1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年二月十六日(火曜日)
午前九時五十一分開議
出席委員
委員長 越智 通雄君
理事 大島 理森君 理事 太田 誠一君
理事 中川 昭一君 理事 中西 啓介君
理事 中村正三郎君 理事 中村 正男君
理事 宮地 正介君 理事 玉置 一弥君
新井 将敬君 井上 喜一君
今枝 敬雄君 江口 一雄君
遠藤 武彦君 大野 功統君
金子 一義君 小泉純一郎君
笹川 堯君 杉山 憲夫君
戸塚 進也君 鳩山由紀夫君
堀之内久男君 村井 仁君
村上誠一郎君 山中 貞則君
山本 幸雄君 緒方 克陽君
沢田 広君 堀 昌雄君
三野 優美君 武藤 山治君
橋本 文彦君 日笠 勝之君
森田 景一君 矢追 秀彦君
安倍 基雄君 矢島 恒夫君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
出席政府委員
大蔵政務次官 平沼 赳夫君
大蔵大臣官房審
議官 瀧島 義光君
大蔵省主計局次
長 斎藤 次郎君
大蔵省主税局長 水野 勝君
国税庁次長 日向 隆君
農林水産大臣官
房総務審議官 鶴岡 俊彦君
水産庁長官 田中 宏尚君
委員外の出席者
総務庁行政管理
局管理官 伊原 正躬君
科学技術庁研究
開発局ライフサ
イエンス課長 曾我 紘一君
科学技術庁研究
開発局海洋開発
課長 千々谷眞人君
厚生省社会局老
人福祉課長 真野 章君
農林水産大臣官
房審議官 赤保谷明正君
農林水産省構造
改善局農政部農
政課長 野田 哲也君
農林水産省畜産
局畜政課長 東 久雄君
農林水産省畜産
局食肉鶏卵課長 太田 道士君
通商産業省貿易
局輸入課長 川嶋 温君
運輸省運輸政策
局環境課長 木本 英明君
海上保安庁警備
救難部管理課長 西山 知範君
大蔵委員会調査
室長 矢島錦一郎君
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委員の異動
二月五日
辞任 補欠選任
井上 喜一君 佐藤 文生君
今枝 敬雄君 砂田 重民君
江口 一雄君 小此木彦三郎君
遠藤 武彦君 原田 憲君
安倍 基雄君 楢崎弥之助君
同日
辞任 補欠選任
小此木彦三郎君 江口 一雄君
佐藤 文生君 井上 喜一君
砂田 重民君 今枝 敬雄君
原田 憲君 遠藤 武彦君
楢崎弥之助君 安倍 基雄君
同月十六日
辞任 補欠選任
葉梨 信行君 逢沢 一郎君
藤波 孝生君 大野 功統君
上田 卓三君 三野 優美君
早川 勝君 緒方 克陽君
同日
辞任 補欠選任
逢沢 一郎君 葉梨 信行君
大野 功統君 藤波 孝生君
緒方 克陽君 早川 勝君
三野 優美君 上田 卓三君
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二月十二日
新大型間接税の導入反対に関する請願(渋沢利久君紹介)(第六八号)
同(中路雅弘君紹介)(第一一八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
漁船再保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出第一号)
昭和六十二年度の水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案起草の件
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/0
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001・越智通雄
○越智委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、漁船再保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を求めます。宮澤大蔵大臣。
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漁船再保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/1
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002・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました漁船再保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
昭和六十二年度における異常な赤潮による養殖ハマチの大量死亡等に伴い、漁船再保険及漁業共済保険特別会計の漁業共済保険勘定の保険金の支払いが著しく増大するため、支払い財源に不足が生ずる見込みであります。
本法律案は、この勘定の保険金の支払い財源の不足に充てるため、昭和六十二年度において、一般会計から、六十七億五千八十七万円を限り、同勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。
なお、この一般会計からの繰入金につきましては、後日、漁船再保険及漁業共済保険特別会計の漁業共済保険勘定におきまして、決算上の剰余を生じた場合には、この繰入金に相当する金額に達するまでの金額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/2
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003・越智通雄
○越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/3
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004・越智通雄
○越智委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/4
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005・沢田広
○沢田委員 大蔵大臣はいなくなりましたから、私の質問の通告は既に一週間前レクチャーしましてそれぞれもう十分御勉強もなさったことだろうと思いますので、ひとつ簡潔、明快にお答えをいただきたいと思います。
最初に、今までの水田の関係で、毎年大蔵委員の同僚の議員によって、いわゆる減反に対する補助、こういうことで議員立法として提案をしてきているわけであります。しかし、今までにもいろいろな角度から批判もありましたし、あるいは努力目標もあったわけであります。
最初に農林の方にお伺いをいたしますが、この減反の実績表というものをいただきました。この実績表は、こういうことでなっているというのですから、毎年の耕作面積はそれだけ減っていかなければならないというふうに思いますが、いわゆる耕作面積の方の表を見ますると減っていないということなのでありますが、その転作の結果とそれから現在の耕作面積を、この二、三年で結構ですから、農林の方からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/5
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006・赤保谷明正
○赤保谷説明員 お答えを申し上げます。
転作の状況、それと耕作面積はどうかという御質問でございますが、今年度から実施をいたしております水田農業確立対策、その転作等目標面積は、前の対策に比べまして十七万ヘクタールふやしまして七十七万ヘクタールということでございます。それで、その結果でございますが、昨年九月三十日現在の取りまとめによりますと、七十八万九千ヘクタール、約一〇二%の実施率となっております。そのうち、他用途利用米の生産とか水田預託とかそういうような面積が十八万一千ヘクタール、このうちに、特にみずから転作を実施することが困難な農家等が農協等に水田を預託をいたしまして、作付はされておりませんけれどもいつでも耕作可能な状態に管理することとされている水田預託の面積、それは全体の転作等実施面積の五・三%に当たります四万二千ヘクタールとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/6
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007・沢田広
○沢田委員 私は、転作なり輪作もあると思いますが、このごろ輪作が出てきておりますけれども、どれだけ耕作しているかということを質問したわけですが、お答えがない。ちょっと数字を申し上げますと、水稲で、昭和五十五年からいきますと二百三十五万、五十六年が二百二十五万、五十七年が二百二十五万、五十八年が二百二十四万、五十九年が二百二十九万、六十年が二百三十一万、こういう数字が耕作面積として続いているのですね。今言ったように、前は六十万、三カ年間やったわけですね。それで今度は七十七万やるのだというのですが、ばかに耕作といわゆる報告とがすれ違っているのではないのか。今お答えしにくければ、あなたこの数字を持ってないのかもしれませんから、ちょっと後ろと相談して、言っている言葉とこっちで言っていることと、この耕作面積の減少がないのはどういう理由によるものなのだということを後でお答えいただきたいと思うのです。
それからもう一つは、今度は大蔵省の方へ聞きますが、税金の申告を五十万以上と五十万以下で区切るわけでありますが、どの程度の申告が来ているのか、どれだけ効果を上げているのかというふうに考えるわけであります。その点は、大蔵省としては、議員立法で上げた法律案の届け出状況とか一時所得の無申告の状況とか、せめてその程度の集約はしていいのではないのかというふうに思うのですが、その点国税庁の方からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/7
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008・日向隆
○日向政府委員 米の転作補助金については、今委員がおっしゃいましたように、一時所得とみなされておりますところから、その交付額が一時所得の特別控除額五十万円を超えている場合であってなお他の農業所得と合算して納付税額が出る場合に申告されるということになっております。
実際に、農業所得者、直近の六十一年分で見まして、三十二万人のうち約一万二千人が一時所得を有する者として私ども税務統計上把握しているわけでありますけれども問題は、今委員が御指摘になりましたが、この一時所得を有する者として申告された約一万二千人の中で、転作補助金に係る一時所得がどのくらいあるかということでございます。これはただいまのところ私ども統計上これを把握しておりませんので、これについて正確にお答えすることはできないことを御理解いただきたいと思いますけれども、ただ、私ども、先ほど申し上げました理由からしまして、転作補助金に係る一時所得を有しかつ納税額がある農業所得者として申告している人はそんなに多くないというふうに推定されますし、また、現に私どもが今把握しております一時所得を有する農業所得者約一万二千人から見ますと、転作補助金について他の所得者として申告している者がいるといたしましても、その数はそれほど多くない、こう思われますから、多目に見ましても、約一万二千人の一時所得を有する農業所得者という、この程度の数字ではないかというふうに思われるわけであります。ただ、御指摘がございましたので、私どもこの申告状況につきましては今後とも十分注意してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/8
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009・沢田広
○沢田委員 では、農林ではどの程度把握しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/9
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010・赤保谷明正
○赤保谷説明員 私どもの方では具体的に把握はいたしておりませんけれども、毎年議員立法という形でお世話になっておるこのいわゆる臨特法の効果、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、転作面積も毎年ふえておるといいますか、特に今年度かなりふえたわけでございます。昭和五十三年度以降、農家の方々の御理解と御協力をいただきまして、おかげさまでこの十年間転作目標面積一〇〇%を達成してきております。これもこういう臨特法の効果が非常に大きいものと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/10
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011・沢田広
○沢田委員 総額金額は六億円だ、こういうふうに言われておりますが、その程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/11
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012・赤保谷明正
○赤保谷説明員 大体そのように理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/12
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013・沢田広
○沢田委員 集約はしていない。この前の国会でも私は言ったが、国会で議員立法で出した法律の集約を行政府が全然知らぬふりしているというのはけしからぬ。行政府がつくった法律に対しては熱心だが、国会の方で議員立法でつくった法律に対しては極めて不熱心である。三年前にも集約をしろと言ったが、集約はしない。そういうことで、どういう地域にどれだけのあれがあったかということはほとんど皆無、農林関係においても全然集約をしていない。
国税庁の方でも、これは挙げるのはやめますが、「昭和六十年分申告所得税の青色申告の主な特典」というのが一から四十二まである。四十二まである中にもこれは入っていない。これは極めて零細なものも、それこそ必要経費に算入される家事の関連費まで一応入っているのですが、ない。それから、国税庁の統計年報の中の各都道府県別の農業所得の中の申告者の六十名とか三十名とか、専業農業者の中にもこれも恐らく出てきていないということで、ある意味においては国会軽視である、こういうことを前の国会のときにも言ったわけであります。だから、少なくとも農林省は、我々が、国会が一生懸命になってやっているが、どれだけ効果があるのか全く不明である。ここ数年続けてきているけれども、どれだけのそれによって助かった人がいるのか。六億円という金額は出ているけれども、推定なんであって、これもはっきりしていない。それは調査をしますという回答があるのです。ちっともそれをしていない。調査をしようと思ってもできないのだろうと思うのですね。
だから、これは委員長にも話するのですが、これは少し思わせぶりのぶりっ子の法案であって、要すれば、この法案が出ることによって、申告しなくていいですよという、免税というか、水戸黄門の印籠みたいな役割をこの法案がしているのではないのか。減反した人はある意味においては申告しない、これで申告することを免除されているんだと解しているのではなかろうかというふうにさえ思うのです。一人ぐらいであったとか、二人ぐらいあったとかいう話が出てもいいと思うのですよね。全然ゼロというのは、我々実は北海道に一部あるだろうと思いますが、全然出てきていないということは、果たして法案の効果そのものがあるのかどうか、改めて見直す時期に来ているんじゃないかという一つの見方もできると思うのでありますが、農林も全然熱意がない。三年前にも言ったけれども、全然いまだに報告がないということになれば、迷惑な法律だというのが農林省の本音なのかもしれぬと思うので、その点どっちなんですか、もう一回答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/13
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014・赤保谷明正
○赤保谷説明員 お答え申し上げます。
決して迷惑なんということは考えておりません。本当に先ほど申し上げましたとおり農家の方々は非常に御苦労されて転作をしておりまして、その際にも、このいわゆる臨特法の効果は大きいと考えております。
それから、減税額の試算でございますが、先ほど先生がおっしゃいましたような約六億というふうに試算はいたしております。それとあと、農業所得の申告をしている方、農家四百万のうち百万ちょっと、約四分の一、水田農業確立対策における転作等を実施している農家の戸数が約三百二十万戸でございますので、その四分の一といいますと、八十万戸の農家が税の申告をするときにこの制度も十分念頭に置いて理解をして申告をしているというふうに理解をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/14
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015・沢田広
○沢田委員 理解だけしているのだけれども、結果的な数字には出てきていないということは、税務統計の方にも全然上がってこないのですよね。だから、この四十二項目ある特別控除の項目の中にも上がってこない。全然あらわれてこない。これは「第一 一 一回 国税庁統計年報書 昭和六十年度版」、こんな厚い、この中にも、一つも、一字も入ってきていない。いかに把握ができていないか、こういうことだと思うので、これはひとつ今後十分注意をして、来年はまた同じように七十七万ずつこれから三カ年間いくわけでしょうけれども、これは途中でやめた方がいいのじゃないかなという気がしないでもないわけでありまして、これは農林省も今は殊さらに効果があるのだと言っておるけれども、ちっとも効果をあらわそうとしない。要するに、議員立法で出したのだから議員の連中に功績を上げさせるのは胸くそが悪い、だからなるべくこういうのはわからないようにしてしまおうという農林省のたくらみかなというふうにさえ思わざるを得ないのでありますが、それは答えなくていいですよ。それは答えなくていいが、そういうことを言われないようにひとつ農林省としても対応してください。
それから、減反の進め方なのでありますが、減反を個人の自由意思に任しておる方法はやめたらどうか。都市計画法と同じように、用水の一番末端なら末端、あるいは都市化している隣接なら隣接区域、家庭雑排水も入ってくることですから、その道路なら道路からは右とか左側は減反、そういうように、どうせ減反を進めるとすればそういう計画性があっていいのではないのかということを提案しているわけです。これは、虫食い状態になることは他の農地も非常に困るのですね。雑草が生えれば雑草は風で飛んでいってどこへでも草をまき散らすし、それから一つの減反をしたことによって用水の供給は倍の力を必要とする。遠回りしていかなくてはならない。そういうようなこともあるということで、減反とその自主性というものについてはある程度の整合性をとったらどうか、そうすれば、用水の供給の確保あるいは排水の便利さあるいは家庭雑排水との調整、こういうものに一つは方向づけられる、こういうふうに思いますが、その点はいかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/15
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016・赤保谷明正
○赤保谷説明員 転作をする場合にそれを団地化をする、そういうことにおいて用水の問題、排水の問題、さらには団地化をいたしますと生産性が向上いたしまして転作作物の生産コストが下がる、そういう面もございます。私どもといたしましても、できるだけ団地化を進めるということでこの水田農業確立対策を推進しておるわけでございます。
そのときに、規模の拡大だとか生産の組織化、そういうようなことで生産性の向上を図りながらやっておるわけですが、いわゆる転作奨励金といいますか加算制度に意を用いておりまして、転作田の団地化による作業規模の拡大を図るとか、あるいは農地の流動化を通ずる規模の拡大だとか、あるいは担い手を中心とした生産組織の育成、そういうことを推進することといたしまして加算制度を設けているところでございます。
強制的にといいますか、言葉は適当でないかもしれませんが、制度をつくって団地化を進めたらどうかという御意見でございますが、地権者との関係その他ございまして、今申し上げましたような誘導措置でできるだけ団地化を進め、それで転作作物の生産性の向上を図る、そういう方向で進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/16
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017・沢田広
○沢田委員 それではもう対応できなくなってくるのだから、ある程度そういう先を見た対策が必要だと私は指摘をしているので、今と同じような答弁をしておってはこの対策にはならないのですよ。結果的にはガット違反にもなっているけれども、今の円高の状況からいけば、一万四千人か五千人の人間で五百万トンの米をつくるアメリカと三百六十万人の人間で一千二百万トンぐらいの米をつくる日本とが果たしてこれから価格の上においても太刀打ちができるかどうかというのは、火を見るより明らかでしょう。その実態はどう考えていますか。カリフォルニアの米だけで見ても、現状を見ても、今言ったような数字は出てきているわけですね。そういう実態に対してあなた方はどういう評価をしているのですか。しかも、食べてみればうまい、こう言うのだ。そういう状況に来て、これは保護政策だけで乗り切れると思いますか。
〔委員長退席、大島委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/17
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018・赤保谷明正
○赤保谷説明員 カリフォルニアの米作等との比較をしてどう日本の稲作を持っていくのか、どう見ているのか、こういう御質問でございます。
アメリカの稲作の経営規模は非常に日本とは比較にならないほど大きゅうございまして、そこと対抗するような形での稲作経営というのはなかなか現実の問題として難しいとは思っております。ただ、できるだけ消費者に納得の得られるような価格で米のみならず他の農産物も供給をする必要があるということでございまして、そういう方向で一昨年農政審から答申が出ておりますが、そういう方向で農政を進めておるところでございます。
土地資源の制約その他ございまして、できるだけ安くコストを下げた農業生産ということで努力をしておるわけでございますが、アメリカと比較されますと、やはりそういう外的な要因、土地資源、規模の問題、地価の問題等々ございまして、なかなかそこまで対抗するというところまでは現実の問題として難しゅうございますが、できるだけ消費者の方々にも納得の得られるような価格ということで努力をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/18
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019・沢田広
○沢田委員 比較されればと言っておるけれども、現実的にそういうふうな状況に現在ほかのものも来ておるわけでしょう。農林だけが別枠でいるわけにいかないでしょう。肉もそうなってきましたね。いよいよそういう状況に追い込まれておるわけでしょう。それに対して、ただ今までのような状態を続けることによって、単にこの程度の減反で農家が立ち行くと思いますか。どうしたら立ち行けるような方法をとろうとしておるのですか。言ってみてください。一万四千人の人間で五百万トンをつくるというアメリカの能力とこの日本の三百六十万人の人間で一千万トンつくっている実態の中で、どういう勝負の仕方をこれから農林省は考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/19
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020・赤保谷明正
○赤保谷説明員 現実の問題としてなかなかアメリカのようなところと対抗するというのは難しいかとは思いますが、できるだけ生産性の向上を図るという方向で、例えばこの水田農業確立対策におきましても、生産の組織化を進める、あるいは団地化を進める、あるいは規模拡大を進める、そういう方向に誘導するための加算制度を設けて水田利用再編対策も進めておりますし、また稲作そのものにつきましても、昭和七十年ごろに想定される機械化体系、中型体系、大型体系でやりますと、生産コスト、労働時間もかなりの低減を図られるという試算も出ておりますので、一挙にというわけにはまいりませんが、徐々にでございますけれども、そういう目標に向けて、来年度の予算でお願いをしておることではございますが、高生産性水田農業の確立を図るためのモデル事業も実施をし、そういう波及効果をねらっていくという方向で努力をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/20
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021・沢田広
○沢田委員 農林委員会に行けば、同じ族という言葉があるけれども、そういう形でやや保護的な発言が多くなってきて、そういう危険なものに対する対抗措置というものを考えることが割合おろそかになる。これはそれぞれの委員会がそういうことの傾向を持っている。だけれども、大蔵委員会に来れば、ガットの勧告農産物にしても、みんな泣いて大騒ぎしたわけでしょう。国会の中だって大変な大騒ぎをして、今日やむなく受け入れざるを得ないという結論を出しているわけですね。一方で輸出をしているのですから、一方で輸入はしないよというわけにはいかない。一方通行にはいかない。結果的にはどこかで痛みを感ずる者が出てくるはずなんですよね、黙っていれば。だから、それに対応する措置を今からつくっていかなかったならばそのときに泣きを見る、今のやり方だったら。しぶしぶ嫌だ嫌だと言いながら、まあ嫌だ嫌だと言いながらしようがないやというところへおっつけているのが今の政府のやり方じゃないですか。みんなそうなんです。そのことはもうわかり切っている。これから牛肉の問題だってそういう状態になることはわかり切っていることだ。わかり切っていることだけれども、表向きは嫌だ嫌だと言っている。嫌だ嫌だと言っておいて、最後は、しようがないや、あきらめるか、こういう形の政府のやり方です。これはひきょうですよ、政治家としては。私はそう思う。私は、先が見えるのなら見えるように決断をしてそれの対抗策を早くとるということが政治家としての使命だと思っている一人です。ですから、そういう立場においては勇気が必要ですよ。それは支持者からはおまえ何だと言われるかもしれぬ。しかし、それでも、そういうことは一方通行ではいかないのだ。では、輸出をやめるか。やめられないでしょう。とすれば、どこかでその痛さを感じなければならぬのが日本の国の状態です。ですから、そういうことを考えたときには、どこならいいんだと——おれのところにぶつからなければ都市計画は賛成だけれども自分のところにぶつかったら都市計画は反対だという論理と同じなのだ。そういうことではやはりこれからの農林はとてもやっていけないのですよ。
それで、次の牛肉の問題に入りますが、私は畜産事業団をなくしたらいいと思う。こんな畜産事業団を置いておいては、消費者には迷惑をかけ、汚職は起こり、そして値段は高い。もう言うことなしだ。そういう状態において置いておく意味はない。でなければ、もう一つ畜産事業団をつくって競争させる。そして、どちらが国民のためになっているかということをそれぞれが評価をとってもらうことが必要だと思う。
これはだれに見せるのがいいか、新聞の中に入ってきた牛肉の広告ですが、「国産牛肉のお求めは、このマークの指定協力店でどうぞ。」牛肉はサンキューといって大体三百九十円というのが普通相場だ、こういうふうになっていたんだが、それが、百グラム単位で言っていますが、二百六十円。もも肉が三百円になっています。指定協力店はこういうふうになっている。こういうものが新聞の中に入ってきている。これは和牛ということですが、大臣なんかは見ている暇はないかもしれないから、政務次官、これから大臣になるのだから、後でよく見ておいて。
そういうものが新聞の中に入ってきているのだが、実際の我々消費者が牛肉を買うときには少しも安くなっていない。だから、牛肉には敵が多い。畜産事業団は農林団体の外郭団体というふうな思惑がある。だから、結果的にはそういう農業団体の補助金だけに中心を置いて消費者に還元することをおろそかにしておる。これから本当にアメリカやその他の国々から入ってくるようになってきたら、果たして本当に太刀打ちできるのかどうかということになったら、これはなかなか太刀打ちができない。はっきりしておるわけです。
〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
それを内部だけの留保で一千億ぐらいか、倉庫に入っておるだけで一千二百億ぐらいの倉庫料を納めて、そして役員だけがだぶついた金を使って、そして農林団体へだぶついては適当にまた、あとは言わないけれども、やっておる。こういうことでは、もう一つ畜産事業団をつくって、そして間接的に国民の消費を上げることによってあるいは生活が楽になる、あるいは畜産事業団のように補助金ばっかり配っておってちっとも効果が上がらない、どちらが本当の国民のためになる行政かということを一回試していったらいいか、さもなければ畜産事業団をなくしてしまった方がいいか、自由にしてみたらどうかというふうに私は思う。それで、畜産事業団の方は畜産事業団の方で、こういう補助金でやるんじゃなくて、自立体系をつくることに本腰を入れなければいかぬですよ。補助金で食っていくという形をとっていたのでは自立はできないのですから。補助金を出しておけばまたガットにやられるのですから。そういう状況について総括的に農林省からお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/21
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022・東久雄
○東説明員 お答えさせていただきます。
畜産振興事業団でございますが、これは畜産物の価格安定等に関する法律という法律に基づいて設立されておるものでございますが、この事業団の任務といたしまして、牛乳、乳製品並びに指定食肉といたしまして今は豚肉と牛肉でございますが、この価格安定ということが大きな任務でございます。そのほか、生産振興、それから流通の合理化等を図るということが任務とされております。
現在のところ差益が出ておりますのは牛肉でございます。この価格安定制度の運用上、上限価格と下限価格を決めてその中に価格を安定させるという制度を牛肉についてはとっております関係上、国際価格との差額がございまして運用上の一時的な差益が生じておるという状況でございます。一時的と申しましたが、今のところは差が大きいものですから恒常的に生じております。
これにつきましては、法律に基づきましてこの差益をもって生産及び流通の合理化並びに消費拡大対策に使用するというふうに限定を受けておりまして、これらの方向にその差益金を使っておるということが現状でございます。例えば六十一年度の差益金につきましても、生産対策、これは生産合理化の方向へ使っておりまして、これはさらには生産合理化を通じて安いものを供給していく体制をとっていくためのお金でございますが、これが三百二十八億ほどに対しまして、流通、消費についても二百五十六億ほどの金を使っているという現状でございます。御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/22
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023・沢田広
○沢田委員 汚職のことを一言ぐらい謝ったらどうかなという気がするのですが、全然そういうことを触れないでしらばくれるというのも態度がよくないですね。
ちょっと、じゃ、あなた方の決算書から言うと、二百四億不用額がこの価格安定事業費で出ておる。その一番主なものは輸入牛肉買い入れ保管事業費、百九十二億出ている。私は、消費者にも幾らかこういう利益を還元しろ、こう前に言った。前は、肉の日だから二十九日、憎らしい、こう言ったのだが、二十九日を肉の日にした。それ以外にもせめてもう一日つくったらどうだ。和牛の広告はそうやって出している。畜産事業団から出るもうけの中から一部消費者に還元しろというそれは本当にささやかな要望だが、しらばくれて実行に移さない。それで指定店だけしかやらせない、こう言う。そういう形のことをいつまでもやっているつもりなのかどうか。そして、倉庫保管事業で百九十二億も余らして、一千百二十一億も保管事業費に使っておる。こういう形のものが果たして正常な価格安定作業と言えるか。保管業務だけにべらぼうに金がかかってしまって、結果的に生産者にも行かないし消費者にも行かない。倉庫料というか、保管業務はそれ以外の薬品というか防腐などの管理もあるでしょうけれども、そういうところだけの費用で結果的には一千億も使っているという形になってしまう。決算書だけではそういうことである。
それから、財務諸表の中で言っても同じことが言える。これはいわゆる資産と負債の方の関係でありますけれども、有価証券なんかは物すごく持っておる。棚卸資産も二百三十八億持っておる。そして有価証券も百三十億持っておる。現金・預金も八百三十六億持っておる。こういう決算をどこもチェックするところはないのか。しかも、退職給与引当金をとっても六億八千万持っておる。それで政府出資金が何と八十三億ある。
それから損益計算書を見ても、これは売って買ってだから、売買事業費として一千百三十九億上がっていますけれども、そのかわり売買利益は結果的には五百億もうけているのだね。五百億もうけている中で、それがすべて農林団体等だけで、学校給食も幾らか使っていますけれども、全然消費者の方には行き渡らないような、そういう運営というものは汚職の起きる温床だよ。
だから、政務次官、私はこっちから答弁をもらわなくてもいいから、いずれにしても一応見直しをする。会計検査院は呼んでないんだ、かわいそうだから。呼んでないけれども、一応見直しをする。財政もそう。人事もそう。運営もそう。もう一つつくるか。これからアメリカから来るガットの牛肉の問題にどうやって日本が対応するのかという姿勢をきちんとつくらなければ、こんなことでいったらまるっきりやられてしまいますよ。恐らくそういうふうになるでしょう。——あなた方の答弁は要らない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/23
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024・太田道士
○太田説明員 ただいま先生の方から大変厳しい御指摘があったわけでございますが、昨年事業団で汚職が起きましたことを私どもも大変遺憾に思っておるところでございます。大変世間をお騒がせして、心からおわびを申し上げたいと思っております。
今先生から御指摘ございましたように、事業団のこういう事件を踏まえまして、私どもとしては、事業団の売買方式なりそういう問題を、事業団を含めて、事業団内部で十分に検討して今後の対応をしていただくということで、現在そういう作業を取り進めておるということが一つございます。
それから、今事業団の問題につきまして、売買事業は一千百三十九億でございますけれども、これは年間を通じての買い入れ費でございまして、片っ方で売り上げがあるわけでございます。それで、棚卸資産もその間の年度の初めにどれだけ牛肉が在庫にあるかということがあらわれておるものだということでございまして、売買を通じる作業上そういうものが計上されているのだということでひとつ御理解いただきたいと思います。
もう一つは、去年も先生の方から肉の日等で御指摘をいただいたわけでございまして、私どもも肉の日の売り渡しを偶数日について拡大しております。その発想をもちまして、先ほど先生御指摘のパンフレットがあったわけでございますけれども、国産牛肉についても、割高感が非常にあるということを踏まえて、乳雄につきまして、特定の部位について月の二週間、十日の週、それから最後の週、そういうときにできるだけ安い、割安感が出る形での売り渡しができるように、日本食肉消費総合センターを通じて各県の肉屋さんの団体からこういう安売りをしていくということで消費者の理解も得られるように努力しておるということでございます。
いずれにいたしましても、私ども事業団は、現在国産が全体需給の七割で輸入は三割でございますから、現実に国際価格の差がある以上、国産の需給と外国の輸入というものを適宜調整する機能ということで、事業団の役割というものは私ども大変重要だというふうに理解しておるということでひとつ御了承いただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/24
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025・沢田広
○沢田委員 答弁要らないと言ったのは、了承しないからなんだ、もともと。だから、さっき言ったように、改革案を考えなければ、これから来るガットの、恐らくあなた、提訴されるか解決するかなんかしなければしようがないでしょう、これは。そういう状況に追い込まれている現在、今のような答弁でこれが牛肉の輸入を阻止できると思いますか。結果的には泣き泣きそうなっていく状況をつくることになるんでしょう。だから、答弁が要らないと言ったのは、そんな答弁でここでごまかしてもごまかし切れない世界情勢というものが一方にあるということを考えて対応していかなければだめだということを私は言いたいから、畜産事業団を含めて改革案をつくらなければなりませんよと。今言ったような温室的な方法でやっていってアメリカが納得しますか。あるいは西欧が、南の方でも納得しますか。そういうことでは納得しないという状況に今追い込まれているから私はあえてそういうことを申し上げたんです。
大蔵は、そういう場合においては大変重要な、やはり日本経済に影響を及ぼすわけですから、単に農林だけに任しておくのではなくて、日本経済としてどうするかということを考えてもらわなければならぬということを特に、委員長もその分野においてはベテランなんですから、政務次官もそうですよ、ですからそういうことで、ひとつ改革をしてもらいたい、こういうふうに思います。
今の答弁も、安い日をいつとは言わないです。結果的には輸入牛肉についてはあいまいな答弁をしておる。それで、同じ畜産振興事業団はこういうふうなビラを配っておる。それは和牛だけを幾ら安くしたって生産量そのものが限定されておるのですから、それで解決するとは思いません。もうそれはいいです。
それから続いて、もう時間の関係がありますから、これは通産の方にもお願いしたし、それから行管の方も実はおいでをいただいております。今の畜産事業団のやり方で牛肉の今後起こり得るガット違反の問題あるいはこの輸入の問題は阻止できると思いますか。イエスかノーか、それを通産、行管、ひとつお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/25
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026・川嶋温
○川嶋説明員 お答えいたします。
畜産事業団につきましては、私どもといたしましては、畜産物の価格の安定あるいは畜産の振興ということで非常に重要な役割を果たしておられると思いますけれども、基本的には農林省の所管の問題でございますので、その運営につきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、通商貿易所管省でございます通産省といたしましては、現下の状況で市場の開放というのが非常に求められているわけでございまして、これは農産物につきましても同じ考え方に立っているわけでございますが、他方で御存じのとおりの国内の事情がございます。消費者の問題あるいは農家の問題等々がございまして、この辺の重要な問題につきまして、直接の当事者でございます農林省と十分に協議をして来るべき問題に対処してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/26
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027・伊原正躬
○伊原説明員 行政改革との関連でお答え申し上げます。
畜産振興事業団につきましては、臨調の最終答申で、牛肉の価格をEC諸国並みの水準達成を目標に毎年行政価格を見直すこと、また輸入牛肉の売買差益金の運用に当たり消費者対策を含め流通対策を充実するという二点の提言がなされているところでございまして、従来これらの点で御努力いただいてきておるところでございますが、先生御指摘の点につきましても、今後も臨調答申に沿った改革を着実に推進していくことにより改善を図っていくべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/27
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028・沢田広
○沢田委員 畜産事業団、もう一回座ってください。
今畜産事業団を担当する課だから一緒くたにしちゃって言っているけれども、結果的には、ここにも「食い荒らされた円高差益」とあるのですが、ニューヨークの二・一八倍、シドニーの三・二九倍、サンパウロの八・一四倍、牛肉の値段は世界一というふうになって、私が言った六十一年度五百億利益が上がった。これは千六百億から千百億の輸入価格を削った計算の差益を利益と一応見て五百億上がっておるのですね。計算では六百億になると僕は思うのですが、この新聞では五百億となっている。その次にこういうふうに書いてある。「業者太らす新制度 貿易交渉にも波紋」、これは六十二年十月、こういうふうに書いてあるのですね。こういう警告がもう既にされているわけだ。今後起こり得る事態ということも予想されるわけだ。今の行管の答弁の中にも入っておる。それを実行しないのだ。それでこれから対応できるかどうか、イエスかノーか、こういう質問をしたわけだ。どっちともつかないけれども、結果的にはノーなんだから、大丈夫ですという返事は来ない。あなた方はどうなんですか、イエスですかノーですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/28
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029・東久雄
○東説明員 まず、昨年十月の事件については、私の方からもおわびを申し上げます。
その関連の記事をお読みいただいたのだと思います。私ども、先生の種々の御指摘、特に国際環境との関係の御指摘につきましては、その御意見、ありがたく承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/29
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030・沢田広
○沢田委員 ありがたくじゃなくて、大変苦しいけれども努力しますというのが答弁だろう。ありがたいということじゃないのだよ。私がこういうふうにぞんざいな言葉を使うようになったのは、もうずっと今までの年度の質問のときに言ってきているわけだよ。役人はころりとかわってしまうからしらばくれてこうやって答えているけれども、同じ人間がやっておられたら恥ずかしくてここへ出てこられないはずなんだ。どんどんかわってしまうからしらばくれて今のような答弁で済ましているので、そういう点が役人の逃げ口上というやつ、逃げ人事というのだ。みんな責任が危なくなってくると、何かこれはひっかかりそうだなと思うとかえちゃって、次のポストへいけば、私は知りません、前任者のやったことです、こういうことで逃げようというのが仕組みなんですね。
委員長もややそういう仕組みの中にいたことがあるのだけれども、そういうことで、それは知っていると思う。
だから、今の答弁じゃなくて、言ったことを守ってもらいたい。我々がここで声を荒立てて言っているのは、やはりそこで約束したように、言っていることはきちんと約束を守る、説得をする、そして消費者がより買っていかなかったならば、これからのアメリカは恐らく承知しないですよ。それは、やはり消費者にどんどん需要、供給というものの状況をつくっていかなかったら、もうとても了承しっこないですよ。だから、そんなことでこれは了承できるのかといったらそれはできないのだから、それをするためにどうしたらいいかということを考えなければならぬということをひとつぜひ肝に銘じて帰ってもらいたいと思います。あとはまだ農林ほかのものはあるけれども、畜産事業団の方はこれで終わらせておきますが、そういうことをひとつ心して、肉の日に匹敵するものを対応してください。それはもうそれで終わります、時間の関係がありますから。
続いて、農地法をめぐる問題で科学技術庁の方からも来ていただいております。これは赤潮問題もあるからであります。今の牛肉もそうですが、これからの米もそうですが、いわゆるバイオの時代と言われているわけであります。私がさっき言ったように、一万四、五千人の人間で五百万トンの米をつくるアメリカと対抗するのには、それこそ一反を十階建てのビルぐらいにしてつくれば一町になるのですからね。一町のビルをつくって、上から下まで同じものをつくると仮定をすれば、一番上に水をやれば下までずっと同じ水が使えるわけでありますから、十分の一の水の容量でいけるわけです。要すれば、日本の狭い国土の中で高い生産性を上げようとするためには、一つには、天日も必要でありますが、そういうバイオ関係を含めての改革というものを考えなければならぬ時期に来ておる。それが今の農地法の条件で果たして可能かどうかということで、その意味において三つ提案します。
一つは、そういう科学技術を使えるようなシステムを農地法の中に繰り入れるためにはどうしたらいいかということを検討してもらいたいということが一つ。
それからもう一つは、六十歳以上の人に農地を保有する権利を与えて、ゲートボールばかりやっているんじゃなくて、大根やネギやそういうものは自分で耕作して、田舎にでも住みながら空気のいいところで生活し、健康を保持する。これは厚生省にも来ていただいておりますが、そういう方向で、何も年寄り村をつくろう、老人村をつくろうというんじゃないんですが、あるいはできてもいいと思うんですが、いずれにしても若い人がいなくなっていく農村へカムバックして、六十歳以上の人はそうやって自分で年金の足らず前を自給自足体制である程度補っていく、こういうことも考えて農地法を改めたらどうか。そういうことを農地法をめぐる問題として考える時期に来たんじゃなかろうか。だから六十歳以上の人には農地の取得の権限も与えてやってほしい。そして、町の中で、家の中でテレビだけ見ているんじゃなくて、そうやって太陽のもとに耕作していけるお年寄りの方々により多数出てきてもらって土壌の整備を図ってもらう。大切なことではないか、こういうふうに思いますので、簡単に厚生、農林。
それから科学技術庁に来て、赤潮問題に触れておきますが、私は、赤潮は、結論は人災だ。それで、こうやって政府の金を出しておりますから当面はやむを得ないものだと思っていきますが、要すれば石けん水を初めとした生活排水のたまっていった汚泥で発生する一つの化学反応、それからもう一つは、いわゆる下水道の不整備による、浄化槽の不整備による汚水の浄化の不十分さによって起こってきている瀬戸内海の赤潮である。天然現象もあるかもしれぬが、昔はなかったんだから、少なくとも近代的な原因であることには間違いない。といえば人災に近いものであるから、その原因をやはり突き詰めて対応していかなければならぬ、こういうふうに思います。
続いてもう一つだけ言ってしまいますと、農業には、河川を広げるのにも、それから雨水を受け入れるのにも、あるいはさっきの減反についても、法的な規制力がない。農業基盤整備法というようなものをつくって、これからの都市計画法に準ずる農業、いわゆる基盤整備事業法というものをつくって、やはり強制力をもって対応する。減反もしかり。雨水もしかり。あるいは土地改良もしかり。あるいは構造改善もしかり。あるいは農道もしかり。そういう体制をつくる必要性があるんではないのかということを提言して、お答えをいただきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/30
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031・野田哲也
○野田説明員 先生の御質問のうち、農地法関係のことをお答えさせていただきます。
まず第一点にございました、バイオ研究推進のために農地法の運用についてどうかという御質問かと思いますけれども、農地法におきましては、原則として株式会社の農地取得は認めておりませんけれども、株式会社でありましても、その会社の業務運営に基本的に必要となる試験研究あるいは農事指導等に必要な農地の取得を認めておりますので、そういう中でバイオ研究に必要な企業の農地取得というのは行えるのではないかと考えております。
それから第二点でございますが、老人の農地取得ということでございます。農地法では農地取得は農業に精進する人に効率的に農地を使っていただくということでいろいろ制限しておりますけれども、ただこれは真剣に農業に取り組んでいただく方であれば必ずしも年齢で制限はしておりませんので、農業に本当に取り組もうとなさる方であればそれは取得できると考えております。
また、生きがい的農業というような、老後の生きがいあるいは趣味として土いじりをなさりたい、こういう方につきましては、必要な農地というほどのものではないかと思いますので、市民農園等を御活用いただくのがいいのではないかと考えております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/31
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032・沢田広
○沢田委員 それはだめだからね。市民農園というのは一坪や二坪ですからね。そういう程度でこれからの老齢化社会の問題が解決できると思わないから。これからの答弁者も当たり前の答弁をするなら要らないから。まだできませんで結構ですから、次へ行ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/32
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033・真野章
○真野説明員 高齢者の生きがいの問題でございますが、私どもも、高齢者の長くなった老後を生きがいを持って社会に参加をしていただいて暮らしていただくことは極めて大事な問題だと考えております。このため、厚生省といたしましては、老人クラブへの助成を通じましてそういう社会参加をやっていただく、また、その中で生きがいと創造の事業というのを行っておりまして、陶芸、園芸、木工等の生産活動をやっていただく場合に助成をいたしております。
耕作の問題につきましては、今農林省からお答えがございましたが、農林省とも十分御相談をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/33
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034・鶴岡俊彦
○鶴岡政府委員 基盤整備の法律をつくれというお話でございますけれども、御案内のとおり南から北まで極めて多彩な農業が展開されておりまして、私どもは、予算措置あるいは指導、あるいは権利義務に関係する場合で必要な場合には法律をつくってやっておるところでありまして、基盤関係あるいは水の問題につきましても、土地改良法でありますとかあるいは農地法等によりまして現在行政をやっております。
なお、現在、昨今の情勢にかんがみまして、構造問題につきまして農政審議会の中で検討を行っておるわけでございます。その結論も見ながら対応していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/34
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035・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 赤潮の発生につきましては、先生も御承知のとおり、現時点では、いろいろな自然的条件、例えば栄養塩類の豊富な海におきまして、水温が上昇するとか、それから海水の低塩分化が起きるとか、そういうことが重なりまして発生するというふうに見られておるわけでございますけれども、先生御指摘のとおり、生活排水でございますとかあるいは工業排水、こういうものも一つの要因になっておることは確かに事実でございます。しかし、残念ながら全体的な解明というものはまだおくれておりますので、関係各省とも十分連絡をとりながら、我々といたしましても一日も早くその解明に全力を挙げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/35
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036・沢田広
○沢田委員 残念ですが、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/36
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037・越智通雄
○越智委員長 次に、日笠勝之君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/37
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038・日笠勝之
○日笠委員 問題になっております法律案の特別会計の中身についてまずお伺いをしたいと思います。
六十二年度の養殖における病害等による死亡の被害金額、まだ未確定であることは十分承知しておりますが、今現在でいかほどの金額になっておりますか、わかればまず教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/38
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039・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 原因別の被害金額につきましては、今年度のものはまだ正確に把握できておりませんけれども、一番直近の六十一年度現在で恐縮でございますが申し上げますと、約十一億三千万円の共済金の支払いという形に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/39
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040・日笠勝之
○日笠委員 いただいた資料によりますと、六十二年の異常赤潮は二十億になっているんですね。病害等による死亡が未確定ということですが、今現在でいいのです。六十二年度の現在、金額はわかりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/40
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041・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 異常赤潮につきましては二十七億の被害が出まして、このうち共済金としては二十億強を支払っておる形になっておりますけれども、これが異常赤潮による病死ということにいたしますと、おおむねこの金額かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/41
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042・日笠勝之
○日笠委員 私がなぜそういうことをまずお聞きしたかといいますと、前回昭和五十五年二月六日にこれと同じ法案についての質疑がありました。その中にはこういう提案の趣旨説明があったわけです。「昭和五十三年における異常な赤潮及び魚病による養殖ハマチの大量死亡等に伴い、保険金の支払いが著しく増大するため、」云々、こういうことでございました。赤潮と魚病、こういうふうに明確に出ておるのですが、今回の先ほど宮澤大蔵大臣が提案説明をされました中にはそのいわゆる魚病という項目が、一文が出てこないわけでありますので、いわゆる魚病による魚の死亡による支払いというのは非常に少ないのかどうかということをお聞きしたかったわけですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/42
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043・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 魚病被害によります共済金の支払いにつきましては過去相当なものとなっておりましたけれども、昭和五十七年度以降は、六十二年度はただいま申し上げましたように異常赤潮が発生したという特殊な例はあるわけでありますけれども、魚病被害につきましては、被害の程度というものはそれほど深くなかったこともありまして、共済金の支払いはございましたけれども保険金の支払いはないという形でおかげさまでここ数年は推移させていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/43
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044・日笠勝之
○日笠委員 いただいた資料によりますと、支払い金が少ないとおっしゃいますけれども、六十年、六十一年と十二億とか十億という単位ではないのですか。十億とか十二億とかいう単位が少ないのかどうかというのはよくわかりませんけれども、相当の金額だと思うんですね。私がなぜこういうことを言っているかというと、これからの養殖漁業というものは生産重点からいわゆる安全性というか消費者に目を向ける時代が来た、こういうことでございます。これは後ほどまた質問をさせていただきます。
そういう意味におきまして、この支払い金額が非常に重なってきまして一般会計から繰り入れなければならないという事態が起こっておるわけでございますが、この異常赤潮の方も先ほど沢田先生のお話にありましたように人災だ。それからまた、魚病、病害等による死亡も、いわゆるTBTOと称するような化合物を漁網に使ったり、また水産用医薬品の大量投与であるとか抗生物質の大量投与であるとかいうもので、これも人災だと思うんですね。こういうことをきちっと水産行政の中に位置づけてやれば、こういう異常赤潮の方も、環境保全全体の問題がありますけれども、特に魚病等による死亡は最小限に食いとめられるのではないか、このように思うわけですが、その点は今後いかようにして、先ほど申しました安全性ということにかんがみて、また水産用医薬品なんかの大量投与という問題、いかに行政的に指導していかれるつもりか、このことについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/44
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045・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 我々も食料品を供給しております行政の担当者といたしまして、何といいましても安全な食料品を安定的に供給するということが最大の責務なわけでございます。そういう中で、ただいまの赤潮でございますとかあるいは防汚剤問題でございますとか、いろいろと消費者の方々にも予想外の不安なり心理的影響を与えていることにつきましては、我々といたしましても真剣に受けとめている次第でございます。
何といいましても安全な食料を供給するという第一次産業の第一責務から申し上げまして、従来からもいろいろな試験研究ということに加えまして関係業界のいろいろな努力あるいは自主的試験というものにつきまして助成等も行ってきているわけでございますけれども、ただ、残念ながらこういう広大な海という自然の中での仕事なものでございますからいろいろと未解明な分野というものもございます。そういうものにつきましては、従来以上にいろいろな形で我々といたしましても力を用いまして、何とか消費者の方々に心配がなく、しかも漁業生産としても安定的にできるという技術なり体系の確立が一日も早く到来することをこいねがって全力を挙げてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/45
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046・日笠勝之
○日笠委員 この特別会計に今年度一般会計から六十七億五千万繰り入れようということでございます。特別会計の漁業共済保険勘定への繰り入れをいたしますと百六十六億という巨額な金額の残高が残るわけでございます。これについて、会計検査院等は当然特別会計でありますから検査をされると思うのですが、何か会計検査院の方から指摘を受けたようなこと等々ございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/46
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047・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 過去定例的な検査を会計検査院から受けております。それから六十一年にも若干集中的に受けておりますけれども、先生ただいまお話があったような観点からの会計検査院からの特別の御指摘というものは受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/47
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048・日笠勝之
○日笠委員 と申しますのは、五十四年から六十二年までは一般会計への繰り戻しはあったのですかなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/48
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049・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 その期間内ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/49
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050・日笠勝之
○日笠委員 そうすると、約六、七年間繰り戻しはない。残高はどんどんふえる一方である。こうなりますと、この特別会計の養殖に関する共済は第二の補助金になるのじゃないか、このようにも考えられるわけですね。返す見込みがほとんどないのじゃないか。果樹共済も今そういうふうな方向へ行っているということを漏れ伺っておるわけでございます。
大蔵省にお伺いいたしますけれども、返済計画というものはきちっとあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/50
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051・斎藤次郎
○斎藤(次)政府委員 保険事業という性格から、加入率の推移とか共済事故の発生状況で大きく変動するものですから、返済計画を立てるのはなかなか難しいことだと思っております。ただ、私どもとしても何とか早く繰り戻していただきたいと考えておりまして、長期的に見ますと収支は均衡するという保険計算になっているということが一つ、それから六十三年度において今水産庁の方で共済制度の加入率の拡充等いろいろな改正を考えているということもありまして、私どもとしては早急に返済がされることを期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/51
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052・日笠勝之
○日笠委員 今国会の三月上旬に漁業災害補償法の一部を改正する法律案を提出されようとしておるわけでございますが、この中の大きな特徴、いわゆる剰余金が出るような、そして一般会計へ繰り戻せるような当然そういうふうな内容がなければ、大蔵省さんとしても繰り入れ繰り入ればかりが続いたんでは第二の補助金になるおそれもあると私は思いますが、この提出されようとする法律案で、剰余金がこうやれば出るだろうというその核となるといいましょうか柱となるようなことはどういうことがあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/52
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053・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 現在、法律の中身につきましては政府部内で検討しているところでございますが、いろいろな形で、ただいま大蔵の方からも答弁がありましたように、何とかこの制度を財政基盤的にも安定させたいということで、幾つかの中身を検討しているわけでございます。
一つは、何といいましても加入拡大といいますか、危険分散を広いすそ野でみんなに入っていただいてみんなで持ち合うということは、こういう共済とか保険の一番の要諦でございますので、できるだけ優良漁業者を中心といたします加入の拡大を図りたいということでいろいろな仕組みを、例えば、個々に任せておきますとなかなか個人の自主的な選択だけで入りがたいというものにつきましては、漁協が共済の契約者となれるような契約方式を導入するとか、こういう形で加入の仕方につきましていろいろなことを考えております。
それから、補償水準これ自体につきまして、例えば魚種によりまして、具体的にサケ・マスの定置、これがここのところ大きな共済金の支払いにつながった年も多うございますので、こういうものにつきましての補償水準の見直しを行う。
それからさらに、国と全国漁業共済組合連合会等との責任分担の仕切り方につきましても、今までのままでいいかどうかということについて見直しているわけでございまして、こういうものが相乗的に効果を発揮して、何とか長期的に収支の償う健全な保険会計に持ってまいりたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/53
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054・日笠勝之
○日笠委員 貴重な国民の税金でありますから、本来保険というものは保険料、支払い金額が整合性を持って支払いができるというのが健全なあり方だと思いますので、ひとつ主計局においては第二の補助金にならないようにしっかりと、今度出るでありましょう法案についても相談にあずかっていかなければならないのではないかと思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/54
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055・斎藤次郎
○斎藤(次)政府委員 法案の中身につきましては水産庁ともよく相談をしまして、長期的に保険経営が安定するようにいたしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/55
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056・日笠勝之
○日笠委員 続いて先ほど申し上げました質問に移りますが、特に養殖漁業におきます安全性という問題。水産行政も生産重点から、安全性に重点を置いた消費者に目を向けていく時代に入ったのではなかろうか。安全性というものがいろいろマスコミ等で報道されまして、町の声を聞きますと、例えばTBTOと先ほど言いましたけれども、養殖の漁網に塗るわけでございますが、本当に全漁連が言うようにTBTOは禁止されたのだろうか。また、新しい漁網防汚剤というものを今考えようということですが、それも本当に安全なのだろうかとか、抗生物質の大量投与でいわゆる人間に対して、食べた後私たちが今度抗生物質が効かなくなるという問題だとか、そういうことが本当にいろいろマスコミを通じまして広く消費者に行き届いておるのが現状でございます。
そこでお伺いをしたいわけですが、このTBTOというものについては全漁連の自主規制であるのか、それとも水産庁の行政指導であるのか、どちらなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/56
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057・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 もちろん水産庁といたしましても、このTBTOの問題につきましては重大な関心でずっと見守り、いろいろな指導をしてきたわけでございますけれども、自主的には業界の全国団体でございます全漁連が、やはりみずからのつくる物の安全性をみずから確保するということの一環といたしまして、去年の二月にTBTOの使用禁止を組織決定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/57
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058・日笠勝之
○日笠委員 それ以降、五月ごろの写真週刊誌でございましたけれども、養殖をやっておる現地へ行きまして、現実に使っておるんだというショッキングな写真及び記事が出ておりました。ですから、私が先ほど言いましたように、本当に全面的に使用を禁止したんだろうかという懸念がまだ消費者にある。これは自主規制なんですね。
そこで、やはりこれは水産庁としては、ある程度の行政指導を加味した、使っちゃいけないということの行政指導をしていかなければ、かえって水産業者、養殖業者にとってはダメージになるのではないか、このように思いますけれども、あくまでも全漁連の自主規制ということを徹底させていくのか。しかし、後ほどまた申し上げますけれども、最近の東京都の検査によりましても、内海物また近海物、内湾物含めましてこのTBTOの魚における検出がされておる、こういうことも報道されておるわけでございます。そういう意味におきまして、このTBTOについてはあくまでも自主規制に任せっきりなのか、それとも行政指導に変えていくというふうなお考えもあるのか、この辺をもう一度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/58
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059・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 事柄の性格からいいまして、自主規制といいましても当然行政側が重大な関心で今までも対処してきた話でございますし、それから関係者みずからが規制している話につきまして、行政といたしましても並行して十分指導はやってきているつもりでございますが、今後ともその指導は続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/59
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060・日笠勝之
○日笠委員 それでは、出荷する前水産用の医薬品の休薬期間を設ける、こういうようなこともございます。これは残留薬といいましょうか、こういうものを出してはいけないということでございますが、例えばこの休薬期間というものを間違いなくやっているかというのはだれがどのようにチェックをしておるのですか、これはあくまでも業者がやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/60
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061・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 水産用の医薬品につきましては、今御指摘がありましたようにいろいろな使用規制というものが講じられているわけでございますけれども、これの遵守の徹底方につきましては、国といたしましても、都道府県が現在いろいろ行っていることに対して助成を行っているわけでございます。具体的には、御承知のとおり現在魚類防疫士という方がいるわけでございますけれども、こういうものを核といたしまして、養殖業者に対するいろいろな巡回指導でございますとか養殖業者に対する説明等々を通じまして、こういう使用規制の徹底を図り、これが遵守されるように指導をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/61
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062・日笠勝之
○日笠委員 ですから、だれがチェックをしておるのですか、都道府県ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/62
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063・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 まずは、自分の売る物の安全性について当事者において何とかそういう自意識、自主的な運動というものを期待しているわけでございますけれども、実際の指導なりチェックというものは、全国で二百数十人おります魚類防疫士という方が第一線でやっている場合が圧倒的に多いかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/63
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064・日笠勝之
○日笠委員 きょうは時間がありませんが、その魚類防疫士についてもいろいろと、お魚のお医者さんをつくれという説もこの法案をかつて審議したときに出ましたね。いわゆる魚病学というものをきちっと受けた獣医さんがやるべきである、防疫士といったってしょせんは漁業組合の方であり身内の方だ、こういうふうな意見もあったことは長官、御存じだと思うのです。
ですから、私がしつこいように言っておりますけれども、これからは安全性ということ。高くてもいいから安全なものを食べさせたい、これは親の願いだと思うのです。そういうことについて水産庁は、とにかくつくれ、産めよふやせではない、つくれつくれではだめなんです。安全性第一、それからたくさんつくるということに発想を逆転していかなければ、これはもう、最近のハマチも値段がどっと下がっております。なぜか。これだけTBTOのことで騒がれたら、私だって食べたくないですね。そうでしょう。長官、食べられますか、養殖ハマチを。結局そういうことなんです。ですから、何回も言っておりますように、きちっとした体制をつくり、そして消費者が安心できるようなものを公表して、このように水産庁は安全性第一を考えた水産行政をやっております、こうでないと本当に、食べ物というのは三度三度食べるものですから、安心して食べられないということはもう大変なことであります。パニックが起こるわけです。そういう意味におきまして、どうかひとつ毒性検査もぜひやってもらいたい。補助金も出しておられるということでありますが、私は水産庁においてみずからの手でやっていただきたい。
それからTBTOについても、自主規制ということであれば必ず抜け道があるわけです。現実に、先ほど私が言いました写真週刊誌でも、二月に全面禁止になったけれども、五月の取材で使っておるという現場が生々しく報道されておったことも、もちろん当事者の皆さんは御存じでしょう。抜け道はいっぱいある。行政指導なり、結論的には法律事項にでもしなければいけないのではないかと思うくらい考えるわけであります。
そういう意味におきまして、ひとつぜひ安全性第一の水産行政ということで、こういうふうなものについての大綱というか方策というか施策を講じてもらいたい。もって国民が安心して食卓でおいしくいただける、こういうふうなものにしていかなければならないときが来たのだ、もう発想を転換しなければいけない、つくれつくれじゃないのだということをぜひひとつ念頭に置いて今後の水産行政を進めていただきたい、私はこう思うのですが、長官、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/64
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065・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいま御指摘が重なっておりますTBTOにつきましては、先生も御承知と思いますけれども、厚生省に設置されましたTBTOの安全性評価検討委員会、ここでは、現状では食品衛生上問題が生じるものとは考えられないという一応の報告が出ておるわけでございますけれども、先生から再三御指摘ありますように、やはり食品というもののいろいろな消費者心理に及ぼす影響というものも、産業政策としても非常に重要な事柄でございます。先ほど冒頭にも申し上げましたように、やはり食料品を提供することを行政対象としている我々といたしましては、そういうことを大きく念頭に置いて仕事を進めるべきと思っていることは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/65
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066・日笠勝之
○日笠委員 時間も参りました。きょう運輸省の方からも来ていただいておりますが、既に運輸省さんも御存じだと思いますが、先日東京都の衛生研究所の方で、市場に流通している魚介類の汚染の問題ということで結果が公表をされておるわけでございます。
この中で、TBTOについては昨年の二月から自主規制で全面禁止、こういうことで今後私も信用申し上げたい。漁網等はTBTOは使われないだろう、これは善意でそう理解をしたい。
それから問題は、船底、船舶用と言った方がいいかもしれません。船舶用塗料、特に船の底にこのTBTOを塗るわけでございますが、どうでしょうか、例えばアメリカとかイギリスとかフランスでこのTBTOの使用禁止、販売禁止、それからまた制限というものが最近行われておるということでございますが、どういうふうな状況でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/66
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067・木本英明
○木本説明員 TBT系の船底塗料の外国における規制の動きでございますが、まず英国では、昨年の五月にこの塗料の小売の販売を禁止といいますか、規制されたというふうに伺っております。
それから米国でございますが、環境保護庁がこのTBT化合物の溶出量を一定値以下のものにする、そういった船底塗料を使うといったようなことだとか、長さ六十五フィート以下の船舶については使用を禁止する、こういったことなどを主な内容といたします規制案を昨年の十月に提案いたしておりまして、現在これについて各界の意見をいろいろ聞いておる段階である、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/67
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068・日笠勝之
○日笠委員 そうしますと、都立の衛生研究所が調査報告を公表しましたように、今後は船舶の船底の塗料が問題になるであろう、このように言われておるわけですが、我が国においては、船舶になりますとこれは運輸省さんの管轄でございますが、いかように諸外国の例を見習って対応していこうとお考えか、今後の方向性についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/68
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069・木本英明
○木本説明員 今後の対策でございますが、まずこのTBT化合物の一般環境中におきます汚染の状況、そういったものの把握とその評価でございますが、これは環境庁で生物モニタリング調査だとかあるいは瀬戸内海で環境汚染現況調査などをやっておられまして、それらの調査結果に対しまして中央公害対策審議会の環境保健部会の化学物質専門委員会というのがございますが、そこでそういった調査結果に対する評価を行っておりまして、最近のものでは昨年の十二月に評価が出されておりまして、現在の汚染レベルが直ちに危険な状況にあるとは考えられないが、引き続きその汚染の状況の推移を注意深く監視していく必要があるだろう、こういった趣旨の評価がなされております。
それから、TBT系の化合物というのはいろいろあるわけでございますが、この船底塗料に用いられておりますTBT系の化合物が、人の健康を損ねるおそれがあるそういう物質かどうかといった問題につきましては、現在化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律というものがございますが、この法律に基づきまして通産省と厚生省においてその安全性の点検が鋭意行われておる、こういう状況でございます。
運輸省といたしましては、そういった環境汚染の状況の推移を見守るとともに、この厚生省との安全性の点検の結果を踏まえまして、関係の省庁とも連絡をとりながら適切に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、現在のところは船舶から海洋へ溶け出ていきますTBT化合物の溶出量の把握、一体どういうふうになっているのだろうかといった調査を鋭意進めておりますほか、関係の事業者団体に対しましてTBT系船底塗料にかわります代替品、何か別にかわるいい代替品がないのか、そういった開発等についてその指導に努めておる、こういった状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/69
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070・日笠勝之
○日笠委員 ですから、漁業関係ではもう恐らく使われなくなる、こういうふうに善意に理解したい。あとは船底塗料ですね。先ほどから御説明いただいたアメリカ、イギリス、フランスもそれぞれ取り締まり規則をつくったり一部使用制限をしたり、こういうことで積極的に先進国と言われている国々はやっているわけでございます。どうしても我が国は、イタイイタイ病だとか水俣病を見てもおわかりのとおり後追い行政でございまして、何か問題が起こったらやろうか、こういうふうなスタイルになっておるわけでございますが、ぜひこういう安全の問題、人間の健康の問題等につきましては、運輸省さんの方も積極的にひとつ代替塗料も含めて開発についての御尽力、また毒性についての御理解、こういうものも含めつつ、私、本当はいつごろまでにやってもらいたいかということを言いたいのですけれども、それぞれお立場があるでしょうから、早急にこういうものについては検討する、アメリカ、イギリス、フランスのいろいろな資料も取り寄せる。そういう使用制限だとか取り締まり規則をつくったということは、それなりの根拠があると思うのですね。そういう意味では諸外国のそういう資料も取り寄せる、そして前向きに、積極的に一日も早く結論を出してもらいたい、かように思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/70
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071・木本英明
○木本説明員 私どもも、この問題につきましては重大な関心を持っておりまして、先ほど申しましたとおり、関係省庁とも連絡をとりながら適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/71
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072・日笠勝之
○日笠委員 ぜひひとつ前向きに、積極的にお願いしたいことを御要望しておきます。
最後に、日本近海における漁業の活性化また安全性の問題、これは重大な問題でございます。特に、日本海におきますところの漁業秩序等のためヘリコプター搭載型の巡視船をぜひ配置してくれ、こういう強い要望があることは、海上保安庁さんの方へは何回も、六回ほど既に陳情要請が行っているかと思います。領海侵犯の問題、不法操業に対する取り締まりの問題、そしてまた日本海の漁業に関する秩序維持の問題、海難の捜索、救助、洋上医療体制の確保等々の理由で、迅速かつ広範な行動能力を有するヘリコプター搭載型巡視船を、日本海漁業の中核であります境港、これは何隻ぐらい船が出入りして、幾らぐらいの漁獲量があるということは当然よく御存じでございましょうし、非常に重要な港湾であることも御存じでありましょう。こういう要請が昭和五十七年から六回ほど海上保安庁さんの方に行っておるかと思いますが、今後の見通しはいかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/72
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073・西山知範
○西山説明員 お答えいたします。
海上保安庁といたしましては、昭和五十七年度から進めております広域的哨戒体制の整備の一環といたしまして、日本海においてはその沖合の中部海域にヘリコプター搭載型巡視船一隻を常時配備いたしまして、海難救助、それから洋上救急、それから外国漁船や海洋汚染の監視、取り締まり、外国海洋調査船の動静監視等の広範な海上保安業務に従事させることとしております。そのために必要なヘリコプター搭載型巡視船の配属につきましては、これら日本海における業務需要を勘案しつつ、かつまたそのヘリコプター搭載型巡視船の運用、整備、管理等に最も適応した海上保安部に配属するということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/73
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074・日笠勝之
○日笠委員 第八管区は当分計画はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/74
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075・西山知範
○西山説明員 現在、広域的哨戒体制の整備として就役しております巡視船は八隻ございます。なお、二隻が建造中でございますけれども、これらにつきましては、二機搭載型巡視船は横浜、一機搭載型巡視船は新潟ということで計画を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/75
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076・日笠勝之
○日笠委員 第八管区、日本海漁業の核である境港、予算的にもいろいろ厳しいかと思いますが、先ほどいろいろな理由を並べましたとおり、ここはいろいろ問題の大きい、また海難事故も多いところでございますので、ぜひひとつ前向きに措置を講ずるように御尽力をお願い申し上げたいと思います。
最後に長官に、先ほどから安全性の問題を取り上げておりますけれども、特に一つ最後に申し上げたいのは、五十五年の審議のときに、異常赤潮が発生したときにハマチを逃がしてやった方がいいのじゃないか、死ぬまで待つよりは、やはり命がある動物でございますから逃がしてやったらどうか。でないと、死ぬのを待って、死んだやつを陸へ揚げて、焼却処分ということが原則なんだそうですが、実際にもう焼却処分をせずにそのまま捨てておる。その悪臭とか環境保全の問題とかいろいろ問題があるわけでございますが、最後に長官、五十五年のときにも議題になりました、異常赤潮のときにはハマチを逃がしてやる、このことについて、共済対象になるのかならないのか、ひとつお聞きして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/76
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077・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 五十五年の当時に先生からそういう御指摘があり、当方としてもその後も検討したようでございますけれども、先生御承知のとおり、漁業共済事業というものは共済保険という仕組みをとっているわけでございまして、てん補対象になります事故といたしましては、逃がすというような人間の判断なり人の任意の行動、こういうものを保険事故にするというこつにつきましては非常に限界がございます。
それと同時に、そういう逃がしたことの証明といいますか事実関係の確認ということにつきましても、非常に認定上難しい問題がございまして、御指摘ではございますけれども、共済事故対象とすることにつきましては困難かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/77
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078・日笠勝之
○日笠委員 今度は漁協が加盟単位になるということでありますが、その漁協が認定して、これはもう逃がしてしまってもいいよ、こういうこともできるわけですね。命あるものがみすみす死ぬのを待つというのは忍びないわけでございますので、今後もひとつ検討していただきたいことをお願いして、終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/78
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079・越智通雄
○越智委員長 次に、玉置一弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/79
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080・玉置一弥
○玉置委員 我が選挙区にも漁連が三つございまして、漁業は本当は勉強していないといけないのですが、京都の場合には、どっちかというと生産量が非常に少ないものでございますから水産庁もなかなか相手にしてくれない、こういうところでございまして、毎年といいますか、三、四年に一回はこの問題は必ず出てくるのでございますが、漁業共済というよりも水質汚染によります被害といいますか、こういうので毎年なぜこんなに出てくるのかなと思うぐらい出てまいります。この中でも、特に赤潮の問題はいまだに原因が究明されない、また地域も非常に偏ってきている、こういうこともございまして、これだけ科学が進んだ中で、この例年出てくる問題になぜ対応できないのかという大変な疑問があるわけです。これをまずお聞きしたいのですが、余りにも話が大き過ぎますので、部分的に分けてこれからお聞きをしていきたいと思います。技術解明という部分を聞きますと、十八分しか時間がございませんので、大体それだけで終わってしまうと思いますので、それを除いてお聞きをします。
まず、例年漁業補償の問題が出てまいりますが、この漁業補償のあり方についていろいろ疑問を持っているわけでございます。大きく言いますと、漁業によって生計を立てている御家庭、いわゆる漁業の専業、こういうところと、あるいは最近は農業はなくなりましたけれども、工場に勤めて、いわゆる兼業をされているというところもあるようでございますし、片方では企業化されて、いわゆる法人としての分野を確保されている、片方ではまさに個人経営というような形で経営をされておりまして、かなり企業格差というのが出てきているのではないか、こういうふうな気がするわけです。
ちなみに、いただいた資料によりますと、企業体としては十九万二千ぐらいある、こういうことでございますが、その中で中小が一万——ほとんどは個人経営でございますが、一応中小企業としての形態をなしているものがそのうち一万、また大規模なところが二百ぐらいしかない、こういう形になっておりまして、残り大部分が沿岸漁業を主体にした個人経営、こういうことになっているそうでございます。
我々の地域もそうでございますが、日本の海そのものが海面が非常に入り組んでおりまして、その中に三千三百五十五という地域の漁業協同組合というものがございます。こういう実態から見ておりまして、共済制度のあり方そのものも非常に規模の小さいところでカバーをふだんされているのではないか、こういうふうに思うわけです。母体が小さいということですね。今回の共済の加入率なんかを見ておりますと、たしか二〇%台だと思いますが、五十五年で二六・二%、六十年で二五・二%、むしろ低下をしてきている、こういうことでございます。共済掛金と支払い金額とを見てまいりますと、そんなに悪くはないのですけれども、通常考えられる以外の規模の事故が発生をいたしますと必ず赤字に転落をする、こういうふうな形になっております。
先ほどの質問にもございましたけれども、五十九年に一度一般会計へ返している、こういう形になっておりますけれども、どうもその加入状況から見て非常に零細な共済制度といいますか、そういう感じを受けるわけでございますが、まずその辺についてどういう感覚を水産庁としてはお持ちになっているのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/80
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081・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 この漁業共済制度のそもそものあれが多数の中小漁業者、こういう方々の経営の不安定なり、あるいはそれが引き起こす生活上のいろいろな問題、こういうものを共済システムで救済しようということでございますので、そういうすそ野の広い多くの中小の漁業者の方々を、制度そのものの仕組みといたしまして対象としているというふうに我々は理解しております。しかしただ、それが制度全体の財政の健全性なりそういうことにマイナスであってはなりませんので、いろいろと加入促進の努力でございますとか、あるいは共済のいろいろな仕組みの改定等ということを、過去も積み上げて行ってきておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/81
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082・玉置一弥
○玉置委員 例えば、農業共済の場合には一応建前は府県単位になっておりまして、その下に地域農協というものがあるわけです。あるいは市町村というものがございまして、そういう中で共済制度として確立をされております。今はだんだんと広域化しようということで、いろいろな共済組合の統合というものが進められておりますけれども、漁業共済の場合にはその共済組合の単位はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/82
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083・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁業の共済組合の場合には、その漁業の実態なりあるいは共済事業の特性ということからいいまして、原則として都道府県単位で共済組合をつくるということで、現在全国で三十九組合というものが単協としては設立されております。そしてこれに対応いたしまして、全国で連合会が一つ、それの上部組織として再共済関係を結んでいるという形に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/83
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084・玉置一弥
○玉置委員 農業と違いまして、沿岸ですね、海面といいますか、それを一つのルートにして結ばれていくわけでございまして、例えば京都の場合を例に出しますと、沿岸の距離というものは本当に微々たるものでございまして、兵庫県とか福井県とかははるかに長い海面に接する面を持っております。そういうふうに見ていきますと、府県単位で独立するにはなかなかまだ苦しいようなところがございますので、こういうのは規模が大きければ大きいだけ安定するわけでございますから、規模のというか、要するに単位組合の統合化あるいは事務合理化のための、そういう方面でのこれからの方向というものをぜひ打ち出していただきたいと思います。これについては後で御意見をいただきます。
それから、いつも思うのは、例えば漁業組合がありますけれども、それもこういう沿岸とか以外に、いわゆる内水面での漁業組合というものがあります。我々消費者の立場からいきまして、内水面の漁業組合というのはどの程度それによって生計を立てておられるのか、非常に疑問を感じております。しかし、実際いろいろな補償問題が出てくるときには相当数の方が名のりを上げる、こういうのが実態でございます。また、沿岸についても同様でございまして、例えば瀬戸大橋の問題あるいは関西新空港、そういうところの方を見ておりますと、補償をしていただいております金額が大変な金額に上っているわけです。
それで、これは一つの考え方でございますが、ふだんからいろいろな面で補償しなければならない対象になるならば、強制的に共済組合に加入をさせる、こういうことがあってはどうか。これは実は、先ほども申し上げましたように加入数が二六・二%から二五・二%に減少してきている、こういう問題もあるわけですし、需要と供給というよりも価格面で見た場合、赤潮対策をしなければいけないほど大量に被害が発生をしたというときになりますと、逆にほかの地域についてはそれだけ魚類の値段が上がるということが今までの例でも出てきておるわけで、そういう面から考えますと、ほかの地域の方は被害のためにむしろ恩恵に浴している、こういうことにもなるわけで、その分やはり掛金として負担をしてもいいのではないか、こういうふうに思うわけでございます。母体拡大という意味でも、ぜひ強制加入の方向を検討していただきたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/84
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085・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいまのお尋ね、二つあったかと思います。
一つは漁業補償と共済との関係でございますけれども、漁業補償というものは本来事業主体と関係者との間、当事者間での話し合いということで、これにつきまして国が強制的にどうとか、国が有権的に判断するということはいかがかと思っております。ただ、国関係のいろいろな公共事業等の補償につきましては、一応その補償対象者の基準というものを過去も国全体として定めておりまして、長い間の権利としての積み重ねのある漁業権をきちんと持っておるとか、あるいは許可なり漁業の主体であるとか、あるいは自由漁業の際には県なりが判断するとかということで、一定の基準は設けているわけでございますので、そういう基準の中で当事者間で円満に話していくべきものでございますし、逆に言いますと、そういうものに共済加入というものを条件づける、あるいは強制加入するということをそこから一直線に持っていくということもいかがかという感じがいたしております。
それからもう一つは、二段制といいますか、事故の被害を受けなかった人と受けた人との関係で、強制加入なりあるいは料金に差をつけるなりという御提言が先生から過去もあったようでございますけれども、事故の被害を受けなかった人、この人自体もう既に掛金を払っておるわけでございますので、そういう点では一定の負担をしておりますし、魚の場合には、とれる時期なり場所なり地域というものが非常に区々でございまして、どこで事故が起きて、そこで必ず魚価にはね返るというような相関関係というものも、具体的、明確な形でとらえ得るような状況にございませんので、先生御提言のようなことを一つの方法かと思いまして、私もいろいろと検討はしてみたつもりでございますけれども、現実問題として共済の仕組みの中に導入するということにつきましては、余りに問題が多いのじゃないかという感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/85
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086・玉置一弥
○玉置委員 農業共済もそうでございますが、生命共済とか火災共済と違いまして、特に生産物が分かれている場合には被害を受ける生産物がある程度決まっているわけですね。そうすると、地域的にも大体被害を受けそうなところがあります。そういうふうに考えていきますと、農業そのものを守っていく、あるいは漁業そのものを守っていくということを考えていきますと、やはりお互いがどうも助かっているということ。ですから、逆に言えば、今見ていますと、漁業者が余り大きな影響を受けなくて、むしろ一般国民の税金の方で補てんをしていく、そういう方向が感じられるのです。確かに、それは一番大きい母体はそうでございますけれども、むしろ漁業の中でどうやって守っていくのかということ、今四百数十万人おられますけれども、そういう方々がそれぞれ自分たちの一つの同業ということでもっと真剣に考えていかなければいけないと思うのです。
この間もテレビでやっていましたけれども、補償してもらって、後で夜密漁したりしているのですね。岡山県もそうだし、広島県もそうですし、テレビでやっていたのですよ。そういうのをなぜやっているのかというと、生きるためにしようがないというのですけれども、生活レベルは知りませんが、ずっと収入等、一人当たりの収穫量を見ておりますと一応横ばいになっているのですね。そういう状況からいきますと、決してそんなに悪くはなっていないわけです。むしろ我々消費者にとってみたら、これだけの円高が進んで、外国との競合ですから値段が下がっておかしくないと思うのですけれども、そういうところの影響がまだそんなに出ていないということを考えていきますと、いいところだけは国民に負担をさせてというか、そういう形になってしまっているわけですね。ですから、むしろ漁業者、漁業をやっている方は今四百三十万人おられるそうでございますが、そういう方々がまず自分たちで守っていくんだという姿勢を示してもらわないと、国民全体がなかなか納得できないのではないか、こういうふうに思います。
時間がありませんので、きょうはこの程度にいたしますけれども、その辺について御意見を伺って終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/86
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087・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁業者みずからが守っていくということは、漁業にとって一番大切なことはもちろんでございます。
共済の運営につきましても、漁業者みずからが自分の意思で積極的に入り、いろいろな手だてをしていくということが肝要でございますが、ただいまお話ありましたように、漁業の特性というものがいろいろございますので、そういう点につきましては掛金率の算定でございますとかあるいは共済金額の設定でございますとか、こういう技術的段階におきましていろいろな工夫を凝らしまして、そういう漁業の実態にできるだけ沿う共済制度ということに従来からも意を用いてきておりますけれども、これからもそういう方向で、先ほどもお話ししました制度の改正等につきまして十分検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/87
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088・玉置一弥
○玉置委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/88
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089・越智通雄
○越智委員長 次に、矢島恒夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/89
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090・矢島恒夫
○矢島委員 提出されております法案、漁業共済に係る保険金の支払い財源の不足の原因として赤潮による養殖ハマチの大量死亡に伴い、こういうわけなんですが、赤潮対策についてはいろいろと御研究だろうと思うのですが、けさほどのニュースで九州大学の研究の中で、赤潮の発生源と言われるプランクトン、シャットネラというプランクトンがその主な要因らしいのですが、これを破壊するバクテリアを見つけたという報道があるのですが、水産庁としてこの問題についてどの程度情報を得ているか、ちょっとその得ている情報をお聞かせいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/90
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091・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 赤潮対策につきましては、いろいろな機関がいろいろな形での試験研究を行ってきているわけでございます。ただいまの九州大学の教授の試験研究の結果を私自身も先ほどちょっと聞きましたので、具体的中身はそれほど確たるものではございませんけれども、一定の試験室といいますか、その中で一つの技術というものを見つけたことは確かなようでございますけれども、この技術というものがフィールドでほかの生物に及ぼす影響でございますとか、そういうことにつきましてはまだ全部が解明されたとは聞いておりませんので、もう少しその実情なり研究結果のデータというものを取り寄せまして、我々といたしましても検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/91
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092・矢島恒夫
○矢島委員 その報道の中で、有明海とそれから瀬戸内海とを比較したいろいろな発言があったわけなんですが、要するに、ヘドロの問題が実はその中でも出てきたわけです。私ども、この問題については前にも取り上げているわけですが、ハマチを養殖するには、えさとしてイワシやサバなどを使いますけれども、そういうえさの一〇%近くが食べ残されてしまって、そしてヘドロ化して、海底に高いところで一メートル以上も積もっているというような状況も報道されているわけです。これを除去する必要については水産庁としても認めているわけで、不十分だとはいえ一部補助もしておられるようですが、養殖業者は個人的な経営の場合が多いので直接国で助成する措置は困難なようでございます。しかし、今後の対策として、このヘドロというのは除去しなければならない重要な問題だろうと思うのです。水産庁として今後十分検討をしていただきたいと思うのですが、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/92
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093・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁場安全のためにもヘドロ回収事業は非常に緊要でございまして、国としても、従来からもいろいろな手だてを講じてきておるわけでございますけれども、その助成事業としては、沿岸漁場保全事業というもので漁場の堆積物の除去あるいはしゅんせつ、作澪というような事業を行えることになっているわけでございます。それに加えて、従来からも行ってまいりました沿岸漁業構造改善事業の事業種目の中にもこういう事業がございますので、それぞれの地域の特殊性に応じてこれらの事業を活用し、きれいな海づくりに我々としても今後努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/93
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094・矢島恒夫
○矢島委員 もう一つ、先ほど同僚議員の方から質問がございましたけれども、養殖ハマチが薬づけだとかTBTOの問題とかということで、消費者である国民の間に大変大きな不安が広がっていると思うのですね。もちろん、いわゆる生けすの網につく貝殻だとか海藻だとかを除去しないと酸欠状態にハマチが陥るというわけですが、極めて毒性の強い有機すず剤を使っているということなので、何としてもこれは禁止していかなければならないのじゃないかと私ども今までも主張してきたわけですが、昨年、全漁連の方で自粛ということになった。その後、これは完全に使われなくなったと聞いているのですが、そのように水産庁は把握しているのか。それからもう一つは、今後これは使用しないということに理解してよろしいのか、その辺についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/94
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095・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 いろいろと議論がございまして、しかも全漁連がああいう組織決定をし、漁業者自身が食品の安全ということから使用を禁止したわけでございます。我々としても、ああいう自主的決定が完全に守られることを側面からいろいろな形で指導してまいりたいと思っておりますし、今後ともああいういろいろな議論を呼んだ薬を使わないで済むように努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/95
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096・矢島恒夫
○矢島委員 いずれにいたしましても、厚生省で研究しているのを待つとかなんとかじゃなくて、積極的な対応を水産庁はとってもらいたい。
それからもう一つ、先ほどの質問の中で船底塗料の問題なんですが、これは運輸省だけではなくて、その船底面積からいえば十分の一くらいになりますか、漁船の場合もこれは使われているわけなんです。そういう点で、先ほどの運輸省の答弁につきましてはお聞きしたのですが、漁船の船底の塗料としてTBTOが使われている問題、これはまた重要なことじゃないかと思うのです。これがいわゆる有機すず剤を使われていて毒性が強いということから、ハマチの背が曲がるいわゆる側わん症と呼ばれておりますが、こういう現象も実際確認されている。国民の食生活にも重大な影響を及ぼすし、同時に自然の魚あるいは海産物にその汚染が非常に心配される。ですから、漁船の船底塗料としてのTBTOに対しては、水産庁としてはどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/96
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097・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁船のTBTOの使用量は、現在百トン程度と我々考えておるわけでございますけれども、御承知のとおり六十一年度の生物モニタリング調査に基づきまして、環境庁の中央公害対策審議会、ここでは、環境汚染の状況等を総合的に判断すれば、現在の汚染レベルが直ちに危険な状態にあるとは考えられないが、引き続きいろんな検討をする必要があるというような御意見もいただいております。我々といたしましても、漁船というものを行政対象にいたしております水産庁ではございますけれども、運輸省とも十分協議をしながら、船底塗料全体の問題に取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/97
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098・矢島恒夫
○矢島委員 環境庁あるいは厚生省等の結果待ちじゃなくて、ひとつ積極的な対応を水産庁もやってもらいたい、このことを要望しておきたいと思います。
それから、時間がありませんので次の質問に入りますが、実はこれは大蔵大臣いらっしゃれば大蔵大臣にと思ったんですが、政務次官いらっしゃいますので、わかっている範囲内でお答えいただきたいのです。
一つは、相沢代議士の申告漏れ問題なんですけれども、新聞報道によりますと、五十八年から六十年までの三年間、株の売買で得た所得約二億円を申告せず修正申告をしておる。追徴税額として過少申告加算税を含めて約一億四千万、こういうような報道があるんですけれども、このことが事実であるというふうに御確認していらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/98
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099・日向隆
○日向政府委員 御指摘の件につきまして報道がされたことは承知しておりますけれども、個別にわたる事柄であり、私どもから言うことは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/99
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100・矢島恒夫
○矢島委員 相沢代議士はきょうの午後の本会議で法務委員長を辞任する、その理由としてこれを挙げているわけですから、本人も責任を感じているんだろうと思うのですけれども、しかし実際に相沢代議士の経歴は、もう多くの国民もこういう人が脱税するのかというような意見まで投書が新聞に載るように、大蔵省で長い間主計局長だとかあるいは事務次官だとかを歴任した方なんですね。知らなかったとかうっかりしたということでは済まされないし、またそのことが国民に非常な不信感を及ぼしているということは御案内のとおりと思うのです。過少申告加算税ということで行ったようでありますけれども、こういう問題、重加算税を課して当然だと、こういうふうに私は思うのですが、この点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/100
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101・日向隆
○日向政府委員 個別の事柄につきましては、先ほど私が申し上げましたとおり、私どもから申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。したがいまして、今委員御指摘の加算税の取り扱いについても同様でございますけれども、ただ一般論として申し上げますと、例えば家族名義等の借名で株式の取引を行うことは、私ども税務調査をずっとしてまいりました場合、往々にして見受けることでございまして、この場合は比較的その取引や取引に基づく所得の帰属につきましての把握が容易でございます。したがいまして、その実態によりましては課税のもとになる事実につきまして、重加算税の適用条件となります隠ぺいまたは仮装をしているという判断に一般論として立ち至らないというケースがあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/101
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102・矢島恒夫
○矢島委員 どうも納得できませんけれども、極めて時間が切迫しておりますので、最後に一つ政務次官にお願いしたいのです。
キャピタルゲインに対する課税を強化すべきだ、こういうことなんですが、政府税調も原則非課税を原則課税へと強化する方向だということが言われております。こういう状況の中で渡辺政調会長などが、キャピタルゲイン課税については少女趣味だとかあるいはひがみ根性だというような水を差す発言もあったようでありますけれども、この問題で前に宮澤大蔵大臣に私も質問したことがあるのですが、キャピタルゲインもあればキャピタルロスもあるとか、あるいは捕捉の困難性だとかいろいろ答弁されておりますけれども、やはり国民の間にあるのは、とりわけこういう一つの事件を契機にしてキャピタルゲイン課税を強化することが大型間接税導入よりも先ではないか、こういう意見が非常に多いと思うのです。やはりキャピタルゲイン課税というものを強化することを真剣に検討すべきときではないかと思うのですが、政務次官の御見解を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/102
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103・平沼赳夫
○平沼政府委員 今回行っております税制改革は、所得、消費、資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系の構築を目指したものであります。したがって、御指摘の有価証券譲渡益課税を含めた資産課税の適正化も重要な課題になっていることは事実でございます。有価証券譲渡益についても、他の所得と同様に原則課税をすることが望ましい、こう考えております。
大臣もかつて御指摘になられましたが、有価証券取引を把握する体制がまだ十分に整備されてない、そういう状況の中で原則課税に移行した場合にはまた新たな不公平を生ずる、こういうおそれもあるところでございますので、そういう観点から、これまで御承知のように段階的な課税強化を行ってきたわけであります。現在、有価証券取引に対しては別途流通税として有価証券取引税、例えば昭和六十一年度税収では約一兆四千億あるわけでありますけれども、こうした課税が行われているわけでありますが、所得課税としては課税ベースの脱落がなお大きいという御批判もあることは承知しており、この問題にどのように対処していくか、どういうことが適当かということはやはり各方面の御意見を十分に承って、引き続き税制の抜本改革の一環としてこれは真剣に検討を加え取り組んでまいりたい、このように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/103
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104・矢島恒夫
○矢島委員 十分に研究、検討されることを望みまして、時間ですので質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/104
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105・越智通雄
○越智委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/105
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106・越智通雄
○越智委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
漁船再保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/106
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107・越智通雄
○越智委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/107
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108・越智通雄
○越智委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
─────────────
〔報告書は附録に掲載〕
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/108
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109・越智通雄
○越智委員長 次に、昭和六十二年度の水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。
まず、本起草案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。
本起草案は、昭和六十二年度に政府等から交付される水田農業確立助成補助金について、税制上、次の軽減措置を講ずるものであります。
第一に、個人が交付を受ける同補助金については、一時所得の収入金額とみなすとともに、転作に伴う特別支出費用等は、一時所得の必要経費とみなすことといたしております。
第二に、農業生産法人が交付を受ける同補助金についでは、圧縮記帳の特例を設け、当該法人が交付を受けた後二年以内に、事業の用に供する固定資産の取得または改良に充てる場合には、圧縮額を損金に算入することといたしております。
なお、本特例措置による国税の減収額は約六億円と見込まれております。
以上が本起草案の趣旨及び概要であります。
─────────────
昭和六十二年度の水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/109
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110・越智通雄
○越智委員長 この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。宮澤大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/110
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111・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいまの法律案につきましては、稲作転換の必要性に顧み、あえて反対いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/111
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112・越智通雄
○越智委員長 お諮りいたします。
本草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/112
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113・越智通雄
○越智委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/113
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114・越智通雄
○越智委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00219880216/114
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