十一カ月で十九万八千円、それから総合農協だけを取り上げてみますと、三十六歳で約十九万八千円、こういう実態になっておりますので、先ほど申したこととつけ加えていただくとおわかりになると思います。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/88
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089・田代満
○田代参考人 ただいまお尋ねの年金者の生活実態ということにつきましては、私どもの方でまだ調査いたしておりませんので、残念ながらお答えできませんことをおわび申し上げます。
次に、今度の改革につきましての受けとめ方につきましては、最大の念願でありました既得権の保障ということが大体認められておりますので、受給者としましても改革についてはやむを得ないものというふうに受けとめていると私は解釈いたしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/89
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090・中林佳子
○中林委員 坂本参考人にお尋ねしたいと思うのですけれども、今回の改革、これは農林共済の問題だけじゃなくて、その前に行われました厚生年金、国民年金ともかかわり合いがあるのですけれども、遺族年金の問題を含めて婦人の年金権が随分差別されている部分があるのではないかというふうに思うわけですね。
遺族年金の場合ですけれども、受給対象者というところに、これは限定されておりまして、妻の方が死んだ場合、男性がもらえない場合が非常に多いわけですね。これは現在の国民年金も厚生年金あるいは共済年金もそうですけれども、例えば今度改革される共済年金の制度でも、夫が六十歳以上でなかったら、妻が加入していて死んだ場合はもらえないということで、つまり一面的には男性の方が差別されているように見えますけれども、実際は妻が掛けていた分、これは全部パーになってしまうという結果になるのです。この点、諸外国の例と比べて婦人の年金権そのものが差別されている一例ではないかというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/90
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091・坂本重雄
○坂本参考人 お答えいたします。
ただいまの御指摘の点、これは先ほどからも無業の、お仕事を持たない奥さんの場合ということで申してまいりましたけれども、幾つもそういう点がございます。
これは八〇年の婦人差別撤廃条約でございますが、これは先ほどの国会での男女雇用機会均等法の場合にも問題になった条約であります。この中には、雇用上の平等だけではなくて、家庭や社会生活における平等の原則がありますが、それに照らしますと、この年金の中にはひっかかるところが幾つかございます。
今の遺族という場合に、夫と妻で差があるということが挙げられましたが、それがまず一つ。それ以外に、業を持たない妻、サラリーマンの妻というのは、掛金がなくても資格が取れるわけですけれども、逆に無業の夫というのはこれはあり得るのです。しかしそれはないわけです。夫の場合は無業ということは保険資格がないわけです。これも一つの差になります。こういった問題とか、さらに遺族年金の扱いにつきましては、遺族年金がつくかつかないかということだけではなくて、扱い全体を洗っていきますと出てまいります。このことは、今回の年金というのは非常に個人権的に再編されておりながら、またそれが徹底していないというところから来ているという面もありますけれども、依然として男女の役割分担という思想がかなり残っている、このことの典型が、この無業の妻は強制加入だけれども掛金を払わないということに端的にあらわれていると思います。
さらに婦人の問題というのは、建前として個人の名前でもらえるかどうかということで、実際上家庭の中で生活する場合の実態から見ていきますと、現在から見ますと相当水準は悪くなる。とりわけ平均寿命が違いますし、男女に結婚年齢差がありますからどうしても女性が一人残るという時期が長うございます。二人そろって十万というのはまだいいのですけれども、一人残って五万円という事態が婦人の場合には非常に多くなってくる。そういう点で、実質的に見ていきますとさらに問題が広がってまいります。法律的には明らかに条約違反と見られるようなものは、今挙げました三点ばかりございます。
そういう点で、御趣旨としてはそのとおりでありますが、ただ問題は、まだ年金を個人年金化、個人を対象にする公的年金にしていくというその過程の問題もありますので、一概に責められない点もございますけれども、結果的には今のような事態になっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/91
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092・中林佳子
○中林委員 それでは最後に、榊参考人と後藤参考人にお伺いするわけですけれども、政府が今回の改革に当たって負担と給付の均衡を図り、制度の長期的安定を図るとその目的を明らかにしていますけれども、果たして本当に将来安定した年金制度に今回の改革がなるのだろうかと大変私は疑問を感じるのですね。
というのは、組合の合併もありますでしょうし、減量経営などもありまして、組合員が今まで見通したよりも伸びない、むしろ減っていくのではないかということを考えれば、本当に今回の改革が将来の安定につながるのかどうか、榊参考人の方から、そして後、後藤参考人というふうにお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/92
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093・榊春夫
○榊参考人 今回の制度改革の目的がいろいろあるわけでございますが、一つの大きな目的であります年金財政という立場から申しますと、農林年金の成熟度がピークに達するのは大体昭和百年を越えるころ、このころが年金者の組合員に対する割合が最高限度に達する年代でございます。その年代におきまして、現行の制度で計算をいたしますと掛金負担が四百四十を超えるという試算があるわけでございます。もちろん将来の経済変動がどうなるかということにもかかってまいりますけれども、一応現状を延長して考えればそういう事態になるということでございます。
今回の改革によってそれがどの程度軽減をされ、給付の水準としても納得がいくし、負担の方も大丈夫だという見通しがつくかどうかという点がお尋ねの点だと思うのですけれども、残念ながら理段階におきましては、新しい制度を前提として詳しく給付費がどうなっていくかという計算ができていない段階でございますので、明確にはお答えしかねると思います。ただ、厚生年金でいろいろと試算をしましたのを見ますと、大体ピークの時点におきまして、現行の負担に対しては七四、五%くらいの水準に軽減されるのではないかという試算がございます。そういうことでございますれば、我が方としてもかなり大きな財政上の改善になるであろう。今後経済変動の状況、特に高齢者の就業の状況であるとか、諸般の情勢を考えながら健全な年金財政の運営を志していけば、国民に信頼していただける年金制度として運営していけるのではないか、少なくともその大事な一歩を今踏み出そうとしているというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/93
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094・後藤英雄
○後藤参考人 結論から先に申し上げるとするならば、安定は図られないと言わざるを得ない。負担と給付の均衡については、冒頭でも申し上げましたように、負担は国、団体、個人つまり組合員、三者の負担になっているわけでありますけれども、国の負担は大幅に削減をしていく。今榊参考人が昭和百年で七四から五%水準と言いましたが、私ども、厚生年金の削減と比較してみてもう少しふえるのじゃないか、つまり七四%よりもっと落ちるのではないかというように考えていたところでありますが、いずれにしても理事長である榊参考人が七四から五%の水準に削減されるであろうということでありますから、かなり大幅な削減であります。それに比べて団体、個人の掛金が三倍も引き上がる。これは折半原則ということを言えば両者とも三倍も引き上がる。給付について言えば、年齢の若い人、昭和二十一年生まれの人などでは現行制度に比べると約五割も落ち込むのではないか。こういうことでありますから、負担と給付の均衡というのではなくて、国庫負担を大幅に削減をする、それを前提にした上で均衡を図っていくという理解の方がむしろ妥当ではないかというように考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/94
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095・中林佳子
○中林委員 時間が参りましたので、どうも参考人の皆様方ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/95
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096・今井勇
○今井委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人各位に一言お礼を申し上げたいと思います。
参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。
午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四十九分休憩
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午後一時三十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/96
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097・今井勇
○今井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
審査を続行いたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/97
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098・田中恒利
○田中(恒)委員 農林漁業団体職員共済組合法につきましては、既に連合審査などを通してそれぞれ問題点は浮き彫りになっておるわけでありますけれども、当委員会ではこれからでありますが、この際、農林大臣にお尋ねをしておきたいわけです。
本法の提案は、公的年金の一元化という背景の中で、高齢化社会に対応する農林年金の将来の諸問題をお考えになってこのような改正案が出されたわけでありますが、一元化をめぐっていろいろな御意見があるようでありますが、きちっと押さえておきたいことは、農林年金制度というものを今後独立をして拡充強化していく、こういうことは間違いないと思うわけでありまして、まず最初に、この点について大臣の御決意のほどをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/98
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099・佐藤守良
○佐藤国務大臣 田中先生にお答えいたします。
年金制度の改革につきましては、先生御存じのことでございますが、全国民共通の基礎年金を導入し、国民年金、厚生年金保険につきましては導入いたしまして、今度は共済年金につきましても昭和六十一年四月の同時実施を大前提として同種の改正をお願いしたところでございます。昭和六十一年度以降におきましては、政府としては、以上の措置を踏まえまして引き続き制度間調整を進め、昭和七十年度を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させることとしております。農林年金につきましても、このような全体の方向を踏まえつつ、農林年金制度の沿革等にも配慮して、農林漁業団体職員の人材確保を図るというねらいが損なわれることのないよう万全を期してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/99
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100・田中恒利
○田中(恒)委員 昭和七十年度を目途にして、基礎年金を中心として農林年金制度をその後強化をしていくということでありますが、この年金の一元化の内容がどういうものであるのかということが、私自体まだはっきりしないものですから、いろいろな話が広がっておるわけでありまして、例えば極端なのは、将来、厚生年金に農林年金と私学共済などは吸収一本化するのじゃないか、こんな話もありますが、そういうことはありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/100
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101・佐藤守良
○佐藤国務大臣 先生御存じのことでございますが、農林年金は昭和三十四年度に厚生年金から分離、独立した制度でございます。その当時は、厚生年金の給付水準というのは、公務員の共済組合制度の給付水準と比較しまして相当大幅な差異が生じておりましたため、厚生年金適用の農林漁業団体の職員は、同一地域におきまして共済制度が適用されています市町村職員との間に福利厚生面で不利な状況にあり、優秀な人材の確保に支障を生ずるという事情がございました。そこで、農林漁業団体につきましては、地方公務員と同等の福利厚生面の充実を図ることとしてこの制度を創設したものでございます。近年におきましては、数次の改正を経まして、地方公務員及び国家公務員の共済制度と全く遜色のない農林年金制度になっております。
このような農林年金制度の発足の経緯及び沿革等から、農林年金の果たす役割は今後ともますます重要なものになると考えており、公的年金一元化の中で、制度間の給付と負担の均衡を図っていく必要がありますが、今後とも農林年金制度の育成については一層の努力を尽くしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/101
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102・田中恒利
○田中(恒)委員 給付と負担の内容の差が、例えば厚生年金と私学や農林年金との間になくなれば一本になってもいいじゃないか、こういうことも言えるわけなんでありますが、単に負担と給付の関係だけではなくて、この共済制度にはいろいろな問題があるわけであります。そういう意味から、特に農林年金制度全体が、そうはいってもいろいろな条件の中で現状、実態は必ずしも同じような状態にないので、他の年金制度に比べて実質的には非常に低いという状況にあるわけでありますから、少なくともそういう問題を十分お考えいただいて今のような大臣の御答弁があったと理解をしておきます。
それにしても、一元化というものは一本ではないんで、今度の場合は基礎年金を全国民共通の制度に仕組んでいくということでありまして、その他は給付の方を、まだいろいろ問題はあるようですけれども、最大限そろえていく、負担の方は次の問題、こういうことになっておるようであります。これらはこれから検討せられていくようでありますけれども、例えば給付と負担を一本にして、後は財政調整でいくということにとどまるのであって、現在各年金制度の持っておる積立金といったような特別会計、これまで何もかも一緒にしていく、つまり財布も一緒にしていく、こういうことではないと理解をしてよろしいですか、大きな問題は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/102
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103・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 ただいま先生からも御指摘ございましたように、今回の改正で基礎年金の導入、そしてまた給付面での制度間の整合性を図るということを提案申し上げているわけでございますが、この改正が成立をしたといたしました後、負担の面での均衡ということが昭和七十年に向けて制度間の調整として行われてまいるわけでございますが、その具体的な筋道と申しますのは、まだ政府の中でも詳細具体的に決まっているわけではございません。
ただ、けさの参考人の御意見にもございますように、職域年金部分を残したことによって農林年金としての存立基盤というものが残ったということについて評価するというお話もございましたし、同じ共済制度といいましても例えば還元貸し付けのやり方でございますとか資金運用のやり方というふうなことについては国家公務員共済と私どもではかなり違っております。それからまた、現に農林漁業団体の共済組合ということで職員も抱えて仕事をしていることもございますので、こういったことも十分踏まえて対応をしていくべき問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/103
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104・田中恒利
○田中(恒)委員 それで、私は積立金を一緒にするかしないかということを今質問しておるわけなんです。これは非常に大きな問題なんで、このことについての方針もまだ政府は立ててないのか。もっと具体的にお聞きしますと、たしか五十九年二月二十四日の「公的年金制度の改革について」という閣議決定、この中には今後事務処理というか現業業務の統合といったような問題も項目としてはあるわけです。今度改正になりますと、国民年金の基礎年金、それから共済年金に比例部分、職域部分が出ますね。これを例えば受給者が請求をしますね。一体どこへ請求をしていくのか。そして給付はどこからもらうのか。私が聞いておる範囲では、基礎年金の分は保険庁から出る、新しい分はですよ。それから比例の分は農林年金から出る、それから今までの既裁定年金者については農林年金が持つ、こういうことになっておるんでしょう。そういう形で事務が進められるということなんですね。それは間違いありませんか。
〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/104
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105・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 積立金のお話が最初にございましたけれども、御案内のとおり、農林年金の積立金の場合には、積立金の増加分のたしか三分の一でございますかを政府保証債で運用するという以外は比較的自由な運用を認められておりますが、例えば厚生年金になりますとほとんどが財投で運用というようなことになるわけでございますし、これを完全に一本にするというようなことは、いろいろな現在の制度の違いということを考えますとなかなか難しい問題が多々あるだろうと私ども考えております。
それから現業の業務のやり方でございますが、今回の改正後、七十年に向けまして年金制度の一元化をやっていく場合に、各制度にまたがります現業業務についてのコンピューターの違いによりますデータ管理の違いとか給付の裁定とかデータ集計の様式の違い、あるいは業務処理の手順の独自の手法等々いろいろ違いがございます。こういうものをいかに調和させて、受給者のサービスの向上なり公的年金制度全体の効率的な業務処理を行うための方策をどうやって講じていくかということをその間において検討を進めていくということでございます。
しかし、それぞれの年金制度ごとに、長年それぞれの沿革のもとにこの種の業務を処理してきておりますし、これを担当する相当数の職員が現実には存在しているということもございますので、公的年金制度全体の現業業務を画一的に直ちに一元化するということは現実には相当困難な問題があると私どもは考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/105
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106・田中恒利
○田中(恒)委員 まだ政府の方ではっきりしてないんだな。この積立金を一本にするといったら私は全部一本になるということだと思うのです。これは現実問題としてなかなか今処理できるような状況じゃないと思うのです。そのこと自体もここではまだ明確に言い切れないわけですか。積立金の一本化はできませんということは言えないのですか、大臣。その程度のことは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/106
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107・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 先ほど申し上げましたように、一元化の具体的なやり方なり手順につきましてはこれから詰めてまいるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/107
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108・田中恒利
○田中(恒)委員 だけれども、財政調整でやっていくのなら一元化しなくたってやれるわけでしょう。だから今の形でいくということなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/108
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109・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 私どもが考えておりますところは、先ほど私が御答弁申し上げたことでおわかりいただけるのではないかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/109
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110・田中恒利
○田中(恒)委員 これはアーウーでいけというんだけれども、正確に言うと、それだけまだ政府の年金の統合の道筋は非常にはっきりしてないのですよ。細かい問題はたくさんあると思いますけれども、大きな問題はこれだけの法案を出されたわけでありますからきちんとしてもらわないと、正直言って年金の長期的な財政見通しやいろいろな計画がなかなか進みにくいと私は思うのです。その辺が、これは国鉄の問題が前段でぶつかったわけですけれども、それだけじゃなくて、いろいろな問題が残されておるという点をまず第一に指摘しておきたいと思います。
第二に基礎年金でありますが、基礎年金をめぐって農林年金の財政とどういう絡み合いになっていくのか非常に心配をしておりますが、まず農林年金から基礎年金に対する拠出金が新国民年金の会計の中へ入りますね。この拠出金はどういう算定根拠で算出されていくのか、その方式からまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/110
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111・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 基礎年金制度は全国民に共通して給付される年金でございまして、その保険料の算出に当たりましては、六十五歳以上の方々に給付をいたします基礎年金の支給総額を一つ置きまして、これを二十歳から六十歳までの基礎年金加入者の人数で割りまして、これを負担すべき一人当たりの基礎年金拠出金単価というものをはじき出すということになるわけでございまして、各制度共通の単価になるものでございます。この単価につきましては今後さらに精査をしてまいることになりますけれども、六十一年度の場合、厚生省の現在の試算によりますと約八千円強でございますか、八千円を若干上回る水準であるというふうに聞いております。この単価につきましては基礎年金加入者全員に共通するものでございまして、その間に不均衡とか差があるというものではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/111
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112・田中恒利
○田中(恒)委員 局長さん、六十五歳以上の基礎年金の給付の総額を二十歳から六十歳までの基礎年金加入者で割っていくということだけじゃないでしょう。それにまだあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/112
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113・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 原則は先ほど申し上げたようなことでございます。必要な総額を二十歳から六十歳までの基礎年金加入者の総数で割るということで統一の単価をはじくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/113
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114・田中恒利
○田中(恒)委員 そうしたら、その二十歳から六十歳までの加入者の中に今問題になっている無業の妻なる者、婦人の年金権というものは入っておるわけですか。婦人の、無業の妻というものはこの中に入るのじゃないの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/114
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115・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 今回の改正によりまして基礎年金という制度が導入されまして、国民年金に婦人もお入りいただくということになりましたので、その人数も当然加えた人数で割るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/115
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116・田中恒利
○田中(恒)委員 正確に言ったら二十歳から六十歳までの加入者プラス無業の、つまりサラリーマンの、農林漁業団体で働く人々の奥さん、これを加えるわけでしょう。それで総給付額を割っていく、そこで単価が出てくるということになるわけでしょう。この新しいサラリーマンの奥さん、これはいつも婦人の年金権でも問題になっておるのだが、一体どれだけの人が、どういうふうにこれを把握せられておられるかという問題が今あるでしょうが、農林年金はどういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/116
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117・坪野剛司
○坪野説明員 お答えいたします。
まず基礎年金の算定の方法ですけれども、これを正確にお話しいたしますと、一号被保険者、二号被保険者、三号被保険者というふうに三つに分かれております。一号被保険者といいますのはいわゆる自営業者の方々、現行法で言いますと国民年金の強制加入の方々、これが一号被保険者に該当するわけです。それから二号被保険者につきましては、被用者年金に加入しておられる方で二十歳から五十九歳までの方。それから三号被保険者につきましては、被用者年金に入っている方の被扶養配偶者ということになるわけでございます。この三つの被保険者を全部足しまして、その年におきます基礎年金給付費をその被保険者数で割った数字、これが基礎年金の単価。六十一年度で言いますと、五十九年度価格で八千百九十八円ということになるわけでございます。
それでは先ほどお尋ねの無業の妻、いわゆる三号被保険者をどう把握しているのかという御質問でございますけれども、国民年金におきまして被扶養配偶者というのは今どのくらいあるのか、三号夜保険者がどのくらいの数になるだろうかということを大ざっぱに推計いたしますと、大体千二百万から千三百万ということを予定しているわけでございます。実際その中から国民年金にどれだけ入っているかということでありますけれども、国民年金の女子の任意加入者は現時点では先ほど申し上げました数字のうち約六割が入っているというふうに推定されるわけでございます。
農林共済でどれだけの人が入っているかということにつきましては厚生省の段階では把握しておりませんけれども、オール共済は約六百万おります。そのうち女子が百四十万ないし百五十万です。残り四百四、五十万が男性ですけれども、その四百四、五十万のうち被扶養配偶者が何割が、五割か六割ぐらいいるわけです。その中で全体と同じようにやはり六割方が現在の任意加入に入っているというふうに推測しております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/117
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118・田中恒利
○田中(恒)委員 農林年金は幾らですかと聞いているのです。それがわからなければ——あなたは厚生省だから関係ないのだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/118
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119・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 私ども今その関係の数字を精査いたしているところでございますけれども、現在組合員が四十八万人余りおりますが、このうち大体七割程度が配偶者を持っておられるだろう、そしてまたその配偶者の中で大体二分の一程度が被扶養者ではなかろうか、いろいろな資料からそういったおおよその見当をつけておりまして、現在数字を精査いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/119
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120・田中恒利
○田中(恒)委員 どうもそれがある程度出てないと、精査をしておる程度では——ことしの農林年金の予算を出しているでしょう。あの予算の中にはたしか基礎年金に対する三分の一の国庫補助があるので、これは計上せられているわけですから、この数字が出てこなければ算出できぬはずなんだよ。そうでしょう。だからその数字はぴしっと、予算と言うとちょっと今あれだけれども、出ておるわけですからちゃんと根拠があるのですよ、ある程度のものは。ただ実際にサラリーマンの奥さん、無業の妻がどれだけあるかということは非常に把握しにくいところで、精緻については私も問題があると思うが、大体の概算は農林年金当局だってある程度把握をしているのじゃないですか。あなたのところはそれを持っているはずなんだよ。それがなければことしの農林年金の予算はできないのだから。ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/120
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121・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 今予算要求をいたしております積算に使っております数字は、私が先ほど申し上げましたような考え方、七割有配偶者、そしてそのうちの配偶者の約二分の一が被扶養者という考え方で計算をいたしまして、たしか本人とその被扶養の配偶者合わせまして六十五万くらいの数字でやっております。これは予算でよく概算要求ということを申しますが、概算要求の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/121
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122・田中恒利
○田中(恒)委員 少しあいまいですね。こういうことでは、予算は来年の委員会審議になるわけですけれども、恐らく今の概算が年金予算についてはそんなに変わらないはずですよ。特別な状況の変化が起きない以上は算定の根拠など変わらないと私は見ておりますが、それがどうも、何か七割とか六割とか、四十何万人おる中でそれでやるのは余りにも大ざっぱ過ぎる、そういうふうに思いますよ。これは早く資料を整備して後で示していただきたいと思います。
厚生省のさっきの答弁ではこの拠出金を八千百九十八円で計上せられておるわけですが、これに基づいて農林年金から国民年金へ拠出されますね。そして今度は農林年金へ給付が、受給が来ますね。この関係の年度別の計算はしておりますか。例えば昭和六十年度——財政再計算でいったら、次は六十五年ですか、それから七十年、五年ごとにやりますね、財政再計算。これの見通しは立ててないですか、立てておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/122
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123・坪野剛司
○坪野説明員 お答えいたします。
先生の御質問は農林共済だけに絞ってどうかという御質問でございますけれども、厚生省の段階では農林共済だけについての拠出額あるいは給付額という形では正直言いまして把握していないわけでございます。
ただ、基礎年金制度のもとでは、先生よく御存じと思いますけれども、年金の給付に要する費用を全被保険者で公平に負担するということでやっておりますので、単年度で見た場合については制度別に基礎年金給付費とそれから基礎年金拠出金との間には若干の差があるということは私たちも承知をしているわけでございます。
ただ、私たちは共済だけ、あるいは厚生年金だけ、あるいは国民年金だけではどういう入りくりがあるかということについては若干把握しておりまして、例えば共済組合全体、被保険者で約六百万人加入されておりますけれども、こういう方々で厚生省でごく粗い推計をやりますと、六十一年度におきましては基礎年金給付費が約八千億、それからまた基礎年金拠出金もほぼ八千億ということで、給付と拠出との差は六十一年度においては余りないのではないだろうか。ただ、将来にわたっては若干の出入りは、成熟度の違いがございますのであるかと思いますけれども、六十一年度については先ほど申し上げましたように差はない。残念なことには個々の共済組合ごとには算出しておりませんので、ひとつ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/123
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124・田中恒利
○田中(恒)委員 これは厚生省が、あなたが今言われた八千億と八千億、六十一年度。これは二〇五〇年まで、昭和百二十五年まで計算しておるんだね。あなたのところはちゃんとやっておるのだ。それには船員保険もあるし、今言った共済組合もあるし、厚生年金もあるし、全部できておるわけです。これは本来ならば、農林年金とか国家公務員、地公、私学、こういうものを積み上げなければいけないんだけれども、それは今できていないというのだが、これもおかしいことだと思うのだ。そんなものができなければ全体の共済組合年金の収支均衡をとっていくという計画は立たないのだから、年金制度というのは一年や二年の問題で収支が成り立つものではないので、これはサイクルがあって三十年とか四十年とか五十年とか、こういう形でやるわけなんでしょう。だから、当然農林年金関係にも、これだけの大改正をするのですから、財政収支上の計算というのは持っていなければいけないのだと思うのですよ、制度が変わっていくわけですから。
それがどうも農林年金はできていないんだけれども、これは大臣、私はできてないことないと思う。地方行政は地方公務員をやっておりますね。大蔵は国家公務員をやっておりますけれども、これはそれぞれの委員会でも問題になっておるはずなんですよ。私の知っておる範囲では、地方公務員の財政計画などについては既に、六十一年度は幾らであります、七十年度は幾らであります、こういう報告が委員会質疑の中でなされているのですけれども、農林はできていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/124
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125・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 先ほど申し上げましたように、来年度の予算要求につきましては、新制度の導入ということを前提にいたしまして概算の要求を出しておるわけでございますが、将来にわたります詳細な数字ということになりますと、例えば計算の基礎になります来年度の基礎年金の給付総額というようなものにつきましても今いろいろ精査をされ、予算までにできるだけ正確な数字でとらえて、また、しかし大きな制度改正の時期でもございますので、予算上はいろいろ精算的な措置もとらなければいけないということも含めて、今いろいろ詰めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/125
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126・田中恒利
○田中(恒)委員 これは私はそんなに突っ込みませんけれども、しかし大臣、この程度のものはこの委員会の審査の際には示してくれないと、制度が変わって基礎年金制度ができて、これまでの農林年金の財政の中の相当部分が向こうへ行く、どれだけ持っていってどれだけ返ってくるのか、だれだって聞きますよ。ことしはこうだが、少なくとも昭和七十年度ぐらいまではそういう計画が示されないと、何となく問題点の質疑をしてみようといったようなことでこれは済まされる問題じゃないと思うのですよ。そういう面ではちょっとずさんだと思いますよ。できるだけ早く必要な資料を整えて我々にも示していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
厚生省にちょっとお尋ねしますが、この八千百九十八円というのは補助金の三分の一が入っておる。そして国民年金の方は六十一年からたしか六千八百円になるのですね。これは補助金でなくて定額のあれですね。そうすると、新国民年金の基礎年金部分に入る分は、六千八百円のうち幾ら入るのですか。
〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/126
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127・坪野剛司
○坪野説明員 お答えいたします。
国民年金の六千八百円とそれから基礎年金拠出金の単価八千百九十八円の関係についての御質問だと思うわけでございますけれども、例えば六十一年におきまして一人当たりの拠出金算定対象額といいますのは万八千百九十八円というのは先ほどお答えしたとおりでございまして、そのうち国庫負担が三分の一あるわけでございます。したがって、各被用者年金からの保険料あるいは事業主負担から持ち込まれる保険料負担分といいますか、これは八千百九十八円の約三分の二に相当いたしまして、五千四百六十五円という数字が出るわけでございます。
国民年金は一カ月の保険料六千八百円ございますので、その差が約千三百三十五円ございますけれども、これはどういう意味がという御質問だと思うわけですが、国民年金の方も、これは第一号被保険者の方々が納める保険料でございまして、この保険料のうち、先ほどの五千四百六十五円に相当する部分につきましてはいわゆる基礎年金の方に金が回る。その残りの部分につきましては国民年金独自の給付というのがまだございますので、そういう財源とか、将来の保険料負担が多くなることをある程度和らげるための積立金に回るというふうにお考えになっていただければ結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/127
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128・田中恒利
○田中(恒)委員 どうもその八千百円と六千八百円と差が違うのでどうだというような疑問があるので今お聞きをすると、基礎年金部分に入るのは同じ、千三百幾らと言われましたその分は国民年金の分で流用するのだということですね。問題は、国民年金が千三百三十五円で一体何がやれるのかという問題がまだあるのですけれども、これはまあさておきましょう。しかし、基礎年金へ出す分は全部共通ということだけははっきりしておりますね。
そこで、三番目に職域年金についてお尋ねしますが、職域年金の加算を二〇%設けたわけですね、千分の一・五ですか。この理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/128
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129・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、農林年金の沿革と申しますのは、地方公共団体、特に市町村の職員との待遇比較というような点から、そしてまた農林団体の中にも農業協同組合から農業共済組合からいろいろございますが、かなり公共性のある事業を行っているということもございまして、三十四年に市町村職員と同様の共済制度を設けたいということから制度が分離独立をしたわけでございます。そういった経緯にかんがみまして、今回の改正におきましても、職域年金部分についても他の共済組合と同様の水準に措置をすることにいたしたものでございます。
また、けさたしか参考人の榊理事長からもお話ございましたけれども、厚生年金基金というようなことになりますと、農林漁業団体のように零細な団体の場合には十分利用しにくいということもございまして、やはりこの職域年金部分を設けるということが農林年金そのものを維持発展させるためにもやはり必要だ、こういう観点もございまして職域年金部分の設置をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/129
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130・田中恒利
○田中(恒)委員 二割の分野というのは意味はあるわけでしょう。何を根拠にして職域加算というか、三階目をつくられた、それを二割やられたか、それはどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/130
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131・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 これは率直に申しまして、ある一定の算式でそろばんをはじいてぴたり二〇%という計算を出したという、特定の算式があるわけではございません。現役組合員の負担との均衡あるいは民間の厚生年金の場合の厚生年金基金、これも非常にいろいろな多様な形でございますので、その傘とか大きさということについても一概に決め手になるような数字というのはなかなかつかみにくいところがあるわけでございますが、こういった企業年金の存在等に配慮いたしまして、総合的な判断として給与比例部分のちょうど二割ということにいたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/131
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132・田中恒利
○田中(恒)委員 これは二割というのは別に根拠はないので、いろいろなものを見て、厚生年金などとの対比で二割やればということだけですか。それだけのことですか、二割というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/132
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133・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 先ほど申し上げましたように、この年金の仕組みということから考えまして、やはり現役組合員の負担との均衡、それからまた民間の企業におきます企業年金の存在といったものを配慮いたしまして種々検討いたしました結果、給与比例部分の二〇%が適当というふうに判断をいたして御提案を申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/133
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134・田中恒利
○田中(恒)委員 これは厚生年金の積立金との関係で二割というものが出てきた、こういうふうに私どもこれまで理解をしておったのですが、そうすると余りそのことは関係ないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/134
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135・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 厚生年金基金の存在ということを考慮いたしておりますけれども、二〇%ということを決めました場合にそれを唯一の決め手として用いたということではないというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/135
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136・田中恒利
○田中(恒)委員 それではこの職域年金というものの性格ですが、これは公的年金制度というのがあって、大体これは恩給から絡んで国家公務員中心に発足をして地方公務員がこれに準じ、農林年金が厚年から外れてこれに準じて、私学といったような列車が走っておるわけですね。しかし、それぞれに企業というか、携わっておる業務内容はある面では相当違うわけですね。農林年金は農林漁業団体に携わる人々になっておるわけでありますし、私学は私立の学校ですからね。公務員はやはり公共性というか国家というか、まず国家財政といったようなものとそういう意味では関係が非常に深いわけですね。
それで性格が、職域が非常に違うわけですが、そういうものの区別はなしに一律に二〇%やっておるわけですから、将来は職域年金部分というのはそれぞれの職域年金の都合によって自由にしんしゃくをしていくというようなことも考えられるわけですか。これはやはり考えられないわけでしょう、今の制度で言えば。国家公務員と農林漁業団体と、特に例えば企業計算などをやっていくと——私、特にそのことを言うのは、さっき参考人の意見のところにも掛金の負担の割合の問題が出ましたけれども、これは法律でも五対五、こういうことになっておりますね。なっておりますが、働く皆さんから七、三にしてくれ、こういう声が出ておるわけですし、私どももこれから例えば日本経済全体のGNPの成長をどう考えるかということを考えれば、日本経済の成長率は世界で指折りに高いわけでありますから、十年、二十年今の形でいけば、恐らくGNPは相当大きくなると私は思うのですね。その分配の問題をめぐって社会保障とか年金とかといったものが位置づけられてこなければいけないと思うのです。その側面がないといけぬと思う。
政府が今言っているのは、高齢化社会になるから出す人が少なくてもらう人がたくさんになります、あなたがさっき言われたように。何か十人に六・何ぼが二・何ぼになるというわけですね。たくさんもらうようになります、そして出す人は少ない、だからいや応なしに掛金を高くして給付を現状よりも少し落とさないと年金制度財政そのものが成り立たない、この理屈でしょう。
しかし、今政府は二十年かけてやると言っているんだが、二十年かけた段階で日本経済はどうなっておるかということになると、非常な速度で技術革新が進むわけですから、この技術革新の進むに伴って生産力というかGNPは大きくなると私は思うのですね。少なくとも現状よりもずっと大きくなる。現状よりもずっと大きくなるのであれば、これは分配の問題で考えなければいけない問題が年金の体系の中で出てくる。これはヨーロッパ各国がやっておるように、労使間の負担割合を六、四にしたり七、三にしたり、こういう形も一つの形として私どもは考えておかなければいけぬと思うのですね。そういう意味は、場合によれば職域によって、極端に言えばもうけるところともうけないところとあるわけですから、これは多少しようがないですよ。そういう要素はこの中に含まれているかどうかということを聞きたいわけなんだ。それは余り関係ないんだということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/136
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137・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 先生おっしゃいますように、確かに職域によりまして、例えば国家公務員と農林漁業団体、職域が持っております性格なりやっております仕事というのもそれぞれ異なるわけでございます。そういう意味におきまして、そういった職域ごとに、また関係の団体なりその事業主の側の経営状況ということも違うではないかというふうなことも含めて考えますと、抽象的にはこれが絶対に同一でなければいけないということは、職域の特徴の差ということから見ればおっしゃるようなことであろうかと思いますけれども、一方でやはり年金としてほぼ同じ仕組みをとっておりまして、現役組合員との負担の均衡ということがあるわけでございまして、その意味におきましては、各制度共通の、給付と負担の均衡をどう図っていくかという意味では一つの共通の論理も働いてまいるということだろうと存じます。
これで十年、二十年たつ間に各職域が日本の経済発展の中でどういう変貌を遂げてどうなるかということとの関連で、将来この職域部分が一本であるのかあるいは若干差が出てくるようになるのかというようなことについては、なかなか今の段階ではお答えがしにくい問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/137
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138・田中恒利
○田中(恒)委員 私どもは、この年金法の審議を通してこの法案の幾つかの問題点を明らかにしながら、関係者並びに日本の将来の社会保険、社会保障制度の中で最大の、老後の生活安定の支えになっておる年金制度の充実のために幾つかの改正というか修正を実は要求をして、これから与党の皆さんとも話し合いを進めていきたいと思うわけでありますが、その中に、今申し上げました職域年金の問題とその中での掛金の問題は少し弾力的に職域といったようなものを加味していいのじゃないか。厚生年金の基金の中にも六、四でやったり、七、三でやったり、実際はもっと恐らく八、二くらいの割合で、経営者集団が八割くらい持っている、こういうことだと思うのですね。全体を通して言えば、細かい内容はたくさんあります。そういう要素も、少なくともこの掛金を折半にするということじゃなくて、最小限我々として指摘できるとすれば、職域年金の掛金割合というのを七、三なり、六、四なり、こういうふうな弾力的な応用というのは、この部分では考えてもいいのではないか、実はこういう考えを持っておるわけであります。このことを私どもの主張としてこの委員会の席でも申し上げておきたいと思います。
それで、あと私は各論にわたって、実はたくさん質問を申し上げたいわけですが、時間がもうあと十分くらいです。まだ入り口でございますが、私が今申し上げたのは年金の一元化の問題ですね。それから基礎年金への拠出金の詳細について、職域年金について、こういう今度の改正の大きな柱の序論でありますけれども、それでも今の答弁を聞いた限りでは、残念ながら農林年金については余り細かい論証のデータが示されないのだな。これは委員会審議としては非常に残念だと思いますよ。もう少し、政府が出すわけでありますから、不確定のものもあると思いますけれども、大体年金については相当精密な計算がなされるのでありますから、そういうものがないとこれは議論をせよと言われてもなかなかしにくい、そういうぐあいのことを特に今感じました。
もう少し持っていらっしゃると思ったのだけれども、持っていらっしゃってお示しにならないのかどうかわかりませんが、もう少しその辺ははっきりさせていただきたいということを申し上げて、あともうたくさんありませんから、一、二大切なところだけ要請をいたします。
この年金の改定について、この共済法第一条にあると思いますけれども、これは法一条の二、給付の額については国民の生活水準その他の諸事情に基づいてやる、こういうことになっておりますね。その成文は一々読みませんが、この中に実は国民年金法の改正の際に参議院で、これまで農林年金は御承知のように国家公務員の賃上げ、賃金ベースの改定に伴って農林年金のベースも上がっておったわけですが、これがないということで大分議論になって、参議院でこれはそういう方向で修正をされる、こういう方向の確認がなされたと思いますが、今度の法律の提案にはこの賃金という項目がないわけであります。
これはこの間、連合審査で我が党の加藤さんですか、質問があって、これは厚生大臣もその点はひとつ与野党間で、よく国会で相談してほしい、こういう御答弁であったと私は記憶しておるのですけれども、この点については農林漁業団体職員共済組合法の修正点として、政府は、大臣はどういうふうにお考えになりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/138
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139・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 今回の農林年金の改正法案の提出に当たりましては、さきの国会において成立をいたしました国民年金、厚生年金等の改正法の昨年の十二月の衆議院段階におきます修正等のうち、配偶者の加給年金の額の経過的加算等共済年金にも関連する部分については既に織り込んでございます。ただ、参議院段階におきます修正等については農林年金の改正法案提出後に行われましたために含まれておりません。
今御指摘のございました年金額改定の指標に賃金を加えるという問題につきましては、従来農林年金の年金額改定の根拠は、賃金を含めた意味での国民の生活水準その他の諸事情の著しい変動、そういう規定でございましたし、そして具体的には年金額の改定法によりまして国家公務員の給与改定に応じて行ってまいってきたという実績もあるわけでございます。したがいまして、「国民の生活水準」という規定の文言で賃金について一切考慮をしないということでは文理的にもないし、また従来の農林年金の改定法の経過からしましても、これで賃金の変動も当然対応できる規定であるというふうに私どもは考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/139
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140・田中恒利
○田中(恒)委員 この間の連合審査のときに厚生大臣からの答弁があったのですけれども、その答弁よりも今の答弁は後退しておるのです。全然違うよ、それは。厚生大臣は、参議院の修正もこれあり、この問題は十分考えなければいかぬ問題でありましょうから、だから与野党の国会での話し合いにこれはお任せしなければいかぬ、言ったとおりでありません、趣旨はですよ、こういう意味であったと私は覚えておりますが、大臣も横におられたんだから、どうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/140
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141・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 私ただいま申し上げましたのは、今回の法案なりあるいは従来の農林年金法の規定の読み方についての私どもの考え方を申し上げたわけでございまして、国会での御議論、そしてまたそこでの修正の御議論というのは、国の最高の意思決定機関としての国会での御議論としてしかるべき手続を経て結論が出されるものというふうに私ども理解をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/141
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142・田中恒利
○田中(恒)委員 これは別途、きょう午後厚生大臣が来るわけですから、もう一遍確認をしたいと思います。
次に、政令事項に該当するものが幾つかあるわけですね。これについて一応政府のお考えを聞いておきませんと、法律が通った後で政令が出てくるわけでありまして、政令の内容の方がよほど大きい問題がしばしば起きるわけであります。
まず第一は、六十一年四月一日以前の組合員について平均報酬月額の算定に当たっては改革直前の五カ年間の標準報酬に一定の補正率を加えるということになっておりますね。この一定の補正率は政令で決める、こういうことになっておるわけでありますので、この補正率の算出についての考え方、算出の基礎、こういうものを一つ。
それから、在職支給年金については何か一定の制限をやるということに法律ではなっておるわけでありますが、我々は在職支給年金はそのままやってくれということであります。政府の方は所得制限ということで一定の基準を考えておるようですが、この基準についての考え方が第二番目。
それから第三番目は、これは所得制限ですか、天下りとよく言われる者等の、これについての考え方。
それから、これは政令ではないのだと思いますが、遺族共済年金の生計維持をめぐって現在各年金ごとに差がありますね。農林と国公と私学は一緒ですか、地方が違うのですかね。この差をどういうふうに一本にしていくのか、この点について、時間がありませんから一括してお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/142
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143・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 四点お尋ねがございましたが、第一点の平均標準給与の算定に当たりまして五年平均の額に一定の補正率を掛けるというこの補正率はどういうものかということでございます。
これは今までの退職前一年間の標準給与というのが今度全期間平均ということになったわけでございますが、施行日前の組合員期間が、農林年金制度に加入した時期が団体によって異なるというようなこともございまして、いろいろ長短がございます。一律に全期間の平均にすることには問題があるということで、施行日前の五年間の標準給与の平均に補正率を掛けるというやり方をとることにしたわけでございます。この場合に、最近五年間の平均額に対する施行日前の全期間の標準給与の平均額の標準的な比率として、組合員期間の年数によって区分をしてこの率を定めたいというふうに思っております。その際、比較の対象とする全期間の標準給与につきましては、そのときどきの給与そのものではなくて、過去の給与水準を現時点における給与水準に再評価し直した後のものをとってこの補正率を決めたいというふうに考えております。
それから第二点の低所得者の在職支給基準の問題でございます。
これは今回の制度改正に当たりまして、公的年金制度間の整合性とか、給与の低い方についての給付の重点化という観点から、六十歳以上の高齢者につきまして、在職中でも一定の年金額を給付するということにいたしたわけでございますが、具体的にはこれは給与所得の高低の区分によりまして厚生年金相当部分の年金額につきまして、二〇%、五〇%、八〇%を給与所得の刻みに応じまして区分をして支給をすることにいたしております。厚生年金の基準に合わせて設定をすることになろうというふうに考えております。
それから所得による年金の支給制限でございますが、この点につきましては従来から天下りというような問題あるいは官民格差というような点で共済年金制度が受けておりましたいろいろな批判の大きな一部分であったわけでございますが、この具体的なやり方としましては、基本的な考え方としまして、その人の給与所得の額が現役組合員の標準的な給与の額から年金者の標準的な年金額を控除をして得ました額以上の場合に支給制限を行うということで、その給与所得の額が増加するに従いまして年金のうちの厚生年金相当部分の額の百分の一から百分の九十までの支給を停止をするということで仕組みたいということで考えておるわけでございます。
それから遺族の生計維持認定基準につきましては、従来厚生年金と農林年金では法律上の規定が若干異なっておりましたけれども、今回、厚生年金その他各年金制度の整合性を図るという改正の趣旨にもかんがみまして、法律上、死亡当時その者によって生計を維持した者ということで共通的な規定にいたしました。公的年金制度全体としての均衡をより図り得るような法文にいたしたわけでございます。今後のこの認定基準の具体的な内容につきましては、共済組合制度間の均衡あるいは厚生年金との均衡に一層配慮してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/143
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144・田中恒利
○田中(恒)委員 私はそれぞれの各項目について意見を持っておるわけでありますが、与えられました時間がもうなくなりましたので、これは別途同僚議員に後でまた、それぞれ個別で御指摘をいただくことにいたしまして、最後に大臣にはっきりさせていただきたいのは、行革特例法による四分の一の補助金のカットの問題は、こういう制度が変わるわけでありますから、この際きちんと整理をしておかなければいけないと思うのです。
既にしばしばこの委員会でも、あるいは予算委員会などでも、利子をつけてお返しをする、こういうことでありますので、この点を重ねて確認をすると同時に、このことについて、どういう方法でいつからどういう形でもとへ戻していくということについての大臣の御見解を承って質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/144
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145・佐藤守良
○佐藤国務大臣 田中先生にお答えいたします。
先生御指摘のとおり、行革関連特例法による補助金の四分の一の縮減につきましては、五十七年度から六十年度までの特例適用期間の特別な措置であると理解しております。そんなことで、補助金の支給については農林年金の財政の安定が損なわれることのないよう、期間経過後、国の財政状況を勘案しつつ金利相当分を付して返済されることになっております。したがって、農林水産省としましては、金利相当分を含めての返済につき財政当局に要求し、鋭意折衝を続けておるところでございます。今後さらに返済時期、返済方法等を含めて財政当局と折衝し、農林年金の財政の安定が損なわれることのないよう努力してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/145
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146・田中恒利
○田中(恒)委員 これも大蔵大臣が、この予算の編成までにはっきりします、こういうように言ったのですね。農林大臣はどうですか。ちょっと今の大臣の答弁を聞くと、今までおっしゃられたこととちっとも変わってないんだな。これは時期が来たわけですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/146
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147・佐藤守良
○佐藤国務大臣 お答えします。
先ほど申したとおりでございますが、最善の努力を続けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/147
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148・今井勇
○今井委員長 次に、吉浦忠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/148
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149・吉浦忠治
○吉浦委員 私は、年金問題につきまして主な項目だけに絞りまして質問を申し上げたいと思います。また続きまして武田理事なり水谷委員、駒谷委員の方から具体的に質問があると思います。
最初に大臣にお尋ねをいたしておきたいのですが、農林年金は、御承知のように昭和三十四年に厚生年金から分離独立したものでありますけれども、その設立の経緯というものが大事であろうというふうに思うわけでございます。いわゆる農林漁業団体の農政推進に果たす役割の重要性からこれら団体を育成して、そしてまた同時に、そこに優秀な人材を確保して定着させることをねらった政策年金の位置づけを持たしたものというふうに承知しているわけでありまして、他の被用者年金と異なりましてこうした使命を持つ農林年金ではありますけれども、最近における我が国の農林漁業をめぐる諸情勢は極めて厳しいものがあるわけであります。
そこで、農林漁業団体の経営も決して十分ではないわけでありまして、そこで働く者も低い賃金を余儀なくされているのが事実であります。年金制度の充実こそが大きな支えになっているというふうに私は思うわけでありまして、こうした観点から見ますと、農林年金は今後ともますます発展拡充していかなければならないというふうに思うわけでありますが、こうした私の所見に対して大臣はどのような御見解をお持ちなのか、まずこの点から伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/149
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150・佐藤守良
○佐藤国務大臣 吉浦先生にお答えします。
先生の御指摘のとおりでございまして、農林年金制度ができた目的というのは、農林漁業団体が農林水産行政の推進上重要な役割を担っておりまして、その役職員に優秀な人材を確保し、その福祉の向上を図るというためにできたわけでございます。
そんなことで、この農林年金の改革に当たりましては、制度の長期的安定を基本といたしますが、一方におきましては農林漁業団体の育成を図る観点から、その経営の現状を踏まえ、今後とも経営基盤の充実にも十分配慮し、そしてますます育成してまいりたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/150
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151・吉浦忠治
○吉浦委員 一元化についてお尋ねをしておきたいのですが、来るべき高齢化社会を迎えまして国民の年金制度への関心は一層高まっている現状でありますが、現在公的年金制度は、制度を長期的に安定するための改正が行われておるわけであります。究極的には公的年金全体の一元化の方向に行くべきだろうというふうに考えるわけであります。
その方向づけに向けて、国民年金は基礎年金に衣がえしておりますし、厚生年金は基礎年金の上乗せ年金とするいわゆる二階建て年金、この改正が行われておるところでありますけれども、国民共通の基礎年金を構築するということについては、かねてから私どもの党ではこの主張をしてまいったところでありまして、いわゆる世論の支持もあるというふうに考えているわけでありますが、今回の基礎年金の改革というものは、公的年金制度の一元化の一環としての位置づけを持つというふうに理解してよいのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/151
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152・谷口正作
○谷口説明員 お答え申し上げます。
基礎年金の導入と公的年金制度の一元化のかかわり合いについてのお尋ねでございますが、先生お話ありましたように、まず厚生年金、国民年金の改正を行い、今回共済年金の改正法案でお願いしておりますこの基礎年金の導入は、七十年をめどとする公的年金制度の一元化の中の一つのプロセスと申しますか過程ということで位置づけられようというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/152
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153・吉浦忠治
○吉浦委員 さきにも問題になりましたけれども、国鉄共済についてちょっと伺っておきたいのですが、政府は本年十月十一日の閣議決定で、将来分割・民営化される予定になっているところの国鉄改革のための基本方針を取り決めたわけでありますけれども、その中で、国鉄共済の取り扱いについて、いわゆる新経営形態移行後、「当面現行共済制度を適用することとし」という、いわゆるこれに所属する職員をもって組織する単一の共済組合の運営を行う、こういうふうにされているわけであります。
国鉄共済財政が現在厳しいのはだれしも御承知のとおりでありまして、六十四年度までの五カ年の予定で国家公務員あるいはNTTあるいはたばこ等から支援を仰ぐ、財政調整を行っているというわけでありますけれども、その財政の再建は困難と言わざるを得ないと思うのです。国鉄再建監理委員会の答申どおりの人員体制でいけば、さらにその破綻は間近いと言わなければならないと思います。
そこで政府は、なお書きで、将来にわたって年金支給を維持し得るよう所要の措置につき速やかに検討を行うこととする、こういうふうに書かれているわけでありますが、現在どのような検討をなされておられるのかが第一点。将来、農林年金を含めた共済グループで国鉄共済の面倒を見ることも検討されているかどうか。もしもそのようなことが検討されるならば、ただでさえ脆弱な農林年金の財政を圧迫することは間違いないし、これはゆゆしき問題で、その点どのように考えておられるのか。もう一点は、また将来民営移行するのであれば、厚生年金との統合についてはどのようにお考えを持っていらっしゃるのか。この三点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/153
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154・佐藤守良
○佐藤国務大臣 先生にお答えしますが、厚生年金につきましてはまた厚生省から御答弁願いたいと思っておりますが、国鉄共済問題の検討の具体的な手順、方策等につきましては、できるだけ速やかに政府部内での協議に着手することにしております。
この場合、国鉄共済問題については、国鉄改革の重要な一環としまして、国鉄改革の具体化に応じて、これまでの経緯を踏まえつつ、財政調整計画のあり方、それぞれの役割等について検討すると同時に、年金一元化の観点からの所要の検討を行い、関係者の理解や国民的合意を得ることができる適切なものとしたいというのが政府の統一方針でございます。
また、農林年金につきましては、私は関係者の意向なり理解に配慮しつつ対処したいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/154
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155・谷口正作
○谷口説明員 国鉄共済と厚生年金とのかかわり、将来民営化する際に厚生年金との統合も考えるのかという御趣旨の御質問でございますが、私どもといたしましては、国鉄共済問題については、国鉄改革の重要な一環でありますので、国鉄改革の具体化に応じまして、これまでの経緯等を踏まえつつ、財政調整計画のあり方の見直しあるいはそれぞれの役割等について検討することがまず必要であると考えております。
民営化になりましたら厚生年金と統合という考え方につきましては、いろいろ十分な議論を尽くさなければ関係者の理解や国民的な合意を得ることは困難ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/155
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156・吉浦忠治
○吉浦委員 その一元化の問題で厚生年金統合についての考え方が明碓じゃないのですけれども、困難ではないかというのは、どういうふうに困難ではないかというふうにお考えなのかどうか、お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/156
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157・谷口正作
○谷口説明員 お答え申し上げます。
舌足らずでございましたけれども、先ほども申し上げましたように、まず国鉄共済問題について、これは国鉄改革の重要な一環であるということでいろいろその方面での検討も必要であると考えておりまして、そういったものを踏まえて、またいろいろ厚生年金との関係も考えなければいけない。いずれにしましても、十分な議論を尽くさないと関係者の理解やあるいは国民的なコンセンサスを得ることは困難ではないかという意味で申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/157
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158・吉浦忠治
○吉浦委員 大臣、最初にこの崩壊の危機に瀕している国鉄共済についての年金問題で当委員会等も一時審議は中断したわけでありますけれども、官房長官等の談話によって、この共済年金の審議が最終段階を迎えた時点で明確にするというふうな経過を公表になってこの委員会に入っているわけでありますが、その経緯のほどはどういうふうに進んでいる段階でございますか。大臣の御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/158
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159・佐藤守良
○佐藤国務大臣 お答えします。
今先生おっしゃったようなことで、連合審査におきまして官房長官がそのように答弁をしたのを理解しております。その後閣僚間で協議を進めておりますが、まだ結論に至っておりませんで、現在も努力中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/159
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160・吉浦忠治
○吉浦委員 そうなりますと、理事の方で進められているようでありますけれども、採決ということがなかなか難しくなってくるのじゃないか。決めてから採決でなければ、採決をしてしまってから出したのじゃ全くうそをついたことになりますから、その点はどういうふうになっているのか。理事の方では盛んに、採決が明日でもあるいは明後日でもというふうな考え方がおありのようですが、そういうふうに政府は進んでいるのかどうか、お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/160
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161・佐藤守良
○佐藤国務大臣 お答えします。
実は、昨日も関係閣僚が集まりまして長時間協議をしたようなことでございまして、できるだけ早急に結論を得るべく今最善の努力をしておりますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/161
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162・吉浦忠治
○吉浦委員 早急にひとつ大臣、農水大臣も大きなウエートでございますので、頑張っていただいてしかるべき御回答をいただきたい、こう思うわけでございます。
続きまして、基礎年金について若干伺っておきたいのですが、基礎年金の給付水準は月額五万円というふうに決められておるわけであります。加入期間が四十年で五万円、大変低額であります。私ども錯覚を起こしておりまして、だれでも五万円いただけるものというふうに思っていましたらそうじゃありませんで、そういう低額では老後の生活設計が成り立たぬではないかというふうに思うわけでありまして、加入期間が四十年未満の者の年金額は五万円にも満たない、こうなるのであります。制度発足前ではありますが、基礎年金の給付水準については見直しが必要ではないかと思うわけであります。
また、基礎年金について国は三分の一の国庫負担をしていく方針を明らかにしておるわけであります。給付水準の引き上げに見合う保険料負担の増に対しては、その負担の軽減を図るために四〇%に引き上げるべきだと思うわけでありますが、政府は基礎年金の構想について再検討をする考えがあるのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/162
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163・谷口正作
○谷口説明員 基礎年金につきまして二点のお尋ねがございました。
一点目につきましては、月五万円の水準、これは四十年が前提であるということでございます。この点につきまして申し上げますと、先生御指摘のように、基礎年金は四十年間保険料を納付した場合に月額五万円という仕組みになっております。このように拠出に応じた給付、いわゆる社会保険方式の仕組みをとっているわけでございますけれども、この点につきましては、私どもさまざまな機会を通じて国民の皆様に御理解いただけるよう努力してきたところでございます。
なぜ四十年間で月五万円という水準を設定したかにつきましては、将来は、この年金制度がさらに成熟化していきました場合に、国民どなたでも四十年程度年金制度に加入することが一般的になると見込まれておりますのでこのような仕組みをとったわけでございまして、先生の御指摘のありましたような点を踏まえまして、私どももさらにこの制度内容の周知に努めまして、保険料滞納などによって年金が減額される人が生じないように努力いたしたいというように思っております。
それから二点目は、国庫負担の関係の御質問でございました。今回の改正では各制度の国庫負担は原則として基礎年金の三分の一ということで、全国民を通じての国庫負担の公平化を図ることといたしたわけでございます。その国庫負担をさらに四〇%にふやすべきではないかという御指摘でございましたけれども、国庫負担につきましては、従来国民年金が原則として三分の一であるということも考慮いたしまして、どの制度においても基礎年金の三分の一ということにいたしたわけでございまして、これ以上国庫負担をふやすことにつきましては、現在の財政状況等を考えますと困難であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/163
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164・吉浦忠治
○吉浦委員 月額五万円というのはどこに基準を置いて定められたのか私は疑問を持っているわけでありまして、なぜ五万五千円ではいけないのか。いかに老後の生活設計の基礎的なものといっても、生活保護よりも安い年金制度では困るのではないか。まるで納めない方がなおいいではないかというふうに、かえって国民に逆効果になりはしないか。納めないで生活保護等を受けた方が、わざわざ四十年間も積み立てをするよりも無年金の方がまだいいではないかという考え方になりはしないか、こう思うのです。したがって、五万五千円ではどうしてもいけないのかどうか、私ども主張してきたとおりでございますが、この点についての御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/164
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165・谷口正作
○谷口説明員 基礎年金の水準、月額五万円についてのお尋ねでございます。
御指摘のように、基礎年金は老後生活の基礎的な部分を保障するという考え方で設定したわけでございまして、その際、実際の高齢者の方々の老後の生活における生計費等を総合的に勘案いたしまして設定したわけでございます。
水準につきまして、五万五千円に引き上げることはできないのかという御指摘でございますけれども、基礎年金の水準を考える場合、先ほど申し上げましたように食料費とか被服費あるいは住居費といった基礎的部分を保障しようということで五万円を設定したわけでございます。この基礎年金の水準をさらに引き上げるということになりますと、当然のことながら保険料あるいは掛金の負担の面とのバランスも考えなければならないということで、この五万円の水準でも、将来さらに制度の成熟化が進んでいきました場合には保険料負担が月額一万三千円にも上ると見込まれておりますことを考えた場合に、私ども、老後生活の基礎的な部分を保障しようというこの月額五万円の水準は妥当な水準ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
それから、生活保護の関係でお話がございましたけれども、私どもの年金制度と生活保護とは制度のねらい、目的とするところに違いがあろうかと考えております。と申しますのは、生活保護の場合は個々の人たちのニーズに応じまして最低生活を保障するという考え方でございますし、年金につきましては衣食住を中心とした老後生活の基礎的な部分を保障するという考え方をとっておりまして、生活保護の基準と今回の基礎年金の水準を比較することは必ずしも当を得ていないのではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/165
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166・吉浦忠治
○吉浦委員 次に進みますが、今回の改正案で、制度を長期的に安定させるために給付と負担の適正化を図るというふうにしておられますけれども、逐次改善が加えられてきた年金制度を大きく後退させることにしていると私は思うわけです。
共済年金で見てまいりますと、年金の算定方式のいわゆる共済年金方式の廃止、平均標準給与の決定方式の全期間平均月額への変更等、すべて厚生年金方式によることとしておるわけであります。共済年金の有利性がすべて取り払われていると思うわけであります。これは官民格差の是正や年金財政上の制約等があるわけですからある程度はやむを得ないと思うわけですが、これに踏み切られた理由は何なのか、この点をお尋ねします。
また、農林年金の場合は給料が一般的に低く、算定方式も通年方式の適用者が多いとされているわけでありますから、全期間の平均標準給与制となると、現行の最終一年の平均標準給与制との比較では三五%ぐらい低額となると思うわけでありますが、現在でも低額年金者の多い農林年金では影響が大き過ぎるのではないかと思うわけです。政府はこの影響をどのように見ておられるのか明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/166
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167・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 今回の農林年金も含みました共済年金制度の改正におきましては、平均標準給与のとり方でございますとか年金額算定方法等、従来一般民間被用者を対象といたします厚生年金と比べて有利となっていましたような点につきまして、格差ということで従来からいろいろ御意見があったところでございますので、公的年金制度全体の整合性を図る見地から、一定の経過措置を設けながら基本的な給付要件は厚生年金とそろえるということにいたしたところでございます。ただ共済年金につきましては、厚生年金相当部分のほかに職域年金としての性格から職域年金相当部分ということで三階建てにいたしましてその独自性を保持をしておるということでございます。
それから、特に給与のとり方なり、あるいは今までは共済方式と通年方式の選択でございましたのを、いわば通年方式に一本化をするということでかなり大きな影響が出てくるのではないかという御指摘でございますが、この農林年金の組合員につきまして全期間平均と退職前一年間、これの割合がどのくらいかということにつきましては、厚生年金におきます過去の給与の再評価等も考慮しながら現在比較計算をいろいろやっておるところでございます。理段階において確定的な数値が出ているものではございません。
ただ、年金の給付にこの措置がどれだけ大きな影響があるかということでございますが、これにつきましては、基礎年金制度の適用あるいはまた従来厚生年金にございまして農林年金にはございませんでした加給年金というようなものも新たに設けるということもございますので、具体的には組合員の給与によって違ってまいると思いますけれども、仕組みそのものが大きく変わりまして新しい基礎年金なり加給年金が導入されるということを考慮いたしますと、この影響がかなり緩和をされて、大幅な低下ということにはならないであろうというふうに私ども考えておるところでございます。
なお、農林漁業団体が全体的に給与水準が他の共済制度の適用者に比べて低いのに、さらに全期間平均ということになると大きな影響が出てくるのではないかという御指摘でございますが、この点は、在職期間のうちで後ろの方にかなり大きく給与が上がった方という方がどちらかというと影響が大きいのではないか、比較的給与の水準の低い方の方が影響が相対的に小さいのではないか、これはケースごとにいろいろ違ってまいりますが、一般論としてはそういう結果になるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/167
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168・吉浦忠治
○吉浦委員 減額退職年金制度について伺っておきたいのですが、本法改正案では、減額退職年金制度は現に既得権を持つ者のみ経過的に認められるものとして将来は廃止していくということになっております。退職共済年金の支給年齢の引き上げあるいは農林漁業団体の人事管理面からの必要性等が考えられるわけですが、これを廃止するに至った理由を明確にすべきではないかというふうに考えるが、この点どうなのか。また、新たに厚生年金並みに六十五歳以上で一定以下の給与の者に年金の一部が支給されるいわゆる在職支給制度が設けられたわけでありますが、その運用に当たってどのような所得制限を加えるつもりなのか、この点を伺っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/168
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169・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 減額退職年金制度につきましては、途中経過におきましてはいろいろな議論があったわけでございますが、今回これを一定の経過措置を付しまして廃止をするということにしました理由と申しますのは、御案内のとおり、減額退職年金は早くから支給を受けられるというメリットがあるわけでございますが、同時に年金額が減額になります。これは一生涯この減額がついて回るわけでございまして、そういう点から考えますと、老後に完全に所得を得る能力を失った段階で十分な保障が受けられないという問題があるわけでございまして、今後の高齢化社会の展望ということを考えました場合に、今後どちらかと考えれば、年金を早急に支給するということよりも、むしろ老齢に達したときに手厚い生活保障を行うということが必要ではないかということから、一定の経過期間を設けて廃止をするということにいたしたわけでございます。
第二点の低給与在職支給制度を新たに設けたこととの関係でございますが、これは制度の趣旨が異なっておりまして、今回の改正で、従来は職域を離れた者に年金を給付するということだったわけでございますが、公的年金制度の整合性あるいはまた給付の重点化というような観点から、六十歳以上の高齢者の方につきまして在職中でも給与が低い方には年金を一定額支給をする、新しくそういう制度を設けたわけでございまして、減額退職年金とは制度の目的を異にするものでございます。なお、この在職中支給の給与の刻みといったようなものにつきましては、厚生年金との関係あるいはまた他の共済制度との均衡に配慮しながら、適切な所得の階級と支給率というものを決めてまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/169
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170・吉浦忠治
○吉浦委員 定年延長への取り組みについてお尋ねをしておきたいのですが、農林年金の支給開始年齢は三年に一歳ずつ引き上げられておりますが、現在六十一年六月まで五十六歳、こうなっているわけです。農林漁業団体の中には定年が五十五歳のまま据え置かれている団体もあり、退職しても年金をもらえない人が相当数出ているというふうに聞いているわけであります。さらに支給開始年齢の引き上げを早めようとしているが、その実情を無視するとも言わなければならないというように私は考えますが、そこで、団体の定年延長への取り組みが重要となってきているわけであります。農水省も通達を出して指導しているというふうに聞いているわけでありますが、もっと積極的に団体を指導しなければ、退職後無年金期間を持つ人がもっと増加するというふうに懸念されるわけであります。この対策についてはどのようにお考えなのかお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/170
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171・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 農林漁業団体職員の定年年齢につきましては、これは全体の調査がやや時点が古くて恐縮でございますが、五十七年の八月に農協中央会で調べたものがございます。これで申しますと、男子総平均で五十七・八歳ということになっております。また、農林漁業団体の大宗を占めます総合農協の男子につきまして、現在の年金支給開始年齢でございます五十六歳を基準にして見ますと、五十六歳以上の定年年齢を定めている組合が五十六年度に六三・三%でございましたが、五十八年度は七一・七%ということで、漸次延長をされてまいってきております。
この定年延長の問題につきましては、我が国が全体として高齢化社会へ移行する、それにどう対処していくかという観点から、従来から私どもも農林漁業団体に対しまして通達を出しまして指導をしてまいったところでございますが、今回の年金改革法におきましては従来の支給開始年齢の引き上げ経過措置を少し早めるという措置も含まれておりますので、これを踏まえた定年年齢の延長につきまして、今後労働省とも連携をとりながら十分指導をしてまいりたいというふうに思っております。農業協同組合中央会などでも、昭和六十四、五年ぐらいまでには六十歳以上定年の農協の割合が六割ぐらいまでは何とかいくのではないか、昭和七十年を目指して定年年齢を六十歳のところまで引き上げるような努力を団体としてもしたいということを言っておりますので、関係団体とも十分協議をしながら、支給開始年齢と定年年齢とのすき間ができませんように努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/171
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172・吉浦忠治
○吉浦委員 年金額の改定方法について伺っておきたいのです。
本改正案で物価指数が五%を超えた上昇または低下があった場合に自動的に改定することが実現したことは、これまた評価すべきであると思うわけでありますが、問題は、スライド基準となる物価が年金の価値を維持するための指標として正しいのかどうか、この点を最初に伺っておきたいと思うのです。
さて、今回、既裁定年金者も通算年金方式で算定がえが行われて、その年金の額がかなり減額されることになるわけでありますが、既得権あるいは期待権を裏切らないために、従前の年金額より少ない場合は従前の年金額を保障することとしたわけですが、これら既裁定年金者のベースアップを一定期間差しとめることとしたことは問題がありはしないかと思うわけであります。
また、施行日の前から引き続き組合員である者で既に受給資格いわゆる二十年以上を満たしている者については、施行日の前日に一たん退職したものとして現行法で年金を算定し、この改正法による新規裁定年金額と比較して高い方をとることになっているわけでありますが、おおむね共済方式の退職年金額の方が高いので、以後の期間は現職組合員として支払う掛金はいわば掛け捨てになるのではないかと思うわけであります。これについて何らかの救済策をとらなければ不公平ではないかと思うわけであります。この点どうなのか、お尋ねをいたしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/172
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173・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 年金額の改定の問題につきましては、実は当委員会におきましても従来から、物価上昇率のような客観的な指標をとるのがよいのではないか、そしてまたその都度法律改正ということではなくて弾力的に政令で対応できるようにした方がよいのではないかというような御意見をいただいておったところでございまして、今回の改正に際しまして、これは公的年金制度共通の措置でございますけれども、消費者物価によりますスライド制を取り入れたわけでございます。
ただいまお話のございました既得権の尊重ということで、今度制度改正によりまして新しい方式が導入をされました場合に、従来の共済方式で計算をした方が年金額が高くなる方につきましてはその水準を保障して、ただその水準に追いつくまでは物価スライドを足踏みさせるという仕組みにいたしておるわけでございますが、これは農林年金の受給者の方のうち八二%は通年方式でございます。したがいまして、共済方式から通年方式に裁定がえになる方は一七・六%という数字でございまして、それほど大きな割合ではないということをまず一つ申し上げたいと思います。
しかし、それにしましてもスライドの足踏みというのはお気の毒ではないかといった御意見、これは受給者の方々からも私ども何回か伺ったことがございますが、この点につきましては、やはり施行日以後におきます年金受給者と現役組合員との給付と負担の均衡、あるいはまた施行日以後に新しく年金を受けられる方と既に年金を受けている方との給付のバランスというような問題もございますし、それからまたスライドをやるということになりますと給付費もかなりふえてまいりまして、現役の組合員の方の負担が大きくなり過ぎるというようなこと等々ございまして、各共済制度共通の措置として、このようなスライドを一定の条件が満たされるまで停止をするという措置をとったわけでございます。その点をひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
それから、施行日前に二十年以上組合員期間がある方につきまして、やはり制度改正の節目のところで退職をした場合の年金額を計算いたしまして保障をする、そういたしますとそれ以後の掛金はいわば掛け捨てになるのではないか。確かに、施行日以後の組合員期間が、あるいは掛金の納付が給付に直接反映されないという点ではおっしゃるとおりでございますが、従前の年金額の保障措置と申しますのは期待権を尊重する趣旨から特別の措置として講じたものだということで、その点について御理解を賜りたいと思うわけでございます。
またそういった方でございましても、組合員である限りは、このような期待権の保障は受けた後に例えば不慮の障害を受けられるというようなことになりました場合には、障害年金につきましては御案内のとおり三百カ月、二十五年という分が保障されるというようなことがございますので、施行日以後の掛金が全く掛け捨てになるということではないという点もございますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/173
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174・吉浦忠治
○吉浦委員 加入者数確保あるいは経営基盤の強化等について伺っておきたいのです。
農林年金は、関係団体の経営基盤が脆弱で賃金水準も低いことから、年金支給額も社会保障水準以下にある者が多いのが実情でありますが、今回の改正によると掛金負担の上昇はこれら関係団体に対し一層重い負担を強いるわけであります。我が国農林漁業を取り巻く現状には厳しいものがあります。掛金負担の重圧等にも対応できるようにこれら関係団体の経営基盤強化が必要であると考えるわけでありますが、どのような対策を講ずるつもりであるのか、この点をまず最初に伺っておきたいと思います。
次に、農林年金制度が存続するためには加入者数の確保が不可欠であるわけでありますが、現状から見ますと団体経営の合理化に伴って職員のパート化あるいは系統業務の関連企業化などが進んでいって、加入者数が停滞をしているのが現状であると聞いているわけであります。一方、農業、漁業等の協同組合の経営悪化によりまして職員の削減での経営合理化が行われていること等もありまして、厳しい状況下にあるわけでありますけれども、加入者数の確保の対応をどのように進める所存なのか、この二点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/174
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175・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 御指摘の農林漁業団体の経営基盤の強化、これは現在状況がいろいろ難しいまた厳しいだけに、私どもも非常に大事な問題だと思っております。
この点につきましては、農林漁業団体というのはさまざまな団体が入っておりますのでなかなか一概には申し上げられないわけでございますけれども、やはり農山漁村のいろいろな状況の変化あるいはまた社会経済情勢の変化の中で、農林年金の対象となっております団体はおおむね農林漁業者の自主的な協同組織という性格を持っているものが多いわけでございまして、その責務を改めて確認をしまして、業務運営のあり方あるいは組合員のニーズにこたえた事業活動と経費節減といったことを通じまして経営基盤の強化を図ってまいることが必要ではないかと思っております。
中でも大宗を占めます農協系統組織におきましては、本年十月に三年に一度の全国農協大会を開催いたしまして、その中で経営の刷新、基盤強化ということについて、全国的な討議に立脚をいたしました決議を行っております。今後、この全国の意向をくみ上げた方針に従って実践を図っていくということにいたしておりますので、農林水産省としましても、こういった農協側の取り組みというものに対応いたしまして適切に指導してまいりたいと思っているわけでございます。
それから農林年金の組合員数の問題でございますが、御指摘がございましたように、近年組合員数が数としては停滞をしてまいってきております。これは農林年金の対象団体の範囲が、特別法に基づきまして自主的に設立をされた非営利法人、そして直接または間接の構成員が農林漁業者であって、またその業務が農林漁業者の社会的、経済的な地位の向上に直接連結をしているというものを農林漁業団体として、年金法の第一条で対象範囲を限定的に定めておるところでございます。この制度の考えておりますような基準に合致をしております団体はすべてカバーをされているというふうに私ども認識いたしております。
いろいろ関連の会社なり団体というものも取り込んで組合員の数をふやす努力をすべきではないかという御意見もあるわけでございますけれども、組合員の数と申しますのはどうしても未来永劫に増加をしてまいることはできないわけでございますし、対象団体を拡大いたしましても、一時的に組合員数が増加をする効果はございますが、将来的には年金受給者もまた増加をするということでございまして、年金財政という見地から見ますと、やはり制度としての長期的な安定をどう図っていくかということを考えざるを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/175
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176・吉浦忠治
○吉浦委員 併給調整について伺っておきたいのですけれども、従来の年金支給に当たって、同制度内はもとより異制度間においても併給調整を行ってきているわけでありますが、今改正案では原則として一人一年金として、画一的に併給を行わないというふうになったわけであります。
実際問題として、最近はとみに女性の社会進出が著しくなっておりまして、これは好ましい傾向であるというふうに思うわけでありますけれども、妻が共済組合員である間に不幸にして死亡された場合、配偶者である夫は妻の遺族年金を受け取ることができないわけであります。いわゆる妻の支払った共済掛金は本人並びに遺族は一銭も受け取ることがなく、掛け捨てになってしまうという制度上の矛盾を抱えているというふうに思うわけでありますが、これに対してどのような対策を講ずる所存なのか、伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/176
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177・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 今回の改正におきましてはいろいろなねらいを持っておるわけでございますが、年金受給者相互間における給付面の均衡を図るということも非常に大きな目的になっておりまして、年金の併給調整によりまして給付の重複等の問題をできるだけ解消していくということにいたしておるわけでございます。一人の方が二以上の年金を受けることができる場合には、原則としてその方の選択によりまして有利な一つの年金を支給するということにいたしておるわけでございます。そのような原則でやりますと、確かに一部に掛け捨てというような見方もできる事態が生じるわけでございますけれども、今後の高齢化社会を控えまして全体の年金財政が非常に厳しい中で、受給者間の均衡なりあるいは将来にわたる年金給付の安定化ということを頭に置きながら、必要性の高いところにできるだけ重点化をしていくということからこのような措置をとることにいたしておるわけでございます。
なお、この併給調整の対象になります部分はいわゆる厚生年金相当部分でございまして、職域年金部分は農林年金制度の独自給付ということで、他の制度との併給調整は行わないことにいたしております。
何と申しましても、農林年金を含みます公的年金制度は、世代間そしてまた同じ世代の中でも比較的恵まれた方、恵まれない方、そういった方の相互の扶助なり均衡ということを考えた仕組みでございますので、いわゆる民間の貯蓄的な個人年金とは違った側面がどうしてもございます。そういったことも含めて御理解を願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/177
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178・吉浦忠治
○吉浦委員 掛金負担について伺っておきたいのですが、農林年金は五年ごとに財政再計算を行うというふうになっておりまして、本年はその掛金の改定が行われる年であります。来年実施の手はず、こういうふうになっておるわけでありますが、現行の千分の百九が大幅に引き上げられることが予想されるところであります。また、本法改正によりまして、給付水準の引き下げによって軽減された面があるはずですが、それはどの程度で、総合するとどの程度の引き上げが見込まれるのか。団体職員の側から掛金負担割合の変更なり、あるいは労使の三対七の要望が強く出されておるわけでありますけれども、これに対してもどのような見解を持っておられるのか、お尋ねをいたしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/178
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179・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 農林年金の今後の財政の見通しということでございますが、現行の制度を前提にいたしまして今後五年ごとの財政再計算の時期にある程度掛金を引き上げてまいりましても、高齢化のピークを迎えます二十一世紀の昭和百年におきましては、現行の給付水準なり給付のシステムを維持してまいるというふうに仮定をいたしますと、現在の千分の百九という掛金率が約四倍程度になるというふうに推計をされるところでございます。今回の改正案によりまして給付水準の適正化を図ることにいたしますと、四倍程度になると今申し上げました掛金の相当程度、約四分の一程度の軽減は図れるものというふうに考えておるところでございます。
それから、掛金の労使の負担割合の問題でございますが、御案内のとおり今回の改正案でも従来どおり、労使折半という基本的な考え方は変えておりません。この考え方は、農林年金のみならず被用者年金の中核でございます厚生年金初め他の共済制度全般に共通をする割合でございますので、これを変更するということは難しいというふうに考えております。農林漁業団体におままして、事実上折半を超えて負担をしている団体もあることを私ども承知をしております。ただ、他方、赤字決算を行っているような団体も少なくないということもございまして、負担割合を制度として大きく変えるというようなことにつきましては、団体経営に及ぼす影響も少なからぬものがあるというふうに私ども見ておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/179
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180・吉浦忠治
○吉浦委員 国庫補助等についてお尋ねをいたしておきたいのですが、従来、農林年金は国庫補助が年金給付額の一八%のほか、財源調整費補助あるいは事務費補助等を合わせて約二〇%が補助をされて運営されてきているわけでありますけれども、今後は基礎年金拠出金の三分の一を補助するのみで、改正案では農林漁業団体の給付については補助しないことになっているわけであります。
農林年金では従来から国庫負担の増加を要請してきているところでありますが、国庫補助なしては健全なる運営に支障を来すのではないかということで、何らかの名目で補てんしなければならないというふうに思うわけでありますが、どのように考えておられるのか。また、財源調整費あるいは事務費相当分はどうするのか。さらに、農林漁業団体振興会からの助成金の取り扱いはどうなさるのか、この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/180
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181・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 改正後の農林年金に対します国庫補助につきましては、現在各制度によって異なっております国庫補助の不均衡を是正するということで、公的年金制度は基礎年金への拠出金の三分の一ということになりまして、農林年金制度につきましても基礎年金への拠出金の三分の一を国から補助をするということになりまして、農林年金のみの独自の国庫補助というものはなくなるわけでございます。この点につきまして、農林年金に国庫補助がなくなるというふうに今申し上げましたが、むしろ今までとの連続性で申しますれば、各種の公的年金制度の中の共通部分として基礎年金部分というものを取り出して、そこに共通的な助成をする、そして基礎年金以外の部分についてそれぞれの共済が掛金を徴収をして給付を行う、こういうふうに御理解をいただいた方がよろしいかと思っております。
従来、財源調整費ということで、農林年金については特殊の国庫補助がございましたが、これは実は厚生年金の補助率二〇%と農林年金の定率補助一八%との均衡上設けられたものでございます。したがいまして、今回国庫補助の仕組みがすべての共済年金につきまして一本化をされましたことに伴いまして存続の根拠がなくなりますので、これは廃止をすることにいたしております。
それから、農林年金の事務費に対する補助につきましては、いわゆる給付費等に対します補助とは性格を異にするものでございますし、制度の運営上必要な経費でございますので、今回の改正におきましても今後引き続いてこれを行うことにいたしております。
それから、振興会からの助成金につきましてもお尋ねがございましたが、この点につきましては給付費等に対する補助とは性格を異にいたしまして、農林漁業団体の自主的な拠出に基づきます事業の一環として、それが結果として農林年金にも役立っておるという性格でございますので、今後ともこれにつきましては予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/181
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182・吉浦忠治
○吉浦委員 本改正案は来年の四月一日から施行するというふうにされておるわけでありますけれども、我が国の将来の年金構想がいまだはっきりしない現在、種々の矛盾を包含する本改正案がすんなりと成立することは大変難しいのじゃないかというようなことも心配をいたしておりますが、もしも四月一日に間に合わない場合は現行法が適用になるわけであります。その場合、改正案で盛り込まれた改善事項が効力を発揮しないこと以外に、どのような不都合が生ずるのか、厚生年金との均衡がどうなるのか、この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/182
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183・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 今回の共済年金制度の改革と不可分の関係にございます基礎年金制度の創設なり厚生年金の給付の適正化のための法改正は既に成立を見ておりますので、今回この農林年金法の改正が六十一年の四月実施に間に合わないということになりますと、当面の問題としては農林年金の組合員の妻が無年金者の状態になりまして、民間企業の被用者の妻の場合と格差が生ずるという問題がございますほか、年金額の給付水準なり算定方法等に関しまして制度間における均衡が失われる。
それからまた、今回の改正が行われませんと、国民年金の新しい仕組みと共済年金の従前の仕組みが併存するというような形になりますので、調整が非常に複雑になりますし、別途に新たなコンピューターシステムの開発を行う必要も生じてくるというようなことで、事務処理上の混乱が生ずるのではないかということも懸念をいたすわけでございます。
そういうことでございますので、六十一年四月から実施されることがぜひとも必要だということで考えて審議をお願い申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/183
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184・吉浦忠治
○吉浦委員 時間になりましたので、最後に大臣に御要望を申し上げて終わりたいと思いますが、冒頭に申し上げましたように、藤波官房長官はこの共済四法案が衆議院を通過するまでに政府としての検討結果を報告したいというふうに述べてその連合審査が始まって、またその審議が重ねられてきたわけでありますけれども、この対応を誤りますと、安易な財政調整等に走ったならば、いわゆる公的年金に対する国民の信頼感が崩れてしまいやしないかと心配をするわけでありまして、二十一世紀に揺るぎない年金制度であり得るか否かという点がこの公的年金制度が今問われている理由だろうというふうに思うわけでありますから、しっかりした態度でひとつ臨んでいただきたい。
大臣に重ねてお願いをして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/184
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185・今井勇
○今井委員長 次に、竹内猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/185
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186・竹内猛
○竹内(猛)委員 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案に関連をして、私は制度的な面よりも、むしろ日本の農業あるいは農業団体、また農業団体に働く職員、そういうような立場から若干質問をします。制度的な面についてはまたそれぞれの委員からあると思いますから、そうしたいと思います。
けれども、その大前提として、今もお話がありましたが、重要な法案でありますから、一部は既に前国会で関連法案は成立した部面もあるし、今また連合で審査をしている部面もありますが、この問題は日本の農業あるいは農政に大きなポイントになる問題でもありますから、農業の展望等についても触れていきたい。
そこで、この法案を出してきている背景が、臨調の答申に沿って、財政の再建、歳出のカット、国庫負担のカット、掛金の引き上げ、受給者に対する給付額の引き下げ、こういうような方向にあるというように私は理解をしますが、暮らせる年金というような期待からは遠いものになるのではないか、既に多くの質疑の中からそういうように考えられますが、これは基本的に前進をしているのか後退をするのか、一体どういうふうになっておるのか、ちょっと最初にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/186
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187・佐藤守良
○佐藤国務大臣 竹内先生にお答えいたします。
先生御存じのことですが、我が国の人口構造というのはこれから高齢化社会へ移行していこうと考えております。農林年金制度につきましては、このような社会経済情勢の変化に対応するために、三つの点に配慮して対処する必要がある、こう思っております。
その一つは、公的年金制度全般の整合性を図ること、二つ目には、制度の円滑な運営を図るため、適正な給付水準を確保いたしますとともに、負担との均衡を図ること、また世代間の公平に配慮すること、三つ目には、制度の財政の長期的安定を図る必要があること等に配慮して対処すべきものと考えております。
具体的には、農林年金の組合員及びその被扶養配偶者についても基礎年金制度を適用し、農林年金の給付は、この基礎年金の上乗せの年金として、厚生年金相当部分と共済グループの独自のものとしての各共済の職域に着目した職域年金相当部分を給付することにいたしております。さらに、各種の給付条件、内容等につき、公的年金制度間の整合性を図るための措置も講じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/187
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188・竹内猛
○竹内(猛)委員 三つのポイントについて触れられたわけですが、各種の年金がそれぞれその成立の過程があり、団体及び職域ごとにいろいろ異なっておりますが、その重複やむだを整理して改革していくということは結構なことだと思うのです。
しかしながら、高齢者社会に対応して安心だということであれば結構だけれども、高齢者社会に向かって一体これが本当に安心できるのか。できないのか、こういうことになるとこれはどうも不安だという形になるのですが、安心できるという保証はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/188
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189・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 今回の制度改正によりまして、共済年金各種制度を通じまして基礎年金を導入し、その上に上乗せ年金として制度を仕組んだということでございます。
今後の組合員期間の伸長あるいは高齢化社会の到来ということを考えまして、基礎年金と上乗せ年金とを合わせて老後の生活の基本的な支柱たり得る給付の額ということを一方で考え、他方におきまして掛金を負担いたします組合員の所得と年金受給者の給付の額との均衡ということと両方をにらみ、現役組合員の標準的な方の給与の弟おむね七割程度というようなところを一つのめどにいたしまして、この仕組みと金額を設定いたしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/189
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190・竹内猛
○竹内(猛)委員 行財政改革の一つとしての財源の問題から考えてみて、これは高齢者社会との関連もあるが、現在よりは何としても前進するものではないということだけはどうもだんだん明らかになってきたようです。
そこで、いろいろな関係団体から私どもに寄せられている要請の中に、この法案は、日本国憲法第二十五条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という項目に対してどうも反しているのではないか、こういう厳しい要請があるけれども、これについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/190
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191・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 大変難しいお尋ねでございますけれども、憲法二十五条の規定では、社会福祉とか社会保障、公衆衛生、全体にたしか触れておったというふうに私理解をいたしております。
年金の給付水準につきましては、生活保護のように、国民の最低生活を保障するものとして、資産その他あらゆるものを活用してもなお生活を維持できない場合に保障するというようなものではございませんで、退職後の生活の基本的な支柱面として考える、必ずしもその給付のみをもって直接生活のすべてを保障するというものではないというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/191
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192・竹内猛
○竹内(猛)委員 理屈を言えばまだこれは切りがないわけで、そういう時間もないわけですから先に行きます。
今日の農林年金は、諸団体との関連で、年金を掛けている者とそれから退職をして年金を受ける者との関係、つまり受給者との関係において、現在では四十九万ぐらいの被保険者がおり、七万と、遺族なり障害者を加えると十一万ぐらいの受給者になるということだそうです。こういう関係になっておりますが、あと十年くらいたった七十年ごろになると、この関係はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/192
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193・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 農林年金制度のいわゆる成熟率という数字で申しますと、五十八年度末現在で一六・二%ということでございまして、組合員六・二人に対しまして退職年金受給者一人という割合でございます。他の制度と比べますと、国家公務員共済とか地方公務員共済よりは成熟率が低く、私学共済とか厚生年金よりは高いという形になっておりますが、今後の成熟の度合いを推定いたしますと、組合員の数はそれほど増加は見込みにくい反面、年金受給者は平均余命の伸長によりまして増加をしてまいりますので、昭和七十年度には二八・八%ということで、三・五人に一人というような割合になるものと見込まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/193
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194・竹内猛
○竹内(猛)委員 だんだん財源の方も厳しくなるし、もらう方が多くなるし、掛ける方が少なくなるということになれば、前途は大変厳しいものになる。これを克服する道とすれば、結局国の財政が負担をするか、あるいは掛金を掛ける者がふえるか、あるいはもらう方が少なくなるか、こういう三つぐらいしか問題の処理の仕方はないと思うのですね。
その場合に、被保険者というものがたくさんふえてくる、分子と分母の関係で分母がふえてくるという形になれば非常にいいわけですけれども、現在の農業情勢なり団体の傾向を見ると、これは必ずしもそうはなっていない、今の説明でもなかなか難しい状態になりますが、この関係は財政的にはどういうふうにとられるつもりですか。国が出すのか、あるいはもらいを少なくするか、掛金をふやすか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/194
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195・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 この問題につきましては、今回の年金制度改革の一番大きなもとに流れております考え方と申しますのは、それぞれの制度によりまして、程度の差、遅かれ早かれということはございますけれども、それぞれ成熟度が高まり組合員期間が延びるということによりまして、現在の仕組みで申しますと、そのままで参りますと、例えば、組合員期間が将来大体四十年というような期間に達する方が非常に一般化をしてくるというような段階になりますと、現役の組合員の所得に対しまして給付の水準がアンバランスになる、また、それを維持しようとすれば現役の方々に相当大きな掛金の負担をかけなければいけないということから、給付の適正化と負担を適正な限度の中におさめるということを一つの考え方の基本にして考えておるわけでございます。
組合員数をふやす、あるいはまたそれぞれの共済制度において対象の団体をふやしていくということも、もちろん一時的には組合員数をふやしまして財政に貢献することもあり得るわけでございますけれども、未来永劫に組合員数をふやしていくこともなかなか難しゅうございますし、いずれはふえた組合員の数というのは受給者の数の増加ということになってまいるわけでございまして、年金財政の健全化を考えます場合には、長期的な視野に立った給付なり負担の適正化ということを考えていかざるを得ないと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/195
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196・竹内猛
○竹内(猛)委員 実際は、今の見通しは例えば五年、十年、十五年というような先は非常に難しいのじゃないですか。どうですか、見通しは立ちますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/196
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197・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 農林年金制度は、今後を見通しますとこれからかなり成熟度が上がるテンポが速まってまいります。しかしながら、今回の制度改正を行いますれば、かなり時間はかかりますけれども、昭和百年というような時点を展望いたしますと、その水準では、高齢化のピークが過ぎる、ピークに達して、その後は人口構造の大きな変化が峠を越すというところまで何とか乗り切れて、財政も一応安定化をするという見通しを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/197
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198・竹内猛
○竹内(猛)委員 農業団体の職員の給与水準というものについて、これは公務員と違って定年制あるいは賃金の基準というものが経営の中で決められてくるわけで、同じ農業団体であっても中央と県と単協との間では給与の体系がいろいろな形で違っている。それで、大体市町村の役場ないし学校の給与に準じていく、官民格差というようなことがあるけれども、それを是正するためにはそういう方向をねらってきたわけですが、必ずしも実態はそこまでいっていない面もある。
そういうときに農業団体の職員が、これは農協を中心とするわけですけれども、現在四十九万ぐらいのものがなかなかふえない、ふえる率が少ない、むしろ老齢化する部分が多くなってくる、これをどのようにしたらふやすことができるのかという問題について何か考えたことはありますか。そして、その賃金の問題についても今はどの程度の状態になっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/198
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199・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 農林漁業団体の中で大宗を占めます農業協同組合というようなところをとってみますと、現在総合経営の農業協同組合の中で、収支の面で大きく支えておりますのは、何と申しましても信用事業、共済事業というようなところでございますが、こういった事業部門が金融の自由化という大きな変化の中で今後経営的にも非常に厳しい条件の中にさらされてまいるということを考えますと、経営基盤を強化しながら、できるだけ人件費比率というようなものについても、組織としての十分な活動をするための人材の確保ということは必要でございますから、できるだけ質の高い職員を確保するような努力をしながら、しかも全体の頭数としてはそう大きく職員の数をふやしていくことは難しいという状況が正直言って出ておると私どもも思っております。
それから、農林漁業団体の給与水準につきましては、御指摘のように年金で使っております標準給与月額ということで見ますと、五十八年度末で農林漁業団体が十九万一千円で、他の、例えば私学共済では二十三万三千円、地方公務員共済でございますと二十二万四千円ということで、比べますと一、二割低いというのが現状でございます。
これにつきましては、職場の立地条件によります地域差とか男女構成、平均年齢の差というようなこともございますので、なかなか一律には比較し切れないものがございます。ただ、同じ農村部に位置する団体としましておおむね同様の条件のもとにあります町村役場の職員なり町村の教育公務員の方々の給与と比較しますと、農林年金の対象になっております団体の中の郡部単位団体平均というところでの比較で見てまいりますと農業団体の方が若干高いという水準になっておりまして、町村レベルでの役場の職員なり教育公務員の給与とはほぼバランスがとれる水準に既になっておるというふうに私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/199
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200・竹内猛
○竹内(猛)委員 これが改正されたとすると、今まではやめるときの最終年の給与を基礎にして年金がある、今度は通年をしてやられると、明らかに低いのにかかわらずまたそれが低くなってしまう、これは事実でしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/200
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201・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 年金額の算定の基礎として使います給与の水準につきましては、退職前一年に比べまして今度は全期間平均をとるということでございますから、当然全期間平均の方が、よほど異常な方でない限りは必ず低いことは間違いございません。ただ、同時に年金の仕組みそのものが変わりまして、基礎年金制度が導入をされる、あるいはまた新しく加給年金が創設をされるというようなことで仕組み全体が変わってまいりますので、給与水準の今申しましたような変化というのが直ちに年金額全体に反映されるということではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/201
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202・竹内猛
○竹内(猛)委員 何としても国は財政を引き締めて、そして掛金を余計取って、受給者には給付を少なくする、こういう構想をどうも一貫して貫いているようだから、なかなかこれはいい改正だとは言えない。
そういう中でやはり一番問題なのは、日本の農業の将来、つまり農業団体の職員の働く場所である農業の将来というものについて私はこの際問題にしなければいけないと思うのです。八〇年代の農業展望というものを出されて三年目に立っているわけだけれども、既に養蚕にしてもミカンにしても、あるいは畜産物はある程度まで自給が高まったというけれども、それの基礎であるえさは依然として、国内でつくれば五百万ヘクタール以上のところでつくらなければやれないほど輸入をしている。
米はむしろ来年度も六十万ヘクタール既に減反をするという方向にある。一体、今日まで十年間ずつ二回にわたって米の減反をやってきたけれども、何が米にかわって水田に定着をしたのかということも言いたいじ、どれぐらい減反のために補給金や金を使ったかということも聞きたい。こういう点については、どういうふうに説明をされますか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/202
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203・関谷俊作
○関谷政府委員 水田利用再編対策の実施に伴いまして、今お尋ねになった中で、例えば水田ではどういうような転作による定着が図られているか、また補助金総額は幾らかということでございます。
補助金の額の方から先に申し上げますと、五十三年度から六十年度、今年度の当初予算額まで含めますと、補助金総額二兆五千七百八十七億円となっております。
また、いわゆる定着の成果でございますが、これはまだ第三期対策も含めて最終年度に至りませんが、今日までのところで見ますと、まず果樹など永年作物関係でございますが、これは過去に永年作物ということで奨励金を交付しまして、いわゆる奨励金交付期間を経過した、我々の方で定着という扱いになっているものが四万九千ヘクタール、このほかに現在奨励金が交付されているものが一万ヘクタールございます。それから林地、農業生産施設用地等への転換でございますが、これもいわゆる定着化と見るもの、交付期間を経過しましたものが三万八千ヘクタールございます。それから現在交付金交付中のものが三千ヘクタールございます。このほかに、今度第三期で取り扱っておりますいわゆる転換畑ということで、実際上畑地化しまして水稲の作付が不可能になっている転作田、これが全国で三万二千ヘクタールに達しております。
以上、私の申し上げました数字を全部足しますと、既定着が八万七千ヘクタール、それから六十年度交付対象のものが四万五千ヘクタール、合わせまして十三万二千ヘクタール、これがいわゆる従来の転作の関係で一応定着している、こういうふうに見ていいものの数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/203
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204・竹内猛
○竹内(猛)委員 お聞きのように、六十万ヘクタールというものを目標にされてきて、定着したのが十三万二千、そうすると四十数万ヘクタールというものは全く宙に浮いてしまって、何をどうしていいかわからないような状態にある。これからまた次の段階で同じようなことを先送りをしていくということになると、やはり農業の前途というものは非常に厳しい。しかも、国内における自給率というものは三〇%台を上回ったことはない。下回ることはあっても上回ることはない。
こういうようなことでは農業それ自体に生きがいと魅力を感ずることはできないし、まして資質の高い農業団体の職員がそこに定着することができないんじゃないか。こうなると、したがって年金もまた前進がないということになろう。
そこで、農林水産省も、しばしば私も要求しているんだが、八〇年代の農業展望というものに対して基本的に何か考えていく必要があると思うけれども、これはどういうふうにされるのか、この際やはり検討する余地があるんじゃないか。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/204
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205・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 現行の長期ビジョンにつきましては、策定役既に五年が経過しておりまして、先生からも再三、この間我が国を取り巻くいろいろな情勢が変わってきているので見直すべきじゃないかという御意見をちょうだいしているわけでございます。我々といたしましてもいろいろな問題意識を持っておりまして、近く農政審議会に現行長期ビジョンのこれまでの成果なり果たしてきた役割、あるいは現状、こういうものを分析、検討するために、いわゆるフォローアップ作業と称してございますけれども、こういうものを開始していただく予定にしております。
そして、この長期ビジョンを具体的に改定するかどうかという具体的取り扱いにつきましては、この分析、検討、フォローアップの結果を踏まえまして適切に判断してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/205
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206・竹内猛
○竹内(猛)委員 長期見通しというものをやはり基本的に見直しをし、そして新しい農政の方向というものを出さなければ、このままでいくと大変なことになってしまう。
私は前々から、私というよりも社会党の方では、この減反に対しては野党全体としてあのときに対案を持って臨んだわけなんです。それはやはりえさをつくるなりあるいは米の備蓄なりというようなことについて提案をしてきたわけですから、我々はただやみくもに反対をしたり意見を述べているわけじゃないのですから、我々の提案している意見にも十分に耳を傾けてもらいたいと思うのですね。
それで、この間に実際転作がどうにもならない地区がある。私どものところを見ても、霞ヶ浦周辺というのは、レンコンは確かに定着をしているけれども、水田というものはどうにもならないのですね、非常に地下水が低いですから。同じように、全国を見ても、信濃川なりあるいは庄内平野もそうでしょうけれども、大体地下水が低いところでデルタ地帯に米がとれているというのが普通のところです。そういうところから、現地ではプラスアルファの方式という、主幹作物を置いてそれにプラスをしていこう、こういう傾向がある。だから、従来のような形だけで農業をとらえないで、もっと多角的にとらえていく必要がある。
それから、土地改良においても、やはり田畑輪換の土地改良をしていく必要があるのじゃないか。七十五センチ地下水を下げて、そして水田から畑作にするなら畑作にする、そしてそのできたものについては調整をし、保護をし、それを伸ばしていくというようなことになるような、そういった努力というものは考えているかどうか、基盤整備の方向としてこれは考えなければならないことじゃないか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/206
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207・関谷俊作
○関谷政府委員 竹内先生のお尋ねになりましたのは、いわゆる水田転作をめぐります基本的な、基盤的な条件整備が必要で、そういうことを考えながらやるべきである、その具体的な例として田畑輪換あるいはそれを予定した基盤整備の方向はどうか、こういうお話でございます。
今、私ども、従来からも特に構造改善局の方にお願いをしまして、水田の利用再編成上の基本的な土地条件の整備ということになりますと、いわゆる排水改良的な意味を持ちます水田の汎用化を目的とした圃場整備事業、それから用排水分離等の効果として出てまいります田畑輪換に適した乾田化された水田、こういうものが大いにふえていくことがやはりこれからの水田の利用可能性を広げるという意味で基本的に大事なことだというふうに思っておりまして、これは第三期対策中も重点的にこういう関係の事業を伸ばしていただくようにお願いをしております。
またこれからも、まさに、今後の問題を考えますと、こういう基盤的な条件をつくりながら水田の利用可能性を広げていった上で幅の広い作物選択をしていく、こういうことがやはり基本的に大事でございますので、御指摘のような方向に沿ってさらに努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/207
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208・竹内猛
○竹内(猛)委員 きょうは農政論を余り議論してはいけないわけですけれども、農業団体に資質のいい職員というものを求めるためには、農業に展望と魅力がなければならないという立場からやはり農政の方向というものを追求しているわけですから、ひとつその点は十分にしっかり答えてもらいたいと思うのです。
次の問題は、政府の米の在庫というものが二十万トンしかないということを言う人がいます。これでは米の需給が非常に不安ではないのか、来年の末には米の在庫の見通しはどうなっているのか、また、第三期の対策として百四十五万トンの在庫目標を立てていたが、これは実現するのかどうか。我々社会党としては少なくとも備蓄の法案を出している、また農業に対しては基本の法律も出して、これによって農政の目標を出しているわけですが、農水省としては一体どういうふうに米問題については考えているのか。どうなっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/208
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209・石川弘
○石川政府委員 最初に、六十米穀年度の年度末の米の在庫の水準でございますが、これは先生も御承知のように、米全体の量が十月末に何トンあるというのではなくて、前の年から持ち越した米の量でございます。
これは当初、基本計画では四十万トンないし六十万トンと想定をいたしておりましたけれども、集荷の面で、一〇八という大変な豊作でございましたけれども若干水準が落ちているということ、それから、今まででございますと集荷が少なくなれば政府の売りが下がるという形でございましたが、四年続きの連年不作の後の豊作ということで農家段階あるいは流通段階での在庫調整が少し進んでいると思いますので、売れる方はそれほど落ち込んでおりませんでしたので、結果的には二十万トンを若干上回る水準で年度末の前年産米の在庫水準になるだろう。もちろん十月末には既にことしの米が二百八十万トン入れてありますから、二十万トンというのはいわば年度を越して持っている米の量でございます。
ことしは、御承知のように一〇五という豊作でございますと、五ポイント分というのは約五十万トン、それから転作緩和をいたしまして積み増しをいたします数量が四十ないし五十万トンという量がございますから、六十一米穀年度末の在庫量とすれば、この二十数万トンに約百万トン前後のものが乗るわけでございますので、百十数万トン程度の規模になろうかと思います。奥行きとしては十分なものだと考えております。
私どもは、備蓄に関しましては、一つはやはり災害と申しますか不作に備えるという面がございますが、この水準が著しく高くなりますと、新しく米を売っていきます場合に新米と持ち越し古米の競合が大変激しくなりまして、結果的に政府米が売れにくくなるという苦い経験がございましたので、ことし六十米穀年度からは御承知のように政府が保管いたしますものも低温管理をするということで、まず売りやすい米で保管をすることを考えております。
しかし、やはりおのずと古米の混入比率には限度がございますので、先生も先ほどおっしゃいましたように、三期の場合は百四十万トン前後というものを一応目標に掲げたわけでございますが、ほぼそういう水準に近い水準でいけるのではないか。問題は、やはり政府が持ちました米がうまく主食として運用できるような幅であり、かつ先生も御心配になっているそういう不足時に備える、その両方のバランスを考えて今後とも運用するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/209
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210・竹内猛
○竹内(猛)委員 この米の問題についても、やはり依然として農業の中心が米であり、米が食管の問題との関連で今非常に揺らいでいるような感じもする。したがって、米問題なり、あるいは米に似たようなものがこのごろ外国からどんどん入ってくるということも聞いているわけですが、これはまた別なところで議論をすることにして、次の問題に入っていきます。
農業諸団体のあり方の問題についてこの際質疑をしていきたいと思います。
農協の合併促進という問題が最近各地で言われています。私の茨城県では、百十二の農協をこの三年間ぐらいに十七から二十三ぐらいにしようということで、あるところでは組合員戸数三千戸を単位に一農協、貯金残高三百億を単位にして一農協というように、農村地帯は金で、山村地帯は農家でということであります。ところが三千戸の農家を持つ農協といったらこれは大変なものですね。こういうようなことについて、これはそういうふうに進める方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/210
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211・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 現在の農協系統組織の中で、ただいま全国農協中央会の会長の諮問機関でございます総合審議会等におきまして、金融自由化などに対応します農協の経営体制なりあるいは業務機能の整備強化をどうやっていったらいいかというようなことの議論が行われております。
ことしの十月に総合審議会答申なども出ておるわけですが、その中で、合併の目標規模といたしまして、経済圏、生活圏、事業量、経営効率等も考慮した上で、正組合員戸数三千戸以上というようなものを最低規模目標にする、なお、都市化地帯等地域によっては、三千戸というのはなかなか難しいというようなところにつきましては貯金残高三百億円以上というようなことを目標に掲げながら、特に、当面市町村区域未満の農協なり正組合員戸数一千戸未満の農協の合併をまず強力に推進をするというような方針を掲げております。
これは御指摘の三千戸なり三百億円というようなものを全国的に機械的に適用するということでは必ずしもございませんで、この答申の中でも、具体的には各県において実情に即して合併目標規模等を設定する必要があるというようなことが前置きで述べられております。県段階におきましては合併推進方策を策定をしまして、その際にいろいろな条件も勘案をして、地域の実情を反映をして決めるというようなことになっているわけでございます。
私ども農林水産省といたしましては、やはり基本的には、最近の社会経済事情の変化あるいはまた金融自由化の進展等に対応しまして系統農協の経営基盤を強化するためには、合併の推進が重要な方策であると考えておるところでございますが、団体のこういった動きも十分見守りながら、地域の実態に即した自主的な合併の推進については、私どもの方も側面から適切な指導なり支援はやってまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/211
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212・竹内猛
○竹内(猛)委員 これは大変重大な問題だと思うのですね。私は前々から本委員会で、ちょうど内村さんが経済局長のころに、農協のあり方について検討してもらいたい、都市だけ相手にしている農協がまだあります、それから今度は都市と農村とを混合したような混合農協みたいな形の地域がある、それから農業を中心としている全く農村的農協がありますね、こういうふうに三つぐらいに分けて、このあり方等あるいはまた専門農協との関係、こういうようなことについて検討してほしいということを要求したが、いまだにこれは答えは出ていないんです。そのままになっている。
そういうときに、今大型農協の形が出てきた。五十八年で、三千戸の農協というと三百三十一で七・六%ぐらい、三百億の貯金残高を持っている農協というのは六十年で四%ぐらい、ほとんど全国の農協をみんなどこかへくっつけなければそういう農協にはなっていかない。そうすれば確かに組合長の数は減るかもしれない、また職員もふえる可能性はないですね。やはり人件費を減らそうという形で減らしていくのじゃないか、こういうことになるだろう。
茨城県ではついこの間農協の大会があって、農協の労働組合がチラシをまいています。「貯金、共済に宝石から墓石まで……」農協が取り扱っている。「“儲かるならば、なんでも”」「いっそうすすむ“農協ばなれ”」。農協というものは一体本来の原点は何だ、こういうところに立ったときに、経営主義に陥ってしまった。農民から離れた農協というのは余り意味はないじゃないか。だから、ここは農協をよっぽど指導してもらわなければまずいと思うのですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/212
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213・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 農業協同組合は農業者の自主的な協同組織でございますので、そういう原点を常に忘れずに事業の運営なり活動をやっていく必要があるということにつきましては、私どもも同じように考えておるところでございます。
今お話がございましたが、農協の経済事業につきまして、一部に過剰な農機具の売り込みをやる、あるいはもうかれば何でもやるということで、農協の本来の原点を忘れているのではないかというふうな御指摘でございます。私どももそういう批判があることは承知をいたしております。
ただ他方、農協の経済事業の部門別の純損益というようなことから見ますと、経済事業部門は一般的には赤字ということでございまして、農協を取り巻く環境が非常に厳しい中で経営を進めていかざるを得ないという状況の中で、特に最近金融の自由化もそうでございますし、あるいはまた経済事業関連のいろいろな事業分野においても競争が非常に厳しくなるという中で、どうやって経営の基盤を固めながら経営的にも確固たる発展をしていくかということを考えていく必要も一面ではあるわけでございます。
ただ、御指摘のような行き過ぎた事態が起きました場合には、必要に応じて私ども適切に指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/213
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214・竹内猛
○竹内(猛)委員 適切に指導していきたいということは結構な言葉ですが、さてそれでは、経済連や全農のあり方についても私はこの際ひとつ質問しておきたいし、指導を求めたい。
五十三年六月十四日の衆議院農林水産委員会では、鶏卵の需給と価格の安定という問題について、イセ、タケクマを中心とした大型のやみ養鶏に対して、参考人としてここへ呼んで厳重に注意を与え、そしてここで決議をいたしました。農家養鶏を育成し、やみ養鶏については一定の取り締まりをする、あるいは罰則というかそういうことをする、生産調整を守らない養鶏家についてはこれを抑えていく、企業養鶏を抑えなければならない、こういうことでしばらく守られてきた経過があります。
ところが、五十六年ごろからまた企業養鶏があちらこちらにあらわれてきて、農家養鶏が倒産をする、こういう段階になってきて、各地からこれは法制化をしなければならないという強い要請がありました。各党ともいろいろ話し合って、過ぐる六月二十五日、第百二国会の終了する日に、鶏卵の需給の安定に関する法律案を本委員会に上程をしております。
そういう経過の中で、企業養鶏のタケクマは六月十二日に百十数億の負債を出して倒産をした。そして今、会社更生法によって更生をしようとしております。この負債の中で、経済連、全農、組合貿易がこれに対して大変力をかしておる。農家の利益を守るべき農協が、安定法については深い関心を示さないで、大口のえさを売ることについては非常に熱心で、中小の養鶏家が倒産をしたり自殺をしてもそれは横目で見る、こういうような状況の中で全農に対する不信が高まってきて、過ぐる全農の総会においても各地から意見が出て、それをどういうふうに処理したか知りませんが、いまだにこの問題は残っていると思います。
私はきょうはその議論をするわけじゃない。畜産の問題であるならば別のところでやるけれども、畜産の問題としてでなしに、こういうことが現にあるのですから、これを許していたのでは農協から農民が離れる。私は農協を愛するがゆえにこのことを言う。農協が大事だから、こういうことをしてもらっては困る。その監督機関である農林水産省がこの問題について一体どういう指導をされたか。これでは農民から批判が来るのは当たり前だ。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/214
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215・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 全農の諸活動につきましては、私ども、農業協同組合の各種の事業にわたりまして全般的な指導監督をやっているわけでございますが、あわせて、個々の事業部門につきましてはまたそれぞれの、例えば畜産物なら畜産物に関しましてのいろいろな指導もあるわけでございます。
私どもの立場といたしましては、今お話ございましたけれども、全農の組織原理あるいは本来的な役割を逸脱をして、ややもすれば一般商社的な経営主義に傾斜しているというような御批判は、全農としても謙虚に受けとめてその事業活動の態度の中に生かしていく努力を行うべきであると考えております。具体的な事業運営の適正化に当たりましては、それぞれ個別の具体的な問題に即しまして、必要に応じて検査の指摘なり一般的な指導の中でその改善の努力を進めるように努めてまいりたいと考えております。
〔委員長退席、島村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/215
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216・竹内猛
○竹内(猛)委員 これは大臣にも要求するが、ぜひ農水省の中で農協の組織に関する検討委員会をつくって農協の組織問題について十分に検討してもらいたい。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/216
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217・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 先ほど申し上げましたように、ことしは三年に一度の全国農協大会がございました。また、最近の経済状況の変化というものに対応しまして、今、全国農業協同組合中央会におきましても今後の経営体制あるいは業務のあり方についていろいろ検討をいたしております。
私どももそれらに対応いたしまして検討を進めておるところでございます。系統農協のコンセンサスづくりというようなものと並行いたしまして、今後必要に応じて各種の分野で農協の業務の適正な執行あるいは健全な発展のための努力を積み重ねてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/217
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218・竹内猛
○竹内(猛)委員 農協の問題についてはいろいろ話をすれば長くなるが、もう一点だけどうしても我慢できない問題があるから、ぜひこれも検討してもらいたいと思うのです。
十月に開かれた農協の全国大会を前にして、竹内直一氏が主宰をしている日本消費者連盟が公開質問状を出した。それには何項目がありますけれども、「「農協の総合力発揮」について」という七項目目の三番目に、政府や政党への依存体質が強いように見受けますが、自立するような方針に転換ができないかどうか、こういう質問に対する農協の方の岩持会長の回答があります。その回答を見ると、農協は政府や政党への依存体質が強いように見受けられる、そういう御指摘でありますが、農協は農民の経済的、社会的地位の向上のための組織で、そのために必要な政策の提言を行い、また政策改善を求めて政府や政党に働きかけることがありますが、その場合でも、政党に対しては組織として等距離、等間隔、政治的中立の立場を貫いております、こういうふうに言われておるのです。
ところが、現実に、私は農協に対してもよくいろいろ発言をするし、世話にもなっていますが、一般に見ると、農協というのは自民党の担ぎ屋じゃないのか……(「ノー、ノー」と呼ぶ者あり)いや、実際そういうように見られているんだよ。だから、本当に政治的中立であるならば、なぜ農協の大会のあいさつに各党を呼ばないんだと……(「いや、呼んでいる」と呼ぶ者あり)いや、呼んでないですよ。あるいはある団体は野党などにはもう全然そっぽを向いている、こういうことでは中立ということにはならない。やはり中立であるならば、あらゆる政党を平等に呼んで、それぞれの党からの意見を聞いてやる。それは、野党が心もとない、頼りにならないからそんなものはどうでもいいと言えばそれだけの話だけれども、やはりそれでは困るのです。農協というのはすべての農民の経済の代表であり利益の代表であるとするならば、政治的には、一つのところに偏って——特に最近は、これは自民党の皆さんには恐縮だが、いつの間にか自民党党員にさせられちゃって会費を払っている人が組合員にはたくさんいるんだよ。いや、それは構わないですよ。政治的にはどこに入ったって構わない。それは思想、信条の自由ですからね。憲法の問題で構わないが、それならこういうようなことを余り白々しく書かない方がやはりいいんだな。
そういう点でも私はいろいろ意見がありますから、ぜひこの点についても一緒に検討して、農協の指導を、もう少しすべての者が信頼できるように門戸を開いてもらわなければいけないということを、農協を愛する一人としてここで発言をしておきます。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/218
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219・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 ただいまお話のございました消費者団体と全中とのやりとりでございますが、これは、両団体の間でそういうやりとりが行われたということにつきまして、私ども農林水産省としてどうこうということを申し上げる立場にはないというふうに考えております。私も今ちょっとお伺いをいたしましたけれども、岩持全中会長のお答えは大変立派なお答えではなかろうかというふうに拝聴をいたした一ところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/219
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220・佐藤守良
○佐藤国務大臣 竹内先生にお答えします。
先ほどちょっと農協と全中の問題がございましたけれども、農協も大変経営状況が厳しくなっているということで、ややその気味はあるかと思いますが、そういう点は謙虚に受けとめたいと思っています。
それから、全農につきまして私が非常に敬服しておるのは、先般来の、例えば肥料の問題、飼料の問題、特に今度は来年一月から農業機械の改定につきまして、私が断固成立と言いましたら、押し通しました。そんなことで、いい点もあるという点を御理解願いたいと思うわけでございます。
先ほどの岩持さんと竹内さんのやりとりなんですが、実は私は先生と認識が違うのです。与党で非常に非難がありますのは、全中を含めて農協が全野党によく陳情しておるということで、その意味におきまして、しかも各地に行きますと、農協の幹部はやや自民党寄りな感じで下は全部違う、そんなこともございまして、そういう非難も強いということを御理解願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/220
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221・竹内猛
○竹内(猛)委員 そういうこともありますから、だからよく調査をして、その岩持会長のような結果が出るように望みたいということで、要望しておきます。
最後に、自治省来ていますか。——自治省にお伺いするわけですが、五十八年と六十年の段階で、農業改良普及員及びそれに類する農業委員会とか生活改良普及員とか養蚕の関係、そういう団体に対して、本年の予算で言えば五百九十七億円の金について、これは定率から定額に変えて交付をしている。
団体からの最近の要請によると、地方財源を抑えておいて、一方において地方財政が豊かだからということで、それではひとつ込みにして県なら県におろして、そこで生活改良普及員とか養蚕とか漁業とか農業委員会に使わせようというような動きがあるやに聞いているけれども、これはそういうことをされては大変困るので、今、委員会をつくってというようなのは困るのですね。法律で審議をして決めたことを、勝手にその辺の行政の分野でやられては甚だぐあいが悪い、これはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/221
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222・鶴岡啓一
○鶴岡説明員 お答え申し上げます。
改良普及員等の職員等のいわゆる設置費の補助金につきまして、いろいろな経緯がありまして、五十八年あるいは六十年度に交付金化されてきていることはおっしゃるとおりでございます。
問題は、六十一年度以降のあり方の問題でおただしがあると思いますが、御案内のように、昨年、国と地方の間の補助金のあり方につきまして非常に議論がありまして、生活保護等の補助率につきまして大変もめた結果、暫定的に補助率を一割カットするという形で六十年度予算が執行されているわけでございます。その際、六十一年度以降の地方公共団体に対します補助金について、事務事業のあり方等を見直して基本的な結論を出す、そういうことで、現在、政府部内で検討が行われているわけでございます。
自治省なり地方公共団体の立場としましては、単なる補助率のカットというのは国の財政事情を一方的に地方公共団体の方に振り向けるものだ、もし国の財政事情が厳しくて国庫補助金を整理合理化するのであるとすれば、既に同化定着している補助金について地方公共団体側で責任を持って予算を組むから、そういうものについて補助金を整理する、そういう整理のやり方から補助金整理に入ってもらいたいという主張をしているわけでございます。
その一環としまして、決して私どもはそういうものがなくなるのが望ましいとかという判断に立っているわけではありませんが、来年度以降も、巷間伝えられますように、公共事業を含めまして財政当局の方では昨年以上の補助率カットを内々には提案されてきております。私どもは、そういう単なる国と地方の財政事情、国の財政が苦しいから補助率をカットするということは到底のめない、そういうことをやるのであれば、申しわけございませんが、例えばこの普及員等について、知事が任命権者で現に普及事業をやっておりますので、そういうものは交付税できちっと財源手当てをしてやるから、そちらの方から検討に入ってもらいたいという主張はしておりますが、決してそれを望んで主張しているわけではございません。現在はそういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/222
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223・竹内猛
○竹内(猛)委員 これはやはり農業委員会にしても、あるいはみんな農業団体のこの法律に関係をするものでありますから、ぜひこういうものを打ち切るというような、現在進められているような、一部で言われているような、危惧するようなことのないように、ひとつ自治省の方でも取り扱ってほしいということを要望するし、農林省当局においてもしっかりやってもらいたいということを要求して、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/223
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224・島村宜伸
○島村委員長代理 小川国彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/224
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225・小川国彦
○小川(国)委員 私は、この年金法の抜本的な改革に当たって、きょうは厚生大臣の出席もいただきましたので、厚生大臣の所管事項、農林水産大臣の所管事項、両方に関係する部分、それから年金全体の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。
最初に、前回、我が党の島田委員の質疑の中で本委員会の質疑が中断したというような形になっているわけであります。その問題は、御承知のように国鉄共済年金救済に関する問題でございまして、これについては政府見解を統一するということになっているわけであります。増岡厚生大臣も佐藤農水大臣もそれぞれ関係閣僚としてこの作業に当たっておられると思うのでありますが、この国鉄の救済措置について、政府としてどういう措置が講じられる見通しができているのか、まずその点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/225
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226・増岡博之
○増岡国務大臣 連合審査会におきまして官房長官が御質疑に対してお答えをする案は、実はその後何回も会合を重ねておりますけれども、いまだ決定をしていないわけでございますので、従来からの答弁の繰り返しになって恐縮でございますけれども、国鉄共済問題につきましては、国鉄改革の重要な一環として、その改革の具体化に応じて対応しなければならないと思っておるわけでございます。これまでの経緯を踏まえつつ、従来からの国家公務員その他の方々の財政調整計画のあり方の見直し、あるいは関係各方面の役割等について検討することと同時に、やはり年金の一元化の観点から所要の検討を行わなければならないということであります。
その際にも大事なことは、やはり関係者の理解と国民の合意が得られるような議論を重ねていかなければならない、その結果としての対策を見出していく必要があろうということでございまして、これも、昭和六十一年四月から新制度が発足するわけでございますので、その後におきまして、所管省を中心に政府内部で協議を重ねてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/226
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227・小川国彦
○小川(国)委員 問題は、もう少し具体的に今国会の終了までに統一見解を出すということになっているのですが、私ども今この四共済法案を一斉に審議をしているわけで、その中では避けて通れない問題であるということで、その統一見解の出る時期というものは一体いつごろに予定をされているのか。各常任委員会の審議もかなり山場を越えつつあるわけなんですが、この委員会終了の時点で出るのか、あるいは臨時国会の終了の時点の十二月十四日までかかるのか。それから、今まで何回か会合をいたしましたということなんですが、何回くらい会合が行われて、その中ではどういう方向が出てきているのか、結論の出る時期ももう少し明確にしていただきたい、こういうふうに思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/227
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228・増岡博之
○増岡国務大臣 先ほど申し上げましたのは、連合審査会におきまして官房長官が大原委員の質問の趣旨を踏まえて誠心誠意検討して云々のことは、ただいま御審議をいただいております法案が衆議院を通過するまでに検討結果を報告したいということでございました。
その後四、五回は関係閣僚会議を開いて協議いたしておるところでございますけれども、それぞれの立場というものがございますので、いまだその妥協点を見出し得ないという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/228
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229・小川国彦
○小川(国)委員 この国鉄共済の問題について、厚生年金、国民年金を所管している厚生大臣として、この前島田委員に対する答弁の中では、いろいろ国鉄共済の赤字の問題についてもよって来る原因というものはある、そういうものについてはやはり十分検討を加えてみなければならない、しかしまた、それについても国民全体でそれを考えるということも必要だがということなんです。
前段に、国鉄の赤字のよって来るところについてもやはり検討を加えなければならない、こういうくだりがあったように記憶しているのですが、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/229
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230・増岡博之
○増岡国務大臣 私、定かに覚えておりませんけれども、よって来る原因というよりも、国鉄が再建監理委員会の意見に従って分割され、財産その他のことも記されておりますので、そういう経過を見てという意味で申し上げたのではないかというふうに思います。そういう経緯を見てということは、先ほど申し上げました国鉄改革の具体化に応じてということと同じ趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/230
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231・小川国彦
○小川(国)委員 もう一遍時期の問題ですが、法案が衆議院を通過するまでということになりますと、この四法案が衆議院で本会議に提出される時点まで、採決にかけられる時点までにということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/231
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232・増岡博之
○増岡国務大臣 文字どおり解釈しますと本会議までということになろうかと思いますけれども、常識的に解釈しますと、委員会の議了までということにお考えいただいて結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/232
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233・小川国彦
○小川(国)委員 ただ、この問題が現実に委員会の中で焦点となったればこそ島田委員の質疑の中でも中断するという事態になったわけなんですから、これを可及的速やかにもっと早く出す、少なくとも委員会審議が行われている中で統一見解が出るということが望ましいわけであります。これはもう一段の努力を願いたいと思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/233
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234・増岡博之
○増岡国務大臣 私どもは当初、先ほど申し上げましたようにこの法案が御審議いただいて成立しまして、基礎年金部分が導入される来年の四月以降、それから十年間、昭和七十年までの間を年金一元化というふうに考えておったわけでございますので、それをうんと早めて話し合いをしておるわけでございますので、なかなか難航しておるという事情も御賢察をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/234
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235・小川国彦
○小川(国)委員 それではその点はさらに促進をお願いして、先ほどのお話のように委員会の終了時点までにひとつ政府の見解が出るように、これは農水大臣もよろしゅうございますか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/235
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236・佐藤守良
○佐藤国務大臣 小川先生にお答えいたしますが、今、増岡厚生大臣が話されたとおりでございまして、昨日も夜遅く関係閣僚集まって協議いたしたというようなことでございまして、今おっしゃったように、早急に結論を出すべく最善の努力をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/236
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237・小川国彦
○小川(国)委員 次に、国鉄の総裁がお見えになっているかと思いますが、国鉄共済の問題については、国鉄に働く労働者の皆さんが年金の支払いのめどがたっていないということでその将来に非常に不安を感じている。自分たちは労働者として一人一人が一生懸命職場で働いてきているのに、その年金がどこで責任を持つのかわからぬという事態に対しては大変遺憾であるということを、働いている労働者の皆さんが痛切に感じているわけなんですが、その点について国鉄としてはどういうふうにお考えなのか。
それからもう一つ。副総裁ですね、お見えになっているのは。私は国鉄総裁に出席要求をいたしたのでありますが、国会の委員会の審議は最優先ということなのですが、総裁は今の時間、どこで何をしていらっしゃるのか。どういうわけで副総裁がお見えになったのか。その経過はどういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/237
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238・橋元雅司
○橋元説明員 副総裁の橋元でございますが、お答え申し上げます。
本日、総裁はまことによんどころない事情がございまして、この問題の重要性は重々認識いたしておるわけでございますが、どうしても都合がつかないということで、私、かわって出席させていただいたわけでございます。そのよんどころない事情につきましては、ちょっと申し上げることは控えさせていただきたい。どうぞ御容赦をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/238
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239・小川国彦
○小川(国)委員 国会の開会中はいかなる大臣でも国会が最優先でございまして、国会以上重要な審議機関というのはないはずなんですよ。それはどの委員会であれ総裁に出席要求があった場合には、やはり第一義的には総裁が出席するのが当然なんですよ。
皆さんの事務当局は、総裁という要求をしたのに常務理事、その次に副総裁。総裁は何で来られないのか。では、国会よりも重要な会合というのは、どこでどういう会議が行われているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/239
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240・橋元雅司
○橋元説明員 私もちょっとつまびらかでございませんけれども、事情につきましては申し上げることをちょっと控えさせていただきたいと思います。大変申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/240
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241・小川国彦
○小川(国)委員 そういうことでは副総裁の役も勤まらないんですね。例えば、議員が公的な会合に出られないという場合に秘書や家内が代理で出ますときは、きょうは議員はこういう用事で出られない、したがって私が代理で来た、必ずこういうふうに明確に申し上げられるんですよ。
だから、副総裁がかわりに出てくるからには、総裁は例えばこの四時半からどこそこでこういう公的な会合があって、こういう場所に出席をしていて出られないので私が出てきた。ただわけもわからずに出てくる副総裁もないと思うんですよ。どういうわけで出られないということをちゃんと承知して出てこなければ、何で来られないのか、この時間にどこで何をやっているのか、そういうこともわからないでは、国鉄の内部が大変な赤字を生んできたように、こういう国会に対する対応一つをとってみても対応ができてないと私は思うんです。しかも、私が国鉄に尋ねるのは極めて短時間だということも言ってあるわけです。
運輸委員会にはお見えになっていたんではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/241
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242・橋元雅司
○橋元説明員 確かに運輸委員会には出席させていただいておりました。私も外で所用がございましていろいろやっておりましたところ、急速呼び出されたわけでございまして、事情については承知いたしておりませんが、先生の御趣旨、総裁にもよく伝えてまいりたいと思っております。どうぞ御容赦いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/242
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243・小川国彦
○小川(国)委員 国鉄総裁に対して当委員会からも厳重注意をしてもらいたいと思うのです。
国会に出られないときには、当然、それ以上の重要な会合が設定されているということならば、どこでどういう会合に出ているかということをはっきりしてもらいたいんですよ。そうすれば私どもも、そういう重要な会議が設定されているならばそれはやむを得ないということで納得するのですが、理由なしにただ出られないというのは、これは国会軽視と言われても仕方がないんですよ。しかも運輸委員会につい先ごろまで出ていて、しかも出てほしい時間は四時半から十分か二十分という限られた時間です。その時間にどこで何をしているかということもわからぬで、副総裁も出てくるはずないと思うんですよ。総裁がこういうわけで来られないからということは聞いてないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/243
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244・橋元雅司
○橋元説明員 ちょっと聞いておりません。ちょうど行き違いでございまして、大変申しわけないことでございますが聞いておらないわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/244
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245・小川国彦
○小川(国)委員 あなたの国会担当の部下も、あなたに対して、総裁はこういうわけで出られないからという伝言はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/245
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246・橋元雅司
○橋元説明員 大変申しわけございませんが、私、今ちょうど飛び込んでまいったばかりでございまして、その点、つまびらかでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/246
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247・小川国彦
○小川(国)委員 これは、私は質問の内容に答えるかどうか以前の問題だと思うのです。ですから、副総裁もただ部下に言われたから出てくるのではなくて、副総裁ともあろう人は、総裁が出られなくてかわりに出てくる場合には、総裁はどこへ行って、こういうことのために私がかわりに来たということをちゃんと説明できるというのは世の中の常識なんですよ。そういう常識的なこともわからぬで、ただ部下に言われたからほいほいと出てくる、私はこういうところから国鉄当局のいろいろな問題に対処する不手際というものが出てくると思うのですよ。
私は今後、たとえ農水委員会であろうとも、総裁に対して出席を求められたときには、明確な理由があれば別ですけれども、そうでなければ、みだりに交代をするということは許されないと思うのです。その点ひとつ……。
それから、おたくの事務当局も、私が総裁と言ったのに常務理事だ、常務理事ではなくて総裁だと言ったら、では今度は副総裁だ、バナナのたたき売りじゃないんですよ。やはり責任者が出るときはきちんと出る、出られないときはこういう理由でかわるということを、常識的なことですからひとつこれからきちんと対応してもらいたい。これは委員長からもひとつ厳重注意をしていただきたい。
それから、念のために、きょう総裁は今の時間どこに行っていたか、ひとつ後ほど報告をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/247
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248・橋元雅司
○橋元説明員 以後よく注意をさせていただきます。また、後ほど御報告させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/248
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249・小川国彦
○小川(国)委員 次に、国鉄の職員の皆さんが年金問題に対して、国鉄の年金処理をどうするかということを懸念していらっしゃるときに、国鉄としては関係省庁なりに対してどういうような自分たちの働きかけをし、この問題の解決のために対応されているか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/249
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250・橋元雅司
○橋元説明員 私どもの共済年金につきましては、本年度、六十年から六十四年にかけましての財政調整計画に基づきまして、国家公務員あるいは日本電信電話それから日本たばこの各共済から財政援助をいただいておるところでございます。大変感謝を申し上げております。
確かに先生がおっしゃいますように、職員がいわば肩身の狭い思いをしておるということでございまして、私ども職員に対して何とか心配をかけないようにということで、いろいろの努力をいたしているところでございます。
ただ、こうした他共済からの財政援助をちょうだいいたしておる現状でございますので、まことにやむを得ないと申しますか、職員によくその点を理解してもらいたいということでございます。また、私ども経営を預かる立場にある者といたしまして、その点不安のないように万全を尽くしてまいりたい、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/250
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251・小川国彦
○小川(国)委員 国鉄共済の救済問題について、国鉄としてはどういう取り組みをし、関係省庁への理解なり協力を求めているか、その点はいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/251
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252・橋元雅司
○橋元説明員 昨年、五十九年度でございましたか、閣議決定がございまして、その線に基づきまして、一元化のプロセスの中でいろいろ抜本的な御措置を講じていただくということで、私どもとしては、ひたすらお願いを申し上げておるという立場でございます。どうぞよろしく御指導をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/252
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253・小川国彦
○小川(国)委員 ひたすらお願いはわかるのですが、皆さんとしては、例えば運輸省に対してあるいは関係省庁に対して、救済に対する説明とか、理解、協力を得るという努力は、具体的にどういうふうにされているのかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/253
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254・橋元雅司
○橋元説明員 具体的な手だてにつきましては、いろいろ御意見があるようでございまして、私どもの立場といたしましては、そのようないろいろな問題点につきましてよく御説明を申し上げましてお願いを申し上げておる。今後とも全力を尽くしてそういったお願いを申し上げたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/254
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255・小川国彦
○小川(国)委員 総裁の行方がわからないと同じように、あなたの答弁も雲をつかむような答弁で、国鉄が今御承知のように毎年四百六十六億国公共済からの援助をもらっている。そして、それでも今後二十万人体制に移行する中では推定で一千億くらいの赤字がまた増大していくという状況にあるわけです。
これは、農林共済にしろ私学共済にしろ、それぞれの共済が、担当者、経営者が労働者とも一体となって非常な努力をして今日までやってきた。ところが国鉄の場合には、これは私は労働者よりもむしろ経営者側の責任が大きいと思うのですが、膨大な赤字をつくり上げてきた。その中には、まだその赤字の実態も極めて不明なものも多い。そういう状況がある中で、これから皆さんの共済の問題は、単に国公だけでなくて地公なり厚年、私学、農林なり、全的統一の中では共済全体の協力がなければ解決でき得ないところまで来ているのではないかという状況にあるわけです。
それだけに皆さんの方も、共済の実態なり国鉄経営の実態なりを明らかにして皆さんの理解、協力を得る、ということは、もう少し具体的に、いつどういうことを会議をし、いつどういう相談をして、どういう省庁にはどういうふうなお願いをしているということが副総裁の頭の中になければならないのですよ。今伺っていると何も具体的なことがない。ですから、先般厚生大臣の答弁の中にあったように、国鉄のよって来るところもどういうところに問題があるのかもっと明確にならなければならないという答弁も出てくるわけです。そういう点も踏まえて今後もう少ししっかりやってもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/255
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256・橋元雅司
○橋元説明員 先生の御趣旨はよく承知いたしておりますので、今後さらに努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/256
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257・小川国彦
○小川(国)委員 国鉄問題については、国鉄の分割・民営化の基本法から雇用問題に関する立法という基本法が三つないし四つ、それから国鉄、公社、公共企業体という名前の法案で百十九の法案が改正を準備されている。今非常な勢いで基本法の準備が進められている。こういうことで、国鉄の再建に向けて政府も国鉄当局も取り組んでいると思う。我々も、この国鉄の民営・分割の問題をめぐっては国民の国鉄をどう守っていくのかという立場から検討しているわけなんです。
私は、八月から何回かにわたって国鉄当局に、国鉄の経営形態なり実態に関する資料を要求しているのですが、具体的なものが出てこないのですよ。具体的に、国鉄の経営の中で言えば関連事業というものがあります。例えば私鉄の場合には、本来の鉄道事業があり、それから関連事業でホテル、不動産、デパートというものをやる。東急にしても西武、小田急、京王にしても、経営の中で総収益の三割くらいが関連事業収入、そういうもので鉄道の赤字をカバーしていくというやり方をしてきているわけですね。ところが国鉄の場合には、残念ながら国鉄の関連事業というものの取り組みがいろいろな法的な制約から十分なされてこなかった。そういうことで、やはり国鉄の経営をもう一遍見直していくならば、自主努力によってかなり経営改革できるのではないかという見解を私ども持っているわけです。
そういう中で、国鉄の構内営業会社というものは相当な数に上っているわけですが、そういう構内営業料収入の一覧表、各鉄道管理局ごとにどのくらい出ておるのか。それから、各鉄道局別に土地の貸付料、こういうものの上位百社は、どういうところにどのくらいの料金で貸しているのか。それから、大手局では上位三百社の社名とか代表者名、所在地、業種、資本金、業務内容、貸付所在地、貸付料、貸付目的、そういうようなものを資料として出していただきたい。それからまた、建物とか高架下については大手局上位の三百社、その他の局では上位百社くらいの貸付料を提示してほしい。
これは全体の資料請求をしたわけですが、皆さんの方が作業が困難だというので、こういう資料提供を求めているのですが、こういうものについての具体的な資料の提示がなされないわけです。これなどはもう当然会計検査の対象にもなっている事項であって、こういうのは資料として当然国会に提出されていいものだと考えるのです。そういう関連事業の実態を調査する資料としてこれは当然提出されていい資料なんですが、これについてはまだ提出がなされていないのです。この点いかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/257
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258・橋元雅司
○橋元説明員 私どもの関連事業は非常に多岐にわたっております。かつまた、本社で把握しておるものもございますし、本社ではその数字がないというものもございます。
先生から資料要求をちょうだいしていることはよく承知いたしておりますので、できるだけ、また、既にお出しできるものはお出ししたように承知しております。今後とも、また先生の御要求に従ってできるだけのことはさせていただきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/258
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259・小川国彦
○小川(国)委員 具体的なものを出されておりませんので……。国鉄が今後の自主的な経営がどうしたらできるのかということは、当然こういう資料を土台にして検討していくわけですから、ぜひ未提出のもの——提出のものは極めて一般的なものであって、具体的なものは出されていない、これはやはり私は国会審議に対する当然の義務があると思いますので、ぜひひとつ今後取り組みをお願いしたいと思います。
国鉄については以上であります。
次に、妻がパートで働いている場合、これは大蔵省お見えになっておりますね、それも含めて伺いたいと思うのですが、今度の年金法の全体的な改正の中で私ども非常に疑問に思っている問題点は、夫が厚生年金に加入している、あるいはまた共済組合に加入している場合に、妻がパート労働で九十万以上の収入を得た場合一体どうなるのか。
夫が厚生年金に加入している妻がパート労働で収入がある場合に、健康保険法では、九十万円以下の収入であれば妻は夫の健康保険に被扶養者として入っている、こういうことになっているわけです。厚生年金でも共済組合でも同様だと思うのですが、この九十万円を基準として、パートの主婦でも九十万以上の収入がありますと国民年金にそれぞれ独立して入らなければならないというふうに今度なってきているわけであります。
そうしますと、今年度のベースで見ると月額六千二百二十円、年額にして七万四千六百四十円、これを当然パートの主婦も払っていかなければならないことになるのですが、この場合、夫は厚生年金で妻の基礎年金相当部分を含む掛金、これを既に払っている。これを今度妻が九十万を超えた場合にやはり一一・三%の負担をしていくということは、夫が一二・四%負担しているのに同様の基礎年金相当部分を妻が掛金をしていくということは、二重の負担になっていくのじゃないかというふうに思うわけですが、この点はどういうふうに理解したらよろしいのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/259
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260・山内豊徳
○山内政府委員 ただいまのお尋ねの件でございますが、厚生年金の加入者が厚生年金保険料を払っておりまして、その配偶者が九十万円以下でございますと、夫が負担しております厚生年金の保険料の中から基礎年金の妻分の拠出額も負担されるという仕組みになるわけでございますが、私ども一応今健康保険における被扶養者の認定の取り扱いを念頭に置きまして、わかりやすく、先生の御指摘のように仮に九十万というラインを被扶養配偶者の認定ラインといたしますと、九十万を超える場合はその方は通常の考え方では国民年金のいわゆる一号被保険者におなりになる。そうなりますと、これは夫が属しております厚生年金の世界からはその妻分の基礎年金の拠出金は出ませんで、むしろ国民年金の一号被保険者として妻自身でいわば基礎年金の費用も持つという形になるわけでございまして、その間が二重に計算されることはない仕組みを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/260
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261・小川国彦
○小川(国)委員 これは考え方の問題なんですが、夫の基礎年金の部分には妻の部分が入っているわけですね。それから、今度仮に妻が九十万円以上になりまして夫の扶養から外されて国民年金に加入したということになると、そこで当然基礎年金の掛金を掛けていくわけですね。そうすると、その場合、妻の基礎年金部分は、妻は国民年金でもう掛けているわけですから、そこで妻の分は夫の方から削られてもいいのじゃないか、そういうふうに理解されるのですが、この辺が、何遍いろいろ皆さんが説明されても我々には理解しがたいところなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/261
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262・山内豊徳
○山内政府委員 この点はたしか当委員会でもかねて議論があったと思いますが、今の例は単身のサラリーマンと世帯持ちりサラリーマンの例にもある意味では当てはまる議論なんですが、確かに配偶者がいようが、あるいは配偶者がいなくても、あるいは配偶者がいて九十万を超えても、夫が取られる厚生年金の掛金率は全く同じでございますものですから、そのお一人の方から見ますと、何か単身者でも同じ率、世帯者でも同じ率、あるいは奥さんが九十万円以上稼いで一号被保険者になっても同じ厚生年金の掛金を取られるという点、その角度からだけごらんになりますと、何か三つの場合が同じ厚生年金の掛金を取られるという点でアンバランスをお感じになるかもしれませんが、この点は、基礎年金といいますのが全公的年金加入者に一人頭同じ額で負担をしてもらうという仕組みをとっておるために起こることでございます。ただ、厚生年金なり共済の一つの制度全体で見ますと、単身者ばかりの被用年金の場合と、妻帯者ばかりの被用年金の場合では、その共済制度なり厚生年金全体として持つ分は軽くなるわけでございます。
そのところが、掛金を取られている個人からごらんになった場合のアンバランス感と、公的年金加入者、国民年金の一号被保険者も含めて頭割り同じ額で負担をしていただくということの制度の全体的なバランスのとり方との見方の違いのようなところがございまして、この点は、その年度にかかりました基礎年金の費用をみんなで同じ額ずつ持っていただくという大きな仕組みを考えました結果として、そこは御理解をいただきながら、今後の基礎年金を運営していかなければいけない事柄と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/262
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263・小川国彦
○小川(国)委員 全体が軽くなる、これがいわゆる公平感のように言われるのでありますが、妻が働いていないという場合に夫が当然基礎年金で妻の国民年金部分を払っていく、これはわかるわけなんです。
しかし、妻が家庭にいるんじゃなくて働きに出た、厚生年金に入った、あるいは共済年金に入った、あるいは国民年金に入った、こういう場合には、例えば妻も九十万円以上になって当然働いている職場で厚生年金に入った、夫も厚生年金に入っていたということになりますと、少なくとも妻の方は扶養者分の三%だけは引かれてもいいんじゃないか。夫が既に妻の分を払っているわけですね。妻の方にも今度夫の分を持たせるわけです。ですからそこのところは、国民全部が一人一年金だという考え方で、そして妻も働いたらそれを持てというのは、共稼ぎで一生懸命働いている家庭に対しては過重な負担、二重な負担にどうしてもなっているのではないか。
その点では、仮に夫が厚生年金に入っている場合、共済組合に入っている場合、働いている妻が九十万円以上の収入になって厚生年金なり共済組合に入った場合は、そのときの三%分は当然免除されてもいいのじゃないか、私はこういうふうに考えるのですが、その点はいかがなんですか。その方が行政としては公平なんじゃないかと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/263
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264・山内豊徳
○山内政府委員 先生の御指摘の見方は私も理解しているつもりでお答えしているのでございますが、実は、例えば同じ社会保険で疾病を対象にします健康保険の場合を考えますと、これもやはり単身者で十万の月給を取っている方も世帯持ちで十万の月給を取っている方も同じ負担という形をとっているわけでございます。先生がおっしゃるように、働いているサラリーマンが単身者であるか、被扶養の配偶者がいる方か、あるいは奥さんも共稼ぎの方かによって保険料の差をつけるということは、制度の設計の問題としては考えることは可能かと思いますが、社会保険の運営としてはかなり複雑と申しますか、少なくとも我が国ではそういう社会保険の考え方をとった例のないやり方になるものですから、今回の場合、先ほども申しましたように妻自身が九十万円以上であるかないかによって、確かに九十万円以上稼げるような奥さんの場合は国民保険の一号被保険者になっていただくわけでございます。
その基本は、十万円の月給の方と、お二人で十万ずつ月給を取る方には同じ率で社会保険費用を負担していただくという、私どもがこれまで運営してまいりました社会保険の一つの原理がそこに働いているためにそういう結果にもなろうかと思いますので、重ねて御理解をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/264
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265・小川国彦
○小川(国)委員 私は、今度の年金制度の改革は、一人の人が二人分の基礎年金を払う、それから夫婦の場合には四人分を払う、こういう印象をどうも免れないのです。一人一年金とは言いながらも、実質は、配偶者が払っているのにその配偶者の分をそれぞれ持たせるというのは、二のところに四を持たせている、一のところに二を持たせている、どうしてもこういう感がぬぐえないのですよ。基礎年金の導入ということにかなり無理があったことがこういう結果をもたらしているのではないかと私は思うのです。
今、社会保険の例をおたくの方では御答弁になったのですが、これはよって来るところはどこなのかというところが一つあると思うのです。じゃ、九十万円という一つの基準でもないような基準があるのですが、皆さんの方は最低基準九十万円というのは、一体どこでそういう基準をお考えになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/265
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266・山内豊徳
○山内政府委員 三号被保険者の被扶養基準は具体的には今後政令で定めることになっておりますから、先ほどお断り申し上げましたように一応ここでわかりやすく九十万円という数字を申し上げたのでございますが、実は健康保険制度におきます被扶養者の認定の取り扱いが現在九十万という、これは税法上の控除の対象配偶者の取り扱いを若干念頭に置いた制度でございますが、そういう健康保険における被扶養者の認定の取り扱いを念頭に置いて今後三号被保険者の被扶養認定の基準を定めていくべきではないか、そういうことを考えておるという現状を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/266
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267・小川国彦
○小川(国)委員 そうしますと、健康保険の被保険者の九十万円という取り扱いは、それはまたどこを基準にして決められてきたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/267
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268・山内豊徳
○山内政府委員 これは今申しましたように、健康保険の方では所得税法上の控除対象配偶者になる額が、基礎控除それから給与所得控除でございましたか、これを合わせて年額九十万という線が出ていることを念頭に置いて決められているはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/268
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269・小川国彦
○小川(国)委員 そこで、今度は大蔵省の方にお聞きしたいのですが、九十万円というこのパートの課税最低限度といいますか、これはどういうふうな根拠で決められているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/269
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270・小川是
○小川説明員 ただいまお尋ねのございました九十万円というのは、現在、配偶者控除の適用を受けます場合の所得要件というのがございまして、勤労性の所得である場合には、三十三万円以下の所得を持っていてもなお配偶者控除の適用があるということになっているわけでございます。
そこで、配偶者の方がパートに出て収入を得られますと、九十万円というのはいわば限度でございますが、九十万円の給与収入を受けました場合には、まず給与所得控除が五十七万円最低保障として適用になる。そこで、九十万円から五十七万円を差し引きました三十三万円、これは勤労性所得として持っていてもいい配偶者控除の適用要件の最高限度でございますから、合わせたところで、五十七万円プラス三十三万円、九十万円というところまでは配偶者控除の適用があるという性格のものでございます。九十万円の給与収入がある人について、何か非課税にしているというものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/270
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271・小川国彦
○小川(国)委員 しかし、現実には九十万円以上の収入を妻が得てきた場合には夫の配偶者控除から除外される、これははっきりしていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/271
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272・小川是
○小川説明員 そのとおりでございます。
〔島村委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/272
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273・小川国彦
○小川(国)委員 そうしますと、私どもがパートで働いている人の実態を調査してまいりますと、女性のパートがどのぐらいいるかということを調べてみますと、三百五十一万人ぐらいパートで働いている人がいる。その女性パートの中に占める主婦は三百四万人ということで、大変な数の主婦がパートで働いているのですね。
ところが、妻がパートで働いている夫の収入というのはどのぐらいあるのかと調べてみますと、大体二百万円から二百九十九万円の収入の中にある人が百二十五万人で全体の二五・一%、それから、三百万円から三百九十九万円の夫の収入がある人は百十一万人、二二・一%、こうして見ますと、もう大体二百万から四百万までの間に四七%という半数近くの人がいるわけで、非常に夫の収入が低い、苦しいということなんですね。
これは、例えば今夫婦二人で子供二人、そして教育費もかかる、ローンもかかるといいますと、大体夫の収入が月二十万とすると、妻がやはり月十万ぐらい働いてこないと、今最低三十万の生活費はかかるということなんですね。これで見ると、大体月二十万、年間二百四十万という人が、大体働いている人の半数近く、夫の中にはいる。
その妻がパートに出て、今の九十万の限度でいくと月八万円ぐらいで、そして年間九十万ですか、それを超えることになると途端に夫の扶養控除から除外される、こういうことになるものですから、働いているパートの人たちが、せめて十万円ぐらいまでは夫の扶養控除の中から除外されない、年収百二十万ぐらいまでは除外されない、こういう形でないととても生活の維持ができないという現状があるわけですね。
ですから、九十万円という限度額は、皆さんの方がおっしゃるように、給与所得控除の最低を五十七万と課税所得を三十三万というふうに押さえるとこれで九十万ということなんですが、これを動かすということになると大変なことになると思うのですけれども、パート控除というような考え方で、少なくとも月十万、年間百二十万、このぐらいまではパートの主婦が働いても夫の控除から除外されないというようなことをまず大蔵省の課税の段階で考えないと、夫が月二十万、妻が十万、加えてやっと三十万で生活が成り立っていくんだという、いわば今の物価高の中では標準よりもかなり厳しい生活設計だと思うのです。私どもが接する労働者の人たち、皆そう言うんですね。
それが妻が月十万働けないんですよ。八万円ぐらいで、もう十万にいったら夫の控除から外されてしまうということになるのでパートをやめざるを得ない。暮れ近くになって九十万超してしまうからやめる。中小企業にパートに来ている人たちは、奥さん方は九十万超えてしまうから来てくれない。中小企業にも相当な打撃を与えて、中小企業の経営者の皆さんからもせめて月十万、年間百二十万ぐらいまではこの基準を変えていってもらわないと、社会保険の方もそれに右へ倣えをしているし、厚生年金にしても共済組合にしてもみんな右へ倣えて、九十万を超えたらそれぞれ独自の年金に入りなさい、こういうことになってしまうわけですね。だから、非常にその影響するところが大きいわけなんです。
根本はやはり大蔵省の方から直していかないと、社会保険の問題も年金の問題も解決していかない、所得の厳しい状況にある人の対策ができないというふうに思うのですが、その点、大蔵省の方ではいかがでしょうか。この点、パート控除というようなものを考えることはできないのかどうか、百二十万まで引き上げることはできないのかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/273
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274・小川是
○小川説明員 パートの問題につきましては、ただいま御説明いたしましたように、パートでお出になっておられる方は、まず御本人につきまして給与所得控除が働く、かつ御自身の課税の問題につきましては三十三万円の基礎控除が働くということでございますから、九十万円までのパート収入につきましては、御自身についてまず基礎控除で課税がされない。しかもその上に、御主人の課税関係におきましては勤労性の所得が三十三万円まであっても配偶者控除は見ますということですから、現在、配偶者控除の方でも所得税法上控除の適用があるという状況にあるわけでございます。
このようなパート労働者についての課税問題につきましては、やはりパートの方であっても所得があればそれに応じた所得税の負担をしていただくというのが所得税の考え方であろうかと思います。
なお、御指摘の問題につきましては、現在税制の抜本的改革について審議を行っております税制調査会におきまして、その見直し作業の中で、配偶者控除あるいは扶養控除その他の税制のあり方をいかにすべきかという中で議論が展開されることになろうかと存じます。その結果によって適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/274
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275・小川国彦
○小川(国)委員 九十万円を超えた夫と妻の負担増というのは、今度の共済のこの改正の中でも出てくるのですが、例えば来年四月から施行される厚生年金法の改正法でいきますと、夫が厚生年金に加入している場合は、妻は登録すれば保険料を納付しなくても国民基礎年金に加入できる。共済年金改正法も同様であろうというふうに思うわけです。しかし妻の収入が九十万円以上あると、妻の方も国民年金に保険料を払って加入しなければならなくなる。
その九十万円という根拠は、今あったように健康保険の被扶養者でなくなる基準が九十万円であるから、その被扶養者でなくなれば国民年金に加入しなければならないという規定になってくる。この九十万円という一定のラインは何を根拠にして算出されたのかということですが、この点もう一遍繰り返して伺いたいのですが、どういうことなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/275
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276・山内豊徳
○山内政府委員 先ほど申し上げましたように、同じ社会保険の制度同士でございます健康保険を念頭に置いて議論しておりますが、その制度は、今先生もお話しのように、健康保険の方では所得税法上の配偶者の控除の範囲の額を念頭に置いて決めたという結果になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/276
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277・小川国彦
○小川(国)委員 そうしますと、社会保険の方でも、例えば九十万円未満でも事業所によっては社会保険に加入しなければならぬというところもあるわけですね。あるいはまた、九十万円を超えても社会保険に加入していない場合もあるわけなんですね。ですから、九十万円というラインは必ずしも厳密に守られている基準ではないと思うのです。
今度のこの年金の場合は、それを下回る場合、上回る場合、一体どういうふうにそこは処理されるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/277
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278・山内豊徳
○山内政府委員 確かに先生御指摘のように、一人の男性の方の場合で、年収が九十万を下回るサラリーの場合でも、事業所が厚生年金の適用であれば厚生年金の加入者になっておられる例がございます。
先ほど来先生の御指摘のあります九十万という議論は、あくまで社会保険において被扶養の状態の配偶者であるかないかの判断基準でございますので、それ以上に何か社会保険のあらゆる面にとって制度の一つの限界を決めるという意味の額として出てきたわけでございませんで、あくまで配偶者が、厚生年金で言えば厚生年金の適用上、被扶養の配偶者であるかないかを判断するための基準として用いているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/278
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279・小川国彦
○小川(国)委員 そうしますと、例えば妻が仮に百万か百十万の収入になったとしても、その事業所が社会保険の適用を受けていない事業所である場合には夫の方の基礎年金の中に入っていってしまうわけですね。
そういう人の場合に、適用事業所になっていないから、当然九十万を超えてのパート収入があったんだけれども届けてなかった。しかし、今ガイドラインみたいなもので九十万というものがあると、ではあなたは当然さかのぼってそれを払わなければならない、本来なら、九十万を超えたんだからそれを払わなければいけないということはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/279
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280・山内豊徳
○山内政府委員 ただいま私、被扶養の配偶者であるかないかの判断基準としてと申し上げましたので、先生の、仮に百十万、百二十万の収入のある配偶者でも、たまたま勤め先が厚生年金の適用事業所でないと引き続き男性配偶者の配偶者の方に残るのかという御指摘でございますが、その点は、先ほどちょっと私が国民年金の一号被保険者と申し上げましたのは、いわば農家、自営業の方と同じような意味で国民年金の方に入っていただくという割り切りになっているわけでございます。
ただ、別の問題としまして、五人未満とかそういう現在厚生年金の適用されていない事業所を今後精力的に被用者年金を適用していくという別の政策課題がございますが、あくまで九十万を超えました配偶者の場合は、そのまま男性配偶者の配偶者にとどまるのではなくて、独立した所得のある国民年金の方の一号被保険者になっていただく、したがって、そこで基礎年金の費用につきまましても国民年金一号被保険者として一人前の費用を持ってもらうことになるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/280
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281・小川国彦
○小川(国)委員 これは九十万という基準の決め方が私は非常にあいまいなんじゃないかと思うわけです。社会保険の方では、事業所が入っていなければ、百万あるいは百十万の収入があっても適用事業所でなければ入らなくて済むわけですね。ところが年金の場合は、今おっしゃるように九十万を超えたら国民年金の方にいやが応でも入ってもらう、こういうことになってしまうわけですか。もう一遍伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/281
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282・山内豊徳
○山内政府委員 そのとおりでございます。国民皆年金という建前でそういうふうにしていただきたいということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/282
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283・小川国彦
○小川(国)委員 ちょっと私、一例を計算してみたんですが、現在パート労働者の多くが年収大体百万から百二十万ぐらいの収入を得たい、統計が出しているわけですね。これは子供の教育費や住宅ローンを抱える切実な要望になっている。しかし現在でも、九十万を超えて例えば百万円の収入になると、自分の収入は十万ふえるが、税負担等がふえると収入が逆に二十八万円減ってしまう。これは大蔵省の方にも聞いておいていただきたいのです。
なぜならば、自分の負担が所得税で約一万円、住民税が約五千円あって、それから平均的な夫の収入を四百万、子供二人とすると、夫の配偶者控除が今度得られなくなりますから、夫の所得税が約三万六千円、住民税が約二万四千円、合計で約八万円の負担増になってきます。さらに、妻が夫の健康保険の被扶養者の対象外となりますから、妻が自分で国民健康保険に加入しなければならなくなりますと、その保険料は六千八百円掛ける十二カ月で八万一千六百円が負担増になる。加えて、通常の場合家族手当等が支給されなくなりますから、その金額はいろいろですが、仮に一万円としますと十二万円の収入減ということになるんです。これを全部合わせると二十八万円の実質的な収入減になる、つまり、九十万円から十万円パートの収入がふえたために、結果的には今の制度だと二十八万円の支出増を強いられるということになりまして、この九十万円という壁は働く主婦にとって非常に厳しい壁になっているわけです。
さっき申し上げたように月額二十万円の給料の人が労働者の中で平均的水準である、そうすると、その二十万円の人の妻が十万円ずつ働いていって九カ月、一カ月越えただけで、十万円ふえても途端に二十八万円出さなければならなくなる、こういう厳しい状況にあるということなんですね。やはり夫婦が共稼ぎで働かなければならない状態というのは、それだけ経済的に苦しいから働かなければならないわけで、それが現実には、九十万円からわずか十万円の増に対して、今の税から健康保険から年金負担からすべてでいくと逆に二十八万円の負担増になってくる。
この実態は、私はやはり大蔵省も厚生省もあるいは労働省も、政府全体が考え直していただかなければならない問題じゃないか、こういうふうに思うのですが、厚生大臣いかがでしょうか、こういう実態、お聞きになっていただいて、当然こういう点が今後やはり検討されなければならない問題点じゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/283
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284・増岡博之
○増岡国務大臣 先ほどから御説明申し上げておりますように、九十万円というのは、ほかの類似制度との関連でこのままやらざるを得ないと思います。もし仮に限度を上げましても、その限度を超えた場合の負担によって直前の収入よりも減るということは、どの段階でやってもそういうことがあらわれるのではないかというようにも思いますし、基本的には類似制度と足並みをそろえていかざるを得ないな、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/284
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285・小川国彦
○小川(国)委員 今私が十万円収入がふえると二十八万円負担がかかってくるというふうに申し上げたのですが、さらに今度は、今おっしゃったように九十万円を超えて国民年金に入ると、六千七百四十円掛ける十二カ月分で八万八百八十円これまたふえることになるのですが、これはそういうふうに理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/285
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286・山内豊徳
○山内政府委員 国民年金の被保険者の扱いは現状でも実はその考えになっておるわけでございますので、確かに今先生がお挙げになった数字のほかに国民年金の保険料負担があるという点では御指摘のとおりでございますが、今回の改正でそういう仕組みが新しく国民年金の被保険者に加わったわけではございませんので、従来からそういう考え方で御負担をお願いしてきているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/286
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287・小川国彦
○小川(国)委員 いずれにしても、今度の改正の中では、私は、単身者の問題はもとよりですけれども、共稼ぎの主婦の場合に負担が非常に重くなっていくということを感ずるわけでありまして、そういう点では、国民皆保険、皆年金という考え方から当然だというふうにおっしゃるわけなんですが、現実に今度は給付される面から見ると、それは妻が働かないでいる場合もあるいは働いている場合も皆同じということになってしまうので、この辺は、働かなければならない家庭というのはむしろ経済的に苦しい家庭であって、そういう人たちから見るとどう考えてもやはり不公平感を免れない、こういう感がいたしますので、この点は今後ぜひまた政府でも考えていただきたいというふうに思うわけです。
それから次に、退職した高級官僚の年金支給の問題、これは私も当委員会で再三取り上げてきたのですが、今度の改正の中ではかなり天下り高級官僚の年金支給に対しては制限を加えるようになってきているわけなんです。農林年金の改正案ではその規定を大部分政令に委任しているわけで、その支給制限の内容というものが明確でないのですが、この点は国家公務員の方に準じて行われる、こういうふうに理解してよろしいのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/287
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288・後藤康夫
○後藤(康)政府委員 所得との関係で年金額の給付制限をやるということを考えているわけでございますが、これは厚生年金相当部分の年金額につきまして、具体的な方法は政令で定めることにいたしておりますが、これは各省間で協議をいたしまして、各共済制度共通の措置としてやることを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/288
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289・小川国彦
○小川(国)委員 私は、年金問題についてはそういうことですが、年金の将来、年金百年の構想というようなものを考えてみますと、現行行われる四十年後の問題などについても、非常に掛金が高くなっていく、給付が落ち込んでいく、そういう状況にあるのです。 きょうは厚生大臣おいでになっていますので伺いたいのですが、今後、これからの年金財政を維持していくのに、新たな税財源に財源を求めていくという考え方と、あるいは給付率を下げていくという学者もあるわけですが、そういう中で、政府の選択としては、現行の給付水準を維持していくためには、言われているような、例えば税財源をどうにか考えてそこで求めていくのか、あるいはまた給付の引き下げの中で考えていこうとしているのか、その辺はどういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/289
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290・増岡博之
○増岡国務大臣 将来の年金につきまして、給付の適正化ということは今回の改正で行われるわけでありまして、これ以上どんどん下げていくという気持ちはございません。ただ、それにしましても、それはモデル年金の例でありまして、長年勤めておられる方々がふえてくるということになりますと、やはり財源対策が必要であろうと思います。
しかし、その際でも、現在我が国では社会保険方式で運営されておるわけでございまして、それが定着いたしておるわけでございまして、もし仮に税方式にいたすといたしますと新しく巨額な税負担を課することになり、この点についての国民の合意が得られるかどうかという問題点がございますし、もし仮に税方式に切りかえましたならば、そのときまでに保険料を拠出した人と拠出しない人との公平が図りにくいという難点もあるわけでございますので、引き続き社会保険方式を維持することが妥当ではなかろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/290
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291・小川国彦
○小川(国)委員 時間も大分たっておりますので、最後に私は、今度国会の中で年金問題がさまざまな角度から議論されてきている、しかし、これから国民の老後というものを、楽しい老後であり豊かに暮らせる老後、日本は働きバチといわれるように労働者は一生懸命働いてきた、せめて老後は自分の趣味なり趣向を生かしてゆっくりした老後を送りたい、それは年金生活だ、西欧のかつての水準のように、そういうことを夢見て、現状は苦しいけれどもということで一生懸命働いてやってきた。
ところが、どうも年金財政の将来、年金構想の将来というものを見ていくとどんどん灰色の状況になってきているバラ色の年金生活ではない、こういう、国民の中に非常に不安が広がってきている。何とかして年金による将来の生活保障というものに歯どめをかけてもらわなければならないんじゃないか、こういうふうに国民は希望しているわけなんです。
私どもは、国の財政の中で考えてみると、これはもう軍事費を削っていく以外にはないのじゃないか、あるいは軍事費の拡大をこれ以上ふやすということは結局社会保障費や年金財政にしわ寄せが行くんじゃないかというふうに思うわけなんです。
私は、試みに昭和十六年から昭和二十年ごろまでのあの戦争の厳しい時代の軍事費、これが国家予算の中でどのくらいを占めていたかと見ますと、昭和十六年では五〇%、十七年で三二%、十八年で三四%、十九年で三六%、二十年で二%というように、戦前四年の平均をとっても軍事費が国の予算の大体三七、八%を占めていた。そういう状況の中で年金はというふうに見てみますと、恩給を含めて昭和十六年が四・四%、昭和十七年以後は五%、三%、二%、二%、社会保障費に至っては、これは年金と別にこの当時計上されているのですが、昭和十六年は〇・〇二三あるいは十七年は〇・〇三、十八年は〇・〇二というように、当時は厚生施設費と呼ばれたものが現行の社会保障費だと言われているのですが、非常に年金も社会保障も劣悪な条件にあの戦時下の中では置かれてきた。
今日の状況を見ると、防衛費が年々伸びてきていますが、今伸びてきて四%から五%、今日では六%、そういう中で社会保障費は全体では一八。二%、年金の方は社会保険費の中で一〇・八%というふうに、戦前の軍国主義の時代から見ると今日の平和主義の時代における社会保障なり年金というものは面目を保っているという現状にはあるわけです。しかし、これが戦前の平均三七%というような軍事費の方向に今の六%からどんどんふえてまいりますと、そのしわ寄せは結局社会保障費に一番響いてくるのではないかと思うわけなんです。
ですから、今、国の予算がシーリングの中で全体的に抑え込まれている、ふえているのは防衛費だけ、こういうふうに考えてみますと、やはりここに歯どめをかけていかないことには年金財政を維持していくのも容易ではないのではないかと考えるのですが、その点について、厚生大臣、農林水産大臣それぞれ大正十二年、十三年のお生まれで、戦争の苦労も十分御経験なすったお二方だと思いますので、日本の軍事予算を拡大して年金や福祉が後退することがないように、年金担当大臣としての所見をそれぞれ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/291
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292・増岡博之
○増岡国務大臣 昭和六十年度の予算で申しますと防衛費は約三兆一千億円でありまして、社会保障費その他の医療費を含めまして厚生省の予算は九兆五千億円でございますので、三倍以上いただいておりますから、伸び率では防衛庁の方が多うございますけれども、実額では厚生省の方がたくさんいただいておりますから、御指摘のような御心配はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/292
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293・佐藤守良
○佐藤国務大臣 小川先生にお答えします。
これはいろいろな解釈があると思うのでございますが、私は、今の防衛費は日米安保条約の中の最低限の防衛費と考えておるわけでございまして、先ほど厚生大臣も申したようなことで、今、日本としては社会福祉政策はかなりよくいっている、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/293
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294・小川国彦
○小川(国)委員 現状についてはそれぞれ自信を持って申されましたが、将来とも、今申し上げたような戦前のような軍事費と社会保障費、年金費の割合になりませんように、その点を両大臣を含めて中曽根内閣に強く要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/294
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295・今井勇
○今井委員長 次回は、明二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305007X00419851126/295
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