1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十二年九月三日(木曜日)
午前十時三分開議
出席委員
委員長 玉沢徳一郎君
理事 近藤 元次君 理事 鈴木 宗男君
理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君
理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君
理事 水谷 弘君
逢沢 一郎君 石渡 照久君
上草 義輝君 大原 一三君
太田 誠一君 木村 守男君
菊池福治郎君 佐藤 隆君
田邉 國男君 武部 勤君
谷垣 禎一君 中尾 栄一君
野呂田芳成君 長谷川 峻君
森下 元晴君 保岡 興治君
柳沢 伯夫君 山崎平八郎君
坂上 富男君 新盛 辰雄君
田口 健二君 田中 恒利君
竹内 猛君 前島 秀行君
武田 一夫君 藤原 房雄君
木下敬之助君 藤田 スミ君
山原健二郎君
出席政府委員
農林水産政務次
官 衛藤征士郎君
農林水産省食品
流通局長 谷野 陽君
水産庁長官 佐竹 五六君
委員外の出席者
議 員 宮崎 茂一君
議 員 串原 義直君
衆議院法制局第
二部長 坂本 一洋君
農林水産委員会
調査室長 羽多 實君
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委員の異動
九月三日
辞任 補欠選任
阿部 文男君 逢沢 一郎君
大石 千八君 武部 勤君
小坂善太郎君 石渡 照久君
五十嵐広三君 坂上 富男君
石橋 大吉君 田口 健二君
辻 一彦君 新盛 辰雄君
佐々木良作君 木下敬之助君
同日
辞任 補欠選任
逢沢 一郎君 阿部 文男君
石渡 照久君 小坂善太郎君
武部 勤君 大石 千八君
坂上 富男君 五十嵐広三君
新盛 辰雄君 辻 一彦君
田口 健二君 石橋 大吉君
木下敬之助君 佐々木良作君
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本日の会議に付した案件
流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特
別措置法案(宮崎茂一君外五名提出、第百七回
国会衆法第六号)
本邦漁業者の漁業生産活動の確保に関する法律
案(安井吉典君外十六名提出、第百八回国会衆
法第一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/0
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001・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 これより会議を開きます。
第百七回国会、宮崎茂一君外五名提出、流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案を議題といたします。
法案は、昨二日に質疑を終了いたしております。
この際、本案に対し、保利耕輔君外三名から、修正案が提出されております。
修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。保利耕輔君。
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流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特
別措置法案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/1
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002・保利耕輔
○保利委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案に対する修正案を提出し、その趣旨を御説明申し上げます。
修正案はお手元に配付いたしましたとおりであります。この朗読は省略いたしまして、以下、修正の趣旨を簡単に申し上げます。
御承知のとおり、原案におきましては、流通食品への毒物の混入等があったことを知った者は、その旨を警察官等に届け出なければならないこととしておりますが、本修正はその届け出義務者の範囲を製造業者等に限定するとともに、これに伴い、罰則規定について、届け出義務違反に対する両罰規定を追加しようとするものであります。
以上が修正の趣旨であります。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/2
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003・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/3
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004・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 これより第百七回国会、宮崎茂一君外五名提出、流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案及びこれに対する保利耕輔君外三名提出の修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/4
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005・藤田スミ
○藤田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、宮崎茂一君外五名提出の流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案及び自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合共同提案による修正案に対する反対の討論を行います。
日本共産党・革新共同がこの法案に反対する第一の理由は、標記立法の必要性がない点であります。
提案のきっかけとなったグリコ事件等については現行刑法等で十分対処できるものであり、新しい刑罰を設けたからといって、犯罪防止に新たな効果があるものではありません。犯人の早期検挙こそ肝要なのであります。また、特殊な犯罪が発生するたびに、現行法に完全に適合する規定がないからといって新立法をつくるのでは、幾つ法律をつくっても限りがなく、法体系全体の整合性を崩すものになります。
反対の第二の理由は、この法案の運用上警察官の判断による乱用の危険が極めて大きい点であります。
この法案では、毒物の混入等を知った者に警察官への届け出義務を課し、違反者を処罰することとしていますが、一般人や製造、運搬労働者に毒物の知識があるはずもなく、扱い食品から毒物が検出されたとして責任を追及される可能性があるなど、運用上警察官の判断によって乱用の危険が極めて大きいわけであります。
この点の修正案についても告知義務者について「製造業者等」となっており、依然構成要件が不明確であるばかりか、告知義務違反の罰則の量刑もそのままであるなど極めて不十分なものであります。また第五条、第六条などの規定に見られるように、全体として警察官の権限強化を必要以上に図っていることも問題であります。
第三に、全体としてこの法案は重罰化先行の感情だけがはやってしまったものであり、立法の基本姿勢に危険な考え方がある点であります。
この法案では、刑罰として十年以下の懲役を規定していますが、日弁連などが反対している改正刑法草案に盛り込まれている飲食物毒物混入罪でさえ、刑罰を三年以下の懲役としており、本法案が十年以下の懲役としていることは改正刑法草案と軌を一にし、重割化の突破口をつくる糸口ともなりかねないものであります。
以上見たように、本法案及び同修正案がグリコ・森永事件の再発防止に何ら役立たないばかりか、関係業者、労働者に過酷な義務などを強いるものであり、結局警察の一層の権限拡大につながるだけであって、我が党は本法案及び同修正案に強く反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/5
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006・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/6
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007・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 これより採決に入ります。
第百七回国会、宮崎茂一君外五名提出、流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案及びこれに対する保利耕輔君外三名提出の修正案について採決いたします。
まず、保利耕輔君外三名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/7
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008・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/8
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009・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/9
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010・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 この際、本案に対し、松田九郎君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田中恒利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/10
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011・田中恒利
○田中(恒)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
まず案文を朗読いたします。
流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)
政府は、左記事項に十分配慮し、本法の適切な運用に万全を期すべきである。
記
一 本法の施行に当たっては、通報義務等をめぐって国民の人権を不当に侵害する事態を生ずることのないよう十分配慮すること。
二 流通食品への毒物の混入等の防止等のための指導、助言等が適切かつ円滑に行われるよう、関係政府機関等の連携体制を強化すること。
三 流通食品への毒物の混入等の犯罪により一般消費者等が受ける被害等について、適切な措置を検討すること。
右決議する。
以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/11
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012・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
松田九郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/12
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013・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。衛藤農林水産政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/13
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014・衛藤征士郎
○衛藤政府委員 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処してまいりたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/14
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015・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/15
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016・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/16
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017・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 第百八回国会、安井吉典君外十六名提出、本邦漁業者の漁業生産活動の確保に関する法律案を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。串原義直君。
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本邦漁業者の漁業生産活動の確保に関する法律
案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/17
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018・串原義直
○串原議員 ただいま議題となりました本邦漁業者の漁業生産活動の確保に関する法律案につきまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連会及び日本共産党・革新共同を代表して、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
二百海里時代に入り、北洋を初め我が国漁業者が開拓し、また、長年にわたって利用してきた漁場には沿岸諸国の管轄権が及ぶこととなったところでありますが、その後の沿岸諸外国による大幅、かつ、急激な対日漁獲割り当ての削減等に伴い、我が国遠洋漁業は相次いで減船を行い、地域経済にも重大な影響が生じておりますことは、各位の御承知のとおりであります。
加えて、最近、サケ・マス漁業や捕鯨業に見られますように、我が国漁業者が国際約束に基づき適法に操業しているにもわかわらず、米国がその操業規制を要求し、不当にも、要求に応じなければ対日漁獲割り当て量を大幅に削減するとの制裁措置を表明したため、それらの漁業は中止または縮減を余儀なくされておるところであります。
さらに米国は、我が国北洋漁業にとって残された貴重な漁場であります公海における流し網漁業及びトロール漁業に対し、厳然と存在する公海に関する条約に基づく公海自由の原則を無視して、実質的に漁業操業の制限を加えようという意向を示しております。
このような状況を放置するならば、我が国の遠洋漁業等は壊滅の一途をたどることは必至であります。
しかるに、我が国は外国の不当な漁業規制に対し、漁業生産活動を確保するための有効な手段を持たないばかりか、我が国漁船が撤退を強いられた外国からの水産物の輸入が急増し、これに伴い生ずる魚価の低迷は、漁業経営をさらに圧迫しているのが現状であります。
本案は、このような状況に対処し、外国により我が国漁業者が伝統的に行ってまいりました漁業生産活動に対し不当な規制が行われた場合において、当該外国からの水産物の輸入を制限する措置を講ずること等により、我が国漁業者の漁業生産活動を確保しようとする等のものであります。
次にこの法律案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、政府は、外国政府との交渉等により、我が国漁業者の漁業生産活動が確保されるように努めなければならないこととしております。
第二に、政府は、外国により我が国漁業者の漁業生産活動につき不当な規制が行われた場合には、政令で定めるところにより、当該外国から我が国に輸出される水産物の輸入を制限し、または禁止する措置を講じなければならないこととし、また、必要があると認めるときは、当該水産物について課される関税のほか課税標準となる価格と同額以下の関税を課することができることとしております。
第三に、我が国漁業者の漁業生産活動につき不当な規制が行われた場合とは、外国により、我が国漁業者が相当の期間にわたり行ってきた漁業生産活動を制限しまたは禁止すべきことを内容とする外国の要求に我が国が応じないことを理由として、当該漁業生産活動以外の我が国漁業者が伝統的に行ってきた漁業生産活動等に対する制限または禁止で、その漁業経営の安定に悪影響を及ぼし、または及ぼすおそれのあるものが行われた場合、あるいは、外国により、我が国漁業者が伝統的に行ってきた漁業生産活動に急激な変化をもたらす制限または禁止で、その漁業経営の安定に著しい悪影響を及ぼし、または及ぼすおそれのあるものが行われた場合としております。
第四に、政府は、本法に基づき輸入制限等の措置を講じ、または当該措置を解除したときは、速やかに、その旨を国会に報告しなければならないこととしております。
第五に、政府は、本法に基づく輸入制限等の措置を講ずるについては、我が国が締結した条約の誠実な遵守について特に留意しなければならないこととしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその主な内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/18
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019・玉沢徳一郎
○玉沢委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時二十分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/110905007X00919870903/19
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