1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十一年十二月十七日(水曜日)
午前十時一分開会
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出席者は左のとおり。
社会労働委員会
委員長 佐々木 満君
理 事
岩崎 純三君
田代由紀男君
糸久八重子君
中西 珠子君
委 員
石井 道子君
石本 茂君
遠藤 政夫君
関口 恵造君
曽根田郁夫君
田中 正巳君
前島英三郎君
松浦 孝治君
宮崎 秀樹君
及川 一夫君
田淵 勲二君
千葉 景子君
高桑 栄松君
沓脱タケ子君
佐藤 昭夫君
田渕 哲也君
地方行政委員会
委員長 松浦 功君
理 事
出口 廣光君
増岡 康治君
委 員
岩上 二郎君
海江田鶴造君
金丸 三郎君
久世 公堯君
沢田 一精君
田辺 哲夫君
高橋 清孝君
志苫 裕君
山口 哲夫君
渡辺 四郎君
片上 公人君
抜山 映子君
馬場 富君
神谷信之助君
秋山 肇君
国務大臣
厚 生 大 臣 斎藤 十朗君
自 治 大 臣 葉梨 信行君
政府委員
厚生大臣官房総
務審議官 長尾 立子君
厚生大臣官房審
議官 川崎 幸雄君
厚生省健康政策
局長 竹中 浩治君
厚生省保健医療
局長 仲村 英一君
厚生省保健医療
局老人保健部長 黒木 武弘君
厚生省薬務局長 森 幸男君
厚生省社会局長 小林 功典君
厚生省児童家庭
局長 坂本 龍彦君
厚生省保険局長 下村 健君
厚生省年金局長 水田 努君
社会保険庁医療
保険部長 内藤 洌君
自治大臣官房審
議官 渡辺 功君
自治省行政局公
務員部長 柳 克樹君
自治省財政局長 矢野浩一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 此村 友一君
説明員
大蔵省主計局主
計官 中島 義雄君
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本日の会議に付した案件
○老人保健法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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〔社会労働委員長佐々木満君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/0
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001・佐々木満
○委員長(佐々木満君) ただいまから社会労働委員会、地方行政委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私、社会労働委員長が本連合審査会の会議を主宰いたします。
老人保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしました資料のとおりでございますので、その聴取は省略し、これより直ちに質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/1
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002・渡辺四郎
○渡辺四郎君 それでは私は、特に社会労働委員会の中でもたくさんの議論がなされておりましたから、国民健康保険関係の問題、それから保健事業関係の問題、そして一番最後に医療圏の設定の問題について若干の質問をしてみたいと思うんです。
まず、国民健康保険関係について御質問を申し上げます。
ことしの十一月に出されました地方自治確立対策協議会、いわゆる通称地方六団体というふうに言われておりますが、国民健康保険に対して、今度の改正案そのものが都道府県にこれは負担を転嫁するものであって、これについては断固反対するという決議がなされておりますが、これについて第一点どういうふうにお考えなのか、それをひとつお聞きをしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/2
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003・葉梨信行
○国務大臣(葉梨信行君) 自治省といたしましては、国民健康保険につきまして医療費の国庫負担の一部を都道府県に負担させるべきではないと考えている次第でございます。
理由といたしまして、まず第一には、国保制度は国民皆保険の一環としまして国の制度として設けられたものでございまして、その健全育成を推進することはもとより国の責任でございまして、都道府県負担の導入は国保行政に対する国の責任を地方に転嫁するものであると考えるわけでございます。
その次に申し上げたいことは、国民健康保険も他の医療保険同様、国費、保険料及び事業主負担によって支えられるべきものでございまして、国民健康保険の被保険者に対してのみ地域の住民の税金を支出するということは、住民相互間の負担の公平を欠くということでございます。また、今回、案として出されているような都道府県負担の導入は、単に国費の一部を都道府県負担に移しかえるだけでございまして、市町村国保財政にとりましては何らプラスにならないと考えているわけでございます。
いずれにいたしましても、市町村国保の安定を図るためには医療保険制度全般の中で広い視野から改善方策を検討すべきでございまして、そのよ
うな十分な検討を経ないまま都道府県に経費の一部を負担させるというような制度の根幹にかかわる重大な変更は行うべきではない、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/3
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004・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 国保の県営化というような問題についてのお尋ねだと思いますが、国保の運営主体を県レベルに大きくするということがいいではないかという御意見も前からあるわけでございます。確かに、財政基盤が大きくなるということによって財政的な運営も非常に楽になるであろうという面が一つあると思います。もう一つは、きめ細かな保健事業とかまた保険料の収納とか、そういった国保運営上からいうと現在の比較的小さい単位で行う方がかえってメリットがあるのではないかというようないろいろな御意見があろうと思います。また、県段階において国保にどのように関与していただくか、国と地方の分担のあり方等について行革審等におきましても検討すべきであるという答申があることも事実でございます。
こういった点を踏まえまして、今後医療保険制度の一元化へ向けてこれからいろいろと検討をいたしてまいりますが、そういう中でまず国保の安定的な運営をどう図っていくかということが当面の一番大きな問題になるわけでございますが、そういう中で今のような点を慎重にひとつ検討いたしてまいらなければならない課題の一つであるというふうに思わせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/4
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005・渡辺四郎
○渡辺四郎君 厚生大臣の今の御発言、六団体は、今度の改正案で市町村の国民保険財政の健全化については国の責任を都道府県に転嫁し何らメリットはないんだと、こういう決議をしておるわけです。ですから、さっき自治大臣もおっしゃったように、私は、あくまでこれは国の責任そのものを県なり市町村に転嫁するものであって、これについては絶対にやっぱり容認することはできないというのが地方六団体のあのかたい決議にあらわれておりますから、そこらを踏まえて、ひとつこれからあと質問を続けてみたいと思うんです。
私自身も、国民皆保険制度のもとで、今大臣がおっしゃったように、他の医療保険との不公平の問題、あるいは国の制度として設けた国保財政の現状の悪化の中で、特に市町村財政がこのことによって大きく圧迫されているということについては両大臣も御承知だと思うんです、自治大臣もさっきおっしゃったわけですから。そういう現状のもとで、国の負担の軽減のみを今度のやっぱり改正案では策しておるんではないか。さっきも申し上げましたが、どう見ても今度の改正案そのものは国の財政的な問題の責任を自治体に転嫁するばかりであって、ほかに何ら地方自治体関係について、あるいは国保関係についてメリットはないんだ、だからいま少し私は地方財政問題についての財政的な問題を述べてみたいと思うんですが、国保の財政そのものは知らされている以上にたくさんの赤字があるんだということを、まず私は厚生大臣に知っていただきたい、自治大臣は所管庁ですから幾らか御存じだと思うんですけれども。
地方財政白書の中でも、五十八年は赤字団体が三百八十、再差し引き収支の赤字が八百六十二億円だったわけです。これが五十九年には五百八十団体、千六十九億円、そして六十年では八百十一団体に膨れ上がりまして千七百七十億円の赤字と実は報告をされたわけです。知らされている以上に別に赤字があるんだというふうに私が申し上げたのは、市町村関係でもう今既に国保の税あるいは料はもう限界に来ておるものですから、これ以上率の引き上げはできない、そういう中で今日まで一般財源からの繰入金を相当額実は出しておるわけです。例えば、事務費関係の超過負担分だったら五〇%以上各自治体は負担をしておるわけです。それにプラスの自治省が明らかにした部分であって、地方財政白書の中で、六十一年三月に出されたものですが、この中でも、いわゆる他の会計からの繰入金、これが五十八年度が一千二十四億二千四百万円ですね。それから五十九年度が一千百三億八千五百万円、こういう繰入金をいわゆる保険会計の中に入れておるわけです。
ですから、これはわかった部分だけでもそういうことですから、それ以外にたくさんの実は繰り入れをしながら、あるいはこの町村長会の大会宣言、決議の中にもありますが、例えばここの中の老人医療の関係についても、各町村の実費支弁費と基金からの交付金との乖離が非常に大きい、だからこの部分についてもやはり概算交付金がおくれたりするものですから、その部分についての金利の部分まで含めますと、非常に目に見えない部分というのが、たくさんのやはり自治体の負担金が出ておるということを、まずひとつ厚生大臣、十分頭に入れておいていただきたいと思うんです。
そこでお聞きをしますが、国保以外の他の政管健保あるいは組合健保なんか、大変な努力をした結果、ここ近年が黒字基調に入っておるわけです。そういう中に立って、国保の場合が何で赤字がこんなに続くのか、いろいろ研究されておるようですけれども、その赤字の原因が老人加入率が高いからというのも私一つの原因だと思うんです。しかし、一番大きな原因はそこではない。国民健保の加入者そのものが全体的に圧倒的に低所得者層が集中をしておる。
ですから、発足当時は農家の皆さんとかあるいは本当に地域におられる主婦の方とかそういう方たちが加入の中心であったわけですけれども、今では既に四千万を超す加入者になっておる。ところが、その中でも約五百万以上は若い勤労者が入っておるわけです。ところが、そういうふうな中で、先ほど申し上げましたように、非常に圧倒的に低所得者層が集中をしておるというように思いますから、これは事務局で結構ですが、ひとつ所得階層別の加入状況あるいは割合でも結構ですからお示し願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/5
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006・下村健
○政府委員(下村健君) 国民健康保険の所得階層別の加入状況がどうなっているかという御質問でございますが、収入から給与所得控除等の必要経費を控除いたしました課税所得の階層別の世帯数の割合で見ますと、五十九年度で所得なしが一四・一%、ゼロから五十万円までが一二・九%、五十万から百万までが一七・三%、百万から百五十万までが一六・二%、百五十万から二百万が一二・四%、二百万から二百五十万が七・七%、二百五十万から三百万が五・三%、三百万から四百万が五・六%、四百万から五百万が二・八%、五百万円以上が五・七%という割合になっておりまして、平均所得は百七十九万円という状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/6
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007・渡辺四郎
○渡辺四郎君 今示されたように、いわゆる確かに必要経費を控除した所得額ですが、しかしそれによっても所得のないというのが一四・一%、そして五十万円以下、ずっと見てみますが、百万から百五十万円まで合わせますとこれが全体的に五九・六%です。ですから、約六〇%以上が百五十万円以下の所得階層の方たちです。きのうちょっと私も調べて自治省にもお聞きをしたわけですけれども、住民税の場合は一世帯当たりいわゆる控除額を差し引いた非課税の限度額は二百十三万五千円です。そうしますと、今報告がありましたように百五十万円以上もこれに入るわけです。そうすると、七〇%以上の人が住民税から見れば課税の対象外だ、こういう階層の方たちが特に国民健康保険に集中をしておるということを大臣、やっぱり頭にまず入れておいていただきたい。
そこで、厚生省にお聞きをしたいんですけれども、国保の第七十七条ですけれども、災害など特別の理由がある方に対する保険料の減免あるいは猶予措置、あるいは八十一条及び地方税法の第七百三条の五ですか、保険料の四割または六割の軽減措置によって軽減または猶予されておる方たちは全体の何%ぐらいか、率で結構ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/7
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008・下村健
○政府委員(下村健君) 国民健康保険料あるいは保険税の軽減世帯の全世帯に占める割合がどうなっているかということでございます。五十九年度の数字でございますが、六割軽減されておる者が一六%、四割軽減されておる者が六%、計二二%、これは世帯数の割合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/8
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009・渡辺四郎
○渡辺四郎君 猶予措置について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/9
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010・下村健
○政府委員(下村健君) そのほかに保険料の減免世帯、全世帯に占める割合がそのほかに五十九年度において二・四%ございます。徴収猶予についてのデータは正確に把握いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/10
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011・渡辺四郎
○渡辺四郎君 今示されたように、いわゆる全体的に所得が低い、その中でも国保関係の皆さんの中にはこれは災害、いわゆる国保の第七十七条というのは災害など特別の理由がある場合ですね、に対する保険料の減免あるいは猶予の措置なんですけれども、そういう方たちと、ですからわずかな数だと思うんですが、あとは保険料の四割または六割の軽減措置を受けておる方たちということです。こういう方が全体の、今の発表では二四・四%、私などの数字の調査では二四・七%になるようですけれども、こういうふうにどの方向から見ても国保の加入の皆さんたちの実態がおわかりだと思うんです。
ですから、少し角度を変えてお尋ねしてみたいと思うんですけれども、国保税の収納率が他の地方税なんかに比較をして非常に低い、現在もなお下がりつつあるというように資料では出ておるようですけれども、五十九年度で何か九三%、六十年度では九一%に下がってきて、そして未納額は約一千億とも言われておりますが、これについてそういう実態があるのか、厚生省としてこの原因は一体どこにあるというふうに考えておられるのか、まずここをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/11
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012・下村健
○政府委員(下村健君) 収納率が低い理由でございますが、国民健康保険は被用者保険のように源泉徴収という形で保険料の徴収ができないという事情がまずございます。特に、都市部では住所移動が多いとか、住民の変動が非常に大きいというふうな事情が背景にありまして、留守がちな単身世帯がふえておるというふうなこともありまして、特に都市部の収納率が低くなっているというふうなことを考えているわけでございます。
低所得が多いからというのは、これはある程度、国保の発足当時からの事情でございまして、また最近の動向を見ましても、保険料が高い地域が低くなっているということも必ずしも認められないという状況もありますので、やはり国保の構成員自体が、ただいま申しましたようになかなか把握が難しいというふうな階層がふえているところに、最近の収納率の下がってきている原因があるのではないか、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/12
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013・渡辺四郎
○渡辺四郎君 そうすると、ちょっともう一回お聞きしますが、大都市関係ではその一番大きい理由というのは住民の移動が多いからつかめない、それによって収納率が低いというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/13
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014・下村健
○政府委員(下村健君) 大都市に限らず町村と市を比べてみますと、市の方の収納率が九二%台、町村の方が九六%台ということでかなりの開きがございます。市の中で見ますと、五万人未満が九三%台、五万から十万が九一%台、十万以上が九二%で、大都市が必ずしも低いとは言い切れないのでございますが、やはり規模の大きいところがどちらかといえば収納率が低いというふうなこともございます。
それから、府県別で見ますと、保険料の低い府県の方がむしろ収納率が低い。東京のようなところは、保険料も比較的全国平均で比較をいたしますと低くて収納率も低いという数字が出ております。一方、北陸あたりは、保険料がかなり高い水準にあるわけでございますが、収納率も結構高い水準にあるということで、保険料の高低と収納率というのは必ずしも直接に関係していないというふうに見ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/14
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015・渡辺四郎
○渡辺四郎君 それについては、私はちょっと後ほど問題点を指摘しますが、今これは各自治体、団体の名誉のことですから申し上げませんけれども、一番収納率の低いのは七〇%ですよ。八〇%、八一%があるんですよ。これは極端に全国的に見ても低い地域なんですけれども、これは全部町村ですよね。人口の移動の余りないところが最低なんです、七〇%という。ですから、そういう点を見て私はやっぱり次のような点が問題ではないか、国保関係の問題としては。
まず一つ、政管健保なりあるいは組合健保、そして国民健保の三つのいわゆる保険税、保険料について四十一年を一〇〇とした場合で申し上げますと、国保が五十八年までに十一・五倍の引き上げで額にして平均で九万九千三百九十六円、政管健保が八・七倍の引き上げで額にして九万八千五百五十九円、そして組合健保が七・六倍の引き上げで九万五千九百四十円、これから見ても国保が引き上げ率も一番高い、金額も一番高いわけです。これが一つですよ。
それから次に、局長が今言われたわけですけれども、今のいわゆる滞納者の中に非常に若い階層の方たちがふえてきつつある。これは統計で出ておると思うんです。これはやっぱり今の国民健康保険に対する魅力がないのが第一じゃないか。一つは三割負担があるわけでしょう。そして傷病手当はないわけですね。そういう点から見れば、他の二つの健保に比較すれば全く魅力がない。そういうこと等がやっぱり大きな原因で、各市町村は大変な努力をしているわけですが、その努力にもかかわらず滞納者がやっぱりあり、毎年毎年九一ないし九二%程度しか入らないというのが、現在の国保の実態ではないかというように思うわけです。
それともう一つの問題というのは、同じ医療サービスを受けながら、今おっしゃったように、例えば東京都とそれからある小さな百人ぐらいしか入っていない国保の団体の場合のいわゆる保険税、保険料についての格差が余りにやっぱり開きがあるんじゃないか。私は大変な数字を見ておりますけれども、きのうお聞きをしましたら、大体今のところ七倍強ぐらいだというふうにお聞きをしましたけれども、それ以上の開きがあるというふうに私らの調査では出ておるわけですよ。
そういう問題等が相重なって、今申し上げましたように大きく言って大体三つぐらいの要点ですね。保険に魅力がない。保険料もそれから率も一番高い。そして次に、今たくさん広域的な転勤があるわけですから、転勤すれば自治体ごとに大変なやっぱり格差がある。そういう三つの問題がやっぱり大きな原因になって、今のその収納率の低さを示しておるんじゃないか。大臣、これについてどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/15
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016・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 収納率の低い点につきましては、何といいましても根本的には保険料を徴収するのに源泉徴収の方法によらず個別徴収によっているということが私は最大の原因かなと。そういうことから関係をして、やはり地域を移動される方を把握しにくいというようなことにもつながってくるかなというふうに考えております。
また、先ほど保険局長から答弁をいたしましたように、所得の低い割に非常に保険料が高いということについては直接の因果関係はないのではないか、そういうことも一つの背景としてはあろうかと思いまするけれども、それのみではないのではないか。
また、魅力あるという点についてでございますが、これは国民皆保険という中で国民の医療を確保するために国保というものは非常に大事なものでありますし、また三割負担をいただいておりまするけれども、高額療養費制度というようなものもあるわけでございますし、また国庫負担につきましては他の制度には見ない非常に高額な国庫負担をしているという点等で努力をいたしておるわけでございます。しかし、国保の運営が非常に厳しいということは私ども十分認識をいたし、これをどのようにか故障。していかなければならないということが次の我々の大きな課題であるということは、十分認識をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/16
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017・渡辺四郎
○渡辺四郎君 僕は、大臣も保険局長も少しやっぱり頭を切りかえていただきたい。大変失礼な言い方かもしれませんけれども、保険料の率を決定するのは各自治体ですよ。市町村ですよ。だから、保険料が高いから収納率が悪いとは思っていないというふうなお二人ともそういうお答えなんですけれども、今自治体の場合は、もう大変な住民の反対がありながらも、どうしても国保財政の
赤字を消すためには保険料を上げざるを得ぬ。先ほど申し上げましたように、一般財源からの繰り入れもやりながら、もうこれ以上保険料の引き上げはできないものだからということで一般財源からの繰り入れをやっておるわけですよね。何か保険料が高いからということで収納率が悪いとは思っていないというようなお二人ともそういう感覚のようですけれども、さっき私が言いましたように、今大臣もおっしゃったけれども、住民の移動があるからつかみにくいから、源泉徴収じゃないからつかみにくいから、それによって収納率が悪いんだと。そうであるならば、最低の七〇%というのはもう言いますけれども沖縄ですよ。余り移動ありませんよ。八〇%、八一%も田舎の方ですよ。住民の移動はないところですよ。町役場の職員が行けば、あそこはだれのうちということはわかるような大体地域なんです。そういうところが収納率が低いわけですからね。それの一番大きな原因は保険料なんですよ。そこらをやっぱり少し再認識していただきたいと私は思うんです。
それから財政面で少しお聞きをしてみたいと思うんです、国保関係で。
一般的に国保の一人当たりの医療費が高いというふうに言われておりますが、もちろんそれもそのはずです。社会労働委員会調査室資料ですかの二十四ページにも出ておりましたけれども、老人加入率が国保の場合が一二・五%、組合健保の場合が二・九%、老人医療費の占める割合も、二つの健保は大体一二%ないし一三%ですけれども、国保の場合は何とこれが三〇・四%、そして老人医療対象者の六五%が国保に加入しておるという現実ですね。こういう点から見れば、私は当然のこととして、いわゆる国保の場合の医療費の占める割合が高いというのは国民の皆さん御理解ができると思うんです。
その上、先ほどから申し上げましたように、保険の納入者の中で軽減措置を受けた方とかあるいは滞納者を入れますと、全体の三一%ないし三二%が保険料、税について一〇〇%入れてない、あるいは三〇%の軽減の方もおりましょうし、四〇%、六〇%もありますが、そういう方たちを合わせますと、今、国保の財政の危機という問題については、何も老人加入率が高いからというだけでなくて、私がさっきから言いますように、低所得者層が余りにも多い。だから、国民健保そのものというのは、やはり低所得者対策としても私は必要じゃないかと思うんですよ。何か今までは国民健保というとお年寄りのためのものだという見方をされてきましたけれども、さっき厚生省の保険局長からお話がありましたように、百五十万円以下の人たちが六〇%近くおる、そうしますと低所得者に対する対策としても必要ではないかと思うんですが、大臣のお考え方を聞いておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/17
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018・下村健
○政府委員(下村健君) 確かに、低所得者を多く国民健康保険が抱えているというのは事実でございまして、そのために皆保険ということで現在の医療保障は我が国の場合考えられておるわけでございますが、その中で先ほど来話が出ておりますような特別の減免制度、そのほかに個別の減免制度までもとりまして、しかも社会保険という大原則の中で国民健康保険制度というものが維持運営されておるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/18
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019・渡辺四郎
○渡辺四郎君 結局、寒村の方とか過疎の地域で、いわゆる自分のうちの農業を守るあるいは家を守るということで働いておられる方たちなんかについても、非常に年齢が若い人たちも今農業を守ろうということで頑張っておられるわけですが、そういう方たちに対する、いわゆる低所得者層あるいは働きたくても働く場所がない、だからパートをしながら今食いつないでおるといいますか、そういう低所得の労働者層というのが非常にふえてきておるわけですから、そういう点から見ても私は、今申し上げましたように、低所得者層に対する一つの対策としてこの国民健保問題も考える必要があるんじゃないかという点からお尋ねをしたわけです。
先ほど冒頭に申し上げましたが、自治大臣ははっきりおっしゃいました、今度の改正というのは地方に転嫁をするものだと。ですから、今日まで各市町村ももう最大限国保税の徴収については努力をし、大体もう限界に来ております。そうすると、今の収納率を九一あるいは九二、よいときは九三ぐらいありましたけれども、これ以上上げるというのは大体不可能ではないか。私ら各自治体の、全国的な自治体の状況を聞くわけですからね。ただ聞く場所は違いますよ。しかし、本当に働いておる人たちの意見を調査すれば、もうこれから後どんなに努力しても、今大臣がおっしゃったように、転勤してわからないとか、何でもかんでもある物を持っていってくださいというふうに言われる方もおるわけですよ。
そういう状況の中から見れば、市町村はこれ以上国保の収納率を上げていくというのはもう限界ではないかというようなことで厚生省が思いついた、思いつくというのは大変失礼な話ですけれども、だからこれを県に持っていこう。県に持っていってそれじゃ収納率が上がるか、これは絶対に上がりませんよ。市町村の職員は本当に地域生活圏の中で生活をしておるわけですから、住民の皆さんとは一番直接関係をしておる。その方たちが一生懸命努力をしても、現在最高で九三%しかない。これを県に切りかえたって、なお収納率が落ちてくるというのははっきりしておる。だから、こういうようにかえていくというのは、六団体が指摘をしたように、あくまで財政的な問題ばかりで国がその責任を自治体に転嫁をしたんではないか。ですから、このことについては私自身もやっぱり地方六団体の皆さんと全く同じ意見でありますから、これについては絶対に受け入れるわけにいかないということを強く申し上げておきたいと思うんです。
その次に、老人医療費について若干お尋ねしてみたいと思うんですけれども、健康保険組合の資料によれば、按分率を一〇〇とした場合、健康保険組合の保険料の三〇%がいわゆる今言われております老人医療費の拠出金になる、老人加入率が一〇%を超えると保険料の五〇%が拠出金になるんだ、こういう試算をされておるようです。そうなれば、社会保険そのものがもう崩壊だというふうに分析し指摘もしていますが、私は、今政府が、特に国保の赤字のために、そしてその大きな原因が老人医療にある、だから国保に対してサラリーマンの皆さんやあるいはサラリーマン保険の労使の皆さんたちにどうぞひとつ支援をしてください、そして大変あれですけれども按分率により拠出金の拠出を今提案しておるというような実態であるわけです。
そういうことであれば、さっきから幾らか国保関係の問題を申し上げてまいりましたが、まずもって政府が、厚生省が国保対策についての政府のやはり中長期の展望を示すべきではないか。あるいはこういう展望なり方針を示さずに他の健保の皆さんに拠出金として出してくださいと言うのは、私は礼儀だと思ってないです。無礼だと思うんです。だから、やり方が逆ではないか。今、政府は今後の見通しについて検討中でしょう。検討した結果こういう結果になりましたからという中長期の展望を出して、だからこういう財政の実態ですから他の健保の皆さんもひとつ御協力を願いますよ、お願いしたいですよと、こういうふうにやっぱり持ち出すのが順序ではないかと思うんですよ。だから、今のこの改正案そのものは、私は全く順序が逆だというような気がしてなりません。
先ほど言いましたように、いわゆる健康保険組合そのもの、社会保険制度そのものの崩壊ではないかというふうに言われておりますし、そういう点から見ても私はそう思うわけですが、大臣どうですか、老人医療はもう保険制度でなくて社会保障としてやっぱり実施すべきだというふうにたくさんの皆さんが言われておる。以前はそうだったわけですね。それをずっと逆行してきた。アメリカの場合は、六十五歳以上のお年寄りについては全国民が一緒に見るという社会保障でやっておる
わけです。老人保健法そのものの本来の趣旨から見ても、あるいは言っても、私は社会保障として国民全体として見ていただく、見ようじゃないか、そういう政策をこの時点でつくるべきではないか。
先ほど健康保険組合のことを申し上げましたけれども、だから厚生省の今の出しておること自体が逆ではないか。逆さまではないか。まずもってこういうことを踏まえて、政府の中長期の展望と方針を出し、そして全体的な国民の皆さんに理解をいただく、そういう政策転換をすべきではないかというふうに思うんですけれども、大臣のひとつ所見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/19
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020・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 先生おっしゃいますように、老人医療費を国民全体で支え負担をしていこうという観点から、今回の老人保健法の改正もお願いをし、按分率一〇〇%へ向けて段階的に改善をしていただくということといたしておるわけでございます。
また、医療保険全体の展望、そして国保の展望等のお話でございますが、私どもは昭和六十年代後半のできるだけ早い時期に、負担と給付の公平を図る観点に立って医療保険の一元化をいたしてまいりたい、こう考えておるわけであります。
その中で、まず初めに取り組まなければならないことは、先ほどから御指摘がございますように、国民健康保険が非常に厳しい状況になっておるということ、その厳しい中には今お話がありましたように老人の加入率が非常に高い、このことについてはこの老人保健制度の改正で相当軽減されると考えておりますが、なお所得の低い方々が非常に多いというようなことを中心とした構造的な欠陥というものが非常にあるわけでございますので、こういった点を考えて国保制度の安定的な運営ができるような財政基盤の確立へ向けての方策を、この老人保健制度を成立させていただきましたならば直ちに取りかかってまいりたいというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/20
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021・渡辺四郎
○渡辺四郎君 そこら、大臣と基本的に私らの考え方は違うわけですけれどもね。今、各健保がたくさんある。だから、やっぱり手っ取り早いのが、各健保へお願いをして按分率でひとつ拠出してくださいと、何かそれが国民全体で合意に達してやるというような方向でなくて、既存する各健保に対して、非常にあれですけれども、一方的に国民健保の赤字を救っていただくために、あるいは老人加入者が高いから、だから救っていただくためにひとつ加勢をしてくださいよというようなやっぱり言い方にしか聞こえないわけです、他の健保から見ても。私も地方共済に入っておったわけですからよく知っておるわけですけれどもね。
ですから、各共済とも、やっぱり基金をどういうふうに積み立てをしていくのか。その中で掛金はこれでいいのか、あるいは給付金はこれでいいのか、年間何十回と議論をしながら、自分のやっぱり健保の健全化を目指して努力しておるわけです。それを今度みたいに、一方的という言葉は失礼になるかもしれませんけれども、按分率として三〇%出してくださいとか、あるいは五〇%出してください、拠出金として出してくださいというようなことについては、やっぱり各健保組合とも、これでいかれた場合には、たくさんの私は健保組合の中で破産をするような小さな健保が出てくるんじゃないか、そこを実は心配しておりますから、そこらは十分ひとつ頭に入れておいていただいて対策をお願いしたいと思うんです。
それでは保険局長、お聞きをしますが、さっきも若干申し上げましたが、今の国保の現状の中で一番小さいのは百名を割っておるわけです、一つの自治体で。大きいのは大阪市みたいに百万を超した単一組合があるわけですけれども、これはやっぱり何といいますか、保険原理といいますか、あるいは大数ですね、大数原理の点からいっても、厚生省としては大体どのくらいの数を基準というふうに考えておるのか。百から百万ですよ。そういう団体があるものですから、先ほど言いましたように、保険率だって七倍から八倍の開きがあるということを申し上げたわけですが、厚生省としては保険加入者数は大体どのくらいが基準というふうに考えておるのか。それについて今後考えを持っておるのか、どういうふうに変えていきたいとか指導したいとか、そこまでひとつあわせてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/21
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022・下村健
○政府委員(下村健君) お話しのように、国民健康保険の保険者の規模が非常に大きな差がある、これは御指摘のとおりでございます。最大のものはお話に出ましたように大阪市で百万人、それから一番小さいのが東京都の離島でございますけれども、百人に満たないという状況でございます。保険者規模が大きくなれば財政基盤が安定するという面はございますが、先ほど大臣が申し上げましたように、運営の効率性とかあるいは他の事業との連携というふうな面から見ると、また問題が生じてくるという面もあるわけでございます。
そこで、適正規模をどう考えるかということでございますが、国民健康保険につきまして私どもとしてどの程度が適正規模だというふうなことは申し上げたことはございませんが、一つの御参考までに申し上げてみますと、健康保険組合の場合には一応私ども長年やってまいりましてその規模を示しているわけでございます。単一企業の場合には七百人以上ということで現在その設立を認めております。それから、総合組合と申しまして、これは同一業種の者が集まって健康保険組合をつくる場合でございますが、この場合には三千人以上ということで現在はやっております。これに家族の数が大体平均でいいますと一人以上はつけ加わるわけでございますから、この倍以上と、こういう感じになってまいります。この辺が、今後国保の検討をいろいろ続けてまいりたいというふうに私ども考えておるわけでございますが、この辺も一つの手がかりにしながら今後国保の適正な経営規模あるいは経営主体というふうな問題についても検討を進めてまいってはどうかと、こんなことを考えておるわけでございます。
それから、先ほど健保組合が今回の按分率一〇〇によって相当苦しくなるのではないかという御指摘があったわけでございます。健保連の方で出している数字でいきますと、確かにお話のような想定ができるわけでございます。これは結局、健康保険の方で申しますと、今後の標準報酬、賃金の上昇率でありますとか、それから医療費がどの程度伸びていくであろうかとかいうふうな見通しの問題にかかってくるわけでございますが、私どもとしては健保連が今後五年間にわたって推計をしている数値はやや過大ではないか。一人当たりの医療費が八%伸びるというふうな推計をやっているわけでございますけれども、現状から見ますとこの伸びはやや大きい。それから、賃金上昇率を三%台に見ているわけでございますが、五年間にわたって健保連が言っている三%そこそこというのは、直近の実績から見ましても少し低目かなと、こんなふうに見ているわけでございます。
したがって、これまでのところ、五十九年度の制度改正によりまして健康保険組合の財政というのは比較的安定してきているわけでございますが、そのような状況もございますので、総合的に考えまして健保連が言っているほど私どもは破局的な事態は起こることはない、こんなふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/22
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023・渡辺四郎
○渡辺四郎君 よその飯びつの中にいちゃもんをつけるようなことは言いたくないけれども、ただ局長、あれでしょう、私らもたくさんの保険をやってきたわけですけれども、保険会計というのはやっぱり給付を最大限見込むわけです。収入は最低に見込んで計画を立てていくわけですよ。ですから、賃金を三%しか伸びがない、医療給付は八%伸びていくんだ、これはどこの保険会計だってそういうやっぱり計算を立てて準備しますよ。これは当然のことですよ。そういうことにはならぬのじゃないかという局長のあれですけれども、どこの保険会社だってそういう計画を立てる。だから、健保組合も今までやってきたような方向で試算をしたのではないかと、そこは最後に申し上げておきたいと思うんです。
そこで、これを実施した場合に、さっきから幾
つかの問題点を申し上げてまいりましたが、一つは、自治大臣あなたもおっしゃったように、結局この部分を県に転嫁をする。そうした場合に、私はやっぱり収納率は上がらない。そのために自治体の、県の職員をふやさなきゃいけないわけですよ。今これは自治省の場合、行革大綱のもとに地方自治体の職員の定数は減らせというような指導をなさっておる中で、県だってこれは容易なことじゃないと思うんですよ。そういう点は厚生大臣も知っておられるように、これは一つ問題があるわけです。
それから、今進めておりますように、厚生省が一元化する方向の中で国保と老人医療の問題、それから生活保護の医療の取り扱いの問題なんかもどういうふうにしていくのか。私が見た中ではまだどうもわからぬものですから、これはあれかもしれませんが、扱いはどういうふうに考えておるのかということなんかも一つの問題として残っておるんじゃないか。
それから最後に、これは自治大臣、今言いましたように非常に収納率が悪いものですから、市町村の皆さんはパートを雇って保険税の徴収に回ってもらっているわけですね。これはもうやむにやまれない市町村の実態だろうと思うんですけれども、これはやっぱり自治省としても、指導官庁としても、たとえ財政的に厳しかろうとも、パートの皆さんたちが、例えば納税者のプライバシーの問題とか、あるいは税金の徴収に誤りがあったり事故が起きたといった場合なんかの責任は一体どうするのか。ですから、わざわざ地方税法の二百六十四条ですか、いわゆる徴税吏員の権限と義務の問題についても明記をされておりますが、私は、保険税の徴収をパートの皆さんにお願いをするということは、これは問題があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣のお考え方をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/23
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024・渡辺功
○政府委員(渡辺功君) 地方税法に定められております徴収につきましての御質問ですので、私の方からお答えをさせていただきます。
国民健康保険税の徴収につきましては、普通徴収または特別徴収による、こういうことが地方税法には定められております。普通徴収と申しますのは、徴税吏員が納税通知書を交付するということによって地方税を徴収することをいう、こういうことになっておりまして、つまり納税通知書というものを交付するという手続を経て税金という形で納めていただく、こういう仕組みでございます。また、特別徴収の場合には、地方税の徴収の便宜を有する者にこの徴収をさせて納入をさせるという仕組みであるということになっております。
ただいま委員がお示しのことは、国民健康保険税については一般的には普通徴収の方法であるので、その徴収ということとパート職員の集金ということはどういうことになるのだということでもあると思います。この場合の法律で言います徴収というのは、法律上一定の意味合いを持つ法律上の行為として示されているものでございます。したがいまして、徴税吏員でないパート職員がそういう意味での、国民健康保険税の一定の法律上の効果が生ずる賦課徴収というような意味での徴収を行うということはできないわけでございますが、そういう法律上の行為としての賦課徴収の範囲には含まれません単なる集金事務を納税義務者の便宜等を考慮して行っているというふうに考えます。それから二百六十四条のような規定も置いて、その点については慎重を期すべきことを示しているじゃないかということでございます。
確かに、税の徴収の関係については、十分慎重を期するという趣旨ということはあるわけでございますが、御指摘の条文そのものは法定外普通税の質問検査権の規定でございます。委員は、もっともその辺は各税目にそういった同じような規定がございますから、その一例としてお示しいただいたものとしてお答え申し上げますが、そうした規定はすべて質問とか調査権の規定でございまして、徴収そのものの規定でございませんで、およそ税を課するに当たりましては基礎となる課税事実を正確に把握しなければなりませんから、そのために一般的な行政作用として資料を収集したり質問したりすることはできると思います。
しかし、それではなお十分な協力が得られない場合に、税の場合には特にその権限を法律上付与する。その場合には徴税吏員がそれに当たるということで、証票を携行するとか、あるいはそういう質問とか検査ということは犯罪捜査のために行われるということではないというようなことが法律上も決められているわけでございまして、したがいましてただいまの御指摘のような意味におきましては、事実上の集金というような事実行為について直ちにお示しのような条文の規定でどう判断するというものではないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/24
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025・渡辺四郎
○渡辺四郎君 それじゃ再度お尋ねしますが、結局徴税吏員というのは身分証明を持っておりますね。パートの方たちは持たぬでしょう。納税者の皆さんが、だれが来たかわからぬから身分証明を見せてくださいよと言った場合一体どうするのかというのが一つです。
それから私がお聞きをしたいのは、事故があった場合、自治体の職員じゃないわけでしょう。その場合の責任は一体どこがとるのか。パートの皆さんだって大変心配ですから、そこらをひとつ明確にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/25
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026・渡辺功
○政府委員(渡辺功君) そういう意味合いにおきまして、法律上といたしましてはそのパートの職員に集金事務をさせるということはできるわけですが、その点について、なおただいま御指摘のような慎重な運用といいますか、そういうことは必要であるという点については、私どもも同じ考えでございます。
お示しのように、税を収納する場合は、国民健康保険税の場合も納税通知書を交付することによって徴収するとありますが、それは徴税吏員が出向いていって必ず現金を受け取るという仕組みには限らないわけでございまして、通常は銀行とか収納代理機関あるいは指定金融機関に納めていただくというような経路をとるわけでございます。そこで、この場合におきましては、徴収ということを確保するという見地もありましょうが、納税者の便宜をも両方考えて徴収するものですから、現金も扱うことでありますから、その運用については十分慎重にしなければならない。類例のものといたしましては、例えば納税貯蓄組合の場合などがございますので、そういったことも含めまして慎重なそういう対応が行われているところであると思います。
事故が起こってはなりませんが、完全に収納されるまでの間、事故が起こるということになりますというと、それはその方の責任ということにもなるわけでございますので、十分慎重な対応が必要であるというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/26
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027・渡辺四郎
○渡辺四郎君 徴税吏員の問題については、今大体私と同じような考えだと言われたからもうくどくは申し上げませんが、やはりそのためにも、徴税吏員の場合は税務職員給料表というように、一般の行政職と違った給与体系でも身分の保障をしておるわけです。そのようにやっぱり税金の取り扱いというのは大事だ。ですから、今、審議官もおっしゃったように、大体同じような考えですから、やっぱりそういう指導は私はすべきではないか。これは要望しておきたいと思います。
次に、退職者医療制度の問題で、これは政府の見込み違いで市町村に対する財源補てんの問題について、ひとつ厚生大臣、自治大臣から明快な御答弁をいただきたいと思うんですが、当初厚生省は四百六万人を見込んで発足したわけです。ところが、そういう見込みの中で、他の健保に対しての按分率を出して拠出金をもくろんで、そして国保の医療費の補助率を四五%から三八・六%に引き下げた。これでやっていけるのではないかという試算でやられたと思うんです。結果は、やっぱり当初の見込みの六六%弱の、現在で二百六十七万人程度。この大変な見込み違いというのは、市町村から大変な強い要望が出ておりますように、市町村の国保財政に新たな大きな打撃を与えたわ
けです。このことは大臣も御承知だと思うのです。
そこで、まず第一点は、五十九年度から六十一年度までに生じた不足額、これは私らの額とは違いますが、政府の資料によりますと八百五十九億円です。これについては直ちにやっぱり補てんをすべきだというふうに私は思いますが、それを第一点お聞きしたい。
それから二つ目には、目標の四百六万人に達していない。だから、四百六万人に達するのは大体何年ぐらい先かというふうに計画を立てておるのか。その期間、例えば毎年毎年今の状態でいった場合に不足額が出てくる。そうすれば、その不足額を全額補てんをするのか、あるいは補助率自身を変更していくというふうに考えておるのか、この二つについてひとつお聞きをしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/27
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028・下村健
○政府委員(下村健君) 退職者医療の問題につきまして、地方六団体から大変強い要望を受けているというのはそのとおりでございます。その国保財政の影響額に対応するためには、国としても最大限の努力をいたしまして予算措置を行ってきたつもりでございます。六十年度予算におきまして千三百六十七億、それから六十一年度予算におきましては、当初二百三十億円を計上いたしまして、その後先般の補正予算におきまして七百四十億円の増額を措置いたしたわけでございます。今後とも、市町村国保の財政状況を十分に見守りながら、安定的な運営が確保されるように誠意を持って対応してまいるというのが私どもの基本方針でございます。
そこで、今後の退職者がどうなっていくかということでございますが、御指摘のとおり退職者医療の対象者数としては五十九年度四百六万人を見込んだわけでございますが、実際の加入者数は二百五十八万八千人にとどまったわけでございます。しかしながら、その後対象者数は着実に増加しておりまして、今年の九月末現在では三百十六万八千人になっております。今後とも着実な増加が見込まれると思っておる次第でございます。
当初見込みの四百六万に達するのはいつかと、これはそのときの経済情勢等にも関係を受けまして実際の退職者の数が変動をするわけでございますけれども、確定的な見込みはなかなか難しゅうございますが、現在のペースで増加していくということで計算をしますと六十四、五年。六十四年にはならないかと思っておりますが、あるいはもうちょっと延びるかもしれない、こんなふうな見通しを持っております。
それから、それに対する国庫補助につきましては、先ほど申しましたように退職者の数もこのようにふえ続けるわけでございますので、私どもとしては、先ほど申しましたように市町村国保の財政状況を十分に見守りながら安定的な運営が行われるような対応策を講じてまいりたい、こんなふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/28
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029・葉梨信行
○国務大臣(葉梨信行君) ただいま先生がお触れになりました問題でございますが、地方六団体からはしばしば国保財政が大変悪化しているということで陳情を受けておるわけでございます。今、厚生省からもお話ございましたように、一昨年の退職者医療制度への加入者の見込み違い、並びに老人保健法案の成立がおくれておりますことによりまして、国保財政が非常に厳しい状況になっております。これらによります国保財政への影響額につきましては、ただいま厚生省からお話ございましたように、六十年度予算並びに本年度の補正予算におきまして一応の補てん措置がとられたところでございます。
私ども自治省といたしましては、今後とも国保財政の推移を注視しながら、市町村国保の安定化を図るために必要な国庫補助負担金が確保されるよう所管省にお願いをしてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/29
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030・渡辺四郎
○渡辺四郎君 それじゃ最後に、釈迦に説法みたいになるかもしれませんが、私は今の地方自治体の財政問題について少し、これは自治省の方は十分承知だと思うんですけれども、特に厚生省、大蔵省もおれば大蔵省にもお聞きをしてもらいたいと思うんですけれども、きのうもちょっと大蔵省に私ども行ってまいりました。
六十二年度の予算編成に向けての問題でいろいろと今うわさをされております。例えば一つの問題は、国保税の窓口関係の人件費、事務費七百億円をカットするとか、こういうお話が十二月の五日の朝日新聞に出ておりました。あるいは、その後たくさん何か農業改良普及員の問題とか学校事務職、栄養士の人たちの人件費の問題とか、今度の六十二年度予算編成に向けてカットするような方向で大変な動きがあるという報道がされておりますが、現在の地方自治体の借入金総額というのはもう六十一年度末で六十兆円を超えるわけです。そして、公債負担率も三〇%以上の団体が百十一あるわけです。
それで、これらの団体に大体共通して言えるのは過疎地域とそれから産炭地なんです。ここらにやっぱり集中しておるというのが公債負担率の大きいところの自治体の実態だということがはっきりしておるわけですが、今日まで各自治体とも財源確保のためには、自治省にも相談したと思うんですけれども、地域の住民の皆さんたちの反対はあったんです。しかし、自治体独自で目的税をつくって、そして財源確保のために大変な実は努力を続けてきておるわけです。
私も福岡県の太宰府市に住んでおりますけれども、ここは福岡市のベッドタウンだというようなことで都市計画税なるものを新たにつくって、そういう関係で、何か政府の方は非常に自治体はたくさんお金を持っておるんだ、財政調整資金をたくさん蓄えておるんだと、こういう言い方をしますけれども、実態はそういうことではなくて、目的税で徴収した部分だってやっぱり財政調整資金の中に繰り入れをして何らか確保しよう、使う方向は決まっておりますけれども、その蓄えの方向としては財政調整資金に繰り入れしておるところはあるわけです。そういう実は努力を続けてきておりますけれども、先ほどから申し上げますように、こういう中でも国保関係だけでも大体年間千七百億円ぐらい各自治体のいわゆる繰り出し金も出しておるわけです。
このような財政危機の中で、私はやっぱり地方財政法の十条の基本的な精神といいますか、そういう問題についてしっかり厚生省も大蔵省の方に対して、もちろん自治省もそういう立場で動いてもらわなきゃいけないと思うんですけれども、こういう点でひとつ最後にこの問題について、地方財政問題について、こういう危機の状況にあるわけですから、そこらについて両大臣、お二人の方方のひとつ決意をお聞かせ願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/30
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031・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 国保の安定的運営のために、各市町村が大変苦しいながらも格別の努力をしていただいておるということは十分承知いたしております。私どもといたしましても、安定的な運営が図れるよう、その財政基盤が確固たるものになるよう、できるだけの誠意を持った努力をいたしてまいりたい、かように決意をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/31
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032・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 地方財政法との関係でのお尋ねでございましたので私の方から答弁をさせていただきます。
言われておりますような六十二年度予算編成をめぐっての国庫補助負担の率の引き下げの問題と地方財政法との関係でございますが、これはもうよく御承知のように、地方財政法第十条以下の規定におきまして、地方団体の行う事務の中で国と地方団体相互の利害に関係のある事務で国が進んで経費を負担する必要があるものについては、国がその経費の全部または一部を負担するという趣旨を規定しておるわけでございます。これはいわば国が義務的に負担するものでございまして、奨励的ないしは財政的な見地から交付する補助金とはもとより性格を異にするものでございまして、負担割合ももちろん法令で決めなきゃならぬ、こうなっておるわけでございます。
この地方財政法の規定の趣旨から考えまして、
こういった負担金についての国の負担割合が国の財政上の都合等によって左右されるべきものではない、このように考えておるわけでございまして、単に地方に負担を転嫁するだけの負担率の引き下げが行われるようなことがあっては決してならない、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/32
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033・渡辺四郎
○渡辺四郎君 それじゃ次に、老人保健事業関係についてお尋ねをしていきたいと思うんです。
これは大臣から直接がいいわけですけれども、事務局からでも結構ですが、まず老人保健事業についての第一次五カ年計画で、厚生省から見た結果と問題点はどうだったのか、また実施主体の市町村からこの問題について、実施期間中、丸四年経過をしたわけですが、どんな問題点あるいは意見、要望が出されたのか、そういう点からお聞きをしてみたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/33
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034・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 老人保健事業は、老人保健制度の一つの大きな柱でございまして、四十歳を過ぎた壮年期から健康に気をつけ、健やかに老ゆるという観点から保健事業を大いに推進してまいらなければならないということで、昭和五十七年度から五カ年間、本年度まで進めてまいったところでございます。その結果、おおむね全体としては各市町村におきましてこの事業が実施されるようになってまいりました。また、がんとか脳卒中などの死亡率も低下いたしてまいったというようなことで、それなりの成果をおさめてきたというふうに考えております。
なお、まだ十分ではなく、今後も引き続きこれを推進いたしてまいらなければなりませんし、その中では、特に健康診断等の受診率の低さというものが目立つわけでございまして、こういったものを改善していくために、より一層魅力的な保健事業の推進ということを中心にいたしまして、昭和六十二年以降第二次の五カ年計画を頭に置きつつこれを推進いたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/34
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035・渡辺四郎
○渡辺四郎君 社会労働委員会の調査室発行の老人保健法等の一部を改正する法律案の参考資料が出ておりまして、その七十七ページに保健事業第二次計画についての厚生省の考え方が示されておりましたが、今、大臣がおっしゃったように、そういう評価のもとに第二次計画が出されたのか。いろいろ見てみますけれども、新しい事業の拡大というのはたくさん提起をされておりますけれども、第一次計画についての例えば問題点とか、あるいはこれをこういうふうに修正しなきゃいけないとかという点はどこを見てもないわけですね。ですから私は、ないことは非常にいいことですから、非常によくいっておるんだというふうに思っておりましたが、以下ちょっとお聞きをしてみたいと思うんです。
要は、第一次の発足時点で、これは五十七年の九月十日付の厚生省の事務次官通達ですけれども、「今後、医療保険制度及び年金制度と並んで我が国社会保障の中核的制度となるとともに」というふうにその目的が実は示されておるわけです。そういう中で第一次計画をスタートいたしましてもう丸四年近くになってきたわけですが、この目的に照らしてどの程度の進展があったのか、あるいは実効があったのかということはどうしてもお聞きしたかったわけですが、今、大臣が一緒に言われたわけですから省略をいたします。
ところで、国は住民にみずから頻度の高いサービスは市町村で実施しなさいと、そういう考えのもとにいわゆる実施主体を市町村というふうにしてきたわけですね。住民側から見れば、保健事業によって受けるよい保健サービスを望んでおることはもちろんですし、あるいはこれからも保健事業に対するニーズは非常に高まってくると私は思うんです。ですから、各自治体もこの住民のニーズに対応するために精いっぱいの努力をすることは当然のことと思いますが、先ほど私が第一次の結果をお聞きしたのもここに一つ問題点があるからで、さらにお聞きをしてみたいと思うんです。
先ほどから再三申し上げましたように、自治体は、非常に財政の厳しい中でもかなりの継ぎ足しをしながら、そして健康相談あるいは健康教育あるいは健康診査あるいは家庭訪問等の業務が非常に急増してまいりまして、その対応に精いっぱいの努力をしてまいりましたけれども、その結果というのは、この資料にもありましたように、五十九年度の一般健康診査が二六・八%、それから胃がんの健診が九・四%、子宮がんが一二・二%、確かに向上はしてきておりますけれども、大臣がおっしゃったように、まだまだやっぱりこの部分というのは非常に低いわけですよね。
そして、これに加えて第二次計画の中では、例えば寝たきり老人対策とかあるいはぼけ老人対策の問題あるいは機能訓練とか、たくさんの事業の計画が提起をされておるわけですし、在宅老人の訪問問題も導入し、そしてその上にサービスの質を高めるとともに、具体的な死亡率や寝たきり老人発生の減少の目標とか、あるいは事業の精度管理を厳しく考えておるようですけれども、こういう第一次を踏まえて第二次計画に突入をしていった場合に、厚生省としては、市町村の財政面を含めて実施体制を相当に充実をさせなきゃいけないと思うんですが、そういう部分についてはどういう御見解を持っておるのか。
法律案を見ればわかりますよ。わかりますけれども、先ほどから言いますように、この町村長の要望書の中にも出ておりますけれども、これを見たって、極端にやってくれるなという要望が多いわけでしょう。徐々にやってください、財政が対応し切れないからと、やっぱりそういう意見なんです。
そういう点から見て、厚生省としては、実施をするからには相当の体制の強化をしなきゃいけない、それについて基本的な考え方はどういうお考えを持っておるのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/35
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036・仲村英一
○政府委員(仲村英一君) 先ほど大臣からお答えいただきましたけれども、私どもといたしましては、老人保健法の中で健康をみずから守るというふうなことのためには、一番身近な自治体でございます市町村にその保健事業の実施の責任を持っていただくということが一番適当であるということでやってまいったわけでございます。
ただいま御指摘のような問題は私どもとしても多々承知しておるわけでございますが、第一次の五カ年計画につきましては、先ほど大臣からも申し上げたとおり、非常に市町村は苦しい財政でございますし、あるいはマンパワーも十分でないというふうなところではございましたけれども、この五年間に非常に一生懸命やっていただいているということで、私どもはそれなりの評価をしているわけでございます。しかしながら、何分にもまだそういう意味では経験が浅いという面もあるわけでございますので、私どもといたしましては、今後第二次計画におきましては、地域の特性を盛り込んだ計画の策定及びその事業の実施、あるいは目標の受診率を達成するような工夫でございますとか、さらには関連サービスとの連携をもっと密にする、あるいはいろいろな工夫をしていただくというふうなことを加えた上で第二次の五カ年計画に着手してまいりたい。
そのためには、魅力ある健診づくりとかいろいろの工夫、今申し上げたような工夫もございますし、先ほどお尋ねの市町村からの要望というのは、予算の裏づけでございますとか、魅力ある事業に充実するような方向で国も考えるというふうな要望もございますので、私どもといたしましては、そのような方向性を持った上で市町村をさらに指導をして、第二次計画がその所期の目的を達成するようにという方向で努力してまいりたいと思うわけでございます。
同時に、広域的あるいは技術的に指導の責任を持っております保健所が、さらにそのような市町村の老人保健事業にもっとかかわりを持って指導をしていただくなり工夫を一緒にしていただくなりという方向、いわゆるソフトウエアの部分も大いに今後伸ばしていかなくてはいけない、このようなことで考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/36
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037・渡辺四郎
○渡辺四郎君 もちろん老人保健法自身が、何も
医療費を抑制するだけが目的ではないということで、二十一世紀に向けての高齢化社会を先取りした老人保健対策として方針が提起をされておるというのは非常によく理解ができるわけですが、その中核となる保健婦の問題について、少しお聞きをしてみたいと思うんです。
厚生省が保健婦の必要性を認めて、あるいはその中核になるものですから、これは自治省とも非常に関係があるわけですけれども、六十一年度で八千三百九十八名として、この数字というのは五十七年度の現員から見れば約四倍の保健婦の数なんですね。そして第二次の最終年次には、五十七年度から見れば約九倍の二万人を配置するというふうに計画が実は見込まれておるわけですが、問題は、一つは、五十七年当時の現員が二千二百二十九人、それ以降の採用者が二千七百七十人、この二千七百七十人が現在どの程度充当されておるのか。これは正規の職員という意味でしょうから、退職者の雇い上げが三千三百九十九人で、全体の約四〇%を退職者の雇い入れで埋めていこうというお考えのようですけれども。
これとあわせて、第二次計画の約二万人の保健婦が必要とされておりますこれの内訳について、今考えがあれば一緒にお聞きをしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/37
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038・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 今お話しの保健婦でございますが、保健所保健婦、市町村保健婦を含めまして、第一次計画で五十七年度から六十一年度までに常勤の保健婦を二千七百七十人ふやす、それから退職保健婦の雇い上げにつきましては三千三百九十九人増員をする、これが第一次計画の保健婦部分でございます。
現在までに実績が出てまいっておりますのは五十九年度までの三カ年でございまして、常勤の保健婦で申し上げますと、計画が千二百五十二人増員をするということでございまして、実績といたしましては、この三カ年間で千七百六十八人の保健婦の増員が図られておるわけでございます。
それから第二次五カ年計画の保健婦の数、最終的に二万人ということでございます。細かく申しますと一万九千七百三十六人でございますが、このうち常勤の既存の保健婦、六十一年度の保健婦数でございますが、これは二千二百二十九人、それから常勤の部分の第二次の増員数でございますが、六千七百七十人、それから雇い上げの保健婦でございますが、これが六十六年度の最終の姿で一万七百三十七人、この三つの合計が先ほどの一万九千七百三十六人ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/38
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039・渡辺四郎
○渡辺四郎君 そこで、先ほどから私は地方自治体の財政問題をくどいように申し上げてまいりましたが、私も県の行政改革審議会の委員もしておりまして、老人保健法改正後、市町村の方たちに保健婦を雇ってください、配置をしてくださいといろいろお願いをしてまいりましたけれども、今やっぱり過疎の自治体あるいは産炭地関係では、一人採用の保健婦の人件費すらままにならないというのが実態なんですね。
そういう中で、その結果だろうと思うんですが、老人保健法が発足をして既にまる四年近くなりましたけれども、六十年の十二月現在で二百一の自治体、市町村に保健婦が未配置。このうち九州が八十なんです。あるいは一人しか配置をしていない市町村が八百九十六。このうち九州が二百四十自治体です。こういうふうな状況になっておりますから、先ほど局長もおっしゃったように、あるいは大臣もおっしゃったように、やっぱり保健所との提携がなければなかなか難しいということはわかりますが、市町村関係に保健婦さんがゼロだ、あるいはおっても一人だというようなこの結果が、第一次五カ年計画の事業計画の第五にあります健康診査について、保健所の関与ゼロの県が十七県一政令市、これがいわゆる健康診査については全く関与していないという、第一次の今までの結果が出ておるわけですね。
だから私は、これは何も県だけの責任ではない。先ほどから言いますように、市町村に保健婦さんがゼロだ。大変失礼な言い方ですけれども、市町村というのは保健婦さん以外に医療技術者はおりませんよ。そうしますと、こういう保健事業計画を立てても、やっぱり専門職がいないものですから、よそから来ていただいて例えばプランを立てるかどうかすれば別ですが、県の保健所の保健婦さんたちが行ってどうでしょうかと、こう言っても、いや非常に失礼ですがうちは担当者がいないものだからとか、あるいは保健婦さんが今出ておるから後から来てくださいとかいうことで断られることが多い。これは私は実態をお話ししておるわけですけれどもね。そういう関係でどんどん延び延びになって、さっきから申し上げますような十七県一政令市が健康診査については関与についてはゼロだと、こういう結果が実は出たのではないかと思うんです。
そこでお尋ねをしたいわけですけれども、保健事業の中で、特に保健婦の持つ仕事の企画立案というものを樹立をするのはどういう職種の人なんですか、そこをまずお尋ねをしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/39
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040・仲村英一
○政府委員(仲村英一君) 先ほどもお答えいたしましたけれども、老人保健法に基づきます老人保健事業の実施主体は市町村ということでお願いしておるわけでございまして、おっしゃるように、技術系の方々が必ずしも十分でないという事実があろうかと私ども考えております。そのような観点で、保健婦さんを雇っていただくとか、あるいは進んだ市町村では栄養士さんをお雇いいただいているところもあるようでございますし、このような老人保健事業の企画立案に関しましては、できればそういう方たち、あるいは事務職員でも非常に有能な方も多いわけでございますので、そういう方たちが、そういう技術陣の手薄なところは保健所の指導を受けながら、技術的な問題も含めて保健所が指導をしながら計画を立案していただきたいということで考えてきておるわけでございます。必ずしも十分でないというふうなこともございますけれども、私どもとしては、そのために保健所が広域的に市町村について技術的な指導をするという役割も特に老人保健法の中でも申し上げておるわけでございますので、その方向でやっていただきたいと思うわけでございます。
もう一つ、三千数百の市町村がございまして、初めての事業でございまして、いわゆる市町村の職員の方になかなかノーハウがないということでございましたので、私どもといたしましても、各市町村でいろいろ工夫をした事例を集めまして、ノーハウ集と私ども呼んでおりますけれども、二回ばかり出版物としてお出しをしております。そういうふうな工夫をするような材料も私どもとしては提供して、この老人保健事業の企画立案について、技術性に裏づけされた、所期の目的を達成するような事業の実施計画等をお立ていただくようなことで、さらに今後とも指導をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/40
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041・渡辺四郎
○渡辺四郎君 今、局長は、各市町村に医療技術者が必ずしも十分ではないと。それで考えていただきたいのは、老人保健法改正前の保健所の保健婦の指導助言の問題と、老人保健法改正後の市町村の保健婦の役割というのは大きく変わったわけでしょう。大きく変わりましたよね。そして、今出されております保健事業関係の第一次計画、第二次計画、たくさんなこういう仕事をやらなきゃいけない、もちろん進めなきゃいけない自治体の役割もあるわけです。そういう状況の中で、十分ではないということではなくて、保健婦がゼロだという自治体が二百一ありますよ、こう言っておるわけです。ですから、そういう部分について、それじゃ、この四年間具体的にどういう御指導をなさってきたのか。
さっき言いましたように、私らも一緒に各自治体に要請もしましたよ。しかし、やっぱり一人の人件費だってままならないというのが自治体の現状にあるものですから、非常に立派なこういう計画、あるいは高齢化社会に向けて進めなきゃいけない、非常に正しい方針でありながら何でこれが実施をされないのかというのが、私が冒頭お尋ねをした、第一次計画についての問題点はなかったのかと、そこに実は返っていくわけなんです。や
りたいけれども金がない。ある町長は私にこう言いましたよ。うちの町に保健婦の資格を持った方がおれば雇いますよ、ところがうちにはおらない、だからよその町村の方に来ていただけば、よその住民にうちの税金で人件費を払わなければいけないから、そういう金はありませんと、こう言うんです。これが今、自治体の、町村の現実なんですよ。
だから、さっきから何回も言いますように、立派な、非常にすぐれた計画でありますけれども、地方自治体の現状としては、やっぱりこの町村長が出しているような状況のように、厚生省がもくろんでおるような方向でこの事業は進まないということを私はまず申し上げておきたいと思うんです。
だから、これを進めるためには一体どうするのか。私がお聞きをしたのは、保健婦の持つ業務の企画立案の責任の職種は何なのか。当然これは地方公務員という正規の身分を持った職員であるのは間違いないと思うんですが、そこをもう一回お聞きをしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/41
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042・仲村英一
○政府委員(仲村英一君) 先ほどもちょっとお答え申し上げたつもりでございますが、市町村はおきます保健事業の企画立案の責任者という形で申し上げれば、それは必ずしも技術系でなければいけないということにはならないかとは思いますけれども、当然のことながら、その事業計画に技術性に裏打ちされたものがなくてはいけないということでございまして、例えば、保健婦さんがその企画立案に参画されることは私どもとしても非常に歓迎すべきことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/42
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043・渡辺四郎
○渡辺四郎君 身分はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/43
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044・仲村英一
○政府委員(仲村英一君) 身分につきましては、地方公務員という形で御参画いただくわけでございまして、職種としては、事務系の方でも十分能力のある方もおられるということで考えておりますが、身分という形で言いますと、当然のことながら市町村の常勤の職員であることが当然だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/44
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045・渡辺四郎
○渡辺四郎君 私は、第一次計画の中で、きのうもお聞きをしたわけですが、自治体の財政の状況によって、非常にこの計画が進んでおるところと、それから全く進んでいないところと、まあ言葉は悪いわけですが、やっぱりそういう格差が非常に大きくなってきつつあると思っている。ですから、老人保健センターそのものも、これも一連の事業計画の中ですけれども、八百六十一カ所ですか新設をされたというようなお話も聞きました。さっきから何回も言いますように、同じ三分の一の国庫補助がありながら、進むところは非常に進んでいきますが、保健婦一人だって雇えないという自治体もあるというのがやっぱり地方自治体の一番大きな悩みではないか、全国的に見た場合に。自治体の中にもそういう非常に大きなアンバラがあるわけですね。
ですから私は、厚生省あるいは国の方の政策そのものを画一的にやっても、なかなか三千三百の自治体が、同じスタートラインに立って同時に用意ドンでゴールに向かって走るという状況ではないということを、まず厚生省、政府自身が頭に入れて計画を立てなければ、全国的に見た場合は非常に大きなアンバラができてくるのじゃないか、こういうことを実は心配をしておるところです。
そういう点から見れば、確かに前進部分もありますが、そういうふうな今、高齢化社会に向けて、今日までの保健行政から見れば、今度の保健事業を含めて非常に大きな改革だというふうに私は見ておるわけです。あるいは高齢化社会に向けて非常に進んだ政策を取り入れて、予防医療を含めた、あるいは寝たきり老人対策なんかを含めてやっていこうというふうに提起をされているというふうに思っております。そのために、さっきから申し上げました、保健婦を最終年次には二万人を予定しておる。ところが、くどいようですけれども、やっぱりゼロのところがある。
ここで一つお聞きをしたいわけですが、ちょっときょう持ってきていなかったわけですけれども、従来、保健婦の国庫補助の基準がありましたね。これは農山村のIII型から始まって人口二千人に一人だということですね。これを保健婦の最低として、そして三分類の八型まであったわけですが、今ちょっと資料を持ってきていないものですから……。そういう国庫補助の一つの基準がありましたが、私は、これほど保健婦の仕事が増大をしてくる、二千何百人しかいなかった保健婦を二万人にふやしていく、こういう大きな事業計画があるわけですから、そうすれば、人件費を国が負担して保健婦の配置を義務づけしたらどうか。そうでなければ、先ほど申し上げましたような全国的な地方自治体の状況ですから、スタートラインには一緒に立っても、ゴールに向かった場合、非常にアンバラが出てくる。
だから、本当に、厚生省が今出しておりますような方針で二十一世紀に向けて突き進んでいくということであれば、私は、保健婦の配置基準をやっぱり設定する、その部分は国が人件費を見るということで、初めて今出されておるこの保健事業が前進するのではないかというように思うわけですが、そういう点について、これは大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/45
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046・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 老人保健事業の推進のために保健婦を設置する、あるいはそれを増員していくということが非常に重要であるということは、先生のお話のとおりでございます。
一方で、従来、昭和五十九年度まで、市町村の保健婦に対する人件費の補助金というのがあったわけでございますが、御承知のように、行政改革の観点から臨調の第三次答申におきまして、これは五十七年でございますが、補助方式から標準定額を基本とする交付金方式に変えるべきであるという内容がございまして、それに基づきまして私ども、先ほど先生おっしゃいました何類型かのいわゆる市町村保健婦の補助金を市町村保健活動費交付金に変更いたしたわけでございます。
補助金を交付金に変更したわけでございますが、私どもといたしましては、従来どおり、各市町村におきます、特に未設置市町村の解消、さらには保健婦の増員ということに今後とも力を入れてまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/46
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047・渡辺四郎
○渡辺四郎君 大臣、どうでしょうかね。一つには、今おたくの方が提起をしておるこの方針では、六十六年度には保健婦を二万人に持っていくと。ところが、自治体の財政はもうさっき言ったとおりですから、とても自治体としては採用できない。従来は補助金であったものを、これを交付金に切りかえてきた。だから私は、せめて最低、配置基準をつくって、そして保健婦の人件費についてはやっぱり補助金で返すというくらいの最低のことを実施しなければ、何ぼ厚生省が叫んでみても、金がなきゃできないわけですからね。そういう点について、ひとつ大臣、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/47
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048・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) ただいま御答弁申し上げましたように、臨時行政調査会の第三次答申などを受けまして、市町村における自主的、弾力的な行政運営を図る観点から交付金に切りかえたわけでございますが、交付金の配分の仕方等につきまして、地域の実情に沿った配分の仕方をすることはよって保健活動がより一層充実できるようにいたしてまいるのが現状のところだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/48
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049・渡辺四郎
○渡辺四郎君 私、政府の一貫性が疑われるような気がするわけですが、どうもやっぱり本音と建前の違いがここらにあるんじゃないか。私は、財、政問題を抜きにしなさいとは言いませんよ。しかし、非常に高齢化社会に向けてこんなに立派な事業を計画しながら、老人対策を含めてやっていこう、地域の予防医療対策をやっていこうという方針なんですから、それに対して、片一方では臨調を受けて補助金を交付金に変えていく。補助金というのはもう御承知のとおりひもつきですから、絶対に置かなきゃいけない。
私はここでもう一回、それじゃ大臣、これは自治省の方とも関連するわけですけれども、この職種については置きなさいという必置義務がありますよね。必置職種といいますか、必ず置きなさいという、そういう職種に保健婦さんを指定したら
どうでしょうか。そして人件費を国の方で見てもらう。そうしなければ、何回も言いますが、今立てておる計画そのものは進みませんよということを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/49
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050・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 地方自治、あるいは地方行財政の立場からお答えをさせていただきたいと存じます。
先ほど、臨調答申、行政改革の一つの方向というお話もございました。私ども、地方自治、地方行政の自主性というものを尊重していくという見地から、人件費補助といったようなものをできるだけ自主性に任せていく、いわゆる一般財源化と申しますか、あるいは交付金化と申しますか、いわば必置規制等の緩和をすべきであるという考え方を一般的にとってまいってきておるわけでございます。
そういう観点から、こういった保健所につきましてもそのような形になっておるわけでございますが、問題は、当該地方自治体において、その仕事の必要性というものをどう認識をして地方自治体の判断によってこれを行っていくかという問題点にかかわるということだろうと思います。老人保健制度の眼目の一つでございますこういった保健事業という点についての今後の必要性を地方自治体が十分認識をした上で判断をしていく、そこは地方自治体の自主的な行政の姿勢によってこれを進めていく、そういう考え方であろうと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/50
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051・渡辺四郎
○渡辺四郎君 国の政策として今度の保健事業は提起をしたわけですよ。確かに実施主体は自治体です。そうしますと、さっきから言いますように、例えば財政的に対応できる自治体の場合はどんどん進んでいくでしょう。健康保険料の高いような自治体というのは、なかなかこういうことすらやっぱり進められないというのが自治体の財政の現状なんですよ。そうすれば、本当に二十一世紀に向けての、高齢化社会に向けての対策として政府が政策としてやることであれば、私はやっぱり必置職種として配置をする、そのお金も見ますよという姿勢を示すべきではないかと思うんです。
もう一回お聞きをしますけれども、それともう一つ聞いておきますが、これは自治省の方ですね、大臣じゃなくてもいいんですけれども、さっきから言いますように、二百一自治体がまだ保健婦はゼロなんです。厚生省の方は、あるいは県も、一生懸命になって、各自治体に保健婦さんを配置してくださいと、こう言っております。それじゃ、再建団体のところに定数増を認めますか、保健婦を配置しなきゃいけないわけですから。そうすれば定数増を認めますか。そこも一緒に御回答願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/51
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052・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 老人保健事業の重要性、これは自治省としてももとより認識をしておるところでございます。先ほどの御質問、いわゆる必置化すべきであるという点につきまして、私先ほどそういう考え方を申し上げたところでございます。
なお、再建団体に関するお尋ねでございますけれども、再建団体は、御承知のように、極めて臨時異例の状態にあるわけでございまして、できるだけ歳出は切り詰め、収入を確保するということによりまして、早く赤字を解消し再建の状態から脱却をしなければならない、こういうことにあるわけでございますが、ただ、そうかと申しまして、行政を著しく停滞をさせ、あるいは低下をさせて、そのために地域住民の生活に影響を与えるというようなことがあってはなりませんので、私どもとしては、そういった財政再建計画の内容を審査する場合には、そういう地域の実態に応じて、必要やむを得ないというものはこれは認めていくという姿勢をとっておるところでございまして、具体的な協議があった段階で、個々によく事情を聞いて対処してまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/52
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053・渡辺四郎
○渡辺四郎君 最後の方の問題ですが、今申し上げた再建団体の関係なんかになりますと、新たな職種の方を、専門職の方を採用するということになれば、従来から自治省の指導というのは、そうすればほかのところの定数を削りなさいというのが再建団体に対する今までの一貫した指導だったわけです。ですから、これほど新たな仕事がふえるから、そうすれば再建団体であろうと定数増を認めるといることは、ひとつ私、ぜひ自治省の方もお考え願いたいと思うんです。
この問題については、いろいろやりとりしましたけれども、もう一回大臣、繰り返しますけれども、こういうすばらしい計画を立てておる。しかし、今の自治体の財政の状況から見たら、やっぱり非常にアンバラができてくる。これを少しでも解消するためには、最低その専門職の、医療職の一つでありますけれども、保健婦についてはやっぱり必置職種として配置をすべきだ、ここを強く私は大臣に要望しておきたいと思うんです。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/53
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054・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 老人保健事業が今後果たしていかなければならない役割は非常に大きなものがございます。その中で、その中心的な役割を果たしていただく保健婦の方々、このマンパワーを確保するということは非常に重要なことであり、この五カ年計画の中でも、それなりの実効を上げてまいったと思っております。
未設置市町村が二百一とおっしゃっておられますが、事実そうでありまするけれども、この保健事業が始まるまでの未設置市町村が四百を上回っていたということを考えますと、それなりに改善をされてまいったというふうに思います。
私どもは、引き続きこれの改善をいたしてまいるよう努力をいたし、また、この保健婦の交付金等についても、先ほど申し上げましたように、地域の実情に即した交付の仕方ということに配慮をし、そしてマンパワーが確保できるようにいたしてまいりたい。そして、この事業の進展というものをもう少し見定めながら、必置というものについても考えなければならないのではないかというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/54
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055・渡辺四郎
○渡辺四郎君 これはこの程度であれしますが、それじゃ、あと厚生大臣、ぜひ私は約束をしてほしいという点で申し上げてみたいと思うんです。
六十年の十二月十二日ですか、公衆衛生審議会の中でも、第一次五カ年計画の実施と問題点から、第二次計画の検討すべき方向性についての協議の中で、保健所を効率的に活性化すべきだという意見が実は出されておるわけです。ところが、私ら今日まで自治体におりまして、保健所の実態を一番よく知っておるわけですけれども、今日までの保健所というのは、やっぱり全体的に医療技術者が圧倒的に不足をしておった。その中でも特に医師の不足が顕著でありまして、そういう観点から見ても、やっぱり地域の予防医療に対する取り組みが非常に不足をしておったという事実があるわけです。私は福岡県出身ですが、保健所はありますが、保健所の所長がいない。兼務をしておる。これは医師が一人で兼務をしておる。あるいは外国から、特に韓国の先生方を雇って保健所の所長になっていただく。しかし、これは二年とか三年とかでお帰りになるということ等がありまして、非常に保健所そのものがずっと衰退をしておったというのは事実なんです。
ところが、近々はかなり医師の数もふえてまいりました。ですから、保健所の医師の定数というのは、多いところは三名ないし四名ですね。しかし、どこの保健所に行っても一名なんです。今やっと二名という保健所ができつつある。ですから、大臣、そういう点から見て、まず第一に、第二次五カ年計画の実施に当たっては、やっぱり全保健所の実施体制の整備強化を図ってほしいというのが第一なんです。全国見てもそうですが、保健所の庁舎というのはやっぱり、一番古いわけです。近々新しい合同庁舎の中に入ったり——まあ合同庁舎に入ることはできぬものですから、別庁舎を建てますから金もかかります。そういう関係があって、やっぱり保健所というのは圧倒的に古かったわけです。そして、医療器具も余りない、器材もないというのが実態だったわけですから、全保健所の実施体制の整備強化を図ってほしいと
いうのが第一点です。
それから二つ目に、さっきから申し上げました一般健診ですね。健康診査については、保健所に対して優先受託の指導をしていただきたいんです。十七県一政令市がゼロだったという結果も出ておりましたけれども、ですからやっぱり保健所優先受託の指導をひとつしていただいて、そして一般健康診査の保健所実施について全保健所で受け入れる、そういう体制と、当面は保健所の実施率を二〇%ぐらいをめどに努力をするというようなことを、ひとつぜひ指導としてお願いをしたいと思うんです。
それから三つ目が、保健所以外の健康診査事業です。あるいは保健事業の計画実施あるいは評価にかかる市町村指導ですね。あるいは精度管理、関係機関との調整ですか、こういう問題についてはやっぱり保健所が全力投球をできるような体制をつくるべきではないか。さっきから言いますように、市町村の場合は一人か、今、もう最低一人はやっぱり置かなければいけないということになってきているでしょう。また、繰り返しますが、保健婦さんというのは在宅訪問が中心の仕事なんです、出て回る仕事が。そうしますと、保健婦はやっぱり複数が最低だというのが、これが常識なんです。
近ごろ若いお母さん方は、勤務が多いものですから、保健婦さんに対しては非常に電話の問診が多いわけです。母子手帳をいただいたときからずっと同じ保健婦さんにかかってきておるものですから、うちの子供はこうこうであると電話で尋ねてくるケースが多いわけです。しかし、保健婦の仕事というのは在宅訪問が中心ですから、出て回るのが中心なんですから、そうしますと、一人の保健婦だったらとてもその住民の電話の問診だって受けられない。ですから、言いますように、保健婦は最低複数だというのを一つの基礎にして、そして今言いましたような三つの保健所の実施体制をぜひひとつ大臣、約束をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/55
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056・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 各論についてはまたお答えをさせることといたしまして、まず私から申し上げさしていただきたいと思いますが、今、お話にありましたように、公衆衛生審議会からも御指摘をいただいておりますように、これから老人保健事業の推進については、その実施は市町村において行われるものでありまするけれども、それに技術的な協力をし、また、いろいろな角度から支援体制をとっていくための保健所の充実ということについては、私どもも力を入れてまいらなければならない。保健所活動が今後果たすべき役割ということについて、ここらに重きを置いて、そして充実をいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/56
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057・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 具体的な問題についてお答えを申し上げますが、まず、先生がお話しの第一の保健所の整備強化の問題でございます。
まず、マンパワーにつきましては、お話しのとおり、やはり保健所というのは医師が中心でございますので、医師の確保というのが最大の課題であろうかと思います。これは保健所設置以来私どもが非常に悩んでまいった点でございますけれども、幸い、最近若い医師の間で公衆衛生行政に対する理解もだんだん進んでまいっておりますし、一方でまた、新しく誕生する医師の数というものもふえてまいっております。そういった関係で、徐々にではございますが、医師の数が最近ふえてきておる。問題は、保健所長クラスとそれから若い層との中間のクラスが今のところ非常に少ないということで、この辺が一番問題であろうかと思っております。
それから、医師以外の保健婦さん、そのほかのマンパワー、それから医療機器等々の設備の整備でございます。一般的な整備に私ども力を入れておりますが、特に老人保健事業の推進という観点から、先生御承知のような格好で第一次、第二次のマンパワーの整備と設備の整備を急いでおるところでございます。
それから、一番最後にお話しがございました市町村の保健婦のぜひ複数設置をというお話でございます。私どもといたしましては、まず何よりも常勤の職員のいない市町村において常勤の保健婦を設置する、これが第一の目標でございますが、先ほど若干申し上げました第二次五カ年計画の最終年度でございます——まだこの計画は完全に確定したわけではございませんが、その中で、市町村に常勤の保健婦を総数で六千七百人設置をする、それ以外に雇い上げの保健婦さんを一万七百人お願いをするというようなことでございますので、その中で、今先生のおっしゃいました複数設置というものを実現するようぜひとも努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/57
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058・渡辺四郎
○渡辺四郎君 次に、今度の改正医療法に基づく地域医療計画のことについて若干お尋ねをしてみたいと思うんです。
この計画に基づくかどうかは別として、幾つかの県では、地域保健医療計画という形で現在進められておる自治体が幾つかありますが、私はそのこと自体否定するつもりはありませんが、問題は、医療計画の中で設定される第二次医療圏の広さをどの程度にするのかということがひとつお伺いしたい問題です。これはなぜかといいますと、竹中健康政策局長が九月五日の記者との会談の中で、従来各県が想定していたものよりも少し広目に設定しても十分にいけるのではないかというような御発言があったということがありましたが、その趣旨というのは一体何なのかということをまずお聞きをしてみたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/58
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059・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 医療圏の設定でございますが、特に二次医療圏、今のお話は二次医療圏だと思いますけれども、この設定につきましては、それぞれの地域の実情に応じて都道府県が自主的に設定をしていただくということでございます。ただ、その医療圏の設定に関する標準につきましては、私どもガイドラインを出しまして、それに準拠して設定をしてもらいたいということを言っております。その中で、第二次医療圏につきましては、特殊な医療を除く一般入院医療の提供までを完結し得る一体の区域として第二次医療圏を設定してもらいたいと、こう言っておるわけでございます。そして、具体的には地域におきます交通事情等の社会的諸条件も十分勘案をいたしまして、おおむね広域市町村圏ぐらいに該当するのではないかというようなことを申し上げておるわけでございます。
それで、お話しのとおり、私が医療計画の場合の医療圏をやや広目に考えたらどうかということを申しましたのは、一つは、従来、県の衛生部でこういう議論をいたします際に、保健所単位ということをどうしても考えがちになってくる。御承知のように、保健所は八百余りあるわけでございます。一方で、広域市町村圏ということになりますと五百前後ということになります。それからもう一つは、交通事情その他の社会的条件ということを申し上げておりますが、これは御承知のようにどんどん急速に変化をしておる、その変化の趨勢と申しますのは二次医療圏、先ほど申しましたような特殊な医療を除く一般入院医療が完結できる区域と申しますのは、これはだんだんやっぱり広目に考えるべき方向に交通事情なりその他の社会条件が動いておるということでございますので、広域市町村圏を主体にする。しかし、そういう交通事情その他の社会事情を勘案していけばあるいはもう少し広目でもいい。さらに、保健所区域、広域市町村圏区域、それよりもさらに広目にということも、その地域の実情には合うのではないかと、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
ただ、これは先ほど申し上げましたように、あくまで最終的には都道府県で医療計画をつくっていただく際に最終的にお決めをいただくことでございますので、私の発言というのはあくまで参考ということで御理解をいただきたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/59
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060・渡辺四郎
○渡辺四郎君 私らは、今までは一医療圏一保健所というようなことを大体原則に据えながら自治体の場合取り組んできたといいますか、そういう
ような感覚だったわけですが、今の局長のお話を聞きますと、例えば保健所は全国に八百ある、医療圏は五百だ、交通事情もよくなったから逆に言ったらもう少し保健所を減らしてもいいんじゃないかというような——いや、そういう考えにとれるわけですよね。そうしますと、私は今のいわゆる事業計画との関連では問題が逆に出てくるのではないかという気がするものですからお聞きをしたわけですけれども、そういう考えはないわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/60
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061・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 医療圏の設定、先ほど申し上げたとおりでございまして、それぞれの地域の実情に応じて、交通事情その他の社会的な条件を勘案して、至便的な条件も含めまして勘案をして決めていただくということでございまして、今お話しのように、保健所の単位と合致をするということは想定をしていないわけでございます。保健所よりも恐らくはやや広目になるのが実態に合ったものではなかろうかということでございます。そのために保健所を減らすということは考えておりません。ただ、行政改革ということでいろいろの議論がされておりますので、これは各自治体におきまして、その地域の保健需要あるいはその他の事情等々を勘案いたしまして、住民サービスの低下を来さないように配慮しながら、保健所の統廃合をお考えになるときにはそういう配慮のもとに考えていただきたいということでございます。
それから、一方で一医療圏一保健所ということは考えていないということを申し上げましたが、同時に、やっぱり医療計画というものを、できるだけ保健医療計画ということで、ヘルスと医療を一体にして設定をしてもらいたいと、こういうことをお願いをしておるわけでございますので、それぞれ少なくとも二次医療圏ごとに具体的に保健医療計画の中身をさらに詳細に決めていき、そしてそれを実施に移していくという段階になりますと、これはやはり保健所が相当重要な役割を担っていただく必要があるというふうに考えておりまして、一医療圏一保健所という問題とは別に、保健医療計画及びその実施について保健所の果たす役割というものを私どももこれからだんだん明確にしていきたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/61
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062・渡辺四郎
○渡辺四郎君 もう念を押す必要はないと思うんですが、あくまでやっぱり医療圏の設定というのは、当然のことながら各都道府県、自治体が自主的な判断に基づいて実施をするのが原則だと、それをひとつ確認をしておきたいと思うんです。
そこで、行ったり来たりするようなことになりますが、今度のいわゆる中間施設ですかね、事業計画の中での中間施設、これはやっぱり生活圏に基づいて、なるべくきめ細かな中間施設をつくっていこうではないかというのが方針のようです。ですから、これはやっぱり確かに住民の生活に密着をした、老人や障害者あるいは子供、そしてその家族にとっての生活圏域といいますか、ですから幾つかの、札幌市なんかの資料も見せていただきましたが、ああいう大きい施設じゃなくて、中間施設の場合は、今の例えば公民館とか、名前はあれですけれども、そういうふうに本当に住民が生活の圏域の中で非常に便利のいい、そういう圏域の中に中間施設を本当にきめ細かにつくっていくのが、私は今度の第二次計画の目標ではないかというように考えておりますが、そこらはそういう考えでいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/62
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063・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) この中間施設、老人保健施設をこの法律でお認めをいただきますならば、今後、昭和七十五年に向かって約二十六万床から三十万床整備をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
この老人保健施設には、ショートステイとかデイサービスというような地域との関連において事業を行う、そういった開放型のものも設置をしていくということといたしておりますので、そういった地域における利用がなされるような施設も考えていかなければならない。そういったことを念頭に置いて、地域の実情等に合わせて適切に配置できるよう、補助金だとか、また融資制度等を活用して私どもは指導をいたしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/63
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064・渡辺四郎
○渡辺四郎君 それでは大体のまとめに入っていきたいと思うんですが、私、冒頭から財政問題についていろいろと申し上げてまいりました。厚生省が高齢化社会あるいは二十一世紀に向けて保健事業を起こし、そのためにはやっぱり保健所や市町村の実施体制の充実強化が必要だ、そういう立場に立って、老人保健法の一部を改正するということで提案をなさっておるわけですけれども、要綱の第二の一ですか、総則で、用語の定義に「老人保健施設」を加え、その業務内容を示して、それで四の「老人保健施設に関する事項」の中で、「施設の基準」あるいは従業員数まで厚生省の省令で定める、そして運営基準も厚生大臣が定めると、こうなっているわけです。だから、さっきから私、補助金との関係で申し上げてまいりましたけれども、これはやっぱり明らかに国の主体の仕事なんだというふうに位置づけしておるわけです。いいですか、施設の基準も、従業員数まで「厚生省令で定める」と、こうなっておるわけですね。そして、運営基準も「厚生大臣が定める」と、こうなっている。そうすれば、明らかに国の主体の事業として位置づけておるんだ。
ところが、問題は、「費用に関する事項」では、「国は、医療等以外の保健事業に要する費用についてはその三分の一」、都道府県が三分の一だと。ですから、先ほど自治省が言われたわけですけれども、地方財政法の第十条ですね、この中の例えば三と七の四から見ても、国が進んで経費を負担する必要がある事業となっているというふうに私らは解釈をするわけですよ、この事業というものは。そういう立場から言っても、三分の一の補助とは余りにやっぱり少ないのではないか。だから、補助率自身をもう少し引き上げて、そして例えば二分の一の補助にするというようなことで補助率を引き上げて、そして最初申し上げました高齢化社会に向けて、あるいは二十一世紀に向けての対応として保健事業を起こしていくわけですから、そういう点をひとつぜひ強くこれは大臣に要望し、あるいは最後に大臣の決意も私はお聞きをしたいと思うんです。
私は今までいろいろ申し上げてまいりましたが、今度の老人保健法改正問題については、多くのお年寄りあるいは御婦人の方たちから、たくさんの御心配の意見を受けておるわけです。地域に帰りますと、これから先、老後本当に安心して生活ができるだろうか、初診料を引き上げてみたり、あるいは入院費の三百円を五百円の無期限徴収にするとか、もちろん衆議院で修正はされておりますが、そういう点から見て、本当に老後の生活が安心できるだろうか。これは非常に多くの階層ですよね。だから、この時点で、私先ほども申し上げましたが、今の国保関係とも関連をするわけですけれども、社会保障としてやっぱり確立をしてほしいというのが国民の皆さんの今の要望なんですよ。
福祉元年というふうに言われてまだ十年ぐらいしか経過をしていない、大臣のお父さんが大臣のころだったかもしれませんが。そういう時点から始めてわずか十年をたたずしていわゆる医療費の一部負担、私らはあえて医療費と言いますけれども、医療費の一部負担をお年寄りから徴収をすることになってきた。そして今度の場合も、またそれを額を引き上げ、あるいは入院費の場合は無期限に徴収をする。だから、いろいろと言われてまいりましたけれども、こういうことについては国の責任で実施をしなければならないという、老人医療ですか、あるいは国民健康保険で申し上げましたけれども、特に低所得者の問題等もあわせてやっぱり国の社会保障として考えていくべきではないか。ですから、私の質問ばらばらになったと思うんですけれども、非常に関連をしておるものですから、質問の内容はばらばらになったというふうに受け取れたと思うんです。
それで、最後に申し上げておきますが、何回も言うようですけれども、国保の赤字の責任を自治体に転嫁をするということについては、これはも
う一切やめてほしいということを強く申し上げて、最後に両大臣の決意をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/64
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065・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 初めに、老人保健事業の点だと思いますが、これは老人保健制度の一つの大きな柱として健康増進を図っていくということであり、これが医療費の将来の適正化にも非常に資するということでありまして、これを大いに推進をいたしてまいりたいというふうに考えております。
その中で、国庫補助率の三分の一から二分の一への引き上げをというお話もございました。現下の非常に厳しい財政状況の中で、なかなか困難な問題ではなかろうかというふうに思いますが、当面、この三分の一の中におきましても、その補助の単価とか、また、言われるところのいわゆる超過負担とかいうようなものを軽減していくというような観点に努力をいたしまして、各市町村がこの保健事業を大いに推進していただけるように努力をいたしてまいりたいと考えております。
また、老人保健制度全体として申し上げさしていただきますならば、今回の改正によりまして、増高いたします老人医療費を将来にわたってもきちっと負担をしていけるように、現在少々つらい点はあろうかと思いまするけれども、将来揺るぎない老後を託せるようなそういう老人保健制度を築くために今回の改正をお願いし、そしてまた、もう一方、老人保健施設という形で医療面と生活サービスを加味した新しい施設を創設し、そして全体として長寿社会における老後を十分託していただけるようなそういう制度をつくってまいりたい、こういう考え方に基づいてやらしていただいておりますので、ひとつ御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/65
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066・葉梨信行
○国務大臣(葉梨信行君) 先ほどからいろいろの御論議の中でお話を伺いましたが、国保財政に対しまして、国の財政困難から直ちにその負担を転嫁するというようなことはあってはならないことである、このような考え方でこれからも対応していきたいと思います。
また、国民健康保険は、国民の一番大きな層の健康を担う保険制度でございますから、この国民健康保険制度が健全に発展し機能していくように、地方財政の立場からも努力を払っていきたいと思いますし、さらに広い立場から申しますと、その他の健康保険制度とも一体として将来健全な運営ができるよう、これからいろいろな制度改革を行っていくであろう、その改革につきましても、自治省の立場から、また地方財政を確立するという立場を踏まえながら、協力をしていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/66
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067・渡辺四郎
○渡辺四郎君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/67
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068・佐々木満
○委員長(佐々木満君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
午後零時十八分休憩
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午後一時二十四分開会
〔社会労働委員長佐々木満君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/68
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069・佐々木満
○委員長(佐々木満君) ただいまから社会労働委員会、地方行政委員会連合審査会を再開いたします。
休憩前に引き続き、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/69
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070・馬場富
○馬場富君 まず、厚生大臣にお伺いいたしますが、今回の老人保健法を改正しようとしておる理由とその背景は何であるかをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/70
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071・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 本格化する長寿社会に向かって増高の避けられない老人医療費を国民全体が、お年寄りも若い者も、そういった国民全体でどのように公平に負担をしていくか、そうして、そうすることによって揺るぎない老人保健制度を将来に築き上げていくという課題を解決いたそうという点が第一点でございます。
それと同時に、寝たきりのお年寄りや要介護老人などを収容する施設として、保健と医療と福祉を兼ね備えた新しい老人保健施設というものを創設いたそうというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/71
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072・馬場富
○馬場富君 まず、今回の改正につきまして、社会保障制度審議会は、国の財政事情によるところが大きいというところから、その取り組みの姿勢としては理解できなくもないが、しかし老人対策の中期展望が不十分なためにその内容は現実対応を急ぐ余りの結果ではないかという、憂慮するという指摘を行っておりますが、これに対して厚生省の御見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/72
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073・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 社会保障制度審議会から、御指摘のような答申をいただいておるわけでございます。
正確に申し上げますと、
今回の改正は近時の老人の増加に伴う老人医療費や要介護老人の増大に対応しようとするものであり、また国の財政事情によるところが大きいことから、その取組みの姿勢としては理解できなくもない。しかし、老人対策の中長期的展望が不充分なためにその内容は現実対応を急ぐあまりの結果ではないかとの憂慮を生む。
こういう答申として付記されておるわけでございます。
私どもは、今回の改正は、ただいま大臣から申し上げましたとおり、今後の高齢化社会をにらみまして、制度の長期的な安定を図りたいというものでございます。御指摘の六十一年二月の社会保障制度審議会の答申でございますけれども、私どもは、今回の改正が中長期的な高齢者施策全般との関連はおいて言及があったものではないかというふうに考えております。
政府といたしましては、本年六月に、御案内のように、総合的に長寿社会への対策を進める観点から「長寿社会対策大綱」を作成したところでございます。今回の老人保健対策につきましても、この中で重要な施策として位置づけております。そういう意味で、制度審議会の答申は「中長期的展望」云々とございますけれども、政府としましては、「長寿社会対策大綱」を策定して、これにのっとって中長期的に各般の施策を総合的に進めてまいるということでこれから対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/73
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074・馬場富
○馬場富君 審議会の指摘は私は尊重いたしますし、このとおりだと思うんです。だから、そういう点については当局と大変対立するわけでございますが、順を追ってこの問題につきまして、中期展望が十分なのか不十分なのか、こういう点についてひとつ質問をしていきたいと思います。
次に、先ほども大臣も述べられましたが、法案の趣旨説明でも、老人医療の増加は避けられないという前提で、「老人医療費を適正なものとし、国民がいかに公平に負担していくかということは、老人保健制度を長期的に安定したものとしていく上で不可欠の課題であります。」と、こういうふうに実は趣旨説明でも言われておるわけでありますが、ここで問題なのは、政府のおっしゃる公平というのと、我々国民側の公平という基準が大変違うんではないか。公平な負担といっても、その意味するところの食い違いによっては正反対になってしまうというふうに私たちは理解するわけです。
そこで、いわゆる厚生省の言う公平な負担とは、加入者の数だけ公平に按分するという一つは考え方ではないか。一部負担の引き上げについても、年金受給の状況から無理のない引き上げをと言っておりますけれども、現在の老人生活の実態、あるいは差額ベッド代あるいは付添看護料あるいはいわゆるお世話料等の現状から過剰な負担が実はあります。そこで、老人医療の対象はほとんどが年金以外に収入のないそういう方々がほとんどであります。それを片方、勤労によって所得を得ることができる世代の人たちとの負担を同一視するというこの論拠が私は問題だと思うんですよ。
そこで、年金の水準が上がる一方ならともかくも、政府の今の一つの財政危機の問題を控えまして、結局老人年金においてもいわゆる押されがちな実は状況であります。だから、負担の公平とい
っても、それは実は簡単に私たちは政府が言う公平さというものについては理解できないわけでございますが、この点ひとつ大臣から、しかと負担の公平という問題について御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/74
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075・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 今、先生御指摘にもございましたように、負担の公平という点では二つの観点があろうかと思います。
その一つは、老人保健制度をいかにして国民全体が等しく負担をしていこうか、こういうことでこの制度が創設をされたわけでございますが、その拠出の仕方というものが、これまでいわゆる老人医療費按分率が五〇%、そして加入者按分率が五〇%という形でまいったわけでございます。これを負担の公平を徹底するということを考えますと、加入者按分率を一〇〇%にしていただくということが負担の公平を徹底するということになるわけでございます。この拠出を、それぞれが所属していただいている保険者において拠出していただくという制度をとっておりますので、それぞれの保険者間において老人の加入の格差というものが非常に広がってまいっております。この加入者按分率を一〇〇%にすることによって、この老人加入の格差を是正し、そして公平な負担を期すということに到達をするものでございます。
もう一つは一部負担の点でございますが、これは老いも若きも負担をしていこうという点から、いわゆる世代間の負担の公平と、こういうふうに申し上げさしていただいておるわけでございますが、先生御指摘のように、お年寄りはお年寄りの実態というものがございますので、若い者と同じような負担をということを考えておるわけではないわけでございます。それなりの負担のあり方の範囲内でお願いをしようということでありまして、お年寄り以外の医療保険における負担は、先生御承知のとおり、健保本人は一割負担、家族は外来で三割負担、そして入院の場合二割負担。国民健康保険におきましては全体で三割負担、高額療養費制度というものがございますが、そのような負担のあり方になっておる。
そういうことから見ますると、今回の一部負担の改定をお願いいたしておりますのも、お年寄りの場合、全体で一・六%程度の負担をお願いいたしてまいったわけでございますが、これを衆議院の修正も含めましておおむね四%程度の負担をお願いするということでございまするので、お年寄り以外の負担から見ますると相当程度低い、お年寄りに配慮をした上での世代間の公平の負担ということをお願いいたしておるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/75
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076・馬場富
○馬場富君 今また加入者の按分率の問題も出ましたが、加入者の按分率の見直しでは、やはり被用者保険は黒字だから耐えられるというようなことで実は按分率の見直しについても言われておりますけれども、しかし、この見直しも、従来の国会審議の経過からすれば、急激過ぎて公平ではないし、給付も負担も運営面でもそれぞれ違う保険制度を前提としておりますから、公平な負担とは私は言えないと思うんですね。特に、先ほども申しました老人医療というのは、年金しか頼れないそういう高齢者、やがては健康な我々も到達する、みんな国民全部が歩まなきゃならぬ厳しい現実だと思うんです。
そういうものに対して、日本の福祉のあり方というのも、やはりそこらあたりに一つは焦点を置いた年金制度や医療制度というのが考えられるべきであって、ここらをカバーする面での一つは政府措置や財源措置が当然私は福祉のあり方だし、また、この医療の問題についてもそこを焦点としなきゃならぬ。それをほかの世代やいろいろな問題と同一視して、やはり一つは財政難だから、最小限この問題だけは食いとどめて、やっぱり老人や身障者や立場の弱い人たちを守る措置というのは私は侵してはならぬと、そうやはり決めて取り組む姿勢が私は必要ではないか。そういう点について今回の改正というのは大変遺憾だと思うし、ほかの改正以外にこういうものまでやはりどんどん押し込んでいかなきゃならぬという政府の基本姿勢は大変遺憾に思うわけでございますが、先ほどの按分率の見直しの問題とあわせて、ここらあたりのところを御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/76
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077・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 今回の改正は、負担の公平という見地からお願いしているものでございます。大臣から申し上げましたように、現在四兆円を老人医療費は超えておるわけでございますが、これが六十五年には六兆になり、さらに七十五年には十五兆になんなんとしようという状況にあるわけでございます。この老人医療費をやはり国民が等しく公平に負担していくことが制度の安定に帰するものと、こういう考えに立っておるわけでございます。
ちなみに、老人保健法は、その基本理念として老人医療費を国民が公平に負担するという基本理念を掲げておるわけでございます。
そこで、内容との関連でございますけれども、按分率につきましては、今回一〇〇%にすることでお願いをいたしております。現在、国保と例えば健保組合の老人の加入の格差は約四倍ございますけれども、現行の老人保健法でこれを約二倍に縮めた形になっておりますけれども、それでもなお老人加入率の格差が二倍ということで、国保にかかってくる老人の負担はかなり過重なものとなっている、こういうことからぜひ今回一〇〇%にさしていただいて、どの保険者も、どの制度も同じ老人を抱える形で老人医療費の負担をお願いしたいということでございます。
もう一方の一部負担でございますけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、全医療費の一・六%の負担を老人にお願いいたしておるわけでございます。しかし健保本人、これも定額だったわけでございますけれども、今や一割負担となっておりまして、若い人が残りの九十数%を負担していただくのに対して、お年寄りの一・六%では余りにもやはり負担の公平、バランスからいって欠けるのではないかということで、今回の改正をお願いしたわけであります。
この改正が、無理な負担と申しますか、老人が無理なく負担願えるかどうかという判断も私ども慎重に行ったわけでございますけれども、高齢者世帯の一人当たりの所得とその他の所得も、ほぼ若い人の世帯も十一万幾らということで、平均所得はほぼ同水準にあるわけでございまして、もちろん消費水準も同じ程度でございます。ただ、確かに低所得の方もおられますし、福祉年金をもらっている方は二万七千五百円でございます。私どもは、外来につきましては月一回でございますから、衆議院の修正ですと八百円でございますが、月に一回八百円程度の御負担ならば、これはどなたにも御負担を願えるのではないかと思っております。
入院につきましては、五百円の一月ということで、毎月一万五千円の負担を願うことになるわけでございますけれども、端的に申し上げまして、在宅で療養されている方とのバランスも考えまして、入院された場合には食費等も経費が負担が軽くなるということから見ますと、やはり一日五百円という負担はこれからの老人医療費をみんなで支えていくという公平負担の理念からいって、ぜひお願いできる中身ではないかということでお願いを申し上げておるところでございます。その他、保険外負担、お世話料の問題は、今後適切に指導して改善に努めてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/77
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078・馬場富
○馬場富君 老人医療の負担が老人に対してやはり非常に軽いから、ほかの世代から比べてその差の問題で修正したとおっしゃいますけれども、ほかは軽くてもなおいいのではないかとあなた方と正反対の考え方を持つわけです。
そこで、最近の医療費の動向を見ますと高い伸び率を示しているのが目につくわけでございますが、私の手元に五十九年度、六十年度、六十一年度の第一・四半期の資料がございます。これを見ると、国保及び老人保健の診察率の伸び率は一件当たり日数で見るとほとんどマイナスを記録しておるわけです。前回の改正後の受診抑制の効果が出ていると私は見ております。
だから、ここで、今回の改正ではやはり老人の負担をさらに大幅に引き上げることになるわけですから、この点についても私はそういう受診抑制というものがさらに強まってくるのではないか。あなた方は負担が軽くなると言っておるけれども、数字の上から見て前回の改正が出ているんですよ。今回でもそういう傾向が出るということを私は心配するが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/78
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079・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 確かに、前回の改正、つまり三年半前でございますけれども、老人の無料から自己負担制有料化へ切りかえたわけでございますが、その時点におきまして老人の受診率が、外来でございますけれども、減少いたしました。しかし、反面、一件当たりの日数が少しふえまして、私どもの判断としては、必要な医療が抑制されたのではなくて、一つの医療機関にじっくりかかられる傾向が出たのかなというふうに評価をしているということでございます。改正前は、一部の老人の問題でございましょうけれども、老人が転々と病院をはしごをしているとか、あるいは病院のサロン化とか、いろいろな批判が出ていたわけでございます。そういう意味からいって、改正後の受診の状況は私どもは正常な形にむしろ返ったというふうに評価した方がいいのではないかというふうに判断をいたしております。
一件当たり日数でございますけれども、先生御指摘のように、全体的に老人もそれから若い人も、これは改正前後を問わず、一件当たり日数の推移を見ますと減少の傾向でございます。年々減少の傾向でございます。この私どもの分析でございますけれども、やはり疾病構造の点にあるのではないか。例えば呼吸器系の疾患ですと、平均診療間隔と申しますか、一回行かれてまた二度目に行かれる場合の診療の間隔を見ますと、呼吸器系では五・二日、それから循環器系では八・七日、高血圧性疾患では九・一日でございますから、病気のタイプとして消化器系とか呼吸器系から循環器系、高血圧系の病気に、日本の人口の高齢化とともにその面がシフトいたしまして、病院にかかられる間隔が長くなってきた。つまり一件当たりの日数が少しずつ低下しているというのはその辺にあるのじゃないかというふうに判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/79
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080・馬場富
○馬場富君 もう一点は、一方やはり一日当たりの医療費を見ると、伸び率が次第に大きくなってきております。もちろん、この間には六十年三月に一・二%、六十一年四月には〇・七%の医療費の改定が行われているが、その伸び率が上回っているわけでありますが、この原因をどう見てみえるか。一件当たり日数が減少しているのに一日当たり医療費が伸びておるという点は非常に理解しがたいのですが、この点をどのように御理解されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/80
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081・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 老人医療費は増高傾向にあるわけでございますけれども、主たる原因は人口の高齢化、老人人口の増にあるわけでございますが、それとともに、先生ただいま御指摘いただきましたように、一日当たりの医療費がふえているということにもございます。一日当たり医療費というのは医療機関における診療の密度なり質の問題でございまして、それが年々医療費の形でふえた形になっておるということでございます。いわゆるこれが自然増というものの本体的部分でございますけれども、なかなかここの部分がなぜふえるかということは非常に難しい分析でございまして、私どもも確たる答弁はいたしかねるわけでございますけれども、私どもがこの点についてかねてから御答弁申し上げているように、やはり医学医術の進歩とか医療の高度化ということがこの辺の増高の要因になっているのではなかろうか。
つまり、がんに対します新しい薬あるいは治療方法ができてきたとか、あるいは心臓疾患に対して新しいペースメーカーが出てきたとか、あるいは脳血管障害に対してCTスキャナーみたいな非常に高度な診断の技術が出てきた、こういうことからやはり医療費の単価と申しますか、医療の質を高め、それが医療費の形ではね返っている面があるのではなかろうかなというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/81
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082・馬場富
○馬場富君 次に、国民健康保険にとって今回の措置がやはり大きな財政負担になっている。そういう点で、老人医療費の一部を今回は組合健保あるいは被用者保険に肩がわりをさせて、そして入院する老人本人あるいは一部負担を引き上げて老人医療の負担にしたと、こういう点に私は尽きると思うんですね。その反面、市町村の国保財政の負担を軽減させる、そしてあわせて国庫負担も軽減させようというのが私はこの法案の財政的ねらいだと、こういうふうに法案を読んでおりまして見るわけです。
そこで、今回の改正で老人医療費の一部を組合健保など被用者保険に肩がわりさせた予算分というのは大体どの程度の予算ですか。
それからまた、あわせて老人本人の一部負担によって、引き上げから起こってくる予算の見込みは、六十二年度でよろしゅうございますが、予算見込みはどのように立てていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/82
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083・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 制度改正に伴います影響額についてのお尋ねでございます。
健保組合について申し上げますと、六十一年度の影響でございますが、これは衆議院の修正ベースでお答えいたします。加入者按分率が八〇%、外来が八百円、十二月実施という前提に立ちますと、二百七十九億円の増でございます。六十二年度は、同じく衆議院の修正ベースで申し上げますと、千二百三十億円の増でございまして、両年度合わせますと千五百九億円の増になるというふうに見込んでおります。国保につきましては、同じく六十一年度の衆議院修正ベースで、九百四十六億の負担減になりまして、六十二年度で三千六百六十五億円の負担減になり、両年度合計で四千六百十一億円の負担減になります。他方、国庫負担でございますけれども、衆議院修正ベースで六十一年度が六百十一億の負担減、六十二年度で二千二百四十四億円の減、両年度合計で二千八百五十五億円の減というふうに見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/83
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084・馬場富
○馬場富君 ここで、今審議されておる法案に最も関係の深い、今地方自治体等でも大変困っておる、あの退職者医療制度の見込み違いについて質問いたします。このような食い違いというのはどうやって起こってきたか、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/84
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085・下村健
○政府委員(下村健君) 退職者医療について、私どもの当初の予測と結果とどの点が一番大きく食い違ったのかというふうな御質問でございます。
やはり対象者の数が非常に食い違ってきたということであると思っておるわけでございますが、五十九年度におきまして四百六万人の対象者を見込んでおりましたけれども、実際はは二百六十七万人の加入にとどまったということでございます。その数はその後着実にふえておりまして、本年九月末現在で三百十六万八千人、国保の被保険者に占める割合が七・六%というところまでまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/85
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086・馬場富
○馬場富君 この制度の趣旨というのはどういうところに焦点があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/86
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087・下村健
○政府委員(下村健君) 退職者医療創設の趣旨でございますが、一つは、やはり医療保険各制度の間で老人の問題が一番大きいわけでございますが、高齢者の加入割合が国民健康保険に非常に大きく偏っている。先ほど来お話が出ておりますように、医療費の中で老人医療費の伸びが現在一番高いわけでございますが、それに次いで、制度別に見ますと、国保の医療費の伸びが高いわけでございます。
このままで高齢化社会ということになってまいりますと、国民健康保険だけが著しく保険料負担がふえてまいる。このような事態が起こりますので、それの負担を公平にしていく。将来構想として私どもは医療保険制度の一元化というふうなことも申しておるわけでございますが、全体としての負担を公平にしていく、また、給付面においてもできるだけ公平な給付にしていくということがねらいであったわけでございます。また、被用者保険につきましては、壮年期の元気な時代に保険料を払いながら、退職後は給付が下がるというふ
うな見方もあるわけでございまして、そういった世代間の問題も考えまして、退職者医療は被用者保険総体としての共同事業、被用者保険の共同負担によりまして退職後の医療を少し手厚くしていく、こういう考え方ももう一つの観点としてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/87
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088・馬場富
○馬場富君 私は、この問題を当初から、昨年の予算委員会でも取り上げましたが、もちろん人数にも一つは大きい食い違いがあります。だから、こういう制度をつくる上において、国が実は行うこの制度において、これほどまず当初年度から約半分にも近いような人数が食い違うというような問題を生じたということは、大変私は誤算だと思うんです。
そして、それに対してもう一つは、やはり現場での私は掌握不足だと思うんです。我々は、この問題が起こったときに、昨年も一遍調査しましたが、人数にも問題があるわけですけれども、サラリーマンのOBの方々はそういう点について案外給料が少なくなる、政府はこう当初見ておるわけですよ。いわゆる退職者だから少なく見ておる。保険の方も全部国民健康保険に加入していくというとらえ方。そして、お年寄りだから実はどんどん医療を使っていく、こういう算出の根底の中に、あなた方がつかんだものとの一つの大きい現場での狂いが私はあると思う。退職者の方は比較的元気で保険を使う率も案外少ないという点もあるわけですよ。給料も比較的ダウンせずに案外給料も保たれておるというような点で、政府の見込みと、人数の見込みだが、そういう点についても随分現場で見込み違いがあるわけですよ。
ここらあたりが大きい原因で、ここらあたりも最初を多くしなければ、数がある程度掌握されたからといって、これは簡単に解決するという問題ではないです。私は、六十一年度も起こりますが、また六十二年度もやはり起こってくる問題だ、こうとらえておるわけですが、この退職者医療制度の創設についての財源というのはどういうふうにお考えになったか、それから、そういう国保に対する財源措置はどのようになさったか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/88
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089・下村健
○政府委員(下村健君) 御指摘のように、退職者医療につきましては、人数の差が一番大きく食い違ったわけでございますが、退職者の所得の把握という意味で、私どもは年金主体の収入になっているのではないかというふうに考えていたわけでございますが、実際にはそれをかなり上回る収入があったという面で、その面でも食い違いがあったことは、御指摘のとおりでございます。大変関係者に御迷惑をおかけいたしまして、申しわけないと思っている次第でございます。
それでは、退職者医療の財源はどうしたのかということでございますが、ただいま申し上げましたように、退職者医療制度は総体の被用者保険の共同事業という考え方で構成をいたしましたので、被用者保険の本人の保険料に合わせまして、被用者保険加入者の保険料で賄うという考え方で構成したわけでございます。
それから、国民健康保険につきましては、当初の加入見込みによる財政効果を見込みまして、国民健康保険の給付費に対して二分の一の国庫負担を行う、それまでは国民健康保険の医療費に対して四五%の国庫負担を行うという仕組みでございましたけれども、これを給付費の二分の一の国庫負担をするという制度に改めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/89
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090・馬場富
○馬場富君 だから、ここでそういう新しい制度をつくられたことは結構ですし、また退職者が七割から九割へと、そういうやはり問題、負担の大きくなるのを避けるために二割にしたということも私は理解できますけれども、そのためにはやはりはっきりと掌握もせずに、まずもって国保に対する補助を四五%から三八・五%に切り下げる、そして実際は入らなかった、今その負担が大きく地方にしわ寄せになっておるんじゃないですか。後から言いますけれども、一応ここでの補正等によって多少補正はしたけれども、そういう国が明らかに間違いを起こした、そういう措置についてやはり補助率の問題で修正すべきだ。間違っても済むといったって、何千億ですよ。五十九年、六十年で二千億ですよ。今度改正する予算総額だって五千億ですよ。そのくらい大きい食い違いを起こして、今回の改正の財源やそういうものは、このマイナスを穴埋めするような財源になっておるわけですよ。
そういうものを考えてみたとき、その責任が、それは国が、一兆二千億結局財政が狂ったから申しわけありませんと総理が謝って、これを厚生大臣が謝れば済むというけれども、そのしわ寄せで、財源で今苦しんでおる状況から見たら、これはだれが責任を負うんですか。しっかり答弁してくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/90
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091・下村健
○政府委員(下村健君) 退職者医療の実施に伴います国保への影響でございますが、先ほど来お話が出ておりますような食い違いによりまして、五十九年度で約六百億、六十年度で千四百億、それから六十一年度で千五百億というふうに見込んでいるわけでございます。五十九年度分については、五十九年度には特段の財政措置をいたしておりませんので、この分は未処置というふうな格好になりますが、六十年度につきましては、五十九年度、六十年度合わせまして、六十年度の影響額千四百億に対しまして千三百六十七億の予算措置をしたわけでございます。それから六十一年度につきましては、当初予算で二百三十億、それから今回の補正予算におきまして七百四十億を措置いたしまして、これに加えて老人保健実施の影響等を見込むと、退職者医療の影響はほぼ解消されたものというふうに見ているわけでございます。
したがって、五十九年度分については、六十年度において措置はされているわけでございますけれども、金額的にいうと六十年度の千四百億に対する金額はほぼ措置されたという格好でございますので、その部分が問題としては残っているわけでございますが、なお今後、国保財政全般の推移を見つつ、国としては最善の措置を誠意を持って対処してまいりたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/91
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092・馬場富
○馬場富君 だから、この前も地方行政委員会でも私質問しましたが、今説明のように、五十九年度、六十年度で二千八十億、前回の補正で千三百六十億補正しました。まだこれには差額があります。七百億円の差があります。それから六十一年度は約千五百億、今言ったような状況でございますが、これは当初の二百三十億、それから今回の七百四十億、これと合わせまして九百七十億しかまだ補正がされてないわけです。これもマイナスがあります。それから、今、老人保健法の改正によって多少コントロールされるとおっしゃいましたが、これが十二月までには上がってこれが実施されるということで見込まれておりますが、これはやはり延びております。これについての財源措置もどうなさるのか。
この点について、今私が数字を挙げただけでも随分見込み違い、政府の責任によって起こった見込み違いですよ。地方でもだれでもないですよ、責任は。あなた方の見込み違いです。数から状況からみんなそうです。それによって起こったこういう大きな赤字が、これは補正して当たり前だけれども、全部補正されないままに、しかもきょうまだ審議されておるその予算を財源としておる。こういうことについて私は非常に不満ですし、これは責任を明確はしなければいかぬですよ。財政上大問題です、こんなことは。こんなことがしょっちゅう起こったら大変なことですよ。どういうふうに処置されるか、はっきりと御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/92
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093・下村健
○政府委員(下村健君) 退職者医療の見込み違いにつきましては、御指摘のような問題がありまして、大変私どもも申しわけないと思っている次第でございます。ただ、先ほども申し上げましたように、現在残っておるのは、五十九年度の影響額は一体その後の国保財政にどのような影響を与えたかという問題が金額的には一番大きな影響としてあると、こう考えているわけでございます。事のよしあしは別といたしまして、五十九年決算は
とにかく市町村の努力によりまして一応切り抜けたと、こういう格好でございます。
そこで、国としては六十年度に対してはおおむねの措置はとったと、六十一年度につきましても、現在の老人保健法の成立並びに前回の補正予算等におきまして、ほぼ六十一年度の影響は切り抜けられる、こういう状態ではないかと思って見ているわけでございます。
私どもとしては、これで全部国としての措置は果たしたと、このように申し上げるつもりはございませんが、国の財政事情もございますので、今後の国保財政の推移を見ながら厚生省としては最善の努力をしてまいりたい、誠意を持って最善の努力をいたしたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/93
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094・馬場富
○馬場富君 これでこの問題についてはひとつ締めくくり、大臣にお尋ねしておきますが、今局長もこの問題についてはやはり国の責任だということで最善の努力をするとおっしゃいましたが、ぜひ努力をしてもらいたい。そして、ほかの措置とは違いまして、政府の責任においてこういうことをなしたということは、もう本当に大臣の責任だと私は思うんです。当時の大臣の責任だと思う。重大な、これは辞職問題だと僕は思う。そういうようなやはり財政遅延ができたんですから、政府においても、今後地方自治や国民に協力を願う意味でも、この赤字だけは政府が責任を持って穴埋めをしなきゃいかぬ、こういうことを私は思いますが、大臣の見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/94
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095・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 退職者医療制度の加入者の見込み違いによります影響額についてでございますが、ただいま保険局長から御答弁申し上げましたように、大変厳しい財政状況の中ではございますけれども、それぞれの措置をさせていただいたところでございます。私どもはこれで十分とは決して思っておりません。その十分でない部分、国保関係者の皆様方に格別の御努力をいただき、本当に御迷惑をおかけいたしておるわけでございますが、私どもといたしましても、国保財政の推移を十分に見定めながら、誠意を持って全力で努力をしてまいりたいと思っております。
また、この法案のおくれに伴う分につきましても、同様全力を挙げて努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/95
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096・馬場富
○馬場富君 次に、退職者医療制度の創設と国庫補助の削減によりまして、国民健康保険にとっては新たな財政不安が今できてきておるわけです。そういう点で、六十年度の国保の財政状況は一千七百七十億円の赤字となっておりますし、赤字額は前年度に対して約七百億円増加しております。その原因は、やはり老人医療等の急増が影響しておることは当然でございますけれども、保険料は前年よりも約一二%引き上げられておりますし、それから市町村の一般会計からの繰入金も前年より約五百億円全体として増額しております。また、六十一年度予算における保険料平均アップ率の調査も、これは国保中央会の調査でございますけれども、三千二百三十七保険者の中で九一%の二千九百三十四の保険者が保険料を引き上げて、そのアップ率は全国平均で一四・四%となっております。
このように市町村の国保財政は深刻な状況になっておりますが、厚生省は国保の料金引き上げをどう掌握していらっしゃいますか。厚生省とあわせて自治省の見解もお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/96
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097・下村健
○政府委員(下村健君) 御指摘のように、本年八月時点での調査によりますと、保険料を決定した市町村が三千百九市町村でございますが、そのうち二百二十市町村が引き上げを行っていないということでございまして、残りは何らかの形で保険料の引き上げを行っている、平均で一二%を超える引き上げになっている、そのような状況でございます。
最近の保険料引き上げによりまして、保険料の実額で見ますと、被用者保険を若干上回る水準まで国保は来ておりまして、一般に国民健康保険加入者の方が所得水準が低いということでありますので、現状から言えば国保の負担がやや重くなりつつあるというふうな状況であると、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/97
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098・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 市町村の国民健康保険税あるいは保険料の引き上げ幅は、この三年間で約三六%ぐらい引き上げられておるという実態でございます。
厚生省の方からも御答弁がございましたように、現在の保険税、保険料の負担水準は、低所得層が多いという実態を考えれば非常に重い負担となっておりまして、私ども市町村長さんからしばしば保険税、保険料を引き上げることの困難性について訴えを聞いておるところでございます。こういった観点から、国保の負担を軽減するために、今回お願い申し上げております老人保健制度の改正、あるいは退職者医療制度の一層の加入の促進等を図ってまいらなきゃならぬわけでございますが、いずれにいたしましても、市町村の国保の財政が非常に苦しくなってきており、一方でそれによってますます保険料負担というものがその所得に比べて重くなってきているという事実を私どもは極めて重視しており、一刻も早くこの国保の制度を保険全体の中でやはり合理的なものにしていかなきゃならないと、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/98
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099・馬場富
○馬場富君 いずれにしろ、国はやはり国保の財政を責任を持って立て直さなきゃならぬときが来ておると思うんです。そういう点で、国民健康保険については負担面、給付面で問題がありますけれども、厚生省は本案の審議の中で、老人保健法の次には国保を見直す、医療保険の抜本的改正は六十年代後半の早い時期にということを言っておみえでございますが、国保をどういうふうに見直していくのか、その基本的な考え方を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/99
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100・下村健
○政府委員(下村健君) 国民健康保険につきましては、その構造的な問題として高齢加入者が一番多いというところが最大の問題であるというふうに考えてきているわけでございます。したがいまして、退職者医療制度をまず実施したということで、まず第一の手を打ったわけでございます。それに引き続いて、今回の按分率の見直しという形を中心にいたしまして、老人保健制度の見直しをやった。引き続きまして、国民健康保険全体につきまして、これは行革審の方で都道府県の役割等も含めて見直すべきだというふうな御意見をいただいておる事情もございます。また、国民健康保険は一番大きな保険者は大阪市で百万人、一番小さいのは百人に満たない保険者もあるというふうな非常に格差が大きいということもございますので、それらを踏まえまして、保険料の賦課のあり方、経営主体全般にわたりまして幅広く検討してまいりたい。
厚生省といたしましては、医療保険制度全体につきまして、六十年代後半のなるべく早い時期に一元化を行うというふうな考え方を打ち出しているところでございますけれども、医療保険全体の流れの中で、その流れを見きわめながら国民健康保険からまず検討に着手してまいりたいと、このように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/100
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101・馬場富
○馬場富君 この国保の見直しにつきまして、自治大臣のひとつ考え方をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/101
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102・葉梨信行
○国務大臣(葉梨信行君) 国民健康保険制度は約四千五百万人の被保険者を擁します医療保険制度で、国民皆保険の最も大きな部分を占めているものでございます。したがって、その国民健康保険制度を安定的に運営することは、国民全体の医療を保障していく上できわめて重要な課題でございます。
医療保険でございます国保につきましては、今後とも保険料と国庫補助負担金によって運営されることが基本でございますが、高齢化社会を迎え、今後医療保険制度全体の幅広い見直しの中で、国民健康保険制度のあり方を検討していく必要があると考えております。また、制度の見直しや医療費の動向等に応じて、必要な国庫負担金を確保していくことも肝要であろうと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/102
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103・馬場富
○馬場富君 ここで、本年六月に行革審の答申が出ておりますが、その中にやはり国民負担率、国民所得に占める租税と社会保障の負担の合計の率でございますが、「長期的にある程度上昇することはやむを得ない」が、その場合でも当時の「西ヨーロッパの水準(五〇%前後)よりかなり低い水準にとどめるべきである」という、こういう答申が出ておりますが、この点について今後の国保の改正と合わせまして、厚生省及び大蔵省、自治省のこの問題に対するひとつ御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/103
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104・長尾立子
○政府委員(長尾立子君) お答えをさせていただきます。
現在、我が国の国民負担率は社会保障負担、租税負担を合わせまして三六・一%になるものと見込んでおるわけでございます。そのうちの社会保障負担、先生御質問のいわば医療保険、年金等の負担でございますが、これが一一・〇ということになっておるわけでございます。今後我が国が人口の高齢化が進行いたしまして年金受給者がふえていく、また医療費のかさむ老人の方がふえていくということを考えてみますと、社会保障にかかわる国民負担というものの引き上げは避けることができないというふうに考えておるわけでございます。
しかしながら、今先生御指摘のように、行革審の答申におきまして、現在の西欧水準、つまり五〇%でございますが、これをかなり低い水準でということでございますので、大体四五%よりも低いということかと思うのでございますが、こういうところにとどめるようという方針は、政府として基本的に今後の運営の中で考えていかなくてはならない問題であろうかと思っておるわけでございます。この観点から、厚生省といたしましては、医療保険、年金保険につきまして改革をお願いし、今後の負担水準がこのようなものまで上昇しないような努力をさせていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/104
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105・中島義雄
○説明員(中島義雄君) 国民負担率に対するお尋ねでございますが、数字にかかわる部分につきましては、ただいまの厚生省の答弁のとおりでございます。
そこで、国民の負担率がどの程度の水準にあるべきかということでございますが、究極的には政府部門、民間部門に資源をどう配分するのが適当かという問題と裏腹をなすものでございますから、国民が必要とする公共支出の水準に対応して定まってくるものであろうかと思います。このようなあるべき公共支出の水準と、それを裏づける国民の租税負担あるいは社会保険負担というものは、結局毎年の予算編成過程などを通じて次第に国民の選択が明らかになってくるものであろうかと思います。結局、これにつきましてあらかじめ固定的に考えることは適当でないと私どもは判断しておるところでございます。
しかしながら、大きな方向といたしましては、先ほど厚生省の御答弁にもございましたように、今後高齢化社会の進展等に伴って次第に国民負担率が上がっていくことは避けられないであろう。しかし、その中で将来の国民の活力というものを維持するためには、今日のヨーロッパ水準に比べますとかなり低い水準にとどめることが必要であるということについて、私どもとしては基本的にそうあるべきだと考えておるところでございます。年金制度、医療制度、その他福祉の各分野におきまして、負担と給付の適正化、公平化といった観点で今日各般の制度改革努力をいたしておりますのも、そのように将来の国民負担が高くなり過ぎて国民の活力がそがれることのないようにという観点で取り組んでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/105
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106・馬場富
○馬場富君 もう一点は、非常に地域的に国保についての保険料の格差があるという点で、国民健康保険中央会の五十九年度の実態調査を見ておりますと、やはり組合を除いて、市町村の一人当たり現年度分の調定額を見ますとかなり格差があるわけですね。例えば沖縄の粟国村では八千百三十五円でございますのに対して、富山県の細入村では五万九千九百四十一円という七・四倍ものやはり格差がございますが、こういうようないわば極端な例ではございますけれども、こういう食い違いというのはなぜ起こってくるか、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/106
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107・下村健
○政府委員(下村健君) 御指摘のとおりに、国保の保険料が相当差がある。ただいまお話に出ました沖縄県の粟国村、富山県の細入村、それぞれお話のような数字になっているわけでございます。
この差は、基本的には大体医療費の差を反映しているということでございます。医療機関が多くて受診状況も非常にいいというふうなところでは、どうしても医療費が高くなりまして、それに伴う保険料も高いという結果になっているわけでございます。したがって、そのようなある程度の受益の差に基づく保険料の差というのは私どもとしては避けがたいというふうには思っておりますが、一方で所得水準との格差というふうなものもございますので、現在、財政調整交付金の交付を通じまして、負担面で大きな差が生じないように努力をしているところでございますが、今後の国保問題の検討の中におきましても、その財政調整のあり方というふうな点については検討すべき点の一つかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/107
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108・馬場富
○馬場富君 次に、本年四月八日に厚生省の高齢者対策企画推進本部が報告書を発表しておりますが、国保の関係では種々言われておりますが、その中で、今後、高齢化の進展、産業構造の変化等によりまして、五人未満事業所等の健康保険適用等により、安定した財政運営が困難となる事態が予想されるから、幅広い検討を加え財政基盤の強化を図るとしております。いわゆる五人未満の事業所の社会保険適用ということでございますが、六十一年の四月からは五人以上の法人事業所が健康保険の適用対象とされまして、六十二年度からは五人未満法人事業所の適用拡大が計画されておりますが、適用状況と今後の計画を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/108
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109・内藤洌
○政府委員(内藤洌君) 五人未満法人事業所等の被用者保険への適用につきましては、ただいま先生から御指摘のとおり、六十一年の四月一日から段階的に適用していくということになったわけでございます。本年度は、いわゆる非適用業種、つまり従来健康保険あるいは厚生年金の適用されておりませんでした業種でございますが、具体的には農林水産業、飲食店、サービス業の事業所、業種でございます。これらの業種の従業員五人以上を使用しております法人事業所につきまして、本年度は適用を行うことになったわけでございます。
本年四月から強制適用の対象になりましたこうした業種の事業所につきましては、実は従来から任意加入の制度がございまして、これを活用いたしまして相当数のものが既に適用になっておるところでございます。今回の措置は、そのほかの従来任意加入をしておりませんでした事業所につきましても、強制適用ということで適用拡大することになったわけでございますが、今回新たに適用拡大になりました事業所につきましての最近の適用実績を申し上げますと、数字としては、本年の九月末まででございますが、事業所につきましても、それから被保険者数につきましても、二一%の適用となっております。
なお、先ほど申し上げましたように、従来から任意加入しております事業所、被保険者があるわけでございますが、こういったものを含めますと、全体といたしましては被保険者ベースで七一%という適用率になっておるわけでございます。
それから、来年度以降の適用計画でございますが、これにつきましては、いずれ政令で定めることになっておるわけでございまして、現段階ではまだ結論を得ておりませんが、一応従業員規模三人ないし四人の法人事業所を来年度は適用するという方向で目下検討しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/109
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110・馬場富
○馬場富君 五人未満事業所の健康保険適用は法律で定められたものでございますけれども、国民健康保険にとっては、高齢者対策企画推進本部の報告にあるように、財政運営上のやはり新たな課
題があるわけでございます。そういう点で、その方向においても将来とも安定的に機能し得るよう「国と地方公共団体(都道府県、市町村)の役割分担等について検討を進め、改革を図る。」ということになっております。これについて、厚生大臣は本法案の審議の中で検討をしていくと答弁をしておられますが、どういう方向でどのように検討をなさるのか、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/110
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111・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) この老人保健法の成立を期して厚生省は今、全力を挙げておるところでございますので、この法律を成立さしていただきますならば、その後直ちに国保の問題、これは先ほど来御答弁を申し上げておりますように、将来の医療保険制度の一元化を目指す中で、そういう流れの中で国保の抜本的な見直しを図っていく。そのために、ひとつ国民的な合意をコンセンサスできるような、そういう検討に入りたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/111
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112・馬場富
○馬場富君 この問題につきましては、自治省はやはり否定的態度をとってみえるという見解を私たちは感ずるわけですけれども、自治大臣、この点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/112
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113・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 御質問の御趣旨は、国保制度の改善についていわゆる都道府県費導入、あるいは都道府県の広域化問題、こういう点についての自治省の姿勢と、このように承りますが、これらの点につきましては、私どもやはり国保制度はいずれにしても低所得者層を基礎とするものでございます。したがいまして、そういったやり方ではなかなか問題の根本的な解決にならない。より広い見地からやはり国保制度というものを考えていかなきゃならないと思います。
現在、市町村の国保の運営、極めて困難な事態に遭遇をしておりますので、一日も早くそういった見地からの抜本的な検討が進められますよう、関係省庁とも十分協議をし、自治省としてもいろいろ研究を進めてまいりたいと、こういうような姿勢でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/113
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114・馬場富
○馬場富君 次に、国保の運営は市町村より都道府県にするかどうかという検討がなされておるように聞いておりますが、大蔵省は先月二十六日に国民健康保険の医療給付費の一部を六十二年度から都道府県に負担を求める方針を固め、厚生、自治両省と折衝に入ったという新聞報道がなされておりますが、これは事実かどうか、また事実ならばどういう方法なのか、厚生省と自治省と両方の見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/114
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115・下村健
○政府委員(下村健君) 大蔵省からそのような話があったことは事実でございます。厚生省としては、先ほど来申し上げておりますように、老人保健制度改正後の課題といたしまして、国民健康保険制度の将来にわたる安定化のための方策を早急に検討したいと考えているところでございますので、その際、都道府県の役割のあり方というのも検討課題の一つであろうかとは考えているわけでございます。
そのようなこともございますので、また一方、この問題につきましては関係者にもいろいろ御意見がある問題でございますので、幅広く検討していくことが必要であると考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/115
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116・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 明年度の予算編成をめぐりまして、ただいま御指摘のような提案が国の財政当局からなされておるところは事実でございます。私どもは、これに対しましては、現在の国民健康保険制度の基本的な仕組みは、保険料と国庫負担金で給付費を賄うという仕組みになっておるところでございます。この点について、国保制度そのものについてさまざまな角度からの抜本的な検討を加えることなく、単に国の負担の一部を都道府県費に肩がわりをさせるということにつきましては、これは絶対に容認することができない、このような考えを持っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/116
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117・馬場富
○馬場富君 これは重大なことでございますので、厚生大臣も自治大臣も、大蔵省の方針を折衝に際してどのように受けとめられたか、ひとつ厚生大臣と自治大臣の確固たる御答弁を願いたい。これは大事な問題ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/117
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118・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 先ほども申し上げておりますように、この老人保健制度の改正をお願いいたしました後の最も重要な課題は、医療保険の一元化を目指す中で国保制度をどのように改革していくかということでありまして、この問題について国民的なコンセンサスが得られるような幅広い検討に着手したいと考えておるわけでございます。そういう検討の中においては、幅広くいろんな問題を検討いただくわけでございますが、そういう中に国保における県の関係というものについて当然御議論があるものと思うわけでございます。
先ほどの御質疑にもございましたように、現在の市町村を単位とする国保というものが、これを県レベルの単位に広げた方が財政的に安定をするのではないかという御意見もかねてよりあるわけでございまするし、また、いろいろな国の制度の中で県が全く関与をしていないという制度も非常にまれであるというふうに、私はかねがね感じておるわけでございます。そういう点なども考え合わせ、国保事業に関する県なり市町村のあり方というものも当然検討の課題になる、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/118
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119・葉梨信行
○国務大臣(葉梨信行君) 国民健康保険制度は、国民皆保険の一環といたしまして国の制度として設けられたものでございまして、この国民健康保険制度が健全に運営され機能していくということは、国の一義的に責任であると考えるわけでございます。そういう意味で、制度につきましての各般の見直しを伴うことなく、単なる財政上の理由によりましてその負担の一部を都道府県に転嫁するということは、自治省といたしましては認めることができない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/119
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120・馬場富
○馬場富君 自治大臣から力強い答弁をいただきましたが、ひとつ頑張ってやってもらいたいと思います。大蔵省に押し込められておってはどうしようもない。地方の負担というのはもう限度が来ておりますので、本当にしっかりお願いしたいと思います。
特に、この一部負担という問題の中で二つの論議がなされておりますが、局長で結構ですけれども、いわゆるその一部負担とは国庫の補助の一〇%案と医療給付金の七・五%案という問題がございますが、この点についての話も出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/120
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121・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 現在提示されております案は、現在の国民健康保険の国庫負担金は全体で療養給付費の五〇%、患者負担を除いた部分の療養給付費の五〇%でございます。この五〇%のうちの四〇%が療養給付費の負担金で、これは定率でもって交付をされるもの、残り一〇%が財政調整交付金ということになっておるわけでございますが、この定率部分の四〇%を三五%に減らし、そして財政調整交付金の部分を一〇%から一五%に上げ、その半分の七・五%について都道府県負担を導入したい、こういう考え方でございます。
財政調整交付金のあり方と定率部分の交付金のあり方、これはいろいろ議論はもちろんあるところでございますが、いずれにいたしましても、トータルは変えないで実質的に七・五%の都道府県負担を導入する、こういうことでございまして、先ほど来お答え申し上げましたような理由によりまして、自治省としては単に国の財政上の理由によってこのような負担の変更が行われるべきものではないと、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/121
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122・馬場富
○馬場富君 もう一点、やはりこの論議の中で出ておる問題は、この肩がわりのために地方財政に影響のないように地方交付金で処置をするという一つは論議がなされておりますようですが、こういう点につきまして不交付団体等のそういう問題についての見解はどういうような論議がなされておるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/122
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123・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 負担を振りかえてそしてこれを地方交付税で措置をしていくというような案を具体的に示されておるわけではございま
せんが、いずれにいたしましても、国保制度の負担にかかわる基本的な問題でございます。単に地方交付税による措置等の問題だけではもちろんないと存じます。また、もちろん地方交付税は実質的にはいわゆる交付税の交付を受ける団体のみについて機能するものでございますので、地方団体全体、不交付団体を含めてというような問題ももちろんあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そういった単なる財源措置をすればいいという問題だけでなくて、やはり制度の根幹に触れる問題であると私どもは考えており、そういう見地から、先ほど来申し上げたような、基本的な検討の行われることなくこのような措置が行われるべきでない、こういう姿勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/123
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124・馬場富
○馬場富君 先月、自民党の山中税調会長が私的な会合で、福祉目的税の構想を明らかにしたという報道がなされておりますが、これは政府税調などとともに答申した新型間接税の導入により増収分を社会保障の財源に充てるという、そういう考え方のようでございます。大蔵、厚生両省は、福祉勘定をつくるというこういう検討に対して、やはり税制改革後の課題ということが考えられますが、この点についてどのような考えを持っていますか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/124
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125・中島義雄
○説明員(中島義雄君) 山中税調会長の真意は必ずしも私詳しく存じませんが、財政の一般論といたしましては、目的税は資源の適正な配分をゆがめる、財政の硬直化を招くといった点からは好ましくないという議論があることは事実でございます。しかし、反面、間接税の改革に当たりましては、将来の高齢化社会に対応いたしまして、社会福祉財源を確保するため福祉目的税といったものを検討すべきであるという意見もあることは、十分承知いたしております。
社会保障制度のあり方につきましては、今後の高齢化社会の到来を迎えまして、制度が安定的かつ有効に機能するように、引き続き諸般の見直しを進めるとともに、本当に必要な施策についてきめ細かな配慮をしていくことが何よりも必要でございますけれども、その場合の財源をどのように確保するかといったことは、まさに国民的な大きな課題であろうかと思います。その社会福祉財源のあり方の問題につきまして今日出ておりますさまざまの議論も踏まえながら、これから幅広い角度で検討を進めていくべきものと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/125
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126・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 今後人口の高齢化が進むにつれまして、社会保障費の増大というものも避けて通れないわけでございます。この社会保障の財政というものをどのように安定的に確保していくかということは非常に重要な問題でありまして、そのためには特別な財源なり特別な会計でやる方がいいのではないかという御意見もございます。その場合に、福祉目的税というようなもので充当したらどうか、こういうこともございます。
私どもといたしましては、これは財政上の非常に大きな問題でもありますし、また社会保障の進め方についての基本的な部分にもかかわるものであります。また、どのような社会保障のどのような部分を賄っていくべきがいいか、また、どのような財源によってどのように安定していけるのかいけないのか、こういうような点についても細かく検討をしなければならない、こう思っておるわけでありまして、今私どもも静かに深く検討をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/126
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127・馬場富
○馬場富君 最後になりますが、この質問の場を通し、今までの質問を一つにまとめて、国も百五十兆を超える赤字財政があるが、地方にもやはり六十兆になんなんとする赤字があるわけです。それで、円高やそういう不況によってのしわ寄せもずっと地方に来ております。そういう点で、やはり真の行革という意味からも、私は地方にしわ寄せをするあり方というのは真の行革ではない、行革の中でやはり特に中心に考えるべきことは、いろんな問題が出されたけれども、私は地方と国との間の配分の問題やそういうところに一つは改革のポイントがあると思う。そういうものを改革せずに、中央の財源が苦しいから地方に財源をしわ寄せをしていくというようなこういう処置を繰り返していったならば、これは共倒れになってしまうし、やはり真の行革の意味から外れていってしまうということに私なると思うんですね。
だから、国でも二〇%近いのが国債費に使われておるというような財政機能というのは、まさしくサラ金財政だということですよ。地方でもやはり同じようなことが言えるわけで、そこへ持ってきて地方の負担が今後もふえるような問題ができてきたならば、これは本当に地方としても大変なことだ。
特に地方は、私どもも経験しておりますが、かつて五十年代に入る前後に、第一次、第二次オイルショックのときにかなりやはり地方は地方なりの行革をし、法人、住民税等のマイナス面を補うための随分苦しい中で、一つは改革も行ってきておるわけです。それを今後どんどん負担していくことがふえていけば、かえって地方がお手上げをしていく結果になってしまうと思うんですね。だから、私はそういう意味でこの保健法のこともそうですけれども、この国のやり方について非常に私は憤りを感ずるわけですし、もっともっとやはり自主性ある一つは政治のあり方を考えるべきじゃないかと思う。そして、地方は地方で自主性を持たしたそういう運営ができるような地方自治を確立すべきじゃないかと思う。だから、かつて三割自治と言われた地方財政をある程度までこの行革の中で立て直してこそ真の行革であるが、それに逆行するような行き方というのは私は大変矛盾があると、こう思いますが、ひとつ両大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/127
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128・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 社会保障の各政策を進めてまいります場合には、国もさることながら地方との連携、また住民に非常に近いところにあっていただく地方自治体において、具体的に実施をしていただくという面が非常に多いわけでございますので、そういう観点から地方も国もその責任の分担というものをそれぞれの制度なりそれぞれの事項について分担をし合い、またそれにかかわる財源というものも確保しつつ、安定的に進めていく必要があるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/128
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129・葉梨信行
○国務大臣(葉梨信行君) 中央でただいま国の財政が大変苦しゅうございます。同様に、地方自治体におきましてもなかなか困難な問題がある、こういうことは先生と同じ認識でございます。
問題は、中央でやるべき仕事と、地方でより責任を持ってやった方がいい仕事とございましょう。そういう意味で地方分権という考え方を進めて、それぞれが責任分担を持って仕事を分け合ってやっていく、こういうことが必要ではないかと思うわけでございます。また、地方でやるべき仕事を今中央でやっておりますものを権限移譲するということにつきましては、それなりの財政的な根拠を地方に与えなければ地方の仕事も進まない、こういうことで、中央と地方との仕事の見直しと同時に、財源の配分につきましても基本的な見直しを進めていかなければならない、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/129
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130・神谷信之助
○神谷信之助君 私は、まず皆保険制度の問題を議論したいと思うんです。
国民皆保険制度の根幹は国民健康保険制度でありますけれども、これが国の財政の危機的状況と相まって、国民健康保険財政も大変なピンチに陥っています。その中で、特に今回出されている老人保健法案に見られるように、皆保険制度の土台そのものが崩されようとしているというように私は思うんです。したがって、そういう角度からこの問題をまず論議したいと思うんです。
先ほど同僚委員の質問に対して自治大臣は、国民健康保険制度が国民の皆保険制度の根幹であり、そしてそれは国が一義的に責任を持って運営すべきものだというように明快にお答えになりました。私も全くそのとおりだと思うんですけれども、具体的に、しかし、国民健康保険の運営を直接担当されている厚生大臣、当然同じ見解だろうと思うんですが、一応念のためにまずお聞きをしておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/130
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131・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 国民健康保険は、厚生省が所管をいたしまして、各市町村において国民健康保険を実施、運用していただいておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/131
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132・神谷信之助
○神谷信之助君 いえ、質問を聞いていないといかぬ。
自治大臣は、先ほど、国民皆保険の根幹をなすもの、それが今の国民健康保険制度だ、この国民健康保険制度は、したがって国が一義的責任を持って進めるべきものだと、こういう見解を示されたわけです、先ほど同僚委員の質問に。それで、当然厚生大臣も同じ御見解でしょうなと、こう聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/132
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133・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) そういう点につきましても、これからの国保の幅広い見直しの中でいろいろと御検討をいただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/133
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134・神谷信之助
○神谷信之助君 いや、国民皆保険制度の根幹をなすもので、国が一義的な責任を持つものだというようには現在少なくともお考えになってないんですか。現在はお考えになっている、あるいはそれを見直すとおっしゃるのか、一体どういうことなんですか、今の答弁は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/134
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135・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 現在はそういう仕組みになっていると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/135
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136・神谷信之助
○神谷信之助君 そうだと思うんですね。昭和三十三年に国民健康保険法の全般的な改正があって、その提案理由の説明の中で、国民皆保険の基礎法として全面的に改正をしようとするものであるという提案理由の説明がなされています。したがって、国民皆保険体制の確立のため国の責任を明確化した。従来の補助金というのを負担金というようにしたがって変えたんだと。名前を変えただけではなしに、先ほど自治大臣も言ったように、国の第一義的責任をもって運営すべきものということになっているんですね。だから、国民健康保険には他の健保なり何なりに入っていない人は全部強制加入なんですね。約二千万人近い人がこの法律ができたことによって強制加入と。
強制加入をするということは、その人の所得がどうであろうとすべての国民が医療給付を受ける、あるいは医療を受けることができる、そういうものを保障するということを国の制度として確立をしたわけでしょう。したがって、強制加入ですから負担能力のない人も当然入ってきている。そこで、民間のそういう医療保険制度と違って減免規定も設けて、そういう人についても保険料を納付するしないにかかわらず、すなわち所得のいかんにかかわらず、医療を受けることができるという制度になっているわけでしょう。この点は間違いないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/136
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137・下村健
○政府委員(下村健君) 確かに、国民皆保険というのは国が責任を持って推進をした政策でありますが、今後の高齢化社会を控えて、国の責任は責任といたしまして、それぞれの関与の度合いをどのようにすればよいか、地方団体の役割というふうなものも含めて今後見直してまいりたいということでございます。
今の問題でございますが、皆保険ということで社会保険制度という前提で発足をいたしましたので、強制加入ではございますが、保険料を全く負担する能力がないという者まで強制加入をするという趣旨ではございませんので、給付を受ける権利と同時に、保険料を納める義務も負担していただくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/137
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138・神谷信之助
○神谷信之助君 大臣がうっかり乗ったらいかぬと思って早速出てきましたがね。確かに、生活保護の方は福祉ですから、それは外していますよ。だから、その趣旨を今おっしゃったのだろうと思うんだけれども、しかし、やっぱり、いわゆる法定減免の制度をつくっているわけで、そしてそれに対して国が法律で減免制度をつくって、その適用者に対する四割、六割の減免措置をやりますわね。そうすると、それの補てんは従来は十割給付で、軽減費交付金で十割の補てんをされたわけなんです。ところが、五十九年でしたか、それを八割になさったでしょう。
そこで、自治省に聞きますけれども、そのときに、これは五十九年の五月ですが、私は参議院の地行でこの問題を取り上げて自治省の見解を問うたときに、この国保税の減免規定の問題というのは国民皆保険制度と結びついて生まれてきたもので、これも減免措置、国の二割カットという問題、二割は調整交付金回したんですけれども、これは自治省としては厚生省と十分協議したいという趣旨の答弁を当時の津田審議官がやっていますが、この点は間違いないんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/138
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139・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 昭和五十九年の五月の参議院の地方行政委員会におきまして、ただいまの点についての御質問がございました。
当時の津田政府委員が、軽減費交付金の問題は、「国民健康保険という制度が国民皆保険を維持するのに非常に大きな役割を果たしておるわけでございますから、そういうようなところから結びついてきて出てきておるものと、このように基本的に理解しております。そういう意味におきまして、法定軽減の基準額につきましては低所得者の負担の状況等を勘案しまして、やはり適宜的確に措置をしてまいらなければならない、かように思うわけでございます。それで、これの問題に絡みまして調整交付金の配分、厚生省で検討されておられるようでございますが、その問題につきましてもやはり保険料軽減という制度の性格というようなものから議論しなければならないのではないか、かように存じております。」、こういうような趣旨の答弁をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/139
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140・神谷信之助
○神谷信之助君 国保は、したがって国保料という形でも国保税という形でも徴収ができるんだけれども、今現在は市町村で、九〇・七%の市町村は国保税を採用しています。保険料ではなく保険税という徴収の方法が圧倒的に多いわけですが、この理由は一体なぜでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/140
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141・下村健
○政府委員(下村健君) これは実質的意味において変わりは余りないと理解しておりますが、戦後の皆保険、国民健康保険の普及時において、税という形が適当であろうというふうなことを指導いたしまして、その結果、現在でも多数の市町村が保険税方式を採用しているという経緯であると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/141
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142・神谷信之助
○神谷信之助君 だから、保険税も保険料も同じように地方税法の適用を受けて強制徴収もできるようになっていますから、実質は変わらないですね。ただ、保険税と言う方が徴収しやすいというか、強みを持つ感じがありますから、市町村も大体ほとんどが国保税という形で徴収をするということをやっているんですが、これは結局、療養の給付を受ける受けないにかかわらず国民全体が負担をする、加入者全体が負担をするということになっていますわね。
また、しかもその中には応益とそれから応能、これは一応法律上五割、五割ということですけれども、実際上は七割ぐらいが応能部分になる、あるいは多いところは八割ぐらいが応能になっているところがありますけれども、大体負担能力に応じて保険税を納めながら健康保険の制度を、国民皆保険の制度を維持しているわけですね。こうなっているのが一つと、それで、もしその保険税を滞納したら滞納に対する処分ができるわけでしょう。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/142
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143・下村健
○政府委員(下村健君) お話しのように、国民健康保険の保険料、保険税等につきましては、滞納処分ができるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/143
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144・神谷信之助
○神谷信之助君 そうすると、今度の法改正で滞納している悪質な者については保険証の交付をしないということになるんだけれども、そんなことせぬでも、悪質なそういう滞納者に対してはちゃんと滞納処分ができるわけだ。それをなぜやらないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/144
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145・下村健
○政府委員(下村健君) 滞納処分はもちろんできるわけでございますが、適当な差し押さえ物件がない、あるいはその差し押さえ物件の名義を変更する、あるいは隠匿するというふうな方がおられますので、今回そういう悪質滞納者については滞納処分以外の措置もとれるようなことにしたいというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/145
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146・神谷信之助
○神谷信之助君 それは全国で何件ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/146
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147・下村健
○政府委員(下村健君) これはもう個別認定の問題でございますので、私どもとして総数を的確に把握するということは現状では直ちには困難でございますが、滞納件数が現状で大体百万ぐらい、そのうち半ば以上は納期を過ぎて納付される方がかなりある、半分以上はそういう方だというふうに聞いております。それから、滞納処分を行っているものが大体十五万件と聞いております。滞納件数の数よりもはるかに少ないんではないかというふうに考えておりますが、今回の措置によりまして、これはあくまで個別認定ということになりますので、どの程度の数が悪質滞納になるかというのは、数としては把握いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/147
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148・神谷信之助
○神谷信之助君 しかし、おかしいんですよ。国税でも地方税でも、滞納者に対しては差し押さえ処分するんでしょう。そしてその場合、悪質な人あるいは悪賢い人というか、いろいろ名義を変えたり隠匿をしたりしますよ。そういう人も中にはある。そういう才覚がなくて、まともに差し押さえられる人もある。それが滞納額に達しない場合には、残りはこれは徴収不能処分にするわけだ。だから、そういう制度がありながら捕捉しにくいとかどうのこうのと言って、そうして別の手段を持つわけです。医療給付を行わないという別の手段で脅迫をする。これはまさに国民皆保険制度と真っ向から対立するものです。矛盾するものです。そうはお考えになりませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/148
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149・下村健
○政府委員(下村健君) 今回の措置は、給付を行わない、あるいは被保険者としての資格を剥奪するという性格のものではございませんで、被保険者の資格証明書を交付するという形で、その間に保険料納入についての適当な計画を立てていただきまして、また被保険者としての通常の給付の形式に戻すということを通常のルールで考えているわけでございます。被保険者の資格証明を発行する期間におきましても、立てかえ払いをしていただきまして、その後で償還をするというふうな方法は講じてまいりたいと思いますので、皆保険の精神に反するというふうなことはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/149
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150・神谷信之助
○神谷信之助君 それじゃ保険証を渡したらいいじゃないですか。証明書を渡さなくて保険証を渡したらいいじゃないですか。悪質な滞納者がどれだけおるのか正確に捕捉もできない、そういう状況の中で、しかも滞納者に対して滞納処分もろくすっぽやらない。捕捉しにくいんだと言ってやらない。やるべきことをやらないで、今度は逆に、保険証を渡さないで証明書を発行するんだと言う。ところが、現行法ではまだそういう状況になっていないんだけれども、既に現行法のもとでもあちこちで資格証明書みたいなものを出しているでしょう。調べてみますと、非常に現場ではひどい状況もあります。全部が全部そうだと言うんじゃないですよ。しかしその中にはあります。
例えば、大阪の高石市のYさんという人ですけれども、三十七歳の御婦人で高校一年生の娘と二人で暮らしていて慢性の膵臓炎のために仕事に出る日も少ない、それで三年前から国保料を滞納して、そして四カ月間の期限つきの保険証ももう二年前に切れたままと。だから、もう交付されない、証明書ももらえない、こういう人も現に出てきている。
札幌市のSさんの場合もそうです。年間二十九万円の国保料を会社が倒産して払えなくなって、約十万円滞納です。夏の働ける時期は何とか月一万円ずつ払ってきた。しかし、一たん滞納したものはそう簡単に返せるわけもなくて、借金に追いまくられるという状況で、それで区役所の国保課の窓口を訪ねたら、減免の制度も知らされないまま、なけなしのあと残っている生活費二万円を払って、やっともらえたのが二カ月の期限つきの証明書です。これはあとはくれないのだから、払わぬ限り。だから、現実にまだ法律が改正されていないそういう状況で、もう既に現場ではそういう状態があちこち全国で起こっています。
秋田県の大曲市のKさんという方の場合もそうです。毎月五千円だけとりあえず納めるということだったけれども、年間十一万円ですから、毎月五千円ずつ払っていっても払いきれぬわけでしょう。そうすると、保険はみんなが払っているのにあんただけ特別じゃないと言って、市役所へ行くたびにいろいろ家庭のことや収入のことを根掘り葉掘り聞かれ、それであげくの果ては説教じみた小言まで言われて、そしてその上で申しわけなさそうに五千円を窓口に出して帰ってくる。これはKさんです。それで、ことしの二月にとにかく滞納金三万円を払うという約束を書けと言われて書かされた。それを払おうと思ってためているうちに子供が病気になって、そのためているやつを使ってしまった。だから、結局一万円しか払えなかった。そうしたら、おまえは約束を破った、町から出ていけと言わんばかりに言われたと。なぜそんなことまで言われなきゃならぬか。税金やから、払うべきものやから払いたい。しかし、払えぬからちょっと待ってくれと言うているのに、そういう仕打ちを受ける。これは、収納率を上げぬとペナルティーが出ますから、だから担当のなにはもう必死になって徴収率、収納率を上げようとする。滞納を一掃せざるを得ぬということで尻をたたかれている。こういう状況があちこち現実に起こっているんです。
これは私は、まさに筋違いの、国民皆保険なんだから貧乏であろうと所得がどんなになかろうと、とにかく病気したら早く医者へ行って診てもらって、そして軽いうちに治せば早く治るんです。昔は、僕らの子供のときは国民皆保険制度がなかったですから、だからお医者へ行ったときは、もう遅過ぎました、御臨終です、薬石の効なくてというて死の宣告をしてもらうだけだったでしょう。だから、僕自身もそうですよ、みんな鼻が悪い、目が悪いというても、そう簡単に医者へ行かしてもらえなかった。だから、そういう収入の多い少ないによって医療を受けられる人、受けられない人があってはいかぬということで国民皆保険制度をつくって、そして国が第一義的な責任を持ってこれからやりますと言ってやったのが昭和三十三年の改正でしょう。ところが、おまえは払えないからけしからぬ、払う義務を果たしてないからけしからぬ、保険証をだから渡さぬのやと。本当に悪質なやつだったら差し押さえしたらいいじゃないですか、できるんやから。警官の目の前で人殺しがあった、そしたら警官は現行犯で逮捕できますよ。しかし、こいつは人間を殺したんやから死刑やと言うて、すぐ死刑にするわけにいかぬでしょう。ちゃんと裁判、三審制度を受けて刑の確定まで執行はできない、そういうものなんです。
だから、確かに困難やとか手間やとかいろいろそういうものはありますよ。しかし、それはちゃんとやれる制度になっている。国民の基本的人権を守るためには、そういう手順を尽くさにゃいかぬ。だから、そういうことを法律で決めているんです。その手順をやればいい。ところが、そっちをやろうとすると面倒やし、そして逆に滞納処分しても、あるいはまた裁判に勝利できるかどうかわからぬような、いろんなまだ隠された問題がそう簡単にわからぬわけですから、実際に払えないのか、払えるのに払ってないのかというのは、表から見ただけではわかりませんよ。だから、簡単に差し押さえもしないんです。また、できない。できないものだから、今度は保険証を渡さぬぞという脅迫をやる。医療給付をやらぬぞと言う。
あなたおっしゃるように、証明書を持っていったらやれると言うのですが、滞納額、滞納期間、これに応じて六カ月やったり、四カ月やったり、二カ月やったりしているじゃないですか。ひどいのは、報告でいえば七日間というやつもあります、七日間の証明書も。そういう例も現実に起こっているじゃないですか。だから私は、国民健康保険制度が国民皆保険の根幹であるのに、しかも徴収する努力に手を尽くさないで、そうして保険証の交付で脅迫をするという、まさに許すことのできぬやり方だと思うんです。厚生大臣、どうですか。これは政治的問題だよ。制度の問題でない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/150
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151・下村健
○政府委員(下村健君) 医療保険制度で見ます
と、むしろ保険料を払わない場合には給付を差しとめるというふうな方式をとっている国の方が多いわけでございます。
これまでの我が国の場合は、保険料を納めないでも被保険者証は無条件に近い形で交付するというのが通例になっていたわけでございまして、むしろ保険制度をとりながらそのような形で行ってきた我が国の方が、国際的に見ると数少ない例の方ではないかというふうに考えております。イギリスのように、ヘルスサービスというふうな形でやっている場合は、これは保険料負担という問題はございませんので別でございますが、それが通例の形になっております。
〔委員長退席、社会労働委員会理事岩崎純三君着席〕
それから、国保の場合には六割軽減あるいは四割軽減、低所得者に対するそういう制度的な一般的な制度もございますし、また個別の事情に応じまして、先ほどお話に出ましたような、特に長い病人を抱えているというふうな場合には、個別減免の制度もあるわけでございます。したがって、いろいろお話が出たケースにつきましては、やはりこれは市町村の窓口で十分事情をお話しいただいて、その状況に適した保険料納付の方法を考えていただくというのが私どもとしては筋ではないかと思っております。また、どうしても継続的に保険料を払う見込みが立たない、これはむしろ国保の適用の可否が問われるようなケースでございますので、ちょっとこの場合とは違ってくるというふうに考えております。
一般的に今お話に出たような方でございますと、むしろ月々の保険料は一般よりも低い場合が多いのじゃないかと思うわけでございますが、余りたまる前に、ぜひとも積極的に市町村の窓口と接触をして、御本人の状況に即した保険料納付の方法を考えていただくというのが、私どもとしては適当ではないかと思うわけでございます。そのようなこともございますので、一般には極めて安い保険料をためてしまうという方が比較的多いようにも思われますので、私どもとしては、今回のような形でそういう方の自覚を促すという面も含めまして、ぜひとも今回の制度は御理解を賜りたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/151
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152・神谷信之助
○神谷信之助君 国際的にまれだと言われるけれども、どっちがいいんですか。所得に関係なしに国民の医療を確保するという方がいいんでしょう。金がない者はもう医療を受けぬでよろしい、野たれ死にせいという制度の方がいいというような言い方は、私は聞くわけにはいかぬ、今の局長の答弁は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/152
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153・下村健
○政府委員(下村健君) 私どもとしてはそれを両立させたいということで、給付を停止するということではありませんで、資格証明書を出して、ある程度給付面についても最小限の保障はする。その一方で、普通の給付とは違った形をとって、その間に保険料納付についての御相談をさせていただきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
確かに、お金がなくてかかれないというふうな国も困りますけれども、保険料がなくても幾らでも給付が受けられるということで、一般に相当苦労しながら保険料を納めておられる方の保険料納付の意欲をそぐというのも、もっと困ることだというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/153
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154・神谷信之助
○神谷信之助君 この間、京都市の定例市会が十二月の十一日に開かれた中で発表しましたけれども、六十年、去年の四月の保険証の交付時から努力を始めたんですね。保険証の未交付というのは六十年四月当初で約七千件、その後ずっと努力して、この間十一月末で百二十九件になったんですよね。そのうち三八%ぐらいは、先ほど局長も言ったように、納入のおくれとかなんで、すぐ払ってもらえる。一九%ぐらいは誓約書を書いてもらってやる、そのほかはいろんな理由があってというのが出ているんです。ずっとそうやって努力をしていけば、個別にそれぞれの事情に応じた解決の方法というのができるんです。
私は、保険料を払わぬと、そしてただで医者にかかって病気を診てもらおうというようなそういう不心得な考え方の人は一人もいないとは言いませんよ。それは若干おるでしょう。しかし、だれでも国保税として来、税金として来れば、払えるものは何とかして払っていきたい。それは払う手続が面倒くさかったりあれして、おくれたりする人もその中にあります。しかし、全体としてはそういうのが国民の今の感情でしょう。その中で、しかし、払いたくても払えないという人がある。それについては、事情を聞いてそれなりの保険証を渡して、そしていつまでにはやってくださいよといって話をしたらいい、資格証明書を渡すまでせぬでも。結局同じことなんでしょう、保険証を交付しても資格証明書を出しても。同じように医療を受けるんやったら、それなら保険証を渡したらいい。
問題は、あとどういうように自立していき、そして自立していくことをお手伝いをしながら、それぞれの福祉事務所が、あるいは国保の担当者が、単におれは国保だけやということじゃなしに、福祉全体のことも考えながらそこで協力し援助し、そして自立していける状況をつくっていくというのが前向きでしょうが。そうじゃなしに、頭から滞納しているのはけしからぬ、二年間も滞納してけしからぬというようなことから窓口が物を見ていると、先ほど言ったような事例が起こってくる。私は全部が全部そうやと言っているんじゃないですよ。これもわずかなあれかもしれない。しかし、現実にこういう問題が起こっているから言っている。
この辺はひとつ大臣、今度の国保の問題では、もう特に国民皆保険制度そのものを土台から崩しかねない重大な問題だ。徴収する方法はあるんやからね。それをやらぬと、脅迫的に保険証を交付しないというやり方は、これはもう邪道も邪道、筋違いのものだと、こういうふうに思うんですが、もう一遍大臣自身の見解を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/154
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155・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 今回の措置は、先生が先ほど挙げられました個別理由のような、払いたくても払えない方々に対して措置をするというものではないわけでございまして、払えるけれども故意にこれを滞納するような悪質な滞納者に対して措置をしようというものでございます。
〔委員長代理岩崎純三君退席、委員長着席〕
これは、非常に乏しい中でも一生懸命まじめに払っていただいている方々との公平ということも、これも大事なことであるというふうに思いますし、またこれは保険資格そのものを取り上げるというものではなく、今も御説明をいたしておりますように、資格証明書において給付は最低限受けられるという形をとっておるわけでございますから、国民皆保険の精神を崩すというものではないわけであります。こういう措置が背景にあるということによって皆さんの自覚を促し、そしてできるだけの納付をしていただくということの推進になれば、大変結構だというふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/155
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156・神谷信之助
○神谷信之助君 今の大臣の答弁には私は納得はいたしません。現に、軽減費交付金を十割から八割に減らしただけでも、減免規定の適用をできるだけ厳しくやるという、絞り込むという、そういう市町村がもうずっと出てきていますからね。わずかなそんなことでも、もう今の国保財政から言うと、できるだけ負担をしなくて済むような方向にどんどんと進みつつあるわけで、今局長が答弁するようなきれいごとで現場は済むはずはないんだ、こういうことを申し上げておきたいと思います。
それから、その次の問題は国保財政問題です。先ほども話が出ていましたけれども、来年度の予算編成に当たって、国保に対する国の療養給付の負担金、これの負担率の切り下げ、それによる二千八百億円の都道府県、政令都市への負担の転嫁とか、それから国保の窓口職員に対する人件費、事務費の補助約七百億円の打ち切りなどが大蔵省から提起をされているというように報道されていますけれども、厚生大臣、既にこれはこういう方向で協議が始まっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/156
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157・下村健
○政府委員(下村健君) 確かに、六十二年度予算編成に関連いたしまして、そのような話は来ております。ただ、厚生省といたしましては、先ほど大臣も申し上げたわけでございますが、医療保険制度全体の流れの中で国保問題を幅広く検討すべきであるという態度でございますので、大蔵省の期待どおりに六十二年度予算に間に合うように答えが出せるかどうか、なかなか難しい問題であるというのが素直なところでございます。
事務費の話は、私どもは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/157
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158・神谷信之助
○神谷信之助君 その次は、今度は自治大臣の方にお伺いしますけれども、地方制度調査会が十一日に総理あてに答申を行っています。
その中身を見ますと、「国民健康保険制度の根幹に係る重大な制度の変更」だと、そういう指摘をして、これは「行うべきではない。」というように明確な意思表示をなさっています。それからまた、地方制度調査会の答申は、もう一つ例の補助金カット問題ですね、三年間暫定措置を延長した際の大蔵、自治両大臣の覚書等の経緯を踏まえて、「国・地方間の財政関係を基本的に変更する措置はとるべきではない。」ということもつけ加えて一緒に答申をしています。
これは、先ほどもありましたけれども、大臣がおっしゃるように、国が第一義的に責任を負って進めるべき国民健康保険制度に対する国の撤退というか後退というか、これでもありますし、同時にまた、補助金カットの問題は今日の地方財政にとって極めて重要な問題で、単にあの中には国保制度だけではなしに、生活保護なり制度上のいろんな問題を十分に基本的に解明するのではなしに、財政面からの補助金カットになっていますから、そういった問題を含めて、自治大臣の見解及びこれから予算編成に当たっての自治大臣の決意というものを聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/158
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159・葉梨信行
○国務大臣(葉梨信行君) ただいま国におきまして、来年度の予算編成に向けまして鋭意その作業が進められております。御指摘の国庫補助負担率の取り扱いなど、地方財政に影響を及ぼすと考えられる問題が、その中には幾つか提起されているわけでございます。自治省といたしましては、これらの課題に対しまして、今回の地方制度調査会の答申、ただいま先生が触れられましたような趣旨を踏まえて、対処してまいりたいと考えております。
まず、国庫補助負担率でございますが、昭和六十一年度の引き下げの際、三年間の暫定措置として、その旨第百四国会で成立を見ました補助金特例法でも規定しているところでございます。また、昭和六十一年度の折衝の際に、大蔵、自治両省間で、今後三年間は国、地方間の財政関係を基本的に変更するような措置は講じないと覚書で確認しておりまして、この基本的な考え方に立って対処してまいりたいと思います。
また、国民健康保険につきましては、国庫負担の一部を都道府県に肩がわりさせるというようなことには反対でございまして、関係省庁と折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/159
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160・神谷信之助
○神谷信之助君 その中でも、これは厚生大臣、療養給付費負担金の給付費に対する比率七・五%の削減という問題が出てきましたね、先ほどもありましたけれども。そして、現行の調整交付金の一〇%を一五%にしていく、総枠は変わらへん、分け方が定率部分を減らして調整交付金に持っていくんやということが言われているんですけれども、これ自身も定率負担の軽減といいますか、削減分を調整交付金にすりかえるということは、これはこれ自身が重大だというように私は思うんですよ。国民皆保険の趣旨から言うたら、その点でまず定率部分をはっきりさせて、そして調整交付金というのは調整交付金でやって、この調整交付金がどんどんふえていくということは、国が第一義的に責任を持つということを財政的に保障しない、そういう結果になっていくわけですね。
だから、例えば自治省でやっている交付税の問題でも、特別交付税の方をうんとふやしていけば、ただそっちをどんどんふやしていったのでは、今度は基本的部分というやつが、全体として同じ枠ですと、減らされていくわけですね。それと同じようなものなんで、国保に対する国の責任の後退を示すものだというように思うんですよ。これは、先ほど言いました軽減費交付金の十割を八割にして、二割分を調整交付金に持ち込んだというのとやっぱり同じであって、私は地方の自主性なりあるいは国保財政の民主的運営にとって大いに問題があるというように思うんですが、この辺、自治省、厚生省の見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/160
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161・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 御指摘のような案が提起されておりますが、国民健康保険の療養給付費の国庫負担というものは、本来、国保の被保険者にとっては事業主負担の保険料がないということ、それから負担能力の乏しい低所得者を抱えているということ、あるいは保険者間の財政力の格差を調整する必要があるということなどの理由により行われておるものでございますが、定率分というのはやはりこれは基本だと思います。現在の厳しい国保財政の状況、他の医療保険と比較して保険料負担水準等が高いということを考えれば、やはりこの基本は守られるべきだと思います。
財政調整交付金は、いわゆる保険料軽減交付金に当たる分、それから市町村の国保の財政力を勘案して交付される分として、その役割をそれなりに果たしておるものと思いますし、またそれなりの必要性はあろうかと思いますが、基本的に現在の国庫負担の枠内でこの率を変え、しかもその調整交付金の一部につきまして都道府県費導入という考え方は、これは単なる国庫負担の地方への肩がわりにすぎないものと、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/161
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162・下村健
○政府委員(下村健君) 基本的には、財政力と申しますか、各保険者が持っております保険料負担能力と申しますか、そういう基礎的な財政力と、それから各市町村間の国保の格差がどの程度あるかというふうな実情に応じて、定率負担と財政調整とどういうふうにあるべきかということは決められるものと考えております。
したがって、今のままでいいかどうかということについては、さらに検討を重ねていかなければなりませんが、私どもといたしましても、現状において定率負担はやはりある程度のものは必要であるし、それとの関連において格差を是正するに足るだけの財政調整はやっていく必要があるということでございます。現在の制度は五十九年にできたところでございますので、これを変えるにはやはりある程度その後の状況を十分に検討した上でということになるのではないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/162
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163・神谷信之助
○神谷信之助君 これは、大蔵省の方は余りよく知らないで、どうやって国の出し分を減らしていくかということからいろいろ工夫をしはるわけで出てきているんでしょうけれどもね。
国保運営実務研究会、厚生省からも出て、実務者と一緒に研究会をやっておられますが、その記録を見ると、調整交付金の配分についても財政力の判断、いろいろ意見が出ていますよね。標準保険税のようなものがないのにどうやって見るのか、基金を取り崩したり保険税を引き上げたりいろいろ千差万別ですから、そういったものについて一体どう見るのか、形式収支だけ見れば皆黒字になるけれども、実質収支はほとんど皆赤字じゃないのかというような意見が地方の担当者から出ていますからね。だから、この点はやっぱりそういった実態をも見回した上でやらないと、財調交付金をふやすだけで事は解決しない。やっぱり定率部分でしっかり基本のものをぴちっと財政を保障していくということをしないと、ぐあいが悪いというように思うんです。
それで、その次に退職者医療制度の問題に移ります。
これも同僚委員がそれぞれお話しになっていますから重複を避けますが、大体昨年度の千三百六十七億の補てんというのは、これは地方団体側から言うと影響額は三千億を超えるというのを、厚生省の方で調査をして二千八十億円と、その三分の二を補てんするということで千三百六十七億円
が配分をされた。したがって、この間の十月八日の全国市長会でも、昭和六十年度補てんの未措置額七百十三億円、その千三百六十七億と二千八十億の差額を未補てん額として、これも早く補てんをせいという緊急要望が出ているわけですよ。こういう状況にあるんですが、厚生大臣、これは厚生省の見込み違いなんですよ、あの退職者医療制度を導入したとき。
私もあのときに言ったんだけれども、これの制度導入によって保険税を引き上げることはありませんと言うて、バランスシートを出してこられた。ところが、よく見たら、減らす方は補助金をばんと減らしていますわね。それで、プラスの面は何かと言ったら、医療の適正化で何ぼ浮きますなんかって、これはやってみないとわからぬやつばかりです。それで、何人退会しますからどうのと言ってね。だから、僕はあのとき、確定しているのは補助金削るというだけやないか、あとは見込みやないか、見込み違いが起こったらどうするんだと言ったら、いや絶対に見込み違いはありません、保険税が引き上がるということはありませんというのが当時の厚生省の答弁です。
ところが、実際やってみたらどえらい穴があいたわけでしょう。だから、それぞれの国保には何の責任もないわけです。厚生省の方の計算違いというか見込み違い、これでなっているんですからね。実際には地方から言わすと三千億を超える影響が出ているんやと。しかし、厚生省が二千八十億とおっしゃるならそれで結構だから、それだけ満額ちゃんと補てんをしてもらいたいという要求は、当然の要求だと思うんですがね。これは、厚生大臣、ひとつ引き続いてこれにこたえる努力をすべきだ、これでもう話は済みましたといって放棄をするようなことは許されぬというように思うんですが、いかがですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/163
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164・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 退職者医療制度の加入者の見込み違いによりましての影響につきまして、今お話のございましたように、五十九年、六十年度分につきましては千三百六十七億円という補てんをいたしたわけでございます。現下の非常に厳しい財政状況の中で補てんをさしていただいたわけでございますが、なお不十分であることは私どもも十分承知をいたしております。それについて、各国保の皆様方が格別な御努力をいただいておるということも承知をいたしております。
私どもといたしましても、なお引き続き国保の財政状況等の推移を見つつ、誠意を持って努力をいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/164
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165・神谷信之助
○神谷信之助君 そこで、もう一つの問題は、この千三百六十七億円の配り方の問題ですが、影響額補てんがその六割で、あとの四割は財政調整に充当するという配り方をなさったわけですよ。だから、影響額の補てんだというように自治体は思っているわけですね。ところが、実際は、千三百六十七億自身が厚生省の言う影響額の三分の二にすぎない。それでその上に補てん分は六割ということになりますと、片一方、財政力がよろしいということで調整交付金の来ないところは、結局約八百の市町村の国保は政府が認め厚生省が認めた影響額の三九・六%、四割足らずしか来ない、いいということになってしまうわけですよ。
ですから、この研究会でも一例として足利の担当課長さんが言っていますけれども、その担当課長さんは二千八十億そのものが影響額の三分の二だと、こう思っていたわけですね。二千八十億のまた三分の二に削られるとは夢にも思ってなくて、二千八十億が来るんだろう、これが影響額の三分の二だろうと。それを低目に見て二億六千二百万円来るであろう、配分されるであろうということで予算を組んだら、実際は一億四千四百四十余万円と。だから、その決定も三月段階ぎりぎりで来るわけですから、結局市長の専決事項で処理をせざるを得なかったというなにを言っていますけれども、こういう状況が実際に現場で起こっているのが報告されているわけですね、この研究会で。
それでしかも、退職者医療制度を導入することによって保険税の引き上げにはなりませんと言うけれども、ところが、実際には足利市で保険税のアップをせざるを得なかった。確かに医療費の増高によるアップもあるけれども、この退職者医療制度の影響によるアップも含まれているんだと、こういうことを言っていますね。私もそうだと思いますよ。これはあっちこっちに非常に大きな影響を与えています。
それで、例えば指定都市で言うと、全国一は大阪市で百二十五億の累積赤字で、二番目は私の地元の京都市で五十一億ですがね。これは、結局、五十九年度のその影響額が二十四億円だったのが補てんされたのは五億、普通調整交付金で十二億差し引かれて実際は五億だと、だから不足が十九億出ていますわね。六十年度は、五十二億の影響額に対して補てんは四十億しか来なかったから十二億の不足、六十一年度は五十七億影響額が出ていますがこれはまだそのまま、こういう状況になってきているんですよ。だから、累積赤字全国のワーストツーということになっていますけれども、京都市自身の責任によって生じたというよりは、退職者医療制度の見込み違いによる影響額、これでどんどんふえている。五十九年度は十大都市の中で五番目だったんだけれども、一挙に第二位に躍進をすると、こうなってしまっているんですよね。こういう実態が現実に起こっているんで、これは先ほど大臣も引き続いて努力をするとおっしゃったけれども、それをひとつ続けてやってもらいたいということを申し上げておきたいと思います。
そこで、その上に厚生省の中にある高齢者対策企画推進本部ですか、これが今年の四月に発表した報告書の中に、財源調整の比率すなわち応能、応益のうち応益部分の比率を高めよということが出ているし、あるいは保険料の減免基準の見直しといいますか、見直しというのは大体もっと厳しゅうせいということになるわけでしょうけれども、そういうのが提言されているんですが、これらも、先ほどから言っているように、まさに国民皆保険制度を維持する国の責任を後退させるものではないかと私は思うんです。国保制度の見直しを盛んにおっしゃっているんだけれども、これはそういう国民皆保険制度を一層前進させるという方向から厚生大臣、検討してもらいたいと思うんですよ。国が逃げよう逃げようということをやるからそういう見込み違いが起こったりするんで、より一層前進をさせる方向で国保制度を考えてもらうということはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/165
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166・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 国保の運営が安定的に強化されますように、財政の安定強化策を中心にして考えてまいるということは当然のことであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/166
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167・神谷信之助
○神谷信之助君 だから、言葉はそういうふうに歴代の厚生大臣も皆言われるのやけれども、実際にやられてきたことはどうかというと、この十年間を見まして、国保財政の推移ですが、五十一年から六十年度を比較しますと、国保財政規模が二・三六倍になっております。その中で保険税、保険料が二・六六倍に十年間に上がっております。それから、一般会計の繰入金は二・八六倍。それから、市町村の方も国保財政を維持するために努力しているという状況はわかりますわね。それに対して国の方は、国庫支出金は一・七七倍なんですよ。だから、どんどんどんどん国の方は後退をしているという状況が、この十年間の財政の推移、これを見てもわかると思うんですが、この流れをやっぱり変えてもらわないと、国民の要望、期待にこたえることができぬというように思うんです。これはひとつ自治大臣、厚生大臣、御見解を聞かせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/167
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168・下村健
○政府委員(下村健君) これから高齢化社会ということで、医療費の負担も相当ふえてまいるということを予想しているわけでございます。その中で、負担がふえてくるということになりますと、国民全体の負担を公平にしていかないと、相当な負担に耐えるような医療保険制度というものは維持できない、このように考えて、私どもとしては現在の皆保険制度をその大枠として維持する、そ
の中で一元化という方向で考えていきたいということを考えているわけでございます。
そういう対策をとっていく中で、ただいま御指摘のような国庫負担の問題もあるわけでございますが、しかし国庫負担はそういう形で一遍落ちましても、また現在の医療費の動向からいきますと、必ず一定の割合でふえてまいるという形をとってまいります。ということで、国としては現在の責任を回避するつもりもございませんし、現在の皆保険制度を維持するということを前提といたしまして、高齢化社会に対して適切な対策を講じていきたいというのが基本姿勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/168
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169・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 国民健康保険制度は、医療保険制度のいわば最後の支えの部分でございます。これが円滑に機能しなければ、国民皆保険というものは十分に機能しないということになるわけでございます。私どもとしては、現在の国保財政のよって立つ基盤が御承知のような形になっておりますので、これがスムーズにいくように、現在の国庫負担制度、現在の国保保険料のあり方等、全体を含め、またほかの医療保険との関連をも十分検討いたしまして、これからの国保財政のあり方を考えていかなければならない。それによりまして国庫負担についても適切なものが行われ、また保険料負担につきましてもこれが合理的なものとなるようにしなければならない、そういった方向で私どもとしてもいろいろまた今後研究も重ね関係省庁と協議もしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/169
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170・神谷信之助
○神谷信之助君 そこで両大臣にお聞きしますが、今、来年度からの税制をめぐって大論議になっていますね。いわゆる大型間接税が売上税というように名前を変えて出てくるようでありますが、これは、今、保険局長からも医療費の増高の問題を言われたけれども、これはもろにかぶってきますね、医療費の増高に。国民医療費十六兆七千六百億円ですか、これは前年比四・九%増になっているんだけれども、そのうち医薬品が約三割、税率五%として約二、三千億円ふえるという、そういう報道もありました。もちろんそれだけじゃなしに、医療器具あるいは入院している人のベッド、それから洗濯代から何からいろいろなやつに全部はね返ってきますから、これは医療費の増高は避けられない問題だと思うのですね。
それから、自治大臣、これは自治体の方も同じように、この売上税でやってくると事業費その他あらゆるところへ、人件費に至るまで反映をしてきますね。物価に直接的に影響するし、便乗値上げも出てくるし、そういう代物ですがね。これは自治省、地方自治体の面倒を見ている自治大臣としても、あるいは国民医療に責任を持つ厚生大臣としても、国民に重大な影響があり国民の多くが反対をしているこの売上税には、あなた方自身が所管をしている仕事の面からいっても反対をせざるを得ぬと思うんだけれども、この辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/170
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171・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) ただいまの問題につきましては、政府及び与党の税制調査会において現在検討をいたしておる最中でございますので、私の方からただいま言及するのは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/171
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172・渡辺功
○政府委員(渡辺功君) 売上税は、税制調査会の答申におきまして、現行の間接税のいろいろな問題の解決の観点を踏まえつつ、また減税財源という観点も含めまして、広く消費一般を原則的に課税対象とする、そして課税するものを掲げるという現在の方式と違って、課税しないものを掲名する新しいタイプの間接税を間接税制の中核に据えることが最も適切であると考えられるということを答申されているところでございまして、これを踏まえて検討されているものでございます。
今回の税制改革は、税制のゆがみ、ひずみ、特に所得課税が非常に重いということを是正することを眼目といたしまして、税収において中立性の原則に立つことを前提といたしながら、個人所得課税等の軽減合理化措置に伴って所要の財源を確保するということが不可欠でございまして、御指摘の売上税はその最も重要な財源の一つであると考えておりまして、税制調査会の答申に従って政府部内で詰めていくということになる。そうしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/172
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173・神谷信之助
○神谷信之助君 自治大臣は意見ないのですか。あなた、事務方に答弁させておいて、政治家としての大臣自身の見解が自由に言えぬというのは困ったものやと思うね。
そこで、もう時間ですから最後に申し上げたいと思うんだけれども、盛んに国の財政が大変だからということで国庫支出金をどんどん減らしながらこられているわけです。だから、退職医療費の制度の見込み違いによる補てんも、厚生大臣なかなか苦しい答弁をせざるを得ぬというような状況が生まれてきている。しかし、国民は全部税金出しているんですからね。だから、その税金を国民の健康を守るために使ってもらいたいというのが国民の要求でしょう。ところが、実際は、そっちの方はどんどん削られて、軍事費は上がっているんでしょう。
これは、一九八二年のアメリカの下院の公聴会で、国防総省の国防次官補が証言をしています。いよいよ日本も社会保障費を削って防衛予算をふやす第一歩を踏み出しましたと、そういう評価をしていますよ。八三年には、国防総省が同盟国の協力の貢献度についての報告を出しています。そこでは、軍事費の財源というのは社会保障費、ここに何ぼでもあるのだ、こう言っていますよ。
だから、国民の税金を大砲のために使うのか、バターのために使うのか、問題はそこのところが問われているので、国民は、もっと国が責任を持って、そして内容のある、そういう脅迫をするようなやり方をしなくてもこの国民皆保険制度をより充実したものにすることができる、そういう期待を、大砲よりバターといってしたらできるんですという願いを持っているんだということを最後に申し上げて、私の質問は時間ですから終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/173
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174・抜山映子
○抜山映子君 最初に、自治大臣と厚生大臣にお伺いいたしますけれども、赤字国保に対する将来の国保の安定的運営という視点に立っての将来ビジョン、これを抽象論でなく方向性を示して、なるべく具体的におっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/174
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175・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 国保の大変厳しい状況、その赤字要因につきましてはいろいろございますけれども、まず第一には、保険料負担能力の低い高齢者の方や、また低所得者の方が比較的多いということが一つだろうと思います。また、高齢者の加入割合が高く、高齢化の進展に伴って増高します老人医療費が非常に過剰なものになっておるということがもう一つだろうと思います。ここ数年、老人医療費の負担の公平化を図る加入者按分率が低下を続けてまいりました。今回のこの改正によりまして、段階的に一〇〇%にしていただくということによりまして、これらの問題は相当程度改善をされるものと思うわけでございます。
さらに、老人保健法の改正後、これからの高齢化の進展や産業構造の変化などを見定めながら、ひとつ幅広く検討をしてまいりたい。今直ちにこのようにいたしますということを答弁させていただけないのは非常に残念でございますけれども、この老人保健制度が終わりましたら、できるだけ早くに、国民的な合意が得られるようなそういう検討に入らせていただきたいということを思っておりますことで、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/175
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176・葉梨信行
○国務大臣(葉梨信行君) 国民健康保険制度は、約四千五百万人の被保険者を抱えております医療保険でございます。先生御存じのとおりで、国民皆保険の最も大きな部分を占めております。したがいまして、その安定した運営をこれからもしていくことは、国民全体の医療を保障していく上で極めて重要な課題であろうと考えているところでございます。
医療保険である国保につきましては、今後とも保険料と国庫補助負担金によって運営されることが基本でございますが、高齢化社会を迎えて、今後医療保険制度全体の幅広い見直しの中で、国民
健康保険制度のあり方を検討していく必要もあろうかと考えるものでございます。また、制度の見直しや医療費の動向等に応じて、必要な国庫負担金を確保していくことがやはり肝要ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/176
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177・抜山映子
○抜山映子君 厚生大臣、ただいまこれから幅広く検討していくということを言われました。衆議院の方の議事録を見ましても、老人保健法の改正は第一段階である、こういうように言われておりますので、第二段階が恐らく想定されているんだと思いますが、これについてどういうことをお考えになっているか、厚生大臣、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/177
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178・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 第一段階と申しますよりも、これまで健康保険制度の改正やまた退職者医療制度の創設とか、また今回御審議をいただいております老人保健制度の改正ということをしていただいておるわけでございますが、これが次への、私どもが目標といたしております六十年代後半のできるだけ早い時期に、医療保険制度の一元化を期して進めていく、その一つのかけ橋になっていくものであるというふうに位置づけておるものでございます。
これからの改革につきましては、現在具体的に国保をこのようにいたします、あのようにいたしますということが申し上げられないのが残念でございますが、いろいろな関係者の御意見もお聞きをし、また幅広い角度から検討をいたしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/178
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179・抜山映子
○抜山映子君 ただいまかけ橋ということを言われたので、これほどドラスチックな改正を行って一元化の先取りをするようなことを行っておきながら、さらに次のステップが考えられるということで、大変大きな不安を感じるものでございます。
そこで、お伺いいたしますが、衆議院の方の議事録の中で、国保の市町村営という原則についてはできる限りこれを堅持していきたい、ただし、その場合においては都道府県の役割が今のままでいいか検討課題としてまいりたい、このように言っておられるんですね。都道府県の役割が今のままでいいのか検討するというんですが、これは都道府県に強化資金として助成させる、こういう意味に受け取ってよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/179
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180・下村健
○政府委員(下村健君) ただいま読み上げられました衆議院段階における答弁というのは、私のいわば個人的見解を求められましたので、個人的に申しますと市町村営というのはなかなか捨てがたい魅力があるというふうな意味合いにおきまして、そのようなことを答えたわけでございます。したがって、現在のところ、国保問題は老人保健制度の改革が終わりまして直ちに検討に入りたいということを考えておりますので、特定の答えを予測しているわけではありませんが、今の御質問に即してお答えいたしますと、必ずしも費用負担の問題だけではなくて、都道府県が果たすべき役割というのはほかにいろいろあろうかと思います。それらを含めまして、私どもとしては、地方団体相互間の役割あるいは国の役割という相互の役割について幅広く見直してまいりたい、このように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/180
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181・抜山映子
○抜山映子君 ただいまの御発言に対して、自治大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/181
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182・矢野浩一郎
○政府委員(矢野浩一郎君) 先ほど大臣もお答え申し上げましたように、国民健康保険制度は医療保険制度の最も大きな部分を占めるかなめとなるものでございます。さまざまな保険集団があるわけでございますけれども、国保というものにつきましては、やはり市町村が運営の主体となるのが最も適当だと考えております。何となれば、その保険料あるいは保険税の徴収につきましては、やはり市町村税でございます住民税とかあるいは固定資産税を基礎にして、十分地域の状況を把握しておる市町村でなければやはり行えない。また一方では、いわゆる保健事業を通じて、市町村は当該地域の病気の予防といったような面にさまざまな力を直接に及ぼすわけでございます。役割を果たすわけでございますので、そういったものとの関連もございます。いわゆる都道府県の役割論というものがもちろんあるわけでございますけれども、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、これからの国民健康保険制度をより幅広い視野から検討すべきであり、各種の医療保険制度との関連を含めて検討すべきものだと考えております。
したがいまして、私どもとしては、単なる市町村が主体になっておりますのを府県営にすべきであるとか、あるいは都道府県費を導入すべきであるという考え方、こういうことにつきましては賛成をいたしかねる、こういう考え方をとっておるところでございまして、より幅広い見地から検討がさるべきものだと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/182
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183・抜山映子
○抜山映子君 自治大臣も厚生大臣も、御意見を伺っておりますと、今後幅広く検討していくという言葉が図らずもお二方から出ておるわけです。そうしますと、加入者按分率を今一〇〇%に改悪するということは、今後の健保組合の財政悪化の状況を見てから幅広い検討の中でやればいいんじゃないか、今殊さらにここでフィックスして一〇〇%ということを決める必要はないと思いますが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/183
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184・下村健
○政府委員(下村健君) 健保組合の財政状況をどう見るかということが一つございますが、私どもとしては、現在の医療費の動向、それから健康保険組合のこれまでの財政状況並びに今後の推移の見通し等を含めまして、一元化の時期、これは六十年代後半ということを申しておるわけでございますが、そのぐらいの時期までは現在お願いいたしております形で十分やっていける、このように考えているわけでございます。したがって、一元化の際に老人保健制度との関連もまた出てくる場合もあるかと思いますけれども、それはそれといたしまして、現在の老人保健制度の改革というものは私どもがお願いしている形で御理解をいただきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/184
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185・抜山映子
○抜山映子君 老人保健施設について伺いますが、実は昨日、社労委のときの老人保健審議会のメンバーは老人クラブの方の代表者が入っているかという私の質問に対しまして、入っているという御回答を得たように思うんですが、実は傍聴者の方がたまたま老人クラブの方で、いや、入っておらない、これはひとつ訂正のための質問をしてくださいと、こういうことを言われておりますので、この点ちょっと申しわけありませんが、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/185
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186・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 事実関係でございますから、私からお答えいたします。
老人保健審議会に、具体的に申し上げますと、太宰先生がお入りになっているわけでございますけれども、老人クラブの副会長であるというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/186
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187・抜山映子
○抜山映子君 老人保健施設についてはいろいろ疑問が提出されておるわけなんですが、医は仁術であるというのが基本であり、医療というものは患者のためにある、これが基本だと思うんですね。ところが、老人保健法の四十六条二項でございましたか、「定額とし」というのがあるわけですけれども、これだとどうしても定額は医療の制限につながる。一方において医師法の十九条には「診療義務等」というのが規定されておりまして、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」、このように規定しておるわけなんですね。これは大変相矛盾するように思うんですが、この点について御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/187
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188・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 老人保健施設におきます費用の支払いは、施設療養費という形で定額でお願いをいたしたいと思っておるわけでございます。
定額による支払い方式であるから診療が制限されるのではないかというお尋ねでございます。私どもは、当該施設で行われます医師の診療については制限を加えることは考えておりません。じゃ、なぜ費用について定額かというお尋ねになると思いますけれども、そこで行われます医療が症
状安定期の定型的な医療サービスであるということで、そこの費用については、平均的な費用を基礎にして算定して差し上げて、その費用の中で医療サービスを行っていただきたいという趣旨でございます。
なお、再三、しかしそうは言っても、突発医療、緊急医療の場合に、病状が急変した場合の診療の支払いには無理があるのではないかというお尋ねがずっと国会の審議を通じてあったわけでございます。私どもも、やはり突発的な場合、急変時の医療というのは一律定額の方式は無理かなということから、厚生大臣からも、別途その点については定額加算とか、そういった何か工夫をしてみたいということでお答えしていますとおり、そこのところは、今後どういう突発的な医療、病状急変があるか等を見きわめながら、その場合の加算というのは幾らぐらいお支払いをすればいいか等々については、これから十分工夫をしながら研究をしていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/188
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189・抜山映子
○抜山映子君 この問題が何回もテーマになっておりまして、何らかの工夫をするという御意見は何度も聞きましたが、このたび定額医療に加算する支払いがあるということを明確にしていただいて、大変結構だと思います。
ところで、医療の定義が医療法にもないんですが、これを医療法の中に入れなくてはいけないのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/189
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190・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 御指摘のように、医療法の中で医療についての定義規定はございません。ただ、医療法の目的規定、第一条でございますが、等に照らしまして、医療法で言っておる医療というのは、疾病の治療、助産等を含む、言いかえれば、医師の行う医行為とその周辺の行為を含むものであるというようなことが考えられるわけでございます。ただ、医療につきましては、御承知のように、その概念が時代とともにかなり変遷をしておるわけでございます。したがいまして、医療法の中に医療の定義を明確にすることが将来の医療の発展のためにいいのかどうかというのは、またひとつ十分検討する余地があろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/190
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191・抜山映子
○抜山映子君 今、医療法第一条の規定を挙げられまして、ここに規定があるから医療についての定義は要らないというような趣旨に聞こえたんですけれども、医療法の第一条には、「この法律は、病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項を定める」、このように書いてあって、老人保健施設は入っておらないんです。だからこそ、私は医療についての定義がはっきりと必要ではないかと指摘したんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/191
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192・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 医療法での医療の定義はないけれども、第一条等に照らして、医療法で考えておる医療というものは、医師の行う医行為及びその周辺の行為ではなかろうか、こういうことを申し上げたわけでございます。
私ども、現在の御提案申し上げております老人保健施設は、何度も申し上げておりますとおり、医療サービスと、そしてもう一つ、福祉的な要素のある日常生活サービスを行うということでございます。したがって、もしこの老人保健施設を今直ちに医療法に取り込むとすれば、医療の概念につきまして、例えば今の寝たきり老人に対します日常生活サービスも含む概念、つまり福祉的な要素も含む概念ということに改めることに相なるわけでございまして、このことは医療福祉に関する法律、制度の基本にかかわることでございますので、これはひとつまた慎重に検討する必要がある、したがって現在の段階で直ちに医療法に老人保健施設を取り込むことは困難であると、こういうことを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/192
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193・抜山映子
○抜山映子君 私は、老人保健施設を医療法の中に取り込めとは一言も言っておらないんです。医療の定義をすべきじゃないかと、このように申し上げたんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/193
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194・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 医療の定義でございますが、これも先ほど申し上げましたように、御承知のように、包括医療というふうな言葉あるいは概念もいろいろと言われておるわけでございまして、医療法の中に医療というものを現在定義をいたしておりませんけれども、仮に定義をいたします場合に、そういう時代の変遷による変化というものも考慮する必要がありましょうし、あるいは逆に、定義することが今後の医療の発展にとっていいことなのかどうなのかというようなこともあわせ検討する必要がある。
先生のおっしゃいますように、医療法の中で医療というものを定義する、あるいはするかしないかということにつきましては、私ども第二次医療法の改正を考えておりますので、それまでに一度十分検討はしたいと思っております。思っておりますが、今申し上げましたようなことで、かなり慎重に検討をする必要がある事項であるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/194
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195・抜山映子
○抜山映子君 都道府県の行っております地域医療計画ですね、これの概要をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/195
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196・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 地域医療計画は、昨年医療法の改正をしていただきまして、それに基づきまして、都道府県知事が現在それぞれの医療計画の作成作業を進めておるところでございます。
中身は大きく分けて二つございまして、一つはいわばハードに関する部分で、三次医療圏、二次医療圏、医療圏の設定でございます。それからもう一つは、二次医療圏の中で一般病床についての必要病床数を算定するということでございます。それに基づきまして、必要病床数を超えておる医療圏においては増床あるいは病院の開設を抑制するということでございます。それから、もう一点はソフトの部分でございまして、病院、診療所の連携の問題でございますとか、あるいは医療圏内での医療機器の共同利用計画でございますとか、あるいは医療関係者の研修システムの設定でございますとか、そういったことを設定してもらおうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/196
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197・抜山映子
○抜山映子君 今の地域医療計画の中で、老人保健施設のベッド増設、これは自由なわけですね。ところが、これが建築後は病院病床とみなすと、こういうことに了解しておりますが、もしこれがそのとおりだとすると、ちょっと矛盾した考え方じゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/197
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198・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 何度も申し上げておりますとおり、老人保健施設は日常生活サービスとともに医療サービスを提供することを目的とした施設でございます。したがいまして、そのうちの医療機能に着目をいたしますと、病院病床の補完的機能を果たすものであるというふうに評価し得るわけでございます。
このために、医療計画の中で、地域の病院病床数の現状を示す既存病床数、これは先ほど申しました必要病床数を算定いたしまして、一方で既存病床数を算定する、そしてどちらが上かということで過剰か過剰でないかということを判断するわけでございますが、その既存病床数の算定に当たりましては、今申しましたような老人保健施設の病院病床の補完的な機能という点に着目をいたしまして、老人保健施設の入所定員数に所要の補正、つまり丸々が病院病床の代替になるわけではございませんので、一未満、〇・五なり〇・七なり〇・三なりといったそういう計数を乗じまして、そして病院病床にカウントする、既存病床数の算定に際してカウントするということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/198
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199・抜山映子
○抜山映子君 この老人保健施設なんですけれども、将来の高齢化社会を支える基幹的な施設なわけですね。ところが、この法案を見ますと、内容がほとんど漠然としている。施設数も規模も、職員配置も構造も、設備も費用負担額もみんなはっきりしなくて、省令委任事項。こういうことだと、私はやはり国会の審議権を無視するものでないか。本来、省令委任は、法律の中では規定するには余りにも煩瑣で細則的なものは省令に委任する、あるいは非常に手続的なものは省令に委任する、しかし、全体的な構想はやはり法律に入っていないといけないと、このように思うんですが、これに対してどのようにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/199
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200・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 今回御提案申し上げております改正法におきましては、制度の骨格になります、どういう形で開設を与えるか、あるいは入った人にどういう財源をもってどういう場合に費用としてお支払いするか、あるいは開設後の指導なり監督のやり方をどうするかといったような基本的な骨組みについて制度化いたしておるわけでございます。
御指摘のように、具体的な設備、構造基準、どういう部屋が何平米なければならないか、人員基準、どういう職種の方が何人いなければならないか、施設療養費についてはどういう金額にするかといった点については、御指摘のとおり、政省令告示の委任事項でございますけれども、私どもの法体系、例えば病院あるいは特養の関係等からいいますと、いずれもこの種の具体的な定めというのは政省令に委任されておるわけでございますから、私どもとしてはこういう法体系が今回の施設にもふさわしいというふうに考えておりますが、ただ、国会の御審議の過程におきまして、私どもは政省令事項についてもできるだけ具体的に私どもの考え方を説明してきたつもりでございます。
そういう意味で、確かに政省令ということで、これからモデル実験等をやりながら審議会にもかけて適正なものに定めていくわけでございますけれども、法案審議ということで、すべて政省令事項であるからという御指摘でございますけれども、極力御説明をし、それから昨日も御指摘がございましたけれども、必要があれば今後とも報告をしていきますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/200
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201・抜山映子
○抜山映子君 最近の政府の悪い法案のつくり方として、ちょっと議論が紛糾しそうなところは政省令にゆだねるという風潮が出ているように思いますので、今後法案の作成に当たっては、国会の審議権を無視しないように、具体的にある程度は審議の俎上に上せると、こういう形で臨んでいただきたいことを切望しておきます。
そこで、国民の医療に対する一番の不安は何といっても差額ベッドだと思うんです。この差額ベッド代の趨勢、それから差額ベッド数の最近の数字を教えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/201
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202・下村健
○政府委員(下村健君) 差額ベッドの現状でございますが、従来から三人室以上の差額ベッドを解消するという方針で指導を行ってきているところでございます。この結果、総病床数に占める三人室以上の差額ベッドの割合は、昭和四十九年、この方針を決めましたときに六・六%ございましたが、昭和六十年には〇・八%というふうに相当程度低下をしておるわけでございます。
その数でございますが、六十年の数字で申し上げますと、全体といたしまして、病床数が百四十三万二千三百八十一ベッドございます。そのうち、差額病床数が十五万三千九百七十ベッド、割合が一〇・七%でございます。それから、三人室以上についての数字を申し上げますと、病床数で百十四万三千五百三十七ベッドございまして、そのうちの差額ベッドの数が一万一千二百十九、全体病床に対する割合で申しますと〇・八%という格好になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/202
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203・抜山映子
○抜山映子君 ただいまは四十九年と六十年の比較で数字をいただいたんですが、最近の数字、昭和五十九年と六十年の比較を見ますと、全体の差額徴収病床数は、総病床数が昭和五十九年に対して約四万七千床増加している中にあって、約五千五百床増加しているが、総病床数に占める差額病床数の割合は、昭和五十九年と同じく一〇・七%である。すなわち、五十九年と六十年で同じ一〇・七%だというのは、ちょっとこれは差額ベッドの解消を指導していると言う割に、一年で全然変わらないというのは一体どういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/203
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204・下村健
○政府委員(下村健君) 御指摘のとおりに、五十九年と六十年では総病床数もふえ差額ベッド数もふえて、総体としての状況は動きがないような格好になっておりますが、かなりの程度に全体としては圧縮されてきておりますので、従来のように大幅な改善はなかなか難しくなっているという状況はあると思います。私どもといたしましては、決まったルールは守らせるということで、さらに指導の徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/204
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205・抜山映子
○抜山映子君 今、改善が難しくなっていると言われたんですが、私は、なぜ改善が難しくなっているのか、その原因をお聞きしたかったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/205
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206・下村健
○政府委員(下村健君) 病院の状況から申しますと、極端に高いものもございますが、やはり個室に入りたいというふうな希望も実態としてはかなりあるわけでございます。そういうことの中で、病院側は、経営上の必要性ということもありまして差額ベッドを、ベッドを増床する際にもある程度一定割合は見込んでつくるというふうな面がございます。
そういうことで、三人室以上が動かないというところは確かに問題でございますが、総体としてのベッド数に占める差額ベッドの割合というのは一〇・七ということで、これは現在私どもが決めておるルールからしますとかなりぎりぎりのところに来ておりますので、これをさらに圧縮するというのは相当私どもとしても努力を要する面があるのではないか、実態から見ると病院側の方のゆとりというものもなくなってきている面があるのではないか、このような意味で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/206
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207・抜山映子
○抜山映子君 個室に入りたいという個人の要請があるから五十九年と六十年を比較して一〇・七%である、こういう御回答でございましたけれども、三人室以上の差額徴収病床数の総病床数に占める割合も昭和五十九年と同じく〇・八%である、こういうように変わっておらないんですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/207
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208・下村健
○政府委員(下村健君) 私どもといたしましては、ルールを守らせるように引き続き努力をしておるところでございますので、なお引き続き今後の推移を見守っていただきたいと思っております。残念ながら、五十九年、六十年の間では変化が見られない、これは事実でございますが、なお努力をいたしておりますので、その推移を見ていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/208
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209・抜山映子
○抜山映子君 まあいいでしょう。
それでは、基準看護病院というのは一体どういう分類があって、それは病人数に対して看護婦はどのような割合になっているのか、ちょっとお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/209
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210・下村健
○政府委員(下村健君) 医療保険制度の上におきましては、看護婦の数等の充足状況に応じまして、入院料に一定の加算を認めるというふうな仕組みになっているわけでございます。したがって、入院患者と看護要員との比率ということになりますが、一番高いものが特二類という分類になっておりまして、入院患者二・五人に対して看護要員が一、この場合には二百九十一点の加算があるという格好でございます。特一類の場合にはこれが三対一になりまして二百二十一点、それから一類がありまして、これが四対一で百二十八点という格好になっております。このほかに、二類、三類ということで、精神、結核というふうなものについても基準が決められております。
基準看護の承認病床数の比率でございますが、昭和六十年で六二・四%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/210
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211・抜山映子
○抜山映子君 基準看護病院において一切付き添いを認めないとしておるようですが、今おっしゃった特一、特二、一類、二類、三類、これは全部同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/211
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212・下村健
○政府委員(下村健君) 基準看護病院におきましては、ある程度の重症の患者を収容した場合も想定いたしまして、このような看護要員の特に高い基準を設定して、そのための料金も支払っているという格好になるわけでございます。したがって、付き添いはどの基準看護病院についても認めないというのが現在の仕組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/212
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213・抜山映子
○抜山映子君 六二・四%が基準看護病院で、それ以外は違うというのですから、三七・六%が基準看護病院でないわけですね。そうしますと、ここにおいてはやはり付き添いさんとかそういうも
のがかかるわけでございますから、やはりこういうものが非常に国民の医療費に対する不安となっておると思います。
ところで、この六二・四%の俗に言う完全看護の病院、そういう病院においても身内ならば付き添いを認めるという慣例があるのは把握していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/213
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214・下村健
○政府委員(下村健君) 身内でありましても付き添いというふうな形で院内に置くということは、病院管理上は通例は認めないというのが原則になっておると思いますけれども、やはり患者側あるいは家族の御希望としては、身内がどうしても付き添いたいというふうな場合もあるのではないかと思います。その辺は現実問題としては、ある程度そういうふうな扱いをしているケースもあり得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/214
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215・抜山映子
○抜山映子君 一度、これは実情を把握してみてください。というのは、身内の看護は認めるということで、実際には身内が過労で付き添えないので、他人にお金を払ってこれを身内だと称して付き添わせている。付き添わせないと、もう夜ほとんど見てもらえないから不安でやはりそういうことをする。こういう実情があって、私も実際にそういう人から一度そういう実情調査をしてくださいということの陳情を受けておりますので、ひとつ御調査いただくとありがたいと思います。
そこで、老人保健法ができたことによる大きな問題として、老人病院の制度と老人診療報酬がありますけれども、老人病院は医師、看護婦の数が少なくて、老人の人権という点から問題があるのではないかと思います。ついては、老人病院制度の趣旨と人員基準をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/215
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216・竹中浩治
○政府委員(竹中浩治君) 老人病院でございますが、老人は、御承知のように慢性疾患が多いわけでございまして、こういう老人慢性疾患患者にふさわしい医療と看護を行い得るようにするために、老人保健法の施行に伴いまして特例許可老人病院の制度が医療法に設けられたわけでございます。
特例許可老人病院の人員配置につきましては、今申し上げましたようなことで、老人慢性疾患が比較的安定期が長く日常的な介護が重視されるということでございますので、一般病院と比べまして、入院患者数に対し医師については二分の一、看護婦につきましては三分の二に換算をいたしまして標準数を定める。一方で、入院患者八人につきまして一人の介護職員を置くということにいたしておるわけでございます。
なお、老人の入院患者が多い病院でありまして今の配置職員数が特例許可の要件に達しないというものにつきましては、老人診療報酬点数表の上の概念といたしまして、特例許可外老人病院が設けられておるということでございます。厚生省といたしましては、特例許可外老人病院につきましては、できるだけ早く特例許可病院になるように指導をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/216
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217・抜山映子
○抜山映子君 時間ですので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/217
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218・秋山肇
○秋山肇君 このたびの老人保健法の一部改正という問題につきましては、国民の皆さん方から私どものところにも手紙が相当数参っておるわけであります。
その一部をちょっと最初に読みます。
私の夫も長い通院から入院に変わり、仕事もやめ、息子に扶養される身となり、延べ十二、三年間の入退院を繰り返しました。初めは自分の身の回りのことはできましたが、だんだんに何もできなくなり、医療費、差額ベッド代、付き添いさんの支払いと、それは私どもにとっては大変なことでした。長いときは一年半以上、一年ぐらい、十カ月ぐらい、八カ月ぐらいと、割合に長い入院の繰り返しでした。そのため支払いの方も大変でした。
これは後、続いていくわけですが、外来一カ月八百円、入院が一日五百円無期限は、年金制度の充実等から見れば無理なく負担ができると言っておられますが、その根拠はどのような点でありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/218
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219・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 一部負担の改正でございますけれども、私どもは今回の引き上げにつきましては、今、先生御指摘のように、無理なく老人の方々に負担をお願いできる額ではないかというふうに申し上げているところでございます。
その根拠いかんというお尋ねでございます。いろんな角度から総合的に判断した結果でございますけれども、一つは、端的に申し上げまして、老人は年金を持っておられるということで、その年金を見てまいりますと、厚生年金で今十二万円ぐらいでございます。最も低い老齢福祉年金で二万七千二百円となっております。さらに高齢者世帯の所得、消費等を見ますと、所得につきましても、高齢者世帯の一人当たりの所得あるいは全世帯平均の一人当たり所得を見ましても、いずれも十一万円台でそう大差はない。
消費につきましても、高齢者世帯も全世帯平均も、一人当たりで見ますと七万円台で変わりがないという状況から見て、私どもは今回の改正は、外来については月一回最初に千円、修正後では今八百円でございますけれども、月一回八百円、仮に二回行かれても、その場合も千六百円になるわけでございますけれども、何とか御負担を願える額であろうと思いますし、入院につきましても、月々今度は一万五千円をお願いするわけでございますけれども、最低の福祉年金でも今二万七千円あるということでございます。入院につきましては、再三お答えしておりますけれども、私どもの調査によりますと、高齢者世帯の仮に食事代をとってみますと、やはり平均で七百円ぐらい高齢者世帯の食事が世帯で消費されているということでございますから、入院された場合にはこれも浮くわけでございます。そういう考え方から、どうしても、在宅で療養されている方とのバランス等見ますと、一万五千円程度はお願いしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/219
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220・秋山肇
○秋山肇君 今の説明の中で、しかし、お年寄り、年金生活をされている方の中で、今の話で理解できる面もあるわけですが、自己負担を引き上げるというのは、先ほど同僚の先生の質問の中にもありましたけれども、お医者さんに行きにくい。今、国民皆保険だと言われていながら、そういうことで受診抑制を引き起こして、かえって病気が重症化して入院が長期化するということも考えられます。その点は現実に、今の負担でも大変なのに、無期限負担の導入ではひどいのじゃないかなというふうにも思うんですが、その点についてもう一度お答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/220
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221・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 御指摘のように、今回の引き上げが受診抑制、必要な受診まで抑制されて、その結果、早期受診、早期発見、早期治療が妨げられ、重症化するというのは、私どももそういうことがあっちゃならないと、最も留意している点でございます。
前回の引き上げの場合にも、外来につきまして受診率は下がったことは事実でございますけれども、入院は一貫して横ばいないしは伸びておるわけでございます。前回の引き上げの際の受診率の低下は、やはりその当時の私どものねらいとして、行き過ぎた受診とかあるいは健康の自覚をお願いするという観点から、無料化から有料化をお願いしたわけでございます。当時の状況は、一部ではございますけれども、はしご受診、サロン化と言われるように行き過ぎた受診があったのではないかと思っておりますけれども、引き上げ後の結果は、受診率は若干減をいたしましたけれども、一日当たりの医療費がふえるということで、いい傾向の受診に変わったのではないかというふうにむしろ評価をいたしているわけでございます。
今回の引き上げで外来の受診率が落ちるかどうかということですが、私どもは八百円で二つ行かれても千六百円の金額でございますから、お年寄りの所得の実態等から見まして、必要な受診まで抑制されるということはまずあり得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/221
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222・秋山肇
○秋山肇君 いろいろ生活というのはそれぞれの方々の差があるわけでありますから、その辺に思いやりというのもぜひひとつ加えていっていただ
きたいというふうに思うわけであります。
今、一口に高齢化社会と言われていますけれども、内容は、今も申し上げましたように、さまざまだと思うんですね。核家族化の進行で扶養意識の変化がある。一人暮らしの老人や老人夫婦のみの世帯が多くなっていると思うんです。また、寝たきり老人や痴呆性老人など要介護老人の絶対数が増加して、この傾向はさらに今後も続いていくというふうに思うわけであります。私自身も、母が六年間寝たきりで、その介護をする家族は二十四時間体制でありますし、その苦しみというのはよくわかるわけであります。私の友人の母親なんかは、今五十九歳ですけれども、おしゅうとさんが三十年寝たきりで、看病をして自分で旅行にも行ったことがない、そういうような生活をされている方もあるわけですね。
そこで、まず在宅患者や要介護老人に対して現在どのように対処しているか。行政サービスではどのようなものがあるか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/222
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223・小林功典
○政府委員(小林功典君) 在宅の御老人、特に寝たきり老人のような要介護老人につきまして、いろいろ施策を講じております。
まず、要介護老人対策でございますけれども、やはり老後も住みなれた地域社会で家族と一緒に近隣の方に囲まれながら老後を送る、これが最もお年寄りには幸せなことだと私ども考えております。そういった意味で、いろいろ在宅福祉対策を重視しているわけでございますが、主なサービスを申し上げますと、一つはホームヘルパーの派遣でございます。それから、在宅の要介護老人に対しまして、例えば入浴とか給食のサービスをしますデイサービス事業というのもやっております。それから、御家族の方が病気のときなど、一時的にその寝たきり老人を短期間、施設でお預かりするというショートステイという事業もやっております。これは大変大事な施策だと思いますので、実は本年度もかなり大幅に充実を図りまして、来年度もさらに引き続いて大幅な充実を図るつもりでおります。今後とも、これらの一層の推進を図っていく覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/223
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224・秋山肇
○秋山肇君 サービスについては、利用者から必要なときにすぐ利用できない、安心して利用できにくいという声もあるし、またそのサービスがあること自体知らないという人が多いわけですね。私らも都議会、都政でもそうだったんですが、なかなか徹底をしない嫌いがあるわけですね。ですから、この辺についてのPR不足ということになるわけですが、この辺の前向きな積極的なPRについての何かお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/224
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225・小林功典
○政府委員(小林功典君) まことにごもっともな御指摘だと思います。私どもは、そのサービスの提供に際しまして、一つは、やはり質的な充実を図りたい。量だけじゃなくてその質を上げるという意味で、例えば従事者の資質の向上、こういったものにひとつ力を入れたいというのが一つであります。
それから、必要な方に必要なサービスが迅速に提供されるように利用手続の簡素化と申しますか、できるだけ簡素化して使いやすくするという点、これに力を入れたいと思います。
それから、確かにPRの点、御指摘のような面があるかと思いますが、市町村でもいろいろ市町村広報等を通じまして努力をしておりますけれども、この点はさらに一層その促進に努めてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/225
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226・秋山肇
○秋山肇君 ぜひ気楽に役所に電話がかけられる、またすぐ飛んできていたたけるというようなことが、先ほど抜山先生の質問にもありましたけれども、介護をしている家族がもうダウンしてしまうというようなこともあるわけですね。ですから、その辺はぜひひとつ積極的にこれからもその充実を地方自治体にも図っていただきたいと思うわけであります。
厚生大臣、このような行政サービスがあるのに対して、民間サイドでシルバービジネスと称した各種の有料サービスビジネス業が急成長というか、相当数出ているわけですね。そうすると、お年寄りというのは甘い言葉をかけられる、いいことを言われるとすぐに乗ってしまって、詐欺行為と言ったら失礼ですが、こういうことにひっかかってしまう。これに悪用されるおそれというものもあると思うんですね。ですから、この点についてもぜひひとつ大臣のお考えもお聞きをしたい。
それと、家族介護の場合、これはちょっと厚生大臣のお考えをぜひ聞かしていただきたいんですが、介護をする方に介護料をお払いすれば所得控除にある部分はなりますよね。それ御存じですか。それで、家族が看病をする、付き添いをしているという者はないわけですよ。これが、先ほどお答えがあった病人に対する、近くに何があればという日本人の今まであった心からちょっと離れていくもとにもなっているんじゃないか。病院に預ければいいや、中間施設に預ければいいということになっている嫌いもあると思うんです。これはお答えじゃなくて、今私が申し上げた点について厚生大臣のお考えをお聞きをして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/226
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227・斎藤十朗
○国務大臣(斎藤十朗君) 本格的な長寿社会を迎えてまいります段階におきまして、その福祉サービスに対するニーズというものも非常に多様化してまいると思います。公的サービスとして分担をしていかなければならない部分もありまするし、また今おっしゃられましたシルバーサービスというような民間活力といいましょうか、民間主導のサービスというものも、これも今後、将来非常に大きな有効な手段になってまいるだろうというふうに思います。
それだけに、厚生省といたしましても、昨年の十一月からシルバーサービス振興指導室というものをつくりまして、シルバー産業に携わる業者の方々をできるだけ団体化し、まとめ、そして健全な育成を図り、そして提供されるサービスについても、その適正な基準というようなものを示しつつ、今後健全に発展していけるように力を注いでおるところでございます。
また、家庭における介護に対する問題でございますが、介護をしていただく方々においては非常な御苦労であるということを感じておりまして、その部分を少しでも軽減できるような在宅サービスというものを進め、いろんな角度から、これからきめ細かく進めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/227
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228・佐々木満
○委員長(佐々木満君) 以上をもちまして本連合審査会は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714415X00119861217/228
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