1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十二年十二月八日(火曜日)
午前十時開会
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委員氏名
委員長 名尾 良孝君
理 事 板垣 正君
理 事 岩本 政光君
理 事 大城 眞順君
理 事 久保田真苗君
岩上 二郎君
大島 友治君
岡田 広君
亀長 友義君
古賀雷四郎君
永野 茂門君
桧垣徳太郎君
堀江 正夫君
小野 明君
野田 哲君
飯田 忠雄君
峯山 昭範君
吉川 春子君
柳澤 錬造君
宇都宮徳馬君
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委員の異動
十二月八日
辞任 補欠選任
亀長 友義君 田辺 哲夫君
桧垣徳太郎君 本村 和喜君
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出席者は左のとおり。
委員長 名尾 良孝君
理 事
板垣 正君
岩本 政光君
大城 眞順君
久保田真苗君
委 員
岩上 二郎君
大島 友治君
岡田 広君
古賀雷四郎君
田辺 哲夫君
永野 茂門君
堀江 正夫君
本村 和喜君
小野 明君
野田 哲君
飯田 忠雄君
峯山 昭範君
吉川 春子君
柳澤 錬造君
国務大臣
内閣総理大臣 竹下 登君
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 小渕 恵三君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 高鳥 修君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 瓦 力君
政府委員
内閣官房副長官 小沢 一郎君
内閣法制局第二
部長 大森 政輔君
人事院事務総局
管理局長 加藤 和夫君
内閣総理大臣官
房審議官 本多 秀司君
総務政務次官 熊川 次男君
総務庁長官官房
長 古橋源六郎君
防衛政務次官 高村 正彦君
防衛庁参事官 小野寺龍二君
防衛庁参事官 福渡 靖君
防衛庁参事官 児玉 良雄君
防衛庁参事官 鈴木 輝雄君
防衛庁長官官房
長 依田 智治君
防衛庁防衛局長 西廣 整輝君
防衛庁教育訓練
局長 長谷川 宏君
防衛庁人事局長 松本 宗和君
防衛庁経理局長 日吉 章君
防衛庁装備局長 山本 雅司君
防衛施設庁長官 友藤 一隆君
防衛施設庁総務
部長 弘法堂 忠君
防衛施設庁施設
部長 鈴木 杲君
防衛施設庁労務
部長 山崎 博司君
外務省北米局長 藤井 宏昭君
外務省欧亜局長 長谷川和年君
外務省条約局長 斉藤 邦彦君
外務省国際連合
局長 遠藤 實君
大蔵省主計局次
長 寺村 信行君
通商産業大臣官
房審議官 深沢 亘君
事務局側
常任委員会専門
員 原 度君
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本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆
議院送付)(継続案件)
○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(第
百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付
)(継続案件)
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調
査(公文書館法案に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/0
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001・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る十一月十九日、小島静馬君が委員を辞任され、その補欠として岩上二郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/1
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002・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) この際、国務大臣及び政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。小渕内閣官房長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/2
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003・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) このたび官房長官を拝命し、内閣官房及び総理府本府の事務を担当することになりました。
今後とも誠心誠意職務の遂行に当たる考えでありますので、委員長初め皆様方の格別の御指導と御鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/3
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004・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 高鳥総務庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/4
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005・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) このたび総務庁長官を拝命いたしました高鳥修であります。
私は、社会経済情勢の変化に対応した総合的かつ効率的な行政を実現するため、総合調整官庁として総務庁が果たすべき役割を十分認識し、行政改革の推進を初め各般の課題に誠心誠意取り組んでまいる所存であります。委員長初め皆様方の格別の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/5
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006・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 瓦防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/6
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007・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 先般、防衛庁長官を拝命いたしました瓦力でございます。
現下の厳しい内外情勢のもとにあって、国の存立の根幹をなす国の防衛という大任を担うことになりました。その責務の重さ、厳しさを痛感いたしておる次第でございます。私は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、日本国憲法に従い、国民の皆様の御理解と御協力のもとに、節度ある質の高い防衛力の整備と日米安保体制の信頼性の維持、向上に誠心誠意努めてまいる所存であります。
本委員会の皆様方におかれましては防衛問題に精通され、多年にわたりこれに真摯に取り組まれ、防衛行政の遂行に御協力いただいてきたところでございますが、今後ともなお一層の御指導と御鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/7
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008・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 小沢内閣官房副長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/8
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009・小沢一郎
○政府委員(小沢一郎君) このたび官房副長官を命ぜられました小沢一郎でございます。
官房長官のもとで一生懸命その責めを全ういたしたいと考えております。委員長初め先生方皆様の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/9
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010・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 熊川総務政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/10
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011・熊川次男
○政府委員(熊川次男君) 先般、総務政務次官を拝命いたしました熊川次男でございます。
長官を補佐いたしまして、全力を尽くす所存でございます。委員長初め皆様方の格段の御指導、御鞭撻を心よりお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/11
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012・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 高村防衛政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/12
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013・高村正彦
○政府委員(高村正彦君) このたび防衛政務次官を拝命いたしました高村正彦でございます。
瓦長官を補佐いたしまして、最善を尽くして責務を全うしたいと存じます。委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/13
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014・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
本委員会は、今期国会におきましても、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/14
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015・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/15
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016・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 次に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。
両案は、第百八回国会に提出され、第百九回国会において趣旨説明を聴取し、質疑を行いましたが、継続審査となり、第百十回国会においても継続審査となっております。
それでは、これより質疑を続けます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/16
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017・久保田真苗
○久保田真苗君 防衛庁長官には、世界情勢が非常に大きく変動する時期に御就任になりました。今後、御見識に期待してまいりたいと思います。
そこで、きょうは米ソ首脳会談が開かれる日でございます。世界じゅうが注目しておりますINFの全廃につきまして、そしてさらに戦略核の削減交渉あるいは化学兵器、通常兵器等の交渉にも進んでいくことが期待されておるわけでございますけれども、これにつきまして新長官の御見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/17
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018・瓦力
○国務大臣(瓦力君) お答えいたします。
ただいま久保田委員から御指摘のございましたように、世界が注視をしておる、かように申し上げてよろしいと思うわけでございますが、米ソ間でINF廃止合意に到達をしておるということは、我が国といたしましてもこれを歓迎するものでございます。今後、さらに戦略核、さらには通常兵器、こうした分野にまで話し合いが進むことを期待し、世界の平和を求めてやまないわけでございますので、そうした環境が醸成されることを期待するわけでございまして、現下は厳しい国際情勢にあることは言をまたないわけでありますが、一つの明るい曙光である、かように考えるわけでございます。
今日の国際社会の平和、安定は、核兵器を含めまして力の均衡によって支えられておると、かようなことは冷厳な現実でございまして、我が国といたしましては、従来どおり、自衛のための最小限度の防衛力を保有いたしまして、米国の抑止力と相まって侵略の未然防止に努めてまいる、かようなことも考え合わせるわけでございますが、御指摘のように、米ソ間のこのたびの合意というものをまずは大変歓迎をしながら、今後の進展を見守ってまいりたい、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/18
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019・久保田真苗
○久保田真苗君 私、この際ひとつ長官に申し上げておきたいと思いますのは、今回、防衛二法が継続審議になるに当たりまして、前国会で大変問題になった点がございます。それは、ちょうどその時期に防衛白書というものが発表されまして、それを拝見いたしますと、その中に、一つは軍事力というものの定義をどうとらえるかということと、もう一つは対ソ観でございますね。防衛力の定義につきましては、詳しくは申し上げませんけれども、こういうふうなことを言っているわけです。それは、軍事力の役割ないし機能は究極的には力によって相手に対する要求を充足させることというようなことを言っております。また、強力な軍事力を背景として相手を威圧することなどにより政治的な影響力に転化させることだというような説明も加えられております。
これに対しましては、私の本会議での質問に対して、それは一般的なことを述べたにすぎないから理解してほしいという御答弁があったのでございますけれども、私は、いやしくも長官が言われましたような平和憲法のもとでの自衛力ということであるならば、このような定義は我が国においては採用することも認めることもできないものだと思うわけでございます。したがいまして、こういう軍事力の定義というものを防衛白書の冒頭に掲げるということに対して、私は改めて抗議をしたいと思いますし、長官のおっしゃられた憲法のもとの防衛力の位置づけというものはこういうものではないということを強調しまして、長官の御見解を伺っておきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/19
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020・小野寺龍二
○政府委員(小野寺龍二君) ただいま久保田委員から御指摘ございました今年の白書につきましては、前国会で大変な議論が行われたわけでございまして、私はここで繰り返すつもりはございません。防衛白書にこういう書き方をいたしましたのは、一般的に国際情勢を分析する上で軍事力というものがどういう意義を持つかという形で白書に載せたわけでございまして、我が国の自衛隊が軍事力であるとかという、そういう趣旨でやったわけではございません。あくまでも一般的に国際情勢を分析する上でどういう意義を持つかということを説明した趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/20
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021・久保田真苗
○久保田真苗君 我が国の軍事力の認識でないということでございますから、それでは今後の点につきまして、非常に誤りを犯しやすいこういう認識を正面に持ち出して扱うということはお避けいただきたいと、こう思うわけでございます。
次に、対ソ観でございますけれども、防衛白書に貫かれておりますのは、やはりアメリカの国防白書というものの影響をなぞっていると考えられます。それは、ソ連は悪の帝国であり脅威だと、そういう認識のもとに書かれているわけでございますけれども、私はやはりこのような世界が軍縮に動こうとしているときに、当然隣国であるソ連との共存という立場から事を考えていく必要があるのではないかと思います。長官の対ソ観についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/21
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022・小野寺龍二
○政府委員(小野寺龍二君) 私ども防衛白書を書きます際に、ソ連を悪の帝国というような立場で書いているわけではもちろんございません。ただ、我々の防衛を考えていく場合に、やはり隣国であるソ連の軍事力というものが非常に増大している傾向ということ、これを見逃すわけにはまいりません。これが日本にとっての潜在的脅威であるということ、これはあくまで現実的に見詰める必要があるかと存じます。外交の役割、これはもちろんその上位にありまして、常に隣国ソ連との関係を安定的に持っていくということ、これは当然のことでございますけれども、これは外務省の所掌に属することかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/22
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023・久保田真苗
○久保田真苗君 長官はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/23
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024・瓦力
○国務大臣(瓦力君) ただいま国際参事官が申し述べておるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/24
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025・久保田真苗
○久保田真苗君 シビリアンコントロールという視点からぜひこれからお勉強いただきたいと、こう思います。
次に、今大詰めに来ている諸問題、特に基地の紛争についてお伺いしたいのです。
これはたびたび先国会で取り上げられたところでございまして、いろいろな防衛施設につきまして地元住民からさまざまの意思が表明されております。特に訴訟の事件としましては、嘉手納それから厚木、横田、こういったところからの訴訟が起こっておりまして、横田では控訴審におきまして住民の公害に対する受忍の限度を超えるものだという判示がございました。そして、慰謝料の支払い等も命令されたのですが、これで何も解決していないということなんですね。これは、睡眠妨害、会話妨害、その他情緒不安定、こういったことが事細かく述べられましたにもかかわらず、そして認められましたにもかかわらず、そのまま放置されているという問題がございます。これは人権問題として扱っていかなければならない問題だと思うんですが、その後の防衛庁の御対応についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/25
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026・友藤一隆
○政府委員(友藤一隆君) 国の防衛に必要な施設としまして飛行場を各地に設置し、また米軍に提供いたしておるわけでございますが、お尋ねの厚木でございますとか横田の飛行場におきます騒音問題、これについては周辺の住民の方々にいろいろ御不便をおかけしておるわけでございます。私どもといたしましては、対策といたしまして、まず音源対策というものがございまして、サイレンサーを設置いたしますとか、そういったことでエンジンから出る音の発散を防ぐというような対策、それからこれはいろいろ限度はございますが、任務に支障のない限度で運航対策を講じまして、例えば夜間、深夜等の飛行をできるだけ制限する、あるいはコース等について格段の工夫を加えていただく、こういった努力をやっておるわけでございます。
ただ、それだけでは限度がございますので、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律等に基づいて各般の施策を講じておりまして、例えば住宅防音でございますとか学校防音あるいは移転等の措置、そういった措置を幅広く長年にわたって実施いたしておるわけでございますが、何分にも非常に数が多うございますし、対象も幅広うございますので、なかなか一度には手のつかない面もございますが、深刻なところから優先的に、私どもといたしましては、できるだけ被害が少なくなりますように、格段の努力を今日までいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/26
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027・久保田真苗
○久保田真苗君 私は、まずこういう判決が出た以上、それらの対応策が十分とられなきゃならないんですけれども、現に今起こっている被害に対しては、やはり訓練の停止とかあるいは制限とかということを当然申し入れるべきだと思うんですね。そういったことについての御努力は長官はなさるお気持ちがおありでしょうか。それはやはり私は人権の問題というものを十分考えていただかなければならないと思うんです。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/27
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028・友藤一隆
○政府委員(友藤一隆君) お尋ねの今訴訟等でいろいろ話題になっております件、高裁等で判決が出ておるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたようないろんな施策を今後も一層充実して努めるということのほかに、事柄の性質上これは我が国の防衛、国防に関連いたしまして大変重要な施設でございます。その運用というものも一方では十分確保していかなくてはなりませんので、この辺のバランスを私どもとしては十分配慮しながら、その運用に支障のない範囲でできるだけ騒音の障害を軽減していく工夫というものも今後一生懸命とっていくということについてはやぶさかでないわけでございますが、先ほど申し上げました運航対策あるいは音源対策等については限界がございますので、今申し上げました法律等によりまして今後も一生懸命軽減措置等について努力をいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/28
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029・久保田真苗
○久保田真苗君 長官、住民が訴訟を起こすということは、これは並み大抵のことじゃないんですね。そして、その願いをぜひ聞いてもらいたいからこそやっているわけなんです。そしてその結果、防衛庁しかできない、あるいは防衛庁と外務省、役所しかできない折衝事項があるのに、それをほうっておくということはないと思うんです。長官におかれましては、少なくともこういった住民の非常に限度を超える公害というものをアメリカ当局と今後話し合っていただく、こういうことがありましたときには話し合っていただく、そういう姿勢をお持ちいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/29
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030・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 大変国民生活に御不便を来しておるという御指摘のもとで、施設庁長官がその音源等につきましても細心のまた最大の努力をしておる、かように答弁をいたしておるわけでございますが、我が国の安全を確保してまいる、そしてまた国民の生活を、幸福といいますか、幸せを守っていくということの根源には、日米安保体制、この体制の維持ということが極めて重要なことでございまして、そういう面から申し上げまして、住民の方々の御理解や御協力を得てまいりたい、かように思うわけでございます。
御指摘の点につきましては、なお継続しながら音源対策等につきまして努力をしてまいることは、申すまでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/30
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031・久保田真苗
○久保田真苗君 長官、さっきから安保体制とおっしゃるんですが、この判決によりますと、安保は特別じゃないと言ってるんですね。他の行政と一緒だと言ってるんです。それは人権に対してはそういうことだと思うんですよ。安保だから何をしてもいい、人の睡眠を妨害して人の健康を害してもいい、そういうことにはならないと思うんです。長官がそういう御姿勢で、安保だから何でも住民は我慢するんだ、理解させるんだ、そういうことですと基地紛争というものは決しておさまることがないと思うんです。私は、身を挺してこういうお話し合いをしていただきたいと思うんです。
それから、三宅島と池子の件なんです。これはもう選挙によって住民の意思というものが明確に表示されているわけですね。こういう民意をどういう形で行政に生かしていただけるのかということで、私大変見守ってまいりましたんですけれども、これまでは地元の理解を得たいという形で、御自分の方は何一つ譲歩というようなこともなく、ただ理解の押しつけに終わってきているわけなんです。これでは、住民はもちろん、私どももとても納得できないわけですね。どういう格好でこういう住民のはっきりとした意思表示というものとの調整を図っていくのか、それに対してどういうふうに対応していくのか、生かしていくのかということをお伺いしたいと思うんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/31
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032・友藤一隆
○政府委員(友藤一隆君) 池子と三宅の問題をお尋ねでございます。
ます池子の問題につきましては、御案内のとおり、相当以前から私どもこの米軍住宅の不足というものが深刻な状況にあるということで、この解消のために努力をいたしまして、五十七年以来池子住宅地区・海軍補助施設で米軍住宅を建設するということで、地元とも御相談をいたしておったわけでございます。それで、当時の逗子市長とは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/32
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033・久保田真苗
○久保田真苗君 済みません。今後のことでお話しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/33
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034・友藤一隆
○政府委員(友藤一隆君) 十分協議をして、条件つきで同意をいただいたわけでございますが、その後市長さんがかわられまして、自然を最大限保存すべきであると、こういう御意見等も相当出てまいりました関係上、環境影響評価条例等に従いまして、あるいは県知事さんの調停案等を尊重いたしまして、地元の方の御意見につきましては私どもとしては既に十分配慮をし、意見もお伺いして計画を大幅に修正いたしましたのでございまして、何らそれを聞かないということではございません。状況としては、大変私どもとしては内容については地元の御意見を大幅に取り入れておるということでございますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
それから、三宅の問題につきましては、現地におきまして反対が強いことは事実でございますが、私どもとしましては、その反対のかなりの部分というのが憶測に基づく誤解というようなものもございますので、十分お話を聞いていただきたいということで努力をいたしておるわけでございます。そういった対話の機会をなるべく今後得るようにさらに努力をいたしまして、意を尽くして地元の御理解、御協力が得られるよう努力を今後も続けていきたいということでございます。こういった話し合いを通じまして、訓練場の早期実現を私どもとしては今後図っていきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/34
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035・久保田真苗
○久保田真苗君 逗子につきましては、地元は自然を守る、子孫に伝える、そういう趣旨からやっているわけですから、かつて代替地という案を幾つも出しているわけです。逗子自身も出しているわけです。しかし、このお話し合いの中には、そういうことはかけらも出てこないんですね。これじゃ、私は、住民としては納得がいかないと思うんです。
それから三宅につきましては、もうこれ住民の理解なしに強行する、ああいう騒ぎを二度と起こしていただきたくない。そのことについて、長官の格段の努力をお願いしておきたいと思うんです。最後に長官の御見解を伺って、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/35
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036・瓦力
○国務大臣(瓦力君) いわゆる池子の問題につきましては、委員御承知のとおり、神奈川県知事にも御苦労をいただきまして、防衛庁といたしまして譲歩すべきもの、また環境維持等につきましても十分配慮しつつ、ぜひ推進をさせてもらいたい、かようなことをお願いしてまいっておるわけでございまして、ぜひ御協力をちょうだいいたしたいと思っておりますし、また三宅島の問題につきましても、委員先ほど以来御指摘の音源対策というのは、厚木周辺の方々に大変な御心配もいただいておるということが一つにはある。また、もう一方におきましては、練度を高めてまいるという課せられた任務もこれありまして、日米安保体制のもとにおきまして我が国としてその努力をやってまいらなきゃならぬ、かように考える観点から、三宅島の方々にもぜひ御協力を賜りたい、かように考えておるわけでございます。この問題は、住民にとりましてもいろいろなまた問題もあるかと思いますが、ぜひ話し合いの場を設けていただきまして理解を求めていく、そうしたことの努力をこれからもひとつ続けさせてもらいたい、私はかように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/36
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037・野田哲
○野田哲君 まず最初に伺いたいのは、きょうの新聞の報道によりますと、瓦長官、年明け早々に訪米をされるという予定が発表されておりますけれども、この間栗原前長官が訪米されたばかりで、それからわずか二カ月ぐらいたってまたなぜ日本から防衛庁長官が訪来をしなければならないのか、一体今訪米しなければならない懸案事項どんなことがあるのか、どういう目的で訪米されるのか、その点をまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/37
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038・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 私も防衛庁長官につきまして、日米関係の緊密な連携というものが今国際的にも必要なとき、かように考えております。また、防衛政策を進める上におきましても極めて重要なことでございますので、就任いたしまして間断なき日米間の対話というのは防衛当局者にやはり必要である、かように考え、その機会を得て訪米をしたい、こういう意思を表明してまいったところでございます。
我が国におきましても政権が一つかわって竹下政権が誕生したわけでございますし、また私もそれに伴いまして長官に任ぜられたわけでございますが、アメリカにおきましても国防長官がおかわりになる、こういうような時点でもございますので、その機会を求めて日米間の問題等につきまして協議を行ってまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/38
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039・野田哲
○野田哲君 具体的な懸案について長官からお話がなかったわけでありますけれども、やはり国民の目に映るのは、日本の防衛庁長官が事あるごとにワシントンに行ってペンタゴンを訪問する、このことがいかにもアメリカの影響下にある、アメリカのコントロールのもとにある自衛隊、こういうことを国民の目に非常に強く印象づけているわけであります。具体的に向こうで協議をされる案件というのは、どういうことを考えておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/39
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040・瓦力
○国務大臣(瓦力君) ただいま申し上げましたように、一つには防衛当局者として理解を得る努力を常にやっておくことは大切なことだと、かように思っておりますし、またその時期に至りますれば、本日行われております米ソ首脳会談、いわゆるINF問題につきましての環境といいますか、経過といいますか、そういったことの意見の交換もあろうと思うわけでございますし、また課題等につきましては今後さらに整理してまいるつもりでありますが、その機を見て訪米をしたいという意思を持ちまして目下検討を進めておる、こういう段階でございますので、これらの問題につきましてまた整理をしつつ、その機会を得れば、ただいま申し上げたようなことにつきましても検討といいますか、協議をしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/40
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041・野田哲
○野田哲君 FSXの問題も恐らく協議の対象になるんだろうと思うのでありますけれども、退任直前に栗原前長官が訪米をして、これも退任直前のワインバーガー・アメリカ国防長官との間でFSXの問題について合意をされた、こういうことが発表されているわけでありますけれども、どのような合意であるのか、まずその点から伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/41
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042・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) 先般栗原前長官が訪米されました際に、今御質問のように、FSXについてワインバーガー長官とお話があったわけであります。その際、栗原長官の方から申されたましたのは、防衛庁として将来のFSXに採用すべき候補についていろいろ検討したと。その際に、現に既に存在している航空機、例えばF16であるとか18であるとかあるいはF15であるとか、そういったものについても十分検討しました。しかしながら、我が国の運用構想なり我が国の地理的特性、そういったものから見ますと、いずれも我が国の要望にぴたりと合うものがなかった。そういうことで、現に既に存在しておるそのまま使える航空機としては適当なものがない。それではそういった航空機をさらに改造するということで、米側から提案されたものがあります。また、日本側の開発案もあったわけでありますが、それらについて見ますと、まず米側が提案した開発案について見ましても、それぞれ一長一短あって我が方の採用にそのまま使えるというものは見つからなかった。まずそういうことを申しまして、ということになると、日本独自で開発するということがいいのではないかと自分は思っているがという話をされたわけであります。
それに対してワインバーガー長官の方から、新しい航空機を開発するということは、日本だけでも、あるいはアメリカだけでやっても、あるいは日米が共同してやっても、理論的にできないことはない。しかし、実際にそれをつくるとなると非常に長い期間と非常に多くの金がかかる。これは日本が今求めている航空機をつくる選択肢としては余り適切でないのではないだろうか。それよりも、現にある飛行機というものがかなりの程度日本の要求を満たしておるものであるから、それに日本の得意である技術を加えて、日本の好きなようなといいますか、日本が要望するような航空機に改造することがより適切ではないだろうかというサゼスチョンがあったわけであります。
そこで、いろいろな論議がございまして、結論的には、それでは現在アメリカにある飛行機のうちのF15とF16、この二機種についてさらに日本独自の技術を加えて少し大幅な改造を加えるという前提でさらに検討してみたいということで、それをやってみましょうというのが日米の防衛庁長官と国防長官の間の話し合いの結果であります。
しかる後帰国をいたしまして、今申し上げたF15の改造案、それからF16の改造案、そういったものについて検討しいろいろ研究いたしまして、その結果、費用対効果あるいは日米のインターオペラビリティーその他もろもろ含めまして、F16改造案がすべての選択肢といいますか候補の中で最もいいということを日本独自で防衛庁としては決めまして、アメリカにそれを通報すると同時に、安全保障会議に現在御説明をし、御審議をいただいておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/42
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043・野田哲
○野田哲君 政府部内の手続としては、今安全保障会議においてこれを継続中、こういうことですね。
いつごろ最終決定をされる予定なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/43
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044・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) 防衛庁のF16改を選択いたしました経過、内容等につきまして、安全保障会議で現在一回の説明をいたしております。と同時に、これと並行いたしまして、安全保障会議事務局を中心にしまして、各省の事務レベルの者がこの内容の審査といいますか、審議を数回続けておるわけであります。
一方、こういった私どもの防衛庁としての結論に基づきまして、近々概算要求の追加をさせていただきたいと思っております。したがいまして、来年度予算に関連しましては、この開発経費について、他の経費と同様に大蔵省との間でいろいろ調整をいたしまして、それらの財政当局の調整を含めて、最終的に安全保障会議でこの年末の予算の時期に御決定をいただくということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/44
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045・野田哲
○野田哲君 この検討作業の基本的枠組みの中で、いわゆる栗原三原則、これが示されているわけでありますけれども、この中の日本独自の戦闘機運用構想に適合すること、この日本独自の戦闘機運用構想というのはどういう内容なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/45
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046・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) いろいろあると思いますが、主要な点を申し上げたいと思います。
まず、我が支援戦闘機の持っておる任務というものは、他国の各種の任務を持った戦闘機がございますが、これに比べて非常に多目的、多用途に使われているというように御理解いただきたいと思います。これは、限られた防衛力でいろいろな任務を果たすという意味で、多目的なものになっておる。例えば支援戦闘任務といたしますと、日本に侵攻しようとする船舶を洋上阻止するといったような任務、さらには陸上に上がってきた相手方と地上戦闘が行われている、こういう地上戦闘における支援戦闘任務を行うというような、二つの任務を持っております。これらは、通常でありますと他国では洋上阻止は海軍機が分担をいたしますし、地上戦闘の支援戦闘任務は空軍機あるいは陸軍機が担当するものでありますが、それを日本の場合は両方とも同一機種である支援戦闘機が担当するという任務がございます。
さらに大きな点は、これら日本で支援戦闘任務を行います三個隊の戦闘機部隊は、同時に日本の防空任務というものを分担いたしております。防空戦闘機部隊十個隊、支援戦闘機部隊三個隊、合わせて十三個隊をもって、平時の領空侵犯任務を含めまして防空任務を分担するということで、防空戦闘任務もこの支援戦闘機部隊が持っておるということで、非常にマルチロールといいますか、多目的な航空機であるということをまず御理解いただきたいと思います。
もう一点申し上げますと、日本の地理的特性に絡んだ特性があろうかと思います。御承知のように、日本は非常に細長い地形を持った国であります。そして、そういった地形にある日本というものを限られた防衛力でもって守るということになりますと、相手方が例えば日本に侵攻する場合、通常の場合は海を越えて侵攻することになります。そして、上陸適地というのは、日本全国に何千キロというような適地があるわけでございますが、そこに相手はどこにでも好きなところに取りついてくることができる。その際に、どこに来られても陸上に取りつかれる前に洋上で阻止するというのが最も効率的な防御方法でございますが、そういったことを考えますと、それなりの航続距離のある飛行機が要るとかそういったことで、航空機の持っております特性、航続距離なり離陸距離なり、そういったものについて、日本の地理的特性というものを十分加味したものでなくてはならないということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/46
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047・野田哲
○野田哲君 そこで、性能の問題に入って伺いたいわけです。
その前にもう一つ、将来の経空脅威に対応し得ると。将来の経空脅威というのはどういうことを考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/47
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048・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) 今申し上げたように、支援戦闘機部隊は防空戦闘あるいは支援戦闘両方を考えていくことになりますが、例えば防空戦闘を考えますと、日本に来襲するであろう航空機、そういったものと十分に互角に戦い得るということでないと、任務を全うできないわけであります。例えば相手方の戦闘機というものは逐次スピードが速くなる、あるいは旋回性能がよくなるといったようなことで、空中戦能力というものが向上しつつあるわけであります。そういったものをにらみまして、我々としては、このFS戦闘機というものが実際に配置される二十一世紀の第一クォーターを中心とする時代、その時代に出現しておるであろう戦闘機、あるいは現在ある戦闘機のうちでもそういった新しい世代に入っている戦闘機、そういったものと互角な例えば対戦闘機戦闘ができる能力、旋回能力等を持っておることが必要であるというように考えておるわけであります。
そのほか、支援戦闘任務、防空戦闘任務共通の問題でございますが、相手のレーダーから発見されにくいステルス性であるとか、あるいはミサイル等のよりすぐれたものを搭載し、それをコントロールし得るコンピューター等が搭載されていなくてはいけないとか、もろもろの面でこの使用される時期に十分働き得る航空機ということを考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/48
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049・野田哲
○野田哲君 性能ですが、防衛庁の資料によると、運用要求の主要事項というのは非常に抽象的にしか書かれていないんですが、具体的にどういう性能のものを求めているわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/49
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050・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) 航空機、武器の性能でございますので、全く細部の数字的なものは御容赦いただきたいわけでありますが、主たる性能を申し上げ、かつそれがどういう構想に基づくものであるかという点を取り上げて御説明したいと思います。
まず、支援戦闘能力について申し上げます。先ほど日本の地理的特性に合ったという意味で申し上げましたが、かなりの行動半径のあるものが必要であるというように私どもは考えております。行動半径につきましては、対艦兵装、いわゆる対艦ミサイルと自衛用のごく一部の対空ミサイル両方を搭載した形で、四百五十ノーチカルマイルぐらいの行動半径は持ちたいというように考えております。
その理由は、先ほど申し上げたように、支援戦闘機の任務というのは、日本の国土どこにでも相手は海上を越えてくれば来得るわけでありますが、それに対する阻止能力、阻止機能としては、支援戦闘機というものが唯一といいますか、最も有力な対抗手段であります。それ以外に潜水艦等を使ってある程度の阻止を行うことができますけれども、支援戦闘機部隊が洋上における敵を撃破する最大の能力だと私どもは思っております。水上艦艇等は相手の航空優勢下では活動できませんので、これに依存することが極めて大であります。仮に支援戦闘能力というものがありませんとしますと、相手方は何も稚内とかそういうところだけに来るわけではなくて、新潟であろうが鯵ケ沢であろうが山陰沖であろうが、どこにでも来れるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/50
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051・野田哲
○野田哲君 西廣さん、能力だけ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/51
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052・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) はい。そういう意味で、かなり数の少ない航空機で言いますと、振り回して使わなくてはいけないという意味で、相当な航続距離が要るということを御理解いただきたいと思います。
それからさらに、ある地域に来るという場合にも、我々としてはどうしても戦闘機の配置としては防空戦闘機を大体前線に配置をしておかないと、支援戦闘機が前線に出ておりますと使う時期までにやられてしまうということでございますので、どうしても後陣に配置をしておかなくてはいけない。そういう意味で、かなりの航続距離が欲しいというように考えております。
第二番目は、搭載能力であります。限られた航空機で相当な成果を上げるためには、やはり対潜ミサイルというもの、対艦ミサイルというものを四発程度は載せたい、さらに自衛用のミサイルを載せたいということで、それなりの搭載能力を持ったものにしたいということがございます。また、それらの搭載ミサイル等をコントロールするだけのコンピューター等を装備したものにしたいということがございます。
第三番目は、離着陸性能であります。離着陸性能につきましては、御承知のように、日本は飛行場の数が非常に少のうございます。ある地域で使える飛行場が非常に少ない。しかも、有事それが攻撃をされて、例えば現にある飛行場が二分の一ぐらい真ん中あたりを切断されるということも当然考えなくちゃいけない。そのように、現に通常ある飛行場が二分の一程度になってもなおかつ離着陸ができるくらいの離着陸性能のあるものが欲しいという意味で、離着陸距離の非常に短い航空機というものをねらっております。
さらにつけ加えますと、先ほど申し上げたように、対戦闘機戦闘といいますか、防空能力としましては将来の一線機に負けないだけの旋回性能等が欲しい、あるいはステルス性なり、そういったものについてもできる限りすぐれたものが欲しいといったようなものが加わると思います。
以上で、長くなりますので途中で切らせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/52
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053・野田哲
○野田哲君 瓦長官、私は具体的な性能を聞いているんですよ。性能を聞いた以上は、それに対する答えは、航続距離であれば半径何百何十キロ、速力は幾ら、爆弾はどれだけ積む、こういうことを答えてもらわなければ質問に対する答えにならないんですよ。それをそういう必要な理由だけを延々と述べられたって、これは内閣委員会ですから防衛問題の審議にならないんですよ。時間がないので、これは改めて次回に私は聞きたいと思うんですけれどもね。内閣委員会で私どもが知りたい、今度のF16を改造する、それは一体どういう性能の支援戦闘機を要求するんですかと、こういうことに対して今のような答えでは、これは国会での議論にならないと思うんですが、長官いかがですか。今のやりとり聞いていて、こんなことでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/53
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054・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) 技術的なことでございますので私からお答えしたいと思いますが、先ほど来申し上げているように、性能諸元の細部の数字をすべて申し上げることは事柄の性質上御容赦いただきたいと申し上げておりますが、私の説明の中に申し上げたように、例えば行動半径であれば通常兵装で四百五十マイル、あるいは対艦能力ということで、ミサイルの搭載能力について対艦ミサイルを四発とか、あるいは最低限の対空ミサイルをあわせて積んでおるというふうに申し上げておりますし、離着陸性能について言えば、既存の日本の航空機の通常使われておる飛行場、それが二分の一にカットされてもなおかつ離着陸し得る離着陸性能というように申し上げておりますので、それなりにその性能というものは御推察いただけるように申し上げたつもりでおりますので、御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/54
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055・野田哲
○野田哲君 もうやめます、時間来たから。長官に最後言ってくださいよ。
長官、こういうやりとりで国会でシビリアンコントロールの機能が果たせるとお考えになりますか。その点だけ聞いて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/55
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056・瓦力
○国務大臣(瓦力君) シビリアンコントロールにつきまして国会が果たす役割というのは極めて大きいわけでありまして、今ほど防衛局長がF16改につきましての委員の質問にお答えをさせていただいておりますが、私はそれを伺いながら、その性能等につきましても説明をいたしておるわけでございまして、また委員からの鋭い質問も重ねられておるわけでございまして、こうしたことが私はシビリアンコントロールの最も大切なところであろう、そしてまた、私どもも許される限りのことは申し上げてまいるし、事の性質上御理解をいただかなきゃならぬ点につきましてはまた御理解もいただいていかなきゃならぬ、こういうことを心得ながら真摯に委員会に取り組んでまいりたいと、かように存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/56
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057・峯山昭範
○峯山昭範君 大臣、御苦労さまです。
私は先ほど大臣の所信をお伺いいたしましたが、中曽根内閣の栗原防衛庁長官、これは二期やられたんですよね。それで、私ども栗原さんは参議院にもいらっしゃいましたのでよく知っているんです。ところが、私が非常に不思議に思うのは、防衛庁長官をやるところっと変わるんですな。言うことも変わるし、だんだんタカ派になってきて非常におかしくなる、そういうふうに私は感じておるわけですよ。本当にそうなのかどうかはわかりませんが。そういう点では、今度の栗原さんというのはもう大変ないわゆる歴史に残る、いい悪いは別にして、大臣だろうと私は思います。長年のGNP一%の問題は突破するし、それこそシーレーンはどんどん広がるし、非常に景気が悪い大変な中で大臣をやってこられたわけです。
そういうような大臣と竹下内閣の瓦長官とは、私は違うところがあっていいと思うんですよ。ですから、大臣も言いたいことを言うと。日ごろの考えていることで私はいいと思うんですよ。日ごろやっぱりそれぞれの委員会に所属されて一生懸命頑張ってこられたわけですから、その考えをそのまま持続して、防衛庁長官になったから特別違っているんだ、周りの人が書いていることをいろいろ読めばいいというものじゃ私はないと思うんですよ。アメリカへ行ったって、私は自分の考えをすぱっと言ってくる、それで私はいいと思うんです。
現実の問題として言葉だけではわからないことが多過ぎる。例えば、大臣が先ほど世界の平和ということをおっしゃった。確かに大事なことですね。私も本当にそのとおりだと思います。しかしながら、大臣もよく御存じのとおり、平和のために戦争というのが実際は行われているんですよ。戦争のための戦争というのは一回もない。平和のために国民のためにとごちゃごちゃ言いながら、世界の今までの歴史上の戦争というのはみんなあるわけです。だから、私はそういう点を考えますと、ただ言葉だけの問題じゃなしに、自分の信条として日本の防衛力をこういうふうにしていきたいというお考えがあってしかるべきだと思うんですよね。したがって、そういうふうな意味で大臣のお考えをこれから二、三お伺いしていきたいと思いますので、ざっくばらんにお答えいただきたいと思います。
前置きがちょっと長くなりましたけれども、きょうは時間が非常に短うございますので端的に申し上げますが、まず一つはGNP一%という問題です。これは防衛費に対して定量的な歯どめをかけようじゃないかということで、三木内閣の当時に、昭和五十一年でございましたけれども、ああいう歯どめができた。そして、昨年廃止するまでそれを続けてきたわけでございますけれども、私はこのGNP一%以内に何とかその枠を守って頑張ってくるというのはそれなりの意味もあったし、当然そういうふうにあってしかるべきだと思うんですけれども、大臣のこの問題についてのお考えを初めにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/57
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058・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 我が国の防衛力整備につきましては、いわゆる大綱に基づきまして中期防衛力整備計画なるものを今実施させていただいておる、取り組んでおるわけでございますが、一%の問題といいますか、五十一年の閣議決定に基づく精神、つまり節度ある防衛力の整備と。私は、この防衛政策というのは継続的にやはり積み上げてまいる、そしてその精神にあるものは大綱でありまして、平時から保有すべき防衛力の水準、このことがまだ達成されていない今日でございますから、この中期防を定めまして、そのことにつきまして着実に取り組んでまいるということが大切なことである、かように考えておるわけでございます。
委員御指摘のように、平和を維持するということは、今日の冷厳な国際情勢下におきまして、現実的にはやはりその実力というものも背景に持たなければならぬことは御承知のとおりでございますが、最小限度の努力を着実に進めてまいる、こういう姿勢で臨みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/58
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059・峯山昭範
○峯山昭範君 大臣ね、大臣の言うことに特別反対しようとは思うてません。しかし、言うている中にはちょっとおかしいところもあるんです。どこがおかしいかというと、それは具体的に例えば大綱に決められた数量的な問題でまだ完全に達成してないと。確かにそういう点も現在の時点からあるかないか、その判断の仕方は基準がありますからいろいろあるんですけれども、その点はさておきまして、大臣のおっしゃっていることに私はそう反対はしませんけれども、実際問題として今大臣がおっしゃった大綱の中にも「防衛力整備実施上の方針及び留意事項」というのがあるんですよね。この留意事項というのは何かというと、要するに「そのときどきにおける経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、」と、こうなっとりまんねや。
これはもう当然そのほかの経済財政事情がどういう状態だったかというのは、この数年を考えてみればわかりますように、ずっとゼロシーリングです。そういう大変な状態の中で、私は防衛力はちゃんと整備せないかんと思います。国も自分たちの力で守らないかんと思います。それはそのとおりなんです。しかしながら、そんな情勢の中で、ほかのいろんな諸施策が非常に厳しい情勢の中で予算も絞られてきた。大臣も知っとるわけやね。そんな中で防衛費だけが聖域化されて、特にこの数年間というものは事実突出してきたわけです、これは数字の面でいえば。これは私はそういうような考えでいいんだろうかと。やっぱり必要なものは何が何でもそろえないかんのかと。そうじゃない。私は、辛抱する点は辛抱すると、そういう考えでいってもらいたいし、そこら辺のところはやっぱり大綱の中の留意事項という点にも十分配慮をしながらやっていくと。私はそういうようにちょっとおっしゃっていただいてもいいんじゃないかなと思うんですけれども、そこら辺の大臣のお考えを聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/59
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060・瓦力
○国務大臣(瓦力君) もちろん、防衛予算というのが聖域化されておるというぐあいには考えておらないわけでありまして、そのときの財政事情等厳しい環境の中におきましても、ただいま申し上げましたように、その計画を進めてまいりたいということで今日努力をしておるわけでございます。
予算全般につきましても、三十年から今日までの増加率、こういうぐあいに見ましても、社会保障関係費がもう九六・七倍になりましたり、経済協力費が六四・三倍になる。それはそのときの情勢や必要に応じて伸びてまいることも承知をしておるわけでございますが、こうした環境で防衛関係費は二六・一倍と、こういう状況下にあるわけでございます。よって、その大綱に求めるところも水準に達し得ないところもございますので、それらの問題に鋭意努めてまいるということでございまして、財政事情等を勘案しつつも、防衛力整備につきましては私どもといたしましてきちっとした要求をし、また整備に取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/60
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061・峯山昭範
○峯山昭範君 大臣ね、それはメモをいただいてそうおっしゃっていますが、いつと比較しておっしゃっているか、私は数字はもう聞きませんけれども、大臣と私と経済財政状況に対する認識というのはそう変わらないんじゃないかと思うんですよ。それは十年も二十年も前の財政規模とか福祉予算、そういうようなものとの比較、そういう点からいけばそれは大臣おっしゃるとおりになるかもしれません。しかしながら、この十年、日本の国の財政規模あるいは財政状態というのは非常に厳しいんですよね。予算もゼロシーリングでやってきました。ここら辺の認識は大臣と私違わないでしょう、きっと。
そうしますと、そういうような非常に厳しい情勢になったから、今までやってなかったからここに来てぱっとやるというのは、やっぱりおかしいと私は思うんですよ。厳しいときには厳しい情勢があるわけですから、そこをしっかり考えないといけない。そういうふうに私は考えますと、大臣ね、防衛力の整備のテンポというのは何が何でもというものじゃなしに、私たちも防衛力は整備せないかんと思っておるわけですよ。しかしながら、場合によったら防衛力の整備というのは多少遅くなることもやむを得ないこともあると、そのくらいの柔軟な考えを持った防衛庁長官であっていただきたいと私は念願をしておるわけでございますけれども、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/61
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062・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) 過去の経過でございますので私からお答えをさせていただきますが、今先生申されたように、防衛費というのは確かに最近の他の費目に比べてある程度の伸びが引き続き続いておるということは事実でございますが、それは、先生また御指摘のように、高度成長期であっても防衛費は景気がいいからどんどんふやすというものではまたなかったわけであります。たとえほかのものが一〇%、二〇%伸びる時期でも、防衛費というのは常に必要最小限のものを着実につくっていくということで、非常に低い伸び率でやっていくということでありまして、これは先ほど来大臣お答え申し上げているように、我が国としては日本の安全のために必要最小限の防衛力というものを着実に実施をしていこうということでありますので、そのときどきの経済変動なり財政事情というものは十分勘案いたしますけれども、それに余り左右されて、景気がいいからどんどん防衛費をふやす、あるいは悪いから急にやめてしまうというようなことではなく、地道にこつこつと積み上げていくものではなかろうかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/62
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063・峯山昭範
○峯山昭範君 短い時間ですからね。西廣局長とは随分長い間やってきました、前の国会で。あの人の答弁はようわかっていますのや。ですから、今度新しい大臣ですから、大臣のお考えをお伺いしたいと思ってやっておるわけでございまして、大臣ね、メモはそんな見なくてよろしいわ。もう率直な意見を、私も答弁しにくいようなことは何も言うていませんので、ですから率直にお答えいただいて結構なんです。
例えば今のGNP一%の枠は撤廃したとはいえ、閣議決定の中にもあるんです。GNP一%の精神は尊重するとありまんねや。全然なくなったのと違うんですわ、これ。精神は尊重ですから。ということは、一%の考え方をやっぱり何らかの形で守るということを言うておるわけですわ。もう何でもかんでも破っていいとおっしゃっているわけじゃないんですね。ですから、そういう点も考えますと、やっぱり実質的に一%以内を守るという努力は防衛庁としてもした方がいいと、そう思うんですよ。大臣、その辺のところはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/63
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064・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 先ほどもお答えをいたしましたが、その節度ある防衛力の整備というのは、いかなる景気変動がございましても着実に進めながら、一つの目標値いわゆる大綱の水準に到達するという努力は私は必要である、かような見地に立ちまして御答弁も申し上げておるわけでございますが、六十二年度予算におきましても、財政事情の厳しい中、一%を結果といたしましてやや上回るものになった。しかし、節度ある防衛力整備をしてまいる、その計画に沿ってまいるという中におきまして最も大切なこと、繰り返して申し上げておるわけでございますが、いわゆる節度ある防衛力整備というものを心得、また必要最小限度の予算の中でやりくりしていく、そしてまたそれが年次計画に沿ったものである、こういうようなことでこれからも取り組んでまいる、その姿勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/64
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065・峯山昭範
○峯山昭範君 いやいや、それはそのとおりで結構なんです、そのとおりで。その後。必要最小限度の防衛力の整備をする、そして節度ある防衛力の整備をする、それで防衛庁としてはやっぱり実質的に一%以内におさまるような努力をする、これはどうですか。もう一言なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/65
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066・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 常に限られた予算の中で節度ある防衛力の整備に努めてまいる、こういうことでございます。GNPというのはそのときどき動くわけでございますので、GNP対比で予算の問題を論ずるということもさることながら、節度を持ってやってまいるというこのことが、さらに私は計画年次を追う、そういう中で大切な意味を持っておる。もちろん五十一年におきましての閣議決定を踏まえながら取り組んでまいるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/66
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067・峯山昭範
○峯山昭範君 心配になりましたな、大臣。アメリカへ行ってもそんなかたいんじゃあきまへんで。もう少しやっぱりそれは——それじゃもうこれは時間が余りありませんので、大臣が先ほどもおっしゃった防衛計画の大綱、これ一遍ちょっとお伺いしてみましょうかね。
この大綱ですね、大臣、大綱について大臣はどういうようなお考えをお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/67
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068・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 我が国が平時から保有すべき防衛力の水準等の枠組み、これを定めたものでございまして、防衛力の整備等に関する基本的な指針である、かように考えております。また、大綱の基本的な考えといいますか、これは限定的かつ小規模な侵略に有効に対処し得る防衛力、これを保有することを目標としておるわけでございまして、この防衛計画大綱という量的な面におきましての問題、また質的な問題におきまして取り組んでまいる、かようなことで今十年を経ましたが、その水準に達し得ていないということで中期防という計画に着手しておるわけでございますが、この防衛計画の大綱の骨格はかようなことと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/68
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069・峯山昭範
○峯山昭範君 大臣、大臣は先ほど防衛計画の大綱の水準を達成していない、そういうふうにおっしゃった。それじゃ、この大綱水準を達成していないということは、これはどういうことなのか。達成していないということは、逆に言えばいつかは達成できるとお考えなのか。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/69
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070・瓦力
○国務大臣(瓦力君) ただいま大綱の水準、いわゆる防衛力の水準につきましては、限定的かつ小規模な侵略に有効に対処をし得るもの、こういうぐあいに申し上げまして、量的には別表に示される規模を備えてまいる、また質的には諸外国の技術的水準の動向に対応して、これに対抗し得るものでなければならない、こういうことでございまして、まだ量的に見ましても別表の水準といいますか規模に達していない。また、諸外国の技術的水準に対応してまいるためには装備の更新、近代化といいますか、こうした質的な改善努力というものをやってまいらなけりゃならぬ。こういうことで別表における量、さらに物によっては更新してまいらなけりゃならぬ。また、諸外国の水準等を勘案しながらさらに取り組んでいかなければならぬ問題というものを踏まえて、その水準にはまだ達し得ていない、こういうぐあいに理解しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/70
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071・峯山昭範
○峯山昭範君 大臣、今大臣のおっしゃったことを私、答弁をそのままお返ししたいと思うんですけれども。どういうことかというと、大臣は大綱水準はいつかは達成できるとお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/71
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072・瓦力
○国務大臣(瓦力君) その目的を達する努力をこの中期防におきましてなし遂げたい、そういう努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/72
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073・峯山昭範
○峯山昭範君 それは大臣、あきませんね。だめなんです。今、前の答弁の中で大臣こうおっしゃった。諸外国の軍事的、技術的水準に対応して、質的に整備していかなくちゃならない。諸外国の軍事的、技術的水準というのは終わりがあるんですか、終わりが。終わりないでしょう。次から次にことしより来年、来年よりと、毎年技術的にこれは無限大に続くわけですよ。そうでしょう。ということは終わりないんだ、終わりが。達成したなんてないんです、大臣、これ。そうでしょう。違いますか。そうなんですよ、大臣。だから、大綱水準を達成していないから云々なんて大きな顔で一生懸命みんな言うてはりますけれど、それはあかんのですわ、実際、大臣ね。
ですから、そこのところはやっぱりもうちょっとわかっていただきたい。そうでないと、大綱水準を達成してないしてない言ったって、例えば防衛白書、これは中曽根さんが防衛庁長官のときに出すように言われて、一回出てちょっとストップして次から次へ出るようになったわけですけれども、昭和五十二、三年ごろの白書を見ると、量的にはもう既に大綱の水準にあると書いてまんね、もう既に。ところが、あれから十年たって、それこそ質量ともにあれだけ防衛費をつぎ込んで立派になったはずやのに、いまだに全然あかん。何のために今までこれだけやってきたのかなという疑問があるわけですよ、我々としては。
ですから、大臣、大臣が先ほどおっしゃった諸外国の軍事的あるいは技術的水準に対応して、そしてこの質を整備していかないかんというのは、その後の答弁の中期防達成時にはこの水準を達成できるんじゃないかという答弁とは矛盾するでしょう。大臣の今の答弁とその後の答弁は矛盾するでしょう。違いますか。ですから、大臣、それは難しいこと考えなくていいですよ、大臣の今の頭の中で考えていただいていい。我々はいつもそこら辺のところを指摘してきたんですよ、今までは。だから、そこら辺のところでもうちょっと、本当に大綱水準というのは達成できるものなのかどうか。こういうところで発言するのは、やっぱり大綱水準を目指してと。それは量的にはこれは書いてあるからね。だけど、この量の中身も、よく読んでみるともうむちゃくちゃなんだ、これは言うたら。詳細は何もないわけですよ。あるのは航空機の機数とか艦のある程度の数とかで、陸の細かいやつは何もないわけや、これ。何もないと言うたら西廣さんがまた怒るけれども、あるのはあるんやけど、本当は中身ない、数は。だから、私はここら辺のところは、やっぱりもうちょっとその大綱水準を達成するという言い方は、例えば戦略的に言い方はいっぱいありますが、質、量なんということからいえば多少変わってくるんじゃないか、こう思いますけれども、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/73
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074・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) どうも私からお答え申し上げて申しわけないんですが、先生十分御理解いただいていると思いますけれども、やはり防衛力というものは我が国に対する侵攻してくる敵というものと相対的なものであらざるを得ないということは、御理解いただいていると思います。そういう意味で、先生の申されているように、各国が引き続き軍備を増強しかつ軍事技術が向上していくという状況になりますと、大綱水準に到達する、あるいは大綱水準を維持するために引き続き努力が必要であるということは、また事実であろうと思います。
一方、仮に現在INF等で行われております軍縮交渉、そういったものが我々が対象としております在来兵器、通常兵器による侵略事態、そういったものに影響を及ぼす在来兵器の軍縮というようなことが実現をすれば、ある日突然我が防衛力というものは、その軍縮が行われた状況下では大綱水準を超えたものになり、以後はしばらくは逆に防衛力を縮小してもいいという事態も起き得ることもまた事実でありますので、そのあたりのところは先生の御指摘が事実であると同時に、現状の国際情勢なり周囲の軍備の動向というものをにらみ合わせながら御判断をいただきたいというふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/74
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075・峯山昭範
○峯山昭範君 これは、大臣ね、私の言ったことをやっぱり認めているじゃないですか。ですから、私は非常に大事な問題だと思いますよ。
それからもう一つは、大臣にこれもお伺いしておきたいんですけれども、大綱の中では、シーレーン防衛とかあるいは洋上防空なんという概念はないんですよ、全く。そういう言葉なんて一言も出てこないんですから。それが前の中曽根内閣そして栗原防衛庁長官の時代には大手を振って通って、そしてそれぞれ装備の近代化が行われてきているわけですね。ですから、そこら辺のところは非常に大きな問題だと私は思いますよ。ですから、そこら辺のところは、大臣、もう本当にがっちり取り組んでいただきたいと思うし、言うべきことは言うと。僕はシビリアンコントロール、文民統制の中核にいらっしゃるわけですから、特殊な考え方でなくていいと思う。防衛のことは何にもわからなくたっていいと思うんです。その大臣が普通に理解できるようなことでなきゃいかぬわけですよ。特殊な言葉で説明しないとわからないような防衛力整備というのは、私は本当にいかんと思う。周りにいる人たちというのはいうたら専門家ですから、それは特殊な考え方を持っておる。こんなことを言うたら西廣さんに怒られるかもしれませんが、そういうふうに漬かり切る可能性があるんです。
ですから、そういうふうな意味では、私は本当に大臣が防衛庁長官に就任をして、また違う見方でこれからの日本の防衛をがっちりリードしていかれると。それなりに私は期待もし、またこの内閣委員会でこれから何回か議論するのを楽しみにしているわけでございます。ぜひそういうふうな意味でこの防衛問題に取り組んでいただきたいと思うんですけれども、大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/75
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076・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 私も、防衛庁長官に就任いたしまして、格別極立ってお答え申し上げるというよりは、言ってみますれば防衛政策というのは本来的には国民の理解を得て常識的なものでなければならぬと思いますし、また格別の用語を用いるというよりは、普通のやりとりで行われるべきであろう、こういうぐあいにも考えたりいたしておるわけでございますが、ただ、先ほど以来質疑が展開されておる中で、内外の情勢の変化等ございましても、ある種の最小限度の防衛力を整備してまいるという基本の目標を達成するということもこれは大切なことであろう、かように存ずるわけでございまして、これからまた質疑の場を通じましていろいろこれらの問題につきまして御理解を得たり、また御批判もちょうだいしたりしてまいりたい、かように存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/76
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077・吉川春子
○吉川春子君 共産党の吉川春子です。よろしくお願いします。
まずお伺いいたしますが、先月私は厚木基地の米軍のNLPによる騒音調査に参りましたが、住民の被害は聞きしにまさるものであります。爆音のみでなく、黒い煙で空気を汚染され、のどを痛めている人も多いし、高いマンションはテレビが映らない、電話がよく聞こえないので月何万円もかかる、胃を切除して自宅にいるのでうるさい音にいらいらする、うるさいので親戚も寄りつかないなど、特にこの夏はすさまじくて、発狂寸前の状態だったと言う人もいました。これではまともに生活も営めないのではないでしょうか。
その原因は、横須賀港がミッドウェーの母港になっていることです。米空母十四隻のうち、海外に母港を求めているのは日本のこのミッドウェーただ一隻です。ギリシャも一度米空母の母港化の話がありましたけれども、政府は断っています。第一、合衆国において住宅密集地でこんな訓練を行ったら、住民は絶対に黙っていないと思います。安保があるから母港を断れないということではないと思います。住民の苦しみをなくすために、政府はミッドウェーの横須賀港を母港としての使用を断るべきだと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/77
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078・藤井宏昭
○政府委員(藤井宏昭君) ただいまミッドウェーが横須賀を母港にしている云々というお話がございましたけれども、正確に申し上げますれば、いわゆる母港化ということでございます。すなわち、ミッドウェーの乗組員の家族を御存じのとおり横須賀に住まわせている。これによりまして、燃費の節約とかあるいは士気の向上ということを目的としておるわけでございます。
いずれにいたしましても、ミッドウェーは安保条約に基づきまして我が国を守っております米軍の一つの中核的な戦力でございまして、これが日本周辺を守っておるということによりまして、極東の平和と安全に大きな役割を果たしているということでございます。そのミッドウェーが極東の平和と安全に役割を果たしていく上におきまして、寄港しておりますときに、当然のことでございますけれども、NLPの訓練というものを行わなければミッドウェーの機能というものが阻害され、練度が落ちるということでございます。したがいまして、ミッドウェーの艦載機のNLPというものは我が国の安全のために必須のものであるということでございますが、他方、それが周辺住民に対してできるだけ悪影響を及ぼさないようにということで、政府として種々の対策を講じておるわけでございますし、また代替の地を求めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/78
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079・吉川春子
○吉川春子君 防衛庁長官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/79
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080・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 極東の安定、安全のために果たしておる役割は私は極めて大きいと存じます。加えて、日米安保体制が日本の独自の防衛の問題にさらに信頼性を加えておると、かように考えるものでございまして、そういう意味合いにおきまして、このたびのミッドウェーに関連いたしましての空母艦載機の訓練等につきまして、大変地域の皆さん方に御迷惑をかけておる。その対策を今講ずる努力をしておるわけでございますが、常々空母に対しましては艦載機の練度を高めてまいるということにつきまして、これは欠かせない仕事でございますので、御理解をいただきながらまた御協力をちょうだいしたい、かように存じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/80
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081・吉川春子
○吉川春子君 家族をそこに置いて常時ミッドウェーが入港するというような、母港かいわゆる母港化かは別として、そういうことをやめようと私たちは主張しています。
ことし十月七日に我が党内藤参議院議員が横田基地の騒音問題で東京防衛施設局へ行ったときに、南雲局長が空母入港の際にNLP訓練についてどれだけ行わなければならないか決めたマニュアルがあると述べています。FCLP、フィールド・キャリア・ランディング・プラクティスですか、このマニュアルをぜひ提出してほしいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/81
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082・鈴木杲
○政府委員(鈴木杲君) ただいま御指摘のマニュアルについて私どもは承知しておりません。
ただ、米側から聴取したところによりますと、一定期間空母が入港して、艦載機のパイロットが着艦訓練を行わなかった場合に再度着艦する場合には、その前に地上で訓練をする必要があるということを聞いておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/82
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083・吉川春子
○吉川春子君 マニュアルがあるのかないのか調べて、あれば提出していただきたいと思います。イエスかノーかで結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/83
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084・鈴木杲
○政府委員(鈴木杲君) 調べます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/84
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085・吉川春子
○吉川春子君 防音工事を行っても、窓を閉め切らなくては防音の効果は上がりません。夏はクーラーをつけっ放しにしなくてはならず、電気料金の負担は大変です。電気料を国は負担すべきです。九州に親戚のある人が重病になり、症状を伝えるために月八万円の電話料がかかったという話もあります。騒音防止電話は、騒音がなくなるわけではなくて軽減されるのみで、爆音があれば話は中断されますし、使用方法にもいろいろ工夫が要るために不人気で、大和市などでも市民からの要望はないんですね。電話料とか電気料、そしてテレビの受信料の減免地域の拡大、せめてもこういうことを政府は誠実にやるべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/85
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086・鈴木杲
○政府委員(鈴木杲君) 住宅防音工事に伴います空調機器の使用ということに伴います電気料金の補助でございますけれども、現在工事の対象世帯数が膨大でありますことから、一世帯でも多くの防音工事の実施を目標としているということでございまして、この補助につきましては今後の問題としてよく考えてまいりたいと思います。
それから、電話料金の問題でございますが、現在、御指摘のありましたように、騒音防止用電話の設置について助成しておりますけれども、これによって障害の防止、軽減を図ってきたところでありまして、電話の通話料の助成ということは困難であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/86
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087・吉川春子
○吉川春子君 もしやればどれぐらいお金がかかるのか、わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/87
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088・鈴木杲
○政府委員(鈴木杲君) 基地周辺の住民の皆様方がどのような電話の使い方をされているか、電話が設置されているかいないか、そういう資料を持ち合わせておりませんので、もし仮に助成をするとして、どのような経費がかかるかということについては、わかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/88
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089・吉川春子
○吉川春子君 電気料はどうですか。予算額です。わかりますか。生保じゃないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/89
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090・鈴木杲
○政府委員(鈴木杲君) 現在、空調機器の使用に伴います電気料金の所要額について、具体的に検討しているわけではございません。したがいまして、お答えすることは非常に困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/90
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091・吉川春子
○吉川春子君 私はそういう政府の態度は大変不誠実だと思いますね。これは基地周辺の大和市だけではなくて、基地がある関係の十四県知事がこぞってこういう問題を何年も要求しているわけですね。それがどれぐらいお金がかかるかもまだ今の段階で調査していない。これは本当に基地騒音に苦しむ住民の立場に立っていない。そういう姿勢については、私は正すように強く要求します。
大臣、私は大臣にお願いがあるんですが、基地の調査に参りましたら、例えば大和の市長は超党派の国会議員がNLPの訓練中に視察に来てほしい、こういうふうにおっしゃったわけです。この件については私は内閣委員会の理事会で提案したいと思いますけれども、大臣として一度NLPの訓練が行われているそのときに、この厚木基地周辺の音の調査にいらっしゃっていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/91
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092・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 大変周辺の皆さんに御迷惑をかけておる。いろいろ施策を講じておるわけでございますが、先ほど来申し上げましたように、御協力をお願いしたい。
さらにまた、私も目下スケジュールを持ちながら取り組んでおるわけでございますが、折を見ますればどちらへでも出かけまして様子をまた状況を把握しておきたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/92
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093・吉川春子
○吉川春子君 大臣がぜひNLPの訓練の視察に、訓練というか騒音のですね、行っていただきたいと思いますし、積極的な御答弁でしたので私は期待しておきたいと思います。
時間がありませんので早口で次へ進みますが、次は先月十六日の午前十時半から正午にかけまして、米軍三沢基地所属のF16戦闘機数機が北海道日高管内の浦河、静内などの上空で低空飛行を行い、小中学校で授業が中断したり、静内町の谷岡正次牧場、ここでは放牧中のサラブレッド二頭がさくにぶつかり足を裂傷したという事件が起きました。また、定期旅客機の離陸もおくれました。奈良県での超低空飛行に次ぐ無謀な米軍機の行動には、住民は強い怒りと不安を感じております。サラブレッド二頭の十分な補償、そして政府は再発防止などについて米軍に厳重に抗議すべきだと思いますが、どうでしょうか。
続けてもう一つ伺いますが、同じように高知県の足摺岬、この足摺岬小学校の上空で先週一週間、特にひどい超低空の訓練が行われまして、毎日一、二回、朝の八時半、十時、十時半ごろ、いずれも学校での授業中に一機か二機のF4ファントム、F15が西南方向から飛んできて、学校の上で旋回して東の方へ飛んでいくということが行われたということです。低く飛ぶときは胴体がはっきり見えるほどで、そのたびに授業が中断されました。子供は学校に落ちてくるのではないかと大変怖がっています。学校を目標に訓練することは許せないことです。これを見た先生の話では、自衛隊機だというふうに言っております。特に自衛隊機の超低空の訓練というのは認められていないわけですから、この件についても調査して、事実であれば厳重な措置をとってほしいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/93
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094・藤井宏昭
○政府委員(藤井宏昭君) 北海道におきます米軍飛行機の件につきましてお答え申し上げます。
ただいま御指摘のように、米軍の三沢飛行場の発表によりますと、第四三二戦術航空師団所属のF16が、運用能力の点検あるいはパイロットの技能向上というような目的のために、訓練を行ったということを発表しております。私どものところにもその際にいろいろな被害があったということの通報がございまして、私どもといたしましては、直ちに在京の米大使館などを通じまして、事実関係の照会を行っているところでございます。いまだ詳しい事実関係につきまして米側から回答はないという時点でございます。
なお、足摺岬につきましては、私ども米軍というようなことは特に承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/94
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095・長谷川宏
○政府委員(長谷川宏君) 高知県の足摺岬の足摺岬小学校の件でありますが、これは先週航空自衛隊の築城にあります第八航空団の戦闘機F1、F15ではございません、が高知県の足摺岬付近を飛行したことは事実でございますが、その飛行コース等は足摺岬灯台の付近ということで、海岸線に沿って飛びました。それで、二度ほどであります。それから、対地高度は最低安全高度等を十分に満たす一千フィート以上で飛行しております。
このように、訓練飛行の実施に当たりましては、地上等に不必要な影響を及ぼすことのないように配慮しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/95
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096・吉川春子
○吉川春子君 これで時間がもう終わると思いますが、確かにその目撃者がたくさんいて、私たちはその前の年ですけれども、F15が低空で飛ぶ写真も入手しておりまして、超低空で飛んでいないということは、私はその事実の確認として不正確ではないかというふうに思います。
最後に私がただしたいことは、一つは米軍に対してこういう補償を十分にやることと、再発防止のために断固とした態度を政府として申し入れるということをしてほしいということが一点です。自衛隊に対しては、自衛隊機が特に超低空で飛ぶなどということはとんでもないことです。もちろんアメリカでも私たちは認められませんが、そういうことについて厳重にそういうことがないように今後とも注意していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/96
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097・藤井宏昭
○政府委員(藤井宏昭君) 米軍に対しましては、いろいろな公式の場におきまして、在日米軍の機能の維持ということは一方において重要であるけれども、同時に周辺住民に対して被害を与えないように十分注意してもらいたいということを申し伝えておりますし、事案によりまして補償その他についても厳正にこれを行っていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/97
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098・長谷川宏
○政府委員(長谷川宏君) 自衛隊機は航空関係法規に定める規則をきちんと守って飛んでいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/98
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099・吉川春子
○吉川春子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/99
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100・柳澤錬造
○柳澤錬造君 防衛庁長官、大臣に御就任になって一カ月ですから、余り難しいことをお聞きするのは適当ではないしと思っておったんです。ところが、新聞でもって来年の一月にアメリカに行かれるというのを見ましたものですから、やはりこの辺きちんとしておかなければということでお聞きをしてまいるわけです。
問題は、FSX、次期支援戦闘機の問題なんです。現在日本が使っております支援戦闘機F1というのは、これは国産なんです。現実に、国産でもって製造したその支援戦闘機が使われているわけなんです。それが、その後継機をということを議論をしていって、最終的にF16改造ということを日米共同開発でするんだというふうにしたというんです。いささか時代逆行といいましょうか、その辺は何でそういうことにしたのか。それで、これはまだ、恐らく防衛庁の中ではそういうふうな確認はなさっておるだろうと思いますけれども、内閣としてはまだ確認してないことだと思いますけれども、その点についてなぜ、現在使われているのが国産でもって現実に使っているにもかかわらず、その後継機をそういう日米共同開発になさったのかという点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/100
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101・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) 瓦長官御着任前の話でございますので私がお答えいたしますが、現在のF1、確かに国産のものでございますが、これは先生御承知のように、T2という高等練習機、超音速練習機をつくった、それのごく一部の改造ということで採用したものでありまして、T2とあわせてこのF1をつくることによってかなりの数の航空機をつくるということで、量的にもある程度の数を満たす、それから当時の我々が求めておる要求性能というものをそこそこ満たすということで、国産をしたことは事実でございます。
一方、今回FSXにつきまして完全国産ではなくてF16の改ということを選択した理由でございますが、これは今申し上げたFSXとして採用する戦闘機の数量、性能その他もろもろの点から検討いたしまして、F16改を採用することが最も我々の求める要求に合致をし、かつ経費効率もよろしいということで、この選択をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/101
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102・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 今防衛局長から御答弁がございましたが、F16改につきましては、運用構想であるとかあるいはまた日本の地理的特性、こういったことを踏まえまして、日米のすぐれた技術を結集してこれを求めていこうと、こういう経過の中にあるわけでございまして、国産化すべきであろうと、こういう御質問でございますが、双方の技術、それを加味いたしましてよりよき戦闘機がつくられる、そういうような体制であれば、国産ということだけにはこだわる必要もない、かような考え方を私は持つわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/102
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103・柳澤錬造
○柳澤錬造君 大臣、大変これは大事なことになるんですから、もう一度お聞きをしていってお答えをいただきたいと思うんですけれども、六十一年の四月、昨年の四月、アメリカのワインバーガー長官が日本に参りましたときに、FSXの機種選定は日本が決定すべき問題ですというふうにはっきり言っているはずです。当時の加藤防衛庁長官は、FSXについては検討中だし、いろいろの資料や何か、そういうことについてアメリカの一層の御協力をいただきたいというふうな表現をしているわけなんです。
私が何でこの問題こう言うかということは、防衛庁自身が、昭和四十五年の七月十六日にこれは防衛庁長官の決定として、いわゆる「装備の生産及び開発に関する基本方針」といって五項目のことを決めているんです。その二番目に言っていることは、「防衛の本質からみて、国を守るべき装備はわが国の国情に適したものを自ら整えるべきものであるので、装備の自主的な開発及び国産を推進する。」、それから三点目には、「装備の開発及び生産は、主として民間企業の開発力及び技術力を活用してこれにあたらせるものとする。」というんです。長官決定としてこういうことをもうはるか昔にお決めになっているんです。それで言うならばF1も生まれてきたわけですけれども、その後現実に現在使っている支援戦闘機が国産でできているにもかかわらず、共同開発にまた軌道修正するということが果たして適切なことなのかどうなのか。
今度も貿易収支の問題でもって政府がジャンボジェット機をアメリカから買うと。こんなのは一機なり二機なりそれだけのお金を出してなにすることであって、別にとやかく言う問題ではないことなんです。ただ、このようなFSXのような問題は、言うならば一九九〇年代、少なくとももう十年間ぐらいの長期にわたって、それがもう決めてしまうわけなんです。そうしてくると、日本の防衛産業というものの質的向上とか技術の向上とかそういうものが、言うならば成長しないで途中でとまったままでいるというふうなことになる。そういうことが二年や三年の問題ではなくて、もう十年ぐらいの長期にわたってそういう状態に置かれるということで、ますますそうなってくると航空機産業の技術力の向上、開発というものがおくれていってしまう。そういう点に立って考えたときに、今度のような結論で果たしてよろしいかどうかということをお聞きしているんですけれども、もう一回その辺についての御見解をお聞きしたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/103
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104・山本雅司
○政府委員(山本雅司君) ちょっと過去の経緯を簡単にお答えさせていただきたいと思います。
ただいま先生御指摘のように、確かに四十五年に装備の生産及び開発に関する基本方針が決まっておりまして、私どもといたしましては、これは現在も基本的にはこの精神にのっとってやっていきたいと考えているわけでございます。それは、いろいろ理由がございまして、やはり国情に適したものをつくるとか、あるいは装備の入手の容易性とか、いろいろ国産にはメリットがございます。さらに、今おっしゃいましたように、技術開発の力を涵養するということも非常に重要でございます。ただ、私どもといたしましては、基本的にはそういう方針にのっとりながら、なおかつ具体的な装備の内容に応じまして、今までもF15につきましてはライセンス生産を行い、さらには非常に生産の量の少ないものは輸入をし、しかもその輸入も一般輸入とかFMSとかいろいろやっておるわけでございまして、要するに費用対効果が一番すぐれたもの、あるいは将来の我が国の防衛力にとって一番望ましいやり方でやるということで考えてきたわけでございます。
そのような観点から、このF16改、FSXにつきましてはあらゆる面から検討いたしまして、先ほど来長官あるいは防衛局長からお答えしておりますように、日米共同でF16という今ある既存の機をベースにいたしますけれども、両国の一番いい技術を持ち寄りまして、相当大幅な改造開発をしていきたいということに考えたわけでございまして、技術力の涵養の点につきましても、我が国が今まで開発してきたいろいろの要素技術、アクティブ・フェーズド・アレー・レーダーとか、あるいは新素材による一体成形とか、いろいろ技術的な面も今後涵養できるということでこういう方向を決めたと、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/104
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105・柳澤錬造
○柳澤錬造君 私のお聞きしていることの答弁にはならないんです。
大臣、もう一度聞いておっていただいてやっぱりお答えいただきたいのは、それはF15は向こうからなにでライセンス生産しているんで、それはそれでいい。ただ私が一番言いたいのは、もう十年前から生産に入って現在使っている支援戦闘機F1は国産でできたんです。それで、現実にこの十年間、ずっと日本のいわゆる航空自衛隊の支援戦闘機として使われてきたんです。それだけのものが日本の国産でできて実際に使ってきたんだから、それじゃその後の後継機をどうしようかといっていろいろ研究をなさってきた。検討委員会もつくられてきた。
当然、そうならば、日本が持っている今の防衛産業の技術力をさらにレベルアップさせるためにも国産でやるという、しかもはるか昔に防衛庁長官もそういう方針をお決めになっているんだから、それで今もお話しのように、それはまだ生きているということでしょう。だったら、ただ値段が安いとか高いとかなんかでなくて、ここでもって共同開発にしてしまえば日本の防衛産業なら防衛産業、特にそういう兵器生産のようなものが今後十年間ぐらい、そういうことについての技術力のレベルアップというものにかなりのブレーキがかかるでしょう。それは私は皆さん方もおわかりだと思う。そういうことを考えたときに、こういうことを今してしまってよろしいのかどうか、そういう意味において大臣がアメリカへ行く前にその点についてはよほど慎重に扱うような心構えをして行っていただかなきゃならないし、そういう点でもってもう一度御返答いただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/105
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106・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) 先生の御質問……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/106
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107・柳澤錬造
○柳澤錬造君 いや、局長の方はいいや。局長、時間がないので、だから大臣に……。あなたのは聞かなくたってわかっている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/107
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108・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) 従来決まった線を御説明申し上げるわけでありまして、これから決めることじゃございませんので、従来どういう考え方で決めたかという点を申し上げたいと思います。
先生の御質問はどちらかというと産業政策的な面からの御質問だと思いますので、本来であれば通産省がお答えすべきかと思いますが、私どもとしましては、まず我々が最も欲する運用要求にかなった航空機を最も経費効率のいい形で取得するには16改がよろしいということが一つの結論であります。
一方、産業政策的に見まして、我が国がそれでは戦闘機をつくる能力というものを今後ますます向上していくという考え方はあろうかと思いますが、御承知のように、我が国は武器輸出はいたしませんので、戦闘機のマーケットとしては防衛庁が購入するもの以外にないということもまた御理解いただけると思います。ということになりますと、最近のように戦闘機の寿命というものがかつての二、三千時間から七千時間、八千時間というふうに延びてまいりますと、我が自衛隊が購入する航空機というものはある十年間調達するけれども、次の十年間は調達が全くないというような状況になるわけであります。ということになりますと、防衛庁の戦闘機だけをつくるというような形の戦闘機産業というものは必ずしもそれだけでは成立しないということもまた御理解をいただきたいと思います。
それならば、そういった戦闘機の製作技術というものが民間機等の製作技術にどれだけ生かされるか、そして日本自身が民間航空機の生産をどうするかというようなことにつきましても、現在のところ日本が独自で民間輸送機等を生産する計画というものは持っていないという状況でありますので、現状において航空産業について、特に軍事用の航空機についてこれをすべてを自分でつくるということは、産業政策的に見てもそれがベストであるということは必ずしも考えられないということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/108
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109・柳澤錬造
○柳澤錬造君 委員長、ちょっと時間あれですけれども。
大臣、本当に今の防衛局長のあれは、私が防衛産業と言ったけれども、そういうことではなくて、機種選定をしたのは防衛庁の方なんです。だから、どうしてそういう機種の選定の仕方をしたのかと、そのまま今のままでもってお決めになられたら困るからと言っているわけなんです。通産省の問題じゃないんです、私が聞いているのは。——いや大臣に聞いているんだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/109
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110・西廣整輝
○政府委員(西廣整輝君) 前段でお答え申し上げたように、防衛庁が最も欲する防衛庁の運用構想にマッチする航空機で、かつ費用対効果も最もよろしい飛行機として、F16が最善であるということを検討の結果我々は得たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/110
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111・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 新規のFSXにつきましては、委員御承知のとおり、開発、現有機の転用及び外国機の導入等、いろいろ選択肢を持ちながら、日米共同で諸般の手続を得れば取り組むということに対しまして、私は、汎用性といいますか、そういったことで国産と申し上げるよりは、次期支援戦闘機につきましては日米の技術を相互に生かしてまいるということが、そしてまた次期支援戦闘機の運用の問題もあるわけでございますので、それらも考慮に入れてまいりましても、私は今防衛庁としては最も求めやすいものに相なろうと。でありますので、国産という形のみならず相互に技術を、日本も高い技術を持っておることは間違いありませんし、またセラミック等の新素材の開発も得ておる今日でございますから、そういう努力を一つ一つ結実してまいる。将来はどうあるかはともかくといたしまして、次期支援戦闘機につきまして、FSXの取り組みといたしましては、この日米間におけるすぐれた技術をひとつ持ち寄りまして、日本の主導的な考え方のもとにおいて開発する、このことが目下の環境では最も適切なものであろう、こういうぐあいに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/111
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112・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/112
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113・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、亀長友義君及び桧垣徳太郎君が委員を辞任され、その補欠として田辺哲夫君及び本村和喜君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/113
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114・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 休憩前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/114
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115・久保田真苗
○久保田真苗君 まず総理にごあいさつしたいことは、総理が首相におなりになると同時に政府の婦人問題企画推進本部長になられたということなんです。日本は婦人差別撤廃条約を批准はしたんですけれども、まだ約束手形のままで履行されていないものが幾つかございまして、国民の側からは貸しになっておりますので、ひとつ強力な推進方をお願いしておきます。
さて、きょう、いよいよ米ソ首脳会談が開かれるわけです。総理は施政方針演説の中でこの会談の進展への期待をお述べになったんですけれども、それだけではなくて、日本としても世界の軍縮に積極的に貢献していきたいというお考えを表明しておられます。その軍縮に積極的に貢献するといいますと、具体的にはどういうお考えをお持ちなのでしょうか。お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/115
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116・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 所信表明でも申し述べてきたところでございますが、御指摘のとおり、きょう米ソ首脳会談に至ったということは、いわゆる平和、軍縮等のために私は快哉を叫んでおるとでも申しましょうか、評価しておるところでございます。
しかしながら、日本はさてそれに対していかにするか、こういうお尋ねでございますが、今日までも国際努力は積極的に参加していきますという基本政策を掲げておりますので、それを堅持していくことは申すまでもありません。同時に、軍縮というものはできる限り低いレベルで均衡をさせるということが当面の課題であるというふうに思っております。したがって、検証可能なものであるという具体的な考え方も持つわけでございますが、そういう目標に向かいまして、いろいろな機会に、あるいは外交、国際会議等の場もございましょうし、ただ単にアピールするだけで軍縮が終わるとは思いませんが、そういう気構えであらゆる対応策を絶えず講じていかなきゃならぬというふうに考えております。これには国連の場があり、そしてジュネーブの軍縮会議、これらの場が我が国の意図表明の大きな機会としての役割を果たしておると思います。
ただ、一言つけ加えさせていただきますならば、最初、評価すると申しましたが、何だかこれで済んだという感じになるのは危険でございます。さらに戦略兵器の問題、あるいは通常兵力の問題等にまでこれが拡大されていくきっかけとなれば、幸いこれに過ぐることはないというふうに思っております。
なお、冒頭申し上げることを非礼をいたしましたが、本委員会において初めての答弁を申し上げますことになりますので、どうか委員長初め委員各位の御理解を賜るようにお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/116
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117・久保田真苗
○久保田真苗君 総理は均衡論をお出しになっておるんですが、均衡論であればあるほど、私は両方に働きかけていくことが必要だというふうに思うんです。ところが、総理の演説を拝見しますと、対ソ関係につきましては、これまで何回も答弁に出てきたそっくりそのままの非常に陳腐な言葉で語られていまして、領土それから平和条約、そういうことによって安定した関係をつくるんだというふうにおっしゃっておりますけれども、私はそういうことはこういう軍縮のタイミングに乗ってやっぱり並行的に日本のできることを積極的に具体的に進めていただかなければならないのではないかと思っております。特に近隣諸国との信頼関係をつくっていくこと、もちろん近隣にはソ連が含まれるわけですし、それから総理の言われる地球ふるさと論、それは多分ソ連を外したものでもないだろうと推測いたしますので、そういう面でぜひ具体的な御努力をお願いしてはいかがかと思うんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/117
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118・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私の所信表明でINF交渉に触れた際、いわゆる西側の一員としての立場からと、こういう表現を申し上げたことは事実であります。基本的に西側の一員であるという認識は私も持っております。
しかし、今久保田先生お触れになりました地球ふるさと論、三十秒ほど時間が余計かかりますが、実はある宇宙飛行訓練の方が、ソ連の宇宙飛行士とアメリカの宇宙飛行士とあるいは日本の宇宙飛行士とが一緒に宇宙飛行した場合に、地球を眺めたら、何であの緑のきれいな地球の中に、しょせん帰るところはあすこしかないじゃないか、そこに戦争があったりあるいは核兵器があるんだろう、こういう疑問を持ったときに本当に軍縮とか平和とかというのが実感を持っての議論がなされる、すなわち宇宙ふるさと論ですということをある宇宙飛行士の訓練の女性の方から聞きましたので、そういうことを時々触れておりますことをこの際つけ加えさせていただいておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/118
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119・久保田真苗
○久保田真苗君 次に、ペルシャ湾問題なんです。
これは日本の外交の基本にかかわる問題ですし、非常に我が国の利害に関係もありますし、これにまた安易に便乗しようという動きがどうも目立ちます。そこで、総理はペルシャ湾につきましては、さきに決定した方針に基づいて非軍事的な手段によって積極的な貢献をするんだとお述べになっておられます。今後とも軍事的な手段にはよらないということでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/119
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120・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 十月の七日でございます、政府・与党首脳会議がございまして、私も自由民主党の幹事長としてその場に列席をいたしておりました。それの延長線上に今日あるわけでございますが、今御指摘の非軍事的立場ということは守るべきであるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/120
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121・久保田真苗
○久保田真苗君 ところが、現在イラン、イラクという戦争当事国に対して、諸外国の中には兵器供給等を行っている国が大変多うございます。武器供与国というのだけ見ても、ストックホルム国際平和研究所の調べによりますと、八七年版で四十二カ国に及んでおります。また、イラン、イラクの双方に武器を供給している国が急増しておりまして二十六カ国、まさに死の商人の横行と言うべき状態でございます。その中にアメリカ、ソ連、またフランス、イギリス、中国が含まれておりまして、国連安保理の常任理事国の手はその意味ですべて汚れているわけでございます。日本の場合は、武器輸出三原則等によりまして、当然こういうところに武器輸出はしていないはずですね。もし武器輸出国が一致してこの両方への武器供与をやめたら、イラン・イラク戦争はとっくに終わっていただろう、そういう分析もあるわけでございます。
そこで、私はこの間決定した方針の中で、非常に欠け落ちている面があると思うんです。それは、まずこういった紛争国に武器の供与をして、それによって利益を上げていないという日本の立場が最良の貢献であるということを主張すべきだと思うんです。そして、それは逆に言えば、中東の油に依存している日本は、この武器供与国四十二カ国もある、そういうところから被害を与えられていると、そういう立場も主張すべきじゃなかろうかと思っております。そして、日本のできる最大の貢献というのは、私は、日本は手が汚れていないんだし、イラン、イラク両国といい関係を持っているんだし、こういう紛争国の双方に対して武器供与の停止をするということを世界各国に積極的に呼びかける立場にあると思うんですが、総理はそういうことをやろうという御決意はございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/121
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122・竹下登
○国務大臣(竹下登君) もう月が明けましたが、先月までは安保理の議長国であったわけであります。その問題は別といたしまして、今久保田さんがおっしゃいました一般論としては、いずれの国も紛争当事国に対して武器供与を行わないのが望ましいという考えは、私も持っております。ただ、現実問題として見ますときに、日本以外の他の国にもそれぞれの考え方があるわけでございまして、また紛争当事国側から見れば自衛のために武器購入を行っておるという立場を主張する向きも当然あり得るわけでございますので、我が国が武器を、武器輸出三原則もございますとおり、供与していないということだけで、他の国のそれぞれの考え方を律していくというのは、現実的ではないではなかろうかと。基本的な考え方は私にも理解できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/122
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123・久保田真苗
○久保田真苗君 基本的な考え方を理解していただけるのでしたらば、その問題は既に安保理にも出ておりまして、安保理の中でそこまで十分のはっきりした表明が前回はできていなかったということなんです。しかし、今後そういうものが出てくるという可能性もありますし、例えばこの紛争の当事国に対して武器輸出を禁止する、あるいは油を買わないといったような、そういう問題が出てくるかもしれないのですが、そういう問題が審議されるということについて、総理はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/123
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124・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 御案内のように、我が国の立場としては、今日まで世界にわずかなイラン、イラク双方に対して外交が開かれた窓口を持っておるということで、双方に対し外交努力を行っていくということについて、たびたび前内閣以来表明をしておるわけでございます。したがって、そういう立場をまずその現実を踏まえました中において、いわゆる輸入禁止でございますとか、あるいは輸出禁止でございますとか、そういう問題には対応すべきものであって、あらかじめそういうことが予測されるという前提の上に立って我が国の立場を明らかにするよりも、さらになお安保理の中においての努力を重ねると同時に、まだ開かれておる両国に対する説得の努力と申しましょうか、外交上の努力を続けていくのが適切ではなかろうかと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/124
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125・久保田真苗
○久保田真苗君 その場合、仮にイラン一方に対する制裁措置というものが出てきたときは、どういうふうに対処なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/125
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126・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 一方に対する武器供与をやめようということが、いわゆる国連参加国全体を見た場合に現実的であるかどうかなどなど、そのときに当たってはやっぱり、予見をもって申し上げるわけにはまいりませんが、慎重に対応すべき課題であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/126
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127・久保田真苗
○久保田真苗君 一方に対しては慎重というお答えと承ります。時間がありませんので私の小見を述べさせていただきますと、私はもうこれは紛争国の一方だけに武器輸出を禁止するというようなことには、日本は加担してはならないと思うんです。それでは日本の立場というものがそもそも貫かれないことと、第二には、これまでの地道な外交努力というものが崩壊してしまうと思います。そして、日本への信用を非常に傷つけると思います。そして第三には、ペルシャ湾での日本の最善の平和的な自衛策というものをみずから放棄することになると思うんですね。ですから、私は、総理は自分がそうだからといって他国にとおっしゃいますけれども、実は国際政治の中では他国への物申しということは極めて活発に行われているのでして、こういう一方への武器禁輸といったような決議は日本向けには要らないんですよ。やっていないんですから、両方ともに、既に。それなのにそういうものに一方的に加担するなんて、こんなばかばかしい話はないと思うんです。ですから、私は、ひとつ総理にこれ積極的に取り組んでいただきまして、日本の立場を損なわないという外交方針をぜひお願いしたいと思うんです。
それから、特にこの場合、安保理の多くの国、米ソ超大国もイランに肩入れしてきたという筋道がありまして、そういう状態で信頼関係をつくるということがやりにくい立場にあるわけです。日本の場合は非常にいい立場にありますので、総理が事務総長に財政援助を今度なさるわけです、調停のために。それ、財政援助だけでなく、ぜひ日本が道しるべをつくっていくような、そういう公正な立場からのリードをしていただきたいと、こう思いますのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/127
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128・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 確かに、これは今度の問題に限らず、国連のいわゆる財政につきましてはいろいろな議論があるところでございますが、我が国は与野党の協力を得ていつでもこの問題は反対されたこともなくそうした協力はやってきておりますが、今回の措置につきましても、いわゆる国連事務当局とでも申しましょうか、からは非常に感謝されておると、評価されておるというふうに私は理解をいたしております。したがって、イラン、イラクともに特使が事務総長を訪れてというところまで来ておりますので、まさに事務総長の志向されておる方向を強力に可能な限りバックアップしていくという基本方針に立ちたいと思います。久保田さんの御意見は、私なりにしかと承知をさせていただいた御意見として承らせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/128
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129・久保田真苗
○久保田真苗君 どうぞ総理のおっしゃる主体性のある外交ということで、お金だけでなくモラルリーダーシップの面で、これは日本に一番関係の深い問題ですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
そこで最後に、ペルシャ湾問題に関連させて在日米軍の駐留費の軽減問題というのが出ているんですね。でもこれは本当にただワンクッション置いているだけでして、ペルシャ湾での米国の軍事行動を支援する、そして事実上軍事的なコミットメントにのめり込んでいくということは、だれの目から見ても明らかだと思うんです。それは、政府自身が方針の中で、この問題をペルシャ湾対策のところにつけ加えて関連させて出しているからなんです。私は、こういう非常に重大な問題に悪乗りするといいますか、安易にこれに乗っかっていくということは、ぜひやめていただきたいんですね。そのことが一つ。
そして、それに便乗しまして、政府が新歯どめが必要だと言って閣議で十八兆四千億円というようなものをお出しになったのに対して、一年もたたないうちにもうこれをほごにするような議論が自民党の中に横行しているわけですね。私は、本当にこんなことはとんでもないことだし、論外だと思っております。つまり、一つは軍事的なコミットメントに近づいている、そういう軽率なことはやめていただきたいということと、こういう議論の横行というものをぜひ総理のお立場でやめさせていただきたい、こう思っているわけです。
これで私の質問を終わりますけれども、総理に最後にお言葉をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/129
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130・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 今、久保田さん御指摘になりましたのは、私も先ほど申しましたように参加いたしました六十二年十月七日、表題を見ますと「ペルシャ湾における自由安全航行確保のための我が国の貢献に関する方針」というもののいわゆる三項目を決めました後のなお書きについて、軍事のめり込みの危険性というものを御指摘いただいたと思うのでありますが、なお書きの精神というのは、あくまでもグローバルな役割を米国が今日まで果たしてきたということと、そのもとにおける我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層な効果的運用を行うという見地から、これから検討しようということでございますので、確かにその表題となお書きということに区別いたしましたのも、当時私も参加しておりましたが、ペルシャ湾そのものではなく、グローバルな別途の問題としての位置づけをしたという考え方が私どもにも存在しておったわけであります。
それから、十八兆四千億は一昨年の九月の十八日未明でございます。私は大蔵大臣でありました。いろいろ議論の結果、未明に当時の安倍外務大臣、加藤防衛庁長官、藤波官房長官と私であったと思いますが、決定したいろいろないきさつにつきましては今お述べするわけではございませんけれども、やはりかつての中期業務見積もりといったような、国会答弁においては防衛庁が予算請求をするに当たっての一資料にすぎませんというものではなく、計画が存在すること自体がむしろシビリアンコントロールというものをよりよく機能させるための大事なことだという考え方に基づいて決定いたしたものでございますだけに、それの問題については、なかんずく参加した当事者の一人として、これからもあの問題決定の重要性はいつまでも頭に置くべきものであるというふうに、問題意識を整理して持っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/130
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131・久保田真苗
○久保田真苗君 こういうものが新歯どめにも何にもならないということは、余りにも明らかだと思うんです。私はもっとやっぱりわかりやすい、はっきりしたGNP一%枠の問題、これを尊重するという、このことを総理にお守りいただきたいと、こう思います。
それから、先ほど言われました、なお書きだから、グローバルな役割なんだから、ペルシャ湾問題とは別だと、ペルシャ湾問題との関連はないんだと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/131
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132・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 最初表題があってなお書きがございますから、ペルシャ湾のみではなくグローバルなと、こういう表現をあのとき使わせていただいておりますので、ペルシャ湾問題とは別だというよりも、ペルシャ湾問題そのものではないと、こういうふうにお答えした方がより適切ではなかろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/132
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133・野田哲
○野田哲君 久保田委員の質問に引き続いて、在日米軍の経費の負担問題について総理の見解を伺いたいと思います。
問題は、安保条約と地位協定によって駐留軍の経費の負担区分というのは極めて明確になっているわけであります。そして、前回、この地位協定に対する特別協定をつくって一部穴をあけたと、こういう措置がとられたわけでありますけれども、私どもはそういう措置に対しては強く反対をするところであります。今回また、在日米軍の経費の負担を増額する、こういう議論がしきりに行われているわけでありまして、与党の重要な安倍幹事長とかあるいはその他の幹部から声高に伝えられているわけであります。これだけ与党の幹部からいろんな議論が報道されておりますと、竹下総理も年が明けて早々に訪米をされる、そして外務大臣も訪米される、その後を追うようにして瓦長官も訪米される、こうなってくると、これはもう逃れようがない、追い込まれてしまう、こういうふうに思うわけであります。
そこで、いろいろ報道されておりますが、政府としては、米軍の駐留経費の負担を増額することについて、今部内でどういう協議をされているのか、どういう判断を持っておられるのか、その点をまず竹下総理に伺いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/133
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134・竹下登
○国務大臣(竹下登君) あのなお書きのところには、「米国と協議を行う。」ということが書かれてあります。しかし、それ以前には、当然総体的に政府として軽減の具体策という方途について検討しなきゃならぬということは事実であります。その検討の過程が今日、内閣総理大臣たる私のところまでには上がっていないというのが率直な現状でございます。
ただ、御指摘がありましたように、言ってみればこの安保条約改定の節、私どもが国会議員になりまして間もないころでございましたが、一人当たり所得で恐らく七対一ぐらいであったと思うのでございますが、今言ってみれば、言葉、表現は別として、とんとんであるという状態の中において、我が国としての果たすべき役割ということについての議論が、党内あるいは各方面に存在しておるということは私も十分承知しておりますが、厳格に申し上げますならば、その方途の部内協議についてまだ私のところまでは上がっていないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/134
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135・野田哲
○野田哲君 総理のところまでは上がっていないということであるならば、瓦長官は就任間もないんですが、あるいは栗原長官から引き継ぎを受けておられるか、あるいは外務省とどういう協議をされておられるのか、防衛庁長官としての判断をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/135
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136・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 防衛庁というよりは、この問題は政府・与党の対応を受けまして、さらにまた政府がどういう作業を進めてまいるかという段階でございますが、これらにつきましては、私のところへもまだどう対応するかということにつきまして上がっておる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/136
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137・野田哲
○野田哲君 総理のところまで上がっていない。防衛庁長官のところにも上がってきていない。じゃ、一体どこで協議をされているんですか。これは総理、どの場面で協議をすることになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/137
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138・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 具体的に私の手元でこの問題につき、あるいは質問の背景にもございますでしょうが、地位協定をどうするかとか特別協定の解釈であるとかというような問題を議論する場を、今日まだ設定をしていないという意味で申し上げました。
一般論として申し上げますならば、当然のことこれは防衛庁、外務省あるいは財政当局、大蔵省とでも申しましょうか、そのあたりの事務当局の積み上げが大臣マターになり、そしてその調整権限を持つ内閣官房、それから私というのが一般論としての手順ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/138
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139・野田哲
○野田哲君 それでは、せっかく総理への質問の時間ですけれども、総理や防衛庁長官がそうおっしゃるんだったら、北米局長、それから防衛施設庁の長官見えているんですが、一体どういう相談をされているんですか。報告してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/139
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140・藤井宏昭
○政府委員(藤井宏昭君) 十月七日の政府決定を受けまして、外務省内部及び防衛庁と事務的にいろいろな角度からいろいろな観点について下相談を行っておる段階でございまして、その相談の内容がどうであるかというようなことを含めまして、現在外務省といたしましてあるいは防衛庁といたしまして態度をはっきり決めたわけでもございませんし、政府全体としてはもちろんでございますので、その内々の相談につきましての詳細は御遠慮させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/140
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141・友藤一隆
○政府委員(友藤一隆君) お答えいたします。
ただいま北米局長の方から御答弁申し上げましたとおり、いろいろ事務的に勉強いたしておる段階でございまして、その細部について申し上げられるような段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/141
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142・野田哲
○野田哲君 全く今の総理、防衛庁長官、それから北米局長、防衛施設庁長官、みんな雲をつかむような話をされているわけですがね。じゃ、一体この安倍幹事長の発言、人件費を半分持つとかあるいは全額持つとか、あるいは中期防衛力整備計画の十八兆四千億の内がいいか外がいいか、何を根拠にそういう発言が出ているんですか。全く政府や関係省庁あずかり知らない話なんですか、あれは。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/142
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143・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 安倍幹事長は、私と一緒に十八兆四千億というものを一昨年の九月十八日未明に決定いたしました際の、まあ閣議決定はその後でございますけれども、決定した際の当事者でございます。だから、私以上に地位協定、特別協定、あるいは枠の内外ということについての知識は十分あろうかと思うのであります。したがって、正確にどのように申されたかということを把握しておるわけではございませんが、新聞紙上等で拝見する限り、一つの考え方を問題提起として投げかけられておるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。したがって、事務当局からいろんな御注進御注進でいきますとかいうようなこと以上に、幹事長独自のこの物の考え方というものは、そういう予備的建言と申しますか、申し上げるというようなものを必ずしも必要とされないほど、内容には精通しておられるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/143
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144・野田哲
○野田哲君 竹下総理としては、まずこの方法でありますけれども、地位協定を改定をするのがいいのか、あるいはまた別協定をつくるのがいいのか、どちらをとるという判断をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/144
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145・竹下登
○国務大臣(竹下登君) それこそまさにそれらを含めて今の段階であらゆる角度から議論が重ねられておる段階であろう、慎重の上にも慎重を期して議論を積み重ねておられるであろうというふうに私は推測をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/145
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146・野田哲
○野田哲君 政府の部内のそのつかさつかさと言われるが、つかさつかさでは全く抽象論の答えしか出てこないんです。
瓦長官に伺いますが、あなたは防衛庁長官として、金額もまだ決まっていないようでありますけれども、相当なものをこれは持とう、持たされる、こういうことになると思うんですが、これは中期防衛力整備計画の十八兆四千億、この中で処理されるというお考えなんですか。別のものにしようと、こういうふうに考えておられるのか。どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/146
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147・瓦力
○国務大臣(瓦力君) まさに今外務省また施設庁から、どう対応していくかという問題につきまして検討を重ねておるという答弁がございました。加えて、これから先々予算編成という時期も迎えるわけでございますが、今外務、大蔵、防衛、三省庁で、内か外かという御質問でもございますが、慎重に検討を進めてまいるというその状況、環境を答弁されたわけでございますが、私はこれらをしかと見守りながらその結論を得て対応を決めたいと、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/147
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148・野田哲
○野田哲君 これはもう全く議論にならないですね、本当に。
方法論ですがね、大筋としては人件費を持つと、一定割合で持つかあるいは全額持つか人件費を持つんだと、こういう方向で議論が出ているわけです。この前の地位協定の特別協定も人件費の一部分を持つことになったんです。大体この方法としては人件費を持つ、こういう方向で進んでいくわけですか。その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/148
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149・藤井宏昭
○政府委員(藤井宏昭君) 野田委員にはまことに申しわけないことでございますが、何分にも現在外務省それから防衛庁、財政当局含めまして、いろいろな角度から鋭意検討を重ねておるところでございます。その中でいろいろな議論もございますし、いろんな論点もありますけれども、現段階において、どのような方向で最終的な結論が出てくるのであろうかというようなことにつきまして、過早に申し上げられる段階でないということについて御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/149
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150・野田哲
○野田哲君 これはことしの暮れには予算が決まるというんでしょう。二十三日には内示があるというわけでしょう。それから二十八日か九日には決まる、こう言われているわけで、恐らくこれはペンディングになって、最終的には総理の判断と、こういうことになっていくのだろうと思うんですけれども、いずれにしても年末には決まる。それを持ってアメリカに行く。表現が悪いけれども、竹下総理の初訪米の手土産と、こういうふうな見方もできるわけであります。そのことの是非を議論する場というのは、今のこの場とあとはもう十一日に予定をされている予算委員会しか国会での議論の場はないんですよ、事前には。その本日の内閣委員会の場でこういう議論しかできないということでは、私は余りにもこれは政府の方の国会に対する軽視だと思うんですよ。そうしてまた、あれだけ与党の幹部の人が発言をしている、それを全く無関係のような答弁をされる、一体これはどういうことなんですか。国会に対して余りにも失礼な態度ではないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/150
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151・藤井宏昭
○政府委員(藤井宏昭君) いろいろな議論が新聞に載っておりますことは、我々もよく承知しております。いろいろな角度から御意見を申し述べていらっしゃるわけでございまして、それなりにいろいろ傾聴すべき点があるのかと思います。問題は、政府としてどういう態度をとるかということでございます。できるだけ早くそういうものを決めたいというのは当然でございまして、鋭意事務当局といたしましてもその検討を進めておるわけでございます。新聞にはいろいろ載っておりますけれども、政府としての態度を決定するに至ってないというのが実情でございまして、したがいまして、本日詳しくお答えできないということに尽きるわけでございます。どうぞ御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/151
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152・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 今、北米局長から答えたのが私は事務当局者としてのこういう場所におけるお答えの限界ではないかというふうに考えます。あのなお書きでは「対象について」、こういう言葉を使っておりますが、その対象というものをいわゆる人件費、恐らくさらに日本人労務者というふうな感じもお持ちの上での御質問でございますが、それらも当然検討の対象ではあり得るかなという感じは、私自身も持っております。
それから、今後こういう経過をたどるであろうということを含めての御意見でございましたが、この年末、調整の際に、仮に二十三日に大蔵原案が内示されて、概算閣議決定が二十八とか二十九とかということでございましたが、普通の場合、その前日が大臣折衝あるいは四役折衝、こういう手順になりますので、それらの長い経験を踏まえての御発言だと思います。仮にもし今野田さんがおっしゃったような手順で私のところへ上がってくるといたしましたならば、それこそ私が今およそ志向している方向を申し上げるというというのは、予算の手順を踏む建前からいえばむしろ避けるべきではないか、可能な限りその前で調整されていくのが好ましいことではないかな、こんな感じでお話を承ったところでございます。断じて国会軽視などというのは、もうつゆだに思ったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/152
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153・野田哲
○野田哲君 明確な答えがもらえないのは極めて残念に思うわけですが、角度を変えて、人事院見えておりますか。ちょっと人事院に対して伺っておきたいと思います。
国家公務員法二条で、国家公務員の範囲を一般職と特別職と定めてある。そして二条の六項で、「政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給与を支払ってはならない。」、こういう規定がある。そして、「人事院は、ある職が、国家公務員の職に属するかどうか及び本条に規定する一般職に属するか特別職に属するかを決定する権限を有する。」、こうなっているわけです。
そこで、仮に駐留経費の負担をふやすということになって、今議論をされている人件費を持つ、こういうことになったときには、これは国家公務員法の二条六項の規定によって、法を改正して身分を国家公務員の扱いにしなければ費用の負担はできない、こういうふうに考えられるわけですけれども、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/153
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154・加藤和夫
○政府委員(加藤和夫君) お答え申し上げます。
結論から申しますと、駐留軍労務者につきましては、国家公務員ではないものとされております。先生のおっしゃったとおり、国家公務員法二条の趣旨から申しますと、そういう背景の中でそういう御議論も生じますかと思う点がございますけれども、現在はそういう点につきまして、昭和二十七年法律第百七十四号、日本国との平和条約の効力の発生及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する等の法律というものの第八条で、駐留軍労務者の身分を定めております。
ここで、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約、以下条約という、に基づき駐留するアメリカ合衆国軍隊のために労務に服する者で国が雇用するもの「(以下「駐留軍等労務者」という。)」は、国家公務員でないというふうに明文の規定をもって処理されております。なお、「駐留軍等労務者は、国家公務員法第二条第六項に規定する勤務者と解してはならない。」という規定が二項にございまして、この点はきちんと、国家公務員に当たらない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/154
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155・野田哲
○野田哲君 それはわかっているんですよ。現在の扱いはそうなんです。それは、人件費はアメリカが持っているからそういう取り決めになっているわけでしょう。今度、今アメリカが持っている人件費を日本側が持つということになったときには、公務員法を変えなければ、そして身分を国家公務員特別職にしなければ持つわけにいかないでしょう、そうじゃないんですか、こういうふうに聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/155
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156・加藤和夫
○政府委員(加藤和夫君) その点は法律の解釈の問題でございますが、日本国政府の公務を行う者に当たらないので、原則的に国家公務員に当たらない。経費の負担というのは、おのずから給与を支払うという関係とは別かと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/156
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157・野田哲
○野田哲君 経費の負担じゃないよ、これは本来。政府が月給を払うというんだから、そのことを聞いているんです。もういいです、時間が来たから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/157
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158・峯山昭範
○峯山昭範君 それでは、私は、総理、非常にきょうは短時間でございますので、端的にお伺いをしたいと思います。
まず第一点は、先ほどもお話に出てまいりましたが、きょうは八日、日本時間では九日の早朝になるそうでございますが、午前零時ですか、米ソの首脳会談が行われまして、先ほどもお話ございましたように、人類の歴史の中で一つの兵器体系とはいえそれを全廃する、あるいは廃棄するという中距離核兵器全廃条約が両首脳によって調印されるということは、東西関係にとりましても大変歴史的なことだろうと思います。そういうような意味で、この問題についての総理の所信をもう一回お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/158
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159・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これは正確に整理してまいりましたので申し上げます。
今般INF協定が署名され、交渉開始以来米国が主張し、我が国の念願であったINFのグローバルな全廃が合意されたことを心から歓迎をします。
次に、本件協定は既存の核兵器を初めて削減するものであって、まさに初めて削減するものでありまして、核軍縮の第一歩であると位置づけをし、今後戦略核兵器の大幅かつ安定的な削減のための米ソ交渉が進展することにさらなる期待を持っておるというふうに申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/159
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160・峯山昭範
○峯山昭範君 それでは次に、先ほどから問題になっております駐留軍の経費の削減の問題でございますけれども、先ほども総理がおっしゃいましたように、なお書きのところを見ますと、米国がペルシャ湾を含め国際的な平和と安全の維持のためにグローバルな役割を果たしている現況下で、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安全保障体制のより一層の効率的運用を確保する見地から、適切な対象について在日米軍経費の軽減の方途について米国と協議する、こういうふうになっておりまして、総理が先ほどおっしゃいましたように、適切な対象についてという対象でありますけれども、これは総理、大体どういうことをお考えになってこういうことを検討していらっしゃるのか。これは総理の端的なお考えで結構です、こういうことを考えてというふうなことで結構でございますが、現在の総理のお考えをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/160
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161・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 今の私の考え方は、先ほど来申し上げておりますように、そのつかさつかさで積み上げていくというものを見守っておるというところでございますので、むしろ、この会議に私も参加しておりましたので、当時の私の印象について申し上げた方が適切かなと思います。
それを申し上げますならば、当時いろいろな議論がございましたが、先ほども申し上げましたように、言ってみればちょうどあの安保改定のとき、私は国会へ出てまだ二年目ぐらいでございましたが、当時は一人当たり所得がアメリカの恐らく六分の一とか七分の一とかという時代であったと思います。当然為替レートも三百六十円の固定レートの時代でございましたが、そういうことを考えてみると、今日たしか百六十三円でございましたか、正確ではございませんが、になった途端に、計算してみると一人当たり所得がアメリカのそれを抜いてくるというようなことになった場合に、いわゆるグローバルな意味における国際協力、そして我が国が厳然たる日米安保体制のもとに今日位置づけられておるということから見ますならば、経費負担の問題というのがいわば現実問題としてこれは上がっていい時代に来ておるではないかという問題意識が私にもあったことは事実であります。
そこで、今御指摘のとおり、その対象について、こういう言葉を使いました中には、いわゆる労務費等の問題が私の念頭にあったことも事実でございます。なお、必ずしも専門的な知識を持ち合わせておりませんが、そのときからたしか十八兆四千億につきましては六十年度価格というようなものを置いておりました。定かには記憶しておりませんが、一ドル二百三十円前後の単価の時代であったかなと思います。ちょうど十八日がこれを決定したときであり、九月の二十二日が初めて行いましたG5のときでありましたが、たしかそのようなものを考えて決めたというような状態を思い出しながら、その対象ということを特に私なりに主張いたしておりました中に、御指摘あったような労務費問題等が私の念頭にもあったことは事実でございます。さらに、これからまさにそれは対象等について米側と協議に入る、こういうふうに書いてありますから、協議に入る前の段階の検討期間というのが今の状態ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/161
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162・峯山昭範
○峯山昭範君 これは、総理、例の六十年価格でのいわゆる十八兆四千億の中に含まれるとお考えですか。これから出てくるであろう経費ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/162
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163・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 厳密に言いますと、その含まれる含まれないの問題についても、まだ検討の段階を出てないと言わざるを得ないのかなと。私なりのいろんな計算が仮にあったとしましても、今、私、大蔵大臣でございませんので、やはりこの際軽々に申し上げることは差し控えさせていただいても御理解がいただけるんじゃなかろうかと、幾ばくか甘えた答弁でございますが、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/163
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164・峯山昭範
○峯山昭範君 総理、これは当内閣委員会で、中曽根内閣の時代でございますけれども、いわゆる思いやり予算、この間の別協定でやりました予算ですね、あれがその中に含まれているかどうかという議論が随分あったわけです。そのときの答弁、これはここに実はあるんですけれども、隣の西廣防衛局長さんがお答えしていらっしゃるわけでございますが、大体これは十八兆四千億という全体経費の規模の中でやりくりをしてそれを賄っていくことになろうかと思いますと。その前が前段ありますんやで。ありますんやけど、きょう時間ないから全部読んでおられしませんけど、とにかくこれは大体この当時の、これから新たに出てくるのはまた別でございますが、当時の地位協定の特別協定も、いわゆる思いやり予算の分については、少なくともそういうふうに十八兆四千億の中でやりくりしていかなければやむを得ないと。
言うなれば、十八兆四千億円のうちいわゆる後方関係の経費というのは六兆五百億が見込まれているわけでございますけれども、この六兆五百億というこれ自身が、結局どういうふうな積み上げをしてこれだけになったかというふうな明確な説明は実際はないわけです。積み上げしてやったものじゃなしに、いろんな計算をして出てきたものだというふうに聞いているわけでございますが、そういうふうな意味で、これは今までの考え方でいきますと十八兆四千億の中に含まれると私たちは考えていたわけでございますが、これから新たに出てくる分については、相当いろんな角度から検討しなきゃいけない問題があると私は思うんですけれども、もしそういうふうな枠外ということになれば、防衛関係予算の十八兆四千億の枠というこれが全く歯どめでなくなっちゃう可能性があるわけですね。そういう点については、これは総理、どういうふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/164
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165・竹下登
○国務大臣(竹下登君) あるいは正確を期するためには西廣さんの答弁が的確かとも思いますが、私自身考えますのは、十八兆四千億というのは、本当言いますと、それぞれの経済情勢の変化とかあるいは為替問題とか、経済情勢の変化の中には原油価格とかという問題も含まれていくわけでありますが、結果として出てくる数字というのは本当は五年たってからではないかなと、こんな感じを私自身持っております。しかし、現段階において申し上げるといたしますならば、今おっしゃったような議論も検討の対象になっておるではないかというふうにお答えするのが私の限界なのかなと、こんな感じで立ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/165
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166・峯山昭範
○峯山昭範君 それでは、きょうは総理に対する防衛問題についての私は初めての質問でございますので、従来から政府がとってまいりました防衛政策の基本の問題について幾つか確認をしておきたいと思います。
まず初めに、専守防衛という問題でございます。これはもう当然、総理大臣、専守防衛という政策でこれからもいかれるのであろうと私は思うんですけれども、この問題については、専守防衛なんというのは全く軍事的合理性なんてないんだと、専守防衛なんて言っていると本当の防衛なんてできないんだという議論があるんです。そういうことはそれじゃいかぬと私は思うので、この専守防衛という問題については従来からと同じように引き続き堅持する、そういう姿勢であろうかと私は思うんですが、この点についての総理のお考えを初めにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/166
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167・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私は、我が国憲法からしまして、そうして保安隊、警察予備隊、自衛隊と、ずっとこういう歴史的経過と国会の議論等の延長線上で考えますと、何としても専守防衛という、今観念的な言葉であるという趣旨の御発言もございましたが、そういうものは堅持すべきものであるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/167
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168・峯山昭範
○峯山昭範君 それから、この専守防衛という問題と同じ次元で考えられる問題の中に、最近は軍事技術というのが非常に進歩してまいりました。従来は自衛隊の兵器能力というのは、他国を侵略するとかあるいは他国の領土を攻撃しようというふうないわゆる能力がなかったわけですね。ところが、最近はいろんな装備、兵器の発達によりまして、攻撃しようと思えばいつでもできるだけに能力的にはなりつつあるわけです。これは非常に重要な問題だと私は思うんです。それともう一つは、先般から内閣委員会で何回も問題になっていることでございますが、シーレーン防衛、そして洋上防空構想、こういう点からいきますと、防衛の地理的範囲というのがどんどん大きくなりつつあります。
こういうふうなことを考えますと、私は前段の、ただいま総理から御答弁いただきました専守防衛という点から考えましても、今こそ本当の専守防衛というのが必要になるのでありまして、専守防衛の枠をはみ出す可能性というのがあるわけですから、そこら辺のところはやっぱり厳格な歯どめといいましょうか、決意といいましょうか、そういうものがなければ、非常に装備とかそういういろんな問題が大きくなってきているだけに、重要な問題だと私は考えているわけでございますが、ここら辺の問題についての総理のお考えをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/168
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169・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私は、いわゆる兵器技術の進歩等がありましても、基本的な専守防衛というこの概念だけは、しっかりと我が国の基本方針として持つべきものであるということをまず申し上げておきます。
そこで、我が国の防衛力整備というものは、御案内の大綱に基づきまして、限定的かつ小規模な侵略に有効に対処し得る防衛力を保有するということが目標になっておるわけでございます。したがって、また一方、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう、質的充実、向上を図ることが必要だと。かつて第四次防衛計画でございましたか、そのときに随分その議論がございまして、言ってみれば完全に陳腐化したものでなければ持てないというような考え方の上に立ってはならないという考え方を基本的に持っておるわけであります。
そこで、シーレーン防衛の問題でございますが、我が国の海上防衛力の整備は、従来から我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の海域において海上交通の安全を確保し得ることを目標とする、こういう方針でありますし、こういう方針に従って海上防衛力の整備を進めるに当たっては、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るような質的な充実を図ることが必要だということが国会の御論議、いわばシビリアンコントロールの最高の場所は国会でございますので、そうしたことが今日おおむね定着しつつある考え方ではないかというふうに考えておりますので、専守防衛という概念はもちろん持ちつつ、それぞれの大綱、整備目標というものは現実に今日も変わりなく存在しておるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/169
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170・峯山昭範
○峯山昭範君 それでは、次に非核三原則の問題でございます。
この問題は前の中曽根総理の時代にも随分議論をいたしました。まず、前総理も最終的には非核三原則は国是としてそれを堅持するというふうにお認めになったわけでございますが、この点は総理いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/170
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171・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 非核三原則は、これは歴代内閣によって堅持されてきたものでありまして、今後もこれは堅持してまいる方針であるということを明確に申し上げるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/171
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172・峯山昭範
○峯山昭範君 この三原則の中の「持ち込ませず」という問題が、これは従来からいろんな核兵器積載可能艦船が日本の横須賀とかいろんなところへ入るたびに問題になったわけでございますが、この問題はやっぱり事前協議だけの問題ではなしに、政府として国民の疑惑を晴らす努力というものが必要ではないかと思うんですが、この点についてのお考えをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/172
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173・竹下登
○国務大臣(竹下登君) やはりこれも歴代の内閣でたびたび国会等において議論なされたことでございますが、日米安保条約上事前協議の対象でございますので、この事前協議を行うというのは米側の義務でございますので、安保条約というもののよって立つ歴史的基礎から申しまして、事前協議が行われない以上、米国による核兵器の持ち込みがないことについて疑いを持たないというのが基本方針でございます。
仮にもし事前協議が行われた場合には、これは常にこれをノーと言うという立場は今後とも継承していきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/173
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174・峯山昭範
○峯山昭範君 それではもう一点、集団的自衛権の問題であります。
これは先ほどから問題になっております日米安保条約の効率的な運用とか、そういういろんな問題とやっぱり絡んでくるわけでございますけれども、例えば紛争当事国の片方を利するような軍事的行動、それは直接的な軍事的行動ではないにしても、情報提供とかあるいは経済封鎖とか、そういうような問題がいっぱいあるわけでございますが、直接的な軍事的な行動ではなくても、そういうふうな経済関係の封鎖であったにいたしましても、紛争当事国から見ればそれはやっぱり紛争への介入ということにほかならないわけでございまして、非常に心配されることが幾つかあるわけですね。こういうふうな問題については、やっぱりそういうふうなことにならないように十分配慮してこれからそのいろんな行為をやっていかれると思いますけれども、この点についてのお考えをお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/174
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175・竹下登
○国務大臣(竹下登君) この問題も国会の問答等を通じながらきちんと整理されておるところでございますが、我が国の憲法解釈上認められない集団的自衛権の行使について一般論をまず申し述べますならば、集団的自衛権を含めおよそ自衛権とは、国家による武力の行使に係る概念であって、武力の行使に当たらないものについて憲法解釈上認められない集団的自衛権の行使には当たらないというふうに整理をして、累次お答えをしておるというのが現実であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/175
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176・峯山昭範
○峯山昭範君 もう一つ、武器輸出三原則の問題ですね、これも非常に重要な問題でございますが、中曽根内閣の時代にアメリカに対する武器技術協定がありました。この問題のときにいろいろ議論がありましたけれども、中曽根内閣は、武器の輸出については行わないと言明をいたしているわけでございますが、そのときに中曽根内閣としてはと、こうおっしゃっているんですよね。ですから、やっぱり私は何となく中曽根内閣としては行わない、よその内閣になったらやる——そんなことは私はないと思うんですけれども、これはやっぱりそういう限定的な解釈じゃなしに、武器輸出というのはいいことじゃないですから、我が平和国家といたしましては将来ともに武器の輸出は行わないというふうな感じが一番いいんじゃないかと私は思うんですけれども、この点についての総理のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/176
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177・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 武器輸出三原則は、今おっしゃいました平和国家としての我が国の立場に沿ったものであると、まず基本的な認識を持っております。
そこで、私もまだ内閣におる当時で、当時は内閣官房長官後藤田さんのときでありましたが、我が国は、武器の輸出については従来から武器輸出三原則、武器輸出に関する政府統一見解等によって厳格に対処してきたと。そこで、五十八年、日米安保体制の効果的な運用を図る上で極めて重要との認識のもとに、いわゆるアメリカだけは別と申しましょうか、対米武器技術供与の道を開いたと。この措置は国際紛争等の助長を回避するという平和国家としての基本理念を確保しつつ行われるものだと、こういう趣旨の官房長官談話でございましたか、ちょっと政策転換であったと思います。ある意味においては大きな政策転換だという問題意識を私も持っておったわけでございますが、そういうことで政策転換がなされていったと。したがって、基本的には今峯山さんが御指摘のように、武器輸出三原則というものはやっぱり私どもはこれは守るべきものであるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/177
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178・峯山昭範
○峯山昭範君 これは最後の質問になりますけれども、日米安保体制の問題についてお伺いしたいと思います。
この問題、我が党も現在の我が国の安全保障政策として日米安保条約の体制を是認する、そういう立場にあります。しかし、これは非常に難しい問題でありまして、総理、これは何といいましょうか、外交政策というのはやっぱりできたら全方位外交といいましょうか、それが一番いいと私は思います。しかし、それと同時に、これは総理、安全保障政策という問題と、それから貿易とか経済政策、そして防衛問題、それぞれ違うカテゴリーなんですね。いわゆる安全保障は、グローバルで言えば経済とかあるいは貿易等も含まれるかもしれませんけれども、最近はどうも防衛問題とこの経済政策というのが両方が絡まっている。これはできるだけ絡めないようにした方がいいと、私は、総理、そう思っているわけです。
そこで、具体的に申し上げますと、例えば日米安保条約があるからという一つの大きな理由で対米武器技術供与の決定をしてみたり、日米安保条約があるからということで地位協定の特別協定を決め、そして日米安保条約があるからペルシャ湾の安全航行確保のための財政支出をしなくちゃいかぬ。そして日米共同演習があり、そしてNLP基地の選定の問題とか、あるいはSDIの研究参加の問題とか、こういうふうな問題が全部絡んで出てくるわけですね。こういうようなのは本当にこれでいいのかなという非常に心配な点が一つあるわけです。これが一つ。
二つ、時間がございませんから続けてお答えいただきたいと思うんですが、総理は今度新年早々アメリカへ行かれるそうでございますが、日本が安保ただ乗りと、こういう議論があるわけですね。これは私は本当は当たってないと。それはもう余り詳しく言っている時間がございませんけれども、日米安全保障条約のもとで、我が国としてはもうそれこそ国民にいろんな面で犠牲を強い、基地問題から何からいろいろなことをやってきているわけですね、今まで。ですから、そういうふうな点、やっぱりそれなりの自信と、言うべきことははっきり言うと、そういう決意で行っていただきたいので、何となく向こうに押されっ放しというのじゃ困るわけでございます。
この委員会でもきょうも随分議論がありましたけれども、例えば基地を提供しているために生活が非常に困窮しておる、あるいは騒音のために困っておる、そういうような問題を初め、駐留軍の経費の負担の問題とか、いろいろな問題が出てきておるわけですね。そういうふうな苦労も随分やっているんだというふうなこともよくわかった上で、またそこら辺のところをはっきり言うべきことは言っていただきたい。我が国会の中でそういう議論もあるということもやっぱり言っていただきたいし、ただ安保条約を強化すればいいというだけじゃなしに、そこら辺のところも十分配慮しながらお願いしたい。
この二点の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/178
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179・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 確かに、現在の国際社会におきまして我が国が単独で国の安全を確保するということは、これは困難だと。そして、日米安保条約というものが今日存在し、言ってみれば四十二年間とでも申しましょうか、全くそういう国際的紛争の外に位しておったということの意義、これも私はあろうかと思っております。そうして、一方、今おっしゃったように、いわゆる安保ただ乗り論、すなわち我が国は必要最小限の防衛力の保有と、並びに我が国の安全保障の基本に日米安保体制を位置づけておるわけでございますけれども、アメリカの議会を中心に我が国に一層の防衛努力を求める動きが存在しておるということも承知しております。
しかし、日米安保条約というものができました当時からの歴史的経過をも十分踏まえて、最終的には我が国の自主性においてこれは決めるべきものだという心がけというものは、貫いていかなきゃならぬというふうに考えております。貴党におかれて、日米安保体制というのを是認しながら、そこに生じてくるいろいろな問題点に対して絶えず御指摘をいただいて、我々に警鐘を乱打していただいておるということについては、感謝を常日ごろ申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/179
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180・吉川春子
○吉川春子君 竹下総裁が総理に就任されて初めて質問をさせていただきます。
十一月九日付のニューズウィークのインタビューで、ペルシャ湾情勢について、安全航行に関し日本は何もしていない、日本国民はこれを申しわけなく思っておる、憲法上海外派兵が認められていないと述べられておられます。そして、国連に対する負担の増額、湾岸諸国への経済協力等を行うとも述べておられます。政府は、十月七日に政府・与党首脳会議で、「ペルシャ湾における自由安全航行確保のための我が国の貢献に関する方針」の中で、在日米軍経費軽減の方途について「米国と協議を行う。」としています。ただいま論議があったとおりですが。ペルシャ湾情勢と我が国の米軍経費負担増とはどういう関係があるんでしょうか。安保条約は日本と極東の平和と安全のために米国の日本駐留を認めているのですから、ペルシャ湾の米国の軍事行動について日本が関与すべき何らの義務もないはずです。したがって、在日米軍経費の日本負担増はペルシャ湾問題から当然に生ずる問題ではないと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/180
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181・竹下登
○国務大臣(竹下登君) ペルシャ湾に依存します我が国の原油の供給源としての位置というものは、御案内のとおりであります。そこで、不幸な事態として、どの国がどうとは申しませんが、いわば機雷が敷設されるとかというような事件に当たりまして、そのペルシャ湾の安全航行を我が国を除く国々が、あるいはアメリカはもとよりでございますが、これに積極的に参加しておるという事態を思いますときに、私は、ただ腕をこまねいてそれを放置しておくということについて、経済大国と言われる我々として幾ばくかの責任なり懸念なりを感じておるというような趣旨のことを申し上げたことは確かにございます。
したがって、ペルシャ湾問題につきましては三つの点を十月七日に、先ほど来申し上げておりますように、私は党の代表の一人といたしましてこれが決定に参加しました。その「なお、」というところで、いわばグローバルな意味において果たしておる役割というものからして、今日における我が国のこの経費分担、費用負担というようなものについていろいろな指摘があることも承知しておりますだけに、そのようなものについて対象というものを協議に入る。がしかし、協議に入ります前には我が国内で十分検討すべき必要がありますので、今日はその段階であるというふうにお答えをしてきたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/181
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182・吉川春子
○吉川春子君 アメリカが国際的平和と安全の維持のためにグローバルな役割を果たしているということを理由に米軍への経費負担増を行うというのであれば、世界の多くのところで紛争当事国になっているアメリカでありますから、日本の経費負担増というのは際限もなく膨らむおそれがあるのではないでしょうか。世界じゅうの米国の軍事行動を支援せざるを得なくなるんじゃないか、そういうおそれがあると思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/182
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183・竹下登
○国務大臣(竹下登君) この問題については、おのずから節度とか限界というものが存在するというふうに私は思っております。そして、アメリカが世界の紛争に限りなく関与しておるということが必ずしも私には適切な表現として受けとめ得ないというふうにもつけ加えさせていただいておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/183
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184・吉川春子
○吉川春子君 今後、ペルシャ湾に限らず、世界の各地でアメリカが当事国になるかもしれない。そのときにそういうグローバルな平和と安全を守る役割をしているということですと、日本のその負担増も限りないんじゃないかというふうにお伺いしたんですけれども、限界があるとすればどういうところに限界があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/184
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185・竹下登
○国務大臣(竹下登君) これはあらかじめ限定というものをすべき性格のものであるかどうかについて、にわかに私の頭の整理をするわけにはまいりませんが、日米安保条約の機能しておるという考え方に立ったら、おのずからの限定といいますか、ものはいろいろな検討の過程においてあり得るであろうなというふうには思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/185
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186・吉川春子
○吉川春子君 ペルシャ湾でさえその対象になるわけですから、おのずから限定があるとおっしゃられましてもなかなか本当の限定にはなり得ない、限界にはなり得ないというふうに私は思うわけです。
アメリカの介入というのは、紛争の一層の激化及び拡大につながるいかなる行為をも差し控えるという国連決議そのものに反するのではないでしょうか。この行為を政府が正当化することは、日本の憲法の立場とも相入れないように思います。当事者である船員の組合である全日本海員組合は、最近の定期大会で「ペルシャ湾の安全と平和を求める決議」を採択しました。その中で、あらゆる平和外交努力を積極的に進め、イ・イ戦争終結に向けて最善の努力をすることを要求しているわけです。こういう方向こそ日本政府がとるべき方向ではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/186
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187・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 日本海員組合の今お読みになったことは、私も適切な指摘であるというふうに思っております。まず何よりも、背景といたしましては、イラン、イラク両国に対し外交の窓口の開かれておる日本が果たす外交的役割というのはより大きなものであるという問題意識は私も等しくしておりますだけに、今日までの歴代外務大臣とでも申しましょうか、がそれなりの努力をしてきておられ、今日国連の安保理においてなおそれへの努力がされておることに対して日本がこれをサポートしておるということは、今の海員組合のおっしゃっております問題とほぼ符合するものではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/187
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188・吉川春子
○吉川春子君 そうおっしゃるならば、在日米軍経費の負担増という形ではなくて、平和外交の方向にその全面的な努力をなさるべきだと思います。
先ほど来十八兆四千億の枠の内か外かという論議があるわけですけれども、政府が新たに国民に防衛費の枠として示したものを簡単にほごにするようなことは許されないと思いますので、今協議中だとかなんとかいうこと以前の問題として、もし行われるとしてもこの枠内だというお答えがあって当然だと思うんですけれども、先ほど来の答弁はそうなっていないので、非常に疑問に思っています。
何遍も指摘されておりますように、今日米ソの首脳会談でINFの全廃の条約が締結されると。こういうときに、一方では核廃絶とか軍縮、アメリカも軍事費の削減を一部発表しましたけれども、そういう世界の流れに対して日本が逆に、地位協定でも負担できないようなそういうアメリカの軍事費を肩がわりするという形でさらに軍備拡大するということは、今まさに起こっている世界の流れに逆行するものじゃないかと、こういうふうにも思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/188
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189・竹下登
○国務大臣(竹下登君) INF交渉の妥結、未明調印とでも申しますか、それの評価については先ほど申し上げたとおりでありまして、さらにそれが戦略核にまで可能性を進めていくことについての期待を私も心から持っておるものであります。
しかし、そうしたある種のデタントとでもいうような環境の中において、いわば今の発言からいえば米側の軍事費の肩がわりというのは逆行するではないか。が、それはアメリカの俗に言う軍事費を——我々の方は軍事費とは申しませんが、それを増強することに役立てていこうというような基本的な考えで私どもおるわけでは全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/189
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190・吉川春子
○吉川春子君 最初に防衛費の枠というのがあるんじゃないですか。その点についてはどうですか。十八兆四千億。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/190
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191・竹下登
○国務大臣(竹下登君) この十八兆四千億という問題につきましては、六十年度価格で決めたという記憶がございますが、総じては、いわば五年後にそれがどれだけへっこんだとか、具体的には中の一つ一つの装備なり、正面なり後方なりの問題を積み重ねていくわけでございますので、中身そのものが問題であると私は思いますが、十八兆四千億といういわば六十年度価格における総額明示と申しますか、それが存在しておるということは、私も十分念頭に置くべき課題であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/191
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192・吉川春子
○吉川春子君 この八年間、政府は軍事費の突出を続けてきているわけで、福祉や教育予算を初め国民生活は大変な犠牲、しわ寄せを受けているわけです。この上在日米軍経費の負担増などは、私たちの立場としては絶対に認められません。
総理、あなたのおひざ元の島根県は、秋田県とともに全国でただ二つ養護学校に一つもプールがない、そういう県です。障害を持つ児童生徒のプールでの指導がどんなに有効かということは、繰り返し父母とか教師、子供たちからも要望があったわけですけれども、いまだにそういう状態になっています。文部省の方も、県が要求すれば自分たちの方としては積極的に予算をつけたいと言っておりますが、いまだにその申請のないところを見ると、恐らく補助金のカットその他で今地方財政は大変逼迫しておりますので、そういう事情もあるんじゃないかと、別に県の肩を持つわけではありませんが、そういうふうにも考えられますが、しかし、子供たちにとっては大変な問題であるわけですね。私は、新たに四百何十億か五百億かわかりませんけれども、アメリカのために軍事費を肩がわりしてあげる、そういう気配りをなさらないで、障害児や子供たちの方に気配りをすべきだと。そういう立場から軍事費の削減と、養護学校に一つもプールがない県なんというのは恥ずかしいんですよね、そういう問題について総理はどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/192
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193・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私の出身地、選挙区のことについて触れて御鞭撻を賜りましたことに対しては、大変ありがとうございました。非力のいたすところでございまして、これからもそういうことを精いっぱい努力したいと思っております。
なお、プールの問題でございますが、いわば人口当たりの普及率というのは恐らく大変上の方であると思うのでございますが、大変な過疎地帯でございますので、たまたまそれが存在していなかったといたしますならば、あるいはそれなりの近くの学校にそれが存在しておるとかいうようなこともあり得たかと思いますが、その問題はさておきまして、言ってみればアメリカのためにこの経費を負担するということではなくして、グローバルな努力に対して、安全保障条約を締結しておる我が国の平和と安全ということが中心でありまして、あくまでも防衛費というものは自主的に決められるべきものであるという原則はこれからも貫いていきたいというふうに考えております。
教育とか福祉とかいう議論がよく防衛問題に対しましてはございましたが、かつては戦争か平和かとかあるいは大砲かバターかとか、こういうのが最近は防衛費か福祉や教育かと、こういうふうに時代の推移とともに変遷してきたという問題意識は私は持っておりますが、予算というものは国民の皆様方からちょうだいいたしました、あるいは後年度負担等も考えまして、現在の体制の中で中長期を定めながら最も適切な調整を行っていくというのがこれは予算編成の大綱でございますので、大砲かバターかにかわって防衛費か福祉や教育かという立論というものは、必ずしも私はそのままちょうだいするわけにはまいらぬというのが素直なお答えじゃないかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/193
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194・吉川春子
○吉川春子君 最後に、大砲かバターかと、はかりにかけられないということでしたけれども、養護学校のプールについても心配りはするんだと、このことはそういうふうに受けとめてよろしいですか。それとも、大砲の方だけなんだと、心配りするのは。そういう意味じゃないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/194
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195・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私は出雲の出身でございますので、まさに平和主義に徹した国柄に生まれ育ってまいりました。短絡的に、養護学校のプールの問題、いろんな事情もあろうかと思いますけれども、それらは問題の外にあることだと、それよりも防衛費だと、こんな考え方で政治に対応しておるわけでは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/195
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196・柳澤錬造
○柳澤錬造君 竹下総理、明年の一月アメリカへ行かれるということですので、その中でもって話題になるのかどうかわかりませんけれども、FSXの問題なんです。午前も防衛庁長官の方からはいろいろ十分それなりの御答弁はいただきました。で、結論から先に申し上げますと、このFSXの最終的な政府としての決定というものは慎重にやっていただきたいんですということなんです。なぜそういうことを言うかというと、アメリカがアポロ計画を立てて、あのアポロをお月さんに飛ばしたわけです。何もお月さんに行って空気があるかないか、生物がいるかいないか調べるのが目的じゃなかったわけです。あのアポロ計画を達成することによって、どれだけの技術が開発されてそれが民間産業に応用されていったか。現実には今日本の中にまでそういうものが応用されて入ってきているわけです。
ですから、そういうことを考えたときに、ましてやこういう戦闘機のような兵器生産ということについてはやはりよほど慎重にあるべきだし、そして防衛庁でも昭和四十五年七月十六日に長官決定としていわゆる「装備の生産及び開発に関する基本方針」というものをお決めになっている。その中では、「防衛の本質からみて、国を守るべき装備はわが国の国情に適したものを自ら整えるべきものであるので、装備の自主的な開発及び国産を推進する。」、もう一点は、「装備の開発及び生産は、主として民間企業の開発力及び技術力を活用してこれにあたらせるものとする。」というふうなものを中心にした基本方針をお決めになっている。当時の防衛庁としては立派なそういう方針をお決めになった。
それで、戦後の十数年間も日本の航空機産業というのは空白状態があったわけです。だから、それが何だかんだいってもYS11のあの旅客機をつくる、C1輸送機をつくる、さらにはPS1の飛行艇をつくる、そして四十五年、こういうことを決められましてから後、言うならば現在使っておる支援戦闘機F1を十年前につくったわけです。それで、このF1が現在までずっと日本の支援戦闘機として使われてきたわけなんです。このF1は国産なわけなんです。十年前に支援戦闘機を自分の手でもってつくって、それで現実にそれを使っているというふうな状態で今日まで来ているにもかかわらず、何で日米共同開発というふうなことをやらなければいけないのか。
昨年の四月にアメリカのワインバーガー国防長官が日本に来たときも、FSXの機種選定ということは日本がお決めになることですとちゃんと言っているわけです。防衛庁の技術陣なんかも、国産で開発ができるという結論を出しているはずなんです。それがことしに入ってから、細かいことを言っているともうなんですから省略をして、いつの間にかそれが米側というよりかも日本側から日米共同開発というふうなことをアメリカ側に持ち出していって、最終的に共同開発をやりましょう、F16の改造をというふうなことの結論に落ちついているようなことなんです。
それで、政府の専用機をジャンボ機を買うということをお決めになったんですけれども、こういうのなんかは何もそのとき、何機買うか、それでお金を幾ら払うかというだけのことです。ところが、この支援戦闘機のこういうふうなものなんかについては、そういうことをしてしまうと日本のこれからの航空機産業の技術というものはかなりスローダウンしてしまう。技術の向上というものは足踏みをしてしまう。そういうことを長期に考えたときに、日米共同開発というふうな結論を出すということは適当ではないのであって、その辺のところは竹下内閣としてよほど慎重に御検討いただいて、そして結論をお出しいただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/196
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197・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 防衛庁公表資料の中で、支援戦闘機F1の後継機FSXに関する措置については、日米のすぐれた技術を結集し、F16を改造開発することとする。このために必要な予算の一部を、六十三年度概算要求に計上すると。それから、改要求はできるだけ早期に行うと。こういうことは私も承知をいたしておるところでございます。防衛庁における検討結果を受けて、現在安全保障会議において審議を行っておるというさなかであって、政府としての結論を得たものではないというふうに承知をしております。
それから、航空機産業の歴史的経過につきましては、今おっしゃったのをことごとく肯定する立場にございます。率直に言って、ちょうど、年齢的なことを言っちゃ申しわけありませんが、お互いの年齢のときには航空学科というのは大変な試験の難しいところでございました。その航空学科の卒業生が戦後どうにもならなくなって、もう建設省にはいなくなりましたが、確かにその方々がもう一度入り直したりして、全く使いものにならぬようになったと。ところが、そういう基礎があったから、その後YS11にしても、そして昭和四十五年、いわゆる第三次防の終わりのころであったと思いますが、今御指摘のような国産問題が議論されて方針が決定したと。それが今日に至っておるという歴史的経過の認識につきましては、今おっしゃったことをお聞きしながら、私も自分の歴史的経過を整理させていただいたということで、これは大変ありがたいことだったと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/197
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198・柳澤錬造
○柳澤錬造君 総理大臣、そのありがたいことだで終わってもらっちゃ困るんです。
それで、このFSXをF16の改造だというふうに、いわゆる日米共同開発というふうなことに結論を出したということを知って、アメリカの雑誌ですらも、FSX日米共同開発ということになったことによって日本の航空機の技術は十年から二十年間は進歩がスローダウンするだろうと、向こうの技術者ですらもそういう見方をしているくらいなんです。ですから、そういうふうな、さっきも言いましたように、政府の専用機を買うとか何かだったら、それを国産するか、外国の今のジャンボジェット機を買ってくるかといって、そういう問題とは本質的に違っている。少なくともこれから十年間か、十年間以上、いわゆる一九九〇年代ずっとこれが続くと思うんです、F1が五十二年から六十二年までちょうど十年間なにしたわけですから。
そうすると、その間にどれだけ日本のそういうふうな航空機産業の技術というものが足踏みするかということ、その辺のことをよほど心していただいて、そして政府としての最終的な御判断をお決めいただかねばならないし、その辺のことを総理代臣としてもよく頭の中に入れておいていただいて、アメリカに行ってその話が出るのか出ないのか私知りませんけれども、相当これは重要な大きな問題なんですということを心しておいていただきたいと思うんです。そして、慎重に、極端に言うならば、もう一回日米共同開発がいいのかどうなのかということを再検討するくらいの決断をお持ちいただけるならば幸いだと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/198
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199・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 御説のことはよく理解できます。これは今度の問題にかかわって申し上げることではございませんが、関連会社等の技術水準というものは、私はかつてYS11等の開発等のころの我が国の総体的な技術能力を勘案すれば、一つのことによって大きく将来にわたってダウンするということ以上に、技術者諸君の錬磨というのはあり得るだろうという気はいたしますが、今柳澤さんの御指摘なさった歴史的経過をも踏まえた御意見は、私なりによく理解をさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/199
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200・柳澤錬造
○柳澤錬造君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/200
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201・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終わりました。
お諮りいたします。
これにて両案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/201
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202・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 多数と認めます。よって、両案に対する質疑は終局することに決定いたしました。
これより両案に対する討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/202
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203・久保田真苗
○久保田真苗君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
竹下総理は中曽根前総理の政策の継承を表明しておりますが、中曽根内閣の防衛政策は、日本列島不沈空母化、三海峡封鎖発言に代表されるように、日本をアジアにおける米国の対ソ戦略の最前線基地とすることに奔走した日々であったと言わざるを得ないのでありまして、このような政策を継承することに深い危惧を抱かざるを得ないのであります。
五年にわたる中曽根内閣の防衛政策により、我が国の平和憲法の精神は踏みにじられ、集団的自衛権の禁止、武器輸出三原則、非核三原則という歴代内閣が遵守してきた基本政策は、次々に空洞化されてきたのであります。そして、防衛力整備に当たっての唯一の経済的歯どめであり、国民的合意である防衛費の対GNP比一%枠さえ、強大な防衛力整備の足かせになるとして、撤廃が行われたのであります。
国民に対しては、財政再建という名のもとに多くの我慢と負担を強いながら、防衛力整備だけは聖域とされてきたのであります。政府の言う安全保障とは、我が国の安全や世界の平和を守るためではなく、米国を中心とする西側諸国が軍事力により、ソ連など東側諸国を抑え込む世界をつくることに主眼が置かれているのであります。安保体制はその中で重要な役割を果たすものであり、その本質的な危険性がますます明白になってきていると言わざるを得ません。私は、この際、日本政府が、日本国憲法がその精神としている軍事力によって平和は守れない、日本の平和は世界平和の中でしかあり得ないという本旨をしっかりと認識して、対米一辺倒の力による安全保障政策を是正するよう強く主張するものであります。
また、防衛庁はその防衛白書によって、国際社会における軍事力の役割のみを強調し、その意義を述べているのであります。日本国憲法前文は、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と宣言しておりますが、政府、防衛庁の姿勢はこの憲法の精神に真っ向から挑戦していると言わざるを得ません。
私は、歴代内閣の憲法無視の政策が、ついにこのような軍事力至上主義の思想を防衛庁に言わしめたと、重大なる危惧の念を表明するとともに、こういう危険な考えの撤回を要求するものであります。
また、白書では、防衛力整備の一つの限界であると説明してきた防衛計画の大綱について、別表のみならず本文までも、状況により修正できると述べております。これは、シーレーン防衛、洋上防空という最近の防衛力整備構想が、もはや政府がみずから示した限界では説明し切れないということを認めたものであり、近い将来、大綱を見直し、さらなる軍拡に着手するとの考え方を示したものと思われ到底認めるわけにはまいりません。
私は、政府が日本国民の声に真摯に耳を傾け、戦闘機や軍艦や戦車やミサイルでは我が国の安全は守れないということを知って、軍事優先の政策を即刻中止することを強く要望するものであります。
この法律案は、このような歴代内閣の防衛力増強政策の一環として、自衛官及び予備自衛官の定員を増強しようとするものでありますから、これに強く反対するものであります。
私は、政府が憲法の定めを尊重し、国民の声に耳を傾け、真に国民のためになる政策を行うことを重ねて強調し、反対の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/203
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204・板垣正
○板垣正君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に賛成の討論を行うものであります。
国の独立を保持し、平和と安全を守ることは、政治の最重要課題であることは申し上げるまでもありませんが、近年、国際社会における西側陣営の一員としての我が国の地位が著しく高まり、世界的視野に立って国際社会の平和と安全の確保に貢献することが、我が国に強く要請されているところであります。
現下の国際情勢は依然として厳しく、国家間の力の均衡によって辛うじて平和が維持されていると言っても過言ではありません。
このような状況の中で、政府は外交的努力、経済協力等のいわゆる総合安全保障政策を推進し、日米安保体制のもと、効率的な質の高い防衛力を整備することによって、我が国の平和と安全を確かなものとするとともに、さらには広く国連等の場において、軍備管理、軍縮など、東西間の対話の促進を世界各国に訴え続けてきたことは、高く評価されるところであります。
一方、政府は、防衛力整備に当たっては、国防の基本方針にのっとり、専守防衛の理念を堅持して、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの立場を内外に明らかにし、シビリアンコントロールを確保し、防衛に関する国会の諸決議を尊重するとともに、防衛関係費についても、他の諸経費との調和を図りつつ、節度ある有効かつ効率的な防衛力の整備を図ってきたところでありまして、このことは、国民の理解と信頼を得ているところでもあります。
今回の防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案による自衛官及び予備自衛官の増員措置は、中期防衛力整備計画の二年目に当たる六十二年度業務計画に基づいたものであり、国民の支持と信頼にこたえ得るものと信じます。また、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案による予備自衛官手当の増額は、良質隊員を確保し、精強な自衛隊を目指すための当然の措置と思うのであります。
今後とも、政府は、国際軍事情勢及び諸外国の技術的水準の動向に配慮しつつ、これに対応し得る効率的な防衛力の整備を図るため、陸海空三自衛隊のそれぞれの各種防衛機能について精査し、資源の重点配分に努め、さらには各自衛隊の有機的協力体制の促進、統合運用効果の発揮に留意し、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を早期に実現すべく、一層の努力を払われるよう要望して、私の賛成討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/204
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205・峯山昭範
○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し反対、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に賛成の討論を行うものであります。
我が国の防衛政策は、平和憲法のもと、国是たる非核三原則、集団的自衛権の不行使、武器輸出三原則等の基本原則を厳守して進められるべきものであり、防衛力の整備に当たっては、防衛費GNP一%枠を守り、他国に脅威を与えない、領域保全能力に限定するよう配慮すべきであります。
ところが、中曽根前内閣が進めてきた防衛政策は、これらの原則を形骸化、空洞化するものであり、極めて問題であります。また、竹下内閣が進めようとしている防衛政策は、きょうの論議でも明らかなように、中曽根前内閣の継承であって、危険なものと言わなければなりません。
第一に、GNP一%枠撤廃の問題であります。
今年度防衛予算において、政府は、多くの国民の反対と周辺諸国の懸念を無視してGNP一%枠を突破させ、さらに三木内閣の閣議決定を撤廃しました。申し上げるまでもなく、GNP一%枠は、我が国が経済大国になっても軍事大国にならないことのあかしとして、みずからに課した制約であります。この制約を外したことで防衛費の際限のない拡大に道を開いた危険性を指摘し、六十三年度以降は一%枠におさめることを強く要求いたしたいと思います。
第二に、防衛計画の大綱の見直しの問題であります。
過日発表された六十二年版防衛白書は、大綱別表の修正に積極的な姿勢を示しております。しかし、別表は大綱の本文と一体となって、我が国の防衛力の量的な限界を示すものであり、いわゆる大綱水準を示すものであります。したがって、この別表を簡単に修正したのでは、大綱の歯どめとしての意味が全くなくなってしまうのであります。別表修正は、実質的な大綱の見直しをねらったものであることは、明らかであります。
さらに、大綱水準達成については、政府はその質的側面を強調することで、極めてあいまいにしております。そのようなあいまいなものの達成を理由に、一%枠を撤廃したことは、極めて遺憾であります。
最後に、シーレーン防衛と洋上防空構想の拡大であります。
シーレーン防衛構想と洋上防空は、大綱にない防衛構想であることはたびたび指摘してまいりました。それにもかかわらず、政府はその構想を戦略面、装備面で拡大し続けているのであります。特に問題とされるべきは、国民の目の届かない、防衛庁内部の洋上防空体制研究会で検討されている点であります。国民の前にその構想を明らかにし、十分な論議がなされるべきであります。
以上申し述べました基本的な立場から、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に反対するものであります。
なお、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案については、予備自衛官の処遇改善のためのものであるため、賛成の立場を表明して、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/205
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206・柳澤錬造
○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正案と防衛庁職員給与法の一部改正案につきまして、賛成の討論を行います。
この防衛二法の改正そのものは、自衛官の定員を五百十名増加すること、予備自衛官を千五百名増加すること、予備自衛官の手当を月額四千円にすることであり、それほど大きな問題ではなく、賛成するものであります。
むしろ、この機会に要望しておきたいのは、防衛庁の任務、使命について明確な意思統一をして国民の信頼を得るような対処をしていただきたいと思います。
国家の安全保障というのは、国民が安心して平和に暮らせるようにするためのものであり、それに必要な政策を万遺漏なきよう整備しておくことでありますのに、果たしてそのように進められているのかです。
例えば有事法制というのは、専守防衛に徹して平和を維持するために必要なはずのものでありますが、それが検討を始めてほぼ十年になろうとしているのに、いまだに完成していません。このようなことでよろしいのでしょうか。
防衛庁は、国民が安心して平和に暮らせるように、一層の御努力を真剣にされるよう要望して、賛成の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/206
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207・吉川春子
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対して、反対討論を行います。
まず、大変重要なこの三法案の審議につきましては、防衛問題について国民に十分に明らかにし、慎重な審議を行う立場から、十分な質問時間の確保を要求しましたが、我が党の主張が受け入れられず、今日議了するということは大変遺憾であります。
また、きょう十二月八日は我々日本人にとって忘れることのできない太平洋戦争への突入の日です。この日を契機に日本は一層泥沼に入り込み、戦争は多くの同胞とアジア諸国民の命と幸福を一挙に奪ったのです。この反省に立ち、現憲法は戦争放棄、徹底した平和主義をうたっています。この日に軍備増強の本法案を委員会で可決することは、偶然とはいえ歴史の皮肉だと思います。
さらに、本日はワシントンで米ソ首脳会談が開かれ、歴史上初めて核兵器の削減条約が調印される日でもあります。INFの弾頭数は全体のごく一部分とはいえ、核廃絶と軍縮に向けて巨大な一歩を踏み出そうとしている日でもあります。
こうした世界の動向から見れば、今回の自衛隊の増強は、日本国民はもちろん、アジアや世界の世論と逆行するものであることは明白であります。
今回の自衛官の増員は、日米軍事同盟体制の飛躍的強化をもたらすものであり、政府みずから定めた軍事費対GNP一%枠を突破した軍備の増強と密接に関連しております。
自衛隊の航空機、艦船等の新たな配備に伴う自衛官の増員は、西側の一員としてソ連を仮想敵国とみなし、対ソ軍事力優位と日米共同作戦体制の一層の強化を目指すものであり、自衛隊がいわゆる専守防衛さえ踏み越えて、他国に脅威を与える一層危険な役割を果たすためのものにほかなりません。
また、今回の改定によって、この五年間に自衛官の増員は三千九十四名にも達することになります。他方、この五年間、一般職の公務員は実に二万人も削減されているのです。
このように、本法案がもたらすものは、日米軍事同盟体制の強化と引きかえに、国民のための福祉、教育、行政サービスの切り捨てであります。
以上、本法案による自衛隊の増強は、世界の大勢と日本国民やアジア諸国民の世論に反するとともに、日本国憲法の平和主義、国際協調主義とは全く相入れないものであります。私たちは、軍事費を削減し、福祉と教育、国民生活向上に振り向けることを強く要求して、反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/207
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208・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 他に御意見もなければ、両案に対する討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/208
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209・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。
まず、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/209
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210・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/210
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211・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/211
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212・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/212
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213・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査のうち、公文書館法案に関する件を議題といたします。
本件につきましては、岩上二郎君から委員長の手元に公文書館法案の草案が提出されております。
内容は、お手元に配付のとおりでございます。
この際、まず提案者から草案の趣旨について説明を聴取いたします。岩上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/213
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214・岩上二郎
○岩上二郎君 ただいま議題となりました公文書館法案の草案について、その趣旨を御説明申し上げます。
歴史資料として重要な公文書等は、我が国の歴史を後代に伝えるための資料として不可欠なものであります。したがいまして、これを保存し、利用に供することが必要であり、そのための施設の整備が図られなければならないところであります。
我が国の公文書等の保存及び利用に関しては、昭和四十六年に、国の行政に関する公文書等の保存及び利用のための施設として、総理府に国立公文書館が設置され、また、近年、地方公共団体においても、公文書館、文書館等の名称で公文書等の保存及び利用のための施設の整備が図られつつあるところであります。
しかしながら、現在、我が国においては、国及び地方公共団体が歴史資料として重要な公文書等を保存し、利用に供すべきことは法律上明確に規定されておらず、また、そのための施設に関する法律上の規定は存在しないのであります。その結果、我が国の歴史資料として重要な公文書等の保存及び利用の実態は、諸外国に比べて著しく立ち遅れたものとなり、さらに、残念なことには、多数の歴史資料として重要な公文書等が散逸、消滅しているのであります。
そこで、国及び地方公共団体が歴史資料として重要な公文書等を保存し、利用に供すべきこと、そして、そのための施設である公文書館に関し必要な事項を法律で規定することによって、歴史資料として重要な公文書等の保存及び利用の必要性を確認し、公文書館の整備を積極的に推進していく必要があると考える次第でございます。
本案は、公文書等の歴史資料としての重要性にかんがみ、これを保存し、広く国民の利用に供するための施設である公文書館に関し必要な事項を定めることを目的とするもので、その要旨は次のとおりであります。
第一に、国及び地方公共団体は、歴史資料として重要な公文書等の保存及び利用に関し、適切な措置を講ずる責務を有することとしております。
第二に、公文書館は、歴史資料として重要な公文書等を保存し、閲覧に供するとともに、これに関連する調査研究を行うことを目的とする施設とし、国または地方公共団体が設置するものとしております。
第三に、国は、地方公共団体に対し、公文書館の設置に必要な資金の融通またはあっせんに努めるもの等としております。
以上が本法律案の草案の趣旨であります。
何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
なお、この際、草案の次の点について、念のため、申し添えさせていただきます。
まず第一に、第二条(定義)の「公文書等」には、古文書その他私文書が含まれるものであること。
第二に、附則第二項の専門職員についての特例の規定は、現在、専門職員を養成する体制が整備されていないこと等により、その確保が容易でないために設けたものであること。
第三に、本法は、既存の施設について、新たに、公文書館として位置づけし直すことを義務づけるものではないこと。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/214
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215・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 本草案に対し質疑、御意見等がございましたら、御発言願います。——別に御発言もなければ、本草案を公文書館法案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/215
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216・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決定いたしました。
なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111114889X00119871208/216
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217・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十分散会
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