1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十一年十一月二十六日(水曜日)
午後二時三十分開会
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委員氏名
委員長 井上 裕君
理 事 大浜 方栄君
理 事 梶原 清君
理 事 山本 富雄君
理 事 赤桐 操君
理 事 塩出 啓典君
岩動 道行君
大河原太一郎君
岡部 三郎君
河本嘉久蔵君
斎藤栄三郎君
斎藤 文夫君
中村 太郎君
藤野 賢二君
矢野俊比古君
吉川 博君
志苫 裕君
丸谷 金保君
八百板 正君
多田 省吾君
和田 教美君
近藤 忠孝君
吉岡 吉典君
栗林 卓司君
野末 陳平君
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委員の異動
十月二十七日
辞任 補欠選任
近藤 忠孝君 市川 正一君
十月二十八日
辞任 補欠選任
市川 正一君 近藤 忠孝君
十一月十三日
辞任 補欠選任
吉岡 吉典君 橋本 敦君
十一月十四日
辞任 補欠選任
橋本 敦君 吉岡 吉典君
十一月十七日
辞任 補欠選任
志苫 裕君 佐藤 三吾君
十一月二十五日
辞任 補欠選任
佐藤 三吾君 村沢 牧君
十一月二十六日
辞任 補欠選任
村沢 牧君 中村 哲君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 井上 裕君
理 事
大浜 方栄君
梶原 清君
山本 富雄君
赤桐 操君
塩出 啓典君
委 員
岩動 道行君
大河原太一郎君
岡部 三郎君
河本嘉久蔵君
斎藤栄三郎君
斎藤 文夫君
中村 太郎君
藤野 賢二君
矢野俊比古君
吉川 博君
中村 哲君
丸谷 金保君
八百板 正君
多田 省吾君
和田 教美君
近藤 忠孝君
吉岡 吉典君
栗林 卓司君
野末 陳平君
国務大臣
大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
経済企画庁調整
局審議官 田中 努君
大蔵政務次官 中西 啓介君
大蔵政務次官 藤井 孝男君
大蔵大臣官房総
務審議官 足立 和基君
大蔵省主計局次
長 角谷 正彦君
大蔵省主税局長 水野 勝君
大蔵省理財局長 窪田 弘君
大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君
大蔵省国際金融
局長 内海 孚君
国税庁間税部長 十枝 壯伍君
国税庁調査査察
部長 日向 隆君
事務局側
常任委員会専門
員 保家 茂彰君
説明員
厚生省生活衛生
局食品保健課長 大澤 進君
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本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○昭和六十年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○租税及び金融等に関する調査
(派遣委員の報告)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/0
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001・井上裕
○委員長(井上裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、村沢牧君が委員を辞任され、その補欠として中村哲君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/1
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002・井上裕
○委員長(井上裕君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
本委員会は、今期国会におきましても、租税及び金融等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/2
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003・井上裕
○委員長(井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/3
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004・井上裕
○委員長(井上裕君) この際、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/4
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005・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般の新内閣発足に当たり大蔵大臣を拝命いたしました宮澤喜一でございます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
我が国経済を取り巻く状況は、現在、内外情勢とも厳しい局面を迎えております。このような時期に財政金融政策の運営の任に当たることとなり、その責任の重大さを痛感いたしております。今後、政策運営に誤りなきを期すべく、全力を尽くしてまいる所存でございます。
今後の財政金融政策につきましては、先般財政演説において申し述べたところでありますが、本
委員会において所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。
まず、最近の経済情勢と政策運営につきまして申し上げます。
私は、先般、IMF・世銀総会等一連の会議に出席してまいりました。
これらの場において、世界経済の見通しにつきましては、インフレ率及び金利の低下等がいずれ明るい影響を及ぼすであろうとの意見が大勢を占めましたが、一方、各国とも大幅な経常収支不均衡に懸念を表明しておりました。
このような認識を背景に、不均衡是正のためには、協調的な努力が強化されることが必要であり、今後大幅な為替レートの調整なしに不均衡が是正されるよう努力を行うことが合意せられました。
一方、我が国経済は、円高の急速な進展等により、製造業を中心に企業の業況判断には停滞感が広がっており、調和ある対外経済関係の形成に努めるとともに、内需を中心とした景気の着実な拡大を図り、雇用の安定を確保する観点から、去る九月、総合経済対策を決定いたしました。
本対策は、三兆円の公共投資等の追加等を内容としており、総事業規模は約三兆六千億円に達し、行財政改革路線を堅持するという基本方針のもとで、政府として最大限の努力を行ったものであります。
政府は、十月三十一日、この総合経済対策を実施するため公共事業関係費の追加を行うほか、所要の税収見込み額の減額を行うこと等を内容とする昭和六十一年度補正予算を国会に提出いたしました。本補正予算につきましては、国会の御審議を経て十一月十一日に成立したところであります。
なお、本補正予算に関連して、昭和六十年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を提出しております。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
また、日本銀行は、補正予算が提出された機をとらえ、同日、公定歩合の三・五%から三・〇%への引き下げを決定し、今月一日から実施しておりますが、これは現下の経済情勢等に照らして時宜を得た適切な措置と考えます。
さらに、同じ十月三十一日には、私とベーカー米財務長官との間で共同声明を発表いたしました。
共同声明におきましては、第一に、我が国の財政金融両面にわたる一連の措置及び米国の財政赤字削減等をお互いに高く評価し、このような両国の措置等は、世界経済の成長を促進し、貿易不均衡の縮小に資することについて意見が一致したことを表明いたしました。
第二に、為替相場の不安定は安定した経済成長を脅かすおそれがあるとの見解で一致し、プラザ合意以来達成された円とドルの為替調整は今や現在の基礎的諸条件とおおむね合致するものであるとの相互理解に達し、為替市場の諸問題について協力を続ける意向を再確認いたしました。
これらの両国の政策努力は、東京サミット及び九月末にワシントンで開催された一連の会議における政策協調への決意に沿った重要な一歩であり、他の主要先進国にもとのような努力に加わることを呼びかけるものであります。
次に、今後の財政金融政策の基本的考え方について申し上げます。
我が国財政を取り巻く環境には一段と厳しいものがあり、我が国経済社会の活力を維持し、国民生活の安定と充実を図っていくためには、引き続き財政改革を強力に推進し、財政の対応力を回復することが緊要な政策課題であります。
昭和六十二年度予算につきましても、制度の徹底的な見直し、優先順位の厳しい選択を行い、一層の経費の節減合理化に取り組んでまいる所存であります。
税制の抜本的見直しにつきましては、税制調査会において、去る十月二十八日、所得課税の軽減合理化、法人課税の見直しについての検討の具体的方向と、間接税、資産税、利子配当課税等のあり方についての基本的考え方を含めた一体としての包括的な答申がとりまとめられたところであります。
政府といたしましては、答申において示された基本的方向に沿って抜本的な税制改革案をできるだけ早期に一体的に取りまとめ、国会の御審議を経て、その実現に最善の努力を傾けてまいる所存であります。
さらに、経済全般にわたる国際化の進展等に対応して、金融の自由化及び円の国際化を進めていくことは、我が国経済及び世界経済の発展等に資するものであります。今後とも、適切な環境整備を図りつつ、自由化及び国際化を積極的に進めてまいりたいと考えております。
以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。
委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/5
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006・井上裕
○委員長(井上裕君) 次に、大蔵政務次官からそれぞれ発言を求められております。順次これを許します。藤井大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/6
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007・藤井孝男
○政府委員(藤井孝男君) このたび大蔵政務次官を拝命いたしました藤井孝男でございます。
極めて厳しい財政事情の折から大変な任務だと思いますけれども、誠心誠意この任務を遂行するよう努めてまいりたいと存じます。何分にも微力者でございますので、諸先生方の御指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げ、一言ごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/7
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008・井上裕
○委員長(井上裕君) 中西大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/8
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009・中西啓介
○政府委員(中西啓介君) 先般の改造によりましてはからずも大蔵政務次官を拝命いたしました中西啓介でございます。
その職責の重大さをひしひしと痛感をいたしております。大変微力者でございますが、全力を挙げてその責めを全うするべく頑張ってまいりたいと考えておりますので、委員の皆様方の御指導、御叱正を心からお願いを申し上げまして、一言ごあいさつにかえる次第でございます。ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/9
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010・井上裕
○委員長(井上裕君) 次に、昭和六十年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を議題とし、宮澤大蔵大臣から趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/10
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011・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました昭和六十年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
昭和六十一年度におきましては、給与改善費を初めとする追加財政需要が相当程度に上る一方、税収は当初予算をかなり下回る状況にあり、政府は、補正予算編成に当たり、まず、既定経費の節減等に最大限の努力を払ったところでありますが、なお財源の不足が生じる状況にあります。
こうした厳しい財政事情のもとで、特例公債の追加発行を回避するため、本法律案は、臨時異例の措置として、昭和六十年度歳入歳出の決算上の剰余金の全額を補正予算の不足財源に充当することができるよう財政法の特例を定めるものであります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
財政法第六条第一項においては、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないこととされておりますが、昭和六十年度の剰余金については、この規定は適用しないこととしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/11
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012・井上裕
○委員長(井上裕君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/12
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013・丸谷金保
○丸谷金保君 基金制度についてお伺いいたした
いんですが、どうもこの基金制度そのものの意味が非常にあいまいになってきているんじゃないか。これは、昭和四十年代に公債を発行するのに合わせて大きくこの制度を変えて今のような法律になっているわけですが、一体この制度のねらいはどこにあったんでしょうか、当時の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/13
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014・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 減債基金制度そのものの意義はどうであったかということでございますけれども、一般会計から国債整理基金に対して一般財源を繰り入れるという考え方は、国債政策をいわば節度あるものといたしまして、政府自身が国債をみだりに発行しないようにする政府自身に対するいわば自粛と申しますか、歯どめであり、またそれによって国民の理解と信頼を国債政策の上で確立したい、こういう考え方で昭和四十二年度に成立したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/14
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015・丸谷金保
○丸谷金保君 今大臣がおっしゃったような形には国債はなっていませんわね。どんどんふえていく。一方で基金はほとんど表を見ますとふえていないんです。国債の方はどんどんふえていきますけれども、これを担保すべき剰余金の積立金というのはどんどん取り崩して、実質的な基金として積み立てられているのは非常に少ない状態がここ数年続いております。だから当初の意味がどうもなくなってきてるんじゃないかということが実は強く感じられるんです。
特に、ことしのこの提案理由の中で「臨時異例の措置」ということを言っているんですが、臨時異例の措置ということはないでしょう。五十五年、五十七年、五十九年、ずっと臨時異例の措置やってますわね。五十八年にわずかに積んでおるというふうなことで、これはもう臨時でないじゃないですか。恒常的普通の措置でないですか。どうなんですか、こういうのを臨時異例と言うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/15
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016・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 古く終戦直後のことに戻りますと、一般に国債というものは、我が国が戦争に深入りしましたときの、それを可能にした方法であったという反省がありまして、財政法そのものがいわゆる歳入補てん公債というものは考えないという立場に立っておりまして、したがって、今日でもそれは特例公債と呼ばれて財政法の特例としてお許しを得て出しておるということでございますが、そういう時代から始まりまして、我が国の高度成長時代あるいは石油危機等々いろんなことがございました。やはり今日といえども歳入補てん公債というものは本来のものではない、これは特例である。
そして、減債基金というものはやはり基本的には、いろいろな方法がございますけれども、例えば毎年度、現在、国債の現在額の一万分の百六十でございますか、百分の一・六を繰り入れるべきである、これは一般会計から繰り入れるべきである、あるいは決算上の剰余金の二分の一を下らないものを入れるべきである、さらに余裕があれば予算措置によって繰り入れをするといったような、そういう物の考え方は確かにこの何年かの財政の現実とはいわば離れておりますけれども、しかし基本的にはそういう厳格な国債管理というものが財政の姿勢でなければならない、そういうことを私ども考え方の基本には持っていなければならない。
そういうことから、確かに特例あるいは異例のことが続いてはおりますものの、この基本の建前はやはり崩さないでいこうというのが今日現在の考え方でございますものですから、丸谷委員の言われましたように、確かにどれが普通でどれが特例かということは少しここのところ怪しくなっておりますけれども、そういう基本の考え方はやはり持っているべきであるというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/16
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017・丸谷金保
○丸谷金保君 財政の建前の話はわかるんです。しかし、もう少し実質的な運営ということをやっていかなければならない時代に入っていて、例えば地方自治体でこれと似たので財政調整積立金というのがあるんです、その年度の黒字の二分の一をやはり起債の償還財源として積み立てなさいという。これをいつも積みながらもったいないなと思ったんです。片一方で借金しながら片一方で貯金していく。これは国だって同じことだと思うんですがね。言うなれば、簡単に言うと歩積み両建てでしょう。財政調整基金というのは歩積み両建てだというふうに考えてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/17
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018・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) これはいろいろ問題のあるところでございまして、片一方で特例公債を出しておるというときに片一方で積んでおるということは、いわば片一方で借金した金で積んでおるのと効果は同じではないか、こういう御指摘かと思います。
そういう問題意識は私自身も実は持っていないわけではございませんけれども、さりとて、減債制度というのは先ほど申しましたような沿革もあり、また財政当局自身への一つのやはり戒めでございますから、そこのところをどう考えていくかということは私自身も問題意識を持ちながら、しかし減債制度の持っておる意義というものはやはりそれ自身は大事に考えなければならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/18
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019・丸谷金保
○丸谷金保君 お話はわかるんですけれども、まさにそのとおりだと思うんです。しかし現実はそうなってないし、こういう時代に入っていますと、国債を発行しないで財政の運営をしていくということはもう全く不可能な状態が続いてきているのに、なおかつ建前だけ今大臣のおっしゃるようなことで通していってこういう法案が毎年毎年出てくるならこれ意味ないんですよね。
十年に一遍臨時異例の措置だというならわかりますよ。しかし、三年も五年も続いて臨時異例で出てくるようなら、こういう基金制度の制度そのものをもう少し掘り下げて考え直してみる時期に来ているんじゃないか、そういう実は私は気がいたしまして、臨時異例ということはまことに表現としても遺憾だと思います。提案理由で臨時異例なんという言葉が使われるということは、ちょっともう何か違和感が大き過ぎる、こういう感じがいたしますので、こういう提案の仕万については、私はむしろもうチャラにしちゃって、貯金なんかする分があったら借金返すのに一銭でも回すことの方が、差し引き金利は違いますでしょう。預金金利の方が高ければいいですよ。しかし結果的にはこれ国民が損していることになる、高い金利の金使って安い積み立てをしているんですから。それを建前だけでこういう損を続けていく制度そのものを見直すべきだと思いますし、臨時異例などということは全くもって不適切な表現だということを御指摘しておきたいと思います。
それからさらに、最近は基金保有国債の売買が、説明の表ではコンベンショナル方式、いわゆる競争入札というんですか、方式というのは何かこうそれぞれ札入れさせるなり何なりして売っているようですけれども、実際には昭和五十九年以降資金運用部と日銀が全部これを引き受けているんですね、この減債基金の国債整理基金保有国債の売買移動状況を見ますと。ですから、この表を見ましてもほとんど日銀と資金運用部が引き受けて整理基金保有国債の売買移動をやっているというふうな状況から見ますと、なおさらそういう感を深くするんです。要するに、どんぶり勘定の中のたらい回し、簡単な言葉で言いますと。
それで、今のこの提案理由の中にもありましたけれども、税収が余計見込めないのでこういう措置をとらなきゃならぬ。昨年の剰余金の内訳を見ますと、私は不用額がもう少し多いと思ったんです。不用額が千七百六億円になりますね。まことにこれは上手にお使いなさったものだなと、執行の面において言えばもう満点の執行をなさったと思うんですが、それにもかかわらず税外収入で歳入がふえて四千四百五億というふうな剰余金が出てきた。この税外収入というのは主にどんなものがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/19
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020・角谷正彦
○政府委員(角谷正彦君) 六十年度の決算剰余金四千四百五億の内訳は、今丸谷委員御指摘のように、歳出の不用が千七百六億円、それから歳入の増加が二千七百二十三億円の合計額から特定財源として充当すべき道路財源の二十四億円を引いた
ものでございます。
今お尋ねの歳入の増加二千七百二十三億円の主な内訳は、これは日銀納付金を中心に税外収入全体で三千四百八十五億円でございますが、そのうち大きいものは日銀納付金の三千百二十五億円でございます。日銀納付金の三千百二十五億円がなぜ発生したかということでございますが、これは国債市況が本年度の前半非常によかったということによりまして、国債市況の上昇によりまして、日銀の行いました売買オペ等によりまして日銀の昭和六十年度下期決算が非常な高収益になったということに反映するものでございます。
それ以外の税外収入の主な内訳でございますが、これは日本中央競馬会納付金が百四十八億円でございます。これはいわゆる勝馬投票券の発売が多かったことのために第一種納付金が若干ふえたということ、それから決算上の利益の二分の一を入れます第二納付金が当初予算二百億に対して三百二十六億ふえたということ、この二つの原因でございます。これが主な原因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/20
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021・丸谷金保
○丸谷金保君 ことしの税収が非常に減収する見込みで補正予算の財源が足りないので取り崩すと。税収見込みがそんなに悪いんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/21
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022・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私から、政府委員がおりませんので。
ことしの税収見込みでございますが、まず法人税におきまして九千八百十億円、それから所得税の中で源泉所得税五千七十億円、それから関税でございますが七百五十億円、それから石油税二千五十億円、これら等々合わせまして租税及び印紙収入一兆七千六百八十億円でございます。その他に今度は増収分がございまして、それは有価証券取引税三千四百八十億円、相続税二千百九十億円等々でございます。差し引きまして一兆一千二百億円という減収を計上いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/22
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023・丸谷金保
○丸谷金保君 しかし、この税収が落ち込むというのは、今の段階でまだそう簡単に片づけてしまうのは私はちょっと早いんでないかと思うんです。それが理由でこの減債基金を取り崩すんだということは、この税収そのものは、これは本年度のまだ税収が決まったわけでないでしょう。今のうちからそんなにもう減収するんだというふうな見通しを立てるのは少し早いと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/23
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024・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は補正予算を編成いたします時期を十月の初めまでおくらせましたのは、法人の九月決算を見たいということ、それから三月決算の法人につきましては九月の中間決算を見たいという気持ちが中心であったわけでございますが、それらのことをいわば積み上げまして、法人税収一兆円近い、先ほど申し上げましたような税収減をはじきました。これはいわゆるGNPの方から計算いたしましたのでありませんで、当初計算に使いました積み上げ方式をやりかえてみまして九月決算の時点で集計をいたしてみたわけでございますが、いわばこれをもちまして来年度の三月決算までを見通しまして、まずこれ以上の減収はないであろうという気持ちで計上をいたしております。
源泉所得税につきましては、給与関係、殊にボーナスとか時間外手当等々の当初の見積もりが大き過ぎたという感じがございまして、これも年度末までを見ておるつもりでございます。あとは石油税、これは石油価格そのものがドルで下がっておりますのと円高と両方ございまして、まあまあ全部これら合わせまして減の方は多分これで年度末まで大きな間違いはあるまいというふうに考えております。
増収の方は、相続税と有価証券取引税等々でございますが、有価証券の取引そのものはちょっと今になりまして、この間うちほどではございませんけれども、まあまあ大体のところはこれで間違いないかと。もう一度いわば大きな歳入欠陥があって減額補正をしなければならないというようなことは起こらないつもりで見積もりを立てたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/24
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025・丸谷金保
○丸谷金保君 私が、まだ税の問題を九月決算から試算して出すというのはちょっと問題があるのでないかと思いますのは、円高、石油安その他の輸入品が安くなってきていることのメリットというのはどうしても輸出のダウンよりはおくれてまいりますわね、ワンステップ。そうしますと、むしろこの後半に例えば金融関係あるいは石油、電力、こういうのが大幅増益の見通しが非常に立ってきていますわね。もちろんそれらも織り込んではいるんだろうけれども、だからといって、ここで減債基金まで取り崩すほどにきちっと大臣が今これくらいは落ち込むという見通しを立てるのは、多いにしても少ないにしても早計ではないのかなという気がするんです。
これが一月なり二月になってからならわかるんですよ。最後の補正予算で減債基金の問題出てくるんならわかる。ここでわざわざそういうことをしなきゃならないということの意図が那辺にあるか。例えば輸出なども十月はもう百九十一億ドルというふうに非常に伸びていますわね。船舶だとか自動車部品中心に伸びておる。こういうふうにいい業界もあるわけなんです。差し引きドルがたまっていくということは必ずどこかもうけている会社がたくさんあるはずなんですよ。
それから、今GNPの問題でなくと言いましたけれども、確かに今のようなマネーゲームが盛んになってくると、GNPは上がらないけれども金の動きは大きく動く。有価証券取引税のようなものは予想以上にふえてくるんじゃないか。こういうプラス材料もまだ幾つか出てきているはずだと思うんです。あえて大蔵省が試算してこれくらい減収になるというんですから、私の方はそういう一つ一つの会社の決算当たっての予想でございませんから、これはまあ強いては言いませんけれども、今の時点でこういう法案を出して、こういう税が減少するんだという決め方というのは非常にまだ問題があるということだけ特にここではこの法案に関連して申し上げておきます。
それから、きょう初めて大臣の所信表明をお聞きするわけですが、ちょっと緊急な問題がありますので、例えば公定歩合の問題なんかありますけれども、お酒の問題をちょっと先にやらしてもらいたいと思います、緊急の問題も出てきていますので。
ドイツ、オーストリアのワインが去年問題が起きまして、それでそのために検査をして、ジエチレングリコールの入っていないワインについてはシールを張るということで、これは検査済みで心配ないですよというシールをドイツワインなんか張っているんです。これがドイツの方ではもういいかげんにやめてくれというふうなことを言ってきているんで、これの取り扱いを、いつまでシールを張らせるつもりなのか。私はシール張るとき反対したんです。というのは、一遍張ったらなかなかとれないよ、張るのは簡単だけれども、これをとるということは大変だということで反対したんですが、それでも業界なんかは、とにかくそうでもしなけりゃ売れないからということでシールを張って走り出して一年たって、結局今になってみると、いつまでやったら——これは一遍やりますとなかなかそう簡単にはがせないんです。
これはお酒ですから大蔵の関係ですけれども、所管は厚生がやっているんだと思いますが、厚生省おいでになっていたら、ちょっとこれどうするつもりなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/25
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026・大澤進
○説明員(大澤進君) ただいま西ドイツあるいは関係団体からワインの安全シールについて先生から御指摘のような状態があるわけでございます。つまり、このワインの安全シールについてできるだけ早期にもとの状態に戻すべきではないか、こういう意向が出ているわけでございます。
私どもといたしましては、当時事件が発生した段階で既に輸入されている瓶詰ワインがあったわけでございますが、輸入されたそれらのものについては、ジエチレングリコールが混入しているかどうかということがまず明確にされなければ販売できない、こういう状態にあったわけでございまして、したがいまして、その当時のワインについて販売者の方がそれぞれ検査をしてジエチレングリコールの混入の有無をはっきりさせ、入ってな
いものについては入ってないという印というか、わかりやすい形としてシールを張ったわけでこざいます。しかし、およそ一年以上過ぎたわけでございまして、今言った状況が指摘されておるわけでございます。
そこで、じゃ今日時点でどういう状況になればこれがもとの状態に戻せるかということになるわけでございますが、当時相当のものが輸入されておったわけでございまして、現在でも業者によっては未検査の在庫ワインがある、その確認がまず必要である、第一点は。それから第二点は、既に調査を行っているのは協会加盟の会員中心なんでございますが、それ以外の業者につきましても、手持ちのワインの把握をきちんとして、またその処理をどうするかというものを明らかにしていただく。この二つの点がございまして、これらの二つの点がきちんと処理され、ジエチレングリコール混入ワインが販売されるおそれがない、こういう確認がまず必要なことでございます。こういう観点から、既にこのワインの関係の協会に対しまして、今申し上げた二点についてきちんと調査するように指示しているところでございます。
さらに、既に調査しているわけでございますが、じゃいつごろこれが外せる状況になるかということでございますが、なかなか協会等も一生懸命やっておられるわけでございますが、一部のものについてきちんとまだ把握されないものがございます。ただ、それもかなり詰まってきているというようなことでございまして、近々私どもの方にそれらの全体の調査結果の報告が出るというぐあいに聞いておりますので、私どもはそれらの報告をきちんと吟味した上で判断していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/26
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027・丸谷金保
○丸谷金保君 これは外交ルートを通じて依頼も来ていますでしょう。
そして、大体不凍液を入れたワインというのは、ドイツのピエロートという瓶詰会社ですが、こういうところが主に大きく、日本に来ているものの七、八割がそこの関係のものだと言われているんですけれども、ドイツだってまじめな、自分たちで生産してそしてそれをワインにしているような人たちはそんなことやってないんですよ。ごく一部の悪徳の業者がいたためにドイツワインというようなことになっていますので、それがいつまでもドイツワイン全部シール張っていますと非常にこれは大変なことだ。だから私は反対したと思うので、これはまだ一部残っているからといっても、一体それじゃいつごろをめどに——例えば日本にはピエロートの販売会社ありますね、これは現在でもやっています。しかし本社の方はつぶれちゃっているんですよね。そうするともう向こうからのやつはないんですから、日本の国内のそういうところの残っているのをまだ調べてないといったって、いつまでもかからないでもやれるんじゃないですか。いいかげんなところで大体のめどをひとつ立ててそういう詰めをやっていただかないと困ると思うんですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/27
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028・大澤進
○説明員(大澤進君) おっしゃるとおりでございまして、この事件に関しては、販売業者あるいは輸入業者がすべてジエチレングリコールワインを輸入したり販売したわけではないわけでございまして、特に特定の輸入業者あるいは販売業者によって多くのジエチレングリコールワインを輸入販売していたという実績があるわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけこういう通常の状態でないものを通常の状態に戻したいという気持ちは私どもも同じでございまして、先ほども申しましたが、既にもう協会の方ほとんど調査が終わりつつありますので、もうほんの近々に報告が出てくる。ただ、十一月ももう終わりで十二月に入るわけでございますが、来月に入るわけでございますが、年内ぐらいをめどに、できるだけ早くにこれらの調査報告をきちんと吟味、判断して、安全が確認されたという段階ではもとの状態に戻していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/28
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029・丸谷金保
○丸谷金保君 それじゃ年内には何とかけりをつけたいというふうに理解してよろしゅうございますね。
それで、この問題のときも前に申し上げたんですが、腹痛一つ起こらなかったんですよね、不凍液は。しかし入れてはいけないものを入れたんだからこれはやっぱりよくないことなので、ドイツやオーストリアは罰則が非常に強いんです、こういうものについての。日本では罰則がないので、こういう点もあわせてきちんと、そういう入れちゃいけないものを入れたという、あるいはその事実を知りながらそれを何とか隠していこうということについては、もう少しやっぱり食品衛生上のきちっとした国の態度というか対応というか、そういうものが私は必要だと思うんです。
それで、今また、実はきのうなんですが、新聞によりますと、アメリカのバーボンにカルバミン酸エチルが安全基準以上検出されたということのニュースが出ておるんです。これはジエチレングリコールなんかと違って別に特別なものを入れたからそうなったということじゃないと思うんですが、これは一体どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/29
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030・大澤進
○説明員(大澤進君) 御指摘のように、洋酒の一部において動物で発がん性を示すカルバミン酸エチル、またはウレタンとも申しておりますが、これが含まれているという情報がありました。私どもも現在国内のものについてもその含有量を調査しているところでございまして、ただ新聞報道でございますので、私どもも公式のルートを通じてさらに詳細な具体的な情報の収集に努めているところでございますが、今の段階では、報道中におけるFDAの安全基準、こういうものについてはまだ承知していない段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/30
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031・丸谷金保
○丸谷金保君 これどうなんですか、ヨーロッパなんかで、ウイスキーとかブランデーなんかもそうですが、たるを焼きますね。たるを焼くとカーボンが出るでしょう。日本でも俗な言葉で今御飯のお焦げを食っても発がん性のあれがある。やっぱり魚だって黒焦げに焼いちゃいけない、お焦げいけないという、全部あれカーボンですよね。だからそういうたるのカーボン、これらが結局ワインの中へ入れますとアルデヒドですかに変わりますね。そういう形の中で出てきたんじゃないかというふうな、これは素人考えですよ、気がするんだが、そういうことはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/31
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032・大澤進
○説明員(大澤進君) このケースの場合でございますが、今先生御指摘の点について、私どもそういう場合があるかどうかはさらに研究、勉強したいと思います。
少なくとも今回の洋酒の一部でカルバミン酸エチルが出たというこのケースでございますが、これはアルコール飲料中に、御承知かと思いますが、カルバミン酸エチルが生成されるメカニズムがどうもあるようでございます。アルコール類をつくる場合に、その原料の食品中に既に天然に含まれているたんぱく質があるわけでございますが、それのたんぱく質中の窒素源、窒素ですね、具体的にはこれは、発酵過程の中で窒素源が変化しましていわゆる尿素という形になりますが、この物質が発酵過程中に、アルコール類でございますからエチルアルコールがたくさん入っておりますが、このエチルアルコールと反応しまして、これと化学反応を起こしまして生成される、専門家の調査によるとそういう形でできるものであるというぐあいに見ております。
ただ詳細については、それ以外の過程でできるかどうかというのはなお研究者で検討されておりますが、今一番考えられるのは、アルコール飲料中の既に原料食品中に入っているたんぱく源、それの変化したものと、当然入っているエチルアルコール、これが化学反応を起こして、それでカルバミン酸エチルというものが出てくる、こういうぐあいに今のところ考えられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/32
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033・丸谷金保
○丸谷金保君 これ去年のような騒ぎになっても困るんで慎重に対応していただきたいと思うんですが、カルバミン酸エチルの場合でも、動物実験はやったけれども、それじゃ人体にはどうだというふうなあれはまだ出ておりませんでしょう。未確認でしょう。結局は許容量ということになりますね、ジエチレングリコールのように外から入れ
たんでないとすれば。
そういうものをきちんとしなきゃならないときに、この新聞なんか見ますと、安全基準の五千倍もというふうな話が出て、ちょっとこれ常識で考えられないし、大体安全基準、アメリカだってまだ人体に対する影響度がはっきりしない段階で、どこまでが安全だということのあれが出ていないのに、なぜ五千倍なんていうこんなことが出てくるんでしょうね。ちょっと常識で考えられないような数値なんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/33
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034・大澤進
○説明員(大澤進君) 御指摘のとおりでございまして、私どももアメリカの情報につきましては、先ほど申しましたように、その根拠といいますか具体的な資料なりデータというものを今要請しているところでございまして、少なくとも今の段階までで聞いた範囲でアメリカでは安全基準が設置されているというような報告はまだ聞いておりません。
そこで、五千倍等という新聞の報道ございますが、その他のいろいろなこれまでにわかっている範囲で、聞いているレベルで見たところでは、アルコール中に入っているレベルはそう高いものじゃない。現在得られている情報では、アルコール飲料中のカルバミン酸エチルの含量というのは大体十億分の一というごく微量の単位のレベル、こういうレベルで含まれているというぐあいになっております。
そこで、私どももそれらの専門家の意見も聞いているところでございますが、専門家の皆さんにお伺いしたところによりましても、こういうレベルでは直ちに問題となるようなレベルではないんじゃないかというぐあいに言っておりまして、もともと、先生が最初おっしゃいましたように動物での実験等は既に前にあるわけでございますが、人間でのデータは当時のがんの国際機関でもなかなかない、そういう報告をしております。私どもも、そうは言いながら、発がん性物質ということでございますし、今後とも十分調査研究をして安全の確保に努めるつもりでございますが、いずれにしてもそういう十億分の一のレベルで出ているというのが一般的である、こういうぐあいに聞いておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/34
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035・丸谷金保
○丸谷金保君 ちょっと待ってください。それは十万分の一じゃなくて十億分の一ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/35
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036・大澤進
○説明員(大澤進君) ppbのレベルでございます。ppmが百万分の一でございますから、さらにそれの千分の一のオーダーですね、レベルで……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/36
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037・丸谷金保
○丸谷金保君 ppmですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/37
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038・大澤進
○説明員(大澤進君) ppbでございます。ppmのさらに千分の一でございます。ですから、百万分の一のさらに千分の一ですから十億分の一のオーダーというレベルで出ている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/38
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039・丸谷金保
○丸谷金保君 幸い日本ではたるなんか焼きませんからそう心配ないと思っておるが、それでもとにかくどこのものでも出てくればそれはお酒全体のイメージにもつながるししますから、そういう点は今のところまず心配はないということですが、慎重にひとつ対応していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/39
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040・大澤進
○説明員(大澤進君) 私どもも、御指摘のように食品あるいはアルコール飲料、人間の体に入ってくるものでございますが、十分に研究調査し情報の収集に努めまして、安全確保に一層の努力をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/40
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041・丸谷金保
○丸谷金保君 それじゃまた大臣、実は地方銀行協会の大会、あのとき私も聞いていたんですが、そうしましたら税金の問題について公平、公正、簡素、選択並びに活力ある税制に変えていく、こういうお話をしている。後で記録を見ましてもそういうふうに出ております。減税どこにも出てきてないんですよ、税金を下げるという減税の方が、大臣のあれに。この公平、公正、簡素、選択並びに活力という中にどこに減税が入っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/41
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042・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの今政府で検討いたしております税制の抜本改正でございますが、改正そのものが歳入的には歳入中立的であるということを目的にいたしておりますために減税ということをあえて申しておらないわけでございますが、ただいまおっしゃいました中に選択といったような部分は、例えば直接税、所得税でありますとか、あるいは法人税もそうでございますが、の税率、あるいは累進構造を緩和するといったような部分はこれは減税になる部分でございますが、その歳入を補てんいたしますという意味もありまして、例えば間接税等々については別途の措置を考えなければならぬ。
その場合納税者としては、直接税についてはこれはいわば御本人の消費態度いかんにかかわりなく課税されますが、間接税につきましてはこれはまた御本人の消費態度いかんでは間接税の負担が異なってまいりますから、そういう意味での納税者の側における選択といったようなことの中には、つまりそれは減税部分も考えようによってはあるということであるのでございますけれども、全体として減税ということを申しておりませんのは、歳入中立的であるというのがこのたびの私どもの考えております税制改正でございますために申しておらないということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/42
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043・丸谷金保
○丸谷金保君 そうすると、選択という中に一方で下げるということのあれも入っていると、こういうふうにあれなんですが、レーガンは公正、成長、簡素と言っていますわね。日本では公平、公正と大臣二つ並べているんですよね。これはどうして二つ並べなきゃならないのか。公平であれば公正、これどこが違うんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/43
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044・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私の聞いておりますところでは、制度そのものが公平である公平でないということに、さらに実は行政面というものがないわけではありません。つまり把握が一〇〇%できるかあるいは何十%しかできないとかという例の御承知の問題がございまして、そういう意味では、制度そのものは公平にできておっても必ずしもその実現が公正でない場合があるといったようなことを含めまして、それは例えば具体的に申し上げますと、勤労所得が一番把握が容易であると言われておるわけでございますから、それと事業所得との関連で勤労給与所得について余計にいろいろな控除を認めることの方がいいのではないかということになりますと、それは制度面にも入ってくるわけでございます。
今度できましたらそういうことを御提案してみたいと思っておりますが、それはやはり行政との関連での考慮でございますので、公平と公正というのは本来なら一緒でなければならぬはずでございますけれども、行政面に問題があるということを配慮するという意味かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/44
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045・丸谷金保
○丸谷金保君 さらに、きょうの御方針の中でも、金融の自由化、円の国際化を進めていく、オフショア市場ですか、今度十二月一日から発足させますわね。証券大会のときにも、今回大臣どういう話をするかと思って、所信表明の後になったものですから、銀行協会からそういう大臣が出ていってあいさつするようなところを全部行って聞いて歩いたんですが、その中で、証券大会に行きましたときにやはり大臣は、金融資本の自由化、そして国際化して外国からも期待を寄せられている、それを進めていく、こういうふうにおっしゃっていたんです。それを聞いていた陰の声です、そのとき証券業界でですね、陰の声の中には、大臣ああいうことを言っているけれどもそんなうまい調子にいかないよという話なんです。
というのは、ロンドンだとかニューヨークの市場と違って、日本のはオフショアといいましても、むしろある意味ではオフでなくてインのようなところで非常に国内保護のための制限がまだとれてない。昨日からの新聞論調の中にもありましたが、地方税や印紙税、そういうものもまだかかっていく。簡単に言えば、預金利子での免除くらいなものでというふうな論説も出ております。
それから、証券業界のそこでの話ですと、例えばロンドンやニューヨークのように国内金融と連動して預けかえでも何でも自由にできるというふうなことがまだやはり抑えてありますわね。例えばCDなんかでも今度三億ですかというようにい
ろんな点でまだ日本の金融市場の自由化というのは制限が多過ぎると。それで、大臣がこういうふうに前向きに進めていくと言っても、そんなに簡単に市場を開設したくらいでどんどん国際金融資本なりが日本に集まってくるというようなことにならないんじゃないか、こういう話を後ろの方でやっている人たちがいたんですが、いかがなんですか、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/45
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046・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それはある意味で当たっておる批判であるかもしれないと思います。
と申しますのは、我が国がオフショアマーケットをつくるかどうかということにつきましては、政府あるいは中央銀行等々を通じましていろいろな議論があったわけでございまして、そういう意味では、ロンドンやニューヨークがそうであるように、もう一つ十分に国際化し切れていないといったような国内の情勢の中からともかく踏み切ろうではないかということで、制度として踏み切りまして十二月一日から実行されるわけでございます。ですから、でき上がった最初の姿は、これどう呼びますか、小さく産んで大きく育てるということを言う人がおりますが、そういう意味で、ニューヨークに比べあるいはロンドンに比べやや外—外だけであって、いろんなことが厳しいということはある程度私は本当であると思いますけれども、とにかくそういう状況の中で踏み切ったというところに私は意義を感じておりまして、恐らくはこれからだんだん大きくなってまいりますとやがて制度にもみんながなれてまいりますし、その中からいわば大きく育つといったようなものが出てくるのではないだろうか。
最初から大人並みと申しますか、ロンドン並みのことになっておらないのはそのとおりでございますけれども、私はしかしそれでもこれに踏み切ったということに大切な意義がある、将来はきっと大きくより自由なものになるであろうというふうに私自身は期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/46
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047・丸谷金保
○丸谷金保君 今の御説明ならわかるんですよ。しかしここに、「適切な環境整備を図りつつ、自由化及び国際化を積極的に進めて」いくと大上段にきょうごあいさつなさっているんですね。まだまだこういう大上段ちょっと早いんじゃないか。実は証券大会で聞いていまして、今大臣の所信表明をお聞きしますとえらい大上段に出てきたんでちょっと印象が違ったんで、今の御説明を聞けばわかるんです。所信表明は少しオーバー過ぎるんじゃないか。
大体今御説明なさったようなところですね。余りいきなり大きな期待をかけるようなことではなくて、子供を育てるようにこれからだんだん大きくしていくんだからじっと愛情を持って見守ってやってくれ、こういうくらいのところですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/47
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048・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 決してお言葉を返すわけではありませんけれども、とにかく為替管理をしておりましたのはそんなに古いときではないのでございますから、それから見ますと、ここまで来たという思いは多少PR過大であったかもしれないと思いますけれども、しかしともかく踏み切ったというところに意義を感じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/48
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049・丸谷金保
○丸谷金保君 そのように受けとめておきます。
それでは、きょうは日銀の総裁おいでになっていないので多少ずれるかと思うんですが、それにしても大臣からお聞きしておいた方が——公定歩合の問題、時間がもうないのでちょっと割愛させていただいて、実は年内減税の問題を今いろいろやってますね。補正予算やらないでどうやってやるのか、どう考えてみても私たちの知恵では浮かんでこないんですが、大蔵省は頭のいい人が多いのでやれる方法があるんだなと。どんな方法があるんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/49
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050・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) これは非常にお答えの難しい問題でございまして、と申しますのは、事の起こりがことしの三月、各党間の合意が衆議院の予算審議との関連でございまして、そこからずっと今日まで問題が及んでおります。
今日現在、各党間の政策担当者あるいは国会対策関係者の間で御討議があっておりまして、私ども政府の立場といたしますと、各党間の合意ができましたらその合意は誠実に実行いたさなければならない立場にございますものですから、各党間の御議論の合意を先取りするような形で物を申し上げることは慎まなければならない。と同時に、もし合意ができますときにはそれが誠実に現実に執行できるような形のものであることを与党の方々を通じてお願いをしておる、こういうのがただいまの現状でございます。したがいまして、どのような合意が生まれますか、それをできるだけ合意の御趣旨に沿って行政の面でやってまいらなければならないという心構えを持ちまして御協議の結果を待っておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/50
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051・丸谷金保
○丸谷金保君 そうしますと、協議が調えばそれに対応する用意はあると、待っているということは、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/51
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052・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもとしましては与党の代表の方々には、行政上可能なことはこれこれであり、これこれのことは行政上可能な限界を超えるということは内々申し上げてございます。したがいまして、でき上がる合意は行政上実行が可能であることであろうと存じておるわけでございますけれども、しかし、それをまた先走って申し上げることは御協議の進行に対して何か出過ぎたことをするようなことになりやすうございますので、良識ある各党の合意によって行政上実行可能な御提案が出てくるものと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/52
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053・丸谷金保
○丸谷金保君 なおまだお聞きしたいことに、例えば十一月一日、日経が「共同発表の舞台裏は」なんというニュースを、要するに宮澤・ベーカー共同発表の舞台裏という細かい解説記事の中身の問題等その他ありますけれども、時間がもうわずかしかございませんし、それから先日インフレ問題でもちょっと触れましたが、必ずしもインフレの心配が全く大臣がおっしゃるようにないではないというふうなことはむしろアメリカなどの金融界あたりの情報としては入ってきております。しかし、そういうこといろいろございますけれども、時間がありませんのできょうはこれで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/53
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054・和田教美
○和田教美君 六十年度決算剰余金の特例法案については時間がございましたら後で二、三お尋ねすることにいたしまして、私は今次税制改革の問題についてお尋ねをしたいと思います。
自民党の税制調査会が今連日にわたって税制改革案の詰めをやっているわけで、政府・自民党が考えておる税制改革案の骨格というようなものがだんだん浮かび上がってきたように私は思います。連日新聞報道が行われているわけですけれども、既に大蔵、自治省は自民党の税制調査会に対して四兆八千億円の規模の減税試案を提出した、そして説明をした。その内訳は、住民税を含む所得税が二兆七千億円、法人税一兆八千億円、相続税三千億円だというふうなことが各紙一斉に報道されております。そして増減税同額という原則に従いまして、減税規模に見合う増税についても増税の案がきのう自民党の税調に文書及び口頭説明で行われた。それで、それは新型間接税、広い消費一般を原則的に課税対象とした新型間接税の導入ということと、それからいわゆるマル優の廃止と、この二つを骨子とするものであるということが説明されておるということが報道されております。
こういうことで、実際には今税制改革というものは自民党の税調を舞台に進んでいるわけですが、裏では大蔵省がいろいろ資料を出したりなんかして操縦をしているというか、そういう形だろうと思うんです。
そこで大蔵省にお聞きしたいんですけれども、この約四兆八千億円という増減税規模、これは大体その程度のものなのか。あるいはまた、各税目についての増減税の規模、これも伝えられておるようなものであるのかどうか。さらに、増税項目として言われておる新型間接税、大蔵省は自民党の税調に対しては日本型付加価値税に大体絞って
説明をしているという報道がありますが、それとマル優の廃止、それぞれについて平年度どのくらいの増税ということになるのか。あるいはまた、マル優廃止後の利子課税について、一律分離課税がいいということをきのう説明したということも報道されておりますが、その税率はどのくらいなのか。あるいはまた、新型間接税について、五%という形での仮定計算をきのう試算ですか出したというふうなことも伝えられておるわけですけれども、そのとおりなのかどうか。そうすると幾らぐらいになるのか。あるいはまた、非課税事業者の上限となる年間売上高基準、免税点、これをどれくらいにしておるのか。さらに、非課税扱いとされる品目の範囲、これをどういうふうに考えておるのか。
そういった具体的な問題について、大蔵省が今考えて説明をしておる内容について具体的にひとつ説明をしていただきたい、自民党に説明をした範囲内で結構でございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/54
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055・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま政府・与党内で、やがて国会に御審議をいただきたいという案を作成するために内部の意見調整をいたしておりますが、この会合にはずっと主税局長が出ておりますので、便宜主税局長から説明をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/55
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056・水野勝
○政府委員(水野勝君) おおむね御指摘のような点につきまして現在審議が行われておるわけでございます。
減税項目といたしましては、政府税制調査会の取りまとめられました所得税、法人税の減税の線に沿いまして御審議を願っているというところでございまして、所得税につきましては、住民税も合わせまして二兆七千億強の減税規模ということで御説明をいたしております。法人税につきましては、法人住民税を合わせまして一兆八千億円程度の、単純に計算いたしますと仮置きでそうした数字になるというふうな御説明をいたしております。ただ、四兆八千億というお話がございましたが、これにはそのほか相続税の点が入っているわけでございますが、この点につきましてはこの中にカウントをいたしておりません。したがいまして、二つの税目といたしましては四兆五千億になるということになっております。
それから増収措置につきましては、これは一つは御指摘のように間接税、一つは利子課税、もう一つは、現行制度の中におきましてももろもろの見直すべき点が政府の税制調査会の答申におきましても数多くの項目につきまして指摘がされているところでございまして、これも一種の増収措置として検討を願っているところでございます。
そのうち間接税につきましては、いろいろなタイプが答申では提起されておりますが、現時点におきましては、この中ではいわゆるC案と称せられているもの、日本型付加価値税と称せられているもの、この点を中心に説明をいたしておるところでございます。
その場合の免税点でございますとか非課税品目につきましては、免税点につきましては、こうしたものは制度の趣旨からいたしますと極力低い方が望ましいということ、五十三年の十二月にまとめられました一般消費税のときは二千万円ぐらいでございましたということ以上の詳しいものは申し上げておりません。非課税品目につきましては、抽象的には、消費税としての性格からくるもの、あるいは社会政策的な必要性からくるもの、それから現行税制との調整の観点からくるもの、こうしたものにつきましては非課税とする場合が出てまいるかと思いますが、こうしたものもやはり極力狭いことが税制からいたしますと望ましいといったことで申し上げております。しかし、具体的なことはなおまだ申し上げている段階ではございません。したがいまして、こうしたものにつきましてどのくらいの税収規模が期待されるかという点につきましても詳しくは申し上げてはいないわけでございます。
また利子課税につきましては、これも政府の税制調査会では、老人、母子世帯、こういった方々を除いては原則課税の方向で検討をしたらいかがかという御指摘でございます。ただ、具体的な方式といたしましては、総合課税、申告不要方式、低率分離課税方式、一律分離課税方式、こうした四つのものが提案されておりますが、政府の税制調査会の答申にもございますように、一律分離方式を支持される声が多い。そういったことから一律分離課税方式を中心として御説明を申し上げておるというところでございますが、この点につきましても、具体的な税率等につきましてはまだそこまでやっていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/56
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057・和田教美
○和田教美君 そこで大蔵大臣にお尋ねしたいのですけれども、この自民党の税調というのは、いろいろともちろん反対論も出ていると思いますけれども、山中税制調査会長の大変な馬力で結局一つの単一の案にまとめちゃう、いろんな選択の問題についてまとめるだろうと思うんですね。それで案がまとまるだろうと思うんですが、その自民党案というものがまとまった場合には、それは政府としては大いに尊重してほとんどそのままを国会に出すというお考えなのか。それとも、それは一つの参考意見であって、政府がさらに別の観点からいろいろ検討した上で増減税の具体案を国会に提出するということになるのか。
それともう一つは、六十二年度も含めて今次税制改革の全部を一まとめにした法案を一挙に出すのか。それとも、六十二年度は一応この全体像とは別に切り離して六十二年度税制改革案として出すのか。その辺はどういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/57
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058・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) これはごもっともなお尋ねでございますけれども、最終的にどのようなまとまり方をするかということが今予断ができませんものでございますので、きちんとしたお答えを申し上げるわけに実はまいらないのでございます。何分にも非常に大きな税制改正でございますので、それも無理からぬことと御理解をいただけるであろうと思いますが、できますならば、いわゆる自民党税制調査会においてできました結論が、政府としても諸般の事情を考えてそのまま政府案として国会に御提案ができるような、そのような形で政府、与党の意見調整が終わりますことを期待いたしておる、こう申し上げるべきかと存じます。
それから、これもまとまり方いかんによることでございますが、やはり全部の税制改正を包括的な一体として案としてまとまる、そしてそれを包括的な一体として国会に御審議をいただきたい、こういうふうに私どもは願っておるわけでございまして、いろいろ法制的な技術の問題等々あろうかと存じますが、それはそれといたしまして、全部を一体として国会で御審議をいただきたい、こう思っておるわけでございます。
そして、その中で昭和六十二年度からどの部分がどのように施行されるかといったようなことを、いわば六十二年度におきましても歳入歳出が中立になりますように、過不足が起こりませんような形で施行をまず始める、こういったようなことを抽象的には考えておるわけなんでございますけれども、さてそれを現実にどのような形でいたしますかということは、まとまりを見ませんとちょっとただいま申し上げかねるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/58
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059・和田教美
○和田教美君 それでは具体的に税制改革の内容について入りたいんですけれども、シャウプ改革以来の大改革だというふうにおっしゃっているわけですから、この税制改革が一年ぐらいで終わるということは考えられないわけで、何年間かかかるだろうと思うんですけれども、大蔵省としては大体何年ぐらいで全体を完結するというふうに考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/59
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060・水野勝
○政府委員(水野勝君) ただいま大臣から御答弁ございましたように、基本的な大きな改革でございますので、一体としてのその姿をお示しして御審議を願いたいところでございます。それは、全体としての改革は極力早く全体をお示しし、また全体として早目に実施できるようなことが望ましいわけでこざいますが、大きな改革でございまして、各方面への影響等いろいろございますとすれば、必ずしも単年度でこれを全部実施するように
ということも準備等の面から限界もございましょうかとも思いますので、先ほど大臣からも御答弁ございました、その全体がまとめられた段階で判断をいたすことになろうかと思いますが、物によっては単年度でなくて二年度あるいは三年度ということもあろうかと思いますが、あくまで全体を取りまとめられた段階での具体的な判断になろうかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/60
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061・和田教美
○和田教美君 中曽根内閣は、今度の税制改革についてレベニュー・ニュートラル、税収中立性の原則ということを盛んにおっしゃる。そして同時に、増減税同額ということを原則にして掲げておられるわけでございますが、この増減税同額というのについてはいろんな解釈ができるわけでございます。
そこでまず、この増減税同額というのがトータルとしての、今複数年次にわたって完結するという可能性をお話しになったんですけれども、その複数年次にわたったトータルとしての増減税が同額なのか、それとも平年度において同額なのか。それとも、そうじゃなくて、単なる増減税同額ではなくて、増減税の同時同額、つまり初年度から増税と減税とは要するにバランスがとれておる、同じであるという形で進んでいくという形なのか。一体それはどの辺のところを考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/61
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062・水野勝
○政府委員(水野勝君) 税制調査会の答申でも指摘されておりますのは、今回の税制改革が増税を目指すものではない、しかし現在の財政事情からすればネット減税ということも難しいわけでございまして、税制それ自体の見直しであるということでございまして、そういう趣旨からいたしまして、税制改革全体の姿として増収額、減収額は同程度のものであること、そしてそれはまた、それぞれ実施してまいります各年度におきましてもそれが同額であることが必要ではないかという指摘がなされているところでございます。私どもとしましても、極力この大きな方向の中で対処してまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/62
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063・和田教美
○和田教美君 いろいろな議論の中で出てくるんですけれども、こういう税制改革をやる場合に、特にマル優の廃止とかあるいはまた新型間接税の導入などというのは相当時間がかかる問題でございまして、新型間接税については、大体常識的に六十三年度ぐらいからでなければ実際に税収になってこないということが言われているし、マル優の廃止についても、もしそれが決まったら預金者は預けかえをやりますから、やっぱりある程度一年なり二年先でなければ実際に増収は期待できないということがあるでしょうから、ほうっておけば、こういう税制改正をやればどうしても減税先行型にならざるを得ないと思うんですね。
それでは困るということであれば、初年度の減税分を非常に少なくするか、増税分に見合うだけにするか、それとも逆に、減税分がかなり多いという場合には、先ほど挙げられた大型間接税とかマル優の廃止ということだけでは足らない分を別の増税で補う、こういう形がどうしても必要になってくると思うんですが、その辺はどういうお考え方でございますか。新聞報道では、今言った後者の方をやるんだというふうに書いてあるところもあるし、逆に初年度は非常に小さな減税になるんだということを書いてあるところもあるし、よくわからないわけですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/63
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064・水野勝
○政府委員(水野勝君) まさに御指摘のようにいろいろな方法が考えられるかと思います。そしてまた、御指摘のような二つの方法を中心とし、またあるいは二つを組み合わせたりいたしまして、とにかく各年度におきましても極力それが同額となるような改正で御提案を申し上げるように対処してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/64
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065・和田教美
○和田教美君 そうすると、仮に初年度において、今度の税制改革の枠組みですね、つまり増税分としてマル優の廃止とか大型間接税というものが主なものになってくるわけですが、それだけで足らないからそれ以外の、つまりいろいろな税目について初年度において新しい増税をやるということを行った場合に、次の年度からはだんだんマル優とかあるいは大型間接税が生きてきますね。そうするとその分で大体バランスがとれるということになると、初年度に別に導入した、何といいますか、個別税目の増税はそれに上積みされるということになって、その分だけ増税ということになってくるんじゃないですか。
それをもしやらないとすれば、その分は初年度だけの例外であって、次の年はやめちゃうというふうなことをやらなきゃいけませんね。その辺はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/65
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066・水野勝
○政府委員(水野勝君) 先ほど御指摘の間接税なり利子課税以外のもろもろの増収項目、増収措置というものもあるわけでございます。また、昭和五十七年度以降におきましては、増税なき財政再建という趣旨に即しまして、もろもろの税制改正を行うに当たりましても、増税にはならないけれども増収になるようなというような単年度限りでのいろいろな、繰越欠損制度の問題とか、欠損金の繰越控除の問題とか、所得税額控除の問題とか、こういったものはいわば単年度的な増収措置を講じてまいった例もあるわけでございます。そういうものは今後抜本改革の中では整理合理化していくべき筋のものと思われますが、そういうような増収項目あるいはそれを整理する合理化、そうしたものはすべて単年度的なものでございます。
そういうものが単年度でプラスになったりマイナスになったりするものもあり得るわけでございまして、そうしたもろもろのものをいろいろ考えさせていただいて、ネットとしては御指摘のように増収措置が残るというようなことではニュートラルにもまた反するかとも思いますので、いろいろ考えて対処してまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/66
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067・和田教美
○和田教美君 これは大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、自民党の税制調査会が今回の税制改革の進め方について、抜本的な税制改正は増減税同額である、しかし、来年度予算編成における財源不足を補うための既存税目での増税はあり得るとの考え方で一致したと。既に本年度予算で、先ほどからもお話が出ているように一兆円以上の税収不足が出ているわけですね。これから景気も来年度にかけてそんなによくならないと思うと相当税収がへこむということも考えられますね。その分は今度の税制改革とは当然別にこの穴埋めはやる、増税といいますか増収というか、措置をとる、こういうふうに考えていいのか。その点が一点。
それからもう一つは、先ほどもお話があったように、財政再建、六十五年度赤字国債依存体質からの脱却というこの目標をまだ変えないと言っているわけですね。そうすると、赤字国債を減らしていくためには相当無理をしなければいけないから、その部分はある程度増税で賄わなければいけないという問題が当然出てくると思うんですが、その分もまた別建てだというふうに考えていいのか。その辺はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/67
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068・水野勝
○政府委員(水野勝君) 各年度の問題につきましては、それぞれ五十七年度以降は増税なき財政再建ということでやらさせていただいてきておるわけでございまして、予算編成に当たりましていろいろな知恵を出して、増税のない方式での再建に向かっての努力がされてきているところでございます。その中におきましては税収の減というものも出てまいる場合があるわけでございますが、それは予算編成の一環としてそういったものもいろいろな税以外の歳入歳出の努力で対処されてきておるわけでございまして、今後六十二年度以降においても同じような努力がなされていくのではないかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/68
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069・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変複雑なお尋ねになるわけですけれども、今主税局長が申し上げましたように、今度税制改正をやらせていただきますその初年度分というものは、私どもの考えておりますのは、いわゆる過不足ないもの、こういうことにいたしたいと思っておるわけでございますが、ただ、そのときに非常にいろんな技術的な理
由からぴちっとそういうふうにいかないというようなことがあるとしますと、ほんのわずかなところは、例えば増税ではないが増収である、何々引当金といったようなことを過去にもやっておりますけれども、そういうことでわずかなことはやるかもしれませんが、全体としてはまず過不足なくやりたいと思っております。
それから、その次に御提起になった問題は、先ほど申し上げたような歳入不足がある、減額補正をした、それだけに来年度の税収見積もりは低いところから出発しなきゃならぬだろうと言われますことは、これからの作業でございますが、願わくはもうちょっと税収が見積もられればいいと思っていますが、仮に今和田委員のおっしゃいましたようなことが起こりましたときに、それを今度の税制改正の増税分で埋めるということは、これはいかぬのであろう、その不足はそれなり別途で処置しなければならぬじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/69
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070・和田教美
○和田教美君 もう私の持ち時間がなくなりましたので、まだまだお聞きしたいことがあるんですけれども、もう一つだけお聞きしたいと思うんです。
我々は日本型付加価値税には反対なんです。課税ベースが広くて、まさに総理大臣が導入しないと公約した大型間接税そのものだというふうに考えております。多少落ち込みを工夫したりあるいは混合型などの細工をしても、やっぱりこれを導入するということは重大な公約違反だというふうに考えておるわけでございます。
なぜ反対するのかという理由ですけれども、もういろいろ言われておりますけれども、低所得者ほど税負担が重くなるという逆進性の問題、さらにまた物価上昇への引き金になるという問題、また、一たん導入すれば、税率を上げるだけで簡単に相当な増収を図れるということで歯どめがなくなるという問題、さらにまた、政府は物価騰貴は一回だけだ、これを導入したときだけだというふうに言われるけれども、韓国だとかあるいはヨーロッパなんかの例を見ておりますと、決してそうではなくて、やっぱりこれが引き金になって物価騰貴になっていっている例がございます。
さらに、問題なのは徴税コストですね、徴税コストが非常にかかるんじゃないかというふうなこと。もちろん負担する方の、払う方の納税コストというのもこれはばかにならぬだろうと思うんですけれども、そういったところを見ると、アメリカが結局付加価値税の導入をやめた理由の一半もそういうところにあるわけなんです。特にここで一つお聞きしたいのは、徴税コスト、税務署の役人が相当ふえるんじゃないかというような声がちまたに満ち満ちておるわけなんですけれども、その辺について一体大蔵省はどういうふうに考えておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/70
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071・水野勝
○政府委員(水野勝君) 現在の行政改革のもとでございますので、そのような徴税コストがかかるような税制改革ということはやはり極力避ける必要があるわけでございまして、そうした意味におきまして、新しい税がいろんな面でのそうした問題が少ないような形に具体的な仕組みの策定に当たりましては極力努力をしてまいりたいと基本的には思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/71
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072・多田省吾
○多田省吾君 私はまず、昭和六十年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案につきましてお尋ねいたします。
宮澤大蔵大臣は去る十月三十一日の財政演説で、「我が国経済社会の活力を今後においても維持していくため、財政の対応力の回復を図る重要性はますます高まっております。」とおっしゃっておりますし、本日の所信表明でも、「引き続き財政改革を強力に推進し、財政の対応力を回復することが緊要な政策課題であります。」と、このようにおっしゃっているのでありますけれども、同時に、同じ所信表明の中で、今回の剰余金の処理の特例に関する法律案の提出をお述べになっておられます。
もう前から私たち質問しておりますように、昭和五十年の十月に、宮澤大蔵大臣と御関係の深い当時の大平大蔵大臣は、「剰余金の繰り入れに関しては、従来は、原則として剰余金の二分の一に相当する金額を充ててきましたが、特例公債償還までの間は、その全額を充てる予定であります。」と、このようにおっしゃって、昭和五十年度は全額充てたわけです。しかし、その言葉の乾かないうちに、昭和五十一年には減税財源確保のためと言いながらゼロになったわけです。同じく五十二年は二分の一、五十三年、五十四年は全額となっておりますが、五十五年と五十七年は減税財源確保のためと称してまたゼロになっております。五十八年は二分の一。
最もひどいのは五十九年と六十年です。五十九年の特例法案の審議はたしかことしの三月に行われているわけです。我々も強く反対いたしました。そして、ことしの三月にも臨時異例の措置とおっしゃったばかりなのに、また同じ年のこの十一月に臨時異例の措置と言われているわけです。同じ年に二度も臨時異例が続けば、これは先ほどの御質問のように常時恒例的になってしまいます。これでよくも財政力の回復という見事な演説をなさったものだと、このように言えるわけでございまして、どうしても私たち腑に落ちないのでございます。
政府は、今日まで余りにも大きくこの減債基金制度の骨格を崩してまいりました。これでは健全な財政運営が図られるとは到底私たちには思えません。ですから、本法律案の成立は断念されて、真の財政力の回復について努力すべきであると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/72
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073・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろおしかりがありまして、それはある意味で甘んじてお受けをしなきゃならない点があると思います。
本来からいえば、特例公債そのものが財政法のいわばもともと考えていないところでございます。それを出し続けておりますし、それとの関連で、また減債制度そのものも、制度そのものは決して放てきしておりませんけれども、今のようなことを御提案するようなことになってまいっておりまして、このたびの補正予算の関連で申し上げれば、あのときにも御説明いたしましたように、今の我が国の経済状態というものはいかにも急速な円高に対応し切れずにおる。そして国内からも内需振興の必要が叫ばれ、国際的にもそれが求められているというようなことから、財政としてもとにかくこの状況の中でできる限りのことはしなければならないという、いわば財政再建と、そういう当面の臨時の緊急な事態との二律背反の中で施策をしなければならないという、そういう状況に財政当局はございますものですから、それで今回のような御提案を申し上げておるわけでございます。
このこと自身は極めて好ましくない、本来こういうことは健全な財政からいえば褒めたことではないとおっしゃれば、私はもうそのとおりだと申し上げざるを得ないのでありますけれども、現実にしかし今の我が国経済の置かれました状況からして、財政としては、新たに特例公債を出さずに補正予算を組むという努力の結果としてこのようなことをお願いを申し上げているということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/73
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074・多田省吾
○多田省吾君 重ねてお伺いしますけれども、六十五年度赤字国債依存脱却という目標は、総理大臣もまた大蔵大臣も、まだその基本的な骨格は崩さないんだ、このようにおっしゃっております。それを目標にする以上はやはり減債制度をこれ以上なし崩し的に破壊しないということだと思います。しかし二年続けて臨時異例の措置をとっているわけですから、六十五年度赤字公債依存脱却について大蔵大臣の基本的なお考えをもう一度お聞きしておきたいし、また、今後も財政事情によってはこの減債制度を守らなくてもいいのだ、また臨時異例の措置をとるかもしれないのだということなのか、その辺をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/74
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075・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十五年度に特例公債依存の体質から脱却をしたいという目標は、なかなか達成が容易ではないということは私自身感じております。しかし、このたびも六十二年度の予算編成に際しましてやはりこの目標を持っており
ませんとどうしても一般歳出を規制していくことが難しい、そういう目標のために各省庁に協力を呼びかけておるというようなことでございますので、この看板をおろすということは実際上財政再建に非常に差しさわりがあると考えておりまして、これはなお掲げ続けて、それによりまして各省の協力を得たいと思っておるわけでございます。
なお、減債制度の問題でございますが、これは軽率にこの制度を放てきしてはならぬと思っておるわけでございますけれども、たまたまNTTの株式の売却ができるといったような、何度もあることではございませんけれども、そういう出来事にいわば恵まれまして、これが国債整理基金特別会計にその売上金が所属をするということがございますので、それによりましてかなり現実の事態はしばらくの間救われる。これがございませんと問題はさらに実は深刻になっておったはずでございます。そういうこともございまして、国債整理基金はある程度の準備を持つことができる、こういう状況にここしばらくの間はなっていくことになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/75
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076・多田省吾
○多田省吾君 この問題はまだまだ納得がいかない問題でありますけれども、関連して次の問題に移ります。
天皇在位六十年記念金貨に関することでございますけれども、本委員会でもこれは審議をしたわけでございますが、金の地金の調達価額が予定の一グラム二千八百円が一グラム千八百円程度あるいは千七百円台ということで済んだために、二千億円近いお金が安く済んで残っている、こういうことをお聞きしております。これは結構なことでございますが、この二千億円近くのお金を補正予算に組まない理由、また来年度の予算に組み込むのか、またこの二千億円を次の五百万枚追加発行のお金に使うのか、その辺お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/76
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077・窪田弘
○政府委員(窪田弘君) 先般発行させていただきました金貨一千万枚の製造に必要な地金二百二十三トンでございますが、これは六十一年度の当初予算ではグラム三千円程度と見込んでおりましたが、今御指摘のように実効上は一グラム千九百円程度で調達をすることができました。
その結果、原材料費が節約できましたので約二千億円の余裕が生じたわけでございますが、先般五百万枚の追加発行を発表させていただきました。これは造幣局の製造能力その他から申しまして発行が六十二年度になるわけでございますが、金地金の手当てはことしじゅうにやらせていただきたいと思います。この所要が約百トンでございます。二千億円はこの百トンの購入に充てますものですから、今回の補正予算ではその不足分は造幣特会の方で補正予算で計上をさしていただいております。発行をしたその差益と申しますか、これは六十二年度の収入になるわけでございまして、来年度予算に見込むことになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/77
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078・多田省吾
○多田省吾君 当初の一千万枚は抽せん券により引きかえておりますけれども、最終的に引き取りのあったのは八五%程度と聞いております。残りの一五%は銀行等でどういう処置をなさるのか、また来年度五百万枚発行の際はそれを抽せんにするのかどうか、その辺お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/78
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079・窪田弘
○政府委員(窪田弘君) 一千万枚は抽せん券の引きかえが終わりました二十一日現在では、ただいまお話がありましたように八四%ぐらいが引きかえられましたが、その後、昨日時点で調べてみますと、これは主要な店舗のサンプルでございますが、銀はすべて引きかえが終わりました。金につきましては大体九四%引きかえが終わっておりまして、あと数日で恐らくすべての引きかえが終わるのではなかろうか。これは北海道、沖縄とか地域的にまだ余っているところが多うございますが、全国的には間もなく引き取られるのではなかろうかと考えております。
その上に五百万枚出すということでございますが、今回抽せん券方式をとりましたために、ぜひ手に入れたい方は十回近く並んで抽せん券を手に入れられて、二枚当たった方も一枚しか要らないという方も多いわけで、摩擦的に引き取られない分が出たのではなかろうかと思います。私の周辺を見ましても、券はないけどもまだ欲しいという方もかなりおられますので、追加についてもこれは引きかえができるものと思っております。この配分については、今後郵便局や全国銀行その他各業態の方に集まっていただきます協議会がございますので、ここでその方法は相談をいたしたいと思っておりますが、再び抽せんというような大がかりな方式は必要ないのではないかというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/79
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080・多田省吾
○多田省吾君 先ほどお述べになった宮澤大蔵大臣の所信表明の中でもおっしゃっておりますけれども、為替問題につきましては、宮澤大蔵大臣とベーカー米財務長官の共同声明で一応日米合意ができたようでございます。ところがEC諸国は、この為替問題や半導体の日米調整問題で、日米間においてだけ調整をとってEC諸国を無視しているということで強い不満を表明しておりますけれども、このことに関しまして宮澤大蔵大臣はどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/80
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081・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私とベーカー財務長官との間の合意は、もとをたどってまいりますと、先般ワシントンで行われましたIMF等総会の折の幾つかの個別協議、それにはイギリスも西ドイツもフランスも入っておるわけでございますけれども、そういうところの協議、あるいはさらにさかのぼりますと、その前の昨年の九月のプラザの会議、その後にまたサミットがございましたが、等々の精神から出ておるものでございますので、そのこと自身にEC諸国が考え方自身に異議があるということでは私はなかろうと思います。ただ、ECの中で西ドイツのように、経済情勢あるいは政治情勢から我が国と同じような決定をこの時期にできないというようなそれぞれの事情はこれはあることでございましょうが、基本的にいわば迷惑をこうむったといったような感じを持っておるとは思いません。
むしろECとの間に問題ありますのは、いわゆる我が国の輸出入との関連で、例えば酒でございますとかそういったようなものに、あるいは半導体もそうでございますが、そういったようなものについて問題があろうかと思いますが、これはまた我が国とECとの間の協議を通じまして処置をしていく、こちら側としてもしかるべき処置をしていくということになってまいるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/81
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082・多田省吾
○多田省吾君 この問題でもう一問お尋ねいたしますが、中曽根総理も宮澤大蔵大臣も、一ドル百五十五円程度が百六十三円程度にまで円安になっておりまして、それでもなおまだまだ円高過ぎるという表明をなさっておりますが、私もそのとおりだと思います。やはりもっと円安の方向に向かわなければ適当ではない。そしてまた、我が国の中小企業等も倒産の憂き目に遭っておりますけれども、大蔵大臣としては、なお一層やはり円高が調整されて円安に向かうべきであると、このようにお考えなのかどうか、その辺をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/82
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083・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私とベーカー長官との考え方で、もういわゆる両国の経済のファンダメンタルズが反映されるようになったので、あとは市場が自然に相場をつくっていく、こういうことが基本の考え方でございますから、こうあるべきである、あるべきでないということを私が申しますことは差し控えなければならぬと思いますけれども、ただプラザ合意からもう一年余りたったことでもございますので、アメリカの貿易収支にもそろそろ改善の兆候が出てもいい時期であると思いますし、アメリカの財政赤字の縮小についてもそれなりの努力が払われているといったようなことから、市場というものがそういうふうに自然に向かっていくのではないかということは思っております。しかし、それはそうあるべきであるといったような表現で申し上げるべきことではないであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/83
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084・多田省吾
○多田省吾君 時間ですから、最後に一つ。
それでは、大臣のおっしゃるファンダメンタルズが今の百六十三円ということは適正であるとお
考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/84
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085・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ファンダメンタルズを反映しているというふうに合意をしたわけでございますが、そのアメリカのファンダメンタルズというものが、プラザ合意以来のいわゆるJカーブ効果というものもおのずから際限があるはずである、アメリカの歳出予算の赤字の削減の努力も行われているということから、アメリカの経済のファンダメンタルズというのはこれから悪くなるよりはさらによくなるというふうに考えるべきではないかと、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/85
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086・近藤忠孝
○近藤忠孝君 かなりの質問通告をしておきましたが、時間が限定されておりますので、二、三の問題に限定して質問をしたいと思います。
まず、税制改革の基本的な考え方として、「国民の生活水準の向上と平準化等を背景に、税制全体として課税ベースを広げ、負担をできるだけ幅広く薄く求めていくことが肝要である。」ということであります。果たしてそうなのかという問題です。
例えば、負担水準が国際的に見て低い水準だというんですが、そこで課税最低限、各国の数字で並べた資料が出ておりますね。確かに数字だけ見る限りは先進諸国に比べて課税最低限は高いところにある。しかし実情を見てみますと、一つは購買力がどうかということもありますが、もっと単純に見てみまして、アメリカは今回の税制改革によって段階的に課税最低限が上がっていって、一九八九年には日本円に直して二百七十一万、大蔵省の資料ですと百六十六万ですから、ずっと違っていますね。それからイギリスの場合は、基礎控除だけで給与所得控除は除いてありますから、もし比較するんだったらこれはサラリーマンじゃなくて申告納税者の百五十四万、これで比較すべきだろうと思うので、単純な計算でそういっても、所得水準、課税水準についての大蔵省の意見は正確な議論じゃないんじゃないかと思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/86
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087・水野勝
○政府委員(水野勝君) 確かに御指摘のような点はいろいろあるわけでございますが、従来から、夫婦子二人の四人世帯で年収幾らぐらいから所得税がかかるのかという端的な姿をお示しするために二百三十五万という数字をお示ししているわけでございます。これが普通のサラリーマンの方にとって一番わかりやすいだろうということでございます。
ただ、外国と比較をする場合には御指摘のような点もいろいろあるわけでございますが、今お話のアメリカにつきましては、百六十六万というのは御指摘のように改正前のものでございます。改正後におきましては一万三千ドルになりますので、これはことしのと申しますか、六十一年度税制改正での換算レートを用いますとたしか二百七十一万になるわけでございますが、最近の百六十円前後の換算レートを用いますと、これは二百万ちょっとという数字にもなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/87
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088・近藤忠孝
○近藤忠孝君 だから、大蔵省が税調に出されたこの資料を我々も単純にこいつを信用しちゃいかぬということが今の主税局長の答弁でわかりました。
それから次に、平準化が、課税ベースを広げ負担を幅広く求める、いわゆる大型間接税導入の論拠になろうとしている。実際しておるんですが、何を根拠に平準化と考えるのかという問題なんです。少なくともジニ係数を見る限りは、ジニ係数から見れば平準化じゃなくて逆に所得格差は広がりつつあるんじゃないかと思うんですが、この点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/88
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089・水野勝
○政府委員(水野勝君) 今回の改正は、さかのぼりますとシャウプ以来の基本的な見直しということでございますので、昭和二十年代、三十年代と比較していろいろな数字をお示しし、その点につきましての平準化をもろもろの現象から申し上げているところでございます。
最近の時点をとりますと御指摘のような現象もございますが、これはまた、平準化した中で、例えばパート労働者がふえたとか女性の方々の雇用者がふえたとか、そうした平準化した中でそうした新しい雇用情勢等もございまして、いろんな現象はあることは確かでございますが、現在行っております中期的な税制改革という観点からしますと、長い時点を比較すれば平準化してまいっているということはこれは言えることではないかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/89
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090・近藤忠孝
○近藤忠孝君 厚生省の資料はたしかこのあたりだね。いわば戦後の状況でジニ係数高いですよね。それに比べれば現在はそれは大分低くなっている。しかし、これは図表を見てわかるとおりずっと上がっていますよね。ここ十年ぐらいの規模で上がっていますし、これは厚生省のこの調査が始まって以来最悪の状況になっています。例えば一九六二年にジニ係数が〇・三九〇四、それが年々下がる傾向だったんですが、八四年の調査では〇・三九九七、これは最悪の事態であります。だからやっぱり上がる方向ですね。それから、これを十分位階級別当初所得構成比の年次比較を見てみますと、一番低い方は何とわずか〇・五%。それから第一と第二を合わせたって三・四%。それに対して上の方を見てみますと、第九と第十分位、二つ合わせて全体の四四・二%。だから上位二つの階層でもう全体の半分近くの所得を占めているということなんですね。これはそういう方向にあることはもう間違いない。
多くをきょうは時間がないので語れませんが、いろんな資料が、例えば生活保護世帯、老人世帯、そういったところはどうしたって所得がずっと少なくなって全体に追いついていけない。逆に財テクなどで上の方はどんどんやっぱりふえている、そういう傾向があることは間違いないんです。
となりますと、大臣が先ほどの所信表明でも、「政策運営に誤りなきを期すべく」というんですが、実際やっぱり現状を見れば、今回の減税自身がこれから指摘するように金持ち減税です。そしてその反面、間接税、何があるかわかりませんが、それで低所得者の方はふえるとなると、やっぱり所得再配分政策に今こそ逆に力を入れなければいけない時期じゃないかと思うんですが、今政府税調及び自民党税調でやっていることは逆の方向に向かっていやしないか、まさに政策運営に誤りなきを期すべくじゃなくて、誤りを期すべくというところに進みつつありはしないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/90
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091・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 間接税というものが、所得税に比べますと累進性がございません、いわば累退性、逆進性があるということから御議論になっておるわけでございますが、比較してそのこと自身は私は別段間違いだと思いませんけれども、ただ、我が国のように国民の所得水準がかなり高く、消費水準も高く、しかも所得の分布がこれだけ均等になっております社会で、単純に間接税が累退的であるからといったようなことが常に正しいのか。あるいは、むしろ所得税あるいは法人税のような直接税を緩和することによって勤労意欲なり企業意欲なりを高めることからくる国民的な利益というものをどう考えるか。
そしてしかも、所得再配分機能と言われましたが、間接税から入ってまいります歳入によってそれが所得の再配分機能に歳出として使われるということがございますわけでありますから、税だけに物を局限して、しかもその国そのときの状況ということとそれを切り離して議論するということは果たしてどんなものであろうか。私自身は、今の我が国の先ほど申しましたような状況から申しますと、所得に対する課税から消費に対する課税にもう少しウエートが移るということは、国民全体のために決して間違いではないというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/91
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092・近藤忠孝
○近藤忠孝君 歳出面で所得再配分機能を期すというんですが、実際はそれはまた別の方向、逆の方向に行っているということだけ指摘します。例えば国債利払いその他。ただ時間の関係でそれは次の議論にしたいと思うんです。
今度の税制改革案が所得階層別にどういう影響があるかというのをたしか大蔵省でも五分位階級別の試算を出しました。その結果相当高い層から
以下が今度の税制改革によって負担減になるという試算なんですが、その一つとして、法人税減税分が二分の一は個人株主へ配当、あるいは価格への影響等々でそれが個人の方に影響を与えるという議論も実際やっているわけです。しかし、それについては衆議院の予算委員会で正森議員も指摘しましたし、大蔵大臣もまあまあ半分ぐらいのところなんというような答弁で、結局法人税減税分が個人の方に行くなんという論拠はないわけで、むしろそれを除いて計算した方がいいと思うんです。私の方で大蔵省の方にその試算をお願いしておいたんですが、五分位じゃなくて、五分位だと正確に出てこないんです。
それからもう一つは、利子課税について大蔵省試算はすべてマル優適用者という前提を置いているけれども、やはり高所得者層の方では三五%の分離課税の問題もありますから、それも正確に考える必要があると思う。そこで、家計調査の十七階級別のデータを利用して試算やってほしいということを、もうこれ約一カ月ぐらい前から要請しているんですが、いまだに出てこない。有能な知能のある大蔵省でできないはずはないんですが、どうなんですか、そういう計算はしないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/92
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093・水野勝
○政府委員(水野勝君) 御指摘のような宿題をいただいたりしたことがあるわけでございますが、またその都度いろいろお答えを申し上げてきておるところでございます。
御指摘の収入階級別でございますと、これは、例えば第一分位でございますと、サンプル世帯が四世帯でございますとか、非常にどうもそういった点、まあ四世帯が一番少ない、その次は十三世帯でございますとか二十世帯でございますとか、こういう分布の状況でございますので、こうしたものから精緻な試算を出してかえっていろんな問題、論議を起こすことも考えられるわけでございますので、これはいかがか。私どもとしては、税制調査会にお示しした世帯のライフサイクル的なものでお示しすることで十分その結果はお示しされているのではないかということでお答えを申し上げてきているのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/93
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094・近藤忠孝
○近藤忠孝君 要するに、私が言ったような計算をしますと余り大蔵省に有利な数字が出てこないんです。私がやってみたらわかったんです。
やっぱり具体的な数字に基づいて議論した方がいいと思うので、この資料、私の試算をちょっと大臣ごらんになってください。それから主税局長。(資料を手渡す)
この前提は、今言った十七階層別にしたこと、一番上ですね。それからあと所得税・住民税減税額がずっと書いてあって、これは余り異論ないと思います。そしてA案、B案とありますけれども、余り中身は大きく変わらないのでA案でいきたいと思いますが、そのうち利子課税について、低い方からもそれなりにこれやっぱりマル優廃止で影響がありますが、年所得九百万以上になるとこれは逆に減税になってくる。要するに三五%がそうでなくなりますからね。
それから、もし日本型付加価値税という形でこの増税分をあらわして見ますと、これもA案——A案というのは要するに四兆五千億円の政府税調案ですね、でいきますと、ゼロから百五十万の段階で四万三千二百円の増税。だんだんふえていって、一千万以上で十六万一千八百円のこれは負担増。差し引きしてみますと、ゼロから百五十万のところはまさに無限大にふえていく、今までゼロですから。それから百五十万から二百万のところで四四五四%増、それから二百万から二百五十万のところで一三八%負担増、二百五十万から三百万のところで六四・七%増。だんだんこういうぐあいに減っていきまして、例えば六百五十万から七百万ぐらいになりますと約五から六%の負担増。そして八百万から九百万のところへ来てほぼこれは増減ゼロ。そして九百万から一千万になりますと一一・五%のこれは負担減。そして一千万以上が二五・一%。
ですから、私にもできる計算ですし、さっき主税局長が言ったような前提は、大きく見ればこれとそんなに大きく数字が違ってこないんですよ。今回の政府税調の案はきれいに、低所得者ほど大変な負担増、そして高額所得者ほど負担減というのは、しかもそれは図式的にもきれいになだらかになっているんですよ。どうですか主税局長、これ間違いありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/94
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095・水野勝
○政府委員(水野勝君) ただいまのお示しでございますので、詳細につきましてはよく拝見いたさないとわからないわけでございますが、第一点は、先ほどお話のございました法人税の扱いがまずあろうかと思うわけでございます。そのほか新税につきましての計算根基等、なおよく私どもとして検討をしなけりゃいけないかと思うわけでございます。
しかし、総じて申し上げますと、普通の世帯でございますと大体五万から六万程度の増収と申しますか、負担増加になるのが一般的でございますと、それでは全体としてまさに歳入との関係でどうなっているのか、相当増収になっているのか、そこは法人税との関係をどう考えるのか、そこら全体としますとやはりいかがかなという感じがいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/95
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096・近藤忠孝
○近藤忠孝君 大臣、いかがかなんて言ってないで、大蔵省もこういった方法でこれやってみたらどうですか。私も大蔵省の計算をかなり取り入れて、そしてあと分けるところがちょっと違うだけ、十七になっていますからね。五分位じゃわからないんですよ、一番上の方の状況は。だからやっぱりこういう十七にやってみる必要がある。
大臣にお約束願いたいのは、こういう調査を大蔵省に——すぐできるんだから、私だってやったんだから。こういうのも一つの場合ですよ。こういう可能性も大いにあるということも今回の税制改革に関しては十分調べなきゃいけない。こういう調査をしないで、それで大蔵省の主張だけとったってだれもそんな信用しませんよ。大臣、こういう調査を命じてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/96
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097・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) また参考にさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/97
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098・近藤忠孝
○近藤忠孝君 大臣、これ参考にするのも結構ですけれども、参考にするなら信用してくださいよね。大蔵省独自でやっぱり調査するかどうか、そこが大事なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/98
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099・水野勝
○政府委員(水野勝君) これは、先ほど申し上げましたように、統計上ちょっと分布が数に制約がございます。四世帯といったようなもののサンプルでとっていろいろ御議論を願うのは、やっぱり私どもとしていかがかなという気がいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/99
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100・近藤忠孝
○近藤忠孝君 だから、それでしたらそれなりの大蔵省、うんと納得できるようなものをね。今の五分位なんかでは全然出てこないそういうものが出てくるんですから、もうちょっと踏み込んだ調査をやっぱりしてほしいと思うんです。いかがなものか、いかがなものかで全然調査しなかったら一番大事なことがわからないんですからね。ひとつ大臣お約束をいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/100
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101・水野勝
○政府委員(水野勝君) そういう点につきましては、私ども、法人税を入れたケース、入れないケース、いろいろ分けまして十六通り分析をいたしましたり、またもろもろの似たような調査をいたしておるところのデータもございます。いろんな面から私ども勉強はいたしてまいりたいつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/101
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102・近藤忠孝
○近藤忠孝君 その一つとしてこれもひとつやってほしいと思うんです。
時間がなくなっちゃうんで次の問題に行きますが、内需拡大策について、基本的には今の円高対策については私たち随分批判がありますが、しかし、内需拡大策の主要な内容である消費生活の充実、これはいいことだと思うんですね。その中に所得減税とか労働時間の短縮。そして労働時間の短縮に関しては、法定労働時間の短縮と年次有給休暇の最低日数の引き上げ。当面の措置として、、週休二日制の普及等労働時間の短縮について国民的コンセンサスを得ていこうと。そして特に、大蔵省の中に入りますが、実際の動きとして、金融機関等における土曜日休業日の拡大、これは八月
から実施されているというんで、ですからこれはやっぱり内需拡大策としての金融機関における土曜休日の拡大です。第三土曜日がまた加わったですね。
お聞きしたいのは、この実が上がっているかどうかなんです。というのは、単純に考えれば、土曜日、今までの例えば四時間ないし五時間の勤務時間がなくなりますから、その分だけ時間短縮になっただろう、これは普通の考えですが、大臣その辺どう認識されてますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/102
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103・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 金融機関の週休二日制のお話ですので、私の方から答弁申し上げます。
今お話がございましたように、本年八月からこれまでの第二土曜日に加えまして第三土曜日を休業日としたところでございます。この措置につきましては地銀、相銀初め各金融機関すべてにわたって実施しているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/103
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104・近藤忠孝
○近藤忠孝君 問題は、八月以来第三土曜休日に伴って、都市銀行はそうじゃないんです、そのまま全部休みにしていますが、地方銀行それから相互銀行については、土曜休日分を他の勤務日の就業時間の延長あるいは平日特別休暇など勤務条件の改悪が行われていまして、実際休日増による労働時間の短縮が行われていない、これが現状です。
これは既に調査をお願いしておりますが、もう時間がないから私の方で指摘しちゃいますと、地方銀行関係で申しますと、青森銀行の場合は就業時間を通常の日十分延長、秋田も十分、羽後も十分、山形十分、岩手十分、滋賀銀行は十五分、阿波銀行十分延長、また土曜日も勤務する日にも時間がふえているというようなことであります。そうしますと、一日わずか五分ないし十分でもふえますが、本来土曜日が休日になれば当然年間で浮く時間が、要するに休日がふえる時間がありますよね。ところがこういうぐあいにほかの日に全部振り向けられちゃったら余り残らないんです。
そこでそれも調べてみました。地方銀行で申しますと、青森銀行で、本来ですと第三土曜によって年間の時間短縮が四十七時間という予定です。しかしそれが五時間二十分にしかならない。みんなほかの日に消えちゃうんです。それから岩手銀行の場合、五十五時間時間短縮になるはずのところが九時間十五分しか短縮になっておらない。それから相互銀行、富山相互銀行の場合は五十四時間短縮になるところが七時間三十五分、大東相互銀行が四十八時間のところが三時間二十五分。あとは、A相互銀行と申しますが、これを見ますと五十時間のところが十六時間五十分。B相互銀行の場合には五十二時間のところが二十六時間、まあこれは半分程度ですが。ひどいのはC相互銀行、四十八時間短縮になるところが二時間十分しか短縮にならない。D相互銀行の場合には五十二時間になるべきところが十七時間四十分。
それでこれをさらに、それではこの分を、その銀行の従業員の労働時間を全部合計しまして、もしそうしなければ何人分雇えるのか、要するにそれだけ雇用力がふえるべきところがふえない。まさに内需策であれば、時間を短縮してその分雇用拡大あるいは消費拡大にすべきでしょう。それが大蔵大臣の監督する銀行ではそうなっていないんです。その計算をしてみますと、青森銀行で五十七人分、岩手銀行で五十九人分、富山相互銀行で三十三人分、大東相互銀行で二十六人分、A相互銀行が約三十名、Bが二十七人、Cが十三人、Dが三十人です。
たまたま私が調べて手が回ったところだけでも、これだけ本来土曜休日の拡大によって雇用が増大し、まさしく大蔵大臣の言う内需拡大ができるところができていないんですよ。大臣の言う内需拡大のために、特に金融機関の週休二日制の拡大とせっかく政策に掲げ、もう実施しました、八月から実施しているというところの実情はこういう状況なんです。これはやっぱり大臣の趣旨に反するでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/104
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105・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員御指摘のように、一部の金融機関につきましては、平日等に若干の勤務時間の延長をその分行っているところがあるということは聞いているわけでございます。しかしながら、御存じのように、金融機関の労働時間の問題は基本的には労使の合意に基づいて各金融機関が自主的に決定するという問題でございまして、したがって大蔵省といたしましてはその詳細は承知してないわけでございます。
しかし、このように労使間の合意に基づいて決定されるべき問題ではあるわけでございますけれども、ただ、このような時間延長が非常に行き過ぎた結果といたしまして週休二日制を拡大した趣旨が損われるような事態が出てくるということは、大蔵省といたしましても好ましいことではないと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/105
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106・近藤忠孝
○近藤忠孝君 まずいことだという判断はそれは結構なことだと思うんです。
先ほど局長が言ったような答弁であれば、これは社会労働委員会でやれるんです、労使の問題になってくるんだから。そして労働基準法違反かどうかという点で私なりにそれは追及したいんですが、ただ大蔵委員会ですから、私はそういう点は全部抜いて内需拡大、しかも、全体を推進していく中心にある大蔵大臣のおひざ元で今銀行局長が言ったようなまずいことが起きているとなれば、これはひとつ指導して、やはり時間短縮の効果が上がるように、そういうことをやって初めて大蔵大臣は、国内でもあるいは世界に行っても内需拡大策をやっていますよと堂々と言えるんですよ。今の状況では、言ったってだれも大臣うそ言ってると思いますね、現に時短の効果が出てないんだから。この点で御指導いただけますかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/106
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107・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 実効が上がるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/107
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108・近藤忠孝
○近藤忠孝君 じゃそれを期待しております。
あと最後に、こういう金融自由化の影響を受けて大変過当な競争になっていますと、いろんな新しい商品を考える、そういう中で消費者ローンに新しく乗り出している、それは結構なことだと思うんです。ただ、現状は、それがまた過当競争になってしまって、消費者ローンの本来の目的を達しないどころか、いろんな問題が今起きかかっています。それも調査をお願いしているはずですが、例えばクレジット会社と連携して調査は全部そこに任しちゃう。そのためにもう大変な騒ぎが起きている。全く別のつもりで判こを貸したら、その人まで請求がいったというようなことで新聞問題になっています。それから、余り安易に借りられる。町で配っている消費者ローンのビラの中に借入申込書もついているんですよ。これはサラ金業者だってやらぬようなことも堂々とした銀行がやってるんですね。
それから、各銀行員に割り当てをするんです。割り当てが消化できないとまたしりをたたく。これはある銀行ですが、調べてみたら、銀行員のうち三百数十名の人がまず自分で借りるんですね、必要もないのに。こんなことも起きてるんですね。そして一人当たり八十万もそんなものをしょい込んでいる。銀行員が銀行の金を必要もないのに借りて成績を上げようなんというね。今までは貸し付けの方で問題があったんですが、今は、一見消費ローンの拡大でいい側面と同時に、それがもう各銀行の、何といいますか、収益の方だけが頭にきちゃって借りる側のことを考えない。あるいは銀行員自身が銀行の金を借りて負担を抱え込まされている。こんなことが現に起きておるんです。
これについて調査してもらっていると思いますし、これに対して通達等でこういう行き過ぎがないように指導すべきだと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/108
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109・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほど委員御指摘のように、内需拡大という観点からは消費者金融を積極的にやってもらうということは大変結構なことであるわけでございまして、昨年十一月七日付の銀行局長通達でも、そういう趣旨で、各金融機関が個人消費を喚起する観点から積極的にやるようにというふうに指導しているところでございます。ただ、そういう中で非常に無理な競争を行うということもまた好ましくない面もあるわけでご
ざいまして、そういう点につきましてはそういうことが行われないよう指導していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/109
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110・近藤忠孝
○近藤忠孝君 無理にそれをふやしている、あるいは押しつけているというような実情について銀行局としてはどういう実態の把握をしておりますか、そしてまたそれに対してどういう具体的な指導をしようとしているのか、それをお聞きして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/110
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111・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 御指摘の点につきましては、我々としても調査してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/111
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112・近藤忠孝
○近藤忠孝君 調査してまいりたいというのは、まだ調査していない。これは私もう大分前から指摘しているんだから調査が進んでいると思うので、その結果をここで発言し、かつどうするのか、そこを言ってもらわぬと今までいろいろ指摘した意味がなくなっちゃいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/112
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113・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) こういう点につきましては常時指導をしております。
ただ、先ほど来申し上げましたように、本来、消費者ローンにつきましては積極的にやるようにという趣旨で指導しておるわけでございまして、そういう中で本当に問題のそういうものがあるかどうかという点は非常に見きわめがたい点もあるわけでございまして、したがって、今後そういう点については我々としてもよく調査し、かつ問題がある場合には是正させるよう指導したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/113
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114・近藤忠孝
○近藤忠孝君 時間が来ましたので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/114
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115・栗林卓司
○栗林卓司君 大臣にお尋ねをするのは初めてなものでありますから、基本的な点についてお考えをお尋ねしたいと思います。
今回御提案のこの法律案は、提案する側としますと、何とも気持ちの悪い、こんな器量の悪い法案を提案はしたくないというのが私は本音だと思うんです。いかに財政が苦しいからといって、臨時異例で先輩がつくった財政法の六条を踏み倒すということはしたくない、こういうことだと思うんですね。したがいまして、今回はわかりますよ、もう背に腹はかえられないから何とかこれ通してくれというのはわかるんですが、それだけでは私は説明が完了していないと思うんです。ではしからば、今百四十兆円を超えている公債発行残高に対してこれから一体どうしていかれるのか、それをあわせておっしゃらないと本当の御説明にはなっていないのではなかろうか。
幸い確かにNTTという好運な事件もありましたけれども、そういう百四十兆円を超える公債発行残高を説明するにしては、やはり一部でありまして、ではどうするかということになりますと、別な言い方をしますと、大蔵省がつくっている財政の中期見通しで言っておりますあの要調整額を一体これからどうやって減らしていくんだということになるわけですね。その場合には増税をするのか、増収を図るのか、歳出を削るのか。もう幾らも選択肢はないわけです。今自民党税調でやっている作業は、中曽根総理も中立的な税制改革とおっしゃっておりますから、増税はまず頭にないといたしますと、増収はこれもそう大きいことは期待できないのか、それともこの際思い切って高目の成長率を目指していこうとおっしゃるのか、あるいは歳出カットを思い切ってやるのか。
私はこれ理屈として申し上げているんではなくて、確かにマイナスシーリングで毎回予算編成のたびに御苦労されて御努力されておりますけれども、そろそろ限度でありまして、この辺まで来ますと制度、政策の根本にさかのぼってメスを入れないともう減らない、そこまで来ておりますね。ところが、制度、政策の根本にさかのぼるといっても、政治的には非常にこれは敏感な分野でありますから、やるかやらないかということはそれなりの政治的な準備仕立てをしてからでなければ取り組めないことになる。では一体どういう形で取り組んでおいでになるんだろうか。要するに増収、増税に係る部分と歳出カットに係る部分と、それはどういった青図を頭の中にお引きになってこれから大蔵大臣として作業をしていかれるのか、私はそれは当然お示しになる責任がおありになるんではなかろうかと思いますが、この点についていかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/115
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116・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 問題は、一般会計の中で国債費の占める比率が二〇%を超えておるということ、しかもこれは減らないわけでございますから、しばらくの間はふえ続けるということでございますから、やはりそのもとになる、殊に特例公債の発行を減らしていって最後にはやめるということ、これはどうもどういうことがありましても心がけなければならない緊要な課題だと思うわけでございます。
さて同時に、私は今のような低迷した日本経済というのは本来の姿ではないという気持ちを持っておりまして、国際的な原因にもよることでございますけれども、日本の経済の潜在的な成長力はかつてのようではありませんでも、もう少しあるはずであるというふうに考えておりますので、そういう意味で経済の運行が正常化いたしますと、今おっしゃいましたような問題の解決にかなり資するところがあるだろう。つまり増税によりませんでも増収ということは十分にあり得る、かつては幾らでもあったわけでございますから、そういったような経済運営の正常化というものをやはり常に頭に置いておくべきではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/116
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117・栗林卓司
○栗林卓司君 方向としておっしゃることはわかる気がするのでありますが、もう少し言葉を足していただきたいと思いますのは、よく言われる世界同時不況のさなかにあるわけでありますが、そのときに、今確かに日本経済というのは正常な姿ではない、これを正常な発展力のある経済にしていくためには、ある時期やはりアクセルを踏んでいかなきゃいかぬ、そういった対策が必要だと思うんですね。
一方アメリカはどうかといいますと、財政赤字の削減で法律もつくったりして取り組んでおります。それはアメリカとして当然なんだけれども、財政赤字の削減が持っているデフレ効果、これを一体どこの国が埋めていくんだろうか。また埋めてまいりませんと世界というのは活力をなかなかつかみ取っていけない。そういった中で日本としてどうしていくかということになりますと、片一方では、特例公債の依存体質からの脱却はこれは何としても進めなければいけませんけれども、もう一つでは、ある武器を財政として持っていなければいけない。それは建設公債である場合が少なくないでしょう。そのときに、ほうっていけばふえていく公債発行残高に対していかなる考え方を持って管理していこうとされるのか。
私が今伺うのはこういった意味なんです、簡単に言い直しますと。今百四十兆円の公債の金利を加重平均しますと大体七・五だと思うんです。じゃ思い切って全部洗いがえしてしまえば相当助かるじゃないか、これは金融機関としますとたまらないことでしてね。今までさんざん無理を言って押しつけてきたのが、ここに来てそのやり方はないだろうと言うでしょうけれども、といって今の財政状態を見ますと、もう思い切って早期償還をして金利の安い国債で残高の中身を変えていったらどうだろう、これも一つの百四十兆円の国債を管理する物の見方、考え方だと思うんですが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/117
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118・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 国の国債政策あるいは国債管理政策の中でいわばそういう市場経済的な考え方をもっと取り入れるべきではないかということは、私は傾聴に値する御意見だと実は思っているわけでございます。そこから実は問題はいろんなふうに発展をするわけでございますけれども、今その余分なことを申し上げる必要はないので。
ただ、今おっしゃいましたことで申しますと、それは債権者の利益というものもございますけれども、一般に債務者側の利益もあると考えなければなりません。したがいまして、早期に償還をするとすればいわば買い入れ償還をするということにならざるを得ないかと、時価で買い入れ償還、ということになりますと、これはまたこれでなかなかいろんな問題を含んでおりましょうと思いま
す。
ただ、おっしゃいましたことは非常に私は大事なことであると考えておりまして、将来の問題としては、国債政策あるいは国債管理政策の中にやはりもう少し金利といったような考え方を取り入れていく、あるいは発行のタイミングでありますとか、もろもろの発行条件でありますとかということはやはりいろいろ考えていくべきではないかと思っておりますけれども、急な問題としてはなかなか影響するところが大き過ぎるように、おっしゃいますような問題がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/118
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119・栗林卓司
○栗林卓司君 一つの課題として御提起申し上げたにとどまるわけであります。
それからもう一つ、これも実はどうするんだと言われましても、さてと腕を組むような話に質問者自身がなるのでありますけれども、今実感として非常に深いのは、今の円高水準をそのままにしておいて日本が正常な活力を取り戻すというのはなかなかに困難である。去年のG5から急速な円高へのあの変化の速さに比べますと最近は落ちついておりますけれども、今の水準というのはやはり日本の産業、企業が耐え得る水準をどうやら超えているらしい。したがって、それが直接の原因だと私は申し上げても間違っていないと思うんですが、恐らくベーカーさんと会談なさったころは、ことし日本経済は何とか四%を目指していると御説明だったというように思うんですが、今四%は絶望的であります。来年はどうかなというと、来年も非常に困難な色が強い。そこで、今の円高水準を日本経済の産業、企業の体力に見合った水準まで戻すためにどういう手段、方法があるんだろうか。
そこで、これからの国際通貨のあり方について大臣がお考えになっているイメージをちょっと私伺いたいんですが、こんな気がするんです。東京サミットが行われました。そこでサーベーランスが決まり、必要があれば介入ということも共同宣言で決まりました。その他金融関係の会議の議事録を見ましても、おおむねそういったニュアンスの合意事項が多いんですけれども、それはもう相場というのは市場で決まるしか決まりようがないんですから、そうするとどうするかというと、ある何がしかのターゲットゾーン、それは言うわけにいきませんけれども、それをお互いに何となく頭に思い描きながら、後は政策の相互調整でそこに持っていくための努力を続けていく、そういった各国間の関係をどうやって打ち立てていくのか。これからの国際通貨制度がどういったことになるかわかりませんが、そこに行く道筋というのは結局そんなものなのではあるまいか。
なぜこう伺うかといいますと、私新聞記事で質問するというのは嫌いなんですけれども、たまたま日本経済新聞のトップに、「米独、為替安定で合意へ 緩やかな「相場圏」に 政府・日銀見通し 西独選挙後にも実現」、アメリカとドイツの間で為替の安定について何がしかの合意ができた、やはりこれは日本も含め世界的な広がりの中で定着していくのではあるまいかといういわば予想記事ですけれどもね。ただ、こういった文脈の中で、将来の為替レートというのは解決をしていくべき問題だと考えてよろしいのかどうなのか。その場合に日本として今の円高水準を是正するために何をすべきだとお考えになっておられるか。この点だけ御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/119
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120・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) プラザ合意以来のことを振り返ってみますと、確かに我が国経済はこの事態になかなか対応し切れずに苦労をしておるわけでございますけれども、一つはやはり、円の水準の高さもさることながら、それが非常に短期間に起こったということに一つ関係があろうと思います。これはもう起こってしまったことでございますので何とも申せませんが。
したがって、それに時間とともに少しずつなれてくるという要素はゼロではないと思うのでございますけれども、私がとりあえず思いましたことは、これ以上の円高というものはない、もうこれがこれより難しくなることはないので、したがって、対応されるにしてもそれは考えていただいていいということをつくり出しませんと、企業の立場としてはこれはもう何とも対応がないということではないかと思いまして、この間ああいうことをベーカー氏と合意したわけでございます。が、それは必ずしも今の水準なら日本経済が対応できると私自身が即思っておるわけではございませんで、やはりなかなか対応に苦しいところが現実にあると思っております。
それは、先ほども申し上げましたが、やはりファンダメンタルズというものはどちらかといえばアメリカ側からよくなっていくはずである。これだけ我々としても協力をしておるわけでありますし、アメリカ自身も問題意識を持っておるのですから、そういう形で市場の実勢が動いていってくれるのではないかというふうに思っているわけでございます。
それから、まさに国際的な協力しかないだろうと言われることは、結局そういうことになると思うのでありますが、プラザ以来の経験を見ましても、結局いわゆるターゲットゾーンというようなことは現実的には非常に難しいことであって、やはり各国の間で政策協調しながら、どなたかが使われた言葉を借りれば、インプリメンタルアプローチとでも言うのでありましょうか、接近的な方法でございますか、そういったようなことで主要国が政策協調をしていくということが可能な唯一の道ではないか。
先ほど、アメリカが財政赤字を減らし貿易赤字を減らしていくとすれば、そのデフレギャップはだれがしょうのかということは、先進国間の合意は、やはり大きな黒字国がそれをしょってほしいということでございまして、我が国にそういう期待が一番寄せられておるのだと思います。そういう意味で、先般来の補正予算なども一つはそんな理由からお願いをいたしたわけでございます。
そういうことで、我が国とアメリカ、あるいは西ドイツを中心としたアメリカ、日本、そういう間での政策協調の中から為替の安定を見出していく、どうもそういうことにしか、現実に取り得る政策としてはそこらあたりが考え得る現実的な処理ではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/120
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121・野末陳平
○野末陳平君 まず、金利のことでちょっと伺いますけれども、公定歩合の第四次の引き下げがありまして、それについては大蔵大臣も時宜を得た適切な措置だとお考えのようでして、それはそれでいいんですが、早速に預貯金金利が下がりました、今週から。預貯金金利は、一年定期を例にとりましても一時のもう半分以下になっちゃいまして、四%切ってますからね。
そうしますと、一方今度は住宅ローンの方を見ますと、これが意外と下がってないわけですよね。これは九%から七・〇二%ですよね、今固定金利言いますと。そうすると、預けてもらう金利の方は非常に敏感にあれよあれよと下がっていって、ところが借りて払う方の金利の方は意外と下がっていない。やっぱりどう考えてもちょっとおかしいような気がするんで、住宅ローンは二%しか下がっていませんからね。ですから、これは長プラに合わせて年二回見直すというふうに決まっているというものの、しかしそういう理屈で説明つくかどうか。どう考えてもこれは、預貯金金利がここまで下がればもう少し住宅ローンの金利も下がってしかるべきだとだれが考えても思う、消費者は。これはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/121
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122・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 一つその場合の問題でございますけれども、住宅金融はもともと長期の金利でございまして、長期プライムにほぼ連動するような形で決めているわけでございます。片方の預貯金金利の方は普通預金等々比較的短期のものでございまして、そっちの方の金利変動はより大きく動いております。そういうような関係で住宅ローンの金利の変動幅が小さくなっているということがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/122
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123・野末陳平
○野末陳平君 理屈はそのとおりですよ。ですけれども、例えば年二回見直すというんで今の金利はそのまま来年の三月まで続くんですけれども、それをそういうものだというのはちょっとおかし
いなと思うんですよ。やっぱりこれは大蔵省指導してほんのちょっと、長プラも変わったんだからね、だって五年物は下がるんだから、だからやっぱりちょっとその辺考えまして、ここでどうなんでしょうかね、やはりこのままの金利でもう決まっているから三月までは変えません、四月の時点でもう一回見直してそのときに考えましょうというんでなくて、大蔵大臣、もうちょっとぐらいサービスするぐらいのことをやってもいいんじゃないかと思うんですがどんなものですか。今の銀行局長の説明でそのとおりだからもうだめよ、こういうのはちょっと何となく国民感情、庶民感情に合わないと思うんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/123
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124・平澤貞昭
○政府委員(平澤貞昭君) 若干、御答弁する場合に技術的な点も前もって御説明しておく必要があるかと存じますが、従来は長期プライムが変わりましたたびに変えていたわけでありますけれども、そういたしますと今度上げるときも長期プライムが上がると即座に上げるということになるわけでございます。したがって、長期プライムが変わりましてから半年ごとにそれを見直していくということをしておりますので、したがって上げ下げともそういうふうにしたということでございまして、下げの場合だけ硬直的な処理をしているというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/124
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125・野末陳平
○野末陳平君 そう変わったのはつい最近だからね。しかも固定と変動とどっちでも選べることになっているし。まあ理屈はいろいろつくけれども、どうも下がり方が緩慢である、もうちょっとぐらい下がってもいいんじゃないかという気がするんで、それを何にもしないで大蔵省がただ傍観しているのもどうかなと思っているだけですよ。だから、大臣はどうですかと、こう言っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/125
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126・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 少し研究してみます。
いや実はその辺のことはなかなかいろいろいきさつがあるようでございまして、上がっていくときに、まあ今恐らく金利は最低に近うございますので、ずっとそれに従ってその都度その都度上がっていくようなことがいいのかどうか、あれこれまあいろいろな事情があるんだろうと思いますが、おっしゃることも国民のかなりの方々が同じ疑問を持っておられるだろうと思いますので、もう少しよく研究させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/126
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127・野末陳平
○野末陳平君 じゃ今度はマル優の話。
マル優の廃止が煮詰まってきますと郵貯の問題がどうしても出てきまして、郵貯の非課税はこれはもう絶対守る、こういうような意見も多いようで、これは自民党の先生方がそういうようなことをおっしゃっておりますが、これはいわゆる郵貯の非課税とそれからマル優は同時にしなきゃいけないというのが今までのずっとこの委員会の話だったんですが、そこで両者は同時にするべきことで、片方だけが廃止されるということはあり得ない、こういう原則はこれはずっと変わらないと、こう考えていいですか。どちらも廃止するときは同時であると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/127
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128・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 銀行と郵便貯金どちらという意味……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/128
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129・野末陳平
○野末陳平君 そうです。どちらか片方だけが廃止されるという話はおかしいと、こういうことです。どうですか、その原則に変わりはないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/129
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130・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はこの話は大変今の段階で微妙なことになっておりまして、どういうふうに申し上げていいのか、そこは両方の間の全体的なトータルバランスといいますか、銀行側からいえばイコールフッティングというふうに言われるわけでございますけれども、やはり両方の間の全体のバランスというものは考えていくことが大事であろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/130
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131・野末陳平
○野末陳平君 ですから、片方だけ残るとバランスが狂いますからね、そういうことがあってはおかしいなと。今までのマル優問題についての議論は、常に両者は、郵貯の非課税をなくすならば当然銀行のマル優もと、同時だったんですね。それがここへ来て様子がもし変わって、マル優は廃止、だけれども郵貯の非課税は残るなんということになったら、これはおかしいんじゃないかなと思ったんであえてお聞きしたんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/131
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132・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) そういうふうな、様子が変わるというようなことは私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/132
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133・野末陳平
○野末陳平君 そうすると、強いて言えば、郵貯の非課税を廃止するかわりに、そのために別の何か新たなる措置を考えるというか、特典といいますかね、何かを郵政省側に与えるなんということもあり得るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/133
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134・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は先ほどから申し上げておりますように、政府と与党の間でただいま意見調整を進めておる税制改正の一環としての問題でございますので、私としてはその帰趨をもう少し見ておりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/134
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135・野末陳平
○野末陳平君 マル優の廃止自体いろいろな意見がありますけれども、これは減税財源としても、あるいはその他幾つかの理由からいっても僕はもうやむを得ないと思っていますけれども、それは前からこの委員会でも言っているところなんです。
ただ、最近の働きを見ていますと、マル優が廃止になったらひょっとしてお金の流れが変わって株の方がどうだとかそういうような声も聞かれる。そうすると、株式の譲渡益です、キャピタルゲイン、これが今までどおりで、まあいわばざるみたいなもので非課税だというのはやはりこれはおかしいなという気がしますから、何でこの株式の譲渡益に対する課税にもっと大蔵省が積極的に研究して前向きにやらないのか不思議でしようがないんで、技術的に難しい難しいと十五年ぐらい前からそれを言い続けているんですけれども、ちょっとその辺がもうそういう技術論じゃ済まない。なぜやらないんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/135
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136・水野勝
○政府委員(水野勝君) この点につきましては、今回の税制調査会の答申でも、「公平、公正の理念に照らし」「年間の大量取引に係る所得を課税対象とする等段階的課税強化を一層推進することにより課税ベースの拡大を図り、究極的には原則課税を志向すべきである」という提言をいただいているところでございます。大きな方向としてこうした趣旨を踏まえまして対処してまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/136
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137・野末陳平
○野末陳平君 税調ではもう前からそういうことは答申出ているんですよね。ですから大蔵省は半歩も一歩も踏み出すのが当然だ。マル優を廃止するところまで踏み出してきているんだから、何でもっと具体的に検討していかないんだと。知恵絞ればできないはずないんでね。もういろんなことを考えるんだから、本当に頭いいと思って感心するぐらいなんですよね。ですから絶対にできると思うんですよ、株式のキャピタルゲインも。だから何でやらないんだ、やる気がないのか。一体どこが、方向はそうであるというのはもう前から聞いて知ってますから、踏み出さないのは何でだと、こう聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/137
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138・水野勝
○政府委員(水野勝君) 同じくこの答申におきましては、究極的には原則課税を目指すべきであるという段階につきましては、「適正、公平な税務の執行の確保を図るためには、有効な課税資料の収集のための実効ある措置が不可欠である」という指摘もいただいているところでございまして、そうした措置のないままに原則課税といたしました場合に、果たして真に公正な課税が実現できるのかどうかにつきましては若干の疑念もあるところでございますので、そうした措置につきましての検討とあわせて今後対処してまいりたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/138
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139・野末陳平
○野末陳平君 いつも言っているわけですね、そういう答え方で。だけれども、もうそろそろそれはきかなくなっちゃったわけだね、もうすぐ目の前にマル優の廃止の問題があるんですから。だから今回郵貯の問題も含めて株式のキャピタルゲイン課税を強化しないでおくというのはおかしいな、一緒に全部やるべきことではないのかなと、そう思って聞いているわけですからね。じゃ今回それを難しいから外したんですか、結論を。今言ったようにいろいろ難しい面があるから今回は置いておいて、次にまた検討なさるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/139
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140・水野勝
○政府委員(水野勝君) ただいま申し上げました
ように、年間の大量取引、これを課税対象にするなどという具体的な指摘もいただいているわけでございまして、そういうところから従来の路線に沿いまして検討をしてまいりたいということでございます。やはり原則課税と建前としてそういうことを打ち出しますからには、それが完全に適正な実施が担保されることが必要ではないかと思うわけでございます。極めて大量に取引されます株式取引につきまして、それぞれにつきまして本人確認をいたし、またその適正な取得価額を確認していくということは、取引の大量性、多様性からいたしまして、そこらを十全な配慮をした上でいたすのが適当ではないかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/140
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141・野末陳平
○野末陳平君 大蔵大臣、随分難しそうだというのはよくわかりますけれども、いつも毎年そういうようなことで終わっちゃうのはちょっと納得が得られないだろうと思っているわけなんです。ですから、マル優問題にいよいよ決着をつけようかというときに、株のもうけだけをほっておくというのは許されないだろう、今「の答弁じゃちょっとおかしいと思っているので、どうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/141
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142・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 平らな言葉で申しますと、非常に大きな取引があったという場合には、これは確認することはそう難しくございませんし、あるいは年間に非常に何度も売買をしておるという人の場合もこれも確認をすることがそんなに難しくないであろう。しかしそうでない場合に、例えば売った価額はわかるとしましても、取得価額というものはこれは実際簡単にわかりませんので、そういったような領域に踏み込みますと、行政が非常につまり公平でないといいますか、行き渡らない行政をすることになってはいけないというのが税制調査会における指摘でもあり、また過去にそういう経験が現実にございましたから、それでまず不公平を招かないような、確実に把握できるようなところから強化をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/142
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143・野末陳平
○野末陳平君 まあしかし完璧な捕捉というのはなかなか難しいんだから、それを盾にとってできないと言われるのもどうかなという気がするので、まあひとつ研究して、具体的に半歩でも一歩でも前進すべきだというのが今回のマル優問題にけりをつけるために必要だと、こう思っているんです。それを強調して終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/143
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144・井上裕
○委員長(井上裕君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/144
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145・井上裕
○委員長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/145
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146・近藤忠孝
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、昭和六十年度の剰余金処理特例法案に対し反対の討論を行います。
本法案に反対する第一の理由は、財政法第六条第一項の規定に反し、全額補正財源に繰り入れようとするものだからであります。言うまでもなく、財政法第六条第一項の規定は、現在の減債制度においては減債基金への積み立ての補完的制度となっており、巨額の国債を抱えた今日こそこれを厳格に守ってその減額に努めなければならないのであります。
政府においても、大量の特例公債の発行が始まった昭和五十年、当時の大平大蔵大臣が、特例公債の償還期間中は、決算上の剰余金が出た場合、従来の二分の一以上の繰り入れ措置を改め、その全額を償還財源に充てることを約束した経緯があります。今回の補正財源への全額繰り入れは、昭和五十九年度剰余金処理の特例に引き続いて二年連続でその約束を真っ向から被るものであり、五年連続の国債整理基金定率繰り入れの停止とあわせ、政府の減債政策の完全な破綻を示すものであります。
第二は、政府は、今回の措置は、公務員給与の改善、義務的経費の追加などのための補正予算の財源としてやむを得ず、また、半額繰り入れを守って特例公債を追加発行するよりは全額補正財源に充てる方がましであると説明しております。しかしながら、補正財源不足の最大の原因は、当初見込みに比べ一兆一千二百億円もの租税収入の落ち込みにあり、とりわけ九千八百十億円もの大幅減収となった法人税に見られるように、政府みずからがつくり出した円高不況に対して何ら実効ある対策をとらなかったことなどによるものであります。
また、有価証券取引税が三千四百八十億円と倍増したことにあらわれているように、金余りが大企業全体に広がり、有価証券、土地などに対する投機的投資が際立っているときに法人税収が激減したことは、その根底に大企業、大資産家に対するさまざまな優遇税制の温存、拡大があることを指摘しなければなりません。
第三に、補正財源の確保は、軍事費や大企業補助金など各種の不要不急の歳出を厳しく削り込めば十分可能であります。にもかかわらず、公共事業追加分として五千四百九十億円の建設国債を新たに増発した上、本来減債基金に充てるべき決算剰余金の全額を補正財源に充てるなどは、財政再建の努力を全く放棄するものと言わなければなりません。
以上が本法案に反対の理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/146
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147・井上裕
○委員長(井上裕君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/147
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148・井上裕
○委員長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
昭和六十年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/148
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149・井上裕
○委員長(井上裕君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/149
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150・井上裕
○委員長(井上裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/150
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151・井上裕
○委員長(井上裕君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題とし、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。梶原清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/151
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152・梶原清
○梶原清君 北海道への委員派遣について御報告いたします。
派遣委員として、井上委員長、大浜理事、赤桐理事、塩出理事、丸谷委員及び私の六名は、去る八月三十一日から九月二日までの三日間にわたり、北海道財務局、札幌国税局、函館税関、札幌国税不服審判所及び日本たばこ産業株式会社札幌支社並びにこれら出先機関である関連の財務事務所、税務署、税関支署等より管内の概況を聴取し、意見を交換するとともに、池田町におけるワイン研究所及び有線テレビ放送施設並びに地場産業として北海道農協乳業、釧路橋南地区水産加工業組合及びホクレンくみあい飼料の各工場を視察いたしました。
以下、調査の概要について申し上げます。
まず、経済の現況についてでありますが、個人消費は底がたい動きを見せておりますが、住宅建設は伸び悩み、企業の生産活動も総じて弱含みとなっているなど、道内経済の足取りは一服状態であり、また、漁業環境の悪化や石炭鉱業をめぐる厳しい情勢などが、北海道経済全体としてのムードをやや重苦しいものとしているように見受けられます。
一方、円高が北海道の経済、産業に及ぼす影響について見ますと、貿易額のシェアが全国の輸出で〇・二%、輸入で一・六%と小さいため、経済全体への影響は量的には軽微でありますが、合板、鉄鋼、魚かす・魚油などの業界では、輸出不
振や輸出採算の悪化並びに安価な海外製品の流入で苦境に立たされている企業があります。
私どもが視察いたしました事業場におきましても、産品の原料高とその代替品の円高による輸入増によって経営が悪化しているのに加え、新たに販路を開拓する必要に迫られているなどの実情を見てきたところであります。
また、石炭鉱業では、内外炭価格差が一層拡大し、需給面に大きなギャップが生じており、その対策が検討されているとのことであります。
他方、北海道の貿易構造は、輸入が輸出の約五倍と大幅な入超となっているため、原油、魚介類、木材、飼肥料原料などの輸入価格の低下による円高メリットは、北海道経済にとってのプラス効果は大きいものと見受けられます。
北海道は相対的に第一次産業のウエートが高いのでありますが、農業への円高の影響について見ますと、飼料、肥料及び燃料油価格の低下によるコスト軽減は当面のメリットとなっておりますが、今後の一次産品の輸入増加が危惧されている状況にあります。
次に、国有財産についてでありますが、北海道所在の国有地は、北海道総面積の二分の一強を占める広大な面積で、その大部分は林野庁の国有林であります。一方、北海道財務局の国有地は東京都二十三区に匹敵する面積でありますが、これらのうち、都市部やその近郊では、近年国有地の有効利用に関して民活への関心が高まっており、国有地に対する需要も増大しつつあるとのことであります。
広大な面積を管轄している点については札幌国税局も同様でありますが、そのような条件のもとで、過去十年間に、申告所得税については納税者数で四一%強、還付申告者数で二・三倍に、また源泉徴収義務者数及び要整理滞納件数はそれぞれ五二%強増加しているにもかかわらず、定員はこの十年間ほとんどふえていないという厳しい環境のもとで職員の活動が行われていることが認められます。
道内の徴収決定済み額の主な税目構成では、源泉所得税及び申告所得税のウエートが、全国平均では三三・八%と九・五%であるのに対し、北海道は四二%及び一二・三%と高い反面、法人税は全国平均三二・五%に対し一八・五%と著しく低いのが特色となっております。これは、北海道の産業構造を反映していることに加え、法人の本社機能が東京に集中していることによると思われます。
北海道、青森、秋田、岩手の一道三県を管轄する函館税関管内の貿易は、その特徴として鉄鋼、紙・パルプ、木材、石油等の素材型産業に関するものが多く、ために六十年度は、内外経済の停滞に加えて鉄鋼を中心としたアメリカ、ECとの摩擦によって輸出、輸入ともに振るわず、輸出は対前年度比一六・六%の減、輸入は九・二%の減となっております。
たばこの販売につきましては、道内基幹産業の不振による個人消費の低迷と需要の構造的停滞による影響に加えて、外国たばこの販売数量の増加を要因として、北海道の国産たばこ販売数量は対前年度比一・八%減、売上高は一・一%減となっております。
最後に、ワインの町として知られる池田町の行政の一端を視察いたしましたが、農業を基幹産業とする池田町では、みずからの創意と工夫を生かした農業の確立、生産物の加工による高付加価値化等をテーマに、産業として自立できる地域農業基盤の確立を目指して、畜産、林業、水産についても積極的な独自の研究と開発が行われ、それぞれの分野での産業の高度化に意欲的な努力が払われている状況を見てまいりました。
また、池田町では、情報化時代の到来に先駆けて、昭和四十七年から町営による有線テレビ放送を行っておりますが、地域住民が自前の情報網を持つことによってコミュニケーションを深め、住民参加型の町づくりを目指していることに感銘した次第であります。
以上概略を申し述べましたが、今回の派遣に当たり、調査に御協力いただきました関係行政機関、自治体、民間の各機関、事業場の方々に対し、この場をかりて厚く御礼申し上げ、派遣報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/152
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153・井上裕
○委員長(井上裕君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714629X00119861126/153
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