1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和六十一年三月二十八日(金曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 瓦 力君
理事 谷 洋一君 理事 東家 嘉幸君
理事 野中 広務君 理事 平沼 赳夫君
理事 木間 章君 理事 山中 末治君
理事 新井 彬之君 理事 西村 章三君
池田 行彦君 糸山英太郎君
榎本 和平君 金子原二郎君
國場 幸昌君 桜井 新君
西山敬次郎君 額賀福志郎君
東 力君 村岡 兼造君
森田 一君 保岡 興治君
山岡 謙蔵君 上野 建一君
城地 豊司君 中村 茂君
浜西 鉄雄君 山花 貞夫君
武田 一夫君 伏木 和雄君
伊藤 英成君 菅原喜重郎君
玉置 一弥君 瀬崎 博義君
中島 武敏君
出席国務大臣
建 設 大 臣 江藤 隆美君
国 務 大 臣
(国土庁長官) 山崎平八郎君
出席政府委員
内閣法制局第二
部長 大森 政輔君
国土政務次官 白川 勝彦君
国土庁長官官房
長 吉居 時哉君
国土庁計画・調
整局長 星野 進保君
国土庁地方振興
局長 田中 暁君
建設政務次官 中島 衛君
建設大臣官房長 高橋 進君
建設省都市局長 牧野 徹君
建設省道路局長 萩原 浩君
委員外の出席者
環境庁水質保全
局水質規制課長 藤原 正弘君
大蔵省理財局資
金第二課長 吉本 修二君
通商産業省生活
産業局窯業建材
課長 新村 明君
運輸省港湾局環
境整備課長 藤森 研一君
建設省都市局下
水道部長 中本 至君
建設省河川局開
発課長 山口 甚郎君
建設省道路局国
道第二課長 田口 二朗君
自治省財政局準
公営企業室長 石田 淳君
参 考 人
(東北開発株式
会社総裁) 星野 孝俊君
建設委員会調査
室長 佐藤 毅三君
―――――――――――――
委員の異動
三月七日
辞任 補欠選任
池田 行彦君 大島 理森君
同日
辞任 補欠選任
大島 理森君 池田 行彦君
同月十二日
辞任 補欠選任
糸山英太郎君 浜田 幸一君
同日
辞任 補欠選任
浜田 幸一君 糸山英太郎君
同月二十四日
辞任 補欠選任
池田 行彦君 愛野興一郎君
榎本 和平君 鯨岡 兵輔君
金子原二郎君 中山 正暉君
國場 幸昌君 高鳥 修君
桜井 新君 藤波 孝生君
伊藤 英成君 永末 英一君
同日
辞任 補欠選任
愛野興一郎君 池田 行彦君
鯨岡 兵輔君 榎本 和平君
高鳥 修君 國場 幸昌君
中山 正暉君 金子原二郎君
藤波 孝生君 桜井 新君
永末 英一君 伊藤 英成君
同月二十五日
辞任 補欠選任
糸山英太郎君 水野 清君
桜井 新君 藤波 孝生君
東 力君 山中 貞則君
伊藤 英成君 稲富 稜人君
同日
辞任 補欠選任
藤波 孝生君 桜井 新君
水野 清君 糸山英太郎君
山中 貞則君 東 力君
稲富 稜人君 伊藤 英成君
同月二十八日
辞任 補欠選任
金子原二郎君 額賀福志郎君
東 力君 西山敬次郎君
井上 泉君 城地 豊司君
前川 旦君 浜西 鉄雄君
坂井 弘一君 武田 一夫君
伊藤 英成君 菅原喜重郎君
同日
辞任 補欠選任
西山敬次郎君 東 力君
額賀福志郎君 金子原二郎君
城地 豊司君 井上 泉君
浜西 鉄雄君 前川 旦君
武田 一夫君 坂井 弘一君
菅原喜重郎君 玉置 一弥君
同日
辞任 補欠選任
玉置 一弥君 伊藤 英成君
―――――――――――――
三月十二日
新住宅市街地開発法の一部を改正する法律案
(内閣提出第五二号)
同月二十四日
国際花と緑の博覧会の準備及び運営のために必
要な特別措置に関する法律案(内閣提出第三八
号)(参議院送付)
同月二十八日
都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第三七号)(参議院送付)
同月七日
摺上川ダム建設に係る水源地域対策特別措置法
に基づく地域指定に関する請願(亀岡高夫君紹
介)(第九七九号)
同月十八日
国民生活関連公共事業に関する請願(経塚幸夫
君紹介)(第一四九〇号)
同(東中光雄君紹介)(第一四九一号)
同月二十日
国民生活関連公共事業に関する請願(藤木洋子
君紹介)(第一六五四号)
同(三浦久君紹介)(第一六五五号)
同(浅井美幸君紹介)(第一七六〇号)
同(小川省吾君紹介)(第一七六一号)
同(長田武士君紹介)(第一七六二号)
同(春田重昭君紹介)(第一七六三号)
同(古川雅司君紹介)(第一七六四号)
同月二十六日
公共賃貸住宅の建設等に関する請願(井上普方
君紹介)(第一八六五号)
同(伊藤茂君紹介)(第一八六六号)
同(小澤克介君紹介)(第一八六七号)
同(大出俊君紹介)(第一八六八号)
同(岡田利春君紹介)(第一八六九号)
同(岡田春夫君紹介)(第一八七〇号)
同(佐藤祐弘君紹介)(第一八七一号)
同(島田琢郎君紹介)(第一八七二号)
同(津川武一君紹介)(第一八七三号)
同(辻第一君紹介)(第一八七四号)
同(不破哲三君紹介)(第一八七五号)
同(藤田高敏君紹介)(第一八七六号)
同(山原健二郎君紹介)(第一八七七号)
同(吉原米治君紹介)(第一八七八号)
同(池端清一君紹介)(第二〇一九号)
同(上田卓三君紹介)(第二〇二〇号)
同(岡本富夫君紹介)(第二〇二一号)
同(貝沼次郎君紹介)(第二〇二二号)
同(新村源雄君紹介)(第二〇二三号)
同(田中美智子君紹介)(第二〇二四号)
同(広瀬秀吉君紹介)(第二〇二五号)
同(矢追秀彦君紹介)(第二〇二六号)
国民生活関連公共事業に関する請願(小林恒人
君紹介)(第一八七九号)
同(新村勝雄君紹介)(第一八八〇号)
同(田中克彦君紹介)(第一八八一号)
同(中川利三郎君紹介)(第一八八二号)
同(藤田スミ君紹介)(第一八八三号)
同(八木昇君紹介)(第一八八四号)
同(渡辺三郎君紹介)(第一八八五号)
同(五十嵐広三君紹介)(第二〇一六号)
同(浜西鉄雄君紹介)(第二〇一七号)
同(安田修三君紹介)(第二〇一八号)
千曲川等の河川整備早期実施等に関する請願
(林百郎君紹介)(第二〇一五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
三月十四日
国際園芸博覧会の水俣誘致に関する陳情書外一
件(
第九五号)
都市公園事業費の増額等に関する陳情書外一件
(第一一四号)
都市緑化の推進に関する陳情書外一件
(第一一五号)
国土保全対策等の強化に関する陳情書
(第一一六号)
公共事業の促進に関する陳情書外四件
(第一一七号
)
下水道の整備促進に関する陳情書外八件
(第一一八号)
関越自動車道関連道路の建設促進に関する陳情
書
(第一一九号)
土地区画整理事業の融資制度の拡充に関する陳
情書
(第一二〇号)
高規格幹線道路網計画の推進に関する陳情書外
一件
(第一二一号)
淀川河川公園の早期全面開設に関する陳情書
(第一二二
号)
都市計画街路事業の補助事業に関する陳情書
(第一
二三号)
第九次道路整備五カ年計画の完全達成に関する
陳情書外四件
(第一二四号
)
除排雪事業の財政措置に関する陳情書
(第一
二五号)
流水占用料徴収反対に関する陳情書外六十三件
(第一二六号)
総合雪対策の推進に関する陳情書
(第一二七号)
国道一三号四車線の整備促進に関する陳情書
(第一二八号)
国道三二二号及び二〇一号バイパス建設促進等
に関する陳情書
(第一二九号)
国道三八六号バイパス等道路整備工事促進に関
する陳情書
(第一三〇号)
一般国道四四一号の整備促進に関する陳情書
(第一三一号)
国道バイパス事業の早期完成に関する陳情書
(第一三二号)
西大津バイパス建設促進に関する陳情書
(第一三三号)
東北縦貫中央高速道の建設促進に関する陳情書
(第一三四号)
常磐・三陸縦貫自動車道の建設計画促進に関す
る陳情書
(第一三五号)
東海北陸自動車道の建設促進に関する陳情書
(第一三六号)
能越自動車道の早期建設に関する陳情書外一件
(第一三七号)
首都圏中央連絡道路の建設促進等に関する陳情
書
(第一三八号)
本州四国連絡橋等の早期完成に関する陳情書
(第一三九号)
明石海峡大橋の早期着工に関する陳情書外二件
(第一四〇
号)
四国縦貫・横断自動車道の建設促進に関する陳
情書
(第一四一号)
西四国縦貫自動車道の高規格幹線道路網計画組
み入れに関する陳情書
(第一四二号)
九州縦貫自動車道の早期完成に関する陳情書外
一件
(第一四三号)
九州横断自動車道の建設促進に関する陳情書
(第一四四号)
東九州縦貫自動車道の建設促進に関する陳情書
外一件
(第一四五号)
南九州西回り自動車道の建設促進に関する陳情
書外一件
(第一四六号)
西九州自動車道の整備促進に関する陳情書
(第一四七号)
公共用地取得に関する陳情書
(第一四八号)
公営住宅入居資格収入基準の改善に関する陳情
書外二件
(第一四九号)
建築規制緩和に関する陳情書
(第一五〇号)
公共住宅事業の推進に関する陳情書
(第一五一号
)
全国総合開発計画の推進に関する陳情書外一件
(第一五二号)
水資源対策の確立に関する陳情書
(第一五三号)
半島地域振興対策の充実強化に関する陳情書外
一件
(第一五四号)
首都圏等の整備のための財政上の特別措置の期
間延長に関する陳情書外二件
(第一五五号)
関西文化学術研究都市建設推進に関する陳情書
(第一五七号)
人口急増過密都市の公共施設整備促進に関する
陳情書
(第一五八号)
離島振興対策の強化促進等に関する陳情書
(第一五九号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
東北開発株式会社法を廃止する法律案(内閣提
出第四五号)
日本下水道事業団法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四三号)
下水道整術緊急措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四四号)
東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案
(内閣提出第二四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/0
-
001・瓦力
○瓦委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、東北開発株式会社法を廃止する法律案を議題といたします。
趣旨説明を聴取いたします。山崎国土庁長官。
―――――――――――――
東北開発株式会社法を廃止する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/1
-
002・山崎平八郎
○山崎国務大臣 ただいま議題となりました東北開発株式会社法を廃止する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
東北開発株式会社は、御承知のとおり東北開発株式会社法に基づく特殊法人であります。この会社は、東北興業株式会社法に基づき存立期間五十年間として昭和十一年に設立された東北興業株式会社が、昭和三十二年に改組されたものであります。この会社は、設立以来今日まで、東北地方の殖産興業を目的として、セメント事業、ハードボード事業等東北地方に豊常に存する天然資源の活用を目的とした直営事業を行うとともに、民間企業の設立を促進し、定着させるための出融資や工業団地造成事業を推進する等、その事業活動を通じて東北地方の産業振興に寄与してまいりました。
政府は、会社の経営形態に関しまして、昭和五十四年末に策定した行政改革計画の中で、特殊法人の整理合理化の一環として、東北開発株式会社は法定の会社存立期限である昭和六十一年度までに民営移行する旨決定いたしました。これは、会社設立以来、五十年の間に紆余曲折はあったものの、我が国の経済、社会の発展と、地域開発にかかわる政策手段の多様化により、特殊法人による直接的な事業活動を通じて東北地方の振興を図るという会社の設立目的はほぼ達成したとの認識に立つものであります。
このため、政府は、これまで会社が実施してきた事業のうち、企業性の高い事業は民間会社に移行し、公共性の高い専業は他の公的機関等に委譲することを原則として、民営移行後の会社はセメント事業を中心に、民間の創意工夫をより柔軟に発揮できるよう、自立した企業として経営を継続させ、引き続き東北地方の経済発展に寄与させていくとの基本方針のもとで、民営移行の準備を進めてまいったところであります。
このような方針に従いまして、東北開発株式会社の特殊会社としての性格を変更し、商法による株式会社として存続させるためには、会社の法定存立期限であります本年十月八日までに東北開発株式会社法を廃止する必要があります。
これがこの法律案を提出する理由であります。
次に、法律案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
第一に、東北開発株式会社について、特殊法人としての根拠法であります東北開発株式会社法を廃止し、必要な定款変更を行って商法に基づく株式会社として経営を継続させていく措置を講ずることとしております。
第二に、東北開発株式会社が現在まで発行してきた東北開発債券について、この法律が施行された後も政府保証はなお有効とする旨の経過措置を設けることとしております。
第三に、東北開発株式会社法を廃止することに伴う関係法令の一部改正を行うこととしております。
なお、この法律案は、東北開発株式会社の法定存立期限であります本年十月八日までの間において政令で定める日に施行することといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/2
-
003・瓦力
○瓦委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/3
-
004・瓦力
○瓦委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として東北開発株式会社総裁星野孝俊君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/4
-
005・瓦力
○瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/5
-
006・瓦力
○瓦委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/6
-
007・中村茂
○中村(茂)委員 今まで東北開発株式会社は特殊法人として東北地方の振興に五十年間寄与した会社だというふうに思います。今回は、この東北開発株式会社法が廃止になることによって、商法に基づく株式会社として新しく発足する、こういう法案でありますが、今度新しく商法に基づく会社ということになりますと、政府の監督というか、そういうものから離れるわけでありますし、新たに発足するということになれば、今までの会社の役員もかわるのかそのままいくのか、いずれにしても一つの段階を踏むことになるというふうに思います。ですから、本日いろいろやりとりしたりまたはこちらの要望について皆さんの方がそれを受けていただいて、その内容については政府も新しく発足する会社に対して、発足後もこういうことできちっとやりなさい、また会社も、役員がかわるにしても会社ということについては変わりないわけでありますから、そのことを新しく発足した中でも厳格に守り発展させていただくようまずお願いを申し上げて、質疑に入りたいというふうに思います。
新しく発足するわけでありますが、現在の東北開発株式会社の概要について御説明いただきたいと思います。まず一つは資本金の内容、二つ目には役員と従業員の数、三番目には主な事業内容と販売量、それに全国、東北六県のシェア率、それから四点目には関連会社の数と投融資先の会社、五番目に資産の形成、六番目に五年間の損益の推移、この点について御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/7
-
008・田中暁
○田中(暁)政府委員 お答え申し上げます。
現在の東北開発株式会社の概要でございますが、最初は資本金でございます。昨年末までの原資、資本金の額は百五十七億一千万円であったわけでございますが、現在は二十五億千三百六十万円でございます。このうち政府の保有分が九九・三五%に当たります二十四億九千七百二十万円でございまして、あとは東北七県全体で〇・五三%、千三百四十四万円、そのほか市町村あるいは民間団体、個人、全部足しまして〇・一二%、額で二百九十六万円と相なっております。
二番目のお尋ねは、役員、従業員の数でございますが、役員は、総裁、副総裁、理事三名それから監事、計六名でございます。従業員の数は、ことしの三月一日現在で四百三十人でございます。
三番目に、主な業務内容等でございますが、東北開発株式会社は発足以来非常に多くの直営工場を手がけてきたわけでございまして、また民営移行が決まりました後、その準備のためにハードボード工場、仙台の工業団地を委譲いたしましたので、現在の仕事はセメントの製造販売ということになるわけでございます。昭和五十九年度のセメント販売量でございますが、東北六県向けで百三十五万トン、その他の地域で二十八万トン、合計百六十三万トンでございます。この量は、東北六県での販売シェアで申しますと二一・七%、全国でのシェアは二・一%となるわけでございます。
関連会社と投融資会社でございますが、セメント販売のための関連会社といたしましては、系列の生コンの会社が七十四社ございます。また、販売代理店は三十九社ございます。現在の投融資会社といたしましては、岩手県肉牛生産公社、秋田と仙台の臨海鉄道株式会社、東北天然スレート工業株式会社、特殊コンクリート工法株式会社、カイハツボード株式会社の六社でございます。
資産内容でございますが、東北開発株式会社の昭和五十九年度末の貸借対照表における資産総額は四百三十八億円でございまして、この内訳は、流動資産が百九十六億円、固定資産が二百四十二億円でございます。また、これに対する負債総額は三百二十八億円となっておりまして、これを引いた正味資産は百十億円となるわけでございます。
最後に、過去五年間の損益の推移でございますが、昭和五十五年度から五十九年度までの五年間の損益を見ますと、経常損益では大体二億円から九億円程度の利益を上げておりまして、この間の平均をとりますと約六億円の利益ということになっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/8
-
009・中村茂
○中村(茂)委員 大蔵省、来ていると思いますが、まず大蔵省にお聞きいたします。
新会社へ移行するに当たって政府所有の株の処分をどのようにするのか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/9
-
010・吉本修二
○吉本説明員 御説明いたします。
今回の東北開発株式会社の純民営化という趣旨から考えまして、可能な限り純民営化のスタートする時点までに政府保有株式を民間に放出して、政府としては売却する、こういうことを基本的な考え方としてこれから取り組んでまいることになるわけでございます。
なお、その売却につきましては、これはまさに国有財産の売却の問題でございますから、公正、適切に売却をしなければならないということで、これから検討する問題でございますが、一般的には一般競争入札を原則としてやっていくことになろうかと考えております。なお、具体的な処分の方法につきましては、国有財産中央審議会の審議を仰ぎながら検討していくことになろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/10
-
011・中村茂
○中村(茂)委員 いずれにしても、公正、適切、一般入札ということは株の処理について原則だと思いますが、新しく発足する会社がその主体性を堅持しながらいくというふうにしなければ、例えて言えば一般入札の場合に株が買い占めというか一方へ偏ってしまって、会社の存立に大変危惧を与えるような状況が出てくるとすれば大変だと思うのです。したがって、会社が株を持つというわけにはなかなかいかないと思いますけれども、会社が存立していく方向、会社の意向というふうに言ったらいいでしょうか、いずれにしても全体的に考えて適切な措置をとっていただきたいと思いますが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/11
-
012・吉本修二
○吉本説明員 御指摘のようないろいろの問題もあろうかと思っております。基本的に、東北開発株式会社のお考え、国土庁のお考えも十分伺いながら、御指摘のような点も踏まえて、先ほど申し上げた一般原則にものっとりつついろいろ検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/12
-
013・中村茂
○中村(茂)委員 それでは国土庁の方へ株の問題でちょっと聞いておきたいのですが、九九・三五%が政府の所有ですから、あと七県、それから市町村とか農協とかわずかあるわけですけれども、こちらの方の株はそのままなんでしょうか。それとも、その持っているところの自由だと思いますけれども、どんな方向になるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/13
-
014・田中暁
○田中(暁)政府委員 これは現在の株主であられる方々の自由意思で決まることでございますが、それを手放すとかなんとかという具体的な動きは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/14
-
015・中村茂
○中村(茂)委員 それでは、株の問題については会社の自立性が阻害されないように十分配慮していただきたいということを強く要請して、次の問題に入りたいと思います。
東北開発の債券の取り扱いですけれども、まだ償還期限がずっと残っていると思いますが、この措置はどのようになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/15
-
016・田中暁
○田中(暁)政府委員 東北開発債券につきましては、民営移行時におきまして約九十億円が残ることになりますけれども、これにつきましては、今後、昭和六十五年度までの間に毎年約二十億ずつ償還する予定にしております。
東北開発株式会社は、ここ数年社債の償還等長期借入金の返済のために毎年三十億円以上を支出しておるわけでございますが、これでも資金は十分回転しているわけでございます。したがいまして、今後の償還につきましては、現在の会社の財務内容から見て約定どおりの償還は十分可能であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/16
-
017・中村茂
○中村(茂)委員 五年間にわたって総額で大体どのくらいになるのでしょうか。それで一年でどのくらいの償還になるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/17
-
018・田中暁
○田中(暁)政府委員 東北開発債券につきましては、五十五年度までに発行した合計が四百六十七億円になるわけですが、六十年度末までにおいて三百七十七億円を償還しておりまして、償還残高は九十億円でございます。あと五年間、二十億程度ずつ償還していけばよろしいわけでございますが、それは会社の力から見て十分可能だ、こう見込んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/18
-
019・中村茂
○中村(茂)委員 年に二十億というのですから、自立の問題と関係してまいりますが、次に、現在セメント産業は構造不況、きょうの新聞によりましても、「通産省とセメント各社は、二十七日までに特定産業構造改善臨時措置法に基づき、セメント業界の第二次の設備廃棄を六十一年度にも行う方針を固めた。」こういう報道がなされております。それは、円高という中で、輸出が減少すると同時に、韓国、台湾からの輸入がずっと増加してきている、そして、業界二十二社の過半数が決算赤字に転落するというような厳しい経営環境になってきている、そういうちょうど不況業種という関係に関連して、新しく発足していった場合に、民間に移行した後本当に自立経営が可能だろうか、この点について、まず国土庁からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/19
-
020・田中暁
○田中(暁)政府委員 御指摘のとおり、セメント産業はいわゆる構造不況業種でございます。特に、最近は国内需要が伸び悩んで、というよりは落ち込んでおりますし、今先生御指摘になりましたような円高によりますセメント輸入の増加等々がございますので、販売量は減少する傾向にあるわけでございます。しかし、円高による影響というのはいい面もあるわけでございまして、燃料でございます石炭価格が低下する、あるいは金利の低下によって資金コストが低減されるというような、いわば収益改善要因と申しますか、そういった事情もあるわけでございます。
セメント産業の構造不況の中におきまして、東北開発株式会社は、去年の十二月に、特定産業構造改善臨時措置法に基づきます構造改善事業に参加いたしました。これまでアウトサイダーだったわけですが、完全にインサイダーになったということでありまして、この事業によりまして、交換出荷あるいは生産の受委託、それから設備の一部廃棄、こういったことをやっておりまして、コスト低減に努力しているところでございます。
こういうような現況を踏まえまして、セメントの売上高が現状と変化がないという前提で会社の長期の損益あるいは資金収支を一応試算してみますと、主として社債、借入金の返済が相当急激に進むということによります金融費用の縮減というのが大きい要因で、今後も一定の利益を維持できるというように見込んでおるわけでございます。また、資金収支につきましてもおおむね権衡していくものではないかというように考えております。減資も行いましたので、株主に対します一定の配当も可能ではないかというように考えておるわけでございまして、民営移行後も、確かに厳しい環境ではございますが、自立経営は可能であるというような考えをとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/20
-
021・中村茂
○中村(茂)委員 会社の参考人にお聞きいたしますが、いずれにしてもセメント産業は構造不況に置かれている。お聞きしますと、会社の六十一年度のセメント販売量は当初の百六十一万トンから百五十二万トンぐらいに落ち込むのじゃないか、こういうことであります。販売量が落ち込むという状況の中で、民営に移行しても、会社としてもいろいろな対応を含めてきちっとやっていけるのかどうか、会社の考え方をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/21
-
022・星野孝俊
○星野参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生の御指摘のとおりに、最近におきますセメントの国内需要の落ち込みや外国からのセメントの輸入量の増加などがございまして、当社の昭和六十一年度のセメントの販売量は前年に比べ、御指摘のように減少する見込みでございます。しかし、先ほど局長からも御説明申し上げたように、それと同時にやはり円高による石炭価格の低下ということもございますし、また金利の低下による資金コストの低減等、収益面でプラスになる要因もございますので、それらを勘案いたしますと、六十一年度の税引前利益では約五億五千万円程度計上できるものと見込んでおります。
なお、六十二年度から六十五年度の長期の見通しにつきましては、先ほど局長からも御説明があったとおりでございますが、税引前で各年ほぼ八億から九億円程度で推移できる見込みでございます。したがいまして、民営移行後の自立経営については不安はない、私どもはこのように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/22
-
023・中村茂
○中村(茂)委員 円高というのは、輸出の面についてはなかなか難しいけれども、輸入の面については確かにメリットも出てくる。セメント産業の場合、また当会社の場合も外国の石炭を使っていると思いますけれども、会社が六十一年度の経営計画の中で、特に石炭については円をどういうふうに計算しているのですか。そして、全体に石炭を使う量と、円高に基づく計算からいくとどういうメリットが出てくるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/23
-
024・星野孝俊
○星野参考人 当社の六十一年度の石炭の消費見込み量でございますが、青森、岩手両工場を含めまして年間約十八万トン余の計画になっております。これは、先生の御指摘のとおりに、輸入炭と国内炭と両方を使うことになるわけでございますが、輸入炭につきましては、当然為替レートの変動によりコストの増減に影響を及ぼすわけでございますが、六十一年度以降の輸入石炭価格の見込みにつきましては、私どもは現在これは二百円として実は計算しておるわけでございます。現状は、今百八十円前後と聞いております。したがいまして、若干その間に弾力性を持たせてある、こういうふうな状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/24
-
025・中村茂
○中村(茂)委員 国土庁と会社側から今お聞きしたのですけれども、これは移行後の会社の存立と東北地方に与える影響が非常に大きいわけでありますから、大臣から、移行後も立派にやっていける、そういう保証をひとつ与えていただきたいと思いますが、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/25
-
026・山崎平八郎
○山崎国務大臣 お答えいたします。
ただいま局長及び総裁から御答弁申し上げたように、セメント産業を取り巻く環境は非常に厳しいものであることはおっしゃるとおりでございます。しかしながら一方、今日までの会社の経営努力と政府の指導とによりまして多年の累積赤字を解消するなど、健全経営の基盤が確保されていることも確かでございます。
今後は、東北地方を中心に多年培いました会社の信用力、販売力など、民間企業として機動的な経営が可能になるというメリットを最大に活用しまして、自立経営の道を進まれることを期待しておりますし、またそれが可能であると確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/26
-
027・中村茂
○中村(茂)委員 次に、会社側にお聞きしておきたいと思いますが、新しく会社として発足する、その際従業員の身分保障、それぞれの雇用確保、それぞれの労働条件、これはそのまま移行するのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/27
-
028・星野孝俊
○星野参考人 御質問にお答え申し上げます。
御指摘のようにセメント産業は現在非常に厳しい構造不況下にあるわけでございますが、その中で今度商法法人として自立してまいりますためには、従業員の理解と協力なくしては到底経営を継続することは望み得ない状況でございます。そこで、当社としましては、これまでも従業員とは極めて良好な関係を実は継続してきておりまして、今後もこの相互信頼関係は維持してまいりたい、このように考えておるわけでございます。したがいまして、会社としましては民営移行後も商法に基づく株式会社として経営を継続することとしておりますので、従前どおりの雇用関係、労働条件を維持してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/28
-
029・中村茂
○中村(茂)委員 そのことは今それぞれお話がありましたように、新しく会社が発足する、労使関係というものは非常に重要だというふうに思います。会社がこういうふうに移行する場合に、縮小再生産の手段をよく合理化というようなことでとるわけですけれども、そういうことなしにやはり将来に向かって発展させていくということを経営基盤にすると同時に、労使の間についてもより安定的な労使関係を確立しながら、今申し上げた身分保障とか雇用確保とがそれぞれの労働条件について維持するのみならず、より向上していくような手だてを双方の努力によって確立するよう期待申し上げておきたいと思います。
次に、退職金問題でありますけれども、今まで私がお聞きしておりました範囲では、当初会社がこういうふうに移行するに当たって、退職金を清算してもらいたいという従業員を代表しての組合の意向があった、しかし会社の資金繰りやいろいろな都合があってそのまま継続という方向で話が進んでいる、こういうことをお聞きしておりますけれども、この退職金制度についても、特に引当金について今どういう状況になっているのか。
それから退職金が将来にわたってそれが維持され支払いの際にはきちっと支払われる、こういう状況になっているのか。従業員の皆さんがこの際清算してもらいたいという希望のもとは、会社が本当に将来にわたって生々発展して、せっかく今まで働いてきた退職金もそのときスムーズにもらえるだろうか。いや今までの経過を見たりセメント産業の状況を見るとなかなか難しいじゃないか、そういう不安がありますからこういう要求になっているのじゃないかというふうに思うのです。ですからその点を会社側としてどういうふうになっているのか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/29
-
030・星野孝俊
○星野参考人 お答え申し上げます。
先ほど御説明申し上げましたとおりに、民営移行に当たりまして従業員の雇用関係、労働条件等は引き続き特殊法人時代の条件をそのまま継続することとしておりますので、退職という事実が実は発生しないわけでございます。そこで私どもとしては、退職金は支給いたさない、こういうふうなことで対処させていただきたいと思うのであります。したがいまして、退職給与規程は現行のまま移行後も継続するということにしております。
なお、従来退職引当金については実は四〇%を充当しておったのでございますが、ただいま先生のおっしゃいましたような事情もございますので、この際関係方面の御理解を得まして、昭和六十年度の決算におきまして退職金要支給額の現時点での一〇〇%の金額を引き当て計上することにいたしたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/30
-
031・中村茂
○中村(茂)委員 六十一年度にその引当金に充当するのは金額にしてどのくらいなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/31
-
032・星野孝俊
○星野参考人 六〇%相当額でございますが、これは約三十億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/32
-
033・中村茂
○中村(茂)委員 一〇〇%三十億を引当金に充当しながらいくようになると思いますが、やはり退職金については従業員の皆さん非常に心配している問題でもありますから、その維持それから支払いの場合にはきちっと支払える、従業員の皆さんにこういう安心感を与えるような措置をきちっとしていただきたいというふうに思います。その点もひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/33
-
034・星野孝俊
○星野参考人 先ほどから申し上げておりますとおり、当社の従業員と会社との関係は非常に厚い信頼関係になっておりますので、この退職引当金の計上に際しましても、今後それが誠実に履行できるよう私どもとしても全力を挙げるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/34
-
035・中村茂
○中村(茂)委員 通産省を呼んでおけばよかったのですけれども、私通産省ちょっと呼んでなかったのです。
先ほど申し上げましたように、これはセメント産業そのものが全体的に不況業種として第二次の廃棄もしなければならぬ、こういう状況ですが、少し円高になったから会社そのものもそこのところで見れば半ばつじつまが合う。しかし販売量は減っている。ですから産業全体の振興ということももちろんあるでしょうし、その裏打ちになる例えて言えば公共事業、大きく言えば社会資本というのですか、そういうものの充実を図る、そしてセメント産業の基盤整備というか、そういうものに力を入れていかなければいけない時期に来ているというふうに思うのです。確かに国土庁としては所管ではありませんけれども、通産省が来ておりませんが、やはり新しく会社を発足させるという時期でもございますから、そういうものに関連して、政府としてそういう対応について積極的に取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。この点は、どなたでも結構ですが、一応受けておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/35
-
036・田中暁
○田中(暁)政府委員 需要の落ち込みということが結局構造不況業種であると言われる最大の要因でございますから、需要の増大が基本的に非常に大事な問題であるというように考えております。
先生御指摘になりましたように、東北地方は社会資本の整備も総体的にはおくれているわけでございますから、今後も大いにその充実に努めなければならない、また、それによりまして東北地方におけるセメント需要も拡大されるという関係にもございますので、国土庁として、そういった東北地方の条件整備には今後ともできる限りの努力をしてまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/36
-
037・中村茂
○中村(茂)委員 それでは最後に、大臣の決意というか考え方をお聞きしておきたいと思いますが、冒頭申し上げましたように、法律が廃止になって特殊法人として今まで五十年間東北地方の振興に寄与してきて、今度商法に基づく純粋な民間として新しく発足していく。しかし、内容においても東北地方の発展に寄与するという面についても変わりはないと私は思うのです。
それともう一つは、そこに働いている労働者の皆さんの労使間を安定させながらその目的に向かって会社の発展と地方の振興に寄与していく。そして、せっかく新しくなるわけでありますから、労使間の安定ということを考えると、普通なら新しく会社になるんだからといって特別手当ぐらい出るのですよ。労使間ですから労使間で決めればいいことですけれども、今はちょうど春闘のさなかでもあります。こういう時期に、果たして自分たちの賃金がどうなるかという心配もみんな持っております。ですから、新しく発足するという会社の気持ち、熱意、こういうものが従業員に伝わるような措置をひとつ考えておいてもらいたいというふうに思うのです。それは会社の方から。
それから今度は大臣に、会社が新しく民間に移って国土庁の監督下からは離れてしまうわけですね。ですから、冒頭申し上げましたふうに、それぞれまた意見がずっと出てきたのを附帯決議などにしていただくと思いますけれども、そういうものがきちっと会社に伝わって、会社自身もそれぞれのそういう大事な問題について継承し、より誠実に実行していくということを周知しておいていただきたい、こういうふうに思いますので、まず会社側から、そして大臣から御答弁をいただいて、私の質問の締めくくりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/37
-
038・星野孝俊
○星野参考人 さきに先生からも御指摘がありましたように、セメント業界は現在非常に厳しい環境下にあるわけでございますけれども、先ほども御説明申し上げたとおりに、従業員の理解と協力なしにはこの事態を乗り切ることは不可能だ、これも事実でございます。そこで私どもとしては、厳しい環境の中ではありますが、少なくとも業界の水準並みの対応をいたすように検討してまいりたい、このように考えております。
また、先生から御指摘がありました何らかの手厚い措置という配慮につきましては、先ほども申し上げましたように、非常に厳しい状況下ではございますけれども、労使関係を今後とも維持してまいりたいというふうに考えておりますので、ひとつ周囲の状況等も勘案しながら検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/38
-
039・山崎平八郎
○山崎国務大臣 ただいま総裁からもお答え申し上げましたように、甚だ労使間の関係は良好でございます。これが一番大事なよりどころでございまして、法的期限が参りまして新会社の設立、しかし私どもこれから四全総の策定も考えておりますけれども、東北の振興という問題は非常に重大な問題でございますから、決して仕事が新会社に移ったというだけでなくて、後々開発その他の面で十分に東北地方に特にセメントなどが大いに消費できますような公共事業等の配分に心をいたしていきたい、そして陰ながらでございますが新会社の援助をしていきたい、かように考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/39
-
040・中村茂
○中村(茂)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/40
-
041・瓦力
○瓦委員長 武田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/41
-
042・武田一夫
○武田委員 最初に長官にお尋ねいたします。
まず、四全総がまだ策定途上、これはちょっと遅いと思うのです。これは地方振興局長にも言っておきたいのですが、余りのんびりしておるわけにいかぬと思います。急いでください。
そこで、東北開発株式会社に関係することでございますが、大臣としては東北地方というのが日本の中に占める役割をどういうふうに考えているのか、そして、今後の東北開発について特にどういう対応をなさなければならないかというような点の基本的な考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/42
-
043・山崎平八郎
○山崎国務大臣 お答えいたします。
武田先生とは農林水産方面で長い間御一緒に仕事をしてまいりましたが、今度はいささか分野が広うございます。
そこで、東北地方に対しましての考え方は、種々の課題は確かに抱えておりますけれども、非常に豊かな国土資源に恵まれておるということ、それから、現在の三全総におきまして定住の場を拡大する地域として位置づけられておりますが、我が国の中でも開発が期待される地域と認識いたしております。特に、近年高速交通体系といったような整備が進んでまいりまして、それに伴って先端技術産業を中心といたしました工業立地が進展しているなど明るい兆しも一部にございますけれども、産業構造は第一次産業のウエートがなお相当に高い、所得水準につきましても全国平均との間にはまだ格差がある、最近の人口動向を見ますと北東北の諸県を中心に人口の減少も見られる、こういったような域内の格差も拡大する兆候にございます。
したがいまして、今後の東北地方の開発につきましては、東北地方の持つ広大な土地、豊かな縁、水資源等の開発ポテンシャルを十分発揮し得る開発の基礎条件の整備を進めていくことが大変必要であろうと感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/43
-
044・武田一夫
○武田委員 大体そういう方向ではなかろうかと私も予想はしていたのです。
東北は、今お話がありましたように、特に北東北を中心として経済的に非常に脆弱な基盤、社会資本も非常に弱い。所得水準などを見ると、これは沖縄に次いで東北が下から第二位ですね、こういうところ。三全総等あるいは四全総でも均衡ある国土の発展と定住圏構想という基本はいくと思うのですが、しかしながらやはり一点集中で、東京の方に人口が流出してきている。ですから秋田、青森を中心として人は減っていますね。さっぱりふえない。企業は出てきているというけれども、最初はいいのだけれども採用の二年、三年くらいになるとどうしようもない。いろいろな諸条件がある。だけれども、日本に与えている影響は、食糧供給基地、水資源の提供、電力提供、人材はどんどんよこす、いろいろございます。そういうことで、東北の活力ある発展というのは、これは日本の経済を活性化する最後の切り札じゃないか、私はこういうふうに思っているわけでありまして、そういう点を踏まえて、今後対応をしっかり、長官の時代にくさびを打ってほしいな、こう思うのであります。
そこで、そういう中にあってこの東北開発株式会社が民営化する、特殊法人としての整理統合の一環であるということでありますが、東北開発に果たしてきた貢献度ははかり知れないものがあるわけであります。それが民営化に移るということでありますが、この民営化によりまして東北の開発というのがいささかでも後退することがあってはならぬと私は思うのでありますが、そういうことを考えるときに、この民営化が東北開発の積極的な推進という三全総や四全総でも出てくるであろうという基本方針と反対の方向にいくのじゃないか、そういう心配はないものか。この点、長官どうでしょうか。あるいは局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/44
-
045・田中暁
○田中(暁)政府委員 今回、東北開発株式会社が民間移行ということになるわけでございますが、確かに先生御指摘のように、これまでの五十年間に東北開発株式会社が東北地方の開発の上に果たしてきた役割は大変大きかったと我々も認識をいたしております。
ただ、近年は昭和十一年当時とは大分状況が異なってきておりまして、要すれば地域開発の手段というのもかなり多様化されてきております。工業団地の造成のような基盤整備につきましては地振公団もできましたし、各県もそれぞれ団地造成をやっている。投融資につきましても北東公庫がその専任基盤として設置されているというようなこともございますので、特殊法人として直接直営事業をやるというスタイルでやらなくてもいい段階になったのではないか、こういうことで民営化に踏み切ったわけでございます。民営移行後も、会社は引き続き商法に基づく株式会社として東北開発の重要な一翼を担っていくものだというように期待もしておるわけでございます。
我々としては、東北開発の重要性というものはますます強くなってきていると思っておりまして、この会社の民営移行が東北開発に対する熱意を疑わしめるようなことがあっては断じてならない、それは我々の努力でそういった考え方を払拭していかなければならない、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/45
-
046・武田一夫
○武田委員 東北開発は、今度セメント専業メーカーとして生き残っていかなければいけないわけであります。そうすると、地域の都合というよりも、どうしてもやはり会社の都合が優先しなければ、四百名以上ですか、三百四十名でしたか、かなりの社員も抱えている、また実績も上げなくてはいけない、会社の発展の方が中心になってくる、これはやむを得ないわけであります。
そうしますと、国家資本の投入にかわって民間資本を活用した地域経済の活性化というのは、今お話があったように、望まれる重要な課題でありますけれども、東北開発が当初掲げた地域経営の理念とか、地域に貢献するというそういう理念、これはどういうふうな形で受け継いでいくのか。これはここまで大きく育ってきたわけであります。その点の継続性というものをどういうふうにしていくかということは、これは会社にとっても大事だけれども、国もやはりそういう点には無関心でおれないと思うのですが、この点についてはどういうふうに考えているのか、ひとつ御答弁いただきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/46
-
047・田中暁
○田中(暁)政府委員 御承知のように現在の東北開発株式会社の根拠法になっております会社法は三十二年に改正されたわけでございますが、先生もよく御承知のとおり、その時期はいわゆる東北開発三法の一つとして改正されたといういきさつがございます。
昭和十一年の発足当時というのは、落ちつくところは同じ殖産興業という目的でございましたけれども、その前提としては昭和六年、九年の二度にわたります大冷害の後を受けまして、いわば東北の救済というニュアンスがかなり強かったというように思っておるわけでございますが、三十二年の再発足に当たりましては、東北地方の資源を有効に活用することによって我が国の経済の発展に資する、東北の発展が我が国の発展につながるのだ、こういう新しい意識を持って再出発したというように考えておるわけでございまして、これはこの会社法だけではなしに東北開発促進法の基本的な理念でもございます。
そういった理念というものは今後ともいささかも変えることなく我々としては受け継いでいかなければならないし、また今策定をいたしております四全総にもそういった考え方は十分生かされていくものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/47
-
048・武田一夫
○武田委員 そうしますと、やはり今後国としても当初しばらくはそうした会社の発展にいろいろと便宜を与えるような何らかの対応をしてやらなくてはいけない、私こう思うわけであります。
そこで、時間も余りありませんので、民営移行後の会社、これはセメントを中心とした事業内容で生きていく。先ほども質問がありましたように、構造不況業種として指定されているということでありますから、今後このセメント専業で経営が心配なく継続していけるものかという、会社の経営、それが結局は雇用や労働条件の問題等々にいろいろ振りかかってくるわけでありますから、その点の見通しですね、これはどういうふうにお持ちか、国土庁の答えられる範囲内でひとつ御見解、見通しを聞かしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/48
-
049・田中暁
○田中(暁)政府委員 御指摘のように、我が国のセメント産業は近年国内需要が落ち込みましたし、また外国、特に韓国からの輸入がふえるというようなことがございまして、販売量が減少する傾向にございます。しかし前にもお答え申し上げましたように、石炭価格の低下あるいは資金コストの低減というような経営上のプラス要因というものもございますので、販売量は多少落ちましても収益の方は余り下がることなく維持できるのではないかというような面もございます。
それから会社の方の経営努力といたしましても、産構法の規定に基づきますカルテルに参加いたしまして、設備の廃棄とか生産の受委託、交換出荷といったような合理策も講じておるわけでございますので、セメントの売上高が変わらないという前提で試算する限りは、今後もセメント専業で経営が維持できるし、配当も可能であるし、また、従業員の労働条件も下がることなくというよりは、他産業並みに維持することもできるであろうというように考えておるわけでございます。
ただ、まさにセメント業界のもっと長期の行方ということになりますと、やはり何といいますか、今の先端産業等と比べますと古いタイプの工業でございますので、新分野への進出というものを今後は図っていかなければならない。例えばセメント各社が企図しておりますようなファインセラミックでありますとか、あるいはその他の新素材、そういうものへの進出によりまして、いわば多角経営化を図っていく必要があるというように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/49
-
050・武田一夫
○武田委員 確かにセメントの需要というのは五十四年の八万三千トンから下降でありまして、最近のデータを見ても、ここ何年かは六千九百万トンから七千万トン、六十年度見通しては六千七百万トンぐらいに落ち込むんじゃないか、これは心配ですね。確かに利益は上がっておると会社でも言いますが。ですから、今局長が言われたように、今後多角的な経営というのもセメント会社は考えて、いろいろとそのためのレジャーとか旅行とかセラミックとか考えているようですが、東北開発はそこまでいかない。
最初はセメントだけでいかなくちゃいけないとなると、先ほど長官がくしくも、私はずっと国土庁長官の答弁を聞いていまして、初めて最高のことを言ったんです。昔から国土庁、金と力はなかりけりなんて陰口をきくんだ。調整機能はあるけれども金はさっぱり各省庁によって押さえられておるということで、非常にいろいろ努力するけれども、その努力が実らない、苦労が多いのが国土庁であって長官だと私は思っているのです。その長官で、公共事業につきましては、傾斜配分も含めて、東北地方にはコンクリートがたくさんつくれるような、そういう対応をすると言ったのは長官が初めてなんです。私は、これは大変勇断のある発言だと敬意を表するのでありますが、事実そのとおりであります。
ですから、今後盛岡以降の新幹線を非常に早くやってほしい、コンクリートもたくさん使える等々を含めた公共投資を、やはり傾斜配分というのは、これは国の大きな問題として、長官からさらに各閣僚、総理等を通しまして、その意識をしかと植えつけてほしいということを重ねてお願いしたい。やはりこれをやっておかぬと東北開発も苦労なさるんじゃないか。ですから、いろいろとグループをつくりまして、そのグループの中に入って、経費の削減とかいろいろな努力もこれからしようというところでありますから、その努力が実る対応をひとつお願いしたい。長官に重ねてこのことについての御決意をひとつ聞かしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/50
-
051・山崎平八郎
○山崎国務大臣 お話のとおりでございまして、私も先ほど申し上げたように農林水産関係だけの公共事業は大分扱ってきましたけれども、幅の広い公共事業、今後の民活という問題に非常に不可欠の問題でございまして、懸命に努力いたしたいことをお約束申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/51
-
052・武田一夫
○武田委員 期待をしております。
次に、大蔵省にお尋ねします。
先ほども話に出た政府保有株式の処分、この今後のスケジュール、そして処分の方法というのはどういうふうになさろうとしているか、そういう点についてひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/52
-
053・吉本修二
○吉本説明員 株式の処分の問題につきましては、国有財産の処分ということで、適切かつ公平に処分するという原則にのっとりまして、一般競争入札でやることを考えておるわけでございますが、具体的な処分の方法につきましては、国有財産中央審議会の審議を経て検討していく、こういうことを考えております。
具体的なスケジュールというお話でございますが、まず法律の成立を待ちまして、国有財産中央審議会に議論をしていただきながら、可能な限り新しい会社、純民営会社のスタートまでに売却する方向で検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/53
-
054・武田一夫
○武田委員 その際に、会社の皆さん方に会っていろいろお話を聞いたら、特定の企業による買い占めという心配があるんだ、これはどういうふうな規制をするのか、その点ちょっとひとつお考えを聞かしてもらいたいし、また今大手のセメント会社があります、そういう連中の参入というものも認めるのかどうか、この問題についてはどういうふうにお考えになっておりますか、この点についてのお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/54
-
055・吉本修二
○吉本説明員 原則として一般競争入札で処分するという問題と、ただいま御指摘がありましたような、いろいろ個々の問題にどう対処するかということとは非常に複雑かつ難しい問題を抱えておるわけでございます。現在のところなかなかいい知恵も浮かばない状況でございますが、会社並びに国土庁のお考えも伺い、また審議会の先生方のお話も伺って、これから真剣に検討してまいりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/55
-
056・武田一夫
○武田委員 これは例えばですよ、例えば五%以上なんか持たれると、これは今二十五億ですね、それが五十億になっても、もし五%となればかなりでしょう。大体五%ぐらいまでは大きな株主でも持てるというのが常識だそうでありますが、私見ていると、今少しいいわけですよ、収益が上がっていますから。これは努力によってはかなりのところまでいくんじゃないかという専門的な見方をされまして、そこにがばっと特定の金が入ってくるというと、これまた大変じゃないか。会社の自立性という問題もこれあり、そういう点は知恵を出し合って、それで十分な検討をしながら十月のスタートに向かって遺憾のないように対応してもらいたい。長官にもこの点をひとつよろしくお願いしたいと思うのであります。
最後に、東北開発株式会社の民営ということによりまして、この会社はこれまで出資機能も果たしてきたわけであります。それなりに非常に貢献をしてきた会社でございます。この出資機能はここでなくなるわけでありまして、ここで私は長官に特にお願いしたいのでありますが、北海道東北開発公庫というものがまた非常に重要な役割を果たす存在になってきた。ですから、北東公庫の機能の充実強化、これは今後の東北、北海道開発の最大の柱になってくるんじゃないか、私はこう思います。
だけれども、臨調さんとやらが要らぬことを言いまして、これは統廃合しろとか、あるいは特殊銀行化しろなんて、雑音が多過ぎる。これは余りにも多過ぎるわけです。ところが雑音がまた声が高い。ということで、こういうことになってまた北東公庫に切り込まれたりしたら、東北開発は投げろというのと同じでございます。そういう意味で、今後やはり北東公庫の一層の力を発揮できるような対応をやっていただきたい。そういう雑音はもう今後一切出さないようにさせなければならぬと私は思っておるわけであります。そういう意味で長官、今後、北東公庫の強化充実、拡充という問題への取り組みについての御決意というものを最後に聞かしていただきたいと思います。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/56
-
057・山崎平八郎
○山崎国務大臣 お話のとおりでございまして、北海道東北開発公庫、これは東北地方における産業の振興開発のための資金供給などを通じまして、東北地方の開発に重要な役割を果たしてきておることはもう御承知のとおりでございます。
東北開発株式会社の民営移行、このことによりまして、この会社が持っておりました出融資機能、これにつきましては今後は北海道東北開発公庫が専らその任に当たることとなり、同公庫の役割がますます重要となるわけでございます。したがいまして、今後もできる限り北海道東北開発公庫の機能強化を図り、東北地方の開発推進に努力いたしたい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/57
-
058・武田一夫
○武田委員 今、低成長期の時代でございまして、こういうときに必要なのは、それぞれの地域が自立再生できる力をやはりつけること。ところが東北はそれが一番弱い。弱いということは、これまでがどうしても西高東低、そういう国の政治の結果がある。それは今急に新幹線あるいは高速体系の交通網がどんどん整ってきたとはいっても、いまだ過去に投資が少なかった分の埋め合わせは全然できてない。ちょうど入口に入った、そういう状況が東北の開発でございます。
特に青森とか秋田、岩手等はさらに非常に低い地域であります。全体的に見ると宮城県がかろうじて何とか全国平均に近づこうとしている、そういう状況でありますが、ほかの地域は真っ暗やみの状況、そこに一つの明かりとして新幹線がまた青森に行くという話が出ている。さらにまた横断道路の必要性もこれあり、そういう整備がなければ日本海と太平洋とのつながり、交流ができない。また秋田などの例を見ますと、秋田から東京に行くのはもう大変なことでありまして、こういう問題もさらにある。考えれば、国土の均衡ある発展などという段階まで全然いっていない。これからもうほかは全部目をつぶってもそういう地域をやるということになれば、そこで活力が出たものが日本全体に波及してくるという、これは私の持論であります。
そういうことで長官に一層、四全総の早期取りまとめをしながら、その中で先ほど申し上げました公共事業の問題を含め、それから大学の地方分散の問題等も含めていろいろやることはたくさんございます。長官の時代にそういう一つのきっかけと動きをひとつしかと、緑の疾風に乗ってどんどん東北が明るくなっていくように、東北開発株式会社が民営化になったときに、それが結局は同時相まって民間資本の活力ということで東北開発株式会社も大きく東北に貢献するのだろう、こう思うわけでございます。
そういうことを私は最後に申し上げまして、ちょっと時間が早いのでありますが、早い分にこしたことはないと思いますので、私の質問を終わらせていただきます。長官、ひとつよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/58
-
059・瓦力
○瓦委員長 菅原喜重郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/59
-
060・菅原喜重郎
○菅原委員 まず長官にお伺いいたします。
五十四年十二月二十八日の閣議決定で東北開発株式会社の民間移行が決定されたわけでございますが、行政改革の一環としてこのことにつきましては一応私たちもとやかく言うわけではございませんが、今まで東北開発三法の一環としてこの会社法の果たしてきた東北への貢献度というのは、私たち地元の人間にとりましては高く評価してよいものだと思っているわけでございます。
しかし、今回これが民間に移行したというのは、東北開発の観点を、政府はこれから民間活力で十分に進められるという観点も含んでこういうことに決定しているのかどうか、政府として東北開発はもう既に積極的に法をもっての援助で進める必要がなくなったという考えであってか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/60
-
061・山崎平八郎
○山崎国務大臣 お答えいたします。
東北開発株式会社は、東北開発三法の基本的な枠組みのもとに、地域資源を生かした東北地方の産業振興に大きく貢献するものと考えております。今般、セメントメーカーとして民営移行するが、引き続き地元企業として東北地方の産業発展の一翼を必ず担っていくものと期待いたしております。
東北地方は、近年、高速交通体系の整備に伴う先端技術産業を中心とした工業立地の進展に見られるように、発展への新たな段階を迎えようといたしております。しかし、近年は所得や人口の動向を見ても全国との格差縮小のテンポにやや陰りが見られ、東西南北間の域内格差が拡大する傾向もございますので、今後は、恵まれた国土資源など地域の特性を生かしながら、域内の均衡ある発展を目指して積極的な開発、整備を進めていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/61
-
062・菅原喜重郎
○菅原委員 長官から積極的な開発姿勢を打ち出していただきましたことをありがたく思うわけでございます。つきましては、これの裏づけというものを私たちは要求するわけでございますが、これから策定される四全総の中で東北地方開発をどう位置づけているのか。さらに四全総においては、国土基盤整備の必要性を強調しておりますし、交通、情報通信のネットワーク整備、全国どこでも日帰り可能圏を目標とした計画が策定されるやに聞いているわけでございますが、この四全総でこれにかわるどういう位置づけをしているのか、このことをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/62
-
063・星野進保
○星野政府委員 お答え申し上げます。
四全総作業につきましては、現在国土審議会で十分御検討いただいている最中でございますが、先生御指摘の東北地方についてどのように考えるかということにつきましては、先般来大臣もお答え申し上げておりますように、現在東北地方の人口は全国の一割でございまして、それに対しまして国土面積は二割を持っているというような形で、かなり資源的に豊かなところであるという基本認識は変わらないと思うのでございます。
それから、最近の工業立地動向、特に先端技術産業等の工業立地動向を見てまいりますと、北関東、それから東北の南側、若干東側というような形で、先端産業を中心にしながらだんだんと工業開発も進展してきつつあるということで、従来三全総では定住の場を拡大する地域ということでポテンシャルを評価しておったわけでございますが、徐々にポテンシャルが開花しつつあるのじゃないかという兆しを見ておるわけでございますので、御指摘のように今後は、地域地域の自立的な発展と申しますか、地域の発展を基本といたすわけでございますが、それを支えるために特に重要なのは、今後、高遠交通体系、特に空港であるとか高速自動車道であるとかそういったようなことが新しい先端技術と結合しながら、地域の発展の基本的なエンジンになってくるのじゃないかということを考えまして、特にそういう高速交通体系についてはきめ細かい考え方をしていくべきではないかということが現在国土審議会の中で議論されている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/63
-
064・菅原喜重郎
○菅原委員 殊に、今回東北開発株式会社法案で設置された岩手工場は、内陸に設置されたセメント工場でございまして、こういう重量物運搬のためには海運と比較しまして大変なハンディを背負っておるわけでございます。しかし、これが設置されたおかげで地元でも大変な出資もしている。そして現在の道路網、岩手県は四国四県とほぼ同じでありながら、横断道、いわゆる内陸と太平洋岸あるいは裏日本との横断道はまだ十分じゃないわけでございますね。ですから、今回民間に移行することはいいけれども、つくることは政府がつくった、さあ後これから民間でしなさいといっても、条件を整備されないとこれは大変な問題なんですよ。ですから、このことについてはぜひ四全総でカバーしてもらわなければいかぬ。そういう点で、東北横断自動車道その他、県南、県央、県北にまたがるこういう路線に対してどのように四全総では取り上げようとするのか、まずこのことをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/64
-
065・星野進保
○星野政府委員 先ほど申し上げましたように、基本的に私ども空港であるとか高速自動車道というのは大変戦略的な部門であるというふうに認識しております。そして三全総におきまして、先生御指摘のように、高規格道路一万キロメーター余ということを申し上げたわけでございますが、現在、私ども都道府県知事さんその他いろいろな御要望を聞いて、また現在も聞いている最中でございますが、そういう御要望等を伺いますと、恐らく一万五千キロを超えるような御要望が来ておるわけでございます。
先生御指摘の岩手県という県の独自性と申しますか、県の地理的条件、そういうのは十分私ども認識しているつもりでございますが、東北全体として見ますと、例えば日本海側の縦貫道がまだないとか、いろいろ全国全体を眺めますと非常に均衡と申しますか、全体のバランスもこれはあるわけでございまして、それらを踏まえながら、また全体としての財政制約、そういうものもあるわけでございますので、今後それぞれの地域地域の状況を十分踏まえながら、また関係省庁とも十分協議しながら、なるたけ御要望にこたえるような方向で検討してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/65
-
066・菅原喜重郎
○菅原委員 一応四全総のような、こういう全体計画の中にしっかりした構想図というものをまず盛り込んでおいてもらいませんと、今後の交通ネットワークの確保はどうにもなりませんので要望したわけでございます。
この法案で廃止の対象になっております岩手工場は、青森工場に比べて非常に老朽化しているわけでございます。また御案内のように、当初セメント業界からの反対で、いわゆるシャフトキルンじゃなくてレポールキルンですか、でこれが出発したわけでして、これは業者間では最初から品質が悪いということがわかっていて、そしてどんどん改善されてきた、そういう経緯があるわけでございます。
しかし、何といたしましても、内陸部にあるところの立地的なハンディと、さらにこの老朽化ということを考えますと、今後これの合理化が進められないと、存続がどうなるのか、こういう不安が持たれるわけでございます。それから、今言ったような環境整備の問題、こういう点についてはどのように考えているか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/66
-
067・田中暁
○田中(暁)政府委員 御指摘のとおり、岩手工場は内陸部にございますので、海工場に比べますと輸送コストが高いというのは事実でございますし、また、青森は日本最新鋭の工場であるのに対しまして、いささか古うございます。それは確かでございます。
しかし、その辺も考えまして、岩手工場のセメント販売地域というのは、会社としては岩手、山形、宮城等々の比較的近い距離の内陸都に重点を置いておりまして、今後とも、青森工場の臨海部からの輸送というものを考慮しながら、生産販売を継続していく方針だというように承知をいたしておるわけでございます。
また、岩手工場では普通セメントのほかに混合セメントを生産しておるわけでございますが、混合セメントの需要は増加傾向にございますので、今後とも岩手工場におきましてこういった各種のセメントの生産を行って、需要家のニーズにこたえていく方針だというように伺っているわけでございます。
また、古うはございますが、その反面、減価償却も随分岩手工場については進行しておるわけでございますし、また、原料の石灰石も自社で掘っているというようなことでありますから、原料費は青森工場よりは安いということでございます。
そういうことでもございますので、岩手工場を会社が、まあ一号、二号、三号は休止していたのを廃棄したということは御承知のとおりでございますが、四号キルンにつきましては今後とも青森工場と並んで維持していくというように心得ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/67
-
068・菅原喜重郎
○菅原委員 この交通網整備を直接担当する建設省の方にお伺いしますが、九州から海送してきて仙台地区に運ぶセメント一トンの輸送費と、この内陸部の岩手工場から百キロを超えてトラックで運んでいくのとの輸送費では、内陸部の方は二、三百円高くなる、こういう試算が出ていたことを聞いたのですが、全くこの道路が整備されないと、青森工場はこういうハンディのためにも海岸線にこれをつくったわけでございますから、本当にこういう法律を廃止するのだったら、道路整備そのものをやってもらわぬと大変なんです。この点について、建設省ではどのような計画また対応をしようとしているのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/68
-
069・田口二朗
○田口説明員 お話しの岩手工場の燃料それから製品の輸送につきましては、気仙沼港それから東北縦貫自動車道の水沢インター、一関インターが利用されているというふうに聞いております。
これらの港湾それからインターチェンジへの連絡道路は、主として一般国道の二百八十四号それから三百四十三号、主要地方道一関大東線それから江刺千厩東和線が利用されているというふうに承知しておりますが、このうち一般国道二百八十四号につきましては、この経路となります千厩町から気仙沼市の間におきましては、岩手県下におきましては既に整備が済んでおります。ただ宮城県下におきましては一部区間、約二・八キロでございますけれども、まだ未改良の区間がございます。この区間は現在新月ダムの計画がございまして、今後この計画と整合を図りながら整備を進めていきたいというふうに考えております。
それから一般国道三百四十三号の水沢から陸前高田につきましては、現在改良率が七七%ということになっておりまして、残る区間につきまして逐次整備を進めているところでありますが、陸前高田の矢作工区それから水沢市の山内工区につきましては六十年度に完成いたしているところでございまして、陸前高田市の坂下工区、これは現在やっておりますが、鋭意促進を図りたいというふうに考えているところでございます。
それから主要地方道の一関大東線につきましては、現在改良率が八九%ということになっておりまして、現在狭隘区間でございます東山町の柴宿におきまして改築事業を進めているところでございます。予定では六十一年度完成を目途といたしております。
今後とも、これらの道路整備を進めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/69
-
070・菅原喜重郎
○菅原委員 全くこの法律廃止でもろに犠牲という言葉は変なんですが、影響を受けるのは岩手工場なんでございますから、今建設省の方の計画を聞いたわけですけれども、国道四号線に通ずるところの主要地方道一関大東線につきましては、今、東の方は改良されているのですが、一関に向かってはやはりトンネルまた急傾斜のあの道路、これは早速に改良をしていただかぬと、もう本当にのどもとにある主要道路なんですから、長官もしっかと認識しておいていただきたい、こう思うわけでございます。
さらに、このセメントという重量物運搬は、これはやはり地域にセメントの需要を喚起していただかない限り大変でございます。こういう点で、ぜひ国としてダムの問題とかいろいろな計画を立てて、国土の開発も均衡ある開発を進めていただきたい、こう思うわけでございます。
ついては、こういうダム関係の計画がどうなっているのか、これをひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/70
-
071・山口甚郎
○山口説明員 お答えいたします。建設省では、東北地方におきますダム事業といたしまして、直轄事業といたしまして、建設のもの九ダム、実調のもの二ダム、補助事業といたしまして、建設のもの十九ダム、実調のもの十九ダム、合計四十九ダムを実施いたしております。
岩手県内におきましては、直轄事業といたしまして、実調中のものでございますが一ダム、それから補助事業といたしまして、建設事業三ダム、実施計画調査のもの三ダム、合計七ダムを実施いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/71
-
072・菅原喜重郎
○菅原委員 ひとつそういう工事の促進もお願いいたしまして、次に、大蔵省の方に質問をいたしたいと思うわけでございます。
民間移行に当たっての政府保有株の処分については、一般競争入札にするということでありますが、工場誘致のために当時の東山村が無償提供した経費というのは莫大なものでございますね。昭和三十年に、土地の買収費、これが大体六千八百十五万円かかっているわけでございますが、村全体の一年間の予算が六千八百七十六万のとき六千八百十五万円も出しております。さらに三十一年度には、こういうことの騒ぎで一千万ぐらい村予算がふえまして、七千八百四十五万七千九百四十九円になっておりますが、このときも買収費として一千二百八十万から出しておりまして、合計九千百二十六万二千二百五十六円という村の予算でございます。三十二年度のこの村の総予算が七千二百七十九万八千五百三十一円、三十三年度が七千四百十七万九千円、こういうとき総額で八千百九十六万三千三百円もの無償提供、これはもう工場誘致のための敷地買収、あるいは敷地ばかりではなくして、鉱区の問題からいろいろな取得費をかけているのですよ。そういう協力して誘致したこの企業が、国営であるという観点で官民が協力体制をやってきたのですが、これが民間に移りまして全然地元と切り離される、これは大変なことだ、こう思うわけです。
そこで、大蔵省の方で、何としてでも地元の自治体に、これは有償でもよろしゅうございますから、この株のいわゆる優先的な払い下げの方法がないのか、私はそういうことを実はお伺いするわけなんです。地元の不安といたしまして、株主会にも顔が出せない、そういうことになりますとどうなるか、こういう大きな不安もあるわけなんでございますのでお伺いするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/72
-
073・吉本修二
○吉本説明員 東北開発株式会社が、国策会社と申しますか、特殊法人として設立されて、今回、そのあり方の見直し期限も来たということもありまして、純商法法人、民営法人として存続させようということでございますが、あくまで東北開発の一環としてのその重要性は変わらず、今後とも会社は存続するわけでございます。そういう観点における各方面の御協力は今後とも必要であろうかと存じます。
ただいま御指摘のございました株式の処分の問題は、政府が関与しているという会社の立場を、純反間法人としていろいろ弾力性、機動性を持たせるような方向に持っていこうという一つの政策でございまして、国有財産の処分でございますから、適正かつ公平に行うというために、どうしても一般競争入札を原則とせざるを得ないと考えております。そういう場合に、特定の者に特定の取引でもって帰属させるような取引というのは、かなり困難な面があろうかと考えております。
ただ、いずれにせよ具体的な処分の方法につきましては、これから各方面の御意見も伺いつつ、国有財産中央審議会の議を経て検討してまいる、こういうことでございます。今後ずっと検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/73
-
074・菅原喜重郎
○菅原委員 私は、特定の者や何かを対象にしているんじゃないですよ。それだったら地方自治体に政府の株式を、幾らでもいいのですよ、株主会に出席できる株数でもよろしゅうございますから何とか譲渡できないのか、こういうことを聞いているわけでございます。局長、何とかその点考えられませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/74
-
075・吉本修二
○吉本説明員 地方公共団体でございましても、先ほど一般論として特定の者と申し上げたことでございますが、先ほど来申し上げておりますように、まず、国有財産の処分というものは、適正公平に行うために一般競争入札を原則とするという考え方でございますから、そういう観点においては、特定の者に例えば落札するようなあるいは帰属するような、そういう方法は非常に困難である、こういうことを申し上げたわけでございます。
ただ、現実問題として、そういう原則がございますが、何か別途いろいろな方法がないかどうか、あるいは、全体の会社の今後のためにどういう株主構成でなければならないか、いろいろな御意見はあろうかと思います。そういう御意見を踏まえながらこれから検討してまいりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/75
-
076・菅原喜重郎
○菅原委員 国有財産、国有財産と言いますが、今はもう町が出した宅地が全然使われていない、それから、山ももうほとんど開発が終わって遊休になっている。これは純然たる町が出した土地なんですよ。それをすぐ国有財産、国有財産でしゃくし定規で話したのでは、これは住民がおさまりますかね。このことを追及しているのですよ。何も最初から国の財産をくれと言うのじゃないですよ。
現在、ここの町の予算は二億六千七百万になっているのですよ。それをあなた、当時一年以上の予算を出しているのですよ。そして、現実にそれは遊休化もしている。それなのに、今度それを評価していわゆる民間に譲渡する。それだったら、町の方に国が持っている額面ぐらいでできないかと言ったら国有財産、こんな話では道義として成り立ちますか。そういう点をひとつ考慮してくださいよ、このままでいい、悪いじゃなくていいわけですから。ひとつそういうことを強く要望いたします。
最後に、何といいましても東北地方の開発はやはり、私たちはこういう民間移行はあるいは行政改革の合理化の中ではやむを得ないと思っておりますが、しかし、今言いましたように、新しい四全総の計画の中に大きな希望を託しているわけてございます。また、再三再四申し上げますが、廃止法案の直接の対象になる岩手工場、これにはやはり四全総の中で東北地方に十分な計画事業を進めていただかない限り、民間移行になっても内陸という立地条件で大変でございますので、こういう点でひとつ東北の開発のための四全総への御配慮を強く要望いたします。
最後に、東北新幹線の盛岡以北の早期着工をぜひお願いしたいと考えるわけでございますので、この点も四全総ではどう取り上げられているのか、大臣にお伺いして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/76
-
077・山崎平八郎
○山崎国務大臣 現在、上野-盛岡間の東北新幹線につきましては想定を上回る利用がなされまして、確かに東北地域に活力をもたらしたものと認識いたしております。
このように国及び地域の開発振興に与える新幹線の効果はまことに大きいものがございますが、特に盛岡以北の扱いにつきましては、整備新幹線財源問題等検討委員会におきます検討状況をも踏まえながら、国土の均衡ある発展を図る見地から四全総におきます位置づけを明らかにしてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/77
-
078・菅原喜重郎
○菅原委員 申しおくれましたが、先ほど申し上げました資料を一応大蔵省の方に提出しておきます。ひとつ見ていただきます。
それでは、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/78
-
079・瓦力
○瓦委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十二分休憩
――――◇―――――
午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/79
-
080・瓦力
○瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。瀬崎博義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/80
-
081・瀬崎博義
○瀬崎委員 まず伺いたいことは、東北開発株式会社は、その目的とか歴史的使命を達成したから今回廃止して民営移行にしようというのか、それともその存在意義を失ったといいますか、余り役に立たなくなったから廃止して民営に移そうというのか、どちらですか。大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/81
-
082・山崎平八郎
○山崎国務大臣 お答えいたします。
東北開発株式会社は、昭和十一年に国土開発の後進地域であった東北地方の殖産興業を目的に特殊法人として設立されたものでございます。現在まで既に五十年間にわたり、東北地方に存する天然資源を活用した直営事業、民間企業設立の促進、定着化のための投融資事業、産業基盤整備のための工業団地造成事業等、各種事業を実施してまいりました。会社の存立期間でございますところの五十年目を迎える現在、地域開発にかかる政策手段の多様化により、特殊法人としてその事業活動を通じて東北地方の振興を図るという会社の設立目的はほぼ達成されたとの認識のもとに民営移行するものでございます。
今後は、セメント事業を中心に自立した企業として引き続き東北地方の経済発展に寄与することを期待いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/82
-
083・瀬崎博義
○瀬崎委員 もちろん、これは法案を改正して特殊法人、政府関係機関として存続する道だってあったわけですね。それを今回五十年の歴史を閉じて民営に移行させようということは、本当に一つの重大な歴史の節目を画するものだと思うのですよ。したがって、国会の審議としてもまた政府の側としても検討すべき最大の問題は、やはりこの五十年の東北開発株式会社の歴史を生かすために、この歴史の中から十分教訓を酌み取ることではないかと思うのです。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/83
-
084・山崎平八郎
○山崎国務大臣 仰せのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/84
-
085・瀬崎博義
○瀬崎委員 私は、その五十年の歴史の教訓を生かしていかなければならないという点では二つの課題があると思うのです。一つは、東北地方の真に住民本位の発展に役立つ政府の政策、計画をつくりそれを実行していく、これに生かすこと、もう一つは、引き継がれる民営会社が、従業員の雇用確保あるいは労働条件の向上に努め、また地元関係自治体、地域振興に役立つ会社として発展をしていく、このために教訓を生かす、この二点ではないかと思うのです。
概略の歴史は今大臣がおっしゃいましたが、当時は国策会社だと言われたのですが、そもそもこれをつくらざるを得なかった背景としては昭和六年の大凶作、昭和七年の大震災、津波水害、そして昭和九年のさらに深刻な冷害による大飢饉。これは当時の政府東北局の発表文ですが、「農村は言うに及ばず、山村漁村においても食うに食なく、働くに仕事なく、住民は天を仰いで長嘆息する姿は何人も涙なくしてこれを正視することはできなかった」こう述べているわけです。これは政府機関の発表文書ですよ。
こういう東北の窮状に対して当時政府も重い腰を上げて、昭和九年十二月に東北振興調査会を設け、東北の振興策を検討させた。そして、十年九月に出された答申で、東北興業会社、この前身ですね、それから東北振興電力会社の二つの特殊会社を設立することになって、十一年五月の六十九帝国議会で法案が可決成立の運びになっておるわけでしょう。私も当時の議事録も調べてみたのですよ。そうすると、この会社の目的、使命について、当時の松井という資源局長官兼内閣東北振興事務局長は法案の趣旨説明でこう言っておるのです。「東北地方ノ深刻ナル窮乏ヲ徹底的ニ打開スル為」五つの事業を行う。この五つの事業は直営事業、投資事業があるわけで、「窮乏ヲ徹底的ニ打開スル」目的でほとんど何でもがやれるようになっているわけですね。
しかも、この国会の論議を見ていきますと、これによってどういうことが期待されるかという点については、第一に企業利潤は出資者である東北住民に還元される、第二に働く機会が得られる、第三に東北地方の原料の新たな需要の喚起になる、第四に肥料など必要品が安く供給される、第五に各種企業の増加、誘致が可能になる、こう答弁しておるわけです。
今大臣は、おおむねその使命を達成したとおっしゃいましたけれども、さて東北地方の住民にこうした利益が果たしてもたらされたのかどうか、また立法目的である「東北地方ノ深刻ナル窮乏ヲ徹底的ニ打開スル」というこの使命を果たしたのかどうか。どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/85
-
086・田中暁
○田中(暁)政府委員 東北開発の前身の東北興業が設立されるに至りました経緯というのは、今先生御指摘になったとおりでございます。
その目的が達成されたかというお話でございますが、我々もこれまで直営事業を実施し、投融資を行いまして、相当効果を上げてまいりました。ただ、確かに現在東北地方の全国平均との所得格差はなお存在するわけでございますので、そういう意味では完全に格差是正という目的は達成されたとは言いがたいと思いますけれども、直営工場をみずから営んでやらなければならない、それほどの必然性はなくなる程度にまでは東北の経済は到達した、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/86
-
087・瀬崎博義
○瀬崎委員 この五十年の歴史から教訓を学ぶためにはやはり第一期に当たる戦前期と第二期の戦後期、三十二年以降ですね、両方から酌み取らねばいかぬのです。だから、私は今戦前から説き起こしておるわけですね。
この会社が発足する三カ月前の昭和十一年七月八日に、当時の政府は東北振興第一期総合計画を策定しておるわけですよ。この計画は、道路、鉄道、港湾の整備から農林水産業の振興、商工業の振興、教育分野に至るまで三十項目を挙げていまして、昭和十二年から昭和十六年までの五年間で政府は三億二千万円の予算を投じようとしたわけですね。ところが、昭和十二年七月、中国侵略を日本政府は開始した。そこで、この三十項目の恒久対策は二十五項目に削られ、予算も三億二千万から一億九千六百万に削減され、しかも、実績は九千四百八十七万円、四八・四%にとどまってしまっているわけですね。この点、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/87
-
088・田中暁
○田中(暁)政府委員 概略仰せのとおりだと心得ています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/88
-
089・瀬崎博義
○瀬崎委員 こうなった原因は、第一には何といってもあの無謀な侵略戦争を行った、この戦争の犠牲、これを挙げなければならないのです。ここにも現在に生かすべき重大な教訓が一つありますよ。
もう一つは、当時産業組合中央会、つまり現在の全中ですか、全国農業協同組合中央会の前身ですね、これが東北振興両会社、東北開発株式会社の前身の会社と今の電力会社ですが、「東北振興両会社と産業組合」というパンフレットを出しております。この中にこういうことを書いています。「東北振興会社の如きは東北振興計画の一部分である正称しながら我々は不幸にしてこの会社以外に適切なる振興策あることを知らない。」つまり、いろいろな政策や計画は立てた、予算も立てたけれども、しかし実際はそれは実施の対象というか、期待されるものではなかった、唯一の振興策と言えばこの会社そのものだったのだ、こう言っておるわけなんですね。東北振興政策といいますか計画イコール東北振興会社、こういう状態だったのですね、当時。この全体の計画がこのように不発に近い状態に終わったということは、この会社自身の戦前の役割が全く十分達成できなかった、こういうことを意味していると言わざるを得ないと私は思うのですが、大臣、どうお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/89
-
090・田中暁
○田中(暁)政府委員 東北興業が発足してから三十二年の改組に至るまでの間、確かにいろいろな紆余曲折はあったわけでございます。先生御指摘のように、戦争に突入したということが、東北開発の総合計画で三億幾らの事業を予定しながら一億弱に終わったというのも、それが最大の原因であったと思います。
ただ、今の東北開発株式会社はセメント専業でございますし、最近までもハードボードや工業用地造成ということで、事業費目は比較的少なかったわけでございますが、東北興業当時は非常にたくさんの事業を手がけまして、特に投融資につきましては累計百十三社の投融資をやったというふうなことでございまして、やはりその当時は、東北経済の発達段階というのが、そういった半官半民の特殊会社でやらなければなかなか企業化もできないというような状況にあったのだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/90
-
091・瀬崎博義
○瀬崎委員 投融資をあちこちにやったと言われるけれども、それが政府の全面的な政策、計画、財源的裏づけに基づいてやられたのならもっともっと効果を上げただろうけれども、そうではなかったということがるるこの中に述べられておるわけですね。
このことは、戦前、東北興業への最大の出資者だった、今日の単位農協に当たる単位産業組合のこの文書に出ているだけではなくて、東北電力株式会社と日本経済研究所が出している「東北産業経済史」、この中にも出ておるわけですよ。会社の事業計画が恒久対策の一部としてではなく、暫定対策の一部分として提起されたこと、政府は配当保証、政府保証債の発行の援助はしたが、政府からの出資もなかったことなどから、その活動はわずかに触発的効果が認められるのみ。だから、そもそも出発点からいわば東北振興の全部を担ったようなこの会社に対して、政府は極めて冷たく手薄な施策しか講じなかった、この点をまず明確にしておかなければいかぬと思うのですよ。
私は、この産業組合中央会編の文書はまさに非常に教訓、示唆に富んでいると思うので、少し長くなるけれども、要点を紹介しておきたいと思うのですね。
「産業組合事業領域と同会社の投資事業ないし計画事業との間に摩擦が予想され、しかも農民生活の振興などは少しも期待されざるに、一方高給を食む会社当局の無為無策及び利権あさりの地方勢力家のばっこ等が伝へられるに及んで、一般は両会社の当初の目標たる「東北農村の更生」が全く空手形に終わるにはあらざるやの感を深くしたのである。」これは、何も共産党の赤旗が書いているのじゃないですよ。くどいように申し上げますけれども、農協の前身が言っておることなんですね。
「現在、この会社へ働きかけるものは東北の小会社よりも、中央の財閥である。」「現に役員中においても三井物産、三菱商事出身のもの、三井関係会社たる東京電灯出身のもの等がいずれも理事、課長の筆頭、中堅を占領し、活動力の中枢を左右している」「かく考えると財閥の立場は組織的にみてもこの会社の上にあるが、」「この会社の勢力を反映することになるのではないかと思われる。」「一般の東北農民などに電灯料を下げさせるために電力を向けるとか、その社会施設に投資するとかいうことは、まず期待薄と言われている。」
「東北民への就労の機会が労働強化の機会となりやすし、組合の出資が利潤還元どころか損失転嫁になりやすいことは、容易に想像されるのである。もうかるのはまず引き続き騰貴しつつある電力機械を売り込む資本家や、これほど苦心して低廉なる電力を用意してもらった資本家、」云々。「常時使用する電灯用として一時三銭も四銭もとる、」一時というのは一時間という意味だと思いますね。「アルミのごとき軍需工業の原料としては五厘くらいで供給する。」「後者の電力使用量は極めて多量であり資本家同士の間にいかようにも秘密は保たれる。前者は小口の大衆消費なのではかばかしく高くするという建前なのである。
それから「計画が電力、肥料の分野でも資本家への低廉電力が本位となっていることは、注目すべきであるが、その他の事業についても資本家本位のものが相当に多い。否最初の計画のときと実施のときと比べると、驚くほど変わるに違いない。技術的協力のゆえをもって産業資本家や巨商との協力に終わっている。
ある程度までは資本家の協力もよいが、現在の当社のやり方はこの点極めて不満に感ぜられる節が多い。子会社をつくったり他の財閥の新設会社に投資した結果は、当社としてはそう大した利潤も得られないのに比して遂に資本力を和せしめる程度が深大となりそうな危険が多分にあり、しかも試験期だけを資本力のために当社がかわって測量したり、政府と折衝したりしているように思われる節も極めて多い。」つま力、もうからない部分だけこの会社が投資し、あるいは融資して、いざもうかるとなったら、結局財閥系の子会社がみなやってしまう、こういうようなことを言っているわけですね。
「余計な資本家と小さな仕事で提携したばかりに、かえって組合の事業との摩擦に苦慮したり、それを恐れてかえって事業計画の発表がおくれたりするのでは、全く意味をなさない。」「東北民の出資により企業利潤を東北民に還元するという最初の口約が空手形化しつつある」ということが重ね重ね述べられていますね。「忍苦にならされた東北農民の低劣な労働条件につけ入って策を行わんとするがごときことは、むしろ東北農民をして植民地並みの取り扱いを強めこそすれ、それより農民の解放せんとする振興的意義を暢達するゆえんではない。」「資本家の独占利潤に奉仕せざるを得ないなら何もこうした国策会社の形態を最初からとらなければよかったのではないかと思う。」こういう結論まで出しているわけですね。
だから、やはりこういう点そのものも政府が今後生かすべきではないかと私思いますね。これは大臣、今のこういう文書をお聞きになって、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/91
-
092・山崎平八郎
○山崎国務大臣 私初めて伺ったわけでございますが、いろいろ賛成すべき問題もありますし、そう受け取れない問題も私は感じているところもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/92
-
093・瀬崎博義
○瀬崎委員 そして戦後になる。戦後は、一時期もちろん開店休業状態が続いて、昭和三十二年から現在の形態になりますね。この点は、先ほどもちょっと説明があったし、他の議員も質問された。現在なお東北地方は、全国平均から見て、どの指標を見てもその発展はやはりおくれているわけでしょう。
ですから、本来的に言えば、この東北開発株式会社という政府関係機関特殊法人は、特殊法人としてなおなお担っている役割は大きかったのだ。ところが、今日に至る過程の中でどんどん縮小をやる、切り捨てをやる、そして、いやでも応でも民営に移行せざるを得ないように持っていった。つまり、民営という既成事実を先につくっておいて、今法案を出してきた。つまり、民営しか道がないようなところへ追い込んできたのではないか、こう言わざるを得ない節もあると思うのです。
私は、こういう戦前の歴史を思い起こし、また、戦後の東北開発株式会社の歴史を顧み、そしてなお東北地方全体の水準が非常におくれているということを考えるならば、本来、こういう会社は民営にすべきではなく、むしろ政府関係機関として役目を発揮させるためにはどうすべきか、ここを考えるべきではなかったかと思うのですが、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/93
-
094・田中暁
○田中(暁)政府委員 民営以外に道がないように追い込んだのではないかというような御指摘がございましたが、我々としては、むしろ逆ではないかと思っておるわけでありまして、純粋な民間会社としてやっていきますためにはやはり会社の経営基盤が確立していなければならないわけでございまして、それを目指して五十四年の閣議決定以来着々と経営基盤の確立に向けて努力をしてまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/94
-
095・瀬崎博義
○瀬崎委員 具体的な答えは何も言ってないのですね。ここはもっと詰めたいところなんですよ。ここまで来ればだれが見たって民営会社にしなければしようがないなということになるので、ここへ来るまでがもっともっと大事だったと私は思うのです。
そういう点で私が特に強調しておきたいのは、当時木村武雄氏が六十九議会でこの会社についてこういう指摘をしているのです。「東北農民は行政の苦しみは浴しているが有難味には浴して居らぬ。凶作の交付金が一遍あった切り、施設を何度しても県庁内に止っている。県から役場、また役場から組合の一部だけとだんだん有難味が減って来る。そして農民には全く行亘らない。」こんなことをまた今繰り返しているようではだめだと私は思います。
そういう意味で、最初にこの教訓を二つの面で生かさなければならないと申しましたね。一つは、何といったって今日また中期防衛力整備五カ年計画だなんていって、五年間に十八兆四千億円もの軍事費をつぎ込もうというのでしょう。こういうことをやり出したら東北はまた犠牲になりますよ。まずこういう軍事費は削減を目指すべきだ、ここが第一点。
第二点は、本当にこういう会社に、大きな役割を果たしてもらおうと思ったら、基本になるべき東北地方の民主的な開発発展の政策、計画が立派なものでなければならないわけです。これがいいかげんだったら何ぼこの会社が頑張って東北のために役立とうと思っても役立てないということをこれは教えているわけです。ですから、そういう点では現在政府のとっている東北地方の開発政策がいいのかどうかという点を再検討し、この歴史を反映させるべきだと私は思うのです。
特に東北という場合は、農林漁業の発展なくして東北地方の発展はあり得ないと私は思います。ところが、もう言うまでもないことで、外回からどんどん農産物を輸入してきて、農業予算に至ってはこの五年間で一五%も減らしてしまっているわけでしょう。生産者米価はちっとも上げなくて消費者米価ばかり上げているわけでしょう。これで果たして農業が発展するか。林業に至ってはもっとひどいですね。また、今日沿岸漁業が大企業中心の遠洋漁業の犠牲になっていることも火を見るよりも明らかなんです。ここをまさに転換して東北固有の地場産業、地元産業の発展に政府はうんと力を入れる、こういうふうに変えていかなければならないと私は思います。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/95
-
096・田中暁
○田中(暁)政府委員 この東北開発株式会社の歴史を通じて得られた教訓として、東北開発についての計画自身がしっかりしたものでなければならないという御指摘につきましてはおっしゃるとおりだろうと思っておるわけでございます。現在、東北開発促進計画というのがございますが、全国総合開発計画がいわゆる四全総という形で作成作業に入っておりますが、これと波長を合わせまして東北開発促進計画の見直しにも着手いたしておりますので、この東北開発株式会社五十年の歴史を見て得られました教訓をこの計画の中にも生かしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/96
-
097・瀬崎博義
○瀬崎委員 その中にはこういうこともあると思うのです。本当に三十分は短いのですが、通産にちょっと聞いておきたいのです。
というのは、列島改造計画、高度成長政策の失敗の後遺症が今日に響いて、特定産業構造改善臨時措置法の対象にセメントはなっておるわけです。いろいろと設備廃棄を進めているのだけれども、それでもなお過剰設備という状態が残っているもとで、これは一言だけなんですけれども、よもや第二次の設備廃棄というようなことが起こったときにこの民営化されようとしている東北開発株式会社にしわ寄せすることは絶対ないだろうと私たちは思っているのですが、確約しておいてほしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/97
-
098・新村明
○新村説明員 お答えいたします。
セメントの構造改善につきましては、先生御指摘のとおり産構法によりまして一昨年八月からやっておりまして、その一つが共同設備の廃棄ということでございます。
今の先生の御質問はその第二次設備廃棄があるかどうか、その際には東北開発にしわ寄せが来るかどうかという御指摘でございますが、我々は今のところ第二次設備廃棄というものについては考えておりませんし、また特にどの会社にこういうしわ寄せが来るとか、そういうことについては現状では特に考えてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/98
-
099・瀬崎博義
○瀬崎委員 戦前は、本当に唯一の東北開発振興の政策としてつくられたこの会社が、十分その役割を発揮し得ないまま五十年の特殊法人としての歴史を閉じて民営化される。私は非常に寂しく残念なんですが、この会社が力を発揮できなかったこと自身、政府のこれまでの基本政策、計画に重大な欠陥があったのだ。これは今後とも反映させたいとおっしゃるのですからお認めになっていると思うのだけれども、それを前提にした上での話です。民営化される会社がこれまたこれまでの戦前の東北興業あるいは戦後の東北開発株式会社の歴史を生かしてほしいと思うのです。
やはり同じく産業組合中央会の中にはこういうことも出ているのですよ。「現在の会社は計画の発表も非常に渋滞している。」「我々産業組合側としては万事財産についても事業にしてもコストにしても組合員への公表性を第一としているので、こうした会社側の態度にはかなり不満なものを感じる。もっと事業計画についても東北の農村更生運動の主たる担当者である組合に相談せらるべきが順当である。しかるにこの点に関する過去半ケ年の会社側の態度は遺憾この上もなくいたずらに国策の名にかくれて農村事情に精通せる更生指導者を無視し、県の官僚偏重の傾向がはっきりと示されている。」つまりもっともっと民主的に運営しろということなんです。だから今後は労働者、従業員ともよく相談しながら、また、もともとがこういう国策会社から出発しているのですから地域と密着しています。だから関係自治体ともよく相談しながらやっていくように、この教訓だと思うのです。
それからこういうことも言っています。これはできた当時から赤字で株価が暴落しているのです。出資した農協は大変損するわけです。この損失の性格が「断じて高給役職員を養ったり、財閥を肥したりするものであってはならない」こう言っているわけです。つまり会社が損しようが得しようが役員はどっさり給料をもらい退職金をもらい、あるいは株主は配当を受けているけれども、労働者や地域は犠牲になる、こういうことがあってはならぬぞということなんです。こういう教訓をぜひ生かしてもらいたい。この点が一つ。
具体的には私どものところへも共産党の地方議員を通じて要望が来ているのですが、東山町は昭和三十二年当時から随分と物心両面でこの会社に協力してきているわけです。ですから民営移行に当たっては今後の会社の存続その他に対して町も重大関心があるわけですから、株式の一部はぜひ町に持たしてもらいたいということ。それから現在二十戸の社宅があるのだけれどもそのうち五戸しか使ってない、あとみんな遊んでいる。これはもともと町が提供した土地なんだからこういうものは町営住宅用地として払い戻してほしい、こういうことも言っているわけです。こういう点について総裁並びに政府側の答弁を求めて終わることにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/99
-
100・星野孝俊
○星野参考人 最後の先生の御質問がありました社宅用地でございますが、先生の御質問の御趣旨からしますと実は三地区にかかるようなお話のように承りますので、順を追ってお答えしたいと思います。
東山町から無償提供を受けました社宅用地といいますのは町裏地区と西本町地区の二カ所ございますけれども、西本町地区は現在独身寮として社宅を使用中でございまして、町裏地区につきましては、この利用方法については現在東山町と協議しております。
先生の最後の御質問にありました二十戸のうち五戸を除いてあいているというのは、確かに山谷という社宅用地でございますけれども、これは町から無償提供を受けたものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/100
-
101・田中暁
○田中(暁)政府委員 会社と町当局とで御相談にもなっているようでございますので、国土庁としてはその結果を見守りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/101
-
102・瓦力
○瓦委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/102
-
103・瓦力
○瓦委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
東北開発株式会社法を廃止する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/103
-
104・瓦力
○瓦委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/104
-
105・瓦力
○瓦委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、谷洋一君外四名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。木間章君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/105
-
106・木間章
○木間委員 ただいま議題となりました東北開発株式会社法を廃止する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び月本共産党・革新共同を代表して、その趣旨の御説明を申し上げます。
案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
東北開発株式会社法を廃止する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一 新たに発足する東北開発株式会社の経営の自立形態を実現するため、積極性のある事業計画を立て、東北地方の発展に寄与すること。
二 政府保有株式の売却方法の決定に当たっては、特定企業による株の買い占め等により当該株式会社の自立性が阻害されることのないよう配慮すること。
三 東北地方の開発に資するため、社会資本の一層の充実に努め、セメント産業の経営安定のための条件整備に努めること。
四 新たに発足する東北開発株式会社において、身分保障、雇用確保、労働条件の維持・向上について万全を期すること。
五 退職金制度については、それを維持するとともに、従業員にいささかも不安を生じさせないよう措置すること。
右決議する。
以上であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/106
-
107・瓦力
○瓦委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/107
-
108・瓦力
○瓦委員長 起立総員。よって、谷洋一君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。山崎国土庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/108
-
109・山崎平八郎
○山崎国務大臣 建設委員会におかれましては、本法案につきまして熱心な御審議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。
審議中におきまする委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努力いたすつもりでございます。
さらにまた、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。
ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。本当に皆様ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/109
-
110・瓦力
○瓦委員長 お諮りいたします。
―――――――――――――
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/110
-
111・瓦力
○瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/111
-
112・瓦力
○瓦委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/112
-
113・瓦力
○瓦委員長 速記を起こしてください。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/113
-
114・瓦力
○瓦委員長 次に、内閣提出、日本下水道事業団法の一部を改正する法律案及び下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野建一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/114
-
115・上野建一
○上野委員 私はまず、日本下水道事業団法の一部を改正する法律案、この問題で幾つかただしておきたいと思いますが、日本下水道事業団法によりますと、下水道事業団が設立された目的は「地方公共団体等の要請に基づき、下水道の根幹的施設の建設及び維持管理を行い、下水道に関する技術的援助を行うとともに、下水道技術者の養成並びに下水道に関する技術の開発及び実用化を図ること」こう第一条に明記されているのでありますが、今度のこの法律の改正を見ますと、実はこの下水道事業団法設立の趣旨からはみ出して、現在のところは汚泥に限定をされておりますけれども、さらに踏み込んだ形で、下水道事業そのものに入ってきている、こう言わざるを得ない内容でありますけれども、この問題は下水道法とも関連をいたしまして、これはちょっと下水道事業団が入り過ぎているんではないだろうか、いわば法の趣旨、目的から考えまして、はみ出し過ぎているんではないだろうか。特に下水道の法律によりますと、その三条に、「公共下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理は、市町村が行うものとする。」こう明確にされております。したがって、下水道の問題に関しては、やはり下水道法を中心に考えるのが妥当だろうというふうに思います。
そこで、今度出された下水道事業団法の改正、専業団が泥汚処理を行う、そのことについて、この法の建前からいっても少し疑問があるんですけれども、その点はどう考えられるか、お伺いをしたい。
きょうは特に内閣法制局から部長さんにおいでいただいていますので、内閣法制局の立場から見て、この下水道班業団法と下水道法、この中における管理というもの、私は狭義の意味の管理ということを言っているんじゃなくて、広い意味での管理なんですけれども、こういうふうに下水道事業団が実際の仕事まで立ち入るということが、一体この法の建前からいってよろしいのかどうか。どうも法律的には矛盾があるように思うけれども、そこのところもお答えいただきたい。とりあえずこの二つの点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/115
-
116・牧野徹
○牧野政府委員 下水道事業団の生い立ちと申しますか、設立目的は先生がただいまおっしゃられたとおりでございまして、私どもも、地方公共団体の支援機関として設立され、また現在もそうであろうと認識しております。
今回、広域汚泥処理事業を追加するわけでございますが、おっしゃるとおり下水道法三条によれば、公共下水道の設置、改築云々の管理は市町村が行うというふうになっております。ただ、これを受けまして、その地方公共団体の御要請を受けた上で下水汚泥の広域処理を地方公共団体に、いわば三条あるいはその他の条文に基づきます公物管理権の範囲内で、俗な言葉で言えば公共団体の公物管理権の傘のもとでといいますか、で要請を踏まえて事実行為をするものであるということで、私どもとしては、下水道法から見ても実務的に見ても問題がないのではないかというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/116
-
117・大森政輔
○大森政府委員 御質問は、今回の法改正と下水道法三条等の関係いかんということであろうかと思いますが、御承知のとおり、下水道法三条等におきましては、市町村または都道府県が下水道の管理を行う、こう規定しているわけでございますが、この規定の趣旨は、下水道の管理に関する事務をすべて市町村または都道府県が直接みずから行うべきであるということまで規定しているわけではないというふうに理解しているわけでございます。したがいまして、今回、事業団が行うこととなる汚泥の処理という事実行為としての管理、これは下水道事業者たる、管理者たる市町村の権限とは抵触しない、このように解されようかと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/117
-
118・上野建一
○上野委員 それじゃ大森部長さん、管理というのは一体どういうことなんですか。監督していればいいんでしょうか。あるいは今度の場合は、時間の関係がありますから具体的に申し上げますと、今まで地方自治体の持っておった、あるいは流域下水道とか公共下水道の持っている施設を使って仕事をやるというのじゃないのですよ。新たにつくるのですよ、自分のところで。だから、これは自治体に所有権がないのですね。下水道というのは、水を集めるところから汚水が出てくるところから全部、終わりまで下水道ですね。その中の汚泥処理の部分だと言いながら、その部分は専業団が独自の施設を持ってやるということになるわけで、そうなると管理というのは一体何のことなんだ、どうもそこのところが明確ではないじゃないですか。その点、もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/118
-
119・大森政輔
○大森政府委員 お尋ねの下水道の管理というものの中には多種多様なものがあることは御指摘のとおりでございます。ただ、今回題になっております下水処理の脱水とか焼却というその事実行為に関する限りにおきましては、やはりこれも管理と言えば管理ではございますけれども事実行為に属しますので、下水道管理者がみずから直接に行わなければならないということまで下水道法が規定しているものではないというふうに解しているわけでございます。
以上でございます・発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/119
-
120・上野建一
○上野委員 いや、そのことはわかるのです。もっとわかりやすく言ってくれないですか。それじゃ簡単に言うと、汚水処理の最初から終わりまで別のものに全部所有権があってやっていても管理になるのですか。所有権との関係はどうなんでしょう。それから、管理権というのは実態としては一体どういうことなんですか。その点を明確にしてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/120
-
121・牧野徹
○牧野政府委員 下水道法に基づきます下水道管理者の管理権の具体的内容の方については、私どもが所管でございますので申し上げます。
先ほど先生も御指摘になった三条以下で下水道管理者のことは、「設置、改築、修繕、維持その他の管理」と抽象的に書いてございますが、これをやや具体的に分けて言えば、一つは権限行使のこと、一つは事実行為と大きく二つに分かれるかと思います。
管理権の内容としては、水質の規制でございますとか監督、処分、報告徴収などの行政に関する行為というのが一つあろうかと思います。もう一つは、ただいまおただしの下水道施設の工事をするあるいは維持をやる事実行為、大きく二つに分ければそのように分かれるかと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/121
-
122・上野建一
○上野委員 管理は市町村が行わなければならないという第三条の点ですね。その三条の点については、なぜそういうことを義務づけているのか。これは流域下水道の場合も、これは県ですけれども、下水道というのは、公共下水道、流域下水道も含めてですが、一定の公的権力が行使されるわけで、これに違反すれば罰則まであるわけですね。そういう権限を持たされている。公的権力が行使されるものであり、しかも下水道に区域を決められて義務を課されるわけで、おまけにお金も取られる、それから基準に反していれば罰則も受ける、こういう形になっているだけにこれを明確にしてあるわけですね。維持、管理は市町村が行うものとする、それから流域下水道は県がこれを行う、こうなっているわけですね。そうすると、そういうものを事実行為だと言いながら、狭義の意味では管理だけじゃなくて、事実問題としても施設を全部事業団が持つわけでしょう。施設を持って、しかも監督権もいかない、そこにいる人たちも全部事業団ですから、そこに管理権が及んでないことはもう明確じゃないですか、事実問題としても。
だから法制局に聞きたいのは、管理権というのはそういうことでもいいのですか。全部離されちゃうのですよ。市町村が持っている施設を使って何かするというのじゃないのですよ。しかも、そこに監督が行って、この点はこうしなさいよとやっているわけでもない。全部自分のところで施設をつくって、汚泥をもらってそれを処理するというのですね。そうすると、これは市町村の権限、管理権を越えているじゃないですか、そのことを言っているのです。そこのところを法制局、ちょっと明確にしてくれませんか。だから、所有もしてなければ監督もないということになれば、これは管理権というのはないでしょう。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/122
-
123・大森政輔
○大森政府委員 お答え申し上げます。
今回の具体的な汚泥の処理を事業団に行わせるという形態におけるもの、これを行いましてもやはり私どもの考えでは、下水道管理権に基づく監督権限は依然として下水道管理者が保有し続けるものである、このように解されるわけでございます。したがいまして、物的施設たる汚泥処理施設の所有権等が事業団に属しましても、依然として下水道法上の問題はない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/123
-
124・上野建一
○上野委員 監督権といったって、皆監督はないのよ。委託する場合なんかは監督が行ってやるのですけれども、今度の場合はもうそこで切り離されて、事業団に全部権限が任されちゃう、移るんだから。
では、具体的にどういうふうにすれば監督になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/124
-
125・大森政輔
○大森政府委員 具体的な監督権行使の形態につきましては所管省庁からお答えいただきたいと思いますが、一応法制上の建前だけに限りましてお答えいたしますと、先ほど申しましたように、今回行わせることとされるものは事実行為にとどまるということでございます。したがいまして、下水道法上の管理権、そしてそれを構成するもろもろの行政権限は依然として下水道管理者に帰属しているということでございます。
お尋ねの点に絞ってお答えいたしますと、御承知のとおり、下水道法三十八条にいわゆる措置命令権というものがございます。この措置命令権は依然として下水道管理者に属している。したがいまして、下水道法あるいはそれに基づく命令等に違反した事態が事業団について生ずるということになりますと、下水道法に基づく監督権の発動が可能であるというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/125
-
126・上野建一
○上野委員 ちょっと何か無理にこじつけているような感じがするのですけれども、それじゃ事業団は一体この管理権というものを具体的にどういうふうに考えているのか。しかも、「公共下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理」こういうふうに下水道法第三条では明確にしてあるのですね。「設置、改築、修繕、維持その他の管理」このぐらいはっきりしているところはないのよね。一体下水道事業団では何を、要請があって、この法律の改正に従ってやるとなると、どういうふうにして監督権を持たせるのですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/126
-
127・牧野徹
○牧野政府委員 ただいまおただしの点は、例えば三条に書いてある下水道の管理、これが非常に、先ほど御説明しましたように、いろいろあるわけですが、そのうちの一部を事業団としては当該管理者である地方公共団体からの御要請を受けて、それからなおかつ補足いたしますと、要請でやってくれと言われた後は、事業団が全く勝手に自分の考えでやるということではなくて、その御要請された当該地方公共団体との間で施設のつくり方、工事の内容あるいはそれ以後供用開始しました管理のあり方等についても事細かに、御要請をされた地方公共団体と例えば協定書を結んで実行行為、事実行為を円滑に推進していく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/127
-
128・上野建一
○上野委員 もうちょっと聞いたことを具体的に答えてください。
だから、そうすると、例えば要請というけれども、要請というのはどういう形でやるのですか。これは法律を見ますと条例でやらなければならぬようにも受け取れる条文がありますが、一体要請というのはいかなる形でやるのか。
それから、事業団が引き受けてからは、したがってこの管理監督というのはどういうふうにしてやるのかということなんです。しかもこれは自治体がいっぱいあるのですよ。二つ以上だから最低でも二つ、多ければ十も幾つもなりますね。そういうところの監督が、例えば職員が派遣をされる、その職員の派遣団か何かつくるのですか。それで、それぞれの監督のいろいろな内容が入ってきますね。これは事業団としてどう受けとめるのですか。それぞれの自治体のいろいろな要望もあるでしょうし、こうしろああしろということも出てくるでしょう。それが一つじゃなくていっぱいあった場合に一体どうするのか。
それから、自治体の要請というのは少なくとも議会の議決が必要だろうと私は思うのですけれども、その点まで考えているのかどうか。
それから三つ目は、大体この事業団ができた事情というのは、下水道が各自治体、公共団体でやっているについては、急激に下水道が普及していろいろな施設をつくらなければならぬ、そういうことから技術者が足りないあるいはいろいろなその他の援助をしなければならぬ、こういう意味でそれを援助するために暫定的にできたものだろうと私は思うのです。したがって、この事業団の法律には技術的指導というのがあるのです。それでやはり技術者を養成することがこの条文の中にちゃんとあるのですね。援助し養成するということは、これは自治体に返すことだろうと思うのです、その技術あるいは援助を。
ところが今度の法律の改正を見ると、そういう今まで蓄積されてきた事業団の仕事が事業団独自のものとして今度は確保されて、地方自治体の権限の仕事の粋の中まで入っていって、簡単に言うなら仕事をとっちゃう、そういう形になるのじゃないか。これは事実上そうなりますよ。本来、下水道事業ぐらい地方自治体でやれないなんてはかなことはないのです。やれない原因は何かということを建設省が考えて、できないとすれば、今みたいな技術的な点を事業団でやってきた、建設までやってきた。そうなれば、今度は金が足りなければ金を出すというような形も含めてこれはやらなければいかぬはずなんですよ。
ところが、そういうものは抜きにされて、下水道事業そのものがどんどん後退する中で、実は事業団が大きくなっていく、こんなやり方というのは、どう考えてもこれは地方自治法からいってもおかしいですよ。本家本元の方がだんだん景気が悪くなってきたら事業団が太くなるというのは、まあ例え話ですから少し乱暴に申し上げますが、どうも納得いかない。そこに事業団は一体何だ、これは建設省の天下りのための事業団なのか、こういう疑問も出てくる可能性がある。そういう意味で、その三つの点について答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/128
-
129・牧野徹
○牧野政府委員 まず事業団についての基本的認識でございますが、先生おっしゃいますとおり、下水道事業が盛んになるにつれて、技術者が必ずしも十分いない。かつ、そこで下水道事業が終われば、その限りにおいては、建設なら建設の限りにおいてはもう余り要らなくなる。そこで公共団体の下水道事業を強力に支援するために技術者をプールしようというふうな発想で事業団が発足したことは御指摘のとおりでございます。
ただ、その後下水道事業がますます公害国会等を境にして、まあおかげさまでその時点は幸せなことにどんどん予算も伸ばしていただきました。で、そういうことに基づいてどんどん多くの地方公共団体で工事が行われるにつれまして、建設等を下水道事業団にお願いしたいという声が強まって、技術者のプールということがございましたが、次に建設も頼みたいということになっていったかと思います。
その次に、いよいよ最近になりまして、特に、まだまだ低いとはいえ、大都市等では下水道の普及率は相対的に言えばおかげさまで上がってまいりました。それに伴って必然的に、釈迦に説法でございますが、下水汚泥というものが発生します。その処理費用の増大とかあるいは処分地を見つけることの困難性のゆえに、特に近畿の沿岸で強い御要請があって、このたび下水道事業団に汚泥の広域処理事業という、あくまでも事実行為の集合体でございますが、そういうものをさせてほしいという強い御要請もあり、私どもとしてもそれを受けとめたというふうに考えております。
さてそこで、要請というのは具体的に何をするのかというお話でございますが、細部の詰めは、これからもし法律をお認めいただければ決まっていく点もあろうかと思いますが、現段階では、私どもはやはり下水道管理者としての公共団体から要請されるわけで、その際の明らかにされるべき事項としては二つあろうかと思います。
一つは、下水汚泥等の形は、自分が水処理まで行っているわけですから、どの程度のやわらかさといいますか形状、それから量でございますね、事業団に頼む場合。それからもう一つは、その処理を開始してもらいたいという時期。この二つが要請の中身としては大事なことではないか。その他にもあるかもしれませんが、それはおいおい詰めていきたい。根幹はその点ではないかと思います。
さらに、おただしの第三点の議会の議決の点でございますが、このたび事業団がつくる施設というものは、あくまでもこれは先生おっしゃいますとおり下水道法上の施設でありまして、地方公共団体の下水道管理権のもとにあるものでございますから、そのことについての変更等はもちろんないわけでございますから、法律上としては新たな議決案件とする必要はないものと考えております。ただ、そう申し上げましても、実際に関係地方公共団体が下水道事業団に御要請をされるに際しましては、実際上議会の意思と調整を図ることは望ましいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/129
-
130・上野建一
○上野委員 どうも、法律があっても、何か法律がだんだん拡大解釈されてずるずるいくような気がするのです。
それから監督権の問題、答弁していないですよ。具体的に管理権というのはどういうのか、その点をひとつあれなんですけれども、こういう問題が起こってきた原因を考えますと、これは大臣に答弁いただきたいのですが、大臣、これはやはり下水道事業の後退なんですよ。後退からきているのです。それで地方自治体が、なかなか政府は金も出してくれない、貸してもくれない、補助金もちびちびなものですから、こういう事態になるのだろうと思うのです。
現に、五十年代の初めにはその五カ年計画を決めて、そして、五十年代の半ばに達すれば四〇%の普及率までこぎつけられるという計画を立てたのですね。ところがまだ三四%、今年度終わりで三六%でしょう。だから、五十年代半ばのやつがまだ目標に達していないわけです。下水道事業というのはこれだけ後退しているのです。しかも、大臣の宮崎県なんかは一二%の普及率です。下水道普及率が悪いから特に建設大臣に選ばれたのかもしれませんが、そこはよくわかりませんが、いずれにせよ一二%、もしこの二%を加えても今年度末で一四%ですよ。これは非常に低い。おまけに、和歌山県なんというのは二%となっている、わずか二%。普及率の高いところでもまだ五〇%に達していないのです。こういうことを考えますと、下水道事業の立ちおくれからこういう事業団みたいなのが当初の目的から逸脱して出てくる、こういうことになるだろうと思うのですね。
そこで、建設省はいろいろなことを言うのですけれども、建設省の考え方もどんどん変わってきているのですよ。これは一昨年も私はちょっと取り上げたことがあるのですが、五十五年当時の下水道企画課の橋本さんというのが「水道公論」に論文を寄せて、下水道の施設の管理についてるる述べているのですね。これは当時の建設省の考え方だったと思うのですよ。本人だけの責任だなんて言ってはいけませんよ。堂々と出しているのですよ。もし建設省の意見と違うなら、この人はこの当時処分か何か受けているはずですよ。本来訓告ぐらいは受けているはずですね。そういうことは事実ないようですから、これは当時の考え方でしょう。
ここでは、公権力を及ぼすしとその他を考えて、委託にはおのずから限度があると言っているのですよ。そして、これは暫定的に現実的措置として行うべきであって、これを長期化してはいかぬのだ、しかも、下水道法の趣旨にのっとって管理者はみずから仕事を行うのが原則だ、そう明確にしてあるのです。これは私が言うのじゃなくて、あなたのところの先輩が言っているのですよ。そのことから考えましても、これはもう趣旨とも反するし、おかしい。五十五年というと、そろそろ下水道事業が後退してきた時期でもありますけれども、そのことを明確にしています。それから、「下水道法上は、条例の制定を必要とするような範囲にまで至る「管理委託」は許されない、」こう言っているのですね。ここまで明確にしております。
実は、こういう建設省の考え方があるから、それに従って地方自治体は営々として下水道事業に携わってきているし、そういう方向で進んできているわけです。ところが、ここに来てこの事業団のような形が出てくるということになると、これは大変なことじゃないのか、いわゆる地方自治権との関連でははみ出してしまうのじゃないだろうか、こう思うわけです。
そこで大臣に。申し上げたように、まず、なぜ基本的なこの下水道事業を後退させていくのか。しかも、今度の来年度からの下水道五カ年計画によると、確かに総額は十二兆二千億円を組んでいる、前の五カ年計画よりは金額において多い。ところが、現在までの五カ年計画は計画どおり行われていない、なぜ行われなかったのか。それから、行われないのになぜ今度はそれを上回る金の十二兆二千億になっているのか。
しかも、今年度までの五カ年計画にも調整費が入っているけれども、この調整費が使われていないのです。使われていないのに、今度、来年度からの調整費が二兆二千二百億も入っているのですよ。五千億の四倍強ですよ。使われないものがまた再び、しかも四倍になって出てきているということ。(「上げ底」と呼ぶ者あり)だから、今言った上げ底だ、見せかけだ、使わないのが調整費だ。何か三年後に見直すとか検討するとか言っているけれども、それは言葉だけで、検討して悪くなる場合だってあるのですから、さらに後退する場合もあるのです。見直しといったって、見直してよくなるとは限らないのですよ。だから、それをごまかされないようにしなければならぬと私どもは思っています。
そこで、そういう後退と、先ほど挙げたように、大臣の宮崎県なんかは特にひどい、こういうことから考えましても、この調整費は今度の五カ年計画ではどうしても使う必要があるのです。したがって、そういうことを具体的に大臣はどういうふうに考え、この調整費を使うためにどのような努力を大臣の任期中にやられるつもりかお伺いしたい。
それから問題は、総額十二兆二千億から調整費を外してでもいいのですけれども、単純に五等分してみたのですよ。調整費を入れるとなおさら大きくなるのですが、実は一七%ですね。本当なら二〇%なければ五分の一にならぬでしょう。これは単純計算ですけれども、大体、前の五カ年計画も毎年削られているのですね。計画で五分の一になっていないのです。したがって全体としてはおくれた、こうなるわけです。今度も、初年度からもう計画がこういうふうになっていない、こういうことですから、そこら辺を含めて、大臣、これは我々に審議しろというふうに出してきたわけなんですけれども、もう出発から約束というか考え方が違う、計画どおりやるとかなんかというのは最初から約束になっていない。それなら五カ年計画なんかやめてしまったらいいじゃないかという極端な考えも出てくるわけですけれども、そこら辺の考え方、大臣の決意、そこのところをお伺いしたい。それから、そういう最悪の事態になって出てきたのが事業団ということで、私どもはこの事業団について多くの疑問を持っていますが、その点については大臣はどうお考えがお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/130
-
131・江藤隆美
○江藤国務大臣 いろいろ御意見をいただきましたが、昭和三十八年に第一次の計画がスタートいたしまして、そのときが四千四百億であります。今回の五カ年計画では十二兆二千億になるわけですから、これは、公害国会等を通じて国会の論議を深めていただいて、ここまで下水道事業というのは大きく国の政治の上にその地位を占めみようになったということは、私は、大変結構なことだと思っておるのです。
特に、よく言われますが、防衛の五カ年計画がスタートしますが、これが十八兆四千億であります。それに比べて下水道が十二兆二千億でありますから、まずまずのところまでは来た。しかし、やっと前の五カ年計画が七一%そこそこの達成率でありますから、非常におくれたではないかという御批判は、私どももそれは甘んじて受けなければならないと思います。
したがいまして、これから先十二兆二千億の中の二兆二千二百億といういわゆる調整費を一体どうするんだ、これをただ見せかけの上げ底にしておったのでは意味がないではないか、これはまさにそのとおりでありまして、今日までこの調整費が事業費に組み入れられた形跡がありませんけれども、これから先は、私どもも何としても五カ年計画を達成して、少なくとも五〇%近い、四六%は達成したいという目標を掲げてきたことでもありますし、また、公共事業にこれほど各界各層から、なかんずく国会からも極めて強い応援をいただいていることでありますから、ただこういうものを表に出したというだけではなくて、事業費に組み入れられるように努力をしなければならない、これはかたく決意をいたしておるところであります。
それから伸び率の、初年度からだめではないかというお話でありますが、五等分するとそういうことにもなろうかと思いますが、また来年は頑張ってその上に伸び率を上乗せしていきますから、五カ年計画では達成するようにしたいと思います。
私の宮崎が大変おくれておるということでお恥ずかしい話でありますが、ついこの前までは下水道に入れませんで実は畑に持っていっておりまして、近ごろやっと下水道で処理をするようになりました。今回の事業団でやるといいますのも、兵庫県で実は最初やろうということに今回なるわけでありますけれども、やはり千五百億もかかっていくということになりますと、一市町村ではなかなか処理がしにくい。汚泥の処理というのはみんながあごを出しておるわけでありまして、私も聞いてみましたら、関東でもどこか、茨城県の向こうに持っていったり、よその県のとてつもない遠いところにタンクローリーで持っていったり、船で持っていったり、いろいろなことを苦心惨たんしておるようであります。
これからもっと下水道が普及していきますと、この汚泥処理というのはますますもって一市町村の自治団体では処理ができない、まとめて大がかりにやらざるを得ないというところから、資金もかかる、技術もかかる、それから大がかりにやらなければいかぬ、もろもろのことから、事業団が地方自治団体の要請に基づいてその事業をやろうということでありまして、独自に店開きしまして、おい、こっちやってこい、やってこいという筋合いのものではありません。したがいまして、今後、地方自治団体ともよく連絡調整を密にしながら、ただいま御意見のありましたような御心配がいささかも起こらないように私どもは取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/131
-
132・上野建一
○上野委員 そこで、この関連において自治省の石田準公営企業室長さんにお伺いしたいのですけれども、地方自治法も関連をいたしますが、今までのいろいろありました答弁との関連で、地方自治体はいわば管理者、市長とか知事とかとなるのでしょうけれども、そこら辺の要請ということなんですが、その要請の中身としては自治省としてどう考えておられるのか。私は少なくとも議会の議決は最低必要だと思われますけれども、そういうことのお考えは自治省はどうなのか。
それから、地方自治法の中での関連もありますが、地方自治法では施設の管理は非常に厳しく言っておりますが、特別の場合を除いては地方自治体の財産をほかに管理させるについては一定の条件をつけていますけれども、ここら辺との関連はこの事業団法のやり方でいいのか。所有権もないし、それから実際の仕事もやらない、そこで管理権ということになるけれども、その場合には一体どのような形でやれば地方自治体は任務を全うできるのか、この点を自治省にお伺いしたい。
それから、きょうは環境庁からもおいでいただいていますので環境庁にお伺いしたいのですが、どうもこの事業団のやり方を聞きますと、大体海の埋め立てをやろうという考えのようですけれども、海の埋め立てをさらにいろいろやらせるような形がこれ以上許されるのかどうか。例えば瀬戸内それから東京湾、こういうどころについての、フェニックス計画とも関連をいたしますが、これ以上汚泥の処理したもの、そういうものを埋め立てその他でやるゆとりといいますか、そういうものがあるのかどうか。それからさらに、そういうものが海の埋め立てになって問題はないのかどうか、そこのところをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/132
-
133・石田淳
○石田説明員 お答えいたします。
まず第一点でございますが、要請を待って事業団が行うということになっておりますので、地方団体の要請を待って行われるわけでございますので、地方団体と施設の規模とか管理方法に基づいて十分協議がなされるということが前提であると我々は考えておりまして、先ほど御指摘になったように、この要請について議会の議決が必要かどうかということでございますが、我々は、事実上そういうふうに施設規模、管理について十分事前に協議をすれば足りる、したがいまして議会の議決は必要がないと考えております。
それから第二点の自治法との関係でございますが、自治法では、公の施設の場合には二百四十四条の二で管理の委託について規定がございますが、これにつきましては、この場合は管理の委託というものではなくて、先ほどから建設省からもいろいろ答弁がございましたように事実行為の委託でございますので、我々は、これは事業団法に認められた要請という行為によって、事業団が広域汚泥処理施設をやるという行為である、かように考えておりまして、自治法上の規定とは抵触しない、かように考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/133
-
134・藤原正弘
○藤原説明員 海の埋め立てについてこれ以上やって問題がないかどうかというお問いでございますのですが、この埋め立てがどこでなされるか、その辺の海の汚れの状況がどうであるか等々まだわからない状況でございまして、この計画が明らかになった段階で適切な環境影響評価が行われ、その影響評価の結果を見まして、十分適切に実施されるように環境庁としましては努めてまいりたいと思います。
なお、フェニックス計画につきましてもおただしでございましたのですが、この件につきましては所管が厚生省、運輸省の方になっておりますので、そちらの方から御答弁があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/134
-
135・上野建一
○上野委員 じゃ環境庁、せっかくの機会ですので、実は東京湾の場合のことをちょっとお聞きしたいと思うのです。
東京湾の汚れの大きな原因というのは、生活排水、いわゆる下水道の立ちおくれの問題と、それから工場排水、これも直接、浄化をしたことになって流れているのがあるわけですけれども、そこら辺の関連というのは原因としてどの程度考えたらいいのか。最近は特に下水道の立ちおくれから来ている点が多いと思いますが、それをお伺いしたい。
特に、その東京湾の汚れとの関連で昨年は青潮が発生している。この青潮の発生でアサリが全滅をいたしております。これは船橋沖中心ですけれども、しかしこれは関東における大部分のアサリの供給を断ったことになりまして、アサリが当時暴騰したのを覚えておりますが、この青潮の発生の原因というのは一体何なのか。そして、これはことしの場合も発生の可能性があると思うのですけれども、そこら辺については環境庁はどういう方針を立ててこれを防止されようとしておるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
なお下水道、最後にもうちょっとお聞きしたいのは、この事業を事業団法に基づいてやるということになりますと、非常に施設が膨大なものになって、一括まとめて面倒を見るやり方がいいんだ、こう言っておりますけれども、逆に施設が膨大になることによって経費がむだな点も多く出てくるのじゃないだろうか。
それから設置場所によっては、そこで出たさらに汚ない水を処理場に返さなければならぬ。その管の長さなども考えますと、これは終末処理場の近辺に汚泥処理のところをつくらなければどうにもならぬようですけれども、そこら辺のむだの問題はどうなるのか。
それからお金の問題ですけれども、結局この事業団は非常に手前勝手というか、うまくできていると思うのは、かかった費用を計算して、実際問題としてはそれを費用として各自治体に割り当てる形ですね。だから事業団は全然損しないようにできているわけです。だからそういうやり方で果たして経費の節約というのは一体できるのだろうか、こう思うのですが、その点があります。
それからもう一つ。事業団は全部自分のところでやらないだろうと思うのですね。事業団が地方自治体から委託を受けた形になっていますけれども、さらにそれを委託する、さらにまたそれを委託するということになって委託業者を次々とつくり出していく。そしてそれは極めて低賃金でそこに働く人たちは働かざるを得ないという現状が事実問題としてあります、今地方自治体のもとにはありますが、そういうことにならないかどうか。その事業団の仕事をさらに委託するなんということはおかしいと思うのだけれども、それまでやるのか、どこまでやるのかということを最後に答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/135
-
136・藤原正弘
○藤原説明員 まず海の汚濁の状況につきまして答弁させていただきます。
東京湾の水質の状況は長期的に見ますと改善してきております。有機汚濁の代表的な指標でありますCODの濃度は四十九年度三・九ppm、平均でございますが、このぐらいございまして、五十九年度は三・四ppmというふうに減少してきておるわけでございますが、環境基準の達成率で見てみますとまだ低いわけでございます。全国平均が八一%の達成率でありますのに、東京湾は六一%の状況でございます。
また先生御指摘のように、青潮の発生によるアサリのへい死等の漁業被害も生じておりますし、赤潮の発生も見られるわけでございます。
この青潮とか赤潮の発生の原因でございますが、青潮といいますのは、夏場におきまして海の底層において貧酸素水塊が形成されまして、それが風等によりまして上層に上昇してまいります。そして青い色または白濁色を呈するような現象でございます。貧酸素水塊の発生原因は底層に蓄積されております有機物が分解する際に酸素を消費することが原因でございます。
赤潮はプランクトンが異常に増殖しまして海水が赤い色や黄褐色などに変色する現象を言うわけでございまして、その原因としましては、陸域からの窒素、燐等の栄養塩類が流入することが考えられるわけでございます。
青潮や赤潮の発生を防止するためには、基本的には陸域からの汚濁物質の流入を削減していくことが重要でございます。その意味から私どもは生活系の汚濁負荷量、産業系の汚濁負荷量ともに削減していくべく所要の施策を講じておるところでございます。東京湾の汚濁負荷の割合は、生活系の汚濁負荷量が約七割、産業系が約二割を占めておりまして、生活系の汚濁負荷のウエートが高いわけでございます。
そういうことから考えますと、今後排水規制の強化等産業系の対策も進めてまいりますが、下水道の整備の促進を図ることが極めて重要であると考えておりまして、環境庁としましては、これまでも閣議の場などにおきまして関係省庁に対しまして要請をしてきておるところでございますが、今後とも建設省と連絡を密にいたしまして東京湾地域におきます下水道整備の促進に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/136
-
137・中本至
○中本説明員 お答え申し上げます。
先生のおっしゃる大きくなるから高くなるのではないかという御指摘でございますけれども、私どもいろいろ仮定をしながら計算をしております。まだ要請が出ておりませんので確実などことどこの町ということは計算上の対象になりませんけれども、兵庫県の東部あたりが要望として出ておりますので、そういうところの計算をしております。
この広域処理事業を行うことは、まずそのスケールメリット、これは御承知のように、この下水道といいますのは各市町村がいろいろ普及がばらばらに出てまいります。したがいまして汚泥がいろいろ大きく出る町あるいは小さく出る町等ございますけれども、それをこの事業団でやります下水汚泥広域処理事業によりましてスケールメリットを考えた施設をつくっておりますと、いつでも汚泥を持ってきなさいということから処理費用が軽減できると考えておる次第でございます。
それから、それならどのぐらいメリットがあるかということでございますけれども、これは私どもで今さっき申しましたような仮定で計算いたしますと、建設費あるいは維持管理費ともおおむね一〇%から二〇%程度軽減されると見込んでおります。
それから自治体が高い料金を押しつけられるというような問題でございますけれども、事業団は二つ以上の地方公共団体の要請に応じて行うものでございますから、その事業計画の作成に当たりましては関係地方公共団体と十分な協議調整を行った上でこの事業に着手するということとなります。また、この事業の実施に当たりましては各工期に細かく分けながら新しい工期に入るたびごとにこの事業の内容を常時見直しながら事業を実施していくという予定でございますので、事業団の事業が決して高い料金を押しつけるということではないと思うわけでございます。
最後に、事業団がこり事業を行う場合に、直営でやるのかあるいは下請をどうするのかということでございますけれども、この事業の実施に当たりましては、反復継続する単純な作業等につきましては民間業者に委託することが考えられます。しかしながら運転計画の作成を初め重要な作業につきましては事業団の直営で行うことを予定しております。
最後の労働者の低賃金でございますけれども、民間に委託する場合の委託料については労働市場における適切な賃金を反映した額で算定することとしておりますので、そのような心配はないと確信しております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/137
-
138・上野建一
○上野委員 もう一つ答弁漏れがあるのです。さっきの管理と具体的な監督の関係はどういうようなことか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/138
-
139・牧野徹
○牧野政府委員 先生おただしの点は、行政上の監督権、これはもう法律上明快に地方公共団体ですから、あと要請した、それから工事なり管理については要請した地方公共団体と受けた下水道事業団の間で協定を結びます。その中で個別に具体的に要請した方の公共団体はあくまでも下水道管理者の地位は保持しておるわけでございますから、必要なやり方を決めていくことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/139
-
140・上野建一
○上野委員 時間が参りましたのであとは木間理事の方にバトンタッチをいたしまして、なお高い次元からいろいろ解明していただきたい、こう思います。
ただ、私が最後に申し上げたいのは、一つありますのは、やはりこれは地方自治との関係ではどう考えても出過ぎているというふうに思うのです。しかも、議会の議決を求めない、どうも要請というのを極めて簡単に考えているようでありますし、それから、この下水道法その他の法律にある管理権、具体的な監督管理の行使についても明確じゃない、こういう点がございますので、この辺はなおさらに木間理事の方から話があると思いますが、いずれにいたしましてもそういう自治権を侵害する疑いが持たれないようなものにしなければならぬじゃないか、こういうことを申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/140
-
141・瓦力
○瓦委員長 木間章君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/141
-
142・木間章
○木間委員 引き続いて下水道二法で、与えられた時間の範囲内でただしたいと思います。
〔委員長退席、野中委員長代理着席〕
先ほど大臣の方から十二兆二千億円に対する決意もありました。特に大臣にお願いをしておきたいと思いますが、この上げ底分の調整費につきましては、国土総合開発事業調整費の省略であって、公共事業の実施に当たっては他省庁所管の公共事業と進度を合わせなければ十分な効果が発揮できない場合、進度の不均衡を調整する費用で国土庁が所管をしておる。国土庁長官をここへお呼びすればよかったのでありますけれども、私の不注意でお呼びをしておりません。大臣の決意もありましたように、しかとお隣の長官にこの旨を要請いただきまして、このおくれております、先進国並みに直ちにはいきませんけれども、我が国も先進国だと言いながらも下水道整備率は三六%でありますから、ぜひヨーロッパ並みの九〇%に一年も早く到達するようにしかと要請をしておきたいと思うのであります。
それで、五カ年計画でいま少しお願いをしたいと思いますが、普及率をただ上げようと思えば、大都市を中心にすればそれなりに上がっていくと思います。歳月は余りかからないと思います。問題は、中小都市対策、農村部対策をどうするかがこれから求められていくのじゃなかろうか、こう思っております。ところが、これらの地域で本事業をやろう、このようにいたしますと、建設費にいたしましても、維持管理費用にいたしましてもあるいは技術面にいたしましても、大変負担が重くのしかかってくるわけであります。したがいまして、今日中小都市でも農村部でも、下水道事業はやりたい、こう考えておいででしょうけれども、人口密度あるいは財政力等々で大変至難な技だ、それが今日の普及率の実態になってあらわれてきておるだろう、私はこう考えるわけであります。
そうなりますと、二十一世紀に向けてお互いに生活環境の整った中で暮らしをやっていくというためには、やはりこれら中小都市についても何らかの手だてをしなければならないわけであります。したがいまして、大都市でおやりになってきたような補助率その他では到底困難ではないだろうか、こう考えるものでありまして、そういった点では中小都市対策あるいは農村対策にいま一つ補助率の見直しをすべきではないだろうかと考えますが、局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/142
-
143・牧野徹
○牧野政府委員 先生御指摘のとおり、下水道を整備するということは、言ってみればナショナルミニマムと申しますか、どこの地域の方でもこれは必要なものでございます。でございますから、私どもは、大都市のみならず地方の中小都市あるいは農山漁村においてもぜひ整備を進めてまいりたいと思っております。
ただ、お話にございましたように、現実の整備水準を見ますと、大都市の普及率が相対的には非常に高こうございます。地方、なかんずく町村部は例えば一けた台と低い状況にございます。そこで、こういう低い地方都市あるいは農村部の整備率をぜひ上げていきたいわけでございますが、中には財政力が非常に脆弱というふうな面も御指摘のとおりございます。そこで、このたびお願いしております第六次の五カ年計画におきましてはいろいろ工夫をさせていただいておるつもりでございます。
一つは市町村の、特に町村でございますが、公共下水道整備をされる場合に管渠の補助対象の範囲を拡大したいと考えております。ただいま先生が補助率とおっしゃいましたが、これは後ほどおただしあるのかもしれませんが、補助率そのものは他事業と比べても遜色ないと思っていますが、御案内のように補助対象に入れる補助対象範囲というものがございますから、この点につきましては特に町村等について、もちろん一般市も若干いたしますが、範囲を広げてまいりたい。
それからもう一つは、計画人口が千人以下の地区を対象とする簡易な公共下水道事業というものも新しいやり方、メニューとして新しい五カ年計画では御提案を申し上げております。
こういうことと両々相まってぜひ地方の下水道普及率も上げたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/143
-
144・木間章
○木間委員 補助率かあるいは補助単価かはいろいろあろうと思いますが、私は、思い切った手法をやらない限りはなかなか、困難性が前に立ちはだかっておるのじゃないだろうか、こう考えますので、これからもいろいろ御工夫をいただきたいと思っております。
事業団法に入らせていただきますが、事業団は発足以来、例えば職員を積極的に養成するとかあるいはそういったことを通じて下水道普及に努力をされてきた、このことについては敬意を表するのであります。ところが、先ほども同僚議員が申し上げましたけれども、本来、下水道設置者がやらなければならない分野にいよいよ踏み込もう、このようにこの法案は物語っておるのであります。地方自治法第二条では、それぞれ県がやらなければならない仕事あるいは市町村が担当する仕事、さらに国の仕事を列記しておるのであります。つまり、下水道事業は地方自治体存立目的に従った固有の事務であろう、このように実は法では明記されておるのでありまして、何人といえども侵してはならない事務、事業であります。
また同時に、下水道事業は入り口から出口までといいましょうか、つまり、計画段階から設計へあるいは施工へ、そして処理、処分と、一貫してつながっておるものでありまして、今回、一部改正の措置とはいうけれども、自治体からそれらの事業を少しずつむしり取っていくのじゃなかろうか、私はそういう懸念をより強くしておるところであります。ですから、自治省も来ておいでると思いますが、この地方自治法の趣旨にのっとりますと、この法案そのものが自治権の侵害じゃないか、こうさえ考えるものでありますが、自治省の御見解をただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/144
-
145・石田淳
○石田説明員 お答えします。
今回の下水道事業団法の改正は、下水道事業のうち汚泥等の処理という事実行為を地方団体の要請を待って下水道事業団に行わせるというものでございます。先ほどからも答弁がありましたように、実際の事業の実施に当たりましても、その施設規模とか、実際のどのように管理するかという具体的内容等について十分地方団体と協議がなされるというふうに理解しておりますので、我々としては、地方自治法上問題はない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/145
-
146・木間章
○木間委員 自治体の要請を受けてと、確かに法文もそのような書き方になっておりますが、この例は当たっておるかどうかわかりませんけれども、例えば小中学校の寄附の問題がかねてから論議を呼んできたところであります。善意な寄附であるから受けるんだとおっしゃりながら、実際は現場では実力者、有力者などなどが寄附行為をむしろあおり立てている嫌いがあるわけでありますから、ぜひこの自主的な判断は守ってもらいたい、そうしなかったらいけない、このことをこの機会に申し上げておきたいと思っております。
それから、今自治体が大変努力をされておりますこの種の事業は、特に産業廃棄物などなどは、人口や産業の集中しておるところに実は集まっております。したがいまして、その施工に当たっては発生源対策の強化や中間処理による減量化、二次公害の防止、さらには自然の生態系に調和する還元を基調としたいわゆるリサイクル思想を立てながら、トータルとしてこれらを進めてきておるのであります。
今、下水道事業団が財政投融資資金を利用して生汚泥を広域的に収集、処理をしようとするわけでありますが、こういった一連の中で、事業団と自治体の役割分担、あるいはそういった行政事業の一端を担っていこうということでありますが、行政責任の明確化が一顧だにされていないのであります。したがいまして、私は、本来この種の法案にはそれらを明記すべきじゃなかったのか、こう感ずるものでありますが、いつ、どの段階でこれらをされようとするのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/146
-
147・牧野徹
○牧野政府委員 今回、追加いたします業務は、先ほどから申し上げておりますように、あくまでも地方公共団体の御要請を待って、かつ固有の下水道管理権の範囲内で行うものでございます。
おっしゃいましたようなことは、法制上の手当ては行う必要はないと思いますが、そのような問題はやはり大事でございますから、実際上から申し上げますと、円滑かつ適正にこの事業を行うためには地方公共団体と事業団が十分協議をする、そういう場の中で大いに議論を詰めていく、そういうことによって遺憾なきを期したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/147
-
148・木間章
○木間委員 局長さん、委託の段階で十分協議をする、そうおっしゃっておいでますが、その委託を受けた後に事業団の内部事情等々によって変化をするような場合に、一体それらも保証されておるのかどうか、このこともひとつお尋ねをしておかなければいかぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/148
-
149・牧野徹
○牧野政府委員 当然、一遍地方公共団体が要請をしたら、後は日本下水道事業団が、悪い言葉ですがいわば勝手にやるなんということはございませんで、いろいろ工程上のこともございましょうし資金上のこともございましょうが、変更の場合は、当然変更の御協議というふうなことが協定書に細かく盛られることになろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/149
-
150・木間章
○木間委員 そうしますと、具体的には事前協議制を協定の中できっぱりと盛り込んでいく、こういうことに解していいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/150
-
151・牧野徹
○牧野政府委員 事前協議制というふうにかたく言うのかどうかわかりませんけれども、当然最初に頼んだことの実効を担保するということと、それが変更になるについては、それなりに必要な手続を協定書で明らかにしていくことになろうというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/151
-
152・木間章
○木間委員 繰り返して大変恐縮でございますけれども、委託をした公共団体も出資をするわけでありますから、十分そこへ入っておるよ、そういうことであってはいかぬと思いますから、そのことを要請をしておきたいと思います。
それからいま一点、今日の自治体行政の中で、職員の皆さんが大変苦労をしながら努力をされております。当然のことながら、汚泥の処理やあるいは処分についても、地域住民の皆さんと十分にコンセンサスを得ながら今日やっておるところでありまして、私は、そういった点では、実務に携わっておいでる第一線の職員こそ豊かな経験をお持ちだろう、こう思っております。
ところが、この事業団法改正に当たりまして、それらの職員団体との意見交換等々が行われておりません。五十年度の、センターから事業団に変わったときには十分建設省としても対応されておるところでありますが、今後ともそれらの職員あるいは職員団体と十分に話し合っていただけるお気持ちをお持ちかどうか、この点をただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/152
-
153・牧野徹
○牧野政府委員 関係労働団体の意見の反映についてのおただしでございますが、これは、事業団に御要請になるのは地方公共団体そのものでございますから、当然その地方公共団体の中で十分に調整が図られるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/153
-
154・木間章
○木間委員 それから、事業団がいよいよ財政投融資制度を導入をしてやろう、こういう段階まで来たわけでありますが、私は、先ほどからの論議を聞いておりまして一種の不安を感ずるわけであります。
つまり、当初は技術職員の養成なりあるいは現地での指導程度にとどまっておったのでありますが、今日、このような自治体事業分野にまで入ろう、こういうことになってきますと、最終的にはひさしを貸して母屋がとられるのじゃないだろうかという危惧を持つわけであります。ですから、事業を拡大させないということをぜひここで明言してもらいたいと思いますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/154
-
155・牧野徹
○牧野政府委員 このたびの事業は、経緯的に申し上げますと、下水道の処理を行っている地方公共団体の方からの非常に強い御要請を受けたわけでございますから、今回の業務を追加したら、後どんどん何か新しいことを追加されるのではないかというおただしかと思いますが、私どもとしては、今回御審議をいただいておりますもの以外には、今のところ業務をどんどん追加するという予定はございません。
それから、先生のお話のとおり、下水道事業団は、そもそも発足のときの基本的な性格が地方公共団体への支援機関という性格で、これは今後とも変わるものではございませんから、それが自己肥大をするとか、あるいはどんどんひとり歩きをして勝手なことをするということには絶対にならない、させないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/155
-
156・木間章
○木間委員 事業団は、今度の汚泥委託を前提にして流域下水道の下流に人工島をつくろう、つまりACE計画があるやに承るわけであります。
そこで、フェニックス計画との関係で若干お尋ねをしておきたいと思いますが、大阪湾圏域のこのフェニックス計画は当初八百ヘクタールであった、昨年十二月認可の段階では三百十六ヘクタールに落とされておるのであります。それで、風聞、風の便りに聞くところによりますと、今事業団がお考えになっております損保川流域周辺も当初のフェニックス計画の中へ入る意思は十分持っておいでた、このようなことも聞くわけでありますが、このフェニックス参加からどうして姫路市あたりが抜けたのか、このことをまず明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/156
-
157・藤森研一
○藤森説明員 先生お尋ねの姫路市及びその周辺地域がフェニックス計画からどうして落ちたのかということでございますけれども、お答えいたします。
姫路地域につきましては、五十七年一月に指定されました広域処理対象区域には含まれております。その後五十九年三月の姫路港の港湾計画の改定に際しまして関係者、地元関係者、港湾管理者並びに関係清掃部局でございますけれども、その間で協議、調整をしました結果、当該地域の廃棄物は、おおむね昭和七十年ごろまでは現在処分を行っております姫路港の網干地区で受け入れることができることとなりましたので、そういうことからセンターの基本計画では受け入れ対象区域から外したわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/157
-
158・木間章
○木間委員 つまり姫路市を含む揖保川流域は昭和七十年ごろまでは何とか収容能力がある、こういう判断であった。ところが今度の事業団法の一部改正の理由は、その処分地が大変困るから、かねがね要請を受けてこれらの立法の準備をしたのだ、こういう流れになっておると私は判断をせざるを得ないのでありますが、都市局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/158
-
159・牧野徹
○牧野政府委員 具体の数量の点はまた必要があれば下水道部長の方からもお答えをしたいと思いますが、いわゆるフェニックス計画と、私どもが今回お願いしております下水道汚泥の広域処理事業は、そもそも目的が違うというふうに思います。しかし、細かい説明は省略いたしまして御質問の点に光を当てれば、ただそうは言うけれども汚泥の埋立処分という面に着目すれば形は同じじゃないかということになろうかと思います。その点は私どもも十分に踏まえまして、フェニックス計画との間でも十分に調整をしたいと考えております。
具体的に申し上げますと、兵庫の東ブロックなどにつきましてはフェニックス計画が定められている大阪湾圏域でございますので、汚泥の埋立処分をやる場合にはフェニックス計画によることを前提に調整を進めていこうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/159
-
160・木間章
○木間委員 私は、この揖保川流域、特に姫路市などは皮革産業の非常に多いところだと聞いております。したがいまして、その排水の中にクロム含有量が大変多く感ぜられるわけでありまして、この大阪湾のフェニックス計画から外された理由はそこに要因があるのじゃなかろうか。つまり重金属汚泥、そういった絡みからフェニックス計画から追い出したのじゃなかろうか、勘ぐりかもしれませんけれども、こう考えられて仕方がありません。
そこで今度のACE計画といいますか、そういった流域の汚泥を人工島をつくってそこに隔離しよう、こういうことになるわけでありますが、その隔離の方法もやはり明らかにしていただかなければならぬと思うのです。例えば安定型あるいは管理型、遮断型、いろいろ計画もあるようでございますけれども、こういう重金属によって海浜あるいは海水が二次公害を受けてはいかぬ、ばらまいてはいかぬのでありまして、そういった点ではこのACE計画はどういう手法でやられるのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/160
-
161・中本至
○中本説明員 お答え申し上げます。
御指摘のとおりこの姫路地区におきましては皮革加工の過程でクロムが使われております。このクロムを含む汚泥という問題は非常に頭の痛い問題でございますけれども、これは私どもいろいろこれまでの技術開発あるいは事業団の技術開発によりまして溶融炉という泥を溶かして封じ込める、そういう方式が今回とられるのではないかというようなことも検討しておるところでございます。いずれにいたしましても、要請を待ってから具体的にこの手法はいろいろ検討してまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/161
-
162・木間章
○木間委員 事業所等々の発生源対策をしっかりとやっていただくことはもちろんでございますが、最終処分地についても今下水道部長がおっしゃったようにぜひ拡散させないように準備をお願いしたいと思います。
最後にお尋ねいたしますが、この大阪湾のフェニックス計画による埋め立てあるいは事業団のACE計画による埋め立てなどなど私はより一層この埋め立てをめぐって各省庁の競い合いが始まってきたな、こう受けとめざるを得ません。そうなりますと変な物の言い方になりますけれども、あるいは利権等々も次には出てくるのではないだろうか。こういったことになりますとまさに国民のひんしゅくをもろに買うことになりましょうし、今省庁間では未調整のようでありますが、大阪湾をめぐるそれらの状況について、よもやそういうことのないようにこれからもきっちりさせていただきたいのでありますけれども、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/162
-
163・江藤隆美
○江藤国務大臣 けさの閣議でも、綱紀の粛正については特に格段の注意を払うようにという実は総理から厳しいお話もございました。私も就任以来、特に建設省は事業官庁でございますから、これから御審議いただく東京湾ですとかいろいろな大きなプロジェクトも出てまいります。そうすると民活を含めまして都市の再開発、いろいろな事業の面でいささかなりとも国民の皆さんから批判をこうむるようなことがあってはいけない。これは私もう就任当時から省内に厳しく申しておることであります。
したがいまして、そうしたただいまの御意見のような大阪湾の諸問題についても十分に配慮いたしまして、いささかなりとも批判を受けることのないように肝に銘じて努力をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/163
-
164・木間章
○木間委員 いま一つ、フェニックス計画については運輸省、厚生省が中心になっておられますが、このACE計画についてはいよいよ建設省のようであります。その間の調整もきっちりととっていただかないと千載に悔いを残すだろう。国民共有の海浜地区でもありますから、そういった点もしっかりと踏まえていただきまして、万遺憾なきをお願い申し上げて私の質疑を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/164
-
165・野中広務
○野中委員長代理 新井彬之君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/165
-
166・新井彬之
○新井委員 私は、日本下水道事業団法の一部を改正する法律案、下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。
下水道は大変重要な事業でございますけれども、この五カ年計画も閣議決定をきちっといたしまして順次この達成を目指しているわけでございますが、過去の五カ年計画の達成率に比べまして第五次の計画が非常に減少している。特に四十六年からはきちっと五カ年計画になっているわけでございますが、そのときの五カ年計画は一〇四・三%、それから第四次が九六・七、第五次におきましては七四・七と非常に落ち込んでいるわけでございますが、まずその原因についてどのようにお考えになっているか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/166
-
167・牧野徹
○牧野政府委員 五カ年計画の進捗率の数字につきましては先生が御指摘のとおりでございます。私どもは、この第五次の五カ年計画の進捗率が悪かったのは、何といいましても厳しい財政状況を反映いたしまして公共事業費が抑制されたことがまず一番大きな原因だろうと思います。
それともう一つ、やや特殊といいますか特別の事情は、実は第四次五カ年計画、五十一年から五十五年までの五カ年計画でございますが、このときに、いろいろの状況から特別の地方債を非常に多く発行して事業の進捗、達成を図ったわけでございますが、国費でお返しするわけでございますから、その影響が言ってみれば第五次の期間中にもろにあらわれた。主としてその二つの大きな原因で残念ながら七五%弱の進捗にとどまったというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/167
-
168・新井彬之
○新井委員 そこで、第六次の五カ年計画の人口の普及率というのが何%ぐらいに設定されているのか。四四%とか聞いておりますけれども、それについて達成できるのかどうかをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/168
-
169・牧野徹
○牧野政府委員 第六次が終わりました場合には、現在お願いしております額が満額認められれば、事業費、調整費を除きますところで四四、現在が三六でございますが、四四%になろうと思います。なお、二兆二千二百億という調整費が満額使えるということであればこれはあと二ポイント上がりまして、四六%になる見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/169
-
170・新井彬之
○新井委員 そこで大臣にでございますけれども、第五次に比べまして非常に高い調整費になっている。これは、そのときの経済の状況、またあらゆることを勘案するということですけれども、下水道整備というのは着実に進めていかなければいけない。特に後でも言いますけれども、大変なおくれでございますし、二〇〇一年を目指しまして九〇%の達成率というのを目指しているようでございますが、そういうことから考えますと調整費として載っている予算というものはなるたけ確保をしていただきまして、四四%にするか四六%にするかでは大きな違いがあると思いますのでひとつ努力をしていただきたいと思いますが、御決意のほどをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/170
-
171・江藤隆美
○江藤国務大臣 調整費が二兆二千二百億あるというので非常に多いではないか、こういうことであります。私どもは、経済情勢あるいはまた財政事情、事業の進捗状況、これらを勘案してこの調整費の取り扱いをということになっていますが、今回は、御意見のように非常に下水道の整備が求められておるときでありますから、何としてもこの調整費は三年先の見直しの時点で事業費の中に組み入れるようにしようということで、これを合い言葉にして、ひとり下水道だけではございませんで、ほかの五カ年計画にもこうした調整費があるわけですから、今省内でそういう意思の統一をしながら三年先に備えよう、こういうことにいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/171
-
172・新井彬之
○新井委員 公共下水道では約五割の補助金が出ているわけでございますが、下水道事業の地方化、小規模化の傾向を考えました場合に、補助率の見直しの対策が必要ではないか。特に人口千名未満でも今後そういうことを進めていくというときにおきましては、補助率の見直しということを考えなければいけないと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/172
-
173・牧野徹
○牧野政府委員 下水道事業の補助率のお話でございますが、私どもは、補助率そのものとしては他事業と比べても遜色はないというふうに考えております。ただ先生お話しのとおり、今後だんだんと地方都市、農山漁村の方へ移っていった場合に、財政力が非常に脆弱であるということも間々あるわけでございます。
そこで、特に町村につきましては、管渠の、補助率ではなくて補助対象の範囲を大幅に拡大したい、結果として国費が手厚く行くということになろうかと思います。それから、町村だけではなしに一般市につきましても同じく補助の対象の範囲を若干拡大して負担の軽減を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/173
-
174・新井彬之
○新井委員 下水道というのは大変なお金がかかります。そういうことで、確かに日本の国というのは非常に国土面積が狭くて、なお人口はわりかた密集している。過疎地といえども世界各国の大きな土地から見るとまだ比較的住んでいるということが言えるかもわかりません。きょうの新聞にも出ておりますし、テレビでも言っておりますけれども、東京都が、今七五%下水道がずっと進んできたわけですが、どうしても利根川の上流とか多摩川の上流といったところにおいては下水道の投資効率といいますか、そういうことも考えてやりにくい、そういうことについて合併槽というものを考えて、これを推進しようとしている。これに対しては補助金を出す。大体普通の浄化槽は、下水道がなくても日本全国至るところで浄化槽はございます。そのときの浄化能力というのは二〇%ぐらいだそうでございますが、合併槽をやりますと、生活排水も全部来るわけですから、比較的いい機械をつけた場合が九〇%、悪くても七〇%ぐらいいく、こういうようなことで、東京都で都生活排水対策要綱というのを定めてやろうとしている。
私は、これは全く大事なことではないかな。確かに浄化槽というのは大体どこへ行っても、田舎へ行きましても下水道なんか全然なくてもほとんど進んでいる。しかし、これは生活排水との関連がありますから、浄化槽は進んだけれどもまだ水質の汚濁というのが直らない。だけれども、これならある意味で下水道の整備がおくれたといたしましても河川の浄化、環境の改善ということには大いに役立つのではないか、非常に現実的ではないかなと思うのですけれども、この件についてどのようにお考えになるかお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/174
-
175・中本至
○中本説明員 お答えします。
私もけさのテレビ、新聞等を見まして、東京都の下水道の進まないところでこういう合併槽をやる、それも一個当たり二十五万円の補助をするということを初めてお聞きしたわけでございますけれども、おっしゃいますように、個人の浄化槽といいますのは、し尿の分だけは取り込みますけれどもふろとか台所の水は取り込まない、これは管理が悪い、非常に問題が起きているという実情から下水道が進まないところにおいてはこういう手法もあろうかと思います。
ただ、こういう小さな規模で合併槽がどのくらいの価格でどのくらいの水が、先生おっしゃったように九〇%から七〇%取れるということもお聞きしておりますけれども、私ども、先ほど局長が説明いたしましたように、簡易な公共下水道という制度もありますので、これとどのように整合性をとりながらやっていくか、これから検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/175
-
176・新井彬之
○新井委員 ぜひとも下水道の方でもよく検討していただきたい。一つ考えますのは、使用料も、これは電気料金とか水道料金と同じように今後ずっと生活必需品として備わるわけでございますので、そういうようないろいろな面からも検討していただきたいと思うわけでございます。
そこで、今回一括法案が出ておりまして、六十年度に引き続いて六十一年度でも補助金のカットというのが予想されております。これはいろいろ理由がありまして、そのための事業の拡大、いろいろございますけれども、昨年のいろいろの答弁から考えまして、ことしのこういう状況についてはどのようにお考えになるかお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/176
-
177・牧野徹
○牧野政府委員 六十年度に引き続きまして六十一年度も補助率のさらなるカットというものをただいま御提案申し上げていることになっております。この点につきましては、先生もいろいろ事情はあるがとおっしゃいましたが、私どももやはり事業の進捗を図っていきたい、内需振興の面もある、しかし一方、厳しい財政状況もあるということで、これは公共事業全体横並びの話ではございますが、暫定措置としてただいま御提案を申し上げている。
ただ、その点につきましては、地方公共団体の特段の御負担ということになってはなりませんので、負担増につきましては全額起債を起こしていただく、かつその元利償還については所要の地方交付税上の措置をするということで、セットでお願いをしておるというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/177
-
178・新井彬之
○新井委員 第五次の五カ年計画におきましては、管渠と終末処理場、これはおのおの目標が決められているわけでございます。特に、終末処理場ができましても管渠ができてないところはこれは使えない、それが、管渠が遅くなればなるほど、終末処理場ができても、その間二年でも三年でもむだになるわけでございます。そういうことで、管渠と終末処理場というのは一体化して、より早く使える、こういうようなことで目標が立てられているわけでございますが、事業費の配分比率とそれから計画と実績、これはどのようになっているのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/178
-
179・中本至
○中本説明員 第五次五カ年計画におきましては、計画では管渠の方が七七、処理場が二三となっておりまして、実績では管渠が七一、処理場が二九と、管渠の方が実績で下回っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/179
-
180・新井彬之
○新井委員 それは今度第六次ではどのように直すのか。これはいろいろな原因がございましてそういうことになっておると思いますけれども、これをきちっと直してやれるような予定になっておると思いますが、どのように進められますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/180
-
181・中本至
○中本説明員 第六次五カ年計画におきましては、先ほど申しましたように、アンバランスが実績で出てまいりましたので、管渠を八〇、処理場を二〇こういう投資比率をもって対処したいと思うわけでございます。
なお、管渠の二条管方式とかあるいは処理場の系列分化、施設の簡易化等を図りまして、投資の効率化を一層高めたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/181
-
182・新井彬之
○新井委員 いろいろ計算ずくでおやりになっておると思うので、なるたけ管渠が入ったら早く使えるといいますか、それでまた、今度終末処理場ができたらそれも早く使える、そういうことで、多額な投資でございますのでお願いをしたいと思います。
次に、下水処理水量及び汚泥処分量というのはどの程度できているのか。それから処理場での消費電力量というのはどのぐらいになっているのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/182
-
183・中本至
○中本説明員 これは五十八年度のデータでございますけれども、処理水におきましては一年間で七十一億立方メートル、それから汚泥の処分量が二百二十万立米、これは霞が関ビルが五つぐらいに対応するものでございます。それから電力使用量は三十億キロワットアワーでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/183
-
184・新井彬之
○新井委員 それで、今お話がありましたように大変な水を使っている。それから消費電力も大変なものでございます。
日本の国というのは、御承知のように水資源、あるようで、今非常に文化生活のために使用量がふえている、そういうわけでございますので、下水処理水の再利用、それからまた下水汚泥の有効利用、これが今一生懸命研究されて進められておると思いますけれども、その技術開発の現状、そしてまた処理水の再利用の重要な問題に対して、技術開発や民間活力の導入というものも必要と考えておるわけでございますが、そういうことについて、水資源対策にも備えなければいけませんので、そういうことに対してどのように今後考えていくのか、お伺いしたいと思います。
これは東京都のこういうパンフレット、「新宿副都心水リサイクル」モデル事業概要、こういうことでわりかたよく考えられたことも出ておりますが、今後建設省としてどのように進めていくのかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/184
-
185・中本至
○中本説明員 まず下水処理水の再利用の問題でございますけれども、これは下水の高度処理の開発がまず必要でございまして、この方は事業団等でいろいろ開発しております。特に昭和六十年度からはバイオテクノロジーを活用いたしまして、新排水処理システムの開発、私どもではバイオフォーカスと呼んでおりますけれども、この開発に着手しておりまして、大学、民間の協力を得て実施しているところでございます。
今御指摘のありました新宿副都心あるいは福岡市のようなところでは、既にモデル的に再利用を図っておるということでございます。特に、民間活力の導入という点では、この今申しましたバイオテクノロジーの活用について民間との共同研究を建設省の土木研究所等の研究機関が行っておりまして、今後ともこの共同研究は積極的に進めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/185
-
186・新井彬之
○新井委員 今下水処理水循環利用技術指針、こういうのが建設省から出ておりまして、大体それが指針になって今いろいろとやられているようでございますけれども、やはり今後もう少し進めていただいて法制化をも含めてやった方がいいのじゃないか。これはいろいろ難しいところもございます。そして、確かに科学技術、特に微生物のそういうものの研究開発というか、そういうことも非常に大事だと思いますけれども、この法制化というような方向についてはどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/186
-
187・牧野徹
○牧野政府委員 下水処理水を水資源の一つとして活用していくことは非常に大事なことだと思います。今それをさらに、我々もモデル事業をやっておるわけですが、一歩進めて法制化の検討をしてはどうかというおただしでございますが、一気にここで法制化に向けて検討しますと言い切るだけの段階にはない、ただ、いろいろなことを含めて、関係省庁の関係もございますから、検討をしていきたいというふうにお答えを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/187
-
188・新井彬之
○新井委員 私としては、いろいろな研究がわりかた進みました、だから最低限のある程度法制化をしないと、法制化でなければ自由でございますから、もちろん経済効率そしてまたいろいろな水のサイクルのためにいいとか、これはいろいろなことがあろうかと思いますけれども、やはりいろいろな判断の中でそろそろそういう時期に来たのではないか、このように考えるわけでございます。
それから次に、総量規制計画が見直されてくるということを聞いておるわけでございますが、この新五カ年計画の取り組みはどのようになっているのか。例えば播磨地域の下水道の進捗状況と今後の整備方針、そういうことについてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/188
-
189・牧野徹
○牧野政府委員 閉鎖性水域におきます総量規制は、先生おっしゃるとおり東京湾、伊勢湾、瀬戸内海で、CODを対象に昭和五十九年度を目標年度として、五十四年度、五年前の負荷量を約九割に削減するという総量削減計画が定められていたわけでございまして、その中で生活系の負荷量の削減については私どもの下水道が非常に期待をされているということで、五次五カ年計画の中でも、この対象となっております三水系については重点的に下水道整備を行ってまいったつもりでございます。現在環境庁におきまして、次期総量削減計画の策定準備をお進めになっているというふうに聞いておりますが、いずれにいたしましても私どもの下水道整備に対してもいろいろ御期待があろうかと思います。今後私どもも、現在お願いしておりますこの第六次の五カ年計画との整合を図りながら重点的に整備を進めたいというふうに考えております。
播磨地域のおただしでございますが、先生御案内のように加古川流域下水道と揖保川流域下水道の二つの流域下水道、それからまた単独公共下水道といたしましては六つの市で実施しておりますが、この地域の五十九年度末の普及率は二二%でございます。全国がこの時点、同じあれでいきますと三四でございますからやや低いわけでございまして、今後はそういう総量削減計画というものも踏まえまして、重点的に整備を行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/189
-
190・新井彬之
○新井委員 そこで、環境庁に来ていただいていると思いますのでお伺いいたしますが、ちょうど四十五年、公害国会がございまして、大気汚染あるいは水質の汚濁、いろいろ防止法ができました。その中で総量規制とかいろいろあったわけでございますが、とにかく瀬戸内海の周辺の知事さんとか市長さんが、何回にもわたりまして瀬戸内海の水質の悪化に対して何とかとめていただきたい。その後、何次にもわたる下水道整備ということでわりかた水質もよくなってきたということはございますけれども、一つの例を挙げて、赤潮の発生状況を見ましても、ずっとデータをいただいておりますが、まだ赤潮の発生率がそんなに減っているとも思えない。こういう中で、環境庁といたしましては、今の水質あるいは赤潮の発生、こういうものをどのように見ているのか。
それから二番目には、この瀬戸内海の水質を改善する上で、下水道の果たす役割は非常に大きいと思いますが、これについてどのように判断をしているのか。
三番目には、瀬戸内海の水質の改善のために、環境庁としては、下水道だけじゃないと思いますが、こういう手を打っているというようなことがありましたら、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/190
-
191・藤原正弘
○藤原説明員 瀬戸内海の水質につきましては、長期的に見てみますと改善の状況にございます。
CODに係る環境基準の達成率は、五十年代初めには七〇%程度でございましたのですが、五十九年度におきましては約八一%というふうに上昇しておりまして改善いたしております。しかしながら、大阪湾等、まだ環境基準達成率の低い水域も残されております。また、富栄養化に伴います赤潮の発生件数は、五十年代初めには年間約三百件程度発生しておりました。これに比べますと、最近は減少してきておりますものの、なお年間二百件程度の発生が報告されているわけでございます。
瀬戸内海の水質改善を図ってまいりますには、その原因であります生活排水の汚濁負荷、また産業系の汚濁負荷を削減していかなければならないわけでございますが、瀬戸内海の汚濁負荷の割合を見てみますと、大ざっぱに申しまして、生活排水による汚濁負荷の割合が五〇%を占めております。
環境庁といたしましては、産業系の汚濁負荷の削減につきましては、先ほど建設省の方の御答弁にありましたように、水質総量規制というのを実施いたしておりまして、ちょうど現在五年目になっておりまして、基準強化ということで中央公害対策審議会に諮りましてその見直しの作業をやっておるところでございます。
一方、生活排水の負荷の削減につきましては、下水道の整備というのが非常に重要な課題でございまして、この下水道の整備の推進が非常に重要でありますので、環境庁といたしましては、建設省と連携を密にいたしまして、その推進に努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/191
-
192・新井彬之
○新井委員 まだまだ赤潮がなくなるとか、あるいはまた水質も余りよくなっているとは言えないわけでございますが、やはり環境庁といたしましてもいろいろ手を打っていただきまして、生活排水なんかは特に下水道しかないと思いますが、どうしても下水道のおくれる地域というのは、さっき言ったような都のやっているようなこともひっくるめないと間に合わないんじゃないかなということを非常に思うわけでございますが、やはりいろいろと政策的なことをみんなには教えていただきたいと思うわけでございます。
それから、下水道事業団法の改正案が出ておりますが、下水汚泥広域処理事業、これが今回加えられたわけでございますが、これについて、どのような利点で、どのようなお考えでこういうものをつけ加えたのか、お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/192
-
193・牧野徹
○牧野政府委員 先ほど来申し上げておりますが、やはり何と申しましても大都市地域中心に下水道が普及してまいりました。これもおかげさまでございますが、それに伴って必然的に発生する下水汚泥の量が膨大なものになってまいりまして、個々の市町村ごとでは処分費用もかさみますし、あるいは処分地を見つけることも困難だというふうな御事情もあって、今回の事業をやってほしいという強い御要請があったわけでございます。
私どもといたしましても、あくまでも下水道事業団の基本的な性格である地方公共団体の支援組織だという点を踏まえながら、公共団体の御要請を待ってこの下水汚泥の広域処理事業をやっていきたいと思っております。
そのメリットでございますが、一言で言うならば、一番よく言えるのはやはりスケールメリントといいますか、単一の公共団体が単独でばらばらに行うのではなくて、一括してやるわけでございますから処理費用が軽減できるだろう、アバウトで言えば一〇%から二〇%程度費用がダウンするのかなと考えております。それから今後、地方公共団体におきましては事務量あるいは業務量が軽減されてまいりますので、その分を他の公共下水道整備に回すという波及効果といいますか、そういう点もメリットとしては考えられるのではないかなと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/193
-
194・新井彬之
○新井委員 先ほども汚泥処理については年間霞ヶ関ビルの五つ分に当たる大変な量が出ている。これは、どんどん小さな地方公共団体まで下水道が完備されますと、確かに汚泥の処理の問題というのは非常に大変なことでございます。そういうわけで、やはりそういう技術者の派遣あるいはまたその資金面、そういうことにおいて、こういうことをどんどん要望を受けてやられるということは非常にいいことだな、こう思うわけでございますが、今回財投資金を導入することになっておりますが、財投資金というのは、これは借入金でございますし、それは当然償還をしていかなきゃいけない。それで、償還というものがきちっとうまくいくのかどうか、その辺の見通しはどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/194
-
195・牧野徹
○牧野政府委員 このたび初めて財投資金を導入することにしたわけでございますが、これはもう私から御説明するまでもなく、この事業は長期間にわたりまして計画的に施設を建設することが必要でございます。しかも、投下資本は当然料金等で回収するわけですから、安定的に供給され、かつ償還期間も長い財投資金を導入してまいりたいと考えております。
さて、そこで、その償還の見通しということでございますが、この事業をやります場合には、繰り返し御説明しておりますように、当然本来の下水道管理者である地方公共団体と十分協議をし、御相談をし、調整をした上で実行に移るわけでございますから、ただいまの段階では私どもは、適正な料金をちょうだいすれば償還は確実に行えるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/195
-
196・新井彬之
○新井委員 下水汚泥広域処理施設に対する補助率はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/196
-
197・中本至
○中本説明員 この事業は、二つ以上の地方公共団体の要請によりまして実施するのでございますけれども、補助率について、流域下水道と公共下水道の泥が入っていることでございまして、私どもそれを勘案して、いろいろ量とかを想定して、今のところ十分の五・五になろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/197
-
198・新井彬之
○新井委員 さっきも大臣から、とにかく下水道だけではなくてほかの公共施設も非常に大事なことである、全力を挙げて予算を獲得する、こういうような御決意もいただきました。そういうことで、今回五カ年計画の発足もあります。そしてまた、こういう形で新しく一つの法案も出てまいったわけであります。今後とも予算と手法、技術開発、そういうことをひっくるめまして大きな前進をしていただきますようお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/198
-
199・野中広務
○野中委員長代理 伊藤英成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/199
-
200・伊藤英成
○伊藤(英)委員 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。
今回のこの法改正によって、事業団の業務の範囲に下水汚泥広域処理事業が追加されることになったわけであります。この事業は六十一年度には兵庫東ブロックと兵庫西ブロックを実施する予定になっておりますけれども、今後どのような地域において展開していくつもりなのか、あるいは既に他の地方公共団体から要請があるのかどうか、今後の見通しについてまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/200
-
201・中本至
○中本説明員 お答え申し上げます。
この事業は、下水汚泥広域処理に適した地域のうち、二つ以上の地方公共団体の要請があるものを対象に実施する予定でございます。当面、大都市地域の中でも緊急に下水汚泥等の広域処理が必要であり、かつ地方公共団体の要望の強い近畿圏沿岸地域を対象として実施することが考えられております。現在特に緊急を要しておりますのは兵庫県の西部並びに東部ではなかろうかと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/201
-
202・伊藤英成
○伊藤(英)委員 次に、これは先ほども議論になった話でありますけれども、今回下水汚泥の処理事業を追加するに当たって財源として財投資金の導入を予定されることになったわけですが、そのこと自体は非常にいいことだと思いますけれども、いずれにしてもそれは借金であるわけなんで返さなければならぬ。そういう意味で、償還の見込みは大丈夫なのだろうかということで、その見込みについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/202
-
203・牧野徹
○牧野政府委員 今回お願いしております事業については、まず原資としては国庫補助金と財投資金を入れるということになります。財投資金は、おっしゃるとおり借金でございますから返すわけでございますが、先ほども申し上げましたが、何といいましても本来、管理者の地方公共団体の御要請に基づいて寄り寄り協議をした上でやることでございますから、適正な料金をちょうだいしますれば計算は十分立つというふうに現時点では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/203
-
204・伊藤英成
○伊藤(英)委員 その際の処理料金についてでありますけれども、どのようにその処理料金は決定されるのか。原価によるのかあるいは政策的に価格を決めるのか、あるいはその自治体の下水道財政への配慮とか、一般家庭の下水道料金に影響があるのかどうか、この辺についての考え方をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/204
-
205・中本至
○中本説明員 本事業にかかわります処理料金につきましては、建設費、財投償還金、運転管理費等の支出に対しまして、国庫補助金、財投資金等と合わせましてその収支を補うようにしております。したがいまして、原価主義によって決定するということでございます。
なお、本事業につきましては、汚泥処理は物理的プロセスが中心でございましてスケールメリットが特にききやすい、さらに広域的に下水汚泥を収集するため稼働率も高い、そういうことから地方公共団体が単独で処理する場合に比べまして、先ほど来申し上げておりますように、建設費及び維持管理費をかなり軽減できる、私どもかように考えておりまして、自治体の下水道財政や一般家庭の下水道料金によい影響を与えるものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/205
-
206・伊藤英成
○伊藤(英)委員 財投資金の償還のためということで建設資材等の売却等についての記述もされているわけでありますけれども、今後も下水道事業を一層推進していかなければならぬと考えたときに、下水汚泥の適切な処理ということが非常に重要な問題となるわけでありますが、その汚泥の有効利用あるいは技術開発等についてどういう取り組みをしようとするのか。これは特に大臣にその辺の決意というか、取り組み方針についてお伺いをいたします、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/206
-
207・江藤隆美
○江藤国務大臣 汚泥は、皆喜ばないものでありまして、この処理というのは非常に大事になってくる、待ったなしに出てくるわけでありますから。まず一番考えなければならないことは、減量化であろうと思います。焼却するあるいはまた脱水をする、それから御意見のように有効利用に努める、これは農業用にも利用できるでしょうし、建設資材等に利用する方法もいろいろ検討されておるものと思います。同時に、これからバイオの時代だと言われておりますから、またさまざまな技術を新しく開発してより効率的にこれを進められるようにすべきであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/207
-
208・伊藤英成
○伊藤(英)委員 次に、下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案についてお伺いをいたします。
この新計画の整備計画は、処理人口の普及率を六十五年度末で四四%、それから下水道雨水排水整備率を六十五年度末で四三%に引き上げる、こういうふうに目標を置いております。計画の初年度の六十一年度で一般公共事業費の計画額に対する進捗率が一七・五%、こういう水準になっているわけですね。しかも、これは調整費の二兆二千億円を除いた形で計算をしてこういうふうになっているわけでありますけれども、こういうことで本当に普及率の向上が図られるのかどうか、これは疑問に思わざるを得ないわけでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/208
-
209・牧野徹
○牧野政府委員 数字の点につきましては先生のおっしゃるとおりでございまして、今度お願いしております五カ年計画の一般公共事業費は六兆六千八百億でございます。これに対しまして六十一年度、ただいまの予定が一兆一千六百七十九億ということで、進捗率は一七・五%でございます。
これで大丈夫かということでございますが、一応この六十一年度のものをお認めいただけますと、その後の平均的な伸び率は、満額達成するためには五・五%程度であろうかと思います。もちろん毎年度多額のものが欲しいのはもう個人的にはやまやまでございますが、ただいろいろな制約条件もございます。私どもとしては、こういう限られた国費あるいは財投導入も始めるわけでございますから、こういうものに種々工夫をいたしまして、ぜひともこの六次五カ年だけは全部完全に達成していきたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/209
-
210・伊藤英成
○伊藤(英)委員 局長の個人的な決意というか意向というか、それはもうやまやまなれど、そう言って、でもしかしというような感じでやらぬで、これは頑張っていただきたいのです。
今回のこの計画でも、今も言われましたように六次の計画の計画総額十二兆二千億円、調整費二兆二千億円、こうなっているわけですね。その事業費について弾力的にその実施を図るとともに、三年後には見直すことについて検討する、こういうふうにしているわけです。ではこれは総額についても見直しをするのか。調整費を一般公共事業に繰り入れて増額を図ることになるのだろうか。
そもそも私は、この調整費が、当初から入れておかなくて本当にこれは生きていくのかどうかというと非常に疑問だと思うのですね。あれは言うならば絵にかいたもちみたいに、ただただ数字だけ載せてありますよ、で、総額十二兆二千億円だよというふうに言っているにすぎないのだろうか、こういうふうに思うわけであります。そういう意味で、もう調整費は当初から最初に入れておかなければいかぬ、こういうふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/210
-
211・牧野徹
○牧野政府委員 まず調整費についておただしでございますが、基本的には、前期第五次五カ年計画における調整費と基本的な性格を異にするものではないというふうに考えております。すなわち、今後の社会経済の動向あるいは財政事情、事業の進捗状況等に弾力的かつ機動的に対応するために設けられておるということだと考えます。
三年後に見直すことについて検討するということの意味はどういうことかというおただしかと思いますが、これはやはり調整費の額の変更もございましょうし、理論的にはやはり計画総額の変更もありましょう。それから個別に補助をつけた一般公共事業、あるいは地方で単独事業を実施されますが、それらの積み重ね、進捗状況を見て、一般公共事業と地方単独事業との比率の変更ということもこれは理論的にはいろいろ考えられるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/211
-
212・伊藤英成
○伊藤(英)委員 今いろいろその検討の仕方等についても考え方を言われましたけれども、私が恐れるのは、現在の政府の財政運営等の仕方から考えますと、それこそ検討するだけということで終わってしまうのじゃないだろうか、本当に実現しないのじゃないだろうかということを非常に恐れるわけですね。そういう意味でも、建設省自身でもあるいは都市局長自身も、ぜひこの下水道の積極的な整備を進めていきたいということであるわけでありますので、例えば建設国債の増発問題も含めて、これは財政当局に強く求めていくべきじゃないか。それが今の例えば円高不況やらあるいはもろもろの要請から内需拡大を図らなければいかぬという目的からも、ぜひそういうふうにすべきであろうと思いますが、いかがですか。
〔野中委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/212
-
213・江藤隆美
○江藤国務大臣 この予算委員会を通じましても、建設国債の増発をして公共事業を進めるという御意見が実はたくさんございました。それから、諸般の五カ年計画についても今までより以上に調整費が多いではないか、これは非常によろしくない、まさにそのとおりだと私は思っております。
そこで、ただいま予算の審議中でございますから、予算の執行の大幅な前倒しですとか建設国債を増発とかいうことは、これは厳に審議中は慎まなければならぬことだと私は思っておりますが、ただ言えますことは、予算編成、この五カ年計画をつくりましたのは昨年でございまして、昨年のいわゆる日本の置かれておった経済事情と、今日円高が定着していく中で迎える今度は予算執行時の経済事情というものは著しく異なってくると私は考えています。
そのときに一体どういう政策転換を行うのか、どういう選択を行うのかということ、これは非常に大事な時期に差しかかってくる、私はこう認識をいたしておりまして、いかなる事態が発生しても直ちに対応ができるように準備をしようということで、今建設省としては来るべきときにおさおさ怠りなく準備を整えておる、その程度でここのところは御勘弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/213
-
214・伊藤英成
○伊藤(英)委員 非常に大臣の心あるお言葉を承ったのですが……(「言葉だけ」と呼ぶ者あり)言葉だけかもしれないという声も今出ておりますけれども、私は必ず生きるだろう、こう信じております。
さらにもう一言お伺いいたしますが、下水道整備について、これはもう大臣も今までも所信表明のときにも言われました、我が国の下水道普及率が三四%しかない、欧米の先進国に比していかに我が日本の水準は低いか、こういうことを大臣も言われました。あるいは、先ほどちょっとお話も出ました五カ年計画、各種五カ年計画が出ておりますけれども、この六十年度で終わる五カ年計画も五本だったですか、ありました。その中でも下水道の方の累計の進捗率は一番低い状況であります。
私自身もいつも思っているのですが、ちょうど昨年にも都市計画中央審議会が下水道整備について答申もされておりました。詳細は略しますけれども、そのときにもやはりこういうふうに書いてあるのですね。下水道整備の貧弱さを克服することが我が国にとっての最大の国民的課題であるというふうに規定をし、さらに二十一世紀まであと十五年しかない、そして来世紀には高齢化社会が到来して、これに伴って投資をする余力も減衰することが予想される、今後の十五年間は下水道整備のおくれを取り戻す最後の機会であると認識をして、積極的に下水道整備を推進していく必要がある、こういうふうに言っております。
もしも、本当にこのとおりに、今が最後の機会だというふうに認識をするならば、それこそ命をかけてやらなければいけないというぐらいの状況じゃないかと思うのです。日本の将来を決定する問題だ、こういうふうに思うわけであります。そういう意味では、建設国債のことも含め、あるいはあらゆる手段を使って下水道整備のために努力をすることが求められているというふうに思います。先ほど大臣からもいろいろお言葉をいただきましたけれども、今私の申し上げたことも含めて、もう一度決意をお願いいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/214
-
215・江藤隆美
○江藤国務大臣 口ばかりじゃないかという御批判もありますが、そういうことになるかもしれません。しかし私は、建設省という役所に行ってみてつくづく思いますのは、建設省という役所はやはり事業官庁ですから、非常に地味で、当てにならないことは言わないという非常にかたいところがあります。ですから、私は物を言う役所になろうではないかと言っているのですよ。物を言う役所になれば勉強しなければいかぬ。勉強すればその成果を実らせる努力をしなければいかぬから、今度は行動が伴ってくる。だから物を言うこと、物を言うことは即勉強すること、勉強して成果を実らせる努力をする、それでもできなかったら、それはやむを得ないじゃないか。やらずにおってできないよりか、一生懸命やってもできなかったというならば許されると私は思っているのです。
ですから、ひとつみんな、そういう来るべき時期に向かってお互いに勉強し、発言をし、努力をしていこうじゃないか、どうしてもだめなときは、うちの大臣がつまらぬからだめでしたと言えば、それでだれも傷つかぬわけですから、ひとつそういうつもりで建設省挙げて、これほど内需の拡大だ、公共事業の推進が必要だと皆さんから期待を寄せていただいておるときですから、一生懸命やろう、実はこういうふうに思って取り組んでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/215
-
216・伊藤英成
○伊藤(英)委員 私ども民社党はそのために力いっぱい頑張りますので、建設省もよろしくお願いをいたします。
下水道の問題について、非常に卑近な例でお伺いをしたいわけでありますけれども、私の地元、愛知県でございますが、愛知県の西三河の下水道普及率はどれだけあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/216
-
217・中本至
○中本説明員 御指摘の西三河地方におきます下水道の普及率は、昭和五十九年度末でわずかに四%でございます。愛知県が全体で三八%、これは、名古屋市とか豊橋市等、こういう都市が高いのでございまして、非常におくれていると言わざるを得ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/217
-
218・伊藤英成
○伊藤(英)委員 私は、雑誌の「新都市」というのを読ませていただきました。特集で下水道の問題を取り上げておりまして、ここに中本下水道部長が「下水道整備の現状と今後の課題」という論文を書いておられます。私は、感銘を受けながらこの文章を読ませていただきました。我が日本の状況がどういうふうになっているか、そして、それをどういうふうによくしたらいいかという下水道部長の気持ちがこの中に入っている、僕はこういうふうに思ったのですね。
そういうことで読んだわけでありますが、その中にいろいろなことがずっと書いてありまして、現在の状況について、特に都市部における状況の貧弱さに言及をしながら、「汝はそれでも都市か」こういうタイトルをつけながら文章を書いておられます。私は全くそうだと思うのですね。特に、日本がこれだけの、経済的には世界に、言うならば冠たるといいましょうか、力を持つような国になって、現在の都市の状況あるいは下水道の状況は非常に寂しい話だ、こういうふうに思うわけです。
それで、今私の地元の方をお伺いいたしましたけれども、今言われましたように、五十九年度末で全国の普及率の水準が三四劣、我が西三河は四%だ。西三河は百二十数万の人口であります。その中に市が八つあります。八都市で百十数万の人口を擁します。要するに、九十何%が都市に住んでいるわけですね。そして、その西三河が百二十万の人口の中でなぜたったの四%なんだろう。例えば私どもの地元の方で見ますと、背こういうふうに言いますよ。我が西三河は、日本の全体の中から見れば、生産面においてもあるいは税金を納める納税面においても、最も国家に貢献している地域の一つであるとみんな自認をしております。なのに、下水道普及率が四%というのはいかにもアンバランスではないか、こういういわゆる資源配分のアンバランスが行われているようならば、政治あるいは行政はどういうふうに正当に執行されているのだろうというふうに言われるわけですね。だからそういう意味で、私もそんなことを思いながら下水道部長のこの文章を感銘深く読んだわけであります。
だから、今のことを十分に認識していただくとして、その上でお伺いいたしますけれども、今、私の西三河の方でも、長きにわたって計画をし、取り組んでいるわけでありますが、矢作川・境川流域下水道事業、これは建設省が鋭意進めてくださっておりますけれども、その進捗状況並びに今後の見通しについてお伺いをいたします。
さらに、もう一つつけ加えますけれども、それぞれの市で今一生懸命にやっておりますし、県やあるいは建設省も含めて進めてくださっておりますけれども、例えばあの中の岡崎市なら岡崎市をとりますと、あそこも緊急処理対策というのをやる予定に一時はなっておりました。それを矢作川の流域下水道の浄化センターと結ぶことを優先せよということで県からの話もあり、その市の緊急対策は中止をして、そしてその本体の方のを推進するようにお互いが努力をしていると私は理解をしておりますけれども、そのためにもこれを早くやらなければならぬと私は思います。そういう意味で、その進捗状況並びに今後の見通しについてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/218
-
219・中本至
○中本説明員 おっしゃるとおりでございまして、特に豊田市という世界でも冠たる都市、人口三十万以上でございますけれども、ここがまだ処理開始していないという実情がございます。
私どもといたしましては、これまでいろいろな事情がございましておくれたわけでございますけれども、矢作川・境川流域下水道につきましては、昭和四十六年度に事業に着手した。これはいろいろトラブル等ございましておくれたわけでございますけれども、特に、今申しましたように、豊田市が非常に供用開始がおくれるということから、緊急的に暫定処理システムをとったということで、着手して現在事業を進めております。また、岡崎市は昔から一部の地区で下水道事業が行われておりましたけれども、やはり人口増のために市街地が拡大した、そのために矢作川・境川流域に入らなければならぬということでございます。
幸いに両処理区とも処理場がほぼ片づき、これからどんどん事業費をつけてやっていくわけでございます。ちょうど事業費配分も今着実に進んでおりまして、都市局長、官房長、大臣の配分も認めていただきまして、この地区については、六十一年度はかなり重点的に伸ばしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/219
-
220・伊藤英成
○伊藤(英)委員 ありがとうございました。下水道の問題は私も以前からずっと思っており、先ほども申し上げましたけれども、あの答申書に書いてあるとおり、日本の現在の都市というものを考えるときに、本当に今は残念な状況だ、こう思います。私も、どちらかといえば海外は結構行っている方だと思っておりますし、海外に住んでいたこともありまして、そういう意味で、日本の都市をもっともっとよくしたい、きれいにしたい、住みやすくしたい、そういうふうに考えたときに、この下水道の問題というのは最も重要な問題の一つだと思いますので、ぜひこれからも鋭意進捗を強く要請をして、最後に大臣からもう一度補足をということで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/220
-
221・江藤隆美
○江藤国務大臣 一生懸命やりますから、またいろいろ御意見をいただきましたり、御叱正をいただきたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/221
-
222・伊藤英成
○伊藤(英)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/222
-
223・瓦力
○瓦委員長 瀬崎博義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/223
-
224・瀬崎博義
○瀬崎委員 第六次の下水道計画を審議するに当たっての大事なポイントは、言うまでもなく、一つは、下水道の事業量確保がちゃんと必要なだけ行われているかどうか、いま一つは、下水道行政の質的な内容、すなわち、住民負担や自治体負担の軽減、あるいは環境保全により有効な下水道の遂行、こういう内容になっているかどうかということではないかと思うのですが、私は、具体的な事例を挙げてただしたいと思うのです。
昨年の答申では、「早急に講ずべき施策」の一つとして、「湖沼等の閉鎖性水域や上水源となっている河川については、下水道整備を重点的に促進する必要がある。」こう述べているわけですね。
琵琶湖はまさに閉鎖性水域の代表格であると同時に、近畿千三百万住民の命の水がめになっているわけです。昨年は、窒素、燐についても環境基準が決められ、六十五年度までの暫定目標も設定されました。その達成のためには、排出規制とあわせて下水道の早期普及が重要であることは諭をまちません。
ところが、滋賀県の下水処理人口普及率は、こういう条件下にある県なのに、五十九年度末で一一%どまり、ワースト八位であります。第六次下水道計画における琵琶湖関連の下水道整備は、当然環境基準の六十五年度暫定目標と整合性をとる必要があると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/224
-
225・牧野徹
○牧野政府委員 琵琶湖の関連のおただしでございますが、先生の方がお詳しいかもしれませんが、琵琶湖の流域下水道あるいは大津市の公共下水道、近江八幡市の特定環境保全公共下水道というもので行っておるわけでございます。当然、琵琶総における事業の進捗率は半分程度でございますが、第六次の五カ年計画は六十五年まででございますから、そういう中において重点的に事業をやってまいりまして、六十六年度の、最終年度のようでございますが、計画達成が可能なように鋭意頑張りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/225
-
226・瀬崎博義
○瀬崎委員 私の聞いた、いわゆる環境基準、六十五年度暫定目標との整合性の問題はいかがですか、これを図るものじゃなければならないと思うのだけれどもという点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/226
-
227・中本至
○中本説明員 先生の御指摘は窒素、燐等の湖沼との関係の問題だと思いますが、これは私どもとしては十分考えながらやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/227
-
228・瀬崎博義
○瀬崎委員 例を湖南中部流域下水道にとってみたいと思うのですが、認可計画は六十九年三月三十一日が完成予定なんです。処理能力は日最大二十一万五千トン、計画処理人口三十一万九千人、管渠延長百九十五キロとなっておるわけですね。四十七年度末の着手から十四年たっているのですが、六十年度末の達成状況は、処理能力二万一千トン、処理人口六万九千人、管渠延長五十・三キロメートルで、認可計画に対しては、処理能力は一〇%、処理人口は二一・六%、管渠延長二六%の達成率にすぎないわけですね。さてこれで、六十九年度までに、さっきの六十五年度じゃなく、六十九年度が現在の認可計画の完成期限なんですが、これは大丈夫ですか、第六次ではなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/228
-
229・中本至
○中本説明員 御指摘のとおり極めておくれてまいっておりまして、私どもとしては非常に苦慮しておるところでございますけれども、何とか努める、こういう言い方しかできないわけでございまして、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/229
-
230・瀬崎博義
○瀬崎委員 近畿千三百万住民が飲んでいる琵琶湖の水の周囲の下水道が、そういう非常にあやふやな態度じゃ困るのですね。
そこで、これはやはり根本的に考え直さなければいかぬ問題を含んでいるのですよ。この湖南中部流域下水道は五十九年度までに八百十三億円、それから関連公共下水道には二百六十九億円、事業費が投入されている。ところがなかなか進まないということは、いわゆる全体計画自体が極めて過大になっているのですよ。非常に金のかかり過ぎる計画になっている。そのために自治体の財政負担も大きい、ここにあるんじゃないかと思いますね。
例えば、草津市を例にとりますと、六十一年度の管渠築造費二十二億円、うち十三億円が地方債。下水道債の残高は毎年二五%前後ずつふえて、六十一年度末は六十八億六千九百万円。一般会計から下水道特会への繰り入れも四億二千三百万円で、土木費の八・七%を占める。守山市の場合も、一般会計から下水道特会への繰り入れは、六十年度二億九千三百万円から六十一年度は四億一千万円に急増と、大変な負担になっているわけですね。
そもそも湖南中部流域下水道の全体計画、昭和四十五年につくられているのですが、当然これは二十年、目標年次は六十五年なんですよ、これはもうとてもできっこない目標年次なんだけれども。これは壮大でありまして、計画処理面積二万五千五百ヘクタール、計画処理人口七十九万人、計画処理水量一日当たり百二万トン。で、これを前提に処理場の用地の埋め立てや幹線管渠の埋設が行われているわけです。それで、この百二万トンのうち工場排水が四十六万トン・パー・デーになっているのですが、この算定根拠を見ますと、四十五年の工場面積千百七十八・八ヘクタール、これが計画年次でどうなるか、六十五年度ですね、工場面積六千百三十八・九ヘクタール、こういう想定になっているのです。二十年間で五・二倍。
ところが現実はどうかといいますと、工業統計で見ますと、従業員三十人以上の事業所の面積は五十九年末で千九百一二十五ヘクタールなんです。で、十五年間の伸び率は、わずかに一・五倍なんですね。六十五年にいったかて、とてもじゃないが全体計画で想定した五・二倍なんというようなものにはなりっこないわけなんです。人口を見てみますと、この湖南中部流域下水道計画の対象となっている行政区の総人口ですよ。もちろんこの一部は処理区域から外れるところも出てくるのですが、一応全部見ます。四十五年当時は三十六万八千七百四十八人、これがことし、六十一年二月で五十六万百八十五人、増は約十九万人、率にして一・五倍なんですよ。これだって昭和六十五年にきて、どう見ても、若干の観光人口も含めてと言い出していますけれども、七十九万人になんてなりっこないわけですね。七十九万人という時代が来るのかどうか、こういうことさえこれは危ぶまれるわけです。
こういう実態に合わない過大な計画で進めているために、相当な事業費はつぎ込んでいるんだけれども普及率がなかなか上がらない、こういう矛盾になっているのが現実だと思いますね。今こういう計画を現実に合わせて見直したとしても、もう既に流域下水道の主要幹線はほとんど埋設してしまっているわけですから、このむだは取り返せないわけなんです。だけれども今手を打てば今後の流域下水道の、支線が中心になりますけれども、そういう今後の建設事業、それからこれから本格化する公共下水道事業の方のむだは随分排除できて、資金的にも、資材的にも非常に効率の高い下水道建設ができる。当然普及率も急速に上がるはずなんですね。こういう見直しを当然やるのが第六次計画を立てるときの重要な意義、先ほど言った下水道行政の内容の問題として大事なのではないかと思うのですが、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/230
-
231・中本至
○中本説明員 私どもといたしましても、先生の御指摘の数字の違いといいますか、過大等は理解しております。しかしながら、当時下水道計画を立てるときには我が国が社会経済的に非常に大きい方をとるということでございまして、滋賀県自体が人口がふえる、工場がふえる。下水道というのは宿命的に、そういうものがあった場合に早くやらなければ水質汚濁防止法上ひっかかるとか、いろいろな問題がございますので、どうしても下水道計画も当時は大きい計画を立てたということは否めません。しかしながら現在では、いろいろ我が国の将来等を考えまして、社会経済要因の変化に対応した適切なものとなりますように適宜見直しを行っております。
琵琶湖流域下水道の計画は、昭和四十六年に滋賀県が策定した琵琶湖周辺下水道基本計画をもとに策定されております。この計画策定後十数年が経過しまして、この間、今さっき申しましたように社会経済情勢の変化や琵琶湖の窒素、燐環境基準の設定、こういうものが入ってきたりいたしまして、諸情勢が相当に変化してきております。そのため現在、滋賀県においてこの実情について調査検討が行われておると聞いておりますので、私どももその調査検討を待って対処したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/231
-
232・瀬崎博義
○瀬崎委員 それともう一つ大事なことは、滋賀県というのは琵琶湖の周りに市町村がへばりついている上に、大津市でさえ人口が二十三万程度、そんな巨大な町じゃないのですね。ですから、まさにこの下水道事業の補助対象範囲の改善が待ち望まれているわけなんです。ただ単にこれは何も滋賀県の住民のためだけではなくて、とにかく琵琶湖を当てにしている近畿千三百万住民のために、これは待ち望まれている。私も事あるたびに補助率のアップと補助対象範囲の拡大、改善を求めてきたし、我々共産党の地方議員団もたびたび要望してきたのですね。今日第六次に当たっては、ようやくその改善がなされるということなんですね。
ただ、検討中検討中ということで余りはっきりしたことがよくわからないのだけれども、我々の推定するところでは、まず現在の補助対象というのは指定都市と一般都市に分けて、一般都市の中には一般市、町、村、全部入っているわけですね。処理区域面積五百ヘクタール未満については口径三百ミリ以上か下水排除量百五十トン・パー・デー以上かが補助対象でしょう。それから五百ないし千ヘクタール未満については三百ミリ以上がまたは二百五十トン以上か。それから千ヘクタールないし二千ヘクタールについては三百、ミリ以上か三百トン以上か。それから二千ヘクタールから三千ヘクタールは三百五十ミリ以上か三百五十トン以上か。それから三千ヘクタール以上は三百五十ミリ以上か四百トン以上かなんですね。
いろいろ問いただして大体我々が得た感触では、一般都市の方は、今度は人口二十万以上の市と二十万未満の市とそれから町村の三つにまず分ける。ついで二十万以上の市については処理区域面積の現行名ランクごとに処理水量の基準を一〇%程度は引き下げる。それから二十月未満の市については処理区域面積の各ランクごとに処理水量の基準を二〇%ないし三〇%引き下げる。それから町村については、現行一本になっている処理区域面積五百ヘクタール未満をさらに三ランクぐらいに細分して、かつ処理水量の基準を平均して半分ぐらいに緩和する。
例えば処理区域面積百ヘクタール未満は処理水量四十トン以上、それから処理区域面積が百から二百または三百ヘクタールは処理水量七十五トン以上。それから二百ヘクタールまたは三百ヘクタール以上五百ヘクタール未満は処理水量百トン以上。これは推定ですよ。それから処理区域面積の五百ヘクタール以上についてはもう面積ランクを取っ払って一律二百トン以上を補助対象にする。大体こういうことかなと推定しているのですが、より正確に答えてもらえるのなら答えてもらいたいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/232
-
233・中本至
○中本説明員 先生の今申されました数字については大体私どもの資料と合っております。ただ、ところどころでこの数字を追っかけながらちょっと違う点ございまして、これは検討中でございますけれども、合っていたら申しわけないのでございますが、例えば改定案で二十万人未満の市は五百ヘクタール未満で百十立方メートル・パー・デー以上、二十万人以上の市は百四十万立方メートル・パー・デー以上、それから五百以上千ヘクタール未満が二十万人未満で百八十立方メートル・パー・デー以上、二十万人以上で二百三十立方メートル・パー・デー。
それからちょっと時間の関係ではしょりますけれども、町村の方ではおっしゃるとおり五段階に分けまして、今まで一木でございましたのを五十未満、五十から百未満、百から二百五十未満、二百五十から五百未満、五百以上、かように分けて、五十ヘクタール未満では口径三百ミリ以上、下水排除量二十立方メートル・パー・デー、それから五十から百ヘクタールが口径三百ミリ以上、下水排除量三十五立方メートル・パー・デー、百から二百五十ヘクタール未満で口径二百ミリ以上、下水排除量六十立方メートル・パー・デー、二百五十以上五百ヘクタール未満が口径三百ミリ以上、下水排除量が八十立方メートル・パー・デー、五百ヘクタール以上が口径三百ミリ以上、下水排除量が百四十立方メートル・パー・デー、こういうことで検討しておりまして、若干ところどころ数字が違いますが、こちらの方で検討しておる、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/233
-
234・瀬崎博義
○瀬崎委員 そこまで言えるならぜひ検討中の案を我々に出していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
もう一つ、非常に具体的な問題をお聞きしますが、それは同じく琵琶湖関連の下水道で湖西流域下水道なんです。流域下水道の場合、中間の市町村は流域下水道の管渠に公共下水道がまあまあ最寄りのところでつなげるのですが、末端の市町村では結果的には行政区の境界線に終点マンホールがつくられるという原則になっているために、南北に非常に細長い志賀町の場合は、もしそのままやられますと、流域下水道まで町の中心部から延々十三キロ余りを公共下水道でつながなければいけないわけですね。これは大変なことになって、また同じ自治体間の公平にも反するわけですね。そこでこの公共下水道の場合は市町村負担が当然大きくなり、流域下水道の場合ですと市町村の負担は幾分軽減されるわけです。これはやはり流域下水道の終点マンホールの位置を弾力的に考える等、何らかの改善措置が必要ではないかと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/234
-
235・中本至
○中本説明員 ただいまのお話は琵琶湖の西側の湖西流域下水道にかかわるものだと理解しております。御指摘の内容につきましては、県の方から内々話を聞いておりまして、今後滋賀県からその案が出てきた段階で十分協議して具体的に検討してまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/235
-
236・瀬崎博義
○瀬崎委員 最後にこれは大臣に伺っておきたいのですが、今申し上げましたように琵琶湖というのは滋賀県民だけのものではなくて、近畿千三百万住民のためのものだと思うのです。その下水道が非常におくれておる。今度は一定の補助対象範囲の拡大が行われますので、これは確かにプラス要因になると思うのですが、それでも第六次の補助対象率は第五次よりも若干下がるのですよ。それだけ末端に下水道が及んでいるということでしょうね。ですから追っかけていくというのは大変だと思うのだけれども、なおこの補助対象範囲をできるだけ管径の細い、あるいは流量の少ない末端の下水道に適用されるような改善をぜひ御努力いただきたいということ。
それから現在財政が厳しいからということもあるでしょうけれども、もともと琵琶湖関係の下水道事業には琵琶湖総合開発特別措置法で若干の補助率かさ上げがあったのです。ほかの一般のやつが今度カットされますので琵琶湖だけ残るようになるのですが、消極的な意味でのかさ上げではなくて、積極的な意味でのかさ上げ等もひとつ御尽力をいただきたい、このことを大臣にお答えいただいて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/236
-
237・江藤隆美
○江藤国務大臣 琵琶湖の総合開発計画については私も少しく携わりまして、内容はよく存じ上げております。したがいまして、引き続いてこの浄化また美化のため、いろいろ御期待に沿うように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/237
-
238・瓦力
○瓦委員長 中島武敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/238
-
239・中島武敏
○中島(武)委員 下水道整備緊急措置法の一部改正、日本下水道事業団法の一部改正について伺います。
ここ数年、各地で下水道料金の値上げが続いております。東京都はこの十年間に六回値上げを行い、下水道料金は月二十トンクラスで七・四倍になりました。これは東京区部の場合ですが、例えば昭和六十年度の下水道建設費二千三百七十億円、このうち起債が千七百六十一億円で七四%、国庫補助が五百三十一億円で二三%、部費が七十八億円で三%。非常に起債に依存しているわけです。今申しましたような大幅値上げの最大の理由は何かということになりますと、これは元利償還金の急速な増大ということになります。元利償還金は、五十三年度で九百億弱であったものが六十三年度、これは見込みでありますが、二千五百億円になるだろう、三倍近い償還金のふくらみであります。ところが、下水道建設事業に対する国庫補助金の推移を見ますと、五十三年が三百五十億、五十九年が五百三十五億、六十年の見込みでありますが、これはぐっと下がって五百十億未満になるだろう、こういうわけなのです。
なぜこんなふうに国庫補助金が少ないのかということを見てみたのですが、これは幾つかの理由がありますけれども、国庫補助率、この点を見ますと、道路と公共下水道の管渠を比べてみると、公共下水道の管渠の方が少ないわけであります。五十九年度の道路と公共下水道の管渠のあれですが、三分の二と十分の六、六十年度は十分の六と十分の五・五、六十一年度は十分の五・五と十分の五、しかも今見ましたように、年々歳出を削減するということからだんだん下がっておるわけであります。
しかもそれだけじゃない。国庫補助対象率は、これも御存じのとおり一般都市は七五%で政令都市が四五%。さらにそこへもってきて国庫補助の採択基準が、これは一般都市は八百ミリ以上ですが、政令都市は三千五百ミリ以上、この前私は五カ年計画のときに質問して、三千五百ミリというとこれは非常に大きな管だ、中で競馬をやったってできるぐらいのでかい管なんだ、こうでないと補助金がつかないのはおかしいじゃないかということを言ったことがあるのですが、結局、冒頭言いましたように、それやこれやで下水道建設費に占める国庫補助の割合が二三%というふうに実際にはなってしまうのです。
そこで、せめて国庫の補助を道路並みに引き上げるということが必要じゃないか、具体的には補助率も補助対象率も国庫補助の採択基準も引き上げなければいけないのじゃないか。それも政令都市と一般都市とが争いを起こしているようじゃこれはだめなのでありまして、その点ではパイを大きくする必要があるのじゃないかというふうに思うのです。
以上の点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/239
-
240・牧野徹
○牧野政府委員 下水道事業の補助対象率、補助率が非常に低いという先生のおただしかと思いますが、その掛け算の結果を先生おっしゃったのかと思いますが、道路事業等におきましては基幹的なものはもちろん直轄なり補助で行いますが、御承知のように下水道事業では地方単独事業も非常に多くの量があるわけでございます。
私どもは全体をとらまえて、下水道というものは、先ほどのいろいろのおただしにもありましたが、頭からしっぽまで完結しないと全く意味がないものですから、全体の事業を一個でとらえて、そのうち主要なものは補助しましょう、そうでないものはどうぞ単独で、こうなっておるものですから、どうしても、仕組み上そういうふうに総合的にとらまえていただくと、やや率は劣るかな。ただ、ほかの事業でも補助しないものもいっぱいあるわけですから、補助するもの同士で比べれば、若干の差はあるにしても、補助率そのものはそう私どもの事業が見劣りするものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/240
-
241・中島武敏
○中島(武)委員 とれは大臣の方にもちょっとお尋ねしたいと思っているのです。今の問題と関係があるのですけれども、東京の場合には特殊な都市であるということが言えると思うのですね。国会がある、政府機関がある、大企業の本社、本店が集中している、中枢管理機能が集中しているわけですね。しかも、現在非常にビルラッシュが続いている。ところが、国土庁が発表しております首都改造計画によりますと、五十六年から七十五年までの間に東京の区部で事務所の従業者数は百七十六万人ふえる。事務所の面積にしまして五千百四十ヘクタールふえるというふうに予測をされているわけです。これだけふえますと、当然下水道も設けなければなりませんし、これは一体幾らかかるのかということの試算なんです。
これは昭和五十七年七月に発表されております都の調査報告書、東京における大都市需要の変動、これによりますと、東京区部新規増十万人当たり経費、下水道千九億円、こう出ております。これで今申し上げたものを試算しますと、何と一兆七千七百八十三億円下水道だけで必要ということになってくるわけであります。大変な投資を必要とするわけです。ところが、下水道だけじゃないのです。上水道もつくらなければなりませんし、ごみ処理もやらなければなりませんし都市ガスも引かなければなりませんし、交通も準備しなければなりませんし、公園も道路もと、こうなってくるわけであります。
だから私がここで聞きたいと思っておりますのは、やはり野放しな東京への集中という問題について規制を加えることが一方で必要なのじゃないか。同時に、補助率、それから補助対象率その他採択基準というようなものをもっと考えないとこれはうまくいかないのじゃないかというふうに思うのです。その点、見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/241
-
242・江藤隆美
○江藤国務大臣 既に新宿の副都心で昼間もう下水道が満杯になりまして、ビルの地下にためておいて夜流すということで、昼間異様なにおいがするという話もあります。都内の処理場で既にもう満杯、下落合なんか満杯でありますが、それに近いところはたくさんあるわけでありまして、特に再開発が行われて、例えば東京駅、あそこへボーナスくっつけてやって霞が関ビルほどのものを、私一つの計算をしてみましたら、十八棟ぐらい建てられるのです、あそこをやりますと。
それぐらいの人口を昼間擁するようになれば、あの周辺の下水というのは大変だ、上水も大変、そのほかもろもろのこと、道路もなかなかである、こういうことを考えますと、やはり私どもは、国際都市東京としての面目を保つ努力ももちろんしなければなりませんけれども、国土の均衡ある発展ということから考えると、やはり総合交通体系というものをしっかり組んで、そして人々を地方に分散させる、住居を分散させていく、あるいは国土の均衡ある発展で工業と人口の地方分散を図っていく、やはりこういう総合的なやり方というものをとっていかないと、言われるように二十一世紀になったら一億人以上の人が大都市圏に住み、人口の七割以上が大都市圏に住まいするようになる、そういうことになってきたら、国土庁、建設省は何をやっていたのだということになるだろうと私は思うのです。おまえらは国土の総合開発なんて言いながらそんなことばかりやっていたのかということになりますから、これからはそういう御意見のようなことに十分気を配ってやっていかなければいかぬことだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/242
-
243・中島武敏
○中島(武)委員 これは地方都市での場合ですけれども、オイルショック以前のデータを使用しているために、人口が相当数ふえる、そういう予測に立って下水道建設計画を立案し、実行に移したけれども、実態は、その後の予想が狂いまして人口はそんなにふえない、つまり過剰投資になっている。そのために住民負担が過大になっているという場合があります。私は、こういう場合は地域の実情に合った下水道整備によって過大投資にならないようにすべきだというふうに思いますけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/243
-
244・中本至
○中本説明員 御指摘のとおりでございまして、下水道計画と申しますのは、やはり後に禍根を残さないために二十年後を目標としておるのが常識でございます。このため、先ほど申しましたけれども、やはり今から二十年前を考えますと、あるいは十五年、十年ぐらい前を考えますと、人口が伸びる、あるいは工場がふえる、そういう格好でつくった例が多々ございます。そういうことでございますので、これからはやはり、そういう人口、産業活動、あるいは主要水路等の計画値を見直す必要がある、そういうように思われますときには、計画の適切な見直しが行われますよう地方公共団体を指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/244
-
245・中島武敏
○中島(武)委員 今回の下水道事業団法の一部改正で、日本下水道事業団の業務の範囲に、二以上の地方公共団体の要請を待って終末処理場における下水の処理過程において生ずる汚泥等の処理を行うことができるようになっています。しかし、伺いたいのは、事業団は下水道法で規定しているように地方自治体の管理下にある、ひとり歩きはできないというふうに思うのですけれども、この点についてどうかという点が一つであります。
それからもう一つは、また、下水道事業団は下水道債券を発行できるように改定されておりますが、一つは、これは汚泥処理だけに限定するのかという問題と、もう一つは、事業団が勝手にどんどん債券を発行して、そのツケを自治体に回すというようなことになれば、これは一大事なんですけれども、そのようなことがないようにどのような歯どめを考えているのか、この点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/245
-
246・牧野徹
○牧野政府委員 日本下水道事業団がひとり歩きしないかというおただしでございますが、私どもは、本来の管理者である地方公共団体からの御要請に基づいて事業を実施していくわけでございまして、今後ともその基本的な性格は全く変更はございません。私ども建設省としても監督をいたしますから、自己肥大を重ねてひとり歩きをするという御心配は御無用かと考えております。
それから、下水道債券の発行対象は今回のこの事業だけかというおただしでございますが、これはやはり、下水道債券を発行するという機能は個々の事業ごとに付与されるというものではございませんので、日本下水道事業団という組織に与えられる機能でございます。ただ、当面は、当然のことながらこの下水道の広域汚泥処理事業に要する費用に充てるため、必要が生じた場合に発行するということでございまして、発行する場合にも、大臣の認可もございますし、勝手にどんどん出してというようなことは、先ほどの地方公共団体の要請あるいは建設省の監督という面から考えて、ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/246
-
247・中島武敏
○中島(武)委員 次に伺いたいのは、聞くところによりますと、六十一年度の予算案で兵庫県姫路市において日本下水道事業団が広域下水汚泥処理事業を行うということになっております。実は、率直に言って、姫路市ではこの問題をめぐって市議会でも非常に大きな問題になっているのです。それで、この点について幾つかお尋ねしておきたいと思いますので、お答えをいただきたい。
まず、この処分地に建設が予定されている網干地域の住民が、他の市や町の下水汚泥処理施設を網干に全部持ってくるというので、住民の反発が強いというわけであります。もちろん住民の合意を得ることが必要なわけでありますが、そのためにどのような措置を考えておられるか。私は、特に環境アセスメントなどは当然やらなければいかぬというふうに思うのですが、環境アセスメントはやるつもりがあるのかどうかという点が一つであります。
それから、二つ目の問題は、さらにいろいろな不安が出ているのです。それは、皮革汚泥には三価クロムが含まれているのですけれども、これが焼却されることによって六価に変わる、そういう心配があります。それで、事業団でこの問題を処理するということになった場合に、排煙や排水のチェックというようなことは一体どうされるのか、また、何かこういう心配のないような方法というものはあるのかという点が二つ目であります。
それから三つ目は、処理料金の問題なんですけれども、これは単独でやった場合より安くなるというふうに言われているのですが、どの程度安くなるものであるのかということについてお答えをいただきたい。
以上三つでございますが、どうやらだんだん時間が迫ってきておるようでありますので、最後にはひとつ大臣から、五次五計はたしか七一%の達成率見込みだと思うのです。今度は、せっかくだからもうちょっとしっかりやらなければいかぬと思いますので、その問題についての決意も最後に伺いたいと思っております。
以上お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/247
-
248・中本至
○中本説明員 まず、第一点の市場の合意等でございますが、これは、私ども事業団がこれからやっていく場合には、公共団体の意見を聞くということは当然でございますし、いずれにいたしましても、地元の協力なくしては実現しない事業でございますので、今後事業化に当たっては、関係の地方公共団体の協力を十分得ながら実施してまいりたい。
それから、環境アセスメントの実施の問題でございますけれども、この事業の実施に当たりましては、関係省庁の環境影響評価の実施にかかわる基本通達等による指導措置、それから地方公共団体の環境影響評価にかかわる指導要綱等に基づきまして、必要がある場合には日本下水道事業団が環境アセスメントを実施することになります。したがいまして、建設省といたしましても遺漏がないように指導してまいりたいということでございます。
それから、皮革汚泥に含まれるクロムの問題でございますが、確かに御指摘のとおりこの地区では皮革産業がございますので、クロムが入ってまいります。そこで、私どもといたしましては、事業団の技術開発というものに信頼いたしまして、クロムが出ないように汚泥を溶融いたしまして封じ込める、さらに土捨て場等についても一つのルールに従って、そういう不安がない、あるいは公害が起こらないというようにやってまいりたいと思います。
それから、最後にスケールメリットでございます。これは、おおむね一〇%から二〇%、建設、維持管理においても安くなる、かように私どもは算定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/248
-
249・江藤隆美
○江藤国務大臣 この法案の審議に当たりまして、下水道の重要性にかんがみもっと頑張ってしっかりやれというお励ましを実はいただきました。今後私どもは、事業の執行について万全を期しますとともに、財源の確保その他また、いろいろ皆さんの御指導を仰ぎながら一層の努力を重ねてまいりたいと思いますので、今後ともによろしくお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/249
-
250・中島武敏
○中島(武)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/250
-
251・瓦力
○瓦委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/251
-
252・瓦力
○瓦委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、日本下水道事業団法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/252
-
253・瓦力
○瓦委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/253
-
254・瓦力
○瓦委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平沼赳夫君外四名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。平沼赳夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/254
-
255・平沼赳夫
○平沼委員 ただいま議題となりました日本下水道事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
日本下水道事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一 日本下水道事業団の行う汚泥処理業務の実施に当たっては、下水道法、地方自治法の精神を生かし、関係地方公共団体の意向を十分尊重し、地方公共団体の支援機関としての役割が適切に果たされるよう努めること。
二 本事業団の行う汚泥処理業務が、下水道労働者の雇用条件の悪化につながらないよう万全を期すること。
三 汚泥処理に関する新技術の開発及び実用化を促進し、汚泥の適切な処理及び有効利用に努めること。
四 本事業団の行う汚泥処理業務の実施に当たっては、業務執行の円滑化、効率化に努め、地方公共団体の負担の軽減を図ること。
五 本事業団の行う汚泥処理業務の実施に当たっては、環境保全対策に万全を期すること。
右決議する。
以上であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願いを申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/255
-
256・瓦力
○瓦委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/256
-
257・瓦力
○瓦委員長 起立総員。よって、平沼赳夫君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/257
-
258・瓦力
○瓦委員長 次に、下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成著起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/258
-
259・瓦力
○瓦委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/259
-
260・瓦力
○瓦委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平沼赳夫君外四名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。平沼赳夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/260
-
261・平沼赳夫
○平沼委員 ただいま議題となりました下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知でありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一 近年高まりつつある下水道整備の促進を求める国民世論を参酌し、五箇年計画の完全達成を期するとともに、地方公共団体の財政負担の軽減に配慮すること。
二 五箇年計画の三年後の見直しの検討に当たっては、整備の進捗状況等を勘案し、事業費の拡大に努めること。
三 下水道の整備に当たっては、良好な環境の確保を図るため、地域住民の意見に配慮し、自然環境と地域の実情に応じた適切な事業計画の策定に努めること。
四 下水の処理に当たっては、下水道の機能を保全し、資源の有効利用の推進を図るため、特定施設に対する監督、監視体制を強化し、有害物質の規制の徹底を図るとともに、中小企業の除害施設の設置に関し、助成措置の充実に努めること。
五 高度処理及び下水汚泥の処理技術の開発・実用化並びに流雪溝等処理水の再利用・有効利用の促進を図ること。
六 需要者の負担が過大にならないよう適切な措置を講ずること。
右決議する。
以上であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/261
-
262・瓦力
○瓦委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/262
-
263・瓦力
○瓦委員長 起立総員。よって、平沼赳夫君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。江藤建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/263
-
264・江藤隆美
○江藤国務大臣 日本下水道事業団法の一部を改正する法律案及び下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。
審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすように努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましてもその趣旨を十分に尊重し、今後の運用に万全を期してまいる所存でございます。
ここに法案の審議を終わるに際し、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表しごあいさつといたします。ありがとうございました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/264
-
265・瓦力
○瓦委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/265
-
266・瓦力
○瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/266
-
267・瓦力
○瓦委員長 次に、内閣提出、東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案を議題といたします。
趣旨説明を聴取いたします。江藤建設大臣。
―――――――――――――
東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/267
-
268・江藤隆美
○江藤国務大臣 ただいま議題となりました東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
東京湾横断道路は、東京湾岸道路、東京外郭環状道路、首都圏中央連絡道路、東関東自動車道等と一体となって首都圏における広域的幹線道路網を形成し、東京湾の周辺の地域における交通の円滑化に資するとともに、首都圏の諸機能の再編成、産業活力の向上等に寄与する道路としてその重要性、必要性は極めて大きいものがあります。
また、東京湾横断道路の建設は、大規模かつ集中的な投資を行うプロジェクトであり、内需中心の持続的な経済成長を目指し、あわせて調和ある国際経済関係の確立に資するためにも、その早期着工が望まれるところであることから、民間の熱意と資金を主軸とした新しい方式によりこれを行うことが適当であると考えられます。
そこで、民間経営の長所を生かし、かつ、民間技術力の活用を図る見地から、道路の建設、管理は民間、地方公共団体及び日本道路公団の出資による株式会社が行うこととし、その資金は、会社の自主性及び民間の効率的経営に資するため、大部分を民間資金に期待するとともに、民間会社では対応が困難な対外調整等は公団が行うこととし、かつ、この方式により事業が円滑に実施されるよう会社に対して特別の措置を講ずることとするため、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、その要旨を御説明申し上げます。
まず、日本道路公団は、東京湾横断道路の建設、管理について、建設工事は会社が行い、公団がその費用を長期間に分割して会社に支払うこと等を内容とする協定を東京湾横断道路の建設、管理を主たる目的とする会社と締結してその業務を行わなければならないこととしております。
そして、公団とこの協定を締結して事業を行う東京湾横断道路建設事業者に対して、政府の無利子貸し付け、公団、地方公共団体の出資及び政府の債務保証を行うことができるものとするとともに、社債発行限度の特例及び割引債の発行を認めることとし、これに伴い所要の監督措置を規定することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/268
-
269・瓦力
○瓦委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ります。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404149X00619860328/269
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。