1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年十一月二十七日(水曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 阿部 文男君
理事 石橋 一弥君 理事 大塚 雄司君
理事 白川 勝彦君 理事 船田 元君
理事 佐藤 誼君 理事 馬場 昇君
理事 池田 克也君 理事 中野 寛成君
青木 正久君 赤城 宗徳君
稻葉 修君 臼井日出男君
榎本 和平君 北川 正恭君
田川 誠一君 中村 靖君
二階 俊博君 町村 信孝君
渡辺 栄一君 木島喜兵衛君
佐藤 徳雄君 田中 克彦君
中西 績介君 有島 重武君
伏屋 修治君 滝沢 幸助君
藤木 洋子君 山原健二郎君
江田 五月君
出席国務大臣
文 部 大 臣 松永 光君
厚 生 大 臣 増岡 博之君
出席政府委員
文部大臣官房長 西崎 清久君
文部大臣官房総
務審議官 五十嵐耕一君
文部省初等中等
教育局長 高石 邦男君
文部省高等教育
局私学部長 國分 正明君
文部省社会教育
局長 齊藤 尚夫君
厚生大臣官房審
議官兼内閣審議
官 山内 豊徳君
社会保険庁年金
保険部長兼内閣
審議官 長尾 立子君
委員外の出席者
法務省民事局参
事官 山崎 潮君
大蔵省主税局税
生第一課長 小川 是君
国税庁直税部所
得税課長 加藤 泰彦君
参 考 人
(私立学校教職
員共済組合理事
長) 保坂 榮一君
文教委員会調査
室長 高木 高明君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
法律案(内閣提出、第百二回国会閣法第八二号
)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/0
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001・阿部文男
○阿部委員長 これより会議を開きます。
第百二回国会内閣提出、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、本日、私立学校教職員共済組合理事長保坂榮一君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/1
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002・阿部文男
○阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/2
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003・阿部文男
○阿部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伏屋修治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/3
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004・伏屋修治
○伏屋委員 健全な私学教育の発展を支える私学共済年金制度が、将来にわたりまして安定した制度運営がされるようにすることが国家の重要な問題である、このように私は認識しておるわけでございまして、そういう認識のもとにこれから尋ねてまいりたいと思います。参考人の保坂さんには大変御苦労さまでございます。
まず最初に、今回の共済年金制度改革のねらいとするところは一体何だったのか、その辺からお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/4
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005・松永光
○松永国務大臣 今回の制度改正のねらいは、高齢化社会の到来が確実でありまして、それに備えて公的年金制度全体の長期的安定と整合性のある発展を図ることを目的とする公的年金制度改革の一環をなすものであります。今回の改正は、こうした公的年金制度の改革の方向に沿って、公的年金制度の一元化を展望しながら、給付と負担の均衡を確保するため、給付水準の適正化を図るなどの措置を講ずることとしておるものでございます。
こうした考え方のもとに、今回の改正では、私学共済組合の組合員等に対しても、国公立学校職員と同様に全同民共通の基礎年金の制度を適用するとともに、共済年金を基礎年金に上乗せする報酬比例年金として設計し、その給付水準についても厚生年金と均衡のとれたものとする、こういうふうにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/5
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006・伏屋修治
○伏屋委員 共済年金グループ、国共済、地共済、いろいろございますが、そういうグループにおける私学共済の立場についてはどのような認識を持っておられるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/6
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007・松永光
○松永国務大臣 この私学共済制度は、私学教育の振興に資することを目的とするものでありまして、教育基本法の第六条に、「法律に定める学校の教員は、」すなわち学校法人の学校の教員という意味でございますが、「全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。」という規定があるわけでございまして、この規定を受けて創設されたのが私学共済であると認識いたしております。
そして、制度創設以来、私立学校教職員の福利厚生についてその向上を図っていくということに努めてまいったわけでございまして、国公立学校教職員と均衡を図るという形で年金等についても改善措置を行ってきたところであります。そして、そのことによって私立学校に勤務する教職員の福利厚生が図られ、それが私学教育の振興に大きく貢献してきたというふうに認識しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/7
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008・伏屋修治
○伏屋委員 今回の私学共済の制度改正に当たって、文部省といたしまして今のねらいとか認識のもとにどういう点に留意されたのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/8
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009・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 基本的ねらいについてはただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、その点を含めまして私どもが特に留意した点は、ただいま大臣がお引きになりました教育基本法第六条の趣旨に沿いまして、従来から国家公務員、地方公務員の共済年金に準ずることを建前としてまいりました経緯がありまして、そういう意味でも、今回においても国家公務員等の共済年金制度との均衡を基本とした改正を行うということをしておるわけでございます。
このような観点から、その給付内容については、公的年金相互の均衡と整合性を保つために、厚生年金と同様の給付水準のものを設計しておりますほかに、共済年金が職域年金としての性格をあわせ持っておりますところによりまして、国家公務員等の共済年金同様に職域年金相当部分の設計も図っておるところでございます。そのほか、退職共済年金についての加給年金制度、低所得者に対する在職支給制度、それから支給水準について変化してまいりますのでそこの経過措置を配慮したというような点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/9
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010・伏屋修治
○伏屋委員 また径ほどお尋ねすることにいたしまして、この私学共済の改正案に対して社会保障制度審議会が答申しておるわけでございますが、その答申について文部省の見解をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/10
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011・松永光
○松永国務大臣 社会保障制度審議会の意見、これは総理大臣に対する意見についてでございますが、幾つかの点についての指摘がなされておりますけれども、大筋においては今回の改正案について了承されたものというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/11
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012・伏屋修治
○伏屋委員 これにつきましても、後ほどまた関連して尋ねてまいりたいと思います。
私学共済の理事長さんにお尋ねをしたいと思います。
本年二月一日に文部省に提出しました四項目にわたる要望書につきまして、私学共済部内でどのような手続を経てまとめたのか、その経緯を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/12
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013・保坂榮一
○保坂参考人 私どもの方では年金制度研究委員会という委員会を昭和四十九年度から持っておりまして、それは私学の学識経験の方々、現在全部で十一名の委員が当たって構成しております。この年金制度委員会が、その都度年金制度に関する重要な問題等については四十九年度以来審議して、これについての答申等を私の手元に出してもらっております。
今回の改正に当たりましても、この年金制度委員会に諮りまして、この年金制度委員会で御検討いただいた結果、先ほど先生お話しの四項目の要望ということで出てまいりました。これを部内で検討もいたしまして、また私学団体にもこれを伝えまして、検討の結果、この四項目の要望は適当であろうという判断をいたしまして提出いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/13
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014・伏屋修治
○伏屋委員 その四項目の要望書の一項目ごとに趣旨を説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/14
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015・保坂榮一
○保坂参考人 第一点は、六十五歳以上者に年金を支給してほしいということでございます。これは在職中であります場合には共済年金は支給されません。支給されませんが——ちょっと要望だけを端的に申し上げます。
これは、六十五歳以上者には年金を支給してほしいということ。それから、第二点は、施行日前の給与記録は公務員共済と同様の取り扱いをしてほしいということ。それから、所得制限があります。その所得制限を緩和してほしいということ。それから、私学共済に対する都道府県の補助を確保してほしい。この四点でございます。
私学共済に対する都道府県の補助といいますのは、私学共済法の第三十五条第三項によって都道府県から補助を受けることができますが、この補助は組合員の長期給付の掛金の減額に使用させていただいているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/15
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016・伏屋修治
○伏屋委員 それに対して部内でどういうような話し合いのもとに、これが四項目にまとめられたのかを説明していただきたいと言っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/16
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017・保坂榮一
○保坂参考人 先ほど申し上げましたが、私どもの年金制度研究委員会、そこで検討を願いました、その結果を部内でまた慎重検討し、私学にも御連絡申し上げて検討願って、その結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/17
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018・伏屋修治
○伏屋委員 一項目ごとに、なぜこういうふうな項目にまとめられたのかをもう少し詳細に説明してくださいと私はお願いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/18
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019・保坂榮一
○保坂参考人 第一点の、六十五歳以上者に年金を支給することというお願いの点は、厚生年金の方におきましては六十五歳以上者には年金が全額支給されております。これに対しまして共済組合の方は、その者が私学の教職員でいる間は組合員とすることにしておりますために、年金は支給されておりません。これは共済制度の中でそうなっているわけでございます。私学の場合には、また私学の独自の事情から、と申しますのは、私学の中では定年制がない、あるいは七十歳、七十五歳というような高齢定年者、それで、よきまた私学の特色ある活動を行っている大学等もたくさんございます。そのために、私学においては六十五歳以上者は非常に多いのでございます。
それからもう一点申し上げますれば、私学の中には一部私学共済に入っていない私学がございます。そういうところの者は、厚生年金でございますから、六十五歳以上になると年金が出る。私学共済の方は、六十五歳以上の者で年金が支給されてない者、これは数が非常に多うございますので、この際、六十五歳以上者に年金を支給してほしいというお願いでございます。
それから、施行日前の給与記録を公務員共済と同様の取り扱いをしてほしいとお願いいたしましたのは、私ども、一部に給与記録が全くない者がございます。この者については標準給与月額を算定できませんので、その点で施行日前の五年をとってというお願いをいたしました。また私学共済は、法規上あるいは実際の運営上重要な事柄は国家公務員共済に準じて行っておりますことでございます。そして、国家公務員共済の方は諸手当の給与記録が全くないために、何といいますか、その五年平均から割り下げるという方法をとられましたし、また地方公務員共済も同様でございまして、それから私学共済と同じような事情にあります農林年金もまたその方法をとりました。私学共済もそれと同じような方法をとっていただきたいということと、またもう一点は、これは私学共済の仮の試算でございますが、その方法をとりました方が有利になる者が多いという観点からでございます。
それから、所得制限を緩和していただきたいとお願いしましたことは、これは国公立の教職員が年金を受給しながら従前より低い給与で私学の教職員となっておられる方が相当多うございます。そういうような点等を考慮して、所得制限が強化されますとやはり学校の運営上に支障を来しますのでそれをお願いしたいということでございます。
それから、あともう一点の、都道府県の補助を確保すると申しますことは、これは都道府県の補助が特に私学の教育の発展のために条項の中に入れられたことでございますし、また、この補助は現実に組合員の長期給付の掛金の減額に使用しておりますので、ぜひこれを確保していきたい、そういうお願いでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/19
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020・伏屋修治
○伏屋委員 厚生省の方、お見えですか。——厚生省の方にお尋ねすのは、被保険者の全期間の平均標準報酬月額の算出方法について御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/20
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021・長尾立子
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
厚生年金の年金額を算定いたします際の平均標準報酬月額の算出方法でございますが、厚生年金の被保険者の場合には各月の月給を標準報酬ということで算定をいたしまして、大体一年間の標準報酬を八月に決めるわけでございますが、それをすべての被保険者について私どもの方で記録をいたしております。年金額を算定いたします場合は、その被保険者であった全期間の標準報酬を平均をするわけでございます。
その平均の仕方でございますが、昭和三十二年の十月前の期間、十月は入りますが、十月前の期間につきましては、これは原則といたしまして算入をいたしておりません。これは、この以前の期間につきましては、実際の標準報酬がインフレ等の影響で非常に低いということがございまして、これを算定しないということをいたしております。それ以外の標準報酬でございますが、この期間につきましては、現役の被保険者の方の標準報酬の平均の上昇率を勘案いたしました一つの、私どもの方で再評価率というふうに言っておりますが、この再評価率をそれぞれの期間に掛けまして、いわば現実の賃金の実勢に合わせました形に戻しまして、全期間を平均いたしまして計算をするということをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/21
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022・伏屋修治
○伏屋委員 要望書の第二項で、先ほど理事長から御説明をいただいたわけでございますが、国家公務員共済に準ずるのだということと、もう一点は、私学共済に有利になる、こういう観点から要望の第二項ができ上がった、このように聞き取れたわけでございますが、これを適用した場合、いわゆる厚生年金の全期間平均を下回る組合員が三分の一くらい出てくる、こういうことで、先回の当委員会でもかなり問題になったわけでございますが、三分の二は上回る。上回ることもこれは一応問題になるのではないかと思います。一応、制度間格差をなくし一元化を図ろうということからすると、いわゆる官民格差解消のためにまた新たな格差を生じていくようなことにもなりかねない。そういうことからいたしましても、上回るのも問題だけれども、下回るのもこれも大問題であります。下回る三分の一というのは一体どれくらいの人数になるのか、また、その三分の一というのがわかった経緯、どの時点でどのようにわかったのか、その辺を理事長にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/22
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023・保坂榮一
○保坂参考人 三分の一と申し上げましたのは、これは私学共済が給与記録を一部欠く者があるからということで、国共済その他と同じような形ということでお願いをいたします際に、私どもとしては、それではその結果とのようなふうになるかということを私学共済として仮の試算をしたわけでございます。
それで、先ほど先生のお話の中で、三分の一が厚生年金を下回るということでございますが、その三分の一という数字は即それが厚生年金を下回る数字となるわけではございません。厚生年金との比較という点は、まだ正確な補正率が私の方に示されておりませんので、これはどうとも申し上げられないことでございますけれども、三分の一が全員厚生年金を下回るということではなく、補正率の出方いかんによってはそういうケースが出てぐるかと思いますが、その数はもちろん三分の一よりずっと少なくなるわけでございます。
なお、その三分の一を下回るものが全体のどのぐらいかということでございますが、これは組合員数は約三十四万名でございますが、その組合員数の全員に対しての比率を見ますと、約五分の一程度は、何といいますか、厚生年金方式の全期間平均をとったよりも下回るのではないかという数字でございます。
なお、これについて理事長の考えはどうかということでございますが、これは、今回の制度改正の趣旨に照らして、そのような有利、不利というものが出てまいりましても、この場合には有利になる方の方が非常に多うございますので、そういうようなケースが出てまいりましてもやむを得ないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/23
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024・伏屋修治
○伏屋委員 三分の一ということでかなりこの間紛糾したわけでございますが、給与明細が不明であるので国共済に並んで五年間という標準報酬月額というものということでございますけれども、それ自体も大きな問題ですね。いわゆる給与明細がわからないままに旧法ではどうやってそういうものが制度の中で運営されてきたかということも一つの大きな問題であります。
また、今三分の一ではなくて、三十四万人の五分の一ぐらいの人は不利になるけれども、有利になる人が多いんだから、こういうような論理でございますけれども、そうすると、その下回る人たちはどうなるのかということですね。上回ることも、これはやはり制度間の格差をなくする意味においても厚年に準じていかなければならない、そこにも問題があると思いますけれども。その辺のことを今承ったわけでございますが、そういう五分の一の下回る方々に対してはこれからどう対処をしようとするのか、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/24
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025・松永光
○松永国務大臣 まず第一は、今の下回る、上回るという話でございますが、全期間の計算でやった場合と五年間の期間を限ってそれに補正率を掛けたものとの、その数字がどちらが多いか少ないかということでございまして、厚生年金との比較じゃないのでございます。
第二点でございますが、本題でございますけれども、私学共済が主要なものについては国共済に準ずるということでやってきておりますので、国共済の方が退職前五年間の給与に補正率を掛けるという方式をおとりになる以上、これに準じて私学共済の方もそういう方式をとるのが適正妥当であるというふうに私どもは判断をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/25
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026・伏屋修治
○伏屋委員 国共済に準じてということでございますが、国共済の標準の出し方というのは五年間いわゆる本俸だけがわかっておるわけですね。本俸だけで計算していきましても、在職二十年以上の方でも三〇%から四〇%くらいの減少率になるということでございます。けれども、本俸に諸手当が加算されるのでその減少率というのは国共済はある程度緩和されるわけですね。けれども、私共済の場合は、もう既に今までが全部本俸と手当を含めた分で計算をされておるはずですね。ですから、それでいくと、国共済に準ずるといいながら、国共済は減少率の緩和が諸手当を加算されることでとられるわけでございますが、私共済の場合はそれがないということでございますね。その辺の矛盾はどう考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/26
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027・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生御承知のとおり、私立学校におきましては俸給表自体がいろいろまちまちでございます。そういうことから、この私学共済組合法ができましたときから諸手当を含めた給与で計算をしているというようなことでございます。それで掛金も払っていただき、また給付も行っているということでございます。他方、国家公務員、地方公務員の場合には俸給表というものがしっかりしておりますので、その俸給表に基づく本俸でやっておったということでございます。ですから、それに基づいて掛金を取り、また年金も支給しておったということでございます。そういう意味におきましては、給付水準におきまして、仮に同じ本俸をもらっている人は、私学の方が、掛金も余計取られますが、年金の支給も多くなっておるということでございます。
それで、今回の改正におきましては、基本的には厚生年金と同じような方法でやっていこうということで、そういう意味で、そこの中の俸給月額の中に諸手当を含めてやっていくということでございますので、支給水準におきましては今度国家公務員と私学の先生のあれが同じになってきたというような点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/27
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028・伏屋修治
○伏屋委員 共済組合理事長はその問題、どういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/28
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029・保坂榮一
○保坂参考人 私どもの方から五年平均でということを申し出まして、その理由は先ほど申し上げました三点、給与記録のない者、そして国家公務員共済に重要な事項はすべて準じて行うということ、その点から見まして、そういうような形での有利不利というのが出てまいりますことはやむを得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/29
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030・伏屋修治
○伏屋委員 かなり不利になることは間違いないですね。そういう面での諸手当が加算されて激変の緩和措置が国共済ではとられるが、いわゆる私共済にはそれがないという面で、下から順番に長年積み上げてきた人たちは、そういう面では非常に不利になってくるということが言えるのではないかと思います。そういう面で、組合員の不利、それからまたそれを適用して、いわゆる五分の一ですか、そういう人たちが非常に不利になってくるという問題に対して、年金制度間の格差、一元化という方向を目指しての今の改正案の整合性から考えますと、いささか腑に落ちない面があるわけでございます。そういう面についてもう一度説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/30
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031・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生の御指摘の、この共済組合法の施行時におきまして、その施行前の俸給月額をどういうふうに計算するかということの関連でございますが、これにっきましては、一つだけ申し上げさせていただきたいのは、これはあくまでも施行時の時点において施行前の俸給月額をとういうふうに計算するかということでございまして、施行後の俸給月額にっきましては本則に戻ってやる、本則でやるということでございます。
それで、何でこのような措置をとるようにしたかということでございますが、これにつきましては、いわゆる給与記録が完全でない者、一部の期間におきまして俸給の記録がわからない者、それが約三百名程度おったということが一つございます。
それから、もう一つは、今度の改正法に当たりましては、国家公務員、地方公務員につきましては施行前の五年間の期間をもちまして全期間を推計する、それにつきましては全体の昇給の曲線というものを仮定いたしましてそれで行うというようなことでございまして、私どもとしましては、実額をとる、実際の俸給実績に近い格好でとるか、このような俸給曲線でとるかというような二つの考え方があり得たわけでございますが、一つは、先ほど申しましたように給与記録を欠く者が三百名いた、それから、私どもは、従来から国家公務員に準じた形でやってきたというようなことから、やはり国家公務員に準じた格好で行った方がいいのではないかというふうに考えたわけでございます。それで、現在のことにおきましても、現在の俸給に基づきまして現行の制度におきましては年金の支給計算をしておりまして、例えばずっと四十五万円で張力ついている方と、ここ五年か十年の間に急激に給料が上がった方正、基本的には年金額の支給の計算方法は同じであったというようなこともございまして、今度の改正法の附則というものをとる方がよりそれに近いのではないかというふうな判断も働いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/31
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032・伏屋修治
○伏屋委員 理事長はどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/32
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033・保坂榮一
○保坂参考人 今回の制度改正が、年金の給付額という点では皆一様に低くなるという状況の中で、今回の改正の趣旨に照らしまして、そういう算定方法の中でこういう有利になる者、不利になる者、それが出てまいりますことはいたし方ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/33
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034・伏屋修治
○伏屋委員 そういう不利になる者に対して、私学共済組合の理事長としてそれを何とかしなければいけないと思うのですね。どういうような措置を考えておられるのか、また具体的にそういうアクションを起こされたのかどうなのか、その辺も御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/34
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035・保坂榮一
○保坂参考人 先ほど申し上げましたような考えに立っております。それについての措置ということは今考えておりません。また、私学共済がそれについてアクションを起こすということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/35
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036・伏屋修治
○伏屋委員 そういう不利な人が、先ほどの理事長の言葉によれば五分の一ですか、三十四万人のうちの五分の一の人は不利になるということはわかっておるけれども、そういう措置は全然講じない、またそういうアクションも起こさないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/36
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037・保坂榮一
○保坂参考人 今回の制度改正の全体の流れの中でやむを得ないと存じます。また、したがいましてそれについてのアクションというようなことは現時点で考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/37
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038・伏屋修治
○伏屋委員 文部省の方へお尋ねしますけれども、文部省も、この私学共済の方から出てきた要望書の第二項をもとにして附則四条というものが考えられたと言われておるわけでございますけれども、この要望書の第二項を入れていきますと、今理事長が言われたように不利な者が出てくることは間違いないことです。そういうものも新制度のためにはやむを得ない、こういうふうにお考えになっておるのか、そういうような方に対する救済措置というものを具体的に考えておられるのか、その辺お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/38
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039・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 改正法附則の第四条の規定で不利になるか有利になるかというお話でございますが、こういう措置をとることによりまして、給与月額に基づいて計算する方式に比べまして不利になる者、有利になる者はほかの組合におきましても同じように出てまいるものでございまして、むしろ私どもとしては、これはどちらの方式をとるかという選択の問題であるということでございます。そういう意味におきましては、私どもは、先ほど申しましたような点から、現行の制度をとる以外に方法はないというふうに理解をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/39
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040・伏屋修治
○伏屋委員 どうもその辺が、新制度のためにはある程度の犠牲はやむを得ないというようなお言葉にしかとれないわけですけれども、私学共済の方がそれに当たるわけでございますが、具体的なアクションを起こさないし、その救済策もとらない。共済組合のそれぞれの方々がそれで納得できるのですか。その辺は理事長はどう判断してみえるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/40
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041・保坂榮一
○保坂参考人 私学共済だけではございませんで、全公的年金制度のこういう動きの中でそういうような状況の出てまいりますこと、先ほど申し上げましたとおりやむを得ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/41
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042・伏屋修治
○伏屋委員 私の手元のところにもたくさんの共済年金改正に対する陳情、要望等が来ておりますが、そういうことからしましても、その犠牲になる方々お一人お一人の生活を考えていけば非常に深刻な問題だと思うのですね。新制度に変わるんだからやむを得ないという二言で、それで組合の人が納得できるのか。もう何遍も理事長はやむを得ないというようなお言葉ですけれども、国家公務員共済の方はこれでいいんですね、激変緩和措置がとられていきますから。けれども、私学共済の方々は非常にそういう面での犠牲が大きいのではないか。そんなことならむしろ、国家公務員の共済に準ずるとはいうものの、今まで私学共済というのは厚生年金と同じように本俸に手当を加えたものでずっとやってきたわけでございますから、厚年並みに。ずっとそのままでやってくれば、五年間の平均標準報酬月額、国共済に準じたという形をとらないでやっていった方がむしろ犠牲者が少なくて済むのではないか、このように考えるわけですが、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/42
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043・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。
まず、激変緩和措置につきましては、先生御指摘の国家公務員の場合と私どもの私学の先生の場合とでございますが、これにつきましては、諸手当を入れるか入れないかという点たつきましては、確かに今度の制度改正によって変わってまいるわけでございますけれども、激変緩和措置自体につきましては、これは国家公務員でありましょうが私どもの私学共済組合の組合員であろうが、同じように二十年かけてゆっくりやっていくということにおきましては変わりはないというふうに思うわけでございます。
それから、今先生がおっしゃっております厚生年金自体との比較でございますが、これにつきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、厚生年金の上に二割相当の職域年金部分の加算をしているということにおきましては、そこが違ってまいるというような点がございます。
それから、もう一つは、先ほど申しましたように、今問題になっておりますものは、来年の三月三十一日以前の組合員期間をどういうふうに見るかということの経過措置の問題でございまして、それ以降、四月一日以降につきましては本則に戻るというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/43
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044・伏屋修治
○伏屋委員 理事長は今の答弁で大体いいわけですか、納得しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/44
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045・保坂榮一
○保坂参考人 国共済法においてさまざまな激変緩和措置が講ぜられておりますし、私学共済のみがその点で特に不利な扱いを受けるということはないと存じますので、そのとおりでいいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/45
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046・伏屋修治
○伏屋委員 要望書があと二項目あるのですが、それに対して文部省はどういうふうにこれを改正案に反映したのか、その辺のお考えもお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/46
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047・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。
先ほど理事長から御説明ございましたように、私ども要望を四点いただいております。
第一点が、六十五歳以上の者にも年金を支給するようにするということでございますが、これにつきましては、従来共済組合ではとっておりませんでした在職中である場合でありましても六十歳以上でございますと標準給与が一定額以下の者については退職共済年金の一部を支給するような制度を設けたということでございます。これは俗称低在者と言っておりまして、これの具体的な金額その他につきましては今後政令で決めることでございますが、現在予定しておりますものを若干御紹介させていただきますと、例えば給与水準が二十万から十六万円の者におかれましては標準給与月額の二割支給ということで年金を持っていく、それから十五万から九万八千円の者につきましては五割支給にする、それから九万二千円から六万八千円ぐらいの者でございますが、これを八割支給にするというようなことで、一応給与の低い方につきましては措置を講ずるということに考えております。それから、今度は六十一年四月一日現在で六十歳未満の者が六十五歳以上になりますと基礎年金が支給されるようになるということでございます。
それから、二番目の、施行日前の給与記録は公務員と同様の取り扱いとすることというものにつきましては、これにっきましては先ほどから御説明申し上げているとおりでございます。
その次の、三番目の、所得制限を緩和することでございますが、これは先ほど理事長からお話がございましたように、私学の教職員の場合には、国公立学校を定年でやめられまして、それで私学に御勤務になっている方が多いというようなことがございまして、その方につきましては、従来におきましては粗収入が約一千万ぐらいを超えませんと支給制限がかかってなかったわけでございますが、今度は全体的に公務員のことにつきまして、退職後現に給料を非常に高くもらっている人が随分またさらに年金をもらうのはいかがかというようなお話もございまして、これは国家公務員全体、地方公務員全体のものといたしまして所得制限をより強化するというような方向に相なっておりまして、やはりこれは全体の所得制限を強化するということの一環としてはやむを得ないではないかというふうに思っております。ただ、その支給停止の停止率等については徐々に高めていくというようなことの激変緩和の措置を予定してございます。
それから、私学共済に対する都道府県補助を確保することということでございますが、これは現行の「補助することができる。」という規定をそのまま残さしていただいております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/47
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048・伏屋修治
○伏屋委員 厚生大臣お見えになりましたのでちょっとお尋ねしたいと思いますが、けさの新聞によりますと、昨夜大蔵大臣と関係の方々が協議をして、一応国鉄の共済年金救済に当たって国庫負担もやむを得ない、あとは全共済年金制度で救援するというような話し合いをされた、こういう記事があるわけですが、その辺の経緯を御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/48
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049・増岡博之
○増岡国務大臣 国鉄共済問題につきましては、関係閣僚会議を数次にわたって開きまして、昨日も関係者が集まったことは事実でございます。しかし、きのうの段階ではまだ新聞記事にありますような結論が出たわけではございませんで、それぞれの立場からいろいろな意見を表明したということでございまして、現在まだ協議中でございますので確たることを申し上げる段階ではないと思います。
何にしましても、官房長官から、連合審査会におきまして、大原委員の御趣旨を踏まえ、本法案が衆議院を通過するまでに検討の結果を報告することといたしておるということでございますので、今後とも鋭意その詰めを行いたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/49
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050・伏屋修治
○伏屋委員 また連合審査でそういう問題が問題化されてくるのではないかと思いますので、私はその辺でとどめておきたいと思います。
最後に、公的年金の一元化がこれから進んでいく中で、制度間の格差が解消されるのか、あるいはまた私学共済に残されたこれからの課題というのは一体どんなものがあるのか、その辺を文部省、それから私学共済、両方から御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/50
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051・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、今回の改正によりまして、給付水準の適正化を図る等につきましての改正につきましては、ほぼある程度の均衡が保たれてきたのではないかということでございまして、昭和六十一年度以降におきましては、以上の今度の改正の措置を御承認いただきますれば、その措置を踏まえまして現在ございますいろいろな制度間の調整を引き続き進めまして、昭和七十年度を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させるということでございます。
私学共済年金につきましても、このような全体の方向を踏まえながら、私学共済年金制度の沿革といいますものを十分に配慮いたしまして、私立学校教育の振興に資するというねらいが損なわれることのないように十分万全を期してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/51
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052・保坂榮一
○保坂参考人 ただいま審議官からお答えいただいたとおりのことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/52
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053・伏屋修治
○伏屋委員 もう一点お尋ねしたいのですけれども、この一元化が進む中で婦人の年金権の確立はどういうような見通しを持っておられるのか、その辺もお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/53
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054・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 現行の制度の改正と比較いたしまして御説明をさせていただきたいと思いますが、先生御承知のとおり、現行の厚生年金あるいは共済年金の被用者年金におきましては、被用者でございます夫と職を持たないで家事に専念する妻との給付の標準的な単位といたしまして、これを夫への年金でカバーするといういわゆる世帯単位の給付設計をとっております。したがいまして、被用者の無業の妻につきましては、国民年金の適用に当たりましては任意加入の道は開かれているものの、原則適用除外となっております。このような現行制度の仕組みにおきましては、被用者の妻で職業を持っておられない方、こういう方が国民年金に加入しなかった場合におきまして、障害となりましたりあるいは不幸にして離婚になったりという場合には、年金保障に欠けるというケースが出てまいるわけでございまして、このような事態を避けますために、今回の改正では、全国民に共通します基礎年金を共済の組合員及びその扶養者にも適用するということ。にしております。その扶養者であります妻にも適用するということでございます。それで、これまで任意加入とされました組合員の妻を強制加入としまして、その保険料は独自に妻に求めるということでなくて共済組合がまとめて払うということにしております。これによりまして、被扶養者でございます組合員の妻につきましても独自の老齢基礎年金、障害基礎年金が保障されるということでございまして、先生からただいまお話のございました女性の年金権確立のために大きく一歩前進するものであるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/54
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055・伏屋修治
○伏屋委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/55
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056・阿部文男
○阿部委員長 滝沢幸助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/56
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057・滝沢幸助
○滝沢委員 おはようございます。両大臣、御苦労さまです。
厚生大臣に特別にお見えいただいておりますから、審議の順序からいえば先に厚生大臣にお尋ねした方がいいのかなと思いまして、そのようにさせていただきます。
実は、今回の一連の共済年金等の制度の改正案というものは、その基本精神は、国民ひとしく年金等の恩沢に浴さしめて、従来ややもすれば官民ないしは職業間に格差があると指摘されていた等の面を是正しようということにあるのかなと私は理解するのだけれども、それでいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/57
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058・増岡博之
○増岡国務大臣 今回の改正につきましては、御指摘の点と、それからもう一つ、制度間にございます安定度というものも考えまして、制度の安定ということも大きな目標といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/58
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059・滝沢幸助
○滝沢委員 そこで、年金制度の一元化という今御提案いただいておりますこと、これは作業日程としては、今後この改正の作業が十分に行き着くところまでに至ります作業日程はどういうことになっているのか。そして、その最終のいわば年金行政ないしはこの制度のビジョンといいますか、描かれている設計図はいかがなものであるか、簡単に御説明をちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/59
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060・増岡博之
○増岡国務大臣 年金制度の改革につきましては、先ほど先生御指摘のような公平を保つというところから今回まず基礎年金の導入をお願いいたしておるわけでございます。この基礎年金が各共済年金間の一つの共通項として公平の第一歩を踏み出すことになると思いますので、よろしくお願いしたいと申し上げるわけでございます。それを成立させていただきますと、国民年金、厚生年金には既に基礎年金の導入が済んでおりますので、その発足でございます昭和六十一年四月同時実施を機に、その以降におきまして、以上の措置を踏まえまして給付と負担の両面において制度間の調整を進めて、昭和七十年を目途に公的年金制度の一元化を完了させることと予定いたしておるわけでございます。
その際、お尋ねのような制度間調整をどのように進めるか、年金一元化についてどのような内容を目指すか等につきましては、今後政府部内においても十分検討を尽くしていかなければならない非常に大きな課題をたくさん抱えておると思うわけでございます。いずれにいたしましても、公的年金制度全体として、給付と負担の公平性が確保され、整合性がとれたものであり、また年金財政の安定化ということも考えていかなければならない。抽象的で申しわけございませんが、現在ではそのような考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/60
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061・滝沢幸助
○滝沢委員 事やや具体的でかつ細かしいことで恐縮であります。あるいは自治大臣でなければそれはわからぬとおっしゃるかもしれませんけれども、仕事を持っていらっしゃった未亡人の方がつい最近退職をなさってある市役所を訪れられまして、何か市役所には年金等の指導員がおられるのですか、同じ立場の人がそろって四人いらしたというのです。ある日、一人の人に尋ねましたら、それは国民年金にといいますか退職者年金ですかに入った方がよろしいという御指導をいただいた。ところが、次の日、まだちょっと落ちつかないものだから、お訪ねしましたら、その人は何か食事かトイレか知りませんけれどもいらっしゃらなくて、別の人がおっしゃるのには、それは入らぬ方がよろしい、その方が有利だと全く違ったことをおっしゃったというのです。このようなことにつきまして、いわば市町村の窓口で制度の説明等の立場に立つ人に対する指導が不徹底でございませんかな。こういうことについてはいかがなる御指導をなさり、あるいはまた対策を持っておいでか、承らしてちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/61
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062・長尾立子
○長尾政府委員 お答え申し上げます。
現在、厚生年金と国民年金の仕事の第一線の分担といたしまして、厚生年金は事業所を単位に適用いたしておりますので、社会保険事務所がいろいろな御相談に応じるという体制をとっております。一方、国民年金の場合には、住民サービスという観点から市町村がその第一線としての仕事をしていただくというふうになっておるわけでございます。私どもは、両窓口とも、厚生年金、国民年金を含めまして、年金制度につきましての被保険者の方、受給権者の方の御相談に応じることができるよう努力をいたしておるわけでございます。
社会保険事務所の場合には、今具体的に例示されました方の場合は厚生年金の被保険者であった方ではないかと思うのでございますが、社会保険事務所にいらっしゃっていただきますと、その方の過去の被保険者記録を私どものセンターから呼び出しまして見ることができるようになっております。こういうことをいたしますと、今国民年金に入るべきか、厚生年金のいわば継続の第四種の制度を続けるべきかというような問題ではないかと思ったのでございますが、その際、過去のその方の記録を見ませんといろいろな意味で御相談ができないということがあるわけでございまして、その場合には社会保険事務所の方がいろいろな意味で的確な御相談ができたのではないかと思います。
しかしながら、被保険者の方のお立場からいいますと、一番身近な公的機関は市町村でございますので、市町村の年金相談員につきましてもいろいろな広い視野から被保険者、受給者の方々のそれぞれのお立場に応じて御相談ができるよう、また本人が不確実の場合には他の適切な機関の方への御紹介もできるような指導を強化させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/62
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063・滝沢幸助
○滝沢委員 大体、私たちが役所を相手にして一番頭に来ますものは、最近、市役所等が代表電話でなくて、各部、各課に分かれた電話を持っていらっしゃる。ところが、私自身もそうでございますが、一般の庶民、大衆は、そのようなことは果たして市役所の何課がやっているものか全然わからぬというのが普通だと思うのですよ。代表電話がありまして、ああそういうことでございましたら何課をつなぎます、そして、いやそれは違いますので何課に回しますというぐあいになればいいんだけれども、それぞれの電話が独立している場合は非常に困ることなのでございます。
なお、今おっしゃったように、その方は確かに社会保険事務所に上がればいいんだけれども市役所にいらした。ところが、先ほど申し上げましたとおり、市役所の中の同じ窓口に四人いらっしゃる人がそれぞれ違うことをおっしゃる。
〔委員長退席、船田委員長代理着席〕
もちろんその奥さんは詳しいデータを持っておいでになったわけでありまするけれども、それに対しての指導が指導員の一人一人によって違うというのは、やはり行政そのものに対する不信感を持ってその奥さんはお帰りになって、三人目にまた聞いてみなくちゃ安心できなくなるわけですね。四人目に聞けば、あとは五人目は指導員がおりませんから、今度は弁護士のところへ行くのか税理士のところへ行くのかわかりませんけれども。
このように、制度が改正になるときは国民ひとしくいろいろと不安は持っていらっしゃるわけですから、私たちが国会報告会なんということで各地を回りますると、いろいろと御質問を受ける。こういうことまで何で私たちが説明をしなくてはならぬのかな、これはもっと行政が説明しておくべきことではなかったのかなということに感ずるのでございますけれども、それらのことにかんがみまして、この市町村等に対する指導徹底と、このようなことはどこに相談に行っていただきたいというようなPRというか広報というか指導というものがなければ、住民、国民は非常に不安におののいておいでじゃないかなと思いまして、このことを申し上げさせていただきました。
大臣、このことについてのお考えとともに、一つお伺いをいたしまするが、私は、今日日本に不幸なるものありとするならば、国民一億二千万ごとごとくがいわゆる不平等感、これは税金もそうです、年金もそうです、また道路もそうです、水道もそうです、みんな不平等感、私は損をしている、こういう考えですね。それにいわゆる行政等に対する不平感。この不平等感と不平感がもう全国津々浦々にみなぎっているところに今日日本のいわば病根があろう、こう私は思うのでありまするけれども、今回の改正をめぐりまして、どうぞひとつ、そのようなものを払拭するために御検討をちょうだいしたい。それはどのような御決意と方法によってなし得るものか、どうかひとつ、その辺のことをも加えて御答弁をちょうだいすればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/63
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064・増岡博之
○増岡国務大臣 御指摘の場合には、市役所の人が、これは市役所ではありませんから社会保険事務所へ行ってくださいとおっしゃれば、それでそのとおりなされば用事が済んだと思います。そういうことが不親切で行われなかったのか、その知識がなくてそうなったのかわかりませんけれども、こういう大改正の時期でありますから、そういう改正が行われました暁には、そういう面でいろいろ知識を持っていただくような指導はしなければならぬなというふうに思います。そのことにつきましては、自治大臣にもよくお話を申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/64
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065・滝沢幸助
○滝沢委員 厚生大臣へのお伺いはこれで終わろうと思いましたが、今の御答弁を承りまして一言申し添えさせていただきます。
大臣、市役所の職員が、そのことでございましたら社会保険事務所にどうぞおいでになってくださいというふうに申し上げればよかったとおっしゃいますが、そこが間違いなんです。どこの企業がそれは何々支店に行ってちょうだいというようなことをおっしゃいますか。そうでなくて、その市役所の職員がその場で電話をとって自分で社会保険事務所を電話に出して、ここのこういう人がこういうことでおいでになったんだけれどもと言って直接電話をさせてもいいだろうし、あるいはまた、向こうの書類を出させて電話でいろいろと相互に話をし合って、実は社会保険事務所といろいろと相談したんですがこうですよというふうにするとか、いやしくも、基本的に政府や役所が考えてほしいのは、何とか大臣、何とか省、何とか局、何とか事務所というふうにしているのは行政の側の都合によって分けているのでありますから、国民は中曽根康弘一人で説明できるのならそれで結構なわけですから、御自分たちのお仕事の都合でいろいろ分けているものを国民の皆さんに——その人はバスで来たのか歩いて来たのか知りませんけれども、そうしたら、社会保険事務所ってどこですか、次の電車をどう行ってどう行ってということになるでしょう。こういう姿勢ではだめだと私は言っているわけです。もっといわゆる国民を主人と考えた民主主義の政治体制の基本、これに徹してサービスを向上しませんと、私は今度のごとき制度の改正は国民の理解を得られないと思いますよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/65
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066・増岡博之
○増岡国務大臣 今お示しのようなお話をしていただくことは大変御親切なことであると思います。公務員たる者はできるだけそういう姿勢でおることが望ましいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/66
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067・滝沢幸助
○滝沢委員 そのようなぐあいにどうぞよろしくお願いします。
大臣、ほかに他の議員の質問がなかったらどうぞ。御苦労さま。
ところで、これは文部大臣か、ないしはどなたでも結構でございますが、そのようにしていわゆる不均衡の是正ということで制度を調整しようとしている中でなんでありますが、私学共済というものは比較的に財源的にゆとりがある、豊かだということを言われるわけでありまするけれども、その実態はいかがなものであるか。
そして、今議論のありました、いわゆる制度の一元化ということ、また負担と給付の平等化という観点に立つときに、これはいかがにされるお考えであるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/67
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068・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生御指摘いただきましたように、私学共済年金自体が発足しましたのが昭和二十九年でございまして、そのときの共済組合員の数が約五万人ということでございます。その後、私立学校の発展と合わせまして私学共済の組合員の増加もございまして、現在約三十五万人でございます。そういうことからいたしまして、私学共済組合を支えます基盤といいますものが非常にしっかりしておるということでございます。
いわゆる現在います組合員がどの程度の年金者を支えておるかというようなことでございますが、昭和六十一年度の見通しで五%くらい、先々におきましても、昭和百年くらいで三三・五%ということで、ほかに比べまして非常に成熟度が低い。そういうことから、年金の財政の支出につきましても非常に安定をしているというようなことはございます。ただ、この私学共済につきましても、ほかの共済組合に比べまして若干時期的にはおくれますが、いずれにしても高齢化社会の到来ということから年金受給者の増大といいますものは避けられず、またそれを支える組合員の数はそれほどふえてまいらないというようなことでございます。
そういうことから、今回の年金制度の改革におきましても、公的年金制度全体の長期的な安定と整合性ある発展を図るために、私学共済組合につきましても、他の共済組合あるいは厚生年金とも同じように全国民共通の基礎年金を導入しますとともに、給付水準にっきましても原則として厚生年金に近いものに持っていくというようなことで、その給付水準の適正化を図る等の改正を行おうとするところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/68
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069・滝沢幸助
○滝沢委員 いろいろと承りましたが、そこで、今回のいわゆる共済年金法の改正をめぐりまして世間に聞く話でありまするが、これは実質的には給与の引き下げにもつながってしまう、ないしは負担の増大に終わるというような批判もありますが、これはどう受けとめておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/69
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070・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今回の年金制度の改正のねらいでございますが、年金制度といいますのは、一番大事なものは現役世代と年金受給者との間の給付の負担の均衡を図っていくことが非常に大事でございまして、先ほど御説明申し上げましたように、高齢化社会を迎えますと年金受給者の数が非常にふえていく、このままではやはり現役の給付の負担といいますものが耐えられないものになってくるのではないか。そういう意味から、その給付水準にっきましてもやはりある程度のバランスを考えていく。しかも、先生から御指摘のございますような制度間格差もこういう機会にいろいろと給付水準についてもバランスをとっていくというようなことが大事でございます。
ただ、一つだけ申し上げさせていただきたいのは、私どもの私学共済におきましても国家公務員共済におきましても、いわゆる職域年金としての歴史がございますので、その面の特殊性といいますものはある程度考えていかなければいけないというようなことでございますが、全般的には、将来の安定した年金を見通しまして給付水準のある程度の調整をさしていただいているということでございます。
それから、このような給付水準の調整をしておきましても、こういう公的年金で一番大事なのは、物価に対して非常に強いものであるということがやはり大事でございますから、物価上昇に対してある程度スライドする等の年金の増額の費用等を賄うということでございまして、これはもちろん給付水準の適正化とあわせながらそういうこともやはりある程度お願いしていかなければいけない。これは安定した年金をつくっていくための、皆様方にそれぞれ若干の御負担をいただくということで御理解をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/70
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071・滝沢幸助
○滝沢委員 わかったようなわからぬようなことでありまするけれども、そこで、職域年金という今度の制度を評してみますときに、語れば長きことといいますからはしょって申し上げまして抽象的になりますけれども、今回のこの制度の趣旨というものの位置づけがはっきりしない、この制度の趣旨が徹底していない、こういう嫌いをなしとしないと思うのであります。このとおりでいくならばむしろ新たなる官民格差をつくるものであるというような批判もあるわけでありますけれども、こういうことについての御説明、いかがになさるつもりか、抽象的で恐縮でありますが、二言どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/71
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072・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今先生の御質問の職域年金のことでございますが、今回の改正におきまして、国家公務員、地方公務員、それから農林年金共済、それから私学共済、全体の共済年金の共通の措置といたしまして、厚生年金相当部分に加えまして職域年金相当部分の設計を行っておりまして、これにつきましては、共済年金が公的年金としての性格のほかに職域年金としての性格も持っているということによるものでございます。
私学共済の職域年金相当部分についてでございますが、これも教育基本法の六条の趣旨で、同じ教員といいますものはその処遇の適正化を図らなくてはいけないということから、国家公務員等の共済年金に準ずるという方法を今回もとらしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。それで、この職域年金部分に、つきましては、民間企業におきましてもいわゆる企業年金といいますものがやはり相当普及しているということがございまして、それから、この職域年金の制度を維持するための掛金につきましても、当然使用者とそれから組合員が払っていただくというようなことの費用負担等の限度といいますものも考えまして、そういうことから、一応厚生年金相当部分に二割を足したものということでさしていただいているということでございまして、これは民間におきます企業年金の普及状況等から見まして、新たなる官民格差というようなものまでは至らないのではないか、これは国民にも御理解いただけるのではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/72
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073・滝沢幸助
○滝沢委員 つけ加えまして、この職域年金の部分、いわゆる上乗せ分につきましては、これは公務員の共済とは異なるわけでありますから、自由設計の方式というものを導入してはいかがなものか。これをきちんと一本化した線を引かなくともいいのではないかと思うのでありますが、これはいかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/73
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074・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今度の職域年金部分につきまして、二〇%上乗せするのではなくて、もう少し各共済組合の事情によって考えたらどうかというような御指摘であるというふうに理解するわけでございますが、第一点は、私どもの私学共済制度は、先ほどから申し上げておりますように、国公立学校の教職員との均衡を図っていくということが一つの大きなねらいでございますので、やはり職域年金につきましてもそういうことが必要ではなかろうかということでございます。
それから、その次が、私学共済に加入しております学校法人その他学校の設置者でございますが、これは幼稚園を設置しておりますものから大学まで種々の規模の学校がございまして、そのものにつきまして一応最低的な保障といいますものをやっていかなくてはいけない。それにつきましては、やはり国家公務員に準じてやっていくということが必要ではなかろうかということでございまして、そういう加入組合員あるいはそれを支えております学校法人の実態がやはりいろいろ違うということから申しますと、現在の段階におきましてそういう自由設計をするということはなかなか困難ではなかろうかと思っております。ただ、各法人自体がいわゆる企業年金的なものをおつくりになるといいますものにつきましては、私学共済の場合は学校法人でございますので、そういうことは可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/74
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075・滝沢幸助
○滝沢委員 各事業主体が力関係違うがゆえに、私は自由設計の方式をとったらどうか、こう言っているわけだけれども、やや考えが違うようでありますが、これはあなたの考えということに承っておくことにいたします。
ところで、この案を見ますと、禁錮刑あるいは懲戒免職というようなことになった方々の支給停止ということがございます。これは言い方によりましては、国庫が持つ分についてはともかくも、個人が負担した分についてそこまでしなくてもいいのではないかという意見も聞きました。これらについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/75
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076・松永光
○松永国務大臣 現行法にも今先生御指摘の制度があるわけでございます。先ほどから申し上げておりますように、私学共済というのは、国家公務員共済、地方公務員共済に準じて、これと同じような仕組みをとっておるわけでございまして、その基本はどこにあるかというと教育基本法から出てきておるわけであります。私立学校といえどもそれは公のものである、そしてそこに従事する者は職務の遂行に専念しなければならぬ、こういう教育基本法の規定に基づいてそもそも私学共済という制度はつくられておる。そして、その身分その他につきましても国公立の学校の教職員に準ずる、こういうことでございますので、そこで、禁錮以上の刑に処せられた場合の減額措置等がとられるということになっておるわけでございます。しかも、それは全部についてするのではなくして職域年金部分に限るわけでありますので、これは国家公務員共済、地方公務員共済と同じような規定にすることは御了解願えるのではなかろうかと思っておるわけでありまして、それが適正妥当であると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/76
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077・滝沢幸助
○滝沢委員 その停止が遺族にまで及ぶということはちょっと酷ではないかというのでありますが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/77
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078・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 組合員につきましての考え方は、今大臣からお答え申し上げたものでございます。確かに、遺族の給付につきましては教員の職務の特殊性が直接及ぶということではないわけでございますが、これは支給事由となります組合員であった教員の職務の特殊性が反映されたものであるというふうに私どもは理解しておりまして、これも従来からこういう趣旨の制度をとってきているわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/78
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079・滝沢幸助
○滝沢委員 いわゆる職域年金、これの加入の期間というものを二十五年未満については二分の一支給ということに制度は考えているようでありますが、この理由、その根拠は何でございましょうか。考え方によりましてはこのような二十五年云云というような段階を設けなくともよろしいのではないか、こういう思想もありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/79
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080・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。
基本的に何で二十五年というのをつくったかということでございますが、このつくり方自体につきましては、国家公務員あるいは地方公務員と同じような考え方でやっておる次第でございます。これは、組合員で年金の資格が出ます期間というのは、従来は組合員期間が二十年でございましたのを今度二十五年ということにいたした、そういうことで、職域年金自体は、長年御勤務をいただいて年金の受給資格が出てくる、そういう方にお出ししようではないかということで二十五年というのを一つの区切りといたしまして、それ以下の方につきましてはそれの半分ということでございます。これは、現行制度におきましては組合員期間が二十年ということが年金の区切りでございますが、二十年未満に支給されます退職年金よりも二十年以上の者の方が手厚い扱いをしているというようなことと同じことでございます。
それで、退職共済年金の支給要件が二十五年となったことでございますが、これにっきましては、ある程度の年齢以上の方につきましては若干経過措置を設けておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/80
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081・滝沢幸助
○滝沢委員 次に進みますけれども、実は、私学の教職員と国公立学校の教職員、これらの間の給与の実態はいかがになっているか、簡単な資料がありましたらちょっとおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/81
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082・國分正明
○國分政府委員 私立学校の教職員と国公立学校の教職員の給与実態の問題でございますが、両者におきましては、給与体系あるいはその経験年数、勤労密度、学歴構成あるいは年齢構成等々、給与水準を決定いたします要素が異なっておりますので、一律にその給与水準を比較するのは難しいわけでございますが、文部省が行っております学校教員統計調査報告によりますと、昭和五十八年度の実態でございますが、九月分の給料、諸手当、調整額を含めない給料について見ますと、大学の教員につきましては私立が国立を一一%上回っている、それから短大、高専につきましては国立の方が私立を若干上回っておる、それから高等学校以下につきましては、私学と公立を比較いたしますと、幼稚園を除きまして私立の方が若干高くなっているという実情にございます。
〔船田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/82
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083・滝沢幸助
○滝沢委員 いろいろとおっしゃっていただいたように格差がございます。しかし、大学であると高校、中学、幼稚園であるとを問わず、私学の教職員の給与実態というものは、その根拠の一部には国の私学助成金というものが算定されていると思うのでありますが、実は今、御存じのように来年の予算をめぐりましていろいろと作業が開始されているときでありますが、文部省が概算要求というような形で政府に求めている資料によりまして、これは今年度に対してどのようなプラスであるか、特にこうした制度の変革のときでありますので、承らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/83
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084・松永光
○松永国務大臣 先ほど私学部長がお話をいたしましたように、今までは私立学校の教職員の給与水準が国公立の教職員の給与水準に比べて相当程度低かったわけでありますけれども、私立学校振興助成法が制定をされましてそれに基づく経常費助成が始まってから相当に追いついてまいりまして、一部ではむしろ私学の方が国公立をやや上回るというところも出てきておる、そのくらいに私学の教職員の給与水準も充実をしてきた、こういうふうに思っております。しかし、私どもとしては、私立学校が我が国の学校教育の中で果たしている役割が極めて大きい、先生御承知のとおり大学等におきましては既に学生数の七五%が私学である、高等学校以下にっきましても三〇%近くが私立学校である、幼稚園のごときは七五%が私立学校であるというようなことを考えますと、私立学校の内容を充実することが我が国の学校教育を全体として充実することになるという考え方で、今まで私ども一生懸命努力してきたつもりでありますが、これからもそういう努力をしてまいりたい、こういうように決意をしておるわけであります。
御質問の、昭和六十一年度の概算要求のことでございますが、御承知のとおり現下の国の財政事情は極めて威しゅうございますが、その中で必要な予算の確保をしなければならぬわけでありまして、六十一年度の概算要求では、大学等の経常費補助につきましては六十年度比一%増の二千四百六十三億円、私立の高等学校以下の学校に対する経常費助成につきましては対前年度比二%増の七百三十億円を要求いたしておるわけでありまして、何とかこういう額を確保するように努力をしていきたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/84
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085・滝沢幸助
○滝沢委員 ところで、大臣、つかぬことをお伺いしますが、文部省は私学を支配しておりますか。支配という言葉はちょっとなんでありますが、しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/85
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086・松永光
○松永国務大臣 国民の税金によりまして私立学校に対する経常費の助成をしておるわけでありますから、その関係においては、交付された経常費が適切に使われておるかどうかということにっきましては監督し監査することにいたしておりますけれども、教育の内容につきましては、教育基本法その他の規定に基づく指導、助言はできますけれども、それ以上の支配はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/86
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087・滝沢幸助
○滝沢委員 経営の面で助成を出しているその金がどのように使われているかということについては、いわば支配、指導する。しかし、教育内容その他については、教育基本法を守っておるであろうということでいわゆる支配はせぬということであろうと今の答弁をお聞きしました。
しからば、教育とは何でございましょう。実は憲法八十九条には、御存じのごとく公の支配に屈せざる云々ということで、宗教、教育、博愛、慈善というものを列挙しておるのでありますけれども、これは学校とは書いてない、教育と書いてあるのですね。これはどういうことでございましょう。もしも、私立学校が許認可制度である、その許認可において既に公の支配がこれに及んでおるとするならば何をか言わんや。しかし無届けの学校をつくることができるかどうか。無届けの学校において認定した単位や資格が公の場において通用するかどうか、極めて議論のあるところであります。今、靖国神社等の宗教に対する公金の使い方がいろいろと議論されているときでありますが、あの憲法の文言を見る限り、宗教と教育は何ら隔てて書いてはいない。いわゆる私学助成法が国会を通りますときに議論されたことではありましょうけれども、ややその点が不明確ではないのか。仏教にも大乗仏教、小乗仏教というのがございまして、憲法も大乗的に見るか小乗的に見るか。靖国に対しては小乗的に、私学に対しては大乗的に見るという思想であるかどうかわかりませんけれども、この点の平仄はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/87
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088・國分正明
○國分政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたように、私ども、私立学校につきましては、私立学校法官体に明記しておりますように、私学の自主性を尊重して、法人運営あるいは教育内容等につきましてもその点十分留意して指導、助言に当たっているわけでございますが、ただいまの憲法八十九条との関係におきましては、公の支配に属しない教育の事業には公金を支出してはならないという明文の規定があるわけでございます。これと経常費補助金との関係につきましては、振興助成法ができました当時もいろいろ議論があったわけでございますが、現在の解釈といたしましては、学校教育法あるいは私立学校法さらに私立学校振興法に基づきまして、文部大臣あるいは所轄庁のさまざまな権限規定がございます。この限りにおいて公の支配に属しているという解釈で現在各種の私学助成策を講じておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/88
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089・滝沢幸助
○滝沢委員 公の支配に属し得ない教育施設は今日日本にどのぐらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/89
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090・國分正明
○國分政府委員 学校教育法に定めておりますいわゆる一条学校はただいま申し上げましたように公の支配に属するかと思うわけでございますが、一条学校以外の、例えば社会教育関係であるとかそういうものは、その運営等々について公の支配が及んでおりませんので、それらにっきましては公金の支出ということはできないというふうに解釈されておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/90
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091・滝沢幸助
○滝沢委員 社会教育もいろいろありまして、公が全く主催している社会教育が今日社会教育の主流をなしていると私は思うので、このようなことにつきまして、大臣、政府はもう少しきちんとした解釈が必要なのであって、ただ現実に流されていくだけでは私は国家運用というものはできないのではないか、このように思いますが、大臣、時間もないようでおりますし、簡単で結構でありますから、一言所信をちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/91
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092・松永光
○松永国務大臣 憲法の規定は、公の支配に属してない教育の関係で公金を支出してはならぬ、こうなっておるわけでございます。文教行政全般を担当する私の立場からすれば、教育というのは非常に分野も応うございますし、いろいろな方面にわたっておるわけでありますが、これはすべて憲法、教育基本法、学校教育法、私学法等々の規定に基づいてその必要な範囲内においてのみ指導、助言等を行う、こういう立場でやってまいりたいと考えておるわけであります。
そして、それぞれの教育に当たる人たちができる限り、法律等の規定の範囲内でございますけれども、自主的に創意工夫を凝らして活発な教育活動をしていただくことが、全体として我が国の教育を盛んにする道であると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/92
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093・滝沢幸助
○滝沢委員 時間がなんでありますからこれ以上の議論をいたしませんが、しかし、大臣、宗教だって鳥居を建てるにしても道路に、もちろん道路に建てちゃいけませんな、道路交通法その他ございます。屋根の高さ、これまたいろいろとすべての法律によって施設がつくられておる。ただ、教義については公が支配する、これはできませんな。しかし、今承れば、学校の設置につきましても学校の設備とか教員の給与、これは最賃法というようなものもいろいろございます。しかし、教育の内容については言及しておりませんというのでありますから余り変わらぬのでありますが、これは百ページにも及ぶ論文を書かなければなりませんから、私はこれでこの件は省略させていただきますけれども、どうかひとつ、このようなことについてもお互いに勉強をしたものだと存じます。
ところで、お忙しい中、参考人として私学共済の理事長さん、おみえいただきまして御苦労さまです。
ところで、ちょっとお伺いしまするが、私学共済の組合員がいわゆる公務員ではないがゆえをもって生じておりまする公務員共済との不公平は、いろいろと言われておるわけでありますが、これについてはいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/93
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094・保坂榮一
○保坂参考人 私学共済は創設以来国家公務員共済の給付等に準じてやってきております。ここで特に指摘いたします不公平というようなものはございません。また、今回の法改正を契機といたしまして何か不公平なことが生ずることはないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/94
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095・滝沢幸助
○滝沢委員 そうであったら大変結構であります。
ところで、都道府県等からの助成をちょうだいされておると思うでありますが、これについての御意見、御要望等がありましたら、ひとつ遠慮なくおっしゃってちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/95
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096・保坂榮一
○保坂参考人 私学共済に対します都道府県の補助金は、私学振興上重要な役割りを果たしております。当該補助金がございますことは組合員の掛金を低減することになります。そして、私学共済組合にとっても業務運営上大きな柱となっておるのでございます。しかしながら、昨今、県の財政事情等によりまして一部の学種に対しまして、所管の相違等から補助の削減が行われている現状でございますが、従来から行われておりますように、全学種に対して補助されることを強く希望し、要望しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/96
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097・滝沢幸助
○滝沢委員 これは自治省の方がいいのかもしれませんけれども、今おっしゃっていただきました、都道府県等の財政運用厳しい折から、いろいろと御苦労されているわけでありますが、これらのことについて、いわば横の連絡というか調整といいますか、すべての都道府県に同じような数字が受け入れられるように、ないしは国家財政、いわゆる大蔵省との関係において都道府県が私学に対する責任を十分果たし得るようなという、指導といいますか、協調、調整といいますか、そういうことはなされているかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/97
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098・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 都道府県から私学共済にいただきます補助につきましては、組合員あるいは学校法人に直接反映するものでございますので、私どもは非常に大事なものであるということでございまして、これをちょうだいしておりますのが千分の八ということでございまして、そのちょうだいした千分の八につきましては、それを折半いたしまして、千分の四は学校法人に、それから残りの千分の四は組合員にというふうに還元をするということでございます。これにつきましては、先生御指摘のように、最近都道府県の財政状況が非常に厳しいものでございますから、特に大学、短大等についていただいてないというようなことがございますので、こういうことにっきましては、私学の担当の都道府県の課長さんの会議がございますので、私どもそういうところにもお願いをするということでございます。
それから、地方交付税によります財源措置でございますが、これは高等学校以下でございますが、これにつきましては自治省にお願いをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/98
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099・滝沢幸助
○滝沢委員 さて、理事長さん、再度恐縮でありますが、今回のこの改正というものを組合という立場にとってはどう受けとめておいでなのか。まことに結構ということにお答えいただく以外にはないのかなと思いまして御同情申し上げているわけでありますけれども、ところで、この制度の移行、移管は順調になし得るものであるのかどうか、そこに御苦労とトラブルはないものかどうか、ひとつおっしゃってちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/99
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100・保坂榮一
○保坂参考人 今回の法改正、制度改正の趣旨につきましては、先ほど大臣から御答弁があったところでございます。私学共済は他制度に比べまして比較的財政状態が安定しているわけでございますけれども、今後における年金受給者の増大や、また国公立共済との整合性等を考えますと、やはり今回の改正は必要かつやむを得ないものと考えております。
なお、後段の御質問でございますが、今回の改正は根本的な大改正でございますので、事務的には厳しい状況が予想されます。しかし、できる限り円滑な移行ができますよう、私学共済全力を挙げて準備いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/100
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101・滝沢幸助
○滝沢委員 どうぞひとつ頑張ってちょうだいしたいと思います。
ところで、大臣なら一番いいのでありましょうけれども、私立学校、いわゆる私学を新しく設置をする、あるいはまた既存の大学がある町に学部を増設しようというような場合に、許認可の制限といいますが、そういう中におきまして、例えば四年制で一年生五百人ずつ募集すると、四年後には四、五の二千人になる。しかし最初の年は五百人しか入ってこないわけですね。これなのに、四年間だけの建物も建ててしまえ、敷地ももちろん確保しろ、教授陣もそんなに要らないんだけれども四年分ちゃんとしろというような指導で、大変困っているというのでありますけれども、教育をもしも文部省が奨励して向上せしめようという原点に立っていらっしゃるならば、これら私学に対してもっと信頼の上に立って、四年後にはこのようにいたします、三年後はこうです、来年はこうしますということになったならば、認可され、協力をされた方がいいと思うのですけれども、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/101
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102・國分正明
○國分政府委員 私立大学の設置認可についてのお尋ねでございますが、御案内のとおり現在二年審査方式というものを採用しておりまして、一年目におきましてはいわば計画、プランで審査し、その内容が私立大学審議会及び大学設置審議会において結構であるという判断をされましてから、具体的な例えば校舎建築であるとかということに取りかかる、こういう仕組みになっておるわけでございます。これは、審査を慎重に行うということと同時に、申請者にリスクをできるだけかけないという趣旨から採用されているわけでございます。ただいまお尋ねの四年分を一挙にという問題でございますが、校地は必要でございますけれども、校舎建築あるいは教員の採用につきましては、ただいま具体的な数字は持っておりませんが、年次計画によって、例えば校舎であれば一年目に三〇%つくってもらう、それから二年目、三年目にかけてどれだけ完成してもらうというような形で設置認可を行っているという実情にございまして、年度当初にすべて用意しなければならないという仕組みにはなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/102
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103・滝沢幸助
○滝沢委員 それじゃ、いわゆる年度別の計画でいいですね。それと用地とおっしゃいました。用地だってそうじゃありませんか。設置者が責任を持って三年後にはこれを買収する計画でございますということになったら、それでいいじゃありませんか。今、日本の教育は大変なんです。既にある教育がぐらついているときに、新しい教育の場ができるというならば、これに対してやはり協力と理解を持って新しい分野を開いていただくように期待するのが望ましいと思うんだけれども、そのような意味で、とにかく大学にしても高校、中学にしても、全く新しい発想のもとに、例えば今までほとんど世にはなかった学部、新学部、新しい分野のものを開いたりしていらっしゃるわけだから、これに対して国が支配の云々は別として、これを援助していこうとするならば、積極的な姿勢を期待したい、こう私は思うのでありますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/103
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104・松永光
○松永国務大臣 具体的には先ほど私学部長が御答弁申し上げたところであります。土地等の場合にも、責任を持ってとおっしゃったわけでありますけれども、確実性の担保がなければ、認可した後に実際は取得できなかったという結果が起こった場合に、その学校の適切な教育の水準の確保ができないというおそれもありますので、そこらの点はあくまでも慎重に対処して、確実性の担保がなければ、土地の場合についてですが、難しいのではなかろうかというふうに思います。
いずれにせよ、私どもとしては、学校というものはできさえすればいいということではないわけでありまして、やはり一定水準以上の教育水準が確保されるような措置をすることが、これが文部省の責務だろうと思いますので、法令に基づきましてそういう水準が確保できるような条件の中で学校等の設立の認可の手続もしなければならぬというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/104
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105・滝沢幸助
○滝沢委員 一番大事なのは、国民と政府、例えば今のような場合は設置者と許認可をする立場というものの信頼が一番大事でありまして、それが信頼できないで、三年後にこの学校は土地が手に入らなくて倒産するであろうというならば何をか言わんやであります。その信頼しないところにいろいろとまた、その裏をかいた二重帳簿や三重帳簿、例の多々ありました私学のトラブル等もあるわけでありますから、私は、まず信頼の上に立って、教育的見地に立って双方が努力することが必要と存じまして、善処をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうも御苦労さん。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/105
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106・阿部文男
○阿部委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時三十一分休憩
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午後一時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/106
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107・船田元
○船田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員長が所用のため、委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。
質疑を続行いたします。江田五月君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/107
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108・江田五月
○江田委員 私学共済組合法の改正案について質問いたします。
我が国が急速に高齢化社会に入っていくと、今後高齢化時代にお年寄りのいろいろな対策が必要である。人によっては医療と年金と介護が必要だと言う人がいる。それに加えて住宅も大変な課題になると言う人がいる。せんだって、連合審査会で中曽根総理にお伺いをしましたら、中曽根総理は、お年寄りの課題というのは仕事と孫と年金だ、こういうようなお話。いずれにしても、どういうふうにとらえてみても年金というのは入ってくるわけですね。年金がこれから先の、二十一世紀を展望した上での非常に大きな課題になることは間違いがないわけです。
そこで、この年金というものをしっかりした制度にしなければいかぬというわけで、今回、一連の経過を経て、国民年金、厚生年金、共済年金、ずっとそれぞれに制度をしっかりしたものにつくり上げていこう、あるいは統合していこう、統合の中身は議論がまだいろいろあるようですけれども、そういうことになってきているわけです。
しかし、こうやって私学共済にしても、確かに制度をきちんとした、安定した、将来とも安心して頼れるようなものにしていこうという点では、それがうまくいくとするならばそれは改正、しかし一方で見れば、給付は低くなる、負担は重くなる、開始年齢は遅くなるというわけで、こういう点をそのままとらえれば、年金を受ける方からすれば改悪というか、たまらないというか、そういう気持ちもあるだろうと思うのです。こうした給付が低くなり、負担が高くなり、開始年齢も遅くなるというようなことで、しかし将来ともこれで安定的なものになっていくんだから、そういうお気持ちだと思います。
最初に、文部大臣に、そういう若干の国民の期待をややそぐような形の法案になっておるということについての御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/108
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109・松永光
○松永国務大臣 私学共済は、先生もよく御承知のとおり成熟度がまだ若い、そしてまた私学共済自体の年金財政もまだ健全である。したがいまして、現在及びこれからしばらくの間のことであるならば今のままでもやっていけるわけでありますけれども、三十年先、五十年先、あるいは百年先を考えますと、いずれ私学共済の方も成熟度がうんと進んでまいりまして、財政自身も単年度で赤字になる、あるいは積立金も非常に不足してくるという事態が確実に予想されるわけであります。そうした事態になりますと、その時点における働き手、若者の負担が極めて重くなるということが想像にかたくないわけであります。
したがいまして、長期的な視野に立って私学共済の安定した基盤をつくっていくということが必要であるということが一つ。もう一つは、世代間の公平ということを今のうちから考えてその措置をしていかなければならぬということが一つ。それからもう一つは、他の共済制度との間の公平というのもつくり出していかなければならぬということでありますので、現在のことだけ考えればいろいろな不満もあると思いますけれども、五十年、百年という長期的な物の考え方に立って対応していこうとするならば、ある程度の給付水準の低下あるいは負担の増というものはそういう長期的な考え方で忍んでいただいて、そして年金そのものの基盤を強化をしていく、充実をしていく、そして同時に、今申したとおり世代間の負担の公平、給付の公平を長期的な観点に立って判断をしていただかなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。そういう考え方に立ちますと、今回御審議を願っておる制度の改正、これはやらなければならぬことであるというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/109
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110・江田五月
○江田委員 大臣のおっしゃることわかるのです。しかし、それにしても、これまでの私学共済制度のもとで長期給付について期待をしておった人たち、あるいは既にもう既裁定の人たちについてもしばらくは足踏みというようなことをする制度になっているわけで、そういうこれまでの制度を前提に、将来の給付についてある期待を持っていた人たちの期待を多少はそぐことになっておるということについて、いやいやそれがいいんだと言うだけでなくて、やはり何か申しわけないことではあるが、しかし将来的にあるいは他の制度との関係でそういう若干の御負担を願わなければならぬということに対する思いやりの気持ちというものを、あるいはそうい至言葉があってもしかるべきじゃないかと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/110
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111・松永光
○松永国務大臣 激変緩和措置というのをとっておるわけでございまして、それをとった上で、かつ、子や孫のことを考えてある程度のことは忍んでいただかなくてはならぬ。それは長期的な視野に立って、私学共済自体の基盤の充実を図るという点、そして三十年先、五十年先、百年先の人たちも安心してこの制度のもとで仕事ができ得るはうな状態にするという必要性から、ある程度のことはひとつ忍んでいただいて、そして全体として負担と給付の公平が図られるようにしていかなければならぬというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/111
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112・江田五月
○江田委員 今の大臣の御答弁の中で、現在は若い制度であるし私学共済の財政も健全だが、次第に成熟度はやはり高くなっていくというお話でしたが、さあ成熟度が一体どのくらい高くなるのか。聞いておりますところでは、私学共済は今成熟度は非常に低いし、これがピークに達したときでも他の年金の制度と比べると成熟度は随分低いように聞いておるのですが、この成熟度の現在それから将来の推移、予測、それから他の制度との比較、これをちょっと数字で示していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/112
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113・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。
まず、私立学校共済組合の成熟度でございますが、五十九年度で見ますと、現在組合員数が、長期組合員の組合員数でございますが約三十四万一千人ございまして、退職年金受給者数が一万五千人ということで、成熟度が四・三%でございまして、これは例えてみますと、国家公務員共済の一般のものでございますが、これが三一・二%、それから厚生年金につきましては一一・一%、国民年金につきましては二五・九%というふうにお伺いしております。
それで、昭和百年でございますからかなり先のお話でございますが、どのぐらいになるかという見通しで申し上げますと、私学共済の場合におきましては約三三・五%でございまして、国家公務員共済が四七・七、それから厚生年金が四四・三、国民年金が三九・二ということでございまして、私どもの方が少し成熟度が高くなるのがおくれてまいるというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/113
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114・江田五月
○江田委員 これはしかしどうなんですか、おくれていくけれども、最終的には同じような成熟度に達するということになるのか。そうではなくて、私学共済の場合は予測される成熟度というのはあるピークまでいって、しかしそのピークはほかの年金の成熟度のピークよりもやはり低いということになるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/114
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115・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 これは現在の条件が変わらないものとすればということで成熟度をつくってございまして、私学共済の場合につきましては、例えば幼稚園の保母さんがいらっしゃいまして、そういう方は比較的短い期間お勤めになりましておやめになる、そういう条件が維持するものとすればということでございますと、ほかのものに比べまして三十数%で推移するのではないか。ただ、これが婦人の方の就業の仕方が変わってまいりまして共稼ぎでやるというものがふえますと、それはまた条件が変わってまいるというような状況であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/115
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116・江田五月
○江田委員 成熟度の点で今私学共済の特徴を検討してみたわけですが、もう一つ、年金財政のこれからの推移、これはそう厳密な計算というのはできないのでしょうが、現行制度のもとで私学共済の財政の見通しというのは一体どういうことになりますか、いつごろまでは黒字だが、いつごろから赤字になりというようなことですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/116
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117・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。
私ども、これは長期経理の収支状況ということで申し上げているわけでございますが、昭和五十九年度の収支でございますれば、収入が千六百七十一億円、支出が四百四十一億円、収支差が千二百三十億円というプラスになってございます。これは先ほど申しました成熟度が低いということの収支面の反映であるということでございます。
それで、収支見通しでございますが、現行の制度を維持した場合にどういう形になるかということでございますが、単年度収支は八十一年度に初めてマイナスになる、これは二十一年度ということでございます。それから、現在保有資産が約九千百億ございますが、それを食いつぶすようになりますのが九十年度、三十年後ということに相なります。これはやはりほかの組合に比べますとまだかなり余裕があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/117
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118・江田五月
○江田委員 ほかの制度はどういう数字になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/118
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119・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 これは一応各責任のあるところからお答えいただくのがよろしいと思いますが、便宜私の方でお答えさせていただきますと、先ほど申します単年度収支が赤字になりますのが、国家公務員の共済の場合には昭和六十八年度、それから積立金を食いつぶして、要するに全部積立金がなくなりますのが昭和七十七年度というようなことでございまして、ちょっと繰り返させていただきますと、私学共済におきましては、単年度収支が赤字になるのが八十一年度、積立金の食いつぶしが昭和九十年度ということで、十数年のギャップがあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/119
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120・江田五月
○江田委員 その現行制度のもとでの財政見通し、これは制度が変わった場合でも、私学共済の場合の財政見通しというのはほかのものよりも優秀であるということは変わらないと思います。それから、今の成熟度の問題を見ても、私学共済が大変に優良年金であるということが言えるかと思うのですが、なぜこういうふうに私学共済というのはほかの制度と比べると財政的に楽な状況になっておるのかですが、これはどういうふうに把握をされていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/120
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121・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 それの一番大きなことは、私学共済の歴史が新しいことと、それから私学共済の組合員の増加が急速であったということが一番大きなことでございまして、先生御案内のとおり、私学共済組合は昭和二十九年度に発足いたしまして、当時の組合員は五万人程度でございましたが、それが現在では、これは長期組合員でございますが三十四万人を超えているということでございますので、これは私立学校が急速に発展してまいったことの反映であると思いますが、それで年金財政を支える基盤が急速に大きくなった、その割に退職してフルの年金をお出しする人がまだ比較的少ないということと、それからもう一つは、先ほどから申しておりますように、比較的短期間でおやめになるというようなことがございますので、フルの年金ではなくて年金の一部をお出しするような形のものがあるというようなことが原因であるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/121
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122・江田五月
○江田委員 歴史が比較的浅い、急速にふえた、これは一つの要因でしょう。しかし、将来的に成熟度があるピークに達して今の女子の就業のあり方が将来とも変わらなければという前提はありますが、そのピークがなおその他の年金の場合よりも成熟度が低いところで推移をするということがあるので、やはり単に歴史というだけでなくて、私学共済の持つ構造というものがあるだろうと思います。ここに手元にある「私学共済の概要」というパンフレットで見ますと、昭和五十八年度組合員が三十四万三千六百六人のうち幼稚園の組合員が八万四千七百二十四人、このうち女子が七万一千五百四人というのですね。扶養家族を見ますと、五十八年、合計で見ますと一人当たりの被扶養者数は〇・九三人、幼稚園の場合には〇・二七人ということで、したがって、幼稚園の先生方が非常に数が多くて、これが家庭に入るか、他の職場へ移るのか、それはわかりませんが、早くやめるということになっておる。そういう構造が私学共済の財政の裕福さを招いているのだとすると、この制度を統合していって私学共済の給付の水準などを下げていくということになると、他の多くの制度のために幼稚園の先生方が犠牲になっているというような見方ができるのではないかという気がちょっといたしますけれども、これはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/122
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123・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 幼稚園の先生の平均加入年数の推移を若干見てまいりますと、三十八年度のときに女の先生だけですと三・八年でございましたが、それが五十九年度でございますと五・五年に上がっているということでございまして、これが先々どういうふうに延びるかということについての推計は私どもできておりませんが、まずそういう要素があるということでございます。それから、ほかの組合員の方でも、私どもの私学共済の加入年数というのはほかに比べますとまだ比較的そう長くはないというのが実態でございますが、やはりそれ自体が延びてくるということで、構造自体もまた少しずつ変わってくるだろう。それから、今度いきます場合に、基礎的な国民年金というのがありまして、その上に報酬比例の年金が乗っかってくるわけでございますが、そういうものにつきましても、再度就職したりなんかして、全体として二十数年をお持ちになる方もだんだんふえてくるのではないかというような気もいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/123
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124・江田五月
○江田委員 一部の人たちが他の多くの人たちのために犠牲になるというような言い方を余り強く言いますと年金というものが成り立たなくなるわけですから、それを余り考えるわけにいかないと思いますが、それにしても、私学共済の場合は、幼稚園、それから小中高、大学、短大、盲学校、聾学校、各種学校、専修学校と非常にタイプが違ったものが一緒になってつくっているわけですが、こうした違ったタイプのグループごとの集まりの中での財政の収支というものはわからないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/124
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125・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 先生のお話にございますように、年金制度といいますものはもともといろいろな異なったグループの人が一緒になってやった方がより安定性が高まるということがあるわけでございまして、例えば産業自体でも一つの産業が栄えて他の産業が衰退する、ただそこの中で全体でやればみんなで支え合うことができるというようなことでございます。
私学共済の例で見てみましても、例えば子供の数の推移というものが出てまい力ますと、幼稚園の子供の数が減るというようなことが今出てまいっておりますし、これが将来例えば高校、大学にも及んでまいるというようなことがございますので、私学共済としての全体のそういうグルーピングで収支計算をすることが一番望ましいのではないか。もし個別にやりますと、そういう栄枯盛衰の状況というものは——幸い今まではかなり子供の数が伸びてきた、進学率のアップが非常に高いというようなことで、基盤が安定しているわけでございますが、その安定した理由はそこの中にいろいろなタイプのものが入っているということにもあるのではないかというふうに推察されますので、個別のものまで推算をしておりませんし、またそのような資料を持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/125
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126・江田五月
○江田委員 お話わからぬわけではないのです。しかし、どんぶり勘定でどこがどうなっているやらさっぱりわからぬ、しかし、お互い助け合っているのですからいいでしょうということは、本当の助け合いになっていくのかどうか。やはりそれぞれに特殊性をはっきりさせながら、幼稚園はこういうふうな財政になっておる、大学の方はこうなっておる、その間にこういうお互いの助け合いがあるという、それを全部一緒にしてしまうのが本当にいいのかどうか。そんなような考え方でしたら、例えば今問題になっておる国鉄の共済がパンクをする、これはオールジャパンだか何だか知りませんが、私学共済も国鉄共済の救済のために大きな犠牲をもう既に覚悟しているということになってしまうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/126
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127・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私が申し上げているのはそういう意味ではございませんが、私学が私学共済としてみんなグループの中で助け合ってきたということは大事にしてまいらなければいけないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/127
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128・江田五月
○江田委員 それじゃ国鉄の方はどうなる。これは関連づけて聞きましたけれども、国鉄共済の救済のために私学共済は犠牲を払うということをもう覚悟されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/128
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129・松永光
○松永国務大臣 私学共済の中での幼稚園グループ、大学グループというようなグループの分かれはないわけでございまして、これは先生野によく御承知のとおりでございますが、要するに、私学関係が全体として助け合っていこう、そしてそれによって私立学校にお勤めいただいておる教職員の福利が増進される、それが私学の振興になるということで私学共済というものがあるわけでございます。
問題の国鉄との関係でございますが、これは去る十一月十九日の連合審査会で政府全体を代表して藤波官房長官から、国鉄共済の救済策については誠心誠意検討し、本案が衆議院を通過するまでに検討結果を報告さしていただきたいという答弁がなされておるわけでございまして、この答弁の趣旨に沿って対処されるものと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/129
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130・江田五月
○江田委員 では、私学共済としては国鉄の救済までを今覚悟しておもという状態にあるわけではないというふうに伺っていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/130
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131・松永光
○松永国務大臣 この問題につきましては政府全体として対応策が検討されてそれが示されるわけでありまして、私どももその趣旨に基づいて対処していかなければならぬわけでありますが、私学共済を所管する文部大臣として、政府全体の検討のことはさておいて、現在ただいまどういう心境がというふうに問われますと、私学関係者の心情としては、国鉄共済に関する従来の経緯から、国鉄共済に対し、国あるいは国鉄自身がどのように対処していくのかという問題があることは事実であります。また、片や年金制度については、高齢化社会を控えて国民全体で全公的年金制度で対処していく必要があるということもまた事実なのであります。そういったことを考えながら、私学共済年金を所管する私の立場としては、双方十分に検討し、私学共済の制定の趣旨等にかんがみまして、慎重に対処をして、誤りのないようにしていかなければならぬと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/131
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132・江田五月
○江田委員 ひとつ、慎重に対処して誤りのないようにお願いをしたいと思います。
積立金の運用方法、これをちょっと伺いたいのですが、他の年金の積立金の運用よりも私学共済の積立金の運用というのは利回りが非常によろしいということを伺っているのですが、これは私学共済の理事長さんの方がよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/132
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133・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私学共済のものにつきましてちょっとお答えをさせていただきたいと思います。
私学共済の全体の資産の運用の利回りがどのくらいかというようなことをまずお答えさせていただきますと、これにつきましては五十八年が七・四九%、それから五十九年が七・三六%というようなものでございます。それで、各共済組合の資産別構成割合というものがございまして、それをちょっと申し上げさせていただきますと、いわゆる預貯金等、この中では例えば信託とか投資有価証券とか、日本私学振興財団への貸し付けとかそういうものが入っておりまして、それの比率が五十九年度末で七九・一%、それからその次が不動産の購入等その他でございますが、これが四・〇%、それから住宅貸し付けとか組合員への貸し付け等のものでございますが、これが一六・九%というようなことでございまして、その全体の資産は先ほど申しましたように九千九十六億強というようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/133
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134・江田五月
○江田委員 私が聞きたいのは、もう数字はいいですから、他の年金の積立金の運用と比べて私学共済の場合には利回りが割によろしい、それは組合員に対する例えば住宅ローンであるとか進学の貸し付けであるとか、そういうような貸し付けが少ないことによるというような理解はそれでよろしいのですか、そうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/134
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135・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 現在の資産の運用の構成割合から言いますと、今先生の御指摘のございました住宅貸し付け等の比率が低いということは事実でございます。ちなみに、他共済で公立学校共済の利回りが今わかりましたので御報告させていただきますと、公立学校共済の場合には六・六九%、それから国家公務員共済の場合は六・八六%というふうにお伺いしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/135
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136・江田五月
○江田委員 今のパーセントというのは利回りですね。
〔船田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/136
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137・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今申し上げました六・六九%、それから六・八六%は全体の利回りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/137
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138・江田五月
○江田委員 私が先ほどからちょっとしつこくこだわっているのは、やはり私学共済の特殊性、つまり幼稚園の女の先生方が非常に多くて、それが早くやめて、その皆さんの存在というこの私学共済の構造が私学共済の財政を非常に優秀なものにしておるし、あるいはまた、そういう皆さんということがあって積立金の運用も余り組合員の方に使われずに有利な運用の方にどんどんいっているということを全体として眺めれば、やはりもうちょっと幼稚園の先生方というところに利益が還元されるような方法を私学共済というものは考えるべきじゃないのか。ですから、それは住宅ローンということになると、どうしても亭主のローンの方に先に行って、女性の方のローンはなかなか使わないということもあるでしょうが、ほかにもうちょっと何かいい方法、知恵を働かせていく方が、この年金財政が健全だ主目って喜んでいるだけでは、ある意味では怠慢だということになってしまうんじゃないかという気持ちがするものですから伺っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/138
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139・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今の一般貸し付け、そのほかに結婚貸し付け、一般貸し付けといいますのは一般のいろいろな用途でお貸しするもの、結婚貸し付けは結婚なさるときの貸し付け、それから住宅貸し付け等の組合員に対する貸し付けは、ほかの共済組合と同じように努力はしてございます。それで、それの条件とかお貸しするときの厳しさとかいうものは、私どもはほかの共済組合とは同じように十分緩やかにやっているというふうに理解しております。
ただ、恐らく組合員貸し付けの中で一番高いのは住宅貸し付けであるというようなことがございますので、住宅貸し付けになさる場合にはある程度のお年の方が多いのではないかということで、先生の御指摘がありました、私どものそういう貸付事業の規模が小さいから何か私学共済自体がほかの利子の高い方に一生懸命回すためにそうやっているのではないかというような御指摘でございますが、そういうことはないと私ども思っております。これは後ほど実態をお聞きいただきましても結構だと思いますが、そういうことだと思います。
それから、もう一つ、何かサービスのことがいろいろできないかということでございますが、例えば東京では湯島にガーデンパレスというのがございまして、あそこの宿泊施設とか結婚のあれはなかなか立派なものでございまして、ああいう方のサービスもかなりさせておりまして、例えば宮城会館につきましては六十年度に設計をしようとか、広島会館につきましては六十一年度オープンとか、今の時勢に合った若い女性にも気に入られるようなこともいろいろ努力をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/139
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140・江田五月
○江田委員 ひとつ大いに知恵を働かせていただきたいと思います。
私も新大阪の駅の近所の私学共済の会館に泊まらせていただいたことがありますが、ああいう普通のものと、また一風違う若い女性が気楽に泊まれるような知恵を絞るとか、いろいろあると思うので、よろしくお願いをしたいと思います。
ところで、年金というものについて、やはりこれからの時代、国民みんなが年金というものに対して確信を持っていくといいますか、年金の細かな、どうやったら得するとかいうような知識を広く普及させるということも重要でしょうが、そうしたことの根底に、年金というものに対する世代間の連帯だとか、この制度があって人間の世の中がこれからずっと成り立っていくんだということに対する信頼というか確信というか国民的合意というか、こうしたものをつくっていかなければいけないと思うのですね。現在、さあ二十歳になったら一体何ができるだろうか一私、去年の十二月十二日、国民年金の連合審査のときに伺ったわけですが、二十歳になったら例えばたばこが吸えます、酒が飲めます、選挙権ができます、結婚していいのはとか、運転免許はとか、いろいろあるけれども、二十歳になったら年金に入れますということがすぐびんとくる国民というのは非常に少ないだろうと思うのですね。そういうことではいけないと思うのですが、どういうふうにして国民的合意、国民的確信をつくり出そうというようにお考えなのか、これは厚生省だと思いますが、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/140
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141・長尾立子
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
先生御指摘のように、我が国は昭和三十六年以来国民皆年金ということになっておりまして、二十になられますと六十歳までの期間いずれかの形で公的年金に加入していただくということになっております。社会保険庁といたしましては、二十になられた成人という機会に年金への関心を持っていただくためのPRをできる限りやらせていただいているわけでございまして、二十になられたときに「国民年金からあなたへ」というようなパンフレットをつくりましてPRに努めさせていただいておるわけでございます。各市町村におきましても、成人のお祝いをされます機会にこれらの方方に年金への関心を持っていただくようなお知らせやPRをさせていただいておると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/141
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142・江田五月
○江田委員 二十歳の国民のうち、年金加入者はどのくらいの割合になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/142
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143・長尾立子
○長尾政府委員 二十歳の年齢でございますと学生さんがおられると思うのでございますが、学生さんにつきましては国民年金に任意加入ということになっておりまして、私どもの推計では、学生さんのうち任意加入されておられる方というのは余り多くないのではないか、大体二万人ぐらいではないかというような推計をいたしております。
国民年金の被保険者になられまして二十のところでの数でございますけれども、私どもの大ざっぱな推計では大体九万人ぐらいというふうに思っております。このほか厚生年金に被用者として入っておられる方、各共済組合に入っておられる方というのがおられると思うのでございますが、ほかの被用者年金における年齢で二十というところはちょっと数字の持ち合わせがございませんので、お答えをさせていただけないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/143
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144・江田五月
○江田委員 それは二十もないし、二十一歳もないし、二十二歳もないしですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/144
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145・長尾立子
○長尾政府委員 五歳刻みぐらいでございますと、厚生年金の場合には数字がとれるかと思いますが、一歳刻みの方でございますと、ちょっと難しいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/145
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146・江田五月
○江田委員 もうここでいろいろやりとりしていても時間がかかるばかりなんですが、きのういろいろ伺いまして、しかし、一体どの程度の例えは学生の場合任意加入できる人間がおって、そのうちどのくらい入っているかというような数字をなかなかおつかみになっていらっしゃらない。つかもうと思えばつかめないことはないんじゃないかと思うのですが、何か二十になったら年金についてのPRはされていると言うものの、そのPRの効果が一体どういうふうに上がっているかというサーベーも全然やらないというようなことが役所流のやり方ということなんですね。それは余りいいことじゃないような気がするのですがね。きちんともっと把握をしていってほしい。
今二十歳で大学生で国民年金に加入をしておれば、そのすぐ後に例えば事故に遭って障害を負うことになったら障害年金がもらえる。しかしそうでなければもらえない。この障害年金をもらっている人、それから入っておれば本来もらえたのにもらえていない人なんという数字も全然わからないというようなことなので、そんなことでは甚だ心もとないと思うので、ひとつ厚生省、大いに努力をしていただきたいと思うのですが、文部省の方ではこの年金教育というものをどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/146
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147・高石邦男
○高石政府委員 学校教育では、小中高の段階でそれぞれ国民生活の向上だとか福祉、社会保障制度を教えているわけでございます。したがいまして、教科書では、中学校の教科書あたりを見ますとかなり具体的に書いておりまして、例えば
国民年金や厚生年金などの社会保険制度がある。この制度では加入者のかけ金に政府の財政支出などを加えて、年金を給付することになっている。社会のために長年働いた人たちに安定した老後をすごしてもらうには年金の給付額ができるだけ高いことがのぞましい。しかし、労働力人口に対する高齢者の割合は、しだいに大きくなる。そのため、年金の給付額は年々増大する。そうなると、働き手の人々は、それだけたくさんの負担をおわなければならないことになる。こうした問題は、これからの日本の社会が当面する大きな問題であり、国民一人一人が考えていかなければならない
こういうように、かなり全体的な社会保障制度について教科書でも教えるようになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/147
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148・江田五月
○江田委員 昨年のやはり連合審査のときにそのことを伺いまして、そのときには「若干の簡単な仕組みの解説を加えるというような取り上げ方」ですということで、「まだ十分ではございませんが、」「今後私どもも年金の指導といいますか充実をしていきたいと思いますし、将来、教育課程の基準の改定の際などには十分配慮してまいりたいというふうに考えております。」そういうお答えですが、この一年間でそうすると教科書の記述が年金について変わったわけですか。今のお答えの記述というのは、ずっとこの間変わってないのですか。どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/148
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149・高石邦男
○高石政府委員 教科書は大体三年に一回検定をいたしますので、それぞれの会社が時代の趨勢を見て詳しく書くべきものは詳しく書いていく、こういう作業をやるわけでございます。したがいまして、こうした年金問題が大きな社会問題になればその面の記述がふえていくということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/149
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150・江田五月
○江田委員 その教育課程審議会が始まっているわけですが、ここではこの年金の問題は扱われることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/150
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151・高石邦男
○高石政府委員 ことしの九月に教育課程全体を見直すということで教育課程審議会が発足したわけでございます。したがいまして、この審議会は大体三年ぐらいかけて書く内容を検討していくわけでございます。具体的には教科書にどう記述するかはそこからはストレートに出てこないのでございます。
したがいまして、学習指導要領の基準にこういう事項について書いてほしいという項目を挙げる、取り扱いを正しく取り扱ってもらうようにするというような作業が学習指導要領の改訂という形で出てくるわけでございます。したがいまして、現在審議会では審議をしていただいておりますので、その答申を受けまして、そしてその答申に従って改訂作業をやるということになろうかと思います。将来の社会構造の変化というものは十分考えてまいらなければなりませんので、社会科等の取り扱いについてはそこの点は十分配慮されて取り扱われていくであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/151
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152・江田五月
○江田委員 私はこの年金についての物の考え方というのがまだ完全に定まってはいない。いろいろ議論の最中であるとは思います。社会保険としての年金、あるいは公的扶助としての年金、いろいろな考え方があると思いますが、将来ともやはりこの制度を本当に安定的に確実なものにしていくためには、困った人を裕福な人が助けるんだ、今の働き手が働けなくなった年寄りを助けるんだというそういうことをもっと超えた何かの社会的なコンブィテンスというのが要るんじゃないだろうか。つまり、人生の働ける時期、それからそうでなくて老後の時期、それぞれの人生の生活のスタイルとしての年金生活というものについて、子供からお年寄りまでみんなが確固たる信念を持っていくというそういう社会になっていかなければいけないのではないかというふうに思っているわけで、この点は、私がそう思っているから社会全部がそうだというわけじゃないので、いろいろ議論のあるところですけれども、やはりそういう意味での社会的革新というものを少しずつ広げていかなければならぬ。そういう意味で、教科書の記述というものにもひとつ十分意を用いてほしいと思います。
社会教育では年金というのはどういうことになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/152
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153・齊藤尚夫
○齊藤(尚)政府委員 先生も御指摘のように、年金は老後の生活の基盤をなすものでございます。そういう意味で、高齢化社会を迎えまして、社会教育の面でも最近高齢化社会の諸問題の一つといたしまして年金を取り上げている学習プログラムも見られるようになってきておるわけでございます。
その状況を簡単に申し上げますと、例えば、国の補助を受けて市町村が実施しております婦人学級あるいは成人大学講座、高齢者学級などにおきましても、「高齢化社会と年金、貯蓄」というテーマであるとか、あるいは「年金問題とその行方」といったテーマで学習が行われる例も見られるようになっているわけでございます。このほか、公民館の独自の講座でありますとか公開講座の中にも年金に関します学習内容を取り上げているものもあるわけでございます。
ただ、その状況はまだ必ずしも十分だとは言えないと思っております。特に現在、年金制度の変革期でもございますし、今後このような観点についての学習要求というものも地域の人々の中に出てくるのではないか。それにこたえられるような施策の展開をこれから図っていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/153
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154・江田五月
○江田委員 年金についての国民の関心を大いに高めていくというためには、例えば年金手帳をみんなにきちんと交付をする、持たせておくというようなことも大変意味のあることだと思うのですが、私学共済も改正後になりますと妻の年金権というものができてくる。この私学共済の妻にも年金の番号をつけて手帳を交付するということになりますか。国民年金、厚生年金の場合には、サラリーマンの妻にも番号をつけて手帳を交付する準備は進んでいるということですが、これは私学共済の場合はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/154
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155・長尾立子
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
私学共済の奥様の被扶養配偶者と、今回の法律の上で三号被保険者になられる予定の方につきましては、厚生年金の奥様方と同様に国民年金手帳の交付を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/155
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156・江田五月
○江田委員 妻の場合だけじゃなくて、本人の場合にも年金手帳を交付したらどうかという気がするのですが、今は組合員証というものがあるんだけれども、組合員証は一般には健康保険証と同じような意識でしか見られていないんじゃないかと思うのですが、これは検討してください。
厚生大臣がお見えになられましたが、時間が非常に詰まってしまいました。この前、連合審査のときに厚生大臣に国民年金にも二階建て部分をつくることをひとつ検討してはどうかということを伺いましたところ、所得の把握が困難なのでできないんだというお答えでしたが、それはそれでよろしいのですか。本当に所得の把握が困難であるから国民年金に二階建て部分ができない、これは理屈として本当に立つというふうに厚生大臣はお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/156
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157・山内豊徳
○山内政府委員 二階建て年金をつくることの難しさの一つとして、確かに大臣からもそのように答弁させていただいております。その意味は、年金制度として給付額に反映させるような形での所得額をつかまえることになお技術的な困難を感じているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/157
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158・江田五月
○江田委員 確かに、自営業者の皆さんなどの所得を把握することは簡単ではないでしょうけれども、しかし、自営業者の皆さんからも税金はきちんといただいておるわけで、これは所得をきちんと把握をしていないから税金のもらい方は非常に少ないんだという認識ですか。大蔵省、見えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/158
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159・加藤泰彦
○加藤説明員 国税当局といたしましては、限られた人員のもとで、適正かつ公平な課税を実現するために、広報、指導、税務相談等各種施策を推進して申告水準の向上に努めておりますほか、税務調査の充実等に従来からできる限りの努力を重ねてきておるところでございます。
事業を営んでおられる方々の申告水準につきましては、業種や業態等により所得の把握に難易があるということは事実でございますが、各種資料、情報等に基づく厳密な対象選定をいたしました上で、申告内容に特に問題があると認められる者に的を絞って税務調査をした結果によりましても、一部で言われておりますような大きな所得の把握漏れというものはない、多くの納税者は適正に申告をし、納税していただいているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/159
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160・江田五月
○江田委員 それほど信用できるかどうかというのもまたこれは問題でね。トーゴーサンピンで、政治家は一番悪いとかいうようなことも言われたりするわけですが、多くの人はきちんと申告をしていると言うと、これまたそうでもないのじゃないかと言いたくなるわけですが、しかし、所得の把握がまるっきりできないから、だから国民年金には二階建てができないのだと言うと、厚生省は大蔵省のことをまるっきり信用していないのかと言いたくなるのですがね。やはり私は言い逃れだという気がするのですね。
しかし、それにしても税金の申告というものがもうちょっときちんとなった方がいいという気はしますし、今時に税について適正な申告をしない、過少申告をする、そのことが不利益に結びついていかない。ばれて、犯罪とか重加算税とかになればそれは別ですが、そうでない場合には不利益につながらないということがあるから、節税節税ということに一生懸命になってしまうわけなんでしょうが、税金の申告というものをもうちょっと大事に考えて、これに社会的機能をいろいろつけていったらどうかという気がしております。
私も、この国会に来る前に裁判官というような仕事をしておりました。そうすると、例えば交通事故の損害賠償などで、収入を証明しなさい、去年の税の申告はこれだけですからこれだけの収入、いやいや、それは違うんです、私はもっともっと収入たくさんありましたなんということを平気で言う人がいっぱいおるわけですね。少なくとも税の申告をこのくらいといってしている場合には、公の助けを得たいときには、それをひっくり返して、自分は違ったのです、これだけたくさんありましたなんということは言えないという、そういうクリーンハンドといいますか、制度をつくってはどうだろうか。人身損害賠償の損害額の算定については、税の申告をしている場合には、その申告が虚偽であってもっと多いということは本人は言えないんだというような法律でもつくったらどうかと腹立ち紛れにひとつ法務省に伺ってみたいのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/160
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161・山崎潮
○山崎説明員 お答え申し上げます。
現実の裁判におきまして、申告しました所得よりもっと収入があるんだという主張・立証がされることが往々にしてあるわけでございます。このような主張・立証は確かにフェアではございません。また、裁判所といたしましても、その立証のために非常に時間を食うことになります。最後に認定をしなければいけないわけでございますが、その認定も非常に困難になってくるという面がございます。このような主張・立証は正面から是認されるべきものではないということはまさに先生が御指摘のとおりでございます。
しかしながら、先生もよく御承知のとおり、民事訴訟法といいますのは非常に技術的な法律でございます。そういうところから技術的な制約が伴うわけでございます。現在、民事訴訟法は証拠調べに関しましては自由心証主義という考え方をとっておりますが、先生御指摘のような考え方を入れますと一種の法廷証拠主義的な考え方を入れることになるわけでございます。そうなりますと、現行法の制度とうまく調和するかどうかという問題がございます。ただ、現在の制度におきましてもフェアでない証拠につきましては制限をしていくという法理が判例上形成されつつございます。このような面からも考えなければいけない問題がございます。しかしながら、損害賠償事件の訴訟といいますのは、この性質上は現実に被害者が幾らの収入があったか、将来にわたりその損害が幾らであるかということを確定するものでございます。そういう面からいきますと、やはり税の申告とは制度が違うわけでございます。その趣旨も違うわけでございます。そういうことから、このような考え方を現在法制度化するのはやや難しかろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/161
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162・江田五月
○江田委員 やや難しいことはそうだろうと思いますけれども、しかし、やはり税の申告ということは大変に大切な一人一人の国民の公的義務であるし、同時にそれは一つの権利なんだ、こういう申告をしておけばこういう利益があるんだということをつくっていくべきだという気はするのですね。
ところで、先日の連合審査で伺いましたときに、厚生大臣、国民年金の二階建て部分についていい案があれば検討するというお答えをいただいておったわけですが、私もいい案がないだろうかといろいろ考えてみました。付加年金というものが今ありますね。この付加年金は四百円でしたか、そして完全積立方式で公的扶助はあって、しかしスライド制はなくてということで制度化されているわけですが、これをもう少し拡充して二階建て部分というようなことにできないだろうか。あるいは地域年金といいますか、自治体年金といいますか、地域ごとにいろいろな知恵を絞って国民年金の上乗せ部分をつくるというような、そういう地域、自治体ごとの努力を全体としてエンカレッジするということはできないだろうか。いろいろ考えてみたのですが、こういう付加年金とか地域年金とかの可能性ありやなしや。
さらに、そういうものが無理な場合であっても、例えば二階のない人に限ってアメリカにある制度を日本でも検討してみてはどうか。その制度というのはIRAというのだそうですが、インディビデュアル・リタイアメント・アカウント、個人退職年金勘定、年間二千ドルの枠で、何歳になるまでにおろしたらだめだけれども、何歳以後の生活のために積み立てた預金を使っていくという場合に限って無税とするというような制度があるようです。こうしたものを日本でも検討するということはあり得るのじゃないかと思いますが、最初の二つが厚生省、最後が大蔵省、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/162
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163・増岡博之
○増岡国務大臣 国民年金に所得比例部分を導入するということは、今後の検討課題であることには間違いないと思うわけでありますけれども、先ほどから言われておりますように、所得の把握が公平にできるかどうか。この問題はよく世の中にクロヨンという言葉が言われておりますけれども、その実態がよくわかりません。そういうこともだんだん是正されていく時期というものもあろうかと思うわけであります。
それから、もう一つは、難しい方ばかり言って申しわけございませんけれども、比較的低所得の方々が多いということであります。したがって、現行の保険料の上にさらに上乗せをする、負担をしてもらうことが可能かどうかというようなことから、これまで検討課題となっておるわけでございます。
今さしあたっての御提案でございますけれども、よくそのことも検討はしてみたいと思いますが、ただいま承った限りにおきましては、やはり課題がありそうな気がいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/163
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164・小川是
○小川説明員 お話のございましたアメリカのIRAにっきまして詳細には存じておりませんが、現在我が国では公的年金につきまして受給段階に至るまで各種の税制上の措置がございます。この公的年金と今御指摘のあったような任意年金に対する課税のあり方の問題を含めまして、いずれも現在税制の抜本的改革につきまして税制調査会で御審議をいただいておりまして、その中でなお年金税制については専門小委員会でよく検討しようということになっております。その検討を待ちまして適切に対処してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/164
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165・江田五月
○江田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/165
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166・阿部文男
○阿部委員長 佐藤徳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/166
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167・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 私は、当面する共済年金改正の問題につきまして、幾つかの問題についてお尋ねをしたいと思います。
なお、前もって委員長にも御了解いただきたいのでありますが、先般行われました文教委員会で、我が党の田中委員、さらに中西委員、佐藤誼委員等が発言をされてお答えをいただいているわけでありますが、必ずしも満足した回答でないという私どもの理解でありますから、本人もいらっしゃっておりますので、お答えによっては関連して質問をさせていただくこともありますので、前もって御了解いただきたいと思います。
厚生大臣、出たり入ったり、大変お忙しいところを恐縮であります。
まず最初に、私がお尋ねしたいのは、日本国民である限り、何人であろうとも、あるいはまたすべての行政機関でも、憲法を逸脱することができないことは御承知のとおりであります。
そこで、私は、この年金にかかわりまして憲法第二十五条、御承知のとおり生存権、国の社会的使命の問題であります。これは一々読み上げなくても御承知のとおりでありますから、省略をいたしますが、公的年金制度は、憲法の条文で示されておりますとおり、健康で文化的な最低限度の生存権を保障するための基礎年金というのは国民所得の公平な再配分でなければならないし、そしてまた、先ほどからお答えにありますように、老後保障のために国は社会保障の増進に努めなければならない。つまり、憲法第二十五条に基づいて公的年金制度は確立をしなければいけないし、実施をしなければいけないのではないかと考えるわけでありますが、厚生大臣の所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/167
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168・増岡博之
○増岡国務大臣 国民年金、厚生年金等は、国民が老齢または障害または死亡によって生活の安定が損なわれることを共同連帯によって防止をしようという趣旨でございまして、したがって、その中身につきましても、例えば基礎年金におきましても老後の生活の基本的な部分をカバーするに足る額という考え方で五万円といたしておるわけでございまして、これはその費用も国費と一般加入者との負担になっておりますので、負担と給付という両面から考えて妥当な数字だろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/168
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169・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 現在の状況が国の財政の問題あるいは高齢化社会の急速な進展等によっていろいろ難問を抱えているわけでありますが、今お答えはいただいたわけでありますけれども、国民にとりまして最も望ましい公的年金のあり方というのはどういうあり方だと厚生大臣お考えですか。ちょっと聞きにくい点もありますので、元気を出して大きな声でひとつお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/169
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170・増岡博之
○増岡国務大臣 まず、制度間に公平性が保たれていなければならないと思います。それと、なおかつ各種の年金制度の基盤の安定をしておるということが必要ではないかと思います。この基盤の安定に関しましては、やはり給付と負担の両面ということを考えていかなければならない。そういうことによって基盤を安定し、制度間の公平を図っていくということが、公的年金を通じての理念ではなかろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/170
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171・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 それでは、具体的にお尋ねをいたします。
昭和六十年の四月八日に国家公務員等共済組合審議会会長船後正道名で竹下大蔵大臣あてに、また同日に地方公務員共済組合審議会会長内山鉄男名で古屋自治大臣あてに、あるいはまた四月十日には社会保障制度審議会会長隅谷三喜男名で中曽根総理大臣と竹下大蔵大臣に、それぞれ答申、意見を出しているはずであります。その答申、意見の内容と改正案との関係につきましてあるいはそれに基づく見解をお尋ねしたいわけであります。
まず最初に、国家公務員等共済組合審議会が大蔵大臣に答申をしたその冒頭に公益委員及び使用者委員の意見が載せてあります。すなわち、「公的年金制度は、長期間の拠出を裏付けに受給権を保障する制度であって、そのあり方は加入者やその家族の将来の生活設計に大きな影響を与えるものである。従って、給付と負担の両面にわたって長期的に安定し、世代間及び同一世代内の公平性が確保され、国民に信頼される制度でなければならない。」と書いてあるわけであります。私は、この意見はまさに憲法第二十五条の生存権を率直に取り入れた意見であると受けとめているわけでありますが、公的年金の根幹にかかわる問題でもありますので、これらの今申し上げました意見に対しての大臣の見解を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/171
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172・増岡博之
○増岡国務大臣 国家公務員共済法のことでございますので、私からお答えすることが適当かどうかと思いますけれども、公的年金全体の考え方として、ここに掲げてありますように、先ほどお話がありましたように「給付と負担の両面にわたって長期的に安定し、世代間及び同一世代内の公平性が確保され、国民に信頼される制度」ということでございますから、その給付と負担の両面にわたって長期的に安定するということは、だれもが納得し社会通念に応じたものでなければならないというふうに今感じておるところでございます。
〔委員長退席、白川委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/172
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173・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 まさに前段の答弁の中でも、基盤の安定、それから制度間の公平、そういう問題についてお答えがありました。
さて、私は、今申し上げました中身とお答えをいただいたことが、今度の改正年金問題に対してこれに沿った改正でなければいけないのではないか、こんなふうにも考えているわけであります。
さらに、文部大臣にお尋ねいたしますが、私学共済に限ってでも結構であります。今申し上げました答申、意見の中に、引き続いて次のことが述べられています。「今回のような大改正に当っては、改正の趣旨、内容等について組合員及び年金受給者の理解と納得を得ることが必要であり、そのために最大の努力を払うべきである。」こう実は指摘しているわけであります。私学共済担当大臣でありますから、その立場から、本改正案というのは組合員及び年金受給者の理解と納得を得たと判断をされますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/173
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174・松永光
○松永国務大臣 大綱におきましては理解が得られたものと思っております。特に私学共済組合の代表の人が、午前中に御議論がありましたように、四項目にわたっての特別の陳情等もあったわけでありますが、それにつきましても、それなりのことが織り込まれて今回の御審議を願っておる案になっておりますので、大筋においては理解が得られたものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/174
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175・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 見解の相違もありますから、理解が得られたかどうかについては、議論が進行していく中でそれが事実として明らかになってくるであろう、こう私は思うのです。
厚生大臣、大変お忙しいところ、ありがとうございました。後は厚生大臣抜きでも審議させていただきますから、御退席されて結構でございます。
それでは、次にお尋ねをいたします。
改正案本則第二十三条を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/175
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176・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今回の改正におきましては、先生御指摘のように、本則の第二十三条の規定を改正いたしまして、年金額の算定基礎となる平均標準給与月額につきましては、現行の原則、退職前一年間の平均から、組合員期間全期間の平均とすることといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/176
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177・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 それでは、附則の第四条一項の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/177
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178・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 お答えを申し上げます。
改正法の附則の第四条の規定でございますが、これは今度の法律案の施行日は昭和六十一年四月一伯を予定しておりますが、それ以後の組合員の期間と施行日前の組合員期間を有する者につきまして、その施行日前の組合員期間に係ります平均標準給与月額を計算する場合の計算方法を定めたものでございまして、具体的には、施行日まで引き続いている期間に係ります標準給与月額につきましては、施行日前五カ年間における標準給与の月額の平均額に国家公務員共済組合法案が今度の政令で定めることとしております補正率を参酌いたしまして政令で定める比率を乗じた額とする等の措置を定めているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/178
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179・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 引き続いて、恐縮でありますが、同条第三項の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/179
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180・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 同条第三項につきましては、これは既に施行日前に一度退職している者のその退職したまでに引き続いている期間に係る標準給与月額につきましては、その退職前の一年間におきます標準給与の月額に国家公務員共済が政令で定めます五年換算率を参酌して政令で定める比率及び一項の政令で定める比率を乗じて得た額とするということでございます。
それで、今、私が申し上げましたのは第二項でありまして、第三項は、そのほかに施行日前の組合員期間に係る平均標準給与月額の算定に関し必要な事項は政令で定めるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/180
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181・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 午前中の伏屋委員の質問の中で、大分やりとりがあった、三分の一、三分の二の問題であります。理事長さん、立て続けにお尋ねして恐縮でありますが、以下の点についてお答えをいただきたいと思います。重複をする部分もあるかもしれませんが、次の質問の関係でお許しをいただいて、お答えをいただきたいと思うのであります。
五年以下の者、そう言えばおわかりだと思いますけれども、人数は一体何人になるのか。それから、有利になると言われる三分の二の人数はどのくらいなのか。そして午前中お答えになりました不利になる者と見られる者の人数はどのくらいなのか、その数を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/181
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182・保坂榮一
○保坂参考人 お尋ねの五年以下という者の人数でございますが、これは十五万人でございます。端数といいますか、それは丸めでありますが、十五万人であります。
それから、有利、不利に関係ある者の数は十九万人、そして、その計算で有利になる者の数は十三万人であります。それから不利になる者の数は六万人でございます。これも、いずれ補正率が正式に決まっておりません、独自の補正率計算をもって私学共済で推定したものでございますから、正規の補正率には関係ないものでございます。その数が今の数でございます。
そして、先ほど不利になる者の比率、三分の一が不利になるという概数を申し上げましたのは、これは有利、不利に関係ある者十九万人に対して六万人、これが約三分の一になるということでございまして、先ほど五分の一ほどが不利になる者と申し上げましたそれは、組合員総数三十四万人に対して、したがって五カ年以下の十五万人の方は有利、不利に関係ございませんので、この数を加えた数に対して約五分の一、そう申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/182
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183・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 それでは、先ほど厚生大臣に私が質問をしてお答えをいただいたことはお聞きになっているとおりでありますが、まさに審議会が答申、意見を出しましたその中身を引用して読ませていただいたわけであります。さらに、大臣答弁もまさにそのとおりであるという理解の答弁があったわけでありますが、有利な者があって不利な者が出るということは、先ほどの年金担当大臣である厚生大臣の公平性の問題からいったらどういうふうに理解すればよろしいのですか。公平だとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/183
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184・保坂榮一
○保坂参考人 先ほども申し上げましたが、一部に正確な給与記録のない組合員がありましたことと、また、従来私学共済組合は、法規の上でも運営の上でも、重要なことは国家公務員共済に準ずるという立場がございます。そして、国家公務員共済は諸手当に対する給与記録が全くないために、五年で補正率を掛けてという措置をとっております。また地共済も同様の措置をとっておりますし、私学共済と同様な立場にあります農林年金もそれをとっております。それで、五年平均で補正率を掛けてという方法をとらしていただいたわけでございます。そしてその形での、私どもの全くの試算にあります有利、不利というのが出てまいりますことは、今回の法改正の趣旨に照らしてその点はいたし方ない、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/184
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185・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 私はそういうことを聞いているのじゃないですよ。先ほどの厚生大臣の答弁の公平性の問題について、三分の一と三分の二の有利な者と不利な者が明らかであるということを午前中の委員会の中でもあなたが答弁しているわけでしょう。不利になる者が三分の一いるということは事実なんでありますから、そうだとすれば、厚生大臣の答弁の公平性という問題についてどうお考えか、公平なのか不公平なのか、端的に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/185
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186・保坂榮一
○保坂参考人 今回の法改正はすべて給付額の減額という点が出てくるわけでございますが、そういう点で、ただいまの附則による措置によってその間有利になる、不利になるということは、五年平均で計算した場合とを比べてのことでございまして、そういう点での有利、不利というのが出てまいりますことは、今度の法改正のあれから考えて公平性を損なうというものではないというふうに理解いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/186
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187・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 それはあなたの答弁は矛盾してませんか。六万余の人たちが今度の改正によって不利になるということが明らかだとおっしゃっているわけでしょう。不利になることがやむを得ないかどうかは別にいたしまして、公平の原則からいったら不公平でしょう。端的に言ってください。大臣答弁と違うのだから、あなたの答弁が。公平性を保たなければいけないという先ほどのお答えなんですよ。公平性が損なわれているのじゃありませんか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/187
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188・保坂榮一
○保坂参考人 有利になる、不利になるという点は、その計算の上で差が出てくるということでございまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/188
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189・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 そんなことを聞いているんじゃないのですよ。公平なのか不公平なのかを聞いているんだから。この審議の基本でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/189
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190・保坂榮一
○保坂参考人 それは、それによって計算していますところで出てくる差なものですから、それが本人の利害を害する公平、不公平という形ではとらえませんでしたけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/190
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191・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 恐縮ですけれども、昭和六十年二月一日付であなたの名前で松永文部大臣に、「「共済年金制度改革の方向」に関する要望」というのを出しているのですよ、御承知でしょう。この要望の第二項、大臣がこの前答弁されましたけれども、この要望に基づいて三分の一の問題が出てきたのではないですか。そうだとすれば、あなたは重大な責任を負わざるを得ませんよ。だから、公平なのか不公平なのかを聞いているのですから、端的に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/191
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192・保坂榮一
○保坂参考人 統一方式で行いましたものですから、そこに差は出てまいりますけれども、それが公平か不公平かということは問題が別というふうに考えました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/192
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193・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 現実に三分の二の者が有利になって、三分の一の者が不利になるというお答えでしょう。不利になる者についてはそれはやむを得ないからそれでも公平なんだということですか。明らかに不公平じゃありませんか。大体、法律というのは公平の原則に立ってすべての法律が成り立つようにしてあるわけでしょう。だから、あなたの名前で出されたこの要望書に基づいていけば、三分の一が不利になる者が出てくるのですよ。大臣答弁では、この要望書が出てまいりましたからそれを受け入れましたとこの前答えたじゃありませんか。そうすると、私立学校共済組合理事長名で出したこの文書自体にもあなたの責任は重大な責任があるということを言わざるを得ませんし、さらにつけ加えてお尋ねいたしますが、まだ公平、不公平の問題は決着がついていませんからね。その問題を含めまして、それでは何を基準にして三分の二と三分の一がはじき出されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/193
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194・保坂榮一
○保坂参考人 私どもで考えました補正率を掛けましてあの計算をした結果でございまして、そこに差が出るということは事実でございますが、それはそれによって行ったことでございますから、それが公平か不公平かということは考えませんでした。確かに差が出ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/194
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195・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 それは答えにならないでしょう。だから私は、先ほどわざわざ何回も立っていただいて、附則の第四条一項、同条三項の説明を求めたのはそれなんですよ。何を基準にしたのですか。補正率の場合については政令で定めるとさっき説明があったでしょう。政令が出ないうちになぜ一体こういうものが出てくるのですか。その基準を示しなさい。あとは公平性の問題です。この問題が解決できない限り審議できませんよ。政令が出ないうちに補正率が何で出てくるのですか。あなたたちが試算したその補正率の基準を示しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/195
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196・保坂榮一
○保坂参考人 政令で補正率が出ません限りそれはわからないのでございます。それで先般の会で、その補正率が出ないからと申し上げましたが、それは私学共済の方で考えていた補正率でいいというお言葉でございましたので、私どもの方は、私学共済組合の加入期間で分類してその一人当たりの平均給与を算出し、それによって各時点ごとの直近五カ年平均と全期間平均との比率から、これはもちろん正式な補正率ではございません、仮の補正率を算出してその計算をしたわけでございます。それで、三分の一、三分の二と申し上げましたが、あのような差が出るわけでございますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/196
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197・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 だから、仮の補正率を立てられてそれではじき出したからというお答えでしょう。しかし、私は仮の補正率そのものが問題だと言っているのです。そうじゃありませんか。政令が出ないうちに、前回の委員会の経過もありますから、私もよく承知しておりますけれども、しかし仮の補正率を設定すること自体に問題がある。例えば、こういう委員会でいろいろなお答えがなされた。結果的に政令が出たと仮定します。もっと不利な者が出た場合についてどう責任をとるのですか。出ないという保証はありますか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/197
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198・保坂榮一
○保坂参考人 私どもの方は、補正率が出ませんのでそれは資料としては出せないということを申し上げましたが、それは私学共済の方で仮に考えた補正率でよろしいということでございました。それで、先ほど申し上げた私学共済なりに持っております資料から出しました仮の補正率でさきの数字を御報告申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/198
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199・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 それでは重ねてお尋ねいたしますが、政令が定まって補正率が出て、三分の一でなくてもっと大勢の人たちが不利な状況になったときにはどういう責任をおとりになりますか。あなたが仮の補正率と言うから、私も仮定の上に立ってお尋ねいたします。それは一人や二人の問題じゃないのですよ。私学共済全体にかかわる問題だから私はこの問題について立ち入っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/199
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200・保坂榮一
○保坂参考人 私どもの方は、組合員には同一方式で行うのが公平であるという考えが基礎にありまして、あのような計算をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/200
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201・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 それは答えにならないのですよ、だって公平なのか不公平なのかの答えもまだいただいていないのですから。子供だってわかるじゃありませんか。三分の二の者が有利で三分の一の者が不利になるというデータを皆さんが出されているのですよ。御承知でしょう。三分の二程度の者が少なくとも有利になると推測されるという意味は、裏返して言えば三分の一の者が不利になるということなんだから。どうもその辺理解ができませんし、納得ができません。
なお、冒頭に申し上げましたように、前回質問いたしました同僚の我が党の田中委員がさらに補足して質問させていだきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/201
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202・白川勝彦
○白川委員長代理 関連質問を許します。田中克彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/202
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203・田中克彦
○田中(克)委員 さきに質問いたしました関係から関連してお伺いをするわけですが、今理事長から公平であるか不公平であるかという点についてまだお答えをいただいておりません。三分の一、三分の二という振り分けになると仮定をいたしましても、振り分けられることによって有利、不利が出ることは明らかに不公平であることはお認めになりますね。答えてください、簡単な質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/203
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204・保坂榮一
○保坂参考人 そのような計算方式でやりますれば給与に差が出るということは私学共済だけではございませんで、他の共済も、国共済もすべて同じことでございます。(田中(克)委員「私の質問に答えてください」と呼ぶ)それは同一の計算方式で行いましたので、そこに差ができてくるのは、全期間平均で行うのと差ができてくるのは同様でございますが、この同様な事情は私学共済だけのことではございませんで、他の共済も同じ事情にあるかと思います。(田中(克)委員「不公平ですね」と呼ぶ)不公平……(「公平か不公平か、それが整理できないうちはだめだよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/204
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205・田中克彦
○田中(克)委員 このことがはっきりできなければ質問続きませんよ。簡単なことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/205
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206・白川勝彦
○白川委員長代理 ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/206
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207・白川勝彦
○白川委員長代理 速記を起こして。
暫時休憩いたします。
午後三時十六分休憩
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午後四時一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/207
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208・阿部文男
○阿部委員長 これより再開いたします。
保坂参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/208
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209・保坂榮一
○保坂参考人 先ほどの答弁を申し上げます。
基準のとり方で、記録のない人は五年方式として、その他の人は実績をとるという方法が一つございます。またもう一つは、全員について五年方式をとるという方式がございます。私は、この先に述べました方の方法でいたしますと、同じ組合員間に適用する基準が異なるということになりますので、全員が共通の基準で計算できる後の方で申し上げました方法がよいと考えてこの方法を要望いたしました。この方法をとる限り組合員間の公平、不公平の問題は生じないと考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/209
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210・田中克彦
○田中(克)委員 今の理事長の答弁だと、どうしてもそれは納得できません。私が聞いているのは、一昨日の質疑の中でも、きょうの午前中の質疑の中でも、また佐藤委員の質疑の中でも、私学共済は、この制度を採用した場合の前提に立って試算をした結果、三分の二は有利になり、三分の一不利になる、こういう説明を繰り返ししてきたわけです。そういう振り分けが出をということは公平を欠いていますねという質問を私がしているわけです。ですから、そのことについて欠いているかいないかを答えていただけばいいわけで、今の御答弁でありますと公平を欠いていない、こう言われましたけれども、それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/210
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211・保坂榮一
○保坂参考人 先ほど私が申し上げましたとおり、同一基準で行うということが公平、不公平は生じないものと考えておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/211
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212・田中克彦
○田中(克)委員 委員長、先ほど席をあけておりましてお聞きになっておりませんけれども、同じことが繰り返されているのです。このことがはっきりしませんと次の質問に入れないわけですよ。そんな難しいことを聞いているわけではありません。三分の一と三分の二の振り分けがされるという制度上の選択が公平を欠いていないかと聞いているわけですから、そのことを認めますかと聞いているわけですから、これについて率直に答えていただければいいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/212
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213・阿部文男
○阿部委員長 保坂参考人に申し上げます。
答弁はひとつ明快にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/213
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214・保坂榮一
○保坂参考人 公平、不公平という問題に関する限り、私は、先ほど申し上げました第二の方法、同一基準で同一方法をとるということによって、すべての私学共済の組合員がその方法のもとに行われますので、公平、不公平は生じない、そう考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/214
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215・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 どうも同じ繰り返しで、答えになっていないと私は思うのです。だから、休憩以前の問題に引き続いているわけです。
そういたしますと、皆さんから出された資料ないしは午前中の答弁、前回の文教委員会における答弁は、明らかに三分の二の方が有利になる、三分の一の方が不利になる、こうおっしゃっているわけでしょう。それは認めますか、認めませんか。やむを得ませんから繰り返します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/215
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216・保坂榮一
○保坂参考人 同一基準の方をとりました結果、さきに申し上げました一の方法と比べてそういう有利、不利の者ができるということは申し上げましたので、それは認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/216
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217・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 そうだといたしますと、また繰り返しで恐縮でありますけれども、厚生大臣答弁というのは明らかに公平性を強調されているのですよ。そういたしますと不公平になるんじゃありませんか。三分の一が不利になるということは、三分の二と比較した場合に不利になることは明らかでしょう。だから、不公平としてお認めになりますか、こう聞いているのです。公平か不公平かおわかりになりませんか。片方が有利で片方が不利の場合については公平さを欠くでしょう。こんなことが明確にならない限りは審議できませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/217
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218・保坂榮一
○保坂参考人 公平、不公平という問題につきましては、先ほど答弁申し上げましたあのとおり考えましたのでございますので……(「そんなばかにした答弁があるか、審議できない、何でそんなにこだわるのか不思議だ」と呼ぶ者あり)制度上の選択によって部分的に不公平が生ずる場合もあると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/218
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219・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 そういたしますと、今のお答えではまさに不公平であるという認識であることはわかりました。そういう理解をしてよろしいですね。不公平であるという理解をすることはよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/219
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220・保坂榮一
○保坂参考人 先ほど申し上げましたように、制度上の選択によりまして部分的に不公平が生ずる場合もあると考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/220
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221・佐藤徳雄
○佐藤(徳)委員 不公平なんでしょう。部分的であろうと何であろうと不公平なんでしょう。しつこいようですけれども、不公平であるという理解をしてよろしいのですね。(「不利益はあるけれども不公平はない」と呼ぶ者あり)発言者は私です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/221
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222・保坂榮一
○保坂参考人 部分的に不公平が生ずる場合もあるというふうに申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/222
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223・田中克彦
○田中(克)委員 午前中の伏屋質問に対する五十嵐審議官の答弁の中にもありましたが、まさにこの問題は有利、不利の選択ではなくて制度の選択の問題だ、こういうふうに答えておられました。私も実はそう思っているわけであります。今お答えにありましたように、部分的にしろ全体的にしろ不公平と矛盾の生ずる制度を選択するりか、そういうことが生じない制度を選択するのかということになれば、生じない制度を選択することの方がだれが考えても正しいということになります。
そこで、私はさきの文教委員会でもお尋ねをしておりますように、現行平均標準給与月額は退職前一年の平均を原則としているけれども、その額が組合員であった全期間の平均額よりも少ないときは、全期間の平均額をもって平均標準給与月額とすることができますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/223
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224・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私どもの現在提案しております制度では、先ほど申しましたように、施行日前の期間に係る平均標準給与月額については、施行日前の五年間の標準給与月額の平均額に政令で定める補正率を乗じて算定をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/224
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225・田中克彦
○田中(克)委員 私の質問に答えていません。私が言っているのは、本法第二十三条第二項によって、現行の平均標準給与月額が、退職前一年の平均を今は原則としているけれども、その額が組合員であった全期間の平均額より少ないとき全期間の平均額をもってその平均標準給与月額とすることができる、こう決められていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/225
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226・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 選択が三つありまして、一つはやめる直前の一年間……(田中(克)委員「できるかできないかを聞いておるのですよ」と呼ぶ)ちょっとお答えをさせていただきたいと思います。それからもう一つは退職前の三年間、それから全期間、その三つの選択がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/226
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227・田中克彦
○田中(克)委員 できるということを今お認めになりましたね。そういう前提が一つあります。
それから、今までの審議の中で明らかになっておりますように、恩給財団加入の教職員が給与表がない。ほかの人はみんな給与表があるわけですよ。だから、それを採用すれば標準給与月額の計算はできるはずです。ただ、できない人の場合に読みかえ規定がある。附則第十五項によってこの読みかえ規定を適用すればそれができる、これもそのとおりお認めになるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/227
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228・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今私どもが提案しておりますのは、一つの方法しかないということで提案をさせていただいておるところでございまして、これは先ほど御答弁を申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/228
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229・田中克彦
○田中(克)委員 私が言うのは、できるかできないかということを聞いているわけですよ。できるでしょう。だとすれば、さきに申し上げましたように、五年間の平均給与から平均標準給与月額を出すよりも、給与表はある、それから平均が低い人は全期間を通しての平均額を平均標準給与月額としてとる方法がある。それから恩給財団に入っている人の場合は、この読みかえ規定を適用すればそれもできる。そうなれば最も的確に公平に、そのものずばりでできる方法が合法的に成り立つじゃありませんか。そうすれば、どちらの方法を選択するかの問題だ、こういうように伏屋さんの質問にお答えになりましたけれども、どちらの方を選択するかといえば、最も公正で的確にできる方法を選択することの方がより私どもが選択すべき方法ではないかということになるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/229
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230・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 今私が申し上げておりますのは、今先生のおっしゃっておりますのが現行制度ということでありますれば、今御説明申し上げましたような三つの方法があるということでございます。現在とり得るのは、全期間を給与実額に基づいて算出する標準月額で求めもか、あるいは五年間の標準給与月額をもとにして全期間を推計するか、この二つの方法しかないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/230
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231・田中克彦
○田中(克)委員 だから、私が言っておりますのは、改正案は今審議をしているわけでありまして、今の制度の問題が、実際には可能であれば、より的確に公平にいく方法の方を選択することの方が私どもは法案審議をする場合に正しいのではないか、それを言っているわけです。何も今提案している案にそれほど拘束されて私どもが議論することはないじゃありませんか。これから法案を決めていくのでしょう。だから、午前中の答弁にあるように、どちらの制度の選択かということであれば、より公平に、より正確に標準給与が決められる方法の方を選択するということの方が当然じゃありませんか。だから、私は、私学共済の方にもそういう意味でこの間からお伺いをしているわけです。そのことはお認めになるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/231
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232・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 これは午前中の審議の過程でも申し上げておりますように、四共済の法案にっきましては同じ方法をとっていこうということがまず基本にあるわけでございまして、今私が申し上げております二つの方法は、四共済法案の中に選択としてその二つがあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/232
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233・田中克彦
○田中(克)委員 それは前段の佐藤質問の前提にありました審議会の答申の中にもありますように、それぞれの制度が持っている特徴や特殊な事情というものはあるわけです。そういう事情というものを考慮しながらどういう公平性を保っていくのかということがこの法案の審議のポイントじゃありませんか。何でも機械的に政府の方が方針を決めて統一的にやらなければならないからやるということで、国家公務員に準じさえすればいいという単純な考え方では私学の実態に合わないという観点から私どもは議論をしているわけですから、そのことの方がより私学の実態に合う、それで公平性が保てる、より的確な標準月額の求め方になるということであれば、その方法の方を選択するということに法案を近づける、そのことが我我の責任じゃありませんか。あなたの言うのは、あくまでも政府の考え方の前提に立ってそれを逆に我々に押し当てようとしている。まさに逆さまですよ、我々は審議をしているんだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/233
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234・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私どもが御提案申し上げました法案が私どもは一番いいと思って御説明をさせていただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/234
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235・田中克彦
○田中(克)委員 そんな答弁はないよ、それは取り消せよ。国会を何と心得る。そんなことなら審議要らないじゃないか。(発言する者あり)今の答弁はだめだよ、あんなことでは。取り消せ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/235
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236・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私どもがこの五年間の標準給与月額の平均額からとるようなことを考えましたのは、先ほど申しましたように、給与記録の全くない組合員が三百十人いるということでございますので、その者につきましては一定の推計というものをせざるを得ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/236
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237・田中克彦
○田中(克)委員 今の答弁以前に私は五十嵐審議官に前言を取り消してもらいたい。少なくとも、法案を審議している国会に向かって、政府の提案しているものが絶対的であるような認識のもとに、我々にそういう挑戦的な態度をとるのはけしからぬよ。国会でしょう。訂正を求めますよ、先に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/237
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238・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 私の言葉の説明が不十分でございまして、申しわけございませんでした。
私どもといたしましては、最大限私どもの考えておりますことを御理解いただくという意味で申し上げた趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/238
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239・田中克彦
○田中(克)委員 もう一度整理をして申し上げますと、原案は原案として出ております。私どもは、原案として出たものをいろいろ検討した結果、ほかの制度との比較、また私学の持っている特徴、特性、また事情、そういうものを検討して、より公正でより的確な方法が求められると思うから意見として出しているわけですよ。そうでしょう。それがもしできないならば別ですけれども、さっき申し上げましたようにできる方法はある、方法として可能である、給料表もほとんどの人が残っている、それからわずかに恩給財団から給与をもらった人の関係というのは三十四万人の中で三百十人にすぎない。そのわずか三百十人の人のために全体の公正が欠けるようなことをしてはならない。だから、もっとより全体に公正な方法がないかということで検討した結果、本法の第二十三条第二項の適用や本法の附則第十五項を適用すれば、完全に今問題になっているようなことは解消される。だから、その方法をとることの方がより正しい選択になるのではないかということで問題を出しているわけでありますから、そのことについての判断というものはこの国会が決めるべきものだと私は思うわけです。だから、そういう方法がとれるかとれないかを聞いているだけであって、政府が出している案が正しいとか正しくないとか、そのことを言っているわけではありません。そういう方法をとろうとすればできるでしょうということを聞いているわけです。できますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/239
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240・五十嵐耕一
○五十嵐政府委員 それでは、事実関係に即しまして御説明をさせていただきます。確かに、先生の御指摘のように、現在の私学共済組合法におきましてはほとんどの者の給与記録はあるということは事実でございますから、そういうことに基づいて計算は可能であるということでございます。ただ、もう一つは、いまさっき申し上げておりますように、三百人につきましては一定の仮定を設けなければ計算はできないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/240
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241・田中克彦
○田中(克)委員 今の答弁で若干後段に不満はありますけれども、私どもが提起した問題は可能である、こういうことだけは明らかになりました。したがって、あとの問題につきましては、私学の実態をさらによく精査をしていただいて、方法としてより公正、より具体的、現実的な方法を選択をする審議を尽くしてもらいたい、そのことを最後につけ加えて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/241
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242・阿部文男
○阿部委員長 次回は、来る二十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することといたします。
なお、関係委員長と協議の結果、明二十八日午前九時五十分から大蔵委員会地方行政委員会文教委員会農林水産委員会社会労働委員会運輸委員会連合審査会を開会いたしますので、あらかじめ御了承願います。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305077X00519851127/242
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