1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年十一月二十六日(火曜日)
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議事日程 第七号
昭和六十年十一月二十六日
午後一時開議
第一 特定石油製品輸入暫定措置法案(内閣提
出)
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○本日の会議に付した案件
春日一幸君の故議員中野四郎君に対する追悼演
説
議員請暇の件
日程第一 特定石油製品輸入暫定措置法案(内
閣提出)
午後一時五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/0
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001・坂田道太
○議長(坂田道太君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/1
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002・坂田道太
○議長(坂田道太君) 御報告いたすことがあります。
議員中野四郎君は、去る十月二十一日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
同君に対する弔詞は、議長において昨二十五日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
〔総員起立〕
衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議
をもつてその功労を表彰され さきに社会労働
委員長予算委員長公職選挙法改正に関する調査
特別委員長等の要職につき また国務大臣の重
任にあたられた議員正三位勲一等中野四郎君の
長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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故議員中野四郎君に対する追悼演説発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/2
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003・坂田道太
○議長(坂田道太君) この際、弔意を表するため、春日一幸君から発言を求められております。これを許します。春日一幸君。
〔春日一幸君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/3
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004・春日一幸
○春日一幸君 ただいま議長から御報告がありましたとおり、本院議員中野四郎君は、去る十月二十一日突如御逝去なされました。まことに哀惜痛恨のきわみに存じます。
私はここに、諸君の御同意を得て、議員一同を代表して、謹んで追悼の誠をささげます。
中野君、君は、明治四十年一月二十五日、愛知県碧南市新川の御出生、当時、貧乏で難儀を重ねておられた御両親は、君が小学校を卒業されるや「まず男子は腕に職を持て」と心配られて、君を農機具屋の奉公に出されました。しかし、栴檀は双葉より芳しとやら、君は、年少にして既に青雲の念やみがたく、十三歳のとき単身上京、新聞配達などで稼ぎながら、私立豊山中学に入学されました。
その後君は、幾多苦労の過程を経て、幸いにも時の萬朗報の主筆、大正デモクラシーのパイオニア、茅原華山先生の知遇を得、その門下に加えられ、自来、親しくその御薫陶をお受けになりました。これぞ君がその生涯を政治一筋にささげられることになった天の配剤と申すべきか、ありがたいことでありました。
かくて君は、昭和十三年、三十二歳にして東京牛込区会議員に初当選され、政治家としての第一歩を踏み出し、次いで十七年には、一躍東京市会に進出、そこで君は、抜群の行動力をもって戦前、戦中の区政、市政に大きく貢献されました。
このようにして鍛えられた君は、終戦直後の二十一年四月、旧憲法下最後の衆議院総選挙に晴れて郷土三河から決然立候補、堂々たる初当選で、年来の素志を遂げられました。以来、衆議院に当選されること通算十三回、かくて君は、いぶし銀のような重厚な肌合いで、与野党を通じ、中央政界に重きをなしてこられました。
ここに、戦後四十年にわたる君の足跡を顧みるに、君は、昭和二十二年日本農民党を結成して中央執行委員長となり、二十七年には改進党と合同してその中央常任委員に選任されました。一方、国会にあっては、あの迫力に満ちた熱弁で事あるごとに壇上に立ち、特に戦後早々のころには、隠退蔵物資特別委員会の主要メンバーとして仮借なく不正を摘発し、また、戦時中政府買上げの金、白金、ダイヤ等、当時日銀保管の貴金属についても公正厳格なる処分を求めるなど、剛直中野四郎の名を天下にとどろかせたものであります。(拍手)
君はあのころ、このようにして新進気鋭の議員として、鋭い弁舌とたくましい行動力で勇壮活発な議会活動を展開しておられましたが、それは、君の著作に述懐されておるとおり、すなわち、君が私淑された尾崎行雄先生の厳しい教訓たる「私心なく、清い心で決断と実行を」をモットーに切磋琢磨されたたまものと言えましょう。
しかるに君は、その後、不幸にも二回続けて落選の憂き目に遣われましたが、折しもそのとき、地元に望まれて碧南市長として二年間就任されることになりました。生まれ故郷に親しく奉仕できるのはこのときと君は、中央政治で培われた貫禄でてきぱきと市政を統裁されましたが、わけても、雄大な構想に基づくあの衣浦重要港湾づくりを推進されたことは、永く後世に伝えられる君の偉大な御功績と言えましょう。
かくて雌伏四年、君は、再起を期して三十五年の総選挙に自由民主党公認候補として立候補、見事衆議院に返り吹かれて、自来、四十七年の選挙を除いて毎回当選、盤石不動の基礎を固められました。
この間君は、党にあっては、代議士会長、国対委員長、総務会筆頭副会長等々を歴任され、院にあっては、社会労働委員長、予算委員長、懲罰委員長、さらには公職選挙法特別委員会委員長等の重責を担い、終始国会運営の枢機に立って敏腕を振るわれ、その傍ら、総理府売春対策審議会委員、在外財産問題審議会委員、国土審議会委員として、売春対策、麻薬対策、在外財産処理、国土開発等々幾多の難問題に身を尽くしてこられました。
特に君は、環境衛生業の安定と振興に情熱を注ぎ、環衛業者に対する甚だ不利な金融制度を改善するため、昭和四十一年、まず国民金融公庫の中に環境衛生貸付部を新設して、ここにとりあえず二百億円の特別枠を設定し、次いで四十二年度の国会では、あの環境衛生金融公庫法の成立に当たって、君は深夜にわたり身を挺して奮闘されました。
例えば、あの日、君が御母堂には病状深まって御危篤の知らせがあり、その後、幾時間も経ずしてこの世を去っていかれましたが、親孝行な君として、御母堂の末期にもお会いできなかったその御心中はどのようでありましたことか、頭の下がる思い、ただただ敬服のほかはございません。
君は、このようにして事に臨んでは秋霜裂帛、思い起こせば、国対委員長在任のときには、あの日韓基本条約の締結や建国記念日の制定などに、君は与野党折衝に骨身惜しまず奔走されました。また君は、前後三たびにわたって予算委員長の大役につかれましたが、その鮮やかな采配ぶりは、おのずと議事の進行を和ませて、さすが千軍万馬の指導者と野党からも高く評価されました。
かくて君は、その豊かな識見と輝かしき実績を踏まえて、昭和五十三年十二月、第一次大平内閣の国務大臣、国土庁長官として国政の大事に参画されました。私は、君がこの本会議議場ひな壇にさっそうとしてデビューされたあの日の莞爾たる晴れ姿を、今ここに懐かしく思い浮かべるのであります。君の入閣に郷土西三河は喜びに沸き立ち、君がお国入りして郷土ににしきを飾られたとき、その沿道は目の丸の旗と歓迎の人波で埋められましたが、情熱多感の君は、さぞや男子の本懐、政治家の冥加と、それこそ感無量にあられたことと拝察いたします。
国土庁長官たりし君の治績は、国民生活の安定と向上を目指して多面にわたり、例えば、地震防災対策の強化、第三次全国総合開発計画の主柱たる定住圏構想の策定、個人の長期譲渡所得課税の緩和などによる土地対策の改善、広域流域圏水源地対策の樹立、その他首都改造や地方振興政策の推進などなど、幾多の改善、改革を次々に断行されました。
このように君は、国務大臣として一段とその輝きを加えておられましたが、折しも五十四年の総選挙で、君の与党は過半数を割って敗北されました。きっすいの議会制民主主義者たる君は、この敗北の責任を痛感して厳しく大平総理に迫り、志入れられずとして直ちに辞表を提出されました。有言実行、君の面目躍如たるに、当時、私どもは深く感服いたしました。
このようにして我が国政に数々の功績を積まれた君は、昭和五十六年一月二十六日永年在職議員として院の表彰を受けられ、さらに、五十七年秋、勲一等旭日大綬章を授与されました。これぞ君の熱烈果敢な政治生涯にささげられた国民感謝のあらわれと申すべく、慶祝このことに存じます。
愛国、憂国の士、君は、この栄誉に深く感激されて、その折、郷土で開催された盛大な叙勲祝賀会で目を潤ませて、「顧みれば、私中野四郎は、政治の道一筋に十五回選挙を戦い、十二勝して三敗、この間、母を亡くし、最愛の妻と長男を失うなど、内外ともに苦難の連続でありましたが、不屈の闘志で難関を越えては越えてまいりました。どれもこれも郷土皆さんのおかげであります。このありがたい勲一等こそは、私を育ててくださった支持者皆様に贈られたものにほかなりません。これからも体の続く限り力いっぱいに頑張る決意でございます」と、切々たる謝辞を述べられました。
思うに君の御生涯は、信念固く初一念を貫かれた一本道、蒼茫に生をうけ、啾々一片の大志を抱いて独学力行、やがて先賢の知遇を得、薫陶に磨かれて、だんだんに天下の大道に踏み進んでこられました。一見その風貌はらいらく豪胆そのものではありましたが、幾辛酸をくぐってこられただけに君は、義理にかたく人情に厚く、それこそ肌温かいお人であられました。
私事にわたりますが、君は、年配も政治歴も私の先輩で、党の所属も違っておりましたけれど、いつしかに意気投合、この二十数年来、お互いに君、僕と呼び交うほどにごじっこんな御交際をいただいてまいりました。まだついこの二、三カ月前まで、地元愛知における諸会合でも中央の諸活動でも、必置きなく元気で歓談し合ってきたばかりでございます。本年七月事故に遭われて、むち打ち病御治療のため加療御入院と承りましたが、日ごろお元気な君の御こと、ほどなく御本復のことと思い込んでおりましたのに、思いもかけぬ計報に接し、まことに愕然たる思いに打たれました。
今や我が国政は内外多事多端にして、政局は次第に混迷を深めておりますとき、君は、我が国会の重鎮にして、わけても、この臨時国会の最大議案を抱える公職選挙法特別委員会委員長として、特段の重責を担っておられましただけに、君の御逝去は、惜しみても惜しみてもなお惜しまれてなりません。
思い出は果てしなく、悲しみは深まるばかりでございますが、幽明境を異にしてはもはやせんなきこと、この上は君の安らかな御冥福を祈るばかりでございます。
ここに諸君とともに、以上、今は亡き中野四郎君の御生前の功績をたたえ、その偉大なるお人柄をしのびつつ、謹んで哀悼の誠をささげる次第でございます。(拍手)
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/4
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005・坂田道太
○議長(坂田道太君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
渡辺省一君から、海外旅行のため、十一月二十七日から十二月五日まで九日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/5
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006・坂田道太
○議長(坂田道太君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
日程第一 特定石油製品輸入暫定措置法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/6
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007・坂田道太
○議長(坂田道太君) 日程第一、特定石油製品輸入暫定措置法案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。商工委員長粕谷茂君。
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特定石油製品輸入暫定措置法案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔粕谷茂君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/7
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008・粕谷茂
○粕谷茂君 ただいま議題となりました特定石油製品輸入暫定措置法案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
現在、我が国は、石油の安定的かつ低廉な供給の確保を図る見地から、原油を輸入し、国内で精製を行い、製品として供給する、いわゆる消費地精製方式を基本とし、その補完として、ナフサ、重油等一部の石油製品の輸入を行っております。
しかしながら、近年における石油製品貿易の拡大、特に、中東産油国における輸出用製油所の本格的稼働等を背景として、現在我が国が輸入を行っていない揮発油等についても輸入を行うよう、国際的に強く要請されるに至っております。
本案は、このような状況にかんがみ、揮発油等の輸入を円滑に進めるため、必要な暫定措置を講じようとするものであります。
その主な内容は、
第一に、揮発油、灯油及び軽油を特定石油製品と定義し、その輸入業者は登録を受けなければならないこととし、登録の要件として、代替生産設備を有すること、貯蔵を行い得ること、品質調整を行い得ることを定めていること、
第二に、特定石油製品輸入業者が輸入し、販売しようとする特定石油製品の品質が、使用者の需要に適合していないと認めるときは、品質の確保に関し必要な措置をとるべきことを勧告することができること、
第三に、特定石油製品輸入業者は、特定石油製品の輸入に努めなければならないこと、
第四に、法律の廃止期限を昭和六十六年三月三十一日までとすること等であります。
本案は、十一月十八日当委員会に付託され、翌十一月十九日村田通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、以来、慎重に審査を重ね、十一月二十二日質疑を終了いたしましたところ、自由民主党・新自由国民連合、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の共同提案により、法律の廃止期限を昭和六十六年三月三十一日から、五年間延長し、昭和七十一年三月三十一日に改める内容の修正案が提出され、採決の結果、本案は多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/8
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009・坂田道太
○議長(坂田道太君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/9
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010・坂田道太
○議長(坂田道太君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/10
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011・坂田道太
○議長(坂田道太君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時二十七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110305254X00719851126/11
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