1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年四月十三日(水曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 越智 通雄君
理事 大島 理森君 理事 太田 誠一君
理事 中川 昭一君 理事 中西 啓介君
理事 中村正三郎君 理事 中村 正男君
理事 宮地 正介君 理事 玉置 一弥君
新井 将敬君 井上 喜一君
江口 一雄君 遠藤 武彦君
金子 一義君 小泉純一郎君
笹川 堯君 杉山 憲夫君
戸塚 進也君 葉梨 信行君
鳩山由紀夫君 堀之内久男君
村井 仁君 村上誠一郎君
上田 卓三君 沢田 広君
野口 幸一君 早川 勝君
堀 昌雄君 武藤 山治君
橋本 文彦君 日笠 勝之君
森田 景一君 矢追 秀彦君
正森 成二君 矢島 恒夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 平沼 赳夫君
大蔵省主計局次
長 斎藤 次郎君
委員外の出席者
参 考 人
(立教大学教授) 和田 八束君
参 考 人
(横浜国立大学
教授) 宇田川璋仁君
参 考 人
(全国銀行協会
連合会会長) 神谷 健一君
大蔵委員会調査
室長 矢島錦一郎君
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三月二十五日
国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)
昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)
同月二十八日
証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)
金融先物取引法案(内閣提出第八〇号)
四月六日
大型間接税の導入反対に関する請願(正森成二君紹介)(第一一七五号)
同(楢崎弥之助君紹介)(第一二七九号)
同(佐藤祐弘君紹介)(第一三一二号)
同(寺前巖君紹介)(第一三一三号)
同(野間友一君紹介)(第一三一四号)
同(東中光雄君紹介)(第一三一五号)
同(不破哲三君紹介)(第一三一六号)
同(正森成二君紹介)(第一三一七号)
同(松本善明君紹介)(第一三一八号)
同(矢島恒夫君紹介)(第一三一九号)
大型間接税導入反対に関する請願(安藤巖君紹介)(第一一七六号)
同(石井郁子君紹介)(第一一七七号)
同(岩佐恵美君紹介)(第一一七八号)
同(浦井洋君紹介)(第一一七九号)
同(経塚幸夫君紹介)(第一一八〇号)
同(児玉健次君紹介)(第一一八一号)
同(佐藤祐弘君紹介)(第一一八二号)
同(田中美智子君紹介)(第一一八三号)
同(辻第一君紹介)(第一一八四号)
同(寺前巖君紹介)(第一一八五号)
同(中路雅弘君紹介)(第一一八六号)
同(中島武敏君紹介)(第一一八七号)
同(野間友一君紹介)(第一一八八号)
同(東中光雄君紹介)(第一一八九号)
同(藤田スミ君紹介)(第一一九〇号)
同(藤原ひろ子君紹介)(第一一九一号)
同(正森成二君紹介)(第一一九二号)
同(村上弘君紹介)(第一一九三号)
同(矢島恒夫君紹介)(第一一九四号)
同(山原健二郎君紹介)(第一一九五号)
同(正森成二君紹介)(第一二五五号)
同(経塚幸夫君紹介)(第一二六六号)
同(中島武敏君紹介)(第一二六七号)
同(正森成二君紹介)(第一二六八号)
同(経塚幸夫君紹介)(第一二八〇号)
同(安藤巖君紹介)(第一三二〇号)
新大型間接税の導入反対、国民本位の税制改革に関する請願外一件(藤田スミ君紹介)(第一一九六号)
税制改革に関する請願(近藤元次君紹介)(第一二四二号)
大型間接税導入反対等に関する請願外一件(野口幸一君紹介)(第一二四三号)
同(野口幸一君紹介)(第一二五七号)
新大型間接税の導入反対等に関する請願(藤田スミ君紹介)(第一二五六号)
新大型間接税の導入反対に関する請願(草野威君紹介)(第一二七八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出第三号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/0
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001・越智通雄
○越智委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として立教大学教授和田八束君、横浜国立大学教授宇田川璋仁君及び全国銀行協会連合会会長神谷健一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/1
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002・越智通雄
○越智委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/2
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003・越智通雄
○越智委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、各参考人からそれぞれ十分程度御意見をお述べいただいた後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
それでは、和田参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/3
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004・和田八束
○和田参考人 御紹介いただきました和田でございます。
いわゆる財源確保法の案件の問題につきまして意見をということでございますが、法案等を実は昨日の夜に拝見したような次第でございまして、かなり突然のあれでございましたので十分準備もしておりませんので、御理解いただけないというか、お聞き苦しいところがあるかもしれませんけれども、御了承いただきたいと思います。
したがいまして、余り細かい点につきましては十分に検討しているわけではございませんが、一般会計、特別会計等を通ずる歳入面の問題につきまして、若干意見を申し上げさせていただきます。
細かい点はともかくといたしまして、昭和六十三年度の一般会計、特別会計等の歳入動向を拝見いたしますと、従来に比べましてかなり好転してきているという印象を強く持つわけであります。特例債につきましても、昭和五十年度以来毎年発行を続けてきているという、財政面からいたしますと異例、異常な状況が続いてきたわけでありますけれども、こうした状況も来年度中で脱却できるのではないかという見通しも持てるようになってまいりまして、いわゆる財政再建見通しについて一定の見通しが持てるようになってきたということであります。
これは、言うまでもなく税の自然増収がかなり大幅なものに上っておりまして、昨年、一昨年来から、年度中におきましても自然増収が大幅に見られるようになってまいりまして、六十三年度におきましても一定の税収が確保されたということであります。その他NTT株の売却益につきましても予想外の高収入ということになりまして、これも一般会計さらに国債整理特別会計の方に一定の寄与をしているということであります。そういうことで、従来の財政危機と言われたような状況からいたしますと、かなり状況は変わってきたというふうに言うことができるわけであります。
もちろん、なお国債残高も大量な規模に上っておりますし、税収につきましても、どこまでこの順調が続くかどうかということは必ずしも予想できないところでありますし、NTT株の売却益といいますのも、市況の動向でありますとかいうものに左右されるところがありますし、さらに、これも長期的に見ますと一時的資金ということになるわけでありますので、なお財政につきましては長期的な計画が欠かせないということは言えるわけであります。ただ、一定の変化が歳入面においては出てきたということは十分に評価し、これを前提にして考えるべきではないかというふうに考えるわけであります。
そういう点で見ますと、六十三年度の歳入構成あるいは歳入全体に対する一つの政策的な考え方といいますのが必ずしも明らかでないということであります。つまり、税収の自然増収というのは一定の水準が確保されるわけでありますけれども、これを一体どういうふうに処理するのか。つまり、税収の増大というものによって歳入の増加を図り内需の拡大に寄与させるのか、それとも特に赤字国債と言われている特例債の償還に主として充てるのか、あるいはこれを減税として国民の可処分所得をふやすのかというふうなことについて、はっきりしていないように思われるわけであります。つまり、前年度の自然増収等も含めましてどれだけの税収が確保されて、それがどのように使われるべきなのかということについて、一定の考え方というものがなお明確ではないのではないかという印象を持つわけであります。
それから、NTT株の売却益につきましても当初の予想を上回りまして、これが国債整理基金特会に一たん入りまして、これらが一般会計等にも繰り入れられるという形をとっているわけでありますけれども、これにつきましても、早期に国債の消却を図るべきなのか、あるいは当面歳出の増加に充てることによって、一定の建設国債等の発行の肩がわり的な役割を果たさせることになるのか、それらにつきましてはかなりミックスされたような形をとっているわけでありまして、必ずしも将来を見通した、めり張りのきいたといいますか、そういう歳入の処理になっているというふうには印象として薄いわけであります。
そういうことでいいますと、国債整理基金特会の方につきましても、NTT株の売却益が余裕金として一定の水準確保されているようでありますけれども、従来の経緯からいいますと、特例国債は元金償還するというのが当初の原則であります。これが、財政難の折からそうした原則が崩されて、六十年償還というふうな形で借換債の発行を認めるような形になっていたわけでありますけれども、この特例債というものの性格からいいますと、できるだけ早期に償還を果たすということが必要なのではないか。したがいまして、この点では、余裕金というふうな形で当面確保しておくとするならば、特例債の償還を早めるというのも一つの有力な考え方として出てくるのではないかというふうに考えるわけであります。
しかし、一方、国債自体の市場での販売力といいますか受け入れ能力といいますか、こういう金融的側面を考えれば、なお日本のいわゆる金余り現象などを考慮いたしますと、早期に国債全体を減額しなければならないという必要性も必ずしもないわけでありまして、いわゆる四条債につきましては一定の額を確保していくということは、財政政策上必要なことだろうと思われるわけです。こうした点も含めまして、全体として国債の今後のあり方というものを考える必要があるのではないか。
ことしの状況からいいますと、昨年、昭和六十二年度において、既に一兆五千億円ぐらいの年度内での赤字国債の減額が行われておりまして、ことしは当初で一兆八千億円が減額されておりますけれども、なお昨年のような形で年度内減額が行われるというふうなことが可能であるとすれば、既にいわゆる赤字国債からの脱却というのは、ほとんど今年度中にも実現できるのではないかというふうな可能性すらあるわけでありますが、そうしたいわゆる特例債の減額発行のあり方それから四条債との関係それから歳入の充当としての歳出との関係あるいは減税との関係、そうしたものについて総合的に一つの新しい見通しなり計画というふうなものを立てて、一定の財政政策というものについてこのような新局面においてのあり方というものを検討して、いわゆる財政再建時代の次の時代としてのあり方を明示していくということが必要なのではないかというふうに考えております。
甚だ大まかなことでございますけれども、一応私の意見として申し上げたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/4
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005・越智通雄
○越智委員長 和田参考人、ありがとうございました。
次に、宇田川参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/5
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006・宇田川璋仁
○宇田川参考人 時間がられておりますので、端的に私のこの問題についてのコメントを申し上げさせていただきます。
こういう特例公債ということ自体を見ただけでは何事も判断できないわけでありまして、全体としての六十三年度予算というものをある程度見なければいけない。私も資料をいただいたばかりでございますが、ちょこちょこっと鉛筆をなめて計算をいたしますと、六十二年度予算はもちろん補正が二回ですか、あったわけでありまして、本当は六十二年度補正後の数値等やや調べなければならないのでありますが、いただきましたのが当初予算でございますし、いろいろ資料を追っかける時間がございませんでしたので、当初予算との比較でお話しいたします。
要するに、六十三年度予算はこういう仕組みになっているんですね。自然増約四兆円それからNTTの株式売却一兆円、要するに五兆円デルタといいますか増し分がある。この増し分をどう使うかということであります。結局見ますと、その半分二兆五千億を歳出増に振り向ける、そして公債減額一兆七千億、そして税及び税のほかにその他収入がございますが、これが結構減っているわけですね。約一兆円、まあ半分を歳出増に振り向け、その半分をやや多目に公債減額にし、その他の減をそれでカバーする。その他の減というのは、去年は金貨ですか、あれの収入があったり、それから日銀納付金が減ってきたというようなことで結構大幅に減った、こういう仕組みになっているわけであります。
それで、私がコメントしたいことは、その問題について少しわかりづらいということなんです。どういう意味がわかりづらいかといいますと、今国会でもそれからその他財政問題を論ずる場合、赤字国債をいち早く減額して財政を身軽にし、それから今後の展望を開くということを強調されてきたわけでありまして、そうであるならば、税収はさておきまして、資産を売却した一兆三千億、これは貴重な資金であります。どこの会社でも家計でもそうでありましょうが、そういうフローというよりも資産を売った場合、その資産は最も非効率的とみなされるべきところへ振り向ける、これが原則のはずですね。それならば、ウィンドフォールといいますか、そういう資産の売却益があったならば、どうしてこれを赤字国債減額にしないのかというふうに思うわけです。
これを、この好景気の始まろうというときに、どうして公共事業、しかもそれは補助金型のが一番多いのでございますが、そういうところに使うのかというのが私ども外部にいる者にとってはよくわからない。そして、赤字国債、赤字国債と言い続けたこの十数年でありますから、これに真っ先に振り向けてこれを早く身軽にしてやるべきだ。そういう点で、何か言葉が過ぎて恐縮でございますが、今和田さんが言ったみたいに、赤字国債の消滅は目に見えている、その名残を惜しんでいるのではないかというような気さえするわけでございまして、余り名残を惜しまないで早くざっとしていただきたい。
だから、そういうことはコストがかかるわけですね。財務当局といいますか、国会の皆様方あるいは大蔵省では、資産を売ったのだからこれは資産形成に振り向けるというような考えもあるのかもしれません、あるいはそうでないのかもしれませんが、私は、それは余り関係ないこと、資産が大事だから資産の形成に向かうのではなくて、資産が大事だから一番非効率的な分野の解消に向かうべきだ、こういうふうに思うわけでございます。
そういうふうにして、いわばことしの予算は、コストとべネフィットとの関係を見ると、大事な資産をべネフィットの最大の方に振り向けていない。それならば、歳出の方がそんなに大事かといいますと、大蔵省の「ファイナンス」なんかを見ましてここ数年どういうものが伸びているかといいますと、歳出増で伸びが多いのは防衛関係費五%、六%、それから経済協力費五%とか六%、社会保障なんというのは二・九とか、これはそれなりに理由がありますが、食糧管理費はうんと減っている等々ということで、一市民といたしますと、やはり歳出がそんなに大切な方向に向いているかどうかと思うわけであります。
もう時間が来ましたが、もう一言だけ言って終わらしていただきますが、そういうわけで赤字国債、これは確かに問題でありますからこれを楽しまないで早く消していただいて、その次に来るのは今度は何かというと、安定成長が続く場合、自然増であります。自然増を何に使うか、減税なのか、あるいは今度は赤字国債が消えますから、歳出の方に振り向けかつ四条公債でやっていく、そういう配分を考える、それは国民にとって非常にわかりいい格好であります。市民は、歳出よりも減税を好むということであればそういうことになるでありましょうし、だから見取り図をはっきり示して、いち早く国民のチョイスを単純明快な方向に持っていくべきであるというふうに考えます。
そういたしますと、今日最大の争点であります税制改革とか減税規模、――自然増というのはかなり隠れているわけでありますから、その財源できっとこれからいろいろ問題になるのでありましょうが、そういう税制改革も単に税をこちらに負担させるというのは、私は税制改革の行き方じゃないと思います。どういう形で減税していって、そして税のアンバランスを解消していくか、負担が少ないから税をふやして公平を図るんじゃなくて、多いところを減らして公平を図るということも大事な税制改革だ、こう思うわけでございます。
時間が参りましたので、私の話を終わらしていただきます。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/6
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007・越智通雄
○越智委員長 宇田川参考人、ありがとうございました。
次に、神谷参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/7
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008・神谷健一
○神谷参考人 ただいま御指名賜りました全国銀行協会連合会の神谷でございます。
大蔵委員会の諸先生には、私ども銀行界といたしまして常日ごろ大変お世話に相なっておりまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。
本日は、私どもの意見を申し述べるということでございますが、まず、最近の日本経済は、大変力強い発展を遂げていると思います。この間、緊急経済対策の一環としまして、二度にわたり補正予算が組まれたわけでございますが、こうした機動的な財政運営及び適切な金融政策とが相まちまして、内需主導型成長への移行を円滑に進める上で重要な役割を果たしてきたと申していいと思います。
それでは六十三年度予算でございますが、歳出面を見ますと、歳出総額から国債費と地方交付税交付金を除きましたいわゆる一般歳出は、前年度に比べまして一・二%の増加に抑制されておりまして、引き続き財政再建路線が維持されております。また、内需拡大基調の維持、定着を図るため、公共事業関係ではNTT株式の売却収入の一部、一兆二千億円を活用した無利子融資制度により、前年度の当初予算に比べまして約二割増の予算となっております。
一方、歳入面では、景気の回復を反映いたしまして順調な税収の増加が見込まれておりまして、新規財源に充てられる国債発行額は「財政の中期展望」におけるスケジュールのとおり、前年度の当初予算に比べまして一兆六千六百億円の削減が行われ、八兆八千四百十億円となっております。これは、特例公債の発行額が一兆八千三百億円削減されて三兆一千五百十億円にとどまったためでございまして、この発行額は、五十年度補正予算で特例公債が発行されるようになりましてから、当初予算ベースとしては最も小さなものとなっております。
このように六十三年度予算は、NTT株式売却収入の活用により公共事業財源の確保を図るなど、財政御当局が歳入面での好条件を生かしながら、歳出の抑制にも並み並みならぬ御努力を重ねられました結果、内需拡大と財政再建の二つの要請に十分に配慮されました、評価できる内容になっていると思います。
とは申しましても、今後の財政の再建を考えますと、我が国の国債発行残高が六十二年末で約百五十兆円に上り、GNPに対する比率も四割強に達する点が気になるところでございます。また、国債残高の累増を背景に、利払い費を中心とする国債費も一般会計の二割を超える状況が依然として続いておりまして、財政が本来の機能を発揮することが困難になっているのが現状ではないかと存ずるのでございます。
このような現状から脱却いたすためには、歳出全体の見直しなどにより国債発行の圧縮を図り、国債残高の増加を抑制することがまずなされるべきであろうと考えております。そのような意味におきましても、昭和六十五年度までに特例公債依存の体質から脱却するという財政再建の目標は、今後とも堅持していただきたいと考えるのであります。
幸いにいたしまして、今回、特例公債が大幅に削減されましたことによりまして、この財政再建目標の実現性はかなり高まってきたと考えられますが、これを実現いたしますには、何と申しましても歳出の抑制を持続していくことが大前提となるわけでございます。歳出の繰り延べ措置や歳出項目の移動など、いわゆる臨時的な手段に頼って歳出を抑制いたしますことにはおのずから限度があることを考えますと、今後とも行財政改革の基本理念のもとに、もろもろの制度改革や行政機構の簡素化を引き続き強力に推進してまいることが、ますます重要になってくると思う次第であります。
また、六十三年度におきましても、国債整理基金特別会計への定率繰り入れは引き続き停止されるということでございますが、同会計の保有するNTT株の売却収入によりまして、今回繰り入れを停止いたしましても、現行の償還ルールに基づいた償還計画には支障が生じないということでございますので、歳出の抑制ひいては国債発行額の削減を図るためにはやむを得ない措置であると存じます。ただ、NTT株式の売却収入は恒常的な財源ではございませんので、財政の健全性という観点から申しましても、やはり将来の国債償還のための財源をあらかじめ積み立てて確保するという、減債基金制度の趣旨が尊重されていくことが望ましいと存ずる次第でございます。
以上、六十三年度予算並びに法律案に関しまして意見を述べさせていただきましたが、せっかくの機会でございますので、私どもの立場から、国債全般につきまして若干の意見を申し述べさせていただきたいと存じます。
第一は、発行条件の設定におきます市場実勢の尊重についてでございます。
この点につきましては、御当局におかれましても常々御配慮いただいているところでございますが、金利の引き上げ、引き下げ、いずれの局面におきましても、引き続き機動的、弾力的な条件改定をお願い申し上げたいと存じます。
次に、国債管理政策のあり方についてでございます。
昨年度から、対外市場開放の一環といたしまして、国債の入札発行が拡大されたわけでございますが、我が国におきましては、国債は昭和四十年度以降市中消化を原則といたしまして、国債引受シ団を中核として、安定的に消化されてまいっております。今後の国債管理政策の運営に当たりましては、安定的な消化の観点からも、シ団引き受けと入札発行がそのバランスを失うことのないように御配慮いただきますよう、お願い申し上げる次第でございます。
最後に、郵便貯金に関しまして一言申し述べさせていただきたいと存じます。
郵便貯金に関しましては、この四月から国債の窓口販売が開始されることとなっておりますが、これに関し先般郵政省は、国債と定額郵便貯金とを組み合わせた商品を発売すると発表しております。このようなことが行われますと、定額貯金の商品性がますます高まり、官業による民業への圧迫が一段と強まり、ひいては小口預金の金利自由化を着実に推進するという流れにも逆行することになりかねません。この点、官業としての節度ある対応が望まれることを強く申し上げまして、私の意見とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/8
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009・越智通雄
○越智委員長 神谷参考人、ありがとうございました。
以上で御意見の開陳は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/9
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010・越智通雄
○越智委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野口幸一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/10
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011・野口幸一
○野口委員 参考人の皆さん方には、御多忙中時間を割いて御出席くださいまして、ありがとうございました。
また、ただいまは、それぞれの立場から御主張ございました。拝聴させていただきました。
単年度の、ことしのいわば歳入に関する御意見というものはさることながら、財政全体の問題について、特に国債という観点から見ますと、それぞれの先生方もお触れになっておりますように、いわゆる今日の健全財政を維持するためには、国債費というものがのしかかってきているこの現状を何としても脱却していく方向が必要である。ことしの予算を見ましても、二〇%になんなんとする国債費があることは事実であります。これがあらゆる面に作用いたしまして、財政的には一つの大きな欠陥であるといいますか、圧力を加えていることは間違いないと思うわけであります。
そこで、三先生にそれぞれお聞きをいたしたいと思うのでありますが、今後の国債政策といいますか、これを、現在国債残高百五十兆円を超えているわけでありますが、昭和七十六年、これは大蔵省が試算をいたしました、現在のままでこのまま推移をいたしますとおよそ国債残高は二百一兆二千億、こういう大きな額になっていくわけであります。さすれば、それを減らさなければ、特例公債はもちろんでございますが、たとえ建設公債といえどもこれは減少に向けていかなければ、どうにもならなくなってくることだけは明らかであります。どのような方向をもってこの国債の減少という問題を図るべきなのかということについて、まずそれぞれ忌憚のない御意見を、きょうは参考人の方々に十分論じていただく場でございますので私どもは言葉を差し控えまして、ぜひとも十分な立場で国債減少論についてひとつお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/11
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012・和田八束
○和田参考人 ただいまのお話でございますが、確かに一般会計歳出の二〇%程度が国債費、特にこれは利払い費になりますけれども、これは財政にとって前向きの負担といいますか、そういうものではないわけでありまして、歳出が国民に対する社会サービス、究極的にそういうことを目的としているとすれば、マイナスのといいますか、ロスに当たるものではあるのですけれども、これは、国債そのものが一種の市場経済的歳入である以上、これを停止することはできないわけでありますので、それは一定の国債管理政策として、できるだけ市場の動向によって有利な金利で発行して、利払い費を軽減するというふうなポリシーが継続されるということが一つの行き方だろうと思います。
もう一つは、今のお話にありましたように、国債残高というものがこれとの相関関係を持っておりますので、国債依存度は確かに低下しておるわけでありますけれども、借換債等を含めた国債残高はふえておるということであります。しかし、国債残高を何が何でもすべて減らしていかなければならないと、余り極端な考え方をとる必要もないわけでありまして、国債そのものにつきましては、その発行が行われました昭和四十年代からインフレーションが懸念されるという意見もありましたし、クラウディングアウトというようなこともありまして、その他種々の問題点が指摘されたわけであります。そうした問題がなかったわけではないのですけれども、全体として見ますと、国債による経済的影響というものは必ずしもマイナス面ばかりではなかったわけであります。
特に、現在のような金融証券状況といいますか、日本の置かれている経済状況からいいますと、国債そのものが一定の金融証券市場における安定的な材料になっているという面もあるわけでありますし、国民所得との関係からいいましても、百五十兆と言い、将来、十年、十数年後に二百兆になるという予想にいたしましても、それほど過大であるというふうには私は考えないわけでありますので、一定の国債を抱いた財政政策というものを前提として考えていっていいのではないかというふうに思います。
ただ、先ほども申し上げましたように、特例債につきましてはやはり早期にこの発行をなくして、現在残っている分、未償還で借換債で延ばしている分につきましては、できるだけ早期に償還すべきであるということであります。その根拠は必ずしも明らかではないわけでありまして、特例債と四条債の国債としての性格がそれほど根本的に違うということではありませんけれども、しかし、財政的なレベルでいいますと、やはり財政法というものによって規定された国債以外に毎年特例法を設けて特例債を発行するということは、財政的サイドからいいますといかにも異常でありまして、こうしたことはやはりなくするべきであるというそういう一つの財政秩序の問題として、言うなればそういうことでありまして、その点では、できれば今年度にも特例債の発行を切り上げるぐらいの意気込みがあってもよかったのではないかという印象は持つわけであります。
いずれにいたしましても、来年度中にはぜひなくするというふうな減額措置をとると同時に、整理基金の中におきましても、先ほども触れましたように、NTT株の収益というものを余り長期に余裕金として置いておく必要はないわけでありまして、過去に繰り延べてきた特例債の償還を早めるべきである。
それからさらに、一般会計から特別会計への定率繰り入れが停止されておるわけでありまして、これも財源確保の特別措置の一環として行われておるわけでありますけれども、この点につきましては、定率繰り入れというものはそもそも必要ないのではないかという見解も理論的な見地も成り立つわけでありまして、毎年臨時措置として定率繰り入れを停止するという形が妥当なのかどうか。私は、やや長期的に定率繰り入れを停止してしかるべきではないかということでありまして、大蔵省等がつくっております資金繰り状況表というふうなものを見てみましても、定率繰り入れは当年度はゼロになっておりますけれども、六十四年度以降はまた入っているというような形で計数が整理されておりますけれども、これはもう少し長期に定率繰り入れが停止するような形をとるようにしてもよろしいのではないか。これは一つの国債費の負担についての長期的な見通しとして、そういうことが言えるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/12
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013・宇田川璋仁
○宇田川参考人 お答えいたします。
国債費のうち、私は先ほど国債の発行を減らすということを申しましたが、今御心配なのはきっと利払いだと思うのですね。私は、そんなに心配することは全然ないのです。これは単純な算術なんですね。悲しむべきことですけれども、もう負債が非常に多くなっている。今度増し分というのは、年々のふえてくるのは小さいのです。フローとしてのGNPは大きいですから、これは学者も言うわけですけれども、簡単な微分方程式とか算術を使いますと公債費はふえることはないのです。収束します。もう今がピークです。これから減るだろうと思います。だからそういう意味で、国債利払い費はもうピークであると思っていただいていいだろうと思います。
だけれども、じゃ国債利払い費が出て問題は、借金の利子を支払うということは国家最大の義務費ですね。しかし、国内的に見ればこれはトランスファーでありますから、もし利子費が出てそれが何人かの所得になるということであれば、いわば利子所得に対して公正な税負担を求め、そして国庫に還流させる。国庫からの支出は、先ほど申しました簡単な算術でこれ以上急増するということはございません。それが私の意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/13
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014・神谷健一
○神谷参考人 お答えします。
日本の今置かれている国際的な立場から見ますと、やはり日本はどうしても内需主導型の経済としてやっていかなくちゃいかぬという問題と、一方では財政体質を再建しなきゃいかぬという、二つの非常に難しい問題をうまく解いていかなければならぬということにあるわけでございますけれども、私はやはり最近の御当局の御努力を見ますと、財政体質もかなり明るい見通しができてきた。時間のかかる問題ですが、改善の方向に向いているということを評価しているわけですが、基本的には、やはり適切な財政金融政策によって日本経済の安定的な、持続的な成長を維持する。それからもう一つは、何と申しましても行財政改革を中長期的観点に立って進めていく。こういう二つの努力によって、時間をかけながらもやはり財政体質を直していくのが一番肝心ではないかと思います。現に英国も、戦時国債を償却していくのに非常に長い時間をかけながら少しずつ改善してきたという実績もある。我々もやはりそういう方向でやって努力をしていくべきである、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/14
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015・野口幸一
○野口委員 大体、三先生とも同様な御意見でございますが、そういたしますと、政府が言う財政再建という言葉ですが、その財政再建というのは三先生から考えられますと、どの時点をもって財政再建成れりという言葉になるわけですか。何か聞いていますと、特例公債がなくなればあとは国債発行というのはいいじゃないかということであるならば、財政再建という言葉は特例公債脱却によって成れりということになるわけですか。その辺のところはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/15
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016・和田八束
○和田参考人 財政再建という言葉につきましては、御指摘のように必ずしも十分な定義といいますか、明確なものがあるというふうには理解しておりません。最も狭義に財政再建と言われる場合には、大蔵省などで用いられておりますように特例公債発行からの脱却ということでありまして、新規債が、特例債がその年度において発行されないということが一つの最も狭義の財政再建ということでありまして、従来財政再建計画というふうなことで一定の行政的な目標として掲げられていたのはその点だろうと思います。その点が実現し得る見通しがついてきただろうということであります。
しかし、さらに広く考えれば、四条債も含めまして財政の赤字的な体質というものはなお残るわけでありまして、従来十数年行われてきた財政運営の非常なツケでありますとかあるいはその後遺症というものはなお残っているわけであります。例えば地方財政との関係、いわゆる地方財政へのツケ回しでありますとか、それから特別会計等からかなり資金的なやりくりをしておりまして、これも残っているということで財政が相当わかりにくくなっている、秩序が混乱している部分がかなりあるということであり、さらに四条債等も含めますと公債依存度がなお二〇%近くを占めるというふうなことであるとすれば、諸外国との比較からいいましても改善すべき点が残されているということでありますので、そういうことからいえば財政再建はまだ相当努力しなければならないということになろうかと思います。
さらに、行革等も含めまして歳出の見直し、洗い直し、それから国と地方との財政関係の明確化、さらに税制改革というふうなことも含めまして財政全体のあり方、それから長期的な計画というふうなことについて合理的な、国民的な判断といいますか、コンセンサスを得るというふうな、こういうことになりますと、これは予算そのもののあり方の問題というふうなことも従来指摘されたこともありまして、そういう財政全体の合理性というふうなことからいいますと、これはまだまだその問題について端緒さえ見当たらないということでありますので、これはオイルショック以降いろいろ財政危機が言われたところで、やはり財政の根本的な体質改善が必要だと言われてきた諸問題につきましては非常に進んでいない、むしろそういう赤字財政のもとで立ちおくれていた面すらあるわけでありますので、そのように最大限といいますか、非常に広く財政再建という問題を考え、質的な点を考慮するならば、これはまだまだ不十分であります。まさにこれからであるということであります。
ただ、最初に言いました狭義の財政再建というのも、これは意味としては狭いわけですけれども、問題としては必ずしもどうでもいいということではありませんので、それが一つクリアされたということを一つの契機にして、さらにもっと質的なあるいは根本的な財政再建へ向けてひとつ着手していただきたいと考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/16
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017・宇田川璋仁
○宇田川参考人 お答えいたします。
私のお答えというのは簡単で恐縮でございますが、それは公債をどう見るかということです。財政再建の定義は公債をどう見るか。だから公債はない方がいいということになりますと、それではこれからいろいろ始めようとする一国の社会資本の費用を税金で負担していいか。そうすると、やはりこれは今の人間はたまらぬ。何百年も使うような資産を税金でやる必要ないじゃないか、いわば世代間というふうにお互いに負担していく。そういう意味で、恐らく四条公債に対しては差別をつける。
それに対して赤字国債は、私は国家公務員の端くれでございますが、端的に言ってしまえばそういう国家公務員を食わしている、公債で食わしている、後に残るのは負債のみ、アセットは残らぬということでありますので、これは先ほどの公債の有資格者としては将来世代にはただツケだけ残すということで、やはり赤字国債ということは問題になっているし、そういうふうにいろいろなところで説明されてきたし、私もそれには、細かい議論はありますが大筋として賛成いたします。したがいまして、財政再建ということは、資産をどのように税金と公債と分けて配分できるかという余裕が判断できるとき、それが財政再建の時期だ、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/17
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018・神谷健一
○神谷参考人 お答えします。
私ども財政の専門家でございませんので、どの時点をもって財政再建ということはちょっと申し上げることはできないのですけれども、感じと申しましては、やはり一つには後世に負担を残さないということは大事だと思います。そういう意味では、やはり赤字公債から脱却というのは当面の一つの目安になるかと思います。それからもう一つは、何といいましても御当局の目から見て財政が弾力性を持ったような状態、そういう状態になることがやはり一つのポイントではないか、そう判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/18
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019・野口幸一
○野口委員 これも見解の相違かもわかりませんけれども、私は、いわゆる国債費の利払いが少なくとも財政の歳出の二〇%を超えるこの状態は、何としてもやはり脱却をしていかなければいけないのじゃないだろうかという観点に立って物を申し上げているわけで、宇田川先生だと相当そのくらいのものは、ある程度これからのGNPの伸びだとかいうことを考えれば、そういう負担は余り深刻に考えなくてもよろしいというようなことでございますが、そうなってまいりますと、少しくきょうのいわば参考人の皆さん方にお聞きをする問題ではないかもわかりませんけれども、いわゆる税制改革に関連をいたしてまいります。
その税制改革は何のためにやるのかということになってまいりますと、一般的に私どもに言われておりまする問題としては、財政再建のための財源確保、それから将来にわたるところの社会保障に対する財源確保、それから所得税減税が必要だからそのための改革が必要だ、あるいはまた税制内部におけるところの欠点、ゆがみを直すために改革が必要だ、もちろんこれは間接税も含めてでございます。そういった点で、税制改革を進めなくてはいけないのだということになっているわけでありますが、そういたしますと先生方にお聞きをいたしますが、税制改革の中核に置くべき課題というのは、一体何を目標に税制改革をやらなければならないか。いわゆる財政再建のためには、税制改革は今の段階ではそんなに必要ではないんじゃないかというようにも受け取れる面があるわけでありますが、いかがでしょうか。この点については、一応三人の先生方にお聞きをして、御意見をちょっと伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/19
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020・和田八束
○和田参考人 これも大変大きな問題でありまして、どういうところから問題を申し上げていいか、あれですけれども、税制改革……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/20
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021・野口幸一
○野口委員 ちょっと済みません。
先ほども申しましたように、きょうは参考人の皆さん方に自分の思うとおりに、思う存分お話をしていただくということでございますので、私ども余り意見を差し挟んで反論をしたり、先生方に御意見を申し上げるつもりは全くございませんで、皆さん方にどうぞ自分の思うとおりにしゃべっていただきたいと思っておるわけでございます。特に、一番最後にお話しになりました神谷参考人に申し上げますが、最後につけ加えて国債発行の問題だとかあるいはまた郵政省にかかわる問題、私が郵政省出身であるということを御意識なさっておっしゃったのかどうかわかりませんが、いずれにいたしましても、好きなことを少し自分の思うとおりにしゃべっていただきたい。私はきょうは反論をいたしませんから、どうぞ御自由にひとつ話をしてください。今の話もそうでございます。先生、どうぞお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/21
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022・和田八束
○和田参考人 いろいろあるわけですけれども、税制改革につきましては各種の世論調査などを見ますと、かなり国民の多数が税制改革を行うべきであるというふうに考えているという結果が出ております。しかし、税制改革の中身ということになりますと、意見が非常に分かれているのではないかというふうに思われるところがありまして、現在問題になっている大型間接税などを含む税制改革につきましては、必ずしも賛成が多いという結果が出ていない場合もあるわけです。したがいまして、税制改革といいましてもいろいろな受け取り方があるわけでありますが、私は今の論議を見ておりますと、なぜ税制改革が行われなければならないのか、その内容は何かということについて、不明確であるという印象を持たざるを得ないわけであります。
これは、税制改革が必要であるという国民サイドの希望というものもかなり漠たるところがありまして、恐らく不公平を是正すべきであるという意見が相当強くあらわれているものだろうと思いますけれども、それはサラリーマンの税に対する不満であったり、その他土地をめぐる税の不公平であるとか、それから最近における財テク等にあらわれておりますような、いろいろな資産運用等で相当収益を得ているというふうな部分に対する税の不平等感でありますとか、あるいは企業税制をめぐる不合理といいますか、こういうふうなものもあるわけでありまして、それらを含めた一つの不満が出ているように思いますので、やはり従来一般的に言われてきた不公平税制の是正ということが、端的に言えば国民サイドにおける一つの強い要望となってあらわれているわけで、税制改革もそうした国民の不平不満といいますか、そういうものに対応するものとして行われる必要があるのではないか。
これらはいろいろ指摘されておりまして、例えばサラリーマンの税の不公平感というのも随分昔からあるわけであります。これに対応するために、さきの税制調査会の抜本改革のところでは、給与所得控除の中にも必要経費の控除をかなり認めるという制度的な改革なども答申されたことがあったわけですけれども、出てきた結果は特別控除というふうな形でほとんど利用価値のないものにとどまっているということで、結局サラリーマンの不公平感というものに対する是正措置も行われていない。こういう現状のもとでさらに税制改革というスローガンを掲げても、一体これがどこへ向かっているのかということがはっきりしないわけでありまして、新聞の報道などを見ますと、結局それは大型間接税といいますか、間接税の改革というところにいく、直間比率の是正だということになって、そこのところにすべて収れんしていく形になっているような印象を受けるわけでありますけれども、その点でいいますと、私は、現在の間接税制度に理論的あるいは根本的な欠陥があるというふうには考えてないわけでありまして、制度の運用上、課税のそれぞれの部分的な問題については幾つかありますので、それらを是正するということは当然必要なことでありますけれども、現在の間接税、つまり個別間接税制度であるというこの原則について、それほど根本的な欠陥があるというふうには私は考えていないわけであります。
それから、所得税が三分の一ですか、法人税が大体三分の一ぐらい、間接税が三分の一ぐらいというふうな税の収入分布というのは、それ自体としてはかなりバランスがとれているわけでありまして、何か日本の税制度が非常に偏っている、バランスに欠けているというふうにも考えないわけであります。
また、諸外国の動きがこうであるというふうなことが言われるわけでありますけれども、どうも税をめぐる社会経済的条件を見ますと、共通している部分もないわけじゃないわけですけれども、やはり歴史なり成り立ちからいいますと、日本とヨーロッパの状況というものはかなり違うところがありまして、多くの国々でいわゆる付加価値税タイプの税が採用されているからといって、日本がそのような条件にあるかということについては、私はそうは考えていないということであります。
いわゆる税制改革そのものを私は否定するものではないわけであり、そのように非常に国民的要望が強いということはあるわけですけれども、その国民的要望はどこにあるのかということを明らかにして、それに対応するような税制改革をすべきでありまして、そのような税制改革という国民的要望を別の方向で、何といいますか、間接税制度というところに結びつけていくという形での現在の議論というのは、いささか偏っているのではないかというふうに思っております。個々には、私は私なりの意見というのがありますけれども、またほかの方もいらっしゃいますから時間があれば申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/22
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023・宇田川璋仁
○宇田川参考人 簡単に申し上げます。
税制改革は財源確保のためという問題は終えました。故大平さんのときは、そのころの税調会の資料を見ましても、増税なかりせば財政再建はない、構造赤字だと言ったわけでありますが、そういう問題は先ほどまでの議論で、その必要はなしと私は判断いたします。
それで、税制改革というものはどうか。これは、ここで一時間ぐらい時間をいただければいいのですけれども、できません。税制というのは非常に難しいですね。しかも、これは一種の憲法みたいなものでありますから、五年を切って、この間だけの臨時特例の税制改革じゃなくて、今後十年、二十年、三十年続く、そうすると、税というのは歳出の一補助金とかと違って、ここにもいらっしゃいますが、金融、企業、消費者、それからいわゆる従業員、非常に難しい。いわば、初めに方向づけなんて出るものじゃないですね。
アメリカの税制改革は、チャールス・マックルワーといいまして世界でナンバーワンと言ってもいいタックスの専門家にほとんどイニシアチブをとらせて、彼が徹底的に考えてレーガンさんに提出したわけです。それをレーガンさんが政治的判断で国会に提出する、そういう段取りが極めてできている。だからレーガンのところに提出された税制改革は、システマチックでフェアネスでシンプルでということが出てくる。私も、チャールス・マックルワーその他読みましてそれなりに――もちろんアカデミックレベルでの話はいろいろありますが、しかしシステマチック、日本の場合は、政府税調会であれどこであれ、システマチックでない、初めから個別。
だから私は、税制というのは先ほど申したように、基本的な任務で最終決定はここにいらっしゃる政治の方々がなされても、しかしそれに対する情報、分析というものは十分にやる、今の政府税調会方式はだめであると思います。だからひとつ、例えばチャールス・マックルワーでも、シャウプも来たわけですから、シャウプ先生はコロンビア大学を引退されてもう白髪のおきなでありますから、次の、もしだめだったらば別にアメリカから来なくても、英国からでもフランスからでもドイツからでも、共同のセオリストを呼んで一応たたき台をつくって、そして政治的にこうしようという御判断を下すというのがよろしいのじゃないかとかねがね思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/23
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024・神谷健一
○神谷参考人 私、考えますのに、やはり日本国民の皆さんの間には、今の現行税制に対してかなりひずみがあるというお気持ちの方が多いのじゃないかと思います。そういう観点から、所得、消費、資産の間にバランスのとれた税制がいかにあるべきかということは、やはり検討すべき時期に来ているのじゃないかと思います。
それとともに、私もう一つ特に強調したいと思いますのは、経済のグローバリゼーションということで日本の経済が世界の中に組み込まれてまいりますと、日本の税制が国際的な税制度の中でどの程度の権衡を保っておるか、そういう点からもよく見直していかないと、余り形態違いな税制でおりますと、日本経済の空洞化につながるおそれもあるのじゃないか、やはりこの際その点の見直しも必要じゃないか、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/24
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025・野口幸一
○野口委員 和田先生にお聞きをいたしますが、先ほど先生は、税制改革問題の中核は何を重視してやるべきなのかという私の質問に対しまして、不公平税制がまず挙げられる、こういう御趣旨であったと思います。私どもが心配しますのは、それではこれから将来にわたって、国民負担率というのは上げなくてもやっていけるということになるのかということを私なりに考えますと、少し無理ではないだろうか。現在の三六%程度ではどうしてもやっていけないのではないだろうか。
というのは、福祉社会というものがやはり非常に高度に求められてまいります。例えば今までだったら、恐らく最低生活保障というのから始まります社会保障がある程度ゆとりのある生活保障という形にもなりましょうし、国民の願望が非常に多様化してまいりますと、福祉に対する考え方もまた多様化してまいります。そうしますと、それはもちろん税とか強制的な負担金だけではなくて、ある意味では、それを享受する利用者の負担という部分において、それぞれが個々に考えなければならない部分も当然また出てくるだろうと思います。例えば年金なんかの場合でも、国の年金あるいは企業の年金というものだけではなくて、自分自身が掛金を掛けて将来に備えていくということも頭に入れていかなければならぬだろう。いろいろなことが考えられますが、要は、この税制改革の目的というのに、特に最近やかましく新聞等に書かれております。老齢化社会に対応する社会保障に対する財源なんだ、こういう議論が出ているわけなのであります。この点は、一体今度の税制改革の中でぜひとも頭に入れて考えなければならない問題なのかどうなのか。不公平税制だけを是正すれば、もう税制改革というのはそんなに頭を使う必要はないとおっしゃるのですか。その辺のところを少し詳しくおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/25
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026・和田八束
○和田参考人 見通しですからなかなか難しいところがあるわけですが、長期的に考えますならば、やはり高齢化社会というものの到来は国民負担率の上昇とかなり相関しているということでありますので、今後次第に国民負担率が上昇してくるということは十分に考慮しておかなければならないということであります。
ただ、どういうシステムのもとでそのような国民負担率がもたらされるかということについてはまだ十分な見通しが立っていない、見取り図ができていないわけでありまして、例えば定年制の問題につきましても、六十歳なのか六十五歳なのかというふうなことでも大分違ってまいりますし、それから税と、いわゆる社会保障費負担といいますか、こうしたものとの関係をどうするのかというふうなことでありますとか、それから社会保障費の負担につきましても、なお負担のあり方というものが現在のような形でいくのか、あるいは企業負担と本人負担との関係はどうなるのかというふうなこともありますし、それから移転的支出の水準なりあり方というふうなことについてもいろいろなまだ考えられるべき点があるということでありまして、そうしたことを考えますと幾つかの選択肢が可能であろうと思いますので、それによっては負担率のあり方というものは、若干は変動があると思いますけれども、非常に大まかに長期的に言えば次第に上昇してくるということはあると思います。
事実、ヨーロッパ諸国の場合には、我が国に比べますと一〇ポイント、さらに二〇ポイントぐらいの高い負担率を持っている国もあるわけでありまして、これは国民所得の上昇それから社会保障制度の充実、その他住宅等、社会資本あるいは社会サービスの拡充ということが行われてくれば、租税負担率だけで一般の国民の生活水準をはかるということはできませんから、これはそういうふうなコンセンサスが得られれば、国民負担率が上がってくるということも十分納得できることだろうというふうに考えますけれども、今言ったような幾つかの問題点というものを早く明確にすべきであろうと思います。
それから、国民負担率が上がっていきますと、そこにおける不公平感といいますか、そうしたものはやはり次第に増大してくるということが言えるわけでありますので、これは税に対する関心が高まってくるということであって、決して悪いこととは言えませんけれども、負担感の問題で言えば、やはり我が国においてはサラリーマンの給与所得の部分というのはかなり大きいわけでありますので、そこにおける税率の問題ということで言えば、実効税率の形というものが負担感の一つの具体的な根拠になると思うのです。従来税率の問題については、どうも限界税率の段階の面で主として議論がなされていて、その限界税率区分が少なくなれば負担感が軽減されるのではないかというふうな考え方が税調等では出されているわけですけれども、必ずしもそれだけでは不十分でありまして、実効税率の面で考えますと日本の税率は、戦後といいますか、高度成長以降のインフレの時代に十分に修正されなかったということのために、中堅以下のサラリーマン層のところでかなり負担感が強いということは否定できないわけであります。
それからもう一つ、課税ベースの点が不公平感の原因になるわけでありまして、課税ベースの侵害といいますか、侵食といいますか、こういうのがやはり高度成長以降行われてきまして、非常な混乱があるわけでありまして、ここでやはりシャウプ勧告的な総合所得の総合課税といいますか、こうした原則を回復するということで、課税ベースにおける侵食というものをここで見直すというふうなことが必要だろう。不公平税制の問題というのは、そういうところにあるのではないかと考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/26
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027・野口幸一
○野口委員 それではもう少し、本当はきょうの議題、六十三年度の財政運営に必要な財源の確保という法律に対する参考人の方々に対する質問にはちょっと外れてまいって恐縮なんでありますが、やはりどうしても私ども税制改革の問題が頭から抜け切れませんので、宇田川先生にお尋ねいたしますが、財政再建の財源確保のために税制改革は必要ではない、先ほどこうおっしゃった。その点について、もう少し詳しくその理論を展開していただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/27
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028・宇田川璋仁
○宇田川参考人 詳しくと言ってもあれなんですが、要するに、財政の赤字国債問題が増税なかりせば解消し得ないということから、昭和五十一年から始まったわけでありますから、その問題は消えたということですね。なぜ消えたかというと、それは結局言ってしまえば、企業も含め個人も含めて国民の自然増で消したわけです。去年ぐらいからようやく減税ということがあったわけで、それまではほとんど減税がないわけでありますから、もちろんゼロシーリングその他の財政当局あるいは国会その他の歳出についてのシビアなコントロールも役に立ちましたけれども、自然増でやってきた。その限りにおいては、その限りといいますか、そういう赤字国債問題ということを課題とする仕事はもうこれで消えたわけでありますかということですね。
それでは、現行税制ということをどうしようか。これだけ納税者も、従業者のどのくらいですか、ほとんど八割九割ということになっていると思いますが、そういう税制改革が必要なのか、あるいはそうでなく、このまま歳出等に振り向けていくのか等々のいろいろな選択というものがもちろん起こってくるわけでありましょうし、それから今首相がお話しになっておられるように、税システムの方の内容が問題だ、竹下さんもそうおっしゃっていて、たしかどこか新聞で私見ましたが、税制改革は財政再建ではない、税プロパーの話になってきた、これが大体一致したところだと思います。税プロパーというのは何かというところで話を進められる段階になったという意味において、財政の財源ということではないだろう。その点では私も、事実そうでありますから、その限りにおいては認めるわけでございます。
したがいまして今後の実態は、先ほど言いましたように、税制それ自体が安心して議論できるんだから、これについては相当徹底して、税プロパーの論理を十分尽くしてくださいというのが私の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/28
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029・野口幸一
○野口委員 大体わかってまいりました。税制改革の中核は、大筋としては皆さん方の御意見を私自身つかむことができたわけでありますが、世にやかましく言う税制改革の中に、何としても今日ぬぐい切れない問題として間接税の導入という問題がございます。
この間接税、大型間接税ともあるいはまたいろいろ名前は毎年変わるのでありますけれども、ことしは何か新型間接税という名前がついていますが、これは別に政府並びに政府税調がつけたわけではない、マスコミの方がおつけになった名前でありましょうけれども、いずれにしても間接税、広く導くということですからいろいろあるわけであります。この導入問題についてまず和田先生、どうしてもこの間接税を導入しなければ日本の税制というものは改革したことにならないのか、あるいはまた税制改革の中で、間接税を導入することによって不公平感というか、不公正に対する是正に寄与することができるのかどうなのか、その点についてちょっと御意見をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/29
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030・和田八束
○和田参考人 大型間接税というふうに普通言われておりますが、これは前回の税制調査会の抜本改革のところでも幾つかのタイプのものがあるというふうに例示されたりいたしまして、多段階課税のものを主として大型間接税というふうに言うわけでありますけれども、製造業者売上税、卸売業者売上税、小売業者売上税というふうなものも単段階では考えられるわけでありますし、それから累積型、非累積型ということで、タイプとしては非常にたくさんあるわけです。それらを全体として総括して大型間接税というふうに――我々は一般消費税というふうに言ってきたわけでありますけれども、一般消費税というのが個別税制の名前として用いられたことから今その名前が余り使われなくなって、大型間接税ということになったと思うのですけれども、どのようなタイプにいたしましてもそういった税制を導入するということは、現在行われている物品税を中心とした我が国の個別消費税にかわるものとして、提案されるということになろうかと思うのですね。
ですから、間接税がここで新しく導入されるというか、日本にもともと間接税がなかった、こういうことではもちろんないわけでありまして、現在でも間接税制度というものは存在しておりまして、一定の歴史を持って、日本の所得税、法人税などを軸とした税制の中で一定の役割を演じてきたということであるわけです。
その税制が非常に不合理である、ひずみを持っている、また世界的な潮流にも合致していないということで、これを改めるべきであるということが現在提起されていると思われるわけであります。したがいまして、そうした議論の前提には、先ほどもちょっとありました将来の福祉社会といいますか、社会保障費の増大という問題もあるわけですけれども、それはおいておきまして、税制そのものの問題ということから言えば、今申し上げましたような、現行間接税が行き詰まっている、非常に不合理、混乱が多いということから議論が出発すると思うのですけれども、果たしてそうなのか。そんなに現行の間接税制度というものは不合理で、混乱していて、不公平で、どうにもならないものであるのかということになりますと、私は、必ずしもそういうふうには考えないわけでありまして、国民各層のいろいろな意見を聞いても、現在の間接税制度というものがそんなにぐあいの悪いものであるというふうには、従来余り言われなかったと思うのです。
何かそういうふうなことを強く言われる人がいるようですけれども、私は必ずしもそうは思わない。しばしば、緑茶には税金がかかってないのにウーロン茶にはかかっている、おかしいじゃないか、あるいは桐のたんすはかかっていないのにベニヤ板のたんすにはかかっているのは、かえっておかしいじゃないかというふうなことが言われるわけでありますけれども、確かに話としてはおかしいわけですけれども、実際の経済流通あるいは消費生活の上でそれが非常に混乱したりおかしくなっているかというと、そうしたことはないわけでありまして、それは話としてはおもしろいから、テレビ、新聞等では話題にするかもわかりませんけれども、税制上それほどの問題はないわけでありまして、非常におかしければ、緑茶にも課税するあるいはウーロン茶の課税をなくせばいいわけでありまして、それはそれなりの一つの根拠なり考え方があって間接税の課税が行われてきたわけでございますから、それは非常なひずみであるというふうに考えられない。
それから、大部分の物品税は、酒税、揮発油税関係を除きますと、自動車とか電気器具というところに課税が行われているということでありますけれども、これによって国民生活を非常に圧迫したり、消費、流通、経済が混乱しているかというと、そういうことはあり得ないわけでございます。自動車とか電化製品というものは、過去何十年にわたりまして生産の効率化、合理化が行われてまいりまして、日本は国内需要だけではなくて国際的にもその市場を拡大してきたということでありまして、その間に非常なコストダウンがなされているわけであります。
税負担というものは、結局メーカーも負担しない、それから消費者も負担しないという形での、財政学の転嫁理論からいえば償却といいますか、変質といいますか、そういうふうな理論があるわけでありますけれども、そういうことでだれの負担にもなっていないわけでありまして、現に一〇%、二〇%というふうな税率があるにもかかわらず、秋葉原にしても新宿にしても、電化製品が非常に安く売られているというのが現状であります。
それではだれかが損しているかというと、だれも損していない。ただ国税収入としてはちゃんと上がっていく、ほとんどこれらにつきましては脱税が行われていない。物品税も、小売課税物品については脱税が指摘されたりしますけれども、大企業による自動車とか電化製品に対する課税はだれも負担しないで国税収入が上がってきて、そして脱税はない、徴税費はほとんどゼロである。こういう便利な点といいますか、立派な税というものは、国際的にもないわけであります。
それに対して、付加価値税の方で報告されるのは、むしろ何から何まで全部網をかけるわけでありますから、そこにおける混乱、それから徴税費の増大、それから脱税の増大というふうなことが、非常にヨーロッパでもイギリスでも指摘されているわけでありまして、もう少し冷静に現行の個別間接税制度と付加価値税制度というものを比較してみると、付加価値税制度というものを選択するという気には私はならないわけでございます。
現に、多くの国々がそのような付加価値税制度を採用しているということでありますけれども、これは一つは、ヨーロッパにおいてはECの経済統合、そしてその経済統合によって日本とアメリカの経済に打ちかつという大目的を持って行ったわけでありまして、これは一つのかけであったというふうに思います。それ以外に付加価値税を採用している国は、アジアの国々、南米の国々、アフリカの国々というところに見られますように主として発展途上国でありまして、輸出を増大させる、あるいは所得税、法人税などで税収をおよそ上げることができないというところでそのような制度がとられているわけでありまして、発展途上国においては私は理解すべき点があると思いますけれども、日本がヨーロッパ諸国に倣うという必要はこの点についてはないのではないかというふうに私は考えているということです。
では将来、高齢化社会における歳入がとても現行間接税では上がらないじゃないかということですけれども、私はそうは考えないわけでありまして、現行間接税制度の運用あるいはその若干の手直し、特にサービス関係に対して、現在の個別間接税は対応し切れないという部分は確かにあるわけでありますので、それについてはある程度考えていいのではないかというふうに思います。ただ、サービス業というのは非常に零細なものでありまして、つかみどころがないものが非常に多いわけでありまして、仮に税をかけたにしても、現在の府県税である料理飲食税とか、何か実態は見てもわかりますようにああいう零細なサービス業を追求していくというのは容易なことではないわけでありますので、サービス課税という点ではよほど考える必要があると思います。しかしながら、直接税制度の先ほど言いました課税ベースの見直しとそれから現在の個別間接税の合理的運用ということによって必要な財源確保ができないということは考えられない、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/30
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031・野口幸一
○野口委員 最後になりますが、三先生にそれぞれ一言ずつお聞きしたいのでありますけれども、国民経済研究協会というところから出されている提言でございます。公社公団が随分たくさんございますが、これをすべて民営化をしその株式を売却すれば現在の国債残高というものは完全に返還できるではないか、もっと公社公団を民営化してしまって、その株式を何も政府が持っている必要はないではないか、これを売却することによって約百三十兆から百五十兆という金が出てくるではないか、この際思い切ってそういう措置をとった方がいいのではありませんかという提言がなされておりますが、これに対するそれぞれの先生方の御意見を一言ずつ拝聴させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/31
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032・和田八束
○和田参考人 私も二十年ほど前に国民経済研究協会の研究員をしていたことがありますが、その提案は、必ずしも民営化して株を売ってその収入をというだけではなくて、政府のあり方といいますか、こういうことに関して提言をしたものだというふうに私も読みました。つまり、現在の政府というものは、かなり一般政府的な部門というものが拡大されてきて、それが財政面ではいわゆる大きな政府といいますか、こういう形になってきており、将来もそうした大きな政府がさらに拡大するということが予想されるということからいいますと、もっといわゆる民活的手法といいますか、こういうものを考えて、政府部門でも民間に任せてできるものはいっぱいあるじゃないか。現にイギリスなどでは刑務所も民間に任されるというようなことが行われておるようですし、そういう例はたくさんあるわけで、日本でも、つい先ごろまでは国有鉄道を民営化するなんておよそナンセンスだというふうに考えられていたのですけれども、やってみればかえってよかったというふうなことでありますので、郵便事業などもなるのかもしれませんけれども、そういうふうに考えてみますと、これは絶対政府でなければならぬというふうなものはないという、これは私の意見ではなくて、これが今の国民経済研究協会の出した意見でありまして、その辺について私は意見を述べる材料はありませんけれども、一つの考え方としてはあり得るのではないかということであり、それがひいて政府の歳入も生み出してくるとすれば、そう都合よくいくかどうかわかりませんけれども、NTTだってまだ株をそんなに出していったら今度は株価が落ちるかもしれませんからわかりませんけれども、一つの考え方としては私はあり得るというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/32
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033・宇田川璋仁
○宇田川参考人 こういう方式は、考え方じゃなくて、もうやっているのですね。英国がそうなんです。英国は財政再建をやったのですけれども、日本みたいにフローでやるという気は全然なかったのです。全部これは特に石油関係とかその他の資産売却、それによって財政再建はさっとできた。そういう意味で、我が国においても、今まではフローにばかり、つまり税収自然増、これは先ほどから私も言っていましたように非常に貴重な形で、そうではなくてばっさりと英国型でおやりくださる、そういう流れに即した今のような御提案は当然だと思います。ただ、日本ではそういう方式に対して猛烈に抵抗が強いということは私も外部の人間ながらよく存じ上げておりますので、なおさらその必要性を強調すべきだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/33
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034・神谷健一
○神谷参考人 これは極めて大胆な発想だとは存じますけれども、公社とか公団というのはもともと固有の政策目的を持って設立されたものでありまして、民業の補完とかあるいは民間の活動を誘導するとか、そういうような機能、役割を果たしてきているわけでございます。ですから、個々の機関を個別に民営化することが妥当であるかどうかということはそれぞれについて個別に十分検討をしなければいけませんし、その結果国民経済にどういう影響が出てくるか、あるいはまた幅広い観点から十分検討しなければいかぬと思いますので、この具体的な方法論が検討された上でないと私の立場からはちょっと何とも申し上げられないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/34
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035・野口幸一
○野口委員 どうも長時間ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/35
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036・越智通雄
○越智委員長 次に、宮地正介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/36
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037・宮地正介
○宮地委員 参考人の皆さんには、御多忙の中大蔵委員会にお越しいただきまして、感謝を申し上げる次第でございます。限られた時間でございますので、何点かお三人の方に順次質問をさせていただきたいと思っております。
最初に、先ほど来御陳述いただいた中におきましても出てまいりましたが、大蔵省のはじいたいわゆる税収見積もり、これが六十二年度の当初予算に比べますと、恐らく六兆円近い自然増収になるのではないか。第二次補正後におきましても二兆三千億から二兆五千億くらいの自然増収が出るのではないか。この自然増収の今後の活用の仕方につきまして、先生方から、一つは今後の内需拡大あるいは公共投資、こういう面の活用も検討できる、あるいは減税財源として活用することもできる、あるいは本来の筋としてその自然増収の余剰金については二分の一は国債の償還に充てる、こういうような基本の財政の原則もあるわけでございますが、この辺が政府としてはいま一どうも方向が明確でない、こういう御指摘もあったわけでございます。こうした非常に日本の景気が今拡大基調、好調な状況でございまして、今後六十三年度予算においても十分自然増収が見込まれるのではないか、こういう経済環境というものを考えたときに、先生方として、自然増収の活用の仕方についてもし独自の御見解をお持ちでございましたらフランクにお話しいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/37
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038・和田八束
○和田参考人 これも私が余りはっきりした考え方を持っているということではないのですが、確かに自然増収が増大してきたということは最初の方に私が申し上げましたように財政環境の大きな変化でありまして、それはそれで結構なことですが、しかし、どうも余り多くの自然増収が――自然増収という言葉自体にもいろいろな定義があるわけでありますが、相互に当初予算ベースで比較するのか、あるいは年度内での自然増収なのか、あるいは補正後なのか。昨年度のあれを見ましても、補正で出てまいりましたけれども、補正二回行われてもなおさらにまた剰余金の発生が予想されるというふうな意味でかなり大幅な自然増収というふうに言われているのですが、そのようにしばしば年度内において自然増収が出るということは、好ましいとは言えるのですけれども、予算のあり方とするともう少し厳密にする必要があるのではないかということで、年度内で減収が生ずるというのも大変困ったことですけれども、年度内で余り自然増収ばかり出てくるというのも予算的に好ましいことではないわけであります。かつて大蔵省はこの収入見通しにおいて減収を結果して、そういう経験があるので、かつては比較的自然増収を多く見積もった時期もありますけれども、最近は比較的シビアに見積もっているのではないかとさえ思われるわけでありまして、当初予算において自然増収といいますか税収の見通しというのはもう少し正確に計上するということが少なくとも国家予算においてはこれは原則的なことではないかというふうに思われるわけであります。六十二年度においては特にそういう点が印象にあった。
六十三年度についてはちょっと何とも判定できませんけれども、仮にそういうふうなことであるとすればもう少し厳密な税収見通しというものをつくるべきであるということで、その場合には、やはり国債減額ということが、当然ことでは、特に特例債を中心として、これは税収がないということで国債の発行があるわけでありますから、これは優先されるべきだろう。それからもう一つは、自然増収というのは、これは所得税、法人税、いろいろな税でありますけれども、やはり税負担の増大ということが一方にあるわけでありますので、そうした一定の減税というか税負担の調整措置といいますか、そうしたものについて考えるということになるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/38
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039・宇田川璋仁
○宇田川参考人 自然増、数値的には、私が持っております資料等を見ますと、昭和六十二年度当初予算で四十一兆、六十三年度現で四十五兆計上している。四兆円の当初予算に比べると自然増になっているということでありますが、補正で自然増を出してそしてそれを公債減額でやっているわけですから、当初ベースよりもいわばスタートを高く切っておりますので、はっきり言ってこれは過小であります。自然増はもう少し出るということはもう常識であります。
したがいまして、次の課題はその自然増収をどう使うか。公債減額、歳出増、減税とこの三つがあるわけでありますが、それは何を意味するかということを一つ一つ考えるべきだと思います。
私は結論は減税であります。なぜほかよりもいいかといいますと、歳出の方に振り向けて公共事業をやるということは、税金、これはどこの国でもそうなんでありますけれども、減税だけが唯一すべての国民に還元できる、歳出増は負担が地域的アンバランスがある、これは当然なことでありまして、そういうことよりも、今日、税制問題がこんなに関心があるとき、それに対する政治のチョイスとしたら減税がナンバーワンだということは当然であります。ナンバーツーが公債減額、ナンバースリーが歳出増、これが私のランキングでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/39
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040・神谷健一
○神谷参考人 私思いますのに、過去二回の緊急経済対策のせいもありましてこのところ日本経済はまさに自律的上昇気流に乗っているというのが現状だと思います。こういうときには、財政規模をどう考えるかというときは、むしろ私は財政再建路線にウエートを置いた政策運営が大事ではないかと判断しております。したがいまして、引き続き歳出規模の抑制も必要でありましょうし、また、これ以上公共投資をどれだけやるかという点についても慎重な配慮が必要であると思っております。そういう点も含めまして、今年度の予算は何と申しましても財政再建と内需拡大のバランスをよく考慮した案ではないかと評価する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/40
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041・宮地正介
○宮地委員 和田先生と宇田川先生は、まず減税を優先させるべきではないか、その次がどうも赤字国債の減額措置。今、国会で六十三年度の税制問題として最大の課題は、新税を導入しないで六十三年度でいわゆる減税をやる。こうなりますと、六十三年度減税の財源として、非常に大きなファクターとして自然増収の財源というものを私たち特に野党は強く求めているわけでございます。大変に幸いな経済環境によりまして、この補正後の自然増収につきましてもかたく見ても二兆三千六百億円ぐらい出るのではないか。中心的なものは、法人税の自然増収が補正後でも一兆二千二百億円、その次に源泉所得税の六千億円、申告所得税の二千六百億円、また先ほどお話のありました物品税の千五百億円、この辺がナンバーフォーで大体この自然増収の大きな財源になっております。
私たち、率直に言いまして、一つはそれではどこに減税すべきか、こういうことで、まあ第一義的には、先ほど来からお話のありましたように、サラリーマンの不公平感というのが特に中堅所得者層を中心に非常に強いわけでございます。そういう点から考えますと、こうした自然増収の限られた財源をもとに今六十三年度減税をやるとすれば、この財源の範囲ではやはり所得税のこうした中堅サラリーマン層を中心とした減税をまず重点的にやるべきではないのかな。相続税減税とか法人税減税、これは今後の抜本改革の中で当然検討されてくる。ただ、今自然増収という限られた財源で六十三年度減税というものをやるとすれば、第一優先順位をあえてつけるなら所得税減税を、特にサラリーマンを中心とした個人所得の減税をやるべきではないか、こういう考え方を持っているわけでございますが、和田先生と宇田川先生、その辺もう少し突っ込んで、もし六十三年度において減税をやるとしたらどういうお考えをお持ちなのか、お話をいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/41
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042・和田八束
○和田参考人 減税の財源は確かにあるということは御指摘のとおりで、非常に明らかになってまいりましたし、自然増収については、私は特例公債の減額ということも非常に重要な要素だろうと思いますけれども、当然減税に振り向ける必要もあるということでありますが、どのような減税をするのかということになりますと、必ずしも明確なところがないという感じを持っているわけであります。
それで、減税といいましても何を減税するのかということでありますが、これはもちろん所得税が減税の対象になるということは言うまでもないところでありますけれども、所得税の何をどのような形で減税をするのかということでありまして、当面のこの現行税制度内での減税を図るということもありますし、それからかなり所得税制そのもののあり方を根本的に変えるという形で減税が行われるというふうなこともあり得るわけでありますし、その辺の選択の問題もありますが、昨年度税率改正によって減税が行われたという点からいいますと、課税最低限の引き上げが残されているということであります。
課税最低限というのは主として所得控除、基礎控除、扶養控除、配偶者控除というものを指しているわけでありますけれども、それらも最近の改定では小幅なものはありましたけれども、やはり残されている部分ではないか。特に配偶者控除等はもっと大幅に引き上げる必要があるのではないか。配偶者特別控除というものが昨年度設けられたりいたしましたけれども、これはいかにもちょっと中途半端なものでありまして、必ずしも全般的にその効果が確認できないところもありますので、私は、基礎控除、扶養控除、配偶者控除という人的三控除をこの際引き上げるべきである、ただ、それがかなり高額所得層にも影響を与えるというふうなことであるとすれば、一定の消失控除等を配慮すべきではないかというふうに考えております。
それで、政府の方の考え方として、新聞などで伝えられるところによりますと、限界税率を簡素化するということで六段階程度にというふうなことでありますけれども、六段階なのか十段階なのかということは余り意味がないわけであります。私の意見では、余り最高税率を引き下げるということは必要ないのであって、中堅層のところでの負担緩和ということであればやはり実効税率を緩和するという意味で税率の区分を是正すればよろしいので、あえて最高税率の引き下げという点では賛成できないというふうな考え方は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/42
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043・宇田川璋仁
○宇田川参考人 減税の内容は当然所得税減税になりますが、所得税の減税方式は理屈から考えまして二つあるわけですね。一つは課税最低限。それから時々こんがらかって使われるのは、税率構造というようなことを言いますが、これは非常に紛らわしい。要するに限界税率を手直しするのかあるいはブラッケットを広げるのかということでありまして、私は、その論理を少し外しますと、課税最低限のアップ、これをすべきである。これはどういうことかというと、要するに納税者と非納税者をもちろん区別する。日本の場合は高度成長期には課税最低限のアップを中心とした。これは非常にいい方式でして、税率を手直しするよりも課税最低限、だからそういう意味では非常に貧しき低所得者に一番望ましい減税方式をとってきた。だから、あの精神を忘れないで課税最低限のアップ。その次が税率構造という場合の限界税率じゃなくてブラッケットを広げていく。これが物価上昇その他に対しても望ましい。物価調整減税なんという言葉がありますが、物価調整減税をやるとすれば税率を直してはいけないのですね。税率を直さないで課税最低限をアップし、それからブラッケットを広げる、こういうことを十分考えていただきたい、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/43
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044・宮地正介
○宮地委員 どうもありがとうございました。
次に、財確関係につきまして、特に六十三年度予算につきまして、大蔵省として中期展望を一月二十九日に国会に出されたわけでございます。この中期展望を見る限りにおきましては、六十五年度の赤字公債の依存体質の脱却が非常に可能になってきた。先ほど来もお話ございましたが、例えばNTTの売却益につきましては、一部無利子貸し付けによりまして民活あるいは公共投資、こういうことで一兆三千億円が六十三年度におきましてもそうした方向に活用される。当初、内需拡大、景気拡大というところにねらいを定めてそういう一つの手法をとったわけです。しかし、基本的には国債整理基金特別会計に入れて少なくとも赤字国債の脱却の役に立てていく。苦肉の策としまして、回り回ってその原資は最終的には一般会計に返ってくるということですが、今回、一般会計から産投に入れて、産投から地方公共団体なりあるいは民活なり、A、B、Cというその三つの形で無利子貸し付けをやる。こうした手法も非常にわかるわけでございますが、先ほど来のお話を伺っておりまして、六十五年赤字公債依存体質脱却をもし最優先するならば、まず国債整理基金特別会計にやはり全額戻すのが筋ではないか、こういう論もあるわけでございまして、先生方の中にも、先ほど来の陳述の中にもそうした御意見もあったわけでございます。
また、五十七年以来、いわゆる百分の一・六という国債費の定率繰り入れの停止の問題、これも六十三年度まで含めますと七年間停止されたことによりまして十二兆九千六百五十三億、約十三兆近い停止額があるわけでございまして、これも、考えようによっては特例措置としていわゆる財政のツケを後年度に負担を回す、こういうやり方の一つの例ではないか。
これだけでなくして、今まで、いわゆる大蔵省が財政運営をしていく中で、大変厳しい財政の中で、いろいろなツケ回しといいますか、後年度負担に回している財政運営の手法がたくさんあるわけですね。例えば、厚生年金等への繰り入れなんかも五十七年度から六十三年度まで合わせると約二兆七百三十億円、あるいは一番大きな問題は交付税特会の運用部の借り入れの問題、これなんかは五兆八千二百七十八億円、こういういわゆるツケ回しといいますか、簡単に言いますと、政府が本来一般会計から出さなくてはならない原資がこういう形でいろいろやりくりされ、民間でいえばいわゆる借金の証文みたいなものが合わせると今二十四兆円に及んでいるわけですね。
こういう財政のやり方というのは、どうも何かその場のつけ足しのやり方ではないか。大蔵当局としても大変苦しい財政の中でやむを得なかったといえばやむを得なかったのかもしれませんけれども。こういうものをいずれかの時期に清算をしなくてはならない、こういうことを考えたときに、裏と表の関係に例えば新型間接税導入という問題の財源措置というものも一部やはり考えられているのではないか、こういう感じもするわけでございますが、こうした手法については当然先生方も御指摘、いろいろ異論があろうかと思います。ただ、そうした財政上の大変なツケ回しというものをある時期に清算しなければならない、こういうものが裏腹にあって、もしも抜本税制改革という中で新型大型間接税というものが導入されたとしたら、これはまさに政府の財政運営の失政のツケを大型間接税導入という新規財源によって清算をする、これはまことにゆゆしきことなのかな、こんな感じもしているわけですが、この点についてお三方の先生方の率直な御意見を伺えればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/44
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045・和田八束
○和田参考人 今最初にツケ回しということについてのお話がございまして、お話にありましたいろいろなところで過去に相当ありまして、一般会計の特別会計との貸し借り、それから国と地方との貸し借り、それらはほとんど我々には実態といいますか内容がよくわからないわけでございまして、この際、そうした過去の財政のやりくりといいますか、そうしたものを整理し清算するという時期になっていると思いますので、どれがどうなっているのかということを少し明らかにしていただきたいと思います。
臨時的措置として行われたことであっても、恒久措置に切りかえてしかるべきものもないわけではないと思いますが、いつまでも臨時的措置のままでなし崩し的に進むということは制度的にいって問題があるわけでありまして、特に地方財政との関係などについては早急にそういう問題の解決ということが出てくるのではないかと思われるわけでありますが、そうしたいろいろなやりくり上の清算、整理という問題とそれから次にお話しになりました新型間接税という問題とは必ずしも結びつかないというふうに私などは理解しているわけでありまして、もしもツケそういうことであるとすれば、話は全くそれとこれとは違うわけでありまして、新型間接税につきましては、私は、先ほどもちょっと申し上げましたように、税の基本的な問題として違った意見を持っているわけでありまして、それはそれとしていろいろ申し上げたいこともあるわけでありますけれども、ただ、今のツケ回しの事後処理でということになりますと、話はかなり違うし、従来議論の中では余りそうしたことが表面に出てきていたということはちょっと承知しておりませんので、もしそういうことであるとすれば、かなり話は違うな、問題が全く違うというふうに言わざるを得ないということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/45
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046・宇田川璋仁
○宇田川参考人 いろいろなことを政府はなすってきたわけでありますが、しかし結局そのやりくりは最終的には二つのところに行ったわけですね。一つは、財政法特例、国債を出さざるを得なかった。つまり政府御当局はみずから財政法に違反しているということを、きょうそういうことで呼ばれたわけでありますが、毎年毎年それをやらざるを得ない。つまり、天下に財政法にもとっている、そういう形でクッションをやった。もう一つは、今度は地方へ行くわけです。地方は結局、交付税その他ありますが、やはりしりぬぐいは地方債。地方債の場合は、御存じのとおり、昭和五十四年ですか、五十四年のとき国の場合と同じようにいわばすき間が非常に小さくなったけれども、地方財政の場合には健全地方債であり得た。そういう形で今日まで財政運営はそれなりに非常に巧みになさってこられたということで、私はその巧みなことは大変日本の行政当局の知恵のあることで結構だったと思うわけでありますが、そういう意味で、今日ツケの最後のところの赤字国債が消えようとしているわけですから、もうこれからのそういう意味のいわば現在の税法をもってして入ってくる金は、今後、先ほどからことで何回も申し上げておりますように、歳出に振り向けたらいいのか、あるいは減税に振り向けたらいいのかという、かなり余裕を持つ状況にある。
それで、そういうことを言うと、おまえは国債残高が多いことを知らないかと反論されますが、それに対して私は、国債利払いはピークに達している、簡単な算数から見て、国債利払いがふえるということはないんだ、こういうことを申し上げました。ですから、国債利払いの方についてもそう心配はない。だから今後の自然増収は減税と歳出増との間の振り向けに十分できると思います。したがいまして、間接税はそういう財政運営の財源として必要ないんですね。必要があるとすれば税制プロパーの話なんです。そこをはっきりと国民に十分示していただきたい。財政運営についてはそういう形で切り抜けました、残高もふえたけれども、そこから派生する利払いはかくかくのごとくであります、今後ピークからこういうふうに減っていくということをお示しくだすって、それでは税制プロパーの議論が安心してできる時期に来たので税制プロパーの議論をいたしましょう、そういうふうにクリアカットに議論をしていただきたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/46
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047・神谷健一
○神谷参考人 ただいま先生から財政のやりくりのお話がございましたけれども、これはまさに御当局が大変御苦労されているという現実の姿をあらわしているものだと思いまして、むしろ私は非常に大変だったことだと思っております。
それから、NTTの売却益でございますけれども、個人的な見解ですけれども、NTTの株はもともと国民の共有の財産でございますから、国民共有の負債である国債の償還に充てるのが原則ではないかと思っております。六十三年度予算におきまして、ただいま先生のおっしゃったように、無利息融資制度というものが設けられておりますけれども、その返済金は国債の償還に充てられるということになっていますから、やはり原則は守られていると思っております。引き続きこういう原則が維持されるべきではないかと私は思います。
それからまた、定率繰り入れの停止につきましては、これはまたやはり本来財政の健全性という観点からは定率繰り入れを実施すべきでありますし、早期にこれを再開するのが望ましいと思っております。しかし、六十三年度の定率繰り入れの停止につきましては、これを六十三年度に停止いたしましても、NTT株の売却代金で一応現行ルールによる償還には支障が生じないという見込みが立っているということ、また、仮に定率繰り入れをするとするならばその財源を特例公債に依存しなければいかぬという財政状態もあるという点から見ると、この六十三年度については定率繰り入れの停止もやむを得ない措置かと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/47
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048・宮地正介
○宮地委員 どうもありがとうございました。
先ほどから特例公債についてのお話も出ておりまして、特に償還ルールの問題ですね。現在では、建設国債、いわゆる四条国債と同じように、六十年償還ルール、これがやはり情換債になり特例債においても適用される。これから六十五年度の赤字公債依存体質の脱却ができたといたしますと、その次にやらなくてはならないのは、現在百五十九兆円の今年度末の国債残高のうち特例公債が大体六十九兆円あるわけでございまして、この特例公債の償還については次の段階として新たな償還ルールというものを、もう少し短縮した形のものをつくるべきではないか、これが後世に対する責任ではないのか。
まして情換債という方式になりましてから、この六十年償還ルールというものが、いわゆる十年に六分の一ずつ償還ということになりますから、仮に六十四年度に発行された十年物の情換債の特例公債というものは百二十四年にならないと全額完済にならない、こういう新たな措置が中曽根内閣のときにできたわけですね。これはまさに二十一世紀を超えてしまい、我々の孫の時代にまでツケが回っていくわけでございまして、先ほど来からお話がございましたように、建設国債と同じような償還ルールになっている現在の特例公債というものについては、別途新規の償還ルール、短縮した形のものを、赤字公債の脱却のできた六十五年度以降において、もしできたとするならば、これはもう前向きに積極的に政府が取り組んでいくべきではないか、こんな個人的見解を私は持っているわけでございますが、お時間もないわけでございますが、和田先生と宇田川先生にこの点についてお伺いをして終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/48
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049・和田八束
○和田参考人 その点につきましては、大筋として私も同じ考え方でございます。どのようなルールをつくるかというふうなことはもう少し考える余地がございますし、そうでないと、定率繰り入れについて私はどちらかというと余り積極的な意見は持っていないわけでありますけれども、仮に定率繰り入れを行うというふうなことであっても、定率繰り入れのそもそもの考え方というのは建設債に対応してできたものであるというふうに言われておりますので、そういう点からいいましてもちょっと整合性がないということにもなるわけでありますし、特例債についてはできるだけ早期償還ということを考えたいわけでありますけれども、一遍に過去の償還残が償還できないとすれば、おっしゃるように新しいルールというものが必要であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/49
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050・宇田川璋仁
○宇田川参考人 私が先ほど申しましたように公債に色分けをしているのは、要するに世代と世代の間の公平問題を考えるからだ、資産を残さない赤字国債というものは後世代にかわいそうだということでありますので、つまりその後世代の負担というものは利払いということであるわけですから、その利払いをなるたけ残さない、早めてやろうというのが償還ということでありますので、今の御提言に対しては私も賛成と申し上げさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/50
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051・宮地正介
○宮地委員 では、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/51
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052・越智通雄
○越智委員長 次に、玉置一弥君。
〔委員長退席、大島委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/52
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053・玉置一弥
○玉置委員 参考人の皆さん方には大変お忙しい中をきょうはありがとうございました。
財政再建は我々も非常に気にしながら日ごろから取り組みを行っているわけでございますが、もう御存じのように国債発行残高は百五十九兆数千億円、これからの将来を見通してみますと、償還に要するいろいろな費用が年々まだまだふえてまいります。ピーク時では二十六兆五千億という大変な数字になるということも一応仮定の計算で出ております。
現在赤字のいわゆる特例公債につきましては六十五年末をもって発行ゼロということで大体の見通しはついたようでございまして、先ほどの先生方の意見の中にも、もうことしからでもできるではないか、確かに我々もそういう感じがいたします。しかし、片方では減税論議をやっておりまして、財源確保という意味で痛しかゆしというところでございまして、そういう意味では言い方も若干変えて我々の有利なようにというところもあるわけでございますが、しかし、現実問題として、国債の償還は、財政硬直化という意味から見てやはりできるだけ早い時期に償還をしていく、それから特に孫の世代まで私たちの時代のいわゆる借金を背負わせたくない、こういう意味で見ているわけでございます。
現在の百五十九兆円の中で、特に新規発行の分、これが百六兆円、それから借換債がいつの間にか五十二兆円という大変な金額になっております。さらにその百五十九兆円の内訳で、建設国債が九十兆円、特例公債が六十七兆円、こういうことでございまして、私いつも思うのでございますが、今金融機関は金余り現象というお話がよく出ておりますけれども、本当にこのまま償還が順調にいって、今借換債が五十二兆円というお話を申し上げましたけれども、これは特に五十五年以降、この辺から大変苦しい財政運営を続けてきてやむを得ず借換債発行というふうに踏み切ったわけでございますが、このときの状況から考えていきますと、今の景気回復というのは非常に異例という、むしろそんな感じがするわけでございます。
国債の中で赤字国債につきましては六十五年の一応めどがついたわけでございますが、これでどんどんいきますと、建設国債があとずっと発行されていくだけで二百兆円を超えるという計算が出ております。超える時期は大体昭和七十六年ぐらいということでございまして、こういうふうに考えていきますと、我々の世代で基本的には赤字国債なりいわゆる国債と名のつくものの大部分の償還をしてしまわなければいけない、こういうふうに思うわけでございます。
ただ単に現在の財政の状況あるいは今の制度というものを見ていけば、今申し上げましたようにいわゆる二百兆円という大台に乗ってしまうというような国債発行残高が残るわけでございまして、その辺で、先ほどはできるだけ早い方がいいということもお話しいただきましたし、また借換債というのは異例だというお話もいただいております。また、自然増収を最も効率の悪い歳出に振り向けるべきだというお話をいただいておりますけれども、財政再建そのものというよりもむしろ国債の償還と消化、こういう意味から御意見をそれぞれ承りたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/53
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054・和田八束
○和田参考人 いろいろ御指摘のような問題というのがなお残っていることは事実でありまして、私の主たる主張は、先ほど来からも申し上げておりますように、いわゆる特例債ですね、財政法上もあるいは財政的秩序としても異常、異例な事態というものは早期に解消しなければならない、それで、整理基金特会に余裕金があるとすれば、過去に積み残している現金償還ができなかった特例債の債還に優先的にそれを行うべきであるというようなところが基調であります。
その点は申し上げているわけでありますけれども、建設国債の発行あるいは国債残高については、それほど悲観的なといいますか、あるいは否定的な見方を持っているわけではないわけであります。現在、国債というのは、確かにそういう残高として多額になってはきておりますけれども、国民総生産との対比で言いますと次第に低下するということはその数字からいっても言えるわけでありますし、それから利払い費も、経済成長との関係で言いますと負担が低下してくる傾向にあることは間違いないわけであります。その一方で、現在、国債が金融商品あるいは金融市場における一定の役割を演じているということは否定できないわけでありまして、そのことが日本経済にとって一定の役割を持っており、そしてまたそれが国内だけでなくて海外からの資金の流れをも規定しているというふうなことを考えますと、あながちこの国債はもう全部なくしてしまわなければならないというふうに考える必要はないわけであります。
それからまた、借換債は特別会計での発行でありますけれども、市場においては借換債も一般会計債も同じように流通しているわけでありまして、借換債については、やはり一定の市場の状況なり金利状態なりあるいは特会の一つの運営の仕方によって独立した管理政策を弾力的にやはりとっていくという一つの国債政策というものがここで確立される必要があるわけでありまして、財源債としては一応切り離して考えていくということが必要であると思います。
かつて国債発行に踏み切る昭和四十年代の当初においては、国債発行についてはやはり非常に否定的な意見があり、私もまたそういう考え方を長らく持っており、そしてインフレーション、クラウディングアウト、その他経済にとって非常にマイナスの要因が強いと言われたわけですけれども、実体経済の中では、他の幸いした要因があるのかもしれませんけれども、必ずしもそうしたマイナス面が表面化しないで、先ほど言いましたように一つの金融証券市場での国債市場というものを形成して一定の役割を演じているわけでありますので、その辺も考慮しながら、公共事業等についてはやはり一定の財源として建設国債を活用していくということは必要なことではなかろうかというふうに考えられるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/54
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055・宇田川璋仁
○宇田川参考人 整理いたしますと、赤字国債は、先ほど申しましたように、新規発行というものはまだこれからも後世代に負担を残す。それは消えてきた。だからそれまでは終わりました。したがいまして、次の課題は、赤字国債は過去に発行してしまっている。しかもそれは、利払いは、我々は資産を残さないで、後世代といいますか、我々はもちろん納税しますが、後世代の税金においてその利払いをさせていくというのですから、負のといいますか赤字国債をやめた、その次の段取りは赤字国債を早く減らすということです。それは同じ論理が続くわけですね。
それからもう一つは、建設国債は話が違う。建設国債をでは今度は税金でやっていいのかというと、税金でやるということは、逆に現世代がかわいそうじゃありませんかということですね。だから、現世代も負担します、後世代も負担しましょう、そういうバランスをとる方式が借りかえという方式で、借りかえによって六十年なら六十年の間に消えていくということですから、借りかえということのメリットがあるのですね。だから、その借りかえをそういう将来の国民と我々納税者のバランスをとりながらやっていくということが四条国債の借りかえの精神であろう、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/55
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056・神谷健一
○神谷参考人 私は、先ほども申し上げておりますけれども、やはりこの際財政再建路線が一番大事だと思っております。とりあえずはやはり赤字国債を六十五年度までに何としても解消すべきではないか、またそれもできるのじゃないかと思っております。
金融機関の立場からちょっと申し上げますと、国債につきましては、年間、我々のシンジケート団で八兆円の国債を引き受けておりますけれども、最近は発行条件も非常に市場実勢に合った発行条件で出されておりますので、これの消化自体は極めて順調に行っているという現状を一言御報告させていただきたいと思います。
また、特例国債につきましては、借りかえが発生しました昭和六十年からでしたか、六十年ルールというものでやってきておりますが、本質的に見ますと、やはり後世に負担を残さないという観点からできることならばやはり残高の減少を進めるのが本筋でありまして、その意味で、今後の財政事情にもよりましょうけれども、六十年間を絶対固定的なものと考えるのはまた問題があるか、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/56
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057・玉置一弥
○玉置委員 宇田川先生の方は、建設国債は現世代と後世代の費用分担、そういうふうな認識でお話をされて、なるほどなという感じがしたのでございますが、今までの状況から見ますと、建設国債は今まで一定のペースで絶えず発行されておりまして、片方、いわゆる公共事業のあり方といいますか、そういう面と何となくバランスが余りとれていないような感じがするわけです。
〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
日本の公共事業というものは、不思議なことに拡大はされるけれども縮小はされないというような傾向がございまして、どうも自民党さんが選挙のためにやっておられるような感じもするわけでございますが、いわゆるそういう経済原則から見て、今の公共事業のあり方、この辺について、どちらがいいですかね、宇田川先生、財政との関係で一言お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/57
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058・宇田川璋仁
○宇田川参考人 私が人身御供に上がっちゃいましたが、公共事業というのは先ほど確かに四条国債でやるべきであるということで、公共事業をやれば国債がふえるという当たり前の関係になっている。一応理屈としては、国民に資産を残すのだからそれ相応に公債発行してもいいじゃないかということで、今先生が御指摘のとおり、公共事業というものは、確かに政治家の先生方にとってはアトラクティブであるということはもう間違いないことです。
それはどうしてかといいますと、これは当たり前のことであります。というのは、いずこの国においても、税金は国民、地域において差をつけたらいけないというのです。ところが、歳出について地域その他について差をつけてはいけないという憲法はどこにもないのです。だから、アメリカでも日本でもいずこの国においても、デモクラシーのいいところ、そしてまたちょっと問題があるところという形で、公共事業というものは税金と違うような、いわば先生方の自由裁量のきくというようなことでそういうことになっているわけでありますから、そこら辺を十分全体としてお考えくださいまして、公債でやるとすればその負担は国民一般だ。なぜかと言えば納税者だからである。だから歳出のべネフィットはやはり国民全体に帰すべきだ。地域的な目立った配分をするということは、納税、コストと利益との対応を著しく欠くということは言えるわけでありますので、税金を財源とする以上、四条国債もそうでありますので、そういう点、つまり、納税は多くの地域の集まるところ、そしてばらまかれるところは特定地域ということのないように、ひとつ良識でお願いしたい。私は何か皆さんから人身御供で上げられましたので、それだけお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/58
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059・玉置一弥
○玉置委員 先ほどの話で、歳出そのものがどうも目的がはっきりしない、めり張りがない、こういうようなこともあったようでございますから、特に竹下総理の場合はめり張りという言葉が大好きで、とにかく大蔵委員会でめり張りばかり言っておりましたので、もっと我々もそういうふうな要求をしていきたいと思います。
神谷会長さんにお聞きをしたいと思います。
国債の消化は比較的順調で、なおかつ自主的な販売条件というのがそろってきたということでございますが、私たちは金融機関は本当に金が余っているのだろうなという感じを持ちますのは、累積債務の問題でございまして、累積債務が年々急激な増加をしております。世界全体では一兆ドルを超えるか超えないか、もう超えたと思いますが、そういう状況でございます。特に、我が国の民間の金融機関の中長期海外貸付残高、こういうのがございまして、五十九年末にこれは九百四十四億ドルだったのが六十二年の九月で二千億ドルを超えてしまっている、こういうふえ方をしておるわけでございます。
幾らお金が余っても、どんどんと貸し付けた先が返してこないと結局だれかが損をするという形になるわけでございますし、場合によっては金融恐慌、特に累積債務問題がそういうところに非常に結びつきやすいという話もございまして、今回は世銀のいわゆる第三者機関でその穴埋めをしようという動きがあるぐらいでございます。そういう状況から見て、特にアメリカの銀行あるいはヨーロッパの銀行なんかを見ますと、累積債務の貸付残高についてもう既に償却を終わっているところがあるというぐらいのスピードで対応しているわけでございますが、我が国の銀行としてこの累積債務問題をどういうふうにとらえて、今後どういう方向でやられるのか、それについてお考えをお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/59
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060・神谷健一
○神谷参考人 お答えいたします。
ただいまのお話のように、累積債務国の債務残高は一兆ドルを超えております。しかも、それらの国の年間の外貨収入に対しまして債務の方が四倍近い、要するに借金が年収の四倍ぐらいに上がっているというのが現状でございます。そしてその借金の中でも、大ざっぱな計算でいくと、最大の債権国がアメリカで全体の三六%、日本が一五%、英国がたしか一三%と、日本のウエートが非常に高い。そういう意味で日本の銀行に課せられた役割は非常に大きいというわけでございますが、世界の共存共栄のためには、この累積債務国が一人前の国として自立していけるようにしなければ、世界経済の破滅につながるおそれもあると思います。そういうわけで、我々金融機関としましては、債務国、債権国、我々民間金融機関並びに世銀、IMF等の国際金融機関の協調によりまして何とか先の見通しを立てていきたいと日々苦労しているわけでございます。
そのためには、例えば二年前のIMF総会で発表されましたベーカープラン、昨年のIMFで問題になりましたメニューアプローチとかいろいろな方策をやっておるわけですが、なかなか一概に簡単にはいかない。やはり長い年月をかけて辛抱強くやっていかなければいけないというのが現在の状況でございます。
こういう環境の中におきまして、アメリカ並びに特にヨーロッパでは、こういう貸し金を無税で三〇なり四〇ぐらい償却して銀行の財務面の健全化という面で努力していますが、日本におきましては、御承知のように海外投資等損失準備金というのは五十九年以降出しましたいわゆるニューマネーあるいはリスケの金に対して一%しか無税の引き当てがないという点で、我々は他の先進国から見るとかなりのハンディキャップを負っているという事実がありますので、我々としては後進国支援並びに銀行の健全維持のためにも、この点について御当局の御配慮を得たいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/60
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061・玉置一弥
○玉置委員 時間が参りましたので終わりますけれども、今の海外損失準備金の話も我々ふだんから大蔵当局にしているわけでございますが、我々の方もぜひ応援をしていきたいと思いますので、現状に合わせた税制の改正というか、一つの流れとして我々もそういう主張をしてまいりますので、ぜひ健全性というものを確保していただくようにお願いを申し上げます。
どうもきょうはありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/61
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062・越智通雄
○越智委員長 次に、正森成二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/62
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063・正森成二
○正森委員 短い時間でございますが、若干の問題を聞かせていただきます。
まず最初に、宇田川参考人に伺いたいと思います。
たしか野口委員の質問に対しまして、公債費もピークだし利払いもピークで、GNPはもっとふえているのだから大して心配がない、しかし、利子負担といいますか、利子所得には公正な負担を求めるべきであるという意味のことを、私は後ろの方でメモしておりましたので細かい表現は間違っているかもしれませんが、お聞きしたのですが、公正な負担を求めるべきであるようにおっしゃったその内容をもう少しお聞かせいただければ幸いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/63
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064・宇田川璋仁
○宇田川参考人 今先生のおっしゃったとおり私はお答えいたしました。簡単な算術から、公債費負担は、公債利子費はピークに来ている、あとはトランスファーだからこれをどうやって税金でつかまえて国庫に返すか。もちろん利子とか資産、配当というのは資産所得の最たるものですから、アメリカの税制改革、先ほど私もちょっと触れましたけれども、その精神を持ち出すまでもなく、それなかりせばフェアでシンプルで、アメリカのチャールス・マックルワーの言葉ですと、フェア、そこでコンマして、フォー・ビッグ・アンド・スモール、大所得者にも低所得者にもすべてにフェアであるということでありますので、利子とかキャピタルゲインというのは、これが適正に位置づけられなければ国民は説得されるものではないというのが私の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/64
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065・正森成二
○正森委員 大体わかりました。利子所得に適正なキャピタルゲインを課すべきであるという御意見のように思うのですけれども、残高を調べてみますと、その御指摘が当てはまる個人所有は一〇%前後に下がっているのですね。そのほかの部分が非常に大きい。そういうような点を考えますと、二〇%を超えている国債費の負担、それを軽減するという点を考えますと、一たん渡して後からキャピタルゲインでいただくというのは、個人に関する場合は一〇%ぐらいだ、残りは公的部門だとか法人ですから、別の考えがなければならぬというようにも思うわけですが、そこで和田先生にお伺いします。
たしか平和経済計画会議というのがございまして、「平和経済」というのを出しておられますね。それを拝見しましたら、先生は各論の三の部分をお書きになっておられるようであります。その部分を読ませていただきましたが、いろいろお書きになって非常に勉強させていただいたのですけれども、六十ページをあげていただきますと、先ほどおっしゃいました定率繰り入れは復活させる必要は当分ないというようなことも書いてございますが、その少し上に「特例会計としては、残存国債の管理に重点を置いて、高金利国債の早期償還と低金利借換債の増発など、極力利払費の圧縮にっとめる必要がある。」こう書いてございます。その箇所、おわかりになりますか。もちろん御自分がお書きになったわけでございますから。ここの部分を少し御説明いただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/65
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066・和田八束
○和田参考人 たまたまそれを持ってまいりまして好都合でしたけれども、今お読みいただいたところは確かに私が書いたということで書物にも書いてありますが、まず、特例会計というのは特別会計のミスプリントだと思います。これは私も今気がつきました。つまり、これは国債整理基金特別会計のことを指しています。したがいまして、一般会計での利払い費のための公債費支出をできるだけ圧縮するということはやはり一つの重要な問題点だろう、そのためのいろいろな手段というものはあるわけでありますけれども、特別会計としてはどういうふうに努力しなければならないかということでありまして、現在、過去の高金利国債がなお残っている部分があるわけでありますので、これについては優先償還をして、そしてそうでない場合には現行の低金利時代において借換債によって取りかえていく、これは、特別会計は減債基金であると同時に国債管理会計であるというふうにも理解して、今後はこの国債管理という面に非常に力点を置いていくべきである、これはひいては国民サイドからいっても利益になるのだ、そういう趣旨のことを言ったつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/66
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067・正森成二
○正森委員 つまり、端的に言いますと、かつての高金利時代に七%あるいは八%というような高金利の国債もございまして、それは当然のことながら利払い費として高くあらわれてまいりますので、今、金利が低くなっておりますし、国債の方もほぼ五%前後、ですから、結局そういう高い金利の国債を優先的に償還するといいますか、借りかえるというか、低利借りかえですね、そういう御主張と承ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/67
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068・和田八束
○和田参考人 大体そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/68
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069・正森成二
○正森委員 それでは神谷参考人に伺います。
こういう問題は私も大蔵委員会で取り上げたことがございますし、参議院でも取り上げられたことがございます。これについては、金融機関としては、金融機関も相当量国債をお持ちでございますし、シンジケート団として消化の第一線に立っておられるという点からいいますと、もちろん金融商品としては金利が高いのがいいのに決まっているわけでございまして、過去の相場で発行された有利なものが現在の低い金利で借りかえられるというのは、確かに持っている人にとっては不利なんですね。ですけれども、そういうことは法律的には不可能ではないという説がございますけれども、参考人としてはどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/69
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070・神谷健一
○神谷参考人 この問題、私も素人でございまして、余り詳しくないので間違っておるかもしれませんけれども、要するに、高利で出た国債を繰り上げ償還または買い入れ消却するということだと思いますけれども、金利が現在みたいに総体的に低いときには高金利の既発債は額面を上回る値段で取引されているわけでございますから、これを額面でもって繰り上げ償還ということになれば国債をお持ちになっている方にとって大変御迷惑な話になると思いますし、また、国債の約款の上から申しますとプレミアムをつけることはできないはずだと私理解しておりますから、結局額面以外では現状では繰り上げ償還できないのじゃないかという問題があると思います。また、買い入れ消却をするという場合に、これを時価で買い入れ消却したのでは必ずしも財政負担の軽減にもつながらないということで、この問題についてはいささか疑問を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/70
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071・正森成二
○正森委員 政府の答弁がそういう答弁なんですね。大体金利の高いものは百十五円とか百二十円とかなので、それを買い入れ消却するということになれば結局元が出ないということなんです。しかし、法律上は、券面にもいつでも繰り上げ償還できるということが書いてありまして、私どもが国会図書館で調べたのでは、それは可能である。ただ、今まで我が国にも、日露戦争後の戦時国債を繰り上げ償還したことがあります。借りかえですね。それからイギリスでも同様のことをとったことがございますが、そういう場合には、御指摘のように額面だけだと低利借りかえで余り味もそっけもございませんので、特別に国会で法律をつくりまして、一円五十銭とか二円五十銭とかプレミアムをつけるということで、金融機関の協力を得て実際上借りかえを完了したということは我が国でも国外でも例があるわけですね。
ですから、金融機関としては非常に御損といいますか不利だという点はあるでしょうけれども、今までマル優で税金がつかなかった人が、財政難だ、いや何だということで二〇%ぽんと利率を下げられているのですからね。大口のところは三五%から二〇%に下げてもらったわけですから、これは四割ですね。だから、そうだとすれば、仮に国会なり政府がそういうぐあいに踏み切っても、あながち乱暴だとか金融秩序を乱すということにはマル優廃止と対比して考えると言えないという点もあるかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/71
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072・神谷健一
○神谷参考人 お答えいたします。
現在、国債の利率は長期金利をベースにしてずっと決まってきているわけでございますね。この問題に対して、アプローチのいかんによっては国債の大幅な価格変動を招いて、その結果金融秩序にも混乱が来るということもあり得ると思いますので、やはりこの問題については慎重に検討が必要かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/72
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073・正森成二
○正森委員 参考人として伺っておりますので、反論はいたしません。
それでは神谷参考人にもう一つ伺いますが、このごろは実勢に基づいて、しかもシンジケート団引き受けが八兆円ぐらいですね。比較的、楽とはおっしゃいませんでしたけれども、スムーズに消化しているという表現をお使いになりました。それどころか、一説によりますと、このごろは昭和五十年代初期に比べると国債の発行高が割と少なくなってまいりましたので、ある意味では買い手市場というよりも売り手市場だ。大量発行の時分には、市中機関の消化がなかなか無理だったので、資金運用部資金ですね、そこで消化をするということで、最近はたしか三兆五千億円ぐらいですか消化していると思います。それに対して、金融機関あるいは証券会社等から、玉という言葉を使いますが、玉が少なくなっているので、十年前とは金融情勢が違っているので、資金運用部資金の引き受けを若干減らしてそれを逆にシンジケート団に回してほしいというような声もあるやに伺っておりますが、それらを含めまして、何か国会、政府に御希望がございましたら遠慮なくおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/73
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074・神谷健一
○神谷参考人 今お話しのように、シ団で年間八兆円扱っております。そのほか、たしか公募入札が七兆円くらいあって、それからお話のように資金運用部三兆五千億、それから郵貯が今度二兆ちょっとですか、というぐあいな大ざっぱな引き受けの配分になっているわけでございます。ただ一方、我々金融機関としましては、年とともに国債を扱う金融機関の数も拡大しておりまして、したがいまして、取り扱いが急速にふえている、ディーリングの扱いもふえているというのが現状でございます。こういうような状況を踏まえますと、国債の引き受けの内訳について弾力的な御配慮をいただければという気持ちは持っているというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/74
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075・正森成二
○正森委員 少し早いですけれども、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/75
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076・越智通雄
○越智委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人各位には、御多忙のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)
次回は、来る十九日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204629X01019880413/76
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