1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年十二月十三日(金曜日)
午後一時開会
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委員の異動
十一月二十七日
辞任 補欠選任
石井 道子君 河本嘉久蔵君
岡野 裕君 石本 茂君
秦野 章君 福田 宏一君
十一月二十九日
辞任 補欠選任
福田 宏一君 秦野 章君
柳澤 錬造君 柄谷 道一君
十二月十日
辞任 補欠選任
橋本 敦君 安武 洋子君
十二月十一日
辞任 補欠選任
寺田 熊雄君 上野 雄文君
安武 洋子君 橋本 敦君
十二月十三日
辞任 補欠選任
石本 茂君 松岡満寿男君
徳永 正利君 藤田 栄君
藤田 正明君 石井 道子君
安井 謙君 杉元 恒雄君
河本嘉久蔵君 竹山 裕君
宮本 顕治君 佐藤 昭夫君
柄谷 道一君 柳澤 錬造君
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出席者は左のとおり。
委員長 二宮 文造君
理 事
海江田鶴造君
小島 静馬君
飯田 忠雄君
委 員
石井 道子君
杉元 恒雄君
竹山 裕君
土屋 義彦君
名尾 良孝君
秦野 章君
藤田 栄君
松岡満寿男君
上野 雄文君
安永 英雄君
佐藤 昭夫君
橋本 敦君
柳澤 錬造君
中山 千夏君
国務大臣
法 務 大 臣 嶋崎 均君
政府委員
法務大臣官房長 岡村 泰孝君
法務大臣官房司
法法制調査部長 井嶋 一友君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局人事局長 櫻井 文夫君
事務局側
常任委員会専門
員 片岡 定彦君
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本日の会議に付した案件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○外国人登録法の改正に関する請願(第二八三号
外五件)
○死刑制度廃止と死刑執行停止に関する請願(第
八〇〇号外四件)
○継続審査要求に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/0
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001・二宮文造
○委員長(二宮文造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十一月二十七日、岡野裕君及び石井道子君が委員を辞任され、その補欠として石本茂君及び河本嘉久蔵君がそれぞれ選任されました。
また、去る十二月十一日、寺田熊雄君が委員を辞任され、その補欠として上野雄文君が選任されました。
また、本日、石本茂君、河本嘉久蔵君、徳永正利君、藤田正明君及び安井謙君が委員を辞任され、その補欠として松岡満寿男君、竹山裕君、藤田栄君、石井道子君及び杉元恒雄君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/1
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002・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
まず、政府から両案について順次趣旨説明を聴取いたします。嶋崎法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/2
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003・嶋崎均
○国務大臣(嶋崎均君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。
政府は、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する等の必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は次のとおりであります。
第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員についてその俸給を増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給を増額することといたしております。
第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。
これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様、昭和六十年七月一日にさかのぼって行うことといたしております。
以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お題いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/3
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004・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
これより両案に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/4
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005・上野雄文
○上野雄文君 私から二、三お尋ねをいたしたい
と思うのであります。
今回の報酬、俸給の改定が一般職の職員の給与改定に伴うもの、こういうことでありますが、御存じのように人事院の勧告は四月一日からであるわけですが、一般職と同じように七月一日ということに今回の提案はなっているわけでありまして、大臣はこの基本的なことに関してどうお考えなのか。一般職と同じにするということはさることながら、公務員の賃金の決定の原則のあり方、そのことについてどうお考えなのか。ひとつ、この際お聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/5
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006・嶋崎均
○国務大臣(嶋崎均君) 国家公務員等の給与につきましては、御承知のように人事院勧告という制度が設けられておりまして、これはある意味で政府職員のいろんな労働関係のあり方につきまして一定の制約があるということに伴うところの代償的な措置として設けられてあるものであるということは、私たちも十分承知をしておるわけでございます。
今回におきまして、どうして勧告では四月一日からということになっておるのに七月一日からにしておるかというような点でございますけれども、御承知のように、この問題につきましては政府の財政状況というのが至極厳しい状態になっておるということは御承知のとおりでございます。そういう意味で、ある程度格差が生じてきたというようなことについて緊急避難的なという言葉は適当であるかどうかよくわかりませんけれども、非常にそういう状況を反映をしまして問題を残してきたということは御承知のとおりでございます。しかし、それも何とか三年間ぐらいで解決をいたしたいという考え方で対処をしてきたわけでございますけれども、国家公務員の士気にもかかわることであり良すし、できるだけそういう状態を早く回復したいというようなことで、ことしはいろんな議論もありましたけれども、何とか満額の実施をやりたいというような結論に到達したわけでございます。
しかし、この六十年度の財政の状態ということも非常に厳しい姿にあるということは御承知のとおりでございますし、最近の経済事情等から見てもそういうことがうかがわれるわけでございます。しかし、そういう中でできる限り実施時期も研究をして早い時期にということで、大分中でも論議を重ねたわけでございますけれども、この七月一日から実施をするという決定になったわけでございます。これとともに来年度の予算につきましてもこれが組み込まれるわけでございまして、六十一年度予算にもなかなか大きな問題が起きるというようなこともいろいろ議論をしたわけでございます。しかし、総じて言いますと、本当にできるだけ満額に、しかも本当にさかのぼって実施をしたいというような気持ちは十分あったわけでございますけれども、その時期を七月に繰り上げるというのが精いっぱいのことであるということで御理解をいただきたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/6
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007・上野雄文
○上野雄文君 財政上の問題とかいろいろ絡むことは承知の上でありますけれども、一つのシステムとして、代償措置としてつくったというのであれば、そこから出たのをそのとおり実施をするというのが、もうこれは当然のことなんでありまして、わけても法務省といったらば法律、制度そのものがあらゆるところできちっと守られるという、そのことが担保されるような、そういうお日付役的な役割だってないとは言えないと思うんでありまして、来年度以降については特にそういう点についての大臣の御努力をお願いをしたいと、こう思うんです。
そこで、最近の新聞の記事でありますけれども、判事や検事の処遇が弁護士さんと比べてみでどうも見劣りがする、その結果としては判検事志望の方が大分ここのところ減りつつあるという傾向が見えるのだと、したがってその処遇の改善を図りたいというような新聞記事を読みましたけれども、そういう点について今回の措置で配慮された点があるのかどうか、その辺をお聞かせ願いたいのと、それから、私どもは全くの素人でありますが、判事、検事になられて十年ぐらいたつと大体どのくらいの給料になるのか、一つの目安というか、私どもが通常考えてこの辺ですよという物の言い方ができるような数字、そんなものがお示しいただけるとすれば、常識的なものとして我々が持っているという数字をお示しいただければと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/7
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008・井嶋一友
○政府委員(井嶋一友君) それでは、お尋ねのまず第一点でございますが、弁護士の収入との格差というお話でございます。確かに、委員御指摘のように弁護士の収入と判検事の収入というのは従来からそれなりの格差があったわけでございます。同じ修習を二年終えましてそれぞれ三つの分野に散っていくわけでございますから、そこで報酬の格差、収入の格差というものが常に問題にされておったわけでございますが、昭和四十六年にそういった収入の格差が著しくなったということもございまして、これは必ずしも収入のみが判検事、弁護士へ分かれる決め手になるというわけではないとは思いますけれども、一応その収入の面において手当てをしなければ優秀な人材の獲得が困難である、こういうようなことから昭和四十六年に、これは一般職の職員にも認められておりますけれども、初任給調整手当というものが認められまして、自乗今日まで判事、検事の初任者から大体六、七年くらいまでの間、これは最初は大きいわけですが、だんだん逓減するという形で初任給調整手当というものがついておったわけでございます。
ところで、最近この弁護士の業務というものが際立って拡大されてきておりまして、またそれだけ若い弁護士の需要がふえておるというようなことから、最近研修所を卒業いたします弁護士をいわゆる事務所のいそ弁ということで採用したいという需要が非常に高まっておるというようなこともございまして、そういった背景を受けまして、最近この初任の弁護士さんの収入というものが非常に多くなってまいりました。したがいまして、従来やっておりました初任給調整手当での調整ではとてもその格差が埋まらないというようなことが最近顕著になってまいりました。
他方、ここ数年、司法修習生を終えました判事補あるいは検事の任官者数というものが漸次減少してまいる傾向がございます。そういったことで最高裁判所も法務省も、やはりこの際この格差を埋めるという意味におきまして初任給調整手当の増額を図るべきであるというようなことから、今回は予算概算要求におきまして初任給調整手当の増額を大蔵当局に要求しておるところでございます。
それから、検察官、裁判官と一般行政官との格差と申しますか優位性と申しますか、その辺を十年程度の経験年数で比較せよ、こういう御質問でございますが、お手元のこの法律案関係資料の五十ページ以下に今回御審議いただいております改定案をもとにした対比表がつけてございますが、それをごらんいただきますとわかりますが、判事、検事に任官をいたしまして十年目と申しますのは、ちょうどこの五十一ページの左の方にございますように、判事補一号、検事九号、この号俸に到達するのがちょうど任官後十年目ということになるわけでございます。その欄の右の方へ見ていっていただきますと、五十ページのところに対応一般職員という欄がございまして、判事補一号、検事九号に対応しておりますのは、一般行政職で申しますと新しい十一級のところに対応するということになるわけでございます。十一級に対応するということは、旧等級で申しますと一等級ということになるわけでございまして、ちょうど十年の経験を経ますと大体一般職の職員の一等級に相当する程度の給与ということになるわけでございまして、それが形式的にはイコール格差になるということになるわけでございます。
もっとも、行政官につきましては判事、検事と違いまして、支給される手当の種別その他も違っておりますから、実質的にどのくらいの差があるかということでございますが、大体十年目ぐらいということになりますと、判事、検事に与えられ
ます手当とそれから一般職がもらいます超過勤務手当などもいろいろ平均的なものを考えまして比較いたしますと、大体四割前後の格差があるというふうになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/8
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009・飯田忠雄
○飯田忠雄君 まず私は、このたびの給料表の改定に当たりまして基本的に従来疑問に思っておりました点を少しく述べまして、お尋ねをいたしたいと思います。
それは、まず第一は裁判官に対する報酬は憲法七十九条及び八十条に明確に保障しておりまして、定期に相当額の報酬を受けることができると、こう書いてあります。この受けることができるということは、相手方が支給するといかんにかかわらず受けることができる権利でありまして、国は当然これに対しては支払いをしなければならぬということではないかと思うわけであります。そこで、定期に相当額の報酬を受けるというわけですが、定期にとは一体いつのことだろうかと、これは非常に大きな疑問でございます。また、相当額というのもいかなる額が相当額がという点についても疑問でございます。政府では内閣が任命権者ですから、内閣における問題について本日御質問申し上げると申しましたところが、これは法務省の方において代行しているから法務省に聞いてくれと、こういうお話でしたので、私もそのつもりで御質問を申しますので御了承願います。
まず、定期にというのは、これはどこが一体決めるのかという問題であります。任命権者が任命する時期は四月とか九月とか、その時期を決めておられるはずでありますが、それはいつに決めておられるのでしょうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/9
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010・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判官の任命の時期でございますが、これは御承知のとおり裁判官は二年間の司法修習を終えて、そして任命されるわけでございます。そして、二年間の司法修習を終えました者の中から最高裁判所が任命されるべき者の名簿をつくりまして、それを内閣に送りまして内閣の方で任命されるわけであります。司法修習生の採用は四月でございますので、二年間の修習を終えますと二年後の四月に裁判官は採用されるわけでございます。
定期に相当額の報酬を受けるということでございますが、これはやはり法律でもってそこの金額が決まらないことにはこの相当額の中身も決まってこないわけでございまして、結局、裁判官の報酬等に関する法律によってその金額が具体的に決まり、そしてそれが支払われていく、こういう関係になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/10
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011・飯田忠雄
○飯田忠雄君 ただいまの御答弁では、四月に任命をするのが普通であるということになりますと、そのときに俸給はお決めになるわけですから、定期昇給というものがある場合にはやはり四月が定期昇給の期限ではございませんか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/11
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012・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判官の受ける報酬月額というものは最高裁判所が定めるというふうに裁判官の報酬等に関する法律では定めております。したがいまして、この報酬法のつくり方は一般職の場合のように順次昇給していくという考え方ではなくて、それぞれの裁判官の受ける報酬額を定めていく、こういう定め方になっているわけでございます。ただ、実際の問題としましては、通常は判事補の十二号、一番最低のところに定められて、そうして順次判事補の十一号、十号というように定められていきますので、現実の問題としては定期の昇給のような形になっております。その昇給の時期でございますが、これは四月とは限りませんで、昇給の期間というのは一年とは決まってないわけでございます。号俸によって九カ月の場合もございますし一年の場合もございます。したがって、四月とかあるいは十月とか、そういった切りのいい時期が定期昇給の時期になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/12
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013・飯田忠雄
○飯田忠雄君 大体わかりましたが、定期というのは裁判官によって違うのだが、普通は四月とか十月とかというところでやっていると、こういうお話でございましたが、まあそうだろうと思います。
そこで、この俸給を支給する場合にやはり俸給表によっておやりになるわけだから、俸給表を決めるのは一体どこかということが問題になると思いますが、その場合に、一般職の場合は人事院の勧告に従いまして人事院が時期を指定するはずでございます。裁判所の俸給の場合はその人事院が指定したことに倣われるのか、それともそういうものとは無関係にお決めになるのか、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/13
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014・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判官の報酬の額の改定につきましては、裁判官報酬法の第十条に定めがありまして、裁判官については、一般の官吏についてその俸給その他の給与の額を増加するときは、一般の官吏の例に準じて報酬その他の給与の額を増加すると定められております。したがって、今回一般の官吏について七月一日からその額の改定がなされるという法律案が提案されましたので、裁判官についてもそれに準じて同様の増額の法律案をお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/14
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015・飯田忠雄
○飯田忠雄君 この問題につきまして、人事院が四月ということで勧告をした、それを財政上の理由で政府は七月になさった、こういうわけでございますが、この場合に四月と人事院が決めたのはそれなりの理由があるのではないか、こう思われるわけです。それで、それが一応妥当な線であるのに財政上の理由で七月まで延ばした。これは、一般公務員の場合はそれで筋が通ると私は思います。ところが、相当額ということになりますと、裁判官にふさわしい額を決めるという場合に、それを判定する人は一般職の方では人事院とその人事院が判定したものに右へ倣えということになりますと、結局四月のときに支給するのが相当額の時期ではないか、こう理論的に言わざるを得ないわけですね。
そこで疑問が生じてまいりますのは、「定期に相当額の報酬を受ける。」とありますが、その定期の相当額というのは一応人事院が決めたものに倣うということでこれを決めていこう、それも一つの方法論ですからそれて結構でございますが、人事院は四月だとこう言った。そうすれば、それに倣えば裁判官の場合も定期というのは四月だというのが筋ではないか、こういうことになるわけです。行政官について財政が足らぬから行政官は我慢しろということであれば、これは内閣の仕事ですからやむを得ませんが、裁判官の場合は行政官と違いまして、憲法で明らかに「定期に相当額の報酬を受ける。」と決めているのですから、内閣にそういうことまで従う必要はないのではないか。これは理論上の問題ですよ。
そうしますと、理論上四月に支給すべきものを七月にということになりますと、理論上は三カ月の間実質上の減額を行ったということにならざるを得ないわけですね、裁判官の場合ですよ。そうしますと、これは一体いいのか。その次に「この報酬は、在任中、これを減額することができない。」と書いていますから、四月から三カ月減額するというのは、これは筋が通らぬではないかという理論上の問題が生ずるわけでございます。実際上支給なさるかどうかは別ですが、こういう問題について疑問があるわけですが、これはお尋ねしてもお答えはちょっと都合が悪いでしょうな。まあ、こういうことを申しておきます。これは後でもいろいろ措置がありますから、そういうことを我々は考えておるということをお含みを願いたいわけです。
それから、時間の関係で急ぎますが、検察官の俸給でございますが、これは検察官というものを行政官と考えるか司法官と考えるかによって俸給表のつくり方が違うと私は考えるわけです。検察官というのは、これは普通、行政官だと、こう言われておりますが、おやりになる職務の内容を見ますと行政官じゃないのですね。刑事訴訟法に決めてある犯罪捜査、それから公訴の提起、こういうことをおやりになる。これは刑事裁判をおやりになる手助けをなさるわけなんだが、一般の行政とは私は考えられない。私は司法だと思いますが、この点はいかがお考えでしょうか。これは法
務省の方に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/15
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016・井嶋一友
○政府委員(井嶋一友君) 司法官というその呼称がいろいろな形で使われておるというふうに思うわけでございますけれども、例えば司法に関係する職務を行っておる公務員というようなニュアンスで広く用いるといたしますれば、それはもう裁判官のみならず、裁判にといいますか、司法にかかわっておりますという意味で、検察官あるいは場合によっては司法警察職員も入るというような概念として用いられるのかと思います。しかしまた、逆に狭い意味で司法官というふうに申しますのは、これは委員御指摘のとおり裁判官を指すというものだというふうに考えております。
ところで、検察官が司法官か行政官かというお尋ねでございますけれども、今仰せのように犯罪の捜査権あるいは公訴の提起権といったようなものをつかさどるのが検察官でございます。これは委員御指摘のように裁判にかかわるものであることは間違いございませんが、そういった意味で、広い意味での司法官だという御説であれば、それはそうだろうとは思いますけれども、他方、捜査権とか公訴提起権というのは、これはやはり司法権ではなくて、いわゆる憲法上の三権から申し上げますれば行政権ではないだろうかというふうに考えるわけでございまして、そういった行政権の行使を担当する者という意味で考えますならば、やはり検察官は行政官であろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/16
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017・飯田忠雄
○飯田忠雄君 この問題は、物事を実質的に考えるかあるいは形式的に考えるかの差だと思います。今私どもが論じておりますのは俸給ですから、俸給ということになりますと仕事の内容に従って決めるべきだと思うのです。それで、仕事の内容によって決めるべきだということになれば、仕事の内容はやはりこれは司法に属するのではないか。
つまり、憲法の三十三条に司法官憲という言葉があるわけです。これは裁判官とは書いてない。司法官憲という言葉がございます。ところが、ほかのところでは皆裁判官と書いてあるんです。司法の仕事をやる者には裁判官のほかに司法官憲がある。検察官は、これは司法官憲に該当するのではないか。そういうふうに理解をいたしませんと、検察官だけ一般職の行政官と切り離して俸給表をつくる意味がなくなってくる。仕事の内容でいくということに私どもは理解をしますから、司法官憲、いわゆる広い意味の司法官なんだと、そういうことで現在の特別の検察官の俸給表ができているということは、これは合法的だというふうに理解をしておるわけです。それでお尋ねをするのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/17
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018・井嶋一友
○政府委員(井嶋一友君) 確かに、御指摘のとおり検察官は一般職の公務員ではございますけれども、検察官俸給表という独自の給与体系を持っておるわけでございますが、その意味は委員御指摘のとおり、やはり検察官の職務の内容から来ておるわけでございます。検察官は司法権の発動を促す、あるいはその司法権の適正な運用を図るというような観点からこれに参画をしている職でございます。そういった意味で、私どもはこれを準司法官的性格というふうに申し上げるわけでございますが、そういった意味合いにおきまして一般職の俸給表とは切り離されまして独自の体系ができておる。しかもその独自の体系は全く独自につくられておるかというと、そうではなくて、やはり任用制度あるいは養成制度といったようなものが同一基盤である裁判官と同様の俸給体系になっておるというのが現行の仕組みであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/18
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019・飯田忠雄
○飯田忠雄君 検察官と裁判官は、今おっしゃったように任用基準が同じなんです。そして、職務も大体似たり寄ったりの仕事だから、俸給表は裁判官に準じた俸給表でする。これは合理的なんですよ。それはいいですが、そうであるならば、裁判官において四月から七月にしたということは、これは理論上零、実質上の減額と解されるのだ。そうならば、同じく四月にすべきものを七月にしたということは検察官の場合も同じではないか。一般の行政官は政府の言うことを聞いて、それでもうしょうがない。しかし、裁判官と検察官は一般の行政官と違います。裁判官は憲法で保障している。それに準ずるのは検察官なんだから、少しくその点を考えるというと、今度の処置については理論上疑問が生じると我々は考えるがいかがですかと、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/19
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020・井嶋一友
○政府委員(井嶋一友君) 先ほど裁判官の報酬につきまして裁判所の方からお答えがございましたけれども、それに準じております検察官につきましては同じお答えになるわけでございますけれども、要するに検察官の俸給は裁判官に準じてつくられておるということになりますので、裁判官報酬法十条というのが根っこになってくるわけでございますけれども、報酬法十条によりますと、先ほど御説明ありましたように、一般の官吏の例に準じて増額をするということになっておるわけでございまして、この「一般の官吏の例に準じて」という意味合いでございますけれども、それはやはり一般の官吏より突出してということではなくて、あくまで準じてということでございますので、その限度で改定をするというのがこの法の精神であるということで従来運用されてきておるわけでございます。また、それが憲法の「相当額」にも当たるのだという解釈でございます。そういった意味で、今回は一般職七月一日であるということから、それの限度で改定が行われたものだというふうに考えておるわけでございまして、御指摘でございますけれども、矛盾があるというふうには考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/20
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021・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それでは、次の問題に入りますが、先ほど同僚委員からも御質問ございました調整手当の増額の問題ですが、相当額の報酬を裁判官は受ける、こうなってますが、その相当額を決める場合、それは何かほかに同じような職業の人と比べて大体妥当かどうかという点を判断しなきゃならぬわけですね。そうしますと、最高裁判所の指揮下において働いておる者といいますと、弁護士がそうです。弁護士は最高裁の規則に従わねばならぬ、検察官も最高裁の規則に従わねばならぬ、こうなってます。そうすると、弁護士とか検察官とか裁判官というものは、これは同じ仲間の部類でしょう。同じ類型の公務員、そういう人たちの間の俸給というものはおのずからバランスがとれていなきゃならぬのではないか。
そうしますと、検察官と裁判官は一応俸給表が決まっておりますが、その俸給表に言うところの相当額を決める場合に、その相当額というものはやはり弁護士の大体の俸給と比べてどうなんだろうかというところから見る以外に見る方法がないのではないかと思いますが、こういう点いかがですか。それとも、ほかの方に標準があるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/21
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022・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 憲法に言います「相当額の報酬」の意味でございますが、今御指摘のような弁護士の収入と対比してこれを考えていくというのは大変難しいことであろうと思っております。弁護士の収入ということになりますと、これはそもそもその収入額を把握するということ自体が大変難しいことが一つございますし、そのほか、弁護士の仕事といいますのは、だれかに雇われて、例えば国家公務員ならば国のために働く、そういう関係ではございませんで、みずから営業をしておられるわけでございます。したがって、その弁護士がみずから営業して得た収入というものに裁判官の報酬というものが並んでいかなければいけないというのは、これはそこまでの要請は憲法上はないのではないかと思っております。
ただ、司法修習を終えまして司法修習生から判事補に採用された当初の収入額というようなものは、司法修習を終えた者の進路に直接影響してくるわけでございます。もし修習を終えた裁判官とそれから修習を終えた弁護士との間で余りに大きな格差があるというようなことになりますと裁判官志望者が非常に少なくなっていくというような問題も起きますので、そういうような観点からはその収入の格差というものは考えていかなければ
ならないので、その点を考えてあるのが現在初任給調整手当という形でできている制度であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/22
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023・飯田忠雄
○飯田忠雄君 初任給調整手当というのは大体どのぐらいのものを今支給なさっているんでしょうか。恐らく弁護士は司法修習を終わった段階では余り収入がないんですけれども、何年か後においては弁護士は弁護士なりの収入を得る。一生涯の問題で、一生涯の俸給というものの大体平均を考えて、それとの対応を裁判官、検察官は考えるので、それで初めのところで余り低いのは困るというふうに考えて調整額をおつけになっているのか。それとも、そうではなくて、何か別の基準でおつけになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/23
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024・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) ただいま申されましたように、裁判官の一生涯の収入と弁護士の一生涯の収入というものを考えて、そしてその差額を埋めていくという性質のものではないと考えております。修習を終えました段階での修習生の進路が裁判官、検察官と弁護士と余りに偏った方向へ流れてしまうということは好ましくない。やはり裁判官、検察官にも一定の人員というものは来てもらわなければならない。そういうことから、裁判官、検察官の初任時及び、それから五年程度でございますが、しばらくの間初任給調整手当を支給するという制度になっているわけでございます。で、初任のときが二万三千円でございます。その後順次金額が下がっていきまして、一番最後の段階では三千円という金額が支給されることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/24
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025・飯田忠雄
○飯田忠雄君 では、最後にお尋ねしますが、この調整額の増額要求、これはやっておるというお話を前に聞いたことがありますが、これは実現可能なものとして現在進められておるでしょうかということです。
それから、きょうの論議しておる問題につきまして、今までいろいろ議論したところから、法務大臣の方でどういうような御感想を持って今後問題処理をなさろうとなさるのか、お尋ねをいたします。二つの点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/25
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026・嶋崎均
○国務大臣(嶋崎均君) 実はこの初任給調整手当というのが初めてできたのは昭和四十六年ですか、当時やはり裁判官なりあるいは検察官になる方と弁護士との間の初めのスタートが非常に違っておるというようなことに着目されてできましたんですが、同様のときに、実は医師の初任給についてもそういう制度があったわけです。お医者さんの方は非常に熱心だったというのですか、年々改定をずっとやってきておりまして、どうもやはり司法のためあるいは国家のためという意識が走り過ぎたのか、我々の方は辛抱して今日までやってきたというのが実情でございます。
しかし、最近になりまして裁判官なりあるいは検事になろうという人が非常に少なくなりつつあるという現実があるわけでございます。何とかいろいろ説得を重ねてやってきておりますけれども、急激にそういう姿が出てきておるような感じがするんです。特に、今の修習をやって今度判検事になられる人、それからその次、今もう入っておられる人、そういう中を実は調べてみますとちょっと背筋が寒くなるような感じすら受けておるというのが実情だろうと思うのでございます。そういうことを考えてみますと、初任給調整手当、長らく辛抱してきましたけれども、やはりもう辛抱の限界に来ておるのだというような考え方で、ことしの予算要求の中でそれを取り上げておるわけでございます。
そうした場合に、御承知のように、さっきも御質問ありましたけれども、一般の公務員が中途半端な段階のときにはなかなかそういうことは言いにくいという雰囲気があったわけでございますが、幸いにして、七月からではありますけれども、満額実施されるような条件が整いましたので、私としましても今度の予算要求の中ではこの問題を真剣に取り上げて、そして裁判官なりあるいは検察官なり、非常に地味な仕事ではありますけれども、国の秩序を守っていくためには避けられない職業の方であり、しかも最近の事件の状態等から見まして、どうしてもその確保が必要であるというふうに私たち思っておるものですから、ぜひともこの実現方について努力をしてまいりたいというふうに思っておるというのが実情であるわけでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/26
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027・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 委員の異動について御報告いたします。
本日、宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/27
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028・橋本敦
○橋本敦君 私も、今議論になっております判検事の初任給の引き上げの問題について質問をしたいと思います。
今お話しのように判検事の初任給調整手当が約十五年ぐらい前にできたときは、私ども記憶しておりますけれども、法曹一元の実を上げる上からも、そしてまた優秀な人材を判検事に集めるといったら語弊がありますけれども、なっていただくという観点からも大変歓迎されたことを記憶しておるわけであります。ところが、今大臣は長年辛抱してきたとおっしゃいましたが、確かにそのとおりで、十五年間同額に据え置いてきたというのは、これはほかには例がないほどの辛抱だと思うんです。問題は、現在判検事の初任給がどれくらいかということでありますが、いただきました資料の五十三ページにそれが出ておりますけれども、判事補で現行が十六万四千五百円、今度の改正で十七万三千三百円となりますが、これに調整手当を付加いたしますと十八万強ということになってくるわけですね。これは間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/28
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029・井嶋一友
○政府委員(井嶋一友君) 改定されました額で計算いたしますと、今の委員御指摘のものにブラス現行の初任給調整手当を加えますと二十一万ばかりになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/29
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030・橋本敦
○橋本敦君 名目はそうですが、税金その他を引きますと十八万ぐらいじゃないかと私推定しているんです。そういう意味の質問ですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/30
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031・井嶋一友
○政府委員(井嶋一友君) 大体そのくらいになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/31
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032・橋本敦
○橋本敦君 最近、司法試験が難しくなったということもございますし、二年間の司法修習期間というのはどうしても必要的にあるということから、判検事に任官される年齢が次第に高くなっているのではないか。私が最高裁からいただいた資料によりましても、最近、過去三年間の判事補任官時の平均年齢は二十七歳を超えているように承知をしておりますが、人事局長、間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/32
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033・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) そのとおりでございまして、最近の判事補の初任時の平均年齢は二十七歳代でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/33
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034・橋本敦
○橋本敦君 ですから、昔流に言えば、ほぼ三十歳ということにならざるを得ないわけです。それで、手取りが大体十八万ぐらいだということになる、しかも難しい司法試験に合格し、司法修習の二年の課程を経て法曹として出発するときにそういう金額にしかすぎないと、こうなるわけです。四十六年にこの調整手当ができるときの最大の問題も弁護士との出発点の格差が大き過ぎるということが問題だったわけですが、十五年間据え置いてきた結果、現在初任給が手取り大体十八万ぐらいとして、弁護士はなったら大体どれくらいの収入が月額であるというように推定されておられますか、法務省で結構ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/34
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035・井嶋一友
○政府委員(井嶋一友君) 初任給調整手当のペースになります弁護士の、いわゆる初任のいそ弁と称します弁護士の収入でございますが、毎年それなりに調査はしておりますけれども、十分な手段がないということで必ずしも的確なものがとれてなかったわけでございますが、今回日弁連の協力を得ましていわゆる平均的な収入額というものを算定したわけでございますが、それによりますと、いわゆるいそ弁として弁護士事務所に雇用される初任の弁護士の大体の平均の実収入と申しますか、これは税金その他ございません実収入で考
えますと約三十万ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/35
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036・橋本敦
○橋本敦君 大体おっしゃるような見当だろうと私も思うんです。私の事務所にも若い弁護士さんが来てくれておりますけれども、それに聞いても大体平均的にそういう見当だと、こうなりますと、実収三十万と十八万といいますと、これはもう十万以上の開きが出てくるわけです。なるほど弁護士と同じでなくちゃならぬということにもなりませんけれども、この開きはやはりかなり大きい。法曹としての生きがいというのは別にありますから収入の面だけで進路を決めるわけじゃありませんけれども、このことがやはり先ほど大臣がおっしゃった判検事希望が少なくなっているという傾向のペースにあるわけです。
そこで、大臣がおっしゃったように、今回調整手当の改正ということに踏み切られだということですが、どれくらいの額を増額するということで今大蔵と御折衝いただいておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/36
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037・井嶋一友
○政府委員(井嶋一友君) これは、弁護士の収入と申しましても、住宅事情といったものは判事、検事と違いまして、弁護士さんは非常に苦労をされるというようなこともございます。また、いわゆる交際費的なものとか、そういったいわゆる経費的なものもやはり判事、検事とは違うというような面もございます。したがいまして、名目的な格差をそのまま全額埋めるというようなことにはもちろんならないのだろうというふうに思っておりますけれども、そういったことも勘案いたしまして、現行の二万三千円の初任のときの調整額の約三倍強ぐらいを財政当局に要求をしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/37
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038・橋本敦
○橋本敦君 私は、今おっしゃった趣旨で全く同額、パラレルということにはならぬと思います。しかし、今おっしゃった三倍強というのは、私が今指摘した格差をなくして、法曹一元の実を上げていく上からも、人材確保からも最低限だと思うんです。だから、そういう意味では、今度の給与改定にそのものが一緒になってくればもっと具体的な論議ができたんですが、それがこれからの交渉の問題だというので、大臣にぜひそれはもう最低限だということを大蔵によくお話しいただいて、実現のために努力をしていただきますようにお願いをしたいんですが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/38
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039・嶋崎均
○国務大臣(嶋崎均君) 私たちも現在の実情から考えまして、何らかの手当てを講じなきゃならないぎりぎりのところに来ておるというぐあいに判断をしておりますので、ぜひとも努力をして、それが実現できますように具申をしたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/39
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040・橋本敦
○橋本敦君 特に法曹として裁判官の給与については、先ほどもございましたように、まさに司法制度を司法権の独立という観点で憲法体系下で確立していく上からも、給与については特別の配慮が憲法上要請されていると思いますので、特にその点、大臣の御尽力も含めてお願いしたいと思いますが、社会的な実際の問題として、判事、検事の皆さんはなかなか共稼ぎということができないのじゃないでしょうか。私は女性がどんどん仕事を持って社会に進出されることは大賛成ですから、共稼ぎが大いにふえてよいと思っているんです。しかし、判事、検事という立場で一般職の皆さんとは多少違って、やはり司法の一員として社会の中で公正さを生活の上でも担保して頑張らなくちゃならぬという、こういう意識から共稼ぎをしちゃいかぬという規則も何もないと思いますけれども、実際はやはり抑制をされていらっしゃるということも実情ではないかと思うんですが、そうじゃありませんか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/40
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041・井嶋一友
○政府委員(井嶋一友君) 御指摘のように、一般職の職員と判事、検事の共働きの率と申しますか、そういったものの数を必ずしも把握しておるわけではございません。特に一般職につきましても私どもは把握いたしておりませんし、また法務省検事について申し上げますならば、そういった率は把握いたしておりませんけれども、概して申し上げれば、やはり転勤が多いというような職でございますので、どうしても奥さんが働くという率は常識的に考えれば少ない、あるいはほとんどないと言っていいのではないだろうかと思います。もっとも、これは男性の検事の場合でございまして、女性の検察官が約二十五、六名おりますけれども、この中で結婚しておられる方はそれぞれ職業を持った方と結婚しておられるわけですから、これは別でございますけれども、男性の検事について申しますれば、まずほとんどないだろうというふうに思っておりますが、別にそれを規制しているというようなことではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/41
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042・橋本敦
○橋本敦君 裁判官についても同じようなことで、ほとんどないと思いますから、そういうこともありますので、特段の努力をお願いしたいということで、この質問はこれで終わります。ありがとうございました。
この法案に関連をして、次に私は司法試験制度の改正問題についてお伺いをしておきたいと思います。
最近、司法試験がますます難しくなっていると、こういうように言われておりますので、最近の司法試験の倍率、合格者数の推移、ここ数年で結構でございますが、おわかりの範囲で教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/42
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043・岡村泰孝
○政府委員(岡村泰孝君) 本年度の司法試験について申し上げますと、出願者数が二万三千八百五十五名でございます。合格者数が四百八十六名でございますので、合格率は二・〇四%、競争率で申し上げますと四十九・一倍と、こういう数字になっております。
合格率は、ここ数年を見てまいりますと、一・六%あるいは一・八、九%、大体その辺のところで推移しておる、こういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/43
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044・橋本敦
○橋本敦君 今お答え。いただきましたように、合格率が一・数%程度という大変厳しいものである。それに加えて、競争率から見ましても四十九倍を超えるわけですから、これも大変なものです。したがって、こういう試験を突破するということ自体が大変だということはそれ自体はっきりしているのですが、問題は、こういう試験を通して本当に将来我が国の司法を担っていく人材をきっちり育てていくという、そういう方向でこの試験が合理的なものとして改正の必要はないかどうかということが一つはあると思うんです。
一説では、最近こういう競争率の激化ということの中で、特殊な受験技術、ここに勉強が偏重していて、要するに法曹として本当に持っていなきやならぬリーガルマインドあるいはコモンセンスということについて言えば非常におくれていくという状況をつくり出していないだろうか。そういう意味で、この司法試験は技術的な法解釈技術やあるいはそれに絡まった受験技術、ここに偏っていくという傾向を何とか。なくして、まさに法曹として必要なファンダメンタルなリーガルマインドをきっちりテストして、そこのところから優秀な人材をつかみ出していくという方向に基本的に考え直さなくちゃならぬのではないかという議論もあるやに聞いておりますが、その点いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/44
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045・岡村泰孝
○政府委員(岡村泰孝君) 司法試験につきましては難し過ぎるという御意見もあるわけでございまして、現実にも競争率も高いわけでございます。司法試験は法曹となる者の資格試験でありまして、法律実務を取り扱うのに必要な学識とか応用能力の有無を判定するものでございますので、相当高度な試験であるわけでございます。しかし、いわゆる丸暗記式の知識ではなくて、基礎的な法律知識と、これをもとにいたしまして論理的に思考しあるいは判断する能力、応用能力、こういったものをテストすること、これはやはり望ましいわけでございまして、こういった点につきましてこれまでにもいろいろ工夫し、改善にも努めてきたところでございますが、最近の実情、こういったものを踏まえまして、さらにその改善策につきまして現在各方面の意見等を参考にいたしましていろいろ知恵を出し、工夫、検討しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/45
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046・橋本敦
○橋本敦君 今おっしゃった検討の方向は、一つは、実際には暗記主義、こういうことに陥らない
ようにしていかなくちゃならぬということが問題の出題を含めて工夫されなくちゃならぬのじゃないかということと、もう一つは、何といっても法律問題の基礎知識をしっかりと把握しているかどうかということに視点を置いた方向での試験内容についての工夫、これも必要じゃないか。今の論文式はともかくとして、選択式という一つのハードルをクリアしなきゃならぬとなりますと、その選択式には、これはもう暗記主義が先行するあるいは受験技術が先行するという傾向がどうしても避けられない。だから、最初の選択式の試験についても、今私が指摘したような基礎的な法律知識をしっかり理解をしておくということが基本になるような、基礎的知識を問うような方向に思い切って変えるということも必要ではないか。そういう方向は法務省内部にも意見があって検討されているようにも聞いたことがあるんですが、その方向はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/46
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047・岡村泰孝
○政府委員(岡村泰孝君) 委員御指摘の試験はいわゆる短答式というものであろうかと思うのでございますが、この短答式の試験問題につきましても、今言いましたような基本的な法律知識あるいは応用能力、こういったものをテストする、そういうような方向に持っていくためにはどうすればいいのかということにつきましていろいろ現在工夫もし、検討もしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/47
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048・橋本敦
○橋本敦君 そういう方向は、一つには司法浪人と言われる何遍も何遍も受けるということを少しはなくしていくという傾向に役立つかもしれませんが、根本的に司法浪人と言われるたくさんの、四十九倍も競争率があるのですから、できているというこの問題を抜本的に解消するという名案は、私なかなかなかろうと思うんですが、この問題についてはどういう解消方法があり得るとお考えでしょうか。これは大変難しい問題だと思うんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/48
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049・岡村泰孝
○政府委員(岡村泰孝君) まことに難しい問題でございまして、直ちに名案というものはないわけでございますが、現在の司法試験の現状を踏まえまして、ともかくどうすればいい法曹資格者を選抜できるかという方向でいろいろ検討しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/49
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050・橋本敦
○橋本敦君 なかなか即答はできないという問題だと思うんですけれども、そこで一つの問題として、今、論文試験をやった場合には、その論文について本人から成績の問い合わせがあれば、その照会にこたえて本人の点数を教えてやっているというシステムがあって、これは大変歓迎されているようですね。といいますのは、自分の判断と努力した結果が自分でわかるし、そして自分としての法曹のこれからの勉強の方向も検討できるし、強いて言えば、自分の能力についても判断する自己点検の資料にもなりますから大変歓迎されているようですが、これは年にどのくらいの件数が照会があって、どのくらい回答されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/50
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051・岡村泰孝
○政府委員(岡村泰孝君) 本年度の論文式の不合格者三千二百十四名のうち二千八百五名が照会を求めてきておりまして、これに回答をいたしております。八七・三%でございます。これまでの回答率、大体八十数%ぐらいになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/51
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052・橋本敦
○橋本敦君 それは今論文式についてでありますが、短答式について照会があれば回答するという御用意はありませんか。短答式についても、基礎科目である憲法、刑法、民法、こういった本当の基礎科目については、全部と言いませんけれども、コンピューターではじけばすぐ出るのじゃないかと思うんですが、これも照会があれば回答するというシステムをおつくりいただければ、また大いに役立つのではないか。そのことによってまず本当に当初の自分の力が自分でわかるわけですから、論文式に加えてこれもやっていただくといいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/52
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053・岡村泰孝
○政府委員(岡村泰孝君) 論文式の問題につきましては、どういうふうに論理を組み立てて結論を導き出すか、あるいはそれをどう表現するかといったようなことがテストされるわけでございまして、その答案につきまして受験者が自分なりに客観的に評価するということ、これは必ずしも容易ではないだろうと思いますので、昭和五十六年から、論文式の試験の場合は、不合格者に対しまして、どの程度の成績でいるのか、合格圏内にはどの程度近いところにいるのかあるいは遠いところにいるのか、こういったものを知らせることによりまして、客観的に自分の能力といいますか、勉強の程度といいますか、そういったものを知らせるということをやっておるわけでございますが、短答式の場合は、受験者自身でどの程度正解であったかということの自己採点といいますか、こういったものが比較的容易ではなかろうか、こういうような点で、今のところは短答式につきましては照会に応じでいないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/53
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054・橋本敦
○橋本敦君 その実情は承知しております。承知した上で、すべてについてではなくて、少なくとも今私が言った憲法、刑法、民法、これくらいの選択をして、これについては自己点検が可能だといっても正確でない場合もたくさんありますから、照会にこたえてやるという方向で検討していただければ一層受験の改善に役立つのではないか、こう思って御検討をお願いしたいと思うんですが、今すぐではなくても、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/54
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055・岡村泰孝
○政府委員(岡村泰孝君) 先ほど申しましたように、論文式の場合が昭和五十六年から実施しておりますので、この実施の実績等も踏まえまして、さらに検討いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/55
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056・橋本敦
○橋本敦君 わかりました。
それじゃ、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/56
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057・柳澤錬造
○柳澤錬造君 最高裁の方にお聞きをするのですが、先ほどもちょっと出てまいりました司法権の独立ということがよく言われるわけですが、それでベースアップのこの問題については行政府が決めたことを右へ倣えと、こうなるのだけれども、その辺の関連はどういうふうに御理解をしておられるかということをまずお聞きをしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/57
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058・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判官の報酬の増額改定につきましては、裁判官の報酬法第十条によって、一般の官吏の例に準じて増加するということになっております。
裁判官の報酬につきましては、司法権の独立ということを確保し、そしてそういった独立した司法権を行使する裁判官の地位にふさわしいような報酬を与えるために、憲法でも裁判官は相当額の報酬を受けるということが定めてあるわけでございます。ただ問題は、そこに言う「相当額の報酬」というのは一体どれだけのものでなければならないかということでございます。この内容を一義的に決めるというのは大変難しい問題であろうと思いますが、私たちはと申しますか、一般には、その意味は少なくとも一般の官吏よりも相当程度高い金額の報酬を支給するということが一つの要件であるというように考えられていると思います。そのように考えられて、戦後ずっと現在に至るまで運用されてきているわけであります。
裁判官の報酬は、それぞれ各報酬額に対応する行政官の報酬というものがございまして、そしてその行政官の報酬が増額するのに応じて、それに大体同じ比率でもって裁判官の方も増額していくという定めになっており、対応する行政官の報酬というのが、例えば大学を出て一定期間経過したその同じ年齢といいますか、同じ経験年数のものでとらえた場合には裁判官の方が高くなるような、そういった裁判官の方に有利な対応を定めているわけでございます。したがって今回、行政官に準じて、それに対応した増額ではありますけれども、従来から設けられている裁判官と行政官との格差というものはずっと保たれるような形での改正が行われているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/58
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059・柳澤錬造
○柳澤錬造君 もちろん、全く無関係に最高裁だけで勝手にお手盛りみたいにやるということはできないから、何らかのよりどころは私は必要だと思うんです。ただ、先ほど大臣の御提案のときでもそうだし、この中にも書いてあるのもそうですけれども、「理由」として書いてあるのは「一般の政府職員の給与改定に伴い裁判官の報酬月額を改定する等の必要がある。これが、この法律案を提
出する理由である。というわけでしょう。このところが私は理解がいかない。予算は、これはもう最高裁が使う予算も予算案として当然もらわにゃいけないからあれだけれども、それは総額なら総額が幾らというようなものであって、その中でどういうふうにするかということは、それはもう最高裁の自主性にお任せくださいということぐらい政府に物申して私はいいと思う。例えば今度のような場合も、今言うとおり、やはり人事院があってああいう人事院の勧告が出る、それがよりどころになると思う。それで、行政府の方は、五・七四%は採用するけれども、四月から無理だから七月までと言った。しかし、最高裁の方は人事院の勧告を尊重して四月からやりますと言ったって、そのことを政府がとやかく言うわけないでしょう。言うのですか、言わないんですか、そこは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/59
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060・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 先ほど申しました裁判官報酬法の第十条では、裁判官の給与の増額は法律の定めるところにより増額するというふうに定めております。したがいまして、今回の法律がその定めになるわけでございます。その増額が一般の官吏の例に準じているといいましても、それは比率が今まで対応していたものに準じているということだけでございまして、ほかの一般行政省庁の職員よりは有利な、それと相当額の格差を持った報酬というものは依然として保たれているわけでありますから、その意味においては、単純に右へ倣えをしたということとは違うわけでございます。
その額の問題だけではなくて、その改定の始期についても違えてはどうかという御意見であろうかと思いますけれども、その問題になりますと、裁判官の報酬といいますのは、裁判官は国家公務員の一部分であるわけですから、国家公務員全体の給与の水準というものから全く離れて、そして宙に浮いたものとして裁判官の相当額の報酬というものがあるわけではないというふうに考えております。あくまでも国家公務員の給与額の中で裁判官の報酬というものがどの程度の地位を保っているのが相当であるかと、そういう観点から今まで保たれていた行政官に対する優位性というものを保っていくということが憲法の定める要請に合っているものというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/60
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061・柳澤錬造
○柳澤錬造君 私は素人考えてこう聞いているので、文句を言うつもりもないし無理を言うつもりもない。ただ、さっきも言っているように、法律ができなければ、それはアップもできないだろう。それをつくることは当たり前なことですが、その法律というのを最高裁がみずから自主的におつくりになったらどうですか。そして、今度は私たちはこうします、法務大臣よ、この予算をとってくださいと。
一生懸命さっきから人事局長、法律によってどうだこうだ、ある程度の有利さを持ちながらその差で来ていると、こう言うけれども、国家公務員と地方公務員の関係なんておわかりのとおりでしょう。これは何年も前にも随分私ども国会でやって、ラスパイレス指数で一二七・幾つと言って、あの大阪周辺なんか、ラスパイレス指数で言ってもぴんとこないけれども、あのときも私言ったのだ。自治大臣よ、年間で約百万円ぐらい余計もらうんですよ、じゃ、あの大阪周辺にだけ金持ちばかり住んでいるんですか、政府のお役人は全部そうやって国家公務員で決められている、ところが、地方公務員はそれぞれ地方で独自にそうやって、そして政府の役人よりも年間百万円も余計な給料をもらうのをほっといてよろしいのですかと言って、それから毎年何だかんだ言いながら今だんだん調整がされてきたわけなんです。
だから、そういう点からいって、今のようなことを言っておられれば、地方公務員が国家公務員以上にそんな高いのをやっていることもいけないことになるんです。ところが、政府はそれに何も文句も言えないで今日まで来ているわけでしょう。だから、その辺、無理じゃないが、これ以上私はもう言いません。
それからもう一つは、今いろいろ何だかんだ言っても職務給じゃないでしょう。もしも職務給が実施をされたら、また考えが変わって別な意見を述べようと思いますけれども、職務給は採用なさっていないわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/61
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062・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 職務給という意味の問題ですが、裁判官の報酬がその職務に応じたものでなければならないということは、それは当然であろうと思います。ただ、御承知のように、裁判官の報酬、判事につきましては一号から八号まで、判事補につきましては一号から十二号まで刻みがございまして、そしてそのそれぞれの報酬を、それぞれの裁判官についてどの程度の報酬を支給するのが適当かということをいろんな要素を考慮に入れて判断した上で、最高裁判所で定めることができることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/62
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063・柳澤錬造
○柳澤錬造君 私もこれを見まして、一号から何号までと全部ある。だから、これは職務給じゃないですよ。だから、職務給をおつくりになるならば、さっきも言いましたように、それはそれなりにまた別な意見を持つ。
時間も参りまして、これで終わりたいと思います。ただ、私みたいに考えているのもいるのだということで、しょっちゅう行政府に右へ倣えばかりしてないで、一度ぐらいは最高裁がく考えると言って、最高裁長官から内閣総理大臣に、今度はこれこれしかじかの予算をよろしくと言っておやりになってみてください。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/63
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064・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/64
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065・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認めます。
それではこれより両案に対する討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/65
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066・橋本敦
○橋本敦君 本法案は人事院勧告に基づく給与の増額改定でありますけれども、以下の理由で反対の意見を表明いたします。
そのまず第一は、裁判官はその身分も憲法でかたく保障されておりますように、その給与はまさに裁判官の地位にふさわしい報酬を支給するということが国の責任でありまして、こういう国の責任を果たすという上で最低限は人事院勧告の完全実施であるはずであります。ところが今回は、率は完全実施といいますけれども、七月一日実施ということで実施時期が値切られておるわけでございまして、この点が反対の第一の理由であります。
第二は、私どもはかねてから上厚下薄の給与体系を是正する必要があるということを言ってまいりました。ところが、本改正案によりましても判事、検事八号以上が五・六ないし五・八%の増額となりますが、判事補並びに検事九号以下が五・三ないし五・五%の増額にとどまっておりまして、上厚下落傾向を一層進めるものとなっており、これは改善さるべきであると考えるのであります。
以上の二点から本法案に反対でございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/66
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067・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/67
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068・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/68
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069・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/69
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070・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/70
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071・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/71
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072・二宮文造
○委員長(二宮文造君) これより請願の審査を行います。
第二八三号外国人登録法の改正に関する請願外十件を議題といたします。
本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。
これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第二八三号外国人登録法の改正に関する請願外十件は保留とすることに意見が一致いたしました。
以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/72
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073・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、理事会におきまして、理事の中から、外国人登録法の改正に関する請願につきましてその趣旨も理解できるので、政府において十分検討するよう希望するとの御意見が述べられたことを申し添えます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/73
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074・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 次に、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。
集団代表訴訟に関する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百一回国会参第一〇号)、刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百一回国会参第一七号)及び人事訴訟手続法の一部を改正する法律案の四案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、四案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/74
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075・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成及び提出の時期につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/75
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076・二宮文造
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十五分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315206X00319851213/76
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