1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年十二月十日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十二月二日
辞任 補欠選任
田渕 哲也君 栗林 卓司君
十二月三日
辞任 補欠選任
栗林 卓司君 田渕 哲也君
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出席者は左のとおり。
委員長 成相 善十君
理 事
浦田 勝君
北 修二君
星 長治君
村沢 牧君
藤原 房雄君
委 員
岡部 三郎君
熊谷太三郎君
小林 国司君
坂野 重信君
坂元 親男君
高木 正明君
谷川 寛三君
初村滝一郎君
水谷 力君
稲村 稔夫君
菅野 久光君
山田 譲君
刈田 貞子君
塩出 啓典君
下田 京子君
喜屋武眞榮君
国務大臣
農林水産大臣 佐藤 守良君
政府委員
農林水産大臣官
房長 田中 宏尚君
農林水産省経済
局長 後藤 康夫君
事務局側
常任委員会専門
員 安達 正君
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本日の会議に付した案件
○農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
法律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会
衆議院送付)
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001・成相善十
○委員長(成相善十君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/1
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002・佐藤守良
○国務大臣(佐藤守良君) 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
この法律案は、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化等の改革の一環として、他の公的年金制度の改正と同様、農林漁業団体職員共済組合制度についても所要の改正を行おうとするものでございます。
また、本制度は、公的年金制度としての性格を有するとともに、農林漁業団体の事業の円滑な運営に資するための農林漁業団体職員の相互扶助事業の一環としての性格をも有しているので、今回の改正に当たっても、この面からの配慮を行っているところでございます。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、農林漁業団体職員共済組合制度に基づく給付につきましては、原則として、基礎年金に上乗せして支給する給与比例年金とすることといたしております。
第二に、本制度により支給する年金の額につきましては、厚生年金相当部分の年金額に職域年金相当部分の年金額を加えたものをもって年金額とすることといたしております。
第三に、既裁定年金者の年金額につきましては、いわゆる通算年金方式により算定した額に改定することとし、新規裁定年金との水準上の均衡を図ることとしております。
なお、これにより現在受けている年金額が減額することがないよう、従前の年金額は、これを保障することといたしております。
第四に、農林漁業団体職員共済組合の給付に要する費用につきましては、使用者である農林漁業団体と組合員との折半負担とすることといたしております。また、国庫補助につきましては、公的年金制度共通の措置として、基礎年金に要する費用に一元化することとし、原則として、組合が納付する基礎年金拠出金の三分の一を補助することといたしております。
第五に、本制度による年金の額につきましては、厚生年金等と同様、消費者物価による自動スライド制に改めることといたしております。
第六に、農林漁業団体職員共済組合の組合員等につきましては、基礎年金制度を適用するための所要の法的措置を講ずることといたしております。
最後に、今回の制度改正の施行期日につきましては、昭和六十一年四月一日といたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容でございます。
なお、この法律案に対する衆議院における修正の趣旨につきまして、便宜、政府側から御説明を申し上げます。
修正の内容は、第百二回国会で成立した国民年金法等の一部を改正する法律の参議院における修正等に伴い、原案の附則の規定等について所要の条文整理を行うものでございます。
以上が衆議院における修正の趣旨であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/2
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003・成相善十
○委員長(成相善十君) 以上で趣旨説明は終わりました。
次に、補足説明を聴取いたします。後藤経済局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/3
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004・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
この法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。
第一は、給付の内容についてであります。
農林漁業団体職員共済組合の給付の種類としては、退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金等といたしており、それぞれ、基礎年金の上乗せとして、厚生年金相当部分に職域年金相当部分を加えたものとして設計いたしております。
このうち、厚生年金相当部分につきましては、公的年金としての性格を有する部分でありますので、その算定の基礎となる基礎給与を、全期間の平均標準給与月額とするほか、その他の年金額の算定方式につきましても厚生年金と同様のものとするとともに、年金額算定上の給付乗率については、二十年の経過期間を設けて段階的に逓減する等、厚生年金と給付の水準、内容等について均衡のとれたものとしております。
また、職域年金相当部分につきましては、農林漁業団体の職域における独自の給付としての性格にかんがみ、費用の負担能力等を参酌してその水準を厚生年金相当部分の二割相当といたしております。
第二は、各年金給付の個別の改正についてであります。
退職共済年金につきましては、厚生年金に合わせ、新たに配偶者等に対する加給年金制度及び低所得者に対する在職老齢年金の制度を設けることといたしております。
なお、支給開始年齢につきましては、従来の経過措置を短縮し、昭和七十年から六十歳となるようにいたしております。
また、障害共済年金につきましては、事後重症の制限期間を撤廃することとし、遺族共済年金につきましては、給付率を退職共済年金の四分の三相当額に引き上げるとともに、四十歳以上の中高齢の妻等についての加算制度を設け、給付の重点化を図ることといたしております。
第三は、複数の年金を受給することとなる場合の併給調整等についてであります。
すなわち、本制度において、一人の受給権者が複数の年金を受給できる場合には、その者の選択する一つの年金を支給することといたしております。
さらに、この措置は、他の公的年金制度との間にも適用することとし、相互に併給の調整を行うことにより、年金給付の面での合理化を図ることといたしております。
また、本制度の年金の受給権者が他の公的被用者年金の被保険者等となった場合には、その者の給与所得の高低に応じ、年金額に一定の割合を乗じた金額を支給停止することとし、現役組合員との所得の均衡を図ることといたしております。
第四は、既裁定年金の取り扱いについてであります。
今回の改正案では、年金額の計算方式を原則として厚生年金と同様の方式を改めるとともに、年金額算定上の給付乗率についても段階的に逓減させる等、大幅な制度改正を行うこととしておりますので、既裁定年金につきましても、改正後の年金の算定方式に類似している、いわゆる通算年金方式により算定した額に改定することとし、新規裁定年金との水準上の均衡を図ることといたしております。
なお、これにより現在受けている年金額が減額することがないよう、従前の年金額は、これを保障することといたしております。
第五は、費用負担についてであります。
本制度の給付に要する費用は、農林漁業団体と組合員との折半負担とすることといたしております。また、国庫補助につきましては、組合が納付する基礎年金拠出金の三分の一のほか、基礎年金制度の適用とならない昭和三十六年四月一日前の期間に係る給付につきましては、従来どおりの国庫補助を行うことといたしております。
第六は、年金額の改定方式についてであります。
本制度による年金の額につきましては、従来は国家公務員の給与の変動に準じ年金額の改定の措置を講じてきたところでありますが、これを、厚生年金等と同様、消費者物価による自動スライド制に改めることといたしております。
第七は、農林漁業団体職員共済組合の組合員及びその被扶養配偶者に対する基礎年金制度の適用についてであります。
これにつきましては、この法律により国民年金法等を改正し、所要の法的措置を講ずることといたしております。
このほか、所要の規定の整備を図ることといたしております。
以上をもちましてこの法律案の提案理由の補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/4
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005・成相善十
○委員長(成相善十君) それでは、これより本案の質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/5
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006・浦田勝
○浦田勝君 近年、我が国社会は、医療技術の進歩、出生率の低下等々から諸外国に例を見ないスピードで高齢化社会へと移行しつつあります。このことは、年金制度につきましては、非常に問題であると考えます。
すなわち、現役で働いている人たちが支えなければならない年金受給者の方々が急速に増加しており、従来は一人の年金受給者を何人もの若い人たちで扶養してきたわけですが、今後は一人の年金受給者を扶養するために、ほんの数人の現役で支えなければならないこととなるわけであります。
かつては、このような扶養関係につきましては、お年寄りを家族や親類で扶養するという私的扶養でやってきたわけでありますが、現在は核家族化が進み、お年寄りの扶養を、かつての私的扶養にゆだねることは困難になってきているものと考えます。
このようなことから、我が国においては、社会全体として現役世代が老齢世代を扶養する公的年金制度の充実を図ってまいったところであり、本格的な高齢化社会の到来を控えた今、公的年金制度の役割はますます重要なものとなってきております。
我が国の公的年金制度は、社会保険の方法を用いて世代間の扶養のシステムをとっておりますから、現役世代と年金受給者世代との所得の均衡、給付と負担の均衡の適正化を図ることは当然であり、そのことにより公的年金制度の長期的安定が図られ、国民の信頼を得ることになるものと考えております。
今回、このような観点から、今後我が国における人口構造や社会構造の変化に適切に対応できる一連の公的年金制度を確立することを目的として、既に国民年金、厚生年金制度等の改正が行われたところであり、現在提案されております農林漁業団体職員共済組合制度、いわゆる農林年金制度の改正案においても基礎年金の導入を図る等、国民年金、厚生年金制度等の改正と同趣旨の改正であると承知しており、今回の改正は大変重要であると考えております。
農林年金制度は、昭和三十四年に厚生年金制度から分離独立して以来、農林漁業団体の役職員の相互扶助事業として、その職域に働く方々の福利厚生を図ることにより農林漁業団体に優秀な人材を確保し、その事業の円滑な運営に資するという目的をもって我が国農林水産業の発展に大きく寄与してきているところであり、農林年金制度が今後とも長期にわたって安定した制度運営を行っていくことが、我が国農林水産業の発展にとって重要な問題であります。
このような農林年金制度は、農林漁業団体の職域の年金制度であり、その制度の設立の経緯等は当然尊重されるべきである。同時に、公的年金制度の一環として制度間の整合性を図ることも必要であります。今回の改正案は、このような観点にも十分配慮して提出されたものと伺っております。
改正案の具体的内容につきましてはこれから議論してまいるわけでありますが、我が党といたしましては、公的年金制度の改正の重要性にかんがみ本法案は一刻でも早く成立させるべきであり、このことによって農林年金制度の長期的安定の礎を築き、農林漁業団体の役職員の方々が安心してその職務に邁進できるようにし、我が国農林水産業の発展に全力を傾注していただきたいと考えるものであります。
そこで、本法案につきまして若干の政府の見解をお伺いしたいと思います。
その第一といたしまして、近年における我が国
の社会的変化の中で最も著しいのは人口構造の変化であろうと考えます。平均余命年数の伸長、出生率の低下等によりまして高齢化が進展し、昭和五十六年十一月の厚生省人口問題研究所の推計によりますと。国民総人口に占める六十五歳以上の者の割合は昭和六十年度一〇・一四%であるものが、高齢化のピークを迎える昭和百年には二一・二九%と、実に二倍強になるものと予想されております。このような現象は農林年金制度においても例外ではないと考えますが、農林年金における年金受給者と組合員との割合の将来見通しはどのように予測しているのか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/6
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007・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 農林年金制度の現状を五十八年度末現在の時点で見てみますと、組合員数四十八万五千人、年金受給者数十二万八千人でございますが、このうち退職年金、これは減額退職年金も含んでおりますが、この退職年金の受給者は七万九千人というふうになっておりまして、受給者と組合員との割合を成熟率ということで計算をしてみますと一六・二%、組合員六人で退職年金受給者一人の割合というふうになっております。また、収入支出の面で見ますと、給付費総額が千百五十二億円、掛金収入千二百二億円ということで、給付費総額に対しまして掛金収入の方が若干上回っておりますが、五十九年度におきましては給付費総額が掛金収入を上回るという状況になっております。
将来見通しにつきましては、組合員数は今後従来のような増加は見込めないものというふうに考えておりますが、一方、年金受給者につきましては、平均余命が伸びるということで今後さらに増大をしていくものと考えております。昭和八十五年には成熟率が三七・五%ということで、組合員二・六人に年金受給者一人の割合になるものと予想をされております。
財政面から見ましても、給付費総額は、平均余命の伸長によりまして年金受給者が数としても増大をいたします。受給期間も長くなる、それから組合員期間が長期になりますので一人当たりの年金額が高くなるということ等によりまして、今後増大をしていくものと考えております。他方、掛金収入の方は、組合員数の増大がなかなかかってのように見込めないということから、給付の内容の適正化なり、あるいは掛金率の引き上げ等で対応せざるを得なくなるものと考えております。
しかし、今回御提案申し上げておりますような給付及び負担の両面にわたる均衡を図る措置を講ずれば、高齢化及び制度の成熟化のピークに達します昭和百年以降は制度が安定的に推移するものと見込んでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/7
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008・浦田勝
○浦田勝君 わかりました。
次に、このような組合員と年金受給者の割合が大きく変動することは、年金制度に重大な影響を与えるものと考えております。年金制度は世代間扶養のシステムで成り立っておりますから、年金受給者の増大は現役組合員の負担の増加になると考えますが、今回の改正の趣旨及びその内容について、農林水産大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/8
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009・佐藤守良
○国務大臣(佐藤守良君) 浦田先生にお答えいたします。
先生御指摘のとおり、我が国の人口構造というのは今後ますます高齢化が進展しまして、高齢化社会へ移行するものと考えております。
農林年金制度につきましても、このような社会経済情勢の変化に対処するため、三つの点に配慮して対処する必要があると思っております。
その一つは、公的年金制度全般の整合性を図ること、二つ目には、制度の円滑な運営を図るため適正な給付水準を確保いたしますとともに、負担との均衡を図ること、また世代間の公平に配慮すること、三つ目には、制度の財政の長期的安定を図る必要があること等に配慮して対処すべきものと考えております。
具体的には、農林年金の組合員及びその被扶養配偶者についても新しい国民年金法による基礎年金制度を適用し、農林年金の給付は厚生年金相当部分と共済グループの独自のものとして職域年金相当部分を給付することといたしております。
さらに、各種の給付条件、内容等につき公的年金制度間の整合性を図るための措置を講じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/9
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010・浦田勝
○浦田勝君 時間が余りございませんので重ねて質問をするようなことはいたしませんから、どうかひとつじっくり内容のある御答弁をいただくということにいたしたいと思います。
第三番目に、我が国の社会的変化の中で人口構造の変化と並んで年金制度に大きな影響を与えているのは、就業構造の変化であろうと考えます。総理府の労働力調査によれば、昭和三十五年当時は就業人口の約半数がサラリーマンであったものが、昭和五十七年では四分の三がサラリーマンとなっております。反面、自営業者や農民は減少してきております。このため、全国民に共通する基礎年金を設けて、就業の形態に関係なく国民全体として世代間扶養のシステムを確立していく必要があります。
農林年金制度においても基礎年金の導入は当然であると考えるが、この場合、農林年金の組合員とその被扶養配偶者の給付はどのようになるのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/10
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011・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 今回の制度改正は、公的年金制度全般の整合性を図りますために全国民に共通の基礎年金の制度を適用することにいたしまして、農林年金の給付は、原則として基礎年金に上乗せをして支給をする給与比例年金という形にいたしておるわけでございます。この給与比例年金につきましては、公的年金としての性格を持ちます厚生年金相当部分の年金額に共済年金としての職域年金相当部分の年金額を加えたものになっておりまして、農林年金はこれらの合算額を給付するという形になるわけでございます。
組合員の被扶養配偶者につきましても、国民年金の被保険者になりまして、六十五歳から基礎年金が給付をされるということになりますが、その保険料につきましては直接国民年金に納入することは必要ではございませんで、奥さんの保険料相当部分については、農林年金から国民年金への拠出金として組合員の保険料相当部分と一括して納入をすることにいたしております。
なお、この基礎年金の支給開始年齢は六十五歳からとなっておりますために、農林年金の支給開始年齢、これは現在五十六歳支給でございますが、今後、昭和七十年に六十歳支給になりますように段階的に引き上げていくということになっておりますが、この支給開始年齢から六十五歳に達するまでの間は、農林年金から給与比例年金に加えまして組合員の基礎年金相当額の定額年金を支給するということによりまして、六十五歳以後の基礎年金の支給が開始して以後の状態とそれ以前の状態を、できるだけ円滑につないでいくという仕組みを考えておるところございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/11
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012・浦田勝
○浦田勝君 一般的に、サラリーマンは引退すると直ちに生活の糧を失うことになり、その結果、年金制度に対する依存度が非常に強いと考えます。したがって、年金の給付水準の適正化は年金受給者にとって最も関心のあるところであり、基礎年金を導入して給付水準がどのようになるのか、また、現行と比較して大幅に低下することはないのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/12
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013・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 農林年金の給付水準の設定につきましては、掛金を負担される組合員の所得と年金を受給される方々の所得の均衡が図られるものでなければならないというふうに考えております。
農林年金の現行制度と改正後の給付水準は、農
林漁業団体職員の標準的な方、四十五歳で夫婦子供二人というようなことでモデル計算をいたしますと、その給与のおおむね七割程度に相当をいたしておりまして、これは年金受給者と現役組合員との均衡から考えた場合、ほぼ妥当なものであるというふうに考えております。
なお、若干数字を挙げて申し上げますと、全期間平均標準給与月額二十一万六千円の方で現行制度と改正後の年金額を比較いたしますと、現行制度では組合員期間三十五年の年金額は十九万二千円、改正後は新規発生年金者の組合員期間が今後とも伸びるということから、組合員期間を四十年で計算をすることにいたしておりますが、十七万八千円ということで、ほぼ同水準であるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/13
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014・浦田勝
○浦田勝君 年金受給者の所得と現役組合員の所得との均衡を図らなければならないことは当然であると考えますが、高齢化社会が到来すると言われておる二十一世紀ごろまで現行の給付水準を維持していくとすれば、組合員負担は相当重いものになると考えますが、将来の組合員の負担と給付の均衡をどのように図ろうとしておるのか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/14
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015・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 農林年金の現在の制度をそのまま維持し、そして現行の給付水準なり給付の方式を維持していくものというふうに想定をいたしますと、掛金率を五年目ごとにある程度引き上げてまいりましても、高齢化のピークを迎えます二十一世紀の昭和百年には賦課方式に移行せざるを得ない、そしてその場合の掛金率は、現在が千分の百九でございますが、これの約四倍程度になるものというふうに推計をされるところでございます。千分の四百四十くらいというようなことになりますと、これは仮に、企業主の負担が二分の一ございますので、それを除きまして組合員の個人の負担分ということを計算いたしましても五分の一に達するものでございまして、所得の五分の一に達するということになりますと、負担の限界を超えるものではないかというふうに考えられるところでございます。
御存じのとおり、現役の組合員は、その所得から租税でございますとか社会保険料等が控除をされまして、いわば名目的な所得の額よりは可処分所得の額は少ないわけでございます。その中で組合員負担が千分の二百あるいは千分の二百二十というようなことになりますと、これは現役組合員の負担として非常に厳しいものにならざるを得ないというふうに考えられるところでございます。このままに置きますと、現役の組合員と年金受給者との所得の均衡という点から見ても均衡を失するおそれがあるわけでございます。
今回の制度改正によりまして、将来掛金率が現在の四倍になるという見通しが大体三倍程度の上昇にとどまるということになっておりまして、先ほど申し上げましたような給付水準につきまして、現役組合員の所得の標準的な方の七〇%程度というふうに給付水準を適正化しながら、負担面につきましても掛金率で大体千分の三百、個人ごとの負担では千分の百五十とか百六十というようなところに置く、この辺が限界ではなかろうかというふうに考えておりまして、給付と負担の均衡を図るという観点から今回の改正の内容の設計をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/15
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016・浦田勝
○浦田勝君 次に、高齢化社会の到来を迎えて年金制度はこれに適切に対応していかなければならない。制度の改正は早急にできるものではなく、長い期間をかけて徐々に変更していく必要があり、これらの変更については関係団体やその職員あるいは年金受給者の理解が必要であると考えます。農林水産省は関係者にどのように理解を求めてきたのか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/16
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017・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 年金制度の改正ということになりますと、関係者にとりましても非常に関心の高い問題でございますので、事業主、組合員、そしてまた現に年金を受給されておられる方方、それぞれの方々の相互のコンセンサスの形成ということが非常に大事なわけでございます。
率直に申し上げまして、既に年金を受けておられる方々、それから、これからまた退職をされて近く年金を受給されようとしている方々、また若い方々でこれから掛金を長い間払っていく方々、御意見が必ずしも一本ではございません。そういった中で、相互に理解を深めながら、この改正案の作成に当たりまして関係方面のいろいろな御意見を伺ってまいったところでございます。
具体的に申しますと、農林漁業団体職員共済組合に組合会という機関がございますが、ここでの御議論、それから農林年金の構成団体でございます農協、漁協等の系統ごと、また全国段階、県段階ごとの御意見や年金受給者の方々の御意見も伺いながら、そしてさらに組合員代表、事業主代表、学識経験者等から構成をされます農林年金制度に関する懇談会を昭和五十七年の十月から開催をいたしまして、この場で関係者の御意見も十分伺いながら法案の作成に当たってまいってきたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/17
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018・浦田勝
○浦田勝君 次に、農林年金制度は、農林漁業団体に優秀な人材を確保するために、同一地域にある市町村職員あるいは学校の先生等と同等の年金制度を設けるため、昭和三十四年に厚生年金から分離独立し、農林漁業団体職域を単位とする共済組合制度であります。公的年金制度の一環ではありますが、職域の特殊性は維持すべきものであると考えます。この点についてはどのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/18
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019・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 今回の改正の大きなねらいの一つは公的年金制度の整合性を図るということがございまして、そのために各種共済制度につきましても厚生年金との整合性ということもさらに頭に置きながら整合化を図ったということでございますが、農林年金制度には公的年金制度としての性格と同時に、農林漁業団体の事業の円滑な運営に資するための農林漁業団体職員の相互扶助の一環としての性格というものも持っておりますので、厚生年金相当部分の上に職域年金部分の給付を行うということを制度改正の中に織り込んでおるところでございます。
改正後の共済年金の制度、四共済制度は非常に共通な点が多いわけでございますが、農林年金に独自な性格というようなことになりますと、積立金の自主的な運用が可能であるとか、あるいは福祉事業が農林漁業団体職員のニーズに合わせて実施できることといった特徴があろうかと思いますし、なおそのほかに農林年金独自の制度改正といたしましては、従来当委員会でもいろいろ御議論のございましたいわゆる新旧格差につきまして、その解消を図りますとともに、職務上の障害年金につきまして新たに最低保障制度を設けることに、したといったような点が、独自の制度改正であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/19
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020・浦田勝
○浦田勝君 職域の特殊性は尊重していただくことといたしたいと思います。
次に、先ほども申し上げましたが、農林年金制度は公的年金制度であると同時に、農林漁業という職域に働く役職員の人たちのための職域年金でもありますから、職域年金に相当する部分は農林漁業団体とその職員の負担の範囲において設計すべきであると考えます。負担と給付の均衡を図りながら各制度において自由設計できるようにするのが職域年金の特殊性であると思いますが、この点いかがですか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/20
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021・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 農林年金制度の発足の経緯は既に当委員会でもいろいろ御議論のあったところでございますが、農林漁業団体が多少とも
公共性のある事業を行っている、そしてまた常に同一地域にあります市町村職員との待遇比較が問題になる。人材確保の観点から昭和三十四年に厚生年金から分離独立をいたしまして、市町村職員と同様の共済制度を設けたという経緯があるわけでございまして、今回の改正におきましてもそのような経緯にかんがみまして、職域年金部分につきましても地方公務員の共済年金と同様の水準に措置をすることにいたしたものでございます。
民間団体であるから職域年金部分は自由設計すべきではないかという御議論も確かにございます。しかし、そういたしますと、公的年金制度としての農林年金というのは厚生年金と同様の制度になるということになりますし、農林漁業団体と申しますのは規模の大小、団体の種類、それからまた給与水準、非常にさまざまでございまして、直ちに民間の企業年金に類した仕組みになりにくいという面があること等の問題がございます。そういったことを考えまして、今回のような制度改正の内容といたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/21
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022・浦田勝
○浦田勝君 わかりました。
次に、年金受給者にとって年金は老後の生活の支えとなっております、高齢化社会の到来を迎え、負担が大変になるからといって、現に受けている年金まで切り下げもことは、年金受給者にとって今後の生活設計が成り立たなくなります。また、近く退職する人たちは、退職後の生活設計を立てている人たちもいると考えます。そういった人たちの既得権、期年権は絶対に尊重しなければならないと思いますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/22
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023・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 今回の改正案におきましては、既に年金を受けている方々の年金額につきましては、改正後の年金の算定方式に類似しております改正前のいわゆる通算年金方式により算定をした額にすべて改定をするということにして、新たに年金を受ける方との年金額の水準の均衡を図ることを原則にしているわけでございますが、これによって共済方式で計算した方が通算年金方式で計算した場合より高い額になる方々につきましては、現在受けている年金額が減額されるというようなことになりました場合には、これは今御質問のございましたような既得権というようなことからいたしましても問題ではないか、こういうことでございますので、現に支給されている年金額につきましては、これを従前の年金額として保障をするということにいたしております。
また、施行日の前日に組合員期間が二十年以上の組合員である方につきましては、施行日の前日において退職をしたと仮定をいたしました場合に、改正前の年金額の計算方式によって年金の受給権が発生をするということにかんがみまして、施行日以後退職をし年金を受けることになった場合に、改正後の法律に基づいて年金額を算定することが原則でございますけれども、その額が施行日の前日に退職をしたならば受けることができた年金額を下回るというようなときには、施行日の前日に退職したならば受けることができた年金額をこれも従前の年金額として保障をするということで、いわば期待権の保障の措置も取り入れているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/23
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024・浦田勝
○浦田勝君 次に、現行の法律の規定によって計算される年金額が改正案の規定によって計算される年金額を上回も場合は、現行の法律の規定によって計算される年金額を従前の額として保障することとしておりますが、この従前の額は物価スライドしません。これは、毎年年金額のアップを楽しみにしておる年金受給者にとっては酷な措置ではないかと思いますが、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/24
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025・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) この問題につきましては実は年金受給者の方々からもいろいろ御意見のあったところでございまして、若干でもやはりスライドをすべきではないか、また、してほしいという御意見があったことは事実でございます。
ただ、この既得権あるいは期待権の保障によりまして従前の年金額が保障されました場合には、今回御提案申し上げております法律案におきましては、改正後の法律によって算定をされます年金額が従前の保障額に追いつくまでの間は物価スライドというものを停止するという仕組みにいたしております。これは現役と退職して年金を受けておられます方々との給付と負担の均衡の問題、そしてまた、法改正前に退職をして年金を受けることになった方々と法改正後に退職をして年金を受けることになった方々とのバランスの問題、そしてまたスライドの適用のやり方にもよりますけれども、やはり給付費がどうしても増大いたすことになりまして、それがまた現役の組合員の方々の負担の増大にもつながるということを考慮いたしまして、既得権、期待権は保障いたしますけれども、物価スライドにつきましては一定の期間適用を停止するという措置を、各共済年金共通の措置として決定をし御提案を申し上げておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/25
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026・浦田勝
○浦田勝君 次にお尋ねいたします。
制度間の整合性を図ることは、今回の改正の一つの柱でもあると考えます。しかしながら、障害年金の在職者支給については、厚生年金等においては全額支給することにしておるが、農林年金を含む共済年金においては所得制限を設けている。今回の改正では共済年金の有利な部分は厚生年金に合わせていることから、障害年金の在職者支給については厚生年金と同様、全額支給すべきであると考えるが、この点いかがですか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/26
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027・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 農林年金制度が農林漁業団体の職域におきます共済年金制度として発足をした経緯がございますので、従来は農林漁業団体を退職して、いわば共済組合の職域を離れた方について年金を給付するということにいたしておりました。このような点から、障害年金であっても同一の職域において給与を受けて、なお年金を支給するということは、他の組合員との均衡からも非常に困難であるというふうに考えられるわけでございます。
しかし、今回の制度改正に当たりましては、今お話のございましたように、被用者一般を対象にしております厚生年金につきましては、在職中の障害年金の支給の制度があるということがございますので、公的年金制度間の整合性なり、あるいは給与が低い方についてはやはり給付の重点化を図るという観点もございまして、障害年金については、在職中であっても給与が低い方につきましては一定の年金額を給付するということで、一歩厚生年金に近づいた、こういうことでございます。
厚生年金と完全に一緒にすべきではないかというお尋ねでございますが、ここのところは、厚生年金が被用者一般を対象にしました年金制度であるのに対しまして、これは四つの共済年金制度共通でございますが、一つの職域というものに着目をしました相互扶助事業的な性格を持っておるという点で若干性格を異にしております。そういったことから、給与比例年金につきましても厚生年金相当部分に上乗せをして、職域年金相当部分という三階建ての部分を持っているというようなことが一方であるわけでございまして、公的年金制度全体の整合性を図る中で、厚生年金と共済年金制度との若干の性格の違いはやはり残らざるを得ない、こういうふうに考えておるところでござい
ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/27
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028・浦田勝
○浦田勝君 厚生年金は過去に何回か改正を行ってきておりますが、旧法とか新法に区分していません。農林年金は、昭和三十九年を境にして旧法と新法とに区分して給付に差を設けている。農林年金の組合員は退職した時期によって給付が異なるということは、相互扶助事業という観点から問題があると考えますが、この点についてお尋ねいたしたい。
時間がございませんので、短く簡潔にお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/28
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029・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) この問題につきましては、新法旧法格差ということで当委員会でもかねて御議論のあったところでございますが、今回の農林年金の改正におきましては、年金額の算定に当たりまして旧法期間と新法期間とを同様に取り扱うということでこのような格差は解消されるということになっております。この点は、農林年金の独自の改正の要素になっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/29
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030・浦田勝
○浦田勝君 次に、制度間の整合性を図ることは必要であると考えますが、厚生年金と農林年金とではいまだ相違する部分が残っていると思います。一挙に合わせることも大変難しいと思いますので、今後においても整合性を図ることに努力してほしいと考えます。
また、制度が分立していることによって給付の有利、不利が生ずることは好ましいことではないので解消すべきであると考えますが、この点について御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/30
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031・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、厚生年金と共済年金との制度の性格の差というものはございますけれども、そういったものも念頭に置きながら、できるだけ公的年金制度全体の整合化を図っていく、あるいはまた制度の分立によります重複等によります不均衡でありますとか、そういうものを解消していくという点につきましては、今後とも私ども注意をし、また検討していかなければいけない問題であろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/31
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032・浦田勝
○浦田勝君 次にお尋ねしますが、農林漁業団体の定年年齢は現在平均的に見まして五十七歳であると聞いておりますが、定年年齢が六十歳になるには相当の時間がかかるのではないかと考えます。年金の支給開始年齢は現在、昭和七十五年までに六十歳とするということであったが、これを五年短縮して昭和七十年に六十歳とすることにしておるが、年金の支給開始年齢と定年退職年齢との間にすき間が生じることは好ましくないと考えます。この点につきましてどのようにお考えになっておるか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/32
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033・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 今回の制度改正の中で、支給開始年齢が昭和七十年に向けまして六十歳に引き上げられるという措置が盛り込まれております。私ども従来から、高齢化社会への移行ということに対処する観点から、農林漁業団体に定年延長の指導をいたしてまいってきているところでございますが、こういった年金制度の改正ということも十分頭に置きながら、今後積極的に六十歳定年へ向けまして、定年退職年齢と年金給付の開始年齢との間に空白が生じないように、関係団体及び労働省とも連携をとりながら、指導を関係団体に対してやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/33
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034・浦田勝
○浦田勝君 次に、今回の改正案においては、年金制度に対する国庫補助は従来の国庫補助の考え方と違っているが、国庫補助についても公的年金制度間における整合性を図るべきであると考えます。農林年金制度に対する国庫補助はどのようになるのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/34
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035・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 現在、各制度によりまして国庫補助の仕組みなり率というものが異なっておるわけでございますが、今回の改正に伴いまして、こういった不均衡を是正するということで、基礎年金への拠出金の三分の一を国が助成をするということに相なりまして、農林年金制度につきましても基礎年金への拠出金の三分の一を国から補助するという仕組みになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/35
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036・浦田勝
○浦田勝君 次にお尋ねします。
年金受給者は、物価の上昇によって年金額が目減りしていけば、それだけ生活を切り詰めていかなければなりません。昭和五十八年度は物価指数が二・四%上昇したにもかかわらず、年金額の改定は行われなかったわけであります。その後、昭和五十九年度は、五十八年度の積み残しを含めて四・四%の物価上昇分を織り込むべきところを二%しか実施しておりません。さらに六十年度は、過去の積み残し分を含めると四・五%の年金改定を行うべきところ、三・四%を実施したにすぎず、いまだ積み残し分があると考えるが、今後このような積み残しをどのようにするお考えなのか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/36
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037・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 昭和六十年度におきますこの三・四%のスライドを行いましても、なお現実の消費者物価指数の上昇との間に差が一・二%程度あることは御指摘のとおりでございます。今回、農林年金の改革の中で年金額の改定方式は消費者物価による自動スライド制によることを考えておりますが、このような改革に際しまして過去の積み残しを残して引き継いでいくというのは妥当でないと考えておりまして、今度の改正法案の中におきましては、来年の四月から改正を施行いたします際に、この積み残し分の解消を図ることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/37
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038・浦田勝
○浦田勝君 次に、今回の改正は、高齢化社会の到来に備えて給付と負担の均衡を図り制度の長期的安定を図ることを目的としておるが、将来の物価上昇率、組合員の動向、給与の上昇率あるいは積立金運用の金利の動向をどのように見込み、将来の年金財政の健全化を図るようにしておられますか、農林年金制度の将来の収支見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/38
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039・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 今回の改正におきましては、給付水準を適正化し長期間の経過措置を設けまして給付と負担の均衡を図ろうという考えに立っておるわけでございまして、具体的には、今のまままいりますと、二十一世紀の昭和百年におきまして現行の給付の仕組み、水準を維持いたしてまいりますと、千分の百九という掛金率が約四倍程度になるというふうに推定されるわけでございますが、これを今回の改正によりまして約四分の一程度軽減をし、三倍程度の掛金率の上昇にとどめるということを通じまして、長期的に制度の安定的な運営が可能になるようにという考え方のもとに、財政の見通し及び制度の仕組みを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/39
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040・浦田勝
○浦田勝君 次に、全国民に共通の基礎年金制度を設けて公的年金制度の整合性を図ることとしておりますが、国民年金、厚生年金等においては既に基礎年金制度を適用することとし昭和六十一年四月から実施しようとしております。農林年金制度においても国民年金、厚生年金と同様の趣旨によって改正を行い、同時に実施しようとしているものと考えておりますが、仮に国民年金、厚生年金と同時実施にならないとしたらどのような問題が生ずるのか、お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/40
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041・後藤康夫
○政府委員(後藤康夫君) 今回の共済年金制度の改正につきましては、提案理由の中にも述べられておりますように、国民共通の基礎年金の導入
と、それに上乗せ年金としての共済年金、こういう考え方になっておりますし、既に基礎年金制度の創設なり厚生年金の給付の適正化のための法改正は成立を見ておるところでございますので、仮に農林年金法の改正が来年の四月実施に間に合わないということになりますと、この一階建ての部分と二階、三階の部分との継ぎ目がスムーズにいかなくなるということになってまいります。
当面の問題としましては、農林年金の組合員の妻が無年金者の状態になりますために、民間企業の被用者の妻の場合と格差が生ずることになるということになりますし、年金額の給付水準なり算定方法等に関しまして制度間における均衡を大幅に失するというようなことを初めといたしまして、年金の業務の執行上も非常にいろいろな問題が出てまいるというふうに考えておりまして、その点からもぜひ来年の四月から実施ができますようにということを、私どもとしては希望いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/41
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042・浦田勝
○浦田勝君 与えられた私の時間内に全部質問も答弁も終わったわけでございます。御協力ありがとうございました。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/42
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043・成相善十
○委員長(成相善十君) 暫時休憩いたします。
午前十時五十五分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315007X00219851210/43
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