1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年四月二十日(水曜日)
午前十時五分開議
出席委員
委員長 中村喜四郎君
理事 加藤 卓二君 理事 東家 嘉幸君
理事 野中 広務君 理事 野呂田芳成君
理事 東 力君 理事 中村 茂君
理事 矢追 秀彦君 理事 西村 章三君
榎本 和平君 遠藤 武彦君
大塚 雄司君 片岡 武司君
金子原二郎君 木村 守男君
北村 直人君 桜井 新君
田村 良平君 松田 九郎君
松永 光君 村岡 兼造君
若林 正俊君 小野 信一君
木間 章君 坂上 富男君
三野 優美君 大野 潔君
伏木 和雄君 青山 丘君
伊藤 英成君 辻 第一君
中島 武敏君
出席国務大臣
建 設 大 臣 越智 伊平君
出席政府委員
国土庁土地局長 片桐 久雄君
国土庁大都市圏
整備局長 北村廣太郎君
国土庁地方振興
局長 森 繁一君
建設大臣官房長 牧野 徹君
建設大臣官房総
務審議官 中嶋 計廣君
建設省建設経済
局長 望月 薫雄君
建設省都市局長 木内 啓介君
建設省住宅局長 片山 正夫君
委員外の出席者
建設委員会調査
室長 佐藤 毅三君
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委員の異動
四月二十日
辞任 補欠選任
大塚 雄司君 若林 正俊君
橋本龍太郎君 北村 直人君
松永 光君 片岡 武司君
伊藤 英成君 青山 丘君
同日
辞任 補欠選任
片岡 武司君 松永 光君
北村 直人君 橋本龍太郎君
若林 正俊君 大塚 雄司君
青山 丘君 伊藤 英成君
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四月十八日
東京駅周辺地区再開発に伴う丸の内駅舎の復元と保存活用に関する請願(内海英男君紹介)(第一六〇三号)
同(相沢英之君紹介)(第一六四七号)
同(伊藤英成君紹介)(第一六四八号)
同(金子みつ君紹介)(第一六四九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案(内閣提出第六四号)
宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)(参議院送付)
住宅に関する件(住宅・都市整備公団の家賃の変更申請に関する問題)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/0
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001・中村喜四郎
○中村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三野優美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/1
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002・三野優美
○三野委員 おはようございます。
ただいま議題になっております大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法、大臣が今おりませんから後で大臣にお聞きしようと思っていますが、局長、この法律は、いわば大都市に人口が集中をしている、大都市に人口が集中しているということは働く職場は現に存在しておる、したがって、働く人たちが地方から大都市に集中している、ところがその人たちが安全でしかも快適な、いわば労働条件を確保する後ろ盾となる宅地が不足している、そういう住宅地を確保しようとしている法律であることは間違いないだろうと思うのですが、その点について、この法律の意図する基本的な考え方をまず聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/2
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003・望月薫雄
○望月政府委員 今般御提案申し上げております法律は、文字どおり現在の大都市地域、とりわけ首都圏等で最も深刻になっておりますが、この宅地の需給の厳しい現実、こういったものに対してどう的確に宅地を供給していくかということにすべての思いを込めている法律でございます。そういった中で、とにかく宅地供給を的確にいたしていくということが眼目であるわけでございますが、ただいま先生おっしゃったように、それと大都市集中の加速化ということの関係等のことも含めての御指摘と思いますけれども、私どもは全くそういうものではなくて、現実起こっている宅地需給の逼迫と将来を展望しての深刻な事態、こういったものに対して言うなれば中堅勤労者などを対象にした宅地を的確に供給するための基盤を整備したいというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/3
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004・三野優美
○三野委員 今の答弁の中で、大都市に人口が集中している、当面緊急的な措置をしなければならぬという法律だろうと思うのです。将来展望ということはどういうことを意味しているのでしょうか。将来もさらに大都市に集中するであろうということを予測しているの。そうではないのでしょう。この点だけちょっと確認しておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/4
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005・望月薫雄
○望月政府委員 例えば一都四県のいわゆる首都圏の地域、東京圏の地域につきまして先般の四全総のフレームを見ましても現在の人口三千万が三千三百万になる、こういったいわば自然増の形態、あるいは地方分散を進めてもそれだけの人口増がある、こういうところまで見通しての宅地供給を緊急に進めたい、こういう考え方でございまして、さらにそれ以上、先に向けてどんどん宅地を開いていこうというような考え方は現在のところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/5
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006・三野優美
○三野委員 そうしますと、三大都市圏が中心になっているんでありますが、いわば四全総の中で東京三千万が三千三百万になるというんですが、今の現状も含めて東京圏、名古屋圏、大阪圏において居住用の宅地の不足は現状はどうなっているのか。そして、四全総が目指す範囲の中における、最も近い将来、これは十年間の法律でありますから、十年間にどれだけの需要があり、供給するテンポとの格差というのはどれだけあるのか、それぞれの圏でどれだけ必要なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/6
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007・望月薫雄
○望月政府委員 建設省におきましては、六十一年から七十年度までの十カ年間の宅地需給計画を実はつくっておりまして、この計画によりまして見ますると、全国で大体十一万ヘクタール余りの宅地が必要である、新規開発が必要である、こういったふうな見通しを持っております。
これに対しまして圏域別にどうかということでございますが、特に首都圏では二万六千三百ヘクタール、近畿圏で一万三千四百ヘクタール、それから中部圏で一万三千六百ヘクタール、こういった宅地が新たに必要である、都合、合わせますと、先ほど全国で十一万余りと言いましたけれども、その半分に近い五万三千ヘクタールというものが三大都市圏で必要になる、これは十カ年間の見通しでございます。
なお、ついででございますけれども、四全総におきます東京圏の宅地需要予測というのは、これは昭和七十五年度を展望してのものでございますが、これは一都三県の区域でございますけれども四万ヘクタール、こういうふうに見られているところでございまして、四全総の見通しからしましても私どものいわゆる十カ年見通しからしましても、とにかく相当な宅地需要が現実に見込まれる、こういうふうな認識に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/7
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008・三野優美
○三野委員 さて、三大都市圏で五万三千ヘクタールの需要がある、それに対して、過去五年なり十年の供給は一体どうなってきているのか。いわば不足分がこの緊急措置法に基づいて対応しようということなんだろうと思いますが、その点もあわせてひとつお尋ねをしておきたいと思うのであります。
それからいま一つは、宅地確保の手法というのは、どういう方法でどういう形態が幾つあるのか、これをちょっと示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/8
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009・望月薫雄
○望月政府委員 先ほど三大都市圏で五万三千ヘクタールということを需要見通しで申し上げましたけれども、供給の実態はどうかということになりますと、例えば昭和六十一年度の数字で見てみますると、全国で一万四百ヘクタール供給されたわけですが、その中で三大都市圏は五千百ヘクタール、こういった状況になっております。この五千百ヘクタールという数字と先ほど私の申しました宅地需給見通し、これはちょっと細かい数字になりますけれども、前期五カ年と後期五カ年間で実はやっておりますけれども、前期五カ年で大体見込まれている必要量に対して供給の実績は、答えだけ申し上げますと、三大都市圏の年間平均見通しに対して四百ヘクタール供給が下回っている、こういう状況でございます。
それからもう一つ、要するに、宅地供給、宅地確保の手法の御質問でございます。これはもう御案内のとおり、土地区画整理事業を初めとしまして、いわゆる新住事業あるいは開発許可、こういったふうなさまざまな手法で宅地供給を展開しているわけでございますけれども、とりわけ事業主体別にも、住宅公団の役割あるいは住宅供給公社の役割というふうな公的な主体がかなり頑張っていることも事実でございますが、ならして見ますると、公的開発が今までの実績では大体三割ぐらいの状況でございます。残りの七割は民間開発に依存している。具体的な開発許可……(三野委員「四百というのは年間ですか」と呼ぶ)年間でございます。先ほどの需給のギャップの四百は年間でございます。それだけ足りないということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/9
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010・三野優美
○三野委員 四百へクタール三大都市圏で足らぬということになると、十年間で四千ヘクタールあればいいわけですね。四千ヘクタールを確保する、これが当面緊急に十年間を見通しての必要量。
そこで、この四千ヘクタールを開発する手法、一つは今出されました今度の緊急措置法案、これは一つの役割でありましょう。そのほかに、総合的にいって四千ヘクタール、いわば足らぬ分の四千ヘクタールをつくればいいわけですから、当面それをやらなきゃならぬ。どういう手法があるのか。
私は、宅地確保の手法として、一つには、今優良でない環境の土地を優良な住宅にするための都市構造の改造というのがあると思う。いわば都市の再開発というのが一つの手法でしょうね。これが一つ。二つ目には、これは賛成、反対は別として、やはり日本列島を広げる、いわば海面の埋め立てその他により新しい土地の確保、これがあるでしょう。三つ目には、都市周辺における農地、山林、雑種地等の宅地への転換、主にこの三つの手法が考えられると思うのでありますが、そのほかにあるかどうか。そして、今出されるこの緊急措置法というのは、もし私が言う三つの手法があるとすれば、その三つの手法のうちどの部分を指しているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/10
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011・望月薫雄
○望月政府委員 これからの宅地需要、もっと厳密に言うと住宅地需要、住宅需要、こういったものにこたえていくためには、全く今先生お話しのように、都市の再開発、あるいはまた場合によっては埋め立て、あるいはまた市街化区域農地の転用の問題、さらには調整区域の開発促進などなどが総合的に展開されなければならぬということは、全くお話のとおりと思っております。私ども今回御提案申し上げておりますのは、そのうちのどの部分だけというふうに限定はあえていたしませんけれども、主としてやはり調整区域におきます開発許可を促進しよう、こういったところに主眼を置いているものでございまして、そういった観点から調整区域におきます開発許可ということも今後の宅地供給をトータルとして支えていくためには非常に大事な部分である、こういった認識に立っておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/11
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012・三野優美
○三野委員 私もこの法律を見せていただいた限りにおいては、私が今三つのタイプを提起したわけですが、三つのタイプの三の部分、いわば調整区域における農地、山林あるいはその他の宅地以外の土地を宅地化しよう、こういうことなんだろうと思うのです。
さて、そういうことになりますと、先ほど言った十年間に四千ヘクタール不足するんだよ、この四千ヘクタールを十年間につくれば一応政府が目指している宅地確保というのはできるのでありますが、大まかでいいですから、大まかに見てその四千ヘクタールの中でこの法律が果たす役割というのはどのくらいに見ているのでしょうか、あるいは都市再開発でどのくらい見ているのでしょうか、ひとつあなたの方の御意見を聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/12
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013・望月薫雄
○望月政府委員 さっき私の御答弁申し上げたことがちょっと正確を欠いたかと思いますので、明確にさしていただきますと、六十一年度の供給実績と私どもの供給見通し計画との間で年間平均四百ヘクタールのいわば落ち込みがある。したがってその部分だけやればいいということじゃなくて、根っこから必要な宅地供給量というものは三大都市圏では五万三千ヘクタール、十年間で必要でございます。ですから、お話しのように四千ヘクタールのみではないわけでございますが、その五万三千ヘクタールという全体の需要に対しまして、私ども、公的供給と民間の供給というものを当然両にらみで考えなければなりません。公的供給、具体的には住宅公団の仕事とか住宅供給公社の仕事、こういったもので私ども大体一万五千ヘクタールはねらっていきたい、言うなれば三割近くのものは公的供給でやっていきたいというように考えております。残りの七割強、三万八千ヘクタール余りのものは民間供給に大きく期待したいし、また進めたい、こういうふうに考えているわけでございます。その民間供給の中に、そのうちの、民間供給の大体三割程度は新しい開発許可でいきたい。じゃ、残りの主たる部分は何があるかということですが、そのほかには組合施行の再開発事業、これもございますし、あるいは小規模なものも含めての一般的な農地等あるいは山林等の宅地化の促進、こういったものがあるわけでございます。
それで、先生今御指摘のいわゆる再開発の問題でございますが、当然私どもは、再開発の中でも実は厳密に言うと二種類というか、いろいろあるわけでして、工場跡地等を住宅地に転用しようという再開発、これはもう新規の宅地供給として私ども組み込んでいきたいと思いますが、その主たるものとしては、公共的色彩のものと民間の組合施行と二つあると思います。それ以外に、いわば従来も住宅地であり、かつ、今後とも住宅地として再開発していこう、これは実は私ども、先ほど冒頭申しましたように五万三千ヘクタール必要だという宅地需要の見通しの外側に置いておりまして、住宅供給施策としてそれはカバーしていきたい、そういった処置をした上で、なおかつ必要な宅地供給が五万三千だということを、前後しますけれども申し上げたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/13
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014・三野優美
○三野委員 局長、私の方の勘違いかもしらぬけれども、いわば十年間で五万三千ヘクタール三大都市圏で必要なんだよ、こうまずあなたが言われたね。それはそれでいいです。いわば過去の実績、特に六十一年度の実績を見ると、需要に対して供給の不足部分が三大都市圏で四千ヘクタールだよ。いわば今度の新しいこの法律というのは、今までずっと需要に対して宅地が確保されていった、それでは足らないものですから、その不足部分を緊急措置としてやろうと言っているわけなんですね。それがこの緊急措置法案。そうすると、足らない部分というのは何かといえば四百ヘクタール、それを十年間だったら四千ヘクタール、これを確保すればいい、これがこの法律の役割なんだな、こう聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/14
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015・望月薫雄
○望月政府委員 私先ほど御答弁申し上げた数字、全体の数字を申し上げましたのは実はそこのところでございまして、四百ヘクタールというのは、たまたま最近の傾向として年間四百ヘクタール落ち込んでいるわけです。ところが、中期的、長期的に見たときに、十カ年間展望したときに、例えば六十一年度は一万四百ヘクタール供給できたと申し上げましたけれども、なかなかいろいろな事情がありまして、この一万四百ヘクタールというものをコンスタントに、安定的に供給できるかという問題がまずあります。したがって一万四百ヘクタールというものをまず将来とも確保していかなければならぬという課題がありますし、加えて、それでもなおかつ四百ヘクタールという、目標にも及ばないという現実がある。両方込み込みでもって私どもはこの開発許可を促進していきたいというふうに考えておる次第でございます。
そういった意味で、先ほど申しましたような民間開発の部分が大きいわけですが、先ほど民間が七割で、そのうちの三割ぐらいを開発許可でやりたいというふうに申し上げましたけれども、せいぜいそのうちの半分くらいは、私ども今回の新しい制度によって進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/15
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016・三野優美
○三野委員 そこのところ、少しまだ詰めが足らぬと思うのですが、時間が過ぎますので次に移ります。
では、そうしますとこの法律は、さっきからも説明があったように、三大都市圏の人口密集地域、その周辺のいわば白地部分ですね、調整区域、白地部分を目標に、これを新しい法律でもって、措置法でもって開発していこう、こういうことなんですね。この法律が適用される範囲というのは三大都市圏の周辺に大体どのぐらい——適用できるかどうかは別として、適用範囲というのはあって、しかも十年間で、他のいろいろな今までの手法でやるのは別として、この法律でもって新しく優良宅地が開発できる見通しというのはどう持っているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/16
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017・望月薫雄
○望月政府委員 今回御提案申し上げている制度は、大都市地域、大都市圏での宅地需給を確保しようというものでございますので、おのずから、俗な言い方をすれば東京等都心部から通勤圏が、ある一定の圏域というものを概念いたしております。それは具体的に言うと、首都圏で言いますならば既成市街地とそれから近郊整備地帯、そしてその付近の別途政令で定める区域、こういうことになっているわけです。大体大ざっぱに言えば四、五十キロ圏の区域を念頭に置いて考えていこうというものでございます。
それでは、この区域にどういうふうな土地があるか、あるいは対象にするかということでございますけれども、私どもこれはまだ、実態調査をある程度やってはおりますけれども、そういった個別レベルの話ではなくて、先ほど申しましたように、民間開発に依存するものが、これは三大都市圏になって恐縮ですけれども、三大都市圏全体では五万三千ヘクタールのうち七割ぐらいを民間に依存、期待し、その七割のうちの三割弱を開発許可でいく。その半分程度以上は何とか五ヘクタール以上の開発許可でカバーしていきたい、こういうふうな考え方で認識しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/17
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018・三野優美
○三野委員 さて、この優良宅地は大規模なものを想定されているわけです。五ヘクタール以上、二十ヘクタールを中心にということになっているのでありますが、この優良宅地という規定をされましたね。この優良宅地を確保するためのいわば公共施設、これは規模によって若干違うと思うのでありますが、開発総面積のうち公共施設として必要なのは一体幾らと見るのか。
私は不勉強でよくわからぬのですが、公共施設だったら道路だとか河川だとか公園だとかいうので、公民館は公共施設でなしに公益施設だというように聞いたわけなんですが、では公益施設というのは大体どのぐらい必要なのか。公益施設の中で、宅地開発者がいわば有償として売却できる部分とそうでない部分とありますね。大体、公民館だとか集会所というのは関係市町村がやるわけなんですね。この場合には優良宅地をやるのですけれども、義務づけすると思いますが、何へクタール以上の場合には公園は何%か決まりますね。そうすると道路はどれだけ要るよ、百七十平米、いわば約五十坪以下はだめだということになっていますからね。それで、優良宅地を確保する場合に、公共施設というのは一体何割ぐらい要るのか、そして公益施設が何割要るのか。
その公益施設の中で、有償で開発業者が換金できるものとできないものとありますね。例えば公民館などというのは市町村の方へ有償で買わすのか。率直に言いまして、住宅地をつくる場合に、必ずしも近郊の市町村は今歓迎しないわけですよ。人口はどんどんふえちゃって、幼稚園もつくらなければならぬわ、学校もつくらなければならぬわ、へとへとしているわけですから、そう簡単にはいかないと思うのですが、そこらは、この法律でやった場合には市町村は積極的に銭出して公益施設を買えというのか。公益施設の中でもスーパーもあるみたいですが、これは営業をされますから有償でしょう。公民館、集会所というのは営業目的ではありませんから無償になるのかわからぬが、そこらの比率は一体どうなるのか。ひとつ、優良宅地を開発するという場合のそこらの方針を示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/18
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019・望月薫雄
○望月政府委員 今回の法律は、今お話しのように優良な宅地を供給する、まずこういう基本構えでございます。それで、優良ということは、一つ一つの区画が優良であるということも今お話しのようにありますが、まず全体として優良でなければならぬ、こういったことが基本精神でございます。
全体として優良ということになりますと、御指摘のように公共公益施設がどのくらい配置されるかということがまず大事なポイントになりますが、私ども現在考えておりますことは、実は実態を見てまいりますと、宅地というものは事業区域の中で全体の六割くらいを占めているというのが一般的な傾向でございます。今先生おっしゃったように、団地の規模等によってもちろんいろいろ事情も違いますけれども、総じて言えば五割から六割というものが宅地であって、以外の四割から五割がいわゆる公共公益施設の用地になっている、こういうことでございますので、私どもは一つの考え方として、こういった公共公益施設面積を除いたいわゆる住宅専用の面積、これは二分の一以上を確保したいということをもって基本的な優良の認定基準にしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/19
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020・三野優美
○三野委員 私もきのうおたくの方にお聞きしたら、公共用地というのは三分の一くらい必要なんだ、こう言う。そうすると、三分の二が残る。三分の二の中でいわば二分の一、その二分の一を宅地にしなければならないと書いてありますね。そうすると、いわば全体の三分の一が宅地になる。さて、残った三分の一が公益施設の用地である。それほど公益施設というのは要らぬと思うのですが、公益施設の面積はどのぐらい要りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/20
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021・望月薫雄
○望月政府委員 これは、これからこういう開発を進めるということの前提として、まず地方公共団体の開発に対する基本的構え、こういったものも踏まえなければなりませんし、またこれからの町づくりはどうあるべきかということも踏まえなければならぬということを考えますと、いわゆるベッドタウンというのは決して望ましい方向ではないだろう。そういった意味では業務施設等を入れたいわゆる複合的な整備というものが必要だと考えておりまして、それと、今先生おっしゃったようなこと等を背景にいたしますならば、率直に言いまして業務用地区の面積というものはどんなに多くても全体の二〇%以内程度を目途に指導してまいりたいし、それをもって優良と認定したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/21
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022・三野優美
○三野委員 業務用が二〇%以内という、いわば全開発面積の二〇%は業務用に使えるということになる。そうなりますと、業務用施設が二〇%できるということは、例えば、その地域がどういう制限をするのかしらぬけれども、事務所その他営業用の施設ということになると、そこでかなりの労働者が収容できると私は思うのです。
私はこれを勉強させていただいている過程の中で、こんなことを感じました。三大都市圏に人口が集中している、住宅が不足している、したがって宅地を確保しなければならぬ、これは自分が買う部分もあるだろうし、いわば借地借家用のもあるだろう。しかし私は、主としていわば持ち家が中心になるのではないだろうかと思うのですが、そこらは後で聞かせてもらいたい。そうなるだろうと思うのです。この法律の趣旨というのはやはりそういうことが考えられる。しかも大規模ですから、かなり大手の建設業者がやるということになる。業務用施設は、大手なりに、それなりにふさわしい業務用用地にするであろう。その分、働く場所が出てくることによってまた人口がふえてしまう。そうしますと、今大議論になっている大都市圏集中を排除するという立場からいうと、私は、この緊急措置法の中で業務用施設が二〇%確保できるということについてはいささか問題じゃないかという気がするわけです。
この法律の趣旨は、当面人口が大都市に集中している、集中していれば働き場所もあるけれども住む家が適切でないということで緊急的な措置をやっているわけですから、そういう意味からいくと、本来的には都市住民の住宅供給のための開発でなければならぬと思うのです。二〇%近くが業務用に転換できる可能性を残すということについては、私は、これが大規模開発業者がやるだけに問題がありはしないかという気がするわけです。下手をしますと、結果的には十年たってみたらば大都市の過密をさらに拡大することになりはしないかという心配をするわけなんです。
そう言っていると、あなたの方は、いや職住接近でいいんじゃないか、あるいは奥さん方もそこですぐに仕事に行けていいんじゃないかということの案——それはそうだろう、個人としては。しかし、多極分散という今の国の方針からいうと、そこに問題が出てきやしないか。しかも、中小業者がやるわけじゃない。大企業がやるだけにそういう能力を持っているわけですからね、二〇%もの活用について。この点についてそういう心配をしたことはないのかどうか、聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/22
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023・望月薫雄
○望月政府委員 私の御答弁がちょっと舌足らずであったのは申しわけないのですけれども、二〇%をもってスタンダード、基準とするというか、望ましいものと見るという意味で申し上げたのでは決してございません。(三野委員「その可能性があるということだよ」と呼ぶ)おっしゃるとおりです。要するに、当該開発を行う地域の状況等を踏まえまして、私ども実務的には五%くらいから幾ら多くても二〇%、こういう意味で申し上げた次第でございます。
それで、今先生のおっしゃった基本的な物の考え方の問題でございますけれども、私どもも全く同じ思想に立っているわけでして、何といいましてもこの法律、制度はいわゆる住宅地を供給する、これが最大の眼目でございます。それと同時に、住宅地といってもニュータウン開発だけでは今後の地域づくり、町づくりでは歓迎もされないし、ふさわしい住宅供給地区でもないだろう。こういったことで、業務機能というものをあわせ考えることが必要であろう、こういう認識でございまして、そういった意味で、決して業務地区をもって主たるものというふうに位置づけているわけじゃございません。複合開発の一環としてそういうものも認めていきたいというくらいな構えで実はおるわけです。
そこで、ではそういうことをやればさらに東京大都市圏集中を加速するんじゃないか、こういうことでございますが、私どもは基本的には、業務地区というものが何を予定するかということは明確にこれから詰めなければいけませんけれども、また地区によっていろいろと御意見もあると思いますけれども、私どもはむしろ過密都市地域、むしろ既成市街地等からの転出分、むしろ首都圏なら首都圏の中の広域的な分散立地というようなものを重点的に受けとめる一つの適地として考えることはあっても、さらに地方の方から積極的にここに誘致、誘導すべきところというふうな認識は持っていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/23
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024・三野優美
○三野委員 ここのところはあなたと私と議論が少しかみ合わぬかもわからぬが、あなたは法律をつくる、どんな意図を持ってやろうと、一たん法律ができますとひとり歩きしてしまうわけ。法律どおり皆さんの方は適用してみても、その法律に基づいて業者は開発する側に立って今度はやるわけです。言うまでもなく、東京圏において特にこの都心部を中心に業務用用地の不足ということが大変に問題になって、この委員会でも東京湾の埋め立てなんという議論が出たこともあるわけです。これは、いい、悪いは別としてあるわけです。そうしますと、やはり大手開発業者にしてみれば、業務用用地というのは二〇%確保されている、しかも、後からまた議論をしますが、これだけ大規模なものをやるためには、交通機関その他の確保もしなければならぬわけですね。地下鉄にするのかJRで行くのか何か知らぬけれども、やらなければならぬ。そうなりますと、私は、あなたの意図とは無関係に法律がひとり歩きする、そういう結果になりはしないかという気がするわけなんです。
そこで本来的には、これは私は各党の理事さんの皆さんにもぜひお願いしておきたいのでありますが、この法律、私どもつぶそうなんて気持ちはありません、緊急な当面の措置としてやらざるを得ないと思うが、そういう事態にならない歯どめをどうするかということが非常に重要なのだと私は思うのです。あなたの意図とは違う方向に動くわけなんですから、その二〇%が確保できる条件というものを残しているところに私は問題がありはしないかという気がしまして、その点を実は心配をしておるわけです。この点については、なおあなたの御意見を聞きながら——あなたは、そういうことがあってはいかぬ、できれば五%ぐらいだと思っているのです。だとすれば、やはりこの法案の取り扱いについて各党の理事の皆さんで、いわば五%という数字が出るかどうかは別として、そういうことになるようにしないと、結果的には三大都市集中をさらに拡大することになりますよ、こういうことを申し上げたいわけなんです。後から御意見を聞きたいと思います。
さて、そこで、国土庁来ておられますが、三大都市圏、今建設省がこの法律を適用しようとしている範囲における路線価格というのは、どういう結果が出ているのでしょうか、聞かせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/24
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025・片桐久雄
○片桐政府委員 先生のお尋ねは、三大都市圏における土地の価格の動向はどうかというふうに解釈いたしたのでございますけれども、国土庁で実施しております地価公示の結果によりますと、最近、ここ数年の間に東京圏におきましては非常に突出して地価の高騰がございまして、ここ数年の間に二倍ないし三倍というような地価の高騰の状況でございます。
その地価の高騰の状況がここ二年ほどの間に大阪圏の方にもかなり波及いたしておりまして、現在のところ、一部、中高級住宅地の地価上昇という現象が見えておるところでございます。
また、中部圏におきましては、本当の中心商業地の地価高騰という現象でございますけれども、住宅地につきましてはほぼ安定をしているというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/25
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026・三野優美
○三野委員 今金額のことは示されませんでしたが、中心部から四十キロから五十キロ圏を対象にする、こういうわけですね。ここらの地価公示というものは、農地であってみてもあるいは雑地であってみても宅地並みで評価するわけなんですが、ここに国土庁が発表しているところによりますと、四十キロから四十五キロ圏で平米当たりが二十三万一千六百円、四十五キロから五十キロまでが二十三万八千八百円となっています。それから大阪圏だと、四十から四十五が二十万七千五百円、四十五から五十が二十万三千五百円、大体そういうこと。中部圏におきましても、中部圏の方はちょっと安いようでありますが、三十五キロから四十キロで六万八千七百円、こうなっていますね。
かなり上昇しているわけなんですよ、周辺が。周辺が平米あたり二十三万円台になっているわけでありますが、これで公共用地あるいは公益用地の部分で、いわば開発業者が換金できない部分を引いてみる。あなたは、約四割ないし五割じゃないかと。宅地はこれは六割じゃないかということになる。そうすると、平米当たり幾らになりますか、開発費も入れまして実際に換金できる部分は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/26
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027・望月薫雄
○望月政府委員 実は、今先生引用されましたこの地価公示の数字でございますが、国土庁の資料を私ども今手元で見ていますと、四十キロから五十キロ圏、平米当たり非常にばらつきがございます。東京圏で申しますと、やはり神奈川県はかなり高い水準にありますが、いわば東部、北部、こういったところは相対的にかなり低いという現状がありまして、ただ言えますことは、これは現在の住宅地について地価公示を行ったものでございます。私ども現在対象に考えているところは、実はそういうところよりももっと調整区域というか、山林であったりするわけでございますので、ずばりそこについての地価公示というのは現在の地価公示地点の実情からしますと余りカバーできてないのじゃないかと思っておりますが、したがって直ちにこれを引くわけにはちょっといかない事情がございます。私どもとしては大体どのくらいのことを念頭に置いていくかということでございますけれども、現在は、先般の六十二年に民間が供給した実態調査、都市開発協会という業界団体がございますが、これなんかを見てまいりますと、平米当たり大体十七万円くらい、これは東京四十キロ—五十キロ圏の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/27
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028・三野優美
○三野委員 十七万円の土地を買いましょう。二十ヘクタール買いましょうや。買うて、公共施設そして公益施設で換金できない部分を引いて、それを五十坪平均の優良宅地にして消費者に渡す場合に平米当たり幾らにつく。あなたが言うておる十七万の土地買うたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/28
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029・望月薫雄
○望月政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、いわばでき合いの宅地をそういう価格で売ったというものでございまして……(三野委員「農地は、調整区域幾ら」と呼ぶ)ちょっと調べてみますので、済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/29
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030・三野優美
○三野委員 今のは後からお答え願いたい、これは重要な部分ですから。消費者の立場からいくと、この法律で幾らで分けてくれるのかわからぬかったら、法律つくってみても困るんで。それをひとつ聞かしてくださいな。
さて、国土庁にお尋ねしますが、この法律の説明資料の中に、首都圏の中には既成市街地という名称がある。近郊整備地帯ということになっている。近畿圏では既成都市区域という名称になっている。近郊整備区域ということになっている。中部圏は都市整備区域ということになっている。それぞれ呼称が違うのでありますけれども、その呼称が違うのは、例えば東京圏における既成市街地と近畿圏における既成都市区域、それから、首都圏における近郊整備地帯と近畿圏における近郊整備区域とは、どういうように現状の実態は違うんでしょうか。それをちょっと教えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/30
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031・北村直人
○北村政府委員 お答え申し上げます。
実態的には大きな差異はございませんが、名称の差異というのはどちらかというと歴史的な経緯がいろいろございまして、例えば首都圏におきます既成市街地というのは、首都圏が東京、川崎、横浜等を中心とする既成の一つながりの市街地があるということで既成市街地というような言葉でまとめているわけでございます。また近畿圏におきましては、大阪・神戸地区とそれから京都地区というのがかなり離れておりまして、この二つのグループがございますので、既成という言葉に都市という言葉をさらに入れまして既成都市区域というような、使用の差を設けているものかと存じます。
また、首都圏の近郊整備地帯、これは歴史的経緯がございまして、最初は三十一年に法律ができましたときには近郊地帯という名前で、実はグリーンベルトを想定しておったわけでございます。ところが昭和四十年に、グリーンベルトが地権者等の反対等によりましてなかなかできないということで、もっと区域を広げまして緑を残しながら整備していこうということで、その名称を変更いたしまして近郊整備地帯ということにいたしました。一方近畿圏の方は、最初から、ただいまの大阪・神戸圏、京都圏等を含めまして中に保全区域の緑地を取り込みながら整備するということで、近郊整備区域という名前で使用しているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/31
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032・三野優美
○三野委員 そうすると中身は変わらぬわけだな。呼び名は違うけれども、変わらぬのですね。私もどうも変わらぬような気がする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/32
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033・北村直人
○北村政府委員 中身についての大きな差はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/33
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034・三野優美
○三野委員 官房長、これ中身変わらぬのに名前だけ違うたら、あなた方専門家はいい、歴史的な経過があるから名前が違うのだなんて、専門家はいい、法律を扱って飯を食っている人は。ところが我々素人は、これは違うのかと思うた。私は違うのかと思って一生懸命調べて方々で聞いてみても、違わないのですね。これはどうですか、我々素人、市民にもわかるような仕組みにしたらと思うのだけれども、それはどうですか。やはりお役人さんは断固変えられぬかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/34
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035・北村直人
○北村政府委員 大都市法制等の根本的見直しがございますればそのあたりの均衡等のこともあろうかと存じますが、単なる名称だけの法律改正案というものもちょっといかがかと存じますので、当面はこの形でいきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/35
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036・三野優美
○三野委員 大臣も官房長も、今聞いてのとおりです。あなたたちは法律ばかり言いようて飯食いよるからいいけれども、市民は法律ばかり言いようて飯食いよらぬのや。見た時分にこれは違うのかと思うがな。聞きよったら同じや、こう言う。やはり法律は、法律屋さんの皆さんのこしらえたものではあろうけれども、動き出すとこれは市民のものですから、これは少し機会があったら考えてもらわぬと。私はこれに大分時間をとられた。大分時間の浪費で、質問の方が、中身が十分できないでとんちんかんしているのですが、これはぜひひとつ考えておいてもらいたいと思います。お願いしておきたいと思います。
さっきの分、わかりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/36
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037・望月薫雄
○望月政府委員 ずばりお答えできなくて大変申しわけないのですけれども、四十—五十キロ圏の農地、山林等の素地価格が幾らかというものは、ちょっと公式に調べたものが手元にございません。私さっきも申し上げましたように、現在の取引がどうかということを先ほど平米十七万と申しましたけれども、十六万というふうな数字のようでございます、一万違いましたけれども。
いずれにしても申し上げたいことは、現在私どもこの法律で特に対象として推進していこうというもののかなり大きな部分は、もちろん新規に素地を取得して開発するという手もございますけれども、既に取得してあっていわば開発ができないでいる、あるいは開発の場にのってきてないもの、こういうものを重点的にこの際供給していただきたい、こういったことが主眼でございますので、素地価格は現在の素地価格よりもはるかに低い水準で取得したものということは言えるわけでございます。
ただ、くどいようですけれども、しからば素地価格が幾らかということは手元に資料がなくてわかりませんが、言えることは、その地域での最近の実勢取引は先ほど申しましたような数字である、こういうことが、北部、西部、東部等でそれぞれ違いますけれども、総じて言えば先ほど申し上げましたような水準であるというふうに申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/37
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038・三野優美
○三野委員 私は素人ですからよくわかりませんが、恐らくあなたの方から言われるような優良宅地を確保する場合に、造成したものは坪当たり五、六十万つくんじゃないかという気がするわけですよ。そうすると、約二千五百万から三千万ぐらいなんですね、五十坪になってしまうと。家を建てると七、八千万になるんです、家まで含めますと。そういうことになりはしないかなということがあって実はそれを聞いたわけなんです。ただ、私の素人の判断ですからよくわかりませんが、そこらのことはよく気をつけないと、必ずしも今家が不足をしている庶民というのはそんなに余計銭持っているわけではありませんから、余計銭持っている人が家がなくて住むところがないというのじゃないですからね。その点は気をつけないといかぬじゃないかという気がするわけです。
そうすると、こういう宅地の供給が緊急な措置なんでありますが、この際、ひとつぜひ都市局にも聞いておきたいのでありますが、私は、最初申し上げましたけれども、宅地の供給というのは主に三つの手法があるであろう、こう言ったわけです。この緊急措置法はいわば調整区域を中心として農地なり山林を新しく宅地をつくろう、こういうことなんですね。ところが、それだけではやはり宅地が確保できませんので、三大都市圏における既存の住宅地の再開発、こういうものの中で居住用の宅地をどの程度、どういうように確保しようとしているのか。
なぜこの話を持ち出すかといいますと、実は、もちろん全部ではありませんが、都市圏の中、しかもこの二十三区の中で住都公団その他がやっているのを見ますと、そこに住んでいる、ビルの中に住んでいる、周辺に、ここに住宅がある、そいつを再開発するんだ、おまえ出ていってくれぬかと言って出ていってもらって再開発をして、主として業務用用地に転換をされている。住宅地じゃないのです。あるいは、いや、おれはここはどうしても行かぬわという場合に辛うじてそのビルの中に何戸かだけマンションを残す、こういうことになって、再開発が実は業務用用地の確保に傾斜しておりはしないかと思うのでありますが、都市局が再開発をやる場合に、一体これからの再開発を通じて年間幾ら、ならば十年間にこれと合わせてどのぐらいな住宅用地を確保しようと考えているのか、これをひとつお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/38
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039・木内啓介
○木内政府委員 先生の御質問の前段でお話ありましたように、確かに再開発事業はやはり収益性と申しますか、採算性をとって、従前の用地で再開発後の施設、建築物なりの交換という形をとりますから、やはり相当採算性が重視されてくるわけでございます。再開発と申しましても一般にいろいろございまして、先生のおっしゃっているのは、確かに一般の再開発を含めてお話されているかと思いますけれども、残念ながら、私どもでもって統計的にある程度把握できますのは、法定再開発事業の再開発についてのみ把握しているわけでございまして、一般の土地、一般のそこらの市街地が再開発に、いわゆる一般的な再開発で都市がどう変わっていったかということを全般的に数字的に把握するのは非常に困難でございまして、私どもは市街地再開発事業という形で行われたものはそれなりに把握しております。
それでまいりますと、現在までに市街地再開発事業というのは、全国で申しまして百三十八地区ございます。東京都で申しますと十七地区でございます。全般の再開発に比べましていかにも少ない数字でございます。そういうことで、私ども法定再開発をもっともっと進めなきゃいかぬということでございますけれども、現状ではなかなかそう進んでないのが実態でございます。その中で、東京圏の十七地区におきまして、今までのところ住宅の供給戸数は三千八百戸でございます。事業中のものを入れますと一万一千五百戸程度の住宅は供給されることになっておりますけれども、現在までに供給されたのは三千八百戸でございます。そういうことで一応……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/39
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040・三野優美
○三野委員 その十七地区に三千八百できたのは、もと何戸おったのですか。居住していた人は何人おったのですか。三千八百できたけれども、もと何戸おったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/40
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041・木内啓介
○木内政府委員 ちょっと数字的に従前居住していたのが何戸かは調べてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/41
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042・三野優美
○三野委員 私が申し上げましたように、再開発すればできるだけそこから出ていってくれということになってしまうわけです、実際上は。それで業務用用地を確保するわけです。業務用用地ができれば、そこに労働者が集中するわけです。そこで、住宅が足らないということになって、周辺開発を含めてやろうやといって、だんだん通勤圏が遠くなるわけです。さっき言ったように大都市の人口集中というのが拡大していくような結果になっているよ。したがって、東京の都内を見ても、この間の入学式、子供が入らぬじゃないですか、都心部では。再開発が進めば進むほど業務用用地がふえることによってだんだん都民が出ていくわけです。おらぬじゃないですか。
そこで、やはり都市計画から言うならば、業務用用地をつくっちゃいかぬとは私は言いませんよ。最小限必要なものはつくらなきゃいくまい。しかし、国土庁も建設大臣も、いや、とにかく役所も出ていくのだから、民間の企業も出ていってくれや、ひとつ地方へ出ていって、東京一極集中をやめようじゃないかと言っている状況の中なんですね。したがって、再開発をする場合に、業務用用地にあわせて、やはり住宅をどの程度確保しなければならぬという方針を実は持っていないと私は思うのです。その持たないところがますますこういうゆがんだ都市づくりになってしまって、昼はいっぱい人間がおるけれども、夜になったら出ていって、学校に行く子がおらぬ、二人や三人の入学式、これは田舎の人が聞いたらびっくりしちゃう。だから、こういう点があることをぜひ反省をしてもらって、再開発の場合のそういう基本方針を持たなきゃならぬと思うのですが、どうですか、持っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/42
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043・木内啓介
○木内政府委員 先ほど申しました法的な再開発を行う場合につきまして、再開発法におきましては、住宅不足の著しい地域におきましては、そういった再開発事業をする場合には住宅建設をどれだけやるかというふうな目標を定めることとされております。しかし、先生のおっしゃいましたように、再開発の中でどれだけを住宅にしろとまでは制度はまだなっておりませんけれども、一応目標を設定して、できるだけ住宅にしろ、それから、住宅をつくる場合には、特に公的住宅をつくる場合にはその再開発について補助を少し厚くしております。そういうふうなことやっておりますし、これは再開発事業ではございませんけれども、特定街区制度とかいう、業務用地等のところで立派な建物を建てて容積率を緩和するような場合ですけれども、そういった場合でも住宅用に使えば容積率の条件をちょっと緩和してやるとか、そういうふうにもろもろの施策があることはあるのですけれども、ただ、先生のおっしゃったドラスチックに何%というのはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/43
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044・三野優美
○三野委員 だから、そういうものをつくってみても、開発業者にしてみると、やはり率直に言いまして業務用スペースをとる方が有利であるものだからやらないわけです。したがって、今度のこの法律もあなたのところの再開発も同じなんですが、やはりそういう基本方針をしっかり据えないと考えたようなわけにはなかなかいかない、法律が一度動き出すと。その点を同じ次元で私は指摘しておきたいと思いますから、この点についてはなおひとつ検討してもらいたい。そうでないと、法律をつくったけれども結果的にはできなくて、業務用部分だけがふえちゃった。この場合もある、都市再開発の場合にもそういう弱点があるのです。あなたの意図とは関係なしに動くということなんです。これが実態なんですから、その点を指摘しておきたいと思います。
時間がなくなっておりますので、実は私は、これは大臣、国公有地を公営住宅にすべきだ、全部とは言いませんよ、やはり少なくとも半分なら半分は確保する。東京へ仕事をしに来てくれているのはみんな田舎の人が多いわけです。稼いでいるうちは公営住宅へ住んでもらって、給料何ぼもらっているか知らぬけれども、この公示価格を見るとなかなか一軒の家は買えぬですね。そこで働いて稼ぎが終わったらまた田舎へ、老後はあなたのうちへ行ってもらう、そういうことにしてもらわなければいかぬと思うのです。そういう点では、やはり国公有地を公営住宅にどう転換するかということは重要なんでありますが、これも住宅難解消という一本の重要な柱として位置づけをしてやってもらわなければならぬと思うのですが、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/44
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045・越智伊平
○越智国務大臣 先生お説のとおりであります。
都内の国公有地につきましても、できるだけ地方自治体それから我が方の住宅公団にひとつ分譲してもらって、できるだけ公営住宅あるいは公団住宅、これをつくりたい。特に、国鉄の跡地の問題があるわけなんですが、ここも清算事業団で実はたくさん借金を抱えておるので、今ちょっと価格が非常に上がっておりますので、私どもは適当な価格でぜひ譲り受けてそういうことに進めていきたい、こういう方針で今折衝しておりますけれども、借金をたくさん抱えておるのでなかなか事業団の方も難問がある、価格の問題がある。そうして、時価相場ということになると公団住宅も公営住宅も結局高くなりましてやっていけない、こういうことですが、今折衝しておりますので、その方針で進んでまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/45
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046・三野優美
○三野委員 大臣ぜひ、これはもう時価が幾らだなんということを言っておったら議論になりませんので、都市の住宅難あるいは国公有地を民間へ払い下げてそれが地上げの原因になったり、そんなことにならないように、ぜひひとつ政策的な観点で処理するように閣内で努力していただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。
最後になりましたが、今度大規模開発をやるんだけれども、交通機関はどうするのですか。これはどこがどういう役割を果たして、どんな方法でやるのかお聞きしておきたいのと、国土庁に来てもらっていますので、これはまた議論が詰まると思うのですが、このごろ地下五十メートル以下はもう所有権は貫通しないよという議論が出ているのですが、これについてはどうなんですか。地下五十メートルはどれぐらいまで考えているのか、国土庁にそれを聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/46
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047・望月薫雄
○望月政府委員 御質問の前段について御答弁させていただきますけれども、私ども考えておりますのは、いわゆる五ヘクタール以上というところの、比較的大規模な宅地開発というものがこれからねらっておるところでございます。
こういった政策を進めるに当たっては、道路、鉄道等のいわゆる交通施設の整備、これは不可欠のものでございます。不離一体のものとして整備されなければならぬということは当たり前でございまして、これまでもこういった事業のためには、鉄道の問題にしても道路の問題についてもかなりの努力はしてきていることは御案内のとおりだと思います。今後私ども、こういった格好で、大臣の認定という行為まで行って一つの計画開発をしようというときには、ますますもって一層の力を入れて関連道路等の整備に努めていきたいという構えで臨んでいく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/47
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048・片桐久雄
○片桐政府委員 大深度の地下鉄道というものを私権の制限をする、地下五十メートル以下とか、そういう非常に地下の深いところにつきましては私権を制限して地下鉄道の建設を認めてはどうか、こういう検討を運輸省がやっていることは私ども聞いております。
この構想につきましては、まず土地の所有権につきましては、利益の存する範囲内で地下に及ぶ、こういう考え方でございますけれども、ただ憲法上、また民法上、公共的な必要性があればその私権を制限することはできるという法律の建前がございますし、それからまた非常に地下深いところは土地の所有者がほとんど利用しないというか、利用する可能性が少ないという点もございますので、そういう法制度ということも可能性があるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
ただ、これを地下何メートルぐらいがいいのかということにつきましては、その土地の地層といいますか、東京の例えば下町の方でございますと、いわゆる沖積層といいますか、やわらかい地層が四十メートル、五十メートルというような非常に深いところもございますので、場合によっては、大きなビルをつくる場合には五十メートルとか六十メートルの地下にパイプを打たなきゃいけないというようなこともあるようでございますので、その辺の技術的な可能性なり、それからまた経済的な可能性、それから法制上の可能性、そういう面を今後いろいろ検討していただくということになるのではなかろうか。私どもとしましては、そういう運輸省の検討の状況を見守っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/48
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049・三野優美
○三野委員 これは運輸省が打ち出したんだけれども、やはり土地問題ですから国土庁は、あなたのところが本家だからあなたのところでまとめなきゃならぬのですけれども、あなたが言うように、公共性があれば認めてもいいんじゃないかということになると、公共性というのは公的交通機関なのか、あるいは私的な株式会社である交通機関も公的なものと考えるのか。あるいはそれだけは認めちゃって、それ以外は認めないよということになるのか。どこまで認められるのか、これは議論になると思う。例えば温泉が一キロ向こうに出る。五十メートルにするか七十メートルにするか知らぬ、七十一メートル掘っちゃって、横に温泉に向かって掘っていけば、これもまたできますので、これはなかなか難しい問題だろうと思う。
したがって、表にも新聞にぽんぽん出ていますから、国土庁も早くこれに対する幾つかの角度からの見解というのも出してもらって、我々の議論の俎上にのせていただきたいと思うのです。そのことだけ申し上げて終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/49
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050・中村喜四郎
○中村委員長 木間章君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/50
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051・木間章
○木間委員 質問に入る前に委員長に苦言を一言申し上げたいと思います。
一般質問もそうでございますけれども、特にきょうは法案を審議する時間でございますので、委員の出席率が芳しくないのは御承知のとおりであります。野党も出席はよくありませんけれども、自民党さんは与党でございますので、やはりいま少し出席がないことには、これは一体どうなっておるのかという心配があります。ぜひ委員の皆さんの出席を御喚起いただくように最初にお願いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/51
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052・中村喜四郎
○中村委員長 委員長から申し上げます。
事務局から各党に連絡をとって、できるだけ出席をお願いするように至急連絡をとってください。
では質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/52
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053・木間章
○木間委員 それでは質疑に入らせていただきます。
この法案の目的を一読いたしますと、従来までの法案とは若干違った表現をとっております。今までの土地住宅政策では、国民が健康で文化的な生活環境を確保するため、このように表現をしてきたのでありますが、今度の法案では優良な宅地を開発し、そこに良質な住宅を建てて市民生活の安定を図るんだ、このように表現が変化をしております。今深刻に住宅問題で悩んでおいでる東京圏のあるいは三大都市圏のサラリーマンの住宅難を解消しよう、このようにこの立法が設けられたとは思いますけれども、この表現をどのように判断をすればいいのか。あるいは、今まで政府も土地政策、住宅政策に本気で取り組んでこなかった、今度は一生懸命やるぞ、こういう御決意なんでしょうか、少し承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/53
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054・望月薫雄
○望月政府委員 今回御提案申し上げている法案のよって来るゆえんは、文字どおり、今先生おっしゃったように、大都市地域におきます深刻な宅地不足、こういったものに対して何とかこたえていこうということに最大の眼目がございます。
その中で今お話しのように他の法律、端的に言うと、一例を申しますと住宅金融公庫法だとか住宅・都市整備公団法だとか、こういった法律におきましては、おっしゃるように「健康で文化的な生活」という言葉が明文に入っているわけでございますが、私ども今般の法律では、率直に言ってそういった文言は入れてございません。ただ、これは何も思想、考え方が変わったわけでも何でもなくて、私どもとしましては、文字どおり健康で文化的な生活を営む基盤としての宅地を緊急に供給したい、こういう思いでございますので、基調においてはいささかも変化はないというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/54
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055・木間章
○木間委員 まあ、さらなる決意をその中ににじませて、今後ひとつ的確な住宅あるいは土地政策を進めていただきたいと思っております。
次にお伺いしたいのは、この法案の適用区域を三大都市圏の地域に限定をされております。それ以外の他の地域で土地問題なり住宅問題で困っているところはない、このように御判断されておるのか、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/55
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056・望月薫雄
○望月政府委員 およそ国民の安定した生活の基盤をなしますこの住宅地問題というものは、何も三大都市圏に限るものではございませんで、全国ほとんどの地域についてこれは考慮しなければならぬし、政策努力しなければならぬという構えはいささかも変わっておりません。
ただ率直に申しまして、宅地需給の深刻さという点につきまして見たときに、三大都市圏とそのほかの地域ではいささか事情が違っているのではないか、こういった認識があることも事実でございまして、そういった観点から今回緊急措置としてお願いしようというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/56
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057・木間章
○木間委員 確かに、国土庁が四月の当初に発表いたしました地価公示を見ましても、全国の土地の上昇割合の中で三大都市圏はぬきんじて高くなっておりますし、とりわけ首都圏などは、本当にどうしたらいいのか、私どもでさえなかなか名案が浮かばないような地価上昇ぶりでありますから、土地対策の深刻さは、この地価公示でも浮き彫りにされておると思います。
そう言いつつも、三十年代後半から高度経済成長政策がどんどん人口の流出を生み出しました。とりわけ大都市に人口が集中されてきたのであります。勢い、その裏側では過疎地域をこれまた全国に惹起をいたしまして、今各省庁が、とりわけ国土庁が過疎対策で心を痛めておるところでございます。今度のこの法案では、東京、中心地よりも少し離れておるけれども、すばらしい、環境のいい住宅地を確保いたしますからどうぞそこへ住んでください、こういう考え方がこの法案の中ににじみ出ておろうかと思いますが、かといって過密との裏腹の問題で過疎の問題は看過できない政策課題ではなかろうか、こう思っております。端的に申し上げますと、私は過密と過疎との接点を持たれていいんではなかろうか、こう思うわけであります。ですから、過密対策を乗り切るためにも決して過疎を見過ごしにはできない、またそこにも優良なそれらの候補地もあるだろうと実は思っております。
ただ、東京都から見ますと、過疎地域は、あたかも数百キロも離れた東北とかあるいは北陸とか、そういったやぼなことを私は申し上げるのではないのでありまして、東京圏域にも過疎地方が、残念でございますが数多く存在をいたします。そこで、国土庁が来ておいでると思いますが、まず首都圏の過疎の実態の御報告をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/57
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058・森繁一
○森(繁)政府委員 首都圏の中での過疎の状況でございますが、先生御承知のように、現在の過疎の指定の方式は、ここ十五年間に人口減少率が二〇%、また財政力指数が〇・三七以下、こういうところを指定をしておるわけでございます。
そのような基準に基づきまして首都圏におきます過疎の地域の市町村の数を申し上げますと、東京都が六つございます。埼玉県が四団体、千葉県が三団体、茨城県が十一団体、栃木県が五団体、群馬県が十四団体、山梨県が二十団体ございます。神奈川県はこれに該当するところはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/58
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059・木間章
○木間委員 このように、東京圏域にもたくさんの過疎自治体が現に存在をするわけであります。特に、東京都にも六団体というお示しでございますが、具体的に固有名詞をひとつ挙げていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/59
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060・森繁一
○森(繁)政府委員 東京都におきます過疎地域の市町村を具体的に申し上げますと、一つが檜原村でございます。それから二番目が利島村、三番目が神津島村、四番目が三宅村、五番目が御蔵島村、そして六番目が青ケ島村でございます。一つが多摩でございますが、あとの五つが離島、こういう状況になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/60
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061・木間章
○木間委員 東京都に六村がある。そのうち五カ村は離島である。一つは多摩に檜原村という自治体があるわけでありますが、そこでこの過疎地域では、人口が早くふえないものか、それぞれ村の首長さんやあるいは議会の皆さんも、長年にわたってあらゆる努力を実は重ねられてきておるのであります。島の関係は別といたしましても、やはりこの機会に、同じ都内でありながらそのような過疎で悩んでおいでるところとの接点を持つべきではないだろうか。また、過疎のところも、早く過疎から脱却して一人前の——こういう表現はよくないと思いますけれども、自前で何でもできるような自立した村をつくりたい、地域をつくりたい、こう考えておいでるわけでありますから、ぜひこういった機会に、少なくとも接点を持たれても私はよかったんじゃなかろうか。今度のこの立法の中にはそういったものは全く考えられていないのでありますが、まず、この過疎に対して、今度の法律あるいは政策などと関連をいたしまして国土庁はどのようなお気持ちを持っておいでるか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/61
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062・森繁一
○森(繁)政府委員 過疎地域につきましては、先生御承知のように、昭和四十五年に制定されました過疎地域対策緊急措置法、それから昭和五十五年に制定されました過疎地域振興特別措置法に基づきまして各般の施策が計画的、総合的に実施されておるところであります。その結果、道路とか水道などのような生産基盤や生活基盤の整備が進んでおることも事実でございますし、人口の減少率も小さくなっておる、いわば成果を上げておるということも評価できることだろうと思っておりますが、しかし、なお過疎地域につきましては、多くの市町村が人口減少に悩んでおりますし、さらにまた、人口構成の高齢化が甚しく進んでおるところが多いわけでございまして、その意味におきましても、今後過疎対策の充実を図っていく必要があろう、こう考えておるわけでございます。
お尋ねの大都市圏域内におきましても、一般的には過疎のところは少ないわけでございますけれども、中には、先ほど申し上げましたように、人口が減少して過疎地域になっておる、そういう団体も現に存在するわけでございます。これらの団体につきましては、一つは過疎地域としての対策を今後も着実に推進していく、こういことはもちろん必要であろうと思いますが、他面では、いわば大都市圏内にある、大都市と隣接をしておる、そういう特殊な地理的条件というものも過疎対策の中身の一つの重要な柱として考えていく必要があろうと思っておるわけでございます。要するに大都市と隣接しておる、そういう地理的条件を十分に生かした過疎対策というのを今後積極的に展開していく必要があるんじゃなかろうか、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/62
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063・木間章
○木間委員 国土庁の今日までの努力はわからないわけではありませんけれども、しかし、その中身というのは、その地域における公共事業その他の補助率のかさ上げ程度しかないわけであります。したがいまして、過疎から一日も早く立ち直りたいという大きな政治的目標から見ますと消極的だと私は断ぜざるを得ないのであります。
今度は建設省にお尋ねをいたすわけでありますが、過疎地域から積極的に脱却させるためには、むしろこういった法の網をかぶせることがあってもいいんじゃなかろうか。ただ私は、過疎地域は大半が市街化調整区域でございますから、今直ちに調整区域云々というやぼったいことは考えてはおりませんけれども、やはり大所高所に立った国の政策全体の中ではむしろ積極的な過疎からの脱却策があってもいいんじゃなかろうか、これが一つの例じゃなかろうか、このように考えるものでございます。今度は建設省の立場で私の考え方に対して、誤りなら誤りだとか、率直に言っていただいて結構でございますから、お考えを述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/63
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064・望月薫雄
○望月政府委員 今回御提案申し上げている法律制度と過疎対策、過疎地域というものを直接結びつけることについては、率直に言いまして私ども念頭にないのが現実でございます。
ただ、今先生のお話を伺いまして感じますことは、今後の過疎振興をどういう方向で持っていくかということを基本に踏まえての御発言であり、また同時にこれから国民のいわゆる住まいぶり、ライフステージにおける住まい方というふうなことを含めての御発言として大変示唆に富んでいるものとして私どもは受けとめさしていただくわけですが、何分とも私ども現在御報告申し上げていることは、あくまでも通勤勤労者の宅地の深刻な実態、こういったものに対してどう供給を促進していくかということで緊急措置として御提案申し上げさしていただいていますので、長期的課題としていわゆる広い意味での住宅政策といいましょうか、そういった観点から、あるいは過疎振興対策としての観点からのいろいろな御提言は今後私ども勉強させていただきたいと思いますけれども、当面の法案におきましては今申しましたような考え方で提案さしていただいている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/64
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065・木間章
○木間委員 局長の方から、とりあえず緊急な策として、あるいは通勤その他の事情等を勘案してこの区域指定を限定したんだ、このようなお考えを示していただいたわけであります。それはそれで私はいけないとは申し上げませんけれども、後ほどまた申し上げますが、緊急策とはいいながら、この法案は十年の時限立法の形をとっております。そして、交通手段その他でございますけれども、それらの政策は建設省の所管では直接ないとは思いますけれども、縦割りの行政もさることながら、もっと近代的には横の連携も十分にとってしかるべきではないだろうか、このように思っております。
そこで、今お話がありましたように、やはり宅地開発を進めようというときには交通機関が充足されていかなきゃならないことは言うまでもございません。こういった交通施設の整備が極めて緊急な課題だと思いますが、こういった宅地政策を進めるときに、道路網を整備するあるいは交通機関をそこに張りつけて整備をする、民間の開発には絶えずそういったものが伴っております。これはまた民としてのやりやすい側面もあるわけでありますが、ぜひ官の方でもそのような総合的な施策を持って臨むべきだ、こう考えておりますが、建設大臣の御決意をひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/65
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066・越智伊平
○越智国務大臣 前段のお話であります過疎の問題につきましては、大変なことであります。でございますから、過疎の問題につきましては、建設省といたしましても過疎対策、道路網の整備であるとか公共施設、こういうものに力を入れてやっていくし、住みよいところにしていこう、こういうことであります。
今御提案申し上げております法律は、やはり今局長からお答えいたしましたが、とにかく今宅地、住宅が大変な時期であります。でございますから、宅地につきましてはやはり引き下げなければならない。引き下げるためには供給をしなければならない、こういう観点から緊急性がある、こういうことから提案をいたしておるのであります。
それから、後段のお話の交通網の問題でございますが、もちろんもうこれが一番大事でありまして、宅地開発をやったがなかなか通勤距離が遠い、しかも時間がかかる、こういうことになりますと大変でございますから、道路はもちろんでございますが、これは運輸省が所管をいたしておりますけれども、鉄道も含めてよく横の連絡をとって通勤時間を短くするように、また短い場所を選んでやっていただくように優良宅地を開発していく、こういうことで御提案を申し上げておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/66
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067・木間章
○木間委員 ぜひそういった総合的な施策でやっていただきたいと思っております。
次にお尋ねしたかったのでありますが、二、三、三野委員の質問で明らかになっておりますから、それらを一応割愛させていただきまして、一点だけ。
首都圏でもこの宅地化を進めようとされておりますが、都心からおおよそどの程度の範囲内まで進めようとされておるのか。あわせまして、やがて宅地化が進んでいきますと、そこに新たな住民が居住をされるわけでありますが、それらの皆さんが都心部へと、通勤もまた現実の問題として出てまいるわけであります。その通勤時間の限度といいますか、どの程度の通勤時間を想定されておるのかお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/67
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068・望月薫雄
○望月政府委員 私ども御提案申し上げている考え方は、例えば首都圏の地域の例で申しますと、法律の第二条第一項、この案でお示ししていますように、既成市街地と近郊整備地帯、そしてその周辺の政令で定める地域、こういうことにしておるわけでございまして、具体的にはおよそ東京都心から四十ないし六十キロ圏、こういった地域を頭に置いています。通勤時間で申し上げさせていただきますと、おおむね七十分から九十分程度、こういった地域というものを想定したいと思っている次第でございまして、こういったことの背景には、実は六十一年の九月に総理府が世論調査をしたものがございます。この世論調査、「大都市圏の住宅・宅地に関する世論調査」でございますけれども、これで、首都圏の居住者のうちで、四十五分から一時間までの通勤時間ならやむを得ない、こう考えている方が大体五二%を占めております。さらにまた一時間から一時間半までの者が二〇%、こういったことを見ますると、どうも一時間半というのが我々が目標としておくべき最大限の時間距離ではなかろうか、こんなふうに考えて御提案させていただいている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/68
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069・木間章
○木間委員 法案の中で宅地開発要件として一定の面積以上というふうにくくっておりますが、その規模は、政令委任条項を持っておりますが、どういった規模をお考えなのか明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/69
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070・望月薫雄
○望月政府委員 これは御案内のとおり、都市計画による開発許可の面積基準、これが小さな、規則で五ヘクタールというところまで引き下げられておるわけでございますが、私どもこの辺の数字を頭に置きたい。言うならば五ヘクタール以上の宅地開発ということを念頭に置いて考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/70
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071・木間章
○木間委員 五ヘクタールを下限とするというお話でございます。それはそれといたしまして、今新たに宅地開発をやろうという土地の現況はおおよそ見当がつくわけでありますが、それは何なのか、そしていま一つ、市街化区域なのか、調整区域も含むのか明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/71
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072・望月薫雄
○望月政府委員 私ども精査したわけではございませんが、一応宅地開発関係業界等を通じてそういったいわゆる未利用の土地がどういうふうに賦存しているかということを調べたものでは、東京圏で申しますと大体四千五百ヘクタールくらいのものが掌握できているわけでございますけれども、これは、正直言ってその精度はいろいろと今後詰めなければなりません。こういった土地も頭に置きながら物を考えていくわけでございますが、具体的な地域としては市街化区域のみならず市街化調整区域をにらんでいきたい。むしろ市街化調整区域にかなりの焦点が当たるのではないか、こういうふうに理解しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/72
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073・木間章
○木間委員 調整区域も念頭に置いておるということでございますが、調整区域は調整区域なりにそれぞれの地方は大変努力をされておると思います。例えば営農を続けるための用水、排水の確保とか、さらにそれらは生産緑地としての意義づけもあるわけでありまして、そういった調整区域に、五ヘクタール単位でとはいいながらも虫食い状態になってはまたいかぬのでありまして、そういった点では、調整区域を確保されておる営農者あるいはその地方の行政当局などとも十分に調整を図ってもらいたいと思っておりますが、そういった面についてもそごのないようにやっていただけるかどうか、お考えをお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/73
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074・望月薫雄
○望月政府委員 全く御指摘のとおり、調整区域の開発というものは、何も建設大臣の立場でああしろ、こうしろというふうに一方的に決められるものではないわけでございます。基本的には、やはり公共団体の首長さんあるいは地域の方々の意向というものが大変微妙に反映されなきゃならぬところでございますが、率直に言って、現在はかなりの地域でも人口抑制方針をとっているという現実もございます。こういった中で、私ども先ほど来申し上げているような首都圏におきます、あるいは広く大都市圏におきます宅地需給を緩和していくために供給を的確に進めるということになりますと、公共団体の方々の御理解も一層深めなきゃならぬということ、これは当然の課題でございまして、言うなれば、法文の中でもお示しさせていただいておりますが、一連の認定手続を進めるに当たりましては、都府県知事さんあるいは市町村長さんという方々との連絡調整、打ち合わせというものを十二分にやっていく、こういう構えで臨んでまいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/74
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075・木間章
○木間委員 局長は、調整区域は調整区域なりに営農者あるいはそれぞれの自治体の関係者とも十分話し合っていく。さらに、東京近辺には、あるいは東京近辺に限らないとは思いますけれども、人口抑制をお考えになっておる自治体もあるやに実は聞くわけであります。東京の宅地政策のために、あるいは大都市圏の宅地政策のために何が何でもということにならないように、ぜひお願いをしたいと思います。それは、やはり受ける自治体にとっては新たな公共需要が多くなってくるわけでありますから、そういった点についてもそごのないように、今後とも十分に御配慮をいただきたいと思っておるわけであります。
そこで、いよいよこれから宅地化が進められていくわけであります。四十キロ圏から六十キロ圏、立派な良質な宅地が完成するであろうと私も期待をするわけでありますが、ただ、よければ価格面も幾らでもいいんだということであっては、せっかくのサラリーマン向けの土地政策にいたしましても、買えなきゃ何にもならないわけであります。
今サラリーマンの収入度合いなどを見ておりましても、名目賃金は上がるわけでありますが、実質賃金はなかなかふえていない、これが共通の悩みでございますし、皆さんにも御認識いただいているところでありますが、さて、良質な宅地ができ上がったときに、問題はサラリーマン諸公に買える宅地であるかどうか、これが極めて関心を呼ぶところです。
先ほど三野議員とのやりとりの中でも出てまいりましたけれども、余り高くなり過ぎますとどうにもなりませんし、ただ、この法案を見る限りは、いろいろの手続、手法は述べられておりますが、価格のある程度の規制といいますか、もっと言いますと制限といいますか、ほとんどなされておりません。むしろ野放しの状態であります。土地を百七十平米求めるために三千万も三千何百万も出さなきやならない。さらに、上物を三千万、四千万を乗せるとなりますと非常に莫大な金額になるわけでありますが、そういったものに対する規制をなぜされなかったのかというのを一つお尋ねしたいと思いますし、ここで上限がどのぐらいか、なかなかやぼったいのでありますけれども、建設省のお考えがあればお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/75
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076・望月薫雄
○望月政府委員 今回の施策によって供給すべき宅地というものは、この新しい制度をお願い申し上げている基本的な眼目が、何よりも中堅勤労者の住宅宅地需要にどうこたえていくかということに、そのすべてではございませんが、主眼があるということからいたしますと、私ども、今先生おっしゃったような果たして取得可能な範囲に入るものかどうかということは大変大事に考えなければいかぬということで認識しているところでございます。
私ども、優良宅地というものについて一応百七十平米くらいの区画をもって優良の最低下限、こう考えておりますから、そういった意味での規模というものはある程度のものを確保するわけですが、今度は全体の取得価格がどうなるかということも大変大事な問題でございまして、中堅勤労者が今具体的に幾らということはなかなか申し上げにくい実態でございますけれども、気持ちとしてはやはり年収の五倍あるいは六倍以内でもって上物まで、住宅まで建ったものが取得できるような宅地でなければならぬ、それを目指したい、こういう考え方でおるわけでございます。何分にもこれは立地場所等によりまして、あるいはまた関連公共施設等の整備がどうお金がかかるかということ等々、それぞれの事情が違いますので、一律には申し上げにくいのですけれども、基本的には今申し上げましたような姿勢で臨んでいきたいと考えております。
それから、その価格の点について規制を入れてないのじゃないかという御指摘でございますが、先ほど申しましたように五ヘクタール以上の大規模開発になりますから、当然国土法による届け出義務、届け出によるチェックというものがあることは言うまでもありませんが、あわせまして、私ども、今回の法律制度によっても予定しております優遇施策として金融公庫からの割り増し融資も実は考えている次第でございまして、そうなりますと、公庫からの融資ということを行うからには、この譲渡価格についての一定の制限というものが公庫の融資する立場からもできる、こういうことで、建設省関係のいわば総力を挙げて適正な指導をしてまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/76
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077・木間章
○木間委員 この法案の第三条二項では、さまざまな手続規定の中に書類整備すべき項目も盛られております。今局長おっしゃったように若干の規制はできるでありましょうけれども、私は、やはりもっと低廉で一戸建ての庭つきの住宅が買えるような宅地をぜひ造成していただかなければならぬと思っております。私も素人でわかりませんけれども、用地取得費プラス造成費、若干の造成利益もあってはいいと思いますが、そういったものがやはり販売価格になっていただかなければ、せっかくつくった優良な宅地もあるいは金持ち中心のものになっては何にもならぬのでありまして、そういった点の御配慮を十二分にやっていただきたいし、監視、監督もひとつやっていただきたいと思っております。
次に、この法案は十年間の時限立法としております。宅地不足のために緊急策としてやるんだ、こうお考えを述べられておるところでありますが、十年間というのはいささかどうだろうか、危惧をする一人であります。
今までさまざまな緊急措置法が提案されて今日施行されておるわけでありますが、普通一般的に緊急措置法と申し上げますと、三年間が通り相場のような状況で、場合によっては五年間というものもございました。私もまだ国会経験が浅いのでございますが、緊急措置法として名前を連ねた中に、旧の過疎法が十カ年の制度でございました。十年間、宅地造成はそんなに短期間でできないよ、そのとおりでございましょうけれども、十年間というのは少し間があり過ぎるのじゃなかろうか、このようにも考えるのでございまして、緊急な土地政策でございますから、十年間といえども早くやるんだという決意のほどをひとつぜひお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/77
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078・望月薫雄
○望月政府委員 確かに御指摘のように、緊急措置法といって十年は長過ぎるのじゃないかという御意見も、私ども、そこそこにわかるような立法実例になっておるわけでございます。ほかの立法例はおっしゃるとおりでございますが、率直に言いまして十年のものも結構ございますし、あるいは期限の明記されていないものもあるということでありますが、それはそれとして、今先生おっしゃったように、私どもとにかく宅地供給の緊急性ということをしっかりと行政の立場で受けとめさせていただきたい、こういった思いを込めてこういう法案を準備させていただいておるわけでございます。
特に宅地供給、先ほど来申しておるように、五ヘクタール以上というものを念頭に置きますと、一連の手続を進め、具体に事業化というところへ持っていくためにはそこそこの懐妊期間も避けられないということもありますので、今おっしゃったように、私どもも行政として本当に緊急という姿勢を貫きながら取り組むという決意だけは申し上げさせていただきまして、法案は十カ年間の緊急法でひとつ御了解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/78
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079・木間章
○木間委員 次に、今度の一連の法制度の改革を見ておりましても、私たちはやはりこの機会に土地基本法なり住宅基本法をつくられてしかるべきではなかったのか、こう実は考えるものであります。特に類似の法制度が幾つあるだろうか、私なりにいろいろ辞書をひもといてみたりもしておるわけでありますけれども、なかなか全体がつかみ切れません。法制局にも宅地開発のための法案はどの程度ありますか、出していただいたのでありますが、勘定し切れないような状況でございます。緊急な土地対策のためにあるいは住宅対策のためにやるんだという気持ちはわからぬではありませんけれども、半分専門家の私どもが見ていても、なかなか要領を得ないという今の仕組みになっております。ざあっと申し上げてでも、すぐ出てくるのは十数本になるわけでありますが、ですから私は、こういった機会にこそむしろ基本法を制定されてしかるべき、このように考えておりますが、大臣いかがでしょうか。この機会に土地基本法をつくるんだ、こういうお気持ちありやなしや、私はお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/79
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080・越智伊平
○越智国務大臣 土地基本法、住宅基本法の問題でありますが、これは各党もそれぞれお考えがありますし、いろいろ議論——議論までいきませんが、構想ですか、いろいろございます。でございますが、まだ直ちに基本法を制定するまでのコンセンサスができていない、こういう判断であります。
でございますから、今提案しております法案、これは先ほど御議論もございました、緊急措置法にしては長いでないかということでございますが、最低の五ヘクタールでございまして、それ以上大きいのもありますし、手続も今までの慣習でどちらかというと開発を抑えた時代のが今も残っておりまして、大変、取りかかるまでに時間のかかる問題もございますので十年に制定したわけでございますが、ぜひこれで一応やらしていただいて、今後土地基本法、住宅基本法の問題は検討をしてまいりたい、こういうふうに思います。頭にないわけではございませんので、皆さんのコンセンサスを得て進めてまいりたいということで検討をさせていただきたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/80
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081・木間章
○木間委員 金余りの昨今、土地も利殖の対象にされる気風が非常に高まっております。勢い、その結果土地狂乱にもなっていったわけでありますから、二度と再びこのことを繰り返さないように、そのためにはやはり基本法をきちっとつくる必要があろう、こう思っております。
私たち野党四党は近く合意を得まして土地基本法を提案をする手はずにはなっておりますけれども、大臣におかれましても、また建設省の担当者におかれましても、そういったことを十分に把握をいただきまして、一日も早いこれらの成案を見るように、ぜひひとつ今後ともお知恵と努力をお願いしておきたいと思います。
次にお尋ねしたいのは、今後の法案の順序から申し上げまして、流れはまず開発事業者が計画を立てて、そして大臣の認定をいただく、このように実はなっております。大臣に申請があった段階で指定市の意見を聞くとかあるいは都府県の意見を述べる機会があるとか、このような流れになるわけでありますが、そうしますと自治権とのかかわりが一体どうなっていくんだろうか、大変危惧をする一人でございます。
今どこの自治体も財政事情はかなり窮屈になっておりますし、それぞれ中期、長期の計画を立てて行政を執行しておる立場からいいますと、今ここで五ヘクタールの一団の団地を造成します、そこにいろいろの公共投資もやってもらいたい、あるいは学校建設もやってもらいたい、そういった方向が自治体を素通りでいくような気がしてなりません。そのようなことは断じて許されないのでありますが、そういった流れに対して私は大変心配をする一人でございますけれども、そういった点についての建設省のお考えをまず一つ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/81
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082・望月薫雄
○望月政府委員 御指摘のとおり、今回の法案を提案するに当たりまして私どもも一番注意を払った問題点の一つがその点でございます。特に、先ほど来申し上げているように、一都三県あるいは一都四県というような非常に広域的な広がりの中で宅地需給を的確に担保していこうという一つの大きな政策目的と、その一方で地方公共団体の事情あるいは地方公共団体の権限あるいは立場、こういったものとの調和をどう図るかということが大変大事なポイントになるわけでございます。
結論的に申しますと、私どもの御提案申し上げている法案は、公共団体の権限、権能をいささかも侵害することのないようにということに最大の配慮を払っているものでございます。それは地方自治体としての固有の事務、権能もさりながら、機関委任事務としての都市計画法の事務などなども同じでございまして、今回の法案によって実現されます制度が、それらのことにいろいろとおっしゃるようなマイナス的な影響を与えるものではないというふうに仕組ませていただいておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/82
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083・木間章
○木間委員 局長のお考えは今述べられたとおりでございますけれども、受理される大臣にとっても極めて大事な課題だろう、こう考えております。決して決して自治体を困らせないようにこれからやっていただきたいと思いますが、大臣の御決意をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/83
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084・越智伊平
○越智国務大臣 お説のとおり、住宅を建てますとそれに伴う公共施設がいろいろありまして、地方団体の負担になる、こういうことであります。でありますから、先ほど三野先生からもいろいろ御質問があったわけでありますけれども、でき得れば、特に地方でいいますと、神奈川県等は住宅だけでなしに事務所、事業所を含めて来てもらいたい、こういう希望であります。それは確かにそうであろうと思います。でございますから、私の方で見れば、もちろん住宅が一番大切でございますけれども、そういったことも考えまして進めてまいりたい。
これとは別に、今いろいろ論議を呼んでおります地方移転の問題も、そういうことから、ただ住宅だけを他の県にお願いして、事業所はすべて東京というのでは大変であろう、こう思いますので、その件も含めて進めてまいりたい、まず政府から分散をしていこう、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/84
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085・木間章
○木間委員 最後に、一団の団地の中には公共施設あるいは公益的施設、業務用施設なども配置をしたい、こうなっております。その中に、新住宅市街地の早期の形成に必要な購買施設を含む公益的施設も的確に確保したい、実はこう表現をされております。そこで、購買施設とは一体いかなるものを想定されておるのか、ちょっと気がかりな面がありますのでお尋ねしておきます。
私も東京へ出まして、地方にもたくさんの団地がございますけれども、しょせん中規模といいますか、大都市の団地と比較いたしますと、虫眼鏡で見なければならぬような団地構成でございますが、東京へ出て、ある機会に多摩ニュータウンへ行ってまいりました。いろいろそこの方々と話をしますと、やはり私ども年配層には持て余す時間帯も実はあるわけです。ニュータウンができますと、若い世代の皆さんは、あるいは子供さんなどと連れ添って遊園地へ行ったり、あるいはレストランへ入って会食などもされるわけでありますが、私ども一けた以上の年代にはちょっとなじめないような町づくりだと私の目には映ったわけであります。もっと具体的に申し上げますと、将棋を指したり碁を打ったり、その合い間に縄のれんをくぐって赤ちょうちんで一杯やりたいなと思っても、実はそういった憩いの場所が見当たりませんでした。レストランでという気持ちもありますけれども、しょせんレストランはしストランでございまして、夕方もいいころになりますとシャッターがおりてしまうような状況でございます。
ですから、一団の団地でございますから、年代層もそれぞれ三世代、四世代にまたがっておろうと思いますが、それぞれの年代ごとにレクリエーションの場といいますか、憩いの場といいますか、そういったものの配置もあっていいんじゃなかろうか、このように考えるものでございますが、こういった購買施設とは、一体どこまでお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/85
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086・望月薫雄
○望月政府委員 お話のように、いわゆる新しい宅地開発、町づくりというときに、従来のような単なるベッドタウンというものはもう過去のものとして、基本的に見直されている。言うなれば、そこに住む、働く、憩うあるいは場合によっては学ぶ、こういったふうな、非常に温かい町づくりということが大きな課題になっているわけでございますが、私どもも、いわゆる購買施設などもそういった観点からも大変重要視されなければならぬ、こういうふうに認識しておるところでございます。もちろん、その前に教育文化施設等々の誘導配置がいかに大事かということは申し上げるまでもないことでございますが、その際に、ただいま先生大変大事な御指摘をいただいておるのですが、俗に言う赤ちょうちん、そういう温かみのある業務施設あるいは業務地区、こういったものをつくることは私ども非常に大事な課題と受けとめております。
ただ、これを都市計画の手法あるいは行政指導というようなところでもってきめ細かく指示、誘導していくことについては、率直に言いましてこれはなかなか難しい面もございます。むしろ民間の発意あるいはまた地域住民の求める嗜好の把握、こういったものを、どちらかというと行政のみにとどまらないで、幅広く総合的にとらえていく中でそういった町づくりができればなと私ども心がけておるところでございますので、今後この法律に基づきまして、あるいはまた都市計画による開発許可によって進められる宅地開発等に当たりましては、私ども、宅地供給の立場からも、今先生がおっしゃったようなことは十二分に念頭に置いて、できる限りの指導に努めてまいりたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/86
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087・木間章
○木間委員 以上でこの法案に対する私の質疑は終わらせていただきますが、何分にも一日も早い良質な宅地の造成が必要であります。かといって、価格面でも首都圏あるいは三大都市圏のサラリーマンに求められるような価格で造成していただかなければならぬわけであります。ぜひそういった点に十二分に御配慮をいただきまして、一日も早い宅地の完成を期待して、終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/87
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088・中村喜四郎
○中村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十五分休憩
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午後一時一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/88
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089・中村喜四郎
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。伊藤英成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/89
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090・伊藤英成
○伊藤(英)委員 まず、宅地供給の現状についてお伺いをいたします。
宅地供給の推移を見てみますと、宅地供給量は、公的供給それから民間供給ともに、昭和四十七年度をピークにいたしまして昭和四十年代後半から五十年代前半にかけて大きく減少をし、しかもその後も停滞ぎみに推移しておるわけでありますけれども、その要因あるいは背景をどのようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/90
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091・望月薫雄
○望月政府委員 先生御指摘のとおり、最近の宅地供給の動向を見てまいりますと、ひところ昭和四十七年ピークというお話がございましたけれども、その当時に比べて半分以下の数字に減ってまいっております。六十一年度の実態を見てまいりましても一万四百ヘクタールといった状況でございまして、大変落ち込んでいるということでございますが、この要因といたしましては、幾つかありましょうけれども、私ども大きく分けて三つの要因を考えております。
一つは、やはり農家等が土地保有志向が非常に強い、高くなっているといった点でございます。参考までに昨年の五月に建設省がいろいろと調査をした結果を発表させていただきましたが、三大都市圏で農家の方が今後十年以上その農地を転売、転用したくないという人が六割以上占めておるといった状況でもあります。いずれにしましても、保有志向が非常に高くなっておる、これが第一点でございます。
それからもう一つは、開発に要する期間が非常に長期化しているあるいは開発負担が増大しているということで、宅地開発事業の採算性がかなり悪くなっているということでございます。この背景としましてはいろいろなことが考えられますけれども、やはりとにかく非常に長期化してしまうということは経営意識の上でもかなり影響をもたらしているというふうに思うわけでございます。
それから、三つ目に申し上げたいことは、特に地方公共団体の宅地開発に対する受けとめ方でございまして、どちらかというと住宅系の開発については抑制的な姿勢をとっているところが見られるし、またそういった基調が強いといった状況と受けとめている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/91
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092・伊藤英成
○伊藤(英)委員 次に、六十一年の三月に策定をされております第二次宅地需給長期見通しによりますと、六十一年度から六十五年度の五年間で全国で五万九千二百ヘクタール、三大都市圏では二万七千六百ヘクタールの宅地需給を見込んでおりますけれども、六十一年度、六十二年度の実績がどのようになっているのか、そしてその状況につきましてどのように評価をしているのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/92
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093・望月薫雄
○望月政府委員 建設省が担当しております第二次宅地需給長期見通しによりますと今先生お話のとおりの数字を見通しとして持っておるわけでございますが、これに対します供給の動向はどうかという点で申しますと、六十一年度は全国で先ほど申しましたように一万四百ヘクタールでございますけれども、三大都市圏では五千百ヘクタールという状況になっております。したがいまして、仮に三大都市圏の前期見通しであります二万七千六百ヘクタールというものを年平均にしますと五千五百ヘクタールという数字が出てまいりますけれども、これと今の実績を比較しますと、三大都市圏だけでも四百ヘクタールからの落ち込みといいましょうか、計画に対して下回っている供給しかできていない、こういったふうな状況になっておるわけでございます。あわせまして、最近の地価高騰といったことが非常に気になるわけでございますが、これによります需要の増大に対応するためには、やはり四百ヘクタールからの落ち込みは何としても回復しなければならないし、より一層の強力な取り組みが必要だ、こういうふうに認識している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/93
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094・伊藤英成
○伊藤(英)委員 宅地の供給の方法でありますけれども、なかなかいろいろ難しい状況になっているわけでありますが、土地区画整理事業を行った土地等において今なお相当程度の未利用地が存在をしているというふうに思います。その面積は全国でどの程度あるのか、そしてまた、今回の法案の対象となる地域ではどの程度あるのかをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/94
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095・木内啓介
○木内政府委員 私どもが昭和六十二年度に行った調査結果によりますと、昭和三十七年から昭和五十九年度までに事業の認可された区画整理で、しかも既にその事業が区画整理の換地処分がなされたものをとらえているわけでございますけれども、その中で先生が御指摘の未利用宅地、まだ住宅等が建っていない未利用宅地は、全国で二万二千ヘクタール、三大都市圏で一万一千ヘクタール程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/95
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096・伊藤英成
○伊藤(英)委員 今の二万二千ヘクタールあるいは三大都市圏で一万一千ヘクタールといいますと、かなり膨大な量になるわけです。この問題につきましては私はかつて六十年の建設委員会でも質問をいたしましたけれども、この未利用地の利用促進についてどのように考えておられるのかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/96
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097・木内啓介
○木内政府委員 その前に、ちょっと先ほどの数字を若干補足的に説明させていただきたいのは、先生御承知のように、これはある断面で切った未利用地でございますから、例えば区画整理が済んだばかりでまだという期間も含んでないわけでございます。それと、逐次終わったところから徐々に、一挙には仕上げはしないのですけれども長い年月をかけて住宅化していくものもございますので、数字がちょっと誤解を招くおそれがあるのでございますが、そういう面で御理解いただきたいと思います。そういうことで、例えば三年前の、正確には二年四カ月前に調査したときに比べまして、二年四カ月前に未利用地であったものの四分の一ぐらいは二年四カ月の間に住宅が建っているという事実も御理解願いたいと思います。
その上でお答えを申し上げたいと思いますけれども、最初に、いろいろ考えられるのでございますが、一番よろしいのは、利用強制的な手法というはどうかというふうなことも私どもいろいろ考えるわけでございます。例えば宅地並み課税の強化というようなものも一種の利用強制かと思いますけれども、その利用強制的な手法をとりますとなかなか区画整理事業そのものをしたがらないようなことが起こるのではないかというような危惧がありまして、非常に強い利用強制はなかなかしにくい。これは、現に区画整理をやっております地方公共団体等の意見等も、十分議論を闘わせた結果、利用強制、要するに区画整理でできた宅地はすぐ使うようにしなければいかぬ、使わなければ例えば宅地並み課税をする、あるいは場合によったら補助金を返還させるとか、そういうことをやった場合に、区画整理事業自体が落ち込むおそれが多分にあるのではないかという議論があります。
そういったおそれもありますので、私どもとしては、主として未利用地のビルトアップにつきましては誘導助成的な方向で今まで対処してまいっているわけでございます。先生御承知のように、政府としましても税制、金融等いろいろな施策を講じてまいっております。また、現在地方公共団体におきましても、例えば、地権者の土地利用の指針となるような宅地利用促進プログラムをつくっていただいて指導している、あるいは地権者の土地経営と申しますか住宅経営と申しますか、そういうふうなもののノーハウとか情報の提供をしている、あるいは保留地の取得希望者につきまして建築計画を提示しまして、保留地を買った場合早く家をつくるように指導する、あるいは公的住宅機関に優先的に譲渡するというふうな誘導策をとっているわけでございます。
その上に、これからまた今国会に区画整理法の改正もお願いしているわけでございますけれども、その改正の要素の一つにも、やはり未利用宅地を早期に宅地化するための方策としての要素も含んでおるわけでございまして、各般の施策をしましてなるべく早い宅地、住宅ビルトアップを今後とも努めてまいりたいと考えておる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/97
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098・伊藤英成
○伊藤(英)委員 なかなか難しい面もあるようでありますけれども、しかし、この点は鋭意進めていただきたい、こういうふうに思います。
今お話のありました宅地並み課税の問題ももっともっと考えなければいけないと私は思うのです。これは経済局長の方になるのかもしれませんが、宅地供給を促進するために、もう一つは、土地の有効利用ということも含めて一緒にちょっとお伺いしたいと思うのです。
今、三大都市圏の特定市街化区域の農地の利用について、まずはやはり宅地並み課税を強力に進めるべきだと思いますし、もう一つは、今営農状況の問題についてもそれを厳しく確認をしていくということももっともっと進めていくべきだろうと思うし、そういう意味でまずこの問題についてどういうふうに考えられるか。
同じように利用の問題で、農住組合制度の活用の問題ですね、これの問題についてどう考えるのか。
それからもう一つ、これは宅地供給じゃないのですが、大都市の中心部で土地の有効利用という意味で、いわゆる低さ制限ですね、私はこれは本当に真剣に考えるべきだと思っておりますが、この低さ制限の導入についてどのように考えられるのかをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/98
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099・望月薫雄
○望月政府委員 昨今の厳しい宅地需給にこたえて的確に宅地を確保していくという政策のためには、ただいま先生おっしゃったようないわゆるあらゆる手段、あらゆる方策を有効に展開しなければならぬ、これに尽きると思います。
その中で、幾つかお話がございました中の一つとして、農地の宅地並み課税の問題、確かに私ども大変重要なテーマとして認識しているところでございまして、御承知のとおり三大都市圏の市街化区域内農地というのは七万七千ヘクタール、これは六十一年度の数字でございますが、これだけのものが賦存しているわけでございます。そのうち、特定市内の市街化区域農地、要するに農地の宅地並み課税の対象とすべき農地というのが六万へクタールあるわけでございますけれども、こういった農地についてもほとんどがいわゆる長期営農農地として認定されている、こういった現状はまことにもって宅地供給、宅地化促進という面から非常に私ども歯がゆく思っているところでございます。当面、昨年九月の自治省当局の通達、要するに宅地並み課税の厳正化について、こういった通達の効果を何としても実効あらしめていただきたいということで今着目しているところでございます。基本的には、現行の宅地並み課税制度はとにかく当面やるべきは厳正に運用していただきたい、これが第一点でございます。
それから、農住組合等、これは先ほど先生おっしゃった区画整理事業も同じでございますけれども、いずれにしても、市街化区域内農地を対象としますような農地の宅地化促進の具体の基盤整備方策として、これらのことは私どもも精力的に進めていきたいし、また、関係当局の方からも促進方をぜひお願いしたいと思っている次第でございます。
ともかく、そういったことは今後とも強く進めていくわけでございますけれども、あわせまして今私どもが最も着目する一つとして、市街化調整区域におきます宅地化を重視してまいりたいということで今回の法案を御提案申し上げている次第でございますので、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/99
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100・木内啓介
○木内政府委員 先生の御質問の後段の最低容積率についてお答えさせていただきたいと思います。
最近、高度利用という観点から容積率の最低限度も決めたらどうかというお話、確かにございます。ただ、私どもとしましては、現行制度で高度利用地区というふうな地区に指定をしますと、先生御指摘のように、建物の容積率の最高と最低を決められるという制度はございます。ところが、実際問題として、この制度が使われる場合は引き続いて再開発が行われるような場合に多く使われていまして、ひとりだけで動いているというような事情は少のうございます。
なぜなかなかできないかということでございますけれども、やはり容積率の最低限を決める、非常に高く使わせるというふうなことになりますと、どこででもいいということでなくて、御承知のように大都市等は非常に公共施設整備が十分でない場合が多い、それから、土地の所有が、例えば東京なんかで申しましても、百平米以下の土地の所有者が半分ぐらいあるとかいうふうなことで、所有が非常に小さいということで、現行の法定容積率の半分ぐらいしか使われていないような状態でございます。
そういうふうなことでございますので、やはり公共施設整備を伴った形で、言ってみれば再開発事業とか区画整理事業でフォローされるような形でないと、実際問題として最低の強制だけがひとり立ちしていくということも難しい問題があろうかと思います。と同時に、いい町ができないということもありますので、高度利用地区の積極的活用はしたいと思いますけれども、やはり再開発とかそういう良好な町づくりにフォローされるということが必要ではないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/100
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101・伊藤英成
○伊藤(英)委員 この問題はまた改めて質問をする機会もある、こういうふうに思いますので、特に東京なんかを考えますと、これは私はここでも何度も申し上げたと思いますが、ほかの国の主要都市なんかと比べてみたときに、今の東京の中心というのは非常に効率の悪い状況になっているというふうに思うのですね、そういう意味でまた鋭意御検討をお願いを申し上げたいと思います。
次に、今回のこの法案の内容についてお伺いをいたします。
まず、この宅地供給の手法が、今も新住宅市街地の開発事業あるいは特定土地区画整理事業等々の各種の手法があるわけでありますけれども、あえてこの新しい法律をつくる必要は何なのか。そしてまた、現存します手法では何が対応できないのか、できにくいのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/101
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102・望月薫雄
○望月政府委員 率直に申しまして、今回御提案している法律は、いわゆる宅地供給事業の手法をめぐっての法案では実はない仕掛けでございまして、手法としては、今先生おっしゃったような、新住なり区画整理事業なりあるいは開発許可なりという既にある手法を前提にいろいろ考えていかなければならぬ、今後の宅地供給はこれがすべて前提になるということでございますが、問題は、この宅地供給の中で開発許可による供給に今後かなりの期待をしなければいけないという現実展望の中で、国、公共団体、それから開発事業者、言うならばこの三者が三位一体となっての開発推進体制を組んでいこう、これが最大の眼目でございます。そういった意味で、事業手法を整備充実することよりも体制を充実したい、こういった考え方で御提案申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/102
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103・伊藤英成
○伊藤(英)委員 そうしたときに、この法律の目的としております良好な居住環境を備えた宅地を供給する事業を緊急に促進するということの効果というのでしょうか、どの程度そういう効果があるのか、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/103
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104・望月薫雄
○望月政府委員 先ほど来出ております第二次宅地需給長期見通し、これで私ども、三大都市圏で今後十カ年間に、六十一年から七十年でございますけれども、五万三千ヘクタール余りの宅地を供給する必要がある、またそうしていこう、こういう計画を持っているわけでございますが、これを内容的にどう見るかということで見てまいりますと、公的供給、住宅公団なり住宅供給公社なり地方公共団体でございますが、大体一万五千ヘクタールくらいこれに期待したい。そうすると、残りますのは全体のほぼ七割に相当しますけれども、三万八千ヘクタール余りは民間の力を活用したい、こういう基本方針を持っているところでございまして、その民間供給の中でおおむね三割程度は開発許可で対応していく必要があるのではないか。もちろんそのためには、民間の活力の一環としては区画整理組合等の土地区画整理事業等をやっていくわけでございますけれども、少なくとも今申しましたように民間の三割程度は開発許可でもって賄っていく必要があるし、またそうしたい、こう考えておる次第でございまして、今回の御提案申し上げている法律は、この開発許可の部分を特に焦点を当てて、この中で五ヘクタール以上のものについて促進に努めていきたい、こういった考え方で仕組ませていただいている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/104
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105・伊藤英成
○伊藤(英)委員 この中にうたわれております公共施設等の整備についてお伺いをいたしますけれども、この宅地開発事業計画の認定に当たって、住宅、公共施設、公益的施設または業務施設の用地の配置が問題となりますけれども、具体的にはどのような配置の割合を優良と認定をされるのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/105
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106・望月薫雄
○望月政府委員 優良と認定いたしますための具体の基準は政省令で定めさせていただきたいと考えておるわけでございますが、現在私ども基本的にこうしたいなということを申し上げさせていただきますと、まず公共施設用地の面積というものをどう見るかということでございます。これはちょっと逆からいって恐縮でございますけれども、全体の事業区域面積の中から公共施設用地面積を除いた面積の二分の一以上を住宅地にしたいということでございまして、言ってしまえば、その規模、立地条件等によっていろいろの状況がございますけれども、大体三割程度の公共施設用地というものは頭に置いて描いていきたい、こう思っておるわけでございます。
それからもう一つは、戸建ての住宅宅地というものを供給対象として考えるわけでございますが、この区画としては百七十平米程度のものを供給するというのをもって優良宅地、こう見ていきたいな、こんなふうな考え方を持っております。
大体そんなことを基本に考えておりますが、具体的に配置をどうするということについては、ただいま数量的なことを申し上げましたけれども、この場所にこうというようなことはちょっとこの認定の段階ではふさわしいものではないのではないか、むしろ都市計画の段階、開発許可の段階とかあるいはもう少しく実務的なレベルでもって整理すべきもの、こんなふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/106
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107・伊藤英成
○伊藤(英)委員 この事業計画の中に「良好な居住環境を形成するために必要な事項」を盛り込むというふうになっておりますけれども、実は良好な居住環境ということのときに、これは私が三月、先月だったと思いますが、この建設委員会で景観の問題についていろいろとお伺いしたり私の考えることを述べたりしたわけでありますが、その景観の問題についてはどういうふうに考えられるのか、お伺いしたいと思います。実は、よくそれなりの規模の団地などを見たときに、最初に宅地造成がされます。その造成をされたときに一番最初に電柱がぱっと立ちますね。私はあの姿を見るたびに、全く新しくつくったのだから、このときこそ電柱、電線の地中化を進めてこの地域を本当に美しくすればいいのにということをよく思ったりするのです。そういう意味で統合的な景観を備えた町づくりということが必要だ、こう思うのですけれども、今回のこの中でそういう部分はどのように考えられているか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/107
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108・望月薫雄
○望月政府委員 最近、都市計画の中でもこの景観というものが大変重視されてきているという状況にあることは先生お話しのとおりでございまして、とりわけ、今のように宅地開発に当たって非常に電柱が林立するのが醜いという御批判も我々しばしば受けるところでございます。
そういった意味から、当然のように、電柱ばかりではございませんけれども、要するに町づくりに当たっての基本的な景観問題というのは今後大変重要な課題とは認識しておりますが、率直に言いまして、今回の法律で予定しています優良かどうかの認定基準の中にはそこまで入れてございません。そうはいいながら、今後できるだけそういう方向で宅地開発が進められるようにということも念頭にあるわけでございまして、例えばの話、地区計画あるいは建築協定、特に建築協定でございますが、こういったものを大いに活用していこうじやないかという姿勢はこの法案の中でも入れさせていただいている次第でございます。
電線類の地中化等については、今後個別開発事業者が事業を行うに当たって、その辺について本当に高品位、高品質の宅地開発というものの中で出てくることを私ども大いに期待している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/108
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109・伊藤英成
○伊藤(英)委員 それから、関係都府県との調整の問題であります。建設大臣は認定に当たりまして関係都府県の意見を聞くというふうになっておりますが、その場はどのように考えられておるのか。また、先ほどの一番最初の宅地供給についての私の質問のときに、局長も宅地開発に抑制的な地方公共団体が多いというようなことも言われたりいたしましたけれども、その場合にどのように調整をしていくのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/109
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110・望月薫雄
○望月政府委員 今回の制度は、挙げて国、地方公共団体あるいは開発事業者、三位一体となってということを先ほど御答弁申し上げましたけれども、言いかえれば、地方公共団体の自主性、立場というものを尊重するのは当然のことというふうに考えておる次第でございまして、それだけに随所に意見調整というものを重視しているところでございます。
一番端的に言えば、事業認定申請をいただいたときに建設大臣は都府県知事の意見を聞く、あるいはまた知事は意見を出すに当たっては市町村長の意見を聞く、こういったふうなこと等々でございますが、基本的には公共団体の立場をできるだけ尊重していこう、これに尽きるわけでございます。
とりわけ公共団体の事情というのは、よく言われることでございますが、今やベッドタウンだけの開発はお断りである、あるいはもっと言えば、財政負担との問題もこれあり、いろいろの関連公共対策の方についてもしかるべく措置をすべきであるというような御意向が非常にございます。そういった意味で、今後の宅地開発に当たりましては、いわゆるベッドタウンというものは避けながら、住む、働く、学ぶ、憩う、こういったふうな町づくりという観点を重視していくことで、公共団体との意見調整も一歩、二歩進められるのじゃないか、またそれが御理解を得る一つの具体の方策ではないか、こう思いますし、さらにまた、公共施設の整備等についても国として最大限の協調体制をとらしていただきたい。具体的に言うと、建設省としましては、持てる力を全力をもってこれに対応してまいりたい、こんなふうな構えでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/110
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111・伊藤英成
○伊藤(英)委員 今回、この申請から認定までどの程度のリードタイムを考えておられるのか、それから認定以降の認定事業者に対するフォローをどのように考えておられるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/111
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112・望月薫雄
○望月政府委員 私ども率直に申しまして、この事務がどういうふうに流れるか、また流すことができるかということは、この制度を生かすも殺すもここにかかっていると思っております。ただ現在のところ、まだ具体のそういう面をめぐっての協議、調整等をやっていないものですから、ちょっと一概に申し上げにくいわけでございますが、基本的には公共団体の意見をもらう運びなどが時間がかかる可能性の一番高いところでございますので、そういった面で私どもとしましては、県、市町村との制度についての理解を十分深めるということをまず行うことで、できるだけ早い、短いリードタイムで措置できるように頑張らせていただきたい。片方で公共団体の意向、立場を尊重するということはございますけれども、その辺は十分な協議、協調の中でできるだけ早くやっていこうというのがこの法律の精神でもある、こう考えている次第でございます。
また、この認定された事業、これは今後どういうふうに進めていくかということになるわけですけれども、当然のように開発事業者は十分にこれを遵守していただかなければならぬということでございます。当然のように私ども、各それぞれの段階で事業の進捗状況を把握させていただきたいし、また必要な指導等もおいおいやっていけるように努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/112
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113・伊藤英成
○伊藤(英)委員 最後になりますけれども、大臣にお伺いいたします。
この大都市地域における良質な住宅地の供給促進ということを考えるときに、大臣の決意、それをお伺いをして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/113
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114・越智伊平
○越智国務大臣 ただいま先生からのいろいろな問答を聞いておりまして、またけさから、各先生方からいろいろお話がございましたが、三大都市圏、特に東京、大変な状態であります。でございますから、何としてでも宅地の供給をふやしていかなければならない、それもなるべく早く、早急に優良な宅地を供給していかなければならない。でございますから、この法律を制定いたしまして、期間がちょっとかかるのも出てくると思うのです。しかし、なるべく早くやらなければ、今のように時代の変化が激しい、しかも高値安定ではいけない。これをどうしても引き下げなければならない。でございますから、各県、市町村にも御協力をいただいて、できるだけ進めてまいりたい、かように思う次第であります。
いろいろ、これは宅地とはちょっと違いますけれども、今高速道路などの場合は農家も実際はある程度で早く売りたい。税制の問題等もありまして、高速道路をこちらへやってくれとかこちらへやってくれというような陳情もありますので、御承知のような農業状態で休耕田が多いような時期でございますので、そういうことも御協力をいただいて五ヘクタール以上の大きいのも出てくると思いますけれども、できるだけ早くやって宅地の供給をする、そして優良宅地を供給すると同時に、地価の引き下げ、これに努めてまいりたい、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/114
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115・伊藤英成
○伊藤(英)委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/115
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116・中村喜四郎
○中村委員長 矢追秀彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/116
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117・矢追秀彦
○矢追委員 最初にこの法案についてお伺いをしたいと思いますが、先ほども出ておりましたけれども、宅地供給量の実績、それから最近における減少の理由についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/117
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118・望月薫雄
○望月政府委員 最近の宅地供給動向を見てまいりますと、先ほども御答弁申し上げましたが、四十七、八年当時に比べて半分以下の水準になっている、六十一年度は一万四百ヘクタールという水準に落ち込んでいるわけでございまして、こういったことを私ども非常に深刻に受けとめているのが率直に言って現実でございます。
なぜこうなったのだろうかという点でございますが、いろいろ要因は考えられますけれども、その主なものとしては、まず一つにはやはり農家の方の土地保有志向というものが非常に強い、むしろ高まっている、こういったことがあろうと考えております。それから二つ目には、やはり宅地開発事業というものがどちらかというと非常に長期化するということの中で、事業として俗に言う採算性の悪い事業になっているということで、開発事業者にとってもなかなかこの意欲がわいてこないという面が出てきているのじゃないか、こんなことも危惧しているところでございます。それからもう一つは、大変大きな問題でございますけれども、これを受けとめる地方公共団体の要するに姿勢の問題でございまして、率直に言いまして住宅の開発、住宅オンリーの開発はお断りだ、こういった点がございます。俗に言う開発抑制方針というものが私ども非常に気になっているところでございますが、それぞれの事情のある中ではございますけれども、公共団体のそういった姿勢というようなものが相互に絡み合って今日のような姿になっておるのじゃないかと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/118
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119・矢追秀彦
○矢追委員 今の理由以外に、この法案自身が三大都市圏でございますので、やはりそこを、特に東京にいろいろ一点集中という面、人口の集中という面が非常に大きなファクターと思いますが、その人口集中度といわゆる宅地供給との関連性というのはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/119
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120・望月薫雄
○望月政府委員 先ほど主要な点として三つ申し上げましたけれども、これはその遠因において人口なり諸機能の集中と無縁ではないというふうに受けとめているところでございまして、やはり人口あるいは諸機能等が集中する過程で要するに地価が上がったということが、先ほど申し上げたような土地の保有志向を強めている、こういうことがございます。片方また、人口集中というものがどういうふうに近隣の公共団体に影響を及ぼしているかというときに、住宅だけをいわば受けとめるということについては非常に拒否的な反応が出てきている、こういったものだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/120
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121・矢追秀彦
○矢追委員 この法案、私たちも賛成でございますから、この法案自身についてはよしとするわけでございますが、今日の時点でこの法案を出されたねらい、この法案が成立をいたしますと、どのくらい宅地供給の増加が見込まれるのか。
それともう一つは、十年ということにされておりますが、どういうわけで十年としたのか。これは緊急措置ですから、時間のかかるという点も、宅地開発事業が長期化ということも当然でありますが、十年とされた理由、それについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/121
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122・望月薫雄
○望月政府委員 まず、十年とした理由でございますけれども、これはやはり、現実に深刻をきわめております首都圏等を中心にする大都市圏の宅地需給問題というものに早急にこたえなければならぬということが、基本的に我々が受けとめなければならぬ課題だと思っております。特にまた、その間において、つけ加えさせていただきますと、将来に対する先行き不安感というものも宅地需給の逼迫感を高めているという面も否定できないところでございまして、私どもとしてはそういった意味で十年先をにらんでの一つの方向づけというものを急ぐべきである、こんなふうに考えている次第でございます。
それで、そういったことを申し上げる背景でございますけれども、建設省で今持っております宅地の長期需給計画、こういったもので見てまいりましても、三大都市圏での宅地の十カ年間での供給必要量は五万三千ヘクタールという量に上るというふうに私ども見ているわけでございます。この五万三千ヘクタールについてどういうふうに供給していくかということになりますと、私どもは、公的な開発を大いに進めなければならぬことは当然でございますけれども、やはり七割程度のものは民間の力に依存しなければならぬ、依存したい、こういう基本的な構えを持っておるところでございます。そういった意味で、膨大な宅地需要にこたえるために三大都市圏で緊急に進めるためには、今申しましたような背景を持って今般の法律を御提案させていただいている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/122
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123・矢追秀彦
○矢追委員 十年とされた理由を今おっしゃいましたが、現実にこの法案が今国会で通りますと、参議院がありますから五月末といたしますと、六月から動き出すわけですね。これから宅地開発事業計画が出てきましてそれを認定するわけです。その認定については九項目にわたるチェックが行われるわけですね。そういうことをやって実際優良な宅地がここにできたというまでに大体どれくらいの時間がかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/123
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124・望月薫雄
○望月政府委員 今般の法律で認定をお願いしている基本的な仕組みの関連でございますが、法が施行されましたときに既に着手している事業も一定の期間内で私ども認定宅地として扱わせていただきたいというのがまずありますので、全く白紙から始まるもののみならず、現在継続中のものについても認定宅地として扱うという面が出てまいります。
それはそれとして、新規にこれからいよいよ事業を起こそうというものについて期限の御質問でございますけれども、今明快に例えば何年以内でということは申し上げにくいのでございます。というのは、基本的にはこれは開発事業者の申請を待って行うものでございます。言えることは、そういった中ではございますけれども、私どもはこういう構えで今後宅地開発を進めていくということを関係方面に周知徹底に努めることでできるだけそういう意欲をわかせる、わかせていただきたいということで、せっかくの法律制度をつくっていただきました暁には大車輪でその辺の努力に努めていきたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/124
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125・矢追秀彦
○矢追委員 今継続中のは大体どれくらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/125
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126・望月薫雄
○望月政府委員 正確な数字はちょっと今持ち合わせていませんので失礼いたしますけれども、私ども、ずばり全部認定の対象になるかどうか点検しなければなりませんが、現在、五ヘクタール以上の土地で事業の手続等を含めて準備中のものあるいは事業中のものは六百ヘクタールほど一都四県の区域にあるというふうに承知いたしております。しかし、これがすべてであるか、あるいはこのすべてが認定できるかどうか、その辺はもうちょっと慎重に検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/126
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127・矢追秀彦
○矢追委員 この法律が施行されて周知徹底をされたといたします。そして十年かかって先ほど言われた五万三千ヘクタール現在不足しておる点が十分——もちろんこの法律だけですべてが満足されるとは私も思いませんけれども、どれくらい宅地の供給が推進される、このようにお考えになっておりますか。見込みがないとこういう法案を出すこと自身が意味がないわけですから、見通しを持っておられると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/127
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128・望月薫雄
○望月政府委員 先ほど五万三千ヘクタールの需給計画ということを申し上げましたが、大ざっぱに言ってこのうちの三割は住宅・都市整備公団あるいは住宅供給公社あるいは地方公共団体といった公的主体で開発させていただきたい、少なくともこれだけはやっていきたい、こういう構えでおりますが、残りの七割ぐらいは民間による供給ということを念頭に置かざるを得ないし、また置きたい。その民間で行います宅地供給に対しまして、その三割弱は開発許可という手続の中で事業を進めていくことが必要だろうと思っていますが、その中の五ヘクタール以上のもの、大ざっぱに言ってこの半分以上でございますね、七千ヘクタール以上のものは私どもこの法律制度の対象にして取り上げてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/128
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129・矢追秀彦
○矢追委員 私まだよくわからないのですけれども、例えば今の五ヘクタール以上の優良宅地として建設大臣から認定をされたAという地域ができたとします。それは建設大臣の認可された優良な宅地です。今までのほかのものとは違いが出てくるわけですね。それによってその住宅はよく売れるようなことになるのか。あるいは逆に値段が高くなる、地価高騰の引き金になる可能性もゼロではないと私は思うのですけれども、特に優良ということをつけられるのは、将来、認定による優良宅地ですよという宣伝で業者が売り出すのか、それともこういうふうなことによって宅地を供給するだけの方にウエートがかかっているのか、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/129
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130・望月薫雄
○望月政府委員 法文で書きますと、優良というのは非常にフィジカルな幾つかの要素で分解して、それに適合しているから優良ということになるわけですけれども、今回の制度の基本的な構えは、国あるいは公共団体が一体になって宅地化するにふさわしい宅地、団地ということでこれを進めましょうという構えのものでございまして、そういった意味での優良性というものが、文言には出ておりませんけれども基本的にあるということを私どもまず申し上げたいと思います。
建設大臣がわざわざ認定するということは、率直に言って今までにこういう制度は余りないところでございまして、この認定の重みというものは我々自身、事務当局者もかみしめなければなりませんと同時に、この重みはまた公共団体においても御理解いただきたい、こういう構えでございます。同時に、民間含めての開発事業者におきましては、この重みをゆめゆめ、今先生おっしゃったような妙な格好で活用されることがあっては困る、こういうふうに考えておるところでございまして、そういった意味で、促進と同時に適正な指導が問われているいわゆる優良認定というふうに受けとめている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/130
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131・矢追秀彦
○矢追委員 先ほども言われたように、なかなか宅地開発できなかった中にはいわゆる採算性ということもあったわけでありますから、そういうふうな方に使われないような指導はぜひお願いをしたいと思います。
宅地供給策としては、新規の宅地開発も必要でありますけれども、それとともに、既存の宅地あるいは土地区画整理事業の施行済み地で未利用または低利用のままになっているところがかなりあると思いますが、それの有効促進も非常に重要だと思います。その点はこの法案との絡み、あるいはこの法律施行後、こちらの方とそちらの方の重点的な力の入れ方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/131
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132・望月薫雄
○望月政府委員 先ほど都市局長からも御答弁ありましたけれども、現在東京圏で区画整理済み地でまだ宅地化、要するに住宅が建ってない土地が一万一千ヘクタールある。概念についてはちょっと微妙な定義もあるようですけれども、いずれにしてもまだ十二分に活用され切ってないという現実がある。その数字が一万一千ヘクタールに上るということは、私どもとしても、当然宅地行政のサイドからもその促進が図られなければならぬと期待していることは言うまでもございません。しかし、先ほども申しましたように、十カ年間で五万三千ヘクタールに上ります新期宅地需要にこたえるためには、これは当然として、それ以外の施策も力強く進めなければならぬことは論をまたないところでございまして、そういった観点からこの法案を提案させていただいている。くどいようでございますが、区画整理済み地の宅地化促進など他の施策は当然に進めていただく必要がありますし、また進めるべきでございますが、あわせてこういった新しい制度もぜひ実現させていただきたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/132
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133・矢追秀彦
○矢追委員 他の制度もあるわけですが、特にこの法律ができ上がった後のことを考えて、今申し上げたそういうこととか、その他そういう意味でこの宅地供給のために総合的に力を——すべての事業が大事ですけれども、特に重点的に今後力を入れなければならぬ、そういった施策を具体的にちょっと挙げていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/133
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134・望月薫雄
○望月政府委員 この法律は、実は宅地開発手法をめぐっての法律ではないわけでございますので、いわば取り組みの基本的な体制の制度を充実したいというものでございます。それだけに、特に何を重点に考えるかというお話、私は一言で言えば地方公共団体と国の連携体制をどう強化するかということに尽きようかと思います。そういった中では、公共団体が求めるもの、これをしっかりと受けとめて私どもは認定行為を初め一連の施策を講じたい。したがって、端的に言いますと、認定に当たりましても公共団体の意向は無視できないどころか立場を尊重する、これは当然でございますし、またこういった宅地開発関連の公共施設についても私どもとしては全力を挙げてこれを支援させていただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/134
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135・矢追秀彦
○矢追委員 先ほどもおっしゃっておりましたが、地方公共団体というのは住宅オンリーのものについてはなかなか慎重である、こう言われておるわけでございます。確かに広域的な住宅需要の受け入れや市街化調整区域における大規模開発については、東京周辺の各県では慎重な方針をとっておるわけですが、これに対する対応策、いろいろ話し合いかと思いますが、実際、地方公共団体の協力は得られる見込みといいますか、今のこういった慎重な態度を転換できる方向というのは自信はおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/135
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136・望月薫雄
○望月政府委員 実は一月の二十一日でございましたでしょうか、建設大臣御出席いただいて、一都四県の知事あるいは政令二市長さんのいわゆる宅地首都圏サミット、こういったものも初めて持たしていただいているわけでございますが、そういった場を通じて大臣初め建設省からいろいろとお勤めし、御要請申し上げている中で、東京の例で恐縮でございますけれども、東京圏の宅地問題がいかに深刻であり、これに対して一つの連携体制というものが大事だという御理解は相当に深まっていると思います。
ただ、それですべてすんなりいくか、自信があるかという点でございますが、率直に申しまして各公共団体の市長さんあるいは知事さん、こういったお立場からしますと、言うなれば住宅だけを押しつけられる宅地開発は御免だという基本姿勢は否定できない面がございます。それだけに、これからの宅地開発というものは一種の地域づくりという観点から取り組むべきである、こういった強い御要請が当然のように出てまいっている次第でございまして、私どももこの優良宅地制度というものを御提案している中でも、それだけに業務機能というものも必要なところについては考えなければならぬ、複合開発というような姿勢も出させていただいております。私どもそういった具体の対応をすることによりまして市長さん、知事さん方の御理解を深めていきたいし、またその中で深まることを期待している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/136
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137・矢追秀彦
○矢追委員 この問題について大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/137
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138・越智伊平
○越智国務大臣 確かに住宅だけ持ってこられても困るというような思想がございます。また、開発をどちらかといいますと非常に長い期間抑制をしておりましたから、その風習が残っておるところもあります。でございますから、住宅宅地問題は皆さん方の御協力をいただかなければできない、特に地方公共団体の御協力をいただかなければならない、こういうふうに考えております。そうして各近県等にお願いをしております。率直に言って東京都知事さんと各県の知事さんとはいささか考え方も違っておる。これは率直なところであります。
しかし、いずれにしてもこういうことになりましたから、一つには、今もお話がございましたように事業所そのものもある程度持っていく、特に政府みずからまず範を示さなければいけない、こういうことで進んでおるような次第であります。こういうことにして話し合いをしていけば御理解がいただけるんだな、こういうふうに考えておりますし、またいただかなければならない、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/138
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139・矢追秀彦
○矢追委員 大都市地域における宅地開発に際しましては道路、鉄道等の交通網の整備を並行して進めることが非常に大事であるわけでございます。鉄道の問題は運輸省関係になりますので直接の答弁はできないかと思いますが、ちょっと関連して住宅の問題だけで結構ですからお答えいただきたいと思います。
なぜこういうことをお伺いしたかと申し上げますと、千葉ニュータウンの場合、北総開発鉄道の東京への乗り入れが大幅におくれ、本来ならば既に開通しておるはずであったのがまだ開通の時期がわからない、こういう状況であるわけです。千葉ニュータウンから都心までは現在新京成電鉄と相互乗り入れをして松戸市へ迂回している通勤者が多いわけで苦労しているわけです。だから一時間半以上かかっているわけです。この北総線が全面開通すれば、京成電鉄、都営浅草線と相互乗り入れになりまして、小室—江戸橋—日本橋間は四十五分で結ばれる。したがってこの千葉ニュータウンとしては全面開通への期待を持っているわけです。今非常に安いですから人気が上がっておるわけです。
ところが、これが訴訟の関係で非常におくれることになりそうです。そうなると、せっかくいい宅地が分譲されても結局後で困ってしまう、こういうことになりますので、そういった面の鉄道、交通網、そういった対応策というのはこの法案では講じられておるのかどうか、それが一点と、そういうふうなことをきちんと知っておかないと、先ほども言われたように、ただ住宅だけ持ってくるのでは地方自治体も困るというふうなことも絡めまして、道路、交通あるいはその他の環境整備、そういったものがきちんとされなければいけないわけでございまして、その点についてこの法律ではどのようになっておるのか、それでは縛れないのかどうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/139
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140・望月薫雄
○望月政府委員 お話しのようにある一定規模以上宅地開発を行う場合には、道路、鉄道等のいわゆる足というか交通施設の整備が不可欠であるわけでございます。そういった中で、ただいま御指摘のような千葉ニュータウン関連の鉄道がいろいろな経過の中で今日までおくれていることは私どももいろいろと反省材料を持っているわけでございますが、とりあえず現時点では、六十五年度末には何とか事実上の整備が終わる見通しも立ってきた、こういうふうに聞いております。
それはそれとしまして、私ども、今回の法案でその辺についてはどう考えているかという点でございますが、率直に言いまして、大変大きな団地というものがどのくらい出てくるかまだよく見当がつかないところもあります。五ヘクタール以上ということを概念として持っておりますが、千葉ニュータウンとか多摩ニュータウンのようなものが果たしてありやなしや、これから点検させていただきます。そういった中で、鉄道整備については直接コメントしていない法文でございますが、基本的にはこの法案の第十七条でございますけれども、関連する公共施設についての整備は国、公共団体ともに努力しよう、こういう規定、いわゆる努力規定を入れさせていただいております。建設省の守備範囲、責任の持てる部分としては、宅地開発関連道路というものについては精力的に取り組ませていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/140
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141・矢追秀彦
○矢追委員 宅地開発に際しまして公共公益施設整備費や負担金をデベロッパーに過重に負担させる問題につきまして、私たちはこれまでもたびたび指摘をしたわけでございますが、最近ではどのようになっておりますのか、具体的な数字を挙げていただきたいと思います。既にいただいておりますが、これはちょっと古いデータのようです。新しいのはあるのかないのか、その辺も含めてお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/141
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142・望月薫雄
○望月政府委員 先生今御指摘の、いわゆる古いと言われましたけれども、実は私どもにも五十八年当時の実態調査のものよりも新しいものはないわけでございますが、古い五十八年当時の調査の結果では、大体宅地原価の三九%、四割近くがいわゆる公共施設あるいは公益施設の整備費である、こういったふうな実態になっております。事ほどさように、宅地開発に当たっては公共施設あるいは公益施設の負担分というものが宅地原価に乗っかっているという現実がございます。
こういったことについては私どもも行き過ぎのないようにということでいろいろと指導もさせていただいているわけでございますが、やはり公共団体指導だけでは足りないところもあるわけでございまして、できるだけ国として補助採択できるものは積極的に補助対象にしていこうという努力をいたしております。そのためには、直接的には宅地開発関連公共施設整備事業費、こういったものの確保、拡充に努めておりますが、あわせまして金融公庫の立てかえ制度、さらにまた通常予算による整備の促進、こんなところを総がかりで進めておるところでございますし、今後優良団地についてはさらに一層の努力をしていきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/142
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143・矢追秀彦
○矢追委員 大体御答弁をいただきましたけれども、要するに入る方の、購入される人、あるいは入居される人に家賃として最終的にはね返ってくる、それと固定資産税や都市計画税もかぶってくるということで、結局住民に負担がかぶさるということになりますので、この点はひとつきちんと対策は講じていただきたい。これは重ねてお願いをしたいと思いますし、この問題と造成宅地の処分価格、これについての規制措置というものをお考えになっておるのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/143
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144・望月薫雄
○望月政府委員 この法律の条文の中には直接的に処分価格について具体的にどう指導するというものは入れてございませんが、基本的には、五ヘクタール以上という宅地になりますと、これは御案内のとおり国土法によります届け出対象になってまいります。そういった意味での行政的な一つのかかわり合いというものが出てまいりますが、もう一つ、実は住宅金融公庫の融資をこの制度の中で大いに予定しておるところでございまして、助成措置の一環として、通常の貸し出しよりも高い割り増し融資をしたいというふうに予定しておるわけでございますが、そうなりますと金融公庫の立場でもこの価格というものについてチェックする機能が出てまいります。私ども、そういった場を通じて適正な価格というものを実現するように努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/144
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145・矢追秀彦
○矢追委員 これは私の一つの提案でございます。こういったことも考えられるのではないかという意味で申し上げるのですが、地方自治体の都市施設整備費の資金調達として、民間デベロッパーや住宅購入者を引受人とする電話債券などに準じたコミュニティー債券制度あるいは受益者債券制度、そういったものもひとつつくってはどうかという意見もあるわけでございまして、こういうようなこともひとつ考えに入れた上で、先ほどいろいろお話をされました問題も含めて、そういう公共的なものについてはできるだけデベロッパーに負担させない、こういうことでやっていただきたいと思いますが、これも含めまして建設大臣の答弁をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/145
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146・越智伊平
○越智国務大臣 先ほど来お答えをいたしておりますが、優良宅地は宅地自体が優良なことはもちろんでありますけれども、価格の面でやはり購入する方々、この方々に負担がたえられる価格でないといけない、こう思います。したがいまして、国あるいは地方公共団体含めてできるだけ補助対象なりそういうことにのるものはのせていって、土地にはね返らないようにいたしたい、かように思います。
今の債券の問題等につきましてはちょっと検討をさしていただく。私の方では、今もお話がありましたように、住宅金融公庫等で融資をして、それにたえられるようにいたしたい、かように思う次第であります。優良といっても、宅地自体が優良というより、いいところが安く手に入る、こういうことでございますので、幾らでも天井なしというようなことでは考えておりませんで、なるべく安く優良な宅地を供給する、ひいてはこれが地価の引き下げにつながっていく、こういうことで急いでやりたい、こういうふうに思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/146
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147・矢追秀彦
○矢追委員 供給の面ばかりがこの法案ではされておるわけでございますが、今度、いわゆる人口の集中を結局とめなければいけない。さっき五万三千ヘクタールとおっしゃいましたが、仮に今言われているところの首都機能移転、いわゆる大都市への集中を排除するために、特に東京ですけれども、そういったことがどんどん行われていった場合、この五万三千ヘクタールというものが、どれくらいまでの移動といいますかそういうことがされれば、これがもう少し需要が減って、供給側がどんどんこういう施策でふえていく、バランスがとれる、こういうふうな大まかな見通し。この首都機能移転もやるならやるで早くやっていかないと、こっちも十年単位で考えているわけですし、そちらも十年なら十年計画でやるならやるで、今のところはまだ議論の段階ですから、法案もこれから通ってまいりますけれども、ただ法律ができたからすぐできるわけではありませんので、その点も、ただこの五万三千ヘクタールだけをやればいいんだというのではなくて、こっちの減らす方の努力、これもしなければいかぬと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/147
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148・望月薫雄
○望月政府委員 これはもう宅地供給施策ということの直接的な話のみならず、もっとその根っこにある、要するに国土をどう再編成していくかということとかかわりのある話でございますが、そういったものを私ども見た場合でも、当面十カ年あるいは二十カ年先の展望では東京圏を中心とする大都市圏の宅地事情というものはまだ非常にシビアである、こういうふうに見ているわけでございます。
御案内のとおり、四全総は一口で言えば社会増をどんどん進めるという政策ではなくて、できるだけ社会減を志向しながら自然増社会みたいなものを描いても、現在東京圏の人口三千万が昭和七十五年に三千三百万人になる、こういった見通しを踏まえただけでも一都三県の地域で四万へクタールの宅地が必要だ、こういうことでございます。私どもそういった数字を見合わせましても、とにかくまだまだ必要である、こういう認識に立っておるところでございまして、今先生の御指摘の点は、当然政府全体として国を挙げて取り組むべき課題と思いますが、宅地供給のサイドからは、だからといって余りそれを理由にしてこれが不要だというものではないと認識しているのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/148
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149・越智伊平
○越智国務大臣 政府機関の移転につきましては、これは国土庁長官が中心になってやっておりますけれども、七月までに必ず実行をいたします。これをやらなければ、もう各近県の方々の意向もございますし、進めてまいりたい、かように思う次第であります。
もう一点、この点は午前中の質問にもありましたけれども、住宅を東京でといいますと、東京の今の都内でというよりも、外に出ていく傾向、これは東京都だけでなしに、各都市が、都市の中心が空洞化していっておる、これはもう事実であります。今、非常に環境のいいところへ、居住地は環境のいいところへ持っていこうということで、これは地価の問題もございますけれども、それ以前に、地価がある程度安定しておるところでも外へ外へと、こう住居は出ていっておる、そして、事務所なり商店なりは都心部にある、こういう傾向が非常に強い。でございますから、でき得ればそういう要望にも沿ってこの都市中心部の空洞化に対する問題も将来考えなければならないけれども、今都会の方々のニーズが郊外というところでございますから、こういうところの宅地の開発、これも大いに進めていかなければならない。これはどこの都市でもほとんど都心部の方は外へ住居を持ちたいというような傾向がございます。その点も含めて今後進めてまいりたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/149
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150・矢追秀彦
○矢追委員 大臣、今最後の方でおっしゃったこと、ちょっとお伺いしようと思っておりましたので恐縮ですが、いわゆる東京なら二十三区、大阪だったら大阪市内の中心部、だんだん人がいなくなって、この間新聞で、たしか西麻布の小学校がことしの入学者はたった三人、一学年、小学校ですね。こういうふうな現象に端的にあらわれるように、要するに特に若い夫婦は住んでいない。大阪市あたりでも非常に高齢化がひどいわけです。若夫婦は外へ行ってお年寄りが団地でも残っておる、こういうようなことが非常に多いわけでして、通勤に二時間もかかるという大変なロス、この前私も指摘をしたとおりですが、そういう意味で、中心部にもう少し住宅ができるような、規制の緩和も含めて相当ドラスチックなことをやっていかなければいかぬのではないか、こう思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/150
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151・越智伊平
○越智国務大臣 お説のとおりであります。これは、一つは中心部がほとんど環境的によくないという点もあるのであろう、かように思う次第であります。でございますから、この東京都にいたしましても、臨海部の開発に住宅を以前より積み増しして、多く住宅と。家賃の高いところもあると思いますけれども。
いずれにしても、今東京都だけでなしに、全国どの都市でも、都市の中心部は空洞化しておる。ですから、夜間人口でいいますと、過疎地必ずしも離島とかあるいは山村ということでなしに、夜間人口でいきますと過疎地が都心部になっておる。これが実態であります。ですから、都心部に呼び戻すといいますか、ある程度住めるような環境をつくっていかないといけない。昼間人口は非常に多いのですが、夜間人口は非常に減っておる。ですから、都市部の学校にいたしましても、小学校でも中学校でも、もう空き室だけになっておる。複式とか複々式をやらざるを得ない、こういう状態になっておるのが実態であると感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/151
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152・矢追秀彦
○矢追委員 法案そのものについてはこの程度にいたしまして、この際でございますので、ちょっとほかの問題をお伺いしたいと思います。
まず最初に、建設、農林水産、運輸の三省協定の賃金関係の問題について伺いたいと思います。
最近、建設業界における公共事業、住宅建設の受注増加傾向のもとでは、技能工の不足が非常に深刻な問題になっておりますが、その実態についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/152
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153・望月薫雄
○望月政府委員 建設省におきましては、五十四年度以降、毎月、建設労働需給調査というのをやっております。これは全国にわたりまして、型枠工、左官、とび工、鉄筋工、こういったいわゆる技能工について、職種別にあるいは地域別に動向を見ているわけでございますが、これは、建設投資が非常に活発なときあるいは低迷しているとき、それぞれでこの辺の需給関係が動くことはもう言うまでもありません。
ただ、経年的に見た場合に、年度当初と年度後半、これはやはり需給が緩和するわけでございますが、秋から年末にかけましては、一部の地域あるいは職種において逼迫傾向が高まる、こんなふうに認識しているわけでございます。
こういった実態のよって来るゆえんでございますけれども、一つには、やはり建設業というのが受注産業という、こういった特性からして避けられない面もあるわけでございますが、建設省におきましても、こういったことに対して特にきめ細かい配慮、指導をお願いしているところでございまして、特にこの六十三年度予算成立を受けまして、いわば予算実行の通達を出しております。その中で、元請、下請、その間で工事予定等について連絡、情報を緊密に交換してほしい、あるいはまた職業安定機関とか関係建設業者等の協力を得て建設労働者を確保する体制を整備してほしいというようなことを指導いたしているところでございます。
そんなことで、地域的にあるいは現象的に特殊の、特定の職種について非常に逼迫しているというようなことを言われておりますけれども、構造的にというか、全体的に見たときには、先ほど申しましたような季節的な変動の中で見られる一般的傾向、こんなふうに認識もしているところでございます。
ただ、あえて申し上げさせていただきますと、良質な技能工、技能労働者というものがなかなか建設業に参入しにくいという、してきてくれないという状況も最近非常に目立ってきておるところでございまして、そういったような意味では、良質若年労働力というものの建設業に何とか入っていただくための方策の充実ということが改めて問われているという認識を持っております。現在も中央建設業審議会等でその辺を頭に置いての構造改善対策を御審議いただいておりますが、その中では、今先生御指摘の問題も十分頭に置いた改善対策を御審議いただいて、我々の行政に反映させていただきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/153
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154・矢追秀彦
○矢追委員 いろいろ今言われましたけれども、私は技能工不足の原因は、賃金や労働条件の低さにあるのがやはり大きな原因だと思います。「二十一世紀への建設産業ビジョン」というのが発表されましたが、ここでも、建設業に従事している生産労働者の一カ月当たりの賃金は製造業の八六・八%という低水準にある、このように指摘をしてきたと記憶をしておりますが、その点は間違いないのかどうか、これが一点。
それから、その低賃金をつくり出す原因の一つが国の三省協定賃金にある、こう言われておるわけですが、これについてはどうお考えになっておるのか、これを第二点としてお伺いしたいと思います。国や地方公共団体が発注する公共事業ではこの三省協定賃金による積算が義務づけられており、入札制度によって賃金が削減され、さらに重層下請でまた削減される、こういう結果になっているようでございまして、先日来も陳情にもお見えになって大変厳しい要求をされておるわけでございますが、この三省協定賃金は下請現場の実態調査に基づいているために、どうしても低水準に抑えられる仕組みになっておるわけです。こういった現状を建設省はどうお考えになっておるのか、調査方法の見直し、賃金のあり方、また改善に対する方向、この点を局長と大臣、両方からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/154
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155・望月薫雄
○望月政府委員 お話にありましたように、製造業との比較で賃金がどうかということになりますと、労働省の毎月勤労統計調査、これによります限り、六十二年度でございますが、大体製造業労働者の八九・六%ということで、九割を切るような水準になっている次第でございます。
こういったことのよって来るゆえんはどこにあるかということは、私どももちょっと分析、解析するのに限界があるわけでございますが、今おっしゃったように、重層下請あるいは安値受注によるしわ寄せ、こういったようなことが、あるいはあってはならない、あるいはあるかもしれない、こんなふうな認識もしているところでございまして、そういったことからして、発注者であります都道府県知事に対しましても、ダンピングの未然防止に努めることなどの通達を繰り返している次第でございます。
とりわけ、おっしゃったように元請、下請関係の適正化ということがこの賃金の問題について大変重要な要素になっているということは私ども認識しているところでございます。そういった観点から元下関係というものを今後どう持っていくかということが大変大事であるわけでございまして、先ほども御答弁申し上げましたいわゆる中央建設業審議会の構造改善対策の中で、この元下関係というものを今大変重要なテーマとして御審議賜っている。元下関係の健全化、合理化というものを通じて今おっしゃったようなことについてはより一層事態が改善されるように努めてまいりたいと考えている次第でございます。
また、御質問の中にありました三省協定でございますが、これははっきり言いまして、公共工事設計労務単価というものを決めることで公共工事の発注の適正化をしているわけでございますが、基本は予算決算会計令において、取引の実例価格等を考慮して適正な単価を使うように、こういうことが決められているわけでございます。その適正な単価を調査するために三省が毎年調査を行っているというものでございまして、私どもとしては現在一万の事業所、十五万人の労働者を対象にして毎年十月に調査を行って、今の単価を決めている資料にいたしているわけでございます。
このこと自体、私ども率直に言いまして、これを抜本的に見直す必要性ありやなしやということでございますが、四十五年以来改善すべきものは改善を続けてきておりまして、現在の時点でこれだけの膨大な実態調査をやっているということは、ある意味では私ども考えられる最も合理的な仕組みとして今後ともこれをやることが必要であるし、これにかわるべきより適切な方法というのは現在もまだ見出せないというのが現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/155
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156・越智伊平
○越智国務大臣 若年労働者が入ってこない、人手不足だ、これはいろいろありましょうけれども、根本的な問題はやはり労働条件が悪い、お説のとおりであると私は認識をいたしております。大工なり型枠工なり鉄筋工なり、こういう者が非常に不足と言っておりますけれども、一番にはこうしたブルーカラーの賃金が安いから来ない、率直に私そういうふうに思っております。これはもう少し労働条件、賃金、これをよくしてやらないと若い人は来ない、年寄りばかりになって大変な状態だ。
それから三省協定の問題ですが、そういう中においての実態調査でありますから、型枠工とか大工とか鉄筋工、こういった人が、三万円なり四万円といううわさはありますけれども、実際に調べたら一万円とか一万二千円とか非常に低い、こういう実態ではなかなか集まってこない、こういうふうに思う次第であります。でございますから、これは本当に逼迫して困ってくれば賃金も高くなりますからまたよくなるのであろうと思いますが、この状態は決していい状態ではないと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/156
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157・矢追秀彦
○矢追委員 ぜひ改善策をお願いしたいと思います。
次に、地下開発についてお伺いをしたいと思います。
欧米諸国では地下室が大変普及しており、生活に欠かせない貴重な設備となっておりますが、我が国では地下室の利用は余りなされておりません。その原因はどこにあるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/157
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158・片山正夫
○片山(正)政府委員 地下空間の利用につきましては、まず第一に、通常地上階に建築物を構築する場合に比べまして費用が大変かかるということ、また加えまして、衛生、換気の設備等を施さなければいけない、こういう状況がございますので、一般的に住宅利用といたしましては地下室の利用は進んでおりません。しかしながら、地価の特に高い都心部等におきましては、業務室におきましてかなり使われている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/158
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159・矢追秀彦
○矢追委員 今も言われたように、確かに工事費が高い。いろいろなことをしなければなりませんのでなかなか厳しいということもあります。それからまた建築基準法の容積率に算入されてしまう、そういった理由もあろうかと思いますが、これからは地価が高騰してまいりますと、高度有効利用というものの要請が高まってきておりまして、地上ももちろんそうでございますが、やはり地下というものをこれから考えていかなければならぬと思うわけであります。一方では建設技術開発等で地下室建設工事のコストダウン、コンパクトなキャビン型の埋め込み方式が開発されたりしておるようでございますが、そういうコストダウンが予想される。さらに生活様式の多様化に伴いまして、食料庫あるいは家事室、ホビー室といった新しいスペースが要求されてまいります。そういったことで地下室に対する期待と需要が出てきておるわけでありますので、この場合何か一定条件のもとに一定以上の広さを確保している敷地とか、上下水道や道路整備の完了している地域においては地下室を容積率の対象から除外する、そういう有効な措置をとるべきだと思いますが、それについてはどうですか。
建築基準法第三十条では「住宅の居室、学校の教室、病院の病室又は寄宿舎の寝室は、地階に設けてはならない。ただし、居室の前面にからぼりがある場合その他衛生上支障がない場合においては、この限りでない。」こういう条文もございますけれども、禁止条項のこの三十条の再検討が必要でないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/159
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160・片山正夫
○片山(正)政府委員 まず容積率の点でございますけれども、容積率の制限と申しますのは、市街地におきまして建築物の総容積と道路、下水道等の公共施設との整合をとるために設けられている制限であります。したがいまして建築物の床の部分が地上階にあるかあるいは地下階にあるかということについての差がございませんので、容積率制限の際に地下室部分を容積率の算定根拠から外すということは適当でないと考えております。
次に、地下室の規制の件でございますけれども、建築基準法第三十条に、住宅の居室でありますとか学校の教室、病院の病室、こういうものにつきましては、原則地下ではいけない、こういう規定がございます。しかし、ただし書きがございまして「衛生上支障がない場合においては、」という要件がございまして、この場合の衛生上支障がないと申しますのは、機械的換気装置を講じた場合についても、安全であるならば支障がないというふうに読んでおります。したがいましてこういう観点から幾つかの技術開発がなされている状況でございまして、そういう技術的措置が行われた場合については三十条の規定というのは規制の方は働きませんので、居室の設置が可能となります。
なお、住宅の地下室部分につきましては現在いろいろと検討を進めておるところでございまして、近くこれに関します設計指針、施工方法とか設計方法等に関します指針を出しまして、結露対策でありますとか、あるいは換気装置のあり方、こういうことにつきましてそういう指針を出しましてその普及を図りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/160
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161・矢追秀彦
○矢追委員 大臣、日本人というのはどっちかというと美的感覚といいますか、住宅にしても最近は随分変わってきました。例えば表の壁に絵を書くようなところとか、あるいは下水道の処理をするところに絵がかいてあったり、いろいろ最近は壁画なんかも出てきておるようにはなってきましたけれども、どちらかというと日本人は、塀をめぐらしてビール瓶を割って並べてみたり、美的感覚というのには非常に欠けてきておるわけですね。だからそういう意味では、最近は随分若い人なんかは考え方が変わってきて、しゃれた部屋をつくるようになってきておりますが、そういう意味では地下室も、倉庫とかそんなことだけではなくて、アトリエにするとか、もっとそういう意味での利用価値も出てくる。
もう一つ屋根裏ですね。屋根裏というのも割合ヨーロッパの人は使っているわけですが、大体日本人は余り屋根裏を利用してないわけですね。そういうような形にもなっていないし、大体今は余りネズミはいませんけれども、昔はネズミの遊戯場みたいになっておったわけですが、そういう意味では趣味の部屋というようなものを持つということでも、こういう地下室あるいは屋根裏といったことも考えていかなければいかぬと思いますので、そういう意味からもひとつ促進方をお願いしたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/161
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162・越智伊平
○越智国務大臣 お説のように、やはり住宅というものは安らぎを与えるところでございますから、先生のお説のようなことを十分考慮して進めてまいりたい、かように思う次第であります。でございますから、住宅もただ単純なものでなくして、内装についても今後十分配慮して進めていく必要がある、かように思います。持ち家の方は自分でできますけれども、公団とか公営の分につきましてもそういうことを配慮しながら進めてまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/162
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163・矢追秀彦
○矢追委員 今盛んにウオーターフロントということが言われておりまして、そういった面ではかなり進んできておりますが、その次は、今度はジオフロント、これはギリシャ語の大地、地球の意味と聞いておりますが、ジオフロントの時代と言われておるわけでして、これから特に首都圏を中心とした地上空間の不足、それに伴う地価の高騰等で、地下を含めた一体的な視点での都市開発が急務になってきております。
地下街というのも大阪で始まり、東京やまたいろいろな各地でどんどんできておるわけでございますけれども、ただ、これを無秩序にやっていくのには大きな問題もあります。地上の乱開発と同じように地下がまた乱開発されても困るわけでございます。したがいまして、こういう状況ですから、やはりマスタープランというものをつくらなければならぬと思うのです。要するに地下全体の街づくりといいますか、それについての今後の対策は、今政府としては、先ほどは地下室のことをちょっとおっしゃいましたけれども、今度は大きな都市空間といいますか、空間という言葉は当てはまるかどうかわかりませんが、いわゆる地下の都市開発、それに対する対策というのはいかがなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/163
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164・越智伊平
○越智国務大臣 午前中の御質問にもございまして、何か地下の利用が、これは政府一体でございますからもちろんでございますけれども、運輸省という、鉄道ということでございましたが、私は政府全般で、鉄道も道路も含めて地下の利用というものを今後検討していかなければならない、こういうふうに感じております。
もちろん狭い日本でございますから、特にこの都市圏においては地価がこういう状態でございますし、鉄道ももちろんでございますけれども、道路も大変ふくそうしておる。一方では、民主主義が徹底いたしまして、道路の計画用地等も大変難しいようになっております。でございますから、地下を大いに利用するように今後政府全般で考えていく。その中で、鉄道はもちろんでございますけれども、我々の道路なりその他のものも含めて進めていかなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/164
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165・木内啓介
○木内政府委員 地下の問題全般につきましては大臣のお答えしたところでございますけれども、先生からマスタープランのお話がありましたので、それにつきまして簡単に御説明させていただきます。
この地下のマスタープラン、都市計画という意味のマスタープランにつきましても、その必要性があるということで、逐次勉強もしてまいっておるわけでございますけれども、近く都市計画中央審議会に正式にお諮りしまして、制度面を含めて検討したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/165
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166・矢追秀彦
○矢追委員 さっきも地下鉄の話を大臣はされておりましたが、地下百メートルでも掘り進められる大深度シールド工法の開発が急がれておると聞いております。現在の技術でも七十メーター程度の地下鉄建設は可能になっておりまして、そういう意味では非常に深いところでの地下鉄はできるわけです。
これについてはいろいろな問題がありまして、一つは民法第二百七条の「土地ノ所有権ハ法令ノ制限内ニ於テ其土地ノ上下ニ及フ」という規定、これは法務省の方になるかと思いますので大臣の御答弁は結構でございますが、こういうふうな問題があります。これの解釈を変えていくのか、また条文そのものを変える方向にいくのか、それはその専門の委員会の方でまたやっていただかなければならぬわけでございますが、こうなってきますと、民有地だけではなくて、道路というようないわゆる公共の施設の地下の利用についても問題が出てくるわけですね。
同じ道路の下でも、地方公共団体の上下水道は無料、電線、ガス管、NTTのケーブルなどは占有料を払っております。地下鉄は地上の出入り口の占用料を払っておる。そうなりますと、同じ道路の下でもいろいろ違いが出てくる。建設省は聞くところによりますとトンネル部分についても徴収を考えておられるようなことでございますが、今後地域冷暖房のパイプや光ファイバーケーブルなどが新しく入ってくる。そういう意味では道路の下というものは今後ともいろいろな問題が出てくるわけでございまして、その利用それから負担のあり方、さっきの民法のことを含めましてやはりルールづくりが必要になってくる、このように思うわけでございまして、先ほど申し上げた容積率の問題も含めて、本当に新しい視点で、この地下の有効利用の立場から観点を変えて検討し直さなければならぬと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/166
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167・中嶋計廣
○中嶋(計)政府委員 地下利用の重要性につきましては先生御指摘のとおりでございます。これまで建設省におきましても、道路の地下の部分につきましては道路の観点から、また河川におきましては地下河川というような観点から、あるいは建築物の地下階というものにつきましては住宅局が中心になりまして、さらにまたそれを含めましての都市計画的な観点は都市局でというふうに、それぞれ研究を進めてまいったところでございます。ただ、先生も御指摘のとおり、これらがばらばらにその地下を利用するということでは今後うまくいきませんで、やはり全体として検討する必要があるであろう。
さらにまた、最近になりまして大深度と申しますか、非常に深いところを利用するような技術も開発されてまいっております。大深度ということになりますと、これは経済性あるいは法制面でも新しい問題が出てくるということも考えられますので、省内に地下利用の研究部会というものをつくりまして横断的に、各局がこれまで研究してまいりましたところを連絡、協議を密にしながら研究を進めてまいりたい、かような体制をとっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/167
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168・矢追秀彦
○矢追委員 その際、私さっきもいろいろな問題を指摘しましたが、例えば防災面です。この前静岡駅前の地下街で爆発災害がございましたが、防災面での法改正というようなことも一つの検討課題になると思います。また昨年十月に川崎市の地下街の「アゼリア」がオープンしたわけでして、これは大変人気がいいわけですが、その関係者の話を聞きますと、一つだけ残念だったというのは、応急の医務室や郵便局は設置しなかった、その理由は低利融資や国費の助成がなかった、収益を上げる立場となりますとこういうものは余りもうからぬのでできなかった、こういうふうな話も聞いたわけでございますが、そういうことも含めまして国庫補助のあり方、税の優遇措置のあり方、また融資のあり方、こういったことも考えていかなければならぬと思います。
そういう意味では防災面でも、地下が危ないという人もありますが、今度は逆に災害時の避難場所は地下なのだという意見もあるわけでして、特に病院などは地下室にちゃんと避難をさせて患者さんの手術までできる、こういうふうな意見もあるわけでございますので、今連絡的な部会だけではちょっと体制としては弱いのじゃないか。もうちょっと強力な機関をつくられて、そしてこの地下問題を徹底的に研究する。そして、あれは非常に広いですから各省にもまたがりますし、それを建設省が音頭取りをしていただいてやるような体制を講じていただきたいと思うのですが、その点、大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/168
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169・越智伊平
○越智国務大臣 地下の問題につきましてはいろいろ今後検討をしてみたい、かように思う次第であります。
先ほど質問にも出ておりましたが、新しい団地をつくって、先に電柱だけが立って、どうも景観が悪いではないかというようなお話もございました。これは、実は私も調べたわけでございますが、電柱にいたしますと一本の占用料が六百二十円、それを地下へ入れますと、大体占用料が十倍ぐらいになるのだそうであります。でございますから、長い期間、電力とかNTTが地下へ入れたがらない、こういうのが実態でずっと流れてきておりますから、もっと地下化ができるような方向にするということをいたしましてとりあえずの処置はいたしておりますが、やはりこういうことを考えて地下を利用する。しかも、それが地上よりも負担が余り多くならないというようなことで地下を大いに利用して、この地下空間を利用して地上の景観をよくするように、また他の利用がよくできるように進めていきたい、そのためには十分検討をしてまいりたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/169
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170・矢追秀彦
○矢追委員 それでは、最後のテーマは都市再開発法、建築基準法関係でございますが、東京、大阪の都心地域における用途地域のうち、第一種住居専用地域の占める比率と面積はどれぐらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/170
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171・木内啓介
○木内政府委員 最初は東京からお話をします。東京都区部におきましては、区部全体では第一種が一万三千七百六十三ヘクタール、これは区部の総面積に対しまして二四・四%でございます。特にその中で、環七以内で見ますと、二千四百二十五ヘクタール、八・二%でございます。
次に大阪でございますけれども、大阪市につきましては第一種の住居専用の指定はございません。ちなみに大阪市の場合、東京に引き直すと、ちょっと比較がいいかどうかわかりませんけれども、大体大阪市区域が東京の環六の中ぐらいの面積に匹敵いたします。東京都の環六の中だと二・五%ぐらいしか第一種住専がございませんから、そういうふうに狭めて考えると、余り大差ないという感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/171
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172・矢追秀彦
○矢追委員 政府は、さきの中曽根内閣以来、都心地域の中高層化を促進するため、第一種住居専用地域の第二種地域への用途地域の変更を促進していたわけでありますが、その後の進渉状況はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/172
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173・木内啓介
○木内政府委員 政府の方針もありまして、東京都ではこれを受けまして、環状七号線の内側の第一種住居専用地域につきまして、住民の理解を得ながら、必要に応じ地区計画を活用しながら、原則としてこれを第二種の住居専用地域へ指定がえを行うことという方針をとっております。これによりまして、現在までのところ六地区四十・四ヘクタールでございますが、先ほど申しましたように第一種、環七内が二千四百ヘクタールありますから、四十・四ヘクタールというのはまだほんの一部でございますけれども、四十・四ヘクタールにおいて見直しが既に行われたところでございます。また、現在東京都におきましては、用途地域の一斉見直しというふうなことをやっております。この一斉見直しにおきまして、先ほどの方針に基づきまして原則的に二種住居専用地域への指定がえをめどに現在作業を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/173
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174・矢追秀彦
○矢追委員 余り進んでいない理由というのは、今言われた一斉見直しをやるからそれで一挙にやってしまうということでおくれておるのか、あるいはなかなか住民の理解が得られないのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/174
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175・木内啓介
○木内政府委員 用途地域の見直しは、スポット的に用途地域を見直すこともありますけれども、やはりいつもその都市その都市で三年置きとか五年置きに全般的に見直すことが普通でございます。そういう意味で先ほど申しました六地域については先行しているということで、全般的なものにつきましては六十三年度中に予定しております見直しで大勢が決まると理解していただいて結構かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/175
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176・矢追秀彦
○矢追委員 それでは最後の質問でございますが、建築基準法に基づく高度制限、容積率制限を二段階にして、事業所、それから事務所、公共施設などの高度制限については、上階層部分に居住用住宅を確保することを条件に一定比率の容積率を上積みすること、これを認めてはどうかと思うわけでございます。
と申しますのは、先ほどもちょっと言いましたように、もう東京二十三区内は本当に人がだんだん住めなくなっておるわけであります。それは環境が悪いともおっしゃいますけれども、やはり高いというのが一番大きな原因かと思います。千代田区の場合は夜間人口と昼間人口の比率はもう二十倍。昼間は百万人おるわけですね、二十倍の。そういう本当にへんてこなものになっておりまして、そういった意味では、通勤、通学地獄からの解消も含めましてこういうことも検討されてはどうかと思いますが、大臣の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/176
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177・片山正夫
○片山(正)政府委員 住宅を設置しましたときの容積率の割り増しの現行制度につきましてまず御説明申し上げますけれども、良好な市街地環境の形成に資するプロジェクト、これに関しましては一般的に容積率の割り増しを行っています。さらに、住宅を乗せる場合につきましては、総合設計制度あるいは特定街区の場合、ともに通常のものよりも最高一・五倍の割り増しを乗せて執行しているところであります。さらに、事務所と住宅の複合利用に関しましては、これらの制度の弾力的運用を図って対応しているところであります。
さらに、事務所と住宅の複合利用を促進する観点でこれを一般的な制度として位置づけるかどうかということに関しましては、先般、三月二十八日に建築審議会に、高度化、多様化に対応した市街地環境整備の方策についてということで諮問を申し上げまして、その中でそのあり方につきまして御検討をいただくということにしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/177
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178・越智伊平
○越智国務大臣 今の先生の構想につきましては、先般閣議でもちょっとお話が出まして、今検討をしております。ただ、今第一種専用地域を第二種にするということでどうかというようなこともございまして、東京都の方に、今の用途地域の.見直しを含めて線引きの検討をしていただいておるような次第であります。このことは、東京都からいずれ申請が出てくると思いますので、そのことを見ながら進めてまいりたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/178
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179・矢追秀彦
○矢追委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/179
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180・中村喜四郎
○中村委員長 中島武敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/180
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181・中島武敏
○中島(武)委員 私は、大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案についてお尋ねします。
まず、最初に、開発行為の許可権というのはだれにあるのか、このことについてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/181
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182・望月薫雄
○望月政府委員 都道府県知事でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/182
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183・中島武敏
○中島(武)委員 なぜ開発の許可権が都道府県知事にあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/183
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184・望月薫雄
○望月政府委員 一般的に開発行為というのは当該地域の土地利用なり社会構造なりに、あるいは文化、経済構造にいろいろとインパクトを与える、そういったことからして当該地域を管轄する知事に持っていただくのがふさわしい、こういうことで機関委任事務としているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/184
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185・中島武敏
○中島(武)委員 私も、どういう町づくりをするか、あるいはどういう都市づくりをするかという問題は、すぐれてそこの住民が決める、つまり地方自治のそういう観点から知事に開発の許可権が与えられているのだと思います。知事に開発許可権が与えられているのになぜ建設大臣に優良宅地の認定権を与えられておるのか、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/185
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186・望月薫雄
○望月政府委員 ただいま申し上げましたように、開発行為が当該地域に非常に深くかかわるものであるということからして知事が開発許可権を持つということはもう繰り返すまでもございませんが、今回御提案申し上げているいわゆる優良宅地の認定行為というのは、そういったことを前提にしながら、片方で東京圏等大都市地域におきます宅地需給をどうバランスさせて供給を的確に進めていくか、こういう宅地供給サイドの要請もあわせて矛盾なく調整を図るための一つシステムとして御提案申し上げさせていただいている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/186
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187・中島武敏
○中島(武)委員 そういうシステムとしてというお話なんですけれども、宅地開発に名をかりて建設大臣が認定するということが地方自治権を決して侵してはならないと思うのです。
それでお尋ねしたいわけですけれども、この法律案では、建設大臣が認定しようとするときはあらかじめ都府県等の意見を聞かなければならない、これは五条ですけれども、こうあります。この場合についてお尋ねしたいのですけれども、この意見を聞くということは、知事の意見を聞きさえすればよいということでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/187
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188・望月薫雄
○望月政府委員 先ほども御答弁申し上げたところでございますが、今回御提案している制度については、今おっしゃったように都道府県知事の権限と責任、こういったものを基本に据えなければならぬということは当然でございまして、そういった意味では都市計画の許可権等をいささかも変更をもたらしているものではない。これは申し上げていたわけでございますけれども、片方で宅地供給を何とか的確に実現していただきたい、こういった広域的要請というものもこの際どう実現していくかということで、今回法案を御提案するに当たって私ども非常に神経を使ったところであるわけでございます。
そういった前提を置いて御答弁をさせていただくわけでございますけれども、したがって私どもは、今回の法案の中でも都府県知事の意見を聞く、あるいは都府県知事の意見を聞くだけではなくて、また市町村長の意見も聞く、こういうふうに意見を非常に濃密に聞かせていただくと同時に、公共団体の立場を尊重する、こういった条文までわざわざ入れて、いささかも先生おっしゃるような地方自治の根源をいじるようなことのないようにということは十分に配慮しているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/188
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189・中島武敏
○中島(武)委員 その場合、いろいろな理由があるかもしれませんけれども、知事が反対をする、こういう場合にはどうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/189
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190・望月薫雄
○望月政府委員 いろいろな立場でいろいろな御意見等が出てくることは当然想定されます。ただ、その際に、率直に言いまして、合理的な理由かどうか私どもなりに考えさせていただいて、もしいかがなものかいなと思われるような反対理由というものならば、私どもは理解を深めるための努力をすべきであるというふうに考えております。そうは言いながらも、いろいろと努力を深め、かつまた知事さんのおっしゃることももっともである、こういうことになりますならば、建設大臣として幾らそれが必要であるという認識を仮に持ったとしても、認定という行為は差し控えるべきである、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/190
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191・中島武敏
○中島(武)委員 大都市地域の多くの自治体、都府県あるいはまた市町村、御存じのとおりここでは宅地開発指導要綱を持っているわけです。そして宅地開発については非常に厳しく規制をしております。なぜこういう態度をとっているとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/191
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192・望月薫雄
○望月政府委員 指導要綱が多くの市町村で現実にあることは当然私どもも承知いたしておりますが、その指導要綱の内容が我々が客観的に見て果たして許容されるものであるかどうか、いささか疑問のものもなしといたしませんというところで、行き過ぎた指導要綱というものもかなり多く見られることも事実でございまして、そういった意味で行き過ぎたものについて私どもがコメントすることはちょっといかがかと思いますが、合理性のある指導要綱というものについては、基本的には地元公共団体のいわゆる地域づくりに対する基本姿勢あるいは財政事情などのことが総合的に影響してこういう要綱が持たれている、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/192
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193・中島武敏
○中島(武)委員 これはある市の宅地開発指導要綱によるものでありますけれども、市街化調整区域で宅地開発を行う場合に、一千戸の共同住宅の建設を行うというときには集会所を四カ所、つまりこれは二百五十戸に一カ所という考え方ですけれども、集会所四カ所の用地及び建物、それから小学校一校の用地、校舎、体育館、プール、それから幼稚園または保育所一施設の用地及び建物、それから公園、緑地、これは敷地面積の六%、それから防火貯水槽などを現物で供給させる、こういうふうになっていて、そのほかに公益施設費として中学校も二千戸に一校分必要だということで、一戸当たり四十八万五千円、合計しますと四億八千百十二万円を給付させる、こういうふうにあるのです。それで、もしこれを市が負担するということになりますと、今の公益施設費を含めると八十六億三千七百七十五万二千四百円、こういう計算になるのです。これは非常に膨大な市の負担になるわけであります。
市街化調整区域で住宅開発、それも非常に大規模なものを許すということになりますと、地方自治体の町づくりの計画とか地方自治体の財政問題と大変矛盾してきてしまう、こういう深刻な問題が起きてまいります。だからいろいろ指導要綱をつくって開発を規制するということもやられておるわけですね。それで、もし市街化区域で大規模な開発を許すということになりますと、緑が喪失するとか人口が急増するとか財政難に落ち込むとか、そうすると、当初町づくりでこういうふうにやりたいというふうに計画しておったことの変更を余儀なくされる、あるいは財政的にも困難に落ち込む、こういう問題が起きてくるわけです。
それで自治体が乱開発を防止したり緑を守ったり、そして自主的、計画的な町づくりを行うということは、先ほどの局長の答弁でも、これは地方自治体の立場でありますから当然尊重すべきだという見解を述べていらっしゃるのですけれども、この宅地開発で、今度の法律案で言うようなやり方で宅地開発を大臣が認定してやるという、これは現実問題として非常に矛盾を来しやすいのではないか、そのときには思い切って地方自治体の言うことを尊重して計画をあきらめるということも考えなきゃいかぬのじゃないかというふうに思うのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/193
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194・望月薫雄
○望月政府委員 今先生が御紹介くださいましたある町の指導要綱、これは率直に伺いまして、私どもが見ているスタンダードといいましょうか、標準的な要綱に比べて相当行き過ぎているなという感じを持った次第でございます。例えば小中学校用地を無償で提供させるとか、あるいはまた区画街路についても六メートル以上のものを求めたりというようなことについては、まさしく私どもは、そういった行き過ぎは何としても是正していただきたいというふうに現在一生懸命関係公共団体を指導をいたしているところでございます。
そういった意味で、行き過ぎた指導要綱というものは適正化していただくということは、今までも私どももやっておりますし、今後ともそういう要請は続けていって是正方を努力したいと思いますが、そういった是正された後というか、適正な指導要綱というものを頭に置いたときに、これは当然のように地方自治体が地域づくりを考えていく上での大変重要な部分ということで我々尊重しなければならぬ側面がございます。そのことについては私ども、今回の法律によって認定行為というものを行った場合でも、その後に都市計画法による開発許可の手続が当然必要になってまいりますが、その段階で公共施設の管理者となるべき市町村の意見を聞くとかいう手続の中でその辺は十分反映されてくるもの、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/194
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195・中島武敏
○中島(武)委員 大臣は、この大臣の認定するという問題とそれから地方自治権との関係について、どんなふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/195
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196・越智伊平
○越智国務大臣 今の問答を聞いておりまして、やはり指導要綱いろいろありましょうけれども、開発を抑制するというところと、また開発をいたしたい、ぜひとも住宅団地をつくってくれという市町村もあるわけであります。いろいろその地域地域によって違っておりますけれども、私どもは、今の要綱にいたしましても方針にいたしましても、できるだけ一定の方針で進めてまいりたい。でございますから、行き過ぎのところはひとつ御指導を申し上げて平準化していきたい、かように思います。でございますから、どこか特殊なところが一市町村ありましても、それに準ずるというわけにはいきませんので、平均的なところでやっていく。
それからまた、今の負担の問題ですが、それをやりますとそれが地価にはね返ってきますので地価が高くなる。私どもは、この法律によって大いに進めてもらいたいし、できる限り公費で負担をして地価はできるだけ安く供給していく、こういうことに努めてまいりたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/196
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197・中島武敏
○中島(武)委員 私、この法律を読んだのですよ。非常に感じますことは、民間デベロッパーには税制上の優遇措置だとかあるいは資金の確保だとか、大変手厚く面倒を見るというようになっているのですね。ところが地方自治体は、意見を聞く、あるいは密接に連絡をする、あるいは尊重する、こういうことは書いてあるのですけれども、今の答弁や何かを照らし合わせて考えますと、先ほどの、ちょっと僕が紹介したのは行き過ぎだ、こういうふうに思われたら、いや今度は地方自治体に説得にかかる、こういう話になっちゃうのですね。僕は、これはやはりどうしても地方自治体の自治権に介入していくという危険性を持つことになってしまうという点で、非常に重大な問題をはらんでいると思うのですね。
そういうことをちょっと申し上げて次の問題について伺いたいのですけれども、この宅地開発は、言うまでもないことですが、勤労者のためのものと思うのですけれども、どの層を対象として考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/197
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198・望月薫雄
○望月政府委員 今回御提案申し上げておる法案の対象とする土地というものは、率直に言いまして現在素地価格が幾らであるかとか開発コストが幾らであるかというような積み上げは持っておりませんが、基本的な構えとして私どもは、中堅勤労者に供給できるような宅地というものを主たるものとして念頭に置いております。もっとも、そう言いながらも、では高いものは一切出してはいけないのかということになりますと、いろいろな階層のものが対象になることは当然でございますが、主眼は中堅勤労者向けの宅地供給ということがこの法案の最大の使命でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/198
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199・中島武敏
○中島(武)委員 伺いますけれども、現在の中堅勤労者の住宅取得能力はどの程度とお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/199
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200・片山正夫
○片山(正)政府委員 限度額の算定については幾つかの方法があるかと思いますけれども、一応この場合の条件といたしましては、まず持ち家の償還限度率としまして、住宅宅地審議会の五十年答申の率、第三分位四人世帯で二五%という数字、これを使いまして、また京浜地区の平均的なサラリーマンの六十三年度の推計所得、六十一年度をベースにいたしまして政府の経済見通しによる所得の伸び率を見込みまして推計します。この場合、年収が六十三年度推計として七百七万円になります。これと同じように平均的サラリーマンの貯蓄動向調査による貯蓄額、これが六百八十三万円であります。これをベースにまず自己資金を投入し、次に公庫借入金を借りまして、残りを二五%償還限度率まで民間借入金を借りる。これに住宅取得促進税制による効果でもって借入額を伸ばしまして、そうしますと資金調達可能額としましては三千七百七十四万円、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/200
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201・中島武敏
○中島(武)委員 大分高い数字を局長は出されたんですけれども、私はそこまで計算しなかったのですが、一番手元にある新しいものをそのままストレートに使うと、貯蓄動向調査の第三分位の中位というと、六十一年度五百三十五万ですね。局長は、今六十三年のものに直しておっしゃっておられるのですけれども、これで五年間分ということになりますと二千六百七十五万円ということになってかなりの開きがあります。
その上でちょっとお尋ねしたいのですけれども、調整区域の土地を造成して売りに出した場合幾らで提供できるかということについて、試算をしてこの法律をつくられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/201
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202・望月薫雄
○望月政府委員 調整区域の土地、いろいろございましょうけれども、その素地価格、原価幾らかというようなこと等は私ども掌握いたしておりません。それからまた、それに伴って開発のために要する造成経費がどのくらいかかるかなどの即地的な検討をいたしておりません。したがって、今先生の御指摘のようなことについては明快に数字は持ち合わせておりませんが、ただ、言えますことは、民間の土地というものを中心に御答弁申し上げさせていただきますと、民間の保有している土地はかなり早い時期に手当てしたものも相当あるわけでございますので、私どもとしては、今住宅局長御答弁申し上げたような数字を頭に描きながら、そこそこの宅地供給というものがかなり実現可能性が高いのじゃないか、こう見ております。もっとも、これは地域的にも場所的にもかなり格差があることは申し上げるまでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/202
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203・中島武敏
○中島(武)委員 私は、この法律の目的が、先ほどから言われておるように勤労者の中堅所得者を中心として、その前後があるんでしょうけれども、宅地を開発して提供を促進する、これがねらいだというにもかかわらず、これは非常に率直なあれですけれども、なぜ実際にはどの程度で提供できるのかということの試算をしていないのか、私はこれは非常に無責任な感じがするのです。
それで私もいろいろ調べてみたのです。例えばこれは神奈川県の横須賀市の野比です。京浜急行が、市街化区域に隣接して、調整区域なんですけれども、かがみ田、ぶたい田というところに五十六・二ヘクタールの土地を持っています。これは野比駅から大体一キロぐらい、それであの京浜急行野比駅から品川駅まで一時間足らずというところなんですけれども、現在売買しますと一、二万円だというのですね、坪当たりで一、二万円。ところが市街化区域に移行するとどうなるか。これは移行したというだけで五十万円、六十万円というふうになると言われているのです。大変に、もう一挙にはね上がるわけですね。それで、これに優良宅地開発をすると、これよりはるかに高くなる、これはもう言うまでもないことであります。それで、五十万あるいは七十万になるともう町では言われている、それをもとに試算してみても、七十万掛けることの百七十平米、約五十坪としますと三千五百万円です。上物が仮に二十坪のものを坪五十万と計算しますと一千万。四千五百万。これだけで四千五百万というふうになるわけなんです。
先ほど住宅局長の方から答弁があって、三千七百七十四万、わあ随分高い数字を出したなと私率直な感想を申し上げましたけれども、しかし、それでもこの四千五百万ということになりますと、これは勤労者はやはりなかなか手が出ないのです。これはもう正直なところなのですね。私はこれが実態じゃないかと思うのですよ。これだけじゃない、いろいろなケースがありますから、何もこうなるとばかり私は言うわけじゃないですけれども、しかし今申し上げたようなところだったらこうなる。これも、今数字を申し上げたのはもっと高くなりますよ、宅地造成するのですから。宅地造成しないで市街化区域へ編入というだけでもうこうなるということが言われているのです。これは認められますか。これは私ども実際に調べたものなのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/203
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204・越智伊平
○越智国務大臣 今、中島先生いろいろお話しがございました。これは市街化区域と調整区域とではそうかもわかりません。それはもう、一つの道路なり河川なりの境でうんと価格が違う、このことはそのとおりであろう、こう思います。しかし、今いろいろ答弁をいたしておりますが、例えば住宅・都市整備公団でやらすといたしましたら、坪一万円で買ったものを相場が上がったからといって五十万にはいたしませんから、そういう計算は絶対させません。
要は、やはり優良な宅地を安価に供給するということが目的でこの法律案を提案しておることでありますから、甚だ私の地元のことを申し上げて——私四国でございますが、四国で今勤労者の宅地は大体平米五万円以下、坪で十五万ですね。十五万ぐらいがちょっと離れたところの四国一円の相場であります。そして、近いところのいいところででも坪三十万以上のところは勤労者には売れない、こういうふうに言われております。東京都ではそういうことは今ちょっと考えられませんが、供給を多くして宅地がたくさんありましたら相場は下がりますよ。
ですから、私は優良な宅地をできるだけ安くしていく、こういう目的でこの法案を提案しておるわけでございますから、先ほど申し上げましたように、調整区域を開発いたしましても、例えば住都公団でやった場合には、極端に言いますと、一反何ぼとか一町歩何ぼ、一ヘクタール何ぼというところを買って開発しましたら、もちろん開発費は要りますから高くなりますけれども、それをうんと値上げして売ろうなんということはさせません。やはり優良な宅地をたくさん供給する、こういう目的でありますから、ひとつ御了承をいただきたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/204
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205・中島武敏
○中島(武)委員 今大臣の見解を私お尋ねしなかったのですが、述べていただいて、聞かせてもらいました。
しかし、これは住都公団が全部おやりになるわけじゃないのですよ。住都公団もおやりになるでしょう。だけれども、それはごく一部にすぎない。やはり民間のデベロッパーが宅地開発を申請をして、大臣の優良宅地だという認定をもらって開発をするのです。だから、これは世間相場並みにいくのです。それが大部分なんですよ。だから、私は先ほど申し上げたように、これでは勤労者が住めない場合がしばしば出てくるんじゃないかということを言っているわけです。
それを大臣は、まあたくさん供給すれば地価は下がりますよ、こうおっしゃるのですけれども、今度の地価の値上がりというのは、これは大臣御存じのとおりなんです。何もそんな、調整区域から値上がりが始まったわけでもなければ、周辺から始まったわけではない。都心から始まったのです。なぜ都心から始まったかという原因を取り除かない限り、この問題というのは解決していかないのだということを私は申し上げておきたいのです。
それで次に伺います。私は建設省から資料を出してもらった。「民間宅地開発事業者首都圏保有土地の概要」というのです。伺いたいのですけれども、一都四県で五十二地区、計画面積四千五百十ヘクタール、こうなっているのです。これは市街化区域と調整区域に分けますとどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/205
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206・越智伊平
○越智国務大臣 先ほどのお話でございますけれども、中島先生、それは民間もやるでしょう。あるいは公共団体もやるかもわかりません。住都公団もやるかもわかりませんけれども、とにかく優良な供給が多くなれば相場は下がる。これはもう実例が、東京都内のマンションでも、古いマンションはもう三割程度値が下がっておる。これは事実でございますからね。今売れないから下がっておる、供給の方が多いから下がっておる、こういうことでございますから、いずれにしても、物が一割、一〇%不足しますと値段は倍になりますし、一〇%供給がオーバーしますと値段は半分になる。これはすべてそういう相場でございますから、やはり需要と供給で、供給が多くなれば値段は下がりますよ。これはもう、とにかく足りなかったら、希少価値で相場は上がるのですから、やはり供給していかないといけない、このことだけははっきり申し上げておきたい、かように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/206
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207・望月薫雄
○望月政府委員 民間保有の土地についての御質問でございますが、六十二年十月に、私ども宅地開発関連の業界団体を通じてヒアリング調査をやったことがございます。その結果として申し上げさせていただきますと、ただいま先生お話しの、五十二地区、四千五百ヘクタールというものがリストアップされているわけですが、この九割方は市街化調整区域でございます。
それで、先ほど先生野比地区のお話がございました。私どもそのときお答えしましたように、個別の土地の地価あるいは取引の動向がどうかということは率直に申し上げて点検いたしておりませんが、はっきり言いまして、やはり地価の姿というものは、先ほども違う先生に御答弁申し上げましたけれども、地域的にもかなり格差がございます。そういった中で、私どもとしては、あくまでも中堅勤労者の宅地需要というものを主たる事柄として念頭に置いて、宅地供給を少しでも多く努めていきたい、こういうことで御提案させていただいているのがこの法律でございます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/207
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208・中島武敏
○中島(武)委員 これはまたいろいろ議論しておると本当に時間がなくなってしまいますので、私の見解は先ほど申し上げました。だからもうこれ以上言いません。
それから、中堅勤労者にと言っても実際問題としてやはりなかなかそうはいかない場合がしばしば出てくるということを重ねて指摘をし、同時に、今のお話を聞きますと調整区域が九割だというのですね。調整区域というのは局長御存じのとおりなんです。本来これは市街化することを抑制する地域なんです。そこを今度は開発してやる、緑が破壊される、いろいろ問題が起きてくる。実は今まで指導要領などでいろいろスプロール化も防ぐ、緑を守る、財政も守らなければいかぬというようなところで動かなかったのですよ。ところが、今度は動かしてやる、売れるようにしてやる、こういうことなんです。
それで、伺います。計画面積、こう書いてあるのですが、計画面積というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/208
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209・望月薫雄
○望月政府委員 今おっしゃっている計画面積というのは四千五百ヘクタールのことであろうかと思いますけれども、これは民間企業が保有している土地を含めた、一〇〇%保有しているところといないところとございますので、そういったものを含めた一体の計画として取り上げるのにふさわしい地域、こういうものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/209
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210・中島武敏
○中島(武)委員 それは違うと思いますよ。保有面積が別にあるのじゃないですか。
私、これもまたいろいろ調べたのです。そうしますと、何とこれは、同じく神奈川県ですけれども、茅ケ崎市の香川というところですが、相模鉄道が持っているのです。それで保有面積は八ヘクタールなんです。ところが、二十五ヘクタール開発するという計画なんです。それから、同じくさっきちょっと言いましたけれども野比ですね。ここは京浜電鉄ですけれども、五十六・二ヘクタール持っているのですが、開発計画面積は八十二・七ヘクタール。それから、長沢地域というのがあるのです。これも調べてみると四十九・六ヘクタールしか保有していないのですけれども、計画面積は七十八・七ヘクタールなんです。それから、池上というところがあります。西武鉄道が保有しているのですけれども、九十八ヘクタール持っているのだけれども百二十三ヘクタール開発するというのですね。その他その他等々なんです。
それで、私はこれは重大な問題だ、なるほどここに計画面積というふうに書いてあるのは、理由があるのだということを思いました。
それで、これは保有面積と計画面積、保有しているよりも計画面積が少ないというならば常識的にはわかるのですけれども、そうじゃなくて、保有しているものより計画面積の方が大きいわけです。つまり、これは周辺を買い取って一体に開発しようという計画だということがわかります。これはもうしばしばやられていることですから別に驚くことはないのですけれども、しかし、こうなりますと、周辺にどんどん買いに入るということになって、これがまた地価の高騰を招く、それははね返って保有しているところもまた高くなる、造成すればさらに高くなる、こういう問題が起きてくるのではないかということなんです。
それで、先ほども言いましたけれども、優良宅地開発を行ったら非常に高いものになるという例を申しましたが、今私が例を上げた中で言いますと、これは神奈川県茅ケ崎の香川、下寺尾地区の調整区域の土地です。現在保有している企業は、さっき申しましたけれども相模鉄道です。それで、購入に着手したのはいつかというと昭和四十五年の一月ごろです。このときに幾らで買ったか、一平米当たり七千円です。ですから、坪で言いますと二万三千百円なんです。ところが、この土地に隣接する市街化区域の土地は一体幾らか。これはことしの公示価格です。発表された公示価格によりますと、中通で一平方メートル当たり二十四万円、原という地域で一平方メートル当たり二十五万円。そうすると、もうすぐ隣接しているところですから、坪当たり七十九万円とか八十二万五千円とか、こうなるのです。そうすると、当初の買い取り価格の三十四倍、三十五倍ということになるのですよ。
こういうことからいうと、宅地提供をしようと思っても非常に高いものになるし、それから、調整区域に土地をたくさん持っていてなかなか動かなくて非常に困っていた、陳情に相努めて何とか動かしてください、大企業の諸君が言ったではないですか。そうすると、動かないで困っている土地を今度動かしてやる。それも、今申し上げたように、取得価格と比べてみたらとてつもないものになってしまう。しかも、それが非常識だとは言えないのです。なぜならば、そのすぐ隣接している市街化区域の、これは公示価格ですよ、実勢価格ではないですよ、公示価格なんです。それから、まだ宅地造成をやってないのです。やったらもっと上がることは明瞭ではありませんか。
こういう点でいうと、これは宅地供給と言うけれども、勤労者のための宅地供給になるのだろうか。それから、これを持っている大きな企業のもうけを保障するものと言われても抗弁のしようがないのではないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/210
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211・越智伊平
○越智国務大臣 中島先生、公示価格というのは未来永劫に一定のものではございません。公示価格は上がるときもあるし、下がるときもある。供給が多くなれば公示価格も自然に下がってくる。ですから、今断定して幾らになるといって中島先生に相場をつけてもらっても、そのとおり売れるか売れないかはわかりません。先ほども申し上げましたように、やはり供給が多くなれば地価を下げる、地価を下落さす、こういう目的で宅地供給に努めておるわけでございますから、将来のことを見越して、それは高くなるか安くなるかわかりませんけれども、供給面、たくさん売り物が出たら自然安くなるのです。これは自由経済の原則で、たくさん出たら下がってくるということでございますので、御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/211
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212・中島武敏
○中島(武)委員 どうも先ほどから大臣は主に需給論を展開されるのです。しかし、現実は東京の都心からこれは始まったのです。そしてどんどん周辺へ波及していっている、今申し上げたような地域は現在どんどん波及しているのです。まだ上がっていく傾向なんです。それで、少ないから上がっているのじゃないのですよ。供給がないから上がっているのじゃないのです。それは大臣、御存じではありませんか。
東京を世界の金融情報都市、二十四時間都市として位置づけて、それでこれだけ床需要が必要だと政府が発表してあおった、そして規制緩和もやってやった、だから、どんどん大企業の買い占めが始まったのじゃないですか。転がしもやられる、金融機関は金を出してやる、これなんですよ。この問題に手をつけないで黙っておって、供給した供給したと言いますけれども、地方自治体も先ほど言ったように、いろいろな意見を持っていますよ。そうすると、必ずしもそのようにいかないのです。
そういうことをはっきり御指摘申し上げ、そして時間のようですけれども、本当にこの問題を解決しようと思ったら、買ったときは安いのですから、現在まで保持してきている利息やなんかももちろん加えて、それでこれを宅地開発されて提供する、こういうやり方をとるべきではないかということを申し上げたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/212
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213・越智伊平
○越智国務大臣 中島先生、東京都の地価が高騰いたしましたのは、確かに見込み需要を含めて多目に見まして、相場が高くなったのです。ところが、今安定しておるでしょう。
先般も東京都の知事が発表しておりましたが、これは大暴落することがあるかもわからない、こう言っておりました。それはあるかないかわかりませんけれども、やはり需要が少なくて供給が多くなれば下がりますよ。これは絶対に下げなければならないし、高値安定させたらいけないのでそのために努力いたしておりますから、必ず下がりますから。全般的にいいますと下がってきます。こういうことを目標でやっておりますので、御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/213
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214・中島武敏
○中島(武)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/214
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215・中村喜四郎
○中村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/215
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216・中村喜四郎
○中村委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。辻第一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/216
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217・辻第一
○辻(第)委員 大都市地域における優良宅地の開発の促進に関する法律案に対する反対討論を行います。
私は、日本共産党・革新共同を代表して、本法律案に反対の討論を行うものであります。
反対の理由は、第一に、本法案は、三大都市圏の主として市街化調整区域に大規模に土地を買い占めている大資本に対して、宅地供給の名によって巨大なもうけを保障するものとなっていることであります。
日本列島改造論の時代を中心に、大資本が主として市街化調整区域に土地を大規模に買い占めて宅地開発の不可能だった土地を、調整区域を市街化区域に移行させ、しかも取得時から今日まで異常に高騰している地域で宅地造成して売りに出されるものであり、民間宅地開発業者に極めて巨大なもうけを保障してやるものと言わなければなりません。
第二に、しかも本法律案の制度によって供給される住宅の価格が、一般勤労国民が安心して購入または賃貸借できるものには到底なり得ないことであります。
しかも、開発を計画している民間開発業者自身が自己の保有地を上回る開発計画を持っており、一たん開発が許可されるならば、当該土地保有周辺で土地買い占めが行われることは明らかで、これが一層の地価高騰を引き起こすことも明瞭であります。
第三に、また、認定制度なるものは、地方公共団体が当然持っている開発許可権への干渉の道具となり、ひいては地方公共団体の自主的、計画的町づくりを困難にするなど、地方自治の侵害に道を開く危険性があることであります。
第四に、市街化調整区域の大資本による無秩序な開発は、新たな宅地並み課税問題、緑の消失問題、ひいては都市のスプロール化をもたらすなど、新たな都市問題を惹起し、国民の期待に真にこたえる優良宅地の供給にならないからであります。
以上をもって、本法律案に対する反対の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/217
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218・中村喜四郎
○中村委員長 これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/218
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219・中村喜四郎
○中村委員長 これより採決に入ります。
大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/219
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220・中村喜四郎
○中村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/220
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221・中村喜四郎
○中村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中広務君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。野中広務君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/221
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222・野中広務
○野中(広)委員 ただいま議題となりました大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案に関する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一 地価高騰等により、大都市地域を中心に住宅・宅地問題が深刻化している現状にかんがみ、国民が良質な住宅・宅地を取得することができるよう、住宅・宅地対策を積極的かつ強力に促進すること。
二 良質な宅地の供給を図るため、融資その他の助成措置をさらに強化するとともに、宅地開発事業に関連して必要となる公共施設の整備の促進について特段の配慮を行うこと。
三 本法の施行に当たっては、地価対策に十分配慮するとともに、国と地方公共団体が、相互に緊密な連絡・調整を図り、宅地開発事業の促進に努めること。
四 大都市地域における宅地問題の緊要性にかんがみ、宅地供給を的確に実施するよう、民間及び公的宅地開発事業者を十分指導すること。
以上であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/222
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223・中村喜四郎
○中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/223
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224・中村喜四郎
○中村委員長 起立多数。よって、野中広務君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/224
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225・越智伊平
○越智国務大臣 大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。
審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存でございます。
ここに、本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
どうもありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/225
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226・中村喜四郎
○中村委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/226
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227・中村喜四郎
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/227
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228・中村喜四郎
○中村委員長 次に、内閣提出、参議院送付、宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。越智建設大臣。 ─────────────
宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/228
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229・越智伊平
○越智国務大臣 ただいま議題となりました宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
最近における土地問題は、我が国経済の円滑な運営と社会の安定にとって重大な問題となっておりますが、その中で一部の不動産業者による悪質な地上げや投機的土地取引が社会問題となったことはまことに遺憾であります。
また、住宅の住みかえ需要の増大や住宅ストックの増加等を背景に不動産の流通量が増大しつつあります。これに伴い宅地建物取引の態様も多様化し、複雑になってきておりますが、いまだ一部の悪質な業者による紛争事例も後を絶たない現状にあります。
このような事態に対処して宅地及び建物の購入者の利益を保護するためには、宅地建物取引業の免許基準の強化等によりその資質の向上を図るとともに、保証の充実を図る等によりその業務に関する規制を強化して取引の公正を期する必要があります。
また、不動産流通の円滑化を図るため、媒介契約制度を充実し、立ちおくれている不動産流通市場の整備・近代化を推進する必要があります。以上が、この法律案を提案する理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、宅地建物取引業法についてであります。
第一に、傷害罪等の罪を犯して罰金刑に処せられ、刑の執行を終わった日から五年を経過しない者等に対しては、免許をしてはならないものとして免許基準を強化することといたしております。
第二に、案内所等について新たに専任の取引主任者の設置を義務づけるとともに、一定期間以上の実務経験を有する者等でなければ宅地建物取引主任者の登録をしてはならないことといたしております。
第三に、専属専任媒介契約について、依頼者保護の見地から、宅地建物取引業者に対し、優良な流通機構を通じて相手方を探索することを義務づける等所要の規制を行うことといたしております。
第四に、いわゆるクーリングオフにつきましては、撤回を行うことができる期間を五日から八日に延長することといたしております。
第五に、宅地建物取引業者は、みずから売り主となる宅地または建物の売買に関しては、所要の保全措置を講じた後でなければ、買い主から手付金等を受領してはならないこととし、その保全制度を拡充することといたしております。
第六に、宅地建物取引業者は、従業者に証明書を携帯させなければ、その業務に従事させてはならないものといたしております。
第七に、以上の改正に関連して、監督処分及び罰則等の規定について、所要の改正を行うことといたしております。
次に、積立式宅地建物販売業法につきましては、許可基準の強化等宅地建物取引業法と同様の規定の整備を行うことといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/229
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230・中村喜四郎
○中村委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/230
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231・中村喜四郎
○中村委員長 次に、住宅に関する件について調査を進めます。
住宅・都市整備公団の家賃の変更申請に関する問題につきましては、去る十五日の本委員会の論議を踏まえ、先刻の理事会において協議をいたしました結果、次のとおりまとまりました。
この際、委員長から理事会の申し合わせに沿って政府に要望いたします。
1 政府は、住宅に困窮する勤労者に対し、良質な公共賃貸住宅の供給と高家賃の引下げに努めるとともに、住宅基本法の制定と家賃体系の確立を図ること。その間、公団の現行家賃制度を逸脱しないこと。
2 公団は、賃貸住宅の計画の達成に努力するとともに、建替えについては入居者の理解と協力を得るよう努め円滑な推進を図ること。
3 公団は、家賃の改定のありかたについて、今後も引き続き必要に応じて所要の検討を行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。
4 公団は、既存賃貸住宅の居住性の向上を図るため、今後とも入居者と日常的に意思の疎通を図り、住戸内修繕を含む計画的な修繕及び環境改善を促進するとともに、値上げ増収分については、極力修繕等の促進に使用すること。
5 敷金の追加徴収については、過去の経緯等を踏まえ、取り止めること。
6 値上げに際しては、引上げ限度額に配慮するとともに、生活保護世帯及びこれに準ずる老人、母子、身障者世帯で生活に困窮する世帯に対する特別措置について特段の配慮を行うこと。
7 公団は、今後とも家賃の改定の周知徹底と相互理解を深めるため、入居者に対し積極的な努力を行うこと。
以上であります。
建設大臣は、申請の承認に当たり、右の事項について十分協議の上、対処せられんことを望むものであります。
この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/231
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232・越智伊平
○越智国務大臣 公団住宅家賃の改定につきましては、本年三月三十一日、公団から申請が提出されて以来、各方面の御意見を伺いつつ、慎重に検討を重ねているところであります。
ただいま建設委員長からこの件に関し御要望がありましたが、私といたしましては、御要望の趣旨を十分尊重するとともに、委員会における御意見を参考とさせていただき、最終的な判断を行いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/232
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233・中村喜四郎
○中村委員長 次回は、明後二十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204149X00919880420/233
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