1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十一年十月二十八日(火曜日)
午前十時四分開議
出席委員
社会労働委員会
委員長 堀内 光雄君
理事 稲垣 実男君 理事 戸井田三郎君
理事 長野 祐也君 理事 丹羽 雄哉君
理事 浜田卓二郎君 理事 池端 清一君
理事 沼川 洋一君 理事 田中 慶秋君
粟屋 敏信君 伊吹 文明君
小沢 辰男君 大野 明君
大野 功統君 木村 義雄君
古賀 誠君 佐藤 静雄君
自見庄三郎君 高橋 一郎君
戸沢 政方君 中山 成彬君
野呂 昭彦君 藤本 孝雄君
三原 朝彦君 箕輪 登君
持永 和見君 中沢 健次君
永井 孝信君 村山 富市君
井上 和久君 大橋 敏雄君
貝沼 次郎君 橋本 文彦君
塚田 延充君 浦井 洋君
地方行政委員会
委員長 石橋 一弥君
理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君
理事 渡海紀三朗君 理事 西田 司君
理事 野呂 昭彦君 理事 安田 修三君
理事 草野 威君 理事 岡田 正勝君
石渡 照久君 魚住 汎英君
金子 一義君 北村 直人君
鈴木 恒夫君 中山 利生君
古屋 亨君 加藤 万吉君
左近 正男君 佐藤 敬治君
山下八洲夫君 小谷 輝二君
宮地 正介君 経塚 幸夫君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 斎藤 十朗君
自 治 大 臣 葉梨 信行君
出席政府委員
厚生大臣官房総
務審議官 長尾 立子君
厚生省健康政策
局長 竹中 浩治君
厚生省保健医療
局長 仲村 英一君
厚生省保健医療
局老人保健部長 黒木 武弘君
厚生省社会局長 小林 功典君
厚生省保険局長 下村 健君
厚生省年金局長 水田 努君
社会保険庁医療
保険部長 内藤 洌君
社会保険庁年金
保険部長 岸本 正裕君
自治省財政局長 矢野浩一郎君
自治省税務局長 津田 正君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 中島 義雄君
地方行政委員会
調査室長 島村 幸雄君
社会労働委員会
調査室長 石川 正暉君
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本日の会議に付した案件
老人保健法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/0
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001・堀内光雄
○堀内委員長 これより社会労働委員会地方行政委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が委員長の職務を行います。
内閣提出、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
法案の趣旨の説明聴取につきましては、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田修三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/1
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002・安田修三
○安田委員 それでは厚生大臣にまずお尋ねいたします。
高齢化社会に対処して、それにふさわしい福祉や医療をつくりたいという政府の発想で、その後に行われた施策というのは、五十八年二月に老人保健法によって画期的な無料化から有料化へ、そして五十九年十月には健康保険が、これまた制度始まって以来、一割負担、特に定率で負担をしなきゃならぬ、こういう無負担原則から定率負担に転換して、しかも法定では二割ということになっております。同じく国庫負担なしの退職者医療制度をつくったことに伴いまして、国保の国庫負担を医療費ベースで四五%の補助から三八・五%、実に六・五%の補助金の削減を行ってまいりました。そして今度の老人保健法の改正案が出てまいっておるわけであります。この間、御承知のように、診療報酬の改定問題でありますとか、あるいはまた特定医療費制度の創設だとか、医療制度全般につきまして、従来でも複雑でありましたものが、より多岐に複雑化してまいったわけでありまして、その中身には国民の負担の増加さらには各診療機関の負担増、いろいろな問題が実は出てまいっております。結果としてずうっと眺めてまいりますと、さきに私が申し上げました、政府がかねがね言っております、高齢化社会に対処して、それにふさわしい福祉や医療をつくるということとは裏腹に、その外側全部取って中身だけを見ますと、いわゆる国庫補助負担金等の削減だけが実は光り輝いているわけでありまして、福祉とか医療というものがだんだん狭まっている感じを実は持っているわけであります。
最近始まってまいったこうした医療や福祉関係の一連の施策を見たときに、私たちはかねがね福祉の切り捨てあるいは福祉の後退ということを言っておりますし、皆さん方は、そうじゃない、高齢化社会に対処したときには、こうした制度がなければ安定的な運用はできないんだ、こうおっしゃるわけでありますが、それでは、今度の老健法の改正を突破口にしまして、今の保険制度を軸にした医療制度そのものを一体どのようにこれから見直しといいましょうか改革といいましょうか、将来目標を持って運営していかれるのか、まずそこからお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/2
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003・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 到来いたします長寿社会に向かって、その長寿社会の中にあっても社会保障制度がしっかりとした安定した運営がなされるようでなければならないと考えております。特に医療保険制度につきましては、その中心をなすものでございまして、医療制度の安定的な基盤づくりとともに、医療保険制度の安定ということをやってまいらなければならないと考えております。そしてその医療保険の安定的な維持のためには、負担と給付の公平化という観点からの改正を、ただいま御指摘がございましたように、昭和五十八年に老人保健制度の創設をお願いをし、また五十九年には健康保険制度の改正をしていただいたわけであります。今回もその一連の流れの中で老人保健制度の改正をお願いをいたしておるところでございます。
そして今後にわたりましては、国保制度のより一層の安定的な財政基盤を確保し、安定的な運営ができるよう努めてまいるために検討をし、それを実現して、そして昭和六十年代後半できるだけ早い時期に医療保険制度の一元化へ向けての実現に向かって努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
また、医療供給体制等につきましては、医療法の改正をお願いをし、地域医療計画を中心として、これから新しくまた出発をいたしてまいるところでありますが、なお今後とも医療法の基本的な見直しを行って、その供給体制の充実に資してまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/3
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004・安田修三
○安田委員 大臣は、将来的な保険制度を軸にした医療制度の見直しというべきか改革という問題について、六十年代後半に一元化とか、この問題については府県単位の健保制度にするとか、かねがねいろいろなことが言われておりますけれども、さて、五十八年からという今の一連の医療、福祉等の今日まで行われてまいった制度改正について、だんだん国庫補助負担金が少なくなって、そして受益者の負担がふえておるという事実は、大臣一番よく御存じのとおりであります。今後この一元化という中に、こうした流れがさらに強まってくるのではないか、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/4
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005・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 今回の老人保健法の改正につきましても、老人保健制度そのものに対する国庫負担は変更をいたしておらないところでございまして、いわゆる各保険者の持ち寄りという発想からの国民全体での負担を均等化していただくという観点に立っての改正をお願いをいたしておるところでございます。
今後、将来にわたって一元化へ向けてのいろいろな検討をしていく中でどのようになってまいるかという御質問でございますが、それぞれの検討の中で適正な国庫負担というものを維持してまいるようにしていきたいというふうに考えておりまして、今直ちにどのようになるかということは、今後の検討にまたしていただきたいというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/5
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006・安田修三
○安田委員 大臣は負担の公平という問題で決して受益者負担等ふえるのじゃないというお話のようでありますけれども、私は、これはまさに詭弁でありまして、この問題は後ほど皆さんとまた議論する場がありますので、話をします。
さて、いわゆる健康保険関係は本人負担一割という制度が導入されましてから、政管健保もかつて重荷の三Kでありましたが、これが黒字に転換してまいりました。五年間連続の黒字、特に今年のように三千百億円という大きな黒字なんというのは大変なことでございます。
さて、国保の場合はなぜ赤字がずっと続いているのか、この点どういうぐあいに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/6
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007・下村健
○下村政府委員 お答えいたします。
国保財政の圧迫要因といたしまして、高齢者の加入割合が非常に高い。また高齢化の進展に伴いまして、特に老人医療費の増高が非常な負担になっている。特にここ数年来は、老人医療費の負担の公平化を図るという観点から老人保健制度を創設したわけでございますが、加入者按分率が実質上低下を続けておりまして、結果として国保の財政圧迫に非常に拍車をかける結果になっているということが最も基本的な要因としては大きいもの、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/7
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008・安田修三
○安田委員 自治省、お尋ねいたしますけれども、自治省の方は、この点国保財政——医療の方は厚生省ですが、財政問題は自治省でございます。かねがねこの国保問題については、自治省は厚生省に、ことしも六十二年度概算要求のときには注文をつけてあります。自治省のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/8
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009・矢野浩一郎
○矢野政府委員 政管健保あるいは組合健保と黒字を続けておるにもかかわらず、国民健康保険の方はさらに赤字が増大をしておるということ、御指摘のとおりでございます。
この点につきましては、先ほど厚生省側からもお答えございましたが、国民健康保険は他の医療保険の対象とならない自営業者あるいは農業者等を対象とするものでございまして、高齢者の比率が他の保険者に比べ高いということが、やはり国保財政を困難にする大きな理由になっておろうかと思います。加えて、一昨年度創設されました退職者医療制度の加入者数等の見込み違い、あるいは老人保健法等の一部改正法案が成立がおくれておるということなどによりまして、その財政状況は一段と厳しいものになっておるものと認識しております。
私どもも、国保財政の観点から、この点につきましては極めて憂慮しておるところでございまして、かねてより関係省庁に対しても必要な国庫負担金の額の確保等につきまして強くお願いを申し上げておりますところで、今後とも努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/9
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010・安田修三
○安田委員 これを聞いておりますと、厚生省側と自治省側とは微妙なところで食い違いが出てくるわけであります。厚生省の方は、老人医療費の負担増、それは加入者按分率等の低下だという言い方、ここに巧妙に一つの問題が隠されておるわけでありますが、自治省の方は率直に退職者医療制度の創設が主原因のようなお話が実は出てまいっております。これは加入者按分率という問題、特に老人加入率の問題で後ほどお聞きしますので、この程度にしまして、さて、それでは赤字に悩んでいる国保の運営でございますが、一体これは皆さんの方では将来どのように持っていこうとしておられるのか、厚生省、自治省ともにひとつ答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/10
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011・下村健
○下村政府委員 国保は、ただいまも申し上げましたように、他の制度に比べまして、医療費の多くかかる高齢者が多い、あるいは保険料負担能力の低い低所得者が多くて、制度の財政基盤が構造的に脆弱だということが基本的な問題としてあるというふうに認識しているわけでございます。したがいまして、今後のあり方としては、他の制度との格差を解消していくという点に主眼を置いて、国保財政の長期的な安定を図るということを目標として運営していきたい。
その第一段といたしまして、老人保健法の問題、退職者医療の問題等もあるわけでございますが、また、今回、改めまして老人保健法の改正によりまして、老人医療の負担の公平化を図った上で、将来の産業構造あるいは高齢化の進展に備えつつ、将来にわたって地域の保健医療を支える中核的制度として国保が安定的に運営できるようにしていきたい、これが厚生省としての国保問題についての基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/11
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012・安田修三
○安田委員 今、保険局長、地域の保健を支える安定的な運営、これは国民健康保険法の趣旨にも書いてあるわけでして、それでは安定するために皆さんが運営をどのようにしていくかという、それを聞いておるわけです。そんなことはあなたが言わぬでもわかっている話です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/12
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013・下村健
○下村政府委員 他の制度に比べますと、給付面、負担面等で格差がございます。特に加入者に高齢者が多いというふうな点について格差がございますので、その格差の解消という点に主眼を置いて国保の運営を考えてまいりたい、このように申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/13
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014・安田修三
○安田委員 どうも皆さんはかねがねこういう点になるとさっといろいろなことで逃げを打ってごまかしていくのですが、しかし、今までのこの社労の委員会等の答弁を通じましても、皆さんの中にはそういう点では具体的に出ておるのじゃないでしょうか。例えば中には、質問された方に、その場合に都道府県に移すということはどうかという質問に対しては、厚生省側では、そういうことを検討したいという答弁も出ておりますし、いろいろなことが出ておるでしょう、厚生省の考えとして。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/14
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015・下村健
○下村政府委員 私どもとしては都道府県営という議論は確かにあるわけでございます。各地方団体がそれぞれの立場において協力して高齢化社会に備えていくということは必要であろうと考えておりますが、市町村営という長い実績、また他の制度との関連から考えまして、市町村営という原則についてはできる限りこれを堅持していきたい。ただし、その場合におきましても、都道府県の役割が今のままでいいかどうか、その辺についてはなお今後の検討課題として考えてまいりたい、このようなことを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/15
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016・安田修三
○安田委員 それでは局長、確認しておきますが、現状のこの市町村営の国保の建前というものは崩さない、だが都道府県の役割というものについてはその場合に見直す、こういうことでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/16
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017・下村健
○下村政府委員 原則としては、私どもそのように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/17
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018・安田修三
○安田委員 それでは自治省はどのようにお考えであるか、大臣から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/18
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019・葉梨信行
○葉梨国務大臣 国民健康保険の運営についてのお尋ねでございますが、国保は加入者が約四千五百万人、医療保険制度の中で国民皆保険の制度を支える最大の制度でございまして、この制度を安定的に運営することが国民の医療を確保する上でも大変大事なことであろうと認識しております。
国保につきましては、ただいま国庫補助並びに保険料によりまして運営されておりますが、これからは高齢化社会を迎える中で、医療制度の一元化という幅広い検討の中で国民健康保険のあり方を検討してまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/19
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020・安田修三
○安田委員 大臣、そこで今、厚生省から、保険局長から答弁ありましたですね。市町村営を原則として、都道府県はその場合に役割を見直していく。今、都道府県でも国保の強化資金ということで助成その他やっておりますが、そんなようなことも含むかと思うのですが、自治省の方は具体的にはそういう点、どういうぐあいにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/20
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021・矢野浩一郎
○矢野政府委員 国民健康保険事業について都道府県の役割をどう考えるか、あるいはそういった仕事についてむしろ都道府県に移管していくという考え方についてどう思うか、こういう御趣旨のお尋ねかと思いますが、私どもといたしましては、地域における医療保険としての国民健康保険の役割から考えてみまして、基本的には現在の保険料とそれから国庫負担金で運営をしていく、この仕組みはやはり維持すべきではないか。ただ、その場合におきまして、全国的な見地、他の健保との関係から構造的に格差のあります国保の財政をいかにして安定させるかということについての根本的検討が必要と思っておりますが、これに対して都道府県の役割を果たさせるということは、例えば都道府県を実施主体にするということになりますと、これは私どもとしては賛成いたしかねる、このように考えております。
なぜならば、市町村が実施主体となりませんと、一番基本となります保険料あるいは国民健康保険税、これは今市町村でなければやはり徴収ができないわけでございます。住民税あるいは固定資産税等の課税の基礎になりますデータを用いて国保税を課税をしていく、これはやはり市町村でなければできない、こういうことでございます。したがって、またこれは都道府県がそういうことをやるということになれば、保険料とか保険税の税率や料率の改定も難しくなる、あるいはいわゆる疾病の予防という観点からの保健事業、これも市町村が非常に大きな役割を果たしておりますが、これと一体になって行う必要がある、そういったことなどをさまざま考えてみますと、やはり現在の国保を全面的に都道府県に移すというような考え方には賛成をいたしかねる、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/21
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022・安田修三
○安田委員 私も都道府県営に移管せい、こう言っているわけじゃないのです。何か今の局長の答弁を聞いておりますと、厚生省側は困ったような顔をして聞いていらっしゃるのですが、実は厚生省の方は、都道府県営についてどうかという質問が以前にあったときに、検討したい、こうおっしゃっていたのです。先ほど保険局長は、市町村営が原則、都道府県のそれに対する役割を見直すという、自治省側は、市町村営で、都道府県営とかそういうものは考えられないと、極めて明確な話でございます。私は現状今の市町村営でいく、それで正しいと思います。
そこで、その場合に、例えば非常に過疎な県があります。地方行政委員会も先般視察をしましたときに、財政指数が二十何%という市町村が三十前後あることにまことにびっくりしました。こうした過疎の町村に対しましては、今国保の方はいわゆる財政調整交付金、一〇%がありますが、これだけの制度ではとてもじゃないが救われない、こういう問題が現実に出ておるわけでありまして、そういう町村へ行きますと、国保財政については真っ先に実は陳情が出てまいっておるわけであります。
今の財政調整交付金そのものをどのようにするか、国庫補助負担金を現状皆さんの方では上げるどころか下げてまいっておる。しかも、こういう過疎町村等は一体どうするか。それからまた地方交付税の方も大変厳しい情勢の中にあります。これについて厚生省、自治省、まず自治省は財政問題で一番頭の痛いところでありますので、自治省の方からお聞きしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/22
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023・矢野浩一郎
○矢野政府委員 いわゆる過疎地域の地方公共団体、財政的に非常に窮迫を告げておるということは御指摘のとおりでございますが、国保財政におきましても、また同様の事情にあろうかと思います。
現在の調整交付金制度は、まさにそういった点を補完するためにできておるものと考えるのでございますが、現在の財政調整交付金制度は、医療費とかあるいは老人保健医療拠出金、それから保健施設に要する費用等の合計額に対しまして、保険料が不足する市町村に対して交付されるいわゆる普通調整交付金、それから市町村が低所得世帯等に対して減免を行うというような場合等に交付される特別調整交付金、両者ありまして、両々相まってその役割を果たすべきものと考えますが、この配分そのものは所管省において行われるところでございまして、私どもとしては、そういった過疎的な市町村の現況にかんがみまして、今後ともそういった市町村における国保財政の安定化のために十分な所要額が確保されるよう常に所管省に対して要請をしておるところでございます。今後ともその努力を続けてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/23
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024・安田修三
○安田委員 厚生省の方。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/24
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025・下村健
○下村政府委員 御指摘のように、過疎の市町村につきましては、財政調整交付金の中の普通調整、それに特別調整というふうなものを活用いたしまして、現行平均としまして一〇%でございますが、過疎地域については特に手厚い調整を行うという方針で対応しておるわけでございます。
それからまた、そういう過疎市町村の場合は、多くの場合、直営の診療所、国保の診療所のようなものを持ちまして医療の確保を行っているという例が多いわけでございますが、そういう国保診療所の運営費につきましても、また別途、財政調整交付金の中で特別調整をやるというふうな形で対応いたしております。
それでも、最近の医療の実情からいたしますと、高額療養費の発生というふうなことがございまして、それが直ちに財政規模の小さいところでは影響を及ぼすというようなこともございますので、高額療養費の共同事業というふうなものを推進をいたしまして対応するというのが現在の格好でございます。現状ではどうにか対応できていると思いますが、これから高齢化が進行してまいります。特に過疎の場合には高齢化の度合いが高いところが多いわけでございますので、今後高齢化の進行につれて、これでいいかどうかにつきましては、老人保健法の改正に引き続きまして国保問題を重点的に検討してまいりたいと思いますが、その中でさらに検討してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/25
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026・安田修三
○安田委員 これは抜本的に何か考えないことには、これからは高度医療が進む中で大変な事態でありますので、ぜひ見直しをしてもらいたいと思います。さて、今度の改正に当たって、これは厚生省側の言い分でございますけれども、こんなことを言っております。これは言った方は覚えがあるわけで、文書として出すわけですから一緒ですが、増加する医療費を国民が公平に負担するシステムをどうつくるか、こういうことを基本にして制度間、世代間の公平化ということでいろいろな改正をやっているんだ、こういう話が出ております。
そこで、一部負担、例えば若い人に負担がかかるから年老いた世代の人にも公平に負担してもらわなければならぬという世代間の公平化ですね。制度間はもちろん各健保制度間の負担ということです。
さて、一部負担が上がれば、若い世代の人が家庭での医療費の増加という問題、なぜ家庭での医療費の増加かといいますと、六十五歳以上のお年寄りの三世代同居は四六%、これは厚生省の皆さんの調査で四六%ということになっておる。三世代同居であれば、約半分の世帯の人が、まず若い人に負担がかかるのは当然でございます。それからまた一人ないし二人夫婦、二人夫婦といっても、最近は例えば田舎から都会地へ行けば、子供さんはほとんど都会地で結婚して、田舎ではお年寄りは一人か二人で生活をしている、そして若い人から仕送りが来ております。それはかなり高額が来ておる人から、それぞれほんの何万円程度ずつ子供たちから来ておるとか、いろいろありますが、とにかくそういうことをやりながら核家族化の現代を支えております。したがいまして、皆さんの調査の中でも、例えば六十五歳以上のお年寄り一人だけの単独世帯あるいはまたじいちゃん、ばあちゃんの夫婦世帯、こういう一人ないし二人の世帯は合わせて三一%だ、こうなっております。これは三世代同居じゃない。これらの人は無職の人が六五%、年金収入生活者が四〇%、その平均収入は十二万円だ、皆さんのデータの中にこう出ておるわけです。そうすれば、お年寄りに一部負担等の医療費の増加があれば、当然若い人に負担がかかっていく、これはだれが見ても否めない事実です。役所の方は何でも統計持っていらっしゃるのですから、そういうものはあるだろうと思うのです。また各制度間で拠出金がふえた分は、今の制度が保険料は若い人が負担しておるわけでありますから、当然若い人の負担増、直ちに目に見えなくても、将来保険料が上がれば負担増になるわけです。結局は、今働いておる人たちあるいは保険料を納めておる人たちが二重、三重の負担になって、とどのつまりは国の補助金を削ったことが全部しわ寄せになっている、こういうことになりませんか、この点、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/26
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027・黒木武弘
○黒木政府委員 お答えをいたします。
今回の老人保健制度の改革でございますが、御指摘のように、これからだんだん人口の高齢化が進むわけでございまして、老人医療費もどんどんふえてまいる、これは増加が避けられないと思っているわけでございまして、この医療費を国民がどう公平に負担していくかというシステムを確立しよう、そして世界に類を見ない長寿社会においても安心した老後を託せる制度を確立しようというものでございます。
一部負担の件でございますけれども、この老人医療費をお年寄りも若い人も公平に負担していただくという世代間の公平の観点から今回行うものでございますが、お年寄りの年金等の状況から見て、無理なく御負担いただけるのではないかと私どもは思っているわけでございます。
それから、按分率でございますけれども、これは老人加入率の格差を是正しまして、どの保険者も同じ割合で老人を抱えるようにいたしまして、老人医療費の公平な負担を制度間でも図ろうというものでございます。このように制度間の老人の加入率の格差を是正しまして、老人医費策の負担の公平を図った結果といたしまして、国保の拠出金なり国保世帯の保険料負担は軽減されるわけでございます。
一方、被用者保険の拠出金は増加することになるわけでございますが、最近の被用者保険の財政は安定基調にあるわけでございまして、全体として見ればサラリーマン世帯の保険料も引き上げをしなくても対応が可能であると考えております。
いずれにいたしましても、今回の改正によりまして、国民に負担の増減が伴うわけでございますけれども、これは長寿社会にふさわしい、国民全体が公平に老人医療費を負担するシステムを確立しようとするためでございまして、御理解をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/27
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028・安田修三
○安田委員 だから、国民に負担増なら負担増と率直に言った方がいいですよ、最後に言ったように。皆さんの言うのは、制度間、世代間の公平だ、お年寄りが老人医療費の負担が少ないから一部余計いただくというのでしょう。しかし、それは結果的にはそうじゃなくして、結局は国民の負担増なのだ。出しておるのはだれかといったら若い人が出す。さっき言ったように、親の面倒を若い者が見る。それはだれも否定しないのですよ。世代間の負担の公平化という美辞麗句によって何かきれいなことをやっているような、そういうごまかしをしてはいかぬですよ。率直に負担増だ、こう言えばいいじゃないですか。今、最後に負担増だとおっしゃったのですが、そういう負担増というのは世代間の公平という問題じゃない。率直に言って国民に負担をさせるのだ。その負担はだれがするか。三世代同居なら、そこの生計を支えておる人が結局は見るのだ、こういうことなのですよ。
そこで、制度間の公平化という問題で、保険者の負担がふえれば、皆さんは、世代間だ、制度間だとうまいこと、何か負担してない者がばらばらに負担するようなことを、今度は公平化するようなことを言うけれども、結局は同じ人がただ負担増していくのだということですね。だから、そういう点を皆さんはごまかして通ろうとするのはだめだと言うのですよ。
そこで、先ほどは国庫負担が少なくなったという話が出たわけだけれども、国庫補助が入っている理由というのは、これも皆さんの言っている理由なのですが、国保制度には事業主負担がない、あるいはまた低所得者の方が多いというようなことからいっても、国保には手厚い国庫補助が必要だということから国庫補助がなされることに対して、健保組合は所得水準、年齢構成等構造的に有利な条件にあることから基本的に国庫補助を行っていない、これは皆さんの側の今までの答弁の中から出ている言葉なのです。黒木さん、あなたの答弁の言葉なのですよ。
さて、手厚い国庫補助がなされておるということを皆さんの方では言っているわけだけれども、実際は今度はいわゆる国庫補助負担金というのが少なくなっていって、五十八年当時から比べても国保の拠出金というのがずっと横ばいになっていくわけですから、国庫補助金というのは老人がふえるにもかかわらず実質は減るということになるわけですね。それで国保が手厚い補助ということが言えるのでしょうか。その点、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/28
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029・下村健
○下村政府委員 お話にございましたように、国民健康保険につきましては、低所得者が多い、あるいは事業主負担がないということもありますので、全部を保険料で賄うということになりますと、他の保険に比べて大変保険料負担が重くなります。したがって、国庫負担制度が設けられているわけでございます。
そこで、今のお話のように、今回の改正によりまして国庫補助が減るということがあるわけでございますが、これは今のままの制度でまいりますと、国保の拠出金が相当増加してまいるわけでございます。それが今回の按分率の改正によりまして拠出金の額が軽減される。したがって、当然保険料の方も軽減されることになるわけでございまして、これに見合いまして、その拠出金に対応する、したがって、最終的にその保険料に対応する定率の国庫負担も減額ということになるわけでございます。拠出金を賄う保険料と国庫負担の割合につきましては、今回の改正においては変更いたしておりませんので、負担の水準という面から見ると、今回の改正によりまして変更はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/29
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030・安田修三
○安田委員 そこが巧妙なやり方で、拠出金を減らして、いわゆる国の負担分を減らしているわけですね。他の保険の方は一〇〇%按分率をやることによって飛躍的にふえてくるわけですね、政保、健保合わせて約三千億円ふえるわけですから。だから、皆さんの方は、補助金の率はこの前六・五%削ったが、今度は率は減らさないで、からめ手の方から来たわけですね。按分率を変えることによって結果的に国庫補助金を、例えば五十八年度は拠出金は一兆一千百三十六億円、六十二年度に行きますと一兆五百四十一億円と減りますから、国の支出金は減っていくわけです。ところが組合健保、政管健保の方は逆にぐっとふえていくわけです。だから、皆さんの方はやり方が非常に巧妙だと言うのです。本来はお年寄りがふえるからそれに合わせた増というものがある。ただし、皆さんは、それは従来国保の方がお年寄りの負担分が多かったのだと言う。もし、そういう負担分が多かったということであれば、この前の老人保健法を制定したときになぜ見通しをはっきりしなかったかという問題が出るわけです。ですから、そういう点で皆さんの方に、何か国民の目をそらそうというよな仕組みが行われておる、こう言わざるを得ないと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/30
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031・黒木武弘
○黒木政府委員 今回の老人保健法の改正によりまして、結果として国庫負担が減るわけでございますけれども、今回の改正の趣旨は、国民が老人医療費を公平に負担するという法の基本理念に立ち返って按分率を見直したものでございます。これは法の附則で、老健法が成立するときに、三年後に見直すものとされておりますが、一つの大きな理由として、その後健保法の改正によりまして、医療保険全体の負担あるいは給付両面にわたる公平化を目指すという方向が定着してきたこと、それから老人の加入率が年々拡大してまいりまして、被用者保険はここ三年ほとんど加入率が変わらない状況でございますが、国保については年々加入率が高まってまいりまして、その間高齢化、老齢化率というのは約二%弱高まってきたわけでございます。そういう意味から、その公平の理念に基づきまして、公平の措置をより徹底しようということで、今回の改正をお願いいたしたわけでございます。
国庫負担につきましては、大臣から御答弁申し上げましたように、老人保健制度に対します二○%の国庫負担分というものを変えておりませんで、それは医療費の増高につれて年々増額の予算を確保いたしておるところでございます。拠出金に対します国庫負担につきましては、拠出金の公平を図る結果として、国保の国庫補助が手厚く入っているために、その分が減額になるということで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/31
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032・安田修三
○安田委員 今、老人の加入者がふえてきたということで、政管、組合健保と比べますと、国保の方は五十八年発足当時よりも確かに一・一%ふえておることは事実です。退職者医療制度に、当初四百六万人と見ていたのに二百六十七万人しか入らなかった。今年は四百三十万人ほどと見ていたのに、ことしの三月は二百九十七万入っている。
そこで、なぜ退職者医療制度に対する加入者の見込み違いが起きたかということについて、皆さんの方からいろいろと答弁は出ておるのでありますが、保険局長さんの方はどういう見方をしていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/32
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033・下村健
○下村政府委員 退職者医療の対象者数等につきましては、当時のいろいろな統計をもとにいたしまして可能な限り正確に推計したところでございますが、統計上の制約等もありまして、予測できない実績との乖離が出てきたわけでございます。
主たる原因といたしましては、最近、被用者保険各法におきまして、任意継続被保険者制度というものがございます。退職した場合に、事業主負担分も含めて自分で保険料を持ちまして、継続して従来の保険に加入するということでございますが、その活用が大変ふえてきておりまして、退職後直ちに国保へ移らないという傾向が私どもが予測したより大きかったのではないか。
二番目は、対象者数の上からいきますと、退職者の配偶者も一応加入者の数に見込んでいたわけでございますが、それが予想をはるかに下回った。これは私どもその後の補足的な調査等をいたしてみますと、サラリーマンになった自分の子の被扶養者になる、国保の場合は家族でありましても保険料負担がございますが、自分の息子の被扶養者になるということになりますと、保険料負担は変わらないというふうなこともございますので、そちらの方に回ったケースが多かったことが原因ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/33
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034・安田修三
○安田委員 保険局の方は、前の局長も今の局長も、判で押したように全く同じことを言っていらっしゃいます。要するに、こういう任意継続被保険者が出たということが退職者医療制度に移らなかった、こうおっしゃっておるのですね。
ところが、黒木保健部長の方は、国保に加入された人が多い。例えば国保と健保組合とを見ますと、退職されて国保に加入されるということで、健保組合に対して国保は四倍のお年寄りを抱えておる、こういうことをおっしゃっている。これは前国会ですが、今も変わらないと思う。これは一体どっちが本当なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/34
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035・黒木武弘
○黒木政府委員 老人保健制度の対象になりますお年寄りは、六十五歳以上の寝たきり老人も含めまして、基本的には七十歳以上でございます。退職者医療制度は七十歳前のサラリーマンOBになって年金をもらっている方が対象でございます。したがって、七十歳以上のお年寄りが国保に年々増加をしているということで、老人の加入率が高くなっているという説明をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/35
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036・安田修三
○安田委員 ではどこでその見込み違いが起きたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/36
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037・下村健
○下村政府委員 私が申し上げましたように、確かに私どもの予想よりは国保に流れる数が少なかったということではございますが、しかし、先ほど先生も御指摘になりましたように、四百六万人に対して現在およそ三百万人が入っておるということで、大きな流れとしては、国保に加入する者の方が総体として多い、この事実には変わりはない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/37
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038・安田修三
○安田委員 だから、皆さん、何か最後つじつまを合わしたようなことをおっしゃっているんだが、双方で食い違いがあるんですよ、局と局の間に。ですから、所管によって、健保関係を所管しておるところは、やっぱりその方の我が子かわいいという見方が出るし、老人保健を所管しておられる局にしますと、やっぱりその方をかわいいという見方の立て方がここに微妙にあらわれておるんですね。
さて、途中からちょっと後の方へ行きましたが、国保にまた戻りまして、国保の所得階層というのは、百万円以下の収入者が四四・三%、二百万円以下にしますと七二・九%ということになっております。大変低所得という方が多いわけでありまして、しかも、この退職者医療制度が発足してからこの三年間に、保険料というのは飛躍的に上がっております。もちろん全国平均三六%というのは皆さんのデータの中からも出ております。
さて、滞納はまあまあというような数字かと思うのですが、滞納原因は高負担じゃないか。というのは、私たちがそれぞれ市町村のデータを個別にとっても、以前から見れば漸増しておる。中にはまた収納率がよくなったところもある。一概にどういう原因かわかりませんが、どうも高負担が原因ではないか、こう見えるんですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/38
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039・下村健
○下村政府委員 御指摘のように、確かに国民健康保険の保険料は近年相当上がってきておるわけではございますが、滞納原因ということになりますと、基本的な要因といたしましては、国保は被用者保険のように源泉徴収という形で保険料が徴収できない。したがって、個別に徴収せざるを得ない。基本的に不利な点がございます。特に私ども市町村の関係者の話を聞きますと、都市部、都市化をいたしまして住所移動が多くなった、あるいは留守がちな単身世帯が多いというふうな面が実は非常に大きく影響しているんではないかと思います。
最近の国民健康保険の加入者の動向を見ますと、都市部の加入者がふえておるわけでございます。国保は本来自営業者あるいは農家の方々が主として加入をするということが言われていたわけでございますけれども、現在では三分の一程度はそのほかにいろんな事業の方が入っておられるというふうなこともございまして、都市化ということが実は収納率の低下に一番大きな影響をしているんではないか。統計面で見ましても、都市部の加入者の数が非常にふえているという面がはっきり出ておりまして、それが基本的な要因であるというふうに考えております。
また一方、その保険料の高低ということで比較をしてみますと、保険料の高いところが必ずしも収納率が低いという結果は出ていないわけでございます。一々地域の名前を挙げましてもまた問題かと思いますので、例えば東京のようなところは、実は非常に保険料の面でも収納率の面でも両方とも低いわけでございます。したがって、都市化という問題が実は非常に大きく影響しているというのが私どもの見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/39
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040・安田修三
○安田委員 東京のように、こんな一千二百万もおるような化け物みたいなところは、それはあっちこっちから来ているんですから移動も激しいし、それを基準に私は見るわけにはいかないと思うのです。地方の場合は確かに悪くはないけれども、しかし滞納率というのは四%ほどあるのでしょう。いや、六%ほどかな。そこで、これはあっちこっち見ても、その滞納率というのはそんなに変わらないのですよね、地方の場合。それはどうしてなんだろうか。これは例えば去年なんかというのは、国保料が上がったのは五〇%、四十何%上がった市町村というのは随分ありますよね。これは皆さん、その点のデータはみんな持っていらっしゃるわけですから、私が改めてここでそんなものをくどくど皆さんに申し上げる必要はないのですけれども、非常に高いということが原因なんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/40
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041・下村健
○下村政府委員 最近、老人医療費の高騰が非常に激しくなっておりまして、全国平均でここ三年ばかりで三〇%以上の保険料引き上げという結果になっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/41
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042・安田修三
○安田委員 三〇%以上上がっている。そこで、それが滞納原因になっていないかということを私は聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/42
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043・下村健
○下村政府委員 これは先ほども申しましたように、実は高いところと低いところと、細かく市町村別に見るとまたいろいろな状況が出てまいるかと思うわけでございますが、県名を挙げて申しますとあれですが、例えば石川県は保険料が全国平均で二位になっておりますが、収納率の方は全国第五位。それから富山県が保険料の方は全国第一位でございますが、収納率は全国十二位。愛知県は保険料全国十三位で収納率の方が九位。それから低い方で言いますと、保険料の一番低いのは沖縄県でございますが、沖縄県が全国四十七位で収納率四十七位。東京都が四十五位で四十五位。宮崎県が四十六位で三十九位ということで、高いところが収納率が低いという結果には必ずしもなっておりませんので、先生がおっしゃるような点はあるいは一部にはあるかもしれませんが、全般的な傾向としては、私は保険料の高低と必ずしも関係ないというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/43
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044・安田修三
○安田委員 いや局長、私はそこが問題なところだと思うのですよ。そこの土地の所得が問題なんじゃないでしょうか。例えば沖縄がいわゆる収納率が低いというのは、御存じのように、県民一人当たりの所得からしても沖縄は低いでしょう。ですから、県の一人当たり所得水準が割合高いところは、それに伴って保険料が高くても、そこの人たちはそれは高いとは感じない。そういう点との比較というものをなされないで、今のような答えをおっしゃっても、それは話になりませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/44
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045・下村健
○下村政府委員 実は負担率の高低ということになりますと、もちろんそれぞれに、今申しました沖縄県、宮崎県いずれもが低い方でございますが、負担率で見ますと、例えば東京都のようなところは所得との関係からいきますと、むしろ負担率は低いわけでございますので、必ずしも先生がおっしゃるようなことにはなっていないのではないか。これはさらに詳細な分析が必要かもしれませんが、単純に保険料が高ければ収納率が下がるということではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/45
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046・安田修三
○安田委員 先ほど言ったように、ここ数年、三年間、極めて上がってきておるわけですね。そこで、そこの土地の所得、いわゆる県民の所得だとかそういうものと比例して、やはりそれが左右しておるのじゃないか。局長はあながちそうではないと。東京都のようなこういう移動の激しいところは別として、なぜそれではこの徴収がうまくできないのか。日本のように人の移動とかそれから戸籍についてはもうばっちり網の目の張られている土地であります。なぜ収納がうまくいかないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/46
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047・下村健
○下村政府委員 私どもが聞いておる話でまいりますと、被保険者との接触すらもなかなか思うようにいかない、夜訪問する、あるいは手紙を差し上げる、いろいろな形で被保険者との保険料についての話し合いをしたいと思っても、そういう機会をつくることすらもなかなかできないような被保険者がふえているというふうに聞いているわけでございます。滞納率が現在六・何%ということになっておりまして、それは先生おっしゃるとおりでございますが、実は一年おくれますと、これが多少上がってきているわけでございます。おくれて入ってくるものが結構あるということは、やはり被保険者の把握がなかなか難しいという事情が非常に大きく影響しているというふうに私どもとしては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/47
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048・安田修三
○安田委員 それでは普通の住民税との関係ではどうですか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/48
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049・津田正
○津田政府委員 お答えいたします。
ちょっと手元に住民税だけの徴収率の資料がございませんが、私どもで把握しております国保税の五十九年度の徴収率は八五・四、滞納分も含んでの率でございます。国保税を除く市町村民税の徴収率が九六%、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/49
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050・安田修三
○安田委員 収納率が八五・四、国保税を除くものは九六%、随分差があるわけですが、どうでしょう、保険局長さん、こういう差があるのは厚生省の方で見たらどういう分析なんですか。皆さんは人がおるとかおらぬとかおっしゃるのだけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/50
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051・下村健
○下村政府委員 市町村民税の方には恐らくサラリーマンの方も入っておられるわけで、それを含めた全体としての収納率ではないかというふうに思われるわけですが、その差が全体としての収納率の差に影響しているのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/51
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052・安田修三
○安田委員 それはいかに国保が八五・四で、それを除くのが九六というこれだけの大きい差があっても、それはちょっと皆さんおかしいのじゃないですか。それは国保の方にはそれだけ納められがたい事情がやはり出てきておるのじゃないですか。
例えば皆さんの方に、他の制度にはないものが国保の中にはあるわけですね。例えば減免なんというのは他の制度にはない。国保にはあらかじめ、先ほど私が国保の問題で皆さんの答弁の中から引用したように、低所得者という問題が含まれておるからじゃないですか。さっき百万円以下の人が四四・三%、二百万円以下の人が七二・九%ですか、いわゆるその辺の問題が厚生省には何ら気がかりがないのじゃないでしょうか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/52
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053・下村健
○下村政府委員 低所得者につきましては、御指摘のように、国保独特の減免制度というものがございまして、国庫負担で補てんをするという形で対応しているわけでございます。他の保険に比べると、国民健康保険の加入者は所得の高い者と低い者が比較的多い、こういう構成になっておりますので、制度の創設に際しまして、そういう形で配慮をしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/53
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054・安田修三
○安田委員 そこで、ちょっと局長さん、あなた歯切れが悪いのだけれども、皆さんの資料の中に所得階層のいわゆるランクが出ておるわけでしょう。そうすれば、今も高いのと低いのと、格差は確かにそうなんです。
そこで、最近の国保料の値上げからしますと、そういう低い人に非常に負担がかかっておるのではないか。これが皆さんの方ではなかなか言いがたいのだろうと私は思うのですが、しかし、これは数字が物語っておるのですから、そこらあたりは皆さん御承知の上で局長はなかなかおっしゃらないのじゃなかろうかと私は思うのですよ。しかも、いわゆる減免の規定は確かにあるんだけれども、減額制度そのもの、条例等で決める減額の場合に、これは極めて制度としてはお粗末な、適用という場面になりますと、実際はなかなか物の役に立つようなものではなさそうであります。ですから、現実こういう低所得者に負担がかかっているものであれば、それなりに制度の運用上考え直して、いわゆる見直しをしていかれる必要があるんじゃないかと私は思いますが、その点、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/54
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055・下村健
○下村政府委員 国民健康保険につきましては、その財政基盤の安定を図っていくということが将来の一元化に向かって一つの問題点ということになっておりまして、老人保健法の問題に引き続きまして、直ちに国保問題の検討に入ってまいりたい、このように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/55
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056・安田修三
○安田委員 そこで私、特に皆さんに、検討したいということでありますので、要望しておきますが、例えば今減額は前年所得二十六万円以下の世帯。厚生大臣、聞いておいてくださいよ。前年所得二十六万円以下ですから。これは皆さん、そこに基礎控除を加えてもおわかりのとおりでございます。この人たちが応益分の六割減額であります。したがいまして、ここに適用される世帯というのは、まず生活保護世帯でなければ、これは該当しません。
それからもう一つは、世帯主を除く被保険者数に十九万円を乗じた額に二十四万円を加算した額以下の世帯は応益分の四割が減額される。そうしますと、仮に三人の場合は六十二万円の所得、これはもう生活保護世帯ですよね。ですから事実上は生活保護世帯ぐらいしか減額対象にならない。これでは低所得者層を何とか国保の場合には面倒見なければならぬという趣旨から外れてしまっておるんじゃないか。そういう点では先ほど局長から見直しということがありましたが、ぜひ制度の見直しをやってもらいたい、こう私は要望しておきます。
さてそこで、六十年度、全国市長会が国に対する老人保健に関する要望としまして、老人保健医療費拠出金の加入者按分率を法定の二分の一にしてくれとか、あるいは全国町村会は、退職者医療制度の創設に伴って、国保に対する国庫負担の削減を行う結果、町村においてはかえって国保財政の悪化を招いた、そして国保税の増徴等を招くことが憂慮されておるので、というような国に対する要望事項が実は出ております。
私はなぜ六十年度の問題を出したかといいますと、それは退職者医療制度が五十九年十月に創設されて、そうしてそこで六十年度の予算編成に当たって全国市長会、全国町村会が既に国庫補助金の削減によって赤字になりますということを予測し、データを出して、そうして皆さんに要望したわけです。それは六十年四月、財政調整交付金の申請のときに既に赤字というのは推定数値から全部出しております。マル秘というのと公表分と二つのデータが出ております。もう古いデータでありますから使う必要もございませんが、大変皆さんにはそういう点で、そういうものをあらかじめちゃんともう予測されてしまったわけですね。それにもかかわらず皆さんの方には何らこたえてもらえなかった。私はこれは大変罪深いことだと思うのです。自治省はそういう点では市町村のいろいろなそういう立場を代表しながら厚生省にも要望しておられます。
私はまず自治省に、これは六十年度を出したから六十年のことを答えてくれという意味ではないのでして、こうした国保の財政危機を招いたことについて自治省はどのように対処されたか、まずお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/56
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057・矢野浩一郎
○矢野政府委員 国民健康保険事業における老人医療費の増高に対して、これを何らかの形で合理化していかなければならないという問題、そのために退職者医療制度というふうなものも設けられたわけでございますが、それに対しての見込み違いがあったというようなことにつきましては、私ども国民健康保険財政の立場からぜひその是正あるいは合理化を図っていかなければならない、こういう見地のもとに常に関係省庁に対して強く要請をしてまいったところでございます。
そういった点について、昨年来御承知のような措置が講じられたわけでございますが、なお国民健康保険財政の状況を十分に見守りながら必要な措置を今後とも講じていく努力を私どもとしても続けてまいりたいというような覚悟でございます。
〔堀内委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/57
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058・安田修三
○安田委員 自治省にお聞きしますが、自治省の方では厚生省には文書上は大変手厳しい注文をつけておるわけでありますが、税外負担の問題からいろいろなことで注文をつけておられます。今もそういう点で財政制度についていろいろな要望をしておられることについてお話がありましたが、自治省は今までの措置で満足していらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/58
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059・矢野浩一郎
○矢野政府委員 大変強い市町村側の要望を踏まえて、私どもの方としては努力を重ねたところでございます。現在までに行われた措置について市町村側は必ずしも満足しておるということではなかろうかと思いますが、しかしながら、いろいろ国家財政の現在の厳しい状況等もございまして、当面こういった措置でやむを得ないものと考えておりますけれども、なお今後とも状況の推移に応じて努力をしてまいりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/59
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060・安田修三
○安田委員 厚生省は、これは切り捨て御免というふうに私には見えるわけでありますが、こうした要望に対して率直に——町村側は国庫負担金の削減によってまず起きたということを六十年に声を上げてしまった。皆さんは今巧みに老人加入者按分率の問題によってこれをすりかえようとしておる。財政的に厚生省がまず国保の赤字が出てきた原因というものを究明して、そのことをまず率直に措置するというところから出発しないと、本質をすりかえってしまっておるという点、皆さんは、今自治省が言った町村は大変強い要望を持っておる、この点を率直に私は受けとめてもらいたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/60
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061・下村健
○下村政府委員 全国市長会及び全国町村会から国に対しまして退職者医療の見込み違いによる国保への影響額を国庫で補てんをしてほしいという要望はちょうだいいたしております。大変強い要望であるというふうに受けとめておるわけでございます。これにつきましては、大変厳しい財政状況のもとでございますけれども、私どもとしてもできる限りの努力をいたしまして、六十年度の補正予算におきまして千三百六十七億円、また今回お願いいたします補正予算におきましても七百四十億円計上いたしまして、確かに自治省のおっしゃるような面はあるわけでございますが、今後もなお厚生省としてもできる限り国保財政の状況を見つつ努力をしたいと考えておるわけでございます。
その原因の点でございますが、六十年度の市町村側の要望額はおよそ二千億と言っていたわけでございます。その内訳といたしましては、千四百億が六十年度における退職者医療の影響額、それから六百億は五十九年度における影響額ということでございます。今年度も、現在の状況を見ますと、八百億余りの影響が出てくるのではないかと考えておりますが、満額とはまいりませんが、それぞれ六十年度、六十一年度における影響額に近い額を補てんしたという結果が出ておるわけでございまして、五十九年度末以上に悪化はさせないということで退職者医療の問題については対処しているわけでございます。したがいまして、そういう状況から見ますと、退職者医療の影響は確かに否定できないと思いますが、私どもとしては、そのほかに老人の問題が非常に大きく国保財政には影響しておると考えざるを得ない、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/61
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062・安田修三
○安田委員 これは厚生大臣、今、局長が五十九年度、六十年度の国保の赤字について、そして補てんもおっしゃいましたが、市町村というのは大変弱い立場でございまして、自治省の方からも、先ほど財政局長は市町村の立場を強調されましたが、どうやらすると随分起債その他で締めつけもございますし、厚生省の方も補助事業等でいろいろな市町村にそういう点の圧力が行くこともございますし、なかなか言いにくいところがあって、実際は国保財政というのは、五十九年度一千六十四億円、六十年度一千七百七十億円、六十一年度一千五百億円という赤字、これは退職者医療による影響額としての赤字を国保中央会では算定しておるわけですね。
〔浜田(卓)委員長代理退席、堀内委員長着席〕
厚生省の額と大分違ってくるわけです。しかし、赤字だからといってこれだけをどうかしてくれということをなかなか率直に言えないところに今の市町村の弱さがあるのだろうと私は思います。それほど中央集権が強まっておるということではないでしょうか。
そこで大臣、とにかく出発は、国庫補助金の削減ということが出たんだ。これは率直に六十年から出ておるわけですよ。削減したということは、六・五%削ったということは、皆さんの方が見通しを誤った、これは率直に大臣認めなければだめですよ。退職者医療制度出発に当たって六・五%削った、これは政府としては間違いでありました、だからこういうぐあいに制度をしなければならぬことになりました、大臣、そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/62
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063・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 確かに退職者医療制度創設時予想いたしておりました、退職者医療制度に加入されるであろう推計と実際の数字とに乖離があったということにおいて、その影響額というものが非常に多かったわけでございます。先ほどから御説明申し上げておりますように、五十九年十月以降半年分と六十年度分、合計二千八十億円と言われてまいったわけでございますが、そのうちおおむね三分の二に当たります千三百六十七億円を補てんいたしたところでありまして、あと残りの分につきましては、国保各組合におきましても格別な御努力をいただき、本当に血のにじむ思いをしていただいておるということを私は十分承知いたしております。同時にまた国といたしましても、この財政状況を改善するために最善の努力をいたしてまいらなければなりませんし、してまいったつもりでございます。また、その千三百六十七億円の特別交付金の配分等につきましても、特に財政状況の脆弱な国保に対してはできるだけ満額配分できるような努力もさしていただいておるところであります。
そしてまた、今回のこの老人保健制度をお願いをいたしておりますのも、国保のいろいろな構造的な不均衡があります、その中の最も大きいと思われます老人加入率の不均衡から来るところの制度的な不均衡を是正をしていただきたい、こういうことにおいて今回の老人保健法の改正をお願いをいたしておるところであります。そういう中で本年のこの法律の成立のおくれておりますことについての影響額等につきましても、先ほど申し上げましたように、今回の補正予算で七百四十億円というものを措置し、これはこの影響における約八五%を見ておるわけでございまして、そういった点にも非常に厳しい財政状況の中でありますけれども、最大限の努力をさしていただいておるところでございます。
なお、またこの老人保健制度の改正をしていただきました後におきましても、国保の構造的な欠陥等を検討しながら国保の今後の安定的な運営ができるように、引き続き最善の努力をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/63
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064・安田修三
○安田委員 今、今年度の七百二十七億分について七百四十億円の手当てをする。それでは六十年度の積み残し分、五十九年、六十年二千八十億円の三分の二を埋めた、積み残しは七百十三億あるわけですね。一体これはどうするのか。大蔵省、来ておいでだと思うのですが、これは大蔵省にもお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/64
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065・中島義雄
○中島説明員 ただいま厚生大臣からのお答えにもございましたように、昨年度の影響額につきましては厳しい財政事情のもとで最大限努力いたしまして、補正予算において千三百六十七億円措置させていただいたところでございます。それに加えまして、六十一年度の当初予算におきましては二百三十億円の特別交付金を計上いたしましたほかに、市町村国保の安定化に資するため老人保健法案を提出いたしまして、その早期成立に向け御審議をお願いしてきたところでございます。
それから、本年度の補正予算におきまして、特例公債の増発を避けるという方針のもとで各方面の御要望をぎりぎり調整して、その編成に大変苦慮してまいったわけでございますけれども、この補正予算におきましても、国保対策には最大限の配慮を払うことにいたしまして、七百四十億円措置させていただいたところでございます。現下の厳しい財政事情のもとで、このように私どもとしてはぎりぎり最大限の配慮を払わせていただいたところであるということを御理解賜りたいと存じます。
今後につきましても、国保財政について大変厳しいものがあることは十分承知いたしておりますけれども、政府としましても、今後とも市町村国保の安定化を図るために誠意を持って対処してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/65
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066・安田修三
○安田委員 厚生省、自治省ともに聞くのですけれども、ことしの国保影響額のうちの国庫負担分九百一億、これは今までのものですよ。それから公費負担分のうち国庫分が二百三十一億、これは補正で予算化されるのですね。この点。
そして都道府県の分五十八億、これは公費負担分ですよ。市町村分五十八億。計百十六億。これはどうなんですか。都道府県、市町村全部泣き寝入りなんでしょうか。自治省、ひとつ先に聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/66
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067・矢野浩一郎
○矢野政府委員 老人医療のいわゆる公費負担分のうちの都道府県並びに市町村負担分でございますが、御指摘のような数字、これは十月末までの数字ということでございます。これにつきましては、その分だけ財政支出がふえるわけでございますが、地方財政計画上予見しがたい財政需要に充てるためのいわゆる追加財政需要額五千億円を計上いたしております。給与改定等にもこれは充てられることになりますが、その中でただいま御指摘の公費負担分については、既に普通交付税等を通じてそういった追加財政需要額を措置してございますので、その中で措置をされるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/67
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068・安田修三
○安田委員 そこから都道府県、市町村は出せということで、国の責任については、自治省、何も言わないのですか。国が見通しを誤ったために、それは何も言わないのですか。五千億の中から、追加財政需要額の分を見てあるから、そこから使っていなさい、こういうことで、国の方からは補てんその他は何もやらないのですか。自治省、どうですか。要求するのですか、自治省の方から先。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/68
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069・葉梨信行
○葉梨国務大臣 今、答弁を申し上げましたように、実施月が延びたことにより国保影響額及び公費負担分については、今局長が答弁申し上げたとおりでございますが、自治省といたしましては、お尋ねの退職者医療の見込み違いによる影響額等につきましては、国保財政の推移を注視しながら、市町村国保の安定化を図るために、今後とも必要な国庫補助金が確保されるよう所管省に対しまして要請してまいる所存でございます。
〔堀内委員長退席、稲垣委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/69
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070・安田修三
○安田委員 大臣、ぜひひとつ絶対引かないということでやってもらいたい。
そこで、厚生省どうですか、今と同じ公費負担分、国保影響額の国庫負担分。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/70
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071・下村健
○下村政府委員 今、私の手元にございますのは国保関係だけでございますが、今回の補正予算におきまして、義務的経費分につきまして千八十二億、それから特別交付金として七百四十億ということで計上いたしておるわけでございます。これに対応いたしまして、公費負担関係その他についても同様の措置がとられておるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/71
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072・安田修三
○安田委員 そこで、さらに関連して、六十二年度厚生省概算要求の中に、医療費の適正化対策で一千四百億円の経費削減が見込まれておるわけでありますけれども、その適正化の中身は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/72
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073・下村健
○下村政府委員 千四百億につきましては、医療費の動向等も見きわめつつ、どういう形で適正化をやっていくかという措置につきましては、暮れまでに具体的な結論を出すということで、まだ内容的には確定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/73
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074・安田修三
○安田委員 一千四百億円の中身は、霧の中で、雲をつかむような、これからだというので、いろいろとまた国民にしわ寄せされるような行政、施策内容ということになりますと大変でございます。
そこで、私は自治省にお尋ねしておきたいのですが、今度いろいろ作業が行われて、もし国保事務費の削減や国保の療養費補助金の削減ということが行われて都道府県に肩がわりということにもなりますと、いや、実際は削りません、こう言いながら、肩がわり論というのが最近出てまいっておりますので、自治省の方ではそういうことはさせないとは思いますが、その点、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/74
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075・葉梨信行
○葉梨国務大臣 国民健康保険も国の責任において行われる国民皆保険の一環をなすものでありますことは、先生御存じのとおりでございます。ほかの医療保険同様に保険料並びに国庫負担によって支払われるべきものであると考えるところでございます。でありますから、国民健康保険の被保険者に対してだけ地域の住民の税金を支出するということは、住民相互間の負担の公平を欠くことになりますので、自治省といたしましては、都道府県に負担を導入することは行うべきではないと考えるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/75
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076・安田修三
○安田委員 これはまだ私の想定でありますので、そういうことが出るようなことがあったらぜひひとつ自治省は頑張ってください。それから厚生大臣には、そういうことで他にしわ寄せするようなことだけは絶対やってもらいたくない、こういうことを要望しておきます。
そこで最後に、この制度間の拠出金の見通しでございますが、厚生省の資料によりますと、二年後、六十三年度にいきますと、政管の場合は六十一年度、六十二年度、六十三年度と、皆さんからいただいた資料からしますと、政管、組合健保、共済、飛躍的に伸びてまいります。国保の方は、六十一年度一兆四千二百八十九億円から六十二年度が一兆一千億、六十三年度が一兆一千七百億円となって、六十二年度以降下がりましてからずっと横ばいになってきます。この見通しからいきますと、政管、組合健保ともにこれは大変な支出増になって、これは二年後には組合費の値上げまで及んでくるのじゃなかろうかということが私たちは想定されます、この率からいきますと。皆さんの方では、今、健保は財政が安定しておるから、そういうことはないということを実は資料の中にもおっしゃっておるのでありますけれども、一体これでいきますと、国保の抱えている六割のお年寄りに対して、政管、組合健保、船員健保、共済が国保よりも倍以上の実は拠出金を負担していくことになります。そうしますと、いかに制度間の公平という問題を皆さんがおっしゃっても、制度間の公平ではなくして、財政のプールをしたいからこのようにしたんだ、結果的に国保の拠出金を少なくすることによって、国庫補助金を削るという効果しかこの今回の改正案は生み出さなかった、こういう結論にならざるを得ません。その点私は、厚生省が何と言おうとも、この数字の物語るものを否定することはできないと思うのです。
そういう点で、最後に、時間がもう二分もないのですか、厚生大臣にお伺いしますが、厚生大臣、政管が実に六十一年度七千二百四十一億円が、六十三年度へいきますと一兆五百億円、組合健保は五千三百十一億円が八千八百億円、共済が二千四百七十三億円が六十三年度は三千五百億円、そして先ほど言いましたように、国保だけは下がっていくという。もちろん私はお年寄りをみんなで負担することはいいのです。だが制度間の公平化ということについては、これは公平化じゃなくして、全部この政管、組合健保、船員保険、共済組合におんぶさせてしまった、国の負担すべきものを全部逆におんぶさせてしまった、こういうことにこの数字はなりませんか。そういう点で、私は本当に皆さんがこういう制度を国民に出すのなら、厚生省が先に見通しを誤って国庫補助金を削った、私たちは見通しの誤りではなく、皆さんが作為的にやったんじゃないか、こう今日まで私は思っておるわけだが、とにかく国民に申しわけない、負担増だ、負担してもらいたい、厚生省、政府の誤りだから負担してもらいたい、率直に皆さんが国民に謝るべきであると思う。そしてその上に本法案を撤回して、改めて私は老人保健制度を将来にわたって見直すべきじゃないかと思いますが、大臣のお考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/76
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077・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 何回も申し上げておりまして恐縮でございますけれども、これから長寿社会へ向かって安定的な老人医療制度というものを確保し、発展させていかなければならないと考えておりまして、そういう中で国民全体での持ち寄りという観点からできております老人保健制度、一層負担の公平を図っていただくために加入者按分率の引き上げをお願いをいたしておるわけでございまして、何とぞ御理解をお願いをいたしたいと思います。
そして、この改正をしていただきますことによって、今後将来にわたって老後を安心して託せる老人保健制度を確立をし、そしてまた医療保険制度等についても、今後将来にわたって給付と負担の公平化という観点から一元化へ向けて次の作業へ移ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/77
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078・安田修三
○安田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/78
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079・稲垣実男
○稲垣委員長代理 草野威君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/79
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080・草野威
○草野委員 老人保健法は、本来健やかに老いていく、そういうための壮年期からのいわば対策法であろうと思います。疾病の予防とか老人医療の質的向上が目的でございます。したがって、これが軌道に乗りますと、医療費の問題もおのずから解決に向かうはずでございます。
しかし、いろいろと聞くところによりますと、余り成果は上がっていない、このように聞いているわけでございます。例えば健康診査の受診率の問題、健診単価の見積もりの低さという問題、さらに自治体のやる気のなさという問題、いろいろと言われているわけでございます。私は、この保健事業の問題につきまして、これではならない、一体厚生省はどのような姿勢で取り組んでいらっしゃるのかと非常に危惧をしているものでございます。
まず、冒頭にこの問題につきまして厚生大臣の所見をお尋ねをしたいと思います。
〔稲垣委員長代理退席、堀内委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/80
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081・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 ただいま先生御指摘いただきましたように、老人保健制度は、老人医療費をどのように負担をしていくかということと同時に、もう一つの大きな柱といたしまして、健やかに老いるという言葉がございますが、壮年期からのヘルス事業等を推進をしていくことによって、お年寄りができるだけ病気にならないで健康にしていただく、そういう保健事業を推進をしていこうということとの二つの大きな柱があると考えております。
老人保健事業につきましては、ここ五年間これを実施をいたしてまいりました。当初から本年までを比べてみますると、予算額におきましては約四倍、そしてこういう大変財政事情の厳しい中ではありまするけれども、年々の予算の増加額は三〇%を超えるという非常に重点的に予算を配分してやってきたところでございます。
なお、御指摘のように、なおしかし不十分ではないかというお話があろうかと思います。確かにまだ始まりまして五年程度でありますので、なおなおこれから充実をさせていかなければならないことはたくさんあるわけでございまして、来年度以降、第二次の五カ年計画として老人保健事業を一層充実をさせていきたい、重点的に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/81
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082・草野威
○草野委員 次の五カ年計画というお話が今ございましたけれども、重点目標はどういうところに置いていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/82
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083・仲村英一
○仲村政府委員 ただいま大臣からもお答え申し上げたとおりでございますが、私ども、壮年期からの健康ということで、四十歳以降の住民の方々に、健康に対する自覚を含めまして、自主的な努力と同時に、サービスといたしまして健診事業でございますとか健康相談あるいは健康教育というふうなことをやってまいりましたけれども、先ほど質問の中で御指摘ございましたように、必ずしも十分でない面も見られておるわけでございます。したがいまして、そういう実績を評価いたしまして、その反省の上に立ちまして、第二次計画におきましては、住民が多様なニーズを持っておりますので、そのニーズに細かく応じられるような質的な改善を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
具体的に申し上げますと、循環器疾患でございますとか肝疾患の予防を強化するために、従来の一般診査と精密診査を同時に行うような工夫をしまして、いわゆる基本健診と呼んでおりますが、そういう健診方式を導入することでございますとか、現在ふえてきております肺がんあるいは乳がんの検診の導入等、いわゆる魅力ある健診づくりに心がけてまいりたいと考えておるところでございます。さらに地域や家庭で老人をきめ細かくケアする体制をさらにしいていきたい、あるいは寝たきり老人でございますとか痴呆老人対策を強化する、さらには福祉の面でございますとか医療、保健、ヘルスの面の各種のサービスをもっと統合化していったらどうか、あるいは職域の健診体制と地域の健診体制の連携を図るというふうなことで考えていきたいということで、現在予算要求を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/83
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084・草野威
○草野委員 これから意欲的に取り組まれるということでございますので、期待を申し上げる次第でございますが、去る五月の社労委員会におきますある参考人の方の御意見の中に、老人保健制度創設時に期待したのは、保健事業の進捗によって医療費も軽減されることであった、しかし、この三年間を見ると、当初の期待どおりにはうまく進んでおらず、ぜひ保健事業を徹底的、効果的に実施してほしい、こういう御意見がございました。私は、これは大変貴重な、そして厳しい御意見だと受けとめております。どうか政府におかれましても、今後の老人医療全体を考えるときに、この保健事業につきましては、特段に力を入れて今後取り組んでいただきたい、このように要望をいたしておきます。
次の問題に入ります。退職者医療制度の見直しの問題についてお尋ねをしたいと思います。
厚生省の加入者数の見込み違いによりまして、国保財政は非常に重大な影響を受けている、先ほどからいろいろと指摘があったとおりでございまして、この見込み違いによりまして、国庫補助の削減が国保の財政赤字を一層増大させた原因であり、これは明らかに国の失政と言っても過言ではないと思います。
そういう中で、昨年十一月の地行委員会におきまして厚生省からこういうお話がございました。退職者医療制度の問題につきまして同僚委員の方から、「退職者医療制度そのものについて再検討する必要があるのじゃないか」という質問がございまして、厚生省側の答弁は、「中長期的には制度改正を行わなければいけないというふうに考えているわけでございます。」というものであったわけでございます。したがって、厚生省としては、この退職者医療制度について中長期的には制度改正ということを考えていらっしゃるというふうに我々は受けとめておりますけれども、現在どのような方向で考えていらっしゃるのか、その中身についてお尋ねをいたします。
〔堀内委員長退席、石橋委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/84
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085・下村健
○下村政府委員 退職者医療制度の趣旨は、従来被用者保険のOBが退職後に国保に加入することによって生じていた被用者保険と国保との間の費用負担の不合理を是正する、また高齢化に伴いまして、医療の必要性が高まるにもかかわらず給付の割合が下がるという従来の退職後の医療給付の状況を改善したいという趣旨でございましたので、このような制度の持っている意義は現在においても変わっていない、このように考えているわけでございます。したがって、この制度そのものについて直ちに再検討するというふうなことは考えていないわけでございますが、市町村国保事業の安定化を図るという観点から、中長期的に制度改正を行っていく必要があるというふうなことを一方で考えております。具体的には、老人保健制度の改革によりまして、医療保険制度の確保を通じまして老人医療負担の公平を図っていく、それからさらに高齢化の進展や産業構造の変化などを考慮しつつ、将来にわたって国保が安定的に機能するよう幅広く財政基盤の強化策を検討していきたいということを考えているわけでございます。退職者医療の問題もその一環として検討ということも考えられる、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/85
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086・草野威
○草野委員 今のお話にございましたように、老人医療制度全体の中で退職者医療というものを考えておるということであって、退職者医療制度そのものについて中長期的に制度改正を具体的に検討しているということではどうもなさそうでございます。したがいまして、今までもいろいろ議論されておりますけれども、今回の老健法の改正によりまして、加入者按分率の引き上げとか老人負担金の一部引き上げ、こういうことだけによって退職者医療制度の改正である、制度改正である、こういう考え方は誤りだと思いますけれども、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/86
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087・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 今お話しいただきましたように、退職者医療制度そのものを見直すというよりも、それから影響の出ている部分について国保制度の検討が中長期的な検討の中に当然入ってくるということであろうと思います。老人保健制度の改正をお願いいたしましても、国保の財政状況、また安定的運営というものはこれでいいというわけではございませんで、この後に国保制度の安定的な運営のための強化策について検討に入りたいというふうに考えております。今、一にも二にも老人保健法の改正を成立させていただくということに全力を注いでおりますので、これで成立をさせていただきましたら、次への検討に入らせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/87
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088・草野威
○草野委員 見込み違いという問題があったわけでございますけれども、これをどうするかということで、単に国保の財政問題さえ解決すれば方法は何でもいいんだ、こういうような考え方ではいけないと私は思うのです。現在加入者が約三百万人に達しているわけでございますが、この加入者三百万人体制を前提として退職者医療をどうするか、こういう問題として国庫負担率のあり方、こういうことまでも含めてこの制度改正について取り組まねばならないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/88
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089・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 当初四百六万人という見込みをいたしたわけでございますけれども、初年度退職者医療への加入が見込みよりも非常に低かったわけであります。順次改善をされてきておりまするし、また健康保険の任意継続制度が五年間ということになっておりますので、その五年を過ぎてこられるうちに、なおまた加入者もふえてくるというふうに、この面での改善も今後期待がされるわけでございます。
しかしながら、国保制度のこういった退職者医療との関連における構造的な問題や、また他にもいろいろな問題があると思いますので、幅広く国保制度の検討を行ってまいることは当然のことと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/89
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090・草野威
○草野委員 この問題につきまして、もう一点だけお尋ねしておきますが、やはり保険制度間の財政調整だけによって調整をしたり、また国庫負担を削減をしたりということは、特に後の方ですね、問題だと思うのですが、やはり国の責任をもって措置するということが当然だと思うのです。
そこで、国保への国庫補助、これについてやはり少なくとももとの水準に戻す、ぜひその努力はしていただきたい、またその必要があると思うのですけれども、その点についてはどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/90
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091・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 現在の国保への国庫補助も、給付費の五割という他の制度には見られない相当な高率の補助になっておるわけでございます。今後、国保制度の全般的な見直しを行う中で、どのようなことに落ちつくかはまだ何とも申し上げられないわけでございますが、いずれにいたしましても、この国庫補助につきましても、国民の税金による負担でございますので、皆さん方の御理解なり御納得のいただける適正な水準というものを考えていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/91
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092・草野威
○草野委員 次に、六十年度の市町村の国保の決算状況についてお尋ねをしたいと思います。
五十九年度の市町村の国保財政は、退職者医療の加入者見込み違い等で大混乱をしたわけでございます。一般会計の繰り入れ、基金の取り崩し、国保税の引き上げ等をしたにもかかわらず、その決算では赤字団体が五十八年度に対しまして二百七十八団体増加しておりまして四百二団体となったわけでございます。六十年度決算におきましては、五十九年度以上に財政が悪化していると言われておりますが、その見通しについてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/92
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093・下村健
○下村政府委員 六十年度国保の決算状況につきましては、実は厚生省といたしましては、現在各保険者からのデータを集計中でございまして、まだ最終的に正確な数字はこれからでございますが、国保中央会の方で集計をした速報データがございまして、これによりますと、単年度収支では千七百億円台の赤字ということでございます。これに繰越金あるいは基金からの繰入金を加えた決算ベースになりますと、六百五十億円台の黒字でございまして、一方赤字市町村数は五十九年度の四百二が六十年度は三百九十三ということで、ほぼ横ばいになっておりまして、各保険者は大変な御苦労であったと思うわけでございますが、何とか六十年度国保の決算がこんな格好で終わったというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/93
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094・草野威
○草野委員 自治大臣にお伺いいたしますが、この問題に関連いたしまして、自治省の国保税調査によりますと、五十九年度に都道府県は二千六十四の市町村に都道府県補助金を約三百五十五億円支出をしております。また市町村に対しまして一般会計から国保事業会計への繰入金は、千九百八十三市町村に上っておりまして、その金額は千二百七十二億円に達している、このように聞いております。
このように、国保財政の悪化は都道府県の一層の支出増をもたらしている、このような結果になっているわけでございますが、この点について大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/94
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095・矢野浩一郎
○矢野政府委員 御指摘のように、市町村の国保財政につきましては、都道府県からの援助並びに一般会計からの繰り入れ、これによってその財政上の赤字の一部を糊塗しておるわけでございますが、私どもの方としては、本来そういった援助額あるいは繰入額といったようなものは、国保財政の本質からいいますと除いて考える必要がある、そういう観点から見ますと、国保財政の赤字額は、特に六十年度においてはまだ正確な数字は出ておりませんけれども、非常に大きく増加をしておる。退職医療制度の見込み違い等がその大きな原因の一つになっておると考えておりますが、こういった問題に対応してできるだけ早くこういった問題を解決するための制度的な手当てというものを進めていく必要があると考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/95
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096・草野威
○草野委員 本日の閣議におきまして補正予算が決定した、このように伺っておりますが、厚生省関係におきまして、今回の施行期日のおくれに伴う補てんといたしまして、全体で幾ら措置がされておりますか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/96
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097・下村健
○下村政府委員 ほかにも細かいものがあるかもしれませんが、私どもが承知しております国民健康保険等の医療費関係で申しますと、老人保健法の成立の遅延に伴うものとして二千二百六十七億円、その内訳といたしまして義務的経費が千三百五十九億円、国民健康保険の特別交付金が七百四十億円というふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/97
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098・草野威
○草野委員 今、七百四十億円というお話がございました。この七百四十億円という金額についてお尋ねをいたしますけれども、この七百四十億円というのは老健法の実施期日をいつからと想定した金額でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/98
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099・下村健
○下村政府委員 ただいま御審議をお願いいたしております老人保健法は十一月一日からの施行ということでお願いしているわけでございますが、現在の状況から見ますと、十一月一日からの施行はなかなか難しいということで、十二月一日からということを前提にいたしまして、このような措置をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/99
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100・草野威
○草野委員 十二月一日実施、これを想定して七百四十億円ということになりますと、従前の金額が五カ月分で七百二十七億円、こういうふうになっておるわけでございまして、今回が十二月一日で七百四十億円、金額的につじつまが合わないといいますか、少ないといいますか、この辺のところはどのように考えておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/100
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101・下村健
○下村政府委員 確かに老人保健法の成立おくれに伴う影響額八百七十億円の満額というわけではございませんが、今回の措置は、国民健康保険に対する影響等を踏まえて、大変厳しい財政状況のもとで国として最大限の努力を重ねてぎりぎりのとり得る措置をとったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/101
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102・草野威
○草野委員 そうしますと、今回の補正予算の中では六十年度の補てんの未措置額七百十三億円については措置されていないわけでございますが、その理由はどういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/102
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103・下村健
○下村政府委員 退職者医療の影響額は、五十九年度が約六百億、それから六十年度が千四百億、今年度がただいまの想定でまいりますと八百七十億、こういうことになるわけでございます。それに対して千三百六十七億、それから七百四十億、それぞれ六十年度の影響額、六十一年度の影響額についてぎりぎりの措置をとったということで、そのほかに当初予算で計上いたしました二百三十億というものもございます。ということで、少なくとも国保財政を退職者医療の影響によって現在以上に悪化させないということで努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/103
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104・草野威
○草野委員 今の七百十三億に対する説明がちょっとはっきりしてないと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/104
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105・下村健
○下村政府委員 今後国保財政の状況の推移を見ながら、さらに最善の努力を誠意を持ってしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/105
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106・草野威
○草野委員 不足した場合はどういたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/106
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107・下村健
○下村政府委員 国保財政の状況を総合的に勘案いたしまして、最善の措置をとるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/107
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108・草野威
○草野委員 さらに、老人医療費の国の公費負担分二百三十一億円、それから療養給付費国庫負担で九百二億円、これについてはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/108
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109・下村健
○下村政府委員 ただいまのお尋ねは老人保健法の遅延等に伴います義務的経費の関係だと思いますが、それにつきましても、六カ月分千三百五十九億円を今回の補正予算で計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/109
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110・草野威
○草野委員 さらに、老人医療賞の公費負担分として県市それぞれ五%、この分でございますけれども、十一月一日実施で百十六億円、このように言われておりますが、この分につきまして自治省にお尋ねしますけれども、特別交付税で措置する、こういうようなことも考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/110
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111・矢野浩一郎
○矢野政府委員 老人医療費の公費負担分につきましては、五カ月分で御指摘のような数字でございます。これにつきましては、年度当初に策定をいたしました地方財政計画上で、年度間の予見し得ない財政事情に充てるための財源として追加財政需要額、総額で五千億円を見込んであるわけでございます。このうちの大部分につきましては、普通交付税の算定を通じて既にあらかじめ財源措置をいたしてございます。御指摘のような公費負担分の数字から見まして、この中で財源を賄い得る、私どもの方としてはこのように考えておるところでございます。
なお、特別交付税相当額につきましては、これは追加財政需要額の中で、災害等全く地域によって差の生ずるもの、こういったものに対する財源措置を考えておるわけでございますが、国保財政の公費負担分につきましては、普通交付税の基準財政需要額の方でそれぞれの老人医療費の所要額というようなものを合理的な計算をいたしておりますので、その中で賄い得る、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/111
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112・草野威
○草野委員 六十年度は厚生省の調査におきましてもほとんどの市町村が国保税の引き上げを行っておるわけでございますが、平均で見ますと一〇%強、このようになっております。非常に高い引き上げ率であったわけでございます。六十一年度の状況はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/112
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113・下村健
○下村政府委員 はっきりした数字ではございませんが、一応現在私どもが把握しておるところでは、おおむね六十年度と同程度の引き上げを行ったものというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/113
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114・草野威
○草野委員 そういたしますと、ただいまこの老健法が審議されているわけでございますが、今後の審議状況いかんにもよるわけでございますけれども、一つは按分率の引き上げ、これがどうなるかわからないわけでございますが、もし八〇%未満ということになった場合、またその実施期日が予定よりも、これは確実におくれようとしておるわけでございますけれども、こうなった場合には、当然いろいろな影響が出てくるわけでございますが、国保税の大幅な引き上げに即つながってくるんじゃないか、こういうようなことも考えられるわけでございますが、この点はどのように考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/114
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115・下村健
○下村政府委員 御指摘のように、仮に老人保健法が十二月一日に施行できないというような事態に陥った場合には、国及び市町村国保財政に大変甚大な影響を生ずるということになりますので、ぜひともそのような事態を回避するためにも老人保健法の一日も早い成立をお願いするというのが私どもの基本方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/115
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116・草野威
○草野委員 かつて厚生省は、退職者医療制度の発足に際しまして、国保税の引き上げはない、このように明言をしていらっしゃるわけでございます。しかし、今回のように厚生省自身の加入者の見込み違い等によって六十年度は平均一〇%強に上る引き上げ、そしてまた今後も大幅な引き上げ、こういう可能性があるわけでございます。こういうことになりますと、これは明らかに住民への負担転嫁、こういうことにつながるわけでございます。こういうことを考えた場合に、退職者医療制度への国庫負担の導入、これはやはりどうしても考えなければならない問題じゃなかろうか、このように思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/116
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117・下村健
○下村政府委員 退職者医療の成立に当たりましてあるいは制度創設に当たりまして厚生省が申しましたのは、制度創設によって余分に保険料を上げるような事態は起こさないようにします、こう申したわけでございます。したがって、私どもも、今後も国民健康保険の保険料は医療費の妥当な伸びに見合って上げていただかざるを得ない、このように考えているわけでございます。
ただし、各制度それぞれ医療費に見合って保険料を上げざるを得ないわけでございますけれども、それに見合って上げていく場合に、現状のまま推移いたしますと、国民健康保険だけが高齢化の影響を余分に受けて、より速いスピードで保険料を上げていくことになる、こういう事態を回避したい、私どもはこのように考えているわけでございます。
それに見合って保険料を上げていくという前提のもとで、国庫負担もそれに見合って、医療費の伸びに見合って伸ばしていくという前提で考えてまいった場合に、国民健康保険も社会保険皆保険体制の一環をなすものでございますので、国庫負担は二分の一が一つの限界ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/117
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118・草野威
○草野委員 今の御答弁を伺っておりますと、厚生省は加入者の見込み違い、これによる加入者の負担増、このことについては何もおっしゃっておられない、このように思うのですけれども、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/118
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119・下村健
○下村政府委員 退職者医療の見込み違いということによりまして起こった影響につきましては、国としてその影響を解消するように最善の努力を尽くしてまいるというのがこれまでの方針でございまして、今後も国保財政の状況を見ながら最善の努力をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/119
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120・草野威
○草野委員 今の答弁を聞いておりますと、これはもうまやかしの答弁だと思うのです。こういうことであってはならないと思うのです。やはりこれははっきり言いまして、冒頭にも申し上げましたように、こういう見込み違いというのは国の失政であるということは明らかなんですから、国がやはり責任を持って措置する、このような姿勢でぜひとも取り組んでいただきたい。これは大臣に申し上げておきたいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/120
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121・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 見込み違いによります影響に対しては、財政的にも厳しい財政状況の中でございますが、最大限の努力をいたしてまいったつもりでありますし、なおまだ足りない部分について国保組合等非常な御努力をいただき、また我々も今後とも最善の努力をいたしてまいらなければならないと考えております。
同時にまた、なおもっと大きな構造的な不均衡とでも申しましょうか、老人加入率の不均衡というものについて今回の老人保健法の改正で是正をお願いをいたしておるところでございます。この改正をしていただき、そしてなおかつ今後将来にわたっての国保の体質強化、財政基盤の安定へ向かってあらゆる角度から検討をし、最善の努力をいたしてまいる覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/121
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122・草野威
○草野委員 厚生省に引き続きお尋ねいたしますが、六十二年度の概算要求で厚生省は医療費の適正化対策、これで約千四百億円の経費削減を見込んでいる、このように聞いております。そのうち九百億円につきましては、仮置きということで、経費削減の方法は十二月末までに詰める、このように言われておりますけれども、これは事実かどうかということでございます。もし事実とすればどんな方法を考えていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/122
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123・下村健
○下村政府委員 医療費概算要求の作成に当たりまして、当然増等々の関係から見まして千四百億円を適正化ということで考えていきたい、これはお話のとおりでございます。そのうち、今お話ございましたように、五百億程度は従来行っておりました適正化対策、いわゆるレセプト点検でありますとかあるいは審査の強化等によって対処できるが、残り九百億は、従来の適正化対策だけではどうもそれだけの適正化効果は期待できないのではないか、こんな感じになっておるわけでございます。したがって、従来の適正化対策の強化というふうなことも含めまして、概算要求後、暮れの予算編成時点までに具体策をまとめるというのが現在の方針でございまして、現在のところ、それでは具体的にどのような適正化対策を進めていくかということについては、まだ結論を出しておらない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/123
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124・草野威
○草野委員 六十二年度の予算におきまして、国保事務費、現在これは全額を国が負担しておりますが、これを国保税負担へ切りかえる、こういうことを検討していると伝えられております。もしこれが切りかえられますと、国保税の大幅引き上げは必至となるわけでございますが、これは事実であるかどうか、大臣にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/124
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125・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 来年度の概算要求で国保の事務費の国庫負担をこれまでどおり行うように要求をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/125
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126・草野威
○草野委員 ここ数年ずっと見てみますと、老人医療費を中心とする医療費への国庫負担の削減ですね、これは一つは国保の被保険者、それから健保等のサラリーマン、さらに老人などの負担増、こういうものによって行われてきたわけでございます。例えば今回の退職者医療制度しかり、今回の加入者按分率の引き上げしかり、老人の自己負担引き上げもそうでございます。国保の事務費は現在でも地方の超過負担が非常に多額に上っているのが現状でございますけれども、やはりこの問題は今後とも非常に重大な問題と我々はとらえております。この点につきまして、自治大臣はどのようなお考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/126
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127・矢野浩一郎
○矢野政府委員 国民健康保険事業の事務費につきましては、全額国費負担の原則、この建前はもとより貫くべきであると思います。また、その場合には必要な事務費が十分に確保されるようにされなければならないところでございまして、超過負担の問題等につきましては、私ども常々関心を持っておるところでございまして、必要な時期に必要な調査を共同でいたしまして、超過負担の解消に努めるという努力を従来から重ねてきておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/127
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128・草野威
○草野委員 自治省にお尋ねしますが、国保療養給付費、この負担金の一部を府県負担を導入することを検討している、このように伝えられております。これは五十七年度にも取り上げられましたけれども、明らかに国の負担の地方転嫁ということになるわけでございます、これは事実かどうか、自治省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/128
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129・矢野浩一郎
○矢野政府委員 御指摘のようなことが仮にあるとすれば大変大きな問題だと思います。国民健康保険は国の責任において行われる国民皆保険の一環をなすものでございまして、他の医療保険同様、保険料あるいは保険税と国庫負担によって支えられるべきものでございます。したがいまして、国民健康保険の療養給付費について都道府県負担を導入することは、国民健康保険の被保険者に対してのみ地域住民の税金を支出するということになり、住民相互間の負担の公平を欠き、適当ではございませんので、これは行うべきものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/129
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130・草野威
○草野委員 厚生省の高齢者対策企画推進本部、こういうのがございますが、これによりますと、去る四月八日、報告書を公表いたしまして、国保制度の改革といたしまして、府県と市町村の役割分担について検討して、改革を図ることを明らかにいたしまして、国保の府県移管というものを示唆しているわけでございます。厚生大臣は就任後、この府県移管につきまして検討したい、こういう旨を言明されていらっしゃいますし、さらに行革審の意見も、運営主体の広域化ということを提起しているわけでございますが、今回改めてこの問題につきましての厚生大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/130
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131・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 国保の安定的運営のためにいかに取り組んでいくかということにおいて、今後幅広い検討をいたしてまいるつもりでございますが、その幅広い検討の中にはあらゆる問題が含まれるであろうと思います。
この国保の経営主体を県レベルに移すかどうかということについてもいろいろ一長一短があろうかと思います。市町村で運営することにおいて地域住民との密接な関係という点からは長所があると思いまするし、小さな財政基盤で行うよりもより広い財政基盤で行った方が安定的である、県レベルでやった方がプラスであるという観点もあろうと思います。そういったいろいろなメリットやデメリットがあるわけでございますが、こういった点をよく検討し、関係者の皆様方の十分な御理解をいただくためにいろいろな御相談もしていかなければならないと思います。そういう中で、今直ちに県への移管ということはなかなか難しい状況にあるということも十分承知いたしております。しかしながら、冒頭にも申し上げましたように、国保の安定的な運営のために、幅広い観点から今後検討いたしてまいりたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/131
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132・草野威
○草野委員 これは非常に影響の大きい問題でございまして、自治大臣にもこの問題に関する御所見をぜひともお尋ねしたいと思いますので、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/132
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133・葉梨信行
○葉梨国務大臣 国民健康保険の保険者を市町村としております現行制度でございますが、これは変更すべきではないというのが自治省の考え方でございます。
第一には、被保険者の把握、保険料の賦課は、住民基本台帳あるいは住民税、固定資産税の課税台帳等によって行っているわけでございますが、これは申し上げるまでもなく、市町村においてつくり、保管しているわけでございます。市町村が保険者であることによりまして保険料の賦課徴収が効率的に行われているということが第一の理由でございます。
第二には、現在市町村が事業主体となっております老人保健法の中の保健事業等と賦課徴収が一体的に行われるためにも、市町村が保険者であることが望ましいということでございます。
第三には、都道府県を保険者といたしますと、新しい組織とか新しい機構、人員が必要となりまして、これは今行っております行政改革の趣旨に反するということでございます。
以上のような三つの点で、都道府県に移管することは適当でないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/133
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134・草野威
○草野委員 この問題に関しましては、厚生大臣と自治大臣とはどうも御意見が違うようでございまして、この場で議論するわけにもいかないと思いますが、この問題は非常に重大でございますので、また改めていろいろと議論をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、国保税の賦課方法の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。
現在、所得割と資産割によりますいわゆる応能部分、それから均等割と平等割による応益部分から賦課方法が成り立っているわけでございますが、法律ではおのおの五〇%ということが原則になっているわけでございます。しかし、実際には応能部分の方がかなり高くなっているわけでございます。これは一体なぜこうなっているか、また本来はどうあるべきか、こういう問題につきまして両大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/134
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135・下村健
○下村政府委員 国民健康保険税の賦課方法につきましては、その方式あるいは所得割等の標準的な案分割合を示しているわけでございますが、保険者によりまして、実際の案分割合に相当の差が出てきていることは御指摘のとおりでございます。
今後、国といたしましては、保険制度の一元化という問題もございますし、また国保制度の安定を図るという観点もありますので、保険料の問題については、今後の国保制度の検討の中で、現状に即した新しい保険料のあり方について検討を進めてまいりたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/135
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136・津田正
○津田政府委員 お答えいたします。
国保税の標準課税総額の算定方式の点でございますが、御指摘のとおり、最近応能主義的な案分方法というのがふえておるわけでございます。これは全体的に申しますと、やはり医療費の増高等にかんがみまして、応益負担の方が負担過重になるというような観点から、市町村は応能原則の方を重点的に考えておるのではないか、かように考えております。
今後のあり方でございますが、御承知のとおり、国民健康保険以外の医療保険につきましては、給料等によりますいわば比例税方式、こういうような格好になっておるわけでございますが、国保税につきましては、市町村という地域社会の多様な納税者間の相互扶助、こういう観点から、単に応能負担だけではなくて応益負担も加味しておる、これはやはり国民健康保険の一つの性格かと思います。
どの程度の割合がいいのかにつきましては、地方税法におきまして一応標準割合を書いておるわけでございますが、やはり地域におきます産業構造であるとか資産状況、そういういろいろな点を加味して考えなければならない。もちろん全体的には、国民健康保険の医療保険のあり方という今後の課題にも関連してまいる問題かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/136
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137・草野威
○草野委員 給付面を見てみますと、国保では全国的に均一化されているわけでございますけれども、負担の方は市町村ごとに賦課方式が異なっているわけです。特に財政力の弱い市町村ほど負担が重い、そういう傾向があるのも事実だろうと思うのです。
そこで、この保険税、保険料の負担の公平化を図るために、いわゆる標準税方式を採用するということについてどのようなお考えがございますか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/137
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138・下村健
○下村政府委員 標準税方式につきましては、かつて相当の期間をかけましていろいろ研究を続けてまいったわけでございますが、現在の医療の状況から見ますと、非常に医療費の面における格差が大きいわけでございます。これはいろいろな要素によってそういう差が出てきておるわけでございますが、そのような状況のもとで一律に標準税を決めることはなかなか難しいということで、目下の問題としては、そういう地域における医療費の格差、これを適正化等を通じてなるべく解消する方向に持っていきたい、こういう方向に努力を注いでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/138
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139・草野威
○草野委員 本日は老人保健法の質疑でございますけれども、私ども地方行政委員会の立場からきょうは質疑をさせていただいたわけでございます。特に私は国保財政という点に焦点を絞りまして、何点かお尋ねをさせていただきました。若干時間も残っておりますけれども、本日は以上で質問を終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/139
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140・石橋一弥
○石橋委員長 岡田正勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/140
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141・岡田正勝
○岡田(正)委員 私は反対という立場に立って質問をするのでありますが、反対ならまあいいかげんに答えておこうというような感覚ではなくて、ひとつまじめにお答えいただきたいと思います。
まず第一番に、今老人医療の問題が法案になっておるわけでありますが、この老人医療を無料化いたしましたときの、いわゆるその制度をつくった創設の精神とその経緯につきまして、厚生大臣からお答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/141
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142・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 老人医療の無料化が制定された当時、昭和四十七年当時でございますが、そのときの状況は、例えば健康保険の家族の給付も五割給付であった、国保は七割給付で高額療養費制度もなかったというようなこともあったと思います。また年金水準も全般的に非常に低いものでありまして、老齢福祉年金を一つとってみましても、月額二千三百円とか三千三百円というような状況のころであったと思います。こういうようなときにお年寄りが病気になった場合の自己負担というものが非常に重いものであったというようなこと、そしてまた当時は経済も高度成長期で非常に豊かな税の自然増収という背景もございまして、老人医療の無料化が実施されたというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/142
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143・岡田正勝
○岡田(正)委員 そこで、その翌年にはもうオイルショックに入ってくるわけでございますけれども、当時高度成長時代で財政が豊かであったということは認めます。だが、そういう中であっても決して国家財政がゆとりがあって金が余ってしようがない、どこへ使おうかというような感じじゃなかったと思うのです。そういう中でも、窮屈であっても老人医療制度というのを設けて、七十歳以上は無料にしようということを、これは大臣のお父さんでございましたですね、御提案になりまして大変な人気を博したのであります。今度は息子さんがその制度を切り下げるという憎まれ役をやるのでありますからまことに皮肉なものでございますが、その創設の精神というのは、やっぱり長い間本当に御苦労でございました、人生七十歳を迎えると、あとは本当に余暇を楽しみ、健康な人生をひとつ送っていただきたい、安らかに送っていただきたい、こういう気持ちがあったればこそ七十歳以上は無料にするという制度が全国民拍手の中で通ったんだと私は思うのですよ。
そういう精神から考えて、今日こういうことを提案しなければならぬということは、何という時代のさま変わりかなという髀肉の嘆をかこちながら次の質問に入らしてもらうのでありますが、この医療費の自己負担額といいますか、高額療養費制度というのがありますね。いわゆるもうこれ以上の負担は、一月に医療費の支払いをするにしても、例えば一番最初のときは三万円であったと思うのですが、三万円以上は払わなくてよろしいとか、現在で言うならば五万円ぐらいになっているのですかね、それ以上はもう無理だ、あとは保険で払いましょうというような制度ができましたですね。あのいわゆる高額療養費制度というものができましたときのその創設の精神と経緯につきましてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/143
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144・下村健
○下村政府委員 高額療養費の支給制度は、昭和四十八年の健康保険法改正の際に導入された制度でございます。それまでは、本人の場合は一部負担がございますが、家族の場合に七割給付というふうなことで、仮に医療費が百万円かかりますと三割三十万円が負担になる、それから千円の場合ですと三百円というようなことで、同じ率でまいりますと、軽い病気の場合がむしろ給付水準が結果的に高いということになるのではないか、したがって、重病のような場合にむしろ重い給付をすべきだというふうな議論がございまして、そういう重病の場合の家計への影響を軽減するという趣旨で四十八年に導入された制度でございます。その後、いろいろ低所得者に対する措置あるいは特定の疾病に対する負担軽減というふうな形の改善がなされておりまして多少変わっておりますが、根本の趣旨はそのようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/144
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145・岡田正勝
○岡田(正)委員 よくわかりました。
創設したときは何万円で現在は何万円になっておるかということをもう一つ補足して答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/145
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146・下村健
○下村政府委員 四十八年の十月に創設されたときは月額三万円でございます。それから五十一年の八月にこれを月額三万九千円に改めております。それから五十六年の三月に、一般は月額三万九千円そのままでございますが、低所得者につきまして月額一万五千円。それから五十七年に一般の場合月額四万五千円、低所得者は一万五千円の据え置き。それから五十八年の一月に一般は月額五万一千円、低所得者が一万五千円。それから一方、それと並行いたしまして五十六年に本人につきまして月額一万五千円という制度が創設されております。これは低所得者に限りという条件つきでございます。それから五十九年の十月に本人と家族合わせまして一般が月額五万一千円、低所得者を三万円に改定いたしております。
なお、その際、世帯合算と申しまして、世帯員の中で一定額以上の高額療養費の方が出てまいった場合に合算をする制度、それから一年のうちに多数回数該当する世帯の負担を軽減する制度、それから長期高額疾病患者の負担軽減制度等の負担軽減措置を導入いたしております。
それから、その後六十一年五月、一般につきまして月額五万四千円、低所得者は三万円という形に改まりまして、現在に至っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/146
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147・岡田正勝
○岡田(正)委員 次に、よく言われることでありますが、保険外負担の状況につきましてお答えをいただきたい。さらにそれに加えまして七十歳代の方々の貯蓄と収入の関係はどうとらえておられますか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/147
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148・下村健
○下村政府委員 老人につきましては多少特殊な点がありますので、別途老人保健部長からお答えいたしますが、一般的な保険外負担の状況につきまして私からお答えをさせていただきます。
第一は、差額ベッドと言われておるものでございますが、従来から三人部屋以上の差額ベッドは解消するということで指導を行ってきております。その結果、総病床数に占める三人室以上の差額ベッドの割合が、この制度を始めました四十九年には六・六%ございましたが、昭和六十年で〇・八%に低下いたしております。患者の負担額は、平均いたしますと一日当たり三千三百円程度になるというふうに推計いたしております。今後とも不適切な差額負担が行われることがないよう、ルールに反するようなことがあってはならないということで、指導の徹底を図ってまいる方針でございます。
二番目は、付添看護の問題がございます。普通看護を行っている病院におきまして付添看護が必要になった場合、その付き添いに要した費用については患者に償還払いをいたしております。この看護料と慣行料金の間に、大都市の場合において基本給において一日当たり約千円程度の開きがあるというふうに見ております。これが患者負担になっているわけでございます。付添看護料につきましては、これまで国立病院における看護婦の給与実態等を踏まえまして支給をいたします療養費の額の改定を行ってきておりますが、今後とも実態を十分に把握して適切な対処をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/148
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149・黒木武弘
○黒木政府委員 第一点は、老人特有の保険外負担の実態のお尋ねでございます。
昨年十二月に全国の老人病院を対象に実態調査を行ったわけでございます。いわゆるお世話料というものでございまして、入院患者一人一月当たりで平均二万七千五百円となっております。負担の内訳としましては、四割以上がおむつ代関連経費でございますし、そのほかは電気製品の使用代、いわゆる貸しテレビ料みたいなものでございます。とともに理髪代等が含まれておりますが、いずれも通常家庭においても必要とされる費用の実費徴収的なものでございます。これらはやむを得ないと思っておりますけれども、保険給付と重複するものについては、その是正を指導しておりまして、今後とも都道府県を通じて指導の徹底を図ってまいりたいと思っております。
第二点は、高齢者の貯蓄と収入の状況のお尋ねでございます。
残念ながら手元に七十歳以上というものがなくて、六十五歳以上の高齢者世帯の状況でございますが、まず所得、収入面では二百十五万円。一人当たりにしますと百三十七万円でございます。それから六十五歳以上の世帯の貯蓄額でございますけれども、一人当たりに換算しまして約三百六十七万円というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/149
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150・岡田正勝
○岡田(正)委員 今お答えをいただいたことにつきまして、ちょっとわからないところがあるので再質問をさせていただきますが、差額ベッド料を取っておるのは、三人以上のところは取らないようにしようというので解消することを指導して、四十九年に全ベッド数の中で六・六%占めておったものが今は〇・八%に減ったというのは、三人以上のベッド数が減ったという意味ですか、それとも〇・八%のベッドはベッド料を取られておるという意味なんでしょうか、そこがちょっとよくわかりかねるので、もう一度お答えください。
それから、付添看護料というのはちまたでは一日が平均五千円、大都会になると七千円というようなことを我々は聞いておるわけです。ところが今のお答えによりますと、せいぜい一日当たり千円の開きであって、その千円分の開きを自己負担をしていただいております、だから付添看護料というのは一日千円以上は出ていないというふうに聞こえましたが、全くそうなんでしょうか。
それから次に、お世話料の問題でありますが、四〇%以上がおむつ代で、あとはテレビだ、あるいはラジオだ、理髪代だというような世間常識的な費用をお世話料として一月に二万七千五百円いただいておる、これが自己負担になっております、これは老人の場合、ということをおっしゃいましたが、お世話料というのはこれ以上は何にも取っていない、だから例えば別の付添人といいますか、こういうような費用というのは全然ありませんというお答えになるのでしょうか。
それから、六十五歳以上の老人世帯の一年間の収入が二百十五万円、一人当たりにしたら百三十七万円、こういうお答えでありました。それで貯蓄が三百六十七万円というお答えでありましたが、収入というのはお金ということでわかるのでありますが、貯蓄の三百六十七万円というのはお金なんでしょうか、あるいは株券とか証券とか、あるいは生命保険料の積立金というようなものがこの中に何割かを占めておるのか、そういう点の区分けはなしに一切預金である、こういう意味なんでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/150
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151・下村健
○下村政府委員 最初に差額ベッドの問題でございますが、六・六%が〇・八%に下がったというのは、全体の病床数に対して三人室以上で差額を取っている病床の割合でございます。
それで、全体の状況をつけ加えて申し上げますと、全病床数に対して差額料金を取っておる病床数の割合は昭和六十年で一〇・七%。四十九年当時はこれが一九・二%ございました。
それから、三千三百円は三人室だけではございませんで、一人、二人部屋の場合の平均が三千四百二十二円、三人室以上の場合は二千二百七十七円となっておりまして、それを総体として平均いたしますと三千三百三十九円ということになっております。
それから、付添看護の問題でございますが、私どもの調査によりますと、これは看護婦だけをとりあえず申し上げますが、五十九年九月の時点で看護婦の料金が六千八百七十円、それに対しまして慣行料金の方が七千九百円。それから六十年の時点で同じ看護婦の療養費で払う方が六千八百七十円、それに対して慣行料金の方が八千百七十円、このような実態になっていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/151
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152・黒木武弘
○黒木政府委員 お世話料の内訳でございますけれども、先ほど申し上げましたような経費でございますが、付添看護料あるいは差額ベッドの差額は含めない金額で調査の上出しております。
それから、貯蓄における中身でございますけれども、いわゆる通貨性預貯金、定期性預貯金のほかに生命保険、有価証券等も含めてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/152
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153・岡田正勝
○岡田(正)委員 ちょっと時間の節約のために、非常に丁寧なお答え方なんですが、隔靴掻痒の感がありまして、かゆいところを靴の外からかいているような感じがするのでありますが、例えば今のように、老人のお世話料というのは先ほどお答えしたとおりであります、しかし付添料は別です、こういうお話があったでしょう。そういうときには、付添料として別にこのぐらい平均かかっておるはずでありますとか、何か把握していらっしゃると思うのですよ。そういうものを出していただきたい。
それから、今の三百六十七万円の分でも、これは生命保険その他が入っております、入っておるではわからぬので、九〇%入っておるのか半分なのか、せめて何割ぐらいまでと発表してもらうと大変親切な行き届いた答弁ということになるのですが、いかがでしょうか。わからなければ仕方がありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/153
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154・黒木武弘
○黒木政府委員 お世話料の先ほど言いました二万七千五百円には、付き添い、それから差額は入ってないとお答えしましたけれども、私どもの方では老人病院を対象にした調査では調査はいたしてないのでちょっと申し上げかねます。保険局長から一般的な状況をお答えしたとおりでございます。
それから、預金の内訳でございますけれども、約で申し上げますと、預金が半分程度、有価証券が四分の一程度ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/154
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155・岡田正勝
○岡田(正)委員 そうすると、もう一度念を押して確認をいたしますが、今までお答えいただきました分はここに書き取りました。ですから、私が受けた印象を申し上げておきますと、一人部屋、二人部屋の問題も含めて平均をすると三千三百三十九円、こういう負担でございますと、こういうことでありますが、これは例えば完全看護で公立の病院に限ったものでしょうか、私立も全部含めたものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/155
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156・下村健
○下村政府委員 先ほど申し上げました数字は全病院の数でございます。ただし、基準看護という形になっておるところは付き添いをつけないことになっておりますので、これは対象外でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/156
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157・岡田正勝
○岡田(正)委員 三千三百円というのは自己負担ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/157
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158・下村健
○下村政府委員 自己負担でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/158
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159・岡田正勝
○岡田(正)委員 というようなお答えから考えてみますと、例えば老人の方が病院へ入った場合、その付き添いをつけたというような場合、今さっきのお答えなんかはみんな看護婦さんの関係でしょう。それ以外の関係で俗に言う付添婦さんというものに見ていただく、家政婦さんと言うのですか付添婦さんと言うのですか、正確な名前を知りませんが、そういう方についていただいた場合、一般の常識としては、地方で五千円、中央の方に来ると七千円の付添料がどうしても必要になる。それが大変な負担になるのだ、こういうことを開いておりますが、今、全病院において、五千円も七千円も取るような付添看護婦、いわゆる自己負担になる付添看護婦、そういうものはない、今発表したとおりである、自己負担というのは、差額ベッドでいえば平均三千三百三十九円、それから付添看護料の問題でいったら一日千円という状況であり、老人のお世話料は月二万七千五百円、これ以外のものは何もかからぬはずである、こういうふうに受け取ってよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/159
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160・下村健
○下村政府委員 先ほどは看護婦の場合についてだけ申し上げたわけでございますが、そのほかに准看護婦、それから資格のない看護補助者の場合も療養費払いという形で看護料の支払いをいたしておりまして、御指摘のとおりに、五十九年九月の時点で申しますと、保険から支払う額が五千百五十円、それに対して看護補助者の慣行料金は五千九百三十円という実態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/160
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161・岡田正勝
○岡田(正)委員 私、専門家でないですから、よくわかるように話をしてもらいたいのですが、この医療費制度の中において看護婦さん、あるいは准看護婦さん、あるいはそれに準拠するような付添看護がついた場合は、自己負担という額は一日平均三千三百三十九円ぐらいでございますよというのはわかるのです。それ以外に付添婦さんというのがおるでしょう。五千円取ったり七千円取ったり、これも予約が要るぐらいで、なかなかつけてもらえないというような状況で、一人の付添婦さんが三人もの患者をそれぞれ面倒見ているとかいうようなことがある、それぞれから皆お金を取っている、こういうふうに聞いておるのでありますが、そういうことはないんですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/161
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162・下村健
○下村政府委員 付き添いとおっしゃるのは、保険の方で申しますと、看護補助者という形で、資格のない方につきましても、一定の条件が整えば看護補助者という形で、ただいま申しましたように、現在五千百五十円を支払っているという格好になっているわけでございます。
それから、今の二人看護、三人看護というふうな点でございますが、現在のところ状況によりまして二人まで受け持つということを保険の方では認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/162
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163・岡田正勝
○岡田(正)委員 専門的でどうもよくわからぬのですが、例えば私が今どこかの病院に入院したとします。それでまず気になるのが差額ベッド料です。差額ベッド料の方は心配しなさんな、平均三千三百三十九円一日覚悟してもらえば大丈夫です、だから月に約十万円自己負担を覚悟してもらえば結構です、それから付添婦の方はどうですか、付添看護料も心配ありません、一日千円で三万円以内ですというふうにお聞きしたのですが、全くそうですな。
だから、今言う差額ベッド料というのは、どんな病院に入っても、平均的に言えば、一日三千三百三十九円の三十日ということですから約十万、そしていわゆる付添看護料というのは一日千円ですから、三十日で約三万、だから十三万円自分の腹から出す気持でおれば、何も心配ありません、差額ベッドの関係も付添看護の関係も心配はありませんということで理解していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/163
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164・下村健
○下村政府委員 現在の医療保険制度の運営でまいりますと、多くの大病院の場合は基準看護ということになっておりまして、付き添いはつけられない、むしろつけてはいけない、こういうことになっておるわけでございます。したがって、そうなっていない普通看護と申しますか、その場合にどうしても必要なものは今のような形で対応するということでございます。
それから、差額ベッドの問題でございますが、自分の希望によりまして個室に入りたい、どうしても仕事の関係なんかがあって見舞いの方が多いとか、あるいは一人がいい、電話がかかってくることも多いとかいうふうな方の場合、個室を希望される、少なくとも二人部屋に入りたいというような場合には御負担いただくというのが現在の保険の考え方でございます。したがって、そうではありませんで、医療上の必要で、例えば手術後どうしても個室に入れて特別な監視をする必要があるという場合には本人負担はないというのが現在の保険の制度になっているわけでございます。
なお、そのほかに実際問題といたしまして、入院をいたしましても日常に必要なものがございます。家庭においてもいろいろちょっとした細々したものが金がかかるとかいうふうな経費がありまして、それぞれ本人が負担するものは当然出てくるわけであります。老人の場合にはその中でおしめの問題がございまして、在宅の場合も家庭においても自己負担をされておられる。下着に類するものという考え方で、老人の場合にはおむつ代の負担というのがかなりの負担になっておる。おむつ代を中心にした負担の実態を先ほど老人保健部長が申し上げたわけでございます。したがいまして、十三万円、必ずしもすべての方が御負担いただくということではありませんで、大部屋でいいという場合にはもちろんそれが要らないわけでございますし、基準看護病院に入られた場合にも付添看護の料金を支払っていただく必要はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/164
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165・岡田正勝
○岡田(正)委員 はい、よくわかりました。
次に、老人保健施設の構想についてどういうものを持っていらっしゃるのか。私はおとといの放送討論会も大臣の顔を一生懸命見ながら聞きまして、これは大事な問題ですからわざわざビデオに撮って三回繰り返して見ました。それでもちょっとようわからぬのです。その点をひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/165
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166・黒木武弘
○黒木政府委員 具体的なお尋ねですから、私の方からお答えさせていただきます。
趣旨は御案内のとおりだと思いますけれども、これから高齢化に伴いまして寝たきり老人が大変ふえてまいるということで、そういった方々に対しまして手厚い看護あるいは介護のサービスとともに、日常生活の配慮もするといった総合的な施設、新しいタイプの施設をつくりたいということでございます。
施設の中身でございますけれども、具体的に申し上げますと、まず機能につきましては、この施設は主として家庭復帰を目指す施設を考えておりまして、病院に入られる、例えば脳卒中で入られた後、一応治療が終わった段階でこの施設に移っていただいて、ここでリハビリ等を行いながら生活の世話もしてあげる、医療ケアも行いながら生活の世話もしてあげながら、やがては家庭復帰をしていただく施設だというふうに御理解をいただきたいと思います。
その他、長期的に入院される方も出ましょうけれども、ねらいはそこでございます。したがって、対象者につきましては、もう既に病状が安定期にありまして、入院治療は必要ないけれども、リハビリとか手厚い看護等を必要とする寝たきりの老人の方がこの対象である。一口で言えば、病弱な寝たきり老人の方ということでございます。
それから、費用でございますけれども、療養費ということで、一人頭幾らという形で定額の費用を施設の方に払う仕掛けにいたしたいというふうに考えております。
その財源でございますけれども、現在の老人医療費の財源と全く同じでございまして、保険者拠出金七割、国が二割、県、市町村が一割といった形での現在の老人医療の制度と同じ財源構成にいたしたいと思っております。
それから、利用者負担でございますけれども、病院を退院されますと家庭に帰られる人たちでございますから、私どもとしては、食費等の面については利用者側が負担をしていただきたいということで、利用者負担の制度を考えております。
利用の手続は、この施設と個人の契約になるわけでありますけれども、いわゆる保険証を持ってきていただければこの施設に入所が可能ということになるわけでございます。
そのほか、開設につきましては、医療法人とか社会福祉法人等が知事の許可を得て開設ができるという制度にいたしておりますとともに、施設の設備につきましては、療養室はもとより診察室、機能訓練室、談話室、食堂、浴室等も備えるようにして、医療面の設備と生活面に配慮した設備も設けさせたいということでございます。したがいまして、スタッフにつきましては、必ずお医者さんを一人配置をいたしますとともに、看護婦さん、看護職員の方々、そのほかにOT、PTあるいはケースワーカーといった相談指導員等も配置いたしまして、所期の目的が達せられるような、寝たきり老人にふさわしい施設にしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/166
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167・岡田正勝
○岡田(正)委員 今お答えがあったようなことは、これは大変失礼ですが、おとといの大臣のお答えの方がよくわかりますね。
おととい大臣は、老人病院、特別養護老人ホーム等が現在ございますが、この中間的な施設として老人保健施設を設定したいと思っておるのであります、寝たきり老人六十二万人のうち在宅老人が二十五万人、これが七十五年にはあるいは百万人になるかもしれない、これの看護のために家庭は大変な重荷を背負っておられる、だからそういうものを少しでも手助けができるためにこういうものをやりたいのである。それで現在のところは中身はよくわかっておりませんけれども、とりあえず一カ所はつくりますというような意味があったのではなかったのですか。それもなかったのですか。ゼロですか。——十カ所、それでは私の耳が悪いのです。とりあえず十カ所つくるというふうにおっしゃったのでありますが、この方がよくわかるのですね。
それで、とりあえず十カ所つくるというのは一体いつつくるのですか。——なかなか駆け引きがうまいですね。その手は桑名の焼きハマグリです。それでその十カ所というのは一体いつごろ開設の見込みですか。将来、この十カ所でもう終わりですかという意味ですね。そういうところを教えてほしかった。将来何万人を収容できる、こういうようなことを言ってほしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/167
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168・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 この法律を通していただけましたら、六十一年度内に十カ所、モデル事業として早急に進めたいと考えております。そして六十二年度は百カ所分について国庫補助を行っていけるような予算措置を今概算要求いたしておるところでございます。将来、昭和七十五年程度をめどにいたしまして、二十六万人から三十万人ぐらいの方々にお入りいただけるような施設を順次整備していきたい、こんな計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/168
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169・岡田正勝
○岡田(正)委員 よくわかりました。
それでは、今大臣から非常にきちょうめんにお話がありましたが、七十五年に二十六万から三十万収容できるようにしたいということでありますが、そこで七十五年には何カ所ぐらいになって何万人、こうなれば大体一カ所平均は何ぼかなというのがわかるので再質問が要らぬわけでありますが、十カ所つくって何人ぐらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/169
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170・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 これはどのような規模の、例えば一施設百床とか二百床とかいうことが定かでございません。というよりも、いろいろ自由に仕組まれていくことと思うわけでございます。でありますので、何施設で何人ということは、ちょっと今明確にお答えできません。十カ所のモデルにつきましても、いろいろなモデルを考えてやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/170
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171・岡田正勝
○岡田(正)委員 次に、年金の問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思いますが、厚生年金、国民年金の積立金の額と運用の現状をお尋ねしたいのであります。
全額を資金運用部に預託をしておるのでありますが、問題はないのでありましょうか、それが一つ。これは厚生大臣の意地にかけていい答弁をしてもらいたいと思うのです。それから他の共済年金や厚生年金基金の運用は一体どうなっておるのでありましょうか、まずそれからお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/171
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172・水田努
○水田政府委員 お答え申し上げます。
厚生年金、国民年金の積立金は、最近、毎年新規に四兆前後ふえておりまして、六十一年度末は五十八兆に達する状況になっております。それで先生御指摘のとおり、この積立金は全額資金運用部に強制預託という形になっておりまして、国の財投計画の原資にすべて充当されているという形になっております。問題は、最近資金運用部資金の預託金利が急速に下がってまいっておりまして、六十年度の後半七・一%の金利であったものが半年後のことし三月には六・〇五、いわゆるその差一・〇五%ぐらい下がるという状況になっております。この積立金から生まれる利息というのは重要な原資になっておりますので、私ども本年度の要求に引き続きまして、六十二年度の要求では、新規積立金と、それから七年物で預託しておりますので、それの満期償還になるものを合計しまして、六十二年度は約九兆のものが新たな運用対象になりますので、その九兆の中の三分の一に相当する三兆円の自主運用の要求をいたしております。
先ほど先生から御質問がございました、例えば全額自主運用をしております厚生年金基金の場合の運用利回りの実績、これは五十九年度の実績がわかっておりますが、八・七%台の利回りを上げておりますので、少なくとも資金運用部に預託している場合に比べまして、私ども自主運用をした場合には一・五%から二%のプラスアルファの運用をすることができるのではないかということで、現在その要求をいたしておるところでございます。
〔石橋委員長退席、堀内委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/172
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173・岡田正勝
○岡田(正)委員 その自主運用の額は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/173
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174・水田努
○水田政府委員 今申し上げましたように、要求ベースといたしましては、六十二年度の新たな運用対象になります金額が、新規預託分と満期償還金両方を合わせまして九兆になります。九兆の全部を自主運用に回すということは、これはやはり従来の経過がございまして、私どもの年金資金というのは財投の重要な原資の一つになっておることも事実でございますので、その方面にも十分配慮をしながら、三分の二は従来どおり財投計画の原資として提供し、新たに三分の一に相当する三兆円についての自主運用をやってまいりたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/174
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175・岡田正勝
○岡田(正)委員 今の自主運用については私ども強烈に要求している側でございまして、厚生大臣といたしましては、本当に大蔵大臣をねじ伏せてでも、これは大臣の方が体が大きいのですから遠慮することないですよ。灰皿でけんかするとちょっと宮澤さん強いですからね、二十五分もちましたから。だから取っ組み合いをやってでもとにかくとってください、頑張っていただきたいと思います。
次に、質問の第二でありますが、年金加入者のための厚生年金会館とか大規模年金保養基地などがあちらこちらへつくられておるわけでありますが、その現状及びその利用状況というのはどんな状況でありましょうか、そしてその収支に問題はないのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/175
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176・水田努
○水田政府委員 大型保養基地につきましては私からお答えしまして、厚生年金会館については年金部長からお答えをさせていただきたいと思います。
まず、大型保養基地でございますが、その性格は厚生年金保険法あるいは国民年金法に基づきます福祉施設として、その設置、運営というのが年金福祉事業団に委託をされております。現在、私ども大型保養基地、全国で十一基地の建設計画を持っておりまして、八基地が既にオープンをし、今日まで四百万人を超える方に幅広く御利用をいただいております。
なお、収支の状況でございますが、おかげさまで六十年度の実績を見ますと、現在運営しておるものの全体で見ますと、おおよそ収支とんとんになってまいっております。各施設が独立採算がとれるように、また利用状況がふえるように、今後も一層努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/176
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177・岸本正裕
○岸本政府委員 厚生年金会館につきまして私からお答えを申し上げます。
厚生年金会館は、厚生年金保険法に基づきます福祉施設といたしまして、厚生年金保険の被保険者や年金受給者等の福祉の増進を図ることを目的として設置されているものでございます。
現在、厚生年金会館は全国で二十施設ということでございます。実は最近では単に会館ということでなくてアスレチックスとか老人コーナーとかいろいろな機能を持たせておりますので、名前といたしましては健康文化センターというような実態をあらわすような言葉にしておりますけれども、ここで今私は便宜上、厚生年金会館二十施設ということで御説明させていただきます。
昭和六十年度におきます利用者数は約八百万人に上っておりまして、収支につきましてはおおむね良好だということでございます。
なお、この厚生年金会館の運営は、財団法人の厚生団に委託をして運営していただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/177
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178・岡田正勝
○岡田(正)委員 この年金の問題でありますが、今五十八兆円になんなんとする基金があるわけです。それでこの運用について、厚生省が大幅に大蔵省からこれを取り上げて、自主運用を大いにやってもらいたいということを希望しておりますものの中で、一つ私どもも希望としまして、従来からお願いをいたしておりますが、日本は御承知のとおり世界の半分の量の造船を行っておる、まさに造船国日本であります。その日本の造船は、御多聞に漏れず世界の景況の悪さからだんだん落ち込みまして、今の造船不況というものは大変なものであるということは御承知のとおりです。
そこで、片面考えてみますと、四面海に囲まれておる日本が何で自前の客船を持っておらぬのだろうか。全部外国から買った客船ばかりです。日本でつくった客船がありません。フェリーボートのようなものは別ですよ。だけれども、これは聞かれた人がみんなびっくりするのです。ほんまかいなと言ってびっくりしますが、大型客船でこの造船国日本がつくった船が一隻もない、これは驚くべき現実であります。みんなよその国から買っておる。こんなんじゃまことに恥ずかしい。そして下手をしますと、あと二年ほどたったら客船をつくる技術を持っておる技術者が日本でゼロになります。こういう危機的な場面に直面をしており、造船不況の折からでもあります。この際、ですから年金客船をつくって、今審議されておりますような、老人の方々、いわゆる功成り名遂げていよいよ楽しい人生を送りたいと思っていらっしゃる方々に少しでも利用していただく。そして恐らくそんなこと言っちゃいけませんけれども、大部分の人が海外へ行ったことがないのじゃないでしょうか、七十歳以上といいますと。そういうことから考えてみますと、この際、やはり海外に行って見聞を広めていただくということも我々後輩としては大変大事なことじゃないか。国会で出てくる話といったら、もう金がない、いや、福祉を削るだ何だという不景気な話ばかり。一つもいい話がありません。本当に大臣のお父さんの時代がうらやましいと思うのですよ。せめてひとつ厚生大臣の手元から明るい材料を提供してもらいたい。そのためには年金客船の建造ぐらいこの際ぶっ放していただきたいというふうに思っておるのでありますが、これは老人対策とそれから造船不況と兼ねた対策にもなり得ると思いますので、この際、大臣のいい音を開かしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/178
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179・水田努
○水田政府委員 大変民社党から常々年金の積立金の運用について御理解をいただいておりますので、私どもも塚本委員長の総理に対する御質問以来種々研究を各方面から聞かせていただいておるのですが、聞かせていただけばいただくほどだんだん自信がなくなってまいったというのが大変残念ながら現状でございます。建造費が二万トンクラスで大体三百億ぐらいかかり、一日の運航費が最低で三万から四万かかると言われておりまして、年間、通年で九割以上のお客の確保ができないと採算がとれないと言われておる事業でございまして、やはり貴重な年金の財源を投資するからには十分元利が返るという確実な見通しがないと、拠出者であります労使の御理解を得ることがなかなか困難じゃないかということで苦慮いたしておりますが、なおこの問題につきましては、運輸省の方で各界集めて海運振興会で来年度、六十一年度末までに真剣に検討なさるということのようでございますので、私どもも、その推移を、またその専門家の検討結果というものも十分見きわめてまいりたいと事務的には思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/179
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180・岡田正勝
○岡田(正)委員 時間が参りましたので、これをもって終わらせていただきますが、大臣、本当に真剣にお願いをするのですが、今ちょっと御報告のあった、検討中の御報告があったものを見ましても、こんなに差があるのです。私、今これをちょっと書いただけですが、運輸省でいろいろと検討なさっていらっしゃる分でいくと、二万トンの客船をつくるのに三百億円の建造費がかかる、こうおっしゃいました。非常に多額のものでございます。そしていわゆる運営維持に相当な金がかかる、それで利用者が九〇%確保できるかどうかという問題がある、いろいろ問題点を出されまして、大変今悩んでおるところである、しかし前向きに検討したいということでございますが、民間が研究すると官庁とこんなに違うということを大臣覚えておいてください。いいですか。今運輸省で御検討いただいておる分は二万トンの船で三百億円ですよ、三百億円かかるというのですよ。民間で、私の選挙区にある神原汽船というのが、もう六十三年から就航するというのです。それで六十二年には建造するというのですね。その船が一体幾らかかるか。トン数は倍の四万トンですよ。建造費は半分の百五十億円ですよ。一体どうなっているのですか。官庁が検討すると二万トンの船で三百億かかる、大変な負担です、こうおっしゃる。民間でやったら四万トンの船が百五十億円でできるというのです。これは一体どないなっとるんですか。私は余り学問がありませんけれども、このぐらいの数字の差はわかるつもりですよ。余りにもひどいじゃありませんか。だから、これは運輸省で御検討いただいておる、これはもう感謝しておるのでありますが、こういうことがもう堂堂と新聞に出る。我々は選挙区ですから一番よく知っていますが、こんなに違いがあるのですから、この年金を所管しておる厚生省としては、もっと前向きに、もっとそのけつをたたくぐらいのつもりでやっていただきたい。できぬできぬ、初めから難しい難しいと言ってしり込みをしながら考えるという姿勢では私はだめだと思うのです。この問題については、これはせっかくお父さんが七十歳以上の無料化を設定した人でしょう。大臣、在任中に一つぐらいお父さんに負けぬほどのことをやってくださいよ。だから年金客船という夢を、ロマンを国民に与えてください。老人が使うだけじゃない。小学校、中学校、高等学校の生徒だってどんどん使えるじゃありませんか。何が九〇%の乗船率が確保できぬことがありましょうか。私は、要は情熱であると思う。その点をひとつ大臣の意思を聞いて終わりにさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/180
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181・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 検討の価格というか建造費が大分違うというお話でございますが、豪華年金客船でありますので、それをどのぐらいに見積もっているのかというところでも違うのかなというふうに今考えさせていただいておったところでございます。
冒頭に、最初の時点で御質問がございました年金の積立金を利用しての年金保養施設等につきまして、こういう時代でありますし、また年金の有利かつ確実な運用ということなど考え合わせ、最近では年金保養施設等をどんどん建てるということではなく、どちらかといえば自粛をしているというような状況に現在あるわけでございます。
そういう中で、従来から民社党の皆様方には党を挙げてこの年金豪華客船の実現ということに大変積極的にお取り組みをいただいておることを十分承知をいたし、またそういう御意向を受けて私どもも検討をさせていただいておるところでございます。まさに今おっしゃられましたように、非常に夢とロマンをはらんだものでありまして、それと現実の年金資金の運用等々現実の運用状況というものとあわせて、できるだけ実現できるような方向でなお引き続き検討をさせていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/181
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182・岡田正勝
○岡田(正)委員 大臣、ありがとうございました。今大蔵省の利子が下がっただけでもということをおっしゃいましたが、一%下がっても五百億円違うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/182
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183・堀内光雄
○堀内委員長 時間ですから簡単にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/183
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184・岡田正勝
○岡田(正)委員 年金客船の一杯二杯は楽にできるじゃありませんか。そして民間で半分の値段で倍の船ができ上がって運営もできる、ペイもできる。新会社を設立、六十三年就航、来年の当初から建造ということが民間でできるのに、何で政府ができぬかということをひとつ大臣しっかり腹に入れて前進をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/184
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185・堀内光雄
○堀内委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後一時三十分休憩
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午後二時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/185
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186・堀内光雄
○堀内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/186
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187・経塚幸夫
○経塚委員 まず最初に、厚生大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、国民健康保険法の一部改正問題につきまして、災害その他政令で定める特別の事情がないのに保険料を滞納しておる世帯に対しては保険証の返還を求める、こういう改正案でありますが、保険証の返還を求められるということになりますと、保険証が手元にないわけですね。そうしますと、病気になって治療を受けようと思いましても、保険証がございませんから、これは当然窓口で全額立てかえ払いをしなければ治療が受けられない。経済的な事情などで滞納しておる場合に、滞納した保険料を払う能力もないという者が窓口で全額立てかえ払いをしなきゃならぬということになりますと、これは事実上医療を受ける権利が大幅に制約をされる、こういうことになるんじゃないかと思うのですが、その点、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/187
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188・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 今回お願いしております措置は、被保険者証にかわって資格証明書というものを交付をいたしまして、国保被保険者の資格そのものを奪うものではないわけでございます。でありますので、特に悪質な滞納者に対して給付を一時差しとめるにすぎないものでありまして、国民が医療を受ける権利を奪うというものではないわけでございます。国保制度は被保険者の相互扶助精神に基づくものであり、正直に保険料を払っている人とそうでない人との負担の不公平を是正し、国保制度の健全な運営を図る観点から、この程度の措置は最小限必要なものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/188
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189・経塚幸夫
○経塚委員 悪質な者だけを対象にするのであって、国民全体の医療を受ける権利そのものを制約するものではないとこうおっしゃるわけでありますが、それでは悪質な者あるいはそうでない者との限界をどこに置くのか、私はここが大問題だと思うのですね。
といいますのは、これは厚生省の資料によりましても、五十九年度、所得二百万以下が実に七二・九%を占めておるのですね。所得のない者の比率が、自治省の調べでは五十三年が一一・八%の世帯、ところがこれが五十九年度は一六・九%にふえておるのですね。これは厚生省の調べでありますが、職のない者が五十年が八・四%だったんですよ。これは何と五十九年は二二・三%なんですね。だから、二百万円以下の所得しかない世帯が実に七三%近くもおる、こういうことでありますから、今の保険料の負担が大変だ、それですから、払う気があっても払えないという人も、これは随分たくさんおるんじゃないかと思うのですが、大臣、今の保険料は、これは妥当なものだ、そんなに負担は重くないとこうお考えなのか、これはかなりな負担になっておるとお考えか、その点はいかがな御判断ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/189
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190・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 国保の運営に国保組合も最近大変努力をしていただいておりまして、保険料も相当引き上げられてきて、なかなか限界に近い状況にきているように私は感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/190
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191・経塚幸夫
○経塚委員 限界に近い状態という御判断が私は微妙だと思うのですがね。
私がお尋ねしていますのは、現在の保険料は、これはもう妥当なもので、この程度のものならみんな払ってもらえるとお考えなのか、いや、もう現行でもかなり負担が重いとお考えなのかですね。ここ非常に大事なところだと思うのですよ。現行の負担でもかなり重いということになりますと、これは払う意思があっても払えない人もかなり出てくる。しかし、そんなに重いことないじゃないかということになれば、滞納しておる者は一応悪質だとみなされかねないわけなんです。だから御判断をお尋ねしているのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/191
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192・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 所得がなくて払えない方も悪質とみなすというようなことではございませんで、悪質滞納者とは、合理的な理由がなく故意に保険料を滞納している者をいうわけでございまして、具体的には、災害とか失業、長期入院等の特別な理由がなく長期間滞納している者、また、かつ、財産の名義の変更などを行うなどして保険料納付を回避する意図が明らかである者、こういう人たちを想定いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/192
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193・経塚幸夫
○経塚委員 今、大臣は、その悪質かそうでないかの境目として三つほど具体例を挙げられましたね。災害、それから長期入院、それから失業ですね。そうすると、失業はしておらない、わずかなパートでも収入がある、それでしょっちゅう医者にはかかっているけれども、長期入院もしておらない、それでまあこれといって災害に遭っておらない、しかし所得に占める保険料の負担率から見ますと大変負担が重い、こういう層はどうごらんになるのか。
これも資料でございますが、保険料、五十五年、これは全国平均が二万八千円でしょう。これは国保中央会の統計でございますが、六十年度は四万二千九百円ですね。五一%の伸びなんですよ。きのう国保中央会あるいは市町村の方々が陳情に来られまして、三年間で国保料の値上げは三五%だ、特に五十九、六十、六十一、大幅に引き上げざるを得なかった、こう言っておられました。
これを見ますと、所得に占める保険料の負担率が、大臣聞いてくださいよ、五十年は三・八五%なんですよ。これが何と五十九年は六・一%に上がっているんですね。これはあくまでも平均でありまして、低所得者ほど所得に占める保険料の負担割合が高いんですよ。これはちょっと不思議に思われるかもわかりませんが、五百万円以上の所得の人は保険料の負担率は三%ですよ。ところが百万から百五十万は七・九%、八%ですよ。これは厚生省の資料です。それで何と二十六万円未満になりますと、最高の負担率、一五・一%なんですよ、負担率が。平均は六・一%ですが、所得の低い人ほど負担率が重い、こうなってきているんですね。
私はちょっと生活保護との関係で調べてみたんですが、仮に二十七万八千円の収入があるといたします。これは国民健康保険料が幾らになるとお考えですか。二万六百四十六円なんです。税、国保料合わせて差し引きしますと二百二十二万六千四百二十円、年間それしか手元に残らない。生活保護を受けますと二百二十七万二千六百七十円。したがいまして、月二十七万八千円の人は生活保護を受けておる人よりも以下の生活を余儀なくされる、こういう状況が生まれてくるんですね。
だから、大臣がおっしゃっています悪質な者と悪質でない者との境には、挙げられました長期入院だとか失業だとか災害に遭った場合とかいうようなことに限定をいたしますと、払いたくとも払えない母子家庭、親子がパートで辛うじて生活を支えておるとか、あるいは完全失業ではないけれども、病気がちで思うように就労できない、こういうような圧倒的に多い低所得者の滞納の場合には、政令で定める特別の理由という範疇に入れるのか入れないのか、ここの点はどうなんですか。これは非常に層が広いわけでありますから、一番問題になる点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/193
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194・下村健
○下村政府委員 今回お願いいたしておりますのは、大臣からお答え申し上げましたように、悪質滞納者に限定いたしまして制度を運用するということを考えておるわけでございます。悪質の条件としては、ただいまこれも大臣申し上げたところでございますが、特別の災害、失業あるいは長期入院といった納得できる特別の理由がない、しかも長期間滞納している、どうも保険料を納めたいけれどもということではなくて、保険料の納付を回避する意図が明らかな者、故意というふうなことが考えられる者ということを考えておるわけでございます。
実は、私どもこの制度を立案いたします際に、どういう例が悪質と考えられているかということでいろいろ聞いてまいりましたけれども、実際に市町村がこんな例が悪質だと挙げてきた例は、むしろ低所得というよりは、かなりの所得がありまして、しかも保険料を納めない、医療給付を受けてないから払いたくない、あるいは財産処分は回避をするというようなことで、明らかにどうも保険料を納める意思がないというふうな者を対象といたしますので、その点についての御懸念は、運用面で心配はないというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/194
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195・経塚幸夫
○経塚委員 運用面でそういう心配はない、こういうことでありますが、法令上政令で定める場合を除いて、こうなってきますと、この政令というものの中身が極めて具体的に明示をされなければならぬことになりますが、今、先ほどの大臣の御答弁では三つの例しか挙げられなかったので、私は改めてお尋ねをしたわけでございます。
滞納額は確かにふえてきております。しかし、この滞納額の激増と保険料の引き上げとは、これは無関係じゃなしにむしろ因果関係があるんですね。これは保険料、五十五年二万八千円、このときの滞納額が六百八十億円、五十九年は三万九千円になりまして、何と滞納額が千四十三億円、これはもう保険料を引き上げれば滞納額はふえるということは明白なんですね。
収納率も落ちます。東京都下の市町村の例でありますが、五十五年度と六十年度の決算を比較しますと、保険料が二万二千六百九十七円が三万一千八百四十三円に上がった。そうすると収納率がどうなったかといいますと、九二・五八%が保険料が上がって九一・六六%に落ち込んでしまった。そして滞納額は十五億から二十五億七千万円にふえているのですね。
これも一つの例でありますが、これは私の地元の東大阪市の調査、五十九年度決算。滞納繰り越しが何と世帯数の二一・三%、保険料の八%なんですよ。その内容を調べてみますと、生活困窮が八四%なんです。居所不明というのは一割なんですね。だからもう圧倒的にこれは生活困窮が大半を占めておる。不納欠損で処理した理由別を見てみますと、九四%が生活貧困なんですよ。これが今の国保の被保険者の実態だと私は思うのです。
これも一つの例でありますけれども、大阪府の松原市で所得階層ごとに完納率を調べてみたのです。そうすると、これはもう歴然と出ております。完納世帯は全所得階層平均七七・九%ですが、最高の完納率は八八・三%で、所得三百七十万以上なんですよ。これが一番高い完納率なんです。それじゃ完納率の低い層はどの層かといいますと、最低が七一%から七一・四%、所得はどれくらいかといいますと百三十万から二百七十万なんですね。だから月十万台です。ここが一番支払いがしんどい、えらい、こういうふうになっております。
それですから、今の保険料というものが被保険者の多数の人々にどれだけ重い負担になってきておるか。結局、保険料が高いから収納率が悪くて滞納がふえる、滞納がふえますと、また保険料を上げなければならぬ、こういうことで、確かに大臣が最初におっしゃったように、もうこれは明らかに限界です。だから先ほどの御答弁では、こういう納めたくとも経済的理由によって納められないという人については、保険証の返還を求めるとか医療の権利を奪うとか、こういうようなことにはならない、こういうことを改めて大臣の方から御答弁をお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/195
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196・下村健
○下村政府委員 今回の制度はあくまでも悪質滞納者を対象にして設けられたものでございますので、納める意思があって納められないという事情が明らかな者については、この制度の対象とすることは絶対にないということがお答えできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/196
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197・経塚幸夫
○経塚委員 大臣、ちょっとくどいようですが、私が説明いたしましたような経済的な理由、低所得者、こういうようなところにまで医療の権利を奪うというようなことはございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/197
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198・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 真に払えない方というよりも、合理的な理由がなく故意にこれを滞納しているという悪質な者に限って適用するよう運用いたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/198
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199・経塚幸夫
○経塚委員 次に、退職者医療の見込み違いの問題についてお尋ねをしたいのでありますが、政府の方では退職者を一〇%と見込んだのが現に七%そこそこ、こういうことで、これは市町村の国民健康保険財政に大変な影響を与えておるわけであります。
まず、自治大臣にお尋ねしたいわけでありますが、この見込み違いは、一体全国市町村、地方の責任なのか、あるいはそうでないのか、その点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/199
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200・葉梨信行
○葉梨国務大臣 退職者医療制度の創設によって起こりました国民健康保険財政への影響額につきましては、自治省といたしましては、国の責任においてこれを補てんすべきものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/200
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201・経塚幸夫
○経塚委員 これは前大臣も、古屋元自治大臣も、これは国の責任である、特に国の責任において補てんをしてもらわないと、国と市町村の信頼関係にも影響する、こういう御答弁までございました。
そこで、自治大臣、どうですか。これはもう六十二年度に当たりましても、退職者医療の見込み違いの影響分につきましては、当然国庫負担の責任において補てんすべきだ、こう考えますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/201
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202・葉梨信行
○葉梨国務大臣 六十二年度におきましても、市町村国保財政の運営につきまして健全な安定的な運営ができないような事態に至りましたときには、所管庁に対しまして必要な措置をとるように要望する所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/202
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203・経塚幸夫
○経塚委員 言葉を返すようですが、今の国民健康保険財政はもう健全な運営ができぬという状況ですよ、千七百億を超える累積赤字でもって。だから、当然これは国庫の負担の責任において全額補てんすべきだと私は思うのですよ。
厚生大臣、どうなんですか。自治大臣は、これは地方の責任じゃない。国の責任ならば、当然全額国庫負担の責任において補てんすべきでしょう。ところが補てんしておらぬじゃないですか。予算委員会では、田川の市長さんがお越しになって、退職者医療の見込み違いによる影響額は総額三千億を超えるだろう、こう発言をされておった。これは二千八十億に値切ってしまったのでしょう。二千八十億円に値切っておいて全額補てんするのかと思うたら違うんですね。千三百六十七億しか穴埋めしておりません。それで足らぬ分を結局市町村がかぶせられたわけです。こんなむちゃなことありますか。国の責任で穴があいた分だったら、国の責任で穴を埋めなさいな。何で埋めないんですか。どないでっか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/203
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204・斎藤十朗
○斎藤国務大臣 今、御指摘がございましたように、二千八十億と言われる見込み違いにおける影響額に対して千三百六十七億の補てんをいたし、なお引き続き国保、組合、それぞれも御努力をいただくし、また私どももあらゆる角度から国保の運営のために全力を挙げて努力をいたしてまいるということでやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/204
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205・経塚幸夫
○経塚委員 私の聞いていることにちょっと答えてくださいな。国の責任だということははっきりしているんでしょう。それだったら国で穴埋めしたらどうですか。国の責任だということはわかっているのに地方の責任につけ回ししている、私はこれがけしからぬと言うているのですよ。国民健康保険法も健全な運営について国が責任を負うということは明文化されているわけでしょう。地方はたまったものじゃありませんよ。国保の赤字は、五十五年百六十一億、五十九年、一遍にふえておりますが四百九十八億円、これは三倍ですよね。六十年は七百六十億。とうとう千七百七十億ですよ。それで料金は五十九年から六十一年までのたった三年間で三割五分も値上げをさせられておる。それでどうですか、市町村はもう首が回らぬものですから、わずかな貯金、積立金、基金ですね、これはみんな食いつぶしておりますね。五十八年は八十四億取り崩しただけで済みましたが、五十九年は百九十八億円貯金食いつぶしだ。それで六十年は何と六百六十八億円基金食いつぶしだ。これは国が補てんしなかった分とそれから市町村の国保が赤字になってきた分と数字的に、これは大臣よう聞いてみてください、勘定が合うんですよ。三千億を二千八十億に値切ったのでしょう。それで千三百六十七億円しか補てんしないのでしょう。それで国は三分の二補てんしたと言っておりますけれども、中身は半分以下ですよ。
大阪の例を言いましょうか。二百八億円影響を受けて減ってしまったのですよ。国は何ぼ手当てしたのですか。たった九十四億円ですよ。赤字が二百五十三億円出ております。赤字の半分、百十億台が退職者医療の見込み違いによる穴があいた分、そうなります。それで全国の赤字千七百七十億というのは勘定が合うでしょう。三千億が本当の見込み違いの額といたしますと、補てんしたのが千三百六十七億でありますから、その差が千七百億ですよね、数字の上ではちゃんと合いますよ。今質問している最中です、まだあなた慌てて答えぬでもいいですよ。
料金は値上げをする、それで基金は食いつぶしていくわ、一般会計からの繰り入れもふやしていくわ、これでなおこういう赤字が引き起こされてきているわけなんですね。だから、こういう市町村の苦しい実態について、国民健康保険法で定めるように、国は健全運営に責任を本当に持つというのであれば、これは補てんすべきですよ。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/205
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206・下村健
○下村政府委員 退職者医療の影響等もありまして、国保財政が大変苦しい状況にある、これは御指摘のとおりでございます。ただ退職者医療の影響額二千億につきましては、市町村とも協議の上で、こういう方法で一定の方法を定めまして、各市町村ごとに影響額を算定いたしまして、二千八十億というふうな数字が出ておるわけでございますので、私どもはこの額に間違いはないと考えております。
それから、国保財政に対する影響の評価ということになるわけでございますが、五十九年度に約六百億、退職者医療による影響があった、それから六十年度は千四百億あった、こういうことになっておるわけでございます。私どもとしてはぎりぎり先生おっしゃいますように、基金の取り崩しでありますとか一般会計からの繰り入れによりまして、五十九年度の決算はとにかく終わった。その結果、その六百億分がほとんど丸々残っておる格好でございますが、六十年度の影響額千四百億につきましては千三百六十七億、国も財政状況が非常に厳しいので、残念ながら一〇〇%まではまいりませんが、六十年度中の影響額についてはほぼそれに近い額を措置した。それから今年度につきましても、現在考えられております影響額八百七十億につきまして七百四十億の措置をしたということで、市町村が現在以上に退職者医療による悪影響を受けないという形の努力をとにかく苦しい財政状況の中でいたした、こういうふうに考えておるわけでございます。
したがって、確かに数字から見ますと、退職者医療の六百億分がそのまま六十年度の決算結果に影響を及ぼしておると見られがちなんでございますが、私どもとしては、六十年度中の退職者医療の影響分については、そのほとんどの額を国庫負担で補てんをしておりますので、六十年度の決算結果にあらわれた数字については、それ以外の要素も含まれているものというふうに考えているわけでございます。五十九年度の国保財政に影響を及ぼした七百億が国として責任がないということを申しているわけではありませんが、五十九年度はとにかくも市町村の努力によって切り抜けた、そういう状況下において、国としてはそれ以上国保財政を悪化させないために最大限の努力をした。今後の問題につきましては、国としては国保財政の状況も見ながらできる限りの努力を誠意を持って尽くしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/206
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207・経塚幸夫
○経塚委員 答弁を聞いておりますと、一〇〇%とは言わぬけれども、財政運営に支障のないような程度の補てんはしておる、こうおっしゃいますけれども、それなら何で大阪が二百八億のうち九十四億しか入っておらぬのですか。二分の一しか入っておらぬじゃないですか。せんだって地方行政委員会で徳島県を視察いたしましたけれども、阿南市ほかの各町村も来ておりましたが、ここも五〇%いくかいかないかですよ、補てん率は。実際の市町村を調べてみなさい、そんなことを言うのだったら。
それで、これもけしからぬと思うのですが、調整交付金。困っているところには交付をいたしましょう、これは結構な制度。ところが調整交付金を交付するに当たって、保険料の収納率が今までは九二%ないとこれは減額をいたしますよと言っていたのを、六十年度からこれを手厳しくしたでしょう。人口一万以下の例の場合は九四%に引き上げたわけでしょう。それから五万人以上の場合は八〇%から九〇%の場合は一割減額していたのを八五%から九〇%へと引き上げたのでしょう。七〇%から八〇%は八〇%から八五%へと引き上げたわけでしょう。これで随分市町村が困っておりますがな。
これはこの制裁措置を変える前の厚生省からいただいた資料ですけれども、五十九年度はこれで制裁を受けてもらえる金をもらえぬようになったのが百三十九市町村、十七億円であったのが、制度を改悪して手厳しく制裁をやるようになったものですから、六十年度決算では百三十九の市町村が何と四百四十六にふえております。これも大方三倍以上でしょう。それで金額は十七億が四十三億円、これは削ってしもうたわけです。こんな手厳しいこと何でやるのですか。国が負うべき責任を負わぬで、それで市町村が収納率がなまぬるいとか保険料をもっと上げろとか陰でやっておるばかりじゃございませんか。それで国の責任は一体どうなんですか。
五十五年と六十年をちょっと比較してみましょう。保険料は二万八千円から四万二千九百円、五一%ふえたんですよ。それで市町村は保険料の引き上げではもう限界があるというので、一般会計から——ただでさえ自治大臣御承知のように、市町村財政今苦しいでしょう。この苦しい中から五十五年は一人当たり二千七百円入れていたのを四千二百十一円と、何と五六%ふやしたのです。ところが国の支出金はたった五・一%しかふえておりやしません。保険料並みにふやしてみなさい、一兆円プラスすることができるのですよ。それで総額に占める比率も、保険料は五十五年は三二・三%であったのが六十年は三七・八%、五%ふえた。国の負担金はどうなんですか。五十五年は五九・三%、六割近かったのが六十年は四八%じゃないですか。一〇%下がっておる。この差額が二千億とも三千億とも四千億とも言われておるわけでありますが、何のことはおまへんがな、これは国が負うべき負担金をどんどん減らしていく。そうすると市町村はたまりません。保険料を上げなければいかぬ。保険料を上げると収納率が落ちる。そうすると、どないしよるかというと、収納率が落ちとるやないか、けしからぬじゃないか、何でもっとしりたたいて取らぬのや、こう言って調整交付金の減額を手厳しくやる。そうすると、市町村はまた保険料を上げにゃならぬ。保険料を上げると滞納が何ぼでもふえてくる。今度はどうなりますか。滞納しておった場合には、これは悪質な者の場合とは言っておりますけれども、保険証は返してもらいますよというんでしょう。どこまでいくつもりなんだ、いじめるのもいいかげんにしなはれ、私はこう言いたいわけでありますが、果たすべきは、市町村や被保険者に責任を転嫁するのじゃなしに、国民健康保険法で定めておるとおり、国が負うべき責任をきっちり負う、国庫支出金もっとふやすべきだ、こう思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/207
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208・下村健
○下村政府委員 収納率が一般的に近年ちょっと下がってきた。五十九年はまた逆に多少よくなっておるというところもございますが、これは全国一律に収納率が低いということではありませんで、各市町村においていろいろ差があるわけでございます。大変高い収納率で頑張っておられるところもあるというふうな状況がございます。また一般的に申しますと、都市部の収納率が低くて、町村部あるいは農村部の方が比較的収納率が高いというふうなことでございます。そういう中で、財政調整をやる上におきまして、実際の収支だけではなくて、そういう面も加味して配るということで、御指摘のような調整交付金の配分方法をとっているということでございます。これは全体としての保険制度の健全性を維持していく観点から、私どもはやむを得ないものというふうに考えております。国といたしましては、国保問題については、その安定のために全力を挙げて取り組んでいるわけでございまして、今回の補正予算におきましても総額二千億余りの補正額を計上いたしまして、その安定のために努力しているところでございます。今後とも国保制度の安定のためには最大限の努力を払ってまいるというのが政府としての方針でございます。
なお、老人保健制度の問題に引き続きまして、国保については制度的な面からもさらにその安定方策を検討してまいりたいということで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/208
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209・経塚幸夫
○経塚委員 了承できませんが、時間もございませんので、老人保健制度の改正に伴う財政影響額についてお尋ねをいたします。
これは細かく御説明は必要ございません。六十一年度、六十二年度合計いたしまして被用者保険の負担は幾らふえるのか、それから国保などへの国庫負担はどれだけ減るのか、総額をお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/209
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210・黒木武弘
○黒木政府委員 制度改正に伴います財政影響でございますが、被用者保険の合計では六百五十六億円増になります。それから国庫負担につきましては八百七十三億円の減になります。
六十二年度でございますけれども、六十一年十一月実施ベースと比較いたしまして、被用者保険合計では二千九百六十一億円の増でございます。これに対しまして国庫負担金は二千五百五十億円の減と見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/210
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211・経塚幸夫
○経塚委員 今お聞きいたしますと、これも大変ですね。被用者保険の負担は六百五十六億円、これは一人平均いたしますと五千百円前後になるんじゃないですか。一方では、国庫負担が六十一年、六十二年合わせますと、これは三千四百二十三億減ることになるんでしょう。これも今まで言ってきたことと同じことですがな。制度間の公正だとか世代間の公正だとかおっしゃいますけれども、何のことはない、国庫負担の削減がこれはえらいということになるんじゃないですか。
時間がありませんから、私の方でちょっと説明させていただきますが、これは大阪保険医協会の調査なんですが、六十年の七月に千三百七十世帯調査されたんですね。老人医療の自己負担増についてどうお考えか。反対と答えたのが六三・一%ですよ。反対の理由は、年金などわずかな収入で負担が大変だからというのが五七・五%ですよ。重複回答ございますが、社会保障をこれ以上後退させてはならないというのが五四・五%であります。老人が医者にかかりにくくなるというのが三七・六%ですね。ここを厚生大臣、聞いておいてほしいんですがね、二十代の人はそんならどういう答えをしたかといいますと、反対は六一・八%なんですよ。三十代は六四・六%なんですよ。世代間の公平だと言いますけれども、若い人もお年寄りの負担をふやすということについては圧倒的に反対なんですよ。この数字で示されているんですね。
質問を終わりたいと思いますけれども、今回の改正といいますのは、私が今申し上げましたように、世代間の公正とか制度間の公正だとか、こう言いますけれども、公正を口にされるなら国も負担すべきものはちゃんと出しなさい、私はこう言いたいのであります。ところがそうじゃなしに、お年寄りには医療費の引き上げでもって負担を転嫁する、そして労働者にはこれまた負担を転嫁する、そして国保の被保険者は事と次第によっては医療の権利が奪われかねないという状況であります。何かお年寄りだけを邪魔者扱いするかのような言動が行われがちでありますけれども、これは老人福祉法でも老後は国の責任において幸せな生活を守ることが義務づけられておるわけであります。したがいまして、本改正案については、これは撤回すべきである、こう申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/211
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212・堀内光雄
○堀内委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。
これにて散会いたします。
午後二時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110704434X00119861028/212
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