1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年三月二十五日(金曜日)
午後二時二十九分開議
出席委員
委員長 松本 十郎君
理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君
理事 片岡 武司君 理事 渡海紀三朗君
理事 西田 司君 理事 山下八洲夫君
理事 草野 威君 理事 岡田 正勝君
石橋 一弥君 金子 一義君
北村 直人君 熊谷 弘君
鈴木 恒夫君 高橋 一郎君
武部 勤君 谷 洋一君
友納 武人君 中山 利生君
平林 鴻三君 松田 岩夫君
加藤 万吉君 佐藤 敬治君
沢藤礼次郎君 中沢 健次君
細谷 治嘉君 安田 修三君
小谷 輝二君 柴田 弘君
石井 郁子君 経塚 幸夫君
出席国務大臣
自 治 大 臣
国家公安委員会
委員長 梶山 静六君
出席政府委員
警察庁刑事局長 仁平 圀雄君
警察庁交通局長 内田 文夫君
自治大臣官房審
議官 湯浅 利夫君
自治大臣官房審
議官 前川 尚美君
自治省財政局長 津田 正君
自治省税務局長 渡辺 功君
委員外の出席者
法務省刑事局参
事官 馬場 義宣君
通商産業省機械
情報産業局自動
車課長 中川 勝弘君
運輸省地域交通
局陸上技術安全
部管理課長 豊島 達君
地方行政委員会
調査室長 大嶋 孝君
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委員の異動
三月二十五日
辞任 補欠選任
染谷 誠君 平林 鴻三君
渡部 恒三君 熊谷 弘君
渡辺 省一君 武部 勤君
中沢 健次君 沢藤礼次郎君
寺前 巖君 石井 郁子君
同日
辞任 補欠選任
熊谷 弘君 渡部 恒三君
武部 勤君 渡辺 省一君
平林 鴻三君 染谷 誠君
沢藤礼次郎君 中沢 健次君
石井 郁子君 寺前 巖君
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三月二十五日
昭和六十二年度における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七六号)
同月二十四日
留置施設法案の廃案に関する請願(岡崎万寿秀君紹介)(第一〇一七号)
同(児玉健次君紹介)(第一〇一八号)
同(柴田睦夫君紹介)(第一〇一九号)
同外一件(中路雅弘君紹介)(第一〇二〇号)
同(中村巖君紹介)(第一〇二一号)
同(加藤万吉君紹介)(第一一〇九号)
同(柴田睦夫君紹介)(第一一五〇号)
同(広瀬秀吉君紹介)(第一一五一号)
留置施設法案反対に関する請願(瀬長亀次郎君紹介)(第一〇二二号)
同(広瀬秀吉君紹介)(第一一五二号)
固定資産税・都市計画税の引き上げ反対に関する請願(木内良明君紹介)(第一〇二三号)
同(中路雅弘君紹介)(第一〇二四号)
同(松本善明君紹介)(第一〇二五号)
同(加藤万吉君紹介)(第一一一〇号)
同(松本善明君紹介)(第一一五三号)
同(矢島恒夫君紹介)(第一一五四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/0
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001・松本十郎
○松本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田正勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/1
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002・岡田正勝
○岡田(正)委員 質問に先立ちまして、民社党・民主連合を代表して、本日はぜひ申し上げなければならないことがあります。それは、皆さん御承知のとおり、楽しかるべき修学旅行に向かいました高知学芸高校の皆さんが、昨日、上海の郊外で列車の大事故に遭われたことであります。春なお浅き今日、桜の花に先駆けて若い生命を異国の地に散らされました皆さんとその御遺族の皆さんに対し、謹んでお悔やみを申し上げる次第であります。
また、聞きますところによりますと、大勢の不明の方々がおいでのようでございます。その方たちの御無事を心から祈願いたし、負傷者の皆さんの一日も早い御全快を心からお祈り申し上げたいと思います。
さて次に、私は大臣にこの機会にぜひお礼を申し上げたいと思うのです。それは、去る三月二十二日、当委員会におきまして質問をさせていただきました。社会正義に関して三つの案件を出して大臣の所信をただしたところでございますが、梶山大臣は私の意見に深く共鳴をされまして、こう言われました。人の災難を見過ごしにはできないという風潮を助長しなければならないと私は思いますと、大変力強い決意を表明していただきました。私は信じたいのです。そのおかげであったと思うのでありますが、淡路島の何回も何回も空き巣ねらいに入られた単身赴任の銀行員が、ことしの一月に、今度来たらというので用意しておりましたバットを持って空き巣ねらいを殴りましたところ、不幸にして死んでしまったという事件がありました。その件が起訴猶予になったということをお知らせを受けたのであります。私は本当にうれしかったのです。心から大臣に対して厚く厚くお礼を申し上げたいと思います。
さて次に、いよいよ本題の地方税関係の質問に入らせていただくわけでございますが、大体昔から税金というものはありました。その昔の税金というのは我が国は米でありました。年貢と称して米を納めておったのでありますが、侍や役人の皆さんもその俸給は米をもって支給されました。例えば何石何石取りというように米で勘定されたものであります。すべてが米が単位でございました。
ゆえに私は、従来から日本における米というものは小麦や大豆や他の農産物とは違う、税金と大変大きなかかわりを持っておるというふうにいまだに信じておりますので、地方税の審議に当たりまして、この時間をかりて米の問題について大臣の、あるいは大臣という立場でお答えが難しければせめて個人としての見解でも結構でありますから伺いたいと思って、以下質問を申し上げる次第であります。
今、アメリカは米の完全自由化を日本にぐんぐん迫ってきております。しかして、国内の空気を見てみますと、最終的にはアメリカの圧力に屈して米の輸入自由化も避けられないかなという悲観論がだんだん広がりつつあります。まさに今重要な段階に差しかかっております。
そこで私は、外交評論家の加瀬さんの御意見も交えながら私の意見を申し述べ、大臣の御見解を伺いたいと思うのであります。
日本では稲作というものは民族信仰である神道の基礎となっていると加瀬さんは主張をしております。稲作なしには神道の祭りはあり得ない。稲作がもしなくなったら、それは日本がなくなるときであるとさえ言及をしております。アメリカ人は大変信仰心の厚い、宗教心の厚い国民であります。国民の八割が宗教心を持っておると伝えられております。そこで、日本人にとって米というものはアメリカ人の皆さんにとってクリスマスツリーのようなものであるというようなことを加瀬さんはアメリカ各地で説いて歩かれたそうであります。したがって日本人にとって米は小麦や大豆のような単なる農産物ではありませんと説明をしていくと、ほとんどのアメリカ人が驚いておるそうであります。知らなかったと言います。米がそんなに日本人にとって神聖なものであったのかと大変驚いておると伝えられております。
また、こういう説明もされたそうです。これは私は気のつかなかったことですが、超近代都市の東京のど真ん中に皇居があって、その皇居の中心に天皇みずから毎年田植えをされて収穫をされる水田があります。米が他の農産物とは違って、事ほどさように日本人には宗教的、文化的な大きな意味を持っているのですと説明をすると、大抵のアメリカ人は直ちに理解をしてくれると言っておられます。これが加瀬さんのアメリカ行脚の結果の報告であります。
米の輸入自由化というものを阻止することは不可能ではないと私は今でも信じております。アメリカの米の生産をしておる州というのは五十州の中でわずか五つでございます。五つの州だけで米を生産しております。日本はアメリカの農産物の最大のお客様であります。小麦、大豆、飼料など、日本市場に依存をしておるアメリカの農業生産者を味方につけてアメリカの議会に働きかけるべきとき、今まさにそのときであると思うのであります。
ここに私は、総理府が昨年九月に行われた日本人の食生活世論調査の結果を一部持ってまいりました。その中で、外国産より高くても、少なくとも米などの基本食糧は生産コストを引き下げながら国内でつくる方がよい、いわゆる自給自足をしてもらいたいという人が七一・二%もおられたということであります。また、九五%の人が主食として日本人に最もふさわしいのは米であると言っておられるそうでございます。このことは、国民の皆さんは基本食糧だけは自給自足をするべきだという食糧の安全保障を求めておられるのではないかなと私は読み取りました。本当に力強いことだと私は大変この世論調査の結果に感謝をしておるのであります。また一方では、日本農業の近代化とコストの低減、流通や加工システムを合理化して中間のむだをなくして経費の圧縮に努めるということもまた必要なことであります。こういうことをサボってしまえば日本の国民の支持はやがてなくなるでありましょう。日本の国民の支持がなければ稲作を守り抜くこともできないと私は考えるのであります。
以上簡単に私の米というものに対する考え方、昔の税金に対する考え方を申し述べたのでございますが、大臣の許せる立場で、大臣の心に思っていることを、アメリカに届けと言わんばかりに力強く御見解を表明いただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/2
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003・梶山静六
○梶山国務大臣 御質問の件につきましては、自治省は直接所管をいたしておりませんが、米は日本国民の主食であるとともに我が国農業の根幹をなす重要な作物でありますので、万一自由化をされるということになりますと、地域経済に与える影響も極めて大きいことは想像されるわけであります。このような米の重要性にかんがみまして、今後とも国会における米の需給安定に関する決議等の趣旨を踏まえて国内産で自給さるべきものと自治大臣としては考えております。
そして私個人といたしましては、農家の生まれでもございます。それから私は大のお米好きでございまして、三度三度、米以外のものを食べたのでは元気が出ないのでございます。そういうこともございまして、特に水田、水耕農業というのは国土や環境保全のためにすばらしくいいものであります。何かの論文で読んだのでありますが、畑作農業は土地を荒廃させ砂漠化を進める、それに比べて水耕農業というか水田、この水を張る制度というのはすばらしく、土地保全や環境保全によろしいということもございますので、国土の保全という意味でもこれはすばらしい農業のあり方だと私は思います。
それから、今も御説にありましたように、国家というのは国民の安全を確保するのが大事でございます。その安全の最たるものが食糧でございます。その主食である米に万が一にも万一のことがあっては大変でございますから、それに備えることは国家としてやはり一番大切なことでございますので、どんな事態が起きても食糧の確保、主食の確保というのは大切でございますから、国民の主食である米を自給するということは極めて大切であります。
なお、御説にありましたように、日本の長い歴史の中で米作はまさに日本民族のよって立つ基盤でもあろうかと思います。古い人間でございますので特にそういうことを感ずる次第であります。そういうことから、米作が守られ、そしてもろもろの合理化を進めながら近代社会に合ったような米作ができ、日本の中で食糧の根幹であるお米が自給できるような体制を今後とも続けてまいりたいというふうに私個人としても念願をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/3
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004・岡田正勝
○岡田(正)委員 大臣ありがとうございました。まさに日本人ですね。本当に文句なしの御見解を伺いまして感謝申し上げております。
実は私は消費者の立場でありまして、一粒のお米もようつくらぬ立場でございます。この私が大東亜戦争で北支へ行っておりまして帰ってきましたとき、もう本当に食べるものがなくて米の粒が一粒ものどに入らないまま三カ月間過ごしたことがあります。それで、キビとかなんとかというのでしょうが、すりつぶした赤い粉ですね。赤い粉でそれをだんごにしましても全然固まりません。それで、それをただお湯の中に入れるとぱあっと皮膜を張ったように広がってしまう。それだけのものを、言うならばお湯をどんぶりで朝昼晩飲んでおったのです。そうしましたら、二カ月たったら六十八キロあった私の体重が四十八キロに落ちまして、それはもう見る影もない状態となって、私は昼休みに外の芝生の上に寝ておりましたが、昼休みの終わりのサイレンが鳴ってもついに立ち上がることができなかった。完全な栄養失調になった覚えがあります。
何といいましても、テレビが見られなくても電気が消えておっても、食べるものがなくてはもう話にも何にもなりません。そのときに、アメリカ軍放出のメリケン粉、あれをすいとんにして固めてだんごにして食べさせてもらったことがあります。あのときは本当にうれしかった。私は戦争に負けた国民の一人でありますが、軍人でありますが、それからというものは、現金なものです、一遍にアメリカ人が好きになりました。食い物の恨みは恐ろしいが、食い物の慈悲も本当に重たいものであります。
それほど国民にとっては基本的な食糧というものは大事な大事な命でありますだけに、私は米だけについては一粒たりとも輸入してはならぬ、その線はあくまでも政府も国民も守り通してもらいたい、こういう気持ちを強く抱いておりますので、大臣の今の御所見を伺いまして本当にありがたく思っております。どうぞひとつ閣僚のお一人として、こういう問題が表に出ました場合、正面に立って闘っていただきますよう心からお願いをいたしまして、本論に入らせていただきます。
まず住民税の減税の問題から入らせていただきますが、地方税の場合に、昭和六十三年から個人住民税の減税が実施されることになります。しかしながら、一般サラリーマンの税に対する不公平感を除去し、特に住宅や子弟の教育費等により負担が重たい中堅層の皆さん方の税負担の軽減を図るのには、今回のこの減税ではまことに不十分であります。さらに一層の個人住民税の減税が必要ではないかと考えておりますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/4
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005・梶山静六
○梶山国務大臣 昨年九月の税制改正では、昭和六十三年度には第一段階として約五千億円、そして昭和六十四年度分としては、改正を含めると約六千六百億円の個人住民税減税を実施することとしたところでございます。
現在税制調査会において所得、法人、資産及び消費課税等について、その望ましい税制のあり方の実現に向かっての具体的な方策について審議が行われておるところでございますし、今後における減税の問題については、税制調査会での審議の状況や与野党間の協議を見守り、各方面の御意見を拝聴しながら検討を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/5
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006・岡田正勝
○岡田(正)委員 私たちは、以上述べましたような観点から、当面税率区分の見直し、給与所得控除の一万円引き上げ、人的控除の各三万円の引き上げ等々により約三千億円の住民税減税の上積みの実施を要求しているのであります。この要求の実現について大臣はどのような見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/6
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007・梶山静六
○梶山国務大臣 野党四会派の修正共同要求に約三千億の個人住民税が含まれていることは私もよく承知をいたしております。個人住民税の減税では、税制調査会においても審議が行われているところであり、また修正共同要求にある減税についての与野党間の協議を見守りつつ、各方面の御意見を拝聴しながら検討を進めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/7
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008・岡田正勝
○岡田(正)委員 自治省といたしましても、昨年の通常国会において、昨年の臨時国会において成立をした税制改革を上回る住民税減税を考えておられましたよね、事実。野党の要求する住民税減税の上積みは、自治省の当初の考えからいったら当然なものと考えていらっしゃると確信しておるのでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/8
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009・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 ただいま委員から御指摘がありましたのは、抜本的な改革として政府の提案の中にあった減税でもかなりの大きさのものがまずあったではないか、こういう御指摘だと思います。
御指摘のとおりでございまして、昨年春、政府提案におきましては、例の税制の抜本的改革ということで、金額で申し上げますと約七千五百億を若干上回る減税案ということを抜本的改革全体としては考えておったわけでございます。もっともそのことは、これは廃案になりました売上税、あるいは地方財政の見地からいえばそれに伴う売上譲与税とかあるいは交付税措置というような、そういう財源問題もあわせておったわけでございますので、そうしたいきさつは御承知のとおりでございます。
したがいまして、住民税減税問題そのものにつきましては、ただいま大臣からも申し上げましたように、個人住民税負担のあり方の問題につきましては、税制調査会においても、望ましい税制のあり方ということで現在御審議をいただいておりますし、その財源、規模、内容につきましても、その審議状況というものを踏まえて対処していかなければいけない。また、四会派の修正共同要求にあります個人住民税の減税問題もございます。政策担当者の間での協議の推移も見守りながら対処してまいりたい、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/9
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010・岡田正勝
○岡田(正)委員 ちょっと予定より外れさせていただきます。
今お答えをじっくりと聞いておりますと、なるほど、前回の通常国会、臨時国会等を通じて約七千五百億円程度の抜本的な税制改革ということで地方税の減税を考えておりましたが、肝心な売上税が廃案となり、それに伴ういわゆる譲与される財源がなくなってしまいましたのでなかなか難しい、こういうような意味のお答えでございましたよね。ということになりますと、これをちょっとひっくり返して考えたら、野党の方から三千億円の上乗せ減税要求が幾らあろうとも大型間接税の導入なしでは応じる考えは毛頭ない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/10
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011・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 私の答弁の舌足らずかもしれませんので、私からまずお答えさせていただきます。
最後に申し上げたわけでございますけれども、昨年の七千五百億余りというのはそういういきさつであった、しかしそれは、いきさつはもう繰り返しませんが、六千六百億ということで、二カ年間でいくという、これは事実でございます。そこで、今後の問題につきましては、最後につけ足したのでございますが、各党間の政策担当者の間での協議も行われておるわけでございますので、それを見守りながら対処してまいりたいというところでお答えを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/11
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012・岡田正勝
○岡田(正)委員 それでは次に行かしていただきます。
固定資産税関係に入らせていただきますが、昭和六十三年の固定資産税の評価がえに伴う評価額の上昇率は一体どの程度になる見通しでありますか。これは全国平均、地域別にできましたらお知らせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/12
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013・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 昭和六十三年度の固定資産税に係ります土地の評価がえにつきまして、宅地の指定市の基準地に係る平均評価上昇割合を見ますと一・一六〇倍になっておりまして、前回の評価がえにおける上昇割合を下回っております。これは以前にも、この基準地の平均評価上昇割合のことは申し上げたことがあると思います。
そこで、全体としての評価の状況というのは、まだ現在私どももこれを全体的に把握できるという時点になっておりませんが、昨年十二月の中央固定資産評価審議会において了承されました指定市に係る指示平均価額、指定市というのは宅地の場合ですと県庁所在の市でございます。その指示平均価額の上昇割合を見てみますというと、平均で一二・六%増、つまり一・一二六倍でございます。ですから、先ほど申し上げました基準地の評価上昇割合一・一六〇よりも低いという数字となっております。これも前回のこの指定市の上昇割合を下回っているという状況でございます。その内容をちょっと、委員の御質問の御趣旨に合うかどうかわかりませんが、少し内容を分けて考えますというと、大都市平均で見ますと一・一三六倍でございます。その他の指定市平均では一・〇九九倍となっております。いずれも前回の上昇割合を下回っているところでございます。
なお、現在各課税団体におきましては、地方税法に定めるところによりまして評価がえに係る作業を行っているところでございまして、現時点では宅地全体の平均上昇割合の見通しについて述べるということは困難でございます。地価動向等にかんがみますと、ただいま申し上げましたような県庁所在市の指示平均価額の動向等から見ますと、宅地全体の平均上昇割合は指定市の平均上昇割合の一・一二六倍を上回るということにはならないんではないだろうかということは、私どももそう考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/13
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014・岡田正勝
○岡田(正)委員 そこで、ちょっと素人じみた質問をさせていただきますが、各市町村で固定資産税の評価がえを当然やりますね、ことしの四月一日。さて、その各市町村における評価がえのいわゆる上昇率というものは、一体だれが決めるんですか。だれが決めて議会へ提案するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/14
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015・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 評価がえにつきましては、例えば自分の町の評価の平均上昇率は幾らだと先に決めるわけじゃないのでございます。それぞれ順序を追って申し上げますというと、全国の、先ほど申し上げました宅地ですと県庁所在の市が指定市になっておりますが、指定市の基準となる宅地、これを取り出しまして、この均衡をとってまず決めます。これはそれぞれの県、それから県庁所在の市の意見なども全部集めてきまして、自治省においてそうした状況も聞き、そして中央固定資産評価審議会などにもかけて、そのバランスをとります。それから各県の中では各県の中でまたその基準地から県内の各市、各町村の基準となる地点を取り出しまして、そのバランスをとっていきます。そうしたことを基礎にしまして、その市町村の中におきます評価というものは、一筆一筆全部評価して評価がえをやっていく、こういうことになります。
これは、実施に当たりますのはもちろん市町村の税務職員でございますが、そうした評価がえの仕組みをきっちりと動かしていきますために、評価員という制度もとっております。これは地方の議会の承認を得て任命されます。多くの場合、税務課長さんとか税務部長さんが兼ねて、そうした承認を得てそういう地位についていることがございます。こういう人が専門家としてやっていく。それから、法律上の決定権限は市町村長にございます。そういう形で決定をしていくわけでございます。もちろん、それが最終的に確定するためには、縦覧があり、縦覧でこれを見た方々から評価についての不服があれば審査の申し出がありというような手続がありまして、そうした形で評価がえあるいは評価がえの結果というものが確定していく、こういう手続になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/15
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016・岡田正勝
○岡田(正)委員 そういたしますと、もう一つわかり切ったような質問をさせていただきますが、台帳縦覧のときがやってきますね。市町村長が最終的に決定の権限を持っておる。そうすると、その決定されたものを税務職員が縦覧に供する。縦覧に供された場合に、何で私の土地がこんなに上がるのですかといって住民から疑問が出る。それに対して市町村はどういう答え方をしていくようになるのですか。それをちょっと予行演習をやってみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/16
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017・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 私も市で税務の責任者をやったことがありますから、割合現場に近いところにはおったことがあるわけでございます。しかし、ただいま委員が御指摘になりましたような事柄について自分自身がやったことはございませんで十分な予行演習にはならないと思いますが、恐らく御指摘の趣旨は、自分の評価というものが公平に行われているだろうかという疑問だろうと思うのでございます。
まず、納税者といいますか、固定資産を持っておられる方々の関心事は、その評価の絶対水準が一つあると思うのです。これはよく逆の方から御議論があるのですけれども、評価の水準自体はかなり低位にあります。したがいまして、この問題は、こういうような評価の水準だ、評価だということは本人はわかるわけでございますから、そうすると絶対的な水準というものはむしろ納税者の方が、あの辺の土地ならばどうだということは大体見当がつきますから、そこの点はかなり説明をすればそれほどのあれがなくしてわかる。
今度は、横の水平的公平というか、そういう問題でございます。この問題になりますと、隣はどうだろう、あるいはその隣はどうだろう、こういうことになるのでございますが、これは委員も御高承のとおりでございますけれども、個人の、その納税者の財産上の秘密というものは、プライバシーといいますか、それ以上に地方税法自体でもそれは保護されるべきものとされております。守秘義務があります。しかし、それではいつまでたってもバランスがわからないではないかということになるものですから、そのときには、その土地の評価の基礎となった比較的近いところの基準地とか標準地とかの路線価をその納税者に示してよく説明をするように、こういう指導をしているわけでございます。そういう指導で現在進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/17
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018・岡田正勝
○岡田(正)委員 時間がありませんから次に行かせていただきますが、今回の改正で上昇率が一・一五倍以下のものについては、自治省並びに大臣の御尽力のおかげをもちまして五%ずつ三カ年というような区分もつくっていただきました。調整率というものを設けていただきましたが、この新しい一・一五倍以下の調整率によってカバーされる範囲は全国ではどの程度になるのですか。もう全国ですか、それとも一部東京とかどこかがこれからはみ出るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/18
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019・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 今度の一・〇五の負担調整率を設けた趣旨は、もちろん東京だけとか大都市だけとか、そういうことではございません。全国的な均一の、公平な、そういう制度としてつくっていただきたいということでございます。このことは、今回の評価がえが行われる以前には非常に水準が高くなるのではないかという心配が一つあったのでございますが、実態は先ほど申し上げたようなことでございます。そうすると、例えば一二%とか一三%増しというのは量的には意外と多いだろう。今までの負担調整率ですと一割ずつですから、一二%増しのところもまず最初の年に一割増しになる。二年目には二%弱、連乗でございますからちょっと減る。三年目には横ばい。これが今の状態からいえば、税負担感というようなことからいえば問題じゃないかということだったと思います。いろいろ税負担の急増とか増加に配慮しろという御議論を私どもちょうだいしました。そこで、そうしたことできめ細かな負担調整措置を講ずるということにしたわけでございます。
全体の評価がえの状態というのは、ただいま申し上げましたようにまだつまびらかでありませんので、いろいろな意味での推計数値ということしかないわけでございます。指示平均価額の平均上昇率がさっき言いましたように一二・六%ということを考えて推計しますと、宅地のうち大半、つまり五〇%をかなり超える部分が新たな一・〇五という負担調整率の部分に入ってくるのではないだろうか。地積で申し上げましても、課税標準ベースでいっても、五〇%をかなり超えるのではないだろうかというふうに私ども見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/19
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020・岡田正勝
○岡田(正)委員 では次に、家屋のことについてお尋ねをいたします。
家屋についてはどのような評価方法が講じられておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/20
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021・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 家屋の評価額は評価基準に定められておるわけでございますが、これは再建築費評点基準表による評価、つまり再建築価額による評定ということをやっております。
ちょっとお許しをいただいて具体的なやり方を申し上げますが、屋根や柱などの区分ごとに見ていきまして、主として資材ごとに示されました標準評点数を評価対象価額の実態に合致するように補正しまして、それらを合計してまず再建築費評点数を算出する、こういうことになります。どういうことかと申しますと、同じ屋根でも軒が非常によく出ている、これは施工の程度、それから建物としてもいいわけです。そうしますと、同じ床面積でも屋根の面積が大きいと建築費としても高いし、家の程度もいい、こういうことがありますから、そうした評価対象価額の実態に合致するように補正するわけでございます。例えば同じ床面積でも柱の本数の多い家はそれだけ値打ちが高い、こういったようなことでございます。
そうした再建築費評点数を算出いたしまして、これに今度は損耗の状況による減点補正率というのを乗じまして、その乗じた数値にさらに評点一点当たりの価額を乗ずるわけでございます。この評点一点当たりの価額を乗ずるというのは、要するに単位に対して単価を掛ける、こういうふうに考えていただけばいいわけでございます。そういう形で評価をする。それは再建築費でございますから、ただいま申し上げたことから御理解いただけますように、その建物が五年前、十年前に建てられたものでも、今その建物を建てたという想定で再建築費を計算して、十年のものなら十年の損耗について減点をしていく、こういう仕掛けになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/21
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022・岡田正勝
○岡田(正)委員 それは承っておるのですが、このいわゆる家屋の評価額イコールその建っておる建物と全く同じものを今新築したら幾らになるかというのが再建築価額というので、それを出して、それに今建物は柱、屋根はどのくらい減っておるかという減耗率を掛ける、いわゆる経年減点補正率を掛けるというやり方をしていらっしゃるそうでございますが、これは私の邪推でしょうか、そういうやり方をやったら家屋に対する評価額というのはいつまでたっても減るはずはない。前の評価額より上げることはないでしょうけれども、いやこれも聞いておかなければいかぬですね。前の評価額よりも上げることがあるのかどうか。上げることはないのだということになったら、それは本当にないのですか、横ばいが本当の答えじゃないですか、こういうお尋ねをしたいのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/22
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023・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 前段のお答えがちょっと不十分だったと思うのですが、柱とか屋根の家屋の状況による補正というのは、再建築価額を評定するときにやるわけでございます。ですから、減耗のときにやるわけではございません。減耗は、十年と十五年ではまさに減耗率が違いますから、その率で落としていく。
そこで、次にお答えを申し上げますが、それならばそういう家屋であれば課税の基礎となる家屋の値打ちといいますか資産価値というものは評価額としては下がらないのではないか、こういうことはどうだという御質問でございますが、これは建築費が非常に上がっている状態を考えますというと下がらないわけでございます。つまり、減耗率が二割ありましても建築物価の上昇が三割ありますというと下がらない、こういうことになるわけでございます。
それで、先に後段の御質問にお答えしますが、ただいま申し上げましたようなことで、時間は経過したけれども評価してみたら逆に上がるというようなことはただいま申し上げました評価の手続の中から出てきますが、評価基準の中で、それが逆に上がる場合には原則として据え置く、そういう評価基準になっております。したがいまして、上がるということは基本的にはないわけでございます。基本的にはないと申し上げましたのはなぜかといいますと、古い建物なんかで非常に立派な建物というのはあるのでございます。ところが、古いだけでそういう計算でいくとかなり下がってしまっている。かつての評価自体の水準も低かったということもあって低位にある。ところが、最近の、新しいだけでかなりの評価額になっている家屋がある。市町村の段階から見ましてこれは非常に不均衡だというときには、そういう不均衡是正という観点で、今の評価額の基本方針の枠の中で若干の是正ができるという場合はございます。ですから、絶対に上がらない、一回もないというわけではございませんで、そういう不均衡是正は市町村においてもかなりやったことがございます。しかし、それはもともと非常に評価水準の低い建物について行われている、こういうことになります。そういうことでございますから、評価基準にそういう据え置きの議論がありますので、そこは横ばいが大体一般的である、こうなります。
それでは、下がることは本当にないのかということになりますと、建築物価が、この五十年代に入りましてといいますか五十年代の後半から非常に安定的でございまして、それ以前は建築物価が非常に上がってきた経緯がございます。そこで、今委員御指摘のような一般的な印象があるのでございますが、理論的にも実際的にも、建築物価が非常に安定した時期がございますと、評価がえによりまして評価の実額が下がってくるということは起こり得ますし、今回の評価がえにおいても恐らくそういうことが起きてくるものがかなりあるだろうというふうには私ども推測しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/23
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024・岡田正勝
○岡田(正)委員 そうすると、もう一遍確認をいたしますが、こうやっていわゆる評価額を出すのには、これと同じ建物を今新築で建てます、それに幾ら要るか、それにいわゆる建物の損耗率、いわゆる経過年数、それを掛けて、減じて評価額を新しく出し直す。その場合はほとんど上がるということはない、まず横ばいである、だから据え置きと同じである、横ばいが一般的だ、こうおっしゃいましたね。横ばいが一般的である。たまには上がるやつがあるよ。たまには上がるやつがあるが、まずまずほとんどのものが横ばいですよ、こういうふうに聞いたのですが、いいですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/24
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025・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 これまたちょっと言葉足らずだったかもしれませんが、先ほど申し上げましたような再建築費評点基準表による評価をやりまして減耗率を掛けますと、上がるものがあるのでございます。しかし、ここで特例措置のようなことが評価基準の中に書いてありまして、原則的には据え置きますと書いているから据え置くということになっているのであって、本来の仕掛けの中では上がることがあり得るわけでございます。そして、これは本当に理屈からいえば、上がったら上がったところの方が、本来財産課税としてはそれでやる方が公平なんだということも考えられるような、そういう性質のものだと思うのでございますが、それは据え置くということに決めている、評価基準の中で決められている、こういうことなのでございます。
それから、では例外として上がるものは何かというと、そうやって据え置くと書いておきながら、一方では据え置くということの中に、非常に古くからある建物なんかで今つくったら大変な値段がかかるだろう、あんな立派な家にあの方は住んでいて固定資産税はこれくらいだ。最近つくった、プレハブというのが悪いとは言いませんけれども、そういう状態の建物であっても、余りみんながそれほどこれを立派な建物だと評価しないようなものであっても、かなりの水準になる。こういうような負担の不公平がある場合に、市町村においてそれがそうだということであるならば是正はできるということにはなっておりますので、若干上がるものはあるので、上がるものがないと言うとうそになりますから、そういう意味で申し上げたわけでございまして、仕掛けの中ではあくまでも再建築費、それからそれによる経年減価、損耗による減価率を掛けますと、前の評価よりは上がるものが出てくる。そういうことなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/25
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026・岡田正勝
○岡田(正)委員 どうも私、物わかりが悪いのですよね。よくわかりました。古い建物であってもすばらしいものを使っておる、すばらしい設計だ、それで天井も高い、床も高い、こんな建物を今つくったらすごい値段になるぞというのが再建築価額ですよね。それに、いわゆる年数を経ておりますから経年の減点補正率を掛けてみても、計算をしたら現在の評価額よりも上がっちゃうのがたまにはありますよ。上がっちゃうのがありますけれども、しかし特例をもってほとんど据え置いております、御安心ください、したがってそういう立派なものでも上がっても特例で据え置いているのでありまして、ほかの一般的なものは言わずもがな、もう大体横ばいです、評価額はほとんど動きません、こういうふうに聞いたんですよ。だから、いい建物のことは今わかりましたよ、念を入れて言われたから。計算したら前の評価額より上がるのがあります、ありますけれども特例でそれは据え置いております、それがほとんどです、こうおっしゃった。これが一つです。
それからもう一つは、一般的な建物の場合は、今新しくこれと同じものをぼんと建てて、経年のいわゆる減点補正率というものを掛けて、こうやっていくと、年数によって違いますけれども、それは一概に言われませんけれども、まあほとんど横ばいの評価額でいっておるはずです。私はこういうふうに聞こえたんですよ。この二つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/26
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027・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 立派な建物だけ据え置くのじゃなくて、むしろ、立派な建物だということで不均衡がある場合は前の評価より上げるということもあります、こういうことです。
そこで今、立派な建物の話はちょっと別にいたしまして、同じ建物が三年前と今、できたとします。そうすると、三年前のものは減点補正率がありますけれども、仮に建築物価が五割上がったとします。そうすると、同じ建物でも今の建物は五割増しのそういう価格でできているわけでございます。そこのところでは、再建築価額ですから、今新しくこの建物を建てるとすれば新築の建物だったら五割増しになっているはずです。そこから減点補正率を掛けますから、逆に前の評価水準よりは今度の方が上がることがあるわけでございます。これが評価の基本のところにかかる。これについては特例で据え置くと書いてあるので据え置いているということであって、仕掛けの中で理論どおり計算していったら横ばいになっているというものではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/27
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028・岡田正勝
○岡田(正)委員 委員長、今お聞きのように、家屋の評価というものについては大体横ばいでいっているのですよ、評価額というのは余り変わっていませんよ、こういうお話でしたよ。ようございますか。この次が本物の質問ですよ。
建物は、いわゆるここでぽんと昔どおりの新しいものが建ったら幾らや、それに対して減点の補正率を掛けたら幾らや。上がったなあ。上がったが、一般的には据え置けということになっておるから据え置きですわというので横ばいでいっております。そうすると、いわゆる固定資産の評価額というものは変わっていないわけですよ。下がらないわけですよ。これが腹が立つのです。何でや、人が住んでおったら年々損耗していきますがな。
私もこの間、いいふろをつけておったと思ったら、何と十一年たったらふろがいかれるのですな。温水器でパイプを回しておってきちっとやっておったのに、ふるへ入ろうと思ったら水ばかり出る、おかしい、どうなったのだ。それでずっと床板を全部はぐらなければしようがないのですね。タイルもぶち壊し、床板もみんなぶち壊してはぐってみたら、何ともう管がぼろぼろに腐食をしておりました。これは銅管でやらなければしようがない、二度と手をつけなくてもいいように銅管でやろうというので、銅管を使わせてもらいますよ、そのかわり高うございますよ。温水器からふる場は、その隣、壁一重につながっておるのですが、洗面所も炊事場もありますから、大体五メーターぐらい離れておるのです。そのわずか五メーターぐらいのものが二本要っただけで、何と驚きました、二十五万かかつたですよ。十年たったらこんなに金が要るのかな、そうすると、ふる場がそんな調子ですから、やがて今度は屋根にくるな、やがて今度は雨戸にくるな、そう思って家の周りを初めてうろうろ歩いてみたら、いやなるほど傷んできていますわ。それが評価額は一切変わらぬというのは一体どういうわけですか。銭が要るばかりなんですよ。追い銭ばかりなんですよ。それが値打ちが変わらぬというのはおかしいのじゃありませんか。
例えば土地を買いに行きます。そのときにそこに家が建っておった。その家が例えば十年昔に建った建物ですと、もちろん人が住んでおってすぐその場で住みかえができる立派な建物でありますけれども、土地を買いに来る不動産屋さんのおっしゃることには、先生、これはもう十年以上たっておりますから建物の価値はゼロでございますよ、建物は邪魔になるのです、土地を買いたいのです、したがってやっちもない要らぬものはのけてほしいのです、だからのける費用、建物をぶち壊して外へ捨てに行く、廃棄物の処理をするまでの費用は、むしろ売ってくれるあなたからもらわなければいかぬのです、それはもらわずにサービスいたしますから、建物の価値はゼロということにして、この土地は坪何万円で買わしてもらいましょう、こういう商売ですよ、局長さん。建物はただですよ。ただどころか、それを壊して捨てる銭をくれ、こう言うのですよ。それに税金を取るのですか。これはちょっとおかしいことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/28
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029・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 御質問の趣旨はよくわかりました。
これはやはり水平的な公平、横の公平ということをお考えいただくとよくわかると思うのでございます。同じ建物を建てたといたします。三年前に建てた建物とことし建てた建物があるといたします。わかりやすいように建築物価が倍になったといたします。そうすると、固定資産の評価基準で考えますと、そういう高い値段になったときの建物は非常に高い資産価値を持っておることになります。そのままにいたしますと、三年分の減価というようなことでは賄い切れない隣同士の資産価値のアンバランスというものが生ずるはずでございます。そこで、その隣の分も再建築価額で計算すれば横に並ぶわけでございます。しかし、並んだだけではそれは不公平でございますから、三年古くなっているというところを引いていく、こういうことなのでございます。ですから、建築物価が安定している想定でいきますと、それは三年間の経年減価分だけ下がっていくわけでございます。しかしながら今例に出しましたような倍というような建築物価でございますというと、三年分の経年減価どころか、逆に上がってしまうわけでございます。
そこで、ただいま委員の御指摘のように、なぜ住んでいて古くなって逆に税金が上がってくるんだ。それは私どもの資産課税の原則からいうと、そうではない、むしろ上がって当然なんですという説明をして御納得もいただかなければならないところなのでございますけれども、一般的に家屋についてそこまで議論をしてそして納得していただくということも市町村の現場としてはなかなか大変だということもある。税務行政の現場のことも考えれば、そうした場合は、これは上昇は抑えていく、こういうことではないかということで評価基準が決められているわけです。ですから、この六十年の評価がえあるいは五十七年の評価がえの時点を考えますというと、それ以来の建築物価は非常に上昇率が低いのでございます。したがいましてそうした段階に建てられたものが特にそうなのでございますが、今回はかなり評価水準が下がっていくものも出てくる。しかしそれは理論的に見れば、建築物価が上がっているときには上がらなければ横の均衡がとれていかない、こういうことでございます。
それから、売ったときにただになるとかという問題は、お気持ちとしては本当にそうだと思うのでございますけれども、固定資産税は売ったときの話ではないのでございまして、そこに住んでいる方にどういうふうにバランスをとって負担をいただくかなのでございまして、家を壊してしまえば家屋の税金はもうないのでございます。そういう意味で、そういう処分価格というようなものとは切り離して、資産と資産との間の均衡と絶対的な評価水準というものの中で御理解をいただくことではないだろうか、こう考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/29
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030・岡田正勝
○岡田(正)委員 局長さんは私が議員なものですから遠慮されながら、しかし相当どぎつい反抗的な答えをしていますね。こういうのをいんぎん無礼というのだそうですよ。
そこで、あえて言わせてもらいますが、よく聞いてくださいよ。売って何ぼ買うて何ぼという話はしておらぬのですよ。問題は資産なんです。資産の価値を今問題にしているわけです。資産の評価を今お互いに論じ合っているわけですよ。建物という資産は、例えば建物に火をつけたらぱっときれいになくなりますね。これはゼロになりますね。燃えてなくなる。だが土地は残りますね。土地の資産価値は一つも下がっておらぬのですよ。ダムが切れたとしますと、奔流がどっと流れてきますね。建物はあっという間におらぬようになりますね。土地は逃げませんね。資産の価値は一つも変わりません。だけれども、建物はなくなったのですから、まさにゼロです。
それと同じように、建物は、燃えも流れもしてはおりませんが、建っておったら、年数を経れば経るほど資産の価値は減っていくというのは当たり前でしょう。それを、隣の人は評価がえの三年目に家を新築した、この家の評価額は例えば百なら百でございます、おたくの方は三年前の物価の下がっているときにお建てになったのですから五十です、これでは均衡はとれません。だから本当だったら経年減点で、建物の一番最初の評価額掛ける減点補正率ということで下がっていって、しまいにゼロになるのが当たり前なんです。それをわざわざ三年ごとに新しいものを建てたことにいたしまして、今まで十年住んでおりますから十年分の減点補正率を掛けましてと、何でそんなことせにゃいかぬのですか。ありのまま資産の姿を評価するのが本当の税を取る立場ではありませんか。私はそこに無理があると言うのです。だからこういう建物の資産の評価の仕方については大変な疑問がある。
もう時間が来ましたのでこれでやめますが、私の持っている疑問というのは大方の先生も同感であろうと思いますよ。何で建てた建物の資産評価が変わらないのだ、何で横ばいだ、そんなあほなことがあるかいという気持ちを持っておる者は先生方だけじゃない、日本の国民全部がそう思っておるのに違いない。だから、建物のいわゆる再評価の仕方というものについて、そして現状すべて横ばいという姿に対しては、私は大変な疑問と不満を持っておるということを申し上げまして、時間が切れたのがまことに残念でございます。
最後に大臣にお礼申し上げます。再度申し上げます。本当に今回は実のある御答弁をいただきまして喜んでおります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/30
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031・松本十郎
○松本委員長 経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/31
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032・経塚幸夫
○経塚委員 私は最初に、自動車税などの問題についてお尋ねしたいと思っております。
この問題につきましては、ちょうど三年前の一九八五年の通常国会で、この場で取り上げて政府の姿勢を問いただしました。ところが、自動車の販売業界の中には依然として自動車税、自動車取得税、重量税等々、不当にだまし取るという違法、不正な行為が相次いでおります。一体政府はどんな指導をされたのか。私はこの三年の経緯を見守っておりましたが、大変疑義を感じておりますので、改めてこの問題をお尋ねしたい、こう考えております。
そこで最初に法務省にお尋ねしたいのですが、法務省いらっしゃいますね。例えば私がAさんならAさんから、あなたの自動車税を納めてあげますよ、あなたには十万円税がかかりますよと言って十万円預かります。そして実際は課税庁からは五万円しか課税されない。それで五万円課税庁に納める。そしてあとの五万円を着服した場合には、これは何罪に問われるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/32
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033・馬場義宣
○馬場説明員 お尋ねのようなケースにつきまして一般論として申し上げることになりますが、ただいまのような事案につきまして、本来支払う必要のない自動車にかかる税を、支払う必要がある、そういううそを言いまして、税の納付資金の預かり名下に金員をだまし取った、そういう事実関係が認められますれば、刑法上の詐欺罪というものの成立が考えられると思います。
それから次に、詐欺の犯意がない場合を考えますと、税金の納付を依頼されまして、一定の金員、お金を預かりました。ところが実際に税金に払いましたのはその一部でございました。残金が生じました場合に、これを不法領得の意思をもって返還しないで着服するとかあるいは使ってしまうとかいうようなことがございますと、刑法上の横領罪あるいは業務上横領罪、こういう罪の成立が考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/33
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034・経塚幸夫
○経塚委員 詐欺と横領の罪が成立する、こういう御答弁であったわけであります。
そこで、これは自治省にお尋ねをしたいと思うのですが、自動車取得税であります。これはもう御承知のように、法令上は課税標準は取得価格、実際に取得をした価格、これが課税標準、それから三十万未満は非課税、こういうことになっておりますが、これは自治省が通達を出されたために、実際上は課税標準基準額一覧表なるものをつくって、これに基づいて課税をされておる。この一覧表自体が矛盾があるということは、私は指摘をいたしました。親戚に車をやったとか、あるいは代物弁済などで実際の金の取引が行われない場合を推定して、みなし課税として決めた額であります。だから法令上と実際の運用上の矛盾を悪用して、業界の中では違法、不正な行為が依然として続けられておる。
お手元に資料をお渡ししてありますね。それを見ていただいたらわかると思いますが、数字にわたることでございますし、事問題は詐欺、横領に該当するかどうかという重大な問題でありますので、正確を期するためにあらかじめ資料をお渡しいたしてあります。
この一の一を見てください。これは神奈川トヨタであります。自動車取得税十万二千五百五十円をユーザーから徴収しております。しかし実際に納付されました額は四万五千円であります。これは、私は証拠のために契約書と納税課の証明書もあわせて持っております。今言いました数字に全く間違いはございません。東京都の足立自動車税事務所長の印でもってはっきりと金額の領収が明示されておるわけであります。
さらに例を挙げますと、一の八のビクトリアは十六万九千円徴収しておりますが、実際の納税された額は九万四千円。それから一の十一、オートパンサーの例を挙げてあります。それから次の渡辺企画。これはひどいですね。取得税を二十九万五千円徴収している。ところが実際に課税庁に納められたのは五万四千五百円でしょう。二十四万円、これはまさに詐欺、横領の疑いが持たれるわけであります。
こういう事例を私は前にも指摘したわけなのですが、引き続いてその後もこういう事態が引き起こされておるということを自治省は御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/34
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035・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 ただいま御質問のような経緯というものは、三年前の御質疑でよく承知をしておりますし、私どもそれに基づきましていろいろ研究会を開いたりして検討も重ねてきておるところであります。
それ以後そういう事実を承知しているかということにつきましては、私どもは最近の段階におきましては全くそういう不正行為を承知しておりません。いろいろお話もあるということもございまして、若干の地方団体にも照会いたしましたが、その地方団体からは、そうした事実については承知していないという答えが返ってきているというのが現在でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/35
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036・経塚幸夫
○経塚委員 自治省も承知しておらぬ、地方団体もそんなものは知らぬ。これは三年前に大問題になったわけでしょう。今の御答弁は余りにも無責任な答弁だと思うのですよ。
自動車税の例を挙げましょう。これは御承知のように、賦課期日が毎年四月一日、納期が五月中でしょう。そして期日後に納税義務が発生した場合は翌月から課税、ただし、車の移転が同一都道府県内で行われた場合には新しい所有者には課税されない、こう決まっているわけですね。同一都道府県内での移転は新規課税の必要はございませんよ、他府県にまたがった場合にのみ新規所有者に翌月から年度末まで課税する、こうなっておるわけですね。これは法令自体が非常に複雑な仕組みなのです。だから、この複雑な仕組みをユーザーが知らないことを悪用して不正が続けられてきたわけです。
これも資料に挙げてあります。資料の一の一を見てください。これは神奈川トヨタです。九千八百七十円。額は少なくとも詐欺には間違いないわけですね。それから一の二、日産プリンス多摩、二万六千三百三十円。これはいずれも同一都道府県内の移転でありますから、新規課税は必要ないわけでしょう。それを何で取っているのですか。
先ほどの取得税については承知していないと言われましたが、自動車税については、大問題になった後も依然としてこういう事例が続いているということは御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/36
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037・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 委員御指摘のように、自動車税につきましては、税制簡素化という見地から同一県内におきます移転につきましては還付とか新たな徴収ということはやっていないわけでございます。それにもかかわらず、自動車税を納める必要があるということでただいま御指摘のようなことが起きているではないか、こういうことでございますが、この点につきましても、私どもそうした事態が生じているということを県の方から聞いているということがないわけでございます。承知してないわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/37
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038・経塚幸夫
○経塚委員 承知しておらぬということでありますが、手元にお渡しいたしておりますのは、不正あるいは違法と思われる行為を働いた企業名、それからどれだけの金額を徴収して実際に納税されたのはどれだけかということを書いて、あと若干の付記を加えておりますけれども、私の手元には、先ほどの自動車取得税と同じく、これは日産プリンス多摩販売会社でありますが、納品請求書のそのままコピーを持ってきたのです。これは自動車税二万六千三百三十円と書いてある。もう一枚のはいわゆる申告書の控えであります。控えのコピーをとってきたのです。これを見ますと、日産プリンス多摩販売株式会社から八王子市の何のたれべえというところへ移転をされた、こうなっているのです。同じ東京都内です。だから同一都道府県内です。課税の必要がこれはありませんね。ところが、今お示しをいたしました納品請求書の中にはちゃんと自動車税という費目でもってユーザーから徴収をしているのです。何の金やわからぬというのだったらいいのですよ。しかし、ちゃんと納品書の費目には今申し上げましたような税目、金額を明記して取っているのですね。これは大臣も聞いておられて、こんな違法、不正なことを何でそんな名の通ったようなメーカーが、販売店がやるんだと不審に思われるかもわかりませんが、これは三年前にも同じような企業名を挙げて指摘したのですよ。一人か二人でちょろちょろとやっているところで、法令も先例も何も知らぬ企業ならともかくとして、たくさんの販売員を抱えて名の通ったメーカーがこんなことを平然とやっているのです。
その原因について私は三年前にお尋ねしたら、当時の矢野税務局長がこうお答えになったのです。これは会議録であります。こんな不正がまかり通る原因として三つくらい考えられるということで、一つは、「中古車の実際の市場価格と、自動車取得税の税務の運用上定めておりますところの基準額一覧表と言われるものの価格の差が大きいこと、」それはそうなんですよ。実際に取引されておる価格を課税標準にするのではなしに、自治省が出しました一覧表でやっているわけですが、この一覧表は、親戚に車をやったときに、代物弁済で車を取得した場合にどうなるかという金が動かぬ場合のことを想定した課税でありますから、新車で一割、中古車の場合は三分の一程度の価格なんです、これは実際の取引価格と比べてみますと。だから、百万円で買った人は百万円に対して税金がかかると勘違いしますね、はっきり言えば、この一覧表を知りませんから。この矛盾に乗じて、百万円の車だと税金が幾らかかりますよと言って取り上げるわけです。そして差額を着服する、こうなっている。これは一つの原因だ。
それから二つ目には、「この基準価格以上である場合には、特に契約書の写しの添付を要しない」ということをわざわざ通達で出した。契約書の写しは要りませんよ。それなら、契約書の写しがなければ実際は幾らで取引をされたのかわかりませんから、課税庁の方では言いなりですね。百万円で売買されたのに三十万円で売買しましたよ、税額はそれに匹敵するものですよ、こう言われればそのとおりになるのです。何で契約書の写しを必要としないという通知をわざわざ自治省が出したのか、私がこれを指摘したら税務局長がこれを認めた、二つ目はこれが原因だと。
それから三つ目には、この手続は「自動車販売業者が代行する場合が多いわけでございますが、その場合、府県は納付をした者に対して領収証を渡しておりますけれども、その領収証がユーザーに交付をされていない。」これもわざわざ代行業者に渡してよろしいということにしたのでしょう、自治省が。こんなものはあなた、税金を納めた肝心のユーザーが、何ぼ自分が課税庁に対して税金を払ったのか額がわからぬわけですよ。
この三つが不正が横行する原因だということは当時矢野税務局長もお認めになったんですね。それはもう御承知でしょう、会議録をちゃんと見ておられると思いますから。
それで三つの改善点を約束された。一つは、関係業界に対して指導をやる。それから二つ目には、根本的な問題としては納税者がきちんと把握できるようにする。これは納税証明書を交付するということですね。それから三つ目には、基準額の問題でございますが、この制度は私ども実際問題として維持していくことが適切であろう、これは続けていく、こう考えております。ただしその場合に、果たして法令にこれが準拠して行われているのかどうか、かなり便宜的な扱いではないのか、むしろその辺を法令においてはっきりさせるべきだという点につきましては、よく御検討いたしたい、こう答えられた。これは三年たった。どういう措置を講じられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/38
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039・渡辺功
○渡辺(功)政府委員 まず当時税務局長から、三つの問題点がありますと、これは指摘されているということも含めてそういう問題点をまず問題点として申し上げまして、その中でまず基準表でございますが、これは今の税務行政の見地からいっても維持しなければならない、法的な問題があれば検討する、こういうことでございます。
確かに今御指摘のように、そうした措置が設けられる場合の趣旨というものは、無償でもって親戚縁者の方に渡したとか、特殊の関係の人にそういう自動車が渡ったとかというようなときもあるということでそうした措置が設けられるようになっている、これは御指摘のとおりでございますけれども、しかし同時に、これを子細に読みますと、そうした措置で現在のような基準表をつくるということが違法であるというふうに私どもは判断をしなかったわけでございます。そうすると、やや実態的なことを申し上げますが、六百万とか七百万とか非常にたくさんの件数を処理する、しかも申告納税でございますから、その問題についてそれぞれこれを査定するあるいは決定するというようなことから生ずるいろいろなトラブル、そういったことを万般考えますと、やはり当時の矢野局長が答えましたように、基準表を維持するということでいく方がデメリットに対してメリットが大きいというふうに考えざるを得ませんし、それが課税の公平ということからは適切ではないか、こう考えているところでございます。
それから次に、そうしたことについて、これは問題は不誠実な代行をする人と本人ということの問題から起きてくるわけなんでございます。しかしながら、これが税金の納付ということとの絡みで生じておりますものですから、私どもといたしましてもこれを看過することはできないということで、当時の御答弁に従いまして、関係の課税庁であります県関係の実務家等も含めました研究会も持ちまして、私どもそれをいろいろ検討したわけでございます。そうした検討の結果、幾つかの改善点や提案などもございましたが、そうした意見等も踏まえまして、自治省といたしましてはこの研究会の意見を県にも知らせまして、そしてそれぞれの県の実情に即した方法で措置を講ずることが適切であるということで指導し、納税者がこの申告書の内容を確認するということは何よりも大切でございますので、そうした啓発を行うように県を指導したいというところでございます。
なお、それから最後の領収証の交付問題でございますが、確実に領収証を本人に渡るようにすることにより不正行為が防止できる、そういう目的に資するではないかという問題がございます。ただ、この問題については同研究会の中でも議論がございましたが、代行納付があった場合にどうするか、いろいろな問題があります。まず基本的な問題としましては、本質的には領収ということが行われますと、代行にせよどういう形にせよ、税金を持ってきた、お金を領収したということになりますと、それを持ってきた人に領収証を渡すという、これは通常の姿でございます。ところが、この通常の姿を利用してそういうことが行われるということなものですから、あるいはいろいろ御指摘も当時あったと思いますけれども、その余の方法においてどれだけその人が税金を納めたかということを本人が知り得るようにする方法はないものかということで、研究会においても検討され提案もありますが、費用負担の問題等も指摘されまして、今後さらに検討を要する問題だと思います。
〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
納税に絡んで生じていることでございますので、重ねて申し上げますけれども、いずれにいたしましても自動車取得税の納税秩序が厳正に維持されなければならないということは言うまでもありませんので、関係省とも連携をとりまして適切な指導をさらに行ってまいりたい、こう考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/39
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040・経塚幸夫
○経塚委員 今税務局長から答弁があったのですが、これは大臣、ちょっとお尋ねしますが、一つの防止対策は、税金を納めた当の本人に何ぼ税金を納めたのかという課税庁からの直接の連絡が断たれておるというところが、不正がばっこする重要な要因の一つなんですよ。だから研究会で、各地方の課税庁の代表が集まって三年間、二年余にわたって論議をされた結果も、そこはひとついろいろなパイプをつけようという提言がされておると思うのですよ。ことしの一月に課税庁の代表を集めて自治省は研究会の結果を説明されたというのですが、そんなもの説明した程度のことじゃあかんと私は思うのです。
現に、三年前に大問題になりましてから、これは大臣も後でごらんになっていただいたら結構かと思いますが、業界に対して府県税課長名でもって六十年五月二十日付で通達しているんですね。それから同じく六十年七月十五日付でも府県税課長名でもって業者に指導を徹底するようにという通達を出しています。それで九月十八日には通産省と運輸省の通達が出ています。出ているけれども、何で片がつかぬかと言うたら、この通達の中身は、自治省を含めまして全部、課税庁が税金を受け取りますとその領収証を代行業者に渡しますね、その代行業者に渡した領収証をユーザーに必ず渡してやりなさいよという通達です。それはあきまへんわ。そんなもの、悪いことやっている業者に、言うてみたら悪いことしている者に悪いことするなよと言うだけのことだから。
〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕
それを、実際に主人公は納税者なんでありますから、悪いことやっているのかやってないのか、十万円税金がかかると言ったけれどもほんまにそのとおり納めたのか納めてないのかは、納税者である本人に課税庁から直接何らかの連絡があればすぐわかることですから、それをやりなさいよと何回も言ったんだけれどもやらぬ。それで三回通達が出たけれども後を絶たぬというのは、そこにパイプが断たれておるところに最大の原因があるのと違いますか。
これは研究会の意見が出て幾つかの方法が出ていますけれども、結局は、納税者に何らかの方法で幾ら税金が入ったかをわかるようにしようというのが研究会の趣旨なんでしょう、方法はいろいろありますけれども。だからこの際思い切って、課税関係庁に対して、それは手数もかかる、員数もふやさにゃならぬというような事務量がふえる問題もあろうかと思いますけれども、こんなことをいつまでも続けさせてはならぬ。私は三年前に、この税の不当な詐取は恐らく五百億円に上るだろうと言ったのです。推計していけばそうなるのです、いろいろな事件の件数の比率から見ますと。だから根絶やしすべきだ、こう言ったのだ。領収証を渡せば簡単なことなんですよ。その点は大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/40
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041・梶山静六
○梶山国務大臣 経塚委員が大変長い間追跡をされながら調査をされてまいりましたことに敬意も表しますし、感謝を申し上げる次第であります。
確かに今御提案になられた対策、こういうものを行えばこういう問題の根絶ができるという感じもいたします。これから自治省、自治団体、あるいはこれは多分運輸省や通産省も関係をするのかもしれませんが、督励をしてその対策の強化に努めたいと思いますし、私は国家公安委員長といたしましても、考えてみますと、ユーザーや県の告発を受けて、一罰百戒的にこの問題を本当に事件にすることによって根絶を期することの方がむしろ大変効果的かなとすら思うほど、この問題でショックを受けました。それは善意の過失とかあれじゃありません。確かにディーラーが計画的にそういうものをやっているとすれば許しがたいことでございますので、さらに検討を深めてまいりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/41
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042・経塚幸夫
○経塚委員 ひとつ、二度とこういう場でこの問題をまた次の機会に取り上げてたださなければならぬというようなことの事態が起きないように、厳正に対処していただきたい。
それで、運輸省にもお尋ねをしたいと思うのでありますが、これは運輸省も同じことなんですね。自動車重量税、これも三年前問題になったのでしょう。これは自動車の重さに応じて課税されることはわかり切ったことでありますが、車検のときに一括納付なんですね。だから、車検期間中は廃車、名義変更してもこれは還付されない。したがって、中古車購入者は車検の残り期間分は新たに課税されない。これはわかり切ったことなんですが、やはり取っているのですね。
資料を配付しておきましたね。その一の三を見てください。オートパルコ、これは前所有者が納付済みでありますが、三万一千五百円。それから日産プリンス多摩、ここはいろいろなことをやっているんですな。これは重量税課税の必要ないものを三万七千八百円取ったということであります。
これもその改善を約束されたのです。これは依然として続いておりますが、どう考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/42
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043・豊島達
○豊島説明員 御説明いたします。
自動車重量税にかかわる御指摘の取引につきましては、表示上の問題があると判断いたしておりまして、自動車販売業界に対しまして、既に六十年九月十八日付で通産省、運輸省連名で、「車検残のある中古自動車の販売に際し、注文書等において本体価格と別掲して自動車重量税相当額を車検残期間で按分し「自動車重量税( ケ月分)」等と表示することは、顧客に対し現実に自動車重量税の支払いを要するかのような印象を与え、無用の混乱を生ぜしめるおそれがあるので、厳に慎しむこと。」という是正の通達を出したところでございます。その後も御指摘のような取引につきましてはさらに強力に指導をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/43
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044・経塚幸夫
○経塚委員 通達を出した。それは確かに通達の中には、重量税を一たん納めたものをまた新たに課税をするというようなことをやってはならぬということはちゃんと書いてます。これは三年前の通達。しかし、これはまだ続いているのです。これはもう企業の名前がわかっておるわけですね。そんなに二百も三百もの企業がやって問題になっているということじゃないのです。名の通った企業で、そしてこれは言うたら常習犯なんですよ。何でこんなことを常習的にわかり切ってやるのか。もう三年前も私は企業名を挙げた。今回もそれは全部企業名を挙げていますよ。だから、団体へ通達を出した程度の指導で事は解決がつくのですか。
これは通産の方にもあわせてお尋ねをしたいのでありますが、団体に対する指導と同時に、そういう常習的な企業に対しては企業そのものに対する指導をやるべきだと思うのですが、その点は運輸、通産どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/44
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045・豊島達
○豊島説明員 ただいま先生おっしゃいましたように通産省とも共管の事項でございますので、関係の向きと連絡をとりまして、さらに一層具体的に効果が上がるような指導方法について検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/45
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046・中川勝弘
○中川説明員 ただいま運輸省の方からもお話がございましたが、六十年、三年前に通達をお出しいたしまして、関係団体五団体、これは自動車の販売連合会、中古車の販売連合会、輸入関係の組合、軽自動車の協会、それから整備振興協会でございますが、五団体、全国団体に通達を出しまして、それぞれの団体におきまして支部あるいは県の協会を通じて文書あるいはポスター、またそれぞれの協会のニューズレター等々によりまして徹底を図っておるところでございます。
ただ、先生御指摘のような具体的な案件につきましては、実は私、きょう初めてお伺いしたものですから、早急に調査をいたしまして、こういう事態が起こらないよう、また運輸省と協力をしながら努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/46
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047・経塚幸夫
○経塚委員 きょう初めて聞いたというのはちょっとそれはそらぞらしいわ。そんなものわかっているんだよ。わかっているから通達で、通達はどのように書いておりますねん。こういうことが続けられてきた、しかし最近またこういう事態が引き起こされておるからというて、これが三年前ですよ。だから、それまでずっと続いてきておったことは承知しておった、それが改まらぬというので三年前改めてまたやった、そうしたら三年後また同じようなことが出ております。それはこれこれという話もありますけれどもね。それはちょっと後でまた聞きますけれども。
これと関連をして、それ以外のいわゆる車庫証明だとかあるいは検査登録手数料だとか、これは法定とか、通常は大体どれくらい必要なものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/47
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048・豊島達
○豊島説明員 御説明いたします。
自動車の検査の手数料が、新規の場合は九百円でございます。登録の手数料がそのほかに五百円必要となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/48
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049・経塚幸夫
○経塚委員 それならこれはあなた、千数百円で済むのですね。これも資料を出してあります。これを見ておいてください。えらい取っておるのですね。車庫証明、検査登録諸費用、自分でやれば高くても四千円前後で済むものを、トヨタは大体平均三万から五万ぐらい、全部この一覧表を見ますと取っておりますね。こんなぼろい商売ないわ。これはあなた、法定費用もちゃんと決まっておるわけなんでしょう。これはむちゃくちゃな取り立てをやっておる。実際に要する費用を合理的に計算をしてやりなさいといって、これも通達を出した。これは一つも改まっておらぬのですね。何かこの業界に対しては、関係省庁がえらい弱腰じゃないか。これじゃ、消費者が主人公であるにもかかわらず、一体いつまでこんな不正をまかり通していいのか、こう疑いたくなるわけでありますが、その問題はその程度にしておきまして、今度はちょっと法務省にお尋ねをしたいと思っております。
六十一年の九月十日付の朝日新聞にこれは報道されておりましたが、警視庁捜査二課と赤坂署が、先ほど挙げましたような事例につきまして、二人を横領容疑でもって書類を送検したということが報道されております。これは自動車取得税、さっき言いましたように実際の納税額以上の金を預かって、そして横領した。どうもこれは本人も認めたようであります。もう一件も同じことでありますが、これは処分は、検察庁、どうされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/49
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050・馬場義宣
○馬場説明員 お尋ねの事件でございますが、六十一年九月十日付の新聞に報道されております事件につきまして調査いたしましたところ、一名につきましては、昭和六十一年七月二十三日、警察から事件の送付を受け、その事件につきましては六十二年の十二月二十三日に不起訴処分になっております。それから他の一名につきましては、六十一年の十月二十九日、警察から事件送付を受け、これは六十二年の一月二十六日にやはり不起訴処分になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/50
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051・経塚幸夫
○経塚委員 おかしいじゃないですか。これは新聞の報道を見た範囲でも、これはもう横領したことははっきりしておるのじゃないですか。何でこれを不起訴処分にするのですか。
それから、これはそちらへ資料を渡していますかね、オートギャラリー二四六、ここも随分やっていますな。これは十七万五千円の被害、そしてそれぞれ告訴、告発があった事件でありますが、本人に対しては不起訴処分の通知が来ております。これは、かんかんになって怒っておりますよ。いや貸した、いや借りた、いやそんな覚えはある、ないというような話と違います。言いましたように、納品書でもって税目をちゃんと挙げて、そして税額を記入して、それで税務署へ行って納税証明書を上げてきたら全然違う、これは歴然たる詐欺、横領行為であることはわかり切っているのに、何で不起訴にするのですか。よく理由がわかりません。どういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/51
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052・馬場義宣
○馬場説明員 私ども、検察庁から報告を受けております限りにおきましては、具体的な事件の詳細については申し上げるわけにはまいりませんけれども、証拠類、関係者等を取り調べた結果、それぞれ詐欺罪等を認めるに足る証拠が十分でないという結論に達したという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/52
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053・経塚幸夫
○経塚委員 そんなことありますかいな。詐欺罪と認めるに足る十分な証拠がないというが、これほどはっきりした証拠はないじゃないですか。これも解せぬですね。これは公安委員長、警察はこれをせっかく横領の容疑で送検した、本人も事実を認めたから。そしたら検察庁へ行ったら、証拠不十分だというようなことでこれは不起訴になった。もう告訴、告発が相次いでいるのです。それで、あそこでみんなペケだ。全くおかしいですよ、これは。こういうことがあるから、名の通ったメーカーの販売店が少々なことをやっても恐ろしいものはないとなってしまうのですよ。告訴、告発勝手にやっておれ、そして金の返還を求めても内容証明を送っても返さない、歴然たる証拠があるのに。検察庁がこんな態度だから何ぼでもはびこるのじゃないですか。正義の味方なら正義の味方らしくちゃんとしなさい、はっきり言っておきますけれども。これは厳正な対処をされるのですか。まだ告訴、告発は幾らでも続きますよ。どうされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/53
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054・馬場義宣
○馬場説明員 私ども検察庁といたしましては、それぞれ具体的事件につきまして、証拠に基づいて判断せざるを得ないという立場がございまして、今後、仮にそういう事件につきまして警察等第一次捜査機関から事件が送られてきたというような場合につきましては、それぞれ具体的事案につきまして、証拠に即しまして適正な判断をし処理をするものと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/54
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055・経塚幸夫
○経塚委員 何回も繰り返すようですが、はっきりした、事実関係が歴然としておる問題だから、告訴、告発もし、警察も書類送検をしているわけですから、これは私は今の答弁では納得いきません。しかし、時間の関係もありますので、今度は警察に関することでちょっとお尋ねをいたします。
これも資料は前もってお渡しをしておきました。東京都台東区の方でございますが、三台分入る車庫を所有しておりました。一台は自分で使っております。それで、一台息子が中古車を購入しました。あと二台分の余裕があるので、この場所で登録をすべく蔵前の警察署へ車庫証明を申請に行った。ところが、どんなことが起こりましたか。警察の方から、既に四台分の車庫証明がこの場所で発行されておりますので証明はできないと言われた。こんなあほなことないですね。調査したところ、この御本人さんとは全く関係のない、全く赤の他人の三台の車がこの場所で登録されておった。車庫証明が出されている。それで、三台の車はいずれも日産サニーの東京販売。これは前もって資料をお渡ししておきましたが、これは事実ですか、警察どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/55
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056・内田文夫
○内田(文)政府委員 今先生御指摘の事案につきまして警視庁に聞きましたところ、そういう事実といいましょうか、このAさんと申しましょうか、そのお方のところの二台の駐車場、一台は自分が使っていた、別のところへ、離れたところに土地があって、そこに今息子さんが買おうとしたとき、別の車が二台登録されていたということは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/56
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057・経塚幸夫
○経塚委員 いやいや、私が言ったような事実、蔵前署でこれは本人が陳述書も出しておるのですよ。それで、本人の知らぬ間に車庫証明が出された、こう言っておるのですが、それは事実だったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/57
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058・内田文夫
○内田(文)政府委員 この事案につきまして、関係者両方を呼んで事情聴取をいたしまして、その結果、前のその申請内容に事実に反する点があるということで、これは厳重に注意をいたしまして、直ちに是正措置をとらした、こういうように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/58
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059・経塚幸夫
○経塚委員 その事実に反するというのは、本人の了解なしに販売会社が車庫証明を取った、こういうことなんですか。わかりやすい答弁してくださいな、持って回ったようなことを言わぬで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/59
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060・内田文夫
○内田(文)政府委員 その点につきましては、事実の十分明確じゃない点もあるわけでございますが、両方の言い分の食い違いもあるわけでございまして、片方は相手方の了解を得ているというようなことを言っておりますし、かなり食い違いがあるということはありますが、ともかく正常な姿に戻さなければいかぬということで、呼んで警告をし、直ちに是正措置をとらした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/60
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061・経塚幸夫
○経塚委員 その両方の言い分に食い違いがある、それで呼んで警告をし、是正の措置をとらしたという、その中身は何ですか。中身はどないですねん。車庫証明を、一たん出したものを取り消したということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/61
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062・内田文夫
○内田(文)政府委員 お答えいたします。
既に事実に反して登録されていた二台につきましては、別のところへきちっと登録を、こちらの登録をいわば抹消をしてさせ直した、そして新たに息子さんと、たしかその友人と聞いておりますが、それが購入した二台について登録をした、こう聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/62
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063・経塚幸夫
○経塚委員 そうすると、やはりこれは、やっと何問か聞いて、最後の方になって、これは本人の了解なしに車庫証明を勝手に取っておったということですが、「蔵前警察署長殿 理由書」こういうことで、本人の、これも私コピーをとってきた。「六十年六月証明番号千五百四十八」「六十年十二月」「六十一年三月」、番号がずっと書いてあります。「車両については私が申請したものでないことを申し上げ、並びに購入した事実もありません。」ちゃんとこれは「蔵前警察署長殿」となっている。それで、応対をされたのが「警視庁蔵前警察署知能犯捜査係長」、名刺もちゃんとコピーがついているんですがな。私は「登録事項証明書」それから「保存記録」をみんなコピーを持ってきた。本人の申し立てどおり間違いないのです。全く知らぬ人が勝手に自分のところの車庫の車庫証明を取って、それで車の所有者として登録をされておるんですがな。これは大臣、世にも不思議なことです。そうでしょう。こんなことまで平然とやっておる。
そこで、私はちょっと疑問に思いますのは、車庫証明を出すときに、警察は、車庫の所有者に問い合わせもしなければ調査もせずに、何丁目の何番地のどこそこを車庫として使用したいということで申請書が出てくれば、もう簡単にこれは認めているんですか。そうでなければ、実態はわかっていたけれどもこういう不当なことを認めたのか、これはどっちなのか、こういう疑問が出てくるわけなんですが、その点はしかと調べましたか、この蔵前署について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/63
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064・内田文夫
○内田(文)政府委員 申請があった場合には、申請書類をチェックいたしまして、書類上の問題点はないか、それから現実にその車庫があるかというのを現場を調査いたしまして対応をいたしているところでございます。何分、数が多いし、それから申請者といいますか御本人の便宜というものを考えまして、一々御本人に面接をして聴取をするということはいたしておりませんけれども、自分の土地であるかどうかというようなことも証明書の書類を提出するようにしております。現実に駐車場の現場を見ております。
本件の場合も、最初の二台の登録に際しましては、現実に現場へ参りまして、それがAさんの土地である、Aさんが使用する車ということで申請されておりますし、それからAさんの土地であるということも確認し、そこに車が二台収容できるだけの余地があるということ、そして既に今までそこに車が登録されてないということも確認をいたしまして、証明を出しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/64
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065・経塚幸夫
○経塚委員 そこが盲点なんですよ。大臣、これは車庫の所有者がおるでしょう、その車庫を使用者と所有者とに分けて、それで使い分けをするわけなんです。だから、車庫は使いますよ、車はこの人ですよ、こうなるんですね。車の所有者の登録と車庫の使用とは別に分けてやれるわけですからね。ここを巧みに使って、私が車を買いたい、そうするとセールスマンが、それはぜひ買ってください、しかし私は残念ながら車庫がないんですよ、こう相手に言います。そんなの心配要りません、ちゃんと段取りします、こうなるんですよ。それで全然別のところの車庫の使用者になる。それで車は私の名義になるわけです。こういう段取りをちゃんとやってきておるのです。だからこれは知能犯係になるのです。全く名の通ったメーカーともあろうものがこんなことを平然とやるというようなことでは、これはもう許しがたいと思うのです。
そこで、あと固定資産税のことも聞かなければならぬので時間が迫ってきておるわけでありますが、大臣にお尋ねしたいのです。
抜本的に解決をつけていく問題の基本、決め手は何かといえば、私はユーザーの登録制度、つまり自分でいろいろな登録の手続が簡単にできるという制度に改めることが決め手だと思うのです。例えばアメリカでは、車を購入しますと仮ナンバーみたいなものを一定の期間を定めて交付されるわけです。それでその期間が切れるまでの間に暇を見つけていろいろな手続を自分が皆やるわけですよ。ところが日本の場合には、登録制度が極めて複雑なところへ持ってきて、手続を自分でやろうとしますと莫大な日にちを要するのです。例えば私の大阪では、前回も問題にしましたけれども、府税事務所は七カ所ありますが、自動車税の事務所はあの広い大阪で三カ所しかありません。こんなものはあなた、端から行ったら相当時間がかかります。だから、一定の期間仮ナンバーを交付しておいて、その間にユーザー自身が登録するという制度をアメリカでは採用している。業界の中では、そういう制度を日本も取り入れるために検討を開始すべきだという声が業界紙に出ているのです。
私は今大変だと思うのです。片一方は販売代理業者から、自分たちに法律でもって代行業務を保証せい、法律の改正をやれという陳情が来ているのでしょう。一方では行政書士会の方は、そんなことをされたら自分の職域が侵される。どちらをとるかということで、この問題は今、国会へ一つの嵐を呼びかねないような大問題になってきているのですね。しかし、私は基本はやはりユーザーの立場に立った解決策をどう求めていくかということになると思うのです。これがやられるということになりますと、諸税の違法、不正行為もその道を断つこともできるでありましょうし、不当な各種の使用料、手数料などの徴収にも歯どめをかけることができるでありましょうし、まじめにやっている業者が一部の業者のために大変な迷惑をこうむっているわけでありますが、こういうことも封殺できるでありましょう。
ただ、この問題は手がけようと思いますと、これは自治省はもとよりでありますが、通産、運輸、それから国税もありますね。自治、通産、運輸、大蔵、全体にかかわり合いを持ってくる問題なんですね。しかし、いつも問題にされます一番大きな問題は自動車税、自動車取得税の領収証問題をめぐってでありますから、大臣、これはひとつ関連省庁、関連大臣とも協議の上で、業界からもユーザーの登録制度を簡素化させて直接できるような制度を検討すべきじゃないかという声が上がりつつありますし、今、法改正の問題をめぐって国会にも大変な荷物が背負わされているという時期でもございますから、ぜひひとつ前向きで検討していただきたいと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/65
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066・梶山静六
○梶山国務大臣 先ほど来、大変長期にわたる追跡調査をされた結果の公表をされましたし、それから専門的なお話でいろいろなことを提案されましたが、一つ一つもっともだというふうに聞いております。
ただ、相手側の意見もまだ聞いておりませんので、経塚委員の御提案だけでいいのかどうなのか。これからもろもろの関係省庁にも聞いてみたいと思いますが、一義的に自治省として考えられることは、県税の確保という意味とユーザーの保護という意味をひっくるめてこれから対策は講じてまいりたいと思いますけれども、恐らくこの自動車関係は運輸でしょうか、各省縦割りの縄張りでございますから私も余り口を出して文句を言われても困りますし、経塚委員御指摘でございますが、各省庁間に私の方から呼びかけをすることはいかがなものかというか、判断にまだ迷います。きょうは幸いに運輸省も通産省もおいででございましょう。それぞれ賢明な人ですから、恐らくこれは上司に報告をされて、どこが元取りをやるかというのはおのずと決まると思いますから、この問題に関してはそういうことでやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/66
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067・経塚幸夫
○経塚委員 よく聞いておると、自治大臣の方ではそれじゃ何をしてもらえるのかな、こういうことで、ちょっとしり切れトンボなんですがね。それは帰って報告はされるでしょうけれども、しかしこれは諸税の関係から言ったら自治省が大きなかかわり合いを持っているわけですから、それは大臣、おい、こんなこっちゃで、一回いろいろ協議の場を持ったらどうかという、このくらいは自治大臣の方で音頭をとってもいいのと違いますか。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/67
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068・梶山静六
○梶山国務大臣 私自身が各大臣に申し上げるということも一つの方法かと思いますが、きょうとにかくお聞きになっている通産も運輸もおりましょうし、恐らく賢明、優秀な官僚でございますから。しかし、経塚委員が三年前に言ったことがなおかつなかなか取り上げられないということは、相当複雑に多省庁間にまたがっているのではないかと思うので、私も胸をはたいて言ってはみたものの、また三年後に経塚委員にあれはどうなっているんだといって査問を受けるようなことになりましても大変でございますから、できるかできないかを見定めてからお答えをするのが慎重な態度というか、責任ある態度だと思いますので、自治省内部でまず協議をし、自治省から各省庁に申し上げることができれば申し上げたいと思います。長い間の御研さんに敬意を表し、これからもその問題で専門的なお知恵をおかし願いますようにお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/68
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069・経塚幸夫
○経塚委員 自治省内部でいろいろ検討をして、その上で前向きな結果が出されるものだと御期待を申し上げておきます。
時間がもうあとちょっとですので、まとめてお聞きをしておきますから、まとめてお答えをいただきたいと思います。
主として固定資産税の関連でありますが、特に小規模住宅用地、これは四十八年二分の一特例と四十九年四分の一特例が実施をされたわけでございますけれども、依然として住民の負担増は軽減をされておりません。軽減措置がとられました四十八年、四十九年が国民所得比が〇・四%ですね。六十一年〇・七四%でございますから、これはうんとふえているわけです。
そこで、このいわゆる小規模住宅用地の軽減措置についてでありますが、この際の政府側の説明では、一般の固定資産と比較をいたしまして、直接収益を生まない宅地は区別するとの見解を表明されておるわけなんですね。これが答弁で出ております。それから地方税法三百六十七条では生活保護の受給者に対しては減免措置が認められておるわけでありますが、土地などにつきましても利用価値に比して処分価値が著しく大きいと認められるもの以外は所有を認める。それから住民税の非課税限度額の導入につきましても、これは生活保護との関連で導入されたわけですね。したがいまして、固定資産税についても最低生活必要上の面積のもの、これは非課税措置とするような扱いを検討すべきではないか、この点をぜひひとつお答えをいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/69
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070・梶山静六
○梶山国務大臣 税は安いほどいいし、行政サービスは多いほどいいことは当然でありますけれども、固定資産税は市町村税の中での普遍的な、大変重要な、基幹的な税目でもございます。ですから、今お話しになりましたように、小規模住宅用地に関しましてはいわゆる減免の措置を講じているところでございまして、今固定資産税のうちに占める土地の税は約二兆円でありますが、五割、一兆円が減税されているということでございますので、さらにこのものを減免というか、ゼロにするとかどうとかということになりますと、やはりそこに住む住民として、土地を持っている住民としていかがなものか、こういう考えも一面にございますし、また地方を賄っていく最低限度の税収を確保していかなければならないということもございますので、今小規模の住宅用地に関しましては、あとう限りの減免措置を講じているわけでございますので、御理解をちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/70
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071・経塚幸夫
○経塚委員 御理解をちょうだいしたいということでありますが、負担増は依然としてふえておりますので、重ねて特別な措置を検討されることを求めまして、終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/71
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072・松本十郎
○松本委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/72
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073・松本十郎
○松本委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。片岡武司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/73
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074・片岡武司
○片岡(武)委員 私は、自由民主党を代表して、政府提出の地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。
最近の社会経済情勢に即応して国、地方を通じ望ましい税体系を確立することは喫緊の課題であります。また、活力ある地域社会を形成していく上で地方公共団体の役割はますます重要なものとなってきており、そのため地方税の充実が強く求められているところであります。
現在、税制の抜本的改革について税制調査会や与野党間で検討が進められているところでありますので、このような事情にかんがみれば、抜本的税制改革はこれらの結論を待って行うこととし、当面実施の急がれている項目についての改正を行うべきものと考えます。
このような観点に立って政府提出の本法律案を見ますと、固定資産税等について明年度の土地の評価がえに伴う税負担の急増を緩和するための負担調整措置を講ずることとしているほか、道路目的財源確保のための軽油引取税及び自動車取得税並びに昭和六十一年度の地方財政対策の一環としてとられた道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の税率の特例を延長することとしております。
また、土地対策の一環として特別土地保有税等の改正を行うこととしているほか、地方税負担の適正合理化のため非課税等特別措置の整理合理化を行うこととしております。
これらの改正は、最近における地方税負担の現状及び地方財政の状況から見て、いずれも適切妥当なものと考える次第であります。
以上の理由により、私は政府原案に賛成の意を表するものであります。
以上をもって私の政府原案に対する賛成の討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/74
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075・松本十郎
○松本委員長 山下八洲夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/75
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076・山下八洲夫
○山下(八)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論を行います。
以下、主要な反対理由を申し述べます。
第一に、地方税は、住民サービスを担う自治体の財源でありながら、国による多くの制限を受け、貧弱な税源に甘んじており、またそれゆえに減税が進まず、最近、個人住民税に対する負担感も強まっています。私たちは、地方税源の拡充を主張しておりますが、本改正案においてもそうした改革案は何ら含まれておりません。
第二に、住民の住民税に対する負担感の増大に対し、何ら見るべき減税を盛り込んでおりません。個人住民税については、直ちに基礎控除、配偶者控除、扶養控除の引き上げにより、課税最低限を引き上げるべきであります。
第三に、非課税等特別措置の是正が放置されたままとなっております。現在、国税、地方税を合わせて八千億円余も租税特別措置が存在しております。また、外国税額控除制度などの不備によって地方は大企業に対し莫大な税の還付を余儀なくされておりますが、これも何ら手をつけられていないことは極めて遺憾であります。さらに、事業所税の課税団体の拡大、事業税における外形標準税の併用も見送られていることは不満であります。
第四に、地方税独自の不公平税制が存在いたしますが、その象徴が社会保険診療報酬の非課税問題であります。所得税とは異なり、非課税という特異な状態は政府税調においても再三問題になっていますが、本案に是正策が盛り込まれていないことは言語道断であります。
第五に、住民の負担減について、固定資産税、都市計画税の軽減問題がありますが、政府案の負担調整では極めて不十分であり、小規模住宅用地については税額を据え置くべきだという我が党の再三の主張が入れられなかったことは遺憾であります。
第六に、土地税制について土地神話を打破するような税制強化策がなく、既存制度の延長等でお茶を濁していることは政府の土地対策に対する姿勢を如実に示しています。
第七に、たばこ消費税の再三の延長は、いわれなき国による地方への財政負担の転嫁の帰結であり、このように一年ごとに延長させるやり方は地方財政運営にとって有害と言わざるを得ません。
第八に、今年も国保税の限度額の引き上げが盛り込まれておりますが、国保に対する国の負担軽減と地方への転嫁を行いつつ、保険者に負担増のみを求め続ける姿勢は断じて許されません。
最後に、指定都市からは大都市における特別とん税、日銀納付金の改善などが既に十年来要望され、また、観光都市からは清掃事業費等が重く、せめて料理飲食税の一部でも交付してほしいという切実な希望が示されておりますが、何ら考慮されておりません。
以上が反対の主な理由でありますが、与野党国対委員長会談における合意に基づき、不公平税制是正による地方税を含めた減税を実施し、国会決議、政府統一見解、選挙公約に反する政府税調の新大型間接税構想の検討を直ちに中止することを強く求め、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/76
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077・松本十郎
○松本委員長 小谷輝二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/77
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078・小谷輝二
○小谷委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案につきまして、反対討論を行います。
以下、反対の主な理由を申し述べます。
まず初めに、住民税についてであります。
今、国民の税に対する要求は、所得税、住民税の大幅減税であります。これは政府税調の地方公聴会において強い減税要求があったことから見ても明らかであります。昨年の税制改正は、当初案よりもその規模は小さく、本格的減税にはほど遠いものであり、減税はいまだ道半ばであります。
六十二年度の税収状況から見て、六十三年度は大幅な自然増収が見込まれており、減税の財源は充分確保できるものでありますが、今回の税制改正案には減税が全く盛り込まれておりません。これは国民の減税に対する期待を裏切るものであり、強く反対するものであります。
減税の実施については、現在、与野党の税制協議会でその財源を検討しておりますが、政府はこの結果に基づき、六十三年度中に大幅な住民税減税を実施されるよう、強く要求するものであります。
次に、国、地方間の税源配分についてであります。
今日の国、地方間の税源配分は二対一であるのに対し、支出面では逆転しております。特に大都市においては、増大する財政需要に対応できないのが実情であります。
現行の国中心の税源配分を現状の財政需要に即して改革することが、現在の地方行政の最重要課題であります。これまでその改革を強く主張してきましたが、政府には一向に改める姿勢が見当たりません。
早急に、税源配分の適正化を実施することを主張するものであります。
次に、国税の租税特別措置等の地方への影響遮断及び地方税の非課税措置の見直しについてであります。
今日の地方税制度は、国の租税特別措置により、国税を減税した場合、地方税もその影響を受けて減収する仕組みになっております。その影響を遮断する措置を強く求めてきましたが、政府はいまだその措置をとっておりません。また、地方税においてとられている各種減免措置は、税の公平を欠き、地方自治体の課税自主権を阻害しているものであり、我々はその抜本的見直しを訴えてきましたが、今回の改正案でも十分な改革が行われておりません。地方税の減免措置を抜本的に見直すとともに、地方税の減免措置は、各地方自治体の条例で行えるようにすべきであります。
次に、土地税制についてであります。
地価は一部都心商業地では鎮静化しているものの、大都市地域では異常な高値で推移し、今後の金融情勢によっては、再び急騰の気配がうかがわれます。もはや、サラリーマンは大都市周辺で住宅を持つことが不可能となり、地価の高騰は、まさに異常な事態となっております。しかし、こうした事態に対して、今回の税制改正でも十分な対応が見られないのであります。このような政府の土地無策に強い不満を表明するものであります。
最後に、今日の重要課題である税制改革についてであります。
政府は、高齢化社会の到来に備え、間接税の比率を高める必要があると言っておりますが、大型間接税は税収を得るのが容易であるのに対し、直接税は、税の痛みを感じながら納めるために、必然的に政治への関心を高めるものであり、それが民主主義の基本になるものであります。
先日、政府は税制改革に関する有識者調査を実施し、間接税の賛成者が八〇%を超える結果が出たと言っておりますが、この世論調査に当たっては、政府の資料を配布して実施したものであり、しかも誘導的な設問を設け、大型間接税の世論づくりにはなりふり構わないという姿勢は、全く公正さを欠くものであり、まことに許しがたいものであります。
我々は、大型間接税の導入に断固反対するものであります。
以上、主な反対理由を申し上げまして、反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/78
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079・松本十郎
○松本委員長 岡田正勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/79
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080・岡田正勝
○岡田(正)委員 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案につきまして、民社党・民主連合を代表して反対の討論をいたします。
反対理由のその一は、我々は、主として住居費や教育費などの負担の重圧にあえいでいる中高年齢者の税負担の軽減を図るため、税率区分の見直しや基礎控除などの人的三控除の引き上げなどにより、約三千億円の個人住民税の上乗せ減税を求めたにもかかわらず、これが本案では見送られたことであります。
その二は、同時に、近年の異常な地価高騰に伴い、三年ごとの固定資産税の評価がえに伴う急激な税負担の上昇から庶民の生活を守るため、小規模住宅用地の固定資産税の軽減を求めたにもかかわらず、これが見送られたことであります。
その三は、地方たばこ消費税の増税措置は、六十一年度において六十一年度限りの措置として導入されたにもかかわらず、その後、便宜的に延長し続け、本法律案においても、六十四年三月三十一日までさらに一年間延長する措置が講じられていること、これは国民への約束を踏みにじるものであり、認められないのであります。
その四は、今や自動車は保有台数が五千万台を超える大衆商品であり、自動車関係税制の根本的見直しが求められているにもかかわらず、それには全く手をつけず、道路財源対策を口実として、軽油引取税について、本則税率の一万五千円より六二%も高い特例税率二万四千三百円の措置をさらに五年間も延長することとしておることであります。これは取りやすいところから税を取るという政府の安易な姿勢を端的に示すものでありまして、絶対に認めることはできません。
以上のことを申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/80
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081・松本十郎
○松本委員長 経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/81
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082・経塚幸夫
○経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、評価がえに伴う固定資産税、都市計画税の増税を容認し、住民に負担増を押しつけるものだからであります。
東京都が行った固定資産税、都市計画税の実態調査でも、固定資産税、都市計画税の伸びは、給与所得者の収入を三・一ポイント、個人事業者の売上高を二一・〇ポイント、年金生活者の年金額を一一・九ポイント、いずれも上回り、所得の伸びを上回る固定資産税、都市計画税の増税の実態が明らかになっておるのであります。
さらに、小規模住宅用地の課税標準の特例制度の導入から既に十三年経過いたしましたが、国民所得に占める土地の固定資産税の割合が当時の二倍となっておるのであります。評価がえによって何ら利益を受けない個人の宅地については、生活の根拠となっている一定面積以下のものは非課税にするなどの新たな軽減措置をとるべきであります。基礎控除方式の導入を重ねて求めるものであります。
反対の第二は、たばこ消費税の引き上げであります。一年限りとされたたばこ消費税の引き上げは、これで三年連続であります。国庫補助負担金のカットが、地方への負担転嫁を禁じた地方財政法、さらには生存権を保障した憲法二十五条の精神に反することはもとよりでありますが、影響額の一部をたばこ消費税の引き上げで補てんすることは、国の負うべき責任と負担を国民に転嫁するものであり、断じて容認できません。
第三は、国民健康保険税の課税限度額の引き上げであります。これは住民の負担増に拍車をかけるものであり、容認できないものであります。
今、国民健康保険財政は、六十一年度決算で赤字額千二百四十五億円、赤字団体数三百三十七団体と、かつてない危機に直面いたしておりますが、この最大の原因が国庫負担の大幅削減にあることは明らかであります。国保財政の収入額に占める保険料割合は、五十六年度三三・三%から六十一年度三七・八%と大幅に増加し、一方、国庫負担金の割合は五八%から四四・五%へと大幅に減っておるのであります。実質削減額は七千億円にも達し、国保料を二八%も引き下げられる額に相当するのであります。真に住民負担の軽減、国保財政の再建を願うなら、国庫負担をもとに戻すべきであることを改めて申し添えます。
最後に、住民税減税の問題であります。国民所得に占める個人住民税の割合は、昭和四十五年度一・一%から六十三年度二・七%と倍増しております。五十五年以降をとっても、国民所得の伸びが四四%に対して、個人住民税の伸びは八〇%とほぼ倍の伸びを示しておるのであります。昨年の住民税減税によっても、六十三年度国民所得に占める個人住民税の割合は六十二年度と同じ二・七%であり、増大する個人住民税の軽減にはなっておらないことを証明しております。
日本共産党は、軍事費を当面半額以上削減、大企業、大資産家に対する優遇税制の見直し等を財源として、二兆二千億円の所得税、八千億円の住民税の減税を要求してきておりますが、この道こそ大型間接税導入なしの減税を求める国民の要求にこたえる道であることを改めて強調いたしまして、討論を終わらせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/82
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083・松本十郎
○松本委員長 これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/83
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084・松本十郎
○松本委員長 これより採決に入ります。
地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/84
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085・松本十郎
○松本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/85
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086・松本十郎
○松本委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、渡海紀三朗君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。渡海紀三朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/86
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087・渡海紀三朗
○渡海委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四党を代表し、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。
案文の朗読により、趣旨の説明にかえさせていただきます。
地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、今後の地方税制の改正に際しては、最近の社会経済情勢等にかんがみ、地方税源の増強、社会的不公平の是正、住民負担の軽減適正化等を図るとともに、以下の各項について早急に検討し、善処すべきである。
一 地方財政の厳しい状況等を踏まえ、高齢化社会等に対応する行政機能の確立並びに国と地方及び都道府県と市町村の税源再配分について検討すること。
二 個人住民税の負担については、常に国民生活水準の動向、中堅所得者層の税に対する重圧感に配意し、適正な負担水準を検討すること。
三 個人住民税の課税の在り方については、地方税の自主性を踏まえながら、納税義務者の事務負担等を考慮した簡明な課税の仕組み等について検討すること。
四 税負担の公平を図るため、事業税その他地方税における非課税等特別措置の整理合理化を推進すること。
五 地方税収の安定確保等を図るため、法人事業税の外形標準課税問題について引き続き検討すること。
六 最近における地価高騰の状況にかんがみ、固定資産税の課税については、居住用資産に係る負担軽減措置を更に検討すること。
七 地方道の整備水準及び地方道に係る特定財源比率の現状にかんがみ、地方道、特に市町村の道路目的財源の充実を図ること。
八 都市税源の充実を図るため、事業所税の課税団体の範囲の拡大問題について引き続き検討すること。
九 キャピタル・ゲイン課税については、所得税における課税の取扱いとの均衡を配慮しつつ、地方税制においても原則課税が行えるようその方策を検討すること。
十 所得税及び個人住民税減税等の税制改革の実施に当たっては、地方財源の不足を来さぬよう特段の配慮を払うこと。
右決議する。
以上であります。
何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/87
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088・松本十郎
○松本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/88
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089・松本十郎
○松本委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、梶山自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。梶山自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/89
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090・梶山静六
○梶山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/90
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091・松本十郎
○松本委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/91
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092・松本十郎
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
─────────────
〔報告書は附録に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/92
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093・松本十郎
○松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00519880325/93
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