1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十二年五月二十二日(金曜日)
午前十時二分開議
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○議事日程 第十三号
昭和六十二年五月二十二日
午前十時開議
第一 アジア=太平洋郵便連合憲章の締結につ
いて承認を求めるの件
第二 アジア=太平洋郵便連合一般規則及びア
ジア=太平洋郵便条約の締結について承認を
求めるの件
第三 南東大西洋の生物資源の保存に関する条
約第八条、第十七条、第十九条及び第二十一
条の改正並びに南東大西洋の生物資源の保存
に関する条約第十三条1の改正の受諾につい
て承認を求めるの件
第四 千九百八十六年の国際ココア協定の締結
について承認を求めるの件
第五 特に水鳥の生息地として国際的に重要な
湿地に関する条約を改正する議定書の締結に
ついて承認を求めるの件
第六 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十
五条の改正の受諾について承認を求めるの件
第七 国有財産法第十三条第二項の規定に基づ
き、国会の議決を求めるの件(衆議院送付)
第八 商品の名称及び分類についての統一シス
テムに関する国際条約の実施のための関係法
律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
第九 身体障害者雇用促進法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一〇 地方自治法第百五十六条第六項の規定
に基づき、公共職業安定所及びその出張所の
設置等に関し承認を求めるの件(衆議院送付
)
第一一 勤労者財産形成促進法の一部を改正す
る法律案(衆議院提出)
第一二 特許法等の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
第一三 昭和六十二年度における私立学校教職
員共済組合法の年金の額の改定の特例に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一四 外国の地方公共団体の機関等に派遣さ
れる一般職の地方公務員の処遇等に関する法
律案(内閣提出)
第一五 船舶安全法及び道路運送車両法の一部
を改正する法律案(内閣提出)
第一六 恩給法等の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
第一七 郵便法及びお年玉等付郵便葉書及び寄
附金付郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理
に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
提出)
第一八 林業等振興資金融通暫定措置法の一部
を改正する法律案(内閣提出)
第一九 森林組合法及び森林組合合併助成法の
一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一より第一九まで
一、昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の
確保を図るための特別措置に関する法律案
(趣旨説明)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/0
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001・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
日程第一 アジア=太平洋郵便連合憲章の締結について承認を求めるの件
日程第二 アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件
日程第三 南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第八条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正並びに南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第十三条1の改正の受諾について承認を求めるの件
日程第四 千九百八十六年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件
日程第五 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
日程第六 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件
以上六件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長宮澤弘君。
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〔宮澤弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/1
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002・宮澤弘
○宮澤弘君 ただいま議題となりました条約六件につきまして、外務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
まず、アジア=太平洋郵便連合憲章は、現行のアジア太平洋郵便条約にかわる連合の新たな基本的文書として、連合の組織等について定めております。
また、アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約は、連合の運営及び加盟国間の国際郵便業務について定めております。
次に、南東大西洋生物資源保存条約の改正は、地域的な経済統合のための機関がこの条約を締結できるようにすること等を内容とするものであります。
次に、千九百八十六年の国際ココア協定は、千九百八十年の国際ココア協定にかわるものでありまして、緩衝在庫の運用等により世界のココア市場の安定を図ることを目的とするものであります。
次に、水鳥生息湿地保全条約の改正議定書は、この条約に改正規定を追加すること等について定めております。
最後に、世界保健機関憲章の改正は、世界保健機関の執行理事会の構成員の数を増加すること等について定めております。
委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知を願います。
昨二十一日、質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、六件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/2
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003・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより六件を一括して採決いたします。
六件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/3
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004・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、六件は全会一致をもって承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/4
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005・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第七 国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件(衆議院送付)
日程第八 商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約の実施のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
以上両件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長井上裕君。
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〔井上裕君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/5
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006・井上裕
○井上裕君 ただいま議題となりました両件につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件は、故高松宮宣仁親王殿下の所有であった財産を遺贈により総理府所管の皇室用財産として取得するため、国有財産法第十三条第二項の規定に基づいて、国会の議決を求めようとするものであります。
次に、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約の実施のための関係法律の整備に関する法律案は、各国の関税率表に採用されている商品分類について、その国際的統一を図るとともに貿易構造の変化等に対応することを目的とした、いわゆるHS条約を実施するため、同条約による商品分類に基づいて、我が国の関税率表を全面的に組みかえる等、所要の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、両件を一括して質疑を行いましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して近藤忠孝委員より、両件に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、両件を順次採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/6
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007・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
まず、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件の採決をいたします。
本件に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/7
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008・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本件は可決されました。
次に、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約の実施のための関係法律の整備に関する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/8
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009・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/9
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010・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第九 身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
日程第一〇 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件(衆議院送付)
日程第一一 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
以上三件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長佐々木満君。
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〔佐々木満君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/10
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011・佐々木満
○佐々木満君 ただいま議題となりました二法律案及び承認案件につきまして、社会労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案の主な内容は、第一に、法律の題名を「障害者の雇用の促進等に関する法律」に改めること、第二に、雇用率制度等を除き法律の対象をすべての障害者に拡大すること、第三に、雇用されている精神薄弱者につき、雇用率制度上身体障害者を雇用する場合と同様に取り扱うこと、第四に、障害者に対する職業リハビリテーションの総合的、効果的な推進のための措置を講ずること等であります。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件は、横浜南公共職業安定所ほか、公共職業安定所及びその出張所七カ所の設置等を行うことについて国会の承認を求めようとするものであります。
次に、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案は、勤労者財産形成持ち家個人融資の貸付限度額を引き上げること、また、持ち家融資に係る貯蓄期間の要件を緩和すること等を内容とするものであります。
委員会におきましては、以上三件を一括議題として審議を進め、法定雇用率の達成状況、精神障害者の雇用対策等の諸問題につき質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、まず、身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案については、討論はなく、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
なお、附帯決議が全会一致をもって付されております。
次いで、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置
等に関し承認を求めるの件については、日本共産党より本件を承認することに反対する旨の意見が述べられました。討論を終わり、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決しました。
最後に、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案については、討論はなく、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/11
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012・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
まず、身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案及び勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/12
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013・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、両案は全会一致をもって可決されました。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件の採決をいたします。
本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/13
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014・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本件は承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/14
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015・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一二 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員長前田勲男君。
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〔前田勲男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/15
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016・前田勲男
○前田勲男君 ただいま議題となりました特許法等の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、近年の産業技術の高度化、国際化に対処するため、特許等の出願について、いわゆる多項制の改善、手続期間等の延長、医薬品など法規制により一定期間特許発明が実施できなかった特許権についての期間延長などの措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、多項制採用の意義、特
許をめぐる国際情勢、審査・審判官の処遇改善などについて質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が行われたことを申し添えます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/16
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017・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/17
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018・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/18
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019・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一三 昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教委員長仲川幸男君。
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〔仲川幸男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/19
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020・仲川幸男
○仲川幸男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、私立学校教職員共済組合が支給する退職共済年金等の額を、厚生年金及び国民年金の改定措置に倣い、昭和六十二年四月分から改定しようとするものであります。
なお、衆議院におきまして、施行期日について修正が行われております。
委員会におきましては、高齢者に対する在職支給の是非、国庫補助減額分の補てんの見通し等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終わり、討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、都道府県からの助成の拡充等に関する附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/20
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021・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/21
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022・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/22
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023・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一四 外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長松浦功君。
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〔松浦功君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/23
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024・松浦功
○松浦功君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
本法律案は、国際協力等の目的で外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員が安んじて派遣先の業務に専念できるよう、その身分取り扱いについて国家公務員の場合と同様の制度を設けようとするものでありまして、派遣職員は、派遣期間中、職員としての職を保有すること、派遣先の機関の業務を公務とみなして地方公務員災害補償法等の規定を適用すること、派遣職員の給与等の支給及び派遣職員の復帰時における処遇等につき所要の規定の整備を行うほか、施行期日を昭和六十三年四月一日からとすること等を主な内容とするものであります。
委員会におきましては、政府より趣旨説明を聴取した後、派遣職員の処遇、地方公共団体における国際交流のあり方等の問題について熱心な質疑を行いました。
質疑を終局し、採決いたしましたところ、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/24
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025・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/25
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026・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/26
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027・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一五 船舶安全法及び道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長中野明君。
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〔中野明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/27
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028・中野明
○中野明君 ただいま議題となりました船舶安全法及び道路運送車両法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
本法律案は、行政改革の一環として、小型船舶検査機構及び軽自動車検査協会の自立化及び活性化を図るため、これらの法人に対する政府の出資金の返還及び役員の選任等、その業務の運営に対する規制の整理合理化の措置等を講じようとするものであります。
委員会における質疑の詳細については、会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、討論もなく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/28
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029・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/29
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030・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/30
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031・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一六 恩給法等の一部き改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長岩本政光君。
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〔岩本政光君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/31
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032・岩本政光
○岩本政光君 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、昭和六十一年における公務員給与の改定、消費者物価の上昇その他の諸事情を総合勘案し、恩給年額を本年四月分以降一律に二%増額するとともに、普通扶助料の最低保障額及び傷病者遺族特別年金を特別に改善すること、寡婦加算、遺族加算及び傷病恩給に係る扶養加給を増額すること、恩給外所得による普通恩給の停止率を引き上げること等、所要の改正を行おうとするものであります。
なお、衆議院において施行期日等について所要の修正が行われております。
委員会におきましては、増額改定のあり方、公務扶助科の改善、最低保障額と生活保護基準との関連等のほか、戦後処理の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、法律案に対し、九項目にわたる附帯決議が全会一致をもって行われました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/32
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033・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/33
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034・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/34
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035・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一七 郵便法及びお年玉等付郵便葉書及び寄附金付郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長高杉廸忠君。
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〔高杉廸忠君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/35
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036・高杉廸忠
○高杉廸忠君 ただいま議題となりました法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本法律案は、郵便事業の現状にかんがみ、利用者に対するサービスの向上を図るため、第一種郵便物及び第二種郵便物の料金の特例範囲を拡大し、専ら商品の広告等のために大量に差し出される広告郵便物については、区分差し出し、後回し処理等の条件のもとで、最高三〇%の料金割引ができることにするとともに、郵便料金の口座振替による納付を可能とする等の措置を講ずるほか、くじ引きによりお年玉等として金品を贈るくし引き番号つきの郵便切手を発行できるようにするものであります。
委員会における質疑の詳細については会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/36
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037・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/37
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038・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/38
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039・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一八 林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案
日程第一九 森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出)
以上両案を一括して議題といなします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長高木正明君。
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〔高木正明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/39
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040・高木正明
○高木正明君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
まず、林業等振興資金融通暫定措置法改正案は、農林漁業金融公庫の造林資金の償還期限及び据置期間を延長しようとするものであります。
また、森林組合法及び森林組合合併助成法改正案は、森林組合制度の改善強化を図るための措置等を講じようとするものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、質疑を行いましたが、その内容は会議録によって御承知を願いたいと思います。
質疑終局の後、別に討論もなく、順次採決の結果、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、森林組合法及び森林組合合併助成法改正案に対し附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/40
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041・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/41
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042・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、両案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/42
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043・藤田正明
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/43
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044・藤田正明
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。宮澤大蔵大臣。
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/44
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045・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には一段と厳しいものがあり、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定、向上を図るためには、引き続き財政の改革を強力に推進し、その対応力の回復を図ることが緊要であります。
このため、政府は、昭和六十二年度予算におきまして、歳出の徹底した節減合理化を行うとともに、現下の経済情勢にかんがみ、景気の着実な拡大に資するため、できる限りの努力を行うこととしているところであります。
まず、歳出面におきましては、既存の制度、施策の改革を行うなどあらゆる分野にわたり経費の節減合理化に努め、全体としてその規模を抑制する一方、社会経済情勢の推移に即応するため、公共事業の事業費確保、雇用対策の充実を行うほか、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めることといたしました。これらにより、一般歳出の規模は、三十二兆五千八百三十四億円と前年度に比べて八億円の減額となっております。これは昭和五十八年度以降五年連続の対前年度減額であります。
他方、歳入面におきましては、最近における社会経済情勢の著しい変化に即応し、税制全般にわたる抜本的見直しを提案するとともに、税外収入につきましては、可能な限りその確保を図ることとしております。
しかしながら、昭和六十二年度におきましては、なお財源が不足するため、特例公債の発行を行うこととするほか、国債費定率繰り入れ等の停止などの措置をとらざるを得ない状況にあります。
本法律案は、以上申し述べましたうち、昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置として、同年度における特例公債の発行、国債費定率繰り入れ等の停止、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れの特例について定めるものであります。
以上、昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/45
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046・藤田正明
○議長(藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。丸谷金保君。
〔丸谷金保君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/46
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047・丸谷金保
○丸谷金保君 ただいま提案されました昭和六十二年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案について、私は、日本社会党・護憲共同を代表し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
まず総理、円高・ドル安による対米投資の先行き不安、産業構造の変化による雇用不安、輸出産業、特に零細下請業者の経営不安、土地高騰によりマイホームの夢が遠のきつつあるところの庶民の生活不安、ベネチア・サミットで当然問題になるであろう農業政策批判に対する農民の不安、まさに日本列島は挙げて不安定な経済情勢のるつぼと化したと言っても過言ではありません。こうした国民の不安感に対し、少なくとも総理は日本経済の安定と将来像について明確な指針を示す義務があると思いますが、いかがですか。
次に、大蔵大臣の提案理由の説明を聞いておりますと、毎年と文言がよく似ておりますけれども、ただ一カ所だけ違うところがあります。それは前年・前々年に対して、竹下大蔵大臣の「公債発行額を可能な限り縮減することとして編成した」という点が抜けていることであります。毎年、判で押したように似ている提案理由説明の中で、今回ここだけが抜けているのは、宮澤積極財政の片りんがこの違いの中に浮かんできていると理解していいのかどうか。公債発行額の縮減をのみ抜いた理由についてお伺いをいたしたい。
次に、六十五年度までに赤字国債依存体質から脱却するという政府の財政方針は、今日の段階ではその達成はほとんど絶望となっております。にもかかわらず、依然として六十五年度特例公債からの脱却を目標に掲げ、しかも毎年同じようにこの法案が出てきておる。もういいかげんに旗をお
ろしたらどうですか、総理の見通しをお聞きしたい。
本法案は、特例公債の発行のほかに、国債整理基金への定率繰り入れ等の停止、厚生保険特別会計健康勘定への繰り入れの特例等から成り立っておりますが、定率繰り入れの問題は、既に五十七年以降毎年これが法案として出されて、行われているのであります。ですから、ここらでもうこの制度そのものを根本的に考え直す必要があるのではないですか。これは一種の歩積み両建てのようなものであり、特例公債を発行しながら定率繰り入れの制度を温存していくことは無意味でないか、大蔵大臣にお伺いいたします。
要するに、当面の数字合わせで現状を糊塗することでなく、円高・ドル安というこの異常事態をもっと国際的視野で深刻にとらえて、解決の道を求めるべき時期だと考えておる次第であります。
そこで提案があります。円高・ドル安の最も心配な点、それはドルが基軸通貨である限り、円が高くなりマルクが高くなることがあっても、貿易決済のほとんどをドル建てで行う限り、アメリカはさほどの痛みを感じないということです。しかし、日本にとっては大きな痛手となります。この際、日本も国際基軸通貨としての円の利用を積極的に考える時期に来ているのではないでしょうか。例えば昨年十月現在で、日本の中南米向け銀行貸し出しは二百九十七億ドル。それに対してアメリカは七百六十一億ドル。この貸付金二百九十七億ドルをドル建てから円建てに思い切って切りかえれば、当面の円高を抑え込む手だてとなるのではないでしょうか。日本がアメリカとともに世界の通貨不安あるいは世界経済に対して責任を分担するということを覚悟すれば、アメリカもこれに反対することはないと思います。国際金融における円の流通量を今まで以上に増加させ、その上で各国の貿易決済における円建ての比率を高めていけば、円がドルと並んだ基軸通貨となっていくことができるのであります。
現在、世界通貨に占める円のシェアは七・六%、せめてこれを二〇%に持っていくことにより、国際金融市場における基軸通貨として重要な役割を担う時期にもう来ているのでないかと思います。その上で円と並ぶ主要通貨のマルクに働きかけ、円とマルクがドルを両方から挟むような形で世界の基軸通貨の両翼となれば、通貨としての円の安定化に大きな効果が出てくるものと思います。つまり、基軸通貨として世界経済における円の重要性が増大すれば、これの安定化は世界各国の希求するところとなり、通貨安定に向けての各国金融当局の政策協調が得られ、我が国としてはより効果的な金融自由化政策が打ち出せることになりましょう。総理及び大蔵大臣の決意を求めます。
次に、財政運営のあり方でございますが、NTT、日本航空など株式の売却、記念金貨の発売、さらに国有財産の売却といったような、バナナのたたき売りにも似た税外確保に奔走している今日の政府の財政運営のあり方が、マネーゲームに拍車をかけています。政府は地価の異常な騰貴について、金融機関にそうしたところへの貸し出しを自粛するように指導したと聞いておりますが、財テクブーム、土地騰貴への元凶は政府自身であるということへの反省が全くない。総理、大蔵大臣に強くこの点の反省を求めます。
次に、農業についてであります。
今、国際国内世論は挙げて日本の農産物が高いことを攻撃しております。しかし、日本の農民は狭い農地で頑張っているのです。そこで農林大臣にお伺いしたい。
アメリカの農民と日本の農民の使うガソリン代は、三倍の開きがあるのです。一杯のビールにかかる税金はどうか。アメリカではブドウ農家は自家用ワインを税金なしでつくれるのです。一事が万事、日本農民の生産費や生活費が高いことを言わないで、農産物価格だけが高いと言う世論に対し、無抵抗な農林大臣の姿勢は許されません。せめてこの機会に、大臣、高値安定を支えている肥料価格安定法の撤廃くらいはやってください。それらを解決しないで、農産物だけが高い高いと言われっ放しでは我慢ができません。このことについての農林大臣の明確なる答弁をお願いいたします。
次に、内需拡大のための公共事業の推進を総理も強く主張しておりますが、公共事業によっては、予算をつけても用地費に消えて実需はほとんど伸びなかったという実例が過去にはたくさんあります。
そこで、この際は下水道整備五カ年計画の繰り上げ実施、そういう声も承っております。整備率が先進国で最も低い我が国ですから、下水道計画が達成されてもまだ四四%にすぎません。したがって、下水道優先ということも一つの方法です。しかし、事業主体はほとんど地方公共団体であります。補助率の見直しなくして計画を繰り上げ実施することなどはとても不可能です。いいですか総理、終末処理場の補助率は五十九年の三分の二から六十二年には十分の五・二に、管渠は十分の六から十分の五に下がっているのです。その上、管の補助対象事業は、面積二百五十ヘクタールベースで流量八十トン以上ということでは、市町村は自己負担に耐えられません。補助率アップと補助事業対象基準の緩和、国と地方との財源配分の見直しや事業執行の青写真等、余りにも問題が多過ぎます。大幅に予算がついても、それだけで仕事ができるものではありません。結局、大都市中心の国の直轄事業だけがふえて、こうして都市に集中し、都市にだぶついた金は財テクに回っていくことにもなりかねないのであります。
また、文教関係でも、危険校舎の改築や老朽校舎の改築に一気に金をつぎ込めば用地費が要らないという意見もあります。しかし、そのためには危険校舎の点数制度や、またその他幾多の制度の改正をあわせて行わなければなりません。例えば内装に木材を使って、木材の需要を喚起したらいいじゃないかと。しかし、これは建築基準法の建坪の面積制限、この枠の改定が前段必要になってきます。そうしたもろもろの制度の改正をして、一気に校舎の改築を行う決意があるかどうか。それができなければ、結局これも絵にかいたもちになります。文部大臣の所見を承りたい。
結局、公共事業による内需拡大の失敗が今までありましたことは、こうしたいろいろな制度の改革に勇断をもって当たらなければならないということであります。
最後に、中曽根総理、総理がいまだに増税なき財政再建とか、六十五年特例国債脱却というようなできもしない空念仏を唱えているような状況では、大型補正予算による内需拡大、そして景気浮揚、円高是正というような手順は到底困難である
ことを指摘いたしまして、私の質問を終わりといたします。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/47
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048・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 丸谷議員にお答えをいたします。
まず、経済安定の指針でございますが、政府といたしましては、行政改革を引き続いて強力に推進していくと同時に、当面、内需を振興する。それと同時に、為替の長期的安定を図り、失業対策に十分を期していく。そして、国際経済との調和ある国内経済への改変を目指して努力していくというのが我々の基本的な考えでございます。
そういう意味におきまして、この機会に、今のような内需の振興等を通し、国民生活の質的充実の方向に政策を進めようと、そういうような考えに立ちまして諸般の対策を今練っておるところでございます。近く二十九日に、政府及び自民党一体となりまして緊急経済対策を決定したいと努力中でございますが、その方向に沿って政策を進めてまいりたいと思います。
増税なき財政再建の理念は、政治としてあくまで堅持していく必要があると思うのであります。野党の皆様もやはり増税には反対であると思うのであります。そういう意味におきまして、小さい政府、能率的な政府というものを担保するために、この理念を堅持していくということは、いかなる政府においても必要ではないかと思うのであります。我々は、このような一つの目標を立てまして行政改革を推進いたしまして、その結果、今回の税制改革におきましても、いわゆる歳入中立の原則の税制というものを考えまして、増税というものは極力回避した次第なのでございます。
また、行政改革を推進することによりまして、例えばNTTの民間経営が実現いたしまして、財政の対応力もある程度出てきたように思います。これは行政改革推進の成果であると思います。NTT株の値段も相当順調のようでありますので、これらのNTT等の税外収入というものを活用して、今のような諸般の政策に資するという、そういう段階に入りまして、今の内需振興というような方向に一歩強く前進していきたいと考えておるところなのであります。
次に、ドル及び円、マルクとの基軸通貨の関係の御質問でございますが、最近の情勢を見ますと、米国の経済力が世界的に相対的に低下したことは否めない事実であり、その結果、国際通貨取引におきまして多様性が現出してきているということも事実であります。我が国は、我が国の国際的地位の上昇等にかんがみまして、ドルをある程度補完する円の機能を世界的役割の一つとして考えていかなければならぬ段階に来たと考えまして、私は政権担当以来、円の国際化あるいは世界的役割の分担という面についても積極策をとってきたところであり、今後もそのように努力してまいりたいと思うのであります。
債務の円建て化につきましても、我が国民間銀行は、外貨調達リスクの回避を図る等の観点から、これまで積極的に取り組んできております。例えば石油なんかは、日本は相当膨大な量を輸入しておりまして、これがドル建てになっておるので、日本はいいお得意先でありますから、できるだけこれを円に変えられないかということも前から努力しておるところでございますが、やはり石油という国際商品との関係で、産油国との関係等においてなかなか難しい点もあるのであります。しかし、一歩一歩努力していることは事実なのであり、また、御指摘の中南米に対する貸付残高の最近二、三年間の動きを見ましても、円建てによるもののシェアは着実に増大しておるのであります。
財テクブームの問題でございますが、これは資産の運用の収益性を上げようという背景があると思いまして、一概に否定すべきものではございません。
しかし、いたずらに投機的なものとならないように今後ともよく注意してまいりたいと思っておるのであります。
国有地の売却等については、財テクブームを惹起したり、あおったりするものではないとの考えに立って、またその点も注意してまいりたいと思うのであります。
下水道事業の問題について、補助率の引き下げによる地方公共団体への影響については、地方財政の運営に支障を生ずることのないような措置を既に実行しておるわけであります。
我が国の下水道整備は、欧米諸国に比べて低い水準にあるのでありまして、今後とも努力してまいりたいと思います。
残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/48
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049・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど述べました提案理由の中で、公債発行額の縮減ということについて触れなかったではないかというお尋ねでございました。
昭和六十二年度の国債縮減額は、六十一年度当初予算に当初同士で比較いたしますと、四千四百五十億円の縮減でございますので、触れませんでしたことに他意があったわけではございません。内外の情勢から申しますと、非常に大きな縮減ということが徐々に困難になってまいりましたことは事実でございますけれども、財政再建の途次でございます、この努力は苦しくても続けなければならないと考えております。
それから、定率繰り入れを今後どうするかというお尋ねがございました。これは大きな問題でございますが、減債制度の基本というものは崩すわけにまいりません。したがいまして、国債償還に支障のないような方策を予算編成の段階で各年度で判断してとってまいらなければならない、こう考えております。
財テクブーム、政府の心構えについては総理から今お答えがございましたので、重複を避けます。
円の将来の問題について、これも総理からお答えがございました。円とマルクがドルを、つまり基軸通貨としてのドルを補完していくというお考えをお示しになったわけでございます。なかなか基軸通貨というところまでまいらないのでございますけれども、円というものをいわば国際化してまいりまして、その国際化に伴ういろいろな障害はぜひ除去してまいりたい。方向としては、円にさらに大きな国際的な役割を持たせるために、いろいろな障害は自由化によって除去していきたいということにつきましては、丸谷議員の言われました方向に賛成でございます。政府としてもそういうふうに努めております。
民間銀行の中南米等についての貸付残高も、かなり円建てのシェアがふえてまいっておりまし
て、この方向は奨励をいたしてまいりたいというふうに考えております。(拍手)
(国務大臣加藤六月君登壇、拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/49
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050・加藤六月
○国務大臣(加藤六月君) 農政問題についてお答えいたします。
我が国の農業は、食糧の安定供給を初め健全な地域社会の形成、国土、自然環境の保全など重要な役割を果たしております。我が国のような限られた国土条件のもとでこのような農業の役割を発揮させていくためには、国による所要の振興策が必要であります。現にまた、欧米諸国においても、それぞれの国の実情に応じて各種の農業振興措置が講じられているところでございます。
しかしながら、御指摘のように、最近我が国の農業、農政に対して種々の批判、提言がなされております。この中には、今後の農政を進めていく上で貴重な御意見等もありますが、他方、事実関係を十分踏まえていないもの等が見受けられるのも事実であります。
いずれにいたしましても、農政の展開に当たりましては、耳を傾けるべきところには傾けつつ、より一層理解が深められるよう努めながら推進していくことが肝要であると考えております。
今後とも、農林水産省といたしましては、昨年十一月の農政審報告を踏まえまして、構造政策の推進等により農業の生産性向上を図りつつ、合理的な農産物価格の形成を目指して国民各界各層からの幅広い理解と納得が得られるよう万全の施策を講じてまいる考えでございます。(拍手)
〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/50
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051・塩川正十郎
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対しまして二点の御質問がございました。一つは、内需拡大のために危険校舎をもっと改築したらどうだ、そのためには現在定めておる点数をもっと引き上げたらどうだという御提案でございます。
御承知のように、現在の点数が五千五百点になりましたのは昭和五十二年からでございますが、それで一応は現在のところ危険校舎の施設の改善は行き届いておりますけれども、しかし、木造で現在二十四年以上経過いたしますものは全部これを順次改造していくということでやっておりまして、私たちも今回の内需拡大に危険校舎の改造を重点的に見ておるということも御承知いただきたいと思っておるのでございます。しかし、点数の点につきましては、建築基準法の関係等いろいろございますしいたしまして、十分に精査いたしましたものとして、現在の五千五百点を一応遵守していきたいと思っておるところでございます。
次に、木材をもっと使えということでございまして、この提案を受けまして、実は過般来ずっと木材の利用を促進いたすようにしてきております。そして、五十九年から校舎の床等の内装にこれを積極的に使うようにいたしましたし、それから昭和六十年に木材の使用についての各都道府県との打ち合わせを十分にいたし、六十一年度から木造の単価補助でございますが、これは鉄筋コンクリートと同額にするということ等を措置いたしたのでございまして、今後ともこれを進めようと思っております。
ただ、その際に、御質問の中にございました建築基準法との関係をどうするかということでございまして、今一棟大体二千平米ということになっておりますが、これで一応は木造で安全性を確保していくということでございまして、この基準によって我々も進めたい。もし学校等の関係でこの面積が狭いということになれば、二棟を一つにするという措置等もございます。しかし、学校以外に社会教育関係で最近公民分館等に木造の建物が非常に積極的に使われるようになりました。我々もこれを助成の面とあわせて積極的に進めていきたいと思っております。
なお、内需拡大の一つの方法として、土地の要らない教育機関の改築整備、これに重点を、私たちも義務教育施設と同時に国立学校の施設に今回は大いに重点を置いて積極的に取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/51
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052・藤田正明
○議長(藤田正明君) 和田教美君。
〔和田教美君登壇、拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/52
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053・和田教美
○和田教美君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりましたいわゆる昭和六十二年度の財源確保に関する法律案について、並びにそれに関連して政府の財政経済政策の問題点について、中曽根総理並びに関係大臣に質問いたします。
まず指摘しなければならないのは、中曽根内閣の財政再建路線の完全な破綻であります。そして、一昨年秋以来の急激な円高による国内不況、倒産、失業者の増大、その一方で六十一年度の我が国貿易収支の黒字がついに一千億ドルを突破して、日米貿易戦争と言われるまでになった深刻な経済摩擦等々、総じて中曽根政治の経済無策が際立っていることであります。
言うまでもなく、総理は、就任以来財政再建を公約し、六十五年度赤字国債依存体質からの脱却をその目標に掲げてきました。そしてこの間、財政再建のためと称して、ゼロシーリングあるいはマイナスシーリングによって超緊縮財政を推し進めて、防衛費のみが突出して、社会保障、文教、公共事業、中小企業対策費などが圧縮される軍事突出、福祉抑制の路線を続けたのであります。
このように国民大衆に多くの負担をしわ寄せしたにもかかわらず、一体財政再建はどこまで進んだのでしょうか。
六十二年度予算で赤字国債の発行予定額はなお四兆九千八百十億円の巨額に上っております。これを六十五年度でゼロにするためには、六十三年度以降毎年一兆六千億円余減らさなければならない計算になります。しかるに、六十二年度の減額はわずかに二千六百五十億円にすぎません。だれが見ても目標の達成は不可能であります。そればかりか国債残高は百五十二兆円に累増して、ために利払い費は十一兆円に膨張するなど、財政体質は一段と悪化してきております。これは明らかに国民生活軽視型の財政再建路線が失敗したことを意味すると思いますけれども、総理並びに宮澤大蔵大臣はその政治責任をどのように考えているのか、率直な見解を伺いたいのであります。
総理初め財政当局は、今に至るまでこのぼろぼろになった財政再建目標の旗にこだわって、円高不況脱出のため思い切って財政が出動すべきところを、民活というあなた任せの政策手段でお茶を濁すなど、景気対策が後手後手に回る愚を演じたのであります。
今日のような輸出に頼り過ぎる我が国の経済体質、それによる極端な貿易不均衡も、もとはといえば、政府が国民生活の質の向上を目指す内需主導型の経済運営に冷淡であった結果でありまし
て、その責任は大きいのであります。とすれば、今緊急に必要なことは、もはや完全に破綻している六十五年度赤字国債脱却を数年間延期して、貿易不均衡の是正にもつながる本格的な内需拡大策に踏み出すため、積極財政への転換を断行することであります。
私は、住宅の質的改善、国民生活に密着している社会資本整備を柱として、公共投資を拡大するとともに、民間投資を引き出して個人消費を増加させることによって内需を拡大することが緊急の課題であって、これがまた税の自然増収を通じて財政再建を着実に進める道であると考えます。
中曽根総理は、さきのレーガン大統領との会談で、五兆円を上回る規模の追加財政措置を約束いたしました。その後のOECD閣僚理事会などを通じて、内需拡大は今や先進国全体に対する我が国の国際公約になっております。従来のようなリアルマネー、つまり真水が少なくて、ほとんどかけ声だけという総合経済対策でお茶を濁すわけにはいかないわけであります。本院で六十二年度予算案を審議中の段階では、財政政策転換の問題について政府として言及をはばかるという事情があったかもしれませんけれども、しかし、既に予算が成立した現在、思い切った政策転換を明言するチャンスであると考えます。総理、大蔵大臣並びに近藤経企庁長官の見解を求めます。
もちろん、現在の財政再建目標の旗を一たんおろせといっても、私は中期的に財政を健全な姿に再建する必要性を何ら否定するものではありません。財源確保法を必要としない状況が望ましいことは言うまでもありません。しかし、そのためには新たに実現可能な財政再建計画を策定すべきだと主張するものであって、あわせて政府の考え方をただしたいのであります。
政府は、今国会終了後、直ちに五兆円規模の内需拡大策を軸とする緊急経済対策を決定して、補正予算案の編成を急ぐ方針を明らかにしております。そこで、まず総理及び大蔵大臣から、この五兆円規模とは、公共事業、住宅対策を中心とする事業規模を意味するのか、総理がレーガン大統領に約束したという所得税などの減税分も含めているのか、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
また、田村通産大臣は、OECD閣僚理事会の際、ベーカー米財務長官から減税分は別枠にと念を押されたというふうに予算委員会で答弁をいたしましたけれども、現時点での見解を述べていただきたいと思います。
特に、この際明確にしておきたいことは、総理が、減税は税制全般の体系の一環として行うのならいいと言っているのですけれども、これは何を意味するかという問題であります。これは、近く衆議院で開始されます税制改革に関する与野党協議の合意を前提に、初めて減税を先行させるということであって、逆に、合意ができないなら補正予算案での減税は見送るということかどうか、はっきり答弁を願いたいのであります。
我々は、建設国債の増発を財源にいたしまして、公共投資、特に住宅や生活関連の社会資本の充実を内需拡大の柱に据えることに異論はありません。しかし、輸出に頼り過ぎる経済構造を内需主導型に改めていくために個人消費の拡大を図ることはもう一つの重要な柱であり、そのために思い切った所得税の減税の先行は絶対必要だと考えるものであります。
我々は、売上税法案の廃案が決まったいきさつから見て、税制改革の協議は時間をかけて検討すべきものであると考えております。そこで、六十二年度においては、税制全般の改革問題とは切り離して、NTT株式の売却益等を活用して、いわゆる戻し税方式による二兆円規模の所得税減税を行うよう主張してきました。大蔵省はかねてから、NTT株の売却益は臨時的なものであるという理由で、これを減税財源に充てることに消極的な態度をとっておりますが、六十二年度以降、四、五年間は減税財源として使えるものであって、一時的とは言えません。殊に、経済審議会の新前川レポートが強調しているとおり、ここ両三年の間に財政の活用など集中的な政策努力が必要という観点に立ては、国民共有の財産であるNTT株の売却益を減税財源に使うことは全く合理的だと考えますが、大蔵大臣の見解を求めます。
最後に、税制改革の与野党協議に関連して、いわゆる直間比率の見直しについてお伺いいたします。
総理は、直間比率の見直しが与野党協議の前提であるかのように主張されますが、私はそうは考えません。直間比率が適正かどうかの問題は抜本改革に関する慎重な検討の結果出さるべきものであります。国民大衆は、現に物価上昇に伴う実質上の増税が進行しているにもかかわらず、これまで物価調整減税が放置されてきたことに対し強い不満を持っております。同時に、税負担の不公平と不公正を是正することを求めております。とすれば、直間比率の是正を言う前にまず緊急に取り組むべきものは、直接税の中に存在する多くの不公平にメスを入れることであります。例えば有価証券譲渡所得、土地譲渡益などキャピタルゲイン、あるいは大都市の地価の急騰により多くの含み資産を持った大法人などの資産に対する課税の適正化であります。このような不公平是正に向けての取り組みがないまま、売上税と本質的に同系列の新間接税の導入を図ろうとしても、再び国民の強い反撃を食うことは明らかであります。
総理、大蔵大臣の見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/53
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054・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 和田議員にお答えをいたします。
まず、財政再建路線の問題でございますが、臨調及び行革審の答申を尊重いたしまして財政再建路線に懸命に努力してきたつもりでございます。この五年間におきましては、一般歳出を抑制いたしまして大体横ばい、ことしは五年前よりも若干減らすぐらいの努力をし、御協力をいただいた。その結果、この間におきまして、国鉄や電電の民有化、特に電電の民有化によりまして、御指摘にもありましたように、電電株等相当程度の税外収入が確保できる見通しができまして、そういう意味において社会資本の充実あるいは内需の振興に力を入れていい状況が出てきたと思うのであります。
また、今までの行革の努力によりまして、例えばこのまま放置したならば増加するであろうという金額、言いかえれば増加節減額というものを、財政の中期展望から計算してみますと、約十兆円の節約をこの間にやっておるのであります。この間におきましては、いろいろ社会保険関係の制度
の是正であるとか、そのほかのいろいろな御協力を賜っておるところであり、一部には御迷惑をおかけしておるのでございますが、しかし、これだけの節約、節減をやったというのはやはり行革の成果であり、これが増税を防いでいる九にもなっておるのであります。
また、公債の依存率も五年前の二六・五%から一九・四%GNP対比で減ってきております。補助金の額にいたしましても、約九千億円の補助金を現に減らしてきており、公務員の数は二万九十人実員を減らしてきております。こういうような努力は目標を明確に決めましてそして努力してきたので、二兎を追ってできる状況ではなかったのでございます。
この間におきまして、社会保障等の予算につきましても、制度や運用面において見直しを行いましたが、しかし、真に必要な施策についてはきめ細かい重点的な配慮を行ってきたつもりであり、防衛関係費につきましては、防衛計画大綱水準達成のために、ほかの経費との調和を考えながら努力してきたところでございます。最近におきましては経済成長率の低下等の原因もありまして一%をはみ出しましたけれども、これは意図的にやったものではないのであります。
次に、積極財政への転換の問題でございますが、政府としては、内需拡大のために、自民党でさきに決定しました総合経済対策要綱の考え方を尊重し、近く緊急経済対策を策定いたしまして内需振興の策を具体的に展開いたす予定でございます。やはり基本は行革路線を我々は守っていかなければならない。しかし、応用動作は、内需振興という面について当面これを有効に充実して実行していくということが我々の今のやり方でございます。
次に、財政再建目標の延期、六十五年度特例公債依存体質脱却の問題でございますが、やはり今後とも引き続き財政改革の基本路線、基本理念というものは守っていかなければならぬと思うのであります。
政府の肥大化を防いで子孫に負担を残さないようにするという配慮は、政治家として根本的に持ってなければならぬところであり、安易な目標年次の先延ばしは一層の特例公債の累増を招き、これまでの歳出の節減合理化の努力を水泡に帰するおそれもあると考えておるのであります。
緊急経済対策の五兆円の中身の問題でございますが、これは政府・与党で今策定中でございまして、二十九日に決めたいと今努力し、検討しておるところでございます。
この中身は、中央政府、地方政府のほか公的機関による措置も含まれまして、御指摘の所得税減税というようなこともぜひ入れたい、こう考えておるわけであります。
しかし、所得税減税につきましては、税制改革の一環としてこれを位置づけまして、そしてその一環としてこれは先行される、そういうようなことは当然考えていいと考えておるのであります。
次に、補正予算における減税の問題でございますが、これらは衆議院において設置されまする協議機関においていろいろ論議されますので、整合性のある望ましい税制改革の実現に向けていろいろお手伝いをしてまいりたいと考えておるところでございます。
直間比率の問題については、今回の税制改革案、提出いたしました我々の方策におきましても、有価証券譲渡益の課税対象の拡大とか、あるいは土地重課による資産課税の適正化等も含めて提出しておるところでございます。
ともかく、税制改革問題は、衆議院議長のあっせんによりまして、その中におきましても、税制改革問題は、現在における最重要課題の一つであり、直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力を払う、このように議長のあっせんの中に明文化されておるのでありまして、この協議機関の推移を見守ってまいりたいと思うところでございます。
残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/54
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055・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 総理から大部分お答えがございましたが、私からもという御質問でございましたので申し上げます。
財政再建、確かに道半ばでございますが、この数年を振り返りまして、この結果、結局、財政を抑えるということで、やむを得ずと申しますか、結果としてかなりいろんな制度の改善が生まれてきた。また、物の考え方にいたしましても、例えば受益者負担といったようなこともこういう中から出てまいりまして、そういう意味での私は収穫も大きかったと思っております。
国債依存度もようやく二〇%を割ったということで、それでも一九・四%でございますか、まだまだ高いのでございますが、少しずつ効果があらわれてきておりますので、これはもう一生懸命続けてやらなければならないと思っております。
それから次に、昭和六十五年度に特例公債依存の体質から脱却するという目標をもうこの辺でいわばあきらめたらどうかという御趣旨であったのでございますが、確かにこの実現というものがいよいよ難しくなってきておりますことは、これは認めざるを得ません。しかし、そうでございましたら、この目標を見直すといたしますと、新たにどういう目標を掲げるかということでございますが、新たな目標を掲げるといたしますと、今後の経済、財政の展望、それから殊にこの前国際経済、例えば為替等々でございますが、そういうものへの見通し等を持ちまして新たな目標を掲げませんと、無責任になるというふうに考えられまして、そういう見直しを、したがいまして、現段階でまだ具体的に申し上げる用意がないものでございますので、この目標そのものはなお掲げておきたい、こう考えております。
それから、今度の緊急経済対策のことでございますが、今、総理が言われましたように、国、地方、あるいは住宅関係などは公的機関でございますが、そういう措置を含むと考えております。
減税の問題は、衆議院の議長のごあっせんによります協議機関の協議が来週早々から始まるというやさきでもございますので、余りこちらが先走って申し上げてもいかがかと思っておりますが、税制改革の一環として、仮に所得税の減税をいわば前倒しでやるということになるといたしますと、それは五兆円という施策の中に含まれるものと御理解をいただきたいと存じます。
それから、NTTの株式を減税財源に使うべきではないかという御説でございました。確かにNTTの株式はことし一遍のことではございません。それはおっしゃいますように後年度にまだあるわけでございますけれども、しかし資産の売却でございますから、いっときの収入であること
には間違いがない。そこで、ただいまの法制では、これは国債の償還に充てるということになっておりますが、それを超えまして売却益がございましたときには、私どもとしては、できれば将来に向かっての我が国の社会資本の形成に役立つような使い方をすべきではないかということを考えております。なお詳細は検討を必要といたしますのですが、そういう考えを持っておりまして、そういたしますと、しかし減税そのものも焦眉の急であるということになりますれば、そのための財源は別途探さなければならない、必要であれはそうしなければならないと実は考えております。
最後に、資産課税、キャピタルゲイン等々、これはおっしゃいますことは私ども賛成でございまして、現に今回御提案いたしました税制改正でも、有価証券についての譲渡益、キャピタルゲイン、あるいは登記に対する登録免許税の引き上げ、また有価証券取引税の見直し等々、措置を御提案申し上げております。これらのことは、ともしますと行政が、課税が非常に不公平になりやすうございますので、その点は十分不公平になりませんよう資料を整備しながらやってまいらなければなりませんが、方向としてはおっしゃいますことに私どもも賛成でございます。(拍手)
〔国務大臣近藤鉄雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/55
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056・近藤鉄雄
○国務大臣(近藤鉄雄君) 本来、経済成長の原動力は、国民の消費の拡大、住宅建設、民間企業の設備投資でありますが、現下の厳しい円高、国際収支黒字幅の状況のもとでは、臨時緊急の措置として、財政主導による積極的な内需拡大策を総理の御指示のもとに臨時緊急対策として今策定中でございます。
財政再建路線については、先生からお話がございましたが、まず当面は、我が国経済の活性化による中程度の経済成長の実現に臨時緊急の措置として全力を注ぐべきであると考えております。
このような当面の財政主導型による内需拡大策の中で、先生の御指摘にもございました国民生活に密着した社会資本整備の促進を重視すべきであり、同時に民間設備投資を引き出すための各般の措置、さらにこの際、国民の住生活の質的改善、向上を思い切って可能とするための住宅の新増改築、さらにリフォームについても積極的な促進措置を図りたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/56
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057・田村元
○国務大臣(田村元君) 現在、国際的にも我が国の内需拡大に対する期待は大変大きいものがございます。先般私が出席いたしましたOECD閣僚理事会におきましても、加盟各国から実効あるものを早急に実施するよう非常に強く要請されたところでございます。
先ほどお尋ねのございました件でありますが、私がOECDへ参りましたときに、ベーカー財務長官と二人で話し合いをいたしました。そのときのベーカー財務長官の発言でございますけれども、念を押したというより強く主張したということでございましょうが、ベーカー氏は、五兆円を上回る財政措置の中身を充実したものとするように非常に強く希望いたしておりました。このような観点から、五兆円を上回る財政措置は可能な限り中央政府の予算支出とすること、それから減税分はそれに追加して行ってほしい、こういうことを申しておったわけであります。この趣旨は、要するに中身の濃い対策を早急に実施してほしいということだと私は理解いたしました。
私としては、もとよりこの内需拡大策というものは、我が国の本来自主的判断によって決めるべきものであることは当然のことでございます。しかし、今申し上げたような、このような海外からの我が国への要望を十分に配慮しながら、円高デフレを克服して、六十二年度の政府経済の見通しにある三・五%の経済成長の達成を図るために、思い切った内需拡大策を講ずることが極めて重要と考えております。
今、総理からもお話がありましたが、自由民主党が取りまとめました総合経済対策要綱、これを尊重しながら、実効ある緊急経済対策を速やかに策定すべく、目下鋭意検討中でございます。今こそ我々は、国民にこの円高デフレを克服することによってお報いをし、国際的には日本の信用を失墜することのないように頑張らなければならないと思うときに、身の引き締まる思いでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110815254X01219870522/57
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058・藤田正明
○議長(藤田正明君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十五分散会
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