1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十一年十二月十九日(金曜日)
午前十時三分開議
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○議事日程 第十三号
昭和六十一年十二月十九日
午前十時開議
第一 地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二 臨時行政改革推進審議会設置法案(内閣提出、衆議院送付)
第三 一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第四 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第五 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第六 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第七 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第八 老人保健法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第九 北方領土返還促進に関する請願
第一〇 我が国二百海里体制の確立に関する請願
第一一 米の輸入自由化阻止に関する請願
第一二 第七次漁港整備計画の促進及び漁港関係事業予算確保に関する請願
第一三 過疎地域の私立高等学校に対する特別補助制度の継続に関する請願
第一四 公立学校事務職員等の給与の国庫負担削減反対に関する請願
第一五 義務教育国庫負担金制度の堅持に関する請願
第一六 義務教育費国庫負担金制度の維持に関する請願(四件)
第一七 義務教育諸学校の学校事務職員に対する義務教育費国庫負担制度の維持に関する請願
第一八 車いす重度身体障害者の地方行政改善に関する請願
第一九 地方公共団体の財政力格差の是正に関する請願
第二〇 中小企業信用補完制度堅持のための財政援助強化に関する請願(三件)
第二一 シベリア抑留者の救済に関する請願
第二二 台湾出身元日本軍人軍属補償に関する請願(十八件)
第二三 シベリア抑留者の恩給加算改定に関する請願
第二四 シベリア抑留者恩給加算改訂に関する請願
第二五 台湾出身元日本軍人軍属の補償に関する請願(二十四件)
第二六 台湾出身の元日本軍人軍属補償に関する請願(三件)
第二七 車いす重度身体障害者の健康保険法改善に関する請願
第二八 重度身体障害者の脊髄神経治療技術研究に関する請願
第二九 車いす重度身体障害者の終身保養所設置に関する請願
第三〇 保育所制度の充実に関する請願(十五件)
第三一 中国残留日本人孤児の援護に関する請願(三件)
第三二 保育制度の維持、充実に関する請願(五十九件)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一より第八まで
一、昭和六十二年分の所得税に係る配偶者控除の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)
一、日程第九より第三二まで
一、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中も継続するの件
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/0
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001・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
日程第一 地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律案
日程第二 臨時行政改革推進審議会設置法案
日程第三 一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案
日程第四 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
日程第五 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上五案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長岩本政光君。
〔岩本政光君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/1
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002・岩本政光
○岩本政光君 ただいま議題となりました五件の法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律案は、地方公共団体の自主性、自律性を強化しつつ、地域の実情に合った総合的、効率的な行政の実現及び事務運営の簡素化を図る観点から、昭和六十年七月の臨時行政改革推進審議会の答申の趣旨に沿って、五十事項の機関委任事務及び十一事項の国、地方を通ずる許認可権限等の整理及び合理化を図るため、十一省庁四十三法律にわたる改正を一括して行おうとするものであります。
委員会におきましては、本法律案の趣旨と地方自治強化との関連、機関委任事務増加の原因と抑制策、機関委任事務を団体委任事務とする場合の留意点、保育所の入所措置等に係る基準政令の定め方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
採決により質疑を終局することを決定した後、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して内藤委員より反対の旨の発言がありました。
討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、八項目にわたる附帯決議が行われました。
次に、臨時行政改革推進審議会設置法案は、行政改革の推進が引き続き要請されている現下の情勢にかんがみ、また去る六月の臨時行政改革推進審議会の最終答申を踏まえて、社会経済情勢の変化に対応した適正かつ合理的な行政の実現を推進するため、総理府に、改めて臨時行政改革推進審議会を設置しようとするものであります。審議会の構成は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する非常勤の委員七人をもって組織することとしております。
なお、審議会は政令で定める施行期日から三年を経過した日に廃止することとしております。
委員会におきましては、中曽根内閣総理大臣の出席を求めるなど熱心な審査が行われました。
その主な質疑の内容は、増税なき財政再建と行革推進との関係、新行革審設置の理由と諮問事項、審議会の運営及び委員選任の基本方針等広範多岐にわたっておりますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
採決により質疑を終局することを決定した後、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して久保田理事より反対、公明党・国民会議を代表して峯山委員より賛成、日本共産党を代表して内藤委員より反対、民社党・国民連合を代表して柳澤委員より賛成の旨の発言がありました。
討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
最後に、給与関係三法律案について申し上げます。
一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案は、去る八月の人事院勧告を完全実施するため、一般職の職員の給与について、全俸給表の全俸給月額を本年四月一日から平均二・三%引き上げるとともに、医師等に対する初任給調整手当及び扶養、宿日直等の各手当を改定するほか、筑波研究学園都市移転手当の改廃に関する措置についての人事院勧告の期限を昭和七十一年十二月三十一日まで十年間延長する等の措置を講じようとするものであります。
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、一般職の職員の給与改定に伴い、特別職の職員の俸給月額を改定するほか、内閣総理大臣及び国務大臣の給与の一部返納について、所要の特例措置を講じようとするものであります。
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、
一般職の職員の給与改定に準じて、防衛庁職員の俸給月額等について所要の改定を行おうとするものであります。
委員会におきましては、以上三法律案を一括して審査し、官民較差五%未満の場合の勧告のあり方、完全実施に対する政府の決意等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して内藤委員より、一般職職員給与法改正案に賛成、特別職職員給与法改正案に反対、防衛庁職員給与法改正案に棄権する旨の発言がありました。
討論を終わり、順次採決の結果、一般職職員給与法改正案は全会一致、特別職職員給与法改正案は多数、防衛庁職員給与法改正案は全会一致をもって、それぞれ原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/2
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003・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
まず、地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/3
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004・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
次に、臨時行政改革推進審議会設置法案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/4
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005・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
次に、一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/5
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006・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/6
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007・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/7
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008・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/8
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009・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第六 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
日程第七 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長太田淳夫君。
〔太田淳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/9
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010・太田淳夫
○太田淳夫君 ただいま議題となりました二法案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
両法案は、一般の政府職員の給与改定に伴い、この例に準じて裁判官及び検察官の給与を改定しようとするものであります。
委員会におきましては、今回の給与改定及び人事院勧告の妥当性、判事補の初任給のあり方、裁判官の報酬における上厚下薄の傾向等につきまして質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
質疑を終わり、別に討論もなく、両法案を順次採決の結果、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/10
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011・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/11
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012・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、両案は全会一致をもって可決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/12
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013・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第八 老人保健法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長佐々木満君。
〔佐々木満君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/13
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014・佐々木満
○佐々木満君 ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案の主なる内容は、第一に、一部負担金の額について、外来の場合、一月四百円を八百円に、入院の場合、期限を撤廃してその額を引き上げること。第二に、加入者按分率について、本則を一〇〇%とし、昭和六十五年度まで段階的に引き上げること。第三に、寝たきり老人等に対し必要な医療サービスと生活サービスを提供するため老人保健施設を創設すること。第四に、国民健康保険法を改正して、保険料のいわゆる悪質滞納者に対し必要な措置を講ずること等であります。
委員会におきましては、地方公聴会、参考人からの意見聴取、地方行政委員会との連合審査を行うとともに、社会保障財政のあり方、医療保険制度一元化の方向、国保の財政問題、いわゆる保険外負担の実態と対策、一部負担引き上げによる影響及び低所得者対策、加入者按分率引き上げに伴う影響及び弱小健保組合対策、老人保健施設と医療法との関係、いわゆるヘルス事業の推進対策等多岐にわたり質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、自由民主党を代表して岩崎理事より、入院時一部負担金の額、特に低所得者への配慮、拠出金算定方法に関する検討、老人保健施設関係等についての修正案が提出されました。
次いで、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合よりそれぞれ原案並びに修正案に反対、自由民主党より原案並びに修正案に賛成する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって修正議決すべきものと決しました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付せられております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/14
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015・藤田正明
○議長(藤田正明君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。糸久八重子君。
〔糸久八重子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/15
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016・糸久八重子
○糸久八重子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となっております老人保健法等の一部を改正する法律案について、反対の討論を行うものであります。
今日、お年寄りの医療に関して我々に課せられている問題は、老人福祉法の基本理念に見られるように、お年寄りを多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛し、健全で安らかな生活を保障するため、医療の面から安定した制度を確立し、お年寄りの不安と不満のない生活をいかにして確保していくかにあると思うのであります。しかるに、本改正案は、老人保健法施行三年後の保険料の拠出金に関することに限定されていた見直し規定を奇貨として、今日提案を見ているような疾病に苦しんでいるお年寄りと被用者、勤労大衆に過重な負担増を提案してきているものであり、何ら課題にこたえるものとなっておりません。それは、多くの国民の予測を超えたまれに見る大改悪であり、到底国民の納得し得ないものであります。
以下、具体的に反対の理由を申し述べます。
第一に、今回の改正が、臨調行革路線の中で増税なき財政再建を標榜している政府が、急速な高齢化の進行による社会保障予算の当然増に対する財源的措置も行わず、病に苦しむお年寄りと被用者、サラリーマンを対象に負担を増大し、一方、国庫負担を大幅に減額している点であります。
さらに、今回の見直しのきっかけの一つが、政府自身が誤った退職者医療制度の加入者見込み違いから来る六十一年度約一千五百億円に上る市町村国民健康保険の財政影響を、この改正によって補てんしようとした点にあることであります。今回の提案が年々の財政のつじつま合わせであることは、政府が二年前、二十一世紀を目指した医療政策を網羅的にまとめた「基本的方向」にも示されていなかったことでも明確であるのであります。
こういった本改正案の国庫負担減らし、弱者あるいは他制度へのツケ回しは、今日の中曽根内閣の政治路線を象徴的にあらわしているものであり、まことに許しがたい政治姿勢であります。
第二は、患者の一部負担の増大が大幅で、到底患者の負担に耐え得ないものとなっていることであります。
すなわち、外来の月々の負担は四百円から八百と二倍に、長期の入院患者に至っては、六カ月で従来の五倍の九万円、さらに一年を通して入院する患者は実に十倍の十八万円の負担を強いられることになるのであります。年金額が低く、しかも入院すればお世話料、差額ベッド代、付添看護料といった保険外負担も大きな負担となっているのが今日のお年寄りの現状であります。
こういった一部負担の増大は、受診を抑制し、早期受診、早期治療を妨げるばかりでなく、現在治療中で安定している病状が、治療中断によってさらに悪化するお年寄りの増加さえ憂慮されるのであります。なお、この一部負担の引き上げにより、六十二年度患者負担は、制度を変えない場合の七百億円から一千九百億円に増大するのであります。
第三は、今回の加入者按分率の引き上げが大変不合理であることであります。
これは、創設時の老人医療費財源拠出の理念を根幹から否定するものであり、被用者保険の財政基盤を根本から崩壊させ、財源面からなし崩し的に医療保険の統合一元化を図るものと言い得るのであります。しかも、それは将来の一元化の際の財政調整の先取りとも言うべきものであり、財政調整方式のみ先行することは全く不当であります。しかも、こういった完全調整を被用者保険者側の十分な理解と納得を得ることなく強行することは、将来に重大な禍根を残すものと言わざるを得ません。
なお、この加入者按分率の引き上げにより、被用者保険の拠出金は、六十二年度一兆六千四百億円から三千五百億円も増大し、一兆九千九百億円に達するのに対し、国庫負担は逆に三千三百億円も減額しているのであります。これこそ国庫負担の被用者側への負担の転嫁であり、実質的増税と言わずして何と言ったらよいでしょうか。
第四は、老人保健施設の創設に対する疑問が十分解明し得ていない点であります。
本施設が、試行的な実施も見ず、十分なデータの収集、分析もないままに、今後の寝たきり老人の増大を背景としたいわゆる中間施設要望の声に沿って安易に設けられることには、委員会におい
ても多くの疑問が提起されています。医療法との関係、定額の療養費、スタッフ、施設基準、利用料金等、委員会の審議を通じても十分解明されたとは言い得ないのであります。
それにもかかわらず、昭和七十五年までに二十六万床から三十万床を設置し、月額二十万円の定額の療養費となるから、今後老人医療費の伸び率は年々二ポイント程度抑えられるという答弁を聞くと、この施設はだれのための何のための施設なのかという疑問がますます強くなるのであります。
以上、原案に対し、反対の理由を数点に絞って申し述べましたが、委員会における修正に対しても、その内容は我が党が審議を通じて主張してきたところとはほど遠いものであり、到底賛成できません。
本院における本案の審議は、実質二週間という限られた期限の中で、解決し得ない多くの問題があるにもかかわらず議了しなければならないことは、まことに遺憾であると言わざるを得ません。私は、政府・与党に対し、この際、猛省を促して反対の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/16
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017・藤田正明
○議長(藤田正明君) 岩崎純三君。
〔岩崎純三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/17
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018・岩崎純三
○岩崎純三君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案について、賛成の討論を行うものであります。
当面、社会保障の重要課題の一つは、人口の高齢化が急速に進行する中で、増大が避けられない老人医療費を国民連帯の中でいかに公平に負担し、給付と均衡させ、二十一世紀に向け確固とした制度を確立するかにあります。本案は、こうした課題にこたえるため、老人保健制度を幅広く検討し、国民が安心して老後を託せる制度を確立しようとするものであります。
以下、具体的に賛成の意見を申し述べたいと存じます。
第一は、老人医療費の一部負担についてであります。
患者の一部負担は、今日では老人医療費全体の一・六%を占めるにすぎなくなっており、健康保険のその後の改定等も勘案し、患者の負担感が大きくなく、しかも必要な受診を抑制しないよう配慮しつつ決定した一部負担の引き上げはやむを得ないものと考えます。それは、他の世代の医療費負担とのバランス、同じお年寄りでも、在宅や老人ホームに入所している老人との負担のバランス等から考えても妥当な措置と存じます。
なお、一部負担につきましては、外来について衆議院修正で月額千円が八百円に引き下げられており、さらに本院におきまして、入院時一日五百円を四百円に引き下げられるとともに、所得の低い方々に対しては現行どおりとする修正がなされており、福祉の原点である弱者救済の観点からも多くの国民の共感が得られるものと存じます。
第二は、加入者按分率の引き上げであります。
現行の分立している医療保険制度のもとでは、老人加入率が制度ごとにばらばらであり、特に国民健康保険では全国平均の二倍近い一二%を超える加入率となっております。老人医療費が一人当たりで他の世代の五倍となっているため、老人加入率の高い保険者ほど老人医療費の負担は重いものとなり、各保険制度間の負担の不均衡は一層拡大してきております。この不均衡を解消し、国民が平等に老人医療費を負担していくために加入者按分率を引き上げることは、これまたやむを得ない措置と考えます。この結果、どの保険者も同じ割合でお年寄りを抱えることとなり、負担は一層公平となると考えます。
また、この措置により厳しい財政影響を受ける保険者に対しましては、国の適切な財政措置も検討されており、万全な対応がとり得るものと確信いたしております。
なお、この点についても、急激な負担増を避けるという趣旨で、衆議院におきまして、加入者按分率の引き上げを段階的とする修正がなされているところであり、さらに本院におきまして、老人医療費の動向等を踏まえ、昭和六十五年度までに拠出金算定方法等に関して検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずる旨の修正が加えられておるところであり、妥当な措置と考えます。
第三に、老人保健施設、いわゆる中間施設をこの改正によって創設することでございます。
現在、寝たきり老人等介護を必要とするお年寄りは全国で約六十万人と言われ、今後高齢化が進むと、二十一世紀にはその数は百万人を突破すると見込まれております。寝たきり老人のためには医療と生活の両面からこたえる施設が求められておりますが、現状ではこういったニーズにこたえ得る施設体系とはなっておりません。したがって、現在家庭の大きな負担となっており、社会的入院という形で病院に入院している状況となっております。こうした国民的要請にこたえる施設としていわゆる老人保健施設を創設するものであり、まことに時宜を得たものであります。この施設が順調に設置を見て全国に適正に配置される二十一世紀には、寝たきり老人の減少にも役立ち、病院と家庭のかけ橋として十分な役割を果たすものと確信をいたします。
なお、本施設の創設につきましては、新たな施設を設けるということから、委員会審議の段階におきましても、確かに多くの疑問が提起されてきたところではございますけれども、これらの疑問の多くは政府側の答弁で解消をされたと思います。
さらに、本施設の位置づけ、適正配置、施設療養費の額について中医協の審議対象とすること、施設の管理は知事の承認を受けた医師が行うものとすることなどの修正がなされていることも、審議の経過をよりよく反映したものとして評価し得るところであります。
以上、改正点に沿って賛成の意見を申し述べました。これらの施策を講ずることにより、国民が安心して老後を託せる老人保健制度が確立し得るものと確信をいたすものでございます。
以上をもちまして私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/18
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019・藤田正明
○議長(藤田正明君) 中西珠子君。
〔中西珠子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/19
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020・中西珠子
○中西珠子君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案並びに同法案に対する修正案に対し、反対の立場で討論を行います。
我が国の人口の高齢化は世界に類を見ないほど急速度に進んでいます。平均寿命は男女ともに世界最高で、人生八十年時代と言われていますが、一般国民は老後の生活や健康について大きな不安を抱いています。
政府は、老人保健法の改正案は、長寿社会に備えて医療保険制度の安定的な維持のために、負担と給付の公平化を図る観点からの改正であり、長寿社会においても安心して老後を託せる制度を確立しようとするものだと言っています。果たしてそうでしょうか。私は、この改正案は国民の負担増と国庫負担削減を究極の目的としていて、国民の不安感を増幅し、老後の生活と健康を脅かすものと断ぜざるを得ません。
中曽根総理は、今国会における所信表明の中で、「二十一世紀初頭に到来する本格的な長寿社会において、経済社会の活力を維持しつつ、国民が長い人生を安心と生きがいを持って過ごすことができるようにする」ことが「国政上の重要な課題である」と言われました。また十一日二十日の衆議院社会労働委員会においても、「本格的な長寿社会を迎えまして、国民が健やかで充実した老後を送ることができるような社会を建設することは、最も重要な課題である」という旨の発言をされております。しかし、中曽根内閣がこれまで実施してきた施策とこれから実施しようということで長寿社会対策大綱にうたっている政策を見ますと、この重要な課題に真剣に取り組んでおられるのかどうか疑問なしとしません。
事実、中曽根内閣発足以来、行財政改革の名のもとに、防衛費が急増する一方で、福祉関係予算は削減され、社会保障の水準は切り下げられています。例えば、健保本人一割負担の導入、年金水準の抑制と保険料の引き上げ、生活保護や社会福祉施設措置費等の補助率引き下げ、政管健保国庫負担の特例措置等々、枚挙にいとまのないほどであります。老人保健法の改悪案も中曽根内閣の福祉切り捨ての財政政策の一環にほかなりません。憲法二十五条に規定された国の責任を回避し、国庫負担の削減のみを図り、国民、殊に弱い立場にある老人の負担増を図るこの改正案は容認することができません。
現在老人となっている方々は、戦時中、戦後を通じて、あらゆる辛酸をなめながら、敗戦後の荒廃の中から日本を復興し、自由世界第二の経済大国にまで発展させた功労のある方々です。この方々に対して余りにも冷たい過酷な仕打ちとなるこの法案には断固反対いたします。
以下、簡単にこの法案の問題点を指摘し、反対理由を具体的に申し述べます。
第一の問題は、患者一部負担の引き上げであります。
外来一カ月四百円、入院の場合二カ月を限度として一日三百円の現行の自己負担を政府原案は大幅に引き上げて、外来一カ月千円、入院は一日五百円、二カ月の限度は撤廃としています。衆院の修正で外来一カ月八百円、参院の修正で入院一日四百円となっていますが、限度撤廃はそのままであります。大幅な自己負担の引き上げが収入の少ない老人にとって受診抑制となることは目に見えています。入院の場合は付添看護料、差額ベッド料、お世話料などの保険外負担もあるので、現行の一部負担額でも支出は月額十万円以上となる場合が多く、また老人やその家族の家計がその結果破綻し、家庭が崩壊する例も多いのです。
こういった入院費用の負担能力がないため、やむなく在宅療養をしている老人や、介護している家族もまた心身ともにつらい思いをしております。在宅寝たきり老人の介護に当たっている人の九割は女性であり、しかも嫁の立場にある中高年の女性が多いのです。寝たきり老人並びに介護者の福祉増進のための公的サービスや国の援助はまだ余りにもお粗末です。
老人は加齢に伴い有病率が高まる一方、収入が減少するのは事実であります。政府は、一部負担の引き上げは老人にとって無理なく負担できる額だと言っていますが、一般の老人の入院患者に対して負担の限度期間を設けなかったことはまことに遺憾であります。
第二は、急激な加入者按分率の引き上げであります。
これは、医療保険制度間の老人加入率の不均衡の是正と負担の公平化の名のもとに、被用者保険の実情を軽視した余りにもドラスチックな財政調整策であります。これは健保保険料の引き上げにつながり、サラリーマンの実質増税となるものです。広く国民の理解と賛成が得られるものとは思えません。
国保の財政悪化は、老人加入率の増加による老人医療費の上昇ばかりが原因ではありません。原因としては、国保の構造的諸要因のほかに、退職者医療制度創設時の政府の見込み違いが挙げられます。これは政府の失政によって生じた赤字ですから国が責任を持って処理すべきものなのに、地方自治体への財政補てんも極めて不十分であります。この失政のツケを老人の自己負担強化と被用者健保の拠出金増大によって肩がわりさせようというのは全く筋違いであります。
第三は、中間施設として提案されている老人保健施設のあいまいさです。
六十二年にモデルをつくって試行的実施を行い、施設、設備、人員の配置、運営の基準を老人保健審議会に諮って、省令で定めるということになっていますが、これは国会審議軽視も甚だしいものであります。モデルの試行的実施のデータを国会に報告するばかりでなく、本格的実施の前に国会の承認を得るべきであります。また定額の施設療養費の老人保健施設への支払いは、老人入所者の側から見ると、適切な医療が提供されないのではないかという心配があります。また食費その他の生活費の定額自己負担も、収入の少ない老人には支払いが困難でありましょう。低収入の老人への配慮がもっときめ細かく行われるべきであります。
以上の理由で、政府原案には断固反対いたします。
なお、自民党提出の修正案は十分でないので、やはり反対を表明いたします。
高齢化社会に向けて、国民が本当に安心して生きがいある老後を送れるような経済社会システムの確立、老後の生活保障並びに保健と医療と福祉のサービスが有機的に一体化するような総合的施策の早期立案と実施を強く要望して、私の反対討論を終えます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/20
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021・藤田正明
○議長(藤田正明君) 佐藤昭夫君。
〔佐藤昭夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/21
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022・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、老人保健法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
我が党は、本法案が老人医療費に対する国の支出を減らしながらお年寄りと国民に大幅な負担増を強いるものであり、新たな福祉切り捨ての突破口を開く性格を持った重大な法案であるため、徹底した審議を強く求めてまいりました。にもかかわらず、本院において委員会の質疑がわずか三日間という不十分な審議のもとで、しかも昨日十八日は採決は行わないとしていたにもかかわらず、この悪法の根幹を何ら変えない修正案を提示した途端に、自民党に一部野党が協力して採決を強行した事態に対し、まず最初に私は強く抗議するものであります。
次に、本法案に反対する理由を述べます。
第一の反対理由は、老人患者の自己負担を外来で二倍に引き上げ、一年入院した場合には八倍という、お年寄りのつつましやかな暮らしぶりを無視した大幅な引き上げであります。しかも、総理は、さきの選挙においてお年寄りに豊かな老後をと約束していたではありませんか。それを本法案によって踏みにじることは、大型間接税導入とともに許すべからざる公約違反であり、国民を欺くその責任は重大であります。
政府は、平均的な老人世帯の所得をとらえて無理なく負担できると説明していますが、老齢福祉年金をとってみても、この四年間にわずか八・四%引き上げたにすぎないのであります。一方、取る方は三倍にも引き上げるところに中曽根内閣の非情さがあらわれています。お年寄りの負担をふやすことで受診を抑えるなら、まず病院に行けなくなるのは低所得者であり、より医療を必要とする弱い立場のお年寄りであることは明白です。
これでは、政府の言う医療費の削減どころか、早期発見のおくれから病気の重症化を招き、むしろ医療費を増大させることは、四年前の老人医療費の有料化の結果が何よりもはっきりと示しているではありませんか。お年寄りの健康を守り、医療費の節減を図るには早期治療が最も有効であることは、我が党が指摘した沢内村の実例が明らかにしています。力づくで医療費を抑えつけるやり方でなく、労働者の健康診断を充実することを含めて、保健事業を一層拡充させ、老人医療費を無料に戻すことこそが近道ではありませんか。
第二に、老人医療費に対する国庫負担を大幅に削減するため、拠出金の加入者按分率の引ぎ上げで被用者保険にその負担を押しつけようとすることであります。
被用者保険の負担増は、今後四年間だけを見ても二兆円にも上り、これによって各保険財政が圧迫され、労働者の負担増になることは必至であります。政府は、これをあたかも国民健康保険財政の健全化のための対策であるかのように言っていますが、もともと困難な国保財政を今日の窮状に
陥れたのは、退職者医療制度の創設に伴い、国の補助率を大幅に引き下げたところにその根源があることは明白であります。
したがって、老人医療費の財源は、国保に対する国庫補助をもとに戻すとともに、社会保障財源の労使負担割合がフランスの一対二・五、イタリアの一対五を初め、国際的に見ても極めて少ない我が国の現状に照らし、特に大企業に適正な負担を求めるべきであります。これこそが真に負担の公平の道ではありませんか。
第三に、本法案によって創設される老人保健施設は、老人の入院医療費の圧縮を中心のねらいとしたものであります。これは昭和七十五年に三兆円の入院医療費の削減を見込んでいる政府の試算からも明らかです。したがって、利用者には高い負担を求めながら、低医療、低福祉を押しつけることは避けられません。
今でも七十歳以上のお年寄りは、六十九歳以下の人に比べて、同じ病気で治療を受けても診療報酬を低く抑えられ、差別されています。この老人保健施設ではさらにこの差別が拡大され、病気や症状の違いを無視して二十万円ぽっきり、一般の病院の二分の一程度の質の低い医療・介護サービスしか行われないのであります。しかも、日常生活費という名目で利用者に高額の負担が求められ、その額は当面五万円程度と政府は説明していますが、法的には何ら制限がない青天井になっています。安心してお年寄りが預けられ、十分な医療、介護、リハビリテーションを行う施設をもっと建設してほしいという国民の願いを逆手にとるようなやり方はやめ、特別養護老人ホームなどの入所施設を増設拡充するよう強く求めるとともに、お年寄りの人間的尊厳が保障される施設として再検討するよう要求します。
第四は、国民健康保険料の滞納者から保険証を取り上げ、医療給付を差しとめるという制裁措置を盛り込んでいることです。
もともと国民健康保険料滞納者の増大は、政府が国保財政への国の補助率を大幅に削減したため、全国の九割以上の自治体で国保料を引き上げざるを得なくなったことが大きな原因であります。政府の責任は棚に上げながら、保険料負担に耐えがたい低所得者に制裁措置を強行することほど冷酷な政治はありません。我が党は、このような国民皆保険制度を崩し、国保加入者の命にかかわる制裁措置は断じて認めることはできません。国庫補助率をもとに戻し、被保険者が払いやすい国保料に戻すことこそ先決ではありませんか。
以上、述べましたように、本法案は、医療保険制度と福祉制度の根幹を崩し、お年寄りと国民にのみ負担を押しつけることで老人医療への国の負担を削減しようとするものであり、老人の命を守る老人医療費への国庫負担は削りながら、命を奪う軍事費に国の財源を最優先に回すという自民党政治の政治姿勢を端的に示した改悪案であり、絶対に容認できません。
中曽根内閣は、その上に、大型間接税の導入やマル優の廃止でお年寄りと低所得者に打撃の追い打ちをかけようとしています。このような政治を全国のお年寄りと国民は決して容認しないでしょう。
我が党は、重ねて老人医療費の無料制度の復活を要求し、老人福祉の充実のために闘うことを表明して、反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/22
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023・藤田正明
○議長(藤田正明君) 抜山映子君。
〔抜山映子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/23
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024・抜山映子
○抜山映子君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま自由民主党より提案された老人保健法等の一部を改正する法律案に対する修正案に反対、修正部分を除く原案に反対の討論を行うものであります。
今、我が国が世界に例を見ない急速な高齢化の道を歩んでいること、かかる中において社会保障負担が徐々に上昇していくのは避けがたい面があること等については、それなりの認識と覚悟が必要でありましょう。しかし、その場合に、まず高齢者の医療、年金、就労、住居など、生活保障を総合的にどう充実させていくのか、長期的なビジョンを明らかにし、そのためにどの程度の国民負担が必要なのかを示して、国民に理解を求めることが必要であります。
政府は、本年六月、長寿社会対策大綱を閣議決定し、今回の老人保健法等の改正をその対策の一環として位置づけております。しかるに、この大綱は、各省庁が講じようとしている各種の施策を高齢化の視点から抽出したにとどまり、将来の高齢化社会のビジョンも、施策同士の関連も、予算の裏づけも、国民負担率の見通しもありません。この点について、国民の合意を得ないまま社会保障負担の引き上げのみを国民に求めるのでは、当面の財源対策のみを考えた安易な負担転嫁であるとのそしりを免れないと考えるものであります。
次に、私どもがこの改正案に反対する理由を具体的に申し上げます。
まず第一の理由は、老人の負担を大幅に増大させ、老人とその家族の生活を大きく圧迫するものだからであります。
先ほど申し述べましたように、福祉サービスの見通しとその負担のあり方について明確な方針を示さないままに、一部負担をこのように大幅に引き上げることは、赤字財政のツケを老人にしわ寄せするものであり、安易な福祉の後退にほかなりません。
入院時負担の引き上げについても同様であります。特に二カ月の限度を撤廃することは、老人にとっては過酷な福祉の後退であります。食事代程度の負担はやむを得ないとの意見もありますが、入院している老人にとって、目に見える入院費という形で家族に負担をかけることは、家庭で家族全体の生活費の中で世話になっているのとは違い、大変に肩身の狭いつらいことであります。その他お世話料、差額ベッド代、付添婦の費用等を勘案すればなおのことであります。入院費への二カ月限度の設定は、長寿国家日本のよき規範として今後とも続けていくことが必要であると考えるものであります。
第二に、加入者按分率の引き上げは、国民健康保険の拠出金及びこれに対する国庫負担を大幅に削減し、これをサラリーマンや企業に不当に肩がわりさせるものであり、断固反対いたします。
現在の経済情勢は、造船、鉄鋼等の基幹産業を初めとして、多くの産業が円高のあおりを受け不況に苦しんでおり、そこに働く勤労者は、賃金カット、一部帰休、解雇といったような厳しい事態に直面しています。加入者按分率を一〇〇%に引き上げることは、企業とそこに働く勤労者の経営努力によって築いてきた保険の財源を他の制度の救済に振り向けるものであり、こうした努力に水をかけ、実質的な増税を強いるものであります。このような措置は断じて容認できるものではありません。
政府は、財政調整による負担の公平を理由に挙げておりますが、既に退職者医療制度によって財政調整が図られているのであり、今回の改正で新たに財政調整をしようというのであれば、政管健保に準じた国庫負担を設けるのでなければ、負担の公平を期することはできないと考えるものであります。
第三の理由は、老人福祉施設、いわゆる中間施設について、極めて不明瞭かつ不十分な内容で提案が行われているということであります。
今、寝たきり老人六十万人、痴呆性老人五十万人と言われており、その介護は大部分が家庭の主婦の負担となっております。今後さらに進行する高齢化を前に、中間施設はぜひ必要と考えます。しかし、この施設を推進するための財源、施設の数、規模、職員配置、構造、設備、費用負担の額など肝心なところはすべて明らかにされておりません。この施設が老人に劣悪な処遇をする医療費対策を目的とするものであってはなりませんし、老人隔離施設になったのでは人道上の問題であります。いきなり法律をつくって、それから内容を
政省令の中で考えるというのでは、法律がひとり歩きいたします。将来の高齢化社会を支える基幹的施設であればこそ、数年の試行期間を経た上で法律を制定すべきだと考えるものであります。
なお、自民党が提案いたしました修正案につきましては、一歩前進ではあるにしても、基本的には何ら変わるところなく、前述と同じ理由で反対するものであります。
私どもは二十七年前、福祉国家の建設を目標に掲げ、その実現に努力してまいりました。当時は、この主張は、人間の堕落につながるものだとか、資本の延命策にほかならないなどと各方面から批判されましたが、今日これらはほとんどすべての政党が口にする政治の進路になっております。しかし、この数年の政府・自民党の政策は、冒頭申し上げましたように、当面する財政事情によって福祉の後退、国民負担の増加を安易に行おうとするものであります。今回の老人保健法改正もその一つであり、反対の意思を再度明確に表明するとともに、民社党は今後とも高度福祉社会の建設に向けて邁進することを申し上げまして、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/24
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025・藤田正明
○議長(藤田正明君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/25
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026・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/26
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027・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。
これにて休憩いたします。
午前十一時六分休憩
─────・─────
午後二時一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/27
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028・藤田正明
○議長(藤田正明君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、日程に追加して、
昭和六十二年分の所得税に係る配偶者控除の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/28
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029・藤田正明
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長井上裕君。
〔井上裕君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/29
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030・井上裕
○井上裕君 ただいま議題となりました昭和六十二年分の所得税に係る配偶者控除の臨時特例に関する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案は、衆議院大蔵委員長提出によるものでありまして、さきに関係各党派間で合意を見たいわゆる所得税減税問題の措置として、昭和六十二年分の所得税について、その負担の軽減を図るため、同年分の所得税に係る配偶者控除の額については、三十三万円に五万円を加算することとし、同年分の年末調整または確定申告を通じて行おうとするものであります。
なお、本法施行に伴う租税の減収額は、昭和六十二年度約千三百三十億円と見込まれております。
委員会におきましては、質疑、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり
可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/30
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031・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/31
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032・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/32
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033・藤田正明
○議長(藤田正明君) 沖縄及び北方問題に関する特別委員長外六委員長から報告書が提出されました日程第九より第三二までの請願を一括して議題といたします。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/33
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034・藤田正明
○議長(藤田正明君) これらの請願は、各委員長の報告を省略して、各委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/34
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035・藤田正明
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/35
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036・藤田正明
○議長(藤田正明君) この際、委員会及び調査会の審査及び調査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/36
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037・藤田正明
○議長(藤田正明君) 本件は各委員長及び各調査会長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/37
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038・藤田正明
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
よって、本件は各委員長及び各調査会長の要求のとおり決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/38
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039・藤田正明
○議長(藤田正明君) 今期国会の議事を終了するに際し、一言ごあいさつを申し上げます。
今国会は、本年七月の衆・参同日選挙後初めての実質審議を行う国会として召集されたのであります。本会期中、議員各位におかれましては、当面緊急を要する諸案件について終始熱心に審議を尽くされ、円満のうちに議事を終了する運びとなりました。これひとえに各位の御協力のたまものでありまして、ここに心から感謝の意を表する次第であります。
なお、参議院改革につきましては、議員各位の御協力により、既に答申を得て設置されました調査会の活動を初め、改革の実現に努めているところでありますが、さらに構想を新たにして参議院改革協議会を存置し、参議院のあるべき姿の御検討を願っておりますので、何とぞ一層の御協力をお願いいたします。
時局いよいよ多端の折から、各位におかれましては、御自愛の上、ますますの御活躍をお祈り申し上げます。(拍手)
これにて散会いたします。
午後二時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110715254X01319861219/39
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