1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和六十年十一月二十二日(金曜日)委員長の指
名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した
。
義務教育諸学校等における育児休業に関する小
委員
石橋 一弥君 臼井日出男君
榎本 和平君 白川 勝彦君
中村 靖君 二階 俊博君
船田 元君 町村 信孝君
木島喜兵衛君 佐藤 誼君
馬場 昇君 池田 克也君
伏屋 修治君 滝沢 幸幼君
藤木 洋子君
義務教育諸学校等における育児休業に関する小
委員長
船田 元君
―――――――――――――――――――――
昭和六十年十一月二十二日(金曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 阿部 文男君
理事 石橋 一弥君 理事 大塚 雄司君
理事 白川 勝彦君 理事 船田 元君
理事 佐藤 誼君 理事 馬場 昇君
理事 池田 克也君 理事 中野 寛成君
青木 正久君 赤城 宗徳君
稻葉 修君 臼井日出男君
榎本 和平君 北川 正恭君
田川 誠一君 中村 靖君
二階 俊博君 町村 信孝君
渡辺 栄一君 木島喜兵衛君
佐藤 徳雄君 田中 克彦君
中西 績介君 有島 重武君
藤木 洋子君 山原健二郎君
江田 五月君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 竹下 登君
文 部 大 臣 松永 光君
厚 生 大 臣 増岡 博之君
運 輸 大 臣 山下 徳夫君
出席政府委員
大蔵大臣官房審
議官兼内閣審議
官 門田 實君
大蔵省主計局次
長 保田 博君
文部大臣官房長 西崎 清久君
文部大臣官房総
務審議官 五十嵐耕一君
文部省初等中等
教育局長 高石 邦男君
文部省高等教育
局私学部長 國分 正明君
厚生大臣官房審
議官兼内閣審議
官 山内 豊徳君
社会保険庁年金
保険部長兼内閣
審議官 長尾 立子君
運輸大臣官房国
有鉄道部長 中島 眞二君
委員外の出席者
警察庁刑事局捜
査第一課長 藤原 享君
大蔵省主計局共
済課長 坂本 導聰君
厚生省年金局企
画課長 鏑木 伸一君
厚生省年金局年
金課長 谷口 正作君
参 考 人
(私立学校教職
員共済組合理事
長) 保坂 榮一君
文教委員会調査
室長 高木 高明君
―――――――――――――
十一月二十日
私学助成の大幅増額に関する請願(横江金夫君
紹介)(第三二四号)
同(近藤豊君紹介)(第三五五号)
同(網岡雄君紹介)(第四四三号)
大学院生・研究生の学術研究条件改善等に関す
る請願(江田五月君紹介)(第四四二号)
公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に
関する法律制定に関する請願(上野建一君紹介
)(第四五七号)
同(上坂昇君紹介)(第四五八号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
小委員会設置に関する件
参考人出頭要求に関する件
私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
法律案(内閣提出、第百二回国会閣法第八二号
)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/0
-
001・阿部文男
○阿部委員長 これより会議を開きます。
この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。
義務教育諸学校等における育児休業をめぐる諸問題について調査検討するため小委員十五名からなる義務教育諸学校等における育児休業に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/1
-
002・阿部文男
○阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/2
-
003・阿部文男
○阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
小委員及び小委員長は、委員長が追って指名し、公報をもってお知らせいたします。
なお、小委員及び小委員長の辞任の許可及び補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/3
-
004・阿部文男
○阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/4
-
005・阿部文男
○阿部委員長 第百二回国会内閣提出、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、本日、私立学校教職員共済組合理事長保坂榮一君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/5
-
006・阿部文男
○阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/6
-
007・阿部文男
○阿部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/7
-
008・中西績介
○中西(績)委員 私は、年金制度全般的なものとあわせまして、私立学校共済年金制度改革に当たって、二、三の質問を行いたいと思います。そこで、年金に関しては私ずぶの素人でございますので、いろいろお教えをいただきたいと思います。
まず、公的年金制度を策定したこの目的は何であったのか、厚生大臣、あるいは感想があれば文部大臣その他の方々、お願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/8
-
009・増岡博之
○増岡国務大臣 公的年金制度につきましては、世代と世代との助け合いの仕組みのもとによって老後の所得保障を行うものでありまして、と同時に、障害または死亡に関して年金が給付できることにすることたよって国民生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/9
-
010・中西績介
○中西(績)委員 今、助け合いによるということを申しておりますけれども、その根幹になるものはやはりあくまでも憲法二十五条でいう生存権の問題ではないかと思うわけであります。明らかになっておりますように、「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」わけであります。二項目に、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」こうあります。これを補完する意味で今言われた――現状でいいますならば、戦後大変長い間苦労されて、特に食う物も食わずに働き尽くした多くの皆さんがいらっしゃるわけです。そういう皆さんの老後生計をどう支えていくか、それをどう保障するかというその意味は、先ほど申し上げたとおり二十五条にかかわると私は思うのですが、この点は間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/10
-
011・山内豊徳
○山内政府委員 実は、現在の国民年金法は、あるいは今後改正した後の姿も同じでございますが、確かに先生御指摘のように、憲法第二十五条第二項に規定する理念に基づくということを明言しております。ただ、今厚生大臣が申しましたように、同時にそのことは、理念に基づいて老齢でございますとか障害とか死亡によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止する、それによって先ほど大臣申しました健全な国民生活の維持向上に寄与するということであります。今先生のお話の中の、そういった最低生活ぎりぎりの保障を補完する意味合いも含めて制定されたのじゃないかという点は、その意味では、先生御指摘のように国民年金法にも掲げられているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/11
-
012・中西績介
○中西(績)委員 いろいろ言われるけれども、ごまかすのではなくてすっきりしているんですね。特に国民年金法についてはそのことまで明確に入っているわけですね。ですから、それではその目的を達成するために何をしなくてはならぬかということになると思うのです。
そこで、今行われようとしておるこの年金改革そのものがなぜ行われなくてはならないのだろうかということを私は強く感じるし、したがって、今回の年金改革をなぜ行うのかという点を明らかにしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/12
-
013・増岡博之
○増岡国務大臣 御承知のように、我が国は世界に類を見ない早いスピードで高齢化社会が進んでおるわけでございます。これからいよいよその本格的な高齢化社会の到来に備えまして、年金制度を長期に公平かつ安定的に運営していくための基盤を確保しようということでございます。このため、全国民に共通する基礎年金という共通項を導入するとともに、将来に向けて給付と負担の適正化を図っていこう、そういうことでございます。しかも、先ほど申し上げましたように、急速に高齢化社会が到来するわけでございますし、年金の改正には極めて長期間の時間がかかるわけでございますので、今直ちにこの改革に着手する必要がある、そういうふうに判断いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/13
-
014・中西績介
○中西(績)委員 今大臣、長期安定の基盤づくり、そして基礎年金による共通項を求め、負担あるいは給付の適正化というようなことを言われましたけれども、行うに当たって、目的からして今何をしなくてはならぬかということが、言われました高齢化社会直ちに、あるいは大変な時代になる、そうしたことが理由のようでありますけれども、その際に何といっても一番の問題は、何を基本に置いて考えるかということになると私は思うのですね。そうなりますと、年金を策定した目的に合致するものでなくてはならぬ、こう考えるわけです。その点が私たちが願っておるようなものとちょっと違いがあるようですけれども、特にこの際に、行うに当たっての基本的な考え方は何であったかということをもう一度言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/14
-
015・増岡博之
○増岡国務大臣 各公的年金制度全体にわたって公平であること、なおかつ基盤が安定をしておること、この二つが主な目的でございます。そのほか、いわゆる二重に受け取る重複給付を防ぐこと、あるいは婦人の年金権の確立等が目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/15
-
016・中西績介
○中西(績)委員 私は、今答えられた基本的なものが何であるかという際に、公的年金の公平という点については当然であろうと思います。さらにまた、基盤の安定化、これもまた必要であろうと思います。さらにまた、いろいろ重複したり問題がたくさんあるということであれば、そのことに対して手だてをしなくてはならぬだろう。抽象的に言う公的年金制度の公平あるいは基盤の安定、こういう問題については、確かに策定するに当たって重要な課題であろうと思うのです。しかし、その際に、先ほどから私が申し上げるように、少なくとも生活を行うに当たって最低限度何を私たちは保障していくかというこの点が明確になってこないと、公的年金の公平というこのことが崩れていくのではないかと思うのです。そうした意味で、私は、この公的年金制度を、一挙にできなくとも一元化をしていくという体制づくり、その中でそうした諸問題を具体的に全部補完できるようにしていく、このことが今一番問われておるのではないかと思うのです。と申しますのは、今までばらばらであったということ、ですから、大臣言われるように不公平な面がやはりあった、こう認識したから公平化を図っていった、こういうように言われたのだろうと思うのですね。そういうようなばらばらのものをどう統一的に不公平をなくしていくのか、ここがやはり一番問題だろうと思うのです。その際に、何回も申し上げるように、目的が憲法二十五条で言う生きる権利、生存権をどう保障するかということを考えられてこの公的年金一元化を図っていこうといたしておるかどうか、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/16
-
017・増岡博之
○増岡国務大臣 公的年金一元化の過程におきまして、まず第一段階として基礎年金の導入を図ったところでございまして、この基礎年金の額をどういうふうに策定するかということが先生御指摘の点でもあろうかと思います。この額につきましては、老後の生活の基本的な部分を賄うに足る数字ということで、五万円といたしておるわけでございます。この共通な基礎年金を導入することによりまして、ある程度、一定部分に限っては公平化ということが行われるわけであります。
そのほか比例報酬部分もございますので、これは今後の課題として、公的年金の中で、厚生年金、国民年金はもう改正されましたけれども、共済年金が改正されました段階から、すなわち来年の四月一日から発足するわけでございますので、その後の段階において真に公平、安定したものにしていくべく検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/17
-
018・中西績介
○中西(績)委員 今基礎年金ということを言われましたけれども、私は、ばらばら年金制度をどう一元化していくか、その際に公平化をどう図っていくかということが大変問題だろうと思うのですけれども、どうも私たちから見ると、今までの国民年金が大変無計画的なものであった。ですから、その都度その都度、次々と制度的なものと申しますか内容を変更いたしまして、大変な数に今なってきていますね。これは一々詳しく申し上げる時間がございませんが、昭和三十六年、四十五年、四十九年、そして現在、さらに昨年からことしにかけての改革の中身などをずっと見ますと、その間には、掛金一括納入による拡大を図ってみたり、あるいは一時的な金集めをするためにたくさんの人を、八百万人も加入推進をするとかいろいろやってきました。そうした結果が、先ほどから言われるように高齢化社会を迎えるに当たって財源難をもたらすことになってしまった。したがって、今回の考え方の基礎の中には、少なくとも国民年金制度に対する財政調整的なものが入っておるのではないか、そのためにこういう措置をしなくちゃならぬということになってきたのではないか。でなくとも、この問題についてはもう何回となく国会で取り上げられて、国鉄年金を初め国民年金あるいはたばこなどを含めて大変な問題になるということは、従前から言い尽くしておるわけであります。しかし、こうして出てきた中身というのは、どうも国民年金というものをうまく財政調整していくために、この基礎年金などというものを導入し、そして支払いについてはそれぞればらばらの体制になってきておったものを、今度は一括して何とか定額方式で改めていくという、私たちが考えるような中身ではなくて、そうした内容が見え見えみたいな感じがするのですけれども、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/18
-
019・増岡博之
○増岡国務大臣 今回の一連の改正につきましては、国民年金の財源対策のために導入するものではございませんで、先ほどから申し上げておりますように、基礎年金を導入することによって国民に共通する給付をつくって、その費用についても被保険者総数で公平に負担しようというわけでございまして、基礎年金の導入につきましては、制度間の格差の是正、制度基盤の安定化等をねらいとして導入しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/19
-
020・中西績介
○中西(績)委員 制度的なものも含めてということになりますと、少なくとも安定化させるための措置は何を財源にするかとか、いろいろな問題がたくさん出てくるわけですよ。ですから、私がここで申し上げたいと思いますのは、年金の充実をどのように図っていくか。一番冒頭に申し上げた二十五条を保障する、その目的を達成するための手段として何をやっていくかということになってくると、では、今言われる基礎年金的なもので果たしてよろしいだろうかということが当然出てくるだろうと思うのですね。ですから、これを含めて一元的なものをどのように構想していくかという総合的なものを考えなくちゃならぬわけでしょう。そのときに、今あなたが言われたように基礎年金を五万円、こういう金額を示し、そしてこれを公平化を図るためにやるのだということを言いました。しかし、少なくともこの問題については、これが果たして年金の充実になっておるだろうか、私は決してそうでないと思うのですね。
なぜなら、例えば現行の国民年金そのものを見ていただきますと、審議官にお答えいただきたいと思うのですが、掛金が幾らで、そして年数によって支払う金額が変わってきますね。最高額は七万を超えるわけでしょう。それでも本当に、我々が今言う公平化と安定化が図れるかということで随分悩んできたのですよ。ですから、その際のあれを考えてまいりますと、掛金そして今の給付金額が、年代によってどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/20
-
021・山内豊徳
○山内政府委員 お答え申し上げます。
国民年金の場合、先生の御指摘の意味は、過去に掛けてきた保険料のトータルといいますかその類と、現在十年年金なり年数に応じてもらっていらっしゃる年金の額を比べればどうなるかという御質問だと思うのでございますが、この点は御指摘のように、掛けた額の運用利回りを考えたものよりはかなり大きなものを受け取っていらっしゃるというのが国民年金の現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/21
-
022・中西績介
○中西(績)委員 そのことは、一番冒頭に出た年金制度を策定したときの目的、それに合致させるということでそういう措置をしたわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/22
-
023・山内豊徳
○山内政府委員 国民年金法は、その理念として憲法の理念を掲げておることは先ほど申したとおりでございますが、今私が申し上げました過去のスタート時代の保険料に比べると今はかなり大きな給付を受けるようになっているということは、どちらかといいますと、三十六年に国民年金制度が発足しましてから今日までの国民生活水準といいますか、経済情勢が非常に高いレベルで推移したということの結果でございますので、非常につづめた言い方で申し上げますと、制定当初想定された国民年金の水準を、そのときどきの国民生活の状況に応じて現時点で保障しようとすると、やはり先ほど申されたような年数に応じてはかなり高い年金額にならなければならない、そういう経過で改正を積み重ねてきたというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/23
-
024・中西績介
○中西(績)委員 長々と言うけれども、簡単に申し上げると、そうした目的を達成をするために、今生活レベルが上がっておるためにそれだけのものが必要なんだ、でなければそうした金額を策定することはないですね。ところが、今度の場合には、少なくとも年金改革を行おうということになってくれば、そうした目的と合致をし、そしてどう充実をさせる、そのための諸施策はどうなるか、こうした総合的な論議、考え方に立って策定をしていく必要があるわけですね。ところが、今言われたように、この基礎年金そのもの、後でまた触れますけれども、決してこれが充実したりあるいは公平化を図るという代物になってきてないのではないか、私はこう指摘をせざるを得ないわけであります。
特に、公的年金制度をあれする場合には、今申し上げたふうに、国民年金的なものと被用者年金的、雇用者年金的なものとの二体系に大まかに類別できると思うわけでありますが、その際に、全体に共通する最低生活を保障する、生存権保障ということが十分組み入れられたものになっておらなくてはならぬのに、このようにして今触れられた基礎年金なるものの中身というのは大変な問題を内蔵しておるのではないか、私はこう思います。
というのは、特に私が指摘をしたいと思いますのは、少なくとも基礎年金の場合には、先ほどから大臣が言っているように年金が安定をしなくてはならぬ、それから年金給付の公平化をしなくてはならぬ、さらにまた婦人の年金権を確立をしなくてはならぬ、さらにまた無年金をどう解消していくかというような、まだたくさんあるでしょうが、いろいろな意味でそうしたものを含んで解消していく、こうした目標があるはずなんですね。そうなってくると、私たちは、五万円で本当に最低生活を保障する意味のものがこの中に含まっておるかということにならざるを得ないわけなんです。この点どうですか。そのように自信を持ってお答えてきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/24
-
025・山内豊徳
○山内政府委員 基礎年金の水準と申しますか、その性格づけにつきましては、先ほど厚生大臣が申し上げましたように、老後生活の基礎的な部分を受け持つという意味合いでございます。それで、先ほど大臣が申し上げました公的年金改革の基本的な目標の中の一つとして、年金の問題は、どうしても掛金の負担という面、保険料の負担という面を伴う制度でございますので、そこに今回の改正の中で、今後の老齢化の事態を推定しますと、現行のままの制度ではどうしても給付に応じた保険料がかなり膨大なものになってくる。それをできる限りその社会社会で持ちこたえることができるようなレベルに、私どもとしては給付と負担を通じた適正化と申しておるのでございますが、そのことを織り込んで設定するという面もございます。
例えば、先生の御質問にないことを申し上げて恐縮でございますが、先ほど私が申し上げました意味で、生活保護のようなぎりぎりの最低生活をケースごとに保障するという点が、公的年金の役割としては必ずしもそこまでは果たし得ない、そういう前提で基礎年金の水準も考えたいというのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/25
-
026・中西績介
○中西(績)委員 ただ、問題は、基礎年金の性格づけそのものを、最低生活保障を、いわゆる生きる権利ということを前提として物を考える場合には、それだけのものを保障していくという前提に立って初めて私はそのことが確定づけられるのではないだろうかと思うのですね。そうなってまいりますと、財政的なものがないとかいろいろ言われますけれども、どうも表を見ますと国の負担の割合がどんどん下がってきますよね。これまでして、負担はもう率から言うなら現行の半分くらいに落としてしまうのでしょう、そういうことをしておいて、今度は掛金だけは高くなっていくわけですよ。国の負担は少なくした上で掛金はとんとん高めている。今の掛金だけでもしやっていくとしますならば、実際に昨年来ごとしの予算委員会あるいはいろいろなところで論議をした中身を聞いてみましても、五万円を負担をするということになれば、それだけであれば、四十年間という長い期間のものをやりますと、将来女性なんかの場合考えると平均八十歳。そうすると、六十歳を延ばして六十五歳から始まるわけでありますけれども、もう大体百歳を超えるぐらいの五万円年金保障ができるほどの掛金であるということが試算されておったじゃないですか。
そうした問題等含めて考えてまいりますと、この年金の安定ということは、国のそうした保障的なもの、あるいは国庫支出を下げることが年金の安定化だというような言い方になっているのじゃないでしょうか。私はそう曲がってとらざるを得ない。どうもそんな感じがしてならぬのですね。だから、安定化というのは少なくともみんなが安心して生活できるような安定化ですよ。そうでなくて切り下げて、逆に収入源は少なくなって国民の老後の生活が安定化しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/26
-
027・山内豊徳
○山内政府委員 まず、今回の改正によりまして、将来の国庫負担の見通しが、現行法を前提とした場合と改正後の姿で前提した場合に金額において減少するではないかという御指摘でございますが、これは端的に言えば、給付全体の水準がそれだけの水準に抑制されたと申しますか、適正化された分に比例してはそうなってくるわけでございます。
それから、この点は特に申し上げさせていただきたいのでございますが、にもかかわらず保険料が上がるではないかという点は、確かに今回の法案にも将来の掛金のアップを予告した点はあるのでございますが、実は、例えば国民年金保険料で申しますと、現行制度をこのまま維持すると、あるピーク時には月額一万九千円、二万円近い負担になる。率直に申しますとそれを避ける意味合いで、ピーク時を考えて、給付も適正化しながら負担の面も現行法のままでいった場合よりは上げていくというのが今回の改正の大きな趣旨でございます。そういった意味で、先生御指摘の、年金水準そのものが老後生活にとってどういう意味を持つかという点については、それは我々もこれまでの年金運営におきましてもできるだけ老後生活の主な柱として十分なものにしたいということで努力してきたつもりでございまして、その点は今回の改正においても保持されるというのが私の考えでございます。
それから、もう一つ、四十年間今の保険料額を積み立てておけば五万円年金がそのまま、かなりおつりが来るような形でもらえるじゃないかというのは、実は私どもも考え方としては随分説明をさせていただきたい点があるわけで、先ほど私が申し上げましたように、過去の国民年金の受給者がかなり膨大な給付費を現在既に使わなければならないということを考えますと、計算どおりの積立金が将来四十年間にわたって残るわけではない点もあわせて御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/27
-
028・中西績介
○中西(績)委員 いや、だから、将来どうだこうだと今言っておりますけれども、ではそれらのすべての資料をつくっていますか。現行のものでいった場合、それから、このようにして五万円年金にした場合、その差などを含めまして、どうなっているかということを考えておりますか。全部試算したものを我々に提示できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/28
-
029・山内豊徳
○山内政府委員 いま申し上げました、保険料が現行法のままでいくと何年ごろどのくらいになるか、今回の改正に、よって何年後にどのくらいになるかという資料は、早速にも御説明に上がりたいと思います。
先ほど申しましたように、国民年金で申し上げますと、現行のまま推移しますと、昭和九十年の手前で一万九千五百円くらいの月額の負担になるけれども、今回の改正を行うことで、昭和八十年過ぎくらいから一万三千円というピーク時の保険料の負担で済ませるようにしているという数字は、径ほど御説明に上がりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/29
-
030・中西績介
○中西(績)委員 実際に数値を示してもらって、全部を並べてみて我々が試算をし、その結果でなければ、私たちは今言われたからそのことで納得できるわけはありません。だから、少なくともこの問題点については、本当に最低保障をどうしていくかという、今生活保護云々と言うけれども、生活保護だって、これはもう収入が完全に途絶えて、働きたいのだけれどもできない人たちが多い。それから、年金も入らなくてどうすることもできぬからそれだけのものが欲しいということで、これは措置してあるわけでしょう。そうであれば、今度は、退職をした後に生活ができない、だから年金生活に移るわけでしょう、一般の収入はなくなるわけですから。そうしたときに、今度それをどう補完をしていくかということになれば、これはもう当然のことじゃないですか。だから、そこいらが、総合的にどう勘案していくかというこうした問題と我々の考えとの間に大変差があるわけなんですね。ですから、総合的にやろうとすれば、少なくとも今申し上げたように、では今度は雇用関係はどうするのですか。例えばこの方式でいきますと、退職をします、雇用関係についてはちゃんと間が切れるわけでありますけれども、この点は将来的にはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/30
-
031・増岡博之
○増岡国務大臣 高齢化社会におきましても、老後を意義あるものとして過ごすためには、やはり一定年齢まで働く能力と場所がある限りは就労によって生活を支えることが大事であろうと思います。その後の生活保障は年金を中心に考えることが望ましいと考えるわけでございます。
ところが、一面急速な高齢化社会を迎えるに当たりまして、支給開始年齢の問題は避けて通れない課題であると思うわけであります。しかし、その場合でも、今後の高齢者の雇用の増高を十分見きわめながら総合的に対処していかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/31
-
032・中西績介
○中西(績)委員 総合的に対処していかなくてはならぬということを言われますけれども、こうした年金、その場合に基礎年金、基本的な年金とあわせて二階建てと言われる、収入に応じあるいは勤める年限に応じてそういう二階建てのものを設定する、そして今度は職域的なものを設定するというこの三つの構想については一応了としても、少なくとも、年金制度そのものと雇用接続を、そこにどう空白なしに保障していくかということがなければ、この年金制度そのものが一定の欠陥を持ったものとしてしかとらえることができぬと思いますね、これはだれでも、常識的でしょう。ですから、大臣はもう時間が来たようでありますけれども、出なくちゃならぬと言っておりますが、この点だけは、そうした抽象的なものでなしに、少なくとも企業のそういう雇用責任なりいろいろなものを総合的に本格的に検討し始めるというのですけれども、それはどういう場で検討するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/32
-
033・増岡博之
○増岡国務大臣 実は、厚生省と労働省の間に高齢者雇用の問題と高齢者の所得保障としての年金の問題、この双方のかみ合わせをどういうふうに考えていくかという協議機関をスタートさせておるわけでございます。抽象的ではございますけれども、やはり働ける間は働いて、引退したときはそれが年金に直結する姿が一番理想だと思うわけでありますから、そのように政府部内全体の問題として検討しなければならぬ、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/33
-
034・中西績介
○中西(績)委員 指摘をしたい点がございますけれども、時間が来たようですから、大臣ありがとうございました。
では、あとは答えられる人は、厚生省、だれかおるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/34
-
035・阿部文男
○阿部委員長 おります、企画課長がおりますから。厚生省から来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/35
-
036・中西績介
○中西(績)委員 それでは、委員長、厚生大臣がいなくなりましたので、その後の論議とのかかわりがあるのですが、運輸大臣を私は要請しておったのだけれども、そのこととのかかわりでどうなのかちょっと。――それじゃ、いずれにしましても大臣が見えられることを確定しなくちゃならぬし、休憩をちょっととっていただいて確定をしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/36
-
037・阿部文男
○阿部委員長 暫時休憩します。
午前十一時二十五分休憩
――――◇―――――
午前十一時二十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/37
-
038・阿部文男
○阿部委員長 休憩前に引き続き再開いたします。
中西君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/38
-
039・中西績介
○中西(績)委員 大臣が細切れで入ってくるものですからね。だから、質問の進度によって随分違いが出てくるものですから、迷惑をかけますけれども、この点はひとつすべての委員の皆さん御了解ください。
厚生省は課長がおると言ったかな。――おるんだね。
そこで、この点は大臣に開くことができないので大変残念ですけれども、私は、基礎年金の性格づけと、これが十分保障されないということからいたしますと、問題は、その措置するための財政的な裏づけなりなんなりをしさえすればそれは補完できるわけですよ。ですから、こういう方式でなくて、国の負担をどうするかを考えていけば、少なくとも例えば六十年までの国庫負担を維持していく、あるいはそれでなければ税方式で補いをつける、こういうことをやれば、当然これは行えるものと思います。あるいは特別会計を設定することによって補完をしていく、さらにまた無年金解消の具体策を早急に実施をする、そうした総合的なものを全部再検討していかなくてはこれはできないと思うのですね。ですから、あなたが答えるような中身ではない、これは大臣じゃないと。
したがって、課長が答えられるであろうと思うのは、前回の参議院において基礎年金の検討を法律の中に入れたのですよ、検討する。ということを。そのことはそういうことを含んで考えられたのではないか、了解したのではないかと私は理解をしておるわけです、総合的に。それは厚生省内部においては意思統一されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/39
-
040・鏑木伸一
○鏑木説明員 御説明いたします。
年金の財源につきましてどういったものを充てるかということでございますけれども、一つには、今現在の社会保険方式があるわけでございますが、さらに、お話しございました税方式というものも確かにあろうかと思います。ただ、税方式につきましてはそれなりにかなり問題がございます。大変巨額の財源を要する、これにつきまして国民の合意が得られるかどうか、また税方式といいましても、具体的に一体どういったものを課税の対象にしていくのか、いろいろ難しい問題がございます。また、現に保険料を払っておられる方がおられるわけでございますし、そういった保険料を払っておられる方、払っておられない方に対しまして、同じような取り扱いをしていいのかどうか、納得を得られるのかどうか、そういったいろいろ問題がございます。
確かに、御指摘ございましたように、参議院の修正におきましてこういった条文が入っております。国民年金法の附則の一条の二でございますが、「基礎年金の水準、費用負担のあり方等については、社会経済情勢の推移、世帯の類型等を考慮して、今後検討が加えられるべきものとする。」こういう規定がございます。これにつきましてはさまざまな御議論が国会の審議過程で出ましたという経緯もございますので、今後とも検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/40
-
041・中西績介
○中西(績)委員 私は、一挙に税方式などということを考えることは大変な困難であろうと思うのです。ですから、先ほど大臣がおったときに私が申し上げたように、ある程度今の国の負担、支出を現行方式でいくなら、率からいうと半分ぐらいに減じていくわけですから、そうしたものとあわせてどのようにその中に入れていくかということを考えていけばいいわけでありまして、こうした問題等については、将来今の方式でいくと、例えば基礎年金方式でいって、定額を徴収してそして定額を支給するというこの方式でいくと、先ほど言っておったように掛金は上がっていくわけですね。徴収する額は上がっていくわけです。そうなってきたときに、今示されておるいろいろな資料を見ますと、驚くことに、例えば五十五年度と五十九年度の国民年金における検認率、免除率、こういうものなどを全部調べていきますと、大変な率になっていきますよ。そうすると、これが将来的に例えば基礎年金方式にかわっていったとしても、この分がうんと拡大をしていけば、免除率が上がったりあるいは固定できずに徴収ができなかったということになっていきますと、これはまた破産するのは当然過ぎる内容になってくるわけですね。こういう中身になっているから、例えばこの免除率だけを考えてみると、去年が札幌市の場合には三〇・六%ですよ。そして、二〇%を超えるところが大部分になってきているわけですね、大都市においては。こういうようなものを考えていくと、到底これは困難になってくるというのは火を見るよりも明らかなんです。
ですから、そうしたことの矛盾が出てこないようにするためには、例えば所得税に対する税金をどうそこに設定をしていくのかという税方式、それと国の負担が今まであるわけですから、それらを折衷式にやりながら、一定の財源措置をとりながらこれから以降の体制を十分整えていくということになれば、今言うような婦人の問題もあるいは無年金の問題もすべてがずっと解消していく、そして一定目標の基本年金あるいは基礎年金と称する部分を固定化することができるのではないか。でないと、大変なあれになっているわけですから、この点はやはり十分踏まえて、社会情勢の変化、それからこの年金にかかわる人たちの情勢の変化、すべてを勘案してやるべきではないか、こういうことを私は指摘しなくてはならぬと思うのですね。
そのほかまだたくさんありますよ、指摘をすると。そういうものを全部総合的に勘案してというなら、それは今言う検討するという意味の中に含めないとだめだろうと思うのです。ですから、参議院はそれであっても、今度は衆議院ではさらに拡大をして、そうした問題等について内容的に十分検討し直す、こういうことになっていかぬと、もう破産をするということははっきりしておるのだから、この点だけは明確にしておかなくてはならぬと思うのですね。そうせぬとまた、国鉄問題を後でやるのですけれども、国鉄問題と同じようにまたこうなったからなんということにならぬようにしなければならぬ、この点を指摘しておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/41
-
042・鏑木伸一
○鏑木説明員 一挙に税方式にいかなくても段階的にいけばいいじゃないかという御指摘ございました。それにいたしましても、例えば基礎年金の国庫負担の割合をふやすということになりますと、非常に多額の財源が要るわけでございます。ですから、私どもは、質的には同じような問題ではなかろうか、やはり現時点におきましては、社会保険方式というのがもうずっと長らく定着したやり方でございますし、先ほど申し上げましたような幾つかの税方式の難点も考えますと、社会保険方式を維持していくのが適当であると考えております。
また、無年金の問題を御指摘になられましたけれども、今回の国民年金の改正におきまして制度的に無年金になる方をなくするようなさまざまの措置を講じております。例えば外国に居住しておられた方の期間を年金の資格期間に算入するといったことを幾つかやっておるわけでございます。ただ、無年金の解消につきましては、実際の業務の運営上、いろいろな方面へのPRを行う等、私どもの自助努力というものも大事であると考えております。
今回の改正の一つの大きなポイントは、先ほど大臣からも申し上げておりますけれども、婦人の年金権の確立ということがあるわけでございまして、これまではサラリーマンの家庭におきましては国民年金に任意加入されておりませんと障害の状態になられましても年金を受けられないというようなことがあったわけでございますけれども、今回の基礎年金の導入を中心にしました改正におきまして、そういった問題も解消しております。ですから、そういった意味では非常な改善があったと私どもは考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/42
-
043・中西績介
○中西(績)委員 今申されたことで一番の問題は、公平をまず第一に目標としてやっておるということを大臣言ったんですよ。公平化それから安定化。ですから、今言う公平であり安定であるということ、それから今度は一方受給者の側の皆さんの生活がどう安定をするか、こういうすべての条件を満たすためにやる方策は何なのかということを考えないと、今あなたが言われるように、今あるものでいろいろ問題があるものをちょこちょこつまみ食いみたいな格好になってそれが片づきますなどと言ったって、一番基礎になるものが片づいていない。まず第一に公平になっていない。五万円ということは公平だとあなた言われるかもしらぬけれども、今度は掛金の側で、少なくともそうした面で単一的なものである、画一的なものであるということがどうなのかということ、確かに金額は同じだから公平化されていますということになるかもしれないけれども、一番最初に私が申し上げたように、すべての私たち国民の生存権そのものをどのように考えるかということを考えた場合にどうなのかということはそこには明らかになってこないわけですよ。不公平なんですよ。例えば旦腱いの人だとかこういう人だって全部掛けなければならぬわけでしょう。無収入に近いような人だって、自由業の人の場合には収入が大変落ち込んでいるときだって掛けなければならぬです。そういういろいろな多くの問題があるだけに、その点、所得税そのものに付加価値税として税金をかけていくというこの方式が必要だろうと私たちは考えておるわけです。これはもうこれ以上答弁する必要はありませんけれども、そうした問題等を含めて我々は内容的にこれを充実をさしていかぬと将来は必ずそれは破産をするような状況というのが出てくる、そのことを指摘をしておるわけなんです。ですから、この点は、今課長では十分お答えできないと思うけれども、少なくともこの基礎年金の問題で検討するというその中身の中には総合的なそうした内容等についても十分組み入れていくというそうした態度がないと、これから七十年までの間における再検討する時期に大変重要ではないか、こういうことを指摘をしておきたいと思います。
〔委員長退席、船田委員長代理着席〕
そこで、もう一つ問題になっておりますのは、共済四法、私学年金でもそうなんですけれども、所得の比例部分におきまして、二階の部分で既得権、期待権を侵害するおそれがある。特に私が指摘をしたいと思いますのはOB、既裁定の皆さんの場合既得権を侵害される状況が出てくるわけでありますけれども、この点についてはどのように理解をしておるのですか。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/43
-
044・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生の御指摘のように、今回の制度改正によりまして年金の給付水準は将来的には現行の水準より下がることとなりますが、これにつきましては、給付と負担の均衡を図り公平で安定した年金制度を確立するために給付水準を適正化していくことによるものでございます。
ただ、これにつきましては、例えば給付乗率に経過措置を設けまして、施行日の年齢に応じて二十年をかけて逓減していく方法をとっておるところでございますし、また、施行日の前日において退職年金の受給資格がある者につきましては、同日におきまして退職したならば受給できた年金額を保障することとします激変緩和措置を講じております。
また、既裁定年金者でございますが、いわゆる従来共済方式で算定される者の年金額につきましては、基本的には通年方式によります裁定がえをすることとしておりますが、従前額につきましてはこれを保障するというふうにしておるところでございます。ただ、この従前保障額につきましては物価スライドはすることはいたしておりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/44
-
045・中西績介
○中西(績)委員 もう時間がありませんから、今既裁定だけを申し上げたわけでありますけれども、この既裁定者の場合に、従来、従前方式でもってこれはやるということを言っておりますけれども、ところが、これは将来的にはスライドがなくなるわけですよ。そうなってくると今までの方式とはうんと違いがあるわけですから、今までの既得権というのは、少なくともこの共済方式による方式がちゃんとあって、ここでもう申し上げる時間ありませんから細かくは言いませんけれども、あっての上でこれは支給をしておったものが、今度の場合には計算をし直しますね。そうすると、今まであったものに今度は後の分がスライドして追いついていけば、それからは今度この額というのはもう動かすことができないわけですよ。これが多い場合にはこれを適用しますね、しばらくの間は。しかし、こっちが今度追いついていくわけですから、そうするとこれはもうスライドそのままストップして切りかえたような格好になるわけでしょう。ですから、これは少なくとも今までのそうした経緯を経た人たちの場合におきましては、当然既得権を侵害される中身でしかない、こうとしか私たちは言いようがないわけですね。ですから、やはりこの点をある程度考える必要があるということを言っておるわけです。
私はきょうこれを細かく論議をしてやる時間をもう持ち合わせませんからなんですけれども、そうした問題について、さらにまた、一般の場合の既得権あるいは期待権、そういうものがあったものについて先ほど説明ありましたけれども、この点についてもやはり依然として問題は残っておるわけですから、これから後我々が討論をしていく際に重要な一つの問題として提起をしておきたいと思います。
それから、もう一つは、飛ばしまして、大変な問題になっております処分者に対する措置であります。支給制限をするわけでありますけれども、この支給制限について厚生年金受給者と依然として差をつける。考えていただけばわかるように、例えば私立の大学の例を挙げましょう。厚生年金のところが大学あるいは高等学校などを含めまして三十校ありますね。そういうところでは、処分されたって年金について処分的な支給制限を受けるということはないのです。ところが私学年金、これを受給するところ、三十五万ばかりいるわけでありますけれども、そこでは行政処分をされると同じ私立大学で見渡しても片っ方は制限を受ける、このことはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/45
-
046・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生御案内のとおり、私学共済法と申しますのは、教育基本法第六条の趣旨に基づいて制定されたものでございまして、私学共済年金といいますのは、国公立学校の教職員に係る年金との均衡を保つことを建前として設けられました職域年金としての性格も有しているわけでございまして、このような観点から、組合員が公務員の場合におきます懲戒の事由に相当する事由によりまして処分された場合には、国家公務員等共済組合法の規定に準じて年金額に一定の割合を乗じて得た額の給付制限を行うこととされております。これにつきましては、先生御指摘のように厚生年金の場合には確かにそういうことはございません。ただ、基本的には先ほど申しましたように、教育基本法第六条の趣旨に基づいて今のような措置をとっておるわけでございます。今回の改正案におきましても、従来の基本的な考え方は踏襲することといたしておりますが、新たな共済年金につきましては、厚生年金相当部分とそれから職域年金相当部分とに区分して設計をしておりまして、給付制限につきましては職域年金相当部分についてのみ行うということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/46
-
047・中西績介
○中西(績)委員 職域年金と称しても、これはちゃんと組合員が掛金を払った部分から支払われるのでしょう。その中には含まれておるわけでしょう。そういうことになりますと厚生年金だって全く同じですよ。ということになってまいりますと、今言うように、国公立との均衡を保つためにこの年金制度が云々というようなことを言いましたけれども、ところがあなた、厚生年金だってちゃんとあるんだから。それが統一されて強制的に――厚生年金へは行けませんよ。国公立学校と同じだからその趣旨に沿って私学年金に強制加入しなければならぬということになっているならいいですよ。そうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/47
-
048・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 既に昭和二十九年あるいは昭和四十九年のときにおきまして御加入にならなかった者につきましては現在のままの厚生年金ということでございますが、今後新たにできます学校その他につきましては全部御加入をいただくというような形になっております。
それから、ただいま先生の厚生年金と私学共済の年金との差でございますが、私どものとります措置はあくまでも職域年金相当部分にかかっておるということを御理解いただきたいと思っております。
それから、掛金につきましては、たしか先生の御指摘のとおり、そこの中には当然ながら学校法人が負担しますものと組合員の負担するものと両方入っております。これは二分の一ずつでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/48
-
049・中西績介
○中西(績)委員 ですから、二十九年、四十九年云々ということを言いますけれども、少なくとも同じ大学で、そういう経過はあったにしましても厚生年金でちゃんと残っているのですよ。それが許されているわけですから、強制的なものでなかったわけでしょう。じゃ今度は強制ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/49
-
050・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生の御指摘のことが懲戒処分にかかわるものということでございますと、これにつきましては、それに基づく政令の規定に基づきまして一律に行うということに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/50
-
051・中西績介
○中西(績)委員 そんなことを聞いているわけじゃないですよ。今厚生年金でいる大学を強制的に加入させるのですか、これが一つ。それからもう一つは、新たな大学設置がされた場合には強制的に加入をさせるのですか。二つあるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/51
-
052・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 それではお答え申し上げます。
ただいまの既に現在厚生年金に入っておりますものにつきましては、それは加入ということはございません。ただ、新たにこれから学校の設置認可ができまして、それで私立学校が生じる場合におきましては、当然御加入いただくということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/52
-
053・中西績介
○中西(績)委員 どうもいかぬですよ、時間がかかってしようがない。第一の、厚生年金で今週こされている三十校、これについては強制加入するかどうかということを聞いているのです。強制加入はしないでしょう。それから二点目の、新たに設置されたところについては法的に強制加入になっていますか、こう聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/53
-
054・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 説明が不十分で申しわけございませんが、ただいまの第一点の、既に現在厚生年金に加入しておりますものについては強制加入ということはございません。それから第二点の、新たに設置されますものにつきましては強制加入ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/54
-
055・中西績介
○中西(績)委員 法のどこに示されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/55
-
056・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 ただいまの点でございますが、私立学校教職員共済組合法の第十四条にございまして、「私立学校法第三条に定める学校法人、同法第六十四条第四項の法人又は組合に使用される者で学校法人等から給与を受けるものは、組合員とする。」ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/56
-
057・中西績介
○中西(績)委員 その「組合員とする。」というのは、そのことが強制加入ということを意味していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/57
-
058・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/58
-
059・中西績介
○中西(績)委員 そうしますとなおさら、前から加入をしていないところは許されているわけでしょう。今度はそのことがちゃんと、新たに設置されるものについては強制加入、その差があるわけですね。そうすると、片一方は今度は、今言うように国公立に準じてという言葉によって均衡のために処分については支給制限をするというわけです。これは学校が違うのですか。大学の設置なりあるいは大学校の性格なり、すべてがお互いに違いがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/59
-
060・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 学校教育法上は相違はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/60
-
061・中西績介
○中西(績)委員 であれば、何で差をつけるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/61
-
062・松永光
○松永国務大臣 先生よく御承知のとおり、教育基本法で、法律に定める学校は公のものとするという規定がありますし、それから、したがいましてその学校の教職員はすべて全体の奉仕者であって云々ということで、言うなれば国公立学校に準ずる公のものであるということが教育基本法に掲げられております。その規定を受けて私立学校共済は実はできておるわけであります。したがいまして、私立学校共済関係者で受ける年金の中で職域分に関するものについては国公立共済の人たちと同じような措置をする、こういうふうになっておるわけであります。
ただ、問題は、そうなってくると厚生年金に残っているままで私学共済に加入してないのだけは違うじゃないか、こうなってくるわけでありますが、問題は、私学共済ができた当時にこれが命令的に強制的にそれに入らせるという仕組みでなかった関係もあって残ったままになっている、こういう状況が残っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/62
-
063・中西績介
○中西(績)委員 答弁になってないですよ。この点は後でまた質問する人もおりますから、もうちょっと整理をしてちゃんと答えてください。第一に、強制加入をしないということでしょう。従来からの分については強制加入をしない、これはもうはっきりしているわけだ。そうすると、おのずからそこには差ができる。差ができるということは、差があってよろしいということなんです。そういうことを認めているわけです。ということになりますと、もともと半分自分が出しているものまで含んでその人に支給しないなんということはけしからぬと思うのですよ。職域年金であろうと何であろうとです。もともと矛盾があるものをこうして強制的にあれしていくから矛盾が出ているわけであって、ですから、この点は同僚議員がまた後日質問しますから、その際に整理をして答えぬと、今のはもう答弁になってないです。これで打ち切ります。
そこで今度は、私は先ほどからずっと論議をしてまいりましたけれども、まだまだ内容的に補完をするところがたくさんあると思います。特に言われておりました公平原則、そうしたことを含みまして十分考えなければならぬと思うのですけれども、こうした中で論議を聞いておりまして、随分矛盾がたくさん出てきています。特に私が感じましたのは国鉄問題であります。
運輸大臣、二十分までということですから余り時間がありませんから、取り急ぎ聞きたいと思うわけでありますけれども、国鉄問題は、私が申し上げるまでもなく大変な状況になっておると言われますけれども、実態と現状はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/63
-
064・中島眞二
○中島(眞)政府委員 国鉄の現状でございますが、本年七月二十六日に国鉄再建監理委員会から「国鉄改革に関する意見」というものが出されまして、分割・民営化を中心といたしまして改革の方向が示されたわけでございます。その中で触れられておりますとおりに、国鉄の現状といたしましては毎年一兆七千億程度の赤字を生じておりますが、そのほかに国からの補助金が六千億ほど出ておりますので、それを合わせれば二兆三千億の赤字が出る状況でございます。運賃の収入はほぼ三兆円でございます。そういうことでまさに破産的な状況にあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/64
-
065・中西績介
○中西(績)委員 その中で年金も全く同じだろうと思うのだけれども、その年金の実態、現状、数字で資料を欲しいと私言ったのだけれども、まだもらってないのだが、これどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/65
-
066・坂本導聰
○坂本説明員 お答えいたします。
現状でございますが、国鉄共済組合の現役組合員数はこの六十年三月末現在で約三十三万五千人、一方、年金受給者は約三十九万四千人ということで、逆転現象を起こしているわけでございます。こういった中で、私どもは国家公務員及びたばことNTTでこの国鉄共済を昭和六十年から五カ年間救済するという計画を立てております。この計画でまいりますと、一年につき約四百五十億円を国鉄共済のために投入するということでございます。端的に申しますと、国家公務員一人当たり平均、年一万五千円くらいの負担をするということでございます。しかしながら、ただいま御指摘の国鉄再建計画が実現されますと、この四百五十億円のほかにさらに上積みして七百億円から八百億円毎年不足を生ずるという事態がこの六十年から六十四年の五年間の間に見込まれます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/66
-
067・中西績介
○中西(績)委員 そうなりますと、今言われました監理委員会なりいろいろなところでそうした指摘がされておるわけでありますけれども、これは運輸省に聞いた方がいいかな。監理委員会はこの点についての指摘、どういうふうに言っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/67
-
068・中島眞二
○中島(眞)政府委員 再建監理委員会の七月二十六日の答申におきまして、新たに発足いたします新事業体に対しては当面現行の共済制度を適用することといたしますが、今御説明がございましたように、国鉄共済年金についての財政状況から現在財政調整事業が行われておりますけれども、ここで六十年二月十三日の国家公務員等共済組合審議会の答申を引用いたしまして、この答申におきまして、現在の「財政調整事業は、拠出側組合員の負担増等から判断すれば、今回の」五カ年にわたります「計画が限度であり、速やかに年金制度の一元化を展望しつつ公的年金全般による調整方策を確立すべきである。」こう述べられておりますが、再建監理委員会としても、「この調整方策の検討が速やかに行われることを要望する。また、旅客鉄道会社に対する将来の適用年金制度については、公的年金制度の再編成についての検討が早急に行われ、その結果に基づいて必要な見直しが行われることを期待する。」こう述べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/68
-
069・中西績介
○中西(績)委員 そうしますと、その内容は検討することを期待すると言っておりますけれども、この五年間で、これが破算をするのでその補完措置をしてあるからその間にということを言ってあるわけですね。先ほど答弁がありましたように、既に一年間この四百五十億というものを措置してあるのだけれども、これでは不足をいたしまして七百億から八百億、ある人は九百億という声を出しておる人もいますね。いずれにしてもこれだけのものが重なっていくわけです。そうすると今度は、監理委員会案が通ったときには六十四年まででなしに急激に、六十二年にはそれを手がけようとしているわけでしょう。そうしたことの検討がされておったとお思いですか。その中身はそういうふうになっていないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/69
-
070・中島眞二
○中島(眞)政府委員 監理委員会の基本答申におきましては、要員の規模を、新事業体において引き継ぎますものが二十一万五千人、それから精算業務を担当いたします旧国鉄に所属する特別対策対象者が四万一千人でございますので、六十二年度におきましては二十五万六千人体制ということになるわけでございます。
一方、財政調整事業が策定されますときに基礎になりました国鉄の要員数、これは現在実施されております国鉄についての経営改善計画がございます。これは昭和五十五年の日本国有鉄道経営再建促進特別措置法の規定に基づいたものでございますが、これによります六十年度の要員規模が三十二万人でございます。したがいまして、六十二年度におきまして監理委員会の答申が実施されるとすると、要員規模において今申し上げただけの乖離があるわけでございますので、したがいまして、再建監理委員会の答申の中でも当然そういう事態を予測しながら、今回の財政調整事業が限度であるので、年金制度の一元化を展望しながら公的年金制度全般による調整方策を確立する必要があるという、国家公務員等共済組合審議会の答申を引用しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/70
-
071・中西績介
○中西(績)委員 少なくとも、現在でも成熟度が先ほども言われましたように一〇〇%をはるかに超えているという実態、そして、言われますように次々に減員していくわけですから、そうなってきたときに果たしてどうなるかということは明確ですから、そうした内容について、成熟度がこれだけになるのだからということ等については文章の中には触れていないんですよ。ですから、今私が指摘をしたいと思いますのは、人員を減らしさえすれば何かうまくいくみたいな監理委員会の考え方だけれども、減らしていけば退職金が出、年金が出、では賃金とのバランスはどうなっていくかということになってまいりますと、ますます拡大をしていくばかり。なぜかといったら、今までの国鉄のあれは全部賃金の中に、給与の中にこうしたものを全部で括して含んでおるわけでしょう。そうなってくると、これは大変な破産状態になるわけです。そういう問題等についてその中身は明確に指示していないんです。
だから、少なくともそうした問題と、もう一つは、なぜこのようになっていったかという一番大事なところが抜けておると思うのです。今度の問題については、なぜこうした破産状態に共済がなってきたかという点についてぜひお答えいただきたいと思うのですけれども、運輸大臣は、大体なぜなったか、こうした観点について御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/71
-
072・山下徳夫
○山下国務大臣 国鉄共済が今日のように悪化した原因につきましては、まず国鉄の特有の事情として、戦後大量の方々が国鉄に職員として採用されたということで、その方々の退職と、経営合理化に伴う職員の数が非常に減ったということが第一の原因でございましょう。さらに、給付と負担の関係が長期的に安定したものとなっていなかった。あるいはまた、より基本的には、小単位と申しましょうか、例えば厚生年金は二千数百万人でございますが、こういった一つの年金の共済制度からいうと、この国鉄の規模というものが非常に小さいということから、経営環境が変化することによって非常に左右されるという面がありまして、そういう面からして今日の破綻に立ち至った、このように。理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/72
-
073・中西績介
○中西(績)委員 ですから、今言われた成熟度の問題、それからそれ以外に、まだ挙げなかったけれども、恩給処理の問題、それから軍人恩給とのかかわりの問題、さらに外国から引き揚げてきた多くの人々の問題、挙げていきますとたくさんあるわけですね。
ところが、私は大臣にちょっとお聞きしたいのだけれども、これと全く同じ考え方ではないかと思うのですけれども、先般私は指摘をしたのですが、国鉄側から挙げられました中に、五十三年八月に文部大臣、厚生大臣に対して、文部省に六百九億円公共負担の軽減方を申し入れいたしました。
〔船田委員長代理退席、委員長着席〕
そして、五十四年に国鉄再建の基本構想が出まして、通学定期等公共割引対策、構造的問題対策の一つとして要望いたしまして、五十四年また再び文部大臣、厚生大臣に対しまして、文部省に六百四十九億円の軽減方を申し入れし、五十四年に閣議了解事項といたしまして「日本国有鉄道の再建について」、こういうことで論議をし始め、各省庁の検討委員会を設置して論議をし始めたのですね、これは全然進んでない。ところが、国鉄側も運輸省側もそれに対して追及をするとか要請をするとか、こういうことが全然なされてない。六年間されてない。私はここに、運輸省にしましても国鉄にしましても、内閣全般について国鉄に対する関心が全く意図的に無視されておった、こう言わざるを得ない。それと同じように、今回のこの問題についても挙げていきますとたくさん問題がありますね。これを見ると驚くぐらいにあります。こうした問題についてなぜ今まで措置をしておらなかっただろうか。
外国の場合は、私がここで申し上げるまでもなく、国鉄の場合で言いますならば、年金対策が次々進められ、そしてこの前、連合審査の際には総理は、外国の場合には年金に対してどのようにされておるか諸外国の例を知っておるということを言っておりますから、総理が知っておるのに運輸省だとかいろんなところが知らないと私は思わないのだけれども、この点、どういうようになっておるか、一言で言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/73
-
074・中島眞二
○中島(眞)政府委員 その前に、先ほど先生の御指摘の点で、再建監理委員会の方は国鉄の共済年金関係についての負担について、将来のその負担軽減等について何も触れてないんじゃないかという御発言がございましたけれども、これについてちょっと御説明させていただきますと、国鉄が共済年金についての負担金の中で非常に大きなウエートを占めておりますのが追加費用でございます。昭和三十一年七月以前の期間にかかわるものでございますし、それらについて全体としまして恩給負担金等も入れまして四兆九千億の金額についてはこれを新事業体には移行しない、旧国鉄において別途措置するということを言っておる点を触れておきたいと思います。
それから、ただいま御質問のございました外国の年金制度でございますが、諸外国におきます国鉄に対する助成制度につきましては、一般的に我が国でも行われております地方の旅客輸送などの公共輸送義務に対する補償とか……(中西(績)委員「年金です」と呼ぶ)それから、社会政策的な運賃割引などに対する補償とか設備投資に対する助成とか、そういうものが主でございます。
年金制度について、年金負担金は我が国の場合と同様にそれぞれの国の国鉄が負担しておりますが、これに対するさらに国側の助成あるいはその内容というものについては私ども掌握しておりませんが、ただ、基本的に申し上げれば、我が国におきます国鉄の場合におきましても……(中西(績)委員「掌握してないならいいです」と呼ぶ)六千億に上る補助金は交付しているわけでございまして、全体としての国鉄の負担の中における国の助成は行われておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/74
-
075・中西績介
○中西(績)委員 私が聞いたのは、年金についてどうなっておるかということを先般聞かれた際に総理大臣は、調査をして、西欧に行って十分知っておるということを答弁なさったんです。ところが、それは運輸省は、少なくとも総理が知っているんだから知っておるだろうということで私はきょう資料を持ってきてくれぬかということを要請しておりましたけれども、それも持ってきておらないところはさっきの答弁のとおり。承知しておらないということを今言っておるわけです。ですから、先般の中では、西独の問題だとかイギリスの問題だとか、いろんなものをわざわざ委員の側から数値まで挙げてちゃんと示したわけです。五千億を超えるような膨大な年金についての対策をしています、一年ですよ。そういうような状況がある。ところが、今言われているけれども、予算はどんどん減額をしておるわけですから、この点私は、何もなされておらないというそういう状況でしか把握ができません。
ところが、私もう一つ大臣にお聞きしますが、この掛金額あるいは給付の現況というのは、国鉄は他のものに比較をいたしまして大変高くなっておると私は承知しておりますけれども、これは間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/75
-
076・坂本導聰
○坂本説明員 ただいまの御指摘のとおりでございまして、他の共済組合からの援助を受けている現状下で他の共済組合より高い掛金率になっていることは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/76
-
077・中西績介
○中西(績)委員 そうなりますと、少なくとも本人たちに大きな責任があるわけではありません。これはすべてやはり全体的な責任として国がどうするかということを考えなくちゃならぬわけです。ところがこれをずっと見ますと、もう時間がございませんから一々挙げませんけれども、国鉄職員の場合には一〇・二%、地方公務員が五・二%、あるいは電電が六・六%と、大変な負担を強いられておるし、それから今度さらにスライドの問題だって、全部これはストップをかけられて全然伸びておりません。こういう実態等があります。ところが、大変な赤字になっておるからこそこうした状況になっておると思いますけれども、これはあくまでも責任はそこにいる受給者の問題ではないし、あるいは今掛金をたくさん取られておる組合員の皆さんではない。と考えますと、この責任を、今度はいよいよ年金統合、七十年というのは大体壊れておりますけれども、これができない場合にはどうなるかというと破産です。公的年金が完全に破産をしてしまいます。そのときに、文部大臣にお聞きしますけれども、文部省は、私学共済の今の成熟度は三・二%ですよ、そうすると、この公的年金制度そのものを破壊し尽くすようなものを一緒にして、これを我々が私学共済で負担をしなくてはならぬだろうか、この点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/77
-
078・松永光
○松永国務大臣 国鉄共済の救済についての対処につきましては、もう前から申しておるとおりでございまして、官房長官がさきの連合審査会で、国鉄共済の救済策については誠心誠意検討し、本案が衆議院を通過するまでに検討結果を報告させていただきたい旨の答弁がなされておりまして、この答弁の趣旨に沿って対処されるべきものと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/78
-
079・中西績介
○中西(績)委員 今言うように、そうなってくると、全部これは関係閣僚会議みたいなものを開いて、従前答弁をしておったそれぞれの大臣の答弁と全然違うように、後になって措置をするというようなことをみんな言い始めたのですよ。それをまとめて今度は大蔵大臣は連合審査の中で、それぞれの大原氏あるいは多賀谷氏などの質問に対してお答えになっておったようですけれども、最終的にはどうするつもりなんですか、この点は所管の大臣として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/79
-
080・竹下登
○竹下国務大臣 国鉄共済の救済問題。私は統合法案のときにしみじみと感じた感想を述べましたことが若干誤解を生んでおりますので……。と申しますのは、統合法案をお願いするときに、本当にあの審議会、特に懇談会でございますけれども、労使それぞれの方がいろんな議論をなすった。で、最終的にやっぱり労働者連帯だということで統合法案ができたわけです。これぐらい美しい姿というのは私はいまだに感じたことがないほど、本当に涙が出るほどうれしゅうございました。そういう考えがあるから、すぐそれをさらに労働者連帯を拡大して最後にはオールジャパンに持っていくのではないか、若干こんな誤解を受けた感がございます。
そこで、いろいろ議論をいたしましたが、最終的には今まさに文部大臣がお述べになりましたとおり、官房長官の責任において、国鉄共済は今私の所管でございますけれども、統一した見解を発表しようということになったというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/80
-
081・中西績介
○中西(績)委員 私は、少なくとも今度のこの審議をするに当たって、文教では初めて本格的に審議が始まったのですね。そうなってまいりますと、この関係で具体的な内容が示されず、しかも、この案件についてはもう従前からそれぞれの審議会、もう申し上げませんけれども、この案件については全部出ておるわけですね。それに対して今出てこなくて、しかも閣僚会議を開いてもなおかつこれが終了するまでということになっていますけれども、それじゃ、これが終了する時期はいつですか、時期を明示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/81
-
082・竹下登
○竹下国務大臣 終了する時期というのは国会の御判断でございますので、我々が予測してそういうことを申し上げることは行政府として最も慎むべきことであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/82
-
083・中西績介
○中西(績)委員 少なくとも国会が終了する時期というのはもうびしゃっと決まっているんだからね。その時期までに示せばいいというようにお考えですか。私はそうじゃないと思いますよ。衆議院で論議をする過程の中で、この点は可及的速やかに出されるということは、重要な課題ですから、このことが内容として入っておらなくちゃなりません。ですから、この点は、これを審議するに当たってすべての総合的なあれをとっていくわけですから、この点が明確にされない限り審議する状況というのはなかなか私は見出しがたいと言わざるを得ないわけです。したがって、時間がありませんから、大臣がもういなくなるというから、後に譲りますので、きょうは私はこの点を保留しまして、私の残る時間を残して、もう一度この分だけについて結論が出るまで審議をさせていただきたいと思うのです。ぜひこの点を御理解願って、委員長、措置をしていただきたいと思うのです。――そのようにしてもらっていいですか、残る時間。留保しますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/83
-
084・阿部文男
○阿部委員長 ただいまの中西委員の発言について後刻理事会で協議させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/84
-
085・中西績介
○中西(績)委員 いや、だめですよ。私の持ち時間を留保させてもらわないと――じゃ、私は言いますけれども、ある議員がこういうことを言ったのです。大臣、いいですか。終了する時期に出すと言うけれども、内容的には何も決定する必要はないと言うのです。社会党などが言っているようなことを含めてやる必要はないのだからということを私はあそこで耳で聞いたのです。ですから私はこのことを強調しているのです。どんなものが出てくるかわからぬのに我々がオーケーを出すわけにはいきません。ですから私は育っているのです。その点は明確にしてください。我々の納得いくものが出ない限りは我々はこれを成立させることはできないのだから。だから、私は今留保する、時間があるからそれをちゃんととってくれと言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/85
-
086・阿部文男
○阿部委員長 時間の留保については了承します。
田中克彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/86
-
087・田中克彦
○田中(克)委員 年金に関係する四つの法案が四つの委員会にかかっているということで、審議のテンポが若干ずれておりますために、連合審査とこの文教委員会の審議の中で時間の食い違い等も生じておりまして、大変御迷惑の点もあるかと思うわけでありますが、大変重要な法案でございますので、せっかく大臣が出席でございますので、わずかな時間でありますから、特に問題点を絞って大蔵大臣にお伺いをしたいと思うのです。
質問に入る前に、基本的な問題について各大臣おそろいのところでしばらく時間をいただいて議論をさせていただこうと思ったわけでありますけれども、きょうはそういう機会が許されません。したがって、単刀直入に問題に入っていきたいと思うわけですが、まず大蔵大臣に伺いたいと思うのです。
今回の年金改正につきましては、臨調答申を基本といたしまして、そこから出てきた方向に基づいて年金改定の構想が進められ、第一段として、まず国鉄の共済を救済するために国家公務員の共済との一元化が行われた。そして、さらに第二段として、国民年金、厚生年金の統一が行われた。今回四つの共済年金の法案が基礎年金導入という形で、これをもって形としては一元化が終わる、そういう構想に立っていると考えますが、この改革は今までの年金制度にかつてない大きな節目になる改革であると私どもはとらえておりますが、大蔵大臣はこれに対してどういう考え方、認識をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/87
-
088・竹下登
○竹下国務大臣 言葉が適切であるかどうかは別といたしまして、答申に基づいて、一段ロケットが国鉄統合、二段ロケットが今おっしゃった基礎年金を入れた国民年金、厚生年金、第三段階が、簡単に言いますと、その基礎年金を含むその方向に沿った今回の改正。そこで、若干違いますのは、一元化ほぼなれりという考え方には立っておりません。いわば給付の面においてはほぼ一元化の方向に進んだではないか。さらに最終的に一元化の方向を目指せば、今度は負担の公平と申しましょうか、そういう問題も議論を続けていかなければならぬ課題だと考えております。したがって、給付の段階までの一元化がほぼそろったというふうな印象で受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/88
-
089・田中克彦
○田中(克)委員 各年金の収支のバランスの問題等は今後の努力にまたなければならない、しかし制度的には今回の改正で一応土台となるべき体制は整った、こういう大臣の認識だと思うのですが、そう確認してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/89
-
090・竹下登
○竹下国務大臣 給付の面までのところというふうに、先生も今おっしゃいましたとおり、もう一つの問題はまだ残っていると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/90
-
091・田中克彦
○田中(克)委員 そこで、時間がありませんから具体的にお伺いしていくわけでありますが、厚生年金、各共済年金に対しまして政府が出しておりました国庫負担金のいわば四分の一カットの問題がございます。これは財政再建期間中ということで五十七年、五十八年、五十九年と三カ年間行革特例法によって四分の一カットがなされてきたわけであります。それが、この財政再建計画が崩れた、こういうことによって補助金削減一括法によってさらに一年延長されている。この間、この文教委員会において審議されております私学共済の年金額を改定する法律案の際、第百一国会、第百二国会、二回この問題で私は質問に立ちました。また、さきの補助金削減一括法案のときには連合審査の中で大蔵大臣とも議論させていただいておりますが、そういう経過の中で、その都度この問題についてはそれぞれの議員から指摘がされております。また、本委員会等におきましても、この問題についての附帯決議はその都度つけられてきている経過がある。しかし、この経過を振り返ってみますと、私の印象からすれば、当初のこの問題に対する政府の答弁の姿勢というものと、最近聞いております政府の答弁との間では若干ニュアンスが違うように私は思うわけであります。昭和五十六年十月十二日の行革の特別委員会における渡辺大蔵大臣の答弁の中では、
国庫負担の繰り入れの減額分につきましては、政府は適用期間後、必ず差額繰り入れをいたします。
そのほかに、いわゆる利息の問題も含めて適切な措置を講ずる責任を負っておりますから、御心配これなきようにお願いをいたします。極めて明快な答弁であります。これなら必ず返してくれるであろうとだれも信ずるわけであります。
ところが、その後何回もこういうことが繰り返されて、最近の答弁は非常に変わってきております。この行革関連法、それから、これを一年延長します補助金一括削減法、この際もこのことは大変問題になりまして、大蔵大臣も答弁を一たんは保留をして、改めて大蔵大臣の見解が翌日委員会で発表されました。そのときの答弁は、
行革関連特例法による年金国庫負担金の減額分については、積立金運用収入の減額分を含め、将来にわたる年金財政の安定が損なわれることのないよう、特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、できる限り速やかに繰り入れに着手するとの見解を示してきたところであります。こういうふうに変わってきておる。
最初のこういう極めて明快な答弁がどうして途中からこういうふうに変わってきたのか。大蔵大臣、これは渡辺大蔵大臣の答弁との間にかなり差がありますけれども、この政府の見解についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/91
-
092・竹下登
○竹下国務大臣 まず、基本的に申し上げられますのは、「特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、できる限り速やかに繰り入れに着手するとの考えに」変わりはございません、こういうことを申し上げたわけであります。五十八年九月三十日。ただ、環境の変化というのは、要するに五十九年度赤字公債脱却というその目標がこのころだんだん怪しくなりまして、まあ怪しくなったというか不可能であるという判断をせざるを得ない状態になったことは事実でございます。
そこで、正確に読めば別に変わったお答えをしておるわけではございませんが、答える方の私も受けとめられる先生も、やはりそういう環境の変化で、ニュアンスの上では大変違ったように受けとめられたのではないかなと、こういう気が私もいたします。
しかし、いずれにせよ、この問題は約束は約束でございますから、今後の財政状態等を勘案しながら、きちんとした措置をとらなくてはならぬということは申すまでもないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/92
-
093・田中克彦
○田中(克)委員 私は今の答弁では極めて不満足ですが、別の角度からお伺いしたいと思うのですけれども、今回の基礎年金導入による年金改定、これは政府の説明からしますと、世代間、世代内の不均衡、不公平を正す、制度間の格差を是正する、そして長期に安定して運営できるようにする、そういうことによって老後の保障をする。そのためには、やはり国民に本当にこの制度が信頼されないとだめだ、だから協力を仰ぐ、こういうことになっていますね。本当に長期に安定して国民に協力をしてもらわなければこの制度は実際には成り立たないわけでありますけれども、さっき大蔵大臣言われましたように、財政再建計画が狂ってきた。狂ってきたのは政府の政策上のいわばミスだと思う。一たんは五十九年に赤字国債脱却と約束をしたわけですから、その見通しが狂ってきたということは政府の行政上の責任で、これは国民の責任ではありません。国民には、抜本的にこういう制度の改革をして、長期に安定して信頼ができる、年金制度ですから、信頼しなければ掛金をだれも払いません。途中で崩壊するかもしれないという危険を持ちながら掛金を払う人はいないと思う。そういう信頼関係の上にできるわけでありますから、そういうことになるとすれば、政府が約束をした年金の国庫負担金の四分の一のカット分はお返しをしますと言ったことはきちっとここで守らなければ、国民は本当に年金制度を信頼しないと私は思う。掛金は上げる、給付は切り下げる、そして年金を一元化していく、こういう制度に国民が仮に理解を示したとしても、政府の方がこういう制度改正に手をつけてきていながら、自分の方はカットして、返しますよと約束をした金は返さない、これでは国民が本当に信頼するわけはありませんね。
そういう立場から、私は、大蔵大臣に一体このことをどう考えているか、もう一度はっきりお答えいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/93
-
094・竹下登
○竹下国務大臣 まず、先生の御質問の背景は、いわゆる単年度の暫定措置として、五十九年はだめだったが、六十年までは許容した、それを六十一年以後どうするか、こういうことをも背景に踏まえての御質問であろうと思うのであります。
六十一年度の国の財政事情は六十年度より一段と厳しい事情にありまして、年金制度改革も一方六十一年度から今度は実施が決定されておる。そこで、六十一年度の厚生年金等の国庫負担金の取り扱いにつきましては、これらの二つの事情、財政が厳しいということと、まさに六十一年度から御審議いただいておるものが議了していただけたという前提において年金制度の改革が出発するということになりますから、この二つの事情を踏まえて、現在政府部内で六十一年度の予算編成、まだ始まったばかりという程度でございますけれども、その過程において、その予算編成の一環としてこれは慎重に検討していかなければならぬ課題だという問題意識に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/94
-
095・田中克彦
○田中(克)委員 来年度の予算編成の中で慎重に検討する、こういうお話でありますけれども、今まで明らかになっているところからしますと、三カ年間の特例法の補助金を留保した期間、それにさらに補助金一括削減法で一年延長しまして四年間、こういうことになりますが、この四年間の中で、厚生年金の場合には何と一兆七百七十五億円、地方公務員共済で二千二百億円、国家公務員共済で四百二十億円、私の推計でいくと私学共済で七十六億を超えると思いますから、そうなりますと実に一兆三千四百七十一億以上の金が実はカットをされているわけですね。各年金に本当ならこれはいっていなければならない金なんです。これだけカットをしておいて、それで制度改正はして掛金は引き上げます、給付は切り下げます、長期に安定するように協力してください、こう呼びかけても、果たして国民が本当に信頼できるでしょうか。ここに非常に大きな問題があるし、今回の年金改定というものでいわば一元化へ向かっての基本的な土台づくりができ上がったという、今までの歴史から見れば画期的なものだ、そういう制度改正をやるなら、この機会にこそきちっと決着をつけて、それから新しいスタートをするという考え方がなければ、長期的に安定して国民に信頼を受けるような年金制度にどうしてなるでしょうか。私は、そういう意味から、このことをどうしても大蔵大臣に、せっかく御出席いただいたわけですから、もう少し明確な返還についての構想を示してもらいたい。
とにかく、一兆円の国債の減額といったって大騒ぎする時代に、一兆三千四百七十一億円返しますということについては、これは政府にとったってよほどの決断とそういう努力がなければできる相談でもないし、もしそうだとすれば、これについての考え方ぐらいきちっとここで示しておかないと、どうしてもこの制度改正に押し流されてこの一兆三千四百億以上を上回るような金がうやむやになってしまうのではないかという危惧を持つのは私だけじゃないと思います。こういう制度改正のときだけに、私はこのことは大蔵大臣の責任で明確にすべきだと思う。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/95
-
096・竹下登
○竹下国務大臣 二つの問題があるということを申しました。一つは、財政事情。そうしていま一つは、今おっしゃいました本院で議了していただいたということを前提にすれば六十一年に新しい制度が発足する。したがって、その後の部分の機をとらえてもうちゃんとガラガラポンとやってしまえ、そういうお話であろうと思うのであります。そこが私がなかなか言えないところでございまして、約束を破ろうという気は毛頭ございません。が、いつ、どういう時期にやるかということを、今お答えするところの自信はございません。したがって、今、補助金等の検討委員会もやっていただいておりますが、これとてそう時間をかけるわけにもまいりませんので、やはり六十一年度をどうするか、こういう問題については、まずはそれらの状態を勘案しながら予算編成の際に検討していく重要な課題だというふうに考えております。
ただ、もちろん、おっしゃいますとおりに、年金というのは国民の信頼感において成り立つものでございますから、未来永劫にこれは返しませんというような考えを持っておるものでは断じてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/96
-
097・田中克彦
○田中(克)委員 どうしても納得のいくような答弁をいただけないで、非常に残念ですが、大蔵大臣、この問題は予算編成の段階で慎重に対応する、こういうことであります。この法案はまだ相当長い時間をかけて審議が続く、こう思っておりますので、その間に、このことにっきましては大蔵大臣に、この審議の機会にどうしても一つの見解を出してもらいたい、そして、でき得れば返還計画くらいは示すべきじゃないか、私どもはこういうように思いますが、それはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/97
-
098・竹下登
○竹下国務大臣 まずは六十一年度どうするか、こういう問題が予算編成に際して一つございます。したがって、今おっしゃいました、責任を持って返済をいたしますということは言えますが、いわば年次区分等を明示した計画を提示するというのは非常に難しいことではなかろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/98
-
099・田中克彦
○田中(克)委員 答弁は不十分でありますけれども、私どもは、この問題についてはなおひとつ執念を持って要求をしていきたい、こう思っていますから、大蔵大臣もひとつ前向きで御努力を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/99
-
100・阿部文男
○阿部委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四十五分休憩
――――◇―――――
午後一時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/100
-
101・阿部文男
○阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。田中克彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/101
-
102・田中克彦
○田中(克)委員 大臣の都合で質疑の組み立てが多少前後してしまいましたが、この問題に入ります大前提として、若干お伺いしておきたいと思います。特に、大蔵大臣出席でありますから、そういう上から伺っておきたい、こう思うのです。
と申しますのは、午前中の議論でも申し上げましたように、今回の制度改正というのは年金制度にとりましてはまさに画期的なものであるし、一元化に向かっての土台づくり、こういう性格を持っておるということは、午前中の大臣の考え方の中でも明らかにされておりますけれども、そもそもこの問題が起こってきた発端というのは、臨時行政調査会が第一次答申を出したときに始まっている、こういうふうに思っております。
そこで、大蔵大臣、第一次答申の中ではこの共済年金問題につきましてはどういうように指摘をしているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/102
-
103・竹下登
○竹下国務大臣 今お借りいたしましたので正確に読み上げます。「第一章行政施策に関する改革方策 2社会保障 (2)年金制度の改革等高齢化社会への対応」、そこでございますが、「イ年金制度の改革 全国民を基礎とする統一的制度に、より、基礎的年金を公平に国民に保障することを目標としながら、次のような方向で改革を進める。」その中で直接関係のありますのは、「②将来の一元化を展望しながら、給付体系、給付条件等について、制度間の不均衡の解消、各制度ごとの合理化、制度をまたがる併給調整等を進めるとともに、給付水準の適正化」等を図っていく、こういうのがポイントではなかろうかというふうに思います。
それから、もう一つは、第五章のところにあります国有鉄道に関するところで、「国鉄共済年金は、このままでは、昭和六十年度においては単年度収支が赤字に転化し、昭和六十二年度には積立金もなくなる。」こういうようなことで、「類似共済制度との統合を早急に図る。」云々というのが基礎的な、基本答申の抜粋のまた抜粋、こういうことではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/103
-
104・田中克彦
○田中(克)委員 御承知のように、臨調の第一次答申というのは五十六年七月十日であります。それから第二次答申、第三次答申からずっと第五次、五十八年三月十四日の最終答申が出るまで作業が続けられておりますが、この答申の中で、特にこの年金、共済問題について厳しく指摘をされておりますけれども、その点について御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/104
-
105・坂本導聰
○坂本説明員 ただいま先生御指摘のございました臨調答申に基づきまして、政府はその後、地方公務員共済の財政単位の統合、あるいは国家公務員と公企体共済の統合、あるいは先般御成立をいただきました国民年金あるいは厚生年金の改正という段取りで進めてきているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/105
-
106・田中克彦
○田中(克)委員 今ごく大ざっぱに指摘がありましたけれども、特に第一次答申でさっき大蔵大臣が触れられたように指摘しておりますし、そこの出発の時点で既に国鉄問題というのは指摘をされております。特に、第三次答申の中でも、公的年金制度の段階的統合と年金行政組織の一元化、年金制度の不均衡の是正と年金財政の安定化のための給付水準の適正化、支給開始年齢の引き上げ、保険料の引き上げ、これらが指摘をされております。
特に、五十八年三月十四日の第五次の最終答申においては、国鉄の再建監理委員会の設置が提起をされて、これに基づいて再建監理委員会がつくられたのは御承知のとおりであります。したがって、そういう作業の中で、特に国鉄の問題につきましては、第一次答申五十六年七月十日、五十七年七月三十日の第三次答申、それから最終答申のさっき申し上げました五十八年三月十四日、これにそれぞれ国鉄の問題が指摘をされ、これは特に経営の観点から触れられて、いわば共済年金の問題につきましては極めて付随的に指摘をされているにとどまっているという点に注目しなければならぬと思うわけでありますけれども、こういう順序に従って作業が進んできております。特に、五十八年の四月一日には公的年金改革の方向について関係閣僚会議が確認をいたして、この方向づけがされております。こういう一連の作業を受けて、五十八年六月十日に国鉄再建監理委員会がつくられた。そして五十八年十二月三日に共済年金法が成立をして、これに基づいて財政調整事業運営委員会が設置をされた。ここで国鉄、国家公務員、それから三公社等の統合が検討されて財政調整五カ年計画がつくられた。これは大蔵大臣に申請の手続がとられているはずです。それはいつでありまして、そのことについては大蔵大臣はどう対応したのか、その点をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/106
-
107・坂本導聰
○坂本説明員 先生御指摘のように、国鉄財調計画につきまして国家公務員共済組合連合会における財調委員会というものが設けられまして、そこで種々議論がなされました。その結果、国鉄につきましては年金水準が他の共済に比べて一〇%低いところまでスライド停止、片や国家公務員及び旧電電、旧専売の三共済から一年につき四百五十億の拠出を行うという意見書が出されまして、これが大蔵大臣認可申請がございました。これを受けまして、大蔵省といたしましては、国家公務員等共済組合審議会に諮りまして、この答申をいただきまして本年五月から実施をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/107
-
108・田中克彦
○田中(克)委員 大蔵大臣にこの申請がされて千分の五・三という上乗せが正式にそこで認められて、手続的に国家公務員共済全体が国鉄をカバーしていくという方向がここで決められていったと思うのです。それを大蔵大臣は結構だ、よろしいということでお認めになったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/108
-
109・竹下登
○竹下国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/109
-
110・田中克彦
○田中(克)委員 私がお伺いしてきたことは、要するにそれは大蔵大臣の責任、強いて言えば、臨調という政府の意思に基づいて設置をされた諮問機関が出された方向を受けて、今申し上げましたようなそれぞれの機関、手続が綴られて、それが大臣に申請をされ、大臣はそのことを認めて年金制度の改革のために年金額の引き上げもよろしい、こういうことで承認を与えたということだろうと思うのです。片や、そういう中で実は国鉄再建監理委員会なるものが臨調答申の中から設置され、さっき申し上げましたように、国鉄の問題の指摘についても既に第一次答申から第三次答申、最終の第五次答申と続いております。
そうなりますと、これは同じ臨調の中で、財政再建へ向かって年金共済制度の統合またこの長期安定という方向と国鉄の再建という問題、そして特にピンチに立っている国鉄の救済という問題を中心に両面からこの作業が進んできたと思うのです。その経過につきましては、国鉄はもちろん国鉄総裁、そしてそれを管掌する運輸大臣、こういう立場の人が当面の責任を持つでありましょうけれども、あくまでもこの問題にっきましては、閣議決定あるいは関係閣僚の会議の承認という手続の上に政府の責任によって進められてきている、こういうことだろうと思うのですけれども、大蔵大臣、それは確認していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/110
-
111・竹下登
○竹下国務大臣 結論から申しますと、公的年金一元化の方向でそのような順序でやってきたということはおっしゃるとおりであろうと思っております。
私が特に印象を深くいたしておりますのは、たびたび申すようでございますが、今度は閣議の方で申しますと、臨調答申を受けて五十八年五月二十四日に年金問題についての閣議決定を行いました。その順序は、申すまでもなく、第一は五十八年度においてなすべき措置、すなわちこれは、いわゆる「国家公務員と公共企業体職員の共済組合制度の統合を行うとともに、国鉄共済組合に対する財政上の対策を図る。」ことでございます。それから、第二番目が、「高齢化社会の到来に備え、長期的に安定した制度の確立を図るため、公的年金制度の一元化を展望しつつ、制度全般の見直しを行い、昭和五十九年から六十一年にかけて次の措置を講ずる。」というものの一つが、国民年金、厚生年金保険、船員保険の関係整理、それから共済年金については、その制度との関係を整理するという順序でやってきたわけであります。そして今後は、「以上の措置を踏まえ、給付面の統一化に合わせて負担面の制度間調整を進める。これらの進展に対応して年金現業業務の一元比等の整備を推進するものとし、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる」、こういう閣議決定の「具体化方策について」というものに基づいて進めて、今日第三ロケット、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/111
-
112・田中克彦
○田中(克)委員 今と同じ質問ですけれども、国鉄はどう受けとめておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/112
-
113・中島眞二
○中島(眞)政府委員 今大蔵省の方からお答えいただきました全体の流れの中におきまして、国鉄の共済制度、破綻に瀕しておるわけでございますけれども、これについて六十四年度までは一応射整調整事業によって対処していく。
一方、国鉄の再建につきまして、効率的な経営形態の確立と長期債務の処理を中心といたしました再建策を策定するための国鉄再建監理委員会が五十八年の六月に発足いたしまして、二年にわたる審議の結果、本年七月二十六日に「国鉄改革に関する意見」という形で改革の方向が示されたわけでございます。その中におきましても、将来の国鉄事業を継承する新事業体の形態を念頭に置きながら、将来のこれについての共済制度のあり方ということについて、監理委員会としましては、これはその所掌事務の関係から一定の限度がございます。やはり共済の関係というのはそれぞれの専門の分野がございますし、各省の所管においてそれぞれの審議会もございますので、そういうところの御判断にゆだねるとしても、一応六十年二月の国家公務員等共済組合審議会から出されました先ほどの答申を引用いたしまして、そこで示されておる方向に基づいての検討が行われることを期待する、こういうふうに述べておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/113
-
114・田中克彦
○田中(克)委員 この臨調の答申から出てきている財政再建あるいは特に共済年金制度の一元化の方向についての作業というのをずっと順を追って見てまいりますと、五十九年の二月二十四日に閣議決定をいたしまして、その中で、制度の一元化の展望のもとに昭和五十九年に国民年金、厚生年金、船員保険の制度の改正を行う。昭和六十年には共済年金についても基礎年金を導入する。五十九年の三月二日に国民年金法の一部改正案が百一国会に提出をされた、これはもちろん継続審議になったわけでありますけれども。そして、六十年の四月二十四日にこの法案が成立をした。六十年になりましてから共済年金法の今審議をいたしております四法案が国会に出されたということでありまして、特に六十年の一月十一日に大蔵大臣が国家公務員等共済組合審議会に諮問をいたしております。
こういう作業と経過があるにもかかわらず、この「国家公務員共済組合法等の一部改正について」の答申、これは大蔵大臣、運輸大臣、郵政大臣にあてて出しておりますけれども、「国鉄共済組合の危機的状況については、かなり以前から予測されていたところであり、本審議会もその解決策を講ずべきことを繰り返し指摘してきた。それにもかかわらず、今日まで国の責任にも触れた具体案が提示されていないことは遺憾であり、さらに」国としての格段の配慮が望まれる。」という指摘がされているわけであります。
そうなりますと、これだけの時間と手続、それから同じ政府、その中のそれぞれを担当する大臣が閣議決定をして進めてきた手順を踏みながら、しかもそれを諮問してみたら、諮問委員会から今言うような指摘が返ってくるということは、一体何を意味しているでしょうか。」これは私は政府の怠慢と言わざるを得ないし、その政治的責任を政府は率直に認めるべきだと思うのです。このことはそういう政治的な責任の上で断じて許されることではない。今日国鉄を再建監理委員会の答申からさらに踏み出して合理化を進める、その人員の狂いが今この年金統合に当たって大問題を引き起こして、国鉄共済の救済問題が最大のネックになっている。同じ政府の中から同じ手続を踏み、同じ審議会の中から発想が生まれて、それぞれつくられて検討されたところから出てきた結論でこれだけの食い違いが生じているということは、政府の責任じゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/114
-
115・竹下登
○竹下国務大臣 かねてから、国家公務員等共済組合に対する審議会は、まず統合法案を出すときからそのことは指摘をされております。したがって、最も新しい答申でもその審議会の自主性でそのような指摘の答申があっても、私も別に不思議には思っておりません。
政府が手続を行ってまいりましたのは、その閣議決定に基づいて一段ロケット、二段ロケット、三段ロケット、こう進めていこう。そして一方、国鉄監理委員会も、これは御指摘のとおり臨調答申に基づいてできたものでありますが、この「意見」はそれと若干のタイムラグがありまして出てきた。そこに国鉄共済に関する意見も付されております。ただ、それは意見をもとに政府がやるべきことでございますから、その意見には具体策は申し述べられておりませんが、そういう意見があくまでも意見としての限界であろうと思っております。それらを踏まえて、さらに今度指摘を受けながら私どもがこの法律案の審議をお願いしておるというのが現状でございます。したがって、国鉄監理委員会の「意見」を待つ前からもっときちんとすべきじゃなかったか、こういう御叱正は御叱正として承って結構だというふうに私も思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/115
-
116・田中克彦
○田中(克)委員 後段で大蔵大臣もその辺お認めになったようですから、余り深追いしませんけれども、特に最近、縦割り行政の弊害が言われております。それぞれ下部から上がって各省庁から上がっていく政策の食い違いの問題が、いわば縦割り行政という形で内閣の統一性を欠くということになる場合は往々にしてあり得ることでありまして、このことは私どもある意味では避けられないことも認めなければならない、こう思うのです。ところが今回の場合は、まず大前提になる、政府そのものが金科玉条にしている臨調というものをつくって、臨調の答申に基づいて、作業は一切そこから出発しているわけだ。いわば縦割り行政の弊害どころではなくて、その統一性、一貫性、そういうものがむしろ一番発揮ができる体制でこの作業は進んできているはずです。そこに整合性がない。これはまさに時の政府の責任だと私は思うのです。
そういう意味で、私はこの点だけはきちっと踏まえてもらわなければならないと思う。大蔵大臣が後段でお認めになりましたから、私は、私の主張していることの意味が大蔵大臣にもわかっていただけた、こう思っておりますけれども、その点はひとつ十分今後の進め方の中で政府としても心していただきたい。この辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/116
-
117・竹下登
○竹下国務大臣 私は、御叱正はいかように受けても結構だと申しておりますのは、国鉄共済の問題点はもう随分前から指摘されておるわけでございます。また、臨調の答申等に基づいて年金一元化の方向で物を進めてきております。が、そこにいま一つは国鉄監理委員会の方からの御意見をちょうだいするのが必ずしも本法案の提出の時期というものとは一致しなかったということでありますので、もっと早く手をつけるべきじゃなかったかという御叱正は、そうはいってもなかなか問題でございます、それは審議会に一つ御意見をまとめてもらうのも容易なことじゃございませんというような弁解をしようとは思いません。実際問題、統合法案を出しますときも、中身からいいますと国家公務員のサイド、電電のサイド、専売のサイドから見ればいろいろな言い分はあったと思います。私もその言い分を幾ばくか夜を徹して聞いたこともございますが、にもかかわらずまとめていただいた、それはそれだけの時間はかかりましたけれども。したがって、私は審議会がまとまらなかったなどということを申し上げる考えは毛頭ございませんが、もっと早くやるべきじゃなかったか、こういう御指摘はやはり謹んでちょうだいして結構じゃないか、私どもはこれで大体間に合うという我々の判断でやったことでありますが、あなたの方でもっと早くやるべきであったという御指摘は謹んで受けるべき問題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/117
-
118・田中克彦
○田中(克)委員 午前中の議論にも若干さかのぼるわけでありますけれども、今大臣も率直にお認めになったように、とにかく五十六年に第一次答申が出ていて、それ以降指摘に指摘を重ねられていながら今日こういう事態を招いたということについての責任は感じておる、こういうことは率直にお認めになっているわけです。そういう現実があるから、臨調の指示に基づいてつくられた国鉄の再建監理委員会、それは分割・民営の答申を出した。それは三十二万人体制であった。それで今、年金統合につきましても、この統合の手続というのは数次にわたって手順が進められて、私は先ほど申し上げましたように、年次的には大体そのテンポで進んできているわけですね。そうなりますと、双方の計画というものが、そういう踏んできた経過や手続や確認に基づいてそのテンポで進んで、その内容であって初めて整合性を持たれるわけです。ところが、それが乱れてしまっているところに今日、この大きな混乱と議論が起こっているわけでしょう。私はそのことを言っているわけです。だから、おくれたことはもちろん私どもも大変不満でありますし、もう少し早く対応すべきじゃなかったかという気持ちは持っています。そのことと同時に、現実に今までの経過を振り返ってみてそういう矛盾を犯してきているのではないか。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/118
-
119・竹下登
○竹下国務大臣 まず申し上げますのは、臨調答申に基づいて年金一元化の答申をいただき、そしてそれに対する閣議決定を行って手順を進めてきたという事実が一つございます。もう一つは、やはり臨調答申に基づいて国鉄監理委員会というものができた。そこで、私どもが財政調整を行いましたのは、御指摘のとおり、国鉄監理委員会の「意見」が出る前の段階で行ったわけであります。したがって、それに基づいて法律を御審議いただいておる、たとえ継続審議であろうと。そのときに事情が新たになった、そこでこの新たに起きた問題に対してどうするか、こういう御叱正をいただいているわけです。
それにつきましては、官房長官がお答えしましたように、本院で議了されるまでの間に何らかの見解を示します、こういうことを申しておるわけでありますが、私が私の段階で申し上げておりますのは、その事情の変更に、基づく問題について、これもこれから法律が通った後でないと正確な数字はなかなか確定しないにいたしましても、それに対して、少なくとも六十四年度までの間に生ずる不足については政府の責任において解決策を講じますという答えを私がして、それに対して、もっと政府の統一した見解を出せ、こういうことでございますから、それは官房長官がまとめて本院における議了までの期間に見解を御提示申し上げます、そういう段階できょうの審議に至っておる、こういうことでございます。したがって、国鉄監理委員会の「意見」というものと我々が進めてきた年金の一元化というのは、必ずしもこの法律を審議していただく段階では整合性はなかったと思います。結局、監理委員会の「意見」はその後に出たいわば事情変更、こういうことになったというふうな位置づけをいたしておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/119
-
120・田中克彦
○田中(克)委員 今までの経過から見まして、五十九年度に赤字国債を脱却して、財政再建成る、こういうことを政府は約束をしておきましたけれども、これも不可能になった。六十五年にそれは延びたということですが、六十五年も昨年の財政白書から見る限り、赤字国債の脱却というのは私どもにとれば大変まゆつばものだ、こういう状況ではあろうと思うけれども、強いて言えば、六十五年に赤字国債から脱却するということの展望に立てば、その間に年金、共済はこうする、それから国鉄問題はこうする、そういう整合性があってその問題が片がつかなければ、財政再建は実際には不可能だと思うのです。みんな絡み合っているわけですから、そういう点で、私はそういう整合性を特に政府に要求をしておきたい、こう思うわけです。これはこれ以上言っても余り議論がかみ合わぬと思いますから、質問を移してまいりたいと思います。
特に、今回は基礎年金導入によりまして一元化を図る。私どもは、文教委員会として私学の立場ですから、私学のこの問題について若干具体的に触れていかなければいかぬ、こう思っておりますけれども、その前提として私学共済の実態について確認をしておきたい、こう思うのですが、一つは、今の組合員数と受給者、それから退職年金と通算年金の数、比率、それから私学の平均給与、これはどんなになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/120
-
121・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 お答えをいたします。
まず、組合員数でございますが、これは長期組合員数をもってお答えさしていただきたいと思いますが、三十四万九百人ほどでございます。そのうち、今度は年金受給者といいますものがどういう数になっておるかということでございますが、これにつきましては六万三千三百四十九人ということでございます。
それから、五十九年度の長期経理の財政状況等を申し上げさしていただきますと、収入が千六百七十一億円、支出が四百四十一億円ということでございます。
それから、先ほどの平均給与の月額でございますが、これは標準給与の平均給与月額で申しますと、男女合わせまして全体でございますが、二十四万一千九百四十五円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/121
-
122・田中克彦
○田中(克)委員 私学の特徴として非常に高齢者の組合員数が多い。そういうことでありますから、六十五歳以上の組合員数、その他の共済との比較、これをちょっと教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/122
-
123・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 お答えをいたします。
六十五歳以上の組合員数ということで申し上げさしていただきますと、約一万五千人でございまして、全体の中の比率が四・四九%ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/123
-
124・田中克彦
○田中(克)委員 他の組合との比較。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/124
-
125・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 六十五歳以上ということで申しますと、国家公務員共済の例でございますがこれが〇・二%、それから農林共済でございますがこれが〇・八%ということで、私学共済組合の方が高齢者が比較的多いということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/125
-
126・田中克彦
○田中(克)委員 それから、全体では共済から配偶者が国民年金に任意加入している数というのは百二十万、こう本会議で言われておりますけれども、私学共済の場合はどんな実態になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/126
-
127・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 現在の段階におきましてはまだ把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/127
-
128・田中克彦
○田中(克)委員 今お伺いしましたような私学の実態の前提に立ちまして、これから若干お伺いをしていきたい、こう思うのですけれども、今までこの私学共済の問題を議論してきました際にも明らかになっておりますように、比較的に私学の成熟度というのはほかの共済に比べ非常に良好だ、成熟度が若い、こういう特徴も持っておりますし、また長期経理の責任準備金の充足率等も九五%を超える状況にある、こういうことが言われております。その私学の共済が今回は基礎年金導入ということで一元化に向かうということでありますから、この私学の共済の立場に立って私どもは当然考えなければならないし、議論しなければならない、こういうふうに思っております。
そこで、まず文部大臣に最初にお伺いしますが、文部大臣がみずから諮問をした社会保障制度審議会、これで私立学校の教職員共済組合法の一部改正について答申書が出ております。これについて文部大臣の感想をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/128
-
129・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 社会保障制度審議会の御意見でございますが、これにつきましては、文部大臣に対する答申におきましては、今回の改正案につきまして、「公的年金制度の一元化を進める道筋に沿う限りにおいて一つの選択であろう。」というようなことの御答申をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/129
-
130・田中克彦
○田中(克)委員 重要な答申で二項目に分かれておりますけれども、その1の方は「支給要件、支給制限等の点において、厚生年金と共済年金との間で合理的と思えない違いが見受けられることは問題である。」というふうに言っておりますし、そういう前提に立てば、「国家公務員、地方公務員、私立学校教職員、その他の者を通じて画一に扱うことにも問題があるので、その給付水準と財源負担やスライドの在り方について更に慎重な検討が必要である。」こういうふうに、文部大臣が諮問をした社会保障制度審議会が答申をいたしているわけであります。
そこで、午前中の中西質問の中にも若干出ておりましたけれども、実はこの私学共済と特に厚生年金との対比の中でさまざまな問題が起こってきていると思うのです。特に特徴的な問題は、私ども感じているものはたくさんありますけれども、まずお伺いしておきたいのは、私学共済の組合からも今回の改正について、「「共済年金制度改革の方向」に関する要望」というものが文書によって出されております。理事長さんおいでですか。
そこで、私は理事長さんの方に伺うわけでありますけれども、四項目にわたって要望が出されております。このうち一項、三項、四項というのは私ども自体も全くそのとおりだと思うのですが、ここでお伺いしたいのは、私どもはこの要望書を拝見したときに第二項について大変実は危惧の念を感じたわけです。と申しますのは、「私立学校教職員共済組合においても昭和三十六年迄の給与記録のない組合員があり、同様の事情にあるので、公務員共済と同様に施行日前の給与のとり方は五カ年だけ遡及し、それに補正率を乗じて全期間平均に換算する方法が必要である。」こういうふうに要望されております。今、ざっと三十五万組合員、この私学共済の組合員の意思を代表されていると思うわけですけれども、組合員の中にはこういう要求で問題は起こりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/130
-
131・保坂榮一
○保坂参考人 御指摘の第二項でそのお願いをいたしました。これは、三十六年までの給与記録のない組合員がございましたので、国家公務員共済と同様の取り扱いをお願いしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/131
-
132・田中克彦
○田中(克)委員 それで問題が起こらないかということを私は聞いているんですが、そのことを答えてください。
それから、もう一つは、三十六年までの給与記録のない組合員というのは恩給に入っていた人たち、こういうことでありますが、その人たちは実数として三十五万人のうちどのくらいいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/132
-
133・保坂榮一
○保坂参考人 実数といたしまして、旧恩給財団にいた者から移ってきた者等で全員三百十名でございます。
それから、この形で参りますと、五年の、それからの補正率をもっての割り下げでございますから、比べまして、全期間給与平均の者よりも有利になる者と不利になる者が出てきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/133
-
134・田中克彦
○田中(克)委員 有利になる者と不利になる者がある。もちろん有利にならないと困るわけでありますが、そこで問題なのは、私学の場合は今までのやり方としては厚生年金と全く同じで、給与記録もみんな残っておりますし、給与計算するのに少しも困らない、そういう状況にあるのに、国家公務員と同じ給与計算に準じてやってほしいというのは、いわばこの恩給に入っている三百十人の人たちが給与記録がないからその方針に従った方がいいということですが、残った人たちはそうなるとどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/134
-
135・保坂榮一
○保坂参考人 残った方々の間にもこれによって全期間平均で行うより有利になる者と不利になる者が出てまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/135
-
136・田中克彦
○田中(克)委員 これは組合の理事長さんの名前で出ておりますが、前段で確認したように組合員の意思というふうに私どもは受けとめているわけですし、組合全体のことを考えないといけない、こう思うのです。そこで、ちょっとしつこくなりますけれども、私はそういう意味でお伺いしているわけです。
現行の平均給与額は退職前一年の平均を原則としている。その額が組合員であった全期間の平均額より少ないときは全期間の平均額をもって平均標準月額として扱う、これはできますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/136
-
137・保坂榮一
○保坂参考人 はい、そのように、しておりますし、それはできます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/137
-
138・田中克彦
○田中(克)委員 ですから、その場合に、その恩給財団に入っていた組合員、つまり給与記録のない組合員であった期間の標準給与の月額はどういうふうにしていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/138
-
139・保坂榮一
○保坂参考人 それは一万円とみなすという規定によって処理しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/139
-
140・田中克彦
○田中(克)委員 それは読みかえ規定によって一万円であったとみなすという処理ができるということですね。そうなりますと、給与記録がない恩給財団に入っていた組合員の全期間の標準給与の算出というのはできないわけじゃないですね。できますね。(保坂参考人「はい」と呼ぶ)それでは、この要望の第二項で、公務員と「同様の事情にあるので、」というのはちょっと理由にならないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/140
-
141・保坂榮一
○保坂参考人 給与の実態でということになりますと、この一万円というのは給与の実態を反映しておりませんので、給与の実態でということになりますとできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/141
-
142・田中克彦
○田中(克)委員 国共済の施行日前五年間の平均本俸月額に乗ずる補正率というのがありますね。(保坂参考人「はい、ございます」と呼ぶ)このことはちょっと後で聞きましょう。
その前に、文部大臣、今ちょっと理事長と私でやりとりをしたわけですけれども、ちょっとおわかりにくい点もあったと思うのですが、いわば標準給与のとり方を、国家公務員がやっております過去五年間の平均給与、それに補正率を掛けて算出したものを平均標準給与月額とみなすという形で国家公務員の場合は扱っている。私学の場合は全期間の給与記録、全部あるわけですから、それに基づいて厚生年金と同じ方式でやれば、それも今言うように可能なわけですね。すると、いわばどちらをとることが組合員にとって有利か不利かということになります。そのことについて今理事長はああいうふうにお答えになったのですが、文部大臣としてはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/142
-
143・松永光
○松永国務大臣 この点につきましては、実は私の方にも全私学連合の代表者の人たち、偉い人たちが打ちそろって文書を持って陳情にお見えになりました。そして今先生御指摘の陳情書をちょうだいしたわけであります。そして、その陳情書の中に大変重要な要望事項として、先ほどから話がありますように、国家公務員共済と同じような措置にしてもらいたいという陳情でありました。したがって、その陳情の趣旨を事務当局に指示をいたしまして、全員打ちそろっての陳情であるから、できることならばそうしてあげなさいということで指示したわけでありますが、その結果として今回の法案におきましては、先ほどから話がしてありますように、五年間で、そして補正率を掛けた方法で算出するという法案になったわけであります。これは、私学共済というものは過去もずっとそうでございましたが、国家公務員共済に準じてやっていくのだということにも合致するわけでありまして、妥当なものであると考えておりました。ところが結果的には、この措置によって得する人と一部不利になる人もあるということを聞いたわけでありますけれども、概して言えば、一部の高給給与所得者についてちょっと差があるということになるのだそうでありますけれども、しかし、今回の改正の趣旨等からいって、組合員相互にバランスをとる措置としてやむを得ない措置ではないかというふうに考えておるわけでありまして、やはり組合員相互の扶助の関係だというようなことで御理解を賜りたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/143
-
144・田中克彦
○田中(克)委員 実態を文部大臣ももう少し掌握をしてもらいたい、私どもこう思うのです。
そこで、理事長、もう一度返りますけれどもお伺いします。
いわば今回の改正の中で一番大きい問題というのは標準給与のとり方、前一年の平均というのが結局組合員だった全期間の平均の標準給与、こういうことで、そこが一番大きかったわけですね。公務員はその記録がありませんから、五年の平均に一定率を掛けたものをもって算出する、こういう方針をとっていたら、私学もそうしてくださいと、こうおたくの方では要請をしたわけですね。ところが、私が質問に入る前段で確認をしておりますように、私学の特徴というのは、一つには高齢者が非常に多いですね。さっきも確認してありますけれども、繰り返しませんが、非常に多い。それから逆に言うと、若い人も非常に多いのです。これは私立の幼稚園の保母さん、こういう人がありますから多いわけですね。今言うように、結局有利か不利かということになりますと、高い給与水準にある人がきっと少し落ちて、低い人が上がって、不利、有利が出るのだ、こういう解釈をしているのじゃないかと思うのです。ところが不思議なことに、今申し上げますように、年齢の高い人は組合員期間が長いわけですね、したがって給与水準も高い。そうでしょう。低い方は、特に保母さんなんかの場合は、最近勤務をして短期間に勤務を終わってお嫁に行くから退職する、こういうケースが非常に多いわけですね。結局給与も低いし、組合員期間も非常に短い。こういう人たちの連合ですね、性格的に。
今申し上げますと、私どもが言っているのは、そういう性格であるのに、恩給に入ったような古い人、そういう人がわずかな数いるのだけれども、私学の給与の水準というのはかっては非常に低くて、途中から私学助成なんかあって給与水準が高まってきたから、さっき平均給与を聞いたのもそれでなんですけれども、ほかと比べて高いのですよ。国家公務員より地方公務員より私学の平均給与は高いのです。ですけれども、かって低かったから、今言うように厚生年金と同じ方式で給与記録で調べたその平均給与の出し方では不利になる人がある、こういう理解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/144
-
145・保坂榮一
○保坂参考人 これはまだ政令によっての補正率というのが示されておりませんので、どのような層のものが何人というようなものはつかんでおりません。しかし、これを、今国家公務員の補正率案で何件かモデル調査をしてみましたが、そういたしますと、そのうち大体三分の二が厚年の全期間平均でやるよりも有利になり、三分の一がそれより下回って不利になる、そういうことでございます。そういうあれで、第二の点でお願いした五年平均で補正率で切り下げという点の結果はそういう点でございますので、それについての厚年で平均したよりも三分の二は有利、三分の一は不利になるということでございますので、それについて特に私学の特色を大きく損なうということではないと理解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/145
-
146・田中克彦
○田中(克)委員 今のお答えですと、私どもは大変問題だと思うのです。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、この補正率の問題につきましても〇・一八七七というのが諸手当分でもって、これが補正率になっておるのですね。だから、一年の末期でもって一・一八七七、二年になりますと、〇・九八六〇へ〇・一八七七を足しますから一・一七三七、こうなって、以下ずっと二年、三年、四年、五年、六年、七年、これで十二年から十三年未満、こうなりますと、ここで初めて一からゼロにダウンするのですよ。〇・八〇四二の数字に諸手当分の〇・一八七七が加わるから〇・九九一九、こういうことになって、ここからコンマ以下になってしまうのですね。そうなりますと、十二年以上勤めているというような人になればみんなこれはマイナス要因になるのですね。今説明を聞いていますと、三分の二は救われて三分の一は多少ダウンする、こういうことですし、さきに私が前段で御質問申し上げましたように、とにかく平均より低かった場合には全給与期間の平均額と比較をして平均の方が多ければ平均をとっていい、こういうことにもなっておるわけでしょう。だから、下の人がそれだけ出てそのままにされておるということもないわけでしょう。おかしいじゃないですか。
〔委員長退席、船田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/146
-
147・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 一点補足をさしていただきますが、五年間につきまして、例えば十年勤めた人につきまして五年間をもとにして十年を推測する、それから例えば十五年の方を推測するということになりますと、初任給は当然低いものでございますから、だんだん率は下がってくるというのが通常ではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/147
-
148・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 関連。
これは重要な問題だと思うのですよ。ですから、今の法案の中の附則の中にこの問題が出ているわけですね。標準給与のとり方、つまり全期間をもとにして標準給与をとることは可能なんでしょう、今、私学の場合には材料があるんですから。にもかかわらず、国家公務員並みの前五年をとって補正率を掛けて全期間とみなす、こういうふうに選択した理由はなぜだということを言っているわけだ。そこで、全給与をとれるのに前五年間の補正率というこっちを選択しているわけですね。これはこっちが有利になるということでとっているんですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/148
-
149・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私どもがこの法案をつくりました基本的な理解でございますが、これにつきましては、先ほど理事長からお話のございました三百有余の方の給与の記録がないということが片っ方にございます。それがまず第一点としてございます。
それで、そういうない人について一体どういうことをとるかということでございますが、同様な、過去五カ年以外のものについてはなかなか俸給の記録がない、そういう国家公務員あるいは地方公務員の例がございまして、それにつきまして、今先生からお話のございましたような附則で、五年間をもとにして全体を推算するというような法則をとっておるわけでございまして、それと同じように私学共済もとったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/149
-
150・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 私の質問に答えていないんだよ。事実がどうかと聞いているんじゃなくて、標準給与のとり方について、私学の場合には全期間の給与という材料があって、やればやれるわけだ。にもかかわらず、国家公務員並みということで前五年間をとって補正率を掛けて推計していくというこの理由はなぜかということだ。とれる材料がありながら、なぜその前五年間というものをとって補正率を掛けるというやり方をしたのか。これはつまり、普通の常識から言えば、皆さんが附則で出した方が有利だ、こういう観点で出したのかどうかということを聞いている。この根拠をはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/150
-
151・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 三百人について、先ほど申しておりますようにそういう記録がとれないから出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/151
-
152・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 三百人のことはわかりました。
それじゃ、圧倒的多数の人がいるわけでしょう。今三百十人ですか除きますと、対象になる人は何人になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/152
-
153・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 残りの全組合員約三十四万人が対象になる。とれはどれだけの期間、どういうことになるかということはございますが、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/153
-
154・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 三百十人は今言ったようにそういう材料が不十分だと言うけれども、三十四万人相当の人は全期間の給与で算定すればできるのに、なぜ三百十人ということを仮定の上に立てて前五年間の補正率を掛けるということを選択したんだ。普通我々から言えば、そういうようにしたのは、この際切りかえるに当たって、この前五年間に補正率を掛けた方がその三十四万人について全期間よりは有利になるということが考えられるというのであなた方が特に選択したということが常識的に考えられるわけですよ。そういうふうになっているのかなっていないのかということだ。そこのところ、なぜそれを選択したか、国家公務員並みに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/154
-
155・保坂榮一
○保坂参考人 選択いたしましたのは、理由はこの三百数人の記録がないということからでございますが、そのときの私の考えは、これまでは最終の一年の標準給与、そのときの標準給与が普通一番高いわけでございますが、それからの計算でやっておりました。それが今度全期間平均になるよりも五年の平均で補正率を掛けた方が有利になるという判断はございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/155
-
156・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 有利になるという判断の根拠の資料を出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/156
-
157・保坂榮一
○保坂参考人 それは補正率等がまだ示されておりませんし、先ほど田中先生がいろいろおっしゃられました数字等、私の方は全く知っておりませんので、その点の詳しいことは存じませんが、先ほど申し上げましたように、今。国家公務員の補正率案をもってサンプリングで計算いたしましたところ、三分の二の者が有利になり、三分の一の者は不利になるといいますか、そういう結果になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/157
-
158・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 有利になる根拠を示しなさい、そしてまたその資料を出しなさいと言ったら、補正率が何も出てないでしょう。補正率が出てないのに有利になるという根拠はどこから出てくるのですか。あなたの方は、それはただ推計でしょう。はっきりしたその人の、その三十四万人にとっては極めて重大な問題をあなた方はこういうように切りかえた、その根拠を出しなさい、資料を出しなさいと言えば、まだ補正率は出ていないけれども、こういうように推計されるという数字でしょう。そんな推計で三十四万人が不利になるか有利になるかわからぬようなことをやられてしまったら困るんだ。だから、極めて重要な問題ですから、あなた方が判断して附則の中に入れてもらったということは事実ですから、これが有利になるという、したがって、そういうことの判断の上に立ってやったという根拠になる資料をはっきり示してもらわなければ、我々は三十四万人に対して責任持った議論ができませんよ。どうなんですか、委員長。みんな生活がかっているんですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/158
-
159・船田元
○船田委員長代理 質問を続行してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/159
-
160・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 三十四万人の生活がかかっているんだ、これは。資料を出しなさい。納得のいくような数字を示してください。
私の方の時間もちょっとありませんので、こんな根拠のないような議論をやっておったって、一番重要なところですから、ちょっと休憩をとって、どこまであなたの方で資料を出せるのか、その辺のところを打ち合わしてください。これは文部省にも関係あるんですよ、あなたの方がそれを受けて出したわけですから。ちょっと精査してください。同じような議論やったってしようがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/160
-
161・松永光
○松永国務大臣 先ほども申し上げましたが、全私学連盟、要するに私立学校共済組合の人たちの強い要望として、五年間をとってそれに補正率を乗じて全期間の平均に換算する方法をぜひとってもらいたいという要望があり、しかもその中には、一部には記録がある人もいるでしょう、しかしない人もいる、あるかないかによってばらつきがあるのもいかがなものかということで、この要望もあることでありますから、国家公務員に準じてこういう案にした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/161
-
162・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 強い要望があったからやったと言うんだけれども、要望があればやるんですか。要望があったことをあなたの方で十分精査をして、その方々にこのやり方だったら不利がないとか、根拠をしっかりして判断してやらなきゃならぬじゃないですか。要望は要望でいいですよ。だから、あなたの方が受けとめて、それから私学共済からもいろいろな意見があった。それは今私が質問したようなことにはっきり答えられる根拠と数字があってやらなきゃならぬじゃないですか。要望があったからやったじゃ、これは子供と同じじゃないですか。だから、今もとになるところの私学共済の方の理事長も言っているとおりですから、諮ってください。こんな根拠のないことは――では、文部大臣、あなたが答弁するんだったら、有利になる根拠を出しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/162
-
163・松永光
○松永国務大臣 ただいま、要望があったから、それだけのことでやったのかというお話でございますけれども、要望もあり、かつ資料のある人とない人との間でばらつきがあるというのも妥当ではない。それから、さらに加えて言えば、私学共済というのは国家公務員共済に準じていろいろな措置をしてきているという今までの経緯もこれあり、こういったことで総合的にこういう措置にした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/163
-
164・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 そういう要望があったからということなんだけれども、しかし、それじゃ前五年のところに補正率を掛けた方が有利になるという根拠のものは何もないじゃないですか。だから根拠を出しなさいと言うのです。根拠がなければ話の共通点にならぬじゃないですか。――いいよ、私が質問しているのは理事長だよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/164
-
165・保坂榮一
○保坂参考人 先ほど申し上げましたように、全期間平均でそれを標準給与に割り落とすよりも、これは最終の五年間の平均で割り落とした方が有利であるということは判断いたしまして、これはそのとき全組合員についてそれを計算するということはできませんのでその資料はございませんが、それで最近、これはまだ案の段階でありましょうが、国家公務員のそれでサンプルを抜いて計算いたしましたところ、三分の二が全期間平均よりも有利になり、三分の一の者が不利になる、そういう状況になったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/165
-
166・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 それで、有利になるということを言っているんだけれども、まだその前五年間に対する補正率も出ていない。そういう中で、あなたの方は補正率を、言うなれば借用して推定値を出してそういうことだという言い方をしているわけですが、しかし、これはあなた、考えてみると重要な問題なんですね、三十四万人の人たちにとって。それは国家公務員のように前の資料がないとすれば、これはやむを得ざる措置ですよ。しかし、あの恩給ですか、三百十人を除いたそれ以外の人は資料はあるのですよね、やろうと思えば。この資料がありながら、わざわざ国家公務員と同じようなやり方で前五年の補正率を掛けるということはかなり慎重な判断を必要とするわけです。ところが、まだ補正率も出ていない、推計値でこういう判断をするということは私は問題があると思うのです。ですから、これは私たちから言えば、三十四万人の生活がかかったことを国会の場で議論するのですから、納得のいくような形の現時点における資料を出してもらわなければかみ合う議論にならないということを言っているわけです。したがって、その資料を出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/166
-
167・船田元
○船田委員長代理 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/167
-
168・船田元
○船田委員長代理 速記を起こしてください。
佐藤誼君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/168
-
169・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 それじゃ、いいですか。私が先ほど質問したことについての関連する資料要求をいたしました。それはこういう資料を求めておるわけでございます。つまり、標準給与のとり方に関連する資料として、一つは全期間の給与、ここから割り出した標準給与、それからその前五年間、これに補正率を掛けた場合の資料、ただしそれは補正率はまだ正確なやつが出ておりません。ですから、それはまだ出ておりませんので、国家公務員なり何なり、それに類似の数字を使ってもやむを得ないと思う。その資料を二つ出してください。
そうしますと、それを材料にして、きょうの重要な問題でございますので、引き続いてこのことについては議論いたします。したがって、それまでこの問題は資料が出た時点で審議をいたしますので、出すということをはっきりすれば、私の方は質問をその間留保いたします。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/169
-
170・保坂榮一
○保坂参考人 補正率はまだわかっておりませんので、それで全期間の平均とそれから五年で計算した場合のそれがどうなるかという対比。それは三十五万全部にできませんけれども、サンプリング調査でそれはできます。しかし、補正率の点は、どういう補正率でということはちょっとわかりませんので、補正率を掛けてのそれは出せません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/170
-
171・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 それで二つの資料のことはわかりました。ただ、補正率が出ていないわけですよ。これは事実、そのとおりです。したがって、それに近いと推定される補正率を使ったものも出してください。わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/171
-
172・保坂榮一
○保坂参考人 はい。その推定補正率が私どもの方ではどこに推定していいか、それはわかりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/172
-
173・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 それは国家公務員というのがあるのだから、大体想定がつくのじゃないですか。それはあなたの方に任せますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/173
-
174・保坂榮一
○保坂参考人 先ほど国家公務員と申し上げましたのは私の誤りでありまして、大体国家公務員はこのくらいになるのではないかという、これはこちらの推定でいたしましたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/174
-
175・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 それはあなたの方の判断する推定値でやむを得ないと思いますから、それで出してください。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/175
-
176・保坂榮一
○保坂参考人 私の方の判断の推定……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/176
-
177・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 そうそう、それをもとにして議論しますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/177
-
178・保坂榮一
○保坂参考人 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/178
-
179・佐藤誼
○佐藤(誼)委員 いいですね。じゃあ今のこといいですね。――そうなりますと、そういう資料が出たところで今の議論をいたしますので、この問題については留保をいたします。
ただ、ちょっと付言しておきますと、補正率が出ないから云々と言ったけれども、補正率も出ないのにそれをやるということはかなりの根拠がなければできないはずなんだな、常識から言うと。これはいずれまたやりますけれども、そういうことで留保します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/179
-
180・田中克彦
○田中(克)委員 今の質問はそういう形でありますから、資料をいただいてから私どもの納得のいく解明をしていきたい、こう思っております。
要望の中にもあるわけでありますが、今回の場合、私学共済が持っている特徴的な問題から、特に他の年金との関係で問題になりますのは、六十五蔵以上の人たちの取り扱いの問題であります。特に退職共済年金の受給権の問題についてでありますが、改正後の国家公務員共済法七十六条を準用する、こういうことになっておりますが、この給付の要件というのは、まず六十五歳以上であること、それからもう一つは組合員期間が二十五年以上であること、こういうふうになっておりまして、なおこの退職することを一つの給付要件としているのは今までと同じであります。一方、厚生年金の場合については、今回の改正で被保険者資格が改められて、退職しなくても六十五歳になれば被保険者ではなくなる。こうなりますと、六十五歳以上の在職者の中には老齢年金を受給できる人が出てくる、こういうことになります。結局、六十五歳以上になって仕事はしているわけでありますけれども、保険料はもちろん納めてない。一方では、私学の共済の場合にはこの七十六条の準用ということになりますと年金が受給できない、こういう矛盾を生じてくるわけです。しかも私学は、前提になった議論のときにも申し上げましたように、非常に高齢者の占める比率が高い。しかも、私学の性格から学校運営者が教授を兼ねている、あるいは学長を兼ねている、こういう場合が非常に多いわけです。そうなりますと、こういう人たちは厚年と比較をして大変、同じ職場にいながら扱いとして救済されなくなる、こういう問題がここで起こってきてしまうわけです。これは何としても一定の解決をしていかなければいけない問題だ、こういうふうに私どもは思うわけでありますけれども、このことについて文部大臣の見解を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/180
-
181・松永光
○松永国務大臣 お答えいたします。
先生御指摘のように、在職中であれば退職共済年金は支給しない取り扱いとしているわけでありますが、しかし、標準給与が一定額以下の者については在職中であっても六十歳以上の者については年金の一部を支給する制度を設けることにしてあるわけであります。また、在職者であっても六十五歳以上の者については別途国民年金から基礎年金が支給される仕組みが取り入れられることになっておるわけであります。
今、先生御指摘のように、厚生年金の場合との比較の問題でございますが、さようなわけで在職中は、標準給与の低い者については一部の支給がありますけれども、そうでない者については支給がないわけであります。しかし、在職期間が延びることによって受給する年金額は増額されることになります。また、厚生年金にはない職域年金相当部分が別に設計されているところでありますから、一概にどちらが有利、不利ということは判定はできないわけだというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/181
-
182・田中克彦
○田中(克)委員 午前中の中西委員の質問の中にもありましたように、長期の適用除外校というのは、六大学の東京大学を除く慶応、早稲田、明治、法政、立教を初めとして三十学校ある。ここに働く人たちは大体、ちょっとことしの数字がないのですけれども一万人は超えている、こう思うのですね。そういう人たちは今言うように厚生年金の扱いでありますから、働きながらも年金の給付は受けられる。結局、この私学共済であるがゆえに受けられない、こういう問題が起こってきますと、午前中の議論にもあったように、これから新しく建てられる私学というのは強制加入ということなんですけれども、実際にはこうやって私学から適用除外を受けている大学もある、その学校の方は扱いとして非常に有利だ、こういうことになりますと、これはさっき言うように強制する力を持っていると言うんですけれども、その問題と絡みましてまた現場で大変混乱を起こすのじゃないか、こういうふうに思うのです。この問題についてはどういう処理をされるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/182
-
183・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生御案内のように、現在既に厚生年金と私学共済との間ではその低在老の制度において差があるということはございます。それで、ただいま大臣から御説明申し上げましたように、新たに今度は共済の方に低在老の制度を取り入れたというようなことでございまして、そういう点におきましては一歩前進をしているのではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/183
-
184・田中克彦
○田中(克)委員 この問題は、それぞれの委員会が審議をしてまた連合審査へもう一度戻す、あるいはまた各委員会で上がってきている問題点というのは集約してまとめる、こういうことになっておりますので、私は問題点として指摘をしておいて、その際にまた十分検討をしてもらいたい、こう思います。
今の問題と関連して、このことから発生をする問題というのはいろいろな形で起こってまいります。例えば障害年金の場合でも、六十五歳以降の事後重症制度あるいはまた六十五歳以降初診口の支給はない、こういう矛盾も、国民年金の方の加入期間が六十五歳まで、こういうように決まっておりますので、どうしても厚生年金あるいは農林年金のような任意継続という資格を与えて同じ扱いにしないと私学共済の場合も問題が起こる。こういうことについてはどう考えているのか、考え方を間がしてもらいたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/184
-
185・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生御指摘のように、障害共済年金でございますが、これにつきましては在職中の人にはいかないというような制限が共済組合の場合にはあるということでございます。ただ、これにつきましては先ほど申しましたようないわゆる低在老という制度が設けられているということでございます。
それで、私学共済とそれから厚生年金といいますものは、それぞれ制度的な沿革がございまして、そこの中の沿革を生かしながらできるだけ合わせていくという努力をしているわけでございますが、やはりあくまでも共済組合の制度とそれから厚生年金の何度とはまた違うところがございますので、そこの点は時間をかけながら直していくという必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/185
-
186・田中克彦
○田中(克)委員 時間をかけながら直していくということはどういう展望を持っておいてるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/186
-
187・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私ども、私学共済といいますものは、さっきから説明を申し上げておりますように国家公務員に準じてやっていくというようなことでございますので、そこのグループの間の連携というのを考えながら直していくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/187
-
188・田中克彦
○田中(克)委員 そうしますと、次の五年後の再計算期を目標に検討するという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/188
-
189・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今度の法案をお通しいただいた後に負担面についての一元化その他については今後検討していかなくてはならないということでございます。それで、全体の一元化につきましては、閣議決定にもございますように昭和七十年を目途に、考えているというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/189
-
190・田中克彦
○田中(克)委員 国民年金の方が六十五歳ということに決まっておりますので、それとの関連の中でこうやっていろいろ矛盾も起こってくるわけですが、例えば遺族年金の場合でも、六十五歳の組合員で老齢基礎年金の受給資格を持っている人が死亡した場合、その子供または子供のある妻に基礎年金が支給されない、これも同じようなことになるのですね。やはりここでも共通している問題になると思うのですけれども、これも同じように考えていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/190
-
191・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 遺族基礎年金の場合には老齢年金との絡みでどう考えていくかということになると思うのですが、遺族基礎年金が最初に出る方につきましては、老齢基礎年金をとるかどうかというのは当然六十五歳の時点において判断するということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/191
-
192・田中克彦
○田中(克)委員 時間が詰まってきてしまいましたが、従前から言われてきております私学共済に対する都道附県の補助金の問題について伺うわけであります。
これは従前もずっと議論の続いてきた問題でありますけれども、五十九年度で、全学に出している県が二十八県、一部大学と短大等を除外しているところが五県、補助率を削減しているところが十四県、合計して四十七県、こういう数字になっております。この総額は私の記憶では五十億を超えていると思っているわけですけれども、今回この制度改正によって私憂慮するのは、さっき議論になりました国の四分の一の補助金カット、そういう状況の中で、私学も非常に掛金率はアップされる、給付は切り下げられる、掛金のアップ率につきましては、今既に出ておりますように二・八倍、こういうことで数字の上からすれば国家公務員を上回るアップ率、こういうことになっております。したがって、そういう点から見ると、交付税の対象が高校以下あるいは専修学校に限られているということで、一方で、いわば地方公務員の基礎年金部分に当たる三分の一の国庫負担は地方自治体がしょっていく、今回の制度はこういうことになっておりますから、勢い地方自治体に負担が転嫁されておりますので、地方自治体はますます窮地に立つ、したがって私学助成の影響というものはまたはね返りが非常に心配される、こういう状況になります。そこで、このことについては文部大臣としてはどういう対応をされるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/192
-
193・松永光
○松永国務大臣 私学共済組合に対する都道府県の補助は、都道府県における私学振興という観点から行われているものでありまして、社会保障制度上の観点から講じられておる公経済負担としての国庫補助とはその性格を異にするものであると思っております。したがいまして、今度の制度改正がなされて私学共済に対する国庫補助の方法が変更される場合においても、この都道府県の補助の考え方は維持していくべきものであると考えております。したがいまして、文部省としては、先国会でも附帯決議をいただきましたあの趣旨に沿って、都道府県補助が行われるように努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/193
-
194・田中克彦
○田中(克)委員 特に今回の制度改正に伴って文部大臣として各地方自治体に要請するというような措置はおとりになりますか、なりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/194
-
195・松永光
○松永国務大臣 特別の要望をしなくとも法律上そうなっておるわけでありますので、当然続けられていくものと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/195
-
196・田中克彦
○田中(克)委員 法律上なっていると言いますけれども、さっき私が前提で言ったように、交付税の対象になっているのは高校以下ということでありますから、大学等につきましては地方自治体がその意思を持たなければそうならないわけでしょう。ですから強制力はないのですよ。そこを文部省としては、私学振興のために今回制度改正があってもひとつそれを続けてほしい、こう言わないと、自治体は手かげんをし始めるのではないかということを私は言っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/196
-
197・松永光
○松永国務大臣 そういうことも含めて努力をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/197
-
198・田中克彦
○田中(克)委員 この辺は私学にとりまして非常に大事な点だと思いますから、ぜひお願いをいたしたいと思います。
残る時間が非常に少なくなってしまって、あと基礎年金問題を私ずっとまとめてお伺いしたいと思ったのですが、きょうは行ったり来たりしましてちょっと整理しにくいのですが、厚生箱、おいでになりますか。――若干議論はあったのですけれども、今回の場合の特徴は基礎年金を導入するということですから、この基礎年金というのは非常に大事だと思うのですね。それで、中西質問の中で大局的な立場からいろいろ議論があったわけですが、私は極めて具体的に聞いていきたいと思うのですが、この基礎年金の水準を五万円と決めたのは何でですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/198
-
199・谷口正作
○谷口説明員 お答え申し上げます。
基礎年金の水準についてのお尋ねでございますけれども、基礎年金につきましては、老後生活の基礎的な部分を保障する、いわば老後生活でいろいろな費用がかかるわけでございますけれども、その基礎的な部分を保障するということで、高齢者の方々の現実の生計費等を総合的に勘案いたしまして月額五万円、そして御夫婦ですと十万円という水準といたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/199
-
200・田中克彦
○田中(克)委員 今のお答えは、いわば最低生活を保障する建前から生活費の調査等を基準にして五万円を決めた、こういうことですけれども、今、生活保護法による生活扶助費はどのくらいになっていますか、一級、二級。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/200
-
201・谷口正作
○谷口説明員 お答え申し上げます。
生活保護基準に基づく生活扶助費でございますけれども、現在、単身の方でございますと二級地で約五万三千円、御夫妻でございますとそれをお一人に直しまして四万九千二百七十円というような水準になってございます力発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/201
-
202・田中克彦
○田中(克)委員 私の調べですと、一級の生活扶助費で六万二十円、そのほか家賃、医療費等の加算をいたしますと十一万七千百二十円、こういうことで、これがいわば最低生活を保障する生活保護世帯の基準だ、こうなります。
そうなりますと、いずれにしろ、さっき申されました水準も五万円を上回っているわけですけれども、これは一方で年金を四十年掛けて、今六千八百円ですけれども一万三千円まで掛けるわけですね、将来上がっていきますから。年々三百円ずつ上がっていく。それを掛けた人が五万円もらうわけですね。年金で老後の生活が安定し保障されるということがこの基礎年金の意味だと思うのですね。それが結局、年金を掛けない生活保護世帯の生活扶助費がこれを上回っているということになりますと、年金を掛けた人は、掛けていながらその生活さえも保障されないという矛盾に突き当たるでしょう。これはどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/202
-
203・谷口正作
○谷口説明員 お答え申し上げます。
基礎年金の水準と生活保護の基準との関係についてのお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、基礎年金の水準は老後生活の基礎的な部分を保障するという考え方に立っているわけでございます。片や生活保護におきましては、先生御案内のように、個々のニーズに応じましてその方の最低生活を保障する、もちろん資産とか収入がある場合はそれも勘案しながら最低生活を送れるものを保障するという考え方に立っておるわけでございます。基礎年金の水準につきましては、いろいろ改正法案を御審議いただきましたときにも御議論があったわけでございますけれども、水準を考えます場合に、先ほど先生からも御指摘ありましたように、当然将来の保険料負担というものもあわせて考えなければならないと考えております。現在五十九年度価格で六千八百円でございますけれども、将来は月一万三千円の負担になるということも考えますと、いろんな御議論がございますけれども、月五万円、御夫婦で十万円という水準は、老後生活の基礎的な部分を保障するものとしては妥当な水準ではなかろうかと私ども考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/203
-
204・田中克彦
○田中(克)委員 私は今の生活保護世帯との比較の上においてお伺いしたのですけれども、そのことの答弁をいただいておりませんで非常に不満ですけれども、時間が来てしまいましたので、以上で打ち切ります。あとまだ残された問題がたくさんございますから、同僚議員の方から質問を続けさせていただくようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/204
-
205・船田元
○船田委員長代理 藤木洋子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/205
-
206・藤木洋子
○藤木委員 私学共済の審議に当たりまして、まず私は日生学園の問題を最初に取り上げさせていただきたいと思います。
これは後の私の私学共済の議論にかかわってまいりますので、一見離れているかのごとく見えますが、決してそうではございませんので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。
山原議員が前回、日生学園の問題で質問をいたしました際に要求いたしました資料の大半は、きょうちょうだいをしております。この際、私からも幾つかの追加資料を求めさせていただきたいと思います。
まず第一に、この五カ年間に第二高校で起こりました集団脱走の件数とその年月日、人数及びその理由。それから退学者についても同様の資料をちょうだいしたいわけですけれども、これはできないというような御事情も聞かせていただいているのですが、もう一度御努力をいただきたいと思います。それから私学助成額の推移。そして最後に、折に触れ青田校長が、この日の言葉というように訓辞を述べられるのですけれども、それが「日生言」として発行、配付されております。これもここ一、二年の「日生言」について取りそろえていただきますならば、教育方針などについて非常によくわかる資料になるのではないかと思いますので、この点をお願いしたいのですけれども、いかがでございますか。これは文部省の方からお答えをいただきたいと思うのです。――担当の方がまだとどいていらっしゃらないそうですので、次の質問に移らせていただきます。
シャッター事件についてですけれども、警察庁の方はお見えになっていらっしゃいますか。――シャッターによる事故死とされております事件にっきまして、山原議員も指摘をしたところでございますけれども、検視記録の提出を求めてまいりました。しかし、これは提出できないということでございましたね。しかし、この事件は殺害の疑いを免れない不可解な事件でございます。三重県の人権擁護委員会の立入調査の結果、事故死とは考えがたい幾つかの重要な問題が明らかになっております。
状況は、うつ伏せになって片一方の肩と首をシャッターに挟まれていたとされております。しかし、シャッターのおりるスピードは極めて緩やかであり、高校生ならばシャッターがあいている間に敏捷にここをくぐり抜けることは容易だとみなされる点が第一点です。またもう一つ、シャッターは非常に重くて二、三人の大人の力では到底持ちこたえられない、支えられない圧力であるという点です。にもかかわらず肩と首の骨は何の異常もないというのはまさに不思議な出来事だと思うわけですね。しかも、その死因は窒息死ということでございますから、骨を全然けがせずに窒息だけする、こういうことが到底考えられないという点でございます。
このような疑問がございますので、検視記録を示して真相を明らかにしていただきたいということを重ねてお願いをするところですけれども、その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/206
-
207・藤原享
○藤原説明員 お尋ねのシャッターがおりた圧死事件の事故死の認定でございますが、今、委員、非常に重い圧力がかかるシャッターであるとか、敏捷な高校生がなぜそこにはまったかといったような御指摘がございましたが、警察といたしましては、検視官が現場に参りまして十分に検視いたしたわけでございます。その結果、これは一応事故死であるという認定をいたしたところでございます。そういうことで認定をいたしたその結果でございますが、検視で死体を見分した結果の調書等には、死体の身元関係とか、あるいは死体のその現場における状況とか、あるいは死亡の動機、原因等のほか、死者、家族その他関係者のプライバシーに関する事項が記載されております。そういうことで、死者、家族等の名誉、秘密保護の点から公表していないものでございまして、そういう意味で、前回も申し上げておりますように、資料の提出は差し控えさせていただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/207
-
208・藤木洋子
○藤木委員 今ちょっと気になる御発言がございました。一応認定したというふうにたしかおっしゃったと思うのですけれども、一応ということは、これが変わり得るということをも含んでいるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/208
-
209・藤原享
○藤原説明員 一応ということは、その状況として既にその現場においてそれが大体確定した状況である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/209
-
210・藤木洋子
○藤木委員 そういたしますと、プライバシーの点ということでおっしゃったわけですが、それでは、死んだ子供の親が直接この記録を見せてもらいたいというふうに要求した場合はどうなりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/210
-
211・藤原享
○藤原説明員 親が子の検視結果の閲覧あるいは提出を要望された場合といったような問題でございますが、特にそういう御遺族の方には、関係者のプライバシーを侵害しない範囲の事実関係について具体的な状況を説明申し上げるというふうに一般的に取り扱っているところでございます。また、特に本件につきましても、事故発生当時、御遺族に対してそういった状況を御説明申し上げ、納得していただいておるという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/211
-
212・藤木洋子
○藤木委員 検視記録そのものは確かに提出できない御事情がおありだというふうに思います。しかし、私が今述べましたような疑問に答え得る調査の概要といいますか、詳細について、個人のプライバシーを侵害しない、そこにかかわりのない点で、ここの委員会では御報告いただけないかもわかりませんけれども、個別に伺いたい点がございますけれども、それはこちらがお伺いをすればお知らせ願えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/212
-
213・藤原享
○藤原説明員 死体を見分いたしました結果等につきましては、御遺族などに対しまして説明するのは先ほど申し上げたとおりでございますが、その他の一般の方には死者及び関係者等のプライバシー保護の観点から具体的内容については公表しないことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/213
-
214・藤木洋子
○藤木委員 それは一切できないということでございましょうか。一切にわたってできないということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/214
-
215・藤原享
○藤原説明員 従来の取り扱いでは一切出さないということに運用いたしておるところでございます。
〔船田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/215
-
216・藤木洋子
○藤木委員 それでは、前段の質問をいたしましたときの御答弁がいただけるようでございますので、このシャッター事件につきましてはこれで結構でございます。
それでは、もう一度申し上げなければなりませんでしょうね。質問の中で、日生学園の問題で資料の追加要求をさせていただいたところなんです。その一つは、この五カ年間に第二高校で起こりました集団脱走の件数、その年月日、人数及びその理由というのをお調べいただいて御提示をいただきたいとお願いしたところでございます。また、退学者についても同様の資料がいただきたいのですけれども、文部省から伺っているところでは出せない事情がおありのように聞いておりますが、これももうひとつ御努力をいただけないかという点が第一点でございます。それと私学助成額ですね、これの推移がどうなっているか、これもひとつお調べをいただきたいということでございます。そして最後にお願いをいたしましたのは、折に触れて青田校長がその日の言葉というように訓辞を述べていらっしゃるのですが、それが「日生言」というものにまとめられておりまして発行、配付をされております。この一、二年の間に発行されました「日生言」についても取りそろえていただきたい、このようなお願いをしたのですけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/216
-
217・高石邦男
○高石政府委員 先生御承知のとおりに、県の方が直接に監督権者でございますので、三重県と十分相談して、出せるものは出していきたいと思いますが、出せないものは御勘弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/217
-
218・藤木洋子
○藤木委員 その次に、日生高校の問題では、今第二高校の問題が対象に論議をされてきたところでございますけれども、第一高校、第三高校についてもさまざまな問題が起こっていると聞いているわけです。この際、第一、第三の高校についても実態を把握し適切な指導をなさるべきではないかというふうに考えておりますけれども、その点はどんなふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/218
-
219・高石邦男
○高石政府委員 同一の法人が設置している学校でございます。したがいまして、こちらといたしましては学校法人に対していろいろ指導、助言をしていくわけでございます。ですから、問題がなければいいわけでございますが、問題が発生しないように他の学校についても同様の指導をしていく必要があろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/219
-
220・藤木洋子
○藤木委員 発生しなければいいというふうにおっしゃったのですが、恐らく今いろいろと掌握の途上であろうかと私は思うのですが、私が伺っている第三高校におけるT君の場合の事例がございます。
このT君は、最初入学をされましたのは第二高校でございまして、昭和五十八年の四月でございました。しかし、その後すぐもう暴行、リンチ、こういうことが行われておりまして、六月十九日には腰を痛めて家に連れ帰っておられます。それから九月三日には胃痛を起こし、嘔吐のためやはり家に帰ってきておりまして、学校でも二回血を吐いたと報告されております。その翌日、京都第二日赤病院の小児科へそのまま入院をしてしまいました。その後の脳波検査では仮死状態にまでなっております。
こういった事態が起こりまして、T君は第二高校から第三高校へ転校するわけですね。これがその翌年五十九年の一月でございます。この一月九日に第三高校へ転校するのですけれども、九日に転校いたしまして、一月十七日の日にはもう第三高校から五人で脱走してまいりまして、その翌日退学届を提出して退学をしておられるわけです。
この一月に第三高校にいた間に何が起こったかということなんですけれども、第三高校に転校したのは、生意気だといって殴る、けるの暴行を受けたあげくに、便器に顔を押しつけられて水を飲まされた、こういうことが行われているわけですね。この点は、本当に徹底的にその事実関係を掌握していただいて、適切な御指導をしていただかなければならないというふうに私は思うわけです。
そこで、大臣にお願いをさせていただくわけですけれども、日生学園について、この第一、第二、第三高校とも実態の正しい掌握の上に立って適切な御指導を徹底していただきますように、重ねてお願いを申し上げますけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/220
-
221・松永光
○松永国務大臣 この学園についての所管庁は三重県であるわけでございまして、三重県側としては、幾つかの事件が発生しておるということを重く見まして、学校の管理体制の見直し、その改善方策等について、いろいろな面から強い指導をしてくれているようでありますので、文部省としては、所管庁である三重県と連絡をとりながら適切な管理体制の見直しや改善方策がなされるように努力をしていきたいと考えておるわけであります。
なお、いろいろな事情につきましては、必要に応じて三重県からその資料の報告を得たいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/221
-
222・藤木洋子
○藤木委員 ぜひお願いをしたいわけです。ただし、第三高校につきましては、兵庫県にございますので、これは兵庫県ともひとつ十分に連絡をとってやっていただきたいと思います。
それから、いま一つ、兵庫県の私立神戸弘陵学園高校というのがございますけれども、ここの浅野充先生不当解雇に関する件でお伺いをいたします。
この先生は、一九八五年三月末日学校から一方的に解雇を言い渡されております。学校側は、一年の期限つき採用だから期限に達したのだという通告を行っておりますが、この五月二十三日不当解雇の撤回を求めて神戸地方裁判所に仮処分の申請が行われました。この結果、十月一日神戸地裁は、浅野先生は神戸弘陵学園高校の教員の地位にあるとの決定を下しております。しかし、理事長は裁判所の決定に従わず、今なお私学共済組合の資格回復の手続をとろうとはしておりません。したがって、速やかにこの手続をとり、組合員資格の回復が図られるように行政指導を行っていただきたいと考えておりますけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/222
-
223・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 お話の件につきましては、まだ私ども実態をよく把握していないので、現段階ではすぐに何とも申し上げられないわけでございますが、できるだけ早く調査を行いまして、法令の趣旨に沿った取り扱いがなされるよう指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/223
-
224・藤木洋子
○藤木委員 私、前にも長崎の玉木女子学園の解雇を理由にした三人の先生方の組合員資格を喪失させた事件で、この委員会で取り上げさせていただきました。その後、文部省また私学共済組合の御指導、御尽力もございまして、資格の回復がなされたわけでございますけれども、しかしこれも資格回復までに実に三年という年月を要しているわけですね。解決するまでの間、当事者の生活も、それから精神面でもどんなに苦悩が大きいかということをはかり知ることはできないと思うわけですけれども、このような問題が起こりますたびごとに国会で問題にしなければならないというようなことは、これは困ったことだと思うわけです。
そこで、今後は係争中の身分をも含めましてきちんと保障されるように指導の徹底をお図りいただきたいと思うのですけれども、大臣と私学共済の理事長とお二方にその点の御決意を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/224
-
225・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 ただいまお話のございましたような解雇の場合のその事由の是非につきまして、私学共済組合が判定することは非常に困難であるということはよく御理解いただきたいと思います。そういう意味におきまして、例えば労働委員会または裁判所に対する訴えが提起なされている場合であっても、学校法人等から資格喪失報告書の提出があったときは一応組合員資格を喪失させることといたしております。ただ、その後、例えば労働委員会または裁判所が解雇無効の決定または判決をなし、その効力が発生したときには、確定判決でなくても当該決定または判決に従い遡及して組合員資格の喪失の処理の取り消し等を行っておるわけでございまして、やはりあくまでも司法手続に従って私どもは処理しなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/225
-
226・藤木洋子
○藤木委員 それはわかった上で申し上げているわけでございます。ですから、私学共済としては行政指導の範囲、指摘をするという範囲を超えないこともわかっているわけでございます。しかし、それはやはりしっかりやっていただきたい、こういうことを申し上げたわけでございますから、そういうふうに御理解をいただいて御決意を述べていただけたらというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/226
-
227・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私どもといたしましては、今の法令の手続に従いまして行いますし、今後ともそういう面の努力をしてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/227
-
228・保坂榮一
○保坂参考人 私学共済といたしましては、職権をもっての指導ということはできませんが、そういうような事柄が起きましたときには、当該学校の方へ早く手続その他をするように積極的に指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/228
-
229・松永光
○松永国務大臣 解雇その他身分上といいましょうか、そういった問題についての最終的な判定は裁判所その他で決めていただくことでありまして、文部省で決めることではありません。したがいまして、裁判所等有権的な判定をする役所の判定がなされたならば、それに基づいて的確な措置がなされるように、今までもやってきたつもりでありますけれども、今後もきちっとそういう点は法令に基づいた措置がなされるように指導してまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/229
-
230・藤木洋子
○藤木委員 確かに今までも御指導してこられました。しかし、三年たたなければ解決を見ないというような事態もあったわけですから、今後はひとつ一層御精進をいただきますようにお願いをいたします。
私学共済運営審議会の民主的構成につきましてお伺いをいたします。これも何度も取り上げてきた問題でございますけれども、重要なことでございますので重ねてお聞きをいたします。
運営審議会は、組合員、学校法人役員、学識経験者から各七名ずつ計二十一名で構成することになっております。文部大臣はこれを委嘱する場合に、一部の者の利益に偏することのないよう相当の注意を払わなければならない、これは私学共済組合法の第十二条三項でございますけれども、このように決められております。しかし、一貫して運営審議会を構成しているのは学校理事者、経営者、管理者などの組合員でございまして、最も多数を占める職員である組合員の代表、こういう方が入っておりません。これでは私学共済の運営が経営者寄りにならざるを得ない、このように思うわけです。一部の者の利益に偏するものではなかろうかという危惧を抱きますが、その点はいかがお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/230
-
231・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今先生のお話のございましたように、私学共済組合の運営審議会の委員の構成は、御指摘のとおり、組合員関係、法人関係及び学識経験者のいわゆる三者構成となっております。それで、それぞれの七名の委員が文部大臣により委嘱されております。そのうち組合員関係及び法人関係の委員につきましては、私立学校側の意向を十分に酌むために、私学共済組合発足以来私学団体の推薦によって委員を委嘱しております。この推薦団体でございます全私学連合は、私学制度の振興を図ることを目的とし、学校法人の役員だけではなく、学長、校長及び教職員をも含むいわば学校自体が加盟員となる団体によって構成されていると考えております。したがって、役員だけではなく教職員の意向も反映される団体であると考えております。文部省といたしましては、推薦団体である全私学連合に対しましては、候補者の推薦に当たりまして、組合員の意向を十分反映し、組合員を代表するにふさわしい者を推薦するようかねてから要請しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/231
-
232・藤木洋子
○藤木委員 文部省のその要請どおりに人選がなされているという確信をお持ちでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/232
-
233・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私どもはそう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/233
-
234・藤木洋子
○藤木委員 では、六十年二月十五日現在の名簿がございますけれども、この中でそういう多数の組合員の声を正確に反映できるというのはどんな方でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/234
-
235・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私、今持っておりますのが九月一日の名簿でございますのでそれで申し上げさせていただきますが、例えば佐々木隆先生、保善高等学校の教諭の先生がいらっしゃいます。そのほか例えば国際基督教大学の高等学校の教頭先生でございますとか、それから学習院大学の教授の先生というようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/235
-
236・藤木洋子
○藤木委員 私は、多数を代表する声が反映しているとは今の御説明ではとても考えられないわけです。学校から出ていても、多数の組合員の意見が反映されていると考えておいでのようでございますけれども、本当にそうかどうか。それならば、教職員組合というのは何のためにあるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その辺はどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/236
-
237・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 ここに私どもが考えております組合員といいますのは、共済組合員全体の個々の声を反映するものであるというように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/237
-
238・藤木洋子
○藤木委員 そうなんです。個々の組合員の声が反映されているかどうかということなんですけれども、学校で教職員組合がつくられているのはなぜだとお考えかという点を伺っているのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/238
-
239・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 労働組合は労働組合の目的があるし、その機能は果たしていると理解しておるわけでございますが、今申しましたように、私立学校教職員の共済組合の運営審議会自体の考え方は、組合員関係と法人役員関係と学識経験者の三者構成でやるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/239
-
240・藤木洋子
○藤木委員 労働組合の機能と目的は独自にあるとおっしゃいましたけれども、それは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/240
-
241・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 労働者の生活条件の向上を図るということであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/241
-
242・藤木洋子
○藤木委員 理事者であるとか管理者によって多数の教職員の声が常に把握され、それが学校の運営であるとか教育といったところに正しく反映できるのであれば、何も教職員組合は要らないのではありませんか。ところが実際はそうはなってない。だから、教職員の団結権というのが憲法で保障されていると私は考えております。そこに教職員組合の存在意義があるわけです。ですから、公立学校共済の運営審議会には日教組の代表が半数入っておりますけれども、次の改選時に当たっては、今度は私学共済でも教職員組合の代表が運営審議会に選出されるようにぜひとも改めていただきたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/242
-
243・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 各共済組合はそれぞれの歴史、沿革がございますし、それぞれの特色を生かしながら機能していくのが一番いいことであると思っておりますので、従来どおりの方法で進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/243
-
244・藤木洋子
○藤木委員 特徴は失っていただかなくてもよろしゅうございます。しかし、検討もなさらずに、やるかやらないかということを今即断されるということは、私ちょっと早過ぎるのではないかと思うわけです。今衆議院選挙区の定数是正が非常に問題になっておりますけれども、これも有権者の声が適切に反映するかどうかという民主化をめぐる論議になっているわけです。ですから、運営審議会に多数の組合員の声が正しく反映し得る委員の構成、こういうものを実質的に保障するということをひとつ御検討いただきますようにお願いをいたしまして、次の問題に移らせていただきます。
私学共済年金制度についてでございますけれども、そもそも年金制度というのは何のために設けられているとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/244
-
245・松永光
○松永国務大臣 我が国の学校教育の中で私学は大変大きな役割を果たしておるわけでありまして、我が国の私立学校の教育をより一層充実発展させていくためには、私学関係の教職員の福利厚生といった面についてしっかりしたものをつくって、後顧の憂いなく教育活動に従事できるように、そういったことのために私学共済の仕組みができたというふうに認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/245
-
246・藤木洋子
○藤木委員 それでは、私学共済年金制度が果たしてきた役割はどうであったとお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/246
-
247・松永光
○松永国務大臣 私学共済は、制度発足以来国家公務員共済の改善措置に準じて改善措置を順次なしてまいりまして、私立学校の教職員の福利の向上にその実を上げてきたわけでありまして、そのことが結果的には我が国の私立学校の発展に大きく寄与してきたというふうに認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/247
-
248・藤木洋子
○藤木委員 現行の年金制度にもいろいろ改善しなければならない点はありますけれども、私学共済年金制度が大きな役割を果たしてきたことは私も全く同感でございます。ですから、今後この制度を一層充実発展させるために改革を行うということでなければならないと考えるわけです。改革の基本にそういう一層の充実発展を図るという精神が貫かれているべきだと思うのですけれども、私の考えが間違っておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/248
-
249・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私学共済組合も含みます公的年金制度の改革につきましては、政府といたしましては、高齢化社会の到来等社会経済の変化に対応し、制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るための制度の一元化を展望しながら、給付と負担の長期的な均衡を確保するための措置を講ずる等諸般の改革を推進することとしております。私学共済の年金制度につきましても、公的年金制度の改革の方向に沿いまして、その一元化を展望しつつ、国公立学校教職員との均衡を図ることを基本としまして、給付と負担のバランスのとれた年金制度とすることが必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/249
-
250・藤木洋子
○藤木委員 私がお聞きしたことはそうではないのです。私学共済の年金制度を改革する場合には、その改革の基本精神は何かということなんです。これを一層充実発展させていくために改革が必要だということではないのですかと伺ったのです月それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/250
-
251・松永光
○松永国務大臣 充実発展させていくために基本的に大事なことは何かと言えば、長期的な展望に立って基盤を強化していくことであるわけでありまして、私学共済の基盤を長期的な展望に立って安定させていくことが第一。第二番目は、給付及び負担の関係において他の制度との整合性を図って、よって世代間の負担の公平、給付の公平等々を図っていくことが必要であろうと思って粘ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/251
-
252・藤木洋子
○藤木委員 そうしますと、いわば充実発展のためにこれからとられる措置というお考えのように伺いました。
そこで、果たしてそうなるのかどうかという問題について伺ってまいりたいと思います。今回の改善が充実を図るためのものかどうかという点ですけれども、充実を図ることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/252
-
253・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 年金制度というものは非常に長期的なものでございますから、長期的な基盤を安定させることが充実の基本であるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/253
-
254・藤木洋子
○藤木委員 長期的には充実をするものだ、こういうふうにお答えのようですけれども、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/254
-
255・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 長期的な観点に立って制度の基盤を整備しその安定を図るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/255
-
256・藤木洋子
○藤木委員 しかし、給付水準が下がることは改善とか充実にはならないのではありませんか。それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/256
-
257・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生も御案内のとおり、将来におきます高齢化社会におきまして年金制度をどうやって安定的なものに図っていくかということが大事なことであるわけでございまして、そういう将来を見通した場合に、若干の給付水準の切り下げあるいは負担の増加は、年金制度の基本である世代間の相互扶助の精神からいいまして必要になってくるのではないかというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/257
-
258・藤木洋子
○藤木委員 給付の切り下げが若干であるかどうかはこの後私も伺ってまいりたいと思います。
そこで、安定安定どおっしゃるのですが、それでは、私学共済年金の財政問題がどうなっているのか、この問題についてお伺いをしていきたいと思います。
年金一元化構想では、年金財政の収支見通しが大きな影響を持つことは周知のところでございます。私学共済がなぜ統合されなければならないのか、これについては多くの疑問がございます。今回の改正案でも中心的な問題の一つであると思われますので、その点について最初に質問をさせていただきますが、まず第一に、私学共済年金の場合、その成熟度は幾つになっておりますか。また、この数年間の推移もわかりましたらお示しをいただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/258
-
259・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生御案内のとおり、私学共済制度は制度としては比較的新しゅうございます。そういう意味におきまして成熟度が比較的低いということでございまして、五十九年度におきます成熟度は四・三%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/259
-
260・藤木洋子
○藤木委員 では、この成熟度は低いというふうに今お話があったわけですけれども、他の年金制度と比較してどのような位置になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/260
-
261・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 ただいま申し上げました私学共済の四・三と比べまして、他の制度の成熟度でございますが、国家公務員共済にありましては三一・二%、公立学校共済にありましては二七・〇%、農林共済にございましては一七・六%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/261
-
262・藤木洋子
○藤木委員 そういたしますと、これは他のものに比較をして一番低い、こういうことになりますね。それでは修正成熟度というのはどのようになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/262
-
263・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 その資料は今持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/263
-
264・藤木洋子
○藤木委員 私が拝見した限りでは、これも当然のことではありますけれども低くなっております。そこで、なぜ成熟度が低いのか、その理由は何だとお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/264
-
265・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 基本的には、制度発足時の昭和二十九年に組合員数が約五万人でございました。現在が約三十五万人ということでございまして、組合員数が非常に急激に伸びたということでございます。これは近年におきます私立学校の発展によるものであると思います。そこがやはり一番基本であるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/265
-
266・藤木洋子
○藤木委員 確かにそれもございましょうけれども、やはり歴史が浅いということ、そして教職員の定着率もまた悪いということ、さらには幼稚園での女子職員の退職というのが随分早いわけですけれども、こういったことも非常に大きな影響を与えているのではないかと私は思うわけです。ですから、これが私学共済では特殊な事情なわけですね。
そこで、私学共済組合員の年齢構成について伺いますけれども、これはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/266
-
267・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私学共済組合の年齢構成でございますが、五十九年度末現在でございますが、長期組合員で申し上げますと、合計約三十四万人でございまして、その中で三十歳未満が三四二二%、それから三十から四十が二四%、四十から五十の間が一八%、それから五十から上の方でございますが、これが二五%というようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/267
-
268・藤木洋子
○藤木委員 そうしますと、二十歳から三十歳代までで全体の五八%を占めているわけですけれども、ほかの年金制度と比較した場合、どのようになるか、わかる範囲でお示しをいただきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/268
-
269・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今持ち合わせておりませんが、恐らく平均年齢はほかの組合の方がかなり高いというふうに理解しております心発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/269
-
270・藤木洋子
○藤木委員 では、この年齢構成が今後どのように推移するというふうに見込んでいらっしゃるのでしょうか。その点について計算をされておりましたらお答えをいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/270
-
271・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 その計算は非常に難しゅうございまして、いろいろな仮定がありますので計算はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/271
-
272・藤木洋子
○藤木委員 では、現在私学共済の財政状況はどのようになっておりますか。年金とかかわる部分についてどうなっているか御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/272
-
273・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 現在の長期経理の収支状況でございますが、五十九年度で申し上げさせていただきますと、収入が千六百七十一億円、支出が四百四十一億円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/273
-
274・藤木洋子
○藤木委員 黒字で健全な財政状況にあるんじゃないですか。そうなりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/274
-
275・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/275
-
276・藤木洋子
○藤木委員 今までいろいろ細かく伺ってまいりましたけれども、これは私学共済が、ほかの年金制度、共済制度と必ずしも類似しているわけではございませんで、かなり特殊な状況にあることをはっきりさせたかったわけでございます。
そこで、私学共済年金財政の今後の収支見通しについて、現行どおりで推移した場合とのようになりますか。計算しておられましたら御説明をいただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/276
-
277・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今先生お尋ねの私学共済の長期経理にかかわる収支の見通しでございますが、昭和五十五年の一月に実施いたしました所要財源率の再計算結果を踏まえまして、さらにこれは前提がございますが、組合員数を昭和六十二年度以降一定、それから給与改正率及び年金改定率を六%、資産運用利回りを七%、掛金は現行の千分の百二を据え置くものとして計算しますと、単年度収支は二十一年後の昭和八十一年度に、保有資産は三十年後の昭和九十年度に赤字に転じることとなると推算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/277
-
278・藤木洋子
○藤木委員 そうですね。昭和八十一年度で単年度収支が赤字、九十年度で積立金も取り崩されて赤字になるということでございます。この試算というのは、今御説明いただきましたのは、社会保障制度審議会の年金数理部会が出しております第一次報告書に沿ったものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/278
-
279・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 その審議会に私どもがお出しした資料でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/279
-
280・藤木洋子
○藤木委員 これは先ほどもおっしゃいましたように、確かに昭和五十五年一月の財政再計算における試算ということになっておりますので、少々古いのではないかと思うわけですね。その後に試算をされたものはございませんか。ありましたらお示しをいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/280
-
281・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生御承知のように、大体五年ぐらいの期間を置きまして掛金率、将来の収支見通しの計算をいたしますので、この五十五年の一月が一番新しいものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/281
-
282・藤木洋子
○藤木委員 ないようでございます。この試算をもとに検討するしかございませんが、この試算について、ほかの年金制度はどのようになっていくか、わかっていたら御説明をいただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/282
-
283・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 他のものは持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/283
-
284・藤木洋子
○藤木委員 私がこの報告書で拝見をいたしますと、他の制度は私学共済に比べて大体十年ないしは十五年早く危機を迎えることになっております。そういう意味では、ほかの制度と横並びで同等に扱うというのはおかしいと考えるのですね。私学共済が最大の被害をこうむることになるんじゃないか、このように考えるのですけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/284
-
285・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生御案内のとおり、私学共済におきましても恐らくこれから成熟度が急激に上がってくるというふうに考えるわけでございまして、そういう意味におきましては、多少十年ぐらいのギャップはありますけれども、他の制度に類似な状況がいずれ出てまいるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/285
-
286・藤木洋子
○藤木委員 そのうち危機が来るんだからというお考えのようですけれども、それでは困りますね。
いずれにしましても、この試算が年金統合の財政的根拠になっているわけですから、この試算のもとになっている資料を見せていただきたいと思いますけれども、なぜこのような計算になりますのか、その基礎データを御提出願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/286
-
287・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 制度審にお出ししたものがございますが、それによってお出ししたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/287
-
288・藤木洋子
○藤木委員 この審議会にお出しになった資料が基礎データになっているわけですか。私が申しておりますのは、先ほど組合員を一定として考えるとか、あるいは利率の問題だとか物価の伸び率だとか、そういったことはここにも書いてあるからわかるのです。しかし、私が伺いたいのは、長期給付を受ける人の推移、組合員の推移が今後どうなっていくというふうに見込んでおられるのか。人数の動向や年齢構成とかあるいは家族構成、こういった推移について一定の見解を持って臨んでおられると思うのです。総合的に基礎データとして把握していらっしゃるその資料を見せていただきたいと思うのですけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/288
-
289・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 ただいまの基礎となるものにつきましては、いろいろな仮定を設けておりますので、先生にお出しいたしましたもので御勘弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/289
-
290・藤木洋子
○藤木委員 これはやはり基礎とは言えないのですよ。これに至る経過というのが私たちに納得できるかできないか、それがこの審議に非常に大きなかかわりを持つ最も根幹をなす部分でございます。ですから、どうしてもお出しいただきたいと思うのです。ないわけじゃないのですね、今の御答弁ですと。経過があるとおっしゃいましたからおありになるのですね。なぜお出しになれないのか、それじゃ理由を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/290
-
291・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私どもといたしましては、先ほど申しましたようにいろいろの仮定がございまして、そこの中で公にできる部分につきまして径ほど検討してお出ししたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/291
-
292・藤木洋子
○藤木委員 後ほどとおっしゃいましたけれども、そのできる部分どおっしゃいますけれども、隠さなければならないのは何ですか。そちらの方がよほど関心が強うございます、そんなふうにおっしゃるのでしたら。国民に隠れたところでそのようなデータをお出しになるという姿勢は私、承服できません。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/292
-
293・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 基礎となりますデータにつきまして径ほど提出させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/293
-
294・藤木洋子
○藤木委員 次の質問者も私どもの方では準備しておりますし、その経過で十分検討させていただいて審議に臨みたい、こういうふうに考えているわけですから、ぜひこの審議中に誠意を持ってできるだけ早急にお出しをいただきますように重ねてお願いしますが、その点お約束いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/294
-
295・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先ほど申しましたように、お出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/295
-
296・藤木洋子
○藤木委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。
給付水準についてお伺いをいたします。特定のモデルを使って現行と改正後の比較をわかりやすく説明していただくようにお願いをいたします。きのうからお願いをしておりますので、これはすぐ出ると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/296
-
297・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今の、今回の制度改正によりまして給付水準がどういうふうになるかというようなことでございますが、今回の改正案では、今申し上げましたように全国民に共通します基礎年金を導入する、その上に報酬比例の年金として私学共済年金を設ける、この報酬比例の年金の算定方法を厚生年金のそれと基本的に同じものとすることにより給付水準の適正化を図るわけでございますが、基礎年金の導入によりまして、現行の世帯単位の私学共済年金が夫と妻の二つの個人単位の基礎年金と報酬比例年金とに分解されることになりますので、改正前後の年金水準の比較に際しましては、改正後の私学共済年金に基礎年金を加えた世帯ベースの年金額で行う必要があるわけでございますが、このような比較によりますと、五十九年度の新規裁定者の平均二十八年勤続で試算いたしまして、夫婦とも六十五歳以上の場合、改正時で夫婦でおおむね現行水準に比べ平均八六%程度になると見込まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/297
-
298・藤木洋子
○藤木委員 給付水準は低下しております。文部省が示したモデルは比較的被害の小さいものを対象にしているように私は思うのでございますけれども、実は私も、和光学園の教師、これは実在の方でございます、この方をモデルにとって計算をさせていただきました。大学卒、四十年加入者でございます。無職の妻がおられます。最終標準報酬四十六万円、退職年齢六十二歳、こういうことで、現行ですと年額三百八十六万四千円の年金が給付されますけれども、改正後は妻の基礎年金をも含めまして二百九十四万八千円、こんなふうになりますから、これは実に二四%の切り下げにもなるわけでございます。年金の充実や発展とはまさに、安定安定どおっしゃいますけれども、逆行することになるということがはっきりと示されているところでございます。
そこで、現在の年金受給者についてどうなるか、既裁定者、これも特定のモデルを使って御説明をいただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/298
-
299・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 既裁定年金が一体どういう格好になるかということでございますが、今回の改正では、既裁定年金者の年金は通年方式によります年金額に裁定がえをいたしまして、その額が従前額よりも低くなる場合は従前額を保障するというような方式をとっておるわけでございます。
それで、私学共済の場合、退職年金の受給者の約五七%が通年方式によります年金額となっておりまして、これらの受給者は改正後も変更はございません。残りの四三%のものが一般方式での年金額となっているために一定期間スライドがストップされるということでございます。それで、スライド停止が何年続くかは、スライド率がどの程度か、また一般方式と通年方式との差がどのぐらいになるかによって決まりまして、受給者個々人で異なるので一概には申し上げられないわけでございますが、仮に平均的に見ますと、五十八年度の退職者の場合、今後のスライド率を六十年度と同様三・四%と仮定いたしますと、スライド停止はおおむね三年程度と考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/299
-
300・藤木洋子
○藤木委員 これも被害の最小の場合がモデルのケースになっているように思います。
私が計算したものもございまして、これでは、物価スライド年三%として、裁定がえによるスライド停止、全組合員期間平均額の率については、文部省に資料要求をいたしましたけれども、これはついにお示しをいただけませんでしたので、厚生年金を参考に六五%で計算をしたのですけれども、この改定後の裁定がえした額が現行の額に追いつくためには八年もかかるというひどいものでございます。
私は、この後、保険料率の問題だとか、国庫負担がどうなるかとか、そういった問題をいろいろお聞きしたかったのですが、もう時間が参りました。しかし、今まで私が伺いました中身を見ましても、この給付水準というのは非常に大幅にダウンするわけでして、どんなに安定安定どおっしゃっても、これでは決して年金の充実になるものではありません。福利厚生という言葉で大臣はおっしゃいましたけれども、私は、年金制度というのは老後の人間としての尊厳を守る一つの保障として存在しているものだというふうに考えております。ですから、このようなことは絶対認められないということを最後に申し上げ、そして、再度この資料の提出に対して確認をしておきたいのですけれども、いたしますとおっしゃいましたけれども、期限ですね、いつお出しいただけるか、それをはっきりお述べくださいますか。これをもって――それでは、今の飛ばしたところをもうちょっとさせていただきます。時間の間違いをしていました。
それでは、ちょっともとへ戻りまして、給付水準についてお伺いをしているところでございました。
私が計算したものの場合、私学共済四十年加入者で昭和六十年、ことしの三月、六十二歳で退職をされた方でございます。六十年度は現行どおりでございますから年額三百八十六万四千円の給付を受けております。ところが改正をされますと、年額三百二十一万六千円となるわけで、物価スライドを年三%、裁定がえによるスライド停止、全組合員期間平均額の率については、資料要求したわけですけれども、文部省からこれが出していただけませんでしたから、厚生年金を参考にいたしました。これは六五%で計算をしておりますので、つけ加えておきます。この改正後の裁定がえした額が現行の額に追いつくには八年かかるところでございますけれども、この人の年金は七年スライド停止になる勘定になるわけです。それで、八十歳まで生存をされるとしまして、八十歳まで年金をもらう、こういたしますと、この裁定がえによるスライド停止で約一千万円の損害をこうむることになるわけです。これは老後の安定どころか、老後をまさに脅かすことになると考えられるのですけれども、どのようにお考えでしょうか。御意見を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/300
-
301・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 ただいまの先生のお示しの数字は、私どもでももう一回勉強してみたいというふうに思いますが、一般的な傾向を申し上げさせていただきますと、給料の高い人ほどやはり給付水準の切り下げが高くなる、低いほどそれほど低くならないというような傾向が一般的にあるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/301
-
302・藤木洋子
○藤木委員 ぜひ御研究をいただきたいと思いますけれども、こうしたことは国民に理解をされるはずはございませんし、支持されるはずもございません。総理は、しばしば国民の皆さんに御理解をいただきということでこの施策を進めたいと述べてこられましたけれども、とんでもないことでございます。
次に、掛金の問題でお聞きをしたいと思うわけですが、保険料率につきまして、改正後の掛金率の推移はどのようになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/302
-
303・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私学共済組合の将来的な掛金負担がどうなるかについては、粗い試算でございますが、それによりますと、掛金率を昭和六十五年度から五年ごとに千分の十八ずつ引き上げると、現行の制度のままでは現在の掛金率に対しておおむね三・四倍になるのに対しまして、制度改正によりこれが二・八倍程度に抑えられるというふうに私どもは推定しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/303
-
304・藤木洋子
○藤木委員 これは私も具体的に特定をして計算をしてみたのですが、やはり同じような結果が出ているわけですね。これは、ある学校の大卒二十五歳で結婚をされた方です。二十六歳、二十七歳でそれぞれ子供が生まれ、つまり二児を持つ人ですけれども、賃金実質改定なし、通勤手当、これは月平均ですが七千六百三十三円入っております。家族手当、配偶者に月一万三千四百円、子供一人につき月七千円の手当、住宅手当が一万一千百円の支給を受けている人の場合でも同様の結果で、五十年後には二・七倍になるという計算になっております。
そこで、このように保険料率の引き上げを行って、国庫負担金はどうなるかという推移でございますけれども、これはどのようになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/304
-
305・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今回の制度改正によりまして、共済年金制度に対する国庫負担は基礎年金に集中するということになります。これによりまして、私学共済に対します国庫補助につきましても、厚生年金及び他の共済年金と同様に基礎年金拠出金の三分の一相当額となります。これは従来の国庫負担が制度ごとに負担割合が異なっておりまして、これにつきましてはいろいろ御批判をいただいているわけでございますが、これを改めまして、今回は基礎年金に集中をし、全国民に公平な公的な負担を行おうとすることでございます。
それで、今お尋ねの私学共済に関します国庫補助の将来見通しでございますが、ごく粗い試算でございますが、五十九年度価格で見ますと、現行制度を前提といたしました場合には、六十一年度が約百億円、七十年度が約二百二十億円、八十年度が四百十億円、九十年度には六百六十億円、六・六倍になるという大幅な負担増でございますが、改正案でございますと、六十一年度は百五十億円、七十年度は二百五十億円、八十年度は約三百五十億円、九十年度は四百三十億円というふうに予想をしておるわけでございまして、いずれも増加をしてまいると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/305
-
306・藤木洋子
○藤木委員 そうしますと、結局現行法よりも改正案の方が二百三十億円国の支出、負担が少なくて済む、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/306
-
307・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今先生のお尋ねは昭和九十年度におきます比較でございますが、数字的に見ればそういうことになりますが、ごらんいただきますように、仮に改正案になりましても九十年度には約四百三十億円になるということはよく御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/307
-
308・藤木洋子
○藤木委員 確かに、私がちょうだいいたしました資料でも昭和九十年までしかお述べになっておられません。それ以後はどのようになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/308
-
309・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今までのところ九十年度までしか出しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/309
-
310・藤木洋子
○藤木委員 たしか国民年金や厚生年金については百十年までの推移が示されておりますけれども、私学共済で九十年より後の推測ができないその原因は何でございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/310
-
311・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 現段階ではそこまでやってないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/311
-
312・藤木洋子
○藤木委員 では、そのできないという理由があるわけじゃないのですね。これからなさるわけですか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/312
-
313・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 必要があればお出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/313
-
314・藤木洋子
○藤木委員 さきに大臣も審議官も、長期的展望に立って長期に安定させていくのだとおっしゃいました。それならば、やはり長期の見通しをしっかりお示しいただかなければならないと思うのですけれども、必要だとお思いにならないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/314
-
315・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先にいくほど多少誤差がずれるものでございますけれども、検討してお出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/315
-
316・藤木洋子
○藤木委員 それは先にいくほど現行法での国庫負担と改正案での国庫負担との差額が非常に開いてくるためではないのですか。私は、今の経過を拝見していましても、先にいくほど、誤差ではなくて、現行法よりも改正案の方が支出が少なくて済むというその差が大きくなるせいではないか、このように思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/316
-
317・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 ただいまの点は計算をしてお示しいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/317
-
318・藤木洋子
○藤木委員 それでは、次に、勤続二十五年未満の退職者の問題でお伺いをしたいと思うのです。
私学の場合、勤続二十五年未満でやめる方が極めて多いというのが特徴的でございます。なぜそのようなことになるのか、どういうふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/318
-
319・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私立学校の場合の共済組合は非常に幅が応うございまして、幼稚園から大学まである。その中の女子の方が比較的多い。そういう女子の方は今までの段階では比較的おやめになるのが早いというようなことであると思います。それからもう一つは、私立大学に国立大学を停年でおやめになったような方もお入りになっておるということが一因ではないかと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/319
-
320・藤木洋子
○藤木委員 確かに女子の場合もございます。しかし、大学を出て二十五年近くお勤めになるということになりますと、四十代、いわば働き盛りといいますか、そういう年代になるのですけれども、そのころおやめになる方も結構多いわけです。私は、この辺は非常に問題だと思うわけです。そこで、二十五年未満で退職をした人たちを救済する施策が何かおありかどうか、その辺がありましたらお示しをいただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/320
-
321・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生御案内のとおり、今回の制度改正の眼目の一つは、各制度に共通の基礎年金制度を導入することにございます。これによりまして、二十歳以上六十歳未満の国民はすべて国民年金の被保険者になりまして、共済等の公的被用者年金制度に加入していた期間につきましては、その加入期間に応じまして基礎年金に加えて共済年金等の報酬比例年金が支出されることに相なります。これを言いかえますと、例えば私立学校を勤続二十五年未満で退職する方につきましても、六十歳までの方は国民年金には継続してお入りいただくということでございまして、それで国民年金への加入期間が二十五年以上になれば基礎年金及び私学共済年金が支給できる、それからほかのところにお勤めになれば、例えば厚生年金は厚生年金が出るというような仕組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/321
-
322・藤木洋子
○藤木委員 ほかのところへお勤めになった場合などは別でございますけれども、中にはかけ持ちの講師をされる方もいらっしゃるわけです。三校にわたって講師をされる方もあるわけですけれども、そういう場合はどのような措置がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/322
-
323・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私学共済組合の組合員の資格でございますが、原則として、専任でない者、臨時で使用されている者、それから常時勤務に服さない者は組合員にならないということになっております。
お尋ねのいわゆるかけ持ち講師でございますが、これは勤務の態様等から一律に専任の教員と同じに組合員資格を与えることができるかどうか難しい面もございまして、私学共済組合におかれまして個々具体のケースにつきまして、雇用期間、勤務形態、私立学校からの給与をもって主たる生計の資としているかどうか等全体的に判断して、専任の教員と同様のものと考えられる者につきましては組合員の資格を与える扱いをしていると承知しております。
なお、教職員に組合員資格を与えるには学校法人からの組合員資格取得届の提出がなされることが前提でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/323
-
324・藤木洋子
○藤木委員 そうしますと、簡潔に言うと、ほとんど救済措置はないということになりはしないでしょうか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/324
-
325・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私、先生のおっしゃっておられる実態というのがどういうものかというのがわかりませんが、これはやはり個々具体的なケースで判断していくということでございまして、基本的には非常勤講師等の者は常勤職員と考えないのがどの職場においても通常ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/325
-
326・藤木洋子
○藤木委員 非常勤講師であるとか臨時職員であるとかという傾向が近年とみにふえております。ですから、そういった身分の方たちを保障する救済策が講じられなければ、実情に合った措置とは言えないと思うわけです。それでこの問題をお伺いしたわけです。幼稚園の先生などは早くおやめになって結婚するだろうというお話もありました。しかし、この質問の冒頭に私が述べてまいりましたけれども、日生学園であるとか神戸弘陵学園高校などの場合を見ましても、私学の教育労働条件というのは極めて劣悪な場合が多うございます。これはそこで働き続けるということが極めて困難だということをも示しているのではないか、これはまた私学で働く先生方の生活の不安定さをも物語っているのではないかと思いますが、その点いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/326
-
327・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 教職員の勤務条件につきましては、今個々のケースの御指摘でございますが、全体としては安定した身分のもとに仕事をしていただくということが基本であるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/327
-
328・藤木洋子
○藤木委員 私は、このようなことをなくしていこうとするならば、やはり私学の条件を改善していくということが急務だと思うわけです。そのためにも、私学助成を大幅にふやすこと、あるいは保険料の労使折半、この比率を労働者に有利な比率に改善させるというような追及こそ大切だというふうに考えるのですが、大臣はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/328
-
329・松永光
○松永国務大臣 私学助成は、私どもが大変な努力をして、また文教委員会の先生方の協力もあって法律をつくって、そしてその法律に基づく私学助成を始めて、厳しい財政状況ではありますけれども、いろいろな先生方の協力も得て予算の確保に努めておるところであります。
なお、共済掛金の労使折半は原則でございますので、これを変えていくということは、その意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/329
-
330・藤木洋子
○藤木委員 これは原則だから変えていく気はないというふうにおっしゃいますけれども、しかし、国際的な趨勢を見ますと、この原則というのは既に破られているわけですね。日本が極めて立ちおくれているということを示しているわけでございますから、この際、ぜひこの労使折半問題についても配慮をしていくあるいは検討を加えていく、こういうことをぜひ進めていただかなければならない、このように考えております。
また、全私学連合にとりましても、つまり私学の経営者にとっても、今回の改正措置というのは決してメリットがあるわけではなくて、むしろ負担がふえていくという傾向にあるわけです。私は、このことに対して、私学の経営者がみずからの負担がふえることを、子供たちの教育条件をさらに切り下げるというやり方であるとか、授業料を引き上げていくとか、そういったところに還元をしない保証はなかろうというふうに思うのですけれども、それはいかがですか。どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/330
-
331・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私ども、今先生の御主張でございますが、私学経営をどのようにやっていくかということと私学共済の掛金の問題とは直接絡んでまいらないというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/331
-
332・藤木洋子
○藤木委員 しかし、負担がふえることは確かでございます。その負担はどこかにしわ寄せをされるという心配を持つわけですが、その辺は決してないと断言できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/332
-
333・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 それは私学の経営の方々がそれぞれの自主性を生かして考えられることであると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/333
-
334・藤木洋子
○藤木委員 私は極めて危惧に思っているわけです。このような今回の私学共済の年金は、改正というふうにおっしゃっていられるわけですけれども、今いろいろと事例を挙げて述べたことから考えますと、これは改正ではなくて改悪以外の何物でもないというふうに思いますね。結局今回の改正で本当にねらっているところは何かといいますと、国庫補助金の類をどうやって切り詰めるかということが第一義的に考えられてきたのではなかろうか、このように思います。しかも、その補助金の削減を何に求めるかという点ですけれども、これは給付水準を切り下げて、そして年金の保険料、この料率を上げていく、つまり国民にその負担を求めていくということに示されている以外の何物でもないというふうに思うわけです。ですから、もし充実すると言えるならば、国庫負担の補助金を切り下げることによって国の財政は潤うかもしれない。確かにこれは長期安定をするかもしれない。しかし、最も危機を与えられるのは国民の老後だと思うわけですね。老後がまさにパンクをするということだと思いますが、大臣、今の論議の展開を聞いておられて、そのようにはお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/334
-
335・松永光
○松永国務大臣 残念ながら委員の説には私は賛成しかねる。先ほど話にも出ましたように、なるほど私学共済の方は成熟度が低うございますから、まだ当分の間は大丈夫なんですけれども、それでも、先ほど答弁がありましたように、昭和八十一年度になると単年度収支が赤字になる、九十年度になると積立金がなくなる、こういうことが推計されるわけであります。一方、ほかの共済の方はもっとずっと早く大変な危機的な状態になる。私学に働いておる教職員だけが、おれらの方は大丈夫だからというわけで、ほかの方はどうなっても構わぬというわけにはいかぬでしょう。そこに制度間の給付の均衡あるいは負担の均衡の問題というのは当然あるわけでありまして、自分の属しているグループが大丈夫だからということはいかがなものだろうかなというふうに思うわけであります。
同時にまた、将来を展望すると、世代間の公平な負担という問題もあるわけでありまして、そういう点を総合的に考えれば、冒頭申し上げましたとおり、この制度の基盤を長期的な視野に立って安定充実させる、そして負担と給付の公平を図りながら長期的にこの年金制度が維持されていくようにするための改正であるというふうに私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/335
-
336・藤木洋子
○藤木委員 大臣、もう一つ私がお聞きしていることにお答えになっていらっしゃらないのですが、国民の老後ですね、老後は安定しますか。これについてはどうお考えですか。前者についてはいろいろお答えになりました。見解の違いもはっきりしました。けれども、それじゃ一人一人の切り詰められた、切り下げられた国民の老後、これは安定するのかどうか、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/336
-
337・松永光
○松永国務大臣 国民というのは現に働いている人の場合は納税者でもあるわけであります。先ほどのように国の負担をふやせばいいじゃないかという意見があるようでありますけれども、国の負担というのは即納税者の負担ということなんでありまして、そこらの点も総合的に考えなければならぬわけであります。
そうして、今度の改正によりまして国民共通の基礎年金というのが設けられ、その上に厚生年金と同じような報酬比例の分があり、その上に職域の分がある。そういった形で構成されるわけでありますから、この仕組みに加わっておる人の老後は、妻の年金権も含めて考えますと安定していくというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/337
-
338・藤木洋子
○藤木委員 安定してないじゃありませんか。先ほど何のために私はその給付額がどうなるかという推移についてお尋ねしたとお考えなんですか。妻の年金分を入れても現行の八六%にしかならないのですよ。これで安定しているなどと言われたんでは、私、本当に悲しい思いがいたしますね。福利厚生ということで、大臣、一番最初にそもそも論を私申し上げたときにおっしゃったじゃありませんか。私はそういうお気持ちであれば今のような御答弁はできないというふうに思うのですね。
そして、今もう一つ、税金が上がる、国の負担をふやせばいいじゃないかと言うけれども、そんなことを言ったら税金がふえるんだよ、それはやっぱり脅迫というものですよ、大臣。だって、保険料で上げたって国民の負担がふえるわけですからね。税金の二重取りですよ。その点いかがですか。私の申し上げていること、まあ考え方が違うとしても御理解いただけませんか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/338
-
339・松永光
○松永国務大臣 せっかくでございますが、委員の意見には賛成しがたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/339
-
340・藤木洋子
○藤木委員 私は、大臣がそのような御答弁をされるということは極めて不満でもあり、非常に悲しいと思います。せっかくそもそも論のときに、国民の福利と厚生、しかも私学共済に当たりましてはこの福利と厚生を充実させることによって私学の振興発展を図る、ひいてはそれは子供たちのためだったのじゃありませんか。子供たちの教育を充実させていく、そのために文部大臣としておっしゃったお言葉ではなかろうかというふうに思います。それであれば、この福利厚生が一層充実されるという方向で本来だったらこの改革を行うべきだと思います。また、いずれパンクをするというお話を大臣からもされましたけれども、しかし、それはこの資料に基づいておっしゃったことでございまして、それの基本になるところは、私は資料を請求させていただきましたから、お出しをいただく、こういうことでお約束をいただいているわけですから、その上に立ってさらに私どもも検討させていただきたいというふうに思います。
そこで、私時間を一時間読み違えておりまして、スピードを出して走りましたのでこれで終わりますけれども、もう一度お願いをしておきます。基礎資料に対してはいつお出しいただけるか、この点はっきり御見解を示していただきたいと思うのです、審議中に間に合わなければ何にもならないわけですから。その点、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/340
-
341・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 来週の定例の委員会の予定されております水曜日までにお出しをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/341
-
342・藤木洋子
○藤木委員 では、水曜日までにお出しをいただくということを確認させていただきます。そして、それに基づいて私たちも徹底的な審議を行うために研究もさせていただきますことをお約束をして、質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/342
-
343・阿部文男
○阿部委員長 次回は、来る二十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00419851122/343
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。