1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十一年五月十三日(火曜日)
午後零時十七分開議
出席委員
委員長 福島 譲二君
理事 糸山英太郎君 理事 小澤 潔君
理事 西田 司君 理事 平林 鴻三君
理事 加藤 万吉君 理事 宮地 正介君
理事 岡田 正勝君
伊藤 公介君 臼井日出男君
大島 理森君 大村 襄治君
左藤 恵君 坂本三十次君
長谷川 峻君 細田 吉藏君
松田 九郎君 五十嵐広三君
小川 省吾君 山下八洲夫君
山中 末治君 和田 貞夫君
小谷 輝二君 宮崎 角治君
吉井 光照君 藤原哲太郎君
経塚 幸夫君
出席国務大臣
自 治 大 臣 小沢 一郎君
出席政府委員
自治大臣官房長 津田 正君
自治省行政局長 大林 勝臣君
委員外の出席者
地方行政委員会
調査室長 島村 幸雄君
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委員の異動
四月二十三日
辞任 補欠選任
臼井日出男君 額賀福志郎君
大村 襄治君 原 健三郎君
中川 昭一君 天野 光晴君
佐藤 敬治君 馬場 昇君
同日
辞任 補欠選任
天野 光晴君 中川 昭一君
額賀福志郎君 臼井日出男君
原 健三郎君 大村 襄治君
馬場 昇君 佐藤 敬治君
同月二十四日
辞任 補欠選任
五十嵐広三君 大原 亨君
山下八洲夫君 矢山 有作君
同日
辞任 補欠選任
大原 亨君 五十嵐広三君
矢山 有作君 山下八洲夫君
五月八日
辞任 補欠選任
臼井日出男君 伊東 正義君
大村 襄治君 佐々木義武君
中川 昭一君 森山 欽司君
五十嵐広三君 大原 亨君
同日
辞任 補欠選任
伊東 正義君 臼井日出男君
佐々木義武君 大村 襄治君
森山 欽司君 中川 昭一君
大原 亨君 五十嵐広三君
同月九日
辞任 補欠選任
臼井日出男君 河本 敏夫君
同日
辞任 補欠選任
河本 敏夫君 臼井日出男君
同月十三日
辞任 補欠選任
中川 昭一君 大島 理森君
細谷 治嘉君 山中 末治君
安田 修三君 和田 貞夫君
同日
辞任 補欠選任
大島 理森君 中川 昭一君
山中 末治君 細谷 治嘉君
和田 貞夫君 安田 修三君
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四月二十五日
地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七二号)
同月二十三日
地方自治の拡充に関する請願(横江金夫君紹
介)(第三五二五号)
競走場労働者に対する労働条件切り下げの自治
省指導に関する請願(山中末治君紹介)(第三
六二四号)
五月二日
中小企業等に対する地方税法人均等割税額の軽
減に関する請願(天野光晴君紹介)(第三七〇
四号)
地方自治の拡充に関する請願(網岡雄君紹介)
(第三七二二号)
福岡県田川地区の浮揚・再生のための財政確立
に関する請願(細谷治嘉君紹介)(第三八二三
号)
同月六日
道路交通の安全確保に関する請願(吉原米治君
紹介)(第三九〇九号)
同月八日
地方自治の拡充に関する請願(東中光雄君紹
介)(第三九五四号)
競走場労働者に対する労働条件切り下げの自治
省指導に関する請願(経塚幸夫君紹介)(第三
九五五号)
重度障害者の固定資産税非課税に関する請願
(熊川次男君紹介)(第四〇二三号)
同(小坂徳三郎君紹介)(第四〇二四号)
同(佐藤誼君紹介)(第四〇二五号)
同(武部文君紹介)(第四〇二六号)
同(福田一君紹介)(第四〇二七号)
同(渡部恒三君紹介)(第四〇二八号)
重度障害者の電動車いすの速度制限に関する請
願(熊川次男君紹介)(第四〇二九号)
同(小坂徳三郎君紹介)(第四〇三〇号)
同(佐藤誼君紹介)(第四〇三一号)
同(武部文君紹介)(第四〇三二号)
同(福田一君紹介)(第四〇三三号)
同(渡部恒三君紹介)(第四〇三四号)
同月九日
道路交通の安全確保に関する請願(竹内猛君紹
介)(第四一二九号)
同月十二日
重度障害者の固定資産税非課税に関する請願
(石橋政嗣君紹介)(第四三二九号)
同(奥田敬和君紹介)(第四三三〇号)
同(梶山静六君紹介)(第四三三一号)
同(田邉國男君紹介)(第四三三二号)
同(船田元君紹介)(第四三三三号)
同(渡辺省一君紹介)(第四三三四号)
同(青木正久君紹介)(第四六二六号)
同(山下元利君紹介)(第四六二七号)
同(若林正俊君紹介)(第四六二八号)
重度障害者の電動車いすの速度制限に関する請
願(石橋政嗣君紹介)(第四三三五号)
同(奥田敬和君紹介)(第四三三六号)
同(梶山静六君紹介)(第四三三七号)
同(田邉國男君紹介)(第四三三八号)
同(船田元君紹介)(第四三三九号)
同(渡辺省一君紹介)(第四三四〇号)
同(青木正久君紹介)(第四六二九号)
同(山下元利君紹介)(第四六三〇号)
同(若林正俊君紹介)(第四六三一号)
競走場労働者の生活不安解消に関する請願(山
花貞夫君紹介)(第四五五九号)
競走場労働者に対する労働条件切り下げの自治
省指導に関する請願(山花貞夫君紹介)(第四
五六〇号)
地方自治の拡充に関する請願(経塚幸夫君紹
介)(第四六九三号)
は本委員会に付託された。
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五月十二日
地方財政の充実独化に関する陳情書外一件
(第一八一号)
地方自治制度に関する陳情書外一件
(第一八二号)
過激派集団による暴力排除対策の推進に関する
陳情書
(第一八三号)
地方事務官制度の廃止に関する陳情書外五件
(第一
八四号)
町村議会の機能強化に関する陳情書外一件
(第一八五号)
中小企業等に対する地方税法人均等割税額の軽
減に関する陳情書外二件
(第一八六号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七二号)
地方自治法の一部を改正する法律案起草の件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404720X01619860513/0
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001・福島譲二
○福島委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。小沢自治大臣。
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地方自治法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404720X01619860513/1
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002・小沢一郎
○小沢国務大臣 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
この法律案は、地方制度調査会の答申にのっとり、機関委任事務制度について職務執行命令訴訟制度を見直すとともに、機関委任事務に係る議会及び監査委員の関与を拡充し、監査委員制度について監査委員の職務権限の拡大等その整備を図り、議会制度について議会運営委員会の設置等につき所要の措置を講じるとともに、地方公共団体の公有地について信託制度を導入する等により、地方公共団体の組織及び運営の合理化を図ろうとするものであります。
以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。
次に、この法律案の内容について御説別申し上げます。
第一は、機関委任事脇制度の改善に関する事項であります。
まず、機関委任事務について地方議会の検閲・検査権及び監査請求権を認めるものといたしております。
次に、職務執行命令訴訟制度についてはこれを見直し、地方公共団体の長の罷免の制度を廃止するとともに、主務大臣は、知事の処理する国の機関委任事務の管理・執行について法令もしくは主務大臣の処分に対する違反または懈怠があり、他の方法でその是正を図ることが困難で、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、知事に対する勧告、命令及び知事の不履行の事実を確認する内閣告示を経て、知事にかわって当該事項を行うことができるものとし、知事の方からは、主務大臣の命令について内閣総理大臣に不服の申し出ができ、さらに、内閣総理大臣から不服の申し出に理由がない旨の通告があったときは、主務大臣の命令の取り消しを求める訴えを起こし、その際執行停止の申し立てをすることができることとしております。なお、市町村長の処理する国の機関委任事務の管理・執行に関してもこれに準ずることとしております。
また、機関委任事務について、監査委員が必要と認めるときは、これを監査できることといたしております。
第二は、地方公共団体の議会についての改正であります。
議会の委員会は、調査または審査のため、参考人の出頭を求め、その意見を聞くことができるものとし、また、議会は、条例で議会運営委員会を置くことができるものといたしております。
第三は、監査委員制度の整備に関する改正であります。
まず、議員以外の者から選任される監査委員については、人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関しすぐれた識見を有する者でなければならないこととし、その数が二人以上であるときは、少なくとも一人以上は、選任前五年間において当該普通地方公共団体の職員でなかったものでなければならないものとするとともに、都道府県及び政令で定める市にあっては、一人以上は常勤としなければならないこととしております。
次に、監査委員の身分取り扱いについての規定を整備することといたしております。
また、監査委員は、必要があると認めるときは、普通地方公共団体の事務の執行及び公の施設の管理を受託している団体の出納その他の事務の執行についても監査できるものとしております。
第四は、地方公共団体の公有地の信託に関する事項であります。
普通財産である土地及びその定着物は、当該普通地方公共団体を受益者として政令で定める信託の目的により、議会の議決を経て信託することができるものとし、これと関連して、土地及びその定着物の信託に関し、監査委員の監査権限及び長の調査権・解除権を認めるとともに、長は事務処理状況を説明する書類を議会に提出するものとする等所要の規定を整備することといたしております。
最後に、選挙管理委員の身分取り扱いについての規定の整備及び地方公共団体の処理事務を掲げた別表の規定の改正等所要の規定の整備を行うことといたしております。
以上が地方自治法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404720X01619860513/2
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003・福島譲二
○福島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404720X01619860513/3
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004・福島譲二
○福島委員長 地方自治に関する件について調査を進めます。
地方自治法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来の理事会等におきまして御協議を願ってまいりましたが、その結果に基づきまして、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしてございます。
本起草案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。
まず、その趣旨について申し上げますと、御承知のように、近年、土地の有効利用の手法として土地信託が注目を集めておりますが、この制度は、土地の開発利益を十分に享受できる仕組みであり、また、信託契約によって信託期間終了後に土地の所有権を返還させることができるとともに、信託銀行等の知識・経験等を活用して建物の建築やその管理処分を効率的、弾力的に行うことができる等のため、民間において急速な普及を見せているところであります。
最近では、地方公共団体においても、このような土地信託制度のメリットを考慮し、民間活力の活用によって公有地の有効利用を推進する観点から、その導入を検討しているものが見受けられるところであります。また、この土地信託制度は、その活用によって現在緊急な課題となっている内需の拡大に資するとともに、都市再開発等のまちづくりの事業を行うに当たって土地の売買を必要としないため、地価の高騰を回避することもできると考えられるのであります。
しかしながら、理行の地方自治法では、公有財産の管理・処分の態様として、貸し付け、交換、売り払い、譲与、出資及び私権の設定を規定しているものの、信託については特に規定がなく、これを予定していないものと考えられております。
そこで、本案は、このような土地信託制度のメリット及び地方公共団体の動向等にかんがみ、民間活力の活用によって公有地の有効利用を促進する手段として、信託制度を地方公共団体の公有地について導入するため所要の措置を講じようとするものであります。
なお、国有地につきましても、既に今国会に提出されております国有財産法の一部を改正する法律案におきまして、これと同様の措置を講ずることとされております。
次に、その内容について御説明いたします。
第一は、信託の対象は、公有財産のうち普通財産である土地及びその定着物に限り、当該普通地方公共団体を受益者として、建物の建築、土地の造成等政令で定める信託の目的により、議会の議決を経て信託することができることとしております。
第二は、不動産の信託の受益権については、これを公有財産の範囲に加えることとしております。
第三は、普通地方公共団体の長は、その信託期間中に公用または公共用に供する必要が生じたとき等においては、信託契約を解除することができることとしております。
第四は、普通財産である土地等の信託に関し、その受託者を監査委員の監査及び普通地方公共団体の長の調査権等の対象とすることとしております。
第五は、普通地方公共団体の長は、普通財産である土地等の信託について、事務処理状況を説明する書類を議会に提出することとしております。
このほか、地方公営企業法において、土地等を信託する場合には議会の議決を必要としないこととする等関係規定の整備を行うこととしております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
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地方自治法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404720X01619860513/4
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005・福島譲二
○福島委員長 本件について発言を求められておりますので、これを許します。経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404720X01619860513/5
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006・経塚幸夫
○経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました委員長発議による地方自治法の一部を改正する法律案を委員会提出法律案に決することに反対の意見を述べます。
起草案の趣旨説明によりますと、「土地信託制度のメリット及び地方公共団体の動向等にかんがみ、民間活力の活用によって公有地の有効利用を促進する手段」として土地信託制度の導入を行うとしております。
そのメリットとして、第一に、単なる売却よりも土地の開発利益を十分享受できるとしております。
しかしながら、もともと地方公共団体が土地を取得するのは、売却などによって利益を得るためではなく、公共目的に利用するためであり、普通財産といえども、住民負担による公金が形を変えたものであって、公共優先の本質はいささかもゆがめられてはならないものであります。にもかかわらず、信託制度の方が売却よりも利益を享受できるなどと単純に比較すること自体、公有財産取得の目的を逸脱するものと言わなければなりません。
住友信託銀行不動産部開発事業室長は、土地信託を受託するかどうかのポイントは、その土地を使って事業経営のめどが立つかどうかであると述べておりますが、まさに信託制度とは、公有財産を公共目的よりも事業経営と利益を優先するものであることは余りにも明白であります。
第二に、契約終了後あるいは公共用の用途に供する必要が生じたときには契約の解除を行い土地の返還が可能であるとしております。
しかしながら、受託側はあくまでも利益が上がるもののみを受託の対象としておるのでありまして、一たん信託をされ、建造物が建設された土地が果たして簡単に返還されるのかどうか、また、返還されたとしても公共用に役立つのかどうか、極めて疑問であります。
これは、理行法でも、公有財産としての管理を厳格にする必要から、貸し付けに当たっては用途指定ができると定められておるにもかかわらず、本起草案では「建物の建築、土地の造成等」と規定するだけで、何をつくるかは何ら規制されず、受託者にゆだねられているのを見ても明らかであります。
また、信託した建物の一部を地方公共団体が賃借することが認められておりますが、これは行政財産にも信託制度導入への道を開くものであります。
既に信託銀行側が、国公有地の土地信託が実現した場合には、図書館、スポーツセンター、病院等公共性の強い施設の運営に受託者が当たることになろうと述べております。これは、公共目的を達成するために、本来、地方公共団体が直接、建設、管理、運用しなければならない行政財産までが、民活の名のもとに民間にゆだねられ、行政責任の放棄とともに、住民福祉という公共目的より企業の経営利益優先に道を開くものであります。
第三の問題点は、住民の財産管理という地方行政の根本にもかかわる重大な本問題を、十分な論議もないまま、決せられようとしていることであります。
本来、委員長提案による法律案については、全会一致を前提とすべきであります。ましてや、委員長提案とはいえ、内容が政府提出の法案と同じ内容である限り、政府提出法案の審議と同じく十分な審議が尽くされなければなりません。国有財産の信託制度との関連で成立が急がれていることを理由の一つに挙げておりますが、それなら、政府提出法案のうち裁判抜きの代執行制度導入部分などを修正削除し、審議すべきであります。
以上の理由により、本法律案に反対の意見を申し述べて発言を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404720X01619860513/6
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007・福島譲二
○福島委員長 これにて発言は終わりました。
お諮りいたします。
地方自治法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成著起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404720X01619860513/7
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008・福島譲二
○福島委員長 起立多数。よって、さよう決しました。
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404720X01619860513/8
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009・福島譲二
○福島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十一分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110404720X01619860513/9
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