1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十年十二月二十日(金曜日)
午前十時二分開議
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○議事日程 第九号
昭和六十年十二月二十日
午前十時開議
第一 一般職の職員の給与に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二 特別職の職員の給与に関する法律及び国
際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時
措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
第三 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第四 国家公務員等共済組合法等の一部を改正
する法律案(第百二回国会内閣提出、第百三回
国会衆議院送付)
第五 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第六 検察官の俸給等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第七 私立学校教職員共済組合法等の一部を改
正する法律案(第百二回国会内閣提出、第百三
回国会衆議院送付)
第八 国民の祝日に関する法律の一部を改正す
る法律案(衆議院提出)
第九 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改
正する法律案(第百二回国会内閣提出、第百三
回国会衆議院送付)
第一〇 地方公務員等共済組合法等の一部を改
正する法律案(第百二回国会内閣提出、第百三
回国会衆議院送付)
第一一 医療法の一部を改正する法律案(第百
一回国会内閣提出、第百三回国会衆議院送付)
第一二 下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理
業等の合理化に関する特別措置法の一部を改正
する法律案(衆議院提出)
第一三 不法な車検代行業者の排除に関する請
願
第一四 町村の実施する公共下水道の整備推進
に関する請願
第一五 傷病恩給等の改善に関する請願
第一六 台湾出身元日本軍人軍属の補償に関する
請願(五件)
第一七 台湾人元日本軍人軍属の補償に関する
請願
第一八 職務執行命令訴訟制度に関する請願
第一九 学校事務職員等に係る義務教育費国庫
負担制度の堅持に関する請願
第二〇 私学助成の大幅増額に関する請願(四
件)
第二一 てんかんに悩む児童・生徒の教育充実
に関する請願
第二二 義務教育諸学校の学校事務職員に対す
る義務教育費国庫負担制度の維持に関する請
願(百七件)
第二三 農林水産物市場開放阻止に関する請願
第二四 昭和六十一年産米の良質米奨励金現行
確保に関する請願
第二五 国民健康保険の財政に関する請願
第二六 国民健康保険財政の健全化に関する請
願
第二七 小規模障害者作業所の助成に関する請
願
第二八 輸血及び血液製剤のエイズ汚染排除等
に関する請願(四件)
第二九 保育所制度の充実に関する請願(八件
)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一より第二九まで
一、委員会の審査を閉会中も継続するの件
一、事務総長辞任の件
一、事務総長の選挙
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/0
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001・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
日程第一ないし第一二の議案を一括して議題といたします。
順次委員長の報告を求めます。内閣委員長亀長友義君。
〔亀長友義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/1
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002・亀長友義
○亀長友義君 ただいま議題となりました議案のうち、内閣委員会で議了いたしました四件の法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、給与関係三法律案について御報告申し上げます。
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、去る八月七日付の人事院の一般職の職員の給与に関する勧告を実施するため、本年七月一日から平均五・七四%の改定を行うとともに、職員の休暇制度についても、人事院勧告どおり実施しようとするものであります。その主な内容は、全俸給表の全俸給月額を平均五・二%引き上げること、扶養手当等の額の改定等を行うこと、等級構成の再編整備及び専門行政職俸給表を新設すること、及び休日・休暇制度の整備等を行うことであります。
特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案は、一般職の職員の給与改定に伴い、特別職の職員の俸給月額等について所要の改定を行おうとするものであります。
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、一般職の職員の給与改定に準じて、防衛庁職員の俸給月額等について所要の改定を行うとともに、参事官等俸給表にあっては職務の等級の構成及び呼称を改め、また、自衛官俸給表にあっては新たに将補の(一)及び(二)欄等を設け、これに伴い所要の規定の整備を行おうとするものであります。
委員会におきましては、以上三法律案を一括して審査し、本年度の給与改定に対する人事院総裁の見解、六十一年度人事院勧告の完全実施に対する政府の姿勢、等級構成の再編と今後の運用方法、防衛庁職員の給与改善費とGNP一%枠との関係等について質疑が行われた次第であります。その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終わり、三法律案を一括して討論に入りましたところ、日本共産党を代表して内藤委員から三法律案にいずれも反対する旨の発言がありました。
討論を終わり、三法律案につき順次採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。
本法律案は、第百二回国会に提出され、衆議院において継続審査となっていたものであります。
その概要は、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度の長期的安定とその相互間の整合性ある発展を図るため、国家公務員等共済組合法に基づく長期給付の適正化を図る
とともに、国家公務員等共済組合の組合員等についても基礎年金の制度を適用する等の措置を講じようとするものであります。
その主なる内容を申し上げますと、
第一に、共済年金制度に基づく給付は、原則として基礎年金に上乗せして支給する報酬比例年金とし、給付の種類は退職共済年金、障害共済年金及び遺族共済年金等としております。
第二に、共済年金の年金額は、厚生年金相当部分の年金額に、公務員制度等の一環としての職域年金相当部分の年金額を加えたものとすることとしております。また、年金額の算定の基礎につきましては、全期間の平均標準報酬月額とするとともに、年金額の算定方式についても厚生年金と同様のものといたしております。職域年金相当部分の年金額については、その水準を厚生年金相当部分の二割相当としております。なお、支給開始年齢については、現行の経過措置を短縮し、昭和七十年から六十歳となるようにしております。
第三に、退職共済年金については、配偶者等に対する加給年金制度及び低所得者に対する在職老齢年金制度を設け、また障害共済年金について。は、事後重症の制限期間を撤廃し、さらに、遺族共済年金については、給付率を二分の一から四分の三に引き上げる等の措置を講ずることとしております。
第四に、公的年金の併給調整の実施、所得制限の強化等給付の合理化を図ることとしております。
第五に、既裁定年金の取り扱いについては、いわゆる通年方式により算定した額に改定することとしておりますが、従前の年金額は、これを保障することといたしております。
第六に、共済年金の給付に要する費用については、使用者としての国または公共企業体等と組合員との折半負担とすることとし、国庫等の負担については、基礎年金拠出金の三分の一とすることといたしております。
第七に、その他の改正についてであります。まず、年金額の改定については、厚生年金等と同様、消費者物価による自動スライド制を採用することとしております。次に、国鉄共済年金については、財政調整事業を実施している間、職域年金相当部分についての給付を行わないこととしております。また、共済組合の組合員等に対して基礎年金制度を適用するため国民年金法等について所要の改正等を行うこととしております。
本法律は、昭和六十一年四月一日から施行することとしてております。
委員会におきましては、中曽根内閣総理大臣の出席を求めて、地方行政、文教、農林水産の三つの常任委員会と連合審査会を開くなど、慎重な審査が行われました。
質疑の主なるものは、公的年金制度一元化の内容、本法案と国家公務員法との関連、年金額算定基礎のあり方、スライド停止、懲戒処分等による支給制限、国鉄共済の救済、恩給との均衡問題等広範多岐にわたっておりますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局することを採決により決定いたした後、曽根田理事より、自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合の共同提案に係る年金額の政策改定の要素に賃金を加えること等を内容とする修正案が提出されました。
なお、この修正案は、予算を伴うものでありますので、内閣の意見を聴取いたしましたところ、竹下大蔵大臣より、やむを得ない旨の発言がありました。
次いで、原案及び修正案を一括して討論に入りましたところ、日本社会党を代表して穐山委員より原案及び修正案に反対、自由民主党・自由国民会議を代表して堀江理事より修正案及び修正部分を除く原案に賛成、公明党・国民会議を代表して太田委員より原案及び修正案に反対、民社党・国民連合を代表して井上委員より修正案及び修正部分を除く原案に賛成、日本共産党を代表して内藤委員より原案及び修正案に反対の旨の発言がありました。
討論を終わり、採決の結果、曽根田理事提出の修正案は可決され、本法律案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案に係る十五項目にわたる附帯決議が行われました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/2
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003・木村睦男
○議長(木村睦男君) 法務委員長二宮文造君。
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審査報告書
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
右は多数をもって可決すべきものと議決した。
よって要領書を添えて報告する。
昭和六十年十二月十一日
法務委員長 二宮 文造
参議院議長 木村 睦男殿
…………………………………
要領書
一、委員会の決定の理由
本法律案は、一般の政府職員の給与改定に伴い、裁判官の報酬月額の改定等を行おうとするものであって、おおむね妥当な措置と認める。
一、費用
本法施行に伴い、昭和六十年度に必要な経費は、約十三億円である。
―――――――――――――
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
右の内閣提出案は本院においてこれを可決した。
よって国会法第八十三条により送付する。
昭和六十年十二月十二日
衆議院議長 坂田 道太
参議院議長 木村 睦男殿
…………………………………
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号(その二)に掲載〕
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審査報告書
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
右は多数をもって可決すべきものと議決した。
よって要領書を添えて報告する。
昭和六十年十二月十三日
法務委員長 二宮 文造
参議院議長 木村 睦男殿
…………………………………
要領書
一、委員会の決定の理由
本法律案は、一般の政府職員の給与改定に伴い、検察官の俸給月額の改定等を行おうとするものであって、おおむね妥当な措置と認める。
一、費用
本法施行に伴い、昭和六十年度に必要な経費は、約九億五千万円である。
―――――――――――――
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
右の内閣提出案は本院においてこれを可決した。
よって国会法第八十三条により送付する。
昭和六十年十二月十二日
衆議院議長 坂田 道太
参議院議長 木村 睦男殿
…………………………………
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号(その二)に掲載〕
―――――――――――――
〔二宮文造君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/3
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004・二宮文造
○二宮文造君 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
両法律案は、一般の政府職員の給与改定に伴い、この例に準じて、裁判官及び検察官の給与の改定を行おうとするものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、公務員給与のあり方についての法務大臣の見解、裁判官の報酬について規定している憲法第七十九条及び第八十条の規定の解釈、裁判官及び検察官の初任給、司法権の独立と裁判官の報酬の額の決定が行政府職員の例によっていることとの関連性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して橋本委員より両法律案に反対の意見が表明されました。
次いで、採決の結果、両法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/4
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005・木村睦男
○議長(木村睦男君) 文教委員長林寛子君。
〔林寛子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/5
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006・林寛子
○林寛子君 ただいま議題となっております議案のうち、文教委員会で議了いたしました二案につきまして、委員会審査の経過及び結果を御報告いたします。
まず、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法律案は、公的年金制度の一元比等の改革の一環として、私立学校教職員共済組合の組合員等についても、国民年金における基礎年金の制度を適用するとともに、長期給付の支給要件、支給額、年金額の改定方法等については、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の関係規定を準用し、給付水準の適正化等を図ろうとするものであります。
委員会におきましては、中曽根総理大臣の出席を求めて、内閣、地方行政、農林水産の三つの常任委員会と連合審査会を開くなど熱心な審査が行われました。
その主な質疑といたしましては、公的年金制度一元化のスケジュール、基礎年金の水準と国庫負担のあり方、婦人の年金権の確立、私学共済の経理状況と今回の改革が与える影響、平均標準給与月額の算定方法その他長期給付に関する諸般の問題点が取り上げられましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局することを採決により決した後、柳川委員より、自由民主党・自由国民会議及び民社党・国民連合を代表して、年金額の改定要素に賃金を加え、職域年金相当部分の支給要件を緩和するとともに、平均標準給与月額の算定方法に関する調整措置を講ずる旨の修正案が提出されました。なお、本修正案に対し、政府からやむを得ない旨の意見が述べられました。
引き続き、討論に入り、原案及び修正案について、日本社会党を代表して粕谷委員から反対、自由民主党・自由国民会議を代表して杉山委員から賛成、公明党・国民会議を代表して中西委員から反対、民社党・国民連合を代表して関委員から賛成、日本共産党を代表して吉川委員から反対の討論が行われました。
次いで、採決の結果、自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合共同提出の修正案及びその修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、八項目から成る附帯決議が行われました。
次に、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。
本法律案は、国民の文化的でゆとりある生活を実現し、あすへの英気を養うため、その前日及び翌日が「国民の祝日」に当たる場合、その両日に挟まれた日、すなわち五月四日を休日にしようとするものであります。ただし、この日が日曜日または振りかえ休日に当たるときは、当然にその適用を行わないことといたしております。
なお、本法律案は、衆議院内閣委員長の提出に係るものであります。
委員会においては、別に質疑、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/6
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007・木村睦男
○議長(木村睦男君) 農林水産委員長成相善十君。
〔成相善十君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/7
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008・成相善十
○成相善十君 ただいま議題となっております議案のうち、農林水産委員会で議了いたしました農林漁業団体職員共済組合法改正案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本法律案は、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度一元化等の改革の一環として、農林漁業団体職員共済組合法に基づく給付の適正化を図るとともに、農林漁業団体職員共済組合の組合員等についても基礎年金の制度を適用する等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、内閣委員会、地方行政委員会及び文教委員会と連合審査を行うとともに、公的年金制度一元化の今後のスケジュール、国鉄共済への対応と政府統一見解の意味、職域の独自性を反映させる方策、社会保障制度審議会の指摘に沿った関係者への理解の求め方、本改正における既得権及び期待権の保障のされ方、標準給与月額を全期間平均とする際に用いる補正率の見込み、給付水準のあり方と負担の適正化、本改正が年金財政に及ぼす影響、いわゆるつなぎ年金に対して国庫補助がなされない理由、定年延長の実態と年金支給開始年齢引き上げとの関係等各般にわたる質疑が行われました。
質疑を終わりましたところ、自由民主党・自由国民会議、民社党・国民連合を代表して北理事より、年金額の政策改定の要素に賃金を加えること等を内容とする修正案が提出され、国会法第五十七条の三の規定に基づき内閣の意見を聴しましたところ、やむを得ない旨の発言がありました。
続いて、討論に入り、原案及び修正案について、日本社会党を代表して稲村委員より反対、自由民主党・自由国民会議を代表して星理事より賛成、公明党・国民会議を代表して刈田委員より反対、民社党・国民連合を代表して田渕委員より賛成、日本共産党を代表して下田委員より反対する旨の発言がありました。
討論を終わり、順次採決の結果、修正案及びこの修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘各派共同提案による十二項目から成る附帯決議を行いました。
以上、御報告いたします。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/8
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009・木村睦男
○議長(木村睦男君) 地方行政委員長増岡康治君。
〔増岡康治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/9
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010・増岡康治
○増岡康治君 ただいま議題となっております議案のうち、地方行政委員会で議了いたしました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につき、委員会の審査の経過及び結果を御報告いたします。
本法律案は、公的年金制度一元比等の改革の一環として、地方公務員等共済制度について国家公務員共済制度の改正と同一基調に基づき改正を行うこととし、地方公務員共済組合員等の長期給付についても基礎年金制度を適用すること、年金額は厚生年金相当部分及び職域年金相当部分の合算額とすること、年金額の自動改定、経過的加算、既裁定年金の取り扱い、費用負担等について所要の改正を行うこと、地方公共団体の関係団体の組合員について地方公務員との通算措置を講ずること、地方議会の議員の年金について高額所得停止制度の導入を図ること等を主な内容とするものであります。
委員会におきましては、今国会、政府より説明を聴取し、質疑を行い、また、総理大臣の出席を求めて関係委員会と連合審査会を開きましたが、その間、公的年金一元化の内容、国鉄共済等の諸問題、公務員年金のあり方等について熱心な質疑を行いました。
質疑終局を決定し、次いで、自由民主党・自由国民会議及び民社党・国民連合共同提出に係る賃金変動を年金額の政策改定の根拠規定に入れる等の修正案について、松浦委員から修正趣旨の説明が行われました。
討論に入りましたところ、日本社会党を代表して上野委員、公明党・国民会議を代表して中野委員、日本共産党を代表して神谷委員より、それぞれ原案及び修正案に反対、自由民主党・自由国民会議を代表して吉川委員、民社党・国民連合を代表して抜山委員より、それぞれ原案及び修正案に賛成の意見が述べられました。
討論を終わり、採決を行いましたところ、原案及び修正案は賛成多数をもって可決、よって、本法律案は修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対しましては、公的年金一元化の内容を明確にすることなどの附帯決議が付せられました。
以上、御報告いたします。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/10
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011・木村睦男
○議長(木村睦男君) 社会労働委員長岩崎純三君。
〔岩崎純三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/11
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012・岩崎純三
○岩崎純三君 ただいま議題となっております議案のうち、社会労働委員会で議了いたしました二法律案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、医療法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、人口の高齢化、疾病構造の変化等に対応して、適正な医療の確保を図るため、医療制度の見直しを行うものであり、医療計画の作成等に関し必要な事項を定めるとともに、医療法人に対する監督に関する規定の整備を行う等の措置を講ずるものであります。
その主な内容は、第一に、医療計画は、都道府県が作成し、対象区域の設定及び必要病床数に関する事項を定めるほか、病院の整備の目標その他医療を提供する体制の確保に関し必要な事項を定めること。第二に、医療計画の達成を推進するため、国及び地方公共団体は、病院等の不足地域におけるその整備等に努めるとともに、病院の開設者等は、建物、設備等をその病院に勤務しない医師、歯科医師または薬剤師に利用させるように努めるものとするほか、都道府県知事は、特に必要がある場合には、病院を開設しようとする者等に対し、開設等に関し勧告することができること。第三に、医療法人は、医師または歯科医師が常時一人または二人勤務する診療所についても設立を認めること。第四に、医療法人の役員の定数及び欠格事由を定めるとともに、都道府県知事の認可を受けた場合を除き、医療法人の開設する病院等の管理者はすべて理事とし、理事長は医師または歯科医師である理事から選出すること。第五に、都道府県知事は、一定の場合に、医療法人の事務所に対する立入検査を行うことができることとし、一定の要件のもとで改善命令、業務停止命令、または役員の解任勧告を行うことができることとすること等であります。
委員会におきましては、医療機関の適正配置、区域設定、必要病床数の標準、医業経営、営利目的の開設、住民の意見の尊重、医療監視の実態等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党より原案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
なお、本法律案に対し、附帯決議が付されております。
次に、下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、一般廃棄物処理業者等についての合理化事業の実情にかんがみ、合理化事業計画に定めるべき事項として、下水道の整備等により業務の
縮小または廃止を余儀なくされる一般廃棄物処理業等を行う者に対する資金上の措置に関する事項を加えるものであります。
委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/12
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013・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより日程第一ないし第三、第五、第六、第八、第一一及び第一二の議案について採決をいたします。
まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。
五案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/13
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014・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、五案は可決されました。
次に、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案及び下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/14
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015・木村睦男
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
よって、両案は全会一致をもって可決されました。
次に、医療法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/15
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016・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/16
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017・木村睦男
○議長(木村睦男君) 国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案及び地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。粕谷照美君。
〔粕谷照美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/17
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018・粕谷照美
○粕谷照美君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました共済四法案につきまして反対の討論を行います。
今回の政府案は、我が国の年金制度が高齢化社会の到来、就業構造の変化に対応できるものとして、長期的に安定し、かつ整合性のある発展を続けるため、公的年金制度を一元化することとし、抜本的な改革を加えることがその目的であるとしています。しかしながら、その美辞麗句とは裏腹に、内容はまさに抜本的改悪であると言わざるを得ません。それは、我が党が提唱してきた税方式の導入による基本年金構想とはそもそも相入れないものであります。新制度がもたらすものは、国の財政支出の軽減であり、財政的に行き詰まっている国鉄共済や国民年金を救済するため、その負担を公的年金制度全体に求めることによって国民に転嫁しようとすることにほかならないのであります。
さらに、共済年金の給付水準全体を大幅に引き下げることは言うまでもなく、支給開始年齢をおくらせ、受給資格の要件を強化すること、年金改定の基準を賃金に基づく政策スライドから自動物価スライドヘ転換すること、一律の併給調整を行うこと等々は、もはや官民格差の是正、給付の適正化などという大義名分の域を超えるものであり、共済組合員はもとより、国民全体の目から見ても妥当な内容とは言えないのであります。所得制限の強化に至っては、厚生年金との整合性さえ失いかねないものであり、わずかに共済年金制度の特殊性を確保するものとして設けられた職域年金も、その水準は極めて不十分なものであります。
とりわけ強調したいのは、政府案が、共済制度のもとで、より高い給付を求めて、より大きい負担をしてきた組合や年金受給者の既得権、期待権を容赦なく踏みにじっている点であります。私は、我が国の経済、そして国民の生活を考え、トータルとしての社会の長期的安定を勘案するとき、今回の改正は大きな禍根を残すことになると指摘せざるを得ません。
第一には、日本の経済が抱えている貿易摩擦解消、内需拡大という課題の達成を考えれば、生涯所得の安定と増大が必要不可欠であります。すなわち、高齢者の年金水準の確保は、個人消費の拡大はもとより、若年層の消費能力の拡大をももたらし、住宅投資の安定的発展にもつながるものであります。
第二に、年金水準を切り下げることは、勤労国民の既得権、期待権を裏切ることとなり、今後我が国の経済を支える勤労者の勤労意欲を減退させることになります。
第三に、公務員制度と共済制度との関連において、行政管理に当たる公務員の質的確保はその生活の安定保障によって図られるのであります。これは国公共済、地公共済法ともその「目的」に、「公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与する」、「公務の能率的運営に資することを目的とする」、「国及び地方公共団体は、」「共済組合の健全な運営と発達が図られるように、必要な配慮を加える」と記されていることからでも明らかなとおりであります。また、農林共済、私学共済においても、必要な人材確保の見地から組み立てられております。
第四に、国民共通の基礎年金制度の導入において、その財源が国民の掛金によって賄われるという考え方は、社会保障の観点からすれば極めて貧困な状態であると言えます。社会保障の確立のもとでの公的年金制度の安定を求めるためには、その財源は全額国庫負担とすべきであります。
さらに、すべての国民に対して共通する一つの年金を保障するという基礎年金の導入に関して、具体的、基本的問題を指摘いたしますと、基礎年金としながら、定額給付ではなく、加入期間に応じた給付であるために給付に格差が生じます。しかもその給付は、最高が四十年間掛け続けてやっと月額五万円という内容であります。これでは憲法二十五条に言う「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する水準にはほど遠いものがあると言わざるを得ません。また、支給開始年齢が本則六十五歳となっているにもかかわらず定年は六十歳で、年金と雇用の結合が全く無視されているのであります。さらに、保険料に所得配分機能がなく、負担の不均衡は強く指摘しておかなければなりません。
また、これまでのように離婚などによる女性の無年金者がなくなるとはいえ、本当の意味での女性の年金権を確立するという課題は全く解決されておりません。国連婦人の十年の締めくくりの年として、このことはまことに遺憾なことであります。
日本社会党は、衆議院、参議院の審議を通して、本改正案の抜本的修正を求めてまいりました。しかし政府は、我が党及び野党四党共同の要求に対して、ほとんど誠意を持ってこたえておりません。
その主なものを挙げれば、第一に、算定基礎について、国公共済も地公共済と同様、本俸掛ける補正率に改めよという組合員の強い要求は、大蔵省の頑迷な根拠のない抵抗により受け入れるところとはなりませんでした。第二に、職域加算部分の乗率を引き上げ、給付の切り下げをせめて厚生年金並みに抑えるべきであるという当然の要求も、今後一両年の検討課題とされました。
また、既に年金を受給している者の年金額についても裁定がえを行い、極端な場合は十年近くもスライドを停止し、年金改定を行わないということは、既得権の保障どころか、年金の実質的価値をどんどん切り下げるという暴挙であります。毎年の年金のささやかなアップ額を何よりの楽しみにしている高齢者にとって、これほど残酷な仕打ちがあるでしょうか。既裁定年金者のスライドを停止するという非情な措置の一部緩和すら受け入れない、このような政府の姿勢に対して私は大きな憤りを感じます。
確かに、私どもの主張に基づく審議の中で多くの問題点が明らかになりました。国鉄共済の安定化を初め一定の前進を見ることができました。しかしこれは、野党の不退転の要求に対する部分的妥協であり、政府みずからが社会保障としての年金制度の確立を目指したものではないと言わなければなりません。政府は、本改正案によって多くの国民の信頼を裏切ってしまったのであります。
特に、一九九五年を目途とする公的年金制度の一元化のステップであるとしながら、審議を通じて依然としてその具体的なスケジュールを明らかにしないという矛盾した姿勢に終始したことは極めて遺憾であります。今回の改正により年金制度は遠からず大きな矛盾にぶつかり、破綻の危機に瀕することは明らかであります。そのとき、我が党が掲げる年金総合改革策の合理性が国民の信任を得るでありましょう。日本社会党は、年金の公的保障の確立を改めて要求いたします。
最後に、政府は私どもに対し、四項目の修正事項以外に多くの約束をしており、今後の検討事項とされたものもあります。算定基礎の問題、職域加算の問題、既裁定者のスライド停止問題、国鉄共済問題、消防職員問題、公営企業問題等々であります。日本社会党は、政府が今後これら重要問題について誠実に実行していくかどうかを厳しく見守っていくことをここに表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/18
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019・木村睦男
○議長(木村睦男君) 遠藤政夫君。
〔遠藤政夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/19
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020・遠藤政夫
○遠藤政夫君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案外三件に対し、賛成の討論を行うものであります。
今日、我が国の経済社会は、人口の高齢化、産業構造、就業構造の変化等により大きく変動しているのでありまして、これに伴って年金制度のよって立つ基盤にも大きな変化が生じております。言うまでもなく、年金制度は国民の老後生活を支える主柱でありまして、社会保障の中心的なものとして重要な役割を占めており、こうした社会経済情勢の変化に的確に対応し、二十一世紀においても安定的な年金制度の運用が確保されるよう、制度全般にわたる改革を推進していくことは極めて重要な課題であります。
このような課題に対処するため、さきに国民年金及び厚生年金に基礎年金を導入する等抜本的な改正が行われ、公的年金制度の一元化に向けてその基本方向が確立されたのでありますが、今回の共済年金改正法案は、これと平仄を合わせ、公的年金の一元化に向けて制度全般の見直しを行うとともに、あわせて従前から指摘されておりました多くの課題に対して改革を加えようとするものでありまして、まことに時宜にかなった適切な改正だと考えるのであります。
以下、具体的に賛成の理由を申し述べたいと思います。
第一は、各種共済年金制度に国民共通の基礎年金を導入し、基礎年金に上乗せして支給する報酬比例年金に組みかえることとしております。
共済年金制度は、公務員等が安心して老後を送る上で最も重要な柱であり、長期的に安定したものとして運営、維持されなければならないものであります。現行の共済年金制度がそのまま放置されるならば、後世代の負担増など世代間の不均衡が拡大し、高齢化のピークを迎える二十一世紀には制度そのものの運営が困難になるばかりでなく、国鉄共済年金に見られますような財政破綻をもたらすことは容易に予測されるのであります。
このような状況を踏まえ、今回の共済年金改正法案は、公的年金の一元化を目指し、新たに国民共通の基礎年金の導入を図るとともに、共済年金はこの基礎年金の上乗せとする制度に改め、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展の基盤を確立しようとするものでありまして、まことに評価できるものと考えるのであります。
第二は、今回の改正によって給付水準の適正化が図られ、官民格差の解消が図られることであります。
我が国は、今日、諸外国に例を見ない速さで高齢化社会への道をたどりつつあるのでありまして、加入年数の伸長とともに、今後、各種共済年金制度の成熟度はますます高まってくることは容易に予測されるところであります。このような状況のもとにおきまして、将来の年金給付水準は大幅に増加し、年金受給者と負担者との間のバランスが大きく崩れることは避けられないと思うのであります。今回の共済年金改正法の改正は、こうした給付水準を二十年かけて徐々に適正化しようとするものでありまして、同時に、将来の負担につきましても、現行制度のもとで予測されるものよりも相当程度軽減しようとするものであります。
さらに、現行制度における給付と負担の制度間の差異から、従来、いわゆる年金の官民格差が指摘され、政府もその解消に努めてきているのでありますが、今回の共済年金改正法の改正は、官民の年金制度間の格差を是正し、あるいは重複給付、過剰給付を整理し、現行制度の分立により生じております多くの問題の解消に通ずるものでありまして、まことに適切な措置であります。
第三は、新たに職域年金部分を設計していることであります。
公務員等の共済年金制度は、公的年金制度の一環としての性格を持つと同時に、公務の能率的運営に資することを目的としているものであります。しかしながら、現行制度におきましては公的年金部分と職域年金部分が不分明であったのでありますが、今回の共済年金法の改正案では新たに職域年金部分を設計しているのでありまして、共済年金の職域年金相当部分が明確になったばかりでなく、公務員の身分上の制約等特殊な立場をも考慮したものとして評価するものであります。
このほか、公的年金一元化の方向に沿って、障害者の年金保障についての長期的な前進が図られていること、既裁定年金についても従来の年金額を保障する等既得権が尊重されていること、自衛官等特殊な職員に対しては、その特殊性に応じて極めて細かな配慮がなされていることを申し添えます。
この際、修正について一言申し述べます。
今回、各委員会における慎重審議を通じて、年金額の改定の要素として賃金の動向を加えたこと、職域年金相当部分の支給要件を緩和したこと及び船員組合員の期間計算に特例を設けたこと等の修正を行いましたが、これらは、前国会、国民年金法等改正案について本院において修正を行ったものに準じた措置でありまして、また、制度の変更に伴う激変緩和のための措置でありまして、まことに当を得た措置と考えるものであります。
以上申し述べましたように、今回の共済年金各法の改正によって、昭和六十一年四月から我が国公的年金制度が統合一元化に向けて足並みをそろえてスタートするわけでありますが、今後の年金制度の運用に当たっては、政府は社会経済情勢の推移を見きわめつつ、絶えず必要な見直しや改善を行うとともに、国民サイドに立ったきめ細かな配慮が加えられるよう強く要望する次第であります。
私は、今回の措置により、老後の所得保障の根幹が確立するものと存じますが、将来に向かってこれをさらに揺るぎなきものにするためには、国会、政府が一体となって、手を携えてこれに対処
しなければならないと存じます。我が党はその先頭に立って前進する決意であることを申し上げ、賛成の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/20
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021・木村睦男
○議長(木村睦男君) 太田淳夫君。
〔太田淳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/21
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022・太田淳夫
○太田淳夫君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案外三法案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
二十一世紀の本格的高齢化社会の到来に備え、すべての国民が老後において安心して生活できる社会をつくることが今求められております。その意味で、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するためには、国民連帯と世代間相互扶助の精神による安定した公的年金制度を確立しなければなりません。我が党は、既に昭和五十一年の福祉トータルプランにおいて、国民基本年金を中核とした二階建て年金構想を打ち出して、公的年金制度改革の必要性を提言しております。
今回の改正案において、共済年金に基礎年金制度を導入しようとすることは、我が党の主張した年金制度改革と大筋において一致するものであり、評価するにやぶさかではありません。しかし、残念ながら、基本は同じでもその内容は全くかけ離れたものとなっており、基礎年金がナショナルミニマムとしての機能を果たし得ないばかりでなく、国民が安心して生活できる年金制度になり得ないことは明白であります。
以下、反対の主なる理由について順次申し述べます。
まず第一に、共済年金に基礎年金を導入することについてであります。
この基本的枠組みについて反対するものではありませんが、導入された基礎年金そのものが憲法の保障するナショナルミニマムとしての老後の最低限度の生活を確保するという基本理念に欠けている以上、ここにおいても基礎年金の持つ重大な欠陥を繰り返し指摘せざるを得ません。
第二は、昭和七十年までの公的年金制度一元化に伴う問題についてであります。
政府は、五十九年二月二十四日の閣議において七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させることを決定しておりますが、二年近く経過した今、今回の改正案を審議した際でも一元化に至るプロセスを明確にできないでいるのであります。国鉄共済年金の財政問題を初めとする今後の共済年金のあり方及び公的年金制度の再編整備の過程と課題を明らかにすることが政府の責務であると考えるのであります。
第三は、本改正案では、現行の共済年金制度が公務員制度の一環として位置づけられ、その機能を果たしているという点が十分尊重されていないことであります。
御承知のように、公務員は憲法に保障されている労働基本権の制約があるほか、政治的行為の禁止、守秘義務、私企業からの制限隔離など種々の規制があります。このような職務の特殊性を考慮し、安んじて公務に専念せしめ、もって公務の能率的な運営を図ることが現行共済年金制度の目的の一つとなっております。しかるに、今回の改正では、いわゆる三階建ての部分として報酬比例年金部分の二〇%相当の職域年金が設けられているにすぎず、またその根拠、水準が必ずしも明瞭でなく、現行制度の持つ役割、機能に沿ったものとなっていないことであります。
さらに、今回の改正案は、重要な問題をはらんだまま提出されてきたという点をあわせて指摘したいのであります。すなわち、国家公務員法第百八条には、人事院は、公務員の年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができる旨規定されております。事実、人事院は、昭和二十八年に国家公務員退職年金法案を国会及び内閣に提出をした実績を有しております。残念ながらこの意見の申し出は実現しなかったわけですが、このような実績を持つ人事院が、公務員年金の根幹を変更するような今回の大改正に当たって終始受け身の立場に立ち、その主導権を大蔵省、政府にゆだねてしまっていたという事実は容認できるものではありません。
第四は、共済年金を厚生年金に準ずる方式に改めるに当たり、従前から厚生年金より不利になっていた点についての是正措置がとられていないことであります。
共済年金の制度設計を厚生年金と同じようにしていくというのであれば、既裁定年金を含め、これを被用者年金の大宗である厚生年金の水準まで引き上げる措置を当然とるべきであります。特に、私学及び農林の両共済年金は、共済年金制度の給付水準を求めて厚生年金から分離独立してできた制度でありますが、今回の改正によって厚生年金に準ずる形で給付水準を切り下げられるのに加えて、さらに厚生年金より不利な条件を押しつけられることになる点については納得できないのであります。
第五は、公経済主体としての国庫負担についてであります。
さきの国会で成立した国民年金法等改正法案の審議において、将来における国庫負担が大幅に軽減されることが明らかとなっております。今回の改正案における国庫負担の仕組みが国民年金法等改正法と全く同様であり、また審議においても、将来において削減される国庫負担額は膨大なものになることが明白となっております。これによって給付の引き下げ、組合員負担の増大がもたらされることは、ここに改めて述べるまでもありませんし、また承服できるものでもありません。なお、我々の要求に対し、自民党による一部修正がなされましたが、決して十分とは言えません。
最後に、迫りくる高齢化社会を前にして、国民すべてが安心して生活ができる安定した公的年金制度の確立を速やかに実現するよう強く要求いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/22
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023・木村睦男
○議長(木村睦男君) これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/23
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024・木村睦男
○議長(木村睦男君) これより四案を一括して採決いたします。
四案の委員長報告はいずれも修正議決報告でございます。
四案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/24
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025・木村睦男
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
よって、四案は委員長報告のとおり修正議決されました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/25
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026・木村睦男
○議長(木村睦男君) 運輸委員長外六委員長から報告書が提出されました日程第一三より第二九までの請願を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/26
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027・木村睦男
○議長(木村睦男君) これらの請願は、各委員長の報告を省略して、各委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/27
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028・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/28
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029・木村睦男
○議長(木村睦男君) この際、委員会の審査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/29
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030・木村睦男
○議長(木村睦男君) 本件は各委員長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/30
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031・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
よって、本件は各委員長要求のとおり決しました。
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/31
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032・木村睦男
○議長(木村睦男君) この際、お諮りいたします。
事務総長指宿清秀君から事務総長を辞任いたしたいとの申し出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/32
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033・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することに決しました。
〔指宿清秀君事務総長席を退く〕
〔拍手〕
〔参事加藤木理勝君事務総長席に着く〕
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/33
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034・木村睦男
○議長(木村睦男君) つきましては、この際、事務総長の選挙を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/34
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035・藤井孝男
○藤井孝男君 事務総長の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/35
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036・穐山篤
○穐山篤君 私は、ただいまの藤井君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/36
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037・木村睦男
○議長(木村睦男君) 藤井君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/37
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038・木村睦男
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
よって、議長は、事務総長に加藤木理勝君を指名いたします。
〔拍手〕
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/38
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039・木村睦男
○議長(木村睦男君) 今期国会は、会期をあと一日余しておりますが、参議院として案件等の処理を一応終わりましたので、ここに一言ごあいさつを申し上げます。
今臨時会は、当面緊急を要する諸案件を審議するため召集されたのでありますが、この会期中、議員各位におかれましては終始熱心に審議を尽くされ、ここに議事を終了する運びとなりましたことは、ひとえに各位の御協力のたまものと心から感謝の意を表する次第であります。
なお、懸案の参議院改革につきましても、議員各位の御協力によって逐次その成果を上げておるところでありますが、今後とも相協力して一層の改革に努め、もって国民の期待にこたえなければならないと存じます。
時局いよいよ多端の折から、各位におかれましては、御自愛の上、まずまずの御活躍をお祈り申し上げます。(拍手)
これにて散会いたします。
午前十一時六分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110315254X00919851220/39
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