1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年三月二十二日(火曜日)
午前九時五十五分開議
出席委員
委員長 越智 通雄君
理事 大島 理森君 理事 太田 誠一君
理事 中川 昭一君 理事 中村正三郎君
理事 中村 正男君 理事 宮地 正介君
理事 玉置 一弥君
新井 将敬君 井上 喜一君
今枝 敬雄君 江口 一雄君
遠藤 武彦君 金子 一義君
小泉純一郎君 笹川 堯君
杉山 憲夫君 戸塚 進也君
葉梨 信行君 鳩山由紀夫君
堀之内久男君 村井 仁君
村上誠一郎君 山中 貞則君
山本 幸雄君 上田 卓三君
沢田 広君 野口 幸一君
早川 勝君 堀 昌雄君
武藤 山治君 日笠 勝之君
森田 景一君 矢追 秀彦君
山田 英介君 滝沢 幸助君
正森 成二君 矢島 恒夫君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
出席政府委員
大蔵政務次官 平沼 赳夫君
大蔵省関税局長 大山 綱明君
大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君
国税庁次長 日向 隆君
委員外の出席者
総務庁人事局参
事官 河野 昭君
総務庁行政管理
局管理官 土屋 勲君
厚生省生活衛生
局食品保健課長 大澤 進君
農林水産省経済
局国際部貿易関
税課長 能勢 稔君
通商産業省通商
政策局総務課長 関野 弘幹君
通商産業省通商
政策局国際経済
部通商関税課長 鷺坂 正君
通商産業省機械
情報産業局総務
課長 中田 哲雄君
労働省職業安定
局雇用政策課長 廣見 和夫君
大蔵委員会調査
室長 矢島錦一郎君
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委員の異動
三月二十二日
辞任 補欠選任
橋本 文彦君 山田 英介君
安倍 基雄君 滝沢 幸助君
同日
辞任 補欠選任
山田 英介君 橋本 文彦君
滝沢 幸助君 安倍 基雄君
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本日の会議に付した案件
関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/0
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001・越智通雄
○越智委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を求めます。宮澤大蔵大臣。
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関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/1
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002・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、関税率、特恵関税制度等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、関税率等の改正であります。
我が国の市場アクセスの一層の改善を図る等の見地から、チョコレート菓子、スキー、原油等について関税率の引き下げ等を行うことといたしております。
第二は、特恵関税制度の改正であります。
特定の鉱工業産品に係る特恵関税の適用限度枠について、国内産業事情等を勘案して定める物品の区分に応じ、現行枠をそれぞれ五〇%、二〇%、一〇%拡大することといたしております。
以上のほか、加工再輸入減税制度について対象品目の拡充を行うとともに、昭和六十三年三月末に適用期限の到来する暫定関税率及び関税の還付制度についてこれらの適用期限を延長する等所要の改正を行うことといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/2
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003・越智通雄
○越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/3
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004・越智通雄
○越智委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/4
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005・中村正男
○中村(正男)委員 おはようございます。
今回の改正につきまして、以下具体的に御質問をしていきますが、とりわけ現下の貿易摩擦といいますか、我が国を取り巻く環境、大変厳しいものがございます。そういう観点から、全般を通じての質問の趣旨は、貿易摩擦全体の問題について政府当局のお考えをただしていきたい、かように思っております。
まず、今回の改正によりますいわば基本的なねらいといいますか、趣旨の御説明はお聞きをしたわけでございますが、関税面におきます現在の摩擦、そういったことからして今回のねらいはどの辺にあるのかということが一つと、それから、今度の改正によりまして当面どういった内外の問題が起こってくるのか、とりわけ各業界への影響、さらにこれに伴う減収額はどの程度のものになるのか、その辺をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/5
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006・大山綱明
○大山政府委員 お答え申し上げます。
我が国の対外経済政策の基本は、自由な貿易体制を維持強化しまして調和ある対外経済関係を形成する、こういうことにあると考えております。そういったような観点から、できるだけ市場の開放を進めていく、市場アクセスの改善に努めていくということを旨といたしておるわけでございますが、今回の改正、ただいまウルグアイ・ラウンドという多角的な貿易交渉の最中ではございますけれども、その間に生じますいろいろな二国間あるいは複数国間の経済問題を調整していく、こういったことも大事ではないかという観点から、昨年来関係国との間で要請されたものあるいは摩擦の対象となってきたものにつきまして、二国間等で交渉いたしまして、折衝いたしまして、その結果答えの出ましたものについて改正をお願いするというものでございます。具体的には、チョコレート菓子の関税の引き下げ等々でございます。
第二番目の御質問で、これの内外に及ぼす影響ということでございましたが、私ども、国内の産業事情というものは物資所管官庁と十分に詰めまして、その上で対応可能な限度での関税引き下げをする、また必要な国内対策というものがありますればそれを講ずるということにいたしておりますので、国内的に何か産業上問題が生ずるかとおっしゃられますと、その点についての御懸念は十分に関係省庁と詰めておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/6
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007・中村正男
○中村(正男)委員 改めてお聞きしますが、その減収額はどの程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/7
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008・大山綱明
○大山政府委員 減収額でございますが、全体で二百十億円でございます。内訳といたしまして、特別会計関係が約百十億、それから関税関係の引き下げ、チョコレート菓子の関税の引き下げ等で一般会計関係が約百億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/8
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009・中村正男
○中村(正男)委員 三月十五日の日本経済新聞で、経済団体連合会の方から政府に、通関場所の制限の撤廃とか検査義務等々、いわゆる物理的なことも含めた非関税障壁三十九項目にわたって改善方が提案されている、こういう報道がされておるわけでございます。政府の方として既にそういった申し出を受けておられるのかどうか、まずお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/9
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010・大山綱明
○大山政府委員 まだ公式な申し入れはございません。私どもも非公式に新聞等を通じて知っている、そんな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/10
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011・中村正男
○中村(正男)委員 もう今三月の下旬に差しかかっておりますし、恐らく新たな年度からの改善要望という形で近々これは具体的な申し出があろうかと思いますが、およそ新聞報道も、そういった面ではさらに将来の問題ということではなく具体的な点が指摘をされております。したがって、これは正式な提案がまだなされてない段階ではありますけれども、当然考えられます現在のこの輸出入の増大等から経済界としてはこういった要望が出されると思いますので、以下具体的に現状の問題についてお聞きをしたいと思います。
最近の通関業務は大変増大をしておりまして、出入国者数の増加を見てみますと、昭和五十一年には八百万人、その間ずっと増大をしておりますが、昭和六十二年には、昨年でありますが、一千八百万人、六十七年度には恐らく四千万人を超えるのではないかというふうに言われております。また、輸出入の通関件数を見てみましても、五十一年に五百二十二万六千件のものが、昭和六十二年、昨年では九百七十万件、およそ倍増しておる実態であります。そういったところから経団連として経済界としての迅速な通関手続等の要望が各産業界から起こってきたのではないか、こう思うわけでございまして、そういった観点で、現行の通関処理につきまして、輸出入の実態等からしていろいろな面で支障があるのかないのか、また経団連等が指摘しておるような遅滞的な状況が実際上出ておるのかどうか、まず現行の状況を御報告いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/11
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012・大山綱明
○大山政府委員 通関の迅速化につきましてここ数年来いろいろな問題提起がございました。それに対しまして、私どもこたえられるものについてはこたえてまいったつもりでございます。例えば包括的な申告制度にするとか等々の措置をとってまいったわけでございます。昨年も経団連から同じような何十項目かの問題の提起がございまして、私ども、それに対しまして、検討いたしまして、対応のできるものについてはいたしました。そういうような状況のもとで、最近では通関に要します時間数も相当に、〇・二日とか〇・三日とか、平均いたしますと短くなってきておると思います。
ただ、一方において、迅速ということが大事でありますと同時に、適正な通関ということも必要不可欠なことでございます。私ども、関税、税関行政を行いますに当たりましては、適正かつ迅速ということを是といたしておるわけでございますが、余りにも迅速ということばかりを心がけますと適正な通関ということがおざなりになってまいりますので、その辺の調和をどうとるかというのが私どもに課せられた課題であろうかと思います。
経団連の御要望、何か近々発表される、行革審に説明があるというようなことを聞いておりますので、その発表がありました後は、私どもで少し事務的に検討を進めまして、私どもの対応できるものは対応いたしますし、また、私どもの適正通関ということから必要不可欠なものについては、対応できない、そういったことで、個別によく話を伺って処理していきたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/12
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013・中村正男
○中村(正男)委員 経団連の指摘は、円滑な輸入を阻害している、そのこと自体がいわゆる非関税障壁という形になってこれまた摩擦の原因になっている、したがって、摩擦を緩和していく、そういった観点からもぜひひとつこの障壁と言われるものを改善しなきゃならぬ、こんな指摘なんですが、そういった通関処理そのものが非関税障壁といいますか摩擦の原因になるというふうなことは、当局としてはどういうふうに考えておられるのか、その辺の基本的なことをまたちょっとお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/13
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014・大山綱明
○大山政府委員 通関処理につきましての諸外国の評価も、数年前と昨今とでは随分違ってまいっておりまして、アメリカの、何という報告でございましたかちょっと題名を記憶いたしておりませんけれども、日本の通関処理については今やほとんど問題がないというふうな報告も、たしか議会の報告だったと思いますが、それにございますぐらいに改善してきていると思います。したがいまして、通関処理が何か大きな非関税障壁になっているということが総体として実は余り問題意識に上らないぐらいに改善をいたしてきたように私ども考えております。
個々具体的にここがこうだというような問題があるいはありますのかもしれませんが、そういった問題についてはこれからよく事情を聴取してまいりたいと思います。
この間、過日の新聞記事は私も読んだのでございますが、どうしても物理的に成田の空港が狭隘なために、今一部貨物について市川市の原木というところで通関をせざるを得ないというようなことが指摘されておりましたが、こういった問題は成田という場所の物理的な狭隘さのゆえでございまして、時間がかかるからといって全部成田でということにいたしますとこれまた成田の方がパンクをするというような問題がございますので、すぐに対応できない。そういう物理的な問題というのはまだあろうかと思いますが、私ども行政面で対応できることは今まで十分にいたしてきているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/14
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015・中村正男
○中村(正男)委員 しかし、最近の貿易の活発化といったことから、当然、貿易構造の変化だとか新しい商品の登場、さらに国際宅配便など新しい業務も発達、発展をしておりますし、とりわけ食生活の多様化に伴う生鮮貨物の輸入増加、こういったことも急速に進んでおるわけでございます。そういう面では確かに経団連の指摘も私は全く的外れではないのじゃないかという一面もあると思うのです。
具体的に、会員の大企業約二百社を対象にアンケート調査した結果、幾つかの阻害要因を指摘されているわけです。大きく言って、「通関場所の自由化」、それから「保税制度の区分管理の廃止」、それから「外国の様式による検査データの受け入れ」、こんな具体的な指摘もされております。今申し上げた三つの問題それぞれについて、当局としては今のところ全く問題ないというふうなお考えなのか、その点についてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/15
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016・大山綱明
○大山政府委員 第一の「通関場所の自由化」という問題は、先ほどちょっと触れました、成田に航空貨物が着いたものについて、一部物品については原木というところで通関をせざるを得ない、こういう問題でございます。これは、先ほどもちょっと申し上げましたが、実は通関場所が成田では狭隘であるということから、急ぐものは成田ですぐに通関し、それ以外のものについては原木というところまで運んでいただきましてそこで通関をするという処理体制をとっている。その点について、そこを自由化と申しますのは、全部自分の好きなところ、つまり成田で通関をということかと思いますが、そうしてほしいという要望だと思います。
これにつきましては、実は成田ができますときからその狭隘な状況というのは既にスタートをいたしておりまして、したがいまして、通関業者あるいは貿易業者あるいは私ども役所、空港公団等が全員相寄りまして、どうしたら迅速な通関体制がとれるのだろうかということで、関係者が相寄り合意したのが今の成田・原木体制と俗に言われているものでございます。
確かに成田で通関ができるようにいたしますれば迅速化に資するというのは事実だと思いますが、さりとて、成田という場所、広大なようでございますけれども、今でも拡張工事にいろいろな問題が起きているようなところでそうおいそれと場所を広げるというわけにはまいりません。そんな中では今の状況というのは次善の策であろうかと思います。この点につきましては、自由にいたしますと、成田の倉庫がパンクをしてしまうといいますか、野積みがされて、そこでの通関にかえって時間がかかってしまうということすら考えられます。そんなことで、すぐに対応はできないというのがこれについての私どもの現段階での考えでございます。
第二番目の「保税制度の区分管理の廃止」ということでございますが、ちょっと私どもも趣旨をまだよくつかみかねております。よく話を聞いた上で答えを出したいと思いますが、今保税ということで五つの区分がございます。保税上屋とか保税倉庫とか保税工場等でございますけれども、保税工場の場合には、そこで加工いたす、したがってそこに二年間は置いておけるというようなもの。保税倉庫も、そういう割合長期間置いておくというものでございます。保税上屋の場合には、普通の貨物が入ってきてすぐに出ていくということで、そう長い滞留というのが予定されておりません。余り長い滞留を認めますと、課税をいたしますが関税の徴収がおくれるということになりますので、それは問題でございます。そこで、加工するとか倉庫目的に使うというものはそれなりの長期間をということで、五つの区分はそれぞれそれなりの理由があってできているものでございますから、その区分管理の廃止ということで仮にもそれを全部一律に長期間の滞留を認めるということになると、税収確保、関税確保の点から問題があるのじゃないかな、直観的にそんなふうに思うわけでございます。
したがいまして、全部をやめてしまうということをおっしゃっているわけではないのだろうと思いますが、何か区分があるがゆえに多少の摩擦を生じているというような部分があるのでしたら、それが法制上あるいは関税確保上問題がないということであればあるいは私どもも対応はできる部分があるかと思いますが、そういった点につきまして今後経団連のお考えをよく聞いて対応するということでございますが、とりあえずは今みたいな感触を私は持つわけでございます。
それから三番目の「外国の様式による検査データの受け入れ」、これは私どもの所管と申しますよりも、それぞれ物資の所管の官庁、例えば薬品とか食品でございましたら厚生省とか、農水産物でございましたら農水省とか、そういったところで検査などが行われ、検査が行われてオーケーが出たことを私ども税関が確認をする、こういうことでございますので、私どもが第一義的にどうこうということはちょっと申しにくいわけでございますが、過去数年のいろいろな経過を私ども承知しております限りでは、この外国様式による検査データの受け入れということにつきましても、各省庁においてかなり対応なさっていらっしゃるというふうに聞いております。
まだいろいろな問題の提起があるようでございますが、具体的な問題に応じまして各省庁のお考えをまた御聴取をいただければ幸いに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/16
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017・中村正男
○中村(正男)委員 厚生省にお越しをいただいておると思うのですが、今の問題に関連いたしまして少しお聞きをしたいと思います。
私は昭和六十年の百三国会で特にこの輸入食料品の検査体制について質問をいたしました。そのときの指摘というのは、最近の輸入食料品の増加に伴う検査体制、これが国民の食生活に十分な安心感を与えるような体制になっているのか、こういうような観点で幾つか質問をしたわけでございます。当時は随分新聞にも、輸入食料品が野積みをされておって非常に腐敗している実態とか、そういうのが報道されたわけでございます。検査体制も、十分な食品衛生監視員の配置がされておるのか、あるいは検査が十分にされておるのか、そんなことをお聞きしたわけですが、現状まず総括的にどういった状況になっているのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/17
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018・大澤進
○大澤説明員 輸入食品の検査を含めた監視体制全般、最近の状況を御説明いたしたいと思います。
昭和六十一年、統計数値は六十一年の数字になりますが、現在輸入食品は六十一年時点で四十七万七千件入っておりますが、六十二年はさらに五十万を超える、まだ最終統計は出ておりませんが、五十万台に入るということは確実になっております。
そこで、現在の体制になりますが、御承知かと思いますが、全国二十カ所の海と空の港に食品監視の事務所を置きまして、そこに七十五名の食品衛生監視員を配置しまして、まずそういう専門家による不断の輸入業者の衛生上の指導、並びに、輸入の都度輸入届書が出てきますが、それに対しましては書類の審査を行いまして、その審査の過程の中でそれらの輸入食品が衛生上問題があるかないかという判断をした上で、必要に応じまして検疫所において細菌学的あるいは理化学的な検査、つまり行政検査を行うわけでございますが、さらには、厚生大臣が指定している指定検査機関というのがございますが、そこにおいて輸入業者の自主管理の一環として検査を指示し、つまり自主検査を指示しまして、それらの総合的な検査の結果、食品衛生法上違反するものがあった場合には廃棄したり積み戻しの指示を行っている、こういう現状で輸入食品の監視体制をとっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/18
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019・中村正男
○中村(正男)委員 検査率の問題なんですが、五十六年には一一・三%、そして五十九年度では、輸入件数は物すごくふえているんですけれども、検査率自体は九・七%に低下をしております。現在の六十二年度の検査率はどの程度になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/19
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020・大澤進
○大澤説明員 統計的に確定しているのは実は六十一年までのものですから、六十一年は先生御承知だと思いますが、五十六年からずっとありますが、五十六年、五十七年、五十八年、五十九年、六十年までは一割を若干切った推移で来ました。ですから、最近では六十年が九・九%。全部数字を申し上げます。五十六年は御承知のように一一・三%、五十七年が一〇・八%、五十八年が九・七%、五十九年が九・七%、それから六十年が九・九%、六十一年は若干ふえまして一一・二%、六十二年についてはまだ数字が確定しておりませんので、また確定次第わかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/20
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021・中村正男
○中村(正男)委員 それで、その行政検査と自主検査の問題なんですが、これは私が質問したその時点の数字の比較をまず申し上げますが、五十六年では行政検査が二万八百八十七件、ところが五十九年度にはそれが一万六千七百六十二件に大幅に行政検査が低下をしておるわけです。一方、これは当然のことながら自主検査なるものが大変急増している。一応の基準を満たしてはおると思いますけれども、やはり国民の側から見ますと、自主検査に対しては大変危惧を持っている。しかし、監視体制の問題からだと思いますが、行政検査率が非常に下がってきておる。現在行政検査の件数はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/21
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022・大澤進
○大澤説明員 御指摘のとおり、五十六年は二万件ちょっと行政検査を実施しておりましたが、五十七年以降、一万七千、五十八年が一万六千台、五十九年も一万六千、六十年は一万五千ちょっと切れるという状況で来ましたが、六十一年は少しふえまして二万四百五十一件、もちろん輸入件数の分母そのものも大きくなっておりますが、検査の数は六十一年は従前より少しふえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/22
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023・中村正男
○中村(正男)委員 大変声を小さく、ぼそぼそと、いかにも行政検査が少なくなっていることに大変遺憾の意を感じながら御答弁されておると思いますが、なぜその行政検査が減ってきておるのか。二万件というのが上限のような感じがするわけですね。その辺、率直に、検査体制の問題について厚生省としてどういう問題意識を持っているのか、この場でひとつ明確に述べてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/23
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024・大澤進
○大澤説明員 行政検査が年々減ってきている、あるいは輸入届件数に比例して必ずしもその割合が上がっていない、こういう実態にあるわけでございます。
私どもも、従来から申し上げておりますが、輸入食品の監視なり検査は大変重要なことと考えておりまして、不断に輸入業者を指導いたしまして、それも最近では事前にその輸入業者の相談指導をいたしまして、輸出国、つまり業者が輸入しようとする食品の輸出国の衛生状態とかあるいは食品の特性とか、そういうものをよく調べたり、私どもはまた日本の食品衛生法上の法律なり基準なりを十分指導しまして、日本に持ってくる場合には、その国との差があれば十分チェックして、基準をオーバーしたり、あるいは、例えば添加物は指定制になっておりまして、指定していない添加物など使ってはいけないわけですから、そういうものを使っているかどうかは事前によくチェックして、スムーズに監視、指導が通るようにされたいという事前指導をまずしております。
それから、もちろん水際に来たら今言った書類審査なりあるいは検査をやるわけでありますが、私どもとしては、基本的には、食品衛生法の建前というのは、営業者自身が衛生なり安全の確保をする、こういういわば義務規定的にそれぞれなっております。そこで、営業者自身がもちろん安全の確保をしなければいかぬわけですが、一方、行政上それらが適正に行われているかどうかは不断にまたチェックをしていかなければならない、こういうことで行政検査をやっております。したがいまして、行政検査というのはすべて一〇〇%、これは国際的にもそうなんでございますが、日本においてももちろんですが、そういうきちんとやっているかどうかという観点からチェックが一般に行われている、こういうことでやっておりますが、それにしても、そのチェックなり監視を適正にやっているかどうかをより充実してやるという基本的なことは大事だと思います。私どももそういうことで監視体制の整備をしております。
それにしても、御承知のように四十何万あるいは五十万件を超える件数があるわけでございまして、その際に、私どもとしては、やはり不断に各国の衛生状態なり食品に対するいろいろな基準なり国際的な基準なり、その国々の情報を集めまして、どこの国の何が来た場合にはどういうところにチェックポイントを置かなければいかぬのかという不断の情報収集、それを踏まえた先ほど申しました事前の輸入業者の指導、そういうことをやりまして、非常に衛生上問題があるものにつきましては、例えば落花生、ピーナツ類ですね、こういうものはカビが暑い国では生えるわけでございますが、非常に毒性の強いカビが出てくる、こういうものについては水際で全ロットを検査する。不断に今日もやっております。それから、いろいろな事件が起きれば、その都度その情報を踏まえて、必要であれば全ロットを検査していく。しかし、長年輸入をやっておりまして明らかに衛生上問題がない、こういうものについては必ずしも理化学的な検査をする必要はない、こういう判断をしておりまして、したがいまして、結果的に検査率は品目ごとに差が出てくる。全ロットやるものとほとんど検査をやらないもの、こういう差が非常に出てきます。結果として何%とトータルで一年間出てきますが、いずれにしても重点的、効果的な検査方針を立てていきたい、こういうぐあいに考えております。
しかし、それにしても、先生御指摘のように、検査数は年々ふえております。そういうことで、これで十分かどうかというのはいろいろな御意見はあろうかと思いますが、実は五十八年のときに監視員は六十一人おりましたが、その後数名ずつふえまして、六十二年度では、今日七十五名までいっております。さらに、機器の整備とか研修に努めておりますが、今後とも輸入は恐らく増加していくだろうということから、今言った食品監視員を増員したり、あるいは機器を高度化したり、整備したり、その他の施設の整備を図っていくということは大変重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/24
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025・中村正男
○中村(正男)委員 私が六十年十一月に質問したときにも今と同じような答弁がございまして、機器の整備あるいは人員増もあわせて図っていきます、こういう答えをいただいたのですが、今の輸入食料品の急増、とりわけ生鮮食料品がどんどんふえているわけでして、新聞紙上でも、ロットで東南アジアから入ったエビの中に赤痢菌があった、全量廃棄処分にしたとか、ぞっとするような記事が時たま出るわけですね。そういう実態と今のお聞きした行政検査率の低下、自主検査だけはどんどんふえている、果たしてこれで大丈夫なのかな、こういう不安を私ども感じるわけです。
六十年には監視員が六十七名だったですね。その後八名増員があって七十五名。一億二千万人の国民は七十五名の食品監視員の人たちに命を託していると言っても過言ではないと思うのですね。ですから、私は、厚生省のこの輸入食料品、とりわけ生鮮食料品の監視体制というものをもっと充実をしてもらいたい。国は、とりわけ大蔵省は、きょうは大臣おられませんけれども、とにかく輸入は増大せないかぬと言いながらこういう体制については余り配慮されていないのじゃないかな。ひとつ政務次官に所信をお聞きをしたいと思うのですが、果たして次官もこれで大丈夫なのかなという率直な存念を聞きたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/25
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026・平沼赳夫
○平沼政府委員 最近御指摘のように生鮮輸入食品の増加というのは顕著なものがございます。そういう意味で、御指摘の人数で不安に思われているという意味もよく理解できるわけでございまして、これからますます輸入生鮮食品の増加というものも予測されますので、我々といたしましてもその辺十分に考えましてこれから行政面で反映をさせていきたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/26
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027・中村正男
○中村(正男)委員 ありがとうございました。
厚生省にもう一つだけお聞きをしておきます。
先ほど関税局長に御質問した非関税障壁の問題です。経団連からの指摘、通関場所の制限の自由化だとか通関処理の短縮だとかいった要望がされているわけですが、仮にそういうことが実施をされるとするならば、今言った食料品の検査体制とかそういった面で問題はないのか、その辺をお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/27
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028・大澤進
○大澤説明員 経団連の企業に対するアンケート調査の結果が新聞で報道されておりますが、まだ私どもには正式に具体的なものとしては来てないわけでございます。そういうことで詳しく内容を承知しておりませんが、いずれにしましても、新聞報道で指摘されたあるいは問題提起された食品関係につきましては、経団連側の把握、食品衛生法なり制度なり実態に対する理解の把握はどういうふうに理解されて問題提起されたのかということも十分聞いた上で私どもとして対応したいと思います。その際に、やはり食品の安全確保というのが当然基本でございますので、いやしくも安全なり衛生上の問題が出てこないように、つまり、食品の安全性確保を基本にしながら対応していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/28
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029・中村正男
○中村(正男)委員 結論として、この経団連からの指摘の問題について、まだ正式に政府側に具体的な提案がされておりませんのでまだ十分な検討もなされてないと思いますが、ただ、摩擦要因だあるいはそれぞれの企業がもっと迅速な通関をやってほしいというふうな要望だけで通関処理を速めるということについてはさまざまな問題が生じてくるのではないか、私はこういうふうに思います。だから、物事は何でも迅速であればいいというものじゃございませんので、提案があったときにはぜひひとつ慎重な検討をしていただいて、国民が安心して食生活の面、あるいは犯罪にかかわる物品の輸入が水際で阻止されることになるよう、当局に強く要望しておきたいと思いますが、その点についてこの問題の最後にちょっとお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/29
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030・大山綱明
○大山政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、私どもも先ほども申し上げました迅速であることと適正であることということを税関行政のいわば基本といたしております。迅速なるがゆえに適正の面がおろそかにされてはならないと思っておりますので、その点は心してこれから行政面に当たりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/30
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031・中村正男
○中村(正男)委員 次に、通関業務の充実強化の問題について関連してお聞きをしておきたいと思います。
先ほども一、二数字を申し上げました。それに加えて、一番問題なのは、犯罪にかかわる物品の輸入のチェックでございます。水際における阻止というものが極めて重要であるわけでございますが、覚せい剤の押収量が昭和五十一年度には三十三キログラム、それが昭和六十二年度には五百七十キログラム、実に膨大な数量に上っております。まさに犯罪の面でも国際化がどんどん進んでいる感じがするわけでありますし、銃砲の押収量にいたしましても、昭和五十一年度百十五丁、六十二年度には二百八十八丁とこれまた膨大な押収量になっております。まずこの二つの数字、途中省略いたしますが、関税当局としてこの数字についてはどういう認識をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/31
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032・大山綱明
○大山政府委員 ただいまの数字につきましては、先生おっしゃるとおりでございます。私ども、関税の徴収のみならず、こういった社会悪物品の押収ということも私ども関税行政に負託されました重大な使命であると認識をいたしまして鋭意努力をいたしております結果のあらわれであると同時に、また、大勢の人々が覚せい剤だとか銃砲とかに関心を持って、何とかして輸入しようという、その取引量の増大ということの結果でもあろうかと思います。私ども、そういった犯罪者との知恵比べのようなところがございますけれども、私どもの社会的な使命にかんがみまして、こういった社会悪物品の取り締まりについて、関税の徴収とかあるいはその他法令の、先ほどの食品の問題の御提起がございましたが、そういった法令上の確認等の仕事とあわせ、こういった点についても今後とも力を入れてまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/32
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033・中村正男
○中村(正男)委員 本当に税関職員の皆さん方には大変な御苦労をかけておると思うのです。悪質かつ巧妙な手段でもってどんどんこれを輸入しようとしておりますし、今後やはり税関業務の体制強化を図っていかなければならないと思います。
ところで、税関職員の予算上の定員の推移を見てまいりますと、五十一年度には八千五十八人、これを一〇〇にいたしますと、昨年七千七百二十六人、九五・八七%、年々増大する税関業務に比べて人員の面ではむしろ逓減の方向にある。わずかにことし六十三年度に九年ぶりに五名の増員が図られたわけでございまして、これで果たして十分な体制なのかなと率直な疑念を抱くわけでございます。まず、予算定員の推移についてどういう認識を持っておられるのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/33
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034・大山綱明
○大山政府委員 ただいま数字をお挙げいただきましたように、五十一年の八千五十八人が現在七千七百二十六人ということになっております。昭和五十五年度から第五次定員削減計画というのが始まっておりまして、それから後第六次、第七次定員削減計画とずっと続いてきたわけでございますが、その過程を通じましてずっと定員の減でございました。一律一%削減ということが現在でも続けられておるわけでございますが、増員の要求はずっとお願いをいたしておりまして、それなりの増員は、昭和五十年代の後半でございますと大体三、四十人、五十人くらいの増員はいただいておるのでございますが、何分にも削減の方がそれを上回っておって、六十人、七十人というオーダーでの一律削減がかかってしまっておりますので、トータルといたしますとずっと減員であったわけでございます。
今回、六十三年度予算、今審議中でございますけれども、六十三年度におきましては、削減が七十四でございましたが、幸いに、増員につきまして、諸先生方のお力添えもございまして、また附帯決議もいただいておりますということを背景といたしまして私どもも予算当局にいろいろお願いをいたしまして、七十九のプラス、結果としてプラス・マイナスはプラスの五でございます。五という数字は私どもにとりましてもいささか少ない数字だなという感想は持つわけでございますが、全体として定員削減がかかっております中で今回プラスが幾らかでも出た、差し引きプラスが出たということは、いわば明るい灯であるというふうには思っております。
しかしながら、税関のいろいろな複雑化しております業務を遂行していく上で本当にこれだけで足りるかと申されますと、多々ますます弁ずというようなところは私どももございます。そこはいろいろと工夫をして合理化、効率化を図ってまいらなければならないという面はありまして、その辺の努力もいたしておりますが、全体の定員事情というようなものもございまして、こういった数字について、我々も与えられた数字のもとで最大限の努力をしていくというのが私どもの課題であろうか、こんなふうに存じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/34
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035・中村正男
○中村(正男)委員 税関職員の方のいわば一人前と言ってはちょっと言葉が適切ではないかとは思いますけれども、十分なそういう業務遂行能力が発揮できるまでにはどの程度の研修期間が必要だとお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/35
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036・大山綱明
○大山政府委員 私ども、四月に採用いたしましてからその年中、つまり九カ月ばかり研修をみっちりと寄宿制のもとにいたしております。それから第一線に張りつけるわけでございますが、まず第一線に行きます初めの職場は、いわゆる監視の業務ということで、船が入ってまいります、あるいは飛行機が入ってまいります、それの監視、取り締まりに充てております。したがいまして、割合に豊富な経験がなくても入りやすいようなところからスタートさせて、それからだんだんと輸入事務あるいは輸出事務というところへ回しておるというようなローテーションを組んでおります。今の委員の御質問に的確にお答えをいたしますような数字を持ち合わせているわけではございませんけれども、すぐには一人前にはなりません。やはり二、三年とかの歳月はかかると思いますが、事務の内容にもいろいろ高度な知識を要するものから割合に簡単なものもございますので、そこを回すことによりまして、一年足らずの研修期間で第一線に派遣をいたしますが、それでまあまあ一人前近くの仕事をしてもらっているように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/36
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037・中村正男
○中村(正男)委員 私は、この職務は、大変複雑、しかも相当な経験が必要だと思いますね。したがって、職務の性質上、単に機器等の導入による簡素合理化という面ではなかなかなじみにくい職務の性質だと思うのです。そういう意味合いでは十分な研修期間も必要だと思います。
そこで、これからの問題なんですが、六十五年には成田の拡張が行われますし、六十七年には関西国際新空港も開港する、しかも関西国際新空港は日本初の二十四時間空港ということで、当然ながら税関の体制もそれに即したものにしていかなければならぬと思います。したがって、ことし差し引き五名の増員ということでございますが、もうことしの予算から中長期的な展望に立った税関体制というものを打ち出していかなければならぬと思うのですが、それについてのお考えはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/37
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038・大山綱明
○大山政府委員 成田の拡張工事、関西新空港の開港を何年か先に、比較的間近に控えているわけでございまして、それに対応した人員の増員要求を私どもも考えていかなければならない時期に来ておりますことは御指摘のとおりでございます。私どもといたしまして総務庁に対しましてそういった事情をもう既に説明をいたし始めております。ただ、具体的にどのぐらいの人数を要すると見るのか、例えば関西新空港につきまして、空港開港後の離着陸あるいは乗客数、貨物の量、これについての推計が関西新空港当局から出されておりますけれども、これは環境アセスメントのための推計でございましたりするものでございますから、少し実態よりも安全目にと申しますか、端的に申しますと多目に、かなり多目な数字でございます。その辺の数字をもう少し当局間で詰めました上でそれに要する人員は何がしかといったことをさらに詰めていく、こんな作業が私ども必要だと思っておりますが、今のところ総務庁当局に対しましては、そういった新たな事態に対応すべく定員の増加が必要になりますのでよろしくお願いしますという抽象的な形での認識を得るべくお願いをしているところでございます。
ただ単に人の数をふやすことだけを考えるだけではなくて、私どもといたしましてはやはり効率化、重点化、機械化といったことも進めていかないといけないと思っております。ことしから、例えば外国郵便物につきまして電算化を行いますとか、そういったことによる省力と申しますか事務の効率化、機械化というものも日程にのせていかなければならないと思っておりますが、そういったいろんな要素を加味いたしましての定員のお願いをこれからも総務庁等関係当局にお願いをしてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/38
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039・中村正男
○中村(正男)委員 成田は二年後ですよ。それから関西新空港も四年後ですからね。先ほどの研修期間もやはり最低二年くらいはかかるというふうにお聞きをしているわけですから、当然もうことしから具体的な成田拡張向け、関西新空港向けのきちっとした定員の体制を出さなきゃならぬと私は思うのですね。したがって、ぜひひとつ数字でもって、具体的にどの程度の体制を整備するのか、具体的な数字で示していただきたいのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/39
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040・大山綱明
○大山政府委員 ただいま数字でというお話でございましたが、私どもも、いろいろなデータを関係者から集めまして、成田空港が増設された暁にはどのくらい人員を要するのかというようなことを検討はいたしております。まだ試行錯誤の段階でございまして、成田につきましては二期工事が完成いたしますと大体二割程度、二割から三割ふえるというようなそういう数字もだんだん固めつつあるところでございますが、何分にも、それを定員に換算をいたします際に、これを単純に、それじゃ三割定員をというものでもございませんので、そこに私どもとしての自己努力と申しましょうか、企業努力、合理化、効率化あるいは電算化というものも踏まえる必要が関係当局からは指摘されるわけでございまして、そういった要素、まだ確たる数字で今ここで申し上げられないのが大変申しわけなく存じますけれども、内部的には試行錯誤を重ねながら、そういった感触を総務庁にもお願いしつつこれからの対応に万全を期してまいりたいと思いますが、委員のおっしゃるとおり確かに計画に基づいて定員増員計画を進めるべきという御指摘は私どもも十分にそのとおりだと思いますので、その意を体しましてこれから努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/40
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041・中村正男
○中村(正男)委員 早期に中長期的展望に立った増員計画というものを出していただきたい。強く要望しておきます。
同時に、新しいこういった税関業務がどんどん拡大発展をしていくわけでありますから、その他の勤務条件あるいは職務上のさまざまな職員の皆さん方の要望事項、そういったものを職員の皆さんと協議を尽くされまして、万遺漏のないような体制を今から整備を図っていただきたいということを強く要望をしておきたいと思います。
それじゃ、次の質問に移ります。
農水省と通産省においでをいただいておりますが、私は、貿易摩擦の緩和というのはあくまでも相互主義を貫いていくべきだ、そして自由貿易を堅持していく、こういう立場がぜひ必要だと思います。そういう意味合いで、農水省には、今牛肉、オレンジの自由化について大変大詰めを迎えて連日頑張ってもらっておると思うのですが、結論として、この時点、どういう態度でこれから臨まれるのか、具体的にひとつお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/41
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042・能勢稔
○能勢説明員 お答え申し上げます。
先生お尋ねの牛肉、かんきつ問題につきましては、昭和五十九年に日米間で四年間の合意というのがございまして、この三月末をもってその合意が切れるということになっております。それで、私どもこの四月一日以降の牛肉、かんきつ問題についての取り扱いがどうなるかということでございますけれども、従来からアメリカは、四月以降は自由化であるという強い態度でございます。先週私どもの経済局長が訪米いたしまして、二月に引き続きまして再度話し合いの場を持ったわけでございますけれども、その際におきましても、米国側の立場は、四月以降は自由化であるという強い態度でございました。その際、米国は、四月以降自由化がない場合には、今後は代償の問題等も生ずるというようなことも言っております。
私どもの立場といたしましては、二国問による日米間での円満な現実的な解決ということが非常に重要だというふうに思っております。米側は日米の交渉のテーブルに着くべきだというふうに従来から強く主張してきております。今後とも日米間での現実的な解決を目指して交渉テーブルに着くというふうな方向での努力をさらに残された期間行っていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/42
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043・中村正男
○中村(正男)委員 ということは、ガットに提訴されるというのじゃなしに、二国間でとにかく話をつける、決着を図る、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/43
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044・能勢稔
○能勢説明員 御指摘のとおりでございまして、私どもは、二国間による現実的な解決ということでさらに粘り強く今後とも残された期間をやっていくというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/44
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045・中村正男
○中村(正男)委員 私は率直に言って、この牛肉、オレンジの自由化については、もうアメリカの要求を拒むあるいはそれをあいまいにしておくということは許されないと思います。そういうことが、日本側の態度が不十分であれば、当然またそれに対する報復措置がいろいろな分野に出てくるわけでありますから、これはひとつ国内政策の問題としてぜひ決断を農水省としてはやらなければならぬというふうに私は申し上げておきたいと思います。
一方、通産省にお聞きをいたしますが、日米半導体摩擦の問題、これは逆にアメリカ側の言ってみれば極めて無法なといいますか、これはアメリカ側に譲歩を私ども求めなければならない課題だと思うのです。昨年三月二十七日に、通商法の例の三〇一条を発動して、十四品目を対象に一律一〇〇%の関税、総額三億ドル、この報復関税の実施を発表いたしました。これは明らかにガット違反だというふうに私は判断をするわけですけれども、まず基本的認識を通産省にお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/45
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046・関野弘幹
○関野説明員 日米貿易摩擦につきましての基本的な通産省の考え方でございますが、私どもとしましては、日米貿易摩擦を解消するためには日米双方の努力が必要だというふうに考えております。我が国としては、引き続き内需拡大に努める、あるいは円滑な産業構造の推進を図るということと同時に、輸入拡大あるいは個別案件の適正な処理ということに努力するということが必要だと思いますが、同時に、アメリカに対しても財政赤字の削減あるいは競争力の強化等の重要性を従来から私どもも指摘してきたところであります。また、アメリカもそのような努力を継続しているものというふうに私ども承知しております。いずれにいたしましても、世界経済の安定的な発展を図るという観点からは、日米両国が協力関係を維持強化していくということで今この難しい時期に対処していくということが必要であろうというのが貿易摩擦に関する私ども通産省の基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/46
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047・中村正男
○中村(正男)委員 私は具体的に聞いているのですよ。半導体にかかわる報復関税実施を今日まで続けられてきたわけですが、これは明らかにガット違反だという認識に立つのか、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/47
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048・中田哲雄
○中田説明員 日米半導体協定につきましては、米国が関税措置を講じておるわけでございまして、昨年四月に関税措置を導入したわけでございますが、その後二度にわたりまして部分的な解除がございました。ただ、現在に至りましてもなおこの当初三億ドルのうち一億六千四百万ドル相当のものが市場アクセス分の措置として残っているわけでございます。
この問題につきましては、日米半導体協定という二国間の問題というふうに私ども理解をしているわけでございますが、市場アクセス分の関税措置が残されて撤廃されていないというのは、米国の業界が期待しているような水準にまで日本の市場での外国系半導体のシェアが伸びていないというのが向こうの主張でございます。日本側としましては、協定を誠実に履行しているわけでございまして、その結果につきまして外国系半導体の販売も順調に伸びているという実態があるわけでございますので、対日措置には理由がないということでございますので、今後ともあらゆる場を通じましてその撤回を求めていくという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/48
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049・中村正男
○中村(正男)委員 いや、あいまいなんですね。ガット違反ということを明確によう言い切らない。そういうところに私は基本的な摩擦をさらに複雑にしていく要因があると思うのです。もっと厳しく対処してもらいたいというふうに申し上げておきたいと思います。
特に今言われた半導体、アメリカの方が日本の市場開放を強く求めているということなのですが、通産省も極めて努力をされておられます。国内のユーザーを集めて購入センター等も設置して、これだけやってますよということをアメリカに示しておられるのですけれども、肝心のアメリカの半導体というものが日本のユーザーにはそんなに魅力を持たない。日本側としてはいわゆる民生用の半導体が一番需要が多いわけです。ところがアメリカの半導体における強みというのは産業用なのですね。全然かみ合わないというのが一つあります。
具体的に言いますと、ダイナミックRAM二五六などは、アメリカでつくっているのはTI社のみしかない。そんな実態の中で日本の市場開放を強く求めてくるというのは、これはちょっとアメリカの体制側に問題があるのじゃないか。しかも、納期が守られないとか、今日の通商上の基本的な要件すらアメリカとしては十分な体制がとられてない。
一方、先ほどの報復関税の問題なのですが、十四品目一〇〇%関税ということをかけてきたのですが、皮肉にも、皮肉というか奇妙といいますか、肝心の半導体製品は報復対象に含まれていない。これはなぜかというと、アメリカのユーザーが日本の半導体をぜひ必要とする。そして全く違う製品に半導体の報復関税をかける。アメリカ側の御都合主義が極めて明確に出ているわけです。その後十四品目のうちかなり解除をされたのですが、パソコンだけが今有力な品目としてそのまま残されておる。これも言ってみればアメリカ側の御都合主義だと思うのです。そういうことからパソコンは日本側としてはアメリカに輸出できない。したがって、その分をECに振り向けなければならない。現にそれが進んでいるわけです。今度はそのことを放置しておきますと、ECと日本との間でパソコンによる摩擦がまた激化していく。一つ一つきちっと解決していかなければどんどん複雑になっていく。
そういう面では、この半導体摩擦に通産省、田村大臣を初め大変御努力されておられますけれども、今言ったような買う方にも問題、買う場合にも問題、あるいは報復関税措置の中にも半導体製品にかけてないという問題、私はアメリカの御都合主義を非常に感じるわけです。一方では牛肉、オレンジ、先ほどから農水省言われたようにアメリカから非常に強い指摘がある。そういう意味合いでは、それにこたえる立場からしても通産省のもう一段の努力が問われるのではないかと私は思うのですが、その辺もう一度御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/49
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050・中田哲雄
○中田説明員 御指摘の半導体の製品分野の問題でございますとかあるいは納期の問題等につきまして、米国に対しまして私ども再三再四指摘をしておるわけでございます。これによりまして米国メーカーの中にも日本メーカーと対等のものを供給できるというものもあらわれてきているわけでございますけれども、さらに今御指摘の点を含めまして、日本のユーザーの要求に対して迅速に対応する。例えば故障発生時にすぐに手当てをしてくれという話でございますとか、あるいは半導体のカスタム化と申しましょうか、顧客の特定の使用に沿った製品開発が必要なわけでございますけれども、こういったものに対します技術的な共同作業でございますとか、あるいは地方の工場に対しても自分たちで積極的に売り込みなさいといったようなことでございますとか、これらの点を米国側にも非常に厳しく私ども申し入れを行っておりまして、日本と米国双方の努力によってこの半導体貿易が安定化するようにということを今後とも努力をしていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/50
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051・中村正男
○中村(正男)委員 せっかちなようでございますが、半導体の報復関税の結末は一体いつごろになるのかというのが一つあるのですね。それは日本の市場開放の問題もありますけれども、また新たな価格監視の問題、これも一つ浮かび上がってきておりますし、その見通しについて最後にちょっとお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/51
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052・中田哲雄
○中田説明員 私どもアメリカ側と各種のレベルを通じまして鋭意協議を続けておるわけでございますけれども、残念ながら現時点では必ずしも全面解決の見通しがついてないという状況にあるわけでございまして、さらに一層の努力をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/52
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053・中村正男
○中村(正男)委員 一方では農産物で大幅な譲歩を我々はやらざるを得ないわけでありますから、アメリカに対して、いろいろ難しい問題もございますが、通産省の一段の努力をぜひひとつお願い申し上げておきたいと思います。
時間が参りましたので、労働省にお越しをいただいて、産業空洞化の問題、海外投資に伴う日本の国内の産業空洞化、それによる雇用の問題を労働省にお聞きをしたかったのですが、残念ながら、大変申しわけないのですが、またの機会に御質問をさせていただきます。おわびをしておきます。
最後に、関税当局に一つだけお聞きをしておきますが、アメリカが来年一月からNICSの特恵関税の制度を廃止する、こういう新聞報道を見たわけです。また、今宇野外務大臣が韓国に行っておられまして、向こうでの協議の中で、むしろ日本はこのNICSの特恵関税を拡大していくというふうな報道がされております。アメリカがなぜこういう制度を廃止したのか。日本はなぜまたこれを拡大していかざるを得ないのか。確かに日本とNICSの関係はアメリカとNICSの関係以上に緊密なことは私は理解できるのですけれども、NICSそのものも経済力を大変つけてきておりますし、いわゆるその地域内の貿易量も大変拡大しているというふうな状況であります。逆にNICSからの輸入の増大が日本の中小企業に大変大きな打撃を与えている。国内産業の面では、今度は非常に深刻な受け身の側である、そういう事態になっております。その辺を最後にお聞きをして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/53
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054・大山綱明
○大山政府委員 アメリカ政府がアジアNICS諸国に対する特恵関税の適用を来年から停止するということでございます。その理由は、これらの四カ国地域は十分な経済力、国際競争力を有するに至ったということを挙げておりますが、同時に、その決定の背景には、近年米国の対アジアNICSとの貿易収支が米国の大幅な赤字であるという状況がかなり長いこと続いているということがございます。
次に、日本がどういう態度をとるかということにつきまして、宇野外務大臣のお話がございましたが、特恵を供与するかどうかということにつきましては、単に開発途上国の経済発展の程度の問題だけでなく、今御指摘なさいましたように、これらの国との特別な関係とかあるいは日本とアジアNICSとの国際収支の状況などを総合的に勘案して態度を決めるべきだと思っております。現在、日本とNICS諸国との間の貿易収支はかなり大幅な日本サイドの黒字になっておりますし、また、日本とアジア諸国との地域的あるいは文化的、その他の面での結びつきというものは、アメリカとアジアNICSとの関係というものとはちょっと違ったものがあると思っておりますので、私ども、NICSに対する特恵の停止をアメリカと同じようにやるかと問われますと、その点につきましては慎重であるべきだというふうに思っております。
宇野大臣が特恵の拡大について言及されたということでございますが、事実につきましてはよく承知をいたしませんが、今回の御提案いたしております改正の中に、シーリング枠のあるものにつきましてその枠を拡大するという措置の御審議をお願いしておるところでございますので、それについて言及をなされたのかなと思っております。
私ども、特恵供与の対象といたしております品目につきまして、シーリング枠のあるものにつきましては、国内産業の許しますものにつきましてはその枠の拡大を図ってよいと思っておりまして、今回、物資所管官庁、特に通産省でございますが、十分協議をいたしまして、通産省はまた国内業界の意向もよく聴取をいたしました上で、この程度の拡大であればNICSに対してあるいは開発途上国に対してこたえられると同時にまた国内的にも余り大きな害がない、そんなところでの調和点を見つけ出しまして拡大の御提案をいたしているわけでございますが、日本の場合に、個々の品目ごとにシーリングを持った特恵の供与の仕方をいたしているものが多うございます。したがいまして、先生御心配の国内産業に対する影響という点につきましては、その辺について十分慎重な検討をいたしますなれば、国内産業上影響のあるものについての影響は最小限に抑えることができるというような法制になっております。そんな点につきまして、物資所管庁とも十分慎重な検討をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/54
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055・中村正男
○中村(正男)委員 最後に、再度、税関体制の中長期的展望に立った増員計画というものを早期にひとつ確立をしていただくように強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/55
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056・越智通雄
○越智委員長 次に、矢追秀彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/56
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057・矢追秀彦
○矢追委員 最初に、今中村先生も最後にお触れになりました税関職員の問題について質疑をしたいと思います。
行政改革は今後とも進めていかなければならない大事な問題ではございますが、現在の行政改革は、どちらかというと一律的、一定の枠を最初から決めてかかる、言うなれば平均的にやられておるわけでして、その役所の持っておる、またその課とか部の持っております仕事量、あるいはまた重要性、そういったことは案外勘案をされていないのではないか、こう思うわけでございまして、余りにも形式的にやられておるにすぎない、こう指摘をしたいと思います。
税関の職場を見ましても、今国際社会におきまして我が国の役割はますます重要になっております。また、日本といわゆる外国との交流もますますふえる一方でございまして、それに伴いまして、出入国の数あるいは貿易量の増大、また複雑化する国際取引、商品の高度技術化、さらに貿易摩擦問題、ワシントン条約や食品衛生関係などの国民の健康、安全を守るための適正な通関体制の確立、そういった非常に厳しいものが要求されてきておるわけでございます。そういった点について果たしてどれだけ現在の体制が十分であるのかどうかを考えますと、なかなか大変な状況であると私も思うわけでございます。
そこで、まず出入国者数の推移について、アバウトで結構ですから、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/57
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058・大山綱明
○大山政府委員 出入国者数の推移でございますが、最近時点、六十二年の数字がございます。入国が九百三万人、出国が九百一万人、合計いたしまして千八百三万人の方々が出入りをなさっていらっしゃいます。十年前にさかのぼりまして、便宜ここにございます数字で五十一年の数字を申し上げますと、入国が三百八十万人、出国が三百八十一万人でございまして、合計で七百六十一万人ということでございまして、その間、十一年間に増加した割合は、約二・四倍近くになっているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/58
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059・矢追秀彦
○矢追委員 貿易量についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/59
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060・大山綱明
○大山政府委員 輸出入の許可件数がございますので、これをもちましてお答えを申し上げますと、輸出の許可件数、これが昭和六十二年に六百八万件でございます。輸入が三百六十九万件、合わせまして九百七十七万件でございます。同じく五十一年の同様の数字をとってみますと、輸出三百六十一万件、輸入百六十二万件、合計五百二十三万件でございまして、倍率にいたしますと一・八七倍でございます。約二倍にふえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/60
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061・矢追秀彦
○矢追委員 人数、量ともこれだけふえておるわけでございますが、それに加えまして、先ほども指摘をいたしましたように、国際取引も非常に複雑になっております。
そこで、まず私が取り上げたいのは、それに加えまして社会問題となっております麻薬、覚せい剤、けん銃、こういったものの密輸入というのがだんだん巧妙になり、またその数もふえてきておるわけでございますが、これが税関でどれくらい掌握ができて、それから実際入ったものが警察の手によって明らかになった、二ケースあるわけでございますが、もし両方わかれば最近の推移を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/61
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062・大山綱明
○大山政府委員 覚せい剤の六十二年の押収数量でございますが、五百七十一キログラムでございます。銃砲関係でございますと二百八十八丁の押収でございます。警察で押さえましたものがどのくらいになっておりますか、ちょっと今手元に資料がございませんが、わかりましたら後ほどお答えをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/62
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063・矢追秀彦
○矢追委員 推移はわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/63
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064・大山綱明
○大山政府委員 覚せい剤につきましては、十年前の昭和五十二年をとってみますと、税関で押さえましたものが六十キログラムでございます。したがいまして、六十二年には十倍近くにふえているということになります。
銃砲につきまして五十二年の数字を申し上げますと、八十六丁でございますので、これも三・何倍かということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/64
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065・矢追秀彦
○矢追委員 これの実際の摘発ですが、最近いろいろと機械化の方もされておりまして、エックス線探知機あるいは金属探知機、そして麻薬犬、そしてまた人による探査、こういうことがあるわけでございますが、現状においてこのエックス線探知機、金属探知機、麻薬犬の配備はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/65
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066・大山綱明
○大山政府委員 ちょっと手元に数字がございませんが、エックス線探知機も各税関に必要部数備えてございます。
それからまた、六十二年度の予算で、かなり高価な機械でございますが、かなり性能を発揮するであろうというコンドルと称します機器を数台購入いたしまして、これによりまして麻薬がコンテナの中に入っておりましてもすぐに感知するというようなことのできるそんな体制を講じたところでございます。
それから麻薬犬につきましては、成田の空港と伊丹の空港におきまして、トレーニングの上いずれも活動をいたし、それなりの効果を上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/66
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067・矢追秀彦
○矢追委員 各税関に配備していると言われておりますが、もちろん摘発もふえておりますけれども、それ以上に相当入ってきておるわけでございます。そういう意味ではまだまだ足りないのじゃないかと思いますので、こういった面については、もっと人的補充もしなければなりませんけれども、それ以上にこういった機械化を進めていかなければならぬと思いますので、その点はひとつ検討していただきたいと思います。
特に麻薬につきまして、今言われたのは、恐らくにおいが分別できる機器というのがアメリカでは実験的にやられているようですけれども、これのことを指されたのか、金属探知機を指されたのか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/67
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068・大山綱明
○大山政府委員 ただいま申しましたコンドルという機器でございますが、これは麻薬が少しでも空気中に浮遊するといいましょうか出ておりますとそれを敏感にキャッチするというものでございまして、においをキャッチするといいますよりも、麻薬の浮遊、空気の中に少しずつ漏れて出るものを感知する、そういう機器でございます。イギリスで開発されたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/68
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069・矢追秀彦
○矢追委員 それはちょっと私の勘違いかもわかりませんけれども、今言われたイギリスで開発されたコンドルというのは、においではなくて、そうすると物質になるわけですね。要するに、においではなくて、においも物質といえば物質ですけれども、何を感知するのですか。ちょっと具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/69
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070・大山綱明
○大山政府委員 空気中の成分を分析、感知するというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/70
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071・矢追秀彦
○矢追委員 それは今何台入っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/71
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072・大山綱明
○大山政府委員 四台入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/72
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073・矢追秀彦
○矢追委員 麻薬犬は今どれぐらいいるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/73
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074・大山綱明
○大山政府委員 今十三頭でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/74
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075・矢追秀彦
○矢追委員 今のコンドルと麻薬犬とはどちらがいわゆる把握率といいますか有能ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/75
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076・大山綱明
○大山政府委員 なかなか難しい御質問でございますが、コンドルはことしになりまして試験を経て配備をいたしました段階でございますので、まだそれによる効果というものについて私どもも十分に了知をいたしておりませんが、麻薬犬につきましては、麻薬が入っておりますればかなり包装が厚いものでありましても非常に鋭敏にそれを見つけ出すということを私も現場に参りまして見ておりまして、そんなふうに私も思っております。したがいまして、両方とも相当な効果を上げ得るものだ、なかなか甲乙つけがたいぐらいに有能な機械あるいは犬である、こんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/76
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077・矢追秀彦
○矢追委員 私も麻薬犬を実際に視察させていただきましてなかなか優秀だとは思いますが、その機械はまだ見ておりませんので、いずれまた見せていただきたいと思いますが、問題はコンテナの中ですね。要するにコンテナに入っているものが一番これから、今も問題だと思いますし、これ全部あげるのもなかなか大変な作業になりますし、結局アトランダムに抽出をして調べるしかないということになるかと思いますので、コンテナの中に入っておる麻薬が探知できるような性能まで恐らくコンドルもいかぬのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/77
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078・大山綱明
○大山政府委員 コンテナをあけますとそこの中に空気が漂っておる、そこに麻薬が一部どこかにありまして、そこから麻薬の成分が袋を通じて若干なりとも漏れておりますと、それを感知をいたしますのがコンドルでございます。実験を昨年の夏から秋にかけましていたしましたところで、密閉をしてあるようなものについてはなかなかそこまではということで、その場合に密閉をしてあるような場合にはレントゲンの方が有効かと思いますが、その包装の程度が密閉までいかないような場合には、その空気に流れ出ている麻薬の成分というものをキャッチするというのが、これの効能書きでございます。
先生御指摘のように、本当に百発百中でやっているかという点につきまして、私も必ずしもそこまでトレースはいたしておりませんが、今が必ずしも百でないといたしましても、おいおい機械の性能も上がってくるということは期待ができるのではないか、相当にいい成果が上がるのではないかということは、若干期待感を込めましてそんなふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/78
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079・矢追秀彦
○矢追委員 あげて、ある程度わかるにせよ、あげること自体もなかなか大変でございますから、そういう意味では、この麻薬もなかなか限界はあるかなと思うわけです。
もう一つのけん銃の場合、先ほど警察の方のがちょっとわからぬとおっしゃっておりましたが、六十年では、税関では二百六十丁、警察の方で二千五百二十丁、約一割の把握が税関、残り九割が警察、こういうことになっておるわけでして、そういう意味では、まだまだ中へ税関の網をくぐって入っているけん銃が圧倒的に多い、こういうことになるわけでございます。そういう意味では、先ほど申し上げましたエックス線探知機や金属探知機というのが大きな武器になろうかと思うわけでございますが、この点については今後とも年々予算はふやしていかれる方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/79
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080・大山綱明
○大山政府委員 予算当局にいろいろお願いをいたしまして、今後とも人で賄えない分については機械化、合理化、科学化ということでお願いをして、予算当局も相当な理解を持って対応していただいておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/80
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081・矢追秀彦
○矢追委員 それともう一つ大事なことは、いわゆる他国との税関の実務者の情報交換、こういったことがこういう意味においても大事ではないかと思うのです。ただこっちへ来るばっかりやるだけではなくて、出す方の方もしっかりしてもらわぬと困るわけですから、日本へ来ておるけん銃あるいは麻薬、そういったものがどこから一番たくさん来ておるのかわかっておるわけですから、そちらの方の税関との協議、いわゆる税関実務者の情報交換、現在どれくらい行われておるのか、今後行われる、またやらなきゃならぬ国はどこであって、そことの交渉はどうなっておるのか、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/81
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082・大山綱明
○大山政府委員 委員御指摘の点は、私どもも仰せのとおりだと思っております。昨年の秋にも、麻薬取り締まりに関する国際会議を警察庁の主催のもとに我が国で行いまして、関係国から大勢集まって意見の交換をいたしたり、また、ウィーンにございます組織に私どもが出張いたしましたりして、情報交換をいたしております。しかし、有効適切な情報というのが手に届くように入手できるかという点につきましては、余りかゆいところに手が届くような情報の提供ではないやに私は感じております。そういった覚せい剤などの仕出し国として多いのは韓国、台湾あたりでございまして、韓国当局とは密接な連絡をとっておりますけれども、台湾当局との情報交換というのは御案内のような状況下でなかなかできにくい状況でございますが、御指摘のとおりでございますので、今後とも努力はいたさなければならない、こんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/82
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083・矢追秀彦
○矢追委員 アメリカとはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/83
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084・大山綱明
○大山政府委員 アメリカ税関当局とも定期協議の場がございます。そういった定期協議の場で、お互いに情報交換のより密なることを図っているわけでございます。ここ一両年、その定期協議はちょっといろいろな事情でやっておりませんけれども、大使館等を通じまして情報交換は行うような体制にはなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/84
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085・矢追秀彦
○矢追委員 銃砲でいいますとアメリカも割合多いんですが、フィリピンが、六十一年までのデータしか手元にありませんが、一番多いわけです。それから覚せい剤になりますと、そのほかに先ほど言われた台湾、フィリピンがやはりこれに入っておりますし、それから大麻の場合でありますと、これもフィリピン、それからタイが出てきておりますね。そういう意味ではフィリピンあるいはタイ、この辺とはどういう状況ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/85
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086・大山綱明
○大山政府委員 先ほどアメリカについて申し上げましたようなそういう定期的な協議の場というのは、今御指摘のタイとかフィリピンとかはございませんが、個別に情報交換を外交ルートを通じて行うとか、そういったことを行っております。
御指摘の点について今までの体制が十分であるかどうかという点について、私も余りよく承知をいたしておりませんが、今後ともその拡充を図るべく努めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/86
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087・矢追秀彦
○矢追委員 こちら側の水際も大事ですが、ぜひ相手国の方ともよく協議をしていただきたいと思います。これは大臣おられませんので、政務次官、ひとついかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/87
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088・平沼赳夫
○平沼政府委員 そのように政府としても努力をさせていただきたいと思っております。情報収集によく努めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/88
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089・矢追秀彦
○矢追委員 次に、人員の問題でございますけれども、六十三年は六十二年よりややふえたわけですけれども、ふえたといってもたった五人しかふえておらぬわけでございます。一番多かったのが昭和五十四年が最高で、それからずっと減ってまいりまして、たった五人だけ一年間でふえた、こういうことでございますが、先ほどの機械の問題はございますけれども、ただ、麻薬とか銃砲等はそういった面である程度カバーできるでしょうが、そうでない、もっと量がふえておる問題、それから技術がどんどん高度になっておりますから、それだけ製品そのものにどういうふうな関税がかかるのかかからぬのか、その辺非常に難しくなっておると思いますし、さらに先ほども指摘をいたしましたいわゆる食品関係、植物関係、そういった農産物の自然のものがこれからもだんだん自由化の方向でございますから、ますますふえてくる。こうなると、やはり人間が相当必要になってくると思います。
そういう意味で、人員の増加を一遍に百人、二百人というわけにいかぬでしょうが、年次計画を立てて、それなりに予算措置をして、行政改革との絡みもございますけれども、やはりきちんとしていかないと、税関の職員の立場に立った場合だんだん仕事がふえる。もうすぐ関西新空港もできるわけですし、ますますこれから国際化社会になってふえてくる。そこへもってきて人間の問題も、これは入管の方になるかと思いますが、人的交流もまた出てくる。いろいろな面でこれは大変なことになると思うのです。やはり今から五年計画、十年計画を立ててやらないといけないと思います。その点の見通しはいかがですか。
〔委員長退席、太田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/89
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090・大山綱明
○大山政府委員 仰せのとおりでございまして、これからの需要予測を的確にいたしまして、人員増のお願いを関係当局にしていかねばならないものと思っております。
成田は二、三年先でございますが、関西空港は六十八年の開港ということでございまして、まだその需要予測が的確なものが関係者の間においてでき上がっておらないという事情もございます。私ども、総務庁当局、予算当局に対しましては、ただいま委員御指摘になりましたとおり、いろいろな複雑化、困難化している税関業務の実態をよく御説明し、さらにまた、私どもの内部で自己努力においていかに能率化、効率化ができるかということも御説明した上で年々の定員要求をお願いしておりますが、あわせましてその際には今後の問題として、成田の第二期工事の完成、関西空港の開港予定等に伴う入出国旅客数あるいは航空貨物の取扱量の飛躍的増大について御説明し、必要人員の確保がどうしても必要であるということをるる述べているところでございます。
具体的に、それでは何年後には何人という姿を示しますには、前提条件たる需要予測においてまだ関係当局と詰め切らないところがございます。そんなことでいわば大筋、アバウトな形で増員の必要性をお願いし、年々の予算に反映をお願いしているところでございます。今後とも、そういった努力を続けるべきものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/90
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091・矢追秀彦
○矢追委員 政務次官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/91
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092・平沼赳夫
○平沼政府委員 御指摘のとおり、近年貿易量も大変増大いたしておりますし、また業務自体も複雑化、そしてまたいろいろ高度化を要求されておりますし、さらにまた御指摘の成田の拡張工事、そして関西新空港、大変これから人員が必要になってくるという予測があるわけであります。一方、国の財政も大変厳しい中でございまして、一律一%カットということも実施してきたところでございますので、これからそういう需要に対処しながら、また厳しい財政状況を勘案しながら、ぎりぎりのところで円滑な業務が行われるように努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/92
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093・矢追秀彦
○矢追委員 次に、これは大臣にお伺いしたかった問題でございますが、政府当局で結構ですが、現在、世界には幾つかの自由貿易圏が形成されております。欧州の自由貿易連合EFTAそれからEC、オーストラリア・ニュージーランド、それから米国とイスラエル、米国とメキシコ、これは部分的ではございますが。結果的に日本とカナダだけが、OECD加盟国二十四カ国中、貿易自由圏には関与していなかったわけですが、本年一月にそのカナダがアメリカとの間に自由貿易協定を調印したわけでございます。十六カ月にわたる交渉という大変な難産の結果の調印であったと承っておりますが、こういった自由貿易圏というのは、それぞれの国の経済事情の違いによりまして、実施には大変な困難が伴うと思います。現在もECなどは、本当に一つの国というふうな形にすべてなってきておりますし、やはり世界の動きというのはどうしても自由化の方向に行かざるを得ない、こう思うわけでございます。もちろん、アメリカが保護貿易主義というような態度に出ている面もございますが、大きな流れとしては自由貿易ということになろうかと思うわけでございます。そういう意味で、この米加自由貿易協定について、政府当局はどのようにこれを受けとめておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/93
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094・大山綱明
○大山政府委員 現在のガットの体制は、自由かつ無差別な国際貿易を通じて世界経済を発展させていこうというものでございます。そういったガットの体制の中で、自由貿易地域あるいは自由貿易圏というものは、いわば例外としてガットも認めるところでございます。特に米加というような、地域的にも非常に近いし、経済取引も密接でございますし、また文化的にも共通なものを持っているというところで今回自由貿易地域の合意がなされたわけでございますが、我が国としてどう考えるかという点につきましては、我が国はこれまでやはり自由、無差別な貿易体制ということで、各国とそれぞれ多角的に自由なということで進んでまいりました。自由貿易圏の問題点というのは経済のブロック化ということでございますけれども、その点については、米加自由貿易協定につきましてはこれからガットでの審査が行われるところでございますので、私どもとしてもこれに参加して、その審査を通じて問題がないかということを探ってまいることになろうかと思います。
したがいまして、こういったような一種のブロック化でありますものを我が国として積極的によしとするかどうかという点になりますと、いささかのちゅうちょを感ずるわけでございますが、米加両当局の説明するところでは、本協定というのは二国間の経済の活性化のみならず世界経済の発展にも資するもの、こういうように述べておりますところから、我が国といたしましては、北米大陸という大きな地域がますます活性化し、世界経済がますます大きくなる、それによって我が国も含めた世界各国が裨益するということを期待いたすわけでございます。
総理がカナダを訪れました際に、マルルーニー首相と会談をいたしておりますが、その際に、本協定は日本国などの第三国の利益は損なわないように配慮するということでございますので、先ほど申しましたいわばブロック化の悪い面というものが出ないことが期待されるわけでございますが、今申しましたようにブロック化という面もございますだけに、我が国としてすぐにこういったたぐいのブロック化をほかの国々と進めていくのかどうか、もう少し長い目で見ながら検討を続けるべきものではないか、こんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/94
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095・矢追秀彦
○矢追委員 先ほどの総理のカナダ訪問のお話ございましたが、アメリカからこういうようなことの働きかけというのはあったのかなかったのか、またそういったことは議論されているのかどうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/95
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096・大山綱明
○大山政府委員 アメリカから日本に対しまして、自由貿易協定のアイデアが公式に提起をされたということは、ないというふうに承知しております。非公式には、バード院内総務から自由貿易協定のアイデアについて御提言があったとか、あるいはマンスフィールド駐日大使も同じようなアイデアを公式の場でお述べになっていらっしゃるとかいうことはございますが、政府間で公式に、正式に米国から日本に申し入れがあったというような事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/96
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097・矢追秀彦
○矢追委員 この問題、御指摘のように大変難しい問題で、ブロック化がいいのか悪いのか、日本の場合は確かに全世界に網を広げておるわけでございますが、ただ問題は、こういう二国間であっても今後こういうふうなことをある程度やっておくことの方が、言うなればジャパン・バッシングの歯どめになるのかなという考えもありますし、また、そうでなくてブロック化することも一つの、例えばアジア・太平洋という形で一つの自由貿易圏をつくるというのも一つの考え方かな、こうも考えてみたり、私自身もまだこれに対してどうすべきであるという結論は出しておらぬわけでございますが、今言われたようなブロック化そのものが果たして日本にとって、太平洋・アジア全部くくった場合はそう不利にならないのではないか、こうも考えるのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/97
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098・大山綱明
○大山政府委員 自由貿易地域あるいは圏なる構想は、その間で、その諸国の間で関税をそれぞれゼロにするということが究極の目標でございます。そういったことの関係諸国に及ぼします影響と、それからまたその圏の外にある国に対する影響をどう評価するかというのがポイントになろうかと思います。
ガットの体制上は無差別の自由貿易を原則としつつ、自由貿易協定についてはこれを容認する立場をとっているわけでございますが、仮に委員御指摘のように、日本とアジアの諸国とがそういった協定を結ぶということを想定いたしますと、どんな問題を考えなくてはならないかというときに、やはり今アジアの諸国はなお発展途上でございます。ちょうど日本で申しますと、昭和三十年代、四十年代ということかと思います。そういった時期の日本は、やはりまだ関税の障壁も高く持ってアメリカその他の先進国と貿易をしていたという時期ではないかと思いますが、ちょうどその状況をアジアの諸国に当てはめてみますと、今アジアの諸国が関税障壁などを取り除いてしまう、なくしてしまうということになりますといかがなことになるものか、自由貿易協定といったようにリジッドな形で全部の関税障壁を——何年かたって、何年かの経過期間を置いてではありましょうけれども、そうすることがアジアの経済あるいは逆に日本に対しても、農業問題その他影響を投げかけてくる可能性があるわけでございますので、そういった世界経済あるいは日本経済に与える影響をもう少し地道に、中長期的な観点からの検討を要する問題であろうかと思います。
そう簡単に、何か各国関税を撤廃するということで混乱が起きないというものではなさそうに思えますので、世界経済の協力の形としてどういう姿があるべき姿なのかということは、常に追求はしなくてはいけないと思いますけれども、なおすぐに思いつくだけでもいろいろな問題がありそうに思われます。
〔太田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/98
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099・矢追秀彦
○矢追委員 次に、先ほども中村委員からお触れになっておりました米国政府がいわゆるNICSに対しまして特恵関税の供与を中止する、こういうことを発表したわけでございます。この理由は、無税という特恵関税上の支援措置がなくても十分米国市場で競争していけるだけの実力をNICSは持った、これが米国政府の理由と伺っておりますが、日本政府もこういう考えを持っておられますか。もう一つは、今後アメリカはこういうふうなことでいくのか、あるいはまたいわゆる貨幣の切り上げということを重点にしていくのか、どう出てくるのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/99
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100・大山綱明
○大山政府委員 アメリカが、アジアNICSに対する特恵の適用を停止いたしました理由として公式に発表いたしましたところは、もうこれらの地域は十分な経済力、国際競争力を有するに至ったということを挙げておりますが、その背後には、近年米国の対アジアNICS貿易収支が米国の大幅な赤字で推移している、しかもその額が年々拡大しているということがあるというふうに承知をいたしております。
我が国がどう考えるかということでございますが、開発途上国の経済発展の程度、つまり今申しました経済力、国際競争力を有するに至ったかどうかという点は一つの判断材料でございますが、それにとどまるのはいかがかという感を持っております。つまり、我が国とそれらの諸国との国際収支の状況やいかんということも重要な問題でございますし、そのほかそれら地域と我が国との密接な関係というものがどう評価されるべきかという点も考えるべきだと思っておりまして、そういった点からいたしますと、日本とアジアNICS諸国との間の貿易収支は、我が国が相当に黒字であるという状況がなお続いております。それから、アジアと日本との密接な関係ということもございます。そんなことで、アメリカと同様な態度をとることにつきましては、いささか慎重であるべきだと私は考えております。
なお、為替レートその他についてのお尋ねでございましたが、日本はアジア諸国に対して為替レートの切り上げといったことを何か言っておるかという点については、その点については全く何も言っておりませんが、アメリカはこういった特恵の停止といわば並行的に、これらアジアNICS諸国の内需の拡大でありますとか公正なる為替レートの設定とかいう点について、昨年暮れのG7のあの声明書においてもたしか言及をいたしておったと思います。それは、アメリカとNICS諸国との貿易収支の現状からして、今の為替レートが十分実態を反映していない、こういう考え方に立つものかと思われますが、アメリカがそういうスタンスであるということは私ども承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/100
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101・矢追秀彦
○矢追委員 私、何もアメリカの後を追えという意見ではなくて、むしろもっとNICS諸国と日本とは協調した立場、先ほども言いました自由圏ぐらいになってもいいのではないかというぐらいの考えを持っているわけでございます。
アメリカがこういうふうなことをやってくる。先ほど申し上げたように貨幣の切り上げ、結局日本がやられてきたようなことをまたNICS諸国にやっていく。こういうことは、アメリカの事情としてはしようがないと言ったらしようがないかもしれませんけれども、やはりここで一番大事なことは、アメリカ自身がそういう状況になったということをもっと根本的に反省をして、アメリカの経済の立て直し、競争力強化ということをレーガン大統領も盛んに言っておりますけれども、なかなか現実はそう進んでいないのではないか、こう思うわけでございます。
こういう状況を日本は、アメリカが言っているんだからしようがないというようなことではなくて、むしろ逆にNICS諸国の立場にも立ち、日本の立場も同じですから、やはりアメリカに対してもっと競争力強化、ただ自由化自由化、開放開放だけを受け身でやるのではなくて、それももちろんある程度やらなければならぬと思いますが、しかし、もっとアメリカ自身に対する反省というのを、総理も機会あるごとに言っておられると言いますし、前総理だって大分言われたとも聞いておりますが、現実になかなか厳しい状況でございまして、政府の方も、今度の農産物の自由化問題もなかなか厄介な問題だと思いますが、ひとつその辺を言うべきことは言う、そして日本もやるべきことはやる。そして、本当にけんかをするのではなくて、いい意味でのけんかをして、世界経済全体が繁栄する方向に持っていかなければならぬ、こう思うわけでございますので、その点について政務次官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/101
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102・平沼赳夫
○平沼政府委員 日本とアメリカの、世界のGNPに占める割合というのは三分の一でございまして、それだけ大きな影響力を持っている両国でございますし、また日米間というのは、非常に緊密な関係をずっと維持してきているわけであります。ですから、委員御指摘のように、日本が受け身だけではなくて、やはりアメリカの経済の立ち直りのために言うべきことは言う、そういう姿勢も必要だと思いますし、前総理もまた現総理も、そのような形で日米首脳会談のときには申しているわけでございますので、その辺は委員御指摘のとおりだと思います。政府といたしましても、大切な日米関係でございますから、その辺はよく我々としても留意しながら、日米関係のより一層緊密な関係充実のために努力をしてまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/102
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103・矢追秀彦
○矢追委員 一点、私の一つの考えですけれども、議員同士の交流、これも大事だと思うのですね。アメリカの議員というのはやはり相当選挙区を意識して、これは日本も同じだと思うのですけれども、私は、最近もアメリカの要人と会ったときにもはっきりと物を申し上げました。日本の国会議員にもいろいろな人がおるけれども、ああいう東芝ココムのようにハンマーで日本製品を殴って壊すような、そういう乱暴な議員はおりませんよ、こう申し上げたら、そのとおりと。その人は議員でない人なんですけれども、アメリカの議員は余りにも選挙区を意識し過ぎておる、だからこういうふうなことになるんだと、アメリカの議員に対する相当厳しい批判がございました。
だから、議員同士は大いに利害関係でやり合ったらいいと思うのですよ。それはそれとしてやりながら、もっとアメリカの政府、特に大統領府、そういったところとの折衝のやり方をもう少し政府としてはお考えになった方がいいんじゃないか。私もそうアメリカに詳しいわけではございませんが、議員レベル、もちろん自民党の先生方もよく行っておられますし、これはやられて結構です。私たちも行ってやっております。やるのは大いに結構ですが、やはり最後は政府対政府ということになってくるわけですから、特に大統領府というのが一番の問題のところだと思いますので、友好関係を基盤にした上でのその辺とのいわゆる丁々発止の議論といいますか交渉といいますか、これが一番大事ではないかと思いますので、これは私の一つの個人的な意見としてお聞きいただければと思います。
そんなことで、もし何か感想がありましたら、政務次官にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/103
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104・平沼赳夫
○平沼政府委員 議員同士の議員外交というのも大変重要なことでございまして、これは我が党のみならず、今委員御指摘のように各党間でも活発に行われているところでございまして、それなりの実効が上がってきているわけであります。
御指摘のように直接のそれぞれの衝に当たっている政府間、ここの意思の疎通というのも大変大事なことだと思いますので、我が国といたしましては、総理大臣を中心としてさらに一層あちらの大統領府と緊密な関係を持つように努力をしていかなければならないことだと思いますし、委員御指摘のとおりだ、私は感想としてそのように思わせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/104
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105・矢追秀彦
○矢追委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/105
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106・越智通雄
○越智委員長 次に、玉置一弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/106
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107・玉置一弥
○玉置委員 例年のことでございますが、関税率の引き下げは、何か日本だけが一生懸命やっているような感じを受けます。東京ラウンドとかあるいは新ウルグアイ・ラウンドとか、この辺から見ますと、関税率をこれだけどんどん下げていって、本当に国内産業への影響——特に資源関係ですね、これは市況が非常に低迷をしておりますし、外国との価格差が円高で逆に大変ついてしまった、こういうものもございます。一方では、先ほどの話にもございましたようにNICSを初め開発途上国、特に開発途上国を意識した特恵関税枠の拡大、こういう方向もございます。こういう意味から考えていきますと、本当に現在の国際情勢を踏まえてやられているのかな、こういう感じがするわけでございますが、そういう意味では絶えず細かい見直し、税率だけではなくて枠だとかあるいは品目だとか、その辺もただ広げるだけでなくて、狭めるようなこともぜひ考えていかなければならない、そういう時期に来ているのではないか、こんな気がするわけでございます。
今まで、特に円高になってからの方がかなり影響が大きいのでございますが、輸入品に対して、国内消費拡大に少しでもつながればということもありました。特に、関税が障壁になっているというのは、もともと国と国との垣根でございますから、これで何とか歯どめをしたりという調節の作用、そこに期待をする、こういうことでございましたけれども、統計上の円高差益還元というのはそんなに行われていない。最近でこそようやく七〇%ぐらいになりましたけれども、それまではほとんど動かない、こういうふうな状況でございます。これを考えていきますと、関税そのものはやはり一つの歯どめでございますから大変重要でございますけれども、この歯どめをだんだん少なくしていくということよりも、むしろ例えば輸入品そのものの流通の問題とかあるいは価格体系の問題とか、そういうところに問題点があるのではないか、こういう気がするわけでございます。
ことしの二月ごろに出ました公取の資料でございますけれども、この中で特に指摘をされておりますのは輸入総代理店制度、これがシェアの寡占化を進めて価格の引き下げに大変大きな障害になっている、こういうことが書かれております。私たちも特に大蔵委員会としてとらえてみた場合に、洋酒輸入の問題があります。洋酒輸入も酒税法改正のときに絶えず問題点として指摘をされてまいりましたのは、輸入品のCIF価格よりもむしろ輸入マージンではないか、こういうことが言われております。
ちなみに、ここに書いてありますいろいろな製品を申し上げますと、例えば小売価格を一〇〇とした場合に皮革製品ではCIF価格が大体一五%から三〇%、関税、物品税等が五から一五%、それから総代理店のマージン、これが五から一五%、小売店マージンが四〇から五五、こういうふうな形になっております。それから化粧品になりますと、CIF価格が全体の一〇から二〇%、関税が五%、それから総代理店のマージンが三〇から四〇、こういうような形で、あと卸が一〇から一五、小売が二五から三五というふうになっております。これは関税から見ますと、化粧品が六・六%で、さっきの革製品が一〇から二〇、こういうふうになっているわけですね。
そういうふうに考えていきますと、洋酒、これは洋酒は載っておりませんけれども、従来の洋酒ですね、今は若干価格が下がってきましたけれども、それがたしかCIF価格が二〇%前後、一九から二〇ぐらいだと思うのですね。CIFに今度関税がひっかかりますけれども、この税率は、ちょっと忘れましたけれども三〇ぐらいですかね。ウイスキーの税率は四〇ぐらいだと思いますけれども、それを入れても二千六百円かなんか、三千円ぐらいにしかならないのですね。あと、残りが全部輸入総代理店のマージンと小売のマージンということで、たしか五五%ぐらいがマージンだったと思いますけれども、そういう形になっております。
これを考えますと、関税の持つ本来の性格、これが余りにも阻害されているという感じがするわけです。ですから、むしろ関税そのものも、確かにその姿勢としては諸外国に対して示していかなければならないと思いますけれども、日本の場合、指摘されておりますのは非関税障壁の方が大きい。これは輸入手続等もございますし、あるいは今申し上げました総代理店制度、流通制度、この辺に問題があるということでございますが、ほかの品目は管轄外ということでございますので、特に洋酒について、まさにこういう流通経路でこれだけのマージンが取られておりますけれども、これでいいのか、この点についてまず大蔵省としてのお考え方をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/107
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108・日向隆
○日向政府委員 洋酒の輸入でございますので私からお答えさせていただきますが、今委員御指摘になりましたように、スコッチウイスキーの例でございますが、洋酒にもプレミアムクラスとスタンダードクラスがございまして、プレミアムクラスの場合には、酒税、関税を込みにいたしまして、その原価が小売価格に占めます割合は二〇%前後でございます。それに対しまして輸入業者、これは総代理店の場合でございますけれども四〇%、あと残余は卸、小売のマージン、こういうふうになっております。スタンダードクラスは、これに準ずるということになっておりますので、それは委員御指摘のとおりでございます。
ところで、御指摘の輸入総代理店制度は、六十一年三月に出されました物価安定政策会議政策部会の「輸入品の流通及び商慣行について」という報告にも言われておりますが、世界各国にこれは実は存在しておりまして、企業が輸出する際に通常とられている戦略の一つでございます。したがいまして、輸入国における当該代理店の信用、販売努力等によりまして、その輸入を成功させることができるものとされているところでございますので、一概に輸入を制限する要因とは言えないと考えております。
しかしながら、るる委員が御指摘になりましたが、時が経過するにつれまして、輸入総代理店制度による輸入は、その代理店のマージンが、今申し上げましたように高いままに据え置かれておりますと、そのため輸入酒の価格が硬直化して比較的高いままに推移するということになりまして、これが輸入に悪影響を与える可能性は否定できないところでございます。
加えまして、このこととの関連で申し上げますと、並行輸入品がそうなりますと三割前後安い価格で出回ってまいりますので、これがかえってブランドイメージを傷つけ、長期的に販売量の減につながるということも看過できないところでございます。
そこで、私どもといたしましても、輸入総代理店が、その販売網や信用の活用に加えまして、広告宣伝等を行い、輸入品の市場の開拓に有効な役割を果たしていることについては理解をいたすところでございますけれども、今申し上げました理由から、事情の変化に応じてそのマージンの姿を適正な形にするように指導に努力いたしまして、輸入酒の円滑な拡大を阻害することのないよう適正な価格設定等について、今委員御指摘の点を踏まえまして十分指導してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/108
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109・玉置一弥
○玉置委員 去年の秋に日本がガットの方から、日本酒のあり方といいますか、税制上の問題点とかいろいろ指摘をされました。今までは、二級の洋酒はスコッチじゃないというふうに言われておりまして、日本のウイスキーはウイスキーでないみたいなことを言われておりました。ところが、一転変わりまして、今度はしょうちゅうまで洋酒に対抗するお酒である、こんなことを言われておるわけですね。今回、酒税の改正は今まだ出ておりませんけれども、案としては、いわゆるリキュール類並みにしたいということでしょうちゅうの税率が約二倍になります、大体こういう案が今できているわけですね。
そういうようなことを考えてみますと、先ほども申し上げましたように、販売価格そのものから見て国内との価格差というものは、まさに流通経路の中にあるというような感じがするわけでございまして、そういう点ではむしろ税率をいじるよりも、流通経路に対して大蔵省が何らかの措置をするというようなことが非常に重要なことではないか。特に、販売免許を持っているわけでございますから、やはり販売免許を持っている業界に対しまして大蔵省としての行動が必要ではないか、こういうことが考えられるのでございますが、いかがでございますか。関税局長も、両方お答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/109
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110・日向隆
○日向政府委員 まさに御指摘になりましたように、小売の販売免許、卸の販売免許等を私ども付与しておりまして、その免許制度のもとに免許業者が適正な活動をしてくれるよう、指導監督する責任があるわけでございます。
ただいま私が申し上げましたように、総代理店制度のマージンにつきましてはそれなりの評価はしておりますけれども、かなり高いという認識も他方持っておりまして、これにつきまして、事態の推移に応じて適正な形にするようその指導に努力してまいりたい。私は、先ほど申し上げましたように、その小売価格に占めますいろいろな各要素の割合を勘案いたしますところ、この点がやはり委員御指摘になりますように最も問題ではなかろうかと思っております。
他方、それ以外の卸、小売のマージンの割合につきましては、輸入品も国産品も、私ども見ておりますところ、それほど大差がございません。しかしながら、この点につきましても、委員の御指摘を踏まえて一層努力してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/110
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111・大山綱明
○大山政府委員 委員御指摘になりますように、確かに関税という障壁よりもそれ以外の、流通マージンその他流通機構の問題の方が障壁として大きいのではないか、その点につきましては私も同感でございます。そんなことからか、酒類につきましての関税の引き下げ要求というものも、かねてヨーロッパ諸国から非常に強いものがございましたけれども、最近におきましてはかなり薄れてきているという点、そしてまた、むしろ国内の酒税制度に向けられているという点も、委員のおっしゃるような点について各国が認識をし始めたのかなという感じはいたします。
酒につきましてはそういう状況かと思いますけれども、それ以外の品目、物品につきましての関税につきましては、なお各国から問題の提起があるものがございます。関税の問題というよりもそれ以外の問題という御指摘については、同感するところが多いわけでございますが、関税につきましても問題の提起のありましたものについては、国内の産業事情などを考えつつ適切に対応していくということで、今回幾つかの、酒以外のものでございますが、品目につきましての関税引き下げをお願いをいたしているところでございます。関税以外の面での対応をどうするかにつきましては、もっともっと競争をさせるということの重要性を私ども感じているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/111
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112・玉置一弥
○玉置委員 分野分野がありますけれども、やはり所轄の分野だけでもせめて適正な指導をいただけるように、ぜひお願いを申し上げたいと思います。
それから、税関職員の問題でございますが、これは先ほど中村先生の方からも御指摘がございましたように、いろいろな問題点を含んでいるわけでございます。特に、我々が大蔵省全般、これは国税庁の職員も含めてでございますけれども、いわゆる定数の枠内、これを非常にかたくなに守られている。例年こういう増員のための陳情というのをやるわけでございますが、そのときにでもよくわかりましたという話を聞くのですが、わかった形跡が全然ないんですね、今まで。
普通、民間の場合には新しい事業計画ができますと、その事業計画に対してどのくらいの人員が必要であるかということをまず考えます。それから、その人員をどういう能力の人たちを引き当てていくのかということを考えます。各職場から抜いてくる場合もございますし、新規にそれだけの能力がある人を採用する場合もございますし、また新卒者を採用してほかのところへ穴埋めをするというような方法もあるわけでございますが、少なくとも成田の二期工事につきましては六十五年開港を目指している、こういう話を聞きます。それから、関西新空港につきましては六十七年の開港を目指している、こういう話を聞きます。それから、先ほどお聞きをしますと、いろいろなところにさらにいろいろな税関業務の拡大をしてほしいという、いわゆる財界、経済界からの要望がある、こういうようなことを聞いてまいりますと、まさに今までは現職場という意味で考えて増員の体制のお願いをしてまいりましたけれども、具体的に大きなプロジェクトの展開が決定をいたしまして、それももうそう先でない、こういうことでございます。そういう意味で、今までと違った対応をしていかなければいけないと思いますが、具体的にどういうことを、いろいろ苦慮されているようなお話をさっきされていましたけれども、あれは全然苦慮しているうちに入らないと思いますので、言葉だけでなくて具体的に何をやってきたかということをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/112
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113・大山綱明
○大山政府委員 これから、関西空港等の開港を控えまして業務量が増大することは紛れもない事実でございます。私どもは、まずその業務量の増大の状況について的確な把握をする必要があると存じておりますが、それと同時に私ども税関内部でなせること、つまり電算化の推進等の業務の効率化、重点化の推進をしていかなければならないと思います。そういった重点化、効率化を図った上で、なお足らざるところにつきましては、関係当局、予算当局に定員の増をお願いするということで、例年の予算要求におきましてそういった状況を御説明し、しかるべき定員の増加をお願いしているところでございます。
単に貨物量の増等の数量的な増加にとどまりません。税関の仕事の内容につきましても、複雑困難化しているという事実もございますし、ココム関連物資の検査体制とか新たに加わってまいります仕事の量というものも重要でございます。そんなことを関係当局によく御説明して、定員増加についての御理解を得ているところでございますが、今、国全体としての行財政改革の真っただ中にありまして、厳しい定員事情というものも、私ども大蔵省に身を置きます者として踏まえねばならないということも感じつつ、今申しましたような状況を関係当局に説明し、理解をいただいている、そんな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/113
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114・玉置一弥
○玉置委員 それでは総務庁にお聞きしますが、六十五年、六十七年に開港する新空港並びに成田があるわけでありますが、具体的に大蔵省からどういう御相談があって、どういうようにお答えになりましたか、それについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/114
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115・土屋勲
○土屋説明員 六十五年度におきまして成田空港の拡張が予定されており、さらに六十七年度におきまして関西新空港の開設が予定されているというふうな長期的なお話につきましては、今後の税関職員の定員の問題として大きな問題であると認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/115
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116・玉置一弥
○玉置委員 今後ということは、今まで何もされていないということなんですね。大体増員の要請は、関税局長から文書課長に出して、文書課長でまとめて総務庁に行くわけですね。そういう手順になっていると思いますけれども、六十五年、六十七年についてはまだ全然手当てを考えておられない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/116
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117・大山綱明
○大山政府委員 私どもから文書課に説明し、文書課から総務庁へといったルートと、私ども直接に総務庁に御説明いたしますというルートもございます。
今後、成田あるいは関西空港を控えての問題の所在につきましては、私ども総務庁に対してこんな申し上げ方をいたしております。「今後の問題として、成田空港第二期工事及び関西国際空港開港に伴う出入国旅客及び航空貨物取扱量の飛躍的増大に対処するための必要人員の確保が今後の課題でございます。」こういう申し上げ方をいたしておりますが、予算と申しますのが単年度の予算でございますから、ただいま申しましたのは、六十三年度予算の御要求におきますときの説明ぶりを要約して記したものでございますけれども、単年度の予算でございますので、その年度につきましては細かい数字を挙げまして御要求をいたしますが、その後、六十四年度以降の問題につきましては、今申しましたような形でつけ加えて、今後しかるべく御対応をお願いしますということでお願いをするというのがこれまでの姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/117
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118・玉置一弥
○玉置委員 五カ年計画とかいろいろあるわけですね。あるいは仮定計算というのもありますから、そういう意味では具体的なところを示して、じゃ六十三年はというような形で、より一歩一歩押さえていかないと、言葉だけのお願いが非常に多いような感じがするので、ぜひ具体的な——というのは、これは採用してすぐ使える人であればいいですけれども、そうじゃなくて、今の体制の中でもなかなか人が抜けないくらいですから、養成をしていかなければいけない、こういうことがあるわけですね。ですから、そういう意味では、従来と違ってより積極的に早く取り組んでいかないと、いざ開港となった場合に僕は間に合わないという感じがするわけです。
時間がありませんので、あと一問で終わりたいと思います。
先日、中山郵政大臣が、郵政省の週休二日制について来年の二月から実施をしたいという発言をされました。それで、私は、予算分科会のときにも労働省なりあるいは総務庁の方にお聞きをしたのでございますが、民間の推移を見守りながら実施をしていきたいという話でございました。
そこで、まずお聞きを申し上げたいのは、民間の金融機関がそれぞれどういうふうな対応を示すのかということが一つと、それから今度は総務庁の方に、特に関西新空港など二十四時間体制でございますが、二十四時間体制と週休二日制の絡み、これを具体的にどういうふうにやっていくのか、この辺についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/118
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119・平澤貞昭
○平澤政府委員 いわゆる金融機関の週休二日制の拡大につきましては、御存じのように昨年十一月に、労働大臣から全国銀行協会連合会等にその旨の強い要請がなされたわけでございます。したがいまして、金融機関としてはそういう方向で検討を進めておったところでございますけれども、先ほどお話がございましたように、先日郵政省が来年二月を目途に、郵便局の貯金・保険部門の窓口について、すべての土曜日を閉庁する方向で具体的検討を進めるということになりました。したがいまして、民間の金融機関におきましては、郵便局を含めて全金融機関が同時に実施できる環境が必要だとこれまで言っておりました、その環境が一つ大きく改善したわけでございますので、これを受けまして、今後実施に向けて精力的にもろもろの準備を進めていくということになろうかと存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/119
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120・河野昭
○河野説明員 二十四時間勤務体制の官署と週休二日制の推進の関係でございますが、私ども、週休二日制の推進というのは二つの側面があると思っております。一つの側面は時短でございまして、もう一つの側面は土曜閉庁でございます。
まず土曜閉庁でございますが、公務部門の中には例えば刑務所の保安部門とか管制官とか、先生今おっしゃった税関もそうでございますが、日曜日も通常どおり勤務している官署がございます。そういうところは、そもそも土曜閉庁にはかかわりがないというふうに考えております。
そうしますと、そういう部門の交代制の職員と一般の職員の間に、勤務条件面で差が出るかどうかということでございます。私ども、今四週六休制という中で開庁、閉庁ということを検討しているわけでございますが、四週六休制の中で考えますれば、いずれにしましても週の平均労働時間は四十二時間ということで、閉庁できない官署の職員も閉庁できる官署の職員も、勤務条件という面では差は生じないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/120
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121・玉置一弥
○玉置委員 時間がないので余り申し上げませんけれども、時間短縮にしても、今の土曜閉庁、週休二日制も、中小企業など見ておりますと役所がやっているから、あるいは銀行がやっているからということで休めないというのがありまして、いろいろなデータを見ても、企業規模が小さくなるほどに労働時間が長くなっている、あるいは週休二日制の実施率が低いというデータが出ておりますから、逆に言えばそれこそぜひ模範を示していただきたいと思います。
時間が参りましたので終わりますが、きょう行管庁の土屋さんにも来ていただいているわけでございますが、ちょっと時間がなくて質問できなかったので、おわびをしたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/121
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122・越智通雄
○越智委員長 次に、正森成二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/122
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123・正森成二
○正森委員 私は、関税法の質問をする前に、非常に厳しい労働条件の中で我が国の税関業務のために頑張っている税関職員の問題についてまず伺いたいと思います。
税関の現職の死亡率というのが非常に高いのです。私の調査によりますと昨年一年間で二十四名死亡しておりますが、これは全公務員の平均在職死亡率の二・五倍に上っております。時間がございませんので一々は伺いませんけれども、そういう状況であります。
また、国民の税関に対する関心と期待も非常に上がってまいりまして、これも私どもの調査では二年足らずで約百回見学がございまして、その人員は約三千名に上るということになっております。これは、普通は税関業務などというのは余りおもしろくないことだと思っておったのが、農産物自由化とかあるいは衛生、健康の問題とかいうことで非常に関心がふえているわけであります。したがって、この税関職員に対して公正な人事でその仕事に報いるということは、当然のことであると言わなければなりません。
ところが、これが私どもが入手いたしました資料ですけれども、東京税関の幹部会議等の一連の資料を入手したわけです。これを見ますと、決裁のサインがあったり判こがあったり内容は詳細なものであります。私が見たところでは、これは当局の資料に間違いがないというように思いますが、その中ではさまざまな黙視することのできない内容が記載されておるわけですね。
幾つかの例を挙げますと、例えば昭和四十三年十一月二十九日の幹部会議の議事録では、職員採用について「従来の人事院の試験が六十五点以上の者を対象としていたが今回はこの制限をはずし、学校の選別、身元調査も思想調査の関係から強化されることとなった。」云々というのがありまして、これは人事院規則に違反すると思うのですけれども、思想調査を行い、学校の選別を行うということを公然と書いておるのですね。あるいは昭和四十二年九月十一日の幹部会議議事録によりますと「労務対策について」と題しまして、「新職員の基礎研修は良い。共組合」共組合というのは全税関のことらしいのですが、「共組合を追いつめて行くのに効果があるので毎年新職員を採用し研修を実施してほしい。」とか、あるいは「旧労対策」旧労というのは全税関のことですが、「旧労対策には官は懸命にやっているが、もっと大事なことは、新労を強くすることであると官房長に言っておいた。」新労というのは新しくできた第二組合、今は多数になっておるようですが、そういうことを言っております。
あるいはサークル対策のところを見ますと、「レク」レクというのはレクリエーションですね、「レクの文化的な行事として美術展は本年度中は行わない。旧労対策上。」こうなっておるのです。つまり、美術関係は全税関職員が多いということのようであります。「音楽隊は旧労分子の活動の場となってしまったので解散した。」ということが書かれているのですね。そして「サークル部門の新・旧労の構成比からみてこれを基盤としたレク行事には危険が伴う。具体的にいえば文化活動については、官として積極的に取組まない。(例 コーラス、油絵、華道、演劇)」こういうぐあいになっておって、ここに資料がございますけれども、その年は文字どおりコーラスや油絵などやり玉に上がったところは、これまでは予算がついていたのに、予算がゼロになるということが起こっております。「新職員の希望調査をしたが、演劇とコーラスをやりたいとの希望が多い。しかし、現在のサークルは旧労分子が中心で活動しているので二部制として、新しい演劇、コーラスのサークルを結成させることが必要と思う。」こういうような内容ですね。
これは、例えば人事院規則の一〇—六というのに「職員のレクリエーションの根本基準」というのがあります。それでは「職員が平等に参加することができるように計画され、及び実施されなければならない。」とか「職員の自発性が考慮されなければならない。」とか、いろいろなことが定められているのですね。この人事院規則にも全く違反するものであるというように言わなければならないのですね。まだいろいろございますが、こういう資料について全税関の組合からもいろいろな申し入れがあったと思いますけれども、当局の判を押しておりサインがあり、内容などから見て調べれば、これがそういう会議での資料であるということは一目瞭然だと思うのですけれども、そういうことを調査したかどうか、そこからまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/123
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124・大山綱明
○大山政府委員 組合からお申し入れがございまして、私どもといたしましても関係税関に調査を命じたのでございますけれども、何分にも古いことであるためか文書がございませんで、確認はいたせなかったという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/124
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125・正森成二
○正森委員 古い文書で確認ができないなどと言いますけれども、ここには決裁者の氏名やら判こが全部ついておりますから、そういうのは調べればすぐわかるはずですね。私が一年半ほど前に最近の資料で追及しましたけれども、これは昭和四十二年、三年、四年くらいの資料ですから、そうしますと最近二十年間以上ずっと全税関職員を差別してきたということが明らかだというように言わなければならないのですね。大山さん、あなたは組合との交渉などの中で、だれが組合員だかわからないというのを一月二十九日に言うてるらしいですね。ところが、ここにある資料を見ますと、サークル部門別の新旧労組調査表というのがあって、どれが新労でどれが旧労かというようなことも調べてあるし、独身寮の各寮別概要というのを見ますと、どれが新労でどれが旧労で、どれがまだどちらにも属していないかということまで全部これに出ているじゃないですか。そういうことをやり、レクリエーションでは明白に人事院規則に違反して差別をしながら、だれがどの組合に所属しているかわからぬというのは余りにも実情に合わない、言ってみれば白々しい答弁じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/125
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126・大山綱明
○大山政府委員 ただいまのお話は一月の組合交渉の際の問答でございますけれども、私ども関税当局は税関の組合職員団体サイドから、明らかにこういう人たちがこうだというようなことで処遇の改善その他について問題の提起がある等の場合は、その方がどういう所属かわかる場合がございますけれども、一般的に一人一人についてだれがどちらの組合かということはわからないわけでございまして、そんなことを組合交渉の際に委員長と問答をいたしたことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/126
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127・正森成二
○正森委員 あなた、いいかげんなことを言ったらいかぬですよ。これを見てごらんなさい。ここにちゃんと「組合関係」と書いてあって、「新労」「旧労」「中立」となっているじゃないか。こういうぐあいに全部調べているじゃないですか。独身寮の各寮別概要ですよ。それ以外にも、私いっぱい印をつけておいたけれどもあるのですよ。そんないいかげんなことを言ったらいかぬですよ。
膨大な資料ですので、また後でおいおいあなたともお願いしたいと思いますけれども、組合の方はこれまで長年にわたって昇任、昇格、特昇、定昇などで差別をしてきた。これは憲法十四条と国公法二十七条及び国公法百八条に違反する、こういうことでいろいろあなた方に問題提起をしているでしょう。
最近、最高裁で判例が出ました。あなた方は、これまでの勤務評定の結果こういう処遇をしているので差別をしたことはない、こう言っていますけれども、昇任、昇格、特に八級昇格というような点については、全税関労組とそれ以外の方とではもう格段の差があるのですね。最高裁では、大量観察の方法に基づいて非常な差がある場合には、むしろこれだけ二つの組合で差があるのに差別をしていないということの立証責任が経営者側というか当局側にあると受け取れる判例が最近出ているのですね。大量観察方法というのは疑問の余地のない当局の、民間の場合だったら不当労働行為あるいは官の場合だったら国公法に違反する措置というのを示唆しているのですね。ですから、こういう問題について、私もこういう質問の席では十分言い尽くせないところがございますから、関税局長なりしかるべき方にお話に行きたいと思いますけれども、組合からこういう是正について協議があれば虚心に——今こういう重大な、国税や税関は皆そうですけれども、そういうときに職員に対して公正な人事を行ってその勤労意欲を向上させる、自覚を高めるということは非常に大事で、いわれなき差別を受けているときは人間は働けないですよ、おもしろくないから。これはあなた方エリート官僚でもそうでしょうが、一生懸命やっているのに、ある者は局長、次官になっておるが、ある者は課長にもなれないということがあってごらん、エリートが黙っていますか。幾らエリートでなくたって、余りにも差別があったら勤労意欲が失われるでしょう。
私がこの前暴露したのでは、どんなに優秀な者でも、第二組合や組合へ入っていない者の最終選抜に重ねて昇進させるという文書があったじゃないですか。あれについて、あなた方はいまだにそれが官のものでないということを否定できないじゃないですか。今後そういう点について、しかるべき団体あるいはしかるべき議員等から申し入れがあれば十分耳を傾けるということだけでも答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/127
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128・大山綱明
○大山政府委員 私ども、組合とは年に何回かの交渉の場がございます。私自身、その際には誠実に対応しているつもりでございますし、また労働組合、職員団体と接触する窓口もございます。ここにはいつでも来て話をしてくださいということを組合交渉の席などでも申しているところでございます。私、人事というものはあくまでも公平でなければならないという委員の御指摘はそのとおりだと思いまして、適正な人事にこれからも心がけてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/128
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129・正森成二
○正森委員 一般論としてはきちんとした答弁なんですけれども、残念ながらなかなか是正ができないのですね。政務次官、いかが思われますか。与党の中でも一生懸命やっているのに、汗かいているのに不当に差別されて次官になれない、大臣になれないというたら、おもしろくないのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/129
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130・平沼赳夫
○平沼政府委員 一般的に言うと、そのとおりだと思います。局長にもよくその辺は対応するように、私からも申したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/130
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131・正森成二
○正森委員 それでは、関税法の問題について伺いたいと思います。
チョコレート関税ですけれども、五十八年に三一・九%から二〇%に下げました。それを今度一〇%に下げるというのですが、現行税率でもECとほぼ同水準でしょう。円高・ドル安で輸入が急増しておる、アメリカからのはほぼ倍増だというのに対して、引き下げは合理性を欠くんじゃないですか。これは資料を見ますと、半導体問題がきっかけになって日米摩擦の広がりを懸念する首相や官邸、外務省サイドが対米譲歩を農水省に強く働きかけた、安倍総務会長の訪米に対して手土産を持たせる必要がある、首相の高等戦術に農水省が負けたというようなことが新聞に報道されているんですね。これは日米半導体の問題のしわ寄せ、犠牲になってチョコレート関係が不当に譲歩を余儀なくされたということがあるんではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/131
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132・大山綱明
○大山政府委員 チョコレート菓子の関税率は、御指摘のとおりECでは一二%プラス可変課徴金でございますが、米国は現在五%ないし七%となっております。この関税引き下げについての考え方でございますが、我が国は自由貿易体制の維持強化というのを国是とし、調和ある対外経済関係をつくっていこうということで、市場アクセスの改善の問題の提起が諸外国からありますと逐一講じていこうという態度でございます。国内の産業事情にも十分に配意をいたしまして、確かにアメリカからの要請のことであり、その際の問題の判断の材料に、一つ農産物貿易問題等最近の国際経済情勢というものについての取り組みという問題があったわけでございますが、国内産業事情が許すならば、また国内対策を講じた上で、関税については下げられるものは下げて市場アクセスの改善をしていくのがいいんではないか、そういう判断から行ったものでございます。
トータルとしての関税の見直しについては、ウルグアイ・ラウンドで今議論中でございますが、個別の品目について各国から問題の提起のあったものについては、対応できるものは国内産業事情を考慮しつつ対応していく、こういう態度で臨んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/132
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133・正森成二
○正森委員 皮革と革靴の関税割り当て制度、TQについても伺いたいと思います。
言うまでもなく、皮革、革靴というのは、我が国の同和産業の基幹的な部門ですね。これは大阪なんかでも、非常にそういう産業が集中しております。私はよく知っておりますけれども、関連下請とかそういうのを入れますと、非常に就業関係でも重大な意味を持っているわけでございます。
これらの問題は一次枠の運用の問題ですけれども、たしか昭和六十年にこれが問題になりましてTQ制度ができましたときに、それまでの割り当て制度がありました、その割り当て制度を、順次毎年一〇%ずつぐらいTQの一次枠を広げていくということでございましたけれども、例えば革靴を見ますと一挙に二百四十五万足ですか、今年は何か二百七十万になっているんですか、一〇%のものが。ところが去年ですか、六十一年ですか、二百四十五万足というのは、これまでの割り当て制度のほとんど倍に一挙になったんじゃないのですか。これはTQ制度をつくるときの資料によりますと、大体五年間ほどは一〇%ずつ枠拡大というのに比べまして著しくふえておる。それから、一次枠のTQにつきましてもその消化を見ますと、大体年間で六九%、半年で八十何%という程度でまだ余裕があるんですね。
大体このTQというのは、割り当て制度にかわるために一定の限界は低い関税率だけれども、そこを超えると大体今六〇%でしたかね、三倍ぐらいに広げることによって業界を守るということなのに、一次枠を初め一〇%ずつぐらいと言っていたのを一挙に倍ぐらいにしてしまう。しかも、それが十分消化できない。だから、二次枠の高い関税は使う必要がないんです。それなのに今度またこう広げるということになりますと、これは同和産業に対するあるいは皮革部門に対する配慮が余りにもない、アメリカに対する一方的な譲歩であるというように思われるのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/133
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134・大山綱明
○大山政府委員 皮革につきましては、皮革の輸入数量割り当て、輸入数量制限が、ガットのパネルにおきまして違反であるという判定をされまして、その結果としましてTQ制度の導入ということになったということは委員御存じのとおりかと思いますが、その際に二・何倍かという大きな数字になったわけでございます。それは、そういったIQからTQに移行せざるを得ないといった事情、諸外国の状況を勘案してのことだと思いますが、その点についてさらに詳しい御説明を要しますれば通産当局からしていただきますが、昨今の状況について申し上げますと、通産省、物資所管当局におきまして十分に国内産業事情を考慮しながら、この数字を大蔵省に持ってきていただいて決めておるということでございます。
ただ、消化率云々の点につきましては、創設当初は新規の参入の方々の輸入あるいは販売のルートがまだ確立してなかったということから使い残した面がございます。七割程度ということでございましたが、昨今、六十二年度の上期になりますと、九割近くまで上昇しておりますので、その使い残しが現在でもまだだぶだぶあるという状況は変わってきておるということと、もう一つは、国内産業事情も考慮しつつ対外的な調和を図るという観点から、一割程度今回も伸ばさせていただくということで御提案しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/134
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135・正森成二
○正森委員 六十一年の三月の二十四日に私が質問したときに、通産省の生活産業局長浜岡さんが、国際的な要請とそれから同和対策地域の基幹産業、こういう将来の地位を確保するという、この二つを見ながらまた裂きにならないように対応していく、こう答弁しているんですね。しかし最近二年間の対応を見ると、全く一方的に国際的な要請だけ重んじているんじゃないですか、通産省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/135
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136・鷺坂正
○鷺坂説明員 革靴の輸入制限の問題につきましては、先生も御高承のとおりガットのパネルにおきまして黒の判定ということがございまして、ここで市場開放をするということが必要になってまいったわけでございます。という形で、IQからTQ、関税割り当てということに移行したわけでございますが、その際単純に制度を変えるということではなくて、一層の市場開放を図るという要請がございましたので、それに対応した形で枠の拡大等をしております。ただし通産省といたしましては、革靴産業が同和地区の重要産業である、それから中小零細性が非常に高い、国際競争力が低いということに十分配慮いたしまして、慎重な枠の設定をしているということでございます。
ちなみに申しますと、繊維産業等ではたしか、輸入比率はいろいろ業種によってありますが、三〇%ぐらいのものもあります。これは革靴の場合には、現状では非常に低い水準にとどめておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/136
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137・正森成二
○正森委員 現状では低いなんて言いますけれども、二年前に言っていたことと違って、年間一〇%ずつ枠拡大というのが猛烈な枠拡大になっているわけでしょうが。それに対する答弁がありませんでしたけれども、極めて遺憾であるということを申し上げて、時間がございませんので次の問題に進ませていただきたいと思います。
大体日本の市場は閉鎖的か、こういうことですけれども、ちっとも閉鎖的じゃないんですね。関税負担率なんかからいいますと、米国はもちろんECに比べても日本は低い。カナダや豪州に比べてはもちろん我が国の方が低いんですね。これは時間がありませんので数字は言いません。
それで貿易不均衡の原因について、アメリカでさえヤイター氏やボルカー氏の発言が昨年から出ておりますけれども、米国の製品はドル安のおかげで十分に価格競争力がついたのだから、もし輸出が伸び悩んだとしたら、それは品質かサービスかマーケッティング力の問題だ。もし、ヨーロッパや日本をちょっと訪れてみれば、いかに多くの製品で米製品に価格競争力があるかがわかるだろう、こう述べて、今後海外での販売が増えなければ、米企業自身に原因を求めるべきであるというのがヤイター米通商代表の言明であります。これは新聞に載っております。あるいはボルカー米連邦準備理事会議長も、「現水準の相場で競争力が向上しなければ、米企業に責任がある」、こう言っているのですね。これは去年の五、六月ごろの言明であります。それからさらに円高・ドル安になっているのですからね。
我が国内でアメリカ企業にいろいろ障害があるかという点を調べたら、そういうものは余りないというように答えているのが大部分だということになっているわけであります。ところが、一方的に譲歩に譲歩を重ねるということで、アメリカの対日強硬派で知られるマーコウスキー上院議員はどう言っているかというと、「日本との交渉には脅しが必要」と、こう公然と言っているんですね。おどせばおどすほど譲歩する、こういうように言っているのです。(「けしからぬ」と呼ぶ者あり)それを受けて、けしからぬことですが、今与党からけしからぬという声が出ましたが、去年の十一月二十六日の東京新聞に出ておりますが、ファンアフトEC駐日代表という人がどう言っているかというと、こう言っているのです。ちょっと激烈な表現ですけれども、私が言うんじゃないのですよ、EC駐日代表が言っているのです。「日本の米国に対するやり方をみると、米国は鳴きわめく犬で、大きな声を上げるから、要求にこたえて骨をあげる、といった感じだ。しかし、これは得策じゃない。(米国に妥協するのをみて、他国の)静かにしている犬も、ほえ始めることになる」こう言っているのです。
だから、声が大きく、ワンワン、ワンワン鳴くから、日本はほいと言って骨を投げる、そういうやり方はよろしくない。これは共産党が言っているのでもなく、日本が言っているのでもなく、EC駐日代表がこういうことを言っているのですよ。余りにも譲歩が過ぎるんじゃないですか。私は、もっと毅然とした態度をとるべきであると思いますが、政務次官の御答弁を伺いまして、時間が参りましたので終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/137
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138・平沼赳夫
○平沼政府委員 正森委員の御意見、ごもっともなところがあると思うわけであります。
確かに御指摘のとおり、我が国は関税率も先進国の中にあっても大変優等生になっているわけであります。しかしながら、幾分改善されたとはいえ、出超はやはり大幅なものがあるわけでございまして、これから日本も毅然たる態度をとっていかなければならないことはもとよりでございますけれども、自由貿易体制を堅持していく、そういう観点から現状やむを得ない措置だ、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/138
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139・正森成二
○正森委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/139
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140・越智通雄
○越智委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/140
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141・越智通雄
○越智委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/141
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142・越智通雄
○越智委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/142
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143・越智通雄
○越智委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中村正三郎君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。宮地正介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/143
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144・宮地正介
○宮地委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、左記事項について配慮すべきである。
一 世界経済における我が国の立場を踏まえ、国際的協調特にガット・ウルグアイラウンドの積極的推進、開発途上国への協力等を通じ、保護主義の台頭を防ぎ、世界経済の安定的成長に引き続き貢献し得るよう努めること。
一 関税率の引下げに当たっては、国内産業への影響に配慮し、特に農林水産業、中小企業の体質の改善を併せ考えるとともに、調和ある対外経済関係の強化及び国民生活の安定に寄与するよう努めること。
一 輸出入貿易量及び出入国者数の伸長に伴う税関業務量の増大に加え、覚せい剤、銃砲等の水際における取締りの一層の強化が社会的要請となっていることにかんがみ、業務処理体制等の一層の見直しを行うことにより税関業務の効率的、重点的運用に努めるとともに、税関職員の特殊な職務を考慮して処遇改善はもとより、中長期的展望に基づく要員の確保等に努めること。
以上であります。
何とぞ御賛成を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/144
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145・越智通雄
○越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/145
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146・越智通雄
○越智委員長 起立多数。よって、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。宮澤大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/146
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147・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/147
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148・越智通雄
○越智委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/148
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149・越智通雄
○越智委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
─────────────
〔報告書は附録に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/149
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150・越智通雄
○越智委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X00819880322/150
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