1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和六十三年三月二十四日(木曜日)
午前十時一分開議
出席委員
委員長 中村喜四郎君
理事 加藤 卓二君 理事 東家 嘉幸君
理事 野中 広務君 理事 野呂田芳成君
理事 東 力君 理事 中村 茂君
理事 矢追 秀彦君 理事 西村 章三君
榎本 和平君 遠藤 武彦君
大塚 雄司君 金子原二郎君
木村 守男君 北村 直人君
桜井 新君 田村 良平君
武村 正義君 松田 九郎君
松永 光君 村岡 兼造君
小野 信一君 木間 章君
坂上 富男君 三野 優美君
大野 潔君 伏木 和雄君
伊藤 英成君 辻 第一君
中島 武敏君
出席国務大臣
建 設 大 臣 越智 伊平君
出席政府委員
国土庁計画・調
整局長 長沢 哲夫君
国土庁土地局長 片桐 久雄君
国土庁大都市圏
整備局長 北村廣太郎君
建設政務次官 古賀 誠君
建設大臣官房長 牧野 徹君
建設大臣官房総
務審議官事務代
理 中嶋 計廣君
建設大臣官房審
議官 福本 英三君
建設省建設経済
局長 望月 薫雄君
建設省都市局長 木内 啓介君
建設省河川局長 萩原 兼脩君
建設省道路局長 三谷 浩君
建設省住宅局長 片山 正夫君
委員外の出席者
国土庁土地局次
長 藤原 良一君
国土庁土地局地
価調査課長 森 悠君
農林水産省構造
改善局農政部農
地業務課長 柳沢 逸司君
農林水産省構造
改善局計画部地
域計画課長 東 諄君
農林水産省構造
改善局計画部事
業計画課長 末松 雄祐君
農林水産省構造
改善局建設部開
発課長 森本 茂俊君
建設大臣官房審
議官 伊藤 茂史君
会計検査院事務
総局第三局建設
検査第三課長 渡辺 孝至君
参 考 人
(首都高速道路
公団理事長) 淺井新一郎君
建設委員会調査
室長 佐藤 毅三君
─────────────
委員の異動
三月二十四日
辞任 補欠選任
橋本龍太郎君 北村 直人君
同日
辞任 補欠選任
北村 直人君 橋本龍太郎君
─────────────
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/0
-
001・中村喜四郎
○中村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。
本案審査のため、本日参考人として首都高速道路公団理事長淺井新一郎君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/1
-
002・中村喜四郎
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/2
-
003・中村喜四郎
○中村委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三野優美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/3
-
004・三野優美
○三野委員 おはようございます。ひとつよろしくお願いします。
まず最初に、建設大臣に少しこれからの道路行政について決意をお尋ねしたいと思うのですが、御承知のとおり、ことしは青函トンネルができて開通になった。きょうはまた新しい有料道路が開設になったし、この四月の十日には私ども四国が待望の陸続きになる。同時に、明石海峡は予定どおり九年後に完成ということで着々と準備を進めつつある。あるいはまた、大臣の地元でもある尾道—今治ルートもそれぞれ進行しつつあるわけですね。したがって、いわばことしから数年にかけて大々的に高速時代がいよいよ本格的に進みつつ、地方にもその影響が及びつつあるわけであります。
そういう状況の中で、まことに地元のことで恐縮なんですが、瀬戸大橋は一兆一千億、明石海峡も一兆数千億、尾道—今治も相当の金を投じて、いわばあそこに三兆数千億の巨大な投資がなされるわけです。ところが残念なことには、四月十日に瀬戸大橋開通だけれども、大臣、あなたがお帰りになると言ってみても、あなたの家までも高速道路が全部通じないという現状なんです。私も汽車に乗れば利用させていただきますが、自動車では瀬戸大橋から高松に向いてはついていないわけでありまして、そういう点から見ると、四国に三本の橋がかかり、四国外地区でこれから動くわけなんですが、四国島内における道路整備ができていないものですから、せっかく投資した橋が十分に機能し得ないのではないか。これはまさに政府なり我々自身の責任でもあると私は思うのですよ。もちろんこの四国島内が、あの橋で本土から多くの自動車と人が流入することによって混乱を起こすのみならず、その経済的機能も十分果たさぬという事態になっているわけでありますね。したがって、そういう点からいうと、この国民の財産である橋を有効に生かすためには、島内における道路整備というのはもう全く緊急な事態なわけなんですね。したがって、それなりに建設省も鋭意、あるいは公団も鋭意やっていただいていますが、例えば、高松以東の鳴門を通じて明石につなぐ、いわば阿南間のこれらについてもまだ法律的には着工ということにならないわけであります。
どうでしょう大臣、そういう点からいうと、これらを早急にやる、あるいはこのままいくと瀬戸大橋と明石海峡がつなげないのじゃないか、あるいは今治と明石もつなげないのじゃないかという心配すらするわけでありまして、そこで来年度中、新年度で国幹審を開いてこれに対する大方針を立てるべきだと思う。この橋を活用するためにそれに関連する道路はこうするというのを明確に国民に示す責任が建設大臣としてあると私は思うのですが、その決意、そして国幹審の見通しなどについてお尋ねしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/4
-
005・越智伊平
○越智国務大臣 先生お話しのように、四月十日には本州と四国が陸続き、橋でつながることになります。さて、島内道路でありますけれども、高速自動車道が大変おくれております。これは四国ももちろんおくれておりますけれども、例えば日本海側も大変おくれておる。縦貫は進んで、まあ進むと言ってはあれですけれども、縦貫に力を入れておったものですから縦貫は早くできましたが、横断の方が大変おくれております。例えばこの十次五カ年計画内で県庁所在地に高速道路が入らない、これは島根、鳥取、それから、愛媛、高知、この四県がつながらない、入らない、こういうことでございますので、鋭意進めていかないといけない、こういうふうに思っております。幸い、坂出から先生の高松までは今鋭意工事が進んでおりますが、さて、今の明石大橋に至る高規格道路、これは今調査を進めておりますが、七十二年の明石—鳴門間が開通するまでにはぜひともこの海岸線、高規格道路を進めたい、かように存じております。どうかひとつ先生も御協力いただきまして、もう一番大事なことは用地なんですが、私、建設大臣でございますから、四国の話だけでなしに、今申し上げましたように日本海沿岸とかあるいは南九州とかこういうところ、要は縦貫も力を入れますけれども、さらに横断に力を入れて、本当に急ぐところから強力に進めてまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/5
-
006・三野優美
○三野委員 大臣、国幹審はどうですか。新年度早々おやりになられますか。というのは、もちろん九州も急ぐし日本海も急ぐのだけれども、あの投資した橋を長年無用の長物にしてはまずいものですから、そういう意味でそれを生かす責任は、やはり建設大臣、あなたにあるわけですから、国幹審、いつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/6
-
007・越智伊平
○越智国務大臣 国幹審は六十三年度中にできるだけ早く進めたい。しかし、いろいろ各調査を進めておりますので、これが整ってできるだけ早くかけて、御了解を得て進めてまいりたい、かように思います。大変おくれておるところを特に重点を置いて進めてまいりたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/7
-
008・三野優美
○三野委員 ひとつ期待しておりますので、ぜひその建設大臣の任務を果たしてもらいたいと思います。
さて、ここで少し順序は前後ろすると思うのですが、お許しいただきたいと思うのです。まず国土庁にお尋ねしたいのでありますが、例えば国なり地方自治体などが公共事業をやる。その際に用地確保をしますね。この用地を買収をする場合に、例えば道路であってみたり、公園であってみたり、学校であってみたり、あるいは道路の場合も農道であったり国道であったり県道であったりいろいろするわけですね。その場合に、用地確保に当たっての地価の算定は何が基準になるのでしょうか。これは例えば公示価格を基礎にして実勢価格でいくということなのかどうか、これをちょっとお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/8
-
009・森悠
○森説明員 地価公示法の第九条におきましては、公共事業を行う者が地価公示が実施されている区域内、これは具体的には市街化区域及び市街化調整区域の線引きがある都市計画区域についてはその全域、それ以外の都市計画区域の場合には市の区域でございますが、こういった区域内で公共事業用地の取得価格を算定いたします場合には、公示価格を規準としなければならないというふうに定められているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/9
-
010・三野優美
○三野委員 公示価格というのは実勢価格に近いと思うのでありますが、いわば公示価格を基礎としながら実勢価格の範囲の中で処理するということですね。そうしますと、その利用目的でもって土地の取得価格は異ならないということですね。これはいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/10
-
011・森悠
○森説明員 地価公示法の考え方からいきますと、公示価格を規準とした価格ということでございますから、同じ水準の価格ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/11
-
012・三野優美
○三野委員 さて、会計検査院に御出席いただいてどうも御苦労さまです。この際、会計検査院の方からまずお尋ねしたいのでありますが、会計検査院は建設行政の部分においてもあらゆる面で会計検査をされているわけですね。国道、県道、市町村道あるいは農林道等いろいろとやっておられるのでありますが、今日までずっと国の方は道路整備計画というのは九次までやって、今度十次に入ろうとしている。それからまた、議題になっておる奥産道路につきましても六次までやっているわけですね。これはそれぞれ会計検査されたと思うのでありますが、この会計検査の過程の中で、例えば私の手元には今八次、九次の実績があるのでありますが、八次の一般道路の中で十三兆五千億の計画、実績が十二兆九千四百七十九億円、達成率は九五・九%、こうなっているわけです。ところが、それを投じてできた道路、キロ数において、重量的に言えば達成率が、一万六千六百六十キロに対して一万三千二百四十六キロ、七九・五%、マイナス一五%になるわけです。これは単に一般道路だけでなしに、有料道の場合も私の調べたところ第八次でマイナス一七%、それから地方単独道においてはマイナス二〇%、こうなっておるわけです。九次におきましても一般道路で一〇%、有料道で一〇%、こういうようになっておるのですが、予算に対して、事業を執行して銭は使ったけれども、その銭の消化に伴って事業の達成率等に今申し上げた差があるわけなんです。会計検査院は検査をして、これに対してどういう検査結果を報告をしてどういうとらえ方をしているのか、この際ちょっとお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/12
-
013・渡辺孝至
○渡辺会計検査院説明員 お答えいたします。
御指摘のありました道路整備五カ年計画の事業費ベースの執行率と事業量ベースの計画達成率との格差につきましては、事業量の実績値のとらえ方などの技術的な要素などによるものと考えております。私ども道路事業予算の執行について評価いたします場合に、先生のおっしゃられる観点あるいは方法によりまして評価することもできると存じますが、私どもの通常の検査におきましては、おのおのの工事の計画、設計、工事費の積算、工事の施工が適切に行われているか、また経済的なものとなっているかという観点から検査することによりまして、予算執行が適正かつ効率的なものとなっているかどうかを評価するという手法を基本的にとってございます。
なお、先生のおっしゃられました事業費と事業量の進捗率の格差の分析につきましては、一義的には計画立案の省庁で行うべきものと考えておりますが、私どもも人員の制限等もございますが、道路事業予算の執行の適否を評価する方法として有効かどうかについて検討させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/13
-
014・三野優美
○三野委員 会計検査院、予算を組んで建設省なり都道府県が事業を発注しますね。発注する場合には敷札が入っていますから、工事執行過程の中で重大な障害があった場合には設計変更その他で予算が膨張することがあるわけです。しかし、一般的にはそういうことがない限りはないのですよ。したがって、予算執行面において九五・九%いったならば事業も九五・九%いかなければ理屈は合わぬでしょう。あなたの方が監査をした結果、予算は九五・九%執行しておるけれども仕事の方で七九・五%であったということになると、そこに何の原因があったかということはあなたは当然お調べになっているはずです。それを調査してないのですか。奥産道路においても、これからさらに延長してやろうというのですが、第五次で九〇・一%の予算を執行しているわけです。ところが重量面では、いわばキロ数では六九・四%、マイナス二一%というのがあるのですよ。それについてあなたのところはお調べにならなかったのですか。あなたのところは国民の税金がどう使われているのかをお調べになっているのですから、その原因がどこにあったかということは建設省なりそれぞれの関係省庁から聞いて調査して持っているはずなんだから、ちゃんとしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/14
-
015・渡辺孝至
○渡辺会計検査院説明員 お答えいたします。
私ども、建設省の方から道路整備五カ年計画及び奥産道路五カ年計画の事業費と事業量の進捗率に差が生じている理由につきまして説明を受けております。建設省の方の御説明によりますと、事業費と事業量の進捗率の差につきましては、事業実施段階での単価につきまして計画時点と実施段階とでの差が生じている、あるいは先ほど申し上げましたような事業量の実績値のとらえ方の技術的な問題、こういった問題から、先生御指摘のありましたような格差が生じているというふうに説明をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/15
-
016・三野優美
○三野委員 それは工事の単価なんですか、地価なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/16
-
017・渡辺孝至
○渡辺会計検査院説明員 私ども詳細な分析をいたしておりませんので、その点については十分承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/17
-
018・三野優美
○三野委員 中身がいい悪いは別として、会計検査院はそこまで調査するのが任務なんですから、私は夕べ建設省から聞いたんじゃないかと思うわけです。だから、そういう観点で高い立場に立って監査をしてもらいたいということをお願いしておきたいと思うのです。
さて、まず建設省にお尋ねしたいのでありますが、今日までそれぞれずっとやっていただいて、予算面でも必ずしも一〇〇%消化し切れてない。消化できなかった理由は何なのか。用地取得ができなかったのか、あるいはそのほかに理由があるのかどうか、これを一つお尋ねしておくのと、今言った予算執行と重量面とで格差がかなり大きいわけです。これはあなたの方の当初の計画に過ちがあったのか、あるいは工事執行過程において重大な問題が起きてきたのか、これ一つお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/18
-
019・三谷浩
○三谷政府委員 先生のお話、二つあったようでございますが、一つは事業費が一〇〇%でないじゃないか、こういうお話でございました。確かに第八次五カ年計画でも、例えばこれはちょうどこのもう一つ前の計画でございますが、一般と有料道路で事業費が九六・四%が進捗率でございますし、また第九次、これは今集計中でございますが、一〇一・八、これはただし一般道路については九九・五、ほとんど一〇〇と言っていいと思いますが、いっております。これらはちょうど昭和五十五年度以降のゼロシーリングがございまして、マイナスシーリング等々がございまして、道路整備の予算が非常に抑制されたところでございまして、私ども要求さしていただいたのでありますが、そういうことでございます。
それから、もう一つの問題の事業費と事業量、これはいずれも五カ年計画で御指摘のように、例えばこれだけのお金を投じてこれだけのものをつくりたい、こういうことを計画で定めます。こういう計画の策定段階というのは、当然五カ年計画でございますから五カ年の当初、つまり今第十次の審議をいただいているわけでございますから、こういうときに全体として把握するわけでございますけれども、箇所ごとに事業量を積み上げるのではございませんで、計画策定時点のまず単価で立案をしております。実際の実行というのは、それから一年、二年、三年とたってまいりますから、ある程度の差があるということは考えられます。
それからもう一つは、例えば五カ年計画、道路の方でございますが、私どもできたもので言っておりますから、確かに供用が地元といろいろ協議の結果等々で、予定より工事の進行がある程度進んでおりましても完全にできたものでない限り数量として上げておりませんので、そういうものが数字として出てきておる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/19
-
020・三野優美
○三野委員 局長、それにしては少し数字の差が大き過ぎると私は思うのです。例えばまだ供用には至っていないけれども建設過程のものがある、あるだろうと思いますよ。それは順次完成していきますから、毎年度毎年度それがずんずん積み重なっていきますと、これは私は膨大な格差になると思うのです。そうではなしに、私は、問題はこの執行過程で、例えば皆さんの方が銭は使ったけれどもそれはできなかったということになると、用地面に膨大な資金が予想より上回って行っているのではないのだろうか、こんな気がするわけですが、その点を聞いておきたいのが一つと、もう一つは、執行できなかった、しかも銭は、予算は使ったけれども数量面では大きく格差を開いて予定を一五%も二〇%も下回っているという現実がある。にもかかわらず、予算を余すというのはどういうことなんですか。率直に言いまして、各地方からは予算をくれ、予算をくれと陳情に、あなたのところに年末が来たらお祭りのごとく来ているわけでしょう。仕事ができていないにもかかわらず予算を余らしたということはどういうことなの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/20
-
021・三谷浩
○三谷政府委員 道路五カ年計画については、それは確かにある工事をやっておりまして、ある箇所で例えば非常にいろいろなトラブルがございまして、工事の繰り越しとか、あるいは工事ができなかった、こういうところは幾つかあることは事実でございます。ただ、全体として予算を余したとかそういうことはちょっと考えられないわけでございまして、実際に道路は、私ども単年度単年度実際の箇所づけが行われておりまして、予算を認めていただきますときに実施計画で承認をして箇所をつけていく、こういうことになりますので、先ほど会計検査院からもお話がございましたように、そのことにつきましては会計検査院等で厳しく審査をしていただいて、妥当である、こういうようなことでいただいていると思います。
ただ、もう一つ若干差がありますのは、いわゆる奥産道路整備計画でございます。これは、事柄の中身が奥地産業等の道路でございますので、非常に山間地特有のいろいろな地形あるいは気象条件、こういうもののために施工条件が予測より厳しくなった事例が多いということはあれでございます。そういうことで単位延長当たりの単価が計画を上回ったということになろうかと思っています。
用地につきましては、特に用地だけが非常に大きなウェートであるというようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/21
-
022・三野優美
○三野委員 奥産なんかの場合は、用地というのはそんなに単価で大きな差は出ないと思うのです。工事上の問題だと思うのですね。そうだとすれば、計画段階、実施段階において工事にかかってみたらなかなかうまくいかなかったということでやってみたとしても、ちょっと二〇%は大き過ぎます。これはやはり再検討することを私はぜひ求めておきたいと思うのです。
それから次に進みますが、六十三年度の予算がNTTを含めていわば二〇%増ということになったわけですね。去年、六十二年に比べて、六十三年、事業を二〇%拡大したわけでありますが、それに対する建設省内部の体制というのはどう変えようとしているのか、人の配置を含めてそれを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/22
-
023・牧野徹
○牧野(徹)政府委員 先生御指摘のとおり、公共事業関係予算というのは約二割ふえました。今私どもの内部の体制ということでございますから、直接やっております地方建設局直轄事業について申し上げますと、これも一九%、大体同じ程度伸びたわけでございます。
そこで、私どもといたしましては、まずこれを適正に実行していくためにはいろいろな事務の簡素化、事業のやり方の合理化、効率化をやると同時に、一方において、新規にどうしても必要なものについては定数増も図りながら全体として適正に事業をやってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/23
-
024・三野優美
○三野委員 何人ふやすのですか。どうしても足らぬというなら、定員増というのはどのくらいふやす予定なの。しかもその部門はどこなんですか。用地担当なの、技術なの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/24
-
025・牧野徹
○牧野(徹)政府委員 定数の増は、地方建設局で申し上げますと七十名の増ということになっております。もちろんそれ以外に全体のマクロで言いますと定削がかかりますけれども、要するに新規の増員というのは七十名になっておりますが、これは現在地建定数が約二万二千六百人程度ですから、何%になりますか、一%が二百ですから〇・三ぐらい。それの各部門別あるいは地建別、部門別の配置につきましては、これから大いにいろいろな要素を勘案して考えてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/25
-
026・三野優美
○三野委員 そうすると、七十人というのは〇・何%ということになってしまうのですね。率直に申しまして、私は今の現場の実態を見ますと、基本設計はあなたのところの技術屋さんがやってしまう。ところが、実施設計になると民間に渡す。測量も民間に渡す。さて、用地買収ということになると用地職員は率直に言って小さい部屋で閑古鳥が鳴いている状況。これは調査も民間に渡しておりますな。建設省もだんだん民営化しているのじゃないかと思うくらい民間に渡している。ところが、実際には現場を見ると、予算をふやしても人をふやさないものですから、そこに現場でいろいろとトラブルが起きたり事業が円滑に進まないという点があると私は思う。建設省が道路建設のために予算を確保していただくのは非常にありがたい話なんですが、同時に、それを円滑に運営をするために人の面の配置というものを置かないと私はうまくいかないと思う。
率直に申し上げると、私も実は先週帰りました、国道十一号にお世話になって。今、東バイパスを着工しているわけであります。私の友人から、買収の話があるので、こういう話です。本人がこの買収金額の中身を教えてくださいと言ったら、実は現場は言わないのですよ。総額だけ言うのです。ある小さい工場なんですが、これじゃ納得できないということで私のところに話が来たものだから、現場の課長なり担当を呼んで、おまえ、それは言えよ、人の財産を買うんだから、おまえのところはこれが幾ら、これが幾らと言えよ、こう言ったのですが、なかなかそれは言い切ってない。全体にそういう傾向なんです。なぜかといいますと、それは実は現場の実態というものを民間に渡して調査しているものですから、担当の課長なり係長は見てないんです。写真で見るのです。そういう手が回らないのですよ、人が足らなくて。写真で見て、帳面づらだけで見ているわけです。私はせっかく言ってきたものですから、朝六時に起きて現場に入りました。その機械の移転費が三十一万円だったと思うのですが、出している。これは無理だなと、私素人だけれども。もっと時間があったら運送屋さん連れていこうかと思った。呼んで、おまえあれは無理じゃないかと。本人は知らないのです。私が見たらそうなっている。間違っているんじゃないか、もう一遍見てみろよ、こう言った。実は写真で見ました、こう言っている。こういう実態がある。したがって、いわば人不足というものが現場で混乱を起こして、あるいは地権者にも迷惑をかけ、課長や担当者が一つ一つ自分で確認して人の財産を買収しているという状況にはもはやないような現場の実態があるということをぜひ私は中央の幹部の人には知ってもらわなければ困ると思うのですよ。そうでないところに問題があるわけです。円滑に進まないのですよ。私は前の建設委員会の委員長と九州で会ったときに、いや四国の人は難しい。四国が難しいんじゃない、建設省の方がそういうことがあるものだからうまくいかないということもあるのです。したがって、この点について私は建設大臣にもひとつ聞いておいてもらいたいのですが、予算はとってくるんだけれども、なかなか人はとってこないわけなんですね。この点は前にも言ったことがあるのですが、しかも二〇%増という事態なんです、これは。この点について、七十人ふやしたって〇・何%というのじゃ、とても二〇%には通じませんので、この点をぜひ御検討いただいて回答をもらいたい。
それから、ついでですから。NTTの株を使っています、六十四年まで。それ以降ないのですよ。六十四年までやってNTTを使い果たして、あとはどうするの、あとの予算確保は。それでもう公共事業はダウンするのですか、それとも何か策を建設大臣なり建設省お考えになっているのかどうか、ひとつ聞いておきたい。これはNTTのは返さなきゃならぬ。今のところ建設省が直接返すということにはなっていないかもわからぬけれども、この償還計画というのは閣内においてどういうことでどういう見通しなのか、ひとつ聞いておきたいと思います。
それから、今度の予算でもって地方道路の整備費の交付金というのは増加するわけです。しかも、二〇%増加したものですから、地方負担がふえた。しかも、補助率カットによって地方財政というのはますます窮屈になるわけです、実は。これに対してどういう対応をされようとしているのか、これもあわせて聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/26
-
027・越智伊平
○越智国務大臣 第一点の三野先生の用地なり補償費の問題でありますけれども、私も四国の出身で、率直に言って全国的に見て用地費が四国は割高で、これは平地が少ない点もあるわけなんですが割高になっておって、ちょっと時価がそうなっているんでしょうからやむを得ないと思いますけれども、ほかから比べると高いと言われるので、もう少し何とか安くできないものか。しかし、時価は時価でやはり買い上げないといけない、こういうふうに思っているんです。それと、今の地価なり建物の移転補償なり、これは基準がありまして、基準外で高く買ったとか安く買ったとかいうことはあり得ないようにやっていかないといけない。でございますから、これは公平にいっておる。会計検査院も見えておりますけれども、特に高かったりして不当な支出をしておったらもう言われるわけですから、きちっとやっております。
それから人の問題ですが、私ども、人も確かに言われるように必要でありますけれども、公共事業費の投資額ですね。とにかく金をもらう。人もお願いするということでありますけれども、国の方針として小さな政府ということで減員計画がございまして、増員は認めていただいても減員の方がございますから、プラス、マイナスで余りふえない、これが実情であります。この分については、委託できるものは委託する、請負にできるものは請負にするということで進めていくよりほか仕方ない。しかし、それが支障のないようにひとつやっていこう、こういうことであります。でございますから、増員の方も極力やっておりますけれども、今の体制では二〇%予算がふえたから二〇%の人がふえるということにはなかなかならない。それは、官房長もお答えいたしましたように、機械化もしますし、合理化もしますし、またこのごろいろいろコンピューターもできまして非常に能率が上がる、その点もございます。設計の方も基本的なものはもうじかにやりますけれども、あとは測量とかなんとかは請負に出す場合もございます。これはやはりそうしていかないと間に合わない。また、そのことで効率的にやっていくということであります。
最後に、今の公共事業の財源でございますけれども、今、税の方もいろいろ御論議をいただいておりますし、どうして財源をつくっていくか。特定財源というのも、揮発油税にいたしましても、これを増額するということはとてもできない、こういうふうに思いますので、御承知のNTT、お話しのとおりこれもそう長くはないのでございますから、どうしても財源を見つけないといけない。これは鋭意努力しておりますが、全体の中で私どもが言っておりますのは、一般財源を公共事業にうんと入れてくれということを主張しておるのであります。特定財源は特定財源でいただくし、一般財源も入れてもらって、とにかく社会資本を充実する、道路を初めとする公共事業をうんとやっていく、こういうことにいたしております。財源の問題はお答えにならないかもわかりませんけれども、今余り税の話をいたしますとまた問題が起きますので、これは全体の中でひとつ考えていただく。一般財源をとにかく入れてもらう、一般財源をちょうだいする、こういうことでないと今後の公共事業は進まない、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/27
-
028・三谷浩
○三谷政府委員 財源の問題、今大臣からお答えをいただいたわけでございますけれども、NTT事業の制度が今使われておりますけれども、確かに六十四年度以降については売り払い収入の見込みも明らかでないものですから、現時点でNTT事業について見通しを立てることは困難だと思います。ただ、道路五計の裏づけとなる財源、いろいろ道路五計の財源の内訳はこれであるというふうに決めたものはございませんで、私どもがいろいろ試算をしているわけでございますが、いずれにしましてもNTTの財源も含めた国費につきましては、いわゆる特定財源のほかに一般財源、こういうものをぜひ確保さしていただきたい、こういうふうに考えております。
それから、こういうふうに事業がふえた場合に地方の分がどうなるんだろうか、こういう御質問がございました。これは、私ども六十三年度の要求分につきまして試算をしてございます。もちろん六十三年度これからの予算の審議をいただいておるわけでございますが、これが仮に認められたといたしますと、例えば直轄事業の裏負担であるとかあるいは補助事業の負担金であるとか、あるいは今度は少し拡充を考えております緊急地方道路整備事業、こういうものの地方分、こういうものを合わせますと、概算でございますが一兆七千億強になります。地方の方の道路の財源としましては、地方道路譲与税、石油ガス譲与税あるいは自動車重量譲与税、軽油引取税あるいは自動車取得税等がございますが、これらを優先充当いたしますと、例えばこの額が私どもの見込みでは一兆五千四百億くらいになります。そういたしますと、十分対応ができるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/28
-
029・三野優美
○三野委員 官房長、七十人持っていくというのは、建設省全体の増員なんですか、中央から地方へ持っていくのか、それは後で聞いておきたい。
いずれにしても、大臣はコンピューターを入れるとかなんとか言ったけれども、コンピューターを入れるにしても、やはり基礎的な資料は人がつくるわけです。基礎的な資料が間違ったらコンピューターはずっと間違いっ放しになるので、この点は別に今結論が出るわけでもないだろうけれども、現場をもう少し知っていただいて、公共事業を拡大すると同時に、人の確保というものを円滑にいくようにやってもらわないと、現場の責任じゃなくあなたのところの責任ですから、現場がひいひい言ってみても物理的にもう無理なところがあるわけです。民間に頼んで、それを写真と帳面の上だけで見ちゃって、現実は見られない。だから、向こうに突っ込まれたら困るものですから説明もできないというのが実態であるということも私はあわせ申し上げておきたいと思うのです。先週私は自分で見てきてそう思ったのですから、その点はぜひひとつお願いいたします。
それから、これもさっき言っていたように、奥産道路は特に予算執行と実績、実際できた道と二〇%の差があるのです。しかし、そのことはおきましょう。局長、これだって二〇%は少し大き過ぎますよ、どう言ったって。会計検査院ももう少しその原因というものがどこにあるのかを詰めて見てもらわぬと、表面だけ見てきて、いや、よかったよかったなんて言って戻ってきてもいかぬわけだから、これはひとつお願いしたい。
この際聞いておきたいのですが、雪寒地帯の分については補助率カットがなされてない、あるいは抑えているわけですね。ところが奥産の方は一般道路と同じように補助率カットをやったのですね。奥産のあるところというのは、言うまでもなく山間僻地、過疎地帯、その町や村も財政的に非常に厳しいところなのです。それも大都市でやるのと同じようにカットしたのでは奥産を指定した意味がないじゃないですか。奥地は困難だから補助率を上げて地域の開発をやって人が住めるようにしようと言ったにもかかわらず、都会と同じだけカットしちゃったらますます貧乏村に拍車をかけるようになるのですね。ですから、事業もなかなかやっていけないということになっちゃうのですが、この理由だけ最後に聞いておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/29
-
030・三谷浩
○三谷政府委員 雪寒事業につきましては、国民の生命、財産に関連の深い事業であることにかんがみまして、先生から今お話がございましたように補助率カットの対象としておりません。奥産道路の補助率でございますが、例えば一般の地方道の改築事業、これは本来補助率で申し上げますと三分の二でございますが、奥産道路は、その事柄を踏まえまして、本来補助率が四分の三となっております。これは一次改築の補助国道と同等になっておるわけでございます。知事が施行する一般国道と同様の扱いということで、他の道路事業とは異なっております。地方道の改築事業はありますが、こういうようなことで上げておりまして、そういう意味で補助率カットという現行のこの措置はやむを得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/30
-
031・三野優美
○三野委員 やむを得ないと言ったって、それは僻地に対しては余りにも冷た過ぎるわけですよ。あなたはここでやむを得ないと言うけれども、僻地の市町村は大変ですよ。やはり、奥地をもっと開発するというこの法律をつくった意義というものをもう少し重視しないと、画一的にやっちゃまずいと思います。
きのう我が党の中村先生が指摘しておりました大規模農道について、農林省も出席していただいておりますのでひとつお尋ねしておきたいと思うのです。
まず、会計検査院は検査されたわけでありますが、大規模農道があり、県道があり、市道がありあるいは農道がある。その一連のものをずっと検査してきて、こういう道路の計画がより合理的だとお考えになってきたのかどうか、これが一つ。
次に用地買収について、地価の設定というのは、先ほど国土庁が言ったように、目的によって用地価格の設定をするのではなしに、いわば公示価格あるいは現価主義、実勢価格に基づいて買収するということが基本だと言われたのでありますが、それについてはお認めになるかどうか。実は一本の道を計画して、この計画も私は問題があると思うのですが、あなたはどう考えるのか。同時に、そこで実際に買収された一本の道で、県道なり市道と農道との買収価格に矛盾は感じませんでしたか。会計検査院に聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/31
-
032・渡辺孝至
○渡辺会計検査院説明員 お答えいたします。
一般道と大規模農道の整備が一つの路線で並行的に行われている事例は私どもも承知いたしております。道路整備事業につきまして、特に道路構造の計画、設計というものは、地域の地形、地質、交通状況等を考慮した適切なものになっているかなどの観点を含めまして、従来私どもの検査は実施いたしてきております。その検査の過程の中で、先生から御指摘ございましたような大規模農道と一般道との関係で不合理であるというような指摘を今までいたしたことはございません。
それから、買収価格の点についてでございますが、一般道、広域農道を含めまして、公共事業のための用地買収価格につきましては、公共用地の損失補償要綱等に基づきまして正常な取引価格で行うこととされております。最近の検査報告につきまして指摘事例を調査いたしましたが、これにつきましても、これらの道路の用地買収に当たって著しく特異な価格で取得しておったという事例を指摘したことはございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/32
-
033・三野優美
○三野委員 会計検査院、あなたはこの道路を検査しているはずなんです。これは全国に何百本あるか知りませんが、今も建設中が何百本か何千本かあるはずなんです。してきたけれども全然矛盾を感じなかったというのは、私はいい度胸を持っているなと思うのです。私が見た限りでは、これは建設省なり農林省は自分がやったことですからもう御存じなんです。私どもの地元なんですが、ある一本の道路が二つに分かれている。大規模農道で讃岐新道というのがあるのですが、中護大規模農道では総延長が十六・五キロ、それから東護が二十二キロあるわけです。それが、ある部分が県道、ある部分が農道、また次が県道、また次が農道と、こうなっちゃう。そうすると、建設省は道路構造令に基づいて県道を建設した、農林省は道路構造令に準拠している、こう言うのです。準拠というのはどういうことを意味するのか。準拠というのは、道路構造令どおりではないけれども、近いものだという意味なんだろうと思いますね。ところが、農林省がおやりになるときに、これは農道としての機能として建設をされているわけです。したがって、牛も通ったり馬も通ったり人力車も通ったり、あるいは大根や野菜を積んで通ったりするわけですね。したがって、その地域の状況に応じた農道の形態をしておればいい。しかも農産物運搬、農業経営という中での道路ですから、それに見合った建設費しか見てないわけですね。ところが一・五キロ行ってみたら、次は建設省がやっている道路ですから、これは道路構造令に基づいて、場合によれば時速六十キロ、七十キロで走ってもいいという構造になっている。何とこの一本の道がそういう仕組みになっているのですが、これは両者で協議しているのだろうと思うのです。農林省はこの道が将来ともに農業用の道路であると考えてつくったのか、また建設省は、協議した際に、この区間は五キロは農業用でよかろう、次は、私のところは今度は一般的な県道としての機能を持たす。あなたは専門家なんですけれども、それについて何の矛盾も感じずにこれをやったのですか、これが一つ。
これはもう時間がないですから続けていきますが、同時に、したがって農林省は農業経営にふさわしい道路の単価でするものですから、用地買収もそれなりにやっていますわな。さっき国土庁が言ったのとは違う。どっちが正しいのか。建設省が高かったのかどうか知らないけれども、例えば私が調べたところによると、同じ一本の道で、農道部分は平米当たり千五百円、県道部分は一万九千五百円。今着手しているところで平米当たり二千五百円、県道の方は一万三千円ないし一万五千円。もちろん県道部分については近くに旧県道が通っている、それのバイパス的な性格がある。したがって、少し違うよと言ってみてもこれは少し違い過ぎると思うのです。いわばここで示されているのは何かというと、農林省は農林省のその道路の目的、これはその目的によって買収価格を設定しているということなのです。そういう矛盾があると思うのですが、この点について会計検査院は矛盾を感じなかったらしいですね、行ってみたけれども。私は矛盾を感じたし、地元はこんなばかなことはないといって噴き上がってきているわけです。
これは農林省、建設省、どうですか、計画段階とその用地費問題。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/33
-
034・末松雄祐
○末松説明員 お答えいたします。
先生の御指摘、広域農道に建設省施行区間、農林省施行区間でいろいろな構造上の差がある、おかしいのではないかという御指摘かと思います。
私どもの広域農道の計画をつくります際の考え方につきまして、広域農道は県が定めます広域営農団地整備計画の一環としてつくるものでございます。この広域農道というのは、先生もおっしゃいましたように、基幹的な農道としての役割を担っている、こういうふうに考えております。そこで、この広域農道の路線計画なり、計画の樹立に際しましては、農産物の流通あるいはライスセンターとか野菜の集出荷場とかそういうもろもろの農業施設の配置、こういうものを総合的に勘案いたしまして路線配置をいたします。さらに、都道府県段階におきまして、道路部局と農林部局と十分協議をいたしまして路線を決めるあるいは施行区分を決める、こういうようなことをいたしまして、最終的に計画を決めているわけでございます。
いずれにいたしましても、広域農道の整備計画の作成に当たりましては、一般道路の計画との整合性を図りながら効率的な整備に努める、こういう考え方で計画をいたしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/34
-
035・三野優美
○三野委員 用地費は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/35
-
036・森本茂俊
○森本説明員 用地費の点でございますが、広域農道を含めまして、公共事業のための用地の買収は三十七年の六月に閣議決定されました公共用地の損失補償要綱に基づいて正常な取引価格で行うこととされておりまして、農林省といたしましても、広域農道は県で実施するものでございますけれども、県に対してそういうふうに指導しているわけでございます。
ただ、単価が違いますのは、現実に私どもも承知しておりまして、幾つか理由があると思うのですが、一つはやはり農林省の施行区間と建設省の施行区間とが農林省の方が比較的地価の安い農業地帯で行っておりますし、建設省でやっていただいているところは、やはり市街化区域に接続した地帯でございまして、宅地とか宅地見込みのところが多い。そういうところも一つの原因ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/36
-
037・三谷浩
○三谷政府委員 今農林省の方からお答えがございましたようなことでございますが、もし道路法の道路と重複する区間、こういうことがございましたら建設省所管で整備を行うというような調整をやっております。
確かに、基幹農道をつくりましても、なかなかその使われ方が、当初からだんだん変わってくるということ、これは確かにいろいろな状況で変わってくると思います。そういうこともございまして、構造令に準拠するようという指導もしていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/37
-
038・三野優美
○三野委員 一つは、協議しているのだ、何度か建設省と。協議した段階で、なぜ農林省を入れたかといいますと、この道の性格というのは、もちろん道路によっては全くあなたの言われるような農業経営のための純然たる道路というものもあるでしょう。ところが、地元の市町村や県にしてみると、建設省へ言ってもなかなか予算くれない。したがって、農林省も大規模農道ということで動員されている部分がある。そこで理由がつくならば、建設省と農林省をつなぎながら一つの幹線としてできるわけです。
今私が言っておるのは、これはほかにもあると思いますが、鳴門大橋がついた。鳴門を渡ってきた道が、十一号がさっき言ったようにできてないものだから、この讃岐新道を通って金毘羅参りに行くわけです。二十トンの大型観光バスが行くわけ。こんなになってあなたのところのそろばん道を通っていくわけです。だから、そういう性格のものでもやっているわけなんです。したがって、私たちは建設段階で農林省の金は使ったけれども、これは国民の税金で、同じなんですよ、使うのは。ですから、それに見合った道路構造令に基づいた道をつくるべきだ、こう思うのです。今後もこんなのが次々とできるのだろうと思いますが、そう思いますよ。それがこの道路の大問題です。
もう一つは、用地費は、建設省はちゃんと国で決めたこの方針に基づいて用地買収を正確な価格でしていますよというのであれば、建設省が高過ぎる。なぜかというと、農林省は農地として買収したわけです。あなたのところも農地を買ったのだけれども、宅地見込み地として買うわけです。いいですか、私は、これも一遍議論したいと思っているわけですが、売る方は高い方がいいに決まっていますよ。農地はほとんど今宅地見込み地。では、またすぐ横に山林があったら、これは山林でどんと下げちゃうわけですね。宅地見込み地にならないわけです。したがって、買収段階で、片方は同じ畑が並んでおっても、道一本に並んでいるのだ、違うと言ったって。それはなるほど少しは違うと思いますよ。しかし、千五百円と一万九千五百円とどこが違うのです。そんなに違うものじゃないですよ。そこに、物の考え方に違いがある、宅地見込み地と農地というところに。これはやはり私は整合性を持たなければならないと思う。
例えば、今やっているところでも、あなたのところは二千五百円。建設省の方は一万三千円から一万五千円程度。これはもめちゃっている。できない。横断道、お世話になります、平米当たり十万円。その横ですぐ県道をやるとすれば大体六〇%、七〇%。これも困難。ただ、ここのところに問題があるのは、横断道は自動車専用道だから、売った人はすぐ使えぬ、日常的には。使えない。したがって、需要面からいったら、それは少し安くても我慢しろということになると、用地買収というのが、目的に基づいて価格が設定されるということになって、さっきの国土庁と答弁に矛盾ができるわけです。この点をお認めになるかどうか、ひとつ聞いておきたい。
それと、この際農林省の方にお願いしたいのですが、あれは町に渡しますね。できたらすぐに町に渡す。町はこんな道を持ってくたびれているよ。これを県道に移管する、市道に移管することについて同意できますか。もし難しいとするならば、五年、十年たったら情勢が変わっているわけですから、情勢が変わった段階でそれを移管することについてお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/38
-
039・森本茂俊
○森本説明員 広域農道の管理の実態でございますけれども、一般には市町村が管理しているわけでございまして、先ほど事業計画課長が申しましたとおり、広域農道は、通常は農業用の利用を目的として建設するものでございまして、一般的な利用を前提とした県道とは機能が異なっているわけでございます。県が管理するというのは必ずしも適切とは一般的には考えていないわけでございます。しかし、地域によっては建設当時と利用状況が大きく異なりまして、先生御指摘のとおり、一般車両の通行が増大いたしまして、公共的な一般道路として管理することもあり得るのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/39
-
040・三野優美
○三野委員 この際、私は農林省にも建設省にもお願いしておきたいのでありますが、こういうのが全国にあるのです。これをどうするか。だから建設省の方は、道路は道路専門屋さんである建設省でということではだめなんです。建設省が十分銭を出さぬのだから。建設省が十分に銭を出せばそんなことにならないのだけれども、市町村なり県は両方動員してやっているわけです。これは現実ですから。したがって、実態に合ったような道路計画を立てなければいかぬと私は思います。
それから用地買収についても、非常に難しいと思うが、調整をする必要があるだろうと思うのです。ぜひそのことをお願いして、大臣、最後に決意を聞いて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/40
-
041・越智伊平
○越智国務大臣 今の広域農道については、各県でよく協議をして、農林部門と建設部門で協議をしてやっております。用地費、確かに差があると思いますけれども、これは一方、農地としての価格と、またその市街化区域等において道路としての価格と違います。例えば、同じ一つの田んぼでありましても、建設省内でも、こちら側に道路がつく、こちら側に河川、こういうことになりますと、これは著しく価格が違う、そういう場合もございます。また農地と宅地とでも違いますし、その場その場でいろいろ協議をして、なるべく大きい格差がないように指導はいたしますけれども、その道路の目的、農道としての目的、またそこの生活道路、いわゆる市町村道であっても、その目的、そういうものによっても実際の時価が違っておるのでございますから、その点は御理解をいただいて御協力をしていただく、そうしないとなかなか難しい問題で、要は、時価より高くは買わないことにしておりますから、宅地と見るか農地と見るかの差になると思いますので、その点御理解をいただいて御協力をいただきたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/41
-
042・三野優美
○三野委員 終わります。まだ問題が残っておりますが、また次の機会に。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/42
-
043・中村喜四郎
○中村委員長 小野信一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/43
-
044・小野信一
○小野委員 道路整備緊急措置法を読ませていただきました。昭和二十八年につくられた法律のようでありますけれども、戦後四十三年の期間の中で既に緊急措置法として三十五年間も活動しておる。これは緊急措置法じゃなくて永久法というのですか、基本法的性格を持っておるのではないだろうか。そういう考え方を持って法律を読んでみますと、緊急に措置をしなければならない要件なり条件が書いてあって、こういう条件に当てはまったときには国が財政を援助いたしますよ、道路をつくりますよ、こう書いてあるのかと思ったらそうじゃないのですね、大臣。法律の内容、事業の内容と、この道路整備緊急措置法という名前は、私は違和感を感じたのですけれども、乖離を感じたのですけれども、大臣、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/44
-
045・三谷浩
○三谷政府委員 まずその緊急ということにつきましての御質問がございましたので、そこについてだけ御説明させていただきます。
緊急事態に対処する処置として、ということで名前がつけられたわけでございます。ただ、先生の御指摘のように、昭和二十九年に第一次五カ年計画、これの根拠法が道路整備緊急措置法でございますが、今度既に第十次の五カ年計画について御審議いただいているわけですから、三十年余たっているわけでございます。ただ実態的に見ますと、九次にわたります五カ年計画を経まして、道路整備そのものは非常に着実な進展を見てまいったわけでございますが、それをはるかに上回る道路交通ということで非常に整備のおくれが目立っておるわけでございます。残念ながら道路の現況が質量ともに不十分な状況でございます。例えばこれは指数で見たわけでございますが、昭和四十年を一〇〇といたしますと、例えば保有台数が六・四倍であるとか、あるいは走行台キロは五・三倍、こういう数字になっておりますが、例えば改良済みの道路延長、延長だけでとってみても、その半分以下の三ぐらいということで大変格差が大きいわけでございます。こういうことについて緊急に対処しようということで昭和二十九年から十次に至ったわけでございますが、やはり緊急に対処しなければいかぬというふうな考え方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/45
-
046・小野信一
○小野委員 まじめに議論をするほどの内容ではないのですけれども、法律の名称と内容とでは少し乖離を感じますので、何かの機会に一度検討しておいていただきたいと思います。
長い間抑制が続いておりました道路財源を初めとする公共事業費もいろいろな環境の変化によって約二〇%の伸びを示しまして、活気を呈してきたように感じられます。一応内外から寄せられた内需の拡大という政策課題にもこたえているのではないだろうか。その意味で大変喜んでおります。第十次五計にいたしましても五十三兆円、九次と比較して三九%、約四〇%の増額でありますから、道路を望む国民にとってはやはり福音だろうと思います。しかし、先ほどの質問にもありましたけれども、今回の事業費の伸びは果たして手放しで喜ばれるのだろうか、こういう心配があります。言うまでもなく、公共投資の拡大の財源が決して安定的なものでなかったことがその理由であります。NTT株売却益という一時的な財源に依存しておるからでございます。当然明後年度以降の財源が心配になってまいります。私どもは、道路財源を初めとする公共事業のコンスタントな拡大、コンスタントな拡充がどうしても必要になってまいります。私は、その展望について、あるいはそのコンスタントな財源の確保のための大臣の考え方、確保しなければならない方法、手段、それらについて今お持ちならばお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/46
-
047・越智伊平
○越智国務大臣 大変御心配をいただいて、ありがたい御意見であります。感謝をいたします。私も、御承知のように、二〇%の公共事業予算の増額、非常にありがたいと思っておりますけれども、これが果たしていつまで続くか、こういう心配が率直にいたしております。
さて、今の公共事業、道路を初めその他の公共事業、社会資本の充実が非常におくれておる。でございますから、国民の要望、地域の要望が非常に強い。でございますから、今、増額をしても減額するような状態にはありません。まだ増額をしなければならない。さて、NTTの売却益、これも限度があります。といって、目的税、道路にいたしまして、揮発油税等の目的税も限度があって、これがふやせるという見込みもありません。でございますから、何としてでも安定的な財源、これの確保をしなければならない、こういうふうに思っております。
それではどの部分にするかということは、今も税の議論等をいただいておりますし大変これは難しい問題でありますけれども、何としてでも今以上に増額に向かって財源確保をして社会資本を充実していく、この気持ちは先生と同じであります。でございますから、これに向かって努力をしていきたい、かように思う次第であります。
なお、どうしても、この目的税も非常にありがたいわけでございますけれども、一般財源を何としてでもちょうだいする、一般財源を入れていただく、このことに全力を尽くしてまいりたい、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/47
-
048・小野信一
○小野委員 道路局長、六十二年度で道路財源として一般会計から幾ら入っておりますか。六十三年度で幾ら入っておりますか。私は何かの機会に見た記憶があるんですけれども、六十二年度かで道路財源は一般財源から一%ぐらいしか入っていなかったんじゃなかろうかと思います。したがって、今大臣が一般財源としてこの五十三兆円の十次五計の財源を一般会計から出させると言いましても、今一%ぐらいしか出ていないわけですから大変難しいことになるだろうな、こう思います。したがって、六十二、六十三で一般会計から道路財源として幾ら出ておるのかを示していただきたいと思いますし、五十三兆円のこの道路財源の内訳、負担区分、これらは今わからない、確かにそうかもしれませんけれども、いつごろそれに対する見通しをお立てになって国民の前に明らかにするのか、特に地方自治体に関係しておる皆さんはそのことを大変心配しておりますので、その計画、見通しがありましたらお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/48
-
049・三谷浩
○三谷政府委員 まず六十二年度の特定財源でございますが、二兆一千億ぐらいございました。それで、それに対しまして今度御審議いただいております地方道路の整備の直入が十五分の一ございました。そのほかに借入金がございまして、一般会計は一兆七千億しか入っておりません。それで、六十三年度は今要求しているところでございますけれども、やはり特定財源関係が揮発油税とそれから石油ガス税と自重税、合わせまして二兆二千億ございます。これに対しまして一般会計からの繰り入れが一兆七千億、それから御審議をいただいておりますいわゆる直入制度を拡充いたしまして、その額が四千三百八十億円、さらにNTTの財源三千八百六十一億、こういうような国費で考えております。
確かに一般会計の予算をどれだけ入れるかというのが最大のやはり財源の問題でございます。もちろん特定財源もこれを確保していただくという前提でございますが、私ども今五十三兆円の五カ年計画を立てます際に、道路局ではいろいろ試算をしてございます。その前提が幾つかございますが、先ほど申し上げましたように、一つは道路の特定財源、こういうものを堅持させていただくということで、例えば揮発油税あるいは石油ガス税、自動車重量税、軽油引取税等々は、いろんな指数で予想をしてございます。そういうことで計算をしてみますと、例えば国費でございますが、私ども、調整費を除きますと五十一兆七千億になりますが、そのうち国費が十四兆七千億、こういう額を見込んでおります。この国費につきまして先ほどのような試算を特定財源について行いますと、約八割が賄える、こういう数字でございます。したがいまして、残りの二割、これについて一般財源、NTTの財源を含む一般財源でこれは何とかこの国費の分について確保して道路計画を進めたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/49
-
050・小野信一
○小野委員 円高不況以来、財政再建と内需の拡大というまことに相矛盾した二つの課題を解決しようとしていろいろな措置がとられてまいりました。一般会計の公共事業関係費を圧縮して事業規模を拡大するために、六十年から国庫補助率引き下げや削減を行い、地方自治体に地方債を発行させた上で将来の元利償還の一部を一般会計から見る方法、あるいは財政投融資による事業拡大を図りながら一般会計から利子補給を行う方式等がとられてまいりました。今回のNTT株売却益活用事業にいたしましても、こうした予算会計制度の複雑化が非常に国民にわかりにくくいたしております。
そこで、今回のNTT株売却益が道路財源あるいは公共事業費として使われるまでの経過を、一応簡単でよろしゅうございますから説明していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/50
-
051・牧野徹
○牧野(徹)政府委員 NTT株式売り払い収入は、厳密に申し上げますと国債整理基金特別会計から一般会計を通じて最後に産投特別会計、産業投資特別会計に繰り入れられて、その資金が社会資本整備促進を図るために三つのタイプ、いわゆるA、B、Cのタイプに分けて使われる。三つのうちAは開発利益吸収型でありますし、いわゆる補助金型と申しますか、雑な表現で恐縮ですが、それがBでございます。それからCは民活事業推進のために使われる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/51
-
052・小野信一
○小野委員 売却益が国債整理基金特別会計に入り、そして一般会計に組み入れられてそれから産業投資特別会計に繰り入れられる、こういう順序、こんな面倒くさい経過をなぜとらなければならないのか、私はまことに疑問に感ずるのです。こういう複雑な会計の仕組みをとるものですから、国民の方がわからない。わかる人は大蔵省の担当官だけだ。ますますその人たちの指導性が強まっていくのじゃないだろうか。
それはそれといたしましても、国民一人一人にもう少しわかりやすい方法で、この資金が道路財源になるのだ、公共事業費に使われるのだというような方法をとれないものだろうか。なぜそんな面倒くさいことをするのかということを、大臣なり建設省の皆さんがどうお考えになっておるのか、御意見を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/52
-
053・牧野徹
○牧野(徹)政府委員 これは先生もただいま御質問の中でおっしゃられましたように、仕組みを考えたのは私どもでございませんが、私が現在理解しているところだけ申し上げますと、NTTが民間会社になったときに全株を政府が所有しているわけですが、それの売却収入と配当金は国債の償還財源に充当するという決定がされておりますので、まず株、一千四十万株のようでございますが、それは国債整理基金特別会計にまず帰属しております。ですから、そこのお金を今度は有効に使う場合に、まず一般会計に出しますが、これが貸付金という格好をとるものですから、そのときにさらに一般会計から産業投資特別会計に移って、そこから貸し付けるという格好をとることになったというふうに私は理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/53
-
054・小野信一
○小野委員 私はこう考えておるのですよ。このような売却益というような臨時的財源を一般財源あるいは一般歳出の中に組み込みますと、それが既得権化するのじゃないか、要するに財政規模の拡大につながるのだ、こういうことを阻止するためにこんな面倒くさいことをやったのじゃないかということと、将来国債償還費として残すために、特定の地域や事業体に無償で与えるのではなくて貸し付けるのだ、こういうことを残しておきたいためにやったのではないのかという感じがするのです。果たして、例えば一般財源化してそれが公共事業に回された場合に既得権化して建設省がその分を毎年確保してほしいという要求をしていくものだろうかという気もするし、いや、してほしいなという気もするのですが、大臣どうですか、この辺もう少しわかりやすいように整理して国民に理解を求める、わかりやすくするという考え方はお持ちになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/54
-
055・越智伊平
○越智国務大臣 これはむしろ大蔵省の方の問題でございますから、私が今ここでコメントするということはちょっと控えさせていただきたい、かように思いますが、最初は国債整理基金、要は株の売却益は公債の返還ということで発足をしたようであります。その後、各省からいろいろ要望も出ますし、もちろん建設省といたしましても今後、既得権ではありませんけれども、これのある限りはやはりいただきに参ります。なくなれば仕方ないけれども、ある限りはもっとくれ、もっとくれということでいただきに行きます。しかし、一番心配しておりますのは、なくなった時点にどうするかということを今いろいろ考慮をし、検討をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/55
-
056・小野信一
○小野委員 将来考えられるのはNTT以外にも数社考えられるわけですが、同じような方法をとられますと国民にとっては迷惑でございますから、この仕組みを考えるのは当然大蔵省ではありますけれども、それを使う建設省の方から、公共事業の担当者である皆さんの方からもう少しわかりやすい方法で金を出してくれ、そういう改正の要望ぐらいはしていただきたいな、こう思います。
次に、こういう仕組みをすることによって幾つかの問題が発生していると私は思います。第一は、こういう一時的な財源で道路を初めとする都市環境整備、生活基盤整備、社会資本の充実に取り組んでいくということは、御存じのようにNTT株にいたしましても将来予想される収益、一時収入にいたしましても、これらは非常に株式市場の動向に左右される、こういう不安が一つあります。これを一般的財源として使用することはやはり不安材料になると私は思います。同時に、そういうものが出てまいりまして一時的に公共事業に集中的に投資されますと、やはり将来の更新期あるいは償却期間に一時に集中してくる場合がございます。そういう意味で財源の固定化といいますか、流動性を損なう場合があるのではないか。こういう場合に、どうしても先ほど質問いたしました公共事業の中期的な財源の見通し、中期的な財政計画をきちっと立てておくことが非常に大切になってくるのではないだろうか。今の場合に、十次五計にいたしましても閣議決定だけでございまして、国会でこれが議論されて、計画化されて大蔵省当局がその財源を裏づけするというようなものにはなっておりませんから、大変不安に感ずるわけでございます。したがって、これらの公共事業の長期計画に対しては、中期財政計画を国会の審議を経てつくる、こういう形にしてほしいものだという考え方を私は持つのですけれども、大臣いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/56
-
057・越智伊平
○越智国務大臣 何回も申し上げておりますように、特定財源は、ガソリンにいたしましてもあるいは高速道路にいたしましても、利用が多くなればたくさん上がってくるわけでありますけれども、率の改定というのはなかなか難しくて、揮発油税一つとりましても今後難しい問題だ。そういたしますと、先生お説のようにどれをするかというのは政府の方針でありますけれども、ほかにいろいろ財源も出てくるのであろうと思いますが、安定的にやるのは一般財源をきちっと入れてもらう、一般財源を使うという制度をぜひともとっていきたい、こういうふうに考えております。いろいろ今後非常に変化をするであろうと思いますが、適時適切に財源問題を検討していく。また、今の五カ年計画につきましては大蔵省もきちっと予算の時期に認めておるわけでございますから、この点については、今度の十次五カ年計画につきましては間違いはない、こういうふうに確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/57
-
058・小野信一
○小野委員 官房長、私の意見は、十次五計にいたしましてもあるいは道路整備五カ年計画にいたしましても、つくる場合に閣議決定だけではなくて、国会の審議に耐えて国会の承認を得ることによって、大蔵がいつでも財源を保証しなければならないというようなきちっとした財政計画の裏づけを持った計画にする方が私どもにとって非常に安心だということでございますので、そうしなくても閣議決定さえすればそれは大蔵はすべて財源を保証するのだ、そう考えられれば別ですが、私はそう考えないものですから、もう一ランク上の財政計画にしてほしいものだなという気がするのですけれども、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/58
-
059・三谷浩
○三谷政府委員 先ほどからの五カ年計画でございます。法案提出におきまして閣議了解をいただいておりまして、五十三兆円の投資規模ということで了解をいただいております。
財源でございますが、先ほどから申し上げましたように揮発油税収あるいは石油ガス税収ということを道路の整備のための特定財源として充当、それから財政の許す範囲において道路整備費の財源について必要な措置を講じるものとなっております。以上から考えますと、大変ありがたい御指摘でございますが、現行制度は御指摘の趣旨にも十分沿った制度というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/59
-
060・小野信一
○小野委員 このごろ公共投資拡大が非常に論議されております。公共投資の拡大の論議はいつでも景気対策としてでございます。円高デフレによる失業率の上昇、地域経済の停滞を解決することの動機づけとして公共投資が論議されるような傾向がまことに強くなっております。しかし、本来公共投資は、貯蓄と投資のギャップを埋めるための手段として行うべきものでないことは明らかであります。したがって、景気対策として公共事業を考える場合と、公共投資を効率的な立場から、国土の均衡ある発展あるいは国民のニーズに適応した公共投資の拡大という観点から議論する場合とでは、私は効率性においてかなり違った結果が出るのではないか、こういう気がしてなりません。要するに公共投資はマクロでの有効性とミクロでの効率性の間に大きな乖離が生まれるのではないだろうか。もちろんそれらの矛盾について皆さんは専門的な立場から十分検討はなさっておるのでしょうけれども、どうしても公共投資を景気対策として考える場合には効率性が軽視される心配、そういう傾向になりはしないだろうか、こういう気がしてなりません。そういう問題について、皆さんはどのようなお考え方で対処しているのでしょうか、御意見を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/60
-
061・牧野徹
○牧野(徹)政府委員 先生のおただしのように、公共事業を実施することによって景気浮揚を図るということも私どもは大切な観点の一つだとは思っております。しかし、景気の動向だけで公共投資が左右されることがあってはならないということは、私どもも全く同じ考え方でございます。本来、私どもに課せられた使命は、住宅なり社会資本整備を総合的、計画的に着実に実施する、その結果安全で快適な国民生活あるいは活力ある経済社会を実現するというのが建設省に課せられた使命だと思っておりますから、その点については先生と全く同じ意見でございます。
ですから、そういう観点に立って、確かにゼロシーリングなりマイナスシーリングがあったというふうな事態におきましても、何とか私どもが希望するような事業費を確保するために、先ほど先生もちょっと御質問の中でおっしゃっておられましたが、いろいろな工夫をして公共事業費の総額確保には鋭意努めてまいったわけでございます。そういう総額を確保することによって、継続的に安定的な公共事業を五カ年計画に基づいて計画的、効率的にやっていくというのが私どもの基本的な立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/61
-
062・小野信一
○小野委員 これは国土庁に聞くべきものかもしれませんけれども、四全総、道路、空港などネットワーク構想を実現するためには、七十五年までに広義の国土基盤投資一千兆を見込んでおります。その積算根拠は、中成長年率四%、企画庁は三・六%と見込んだようでありますけれども、これで計算しますと、二〇〇〇年のGNPは五百兆円になります。政府固定資本形成のGNPに占める割合を過去と同じ程度と見れば、十五年間の累積投資額は一千兆になるということであります。中成長が果たして十五年間続くものかどうか、それらは議論のあるところでありますけれども、この負担のあり方については四全総の中に触れておりません。これはどういうお考えの背景を持っておるのでしょうか。負担のあり方について、お考えを聞いておきたいと思います。——質問通告をしておらなかったのですから担当官がいないのじゃな
いかと思いますので、よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/62
-
063・中村喜四郎
○中村委員長 国土庁が来ておりませんので、お許しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/63
-
064・小野信一
○小野委員 それでは、最後に地元の問題をお聞きいたします。
東京から仙台まで、仙台から岩手の東海岸、三陸沿岸を通って青森まで高規格道路が計画をされました。ところが、宮古と久慈の間約百キロ程度がその高規格道路の計画から外れております。局長、なぜあの部分だけが外れたのか、その考え方をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/64
-
065・三谷浩
○三谷政府委員 高規格幹線道路を昨年建設省で策定をいたしまして、それで国土開発幹線自動車道として整備をするもの、あるいは一般道路の専用道路として整備をするもの、こういうものに決められておるわけでございますが、この路線選定に当たりましては、全国の都市、農村からおおむね一時間以内に到達し得るネットワークを形成するということを配慮したわけでございます。
宮古と久慈の間でございますが、この間は三陸縦貫自動車道、これは仙台から宮古でございます、あるいは八戸から久慈まで自動車道を高規格幹線道路で整備する考えでございます。そういうことによりまして一時間程度でカバーされることになります。ただ、宮古と久慈の間の道路の整備、もちろん国道四十五号線が通っておりますが、この整備というものは当然大事な事業として推進していくこととしておりまして、現在中野バイパスが事業中でございますし、また、普代地区におきましてもバイパスの調査を実施しているところでございます。一般国道四十五号線の整備につきましては、今後とも推進する考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/65
-
066・小野信一
○小野委員 確かに国道四十五号線として整備はされていくのだろうと思いますし、整備をしていかなければならない道路であることは十分承知をいたしております。しかし、仙台から宮古までの間が高規格道路としてつくられ、青森—八戸から久慈までがこれまた高規格道路としてつくられ、残された約百キロが一般国道として取り残されていくことになりますと、そこに住んでおる地域の皆さん、住民の皆さんは大変不安に思いますし、ふんまんやる方ない心境でおります。どうしてもこれは次の高規格道路の延長計画のときにはぜひ加えていただく、あるいは加えていただけるような努力をするということがないと地域住民が納得しないという気がいたします。局長、どうです、約束しませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/66
-
067・三谷浩
○三谷政府委員 従来七千六百キロの高速道路網がございました。これを今回広げまして、高規格幹線道路網ということで、全国的な自動車交通網ということで一万四千キロという整備計画を策定したわけでございます。残念なことにこういう高規格道路は非常に整備がおくれておりまして、現在でも四千キロちょっとが整備されているにすぎませんで、この十次の五カ年でも六千キロ、そういたしますと、非常に大幅なピッチで整備を進めようと思っておりますが、一万四千キロはなかなか難しいわけでございます。
それで、高規格幹線道路網の路線要件は先ほど申し上げたようなことで、その他にもいろいろございますが、いずれにいたしましても道路網の整備という観点から、例えば高規格幹線道路網が先ほどのようなことで計画ができておりますけれども、宮古から以北につきましても四十五号線ということで整備を推進してまいる考えでございますので、均衡ある道路網の整備という観点から進めてまいりたい、こういうふうに考えておりますので、現在のところはそういうことで進めてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/67
-
068・小野信一
○小野委員 局長、もう一度。
次の一万四千キロ構想が拡張される、拡大されるときには、この久慈—宮古間ももう一度検討をいたしますと。いかがです、将来必ず検討の対象といたしますと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/68
-
069・三谷浩
○三谷政府委員 将来の計画の考え方として検討させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/69
-
070・小野信一
○小野委員 もう一つ、国道二百八十三号線、釜石、花巻付近国幹道、その間に皆さん御承知のように仙人峠というまことに難関の山がございます。釜石は御存じのように新日鉄の事業所があるところでございまして、かつて三回の合理化が行われるまでは九万二千の人口がございました。三度の合理化によって五万六千まで減少いたしております。来年の三月、高炉が休止になりますと、恐らく五万の人口を割るのではないだろうか。まことに極端な人口減少でございます。人口減少によって経済の停滞もまことに著しいものがございまして、その活性化のためにはどうしてもこの仙人トンネルの開削が緊急の課題になっております。新規事業を誘致する場合でも、この峻烈な峠が邪魔になりまして企業進出をちゅうちょするという会社も多くございます。したがって、この仙人トンネルの開削が緊急課題でありますので、現在どのような考え方でこれに対処しようとしておるのか、道路局のお考えをお聞きいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/70
-
071・三谷浩
○三谷政府委員 国道二百八十三号線のことでございますが、三陸海岸の工業都市の釜石と花巻とを結ぶ幹線道路でございます。仙人峠付近、ここに二・五キロのトンネルがございます。非常に幅も狭くて、昭和三十四年にできたトンネルでございます。さらにその前後が勾配が非常にきつい。さらに半径も小さい。それから、そういうことで冬期間には積雪あるいは路面凍結のために交通障害が生じております。
そういう事態を改善するために、建設省は国道二百八十三号線を含む三陸沿岸地域におきます道路網体系に関する調査を昭和六十年度から行ったわけでございます。この道路網体系調査というのは、全体として三陸沿岸についてとらえているわけでございますが、昭和六十三年度につきましては路線計画調査ということで調査の熟度を高めまして、仙人峠の整備方針等について早急に検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/71
-
072・小野信一
○小野委員 県の方も六十三年度から調査費をつけまして、そして六十五年度には着工できるように努力をいたします、こういう議会での答弁をいたしております。しかしこの路線は国道でございますから、建設省との意見が一致がなければ大変難しい事業になります。したがって、県が六十五年度には着工できるように作業を進めたい、こう報告をいたしておりますけれども、県民に明らかにしておりますけれども、それについて建設省との合意がきちっとでき上がっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/72
-
073・三谷浩
○三谷政府委員 その県の御要望は、事務当局として聞いているかもしれませんが、私はちょっと聞いておりません。ただ、仙人峠の調査、先ほど路線計画調査をいたしますということでございますが、この路線の計画とそれから地質の調査、これはトンネルでございますので、やはりこういうものに若干時間がかかると思います。いずれにいたしましても、そういう調査を進めまして実現に向かって努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/73
-
074・小野信一
○小野委員 路線の計画調査、地質調査は何年を必要としますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/74
-
075・三谷浩
○三谷政府委員 やはり地質調査等がかなり時間がかかる、それで今いろいろこれから調査をするわけでございますから、ちょっと予想でございますが、三、四年はかかるだろうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/75
-
076・小野信一
○小野委員 三、四年ですか。その調査費の予算規模はどれぐらいになっておりますか。どれだけの予算がついておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/76
-
077・三谷浩
○三谷政府委員 これは調査費全体で一本で予算をつけまして実施計画でこれを決めてまいりますので、まだ決めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/77
-
078・小野信一
○小野委員 局長、最後にお願いをいたしておきますけれども、今の釜石の実情、人口が十年間に四割も減少する、こういう事態の中の市民経済が大変困窮しておる事態を勘案していただければ、当然新規事業の誘致が一つの大きな救済事業になることは御理解していただけると思います。今、新日鉄を初め丸紅、三菱商事、大規模な東北の飼料基地の計画もございます。しかし、東北各地に飼料を運ぶ場合でもこの仙人峠の峻烈な山が大きな障害になっておりまして、その計画が延びる可能性もあります。来年の三月に高炉がとまりますと、また一万人内外の人々が釜石を去ることになります。したがって、それらに合わせましても二年後には着工できるんだという希望が市民の中にはっきりと示されないと、より実態以上に停滞を来します。したがって、仙人トンネルの調査実施、そしてトンネルの開削に、あるいは一日も早い発表を私どもは強く望むわけでございます。局長、もう一度この問題に対する決意をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/78
-
079・三谷浩
○三谷政府委員 先ほど申し上げましたように、この仙人峠の付近の交通量自身は四千台ぐらいで大したことはございませんが、やはり物資の移動等がございまして大型車の混入率というのが確かに高いわけでございます。そういう観点から、昭和六十年度から調査費を続けてまいりまして、今度幹線道路整備計画調査いわゆる路線計画調査ということに熟度を高めておりますので、私ども予算がつきますれば調査を鋭意進めまして実現に向かって努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/79
-
080・小野信一
○小野委員 心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/80
-
081・中村喜四郎
○中村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十九分休憩
────◇─────
午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/81
-
082・中村喜四郎
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。伏木和雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/82
-
083・伏木和雄
○伏木委員 初め、大臣にお伺いいたします。
世界に例のないスピードで高齢化社会に進んでおります。これから社会保障の保障費の増加、それから生産性上昇率の低下、あるいは労働慣行の変化、二十一世紀初頭には社会資本整備費に回し得る投資余力が低下する、このように言われております。したがって、現在は本格的な高齢化社会を迎えるまでの貴重な準備期間と言わなければなりません。今こそ道路整備を初めとする社会資本を重点的に整備して、我が国の経済社会の長期的な発展基盤を整えていかなければならないと思います。
そのような意味から、第十次道路整備五カ年計画はまさに二十一世紀に向けてのラストチャンスと言わなければならないと思いますが、これまでの第九次道路整備五カ年計画とはまた違った意味で重要度を増していると思う次第でございます。二十一世紀に向かいまして、産業構造の高度化、情報化、都市化、国際化、いろいろ経済的社会的条件の変化の中で、国民のニーズの多様化、高度化にこたえた道路整備を進めていかなければならないと思います。こうした点から、この第十次五カ年計画策定に当たりまして、大臣がどのような所信でこうしたこれからの我が国の将来を展望した上で御計画をなされたか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/83
-
084・越智伊平
○越智国務大臣 先生のお説、全く同感であります。今高齢化が進んでまいります。これはどんなにしてもやはり社会福祉の面で費用が多く要ることは当然であります。そういうときに第十次の五カ年計画を策定いたしまして、今までほとんどこの五カ年計画は、計画いたしましても大蔵省との折衝で削られておった。ところが今回は全額認められた。今まで社会資本、特に道路に投資が非常におくれていた、こういう点もございます。でございますから、お説のように二十一世紀に向かってこの十次五カ年計画、これでできるだけスピードを上げて道路整備に努めてまいりたい。
けさも御質問がございましたが、さて、この五カ年計画はまずまず財源も見通しが立ったといたしましても、次の五カ年計画を、十一次をやるといたしましても、これはもう全く今のところ財源がどうであろうかという心配をいたしておるのであります。でございますから、この十次の五カ年計画の間に特に重要なところ、これを選択いたしまして、できるだけ早くこれを整備していく、こういうことに努めてまいりたいと思います。
なお、その後の財源につきましても、けさお答えいたしましたように、これは特定財源だけでなしに一般財源を何としてでも多く投資をしていくような方法を考えなければ、なかなか特定財源だけでは間に合わない、こういうふうに思う次第であります。お説、全く同感でございますので、お説に従って努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/84
-
085・伏木和雄
○伏木委員 今大臣から御答弁いただいたわけでございますが、私が申し上げたいことは、過去第九次までの道路計画がございました。ただこの惰性的延長でいいかどうかという問題があるのではないかと思います。昭和三十七年に始まりました全国総合開発計画、四大工業地帯あるいは太平洋ベルト地帯の工業の集中に対して工業分散、これを第一次で計画いたしました。第二次で新全総におきまして、幹線道路、高速道路網あるいは新幹線ということで国土の利用計画を進めてまいったわけでございます。そして三全総におきまして定住圏構想と、いずれも国土の有効利用、多極分散を意図して開発計画が進められてまいりました。その上に立って道路計画も進めてこられたものであろうかと思います。この計画に基づきまして行われました諸施策、なるほど目的を達成したものもございますけれども、中には目的達成できず変更せざるを得なくなった部分もございます。全部が全部とは申しませんけれども、この国土計画、必ずしも成功とは言えないのではないか。というのは、東京一極集中という結果になって答えが出てまいりました。多極分散をねらって行われた総合開発計画が、ついには一極集中、地価のめちゃくちゃな高騰という結果をもたらしまして、今や遷都問題というような大きな問題にまで発展しようといたしております。この計画が結局は東京一極集中を醸し出してしまった、こういう時点に立ちまして、従来どおりの計画路線で果たして全総で言うところの多極分散ができるのかどうか、この点も改めて検討しなければならない。東京一極集中は必ずしも道路問題だけではないことは私も承知いたしておりますけれども、しかし、この幹綿道路という問題も極めて重要な問題でございます。こうした総合開発計画、東京一極集中という観点から見て、今までの延長線に立った十次五カ年でいいのかどうか、この点を重ねて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/85
-
086・長沢哲夫
○長沢政府委員 全総計画との関連についてお尋ねでございますので、私の方から答弁させていただきます。
先生御指摘のように、一全総、新全総、三全総、四全総、四回の全国総合開発計画を通じて国土の均衡ある発展を目指してきたわけでございますが、昭和五十年代の前半、三全総の前半期ごろには、人口の動きから見ましても諸機能の配置から見ましても、地方定住がある程度定着しかかったわけでございます。その意味では目指すところは成功したというふうに私ども評価しておりますが、五十年代の後半期に至りますと、国際化、情報化が急速に進む、また産業構造がサービス化の方向へ大きく変化する、そのために地方に立地の多い工業等が構造不況に陥る、こういう情勢展開がありまして、また東京への再集中の傾向が生じてまいったわけでございます。この傾向に対処して多極分散型国土の形成を目指すというのが四全総のねらうところでございまして、そのねらいを達成するために、特に三全総の定住構想に加えて地域間の交流を活発化するという基本的な考え方に立っております。これを交流ネットワーク構想というふうに一口に呼んでおります。その交流ネットワーク構想の中で、交通体系の整備が非常に重要な戦略的な施策として位置づけられているわけでございます。これまでの三次にわたる総合開発計画でいわば国土の縦軸がほぼ形成されてきた、とすれば、これから四全総時代の交通体系の整備は地方の都市相互間の連絡、横断的な交通体系、さらにそれをネットワーク状に広げていく、こういう考え方で全国土にわたって高速交通機関の利用の利便性を均一化していこう、そしてやがて全国一日交通圏を構築していこう、こういう考え方に立っております。したがいまして、その一環であります高規格幹線道路を初めとする道路網の整備は非常に重要でございまして、第十次道路整備五カ年計画は、この四全総が示している交通体系の実現に向けて非常に大きな役割を担うものであるというふうに私ども認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/86
-
087・越智伊平
○越智国務大臣 ただいま国土庁の方から御答弁がございましたが、先生の御指摘のように、全国でいいますと東京一極集中であります。地方へいきますと、おおむね県庁所在地にその県のやはり一極集中が見られるようなことであります。これをいかに分散していくか、またいかに過疎を防止していくか、このことはいろいろ要素はありましょうけれども、交通ネットワークによるところが非常に大きい、かように思う次第であります。
建設省といたしましては、昨年一万四千キロの高規格道路を決定いたしました。この十次の中では、その中の六千キロを重点的に整備をしていこう、こういう考えであります。そして、国土庁からもお話ございましたが、地方都市間、こういうところのネットワーク、これに重点を置きまして、もちろんこの高規格道路あるいは自動車高速道路のみではございません、これに伴って国道、地方道、もう一つ町村道に至るまでひとつ整備をしていこう、こういう計画で進めておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/87
-
088・伏木和雄
○伏木委員 私が申し上げたのは、従来のネットワーク、その構想の結果一極集中をつくってしまった。だから、今後の計画において従来のままでいいのかどうかということは、ある人は、高速道路ができ新幹線ができればできるほど東京が重要になってくるという説を立てている人もおります。こういう意味でお伺いをしたわけですが、まあその点はおきまして、十次五計について若干お伺いをいたします。
六十三年度の道路予算を見てみますと、前年対比で二〇%の大幅な増額となっております。しかしこれは、NTTの三千八百六十一億、これが加わりましてこのような二〇%増ということになっておりますが、これを除きますと従来と全く変わっていない。ところが、この六十四年度で、現在の大蔵省の計画では株の売却が一応終わるということになっております。そうなってまいりますと、六十三年、六十四年はこの予算がついたといたしましても、その先はどうなるのだろうか、果たしてこの五十三兆円という十次五計が完遂できるのかどうか、もう当初から危惧をされるのではないか、このように考えられるわけでございますが、この点はどのようになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/88
-
089・三谷浩
○三谷政府委員 第十次五カ年計画の規模につきまして、二月五日に五十三兆円ということで投資規模の閣議了解をいただきました。今またいろいろ御審議をいただいておりまして、緊急措置法の改正に伴いまして閣議決定、こういうことになろうかと思っております。
五十三兆円のうち調整費を除きました五十一兆七千億、この内訳というものにつきましてはまだいろいろ道路局で試算をしておる段階でございますけれども、現在五十一兆七千億に関しまして、国費が十四兆七千億円、あるいは地方費が約二十四兆五千億円、財投資金が約十二兆五千億円というふうに見込んでおります。この十四兆七千億円の国費につきまして、揮発油税あるいは自動車重量税等の道路特定財源によりまして、私どもいろいろな試算をしておりますが、約八割が賄えるというふうに考えております。したがいまして、あと二割を一般財源あるいはNTT財源、こういうもので確保する必要があろうか、こう思っております。今お話がございましたように、NTTの財源によります無利子貸付事業の継続期間あるいはその規模につきましては現時点では必ずしも明らかではありませんが、いずれにいたしましても、経過期間を通じまして一般財源の確保を含めて、それで計画の着実な達成、こういうものが非常に重要であろうと思いますし、私どもも努力してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/89
-
090・伏木和雄
○伏木委員 五十七年から五十九年までに生じた道路特定財源のいわゆるオーバーフロー部分六百八十五億がいまだに残っているわけでございます。この間に四千百八億円ございましたものを補正等によって解消してまいったわけでありますが、この第十次に入るに当たりましていまだに六百八十五億という特定財源が残っているわけでございますが、この処理は今後どういうふうになっていくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/90
-
091・三谷浩
○三谷政府委員 昭和五十七年度から五十九年までに、いわゆる自動車重量税のオーバーフローと申しますか、未充当額が四千百八億円に上っております。しかし、昭和六十年度、それから昭和六十一年度、六十二年度におきまして一般会計からの借入金、揮発油税収の一部道路特会直入あるいは資金運用部からの借り入れにより、当初予算でそれぞれ二百億、二百一億、二百一億、それからさらに昭和六十一年度、六十二年度におきましては、補正でございますが、二千八百二十二億円追加になっております。したがいまして、四千百八億からその額を引きますと六百八十五億円、こういうことでございます。この過年度未充当額につきましては、六十二年度の予算編成の大蔵、建設大臣からの覚書に従いまして、可及的速やかに道路整備費に充当されるものと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/91
-
092・伏木和雄
○伏木委員 それでは将来これは戻ってくるというふうに考えておってよろしいわけでございますね。
重ねて伺いますが、六十三年度予算のNTT三千八百六十一億でございますが、この上乗せの中に揮発油税等の道路特定財源のオーバーフローといいますか四百二十四億円、これはどうなっているんでしょうか。NTTの中へ含まれているんでしょうか、それともこれは五十七年、五十八年のように道路財源として組み込まれておらないのか、この点はどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/92
-
093・三谷浩
○三谷政府委員 六十三年度の予算でございますけれども、道路特定財源の税収見込み額が二兆二千二百三十六億円でございます。それから一方、一般会計の繰り入れと揮発油税収の直入制度、これは今これから御審議をいただいているわけでございますが、拡充いたしまして、その額が四千三百八十億円。そうしますと、その差額が四百二十四億円というのは御指摘のとおりでございます。先ほどからお話が出ておりますNTTの財源三千八百六十一億円の中に四百二十四億円が含まれております。しかし、NTT財源をこの四百二十四億円ということで充当しているわけでございますが、その償還時には道路財源以外の別途財源で充てることとされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/93
-
094・伏木和雄
○伏木委員 そうすると四百二十四億円は別途財源で手当てをするということになっておりますが、その部分を除いたNTTの部分ですね。残り三千四百億強になりますか、これは返済はどういう形で、道路財源から返済されるんでしょうか。これもやはり道路財源以外から返済できるような覚書なり話ができているものかどうか。返済が将来の計画に食い込んでくるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/94
-
095・三谷浩
○三谷政府委員 先ほどの四百二十四億円につきましては、先ほど説明いたしましたように別途充てられることとされております。残りの三千八百億から四百何がしを除いた分、これにつきましては今後の問題でございます。全体の公共事業の問題ともなろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/95
-
096・伏木和雄
○伏木委員 そうすると返済については何ら申し合わせも何もないわけですか。使っちゃって後になって道路財源で返せなんということになったら大変なことになってくるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/96
-
097・三谷浩
○三谷政府委員 通常の公共事業の無利子貸付金、いわゆるNTTのB型と言っております。この金が償還時に地方公共団体に対して、償還金に相当する額が国庫補助金、負担金として交付されることになっておりますが、その財源につきましてはそのときの経済あるいは財政事情を勘案して公共事業規模全体を検討する中で決められる問題だと思っております。現時点では明確になっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/97
-
098・伏木和雄
○伏木委員 これは大臣、今からしっかり頑張っておかないと将来禍根を残すんじゃないか、このように思われますので、この点篤と御指摘を申し上げておきたいと思います。
次に伺いますが、私どもも地方へいろいろ回ってまいります。これは大変な道路だな、一体どこの道路だと言うと、これは国道ですという話をよく聞くわけです。これがまたひどい。これが道路ですかというような道路があるのはもう御承知のとおりだと思います。国道とは一体何なのでしょうか。国道の定義、こういうものが国道なんですよという定義をひとつお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/98
-
099・三谷浩
○三谷政府委員 定義と申しますと、道路法の第五条に国道の意義あるいはその路線の指定ということが決まっております。幾つか条文がございますが主たるものを申し上げますと、例えば「国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地その他政治上、経済上又は文化上特に重要な都市を連絡する道路」ということでございますから、全国的な幹線道路網のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/99
-
100・伏木和雄
○伏木委員 今お話がございました、国土を縦断し、横断し、または循環して、都道府県庁所在地その他政治上、経済上重要な地点を結ぶとあるのですが、これほど重要な道路が大型車がすれ違いすらできない。前提にあるのはこのような重要なところに設けられるのが国道だと言われながら、まるで道路予定地じゃないかというような箇所が見られております。
時間がありませんから申し上げますと、全国一般道路で四万六千五百四十四キロの延長を持っているそうでありますが、このうち七千百十二キロが大型車がすれ違いできない道路だ、こう言われております。ところがこの第九次五カ年計画の結果を見てみますと、第九次において千七百キロこうした道路を改良するという方針が出されておりながら、結果といたしましては五カ年で九百キロしかできなかった。冒頭申し上げましたように、二十一世紀になると投資余力が落ちるのではないかと心配されているやさき、二十一世紀といってももうあと十二年しかございません。この第十次と第十一次を終了すればこれでもう二十一世紀でございます。これはとても今世紀じゅうに改良できないのじゃないか。二十一世紀を迎えるに当たって道路整備と言われておりながら、このペースでまいりますと六千キロ以上がすれ違いもできない道路のまま二十一世紀を迎えてしまうという結果になるのではなかろうかと思います。この一般国道に対する手当て、何か幹線自動車道とか高速道路ばかり日の目が当たっているようでありますけれども、全国で主要な拠点を結んでおる、こうした点に力を入れないと多極分散型にはならない。結局は地方へ行っても交通の不便を感じ、確かに幹線道路はできているけれども中身が全く伴わないという問題がある。そういう意味で十次五計を見直さないでもいいのか、私はこう申し上げたわけでございます。高速道路にばかり光を当てないでこうした一般国道にもっと力を注がなければならない、このように考えますが、十次五計でこうした道路とは言えないような部分をどこまで解消できるようになるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/100
-
101・三谷浩
○三谷政府委員 確かに御指摘のとおり、国道と申しましても大変整備はおくれております。例えば諸外国と比較をいたしましても、もちろん道路の基準等は若干異なっておりますけれども、日本は国道で七メートル以上幅がございますのは二三%ぐらいしかございません。一方、西ドイツとかフランスとかアメリカとか道路の種別は若干異なりますが、みんな七割あるいは六割が二車線を完全に確保しておる、こういう整備状況でございます。
そこで、私ども十次の五カ年におきましても、この全国幹線道路網を形成をいたします国道網の充実強化ということで、緊急度、重要度の高い区間から整備を推進して二十一世紀初頭を目途にその解消を図りたいということで、大型車のすれ違えない区間を解消しようとしております。第十次では年間約三百六十キロぐらい解消していきまして千八百キロ、それでもまだ実は昭和六十七年度末、つまり第十次五カ年計画の終わった時点では全体の国道の一割近い四千七百五十キロが残っておりますが、できるだけこれを早急になくしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/101
-
102・伏木和雄
○伏木委員 先ほど申し上げましたように、第九次でも千七百キロを想定したわけであります。ところが五〇%程度しかできなかった。第十次で千八百キロということですが、年間三百キロというような大変な進行状況をつくらなければならぬと思いますが、その点大丈夫でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/102
-
103・三谷浩
○三谷政府委員 第九次では千四百キロぐらい実績を達成させていただきました。いずれにしましても大変な数字でございますので、一生懸命やらせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/103
-
104・伏木和雄
○伏木委員 こう申し上げるのは、十次五カ年計画の事業の種類別の比較を見てまいりますと、第九次は非常に予算を削られたという面もありますので、むしろ第八次に比較した方がいいのじゃないかと思いますが、第八次に比較しますと、一般道路は三%、シェアがマイナスになっているわけです。ところが有料道路の方は三%プラスということで、十次の姿勢を見ますと、何か道路問題というのはこれから有料道路でもって解決していこうという姿勢が強く出ているのではないかという危惧をいたしているわけでございますが、この点はいかがでしょうか。こういう考え方だと一般道路がなかなか進まないのではないか、こう思いますがいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/104
-
105・三谷浩
○三谷政府委員 お話がございましたように、第十次道路整備五カ年計画におきます一般道路事業のシェア、これは第八次に比べまして二・五%低いわけでございます。ただ九次に比べますと、また二・五%多いわけでございます。確かに第九次より財源難から有料道路制度を非常に活用したわけでございます。今度は十次におきましてはそういうことで、一般道路についても整備を伸ばしていこうということで、例えば全体の平均の伸率が六%でございますが、一般道路事業は七%ということで平均を上回っております。こういう一般道路事業は、特に財源の確保の問題が非常に重要になります。したがいまして、先ほど来私ども申し上げておりますように、特定財源の確保は当然ながらNTT資金の活用とか一般財源の投入、こういうものが非常に重要になっておりますので、一層の推進を図れるよう努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/105
-
106・伏木和雄
○伏木委員 続いて首都高速道路について若干お伺いをいたしたいと思います。
とにかく渋滞で悪評が高い道路。住宅公団の建物に対しまして遠い、狭い、高いという悪評があることは大臣も御存じだと思いますが、首都高もそうなっていくのじゃないか。狭い、遅い、高いという悪評が立つのではないかと心配されております。既にそういうふうに言っている人もおります。昨年一年間で首都高の渋滞は一万三千百三十六回、一日当たり三十六回も大きな渋滞箇所を持っている。現在一日平均九十万台以上が利用していると言われておりますけれども、六十年度首都高速道路公団の調査によりますと、一日二十四時間の平均時速、これが三十四キロ。昭和六十年の計算でございますが、こういうことを公団で発表しておったことがあるやに聞いておりますけれども、ところが、現在はそれよりはるか渋滞がひどくなっているのではないか、このように考えております。
せんだって、新聞を見ますと、何か一般道路と首都高で競争させてみたという結果が出ておりました。これは公団でおやりになったのだろうと思いますが、公団でやったのではちょっと当てにならない。上を走っている人は一生懸命走るし、下の人はまあまあと走れば、これは幾らでも差が出てくるわけでありますから、それは別といたしまして、この渋滞解消何とかならないものだろうか。有料道路でございますので、少なくとも有料に値する道路。ある雑誌を読んでいましたら、首都高というから高速とは思わなかった、高いところを走っているから首都高だ、こういうふうに思っておった、あそこが高速道路とはとても思えない、こういうことを言っておった人がいるそうですが、この点理事長どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/106
-
107・淺井新一郎
○淺井参考人 お答えします。
先生おっしゃいますように、一極集中の弊害が最も象徴的にあらわれているのが首都高の渋滞の現状だと思いますが、この渋滞の抜本対策といたしましては、何といいましても中央環状線等を早期に完成することがぜひとも必要なわけでございます。しかしながら、これらの整備には相当の期間を要することも事実でございますので、当面中期的な対策といたしましては車線の拡幅とか出路の増設というようなことを、知恵を出しながら努力をしておるところでございます。さらに短期的な対策として、既設の道路網の効率的な運用を図るということも必要でありまして、より高度な交通管制システムの整備がぜひ必要であり、図型情報板とか情報ターミナル等の情報提供施設の整備充実を今後とも鋭意図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/107
-
108・伏木和雄
○伏木委員 私は、構造上問題があるのではないかと見られる箇所がたくさんございます。例えて申しますと、横羽線から東京都内に入ってまいります多摩川を渡る橋、橋の手前では渋滞するのが当然でございますが、その当然渋滞するところに大師から入ってくる路線がございます。それで橋を渋滞したまま渡ると、今度は羽田のトンネルがある。ただでもここは渋滞するところを、そのトンネルの手前にまた空港から入ってくる道路がある。これではいつまでたっても道路問題は解決しないのではないか。単に中をいじっても渋滞する構造がもうそこにあるわけでございますが、例えばこうした羽田の渋滞のような問題ですね。けさほども子安まで約十八キロの渋滞でございます。私も国会に来るのに毎朝あそこを使ってくるのですけれども、ひどいときには二時間かかります。二十八キロの道が二時間かかるわけですから時速十四キロということになるわけです。構造上に欠陥があるこうした点については御検討いただいているのでございましょうか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/108
-
109・淺井新一郎
○淺井参考人 御指摘のとおり、横羽線の大師、それから羽田トンネル付近の渋滞はまことに厳しいものがございます。このボトルネックの区間に対する対策の必要性は十分私ども認識しておるわけでございます。ただ、現実は先生御存じのような形になっておりまして、その対策としては、構造上あるいは施工上、工期といったようないろいろ難しい問題がたくさんあるわけでございますが、ひとつ知恵を出しながら、また関係機関もいろいろ多種にわたっておるわけでございますが、今後これらの機関と十分協議、調整を図りながら具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/109
-
110・伏木和雄
○伏木委員 羽田の渋滞については、道路公団は何か具体的な問題を考えながら検討されていると伺ったのですが、その内容は何かございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/110
-
111・淺井新一郎
○淺井参考人 羽田トンネルのところの渋滞が一番ボトルネックになっておるわけでございますが、もう一つ先に羽田空港の出入りに絡んだ渋滞の頭、そういうものを解決するにはどうしても何とか一車線バイパス的なものがふやせないかということを今知恵を出しているところなのですが、具体的にこれという案がまだ固まっておりませんが、いろいろなやり方を含めまして今後前向きにぜひ検討してみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/111
-
112・伏木和雄
○伏木委員 羽田から入ってくる方にバイパスを検討されているわけですね。そうすると、あそこは海底トンネルになりますから、橋をかけるかトンネルをもう一本掘る以外にないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/112
-
113・淺井新一郎
○淺井参考人 一つの案としましては、トンネルの外側に橋をかけて、さらにそれを延ばしながら一車線ふやすというような案があろうかと思いますが、これも非常に難しい問題が絡むものですから技術的に十分検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/113
-
114・伏木和雄
○伏木委員 重ねて料金問題をお伺いいたしたいと思います。
新線が延びると中の部分にまで料金を及ぼしてくるという問題がございます。ところが、都内を走っている方々は先が延びても何ら関係がないということになってくるわけなのですけれども、先が延びたことによって環状部分まで料金が上がってくるということで、料金問題ではいろいろ問題が提起されております。これから先まだまだいろいろな計画があるわけでございますから、均一料金制をそろそろ考えないと、現在神奈川と東京は料金別建てになっておりますが、ここらで均一料金をもう少し分割するとか、何らかの方法によって解決策を図りませんと、例えば東京の中心部から神奈川県に入った、神奈川県の入り口から入ったといたしましても、横浜の先の方を延ばした部分の料金は、もう全部ここへかぶってくる。それから、埼玉県の方へ延びたのは東京都内の部分でかぶってくるということになりますと、両県にまたがって短距離を乗っている人は大変な負担になってくるわけです。横浜の先の方で延びて百円上がり、埼玉県の方が延びて百円上がりということになりますと、両方で二百円、しかし乗っているのは東京、神奈川の県境を走っているだけ、それで両方の料金をかぶらなければならないというので、この料金制度についてどのようにお考えになっているか、これが一点。
それから、三十七年に首都高ができました。三十年たったら償還できる、そうすれば無料の道路になりますという前提で出発をしたわけでございます。そうしますと、もう三、四年たちますと、本来三十七年に供用開始した部分につきましては無料になるべきところでございますが、新線ができて、それとオーバーラップさせながら償還計画を変更するということでこの三十年が延びてきているわけです。しかし首都高速はこれからどんどん計画を伸ばさなければならないと思います。そうなってきますと、最終計画といいますか、今お考えになっている最終計画はいつ供用されるのか。それから、その返済計画というのは何年ごろできるのか。要するに、三十年たったら無料になると思われておったこの首都高速は一体いつになったら無料になるか。もう半永久的に無料の道路にはならないのではないかということになってくるのじゃないかと思いますが、こうした長期展望に立ちまして、当初、償還が終われば無料になる、こう言われておったのが一体いつごろになるのか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/114
-
115・淺井新一郎
○淺井参考人 まず、最初の御質問でございますが、確かに短区間の利用者についてはいろいろ不満も多いと思いますが、首都高速道路におきましては、料金所におきます収受事務の合理化をすることによりましてサービスタイムの向上を図り、大量の交通を円滑に処理するということが絶対要件でございます。そういうようなことで東京、神奈川県の両料金圏でそれぞれ均一料金制を採用しているわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように均一料金圏の範囲が広がりますと、当然短距離利用者にとって不利となる条件が出てくるわけでございます。十分承知しているわけでございますが、今後いかなる料金体系が望ましいかについて、首都高速道路の有効利用、それから料金水準、また料金の徴収方法とか利用者の利便といったような観点を総合的に十分検討いたしまして考えてまいりたいと思っております。
それから、いつ償還が終わって無料化されるのかということでございますが、首都高速道路はネットワークとして整備されるわけでございまして、全路線の収支を併合して計算する料金プール制になっておるわけでございます。このため料金の徴収期間は、各路線の建設費と供用日とを勘案して求めました全路線の平均的な供用日から三十年ということで運営しているわけでございまして、現在首都高速道路は約二百キロの路線を供用して、さらに百余キロの道路の建設を行っているわけでございますが、現在供用中の路線について言えば、料金徴収期間は、全路線の平均的な供用日ということで昭和五十五年になりますが、これから三十年後の昭和八十五年までということになります。
なお、現在建設中の路線を含めた場合の料金徴収期間ということでございますが、これは建設費とか建設に要する期間あるいはその間の金利の変動とか交通量の伸び、そういったものによっていろいろ大きく変動します。したがって、確定した年月は申し上げられないわけでございますが、そういう問題に応じて若干延びることになると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/115
-
116・伏木和雄
○伏木委員 時間がございませんのでこれで終わりますが、最後に一言だけ申し上げておきたいのは道路計画でございます。
我が国の道路事情が非常におくれているということはもう論をまたないと思います。全国ネットワークに力を入れている点も十分承知いたしますが、道路計画に当たって人口比、人口と道路との関係、車の台数と道路の延長数、これは全く無視できないんではないか。ともすれば国土の利用計画の上、地理的条件だけで道路をつくるという考え方では、この渋滞問題の解消にはならない。やはり、これだけの人口があるからこの地域にはこれだけの道路延長が、道路敷地がなければならぬ、あるいはこれだけの車の台数があるから道路数はこれだけなければならないという発想に立ちませんと、大都市の渋滞というのは解決しないんではないか。人間が多くて車が多ければ道路は込むに決まっております。ただ面積だけで、地理的にこことここという関係であっては道路問題は解決しない。したがって、予算面でもやはり人口とか、その都市なら都市、その地域が抱える車の台数というものを勘案した上で計画を立てていきませんと、全国のネットワークができたとはいえ、その地域における渋滞の解消にはならない、このように考えます。
時間がございませんので、以上にいたしたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/116
-
117・中村喜四郎
○中村委員長 伊藤英成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/117
-
118・伊藤英成
○伊藤(英)委員 第十次道路整備五カ年計画についてお伺いをいたします。
十次五計の投資規模は五十三兆円の満額獲得ということになっておりますけれども、その中の国費、地方費、財投の問題についてお聞きをしたい、このように思います。
〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕
十次五計中の特定財源の税収見込みというのを見てみますと、国費分が十一兆五千億、地方費分が八兆六千億というふうに見込まれております。過去の道路整備五カ年計画での特定財源比率等を見てみて、それでちょっと計算をしてみようというふうにいたしまして、その国費の部分を九〇%、地方費四二%、特定財源比率四二%程度と考えて逆算をしてみますと、国費分が十二・八兆円それから地方費分が二十・五兆円、こういう計算になります。また、財投について見ても、最近の三年間の平均伸び率を見ますと八%ぐらいになっておりますが、これで計算しますと十三兆二千億ぐらいというふうに計算されまして、これを合計いたしますと四十六兆五千億ぐらいの計算が可能であります。
一方、今度は十次五計の投資規模五十三兆円というものを見てみたときに、そのうちの調整費が一兆三千億ありますので、それを除いて五十一兆七千億円を従来の国費、地方費、財投の構成比率で計算をしてみます。それを、それぞれ国費の分、地方費の分、財投の分をざっと二八%、四三%あるいは二九%程度というふうにして計算をしてみますと、国費が十四兆五千億円、地方費二十二・二兆円それから財投十五兆円ぐらい、こういうふうに計算上なります。そういうふうにして計算をしますと、先ほど特定財源の税収見込みから試算をした数字と投資規模の方から試算した数字とを比べてみますと、大変大きな差が出てきてしまいます。要するに、大きく不足するわけですね。この差について、国費、地方費、財投についてそれぞれどういうことなのか、どういうふうにしようとしているのかをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/118
-
119・三谷浩
○三谷政府委員 今先生のいろいろな試算について伺いました。私ども十次の五カ年計画を推進するための財源の内訳につきまして具体的にこうだというふうに決めたわけではございませんが、従来の国費の率それから地方費の率というものを基礎に試算をいたしますと、調整費を除きました五十一兆七千億に対しまして国費が約十四兆七千億、地方費が二十四兆五千億、財投資金が十二兆五千億というふうに見ております。いわゆる国費についてだけですがちょっと見てみますと、十四兆七千億でございますが、そのうち揮発油税あるいは自動車重量税などの特定財源の率をいろいろな過去のやり方で私ども試算をしてみますと、所要国費の約八割は賄える予定でございます。そうすると、その他の二割の分につきましてNTTの財源を含めた一般財源の投入拡大に努めることが必要であろうと思います。そういう意味で財源の確保を図る必要がありますし、我々も努力する所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/119
-
120・伊藤英成
○伊藤(英)委員 地方単独事業のところをちょっと見てみますと、これは要求額が十二兆五千億で、それに対して一兆四千億円増の十三兆九千億というふうになっておりますが、こちらの方の財源的な裏づけはどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/120
-
121・三谷浩
○三谷政府委員 地方単独事業でございますが、地方単独事業は今十三兆九千億というふうに考えておりますが、これは概算要求後に財政当局との折衝過程を経まして、六十三年度の予算編成において決定されたものであります。ただ、その経過期間の伸び率というのは六%でございます。一般道路事業の方は七%、有料道路事業も六%ということでございましたので、均衡がとれたものだというふうに考えております。このことにつきましては、地方財政当局も地方単独事業による道路整備事業について国費を投入する事業と同等の伸びが確保できるよう地方財政運営上適切に処置したいというところで伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/121
-
122・伊藤英成
○伊藤(英)委員 さっき国費の方で、NTTの手当てですね、あるいはその一般財源のという話でありましたけれども、なかなかこの先ちょっと大変じゃないかなという気がするわけですね。そういう意味で最も私なんか恐れるのは、これがちゃんと行われていくのかな、あるいは逆に言うと道路特定財源なんかで増税でもかかるとかいうようなことはよもや考えてないんだろう、こう思っておりますが、その辺は大丈夫でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/122
-
123・三谷浩
○三谷政府委員 ガソリン税それから自動車重量税等の道路特定財源につきましては、道路整備のための財源を確保するという観点から、現在、本法税率の約二倍の暫定税率が設定されております。昭和六十三年度の税制の改正におきましては、この暫定税率の適用期限を現行水準のまま五年間延長することとされたというところでございます。先ほどから申し上げましたように、建設省としては、これにより十次五カ年計画の円滑な実施が図られると考えておりまして、今のところ税率の引き上げは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/123
-
124・伊藤英成
○伊藤(英)委員 大臣、よろしいでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/124
-
125・越智伊平
○越智国務大臣 特定財源は、ただいま道路局長からお答えいたしましたように、これ以上今増税する見込み、つもりはございません。ただ、一般財源をどうやって導入するかということで今大変検討をいたしております。この十次の終わりの方なりあるいは十一次が設定されるといたしますと、恒久的な財源の問題、これはNTTにかわるものが何か出てくるかあるいは一般財源をちょうだいするかどちらかと思いますが、大変なことであろう、こういうことで検討をしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/125
-
126・伊藤英成
○伊藤(英)委員 一般財源の投入の問題は後からまたちょっと触れたいと思いますが、もう今の日本の道路整備の状況からいきますと、特に高速道路の問題も含めてこれは真剣に考えなくてはならないと思いますので、よろしくお願いをいたします。
〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
次に、六十三年度の道路予算についてお伺いいたしますけれども、この六十三年度の道路整備予算の財源内訳をこう見てみますと、道路特定財源のうちで四百二十四億円が道路整備に充てられていないと思います。その分はいわゆるNTTの財源三千八百六十一億円の一部が充当された形になっているわけでありますけれども、このうちでNTTのBタイプの事業三千百六億円は、次に償還するときにはそれは補助金が交付されるというふうになるわけですね。そういうふうにいたしたときに、この補助金は、これは一般財源から出るのか、あるいは道路財源から出るのか、もしもこれが道路財源から出るというふうにいたしますと、この四百二十四億円は完全にオーバーフローした状況になるわけですね。そういう意味で、これはどういうふうになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/126
-
127・三谷浩
○三谷政府委員 まず四百二十四億円につきましては、確かにNTT財源で充当されることとなっておりますが、その償還時には道路財源以外の別途財源を充てることとされております。
それからいわゆるNTTB型、その償還時に地方公共団体等に対して償還金に相当する額が国庫補助金、負担金として交付されることとなっております。ただその財源については、ときどきの経済及び財政事情を勘案して公共事業規模全体を検討する中であわせて定められることとされておりまして、現時点では明確になっておりませんが、私どもは当然道路財源の外だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/127
-
128・伊藤英成
○伊藤(英)委員 今のは、約束があるとかそういうのじゃなくて、建設省としてはそういうふうに考えているということになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/128
-
129・越智伊平
○越智国務大臣 その点は明確になっておりませんけれども、私ども建設省としては、特定財源から、道路特会からお返しするというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/129
-
130・伊藤英成
○伊藤(英)委員 大臣の力強いお言葉でありますので、ぜひよろしくお願いいたします。
次に、高規格幹線道路網についてお伺いをいたします。
実はこれは、昨年の七月の国幹道法の審議のときにもこの点についてはいろいろ触れたことでございますけれども、まずこの十次五計で高規格幹線道路整備費として十兆三千億円を計上して五年間で千六百五十四キロを整備をするというふうになっております。これは年間にいたしますと三百三十キロのベースになりまして、これでいくと高規格幹線道路網一万四千キロの完成が三十年近くかかるわけですね。
ちょっと横道にそれますけれども、この高規格幹線道路網一万四千キロの問題でありますが、これは昨年私が七月にこの問題を審議をしたときに、この一万四千キロをこれから整備するに当たっては、特別の名称もつけて鋭意進めることが必要なんじゃないですか、その名称についても幾つかの提案を私がいたしまして、そのうちの一つにこ十一世紀のハイウエープランとかいうようなことも申し上げたりいたしました。そういたしましたら、最終的に建設省の方で「二十一世紀のハイウエー」というふうにして「ハイウエープラン一万四千キロメートル」という名前を、何となく私の提案をかなり、九〇%ぐらい、いや九九%ぐらい酌んでくれたような形で、そういう意味では非常に感謝をしておりますので、またそのことも含めて鋭意進めていただきたいと思います。
話は横へそれましたけれども、その一万四千キロの完成が三十年近くかかるというのは、これはまたしかし大変だな、本当にこれからよく言われるように、本格的な高齢化社会を迎えるというふうに考えたときに、もっともっと早く進めなければいかぬ、せいぜい二十年間ぐらいでは整備をしなければならぬ、私はこういうふうに思うのです。
これも先回申し上げましたけれども、この高速道路便覧によりまして諸外国の状況を見てみても、例えばアメリカが高速道路網の計画をつくったのは、一九五六年に十三カ年計画というのをつくって始めました。そのときに四千キロ、それから約六万キロに近くなるのに二十年。アメリカが二十年で約四千キロから五万八千キロ、約六万キロのインターステートハイウエー網をつくり上げたりいたしました。あるいはドイツにしても、一九六〇年で二千六百キロぐらいのものが二十年で七千五百キロまで、ほとんど高速道路綱を整備する。ざっと二十年でやったりしております。イタリアにしてもざっと二十年、フランスにしても十五年くらいでしょうかね。というくらいの、ざっとの目安は十五年から二十年くらいでほとんどの高速道路綱を整備をしております。それはそれなりに経済力があるときに、それこそ猛烈に投入をして整備をしなきゃならぬということをこれは物語っていると思うのですね。そういう意味で我が日本も三十年ではちょっとなかなか大変じゃないか。せいぜい今後二十年間くらいのうちに一万四千キロぐらいを整備するということが必要ではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/130
-
131・三谷浩
○三谷政府委員 先生御指摘のように、昭和四十一年に初めて高速道路ができましてから二十年間で約四千キロでございますから、従来のペースは年間二百キロ、平均値でございますけれども、そのくらいでございます。それでは非常に時間がかかります。とんでもございませんので、今度の十次の五カ年の供用ペースというのは、平均をしますと先ほどの数字では大体三百三十キロぐらいでございます。私ども、いわゆる三百五十キロ体制というものを何とか確立して、とにかく少しでも早く整備ができるよう、種々の整備手法について検討してまいりたいというふうに考えております。二十一世紀までになるべくその成果が上がるように努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/131
-
132・越智伊平
○越智国務大臣 ただいま道路局長からお答えいたしましたように、できるだけ早く供用開始をしたい。三十年という予定でありますけれども、できるだけ縮めたい。これにも二点あると思うのであります。財源の確保が第一点であります。もう一点は、地域の方々に御理解をいただき、御協力をいただかないとできない、こう思うのであります。今朝来いろいろお話がございましたこの首都圏の問題にいたしましても、結局話ができないからやれない、こういうことになっておりますので、ひとつ御協力の方もよろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/132
-
133・伊藤英成
○伊藤(英)委員 私の方は御協力の方の大応援団のつもりでおりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
今、二つの点を言われまして、最初に財源のことを言われましたけれども、私はこの高規格幹線道路網をつくり上げていくときの財源問題として、もっともっと大幅に国費を投入をすべきだ、こういうふうに思うのですね。今回の高規格幹線道路計画の中には、一般国道の自動車専用道の形で国費による整備も計画をされているわけですけれども、この六十三年度予算で見ますと、高規格幹線道路の一般国道として千七百七億円、それから高規格幹線道路全体で二千三百五十億円の国費投入というふうになっております。しかしこの額は、自動車のユーザーが支払っております道路特定財源約三兆七千億円が見込まれておりますけれども、その中の比率で見ますと六%ちょっとというふうになりますね。ところが、去年の六月に道路審議会の建議の中に高規格幹線道路網の自動車の走行台キロ分担率というものの予測が出ておりますが、従来の計画の七千六百キロのときにその割合が一一%と推計をされております。これがさらに将来一万四千キロ完成したときにはこのシェアが一八%になるというふうに推計をされております。そうしますと、少なくとも全道路特定財源税収のうちで一八%程度ぐらいはここにつぎ込んでもいいのじゃないか、こういうふうに思うわけです。実は私はいろいろな方法論が考えられる、こう思うのですね。思うのですが、今私が申し上げたこういう考え方も、これは非常に意味のある考え方と思いますし、そういうことも含めて国費投入を考えていただければと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/133
-
134・越智伊平
○越智国務大臣 お説ごもっともであります。私ども建設省としては、とにかく国費の投入をできるだけやってもらおう、こういうことで進んでおります。これも今からの大蔵省との折衝もございますが、できるだけ国費を何とかして投入するように、国費投入の率を上げていくように進めてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/134
-
135・伊藤英成
○伊藤(英)委員 次に、第二東名、第二名神の問題についてお聞きしますけれども、この第二東名、第二名神は、私は実は議員になって早々でありましたけれども、たしか一番最初に私がこの問題について言及をいたしましたのが六十年の二月のときに、こういうものを検討すべきではないかということをこの建設委員会で提案をしてきたりしたわけであります。そしてその後、この問題は建設省サイドも非常に鋭意取り組んでこられて今日に至っているわけでありますけれども、もうその必要性から考えても早期着工を強く求めるわけでありますが、去年の七月の国幹道審議のときに私の質問に対して当時の天野建設大臣がこういうふうに答えられました。「第二東名、第二名神が大変切望されておるようでありますから、」「採算上の関係からいっても当然これは優先的に」やるべきだ、こう思っております。「できるだけ早い機会にあの審議会を開きまして、これは着工させる予定で指示しております。」というふうに答えておられますけれども、現状はどういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/135
-
136・越智伊平
○越智国務大臣 第二東名、第二名神の問題でありますが、前の大臣が御答弁申し上げたのといささかも変わっておりません。今調査をしておりますが、特に急を要するところから逐次事業化を進めていく、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/136
-
137・三谷浩
○三谷政府委員 現在の東名、名神でございますが、これは昭和四十四年にできております。我が国の輸送の大動脈として大変大きな役割を果たしておりますが、反面、非常に込んでおりまして、平均交通量が六万台でございまして、混雑区間も八五%ということでございます。全国に占めます輸送量シェアも貨物でトンキロで八・五%とか、あるいは人キロでも一・六%ということで、一部東名あるいは名神で改築といいますか拡幅をやっておりますが、なかなか大変でございます。それでそのために、今大臣から御答弁いただきましたように、高規格幹線道路網におきまして第二東名、名神高速道路は国土開発幹線自動車道として位置づけられておりますので、調査を今鋭意進めております。緊急に整備を要する区間から、この第十次五カ年間におきまして所定の手続を経て事業に着手をしてまいりたいというふうに考えております。調査は今いろいろ関連調査であるとか交通量調査とか、あるいは路線の調査とか、こういうことも始めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/137
-
138・伊藤英成
○伊藤(英)委員 ぜひ鋭意進めていただきたいと思います。
それから若干ローカルな問題でありますけれども、北海道縦貫自動車道は十次五計の中には登別、室蘭から旭川の南まで開通する計画になっておりますけれども、旭川の南以北は整備計画も策定をされておりません。地方の振興あるいは活性化の観点からも整備をスピードアップする必要があるというふうに考えますけれども、具体的にどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/138
-
139・三谷浩
○三谷政府委員 ただいまのお話は北海道の縦貫自動車道でございまして、函館から稚内に至ります延長、全部で六百八十七キロございます。旭川の南から名寄間の約六十九キロ、この区間につきましては整備計画のための所要の調査を北海道開発局で今進めているところでございます。それから名寄から稚内でございますが、二百九キロございますが、これは予定路線として位置づけられているものでございまして、交通需要、採算性等の調査を行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/139
-
140・伊藤英成
○伊藤(英)委員 現地からの要望、非常に強いものでありますのでぜひよろしくお願いをいたします。
次に、高速道路の料金についてお伺いをいたします。
この問題は、かつて私は六十年二月にもこの委員会で高速道路の料金について伺いました。そのときの内容は、要するに今の車種区分というのが粗過ぎるんじゃないか、それから、料金の負担が不公平じゃないか、だから、不公平な料金体系の是正をする必要があるよということをそのときに申したわけであります。そのときには建設省並びに運輸省から、これから一層調査を進めて十分協議をして検討したいということでありました。
そこで改めて質問をするわけでありますけれども、今は高速道路料金の車種区分は普通車、大型車、特大車の三つになっておりまして、その料金は普通車を一としますと大型車一・五、特大車二・七五という格好になっているんですね。高速道路を利用する車の実態はどんなふうになっているかといいますと、これはおととしのデータでありますが、高速道路を走った車の数は六億六千万台余というふうになっていますが、そのうちで約九〇%が普通車であります。その圧倒的な数を乗用車が占めているわけですね。実は私はその乗用車が今は不当に差別されているというか、料金面で不当に扱われているのではないか、こういうふうに思うわけであります。
そこでまず、道路料金の見直しをぜひお願いしたいということであります。一番問題は、視点は、先ほど申し上げたように乗用車の料金がおかしいんじゃないかということですね。そもそも道路の料金というのは本来的に考えれば使用者の受益と道路の破壊というか道路損壊の程度によって決まるものだと思うのですね。そういうふうに考えますと、専門家の調査によりますと道路の損壊というのは車両の軸重の四乗に比例するんだそうですね。これは経済研究所の方でもそういう数字が出たりしております。
そういうふうに考えますと、例えば一トンの乗用車と十トンのトラックを比べますと、そのまま計算をいたしますと道路の損壊率はざっと一万倍というふうになります。これをそのまま料金にリニアに適用していいかどうかという話は別問題でありますけれども、いずれにしても今の乗用車は極めて割高になってしまっているということです。現在の乗用車の位置づけからしても極めておかしな話だな、あるいはそういう意味で乗用車の通行料金を見直すべきじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/140
-
141・越智伊平
○越智国務大臣 この料金は利用者が公平に負担する、こういうことが原則であります。お説のように少し不公平でないかという点もございますので、ただいま道路審議会で検討をいただいております。でございますから、具体的には道路局長の方からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/141
-
142・三谷浩
○三谷政府委員 ただいま先生のおっしゃられましたように、車種区分は三種類でございまして、普通車が一、大型車が一・五、特大車が二・七五でございます。この三種区分いたしますと、普通車の区分に二輪車から普通貨物自動車まで含まれております。先ほどお話もございましたように、重量等から見て不公平が生じているという批判もございまして、昭和六十年四月の道路審議会の中間答申におきまして、料金徴収機械が車種区分を追加できる磁気カード方式に切りかわるときには、車種区分あるいは車種間料金比率について検討されるべきだという提言を受けております。この料金徴収機械の切りかえは昭和六十三年の末に終わる予定でございますが、現在、乗用車につきましての種々の問題を含めましていろいろな批判がございますので、負担の公平を図る見地から適切な車種区分それから車種間料金比率について道路審議会に検討をお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/142
-
143・伊藤英成
○伊藤(英)委員 この料金の問題についてはもう一つ問題があるのですね。それは割引制度であります。
この中にも本当は二つあるのですが、まず一つの割引制度は百キロを超える走行について二五%の遠距離の逓減制になっております。乗用車は実はワントリップ百キロ未満が断然多いのですね。この便覧で調べてみますと、乗用車類は百キロ未満が九二・四%とここには出ております。要するに九〇%以上が百キロ未満になっているものですから、ほとんどこの恩恵に浴さない。さらにはもう一つの割引制度は、別納割引制度というのがあります。これは月間利用額が一万円以上五万円までの五%から五百万円以上の三〇%までの六段階の割引というふうになります。
そういう状況でありますので、さっき私も乗用車のことを申し上げましたけれども、今や圧倒的多数は乗用車が高速道路を使っている、しかも通勤や買い物やもういろいろな用途に使っているわけでありますけれども、その圧倒的な利用をしている乗用車の割引について今現実にはほとんどない状況なんです。この割引の問題について、例えば回数券だとかあるいは通勤利用者も最近多いわけですから定期券方式みたいなものもあるでしょうし、あるいはその他の割引制度もあると思うのですが、そういうものの導入をぜひ考えるべきじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
もう一つつけ加えますと、実は私が地元の方でしょっちゅう使っているのが豊田インターと名古屋インターであり、この間は、たしか十四・七キロくらいしかないと思いますが、私が使う頻度だけで物すごく多いんですね。そういうのをつくづく自分で走ってみて、もっと本当に乗用車についても考えてみなければいかぬのじゃないかということを痛切に感じる、そういう意味で乗用車についての割引制度についてどんなふうに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/143
-
144・三谷浩
○三谷政府委員 先ほど申しましたように、審議会等に料金の問題について、車種間区分等についていろいろ審議をお願いしておりますが、あわせてこちらについてもいろいろ御議論いただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/144
-
145・伊藤英成
○伊藤(英)委員 料金改定の問題は新聞等にもちょっと一部検討されているという話が出たりしているんですが、なかなか微妙な今の問題でありますが、六十年の十二月に改定をいたしました。それで、この高速道路の料金改定を近いうちにする予定はあるのですか。これは、かつて道路審の答申の中に二、三年ごとに実施する方がいいんじゃないかという話が出ていたり、しかしもう一方の方では物価上昇の範囲内でという話が出たりしますね。最近は非常に六十年の末から考えますと、物価はほとんど安定している、あるいは下がっている状況くらいでありますが、この辺についてはどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/145
-
146・三谷浩
○三谷政府委員 高速自動車国道は有料道路制度でございまして、その料金は道路整備特別措置法に基づきまして、建設費等の費用を料金より一定期間内に償還する制度となっております。従来、料金改定はおおむね三年ごとに行われてきておりますが、現段階では次の料金の改定の時期というのは未定でございます。現在、高速自動車国道の利用者負担の考え方等につきまして、道路審議会でもいろいろ検討をお願いしておりまして、また新たに基本計画あるいは整備計画を策定することも検討しておりますので、これらを踏まえまして今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/146
-
147・伊藤英成
○伊藤(英)委員 時間もほとんどなくなりましたけれども、最後に大臣にお伺いいたしますけれども、実は高速道路の料金の問題につきまして、私は乗用車が今の体系からいって非常に不当に扱われているのではないかということを申し上げたりいたしました。それについていろいろ今検討されているようでありますが、これは新聞の社説でありますが、この社説の中にも、乗用車についての道路料金、それから割引制度の問題について指摘をし、要するにかつて高速道路ができたすぐのころと現在とでは状況が全然違う、それは高速道路の利用のされ方等からして真剣に考えるべきである、その是正を図るべきである、こういうふうにこの社説の中でも取り上げているわけであります。
最後に大臣からそれについての取り組み、あるいは決意の辺をお伺いして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/147
-
148・越智伊平
○越智国務大臣 今の料金問題についてのお話、道路審議会の方にも御意見があったということをお伝えをいたします。そういうことを十分吟味してやっていただける、かように思う次第であります。ただし、私の方から予見を先に審議会に申し上げるわけにもいきませんので、委員の方々からこういう意見があったということだけはお伝えして御検討をいただくことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/148
-
149・伊藤英成
○伊藤(英)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/149
-
150・中村喜四郎
○中村委員長 辻第一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/150
-
151・辻第一
○辻(第)委員 第十次道路整備五カ年計画を見ますと、高規格幹線道路には十兆三千億円の投資が計画をされております。このうち主なものは、国土開発幹線自動車道について五カ年計画期間内に新たに千二百五十キロメートルの供用を図る、昭和六十七年度末の供用延長約五千五百キロメートルとすること、新たに追加する国幹道について計画的に整備を進めるために必要となる区間の基本計画を策定するとともに、第二東名・名神等緊急を要する区間の整備計画を策定し、事業の推進を図ると示されております。私は、昨年の七月二十九日の建設委員会国幹道法の審議のときに、東京一極集中を強める第二東名・名神を優先すべきではない、本当に切実に望んでおられる地方の国幹道を優先させるべきだ、このような指摘をいたしました。しかし、今度の十次五計でははっきりと第二東名・第二名神等緊急を要する区間の整備計画を策定し、事業の推進を図ること、こういうふうにうたっているわけであります。
今、自民党の皆さん方も東京一極集中を排して地方に分散をするとかあるいは多極分散型とか、いろいろ言っておられるわけでありますが、この第二東名、第二名神というのは東京一極集中を強めるものではないのか、こういうように思うのですが、いかがですか。大臣にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/151
-
152・越智伊平
○越智国務大臣 当委員会におきましても、東名、名神を初め、都内の高速道の整備を急げという御意見、また地方を早くやれという御意見、両方ございますが、私はどちらも急ぐ、こう思っておるのであります。両方進めてまいりたい、こう思っております。
それから第二東名・名神が必ずしも一極集中の引き金になるとは考えておりません。均衡ある発展のためには、やはり必要なところには高速道路、高規格道路を進めてまいりたい、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/152
-
153・辻第一
○辻(第)委員 大臣の答弁はそのような御答弁ですが、私はこの第二東名・名神というのは東京の一極集中を非常に強めるものだという認識であり、これを優先させるべきではない、重ねて強く申しあげて、次に移りたいと思います。
十次五計の中身を見てみますと、去年の八月に建設省道路局が発表されました「第十次五箇年計画(案)の概要」というのが出ております。それをパーセンテージで見てみますと、第九次のと比較をしてみますと、安全確保のところは九次が二三・三%でしたが、十次は二二・五%になっているんです。生活基盤整備のところが九次が二五・二%、十次が二三・一%、これも減っているんですね。生活環境改善のところが一一・一%が一一・六%、わずかふえております。国土発展基盤というのが二一・三%から二六・一%、これは大幅にふえております。維持管理は一九・二%から一六・六%、こういうふうに絶対額は別でございますが、こういうパーセンテージで見てまいりますと、国土発展基盤、結局高規格幹線道が大幅に伸びている、高速自動車道が大幅に伸びている、こういうことであります。一方、安全確保、生活基盤整備、維持管理というようなところが減っているわけであります。高速自動車道優先ではなしに、もっと安全確保や生活基盤整備あるいは維持管理、こういうところが地方の道路というのは非常に貧弱な状況だと思うのですが、やはりここのところへもっと重点を置くべきだ、このように考えるわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/153
-
154・三谷浩
○三谷政府委員 この五カ年計画の施策別の事業といたしまして、一つは道路交通の安全確保、二つ目には生活基盤の整備、三つ目には生活環境の改善、四番目には国土の発展基盤の整備、五番目には維持管理の充実というようなことで、施策別にいろいろ分けて要求をさせていただいております。
今お話のありました歩道整備等の道路交通の安全確保あるいはバス路線の整備等の生活基盤の整備、それから維持管理の充実、こういうものの重要性は十分認識したつもりでおります。十次五カ年計画におきましても、国土の発展基盤の整備、生活環境の改善とあわせた柱を設け、バランスのとれた道路整備を図っていく考えであります。
それから、国土発展基盤の中心は高規格幹線道路網の整備でございますが、地域の活性化に資するとともに、広域的な交通を分担し一般道路の交通混雑を解消するなど、交通安全にも間接的に役立っておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/154
-
155・辻第一
○辻(第)委員 いろいろと申されましたけれども、パーセンテージで見てまいりますと、高速自動車道いわゆる高規格幹線道を中心とした高速道路がやはり優先をされておる、貧弱な地方道の改善の問題が先延ばしにされているのではないか、こう考えざるを得ないわけであります。そういう問題点を指摘し、生活道路に本当にもっと力を入れていただきたいと強く要望するわけであります。
次に、「わが国の道路’81」昭和五十六年版というのがございますね。この中で、当時の建設省の地方道課長さんが「わが国の一般道路のうち、一般国道、都道府県道および幹線市町村道三十七万三千キロメートルのうち、路線バスが運行されている道路は十三万三千キロメートルあるが、そのうち、五万九千キロメートルの区間、約二分の一の区間はバスがすれ違えない状態である」、このように記されております。さらに、都道府県道は「整備率、舗装率の向上は最も要望が強く、不満の対象となっている。特に過疎地域などは、改良率にして四六%、舗装にしても簡易舗装とを含めても約七〇%と全国水準を著しく低く、夜間緊急時における加療まで三十分以上かかる集落が山村振興地域で一万二千集落、積雪地域で冬期六万四千集落もあり、除雪率も主要地方道で八八%、一般県道で七〇%と、冬期における日常生活・産業に支障を来している。さらに、橋梁等に至っては木橋、潜橋、渡船などは約七百五十箇所あり、危険な老朽橋が八千三百六十橋もあり、今後その事業費は約二兆六千億円と概算され膨大なものである。」こういうふうに記されているわけであります。
私の奈良県は、北部は非常に過密でありまして、南部の吉野の方へ参りますと非常に過疎であります。吉野の方へ行きますと、道路の面で、やはり山あり谷あり川ありで、大分改善はされたのですけれどもまだまだ大変な地域がたくさんあるわけであります。そういう状況の中で、都道府県道といえども夜間に医者にかかるのに三十分以上もかかる集落がこんなにたくさんあるという状況を来しているのですね。こういう過疎のところにお住みになっている人たちが安心してお住みいただけるようにもっともっとこの道路の改善をやらなければならないなと私は強く痛感をしているわけであります。このような問題は今度の十次五計ではどのように改善をされることになるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/155
-
156・三谷浩
○三谷政府委員 先ほど申し上げましたように、いろいろ五つの施策を掲げてバランスをとって道路整備を進めてまいりたいと考えております。生活基盤の整備あるいは生活環境の改善というのが今お話のあったところに属すると思います。これらにつきましては小項目が幾つかございまして、例えば狭隘道路の解消であるとかバス路線の整備であるとか、あるいは木橋、潜り橋、渡船、老朽橋の解消であるとか等々のものがあって、日常生活に関連の深いバス路線の整備、こういうことも大幅にやってまいったわけでございます。
第九次道路整備五カ年計画では、バスのすれ違えない路線を約一万一千キロ、それから、木橋、潜り橋、渡船の解消を三千四百カ所、老朽橋を二千四百橋整備してまいりました。第十次道路整備五カ年計画も引き続きこれらの生活基盤関連道路の整備等について主要課題として、第九次道路整備五カ年計画の実績見込みに比べましても一・三倍から一・六倍というように非常に積極的に整備を推進することとしております。まだこれは要求時でいろいろ整備をしておりますので、今後計画の閣議決定に際しても重点的な整備が図られるようにする考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/156
-
157・辻第一
○辻(第)委員 ぜひさらに積極的に地方道、生活道路の改善に努力をしていただきたいということを強く要望しておきます。
それから、十次五計の近畿版「いきいき近畿の道づくり」というのがございます。これに地方別基礎データ一覧表というのがございますが、奈良県の現状がそこに出ているのです。ところが残念なことに、奈良県の国県道の改良率は、全国平均が六〇・三%なのに三九・五%なんですね。それから市町村道改良率は、全国平均三六・〇%なのに二三・三%、また国県道の整備率を見ますと、全国平均が四七・四%なのに二九・一%、こういうふうに全国平均より非常におくれておるわけです。また、建設省の道路局の道路統計年報一九八七年版によりますと、奈良県の道路整備率は全国平均より大幅に立ちおくれており、一般国道では四一・一%で全国の三十八位なんですね、県道は二二・四%で四十三位、市町村道は二三・三%で四十四位、こういう状況になっているわけであります。
私は、何としてもこういうおくれた状態をもっと引き上げたいなと願っているわけでありますが、奈良県のような道路の改良率あるいは整備率の非常におくれたところ、こういうところをもっと引き上げる、そういう方途、方策はいかがなものか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/157
-
158・三谷浩
○三谷政府委員 今、例示として奈良県のようなということでございますので、そういうようなところということで答弁をさせていただきます。
大都市圏に隣接いたしまして人口が急増している、それから一方地形的には山地部が多い、こういうちょうど奈良県のようなところ、道路が整備が大変おくれているという地域もあることは承知しております。このような道路のおくれている地域におきましては、道路の整備状況あるいは道路交通の状況、経済社会情勢等も勘案して、地域の活性化や地域振興プロジェクトにも十分配慮しながら、全国的に均衡のとれた道路整備を進めていきたいというふうにしております。
道路整備に当たりましては、NTTの資金やあるいは有料道路制度の活用等も図りながら、今後とも積極的に道路整備のおくれている地域の解消に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/158
-
159・辻第一
○辻(第)委員 非常に抽象的、一般的な御答弁だったわけでありますが、何かこう積極的に方法はないものですかな。もう少し具体性のある、なるほどそういう方法があるのかというようなヒントでも、もう少しありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/159
-
160・三谷浩
○三谷政府委員 道路整備、いろいろな道路の種別がございますし、市町村道から高速自動車国道まで、体系的に均衡のある地域の発展のための道路整備ということでございます。具体的に地域のいろいろな道路の整備を進めてまいります場合には、例えば先ほどのいろいろな指標、こういうものも考えましていろいろ地域配分をいたしまして、道路整備を進めておるわけでございます。
それから一方、やはり非常に人口急増地域とかこういうところについては、用地の問題あるいはいろいろな問題等がありまして、これはまたなかなか難しいところもあることは事実でございます。したがいまして、やはり地域の方々のいろいろな御理解も求めなければいけませんし、それから用地の取得の問題、こういうこともみんな相まってでないと、なかなか道路整備、たまたま今回につきましては道路整備が二割ほど伸ばしていただきましたけれども、今までゼロシーリングあるいはマイナスシーリングが非常に続いておりまして、全国的に道路整備がおくれていることもこれまた事実でございまして、全国的に非常に要望もたくさんあるわけでございます。
こういうことで、そういうところに道路を集中的に整備をしていくというのもなかなか限界があろうかと思いますが、やはりかぎはその地元の熱意であるとかあるいはこの受け入れ態勢の問題とか、その道路がなかなか用地の買収等が難しいと、これは必要性があっても、総論はいいのですが各論になるとなかなか問題もありますので、そういうところをやはり一つ一つ理解していただいて、私ども、もちろん道路整備を進めることについてはやぶさかではございませんので、一生懸命やりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/160
-
161・辻第一
○辻(第)委員 ぜひ、こういうおくれた地域を引き上げるために、きめ細かく十分な対応をとっていただきたい、重ねて要望をして次に移ります。
今回の法改正によって十次五計が策定されようとしているわけですが、今いろいろお話もありましたけれども、種々問題が指摘されている道路もたくさんあるわけであります。十次五計の地方版を見ますと、関東では高尾山を貫く首都圏中央連絡自動車道であります。いわゆる圏央道と言われている道路ですね。また東京湾横断道路、あるいは関西では私ども奈良もかかわっております第二阪奈道路、こういうようないろいろ問題が指摘をされている道路があるわけであります。それで反対をされている道路もあるわけであります。
奈良県もこの十次五計に基づいて一連の道路計画が進められております。これらの計画については、私ども、個別にその必要について検討すべきだと考えるのですが、必要な場合でも、騒音でありますとか大気汚染でありますとか地盤振動など、幹線道路がもたらす道路公害の対策を十分立ててやっていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
私どもの経験では、西名阪の香芝高架橋周辺における深刻な超低周波公害という問題を経験しているわけでね。道路を建設する場合には、科学的なアセスメントを実施し、道路公害対策を十分立てた上で初めて道路の建設を行うべきであるということをあの経験は教えたと思うのですね。道路は改良し、整備をし、また立派なものをつくってほしい、こういう気持ちは非常に強いわけであります。しかし、それを進められる場合、私は繰り返し建設省へいろいろな場合に要望してきたわけでありますが、公害がないというわけにいかぬでしょうが、非常に公害の少ない道路、住民が合意と納得のできる道路、そのためには民主的な科学的なアセスメントを実施する、資料の全面公開をする、事業計画推進に当たっては公害対策に万全を期する、そうして住民の納得と合意の上で進めるべきだ、このことを繰り返し主張してきたわけでありますが、これに対してどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/161
-
162・三谷浩
○三谷政府委員 先ほど、道路整備の必要性と、総論はともかくとして、各論になりますとなかなか、いろいろ用地の問題あるいは、先ほどからお話のありました環境の問題、こういうものがあるということを一般論でお話をいたしました。そういう意味では、今例えば環境問題にいたしますと、これは道路の種別とか規模とか、そういうものにもよりますが、今環境アセスメントの手続のやり方等が決まっておりますから、そういうものに基づいて、それから住民の方によくお話をしてやる、こういうようなことが基本かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/162
-
163・辻第一
○辻(第)委員 もう少し突っ込みたかったのですが、時間の都合で前に進みます。
奈良県ではいわゆる学研都市の一環として国道三〇八号線、いわゆる第二阪奈有料道路の建設が進められようとしておりますね。また、高規格幹線道路の整備の中に京奈和自動車道が一般国道の二十四号線の自動車専用道路として整備されることが計画をされておる、このように認識をいたしております。
この第二阪奈道路については、もう私も五十九年の衆議院の予算委員会の分科会、また六十一年の衆議院の交通安全対策特別委員会でも、先ほど申しましたような民主的で科学的なアセスメントの実施、資料の全面公開、事業計画推進に当たっては公害対策に万全を期す、そうして住民の納得と合意の上で進めるべきである、このことを繰り返し要求をしてきたわけであります。ところが実態は、残念ながら奈良県と奈良県道路公社は極めて不十分なアセスメントしか実施をしない、住民に対しては十分な説明をしない。そのままついに昨年十二月、一方的に生駒トンネルの工事請負の入札を強行される、この二月には既に生駒トンネルの工事の起工式を行い、現在取りつけ道路の工事を進めている、こういう状態なんですね。
私はこれは建設省にも監督官庁として何度も要求をしたわけでありますが、私どもの意見を聞いていただけないという側面があったのではないかと強くそのことを指摘したいのです。関係住民はこれに対して強い怒りを表明するとともに、道路公害対策について十分な対策を立てるよう強く要望をしております。生駒市では、第二阪奈道路問題対策生駒市民の会あるいは生駒市南地区自治連合会あるいは地元小学校、幼稚園のPTA、育友会が、アセスメントのやり直し、万全の公害対策を強く要求をしているわけであります。奈良市では、青垣台自治会が同様の要求をしております。これに対し奈良県と県道路公社は、ことしに入ってようやく青垣台では現況環境調査を行うことを約束いたしまして、そのやり方や内容について住民との協議に入っているわけでございます。このことは私ども、これまでアセスメントのやり直しを阻んできたことからすれば遅きに失したという感があるのですが、現況調査を行われることは非常に結構なことだ、このように喜んでいるわけであります。
問題は、ことしの一月二十二日にも私ども建設省に申し入れをいたしました。交通量の予測の分は、生駒トンネルに関して言えば、せめて新神戸トンネルで実施されたようなアセスメントの実施をしていただきたい。そのような結果に基づいて、道路構造についても緩衝地帯を十分とるなど関係住民の要求をよく聞いて、修正改善すべきである、このことを要望してきたわけでありますが、この点について御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/163
-
164・三谷浩
○三谷政府委員 第二阪奈道路でございますが、これは一般国道三百八号のバイパスでございまして、有料道路事業として整備することとしまして、大阪府の道路公社と奈良県の道路公社の共同事業として昭和六十一年の一月に事業認可を行ったものでございます。
この道路は、もちろん先生は御案内のとおりでございましょうが、大阪、奈良を結ぶ主要幹線として、道路としてはなかなか重要な道路だと思っております。そういうことで、こういうことが出まして、それで今、大阪府の東大阪から奈良県の奈良市までの延長十三・四キロ、延長五・六キロの阪奈トンネルを含んでおりますが、環境アセスメントは都市計画等の手続もございまして、環境アセスメントを、今ルールがございまして、大阪府道路公社と奈良県がそれぞれ実施したものでございます。内容的には両者とも必要な項目について適切な評価を行って必要な対策を講ずるというふうに言っておりまして、私どもそういうふうに理解しております。
ただ、今おっしゃいましたように、これは工事中あるいは供用後にも環境の追跡調査、こういうものは当然実施して、地元の住民の方々と話し合いながら必要に応じて適切な対策を講ずるということは必要だろうと思いますし、また大阪及び奈良の両公社をそういうことで指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/164
-
165・辻第一
○辻(第)委員 私はやはり、せめて新神戸トンネルでやられたようなアセスメントをやっていただきたい、そして道路構造についても緩衝地帯を十分とるなど住民の要求をよく聞いてやっていただきたい、強く重ねて要求をしておきます。
また、京奈和自動車道ですね。これは一般国道二十四号線の自動車専用道路として整備をされるようでありますが、この一部に国道二十四号線を二階建てにする計画が立案されているというふうにも伝えられているのです。もしそんなことになれば重大な問題だと私は思うのですが、そのような二階建てにするような計画とか、あるいは構想があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/165
-
166・三谷浩
○三谷政府委員 京都から奈良、五條を経まして和歌山市に至ります京奈和自動車道、これは百二十キロございまして、昭和六十二年に高規格幹線道路として位置づけられました。一般国道の自動車専用道路として整備をすることとしております。
本路線については、京奈道路それから五条道路、合計二十五キロについて自動車専用道路として整備を進められておるところでございまして、六十三年度は新規に京奈道路の延伸の事業化を予定しております。その他の区間については、昭和六十三年度から高規格幹線道路調査を推進して、ルート、構造等について検討を行い、計画を策定していく考えでございます。いろいろ構造とか検討につきまして地元の自治体と調整を図りつつ計画を策定しておるところでございますから、どうということはまだ具体的に決まっているわけじゃありません。ただ、いろいろな構造の検討があって、これは一般論でございます、まだ全く白紙でございますが、これはいろいろな構造のものができたにしても、適切な対策を講ずればできるものもありますし、できないものもございましょう。そういうものについて、沿道の環境を保全することは十分いろいろな構造等について可能だと考えております。
ただ、先ほどから申し上げておりますように、どういう構造にするということはこれから調査をして、道路の構造とか路線とか規模とか、そういうことをこれから決めるわけでございますから、ただ、二階建てが非常に問題だとかそういうようなことにつきましては、今のようないろいろな適切な対策を講じてやれば沿道の環境を保全することもこれまた十分可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/166
-
167・辻第一
○辻(第)委員 この国道二十四号に橿原バイパスというのがございますね。ここのところは十年来の住民運動がありまして、本当に公害の少ない道路の建設をということで、地元の住民の皆さんあるいは自治体、建設省が何度も話し合いをやって、道路構造と環境対策についての確認書を取り交わしているんですね。結局この橿原バイパスというのは、近鉄と国鉄でしたか、それを越えるところ、交差するところは、当初高架の構造が計画されたけれども公害対策その他から掘り割りとして進めるとか、あるいはグリーンベルトですね、すばらしいグリーンベルトが確保されたわけであります。
もしここを二階建てというようなことになりますと、住民との約束、協定、確認をほごにすることになって、極めて重大な問題だと思うわけであります。私は、この二階建ては絶対そういう計画から除いていただきたい。そして京奈和自動車道の計画立案に当たっては、繰り返しますが、科学的なアセスメントを実施し、これまでの住民との約束の経緯を踏まえて、関係住民の納得と合意を得て初めて決定されるべきであると強く主張するわけでありますが、その点の見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/167
-
168・三谷浩
○三谷政府委員 先ほど来申し上げておりますが、京奈和自動車道の未事業区間については昭和六十三年度から調査に着手するものですから、今後そのルート、構造等については地元自治体と調整を図りつつ、総合的な検討を行って計画を策定していく考えでございます。
御指摘の確認書、私どもも、橿原バイパスについて取り交わされたものであるということはもちろん知っております。京奈和自動車道の計画の策定に当たって、これまた必要があれば今後いろいろ地元住民の理解と協力を得るようお願いしていかなければなりません。いずれにいたしましても、まだこれからの調査でございます。いろいろ構造等について関係の地方公共団体等と相談をしなければいかぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/168
-
169・辻第一
○辻(第)委員 もう一度申しますが、これからのことはわかっているわけです。これからのことはわかっているわけですが、これから計画を進められるに当たって、住民の合意と納得を得る方向で進めていただきたい。重ねて要望いたしますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/169
-
170・越智伊平
○越智国務大臣 住民の納得といいますけれども、これはなかなか住民の納得ということになりますと非常に難しいので、地方公共団体とよく連絡をとってやることにいたしたいと思います。住民、住民といいますけれども、住民と話し合いをしてなかなか話がうまくいかないので、地方公共団体と相談して進めていくようにしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/170
-
171・辻第一
○辻(第)委員 何度も私は従来申し上げてきたのが、大臣の御答弁でどうも非常に残念でありますけれども、大臣、やはり民主主義というのは大事で、住民というのは本当に肌で感じた正しい認識をするのですね。ですから住民の人とよく話し合って、合意と納得の上で進める、これが基本的な態度であろうかと思いますので、重ねて要望しておきます。
最後に、道路整備緊急措置法改正により制定される十次五計は、新列島改造計画ともいうべき四全総の推進を図るものであり、社会資本整備における道路への突出投資、高速道路優先、地方道路整備の先延ばし等重大な問題があり、大都市部で住民の強い反対運動のある道路を含んでいるなど、問題が多くあります。また、財政上も問題が多い道路特定財源制度を延長しております。したがって、日本共産党としては、個々の道路には賛成可能なものがありますが、総合的、体系的な計画としては反対であり、この計画と道路特定財源の延長、強化を図る本法案に反対の立場を表明して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/171
-
172・中村喜四郎
○中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/172
-
173・中村喜四郎
○中村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/173
-
174・中村喜四郎
○中村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/174
-
175・中村喜四郎
○中村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中広務君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。野中広務君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/175
-
176・野中広務
○野中(広)委員 ただいま議題となりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一 第十次道路整備五箇年計画の策定及び実施に当たっては、地方公共団体の長の意見を十分に参酌すること。
二 国民の日常生活に密接な関係のある地方道、特に市町村道の整備を促進するため、地方道路整備臨時交付金制度の円滑な実施に努めるとともに、国の補助対象の範囲の拡大等により地方公共団体の財政負担の軽減を図るよう配慮すること。
三 長期的展望のもと高規格幹線道路網をはじめとする総合的な交通体系の確立を図り、多極分散型国土の形成、地域社会の活性化、住民生活の向上等に資する効率的かつ機能的な交通網の整備を促進すること。
四 第十次道路整備五箇年計画においては、豪雪地帯の除排雪対策、がけ崩れ対策など防災対策を重視するとともに、交通事故防上のための安全対策、老人・障害者の通行を容易にするための道路改良、歩道・自転車道及び自転車駐車場の整備、沿道における良好な生活環境を確保するための植樹帯、緩衝緑地、遮音壁等の整備促進に努めること。
五 大規模な地震等に備え、都市の街路をはじめ避難に要する道路・広場の確保と整備に努めるとともに、老朽化等により道路の構造基準に適合しなくなった橋粱等の構造物については、緊急に補修、改良工事を施行し、防災及び交通の安全の確保を図ること。
六 第十次道路整備五箇年計画においては、良好な都市環境の確保と良質低廉な住宅・宅地の供給に資するよう、土地区画整理事業、市街地再開発事業等における街路及びその附帯施設に対する助成の強化を図ること。
七 道路整備計画の策定と事業の実施に当たっては、自然環境の保全に特段の配慮をはらうとともに、関係住民の意見を十分に尊重し、事業の円滑な実施に努めること。
以上であります。
委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/176
-
177・中村喜四郎
○中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/177
-
178・中村喜四郎
○中村委員長 起立総員。よって、野中広務君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、越智建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/178
-
179・越智伊平
○越智国務大臣 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。
今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/179
-
180・中村喜四郎
○中村委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/180
-
181・中村喜四郎
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
─────────────
〔報告書は附録に掲載〕
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/181
-
182・中村喜四郎
○中村委員長 次に、内閣提出、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木間章君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/182
-
183・木間章
○木間委員 ただいま議題となりました特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案について、私の考えを申し上げながら、関係者の見解をただしたいと思っております。
まず最初に、この法律は昭和四十八年度にできたわけでありますが、それのよって来る背景と申しますか要因と申しますか、まず明らかにお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/183
-
184・福本英三
○福本政府委員 この法律は、今先生もお話しになりましたように昭和四十八年にできたわけでございます。ちょうど昭和四十八年に市街化区域に所在します農地に対するいわゆる宅地並み課税というものが実施されたわけでございます。そういう宅地並み課税の実施に際しまして、これとあわせて宅地化を誘導し促進するために必要な措置を講ずべくこの法律が制定されたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/184
-
185・木間章
○木間委員 もう少し具体的にお示しいただきたかったのでありますが、当時の状況を若干加えて申し上げてみたいと思います。
昭和四十三年に制定されました新都市計画法は、土地のスプロール化の現象を防ぐために市街化区域と市街化調整区域に分けました。折からの人口の都市部への流入は住宅難と宅地不足を呼び起こし、四十年代後半のいわゆる第一次土地狂乱を呼び込んだ、このように私は判断をするところであります。そこで政府は、土地価格を抑えながら宅地化を図ろうと農地の宅地並み課税を打ち出しました。三大都市圏の近郷農地をABCのランクに指定いたしまして、A農地は昭和四十八年度から、B農地は四十九年度から、そしてC農地はいろいろ変遷を経ながら五十七年度から宅地並みの固定資産税課税を強行しております。世はこの制度を農地に対するむちの政策と言っておりますが、政府はその後、むちだけでは宅地は出てこない、このように判断をして、緊急な宅地化の政策としてこの法律を打ち出したのであります。むちに対してこの法律はあめ法と俗に言われておるわけでありますが、この理解で正しいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/185
-
186・福本英三
○福本政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/186
-
187・木間章
○木間委員 そして、四十八年度に三カ年の時限立法で宅地化をしよう、こういうことでこの法律が成案を見たわけでありますが、既に今日まで十五年の歳月を経たわけであります。三カ年の時限立法措置として発足をして、自来四回の継続をなし遂げ、今日五度目の継続となるわけでありますが、この間、どのような法のもとでの成果があったのか、このことを明らかにお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/187
-
188・福本英三
○福本政府委員 この法律によりまして市街化区域の農地の宅地化がかなり進んでおるわけでございます。具体的な数字で申し上げますと、昭和四十八年のこの法律が適用になります特定市、約百九十ぐらいございますが、その市の当時の農地の面積が十万五千ヘクタールであったわけでございますが、最近の昭和六十一年度には六万ヘクタールに減少してきておるわけでございます。約四万五千ヘクタール、宅地化が進んでおるというわけでございます。この法律によったというだけではないと思いますが、この法律が実施されたというようなことなどがありましてかなりの宅地化が進んだというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/188
-
189・木間章
○木間委員 この特別法単独ではない、さまざまな法律、制度と一緒に連動しながら宅地化が漸次進んできた、このようなお示しもいただいたわけでありますが、しからば、その中でどの程度の住宅建設が成ったのか、数字的に明らかにお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/189
-
190・伊藤茂史
○伊藤説明員 御説明します。
今手持ちに持っておりますのは、本法の特例措置ということで行われた住宅建設の実績でございます。一つは住宅金融公庫の貸し付けの特例のうち賃貸住宅関係でございますけれども、六十一年度までに三万五千八百六十三戸の貸付実績でございます。それから、同じ公庫融資でございますけれども、分譲住宅の建設につきましては、現在までのところ実績はございません。また、農地所有者等賃貸住宅につきましては、六十一年度までに五十五団地、千五百七十七戸が本法の特例の適用を受けて建設されております。
先生の御質問、多分この宅地並み課税の地域で要するに全体の住宅はどのくらい建ったかということかと思いますが、ちょっと今のところ手持ちに持っておりませんので、本法の適用になった分だけの実績を御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/190
-
191・木間章
○木間委員 宅地化が進み住宅建設もまあまあだった、このような御報告ではございますが、しからば、現在三大都市圏で住宅不足はどのような状況になっておるだろうか、このことについてお尋ねをしたいのであります。
新聞等を見ておりますと、最近の公団住宅の応募割合が非常に高い、このようなことが伝えられておるところです。大都市圏へこれ以上の人口集中がいいのかどうか、四全総では分散方式をとっておるのでありますが、そのことはそのことといたしまして、サラリーマンその他の皆さんは職住近接を願っておりますので、勢い職場に近いところへ住宅を求めるのもこれまた人間の求める自然な姿ではないだろうか、このように思っておりますから、四全総にかかわる問題につきましては以降の審議の中でまた討論も議論もしていきたいと思っておりますが、当面、三大都市圏内でどのような住宅不足の状況があるのか、国民の皆さんがどのように求めておるのか、住宅需要の状況を明らかにお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/191
-
192・伊藤茂史
○伊藤説明員 御説明いたします。
私ども住宅需要につきましては、住宅建設計画法に基づきます五カ年計画というのを五年ごとにつくっておるわけでございますけれども、その五カ年計画をつくる際に、国全体と地方別と両方つくっているわけでございます。国全体は閣議決定をいたしますが、地方別は建設大臣が作成ということになっております。
その際に、需要のはじき方でございますけれども、一つには、その地方にどのくらいの人口増があり世帯増があるか、これによって住宅ストックがふやす必要がございます。それから第二点目は、古い住宅がスクラップされるといいますか、除却されまして新しい住宅が建つ、場所は同一の場所とは限りませんけれども、いずれにしましても耐用年数が来たあるいは土地利用の転換によって住宅がつぶれてまいります。その補てんの戸数が何戸あるか。あと、市場の流通の潤滑油的な空き家というのがございますし、それから古い住宅が急に建てかわるというわけでもございませんので、空き家もある程度必要でございます。そういう空き家需要がどのくらいあるかというようなことを地域地域で推計をしまして、それぞれの地方の住宅建設五カ年計画をつくっているわけでございます。
お尋ねの三大都市圏でどのくらい住宅需要を見込んでいるかということでございますが、現行の第五期地方住宅建設五カ年計画によりますと、六十一年から六十五年度までの間に関東地方が二百五十二万戸、年間平均五十万余でございます。それから東海地方が七十一万戸、年間ベースで十四万余、近畿地方が百三万戸、年間ベースで二十万戸余でございますが、合計四百二十六万戸の需要を見込んでおります。年平均でいいますと、八十五万戸余になっております。
先生今御指摘のとおり、最近の地価高騰で今後の推移が懸念されるわけでございますが、ただいままでのところ、この戸数に限って見る限りでは供給サイドの力が非常に強うございまして、五カ年計画の年間ベースの八十五万戸を大きく上回る住宅建設が大都市圏では行われている状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/192
-
193・木間章
○木間委員 住宅建設五カ年計画の中ではこの三圏域とも順調に建設が伸びておる、こういうお話もございましたけれども、しかし実際の需要はもっともっと強いのではないだろうか、このようにも考えておるところでございますので、今後とも三大都市圏のみならず国民のニーズに合った住宅建設を積極的に進めていただきたいと思っております。
このあめ法の中に要請土地区画整理事業もうたっておるわけでありますが、十五年経過した今日の中でこの要請土地区画整理事業の実績はどのようになっておるのか、お示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/193
-
194・木内啓介
○木内政府委員 ただいままでのところ、四十九年に新座都市計画事業志木駅前というのが一件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/194
-
195・木間章
○木間委員 埼玉県の新座市に一件だけだ、このようなお話でございます。十五年間に一件だけとはいかがなものか。せっかくあめ法をつくられながら一件だけというのは、私はどうも腑に落ちないのです。後ほどまた議論も申し上げたいと思いますが、まず局長、この一件だけしかないというのについて都市局はどのように分析しておられますか、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/195
-
196・木内啓介
○木内政府委員 実績は一件だけでございますけれども、例えばちなみに、一都三県で過去三年間で認可された土地区画整理事業の中で、要請すれば要請土地区画整理事業の要件を満たすであろうと思われるものは二十五地区ほど存在するわけでございます。しかし現実には、要請の要件を満たすものの、その要請に先立って土地所有者等と地方公共団体の協議が一応行われるわけでございますけれども、その結果土地所有者等がみずから土地区画整理組合を設立して事業を行ってしまう、あるいは、市施行の要請を行う場合もあるわけでございますけれども、そういった場合に地方公共団体がみずから着手してしまうというふうな例もあるわけでございます。したがいまして、形式的に要請まで至らないで区画整理をやってしまうというケースが多いというのが事実でございます。
しからば、その要請というのは余り意味がないのじゃないかという話になるかとも思われますけれども、私どもとしましては、この要請という制度が存在するということがその事業の施行の大きな一つの契機になっている、バックになっているというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/196
-
197・木間章
○木間委員 局長のおっしゃったとおりなんでしょうけれども、しかしよく考えてみますと、他の施策を刺激するのだ、しておるのだ、このようなことのようでございますが、私はどうも理解ができないのです。もし他の施策でやっておるということなら、この法律をやめにして他の施策を充実させればいいのではないだろうか、このように考えられて仕方がございません。先ほどからお話しのように、三大都市圏、とりわけ東京圏では住宅が不足をしておる、もっともっと国民の需要が強いのだ、そして宅地も不足をしておるのだ、このようにおっしゃっておいでるのでありますから、やはり積極的な区画整理事業もあってもいいのではなかろうか。
そして、このあめ法をつくられて、この法の効果はわずか一件しか出ていないのであります。他の手法を刺激しておる、このようなことでございますけれども、どうもこの措置法のつくられた時代の背景からいってでも、今の御答弁では少々理解に苦しむところであります。初めてこの法が制度化されました昭和四十八年四月十三日、地方行政委員会で提案理由もされておるのでありますが、江崎国務大臣はこのように言っておられます。「今日緊急の課題となっております首都圏等三圏域における土地対策としては、課税の適正化とあわせて市街化区域農地の宅地化を促進するための措置を講ずることが肝要」と、極めて強くこのことを訴えられておるのであります。そういったことなどを勘案いたしますと、他の政策を刺激するだけでこの三年間に限った時限法が成立したわけでありますから、少し働きかけが弱い面があるのじゃなかろうか、このように実は思えて仕方がありません。
そこでいま一つ申し上げたいと思いますが、この法律そのものの効果は別として、他の法律を刺激しておる。したがいまして、進んでない現状等を私なりに判断いたしますと、むちに対するあめ法でありましたが、そのあめ法そのものの力が弱いのじゃなかろうか、もっと強くあめ法を押し出す必要があるのじゃなかろうか、このようにも考えられて仕方がないわけであります。このあめをさらに大きなあめ玉にするようなお考えがあるのかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/197
-
198・福本英三
○福本政府委員 私どもといたしましては、現在のような市街化区域農地のいわゆる宅地並み課税ということを前提にして、そこに基づきますあめという格好でこの特例の、特定の臨時措置法ができておるわけでございます。
その税制の方も、従来からずっと同じような格好でまいっておりますので、この法律も、それに従いまして現在のような格好をさらに延長するという格好でお願いしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/198
-
199・木間章
○木間委員 そういたしますと、この法律は三年間の時限法でございますけれども、恒久法として見なければならない、そのように思えるわけですが、今後なおこの時限法を繰り返していかれるのかどうか、その点もひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/199
-
200・福本英三
○福本政府委員 今申し上げたようなことでございまして、これはその四十八年に宅地並み課税が実施されたことに伴いまして、それと一緒になってできた法律だと思っております。したがいまして、そちらの宅地並み課税に関する問題、いろいろ議論もあり経緯もあるわけでございますが、そちらの方があるいは変わるということになれば、それに従ってできておりますこの法律もさらに検討する必要があるのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/200
-
201・木間章
○木間委員 あめがもっと強力なものかどうか、そういった議論はまた後に譲ることにいたしまして、他の法律、制度に若干関係してお伺いをしたいと思います。
都市部、とりわけこの三大都市圏は、人口も集まり過ぎて住宅難となり、あるいは地価狂乱も呼び込んでおるところであります。宅地探しであの手この手の方途がとられておりますが、住環境が伴っていかない、よくならない、これが現状であろうと思います。
そこで、土地区画整理法について若干お尋ねをしたいと思いますが、この法律が制定されましてから既に三十数年経過をしておるところであります。三大都市圏でも先ほど言われたように土地区画整理事業も積極的に行われておるようでございますが、既に事業も完了していずれは売れる宅地が未利用地のまま残っておるのではないだろうか、こういった面も一面危惧をするわけでありますが、この土地区画整理事業完了の後宅地としての未利用地が今日どの程度あるのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/201
-
202・木内啓介
○木内政府委員 区画整理済み後の未利用地の調査につきましては、現在新しい調査をやっておるのですけれども、今手元にございますのは五十九年ので、ちょっと古くて申しわけございません。ことし新しい調査を実施中でございますので、恐縮でございますけれども五十九年度の数字でお示しさせていただきたいと思います。
これによりますと、昭和三十七年から昭和五十四年までに事業認可されたものでございますけれども、その中で既に事業を完了した区域におきまして全国で約二万一千四百ヘクタール、三大都市圏で約一万百ヘクタールのいわゆる未建築地と申しますか未利用の宅地が存在してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/202
-
203・木間章
○木間委員 膨大な未利用地が残っておるわけであります。そして、政府はあの手この手で宅地化を急いでおるわけでありますが、これらについて土地所有者と皆さんとの関係がどのようになっておるのか、もっと宅地化を促進される方途がないものかどうか、このことについて日ごろお考えになっておることをお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/203
-
204・木内啓介
○木内政府委員 お答え申し上げます。
先生の御指摘のような御質疑、再々ございますので、私どももいろいろ、これまでもあるいはこれからも講じてまいりたいと思いますけれども、主なものを御紹介させていただきますと、住宅金融公庫の貸し付けについて、宅地造成、区画整理をやったところの貸し付けの条件を優遇している。あるいは住宅建設資金の貸し付けについても、土地区画整理の土地を譲り受けたもの、こういったものについての貸し付けについて土地の購入資金についても融資対象に加えている。あるいは地方公共団体が区画整理施行地域内におきまして、公益施設あるいは利便施設の用地を先買いする資金について地方債の充当について配慮している。あるいは施行地区内において第三セクターが整備するコミュニティーセンター等の中核施設に対しまして、六十二年度よりNTTの無利子融資を創設しておるというようなことがありますけれども、ただいまの保留地処分に当たっての建築計画につきまして、現在私ども、地権者の宅地利用等の指針となります宅地利用促進プログラムというふうなものを作成するように地方公共団体に呼びかけておりまして、そのための指導をしているところでございます。
なお、六十三年度、現在のこの国会におきまして区画整理法の一部改正をお願いしておりまして、参加組合員制度とか第三者施行制度等を導入しまして、これも区画整理済み地の早期の宅地化ということを一つのねらいとしているものでございます。
そういうことでございますけれども、まだまだこれから新しい対策も考えていかなければならないと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/204
-
205・木間章
○木間委員 いずれにいたしましても、国費を土地区画整理事業につぎ込み、また地方自治体も公費をつぎ込んで土地の整理をしておるわけでありますから、やはり宅地予備軍と言わざるを得ませんし、一方では特に三大都市圏の住宅不足が逼迫をしておりますので、的確な措置を求めておきたいと思っておるところであります。
〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
次に、建設省は区画整理事業を初め土地造成にさまざまな手法をとっておられるわけでありますが、政府全体としてもたくさんの造成事業をやっておられます。それらも連動して機動的に国民の期待にこたえた住宅建設を図っていかなければならないと思っておりますが、他の省庁との連携が十分にできておるだろうかどうか。まず建設省で宅地造成の手法にどのようなものをつかんでおいでますか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/205
-
206・望月薫雄
○望月政府委員 ただいま先生お話しのように、現下の大都市圏の宅地需要、この膨大な需要に対応していくためにはいろいろな手法というものを総合的に展開しなければならぬ、こういう認識を私ども持って日ごろ取り組ませていただいております。
そういった中で、本日御審議賜っているいわゆるあめ法の施策もその一部ではございますけれども、他の総合的な施策としていろいろなことをやらなければならぬ、こう考えている次第でございまして、単純に手法的な面で申し上げさせていただきますと、いわゆる新住宅市街地開発法によります新住事業、さらにまた大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法によろいわゆる住宅街区整備事業あるいはまたいわゆる調整区域も含めての開発許可の積極的展開、さらにまた公有水面の埋め立てなんということも一つの重要テーマである、こんなふうに認識して取り組んでいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/206
-
207・木間章
○木間委員 きのう建設省の方に資料を出していただいたわけでありますが、そのときには、建設省の所管の事業を優先的にと申しますか、実はその資料のお示ししかなかったわけであります。そして応答の中で、例えば今局長おっしゃった公有水面埋め立ての事業もやっておいでますぞ、あるいは工業団地造成事業、流通業務団地造成事業などなどが他の省庁の所管でしょうけれども実は実在をするわけでありまして、工業用地にせよあるいは他の用地にせよ、積極的に政府を挙げて宅地造成をやっておいでになるわけであります。ですから、もともと議論になったところでございますが、どうも本省は縦割りの業務が強過ぎて横の連携がややもいたしますと疎んぜられる。今度の竹下内閣が発足いたしましたときに、土地問題を精力的に扱う国務大臣をつくろう、こういうことで国土庁長官奥野さんが兼務をされておるのであります。そういった閣議決定なりレベルの高い作用が働かなかったら、役所の皆さんはそういった国民の期待にこたえるための連携をとられない、極めて残念だと思っております。
今土地狂乱もやや鎮静化したぞ、皆さんはそうおっしゃいますが、現地はまだまだ深刻でございます。したがいまして、今日国民の住宅需要にこたえるために、そして土地狂乱を抑えるためには、他の省庁の所管事業であろうと建設省が主体になられましてそういった機動的に機能が発揮できるように努めていかなければならぬと思います。大臣がお忙しい中、委員会に出席いただきました。大臣の御決意なり感想を述べていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/207
-
208・越智伊平
○越智国務大臣 途中で抜けまして失礼をいたしました。
先生お説のとおり、何としてでも地価の抑制、下落、これを図っていかなければならない。特にこの東京都中心、これについてはみんなで相協力してやっていかなければならない。そこで竹下内閣では、奥野国土庁長官が土地問題担当になりましていろいろ施策を講じております。建設省といたしましてもよく国土庁と連絡をとり、私も奥野大臣と常に連絡をとりつつ進めておるような次第であります。確かに縦割り行政でなかなか難しいところも今まではございましたけれども、ぜひともそういうことがないようにやっていかなければいけない、こういうふうに思う次第であります。でございますから、この都内の農地にいたしましても、本当に営農を続けていくというところについては交換分合をしてでも逆線引きをして農地で残していく、これは調整区域にしていく。現在の調整区域でも、いいところは開発をして、ぜひとも線引きも見直し宅地に供給をしていく、こういうことで指導をしておるような次第であります。お説のことを十分守って前進をさしていきたい、こういうふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/208
-
209・木間章
○木間委員 先ほど大臣不在のときに、土地区画整理事業、せっかく公費、国費をつぎ込みながら造成をして、今日なお宅地としての未利用地があることを言ったわけです。これらについても、土地狂乱の昨今でございますので、積極的に宅地化になるようにいろいろの手法を講じて、国民のニーズにこたえるように今後とも御努力をいただきたいと思っております。
農地を全体を宅地化にしてもいいものかどうか、私自身判断に行き詰まる場合が間々あるわけであります。そこでいろいろ法律をひもといてみますと、都市緑地保全法あるいは生産緑地法という制度がございます。まず、都市緑地保全法につきましては昭和四十八年に制定されておるわけでありますが、この制定された背景といいますか、そのときの事情といいますか、どういうものがあってこの制度が制定されたのか、お示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/209
-
210・木内啓介
○木内政府委員 お答え申し上げます。
都市緑地保全法の制定でございますけれども、四十年代後半の急激な都市化等によりまして都市の緑が急激に減少する、都市の環境が悪化してきたというふうな背景があったわけでございまして、このため、都市公園の整備とともに都市公園でない緑地の保全も必要ではないかということで、適正な措置をとるようこの法律をつくったわけでございまして、この法律は、都市計画の地域地区といたしまして、樹林地とか水辺、それから良好な自然環境を形成している土地、もう少し具体的に申しますと神社の裏山とかあるいは鎮守の森とか、そういうがけ地みたいなところでも緑地のあるところ、そんなようなところを保全地区と定めまして、一定の行為の制限や土地の買い入れ等を行うことによりましてその確保を図っていきたいというふうな趣旨で制定されたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/210
-
211・木間章
○木間委員 その法律のもとに緑地保全地区の指定がされておるわけでありますが、この指定の状況はどのような現状であるか、お示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/211
-
212・木内啓介
○木内政府委員 六十一年三月現在で地区数としまして百五十八地区、それから面積で五百四十九ヘクタールでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/212
-
213・木間章
○木間委員 そしていま一つ、生産緑地法がございます。この法律は昭和四十九年にできたわけでありますが、農地とのかかわりの中でこの法制度がなされたと判断をするわけでありますが、この法律の制度化に至った経過についてお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/213
-
214・木内啓介
○木内政府委員 この法律も、先ほどの法律と同様に四十年代後半の緑の保全ということが大事だという時代的背景があったかと思いますけれども、先ほどの緑地保全法が主として農地でない鎮守の森とかなんとかを対象にしているのに比べまして、こちらの方は先生御指摘のように農地を生産を続けながら保全するという意味でやったものでございまして、市街化区域は計画的に開発していかなければならぬわけでございますけれども、一挙にできませんので、段階的に整備していくという形にならざるを得ない。その場合に、公共公益施設の用地をあらかじめ確保していくことが必要になったというふうなことが一つでございます。
それから、地方行政委員会におきまして、都市計画上生産緑地制度を創設しまして、市街化区域の農地であっても一般の農地と同様の税負担とするよう検討すべき旨の附帯決議もなされている。これは宅地並み課税との関連でございます。
それから、都市計画中央審議会におきましても、市街化区域内の良好な生活環境の確保の機能等に着目しまして新しく生産緑地制度を創設すべしという答申をいただいておりまして、こういった意見なり答申の線に沿いまして、社会的背景のもとにでき上がったものと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/214
-
215・木間章
○木間委員 背景は今お聞きしたわけですが、ただ問題は、都市化がどんどん進んで、極端な言い方をいたしますとコンクリートジャングルの中に鉄筋のビルばかりが建っても必ずしも都市環境が整備されたとは言い切れません。やはり緑がないとそこに潤いが出てきませんし、また大災害等々を予測いたしますと防災のための避難地としてもなるでしょうし、つまり住民の憩いの場あるいは安全の場として必要な制度ではないだろうか、かように考えるものです。したがいまして、区画整理がなされたから必ずしもそこに住宅を全部建てればいいんだとは言い切れないと思います。
しかし、それらの地区は、特に市街化区域内でございますと農地といえども宅地並みの固定資産税が課税されるわけでありまして、私は、そういったスペースは一定程度残すべきじゃないだろうか、特に長期間営農される希望があった場合に生産緑地として残すべきではないだろうか、このように考えるわけでありますが、この市街化区域内の農地とそれに伴う宅地並み課税の問題、都市計画上の位置づけを考えたときに、もっとその間の整合を持たせるべきだと思いますが、いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/215
-
216・木内啓介
○木内政府委員 生産緑地制度そのものは、先生のおっしゃった趣旨が入ってでき上がったものだと思うわけでございます。ただ、現在市街化区域内の農地の宅地化がなかなか進まないというふうなこともありまして、そういった場合の都市計画上の対応としまして、一つには、かなりまとまって長期営農等の農地が存在するような場合には、先ごろの第二回の線引きの見直しによりましてもまとまって長期営農するようなものについては調整区域の方へ逆線引きをするという方法をとっております。残りの、余りまとまってないけれども一応生産緑地程度のまとまりのあるものにつきましては、先生がおっしゃるように本来残すならば生産緑地というふうな形で残すのが望ましいと思うわけでございますけれども、現在の宅地並み制度が長期営農のものにつきまして宅地並み課税をやっていないというふうなことでございますし、また一方、生産緑地の方も所有者の同意を必要とする制度でございますので、生産緑地になりますとやはりそれなりの制約がかかってまいります。そうしますと、どちらかと申しますと余り制約のかからない長期営農制度の方を志向するということで、生産緑地への移行は余りはかどっていないというふうなのが現況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/216
-
217・木間章
○木間委員 面積的なものを伺うことをちょっと失念いたしましたけれども、生産緑地の面積的な状況を少し御報告いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/217
-
218・木内啓介
○木内政府委員 お答え申し上げます。
生産緑地、第一種は一ヘクタール以上で十年間は担保される方でございます。それから第二種は〇・二ヘクタールで宅地開発等に伴ってできてくるちょっと小さい方でございまして、五年は担保されるものでございます。一種は、全国で申しますと六十年で三百九十三カ所、面積で三百二十九ヘクタールでございます。三大都市圏も同じでございます。それから第二種は全国で八百七十二カ所、面積で二百九十五ヘクタール。三大都市圏で八百七十カ所で二百八十五へクタールというようになっております。
ただ、これは六十年の静止した状態でございます。第一種生産緑地につきましては、制度ができました五十年、五十一年ごろ、宅地並み課税との関係がございますけれども、わっと指定が出てまいりましたが、その後は余りふえてない。第二種の方はぼちぼちふえているというふうな経緯をたどっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/218
-
219・木間章
○木間委員 つまるところ、大都市圏といえどもオープンスペースもぜひ残していただかなければならぬ状況にあろうと思います。したがいまして、これらの制度についても手続その他が大変複雑なようでございますし、条件そのものもきついようでございます。宅地不足は現実の問題ではございますけれども、政府、各省庁間が精力的にやっておられます他の手法とも連動いたしまして、宅地化は宅地化として進めながらも都市の緑もきちっと残していく、そのように今後とも心がけて進めていくべきだと思いますが、大臣の御決意をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/219
-
220・越智伊平
○越智国務大臣 先生の御説ごもっともであります。
ただ、私どもが考えておりますのは、長期営農にいたしましても、その地域の環境が非常に悪くなっておるようなところもあるようであります。実際もう二反歩というところで水利の面とかあるいはまた陰の面に、そういうところはどこか交換分合で地域を決めてやれないものかどうか、こういうことであります。また、先ほどお話がございました区画整理をした中での農地の問題でありますけれども、こういうものを、非常に小さいところであればミニ公園か何かそういうことにしていくべきでなかろうか。
確かに、御承知であろうと思いますけれども、太平内閣当時に田園都市という構想を発表されまして、これは私は悪いことではない、結構だ、こういうふうに賛同をいたしておりますし、その思想は結構だと思いますけれども、さて東京都、特に二十三区内では、これは交換分合でもして一定の地域に長期営農なら長期営農、あるいは緑地なら生産緑地として残していくようにいたしたいものだ。もう全部宅地にしてくれというわけではございませんけれども、そういうふうにひとつ整理してやっていく。そういう方も間々あるようですが、値上がり見通しのことで置いておく、ということはやはり税金は安くしてもらうけれども将来は売るのだ、こういうことではいけないので、農地で長期営農をしようという方はそうしていただいて結構であるし、生産緑地は生産緑地として残していく。そこらの整理をできないものか、こういうことで今いろいろ検討をいたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/220
-
221・木間章
○木間委員 値上がり含みを待って緑地としてあるいは田として当分残す。そのような考え方があるとすれば、それは許してはならない行為だろうと思います。しかし、親代々から引き継いだ農地を自分の代もあるいは子供の代にも長く農地として残そう、そのようなお考え方もあるだろうと思います。税金は売買されたときにしっかりといただけばいいので、現在なお都市に新鮮な野菜を供給したい、あるいは新鮮な果物を供給しよう、そのような生産意欲に燃えておいでる農民も多いはずでございますので、必ずしも全部が全部値上がりを待ってという不見識な方々ではないと思うのです。ですから、そういった都市農民の皆さんの気持ちもぜひ参酌しなければならない問題じゃなかろうか、このようにも思っておりますので、その点を十分に御配慮をしていただきたいと思いますし、今後の検討の中心にも据えていただきたいと思うのであります。
最後に国土庁にお尋ねをしたいのでありますが、東京一極集中はさまざまな分野で不都合を来してきたぞ、このようなことで、新しく発表されました四全総が地方分極をうたわれておるのであります。事業者や、あるいは国民の皆さんにも今後の東京一極集中についてみんなで知恵を出してもらいたい、このように呼びかけられ、まず隗より始めよう、こういうことで国土庁は都内の、特に二十三区の中の役所の事務所機構を圏外へ移動させるべく、今いろいろ審議、検討に入っておるところであります。いずれそれらの施設が圏外へ移転の時期も到来するだろう、このように考えておるところでございます。
そういったことを考えますと、その跡地利用がどのようになっていくのだろうか、これがまた私たちは議論をしていかなければならぬと思います。筑波学園都市が建設されまして既に十二年間経過をいたしました。国有財産の処理については国有財産審議会等の御意見等もあろうと思いますが、私はやはり今国民が一番望んでおるような跡地利用の手法を考えるべきではないだろうか。特に建設省は公園をつくったり、あるいは下水道をつくったり、さらに住宅建設を積極的にやっておいでになるわけでありますが、まず国土庁の跡地利用についてのお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/221
-
222・北村廣太郎
○北村政府委員 一月二十二日、国の機関等の移転についての閣議決定が行われたわけでございます。その閣議決定に基づきましてできました、国の機関等の移転を進める会議がございます。これは石原官房副長官を長とし、各省事務次官から成る国の機関等移転推進連絡会議と申す会議でございますが、これが一月二十二日の閣議を受けまして、二月二十五日に今後の移転の進め方についてを決定しておるわけでございます。その中で移転跡地についても触れておりまして、移転の趣旨等から見た跡地の適切な利用、それから移転費用を賄うための財源としての活用というものに配慮するというようなことを定めておるわけでございます。
この前半の「移転の趣旨等からみた跡地の適切な利用」でございますが、これは一月二十二日の閣議決定に移転の趣旨といたしまして、「東京一極集中を是正し、国土の均衡ある発展を図ることを基本とする第四次全国総合開発計画の着実な推進を通じ、都市・産業機能の地方分散により、東京への過剰な依存から脱却する必要がある。」その一環としての国の機関等の移転だということを申しておるわけでございます。したがいまして、今後のこの移転しました機関の跡地につきましても、東京一極集中の排除という点を旨といたしまして、東京都及びその属する区等地元公共団体と十分協議し、関係機関等とも御相談して適切な、趣旨に沿った利用を図ってまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/222
-
223・木間章
○木間委員 ぜひ、少しの職員その他を地方へ引っ越ししてその跡地にデベロッパーその他の建設を絶対にされないように、国有財産法でもきちっとその点は明示をしておりますから、よもや新築する施設の経費に充てるために何を選んでもということにはならないと思いますが、その点はしっかりとひとつお願いをしておきたいと思います。
最後に建設大臣の方から、住宅が大変困窮しております。そして土地価格も大変高値でございますので、一番求められておるのはやはり住宅ではなかろうか、このようにも判断をいたしますと、ぜひ都市施設をそこにつくっていただくように跡地利用は積極的に、そのように自治体とも協力をして進めていただきますように御決意をひとつお尋ねして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/223
-
224・越智伊平
○越智国務大臣 何としてもまず私どもは住宅が一番大事であります。移転の話が出ましたが、ぜひとも建設省としては、地方公共団体あるいは住都公団、こういうところに適当な価格でいただいて公団あるいは公営住宅を進めていきたい、こういうことを強く要望をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/224
-
225・木間章
○木間委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/225
-
226・中村喜四郎
○中村委員長 矢追秀彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/226
-
227・矢追秀彦
○矢追委員 初めに農地の宅地化の問題で質疑をいたします。
昭和四十六年度に創設をされました農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給制度、これに対しましては内容の改善によりましてこの住宅供給の促進を図られてきたわけでございますが、契約戸数の実績というのは五十八年まではほとんど一千戸台で推移をしております。五十一年度のみ二千二百九十九戸でございますが、あとはほとんど一千戸台であります。五十九年から六十二年度は、推定でも結構ですから、それ以降どのような実績になっておるかお示しをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/227
-
228・片山正夫
○片山(正)政府委員 御指摘にありましたように、四十六年創設以来それほど芳しい状況ではございませんでしたけれども、その後、最近の二、三年におきまして順調さを取り戻しまして、五十九年が二千戸、六十年が三千四戸、六十一年が三千百十九戸という実績で、六十年、六十一年は予算戸数三千戸を達成をしておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/228
-
229・矢追秀彦
○矢追委員 六十三年度政府予算案では、団地規模要件や水田の宅地化規模要件を緩和して、計画戸数も四千戸の予算措置がとられております。事業費が三百十三億三千八百万円、国費すなわち利子補給は二十八億二百万円、これが講じられておるわけでございますが、この程度の緩和措置によりまして政府目標である四千戸の達成は果たしてできるのかどうか。過去の実績等々も考えまして、どのような見通しを持っておられますか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/229
-
230・片山正夫
○片山(正)政府委員 今回予算でお願いしておりますのは、政令で定めております団地要件を、従来は一ヘクタール以上でありましたものを〇・五ヘクタール以上に直しまして、あわせまして水田要件〇・五ヘクタールというのを〇・二五ヘクタールに下げて、小規模の農地につきましても適用ができるようにしたわけでございます。
市街化区域農地の規模の件でありますけれども、意外と小さいものが多いわけでございまして、所有面積規模別農家数というので見ますると、一ヘクタール以上を持っておる農家の数が全体の九・九%、〇・五ヘクタール以上ととりますとこれが三七・五%、こういうことになりますので、今回の要件緩和は、そういう意味ではかなり対象地がふえてきた、こういうことでございますので、四千戸の達成は見込みがあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/230
-
231・矢追秀彦
○矢追委員 先進諸国に比べまして立ちおくれております我が国の住宅事情を改善していくためには、総合的に住宅対策を推進していかなければならないわけでございますが、中でも、今回議論されております市街化区域内農地の計画的な宅地化というのが大いに期待されるわけでございます。
本法の内容、一応今言われたように、これは結構なことでございますが、融資利率、これは住宅金融公庫の融資利率に合わせておられるようでございますが、一方、毎年農水省は巨額な国費を投じて年間七十七万ヘクタールの水田を休耕や転作をしておるわけです。こういった現状を踏まえまして、この際、宅地化の促進という視点からもこの利率をもう少し引き下げるわけにはいかなかったのかどうか。六十二年の八月三日から六十三年二月初めまでは四・二%に下げてあったわけでございますから、下げる気になればならないことはないと思います。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/231
-
232・片山正夫
○片山(正)政府委員 農住制度の優遇金利でありますけれども、これは御指摘にもありましたように公庫の基準金利を見ながら決めていく、こういうことになっておりまして、公庫の基準金利が四・二%時代につきましては農住の金利も四・二に下げたことは確かにございましたが、その後また公庫の金利が上がりましたために現在は四・六%というところになっておりますが、先般公庫の基準金利が四・五に下げておる、こういうことでございますので、近くこれに合わせまして引き下げをしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/232
-
233・矢追秀彦
○矢追委員 合わさなきゃいかぬというわけでもないと思うのですが、その点大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/233
-
234・越智伊平
○越智国務大臣 金利は低金利がいいことはもちろんでありますけれども、やはり金利ベースというのはほぼ横並びにしておかないといろいろ問題がございますので、この点はひとつ公庫金利で御了解をいただきたい、ずっとそういうことにいたしておりますのでぜひとも御了解をいただきたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/234
-
235・矢追秀彦
○矢追委員 横並び、過去そうだったからじゃなくて、今言ったようにいわゆる宅地化を推進しなきゃならぬという特別な事情がございますから、また、金利だってこれからますます自由化の方向に行くわけですから、私は少々、うんと下げるのは問題あろうかと思いますが、〇・二%とか〇・三%くらいはやってもいいんではないか、これは要望として置いておきます。
次に、この制度は第一条の目的条項でも明示されておりますように、「千居住環境が良好で家賃が適正な賃貸住宅の供給を促進するとともに、」こうあるわけでございますが、日本国民の住宅に対する意識調査というのは圧倒的に持ち家を取得したい、こういう希望でございます。したがいまして、この際、こういう希望からいいまして、分譲住宅の供給も行えるように本法に基づく事業対象は拡大してもよいのではないか、こう考えるわけでございますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/235
-
236・片山正夫
○片山(正)政府委員 農地を活用しまして住宅供給を行います場合に、一番重視しなければならないことは農地所有者の意向でございまして、農地所有者の意向は土地を手放すのに消極的といいますか、手放したがらない、こういう傾向がございます。みずからが土地所有者となりながら住宅経営をしたい、こういう意向が大変強いわけでございますので、そういうことも十分考慮いたしまして、賃貸住宅の供給ということで制度を組み立てているところであります。
なお、分譲住宅の供給促進策としましては、このほかに住宅金融公庫の融資におきまして団地住宅建設資金に低利融資を行いまして、さらにこれを購入する場合については購入資金融資も低利融資を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/236
-
237・矢追秀彦
○矢追委員 良好な住宅団地を形成するためには、地元の公共団体、農協等が農地所有者に対し適切な指導を行う必要がございますが、この対応というのはどうなっておりますか。
また、利子補給期間中は家賃の額やその他の賃貸条件が定められておりますが、当該期間終了後、地価高騰等の影響によりまして賃貸条件が激変するおそれが出てくると思いますが、この二点について政府としては具体的な策を考えておられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/237
-
238・片山正夫
○片山(正)政府委員 農地所有者が住宅経営をいたします場合、そういうことに対しまして経験が少ない、そういうこともございますので、団地の計画をつくります場合、あるいは住宅の建設を行います場合、あるいは管理をします場合、そういうことにつきまして都道府県の方からよく技術指導するようにということをしておりまして、このための費用につきましては国がまたこれに対して援助を行い、かつまた、農業協同組合による指導はこれまた重要でございますので、これにつきましては全国農業協同組合連合会に対し系統農協からの指導をしてほしいという依頼をしておるところでございまして、全国農協連合会におきましても六十二年には農住課を設置しまして、また地方におきましては農住都市開発協会などを設立いたしまして指導はされているところであります。
もう一点の御質問の、その後における家賃の問題でありますけれども、この問題につきましては、利子補給期間中は家賃の制限がございます。一定額以上になってはいけないという規制がございますが、利子補給期間が過ぎますとこういう制限はなくなるわけでありまして、この場合につきましても激変の起こることのないように指導しているところでありまして、これをちなみに実態を見てみますると、利子補給期間中十年間につきましての年平均の家賃値上げ率、値上げ幅、これが一・六%に統計上なっております。ところが、補給期間が過ぎました後の年平均の家賃の値上げ幅が一・四%、こういうことでございますので、これから見まするとそれほど大きな激変はないんではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/238
-
239・矢追秀彦
○矢追委員 今のデータは大体どの辺までの平均をとられたんですか、年度的に言いますと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/239
-
240・片山正夫
○片山(正)政府委員 これは、利子補給終了七千四百二十六戸のうち有効回答のあった六千二百二十四戸についての調査でありまして、それによりますると、補給期間とその後は一・六と一・四、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/240
-
241・矢追秀彦
○矢追委員 最近の大変な土地の値上がりしておる状況も踏まえてこうなっておりますか。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/241
-
242・片山正夫
○片山(正)政府委員 ごく最近のところまではこれは入っておりませんけれども、現在の一般的な家賃の値上げ率はたしか東京区部で一・一まではいっておりませんので、それほどまだ大きな影響はないんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/242
-
243・矢追秀彦
○矢追委員 住宅事情の深刻な三大都市圏における有望な宅地供給源の一つとして農地が期待されるわけでございますが、国土利用白書によりますと、市街化区域内の農地が七万ヘクタールありまして、首都圏だけでも三万七千ヘクタールございます。農地の転換利用の要請は非常に強いわけでございますが、この周囲の状況あるいは社会的ニーズに応じて積極的にその土地利用の転換を促進をいたしまして、都市計画のもとで優良な宅地や商業地として活用していかなければならぬわけでございますが、どうもそこでネックになるのが、先ほども議論が出ておりましたが、既に宅地並み課税が実施されておりますが、実際はその八六%が納税免除制度によりまして課税の適用除外となってるということであります。
東京二十三区内にある市街化区域内の農地の面積は、東京都の調査でございますが、六十二年八月時点では千四百八十ヘクタール、これに対する固定資産税と都市計画税による六十二年度の税収は一億二千四百万円。こうしろという意味ではありませんが、もし仮に納税免除制度を廃止いたしますと、税収は七十倍の八十三億九千四百万円、こういうふうな計算ができるわけでございます。今仮に千四百八十ヘクタールの市街化区域内農地の三割を道路、公園などの公共スペースに充てまして、残る千三十六ヘクタールを宅地化すると、一戸当たり用地面積百平方メートル、住宅面積百平方メートル、容積率一〇〇%の住宅は十万三千六百戸供給できるという計算になるわけでございます。
この納税免除制度はいろいろ問題があります。実際農業をまじめにやっておられる方は反対も大変強いし、それはそれで私は結構だと思うのでありますが、決して全部やめてしまえという暴論を吐く気はございませんが、もう少しこの認定要件を厳格にすべきではないか。前よりは厳しくなっておりますが、もう少しやってもいいのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/243
-
244・越智伊平
○越智国務大臣 たびたび申し上げておりますように、市街化区域内の農地につきましては、例えば練馬のようなところでずっと野菜をつくっておるところも確かにございますので、生産農地として非常に大事であろうと思います。でございますから、そういうところは残しますし、また、余り小さいものは交換分合でもして、一定の場所で農地として進めていく。ただ、全部ではございません、ごく一部でございますけれども、値上がり待ちといいますか、実際に野菜等を熱心につくってないような方には宅地に供給してもらう。先祖伝来の土地ということであれば、今の農住住宅とかで進めていただく。いずれにしても、確かに市街化区域内にも農地があることが悪いとは言いませんけれども、できるだけ宅地に供給をしていただいて、宅地あるいは道路、公園等の整備を進めていく。
この中にあって今の宅地並み課税でございますけれども、これは私の方の担当ではありませんけれども、そこらのところを先生の御意見のようによく見て、ぜひとも厳重といいますか厳格に整理をしていきたいものだ、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/244
-
245・矢追秀彦
○矢追委員 私たちは二十年ということを言っておるわけでございますので、その点はひとつ御検討をいただきたいと思います。
経企庁の試算によりますと、三万四千八百ヘクタールが首都圏の特定市街化区域内にある農地でございますが、これを全部宅地化すると、平均的な住宅が百三十八万戸建つというふうな計算になるわけでございますが、先ほども質問が出ておりました生産緑地法に基づく生産緑地地区に認定して保護するという問題は、先日我が党の大野委員も質問しておりましたが、児童公園やスポーツ広場として貸したのが、遺産相続すると相続税が宅地並みに課税されるので、どんどん返却要請が来て困っておるということが東京の市長会からも出ておる、こういうふうなこともございますので、相続の問題も含めて、この辺何とかならないのか。先ほど大臣が言われたようにきちっとやっているところと、公園等にしてもいいという人もかなりあると思いますので、その辺も含めて農地問題は何とかならないものか、いろいろなやり方があるのじゃないか、こう思うわけでございます。方法として、事業受託方式や信託方式あるいは借地方式等がいろいろ言われておるわけでございますが、もう少し農家の方も安心できる方向で宅地の供給ができるよう何とかならぬものかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/245
-
246・望月薫雄
○望月政府委員 お説のように、大都市圏の宅地対策を考える上で、市街化区域内農地のあり方というのは私ども大変関心を持っておるところでございます。そういった中で宅地並み課税の運用の基準というものを、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、昨年の九月、自治省通達以来非常に厳正にやっていこう、こういうことでございますので、私どもこれの効果を非常に期待申し上げておるわけでございますが、そういった税制の適正な運営ということが出てまいりますならばいわゆる生産緑地制度というものも非常に動きやすくなる環境ができるのじゃないかということで、一方で期待しているところでございます。先ほど都市局長から御答弁がありましたように、現在は地主さん方の同意というものを前提にしている、こういったことでございますので、何としても同意をいただきやすい環境条件の整備ということを私どもも非常に期待し、また努力していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/246
-
247・矢追秀彦
○矢追委員 次に、農業と宅地といいますか都市計画といいますか、そういったことの関連でございますが、国土利用計画法に基づきまして各県の知事は土地利用基本計画を策定し、農業地域では、農業振興地域整備法で振興地域に指定をして農業の振興を図る、こうなっておるわけでございます。
趣旨は私も決して反対ではございませんが、住宅事情の深刻な大都市地域の都市計画区域内の通勤圏内でも、振興地域にしているところが相当あるわけです。例えば首都圏三十キロ以内の代表的なところでも、東京三多摩を初め横浜、川崎、柏、野田、春日部、大宮、浦和、越谷、所沢、こういったところを挙げてみますと、横浜では四千九百十へクタールの農業振興地域がありまして、そのうちの農用地区域というのは千百十五ヘクタール、川崎では二百七十二ヘクタールで農用地区域が百四ヘクタール、浦和が二千九十三ヘクタールで千百七ヘクタール、所沢が三千二百九十二ヘクタールで千三百八十一ヘクタール、大宮が三千百七ヘクタールで千四百九十二ヘクタール、このような状況になっておるわけでございます。この指定は都道府県でやるようになっておりますが、少なくとも横浜、川崎、東京三多摩等の都心寄りでは、果たして農用地地区の整備をどの程度までやっていけばいいのか。
ある意味ではちょっと矛盾するわけですよね。四全総でも首都圏の整備をやるということが言われておりまして、その中でも、農地と宅地の混在する集落地域について良好な土地利用秩序を確保するとともに、計画的な地域整備を進める、こういうことがうたわれておるわけでございますが、こういった中での農業を本当に振興しなければいかぬのか。かなりの国費も投じておるわけでございますから、この宅地化を進めていく、この辺との兼ね合いといいますか、その辺はどう判断をし、どう決定をしていくべきなのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/247
-
248・東諄
○東説明員 先生御案内のとおり、農業振興地域の整備に関する計画については、各地域の実情を踏まえて、市町村の自主的かつ総合的な計画でございます。ただ、その三十キロメーター圏内で市街化区域以外の土地として利用されているのは、アクセスの未整備などそれぞれの事情がございます。しかしながら、市街化調整区域内の線引き調整等の調整問題については、先生の御指摘のございましたように適切かつ現実的な方針のもとで機動的に対応してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/248
-
249・藤原良一
○藤原説明員 東京の三十キロ圏くらいの中の農地の状況を見ますと、西南部では三多摩とか横浜、川崎等でございますが、農地は確かに振興地域として点在しておりますけれども、どちらかというと比較的都市的利用が進んでおるのではないか。残っておる農地は貴重な緑の空間として活用していく方向に位置づけられる空間が多いのではないかと思いますが、埼玉、千葉県といったところでは相当広大な農業地域が存在しておりまして、これらの地域では、現に野菜等、活発な農業生産活動も展開されていると承知しております。
ただ、これらの地域につきまして先々宅地化を図っていくということになると、先ほど農林省の方から御答弁ありましたように、鉄道、道路あるいはその他の各種の生活基盤整備等を進めていく必要もあるのではないかというふうに考えております。したがって、そういう計画の進展状況等も見ながら、国土庁としましては、土地利用転換が計画的に図られるように必要な場合には土地利用基本計画の見直しを通じて調整していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/249
-
250・矢追秀彦
○矢追委員 今、農水省それから国土庁から御答弁をいただきましたが、どうも言葉だけのような気がしてならぬわけでございます。今調整をやると言われましたが、農民の立場に立てば残しておきたい、野菜もつくりたい、もちろんあると思います。しかし、これは後でも触れますけれども、片方においては休耕したりする地域もあるし、転作というか、一番問題なのは休耕です。そういうことが全国的には多いわけでございまして、その点まもう少し理解を持って、これだけ皆さん困っておるわけでございますから、もう少し強力な指導というか今の土地利用基本計画の見直しを、もちろん地方自治体の自主性は大事だとは思いますが、国土庁あたりでのもう少し強力な調整はできるのかできないのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/250
-
251・藤原良一
○藤原説明員 年々公共団体等と意見交換しながら調整は図っておりますけれども、特に大都市圏におきましては、宅地の強い需要というものも勘案して、あわせて先ほど来申しておりますように基盤整備の状況、その辺もにらみながら必要な調整をさらに積極的に進めていくようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/251
-
252・矢追秀彦
○矢追委員 次に、国有農地についてお伺いをしたいのですが、国有農地は全国でどれぐらいあるのか。そして、土地の有効利用が叫ばれている折、それらの利用状況はどのようになっておりますの
特に、住宅事情の深刻な東京の中にも国有農地がたくさんございますが、大体で結構ですから、私、詳しいデータをいただいておりますけれども、件数、面積、そのうちの貸付件数と面積及び利用状況、またどういう基準で貸し付けをされておるのか、価格ですね、これをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/252
-
253・柳沢逸司
○柳沢説明員 お答えいたします。
現在、全国に国有農地として残っております面積は千三百二十一・六ヘクタールございます。筆数では二万八百五十筆ということになっております。
また、東京都内におきましては五十三・七ヘクタール残存しておりまして、そのうち二十三区内に残っておりますのは九・一ヘクタールでございます。内訳的には、東京都の二十三区内の九・一へクタールにつきましては、農耕貸付地として五・一ヘクタール、転用貸付地として三・二ヘクタール貸し付けておりまして、残りは未貸付地ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/253
-
254・矢追秀彦
○矢追委員 貸付価格はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/254
-
255・柳沢逸司
○柳沢説明員 貸付価格というのは使用料でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/255
-
256・矢追秀彦
○矢追委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/256
-
257・柳沢逸司
○柳沢説明員 ちょっと戻って調べてきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/257
-
258・矢追秀彦
○矢追委員 では、また後で結構です。
これらの国有農地というのはやはり国民の財産でございますから、これをより有効に利用されるように、もう一度これを洗い直していただきましてきちんとしていただきたい。特に二十三区内においても今言われたようにかなりあるわけでございますから、この点もひとつ対策を講じていただきたいと思うわけでございます。
結局、内需拡大の推進で、問題は、特に大都市圏では土地問題と農業問題となるわけでございまして、その地域内における農業のあり方をどうするかということがやはり大事だ、こう思うわけです。特に、例えば二十三区内にそういう農地があって、そこが宅地にならない。もっと遠いところで農地があって、それが宅地になる。結局、近いところてなかなか放してもらえないと遠いところへ行かなければならぬ。そうすると、通勤で一時間半とか二時間ぐらいかかる人もあるわけでして、これはエネルギーの上からいっても非常にマイナスになるわけですね。今サラリーマンというのは本当に往復の通勤で大体くたくたになりますし、それから通勤だけではなくて子供さんの通学、最近は学校が近くにいいところがあるないという問題もございますけれども、かなり遠いところに通っている生徒さんも非常にふえてきておる状況です。そのエネルギーのロスというのは大変なものがあると思いますし、通勤が満員電車ですから、ついついマイカーを使う、マイカーの方が体が楽ですから。そうするとまた道路が込んでしまう。こういうような悪循環といいますかむだなロスというのが非常にあるわけでして、そういったことも市街地の中にある農家の方に御理解をいただきまして、先ほど交換分合するというようなお話も大臣されておりましたけれども、そういう面も含めまして、都市計画区内の農業のあり方、これは本当に真剣に検討していただきたいと思うわけでございます。
特に、米が過剰になりまして、この奨励金として国は三兆円以上、三兆八千三百八十一億円、六十三年度を含めますと四兆百三十一億円もこれまで出してきておりまして、六十三年度も千七百五十億円、これは全体でございますが、転作の奨励金等も出されているわけでして、ことしの転作面積は七十七万ヘクタール、これは大変な広大な面積であります。もちろん、私、農業も国の基で非常に大事なことでございますから、こういった制度は反対でもありませんし、もっとやるところはやらなければならぬと思いますが、大都市地域の農業、農地のあり方、これを本当にやっていかないと、サラリーマンと農家の方の間にいろいろなトラブルといいますか、何か意識のずれというのが出てきて、やはりいろいろな面でよくないのじゃないか、このように思うわけでございます。
そういったことも含めまして、この大都市内における農業、今回の法律も一つの宅地化への促進にはなると思いますが、さらにもっと本格的な検討をしなければならぬと思うわけでございまして、その点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/258
-
259・望月薫雄
○望月政府委員 大都市圏の宅地問題を考える上で、ただいま先生おっしゃったことは私ども常日ごろ全く同感に考えている次第でございます。これからの当面の宅地対策というものを私ども組織を挙げて勉強、研究、検討させていただいているわけでございますが、確かにいろいろの諸制度の絡みの中で、そちらの面でも改善をしていただかなければならぬ課題もあることも事実でございますけれども、私どもいろいろな角度からの検討を踏まえて、できるだけ早い時期にそういう観点からの分析をしてまいりたいというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/259
-
260・矢追秀彦
○矢追委員 次に、ベッドタウンから複合機能都市化への対応についてお伺いをしたいと思います。
戦後の再建期から高度成長期にかけまして、大都市圏の急激な住宅難解消のために政府は住宅公団、現在の住宅・都市整備公団をつくり、そしてニュータウンをどんどんとつくってこられました。小さな団地を含めますと全国で二百十五地区、三万二千五百ヘクタールにも達しておりまして、これは東京二十三区の五五%、大阪市の一・五倍、そこで生活する人口は三百万を超える、こう言われておるわけでございます。
我が国のこれらのニュータウンは、道路の面積比率、住民一人当たりの公園面積比率、下水道普及率など生活関連社会資本の整備というものは西欧の大都市並みに整備をされてきておるわけでございますが、そっちの方は私はほぼ満足していいのではないかと思っておりますが、問題はニュータウン内での職場の確保、それから、これは先ほどの通勤、通学の問題に関係してくるわけでございますけれども、結果的には勤務地、学校が遠い、こういうことが大きな問題であろうと思います。この原因というのは、職場や学校の問題とともに、一方では住宅対策と交通対策がリンクしていない、こういう点にあると思います。
そのために政府も昭和六十一年に、新住宅市街池開発法、いわゆるニュータウン法を改正されまして、ニュータウン内に事務所、無公害工場、大学、研究施設などの建設も行えるようにされたわけでございますが、まだ一年少々しかたっておりませんけれども、その後これはどういうふうな効果があらわれてきておるのか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/260
-
261・望月薫雄
○望月政府委員 お話しのように、六十一年八月に新住法の改正をしていただいたところでございまして、その結果、今日までまだ一年ちょっとという期間でございますけれども、既に筑波、多摩、それから関西の名塩、この三事業地区におきまして約六十ヘクタールの業務地を入れるという変更がなされております。また、既に幾つかほかの地区におきましても具体的な導入のための検討が進められているところでございますし、さらにまた、新しく新住事業として予定いたしております大阪の阪南丘陵の地区におきましても特定業務用施設の用地の導入を計画しているということ、こういうことで、大変地方公共団体においても関係者においても好意を持って迎えられている、こういう状況になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/261
-
262・矢追秀彦
○矢追委員 今言われましたように、かなり進んできておるとは思いますが、結局、二十一世紀へ向かいまして国土整備の基本となる四全総、これでは住宅開発と鉄道整備、道路整備はどのようにリンクされておるのか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/262
-
263・長沢哲夫
○長沢政府委員 四全総におきましては、特に居住水準が相対的に立ちおくれている大都市圏をむしろ中心といたしまして、もちろん地方もそれなりに大事ではありますが、円滑な宅地供給の促進を図る、特に東京圏におきましては住宅問題、交通問題、環境問題、これらが複合的に問題になっておりますので、こうした課題に対応するという観点から、必要な交通体系の整備と新市街地整備、住宅供給を一体的に進めるという考え方をとっております。
なお、ただいま今国会に提出を準備中の多極分散型国土形成促進法案におきましても、鉄道整備と住宅供給を一体的に進める、そのような趣旨の規定を置くことを、関係省庁とも御相談しながら検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/263
-
264・矢追秀彦
○矢追委員 今言われました問題と、これはこの間からも議論してまいりました首都機能移転の問題ですね、どの機関をどこへ持っていくか、その辺はこの中に考えとして入っておるのかどうか、これから入れていかれるのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/264
-
265・長沢哲夫
○長沢政府委員 東京二十三区からの各種の機能を移転、分散を図る、その一つの受け皿としても、そうした新しい市街地整備は重要な役割を果たすと考えております。
具体的にどの機関がどこへということはまだ申し上げる段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/265
-
266・矢追秀彦
○矢追委員 先日も質問いたしましたけれども、そういった点で、やはり基本的なルールといいますか、哲学といいますか、その点もその地域の町づくりの上にやはりきちんとしておかないと、結局、混乱が起こるといいますか、来たけれども何にもならなかった、その地域に余りプラスにならなかった、人口もこちらではまた減らなかったとか、そういう問題が出てまいりますので、四全総の中で今言われたようなことがされておるわけでございますから、ぜひその点もきちんとしたルールづくりを先にやって、それからその首都機能を移転していく、これはぜひお願いをしたいと思います。
それから次に、首都圏では先ほどもお話ございました多摩地区あるいはまた港北、千葉、市原などで人口二十万から三十万のニュータウンがつくられておりますけれども、これらの地域の複合機能都市化を進める住宅・都市整備公団の計画では、住宅以外に使われる施設用地というのは開発地域のわずか一、二%しかないと私は承知をしております。間違いであればまた訂正をしていただきたいと思いますが、この施設用地の割合をやはりもっと引き上げ、そしてその一方では地方自治体の受け入れ態勢の整備あるいはまた政府のPR、こういったことも積極的に行っていかなければならぬと思います。さらに、これからは高度情報化社会、高齢化社会あるいは国際化、また余暇の進む時代でございますから、そういうことも勘案をした上でやらなければならぬと思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/266
-
267・望月薫雄
○望月政府委員 先生、今御指摘いただいた筑波、多摩、名塩などの団地でのいわゆる特定業務施設用地の面積、おっしゃるように一%ないし二%、名塩はちょっと大きゅうございますが、そういった現状にありますし、千葉ニュータウンでも例えば七・七%という格好で計画している等々ございまして、おっしゃるように、今まで計画した幾つかの大規模団地が必ずしも十分な業務用地地区を備えていないということもございます。現在、千葉ニュータウンにおきましては施設用地の導入によります複合機能化のために土地利用計画の見直しを進めております。また多摩ニュータウンにおきましても施設用地導入のための検討を進めているところでありまして、こういったふうに、お話のような住都公団を初めとする公的機関の行います大規模団地については、私どもお話の趣旨を十分踏まえながら、そういった考え方に立ちまして複合機能都市への道を具体的に土地利用の上でも反映させてまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/267
-
268・矢追秀彦
○矢追委員 次に、これはなかなか難しい問題のようでございますが、住宅・都市整備公団の宅地供給についてお伺いをしたいと思います。
住宅・都市整備公団法の第二十九条一項二号では、公団の業務としては「住宅の用に供する宅地の造成、賃貸その他の管理及び譲渡を行うこと。」こう規定されております。個人向けの宅地に関しては分譲のみであって賃貸はない、このようになっております。ショッピングセンターとか公益施設には用地を賃貸しておるところがあると承知をしておりますが、この点はどういう理由でそうなっておるのかということがまず第一点。
恐らくこの理由としては、公団は独立採算制をとっておりますから財政的な面で賃貸はちょっと難しい、あるいはまた二つ目には、賃貸の場合は又貸し、転貸をしたりすることも想像されて、権利関係が大変複雑になるとそういう管理面等で難しいのかと思いますが、そういう理由であるのかどうか。
私は、国や公団等がみずから宅地を賃貸すると、やはり土地を買わなくてもマイホームだけでも欲しいという人もかなりあると思いますし、そういったことで住民のニーズにある程度こたえることができるのではないか、また、公有地の拡大もできるのではないか、したがって、町づくりの計画も立てやすくなるのではないか、それと地価抑制、こういったこともメリットとしてはあるのではないか、このように思うわけでございますが、その点いかがお考えなのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/268
-
269・望月薫雄
○望月政府委員 個人向けの宅地価格の安定化のために一つの具体の施策、方策として先生からそういう御提案賜りましたことについて、私どもも大変興味を持って検討させていただきたいという気持ちをまず持つわけでございますが、実は現在までのところ実現できていないのにはそれなりの理由がございまして、御案内のとおり住宅・都市整備公団のいわゆる原資は財投資金をお借りして事業を進めている、こういった中で、金利を伴うお金を使って事業をやっているというところにまず一つ基本的な事情がございます。
それともう一つ、住都公団の宅地分譲はもう御承知のとおり二十年間の割賦償還を可能として現在やっている、こういう仕組みの中でございまして、言ってしまえば購入者にとってどの程度のメリットがあるかということをちょっと私ども試算してみた次第でございます。先生の御提案等も含めて、とりあえず例えば二千万円という土地を頭に置きまして考えたときに、借地権というものが当然まず一時金を払わなければならぬという事情があることは御賢察のとおりでございまして、大体これは六割というふうに置きまして、借り入れの資金コストを五・二五%、割賦期間を二十年というふうに仮に試算いたしました結論だけ申し上げさせていただきますと、賃貸の場合と分譲の場合で個人がお払いするお金が月一万円程度違うだけと言っては大変御無礼でございますが、そんな数字が出てまいります。要するに、そういった個人が負担する月々のお金も含めてそれほどのメリットが出てこないということがございまして、これはある意味では当然でございまして、公団にとりましても、冒頭申しましたように借入資金を使ってやるということからすると資金コストを上回る地代を設定しなければならないわけでございまして、そういった事情の中でちょっとこれはまだ幾つか克服しなければならない課題があるな、こんな感想を持っております。
ただ、そうは言いましても、住都公団におきまして、一部でございますけれども、地主から土地を借りましてこれを造成し賃貸住宅を供給するといった施策をやっているところでございます。これは特別借地方式賃貸住宅制度と呼んでおりますが、昭和五十八年度から実施いたしておりまして、今日まで九百三十八万戸の供給実績を見ております。これはいわば公団が地主さんから土地をお借りして賃貸住宅を供給するという仕組みでございますが、これもなかなか地主さんとの意向調整などを伴いますけれども、私どもできる限り進めてまいりたいと考えている次第でございまして、先生のお話の件もちょっと勉強させていただきたい、こう思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/269
-
270・矢追秀彦
○矢追委員 次に、公有水面の埋め立ての問題について最後にお伺いをしたいと思います。
これも先ほども少しお触れになっておられましたけれども、内需拡大のための規制緩和策の一つとして、分譲を目的とした海などの埋立事業に民間企業が参加しやすいように公有水面埋立法の施行令が昭和六十一年七月十一日に改正をされました。その結果、事業主体について国や地方団体の出費比率が二分の一以上となっていたのが三分の一以上に引き下げられ、民間はこれによって三分の二まで出資できるようになったわけでございまして、民間主体の資本構成が可能になって、土地需要の大きい東京や大阪などの臨海部の大規模開発に民活導入という点では環境が整ってきたように思うわけでございます。
この点は、今後ともこれでかなり大規模開発が進むと予測されておられるのですか。現在どのような状況になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/270
-
271・望月薫雄
○望月政府委員 御答弁を申し上げる前に、先ほど私、住都公団の土地借り入れによる住宅供給を九百三十八万戸と申し上げたそうでございますけれども、九百三十八戸でございますので、おわびして訂正させていただきます。申しわけございません。
それで、ただいまの埋め立てによる宅地供給の件でございますけれども、おっしゃるように、昭和六十一年から施行されました公有水面埋立法の改正によりまして民活が大分ききやすくなっているわけでございます。これまでも、宅地供給の上で海面埋め立てによってかなりの土地を供給してきたということは先生もお話しのとおりでございまして、私ども運輸省の調べを今見てみますと、東京湾でも大体千百六十ヘクタールというかなり大きなものが住宅用地として供給されてきているという経緯がございます。具体的には、住都公団の浦安あるいは品川、八潮、葛西クリーンタウンなどというような大きな団地もありますし、大阪湾の地域ではポートアイランド、六甲アイランドなどがその具体の例でございますが、私どももこういった海面埋め立てによります宅地供給というものも大変大きな政策テーマというふうに考えている次第でございますけれども、一方で、東京湾、大阪湾という湾域におきましては、埋め立てをめぐりまして環境との調和問題が大変いろいろと難しい課題を提起している時期に入ってきております。それからもう一つは、こういった埋め立てをやった場合には大量交通アクセスをどういうふうに整備するか、これに伴ういろいろの課題もある次第でございまして、いずれにしても、今のところ具体的にどこという検討はまだできておりませんが、今後関係機関との調整を緊密にしながら考えてみたい、こんなふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/271
-
272・矢追秀彦
○矢追委員 地価の抑制についてはこれが大きな力になろうかと思いますけれども、今もお触れになりました環境アセスメント、これはやはり完璧に行っていかないと今言われたようにいろいろな問題が出てくるわけでございますので、完璧を期した上で、きちんとした都市計画のもとに埋め立てをやっていただきたいと思うわけでございます。東京や大阪などの大都市地域では、地下鉄、道路、下水道、地下街、そういった都市基盤整備あるいはまたビルの建設で相当の建設残土が生み出されておるわけでございますが、これは大体どれくらい出ておるのか。これはどう処理をされておるのか。これからも莫大な量の建設残土の出ることが十分予想されるわけでございますが、これの活用等について、またそのほか、いわゆる下水処理あるいはごみ処理の後のものもございますので、そういったものをどう活用していくのか。現に東京湾では建設残土やごみの捨て場には大変苦慮しておりますし、夢の島も数年後には満杯になる、こう予想されておりますので、その点は技術面も含めましてどういう対応をしていかれるおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/272
-
273・望月薫雄
○望月政府委員 東京圏一都三県、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の地域でございますが、この地域におきまして、ちょっとデータは古うございますけれども、昭和六十年度の建設残土は約五千二百万立米発生しております。このうち九百万立米が海面埋め立てに使用されておりますが、そのほかは内陸地でもって処分あるいはその他の工事に流用しているという実情がございます。
ついでにと言っては失礼ですけれども、近畿圏の場合を申し上げさせていただきますと、二府五県、大阪、京都、福井、滋賀、兵庫、奈良、和歌山、この圏域でございますけれども、この圏域で、昭和五十五年度のデータでございますが、建設残土は三千五百万立米発生しておりまして、そのうち八百万立米が海面埋め立て、その他が内陸処分あるいは他の工事への流用、こういった実情でございます。
今後この問題は当然、今お話のありましたように、公共事業あるいは地下空間の利用の増大、さらにまた都市再開発の進展というようなことに伴いまして膨大な量の発生が予想されております。首都圏で申しますならば、一都三県でございますけれども、私どもの試算では昭和七十年度の数値として七千三百万立米という数字が見込まれておりまして、これにつきまして、適正な海面埋め立てが一つ出てこようと思いますが、あわせて他の工事への流用ということも重要な課題だと思っている次第でございます。
いずれにしましてもこういった問題は、今お話しのように、そのほかのいわゆる産業廃棄物的なものも含めて考えますと大変重大な問題だと私ども考えております。実は昭和五十六年でございますけれども、建設省も大変この問題を重視しているところでございまして、近畿圏と首都圏におきまして建設残土対策連絡協議会というものをつくって、特に公共工事間の残土流用の促進を図っておるという次第でございますが、今後の発生量が先ほどもちょっと申しましたように大変増大する、こういった中で、ひとつ基本的な問題を調査研究したいという構えでおります。六十三年度もこの関係の予算も計上させていただいて、自治体も含めて相談しながら調査してまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/273
-
274・矢追秀彦
○矢追委員 以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/274
-
275・中村喜四郎
○中村委員長 西村章三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/275
-
276・西村章三
○西村委員 基本的なことを若干お尋ねいたしますが、全国的な宅地供給の推移を見てまいりますと、いわゆる土地狂乱と言われました昭和四十七年、四十八年当時と比べまして、近年は宅地供給量が極めて減少いたしております。ピーク時の約半分以下ということでございまして、公的供給あるいは民間供給ともに減少いたしているわけでございますが、この減少の大きな背景、原因はどのように認識をされておるのか。特に三大都市圏の宅地供給量の実績はどうなっているのか、その状況及び今後供給の拡大は可能であるのかどうか、その見通しをまずお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/276
-
277・望月薫雄
○望月政府委員 お話しのように、昭和四十七、八年当時のいわゆる非常に多く供給された時期と比べまして、今日は宅地供給量は公民合わせて半減いたしております。お話しのように、六十一年度でいいますと一万四百ヘクタール、こういったふうな数字になっておりまして、これが減ってきた理由は具体的にはいろいろあろうと思いますけれども、幾つか申し上げさせていただきますと、一つは、やはり農地等の所有者の土地保有志向というものがかなり高くて、いわゆる宅地開発のための素地が非常に手に入りにくくなってきた、こういった点が一点あろうと思います。それから二つには、開発に要する時間がかなり長期化してきている、そのために開発費負担の増大ということで宅地開発事業の採算性というものが非常に悪くなっているということがあろうかと思います。それからさらにもう一つ、これは地方公共団体の姿勢にかかわることでございますが、どちらかというと大都市地域の公共団体は一般的に抑制姿勢が強い、こういったことなどなどが関係しているのではないかと思っております。
それで、今、特に供給の量をちょっと三大都市圏の地域だけで見たらどうかというお話もございましたので、見てまいりますと、六十一年度は、先ほど一万四百ヘクタールと申し上げましたが、これは全国ベースでございますので、このうちの五千百ヘクタールが三大都市圏の宅地供給量でございます。六十一年度から六十五年度までに私ども建設省としては宅地供給量を二万七千六百ヘクタール必要だ、これは必要の数字でございますが、こう見込んでおりますけれども、今の一年間で五千百ヘクタールといいますと五年間でも二万七千六百ヘクタールという目標に到達しにくいのじゃないか、こういうことで、宅地供給の当面の見通しはかなり厳しいものがあるという基本認識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/277
-
278・西村章三
○西村委員 減少原因の中で農地の保有志向が強いということでございましたが、特定市街化区域農地のうちで宅地化をされた実績及びその推移というものを簡単に御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/278
-
279・望月薫雄
○望月政府委員 三大都市圏のいわゆる百八十九市にあります特定市街化区域内農地でございますけれども、これは近年、年平均で大体千二百ヘクタール程度ずつ減少してまいっております。五十八年度から六十一年度までの間を累計いたしますと四千九百ヘクタールぐらいでございまして、それを単純に四年で割りますと千二百ヘクタール、こんなことを申し上げたわけでございますが、私どもの推計では、そのうち大体五五%が住宅地に転用されている、こんなふうに見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/279
-
280・西村章三
○西村委員 三大都市圏での宅地の供給量の見通しはまことに厳しいようでございますが、住宅供給あるいは宅地供給の推進に当たって一番必要なのは、やはり需要の多い三大都市圏での供給増でございます。建設省の調査を見てまいりましても、いわゆる市街化区域の農地の保有者の方々の意向というのは、転用、売却するというのが非常に少のうございまして、そういう面ではなかなか見通しが暗いのでありますが、農地の利用についてやはり営農継続の意思が非常に強い。仮に転用するということになりましても、農地を保有したまま一部転用する、こういう希望が強いわけでございます。また宅地に転用した場合の利用計画の中では、いわゆる賃貸住宅の供給が多い。したがって、これからの政策といたしましては、やはり農地の宅地への転用をいかに図っていくのか、あるいは宅地として供給されることが非常に重要でありまして、その誘導策をどう強化していくのかということだと思うのであります。
今審議をされておりますこの利子補給法あるいは宅地化促進法、これが農地の宅地化あるいは住宅供給を図っていく上で一体どういう役割を持つのか、どの程度評価をされておるのか、このあたりを聞かせていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/280
-
281・望月薫雄
○望月政府委員 お話しのとおり、私ども昭和六十二年、昨年でございますけれども、調査したアンケート等の調査によりますと、市街化区域内農地の所有者でございますけれども、十年以上引き続きほとんど全部を農地として使っていきたいという農家の方が六割を占めているというふうな数字がございます。事ほどさように、農家の方々農地を保有していこうという意識が強いわけでございまして、そういった中で市街化区域内農地の宅地化促進をどう図っていくか、どういう選択がベターであるか、こういった選択が迫られているというふうに私ども思っているわけでございます。
基本的には、いろいろな対策というものがあろうかと思いますけれども、やはり一つには、所有者の保有志向、保有意識というものを十分踏まえた上での宅地供給、こういったことが大事であろうと思いまして、今般御審議賜っている二法もまさしくそういった観点から御提案させていただいている次第でございますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/281
-
282・西村章三
○西村委員 次に、農住法のことで若干お尋ねをいたします。
先ほどからも同僚議員から御質問がございましたので、簡単にお尋ねしたいと思うのでありますが、農地を利用した宅地の供給策のためには、やはり農住組合制度の積極的な活用が図られる必要があるわけでございます。農住組合制度は、農地を宅地として供給する際に面的な整備もあわせて行えるものでございますから、良好な宅地供給に資するものでありますし、また、営農も継続できるという有効なものであります。
したがって、今後この活用促進策としてどのような措置を考えておられるのか、さらに、この活用のためには適用条件あるいは助成策においてももっと充実強化を図る必要があるのではないか、特に特定市の農地は非常に規模が小さいわけでございまして、これに対する配慮を今後どうとっていこうとされるのか、農住組合関係につきましては、まずこの点についてお尋ねをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/282
-
283・片桐久雄
○片桐政府委員 農住組合法につきましては、国土庁、建設省、農林省三省庁の共管になっておりますけれども、私の方から答弁させていただきたいと思います。
昭和五十六年に農住組合法がつくられて以来、現在までのところ十二地区において設立されているわけでございます。特に六十一年以降二年間の間に七組合が設立されるということで、近年各地で設立の動きが活発化している次第でございます。
この農住組合の活用を積極的に推進するということで私どもいろいろ努力をしてきているわけでございますけれども、やはり何といっても、農住組合法の活用を進めるためには地方公共団体における都市部局、住宅部局、農政部局、こういう各部局の協力体制が非常に重要であるというふうに思っている次第でございます。
先ほど申しました十二組合という中で四組合が三重県、三組合が埼玉県というようなことで非常に地域的に偏っているわけでございますけれども、これは埼玉県とか三重県におきましては、県内の連絡体制が非常によく整って、推進が軌道に乗っているというふうに思っている次第でございます。私どもとしましても、農協系統組織の協力を得ながら地方公共団体の連絡体制、指導体制の強化を図って、農住組合制度の普及、啓蒙を徹底していきたいというふうに思っている次第でございます。
それから、西村先生から御指摘のありました農住組合制度の適用要件の緩和等の問題でございますけれども、その法律で組合の設立認可期限が昭和六十六年までというふうに定められているわけでございまして、ちょうどこの設立認可期限の延長問題ということを私ども検討いたしておりまして、この期限の延長問題と含めまして、また農住組合のそういう要件の緩和、それからまた助成措置の充実等につきましても今後検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/283
-
284・西村章三
○西村委員 この認可期限の延長もさることながら、特定市の農地の規模が非常に小さい、二ヘクタール以上という適用条件の緩和、これは具体的には一体どういう方向で考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/284
-
285・片桐久雄
○片桐政府委員 市街化区域の農地につきましては、かなり小規模な農地が残っていることもございまして、現行の二ヘクタールの適用要件というのが少し広過ぎるのではないかという実態もいろいろございまして、私どもといたしましてはこれを縮小するような方向で検討してまいりたいということで、現在、検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/285
-
286・西村章三
○西村委員 次に、今申し上げましたように、三大都市圏の農地は非常に規模が小さいのでありますが、この宅地化を図るためには、周辺との調和あるいは都市計画というものが非常に重要になってまいります。都市緑地の保全あるいは良好な宅地供給、町づくりのための地区計画の導入などにつきまして、建設省としてどういう認識を持っておられるのか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/286
-
287・木内啓介
○木内政府委員 市街化区域内の農地につきまして、ある程度の規模のあるものについては土地区画整理事業等の実施が有効かと思われますけれども、ただいま先生御指摘のように、非常に小規模な、例えば介在農地みたいな感じの宅地化につきましては、適正な配置規模の公共施設の伴った計画的市街化を誘導するというふうな意味では、確かにおっしゃいましたような地区計画制度を活用しますと細街路とかちょっとしたオープンスペース等を地区施設として決定できますので、そういった地区計画制度を大いに活用するというのが非常に現実的でもあろうかと思っております。今後とも積極的な導入を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
ちなみに、地区計画制度ができてから最近だんだんふえてまいりまして、全国に二百六十五地区までなってまいりました。その中で、今先生のおっしゃるような介在農地的なものへの対応として、二号地区と法律上申しておりますけれども、スプロール防止等の観点から指定されたものが五十九カ所ございます。こういったものを極力ふやすよう努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/287
-
288・西村章三
○西村委員 最近、市街化区域農地のうち長期営農に係るものにつきましては、いわゆる調整区域に逆線引きをするとか生産緑地として指定するなど、いわゆる都市計画との整合を図るべきではないか、こういう意見も非常にございます。また、農地を一律に宅地化せずに、宅地化を進めるべき農地とオープンスペースとして残す農地を分けるべきだ、これは新行革審の土地対策検討委員会等もそういう志向のようでございますが、これらの意見について、建設省としてはどういう見解をお持ちになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/288
-
289・木内啓介
○木内政府委員 御指摘のように、農地を一律に宅地化するという、必ずしもそういうことでなくて、長期営農農地を一部は調整区域に逆線引きするというふうなこと、あるいは残ったところである程度のまとまりのあるものを生産緑地とするというのは、きちんとした方法だと思われます。現に、逆線引きにつきましては、第二回目の逆線引きにおきましても調整区域へ編入したものもございますし、そういう方向で進めてまいりたいと思います。
ただ、生産緑地というふうなことになりますと、現在の宅地並み課税がやはり長期営農農地においては宅地並みになっておりません。そこの関係でなかなか生産緑地の方へ移行しないという現実はございますので、この点、ちょっと苦しいところでございますけれども、考え方としてはよくわかるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/289
-
290・西村章三
○西村委員 確かに今局長の御答弁のとおりでございまして、生産緑地制度の指定の面積数あるいは地区数は五十七年から六十一年にかけてはほとんど全国的に横ばいでございます。また、三大都市圏につきましても、いわゆる特定市の市街化区域内の農地、その面積からいたしますと、現在、制度として指定をされておりますのはわずかに百分の一程度だということでございます。まだ若干東京都内の方が進んでおるというような状況でございます。
この生産緑地制度は、この法律が制定をされた当時は、一定期間を経ればA、B農地の約三割ぐらい、およそ五千ヘクタールぐらいは見込めるのではないか、これは昭和四十九年の四月三日にこの衆議院の建設委員会で都市局長が明確に答弁をいたしているわけでございます。この見込みからいたしますと全く見当外れでございまして、事実上今申し上げたような結果になっております。したがって、制度の見直しが必要であると思うのですが、一体、生産緑地制度に移行しない原因が数多くございます。
この生産緑地制度が生かされない低調の原因は、一つには、長期営農継続制度の認定を受けたために宅地並み課税の適用を受けない、したがって生産緑地の指定のメリットが少ないということが一つあります。二つ目には、公共用地に転用することに限定をされておるということ。三つ目には、建築制限をされておる。四つ目には、土地所有者の同意が必要なために計画的な指定というものが非常に難しい。五つ目には、公共用地として生産緑地を指定する必要性が少なく、また買い取り請求も応じられないときもある。こういう懸念がすべてこれは低調の原因につながっているわけでございまして、そういう意味では大いに制度の見直しが必要であり、スムーズに移行するためには一体どうしたらいいのか、現行の一種、二種という分け方にもこだわらずに今後方策を検討すべきではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/290
-
291・木内啓介
○木内政府委員 先生の御指摘、ごもっともだと承っておりますけれども、以前に生産緑地の見込みが思ったよりいかなかったというのは、私のずっと前の局長さんの見込みというよりは、社会的な情勢が、宅地並み課税のあれが変わってきているということが大きいのじゃないかと思われます。
先生の御指摘のところで、生産緑地をもう少しふやすという意味ではいろいろ御指摘の点あろうかと思いますけれども、そういった点、私どもとしましても検討してはまいりたいと思いますけれども、ただ、どうしても生産緑地と宅地並み課税との関係が絡みがございますので、今の長期営農制度を前提にしましていろいろ制度を仕組んでみましても果たして予想したほどふえるかどうかという点につきましては私どもどうしても心配が残るわけでございますので、そういう宅地並み課税の強化というのか、そういった方向とあわせて検討しないとまた見込み外れになるのじゃないかという心配をしているのが正直なところでございます。あわせて検討をしてまいるべきではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/291
-
292・西村章三
○西村委員 市街化区域内農地の宅地化につきましては、単に宅地並み課税、これの適正化というだけではなくして、良好な宅地供給、都市のスプロール化防止の立地からも、農地を宅地化する際には賃貸の住宅の供給施策あるいは面的整備の一層の推進、改善充実というものが必要でございます。最後に建設省の今後のこの問題に対する取り組みの姿勢を伺いまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/292
-
293・望月薫雄
○望月政府委員 先生るる御質問、御指摘いただきましたように、大都市圏での宅地供給、大変大事な課題であります。その中で私ども、市街化区域内農地の今後の宅地化というものは非常に重要な課題と思っておりますが、一方で、市街化区域内農地というものは、そこそこの環境的機能だとかあるいは防災上の機能だとかあるいは生鮮野菜の供給とか、いろいろな側面があることも事実でございます。そういった意味で、先般来大臣も御答弁申し上げておりますように、本当に農地として残すべきものについては逆線引きということも含めてやらなければならないが、あわせてやはり宅地供給促進という観点から市街化区域内農地に対する宅地並み課税、これをより厳正にひとつ執行、運用していただきたい、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/293
-
294・西村章三
○西村委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/294
-
295・中村喜四郎
○中村委員長 次回は、明二十五日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00419880324/295
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。