1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年十二月十日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十一月二十八日
辞任 補欠選任
関 嘉彦君 小西博行君
十一月二十九日
辞任 補欠選任
志村 哲良君 世耕 政隆君
十二月六日
辞任 補欠選任
高桑 栄松君 中西 珠子君
十二月九日
辞任 補欠選任
小西 博行君 関 嘉彦君
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出席者は左のとおり。
委員長 林 寛子君
理 事
杉山 令肇君
柳川 覺治君
粕谷 照美君
吉川 春子君
委 員
井上 裕君
山東 昭子君
仲川 幸男君
林 健太郎君
林 ゆう君
真鍋 賢二君
久保 亘君
中村 哲君
本岡 昭次君
高木健太郎君
中西 珠子君
関 嘉彦君
国務大臣
文 部 大 臣 松永 光君
政府委員
文部大臣官房長 西崎 清久君
文部大臣官房総
務審議官 五十嵐耕一君
事務局側
常任委員会専門
員 佐々木定典君
参考人
私立学校教職員
共済組合理事長 保坂 榮一君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
法律案(第百二回国会内閣提出、第百三回国会
衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/0
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001・林寛子
○委員長(林寛子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十一月二十九日、志村哲良君が委員を辞任され、その補欠として世耕政隆君が選任されました。
また、去る六日、高桑栄松君が委員を辞任され、その補欠として中西珠子君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/1
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002・林寛子
○委員長(林寛子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案の審査のため、本案審査中、必要に応じ私立学校教職員共済組合の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/2
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003・林寛子
○委員長(林寛子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/3
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004・林寛子
○委員長(林寛子君) 私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。松永文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/4
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005・松永光
○国務大臣(松永光君) このたび、政府から提出いたしました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
私立学校教職員共済組合の年金制度については、共済組合設立以来、国公立学校教職員の年金制度に準じて、その充実を図ってまいりましたが、近時、人口の高齢化の進行等により年金制度のよって立つ基盤そのものに大きな変化が生じております。
このような社会経済情勢の変化に対応し、長期的に、安定した年金制度が維持されるよう公的年金制度全般にわたる見直しが必要となり、政府としては、制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化を展望しつつ、その改革を推進することといたしたところであります。
今回、提出いたしました法律案は、私立学校教職員共済組合の組合員等についても、国公立学校の教職員と同様に、国民年金の基礎年金の制度を適用することとし、同時に、共済年金制度における給付と負担の長期的均衡を確保するため、給付水準の適正化を図る等の措置を計画的に講ずることとするものであります。
次に、この法律案の概要について申し上げます。
第一に、共済年金制度に基づく給付は、原則として基礎年金に上乗せして支給する報酬比例年金とし、給付の種類としては、退職共済年金、障害共済年金及び遺族共済年金等といたしております。
第二に、長期給付の給付額の算定の基礎となる平均標準給与月額は、組合員であった期間の全期間平均の標準給与の月額としております。
第三に、長期給付の支給等に関する事項については、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案における該当規定を準用することといたしております。
このことにより、共済年金の年金額については、厚生年金と同様の算定方式による厚生年金相当部分の年金額に、その二割に相当する職域年金相当部分の年金額を加えたものをもって年金額とするほか、支給開始年齢については、経過措置を短縮し、昭和七十年から六十歳となるようにいたしております。
また、退職共済年金について加給年金制度及び低所得者に対する在職中支給の制度を設け、障害共済年金について事後重症の制限期間を撤廃し、遺族共済年金について給付率を引き上げる等の措置を講ずるほか、公的年金の併給調整の実施、所得制限の強化等を行うことといたしております。
さらに、既裁定年金の取り扱いについては、改正後の年金額の算定方式に類似している、いわゆる通年方式により算定した額に改定することといたしておりますが、従前の年金額はこれを保障することといたしております。
なお、年金額の改定方式については、消費者物
価による自動スライド制を採用することといたしております。
第四に、共済年金の給付に要する費用については、使用者としての学校法人等と組合員との折半負担とすることとし、国庫補助については、基礎年金拠出金の三分の一とすることといたしております。
第五に、共済組合の組合員等に対して基礎年金制度を適用するため、国民年金法等について、所要の改正を行うこととしております。
最後に、この法律の施行日につきましては、各公的年金の制度改正と同様に昭和六十一年四月一日といたしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかにご賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/5
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006・林寛子
○委員長(林寛子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/6
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007・山東昭子
○山東昭子君 我が国の社会は諸外国にも例を見ないスピードで急速に高齢化社会に移行しつつあります。また、戦後のベビーブームに生まれたいわゆる団塊の世代も今から約三十年後には年金受給者となり、そのころには我が国は高齢化社会のピークを迎えることになります。
現在の我が国の公的年金制度は御承知のように三種七制度に分かれており、このため産業や就業構造の変化により運営の基盤が不安定になる制度が生じることも避けられません。今回、我が国の未来の人口や社会構造の変化に適切に対応し得る公的年金制度を確立することを目的として一連の改革が進められ、既に前国会において全国民共通の基礎年金の導入などを主眼とする国民年金、厚生年金の制度改正が成立したところであります。
このたび提案されました私立学校教職員共済組合法の改正につきましても、他の共済制度と足並みをそろえて実施されるべきものと理解しております。我が党といたしましては、このような年金改革の重要性にかんがみ、本法案について速やかにその成立を図る必要があると考えておりますが、以下、若干、政府の見解をお伺いしたいと思います。
私立学校教職員共済組合は昭和二十九年の設立以来順調な発展を遂げてきていると考えますが、この私学共済制度はどのような考え方に基づき設けられたのですか、また、私学共済組合が今日まで果たしてきた役割についてどのように評価しておられるのか大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/7
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008・松永光
○国務大臣(松永光君) 我が国の学校教育において私立学校は極めて重要な役割を担っております。その私立学校の教育を充実発展させるためには、私立学校の教職員が安んじてその職責を果たしていただくことが必要であり、そのためには教職員に対する福利厚生制度を整備することが大切であるわけであります。そうしたことで、昭和二十九年に、教育基本法にありますように「教員は、全体の奉仕者であって、」その「身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。」という教育基本法の第六条の趣旨に基づきまして、国立学校教職員共済制度との均衡に配慮して私立学校共済組合が設立を見たわけであります。
設立以来、私立学校の教職員の福利厚生に努めてきたところでありますが、そのことによりまして私立学校教育、ひいては我が国の学校教育の振興に私立学校教職員共済組合というのは非常に大きな役割を果たしてきたというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/8
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009・山東昭子
○山東昭子君 年金制度の今後については国民の重大な関心事となっておりますが、今回の改正案に対する大臣の基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/9
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010・松永光
○国務大臣(松永光君) 今回の改正は、先ほど先生が御指摘になりましたように、我が国が急速に高齢化社会を迎えると、それに備える必要がある。そのためには公的年金制度全体の長期的安定と整合性を図ることを目的とする恒久的年金制度の改革をしなければならぬ、その改革の一環をなすものが今回の改正であるというふうに考えておるわけであります。
こうした公的年金制度の改革の方向に沿って、公的年金制度の一元化を展望しつつ給付と負担の均衡を確保するために給付水準の適正化を図る等の措置を講ずることとしておるわけであります。
こうした考え方のもとに、今回の改正では私学共済組合の組合員等に対しても国公立学校教職員と同様に全国民共通の基礎年金の制度を適用するとともに、共済年金をその基礎年金に上乗せする報酬比例年金として設計し、その給付水準についても厚生年金と均衡のとれたものにするということにいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/10
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011・山東昭子
○山東昭子君 現行制度のままでは年金制度も崩壊すると言われる二十一世紀に軟着陸するための手だてが今回の制度改正であると理解しておりますけれども、今回の制度改正のポイントはどんなところなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/11
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012・五十嵐耕一
○政府委員(五十嵐耕一君) ただいま大臣から申しましたように、私学共済年金といいますものは、教育基本法第六条の趣旨に沿いまして従来から国家公務員、地方公務員の共済年金に準ずることを建前としてきました経緯がございまして、今回の改正におきましても、国家公務員等の共済年金制度との均衡を基本とした改正を行うこととしておるわけでございます。
お尋ねの改正の主な点を申し上げますと、その第一でございますが、私学共済組合の組合員につきましても、全国民に共通する基礎年金、新国民年金を適用いたしまして、私学共済年金はその基礎年金の上乗せとして支給いたします報酬比例の年金といたします。
第二点でございますが、年金額の算定基礎額でございますが、これは現行の退職前一年間の標準給与から厚生年金と同様に全期間平均の標準給与月額といたします。
第三点でございますが、年金額の算定方法でございます。基本的には厚生年金と同様の方法によります。ただし、職域年金でございます共済年金の特殊性等を考慮いたしまして、厚生年金にはない職域年金相当部分の加算、これは厚生年金相当部分の二割、全体の基礎年金を考えますと約八%を行うことといたしております。
それから第四点でございますが、退職後他の公的な被用者年金、例えば厚生年金でございますとか、他の共済年金でございますが、そういうものの加入者になりました場合には、その者の年金以外の給与所得の額に応じまして退職共済年金の一部を支給停止することといたしております。また、同一人に二種類以上の年金の受給権が発生いたしました場合には、選択によりまして一つの年金を支給することといたしております。
第五点でございますが、年金額の改定は従来は給与改定に伴いました政策改定を行っておるわけでございますが、今回の改正におきましては、消費者物価によります自動スライド方式によって行うということにしております。
それから、国庫補助でございますが、これは基礎年金拠出金の三分の一を補助することといたしまして、掛金でございますが、これは組合員と学校法人の折半によって負担をするということでございます。
また、既に退職し年金を受けている者につきましても、法施行日以後の退職者との均衡を考慮いたしまして裁定替えを行います。この場合、従前の額は保障いたしますが、その従前額につきましてはスライドを一定期間行わないということでございます。
また、施行日でございますが、これは昭和六十一年四月一日とするという以上の八点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/12
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013・山東昭子
○山東昭子君 今回の改正では、給付水準の適正化を図ることが眼目の一つになっておりますが、その具体的な方法と現行と比べどの程度の給付水準になるのか、簡単で結構ですけれども、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/13
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014・五十嵐耕一
○政府委員(五十嵐耕一君) 今回の改正案におきましては、先ほど申しましたように全国民に共通します基礎年金を導入すること、その上に報酬比例の年金として私学共済年金を設けること、この報酬比例の年金の算定方法を厚生年金のそれと基本的に同じものとすることにより給付水準の適正化を図ることといたしております。
基礎年金の導入によりまして現行の世帯単位の私学共済年金が夫と妻の二つの個人単位の基礎年金と報酬比例年金とに分解されることになりますので、改正前後の年金水準の比較といたしましては、改正後の私学共済年金に基礎年金を加えた世帯ベースでの年金額で比較を行う必要があるわけでございます。このような比較によりますと、五十九年度新規裁定者の平均勤続年数が二十八年でございますが、これに基づきまして試算しますと、夫婦とも六十五歳以上の場合、これは新しい基礎年金をフルにもらうというようなことで考えますと、完成時夫婦ではおおむね現行水準に比べまして平均八六%程度になる士見込まれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/14
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015・山東昭子
○山東昭子君 私学共済年金について公務員と同様の職域年金部分を設けることとする理由は何でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/15
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016・五十嵐耕一
○政府委員(五十嵐耕一君) 職域年金でございます共済年金グループでございますが、これは公務員の共済年金と公務員に準ずることを建前としております私学教職員の共済年金などから成っておりますが、これらの共済年金は、公的年金としての性格とそれから職域年金としての性格をあわせ有しておるわけでございます。このようなことにかんがみまして、今回の改正に当たりましては、公務員の共済年金におきましては、公務の能率的運営に資するという目的、また民間におきます企業年金の普及状況などを考慮いたしまして、厚生年金相当部分に職域年金相当部分を加えております。私学共済年金におきましても、私学教育の振興に資するという目的、及び教育基本法第六条の趣旨に沿って従来から公務員の共済年金に準ずることを建前としてきました経緯を踏まえまして、私学教職員の職域年金といたしまして公務員の共済年金と同様の職域年金相当部分の設計を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/16
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017・山東昭子
○山東昭子君 次に、現行制度のもとでは専業主婦で国民年金に任意加入しなかった者については、障害の状態になったり離婚したりした場合、年金保障に欠けることがあるなどの問題が指摘されております。今回の制度改正の大きな柱の一つに婦人の年金権の確立が挙げられていますが、私学共済組合員の妻たちについてはこれらの課題はどのように解決されるのかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/17
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018・五十嵐耕一
○政府委員(五十嵐耕一君) 山東先生御指摘のとおり、現行の被用者年金におきましては、被用者たる夫と職を持たずに家事に専念いたします妻とを給付の標準的な単位といたしまして、これを夫への年金でカバーするといういわゆる世帯単位の給付設計がとられておるところでございます。したがいまして、被用者の無業の妻に係ります国民年金の適用につきましては任意加入の道は開かれておりますものの原則的には適用除外となっているところでございます。このような現行制度の仕組みにおきましては、先生から今お話がございましたように、被用者の妻で国民年金に任意加入しなかった者につきましては、障害となりましたりあるいは離婚した場合には年金保障に欠けるケースが生じているわけでございます。また一方、妻が国民年金に任意加入し年金を受ける世帯につきましては、夫の年金と合わせまして、いわば二人で三人分の年金を受けているという過剰給付のケースも生じることでございます。このような事態を避けますために今回の制度改正では全国民に共通いたします基礎年金を共済組合の組合員及びその被扶養配偶者にも適用することといたしております。すなわち、これまで任意加入とされていました組合員の配偶者を強制加入することといたしまして、その保険料は独自に求めることとはせず、共済組合がまとめて払うこととしております。これによりまして、被扶養者であります妻についても独自の老齢基礎年金、障害基礎年金を保障することといたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/18
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019・山東昭子
○山東昭子君 私学共済の場合、現段階での成熟度と今後の成熟の見込みをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/19
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020・五十嵐耕一
○政府委員(五十嵐耕一君) 高齢化社会の進展に伴いまして、先生御指摘のような事態がいろいろ考えられるわけでございますが、現在の私学共済の成熟度でございますが、私学共済は、制度発足時、組合員が五万人でございましたものがその後の私学の発展によりまして組合員が増加し現在三十四万人となっておりまして、年金を支える基盤が大きくなったことによりまして成熟度が他の共済組合に比べまして低くなっております。昭和五十九年度末におきます私学共済の成熟度は四・三%でございまして、例えば国家公務員共済の三一・二%でございますとか、公立学校共済の二七・〇%あるいは農林共済の一七・六%に比べますとまだ低い状態にございます。
しかしながら、先の見通しを申し上げさしていただきますと、昭和五十五年の一月に実施しました所要財源率の再計算の結果を踏まえまして私学共済の今後の成熟度を見通しました場合には、このようなことが見込まれるわけでございます。すなわち、昭和七十年度におきましては一〇・七%、八十年度におきましては約一九%、昭和九十年度におきましては約二九%、それから昭和百年度でございますが、これが約三三・五%ぐらいになるんではないかというふうに見込まれるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/20
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021・山東昭子
○山東昭子君 現在のところ、私学共済年金の財政は他の制度と比べて大変健全であると聞いておりますけれども、その状況は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/21
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022・五十嵐耕一
○政府委員(五十嵐耕一君) 先生御指摘のとおり、私立学校の共済組合の現在の財政状況は健全でございます。その状況を申し上げさしていただきますと、昭和五十九年度の長期経理におきます収入でございますが、これは千六百七十一億円でございます。それに対しまして支出は四百四十一億円でございまして、その収支差は千二百三十億円ということでございまして、これは将来の年金給付のために積み立てておりまして、これまで積み立てております累積額でございますが、これは九千九十六億円ということでございます。それから、昭和五十九年度末で推計いたしますと、将来の給付のために準備しておくべき計算上の金額、これを私ども責任準備金と申しておりますが、これに対する充足率は九七%となっておりまして、他の制度に比較した場合、年金財政は、ただいま先生の御指摘にもございましたように、健全であるというふうに考えられるわけでございます。
ただ、私学共済の長期経理にかかわります収支見通しにつきまして申し上げさしていただきますと、昭和五十五年の一月に実施いたしました所要財源率の再計算の結果を踏まえまして、そこにおきましては一定の前提を設けますが、組合員数を昭和六十二年度以降一定、これが約三十四万七千人強ということになると思いますが、給与改定率及び年金改定率を六%、資産運用利回りでございますが、これを七%としまして、換金率、現在これが千分の百二でございまして、これを組合員と法人が折半で負担するということでございますが、これを据え置くものとして計算をいたしますと、単年度収支でございますが、これから二十一年後の昭和八十一年度に赤字に、また保有資産は三十年後の昭和九十年度に全部これも食いつぶすというような状況になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/22
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023・山東昭子
○山東昭子君 今伺っておりますと、健全であるならばなぜ今制度改正を行う必要があるのかという組合員の声もあると思われますけれども、これについて大臣はどのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/23
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024・松永光
○国務大臣(松永光君) 今政府委員から答弁をいたしましたように、現在は私学共済の財政は健全であります。しかし、それは私学共済の歴史が新しいこと、それから私学の発展に伴いまして私学
年金財政を支える組合員がどんどんふえてきたこと等によるものであります。今後を展望しますと、これも政府委員が説明をいたしましたけれども、年金受給者はどんどんふえてきて、これから二十年後には現在の約四倍ぐらいに年金受給者がふえますね、三十年後には約六倍ぐらいに年金受給者がふえる。しかし、年金財政を支える組合員、現在三十四万でございますが、それがふえるということはまず予想されない。年金財政を支える組合員は現状のまま、年金を受給する人は二十年後に、四倍、三十年後に六倍ということを考えますというと、遅かれ早かれ他の共済制度が抱えているような極めて危機的な状況にこのままでは立ち至るということが予想されるわけであります。そのときになって改正するということはとてもできません。したがって、今からそういう事態にならぬように制度改正をする必要があるというふうに考えるわけであります。それが第一点。
第二点はやはり公的年金制度の一元化ということがあるわけでありまして、他の共済制度との間の整合性を保つ必要があります。特に、私学共済というのは従来から国家公務員共済に準ずるということになっておるところでございまして、そうしたものとの整合性を図る必要がある、こういったこともあるわけであります。
こういったことから、今回、私学共済についても他の共済制度と同一歩調をとって制度改革を行う、こういうふうにいたしたものでございます。
御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/24
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025・山東昭子
○山東昭子君 それでは、現行制度を維持した場合と制度改正を行った場合とで組合員の掛金の率はどのように違ってくるんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/25
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026・五十嵐耕一
○政府委員(五十嵐耕一君) 先生のお尋ねの点でございますが、今後におきます年金受給者の増加、在職期間の長期化に伴いまして、現行制度のもとにおいては年金支給総額が急速に増加してまいりまして、これに伴って掛金負担も増大せざるを得なくなるということでございまして、五年ごとに掛金率を千分の十八ずつ引き上げていきましても、これは将来でございますが、昭和百三十年ごろでございますが、現行の三・四倍程度になると推算いたしておるわけでございます。
それから、今回の制度改正によります収支試算ではどのようになるかということでございますが、保険料率を昭和六十五年度から五年ごとに千分の十八ずつ引き上げまして、昭和百十年度の千分の二百八十二を上限といたしまして将来ともほぼ収支が均衡するというふうな予測をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/26
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027・山東昭子
○山東昭子君 大変よくわかりました。
この制度につきましては、先ほど文部大臣からお答えがありましたように、これは単に公的年金制度の一翼を担うだけでなく、昭和二十九年創設以来今日まで、私学教職員の相互扶助事業として私学教職員の福利厚生の充実、ひいては我が国の学校教育の充実発展に大きな役割を果たしてきたのではないでしょうか。このような私学共済年金制度の、将来にわたって長期的に安定した制度運営が確保され得るよう今回のような改革を進めることは、私学教育はもとより教育界の環境をよりよいものにするという観点からもぜひとも必要であることを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/27
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028・林寛子
○委員長(林寛子君) この際、暫時休憩いたします。
午前十時三十分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315077X00419851210/28
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