1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和六十年十二月十二日(木曜日)
午後一時三十四分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 下条進一郎君
理 事
前田 勲男君
松岡満寿男君
福間 知之君
市川 正一君
委 員
岩本 政光君
大木 浩君
沖 外夫君
佐藤栄佐久君
斎藤栄三郎君
杉元 恒雄君
降矢 敬義君
松尾 官平君
梶原 敬義君
伏見 康治君
井上 計君
木本平八郎君
衆議院議員
修正案提出者 渡辺 秀央君
国務大臣
通商産業大臣 村田敬次郎君
政府委員
公正取引委員会
事務局経済部長 厚谷 襄児君
通商産業政務次
官 田沢 智治君
通商産業大臣官
房長 児玉 幸治君
通商産業大臣官
房総務審議官 鎌田 吉郎君
資源エネルギー
庁長官 野々内 隆君
資源エネルギー
庁石油部長 畠山 襄君
中小企業庁長官 木下 博生君
事務局側
常任委員会専門
員 野村 静二君
—————————————
本日の会議に付した案件
○特定石油製品輸入暫定措置法案(内閣提出、衆
議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/0
-
001・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
特定石油製品輸入暫定措置法案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/1
-
002・井上計
○井上計君 本法案の目的等につきましては、また後ほどいろいろと伺いたいと思いますが、ただ私の理解では、本法案の持つもう一つの意味合いといいますか、目的に、現在の貿易摩擦解消という問題があろうと、こう思います。
そこで、関連をいたしますので、今直面しておる円高問題等について、中小企業庁長官お急ぎのようでありますから、先にその問題の質疑を行いたいと、かように考えるわけであります。
九月二十二日のG5以降、急激なといいますか、いわば恣意的な円高・ドル安の傾向、予想以上にドル高が進んでまいりました。そのために、中小企業の輸出関連企業等についての影響は各地で深刻な状態であるということも、いろいろと我々の調査の結果わかっております。また、それに対して通産省中小企業庁、特にいち早くいろいろと対応策をお考えいただきまして、調査さらには緊急対策等々によって、それらの中小企業が一応安堵しておるという状態ではありますけれども、しかし依然としてまだ現在のレートがやや一服していますが、定着するであろうということから、この暮れ、さらに来年の三月前後の状況というものは相当厳しい状態に陥るということをまた憂慮されておるということであります。
そこで、先般通産省としてお出しいただきましたけれども、この十二月二日からの緊急措置等々についてのまあ現状といいますか、さらに年内の今後の対応策等々おありであれば、それらのことについてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
そこで十二月二日からの実施の緊急対策についてのいわば命題が、タイトルが円高対策ということでなくて、中小企業特別調整対策というふうな名称になりました。大変乱結構だと、こう考えておりますのは、いわば円高対策ということが、ある意味では特にアメリカを初めとする諸外国、EC等から従来から非難されておりますように、せっかくの貿易摩擦の解消のためのいわば円高・ドル安というふうな方向を、逆に日本株式会社がまたそれによって依然として輸出を減らさない、そのような救済政策をとっておるではないかと、こういう非難が来るんではなかろうかということを考えておりました。また、新聞報道によると、非公式でありますけれども、若干そのような傾向にあるというふうなことも聞きました。
それから、もう一つは、受ける側でありますが、特に中小企業の場合、円高対策と言われますと、今一時的な円高である、また近いうちに二百四十円あるいは三十円程度の正常なレートに返るであろうという期待を、これは正常かどうかは別として、そういうふうな期待が実はあるんですね。
そういう意味で、私は円高対策というふうな表現はどうもやはり適当でないというふうなことを考えておりましただけに、今度の中小企業特別調整対策というふうなタイトルは大変よろしいと、こういうふうなことを感じておりますが、これらの名称等についてはどういうお考えでこういう名称をお使いになったのか。これからも円高対策についてはこういうふうな名称等によってずっと統一していかれるのか。それらの点を含めてひとつ長官からお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/2
-
003・木下博生
○政府委員(木下博生君) 貿易摩擦解消の観点から、アクションプログラム等のいろいろな対策がこの春以来ずっととられてきておったわけでございます。そういうことの関連で、輸入を拡大するということになれば、それに関連する中小企業にも悪影響が出るかもしれないということもございまして、私どもといたしましては、来年度の予算要求の中で、国際経済摩擦に伴う対策を事業転換法の改正の一環としてやっていきたいということで検討をしておったわけでございます。
そこで、今先生御指摘のように、九月の末からG5の結果、いわゆる円高誘導策がとられたわけでございますので、こういう貿易摩擦解消の一環としてそういう対策がとられたというふうに私どもは考えておるわけでございます。
そういう意味で、円高基調というのは貿易摩擦解消の観点からは好ましいことである。しかも、日本経済の現在の競争力から考えれば、そういう状況は今後も長続きする可能性が十分あるわけでございます。そういう円高誘導対策というものが今後も国内的に余り摩擦なく円滑に進むためにも、逆にそういうような対策によって影響を受ける中小企業者の方々に対する手当ては十分にしなくてはいけないというような感じを持って私どもは対応策を考えたわけでございます。
そういうことでございますので、先生御指摘の
ように、私どもとして五十三年ごろにとりました円高対策とは考え方を変えて、よくOECD等で言っておりますやや産業調整的な意味も込めまして、決してそういう産業調整でどんどんすべての企業を産業転換を図っていくというほど厳密なものではございませんが、そのような形で将来の企業経営の方向も新しい事態に応じて考えていただこうというような趣旨も込めて、こういう対策の名前にしたわけでございます。
したがいまして、急激な円高によって影響を受ける方々には、金融面等で十分な対策を講じながら、そういう企業が新しい方向へ行く間の時間的余裕も十分つけることができるような措置をとっていきたいというふうに考えておるわけでございまして、十二月二日からとりました措置が万全なものとは私ども考えておりませんので、今後の予算折衝の過程で内容も充実し、来る国会におきましては事業転換法と一体となったような法律を考えていきたいというふうに現在考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/3
-
004・井上計
○井上計君 そこで、今後の事業転換法等々の立法化についてでありますけれども、私ども関係する中小企業者等々と会いまして、あるいはいろんな団体とも話し合い等をし、また調査もしてまいりましたが、そこで感じますことは、先ほど私が申し上げたアメリカ、EC等に対する配慮とまた逆なようなことになりますけれども、実際に現在の、特に陶磁器、雑貨等々の輸出企業が、中小企業が転換といっても、では何に転換すればいいのかということについては全く五里霧中というか、非常に難しさがあるということですね。だから、どうしてもやはり輸出以外に頼る、生きていく方法がないではないかという声が非常に強い。もっともだと、こう考えます。
といって、これを、現在の製品を内需転換といっても、内需に転換できる製品もありますが、また全く根本的に変えていかなければ内需転換できないというふうな面もある。しかし、また仮に一歩譲って内需に転換できたとしても、内需自体が非常に過当競争の分野ばかりである。だから、そこへ参入するとまた新しいいわば混乱が起きる。だから、どうしてもやはり輸出に依存せざるを得ない。そこで、転換といってもそういう難しさがあるというふうなことを現実に我々は察知をしてまいりました。そういう点を配慮しながら、そのような転換法等についてもひとつ今後ぜひお考えをいただきたい。これは余り外部に向かって大きな声では言えないようなことだと思いますが、現実にはそういうふうな面が非常に強いということを感じました。
それからもう一つ、それに関連をするようでありますけれども、アメリカ側から言わすと、こういうことを実は以前から聞いていることがあるわけですが、本来資本の自由主義というのは、いわば政策の転換あるいは市場の転換等々によって、当然のことながら倒産等の落後者が出ることが本来資本主義のそれは原則である。ところが日本は、政策の転換があっても落後者が非常に少ない。そういう救済措置を常にとっておるところに日本の問題があるというふうな指摘を、アメリカあたりからかなりされておるということも実は聞いたことがあるんですね。これもまた立場をかえて、向こうから言わせればそのような意見も出てくるかなと思うんですが、しかし何といってもやはり落後者が出ないようにしていかなくちゃいかぬと、こういうふうな観点から、さらに転換法の検討等の中でも今後ひとつ十分御配慮をいただきたいというふうに思います。
それから、続けてもう一つ、これはお尋ねでありますけれども、今度の特別調整対策については金利が六・八%、中小企業金融三機関等による特例融資制度の創設をしていただいたわけでありますけれども、融資規模は一千億円程度一これが適当なのか、あるいは現在の状況からして年度末あたりまで十分であるのか足りないのか、ちょっとよくわかりませんけれども、いずれにしてもかなりまだ不足をするであろうということが一つあります。それから、現在の財投金利等からいって六・八%はやむを得ないと思いますけれども、新年度あるいは補正予算等によって五%程度の低利融資のできるような利子補給の予算措置をお考えになっておるのかどうか、これはひとつ長官あるいは大臣から、あわせてこの点については承りたいと思います。
といいますことは、地方自治体においては既に自治体サイドで五%の低利というふうなことも行われておる自治体もあるわけでありますけれども、やはり自治体だけでなくて、国も五%の低利融資を行う面が政策的にどうしても必要だと、こう考えておりますが、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/4
-
005・木下博生
○政府委員(木下博生君) ただいま三つほど御質問があったと承知しておりますが、まず第一点の事業転換というのは、言うはやすくて難しいではないかという点は、確かに御指摘のとおりだと私どもも考えております。
五十一年に中小企業事業転換対策臨時措置法というのができまして、十年間の運用実績があるわけでございますが、これは法律の要件がやや厳しかったというようなこともございますし、そもそも事業転換ということ自身が非常に難しいことだからということもあるのかもしれませんが、具体的な転換事例としては二百九十件ぐらいしかなかったわけでございます。したがいまして、私ども事業転換法の延長、拡充を考えましたときには、これがもう少しできやすいような形にしようと、しかも本当に企業の経営が行き詰まってしまってから初めて転換を考えるのではなくて、早目に新しい分野へ、できる道をその企業単位あるいは業界ぐるみで考えていくようなことにしようということで、税制措置を含めて現在予算要求をいたしておるわけでございます。
そういうことで、非常に難しいという点は十分私どもも承知しておりますが、例えば内需拡大方策を別途講じるというようなことで全体としての需要をふやして、その中で内需転換を図っていくとか、あるいはその高付加価値化を図っていくというようなことで企業としては対応していただきたい、そのために私どもとしても十分なお手伝いをしていきたいというふうに考えております。ただ、そのような企業としての方向転換をやるにいたしましても、時間がかかることでございます。その間に金融が続かなくなって倒産するというような事態というのは十分起こり得るわけでございまして、確かに先生今おっしゃったように、アメリカあたりでは、そういう行き詰まってしまって倒産する企業はそのまま放置しておけばいいじゃないかという意見もあるわけでございます。
ただ、一方、OECDでは、ポジティブ・アジャストメント・ポリシーというような言葉がありますが、積極的産業調整政策というわけでございますけれども、どんどんそういう落後者が出てそのまま放置していくということではなくて、むしろ新しい分野にその人たちを積極的に助けていくという方策を、こういう経済情勢の変革が大きいときにはやっていくべきじゃないかという考え方があるわけでございまして、そういう方向で私どもも考えていきたい。落後者を放置したままでいいじゃないかというアメリカの意見というのも、現実にそれではアメリカで輸入品がふえて企業が倒産するというような事態が起これば、当然輸入制限とかなんとかという対応策を考えていくわけでございますから、いずれの政府もそれは十分やっていかなくちゃいけない。特に円高誘導というような政府の政策でやったことに伴って、企業の経営者の人たちには、特に失敗がないのに苦境に立っている方々に対する対応策というのは十分必要だろうと考えております。
それから三番目の御質問の一千億円の融資あるいはその金利についての御質問でございますが、私どもとしては、今年度中の融資規模としては一千億円ぐらいが適当であろうと考えたわけでございますが、このような円高の事態というのは来年度も続くと考えられますので、来年度の予算はまた別途要求していきたいというふうに考えております。
それから金利につきましても、とりあえず予算
的な決定をしないで済む範囲の金利ということになりますと、六・八%が精いっぱいだったわけでございますが、今度の予算要求の過程では五%台の金利を実現するようにしたいと考えておりまして、それは当然私どもの要求としては十二月二日にさかのぼって低利の融資をやっていくというような形で、そういう影響をこうむった中小企業者に対する配慮はしていきたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/5
-
006・村田敬次郎
○国務大臣(村田敬次郎君) ただいまの井上先生の御質問に対して、事務的には中小企業庁長官から申し上げておることで尽きているわけでございますが、実はぜひひとつ五分台の金利の融資をしなきゃならぬということで、一昨日ですか、新聞にも大きく出ておりましたが、大蔵大臣、官房長官等の関係閣僚と党三役との会議がございました。その際に私から特に申し上げた政策の中の一点はそれでございまして、遡及適用をぜひせよと、六分八厘の金利ではどうしても不十分であるから五分台の金利にせよということをしっかりと申し上げておいたつもりでございます。
それから井上委員の御指摘になった名称の先ほどの御質問、これは大変ポイントだと思うんで、十二月二日のときに既に中小企業特別調整対策という言葉で言ったんでございますが、事実、円高対策という言葉が外国に聞こえたときに誤解を生じやすい、円高対策という言葉を避けておりますのはそういう意味でございまして、まさに井上委員御指摘の点を十分配慮しながらやっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/6
-
007・井上計
○井上計君 なお、今の五%低利融資の問題、今後の転換対策等々につきましては、さらに一層の御検討、御努力をひとつお願いをしておきます。
長官、どうぞ結構ですから。ありがとうございました。
さて、本題に入りたいと思いますけれども、昭和四十八年度でありますか、第一次オイルショック当時は、我が国のエネルギー事情はどうなるであろうかという大変な事態を私ども実は憂慮いたしました。当時七八%程度石油に依存をしておったわけであります。ところが、その後官民一体となっての努力によってこの十数年の間に随分と石油の依存率が下がりました。しかし、現在でもまだ下がったと言いながらやはり石油は我が国の重要なエネルギーの源というよりも、エネルギー源の中心であることは間違いありません。同時に、それがまた我が国の産業界の大きな柱であることについては、これはもう変わっていないわけであります。そういう意味で、今回のこの法律案等については必要な措置という理解は十分しております。
ただ、そこでそれらに関連してひとつお伺いをいたしたいと思いますけれども、ついこの数日前から新聞報道等によりますと、OPECの動きがこのところ非常に変わっておる、変わってきつつある、そのためにいわば急激な原油の値崩れ状態が起きておるというふうなこと等が、今後安くなることは大変結構でありますけれども、エネルギー事情の不透明さを、今後さらにまた難しくなっていくんじゃなかろうかというふうな感じも我々するわけでありますけれども、今回のOPECの総会等の状況あるいはその後の動き等々について、政府としてはどのようなお考えあるいは評価、あるいは見通しを持っておられるのか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/7
-
008・野々内隆
○政府委員(野々内隆君) 十二月の七日から第七十六回OPEC総会が開催をされておりましたが、ここでOPECの今後の戦略というものが検討をされたわけでございます。当初、生産枠あるいは価格というようなことが討議されるだろうとも言われておったわけですが、今たまたま需要期であるとか、あるいはソ連からの輸出が減っているとか、あるいはヨーロッパが寒いとか、いろんな情勢もございまして、非常に需要が強いというような事態もあって、当面の問題については特に新しい決定というのは行われていないのですが、原油生産におけるOPECの公正なシェアを維持する必要がある、こういう決定をいたしております。
御承知のように、第一次ショックのときにはOPECのシェアが六割以上であったわけですが、いまや瞬間風速ではもう三分の一ぐらいまで落ちておりまして、これが各国の経済開発のために必要な収入の確保が不十分である、こういう状態になったわけでございます。したがいまして、公正なシェアを維持する必要があるという、そういうコンセンサスを得まして、今後維持すべきシェアのレベル及び維持するための具体的な方法、こういうことについて検討をするために、五人の石油大臣からなる特別委員会を設置するということが決定されております。この委員会は次の、臨時総会になると思いますが、二月あたりか三月ごろの総会にその検討結果を報告することになろうかというふうに思います。
OPECの議長は、従来インドネシアのスプロト大臣でございましたが、今回ベネズエラのグリサンテ大臣に変更されております。このようなOPECのシェアの維持というような点につきまして、OPECそのものが公式に決定をしたということは今回が初めてでございまして、これをどう理解するかということになるわけでございますが、ただ事実上の問題としましては、各国とも実際は生産を維持するために市場の実勢価格に合った価格設定というものを行っておりますので、そういう現状からみますと、実態追認的な側面というものもあり、あるいは非OPECの国に対する牽制というようなこともあるのではないかというふうに思われますので、当面直ちに大きな変化というものは予想されないであろうというふうに考えております。
いずれにしましても、先ほど申し上げましたような特別委員会での検討が今後行われまして、来年の二、三月ごろになると思いますが、ここで開催されます臨時総会、こういうもので報告されることになると思いますので、そういうものに向けての各国の動きというものを注視してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/8
-
009・井上計
○井上計君 次に、アメリカが我が国に対して非常に貿易収支のアンバランスの解消については強い態度であります。ガソリン等についての輸入拡大等々の要請は非常に強いように聞いておりますが、逆に今度アメリカ自体の自国の石油資源の輸出については、従来全くガードがかたかったというようなこと、これは我々としてもそういうことについての批判を実は持っておったわけであります。
去る四月の貿易摩擦解消についての緊急本会議におきまして、私もそのときに提案をいたしましたけれども、アラスカ原油の日本への輸出をぜひアメリカ側に対して強く働きかけるべきであるというふうなことも提案をいたしましたが、その後このアラスカ石油の輸出解禁問題等々について、若干アメリカ側の動きがあると、こう聞いておりますが、これについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/9
-
010・野々内隆
○政府委員(野々内隆君) アラスカの原油には二種類ございまして、一つはクックインレット原油、もう一つはノーススロープ原油と二種類あみわけでございますが、今回アメリカ政府が輸出の解禁を発表いたしましたのは、そのうちのクックインレット原油でございます。これはアラスカパイプラインを通らないということで、法律による禁止対象になっておりませんで、連邦政府限りで処理できるということでございまして、十月の二十八日にボルドリッジ商務長官が輸出解禁するということを決定いたしております。
他方、ノーススロープ原油につきましては、これは量が多いので、本当はこちらを出す方が意味があるわけでございますが、これはアラスカパイプラインを通過するということで、アメリカの輸出管理法その他の法律によりまして輸出が禁止されておりまして、輸出解禁ということでアラスカ州政府あるいは米連邦政府とも前向きではございますが、議会の中では従来からエネルギー安全保障という観点から、これに反対をいたしております。
それで、このクックインレット原油につきまし
ては、最近たまたま私ども入手いたしましたところでは、アラスカ州政府で今後の入札のスケジュールというものを発表いたしました。これによりますと、まず量はとりあえず一日当たり四千バレルでスタートする。それから日本が最も有利な価格を提示するものと先方は期待しているようでございますが、インドネシアのアタカ原油のスポット価格にリンクしたベース価格を決めまして、それにプレミアムをつけるという形で入札により決定をするというそうでございます。入札は来年の五月の九日を締め切りといたしまして、八月一日からスタートして一年間の契約ということを考えております。もちろんこれはアラスカ州政府の考えでございまして、今後連邦政府がこれを承認をする手続が必要でございますが、やっとクックインレット原油につきまして見通しがついてきたということかと思っております。
ノーススロープ原油につきましては、どうも議会内部ではまだまだ反対が強くて、本年七月に改正延長されました輸出管理法では、アラスカ原油については従来どおり輸出禁止としておりますが、その他に輸出解禁の可能性につき調査を行うという事項が追加されたりしておりますが、そのほか禁止するというような議員提案もございまして、見通しはまだ不分明でございます。とりあえず、クックインレットについて見通しがついてきたという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/10
-
011・井上計
○井上計君 よくわかりました。従来から見ますと、アメリカ側の態度も若干変わってきたという意味で、この面が今お話しのようなことでありますと、ややこれが今後の対米貿易摩擦解消にもいささか役立つであろうという期待をひとついたします。
そこで、本法案の問題でありますが、当初、原案五年という暫定措置が、期間が衆議院段階で十年間に修正をされたということ、これについては一昨日の同僚議員からの質疑もいろいろとありまして、政府側の答弁もありましたからもうこれについては触れません。
ただしかし、やはり依然として今後の石油問題、石油事情等についてはいろいろと流動的である、変化が激しいというふうなことは当然予測できるわけでありますが、したがって本法、石油業法の検討が当然必要となってくるであろうということを考えますけれども、石油業法についての今後の見直し等々についてはどうお考えになっておられますか。もし仮にこの二、三年あるいは四、五年の間に石油業法見直しということが起きた場合には本法は当然廃止する、また廃止しても差し支えない、廃止すべきだというふうなことも考えますけれども、今後の石油政策の上からどうお考えでありますか、お聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/11
-
012・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 石油業法の見直しについてでございますが、七月二十二日でございましたと思いますが、行政改革審議会で答申がございまして、そこで情勢の変化に対応いたしまして中期的課題として石油業法の抜本的見直しを行うべきであるという答申があったわけでございます。それを受けまして、九月二十四日にやはり中期的課題として石油業法の抜本的見直しを必要に応じて行う、必要な場合に行うという決定を見たところでございます。
そこで、第二点お尋ねの、その際に御提案申し上げております本暫定措置法についても見直しを行うのかという点でございますが、石油業法の見直しとの関連で本法の見直しが必要という判断が行われますれば、当然本法についても見直しを行うということになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/12
-
013・井上計
○井上計君 十分理解をいたしました。
さてそこで、今回の暫定法でありますけれども、一面では特定の石油製品輸入業者の保護をするという面、しかし同時に保護だけであってはなりません、やはり今後これらの業者がさらに積極的な合理化努力、経営努力をしてもらうことが必要であり、また当然目的としておるわけでありますけれども、これらについて通産省は今後業者に対する、業界に対する努力義務といいますか、どのような指導をしようとお考えであるのか。
それは確かにオイルショック当時、あるいは第二次オイルショック以降、当時あれだけ我が世の春を謳歌しておった石油業界が、現在大変な累積赤字に悩んでおる。幸いにして今度の円高によってややこれがカバーできるという状態でありますけれども、やはりこれは業界自体が非常に過当競争、過剰設備等々によって方針を誤った、あるいは放漫な経営であったというふうな非難をされてもしかるべきだという面もたくさんあったと思うんですね。
ただしかし、私言えますことは、これは政府の行政指導よろしきを得たことであろうかと思いますけれども、私がかねがね持っておるいろんな資料からいうと、四十八年ごろ我が国の原油の輸入価格は、オイルショック以前ですとバレル大体三ドル程度であった。これが第一次オイルショック以降一遍に十ドルを超えましたけれども、しかし現在では若干下がっていますが、依然として二十七、八ドルということであります。
したがって、輸入価格においては大変な倍率でありますけれども、ガソリンの市場価格で見ますと、昭和四十年がリッター四十八円九十銭。昭和四十年の原油の輸入価格は当時べらぼうに安かったんで、大体まだ一ドル七、八十ぐらいであった、あるいは二ドル程度であったわけですね。それが当時四十八円九十銭、十年前の昭和五十年のガソリンのリッター当たりが百十二円四十銭。これが、五十九年であります昨年が大体百四十円程度でありますから、値上がり倍率からいうと実は三倍になっていないんですね。原油の輸入価格からいいますと十数倍になっておるわけですから、もちろんこれは単純な比較はできませんけれども、これらについてはやはり政府の指導、同時にやはり従来の石油業法等々が大いに寄与したということも評価できるわけですが、しかしそれを考えますときに、今後、今申し上げたような石油業法の見直し等々も将来的なやはりこのような安定という面で考えていかなくてはいけない、こう考えます。
そこで私のお伺いいたしたいのは、今度の円高によって円高差益の大きな業者、石油あるいは電力その他ガス等々ありますけれども、それらの円高差益を消費者に、国民に還元するために値下げだとかあるいはどうとかいう論理は、これはわかります。わかりますけれども、安易な、いわば目先だけの還元方法をとると、逆に将来さらにエネルギー問題等々について一挙に大きな値上げであるとかあるいは混乱とかというふうなことが生じるということも、私は実は考えるわけでありますが、これらについて、政府としては、円高差益の還元の問題、あわして今後のそういうふうな石油政策等についてどういうふうなお考えでありますか、ちょっと広範囲な、実は抽象的な質問になりましたけれども、お伺いをいたしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/13
-
014・野々内隆
○政府委員(野々内隆君) 円高差益の還元の問題でございますが、これは御指摘のように国民全体に、国民経済に有効に利用されるという方向で考えるべきであろうかというふうに考えております。ただ、ガソリン等石油製品のような自由価格の商品と、電力、ガスのように公定価格の商品とはおのずから異なるわけであろうかと思っております。
石油製品につきましては、これは市場によって額が決定をされることになっておりまして、ことしの上期では既に実質千七百億円という赤字になっておりますので、既に石油業界では還元済みであるというお言葉もございますが、市場実勢によって処理が決まってくるかと思います。私どもとしましては、石油産業の自己資本比率が現在七%と非常に低うございますので、むしろ、できれば石油の安定供給ということを念頭に置いて経営基盤の強化に努めていただきたいと思っております。
電力、ガスにつきましては、まだ判断をすべき時期ではございませんが、長期的な観点から国民経済にプラスになるような形で使用されるのがしかるべきじゃないかというふうに判断いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/14
-
015・井上計
○井上計君 そこで、本法案の対象には揮発油が
入っておるわけであります。これと工業用ナフサとの関係についてひとつぜひ確認をしておきたいと思います。
揮発油はナフサを含むものではなくて、したがって従来既に実質輸入自由化の行われている石油化学原料用ナフサは、本法施行後、従来どおり登録を要することなく輸入を進めていくことができると私は理解しておるんですが、ひとつこの際明快にしておいていただきたい、こう思うんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/15
-
016・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 本法案上の揮発油は、石油業法上の揮発油の概念と同様でございまして、今井上委員御指摘のように、石化用のナフサにつきましてはその中に含まれておりません。したがいまして、本法施行後も石油化学原料用のナフサにつきましては、今御指摘のように、従前どおり登録を要することなく石油業法に基づいた輸入措置が行われるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/16
-
017・井上計
○井上計君 かなり石油化学業界においてはそういうふうな不安があるかと、それも聞いておりますので、ぜひそれらのものを改めてひとつ行政指導等の中で安心できるような、そういう方法をおとりいただきたい、こう思っております。
また同時に、今後、今回のいわば石油製品の輸入等の増進によって起きる問題であろうと思いますけれども、既にヨーロッパでは用いられておるようでありますが、石油化学の原料用にガスオイルが使われておるようでありますけれども、これが施行された場合、本法上ではどうなるのか。我が国の石油化学業界が今後輸入ガスオイルを必要とするときに、今のままで工業用ナフサと同じように登録を要しないでできるのか、あるいはどうなのか、その点をちょっとひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/17
-
018・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 石油化学用のガスオイルのお尋ねでございますけれども、ガスオイルというのは、本法上は軽油に該当するというふうに考えてございます。したがいまして、この特定石油製品に該当するわけでございますから、登録が必要になるわけでございます。
しかしながら、今までの石油業法上の軽油の取り扱いにつきましては、ガソリン等と同様、石油業法の規定に基づきまして、行政指導により全面的に輸入抑制ということであったわけでございますから、今度は登録の道によってガスオイルについても輸入を認めていくということになるわけでございます。
そこで、今御懸念の石油化学産業に、適格な輸入者の方から円滑にガスオイルの供給が行えますよう、私どもとしてこの法律の運用に遺漏なきを期してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/18
-
019・井上計
○井上計君 わかりました。
それと関連をするわけでありますけれども、ナフサとかあるいはLPG等に対しての石油税の免税措置が、一年ごとに更新をされておると聞いておりますけれども、これをやはり私は、性格上原料非課税というふうな面からまいりますと、恒久的な免税措置を当然なされるべきだと考えますけれども、これについてはどういうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/19
-
020・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 石化用のナフサ等につきます石油税の免税制度につきましては、私どもも基本的に免税を続けるべきであるという考えでございます。したがいまして、現行のように一年ごとに更新をするのではなく、適用期限を少なくとも当分の間というふうに延長するように、改定するようにということで、来年度の税制改正要求を行っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/20
-
021・井上計
○井上計君 当分の間と、こういうことになるわけですね、要求は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/21
-
022・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/22
-
023・井上計
○井上計君 わかりました。
そこで、あともう時間が余りありませんが、今回の本法施行によってガソリン等の輸入がかなりふえるであろう、またふえなくてはせっかくの本法の立法化と、さらにまた海外のいろんな批判等々に対処できないわけでありますけれども、しかしふえるであろうということを考えますと、ふえた場合、国内の生産が当然減少するんではなかろうか、さらに設備の過剰が深刻化するんではなかろうかという懸念も常識的には当然起きるわけですけれども、そのようなことについてどうお考えであるのか。したがって、仮にそうだとすると、流通面においても業界の積極的な合理化がもっと必要であろうと考えますけれども、どのような指導をお考えになっておるのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/23
-
024・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 今回の輸入ガソリン等の特定石油製品の輸入によりまして、確かにそれに見合う国内の生産が減少するであろうということは事実でございます。
しかしながら、本法では代替供給能力というものを義務づけておりますものですから、一たんそういった特定石油製品の供給が途絶えた場合に、原油を輸入してまいりまして国内で精製する予備の能力を持っていなくちゃいけないということになっておりますので、国内の精製が減ることによって直ちに設備もその分だけ過剰になるということにはならない状況に相なっております。
しかしながら、井上委員御指摘のように、この問題をとりあえず離れまして、一般的に設備の過剰という状況がございますものですから、これにつきましては来年度から三年間で七十万バレルないし百万バレルの過剰設備を処理していかなくちゃいかぬという石油審議会小委員会の答申をいただいているところでございまして、そういった処理が可能となるように政府としてもその支援を図っていこうとしているところでございます。具体的にも、六十一年度の予算要求におきまして、石油産業活性化センターという財団法人を中心にその設備処理を支援する体制を考えておりまして、現在要求作業を行っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/24
-
025・井上計
○井上計君 あともう一問お伺いをいたします。
エネルギー安全保障ということが特にこの十七、八年前から強く叫ばれてまいりました。そのために我が国は、エネルギーの将来のあり方としてということで、代替エネルギーの開発、ひところは随分と新聞報道等にもありましたし、また政策の中でも重要性を加えておったときがあります。我々も本院から、調査で原子力発電あるいは地熱発電あるいは海洋温度差発電等々いろんな代替エネルギーの状況等についても見学視察を行ったことがありますが、最近はいわばOPECの状態、先ほど伺ったような状態もありますし、やや代替エネルギーについての開発ということが薄らいでおるんではなかろうかと、こういう感じも受けるのですね。
特に国民全般の中には、ひところあれだけ脱石油というふうな考え方が強かったのに、最近は余りそのような声が国民の間にすら起きなくなってきたというふうなことを考えますと、将来的な面から見て、ある意味ではこれは大変だと、今後とも脱石油、エネルギー安全保障という面から、やはり代替エネルギーの積極的な開発等等は進めていかなくちゃいけないと、こう考えておりますが、いわばそのための今後のエネルギー政策として将来的な方向づけということについては現状どのようなお考えであるのか、それをお伺いして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/25
-
026・野々内隆
○政府委員(野々内隆君) 我が国のエネルギーの構造の中で、石油は最近減ってきたといいましても、まだ六〇%を占めておりまして、国際的には先進国が大体四割ぐらいだと思いますので、まだまだ高いという状態でございます。したがいまして、私どもとしましては今後十年ぐらいをめどとしてこれを五〇%にまで削減をするという形で政策を進めたいというふうに考えております。石油はただ減らせばいいかといえばそうではなくて、やはり石油はそれに適した使い方があるんじゃないかというふうに考えております。
したがいまして、私どもは今二十一世紀エネルギービジョンというものの研究にも着手いたしておりますが、将来の日本の産業界あるいは国民生活の変化に対応して、エネルギーの供給はいかにあるべきかという観点から、それぞれのエネル
ギーの特性に応じた使い方というものを考える必要があると思っておりますので、脱石油という政策と、それぞれ所を得た使い方という二重の形で、今後エネルギー安全保障なりエネルギー政策を考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/26
-
027・木本平八郎
○木本平八郎君 きょうは、衆議院からわざわざ来ていただきまして、どうもお忙しいところありがとうございます。
この本法案の中身のやりとりについては、これはもう先日来同僚議員がいろいろの角度から尽くされておりますのではっきりしているんですけれども、ただ、これでひとつ修正の点で期限が延長されたということですね。私は非常に重大に考えておりまして、まず、その点を中心に質問さしていただきたいと思うわけです。いつも余りそういうことやらないのですけれども、きょうは内容を的確にわかっていただくために、私、書いてきましたので、ちょっと冒頭私の立場を、こういう立場だということをひとつ御理解いただきたいと思うんです。
石油製品に限らず、私はもともと完全な輸入自由論者であります。石油製品に関しても、この二年間当委員会において法制の示すところに従い、即時行政指導を撤廃し、ガソリンや灯油の輸入を自由化すべしと主張してまいりました。消費者にとっては、これらの生活物資は一円でも安い方がよく、輸入品でも品質的な保証は確保できると信じたからであり、また輸入を完全自由化した上で、石油製品の価格、品質が現状と変わりなければ、それはそれなりに消費者は納得できると考えたからであります。けだし、石油業界は再三にわたり一斉値上げなどカルテルを疑わせるビヘービアが目立ち、不明朗なものが多過ぎるからであります。
もちろん石油業界としては、現状で即時製品の輸入を自由化されては混乱を起こし、倒産、失業等の発生がおもんぱかられることは当然ですが、これはどんな業界にも共通することで、過去、繊維や棒鋼などを初め、幾多の業界が構造改善の途上なめてきた辛酸であり、優勝劣敗はいわば自由経済の宿命であります。石油業界だけがこれを免れることはできず、またエネルギーだけが重要物資という名分で回避するには、穀物や鉄あるいはレアメタルなどと差別化する点で無理があります。
また、現状の業界体質では、将来再び訪れるかもしれない石油危機に、日本国民が必要とする石油エネルギー確保の代表選手としては多分に不安があり、石油オリンピックに出場するには余りにも足腰が弱過ぎます。これを鍛えるには、今すぐ業界を国際競争下にさらすのが捷径でありますが、現在政府が強力に推進している業界再編成、企業集約化、構造改善、体質強化等の作業状況を勘案し、軟着陸に協力するため、私は段階的自由化に賛成する立場をとってまいりました。
今回提出された特定石油製品輸入暫定措置法案も、形式は輸入規制の強化であり、表面町な体裁は業界保護法案でありますが、これは従来の通産行政が石油業法の運用を誤り、本来は法規制面でも輸入自由化をうたうべきでなかったものを、形式は自由化、実質は行政指導による輸入抑制という無理を起こしたために生じた矛盾で、そのようなボタンのかけ違いを起こさせたことに対しては立法府も責任があると解釈し、私は今回の法案に対しても、政府の自由化志向、真意、誠意を酌み取り、名よりも実をとって賛成する所存でおりました。
しかるに、当委員会に提出された法案には、廃止期限が五年から十年に延長されたほか、法の目的から消費者利益が抹殺され、完全な業界保護法案に固められております。これでは国民のみならず、世界をも欺くことになり、相変わらず日本はアンフェア、ずるいとの批判を受けかねません。
もともと石油業界が輸入の自由化に反対なことは当然でありますが、しかしながら、今回は国益と消費者利益のため、企業の社会的責任から、渋々ながらもこの法案に賛同したものと受けとめておりましたが、廃止期限を十年に延長することは衣の下のよろいを露呈し、この法律は時勢の推移に乗せて、できればうやむやのまま実施しないつもりではないかとの疑いを生じさせました。
そこで、まずは廃止期限を十年に延長した衆議院商工委員会の意図を伺い、あわせて基本的に石油業界並びに石油行政に対してどのようなスタンスをとっておられるのかをお伺いしたいと存ずる次第であります。けだし、商工行政に対しては第一院の見解と見識が何よりも重要であり、また現在の議会制度ではそれが常に優先するからであります。
何とぞ、明快な見解を開陳くださるようお願いいたします。
こういうスタンスで、私は従来はこういう自由化の方向ですね、形はどうあれ非常に賛成していたんです。ところが、こういうふうにはっきり業界保護のような形が出てきますと、私はそれでもまだ真意は疑ってはおらないんですけれども、これはもう非常に対外的に与える影響が大き過ぎるんではないかという気がするんです。
そこで、渡辺さんにお伺いしたいのは、まず一番初めに、結論的に申し上げて、これいろいろ問題あるんですけれども、果たして業界のためになるのかどうか、業界やメーカーにはプラスになるんだろうかと。私はマイナスだと思うんですが、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/27
-
028・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) ちょっとその前に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/28
-
029・木本平八郎
○木本平八郎君 あのね、私はもう通産の考え方よくわかっているので、渡辺さんのお話を聞いて、必要ならまた質問しますから、ちょっとあなた黙っていてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/29
-
030・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) きょうは私どもの考え方をお聞きいただく機会をちょうだいいたしまして、大変御礼を申し上げる次第でございますが、衆議院の方の、今木本議員がおっしゃいました第一院としての立場そのものが、私がこれから御報告、御発言をさしていだだくことで全部果たして網羅できるかどうか、とてもそんな私、大それた気持ちはございませんが、せっかくのお尋ねでもございますので、ぜひひとつ私どもの気持ちと、それから衆議院側の考え方をお聞き取りをいただきたい、こう思うわけでございます。
まず、後段御質問がございました問題について、一体業界のためになるかというお話でございますが、確かに産業界の意向も考えなければならないと思いますし、消費者の立場も当然これは考えなきゃならぬ。また同時に、この石油関連に従事する労働者といいましょうか、勤労者といいましょうか、そういう皆さんの立場も、会社当局のみならず、これはひとつ考えていかなきゃならない私たちの立場でもあろうというふうに思うわけでございます。
そういう点から考えてみますと、今度のこの五年という当初の政府提案につきまして、衆議院における審議の過程の中で。やっぱり一九九〇年代の展望を勘案いたしたりいたしますと、いわゆるエネルギー庁あるいは政府が自信を持って現在のような緩和基調が永久に続くという保証もあるわけでもございませんし、そこのところの答弁というのは若干明快さを欠いている。
それで、五年という期限になりますと、私ども各党と話し合いました話し合いの中で、最初の一年というのはどうしても言うなら準備期間というか、ウォーミングアップみたいなものではなかろうかと。そうしますと、二年、三年目にある程度軌道に乗っていくなあと、四年目に来て大体その一つの製品輸入の安定的なものがほぼこう見通せるなあと、そしてまた、それが国内の産業界あるいはまた消費活動の中である程度消化されていくような気配も見えるなあと、そう考えたときのその翌年はもう期限いっぱいである。こうなりますと、当然その構造改善やら、あるいはまたそういう産業界の問題やら、そこら辺を考えてみますと、五年ということでは果たしてどうかなという各党との話し合いを実はさしていただいたわけであります。
これはもう社会党さん、公明党さん、民社党さん、そして共産党さん、それぞれ御意見を伺いまして、そして十年というところで、自民党、そして
公明党さん、民社党さんに御賛同をいただいたという次第でございまして、ぜひひとつ御理解をお願い申し上げたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/30
-
031・木本平八郎
○木本平八郎君 確かにそれはよくわかるんですけれども、同時にちょっと考えていただきたいのは、今石油業界は確かにそのとおりだと思うんですね。しかし、石油業界の雇用問題というのは四万人ですね。一方、国鉄の方は今九万六千人どうなるかというえらい問題になっているんですね。それから、先ほども井上議員からほかのことで質問があったんですけれども、今円高で数百万の従業員が会社の倒産あるいは失業の危機にさらされているわけですね。今、政府はもう大変な措置をとっておられるわけですね。これに比べたら、四万人というのは特別扱いするにはちょっと意義づけが弱いんじゃないかという気がするんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/31
-
032・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 私は、エネルギー政策は、これはもう国家的な政策として与野党差別なく、極めて国民生活と地域経済あるいはまた産業界全体に影響することでありますから、重要であることは当然だと思うんですが、さればといって、この法案の中で、いわゆる特別なこととして極めて重要に位置づけて、今おっしゃられるような意図で考えるということでなくて、やっぱり産業界全体あるいはまた国民生活全体という中での位置づけでありまして、特別ほかのものと差別をしましてこのことを考えて、五年から十年にしたという意図は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/32
-
033・木本平八郎
○木本平八郎君 それで、今の年限の問題ですけれども、五年じゃ遅過ぎるという御説明だったんですけれども、これは一つの見方でして、前回の石油ショックであれだけ大変なショックを受けまして、日本経済三年間で回復したんですね。これはいろいろなサポート体制ができていますからね。石油業界も私は五年も要らない、三年かあるいは二年でいけると思うんですね。こういう考え方に対して、まず今の年限の点で私はいけると思うんですがね。それで一方、これは私はやっぱりがんみたいなものだと思うんですよ、業界にとっては。これはもう早く手術しないと手おくれになってしまう。
ちょっと余分な話ですけれども、現実に米農家なんかはどうしようもないところまでやられちゃったわけですよ、あれもっともっと早くやっておけば、二十年も先にやっておけば、もっと日本の米農業あるいは農業というのは世界的な競争力を持てたんじゃないかと思うんですけれどもね。
そこで、これは通産省、ほかの業界でもいろいろ今まで手をやられまして、皆うまく成功しているんですね、日本の場合は、石油業界も私はここで、まあ手術だから痛いのは当たり前なんで、思い切ってやればいいんじゃないか。それで二、三年でやれば、私は一、二社つぶれる程度で済むと思うんですけれどもね。これ十年たったら、ほとんど全部、業界つぶれちゃうんじゃないか、業界自身がだめになって、政府が国営化するか何かやらないとどうしようもなくなるんじゃないかという気が私するんですが、その辺はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/33
-
034・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 委員長……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/34
-
035・木本平八郎
○木本平八郎君 いや、委員長ね、ちょっと私、あなたの意見はもうよく知っているんですよ、二年間毎日毎日やっているんだから。だから、通産省の意見もよく知っていますからね……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/35
-
036・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 申しわけありませんが、通産省の話も出たものですから、申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/36
-
037・木本平八郎
○木本平八郎君 いや、やっぱりこの際衆議院と参議院でよくすり合わしておかないと、これは必ずまたもう一遍再提出か何か問題起こりますよ。業法の改正が行われればいいんですけれども、このままだったらえらいことになりますよ。だから、今後石油行政どうやっていくかというのは、この際いいチャンスだから、衆議院と参議院でよくすり合わせしておいてやらなきゃいかぬと思うんで私きょうわざわざお越しいただいたんで、また御高説は改めてお伺いに参りますから、ちょっと黙っていてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/37
-
038・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 先生は二、三年で大体いけると思うという御見解のようですが、私たちは、これはやっぱり初めて製品を輸入することでございますから、かなりの冒険、日本の産業界あるいは消費者としても、果たしてずっと安いのが入るのかという保証もあるわけじゃございませんし、それはやってみないとやっぱりわからないことではないのかなというふうに思うんです。であるとするならば、やはり安定的な、ある程度長期的なそういうベースの中で、産業活動なり国民生活というものが約束されてしかるべきではないだろうか。
私は、これも余分な話で恐縮でありますが、政治家としては、やっぱりそういう環境を産業界に与え、国民生活を営んでいる国民に与えていくというのが私ども政治家としての努めではなかろうかという感じがいたしまして、これは事前に、御案内のとおり、衆議院でも業界の参考人としてどなたかをお呼びして聞いた上でなくて、実は本当に国会議員同士の話し合いの中で延長を話し合って決めさしていただいたということでありまして、ある意味においては、十年と延長したことは、衆議院側の国会議員の一つの見識だというふうにお受けとめをいただければ大変ありがたいというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/38
-
039・木本平八郎
○木本平八郎君 今、安定的に供給を確保すると、これは非常に大事だと思うんですね。しかし、石油メー力一がこれを独占的に——独占的と言えるかどうか知りませんが、石油メー力一がやったら安定的にやれるとは私は思わないんです。これは、石油ショックのときに、日本のリファイナリーはどうしようも、玉がなかったんですね。それで特使が行ったり大変なことをやって、私は商社出身ですから、これは我田引水になると困りますけれども、そうじゃない、こういうものは、これはリファイナリーよりもそういう専門のなにの方が、あっちこっちから探してくるという点においては絶対に強いし、危機になったらなるほど、私はそういう商社の方が得意なんじゃないかと思うんです。まあちょっとその商社の問題は別にしましてね。
私はそういう危機になったときのことを非常に今恐れているわけですよ。皆さん今一九九〇年ぐらいに石油危機があるとおっしゃっていますけれども、私はもう前からそれを言っていたんです。そのためには、先ほども言いましたように、石油業界の足腰を鍛えておかなきゃ困るということを言っているわけですね。それで取り合いっこになるんですから、腕力ですからね、これは力がないととれないんですよ。そのためには今の業界の状況じゃ今でも危ない。これをほうっておくと、過保護を続けるとますます足腰が立たなくなっちゃってどうしょうもなくなるから、早くやれやれということをこの二年間言い続けてきたわけですね。その辺をどういうふうにごらんになっていますか、業界に対して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/39
-
040・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) これはお互いに見解、見識のまた違いも出てくると思うんですが、私は石油業界が過保護であるかということは、ちょっと若干の考え方の違いの立場をとらざるを得ないと思うんです。むしろ、では石油業界の体質が強まっているかといいますと、御案内のとおり、これは消費者優先という今日の政治基盤とでも言いましょうか、そういう傾向の中で、むしろ円高なんかでも相当な差益が将来見込まれるんじゃないかという私どもの期待すら裏切りながら、大変な過当競争の段階にも入っている。
そういうことを考えたりいたしますと、どうなんでございましょうか、僕はやっぱり石油ということは、安いということも大切ですが、あるいはエネルギーということは、先ほど申し上げたように、国家的にも国民生活上から見ても極めて重要なものだとは思いますけれども、これは安ければいいというだけでなくて、やっぱり安定供給ということが避けて通れない一つの大きなまた問題ではないのかなという感じがいたします。
まあ五年のところで見直してもいいじゃないかという議論も確かにありましたけれども、しかし、いろんな法律を御案内のとおり商工でやってまいりまして、五年ベースでもってまた五年延長したり、さらにまた五年延長したりということもあったりいたしまして、この際十年でひとつ安定ベースを与えることによって、初めて経験することでもあるので、ひとつ御了解をいただきたいなということで、特に今の構造改善の点を考えますと、一社か二社がとおっしゃいますけれども、その一社か二社かが相当大変なことでして、特に大手の一社二社をおっしゃっているんではないかなという感じがするんです、せいぜいこの業界十社ぐらいのものですから。
その中で、勤労者の人たちのことを考えたりしますと、やっぱりできるだけ皆一緒に安定生活が営まれるような環境を与えたいなということが、あくまでもこれは本当に偽りないベースなんです。ぜひひとつそのようにお考えをいただきたいというふうに思うんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/40
-
041・木本平八郎
○木本平八郎君 やはり私も、従業員の方が倒産とか首切りあるいは失業というのは大変なことだと思うんです。しかし、これは先ほどもなにしましたように、やっぱりこういう自由経済下にあれば、これはもう避けられないと思うんですね。それがだめならやっぱり統制経済やらざるを得ない、統制経済でもうまくいくかどうか知りませんけれどもね。
それで、この問題は先ほども言いましたように、この業界だけじゃなくて、ほかの業界に皆同じ問題があるわけですね。その業界はもうほとんど裸のままほうり出されているという、まあ裸に近い状態ということもあるわけですね。私は先ほども言いましたように、この石油業界が特別の恩恵を受ける理由がわからないということを申し上げたのはそこなんですけれどもね。これはやっぱり鉄だとかレアメタルだとか、こういったものも、エッソでもそうですわね、もうこれは不可欠ですわね。ところがそれも全部自由化してうまくいっているわけですね。やっぱり石油業界だけが、これは後でなにしますけれども、やっぱり設備過剰の問題とかガソリンスタンドが多過ぎるとか、いろいろ問題は基本的にあると思うんです。これにメスを入れない限り永久にだめだと思うんですね。それをやっぱり加速しなきゃいかぬのじゃないかと思って、私そういう観点から言っているんですが。
それで、石油の確保に、これはリファイナリーですね、メーカーでなければならないという理由が私はよく理解できないんですけれどもね。例えばLPGとかLNGとか、同じようなナフサとか、こういったものはメーカーじゃなくてちゃんと安定的に供給を受けているわけですね。輸入できているわけですね。こういうものと石油との違いはどこなんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/41
-
042・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 今の御質問は、ナフサあるいは重油という今まで……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/42
-
043・木本平八郎
○木本平八郎君 LNGです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/43
-
044・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) LNG、LPGといったものと今度の特定石油製品とどう違うのかということでございますけれども、ナフサとか重油といいますものは、産業用に多く使われておりまして、したがって消費者対策というようなことはなくて、需要者も大きくてその安定供給には十分意を用いることができるということでございますし、それからLPGの場合は相当量既に輸入されているということもありますが、LPGの場合につきましては、連産品であるというところが特定石油製品の場合とは異なっているというようなことがございまして、したがいまして特定石油製品と異なるわけでございます。
この特定石油製品の場合は、これまでも御説明申し上げておりますように、やはり消費生活に密着したものでございまして、それで品質の良否を一般消費者が容易に識別できないというようなことがございまして、それから揮発油の場合でございますと、我が国の石油製品価格体系への急激かつ直接的な影響を回避しなくちゃいけないというようなこともございまして、今回登録制を採用さしていただいて、適格な輸入主体による輸入をお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/44
-
045・木本平八郎
○木本平八郎君 それじゃ、ついでに申し上げますけれども、連産品ということをもう先日からおっしゃっていますけれども、連産品がぐあい悪ければそっちを、灯油が足らなくなったら灯油を輸入すればいいわけでしょう。これで自由化されるんだから、足らなくなればどんどん輸入すればいい。これはリファイナリーであろうが何であろうが、輸入したらもうかるとなれば皆やりますよね。
それからもう一つ、何か設備の高度化が進んで非常にうまく、何というのですか、通産省の説明にありますわ、「国内精製設備の高度化」ということで、「石油精製設備の高度化が進展している」から、石油「製品ごとの産出割合を変更し弾力的に対応することが容易になっている。」こうありますね。そうすると、ほかの物が足らなくなればこれでもやれると。それから、先ほどの輸入でも賄える。連産品、連産品とおっしゃるけれども、連産品の意味というのは、私にはそれが理由ということは理解できない。だから、先ほどのLNGやLPGなんかと私はその点では同じじゃないかという気がするわけですね。
それで、今畠山さんがちょっとガソリンの値段のことをおっしゃいましたけれども、これは渡辺さんにもぜひ聞いていただきたいんですが、この値段の問題というのは、これ今非常に値が崩れているわけですよね。崩れているんですけれども、私この点で非常に疑問があるんですが、これは通産省の資料によると、昭和五十九年の平均コストというか、それを一・〇にした場合に、ガソリンが一・四、それから灯油が一・〇四、それから軽油が一・〇二、それからA、B重油とかジェット燃料、こういうのが〇・九七、C重油が〇・八、それからナフサが〇・七というふうな割合になっているというのですね。これ、去年、おととし、私が委員会で言いましたときにもこれは同じ傘なんです。こういう格差というのは、これは政省令であるのか、それとも通産省の行政指導でやっておられるのか。この格差、これはずっと同じ格差できているわけですが、その辺はどうなんですか。これは畠山さんに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/45
-
046・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 今御指摘のように、ガソリンが一・四あるいは灯油が一・〇四、その他の点についてはまことに事実でございます。私どもの公式資料でもそういうことを石油審議会に提出をしたことがございます。
そこで、その価格が行政指導の価格に基づいているのか、あるいは政省令その他で決まっておるのかという点でございますが、これはたまたまそういうふうに市場メカニズムの結果相形成されているものでございまして、今のところ政省令でやる根拠もございませんし、また行政指導でそういうふうにやっているわけでもございません。
ただ、昔、御指摘の石油危機のころに標準価格制度というのがございまして、これは石油業法に基づく標準価格というのもありましたし、あるいは国民生活安定法に基づきます。そういった制度もございましたけれども、そういったものに例えば灯油というものが対象になったりいたしまして、そのときは政省令というほどではございませんけれども、やや標準価格的な、むしろ抑制的な措置がとられたという歴史はございます。またそのほかにも、やたらにいろいろな製品の値上げをしてはならないという観点、あるいは特に便乗値上げをしてはならないという観点から、石油製品の価格につきましてシーリング価格というような行政上の措置を講じたこともございます。
したがいまして、一応先ほどの一・四とか一・〇四とかいう価格は、プライスメカニズムに基づいて形成されたと申し上げましたけれども、そういった過去の歴史をある程度引きずっているかもしれないということは申し述べておいた方が率直であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/46
-
047・木本平八郎
○木本平八郎君 この問題まず第一は、ガソリンとか灯油とか、こういう民生用物資は高くて、そ
れでナフサとかC重油とか重油なんかは安いわけですね。これは全く産業用というか、それの助成としか考えられないわけですよ、どう考えても、民生用が高くて。だから、我々消費者が犠牲になって、それで産業用に安くしている。これが一つの国の政策であればいいと思うんですね。
この問題、もう議論している時間ないからちょっとおいて、それで、これが自然にこういうふうになってきたのならいいんです、今のプライスメカニズムで、いわゆる市場競争、市場における自由競争によってそういうふうになったというならいいんですけれども、一方、通産省の説明資料では、要するにガソリン業界がなぜこういうふうな泥沼に入っているかというと、ガソリンのシェアを取り合いっこして、それでやっているわけです。ガソリンのシェアを取り合いっこしてやっているというなら、当然値段が下がっていいはずなんですよ。ところが、三年も四年も同じような一・四と〇・七というか、ナフサと比べれば半分ですよ。こういう状況がずっと来るというのは、これは自然発生的には来ないですね。私はずっと長い間コマーシャルの世界。におりましたけれども、こういうことというのはあり得ないんですね。もしも行政指導がないとすれば、これはもう業界が談合してやっているとしか思えないわけです。
それで公取委にお伺いしたいんですが、こういうことというのは、私はちょっとあり得ないと思うんで、ぜひ調べていただく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/47
-
048・厚谷襄児
○政府委員(厚谷襄児君) 先生御指摘の点が独占禁止法上問題になるということになりますと、それは事業者間に共同行為があって、それで価格体系が決められる、こういうことではないかと思うわけであります。それじゃそこには、事業者間に共同行為が存在するかどうかということを公正取引委員会が判断しますには、これは非常に多くの事実の積み重ね、調査の結果によって初めて認定できるわけでございまして、先生ただいま御指摘の事実が直ちに独禁法上問題だというふうには私ども判断しかねるわけでございます。
もちろん独占禁止法上問題に足るような事実がございましたならば、私ども独占禁止法に照らしまして厳正に対処していくという所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/48
-
049・木本平八郎
○木本平八郎君 そういうウォッチは、これは消費者の立場からぜひお願いしたいわけですけれども、私はこれはなぜこういうことを取り上げているかといいますと、これはもうこの委員会でも何回も言ったんですよね。一斉値上げが過去、私の知っているだけでも、ここに来てからでも二回ありましたよね。
それで、値段が非常に上で維持しているとか、こういうことがまあ業界なのかどうもよくわかりませんけれども、非常に不自然なんですね。その値段のプライシングの面から見ますと、我々消費者から見るとおかしなことばかり起こるわけです。だれが起こしているか別にして、石油業界というのは起こるわけですね。そうしますと、非常に問題は、今度リファイナリーが輸入するわけですね、そうするとやっぱりこの一・四で売るんじゃないかという気がするわけです。国際価格は一なんですね。あるいは日本の一に対して向こうは〇・何ぼかもしれませんけれども、少なくとも日本のそういう水準からいけば一なんです。一・〇なんですね。一・〇のものを一・四で売るということが起こってくると思うんですがね。そういう体質で、それが一つありますね。
それから、やはりもう少し輸入量を互いに抑えようじゃないか、リファイナリー、もうどんどんそういうことで下がるからという談合が十分に行われるんですよ、こういう状況だと、メーカーだけだと。こうなりますと、私はせっかくのこれ、自由化してやろうとしているのに、現実的にはメーカーだって今苦しいわけですよ。私がメーカーの社長だったとしてもそれやりますよ。何とかこれうまいことやろうと思って、一生懸命考えますよ。
こういう状況になっていて、私は公取委にもう一度お伺いしたいんですが、また新しくここにこういう談合みたいなものが起こりやすい、こういうプライスメカニズムと今の構造からいって起こりやすいと思うんですが、その辺はどういうふうに公取委側見ておるかお伺いしたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/49
-
050・厚谷襄児
○政府委員(厚谷襄児君) 石油製品が新たに輸入されるようになりまして、これは我が国における市場に一つの新しい価格の形成の仕組みが市場メカニズムによってでき上がるんだろうと思います。
公正取引委員会としましては、そのような新しい仕組みを阻害するような、つまり石油製品の輸入を制限するようなカルテルあるいは輸入製品の流入に対処するために価格カルテルを行うということがないように、これに対して十分注意してまいるということはもう当然のことでございまして、もしそれがカルテルによってそのようなことがございますならば、これは独占禁止法に照らして厳正に処置してまいるということもまた私どもの任務だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/50
-
051・木本平八郎
○木本平八郎君 それじゃ畠山さんにお伺いしますけれども、一・四の価格差、これはどういうふうに業界を指導される予定なんですか。国際価格のコストは日本より低いわけですね。もう操業度が全然違いますしね。しかもこれで一・四というのありますね。国内のガソリンは今一・四で流通しているわけですね。仮にこれが〇・八で入ってきて、〇・六もうかるわけです。私は実力でメーカーあるいは企業がもうけられるというのは構わないと思うんです、自由競争ですから。しかし、こういう状況で、もっと安く売れるはずなのに、私はこれ多分値段下がらないと思うんですね、コストは安いのにガソリン値段が。この辺は、一・四のこれはどういうふうに今指導されていますか、ガソリンだけに限って。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/51
-
052・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 一・四よりも幾ら安く入ってくるかという問題は、本委員会でも御説明申し上げておりますようになかなか難しい点でもございまして、非常にアバウトな話で恐縮でございますけれども、向こうの出荷、製品輸出の大体の価格は、FOBでリッター当たり四十円とか五十円とか、そういうふうに考えられまして、それに対してガソリン税がかかってまいりますと、それだけでももう、今の一・四というのがたまたま百四十円と一致しているものですから、そういうことで考えてまいりますと、一・四に対比する意味におきます一を超えるという状況になってくるわけでございます。
ただ、いずれにしましても、自主的に企業が輸入を行います以上、価格は経済性のあるものを輸入するというふうに考えられますので、今より安くなるかどうかというのは、今のレベルを一・四ととるのかあるいは一・三ととるのかというようなこともございますので、一概には申し上げられませんが、コストの低下要因になることは事実であろうかと思います。
そこで、先ほど公取の経済部長も言われましたように、私どもとしましても、メーカーが十分競争を行いまして、むろん自主的な競争制限などということがないように十分監視をしながら、市場メカニズムに沿って価格が形成されるように十分ウォッチしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/52
-
053・木本平八郎
○木本平八郎君 非常にわけのわからない御説明で、それしかできないと思うんですね。それはよくわかりますから、それ以上追及しませんけれども、国民とか消費者が、みんながこれ見ているわけだし、聞いているわけだから、やっぱりどうもおかしいぞと思うことが、僕は一番重要な問題だと思うんですね。
そこで、ちょっと渡辺さんにまたお聞きしたいんですが、衆議院の修正の議論のときに、こういう修正を行うということについて外国側がどういうふうに受け取るだろう、これはアメリカとかECとかあるいは中東の産油国とか、いろいろ立場はあるでしょうけれども、これはどういうふうにつぶされたかという、その辺ちょっとお聞かせをいただきたいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/53
-
054・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) それぞれ委員の先生方の質疑の中ではいろいろ触れられたようであり
ますが、そのことを特に取り上げまして、五年から十年に改正をしますときに、突き詰めた議論はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/54
-
055・木本平八郎
○木本平八郎君 ちょっと今のお答え、私も非常に残念なんですけれども、これは私、やっぱり第一院の見識にかかわる問題じゃないかと思うんですがね。私はこれは極めて重要に受けとめているわけですよ。衆議院の段階で御議論がなかったということになると、これ大変だなという気がするんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/55
-
056・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 議論は、ですから質疑の中ではそれぞれいろんな角度から質疑をしておられました。その中で、当然それぞれの党でお考えになられて、この問題についての結論を出された、こう申し上げた方がよろしいかと思います。ちょっと先ほどの答弁が適当でなかったように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/56
-
057・木本平八郎
○木本平八郎君 当然これ、各党その他では真剣にお考え、検討されたと思うんですね。私、冒頭にも申し上げましたように、一番問題は、この法案の体裁自身が非常に保護法案であり、規制強化の法案の格好しているわけですね。こういうことにならざるを得ないという事情は私もよく了解するんですけれども、こういう格好をしているだけに、よほど扱いとかそれを慎重に気配りしないと、もう外国から無用の誤解を受けるんじゃないか。
それで外国は、私もさきに言いましたように、もう日本というのはずるい、アンフェアだと、だから表面上は自由化しても、必ずその裏で何かやっているに決まっているという疑いの目で見ているわけですね。私なんかしょっちゅうそれは言われてきたから、もうこびりついているわけですよ。こういうものを見ますと、すぐ、ああまた外国はどういうふうに受けとめるだろうかとすぐ感じるわけですね。
ところが、そういう非常にもろい例えばガラス細工みたいなものを扱うのに、やっぱりそこで修正なさるという、ちょっとでもこれをやるときにはよほどそういう疑惑を与えないように十分の御配慮がなきゃいかぬと思うんですね。
それで少し先へ急いで私の意見を申し上げますと、今までの、この初めの原案どおりだったらまだ、知って知らんふりしてだまされようかと、まあいいやと。いや、私も実はそうだったんです、そう思っていたんですよ。これは通産省の誠意と真意を信ずるしかないと。それで、私は今までの二年間のつき合いで、まあ多分これは一生懸命やっていただけるだろう、一里塚だと思っていたわけですね。
ところが、これが修正されますと、もう無用のところに石を投げ込んだようなことで、一遍に自立っちゃうわけですよ。五年でもまだ少しあるけれども、そっとしておいて、真意はよしんば自由化してやるんだという説明であれば、割合に世界的にもすっと通ると思うんですね。そして、おかしいじゃないか、いやいやちょっといろいろ国内事情があるからこういう一応なにしているけれども、これはちゃんと自由化して輸入もふやしますからと言えば、それじゃちょっと実績見ようということで了解を得られると思うんですよ。
それで、外国は特に今自由化だということで言っているんですが、これ英語で翻訳して言ったら、何だ、これは輸入強化じゃないかということを言われるわけですね。それはまだいいわけです。ところが、ここで十年間に延ばしたというのは、もうこれは歴然たる保護法案だというふうにとられてしまうので、その辺は衆議院の方ではどういうふうにつぶされたか、ちょっとお伺いしたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/57
-
058・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 御案内のとおり、この法律案ができた経過はもう今まで説明があったと思うんですが、七月の村田通産大臣がIEAに出席以後の問題提起でありますが、各国、アメリカを初めとしましてこの製品輸入、しかも日本としては消費地精製という基本原則から大きく踏み出して、そして国際エネルギー市場のある意味においてはメカニズムもこれは取り入れるということをやることの第一歩だと、私は私なりに実はそう考えております。
そういうふうに考えますと、やはり何よりもまずその製品輸入に踏み切ったという我が国の姿勢と、いわゆる日本の政治というものの評価ということの方が私はより大きく実は映りまして、そのことの方が大切なのではないかと、今の段階、変な話ですけれども、法律は私は尊重していかなきゃならぬと思いますが、当然我々は立法府におって、その法律の執行ということは絶えず監視していけるわけです。しかし、国民の方やあるいはその産業界の方は、そういうベースをやっぱりもとにした生活であり、産業活動だと言わなきゃならぬと思うんです。そういう意味では、私は今回の五年から十年ということは、いろんな評価があろうところだと思いますけれども、我々の考え方もひとつぜひ御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/58
-
059・木本平八郎
○木本平八郎君 今のままで私はこれをやりましても、そうそう伸びないと思うのですよ。これは通産省が努力規定か何か入れて、しりひっぱたくということですけれども、余り通産省に干渉されても困るんですね、経済としては。なるべくほうっておいてもらいたいわけです。しかし、これはひっぱたいても、私はやっぱりどうしても野心が入ってくると、これは自分の稼働率が悪くなるし、それからメーカーとしてはなかなかほかに競争は、お互いに話するかどうかは別ですよ、そういうことで実績がもしも出なかったときに、これは外国からのリアクションというものは物すごく大きいと思うのです。
それで今、確かに大使なんかの連絡によると、何か外国ではこれを好感を持って受けとめているとか、自由化へやっと踏み切ったということを言っていますけれども、しかし、このままで、しかも今のような状況でそういう保護法案的な色彩を強めたという受け取り方をされているときに、実績が出なかったら、やっぱり日本はうそついたじゃないか、やらなかったじゃないかということを必ず言われると思うんですよ。このリアクションの方が私は怖いので、それなら初めからもうやらない方が僕はいいと思うんですよ。
これはちょっとやり方を間違えて、何か石油関係というのは一つボタンをかけ損なったものだから、どんどんどんどん何かおかしくなっていくという感じなんですけれども、しかし、そういう実績がもしも出なくて、大きなリアクションがくるかもしれぬということ、その辺はどういうふうに、衆議院としてでなくても、渡辺さん個人としてお感じになっていたかという点をちょっとお伺いしたいんですがね。これは重要なことなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/59
-
060・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) これは、木本先生もどうぞひとつ御理解をいただきたいと思うのは、私どもが立法府としてこの法律案をつくって、いわゆる承認をして通過させるということは、私ども立法府でこれにある程度参画する、こういうことになるわけですが、この法律案の中にきちんと、先ほどおっしゃいましたように輸入の計画あるいはある程度の数量、こういう問題が約束されていかなければ、これはもう次の年にすぐその結果があらわれるわけでありますから、私は業界の良心、良識というのをやっぱりそういう意味では信じたいと思うのです。
おっしゃるとおりなんで、約束を果たさなかったときにはリアクションの方が大きいということであるとするならば、当然約束を果たすという前提に立って、私たちは政治の場で見守ってやらなければならないのではないかなと、こんな感じがいたすのでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/60
-
061・木本平八郎
○木本平八郎君 確かにそういうことだと思うんです。私はもうその意見には大賛成なんですけれども。先ほど立法府としては法の実施をこれは監視していく義務がある、立場にあるとおっしゃったわけですが。私もそうだと思います。
それで、これは渡辺さん個人で結構なんですけれども、もしもこれをやってみてうまくいかない、思ったように輸入がふえないという状態が出てきたときに、やっぱり次の手を打っていかなければいかぬと思うんですね。例えば石油業法を根本的
に見直すとか、十年とか五年とか言っていられないので、すぐ来年のこの商工委員会でもやらなければいかぬかもしれないのです、その辺はやっぱりそういうふうな方向でお考えになっているかどうか、ちょっとお伺いしたいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/61
-
062・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 来年一年間で今後の方向性というものを全部占うかどうかということは別にいたしまして、しかし余りにもひどいことであるとするならば、これは私どもは率直に政府に対してもあるいは我々も、むしろそういう安定ベースを与えたことが、おっしゃられるようにマイナス面に生きてくるというようなことであるとするならば、これは当然、政治家としてその面の是正は図っていかなきゃいかぬという責任があることは私は承知しているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/62
-
063・木本平八郎
○木本平八郎君 ぜひ、そういうフレキシブルにこれは対応していただきたいと思うんですね。これは政府はなかなかそこまで動けないかもしれないけれども、やっぱり立法府の方が一つのそういう判断で動く必要もあるんじゃないか。
それで、ほかのはちょっと様子を見ていてということですけれども、今の貿易摩擦の問題なんかは、おくれたらおくれるほど、それからどこかで一つおかしなことがあると、それがまた火をつけて、わあわあ言われるということがあるので、これは本当に先手先手を打ってやっていかなければいかぬわけですね。
そういう点で、私どもは、衆議院の方では相当いろいろ慎重に検討いただいて、そしてこういう修正が行われたと理解したいわけですけれども、率直に申し上げまして、この修正はちょっとやっぱり国のためにもならないし、国民のためにもならないし、それから業界のためにもならないと私どもは思うわけですね。
その一番初めのなんで、業界のために私はもう少し心を鬼にして、早く手術台に乗っけるということが必要なんじゃないかと思うんですね。これ期限は別にしてですよ、やはりもう一日も早く痛い思いを退けずにやれということが僕は必要なんじゃないかと思うんですが、その辺はどういうふうにお感じになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/63
-
064・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 私は、人間の体でありますと、傷ができてからその傷を治すことよりも、傷をつくらないようにしていくということも大切なことではないか。そういう意味では、私はあくまでも先生の非常に懸念されることもわかるんです、正直に申し上げまして。わかるんですけれども、しかし、ここは逆に、私はあえて、まあ先生が性悪説に入っているとは思いませんけれども、私は業界の良識あるいはまた勤労者の将来、雇用の問題、地域の本当に経済の問題等を考えますと、やっぱり緩やかな軟着陸が政治としてはどうしても考えることではないのかなと。私の方に間接的に入ってまいりましたお話でも、勤労者の皆さんもそういうふうに期待をしている、希望しているというようなこともこれありまして、私どもとしては決して業界ベースで考えたということでなくて、社会党さんも公明党さんも民社党さんも、それぞれ党に持っていっていただきまして、共産党さんも含めまして御検討いただいた。
ぜひひとつ、私はきょう木本先生に何とかひとつこれは御理解をいただきまして、業界やあるいはまた国民生活あるいはエネルギー政策の非常に重要性の中で、これが安定的に遂行されていきますベースを政治として一回は与えてやるという、しかも今まで経験済みのことではなくて、初めてのことでございますので、私どもにひとつぜひ御賛同いただいて、その点一点でございましたらぜひひとつ御理解をいただいて、この法案に御賛成の方に回っていただけると大変ありがたい、私の方からぜひひとつお願いを申し上げたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/64
-
065・木本平八郎
○木本平八郎君 私は少なくとも理解はしているつもりなんです。しかしながら、賛成はやっぱりできないという立場を今現在も持っているわけですね。
これは、非常に口幅ったい言い方ですけれども、ちょっと衆議院の先生には耳をふさいでもらわなきゃいかぬかもしれませんけれども、現在、御存じのように、参議院無用論というのがいっぱい出てきているわけですね、やかましく言われているわけです。それは、参議院ってもう何しているんだ、要らぬと言われているわけですね。それはなぜかというと、やはり参議院の使命というのは、二院制のもとにおいて衆議院の行き過ぎを是正するんだと、良識の府なんということを言っていますけれども、これは内部だけの話で、ほかからは余り認められないかもしれぬけれども、そういうふうにやろうということで、それで今無用論が出ているから、参議院の中で改革協議会をつくって、必死になって参議院のあり方をやっているわけですね。
それの一番重要なことは、元へ返って衆議院の行き過ぎを少し是正しようじゃないかと。衆議院の先生方というのは、地域だとか業界とか、いろいろの関係が強いから、ついついそっちへ行かれるだろう。この石油法案も、はっきり申し上げれば、やっぱり石油業界のことばっかりしかお考えになっていなかったんじゃないかと。まあほかも考えられたと思いますよ。しかし、ついつい目がそっちへ行っちゃったということで、まあ私は、何というんですかね、衆議院の中でも、今になってみたらちょっとあれは間違ったかなということをお考えになっている先生方、非常に多いんじゃないかと思うんですよ。
そういう点から、私は参議院の立場として、これは相当強硬に申し上げて、やっぱり衆議院の私は行き過ぎだと思うんです、あえて申し上げますけれども。これは、五年を十年にしたというのは衆議院の行き過ぎであると、誤りかどうか知りませんけれどもね。とにかくそういう行き過ぎを声を大にして問題にするということが、参議院のレーゾンデートルにもかかっていると私は思うんです。だから、これはもう黙って過ごすと、やっぱり参議院なんか要らぬと、何やっているんだということになりかねないという点でも私は非常に強硬なわけですね。
したがって私は、衆議院の方にはやはり第一院としての見識を持っていただきたいと思いますし、我々の方としても率直にこういうことを申し上げて、その辺は、これはだめ、行き過ぎたかなと思ったら、やっぱり率直に、いろいろ立場もあるし、メンツもあるし、こけんにもかかわるということもありますけれどもね、その辺は柔軟に修正に応じていただくということも今後は必要なんじゃないか、まあこれはちょっと間に合わないでしょうけれどもね。その辺はどういうふうにお考えになっていただいていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/65
-
066・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) これは渡辺秀央の個人的な答弁になるとは思いますけれども、私どもがもし今後の審議の中で、いろんな法案を審議さしていただく中で、衆議院の行き過ぎがもしあるかというようなときには、どうぞひとつ御指導をいただきたいと思いますし、我々はそういうことのないように、衆議院の商工委員会の中でも実に仲よく、しかも十分に意思の疎通を図って、そして意見交換をして、そしてまたそれぞれの党の周辺までお話を承ったりして、そして今日ここにこぎつけましたので、今後もしそういうことがあるとすれば、おっしゃられるように我々も配慮しながらやっていきたいというふうに思っております。どうぞひとつ御理解をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/66
-
067・木本平八郎
○木本平八郎君 ぜひそういうことでこちらの方もお願いしたいと思うんです。
それで、この私の質問を終わるに先立って、一つだけ、先ほどのちょっと私気になっていたガソリンスタンドとかリファイナリーが仕切りが多過ぎると、能力が。こういうものが不可避的にあるわけですね。これはどうしても業界が立ち直るためには設備を廃棄するとか、それでガソリンスタンドも五万九千がやっぱり多いから、不当競争になっちゃうわけですね。あれを自由化して、やめさせるものはやめさせる、集約化するものは集約化していかなきゃ、これはどうしたってだめだと思うんですよ。もうこれだけははっきりしているわけですね。
この点はやはり余り微温的にならずに、行政の方も指導していただきたいと思いますし、我々の方もそういうふうに持っていかなきゃいかぬと思うんですね。その辺が手がつけられない。いずれそれは手をつけなければいかぬわけですね。痛い思いをしなければいかぬわけですね。それがないと、これは非常に難しいんじゃないかという気がしますので、いずれそこへいかなければいかぬなら、早くいった方がいいんじゃないかというのが私の考え方です。
時間がなくなりましたので、最後に総括的に大臣のコメントを言いただきまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/67
-
068・村田敬次郎
○国務大臣(村田敬次郎君) 木本委員から非常に御見識のある御質問を賜りまして、渡辺衆議院議員との御質疑、そして応答をこちらで拝聴をしておったところでございます。
せんだっての委員会で、伏見委員からでございますか、戦前のABCDラインが戦争をもたらした一つの原因になったという非常に重要な指摘がございまして、私はやはり戦中派でございますので、非常にその御説を拝聴しておったんでございますが、石油は経済社会の重要物資でございまして、この安定供給を確保するということは、石油供給システム全体の合理化、効率化、自律的産業秩序の形成を図るということで、石油の安定的供給基盤を構築していくことが不可欠であると考えます。
木本委員は本当にその意味の流通における専門家でいらっしゃいますから、そういったことについて特にいろいろお気づきになった点を御指摘をいただいたわけでございますが、私は自由主義経済体制というものと貿易というものを、いつも通産大臣としてこれは一番大事なテーマであると思って勉強しておるつもりでございますが、自由主義経済体制というのは、ニューラウンドのように、すべて自由にやっていくというのが理想であるのは違いないんですが、ただ国の産業構造というものが物によって非常に違いまして、農産物あるいは石油その他、そういったものを考えてみますと、その供給システム、国民におりていくシステムというものはいろいろ多様でございます。
したがって、開放にしてしまえばもっともっと安く消費者に供給できるのにということは、いろいろな問題がございますし、特に米などは、私は国際流通過程の中で大変大きな問題があるといつも思っておりますが、しかし日本の農業を守るためには、米はこういったシステムであらねばならぬという真剣な討議が政治の場でいつも行われておると同じように、石油の場でも、例えばOPECであるとかメジャーであるとかあるいは民族産業のあり方であるとか、そういういろいろな特有の供給体制というものがあると思います。
そういった意味で、渡辺衆議院議員は、衆議院の方のこの法案の成立、通過について大変なお骨折りをいただいたわけでございますが、まずはIEAその他の今までの経緯からいえば、製品輸入がこうして拡大をするということについて、国際的には一つ大きな進展が見られて、そして例えば五年であれば木本委員は賛成できたのに、十年だとなかなか非常にいろいろなことを感じておられる、私なりによく理解はできるわけでございます。
今まで、過剰設備の処理の問題でございますとか、あるいは石油元売企業の合併、業務提携の推進でございますとか、あるいは小売段階における流通ビジョンの研究会の報告でございますとか、通産省は通産省なりに誠心誠意いろいろ努力をしておりまして、それが各先生方にも非常によく御理解をいただいておるところと思っておるわけでございますが、ぜひひとつそういった意味で、良識の府である参議院でこの法律案の大きな趣旨を御理解をいただきまして、木本委員がこれに賛成していただくか、そうでないかというのは大問題でございますので、人を試すということは大変、何といいますか、思い上がったことであるということを聖書にも書いてありますけれども、ぜひひとつ御賛同いただきたい。切にお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/68
-
069・福間知之
○福間知之君 本法案の質疑の締めくくりということにもなるわけでございますので、何点か御質問したいと思います。
既に御案内のとおり、この法案は今日まで禁止されておりましたガソリン等石油製品の輸入に道をあける、こういうことになっていますが、これまでの質疑、議論の中で明らかにされたとおり、そうはいうものの幾多の疑問点がやはりあるわけでありまして、まだまだ今までの当局御答弁によって私たちが輸入を促進できるのかどうか、危惧をぬぐい去ることができません。これは後ほど、論理的な問題ですから若干触れてみたいと思うんですけれども、その上衆議院で、私をして言わせるならば、不可解な、まことに不可解な廃止期限五年延長するというふうな修正が行われたわけであります。これは結論として私は到底容認できるものではないとまず申し上げておきたいと思う。
そこで、きょうは渡辺議員にも御出席をいただきました。これは与党・自民党さんだけの提案じゃなくて、衆議院段階では公明党、民社党さんも共同で提案者に名を連ねておられると承知をしております。本来ならば三人の方においでをいただくべきかもしれませんが、三人の方が一々答弁をされるわけにもまいりません。きょうはそういう意味で、チャンピオンの渡辺さんに来ていただいたわけでございます。他の方々の御意向は、我が方参議院側の関係政党を通じまして、その方々の意見というか、若干の見解は私もお聞きをしているところであります。そういう上で、張本人の渡辺さんにおいで願ったわけでありまして、ひとつ明快なお話を伺いたいと思うわけであります。
一体、この五年を十年にするというのは、いつだれがリードをして、どういう商工委員会の審議経過、状況でこれ決められたものなのか、まずお伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/69
-
070・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 先ほどごあいさつしましたように、きょうは大変ありがとうございました。果たして私が改正をした張本人であるというふうにお名指しをいただいて、私だけがお伺いをすることが妥当であったかどうかは別といたしまして、せっかくの機会でございますので、ぜひひとつ御理解いただきたいと思いまして参上さしていただきましので、どうぞひとつよろしくお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/70
-
071・福間知之
○福間知之君 御苦労さまです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/71
-
072・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 実は、御案内のとおり、十一月の二十日にこれが衆議院で審議が始まりました。冒頭、与党の質問でございまして、与党の質問の中で、後で見ていただけるとわかると思うんですが、この期限のところで、政府側に五年で果たして大丈夫かという趣旨の質問をいたしました。どうも余り自信を持った答弁が得られませんので、私がかわりまして、関連質問として、田原委員の質問の時間内で実は質問をさしていただきました。そのときも私は、先ほどお話しを申し上げさしていただきましたように、
今まさに田原委員が指摘されましたように、石油の需給関係においてもいろいろ問題点があろうとは思いますし、国内の経済の状態を見ましても、これからいろいろな変動が予想されるわけであります。しかもまだ、この製品輸入という問題によって当然惹起されてくる設備過剰という問題からきて構造改善、ひいてはいわゆる労働者の雇用問題等々にも影響が出てくるわけでありまして、そういう意味においては、まさに五年間の極めて短い期間内でこの法律を執行していくということでは、私は産業界ひいては経済界あるいは国民生活ないしはいわゆる企業活動全般にわたって極めて不安定要素を与えるということになると思う。そういう意味においては、今通産省が提案している五年間というのは、考えによっては極めて短い、あるいはまた若干問題点があるのではなかろうかというふうに思うのです。
そういう点についてエネルギー庁長官は、この五年間にこの法律に盛られている問題点すなわち私はその精神ということを言いたかった
んですが、
問題点が解決できるというふうに御認識されているか、というふうに実は御質問申し上げました、そのときに長官の方から、私ども法案立案過程でも議論をいたしたものでございます。基本にありますのは、やはり国際石油情勢というのは非常に不安定であるということ、見通しがなかなか難しいというのが前提でございまして、産業秩序なりあるいは取引における基盤というものはできるだけ長期に、見通しのつく安定的なものである方がいい。そういう意味でいいますと、この法律が長い方がいいわけでございますが、他方、経済活動への介入というのはできるだけ短い方がいいということであれば短い方がいいということで、両方を勘案いたしまして、かつ現在の国際石油情勢がなかなか見通しがつきにくいということ等も前提といたしまして、五年という提案をいたしました。
御指摘のいろいろな問題につきまして、大変頼りない答弁で恐縮でございますが、というふうに、ちょっと余計なことまで言いましたが、答弁されておりまして、そこで実は私は、政府の方も五年ということには余り自信を持って提案したということではないなというふうに感じ取りまして、
最適な期間というふうに答えられない要素があると私は受けとめました。このことについては、
今後各党と協議をいたしたいということで関連質問を終わったのでございます。
私は、これは今までもいろんな議論のあったところだろうと思うんでありますけれども、この二十日の日にこういう質問をいたしまして、そして実は各党にそれぞれいかがなものかということで提案を申し上げました。そのときに十年という案が実はお互いの話の中で出てきたのでありますが、それぞれ各党ともに各党に持ち帰っていただきまして、そしてその日はもちろん審議が終了いたしまして、翌々日の二十二日の金曜日、一般質問の日でございましたが、法案審議にいたしてありましたものですから、二十二日の金曜日にまた改めて審議再開になりましたので、その席上に各党の御回答をいただいた。
せっかくのお尋ねでございますので、あるいは余計なことかもわかりませんが、私ども与党の方は、実は私は二十日の日にいかがなものかということで、そして党の幹部の皆さんあるいはまた私ども党内の部会の幹部の皆さんにも御連絡をとりながら、大体まあ十年ということで、先ほど答弁さしていただきましたように、いわゆるこれからの経済活動あるいは産業活動、そして国民生活、エネルギー政策の安定的遂行というようなことから考えてみたりいたしまして、同時にこれが当然製品輸入ということに相なってまいりますと、避けて通れない構造改善という問題から惹起されます雇用の問題、そういった問題につきまして、私たちは少し五年では短かろう、十年ということでいかがなものかと、政府提案ではあるけれども、政府の提案がもし万全たるものでなければ、与党としても野党の皆さんと相図って改正をいたした例もこれあり、またこの機会は初めて行う施策でもありますので、私たちとしては十年ということでいかがかというお話し合いをいたしまして、翌日実は御決済をちょうだいしたということになっておるわけでございます。
そして、各党の皆さんは金曜日に御返事をいただきました。そこで社会党さんの方は、どうも五年であればということでございましたし、公明党さんの方は、まあ十年という構造改善の今までの経緯もあり、構造改善の点も考えたり、そして社会党さんの方から、組合さんの勤労者の皆さんも、できたら長い方が我々としては安定的に思われるという話が、実は漏れ承ってまいりました、どなたがどうということではございませんが。そういう話も入ってまいりまして、私たちとしてはそれでは十年ということで、公明党さんの方は考えていいと。民社党さんの方も繊維の構造改善等の話もあったりいたしまして、繊維の構造改善は、御案内のとおり、期限が来るたびごとに五年ごとの延長も余儀なくなされて今日に来ております。そういう経緯もあって、十年というベースも今までの経験上決して無理なことではないのではないかという御回答もいただきました。
きょう、公明党さん、民社党さんお見えになっておられないのがちょっと残念でございますが、私の口からほかの党のことを申し上げるようでまことに、もし間違っておりましたら訂正をさしていただきますが、率直に私としては実情をお話し申し上げた方が、御判断をしていただくのに適切かと思いましたので申し上げているわけでありますが、社会党さんの方はそのときに、先ほどの木本さんのお話と同じように、五年であれば賛成できると、しかし十年というのは、しかも政府提案で自民党が中心になってその問題提起をしたということに結果としてなっておるから、実は議事録を見ていただくとわかると思うんですが、社会党さんの方もたしか触れたと思うんですが、公明党さんも民社党さんも、それぞれ期間のことについては質疑の中で触れておられます。それらのこともありまして、この際社会党さんとしては、これは賛成をするということには結果としてはならないというお話がございました。
さらに、実は私と公明党さんと民社党さんでお願いを申し上げました。御検討していただきたいということでありましたが、残念でございましたが、金曜日の午後採決の前に、どうしても五年から十年ということは賛同しがたいということで、実は反対の意思表明をちょうだいしたという経緯でございまして、各党間がないいろんな動きがございましたことは御了承賜りたいというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/72
-
073・福間知之
○福間知之君 今のお話の中で、二、三やはりお聞きをしておかなきゃいかぬ、指摘もまたしたいと思うんです。
一つは、五年じゃちょっと短いんじゃないか、何が短いのか。国際環境の中で石油業界の体質改善を進めていかなきゃならない、あるいは雇用の問題などというお話でございますが、それはそのとおりですね。その判断が今の石油業法、母法の石油業法は昭和三十七年五月ですよ。もう二十三、四年たっているわけです。それでまず、今日のこういう業界の体質ということを一体どう認識するかということですね。そこが違うんですね。端的に申すとその点の違いが一番大きい。何も石油業界を苦しめようとかどうとかじゃなくて、体質改善を急がなきゃならぬ。その過去の二十何年かの母法に基づいてきた経過は、高度成長があったりいろんなことがあって、谷があり山がありました。しかし、言うならば行政当局と一般に言われる癒着した過保護の業界だと、こういうふうに私たちは見てきています。
それだけにむしろ今回のこの法案は、まさに製品輸入の暫定的な、一時的な措置だということでもこれあり、より基本的には業界の体質改善をするためには、この暫定措置を生かしていく上でも絶対急がなきゃならぬわけですね。それは期限がむしろ短い方がいい。行政当局も真剣になる、業界も真剣になる。それが一点です。その認識はかなり違うんです。今の渡辺さんのお話じゃ特に他意はなかったと思うんです。まあ短いのと違うかと、通産当局も自信がなさそうだと。それはそうでしょう、通産当局だって自信があって出しているわけじゃない。それだけをとらえておられる。そこに何か考え方に少し不十分さがあったのか、あるいは何かの底意があるのか知りませんが、私はそういう点が一つ疑念があるんですね。
それからもう一点は、この種の暫定措置法、臨時措置法、幾つかありますが、暫定措置法をずっとたくさん調べてみましても、まさに暫定措置法で、当分の間とかあるいは期限がなかったり、暫定的にというような表現とかございます。
今回の政府原案、五年ですね、それで「廃止するものとする。」と。しかし、この廃止するものとするというのは事前に廃止法を出さなきゃ廃止にな
らない。そういう事例はたくさんある。そして、もう十年も二十年も続いている。特に農林関係なんかには多いでしょう。だから法律の効用から言っても、そういうことで五年たって、あるいは五年近くなってまだこの暫定措置続けなきゃならぬなという場合は、その旨国会で審議をすればいいし、しなくても自動的に廃止法を出さなければ存続するわけですね。法律の効用から言ってもそれは可能なんだから、ここで何もあえて、なせ政府原案の五年を十年にしたのかということが、先ほどの御説明では、専門家である渡辺さんにしてそういう御答弁である限り私は納得ができないのであります。
そこで、各党のお話し合い、党のお話し合いは先ほどの経過のことだとそれは承知をしておきましょう。しかし、積極的に必ずしもその他の党さんが賛成だということでもなかった。かなり強烈なリーダーシップを発揮されたんじゃないかとも思うわけであります。また、与党さんの内部でも、まあ渡辺が言っておるんだ、通産省も余り自信もなさそうだし、五年より十年の方がまあまあ安定してええかもわからぬなあという極めて善意な感覚で私は渡辺さんの意見に反応されてきたんじゃないかと思うんです。だれがいいとか悪いとか私言っているわけじゃないです、まあそういうことだったんではないのかと。しかし、漏れ聞くところによると、やはり少し強引に渡辺さんがやったという側面も耳に入ってはおりますけれどもね。それは反論があるとすればしていただけばいい。
ところで、渡辺さん、中曽根派ですね。何か最近、中曽根派と石油連盟とのパイプの場としてすみれ会というのができて、渡辺さんは会長か何かになられたということがあるんですが、そんな事実はあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/73
-
074・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 実は、それはもう今私の顔を見て御質問なさったんですからおわかりのように、私今初めて聞きました。私はそんな大それたところの会長なんかとても、そんな立場にもありませんし、今本当に初めて聞いた話です。承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/74
-
075・福間知之
○福間知之君 お家の事情とかいう言葉がありますが、あんまりそういうところに独善的にくちばしを入れるというようなことも私の趣味じゃありませんので、それはおきまして、一応二十六日に衆議院からこちらへ回付されて以来、きょうで十六日ぐらいですか、たちますが、その間の推移、こちら側からの与党さんを通じていろんな話もまた耳に入ったと思うんですけどね。まあ人間過ちということも多々あるものでございまして、この推移を見ていささか反省なり感ずることはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/75
-
076・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 大変厳しいおしかりでございますが、私ども衆議院の方でお話し合いを申し上げましたのは、先ほど来申し上げておりますように、とにかくこのエネルギー政策というものは、今まで二回もオイルショックを受け、しかもまだ依然としてエネルギーの大宗の六〇%が石油に依存しているというようなことを考えてみますと、やっぱり厳しく試練の場を与えるということも大変大切なことだとは思いまするが、やはり先ほど申し上げましたように、もし一たん過ちを犯せばということを考えますと、エネルギー政策の重要性を考えますると、これは先ほど申し上げましたように、傷をつくるよりもつくらないようにしていき、かつ健康な体で保っていくということが、日本の産業界、特に資源の九九%以上を海外に依存している我が国として、産業活動、国民生活等々考えますと大切なことではないのかと。
外から与えられた傷は、既に何回かお互いに辛苦をなめ合ってきたわけですが、ここで政治の場として、いわゆるそれは甘やかしたとおしかりがあるかもわかりませんけれども、この法律について厳しく監視をしながらやらせていただければ、やっていけば、かなりの効果を上げ、あるいはまたこの法律を出発にして業界としても消費地精製主義ということから一歩脱却しなけりゃならないということ等も考えていきますと、やっぱりこの法律が新たなる一歩だというような感じもいたしまして、実は、大変尊敬する福間さんのせっかくのお話ではございますが、これはやっぱり私どもとしては、十年ということは、今の段階で適当な年数ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
いろんな手続の中で、私がかなり強引にというお話もございましたが、党内的に手続がございまして、私が部会長として、これはまあ自民党内部のことですが、部会長として一任を取りつけておりましたものですから、その間党の長老、このエネルギー政策の長老や、やってこられました長老の皆さんや、あるいはまた私の先輩の皆さんたちの意向も踏まえて、私としてはこういう一つの考え方の中で、この十年ということで野党の皆さんとそれぞれお話し合いをさせていただいたという経緯でございますので、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/76
-
077・福間知之
○福間知之君 渡辺さん、五年、十年という問題なんですけれども、それは五年がちょっと短いんじゃないかという判断も、一つそれは見方によって決してあながち不当とは言いませんけれども、私、二番目に先ほど申し上げたように、五年でも——五年ということには先ほど言ったような意味がいろいろあると思うし、だからこそ通産当局も原案では五年に決断されたんですね。これは五年にするか十年にするか、あるいは当分の間にするか、いろいろ立案過程で考えられたと答弁されているんですよね。そしてまあ五年がベターだと、現在でも五年でよいと思っていると答弁されているんですよ、おととい、これは通産省に後で聞きますけれども。そういうことです。
それは、二番目に私が指摘したように、これは暫定措置ではあるけれども、廃止法を出さない限りは、情勢によってはまた延ばすことが容易にできるわけでございまして、国会でうるさかったら審議しなくても延びるんですからね。そういうことを念頭に置かれた上で考えられたのかどうか、私は疑問がある。あえて十年にされたというところに何か意図的なものがあると思うんですよ。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/77
-
078・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) これも先生、もう釈迦に説法で恐縮ですが、法律は年限を置きますれば当然そこで廃案になる、いわゆる終わりになるんだという前提で、産業界もあるいはまた国民生活も、あるいは我々立法府にある者としても、やっぱりそういうことで取り組んでいくというのが、私は法案の中で期間を置いていくものとして当然のことではないのかなという感じがするんです。
そういう意味で、五年たてばこの法律は終わりであるということではちょっと。短過ぎるので、我々はそのベースを与えて、そして厳しく監視をしていこうという感じを持ったわけでございまして、ぜひひとつそこのところは、何回も恐縮ですが、これはあるいは経済状況がどんなふうに変わるかという問題もあると思うんです。国際経済情勢あるいは中東情勢等々いろんな問題があろうと思うんです。あろうと思うんですが、先ほど前段申し上げましたとおりの私どもの認識で、十年という結論を出したわけでございまして、ぜひひとつ御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/78
-
079・福間知之
○福間知之君 これはどうもなかなか納得ができる答弁にはなっていないように思うんですけれども、先ほど来申しておりますように、石油需給の緩和という状況を背景にしながら、一時的な暫定的な応急措置という性格を持った法案でございますので、これはある意味じゃ憲法で保障された営業の自由を制限するがごとき、やはり行政の過剰とも言える介入がここには見られるんですよ、正直言いまして。そこへ十年という長い期間にされたということで、これも一つ少し納得をできないなと。価値判断がどうもすれ違っているなあと思うんですね。
それから、業界、御案内のとおり今過剰な設備抱えておりまして、小売店の大変な販売競争も含めまして、設備の廃棄あるいはまた業界再編成、それがまた雇用との結びつき、いろんな厄介な問
題があることは御案内のとおりでありまして、そういう状況のときに、私は先ほど言ったように、十年にするということはかえって甘やかすことになりはしないだろうか、こういう懸念ですね。これは理解していただけると思うんです。それは渡辺さんが十年にしたことを理解してくれということと裏腹の関係でこれは理解してもらえると思うんでございます。
そういう状況の中で、十年にわたって製品の輸入を限定された企業に独占させるということですから、これはある意味じゃ消費者側から見れば問題なんですよ。私どもも原案を部会で議論をしたときにそういう問題を指摘しながらも、しかし、国際的な貿易摩擦緩和の必要性などからも、五年の暫定措置ということで中途半端だけれどもこれは賛成しようと、こういうふうに決断したんですね。そこにはだから、我々としては我々なりに深い洞察をしたはずでございまして、そういう点もあったということ、これはひとつ理解をしておいていただきたいと思います。
これ渡辺さんと何ぼやっておっても、十年にお願いしますということだけでございますんで、通産当局にちょっと矛先を向けたいと思うんでございますが、関係業界や法制局と十分相談をなさって、そして廃止期限を五年以内にして閣議了承を経て出されたと思うわけでございますけれども、一昨日本委員会で、我が党の梶原委員の質問に答えられましてエネルギー庁長官が、先ほど言ったように、五年や十年、当分の間と、いろいろ考えた、しかし五年がベターだと思うんで選んだんです。畠山さんは現在でもよかったと思っておられると、そういう御趣旨の答弁を私はここで聞いておったんです。
それならば、なぜ渡辺さんのこの提案に、もっと毅然とした態度で五年でいいんだと言わなかったのか。渡辺さん自身があやふやな答弁だったとか、ちょっと自信なさそうだとおっしゃる。そんなことでは、行政府としては私は十分だとは思わないんですけれどもね。IEAの予測自体があいまいだから、五年が十年になってもまあしようがないや、まあいいやというふうな気持ちになって答弁をされたとしたら、天下の通産省は私は泣くと思うんですね。
そういう問題について、法案を出されるときは徹底して議論もされるわけですし、それであるならば、その上に立って、やっぱり責任を持って私はこの十年案への修正については対応をしてほしかった。現に、我が参議院で審議をしているこの過程で、毎日のように大臣の部下が我々に審議促進の要請活動をなさっています、当然です、それは。当然です。そういうことをあの衆議院の段階でなさったのかどうか。まあいいや、五年が十年になってもというような態度でなかったのかということを私は厳しく指弾したいと思うんですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/79
-
080・野々内隆
○政府委員(野々内隆君) この法律案を立案いたします過程におきまして、先生御指摘のとおり、期限につきまして私どもとしてもいろいろ議論をいたしまして、その段階で国際石油製品の動向、こういうものは特に不透明な現状でございますので、どういう期限にするのが最も適当であろうかというのは、いろいろ議論をいたしました。その中で、五年あるいは七年、十年あるいは当分の間というようないろんな議論をしたわけでございますが、できるだけやはり規制というものは短い方がいいという観点から、五年という線を選んだわけでございます。十年という問題につきましては、実は私ども一番大事なことは、この法案が暫定法でなきゃならぬというのが私どものポジションの最も重要な点でございまして、もし恒久的な法律であるというんであれば、当然石油業法そのものに改正をして中に入れるべきであったというふうに考えております。
それで、十年の議論というのが出てまいりました段階で、それは一体暫定法と考えていいのかどうかという点を私ども問題といたしましたが、十年であってもそれは暫定法という私どもの考え方そのものは覆されてはいないというふうに考えました。我々にとって大事なことは、やはり業界の構造改善を進めるということと、それから実際に製品が入ってくるということ、ここが最重点であろうと考えておりますので、暫定法という性格が変わらないのであれば、十年であってもそこは差し支えないというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/80
-
081・福間知之
○福間知之君 今最後の段階で、暫定法だから十年であっても構わないと、こうおっしゃっているし、また今までの質疑の中では、業法自体を見直す必要があるということが審議会の答申の中でもうたわれているし、行革審の中でも指摘されているし、また現状、実態から見てもそれは必要だと、こういう御認識だと思うんです。
しからば、まあこの法案が十年で成立しても、やはり早くその本題に手をつけるということ、それは私は少なくともまさに五年以内だと思うんです。そういう御決意は、これは大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/81
-
082・村田敬次郎
○国務大臣(村田敬次郎君) これは今、野々内長官からお答え申し上げましたように、仮に五年、十年、その期間の間であっても、そういう逼迫した情勢が出てくるということになれば、当然見直しといったような問題についていろいろやっていかなきゃならぬと、こういうふうに考えておりますが、基本問題でこの間、第十回IEA閣僚理事会コミュニケの七月九日に発表されたものの前段を申し上げたんですが、前段は、一九九〇年代は非常に逼迫する可能性があると書いてありまして、後段にこう書いてあるんですね。「エネルギー情勢の予測は、多くの基本的要因につき広汎な予測不可能性があるため、本来的に困難」が伴うにもかかわらず、閣僚、つまりこれに参加した関係「閣僚は、IEA加盟国が一九九〇年代のエネルギー市場、特に石油市場における逼迫傾向を指摘するIEA、各国政府及び業界の予測を無視することは軽率かつ危険であることに合意した。」と、こういう一九九〇年代の見通しについては、このコミュニケ自体が大変予測が困難だと言っているわけでございます。
これは、私はやはり変数が非常に多い方程式であって、これに対する正しい解答をすることのできる人はいない。したがって、これは良識ある国会における判断にまつということであろうと思っておりまして、その意味で五カ年間で提案を申し上げたのでございますが、先般も申し上げましたように、これは最高の国民の権限を持っておる立法機関の御判断に従うべきであると、こういう判断であったわけでございまして、情勢の変化というものに当然行政は対応するものでございますから、今後五年、十年の期間においてその見直しが迫られるという段階になれば、当然時限法である本法の見直しが可能であり、またやらなければならないと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/82
-
083・福間知之
○福間知之君 まあ、やぼな話ですけれども、先ほどの私の質問に、当局として答えていないんですけれども、渡辺さんがそういう提案をされるというときに、それをやめさせるように説得工作を積極的にやられたかやられてないか、何も聞いてないですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/83
-
084・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 今大臣も答弁の中で触れられましたように、私どもが五年間として御提案申し上げました一つの根拠は、IEAの閣僚理事会におきまして、一九九〇年代に石油の需給が逼迫するかもしらぬと、そこで少なくとも一九八〇年代は需給緩和の状況が続くので、特定石油製品も国際的な貿易市場に豊富に存在するであろうというふうに考えたからでございます。
ところが、今大臣も申し上げましたように、一九九〇年代に需給が逼迫するというのはコンセンサスではございますけれども、一体一九九〇年代のいつから逼迫をするのかということについてはいろんな見方がございまして、したがいまして、私どもとりあえず五年間ということでお願いはいたしましたが、十年ということに延ばされましても、これが立法府の御判断であれば、あえて異を唱える必要はないというふうに判断さしていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/84
-
085・福間知之
○福間知之君 まあ、そういう御答弁になるで
しょう、それは。
ところで、私がお聞きをしたいことは、法案が十年で成立したとしても、事態は何らそのことによって改善が進むわけじゃないんです。むしろだんだんと事態は困難性を加速しますよ。現に、OPECはシェアを拡大するために、来年二月ごろまでにはバレル二十八、九ドルを二十ドルぐらいに下げるかもしらぬと言っているでしょう。と同時に、これは恐らく現在中東近辺でガソリンなどの付加価値の高い製品をつくり出しています。それをヨーロッパが買い、日本も買ってくれやというようなところからこういう法案になってきていると私は背景として見ていますが、そういう中東で付加価値の高い製品づくりがさらに拡大していくのじゃないか一そういうふうに思うんです。
そうすると、そのことは、翻って我々の側でもさらにたくさんの製品を買わなきゃならぬという、まあ圧力として受けとめて我々が苦吟する、当局も業界も苦吟する、苦しむという事態が想定される。だから、構造の改善ということは、私は早く進めていかなきゃならぬ、十年の法律が決まったからいって安閑としておっちゃこれは大変なんですよと。これは当該の労働組合さんもきょう来ていますけれども、私の仲間が来ているんです。真剣に見守っているんです。十年賛成してほしいという気持ちで来ているんです。だけど、私はあえてこれは言っておかなきゃならない。労使の責任という観点を私は強調しておるわけでございまして、だから十年の法律が決まっても、やはり構造改善については、それにとらわれないで積極的に業界とも話し合いをして、適切な指導というか、方途をひとつ探り出してもらいたい。これは渡辺さんもそういう気持ちには変わらぬと思うんですけれども、ぜひそういう点を申し上げておきたいと思うんです。
それで、期限ばっかりやっていると、あいつばかじゃないかということになりますんで、少し矛先を変えたいと思うんです。
ところで、この法律案が通って、まず第一船が日本の岸壁に着くことが大事だと、国際的な観点からも。私もそのとおりだと思うんです。そういう観点で、まあ第一船はともかくとして、今後現実的に、それこそどの程度のガソリン等の輸入が行われるんだろうか。一応計画を立てられるとも聞いていますし、アメリカじゃ大体必要量の四%ぐらい輸入している、こういうふうに聞いているんですが、日本の場合、当局はこの際どれくらいの目標を掲げて、どういう手を打とうとされていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/85
-
086・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 本法が通りました場合の特定石油製品の輸入の量でございますけれども、輸入先といたしましては、サウジアラビアでございますとかあるいはシンガポールでございますとか、一部アメリカでございますとか。そういったものが考えられるわけでございますが、我が国が現実に買い出動をいたしました場合に、果たして特定石油製品の価格がどういうことになるのかというところが非常に不透明でございますものですから、まことに恐縮ではございますが、現時点でその数量を予測するということは私どもできていない状況でございます。石油供給計画に掲上しなくちゃいけないという問題もあるわけでございますが、当初の段階におきましては、仮に石油供給計画を、そういうものを掲上するといたしましても、企業の一応自主的な輸入見通しと申しますか、そういうものをヒアリングをさしてもらいまして、そうしたものを、極端に申し上げれば、合計をしたものを供給計画として少なくとも当初掲上していきだいということを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/86
-
087・福間知之
○福間知之君 そこで、識者によりますと、ガソリンとナフサの分類がはっきり区分がされていない。先ほどもそれらしい御答弁があったというふうにお聞きしました。
今、輸入に際しまして登録を必要とするのはガソリン、灯油、軽油だと承知しております。ナフサと重油は既に相当量これは輸入されているわけでございまして、法律的には簡単な届け出で済むと言われているわけですね。ガソリンとナフサの分類がはっきり区分けされていないとすると、ガソリンの原料であるナフサ、これは価格がガソリンに比べればかなり割安である。このナフサを輸入して接触改質装置というんですか、これはたっぷり日本のメーカーには余裕がありますんで、安価なナフサから高価なガソリンへ衣がえをするということは容易なんです。その方が価格的にも安いんです。結局そういう道も業界としては厳しい状況ですから考えるのじゃないか。
結果として、今までの輸入量の中で、ナフサというラベルの部分が特段に、何というんですか、ふえるわけでもない。その中でガソリンとナフサが仕分けされるにすぎない。こういうことを指摘する識者もあるんですが、結果としてそれは、海外から日本はうそを言っているじゃないか、ガソリン輸入せんやないか、こういう非難を拡大することに通ずるだけで、極めて適当じゃないですね、そうだと仮定すれば。こういう点についてはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/87
-
088・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 御指摘のような御意見が一部にあることは事実でございます。
そこで、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、国際的なガソリンの定義と申しますか、常識と申しますか、そういうものがございますので、そういうものにのっとってガソリンというものの範囲を決めていきたい。また、ナフサの範囲も決めていきたい、石化用ナフサの範囲なども決めていきたいというふうに考えておりまして、そういうことによりまして、今御指摘のような国際的な、何と申しますか、貿易摩擦上の問題にならないようなことにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/88
-
089・福間知之
○福間知之君 今の畠山部長さんのまじめな答弁ではございますが、感想だろうと思うんですね。実際にどういうことになるかということは今の御答弁からは類推できません。
これは釈迦に説法ですけれども、一番安い製品というのは、メーカー自社設備による精製、それによる製品が安い。二番目に安いのは輸入品だと言われています。三番目に安い、したがって一番高いのは、一昨日市川先生も指摘されたような業転物だ、こういうふうに言われているわけですね。したがって、輸入が完全に自由化になるならば、精製、販売のギャップを埋めるために国内で調達している高いガソリンを輸入に振り向けるはずですね、これは。だから、その方が得だというふうな、そんな方向に業界を誘導していくということがやはりこれからは重要だろうと思うんです。
今、聞くところによると、業界には多少の戸惑いもあるようでございまして、海外精製業者との輸入契約にそれが見られる。ハワイだとかサウジアラビアあるいはシンガポールから、輸入量は多くても二、三万キロリットルだと言われていまして、しかも長期の契約でなくて二、三カ月のスポットだ、こういう現状のようでございます。
さて、この法案が成立しまして、来年になって動き出しますが、どういうことになるんでしょう。各社は横にらみで、模様を眺めながら対応していくということになると思うんですが、先ほど言った、私がお聞きしたように、はっきり答弁がないんですけれども、百五十万バレル前後ぐらいの割り当て目標をつくって、各社に全面的にひとつ協力してもらう。いずれにしても、多少コスト面がいろいろ比較はあっても、とにかく物を船で運んで日本の岸壁に着けるということのために、かなり強力な指導性を発揮しなきゃならぬのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/89
-
090・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 今、福間委員御指摘のように、輸入の各社の当面の動機といたしまして、確かにいわゆる精販ギャップを解消いたしますために、今まで俗称業転物と言われているものを購入していた企業が輸入に切りかえていくという一つの動きがあろうかと思います。それはそれで販売動向に応じた供給体制の確保という観点からは石油審議会の小委員会でもそういう方向にいったらどうかということを指摘されておりますので、そういう動きとして、私どもはそれはそういうも
のとして受けとめていきたいと思っておるわけでございます。
したがいまして、ある程度の量が入ってくるということでございますが、ただ、今御質問にございましたのと若干異なりますのは、私どもある程度の量を輸入することは、他の条件が同じであればこれは大変望ましいことだとは考えておりますけれども、それが市場メカニズムに反して、割高なものを国際的なおつき合いで輸入をしなくちゃいけないというふうには考えておりませんで、先ほど大臣が申し上げましたIEAのコミュニケにおきましても、市場メカニズムに基づいて石油製品が流通するような条件を創出すべきであるという合意でございますし、また、御提案申し上げております本法案におきましても、この十条の輸入努力義務というものは、市場メカニズムに基づきまして製品輸入に努力をしていただかなくちゃいかぬという趣旨の規定になっておりまして、正確に申し上げますと、「国際的な石油製品市場の動向に応じて」と書いてございますけれども、それはそういう趣旨でございますので、国際的なおつき合いから割高なものまで無理して輸入するように指導をするという立場はとりたくないと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/90
-
091・福間知之
○福間知之君 少し質問をはしょります、時間がありませんので。
同僚議員がぜひひとつ関連質問をしたいというので、譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/91
-
092・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 関連質疑を許します。梶原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/92
-
093・梶原敬義
○梶原敬義君 渡辺議員には御苦労さまです。
私も雇用問題とかあるいは業界のことを全く考えていないということではないから、あらかじめその点については誤解のないようにしていただきたいと思います。
渡辺議員は、石油関係に非常に詳しいようなお話を先ほど聞きまして、大臣からもそんな話がありましたが、石油の需給の関係の見通しと、それから石油の将来の埋蔵量、一体どれだけ資源があるのか、ひとつこれを先に簡単にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/93
-
094・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) ちょっと、石油の埋蔵量は、私はどうもそういう詳しいことはよく承知しておりません。
需給の問題は、私先ほどちょっと申し上げましたように、世界の政治情勢とかあるいは経済情勢とか、そういった問題に相当左右される問題であろう。しかし御案内のとおり、今日は先ほど申し上げましたとおり、六〇%石油がエネルギーの大宗を占めているという状態でございますから、需給関係の回答ではないかもわかりませんが、いわゆるIEAが言っておりますように、九〇年代というのはかなり問題点があるのではないかなというような認識はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/94
-
095・梶原敬義
○梶原敬義君 じゃ、この委員会で我々が自民党とも合意した、大体の了解に達した資源というのは、大体今発見されている埋蔵量というのは、掘っても三十五年、三十二年から三十六年ぐらいの間だろう、こういうところでお互いに一致したと思うんです。そして、新しい井戸を発見していって資源を発見していけば、九十年から百年ぐらいはやっぱりあるんではないか。そういう先行き余り明るくない情勢をまず大きくとらえている。それから一九九〇年代、これから五年もたちますと、IEAはやっぱり一つの権威として、じゃそれにかわる何かの見通しで、もっとはっきり言えるものがあるならそれは別です。しかし、そこではやはり一九九〇年代に入れば需給は逼迫すると、こういうお話でありますし、私も大体そういう理解をしたのです。
ところがこの臨時措置法というのは、石油需給がだぶついているときに、そのときのためにこれは一つはつくったのだと、こういう説明ですね。だぶついたとき。それから先の緊迫したときのことは、需給が逼迫したときのことはやっぱり考えていない、むしろ本法だと、こういうことですから、あなたは十年と、その石油の需給と本法をつくるときの考え方との矛盾はどうなんですか。どうとらえていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/95
-
096・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) ちょっとよくわからないのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/96
-
097・梶原敬義
○梶原敬義君 この法律をつくるときには、今石油がだぶついておる、国際石油が。だからそういう時期に臨時措置法としてつくったのだというのが法の趣旨ですね、つくるときの。ところが一九九〇年、あと五年もしますと、これはIEAでも言っているように緊迫してくると、石油需給が。そうしますと、五年ならば整合性があるのだ、法律と期間というのは。十年というと非常に逼迫したときにも期間が入ってくるではないか。そこはどう考えるのかと言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/97
-
098・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 先ほど申し上げたように、この需給関係というのは今のIEAの発表は、一つのもちろん……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/98
-
099・梶原敬義
○梶原敬義君 それじゃ、何かのほかの数字出してください、あなた、それを超えるような。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/99
-
100・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) いや、あなたの御質問にお答えをするだけの私は十分な知識があると思っておりません。先生の方がはるかに御見識はおありだろうと思いますが、私は、需給関係は、そう私どもが安易に考えられるということではないのではないかなというふうに思って、先ほど申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/100
-
101・梶原敬義
○梶原敬義君 じゃ、それはそれでちょっとおきます。それは大変問題だと思うんですけれどもね。
それから、本法の改正の問題ですね。石油業法の改正の問題については、閣僚会議で行革審のその方針も受けとめて、五年から十年の間を、通産省の答弁では限りなく十年に近いのかと言ったら、いや本法の改正についてはもっと五年に近いと、そういうところで本法を改正したいと、こうおとといの答弁で出てきたのです。そうすると、本法の改正と、この五年を十年に延ばしたこの十年との関係についてはどう位置づけるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/101
-
102・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) これは十年の間に、私どもは先ほどから申し上げているように、石油の安定供給というベースの中で考えていこうということでありまして、ちょっと先生は初めてから五年ということが正しいという立脚点でやっておられますし、私どもは十年の方が正しいということで十年延長をさしていただいたわけなんで、そこのところの認識と、立っているベースがちょっと違うのではないかという感じがいたしますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/102
-
103・梶原敬義
○梶原敬義君 時間がないから、舌足らずで申しわけございません。いいですか。このもとの法律の石油業法を、それは通産大臣も入った中で閣僚会議で行革審で出てきた方針で、これを見直すという方針を内閣で決めているんです。そしてそれに対しまして、一体いつごろ見直すのかということに対する期限の問題をこの前何回も聞きました。そうすると、それはそんなら、十年との関係があるから、十年に近いところで見直すのか、五年に近いところで見直すのかと言ったら、見直しは五年に近いところで見直したいというようなニュアンスの答弁がずっと返ってきた。ところが、この五年の臨時措置でやればそれは整合性があるけれども、十年といいますと、本法の石油業法とこの臨時措置法との関係がおかしくなってくるじゃないかと言っているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/103
-
104・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) それらは先生のお考えで、私たちは別にそれはそのときに、考えないと言っているんじゃないんで、十年間のベースを置いても別にそういう必要性のあるときには一緒に考えましょうと、先ほど来先生お聞きいただいていると思うんですが、御答弁を申し上げているわけで、これは私個人の考えですがね。ほかの公明党さんや民社党さんの意向は聞いておりません。聞いておりませんが、私の考えということでお聞きただしてございますから、私としてはそういう考え方でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/104
-
105・梶原敬義
○梶原敬義君 もう一回整理をします。もうそれは渡辺議員はちょっと答弁が混乱をされております。
通産省、この臨時措置法というのは、国際石油がだぶついているとき、そこでつくるんだと、こういうニュアンスの答弁がずっと何回もあったんですが、ここをもう一度やってください。そうし
たら理解できると思うんですよ。よく言って聞かしてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/105
-
106・畠山襄
○政府委員(畠山襄君) 私どもが御答弁申し上げておりましたのは、そもそも特定石油製品というものの供給を貿易に依存するためには、特定石油製品が貿易市場に豊富に存在しなくちゃならないわけですから、そのためには石油の需給が緩和している条件というのが必要でございますということで、今おっしゃいましたように、石油の需給が緩和しているときにこの法案を暫定措置としてお願いをしたいということを申し上げておりました。
他方、石油業法との関係につきましては、石油業法の見直しは中期的課題として実施をいたしますということが閣議でも決まっておりますので、中期的課題として見直しをいたしたいと思っておりますし、それとの関連で、本法について、石油業法の側から本法の見直しが必要であれば、当然その一環として見直しも本法についてもあるであろうということもお答え申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/106
-
107・梶原敬義
○梶原敬義君 通産大臣、IEAやなんかの最後のくだりのお話をずっとして、見通しの問題をごまかされたんですけれども、最後にわからないところは国会の判断に従うと、国会の判断に従うということですね。そうしますと、渡辺議員の国会の判断、やっぱり一体需給がどうなるのかという問題についても、あるいは本法との関係の問題にしてもほとんどわかっちゃいない。わかっちゃいないけれども、あなたはそれを正しいとして国会の判断に従うとさっき言われましたが、一体、あなたもう一回そこのところを言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/107
-
108・村田敬次郎
○国務大臣(村田敬次郎君) 梶原委員、私は決してごまかしたりはいたしません。誠心誠意お答えを申し上げておるつもりでございます。
それから、渡辺衆議院議員、先ほど来ずっと御答弁をいただいておりますが、非常にこれは、やはり渡辺議員の信念に基づき、与野党がいろいろと御協議をしていただいておるということで、私どもはそれは国会の判断にゆだねるべき問題である。なぜなら、期限そのものは、先ほど申し上げたように、これはもう本当に神様でないとわからないいろいろな変数が入っておるわけでございまして、国権の最高機関である国会の判断は、やはり民主主義社会においては最も正しいと、こういう基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/108
-
109・梶原敬義
○梶原敬義君 神様じゃないからわからぬといっても、じゃここで、そういう衆議院で判断をしたというのなら、少なくとも単純な我々に、だからこうこうこうなっているから五年を十年にしたんだよと、本当に理解のできるように私は言ってもらえば、そう何もいろいろ言うわけないんですよ。わからぬじゃないですか、聞いていて、何を言っているのか。いかがですか。それならちょっと渡辺さん、もう一回わかるように言ってください。それでもうやめますわ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/109
-
110・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 私の能力が足りないものですから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/110
-
111・梶原敬義
○梶原敬義君 今言うような、国会が最高権力というんだったら、あなたの能力が足らないんだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/111
-
112・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 今答弁しているんです。お互いに同僚議員として、私はきょうは、衆議院の方で修正をして、反対、賛成は別としても、衆議院の方の委員会かも、私は皆さんから御指摘をいただいてここに呼ばれているわけですから、これは私の足りないところはひとつ御勘弁いただきまして、私の答弁を聞いていただきたいと思うんです。
私は、五年と十年のこの差は、梶原先生がおっしゃっておられる認識から議論をするのと、それから先ほど来から木本先生やあるいは福間先生の御質問に対してお答えをしたベースと、ベースが違っているわけですね。だから先ほどから先生が御理解をいただけないという点は、確かに先生の地球上における埋蔵論から出てくる話とあるいは若干違うかもわかりません。しかし、これは一つの結論を得るのには、一つの山を登るにいろんな山道があると同じように、いろんな考え方があっていいと思うんです。だから私めが、浅学非才でありますから大いにおしかりをいただいて、何にもわかっていないということで結構なんですが、衆議院の方のやはり修正をいたしました各党、あるいはまた協議をいたしました各党の皆さんとよりより話し合って出た結論が、賛成と反対に分かれたということでありますから、その点はひとつ先生誤解のないようにしていただきたい。同僚としてよろしく……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/112
-
113・梶原敬義
○梶原敬義君 結論だけを……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/113
-
114・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) まだ私発言中でありますから、大変恐縮ですけれども。
ですから、私どもは十年というこのベースで、これも絶対に間違っているかどうかということは、需給の関係においては特に、先ほど申し上げておりますように、これはあるいは石油が大変たくさん出るかもわからないです。あるいは出ても、我が国には運んでこられるかどうかということも、これは将来の不確定要素の中でありますからいろんな問題点がある。その中で、しかし少なくとも石油エネルギーというのは大変重要なことでありますから、諸般の事情を考えて、いわゆる安定的供給、安定的経済活動、安定的職場の確保というような観点で、私たちはこの十年というベースを適当と考えたという次第でありますので、どうぞひとつ御理解をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/114
-
115・梶原敬義
○梶原敬義君 もうやめますが、ただ結論だけを、何となくぱっとした政治判断で十年がいいだろうというしか、もうあなたの答弁一貫して中身がないんだ。それはしかし、あなたが代表して来ている以上は、あなたが率先してずっと根回ししてやった以上は、もうちょっとしっかりした答弁をしなきゃ、それは衆議院泣きますよ。
それから、社会党議員が五年を十年に賛成するようなニュアンス云々の発言がありましたが、これはやっぱり誤解を生むかもわかりませんから、さっき、社会党議員の中にも期限は長い方がいいと、こういうような人もおったという話を言われました。ちょっとそこは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/115
-
116・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) いや、そんなこと言ってないよ。議員なんて言ってないよ。議員なんて言ってませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/116
-
117・梶原敬義
○梶原敬義君 言ったよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/117
-
118・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) いや、言ってない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/118
-
119・梶原敬義
○梶原敬義君 言った、言った。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/119
-
120・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 言ってない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/120
-
121・梶原敬義
○梶原敬義君 速記録に残っているから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/121
-
122・渡辺秀央
○衆議院議員(渡辺秀央君) 組合の皆さんの意向がそういうふうに私たちに伝わってきましたと、こういうことを申し上げた。後で速記録ごらんになってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/122
-
123・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 大臣、最後に締めくくりの御発言を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/123
-
124・村田敬次郎
○国務大臣(村田敬次郎君) 福間委員そしてまた梶原委員から、非常にいろいろ広範な問題について御質問をいただいてありがとうございました。特に梶原委員の先般からの御質問を伺っておりまして、石油の埋蔵量であるとかそういう非常に広範な次元に立って問題を追及していらっしゃるのは、私は心から理解をいたしております。
したがいまして、この期限の問題につきましても、いろいろこういった結論が出るまでの問題について御意見があることはよくわかりますけれども、これはまた一九九〇年代において、本法である石油業法の見直しというような事態が世界的に生ずれば当然見直さなきゃならない問題でございますし、それから私が国権の最高機関と申し上げましたのは、参議院を含めて両院のことでございますので、御理解をいただいて、できますれば御賛成をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/124
-
125・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/125
-
126・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/126
-
127・福間知之
○福間知之君 私は、日本社会党を代表して、特定石油製品輸入暫定措置法案に対し、反対討論を行います。以下、反対する理由を申し上げます。
近年、国際石油市場が緩和基調で推移し、我が国に対し、ガソリン等石油製品の早期の輸入開始を求める声が国際的に高まっていることは、法案の提案理由説明中に述べられているとおりであります。一方、我が国の石油産業は、過剰設備の処理や業界再編成等の構造改善事業がようやく始められたばかりのところであります。
こうした情勢のもとで、本法案が石油製品の輸入主体を精製業者に限定し、一定の制約のもとで製品輸入を開始させようとしたことは、当面の国内石油製品市況の混乱、雇用不安等を避けるためにはやむを得ない面もあり、短期間に絞っての経過措置であると理解して我が党もこれを容認し、政府原案に対しては一定の評価をいたしておったのであります。
しかしながら、衆議院修正により、本法の廃止期限が、突然、原案の五年以内から十年へと大幅に延長されたことは、全く理解に苦しむところであり、いわば緊急避難的な措置を半恒久的な制度にすりかえ、暫定措置法としての本法の性格を一変させようとするものであって、まことに遺憾至極と言わざるを得ません。
なぜならば、本法は石油業法という基本法制のもとに、あくまでこれを補う一時的な措置として考えられたものであり、暫定措置法が十年もの長期間にわたって市場を規制することになれば、石油審議会等の求めている市場メカニズム重視の趣旨にも反し、時代に逆行するものだからであります。本法は、憲法で保障された営業の自由を登録制度によって拘束し、現在の石油輸入の届け出制よりも法律上は規制が強化されており、業界保護法の一面を持つものであります。消費者利益の観点からは、いかなる理由があろうとも、十年間もの長期にわたり市場への規制は行うべきではありません。
石油産業の体質を今日のように弱体化させた最大の原因が、石油業法下における過度の行政介入と石油業界とのなれ合い、もたれ合いの関係にあったことは、各方面からこれまでしばしば指摘されたとおりであります。行革審の答申を受け、政府が九月二十四日に閣議決定を行った行革大綱においても、中期的課題として、石油業法及び揮発油販売業法の抜本的見直しを行うことになっております。
本法により、今後十年間もの長きにわたって製品輸入を精製業者に独占させるならば、石油産業の甘えを助長し、相変わらずの過保護行政のもとで、ますます企業の活力を失わせることは必至であり、また石油業法の見直し、構造改善等の抜本的対策を先送りすることになりかねません。
衆議院修正により本法の廃止期限が大幅に延長されたとはいえ、政府は石油業法改正等の根本的対策の確立を急ぎ、一日も早くこのような暫定措置が不要となるような環境整備に努め、十年を待たず、もっと早い時期に、できれば当初の方針どおり、五年以内に本法の廃止措置を進めるよう強く要請して、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/127
-
128・松岡滿壽男
○松岡満寿男君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、特定石油製品輸入暫定措置法案に対し、賛成の立場から討論に参加いたします。
以下、その理由を申し上げます。
まず第一に、本法案が提案された国際的背景についてであります。世界的な石油需給の緩和、石油製品貿易の拡大基調の中にあって、石油の一大輸入国である我が国に対しガソリン等の製品輸入を求める声が国際世論となってきております。本法案はこのような要請にこたえ、石油製品輸入の道を開くために必要な措置を講じようとするものであって、経済大国である我が国が、貿易摩擦を緩和し、国際社会における孤立を避けるためにも、また国際信義の上からも、本法案を早急に成立させる必要があると考えるからであります。
第二に、本法案は、海外からの要請にこたえると同時に、国内の石油事情との間の調和を図り、秩序ある石油製品輸入を開始させるために種々の配慮が行われております。石油審議会は、本年九月の中間報告において、石油製品輸入問題につき、安定供給の基本となる消費地精製方式を基本としつつ国際協調の観点から製品輸入の拡大を図ること。その際、製品輸入と国内精製との弾力的な組み合わせによって需給変動に対し安定的供給を図ること。消費者利益のため品質確保の措置が講じられること等を提言しております。本法案は、以上の諸点についてきめ細かい現実的な配慮が行われております。
この審議会報告の内容並びに本法案が通常国会を待たずに今臨時国会に提出されたことについては、海外諸国からは好感をもって迎えられ、米国やIEAからは自由貿易体制擁護のために歓迎すべき措置であると高い評価を受けております。
第三に、本法案が、製品輸入の完全自由化ではなく、輸入主体を事実上石油精製業に限定した点についてであります。
現在我が国石油産業は、製油所閉鎖、元売集約化、ガソリンスタンド合理化等の困難な諸問題の解決を迫られております、過剰設備を抱えている一方で、国内生産物と競争関係にある製品輸入を無制限に進めるならば、国内石油産業の受けるダメージは大きく、雇用や地域経済への影響が憂慮されます。本法が一定の制約のもとに製品輸入を開始させようとしたことは、ガソリン等国内石油製品市況の混乱を避け、石油産業の構造改善を円滑に軌道に乗せるためにはやむを得ない経過措置であると考えます。
最後に、本法の廃止期限を五年間延長した衆議院の修正点について申し上げます。
構造改善の途上にある石油産業が円滑な製品輸入を行うには、五年間では短いので十年に延長するという修正趣旨については、十分な説得力に欠け、納得できない点が残りますが、十年間廃止しないということではなく、その間においても情勢に急変があった場合には本法の見直しを検討するという政府答弁もありましたので、そのような理解のもとに一応了承をいたします。
しかし、一方で、本法の母体であり基本法である石油業法についても、政府は、行革大綱において中期的課題として抜本的見直しを行うという方針を閣議決定しております。また、国際石油情勢は非常に不安定であり、十年も先の将来見通しは、政府原案で説明がありましたようにかなり不透明であります。内外石油情勢が変化し、本法を存続させる必要性について状況変化が生じた場合には、たとえ本法を廃止するものとする期限以前の時期であっても、遅滞なく本法の見直し作業にとりかかるよう政府に強く要請して、本法案に対する賛成の討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/128
-
129・市川正一
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、特定石油製品輸入暫定措置法案に対し、反対の討論を行います。
真に豊かな国民生活を築く上で、これに必要なエネルギー、なかんずく石油、石油製品の低廉で安定的な供給を確保することは、政府に課せられた重大な責務であります。この見地から、エネルギー資源の乏しい我が国としては、さまざまな対策、とりわけ自主的な立場からの対応が求められております。特に、産油国との平等、互恵の経済関係を確立して、石油の安定供給確保を図るとともに、国内の石油需給の変化や国際取引の中で、場合によっては石油製品の輸入も行うことはもちろんあり得ることです。
ところで、本法案の提出に至る過程を見まするに、石油製品輸入の完全自由化の立場、あるいはまた、従来まで金科玉条とされてきた消費地精製方式を維持する立場等々、さまざまな論議がなされてきております。問題は、冒頭に申しました国民生活を守るために、そのときどきの内外情勢や需給の状態などを踏まえて、最適、最善の選択を追求することであり、その中で我が国石油産業もしかるべき役割を果たすべきであると考えます。
しかるに、こうした立場から本法案を検討いたしますと、以下述べるような重要な問題点があり、本法案には反対であることを表明するものであり
ます。
その理由の第一は、今回の石油製品の輸入自由化が、我が国の自主的なエネルギー政策の必要性からではなしに、国際石油資本ないしその意向を反映した欧米政府の強硬な圧力に屈したものであるからであります。審議の中でも、産油国からの輸入要求はいまだかつて一度もなかったこと、結局国際石油資本が破綻した石油戦略のツケを、その母国である欧米諸国政府を通じて我が国に押しつけているものであることを事実をもってただしましたが、本来国内の石油需給の現状からしても、我が国の石油産業の実態からしても拒否すべきであるのに、あえて政府は自由化に踏み切ったことは重大であります。
その理由の第二は、一方で欧米諸国の圧力に屈しながら、他方、その中で、海外からの石油製品輸入に伴うメリットについては、石油精製を初めとした大手石油会社に帰属させ、独占させることになっている点であります。それは、輸入業者の登録要件に、安定供給や品質確保を理由に、殊さらに厳しい代替生産能力、貯蔵能力、品質調整能力を要求し、事実上石油精製業者しか輸入できないようにして、コストの安い輸入メリットを消費者に波及させる義務づけもしていないのであります。しかも、こうした法律が石油業界の膨大な政治献金を背景に制定されているものであることを、国民生活と密接な関係を持つ石油業界の社会的責任からしても断じて看過できないのであります。
その理由の第三は、石油製品の輸入に伴って生じる過剰設備は、従来からの過剰設備に上乗せされ、製油所閉鎖が現実の問題になっているにもかかわらず、不可避的に発生する労働者の雇用問題、関連企業や地域経済への影響などに対する積極的対策がほとんどなされていないからであります。
本法案の問題点はこれに尽きるものではありませんが、この法律の制定が、エネルギー政策に新たな矛盾を持ち込むことになることを最後に指摘し、反対討論を終わるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/129
-
130・木本平八郎
○木本平八郎君 私は、参議院の会を代表して、今回上程されました石油輸入法案に対して、反対討論を行います。
以下、反対する理由を申し述べます。
反対理由の第一は、本法案が石油製品輸入の規制強化、業界保護色を強めている点であります。
世間一般の常識からすれば、かかる法案の廃止期限をわざわざ十年に延長する理由と必要性が理解できません。むしろ、五年の期間を三年なり二年に縮めて業界の体質強化、構造改善を加速すべきであります。
反対理由の第二は、仮に政府側の意図と真意を認めるにしても、これが外国に紹介されたときにどういう反応を受けるかの点であります。
今回の石油製品輸入自由化は国際的な重大関心事であり、殊に石油製品輸出希望国は、本当に日本が輸入自由化を実行してくれるのかどうか疑心暗鬼ております。けだし、従来日本では建前自由、実質禁止のアンフェアなやり方を行ってきたからであります。
今後、外国から、本法案の趣旨は事前の説明と異なり、輸入の規制強化であると断じられ、最良の場合でもとにかく実績を見ようという開き直りになり、今後急激な、しかもクリアリー、ディスティンギッシュな輸入実績を求められることは必至で、業界や政府の期待するオーダリーインポーテーション以上の輸入を遂行せねばならず、かえって苦しい立場に追い込まれるおそれがあります。
反対理由の第三は、国民ないし消費者の利益擁護が完全に無視ないしは等閑視されている点であります。国民は、この法案成立により、すぐにも安いガソリンや灯油が供給されるものと期待しております。その期待に大きく反するものと断ぜざるを得ません。
反対理由の第四は、本法案により石油業界の体質改善が達成できるかどうかの点であります。
石油業界は、従来ともエネルギー安保の名分のもと、行政の過保護を受け、企業体質はどんどん弱体化を進めてまいりました。このままでは、将来石油ショックのような供給不安定やパニック状態が生じたとき、果たして国際競争下で国民の必要とする石油エネルギーを確保できるかどうか懸念されます。私は、むしろ今すぐ、原油を含めた石油製品全般の完全自由化を実施し、新たな国際的チャンピオンをつくり出す方がよりエネルギー安保の捷径であると信じております。
反対理由の最後は、本法案を無修正可決することは、参議院の存在意義に疑問を投げかける点であります。
今回の法案は、原案自体に無理があることは看過するにしても、さらに廃止期限の修正をつけ加えたことは致命的であります。これにより、原案提出者の真意や誠意が踏みにじられ、完全な業界保護法案化しました。また、諸外国や国民、消費者に対しても、輸入規制強化、不利益助長の印象を与えることは必至であります。かかる第一院の行き過ぎをチェックするのが本来良識の府として参議院に課せられた責務であり、二院制の意義でもあります。
昨今、参議院無用論が巷間かまびすしく、院内においても参議院改革協議会等、自己改革と参議院のあり方を必死に検討中の折から、かかる歴然とした衆議院の行き過ぎさえ修正できないようでは、やはり参議院の無能と無用を疑われても仕方ありません。この法案の成否には、参議院のレーゾンデートルがかかっているものと考えます。
以上、この法案成立は諸般にマイナス面のみ多いことを憂慮し、廃案の上、もっと率直に輸入自由化の趣旨を正しく、端的に表現した内容で再提出されるか、せめて廃止期限を五年に戻す再修正を行って国民や世界に本法案の真意や誠意の理解を求めることを提案し、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/130
-
131・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/131
-
132・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
特定石油製品輸入暫定措置法案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/132
-
133・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、福間君から発言を求められておりますので、これを許します。福間君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/133
-
134・福間知之
○福間知之君 私は、ただいま可決されました特定石油製品輸入暫定措置法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
特定石油製品輸入暫定措置法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行にあたり、本委員会における審議の経過をふまえ、本法が国際石油製品市場における需給緩和が想定される期間における臨時的な暫定措置であるという性格にかんがみ、石油に関する基本法制である石油業法及び石油行政のあり方等についての抜本的な見直しを中期的課題として強く求められている状況等を十分に考慮し、石油をめぐる内外諸情勢の変化に敏速かつ的確に対応しつつ、本法施行期間中においても法の廃止措置を含め本法の見直しについて随時検討を行い、適切な対策を講ずべきである。
右決議する。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/134
-
135・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/135
-
136・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 多数と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は多数をもって本委
員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、村田通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村田通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/136
-
137・村田敬次郎
○国務大臣(村田敬次郎君) ただいま福間委員から趣旨の御説明があり、御決議をいただきました附帯決議につきましては、私といたしましても極めて重要なものと受けとめております。政府としては、附帯決議の趣旨に沿って、内外諸情勢の変化に敏速かつ的確に対応しつつ、本法について随時検討を行い、適切な対策を講じ、万遺漏なきを期してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/137
-
138・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/138
-
139・下条進一郎
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110314461X00619851212/139
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。