1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十二年十二月九日(水曜日)
午後零時三十一分開議
出席委員
委員長 相沢 英之君
理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君
理事 今枝 敬雄君 理事 太田 誠一君
理事 坂上 富男君 理事 中村 巖君
理事 安倍 基雄君
赤城 宗徳君 上村千一郎君
尾形 智矩君 加藤 紘一君
木部 佳昭君 佐藤 一郎君
笹川 堯君 塩崎 潤君
丹羽 兵助君 松野 幸泰君
宮里 松正君 伊藤 茂君
稲葉 誠一君 小澤 克介君
山花 貞夫君 橋本 文彦君
冬柴 鉄三君 安藤 巖君
出席国務大臣
法 務 大 臣 林田悠紀夫君
出席政府委員
内閣法制局第一
部長 関 守君
法務大臣官房長 根來 泰周君
法務大臣官房司
法法制調査部長 清水 湛君
法務省民事局長 藤井 正雄君
法務省刑事局長 岡村 泰孝君
法務省訟務局長 菊池 信男君
法務省人権擁護
局長 高橋 欣一君
法務省入国管理
局長 熊谷 直博君
委員外の出席者
警察庁警備局外
事課長 国枝 英郎君
総務庁行政管理
局管理官 伊原 正躬君
外務大臣官房領
事移住部外務参
事官 田邊 敏明君
大蔵省主計局主
計官 若林 勝三君
郵政大臣官房人
事部人事課長 楠田 修司君
労働省職業安定
局企画官 吉免 光顕君
最高裁判所事務
総局民事局長 上谷 清君
兼最高裁判書事
務総局行政局長
法務委員会調査
室長 乙部 二郎君
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委員の異動
十二月九日
辞任 補欠選任
稻葉 修君 笹川 堯君
塩川正十郎君 尾形 智矩君
同日
辞任 補欠選任
尾形 智矩君 塩川正十郎君
笹川 堯君 稻葉 修君
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本日の会議に付した案件
閉会中審査に関する件
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第四号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第五号)
裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人
権擁護に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/0
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001・相沢英之
○相沢委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
他に質疑の申し出がありませんので、これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/1
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002・相沢英之
○相沢委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/2
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003・相沢英之
○相沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/3
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004・相沢英之
○相沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/4
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005・相沢英之
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/5
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006・相沢英之
○相沢委員長 この際、申し上げます。
本委員会に付託になりました請願は二件であります。両請願の取り扱いにつきましては、理事会において協議、検討いたしましたが、いずれも採否の決定を保留することになりましたので、さよう御了承願います。
なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、刑事施設法案の廃案に関する陳情書外一件であります。念のため御報告申し上げます。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/6
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007・相沢英之
○相沢委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
まず
第百八回国会、内閣提出、刑事施設法案及び
第百八回国会、内閣提出、刑事施設法施行法案につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/7
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008・相沢英之
○相沢委員長 起立多数。よって、両案について、閉会中審査の申し出をすることに決しました。
次に
裁判所の司法行政に関する件
法務行政及び検察行政に関する件並びに
国内治安及び人権擁護に関する件以上各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/8
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009・相沢英之
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/9
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010・相沢英之
○相沢委員長 お諮りいたします。
本日、最高裁判所上谷民事局長兼行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/10
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011・相沢英之
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/11
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012・相沢英之
○相沢委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小澤克介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/12
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013・小澤克介
○小澤(克)委員 最初に法務省にお尋ねいたしますが、この十二月四日からあしたまででしょうか、十日まで、人権週間というふうに聞いております。
先日、入管局長にお会いしたいということで法務省本省を訪れましたところ、大変大きな垂れ幕がかかっておりました。「人権週間」ということを大きく書いた垂れ幕、これが向かって右側、これは「法務省 全国人権擁護委員連合会」という記載がございました。それから左側にスローガンが四つ掲げてございました。第一番目が「いじめ、体罰の根を絶とう」、二番目が「部落差別をなくそう」、三番目が「女性の地位を高めよう」、四番目が「障害者の完全参加と平等を実現しよう」、大変結構なスローガンであり、また、大変結構な垂れ幕だと思ったわけでございますが、私、これを見まして、このスローガンは大変重要なものが欠けているのではないかという印象を受けたのです。それは、外国人差別の問題でございます。外国人差別をなくして内外人の平等を実現しよう、こういうスローガンもぜひ掲げていただきたかったな、こう思ったわけでございます。
そこでお尋ねするのですけれども、法務省、特に人権擁護を職掌とする法務大臣あるいは法務省といたしまして、外国人差別について現状どうお考えなのか。そういうものはないとお考えなのか、あるいはあるとお考えなのか。あるいはあるとすれば、法務省として、どの程度重要な問題であり、どの程度関心を持っておられるのか、まずお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/13
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014・高橋欣一
○高橋(欣)政府委員 法務省、人権擁護機関といたしましては、従来からあらゆる差別をなくすということを啓発スローガンにして活動してまいっております。その中で外国人に対する差別という問題につきましても重大な関心を払っておるわけでございまして、そのあらゆる差別をなくそうという啓発活動の中に、当然在日外国人に対する差別をなくすということも含めて活動しておるわけでございます。
私どもの活動は、今申しましたように、一般啓発活動、つまり人権意識の普及高揚を図るための活動と、それから具体的に人権侵犯事件として調査の申し出などがありました事件についての調査処理、大きく分けますとこういう二面の活動を行っておるわけでございますが、外国人差別問題につきましても、具体的な案件として当該外国人の方から人権機関に申し出のありました場合には、それにつきまして果たして人権侵犯事件として処理すべきものかどうかという観点から調査して処理してきておるという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/14
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015・小澤克介
○小澤(克)委員 この垂れ幕、垂れ幕にこだわるようですけれども、これは全国人権擁護委員連合会という名称で垂れ幕になっていたのですが、これは一体どういう性格のものなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/15
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016・高橋欣一
○高橋(欣)政府委員 委員御承知のとおり、人権擁護の仕事に携わる民間の活動をお願いしておる方として人権擁護委員というのがございます。全国に一万一千五百名、法務大臣の委嘱を受けて活動していただいておるわけでございますが、その人権擁護委員に関します全国的な組織と申しますのが全国人権擁護委員連合会というものでございます。
もう少し詳しく申し上げますと、各人権擁護委員で組織する一番小さい組織体としまして各地域ごとに人権擁護委員協議会というものがございまして、それをさらにまとめる組織としまして、都道府県ごとに設けられております人権擁護委員連合会というのがございます。そして、その都道府県ごとの連合会をさらに大きくまとめる全国組織としまして全国人権擁護委員連合会というのがあるわけでございまして、これらはいずれも人権擁護委員法によって定められている組織体でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/16
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017・小澤克介
○小澤(克)委員 そうしますと、この四項目のスローガンというのは、法務省が定めたものというよりは、この連合会が定めたもの、こういう認識でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/17
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018・高橋欣一
○高橋(欣)政府委員 私のただいまの記憶では、法務省と全国人権擁護委員連合会との共同の定めであったかと記憶しておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/18
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019・小澤克介
○小澤(克)委員 それで、この外国人差別について、先ほど御答弁がありましたけれども、現状をどう認識しておられるのですか。いろいろ人権擁護委員会等に救済等の申し立てがあるかと思いますので、一番その実情を把握しておられるのじゃないかと思うのですけれども、どの程度重要な問題だと認識しておられるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/19
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020・高橋欣一
○高橋(欣)政府委員 外国人差別という問題も、先ほど申しましたあらゆる差別をなくそうという観点から重要な問題と認識しております。
ただ、先ほど委員から御質問のございました四つのスローガンに入っていないという点でございますけれども、この人権週間に毎年掲げておりますスローガンと申しますのは、そのときどきの最も普遍的でかつ啓発を要する人権問題ということで毎年選定しておるわけでございますが、余りたくさん並べても訴える力が弱くなるということもございましてあの四つに絞っておるわけでございます。この四つは、初めのいじめ、体罰の問題、これは三年前から掲げておるわけでありますが、そのあとの三つはもう十年以上も前から毎年同じ事項として掲げておりまして、いまだに解消されていないという意味でこれを落とすわけにもいかないというような問題もございまして、外国人の問題をあのスローガンには掲げていないという実情でございますが、決して軽視しておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/20
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021・小澤克介
○小澤(克)委員 自治体などでは、いろいろな決議あるいはスローガンを掲げる際に必ずこの外国人差別をなくそうというのを入れているというふうに伺っております。法務省もぜひこれについてもう少し重視していただきたいと思うわけです。
それで、外国人差別については類型的にどんなものが多いというふうに認識しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/21
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022・高橋欣一
○高橋(欣)政府委員 具体的な案件につきまして、私ども本省の方で正確に全部を把握しておるというわけではございません。と申しますのは……(小澤(克)委員「類型と聞いているでしょう」と呼ぶ)ですから、類型的と申しましても、私どもの知る限りでは、例えば家を借りようとする場合に在日韓国人であるということで拒否された事案だとか、あるいは就職に関する差別だとか、そういったものが比較的多い類型ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/22
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023・小澤克介
○小澤(克)委員 今就職差別のお話が出ましたので、伺います。
郵政省の方に来ていただいているのですけれども、名古屋の方で、これはいつごろでしたか、郵便局で年末年始の年賀状などの大量処理のアルバイトを募集していたので台湾からの留学生の方二名が応募したところ、外国人だということで拒否された。その後いろいろあって結局は採用されたというようなことを聞いておりますが、これはどういうことからこんなみっともないといいますか、ことになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/23
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024・楠田修司
○楠田説明員 御説明申し上げます。
本件は、先月、十一月十八日に東海郵政局管内の名古屋郵便集中局におきまして、台湾からの留学生の方が年末年始学生アルバイトの募集に応募されました。集中局では当初、外国籍ということで内務事務への採用を拒否したわけでありますが、その後東海郵政局と相談の結果、日本国籍がないことは内務事務への採用を拒否する理由にはならないという考えのもとに、結果的には採用したというところでございます。
どうしてこういうことが起こったかということでございますが、当初名古屋郵便集中局におきまして拒否した際、郵政職員の採用におきましては、一般の本務の採用でございますが、内務職員の採用試験である場合は、国家公務員採用試験の第Ⅲ種の試験でございますが、この受験資格として日本国籍が必要であるということでございます。それで、非常勤職員の採用の申し込みを受理した際にこの点を誤解いたしまして、受験資格がないということで当初拒否したということが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/24
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025・小澤克介
○小澤(克)委員 今のお話からしますと、内勤と外勤とで分けている、内勤については日本国籍を持つ者に限っているということのようですが、これは何か合理的な根拠があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/25
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026・楠田修司
○楠田説明員 郵政職員の採用につきましては、国家公務員法、具体的には第三十六条及び人事院規則に基づいて行っているところでございます。
一般の郵便局における職員の採用につきましては、内務事務につきまして国家公務員採用第Ⅲ種試験合格者から、外務事務につきましては郵政省職員採用試験合格者から採用することとしております。
そこで、内務職員につきましては、採用試験に関する人事院規則八-一八第八条によりまして、日本の国籍を有しない者は受験資格がないということとされております。一方、外務職員につきましては、郵政省職員採用試験の受験資格を見直しまして、五十九年度の試験から日本に永住している日本国籍を有しない者ににも受験を認める措置を講じたところでございまして、内務については受験資格がない、外務については受験資格があるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/26
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027・小澤克介
○小澤(克)委員 そうしますと、内勤については結局国家公務員の採用といいますか、人事院規則にそういう定めがあるためにやむを得ない、郵政省限りで採用可能なものについては内外人についての差別を外している、こういうふうに理解すればいいのかなと思います。
そうしますと、人事院のこの考え方自体に批判がされるべきかと思いますけれども、公権力の行使または国家意思の形成に携わる公務員について外国人排除というのが現在の水準といいますか、考え方のようでございますが、すべての国家公務員が公権力の行使または国家意思の形成に携わるということにはどうもならぬだろうと思いますので、この辺についての批判はあるわけですけれども、きょうは人事院の方に来ていただいていないので……。
そういたしますと、郵政省としては、郵政省限りで採用できるものについてはもちろん、それから当然このアルバイトなどという単純労務の提供等について内外人を差別するというのは間違いであり、今後そういうことはあり得ない、こういうことを明確に言っていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/27
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028・楠田修司
○楠田説明員 先生御指摘のとおりでございまして、アルバイトにつきましては今後外国籍を理由に拒否するということは絶対にないと申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/28
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029・小澤克介
○小澤(克)委員 このケースでは、内勤については国人に限るというその根拠が国家公務員法、人事院規則にあるということがいつの間にか忘れ去られて、内勤は日本人に限るということが機械的にアルバイトにまで適用されたというケースだろうと思います。こういう単純なミスがまかり通っている背景には、やはり内外人平等ということが国民の意識の中に十分浸透していないからではないか。特に国民の意識をある意味ではリードしなければならないはずの官庁がこういっていたらくというのは非常にまずいのではないかと思うわけでございます。法務省人権擁護局としては、こういう事態をどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/29
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030・高橋欣一
○高橋(欣)政府委員 先ほど来申し上げておりますとおり、法務省人権擁護局としましては、外国人差別に関しましても不合理な差別である、なくすべき差別という観点から、一層啓発を進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/30
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031・小澤克介
○小澤(克)委員 国民に対する啓発も結構ですけれども、まず役所の姿勢を改めるところから法務省は手をつけていただきたいと思いますね。その意味で、最初に言いましたこのスローガン、ふえると水膨れになるという判断かもしれませんけれども、ぜひこの内外人平等ということを入れていただきたいし、今後の人権擁護行政の中でこれはぜひ重視していただきたいと思います。
それから、新大臣に少しお尋ねをしたいと思います。
第何回国会になりますか、この秋まで続いた国会で、外国人登録法のいわゆる改正案が成立したわけでございます。その審議の中で、当時の遠藤法務大臣がいろいろなことを、私どもから見るとかなり前進したといいますか、見解を示されているわけでございます。例えば六十二年九月十七日の参議院の法務委員会で矢田部委員の質問に対して、御存じのとおり前回の改正は、これまで五年ごとに指紋押捺を求めていたのを最初の一回だけに限ったわけでございますけれども、二回目以降を拒否している者に対する裁判あるいは処罰、罰則の適用、それからもう一つ、特に二回目以降を拒否している者に対する行政上の不利益、在留期間の延長を認めないとかあるいは再入国許可を認めないとかいった、これは法務大臣の権限限りで行っているわけですけれども、このようなことについて法案成立後は、「私は、率直に今申し上げると、役所内部からいかような議論が出るかは別として、この改正法案が成立後に改めてこの問題は検討していきたい、そういうふうな考えを持っておるわけでありまして、」こういうふうにおっしゃっておられるわけでございますけれども、新大臣としても同じような見解でしょうか、確認を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/31
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032・林田悠紀夫
○林田国務大臣 さきの外国人登録法の改正を衆議院の当委員会並びに参議院の法務委員会におきまして御審議をいただきました際に前大臣が答弁いたしました諸点につきましては、私といたしましても十分尊重しながら今後の参考にしてまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/32
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033・小澤克介
○小澤(克)委員 参考にしながら十分尊重していくということでしょうか。大臣はかわっても法務行政としての継続性はあるわけでございますので、さきの大臣が国民の代表である議会で国民に対して答弁したことですから、これはそのとおり一言一句同じ方針である、こうおっしゃっていただかないと困るのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/33
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034・林田悠紀夫
○林田国務大臣 先ほども申しましたように、踏襲をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/34
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035・小澤克介
○小澤(克)委員 踏襲ということでございますので、そのようにぜひお願いしたいと思います。
さらに、前回の改正では指紋は最初の一回だけは残念ながら残ったわけでございますけれども、この点についても遠藤前大臣が、同じ日の同じ委員会での同じ委員の質問に対して、指紋制度を全廃するということに関連をして、今回については「正直のところこの法案を出すのがぎりぎりいっぱいだったんです。一回だけだということにすらなかなか厳しい状態があった。そういうような点をひとつ御理解願いますが、私は将来先生の御指摘のようなことでいくのが」、これは前後の脈絡からいたしますと、指紋制度を全廃するという趣旨でございますが、「御指摘のようなことでいくのがふさわしいなとも感じております。そういうふうな点でこれからの課題だと、こう承知をいたしておるわけであります。できるならば指紋のない、本当に法治国家として環境のよい日本国であってほしいなというような考えを念頭に置いているということを申し上げておきたいと思います。」このようにおっしゃっているのですが、この点についても新大臣も同じお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/35
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036・林田悠紀夫
○林田国務大臣 その点につきましても同じように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/36
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037・小澤克介
○小澤(克)委員 さらに、ちょっと見失ってしまいましたけれども、いずれにいたしましても、今度の法案改正はこれでもってよしとしないで、数年内にさらに見直す機会を設けたい、このような答弁をされているわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/37
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038・林田悠紀夫
○林田国務大臣 現在の事態におきましてはこれが最良のものとして提案をさせていただきましてお認めいただいたのでございまするが、その場合にいろいろ附帯決議もございまして、やはりこれは時代の進むにつれましてさらに改善をしていくための努力は当然なすべきもの、かように存じておりまするので、努力をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/38
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039・小澤克介
○小澤(克)委員 それでは郵政省の方、どうぞ結構でございます。
そこで次に、最近話題となっております、バーレーンで身柄を拘束されている、みずから日本人蜂谷真由美と名のっている方の件につきまして若干お尋ねいたします。これは外務省さんにお尋ねすればいいのでしょうか。
そもそも、この自称蜂谷真由美という方はバーレーンで身柄を拘束されているということのようでございますが、これはどういう容疑でバーレーンにより身柄を拘束されているというふうに御認識でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/39
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040・田邊敏明
○田邊説明員 具体的な容疑等々について明確に何々ということではございませんですけれども、本人が偽造旅券を持っていたことはまず間違いないわけでございまして、そういうふうなことでやられているのだろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/40
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041・小澤克介
○小澤(克)委員 偽造の旅券による不法入国の疑い、こういうことになるのでしょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/41
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042・田邊敏明
○田邊説明員 バハレーン政府が具体的にどう判断しているかということについて軽々には申し上げられませんけれども、そういうことではないかな、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/42
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043・小澤克介
○小澤(克)委員 この自称蜂谷真由美という女性の身柄が韓国に引き渡されるのではないかというお話が報道されているわけですけれども、現時点ではどうなっていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/43
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044・田邊敏明
○田邊説明員 現時点で、絶対にとか何かというのはなかなか難しいと思いますけれども、我々が承知している限りにおいては、バハレーンにあるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/44
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045・小澤克介
○小澤(克)委員 それでは、それを前提にお尋ねしますが、昨日も法務省の刑事局長の当委員会でのお答えである程度明らかになっているのですが、この蜂谷真由美及び自殺したと言われている蜂谷真一はいずれも日本政府発行のパスポートのにせものといいますか、偽造のものを持っていたというふうに報道されておりますし、さらにその後の報道等によりますと、成田を出国したということを証明する判こといいますか、スタンプというのですか、それが押されていたというようなことも聞いているわけでございますが、これらは日本の法令に違反をするといいますか、日本の刑事法の適用があることになるのは間違いないでしょうね。何国人であるかあるいは国内外犯いずれであるかを問わず、日本の刑法の適用の対象となる犯罪類型であるということは間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/45
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046・岡村泰孝
○岡村政府委員 旅券の偽造につきましては日本刑法の公文書の偽造に当たると思われますし、また、偽造いたしました旅券の行使であれば、これは偽造公文書の行使に当たろうかと思います。これらの事犯につきましては、日本刑法上、何人を問わず、国外で犯したものにつきましても日本刑法の適用があるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/46
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047・小澤克介
○小澤(克)委員 そういたしますと、現実に日本の国家主権のもとにこの方を連れてくることができるならば、捜査を遂げ、起訴、裁判ということになるのが本筋だ、こういうことになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/47
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048・岡村泰孝
○岡村政府委員 偽造されました旅券の行使事件につきましては、現在警察におきまして捜査を遂げているところでございます。
海外におります犯人と目される人物につきまして引き渡しを求めるかどうかということになりますと、これは捜査の結果等を踏まえまして、諸般の事情を総合いたしまして判断されるべき事柄であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/48
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049・小澤克介
○小澤(克)委員 いや、私がお尋ねしたのは、仮にこの真由美と名のっている方が日本の国家主権のもとに入るような事態となれば、当然起訴され、判決を受け、その刑に服する、こういうことになるのではなかろうか、こう聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/49
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050・岡村泰孝
○岡村政府委員 もし犯人と目される者が日本の領域内におりまして、かつ具体的な犯罪につきまして有罪と認めるに足るだけの証拠があるならば、それは日本の裁判のもとにおきまして処罰されるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/50
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051・小澤克介
○小澤(克)委員 それで、パスポートというのはそもそもだれが発行するか、作成名義はどこになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/51
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052・田邊敏明
○田邊説明員 パスポートの発行権者は外務大臣でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/52
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053・小澤克介
○小澤(克)委員 それから、出国を証明するスタンプというのはどういう名義の公文書になるのでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/53
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054・熊谷直博
○熊谷政府委員 出入国の審査等をやっております入国管理局が出国を確認するための公印ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/54
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055・小澤克介
○小澤(克)委員 そうしますと、このスタンプも、報道されているようにもし偽造であれば、入管局作成名義の公文書が偽造された、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/55
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056・岡村泰孝
○岡村政府委員 日本の刑法の言いますところの公文書あるいは公印に当たるならば、そういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/56
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057・小澤克介
○小澤(克)委員 そういたしますと、これは日本政府、外務大臣発行の公文書という大変重大な公文書が、その信用性が害されたという事件でございますね。当然日本としてはこれについて引き渡しを受け、捜査を遂げて、どうしてこんなことになったのか、外務大臣が発行する、あるいは入管局の作成名義の文書が偽造されるというような事態が今後も起こっては困るわけでございますから、事態を解明し、再発防止のためにもきちんと捜査を遂げ、処罰すべきものは処罰するという毅然とした態度を貫くのが当然ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/57
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058・林田悠紀夫
○林田国務大臣 偽造日本旅券の行使事犯につきましては、現在警察において捜査中でありまして、この観点から同人の身柄の措置に関心を有しておりまするけれども、我が国として身柄の引き渡しを請求するかどうかということにつきましては、同人の身分事項に関する捜査結果等を含めて諸般の状況を総合的に検討の上判断すべきものと考えておりまして、今のところ請求すべき段階にまで至っていないものと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/58
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059・小澤克介
○小澤(克)委員 身分事項とは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/59
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060・岡村泰孝
○岡村政府委員 国籍その他でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/60
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061・小澤克介
○小澤(克)委員 先ほど刑事局長みずからおっしゃったように、この公文書偽造については、国籍のいかんを問わず、内外人を問わず、また犯罪地を問わず日本の刑法が適用されるべき犯罪類型でしょう。しかも、被害法益は、我が国の外務大臣発行の公文書の信用性が害されたということですから、国籍がどこにあるかというようなことが何か関連を持つのですか。論理的につながらないと思いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/61
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062・岡村泰孝
○岡村政府委員 ある違反事件につきまして捜査をいたしております段階で、犯人と目すべき者が国外にいるという場合に、その者について引き渡しを求めるかどうかということにつきましては、やはり国籍その他諸般の事情を総合して検討するのが相当であるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/62
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063・小澤克介
○小澤(克)委員 現在バーレーン政府のもとに身柄があるわけでございますので、バーレーン政府が捜査権を行使しているのだろうと思いますけれども、バーレーン政府の方で、みずからの国家主権の範囲内で捜査を遂げるのだ、外国には引き渡さない、こういう姿勢があるのでしょうか、どうなんでしょうか。これは外務省の方から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/63
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064・田邊敏明
○田邊説明員 その点はまさにバハレーン政府が決めるべき話でありまして、我々としてはそれを尊重する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/64
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065・小澤克介
○小澤(克)委員 いや、だからバーレーン政府が現在そういう姿勢を持っているのかどうかと外務省に聞いているのです、情報として。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/65
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066・田邊敏明
○田邊説明員 先ほどお答えしたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/66
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067・小澤克介
○小澤(克)委員 答えていない。質問を続けられない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/67
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068・田邊敏明
○田邊説明員 バハレーン政府が今後、こういうふうな意向を持ってやっていくかということについては、これはまさにバハレーン政府が決めることでありまして、それ以上のことは申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/68
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069・小澤克介
○小澤(克)委員 そんな当たり前のことを聞いているのではなくて、バーレーン政府の意向はどうか、外務省としてはどういう情報を持っているかと聞いているのですよ。なぜかといいますと、新聞報道などによりますと、バーレーン政府としては外国に引き渡すことにやぶさかではない、当初は理屈からして日本に引き渡そう、こういう意向であったというようなこともちょっと報道で聞いておりますので、バーレーン政府の意向はどういうものなのか、外務省として当然情報を持っておられるはずだと思って聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/69
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070・田邊敏明
○田邊説明員 これは私、別にバハレーン政府の者でありませんから、そこまで断言はできませんけれども、バハレーン政府の方として所要の手続が終わればその後のステップに移る、こういうことだろうと思います。その後の措置をとることになるだろう、こう理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/70
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071・小澤克介
○小澤(克)委員 その後の措置とは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/71
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072・田邊敏明
○田邊説明員 その後の措置についてはいろいろあろうかと思いますけれども、そのまま引き受け、とどめる場合もあるかもしれませんし、あるいは第三国に引き渡すということもあり得ようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/72
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073・小澤克介
○小澤(克)委員 そうしますと、バーレーン政府としては、少なくとも今後も引き続きみずからの主権のもとに置くということには必ずしもこだわっていない、このようにお聞きできるわけですけれども、そうしますと、ますますなぜ日本がこの引き渡しを要求しなかったのか。報道によりますと、官房長官も要求しないということを早くから言われておったようですし、外務大臣もそういう意向を表明したということも聞いております。外務省、どうしてなんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/73
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074・田邊敏明
○田邊説明員 いずれにしましても、この点につきましてはいろいろなあらゆる条件だとか事情だとか、そういうようなものを総合的に見て慎重に判断していかなければならないということについては申し上げるまでもないことだと思いますけれども、先ほど来出ておりますように、今のところ同人の身元というものがわかっておりません。現時点においても依然としてわからないままである、そういうふうな状況が続いているわけでございまして、そういう状況が続いている今の時点では、蜂谷真由美なる者の引き渡しを要求することは考えていないというふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/74
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075・小澤克介
○小澤(克)委員 外務大臣発行の公文書の信用性が害されたわけですよ。これは、事実は明白だというふうに聞いております。しかも、現在のところ捜査権を行使しているバーレーン、バーレーンの国家主権のもとにあるわけですけれども、その方は必ずしも外国に引き渡すことにこだわっていない。引き渡さないとは言っていない。そうなれば当然引き渡しを請求するのは当たり前じゃないかと思うわけですね。外務省の姿勢は不可解としか言いようがありません。
これはどなたにお尋ねすればいいのか。犯罪の嫌疑ある者を、外国政府のもとにその身柄がある者を引き取る場合の法的な構成というのですかね、これは外国での身柄の拘束をそのまま引き継ぐということには多分ならないだろうと思います。身柄を拘束する法的根拠がそれぞれの国の法律によって違いますので、多分身柄を引き渡す側の国が身柄の拘束を解いて釈放し、かつ国外退去の扱いをする、そしてその国家主権の外に出た段階で、引き受ける側が何らか身柄を拘束する別の法的手続をとる、時間的に接続してやる、日本で言えば逮捕状の執行をする、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、そのとおりでしょうかね。ちょっとそこのところの手続的なことを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/75
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076・国枝英郎
○国枝説明員 国内で犯罪を犯しまして国外に逃亡しておるいわゆる逃亡犯罪人あるいは国外におります国外犯の適用があります被疑者につきましての身柄引き取りの方法でございますけれども、大きく分けて二つございます。一つは、逃亡犯罪人引渡し条約に基づいて身柄を引き受ける場合でございます。これは現在のところ、アメリカとの間の条約が存するのみでございます。二つ目は相手国の国内法令、我が国におきます例えば逃亡犯罪人引渡法というのがございますけれども、この種の国内法令に定めます引き渡し手続によりまして逃亡犯罪人を引き受ける、この二通りの方法がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/76
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077・小澤克介
○小澤(克)委員 対バーレーンの場合はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/77
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078・国枝英郎
○国枝説明員 バーレーンにつきましては、まず条約関係はないと理解いたしております。
国内法につきましていかなる法律があるのか、私自身不勉強でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/78
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079・小澤克介
○小澤(克)委員 いずれにいたしましても、身柄をこちらで引き取る場合にはこちらでその身柄を拘束する根拠がなければいかぬというのは、これは間違いないでしょう。それが前提でしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/79
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080・国枝英郎
○国枝説明員 引渡し条約に基づきます場合は、逮捕状があるのが前提になっております。引渡法に基づく場合は、相手国のまさに国内法の定める手続でありますが、一般的に申せば、そういう逮捕状が存することが前提条件となっておろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/80
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081・小澤克介
○小澤(克)委員 そこでお尋ねするのですけれども、報道されているところによると、どうも韓国がこの引き渡しを要求し、何かその方向へほぼ固まりかけているというようなことを聞いております。これはなかなか理解できないところなんですけれども、韓国は一体どういう根拠でこの蜂谷真由美なる方を拘束しようとしているのでしょうかね。
まず私が疑問とするところは、大韓航空機が行方不明になったこととの関連がいろいろ言われているようですけれども、この大韓航空機行方不明事件というのが、そもそも犯罪事実があったのかどうか全く今のところ不明ですね。ただ行方不明になったわけでございますから、何らかの事故で墜落したのかもしれませんし、これは全くわからない。犯罪の存在事実そのものを客観的に嫌疑づける資料が何もない。ましてやこの蜂谷真由美なる者が犯罪に関与したというようなことを示すものも、ほとんど何も見出せない。どうやって韓国が身柄を拘束しようとしているのかなかなか想像がつかないのですが、これについて外務省はどういう情報を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/81
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082・田邊敏明
○田邊説明員 結局これは韓国とバハレーンの話でありまして、韓国政府がバハレーンにどういうふうな申し入れを行ったかということについては、これは第三国間のことでもありますし、コメントは差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/82
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083・小澤克介
○小澤(克)委員 だから、どういう根拠が考えられるかと聞いているのですがね、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/83
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084・田邊敏明
○田邊説明員 予断を与えるようなことは差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/84
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085・小澤克介
○小澤(克)委員 これはどう考えてもおかしいのですよ。客観的に犯罪があったかどうかすらわからない段階で特定の人を犯罪の嫌疑でもって拘束するというようなことは、これは少なくとも日本の常識では考えられない。日本の裁判官がこれで逮捕状を出すとは私には到底考えられない。こんなことで身柄を要求する。そのことを外務省は踏まえてだろうと思いますけれども、こちらでは明白な外務大臣発行の公文書の信用性が害されたという嫌疑事実があるにもかかわらず、身柄の要求をしない。これは到底理解できない。国民も納得できないことだろうと思いますよ。これはどなたに聞いたらいいのかな。外務省、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/85
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086・田邊敏明
○田邊説明員 先ほど来申し上げているようなとおりでございまして、韓国がどうするかということについては、それは韓国とバハレーンの問題である、最終的にこれをどうするかということについてもバハレーン政府の意向を尊重する、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/86
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087・小澤克介
○小澤(克)委員 報道されるところによりますと、例えば官房長官が、韓国がこの件について調べたいという気持ちは理解できるというようなことから、我が国政府は身柄の引き取りを請求しないというふうに言っているというようなことを聞いております。これは全く理解できないのですね。強制捜査できるだけの材料なしに、まさか身柄を引き受けて任意捜査ということは、これは考えられぬことですから、何を言っているのかよくわからない。もしも韓国のこのような全く通らない要求に押されて我が国政府がこの蜂谷真由美の身柄の引き取りを遠慮したということになれば、これは非常におかしなことだろう、筋の通らない話だろうと思います。韓国の方の航空機事故ということに結びつけて考えるその国民感情を尊重しようということかもしれませんけれども、こういう筋の通らないやり方では本当の国際的な友好というのは生じないと思いますよ。まさに卑屈そのものだと思いませんか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/87
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088・田邊敏明
○田邊説明員 見解の分かれるところだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/88
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089・小澤克介
○小澤(克)委員 警察庁、どうお考えですか。捜査を担当するところとしては、できれば捜査を遂げたいというお気持ちは当然あるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/89
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090・国枝英郎
○国枝説明員 バーレーンで身柄を拘束されました男女二名は、先ほどからお話が出ておりますように、日本人名義の旅券を持っておったわけでございます。この旅券は、いずれも偽造旅券と見られるところであります。したがいまして、警察としましてもこの面から捜査をやっており、その意味におきまして身柄の措置には関心を持っております。ただ、現在の捜査状況等からいたしまして、まだ身柄の引き渡しを求めるか否か、そこを判断できみ段階には至っていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/90
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091・小澤克介
○小澤(克)委員 大変不満であります。我が国の外務大臣の発行した公文書の信用性が害されたことは明々白々であります。他方、韓国がいかなる容疑をもってこの蜂谷真由美なる方を拘束しようとしているのか、到底理解できないところであります。犯罪事実の存在それ自体がいまだあるかないかわからない状態で、それにもかかわらずもしも韓国に対する遠慮から我が国の政府がこの身柄の引き取りを要求しなかったとすれば、これは大変禍根を残すことになると思います。厳重にここで注意をしておきたいと思います。
きょう最高裁にわざわざおいでいただきましたが、ちょっと時間がなくなりましたけれども、せっかくですからお尋ねをいたします。
きのうも当委員会で他の委員から質問が出ておりましたけれども、裁判官会同というのがあって、そこで最高裁の民事局の見解なるものが示された。その結果が「水害を原因とする国家賠償請求事件関係執務資料」というものになって配付されているというようなことを聞いているわけですけれども、このこと自体に間違いはございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/91
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092・上谷清
○上谷最高裁判所長官代理者 仰せのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/92
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093・小澤克介
○小澤(克)委員 この裁判官会同なるものは一体どういう性格のものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/93
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094・上谷清
○上谷最高裁判所長官代理者 裁判官会同あるいは協議会と申しましても、いろいろな種類のものがございます。したがいまして一概には申せませんが、全体に共通することと申しますと、各裁判所の裁判官に集まっていただいて自由に意見を述べていただき、あるいは要望を伝えていただく、そういうふうな趣旨でございます。裁判の円滑な運営に奉仕する役割を担っております私ども事務当局の方で司法行政の一環として、そういう意見を交換していただき、あるいは要望を述べていただくというふうな機会を設けているわけでございます。
その内容はときどきによって違いまして、例えば法律とか規則の改正についての意見、要望等を聞くというふうなものもございますし、それから既にできました法律の解釈について広く意見を交換していただくというふうな趣旨もございますし、それから訴訟のいろいろな場面で問題になっております類型的な事件を取り上げて、その運営等について御協議いただくというものもございます。いろいろな種類のものがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/94
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095・小澤克介
○小澤(克)委員 時間が来てしまいましたので、この問題はいずれにしても若干古い事柄でございますので今後引き続いてこの問題について取り上げていきたいと思いますけれども、一つだけお願いしたいのは、昨日のお話では、この裁判官会同なるものを民事局が招集したというふうに聞いております。そういたしますと、当然司法行政の一環としてなされたのだろうと思いますし、それから民事局見解なるものが示されたのも、これはどうしてなのかわかりませんが、恐らく司法行政の一環としての行動だというふうな御理解だろうと思いますし、そしてその結果を「関係執務資料」という形で刊行し、配ったのも、これも司法行政の一環という位置づけだろうと思います。そういたしますとすれば、この「執務資料」なるものをぜひ当委員会に提出していただきたい、このことを強く要望したいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/95
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096・上谷清
○上谷最高裁判所長官代理者 いわゆる会同、協議会の結果をまとめましたものを私どもが下級裁判所に執務資料等としてお配りいたしておりますのは、せっかく会同においでいただきました裁判官の協議の結果を広く各裁判官に知っていただこうという趣旨で、これも裁判をしていただく上で参考になる図書、資料を配付するという役割からお配りしている性質のものでございます。
ただ、そこの協議会の席上では自由に意見を交換していただくということが必要でございます。ところが、物によりましては、ある裁判官がどういうふうな意見を言った、どこそこの裁判所でこういうふうな意見を言っている、あるいはこういう意見を言っている裁判官もあるというふうなことがわかりますと、実際に裁判の運営の上で支障になる場合がいろいろあるわけでございます。特に、利害の対立が激しい、争点を含むような訴訟につきましては、そういうことが表に出るために裁判官が訴訟の運営に非常に苦労されるというようなことがございます。したがいまして、私どもの内輪の協議の結果でもございますので、物によっては公表しないというふうにしているわけでございます。もちろん、事柄の性質によりまして、訴訟関係人である、例えば訴訟代理人になられる弁護士の方にもむしろ知っていただき、御協力いただくのがより必要だとか、そういうふうな訴訟運営に特段の問題がないようなものにつきましては公表いたしておりますし、むしろ公刊して読んでいただいておるわけでございますが、物の性質によりましては公表を差し控えているわけでございます。
今お話のございました五十八年の協議会のまとめました「執務資料」も、実はそういうふうな配慮から公表を差し控えているわけでございます。これを公表いたしますと、先ほど申しましたようにいろいろ訴訟運営に差しさわりが生じてくるわけでございますし、逆に言いますとまたそういうことをおもんぱかって自由闊達な御議論がいただけないというふうなことになりまして、協議会が十分な成果を上げられないという面もございます。その辺をおもんぱかって公表を差し控えておりますので、その辺をぜひ御理解いただいて提出は御勘弁いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/96
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097・小澤克介
○小澤(克)委員 時間が来ましたので質問はやめますけれども、今のお答えは全く納得できません。司法行政の一環として配付されたものが裁判所の裁判の資料にはなるけれども国民の目には触れない、こんなことはあってはならないことだろうと思います。これは事前に提出をお願いしたのですけれども、拒否されております。私は今のお答えで納得しておりません。今後も引き続き、実際はコピーを持っておりますけれども、これは国民の代表の議会できちんと出していただきたい、場合によっては委員会の方にお願いするかもしれません。きょうは時間が来ましたので、この程度で終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/97
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098・相沢英之
○相沢委員長 中村巖巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/98
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099・中村巖
○中村(巖)委員 本日は一般質問でございますので、私の方から法務省に三、四点御質問を申し上げたいと思っております。
第一点は、外国人労働者の日本国内における就労の問題でございます。
これに関連をして私は六十一年十二月十七日に当委員会で質問いたしておりますけれども、そのときのお話で、不法就労というか資格外活動というか、そういう関係の事犯が非常にふえておるということで、昭和六十年度でその関係で五千数百件の違反があった、六十一年度では七千件以上に上るだろう、こういうお話があったわけでございます。なかんずく、パキスタンとかイランとかバングラデシュ、いわゆるノンビザで来られる国からの入国者が不法に就労するという事案がふえておる、こういうことでございます。
その後いろいろなことが言われておりますけれども、まず第一点は、こういうような先回のお話と同様の状況が今日においてもなお続いておる、こういうことでしょうか。それとも、さらにその傾向というものが加速されているという状況でしょうか。その点をお尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/99
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100・熊谷直博
○熊谷政府委員 残念ながら、その傾向はその後も続いております。特に、先生は六十一年の傾向を予測した答弁について触れられましたけれども、六十一年につきましては六十年の資格外活動絡みの不法残留事件の数字をさらに三千件上回っておりまして、六十年は総数で五千六百二十九件でございますが、それが六十一年通算では八千百三十一件というふうになっております。残念ながら、六十二年、今年度の上半期もその趨勢はそのとおりでございまして、増加傾向にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/100
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101・中村巖
○中村(巖)委員 今もう一点お尋ね申し上げているのですけれども、パキスタンとかイランとかバングラデシュの中近東関係のそういう入国者の趨勢はどうなっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/101
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102・熊谷直博
○熊谷政府委員 実は国籍別の表がここにございますので、それに従って申し上げますと、六十年、六十一年、既に統計上の実数が出た分で申し上げます。男女合わせての数でございますが、フィリピンが六十年三千九百二十七から六十一年に六千二百九十七というふうにふえております。パキスタンにつきましては六十年の三十六から六十一年に百九十六、バングラデシュは六十年には一件であったのが六十一年に五十八件ということになっております。これは不法残留事件の推移でございまして、不法残留者として摘発された、あるいは表に出た人たちの数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/102
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103・中村巖
○中村(巖)委員 先回のお話ではイラン関係で入国者総数が一年間に二万四千人ある、パキスタン関係では一万人あるいはバングラデシュ関係では二千人、こういうような数字が示されておったわけでありますけれども、フィリピンあるいはタイの関係もございますけれども、言ってみればこういう国の方々が単純な観光で日本に来るというのはなかなか考えにくいわけでございまして、恐らくはその多くが何らかの不法目的というか、端的にいえば就労をする目的で来ているということだろうというふうに思うのでございます。
こういうふうに多くの方々が日本に来られて現実に働いているという状況、摘発されるのは氷山の一角でありますから、多くの人が働いているわけで、それらの国々においては日本で働きたいという希望が大変に強い、こういうことでございますし、またそれらの人が日本で働く場合に、違法な就労でございますから、そういうことにつけ込まれて大変に劣悪な労働条件のもとに働かされておる。これはジャパゆきさんの例で見れば明らかなことでありますし、単純労務に従っている男性の労働者だって土木工事等々の現場において過重な労働を強いられ、かつ賃金は安いというような状況になっているわけであります。
そういう現実があるといたしまするならば、このような今の就労規制というようなものがこのままでいいのだろうかということを考えざるを得ないわけでありまして、新聞の論調あるいは識者の一部には、これを何とかすべきじゃないか、こういうような考え方が出ておるわけでございます。先般、六十一年十二月十七日に私がお尋ねを申し上げました限りでは、法務省の入管としては規制緩和の方向は考えておらないんだというようなお話でございましたけれども、こういうような状況がさらに加速をされてきておるという現時点に立って、まず労働省の方から、この問題をどういうふうに考えてどういうふうに対処をしていこうとしているのか、その点をお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/103
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104・吉免光顕
○吉免説明員 外国人労働力の受け入れについてでございますけれども、そのあり方につきましては、経済社会あるいはそういった広い面からの国際化の進展、そういうものを初めとした環境変化等を踏まえて、幅広く見ながら検討していくべきだというふうに考えています。ただ、こういう場合におきましても、日本の雇用失業情勢あるいは労働条件、先生おっしゃいましたような労働条件等に悪影響が出ないように、そういうことを十分配慮していくことが大事だと考えておりますし、そういう観点から、先生御指摘でございますが、基本的には単純労働者についてはこれを受け入れないという方針で対応すべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/104
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105・中村巖
○中村(巖)委員 先般新聞に、労働省におきましても外国人労働力問題について研究するんだ、そういうことで研究会というか、そういうものを発足させるんだということが載っておりましたけれども、それはどういうことで検討されるわけですか。また、現実にそういう機関というか、研究会というようなものを設けられておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/105
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106・吉免光顕
○吉免説明員 先生も御指摘ありましたけれども、最近外国人の不法就労が非常にふえている。片方で外国人の優秀な人材を採用したいというか、登用したい、そういう企業も増加しているわけでございまして、外国人労働者の問題については非常に社会的関心が高まっているというふうに見ております。そういう意味で、この問題についてどういう対応をすべきかということを早急に対応する必要がある、まずそういうことが大事であると考えております。そういうことで、外国人労働者の問題は取り扱いの仕方によって非常に波及範囲が広いわけですし、特に私どもの方から見ますと、労働市場であるとか労働条件、広くは経済社会、そういった点で対外関係にも重大な影響を及ぼしかねないという問題でございますので、学識経験者から構成します研究会を近く発足させて、現状あるいは問題点の整理、諸外国の状況、そういったものの研究を行っていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/106
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107・中村巖
○中村(巖)委員 単純労働者の問題については、日本の労働力の需給の関係からいって非常にややこしい問題があるだろうというふうには思いますけれども、技術者というか特殊技能を有する人、そういう人については中華料理のコックも含めて日本も今受け入れの方向にあるわけですけれども、それは単純労働者にある程度押し及ぼさないと国際的な関係からいっても余りうまくないのじゃないかな、こういう感じがしますし、先ほど言いましたように、これを余りきつく規制をしているがために劣悪な労働条件での実際的な労働力の受け入れという事態が発生しているわけですから、そこのところは考える必要があるのじゃないか。例えば、単身で入国するあるいは短期間で入国するというような条件で認めるというようなことを考えなきゃならぬのじゃないかなというふうに思っております。その点、法務省としてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/107
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108・熊谷直博
○熊谷政府委員 お答えいたします。
労働省の方からお答え申しましたとおり、単純労働者のカテゴリーについての外国人の稼働のための入国というのは認めないというのが政府の現在の方針であって、近い将来、今後ともこの方針は、現在のところと申し上げなければいけないのですが、維持していくというのが現状であります。
ただ、前々からこの委員会でも御議論があるように、単純労働者についてはニーズがあるんだ、何とか条件をつけてでも、今おっしゃいましたように短期間あるいは単身、そういうような条件でもつけてやればそのニーズをかなえることができるのじゃないかとかいうことは部内でも議論していますし、有識者とか労働界、産業界の方々の意見もいろいろお聞きしたり、あるいはセミナーを開いたりというようなことで検討をいたしております。そういう検討の際に、こういう人たちを入国させることとした場合に生ずる社会的な問題とか我が国の労働市場への影響とかその他の諸般の事情、国際化が広まると国際犯罪にも影響を与えるというようなことも含めまして、そういうような諸情勢を考えまして、そういう状況に対応してとり得べき方策については、これは法務省だけで考えるわけにもいかない事情にもありますし、関係省庁と連絡をとりながら慎重に検討を行っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/108
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109・中村巖
○中村(巖)委員 この問題について、大臣のお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/109
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110・林田悠紀夫
○林田国務大臣 一方におきまして中近東の石油の価格の低下の問題、それからまた日本におきまする円高、こういうことによりまして日本がいいというので外国人労働者、特に発展途上国からの労働者が日本に向かって押し寄せてくる、こういうことであると思うのですが、今も世論調査をやってみますると、五〇%近く単純労働者でも入れてはどうかというような人も出てきておる、そういう状況でございます。しかしながら、西独において例のトルコからの労働者によりまして後で非常に困ったというような問題もありまするし、これから日本としても労働政策の上においても十分考えなければいかぬ問題だと思います。
しかし、国際化のためには今のままでいいということにはいかぬと思いまするので、技能労働者が入っていいようになっておりまするから、単純労働者もこれから考えなければならぬのじゃないか、かように思っておりまして、各省また労働界とも十分相談をいたしまして考え方をまとめていきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/110
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111・中村巖
○中村(巖)委員 第二点目は体外受精児の問題でございまして、最近体外受精ということが行われるようになってまいったわけでございます。
人工受精というものは古くからございまして、最初の人工受精児というのはもう三十八歳になるんだ、こういう話もあります。人工受精というのも、これが問題であることは事実でありまして、男性の精子を女性の体内に注入をして受胎をさせよう、こういうわけでありますから、そうした場合に、夫婦間で夫の精子を注入して受胎をするというなら何の問題もありませんけれども、全然夫のものでない、こういう精子が注入をされて受胎して子供が生まれるということになりますと、今ドナーというか提供者は隠されておりますから親を捜索することはできないのかもわかりませんけれども、それにしても、一体それは本来その夫婦の間の子供かどうか。したがって、民法上では夫婦の間の子供として嫡出子になるわけでありますけれども、嫡出子になり、したがって親子関係はあるわけでありますが、それにもかかわらず実際は父親の方とは血縁というものがない、こういうことが起こるわけであります。
ましてや体外受精の問題になってまいりますと、女性の方から卵子を取り出して体の外において別の男性の精子と結合させてそれをまた体内へ戻して着床させて分娩に至る、こういうメカニズムの中では、その子供を産む女性の卵子でなくたってそれはできることになるわけでありますし、精子の方は人工受精と同じように全然別の精子だって構わない。しかし、産んだことはそのお母さんが産んだのだからそこに母子関係がある、しかもなおかつ、そのお母さんが結婚をしている場合には父子関係もあるというふうに擬制をしてしまう、こういうことになるわけです。
こういう問題についてはやはり何らかの対処を必要とするんじゃないかということを考えるわけですけれども、法務省としては何かこれに対してお考えをお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/111
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112・藤井正雄
○藤井(正)政府委員 人工受精あるいは体外受精につきましては、ただいま委員御指摘のようないろいろな態様のものがございますが、現行民法のもとでは、それが結婚をしている夫婦の間のことであります限りは、まさに今お話がございましたように、「妻が婚姻中に懐胎した子」ということで夫の子と推定されるわけでございます。これがよろしいのかどうかということは、一つには医学の発展の問題もございましょうし、これについての国民の倫理観なり、そういったものが果たしてこれを受け入れるのかどうか、そういったこともありましょうし、直ちに私ども今の段階でどれがよろしいのかということはお答えいたしかねるわけでございます。今民法の側が先走ってどうこう申し上げられるような段階ではないのではないだろうかというふうに思っておりますが、非常に検討を要することであることは認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/112
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113・中村巖
○中村(巖)委員 民法の親子法は、従来養子の場合を除いては血縁があるということが――血縁があるということはどういうことか。つまり遺伝子を受け継いでいる、こういうことが親子の基本である、それがなければ親子と認めるべきでないというような考え方に立ってきたと思うのですね。最近では親子法というものの考え方も若干は変わりつつあるようで、血縁ばかりを親子の基準にするのは必ずしも適当ではないという考え方もあるようですけれども、やはり全体外受精の問題あるいは人工受精の問題、こういうものが出てくると民法の考え方の根幹を揺るがすことになるんじゃないか。そうであれば、これはいいとか悪いとかはまた別の観点からありましょうし、倫理的な観点もありましょうし、またそういうこと、倫理的な観点というか人間の尊厳を侵してそういう自然のメカニズムを変にコントロールしているのはおかしいじゃないか、こういう考え方もありますけれども、民法に及ぼす影響というのは多大なものがあって、やはり民法を所管しているというか、その法務省としては何かこれから研究するなり直ちに法制審議会とかそういうところで検討を始めるなりしなければおかしいんじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/113
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114・藤井正雄
○藤井(正)政府委員 この問題につきましては最近法律学者が次第に取り上げ始めておりまして、また、医学の分野でも同様に医の倫理の面から検討がされているとは思いますが、いまだ十分に議論が成熟しているとも、そういう段階にあるとも思われません。将来の課題として検討をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/114
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115・中村巖
○中村(巖)委員 今の点について、大臣、感想がございましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/115
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116・林田悠紀夫
○林田国務大臣 この問題は最近あちこちでよく聞くようになってまいりましたが、やはり先生を初めとしまして有識者の国民、世論の動向と申しまするか、そういうものをもう少し見きわめまして検討をする段階にあろうと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/116
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117・中村巖
○中村(巖)委員 三点目は、最近の土地高騰に関連をする問題でございます。
土地高騰をどうするかということは、本国会が土地国会である、こういうふうに言われるほど問題が大きいわけでありまして、私も土地問題等に関する特別委員会の委員ということにもなっているわけでありますけれども、その中でいろんなことが言われております。
一つは借地・借家法の改正の問題でございまして、この借地・借家法の改正については、土地高騰問題とは別に法務省において従来取り上げられてきた問題、法制審議会にかけてきた問題であるわけでございます。それでいろいろやっておられる。昨年におきましてもいろいろ問題点を摘出をして、これに対して各方面の意見を聞くということもやっておられ、最近では法制審議会の部会において審議を続けている、こういう状況のようでございます。
ところが土地高騰問題が起こってきたら、途端に借地・借家法の改正は必要ではないか、法務省独自に今日まで行ってきたこととは別にそういう声が起こってきて、いつの間にか政府の緊急土地対策要綱の中にまで、これは今年の十月十六日ですか発表をされましたその中にまで、借地・借家法の改正ということが書かれてしまったわけであります。
私自身は、借地・借家法を改正したから土地が下がるなんということは到底あり得べからざることだ、こういうふうに思っております。また借地・借家法の改正の中に、改正が必要な部分もないとは申せませんけれども、定期賃借権をつくったり、あるいはまた正当事由の一部を地主さん、家主さんの側に有利に変えよう、こういうことが考えられていて、それが土地の供給をふやすんだ、こういうような言い方をされるわけですけれども、私はそんなことはちょっと考えられないというふうに思っております。
しかし、大臣は土地問題の特別委員会におきまして、やはり借地・借家法の改正が土地の供給を促進する一助になるんだ、こういうことを御答弁になった。そのことを私自身は質問をしなかったわけでありますけれども、他の委員の質問に対してそういうお答えをしておられる。それは間違っているんじゃないか、私はこういうふうに思っているのですが、まず大臣のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/117
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118・林田悠紀夫
○林田国務大臣 借地・借家法の改正問題につきましては、御指摘のように法制審議会の民法部会におきまして今鋭意検討をしていただいておる最中でございまして、法務省といたしましては、部会の審議を見守っておるという状況でございます。
もう先生よく御承知のように、借地・借家法は借地権あるいは借家権の保全、弱い者の保護と申しまするか、そういう問題、あるいはまた貸し主の方からは投下資本を保全をしてまいるとか、そういうようなことがこれの内容になっておるわけでありまして、御指摘のように、それが直接土地価格を引き下げるとか、そういうことにはつながらないわけでございます。しかし、せっかくの権利を有効に使ってまいる、あるいは土地の有効な利用とか、いろいろそういう面からも考えていかなければならぬ問題でございまして、今いろいろ問題点を指摘されて検討していただいておるということでございまするので、私はむしろ、余りこれが土地の価格の引き下げには役立たぬような答弁をしたと思っておるのでありまするが、そういうふうに聞こえたかどうか、ちょっと私としましてはそういうことでないような答弁をしたように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/118
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119・中村巖
○中村(巖)委員 借地人、借家人の保護のために借地・借家法はあるわけでありまして、今回の土地高騰問題というのは、高騰した原因はいろいろありますけれども、その中には地上げ屋なんかが暗躍をしてそして土地を上げてきた、こういうことがあるわけで、借地人、借家人の地位を今以上に弱める、こういうことになればますます地上げ屋の横行を助けるということになってしまうわけですね。地上げ屋の横行を助ければ、つまり地上げ屋としては借地人、借家人を追い出すのが易しくなるわけですから、そうなればますます土地は上がってしまうということになるのだろうと私は思っておりますが、この際その議論は別といたしまして、法務省としては、その借地・借家法改正についての立法作業は現時点でどういう段階にあるのか、その先の見通しはどうなっているのか、それをお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/119
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120・藤井正雄
○藤井(正)政府委員 ただいま委員からお話がございましたように、法務省の方でこれまでいろいろ出てまいりました各方面から指摘されている問題点を取りまとめて、それを流して意見をちょうだいし、それに基づいて現在民法部会の財産法小委員会において検討を進めていただいております。大体六十一年六月末までに七十三ほどの団体から意見が寄せられました。現在の審議の結果を、これからさらに行われます審議の結果を踏まえまして、明年、六十三年の終わりごろまでにはできれば民事局としての改正試案をつくりまして公表いたしたい。これをさらに各方面、各団体にお示しをして意見をいただいた上で、法制審議会でさらにその意見を取り入れまして御検討いただくことになるわけでございますが、見通しといたしましては、最終の答申をいただくのは六十五年ぐらいにはなるのではなかろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/120
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121・中村巖
○中村(巖)委員 時間がなくなりましたけれども、最後に一点だけ。
この土地供給問題に関連をして空中権、エアライトの問題というのが言われておるわけでございまして、この空中権問題というのはいろいろな議論があってなかなか長いことになってしまうわけですけれども、それを全部省略いたしますと、空中権の対抗要件としての登記がどうなるのだろうかというこの一点が問題としてあるわけで、これが解決されないと空中権問題というのは困るわけなんですが、その辺、法務省はどういうふうにお考えになっておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/121
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122・藤井正雄
○藤井(正)政府委員 お話のございます空中権と申しますのは、昭和四十一年の民法改正でできました民法二百六十九条ノ二の区分地上権のうちのその空中の方に存する地上権のことをおっしゃっていらっしゃるのかと思いますが、これにつきましては不動産登記法の百十一条で対抗要件、登記の仕方、これが定めてございます。実際の登記の上では、例えば東京湾平均海面の上何メートルから何メートルまでの幅、こういうふうな形で登記をすることが可能になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/122
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123・中村巖
○中村(巖)委員 時間ですので、まだいろいろ申し上げたいことがあるのですが、これで終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/123
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124・相沢英之
○相沢委員長 安倍基雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/124
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125・安倍基雄
○安倍(基)委員 実はきょうはこの前のダブル選挙違憲論に対する判決を聞こうと思ったのですが、その前に、今たまたま借地権の問題が出ましたので、ちょっと大臣の逆の感想をお聞きしたいのでございます。
というのは、実は私、中村さんと非常に仲がいいのですけれども、これについては意見が違うのです。私、大分前の法務委員会で、もう半年くらい前になりますか、土地利用から借地・借家法を改正すべきであるということを質問いたしました。そのときに、私エコノミストという雑誌で土地問題を論じたときにもそのことを論じたのですけれども、結局現在における社会的弱者というものは、単に都会の一等地で借地・借家権を守られている人と、膨大な数の二時間も三時間も通って遠くにしか土地が持てない人間と、どっちが社会的弱者がなという話を実は私はこの場で提案いたしまして、その面で借地・借家法もそういう土地利用の面を勘案していわば改正すべきである。この話は、実は余り土地問題がぎゃあぎゃあ言われない前に私は本委員会で取り上げた問題なんです。
それで、私ちょっとお聞きしたいのですけれども、今度の借地・借家法関連で委員の中にそういう経済的な論議をされる委員がおられるのか、その辺をひとつお聞きしたいと思うのです。もう一つ、それとともに、私は土地問題に関連してやはりそういう観点からも借地・借家法を考えるべきだ、その面であるいはむしろ審議を促進してもらいたいという気があるのでございますけれども、私の時間は少ないものですから、それを簡単にお答え願いたい。大臣の感想もお聞きしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/125
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126・藤井正雄
○藤井(正)政府委員 これにつきましては、当然利用者側の御意見も入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/126
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127・安倍基雄
○安倍(基)委員 私のお聞きしたのは、経済的な観点からそれを論議する委員が入っているか、要するに今の土地利用を妨げるのか妨げてないのか、そういった意味の経済的な観点からの人間が入っているのかということでございます。経済学者とかそういった意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/127
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128・藤井正雄
○藤井(正)政府委員 ただいま資料がございませんので正確なお答えをいたしかねるわけでございますけれども、経済学者のような方は特にお入りをいただいていないかと思います。よく調べましてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/128
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129・安倍基雄
○安倍(基)委員 突然の質問で、申し上げなかったものですからかえってあれでございますが、大臣、これはいろいろ議論があると思うのです。私は論文で書いたのですけれども、土地の値段というのは需要と供給だ、今の税制の問題もむしろ逆に需要を増幅し供給を抑える税制になっているということを私はその中で論議したのです。それと同時に、都会の一等地にいる人間が本当に弱者なのか、あるいは遠くから通っている人間が弱者なのか、これは難しい問題がある。しかも土地を高度利用するという面からいえば、都会のど真ん中の場合には今大体立ち退きとか非常に大変だけれども、私はせっかく昔から住んでいる連中を追い出せということまで強く言うわけではございませんけれども、しかしその反面、そうやって土地が高層化できないというような場合に、それはどうしても遠くから通わなければいかぬという要素が起こってくるので、むしろ経済的観点からそれを見なければいかぬ、それからそういった委員も加えて考えなければいかぬ、しかもその審議を促進すべきであると考えます。いささか前の議論と違ってきますけれども、たまたま相前後する議論が二つありますけれども、ちょっと大臣の御感想をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/129
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130・林田悠紀夫
○林田国務大臣 先生のおっしゃるような面は相当あると思います。しかし寸おっしゃいますように土地の価格は需給関係から決まってくるわけでありまして、供給を多くし、東京の需要を減らしていくということが最も大事な問題であります。借地・借家法は本来の目的としておるところがありますが、しかしその結果として土地問題に寄与する、こういうことになると思うのです。したがって、その審議は十分促進をしていただきますようにお願いを申し上げまして、今も鋭意努力をしていただいておるということでございますので、来年の後半期には一応考え方をまとめていただきまして、それをさらに一般の人に知らして最終的な改正案をまとめていただく、こういうことで促進をしていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/130
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131・安倍基雄
○安倍(基)委員 私の提言として、特にこういう土地に関連する経済的な知識を持った人を委員に加えるのも一つの手かなという気がいたしますけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/131
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132・林田悠紀夫
○林田国務大臣 当然、経済的な面からこれを考えるということも必要だと存じます。私、ちょっと委員の構成を今よく知りませんので、後から聞きまして――この案は多くの人に見ていただいて皆の御意見をいただくというようなやり方でやっておりますので、経済方面の方にも十分御意見を伺ってやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/132
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133・安倍基雄
○安倍(基)委員 では、次の問題に移りますけれども、つい最近、ダブル選挙違憲論に対する最高裁判決が出ました。これは、私も後藤田長官にダブル選挙の直前に、これはおかしいぞという話をしたことがあるのです。たまたま私がせっかくいろいろな議論を展開して終わった辺にちょっと入ってきて、ちょっと答えてすぐいなくなってしまったものですから、意味がどの程度理解されたかわからないのですが、私はダブル選挙の直前のジュリストに「衆参同時選挙と解散権」という論文を出したことがございます。そこで論じたことでございますけれども、基本は昭和三十五年に最高裁がいわば逃げの判決を出した。まさに今度の最高裁判決は、小法廷もそれを引用してやっているわけです。三十五年のものですから随分たったわけでございますけれども、見直してしかるべき判決をそのまま引用して、ダブル選挙違憲論を上告棄却している。非常に遺憾でございますけれども、私がこの判決に対して裁判所に聞いてみても、裁判官は弁明せずで一言も言わないのに違いないのです。でございますから、第三者というか、法制局とすると立法府の側ですから、解散権を否定するようなことは言いづらいかもしれませんけれども、最高裁判決に対してどう思うか。今七条解散説というものがいわば通説かのごとく言われておりますけれども、その点について法制局はまだ同じ考えでおられるかということを、一言まず最初にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/133
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134・関守
○関政府委員 ただいま委員も御指摘のように、政府の法制局としてその判決のことをどうこうということはなかなか言いにくい次第でございまして、御質問の判決につきましては、昨年の衆議院の解散と両議院のいわゆる同日選挙の合憲性について争われた事件について、法律問題に関して最終的な権限を有する最高裁判所の判断が示されたというものでございますので、政府としてはその判断を尊重していくべきことは当然だというふうに考えております。
それから七条解散につきましては、しばしば繰り返して政府の見解として申しておりますとおり、いわゆる七条解散説と申しますか、衆議院の解散は憲法第七条の規定によって天皇の国事行為に関する行為として行われるのでございますけれども、実質的な決定権限を有するのは、これらについて助言と承認を行うことを職務とする内閣であるという従来の見解はもとより変わってございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/134
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135・安倍基雄
○安倍(基)委員 そこでまず、七条における「助言と承認」というのが、ございますね。これは四条で「天皇は、」「国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する機能を有しない。」ということと、それから「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」とございますけれども、簡単に申しますと、第七条における「助言と承認」というものは国事に関する助言と承認でございますね。でございますから、衆議院の解散の決定というのは国政に関する機能に基づくものか、国事に関する行為が、一体どちらでございますか。議会でいわば詔書を読むのは国事に関する行為と思いますけれども、解散を決定するのは国事に関する行為であるのか、国政についての機能に基づくものか、どちらでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/135
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136・関守
○関政府委員 憲法第七条各号に掲げております国事に関する行為という中に「衆議院を解散すること。」というのが含まれておりまして、この規定は、天皇が内閣の助言と承認により国事に関する行為を行うことということで定めているわけでございます。御指摘のように、衆議院の解散というのは、それ自体としては高度の政治的な性質を有する行為でございます。したがいまして、国政に関するものであることは疑いございませんけれども、天皇が行う衆議院の解散と申しますのは、内閣の助言と承認とを必要とするということでございますので、先ほど申しましたように、内閣が実質的に決定したところに従って形式的、名目的に行うということでございますので、それによって天皇が国政に関する機能を行使したということにはならない、こういう理解をしておりまして、この点も前から述べているとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/136
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137・安倍基雄
○安倍(基)委員 質疑時間があと五分しかないというのであれですけれども、私はもう一遍聞きますけれども、七条における「助言と承認」というのは、国事に関する行為についての助言と承認であって、国政についてのいわば機能の行使についての助言と承認ではないと見ますけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/137
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138・関守
○関政府委員 この点については、繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、助言と承認というのは国事に関する行為について助言と承認というのを行うことになっておるわけでございますが、その中に衆議院の解散を行うことというのが入っておるわけでございます。そして、これはほかにも、例えば「国会を召集すること。」というようなこともございますけれども、国政に関するものであることは疑いがない。したがいまして、実質的には国政に関する行為について内閣が助言と承認を行いまして、それに基づいて天皇の国事に関する行為として「解散すること。」ということが行われるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/138
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139・安倍基雄
○安倍(基)委員 いいですか。国会の召集に関しては別に憲法の規定があるのですよ、実体規定が。七条に書いてある各号はすべて、憲法の別に実体規定があるのですよ。でございますから、国会の召集はもちろん国政行為かもしれぬけれども、その決定は別にあるのですよ。それを単に表意するために七条があるだけです。要するに、私は、どこに、憲法七条三号から内閣に実質的決定権があるとどこに書いてあるかと聞いておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/139
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140・関守
○関政府委員 この点につきましては、もう繰り返し政府側から申し述べているところでございますけれども、国事行為の規定は、それについて内閣が助言と承認をするということがその実質的な内容を決定するという趣旨をあらわしているということでございまして、衆議院の解散は実質的には内閣が決定をして、それを国事行為として天皇が解散を行うという七条三号の規定が定められている。したがって、七条の三号が実質的な内閣の衆議院解散権の根拠規定である、こういうふうに考えてきたところでございまして、これも従来から申し述べているとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/140
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141・安倍基雄
○安倍(基)委員 私に与えられた短い時間ではこれは十分論議できないのですが、私は今論文を書きつつあるのです、最高裁に対する公開質問状ということで。まさに昭和三十五年の、私はきのう司法の質を高くしてほしいと言いましたけれども、三十五年のこれを見ますと、これが最高裁の判決かと思わざるを得ない。今の話ですよ。七条三号で実質的に内閣に決定権があるとはどこを見ても読めないのですよ。その部分だけですよ。七条の一号、二号、十号まで全部、実質決定権については憲法上の規定があるのですよ。ここの部分だけ急に実質的な、要するに決定権が内閣にあるなんということ、助言と承認によるということはとんでもない話なんです。
私は、この議論をし始めるとなかなか、与えられた時間が短いし、法制局長官をまた改めていずれ呼び出してはっきり詰めたいと思いますけれども、きょうはこのくらいにしておきましょう。要するに三十五年の解散についての判決が、いわば日本の政治形態を非常にゆがめているのです。
私はたまたま調べてみたのですけれども、ほかの国と比べまして下院の議員の在任期間というものが、日本は過去三十年、丸三年ないのですね。というのは、いつでもやれると思っているから。とんでもない話で、私は今執筆中ですけれども、英国においても過去三十年で三年七カ月。ドイツにおいても三年八カ月。フランスにおいても三年十一カ月。つまり、在任期間というものはきちっと相当の期間あるわけです。なぜかといいますと、ドイツの場合には解散は不信任決議が通過しなかったらできない、そういう国家制度になっているわけです。
私は、ジュリストに、要するに日本の戦後の新憲法はまさにドイツと同じである。ドイツはいわば象徴大統領を持っておる。象徴大統領というものは統治権を持ってないのです。要するにこの三十五年の判決は、統治行為、一体だれが統治行為だ。天皇であれば統治権を総撹したのですよ。内閣は統治権を総攪してないのですね。こういった、まさに目を覆うばかりの判決です。今や見直すべきときなんですよ。大体、一票の格差が違憲だと言うくらいならば、解散権が違憲かどうかという判断をすべきなんであります。
これはあなたに怒ってもしようがないかもしれない。また、きょうは法制局長官が土地の方にとられちゃったし、私、時間もないので、今度じっくりこの質問をいたしますから、その前によく勉強しておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/141
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142・相沢英之
○相沢委員長 安藤巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/142
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143・安藤巖
○安藤委員 私は、法務局の増員の問題についてお尋ねをしたいと思います。
法務局業務の中で登記業務、この関係では十年間に仕事の量が二倍にふえておりますけれども、登記関係の職員の数はわずかに八%しかふえておらないという実情にあります。結果として大量の処理未済件数を抱え、長時間の残業が恒常化するという状況になっております。そこで、法務局の仕事の関連で司法書士の方々とかあるいはそこの事務員の方々とかあるいは地方公共団体の職員の方々、いわゆる部外の人たちの応援を得て何とかやっとこなしているという状況であります。この部外の人の応援は、延べ人数で計算をしてみますと年百万人を超える、こういうようなとんでもない状況になっております。こういうことはサービスの低下ということにもつながりかねないと思うのですが、こういうような実態を法務省当局は御存じなのかどうか。まず民事局長さんにお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/143
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144・藤井正雄
○藤井(正)政府委員 御指摘のような部外の方々の応援を事実上いただいているという状況にございますことは、遺憾ながら認めなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/144
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145・安藤巖
○安藤委員 そこで、正直なところ、実際に法務局の登記関係で現在どれくらいの人が不足しているんだとお考えになっておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/145
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146・藤井正雄
○藤井(正)政府委員 登記事件が、これは戦後一貫して増勢にございますし、近時さらに増加の傾向が著しいわけでございまして、こういう登記事件の推移を見ますとき、これの円滑かつ適正な処理を図るためには、当局の立場といたしましてはやはり相当数の人員を必要とする、そういうふうに考えております。これはどのくらいの数が必要であるかと申しますと、それは計算の仕方がいろいろございまして、なかなか一概に申し上げにくいところもございますけれども、やはりこれは相当数の人数を必要とするというふうに申し上げなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/146
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147・安藤巖
○安藤委員 相当数といっても、二百人でも相当数だし千人でもそうだし、いろいろあるのです。これまでもこの関係についてお尋ねをしたことがあると思うのですが、そのときは今の藤井さんではないのですけれども、民事局長さんは三千人以上は必要だと見ているのだという御答弁をいただいたことがあるのですが、この数はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/147
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148・藤井正雄
○藤井(正)政府委員 前々局長あるいは前局長、そのように御答弁申し上げております。私も同様な認識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/148
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149・安藤巖
○安藤委員 そういうような実態であるのに、先ほども土地の問題が出ましたけれども、今いろいろ土地が動いて地上げとかどうとかこうとかという話があるのですが、これは一つの例でありますが、そういう実態に加えて、今これは一つの登記簿謄本を取り寄せる申請書があるのですが、これは港区六本木六丁目一番の一也ということで、一つの申請書で千八百八筆を申請しておるのですよ。だから、これはどえらいことになっているのです。これを全部謄本を作成しましたら、積んで高さが約二メートル。こういうような状況に追い込まれている、非常にとんでもない状況に今あります。だから、こういう実態をぜひとも認識をしていただきたいと思うのです。
そこで、法務省関係の、法務省関係というのか、法務省の職員の人たちが加盟してつくっている全法務労働組合という労働組合がありますが、これは御存じだと思うのですが、この組合が、登記関係だけで一万三千八百五十人以上どうしても必要だ、さらに保護観察所及び地方更生保護委員会関係では八百人以上、それから入国管理職員五百名以上の増員を要求しているのです。これは、各地の職場ごとに一体どのくらいの人間がさらに必要なのかということを出してそれを積み上げた、本当に切実な実際的な要求だと思うのですが、こういうような要求に対して法務省当局としてはどういうふうに対応していかれるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/149
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150・藤井正雄
○藤井(正)政府委員 全法務労働組合がただいま御説明のございましたような数の増員を必要としているというふうに申しておりますことも、私ども十分承知をいたしております。これは職場に働く方々の意見として、私どもも十分耳を傾けなければならないと思っております。
人がどれだけ必要であるかということは、その算定の仕方にもいろいろございますので一概にどうこう申し上げるわけにはまいりませんけれども、これだけ激増しております事件を適正に、そして迅速に処理する体制を整えるためには、現在の情勢のもとにおきましてもできるだけの御配慮をお願いしなければならないと考えまして、相当数の人員増をお願い申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/150
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151・安藤巖
○安藤委員 いろいろ御努力をしておられるということはわかるのですが、来年度の法務省概算要求の概要というのを拝見しますと、増員要求五百二十九人、ところが定員法に基づく削減で、削減計画四百二十六人、差し引き百三人しか増にはならぬということになるのです。これは、全部増員要求が認められての話ですよ。だから、これは大分けた違いだと思うのです。この増員要求そのものがシーリングということでぐっと抑えられての話だということもわかりますけれども、そこのところを突き破ってでもやってもらわぬことには国民に対してサービスが十分行えないんだということをしっかり腹に据えていただきたいと思うのです。
そこで申し上げたいのは、これは請願書なんですが、全部題目は一緒ですからまとめていきます。法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の増員に関する請願、これは第九十四国会、第九十六国会、九十八国会、百一国会、百二回国会、百四回国会、百八回国会、続けて七回です。全会一致でこの請願は採択されているのですよ。こういうような状態にあるのですが、これを国会で採択されたということは、国民の代表である国権の最高機関である国会が増員しろということを言っているのと同じことですよ。そこで、シーリングとか予算の枠組みの問題とかというようなことでいろいろあろうかと思うので、きょうは総務庁さん、それから大蔵省の方からも来ていただいておるのですが、こういうような国会の請願採択もあり、今民事局長さんがおっしゃったような人員増の強い要求がある、こういう状況を踏まえてどういうふうにこの要求に対しておこたえをしていただけるのか。そんなものはてんでだめだとおっしゃるのか、おこたえしていただけるのか、それは、それぞれお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/151
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152・伊原正躬
○伊原説明員 お答えいたします。
法務省の定員につきましては、従来から厳しい定員事情の中にあって増員に努めてきたところでございますが、特に御指摘の登記部門等を中心に相当の配慮をしてきているところでございます。
具体的な数字を申し上げますと、法務局等の登記部門の職員につきましては、六十二年度におきまして百六十一人の増員をやっておりまして、片方で計画削減がございますので、純増という形では三十七名の純増を六十二年度実施しております。また、六十三年度の増員については御要求をいただきまして検討中でございますが、引き続き厳しい定員事情の中にございますけれども、現在その要求内容について検討しているところでございまして、登記部門の職員についても御指摘の業務量の推移等を踏まえつつ慎重に詰めてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/152
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153・若林勝三
○若林説明員 お答えいたします。
登記所における登記件数が急増しておるということにつきまして、現場の登記所の職員の皆様方、いろいろ御工夫をされ、苦労しておられるというふうにお伺いをしておるところでございます。そういうことがございまして、長期的かつ抜本的な対応策というようなことで登記特別会計を六十年度に設立いたしまして、登記事務のコンピューター化を進めるというようなこともしておりますし、また、当面の対応策といたしましても、これまでも国家公務員全体といたしましては定員縮減を図るという非常に厳しい中でございますけれども、登記従事職員につきましてはできるだけの増員措置を講じるということで来たわけでございます。
六十二年度の数字につきましては、ただいま総務庁の方からお話がございましたように百六十一人の増員、純増で三十七名ということでございます。片や国家公務員全体といたしましては三千四百三十二名の純減を図るという非常に厳しい中ではあったわけでございますが、こういう措置が講じられたところでございます。
そこで、六十三年度の増員要求につきましてはこれから法務省の御当局と十分御相談をしていく必要があるわけでございますが、片や引き続き国家公務員につきましては全体としては純減を図っていくという厳しい定員事情も十分我々としては勘案せざるを得ないと思いますが、十分御当局と相談した上、今後検討してまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/153
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154・安藤巖
○安藤委員 時間も来ましたから、最後に大臣にお尋ねしたいと思うのですが、お聞きのとおりのことでございまして、総務庁、大蔵省、あなた方が偉くないという意味で申し上げておるわけではないのですが、本当はもっと偉い人に来ていただいてぴしっと言っていただくと一番いいのですが、事情を知っていただいて、何とか努力しようと言っておられるわけです。
そこで、概算要求を出しておられるのですが、この概算要求そのものが先ほど申し上げましたように遠慮のしっ放しで少な過ぎる、もっとしっかりやっていただきたいということと、少なくとも、これは最小限の話ですが、百歩も千歩も譲っての話ですが、この概算要求の人員増の要求だけは絶対崩さぬというふうに頑張っていただきたいと思うのですがどうかということと、あわせて今後の増員の問題についてどのようにして努力をしていただけるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/154
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155・林田悠紀夫
○林田国務大臣 登記事務が非常に繁忙をきわめておるということは私もよく承知をしております。特に最近、東京都内におきまする事務が極めて多くなってきておりまして、そのために人員増がどうしても必要でございます。私としましては、六十三年度の予算要求の時期が間もなく参りまするので、最大限の努力をしたい、かように考えております。また一方、将来はさらにコンピューター化も進めまして能率を上げていく必要があるだろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/155
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156・安藤巖
○安藤委員 時間が来ましたので、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/156
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157・相沢英之
○相沢委員長 本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111105206X00219871209/157
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