1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十一年十月二十八日(火曜日)
午前十時四分開会
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委員氏名
委員長 岩本 政光君
理 事 板垣 正君
理 事 大城 眞順君
理 事 亀長 友義君
理 事 久保田真苗君
大島 友治君
岡田 広君
小島 静馬君
古賀雷四郎君
永野 茂門君
桧垣徳太郎君
堀江 正夫君
村上 正邦君
小野 明君
野田 哲君
飯田 忠雄君
峯山 昭範君
内藤 功君
柳澤 錬造君
宇都宮徳馬君
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出席者は左のとおり。
委員長 岩本 政光君
理 事
板垣 正君
大城 眞順君
亀長 友義君
久保田真苗君
委 員
大島 友治君
岡田 広君
小島 静馬君
古賀雷四郎君
永野 茂門君
桧垣徳太郎君
堀江 正夫君
村上 正邦君
野田 哲君
飯田 忠雄君
峯山 昭範君
内藤 功君
柳澤 錬造君
国務大臣
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 後藤田正晴君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 玉置 和郎君
政府委員
内閣官房内閣内
政審議室長
兼内閣総理大臣
官房内政審議室
長 的場 順三君
内閣官房内閣外
政審議室長
兼内閣総理大臣
官房外政審議室
長 國廣 道彦君
人事院総裁 内海 倫君
人事院事務総局
給与局長 鹿兒島重治君
人事院事務総局
職員局長 中島 忠能君
総務庁長官官房
長 古橋源六郎君
総務庁人事局長 手塚 康夫君
総務庁行政監察
局長 山本 貞雄君
防衛庁人事局長 松本 宗和君
事務局側
常任委員会専門
員 林 利雄君
説明員
防衛庁人事局人
事第三課長 萩 次郎君
文部省高等教育
局大学課長 佐藤 禎一君
労働省労働基準
局補償課長 清水 尚武君
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本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査
(派遣委員の報告)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/0
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001・岩本政光
○委員長(岩本政光君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
まず、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
本委員会は、今期国会におきましても、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/1
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002・岩本政光
○委員長(岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/2
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003・岩本政光
○委員長(岩本政光君) 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。玉置総務庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/3
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004・玉置和郎
○国務大臣(玉置和郎君) ただいま議題となりました国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
本年八月一日、人事院から国家公務員法第二十三条の規定に基づき、国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申し出が行われました。本法律案は、この人事院の意見の申し出にかんがみ、国家公務員災害補償法について、所要の改正を行おうとするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、年金たる補償に係る平均給与額について、人事院規則で定める年齢階層ごとに最低限度額及び最高限度額を定め、被災職員の平均給与額が、当該職員の年齢の属する年齢階層に係る最低限度額を下回り、または最高限度額を超える場合には、それぞれ当該最低限度額または最高限度額を当該職員の平均給与額とすることといたしております。なお、この最低限度額及び最高限度額は、労働者災害補償保険制度において用いられる額を考慮して人事院が定めることといたしております。
第二に、通勤災害について、通勤の定義に関する規定を整備し、保護の対象となる通勤の範囲を人事院規則で具体的に定めることといたしております。
第三に、休業補償について、監獄等に収容されている者に対しては支給しないことといたしております。
以上のほか、この改正案におきましては、関係法律の規定の整備等を行うことといたしております。
なお、以上の改正は、年金たる補償に係る平均給与額の改正等につきましては昭和六十二年二月一日、通勤災害に係る改正及び休業補償に係る改正につきましては昭和六十二年四月一日から実施することといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/4
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005・岩本政光
○委員長(岩本政光君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
それでは、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/5
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006・野田哲
○野田哲君 最初に、総務庁の別の所管事項について二、三お伺いをしておきたいと思います。
まず一つは、行政監察の問題でありますけれども、新聞の報道等を拝見いたしますと、山梨県の国体の実施状況について山梨県の総務庁の機関が行政監察をやる、こういう予定だったところ、金丸副総理から、何で山梨県だけやるのかと、こういうことで取りやめになったというようなことの報道があります。総務庁の方では、国体というのは山梨県だけのローカル的な問題ではなくて、全国的な視野に立った立場でやる必要があるから山梨県だけでやるのは中止をしなさい、こういう指示を出したように報道されているわけであります。私も当委員会で国体のあり方については何回か議論をしたことがあるわけで、確かに問題を感じているわけです。
例えば、開催県の地方自治体に対して地方財政に非常に大きな負担をかける。こういうことやそれから開催の準備のために一年ぐらい前から県庁の職員、市町村の職員がかなり大量に開催準備の事務局に動員をされて一般の行政事務がかなり影響を受ける。こういうことやあるいは教育の現場で開催県が天皇杯や皇后杯にこだわる余り、そこに選手を集中をしよう、あるいは選手の養成のために教員の中に有名な体育教師を集め過ぎる。そのために、定員の枠の中で一般の教科を受け持つ先生の定員が影響を受ける。あるいはまた、国体のための施設、野球場とか陸上競技場とかというのは割に利用度があるわけでありますけれども、ほとんど民間に利用度のないような施設をつくって、そのことが後々の維持のために大変な負担になる。例えば、総務庁長官、ピストル競技なんというのが国体の種目にあるんですよ。ピストルを撃つのは国民は禁止されているわけなんです。ところが、国体をやるということになると施設だけはつくらなければいけない。後はもうこれは利用の価値はないんです。そういう問題などが何回か議論になっているわけでありますから、私は総務庁が国体のあり方について監察をする、メスを入れる、このことに着目されたということは時宜を得ていると思いますし、来年の沖縄で日本列島一回りするわけでありますから、ここで私はいろいろ検討を加えることは時宜を得ていると思うわけであります。
ただ、今回の経過を見ると、国民の目に映るのは、せっかくやろうとしたところが、政府と与党の実力者である人が一声上げるとぽしゃってしまう、こういうことであったのではこれは行政監察そのものに対する権威を失ってしまう、信用を失ってしまう、こういうことになるわけであります。せっかくこういう機会になったわけでありますから、やるのであれば本当にこれは全国的な視野に立ってちゃんとしたことをやってもらいたい、こういうふうに私は思うわけであって、今回のことが山梨県の監察をやめさせるために、口実として、これは全国的な視野でやる必要があるんだから山梨県だけのことはやめなさいと、こういうことでその場の取り繕いや逃げ口上のためにああいう措置がとられたとすることであれば、私は大変問題があると思うので、その点についての長官の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/6
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007・玉置和郎
○国務大臣(玉置和郎君) まず、金丸副総理から私のところに電話がかかってきたので急遽取りやめたんじゃないかという憶測、これは流れておることは知っております。特に金丸さんと私の関係は兄、弟というような関係であることも御承知のとおりの発言だと思いますが、決してそうじゃありません。電話がかかってきたことは事実です。そこで、私は事実こうして山梨県で起こっておるんだなということで、そのときに一番先に感じたのは、ああよくやっておるなと、最近、総務庁の持つ監察、調査の権能が末端にまで浸透してきて士気が上がっておるなということでありまして、これはぜひひとつ擁護してやらなければいかぬという考え方でありました。
それはなぜそういうことを言うかといいますと、野田さんあなた知っているように、農協批判にしてもODA批判にしても、これをやっておりますと偉い人からいろいろ言ってきますよ。私は偉い人から言ってきたってそんなもの自分の持説を曲げるわけじゃない。これは私の性格です。そこで、せっかく電話がかかってきたのだからといって、実は金丸副総理からこういう電話があったよということで担当局長に申し上げましたら、ああそれはもう既にいろいろのことを考えてこういう措置をしておりますと言ってきたのは、国体についてはいろんな議論があることはもう十分承知しております、しかし、今までにも当然やらなきゃならぬこともあったろうし、しかし、一応一巡した段階でこの国体の監察、調査というものについてはひとつ検討してやってみたいということでありまして、今日ただいま山梨県をやるというのはいかがなものだろうかというふうな話がありました。
そこで、今のお話の中にありましたように、確かに将来余り使われない施設、そういうものをつくられておることも事実私も知っています。和歌山県で国体を開いたときに、私なんかも金丸さん以上に寄附を取られた。何で取られるのかと思いながらも、やっぱり地元の問題、そして、取られながらも結果を見てみたらいろんな施設が残ったことも事実。それで県民一体になって、多少の批判者はありましたよ、一体になって国体の成功を大変喜んだ。初めてというほど県民全体が団結をして、そして喜びに沸いた。その過程において、そこまでいくまでに教育関係者の中に今の有力な選手を呼び込んできたりした行き過ぎもあります。私は剣道連盟の会長をやっておったり、体操協会の会長をやっておるから、またここから入れてきたな、ここから入れてきたな、しかし、そういうもののマイナス面と勝ったというこの喜びと、これまた相殺されるところもある。そういうこともやっぱり考え合わせてみたときに、どちらに優先順位をつけるかという、そういうことについてはなかなか難しいと思います。しかし、今おっしゃられましたような趣旨に基づいて、総務庁として将来監察、調査、これを検討していくというのは当然のことだとこう思いますので、趣旨を踏まえてよく準備させるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/7
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008・野田哲
○野田哲君 もう一つ総務庁長官にお伺いしたいと思うんですが、先般の予算委員会で私が総務庁長官にODAに対する問題あるいは農協の問題のやりとりをいたしまして、そのことが大変これも反響を呼んで、かなり外務省や関係団体の中にはアレルギーもあるようでありますけれども、しかし、自主的にもただすべきところはただしていこうと、こういうことで外務省の中にも検討の機関ができたということを報道されておりますが、私もそれなりの意味はあったと思っているわけでありますけれども、あのときはやりとりが二、三回のやりとりで十分意を尽くしていないと思うんですが、もう一回ODA問題あるいは農協のあり方の問題について総務庁長官の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/8
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009・玉置和郎
○国務大臣(玉置和郎君) まず、農協問題から触れていきたいと思いますが、私は十二年ほど前に和歌山の県農協会館で県下の単位農協の組合長を集めまして、そして、このままいったら農協がやがて膨れ上がって何でもやれるという上昇機運に乗って、そしてパンクする、そのときに大きな被害をこうむるのはこれは農民だ、それだけに今にして協同組合主義の原点に返らなきゃだめですよと。農業協同組合法の一条から八条を読んでもらいますとわかりますが、奉仕を目的とする、営利を追求してはならないと、こう書いてある。ところが、最近の農協を見ておりますと、経済至上主義に走り過ぎておる。経済至上主義というのは何かといったら、とにかくもうければいい、もうければいいという商社的な感覚に陥り過ぎているのじゃないかということ。しかも税制面においても優遇されておる。殊にこの農協のあり方の中で、ほかの民業を圧迫することが最近非常にひどくなっている。そして、本当の営農指導、生活指導がなされておるのかどうか、この辺をしっかり考えてみなきゃならぬ。
末端の農家の若者たちは、特に一生懸命に農業に励んでいる篤農青年なんかは、今農協の営農指導に余り大きな期待を寄せていないという箇所が随分見られる。もっと研究して、もっと前進的なものをやろうとしたときに県の農業試験場へ行く、国の農業試験場に行く、それで、さらに外国でいいものが求められると思ったら外国旅行を何人かでして、そこで貴重な資料を持ってきて、自分たちで研究してどんどん発展をさしていっている。そうなった場合、農協の営農指導というのは一体何をやっているのかと、あの人数の振り割りを見ても生活指導の振り割りを見ても、本当に原点に帰っておるのかというのが僕の考え方であります。
それだけにまた、米価決定の際のあのやり方にしても、政治力を利用して、何でも政治力で解決できるのだと思い上った者は必ず滅びるのですよ、これは。その歴史的事実を指摘して、この辺でやっぱりだれか物を言わなきゃいかぬというので私が言い出したわけでありまして、その辺の御理解はもう十分していただけると思います。
ODAにつきましては、これまたやっぱりここ数年前から外務省のごちそうは一切私は食いに行っていないのですよ、亡くなった毛利松平さんが外務省のODA予算の隊長であって、そして予算の増、定員増、それをやったときに私は参議院におりまして、参議院の応援団の一人でありました。だれよりもだれよりも、これだけの経済力を持ってきた日本については政府開発援助というのは非常に大事だと、だから予算も獲得し援助を進めるべきだというような考え方を持っていましたが、ここ数年見ておりまして、外務省の外交方針の大きな柱であります対米協調、対アジア協調、国連中心主義、これ三つとも全然できていない。こういうのが私の考え方でありまして、これだけの巨額の金を使いながらちっともできてないじゃないか。対米協調がもっとしっかりしておったらこんな円高になりませんよ。第二次大戦の開戦前と一緒です。野村大使にお仕えした私は、野村大使が開戦前に御苦労なさったいろんな話を私は聞いています。外務省がもっとアメリカの情勢をはっきり把握して、それで国内に報告をして、それを確度を持った分析をして、こうなったときにはこうなります、こうなったときにはこうなりますということをはっきり言ってきたら、こんな円高に追い込まれることはなかったというのが私の持論なんです。だから、対米協調になっていませんよ。今度の米の問題だってそうです。外務省がもっとしっかりしていたら、ここまで米の問題でアメリカに追い回されて竜のしっぽを踏むようなことはなかった。先見性がなさ過ぎる。
対アジア外交においても同じです。対アジア外交においてあれだけの巨額の援助をしながら、例えば一例を挙げますと、インドネシアに対して累積の貸し込みが一兆三千億、そして無償援助は一千五百億、それに技術協力があるんです。そのインドネシアのスハルト大統領がミッテランさんを招待して何と言ったかというと、テレビで皆さんごらんになったと思いますが、もう日本にはこれ以上の援助を期待できない、だからミッテランさん助けてくれと。そのときに外務省、なぜ文句を言っていかぬのか。スハルト大統領さんおかしいじゃないか、インドネシアの政府おかしいじゃないか、日本がこれだけの援助しているのに、今度はまた八百億からのものを原油の値下がりで困っておるということで貸し出しをしたじゃないか、これだけやっておるのになぜそういうことを言われるのか、という文句の一言もよう言わぬような外務省じゃだめだというのが僕の考え方です。
それで、国連中心主義はちっともできてない。今度初めて外務省でいろいろやってくれて、南太平洋の島嶼国家に対しても外務省は積極的にODAの活用をやろう、それでそういうものとしっかり親交を結んでという考え方が出てきましたので、僕は外務大臣にも非常にうれしいと、これを見て、これが本当の外交だと。ソ連もアメリカも手のつかない島嶼国家、世界で二十三カ国の小さな島国がある。そういうところは交通の便が悪い、ホテルがない、風土も悪いからそこへ行きたがらない。そういうところへ目をつけて、それで国連で三分の一の国をしっかり握っていけば、そう大した金はかからぬ。ぜひそれをやってもらいたい。今度やり出したので非常にうれしい。
ただ、最後に言えることは、農協さんにしましても外務省さんにしましても、自助努力をやろうということで一生懸命になっておる。農協さんにおきましては、十月の中ごろに自助努力の結果を発表しようとした。お待ちしていましたが、また向こうの内部で、これじゃやっぱり具体的にもう少し出さにゃいかぬじゃないかというので、十一月の中ごろになるらしいですが、自助努力をやっていただいている。外務省も一生懸命自助努力をやっていただいている。
監察というのは、監察は監察なきを期すを理想とする、というのが私の原点です。だから、監察、調査の権能を持っておりましても、監察や調査せぬで立派に各行政組織がやってくれておること、自助努力をしておること、積極的に物事をやることになれば、総務庁は一番うれしいんです。そういうことで自助努力を外務省、農協がそれぞれやっているということを高く評価して、その成果を待ちたいと、こういうように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/9
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010・野田哲
○野田哲君 防衛庁来ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/10
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011・岩本政光
○委員長(岩本政光君) 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/11
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012・岩本政光
○委員長(岩本政光君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/12
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013・野田哲
○野田哲君 まず、官房長官にお忙しいところ出席を願ったわけですが、官房長官に伺う前に防衛庁の人事局長に。
きのうの福岡における元同僚を励ます宴会に飛行機を使って全国から参加をした、こういう問題が起こっているわけでありますが、各紙見ると、これはもうあきれ返って物が言えないと、こういう状態ですね。裁判で執行猶予の判決を受けていたその執行猶予の判決が解けたのを記念して宴会をやる。その宴会へ全国から飛行機を使って仲間が集まる。これはもう国民はあきれ返って物が言えませんよ。これについての事実調査をされましたか、防衛庁の方では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/13
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014・松本宗和
○政府委員(松本宗和君) お答えいたします。
事実を調査いたしました。二十五日、土曜日でございますが、航空自衛隊のT33練習機十機が、これは目的としましては、飛行の目的でございますが、年間飛行、要務飛行、これは訓練でございます、そのために福岡空港に飛行をいたしました。搭乗員二十名、その中の十八名が同日夕刻福岡市内で行われました元自衛官の隈太茂津の激励会に参加したというものでございます。
で、飛行そのものはただいま御説明いたしましたように年間飛行、要務飛行ということで訓練を目的としておるもので、上司の許可をとって飛行しておるものでございます。ただ、この航空機の運航でございますが、そのような訓練を目的にした正規の運航であるといたしましても、目的地の選定と申しますかそういう点で、私的な会合に参加するということの利便と申しますか、そういうことを頭に入れて選定しておるというのが事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/14
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015・野田哲
○野田哲君 これは、今最後に一言言われましたけれども、まず、隈元自衛官ですか、この人の執行猶予が解けたことのお祝いのパーティーというものが設定をされていて、それに出席をするための訓練計画をつくった。こういうような印象で、今人事局長も最後にそういう趣旨を一言言われたわけですが、要するに、訓練飛行というのはそこへ飛行機を使って行くためにつけた口実、こうとしか思えないわけで、これは防衛庁の方でかばえばかばうほど国民の不信を増幅いたしますよ、これは。
そこで官房長官、きのうの夜遅く私は官房長官のテレビでの会見を拝見したんですが、「自衛隊の飛行機を個人的に使用したり、上司に許可なく使用することなどはあり得ない、と確信している。」こういうふうな見解を述べておられたわけですが、私は、これは訓練飛行だということを今報告がありましたけれども、ああいう訓練飛行の計画を許可した航空自衛隊の幹部も含めてのこれは問題がある、こういうふうに言わざるを得ないと思うんです。官房長官、この状況について報告を受けられたと思うんですが、政府を代表しての見解はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/15
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016・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) これは防衛庁の長官がお答えするのが適当であろうと思いますが、ここにおりませんし、お名指しでございますからお答えをいたしたいと思います。
昨日のテレビでのインタビューに私が答えたとおり、私どもの常識では、およそ航空自衛隊の方が上司の許可がなくて、そして同時にまた、私的な目的に飛行機を使ってどっかへ行くといったようなことは私の常識の中にはございません。そういう意味合いでああいうお答えをしたんですが、その後の実情の調査は自衛隊で十分御調査をなさっていると思います。その調査の結果に従って、厳正なる処置が私は防衛庁当局においてとられるものと期待をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/16
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017・野田哲
○野田哲君 土曜と日曜にかけてあのようなことがあったわけですが、総理は、日曜には朝霞で観閲式が行われた、これに出席をして自衛隊の相次ぐ事故とかあるいは不祥事に対して綱紀の粛正を強く要請をされた、訓示をされたということがあるわけです。防衛庁としてはこの問題についてどういう措置をとろうと考えておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/17
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018・松本宗和
○政府委員(松本宗和君) 現在、全般的な事実関係につきましてはまだ調査中でございます。
ただ、いずれにいたしましても、当初からそういう目的を頭に入れて訓練計画を立て、それを許可したということでございます。これにつきましては厳正な対処をしなければならないと考えておりますが、個々につきましてはそれぞれの事実関係、組織的にも個人的にもでございますけれども、これを十分調査検討いたしまして、厳正な処置をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/18
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019・野田哲
○野田哲君 防衛庁の長官がきょうは出席できないのでこの問題はここで終えて、また改めて議論の機会を持ちたいと思います。
官房長官にお伺いをしたいのですが、先般公務員の給与についての決定を十月二十一日にされたときに、長官は五%云々という御発言があったように報道されているわけですが、真意のほどを伺っておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/19
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020・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) 現在の人事院の給与勧告制度については、しばしば私はお答えしておりますように、政府としてはこの勧告が労働三権制約の代償措置としてとられておるわけでございますから、最大限に尊重して完全実施に向けて国政全般との関連の中でやっていきたいと、こうお答えをしておるわけでございます。この基本の考え方はいささかも変わっておりません。
そこで、ことしの給与勧告をどう扱うかということで何回か関係閣僚会議を開いて、ついせんだって決めたわけですね。その最終の会議の際に、党の最高首脳のある方からは、今日これだけ各方面に不況感、景気の停滞感が広がって、輸出産業を中心にし、地域によっては本当に厳しい状況になって、失業者の数も最近ふえておる、給与のカット等も行われておるこういったさなかに、完全実施の閣議の決定をされることには異論はないけれども、そこらの点を踏まえて、特にまた、地方団体についてはラスパイレスの非常に高い地域もあるし、ここらも十分頭に置いて政府としては指導に遺憾のないようにしてもらいたいと。こういう御発言があり、同時にまた、ある閣僚からは、こういった民間の厳しい状況の中で、完全実施そのものに、これは五月の調査によっての八月のあれであるから異論はないけれども、しかし、今日のような厳しい民間の状況が一方にあり、そして同時に、経済情勢の中で物価がこれだけ安定しておるじゃありませんか、そういった際に、いつまでもベースアップという思想で貫いていくのはいかがなものか。これは、こういう際にはやはり定期昇給でいくべきではないのか。それで、野田さん御承知のように、二・三一はベースアップですが、このほかに国家公務員の場合には二・一%ぐらいありますかね、定期昇給が入っているんですから、そうすると四・何ぼというあれになるわけですね。そこらを踏まえてだろうと思いますが、そういう御意見が出たわけです。
しかし、既定の方針でございますから、御了承願って閣議で決定をした。それを新聞記者会見で私が発表しなければならない、どういう議論があったかということを。その際にそういう議論を紹介しながら、そこで私は初めて、そういう意見が出たが、定期昇給一本という制度に変えるということは、まだ物価そのものの安定についてもこれは時期的によく考えなければならぬ面もあるし、これは今の制度の基本が変わることになりますから、これは容易ならざる大改革になりますね。だから、その前の段階として、今国公法で五%条項というのがある、これは運用上人事院としては五%以上の場合は義務的な勧告をなさっておる。そうすると、五%以下の場合は必ずしも義務的な扱いになってない。ならば、今の制度のままで運用の面で、ここまで民間が厳しい状況にあるし、物価もそうは言いながらこれは安定してきておりますしするので、こういった時期には、政府は人事院が中立機関であるからどうこうすべきであるとかなんとかそれは指図する立場にはないよと。しかしながら、ここらで人事院もそういうことをお考えになってしかるべき時期に来つつあるのではないか、とおれは思う。こういう発言をしたわけでございます。
この私の考え方は今日といえども変わっておりません。このことははっきりと申し上げておきたい。後はどうなさるかは、人事院御当局が諸般の事情を真剣にお考えになってどう対処すべきであるかということではなかろうかと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/20
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021・野田哲
○野田哲君 官房長官ね、官房長官の立場というのは、これは公務員との関係からいえば、政府であると同時に、使用者の立場を代表することになるわけでありますから、そういう点では、公務員の労働基本権制約の代償措置として設けられている人事院勧告制度に対して言及をされるということは、ああいう形で言及をされるということはこれは民間の労使関係の場合に考えてみると大変なことなんですよ。中央労働委員会であっせんなり調停作業をやることに対して是非を発言することでありますからね。これは労働用語で言えば不当介入と、こういう趣旨に受け取られてもやむを得ないと思うんですよ。
それから、ここ数年間ずっと凍結あるいは削減、こういう状態が続いていて、やっと数年ぶりに完全実施をやる、その完全実施を決定したすぐ後で五%以下なら勧告やめたらどうかと。これはいかにも刺激的であり過ぎるんじゃないでしょうか。やっぱり政府とすれば、ここ数年間公務員の給与について凍結なり削減が行われて、一人当たり数十万円、多い人は百万超す金額を期待を裏切られている。こういう事実があることも私はやはり念頭に置いて、これは官房長官としては慎重に考えていかなければいけないことなんじゃないか。少しあの発言はどぎつ過ぎたんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/21
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022・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、どぎついとか不当介入なんという考え方もなければ、そういうつもりはいささかも持ってないんです。当たり前の発言であるということが私の考え方でございます。それはなぜかといいますと、制度の大改正ということになると、先ほど言ったようにこれは容易でありません。これは労働三権との関係やいろんな関係が出てきますね、だからそれは容易ではない。しかし、現行法の枠の中で、運用面で認められておる範囲の問題ではないのか。これは現行法を変えるんじゃないんですよ、人事院の自主的な運用でできるわけです。その点について、これは労使の間の利潤分配なら私何も言いませんよ。そうでないんです。これは国民の税金で払われているという、私は雇用主の立場にありますけれども、それは野田さん、やっぱり政府は国民の立場というものを忘れるわけにはいかぬわけですよ。だからこそ、私どもはいつも人事院の勧告については最大限これは尊重してやります、今までの抑制、凍結、これはいいと私ちっとも言ってない、ここ数年来、まことに申しわけない、遺憾であると私は言っている。だから、完全実施にできるだけ早く持っていきますというお約束をして、ようやくことしそこまで持ってきたわけです。
しかし同時に、その際に必ず申し上げてあるのは、これは国全体の立場に立って最終は判断せざるを得ないといつも私が言っているのはそこなんですよ。やはり税金によって賄われておるんだということだけは真剣にお考えを願わないといけない。それには、今日のようなこの厳しい民間の状況になりますと、これはやっぱり人事院も自主的にお考えになって、現行法の枠内でとれる処置なんですから、そこらはお考えになるであろうと私は申し上げているわけでございます。どうしなさいとはちっとも言っておりませんが、私自身、したがって不当介入なんという意思はいささかもないと、このことをお答えしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/22
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023・野田哲
○野田哲君 もうこれ以上官房長官とやりとりしようとは思いませんが、問題が幾つかあるんですよ。
それは、まず一つは、本来民間やそれから、今どう言うんですか、一公四現というんですね、あそこは春決まっているわけですよね。だから、春闘ということでそれぞれ毎日毎日、鉄鋼がどうなったとか電機がどうなったとか、いろいろ新聞に報道されている状況の中で決まっていくわけですから、世間もそういう見方をして余り違和感がないわけです。それを公務員の場合は、そういう問題が全部片づいてから、師走の風が吹くころになって決めるものだから、何で今ごろ公務員は賃上げを決めるんだと、こういう違和感がある。これはやっぱり遅くまで決定を延ばしていることによる僕は非常に間違った印象を世間に与えている、こういう責任もあると思うんですよ。
それから官房長官は、私は法の枠内でのことを言っているんだから間違っていないと、こうおっしゃったわけですが、公務員法二十八条で、法の枠内での判断はこれは人事院がなさることなんであって、官房長官がかれこれ決めることではないわけでありますから、その点ではやはり慎重な対処を要望しておきたいと、こういうふうに思うわけです。
そこで、人事院の内海総裁、それから給与局長などに、五%以下の勧告を見送ったときにどういう問題が発生するかということについて二、三伺って、後、最終的に総裁の見解を伺いたいと思います。
官房長官、何か後の予定がおありのようですからもう結構でございます、留守の間にしっかり議論しておきますから。
給与局長にまず伺いたいと思うんですが、公務員法二十八条で五%以下だということで勧告を見送るというような措置をとったときには、例えば三%ことし較差があった、これは五%以下ということで義務づけられていないから見送ると、こういうことにしたときには、来年民間の賃上げが定期昇給を除いて二%であったときには較差が五%になりますね。そうなるでしょう、大ざっぱな言い方をすれば。要するに、ことし見送ればその較差というものは翌年に繰り越されて、翌年の較差の中では二年分の較差が出てくるからそれを勧告をしなければいけない。つまり、民間よりも倍も高い勧告をしなければいけない、こういうことに勧告制度としてはなるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/23
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024・鹿兒島重治
○政府委員(鹿兒島重治君) 御承知のように、私どもの官民調査は、毎年四月現在の官と民の給与の比較で行うことになっております。そこで、仮にの話でありますけれども、一年間仮に較差の出ました勧告を見送るということにいたしました場合、その一年間の間におきまして官民双方にそれぞれ職員あるいは従業員の新陳代謝がございますから、その前年の見送った較差がそのままの形で翌年に繰り越されるということにはなりませんけれども、ただ一般的な趨勢としましては、ほぼそれに近い較差というものが翌年に持ち越される、こういう結果になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/24
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025・野田哲
○野田哲君 ですから、一つの例が昨年の五・七四%ですね。この勧告は、その前年、率を切り下げた較差がそのまま持ち越されて五・七四%という勧告になったわけですね。そのために民間の春闘の賃上げよりも非常に高い、非常にということは語弊がありますが、現象的には高い勧告になって、これがやはり事情を知らない世間一般には、なぜ行政改革で厳しくやっているときに民間の春闘よりも高い勧告をやったのかと、こういう批判を招く要因になったと思うんです。そういう繰り返しが僕はずっと続いていくと思うんです。
それから、そういう形でことしのもし勧告をやらなかったなら、翌年にそれが較差として持ち越されて高い勧告になる。それを実施すればまた翌年今度は繰り越し、こういう繰り返しをしていきますと、退職する人にとっては、見送りになった年に定年によって退職する人と、それから、前年の繰り越された較差がそのまま上積みされて勧告をされたその年に定年になって退職する人とでは、退職手当や年金に一年違いのために非常に大きな較差が生ずることになる、こういうことになるんじゃないか、こういうふうに思うわけですね。
従前は、いつやめるかということは本人の選択の自由があったわけですけれども、定年制が実施されてからは、定年制でやめる人にとってはやめる時期は選択の自由はなくなっているわけですね。そういう状態の中で、ある年は見送り、その次は見送られた分が高く勧告される、それを実施される。こういうふうな繰り返しが続いていくと、やめる年次によって大変な利益を受ける人と損害を受ける人と、こういう較差が生じるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/25
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026・鹿兒島重治
○政府委員(鹿兒島重治君) お話がございました年金につきましても、また退職手当につきましても、言うまでもございませんが、給与を基本にして計算をするという方式をとっております。共済年金につきましては、御案内のように、先般の改正によりまして標準報酬方式をとっておりますから、その影響の度合いは相対的に低いと言ってよろしいかと思いますけれども、退職手当の場合には給与額そのものが直接に反映するわけでございますので、退職時によりまして、制度が同じだとするならば、若干の較差が生ずるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/26
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027・野田哲
○野田哲君 もう一つ伺っておきたいと思うんですが、今この勧告の基礎になる公務員のベースというのは大体二十六万円ぐらいですか、そういたしますと、五%というのはこれは一万三千円ぐらいになりますね。この五%以下では見送りということになると、これは一万円ぐらいのものが見送りになるということで、これは金額的に言えば大変なやはり影響を及ぼすことになるのではないかと思うんですが、大体そういう私の指摘した金額で間違いないかどうか、給与局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/27
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028・鹿兒島重治
○政府委員(鹿兒島重治君) ことしの勧告が二・三一%で、六千九十六円という較差でございますから、大体先生のおっしゃるような数字だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/28
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029・野田哲
○野田哲君 この問題、最後に内海総裁の御見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/29
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030・内海倫
○政府委員(内海倫君) 今回の給与の政府案の決定につきまして、ただいま官房長官からお話のありましたような、何といいますか、官房長官の所見というふうなものが伝えられたわけでございますが、これにつきましては、官房長官が今言われましたとおりのことで、特に人事院の中立性を侵すとか、あるいは私どもの職務に対する干渉である、こういうふうには私は受けとめておりません。が、しかしながら、思いますに、先ほど野田委員もおっしゃいましたように、勧告の時期とか、とりわけ政府案が決定されるような時期が非常にこういろんな問題がおさまった上に、むしろ今のことしなんかの状況から見ますと、非常に深刻な客観的な状況があるときでございますから、あるいはそういうふうな違和感を持つような方々もいろんなところにはおありと思います。政府としては、そういうふうな気持ちも、あるいはそういう所見を言われる上で幾分そういう反映があったかと、こういうふうに私どもは思っております。
しかしながら私どもは、やはり人事院の勧告というものは、たびたび論ぜられておりますように、そしてまた、私もこの委員会等の席でもたびたび所見を申し上げておりますように、さらにまた、政府の責任者である総務庁長官あるいは官房長官からも言われておりますように、人事院勧告というものは、やはり労働基本権を制約されております国家公務員にとっては給与あるいは勤務条件の改善される唯一の時期と言っていいわけでございますし、また、そのためにこういう措置が法律で定められておるわけでございますから、人事院としましてはその基本的な法の精神に立って勧告をいたさなければならない、こういうふうに考えております。
じゃ、その法の考え方というのは、やはり常に社会状況の変化に対応して情勢に適応していくということが国会において行われ、それを国会においては法律でもって実現されるわけでございますから、その場合に常に人事院は勧告を怠ってはならない、こう定めておる、これが私は基本的な考え方であろう。したがって、これに準拠して我々は勧告というものを考えていかなければならない。
第二項におきまして五%の規定がございますが、もとよりこれは、人事院が勧告を義務づけられる一つの限度というものはこの五%ということで示しておりますけれども、されば五%を切った場合にどうなるかということは、やはり第一項の基本的な考え方に立脚して、人事院が勧告ということを前提にしていろいろ考えなければならないものであろう、こういうふうに私どもは理解いたしております。
五%を切った場合にどうするかということは、かかって社会情勢の変化がどうであるか、これに対応するのにはいかなる措置をとるのが一番いいかということによって考えていくべきもので、私どもとしては、在来もそういうふうな諸情勢あるいは公務員の生活の状況、あるいは物価の動向、さらに考えられなきゃならぬ民間給与の実態がどうなっておるか、いろいろ調査し、検討し、その結論を得て第一項の趣旨に基づいて在来も勧告を行ってきております。
じゃ、これからどうするかという問題につきましては、以上、申し述べたような考え方に立って処置をしていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/30
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031・野田哲
○野田哲君 公務災害補償制度の具体的な内容について幾つかお伺いをいたしたいと思いますが、今度の改正では最低限度額と最高限度額を設定されているわけでありますが、この最低限度額と最高限度額を設けたことによって、どういいますか、限度額の影響を受ける人は何%ぐらい、何人ぐらいいるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/31
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032・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 五十九年六月の賃金構造基本統計調査に基づきまして最高限度額、最低限度額というものを設定したといたします。それを前提にいたしまして六十年三月現在の年金受給者というものをもとに計算いたしますと、最低限度額の適用を受けて直ちに平均給与額が最低限度額まで引き上げられる者は百二十人でございます。そして、今度は最高限度額の適用を受けましてスライドが停止される者、平均給与額そのものは補償いたしますのでスライドを停止するわけでございますが、スライドを停止される者が百二十七人、六十年三月現在の年金受給者総数というのが一千七百六十四人でございますから、どちらもおおむね七%というふうに御理解いただいていいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/32
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033・野田哲
○野田哲君 今回の改正が前提としては民間の制度に合わした改正ということになっているわけですけれども、勤務年数とかあるいは給与体系については、民間と公務員の場合にはかなり異なった面があるんじゃないか、こういうふうに思えるんですが、画一的に民間の数値によって限度額を定めるということには問題はありませんか。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/33
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034・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) なかなか難しい実は問題だと思います。公務員の場合に、最低限度額、最高限度額というものをどのようにしいていくかということにつきましてはいろいろなサイドから議論しなければなりませんし、私たちも八月一日に意見の申し出をいたしますまでにおきましては、いろいろな専門家の意見を聞き、また、院内においても何回となく議論を繰り返して結論を得たわけでございますけれども、結局は国家公務員の災害補償制度の適用を受けている者がおおむね百十万人ぐらいだと、一方、労災保険制度の適用を受けている者が三千五百万人だということでございます。そして労災保険制度におきましては、先般の通常国会におきまして制度が可決され、施行されようとしておるわけでございますけれども、その労災保険制度に基づく最高限度額、最低限度額というのは、公務員が今回限度額を設けるときに一つの大きな考え方の基準になり得るんじゃないかというふうに思います。
先ほど申し上げましたように、百十万人の制度をつくるときに、国民全体の中のほとんどの者が適用を受けている労災保険制度の限度額というものを基準にして考えていくというのは、国民の御納得が得られるんじゃないかというふうに思います。先生が今お話しになりましたように、民間の場合と公務員の場合においては勤務年数とかその他いろいろ違う要素がございますけれども、私たちといたしましては、総体として考えた場合には、民間の賃金の総体の姿というものをもとにして公務員の場合にも考えていくべきじゃないか、個々の条件というものをいろいろ考慮に入れるということも必要なときもございますけれども、今回の場合には、総体としての姿というものを前提に制度をつくらしていただくということで御納得いただけるんじゃないかというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/34
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035・野田哲
○野田哲君 もう一つ今回の改正の中で非常に寄異に感じることは、収監中の者、つまり、刑務所などへ入っている者には休業補償を支給しないこととする、こういう点があるわけですが、これは実際問題としてこういう例があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/35
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036・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 今回の制度をつくるに当たりまして私たちの方でもいろいろ調べてみましたけれども、私たちが調べた限りにおいては、有罪判決が確定いたしまして収監されている者に対して休業補償を支給した例というのは見当たりませんでした。ただ、だからといってそういう制度をつくらなくていいじゃないか、こういう議論になるかといいますと、先ほど申し上げましたように、労災保険制度におきましてもそういう制度がつくられましたし、健康保険制度とか船員保険制度におきましても既にそういう制度がつくられておりますので、制度としてはつくらしていただいていいんじゃないだろうかと、こういうことで御提案申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/36
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037・野田哲
○野田哲君 職員局長、公務員の場合、有罪判決が確定すれば公務員の身分を自動的に失うことになっていますよね。これとの関係はどう理解すればいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/37
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038・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 先生の方がよく御存じかもわかりませんけれども、禁錮以上の刑が確定いたしますと自動的に失職するわけでございますけれども、ただ、有罪判決が確定して収監されておるというような場合におきましても、それが必ずしも禁錮以上の刑に該当しているかどうかというところにおいては、そうでない場合もあり得るというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/38
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039・野田哲
○野田哲君 ちょっとよくわからないわけですが、もう一つ、この条項では、要するに、有罪判決が確定をしたことについて、もう一蓮托生、全部同じように扱っているんじゃないかという気がするわけですね。情状酌量の余地が全くない。しかし問題によって、強盗をやったとか婦女に対する暴行をやったとか、こういう破廉恥的な行為の場合と、例えば交通事故のような場合に、不可抗力によって事故を起こした、しかし人を傷つけたために収監をされたという場合は、私は情状酌量の余地があってもいいのではないかと思うんですけれども、この点は全く考慮の余地はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/39
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040・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 今先生がおっしゃいましたような議論は、実は労災保険法を審議する社会労働委員会においてもそういう議論が行われたというふうに記憶いたしております。我が国の現在の刑事法におきまして、先生がおっしゃいますように、犯罪を二つに区分いたしまして制度ができているかといいますと、そうじゃないということでございます。そして、そういうふうに二つに分けまして給付制度の上において何らかの差異のある制度があるかといいますと、そういう制度もございません。したがいまして、私たちは先生のおっしゃる議論そのものに対しましては、確かによく聞かしていただかなきゃならないと思いますけれども、私たちの今の考え方といたしましては、今先生がお話しになりましたように、犯罪を二つに分けてこの際区別しようじゃないかというふうに考えるのは、少し無理があるんじゃないかというふうに思います。
なお、この問題につきましては労災保険法を審議するときにもいろいろな議論がございまして、労働省におきましても現在検討しておるという状況を聞いておりますので、私たちの方もまた労働省といろいろ意見を交換してみたいというふうに思います。
なお、先ほどの答弁に関連いたしましてちょっともう一度御説明させていただきますが、休業補償というのは、療養を受けるために勤務することができない場合に休業補償を出すわけでございますけれども、その勤務することができない場合というのは、公務員として勤務することができない場合に限りませんので、休業補償というのはやはり必要じゃないかというふうに、休業補償の議論としては先ほどの議論は成り立つんじゃないかというふうに思いますので、先ほどの私の答弁が少しまずうございましたので改めてここで補足させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/40
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041・野田哲
○野田哲君 もう一つ伺っておきたいと思うんですが、公務災害の範囲について、通勤途上の災害について検討をされたことについては、私も今日の社会情勢からして時宜に適していると思うんですが、もう一つ検討すべきではないかと思うのは、単身赴任というのが非常にふえておりますね。公務員の場合も単身赴任というのが非常にふえている。私どもが地方でお会いする公務員の方でも、広島とか、あるいは福岡とか札幌とか高松とか、そういうところに行きますと単身赴任の方が非常に多い。この単身赴任の方々が家庭との間を土曜、日曜などに行き来をする、こういう場合は全くこれは私的な交通ということになるわけですね。航空自衛隊の人が飛行機を使って土曜、日曜福岡に行ったのは公務になる。ところが、単身赴任の人が福岡から東京へ往来をする、これは私的な旅行ということになるわけです。なかなかこれは限定は難しいと思うんですけれども、しかし、それぞれのケースによっては、単身赴任の場合に自宅との行き来、こういう面についてこれは検討をしてみる必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/41
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042・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) なかなか実は難しい問題を含んでいると思います。ただ、通勤途上における災害というものを公務災害の制度に乗っけまして保護いたしますというふうに考えましたのは、結局、通勤というのは公務の提供と非常に密接な関係があるということで範囲に含めたわけでございます。もともと公務災害補償制度というのは、先生よく御存じのように無過失損害賠償責任制度のもとにおきまして国がすべてその必要な経費を負担するということでございますので、国の支配管理下にある場合に本当は認められるべきものだと思いますけれども、通勤というのが公務の提供と密接に関係するということで保護の対象にしておるわけでございます。
したがいまして、単身赴任の土帰月来型というのですか、そういう途上における事故というものをどうするかということでございますが、その場合にも先ほど私が申し上げましたような基本的な考え方というものをやはり基準に考えていかなきゃならないというふうに思いますけれども、問題は、やはりその家族の住んでおられる住居というのが通勤災害保護制度上の住居として認められるかどうか、勤務の拠点として認められるかどうか、こういうことになってこようかと思いますけれども、その家族の住んでおられる住居と勤務場所との交通に要する時間とか、あるいは距離とか、そしてどの程度の往来があるのか、というふうなことを総合的に判断して実は考えていかなければならないと思いますけれども、最初に申し上げました基本的な考え方から申し上げますと、なかなか厳しい考え方がずっと現在までとられてきております。個別に判断して救えるものは救っていかなければならないというふうに思いますけれども、基本的には私は土帰月来型の途上における事故というのは、通勤災害の保護制度の対象としてはかなり難しいケースがやはり多いだろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/42
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043・野田哲
○野田哲君 総務庁の人事局長に伺いますが、ことしの人事院勧告の中で、勧告ではないんですが提起をされていた公務員の労働時間の短縮、この点について政府はどういう決定をされたのか、まず、その点から伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/43
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044・手塚康夫
○政府委員(手塚康夫君) 先生御存じのように、既に四週五休制、五十六年から実施しておりました。昨年、人事院の方からその四週五休制の一種の変型として四分の二指定方式、それを試行してくれと言われまして、現在その試行中でございます。片や国際環境もございますし、政府としても時短の問題は十分認識しておりまして、五月一日の経済関係閣僚会議で決定しました経済構造調整推進要綱の中では、銀行と並んで公務員の週休二日制も推進すべし、という決定が政府の意思としてなされております。そこに八月十二日に、確かに勧告ではございませんが、人事院の方から報告の中の提言として四週六休制の試行を年内からやるべきではないか、そういう御提言をいただいたわけでございます。
それを受けまして直ちに各関係省、関係官を集めまして、何度か会議もいたしております。十月一日の日には人事院の事務総長からうちの次官あてに書簡もいただきました。それまでに実は四分の二の試行、これについて一番検討課題となったのは、実は四分の一を占める四分の二指定方式に乗らないグループ、これについての一種の研究会、これがメーンだったわけです。これは要するになぜかというと、四週五休制に相当する週四十三時間はその交代制勤務の人でもできているわけです。五十六年からできているわけですが、それじゃ、それを一歩進める週四十二時間にすることが果たして可能かどうかという問題をずっと検討してきたわけです。しかも、こちらの立場といたしましては、職員の勤務条件の向上ということは、これは私どもの立場でも極めて望ましいことではありますが、しかし先ほどの給与勧告と同様に、やはり国民の理解、認識がなければいけないわけです。現状を申しますと、人事院の調査におきましても、人事院が調査対象としております企業の四割強はまだ残念ながら四週六休以上ということになっておりません。そういう中で、ある意味では見方によればやはり公務員の方が若干先行するという形にもなるわけですが、先ほどの政府の立場に立ってこれをやっていかなければいけない。しかし、そこで国民の理解を得るためには、少なくとも人をふやし金を使うならば簡単にできます、それをやらないでいくことによって国民から認めてもらおうじゃないかということで、大前提を各省に出しまして御検討いただいたわけです。
その結果、各省はいろんな工夫、努力をしてくれました。それで、見通しとしてかなりこれはいけそうだということになりまして、十月二日に各省の官房長クラスで構成します人事管理運営協議会、いわば事務レベルですが、ここで各省のコンセンサスをつくりまして、現行の予算、定員の範囲内で試行に移ろう。それもいろいろ問題点のあるところは若干残りますが、大多数はそれは早くからできるということで、十一月三十日から開始しようというコンセンサスができまして、それを踏まえて去る十月十七日に、閣議了解でございますが、閣議で御了解を正式にいただきまして、現在、各省でそれぞれの試行実施のためのいろいろな準備作業を行っているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/44
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045・野田哲
○野田哲君 問題は、この二四%の、四分の二指定方式についても実施されなかった職種、職場、ここがどう対応できるのか、これが一番の焦点だろうと思うんですが、これについては何かいい方策をお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/45
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046・手塚康夫
○政府委員(手塚康夫君) 五十一年に四週五休の第一次の試行が行われたときには、特にその四分の二に乗れないような交代制勤務のところとか単独官署みたいなところがなかなかそこにも参加できなかったわけです。しかし、そこも工夫を凝らすことによって、五十六年には一斉に四週五休に入ることができたわけです。今回はそれ以上に前からいろんな準備といいますか、工夫はできないのかということを各省にやっていただいております。残念ながら全部とは申せませんが、しかし、いわゆる四分の二に乗れない二四%の中でも、相当程度が各省のいろんな工夫によって十一月三十日の試行実施に参加できるものというふうに私ども見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/46
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047・野田哲
○野田哲君 元号の問題で二、三お伺いをしておきたいと思います。
元号法が制定されてもうかなり経過をするわけですけれども、政府の方では新元号の制定について具体的な準備というのか、検討をされているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/47
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048・的場順三
○政府委員(的場順三君) 御承知のとおり、新元号の選定は大変重要な事項でございます。遺漏なきを、万全を期する必要がございますので、政府としては、昭和五十四年十月の閣議報告で「元号選定手続について」というのを定めておりますが、それに従いまして適時適切に対処すべく現在研究をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/48
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049・野田哲
○野田哲君 今のお答えでは全く抽象的なんですが、当時の法案を審議をした三原総務長官の当委員会での答弁などを見ると、新元号の選定のための選定委員会の人選、こういうような問題も議論になっているわけでありますけれども、選定委員会というようなものを設けるのか設けないかは別にいたしまして、学識経験者等に意見を聞くとか、あるいは元号の候補みたいなものを挙げてもらうとか、そういう有識者との相談などはなさっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/49
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050・的場順三
○政府委員(的場順三君) 元号法には、「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。」ということに定められておりまして、この法案につきましてのタイミング等は非常に慎重を期すべき事柄であろうと思っております。御指摘の、いろんな考案者の先生方の名前を考えたり、あるいは委員の委嘱の手続をしているのかということでございますが、現在まだ考案者に委嘱するような手続は行っておりません。ただ、そういう委嘱の時期につきましても、諸般の状況を考慮し、遺憾なきを、万全を期しているところでございます。
付言いたしますと、先ほど申し上げましたように、「皇位の継承があつた場合に限り改める。」ということになっております。陛下の御健康と御長命を一番祈っている者の一人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/50
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051・野田哲
○野田哲君 もう一つ、元号の使用についても伺っておきたいと思うんですが、当時の審議の過程で、政府側は、元号の使用は国民には義務づけるものではない、元号を使うかあるいは西暦を使うかということについては国民の選択によるものだとこういうふうに答えておられるし、もっと具体的に突っ込んで言えば、役所に対する届け出とか、あるいは住民としての住民登録とか戸籍とか、そういうことについての届け出についても西暦を使っていただいて結構です。受理した方では事務整理上それを、西暦を使って届けられた場合には、必要によっては昭和というのを横につけ足して処理をする。ここまで政府の方では言っておられるわけでありますが、この趣旨は今日でも守られ、きちっと各行政機関や地方自治体等に対して政府の答弁の趣旨が徹底をされているとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/51
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052・的場順三
○政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、その元号の使用の問題につきましては、元号法が成立した昭和五十四年の六月に、総理府総務長官の談話で「元号法の成立に当たって」というのを出しております。その中で、今御指摘のとおり、
公的機関の窓口業務においては、これまでも届出等の書類の年表示には元号を用いるよう国民
の方々の御協力をいただいてきたところであるが、この点については今後も公務の統一的な事務処理を円滑、迅速に行うために、引き続き国民各位の御理解と御協力を要望する次第である。もとより、これはあくまでも協力要請ということであり、西暦で記入されたものも適法なものとして受理されることはいうまでもない。私は、この問題については、公的機関の窓口業務に関与する職員の的確な理解と良識ある行動の下に、従来同様今後とも円滑に事務処理が行われることを確信し、期待するものである。
と述べておりまして、その趣旨はおおむね周知されているものと考えております。
なお、付言いたしますと、元号法の施行に伴う戸籍事務の取り扱いにつきましては、同趣旨のことが法務省の民事局長から、また、申請書、許可書等における元号の取り扱いにつきましては、警察庁長官、官房長からそれぞれ通知を出しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/52
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053・野田哲
○野田哲君 文部省見えておりますか。——文部省で扱っている手続の書類で「昭和六十二年度大学入学者選抜共通一次学力試験志願票」、こういう書式がありますね。これを見ると、注意事項で記載の例として、「西暦で記入してはいけない。」と、わざわざ念を押した書式があるわけでありますが、この書式は、これは今述べられた元号法制定のときの総務長官の談話の趣旨と全く反した内容になっていると思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/53
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054・佐藤禎一
○説明員(佐藤禎一君) ただいま御指摘をいただきましたように、大学入試センターがつくっております共通第一次学力試験の志願票、これにつきましては、先ほど来出てまいりましたような統一的な事務処理という観点から、生年月日と、それから高等学校の卒業年度ないしは卒業見込み年度の記入は元号を使用して記入していただくよう、そういう様式になっているわけでございます。
その趣旨は、先生御承知のように、共通第一次試験の受験者の数が三十数万人という大変多くの数になりますので、混乱なく円滑に実施をしたい、そういう趣旨からそういった取り扱いにしているわけでございますが、実際問題といたしまして、毎年西暦によって記入をしてこられる志願者もいらっしゃいまして、これは入試センターの方では遺漏なく受理をいたします。ただし、その後のコンピューターの事務処理、そういった都合がございますので、入試センターの方でその年号を元号の年号に換算、記入をいたしまして処理をさしていただいている、そういう実態にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/54
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055・野田哲
○野田哲君 だから、本人の選択を尊重するということであれば、西暦で届けられたものは、受理した方が事務処理上それを昭和何年ということに事務処理だけ変更していくということで受理をすればいいんであって、注意書きのところに「西暦で記入してはいけない。」と、こういう注意書きをした文書の形式をつくっているということは、これは元号法制定のときの政府の声明の趣旨に合致していないんじゃないですか。現に事務処理として、西暦で書かれた場合には、受理した方で、事務処理上元号の年代に直して事務処理をやっているということであればそうすればいいんであって、何も西暦で記入してはいけないという注意書きをわざわざ印刷して書式をつくっておく必要はないんじゃないですか。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/55
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056・佐藤禎一
○説明員(佐藤禎一君) 先ほど申しましたように、この共通第一次学力試験の処理と申しますか、大変なたくさんの数でございますので、入試センターとしてはこれは遺漏なく円滑に、その後、個々の個人のことにかかわりますので、間違いのないように実施をするということから、この点につきましてもできる限り統一的な事務処理をしたいということを強く協力の御要求をするという趣旨であろうかと思います。
ただ、先生御指摘のように、その場合にこの記入の注意書きの仕方につきましては、多少今後私ども御趣旨を踏まえて検討させる必要があるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/56
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057・飯田忠雄
○飯田忠雄君 このたびの法改正に当たりまして、法文の内容について大変素人には理解しがたいところが相当ございますので、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
まず最初の問題は、このたびの公務員災害補償法の改正でありますが、災害補償というのは、一体法律上どういう性質を持つかということが問題であろうと思います。例えば会社の業務上の災害に対して補償をいたしておる場合に、それは当然会社がやるべきことであるという論理からいきますと、公務員の場合、公務員が公務上の災害によって療養を受ける、また、仕事ができなくなる、そういうような場合に、その責任は当然その公務の性質に応じて国が負うべきものではないかということが考えられるわけであります。特に、公務員といいましても普通性質上非常に範囲が広うございまして、余り危険でない業務に従事する公務員、それから大変職務上危険が伴う公務員、いろいろございます。したがいまして給与面におきましても、給与法においていろいろの差等を設けておるわけでございますが、ところがこの災害補償法を見ますと、公務の性質による区別というものがどうもあるように思われないわけであります。そこで、こういう問題についてどのように人事院はお考えになっておるかお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/57
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058・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 国家公務員災害補償制度といいますのは、先生よく御存じのように、国家公務員が職務を遂行中に職務に起因して災害を受けた場合にそれを補償する制度でございます。一方、労災保険制度はやはり業務上の災害または通勤上の災害について補償する制度でございまして、どちらもその逸失利益を補てんしていこうじゃないかということで制度が成り立っております。
ただ、先生が今お話しになりましたように、労災保険制度は保険制度に基づいて補てんしていきますけれども、公務員災害補償制度の場合には雇用主としての国が損害を補てんしていこうと、こういうことに相なっております。その二つの制度というのは、基本的な考え方は損失を補てんするということで成り立っておりますので、両制度それぞれ基本的に相共通するものがございますので、国家公務員災害補償法におきましてはその二十三条におきまして、民間の労災保険制度に対する均衡原則というのがうたわれております。
そういうことで、両制度おおむね同じような基本的な原則、考え方に基づいて制度ができておりますけれども、公務員として特別に考えなきゃならない面もございます。特別公務災害補償制度というのがその一つでございますけれども、そういうものにつきましては、それなりの制度というものを鼎立して、国家公務員災害補償制度として遺憾のない制度にしていかなきゃならないというふうに人事院としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/58
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059・飯田忠雄
○飯田忠雄君 どうも私の質問申し上げました点について、御答弁に私の理解できなかった点が相当ございますのでもう一度お尋ねをいたしますが、例えば防衛庁の職員、まあ自衛官ですね、自衛官の場合の災害補償というものについては、これは防衛庁にお尋ねしなきゃならぬかもしれませんが、どのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/59
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060・萩次郎
○説明員(萩次郎君) 自衛官の公務上の災害に対する補償につきましては、防衛庁職員給与法第二十七条の規定によりまして国家公務員災害補償法を準用するということになっております。したがいまして、一般職の国家公務員と同様の補償が行われているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/60
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061・飯田忠雄
○飯田忠雄君 そうしますと、防衛庁の職員に対しては一般職と同じだと、こういうふうになっておるということを承りましたが、警察官とか海上保安官とかあるいは林野庁の職員とか、こういう危険な職場におる者についてはいろいろの特別の御措置はなされるようになっておりますか、それともなっていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/61
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062・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 今先生がお話しになりました中で、警察官とかあるいは海上保安官というのは、場合によりましてはその生命、身体というものに危険が及ぶと、そういうような状況のもとで公務を執行しなきゃならない、そういう職種の職員でございます。そういう職員が公務遂行中に公務に起因して災害を受けた場合には、通常のルールに従って災害補償の額を計算いたしますけれども、その計算した額にさらに五〇%以内の割り増しをするという制度になっておりまして、特別な公務災害補償制度というのができております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/62
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063・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それでは、基準は大体労働者災害補償法を基準にしてやっておられますね。それで、一般職の特別な危険のある公務員については考慮している、自衛官については考慮をしてない、こういう不公平があるんです。
それで、本質の問題をお尋ねするんですが、一体災害補償というのは、これは保険なのか福祉なのか、どういうふうにお考えでしょうか。法律上の性質です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/63
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064・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 国家公務員災害補償制度といいますのは、もう先生既に御存じのとおりに、国家公務員法九十三条に基づきまして成立しておる制度でございます。したがいまして、その国家公務員法九十三条に書いてございますように、損害に対しこれを補償する制度ということでございます。損害を補てんする制度というふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/64
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065・飯田忠雄
○飯田忠雄君 そうしますと、これは公務員に対する国家のいわゆる損害賠償という性質を持つんだと、こうおっしゃったと思いますが、そこで損害賠償という考え方をとりますと、これは大変困ることが起こると思いますよ。最高限度額とか最低限度額を決める意味がなくなる。それは決めたらおかしいことになるでしょう。結局、損害賠償になれば、実際に個人が受けた損害、その損害は身体上の損害もありますが、同時に逸失利益もありますし、しかもその逸失利益なるものは、将来の可能性というものを算定するのが非常に難しい。いろいろ問題が起こってきます。若年において災害に遭った人について果たしてその若年のときの給与を基準にしていいかということが起こってくる、損害賠償であれば。そういう問題がございますが、そういう点についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/65
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066・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 先ほど申し上げましたように、制度の基本的な性格といたしましては損害を補てんする制度でございますけれども、その基本的な性格というものを踏まえながら、国家公務員災害補償法に基づいて独自につくり上げられた制度だというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/66
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067・飯田忠雄
○飯田忠雄君 そうしますと、この公務員の補償年金の額を算定なさる場合に、平均給与額に最高限度額とそれから最底限度額をつけておられますが、最低限度額というのは一体その法律上の性質は何か、これは生活保障の意味を持つのではないか、私どもはこう推定しておりましたが、そうでもないという御見解でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/67
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068・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 最初に御答弁申し上げましたように、やはり国家公務員災害補償法というのは、国家公務員法九十三条に基づきます制度でございますので、生活保障という性格というものを今回の改正によって持ち得るかというと、やはりそれは無理だろうというふうに思います。
ただ、今回最低限度額というものを設けましたのは、若年時における被災者というのが若年時における被災直前の給与に基づきます平均給与額に基づいて年金額が算定されますので、その方が壮年時になられましても年金額が低いままに推移する、そういうことは壮年時に被災された方と比べて余りにも低過ぎるじゃないかという議論がやはりあるわけでございます。かつてこの委員会でも随分議論された問題でございますが、そのときにもやはり最低限度額を設けたらどうだという議論も出ております。そういうようないろいろな議論を踏まえまして、今回の災害補償法の一部改正によりまして、今先生がお話しになりました生活保障というような性格を持ち得ないけれども、やはり今までの考え方よりも少し最低限度額というものを設けまして引き上げていこうじゃないかということで、一歩前進といいますか、一定の改善を図ろう、そういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/68
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069・飯田忠雄
○飯田忠雄君 これは実際は性質は生活保障だと思うんですよ。法律はその実際の性質を曲げるような法律そのものがもとになる、あなたおっしゃったような法律ですよ。これは無理なんで、それは少し訂正する必要があるのではないかと思われますが、それはきょうの議論じゃありませんのでやめておきます。
最高限度額ですが、損害賠償の意味のあるこの災害補償に最高限度額を設けること自体がおかしいんじゃありませんか。これもやはり生活保障の意味を持つから最高限度額が出てくるんじゃありませんか。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/69
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070・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 私が答弁申し上げたのが少し言葉が足りなかったかもわかりませんけれども、災害補償制度そのものは、基本的には私はやはり国家公務員法に書いてございます損害を補てんする制度だというふうに考えておりますけれども、そういう基本的な考え方の範囲内で国家公務員災害補償法という一つの法律に基づきます独自の制度をつくり上げていこうじゃないかということでございます。したがって、その独自の制度の中でどのように工夫してより国民の皆さん方に納得していただけるといいますか、それを前提といたしまして、よりいい制度につくり上げていくということで今回最低限度額と最高限度額というものを設けていこうじゃないかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/70
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071・飯田忠雄
○飯田忠雄君 この最低限度額は、これはやはり政府として福祉的な意味からでもこれは必要だと思いますけれども、最高限度額の場合は、これは年金に充てる金の限度というものを考慮しての一つの政策的なものではないでしょうか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/71
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072・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) ちょっと先生の御質問の趣旨がはっきりわかりませんでしたけれども、恐らく先生のおっしゃっておられますのは、最高限度額というものを設けるのは財政上の理由からじゃないかと、このようにおっしゃったんだと思いますけれども、私たちは今回最低限度額、最高限度額というものを設けることによって財政上どうこうということを第一次的に考えたわけではございません。もう既に国会で承認され成立いたしております労災保険制度との均衡というものを考えた場合には、やはり最低限度額、最高限度額というものをつくらせていただいて、より制度といたしましては民間との均衡というものを図らせていただいた方がいいだろう、その方が国民の御納得がいただける災害補償制度になるだろう、ということを第一次的には考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/72
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073・飯田忠雄
○飯田忠雄君 私が御質問申し上げましたのは、労働者災害補償法における年金ですね。年金の原資というものは限りがある。だから、当然最高額というものも抑えていかざるを得ないのではないか。それに右へ倣えを公務員の場合もしているんだから、いわゆる年金の原資と見合わしての問題ではないか。
なぜこういうことをお尋ねいたすかといいますと、金がたくさんあったらたくさん出したらいいんでしょう。金がないので出せないから、これからますます年金の原資が減っていくから考慮しなければならぬ問題ではないか、こういう考え方も出てまいりますので、それで政府としては、そういうことではなくて、あくまでもそういうことではないという御趣旨なのか、あるいはそういうことも含めての問題なのか、こういう点をお尋ねいたしておるわけですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/73
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074・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 労災保険制度がどういう趣旨でああいう制度をおつくりになったかということにつきましては、私もこの場でお答えできるほどの知識も持っておりませんし、そういう立場でもございませんので、答弁は差し控えさせていただきますけれども、やはり同じ勤労者といたしまして国家公務員と民間企業の従業者というものを考えた場合に、圧倒的に多い民間企業の従業者につきまして最高限度額、最低限度額というものを設ける法改正というのがさきの通常国会で御承認いただきましたので、その制度との均衡というものを国家公務員についても考えさせていただく、というのが国家公務員災害補償法の二十三条の趣旨からいってもやはり先生方の御承認がいただける改正内容じゃないかというふうに考えたわけでございます。
それが第一次的な今回の改正の背景にある考え方でございまして、先生が心配しておられます改正の背景というものが第一次的にあるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/74
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075・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それでは、これはこのぐらいにしておきまして、先ほど自衛官に対する補償というものは一般の公務員と同じで、警察とか海上保安官の場合はそれよりもいい、こういうことをお聞きしましたが、それでこれは、現在の憲法九条からいっての問題を私はここでは言わないんです。少なくとも国の職員として採用された以上は、自衛隊がどういうものであろうと国が採用した以上はその災害については平等に見るのが当たり前ではないか、こういう見解を持つから、いわゆる防衛庁の方でおつくりになる法律が、警察とか海上保安官とかというよりも低いということになるとこれは問題ではないか。危険な職場におるということについては同じではないかということでお尋ねをしておるんですが、これは人事院の方の御所管じゃありませんけれども、どうでしょうかね。どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/75
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076・萩次郎
○説明員(萩次郎君) 先ほど私の御答弁が若干舌足らずでございましたけれども、一般職の国家公務員と同様の補償を行っているということにつきましては、特に危険な業務に従事して公務上死亡した自衛官に対しましては、先ほどお話がありましたように、警察官、海上保安官と同様に通常の補償の五割増しという補償を行うこととされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/76
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077・飯田忠雄
○飯田忠雄君 わかりました。
それでは次の問題に行きますが、各年層ごとに上限と下限の枠を設けて、これは労災の場合に倣う、こうなっていますね。ところが、労災の場合はこれは一般の労働者、一般の問題ですね。いわゆる会社の偉い人とか、そういうのは入らないでしょう。ところが、公務員の場合は、大体公務員である程度の上に行く人も労働者ですわね、これはどこまでも労働者としておられるでしょうか、公務員の場合。例えば次官はあれは労働者じゃないのか、課長までかそれとも係長までか、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/77
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078・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 国家公務員災害補償法の適用対象というのは、今先生がお話しになりました言葉で御説明申し上げますと、一般の職員もそうですし、係長もそうでございますし、事務次官も局長も対象になっておるわけでございます。なお、非常勤職員も対象になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/78
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079・飯田忠雄
○飯田忠雄君 わかりました。
それでは別の問題に入りますが、昭和五十五年の法改正の際に、若年死亡者の遺族補償の増額についての附帯決議がついておりますし、それから、その五十五年の審議の際に、若年の被災者に対する年功賃金を反映した給付額の増額要求等の考慮をしろ、こういうふうになっておりますが、今度の法律でそれが具体的にあらわれておるのはどのようにあらわれておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/79
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080・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 先ほど先生からいろいろ御質疑がございまして、私から御説明申し上げましたけれども、今回の改正内容の中で最低限度額を設定いたしまして、平均給与額が最低限度額に満たない者につきましては直ちに最低限度額まで引き上げる、という制度を今回考えまして御提案申し上げておるわけでございます。それが先生が先ほどお挙げになりました附帯決議の線に沿う一つの改正内容ではないかというふうに考えておりますが、附帯決議そのものに一〇〇%こたえておるかということになりますと、必ずしもそういうことには相ならないと思いますけれども、私たちは附帯決議の線をよくよく検討いたしまして、それに一歩近づくという形で今回の改正というものを考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/80
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081・飯田忠雄
○飯田忠雄君 政府の方では人事院の申し出を受けられて今度の改正案のときに審議されたでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/81
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082・手塚康夫
○政府委員(手塚康夫君) 政府としても確かに国家公務員に関するいろんな制度を調査検討する権限もございますが、災害補償は極めて専門的なものでございます。かつまた、労災との均衡ということが法律上明定されておりまして、そういう意味では、人事院の方が主として専門的に検討されたものを我々伺って、意見の申し出がございましたのでそれに沿って法案化したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/82
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083・飯田忠雄
○飯田忠雄君 先ほど御質問がございましたと思いますけれども、いろいろの限度額の上限を超えたり下限を下回る者の対象人数につきまして、実際に調査された方法はどういう方法でおやりになったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/83
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084・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 先ほど野田委員から御質問がございまして、昭和五十九年六月の賃金構造基本統計調査に基づきまして、最高限度額、最低限度額というものを設定する、そして六十年三月現在の年金受給者数というものをもとにいたしまして、年齢階層別にそれぞれ計算いたしますと、最低限度額というものの適用を受けて直ちに引き上げられる者が百二十人、そして最高限度額の適用を受けて当分の間スライドが停止される者が百二十七人ということでございますので、それぞれ五十九年六月の賃金構造基本統計調査と、そして六十年三月現在の年金受給者というものをもとにいたしまして私たちが計算した数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/84
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085・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それでは次の第七条の問題に入りますが、第七条の第二項を見ますと、補償を受ける権利の譲渡、担保の提供、差し押さえ、そういうものは禁止しておりますが、そこで禁止をしておいて、国民金融公庫、沖縄振興開発金融公庫への担保は認める、こうなっておりますね。どうしてそのようなことを、担保提供の相手方を差別されたのか、どういう理由があったんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/85
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086・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 補償を受ける権利は、被災した職員及びその家族にとりましても非常に大切な権利でございます。したがいまして、本来の目的に従って補償を受ける権利を行使していただきたいということで、一般的には先生が今お話しになりましたように禁止をしておるわけでございますけれども、ただ、その補償を受ける権利を有している者も、入院されるとかあるいは子供が入学されるとか、そういうときには生活を援護する必要があるというので、その補償を受ける権利を担保として、今先生がお話しになりました二つの公庫におきましては特別な小口の融資制度というものをつくっておるわけでございます。そして、その融資条件というのもそれぞれの所管省庁の指導を受けて設定されておりますので、そういうような制度のもとにおける担保に供して小口の融資をするというのは、補償を受ける権利を有する者の生活を援護するために必要だということで、例外的に認めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/86
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087・飯田忠雄
○飯田忠雄君 次の問題に入りますが、第四条の第三項というのがございますね。この第四条の第三項につきまして、この場合は、月給制も中に入るのではないかと思われるんですがね。月給制をとっておきながら公務上の事故の場合に勤務できない日について給与を支給しない、そういう制度がもしあるとするとそれはおかしいではないか、月給制なんですから。当然その月の途中で事故が起こって病院へ行ったので勤務できなかった場合でも、月給は支払うべきではないかと思いますが、それを日割り計算のようなふうに思われるような規定になっておりますが、これはどういうわけですか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/87
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088・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 先生のような法律の専門家に御説明するのは若干釈迦に説法かと思いますけれども、この法律の四条二項をごらんいただきたいと思いますが、四条の二項では、平均給与額を計算するときには、本俸にプラスいたしましていろいろな手当が入っております。そのいろいろな手当の中には、勤務実績に基づいて支給する手当、すなわち超過勤務手当とか特殊勤務手当とか夜勤手当と、そういうようなものが入っております。そういうような勤務実績に基づいて支給する手当というのは、今先生がお挙げになりました四条の三項の各号に列挙してあるような場合には月給制の方でも支給されませんので、四条の三項というものを月給制の方にも適用した方が平均給与額が高くなるということで、本人に有利だということで四条の三項を月給制の方にも適用しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/88
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089・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それではその次の問題に入りますが、この四条の三項の二号ですね、産前産後の職員が云々と、こういうのがございますが、これの期間を六週間から十週間にされ、あるいは八週間以内と、こういうふうにされた。六週間以内を八週間以内にされたその根拠はどういうところにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/89
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090・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 女性公務員の母体を保護するといいますか、妊娠された女性の方が産前におきましては六週間、多胎妊娠の場合には十週、間になっておりますけれども、六週間。そして、産後の場合には八週間の特別な休暇制度というものが実はできております。したがいまして、それに合わせて今回この四条の三項も改正させていただいた方がそういう女性職員には有利に計算ができますので、それと合わせた改正を今回させていただくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/90
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091・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それでは次に、通勤災害の問題について御質問を申し上げます。
この規定を読みましても、どうも素人にはぴんとこない書き方がしてあるので御質問申し上げるわけですが、公務員が公務上の災害を受けまして療養のために勤務ができない、こういう場合というのは一体どういう場合だろうかということを考えるわけですが、通勤する途中で災害を受けたという場合は、従来は自宅から勤務地までの間だけについて事故の起こった場所を認めたと、こういうことになっておるんですが、それを今度は、何か話に聞きますというと、人事院の方の規則で通学の場合も認めるというようになるんだというお話であったわけです。
通学の場合に、これは当然自宅へ行く途中ではなくて、別のところに学校があるわけですから行くわけですが、その学校とそれから職場との間においてもし災害を受けた場合、これはこの災害補償の範囲に入ってくるかどうか、通勤の保護の中へ入るかどうか、これがどうも疑問なのでお尋ねいたしますが、どのようになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/91
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092・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 通勤災害の保護というものをどのようにしていくかということでございますが、先ほどの野田委員のときにも基本的な考え方を御説明させていただきました。
今先生がお話しになる問題もそれと同じように考えていただければいいんじゃないかというふうに思いますけれども、やはり通勤災害というものをどこまで保護の対象にしていくかということにつきましては、公務との関連性というものがどこまでつながっておるか、どこで切れて、切れたその先は保護しなくてもいいかという議論というものをやはりしっかりしていかなきゃならないというふうに思います。ただ、そういうふうに考える考え方というのが現在及び将来の交通事情といいますか、そういうものに合うか合わないかというのは、そのそれぞれの時点においてしっかり私たちも現実を見きわめながら考えていかなきゃならないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/92
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093・飯田忠雄
○飯田忠雄君 私が御質問申し上げましたのは、職場から学校へ通うでしょう、その学校へ行く途中で災害が起こった、この場合に補償の対象になるかと、こういうことをお尋ねしたんですね。これがどうもはっきりしないんです、今度の法を見ましても。その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/93
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094・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) その職場が引けて、そして、学校への途中の経路というのが通常の通勤経路の途上の事故でございましたら通勤災害の保護の対象になるというふうに考えられますけれども、その経路というのが通常の経路と異なる場合には、やはり保護の対象としては難しいんじゃないかというふうに思いますが、個別のそれぞれの事案につきまして合理的な経路かどうかということもまた判断の要素となってこようかというふうに思いますので、個別の事案ごとに判断しなきゃならない問題かというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/94
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095・飯田忠雄
○飯田忠雄君 元来、この通学などの保護という問題につきまして、当然自宅から職場までの経路の上に学校があれば問題にならないことなんですよ。それがそうでないから起こる問題でしょう。職場からもう正反対の方に学校がある、自宅とはね。こういう場合にそれが保護されないということになると、通学の場合も補償を認めようというその趣旨が大半これは失われると思われますね。
それから、帰りの場合、学校から自宅へ帰るのに、もう一度職場に帰って職場から自宅へ帰ってくる道を通れといったようなそういう規定の仕方ならば、もう通学者にとっては非常な負担になるわけでしょう。夜、学校が終わって九時か九時半ごろになってからもう一度職場へ帰るなんということはいたずらなこれは要求だと思います、非常に過酷な要求だ。だから、せっかく通学はしてもいいよとこう認める以上は、通学もこれもすぐ公務と認めたらいいじゃありませんか。公務員が学校へ行くことによって大変知識を増して、その後公務がうまくいくんですから、当然通学そのものは公務と認めるべきだと思いますね。そうであるならば、通学の途中の経路において起こったものは当然災害補償すべきだ。これが普通の人の常識からいきゃそうなるはずなんですがね。そういう点についてなぜそうならないような規定をおつくりになるのか、その理由をお聞かせ願いたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/95
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096・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 職場が、仕事が終わってその帰る途中に学校に通う、そして、学校に通うことが職務能力の開発向上に役立つじゃないかと、だから今回その学校に通うことによる逸脱、中断というものを含めていこう。こういうふうに考えたわけでございますけれども、本来の考え方からいきますと、その学校に通うことによって公務とのつながりというのが一応切れるというふうに考えるんだろうと思います。
したがって、その先の経路の途上における災害というものを保護の対象にするというのは、今までの考え方からいいますとやはり無理があるだろうというふうに思いますけれども、今の先生の話をよくよく私たちももう一度かみしめてみたいというふうに思います。ひとつ私たちの中長期的な研究課題ということにさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/96
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097・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それでは、その次の問題に入ります。あと私の時間二、三分しかありませんがね、入ります。
それは、十二条のやはり規定の一号、二号に関する問題であります。ここに、「監獄、労役場その他これらに準ずる施設」は行わない対象になっておりますが、「これらに準ずる施設」というのは何のことでしょうか。お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/97
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098・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 現在考えられますのは、法廷等の秩序維持に関する法律というのがございますが、その法律に基づきまして法廷の秩序を乱した者を監置処分にする監置場というのがございますが、それを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/98
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099・飯田忠雄
○飯田忠雄君 わかりました。
それでは、そういうところへ入りますと、休業補償を従来はやってきたけれども今度はやらないと、こういうことですね。そういう監獄とか労役場とか、今おっしゃったようなところへ入ったことによって公務の執行ができなくなったという場合ですね、これは災害じゃございませんわね。ところが、それだけ見れば災害じゃないけれども、実は交通事故を起こして人を殺して、それで留置場にほうり込まれた、こういう場合ね、それで勤務ができなくなった。この場合にはどうなるかという問題です。
これは今は留置場と言いましたがね、場合によっては監獄も入るかもしれませんね。監獄にやられちゃったと、事故を起こして監獄に入った。この場合に、監獄に入りました場合に犯罪者となるんですから、そうなると、これは先ほどおっしゃった、退職したことになるとおっしゃいましたね、退職する。退職すればそれで休業補償はやらない。つまり、監獄へ入るような者は病院に通わなくてもいい者でしょう。けがをしたために病院に入らなければならぬような者を監獄に入れるということはあり得ないじゃないかと思われるんですよ。それから、今のここの労役場とかその他に準ずるところへ、けがをして病院に入っている者をそんなところへ送ること自体があり得ないと私は思いますが、もしあるとするならば、これは人権上の配慮が足らなさ過ぎると言わざるを得ないんですね。
それで、この規定が一体何のために設けられたのかがわからなくなるんです。それはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/99
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100・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 先生いろいろなことをお話しになりましたので、私も随分注意して聞かせていただきましたが、もしかしたら十分御答弁申し上げられないかもわかりませんが、その節には再び御指摘いただきたいと思います。
私たちが、「監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている場合」、このように規定を設けましたのは、本人の責めに帰すべき事由に基づきまして勤務することができなくなる、そのような場合に休業補償を給付するというのは理論的に考えてもおかしいじゃないか、こういうことで私たちは今回この規定を設けさせていただこう、このようにしておるわけでございます。
したがって、その本人の責めに帰すべき事由に基づいて勤務することができないというときに、どういうようなことでそれを判定していくかという問題が出てくるだろうと思うんです。有罪判決が確定してこういうところに拘禁されている場合、そういうときにはやはり本人の責めに帰すべき事由に基づいて勤務することができないというふうに解釈し、運用するのが制度を安定的に運営することができるゆえんでもございますし、画一的に公平に制度が運営できることになるだろう、このように私たちは考えたわけでございます。
なお、先生がいろいろお話しになりました人権上の問題というのもそれぞれあろうかと思いますが、それにつきましてはちょっと私たちも専門外のことでございますので、国会という場で御答弁申し上げるのはひとつ御勘弁いただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/100
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101・飯田忠雄
○飯田忠雄君 この問題につきましては、もっと詳しく御質問を申し上げたいのですが、本日は私の時間はこれまでしかありませんので、この次のときにお尋ねいたしますのでよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/101
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102・峯山昭範
○峯山昭範君 初めに、行政監察の問題についてお伺いをいたします。
私も長い間この内閣委員会を担当さしていただきまして、行政監察という問題につきましては随分長い間お話を聞かせていただいてまいりました。私は、この行政監察というのは非常に大事な職務だと思います。それで、この職員の皆さん方の行動を見ておりますと、非常に少ない人数で大変厳しい仕事をやっていらっしゃる。特に大阪も和歌山もそうでありますが、非常に少ない人数で、しかも定員削減なんということになりますと、大もとの局でありますから一番先に人数を減らさなければいかぬということで非常に苦労をしていらっしゃる。そんな中で、私は今まで行政監察のやり方や、またいろんな様子を見てもまいりました。
例えば大阪で万博が開かれました。あのときに万博の準備の最中から、もう万博がどういうふうに行われているのか、どこら辺に問題があるかという点を詳細にチェックしていらっしゃるわけです。そういう方々がチェックに行くとみんな嫌がられるわけです。嫌がられる仕事をがっちりやっておられる。だから、万博が始まったときには問題点がぴしっとピックアップされているわけですね。私は大変すばらしいことだと思いました。
そういうふうな意味では、今回の国体の問題ですね。私は、玉置長官が長官に就任をされて、総務庁の行政監察を担当していらっしゃる皆さん方は大変張り切っているんじゃないか。先ほどの農協の問題や外務省の問題やばんばん出てきて、しかも脚光を浴びておる。そういうような中で大臣のもとで仕事をやる皆さん方というのは非常に私は張り合いが出てくると思うのです。長官が御健康であれば、なお一層いいわけですが。しかし私は、そんな中で今回の問題はいろいろな問題を含んでいると、そう思うんです。
といいますのは、国体の行政監察というのは来年の沖縄が終わってからじゃ遅過ぎると思う。何でかといえば、その次の年にもう新しい何らかの行事をやらなければいかぬわけです。来年沖縄国体が終わってから行政監察を始めたんじゃ、やっぱり一年かかるわけです。集計やら調査やら、一年かかりますよ。そうしますと、これからの役に立たぬわけですよ。これは先ほど大臣が、担当局長がこれは地方の一監察でやることじゃない、だから、これは中央監察としてやるからということでとめたということですけれども、その監察局長、何を考えておるかということです、そんなことだったら。これはやっぱり少なくとも今から、かいじ国体だけを対象にするのじゃなくてもいいです、ことしの分も、去年の分も行政監察をして、そしてなお一層、来年の沖縄の監察もやって、そしてその上で国体全体にどういう問題があるか。これは先ほどもちょっとお話がございましたように、施設や関連事業に余りにも金をかけ過ぎていないのか。かけ過ぎたそのお金が地方の財政を圧迫していないのか。あるいはその設備の問題につきましても、今後十分使用、活用できる施設もあるけれども、むだなものはないのか。そういうようなものをがっちりこれはチェックしますと、これは全部終わっちゃってからじゃ、もう遅いわけですよ。
そういうふうな意味では、これはぜひ今度の問題については、監察局としては当然私は本気で取り組んでいただいた方がいいんじゃないか、そういうような気持ちでいるわけでございますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/102
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103・玉置和郎
○国務大臣(玉置和郎君) 今峯山さんから総務庁の監察、調査について、少ない人数で大変苦労しておるという実態に触れていろいろとお話がございました。非常にありがたいことだと思っております。
それだけに、今お話がありました国体の問題にしましても、一年待ったんじゃ遅過ぎるということでありますが、あれだけやはり報道陣をにぎわしたかいじ国体の国体との関係、こういうことで沖縄の方におきましても既に余り監察、調査の対象にならないように、効率的にやっていかなければならぬなという意見も出ておりまして、それはそれなりの効果が出ておるなと思いますが、今、さらにまたお話がございましたので、十分検討してやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/103
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104・峯山昭範
○峯山昭範君 これは大臣はこれで結構です。
大臣、ちょっとだけ聞いておいていただきたいんですけれども、これは私は例えば今、ことしの分だけを対象にするから大分問題になるので、ことしの分も含めて去年、おととしと前の分も、やっぱり五年か十年ぐらいさかのぼって、十年ぐらいたつと全然もう使わないものとかいうものが出てくるでしょうから、やっぱりいろいろチェックして、そしてそこら辺の実態については、本来なら私は文部省なり、しかるべきところでチェックしていると思うんですけれども、実はいろいろ聞いたんですけれども余りチェックされていないんですね。ですから、そういうような意味では私は大変大事なことだと思いますので、そういうような意味でぜひ取り組んでいただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。
それから次に、私きょう非常に時間が短うございますので、端的にお伺いいたします。官房長官にお伺いをいたします。
先ほどの人事院勧告の問題であります。これは、非常に官房長官の発言が相当大きく報道されているわけであります。これは何も官房長官だけの発言ではなしに、閣僚会議でのいろいろな発言をまとめて御発言になったんだろうと私は思いますけれども、しかし、先ほどの答弁を聞いておりまして、人事院も考えてしかるべき時期に来ているということで、その考えは今も変わらないとおっしゃいましたが、官房長官といいますと相当な権力者ですよね。それで、その隣にいらっしゃる人事院総裁は、それは干渉とは受けとめてはいないと先ほどもおっしゃっていましたけれども、やっぱり官房長官がそこまでがっちりおっしゃると、きっと来年からは今度は勧告しないようになりますわ、大体。そういうものなんですわ。大臣ね、これは強烈な圧力であり、あるいは、ちょっと言葉は過ぎるかもしれませんが、不当な介入ということにもなりかねないわけですよ。ですから私は、そういうふうな意味では、これは非常に重大な問題であると思っております。
先ほどもいろいろお話がございましたように、例えば五%で一万二、三千円になる。五%以下、ことしの二・三一%で六千九十六円ということですから、官房長官はたくさんお給料いただいていらっしゃるから六千円やそこらはどうということないでしょうけれども、やっぱり一般のサラリーマンの皆さんは五千円というとえらいことなんですわ、ほんま言うたらね、いわゆる住宅ローンとかそういうもので苦しんでいる立場からすれば。ですからこれは、やめとけと言うんじゃなしに、もうちょっと緩めてくれませんかね、官房長官。人事院でちゃんと考えよと、もうちょっと緩めて私は言っていただきたいなという気がするわけでありますが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/104
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105・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) 午前中にお答えしましたように、私の申し上げている趣旨は、こういった厳しい時期になっておるので、現行法の枠の中で人事院御当局自身が裁量の余地がある問題だから、制度改正なんということでなしに、こういった中でお考えになる時期が来ておると判断なさるであろう、という私なりのいわば一種の推測の言葉を申し上げているわけでございます。お取り上げになるかならぬかは、申し上げるまでもなく、これは人事院当局の判断でございます。
ただ、なぜそういうことを言うんだ、こういうお話でございますが、これは申し上げるまでもなく、人事院の勧告は十分尊重しなきゃなりませんけれども、やはり給与についての最終の決定は、政府がこれを行って国会の承認を得る事項でございます。そういう意味合いにおいて、政府としてもやはり国政全般との関連の中で、人事院勧告を尊重しながらも、これをどう扱うかということは大変私は重要な国政上の課題である、こういう認識のもとにああいった発言をさせていただいたので、この考え方は私は間違っているとは思っておりません。この点はいろんな御批判があろうとは思いますけれども、そういう厳しい時期だなということだけは間違いないんじゃないか。ただ、私の考えはこれを押しつけるなんという気持ちはさらさらございませんので、それはひとつ理解をしておいていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/105
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106・峯山昭範
○峯山昭範君 これは新聞にも、人勧はその当時のいろんな経済情勢を無視しておるだとかいろんなことが出たりしますので、私はそういうことはないわけでございますが、これは、人事院総裁としましても、私は先ほど総裁の御答弁を聞いておりまして、干渉とは受けとめていないと、こう一生懸命おっしゃっておられましたけれども、そういうふうに一生懸命頑張ることがやっぱり干渉を受けておるんだなと私は逆に聞いておったわけでございます。ですから、この辺のところは、こんなことを言ったら怒られますからもう言いませんけれども、昔の総裁なら、何ということを言うのかと、かあっと怒って、この内閣委員会でいつも頑張っておられた総裁がいたことを私は覚えていますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。
それから、官房長官、もう時間がございませんので簡単に申し上げますが、例の台湾人元日本兵の補償の問題ですね。この問題は実は本内閣委員会におきましてもたびたび取り上げてきている問題でございます。関係省庁の連絡会議もできまして、六十年の五月にこれが設置されまして、私の調べたところによりますと、ことしの七月までに十四回会議が重ねられておるように聞いておりますが、これは現在どういうふうになっているのか。それから、これからの見通し等も含めまして御答弁いただければと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/106
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107・國廣道彦
○政府委員(國廣道彦君) 昨年五月二十四日に総理府に連絡会議が設置されましてから、今御指摘のとおり、昨年度八回、それから今年度に入りまして六回、連絡会議及びその幹事会を開催してまいりました。その会合におきましては、恩給法及び援護法における国籍要件、日台間の全般的な請求権問題、それから日台間の請求権問題の実態的な側面、台湾人元日本兵及び軍属の徴兵、雇用に関する事実関係、それから東京高裁の判決の内容の勉強、それから今後の検討の進め方等々について検討をしてまいりました。
この問題は大変複雑な問題でございまして、特に、中でも日台間の全般的な請求権問題が未解決のままになっているということ、それから台湾以外の分離地域との公平の波及の問題、それから御承知のとおりの厳しい財政事情、こういうふうな問題が存在しておりまして、こういう問題に対処しながらどういうことができるかということを関係各省ともども寄り合って検討しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/107
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108・峯山昭範
○峯山昭範君 これで終わりますが、これはもう官房長官も何回もお聞き及びだと思いますけれども、東京地裁の判決の中で、「現実には、控訴人らはほぼ同様の境遇にある日本人と比較し著しい不利益をうけていることは明らかであり、しかも戦死傷の日からすでに四〇年以上の歳月が経過しているのであるから、予測される外交上、法技術上の困難を超克して、早急にこの不利益を払拭し、国際信用を高めるよう尽力することが、国政関与者に対する期待であることを特に付言する。」、こういうふうにもありますし、この問題の解決のためにもぜひとも御協力また努力をしていただきたいと思います。官房長官の御見解をお伺いして、私の質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/108
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109・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) 今事務当局からお答えをいたしましたように、この問題については、関係各省の協議等も行いつつ誠意を持って対処しなきゃならぬ、こう考えておるわけでございます。ただ、外交上の問題も絡んでおりますし、もちろん財政問題もあります。他への波及とかいろいろあります。ありますが、私は、やはりこれは基本的には外交上の問題を配慮しなければならぬなと、こう思っておりますが、いつまでも放置していいという課題ではない。これは何らの措置も今日まで行われておりません。
で、今、峯山さんがおっしゃいましたように、なるほどこれは今最高裁にかかって係属中です。その結果を見なきゃいけません。しかし、東京高裁の判決も、今おっしゃったように、同様の境遇にある日本人と比較しまして、これはやはり日本としては道義的責任ありじゃありませんかといったような指摘もあるんですね。棄却はされておりますけれども、やっぱりそういう条件がくっついている。ここらは真剣に政府としては考えなきゃならぬ、こう私は思っております。
いずれにいたしましても、外交問題あるいは裁判の問題等ありますから右から左にというわけにはいきませんが、いつまでもこれは放置しては相ならぬ、私はさような理解のもとに各省の協議を進めてまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/109
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110・岩本政光
○委員長(岩本政光君) 午前の質疑はこの程度とし、午後三時まで休憩いたします。
午後零時四十分休憩
─────・─────
午後三時一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/110
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111・岩本政光
○委員長(岩本政光君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/111
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112・内藤功
○内藤功君 まず、人事院総裁にお伺いしたいと思うのですが、人事院は従来四回にわたって較差が五%以下の場合であっても公務員の生活にとって影響が大きいということで給与改善勧告を行ってまいりました。私はこれは極めて当然のことだと思っておるのでありますが、人事院のこの点についての見解を、まずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/112
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113・内海倫
○政府委員(内海倫君) 過去におきまして五%を切りました場合にも人事院は勧告を行っておりますが、これは極めて形式的にやっているわけでは決してございませんで、やはり公務員の生活の実態、あるいは官民給与の差、さらに社会経済情勢というふうなものを十分に調査検討いたしまして、いわゆる労働基本権の制約のもとにおける代償措置という観点を含めて勧告を行ってきておるわけでございます。過去におきましてそういうことで勧告をした、こういうふうに申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/113
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114・内藤功
○内藤功君 官房長官にお伺いいたしますが、十月二十一日の記者会見で、今のような経済情勢を考えると、人事院は国家公務員法の五%条項を十分検討していい時期に来ている、こういう御趣旨の発言をしたと報道で承りました。本日、同僚の野田委員の質問に対しましては、この発言の趣旨は、人事院が諸般の事情を考慮して運用の面で対処されるべきであるという考え方である、これは今も変わらない、こういう御趣旨の答弁をなさったと理解をしております。
そこで、長官は従来の人事院の基本見解を十分御承知の上での発言でありますことは間違いないと思いますが、三点につきまして御意見を伺いたいと思います。
一つは、この御発言は、五%以下の官民較差の場合には勧告を控えるように、勧告をしないようにということを、人事院の従来の基本見解の見直しを求めていらっしゃるのではないのかという点であります。もしそうだとすればこれは非常に重大だと思うんですね。
二点目は、私は、内閣は人事院に対する指揮権はない、これは長官もお認めいただけると思うんです。しかし、このたびの御発言は、人事院に一つの態度変更を迫っておられるのではないか、極めて強い調子の態度変更である。言葉はそれは丁寧でございましょうけれども、その言葉の意味するところは、非常に強い調子のものだと私は理解するのです。いわば指揮権そのものではないが、指揮権に近いという印象を私はぬぐい切れないのですが、この点いかがですか。
もう一つ、三点目ですね。私は、今後の経済情勢から見まして、五%以下の官民較差の場合に勧告をしない、あるいは勧告を控えるということになりますると、給与改善勧告のチャンスというのは今日あるいは近い将来に一体来るのかどうか、五%以下はやらぬということになればですね。そうすると、長期のこれは給与抑制を意図しておられるのではないかと、こういうふうにも考えられるわけでございます。
以上の三点について長官の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/114
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115・後藤田正晴
○国務大臣(後藤田正晴君) 私の先般の記者会見の発言の真意については、午前中からここで既にお答えをいたしておるとおりでございます。
第一点の五%以下の場合に勧告を控えなさい、見直しを求めておるのか、こういう御意見でございますが、第二番目のこれは態度変更を迫っておるのではないか、これは関連しております。
人事院は、もちろん中立の機関でございまして、法律に従って職権を行って、そして代償措置としての勧告制度を完全に実施をするように政府、国会にお勧めをするという基本的な立場があるわけでございますから、それはそれなりに結構でございます。政府はそれを受けて、人事院勧告は最大限尊重して完全実施に向けて国政全般との関連のもとにおいて実行をいたします、こう申し上げておるわけでございます。
政府は、したがって私どもの立場は雇用主としての政府の立場、いま一つは何といっても国民の公務員に対する感情といいますか、国民感情とでもいいますか、何しろこれがその原資が国民の税金によっておるということを考えますと、やはりそういうより広い立場に立って対処しなきゃならぬ。こういう基本的なお互いの立場は異なる面があるのも事実でございます。私は、そういう立場で、こういうようなたくさんの労働者が今日職を失いつつある、非常に残念なことですが、雇用問題が一番大きな政治課題にもならんとしておるような時期でございますし、したがって、民間としても厳しい給与上の措置も講じておるといったこの段階で給与関係閣僚会議の中あたりからもいろんな御批判があるし、また、国民のサイドからのいろんな御批判もありますから、こういった客観情勢は、人事院は人事院として、政府がどうこう言うのじゃなくて、十分お考えになる時期が来ておるのではなかろうかと私は推測をしておると、こういう発言を申し上げておるわけでございますから、それ以上の何物でもありません。これは十分お考えになられるのではなかろうかなと、こう私は思うわけでございます。
それから、第三点の五%以下の場合には勧告を控えるということになると勧告する機会がなくなるんじゃないか、こういう御意見でございます。まさにそうなれば、これは私は定期昇給に当たって一番いいんじゃないかと率直にそう思うんですよ。しかし、今その時期ではなかろう、私はそう言っておる。しかし、そういう意見が閣僚懇談会で出たわけでございますから、その意見を紹介しながら、その前の段階がありはしませんか、今日のこの現行法の枠の中で人事院は人事院なりにお考えして、裁量権の範囲の中でおできになるような措置もあるのじゃなかろうか、私が言っておるのはそういう趣旨で申し上げておるわけでございますから、五%以下になると勧告をする時期がなくなるのじゃないかという御質問は、なくなれば大変結構ではないかと、それだけ社会、経済が非常に安定をしたという状況に入るわけですから、そのときはそのときの対応を政府としては考えればよろしい、また、人事院もお考えになるであろうと、かように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/115
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116・内藤功
○内藤功君 ただいまの答弁には多々納得できないところがございます。特に、職員の多くの方の批判あるいは反発を招くのじゃないかと私は心配するわけです。
一つは民間賃金のことを言われましたけれども、これはもう内需拡大、景気対策、勤労者に対する減税あるいは民間労働運動の努力というもので解決すべき分野の課題であります。国民感情ということを言われますけれども、これはやはり人事院勧告完全実施の要求と、それからまた、世論もかなり強いという面もお考えいただかなくちゃいけません。定期昇給があればそれでいいじゃないかとおっしゃいますが、性格的にやはり定期昇給と賃金引き上げは性質的に違う問題である、これでかえるというわけにはいかないと思うんですね。私が五%以下では勧告のチャンスが失われるじゃないかと言ったのは民間との較差があると、しかし、それが五%以下であるというときにもついにその較差が埋められない、こういうことが起きるじゃないか、これは容認できないという意味で今申し上げたわけでございます。この点の長官との見解の違いがはっきりしましたので、長官、結構でございます。
人事院にお伺いをしたいと思います。
人事院が果たす役割は非常に大きい、人事院は、総裁も言われましたが、民間賃金調査に当たって、長年の知識、経験、労働基本権代償としての職務上の使命感を持って事に当たってこられたものと私は認めております。五%以下で月数千円の引き上げであっても勧告すべきだという見解は、それなりに私は正しいと思うし、堅持をすべきだと思っておりますが、もう一度、人事院総裁の今後に臨む基本的な姿勢を私は確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/116
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117・内海倫
○政府委員(内海倫君) けさほど来御答弁申し上げておりますように、人事院における勧告の意義というものは、法律にも明らかに示されておりますように、社会情勢の変化に対応して、これに適応していくという基本的な考え方があり、同時に、そういう事柄が法律に定められたゆえんのものは、やはり労働基本権を制約されておる国家公務員に対する給与、あるいは勤務条件というものを客観的にかつ公正に設定していくということの意義であろうと、こういうふうに考えます。
したがいまして私どもは、この場合におきましてもこの法律に定められておる基本的な理念にのっとって勧告という意味合いを理解し、仕事をしていくと、こういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/117
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118・内藤功
○内藤功君 次に、関連して総務庁長官にお伺いしたいと思います。
私のお伺いしたいのは一点でありますが、報道によりますと、総務庁長官は二十七日午後に、野党三党の国対委員長とお会いになった際に、新しい行革審の設置法案の成立に協力してくれなければ給与法案を提出しないと述べ、給与法案を野党との取引材料にする考えを明らかにした、けさの新聞に掲載されております。なお、設置法案成立の見通しがないまま給与法案が提出される場合の対応について、「「中曽根内閣の一員として、首相から給与法を出せといわれれば考えないでもない。しかし、その時は私は辞める。閣内にいる必要がない。藤尾さんのように罷免してもらいたい」と強調した。」こういう記事が出ておりました。これは事実でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/118
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119・玉置和郎
○国務大臣(玉置和郎君) さっきから官房長官のお話もありましたように、私は委員会でも申し上げましたが、ミスター人権だと言って自負しておりました。それだけに、六年ぶりに私の在任中に人事院勧告というものを大変尊重して、そして完全実施をやってみたい、こういうふうに考えたんです。その背景を言いますと、非常に難しかった。閣僚の中でも完全実施反対論者がやっぱりかなりおりましたことは事実です。政府与党首脳会議でも真っ向から、今の財政事情を考え、そして鉄鋼、造船それから石炭、そういう民間の企業の中で容赦なしに首切りが始まっておる、そういう中で国家公務員だけが比較的安定して、そしてまた、ベースアップがされていくというのはいかがなものかという、そういう意見がありました。それは閣内を問わず、政権与党の自民党内でも非常に強い意見でありまして、これはやっぱり駆けめぐって、そしてやっとこさ完全実施に踏み切ったのであります。それには今、改めまして自民党だけじゃなしに野党の先生方にも厚く御礼を申し上げますが、しかし実際それに、大きな言葉じゃございませんが、粉骨砕身やってみた。そして六年ぶりにできてみた。
そういうことを考えてみたときに、私がやっぱり総務庁長官として、今五つの法案を抱えておりますが、一番力点を入れたいのは、何といったってこれは新行革審なんです。これは通称でございますが新行革審、ポスト行革審です。この法律ができなかった場合に、これからいろんな行革というものがやっていけない。今国会で可決をしていただけなかったら、下手したら来春以降に人事がいってしまう。そうしたら一年間空白状態をつくる。行革審の中でこの人事院勧告に触れておりますが、人事院勧告制度というのは尊重せにゃいかぬと、そして国家公務員のそういうものについてもしっかりやっていきなさいということを書いておりますし、民間に準拠してやりなさいということも書いておられる。その精神に基づいてやって、それを継承するものがなかったら一体どうするんですか。そこで、僕は考えたのは、人事院勧告の完全実施で喜んでいただいた、しかし総務庁として、また中曽根内閣として、一枚看板だと言われておるいわゆる国鉄再建にしても、あるいは税制にしてもそれから老健法にしても、やっぱり臨調、行革審の精神に沿うてやっていかなければならない。それが一年間空白になってしまって何にもできないというようなことになったら、これは枝だけ栄えて幹がないようなものだ、根っこがないようなものだというので、僕は野党の国対の責任者の皆さん方のところにお願いに上がった次第です。
お願いに上がったその席上で、玉置君、それはなかなか難しいぞとかという話がありました。しかし、大体御了解を得たものと私は今思っておりますが、その際に、きょうはどこへ行ったんだというから、こうこうで各党の野党の委員長のところを回りました、もちろん与党のところも回っておりますが、そういうときに私の決心として、そこまで決心をしてやらなかったら、なかなか完全実施なんというのは難しかった、という表現の一つのあらわれであります。そして、私は言ったことには責任を持ちます。しかし、必ずこの臨時国会で新行革審というものはやってくれるという安心は今しておりまするが、あの話をまだ持っていかないそのさきにはやっぱり大変な不安がありました。不安があるときに政治家の一人として、また総務庁の責任者として、やっぱりそこまで決心をしなかったらなかなか物は動かぬ、ということを私はよく知っておりますのでそういうことを言っただけでありまして、そういう事態になったら今おっしゃったとおりさっさとやめますよ。それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/119
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120・内藤功
○内藤功君 御答弁の中に了解云々の言葉がありましたが、これは言うまでもなく私どもの方の党は了解を与えておりませんし、また、与える気持ちもないということをまず前置きして、三点ほどちょっと疑問に答えていただきたい。
一つは、給与法はやはり人勧の完全実施の法律であって、労働基本権の代償を実行する法律であります。私は、これはやはり法案の性質、事柄の性質からいって無条件に速やかに提出なさるべき法案であって、いわゆるこのある法案と云々という問題にはなじまない法案だと考えますが、長官の御所見をその点で伺いたい。
あわせて、時間の関係で二番目ですね。本来これはいわゆる国会対策サイドのお仕事じゃないだろうか。大臣御自身が出て一部野党の国対委員長とお話しになるということは、これは不適切とお考えにならないのかどうか。
三点目は、決意のほどを、藤尾さんのように罷免してもらいたいという云々の表現で言われたということですが、私は、大臣が所管のお仕事で首をかける仕事というのはこういうものじゃないと思うんですね。これはどうお考えになるのか。首をかけるお仕事はまだほかにもあるかもしれない。このようなことで首をかけるというのは、これはまあ一つの大げさな表現と言えば別です。この点、簡単で結構ですからお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/120
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121・玉置和郎
○国務大臣(玉置和郎君) これは、給与法というものは人勧に関連する、人勧がもう閣議決定してこういう動き出すときに関連するのはよく知っています。よく知っていますが、さっき説明したように、私はこの新行革審という、通称新行革審ですが、これを何としても通さなかったら根っこがないじゃないか、根っこがないときに、ということでこれは皆さんにお願いに回ったんですからね。これは臨調、行革審に反対の共産党の立場と私の考え方は基本的に違いますので、あなたのところに了解をとりに行くというようなことは毛頭考えていないです。これからも考えていない。もっとあなたのところが私の方へ近寄ってきたら幾らでも相談に行きますよ。
それから首切りの問題、これは個人の見解ですからあなたと私の見解は異なる。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/121
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122・内藤功
○内藤功君 次に、法案に関連をして公務員災害の問題をお聞きしたいと思います。
まず、人事院に伺いますが、私この委員会で何回も質問したんですが、脳血管疾患、虚血性心疾患などの公務上外の認定基準を見直す作業、これは現在どのように進められておりますか。また、結論の出る時期はいつごろというふうに承っていいのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/122
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123・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 現在私たちの方では、過去十年ばかりの間に出ました判決、その中で確定したものにつきまして、五十四年に私たちが出しました認定指針との突合作業というものを行っております。そして、特に突合作業を行う過程におきまして必要と認められたものについては理論的な分析を行い、理論的な分析の結果、専門家に意見を徴する等の作業を現在行っております。
結論の出る見通しでございますけれども、この問題については、たしかことしの四月の末ごろだったと思いますがやはり先生の方から御質問がございまして、おおむね一年間のめどで私たちの方は作業を進めたいというふうにお答え申し上げましたが、そのお答え申し上げた線に沿って現在やっております。この作業を進める過程におきまして、労働省の方におきましても労災保険の問題につきまして同じような検討、研究をなさっておりますので、私たちの方は労働省との関係を密にしながら、これからも作業を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/123
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124・内藤功
○内藤功君 労働省、来ておられますか。——労働省はどういう状況ですか、あわせて専門家会議というのが今まで何回ぐらい開かれましたか、それも伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/124
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125・清水尚武
○説明員(清水尚武君) まず、検討状況でございますが、急性循環器系疾患の業務上外の認定基準につきましては、脳血管疾患と虚血性心疾患ごとに、疾患の分類でありますとかあるいは病態の分類、それからリスクファクター、発症原因、さらには発症の機序、診断基準あるいは労働に及ぼす影響等々につきまして医学的な観点からの検討がようやく峠を越したと言っていいんじゃないかと思いますが、今後は具体的な認定基準の検討を行うという予定になっております。
それから、いつごろまでにという御質問でございますけれども、現在のところ認定基準をいつごろまでに示し得るかということは、内容の重要性もこれありまして、さらに広範かつ慎重な検討が必要であるというふうに認識しておりますけれども、我々といたしましては本年度末までには結論が得られるように努力しているところでございます。
また、当専門家会議の開催状況でございますけれども、御承知のとおり、昭和五十七年の八月に設置をいたしまして以来二十三回の会議をこれまでに開催をいたしておりますし、来月の上中旬にも予定をいたしておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/125
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126・内藤功
○内藤功君 人事院に伺いますが、私はかつて当委員会で、従来の行政通達に批判的な判例、裁定、認定例など七十四件あるという一覧表をお示ししたことがありますが、その後さらにこれはふえまして九十四件に達しております。ここにその目録を持ってきておりますので後で人事院と総務庁の方にはお渡しいたしますが、九十四件になっていますね。ぜひこれをさらに検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/126
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127・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 先ほど御答弁申し上げましたように、今まで出ました判決の中で確定いたしましたものにつきまして、分析検討を重ねてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/127
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128・内藤功
○内藤功君 労働省に伺いたいんですが、全国の労災病院の医師を中心に構成されている日本災害医学会が十月十五日、十六日に開かれまして、その席上、専門家会議のメンバーである黒岩昭夫産業医大教授が、「従来「災害」的事態の存在が必要としていたのを「過重負荷」の存在という名称に変更し、報告に附随するものとしてマニュアルを作成中である。」、こういうふうに報告をしておられるんですね。見直し検討作業は、こういうふうに災害要件を緩和するという大きな方向に向かって進んでいる、と私はこの報告で理解をするんですが、そういうふうに伺ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/128
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129・清水尚武
○説明員(清水尚武君) その点についてでございますけれども、現在明確にその内容についてまだお話ができる状況には至っていないわけでございますけれども、かねてから先生御指摘のとおり、現在の認定基準がいかにも災害主義オンリーではないか、過重負荷という観点からの検討がぜひ必要ではないかという御指摘をいただいていることを承知しておりまして、その点につきましてはこの専門家会議におきましても実は五十九年の五月に中間的な報告が出されているわけであります。この中でも過重負荷についての認定基準の中での評価はどういうふうにすべきなのかということが、まさにこれからの実は私どもで設置しております専門家会議の重要なポイントになろうかと思います。
ただ、言えることは、五十九年のこの中間的な報告といいましょうか、取り扱いに関する報告書の中でも言っておりますように、脳血管疾患でありますとか、虚血性心疾患、この発症には著しい個人差が存在するという指摘がございますし、さらに言えば、過重負荷によるこれらの障害は、職場における過重負荷とともに、家庭生活等における過重負荷が大きな役割を果たしている場合が少なくない、というふうなことが言われておるわけであります。労災保険で補償給付の対象にいたしますのは、いわゆる業務に起因する疾患であるかどうかという観点で補償の対象にするか否かについての判断をするわけでございますから、この過重負荷の評価が職場におけるいわゆる業務に起因したものであるかどうかということを認定する基準がいかにあるべきか、というところがこれからの論点になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/129
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130・内藤功
○内藤功君 最後に、通勤災害について伺いたいんですが、私の時間が来ましたので、一問だけ基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
今回の改正案におきまして、「日用品の購入その他これに準ずる」というのを削ることになりました。これは私はよいことだと思うんですね。しかし、労働省令あるいは人事院規則で、日常生活上必要な行為を定める場合に、通勤災害を非常に細かく小さく限定、列挙して、救済対象をそれだけに限定するということがあってはこれはならぬと私は思っておるんです。
特に今回の改正は、勤務後の学校への通学、公共訓練施設への通学、それから人工透析のための通院というのが例に挙げられていますが、これに限られないと思うんですね、これは一例にすぎない。特に日本の大都市の勤労者、公務員は大体都市の勤務ですが、公務員の通勤実態は非常に多様化している。特に帰り道というのは単純なコースをとっているとは思えない。そこらあたりの実態をよく見て、この人課院規則なり労働省令の規定の仕方を考える必要があると思うんです。
昭和四十八年に通勤災害制度ができて十三年目ですけれども、今の勤労者の通勤実態をよく踏まえた検討が必要ではないか、こういう基本的な考え方について、人事院総裁、どのようにお考えになるか、伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/130
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131・中島忠能
○政府委員(中島忠能君) 総裁からお答えいただく前に、若干事実的な問題も含まれておりますので、私からあらかじめお答えさしていただきたいと思いますが、通勤災害を保護の対象にするというのは、もともと公務側の支配管理下にないものを保護の対象にするという制度でございますから、公務との関連性というものをやはり見きわめなからその範囲というものを考えていかなきゃならないというふうに私たちは考えております。
したがって、今回改正をお願いしております内容によりまして通勤災害の保護の対象というものを広げてまいりますけれども、しかし、公務との関連性というものをぎりぎりまで見きわめてその点は考えていかなきゃならない。今先生がお話しになるような背景もわからぬではありませんけれども、制度をつくりましたときに、その制度というものを安定的にといいますか、疑いのない、客観的に、安定的に運営できるようにしていかなきゃなりませんので、先生がおっしゃいますように一般的、包括的な定め方というのはやはり避けなきゃならないだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/131
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132・内海倫
○政府委員(内海倫君) 考え方は今職員局長が申しましたとおりでございまして、こういう考え方に立って運用さるべきものと。ただ私の考えとして、特に大都市の交通実態というものは極めて複雑なものでございますから、この交通実態というものの変化に対応するいろんな考え方というものは、私どもも絶えず実態を見きわめながら考えていくということは将来必要であろう、こういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/132
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133・岩本政光
○委員長(岩本政光君) 時間ですので、ちょっと時間が来ていますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/133
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134・内藤功
○内藤功君 遺憾ながら時間が来ましたので、この問題については引き続き次の機会に具体的な問題でお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/134
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135・岩本政光
○委員長(岩本政光君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/135
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136・岩本政光
○委員長(岩本政光君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とし、派遣委員の報告を聴取いたします。大城眞順君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/136
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137・大城眞順
○大城眞順君 それでは、私の方から派遣委員の報告をいたします。
当委員会の決定によりまして、岩本委員長、板垣理事、久保田理事、永野委員、飯田委員並びに私、大城理事の六名は、去る八月二十五日から二十七日までの三日間の日程で北海道及び青森県に赴き、国の地方支分部局及び自衛隊の業務運営並びに国家公務員制度の実情について調査を行ってまいりました。
日程第一日は、航空自衛隊第二航空団、陸上自衛隊北部方面総監部、同第七師団司令部及び防衛施設庁札幌防衛施設局において、概況説明を聴取するとともに、第二航空団においてはアラートハンガーにて要撃戦闘機F15の兵装、緊急発進及び展示飛行を視察いたしました。
また、第七師団においては七四式戦車及び八一式短距離地対空誘導弾、短SAM等十一種の装備品の展示を視察後、七四式戦車に試乗いたしました。
第二日は、人事院北海道事務局及び総務庁北海道管区行政監察局からそれぞれ業務概況を聴取した後、三沢を経てむつ市に飛び、海上自衛隊大湊地方総監部において大湊地方隊の状況説明を聴取後、同地方隊隷下の大湊補給所等の部隊及び関連施設を視察いたしました。
第三日は、三沢基地に赴き航空自衛隊北部航空方面隊司令部において状況説明を聴取後、アラートハンガーにて支援戦闘機F1の兵装、緊急発進及び展示飛行を視察いたしました。
また、CCDC、防空管制指令所並びに航空総隊司令官直轄部隊である警戒航空隊の早期警戒機E2Cを視察いたしました。
次いで、米軍三沢基地で米空軍第四三二戦術戦闘航空団司令官から状況説明を聴取後、F16及びその展示飛行を視察いたしました。
以下、調査の概要について機関別に取りまとめて御報告申し上げます。
まず、人事院北海道事務局でありますが、同事務局は、北海道を管轄区域とし、各種国家公務員試験の実施、民間給与の実態調査、研修計画の作成・実施等のほか、各種説明会の指導的業務、給与簿監査等の監督的業務及び公平審査等の準司法的業務等を所掌しており、現在、三課十九名で業務を運営しております。
昭和六十年度における主な業務を申し上げますと、採用試験は十四種実施しておりますが、申込者総数は二万三百六名、合格者は千七百二十八名となっており、ここ数年来、申込者は減少傾向にあるとのことであります。また、民間給与実態調査は、北海道人事委員会及び札幌市人事委員会と共同して管内二百七十事業所を対象に調査したほか、当局独自のものとして寒冷地手当に関する資料を得るため、主要な灯油・石炭販売店において、灯油等の小売価格等の調査を実施したとのことであります。
研修は、昭和六十年度北海道地区新採用職員研修ほか六研修をみずから計画・実施したほか、十二機関からの要請にこたえて、延べ二十四回、四十四名の職員を研修計画の指導・助言のために派遣したとのことであります。
同事務局においては、反復して同一事業所へ給与実態調査を行う蓋然性、週休二日制の実施状況及び実施上の職種別問題点、林野企業職員の削減方針について任用事務所管官庁としての人事院の所感等について質疑等を行いました。
なお、同事務局において本年度の給与勧告の完全実施に係る要望がありました。
次に、北海道管区行政監察局でありますが、同行政監察局は、北海道全域を管轄区域としており、行政監察業務、行政監視業務及び行政相談業務等を行っておりますが、函館、旭川及び釧路には従前の地方行政監察局に相当する行政監察分室を置き、おのおの本局の専務の一部を分掌させております。
本年度の定員は、本局が一課、三部で五十二名、三行政監察分室が各十名の合計八十二名となっております。
昭和六十年度における主な業務の実施状況を申し上げますと、行政監察業務は、本庁が昭和六十年度に企画した中央計画監察十四件すべてを本局で実施したとのことであります。
また、行政監視業務のうち、地方監察は、本局十三、函館及び旭川各五、釧路六の合計二十九件実施したとのことであります。
行政相談業務については、受け付け件数一万三千二百六十六件のうち、道内に配置されている二百七十二名の行政相談委員による受け付けが一万二百六十六件、管内受け付け件数の七七・四%と全国平均を上回っており、特に、釧路行政監察分室管轄区域ではその傾向が顕著となっております。
処理件数は、保険、年金等の厚生省関係が二一・五%、道路、河川等の建設省関係が一五・七%と多く、次いで交通安全、恩給等の総理府関係が六・一%となっております。
なお、行政苦情一一〇番の受け付け件数は、五百九十三件となっております。
当局においては、管内の監察対象機関に監察が一巡するまでの期間、監察結果の定期調査等の概要、苦情あっせんに当たって当事者の見解が相違した場合の対応策等について質疑等を行いました。
次に、札幌防衛施設局でありますが、同施設局は北海道を管轄区域とし、防衛施設の収得、管理、補償、建設及び防衛施設周辺整備等の業務を実施しており、組織は四部十三課となっておりますが、帯広、千歳及び稚内に出先機関を、札幌に附属機関として防衛施設地方審議会を置き、定員は二百五十九名となっております。
北海道には、多くの防衛施設が設置されておりますが、陸、海、空三自衛隊が使用する施設用地は約四百四十三平方キロメートルと全道面積の〇・五%、全自衛隊施設用地の約四三%を占めております。
最近の主な業務を申し上げますと、静内対空射場の水域については、去る五月、関係漁業組合等から水域設定に必要な同意を取りつけ、その後所要の手続を経て、七月二十九日区域設定告示を行いましたので、八月五日から円滑に短SAM等の射撃訓練が実施されているとのことであります。
また、日米共同訓練の実施に必要な施設を地位協定第二条第四項(b)の規定の適用ある施設・区域として提供したほか、昨年度は陸上自衛隊の沼田弾薬支処(仮称)の新設及び多田弾薬支処の拡張のための用地取得を行ったとのことであります。
このほか、障害防止事業、民生安定事業等の防衛施設周辺整備事業に対する助成を行うとともに、自衛隊等が使用する施設の建設を実施しておりますが、本年度の建設工事としては、千歳新管制塔及び千歳の滑走路、燃料タンク、航空機掩体、多田弾薬庫の整備等があり、また、隊員の生活環境関連としては、隊舎及び宿舎の新増設を実施することとしているとのことであります。
当局においては、静内対空射揚水域設定に毎年関係者の同意を必要としている理由、水産業界への補償内容と反対運動の実態、射撃専用の演習場新設の可能性、土地提供による部隊誘致の動向、民航路線を東京寄りに移動させる要望の有無、周辺整備事業の今後の動向等について質疑等を行いました。
次に、陸上自衛隊関係について申し上げます。
北部方面隊は、北海道全域を警備区域とする陸上自衛隊最大の方面隊であり、四個の師団を基幹に、直轄部隊として第一特科団等の三個の団並びにその他の部隊で編成されており、定員は約五万人、全陸上自衛隊の三分の一弱の勢力となっております。
なお、隷下の第七師団は陸上自衛隊唯一の機甲師団であり、編成は師団司令部及び同付隊、一個の普通科連隊、三個の戦車連隊、各一個の特科連隊、高射特科連隊、偵察隊、施設大隊、通信大隊及び後方支援連隊等となっており、三個戦車連隊及び高射特科連隊を除く全部隊が東千歳駐屯地に所在いたしております。
当方面隊の主要装備は、七四式戦車、二〇三ミリ自走りゅう弾砲、八一式短SAM、対戦車ヘリコプターAHIS等の新式装備が他方面隊より優先的に配分され、近代化が図られつつありますが、一方、六〇式装甲車、四〇ミリ自走高射機関砲M42等の対空火器の一部、雪上車等は四分の一世紀以上を経た旧式のものが使用されており、早急に近代化・更新する必要があるとの要望がありました。
教育訓練は、一般的に我が国に対する侵攻の蓋然性の高い夏期において部隊の練度を最高度に維持し、即応性を向上するようにしておりますが、地域の特性上、冬期の気象が直接大きな影響を与える積雪寒冷下においても訓練を行い、年間連接した防衛力を培養しているとのことであります。
北部方面隊総監部及び第七師団司令部においては、サハリン、沿海州及び千島列島に対する認識、ソ連海軍のオホーツク海演習の際の情報収集体制、静内対空射場の使用効率及び拡張に伴う補償額の変化、三〇型ロケットりゅう弾の訓練状況及びSSM開発後の対応策、演習回数減少の原因と現状のほか、若年隊員の意識変化に対する指導等について質疑等を行いました。
次に、海上自衛隊関係について申し上げます。
大湊地方隊は、北海道及び青森県の沿岸海域を主な警備区域とし、担当警備区域内の防衛、警備を行うとともに、自衛艦隊等に対する後方支援を行うほか、宗谷、津軽両海峡における警戒監視、災害派遣、機雷その他危険物等の処分を任務といたしております。
同地方隊は、総監部のほか、警備区域内の防衛、警備を担当する二個の護衛隊、一個の陸上対潜ヘリコプター部隊、一個の掃海隊等の作戦部隊と補給所、造修所、水雷整備所、基地隊の後方支援部隊とから編成されており、人員は約三千人となっておりますが、このほか、自衛艦隊等に所属し、当警備区域内に所在する部隊の人員が約二千六百人おります。
主要装備は、護衛艦五隻、輸送艦一隻、掃海艇二隻、魚雷艇二隻等、計十二隻並びに対潜ヘリコプター六機となっておりますが、護衛艦のうち、三隻は対艦ミサイル、ハープーンを装備した新鋭艦となっております。
教育訓練については、冬期は結氷、着氷、降雪により、夏期は濃霧により大きな影響を受けておりますが、冬期においても真に役立つ部隊を育成するため、精強、即応、を方針として実施しているとのことであります。
民生協力については、離島が少ないこともあって件数は僅少となっており、六十年度の場合は海上における行方不明者の捜査及び消火活動の二件のみとのことであります。
なお、同方面隊における退職予定者は逐次増加しておりますが、ほとんどの退職予定者が、むつ地域における再就職を希望しております。当該地域では企業規模四名以下の小企業が多いため求人数が少なく、地元における再就職は容易ではないとのことですが、関係機関等と協力して援護を推進していきたい旨の説明がありました。
当総監部においては、海上保安庁と情報交換及び共同訓練を行うことの是非、ソ連海軍のオホーツク海演習の際の対応、北海道沿岸における漂着物の実態、自衛艦隊と方面隊との関係、若年隊員の意識変化に対する指導、就職援護の具体策、補給業務の合理化の検討状況等について質疑等を行いました。
次に、航空自衛隊関係について申し上げます。
千歳基地には北部航空方面隊隷下の第二航空団第三高射群、基地防空訓練隊及び支援部隊等、計九個部隊約二千三百人が所在しており、また、三沢基地には北部航空方面隊司令部を初め、隷下の第三航空団、北部航空警戒管制団、第六高射群、北部航空施設隊、北部航空音楽隊等のほか、航空総隊司令官直轄部隊である警戒航空隊等、計十個部隊約三千人が所在いたしております。
当方面隊の二個の航空団は、戦闘機をもってする防空行動及び領空侵犯に対する措置等を任務としており、三沢にある第三航空団は二飛行隊とも支援戦闘機FIで編成されておりますが、千歳にある第二航空団の二飛行隊は本年三月、要撃戦闘機F15への機種更新を完了しましたので、現在では航空自衛隊唯一のF15戦闘機の単独部隊となっております。
当方面隊の緊急発進は、地理的要件から他の方面隊に比して格段に多く、全国の三〇から四〇%を占めているとのことであります。また、その対象の大部分はソ連機となっております。
両基地とも厳しい気象条件のもとにあり、夏期は海霧、冬期は低温による凍結、降雪、強風等のため、航空機の運用に制約を受けておりますが、緊急発進等のため、滑走路の整備には特に腐心しており、千歳基地の場合、昨年施設隊の除雪作業が二晩の徹夜になったことが二回あったとのことであります。
両基地の飛行場とも民間と共用しているため、自衛隊機の運用に影響しておりますが、千歳基地については昭和六十三年七月から新千歳空港の運用が開始される予定なので、以後は状況の緩和が期待できるとのことであります。
北部航空方面隊司令部、第二航空団及び第三航空団においては、両航空団の相違点、第二航空団の除雪作業及び災害派遣の実情、基地防空訓練隊の改編時期、飛行時間延長の必要性と整備要員の増員対策、給与、年金等自衛官処遇改善上の諸問題、三沢基地勤務の米軍人との処遇上の比較及び心理的影響度、就職援護対策の現況及び隊友会援護本部との関係等について質疑等を行いました。
最後に、三沢基地の米空軍について申し上げます。
三沢飛行場には、昨年四月からF16戦闘機の配備が開始され、現在A型またはB型が二十七機配備されております。
これに伴い同年七月、第五空軍隷下に第四三二戦術戦闘航空団第一三戦術戦闘飛行隊が編成されております。
今後、三沢飛行場にF16は逐次増配備されることとなっており、本年八月以降C型を、九月以降C型及びD型を配備する予定となっておりますが、八月の配備はおくれており、九月にずれ込むことになるとのことであります。昭和六十二年には全部で五十三機になる予定とのことであります。
F16の配備に伴い、三沢基地の米軍人及び家族は、昭和六十二年十月には一万四千二百十六名となる見込みとのことであります。
なお、第四三二戦術戦闘航空団司令官スティコー大佐によれば、三沢基地はソ連に近く、戦略上重要な拠点であると認識している。訓練空域については十分とは言えないものの、射爆撃場については天ヶ森で満足させてもらっている旨の発言があり、また、いわゆる思いやり予算に対する謝辞が述べられました。
報告の最後に当たり一言申し上げます。
視察先において、人事院勧告の完全実施を初め、練度向上のために訓練水準を回復させる必要性、給与、年金、災害補償等自衛官の処遇改善上の諸問題等について多数の要望が寄せられました。
その幾つかは、既に前回の委員会、六十一年八月二十八日において派遣委員から質疑が行われたところでありますが、改めて御報告申し上げまして、結びの言葉といたします。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/137
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138・岩本政光
○委員長(岩本政光君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110714889X00119861028/138
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